第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和5年1月26日(木)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議題

  1. (1)新型コロナワクチンの今後の接種の在り方について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第51回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。
また、前回と同様、議事の様子はユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
続いて、本日の出欠状況について御報告いたします。
磯部委員、川俣委員、白井委員から御欠席の連絡を受けております。
現在、委員12名のうち9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
続きまして、資料の確認でございます。
本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
資料番号01の議事次第及び委員名簿から、番号10の利益相反関係書類までを用意しております。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局にお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行は、脇田部会長にお願いいたします。
よろしくお願いします。
○脇田部会長 それでは、皆様、今日も参加いただきまして、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、審議参加に関する遵守事項について、事務局から御報告をお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
審議参加の取扱いについて、御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。
各委員及び参考人からの申告内容については、番号10の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、今日の議論に入っていきますが、また皆様から活発な御議論をいただければと考えておりますので、よろしくお願いします。
最初は「新型コロナワクチンの今後の接種の在り方について」であります。
新型コロナワクチンの接種は、これまで予防接種・ワクチン分科会において検討してまいりましたが、昨年12月13日に開催された分科会において、新型コロナワクチンの今後の接種の在り方について、基本方針部会のほうで接種の目的、接種計画に係る技術的な検討を行うとされたところであります。
それでは、まず、事務局から本日の資料の説明をお願いしたいと思います。
最初は、新型コロナワクチン接種の現状についての説明です。
よろしくお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
まず、資料1に基づきまして、新型コロナワクチン接種の現状について説明させていただきます。
おめくりいただきまして、2ページからでございますが、まず、3ページは、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向でございます。
新規陽性者数の推移についてでございます。
4ページについては、我が国における新型コロナウイルスの系統の置き換わりについて。
5ページは、国内の新型コロナワクチンの接種状況についてでございます。
接種率などを掲載してございます。
6ページについては、全国の新規陽性者数と、ワクチン接種率の推移でございます。
7ページについては、日本での供給が行われているワクチンについてでございます。
ワクチン接種の現状については、以上でございます。
○脇田部会長 マウスの調子が悪くてごめんなさい。
ありがとうございました。
それでは、本日の内容は、資料1の9ページに書いてありますとおりですので、この順に検討してまいりたいと思います。
引き続き、事務局から説明をお願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
引き続き、資料1を説明させていただきます。
10ページからです。
まず、10ページは、新型コロナウイルス感染症、コロナワクチンのこれまでの経緯についてでございます。
11ページは、新型コロナワクチン接種に関するこれまでの検討経緯でございまして、初回接種、3回目接種、4回目接種、オミクロン株対応ワクチンの接種について、それぞれそのときの薬事、データに基づいて検討を行い、実施してきたところでございます。
12ページは、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数、重症者数、死亡者数の推移についてでございます。
左の軸が死亡者数と重症者数、右の軸が新規陽性者数でございます。
13ページからが、オミクロン株対応2価ワクチンも含めたワクチンの有効性等についてでございます。
14ページは、知見の状況と、諸外国の状況についてのまとめでございます。
従来型ワクチンについては、御覧のとおりのデータがこれまでそろっているところでございます。
オミクロン株対応2価ワクチンについては、詳細は、次ページ以降に記載がございますが、中和抗体価については上昇が認められます。
一方で、疫学的な知見については、発症予防効果、重症化予防効果においてデータがございますが、いずれも追跡期間が1~2か月程度でございまして、効果の持続期間についてはまだ不明な点が多い状況でございます。
15ページから、まず、免疫原性についての資料でございます。
16ページ以降は、BA.1対応型、BA.4-5対応型それぞれの免疫原性の資料でございます。
接種を行った後に、それぞれの変異株も含めて、中和抗体価の上昇が認められるというものでございます。
21ページについて、少し説明させていただきますと、この研究においては、CD4、CD8の免疫記憶をつかさどるとされているT細胞の応答についても見ております。
こちらは、著者の考察でございますが、ここで認められた結果について、過去の抗原暴露による免疫刷り込みの影響が考えられると著者も述べているところでございます。
24ページ以降については、疫学的知見のまとめでございます。
25ページは、オミクロン株対応2価ワクチン(BA.1対応型)の入院予防効果の有効性、英国のデータでございます。
26ページについては、BA.4-5対応型の発症予防効果、こちらは米国のデータでございます。
27ページは、救急外来の受診を減らす効果、入院予防効果。こちらも米国のデータ。
28ページについては、BA.4-5対応型の入院予防効果。
29ページについては、BA.4-5対応型の入院予防効果、死亡予防効果。
29ページについては、プレプリントの論文がございますが、イスラエルのデータでございます。
30ページ以降は、諸外国の状況でございます。
31ページにまとめてございますが、昨年9月の報道で、米国とイスラエルについて政府から発信があったと。最近の動きとしまして、1月20日からの諮問委員会で推奨が出されてございます。
まず、これまでの推奨は、初回接種と2022年秋以降の1回の追加接種の推奨を継続する。
それから、さらに追加的に行う将来的な接種についてでございますが、パンデミックの進展に内在する不確実性に伴い、追加の新型コロナワクチン接種が必要になるか、誰に接種すべきかについて不確実であるというところで、判断をペンディングしている状況でございます。
それから、これは、これからの会議ではございますが、1月26日に、FDAの諮問委員会で、COVID-19に対処する将来のワクチンの計画、英語で言うとレジメンについて議論する予定と議題が公開されている状況でございます。
それから、資料には追加しておりませんが、1月25日の発表で、英国の方針が発表されてございます。
これは資料にできておりませんので、口頭で少し説明させていただきます。
1月25日、英国のワクチン・予防接種合同委員会(Joint Committee on Vaccination and Immunisation)から推奨が出されております。COVID-19に対する定期的な接種プログラムを直ちに開発することはできないとしております。根拠としましては、ウイルスの進化、免疫の持続性と幅、感染の疫学に関して、依然として不確実性が残っているからというところでございます。
2023年に向けたJCVIの助言としまして、2023年秋に、2023年から2024年の秋、冬シーズンに備えて、COVID-19の重症化リスクが高い者に対してブースター接種を行うと。
重症化リスクが高い者には、2023年から2024年の秋に1回というところでございますが、より少数のグループ、具体的には、高齢者や免疫抑制状態にある者に対しては、2023年春に追加のブースター接種が提供されると。メイという形でございますが、提供されると推奨されてございます。
資料1に戻らせていただきまして、32ページは、諸外国の状況の参考としまして、これまでの累積の延べ新規陽性者数の諸外国のグラフでございます。
33ページは、今後の検討の進め方でございます。
34ページは、事務局からの論点の整理を出させていただいております。
上の点線の四角に、現在の背景としての状況を記載させていただいております。
新型コロナワクチンについては、初回接種に加え、追加接種が行われておりますが、薬事承認上、初回接種を終了した者については、それまでの接種回数にかかわらず、追加接種が既に可能となってございます。
現在、オミクロン株対応の2価ワクチンの接種が行われていますが、今後、さらなる接種も含め、接種の在り方を考える必要があると。
論点1について説明させていただきます。
今後、日本の国内のデータも含めて、先生方から御説明していただきますが、まず、論点1について、事務局から説明させていただきます。
まず、論点1-1は、今得られている知見を踏まえまして、ワクチンの種類について、どのように考えるべきか。
こちらは、免疫原性のデータとか疫学的知見を踏まえて、今後のワクチンの種類について、どのように考えるべきかでございます。
論点1-2については、接種すべき対象者についてでございます。
論点1-1も考慮しまして、接種すべき対象者をどのように考えるべきかでございます。
論点1-3は、接種のタイミング、回数についてということで、1ポツ目は、オミクロン株対応2価ワクチンの回数を重ねることで、有効性が低下する可能性をどのように考えるべきか。
報告ごとに条件に違いはあるものの、従来株対応ワクチンでは、3回目接種と4回目接種で有効性に違いがあるとの報告がございます。
それから、オミクロン株対応2価ワクチンの持続期間をどのように考えるか。
具体的には、従来株対応ワクチンのオミクロン株流行下におけるデータが持続期間について得られているデータでございますが、これをどのように用いるかということが考えられるかと考えております。
事務局からの説明は、以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
論文情報、海外の状況等の紹介、論点についてということで御説明がありました。
今、幾つか科学的な知見の紹介もありましたが、国立感染症研究所において、新型コロナ感染症の疫学、ワクチンに関する知見を取りまとめたものとして、新型コロナワクチンに関する資料を提出していただいております。
情報量が非常に多い資料になっていますので、適宜御覧いただくとして、概要については、神谷委員から御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○神谷委員 よろしくお願いいたします。
国立感染症研究所疫学センターの神谷です。
資料2について、簡単に御説明いたします。
これまで新しいワクチンの検討が行われる際に、感染研では、そのワクチンに関するエビデンスを集めて、ファクトシートという形で資料を提出してまいりました。
ただし、その際には、導入予定のワクチンが具体的に決まっており、その接種方法などが明確に決まっている中でファクトを集めて、まとめる形を取っておりました。
今回、今後の新型コロナワクチンの具体的な接種方法について、まだ決まっておりませんので、具体的な接種するワクチンの回数、スケジュール、医療経済についてのファクトは含まれておりません。これまで発表されている論文のうち、代表的なものを集めてまとめた資料集という位置づけとして考えていただければと思います。
収集した論文は、知見の内容をまとめた論文を中心に、12歳以上、5~11歳、6か月~4歳に対するそれぞれのワクチンの有効性・安全性についてまとめられたものを選んでおります。何分、少ないスタッフで対応しておりますので、この世に出ている全ての論文を取り扱っていない点は御了承いただければと思います。
また、今後の議論において、実際の接種において検討しなくてはならないと思われます、異なるコロナワクチンを接種する交互接種、並びにコロナワクチン以外のワクチンとの同時接種についての有効性・安全性に関する論文のデータについても、後半でまとめております。
資料が膨大になっているために、詳細については、資料を御覧いただければと思いますが、大まかに言いますと、ワクチン接種後、まず抗体価が上昇し、その後徐々に減少していく傾向がありますが、3回目接種後は、1回目、2回目と比べて上昇する割合が大きく、また、減少するスピードが遅くなっている傾向があるように思われました。
副反応については、接種回数が増えると、症状によっては報告頻度が高くなっているものもありますが、重篤なものについては、そのような傾向は認めていない状況になっております。
細かい点については、改めて各自で内容を御覧になっていただければと思います。
資料2については、以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
かなり膨大な資料の取りまとめをありがとうございました。
そして、説明もありがとうございます。
続きまして、新型コロナワクチンに関する科学的な知見として、特に国内の研究結果が取りまとめられておりますので、参考人として、国立感染症研究所からは鈴木参考人。
長崎大学からは森本参考人に御出席いただいております。
国内における知見を御報告いただきたいと思っております。
まず、鈴木参考人から、資料3の御説明をお願いいたします。
よろしくお願いします。
○鈴木参考人 感染研感染症疫学センターの鈴木です。
資料3の説明をさせていただきます。
1ページ目を御覧ください。
厚労省研究班で実施しています、新型コロナワクチンの有効性に関する多施設共同研究の結果、第5号となります。
この報告書自体は、既に昨年12月に感染研のウェブサイトで公開して、厚労省アドバイザリーボードなどにも報告済みのものとなります。
今回の報告ですが、昨年9月から接種開始となったBA.1対応2価ワクチン。
続いて、10月から接種開始となったBA.4-5対応の2価ワクチンが、症状のある感染を予防する効果について検討したものとなります。
2ページ目を御覧ください。
研究デザインですが、これまでと同様に、検査陰性デザインを使っています。
この研究デザインは、症状のある人を外来で登録して、検査陽性の人をケース、陰性の人をコントロールとして、ワクチン接種歴を比較することで有効性を推定しています。この方法自体は、既にインフルエンザワクチンの有効性などを推定する方法として確立されていて、WHOのガイドラインでも推奨されている方法となります。
今回の研究ですが、対象となったのは4,040例です。
うち2,089例が新型コロナウイルス陽性と判定されています。
対象となっている患者さんは16歳以上で、70歳以上は3%ということで、大半は20~50代という比較的活動度の高い世代となります。
3ページ目を御覧ください。
結果になります。
右側の表を御覧いただければと思いますが、オミクロン株対応2価ワクチンを接種してから2週間経過したときの症状のある感染を予防する効果は72%となっています。
ただ、サンプルサイズの限界もありまして、確実性、信頼性の幅が52~83%と一定の幅があることは御留意いただければと思います。
2価ワクチンは2種類ありますので、BA.1対応ワクチンだけに限定すると73%、BA.4-5対応ワクチンに限定すると70%ということで、それぞれ幅がありますが、大きく違いがないことを示唆する結果になっております。
この結果は、ワクチン未接種者と比べたときの有効性になります。
ただ、国民の大半は、既に接種の対象となる方は2回以上接種を受けていますので、1価ワクチンを2回以上受けた人と比べたときの有効性も計算したものが、右側の表の下にテキストで記載されています。
1価ワクチンを接種して、3~6か月経過して2価ワクチンを追加接種したときの有効性が30%。
6か月以上経過してから接種したときの有効性が44%という数字になっています。相対的な有効性ということになります。
これらの値は、先ほどの事務局の資料にありましたが、米国から最近報告されたものとほぼ同一となります。
4ページ目で、まとめです。
報告では、BA.5が流行しているときのオミクロン株対応2価ワクチンの有効性を検討して、その結果、症状のある感染を予防する効果は70%程度であることが分かりました。
この効果に関しては、BA.1対応、BA.4-5対応でもおおむね同等であることが分かりました。
ただ、これらの効果は、いずれも接種から2か月以内の有効性となります。
長期の効果については、現在検討中であるということになります。
私からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、森本参考人から資料4の説明をお願いいたします。
○森本参考人 よろしくお願いします。
長崎大学の森本です。
私どもは、VERSUSグループと申しまして、2021年から新型コロナウイルスのワクチン効果を調査してきております。
これまでに報告書で7報出して発症予防効果を出してきておりますが、今回は、ここで初めてお示しするデータでありますが、入院予防効果、入院患者の重症化予防効果を出しましたので、お示ししたいと思います。
2ページ目になりますが、このグループでは、今回は入院患者さんを診療している病院を対象としておりますので、この日本地図で示した地域において研究を行いました。
グループ自体は20か所程度ありますが、今回は入院を見ている病院ということで、クリニック等は除外されております。
なお、事前にお話ししておりますが、今回はあくまで暫定結果でありまして、今後、登録症例数の増加や解析によっては、数値が多少変化する可能性もあります。
詳細につきましては、この委員会、もしくは議論、コメント等を含めた報告書を来週以降にホームページ等で公開する予定でおります。
2ページ目のデザインから入りますが、この研究も、基本的には検査陰性デザインという症例対照研究を用いたものであります。
10都県11か所の病院を対象として、対象者の入院予防における有効性は昨年7月1日から9月30日の間登録しました。これはオミクロンBA.5の流行期に当たりますが、2価ワクチンの解析につきましては、この期間では非常に症例数が限定されますので解析には含めておりません。
対象者は16歳以上の入院患者で、新型コロナウイルス感染症を疑うような症状があること。もしくは肺炎像があること。対照症例、コントロールにおいても、肺炎病状、画像の所見があることを条件としております。
収集情報は、資料にありますように、ごく基本的な臨床情報とワクチン接種歴であります。
一方、重症化予防の解析につきましては、コロナ陽性患者のみを対象として、1月1日から9月30日までに入院した症例を登録しております。重症者をケース、非重症者をコントロールとして解析しております。
重症の定義は、資料にありますように、ネーザルハイフローによる治療、もしくは非侵襲的陽圧換気、人工呼吸、ECMO、死亡を重症の定義として含めております。
3ページ目でありますが、データを示しております。
まずは、入院予防効果ですが、資料にありますように、対象者は検査陰性;コントロールにおきましても、CURB-65は、特に市中肺炎の重症度スケールでありますが、ほぼ同等の重症度でありました。
このワクチン接種歴を収集、比較しまして、ファイザー社またはモデルナ社製のワクチンの効果を示しております。2回接種、3回接種、4回接種完了、完了というのは、2週間以上たったものを完了としておりますが、それぞれワクチンの有効性としまして58.2%、72.8%、4回接種完了においては84.8%となっております。
資料4枚目に移りますが、重症化予防における有効性につきましては、同様に2回接種、3回接種、4回接種完了におきまして、それぞれ16.3%、56.9%、78.2%の有効性を示しておりました。
ただし、今回はサンプルサイズが限定されることもありまして、当然のことながら、2回接種完了後の患者さんにおきましては、比較的接種後の期間が長い傾向にありますので、ここには詳細を示しておりませんが、右の枠に書いておりますように、時間経過による影響の可能性があると考えております。
私からは以上です。
よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
国内の発症予防効果、そして、森本参考人からは、入院予防効果、重症予防効果についての研究結果について御報告いただきました。
続きまして、今回、事務局資料にも論点の記載がありますが、新型コロナワクチンの中和抗体価の結果に関する評価など、免疫学的な知見も踏まえた検討が必要と考えております。
こうした免疫学の領域の知見において報告をいただければということで、本日、国立感染症研究所の高橋参考人に参加していただいております。
それでは、資料5について、高橋参考人から御説明をよろしくお願いいたします。
○高橋参考人 よろしくお願いします。
感染研治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋といいます。
それでは、お手元の資料5の1ページ目を御覧ください。
まず、免疫記憶の基本的な考え方から御説明させていただきます。
免疫記憶をつかさどる細胞として、ここに4種類の免疫細胞をお示ししておりますが、一番上の抗体産生細胞から供給される抗体の予防効果については知見が集まって、委員の先生方も御存じかと思いますが、その下の3つの記憶Bリンパ球、あるいはCD4、CD8のリンパ球も様々な形で予防効果に寄与すると考えられています。
特にこの細胞がある状態で、ウイルスの暴露を受けて感染いたしますと、この細胞が速やかに抗体を新たに作る、あるいは感染細胞を除去できるような細胞に変化する形で、右側にお示しいたしましたように、2番、あるいは3番という形でウイルスの排除に寄与することができます。
こちらは、専門用語で免疫力のリコールという呼び方をいたしますが、迅速に新たに抗体を作る、あるいは感染細胞を排除する能力を持っているのが記憶リンパ球という細胞となります。
2ページ目を御覧ください。
今回の新型コロナのケースでも、記憶リンパ球が実際に予防効果に寄与する可能性を示唆するような知見が幾つか得られておりますので、御紹介させていただきます。
こちらに2つの論文の内容をお示ししておりますが、どちらもmRNAワクチン接種者で、ブレークスルー感染を起こした症例の免疫データとなります。
左側は、アルファ、ガンマ、デルタ株によるブレークスルー感染を起こした症例を対象として、抗体価の立ち上がりの時期を調べた結果となっています。
ワクチンによって免疫記憶が付与されているRBDというものに対する抗体については、PCR陽性後、4~6日という比較的早期に抗体が立ち上がる結果となっています。
一方、ワクチンで免疫記憶が付与されているN抗原に対する抗体については7日以降、ピークは11日以降と立ち上がりが遅い結果となっています。
免疫記憶によって迅速に抗体が立ち上がっている様子がお分かりいただけるかと思います。
右側も同様の研究でありますが、こちらはオミクロン株によるブレークスルー感染者で、さらに、鼻腔拭い液中という、より早いタイミングでの予防効果に寄与すると想定される中和抗体の立ち上がりを調べた結果となります。
こちらでもPCR陽性後、全ての方の症例ではありませんが、5日以降で抗体の立ち上がりが観察されるという結果となっております。
このことから、確かに記憶Bリンパ球が速やかに活性化して、リコールして、抗体等を誘導できることが予防効果に寄与する可能性を支持する結果の一つと捉えられています。
3ページ目を御覧ください。
ここからは、免疫記憶の持続性に関するデータを幾つか御紹介したいと思います。
まず、mRNAワクチン接種後の記憶Bリンパ球、あるいはTリンパ球の持続性について御紹介させていただきます。
3ページ目の論文については、2回ワクチン接種後約160日まで記憶リンパ球数を計測したデータとなっています。
モデルナ社製、ファイザー社製をそれぞれ赤と青で示しておりますが、30例ずつをフォローアップしております。
結果としては、ほぼ同様でありまして、2回接種後、2週間ぐらい待って、Time Point3、T3で示してありますデータをピークとしまして、160日のTime Point5まで数はほぼ一定で、減少は2倍以内という結果となっています。
Bリンパ球に関しては、逆に少し数が増える結果になっており、減衰が認められておりません。
ここで、もう一点追加で説明させていただきたいポイントとしまして、先ほど事務局の資料の中で、2価ワクチン、あるいは1価ワクチンを接種した際に、記憶Tリンパ球の増加があまり認められなかったというNEJMの論文の紹介があったかと思います。
こちらのデータにもお示しされていますが、基本的に、記憶Tリンパ球の数という点に関しては、1回接種後にTime Point1からTime Point2にかけて大きく増加しますが、2回接種以降、Time Point3以降は、ほとんど数は大きく増えない結果となっています。このような条件では、ある意味天井近くに到達していることが複数の論文で確認されているところであります。
ですので、NEJMの論文に関しましても、一つの可能性として、天井近くに到達しているために増加しなかった可能性も十分に想定されることは、一つ補足として説明させていただきます。
4ページ目の資料を御覧ください。
プレプリントの結果ではありますが、ワクチン3回接種後の約6か月まで記憶リンパ球をフォローアップした研究データを御紹介させていただきます。
こちらも2回接種とほぼ同様でありまして、記憶Bリンパ球、あるいはCD4の記憶Tリンパ球のどちらも半年までほぼ一定に維持されています。抗体価ほどは減衰しないことが確認されております。
5ページ目を御覧ください。
残念ながら、ワクチン接種後半年以上フォローアップした研究データは、私どもの知る限り、現時点で報告されていない状況です。
そこで、参考データとしまして、コロナウイルス感染者を約1年間フォローアップした研究データをこちらで紹介させていただきます。
左側が記憶Bリンパ球で、右側がCD4、CD8の記憶Tリンパ球数でありますが、基本的に、感染者において、約1年間フォローアップした場合でも、リンパ球の数はほとんど減衰しないことが確認されております。
6ページ目を御覧ください。
ここからは、免疫刷り込み現象について、少し説明させていただければと思います。
ただ、こちらの免疫刷り込み現象につきましては、特に新型コロナワクチンに関して、現在、知見が集積されつつある状況でありますので、あくまで現時点で想定されているモデル図、イメージという位置づけで御理解いただければと思います。ですので、今後、集積される知見により修正される可能性もあることを御留意いただければと思います。
まず、免疫の刷り込みは、その名のとおり、最初に接種を受けたワクチンの情報が私たちの免疫に刷り込まれて、その後、別のワクチンの株を受けた場合でも、最初の株で刷り込まれた免疫が継続して活性化する現象のことを指します。
こちらの資料では、従来株のワクチン、緑色で示したものになりますが、初回、追加接種を受けますと、従来株に特異的な緑の抗体が誘導されます。
一方、仮に変異株のワクチンで初回と追加接種を受けますと、ピンクで示している部分に対する変異株に特有の抗体が優先的に誘導されることが想定される状況であります。
本日の論点に大きく関係するのは、真ん中の例になりますが、従来株のワクチンで初回接種を受けた後に、変異株ワクチンを含む2価ワクチン等で追加接種を受けたケースとなります。
この場合、これまでの知見から推察いたしますと、従来株と変異株でアミノ酸が変化していない部分、つまり、こちらではグレーで示させていただいた部分でありますが、そのような部分に対する抗体が誘導されるようになり、その代わり、一番下で誘導された、ピンクで示した変異株ワクチンで誘導されることが期待される抗体が相対的に誘導されづらくなる現象が起きると想定されています。
右にお示ししますように、変異株への中和活性という側面に関しましては、グレーの抗体は、ピンクの抗体ほど高くないと一般的に考えられますので、結果として、変異株ワクチンを含むワクチンで追加接種した場合は、変異株への中和抗体が期待ほど高くならない現象が起きているだろうと考えられています。現在、あくまで免疫学的な機序の一つとして想定されているところであります。
このように、変異株ワクチンを接種したにもかかわらず、過去の従来株に対する免疫に引きずられるということで、免疫の刷り込み現象と呼ばれているところであります。
7ページ目を御覧ください。
実際、武漢株ワクチンの接種を受けた方で、免疫の刷り込み現象を受けるかどうかという点について、幾つか知見が出てきておりますので、代表的なものを御紹介させていただきます。
こちらは、武漢株のワクチン接種者がオミクロン株でブレークスルー感染を起こした症例となります。
こちらは、少し複雑な図で恐縮でありますが、左から2つ目と3つ目の図が武漢株ワクチンでの免疫の刷り込みのない方がオミクロン株の感染を受けた症例となります。
右側の2つが、武漢株ワクチンで免疫刷り込みのある方がブレークスルー感染を受けた症例となります。
この図の見方としましては、左上に位置する点がオミクロン特異的な抗体で、右上が交差抗体、右下が武漢株に特異的な抗体となっておりまして、各点は、1つずつのモノクローナル抗体の反応性を示しております。症例当たりのデータではないことに御留意ください。
オミクロン株の免疫刷り込みがない状態ですと、オミクロン株で感染を受けますと、左上の特異的な抗体が誘導されるのに対し、武漢株ワクチンで刷り込みがある状況ですと、右上に示したような抗体、つまり、交差する抗体が優位に誘導されることがこの例でも確認されております。
つまり、ワクチン接種により武漢株に対する免疫を有する部分では、オミクロン感染後に、オミクロン特異的な抗体が誘導されづらいことを指示する一つのデータでございます。
同様の結果は、現在、別のグループからも報告されている状況であります。
ただ、こちらのデータは、ブレークスルー感染を起こした場合のデータでありまして、実際、オミクロン対応2価ワクチン接種後にどうなるかという点については、現時点で知見はございません。
また、今後、ワクチンの繰り返し接種を行っていった場合に、免疫の刷り込みの影響がどこまで続くのかというところについても、まだ予見ができない状況であります。
さらに、もう一つ重要なポイントとしまして、免疫の刷り込み現象によって全く抗体ができないというわけではなく、交差する抗体は誘導されるということでありまして、交差抗体の中に中和活性があるような抗体も含まれますので、この現象がワクチンの有効性にどれほどのインパクトを与えるかという点についても、現時点では不透明な状況であることを補足させていただきます。
すみません。長くなりましたが、私からの説明は以上となります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
免疫の記憶と、免疫の刷り込み現象がどのように今後、影響してくるかといったところは、まだ十分に知見が固まっているところではないのですが、現時点での知見について御紹介いただいたところであります。
まだ時間がありますので、今、事務局、感染研からのまとめ、神谷先生のまとめ、参考人からの御説明がありましたので、まず、今の御説明に対して委員の先生方から御質問があればお受けして、その後、今日の論点で議論を進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 感染研の高橋先生にお伺いしたいのですが、高橋先生の刷り込み現象を考えると、ワクチンは、2価ワクチンよりも、むしろ例えばBA.4-5に限った単価で、その都度流行に合わせてやったほうがいいという極端な考え方かもしれないのですが、そのほうがいいということが質問の一つ。
つまり、今後のワクチンは、2価ワクチンという意味ではなくて、むしろシンプルな形の1価ワクチンでその都度の流行株に合わせてやっていくほうがいいということなのか。
もう一点は、今のお考えによると、現在、オミクロン対応ワクチンは、初回シリーズが済んでいないと打てないということなのですが、この知見によると、むしろ接種歴のないまっさらな人のほうがいいのかなというところがあって、その辺をお聞かせいただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
もちろん、利用可能なワクチンがないところもありますが、今の知見から考えてどうかというところですね。
高橋先生、いかがでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
現時点で利用可能なワクチンがないところでありますが、免疫学的な観点というところで御説明させていただきます。
2価ワクチンを選択された理由の一つとして、その当時、将来的にどのような株が流行するかという予測性は、オミクロン一本に絞るというところまでまだ予測ができていなかった状況ではないかと思いますので、武漢株と抗原性の異なる2つの株を選んでワクチンを接種してきたという経緯があったと私は理解しております。
今後、様々な状況からオミクロン一本に絞るという可能性が高いのであれば、選択肢として出てくるのかなと思いますが、それ以外に様々な要因があるかと思いますので、そういった点を総合的に勘案しての判断になるかとは思っています。
○脇田部会長 それから、現状では初回からオミクロン株対応のほうがいいのかなというところは。
○高橋参考人 オミクロンに適応した免疫をつけるという観点に関しましては、最初からオミクロンで免疫をつけていくほうが望ましいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
もう一人ぐらい。
宮入先生、お願いします。
○宮入委員 高橋先生に追加の質問なのですが、免疫学的な刷り込み現象によるデメリットは、活性が劣る抗体ができる、ワクチンの効きが思ったほどよくないこと以上に何かデメリットが想定されることはあるのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
高橋先生、お願いします。
○高橋参考人 ありがとうございます。
現時点で確認されているエビデンスから判断いたしますと、それ以外のデメリットは確認されていない状況であります。
交差性が高まることはデメリットもありますが、ある意味、メリットもあるかと思うのですが、変異株への対応力ということで幅が広がります。
ただ、現状、オミクロンに対する中和活性自身が部分的に低下するというデメリット以外に、私どもは把握できていない状況です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
私からも、高橋先生に1点確認なのですが、最初のパートで記憶免疫の持続について御紹介がありました。
後半の刷り込み現象は、主に中和抗体の活性を見ていると思いますが、T細胞の記憶免疫の持続を考えると、そこはあまり刷り込み現象に影響されないのではないかという感じもするのですが、その点はどうでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
私どもも、T細胞に関しては、抗原性の影響を受けにくいこともありますので、刷り込み現象は、抗体ほど大きな影響を受けないと考えておりますし、今あるエビデンスの多くは、そのような解釈で読み取れると理解しています。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、一応、このところの質問を最後にしたいと思うのですが、伊藤先生、お願いします。
マイクがミュートになっていて、聞こえていないのですが。
○伊藤委員 すみません。
ありがとうございました。
高橋先生、いつも協力いただいて、ありがとうございます。
今まで私どもでやっているコホート研究で抗体価のデータを出していますが、3回目接種以降、交差免疫ができてきていて、交差免疫はBA.5だけではなくて、BA.1とかほかの変異株の抗体価にも出てくるという全体的なメリットがあると思っています。
一方で、BA.5に対する抗体だけを単独にみていくと、武漢株の抗体価が出てきたり、ほかの株に対する中和抗体、交差免疫も出てくるから、相対的には低くなる刷り込み現象だと思うのですが、オーバーオールで見たときに、今までのワクチンでも、今後の変異株に対するワクチンを待つよりも、基礎免疫をつけて、交差免疫も含めてつけておくほうがメリットとしては大きいのではないかという主張は前からさせていただいています。
そういう意味で、刷り込み現象だけを取り上げて、ワクチンを打たないほうがいいという論調には反対しておかないといけないと思ったので、発言させていただいています。そこら辺の考え方に関して、先生はどのようにお考えになりますでしょうか。
○脇田部会長 刷り込み現象は、交差免疫に関しては、逆により幅広くなると。
そこがある一定の特定の変異株に対して、高い中和抗体ではないかもしれないけれども、より幅広い中和活性が得られるということであるので、逆にメリットがあるのではないかという御指摘だと思いますが、高橋先生、そういった考え方でよろしいでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございました。
私もそのような考え方であります。全くデメリットだけではなくて、メリットもあるという考えです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
現状の感染状況はBA.5が中心ですが、今後も、昨今は様々な亜系統が流行の中心になってくる、あるいは複数の系統が流行の中心になってくることを考えますと、より幅広い交差免疫を持つことも重要だということでありますし、免疫記憶というところで、T細胞の免疫がかなり。
免疫記憶細胞ですね。ごめんなさい。
メモリー細胞がかなり持続するところもあって、特に重症化予防効果については、持続はある程度期待できると。
ただ、今、半年以上のデータはあまりないので、その知見は今後、また待つ必要があると。記憶細胞に関しては、1年まで感染後でも見られたということでありましたということですね。そういうところで、今日、国内のワクチンの有効性についての御報告がありました。
これまで発症予防効果についてはありましたが、今回、長崎大学の森本先生から入院予防効果と重症化予防効果についても高い効果が見られているということで、まだ症例数も少ないので、さらに検討が必要というお話もありましたが、そういう現状です。
これを踏まえまして、本日は、論点の議論をしていきたいと思います。
資料1の34ページに、事務局にまとめていただきました今後の検討の進め方ということで、論点1、科学的知見の評価というところで、論点1の中の1~3であります。
現在流行している株は、ワクチンの種類について、今使っている2価ワクチンをどう考えるかということですね。
今利用可能なワクチンがあるわけですが、今、インプリンティングであるとか、免疫の記憶との御紹介があったわけですが、臨床的なデータも検討しながら、今後、どのようなワクチンの種類を考えていくべきなのかということですね。
結論は出ないかもしれないのですが、今後、どのようなワクチンを使っていくべきなのかということはまず考えないといけない。
先ほど坂元先生が言われたとおり、2価ワクチンを使っていくのか、それとも、インフルエンザのように、そのときに流行している株を予想して、その株に対するワクチンを使っていくという考え方もあるかもしれないというところですね。
それから、論点1の2番目として、接種すべき対象者です。
これは、有効性はどのようなものがあり得るかというところで、どのような方を対象にするべきか。
3番目には、接種のタイミング、回数といいますか、間隔といいますか、そういったこと。
ワクチンの効果は、接種後、徐々に下がっていくことはありますので、そこをどのように考えるかということで、少し難しい議論になると思いますが、順番に皆さんの意見をいただきながら考えて議論を進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
議論がいろいろと広がってしまうこともありますので、1番目のワクチンの種類はどのように考えるかというところで御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。(音声中断)
一つの市町村としての現実的な関心事で、結果から言うと、ほとんどの市町村は特例臨時接種がは3月で終わらないという予定で既にいろいろな体制を組んでいるかと思います。
2回目のものなのですが、今の高橋先生の御発表からすると、仮にワクチンを1年に1回接種するとしても、9月でオミクロン対応ワクチンを始められている市町村では既に始めているので、そうすると、今年9月ぐらいにやるとなると、そのオミクロンのワクチンを9月にもう一回やることがいいのか、ひょっとすると、来年5月、6月に、シンプルな単価のワクチン、流行に合わせたワクチンが出てくるのではないかと。
そうしたら、それに乗り換えて、1年以内にもう一回やるのは、少なくとも1年に1回、今の効果が半年たつとよく分からないことから考えると、ありなのかなと私自身は思います。
したがって、新しいワクチンが出てきたら、多分、考え方がかなり変わってきてしまうことも想定しなければいけないと思うのですが、市町村のワクチン接種体制は小回りが利かないので、一つは、そういう見通しも立てておかないと、突然、新しいワクチンが出たからこうしますと言われても、なかなか難しいという形で、私としては、そういう観点から考えていきたいと思っております。
以上です。
だから、高橋先生にお聞きしたいのは、今のオミクロン2価ワクチンを1年後にやるのは本当に意義があるのかどうかは、お答えできないと思うのですが、今、考え方としては、市町村の中では、半年後にもう一回、追加オミクロンという考え方でやるのではないかと情報交換しているのですが、半年後に追加ワクチンがいいのか、それとも1年後に同じオミクロン追加ワクチンがいいのかというのは、むしろ免疫学の立場から御意見をいただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
まず、議論の進め方なのですが、ワクチンの種類をどうするかと論点1に挙げてもらって、そこから行こうかとは思っているのですが、議論をすると、当然、いつ次の接種をするかということがありますし、その場合、どういった対象の人にやるのかというところも当然出てきてしまうので(音声中断)。
ポイントかということは言っていただくにしても、総合的に論点1についてお話しいただければと思いますので、よろしくお願いしますというところです。
まず、今、高橋先生に質問が出たので、高橋先生、そこの御意見をいただけますか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
まさに今の論点は、脇田先生からも追加で整理していただきましたが、様々な考え方がある中で、また、今後の流行状況も見通せない状況で、現状、免疫学的な観点だけでどうしたほうがいいというのも、なかなか申し上げにくい。コメントさせていただくのも難しいと御理解いただければと思います。
○脇田部会長 分かりました。
今後は、まとめてお願いします。
それでは、中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
ありがとうございます。
どういった種類のワクチンを使うかというのは、単価なのか、2価なのか、あるいはmRNAワクチンなのか、他のワクチンなのかということも含めて、非常に難しい問題だと思います。
ただ、少数例で、日本だけが新しいことをやるのも、新型コロナに関して、実験室内でのエビデンスがそんなに十分にそろっているわけではないでしょうから、海外での使用状況とか、海外からも発信されるデータを基に考えていかなければいけないと思っています。
ただ、そこにワクチンへの感受性とか疾患への感受性、民族性があることはもちろんあり得ると思いますし、先ほど高橋先生がプレゼンテーションいただいて、多くの委員の方々が興味を持って御質問された、免疫刷り込み現象でございますが、免疫刷り込み現象は、恐らく、初めて打ったワクチンと次のワクチンということもあるでしょうが、初めてかかった病原体と次の病原体、あるいは次のワクチンということも考えなければいけないと思っています。
そう考えると、日本という国は、流行が拡大するのは割と遅くて、今、日本に住んでいる方を見ると、きっと従来株よりも、オミクロン株が流行して感染した方が圧倒的に多い。
海外でも、絶対数からいけば、オミクロン株に感染した人のほうが多いのは間違いないでしょうが、そういった流行状況によっても差が出てくるのかなと思っています。
何を申し上げたいかというと、ワクチンの種類だけを考えていても、最終的に結論がなかなか出ない場合もあるでしょうし、あとは、いろいろなことが関係することを申し上げたかったことと、もう一つ、ワクチンの種類に関して、mRNAワクチンは確かにすばらしいワクチンだと思うのですが、今日、私は高橋先生のプレゼンテーションをお伺いして、脇田座長も御指摘いただいた、メモリーが6か月、もうしばらくあってもしっかりと残っている。
これは、逆にほかのワクチンでも既に分かっていることで、恐らく、有効率とか、病原体特異的という意味では、いろいろな意味でmRNAワクチンよりも劣るかもしれない、もうちょっと粗いワクチンである不活化ワクチンでもメモリー機能は非常に残っていて、例えば破傷風は、長年接種していなくて、抗体がすごく低くても、1回接種すれば、すごく高い免疫が誘導されますし、百日せきにしても、ポリオにしても同じだと思うのです。
そう考えると、逆に言えば、高橋先生が今日、明快にお示しいただいたデータは、mRNAワクチンでもメモリー機能が保持される、mRNAワクチンにメモリーは乏しいというデメリットは、今のところはないかなということが、長く使ってきて分かってきたかなと受け止めるべきかと思っています。諸外国が一番広くmRNAワクチンを使う中で、恐らく、mRNAワクチンを使っていく可能性が最も高いのでしょうが、そういったデータがあるのは、今後も使っていく上で、一ついい話かなと思っています。
その一方で、例えばアルゼンチンや中国とかのホールビリオンの全粒子の新型コロナワクチンを国中にわたって広く使っている国もございます。今後、そういった国のデータも出てくると思います。
例えば病気は異なりますが、インフルエンザワクチンは、最初、ホールビリオンのワクチンを使っていて、その後、HAワクチンになった。
これは恐らく、副反応の点で、より純度の高いHAワクチンのほうがよいだろうということでHAワクチンに変更になったわけですが、HAワクチンは、ホールビリオンワクチンよりも効果が弱いのではないかというディスカッションもインフルエンザワクチンではあったりして、いろいろなことがあると思うのです。
また、ほかのワクチンの例でいうと、私たちは、麻疹に対して、最初に不活化ワクチンを打ったほうが副反応も少ないし、恐らくいいだろう、後で生ワクチンを打ってというKL法が1960年代に日本でも、海外でも採用されましたが、麻疹という病原体に対しては、KL法は適さない、生ワクチンがいいということがその後になって分かってきたこともあるので、ワクチンは、長年のいろいろなデータの集積によって有効性とか安全性のデータが確立していく、基礎データを基に、実臨床での使用も積み重ねられて分かってくることもあるので、今後、そういう観点からも見据えていかなければいけないと思っています。
以上でございます。
○脇田部会長 中野先生、どうもありがとうございました。
そのほかにいかがでしょうか。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 今、中野先生が指摘してくださったことは非常に大事だなと思って伺っておりました。
今日、これまでお示しいただいたいろいろな知見を総合的に判断しても、論点1-1にどのような結論を出したらよいかというのは、なかなか難しいと私は感じます。
その中で、既に説明をいただいたところですが、事務局にもう一度、イスラエルは非常に早い時期に年に1回と打ち出しました。
それから、アメリカもその方向でやっていると。
カナダは、まだそこまでは判断できないと言っている。
その早く決めたところの根拠について、早く決めたというか、年に1回がよいのだとかなり強く方針を決めたところの根拠について、もう一度事務局から、現時点での整理を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見がなければ、まず、今、釜萢先生が御指摘の、海外、特にアメリカと、イスラエルも含めてですが、年1回と決めたその考え方の根拠といいますか、そこのところの考え方について、もう一度御説明していただけないかというところで、事務局に伺いたいと思います。
いかがでしょうか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 根拠についてでございますが、公開されている情報が限られますので、御説明が難しい部分はございますが、米国とイスラエルについては、メディアの取材に答えたとか、政府からの発信でございますので、特に科学的根拠を明確に示されている状況ではないと承知しております。
26日、これからFDAで会議が行われますので、そのときにどういった議論が行われるかというところは注視したいと思っております。
それから、英国についてですが、こちらについても、明確な根拠というのは少し難しいのですが、記載を読みますと、秋、冬に備えてということですので、そこでの流行に備えてということが一つにはあるのかと思います。
○大坪大臣官房審議官 追加で申し上げます。
アメリカにつきましては、今日、これからFDAでアドバイザリーコミッティーが開催されますので、それを待ってということになろうかと思います。
英国などについては、慎重であるわけですが、英国につきましては、今日、先生方に御議論いただきましたように、ウイルスの進化とか免疫の持続の幅、感染の疫学に関して、コロナにおいては、依然として不確実であることから、直ちに接種プログラムを定めることが難しいと。その中で、高齢者とか免疫弱者については提供され得るのではないかと。
一方で、臨床的にリスクが高くない16~49歳の者に対しての追加は終了すべきではないかといったことも既に発表しております。
カナダにおきましては、同じように、不確実性が高いと。
それのために、誰に接種をいつするかということについては、引き続き、今後数か月にわたって、エビデンスのモニタリングを行った後に発表するといった声明が出ているところであります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございます。
各国の状況は、これまでの流行の状況も違いますし、ワクチンの接種状況も違うところですので、もちろんそこも違いとなってくるわけですが、一つは、32ページで御紹介いただいたこれまでの累積感染者数は、各国の検査の状況とか報告の状況は今、変わってきているので、正確なところは十分には分からないわけですが、感染の状況が比較的低いカナダにおいて、どういった接種方法を進めるかというところも一つのサンプルになるかとも考えているのですが、まだまだ状況を見ながらというところが各国ではあると。
ただ、少なくとも年に1回、秋、冬に備えてと、今回もオミクロン株によるいわゆる第八波の流行で死亡者数もたくさん出たところを考えると、そこに対して備えていく必要があるだろうというのは最低限あると考えております。
すみません。ワクチンの種類からは少し論点がずれました。
宮入先生、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
現行で使用できるワクチン、そしてそれぞれの接種方法が決まっている中では、先ほど中野先生がおっしゃったように、国内で今まで既に感染した人は、基本、オミクロンが中心であって、今後、ウイルスがどう変化するのか分からない状況では、従来株も含めた2価のワクチンが必要なのではないかと思っています。
ただ、明確に決めることに関しては、今後の状況を見極めていかないといけないかなと思っております。
まだ難しいかもしれませんが、免疫学的刷り込みの話とかもありましたので、未接種者、今までまだ打っていない人に関しては、最初から2価のワクチンが接種できるようになるとよいと感じました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今の宮入先生の御意見は、従来株も含めた2価ワクチンというところで、より幅広い免疫をつけていくことも重要ではないかといった御意見だったかと思います。特に未接種者、未感染者の方ということですね。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 先ほど来、もしかするとアメリカで秋口から年に1回かもしれないという情報、イギリスも同様で、春ぐらいになったら、免疫弱者に対してはもう一回考えるという根拠は、まだ曖昧であるけれどもということなのですが、現実論から考えると、コロナのワクチンは、年間を通して完全に防御体制を取るのかという観点と、秋口はインフルエンザとのダブルが起こると、医療逼迫が起こる。つまり、社会防御という観点から、秋口に1回やるのは、私は一つのいい考えではないかと思っています。
あとは、市町村の体制にとっても、年に1回は非常にやりやすいということと、一つの課題として、年に2回やった場合、同一の人が年に2回打つかというのは甚だ保証できずに、過去の経験からすると、2回あるからどこかで打てばいいやと、逆に一回一回の接種率がすごく下がる可能性が出てくると思います。
しかも、2回目と1回目の人が同一人物ではないということになると、2回目の接種はいわゆる意味がなくなるのではないかという気もするので、年に1回というのは、接種を受ける人にはすごく強い動機づけになるのかなという意味と、目的の一つは、社会機能の維持ということから考えて、インフルエンザがはやるときに一緒にやっていく、最低限年に1回はそうしようというのは、私はかなり現実的な路線ではないかと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
今の坂元先生からの御意見は、接種のタイミングと回数については、基本的には年に1回をベースラインとして、秋口、冬に備えてというところが必要ではないかと。
中野先生、神谷先生の順番でお願いします。
○中野委員 中野でございます。
ありがとうございます。
年に1回が分かりやすいという先ほどの御意見は私も大変賛成で、それはいいと思うのですが、今気になっていることが、インフルエンザワクチンを打つ時期は、小児科医も、ワクチンを打っておられる内科の先生も一番忙しい時期ではないかと思います。
そして、今シーズンは、新型コロナのワクチンは集団接種会場とか、これまでの方法以外の接種会場がまだございましたから、新型コロナのワクチンの接種を継続することができましたが、分かりやすいという意味で、インフルエンザとほぼ同じ時期にスタートとした場合に、同時接種ももちろん可能なわけなのですが、これは絶対同時に打たなければならないというわけでもないし、同時を好まない被接種者あるいは医療者もいらっしゃると思います、
そう考えますと、個別接種として、同じ時期に2つのワクチンは、新型コロナが重症化するハイリスク者と考えると、きっとかなり対象者がかぶってくる気もいたしますので、その点が気になりましたので、意見を述べさせていただきました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
神谷先生。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 すみません。
事務局から一つよろしいでしょうか。
○脇田部会長 どうぞ。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 御議論を聞かせていただきまして、現状、臨床的なエビデンスがあったり、免疫刷り込みにおいては、デメリットばかりではなく、メリットもあるということで御議論いただいた。
それから、利用可能なワクチンで考えなければいけない中で、いいのか、悪いのかというところは、利用可能なワクチンで考えるのであれば、そこは免疫刷り込みだけで考えるのは違うのではないかということで御議論いただいていると承知しております。
ただ、一方で、利用可能なワクチンをどう考えるかというところであると考えていまして、利用可能なワクチンがどんなワクチンなのかということは、先生方がおっしゃるように、ウイルスは国境を越えますので、諸外国の状況も踏まえながらということではあるとは思うのですが、一方で、例えばインフルエンザなどにおいては、日本の中でもプロセスを踏んで株選定をしている。
これをもう少し論点1-1、今後のワクチンは何を使うかと考えると、すごく大ざっぱにまとめますと、ワクチンの開発は、今話題に挙がっているインフルエンザのように、それぞれのシーズン、流行株に合わせていく。先ほどの単価のワクチンのほうがいいのではないかというのは、そういう方向性かと思います。
というほうがいいのか、あるいはそのほかのワクチンの資料を見ていきますと、例えば肺炎球菌ワクチンとかHPVワクチンもそうだと思いますが、主要な流行株からだんだんと幅を増やしていくワクチンもあるかと思います。
では、このワクチンについて、どっちなのかというところは、恐らく、今までインフルワクチンが話題に上がりながら、1価から2価という流れの方向性では、むしろ肺炎球菌ワクチンとかHPVワクチンに近いような流れで来ている。そこをひとつ御議論していただく必要があるのではないかというところで、論点1-1を立てさせていただいているところであります。
もちろん、結論はなかなか難しいところはあるかと思うのですが、そういった観点で少し御議論いただきたいと考えているところでございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今、事務局から御説明がありましたが、多分、ほかのワクチン、あるいはほかの感染症の流行状況とワクチンの選定、今のコロナワクチンの選定状況は、必ずしも流行が定着している、あるいは流行状況がある程度分かっているようなものとは大分違う様相がありますので、あまり単純に決めるのはなかなか難しいところはあると思いますが、そういった観点でも御意見をいただければと思いますが、神谷先生、どうぞ。
○神谷委員 ありがとうございます。
今、ほかの先生方がおっしゃっているとおりで、今の時点で全てのことは分かっていなくて、私は、どちらかというとカナダの政府のような考え方ではあるのです。
ただ一方で、これまで感染研のスタッフとかがまとめてくれた資料を見ましても、重症化予防という点においては、どのワクチンでも共通してしっかりと効果が認められていると思いますので、まず、接種すべき対象者の中で、ハイリスクであるとか、コロナにかかると重症化する方は、間違いなく含めていいのではないかと思います。
また、こういったしっかりと打って、しっかりとというのがどこまでかは分かりませんが、3回と今のところ何となく外国からの論文で見えている中で、今接種されていない方とか途中である方、例えば小児の方などは、始まったのが非常に遅かったので、せっかく打ち始めても、3回ちゃんとコンプリートできないことがないように、4月以降もそういった接種が中断しないということがまず最大のやっていただきたいというか、やらなくてはいけないことではないかなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今の神谷先生の御意見は、まずは今、接種をまだされていない、あるいは接種が3回に至っていない人は、少なくとも3回目はしっかりと接種を完了していただく。そこはしっかりと進めることが必要だといった御意見だと思います。
ワクチンの種類について、どう考えるかというところに戻って考えたいと思いますが、今後、インフルエンザのように、今後のワクチン株をある程度予測する。前回は、2価ワクチンに至るときに、株選定をやったわけです。そのようなものを毎年といいますか、シーズンごとに選定して、その株に合わせたワクチンが利用可能であれば、そこでそういったものを使う。
あるいは利用可能なものからワクチンを選んでいくといった考え方をやるのかというところもあるとは思いますが、その辺りも御意見があればとは思いますが、いかがでしょうか。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 ある時期に株選定をやって、その株でワクチンを作って打つという考え方は至極順当かと思うのですが、現時点の日本のワクチンの製造能力は、日本がそういうことを実際にいつになったらできるかという問題があると思うのです。
現在、mRNAワクチンは全て海外で製造です。そうすると、海外で株の選定会議をやって、海外から供給してもらうとなると、当然、供給国での株選定の会議に日本が依存せざるを得ないことは多分続くのかなとおもいます。
そうすると、ワクチン供給国で行われる株選定、接種計画と、日本の接種計画が大幅にずれてしまうと、現在、ワクチンの供給という問題でそごを来すのではないかと思います。
できるだけ国内生産ができて、国内でというのは、私としてもそれを望む次第なのですが、当面、そういう体制は難しいのではないかということは、ある程度海外のスケジュールに合わせていかなくてはいけない側面も私はあるのではないかと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
先ほどインフルと同じように、株を選んで製造してとも言ってしまいましたが、多分、次の接種がいつ頃になるかというところはありますが、その時点で利用可能なワクチンは、海外で作っているワクチンについて検討することも一つの選択肢ではあるとは思うのです。そうせざるを得ないところはあると思いますが、そこは前回、オミクロン株の2価ワクチンを選択したような考え方は、当面行うと。
もし日本でワクチンが製造可能、今も承認申請中のものはあると報道で聞いていますが、それはその時点でまた考えることになろうかと思いますが、ほかに御意見はいかがでしょうか。
中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
現状で考えれば、前回の議論と同じように、オミクロン株と従来株の含まれた2価ワクチンが現実的な対応になるのではないかと思っています。
というのは、入手可能であることは1点ですが、それに加えて、現在流行しているのがオミクロン株であるということと、XBBが次に流行するのか、何か変異株が出てくるのか分からないのですが、もしかしたら、今のオミクロン株からエスケープしたような株が出てくるかもしれませんが、現行で使える、さらに幅広く対応するとなると、現行の2価ワクチンとなると思います。
現状の想定では、現行の2価ワクチンを使用することとして、国内あるいは諸外国でより高い効果が認められるワクチンがもし入手可能な場合は、ほかのことも考えなければいけないでしょうが、現状では2価ワクチンとなるのではないかと考えています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 先ほど言い忘れたのですが、今後の対象に関して、しつこいようですが、市町村は既に延長されると思っていますので、仮に延長になったときに、一つの市町村の考えとして、例えば高齢者に限られてしまうのかとか、そういうのも市町村としては非常に関心事なのですが、逆に以前、ワクチンを60歳以上に限るとやって、しかし、医療現場や介護現場から、最前線に立っている人はそれではやっていけないということで、医療従事者、介護従事者に拡大した経緯があるので、そこら辺もまた同じ問題が起きないように、我々市町村としては、このままの体制をできれば来年まで続けていただきたいと思います。
それと、その間に、しっかりとした次の接種体制を一緒になって考えていただきたいというのは市町村のお願いなので、突然、4月で終わります、3月で終わりますよと言われても、次の体制になると、当然、市町村が予算を組んでやっていかなくてはならない。既に予算議会は終わってしまっていますし、そこは来年3月31日まで今の特例臨時接種が続くのだという前提の中で、来年を考えてほしいというのは市町村からの強い要望であります。
それで、来年3月31日までに、どういう次の体制をやっていくのか、どういう対象者をやるのか、どういう間隔でやるのかを考えてやっていただけたらというのは、本当にしつこいようで申し訳ないのですが、市町村の代表なので、そこはしっかりと言わせていただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
最初の論点では、事務局から考え方について整理もありましたし、中野先生からも明確に御意見をいただいたところで、現実的には2価ワクチンを今後も使っていくことが原則的になるのではないかと。
ただ、その前に、様々な状況が変わることもあろうかと思います。それは流行の状況、あるいは利用可能なワクチンの種類が変わる、増えることもあると思うので、今後ももちろん検討は続けていくところが現実的なところかというところではありました。
論点1-2と論点1-3、対象者であったり、タイミングということもありますので、事務局からまたさらにこの考え方について何かまとめのようなところがあれば、ここで言っていただければと思いますが、いかがですか。
○大坪大臣官房審議官 ありがとうございます。
今日は、最近、今年に入って、幾つか論文が出てきておりますものを御紹介したわけですが、16ページから、免疫原性に関するオミクロンの2価のワクチンを使ったときに、株間でどういうレスポンスをしているかということで幾つか出てきておりますので、これについて御議論いただきたかったところであります。
2価をコンバインしましても、BA.1スペシフィックにしましても、BA.4-5スペシフィックにしましても、結構幅広い株に対して抗体が見られているということで、これをどのように考えるかということで御示唆をいただきたいところが一つありました。
その中で、今日、高橋先生からも交差免疫、交差の部分に関してのレスポンスが大きいと。だから、思ったほどスペシフィックには上がらないけれども、ブロードに抗体がついているのではないかと。それがここの先生方の総意ということで御指摘いただければ、それはそのようにここの会ではまとめさせていただきたいと思っております。
ただ、カナダとか英国でまだやや不確実な情報が多い中で、これにはこういう意味が現時点ではあるのであろうという想定の下でプログラムを考えるとしたら、その不確実を今後、どのように考えるかということを次のプログラム、計画を考えるところでまた考慮した上で、対象者等について御検討いただければと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
まずは今、事務局からのポイントは2点あったと思うのです。インプリンティングも含めて、交差免疫についてどう考えるか、あとは不確実性の多い中で、どうプログラムを考えていくのかというところだと思います。
交差免疫に関しては、先ほど来お話があったとおり、現状の従来株とオミクロン株の2価ワクチンで一定程度広い交差免疫が得られるのは、株特異的に強い免疫ではないけれども、幅広く免疫が得られることが重要ではないかといった御意見もいただいているところですので、さらにその点で御意見があればいただきたいと思いますので、特に初回免疫に関して、2価ワクチンを使えるようにしたほうがいいのではないかといった意見があったと思います。
それから、不確実性のある中でどう考えるかと。
一つは、坂元先生がおっしゃっていただいているように、現在の特例臨時接種が少なくともあと1年延長する中で、さらにこの検討を続けていくという御示唆がありました。
当面、この1年間をどうするかというところはもちろん出てくるということかと思いますが、また皆さんから御意見があればと思います。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
論点2とか論点3についての話だと思っておりますが、12月の副反応検討部会で報告させていただいているコホート調査の中で、昨年7~9月のオミクロン株流行期であっても、1価ワクチン接種で、40%の方は感染しても症状がない状況になっていて、軽症化が図られています。一方で、ブレークスルー感染を調べてみますと、3回目接種から時間がたつと、4~5か月を過ぎると6%/月のブレークスルー感染が起きるのに対して、4回目接種直後のものに関しては、3%/月と半分ぐらいになっているというデータを出させていただいています。
今度の副反応検討部会で報告させていただこうと思っておりますが、3回目と4回目で起源株を打っても、オミクロン株のBA.5株に対する中和抗体価が交差免疫でかなり得られています。起源株に比べると中和抗体価は4分の1程度ではあるのですが、そういったことを踏まえて考えると、明らかに重症化リスクが高い人については、ワクチン接種をある一定程度の間隔でやることはメリットが出るのではないか。
もう一つは、前から言わせていただいていることではあるのですが、医療現場で感染者が出ると業務に手こずるので、医療従事者が感染しないような状況をどうにかつくるという意味で、ワクチン接種の対象者になるのではないかということを考えていただけるとありがたいと思ったので、ここで発言させていただいています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今、伊藤委員からは、接種対象者は、少なくとも重症化リスクの高い人、医療従事者といったところは対象に含めるべきということでありました。
接種の対象とすべき人についての御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 65歳以上の高齢者は、我々にとって誰が高齢者かというのはすぐに分かるので、接種対象は明確になるのですが、最大の問題は、基礎疾患ありと、重症化の可能性があるとなると、そこは市町村では対象者が判断できないところがあります。
プラスアルファ、今、伊藤先生がおっしゃいましたように、医療従事者、介護従事者も必要であると私は思います。
そうすると、基礎疾患とか重症化の集団を入れると、やはり今までのやり方をしばらくは継続していかないといけないのかなということと、将来、インフルエンザみたいに、65歳以上で、60~64歳までは障害者手帳1級者に限るとか、そうでないと市町村で判断できない。そういう厳格なものを設けてしまうのかもあります。
ただ、基礎疾患ありとなると、いわゆるある意味では、言い方に問題があるかもしれないけれども、ある意味希望者がみんな打ててしまう状況にあるので、そこら辺の体制づくりと対象者をどう考えるかということは、しっかりと考えていかなくてはいけないと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 坂元委員がおっしゃるように、実務上、どのように対象者を選べば最も円滑に進むかという観点も大変重要ではありますが、特に今日のこの段階では、今まで得られた知見の中で、科学的に対象者をどのようにするかという議論もぜひ必要だろうと思っています。
その観点から考えたときに、対象年齢を限定することの根拠が今までに十分にあるのかということになると、高齢者に対する重症化予防効果は非常に期待できるという点はそのとおりでいいと思います。
しかし、小児を含む若年者の接種が(音声中断)さらに集めて考えていくことがぜひ必要で、一方で、先ほど高橋先生からだったと思いますが、御指摘の点に、小児の、年齢の低いワクチンはまだ始めたばかりで、初回接種も終わっていない状況ですから、そういうことを考えると、現在の体制を少なくともあと1年は延長して、対象者は、6か月以上にはなりますが、6か月以上の全国民が希望される場合に接種が受けられるという体制を何とか国のほうで継続していただきたいということが私からのお願いでございます。多分、その体制が一番望ましいのではないかと思います。
その代わり、今後、来年3月までの間にはもう少し議論を深めて、対象者についての結論、具体的には、対象者を限定していくことになるのだと思いますが、その辺りについての結論を出すのが、現時点では最も妥当ではないかと感じて、発言いたしました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほかにいかがでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 市町村としても、釜萢先生のお考えに賛成です。
今すぐに変えるのは非常に難しいということと、もう一つは、仮にインフルエンザと同じ予防接種になったときに、自己負担が発生するという形で、コロナのワクチンは一体、値段は幾らになるのか。
例えばインフルエンザみたいに、もちろん、安くはないですが、4,000~5,000円であれば、65歳以上のように補助が出なくても、何とか打てるという状況ですが、例えばHPVワクチンみたいに数万円するというものになってしまったら、それはもう打てないということもあるので、対象者以外の人も打ちやすい価格とか、そういうことも考えていかないといけないので、釜萢先生がおっしゃったように、1年間は延長して、その間に慎重な議論を重ねていくのが大事なことかと私は思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 私も同じ意見であります。現行の体制の維持が当面は必要かと思っております。
優先順位としては、当然、重症化のリスクのある方、そして、未接種、特に小児を中心とした未接種者が優先されますが、現時点では、運用のことも考えますと、希望される人には接種が可能な体制を維持することが必要だと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
私からも意見を述べさせていただきたいと思いますが、日本は、今、オミクロン株の流行が少し収まりつつあるところですが、これまでの累積感染者数、先ほど事務局から示していただいたデータ、あるいは献血のN抗体の陽性率も出てきて、欧米と比べるとまだかなり低い状況にあって、今、感染症法における類型の変更も議論されていますが、感染対策が緩和されていくことが予想される中で、ただ、流行はこれからも継続することが予測される中で、ワクチンで蔓延をある程度抑えていくことは、今後も非常に重要になってくると思っています。
今日もデータでお示ししていただきました国内のワクチンの有効性でも、発症予防効果もしっかりと見られているところですので、感染予防効果をデータとして出すのはなかなか難しいですが、それの代替という意味合いである程度見えるかなと思いまして、発症予防効果を見ても、蔓延の防止にはかなりワクチンが有効であることを見られると思っています。
ですから、今後の流行状況をワクチンを使いながらしっかりと抑えていきながら、新型コロナ感染症と向き合っていくのだろうと。
コロナ感染症はしばらくは続いていきますので、向き合っていくことが必要な中で、幅広く行ってきたこの枠組みをもうしばらく続けて、様々な知見がまたさらに集まってきたところで議論を進めていくことが必要だということですので、今日委員の皆様からいただいた意見に私も賛成して、現在の体制は継続していくことをお願いして、ワクチンの種類については、意見をいただいたとおり、2価ワクチンを原則と考えて、それも今後、検討を重ねていく。
対象者については、もちろん重症化リスクの高い人、あるいは未接種の方々が優先されるところですが、幅広く接種ができるようにする。
タイミングについては、少なくとも年1回、秋、冬には備えるというところではありますが、これも重症化リスクのある人をどうするかというところもさらに検討するべきというところだったかと思います。
あまりいいまとめではないかもしれませんが、個人的な意見と委員長としてのまとめみたいになってしまいましたが、皆様、そんなところでよろしいでしょうか。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 論点1-3のタイミングでありますが、年1回という形で私も妥当だろうと思います。
実際の運用としては、前回の接種、今の場合には、昨年の秋の接種という表現になっていたと思いますが、現状では、前回の接種から3か月空ければ追加接種が受けられるということなので、推奨として、まず年に1回というのはきちんと決める。それに加えて、例えば前回の接種から半年以上が推奨されるという形で、ある程度間隔を空けて1回やるのだというようなことが明確になれば、タイミングについては、私はそれでよいのかなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
釜萢先生、接種間隔の話ですが、前回、いわゆる第七波のときだったと思うのですが、医療従事者への接種もかなり話題になりましたが、これは皆さんにですが、重症化リスクのある人、医療従事者も原則として年1回と考えるのか、あるいはそれ以上の追加の接種も一応、オプションとしては考えておいたほうがよいか。その点はいかがですか。
○釜萢委員 ありがとうございます。
これはあまりデータがないので、特にアメリカがどうして1回と明確に打ち出したのか、今日、それがもう少し分かるかもしれませんので、その辺りを見てから考えたほうがよいように思います。
そんなに年に回数を多くというか、仮に2回というのも今後、大変になってくるかなという思いもありますが、そこはデータを見ながら考えていく必要があると思って、現時点では意見を保留にさせていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、様々な意見をいただきました。
坂元先生、短くお願いします。
○坂元委員 すみません。
今日の議論の主体は、恐らく科学的ないろいろなデータに基づいて、どのように考えるかということなのですが、その辺の今まで出されたデータについてどう考えるかというのは、どのように総括したらいいのかということについてお聞きしたいということです。今日の主体が多分それだったと思いますので、その辺はどうなのかなと。
今のデータを見る限り、分からないという回答なのか、それとも、免疫記憶が結構長いから、1年で1回でもいいのではないかとか、その辺はどう考えたらいいか、お聞きしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
なかなか難しいところですが、今日御説明があったのは、免疫の記憶、交差性の話、臨床のデータもありましたというところで、それをどう考えるかというところだったと思いますが、もちろん免疫記憶は、6か月まではかなり持続するが、それ以上のデータはなかなかまだないところ。
それと、2価ワクチンは免疫学的なインプリンティングはありますが、臨床のデータを見ると、2価ワクチンでもかなり幅広く中和抗体への誘導もあるというところで、いただいた御意見として、そのままオミクロンの2価ワクチンを使っていくのが現実的ではないかといった御意見だったと思いますので、そういった基礎的なデータからもそこは支持されるのではないか。
それから、初回免疫から2価ワクチンを使っていったほうが交差免疫的にはよいのではないかといった意見もありましたので、そういったこれまでの知見と今日の御意見がある程度何とかまとまってきたのかなと私は理解していました。
効果の持続性に関しては、もちろん今後の変異株の状況とかにもよってくると思うのです。同じような株が持続してくれば、持続期間も一定程度あるかもしれませんが、また免疫学的に逃れていくような株がまた出てくると、効果もまた下がっていくところも出てくるので、持続期間は難しいかなと思っております。
すみません。私の理解で御説明しました。
事務局から御発言はありましたか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
事務局でございます。
事務局としましては、34ページに書いてございますように、現在ある科学的知見は、直接的な政策決定の根拠になるような知見というよりは、いろいろと不確実性を伴っている知見だと思っております。そういう場合に、評価し、それに伴ってプランを考えるところが重要だと考えまして、論点1と論点2について、分けて提示させていただいております。
論点1の中で、ワクチンについては、論点1-1と論点1-2については御議論いただいて、座長にもおまとめいただいたと思うのですが、論点1-3について、評価をどう考えるか。
最低限1年に1回、秋、冬に備えるというところの根拠をもう少し御議論いただきたいと考えておりまして、お話としては、日本においても秋、冬は流行が多いということで、そこへの備えは必要だということでよろしいのかというところが一つ。
あとは、ワクチンの持続効果についてなのですが、従来株ワクチンのオミクロン株流行下における持続期間は既にエビデンスがありまして、半年程度で低下すると。
仮に半年ではなくて、1年に1回なのであるということを考えるのであれば、不確実性とはいいましても、昨年9月に打ち始めていますので、半年後となると春ということで、そのときに必要か、必要ではないのかというところは、意思決定に求められると考えているところでございます。そこについて、今までの御議論の中では、免疫記憶については長く持つといったデータが一つの反論だということでよろしいのかというところが一つ。
もう一つ、事務局で記載させていただきましたのは、3回目と接種を重ねることによって有効性が落ちる可能性があるというところがどうなのか。そうした場合には、オミクロン株対応2価ワクチンを重ねていく必要性は薄れるということかと思っています。
それから、持続期間なのですが、現在あるのは、従来株対応ワクチンのオミクロン株流行下におけるデータが、オミクロン株対応ワクチンのオミクロン株流行下におけるデータにそのまま適用できるのか。
つまり、6か月続くというのが6か月で切れてしまうと今の状況で考えるのか、あるいは6か月以上はもう少し続くと考えるのかといったところかと思いますが、論点1-3について、もう少し根拠をいただければと考えているところでございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今、事務局からお話がありましたが、我々も見せていただいているデータは同じなので、そんなに委員から新たな根拠が出てくることはないと思うのです。
一方で、昨日、アドバイザリーボードが開催されて、いつも発症予防効果について、今、人口の中でどの程度発症予防効果を持っているかという年代別のデータが出ています。今、流行も徐々に収まってきて、ワクチンも打つ人がかなり打ってきたところで、今後、発症予防効果の免疫の割合が低下していくだろうと予測される状況です。
もちろん今、想定しているのがBA.5であったり、今割合が増えてきているBQ.1であったりに対する免疫を見ているわけです。
それを踏まえて、計算している委員の先生に御質問したのです。今後、どういった間隔をもって次のワクチン接種を考えたほうがいいですかといった質問に、それは非常に難しいところで、今後、XBBというさらに免疫逃避能が高いものが出てきたときに、どう考えるかというところもあるので、現時点で少なくとも冬に備えてやることは、海外と同じような考え方があるけれども、日本の免疫の状況を考えて、いつの時点で流行対策として打つのがよいのかというのは少し議論していかないと、流行の状況、変異株の状況ということなので、そういった論点もあろうかと思って、昨日のアドバイザリーボードで議論させていただいたところです。
委員の皆様からも御意見があれば、お願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 座長、すみません。
それから、今後の接種についてというところでは、計画については、中野先生に資料を提出していただいていますので、そちらの。
○脇田部会長 そこは順番で行きますから、お待ちください。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 仮に1年に1回にするとしても、既にオミクロン対応ワクチンを高齢者の方は9月に受けていますので、いわゆる今年中にやらないと1年を超えてしまう。つまり、ミニマムの1年を超えてしまうという現実は出てくると思います。
だから、オミクロンを2回接種するのかというのは市町村の一つの関心事なのですが、仮にミニマムで1年に1回としても、この9月にオミクロンの接種を受けた人は、9月ぐらいには1年を経過してしまうので、そこのところをどうするかということを考えていかないといけないと思います。
今のデータから見て、半年で効果が落っこちてしまうと、1年のデータはないとなると、新しい接種体制が4月以降に出ますから、今の中ではやらないというのは、このデータから見ても、今年中にやらないといけないのかなと私はかなり考えているところでございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
宮入先生、お願いします。
○宮入委員 私もデータから見ると、免疫能の持続は半年が一つの区切りになっていて、それより短いことはないのかとは思っておりますが、現行では、半年たったら打てることが妥当ではないかと思っています。
というのは、諸外国と比べて、日本国内の未感染者はまだまだ多いと思いますし、接種体制に関し、現行の体制を維持しながら、ある程度臨機応変に対応することが前提なのかと思っております。行く行くは年1回も考えられるとは思いますが、まだ年に1回の接種でいいとまでは決めにくいかなと思っています。
○脇田部会長 ありがとうございました。
釜萢先生、手短にお願いします。
○釜萢委員 6か月ごとに2回打つという選択肢も考えなくてはならないかもしれないのですが、そこまでのエビデンスというか、根拠がないのでということは、先ほどの私の意見でした。
それから、冬にやればいいかというと、夏にも大流行はあるわけなので、コロナの場合は、あまり冬をターゲットにというところにはなかなかいかないかなと思います。
事務局から御説明があった回数を重ねることによるデメリットについても、今日はいろいろな議論がありましたが、必ずしもそれをそんなに強く尊重しなくてはいけないものでもなかったと今日は感じました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ありがとうございました。
様々な意見がありました。
論点1-1から論点1-3までは、今後の議論に向けて整理していただくということだと思います。
それでは、事務局からまた進めていただけますか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 論点2でございます。
論点2については、論点1を踏まえて、今後の接種についてどう考えるか、今後の接種により期待できる効果、目的、さらなる接種の対象者、接種の間隔、時期としております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
論点2については、既に委員の皆様から様々な御意見をいただいたところもありますが、中野先生から考察をいただいていますので、ちょっと遅くなってしまいましたが、中野委員から御説明いただけますか。
○中野委員 中野でございます。
発言の機会をありがとうございます。
今日、先ほどのディスカッションを聞いていて、私は、今後のワクチン接種を考える上での考察を資料6でまとめておりますが、他の委員の先生方とあまり大きなずれはないのかなということで、安心もしているところですが、細かいところはまだ詰めていかなければならないことはありますが、少しだけ時間をいただいて、簡単に御説明いたします。
まず、現在の新型コロナワクチンに関する知見「(1)mRNAワクチンの有効性」ということで、呼吸器感染症のワクチンとしては、mRNAワクチンが出てきたとき、発症予防効果が95%。これは確かに、ある意味これまでの呼吸器感染症ワクチンの概念を超える高い有効率だったと思います。
ただ、これは、社会的にもこのワクチンの効果は早く発信する必要がありましたから、接種後、長くても3か月程度までの発症予防効果で、今までこのような形でワクチンの有効性、発症予防効果が早期に発信されたワクチンはないので、経時的に有効性が低減していくことは、他のワクチンでも言えることですが、それが徐々に分かってきたことかなと。
大事なところにはアンダーラインを引かせていただきましたが、それに加えて、3ポツ目に書いてございます、特にSARS-CoV-2では、変異ウイルスの問題が他のウイルスよりもワクチンの免疫を考える上で大きいと。
変異が頻繁に起こりますし、ワクチンで獲得した免疫をエスケープすることがあるということ。
そして、インフルエンザウイルスも変異するウイルスとしてよく知られていますが、SARS-CoV-2の変異はそれよりも頻繁に、また季節を問わずに起こっているということです。
そして、(2)に行きまして、重症化予防とか発症予防、感染予防といろいろなこともありますが、ワクチンの本来の目的は病気にならないことで、発症予防効果が一番大切だと私は考えています。
重症化予防ももちろん、命を落としてもらったり、入院してもらったら困るので、大切だとは思いますが、あくまでワクチンの効果という観点では、発症予防効果の延長線上にあるものです。
だからこそ、発症予防効果のほうが早期に減衰し、重症化予防効果は比較的長く保たれるというmRNAワクチンのコロナワクチンのこれは、言ってみれば麻疹生ワクチンの修飾麻疹の話題と同じで、恐らく、重症化予防効果のほうが長く保たれるというのは、ほかの病気でも共通していることだと思います。すなわち、基本的に重症化予防効果が認められれば、一定の発症予防効果も期待できると考えます。
そして、オミクロン株ワクチンの有効性に関しても、先ほど来出ていますように、いろいろなデータが現在報告されつつあります。
その上で、2番目の項目の4月以降の新型コロナワクチン接種を考える上での考察ですが、社会集団としては、疾病負荷をできるだけ軽減するという公衆衛生の観点からは、重症者を減らすことは第一の効果です。重症化予防効果ではなくて、重症者を減らすことが医療逼迫の回避にもつながるし、国民の皆さんの幸せにもつながるので、大事なことだと思います。
そのためには、次のページでございますが、感染症への対策として、病原体を保有しない(排せつしない)程度の免疫を有する個人が集団の中で占める比率が増えれば、集団免疫効果も高まると思います。
そして、その中で免疫を獲得できる方法は、私たちには2つしかなくて、自然にかかるか、ワクチンをするかです。それぞれで免疫がつくわけですから、感染症に対して、ワクチンによる予防が大切という基本的な考え方に変わりはないと思います。
したがいまして、予防のためにワクチンを接種する機会を継続して確保することは、第一に重症者を減らすこと。
次に、発病者を減らすことにおいて意義があると考えています。
そうなりますと「(2)対象者の特性と接種により得られるメリット」ですが、重症化リスクの高い方は、第一に接種の対象にすべきと思っています。
しかし、先ほど来、医療従事者とかいろいろな対象の話が出ていますが、感染研が年末に第2報を出していただいた20歳未満の死亡例は、昨年1~9月までで50例のコロナ感染の内因死がございました。
コロナ感染による内因死ということは、恐らく新型コロナに感染して命を落とされたのだと思いますが、年齢分布は、小児ということだと15才以下でしょうが、そういう分布でそのような解析ではなかったので、ワクチンのところの年齢で区切ると、11歳以下の子が50名のうち44名いらしたと思います。9か月間で、1つの疾患で44名の方の命が奪われる疾患は、単一の病名としては大きな疾病負担であるということに変わりはないと思っています。
しかも、内因死50名のうち約6割は、それまで基礎疾患のなかった元気な方がお亡くなりになられているので、重症化リスクの高い方とは少しニュアンスは異なりますが、接種の機会を確保するという意味では大切なことかと考えております。
3番目の「接種の間隔」については、先ほど来お話が出てきておりますが、私も、6か月たてば接種可であって、6か月したら追加接種をしなければならないということではないと思っていますし、1年たったら接種をしなければならないというものでもないと思っています。これは、ある程度メモリーも含めて、記憶は残るわけです。
ただ、DPTワクチンでも、日本脳炎ワクチンでも、追加接種はおおむね1年後ですが、半年以上たてば接種可ですから、これはある意味、ほかのワクチンのこれまでの経験も生かせると思います。
ただ、そこで、新型コロナは流行周期が年に1回ではないし、複数回見られることがあることは留意しておく必要があって、今後、エビデンスの集積と流行状況を踏まえて、長期的な接種をリスクとベネフィットを踏まえて比較考量して決めていくことになると思います。
以上でございます。
失礼しました。
○脇田部会長 中野先生、取りまとめの御意見をありがとうございました。
多分、委員の皆様は非常に同意される考察であったと思います。
というところで、今までの議論の論点も踏まえてということですが、ただいまの御考察に御質問等はございますか。
私からは、先ほど少なくとも秋、冬に備えてという形で申し上げましたが、それよりも釜萢先生、中野先生、皆様の御意見を踏まえると、季節にとらわれるのではなくて、つまり、新型コロナは季節性インフルエンザと違って、秋、冬だけに流行しているものではないところを踏まえると、少なくとも6か月の間隔をもって接種ができる機会を準備する体制が望ましいのではないかといった意見が主なところだったと思いますので、間隔については、そのような取りまとめという形かなと思いましたが、そういう形でよろしいでしょうか。
そのほかの対象は広くというところは、もちろん、重症化リスクのある人が優先されるが、今の20歳未満のところで、未接種の方も含めて優先されますが、広く接種の機会を準備するところだというところですね。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、おおむね御意見をいただいたところだと思いますので、事務局におかれましては、今日の御議論を整理していただきまして、今後の接種に係る論点をさらに具体的に検討できるように準備していただければと思います。
時間は過ぎましたが、議事は以上となりますが、事務局から何かございますか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
次回以降、文書で取りまとめという形で説明させていただきたいと思いますので、また御相談させていただければと思います。
○脇田部会長 それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
本日も活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
ありがとうございます。
○脇田部会長 それでは、終了したいと思います。
皆様、今日も活発な御議論をありがとうございました。