第29回技能検定職種の統廃合等に関する検討会議事録

日時

令和4年12月15日(金)15:00~16:30

場所

厚生労働省人材開発統括官南会議室(オンライン併用)

出席者

参集者(五十音順 敬称略)

議題

  1. (1)令和4年度技能検定職種の統廃合について
  2. (2)報告事項
      ○令和3年度技能検定実施状況について

配布資料

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議事

第29回技能検定職種の統廃合等に関する検討会
○吉村職業能力検定官 定刻となりました。
 本日はお忙しい中、ご参集いただきありがとうございます。ただいまより、第29回「技能検定職種の統廃合等に関する検討会」を開催いたします。
 はじめに、能力評価担当参事官の安達よりご挨拶申し上げます。
○安達参事官 本日は、お忙しい中、技能検定職種の統廃合等に関する検討会にご参集いただきありがとうございます。また、日頃より、技能検定制度を含む、人材開発行政の推進に多大なお力添えをいただいておりますこと、厚くお礼申し上げます。本日の検討会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
技能検定制度につきましては、昭和34年に制度を開始し、60年を超え長きにわたり続いており、これまで延べ約800万人が技能検定に合格し、技能士となっているところです。さらに、近年では、ものづくり分野の代表的な評価制度として制度の充実が求められるとともに、「ものづくり分野」を支える必要な人材の確保・育成を支援する観点から、技能検定制度の更なる普及・拡充や、若者を重点とした積極的な活用促進を図っていく必要があります。
 また、昨今の動きとして、電子機器組立て職種の一つ作業であるシーケンス制御作業が、シーケンス制御職種に分離独立したことや、レーザー加工作業の追加により、放電加工職種が非接触除去加工職種に名称変更したことなど、時代のニーズに合わせて、新しい動きも出て来ています。このような中、本検討会におきましては、技能検定制度に対する国民の期待に応えていくため、経済社会情勢の変化に対応した職種の統廃合の要否等について検討いただくこととしております。
具体的には、平成17年の閣議決定などの政府方針に基づき、社会情勢の変化などから社会的ニーズが減少し、受検者数が著しく少なくなっている検定職種について、社会的便益などの観点から統廃合の是非等について検討を行っていただくこととしております。
本日は、技能検定職種の統廃合に係る具体的な検討を進めるため、昨年度までの職種別の受検者数の推移等のデータを事務局において精査したものを元に選定させていただい上で選定させていただきました職種の、業界団体からヒアリングを行います。参集者の皆様方におかれましては、活発なご意見・ご議論をいただければと思います。
本日は、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○吉村職業能力検定官 参集者の先生方につきましては、第28回開催からは変更はありませんが、改めて御紹介させていただきます。五十音順で御紹介させていただきます。まず、玉川大学経営学部国際経営学科教授の大木委員です。
○大木委員 よろしくお願いいたします。
○吉村職業能力検定官 続いて、山梨学院大学教授の金子委員です。
○吉村職業能力検定官 今日は御欠席ですが、株式会社日刊工業新聞社編集局中小企業部長の川瀬委員です。続いて、協和監査法人代表社員公認会計士の髙山委員です。
○髙山委員 よろしくお願いします。
○吉村職業能力検定官 本検討会座長をお願いしております、政策研究大学院大学教授の黒澤委員です。
○黒澤座長 よろしくお願いいたします。
○吉村職業能力検定官 ものつくり大学技能工芸学部教授の武雄委員です。
○吉村職業能力検定官 職業能力開発総合大学校名誉教授の松留委員です。
○松留委員 松留です。よろしくお願いいたします。
○吉村職業能力検定官 続いて、職業能力開発総合大学校名誉教授の和田委員です。
○和田委員 和田です。よろしくお願いします。
○吉村職業能力検定官 また、参事官の安達のほか、事務局に人事異動がございましたので、改めて紹介いたします。主任職業能力検定官の宇野です。
○宇野主任職業能力検定官 宇野です。よろしくお願いいたします。
○吉村職業能力検定官 上席職業能力検定官の増岡です。
○増岡上席職業能力検定官 増岡でございます。よろしくお願いいたします。
○吉村職業能力検定官 職業能力検定官の吉村です。よろしくお願いします。あと、係員の真下です。
○真下係員 よろしくお願いします。
○吉村職業能力検定官 本日は、新型コロナウイルス感染防止対策の観点から、委員についてはオンラインで参加させていただいております。大木委員、金子委員、髙山委員、松留委員、和田委員はオンラインでの参加となります。本日は、川瀬委員、武雄委員が御欠席となります。
 資料を確認させていただきます。本検討会についてはペーパーレス開催とさせていただいておりますので、オンラインの皆様は、別途PDFファイルを御確認ください。また、画面も共有させていただきます。
 本日はオンライン開催となりますので、発言なさらないときはマイクをオフにしていただくようお願いいたします。また、御発言いただくときは「挙手」機能がありますので、それで意思表示いただければと思います。また、座長より御指名いただきますので、マイクをオンにして御発言いただきますようお願いいたします。円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、これからの進行は座長にお願いいたします。
○黒澤座長 本日はお忙しい中、皆様お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。黒澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、第28回の検討会で第1次判断を保留していた塗料調色について、令和3年度の実施結果を踏まえて、改めてコロナの影響のあった令和2年度を除く過去6年の平均受検申請者数を算定したところ、第1次判断基準の100人をちょっとだけ下回ったということが分かりました。そのため、統廃合検討会において、第2次判断として社会的便益を評価し、これらをどうすべきかを検討したいと思います。
 では、議題1の統廃合ですが、事務局からこれまでの経緯について説明を頂いた後、業界団体の皆様からヒアリングを行いたいと思います。ヒアリングの進行は事務局にお願いしてよろしいでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 はい、結構です。
○黒澤座長 よろしくお願いいたします。では、事務局から、検討の対象職種である塗料調色に関わる第1次判断など、統廃合検討会の検討対象となった経緯の説明をお願いいたします。
○増岡上席職業能力検定官 厚生労働省の増岡より御説明を申し上げます。使用する資料は資料1-1、1-2、資料2-1、2-2となります。まず、資料1-1ですが、職種の統廃合の基準です。こちらは、平成17年の閣議決定において、民間の指定機関への移行を促進するとともに、統廃合についても行っていくということが決定されたことを踏まえて、平成19年規制改革会議の答申が出ております。その中で、定量的な基準を盛り込んで統廃合を検討していくという方針が示されたわけです。
 これを受けて、厚生労働省においては、そういった基準の検討を行いました。その検討結果が下の囲みに書いてあるところで、判断基準については、第1次判断と第2次判断という2段階で判断をしております。第1次判断は受検申請者数によるものです。基本的に、過去6年間の年間平均受検申請者数が100人以下のものについて、統廃合の検討の俎上に載せるというものです。ただし、隔年で実施しているもの、あるいは3年ごとに実施するものについては、それぞれ50人以下又は30人以下というような基準となっております。この第1次判断基準を下回った場合には、社会的便益を評価するということで、第2次判断として、検討会において検討を行うほか、この後、パブリックコメントを実施することによって評価を行い、実際に統廃合の是非を決めるということになっています。
 次に、資料1-2です。こちらについては、検討会が立ち上がって以降の検討会における検討状況をまとめております。ちょっと量も多いですので、個々の説明は割愛させていただきますが、最後の5ページ目を御覧ください。令和2年度には、コロナ拡大防止のため、いろいろと検定が中止されたということもあって影響がありましたので、前回の令和3年度については保留というような扱いをしております。
 次に、参考1とありますが、これは改めて過去3年間の検討結果等についてまとめたものです。現時点において、第1次判断基準を下回り、かつ未検討のものは、塗料職種1職種となっておりますので、こちらが今回、検討の俎上に上っているということです。推移等については、また職種の説明の際に行いますので、ここでは説明を割愛させていただきます。
 資料2-1です。今回、検討の対象になる塗料調色職種に係る職種内容、検定の内容について簡単にまとめたものです。こちらは昭和55年度から開始していて、級別に分けていない単一等級の職種となっております。職種内容については、塗料調色、いわゆる塗料の色合わせですが、色彩、塗料、塗装に関する知識のほか、高度な技能が対象となっているということです。また、検定内容については、通常の検定と同様に、学科試験と実技試験からなるわけですが、実技試験については、各種塗料、溶剤を使用して、実際に必要な量の調色作業を行っていただくというものになっております。
 資料2-2です。こちらには、塗料調色職種に関する受検申請者数の推移を掲載しております。昭和55年度の開始以降のものを掲載しております。当初は800人程度の受検者がありましたが、その後はずっと落ち着いてきて、平成に入って以降は100人を若干超えるような水準で推移してきており、近年、平成26年以降は緩やかな減少傾向が続いているような状況です。令和2年度は、コロナの影響もあり、検定が実施されておりませんが、この令和2年を除く過去6年分の受検申請者数をまとめたものを、下のほうの黄色く色付けられた表に記載しております。こちらが98人ということで、第1次判断基準の100人を2名ほど下回っているというような状況です。このため、今回、社会的便益の観点から、検討会において評価をお願いしたいというものです。私のほうからは以上です。
○黒澤座長 今の御説明について、何か御質問はありますか。オンラインの方は、発言の前にZoomの機能で挙手をしていただいて、指名されたらマイクをオンにしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいですか。
 そうしましたら、業界団体からのヒアリングをお願いしたく存じます。では、お願いします。
○増岡上席職業能力検定官 それでは、塗料調色職種のヒアリングを開始させていただきます。お越しいただきましたのは、一般社団法人日本塗料商業組合です。もう入っていただいて大丈夫でしょうか。
                             (日本塗料商業組合入室)
○増岡上席職業能力検定官 それでは、ヒアリングについては30分程度を予定しております。質疑の時間もありますので、御説明は20分程度でお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
○日本塗料商業組合(澤野) 日本塗料商業組合の澤野でございます。本日はよろしくお願いいたします。先ほど、社団法人と言われましたが、社団法人ではありませんので。(社団法人ではなく商工組合になります)
○増岡上席職業能力検定官 すみません。
○日本塗料商業組合(澤野) 日塗商からは、私、事務局の澤野、技能委員会の富田技能委員長、それを所掌しております副理事長の中山保幸、この3名で参加させていただいております。私の不足のところは2名のほうからフォローしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料に基づいてざっと説明いたしますので、飛ばしてしまった所は質問でお答えしたいと思います。
 まず、業界のことですが、就業者数と増減傾向です。1で書いてありますのは、塗料卸売業事業所数及び従業者数の推移です。これは経済センサスから取っているので2016年でデータが途切れておりますが、ここに書いてあるような事業者数及び就業者数となっております。その下が、私ども日本塗料商業組合員数の社店数の推移です。ですから、ここに書いてあるのは従業員数ではなく社店数です。年々、バブル以降は減っており、本年度の4月現在で1,273事業所です。
 団体のカバー率は、上の塗料卸売業の中の日塗商の組合員の占める割合で言いますと、例えば2016年同士で比較すると、1,411/3,309で42.6%となります。しかし、ここにも書いてありますが、塗料卸売業の事業者数は印刷インキの業者も含まれる上に、支店・営業所数も1事業所としてカウントされるため、実際のカバー率は60%ぐらいかと推定しております。ただ、今回の塗料技能検定の対象者という観点では、先ほどお見せいただいた申込者数の中の、日塗商の組合員数を独自にヒアリングして調べたところ、今年の人数で言うと、40%ぐらいが日塗商の組合員の人数だろうということで、その40%の中の説明になってしまいます。残りの6割については、ここでは特には捕捉しておりませんが、我々日塗商の中ではこういった推移になっているということです。
 技能検定の活用状況及び技能士の活用状況です。まず、業界及び参加企業における技能検定の活用状況ということで、調色従事者のスキルアップはもちろんのこと、技術・営業職種においても、目標設定等のモチベーションアップとして活用されてきております。また、業界内の参加企業における技能士の活用状況ということで、塗料販売店においては、ユーザーさんの求めるあらゆる色をスピーディーに調色ができる「調色技能士」がいる店という形でアピールしている販売店が多うございますので、そういった営業戦略上の重要な国家資格となっております。
 技能検定の受検者が増加しない要因です。これについては、職種に係る技能を要する対象者の需要の変動と書いてありますが、今までは、塗料メーカーが大きなロットで塗料を作り、こまごまとした色の対応は販売店で請け負うという図式があったのです。しかし、塗料メーカーの小口の調色対応や、販売店にも店頭調色機といった、比較的、簡単に調色できる機械が置かれるという環境の変化があり、そういう機械の普及により、熟練調色技能者の相対的なニーズが多少低下してるのではないかということが、まず挙げられます。2番目に、人手不足による対象者の就業環境の変動と書いてあります。仕事に余裕がないので、受検及び準備に対する時間、これは当然、受検勉強もありますし、近くに試験会場がある場合はいいのですが、出張してわざわざ遠い所まで行って受けるなどの時間が掛けられないということを書いています。
 また、3番目として、当該職種における若年者の新規参入の変動があります。若年層への世代交代のスピードが余り早くないので、どうしても新規対象者の受検が伸び悩んでいるのではないかということです。もう1つはPR不足、これは大きいかなと思っています。毎年、技能検定の時期になりますと、技能検定をやりますと、本部から地区に情報一式を投げて、そこから私どもの各支部、40都道府県にあるのですが、その支部のほうで展開してもらうという形を取っていたのですが、その形ですと、どうしても完全に末端の各組合員社店に情報が流れていたのかなという部分で若干の疑問がありました、知っている方は知っているのですが。そういったことで、技能検定に対する認知度(内容・時期・開催地等)にばらつきが出てしまったために、全体としてPRが不足だったのかという反省点があります。
 今後の技能検定の受検者の増加の見込み、潜在需要です。この2年はコロナ禍にあって、地区によっては、受検会場のキャパシティの問題などの事情により、人数を調整した所もあったとお聞きしております。また、今年の10月に、どのぐらい潜在需要があるのか、吉村さんから調べてほしいとあったので、日塗商の中で緊急アンケートを取りまして、各組合社店さんの中で、自分の所の会社で調色技能士を受検させたい社員がどのぐらいいますかという質問を投げました。そうしたところ、0人、1人、2人以上といったいろいろな回答がありました。(回答の選択肢を)もう少し細かく、3人、4人とやればよかったのですが、2人以上を2人と計算して、最終集計としては227人いることが分かりました。これは、日塗商の中での潜在受検者数が227人ということです。先ほども言いましたように、今年受けた人数では日塗商は40%しかいなかったので、単純に言うと、227/0.4で、全体の受検者数としてはもっといるのではないかと考えますが、日塗商の中ではそのくらいの潜在受検者数と申し上げておきます。
 技能検定がなくなることによる弊害です。先ほど申し上げたことと関係があるのですが、販売店における営業戦略上のいわゆる看板がなくなってしまう、熟練者による円滑な技能継承・技能向上のための意欲が減少する、目標設定におけるモチベーションの低下、若年技能者の確保・定着するための資格取得のチャンスが失われる、業界内の統一的な技能評価ができなくなるなどといったことがあるかと思います。
 団体の意向としては、これらのことを鑑みて、先ほどのPRなど、これからいろいろな手段を取り、現状どおり、毎年、通年で検定を是非やっていただきたいと考えております。
最後の受検者増に向けた具体的取組です。先ほどから40%と言っていますが、日塗商以外の残り60%が全部が団体というわけではないのですが、いわゆる塗料に関わる業界というのは、まずメーカーである日本塗料工業会、塗装を担う日本塗装工業会、塗装の中でもいろいろな塗装があり、日本工業塗装協同組合連合会、日本自動車車体整備協同組合連合会など、パッと思い付くだけでもこれぐらいの団体があります。これらの団体にも、当然、受検者がいるはずなので、そちらの中の組合員社店さんにも、今、置かれている状況というか、積極的に調色技能検定を利用してくれと働き掛けをしてもらう、してもらうことを働き掛けていきたいと考えております。
 次に、組合員社店へのきめ細かい周知活動です。本部から支部に開催情報を流すといった支部にお任せのざっくりとした周知方法ではなく、会報はもともと発行しているのですが、会報やホームページにアップしたり、アプリはこれから考えるのですが、そのアプリ等でアップしたことのお知らせをしたり、そういったことをやりながら、個々の組合員さんに、調色技能検定をやっているという情報が直接届くように、きめ細かく周知・フォローをすることで、私どもの組合員の潜在需要の掘り起こしを強化していきたいと考えております。
 あと、協力体制の合理化です。各都道府県の能力開発協会との連携に不足が生じないよう、場合によっては、会場となる支部だけでなく、ブロック単位で各県の能力開発協会さんときっちりと協力体制が取れるよう、技能委員会ではそういう方向性を打ち出していくということです。私からは以上なのですが、富田さん、中山さん、不足がありましたら付け加えていただければと思います。いかがでしょうか。
○日本塗料商業組合(富田) こんにちは。日本塗料商業組合技能委員会委員長を拝命しております富田と申します。弊社は埼玉県の塗料販売店です。今、事務局の澤野が申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、調色技能検定の一番大きな告知である、日程、会場、連絡先等の発信を、組合から支部長にしていたのですが、やはり支部によって活動に熱心な支部とそうでもない支部とばらつきがありまして、支部長の所でそれが止まってしまい、末端の組合員までお知らせが行ってない可能性が考えられるということで、今後は、組合員それぞれに情報を発信していこうと、技能委員会でもそういう話になりました。
 もう1つは、先ほど言った、日本塗料工業会、日本塗装工業会などの他団体への調色技能検定の募集の推進、これも今まではやっていなかったことですので、これにより受検者数のアップを今後は図っていきたいと、委員会としてはまとまりました。
 そして、調色技能検定そのものの価値です。塗料の色というのは、メーカーで常備している標準色、常備色でカバーできないものを指定色として調色していくわけですが、今後は、そのニーズの多様化において、施主さんや末端ユーザーの色に対する要望は増えていくことが予想されます。やはり、それに対応するためには調色技能士がどうしても必要になってきますので、そういう意味においても、調色技能検定は、今後、必要な資格であると考えております。私からは以上です。中山副理事長、何かありましたらよろしくお願いいたします。
○日本塗料商業組合(中山) 日本塗料商業組合の副理事長をしております中山でございます。よろしくお願いいたします。おおむね、事務局からの説明と富田委員長からのお話のとおりです。やはり、組合としましても、技能検定を長年ずっとやっておりまして、だんだんと告知が長年の習慣などで薄らいでいっていたということもあったようです。それは組合の反省すべきところですが、やはり、こういった検定試験が必要不可欠というか、塗料販売をする者としましては、色を売っているという観点から言いましても、調色をするということは必要不可欠な技能ではないかと思いますので、先ほど申し上げたとおり、今後、受検者数が増えるように努力をして、この技能検定をできるだけ長く続けていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○増岡上席職業能力検定官 団体さんからは以上でよろしいでしょうか。それでは、今の御説明を伺い、委員の皆様から御質問等がありましたら、お願いいたします。この後議論をしていただくに当たって、あらかじめ団体に確認をしておきたいことなどがあればと思いますが、いかがでしょうか。
○和田委員 和田ですが、よろしいでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 はい、お願いいたします。
○和田委員 資料の日塗商が出されている推移の所で、組合員数というのは事業所の数なのですか。
○日本塗料商業組合(澤野) 事業所数です。
○和田委員 事業所数ですか。そうすると、そこに配属されている受検可能な人数というのは、組合員の数は出ないのですか。
○日本塗料商業組合(澤野) ここでは人数は入れておりません。私どもの事業者数に対するいわゆる全従業員数は、推定になってしまいますが、私どもの組合員社店は大体6割が10人以下で、8割が20人以下なので、そういったことから推定して、ここで言う上の表の就業者数を出すとしたら、13,000とか14,000ぐらいになるのかなとは思っています。
○和田委員 分かりました。それから、最後に受検者増に向けた具体的取組とあるのですが、もう実際に行っておられるのでしょうか。これからということでしょうか。
○日本塗料商業組合(澤野) 一部やっているところはあります。例えば他団体への働き掛けですが、実は製販装、いわゆる製造メーカーの集まりである日塗工(日本塗料工業会)、それから塗装団体はいろいろありますが、その中でも最大の日本塗装工業会、それと私ども日塗商で、その3団体は定期的に寄り合いをもっていまして、ちょうど今月、製販装の連絡会がありました。その場で、調色技能検定の状況に関して、今こういう状況にありますので、そちらの団体で1回そういった状況を展開していただくと有り難いというようなことは話しています。
 それと、もう1つ、ここに書いてある日本自動車車体整備協同組合連合会、いわゆる日車協、どうもここからの受検者が多そうだということが分かってまいりました。私どもの組合員さんの中でも車体塗装に関連する部分とお付き合いのある販売店がありますので、そこを通じて、日車協から何らかの働き掛けができないかというアプローチを今し始めたところになります。
 あとは、今年の技能検定は終わってしまったのですが、私どものホームページに今後発表していこうと思っています。
○和田委員 了解いたしました。基本的にこの検定は、今までは日塗商だけで行われていたのでしょうか。
○日本塗料商業組合(澤野) いや、日塗商だけではないです。受検者としては、先ほども申し上げたように、日塗商の組合員が多いのですが、私が個々に各県の能力開発協会の御担当者にどんな方が受けに来ておられるかを聞いたところによると、塗装屋さんであるとか、あるいはバスや電車の補修部門とかというところがあったものですから、どうも私どもだけではないなという印象を持っております。
○和田委員 分かりました。以上、よろしくお願いします。
○日本塗料商業組合(中山) あと1つ加えるならば、私どもが多かったということで、私どもの団体から検定委員といったような人間の応援や、販売店で会場を提供するといった動きはやっていったのですが、受検者ということで言えば先ほどのことになります。
○和田委員 ありがとうございました。
○日本塗料商業組合(中山) すみません、ちょっと補足しますと、職業能力開発協会各支部になるかと思いますが、そこで受検者数を、かなりほかの団体の所からも申込みがあって受けているというのが事実です。先ほど言いました自動車車体整備協会の会員さんなども、そういう所から受検されているのが多分あるので、組合の連合会に直接働き掛けようというような動きになっているということです。以上です。
○増岡上席職業能力検定官 松留委員、御質問いただけるということでしょうか。
○松留委員 松留です。私から質問いたします。日塗商さんで用意された検討会資料の1ページ目の下のほう、技能検定の受検者が増加しない要因の(1)の中に、メーカーの小口調色対応、店頭調色機の普及とありますが、これの状況を知りたいです。具体的には、メーカーの小口調色対応で全てができるのか、これがどの程度行っていただけるのか、あるいは、なかなかそうでないのかという状況。それから、店頭調色機というのはどのぐらい普及しているのか、これで結構できるのか、やれるのか。あるいは、熟練者がこれに関してやるものに対しては、ひょっとしたらまだ十分でないのか。やはり熟練者がやらないとうまくいかない状況があるのではないかと想像するのですが、それも含めて、メーカーの小口調色対応あるいは店頭調色機の普及の状況、現状を、どのような状況なのかをもう少し具体的に教えていただけますか。
○日本塗料商業組合(富田) 弊社は塗料販売店なので、実際それに対応している立場からお話させていただきます。メーカーの小口調色対応は、以前に比べればメーカーさんのほうでできるようになってきたと思いますが、それはまだまだ十分ではないと思います。やはり、小口対応の部分は、販売店が担う部分がまだまだ大きいかと思っています。それは、建築塗料についても、自動車の板金塗装についても、特に板金塗装はほとんど販売店で担っているのが現実ではないかと思います。建築塗装のほうも、石油缶、いわゆる一斗缶はメーカーのほうでしますが、4キロ缶などの小口は販売店のほうで色合わせをしている、あるいは詰め替えているのが現状なのかなと思います。ですから、そういう意味での小口対応は、以前に比べればメーカーも細かく対応するようになってきましたが、まだまだ販売店が対応している部分が大きいと思います。
 それから、店頭調色機は、計量調色、例えば白なら白に赤とか黄の着色剤を入れて重量比で合わせていくのですが、いわゆる建築塗料においては、ほぼ近い色、色差の許容範囲内に収まることはできると思います。ただし、淡彩色はそれでいけるのですが、濃彩色については、それだとカバーしきれませんので、ここに書いてあるような熟練者の最終的なチェックが必要になります。また、自動車板金の塗料は、建築塗料に比べて非常に精度を要求されますので、こちらの分野は、やはり最終的には熟練調色員による最終の色合わせが必須になってくると思います。以上、お答えになっていますでしょうか。
○松留委員 はい、十分です。多分そういうことだろうなと想像しながらこの文章を読みましたが、状況を知りたいと思ったものですから質問させていただきました。やはり、結果的に熟練者の人の手による作業が必要であるということだと理解をしました。ありがとうございました。
○日本塗料商業組合(富田) よろしくお願いいたします。
○増岡上席職業能力検定官 ほかに質問等はありますか。
○黒澤座長 黒澤です。どうぞよろしくお願いします。御説明どうもありがとうございました。私から2点ほどお伺いしたいと思います。先日、日塗商のホームページを拝見させていただいて、塗料マイスター制度というのをなさるというようなお話が書いてあったのですが、今回の技能検定の塗料調色との関係がどのようになっているのかを教えていただければと思います。マイスターのほうがより包括的に見えますが、今回の塗料調色のスキルというのは、そこに含まれて、そちらに代替されるような可能性はあるのかどうか、その辺りを教えていただきたいと思ったのが1点です。
もう1つは、素人で分からなくて教えていただきたいのですが、ニーズがどんどん多様化していくというのも、おっしゃるとおりだと思います。常備色にはない色を調色する、特に自動車の板金は既にあるものに合うようにやらなければいけないというのは、本当に大変だと思うのです。その場合、技能士の実技では、ラッカーエナメルとか合成樹脂調合ペイントとか、ある程度ペイントの種類が決まった中で実技をさせるとなっています。私もリフォームをやったのですが、塗料自体の素材も今はどんどん多様化している中で、いろいろと素材が異なることによって、調色も少し変わってくるのか、それとも変わらなくて、そのやり方はそのまま、技能検定の内容のまま適用できると考えてよろしいのかどうか。今後、多様化していくという中で、それに対応できるような技能士の内容、コンテンツというような観点から、どのようにお考えなのか教えていただきたく、お願いいたします。以上です。
○日本塗料商業組合(澤野) マイスターに対する御質問があったので、簡単に説明いたします。まず、塗料マイスター制度というのは、私ども日塗商独自の認定制度で、これは私どもの組合員のみが取得できる制度として作ろうとしている段階です。本当は今年羽ばたく予定だったのですが、若干頓挫をしていますが、いずれにしても作ろうとしているところです。まだ世に出てはいません。ただ、いろいろと宣伝していますので、ホームページで出していますし、いずれは日塗商として、良い形で皆様に宣伝できるような有用な資格として世に知らしめたいなとは思っています。
 もともとこれを始めたのは、先ほどの推移の所にもあったのですが、やはり日塗商の組合員社店さんも年々リーマン以降減少しているという傾向があって、それに歯止めをかけたいということもあります。やはり、日塗商に帰属している意義といったようなものを社店さんに感じ取ってもらうという意味で、こういった日塗商独自の認定制度を作ろうということで今やっているところです。マイスター制度の目的というのは、社会に塗料・塗装の必要性、可能性を知ってもらう機会をつくって、業界の地位を向上させるといったものであったり、塗料販売業、特に日塗商の組合員ですが、その存在意義を示すこと。スーパーやホームセンターで買えるようなものではなくて、やはり私ども専門で塗料販売になっている人たちの存在意義を、もう少し高らしめたい、存在意義を示したいなという目的もあります。それから、先ほど言いましたように、日塗商に対する加盟意義というものを持たせるということで、これを打ち出したということです。
 いずれにしても、これの定義、枠組みや、最終的にはテキストを作って検定制度をやってということになるのですが、今はその部分の議論をしている最中です。塗料調色技能検定とうまくリンクできれば一番いいなとは思っているのですが、いろいろなことを言う方がいます、私どもとしてはマイスターが国家検定ぐらいの位置付けになれば一番いいのですが、まだ生まれてもいないものなので、今はいろいろな意見を吸収しながら作っていこうとしている段階です。私のところで修正がありましたら、おっしゃってください。私の認識はそんなところです。
○日本塗料商業組合(富田) 私は今は技能委員会なのですが、その前はこのマイスターを立ち上げる委員会に属していたものですから。これは、お米マイスターという、お米屋さんのマイスター制度があるのですが、ああいった塗料販売店版ができないかなみたいなところが事の発端です。塗料販売店としての包括的な知識、要するに、塗料販売店の社員としてのスキルアップ、能力アップを図っていこうと。塗料マイスターがいるお店で塗料を買うと、いろいろな相談にも乗ってくれるし安心だよみたいなものを作りたいなということです。ですので、塗料販売における幅広い知識、例えばクレーム対応力や塗料の樹脂の知識や組成、その中に色彩というのも入ってきます。しかし、いわゆる調色的な知識もマイスターの中の一部としてはありますが、あくまでも、それはいろいろな中の一部分です。マイスター制度は、まだ始まっていないですが、試験をすることになるのですが、その中に、塗料の調色実技試験は今のところ入っていない、入る予定がないというのが、これから立ち上げていこうとしているマイスター制度です。
 もう1つの質問は、ニーズの多様化における塗料の多様化に対する調色技能の対応ということだったと思います。今はラッカーエナメルや水性、これは私個人の考えなのですが、それにも対応していかなければと、例えばマット、つや消しなどが最近は人気なので、そういったものに対応していこうかというのは、議論の対象にはなってくると思います。ただ、大きく言えるのは、溶剤系の塗料と水性系の塗料と調色するときに、色がのぼってくる、色は塗って乾くと濃くなるのですが、そういった傾向は樹脂系が変わっても同じような傾向が出るので、何種類か押さえていけば、これからの新製品にも対応はできる、調色技能という意味での対応はできるかなとは思っています。すみません、中山副理事長、補足説明がありましたらよろしくお願いします。
○日本塗料商業組合(中山) 私も大分以前に調色検定試験を受けて免許を持っていますが、今お話がありましたように、時代とともに、塗料のいろいろな素材に対して、いろいろな塗料が出てきまして、ラッカーエナメルや合成樹脂の塗料よりも、ほかの塗料が最近使われるのが多いというのも事実です。ただ、今、富田さんから話がありましたように、調色検定という調色の検定という意味では、2種類、3種類の塗料で技能を試験すれば、ある程度その人の能力、技術は分かると思います。ラッカーエナメルを今主流の新しい塗料に変えても、調色検定の技術者、熟練者にとってはそれほど変わらないと思いますので、技能的な面で言いますと、そこは差は出ないかなと思います。試験自体がずっと昔から同じように受検をされているので、ラッカーエナメルと合成樹脂ということでされておりますが、1つは、ラッカーエナメルは色を合わせた後に板にスプレーで吹いて見本板を作成する、そういった作業も必要になっておりますので、ラッカーエナメルは含まれております。商品的には、確かにおっしゃるようにいろいろな素材があって、いろいろな塗料があるので、時代とともに変えていってもいいとは思いますが、技能者の検定そのものの技術には、それほど影響は出ないかなとは思います。すみません、説明になっているかどうか分かりませんが、以上です。
○黒澤座長 ありがとうございます。よく分かりました。今のお話で少し感じたのですが、マイスターの制度を作る際に、マニュアルやスキルアップの機会を組合の方々に与える方向で、今お考えということですが、受検者を増やすための具体的取組の中に、例えば、組合員の方にこの塗料調色の技能士を取るためにはどういうトレーニングをすればいいのかといったスキルアップの機会を御提供なさるようなお考えはありますか。
○増岡上席職業能力検定官 日塗商さん、いかがでしょうか。
○日本塗料商業組合(澤野) すみません、これは結構答えにくいですね。多分、私どもの支部によって結構違うのですが、調色技能検定用の講習会をやっている支部もあります。ですので、そういうものをもう少し支部ごとに広めていくというのもありかとは思うのですが、ただ、この講習会は、どちらかと言ったら学科試験のためのもので、御存じのように調色技能検定は筆記試験と実技試験とあるのですが、実技試験のための実技の講習会というのは今のところまだできていない部分があると思うので、これは課題かもしれないです。まだ全ての支部でやれるかどうかは、それこそ、ほかの団体の力を借りなければできないのか、もちろん各地区の能力開発協会さんと協議の上やらなければいけないのかというのはあると思うので、今は簡単に申し上げにくいところです。いずれにしても、筆記試験に関しては、一部そういうことをやっている所があります。
○黒澤座長 ありがとうございます。以上です。
○増岡上席職業能力検定官 ほかに御質問等はありますか。この後、団体の方々には御退室いただくことになりますので、団体に確認をしたいことについては、この段階で御質問いただければと思いますが。よろしいでしょうか。
○和田委員 和田ですが、ちょっと手を挙げるのが分からないので、ここで質問を1つよろしいでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 はい、お願いします。
○和田委員 今の研修の問題もあるのですが、検定委員を日塗商だけから今出しているというような話を聞いたのですが、今後、指定試験機関方式を採用することは考えておられないでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 日塗商さん、いかがでしょうか。そのようなお考えは。
○日本塗料商業組合(中山) すみません、今後のことはともかくとしまして、私の所は大阪になるのですが、大阪の検定の場合は、検定の試験官は日塗商のメンバーだけではなくて、日塗工の会員の方にも協力いただき、検定委員を出しております。隣の県ですが、兵庫県もそういった形でやっておられると聞いております。日塗商だけということではないです。ほかの団体にも協力は頂いております。
○和田委員 分かりました。ありがとうございます。
○増岡上晴職業能力検定官 指定機関の関係については、特段今のところは考えていないということでよろしいでしょうか。
○日本塗料商業組合(富田) 今現在は、議題には上がっていないという状況だと思います。今後どうなるかは全く未定です。ただいまのところは、そういう話は出ておりません。
○増岡上席職業能力検定官 はい、分かりました。ほかに御質問はいかがでしょうか。髙山先生、お願いします。
○髙山委員 髙山です。ちょっとお聞きしたいのですが、今の試験委員の話なのですが、メーカーの方が入るというようなことは今までにあるのでしょうか。塗料メーカーの方なのですが、この日本塗料工業会が塗料メーカーと考えればよろしいのですか。
○日本塗料商業組合(中山) はい、そうです。
○髙山委員 そういう方たちも入ってくると。
○日本塗料商業組合(中山) そうです。工業会のメンバーというのは塗料メーカーの方々です。
○髙山委員 その方たちが試験委員というか、そういう検定委員になっているのですね。
○日本塗料商業組合(中山) 試験の検定委員になっていただいております。
○髙山委員 そうしますと、この塗料調色の技能士の試験というのは、メーカーあるいは皆さんのような販売店の方たちが、主としては取っていく。実際に塗装をする塗装工、建設の現場の方、あるいは自動車の修理工場の方たちが、自らが調合して吹き付けたりするために、この技能士を取るというようなニーズは余りないのでしょうか。
○日本塗料商業組合(中山) いえ、板金塗装さんなども、自動車の補修のときにドア1枚タッチアップするなどということで、板金塗装工場で少量の塗装のために調色をしておりますので、受検者数はそちらにもかなりある、ニーズとしてはあると思います。ただ、それの告知が今までは少し足らなかったのではないかと思いますので、そちらには存在能力はかなりあるのではないかなとは思っております。
○髙山委員 追加でお聞きしたいのですが、どうやって分母を広げていくかという考えの中で、出してくる問題は、そうは言っても皆さん同じように受けるので、ある職種、例えば建設の塗料あるいは自動車の修理の塗料というものに偏るのではなくて、満遍なく皆さんが答えられるような問題になっているのでしょうか。
○日本塗料商業組合(中山) 塗料の調色に関しては、建築や板金というジャンルでそんなに分かれてはいないです。一般的に、塗料の色彩の差といったものや技術的なことになっておりますので、色による検定ですからジャンルによっての差はないので、受けるときの建築関係や板金関係という差はないと思います。
○髙山委員 やはり塗料の現場では、屋外、屋内で多分違うと思うのです。あるいは、使う機械によっても違ったり、それぞれその人が属する仕事によって有利、不利があるのかなと思ってお聞きしたのですが、そういうものはないような形での問題となっているのですね。
○日本塗料商業組合(中山) 恐らく建築関係をされている方でも、板金関係に従事されている方でも、ラッカーエナメルや合成樹脂など、扱う樹脂によって若干の差はありますが、調色する技能に関しては、それほど差は出てこないと思いますので、色ののぼりや扱いは多少違いますが、そういう差はないと思います。あと、先ほど言いましたように、板金さんの場合はスプレーで吹いたりということもありますので、ラッカーエナメルをガンで吹いて塗板を作成すると。塗板はきれいに上がっている、どのようになっているというのも、もちろん検定の点数に入っておりますので、そういったところの差は、どちらが有利とか、どちらの業種という差はなく、一般的な調色、色に関する技術の検定になっているので大丈夫だとは思います。
○髙山委員 ありがとうございました。個人的に、実は私はある塗装機メーカーの役員を長くやっていたもので、スプレーガンとか見てきましたが、建設と板金とでは随分塗装環境なども違っていたのでお聞きしたのですが、よく分かりました。ありがとうございました。
○日本塗料商業組合(中山) ありがとうございます。
○安達参事官 厚生労働省です。1点だけ、この統廃合を検討するに当たっては、この検定について、業界、雇用主等それぞれについての便益を基に検討することになっております。今日の御説明の中で、業界にとってのこの検定のメリットや、販売店にとってこの検定を取っていただくメリット、また消費者にとって調色という技能を取っていただくメリットはある程度分かったと思うのですが、受検者にとっては、この技能検定というのが1つの技能の目標になるということかなと、そう思いながら聞いていましたが、今度は、この受検者の方が技能検定を取ることによって、受検者にとってはどのような便益、メリットがあると考えられるのか。実際に検定を取られたという方も先ほどいらっしゃったと思うのですが、この技能検定を取ると、どのように受検者御本人にとってメリットがあると、受検者にとってメリットがあるというような説明ができるのかなというところをお聞かせいただければと思いました。以上です。
○日本塗料商業組合(富田) 調色技能士というのは、非常にニッチな世界でして、弊社も調色員が今3名いるのですが、もう1人ぐらい増やしたいなと思っています。例えば、調色技能士の資格を持っていた人が転職しようと考えた場合、これはかなり大きなメリットになると思います。やはり、例えば弊社で調色員を募集というと、まあまず応募は来ないのです。人材の採用という意味では、本当に苦労しているところなのです。仮に調色技能士の免許を持っている方がいたとして、その人が転職希望だと、本当に喉から手が出るほど欲しいぐらいのもので、そういった意味では、かなり強い武器になると思います。また、会社としても、調色技能士有資格者というのは非常に大切にいたしますので、そういった待遇面でも非常に有利に働く資格であることは間違いないと思います。以上です。
○安達参事官 ありがとうございます。
○増岡上席職業能力検定官 あとはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、ヒアリングについては以上で終了といたします。団体の皆様におかれましては、御対応ありがとうございました。御退室よろしくお願いいたします。
○日本塗料商業組合(富田) どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。失礼いたします。
                             (日本塗料商業組合退室)
○黒澤座長 どうもありがとうございました。では、このヒアリングの結果も踏まえて、議論を行いたいと思います。塗料調色の職種は、現在、通年で検定を実施しておりまして、第1次判断基準を下回ったことを踏まえますと、原則としては隔年実施となるものです。そのため、本検討会では、原則どおり隔年実施とするのか、それとも社会的便益に照らして通年実施を継続すべきかということ、その評価を行う必要がございます。
 この職種は、先ほどのグラフにもありましたように、1980年の新設当初は800人を超える受検者がありましたが、徐々に減少しまして、平成29年度以降は100人を切る状況が続いています。とは言え、第1次判断基準への不足というのは僅か2名ということです。そしてまた、減少傾向というのも、それほど顕著ではないということに加えまして、今の業界の方々の御説明によりますと、潜在的ニーズも見込めるということでした。業界としても、ホームページの利用などによって、会員やほかの業界団体の方々、非会員への丁寧な受検の勧奨を行っていくことですとか、塗料を行うほかの製造や塗装の団体に周知するなど、新たな受検者層の掘り起こしを行うということをおっしゃっていました。こういった状況ではございますが、皆さんの御意見を頂ければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。髙山先生、どうぞよろしくお願いします。
○髙山委員 今、お話をいろいろ聞いていると、僅か2名、100名を切りましたということで、これから一生懸命受検者の掘り起こしをされると思いますし、私は基準をクリアする可能性は十分にあるというように思っておりますので、隔年ではなくて、しばらくは続けられるのが良いと思います。
 1つ、これは事務局にお聞きしたいのですが、この検定の内容を少し広げることによって、もっと需要を掘り起こすことができるような感じがしました。塗料調色というのが、基本はそこだと思うのですが、先ほど言ったように塗装機械だとか、いろいろな要因を交ぜると、それについて手を挙げるような方たちも増えてくるような気がしましたのですが、それというのは難しいのでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 どのような検定職種もそうですが、時代とともに技能の内容は変わってくることもございますので、そういった中では、試験問題の見直しであるとか、さらには細目等の見直しということもあり得るものだとは思っております。ただ、そこはすぐにということかどうかというのはありますので、引き続きそこは課題にしつつ実施していくものだというように考えています。
○髙山委員 ありがとうございます。是非、そこを広げていただくと、もっと人が増えるのではないかとの感想を持ちました。
○黒澤座長 ほかにございませんでしょうか。和田先生、どうぞ。
○和田委員 私は隔年がいいのではないかということが1つあります。先ほどいろいろ聞いていましたが、まだまだ日塗商以外のところの拡充が足りない気がしています。そういうところも広げながら、しばらく様子を見たほうがいいのではないかと思っています。
○黒澤座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。松留先生、お願いします。
○松留委員 私は、条件付きでこのまま毎年やるのがよさそうかなと思っています。条件付きというのは、過去の例で余りよく覚えていないのですが、あるいはそういう規定があるのか。毎年やるということになって、例えば来年に画期的に増えればいいのですが、そうでもなくて増えなかった、そして、平均値が100を切ることがまた続いたということになった場合には、もう一回俎上に載るということなのでしょうか。その辺りのことを条件にして、毎年やるという方向で認めるというのがよろしいかなと思いました。後半のほうは質問です。100人を超えていくようであれば問題ないと思うのですが、そうでない場合の条件付けの仕方がよく分からない、単純にやればいいのかどうかは検討が要るかなと思いました。以上です。
○増岡上席職業能力検定官 条件の付け方というのは、その都度検討しているもので、一律ということではないと思います。1つは、団体としての取組を条件に付けるということと、実際にそれで実施してみて、その後、受検申請者数がどのように推移するのかについて、これは職種の状況等によってまた検討しなければなりませんが、一定の条件を付けて、その条件も更に満たさないということになれば、改めて統廃合の俎上に載ってくるということになろうかと思います。
○松留委員 ということであれば、何かの条件を付けて、受検者が増えるだろうということを期待しながら、そうでもなければ、ある条件の下にもう一回俎上に載せて、隔年にさせていただくという形で議論を進めるのはどうでしょうか。これが私の意見です。以上です。
○黒澤座長 ありがとうございます。大木先生、お願いします。
○大木委員 コロナの影響もあるし、また、団体として、努力不足の点はあるのですが、今後、努力するというお話を伺ったので、来年度の様子などを見ながら検討したらどうかというのが、私の意見です。以上です。
○黒澤座長 ありがとうございます。ということは、大木先生も、どちらかと言うと、先ほどの今後の受検者数などの条件を課した上でなら、今のところは現状維持ということでよろしいですか。
○大木委員 今日のお話しの中で、努力することを約束されたと思うので、努力の様子を見て考えたほうが良いと思います。あと、コロナの影響もあるし、試験については、大きな会場を確保しなければならないなどということもあると思います。、来年は、コロナもかなり落ち着くと思うので、団体の今後の努力の問題と、コロナの影響を見て、黒澤座長がおっしゃった形でどうでしょうかというのが、私の意見です。以上です。
○黒澤座長 ありがとうございます。金子先生、お願いします。
○金子委員 これまで隔年になって、また毎年に変更というものはあったのでしょうか。これは質問です。結論的には、まだコロナの影響もありますし、組合さんのほうでいろいろ努力されるということなので、当面は毎年やっていただいて状況を見たほうがいいかなと思います。万が一、隔年になって増えてしまって毎年になるというものはあるのかなというのは、事務局への御質問です。そういう意味で、いかがでしょうか。
○増岡上席職業能力検定官 通年から隔年、3年ごとと落ちていって、上がったという例は、今のところはないのかなという感じではあります。ただ、一旦落としたものの受検者数が増えてきているというお話で相談を受けているものもありますので、逆に3年ごとから隔年、隔年から通年へと戻していくようなことについても、基準などをどうしていくかということについては、今後、御相談をしたいというように考えているところです。
○金子委員 もう1つです。技能検定ですから、国家試験で格式が高い資格だと思うのですが、あそこの業界で、そういうものを取ったときに、例えば大学ですと、資格試験を取って、民間よりは国家試験のほうが格上のようになっていて、奨励金とか、そういうモチベーションアップのものがあるのですが、そういうものはあるのでしょうか。質問をし忘れてしまって、すみません。また後で聞いていただくことができれば、聞いておいていただければ有り難いなと思います。
○増岡上席職業能力検定官 後ほど確認させていただきます。
○和田委員 1つよろしいでしょうか。先ほどもありましたし、今、先生がおっしゃったように、会社として、取ったらどれだけのメリットがあるかということは重要だと思うのです。先ほどのお話では、転職するのにいいというような話だったのですが、そうではなくて、自分の所でどのように待遇を改善させているのかというところを知りたいということがあります。
 それから、黒澤先生がお聞きしておられたのですが、教育体系、研修とかそういうものが、何となく支部任せで、全体的な中ではやられていないような気がするのです。できれば、今後、それも受検者のためにもやっていただきたいと思っております。以上です。
○黒澤座長 大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。皆様の御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
 そうしましたら、努力をすることが条件という形で、当面は現状維持で様子を見ましょうというような方向性で、大体、皆様の御意見は一致したと理解しております。私自身も、そのように思います。つまり、本検討会としましては、社会的便益の観点から現状維持ということで、今の時点では通年実施を認めるという方向でよろしいでしょうか。そのときに、ある程度の具体的な条件を課すということについては、先ほどからの御意見では、社内での待遇はどうなっているのかをお伺いするということと、何らかの付加価値を高めるような、検定内容の拡充や、研修の活動の充実などをしていただきたいと。そして、ほかの業界団体への声掛けなどといったことにも取り組む努力をしていただきたいということです。その結果として、また年間の受検申請者数が100人を切る状況が続いた場合には、こういった統廃合の検討俎上に再度上がると。そのようなことで、次回までに事務局のほうで取りまとめをお願いするということで、よろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○黒澤座長 では、そのような形にしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局より、今後の予定について説明をお願いします。
○増岡上席職業能力検定官 資料3を御覧ください。スケジュールについて記載しております。10月15日、本日の検討会です。この後、パブリックコメントに進んでいくことになりまして、それを経て、一応、来年の2月と書いておりますが、第2回の検討会を開催し、結論を得たいと考えております。それを踏まえて、年度内に報告書を作成・公表といった流れになります。
 また、資料4ですが、パブリックコメントについての案ということで掲載しています。社会的便益を検討するという観点から、広く意見募集を行うというもので、基本的には特段せず、フラットな感じでの意見募集という形を予定しております。添付資料等については、例年、こういった検定の概要などを付けているものですので、ここでは御説明いたしませんが、こういった内容でパブリックコメントを進めていくということですので、御承知おきいただければと思います。以上です。
○黒澤座長 そうしましたら、本日の議論、また、これから実施するパブリックコメントを踏まえて、次回に結論を出したいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 議題2に移ります。議題2は、コロナ禍での第1次判断基準の考え方ということです。事務局より御説明をお願いします。
○増岡上席職業能力検定官 資料5を御覧ください。これは、昨年の検討会の中で保留になっていた部分です。令和2年度については、特にコロナの影響もあって、かなり通常とは異なる、イレギュラーな受検申請者数となっております。この部分を第1次判断基準でどう扱うのかということです。基本的には、令和2年度を除いて評価すべきというように考えますが、ただ単純に除いてしまいますと、対象とする実施回数がばらついてしまうということがありますので、そこを一律にするために、今回案としてお示ししたものです。
 通年実施については過去6回分、隔年については過去3回分、3年ごとについては過去2回分を評価していたことを踏まえまして、通年実施の場合については、令和2年度を除く直近の過去6か年分の平均受検申請者数、隔年、3年ごとについては、それぞれ令和2年度を除く直近の過去3か年分、あるいは過去2か年分の平均受検申請者数とするということで、提案させていただくものです。下の場合、実施年度の組合せによって、どの実施年度を評価の対象にするかということでパターンが分かれますので、隔年と3年ごとのものについて、それぞれパターンごとに示したものということになります。説明は以上です。
○黒澤座長 この方針について、何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、こちらでOKということで進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
 そうしましたら、次からは報告事項です。まず、議題3の令和3年度技能検定実施状況についてということで、事務局からお願いします。
○真下係員 能力評価担当参事官室の真下と申します。よろしくお願いします。今回、令和3年度の技能検定の実施状況を、今年度の8月5日に報道発表した資料6を用いて御説明いたします。
 令和3年度については、技能検定受検申請者数は97万2,416人、合格者数は36万8,036人となり、こちらはどちらも過去最高の数字です。本来であれば、前年度である令和2年度と比較するところですが、令和2年度は検定が前期中止になったというところもあり、通年で実施された令和元年度との比較とさせていただいております。
 下の四角の中を御覧ください。申請者数は97万2,416人で、令和元年度に比べて約10万人の増加となっております。合格者についても36万8,000人で、令和元年度から約4,000人の増加となっております。昭和34年度の制度開始から令和3年度までで、延べ800万5,382人の方が技能士となっているということになります。職種別で見たときに申請者数が一番多いものについては、ファイナンシャル・プランニングの61万9,650人で、3分の2ぐらいを占めていることになります。等級別で最も受検申請者数が多い等級は2級で、約40万人となっております。
 次のページを御覧ください。こちらは、令和3年度単年の中で、級別に分けた表です。先ほど申し上げたとおり、コロナによる影響が大きく、基礎級については、入国の1年目に受検するということで、入国制限があったため、令和元年度に比べてかなり人数が減っているところです。ですが、定期級、例えば2級であり3級、また、入国2年目、3年目に技能実習生が受検する随時3級については、令和元年度に比べても増加が見られております。次のページは、今申し上げた級別のものをグラフにしたものなので、割愛させていただきます。
 次です。今、等級別を申し上げたのですが、職種別に分けたものが23ページです。級別を1つずつ説明すると長くなってしまうので、全等級の統計の所だけを御紹介します。1位がファイナンシャル・プランニングで61万9,650人で、令和元年度と比べても30%の増加となっております。そこから、機械保全、機械加工、とび、機械検査と続いていっているということになっています。等級別に関しては割愛させていただきます。
 次のページ、その次のページにおいては、令和3年度の職種別の更に細かいデータとなっております。過去6年間を載せておりますが、こちらも1つずつの御説明は割愛させていただきます。
 最後ですが、こちらは、委員の先生方に資料をお送りした後に追加の項目がございましたので、画面を御覧ください。過去5年間の職種・作業の新設状況についてです。令和5年度からは、もともと電気機器組立て職種の中にシーケンス制御作業というものがあったのですが、それが独立してシーケンス制御職種となっております。もう1つ、令和5年度に変わるものとして、放電加工職種というものの名称が変わりまして、非接触除去加工職種となり、その職種に、更にレーザー加工作業というものが追加されております。令和5年度から、この2職種及び作業については実施される予定です。令和3年度の実施状況及び今後の日程については以上です。
○黒澤座長 今の事務局からの御説明について、御意見、御質問などはございますでしょうか。ファイナンシャル・プランニングなどは、巣ごもり需要で、受検者が増えているということでしょうか。
○宇野主任職業能力検定官 日本郵政が会社を挙げて取り組むような方針を打ち出したことで、そこの受検者がかなり増えているということです。
○安達参事官 おっしゃったとおり、コロナ対策という中で、営業がかなり制限されるという中で、社としてファイナンシャル・プランニングの資格取得に取り組んでいただいたという要因が大きいです。
○黒澤座長 素晴らしいことです。何かございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 そうしましたら、そのほか事務局から何かございますか。
○吉村職業能力検定官 本日の議事録については、1月中をめどにしたホームページを公表したいと思いますので、議事録案が仕上がり次第、先生方にはメールで確認依頼をさせていただきますので、その際には御協力をお願いいたします。以上です。
○黒澤座長 これで本日の議事は全て終了いたしましたので、進行を事務局にお戻しします。皆さん、御協力ありがとうございました。
○吉村職業能力検定官 本日はありがとうございました。最後に、主任職業能力検定官の宇野よりお礼の御挨拶を申し上げます。
○宇野主任職業能力検定官 本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございました。活発な御議論をありがとうございました。今回、議論させていただいた塗料調色については、先ほどスケジュールのところで述べさせていただいたとおり、パブリックコメントを行いまして、2月中に第2回検討会を開催し、方向性を検討させていただきたいと考えておりますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○吉村職業能力検定官 本日の検討会はこれで終わります。ありがとうございました。