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第352回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録
日時
2022年(令和4年)12月22日(木) 10時00分~
場所
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)
職業安定局第1会議室(12階)
出席者
- 公益代表委員
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- 小野 晶子
- 山川 隆一(部会長)
- 労働者代表委員
-
- 冨髙 裕子
- 永井 幸子
- 奈良 統一
- 使用者代表委員
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- 佐久間 一浩
- 佐藤 英毅
- 田尻 久美子
- 平田 充
議題
- (1)労使協定書における賃金等の記載状況について(一部事業所の集計結果(令和4年度))(公開)
- (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
- (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)
議事
- 議事内容
- ○山川部会長 おはようございます。ただいまから、「第352回労働力需給制度部会」を開催します。本日は、公益代表の原委員及び松浦委員、労働者代表の相羽委員が所用により御欠席、小野委員、冨髙委員、奈良委員、佐藤委員及び田尻委員がオンラインでの参加となっております。
本日は、議題(1)「労使協定書における賃金等の記載状況について(一部事業所の集計結果(令和4年度))」を御議論いただきまして、その後、許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するということで、非公開となっています。
それでは、議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。議題(1)「労使協定書における賃金等の記載状況について」、事務局から説明をお願いします。
○村上補佐 事務局の村上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、資料1を御覧ください。こちらの資料につきましては本年8月の部会におきまして、労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知、いわゆる一般賃金通達に係る説明の際に一般的なスケジュールとしてお示ししたものですが、本日はこの赤で囲んでいる部分について御報告させていただきたいと思います。
資料2を御覧ください。こちらが今回、御報告させていただくものになります。昨年度も同様に御報告させていただきましたが、今回は令和4年度の集計結果になります。この集計結果につきましては、本部会後に厚生労働省のホームページに掲載し公表いたします。
資料2の1ページ目を御説明いたします。囲み上段にございます集計の概要ですが、本集計につきましては、労働者派遣法第23条に基づき、派遣元事業主に提出を求めている「労働者派遣事業報告書」及び当該報告書に添付された労使協定書から、一部事業所を抽出し、賃金の記載状況等を集計したものになります。抽出方法につきましては、囲み部分の中段辺りにございます抽出方法の記載のとおりで、昨年度と同じ抽出方法になります。
資料の説明に入らせていただきます。1ページ目、1選択している待遇決定方式についてです。こちらにつきまして派遣先均等・均衡方式が5.2%、労使協定方式が88.6%、併用が6.2%となっています。
続きまして2ページ目です。この2ページ目から8ページ目までが、2労使協定書の賃金(基準値0年)の記載状況になります。こちらにつきまして昨年度と同様、抽出された事業所の各労使協定書上に記載された、基準値0年の下限額の集計を行っているものです。例えば労使協定書に1,000円からなどと幅を持った記載がある場合につきましては、1,000円として集計しています。このため、当該集計の結果につきましては実際に派遣労働者に支払われた賃金額ではなく、あくまで労使協定書に記載されている協定賃金の額の状況であるということに御留意いただければと思います。なお、一般賃金の算出に当たっては、地域の物価等を反映するため地域指数というものを乗じていますが、本集計では抽出した事業所の地域性を除去するために、この地域指数を100で換算し集計しているところです。
また、集計に関して職業分類については厚生労働省編職業分類に基づく中分類の区分で整理しています。なお、賃金構造基本統計調査の職種が記載されている労使協定書につきましては、これに対応していると考えられる厚生労働省編職業分類の中分類で集計しています。その上で、職業分類ごとに平均額、最大値、中央値、一般賃金との差額の平均値、職業安定業務統計、賃金構造基本統計調査等の使用割合を記載しているところです。なお、集計において必要なサンプルサイズを満たしていない職業につきましては、-(バー)表示とさせていただいています。個々の職業分類の数値につきましては、大変恐縮ですが、本年8月の部会で御説明しました代表的な3職種である、情報処理通信技術者、一般事務員、製品製造・加工処理に絞って御説明いたします。
まず、2ページ目の下にございます、10情報処理・通信技術者の労使協定書の賃金の記載状況について御説明いたします。こちらの平均額につきましては1,396円となっており、平均額の3つ右の覧に記載している一般賃金水準との差額の平均値は+56円、そして最大値は2,027円、中央値は1,340円となっています。
次に、3ページ目の一番下を御覧ください。25一般事務員です。一般事務員につきましては平均額が1,075円、一般賃金水準との差額の平均値は+17円、最大値は3,352円、中央値は1,047円となっています。
6ページ目の真ん中辺りを御覧ください。54製品製造・加工処理です。こちらにつきまして平均額は1,048円、一般賃金水準との差額の平均値は+15円、最大値は1,593円、中央値は1,034円となっています。
9ページ目の上段ですが、3 能力・経験調整指数の選択状況を御覧ください。能力・経験調整指数につきましては能力及び経験の代理指数として算出したもので、能力・経験調整指数の0年を選択している割合は94.7%、3年が70.3%、10年が75.7%と割合は高くなっているところです。
次に、中段の4 地域指数の選択状況を御覧ください。こちらの地域指数につきましては地域の物価等を反映するため、一般賃金の一般基本給・賞与等の額に乗じる指数です。都道府県別を選択している割合が75.9%、公共職業安定所管轄別が16.0%、これらを併用している割合が3.9%となっています。
続きまして、下段の5 通勤手当の支給状況を御覧ください。こちらにつきましては実費支給が86.3%、定額支給が4.6%、時給等に合算して支給しているのが4.2%となっています。
10ページ目の上段ですが、6 退職金の支給状況を御覧ください。退職金の支給につきましては退職金制度によるものが28.3%、退職金前払いや時給などと合算して支払うものが56.4%、中小企業退職金共済制度等によるものが6.5%となっています。
続きまして、中段の7 賃金の改善の状況を御覧ください。この賃金の改善状況につきましては、高度な就業機会の提供が72.4%、昇給によるものが60.8%、別手当の支給によるものが34.9%となっているところです。次に、下段の8 締結主体・有効期間を御覧ください。労使協定の締結主体につきましては、労働組合が6.5%、過半数代表者が93.5%となっています。また、有効期間につきましては、1年が74.3%、2年が21.8%などとなっているところです。この有効期間につきましては画一的な基準を設けることはしていませんが、一般賃金を示している一般賃金通達では、2年以内にすることが望ましいとしているところです。
引き続き資料3について御説明いたします。令和4年10月4日の新しい資本主義実現会議(第10回)において、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の実施についての総合経済対策の重点事項が示された中で、非正規労働者の賃金改善のため、同一労働同一賃金制の遵守を徹底する。そして、非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、同一企業内における正規と非正規との不合理な待遇差を禁止する同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条、労働者派遣法第30条の3、第30条の4等)の施行に関し、47都道府県321箇所に設置された労働基準監督署においても、新たに、同一労働同一賃金の遵守を徹底する。と盛り込まれました。また、その下段ですが、令和4年10月28日に閣議決定された、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策においても、非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、同一労働同一賃金の遵守を一層徹底すると盛り込まれたところです。
2ページ目を御覧ください。このように総合経済対策に同一労働同一賃金の遵守の徹底が盛り込まれたことを受け、パートタイム・有期雇用労働法による指導権限を有する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)と同様に、都道府県労働局需給調整事業課(室)においても、労働基準監督署との連携による取組を令和4年12月1日から開始しました。これまでの派遣先への指導監督につきましては、まずは派遣元事業所に対して指導監督を行い、その中で派遣先について派遣法違反の疑いがある場合に指導監督を行うというのが、一般的なスキームでした。今回の労働基準監督署との連携による取組では、派遣元事業所を介さずに労働基準監督署の定期指導等において、同一労働同一賃金に関する確認を行い、派遣労働者の待遇等の状況について企業から情報提供を受けることにより、需給調整事業課(室)による効率的な指導監督となり、同一労働同一賃金の遵守の徹底を図るというものです。開始時期につきましては、先ほど御説明のとおり12月1日から開始しており、引き続き同一労働同一賃金の確保に努めていきたいと思います。以上、御報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。Zoomで御参加の委員は、Zoom内の手を挙げる機能をお使いただくか画面に映るように挙手をお願いいたします。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 御説明ありがとうございました。私からは最後に説明いただいた資料3の2ページの所でコメントしたいと思います。同一労働同一賃金の徹底ということで、本来、受けるべき待遇を受け取ることができないとか、不合理に不利益を被らないと考えますので、この非正規雇用労働者の待遇改善を図るための法令遵守を徹底していこうという取組には賛同したいと思います。その上で1点、質問をさせてください。この図の中にある都道府県労働局長による助言・指導等というのは、今、年間、大体どれぐらいあって、増えているとか減っているといった推移と言いますか、傾向値というのはどのようになっているのか教えてもらうことはできますでしょうか。
○山川部会長 ありがとうございます。この点はいかがでしょうか。
○村上補佐 事務局です。令和3年度の指導結果、指導実績ですが、派遣元につきましては1万5,000程度、派遣先については2,400程度でございます。
○山川部会長 佐藤委員、何かございますか。
○佐藤委員 分かりました。1万5,000とか2,400でしたか、ここは増えているとか減っているとか、そういう傾向値みたいなものはありますか。
○村上補佐 増加傾向です。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。そうすると、こういう取組を進めるということで、この御説明いただいているスライドのように既存の取組に加え、色を追加した取組が追加されるようになると思うので、多分、この1万5,000とか2,400といった数字を一概に比較することは、今後、できなくなってくるかなと思いますけれども、法令遵守の徹底によって先ほどの2,400が減少していけばいいかなと思っています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はございますか。永井委員、お願いします。
○永井委員 ありがとうございます。意見になりますが、同じスライドの同一労働同一賃金の徹底の所で意見を申し上げます。労働基準監督署との連携につきましては、非正規雇用労働者、特に派遣労働者の同一労働同一賃金の前進に一定程度寄与するものと受け止めています。当然ながら連携だけでは処遇改善は図られないと考えています。監督署から提供された情報に基づき、確実に助言・指導等を行うことが重要であると考えていますし、派遣労働者の処遇改善に向け体制整備を含め、しっかり取り組んでいただきたいと思います。特に「⓶の施策の概要」に「キャリアアップ助成金等を活用」とありますが、キャリアアップ助成金は、一定の予算が確保されているにもかかわらず、コースによってはなかなか使われていないものもあると聞いていますので、是非、これらの活用や周知もお願いしたいと思っています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。私のほうは資料No.2です。こちらの集計結果について1点質問ですが、準備をしていただいた職業安定統計の各職種というか、そこの基準値の額と、今回、算出いただいた中央値の額というのは、加重平均になると思いますが、これを全部足し上げると平均的な額というのは幾らになるのか教えていただけますでしょうか。この金額は、基本的に派遣についての最低賃金といっても良い金額であることから教えていただきたいと思います。
それから、資料No.3の労働基準監督署との連携についてです。先ほど佐藤委員もおっしゃったところですけれども、労働基準監督署、各労働局の需給調整事業課は実際に人数も少なくて、こういう制度は非常によろしいと思いますが、どのくらい回っているのかというご発言もありました。数が多い中で、また、ほかの事業も各分野で周知とか、事業の説明を労働局は求められている中で、本当にこれだけのものが実際にこなせるのか。こなすことができればよろしいと思いますが、かなりの御負担になってしまうと思います。職員の増員ができれば良いのですが、本当に増員できるかどうか。その辺の実効性を伺うのは申し訳ないところですが、これからの巡回や連携の方針も含めて教えていただければと思います。
○山川部会長 ありがとうございました。2点、御質問を頂きました。事務局からいかがでしょうか。
○村上補佐 事務局です。先ほどの中央値の平均値ですが、数字のほうは具体的なものがございませんが、中央値と参考値として記載しております一般賃金の額がほとんど同額となっています。労使協定書に記載している額につきましては、一般賃金通達の額をそのまま記載している事業所が多い状況です。昨年度も御指摘を頂いたところですが、中央値が一般賃金と貼り付いていることは問題ではないかという御指摘がございましたので、今年度及び令和5年度の一般賃金通達につきましては、これまでの一般賃金の最大値もお示しするなど複数の数字をお示ししながら、それも参考にしていただくような取組をしているところです。
○篠崎課長 需給調整事業課長です。体制が限られた中で同一労働同一賃金をこなせるのかという御趣旨だと思います。これにつきましては、今までなかった端緒を見つけるということで手法が多様化するという意味があると思います。その上で、もちろん全部の事業所に行くということではありませんで、その中で違法の疑いが高い所などを選別しながら行くということですし、既存の取組もやりながら上乗せの施策ですので、今言ったように法令違反の疑いが高い所を選択して行くことになると思います。
また、こういうことで回って、そのときにはチェックリストを配布してチェックしていただいたり、それを回収して生かすということですので、それをしていく作業の過程で法令の周知なり認識を深めることになります。普段、なかなか周知が届かない所に監督署が回ったときに周知をするという効果もありますので、指導監督ではなくて予防というような効果もあろうかと思っていますが、いろいろ工夫しながらやっていきたいと考えています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。佐久間委員、何かございますか。よろしいですか。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 御説明いただきありがとうございました。労使協定書の賃金等の記載状況につきまして、職業安定業務統計が実質的な最低賃金になっているような職種が依然として少なくないと考えています。労働組合としましては、職業安定業務統計を上回る賃金で労使協定を締結するような取組も進めていますし、先ほどの説明でもございましたけれども、この間の部会での労働側の意見を踏まえ、最大値を示していただくなど、様々な取組を行っていただいていますが、処遇改善を促すために、是非更なる後押しをお願いしたいと思います。また、労使協定の締結主体の9割以上が過半数代表者とありますが、こうした内容を踏まえると、適切な過半数代表者の選出や労使協定が不適切である場合は派遣先均等均衡方式が適用されること、また、労使協定で定めた賃金の引下げは不利益変更に当たる場合があるということも含めて、適正な対応がなされるように引き続き周知、指導をお願いしたいと考えています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はございますか。よろしいでしょうか。種々、御意見等を頂きましてありがとうございました。ほかにございませんようでしたら公開の議題はここまでとさせていただきます。