第151回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年12月14日(水)13:00~15:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

(1)労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令案概要について(諮問)
(2)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱等について(諮問)
(3)石綿工作物等事前調査者関係省令改正について(諮問)
(4)第14次労働災害防止計画について
(5)がん原性告示について(報告)
(6)新規化学物質の有害性調査結果について(報告)
(7)職場における騒音障害防止対策の推進について(報告)

議事

議事内容

○城内分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第151回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は労働者代表委員の袈裟丸委員が欠席しております。また、公益代表委員の砂金委員、原委員、使用者代表委員の及川委員が遅れての御参加になります。
 本日は、感染症の防止対策として対面及びオンラインの併用により開催することとしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日は議題が多いため、円滑な議事への御協力をよろしくお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等についての説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局でございます。本日、オンラインで参加をされております委員の先生方にお願いを申し上げます。Zoomの操作方法等について御説明をさせていただきます。本日はハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定していただくよう、よろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んだ上、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンに設定していただき、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。
 このほか、進行中に通信トラブルなどの不具合がございましたら、事務局へメール等にて御連絡いただけますようお願いいたします。以上でございます。
○城内分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「免許手数料令改正について(諮問)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○調査官 お手元資料として、資料1-1、1-2を用意させていただきました。内容につきましては、資料1-2で御説明いたします。
 2ページを御覧ください。労働安全衛生法の手数料に関しましては、この分科会の決定に基づきまして、3年に1度、安全衛生関係指定制度運営評価会議といった公労使の3者の会議で御議論いただいて、料金を設定しております。来年からの次の3か年におきまして、都心といった交通の便の良い試験会場を設置するといったことや、オンライン申請の対応を行うという2点を計画に盛り込んだ運営計画につきまして御了承いただき、その計画に係る必要な収入ということで、2の改正内容に記載している手数料について、今回設定したところです。学科試験であれば、2,000円程度の値上げということになります。
 免許試験はそういった形になりますが、コンサルタント、作業環境測定士の受験につきましても、本来であれば収支見合いの中で値上げが必要なのですが、令和5年、令和6年に化学物質規制の強化がされる関係で、化学物質管理専門家の担い手になる方の受験手数料については3年間の据置きをしようと、同じく評価会議での御議論において決めさせていただいたところです。その内容を踏まえまして、手数料の改正ということで、令和5年4月1日から施行させていただきたいということで、今回御提案させていただくものでございます。実際は4月1日から募集する試験ですので、予定では6月以降の試験から実際に値上げという形になる予定でございます。御審議のほどよろしくお願いします。
○城内分科会長 本件について、御質問、御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書込みをお願いします。また、会場にいらしている委員の方は挙手をお願いいたします。御発言はありませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、「免許手数料令改正について(諮問)」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。
 次に、議題(2)「MOCA健康管理手帳追加に係る業務追加(政令)・対象者要件(省令)改正について(諮問)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○産業保健支援室長 私から御説明いたします。資料は2-1から2-3まで用意いたしましたが、資料2-3を御覧ください。今回の改正は、3,3’ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、略称がMOCAというものですが、これはウレタンの硬化剤や防水剤で使用されていた物質で、少し前に膀胱癌の事案が複数発生した物質でございます。これを健康管理手帳の対象に加えるということですが、(1)の2つ目にありますように、健康管理手帳に加える要件として3つ要件を設定しております。まずは、規制対象の物質であること、それから労働基準法施行規則の別表に追加されているものであること、実際にそういう事案が今後も発生するおそれがあることでございますが、この物質自体は特定化学物質として以前から規制をされておりました。今回、基準法の別表にも追加される予定となっており、実際に労災の認定も10件出ていて、この3つの要件を全て満たすということで、今回、健康管理手帳の対象に追加をするものでございます。
 (2)改正の内容としては、MOCAを1%以上含有する製造又は取り扱う業務ということで、これまでの労災認定の事例を踏まえて、2年以上従事した方を対象にしていくことで考えております。参考資料にも書いておりますが、健診の項目自体は特定化学物質としての通常の健診と基本的には同じですが、急性症状に関する項目は除いた形で、健康管理手帳に基づく健診をやっていくことで考えております。
 施行の時期は来年の1月中旬頃を予定しており、これは公布と同時の施行ということを想定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○城内分科会長 本件について、御質問、御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットあるいは挙手でお願いいたします。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。内容については、異議はありません。2点確認させてください。今回の改正で、どの程度の人数の労働者がこの健康管理手帳の交付の対象になりますでしょうか。それからもう1つ、MOCAの新規取扱従事者は引き続き発生しているのでしょうか。その2点を確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
○城内分科会長 事務局からお願いいたします。
○産業保健支援室長 お答えいたします。現状、MOCAを取り扱っている方、いた方は特殊健診の対象になっておりますが、それを受けていらっしゃる方の人数は、令和3年で約3,700名ということになっています。これは延べ人数でして、年2回の健診なので、2で割ると1,800~1,900ぐらいの方が今、受けていらっしゃいます。ですので、こういった方が退職していくと、この健康管理手帳の対象になっていくことかと思います。この物質自体は製造禁止や取扱禁止にはなっておりませんで、製造業や建設業で、数は減っているとは思いますが、これまで一般的に使われていた物質ではあると思いますので、新規の取扱いの方がまだいるのではないかと思っております。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 3,3’ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンを製造し取り扱う業種を健康管理手帳の交付対象に追加することついて特段異論はありません。その上で、日々化学物質を取り扱う業務に携わり、ばく露による健康被害のリスクを負っているのは労働者であること、これは紛れもない事実です。今般MOCAが疾病原因として特定された以上、その危険性を労働者に的確に伝えていくかが重要な取組になります。健康管理手帳は、労働者の離職の際又は離職後に交付されるものですので、既に離職されている方も含めて従事歴のある労働者の方に対して、遺漏なく手帳が交付され、特殊健診を受診できるように、行政としても、事業者と協働して、対象者への丁寧かつ迅速な周知に努めていただくようお願い申し上げます。以上です。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、「MOCA健康管理手帳追加に係る業務追加(政令)・対象者要件(省令)改正について(諮問)」については妥当と認めることしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。
 次に、議題(3)「石綿工作物等事前調査者関係省令改正について(諮問)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○化学物質対策課長 それでは、私から資料3-2に基づき御説明いたします。石綿障害予防規則の一部を改正する省令案でございます。
 次のページをおめくりください。こちらは諮問事項をまとめたものでして、従来、石綿の解体又は改修を行う場合には、建築や一定の船舶につきましては、資格を持っている方が事前調査をすることが義務付けられる予定になっておりますが、今回、工作物に係る事前調査につきましても同じように、「必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない」こととすることでございます。ただし、工作物は森羅万象ございますので、全てにつきまして資格者である必要はないということでして、「石綿が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物」、こちらは特定工作物と申し上げておりますが、それ以外の工作物については「塗料その他の石綿等が使用されているおそれのある材料の除去の作業に係るもの」に限定して、資格者が行うことを求めるということでございます。それから、事前調査を行った場合の記録ですが、こちらの事前調査を行った者の氏名といったものについて記録をするというものでございます。
 続きまして、2ページを御覧ください。検討を行った背景につきまして御説明いたします。こちらですが、建築物の解体における石綿対策の検討会がありまして、その中の工作物のワーキンググループで3回ほど検討したところです。
 5ページが石綿障害予防規則の概要です。左側が解体前の作業、右側が解体時における措置です。赤字の所ですが、事前調査は資格者による調査ということで、今回の改正事項でございます。
 次のページです。提言された内容は省令と告示とあります。省令事項につきましては、先ほど申し上げましたように、石綿を含有するおそれが高い工作物に関しては、一定の講習を修了した者、それと同等の知識・経験を有する者でなければならないという提言を頂いております。これの対象としては特定工作物です。こちらは既に厚生労働大臣が定めているものですが、それと、それ以外のものについては、石綿をばく露するおそれが比較的高い作業ということで、塗料、モルタル、コンクリート補修剤の除去を行う場合に限って資格を設けるべきであるという提言を頂いております。それから、十分な準備期間のために、少なくとも2年から2年半程度の準備期間を確保するということでして、今回の施行は令和8年1月1日を予定しております。
 7ページからは告示事項についてです。こちらが工作物の分類でございます。一番左の列が2つに区分されておりますが、上が特定工作物でして、石綿が入っているおそれが高いもので、その下がその他工作物になります。この特定工作物の中を2つに分けて、一番上の段がいわゆる設備系、ボイラーなどの炉設備、電気設備、あるいは石油化学プラントのような配管や貯蔵設備といった設備に関するものにつきましては、一番右の列ですが、新設する工作物石綿事前調査者が調査をするということです。真ん中の段ですが、こちらは建築物に一体となっている設備で、煙突、トンネルの天井板、プラットホームの上家といったものです。こちらにつきましては、新設する工作物石綿事前調査者に加えて、従来の建築物の調査者でも調査できる位置付けです。一番下の上記以外の工作物につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去に限って、新設される工作物石綿事前調査者と建築の調査者いずれかが調査するということです。
 次のページです。2点目の告示といたしまして、特定工作物に1つ追加をするということです。こちらの特定工作物というのはおそれが高いものでして、労働基準監督署に事前調査結果を報告することが義務付けられている工作物ですが、その中に観光エレベーターの昇降路の囲いというものを追加するということです。こちらですが、建物についているエレベーターとは違い、単独であるエレベーターです。観光エレベーターの古いものにつきましては、シャフトの部分に石綿を使っていることが今回の調査で判明したということで、今回これを追加するということでございます。
 3点目の告示事項につきましては、新しく工作物石綿事前調査者の講習を新設いたしますので、講習内容、受講資格、講師要件等を定め、また、登録講習機関による講習といたしますので、登録要件等も定めるということでございます。また、資格者による事前調査が義務付けられる日を待たずに随時養成していきますので、養成された資格者が適切に調査を実施するように関係団体に働き掛けてもらいたいということ、また、資格を設けない場合がございますので、こちらの場合も適切に調査が実施できるように、様式やチェックリストの作成を行いたいと考えております。それから、講習修了者の能力向上が課題となっている御指摘がたくさんありますので、登録講習機関による協議会等の設置をして、講習修了者の支援といったものにつきましても検討してまいるところでございます。説明は以上でございます。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について、御質問、御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込みあるいは挙手をお願いいたします。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いします。御説明ありがとうございます。特に異論はございませんが、確認させてください。今回、新設される工作物石綿事前調査者ですが、事前調査の対象は石綿障害予防規則、環境省の大気汚染防止法という形で、建築物、工作物両方またがっておりました。DXの届出では事前調査の報告を同一書式に書き込むと、環境省と厚労省同時に提出されます。今回、石綿障害予防規則省令改正で、新設される事前調査の資格「工作物石綿事前調査者」及び「工作物」の区分は、大気汚染防止法でも新たに改定される予定でしょうか。
○城内分科会長 事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 こちらですが、もともと工作物についての事前調査も既に報告対象にはなっておりまして、その意味では、従来どおり我々に1つの現象報告をすると、それが厚生労働省と環境省に行くということに変わりはございません。ただ、今回は特定工作物を1つ増やしますので、そちらの関係では報告の項目を1つ増やす改正は行うという予定でございます。
○城内分科会長 よろしいでしょうか。
○出口委員 ということは、厚労省だけの届出という解釈でよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長 まず、事前調査の届出自体は環境省と厚労省の両方に行きます。今回資格を設けることについては厚生労働省だけということになりますので、資格者の法令については厚生労働省だけということになります。環境省については資格の新設について検討を行っているということですが、現時点においては厚生労働省だけの資格という形になります。
○出口委員 分かりました。
○城内分科会長 そのほか、御発言はありますでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 内容につきましては特段異論ありません。石綿使用の建築物等の解体工事等は2030年頃にピークを迎えると言われています。働く者が、石綿にばく露することがないよう入念に事前調査を行い、一人親方の方なども含めた全ての働く者が安全に作業ができるよう、確実なばく露防止対策を改めてお願いします。
 また、施行日までに調査者に求められる質を確保するとともに、必要な人数の調査者を育成するため、政府としても講習機関数の確保や講習教材の策定、講師の育成などに努めていただきたいと思います。
 加えて、特定工作物の調査者については、調査者講習の受講によって有資格者となるわけですが、その後の資格の質を担保するための仕組みが組み込まれてはおりません。調査者が適切な調査を実施するためには、資格取得後も一定程度の質が維持されることが重要であり、有資格者の質の担保にも取り組んでいただきたいと考えています。以上です。
○城内分科会長 事務局から、何かありますでしょうか。
○化学物質対策課長 御意見ありがとうございます。御意見を受け止めまして、適切に対策を講じてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。ないようですね。それでは、「石綿工作物等事前調査者関係省令改正について(諮問)」については妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題(4)「第14次労働災害防止計画について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○調査官 それでは、14次労働災害防止計画についてということで、参考資料4、資料4-1、資料4-2の3つの資料を御用意させていただきました。
 まず、参考資料4から御説明させていただきます。前々回9月、前回11月、今回ということで、3回の御議論となりまして、前回の御議論のときに指標の参考としてアンケート調査を実施している旨を御報告させていただいておりました。参考資料4がその取りまとめの結果ということです。
 2ページを御覧ください。こちらはアンケート調査の結果で、今回1,660事業場に対して御案内させていただきました、民間の調査会社に御協力いただき、Web調査の形で、12%の回収率ということです。業種分布等については、御覧いただいている2ページのとおりです。今回は統計調査ではございませんので、いわゆる全国の業種分布等の補正は行わず、単純集計という形で取りまとめをいたしました。
 3ページ以降がその結果ですが、これまで御提案させていただいた指標の関係について幾つか御紹介したいと思います。3ページの問1の(1)、転倒災害防止に取り組んでいる事業場の割合を調査しております。指標では、ハード面とソフト面での取組みということで書いておりまして、ハード面については6割とか8割ほど取り組んでいただいている一方、ソフト面では1桁台でして、全体としては5%程度という結果でした。
 4ページを御覧ください。高齢者対策ということで、エイジフレンドリーガイドラインに基づいて取組をやっていただいていますかということでして、ガイドラインを知っていて、かつ認知していただいた上で、それに基づいて何らかの取組をやっていただいているような事業場は11%という結果でした。
 5ページ御覧ください。業種別の対策ということで、陸上貨物の荷役のガイドラインに基づいて取り組んでいる事業場は33%という結果でした。建設業における墜落・転落のリスクアセスメントについては74%という状況です。
 6ページです。製造業について、災害防止対策に取り組んでいる事業場は95%でしたけれども、リスクアセスメントと個別具体の対策をやっているということで見ると4割から5割という結果でした。
 6ページの下の林業なのですが、今回案内させていただいたのですが、有効な回答が得られなかったということで、別途関係省庁で行っていただいている林業従事者の研修の場でアンケート調査をさせていただきました。取組を実施している状況ということですが、大体3割ぐらいの結果でした。
 7ページを御覧ください。腰痛対策についてですが、腰痛の指針を知っている事業場が大体3割ぐらいという結果でした。
 8ページ、ノーリフトケア、人を抱えない対策をやっているかということですが、事業場のそもそもの方針として人の抱え上げをしないということで、そうしたことに取り組んでいただいている事業場が8%というような状況でした。
 10ページに飛んでいただいて、産業保健サービスを提供する事業場ということで、一番左のように法令遵守の事後措置等も含めての結果ですけれども、78%という結果でした。
 11ページを御覧ください。熱中症についてです。暑さ指数を知っている、認知されている方は63%程度で、そのうち何らかの対策をやっている方が8割程度で、暑さ指数を把握して対策を取っている方が5割ぐらいという結果になっております。
 最後は化学物質になります。13ページを御覧ください。化学物質のリスクアセスメントを実施している事業場の割合ということで、真ん中辺りですが、取り扱っている化学物質全てについて実施している事業場の割合が61.5とか63.6で、6割ぐらいとなっています。
 14ページになります。その上で、結果に基づいて何らかの措置をやっていただいている事業場が8割ぐらい、84.6、81.8というような結果でした。アンケート結果については、簡単ですが以上になります。
 資料4-1に戻っていただければと思います。資料4-1の2ページ目、3ページ目、前回もお出ししておりますけれども、アウトプット指標とアウトカム指標の本文に書いてあるものを抜粋したものになっております。各指標については、今御紹介した数字等を踏まえて、現状プラス10%程度の目標設定とさせていただいています。10%ということなのですが、13次防の今は4年目なのですが、0~10%程度の進捗となっていますので、そうした実績も踏まえてプラス10%というような形にさせていただいています。もちろん、14次防計画では今後アプローチを変えて、より進捗させようとしておりますが、実績を踏まえるとこれぐらいの値が適当ではないかと考えているところです。
 一方で、(ア)、(イ)について、これは後ほど資料の御説明をさせていただきますが、転倒災害等の千人率が増加傾向にあるものを増加を抑えるというようなアウトカムに対しては、10%の伸びだけでは足りないのではないかと考えていまして、そちらの転倒等、それから高齢者の指標については50%を目指すということで書かさせていただいております。
  アウトプット指標とアウトカム指標について、前回御議論のあった点に関して、3ページを御説明させていただきます。前回、アウトプット指標、アウトカム指標の整理の中で、健康対策について、特に過重労働、メンタルについては整理すべきではないかという御指摘がありまして、改めて整理したものを下線として提示いたしております。過重労働につきましては、労働時間を減らすというアウトカム指標に対して、事業場サイドで有給休暇の取得であったり、インターバル制度の導入等をやっていただきつつ、行政のほうで労働時間管理の指導等をさせていただいて、そのような指標で進めさせていただければと考えております。
 それから、メンタルヘルス対策については、事業場のほうでメンタルヘルス対策に取り組んでいただき、アウトカムとして労働者においてストレスを感じる方を減らしていくというような関係でのアウトプット、アウトカム指標を立ててはどうかと考えております。
 産業保健サービスについて、結果としては皆さんが健康になっていくということだと思いますけれども、こちらについては指標が立てにくいところもありますので、指標は立てずに、アウトプット指標ということで、そういった取組を進めていくこととさせていただければと思います。
 それから、化学物質対策についてです。こちらは内容は変わっていませんが、前回、義務対象をターゲットとしているのか、努力義務をターゲットとしているのか、今一つはっきりしないという御意見がありましたので、指標の書きぶりの中で、努力義務のものを対象にしているようなことを明示させていただいたところです。そうしたことで、アウトカム指標を単純に全部足し合わせると、死亡では5%以上の減少が見込めるのではないかということ、それから、死傷、けがについては増加傾向にありますけれども、これについては歯止めをかけて、減少傾向に転ずることができるのではないかと考えているところです。
 先ほど少し触れました転倒の増加についてですが、4ページを御覧ください。前回の御議論の中で、今後の5年間について、本当に増加するのか否かが議論になったところです。改めてこちらでグラフ等を用意いたしました。グラフにありますように、過去5年間については千人率ペースで、特に高齢者が増加しているところです。今後5年間の推察ということで、まず行政サイドの考えになりますが、第三次産業への労働移動は引き続き続いており、相変わらず求人については社会福祉施設が2割を超えているなど、そうした業種への求人も多い状況が続いております。そういう中で、この千人率ですが、コロナの影響は若干ありつつも、景気が上向きになっているこの状況で大きく変わることはないだろうと考えます。そうしたことを考えると、何もしないまま千人率に歯止めがかかって、よき方向に向かっていくことはなかなか難しいのではないかということで、今と同じような伸びがあるのではないかと考えています。この辺りについては、行政サイドではそういう考え方なのですが、労使の皆さんの現場の感触、それから公益の先生、転倒の取りまとめ等をやっていただいている髙田先生にも公益の見解等をお聞かせいただいて、また御議論いただければと考えております。
 資料4-2を御覧ください。その他の計画の文書について、前回いろいろと御意見を頂きましたことは、おおむね反映させたものを用意いたしました。幾つか御紹介いたします。4ページの計画のねらいの(1)ですが、事業者から提供されるサービスの取扱いについて見直したほうがいいのではないかという御意見、ウェアラブル端末等の導入に当たってもプライバシーの配慮や働く方の御理解なども丁寧に対応したほうがいいという御意見、繰り返しになりますが、労働者の安全衛生がまず第一であるといったことをしっかり書いておいてほしいという御意見、こうしたことについて記載しております。
 指標については、今御説明いたしましたとおりでして、その他大きく反映したところとして、15ページまで飛びますけれども、過重労働対策については記載の内容をもっと充実するべきだという御意見を頂きましたので、そのように書いております。後ろのほうに出てくる対策についても同様に充実させていただいているところです。
 17ページです。いわゆる中小企業支援に当たっては、助成金が大事だという御意見、それから新規に企業を立ち上げる方に安全衛生をしっかりしていただく、こういう計画を知っていただくことが大事だということ、それから発注等、契約時に、きちんと安全衛生経費を確保いただいて、安全に取り組んでいただく、そのようなアプローチも大事というご意見も頂き反映いたしました。また、これは行政サイドからの御提案になりますけれども、学生に安全衛生を学んでいただくということ、13次防までそういう取組を進めていましたけれども、引き続き今回追加させていただければということで記載させていただいております。
 19ページの下線ですが、災害防止団体にもっと頑張ってほしいとの御意見もありましたので、全国組織の強みをいかして、全国等しくサービスが受けられるようにと、記載を追加しております。
 21ページです。前回、転倒防止対策について、転倒防止の検討会の中間報告の内容を網羅的に記載したほうがいいのではないかという御意見を頂きました。書きぶりは少し丸めており、4(1)と重複している部分は少し省いておりますけれども、中間報告については一通り読める形で盛り込ませていただいたところです。
 26ページです。過重労働対策を充実すべきという御意見を頂いたところについて記載しております。基本的には、過労死防止対策の大綱に基づいて実施するということについて丁寧に書かせていただいたところです。
 それから最後に、31ページの参考として、14次防と一体で周知させていただくものということの位置付けで添付していますが、アウトプット指標、アウトカム指標について、今後検証できるように、しっかりその考え方を書いておいてほしいという御意見がありました。おっしゃるとおりですので、その考え方について各指標毎に、ちょっと長いのですが、31~36ページまで記載しております。一部、少し精査する必要な部分がありますけれども、今後5年の検証の中で、こうした考え方が正しかったのか、アウトプット指標の取組が災害防止につながるか等、検証していきたいと考えているところです。
 少し駆け足でしたけれども、資料の説明は以上です。予定いただいた3回目の議論となりまして、残り時間もなくなってきましたので、文言の修正等は会議後も御意見等、調整ができると思いますけれども、この場は皆さん一堂に会しての議論の機会となりますので、大枠について今日御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、質疑に移りたいと思います。今、事務局から説明がありましたけれども、14次防につきましては、これまでも様々な御意見、御議論を頂きました。今後、細かな文言の修正等については、本分科会終了後、事務局に御連絡いただく形で対応させていただくということです。本日のこの場では、大きな内容に関わる点を中心に御発言をお願いしたいと思います。それでは、本件について質問、御意見のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込みあるいは挙手をお願いいたします。髙田委員、お願いします。
○髙田委員 公益の髙田でございます。先ほど、事務局からも御指名がございましたけれども、転倒防止腰痛予防対策の在り方に関する検討会の座長を務めさせていただいております。本検討会におきましても、安全衛生の取組が必ずしも第二次産業ほど進んでいない第三次産業に向けて労働力の移動が起きているということを背景として、転倒災害等が増えているということ、それから特に女性を中心としまして、今まで体を動かすような仕事に就いたことがないような方、またホワイトカラーの労働者の方が体を動かすような仕事に就くという中で被災しているということが分析の下で明らかとなってきています。それについて対策を検討していっております。
 転倒災害につきましては、性別・年齢別の発生率に大きな差はありますけれども、このような状況が続いていきますと、それぞれのコホートにおきましても、被災しやすい方が増えていくということが予測されるということになります。つきましては、高年齢者の影響を大きく受ける全体の転倒千人率といったことだけではなくて、性別・年齢別の千人率の増加も見込まれるということが明らかとなってきています。こういったことに対して、対策によってまず歯止めをかけているという目標については妥当なものであると考えています。以上となります。
○城内分科会長 続きまして、中村委員、お願いします。
○中村(節)委員 御説明ありがとうございます。中村節雄です。第14次計画案に異論はございません。今後に向けた意見として発言いたします。
 事業者に労働者の安全衛生対策の責務があることは十分理解すべきことだと思います。ただし、本文の14ページにも触れていただいていますが、中小企業の人手不足は深刻であり、加えてコスト高もあって、経営環境は厳しさを増しています。事業者としては、事業継続と労働者の安全衛生対策を両輪で進めていかねばならず、意識改革も必要ですが、実質的には具体的な支援が重要となります。
 支援に当たっては、人材確保や生産性向上など、経営課題の解決に向けた視点と、安全衛生対策を紐付けながら施策を展開していくことが必要と考えます。例えば安全衛生の優良企業に対する特別な人材確保支援や、製造分野などでの安全衛生対策と生産性向上を一体的にコンサルティングする支援など、経営への実利的なメリットを示していくことが重要と考えます。
 19ページにおいて、自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発についてまとめていただいていますが、是非こうした支援についても検討していただければと思います。以上です。
○城内分科会長 会場の中村委員、お願いします。
○中村(恭)委員 私からは、資料4-2の25ページの林業対策について、この間も発言してきましたが、改めて何点か発言をしたいと思います。
 1点目は、伐木の安全ガイドラインや緊急連絡体制の整備のためのガイドラインの周知徹底についてです。以前から発言しているとおり、周知徹底を図れるかが課題です。アウトプット指標で掲げた事項について、検証結果を踏まえて必要な安全衛生対策の取組を検討いただきたいと思います。再度の要請です。
 その上で、今回、アウトプット指標の達成や、それに基づいて災害がどれだけ減少するのかということを、数字でお示しいただきました。林業については、アウトプット指標としてガイドラインの周知徹底50%を達成できれば、15%災害が減少するとお示しいただいていますが、現場目線で申しますと、13次防の目標数値と比べても、単純に災害の減少件数で見てみると、計画の目標自体は決して高くなく、むしろ少し後退している部分があるのではないかと感じています。この点の認識について聞かせていただければと思います。
 2点目です。各関係機関と協力した取組の促進に関する記載があります。ただ、私が把握したところでは、各労働局から都道府県に労働災害事例の概要等が共有されていないといった実態があると聞いています。実際に発生した労働災害を分析して、必要な安全対策を講じることが最も重要なことだと考えますので、是非、各都道府県に情報が共有されるよう対応していただきたいと思っています。また、これから文言の修正等を行うと説明がありましたが、計画案の内容については林野庁との連携による取組が重要ですので、連携にかかる記載ぶりについても、関係行政と調整を図って案を整えていただきたいと思っています。
 3点目です。この業種別労働安全対策の推進について、今回は伐木作業における災害対策が中心ということで記載いただきました。ただ、この間の死亡災害の事例を見てみますと、死亡災害の約2割が車両系の木材伐出機械を使用した作業で発生しています。伐木作業と併せて、この車両系木材伐出機械における労働安全対策の強化も図るべきではないかと思っています。追記の検討をよろしくお願いします。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。使用者側の鈴木です。大きく2点ほどコメントさせていただきます。
まず1点目、資料4-2の5ページ以降に計画目標についての記載があります。今回、事業者が実施する事項をアウトプット指標、事業者の取組により期待される事項をアウトカム指標と定め、計画の進捗状況を把握するとともに、実施事項の効果検証を行う視点を打ち出されました。これまでの計画とは異なる新しい試みでして、大変期待しているところです。
 他方で、これまで申し上げましたとおり、アウトプット指標で掲げた事項を達成することが、アウトカム指標で掲げた労働災害の減少に本当につながるかどうか、この点については、今後綿密な検証が不可欠であるということを改めて強調したいと思います。
 例えば、墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントに取り組む建設業の事業所の割合と建設業の死亡者数との関係、また、メンタルヘルス対策に取り組む事業者の割合や小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合と、自分の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスがあるとする労働者の割合との関係、さらに、暑さ指数を把握している事業場の割合と熱中症による死亡者数の増加率との関係は、特に留意して因果関係を分析し、指標の妥当性を検証する必要があると思っています。
 是非、厚生労働省事務局におかれましては、専門的な知見もいかしながら効果検証を行い、労働災害防止計画のPDCAをしっかりと回していただければと思います。
 もう1点は、化学物質による健康障害防止対策についてです。6ページの(カ)でアウトプット指標が書かれています。義務対象ではない化学物質についてのラベル表示、SDS交付、リスクアセスメントを行う事業場の割合を2025年までに80%以上にするということ、また、リスクアセスメント結果に基づく措置を実施する事業場の割合を2027年までに80%以上にするということです。
 参考資料4でお示しいただいたサンプル調査でも、リスクアセスメントの実施率が低い状況です。したがって、化学物質の自律的管理に向けたこの目標は、正直なところ、かなりチャレンジングではないかと受け止めています。この項目を入れていただいたことは大変よいと思っていますが、その上で、28ページに記載の事業者の取組、これは当然、我々も含めてしっかり行う必要がありますが、同時に国等の支援策も必要不可欠だと考えています。
 とりわけ、(イ)の2点目のポツにある「リスクアセスメント及びその結果に基づく措置・濃度基準値遵守のための業種別・作業別の化学物質ばく露防止対策マニュアル作成支援」が重要だと思っており、既に会員企業から大変強い要望もあるところです。こうしたマニュアルが早期に完成するよう、関係機関とも連携の上、速やかに対策を講じていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。総論的な内容につきましては、先ほどの鈴木委員の意見に賛成です。個別、各論的な内容になってしまいますが、アウトプット指標とアウトカム指標について、4点ほど確認若しくは質問させていただきたいと思います。
 まず、資料4-1の3ページですが、メンタルヘルス対策で、アウトカム指標として「自分の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスがあるとする労働者の割合を2027年までに50%未満とする」とありますが、ストレスチェックは御案内のとおり、労働者自身のストレスを気付かせるための施策ですので、ストレスチェックの実施割合を上げて、ストレスチェックを受ける労働者が増えてきますと、ストレスを感じる労働者の割合は一時的に増加することが考えられます。ですので、アウトカム指標として50%未満とするというこの指標が妥当かどうかというのは、再考が必要ではないかと考えています。それが1点目です。
 2点目、(カ)の熱中症のことについて、暑さ指数を把握している事業場の割合をアウトプット指標として設定されているのですが、暑さ指数は確かに熱中症対策としては重要な取組施策になると思いますが、御承知のとおり、熱中症は個人要因も大きく関わってきます。暑熱順化がまだ済んでいない労働者であるとか、体調が悪いときに起こりやすいといった要因もありますので、暑さ指数の把握のみではやや足りないのではないかと、水分補給であるとかこまめな休憩とか、そういった熱中症の発症そのものに直結する取組の割合のほうが、ここは妥当ではないかと思います。これが2点目です。
 あと、3点目と4点目は些末な点なのですが、(オ)の中に「勤務間インターバル制度を導入している企業の割合」とあるのですが、これは具体的に何時間以上空ければいいという想定でしょうか。そこを確認させていただければと思います。そして最後が、同じ(オ)の一番上のアウトカム指標の中に、「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を2025年までに5%以下とする」とありますが、こちらは時間管理をしない労働者も含めてになりますでしょうか。以上の4点を確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 そのほかに御発言ありますでしょうか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 アウトカム指標について意見を申し上げます。前回の分科会において、転倒の死傷年千人率を例に、27年目標を21年実績から増加させないことを目指すということで事務局から御提案いただいたところです。
 その際、具体的な27年の想定値が示されない中では、現状から増加させないという目標設定ではやや消極的ではないか、という趣旨の意見を述べました。これに対して今回、資料4-1の4ページでは、前回議論も踏まえて、27年の具体的な想定値が示されました。また、先ほど髙田先生からも、専門家のお立場から、このまま行くと増加が見込まれるのだという御発言を頂いたところです。21年実績に歯止めをかけることが、実質的には削減だ、ということが明確化されましたので、この分科会として、この内容で合意できるのであれば、労働側としても一定理解するところであります。
 他方、指標の立て方自体が今回初めての試みでもありますので、実績が上回った、下回ったということだけに固執することなく、そもそもどういった対策が効果的だったのか、そのプロセスがどうだったのか、次回の14次の検証あるいは15次の策定の際にしっかり議論することがたいへん重要だと思っています。効果検証の実施についてお願いしておきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 そのほかはよろしいですか。では、ここまでのところで事務局からお答えをお願いします。
○調査官 まず、運営について様々な御意見ありがとうございました。特にPDCAをしっかり回すといったことについては、この計画の一番の肝と考えていますので、そこはしっかりやりたいと思います。
 また、労側の中村委員のほうから、林業対策について御議論いただきました。頂いた中で、発注者の方へのアプローチ等についてしっかりということで、これまでも周知等が余りできていない中で、発注者の御理解を得られていない部分もありまして、計画の中でもそういった周知方法の検討も含めてしっかりやらせていただくといったところも、計画で書いておりますし、自治体等との情報連携につきましても計画のほうに書かせていただきました。それも含めて、頂いた御意見の中で林野庁さんと御相談して、できる部分については少し検討していきたいと思います。
 また、数値目標につきましても、林業は15%ということで、前回、死亡全体で15%という目標にさせていただきました。アウトプット指標につきましては、今回は50%ということで、先ほど御紹介した数字、緊急調査等の数字プラス10何%というような指標になっていまして、実績ではそういった辺りが適当ではないかと我々は考えていますけれども、計画はあくまで最低限というか、そこをクリアしようというところなので、それ以上に災害が減るといったことについてはしっかりやっていきたいと考えています。
 増田委員から御発言がありましたインターバルの時間のことと、それから労働時間のことにつきましては、インターバルは確か11時間だと思っていますけれども、ちょっと統計上どういう形で取ったのかをまだ確認できていないので、そこは確認して、労働時間のほうもお伝えしたいと思います。
○城内分科会長 ありがとうございました。林業の部分と増田委員からの御発言で、例えば目標値はこのままでいいのかというところについては、修正するかしないか、随分大きい問題だと思うのですが、いかがいたしましょうか。
○産業保健支援室長 事務局のほうから答えたいと思います。増田委員から、メンタルヘルスの関係で、強い不安、悩み、ストレスを50%未満にすることについて御意見を頂きました。御指摘のとおり、ストレスチェックをするということは、御自身のストレスへの気付きを促すということでもあるのですけれども、このストレスチェック制度というのは、それで終わりではなくて、ストレスチェックをやって、職場のストレスの原因となっているものを把握し、職場の改善につなげ、ストレスを下げていくというのがこの制度自体の目的でありますので、この取組が始まった時点で、確かにストレスへの気付きが増えていくことによって上がる効果はあるかと思いますけれども、制度自体を運用していくことが、ストレス自体を下げていくことを目的としたものであるということも、併せて御理解いただきたいということが、まず1点あります。
 それと、ここで目標として設定しているのは、ストレスチェックの結果そのものの、例えば高ストレスかどうかということではなくて、従前からやっています労働安全衛生調査の中で、仕事の関係で強い不安、悩み、ストレスがあるかどうかということの質問をしていまして、それがずっと長い期間、50数%、6割を超えている時期も一時期あったと思いますが、そういう状況が続いているということで、こういうメンタルヘルス対策とかストレスチェック制度をうまく運用を進めていく中で、それを押し下げていくことを目標と設定してはどうかいうことでして、現状は50%強という状況ですので、それを下げていくという目標であれば、この50%未満というのが妥当なのではないかという判断で入れたものでございます。
○城内分科会長 よろしいでしょうか。増田委員、お願いします。
○増田委員 御説明ありがとうございました。時間軸の問題だと思っています。5年後に、中村室長がおっしゃったように、うまくいって50%未満になるか、対策が進んでいるけれども間に合わなくて50%未満にならなかったかというところを、きちんと効果検証のときに判断できるようにしていただければいいのではないかと思いました。ありがとうございました。
○城内分科会長 ありがとうございました。中村委員のほうはよろしいですか。
○中村(恭)委員 林業の関係で、災害15%減少という指標を今回お示しいただき、もっと減らすことを努めていく、というような御回答もあったと思います。ただ、林業については、死亡災害そのものは件数としては減ってはいるのものの、やはり千人率でいうと、かなり突出した数字だと受け止めています。13次防から件数自体は減ったとしても、千人率自体はほとんど減っていない、特に伐木の作業における死亡災害というのは全く減っていないという認識です。今回の14次防では、特に伐木作業を中心に対策を講じるということで指標を掲げるのであれば、目標数字としてハードルを少し上げてもいいのではないかと思っています。改めて要請します。以上です。
○城内分科会長 事務局、お願いします。
○調査官 中村委員、ありがとうございました。確かにおっしゃるとおり、林業は千人率がとても高くて、正直なところ単純に対策が10%減れば、その分災害が減るというものではないのだろうなと思っています。そういった意味では、逆に15%の減少でもかなり実際はきつい目標ではないかと我々としては捉えています。繰り返しになりますけれども、指標は指標でありますけれども、もちろん効果検証をして、そもそも伐木のガイドラインがそういった災害防止につながっているかといったところの、数字というよりは検証が今後大事かと思っています。数字は数字でこれを目指すのですけれども、そういった検証をしっかりやっていく中で、次の計画にきちんとつなげていきたいと思っていますので、この15%でまずはやらせていただきたいと考えています。
 それから、熱中症について御意見がありました。この計画の指標につきましては、計画の進捗状況をある一面で進捗を把握する指標ということになりまして、もちろん暑さ指標の把握でもありますし、水分補給でも多分いいと思うのですけれども、我々のこれまでの分析からすると、熱中症に関しては、そもそも暑さ指標を把握されていなかったといった事例が多かったことからすると、熱中症を認識していただいて対策を取るという、認知というところで、まずここを基軸としてちゃんとやっているかどうかという分析につなげていくということが、我々としてはやりやすいのかなと考えていますので、そういった指標で今回立てさせていただいて、繰り返しになりますけれども、PDCAの検証の中で、把握そのものが大事なのか、その次のステップが大事なのかというのは、しっかり検証させていただきたいと考えています。
○城内分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。先ほどインターバルの時間が11時間ではないかというご回答がありましたが、就労条件総合調査ですと、おそらく例示として11時間以上と記載されています。この点は確認していただきたいのですが、私どもとしてはインターバルには結構多様な方法があり、一定の例外を設けたり、必ずしも11時間以上ではない形で労使で結ぶなど、多様な形で導入が進んでいると思います。必ずしも11時間だけが勤務間インターバル制度ではないという思いを持っていることを意見として申し上げます。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございます。そのほか御発言はありませんでしょうか。第14次防については多分しっかり議論いただくのは今日が最後かなと思います。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 13次防からの取組の継続性の観点から発言します。具体的には、技能実習生と障害者に関する内容についてです。13次防において、技能実習生に関しては、外国人技能実習機構と連携し、監理団体や技能実習生の受入れを行う事業場に対する労働災害防止のための取組を推進するという記載があります。また、障害者に関しましては、障害者の労働災害防止や安全への不安を払拭するため、労働災害事例や安全上の配慮事項等の実態把握を行い、必要な対策を検討するという記載があります。これらの重要性は何ら変わるものではないと考えていますので、引き続き記載されることを検討されてはどうかと考えます。なお、今申し上げました障害者に関する取組につきましては、一定の取りまとめがなされているのであれば、その内容について伺いたいと思っています。
 それから、前回欠席いたしまして恐縮ですが、労働側委員より過重労働対策に関連して自殺総合対策大綱の改定についても触れてはどうかとの発言があったと聞いています。この内容がどのように取り扱われたのか、事務局の中でどのように考えられたのか、もし見解があればお聞かせいただきたいと思います。13次防には自殺に関する記述が見られる中、14次防では触れられておらず、過労自殺等の実態を踏まえれば何らかの記述を検討していくべきではないかと思っています。意見として申し上げます。以上です。
○城内分科会長 事務局、お願いいたします。
○調査官 ありがとうございます。技能実習生それから障害者、自殺大綱のことにつきましては、使側のほうで御意見がなければ、対策としてはもちろんやっていることではあり、計画に位置付けるかどうかということですので、やっている内容について、実際やっていることを書かせていただくことについて、御異論がなければ検討したいと考えています。
○産業保健支援室長 すみません。前回、自殺対策大綱関係の御意見を頂いていたということなのですけれども、具体的にどういうことが御意見としてあるのかというのを確認させていただきながら、最終的にどういうふうにこの計画の中に落とし込めるのかというのは、引き続き調整させていただければと思います。
○安全課長 安全課でございます。技能実習生というお話でしたけれども、外国人労働者の安全衛生の確保という中で、技能実習生には非常に注意していかなければならないと考えていまして、計画の中でも22ページには安全衛生教育マニュアルの活用などと書いてありますが、これはもちろん技能実習生も含めたことでありまして、災害の発生状況をきちんと調査分析して、必要な対策を講じていきたいと考えているところです。
 それから、障害者については13次防止計画の中に書かれているということで、先日事例を取りまとめたものを地方局に配布するなどして周知を図ったところです。
 それから、労側の中村委員からの御指摘の中で、車両系木材伐出機械の記載の話がありました。車両系木材伐出機械については災害が増えてきたことから平成26年6月に規制が新たに加わったということで、8年経っているわけですけれども、現在どのような状況にあるかというのは良く分析して、追記できるかどうかを検討していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 そのほかに御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、次期計画案については、委員の皆様には3回にわたり御議論いただきました。本当にありがとうございました。事務局においては、必要に応じ各委員の確認等を頂き、次回までに計画案をまとめていただきたいと思います。また、各委員もこの会議の後でも構いませんので、細かい文言修正等お気付きの点がありましたら、事務局までお伝えいただければと思います。どうもありがとうございました。
 次に議題(5)「がん原性告示について(報告)」と、議題(6)「新規化学物質の有害性調査結果について(報告)」に関しては、いずれも化学物質対策課のほうからまとめて説明をお願いします。
○化学物質対策課長 では、私から資料5につきまして御説明をさせていただきます。こちらにつきましては、先般、改正されました労働安全衛生規則の中で、がん原性のものを取り扱う場合について、記録の保存を30年とするという規定がありますので、そちらのがん原性の物質というものを指定する趣旨です。
 2ページです。化学物質管理に係る専門家検討会ですけれども、こちらでがん原性物質の対象の範囲について検討を行っております。
 3ページです。規制の内容を簡単に御説明をさせていただきますと、厚生労働大臣が定める「がん原性物質」につきましては、作業記録及び健康診断の結果等について30年保存をしなければならないということです。具体的には、改正安衛則577条の2の3項の2号、3号に、ばく露の状況や作業の概要、従事した記間、それから同じく5項に健康診断の個人票の記録と定められています。
 4ページです。こちらが専門家検討会で御議論いただいた結果ですが、がん原性物質の範囲については次のとおりするということでして、国によるGHS分類の結果、発がん性の区分が1、区分1A又は1Bに分類されたものということです。
 GHSと申しますのは、化学品の分類及び表示に関する世界調和システムの略称で、世界的に化学物質の危険性・有害性の分類の方法を定めているものでして、我が国におきましても、これに沿った形で分類を行っているところです。その中に発がん性の区分というのがあります。こちらの区分1、区分2というのがありますが、区分1の中に1Aというのがあり、ヒトに対する発がん性が知られている化学物質ということで、こちらは疫学調査の結果で、主としてヒトに発がん性があることが分かっているものです。区分1Bは、ヒトに対して恐らく発がん性がある化学物質ということで、主として動物実験の結果によって分類されているものです。区分2につきましては、ヒトに対する発がん性が疑われるというものでして、これは様々な変異原性試験とか、あるいは一部、動物実験といったものも行われていますけれども、区分1に該当するまでに十分な証拠が集まっていないといったものです。これらを踏まえまして、30年保存という義務を課するということから、十分な根拠のある区分1について義務付けるということが妥当であるという御提言を頂いたところです。
 5ページです。若干の例外を設けるべきであるという提言も頂いております。1つがエタノールですが、こちらは国際がん研究機関(IARC)でアルコール飲料としてヒトに発がん性があるということで、グループ1に分類されていまして、これはアルコール飲料を大量に経口摂取した場合の発がん性に基づくものです。これを踏まえまして、業務として大量のアルコール飲料を経口摂取するということは通常は想定されないということと、疫学調査の文献からは、業務上で発がん性が出ているという明確なものは示されていないということですので、対象から除外したいと考えております。
 もう1つは、対象物質を臨時に扱う場合です。継続的なばく露が認められないような場合については、ばく露量が極めて低く、発がん性のリスクが極めて低いということです。また、特定化学物質障害予防規則には、特別管理物質という同様な趣旨で発がん性物質に対する記録の30年保存を義務付けておりますけれども、こちらも常時作業に従事する労働者に適用を限定しておりますので、こういったことを踏まえまして、対象物質を臨時に取り扱う場合は対象から除外するということです。
 もう1つは、がん原性指針というのがあります。こちらはあくまで指針ですので、義務ではないわけですが、発がん性のあるものについて、作業の記録の30年保存、あるいはその取扱いの方法について詳細に決めている指針です。こちらにつきましては、発がん性区分1のものについては義務化されることになりますが、一部、発がん性区分2のものについても指針にはありますので、こちらにつきましては、引き続き指針に基づいて保存するように行政指導をしていきたいと考えております。
 続きまして、1ページ飛ばして、7ページですが、パブリックコメントを行いまして、御意見を踏まえた修正を2点行っております。1点目が、GHS分類の実施時期とがん原性物質の対象になる時期ということで、GHS分類は毎年見直しを行っておりますので、場合によっては区分2のものが区分1になったり、あるいは全く新しい物質が区分1になったりすることがあります。そういった場合、区分された日に、直ちに義務が適用されるというのは現実的ではない、経過措置や猶与措置が必要ではないかという御意見がたくさんありまして、こちらについては令和3年3月31日、令和2年度末までに分類されたものについて、今回の告示に含めるという修正を行っております。
 もう1つは、特化則との関係ですけれども、こちらも先ほど御説明いたしましたが、特別管理物質として作業記録等の30年保存が既に義務規定としてなっているものがありまして、二重規制になった場合、どちらの保存をどのようにするのかとか、現場において混乱が生じるので除外してほしいという御意見がたくさんありましたので、こちらにつきましても今回の告示から特別管理物質を除くことにしております。
 1ページ戻っていただきまして、6ページです。こちらが最終的な案でして、「がん原性がある物として厚生労働大臣が定めるものは、次のとおりとする」ということで、労働安全衛生規則に規定するリスクアセスメント対象物のうち、国が行う化学物質の有害性分類の結果、発がん性の区分が区分1に該当する物であって、令和3年3月31日までの間において当該区分に該当すると分類されたものということです。ただし、以下のもの及び事業者が上記物質を臨時に取り扱う場合は除くということで、エタノールと特別管理物質につきましては除く予定です。こちらの公布日は、令和4年12月を予定しており、適用日は令和5年4月1日を予定しております。
 なお、リスクアセスメント対象物を現在順次増やしている関係上、施行される令和5年4月1日からがん原性物質になるのが約140物質ありまして、令和6年4月1日に、リスクアセスメント対象物が増えますので、それに伴って約80物質が追加されることになり、合計で約220物質になります。それ以降に、例えば令和3年及び令和4年に新しく分類されたものにつきましては、この告示を改正し追加をするということで予定しています。説明は以上でございます。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、議題6について説明をお願いします。
○化学物質評価室長 議題6の説明をいたします。新規化学物質の有害性調査結果ということで、毎年この時期に、1年分の有害性調査結果について分科会のほうに報告しております。
 2ページ目を御覧ください。1番目にあります最初のポツですが、全く新しい化学物質を作ったり、輸入したりする場合には、有害性調査結果、これは発がん性、がん原性や変異原性ですけれども、これを実施し、その試験結果を添えて厚生労働大臣に届け出るという義務があります。厚生労働大臣のほうでは、新しい化学物質について名前を付けて官報で公表しております。また、有害性調査結果については、参考資料6-1に記載のあります先生方に内容を確認していただいております。
 2番ですが、今年、1,063物質の届出がありました。毎年1,000ぐらいの物質の届出があります。その結果なのですが、2つ目のポツにありますように、先生方に意見を求めた物質が807ありました。その結果、①届出事業者に対して直ちに健康障害防止措置、例えば保護具を使って使用してくださいといったような勧告が必要なものはありませんでした。②突然変異があるかないかで発がん性のスクリーニングを行っている試験結果ですが、変異原性があると認められたものが33物質あります。参考資料2のほうにリスト化しております。その結果、33物質については、実際に届出を行った事業者に対して、下のほうに*印があるのですが、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」、これは参考資料3に掲載しておりますが、これに基づいて取扱いをお願いするような通知を直接送ったところです。
 また、一番下にありますように、化学物質を扱う関係団体と厚生労働省の全国の出先機関の労働局長に対して、33物質のリストと指針を添えて、周知要請をお願いする通知を発出したところです。説明は以上となります。
○城内分科会長 ここで議題5及び議題6について、まとめて御質問や御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込み、あるいは挙手でお願いいたします。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 資料5に関連して2点、意見を申し上げます。1つ目は、5ページの30年保存対象外となった①エタノールに関してです。先ほど、事務局より対象から除外した旨の説明がありました。改めての確認になりますが、業務上エタノールに起因してがんが発生したケースはないという理解でよろしいでしょうか。
 2つ目は、保存の勧奨についてです。4ページのGHS分類の表の区分2に関しては対象外ということですが、区分2に分類される物質の中には、将来、区分1の発がん性がある化学物質に分類される可能性がある物質も含まれていると考えています。こういった点を踏まえますと、5ページの2つ目の○に関わりますが、区分2であっても30年の保存の勧奨は必要であり、政府として強く勧奨していただきたいと考えております。意見として申し上げておきたいと思います。以上でございます。
○城内分科会長 そのほか御意見等はございませんでしょうか。では、事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 まずエタノールについては、こちらの資料にもありますけれども、GHS分類をしたときには、疫学調査の文献からは業務起因性、業務でばく露というのでしょうか、要するに業務で飲用してがんになったという文献は明確にはないという評価を頂いているということです。
○城内分科会長 そのほか御意見はございませんでしょうか。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。30年間の保存について確認させていただきます。30年間保存というのは非常に長い期間です。中小企業の事業者には大きな負担が掛かります。30年間の間に、倒産や廃業といったような形で事業を継続できない場合には、貴重な資料の紛失等が起こりうると思います。建設業のトンネル工事では、じん肺等の問題があり、厚労省から建災防に委託されて、「ずい道等建設労働者健康情報管理システム」が推奨されています。このように情報を、委託先に保管し、労働者も自由に閲覧等ができるように、今後考えておられるでしょうか。
○城内分科会長 事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 御意見ありがとうございます。保存について、廃業した場合に散逸する可能性があるので、それをどこかに引き渡すような機関があるかどうかというご指摘と思いますけれども、現時点では化学物質関係では、そういった機関は今のところ設けられていない状態です。御意見を踏まえまして検討させていただきますが、いつ頃やりますとか、できるとか、今そういうことを申し上げるのは難しいのですけれども、御意見として承りたいと思います。
○城内分科会長 ほかに御発言はありませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局から御説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思います。
 次に、議題(7)「騒音障害防止のためのガイドライン通達改正について(報告)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○主任中央労働衛生専門官 それでは、資料7の職場における騒音障害防止対策の推進についてということで、御説明申し上げたいと思います。資料ですが、資料7と参考資料の7になります。今回御説明申し上げますのは、職場における騒音障害防止対策の推進についてということで、参考資料7にありますが、平成4年に策定しました現行の騒音ガイドラインを見直すこととしております。
 2ページ目を御覧ください。このグラフは、平成元年度からの騒音性難聴の新規労災認定者数を表しております。平成4年に現行の騒音ガイドラインを策定後も、騒音性難聴の新規労災認定者数は300人前後で横ばいに推移をしております。
 3ページ目を御覧ください。この表は、平成28年度から平成30年度の騒音性難聴の新規労災認定者数を業種別に集計しているものです。内訳を見てみますと、建設業が約52%を占め、そのうちトンネル工事が約42%となっております。製造業は約26%となっており、そのうち船舶製造・修理が約47%となっております。このデータを見てみますと、近年においても、特に建設業、製造業を中心に騒音性難聴が依然として多く発生しているという状況です。
 4ページ目を御覧ください。この表は、同じく平成28年度から平成30年度の騒音性難聴の新規労災認定者数を作業場別に集計しております。その内訳を見てみますと、圧縮空気により駆動される手持動力工具業務が221件、金属の建設等業務が80件となっております。また、この中でもインパクトレンチやチェーンソーなどの手持動力工具を用いた作業に起因する騒音性難聴が多くなっております。
 5ページ目を御覧ください。このグラフは、令和3年の業種別の騒音の特殊健康診断の実施状況について表しているものとなっております。令和3年の騒音特殊健診の受診者、約32万7,000人のうち、製造業が約93%、30万人程度と大部分を占めております。これに対し、建設業は約3,000人となっており、受診労働者数が少なくなっております。建設業においては、複数の職場を渡り歩くケースが多いこと、騒音測定の実施が進んでいないこと等の要因により、受診が伸びていないものと考えております。
 6ページ目を御覧ください。まとめですが、騒音の新規労災認定者は建設業、製造業、工業の順で多くなっているということ等、ここにまとめて書いております。
 7ページ目を御覧ください。このことから、新ガイドラインにおいては、特に新規労災認定者が多い建設業や製造業といった業種を中心に、特殊健診の実施の徹底を図っていくこととしております。加えて、新規労災認定者が多い手持動力工具等を取り扱う作業を行う労働者に対する聴覚保護具の着用を求めていくこととしております。また、事業者が騒音障害防止対策の管理者を定め、当該管理者に対する教育の実施を求めていくこととしております。
 最後に8ページ目です。先ほども申し上げましたが、平成4年に現行ガイドラインを策定してから約30年経過しております。その間に、技術の発展や知見の蓄積が出てきました。このことから、屋外の建設現場等の音源が常時移動する場合における作業等においては、個人ばく露測定によることも可能とすること、聴覚保護具の選定に当たっては、JIS規格を目安とした十分な遮音値を有する聴覚保護具の選定を行うこと、聴覚検査の検査項目を追加、見直しすることとしております。また、その他として、建設業、製造業等以外の騒音レベルが高い作業場においても、ガイドラインと同様な騒音障害防止対策を講ずることが望ましいということを周知していきたいというように考えております。この新たに策定するガイドラインにつきましては、今後パブリックコメントを実施しまして、年度内の改正を行っていきたいと思っております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について御質問、御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込み、あるいは挙手をお願いいたします。砂金委員、お願いいたします。
○砂金委員 砂金です。御説明ありがとうございました。先ほどの内容に関してなのですが、以前14次防での議論の際にも発言させていただきました。例えば、建設工事でいえば、発注者、管理者等への教育もなのですが、直接携わっている方々に、守らないとどうなるのかといったようなことを、きちんとしたメッセージとして伝えることが重要ではないかというようなお話をさせていただいたところです。
 今回も、例えばトンネル工事等が特に割合が高いというようなデータ等をお示しいただいているのですが、各業界団体ですとか、特に当該作業に携わっている人が多く属しているような機関等もあるかと思いますので、そちらの機関等を通じて、メッセージが明確に伝わるように、またそのような取組を後押しできるようにしていただければとも思います。ガイドライン等にどういったような記載があるのかといったようなことも含めて御検討いただければと感じました。私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○城内分科会長 熊崎委員、お願いいたします。
○熊崎委員 熊崎です。発言の機会を頂きありがとうございます。御説明ありがとうございました。御説明いただいた騒音についてコメントです。例えばリスクアセスメントでは、事故の型に沿って危険源を探すことが多いと思います。ですが、起因物分類表の中には、「騒音環境」があるものの、事故の型分類表には「難聴」がありません。先ほど様々な技術の発展で状況が変わってきたというようなことも御説明いただいたので、リストの中にも入れることを検討されてはいかがでしょうか。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。中村委員、お願いいたします。
○中村(恭)委員 今回のガイドラインの見直しの趣旨は、騒音障害防止対策の推進であり、対策の徹底を図ることについては賛成でありますし、その実効性が確保されるよう、是非とも具体的な取組をお願いしたいと思っております。その上で、4点ほど発言したいと思います。
 1点目がこの騒音レベルの基準についてです。この見直し検討会の報告では、85dBが1つの基準になっていると思います。一方で、この議論の中で、その85dBが安全な基準ではないといった意見も出ていたと承知しております。85dBが医学的にどのような水準なのか、また、聴覚保護具の利用によってどの程度まで下げれば難聴になりづらいのか、伺いたいと思います。
 2点目が対象の作業場についてです。平成4年に策定されたガイドラインでは、別添で52の作業場が示されておりますが、この52の作業場以外の所では、測定の必要性が現場で認識されなければ、なかなか実態の把握は行われないのではないかと思っています。現場で測定の必要性が認識された場合には、労働者からも測定を求めることができることなどについても広く周知をしていただきたいと思います。
 3点目です。これが一番課題になるところだと思っていますが、聴覚保護具の着用についてです。現場レベルで作業を行うときに、特に屋外等ですが、やはり声掛け等による安全の合図や警告が重要になってきます。この聴覚保護具を着用することで、それが聞きづらくなる可能性があります。必要な声掛け等の合図や警告等がきちんと聞き取れつつ、難聴にならない性能がある保護具の着用が必要であります。加えて、恐らく値段的にも決して安いものではないと思っていますので、行政としてその後押しをお願いしたいと思います。また、個人ばく露測定器ですが、現状では高価ですので、普及のための支援策についても、検討していただければと思います。
 4点目は周知徹底についてです。作業に従事するのは労働者だけではなくて、一人親方も当然います。やはり一人親方も含めた対策の徹底に向けての周知が不可欠だと思いますので、丁寧な対応を要請をしたいと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。ほかに御発言はありませんでしょうか。では、事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 それでは、まず砂金委員からの御意見ですが、業界団体様等に対してのメッセージというのがより強く発信できるように、我々としても取り組んでいきたいというように思っております。
 また、熊崎委員からの御意見ですが、リスクアセスメントの中で拾い上げていくときの事故の型という話がありましたが、その場合、なかなか休業災害という形にもならない形で、後々で障害が出てくるという、死傷病報告になかなか出てこないということで、後になって出てくるということで、一般的な災害分析とは異なるところがあるわけです。資料の中でも統計として表していたのが、新規労災認定者数ということで、死傷病報告ではない別の統計数字を出しているところからもこういった状況が分かるかと思うのですが、そういった中で、実際に健康診断等を受けてもらって、どれだけ労働者に聴覚障害があるか、あるいは作業に問題があるかということについて拾い上げていただいて、それをリスクアセスメントに反映していただく必要があるのかなというように思っております。
 次に、中村委員からの御発言ですが、まず初めに85dBのことですけれども、我々として承知しているのは、WHOで80dBの基準というのがあるというように承知をしております。こちらについては、レジャー騒音の推奨安全レベルということで出ている基準でして、そのほかに、海外の主要国での職業性騒音のばく露許容基準というのが85dBというようになっております。したがって、今回こういった形で職業性の騒音性難聴ということで、それを防いでいくという部分におきましては、当面、85dB以上の作業場における騒音障害防止対策を徹底することにより、新規労災認定者数を減らすことができるというように思っておりまして、当面の間、85dBを基準としていきたいというように考えているところです。
 2つ目ですが、対象作業場について、52の作業場以外のものについてどうするかという点ですが、こちらについても高い騒音が出てきている所というのは、労災認定の対象としては入ってきてはいないのですが、こういった作業場も注視していかなければいけないということで、そういった所に対して騒音障害防止の周知というものを図っていきたいと思っております。
 3番目、聴覚保護具の関係ですが、屋外での安全の合図の部分で、どういう関係になっていくかというところではありますが、お互いの、作業者間の連絡が邪魔にならないようなレベルで、聴覚保護具を選択していく必要があるというように思っております。必要以上に遮音値が高い聴覚保護具を選定しないことを旨にするような内容を書き込んでいこうかと思っているのですが、そういったことを現場で調整をしていただいて、的確な聴覚保護具を選択していただきたいと思っております。
 最後の一人親方の関係についてですが、基本的に今までもそうですが、労働者に対する指針という形で書かせていただいているのですが、今後もこういった一人親方の部分について議論もあるかと思いますので、そういった部分も含めて考えていきたいというように思っております。
○城内分科会長 ありがとうございました。及川委員、お願いいたします。
○及川委員 ありがとうございます。質問ではないのですが、意見として3点申し上げたいと思います。トンネル工事と船舶製造・修理、集中的に目に見える成果ができるように、総合的な対策を是非、集中的に進めていただきたいというように考えております。
 2つ目は、建設業における測定器が伸びていないということについて、金融なり、税制なり、測定器が使われるようなインセンティブを何かしらの手段で考えていただきたいということです。
 最後に8ページですが、技術の発展や意見の蓄積ということで、確かに聴覚保護具の選定ということもあるのでしょうけども、このイノベーションを使って、そもそも騒音を起こさないというものについて、メーカーを含めて、製造現場も含めて考えていくことが必要だというように考えております。この技術発展、知見の蓄積を、新しい技術開発や作業具に反映できるように御尽力いただければと思っております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかに御発言はございますでしょうか。今の及川委員の意見ですが、事務局からはよろしいですか。お願いします。
○労働衛生課長 ありがとうございます。全体を通じてなのですが、皆様、御意見をありがとうございます。今回、騒音障害対策ということで、ガイドラインを改正して終わりではなくて、個別に実効性のある取組を現場でやっていただけるように、業界の方々と連携して周知し、また産業保健総合支援センター等もありますので、そちらでは耳鼻科の専門医の方々にも登録いただいておりますので、そういう外部の専門家の力も借りて支援をしていきたいと思っております。
 また今回、重点的に対策を取らせていただきたい業種の方々というのは、先ほど来出ている熱中症ですとか、様々な健康課題がほかにもある事業場だと思っておりますので、その点も含めて、中小企業対策として、産業保健サービスが適切に届くような支援というのも今後取り組んでまいりたいと思っております。
 技術開発についてはそのとおりだと思いますので、御意見として承ることとさせていただきます。ありがとうございます。
○城内分科会長 ありがとうございました。御発言はございませんでしょうか。それでは、事務局から説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思います。
 これで全ての議題を終了しました。本日も熱心に御議論いただき、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了いたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。