第5回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和5年1月16日(木) 13:00~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム16B
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)

議題

  1. (1) 濃度基準値の単位について
  2. (2) 混合物に対する濃度基準値の適用について
  3. (3) 濃度基準値の検討(対象物質別の測定・分析手法の有無の確認を含む。)
  4. (4) その他

議事

○環境改善室長  本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、定刻になりましたので、第5回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
 私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善室の平川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、濃度基準値に関する事項について検討することとしておりますので、開催要綱別紙の構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方に御参集いただいております。
 まず、本日の構成員の出席状況でございますが、本日は、14名の構成員に御出席いただいております。なお、本日は会場参加とオンライン参加の併用で開催させていただいており、14名の出席者のうち1名がオンラインでの参加となっております。
 先ほど申し上げましたとおり、会場とオンラインの併用で開催しておりますので、会場参加の皆様は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがございますので、御発言される場合を除きましてマイクをミュート、オフに設定していただきますようよろしくお願いいたします。また、御発言の際にはあらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、またはお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。
 なお、本日の検討会につきましては、議事録を作成し、後日公表いたしますので、御承知おきください。
 本日の会議は公開でございますが、一般の傍聴者につきましてはウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
 それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長  ありがとうございました。皆さん、こんにちは。天気の悪い中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
 では、まず資料の御確認をお願いします。
○環境改善室長  それでは、事務局から資料の確認をさせていただきます。
 資料でございますが、本日はタブレットの中にデータを格納させていただいております。操作が分からない方におかれましては、事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。
 資料でございますが、タブレット中、第5回議事次第、資料一覧に議事次第、資料配付一覧がございますので、そちらを使いまして説明させていただきます。資料でございますが、2ページ目にございます資料1、資料2、資料3、資料4、資料5-1、資料5-2、資料6でございます。
 さらに一次文献の情報でございますが、濃度基準値の検討に使用するものでございまして、著作権の関係があるため、委員限りの資料としております。これにつきましては物質ごとにタブレットに格納しておりますが、紙については事務局で一部用意しておりますので、どうしても紙で御覧になりたい方については、御用命いただきますようにお願いいたします。
 また、オンラインで参加いただいている先生にも資料を事前に送付させていただいておりますが、何かございましたら事務局までお知らせいただきますようにお願いいたします。
 資料の確認については以上でございます。また、本日の資料でございますが、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しておりますので、傍聴の方はそちらを御覧いただきますようにお願いいたします。
 以上でございます。
○城内座長  それでは、本日の議題に入ります。まず議題の1、濃度基準値の単位についてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質対策課長  それでは、私から資料1の説明をさせていただきます。
 1枚めくっていただきますと、こちらの議題は前回、単位でppmとmg/㎥があると。基準策定機関によっては両方定めている機関もありますし、そうでない機関もあるということでございますので、考え方を整理してほしいという御意見ございましたので、文献のレビューを行ったものでございます。
 まず第1の関係文献のレビューで、1つ目はACGIHでございますけれども、空気中の濃度の測定の際、試料が粒子状か蒸気状か、あるいはその両方かを判断する必要があるということでございますが、多くの物質については、蒸気圧が非常に高いか低いかいずれかであるので、その違いは明確なのですけれども、蒸気と粒子の両方で有意なばく露が考えられるような場合は、インハラブル粒子と蒸気ということで、IFVという注記をACGIHではつけているということで、典型的には、飽和蒸気圧とTLV-TWA、8時間濃度ばく露基準の比が0.1から10までの物質についてIFVという注記をつけているということになってございます。ただ、IFVの注記がついている場合でも、ppmかmg/㎥いずれかの単位で示しているということでございます。
 こちらにつきましては、(2)にありますけれども、そこで引用される文献で当然、蒸気と粒子両方がある状態で、どちらか一方だけをサンプリングするというのは、ばく露の過小評価につながりますという記載がございます。
 それから、2番でございますが、HSEでございます。こちらにつきましては、蒸気と粒子が併存する物質について特段の記載がないのですけれども、ごく限られた物質について、蒸気と粒子の合算としての限度値と、粒子単独の限度値を分けて定めている場合がございます。
 ドイツのDFGでございますけれども、こちらも作業工程において蒸気とエアロゾル粒子の混合が発生し得るかを判断する必要があるということで、ドイツの場合は蒸気圧が100パスカル未満で0.01パスカルを超える物質については、蒸気とエアロゾルを同時に測定すべきであるという注記をつけてございます。この飽和蒸気圧は沸点が180℃から350℃ぐらいまでの物質を大体相当するということになってございます。
 DFGにつきましては、こういった注記がついている物質につきましては、ppmとmg/㎥両方の単位で基準値を定めております。
 関係法令、日本の場合は管理濃度になるわけでございますけれども、作業環境評価基準で定める管理濃度につきましては、ppmかmg/㎥のいずれかの単位を採用しておりまして、2つの単位を併記するということは行っておりません。これは飽和蒸気圧、沸点、分子量等を勘案して、最もばく露しやすい状態で判断しているということでございますが、物質ごとの測定方法を定めております作業環境測定基準によると、蒸気を捕集できる方法と粒子を捕集できる方法を並列に併記している物質がございまして、こういった場合につきましては、蒸気を捕集する方法と粒子を捕集する方法を同時に実施する方法(相補捕集法)によって、両者を合算して濃度を測定するということが実務において行われているということでございます。
 以上を踏まえました考察でございますけれども、(1)から(4)につきましては、先ほど御説明した内容のサマリーになっておりますので省略いたしまして、(5)でございますが、以上を踏まえますと、室温において蒸気とエアロゾル粒子が同時に存在する物質については、濃度の過小評価を避けるために、蒸気と粒子の両者を捕集する必要がある。濃度基準値が飽和蒸気圧と比較して相対的に小さければ小さいほど蒸気による影響が大きくなるという性質がございますので、原則として、飽和蒸気圧の濃度基準値に対する比を考えて、これが0.1から10までの物質ということを念頭に置くべきだということでございます。
 こちらにつきましては、0.1より小さければ、基本的にほとんどが粒子、10より大きい場合は、逆に言うと蒸気によるばく露がほとんどということでございますので、両方測る必要はないという趣旨でございます。ただし、作業実態において、ミスト状でまくような農薬といったものについては、当然特別な測定が必要であろうということはございます。
 それから、濃度基準値の単位につきましては、複数の単位の基準値があるということにおきますと、測定及び分析において混乱が発生する可能性がございますので、管理濃度と同様に、ppmかmg/㎥のいずれか、最も支配的なものということで採用させていただきます。ただし、技術上の指針で定める予定の個別物質ごとの標準的な測定方法において、そういった物質については、蒸気と粒子の両方を捕集すべきであることを明記するとともに、標準的な捕集方法として、蒸気と粒子の両者を捕集する方法、相互捕集法を規定することがいいのではないかと考えてございます。
 また、当然両方測ることになりますと、ppmからmg/㎥の換算、その逆も必要になりますので、換算式につきましても同時に示して、測定に支障がないように配慮したいということでございます。
 以上でございます。
○城内座長  ありがとうございました。今の事務局からの説明について何か御質問や御意見等あればお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、議題の2に移りたいと思います。混合物に対する濃度基準値の適用についてです。事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質対策課長  続きまして、資料2につきまして御説明をさせていただきます。こちらにつきましては、混合物に関してどのように濃度基準値を適用するかということにつきまして整理をしたものでございます。
 1ページめくっていただきますと、関係文献のレビューでございますけれども、まずACGIHにおける混合物へのばく露限度の適用の考え方でございます。ACGIHはほとんどのばく露限度につきましては、単一の化学物質のために設定されているということでございますけれども、作業環境においては、複数の化学物質に同時にばく露したり、あるいは順番にばく露するということがございまして、そういった場合に労働者にどのような影響があるか評価する必要があるということになっております。
 また、混合物による相互作用につきましては、幾つかの種類がございまして、複合的な生物学的影響がそれぞれの単一の物質による影響の合算と同じ場合、こちら相加効果ということでございまして、また単一物質による影響の合算より大きい場合につきましては相乗効果となります。逆に、単一物質による影響の合算より小さい場合は、拮抗作用になるということでございます。
 ACGIHでは複数の物質が同様の毒性影響を同様の臓器に生じさせる場合については、複合的な影響を考慮すべきであるとしておりまして、この場合は相加効果として判断すべきだということで、その式を示しているということでございます。これはそれぞれの物質を測定した濃度をそれぞれの物質のばく露限度で除したものを全部足し上げて、その結果が1を超えないようにするということでございます。
 ACGIHにつきましては、同様の考え方で短時間ばく露限度についても考えるべきであって、STELが定められていない場合については、8時間ばく露限度の5倍の値を短時間ばく露限度の代わりに用いるべきだという記載となっております。
 HSEにつきましても同様に、同一の臓器に類似のメカニズムで作用する化学物質については、相加効果や相乗効果があると考えるべきだということでございますが、ただ適用につきましては慎重な記載ぶりになっておりまして、こういったものはリスクの増加が同時に生ずる場合に限って行うべきであって、不適切な状況にまで拡大すべきでない。また、どのような相互作用のタイプが特定の物質の組合せに当てはまるかどうかについて、毒性情報の詳細な検討が必要であるとしております。
 その結果、相加的な相互作用があると信じるに足る理由がある場合について、先ほどの相加式を使って、その合計が1を超えないように管理すべきだという記載ぶりとなってございます。
 HSEにつきましては、当然、個々の混合物の空気中の濃度は、液体や固体の状態の含有率とは違いますので、全て空気中の濃度の比率において行うべきだという記載がございます。
 それからドイツにつきましては、より慎重な立場ということでございまして、相加効果、相乗効果があり得るということを前提にしつつ、混合物の組成によって異なる作用があるので、混合物の最大濃度を単純な計算によって求めることはできないということで、混合物の最大濃度を相加式のような計算によって算定することは控えるという記載ぶりとなっているところでございます。
 それから、第2が関係法令でございますけれども、作業環境評価基準におきましては、有機溶剤につきましては相加作用があるということで、相加式によって計算して得られた換算値を当該測定点における測定値とみなして、1と比較する形で管理区分の決定を行うという取扱いをしてございます。
 次のページ、考察でございますけれども、(1)から(4)は省略いたしまして、(5)でございます。以上を踏まえますと、混合物に含まれる複数の化学物質が、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用する場合、相互作用によって、相加効果や相乗効果によって毒性が増大するおそれにつきましては、各国の基準策定機関で一致した見解となってございますけれども、複数の化学物質による相互作用は、個別の化学物質の組合せに依存するということでございますので、その限度値の適用を単純な相加式で一律に計算するということにつきましては、必ずしも十分な科学的根拠があるとまでは言えないということでございまして、各機関で判断が分かれているということでございます。
 こういったことを踏まえまして、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用することが明らかな場合については、相加式を活用してばく露管理を行うことに努めるべきだという形で、限度を定めるときに参考事項としてお示しして、努力義務といいましょうか、推奨事項という形でお示しすることがよいのではないかと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。
○城内座長  ありがとうございました、今の事務局からの説明について何か御質問や御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、次に移りたいと思います。議題の3、濃度基準値の検討です。事務局から資料の説明をお願いします。
○有害性調査機関査察官  事務局・福田でございます。私から議題3の御説明を差し上げたいと思います。
 議題3での審議の進め方ですが、まず前回の宿題となっています5物質の測定法を再審議いただきたいと思います。その後、今回新規検討対象物質の濃度基準値の御審議をお願いいたします。
 本日、新規に濃度基準値の検討を予定している物質は36物質となっております。今回も前回同様、物質数が多く、時間の都合もありますので、9物質ごとに事務局の福田と辻村の2名が交代で御説明し、その後、物質別に御議論いただきたいと思います。
 なお、先ほども申し上げたとおり、検討に必要な一次文献印刷版が必要な先生方におかれましては、事務局にお知らせいただければお持ちしたいと思います。また、タブレットにも入っていますので、必要があればそちらも御確認いただければと思います。
 以上でございます。
○城内座長  それでは、前回の検討会で再審議となっている5物質の測定法の説明をお願いします。
○有害性調査機関査察官  引き続き資料5-1を御説明いたします。5物質、アセチルサリチル酸、アセトンシアノヒドリン、しょう脳、リン酸トリ(オルトートリル)、クロロプレンの前回の修正版という形でお配りさせていただいております。
 まずアセチルサリチル酸ですが、前回、アセチルサリチル酸か、それを加水分解したサリチル酸のいずれで測定するのかという議論になっておりますが、今回は加水分解物でサリチル酸の量の測定として規定させていただくということで、前回と同様の内容で測定法は問題ないと考えております。
 続きまして、アセトンシアノヒドリンですが、CNイオンの分析は適切な方法ではないため、前回の議論では仮にシアンを測定するとした場合には精査が必要とされていましたが、アセトンシアノヒドリンとして測定するということで問題ないと考えております。
 続きましてしょう脳になりますが、昇華性のある物質でもあるため、測定方法については精査する必要がありということにされておりますが、捕集法については固体捕集-ガスクロマトグラフ質量分析法としまして、資料1で御説明したとおり、蒸気と粒子の両方を測定して評価する必要があることを技術上の指針に明記する方向で、測定法については問題ないとしたいと考えております。
 続きまして、リン酸トリ(オルトートリル)です。こちらにつきましては、蒸気圧が高い物質であり、ろ過捕集では捕集できないということで、測定方法、捕集法を精査する必要がありとしておりましたが、捕集法については、固体捕集-液体クロマトグラフ法としまして、資料1で説明したとおり、蒸気と粒子の両方を測定して評価する必要があることを技術上の指針に明記することとして、測定法としては問題ないと考えております。
 最後、クロロプレンになりますが、捕集後の脱着率の課題が残っていまして、測定方法をまだ検討中ですので、追って審議の対象とさせていただきたいと思います。
 以上になります。
○城内座長  ありがとうございました。測定法について何か御質問や御意見があればお願いいたします。小野委員、お願いします。
○小野委員  小野でございます。3つ目になりますしょう脳の捕集分析法のところなのですが、前回は固体捕集だけだったのですけれども、今回備考にあるようにグラスファイバーフィルターを前段につけて粒子を捕集するとなりましたので、捕集分析法のセル、右から7列目になりますけれども、ここはろ過捕集プラス固体捕集の両方を入れる形になると思います。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。そのほか御意見等ございませんでしょうか。川本委員、お願いします。
○川本委員  しょう脳の下のリン酸トリもろ過捕集は入らないのでしょうか。
○城内座長  小野委員、お願いします。
○小野委員  小野から答えさせていただきます。前回これについてガスになるのではないかという御意見を頂きまして、検討いたしました。それで幾つかの蒸気圧のデータを探しまして、先ほど資料1で安井課長から御説明ありましたように、TLV濃度と空気中の分圧に蒸気圧を換算したときの比率を計算しましたら、右から2番目のセルの下に薄い字になっておりますが、IFVの根拠となる数値はこの物質について0.067で0.1を下回りました。先ほどの原則にのっとればフィルター捕集なので、数値からだけで決めるとすればろ過捕集でという結論になると思います。
○川本委員  ということは、右から7番目は修正されるということでよろしいでしょうか。
○小野委員  ろ過捕集になるということです。
○川本委員  分かりました。
○城内座長  よろしいでしょうか。そのほか御質問、御意見等ございませんでしょうか。事務局、よろしいですか。
○化学物質対策課長  今のリン酸トリでございますけれども、0.067でございますが、ACGIHなどではIFVもついているということなので、固体捕集法とろ過捕集を両方記載するほうがいいと思うのですが、いかがですか。
○小野委員  記載するのは構わないのですけれども、捕集剤についての検討は実施されておりませんので、IFV指定にするとすれば、捕集剤についての検討を行う必要が出てくると思います。
○化学物質対策課長  今御指摘なのはろ過捕集のことですか。
○小野委員  この物質については、リスク評価のときにはニトロセルロースメンブレンフィルターで、ろ過捕集だけで検討されておりました。捕集剤の2段にする相補型にするということでの検討はしておりませんでしたので、ここが固体捕集になっているのが間違いの元なのですけれども、ろ過捕集であったはずなのですが、これをIFVにして2段目が必要となると、適切な捕集剤についてデータをお示しするか、そうでなければIFVで測定したい測定機関の方は、御自身で探すかという形になると思います。○にするとすれば探していただくし、ペンディングにすれば誰かが実験をしなければいけないということになります。
○化学物質対策課長  分かりました。ありがとうございます。結論から申しますと、0.067ということなので、これはIFVではなく粒子という整理にして、こちらにあるニトロセルロースメンブレンフィルターによるろ過捕集ということで定める整理をするということですね。
○小野委員  それでよろしいのでしたらそうですし、いけないのでしたら誰かがやらなければいけないということになります。御決断はこちらではなくて厚生労働省にお任せいたします。
○城内座長  どうしましょうか。
○化学物質対策課長  今の御説明であれば、0.067ということもございますので、0.1から10の間の外に出ておりますので、IFVにしないという整理にさせていただきたいと思います。
○城内座長  現状でいいということですね。よろしいでしょうか。そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、続いて今回新規に検討する物質について、物質数が多いため、まずは前半18物質の検討を行い、途中で休憩を挟んで後半18物質の検討を行いたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  続きまして、事務局・福田から9物質御説明したいと思います。
 まずはイソプレンからε-カプロラクタムまでの9物質について御説明いたします。資料4と資料5を御準備いただければと思います。
 それでは、まずイソプレンになります。詳細調査の要否は不要としておりまして、8時間加重平均を3ppmと設定したいと提案します。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄にございますとおり3文献でございまして、提案理由としてはコメント欄に記載のとおりとなっております。その他のコメントとしては特にございません。
 続きまして、3ページ、2-ニトロトルエンとなります。詳細調査の要否につきましては不要となっておりまして、8時間加重平均については設定できないということで提案したいと思います。設定できない理由としましてはコメント欄のとおりとなりまして、2-ニトロトルエンの有害性に係る知見が十分でないなどという理由で設定できないとさせていただきたいと思います。
 続きまして、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸となります。詳細調査の要否につきましては不要となっておりまして、8時間加重平均としまして2mg/㎥を提案したいと思います。根拠論文としましては、根拠論文等の欄にございますとおり4文献としまして、提案理由としてはコメント欄のとおりとなります。その他のコメントとしては特にございません。
 続きまして、o-フェニレンジアミンです。詳細調査の要否につきましては不要とさせていただき、8時間加重平均の提案としましては設定できないとしております。根拠論文は1つだけで、設定できない理由としましてはコメント欄のとおりとなっております。その他のコメントにつきましても、その他のコメントを御参照いただければと思います。
 続きまして、物質名、パラ-ターシャリ-ブチルトルエンです。詳細調査の要否につきましては不要となっておりまして、8時間加重平均の提案としましては1ppmとなります。根拠論文としましては1文献となっておりまして、提案理由としてはコメントのとおりでございます。その他のコメントとしては、引き続き情報の収集が必要だということとしております。
 続きまして、クメンになります。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、濃度基準値の提案としましては8時間加重平均を10ppmとしております。根拠論文については1文献としておりまして、その提案理由としましてはコメント欄に記載のとおりとしております。その他のコメント欄については御参照いただければと思います。
 続きまして、アルファ-メチルスチレンです。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、8時間加重平均としましては10ppmを提案したいと思います。根拠論文等につきましては2文献によりまして、提案理由としましてはコメント欄に記載のとおりとしております。その他のコメント欄については特にございません。
 続きまして、4-ビニル-1-シクロヘキセンです。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均は設定できないとしております。根拠論文等については1文献になっておりまして、提案理由、設定できない等の理由についてはコメント欄のとおりとなります。また、その他のコメントにつきましてはその他のコメント欄を御参照いただければと思います。
 続きまして、ε-カプロラクタムです。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均は5mg/㎥という形で提案したいと思います。根拠論文につきましては3文献としておりまして、それを基に提案理由をコメント欄のとおりとさせていただいております。その他のコメント欄については特に記載しておりません。
 すみません、測定法の説明が抜けておりました。順番に御説明していきます。
 濃度基準値はそういう形で提案させていただきまして、測定法につきましては、まずイソプレンにつきましては、測定法は可能だとしております。資料5-2をまた改めて御確認いただければと思います。
 続きまして、2-ニトロトルエンにつきましては、測定法の評価としては可能だとしております。
 続きまして、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸につきましても、測定法については可能だと。ただし、要遮光などの条件がありますとしております。
 続きまして、o-フェニレンジアミンにつきましては、回収率の課題が多少ありますが、測定法としましては可能だろうということで○とさせていただいております。
 続きまして、パラ-ターシャリ-ブチルトルエンにつきましては、測定法については特に問題ないだろうということで、○とさせていただいております。
 続きまして、クメンについても測定法は問題ないだろうということで、○としております。
 続きまして、アルファ-メチルスチレンにつきましても測定法問題なしとして、○とさせていただいています。
 続きまして、4-ビニル-1-シクロヘキセンにつきましては、添加回収率が低いという課題は残っていますが、測定上大きな問題にはならないと考えまして、○とさせていただいております。
 最後、ε-カプロラクタムとなりますが、捕集法について一部要検討すべき点はございますが、測定法については問題ないだろうということで、○とさせていただいています。
 順番が前後してしまいましたが、9物質の濃度基準値の提案と測定法の提案については以上となります。御審議よろしくお願いします。
○化学物質評価室係員  続きまして、事務局の辻村からエピクロロヒドリンからカテコールまで資料4と資料5-2を用いて説明させていただきます。
 まず、エピクロロヒドリンですが、詳細調査不要としており、濃度基準値は時間加重平均1.9mg/㎥を提案させていただきます。根拠論文は2つございまして、提案理由としましてはコメントのとおりでございます。その他のコメントとしまして、今後早期に再検討が必要であるとされております。測定方法についてですが、総合評価○、備考欄にNIOSH検証済みとございます。
 続きまして、1-ブロモプロパン【臭化プロピル】についてです。詳細調査不要としており、濃度基準値は時間加重平均0.1ppmを提案させていただきます。根拠論文は1つで、提案理由としましてはコメント欄のとおりです。その他のコメントはございません。測定方法について、総合評価○で、備考は特にございません。
 続きまして、1,3-ブタジエンです。詳細調査は不要としており、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は2つございます。コメントとしまして、本物質は上記の比較的低濃度での発がん性が認められており、また遺伝毒性があることが指摘されていることから、濃度基準値は設定できないと判断しております。測定方法につきまして、総合評価○、NIOSH検証済みとなっております。
 続きまして、レソルシノール(別名:レゾルシン)です。詳細調査は不要としており、濃度基準値は時間加重平均10ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメント欄に記載のとおりです。その他のコメントとしまして、その他のコメント欄を参照ください。測定方法について、総合評価○、備考としまして捕集法について要検証としております。
 続きまして、シクロヘキシルアミンです。詳細調査は不要としております。濃度基準値は最大ばく露濃度5ppmを提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由としましてはコメントのとおりです。その他のコメントも御覧ください。こちら測定方法につきまして、総合評価○、備考欄は特にございません。
 続きまして、N-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンです。こちら詳細調査は不要としており、濃度基準値は設定できないとしております。こちらのコメントですが、本物質に固有の有害性情報がないことから、濃度基準値は設定できないと判断するとしております。その他のコメントはございません。測定方法についてですが、総合評価はペンディングとさせていただいておりまして、備考としまして脱着率が70%と低く、保存安定性については未確認のため、測定法が確立していない、標準原液が不安定、要遮光、フル検証になるので、次年度検討とすべき、複数のアミンについてまとめて検証が必要となるとしております。
 続きまして、n-オクタンです。詳細調査不要としており、濃度基準値は設定できないとしております。コメントですが、OELレビュー等では急性毒性に関する同系列の炭化水素類との比較によって数値を設定しているが、オクタンの慢性ばく露に関する資料が乏しく、数値の設定は困難であるとしております。その他のコメントはございません。測定方法について、総合評価○、備考はございません。
 続きまして、テトラフルオロエチレンです。詳細調査は不要としており、濃度基準値は時間加重平均2ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメント欄のとおりとしております。その他のコメントもございますので、御覧ください。測定方法についてですが、総合評価はペンディングとさせていただいており、NIOSH検証済みですが、一般的な捕集分析法が提案できないときにセンサーや検知管を採用できるかの議論が必要なため、ペンディングとさせていただいております。
 続きまして、カテコールです。詳細調査は不要としており、濃度基準値は設定できないとしております。コメントですが、OELレビュー等ではカテコールに類似した物質で数値を設定しているが、カテコールの慢性ばく露に関する資料が乏しく、数値の設定は困難であるとしております。その他のコメントですが、発がん性について近年の知見があることから、今後情報の収集等が必要であるとしております。測定方法ですが、総合評価○、備考欄はございません。
 以上です。
○城内座長  18物質の説明、ありがとうございました。それでは、1物質ごとに議論していきたいと思います。
○化学物質評価室長  委員限り資料としてお配りしております資料がありますが、あらかじめ御質問や意見を頂いておりますので、まずは事務局からそれら御意見などに対する回答を致します。
 まず、資料番号60番、25ページ、26ページ目のレソルシノールです。頂いた意見、質問ですが、濃度基準値が設定されているが、コメント欄には当該基準値を支持する異常の発現に関する記載が見られない。そのほかのコメント欄には発がん性の指摘があるとの記載がある。しかし、IARCの分類では当該物質はグループ3であり、記載の信頼性が疑われる。一方で当該記載の根拠論文が資料4には示されておらず、容易に記載内容の正確性の確認ができないという意見を頂いております。
 これにつきましては、根拠文献が1本あるのですけれども、御指摘の記載のとおり、一次文献が古過ぎて入手できないため、このような記載となっております。いずれにいたしましても、人のNOAELに関する情報はありますので、濃度基準値設定の根拠としております。
 また、そのほかコメントのところですが、1992年のNTPのレポートに発がん実験が実施されたとの記載があると把握しております。表現が不正確でしたので修正させていただきます。
 続きまして、ページ番号27、28、シクロヘキシルアミンについて意見を頂いております。頂いた意見ですけれども、10ppm、4時間ばく露で目や鼻への明らかな刺激性、まばたき回数の有意な増加が観察されたことから、最大ばく露濃度5ppmが提案されているが、ACGIHやNIOSHではTLV-TWA10ppmといった値であり、最大ばく露濃度での設定ではなく、時間加重平均の扱いでもよいのではないかという意見を頂いております。これにつきましては、委員の先生方に御審議いただければと思います。
 続きまして、ページ番号33、34のテトラフルオロエチレンについて意見頂いております。この物質のコメントのところですけれども、ラットとマウス、雌雄で実験しているのですが、転記ミスがございまして、ラットとマウスの雌雄、投与濃度が若干ミスがあります。これは後ほど訂正いたします。
 コメントの下3行ですけれども、以上の結果に基づき雌ラットとありますが、雄ラットの間違いです。雄ラットにおけるLOAELは156ppmで変わりございません。この物質につきましては、LOAELが156ppmであるのに不確実係数などを考慮して濃度基準値は2ppmが提案されているが、この場合の不確実係数の考え方を示していただきたいという意見を頂いております。それにつきましては、LOAELが156ppmであるので、その10分の1で基準値を設定し、かつ動物の場合は、人間と動物の関係ですので、種間の不確実係数を考慮して10分の1ということで、2ppmの値としております。
 18物質につきまして頂いた意見は以上でございます。
○城内座長  ありがとうございました。シクロヘキシルアミンについて先生方の御意見ということでしたが、どうしましょうか。ポイントは明確でしょうか。事務局からもう一回お願いします。
○化学物質評価室長  27、28ページ目のシクロヘキシルアミンですけれども、この資料では最大ばく露濃度限度として5ppmを提案しております。それにつきまして頂いた意見が28ページ目にありますように、ほかの公的な機関では10ppmという値をTLV-TWAで設定しておりますので、最大ばく露ではなくて時間加重平均の扱いでもいいのではないかという意見を言われておりまして、どっちの考え方で決めるのかどうかを御審議いただければと思います。
○城内座長  宮内委員、お願いします。
○宮内委員  臭気閾値を調べたのですけれども、いろいろなデータがあり、2.4ppmという値も報告されていまして、結構アンモニア臭が強く、刺激性が高いと思うのです。私個人としては、そういうことも考慮し、最大ばく露濃度としてきちんと定めて、訴えが出ないということも重要視すべきではないかと思いました。
 以上です。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  大前です。コメントのところの実験の中身が男女各12名、計24名という文章が書いてございます。10ppm、それから0~4ppm、このばく露は非常に面白いばく露で、0でどんどん上げていって4にして、その状況からまた下げて0に戻して4にしてという波打った実験です。0~4ppmの波打つところで影響がなかったという結果で、10ppmでは影響があったので、この情報から時間加重平均を出すのは結構難しいな、理屈が合わないなという意味合いで、安衛研の委員会では議論いたしました。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  今の大前先生の御説明に付言させていただきますと、0~4ppmの変動ばく露では、かなり長時間ばく露しても影響がなかったということを踏まえると、これを最大ばく露濃度にするというのは、このエビデンスに基づくのでは適切ではないのではないかという気が致しますが、いかがでしょうか。宮内先生、いかがですか。
○宮内委員  基本的に刺激性が高いものとしてはいろいろな物質がありますけれども、作業者側として考えたときに、きちんとそういうところは捉えて、最大値として考えたほうが良いのではと思っています。ただ、いろいろな考え方があると思います。
 以上です。
○城内座長  そのほか御意見ございませんでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  前回といいましょうか、最初の第1回、第2回、第3回の辺りの議論でもさせていただきましたが、最大ばく露測定というのは連続測定を前提と致しますので、実効性はかなり難しいというところはございます。
 ですので、刺激性があるということであれば、もともと現場においては管理しやすいということもございますので、最大ばく露という数字を定めなくても、エビデンスのある短時間ばく露を定めた上で、刺激臭とかがある場合においてはもちろん現実として管理するという形のほうが――要は最大濃度の設定というのは原則としてかなり難しいということがございますので、エビデンスが十分にないのであれば、そういった基準値としては短時間にするけれども、刺激臭などについては留意するのだといった運用でいくのが一番合理的ではないか思うのですが、いかがでしょうか。
○大前委員  28ページ、次のページに職業ばく露限界値の有無というところで、ACGIHからEUまでずらっと書いてあります。ACGIHは確かに10となっているのですが、これは1974年で、先ほどの実験は1976年なのです。だからACGIHはこの実験を考慮していない。それから、DFGは時間加重平均で2ppmという提案をしております。それでシーリングで5。2016年、比較的最近のデータですので、こういうのを見ると時間加重平均の10というのはちょっと古いのではないかという気が私は致します。
○城内座長  そのほか御意見等は。武林委員、お願いします。
○武林委員  先ほど課長から0~4ppmの変動については、比較的長期というお話があったと思いますが、27ページを読む限りは4時間の中での変動かなと読めたのですが、そうではないということでしょうか。
○化学物質対策課長  もちろん4時間の中の変動ということで。
○武林委員  それが時間加重平均の根拠になるというロジックがよく理解できなかったのですが。
○化学物質対策課長  私が申し上げましたのは、短時間のほうにすべきだということで、要は短時間15分で。恐縮ですけれども、短時間ばく露平均の15分間が適切ではないかと。要するにこのエビデンスを使ってシーリングにするのはよくなくて、15分間のばく露平均でするのがいいのではないかと。その値については0~4までは数字が出ていないわけですから、5ppmで短時間ばく露基準値として設定するのがいいのではないかという説明でございます。不明確で済みません。
○大前委員  今の課長に追加ですけれども、この実験、実は4ppmが15分間なのです。0から上げて、4ppm、15分間でまた下げてという実験なので、STELが15分間ということを考えれば、シーリングでなくてもSTELでも構わないなと思います。
○城内座長  そのほかこの点について御質問、御意見等ございますでしょうか。なければ、事務局提案のままで行きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○化学物質対策課長  最大ばく露ではなくて、短時間ばく露基準値として5ppmで。
○城内座長  シクロヘキシルアミンについての御意見、よろしいでしょうか。
○尾崎委員  1つ確認なのですけれども、よろしいでしょうか。以前、安井課長からお話を伺ったことがあるのですけれども、こういった短時間で実験をした場合においては、STELにフォーカスしたいということを伺ったのですが、そういう意味でもSTELのほうが望ましいという理解でよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長  私が御説明したのは中間取りまとめのことだと思いますけれども、シーリングの値なのか、STELにするのか、どちらに関するのかというときについては、シーリングというのはそれこそ30秒とか1分とかで明らかに出たようなエビデンスが明確にあるものについては、もちろんシーリングにさせていただきますが、ここにありますように例えば4時間とか15分とか30分ぐらいでNOAELが明確になっているものについては、短時間、STELのほうがいいのではないかという御説明はさせていただきました。そういったことを踏まえて、シクロヘキシルアミンについてはSTELのほうがいいのではないかということでございます。
○城内座長  アミンについては以上でよろしいでしょうか。
○大前委員  今意見の3つ目にありましたテトラフルオロエチレン、先ほど御説明いただきましたけれども、33ページの物質ですが、不確実係数の考え方を示していただいたと書いてあります。先ほど説明していただきましたけれども、必ずしもそういうスタイルでは考えておりません。先ほどのLOAEL、NOAELの話と種差と、この物質は遺伝毒性がないので数字は決め得ると。ただし、がん、腫瘍ですので、3つのことを含めてトータルで100くらいというイメージでつくってありますので、種差とLOAEL、NOAELだけではないということは御承知おきいただきたい。
○城内座長  そのほか全体を通して御意見、御質問等ございませんでしょうか。
○尾崎委員  やはりレゾルシンのところは気になるのですけれども、コメントのラット、モルモット及びウサギを8ppmのレソルシノールに1日6時間云々かんぬんというのがあったのですが、明らかな毒性が見られなかったという言葉と、以上のことよりヒトの自覚症状、NOAELが10ppmに基づき、10ppmを提案するというつながりが理解できないというか、なぜこうなったのか教えていただきたいなと思っています。
○城内座長  もう一度お願いいたします。
○尾崎委員  レソルシノールの25ページ目のモルモットのところが8ppm、毒性が見られなかった。その上で男性を対象にした調査、10ppmばく露しても、刺激や不快感を訴える者はいませんでしたということから、一番下のコメント欄の以上のことよりヒトの自覚症状の10ppmに基づいて、10ppmを提案するという文章のつながりが理解できないので教えていただきたいなと。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  多分こういうことだと思います。動物実験のほうが低いから、もっと低くていいのではないかという、そこのところのつながりがという意味合いだと思います。ヒトのデータは症状なのです。刺激とか不快感とか。動物は刺激とか不快感とは言わないのです。本当はあるのかもしれないけれども、訴えないから、この場合、刺激とか不快感を根拠にするときは、やはり動物の実験は基本的に使えない。もちろん目が真っ赤になるとか強い刺激があれば、いろいろな症状が出ますけれども、そういう意味で8よりも少し10は高いのですけれども、そういうつながりで10になっているということですので、そういう形で議論しておりました。
○城内座長  よろしいでしょうか。
○尾崎委員  ヒトのほうでも不快感とか刺激もないのにもかかわらず、10というのがいきなり出てくるのがよく分からない。影響が出ているデータが見当たらないので、10よりも高い値でも影響がでないかも知れない。動物実験、10と8でもいろいろあるのかもしれませんけれども。
○城内座長  平林委員、お願いします。
○平林委員  平林でございます。多分これの考え方は、症状が出なかったものの一番高い濃度をNOAELにするという考え方から来ているのだろうと考えます。つまり、ラット、モルモット、8ppmより増やしたときにどのようになるかというのは見ていないわけで、8ppmまでは症状が出なかった。ヒトの場合には10ppmまで見て、そこで症状がなかったということですから、分かっているデータの中で症状がなかったNOAELということで、10ppmが選ばれたということだと思います。
○城内座長  全体を通して、宮本委員、お願いします。
○宮本委員  宮本です。発がん性物質については時間加重平均が設定できないというのがありましたが、基準値を決めないと厳しくない枠に入ってしまうということもあるので、どうするのかと思っています。
 ただ、アミンなどは情報の収集が必要というコメントが書いてあるので、今後も収集されると思っていいかなと思っていたのですが、それで見たらブタジエンのほうが同じ設定できないとなっていて、低用量で発がんが認められているのだけれども、何のコメントもないので、このまま行ってしまうと緩い基準のほうに入っていると誤解されてしまうので、そのフィロソフィーはよいのでしょうかという質問です。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  発がん性物質につきましては、安衛研の検討会でも議論させていただいているのですけれども、御案内のとおり発がん性というのは確率的事象ですので、これより低かったらがんにならないという閾値を設けることが非常に難しいと。やるとすると例えば1,000分の1とか1万分の1の確率でという確率の評価しかできないということなので、閾値を定めるのが難しいという趣旨になります。
 考え方としては、よく誤解されるのですけれども、閾値を定めるものというのは、逆に言うと閾値以下であれば安全に使えるという趣旨なのです。逆に閾値を定められないものというのは、安全に使える保証がない物質ということなので、皆さん方多分逆に思われている方が多いと思うのですけれども、閾値があるものがむしろ安全に管理して使えると。閾値がないものについてはできるだけ下げるしか方法がないのですということを御理解いただく形なのかなと考えてございます。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  設定できないというのが幾つかの理由があるのです。今の発がんの場合はそういう形。例えばきょうのオクタンなどの場合は、恐らく圧倒的に毒性は小さいと思うのです。でも、それは情報がないからできないとしたということで、同じ設定できないでもその理由を本来書いたほうがいいと思うのです。これは発がんだから設定できないのだけれども、十分注意しなさいと。あるいはオクタンなどですと、前後の炭化水素から推測しているようなことをやっているのだけれども、オクタンそのもののデータはないからつくれなかったという理由をしっかり書き入れたほうが分かりやすいと思うのです。先生おっしゃるように、下手したら設定できないイコール安全みたいな誤解をされると大変困るので。
○宮本委員  同じ設定できないのだけれども、より注意しなければいけないという物質のワーニングはあったほうがいいと思いまして、そこまで毒性が高くなさそうだから今回2,900の候補に入っていないという話と全然違うと思いますので、そこが分かるようにしていただければと思いました。
 以上です。
○城内座長  武林委員、お願いします。
○武林委員  今議論のあった発がんに関することなのですが、きょうの資料で言うと資料5-2を見ますと、提案理由と書いてあるところがパブリックに公開されるという理解でよろしいでしょうか。その右側のその他のコメントという部分はどういう扱いになるのでしょうか。
○化学物質対策課長  基本的に今回の検討会は公開でございますので、ここで出ているものは全て少なくとも議事資料として公開ということになります。報告書にどこまで書くかというのはちょっと。
○武林委員  というのは、例えば5-2の1枚目でクメンという物質がありますが、この提案理由を読む、マウスでの肺胞/気管支腺腫、あるいはがんの増加ということで、いろいろなことを設定した上で、右側に遺伝毒性を判断できないとしたことによって、その情報と併せて取りあえず閾値があるとみなして、多分数字を出しているのだと思います。
 一方ですぐ下のアルファ-メチルスチレンという物質をよく読みますと、動物実験で1,000ppmとか600ppmで肝細胞がんであるとか、腎尿細管のがんが出ているのです。これについてはその他のコメントもなしにNOAELが設定されているということは、何らかの遺伝毒性に関する判断があってそうなったのだと思いますが、これを読むと伝わらないので、先ほどの議論で言う発がんをどう評価したのか。
 つまり、閾値のある影響を予防していれば、がんが起こらないと言えるのか、あるいはそもそも遺伝毒性がない発がんのタイプだからなのかということがちゃんと社会に伝わらないと数字が正しく理解できないと思うのですが、両方混在してしまっている理由とこの後どのように扱われるのかについて少し整理いただければと思います。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  今、アルファ-メチルスチレンとその前のクメンでしたっけ、あまり見ていなかったのですけれども、おっしゃるように同じ発がん物質でも閾値があるもの、あるいは閾値が分からないのは取りあえずつくるというのはいいと思うのです。そのコメントのところにアルファ-メチルスチレンに関しては何も書いていないということですので、その他のコメントなりあるいはコメントの中にそういうことを書いたほうがいいですね。それはおっしゃるとおりだと思います。
○武林委員  これも全体で議論したほうがいいと思うのですけれども、つまり今後この作業を続けていく上で、どういう遺伝毒性のデータベースを使って、皆さんにとってアクセスできるものでないとまずいと思いますので、どういう形で整理していくのかということはぜひ決めていただけると、すっきりといろいろな根拠が分かりやすくなるかなというお願いも含めてでございます。
 以上です。
○城内座長  そのほかいかがでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員  テトラフルオロエチレンなのですけれども、分析がなかなか難しいと思うのです。例えば環境省の測定法などでは、キャニスターで大きな6リッターぐらいのものだと思いますが、コールドトラップしてガスマスで分析するようなやり方もあると思うのです。直接捕集ということになってしまうと容器も大きなものが必要ですけれども、最近は小さいキャニスターも市販されていて、そういうものを交換して使用することも今後検討いただいたら良いのではと思いました。
 また、センサー法もいろいろ調べていますけれども、かなり使える物質が増えてきていますので、ぜひ推奨いただけないかなと思いました。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。時間もだんだん押し迫ってきまして。川本委員、お願いします。
○川本委員  19ページのエピクロロヒドリンですが、簡単に申し上げます。この物質だけ濃度基準値がmg/㎥とppmの併記がされております。IFVを考えていらっしゃるのかと思いますが、これは非常に揮発性が高く、計算するとガス状のほうが多いのではないかと思うのですが、その点御検討ください。
 以上です。
○城内座長  今の点、事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちら先ほどの考え方、資料1を作る前につくっておりましたので、資料1の考えに基づいて、恐らくppmになると思いますけれども、そちらで統一したいと思います。
○川本委員  承知しました。
○城内座長  それでは、個別に進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、まず最初のイソプレンですけれども、濃度基準値は事務局案のとおり8時間加重平均ばく露濃度が3ppm、最大時間ばく露濃度は短時間はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 御意見がないようですので、次に参りたいと思います。2-ニトロトルエンについては、濃度基準値が設定できないということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。2,4-ジクロロフェノキシ酢酸については、濃度基準値が時間加重平均で2mg/㎥、最大時間、短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。o-フェニレンジアミンについては、濃度基準値は設定できないということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。パラ-ターシャリ-ブチルトルエンについては、濃度基準値が時間加重平均で1ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続いてクメンについてですが、濃度基準値が時間加重平均で10ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続いて、アルファ-メチルスチレンについては、濃度基準値が時間加重平均で10ppm、最大短時間ばく露濃度がなしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。4-ビニル-1-シクロヘキセンについては、濃度基準値は設定できないということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。ε-カプロラクタムについては、濃度基準値が時間加重平均で5mg/㎥、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、エピクロロヒドリンについては、濃度基準値、時間加重平均が1.9mg/㎥、最大短時間ばく露濃度なしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
○化学物質対策課長  こちらにつきましては、多分ppmにすると思いますが、IFVに当たる数字を計算しまして、より支配的なばく露になるほうにさせていただきます。
○城内座長  失礼しました。続きまして、1-ブロモプロパンについては、濃度基準値、時間加重平均が0.1ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、1, 3-ブタジエンについては設定できないということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。レソルシノールについては、時間加重平均が10ppm、最大短時間ばく露濃度は設定できないでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
  ありがとうございます。シクロヘキシルアミンについては、時間加重平均濃度はなしで、最大短時間ばく露濃度が5ppmでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。ジエチレントリアミンについては、設定できないでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 続きまして、n-オクタンについても設定できないでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 続きまして、テトラフルオロエチレンについては、時間加重平均が2ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。カテコールについては、設定できないということでよろしいでしょうか
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。前半の検討すべき物質はここで終了しましたので休憩と致しますが、事務局からお願いします。
○尾崎委員  1つよろしいでしょうか。時間加重平均のところで設定できないというところがありましたけれども、この物質は詳細調査の要否で要になるのではないかという気がするのですが、そういうフローではなかったでしたっけ。ここで設定できないものはどこに行ってしまうのでしょうか。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  詳細調査をするものには、実はエビデンスが複数あって、それが一致しない、例えばNOAELが一致しない、LOAELが一致しないという場合について、どちらが正しいのかということを文献の信頼性の比較などをして行うというものでございます。
 こちらにつきましては、そもそも個別物質については信頼に足る文献がないということですので、詳細調査をする対象がないということになりますので、こちらにつきましては、当然GHS分類はございますので、リスクアセスメント対象物質になるわけでございますが、当面は基準値の設定を見送って、引き続き情報の収集に努めるという形になります。
○尾崎委員  文献は調べないという意味ですか。
○化学物質対策課長  こちらは一次文献調査というのを行っておりまして、例えばACGIHであるとかDFGとかがレビューした文献を全部もう一回見直している。文献のレビューはして、その結果として個別具体的にカテコールに当てはまる文献はない。文献自体は3つぐらいの文献を根拠文献としてあり得るのではないかというのを調べた上で、カテコールとしてこの物質についての有害性の評価としては十分なものはないという判断をされたと認識しております。可能性のある文献は最大限調べた上で、このような判断をしたということでございます。
○尾崎委員  優先順位は後回しと。
○化学物質対策課長  現時点で公表されているエビデンスから言うと定められないので、今後の新たな知見を待つという形になろうかと思います。
○城内座長  そのほか休憩に入る前に御発言あればお願いいたします。
 14時半まで休憩としたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、14時30分に再開したいと思います。よろしくお願いいたします。
 
     (暫時休憩)
 
○城内座長  それでは、後半を続けたいと思います。事務局からお願いします。
○化学物質対策課長  事務局でございます。申し訳ございません。先ほどのカテコールのところで説明が不明瞭なところがございましたので、もう一回説明させていただきますと、カテコールにつきましては、例えばACGIHにおいては定められておりますが、そこで定められている根拠は、類似物質とされるフェノールを根拠として定めていたということでございますが、こちらにつきまして労働安全衛生総合研究所の検討会で、フェノールとの類似性について検討した結果、フェノールの根拠としてカテコールの濃度基準値を定めるには不十分だという結論が出たので定めなかったという趣旨でございます。なぜ定めなかったという理由が不明瞭でございましたので、追加いたします。
○城内座長  ありがとうございました。それでは、続いて後半の18物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官  引き続き18物質、福田と辻村が交代で9物質ずつ御説明いたします。
 まず福田のほうで37ページのトリエチルアミンから54ページの1,3-ジクロロプロペンまでの説明をさせていただきます。先ほど同様、資料を準備いただければと思います。
 まずトリエチルアミンになります。詳細調査の要否につきましては不要といたしまして、時間加重平均を0.5ppm、短時間ばく露限界値といたしまして1ppmを提案いたします。根拠論文等につきましては、根拠論文等の欄にあります3文献を基に、コメント欄のとおり提案理由としたいと思います。その他のコメントについては特にございません。測定法につきましては、資料5-2を御覧いただきたいと思いますが、検量線の直線性、脱着率共に悪く、測定法が確立していないなどの理由がございますので、保留ということで、引き続き要検討とさせていただいております。
 続きまして、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル(別名:フェニルグリシジルエーテル)でございます。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均としては0.1ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては、根拠論文等の欄にございますとおり3文献としておりまして、それらを基にコメント欄を提案理由として、先ほどの時間加重平均を提案したいと思います。その他のコメントとしましては、その他のコメント欄を改めて御参照いただければと思います。続きまして、資料5-2になります。測定法ですが、添加回収率が30%程度で定量性がないとか、質量分析計でないと感度が不足する可能性があるなどの理由によりまして、ペンディングとさせていただいております。
 続きまして、ジメチルアミンです。詳細調査の要否は不要としておりまして、時間加重平均を2ppmとして提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては、根拠論文等の欄の2文献を参考としまして、提案理由はコメント欄のとおりで、先ほどの2ppmを提案させていただきたいと思います。その他のコメントといたしましては、OEL機関で設定のある短時間ばく露については、臭気が強いことや時間加重平均値が低く設定されていることから、今回は不要と判断させていただいておりますということをコメントに追記しております。
 続きまして、メタクリロニトリルでございます。詳細調査の要否につきましては不要としまして、時間加重平均1ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文につきましては、そちらの欄にございますとおり1文献としまして、これらの文献を基にコメント欄のとおりの提案理由で濃度基準を提案したいと思います。その他のコメントとしましては、発がんに関する知見がありますので、今後情報収集及び検討が必要ということで、さらなる情報収集のことを記載させていただいております。
 続きまして、N,N-ジメチルアセトアミドでございます。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均を5ppmとして提案したいと思います。根拠論文は2文献を一次文献といたしまして、提案理由としましてはコメント欄のとおりとさせていただきたいと思います。その他のコメントとしましては、発がん性について新たな知見が見られることから、早期に確認が必要などのコメントが記載されております。詳細は御確認いただければと思います。
 測定法がジメチルアミンから飛んでおりました。戻りまして、資料5のジメチルアミンとなります。ジメチルアミンにつきましては、保存安定性について検証の必要がありますが、測定法については可能だとしております。
 メタクリロニトリルにつきましては、特に備考欄の記載もなく、測定法については問題ないとしております。
 続きまして、N,N-ジメチルアセトアミドにつきましては、特に備考欄の記載もなく、測定法は問題なしとされております。
 元に戻りまして、2,6-t-ブチル-p-クレゾール(別名:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)でございますが、詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均10mg/㎥を提案したいと思います。根拠論文につきましては、1文献を基にしまして、提案理由としましてはコメント欄のとおりで考えております。その他のコメントにつきましては特に記載しておりません。測定法につきましては、特に備考欄、条件等の記載はなく、問題なく測定が可能とさせていただいております。
 続きまして、2-エチルヘキサン酸でございます。こちらについては、詳細調査の要否は不要ということにしておりまして、時間加重平均としまして5mg/㎥を提案しております。根拠論文としましては2文献としまして、それらを基にコメント欄のとおり提案理由を整理させていただいております。その他のコメントはございません。備考欄に捕集法の検証が必要、発色に4時間を要するとされておりまして、こうした条件を前提に測定は可能ということにしております。
 続きまして、チオリン酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル)(別名:ダイアジノン)となります。詳細調査の要否は不要としておりまして、8時間加重平均としまして0.01mg/㎥を提案したいと思います。根拠論文としましては、根拠論文欄にございます1文献といたしまして、それらを根拠としましてコメント欄のとおりの提案理由とさせていただきたいと思います。その他のコメントとしましては、その他のコメント欄に記載のとおりですので、後ほど御参照いただければと思います。測定法につきましては、一部捕集法の検証が必要、LC/MS/MSが必要とされておりますが、そうした条件を前提に測定は可能とされております。
 続きまして、1,3-ジクロロプロペンです。詳細調査の要否につきましては不要としておりまして、時間加重平均1ppmを提案したいと思います。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄にございますとおり2文献としておりまして、これらの文献を基にコメント欄のとおりの提案理由により濃度の基準を提案したいと考えております。その他のコメントとしましては、後ほど御覧いただければと思います。測定法につきましては、資料5-2を御覧いただきたいと思いますが、備考欄に特に記載もなく、問題もなく測定が可能とさせていただいております。
 まず9物質は以上となります。引き続き9物質の御説明を辻村から致します。
○化学物質評価室係員  事務局の辻村です。引き続き9物質の説明をさせていただきます。
 続きまして、1,4-ジクロロ-2-ブテンです。詳細調査は不要としており、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は1つで、提案理由としましてはコメントのとおり最低投与量において発がんが認められていることから、濃度基準値は設定できないと判断するとしております。その他のコメントはなしで、測定法についてですが、総合評価○、備考は特にございません。
 続きまして、メチル-tert-ブチルエーテル(別名:MTBE)についてです。詳細調査不要としており、濃度基準値は時間加重平均50ppmを提案いたします。根拠論文は6つ、提案理由としましては下記コメントのとおりです。その他のコメントはございません。こちらについて測定方法ですが、総合評価○、備考も特にございません。
 続きまして、ノルマル-ブチル=2,3-エポキシプロピルエーテルです。詳細調査は不要、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は1つ、提案理由としましては、コメントのとおり、最低投与量において発がんが認められていることから、濃度基準値は設定できないと判断するとしています。その他のコメントはございません。測定方法についてですが、総合評価○、備考は特にございません。
 続きまして、2-ブテナールです。詳細調査は不要としており、濃度基準値は最大ばく露濃度0.3ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントのとおりでございまして、短時間で強い刺激性があることから、不確実係数等を考慮し、濃度基準値0.3ppm、最大ばく露濃度を提案するとしております。その他のコメントも併せて御確認ください。測定方法について、総合評価○、備考は特にございません。
 続きまして、臭素です。詳細調査は不要で、濃度基準値は、時間加重平均は0.1ppm、短時間ばく露限界値が0.2ppmと提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由はコメントのとおりでございます。その他のコメントとしまして、粘膜刺激性が強く、ばく露時間が長くなるほど化学損傷を生じるので、短時間ばく露限界値も提案することが妥当であるとしております。こちらの測定方法についてですが、総合評価○、備考としましてNIOSH検証済みとしております。
 続きまして、ホスフィンです。こちら詳細調査は不要としており、濃度基準値は時間加重平均0.05ppm、最大ばく露濃度0.15ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントもございますので、併せて御確認ください。測定方法についてですが、総合評価○、備考としまして短時間測定では感度が足りない可能性あり、半導体センサーによる測定について要確認としております。
 続きまして、一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)です。詳細調査は不要としており、濃度基準値は時間加重平均100ppmを提案いたします。根拠論文は2つございます。提案理由としましてはコメント欄のとおりでございます。その他のコメントもございますので、併せて御確認ください。こちらの測定方法につきまして、総合評価○、備考欄にキャニスターは作業環境の測定では一般的でない、ECDは現在あまり使用されないので、質量分析で直接注入の検証が必要であるとしております。
 続きまして、N-[1-(N-n-ブチルカルバモイル)-1H-2-ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチル(別名:ベノミル)です。こちら詳細調査は不要としており、濃度基準値は時間加重平均1.0mg/㎥を提案いたします。根拠論文は1つ、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントとしまして、OEL機関では生殖毒性に係る許容ばく露限界値が濃度基準値よりも低いものがあることから、今後生殖毒性に係る情報の収集と検討が必要であるとしております。測定方法についてですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
 最後の物質になりますが、ジボランです。詳細調査の要否は不要としており、濃度基準値は時間加重平均0.01ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由としましてはコメントのとおりです。その他のコメントはございません。測定方法についてですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
 後半18物質についての説明は以上です。
○城内座長  ありがとうございました。前半と同様に個別物質ごとに結論の確認をお願いしたいと思います。質問に対する回答をお願いいたします。
○化学物質評価室長  事前に頂いた質問です。まず、37ページ目、38ページ目のトリエチルアミンについてです。時間加重平均0.5ppmで、短時間ばく露限界値が1ppmの設定であるが、分析下限値と分析誤差範囲を確認させていただきたい。0.25ppm、0.5ppm、1ppmは区別可能なのかという質問です。これにつきましては資料5-2にありますように、2ページ目、下から4行目のトリエチルアミンについては、複数のアミンについてまとめての検証が必要ということで、詳細な情報はございません。
 続きまして、47ページ目、48ページ目のBHT、2,6-t-ブチル-p-クレゾールです。これについては、粉体原料であるため測定方法の確認がしたいという質問と、BHTが一例だが、固体物質について濃度基準値を決定する根拠データに経口投与の成果を用いていることに違和感がある。粒子を吸引した場合は、呼吸器からの摂取と考える。それから、経口実験から算出されるNOAELの25mg/kg/dayから不確実係数を考慮した後の10mg/㎥への変換の考え方を教示していただきたいという質問を頂いております。測定方法につきましては、資料5-2の3ページ目の上から2行目にありますように、右から6列目にありますように、(ろ過+固体)捕集-ガスクロマト質量分析法というデータが載っております。後ほどそこを御覧ください。
 試験が経口投与ということにつきましてですが、吸入ばく露による適切な文献データがなかったため、経口投与試験を使用しています。また、その結果25mg/kg/dayの換算方法ですが、職場の週5日間のばく露量と動物の1日当たりのばく露量の比率、5分の7、あとラットとヒトのトキシコキネティクスの違いに関する種固有の補正値、ラットの経口吸収率90%、ヒトの体重70kg、呼吸量10ミリ立方メートル、想定呼吸率を100%という仮定を置いて、22mg/㎥と算出されます。この濃度に不確実係数を考え、10mg/㎥としております。この考え方につきましては、48ページの真ん中ぐらいにありますマル3のDFGでもそういった考え方が示されておりますので、妥当であると判断しております。
 続きまして、資料の49ページ目、50ページ目の2-エチルヘキサン酸です。これについても先ほどと同じように頂いた質問が、固体物質について濃度基準値を決定する根拠データに経口投与の結果を用いていることに違和感があります。さらに経口実験から算出されるNOAELの100mg/kg/dayから不確実係数を考慮した後の5mg/㎥への変換の考え方を教示していただきたいという2つの質問を頂いております。
 最初のほうですが、先ほどの物質と同じように、吸入ばく露による適切な文献データがないことから、経口投与試験を使用しています。また、不確実係数などの考え方ですが、動物実験におけるNOAELを呼吸による取り込み100%呼吸量10立方メートル、不確実係数100など仮定いたしまして、5mg/㎥としています。この考え方については、資料の50ページにありますACGIHでもそのような換算を用いておりますので、妥当であると判断しております。
 続きまして、資料の63ページ目、64ページ目の臭素です。臭素につきましては、測定法に関する質問を頂いております。時間加重平均が0.1ppm、短時間ばく露限界値が0.2ppmの設定であるが、分析下限値と分析誤差範囲を確認させていただきたい。0.05ppm、0.1ppm、0.2ppmは区別可能なのかという質問です。これにつきましては、資料5-2の3ページ目の下から2行目にありますように、NIOSHでは検証済みということで、そちらの資料に掲載されております。
 続きまして、資料の65ページ目、66ページ目のホスフィンになります。これにつきましては、また分析関係の質問ですが、時間加重平均が0.05ppmで、短時間ばく露限界値が0.15ppmの設定であるが、分析下限値と分析誤差範囲を確認させてほしい。0.025ppm、0.05ppm、0.15ppmは区別可能なのかという質問です。これにつきましては、測定法の定量下限につきましては、個人ばく露測定、例えば120ミリリットルを捕集した場合には0.0027ppm、作業環境測定10リットルを捕集した場合には0.0321ppmという定量下限というデータがありますので、区別は可能だと考えております。
 事前に頂いた質問は以上でございます。ほかにありませんでした。
○城内座長  ありがとうございます。委員の皆さんからの御意見をお伺いすることはないですか。大丈夫ですか。大前委員、お願いします。
○大前委員  BHTと2-エチルヘキサン酸のところで経口のデータを換算することに違和感があるという御意見、そのとおりだと思います。経口を何で吸入に換算できるのと。これは我々も解決できない問題です。
 ただ、吸入実験はほとんどないのです。これは3つありまして、飲水の場合と水の中に混ぜる場合と餌に混ぜる場合と無理やり胃管を通して押し込む場合と3種類あるのですけれども、いずれにしてもその物質がどれぐらい吸収されるかという吸収率も分からない状態。それがどのように分布しているか、影響を及ぼす臓器のところにどれぐらい行くかということが分からない状態。それから、それを吸入に換算するときに肺からの吸収率がどれぐらいかということが分からない状態。そういう状態でやらざるを得ないというのが現状です。もしそこのところの吸収率なり分配率なりが分かっていれば、それを使って計算しますけれども、そういうものは非常に少ないというのが現状です。
○城内座長  ありがとうございました。今頂いたコメント等について、委員の皆さんから何か御意見等ございますでしょうか。川本委員、お願いします。
○川本委員  ほかの物質でもよろしいですか。63ページの臭素ですが、加重平均0.1ppmに対してコメントの2行目に長時間のばく露では気中濃度が約0.08ppmを超過してはならないとされていると書かれておりますが、この2行は非常に奇異なのですが、説明を少し頂けますか。もう要らないのではないかと。
○城内座長  どうしましょう。実は個別に行こうと思っていまして、今の外部からのコメントについて何かあればお願いしますということだったのですけれども。
○小野委員  さっきの頂いたコメントへの回答についての補足ということで、分析法について3物質について御質問を頂戴しておりました。濃度基準値を正確に測れるかという厳しい御質問なのですけれども、まず最初のトリエチルアミンについては、分析の直線性とか再現性が極めて低い物質ですので、この濃度に対応してどのぐらいできるかということについては精査が必要であろうと考えられます。
 残りの2物質の臭素とホスフィンなのですが、臭素についてはこの方法は昔、特化物の塩素で一旦使われていた測定法です。ですから臭素も同じような物質ですので、同じぐらいの精度が得られるのではないかと思うのですけれども、実は特化物の測定法のガイドブックから外れてしまっています。それを参照していただくのが一番いいのだと思うのですけれども、作業環境測定基準にイオンクロマトグラフ法が入っていないために、ガイドブックから今抜けてしまっている方法です。ただ、これについてもこの濃度が正確に測れるかということについては、また本日濃度が決まったところでの再確認が必要だと思います。
 ホスフィンについてもどんどん基準値が海外でも下がってきていますので、この濃度に対応できるかどうかについては、改めてきちんと精査すべきだと考えます。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。コメントに対するコメントはよろしいでしょうか。
○小野委員  コメントというか回答です。
○城内座長  ありがとうございました。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。今の御説明とも関連するということで発言させていただきます。ホスフィン、短時間ではどこまで測れるか分からないということでございますが、65ページを見ると最大ばく露、いわゆるシーリングの値で出ているということで、その他のコメントの中にも測定法が短時間で十分出ない場合は、最大ばく露値は設定しないという御発言があるので。
 上のほうに書いてある文献のコメントですが、1日2~3ヵ所の土蔵で、1回20~30分のばく露のエビデンスを使って、0.65がLOAELではないかという説明になっておりますので、こちらも20~30分ということであれば、それのLOAELが0.65という整理であれば、STELの短時間ばく露基準値に設定して、測定の精度も踏まえて、そちらのほうが妥当ではないかと考えてございます。こちらも御議論いただければと思います。
○城内座長  ありがとうございました。宮内委員、どうぞ。
○宮内委員  情報提供という形になると思うのですけれども、ホスフィンですが、いわゆる薫蒸薬として多く使われています。作業者のばく露防止、もしくはガスの漏えい防止用としてパーソナルの非常に小型な測定器が市販されていて、よく使われています。これらの下限値が0.01ppmなのです。リアルタイムで値が出て、かなり信頼性が高いと思います。
 調べたところ海外で1社、国産も1社あるのですけれども、国産はもうちょっと定量下限が0.05ppmと高く、10分の1にはなりませんが、こういったものをぜひ確認いただければ、活用できる可能性も出てくるのではと思いました。
○城内座長  ありがとうございました。個別の物質に進んでよろしいでしょうか。
 それでは、トリエチルアミンの8時間加重平均濃度が0.5ppmで、短時間ばく露が1ppmという濃度基準値でよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。それでは、次、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテルについてですが、濃度基準値が8時間加重平均濃度0.1ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、ジメチルアミン、2ppm、それから最大短時間ばく露濃度がなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、メタクリロニトリル、8時間加重平均濃度が1ppm、最大短時間ばく露濃度がなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、N,N-ジメチルアセトアミド、濃度基準値、8時間加重平均濃度5ppm、最大短時間ばく露濃度なしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。それから、BHT、濃度基準値、8時間加重平均濃度10mg/㎥、最大短時間濃度なしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。2-エチルヘキサン酸、濃度基準値、8時間加重平均濃度5mg/㎥、最大短時間ばく露濃度なしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。ダイアジノン、濃度基準値、時間加重平均濃度0.01mg/㎥、最大短時間ばく露濃度なしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、1,3-ジクロロプロペン、濃度基準値、8時間加重平均濃度1ppm、最大短時間ばく露濃度なし、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。続きまして、1,4-ジクロロ-2-ブテン、濃度基準値、8時間加重平均ばく露濃度設定できない、最大短時間濃度もなしでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。メチル-tert-ブチルエーテル、濃度基準値、時間加重平均濃度50ppm、最大短時間ばく露濃度なし、よろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。2-ブテナール、濃度基準値、時間加重平均濃度なし、最大値0.3ppmでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。続きまして、臭素、濃度基準値、時間加重平均濃度0.1ppm、短時間ばく露濃度0.2ppm。武林委員、お願いします。
○武林委員  臭素について改めてよく読んでみたのですが、時間加重平均0.1が出てくるロジックがコメントから実はよく分かりづらいなと思って、済みません。0.2に関しては恐らくここにある根拠論文の3から住民での漏出事故から0.2~0.5で住民に所見があったということだと思うのですが、0.1に関しては十分ここから読み取れなかったのですが、非常に古い本を引用しているので、確認が難しいのではないかと思いますが、この根拠で十分なのかどうかをもう一度確認したほうがいいかなと思って手を挙げました。
 以上です。
○城内座長  大前委員、お願いします。
○大前委員  本当に古い論文しかないのはいっぱいあるのです。この時代の測定が大丈夫かという問題も常にありまして、いわゆる信頼性という観点からいきますと分からない、判断できないというのが実は正確なところだと思います。したがって、そういう情報しかないので使わざるを得ないということで、無理やりこんな感じになっているのですけれども、今の0.1のところはひょっとしたらジュネーブで発生した事故が0.2~0.5くらいで、上気道の症状等々、ここら辺が――これは短時間ばく露濃度のほうですね。
○武林委員  短時間ばく露はいいと思うのですけれども、ロングタームのほうが多分2を見るとこの文章では長期ばく露に対する最大許容濃度が0.1とか短時間でという、全体を合わせて「えいっ」という感じがあるので、むしろ0.2は十分根拠がある。もう一度差を見直して、もしかすると0.1と0.2両方がいいのか、0.2だけのほうがいいのか、0.1だけのほうがいいのか、再評価をしたほうがより正確かなと思った次第です。
○城内座長  これは要検討になりますでしょうか。いかがでしょうか。では、再評価ということになりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。川本先生、先ほどの臭素の件は。
○川本委員  コメントの2行目で、古い文献なのでしょうけれども、0.08ppmを超過してはならないと書かれていて、時間加重平均0.1を超える値を出されているわけで、その辺り根拠があってのことだと思いますが、分かりやすい文章にされたほうがいいのではないかということです。
○城内座長  差戻しになりましたので、そこも含めて検討をお願いしたいと思います。事務局、よろしいですか。では、よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、ホスフィンについて、濃度基準値、時間加重平均が0.05ppm、ここでは最大ばく露濃度0.15ppmになっていますが、これはこのままでいいのかということが先ほど事務局からありましたが、これについて。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  宮本です。ちょっと教えていただきたいのですけれども、根拠文献についてです。ホスフィンは1988年の文献で、それ以降の1998年に出された日本産業衛生学会の最大許容濃度が0.3ppm。今回と同じ根拠文献で違う数字が出てきているものと思われます。ACGIHだと2018年に出されており今回と同じ数値なので、何か根拠論文が追加されて厳しくなったのだったら、その論文を入れたほうがいいと思うのですが、この点を教えていただければと思います。
○化学物質対策課長  根拠論文でございますけれども、ここに書いてあるMisra UKというのはACGIHで0.05ppmでの根拠として使われているものでございます。産衛学会は使っていないです。ですので文献の選択の結果、違う値が出ているということかと思います。
○大前委員  今の件ですけれども、産衛学会もMisraさんの文献は引用しているのですが、重要視していない文献でした。それの場合は動物実験をメインとしてつくっております。それからACGIHはこのあれで、この論文はインドの論文で、コメントにありましたようにリン化アルミニウムをばらまく作業を1回20分から30分やって、わらみたいなものをかぶせて薫蒸して、何時間後だったかな、そのときにもう一回剥がしてやるというところで、ばらまくときに濃度が0.17~0.28、作業開始時のばく露値。それから、作業終了時の物を回収するときがこんな感じなので、必ずしも20分、30分というのがSTELにならない。20分、30分を1日に2~3回やっているということなので、それで症状が出てきているということですので、STELにするのはちょっと厳しいかなと思っています。時間を根拠にして、これは難しいかなと思っています。
○城内座長  ということは最大ばく露濃度で。
○化学物質対策課長  確認ですが、いわゆる8時間加重は0.05で最大になっているので、最大というのは別のところにもございましたように、例えば15分ばく露したときに30秒たったら涙がぼろぼろでたまらないとか、そういったエビデンスがあればもちろん明確に定められるのですが、先ほどの大前先生の御説明ですと、20~30分の作業をやるということなので、LOAELなのかありますが、少なくともLOAELという処理になっておりますので、0.65であれば15分間のばく露値であるSTELでも合理的なのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○大前委員  11年間やっているのですよね。だからSTELの根拠というのはもっと短い時間時々しかやらないというのはそういうイメージを持っているので、11年間やっていればSTELではないだろうというイメージがあります。平均11年間、長い人は29年間やっているので。
○化学物質対策課長  そうすると、むしろ時間加重平均の0.05だけでSTELも最大も定めないと。
○大前委員  それもあり。
○化学物質対策課長  こちら11年間やっているのはそうなのですけれども、エビデンスとしては31.8%が頭痛、13.6%が目まいとかクロスセクションで切っているので、これはその作業後のものだと思いますので、これを根拠にSTELを定めるのもおかしくはないかなと思うのですけれども。
○大前委員  特にこだわりません。
○化学物質対策課長  では、全体としてまとめますと、最大ばく露よりもSTELのほうが宜しいでしょうか。
○大前委員  いいかどうか分かりません。
○化学物質対策課長  こちら測定の問題もございますのと、このエビデンスで明示的に作業を始めて直ちに起きたという感じのエビデンスでもないかなと思いますので、STELでありつつ、先ほど申し上げましたように薫蒸などで使われるということですので、濃度が最大ばく露にも留意するようにということを留意事項として書けばいいのではないかなという気は致しますが、いかがでしょうか。
○城内座長  短時間にするということでよろしいですか。ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。時間加重平均濃度が0.05で、短時間が0.15ppm、ホスフィン、濃度基準値にしてもいいかどうか。よろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 では、そのようにお願いいたします。
 次、一酸化二窒素、濃度基準値が時間加重平均で100ppm、最大短時間はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。その次、別名でベノミルについては、濃度基準値、8時間加重平均濃度1mg/㎥、最大短時間ばく露濃度なしでよろしいでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  数値について異議はございません。1点だけ細かいことで申し訳ないのですけれども、その他のコメントにOEL機関では生殖毒性に係る許容ばく露限界値が濃度基準値よりも低いものがあることからと書いてあります。多分許容濃度は産衛とACGIHが出していると思うのですけれども、産衛学会に関して申し上げれば、生殖毒性に関する許容ばく露限界値をつくっているわけではないので、正確な言い方をすると通常の産衛学会の場合は許容濃度を定めた根拠となったものよりも低いところで影響が出るという生殖毒性に関するデータがあるので、生殖に関しては注意をしてくださいというコメントがついているだけだったと思います。産衛とかACGIHが生殖毒性に係る許容濃度を設定しているように読めてしまいますので、公表されるときにはそこだけ直していただきたいと思います。
○城内座長  では、事務局、お願いいたします。では、値についてはこれでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございます。最後の物質ですが、ジボラン、濃度基準値、8時間加重平均濃度が0.01ppm、最大短時間ばく露濃度はなしということでよろしいでしょうか。
     (「異議なし」の声あり)
 ありがとうございました。これで本日の物質についての審議は終わりましたが、最終結果はどのようになっていますでしょうか。
○化学物質評価室長補佐  事務局から本日審議いただいた結果をまとめさせていただきます。資料5-1と5-2で確認させていただきます。
 まず5-1のほうですけれども、修正があった部分、それから再審議になった部分だけ申し上げます。しょう脳の測定法につきましては、捕集分析法のところ、ろ過捕集プラス固体捕集ということで、修正した上で承認。
 続いて、リン酸トリ(オルトートリル)につきましては、捕集分析法のところ、ろ過捕集に修正した上で承認。
 最後に、クロロプレンは引き続きペンディング、再審議とさせていただきます。
 それから、しょう脳の短時間ばく露濃度は本日審議しておりませんけれども、これは次回にまた再審議の予定としております。
 続きまして、資料5-2でございます。修正のあった部分だけ申し上げます。
 まず2枚目の1番上、エピクロロヒドリンは、時間加重平均の単位、ppmかmg/㎥かは確認の上で適切な単位にした上で承認とさせていただきます。
 続いて、シクロヘキシルアミン、最大短時間ばく露となっているところは、短時間ばく露濃度5ppmに修正した上で承認。
 続いて、ジエチレントリアミンは測定法が保留ということで、次回以降再審議といいますか、恐らくコメントからいきますと次年度ということになるかと思います。
 続いて、テトラフルオロエチレンも測定法が保留ということでございます。
 それから、トリエチルアミンも測定法が保留。
 続いて、フェニルグリシジルエーテルも測定法が保留となります。
 3枚目に参りまして、最後の物質、臭素は時間加重平均0.1ppmは再審議ということで、次回以降、また審議をお願いいたします。
 続いて、4枚目の一番上、ホスフィンでございますけれども、最大ばく露濃度0.15 ppmとなっておりますが、こちらは短時間ばく露0.15ppmに修正した上で承認ということにさせていただきます。
 修正、それから再審議の部分については以上でございます。提案理由等についてコメント頂いたところについては、適切な表現に修正した上で、最終的に取りまとめをさせていただきたいと考えています。
 以上です。
○城内座長  ありがとうございました。今のまとめについて、委員の皆さんから気がついた点、補足等ございませんでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員  ホスフィンの短時間測定で感度が足らない可能性があるというのは次までに検証されるのでしょうか、それとももうちょっと時間がかかるものなのでしょうか。
○城内座長  小野委員、お願いします。
○小野委員  小野です。ホスフィンについては、その前に適切な測定法が従来どおりのものが見つからない場合に、センサーを考えに入れてよろしいですかというのを申し上げていたのですけれども、そういう場合にはセンサーも盛り込んでよろしいという理解でよろしいでしょうか。感度等を調べた上で、センサーも使えるという判断になったという理解でよろしいでしょうか。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  こちらにつきましては、まずシーリングをSTELに変えましたので、連続測定でなくてもいいということにはなりましたので、その観点で検討していただくということになりますので、そういう意味では必ずセンサーかどうかというのは。要するに連続測定の必要がなくなったので、センサーでなければならないことはないと思うのですけれども。
○小野委員  まず最初に確認したいのは、感度が足りない場合に感度が足りる連続測定法があった場合に、それを採用しても構いませんかという1点です。もちろんそれがあればシーリングとか1日に何回その濃度に行ったかということまで知ることができますので、そういう面のメリットもあります。
 ただ、それは除いてまずセンサーを導入できるかどうか。そのセンサーで感度とか再現性がよければ、それを採用しますし、それがだめというか、できれば普通の個人サンプラーにしたいということで、改めて測定法を開発しなければいけない、あるいは測定の検証をしなければいけないということになると、また別途時間とお金がかかってくるということになります。ということで、私がお答えできるのはここまでで、その先どうするかについては事務局に御判断いただきたいと思います。
○化学物質対策課長  感度再現性があるセンサーであれば、センサーを使うことが一律にだめだということにはならないと思いますので。ただ、センサーといっても感度再現性は千差万別と思いますので、例えばホスフィンについて十分信頼性の置けるセンサーかどうかというのは検証していただく必要はあろうかと思います。
○小野委員  実験的に検証するとなると500万とか1,000万円とかの装置がないとできないですが。
○化学物質対策課長  必ずしも実験室で実験しなければいけないということではなくて、もちろんメーカーからデータをもらうなり、そういった文献でもちろん構いません。
○小野委員  そういうデータでよろしいということでしたら、センサーを導入することで、信頼に足る測定ができるようなものを御提案するという形でしたら、短い時間で行けるかもしれません。
 この話が出たのでもう一点確認したいのですけれども、割と検知管が低い濃度まで対応しているものが今作られたりしているのですが、それもサポートの情報として追加で出すことは可能でしょうか。
○化学物質対策課長  検知管も従来作業環境測定で一定のもの、要するに10分の1の感度があれば認めていますので、それも同様に十分な感度と再現性があれば使えるということになろうかと思います。
○小野委員  分かりました。ありがとうございました。
○城内座長  そのほかコメント等……尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員  自分の理解なのですけれども、前回から濃度基準値の決定をずっとやられておりますが、第2回目に入って分析方法に関してまだ検証が必要だとかそういうものが数多く出てきているのではないかと思います。そういった分析法の検証をやっておかないと、現場に落としたときにやってみたものの回らないみたいなことにならないように、スケジュール感を持って計画を立ててやっていただければと思います。
 以上でございます。
○化学物質対策課長  ありがとうございます。測定法につきましては、労働安全衛生総合研究所でもやっていただいておりますし、中災防にも補助金で測定法の検証と場合によっては開発ということでお願いしておりますので、そういったものを通じて検証して、濃度基準値は測定ができることを前提にして定めるという形にしたいと考えております。
○城内座長  そのほかコメント等は。宮川委員、お願いします。
○宮川委員  きょう単位のことで蒸気と粒子についてはよく分かったのですけれども、粒子のサイズについてきょうの物質にはなかったのですが、吸入性、吸引性、それから総粉じん。測定法と絡むところですけれども、この辺りは個別に定める方針なのでしょうか。あるいはそうでなくても設定できればそれでいいとお考えなのでしょうか。
○化学物質対策課長  御指摘ありがとうございます。IFVにつきましては、資料1の2ページ目にございまして、inhalable fraction and vaporになっていまして、ここで考えているのはエアロゾルなのですけれども、レスピラブルにはならないという前提だとACGIHには記載がありました。
○宮川委員  Inhalableは一般的にACGIHだと100ミクロンの基準が書いてあると思うのですけれども、それをそのまま総粉じんと言い換えるとまずいと思いますし、日本の中でinhalableに直接対応するような定義がどこかの学会がしていたかどうか分からないのですが、その辺りはinhalableを持ってくるときには考えないと、こういうものを言うのですよということを言うのか、あるいは総粉じんに言い換えてしまうのか、その辺りも測定法との絡みで御検討いただければと思います。
○化学物質対策課長  分かりました。
○城内座長  そのほかコメント等ございませんでしょうか。
 私がきょう議論を聞いていて気になった点1つだけ発言したいと思います。宮本委員、武林委員、大前委員から発がん性の書きぶりとか、これが世の中に出たときに混乱が起きるかもしれないので、対応すべきだというお話がありました。私もそれはずっと気になっていました。
 特に特別管理物質があって、なおかつがん原性物質が告示で決まるということがあって、それは従来からの考え方を包含はしているのだけれども、統一はしていません。それでまた発がん性については閾値があるとかないとかでいろいろな決め方を濃度基準値の中でしているということがありますので、その辺は今後矛盾がないように整理していただかないといけないかなと思っています。その辺気になりましたので、よろしくお願いいたします。
 そのほかよろしいでしょうか。それでは、最後にその他ということですが、事務局から何かありますでしょうか。
○化学物質評価室長補佐  事務局からですけれども、資料6について御説明させていただきます。こちら安衛則に基づき作業記録等の30年間保存が必要ながん原性物質を定める告示を12月26日に告示いたしました。その御報告でございます。
 がん原性物質の範囲につきましては、9月の第1回の検討会で御議論いただきまして、対象物質としてはリスクアセスメント対象物のうち、国が行うGHS分類の結果で発がん性区分が1に該当するもの、ただしエタノールを除く、それから対象物質を臨時に取り扱う場合を除くということでこの検討会で御議論いただきまして、その案でパブリックコメントを行いました。
 その結果、2点修正をして告示を出しております。1点目の修正が国のGHS分類というのは毎年行われまして、新たに分類されたり、あるいは分類結果が見直されるものがありますので、発がん性区分1となった物質が即義務づけの対象となると対応ができないということで、分類が行われた期間を明記しております。現段階では令和2年度、令和3年3月31日までに分類された結果を基に、リスクアセスメント対象物を規定しておりますので、それに合わせてがん原性物質の対象も令和3年3月31日までにおいて分類されたものと規定しております。
 今後、将来的に令和3年度以降に分類された物質もリスクアセスメント対象物に追加する際には、併せてこの告示も改正して、がん原性物質の対象となる分類期間を見直す予定でございます。
 もう一点修正した点として、特化則の特別管理物質を除くことと致しました。特別管理物質につきましては、特化則において作業記録や健康診断結果等の30年間保存が既に義務づけられておりまして、同趣旨の規定の二重規制を避けるために、この告示によるがん原性物質の範囲から除外したものでございます。
 適用は令和5年4月1日からとしておりますけれども、対象物質の範囲のイメージ図を2枚目に示しております。令和5年4月時点では現在リスクアセスメントが義務づけられております674物質中の約120物質が発がん性区分1ということで、がん原性物質の対象となります。
 そして、現在、国ではリスクアセスメント対象物を順次拡大しているところでございまして、令和6年4月1日には234物質がリスクアセスメント対象物に追加されることが既に決まっております。この234物質中の約80物質ががん原性物質として令和6年4月以降対象となります。
 この120物質、それから80物質の対象物質につきましては、厚生労働省のホームページにリストとして公表しておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
 簡単ですが、以上御報告でございます。
○城内座長  ありがとうございました。今の事務局からの説明について何か御質問や御意見があればお願いします。武林委員、お願いします。
○武林委員  このことについて少し教えていただきたいのですが、このことについては今後様々な発がん物質での実際の発がんということをトレースする上で大事だと思うのですけれども、これが役に立つのは過去の例で例えばオルト-トルイジンのときみたいにもしある場所であるがんが起こっているといって、その人たちがどこで働いていたかが分かったときに、これで確認できるという点ではメリットがあると思うのです。
 その後、全国で調査をし直すと、ほかの物質での膀胱がんが出てきたということを考えると、最終的には国としてこれを何らかの形で電子化して、情報を集約して、日本中でどのような状況にあるかということをモニタリング、サーベイランスできるようにすることまでが今後目指さなければいけないことだと思うのですが、今のところ作業記録と健康診断記録を残すということだけであって、例えば今後のIDがどうなるかということによると思うのですけれども、将来を見越したような補完する情報の様式の変更ということについてどの程度検討されていて、どんな見通しなのかが分かれば教えていただきたいというのが質問です。
○城内座長  事務局、お願いします。
○化学物質対策課長  御指摘ありがとうございます。実は同様の指摘が審議会でございまして、そのときとも同じお答えになりますが、現時点において何らかの指定機関のデータを集約するようなことが個別具体的に検討されているという状況では残念ながらございません。
 ただ、長期的な課題としてそういう御指摘があるのは理解しておりまして、様々なビッグデータとかそういう話もございます中で、どのように最も効率的に情報を集約していくかといったことについて、今後検討していくということでございます。
○武林委員  現場の会社の方に聞くと、要するに物質が増えて大変だということと同時に、どう使われるのかということを非常に知りたがって、コストもかかりますので、むしろ未確定であったとしても、こういう方向でやがては中央で一括してという方向があれば、必要な情報を取っておいてくれるでしょうし、どんどん時間がたつといろいろなことが散逸してしまうので、何らかの形で方向性みたいなものを現場が分かるような形で経過をお示しいただくと、せっかくの新しいルールが役に立つかなと思って質問した次第です。
 以上です。
○城内座長  そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。ありがとうございます。
 本日の議題は以上となります。構成員の皆様、長時間の御議論ありがとうございました。
 最後に事務局から連絡等ありますでしょうか。
○環境改善室長  本日の議題は以上でございます。本日の議事録でございますが、後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開とさせていただきます。
 なお、次回の日程でございますが、1月30日月曜日午後2時から5時の開催を予定しております。場所は同じ建物となります。議題は濃度基準値の検討と今年度の検討事項の取りまとめとなりますが、次回の濃度基準値の検討の積み残しと詳細調査により評価するものを予定しており、構成員名簿のうち全般に関する事項、毒性に関する事項、ばく露防止対策に関する事項の欄の先生方、委員の全員ということになります。御参集いただきます。正式な開催案内は後日お送りさせていただきます。
 事務局から以上でございます。
○城内座長  以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本日はお疲れさまでした。ありがとうございました。