第24回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年12月6日(火) 13:30~16:00

場所

web会議
(AP新橋:東京都港区新橋1-12-9新橋プレイス3F)

出席者(五十音順)

議題

(1)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)(案)について

議事

(議事録)
2022-12-6 第24回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第24回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに事務局より、本部会の取扱いについて御説明いたします。
 本部会の議事につきましては公開となってございますが、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方々におかれましてはくれぐれも御注意のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、会場の報道関係者の皆様におかれましては、恐縮ですがカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 事務局より1点御連絡でございます。
 大臣官房審議官の本多につきましては、他の公務のため、遅れて参加予定となります。あらかじめ御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、以降の進行を菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 菊池でございます。
 皆様、大変お忙しい中、本日も御参加いただきまして、ありがとうございます。
 本日、大変重要な回でございますが、私は会場に行くことができませんで、オンライン参加となりますことをどうかお許しください。事務局と協力しつつ、円滑に進めてまいりたいと存じます。また、会場におられます新保部会長代理のお力もいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 本日の委員の皆様の出欠状況ですが、池永委員、長島委員から欠席の御連絡をいただいております。
 また、岡﨑委員は途中退席と伺ってございます。
 また、内堀委員の代理として、福島県保健福祉部生活福祉担当次長、和田参考人、大森委員の代理として、岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長、出原参考人、岡﨑委員の途中退席後の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長、入木参考人にお越しいただいております。お三方の御出席につき、御承認いただけますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入らせていただきます。
 本日は、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)についてでございます。
 前回から引き続き、中間まとめ(案)について議論を行います。今回御確認いただく資料は、前回の部会における委員の皆様からの御意見等を踏まえて加筆修正をされてございます。
 本日の進め方ですが、まず、事務局から中間まとめ(案)の主な修正箇所を中心に御説明いただきます。その後、意見交換の時間を設け、委員の皆様から御意見をいただきたいと考えております。
 中間まとめについては、できれば今回の部会にてまとめたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。
 また、前回の私の求めに応じて、資料2「生活困窮者自立支援法と地域共生社会について」という資料もおまとめいただいておりますので、こちらについても御説明をお願いできればと思っております。
その後、意見交換に入りますが、タイミングを考えながらですが、基本的には一度休憩を挟ませていただく予定でございます。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 まず、資料1「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)(案)」の説明をいたします。前回の部会において、この中間まとめについて御意見をいただいたことを踏まえまして、加筆修正をしております。時間の都合上、主な箇所を中心に説明をさせていただきます。
 初めに、1ページの「I 基本的な考え方」の部分です。
 1ページの16行目辺りですが、前回、生活困窮者自立支援制度と地域共生社会の関係について部会長から御発言がございました。これを踏まえまして、地域共生社会の実現として○を2つ追加いたしました。すなわち、生活困窮者自立支援制度では、平成30年改正法により、生活困窮者本人の尊厳を保持した包括的かつ早期の支援、生活困窮者支援を通じた地域づくりといった制度創設以来の基本理念が明文化されたほか、生活困窮者の定義規定に「地域社会との関係性」との文言が加わり、社会的孤立への配慮が明確化された。
 また、さらに、こうした法改正の動きを受け、社会福祉を目的とする事業の基本的共通事項を定める社会福祉法にも、令和2年の改正により、「地域福祉の推進は地域共生社会の実現を目指して行われなければならない」旨の規定が創設されるなど、生活保護制度を含む他の福祉分野においても「地域共生社会」の理念が広がっている。
 そして、両制度の今後に向けた議論に当たっても引き続き地域共生社会の理念を大切にし、これを基本に据えていくことが重要であるなどといった記載をしております。
 なお、この部分に関しまして、先ほど部会長からもお話がありましたが、本日、資料2を提出しておりますので、これについては後ほど補足の説明をさせていただきます。
 続いて2ページの12行目を御覧ください。前回の中間まとめ(案)の記載に対して、生活困窮者自立支援制度が生活保護申請の水際対策となったような表現をすべきではないという御意見がありました。このため、今般の新型コロナの影響下でもリーマンショック当時ほどの被保護者数の増加が見られなかった背景として、雇用調整助成金等の支援策が集中的に講じられた影響もあると考えられるということを記載した上で、一方で、生活保護をためらうような意識があるのではないかという指摘については留意する必要があるという旨を記載しております。
 同じく2ページの28行目でございます。様々な調査研究等によるエビデンスも踏まえつつ、議論を行ったということ。また、その際には、生活困窮者や被保護者が抱える困難や支援ニーズは、それぞれの制度の枠組みを超えて広がっていることを踏まえ、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度の内側に必ずしもとどまることなく、制度の外側にある他制度との連携の促進についても、支援の質や量を充実させる観点から重視してきたといった旨を記載しております。
 続いて3ページからの「Ⅱ 各論」の部分でございます。
 3ページの12行目でありますが、特例貸付の償還に係る相談支援の対策強化について言及すべきという御意見をいただきまして、これを踏まえて、今回の新型コロナ感染拡大の対応のための特例貸付により、社会福祉協議会や自立相談支援機関が多くの生活困窮者とつながったこと、特に令和5年1月以降、特例貸付の償還が順次開始する中で、償還に困難を抱える者に寄り添い、その自立に向けて必要な支援や相談支援体制の強化を行うことが求められていることを記載しております。
 4ページの8行目でございます。自立相談支援機関の機能強化に関し、適切な人員体制の確保というところの前に、「地域の実情に応じて専任職員の配置も含めた」を追記いたしました。また、例えば社会福祉士等といった専門性を有する人材を活用すること、適切な人員配置を行うための指標を示していくことといった文言を記載しております。
 4ページの22行目でございます。生活困窮者自立支援制度の周知に関しまして、よりそいホットライン、自殺対策の電話やSNS相談等の既存の相談ツールからも生活困窮者自立支援制度につながるように連携・協働を図ること、ウェブサイトやSNS等の多様なオンラインツールを活用することで若年層や子育て世代にアプローチすることも効果的であること、また、こうしたオンラインツールを利用しない中高年齢層に対する周知広報も重要であることを記載しております。
 同じく4ページの34行目であります。今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響かにおける経験も踏まえて、非常時における支援体制のあり方について、それぞれの地域の実情に応じて継続的に考えるよう促すことも重要であると追記をいたしております。
 5ページの27行目でございます。自立相談支援事業における関係機関との連携に関して、困窮制度が本当に断らない相談になっているか検証を行うこととともに、どうすれば断らない相談が実現するのかといったことについて議論すべきとの御意見をいただいておりました。
 これを踏まえて、全国各地でいわゆる断らない相談支援に向けた取組が進むよう、幅広く実情の把握や検証等を継続的に行うといった旨を記載しております。
 続いて、少し飛びまして14ページの19行目であります。被保護者に対する家計改善支援等に関しまして、地域によっては日常生活自立支援事業の待機者が生じている旨を記載しております。
 また飛びまして17ページの12行目になります。生活保護受給中の子育て世帯全体への支援に関しまして、高校卒業後の進路の選択、主として職業訓練の受講についても言及すべきといった御意見をいただきましたので、その旨を追記しております。
 19ページの18行目を御覧ください。生活保護世帯の大学等への進学の支援に関する基本的な考え方として、○を2つ追加しております。生活保護世帯の子どもが大学等への進学について意欲を持ち、その希望ができるだけかなうよう支援することが重要である。これは、貧困の連鎖を断ち切り、子どもの自立を助長することにもつながるものである。このため、生活保護制度においても、大学等への進学を支援するため、進学準備給付金の支給に加え、世帯分離をして大学等に通う場合に住宅扶助を減額しない措置や、被保護者家計改善支援事業等で引き続き支援をする必要があると記載しております。
 21ページの16行目でございます。無料低額宿泊所等のあり方についても検討すべきという御意見をいただきましたので、その旨を記載しております。
 続いて23ページの5行目でございます。生活困窮者住居確保給付金のあり方に関しましては、前回の部会でも様々な御意見をいただきました。2つ目の○以降が新たな記載となります。すなわち8行目以降になりますが、職業訓練受講給付金との併給と求職活動として、自治体の公的な無料職業紹介窓口への求職申込みを認める取扱いについて、また次の○ですが、休業等に伴う収入減少により受給している者のうち自営業者やフリーランスに係る求職活動要件について、次の○の給付金の再支給について、次の○のその他「離職・廃業後2年以内」の要件や、収入の算定方法における児童扶養手当、児童手当等の取扱いの見直しについて、それぞれ追記をいたしております。
 25ページ、32行目でございます。被保護者の居宅移行支援に関して、移行元との関わり等について整理すべきといった御意見がありました。このため、生活困窮者一時生活支援事業の地域居住支援事業の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討を進めていく際、次からが新しい記載ですが、移行元の日常生活支援住居施設等が当該事業の委託先となることも考えられるといった旨を追記しております。
 続いて29ページの13行目まで飛んでいただきます。医療扶助に関する都道府県等の関与に関して、都道府県の体制支援に係る御意見がありました。それを踏まえまして、市町村への支援機能を都道府県が十分に果たすことができるよう、国としても好事例の把握やその横展開など、都道府県に対する支援に取り組むことが重要であるといった旨を記載しております。
 31ページの25行目でございます。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携に関して、自立概念などの両制度に共通する理念の徹底や研修等の実施についての御意見がありました。このため、いわゆる重なり合う支援を進めていく上では、両制度が共通の理念とする地域共生社会の実現や本人の自立を支援するという制度目的等が両制度の関係者に徹底されていくことも重要であること、地域の実情に応じて両制度で連携して研修を実施することについて記載しております。
 なお、研修の実施については35ページの5行目の生活困窮者自立支援制度における人材養成研修の部分でも同様の記載をしておりますので、後で御覧いただければと思います。
 続いて32ページの11行目であります。自殺対策や孤独・孤立対策といった関連施策と生活困窮者自立支援制度の関係についての記載を充実させております。
 最後に、39ページからの「Ⅲ 今後に向けて」の部分でございます。
 こちらは、今後、この中間まとめで整理した方向性等も踏まえながら、よりよい制度の構築に向けての検討を進めていくに当たり留意すべき点等について、新たに記載をいたしました。主な部分のみ読み上げさせていただきます。
 まず、40ページの5行目になりますが、生活困窮の端緒を適切に捉えることができるような体制の構築、制度利用につなげられるような周知・広報等の工夫、これらの支援の基盤となる地域づくりなどにも継続的に取り組んでいくことが重要である。
 9行目からでありますが、生活保護制度については、いわゆる「利用しやすく自立しやすい制度」を目指すべきであるという意見があり、保護が必要な方に対して、適切かつ速やかに保護を行えるようにしていくことが重要である。このため、その申請が制度の内容や実態に関する不正確な理解や先入観からためらわれてしまうことしまうようなことがないよう、制度の意義や必要性などについて、一人でも多くの方に分かりやすく、かつ、正確に届くよう、全ての関係者が周知や広報等に関する努力を継続的に重ねていくことも重要である。
 最後に24行目ですが、また、両制度は、いずれも、「自立」の概念や本人の「自立」に向けた支援といった制度目的上の共通の基盤を有しているということを記載しております。
 以上、説明したほかにも委員の皆様からの御意見を踏まえた修正を行っておりますので、御確認をいただければと思います。
 資料1については以上でありまして、続きまして資料2「生活困窮者自立支援法と地域共生社会について」の説明をいたします。
 先ほどの説明でも触れましたが、今回の中間まとめにおいては、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の今後に向けた議論に当たっては、地域共生社会の理念を基本に据えていくことが重要であると記載しております。
 また、前回の部会の最後に菊池部会長から、生活困窮者自立支援法やその運用における地域共生社会の位置づけについて御発言がありました。
 こうしたことを受けまして、事務局において、これまでなされてきた整理について資料にまとめておりますので、これを委員の皆様と再確認するという趣旨で説明をさせていただきます。
 まず、1ページであります。この資料は、本年7月の第17回の部会で資料として事務局から提出したものでありますが、生活困窮者自立支援制度と地域共生社会・重層的支援体制整備事業の趣旨について整理をしております。
 具体的には、上の生活困窮者自立支援制度では、下線部のところですが、「本人の尊厳を保持した包括的かつ早期の支援」と「支援を通じた地域づくり」という理念の下、生活全般にわたる包括的な支援を提供する仕組みづくりを重ねてきたということ。
 また、地域共生社会につきましては、こうした生活困窮者自立支援制度の考え方と、他の福祉分野や政策領域の考え方を合わせて共通理念化したものであり、重層的支援体制整備事業は、この理念を実現するための1つの仕組みであるとしております。
 2ページでございます。これらの理念が法律上どのように規定されているかについてまとめております。
 まず、生活困窮者自立支援法では、平成30年の前回改正によりまして第2条が新たに創設されました。そこで、先ほど申し上げた尊厳を保持した包括的かつ早期の支援や地域づくりといった制度創設以来の基本理念が明文化されております。
 また、同じく平成30年の改正により、第3条第1項の生活困窮者の定義規定が一部改正されております。下線部のところのうち、特に地域社会との関係性といった文言が加わりまして、社会的孤立への配慮が明確化されましたが、これは地域共生社会の趣旨を踏まえて行われたものでございます。
 3ページからは社会福祉法の規定となります。社会福祉法は、第1条に規定されていますように、生活困窮者自立支援制度を含む社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、ほかの法律と相まって地域福祉の推進を図ることなどを目的とする法律でございます。この社会福祉法においては、平成30年の生活困窮者自立支援法の改正等の動きを受け、令和2年に改正がなされまして、第4条第1項のところですが、地域福祉の推進は、地域共生社会の実現を目指して行わなければならないとの規定が新たに追加されております。
 続いて4ページでございます。同じく社会福祉法の第5条になりますが、ここでは社会福祉法を目的とする事業を経営する者の努力義務を定めておりますけれども、平成29年の改正によりまして下線部分が追加となりまして、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等との連携を図るということが追加されております。
 また、同じく平成29年の改正により、社会福祉法第106条の3という規定が新設されております。この規定では、市町村に対して、地域住民等及び支援関係機関による地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備することについて努力義務を課しております。
 5ページからは報告書についてまとめたものになっておりまして、まず、平成25年の特別部会の報告書でございます。この報告書に基づきまして、生活困窮者自立支援制度が創設されることになりました。下線を引いているところが中心となりますけれども、そこで、生活困窮者の自立と尊厳、地域社会の住民とのつながり、生活困窮者が社会の一員として役割を果たすこと、そして包括的・個別的な支援などが記されております。
 6ページは、平成28年のニッポン一億総活躍プランの地域共生社会の実現に関する記載でございます。
 7ページは、平成29年にまとまりました、地域力強化検討会の最終取りまとめでございます。真ん中の辺りに生活困窮者自立支援制度について触れられており、対象者の属性にかかわらず、複合的な課題に対する包括的な取組の先駆けとしての意味を持つと記載をされております。
 8ページですけれども、平成29年にまとまりました本部会の報告書でございます。生活困窮者自立支援制度は、利用者の属性にかかわらず、生活に困窮しているという状態を捉えて包括的に支援することを通じた地域づくりを制度の目標の一つとして掲げている制度であり、地域共生社会の中核的な役割が期待されるなどとされております。
 最後に9ページ、地域共生社会推進検討会の最終取りまとめで、令和元年のものでございます。下半分の1つ目の○では、介護分野の地域包括ケアシステムと並んで生活困窮者自立支援制度についても言及がなされております。すなわち、一人一人の抱える様々なニーズに対し、必要な支援を包括的に提供するための施策が推進されている。これらの施策を通じて、地域の実情に応じた多職種の連携や地域づくりも進んできているとされています。
 また、その次の○では、特に生活困窮者自立支援制度では、属性別の制度では対応が難しいような世帯内の複合的なニーズや一人一人のライフステージの変化に対し、寄り添いつつ、柔軟に対応していくことを目指して、自立相談支援機関による個別的かつ包括的な相談支援を軸とした実践が進められ、全国的に広がっているなどと記載をされております。
 11ページ以降では、過去の生活困窮者自立支援法、社会福祉法の改正の概要や重層的支援体制整備事業の概要について参考資料としてつけておりますので、こちらも適宜御参照いただければと思います。
 事務局からの説明は以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
 今の資料2に関しては、私の求めに応じてくださった部分がございまして、その点でもありがとうございます。
 本日は取りまとめの議論を中心にお願いできればと存じますが、資料2のような議論は最初の頃にもうちょっとちゃんとやっておくべきだったのかなと、後になって反省も込めてお願いした次第でございました。その部分は、とりまとめにおいても基本的な考え方のところでかなり反映していただいたかと思っております。
 これから意見交換の時間を設けさせていただきますが、どうかこのとりまとめ案を中心に御議論いただければと存じます。もちろん資料2に関しても、何かあればお出しいただければと存じます。
 オンライン参加の皆様は、挙手ボタンを使ってお知らせください。会場の皆様は、特に1巡目は順次こちらから指名をさせていただきたいと思います。
 御質問につきましては、簡潔にお一人4分以内を目安にお願いいたします。4分を経過した時点でベルを鳴らしますので、御発言をおまとめいただければ幸いです。
 それでは、本日は順番でオンライン参加の委員から御発言をいただこうと思ってございますが、岡﨑委員が途中御退席予定ということですので、お手が挙がってございますので、まずは岡﨑委員からお願いいたします。
○岡﨑委員 ありがとうございます。今日もオンラインで申し訳ないです。
 今回の中間取りまとめも内容が非常に厚めになっていきましたので、かなりの御意見を取り上げていただいておりますので、感謝申し上げます。
 私のほうからは、子どもの学習支援、生活支援のところで1点だけ申し上げたいのですが、子どもへの学習支援が将来の自立へもつながっていくわけなのですが、16ページの10行目から高校生以上の世代に対する書き込みがあります。それから、追加で小学生に対する学習習慣の育成、いわゆる勉強する機会を習慣としてつけていこうということがまた付け加えられていますので、この点はいいと思いますが、高知では中学生のいわゆる高校進学の学習支援を非常に重点的にやっておりますので、市内で10か所を中心に、教職員のOBの方々に基本的にはボランティアでやってもらっているのですが、それが非常に効果もありますので、その点を短くていいのですけれども触れていただきたいなと思います。
 10行目は高校生以上の世代に対してという文章で始まりますけれども、この辺りのどこか適切な部分に、例えば中学生の高校進学の学習支援の重要性という文言を少し入れていただきたいと思っておりまして、高校進学がいろいろな意味での社会的な1つの背景に取り上げてきますので、高校生以上という表現の前に、中学生の高校進学の学習支援、これはやはり重要ですので、文言はまた事務局にお任せいたしますが、少し触れていただいたらと思っておりますので、その点を1点申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 確かに中学生が抜けている感はありますが、事務局のほうで何かありますか。
 今の御指摘を踏まえて、御検討いただけますか。
○米田室長 御意見ありがとうございます。御指摘を踏まえた修正を検討したいと思います。
○菊池部会長 よろしくお願いします。
 それでは、引き続きオンラインの皆様からお手を挙げていただければと存じます。いかがでしょうか。
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私から2点、文言の追記、修正等ではございませんが、意見を申し述べたいと思います。
 まず、自立相談支援機関の体制についてですが、4ページの10行目に「専門性を有する人材を活用する」と追記されております。これまで繰り返し人員体制の確保や支援員の処遇の改善に向けた財政支援の必要性を述べておりますが、専門職ということであれば、なおさら専門性や能力に見合った賃金を払う必要があると思いますので、そのための費用、財源確保の必要性について、改めて指摘しておきます。
 2点目が、20ページ以降にあります居住支援についてです。全世代型社会保障構築会議におきましても、住まいの確保を社会保障の課題に位置づけ、本格的に取り組む方針を掲げております。生活困窮者への居住支援によって生活保護を受給しないで済むケースもあろうかと思いますので、そこはしっかりと取り組んでいただくよう、お願いしたいと思います。
 また、居住支援に当たっては、家賃補助といった現物サービスだけでなく、入居者が保証人を立てられない場合など、ソフト面でのサポートにも配慮する必要があると考えます。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、宮本委員、お願いします。
○宮本委員 事務局から事前に御説明いただいた際には、部会長のほうから生困の制度と地域共生社会のビジョンの関係について何かコメントしてほしいという御意向であるということも承っているのですけれども、今、部会長のほうからは、この報告書に対するコメントを先にというようなニュアンスのお話がありました。
○菊池部会長 すみません。どちらでもというか、せっかくお考えいただいたことはぜひ伺いたいです。
○宮本委員 2巡目もあると伺っておりますので、今は直接報告書に関わってのほうから先にお話をさせていただきます。
 2点ほど軽微な訂正のお願いです。1点は確認になると思います。
 1つは6ページの(2)の①ケースワーカーの役割の部分です。まず、①の1つ目の○、ケースワーカーはコーディネートする役割を担っている。いきなりここから入ると、ケースワーカーの仕事はコーディネートであるかのように読めてしまう。もちろんそれは大事な役割の一つで、これからまさにそこを膨らませていくことが期待されるわけなのですけれども、ここから入るのは誤解を招くとも思いました。したがって、①には○が3つありますけれども、最初の○を最後に置く、ケースワーカーの仕事でコーディネートの役割を拡大してくことがなぜ大事なのかということが、最後に置くことで一層明確になるのではないかと思います。それと同時に、ケースワーカーの業務はコーディネートだけではないという、その辺りが明確に伝わるのではないかと思います。
 これについて付言すると、今、一方では憲法第25条の精神を掲げて生活保護は国の責任なのだということを強調する流れと、全く逆に、生活保護を行政の残余的な部分として処理してしまいたいという流れが妙な形で連動して、この2つの立場は対極的なはずなのですけれども、多様な主体が支援に関わることで国の責任が曖昧にされてしまうかの議論において、そして行政が楽になってしまうかの議論において共通してしまっているのです。そうであるからこそ、ケースワーク業務がコーディネートの役割を引き受けるというのは決して業務負担の軽減ではないのだと。むしろ、その質的な向上であるのだということを明確にしていくことが大事ではないか。そういう意味では、これまでの2項対立のようでいて実は連動してしまっていた議論を乗り越えるきっかけになるのではないかと思います。
 今回も、ケースワーク業務の民間委託で業務負担の軽減を図るみたいな議論が出発点にあったところが議論を混乱させてしまったところあるのかなと思います。そうであるからこそ、余計今の点を明確にしていただければと思います。
 2番目が自立の概念について、これは確認になります。報告書の中で経済的自立、日常生活自立、社会生活自立が並び立つ点で、生活保護も生困も同じなのだということが確認されたということは非常に重要だと思います。かつ、日常生活自立、社会生活自立のプログラムが比較的少ないということが強調されたことも非常に大事だと思います。
 要するに、自立とは保護の廃止とイコールではないということが明示されたことなのであって、ある意味では画期的なことではないかと思っております。自立とは依存先を増やすことなのだみたいな議論もあります。こういうレトリックもありだと思うのですけれども、その場合でも、その前提として、複数の依存先というか支援の主体ということだと思いますけれども、そこを活用して、律するほうの自らの自律を維持していく能動性が育つことが重要だというメッセージが基本にあるということも改めて確認するべきではないかと思います。
 3番目は2巡目に回したいと思います。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 いずれも検討していただければと思いますが、最初の点、原文を入れ替えるという部分も含めて、役割を担っているというところは、役割も担っているというようなニュアンスかなと思いましたが、事務局から、今の宮本委員の意見につきましていかがでしょうか。
○池上課長 保護課長でございます。
 御指摘の点につきましてはできるだけ趣旨を反映する方向で、文章についてはよく考えたいと思います。
○菊池部会長 お願いします。
 それでは、五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
 まず、就労支援のところで提案なのですけれども、8ページの33行目以降、生活困窮者に対する就労支援の現状と課題のところです。ここで「就労訓練は社会福祉法人等が」とありますけれども、ここに「社会福祉法人、民間企業、協同組合等が」とさらに付け加えたらいかがかと思います。これは就労訓練事業のメニューを多様化させるために必要ではないかと思います。
 続きまして、「自主事業として実施する事業であり、一般就労に就く上で」とあるのですけれども、ここに「一般就労もしくは社会参加する上で」という形で、社会参加を加えたらいかがかと思います。
 続きまして、ちょっと飛んで、「その状況に応じ、適切な配慮の下、就労の機会を提供するとともに」とありますけれども、「就労・社会参加の機会を提供するとともに」としたらいかがかと思います。
 続きまして、「就労に必要な知識」とあるのですけれども、この「就労に」を削ってはいかがかと思います。
 それから、同じところなのですけれども、9ページの7行目に、「認定件数の累計は令和2年度まで約2,000件にとどまっている」というところがあるのですが、認定件数だけではなくて、利用件数がさらに低調にとどまっているという現状認識を強調していただければと思っておりまして、ここの部分に、利用件数がさらに低調であるという点、これは厚労省の資料のほうでも実績を見ますと就労訓練の実績がゼロの自治体がまだ非常に多いということからも、それを強調できればと考えました。
 9ページの33~35行目のところで、対応の方向性に当たるのですけれども、「公共職業安定所(ハローワーク)における職業相談、求職者支援制度による」とあるのですけれども、ハローワークにおける職業相談の次に、「無料職業紹介事業の活用による個別の状況に合った求人の開拓と求人事業者への支援」というのをぜひ入れていただけないかなと思います。
 つまり、無料職業紹介は居住支援のところで出ていたと思うのですけれども、就労支援のところで自治体の無料職業紹介事業が非常に重要だと思いますので、ぜひここに入れていただけないかと思います。
 それから、同じく9ページの36行目なのですけれども、認定就労訓練事業については、その実施促進のために認定件数を増やしていくことが必要であるとあるのですけれども、ここも認定件数を増やしていくとともに、利用を促進するため、利用者のニーズや状況に沿った事業所の開拓とマッチングが必要であるというような文章を入れていただけないかと思います。
 ちょっと飛ぶのですけれども、大学の進学のところで、19ページの18行目で対応の方向性があります。生活保護世帯の子どもがと続いているのですけれども、この前に、「我が国において生活困窮を理由に大学進学を断念する子が一人もいないよう努力を続けるべき」であるというような文言を入れることができないかと思います。
 これをどのような政策的手段で達成するかはいろいろ意見があると思うのですけれども、目標とすべき理念については、この部会の中で一致できるのではないかと考えました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 前段に関しては、恐らく文言修正だけではない考え方にも関わる修正の御意見かと思いました。この場で議論してすぐ決めるということは難しいかなという部分がありますのでここは事務局が引き取って、どのような形で反映できるかを検討していただくという形になるかと思いますが、後段部分は、それをどういった表現で盛り込めるかということで、これも具体的表現については引き取って検討いただくということかと思いましたが、事務局のほうはいかがですか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 先ほどの認定就労訓練事業に関する御意見について、部会長もおっしゃったように、少し事業の考え方に関する修正御意見もいただいておりますので、こちらのほうで引き取って検討させていただければと思います。
 以上です。
○池上課長 保護課長です。
 どのような表現ぶりにできるかは検討してみたいと思いますけれども、いずれにせよ、またよく部会長とも御相談しながら考えていければと思ってございます。
○菊池部会長 五石委員、そういうことでよろしいでしょうか。
○五石委員 ありがとうございます。承知しました。
○菊池部会長 文言修正に関しては、全体のほかの箇所との整合性、平仄を合わせるという作業もあるかと思います。ありがとうございます。
 それでは、宮脇委員、お願いいたします。
○宮脇委員 鳥取県の湯梨浜町長、宮脇でございます。
 前回の部会でお願いいたしましたことも一部反映していただき、ありがとうございます。
 私から、中間まとめの内容について1点と、それから今後、法整備等を進められるに当たって2点のお願いをしたいと思います。
 まず、中間まとめの内容につきましては、16ページの17行目、3つ目の○の文中でございます。こども家庭センターと子どもの学習・生活支援事業との関係を整理という記載がございます。子どもの学習支援は、当該センターのみならず都道府県や町村の教育委員会、あるいは子育て支援課などの様々な組織とも関係しておりますので、そういった観点から、そのような機関との連携についての記載もお願いできればと思います。
 それから、次に取りまとめ案で必須化事業、努力義務化を検討しています事業におきましては、現場の意見を十分に聞きながら慎重に進めていただきたいこと。また、何度か発言させていただきましたが、小さな町村や福祉事務所では職員も予算も限りがありますので、人材支援、財政支援も併せてお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 16ページの点につきましては、事務局からいかがですか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 宮脇委員の御発言の御趣旨としましては、こども家庭センター以外にいろいろな支援機関がある、その機関との連携といった意味でよろしかったでしょうか。
○宮脇委員 そうでございます。
○米田室長 ありがとうございます。
 こども家庭センター自体は包括的な相談支援を行うということでここに掲げております。そのほかの機関についてどういったものがあるかをこちらも改めて整理して、修正については検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○宮脇委員 よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 今気づいたのですが、16ページの3つ目の○の2行目、「こども家庭センターに努めるとされた」というのは日本語がおかしくありませんかという指摘だけさせていただきます。ここは修文したほうがいいかもしれないという指摘でした。ありがとうございます。
 それでは、和田参考人、お願いいたします。
○和田参考人 ありがとうございます。
 今回発言させていただくに当たりまして、全国知事会の各構成県へ照会をさせていただいております。
 10ページ目、認定職業訓練について、税制優遇、助成金等の経済的支援による事業者に対するインセンティブや、就労準備支援事業利用者に対する交通費支給による負担軽減策などを検討していくものとしていますが、生活困窮者の就労インセンティブの増加策について、さらに検討していくことが必要であると考えます。
 9ページ目、13行目のところです。自立支援制度における就労準備支援事業と家計改善支援事業の必須化においては、事業実施をまだしていない自治体の背景や理由等を把握した上で、実施までの経過措置を設ける、あるいは実施に向けた環境整備を行うといった配慮が必要であると考えております。また、国庫補助率の引上げなど、財政面での措置が重要であると考えております。
 14ページ目、生活困窮者の家計改善支援事業の中で生活保護受給者も支援できるようにすることについては、自立相談支援機関及び福祉事務所が適切なフォローアップを行うための統一的、具体的な仕組みの構築が重要であると考えております。
 15ページ目、子どもの学習・生活支援事業については国庫補助率2分の1とされておりまして、実施自治体の財政負担が大きいことが本事業の実施率が低い原因の一つと考えられることから、補助率の引上げについて検討していただく必要があると考えております。
 また、本事業はひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業や地域未来塾など、他法の関連事業と類似の取組であることから、実施状況については関連事業の実施状況も含めて捉えることが重要であると考えております。
 26ページ目、被保護者の健康管理支援事業におけるデータ分析や事業評価を都道府県が行うことについて、都道府県が管内福祉事務所の被保護者情報を取り扱う場合、個人情報の取扱いの面で問題があります。実施の際には、課題を踏まえた上で、後方支援の内容、あり方について検討する必要があります。
 29ページ目、医療扶助における都道府県のガバナンス強化の取組や医療扶助審議会等の会議体の設置については、各都道府県から実施体制や制度面で多くの意見が寄せられておりますことから、各都道府県と十分協議し、合意の上で制度の具体化を進めていただきますようお願い申し上げます。
 最後に、38ページ目です。現業員や査察指導員の標準数につきましては、平成12年に現在の標準基準に改正されてから20年以上が経過し、その間、様々な業務を福祉事務所が担うことになっております。生活保護業務の業務負担軽減の観点から、標準数等の見直しなどにより、適正な人員が確保されますよう見直しを行うことが重要です。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 基本的には御意見、御要望ということで承らせていただいて、今回の取りまとめに反映できる部分があればしていただくということでよろしいでしょうか。
○和田参考人 よろしくお願いします。
○菊池部会長 了解いたしました。
 それでは、竹田委員、お願いします。
○竹田委員 中間まとめでございますが、前回の発言内容をおおむね反映していただきまして、誠にありがとうございました。
 中間まとめについては、おおむね私はこのとおりでいいのかなと考えているところです。
 今後に向けてというところで3点ほど述べさせていただきたいと思っております。
 1点目が、将来を少し見ますと、2030年には生産年齢人口の比率がさらに低下し、担い手はさらに少なくなっていくことが予測されております。そうしますと、今般出ているような人材の確保がさらに難しくなっていくこともございますので、将来を見据えていくと、さらなる処遇の改善が重要ではないかと考えているところがございます。
 2点目が、DXの観点ですけれども、この中間まとめの中でも、デジタル技術を活用して業務効率を上げていくという観点は横断的に記載されておりますが、DXの意味するところは、単に業務の効率化やコスト削減だけではなく、デジタル技術を活用して、新しい価値や体験を生むというところが今般言われております。こういった技術革新によって、将来的に困っている人が相談の窓口に行くというスタイルだけではなくて、支援を最適化して、支援者がやってくるという形も取れるわけですし、困っている人が気づいて相談に行くというだけではなくて、必要な支援を必要な人に必要なだけ届けていけるようなプッシュ型の支援も今後考えていく必要があるのではないかなと。それが結果として誰もが使いやすい、利用しやすい制度につながっていくのではないかと考えております。
 3点目が、子どもの貧困への対応というのがこの中間まとめの中で、様々取り組まなければいけないこともたくさんあると理解はしておりますが、私としては特に重要な部分ではないかと考えております。昨年の流行語大賞の中にも、親ガチャという言葉が入っていましたが、親の学歴、経済力など、子どもの家庭環境や学習環境といったものが、子どもは親を選べないというガチャに例えた表現ですけれども、子どもの立場からは親は選べない、どのような境遇で生まれるかは全て運任せということが社会全般に理解されているという背景を考えると、結局のところ、幾ら努力しても報われない社会だというところが根底にあるのかなと理解をしているところもあります。
 こうしたことを考えると、子どもの貧困への対応は、今後より一層力を入れて取り組んでいくべきことではないかと考えております。
 以上3点です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 今後に向けての御意見ということで承らせていただきました。
 それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 まず、29ページの医療扶助の会議体については、加筆いただきましてありがとうございます。
 ちょっと細かい点なのですけれども、23ページで前回質問させていただいた児童手当のところの特定使途、目的のところがあるのですけれども、使途が強過ぎるのではないかという意見を言わせていただいて、1か所は使途が消えていて目的になっているのですけれども、もう一か所は使途、目的とあって、23ページの2行目の表現と22行目の表現が違うのですけれども、これは何か意図的に書き分けられているのかどうかを事務局に確認したいと思います。
 もう一つ、40ページの利用しやすく自立しやすいということについて意見があったと書いてあるのですが、平成17年の在り方専門委員会で、利用しやすく自立しやすいという方向が1つ確認されているので、意見があったということではちょっと弱いのではないか、そういったことが一旦確認されているということを押さえておく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 2点ございましたが、事務局のほうからお願いできますか。
○米田室長 まず、生活困窮者自立支援室長からでございますが、23ページの2行目に児童扶養手当、児童手当等の特定の使途、目的とあって、この使途ですけれども、大変申し訳ございません。下のほうは直したのですけれども、こちらは直し漏れですので、削除させていただきたいと思います。
○池上課長 もう一点、利用しやすく自立しやすい制度のところですけれども、前回の書きぶりを確認した上で、御趣旨に沿った修正を考えてみたいと思います。
○菊池部会長 そういうことで、駒村委員、よろしいでしょうか。
○駒村委員 結構です。お願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。
 まず、大学進学の支援のところなのですけれども、19ページの24行目から、さらにこの点については一般世帯にも云々というところなのですけれども、そのすぐ後に、高校卒業後、直ちに就労することも肯定的に捉えて考えるべきであること等を踏まえてとなっていて、そのことを肯定的に捉えるから、進学の支援について何がしか抑制的でよいというロジックに陥りかねないなということをちょっと心配しております。あくまで、進学、就職、どちらも本人の意思で選べるという条件があって初めて肯定的に捉えられるのだろうと思いますので、肯定的に捉えることは決して否定しませんし、私の身内もあえて大学等に進学しなかった者もおります。ただ、進学できる、できないは選択の自由があっての上です。肯定的に捉えるからということで、進学を支援することを抑制的に考えるということにはならないような表現にしていただきたいなと。それを生活保護法でやるのか、困窮者支援法でやるのか、あるいは教育施策としてやるのかは、もう一段上のレベルで政府として考えなければいけないことだろうと思いますけれども、その点は注意をしていただきたいなと思いました。
 2点目は、不正受給対策なのですけれども、そもそも日本でそんなに不正受給が多くないということは頭で触れておいていただいたほうがいいのかなと。不正受給対策というと、やはり不正受給があるのだ、減ってはきたけれども、まだ不正受給が相当あるのだという印象を与えないような、不正受給はそもそもそんなやたらにある話ではないというようなことは少し触れておいていただいたほうがいいのかなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 特に1点目ですが、事務局に確認ですけれども、ここにその表現を持ってきたのは経緯があったのではなかったでしたか。
○池上課長 保護課長でございます。
 この○の全体、各委員の皆様から頂戴した意見を基にこのような記載をさせていただいております。
 浦野委員から御指摘のあった部分、我が国において新卒者云々のところも、堀委員から具体的に御発言を頂戴していたかと思います。文脈といたしましては、生活保護で大学進学を支援することについてどう考えるかという文脈でございますので、浦野委員から、様々ほかの手法もあり得るというような御発言がありましたけれども、ここについては、生活保護で大学進学の生活を支えるという点についての御意見を頂戴した部分であることを申し上げておきたいと思ってございます。
○菊池部会長 その上で、浦野委員のような受け止め方をされるおそれもあるので、そこのところの書きぶりはもう一度検討していただけないかということになりますでしょうか。
○浦野委員 先ほど五石委員がおっしゃったように、望む人が進学できるということはちゃんと保障していこうよという精神の下であれば、まさに新卒者が直ちに就労することを肯定的に捉えるということは私も何の異存もないのです。
 ただ、ここでそのことをわざわざ言うと、逆読みをされてしまうのではないかという多少の心配があるということでございます。皆さん方には、私が言っていることは御理解いただけていると思いますので、後の文言についてはお任せしたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。その御趣旨も踏まえて検討していただくということで、お願いいたします。事務局、よろしいですね。全体としてのメッセージがしっかり伝わればいいということです。
○池上課長 検討させていただこうと思います。ありがとうございました。
○菊池部会長 必ずしもそこにその文言を置くかどうかということだけではなく、全体としてしっかりと考え方の趣旨が伝われば、その文言を置いていたとしても誤解されないのではないかという御趣旨でもあったと思いますので、そういう方向で御検討いただきたいということで、事務局のほうにお願いしてよろしいですか。
○池上課長 その御趣旨ということで承りました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 オンラインの皆様、ほかにはいかがでしょうか。
 岡部委員、お願いします。
○岡部委員 前回の各委員の意見を受け、丁寧に修文してくださり、ありがとうございます。
 その上で、特に報告書について直してくださいということではなくて、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、宮本委員がおっしゃった7ページの1つ目の○の3行目ですが、福祉事務所のケースワーカーがコーディネーター機能に特化して書かれております。これは部会長、事務局のほうにお任せいたしますが、福祉事務所のケースワーカーは、この場合は福祉六法等を指すのか、生活保護を指すのかになります。生活保護は、最低生活保障と生活再建に向けた専門的な援助・支援という文言を入れていただければ、はっきりとするのではないかと思います。生活保護の実施機関の担当職員の役割が明確にした上でコーディネーターというのが入ってくると思います。そのようなことを入れるのがよいと考えます。
 その上で、私としては、最初の「はじめに」の考え方、それから今後に向けての箇所があります。前回の委員会で、考え方に、生活困窮者自立支援制度と社会福祉協議会の特例貸付の関係、そして生活保護の関係が記述されていました。そのことについて部会の意見として誤解のないように整理をしていただいたことはよかったと考えております。
 そのことに関連して、3~4ページにかけての人員体制の整備について、ここで議論されているところは、対人サービス機関としての生活困窮者自立支援制度、それから社会福祉協議会特例貸付を担当する職員のお話がこの中で入っていたと思います。体制整備の必要性がコロナの中で顕在化していますので、業務量に見合った適切な職員配置や、専門性を持った専任あるいは常勤職員の配置が必要であるということが記述されています。これは非常によいと考えます。
 その次の箇所です。家計改善支援事業の関連で生活資金の貸付について記述されております。この点について、生活福祉資金貸付制度はそもそも民生委員・児童委員の活動として始まっています。総合支援資金、緊急小口資金は、貸付という名称はしていますが、その性格が違います。民生委員・児童委員を介さない資金ですので、この辺りのところは、貸付のまま行ってよいか、また給付が考えられないかということもあります。本部会での議論の中心ではないと思いますが、家計改善と関連して、この点についてもう少し触れていただくことも必要ではないかと考えます。
 意見として述べさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 表現ぶりについての御意見がございましたので、そこは検討させていただくということで承らせていただきます。
 ほかにはオンラインの方で差し当たりはよろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、対面参加の皆様にお願いしたいと思います。本日、残念ながらお顔を拝見することができませんけれども、席順は承っていますので、多分全員御発言されると思いますので、奥田委員、朝比奈委員、勝部委員、生水委員、渡辺委員の順でお願いしたいと思います。
 まず、奥田委員からお願いします。
○奥田委員 全員発言すると思いますので、最初に私のほうから。
 本当によく意見を網羅してくださって、ありがとうございました。
 少し細かいところで申し訳ないのですけれども、20ページの一時生活支援事業ですが、現状と課題のところで、知人宅やネットカフェ等、様々な場所を行き来しているということなのですが、コロナ禍で私自身、現場でもう一つ大きなテーマになったのは、寮つき就労です。これは屋根があるかないかの問題ではなくて、居住権というか、住まいをどう捉えるかという問題だったのです。ですから、寮つき就労が受皿になっている人は結構いて、仕事をなくすと一気に家までなくすという一体構造が今回露骨に出たということなので、そこはちゃんと記録に残したほうがいいのではないか。屋根の問題ではなくて、居住権というか住まいそのものの問題だと。それが1つです。
 21ページの、18、19行目は、先ほどからの自立をどう捉えるかという話にも絡むのですが、この書きぶりがちょっと気になるかなと。「住まい」は就労をはじめとする自立の前提であり、生活の基盤そのものであると。この順番というか、自立という言葉が出てくる場面というか、どうしても就労、経済的自立というところに引っ張られて印象づけられる。だから、ここは自立は要らないのではないか。就労の前提であるし、もっと言うと順番が逆で、生活や生存の基盤であり、就労を可能とするための前提であるというぐらいにして、ここにわざわざ自立という言葉は書かなくていいのではないかと思いました。
 24行目の未実施自治体について何らかの潜在的ニーズがあるということに関しては、何らかのというのは確かにそのとおりなのですけれども一歩踏み込んで、私は十数年間、ホームレスの実態調査の研究メンバーでもありまして、厚労省で5年に1回実態調査をやっているのですが、いわゆる現場の目視調査ベースなのです。あと現場の対面調査の2つでやっているのですが、なかなかそこでキャッチできていないような感じが私はするのです。厚労省としては、一貫した調査項目で何年も続けていくということが調査の基本なのだろうとは思いますけれども、例えば論点整理のときに、今、大阪市立大におられる垣田先生が、実際、生活保護の窓口に、ホームレス実態調査ではホームレスゼロと報告していた自治体で、実はホームレス状態で保護申請に来た人が多数いたということも報告されたと思うのです。ですから、そういうことを踏まえて、ここは何らかの潜在ニーズがあると考えられるのでちゃんと調査するということは必要なのではないか。
 最後に、8行目からあります一時生活支援事業に関しては、シェルターに関しては収入資産が一定以下の生活困窮者を対象としているということなのですが、それに対応して35行目から、しかしそこには当てはまらない緊急一時的なものが必要なのではないかと。これが関係になっていると思うのですけれども、前回の部会でも申し上げたとおり、出口は2つあるのだと。1つは緊急一時的な新たなものをつくるか、もう一つは一時生活支援事業のシェルター事業そのものの要件を緩和する。この2つの中で検討を進めるとしたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 21ページの住まいの辺り、新たな御提案もございましたけれども、文言の修正に関しては、ここでもいろいろ自立概念に関しては議論してまいりまして、確かに就労をはじめとする自立と、わざわざ自立をここで入れる必要があるかという御指摘だと思いますが、あとは今後、調査するというような文言を入れるかどうか。ここはいろいろ調整が必要になってくる部分もあろうかと思いますが、現時点では事務局のほうからいかがでしょうか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 まず、最初の知人宅、ネットカフェに次いで寮つき就労という御指摘がありましたが、確かにシェルター事業の利用者像の割合からしても、その次に来るのが社員寮となっていますので、ここは修正をさせていただきたいと思っています。
 それと、先ほどの自立の前提というところとか、潜在的ニーズを調べるという点について、一度受け止めて検討させていただければと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 差し当たりよろしいでしょうか。
 続きまして、朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。朝比奈です。
 事務局の皆様、取りまとめをありがとうございます。何点か申し上げたいと思います。
 最初の基本的な考え方のところにできれば入れていただきたいと思うのですが、この部会の議論の前段階として論点整理検討会があり、かなり幅広い関係者の方々、現場の方々の下、様々な課題が取り上げられていたかと思います。その論点整理検討会の議論があってのこのペーパーだと読んでいただいたほうが、いろいろな背景や文脈がきちんと伝わるのではないかということと併せて、今回取り上げ切れなかった様々な事柄がこの先一体どうなっていくのだろうということも含めて、先々につないでいく、送っていくことも必要なのではないかと思っています。
 例えば、1つ論点整理検討会で複数の委員から出されていたのが身寄りの問題だったと思います。このペーパーの中で、例えば日常生活自立支援事業の待機者が増加している、場合によっては判断能力があっても金銭管理が必要な方がいるとか、住まいの問題、それをばらばらと各事業項目で取り上げるのではなくて、身寄りの問題が前提にあってそういう事象が生じているという理解が必要なのだろうと思います。ただ、そういう立てつけに直すのは大変なので、論点整理検討会のことをちゃんと位置づけていただければいいかなと思っているところです。
 そのつながりで申し上げますと、居住支援のところなのですが、21ページの12行目、社会構造の変化により、今後も単身世帯が増加することが見込まれる中で云々と書かれているのですが、単身世帯であるということではなくて、例えば親族はいても頼れない、DVから逃げてきたひとり親の世帯とか、実親から暴力を受けたがために親族を頼れなくて緊急連絡先も出せない方とか、単身という捉え方だけではない、もう少し背景も読み取れるような実態に触れていただけることができないかどうかということ御検討くださればと思います。
 もう一点、2ページの29行目、生活困窮者や被保護者が抱える困難や支援ニーズは、それぞれの制度の枠組みを超えて広がっているという記述は大変重要だと考えています。この認識が個別の相談事例にとどまるのではなくて、施策の連動や連携というところに広がり、発展していく必要があるのではないかと思っています。なので、もしできるのであれば、これを受けた形で、最後の今後に向けてというところでその辺りのことが入れられないかと。前回のこの部会の最後のところで菊池部会長がおっしゃった御発言もそういう趣旨と私は理解をしております。地域共生社会という政策の目標がそれぞれのところで出てくるということだけではなくて、生活困窮者や生活保護受給者を通じて見えた社会の課題が、子どもでも高齢者でも居住の部分でも、様々なところで共通して取り上げられていくことが必要なのではないかと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 いずれも重要な御指摘をいただきまして、検討させていただくということになるのかと思いますが、1つ目は、確かに私が気づくべき点であったなと反省しております。この部会に先立って、検討会で議論を行ってという流れで来ているので、法律改正の立法過程においても、論点整理検討会というのは位置づけられるべきものであろうかと思いますので、何らかの指摘を、特に最初のところにしておくことは、事務局を差し置いても必要だったなと思いまして、そこはぜひその方向で進めさせていただきたいと思います。
 あと2点ございますけれども、3点目も大きなお話で、まとめの部分で受けて、今後に向けた課題を提示していくような部分でございますが、事務局のほうで、最初の検討会の記述も含めて、いかがでしょうか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
 御意見ありがとうございます。3点の御意見、どれも大事なものかと思っております。1点目と3点目は検討させていただきたいと思っています。
 2点目は、単身世帯の住まいの支援ということで、ここの記載自体は、今、全世代型社会保障構築会議で議論されているものを踏まえた御意見があったことを受けた記載だったかと承知をしておるのですけれども、その全世代型社会保障構築会議で単身世帯という世帯が特にクローズアップされております。それとの関係を少しこちらでも整理させていただく必要があると思いますので、また検討させていただければと思っています。
 以上です。
○菊池部会長 よろしくお願いします。
 それでは、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 ありがとうございます。
 いろいろと盛り込んでいただけたことに感謝します。
 私は2ページ目の16行目、一方で、生活保護をためらうような意識があるのではないかと。あるのではないかではなくて、あったのです。生活保護へのスティグマや親族への扶養照会などの点からということも明確に書いていただかないと、ちょっと嫌だからみたいな問題ではないと、これは現場でたくさん声が上がったことですので、そこを書いていただいた上で、利用しやすく自立しやすい制度、生活保護のあり方が問われましたということをここでしっかり最初の段階で書いていただいて、それに基づいて、ケースワーカーのあり方とか、生活保護の運用についてのところを、後段のところでどう充実させていくのかという話に導いていただくほうが流れとしてはよく分かるのではないかと思います。
 続いて2ページ目の22行目ですが、一時的な生活支援、貸付などの成果を踏まえつつということなのですが、生活再建自立に向けた伴走型支援と、突然伴走型になるのですけれども、支援を構築しとか、何かができて、それで伴走していくということをきちんと書いていただけたほうが理解しやすいのかなと思いました。
 5ページの支援会議の件なのですけれども、現場は理解が進んでいないのです。困り感のない人やSOSを出せない人たちを支援する際に、本人同意がなくてもこういう会議ができることのメリットがあるはずなので、SOSを出せない人たちにアウトリーチをそもそもしていなかったら必要がないという結果になってしまうので、ここをもう少し丁寧に書いていただいたほうが、理解が進むかなと思います。
 それから、ケースワーカーのところですが、いきなりコーディネーターが出るというのはちょっとというのはありましたので、ここも先ほどの今までのその他世帯がほとんどいない高齢者と障害がある人と病気の人たちを保護するという観点から、自立の概念が変わったということで、社会生活自立ということも加わっていくという意味合いになってきたわけですから、そういう自立の概念に基づいて、最低生活の保障や自立の助長を実施していくということを前提で書いていただいた上で、ケースワーカーはこれだけのことを全部やるのに3科目主事で、今まで福祉をほとんど知らない人たちが非常勤などで対応していくということではなかなか難しいというのは、この間ずっと議論させていただいたと思いますので、そういう形でいくと指導か指示か、法に合っていないかどうかのところを指摘するという形で、自立助長ということはなかなか難しいということがこの間の入りにくくて出にくいということになってきたのだろうと思いますので、そこを考えた上では、専門職の配置なども積極的に取り入れるということを対応の方向性の中で再度組入れを考えていただきたい。そうでないと、このままいくとやることだけが増えて、知識がなかなか伴わない中で苦しまれるのではないかと思います。
 最後、14ページ目の日常生活自立支援事業の件ですけれども、4割程度と生活保護のところに書かれているのですが、そもそも判断能力が乏しい人たちの単身の方が増えている中で、日常生活自立支援事業自体の財源が十分でないということが前提でありますので、生保と連携して行うのであれば、それに伴う財源がしっかりと確保されることを行っていかなければ、待機者はもっと増えていくことになりますので、ここの加筆につきましても、ぜひともお願いしたいと思います。
 大学のことは、また後で言います。お願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 幾つかございましたけれども、全体としてどういった形で組み込めるかを検討していただくことになると思いますが、中でも2ページ目の部分、先ほども駒村委員から御指摘がありましたが、利用しやすく自立しやすい制度という表現を使っていますが、それを前段部分で展開するようなことができないかということも含めてのお求めかと思います。
 事務局のほうから何かございますか。あるいは、確認とかがございましたらお願いします。
○池上課長 どのような対応ができるかについては検討させていただきたいと思います。
 扶養照会自体は、扶養義務者による扶養義務の履行の可否及び程度を確認するために必要な手続となっています。ただ、こういうコロナの状況もございまして、厚生労働省においては扶養義務の履行の確認の仕方について考え方を整理して、扶養照会をしなくてもいい場合も明確化させていただいたところです。
 あと、ケースワーカーの専門性のところですけれども、自治体側の実情に応じたという点も必要かと思いますので、そういった留意点も踏まえながら、表現ぶりについては考えたいと思ってございます。
 以上です。
○菊池部会長 よろしくお願いします。
 それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 生水です。よろしくお願いいたします。
 中間まとめについて、修正、追記いただきまして、本当にどうもありがとうございます。
 その上で1つ教えていただきたいことがあります。議論の整理案の1ページの24行目、生活保護制度を含む他の福祉分野においても地域共生社会の理念が広がっているとあります。社会福祉の共通理念である地域共生社会は分かりますが、今後は公的扶助である生活保護制度も地域共生社会の理念を持つということなのか、ここを教えていただければと思います。
 もしそうであるとするならば、本日公表されました生活保護基準部会報告書案の冒頭に、生活保護制度は国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットの役割を果たす社会保障制度であると示されたように、生存権保障の国家責任があるものだと、私は理解しています。
 先ほど宮本委員が御指摘されたことにも通じますが、地域共生社会の理念に基づく支援が公的扶助の国家責任の後退とならないことをしっかり明記すべきではないかと思います。
 ここからは3点、全体を通じて、今後のことを含めてお話しさせていただきます。
 1点目、生活保護についてですが、これも今ほど勝部委員のほうから述べられたことと同じです。利用しやすく自立しやすい制度にするためには、課題となっております扶養照会の廃止、車の保有、オンライン申請、そして単給の可能性について具体的に踏み込んで検討することが必要ではないかと思います。全てを失ってからの生活保護であるために、出にくさもあるのではないかと思うのです。ぜひ、引き続き、踏み込んだ議論がされることを願っています。
 2点目、生活保護を受けながら大学に進学することが認められないとされておりますけれども、前回、渡辺委員が言及されましたように、困窮する大学生を助ける支援体制をしっかりつくっていただきたいし、若者が貧困に関係なく教育を受けられる社会にするのが私たち大人の責任だと思うので、この問題はこれで終わらずに、どういった方策があるのか、引き続き議論いただきたいと思います。
 あわせまして、先ほど五石委員が御指摘された19ページの18行目の前の文言追加について、私も賛同します。ぜひお願いします。
 3点目、家計改善支援事業を必須化するとのニュース報道を見ましたが、特例貸付の返済を目的とする家計簿作成指導のような報道内容になっておりまして、とても危惧しております。
 家計改善支援事業は、家計表などのツールを活用して、相談者自身の家計の状況に気づいて、支援員が伴走しながら、相談者が自ら家計管理ができるようになることを支援するというものです。借金返済はあくまでその結果であって、目的ではないのです。
 ここは新保先生がいつも言及されておりますように、家計改善支援事業の本来の役割、
そして目的を正しく周知いただければと思います。あわせて、人材確保のための研修、予算措置、こちらもしっかり担保いただきますようにお願いします。
 3点と言いましたが、もう一点付け足します。先ほど勝部委員がおっしゃった日常生活自立支援事業につきましては、私も勝部委員に賛同します。生活保護の仕組みの中で整備していくことも含めて、ぜひとも検討いただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 御意見をいろいろ承った中で、最初は確認というお話でしたので、事務局で回答の用意はありますか。
○池上課長 生活保護制度が憲法第25条を具現化する制度として、昭和25年に現行の生活保護法ができて以来、生存権を保障してきたということは揺らがない事実でございますし、これからも国の責任として、困窮されている方々をしっかり支えていくということについては必ず続けていかなければいけないことだと考えてございます。
 地域共生社会の考え方との兼ね合いで、もし危惧があるのであれば、その誤解は解かないといけないと思っておりますけれども、地域共生社会の理念を改めて考えますと、被保護に引きつけて考えますと、生活保護の利用者自身も地域の中で役割を持って、支え合いながら自分らしく活躍できるような取組を推進することが重要だと考えております。こうした点に鑑みますに、生活保護においては経済的自立、日常生活自立、社会生活自立の3つの自立を目指すと整理していただいておりますけれども、これらが地域共生社会の実現につながることになっていくのではないかと思っております。
 経済的自立については、労働市場への参加が容易になるための支援を行うものということでございますし、社会生活自立については、社会的な生活を回復・維持し、地域社会の一員として充実した生活を送ることを目指すもの、さらに日常生活自立については、自分らしく活躍するためのまさに基盤となるということかと思っております。これらは自立の助長として、2つ目の生活保護法の目的としても位置づけられておりますので、広い意味で地域共生社会の実現という理念の下で、生活保護制度においてはこの3つの自立をしっかり御支援していくということで取り組みたいと考えてございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 私からも一言述べさせていただきますと、今、池上課長から述べていただいたとおりだと思いますし、生活保護のよって立つ憲法上の根拠は、憲法第25条、とりわけ第1項の生存権でありますが、地域共生社会は第25条によって立つ仕組みとか理念ではなくて、むしろ第13条、幸福追求権に根差した、そこで個人の自立とか、主体性とか、そういうところから支え合いといったものが出てくるといった理念だと思いますので、そもそも地域共生社会が広まることで生存権が揺らぐとか、生活保護制度の基盤が揺らぐということ、そういう論理的な関係にはないと思っています。
 ただ、現実的に言いますと、そういった誤解がされることがあれば、それはゆゆしき事態なので、そのようなことのないようにしなければいけないと思ってございます。余計なことを申し上げてしまいましたが、生水委員、いかがでしょうか。
○生水委員 ありがとうございます。今の御発言はしっかり記録になっているので、安心しております。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、渡辺委員お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
 まず、本当に御丁寧な取りまとめ、ありがとうございます。特に子どもの貧困についてはたくさんの委員の方からも御議論いただきましたし、いろいろな力強い意見があって、大変うれしく思っております。
 私のほうからは修正といいますか、今回本当に御無理を言って資料3ということで最近やった調査がございますので、これを少し御説明しながらお話しさせていただいて、最後に1点だけ、修正をさせていただければと思います。
 こちらは私どもが11月頭に取ったアンケート調査でございまして、対象は困窮子育て家庭で、児童扶養手当の受給とか、お子さんが多い多子の御家庭とか、住民税非課税とか、家計急変の過程で、生活保護の方も一部いらっしゃるのですけれども、多くはないです。なので、こんなに大変なことになっているのですけれども、本当にそういう中で、全部御説明すると時間が足りませんので、例えば6ページを見ていただきますと、本当に日々の食事がうまくいっていないということでして、ずっと肉とか魚が食べさせられないというのはあるのですけれども、要は子どもに食べさせるために親の食事を減らしたり、抜いたりしている方が約半数、49%で、子どもの主食の量を減らしたが30%で、朝御飯を抜くようになったということで、食事の回数を聞いたのですけれども、保護者は3食食べている家庭は35%しかなくて、1食という方が17%いらっしゃる。子どもも2食の子が13%いるという状況です。
 めくっていただいて、7ページでも物価高騰でどうするかというと、暖房をつけないようにしている。もう今年は暖房をつけないことにしましたみたいなことが出てくるわけです。本当に大変で、あと子どもの成長に合わせた衣服や靴を購入できないが48%ですし、支払いの滞納も33%で、病院に行かないようにしているが25%です。
 8ページに行きますと、お子さんは必要な栄養が取れていないが70%で、身長や体重が増えていないお子さんが25%、元気がなくなったという方が24%という状況です。
 少し進んで、本当に子どもにもいろいろな影響が出ているのですけれども、11ページは本当にくやしいなと思うのですが、大変な御家庭で、経済的な理由で志望校を諦めた高校生を持っている御家庭では、それが19%、2割となっております。具体的には自由記述にあるのですけれども、進学から就職への変更です。大学進学を希望していたけれども、就職に変更したという声が本当にたくさんあって、後ろのほうに自由記述がばーっとあるので、それはぜひお読みいただければと思いますが、本当にこういう状況になっています。
 大学生の生活保護についてもいろいろと検討がありましたが、大学生の生活保護の前に、要は困窮している子育て家庭が生活保護を受けないためにこういう状況になっているのです。この子たちは、大学生に生活保護出しますと言えば行けるかというとそうではなくて、そもそも家で御飯が食べられないから、自分は大学進学を諦めて働きますという状況になっている。何かというと、利用しやすく出やすい生活保護みたいなことを本当にやっていかないと、また、子育て世帯に対して別の現金給付みたいなことをしていかないと、もうこの国はもたない状況になっているのだと思います。この世帯が全部、本当に今、大変なのだから、生活保護を受けていただいて、生活を落ち着かせていただいて、お子さんは高等教育の就学支援新制度を使って、給付の奨学金と学費の減免を受ければ、恐らく十分に進学ができるのだろうと思うのですけれども、そういった制度を使わずにこういう状況になっているということは非常に悲しいことだと思います。
 一方、先日、北海道のほうで報道があったのですけれども、中学生が修学旅行に行くときに、生活保護家庭のお子さんには、みんなに配られた6,000円のクーポンが配られなかったということがあって、それは間違いだったということがあったのですけれども、本当にそういう誤解があるわけです。でも、そういうことがあるから受けないわけです。生活保護の家庭の子どもは差別をされるので、受けないということがあるので、生活保護や困窮の子どもも、子どもは差別をされないということを言っていくことがすごく重要だなと思いました。
 1点お願いがあるのは、16ページの生活保護受給中の子育て世帯全体への支援の現状と課題のところに、保護を受給している家庭の子どもが差別を受けることのないように社会全体の理解を進めるとか、そのようなことをして、そこがある限りは、皆さん生活保護を受けないですし、結局すごく痛んでいく状況になるので、ぜひそのようにして、本当に入りやすく出やすい生活保護を新しい困窮像の方たちが受けることが現段階では最善の策だと思いますので、そこができればいいなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 貴重な御報告をありがとうございました。
 そして、具体的な文言の挿入についての御提案もいただいていますので、御検討いただきたいと思います。私も、NHKのニュースなどで今の渡辺委員の調査結果がかなり大きく報道されておりまして、注目しておりました。どうもありがとうございます。
 今の点、事務局で何かございますか。
○池上課長 保護課長でございます。
 ただいまの趣旨、どこの箇所に入れるかということも含めて検討させていただければと思います。ありがとうございました。
○菊池部会長 お願いします。
 それでは、新保部会長代理からお願いできればと思います。
○新保部会長代理 ありがとうございます。
 ワーキンググループでの検討を含めた論点整理検討会、そしてこの部会の議論でもたくさんの議論を重ねましたけれども、そうした論点を大変誠実にお取りまとめくださいました事務局の皆様に本当に感謝しております。
 まず、生活困窮者自立支援制度についてなのですけれども、これからも縦割りの1本の制度にならないように、尊厳の保持と地域づくりという理念の下で取組を進めていくことが大事ではないかと思います。
 今後、必須化を進めていこうとしている家計改善、それから就労準備支援事業につきましては、家計のほうは、家計を入り口に相談者をエンパワーメントしていく相談支援であることや、就労準備支援事業も、多様な働き方を一人一人に合わせてオーダーメードで実現していくような事業であるという、事業の本来のあり方をきちんと踏まえて、それがきちんと全国で実施できるように、体制整備、財源確保も含めてお願いできたらと思います。
 振り返ってみますと、今回の部会では生活保護のあり方が1つの大きな論点になっていたと思います。その中で、大変残念なことではありましたけれども、生活保護の本来の役割と実際の運用とに乖離があるということが明らかになりました。
 こうした中で、40ページの9行目以降に、今後の生活保護がより利用しやすい制度になっていくために必要なことを加筆していただきまして、本当にありがたく思っております。制度を正しく伝えていくこととともに、制度が原理原則にのっとってよりよく運用されていくように、厚生労働省の皆様には、実施要領の整備、それから実施機関への支援も含めて、一層の御尽力をお願いいたします。
 また、生活保護制度については不服申立ての制度がありまして、制度の課題を改善するためのフィードバックが受けられるようになっているのですけれども、一方で、制度のよいところとか、変えてはならない大事なところについては、ポジティブなフィードバックを得る機会がほとんどありません。
 こうした意味でも、今日、本当に渡辺委員が出してくださった当事者の声はとても重いですし重要だと思うのですけれども、こういう利用者に対するアンケート、インタビューなどの調査を生活保護において全国規模で実施していただいて、今後の制度の見直しに生かせるようにしていただくことをぜひお願いしたいと思います。
 先ほど3つの自立の話が出ていたのですけれども、これはもともと社会福祉法の第3条の福祉サービスの基本理念の考え方に基づいて3つの自立を明示したと理解しています。生活保護の中というよりは、社会福祉サービス全体にかかるところの自立概念ということですので、そういう自立支援のあり方、同じ自立の考え方を目指してこれからもやっていくことができればよいのかなと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
 これで1巡目の議論が一当たり済んだかと思いますが、まだかなり議論があると思いますので、ここで休憩を取らせていただきます。15時30分に再開ということでお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○菊池部会長 会場はおそろいということですので、再開させていただきたいと思います。
 それでは、さらに御意見のある方がおられましたらお願いしたいと思います。
 繰り返しになりますが、御意見につきましては簡潔に御発言いただきますよう、お願いいたします。
 まず、オンラインの方でおられましたらということですが、宮本委員は戻られましたでしょうか。
○宮本委員 ありがとうございます。
 先ほど、報告書に関わって3点目に触れる時間がなかったので、簡単なことですので触れさせていただければと思います。
 31ページ、重なり合う支援をめぐって、対応の方向性というところです。ここはきちんと重なり合う支援が、どちらかがどちらかを吸収してしまうのではない。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との間で両制度のそれぞれの蓄積や強みを踏まえた区分を認めつつも云々とあります。大変ありがたい記述なのですけれども、認めつつもというのがやや引いている感じがあって、むしろ積極的に両制度のそれぞれの蓄積や強みを踏まえた区分を生かしつつ、自立に向けたというような表現にしていただけると、趣旨がより明確になるのではないかと思います。
 続きまして、部会長から振っていただいた生活困窮者自立支援制度と地域共生社会の関係、先ほどの生水委員の御発言ともかかわるかと思うのですけれども、なるべく急いで、これについてもコメントさせていただければと思います。
 生困と地域共生社会の関係は、まず生困のほうがこれまでの制度が届きにくい人々を対象として、エンパワーメントとしての自立を目指したことに対して、地域共生社会の考え方は、その考え方を介護、障害、子どもの分野にも広げて連携させることを目指したということが基本だと思います。ただし、もともと介護分野での地域包括ケアシステムとか、障害分野での障害者総合支援のように、エンパワーメントの考え方があったということが前提になっています。その上で、それぞれを連携させていくということになった。
 加えて、地域共生社会の考え方は、ポピュレーションアプローチというか、支える側と支えられる側の二分法を超えていくということを強調したのだけれども、先ほど生水委員が御懸念を表明されたように、地域の支え合いに投げてしまう、公的な責任が曖昧になるということでは決してなくて、支え合いを支える。そこでより高い質の支援が行われるということ。それをきちんとプロデュースすることが公的な責任なのだというのが地域共生社会の考え方なのだと思います。
 このポピュレーションアプローチというか、支え合いを支える、支える側、支えられる側の二分法を超えるというのが、平成30年度の生困法改正で、生活困窮者自立支援制度にもフィードバックして、その第2条で孤立の問題が入ったり、よりポピュレーションアプローチ的な色彩が濃厚になるということになったと思います。
 さらに加えて、地域共生社会の実現のためには、地域共生社会それ自体は基本的に厚労行政の枠内での連携になるわけですけれども、それだけでは完結しないということも明確になってきました。すなわち、生活困窮者自立支援制度が第1層、地域共生社会が第2層とするならば、省庁横断的な第3層とでも言うべきものも必要なのだということが明らかになったと思います。例えば内閣官房に対策担当室のある孤独・孤立支援だとか、国交省軸の居住支援だとか、農水省も関わる農福連携、林福連携などが第3層として張られることで、地域共生社会が目指したエンパワーメントの条件がさらに整うということになると思います。そういう意味で、重層的支援体制整備事業というのは第2層と第3層の接合点にあると言っていいのかなと思います。
 少なくとも、今日午前中に会議のあった孤独・孤立対策では、この重層的支援体制整備事業をそのような形で位置づけているということになるのかなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 大変貴重な御知見をいただきまして、ありがとうございます。
 これが議事録に残りますと、後々非常に貴重な記録になるのではないかと思いまして、勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 前段部分の表現ぶりにつきまして、私も確かにそうそうだなと思いましたが、事務局、いかがでしょうか。
○米田室長 御意見ありがとうございます。
 私、担当としても、直感的にはそのとおりかと思っております。また持ち帰りますが、そのような方向で修正をさせていただければと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
 こういう議論を積み重ねておくのはとても大事なことだと思っています。そういう意味では、先ほども生水委員からも御発言がありましたし、宮本委員から御発言いただいて、本当にありがたく思ってございます。
 それでは、オンラインで追加の御発言がおられる方がいらしたらお願いします。
 五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
 浦野委員からもありました不正受給のことで、浦野委員は、そんなに不正受給は多くないということを書くべきではないかというお話があって、前回も不正受給について、メッセージとして偏っているのではないかという指摘が幾つかあったと思います。
 今回、順番を入れ替えていただいて、幾つか記述も増やしていただいたわけですけれども、さらに提案なのですが、「(5)生活保護の効果的・効率的実施」が37ページの33行目にあるのですけれども、これを「生活保護の効果的・効率的実施と広報の促進」と、広報の促進を付け加えられないかと思います。そうすると(5)の現状と課題、対応の方向性の各項目について記述を増やさないといけないわけですけれども、この記述に当たる部分は既に報告書に分散されて書いてあります。例えば現状と課題のところなのですが、先ほど勝部委員が御指摘されたのですけれども、「生活保護をためらうような意識があるのではないかという指摘があった」というところで、勝部委員は「指摘があった」ではなくて、事実としてそうだ、という話だったと思うのですけれども、例えばこれを現状と課題のところに、扶養照会等の件とともに入れてはいかがかと。
 それから、さらに対応の方向性のところなのですけれども、40ページの12~15行目、今後に向けての箇所なのですが、申請が制度の内容や実態に関する云々があって、継続的に重ねていくことも重要であると書いてあるところがあるのですけれども、この部分をそのまま対応の方向性に入れてはいかがかと思いました。
 ただ、そうすると、今後に向けての40ページの利用しやすく自立しやすい制度の記述がなくなってしまうわけですけれども、利用しやすく自立しやすい制度を目指すべきであるというところと、15~17行目にある「加えて、被保護者の安定した日常生活を」から「重要である」のところは残すという形でいかがかと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 全体、場所の移動という部分はありますが、ただ、まとめの部分から言わば本文に落とし込んでいくという形でもあり、その箇所の書きぶりを変えるというのとは大分違ってくるので検討を要するかと思いますが、事務局のほうはいかがですか。
○池上課長 今、菊池部会長からお話があったように、構成自体も変わってくることになるので、よく検討する必要があろうかと思っております。
○菊池部会長 先ほども利用しやすく自立しやすい制度の記述の置き方という話はありましたので、ここは全体としてどうするかを事務局として検討していただくということになるかと思いますが、よろしいですか。
○池上課長 検討させていただきます。
○菊池部会長 五石委員、この場ではこのような形で引き取らせていただくということでお願いします。
○五石委員 承知しました。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
 宮本先生のお話を聞いて、大変勉強になりました。
 以前にも発言させていただいたのですが、大阪府では、私どもが関与する給付制度を核として、今、重層的な支援体制を構築しますよという旗を振っておりますけれども、重層的支援体制整備事業は自治体が主導する取組なのですが、自治体にも相当温度差があって、よく理解して積極的にやろうとする自治体と、どこの課に担当させようかというところから検討するような自治体もあるということで、国から積極的に自治体に働きかけていただいて、音頭を取っていただきたいなと思います。
 一方で、自治体がある一定の理解をする中で、これを広げていこうと思っても、それぞれの地域の社会資源の中に積極的に旗を振って「一緒にやりましょう」というような者がいなければ進まないと思います。最終的に地域共生社会と捉えた場合に、地域住民一人一人の理解が必要になるわけなのですが、それに到達するまでの重層的な体制づくりについても、どこかがイニシアチブを取って積極的に働きかけないと、いろいろな社会資源と結びつくには相当の時間がかかると思いますので、ぜひともその辺を理解していただいて、この部会に参加されている方については、地元で積極的にそういったことを発信していただいて、進めていければなという感想を持ちましたので、一言発言させていただきました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはオンラインではよろしいですか。
 ございませんようですので、私は遠隔なので全くコントロールが利きませんので、会場からは新保部会長代理からお願いします。
○新保部会長代理 挙手があった方をお伝えします。
 生水委員、次が勝部委員です。
○生水委員 それでは、前座で話します。
 先ほど宮本委員からお話しくださった内容が私はとても勉強になりました。これはぜひとも記録というか、しっかり残していく必要性があると思うので、重層的整備体制事業は第2層と第3層をつなぐものであるとか、オペレーションアプローチであるとか、こういったことをこの報告の中に盛り込むことをしていただけないかと思います。一度聞いてもまた忘れてしまってはいけないので、しっかり報告書に記載いただいて、未来永劫みんなで読んでいければなと思います。
 先ほど保護課長からも、生活保護についての責任をしっかりとお話しいただいたので、そのこともぜひとも明記いただければと思います。
 家計改善支援事業について、私が現場を24年間やってきた中でお伝えできればなと思っていることがあります。
 長年している中で忘れられない相談がありまして、20代の女性の方で、ダブルワーク、そして新聞配達もされて、一生懸命一日中働かれていたのです。けれども、300万円以上の借金があって、質素な洋服で、贅沢をしている様子もないので理由を聞きますと、別居する親に頼まれて借金をして、親にお金を渡し、それによって多重債務に陥ったということでした。
 私から、親にはもうお金を渡さないように伝えまして、債務整理を進めるのですが、なかなかうんと言われずに、その後も連絡を取り続けて、やっと何とか債務整理を決心いただき、弁護士におつなぎしました。
 半年後に、無事免責決定しましたと市役所に報告に来てくださったのです。そのときに彼女が私に、自分は子どもの頃から親から虐待を受けていた。たたかれないようにするために、はいとしか言えなかった。だから、親からお金を無心されて、借金をしてでも断り切れずにお金を渡していたのですと。自己破産すると伝えたら親から怒られて大反対を受けたけれども、自己破産を自分が決めたと。初めて自分自身のことを自分で決めることができたのがとてもうれしいのだとおっしゃってくださって、諦めずに声をかけ続けてくれてありがとうと泣きながら笑顔でお話しいただきました。
 私、多重債務の背景に、当時、虐待があったこと、それが大人になってもこんなに縛られているということに驚いて、そうした背景に思いを馳せることできなかった自分が物すごく恥ずかしかったのです。本当に気の毒で申し訳なかった。
 この経験を基に、市役所の総合力を活用して、少しでも相談者につながる工夫ができないかなと考えて、税金とか使用料の滞納について、各担当課の納付相談で借金があれば、相談窓口につないでもらうといった相談者のアウトリーチを行う多重債務者、包括的支援プロジェクトをつくりまして、これが野洲市の生活困窮者支援のベースとなりました。
 課題と言われる庁内連携については、現場の中でのこうした事例の積み重ねと、組織においてどのような役割を担っていくかに関する根拠づけ、この両輪が必要となります。だからこそ、生活困窮と生活保護の現場が同じ理念を持って動けるように、生活保護法に個人の尊厳の保持を規定することは必須だと思うのです。生活困窮者自立支援法、生活保護法が今後、人々にとって本当に役立つ制度になることを心から願っています。
 以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、勝部委員、お願いいたします。
○勝部委員 2点あります。
 先ほど生水委員がおっしゃった生活困窮者自立支援の家計支援の必須化が、あたかもコロナ特例の貸付を返済促進係のような家計簿をつけさせて、その人たちを僅かなお金の使い道まで指示するかのごとくの報道のされ方に非常にショックを受けております。
 今、3割の人たちが非課税で返済免除になっているのですけれども、そのぐらい厳しかった人たちも生活保護に行けなかったという実態がある中で、何とか生活再建をしていけるように就労支援をしたり、その人たちの状況を引っ越しさせたりいろいろなことで応援しているのですけれども、家計支援というのは本人がよりよく生きていくために活用されるべきものであって、それを武器のような使い方をしていくことは非常に危ないと思っていて、生活困窮者支援が、指示、指導、監査というやり方になっていくのは、今回の議論を逆行させていく、生活保護自体もエンパワーメントに向けていくという議論をしていたと理解しておりますので、少し方向性としてはどうなのかということ、このような独り歩きの文言で、また多くの人たちが傷つくのではないかということで、大変危惧をしております。家計支援のあり方も、家計を管理されるという言い方は物すごく厳しく捉えられますので、そこが誤解のないような対応をしていただきたいというのが1点。
 それから、大学生の話のところで、先ほど五石委員がおっしゃったように、誰もが自分が望む進路選択ができること、社会として支えていくということを前提にしていかないと、この国の未来を感じられないということになるのですけれども、生活保護でそれがどうなのかという議論の中で、一旦休学して、復学したら、その間は生活保護を受けてまた学校へ戻れますというくだりが書いてあったかと思うのですけれども、学校を休学している間も、この間からの報告を聞いていると、まずは生活保護を受けたかったら学校をやめてから来なさいという言い方をされていたという報告を聞いていますので、事実はどちらなのでしょうか。確認させていただきたいと思います。
○菊池部会長 事務局のほうでお願いします。
○池上課長 20ページの3行目の部分かと思います。現行制度でも、病気により休学する場合は、保護の要件を満たせば保護を受けることが可能であると書いておりますけれども、事実としてこのようになっているところでございます。
○勝部委員 それであるならば、この話について大学の関係者にも徹底いただくことと、先ほど来の生活保護のスティグマをなくしていくための啓発の中に、こういうものに関しても若者たちが理解しやすいようなQ&Aをどんどん出していっていただいて、身ぐるみを全部剥がされてからしかやはり無理だとみんなが思ってしまっていることと、そこに対する誰に聞いてもテレビがあったらいけないらしいとか、誰に聞いてもクーラーを持っていたら駄目みたいだとか、そういうことだけはすごく浸透しているわけです。それをひっくり返していくというのは、相当理解を促進させていくような取組が要るのかなと思います。
 単給の話に関しては、今後もどこかで議論を継続的に進めていくとしないと、今日も朝、がんの期間の末期の方から御相談があって、生命保険をかけていても医療費がないということで、生保の相談をされていたのですけれども、保険金で亡くなった後の給付をいろいろと世話になった家族に渡す約束をしているので、生命保険は絶対に解約できないということで、そこで立ち止まってしまう状況もあったりということで、これまでの長らくの人生設計が最後のところで大きく狂っていくことについては、本当にいろいろと悩ましいお話だと思いますので、医療であるとか、住居であるとか、教育であるとか、そのときの全部を取らなくてもやれるような体制を再度この時点でということで、今回の議論からそこを始めるということをぜひ考えていきたい。そのための24回であったということに私はしたいなとすごく思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 直接の関係ではありませんが、この部会の議論の中で、大学生の進学の関係で、渡辺委員からの御示唆を受けて、大学側が授業料の免除とか、もう少し柔軟に対応してくれさえすればかなり助かるのだという話をいただいて、全世代型社会保障構築会議でもその旨を発言したりもしましたけれども、直ちにそれが意味があったかというと、必ずしもそうではなさそうなので、改めて今の勝部委員の御発言を受けて、事務局から、つまり社会・援護局から、厚生労働省から、大学生の生活保護の家庭の大学進学に関して、今、勝部委員からも御発言のあったような、あるいは今回こちらのとりまとめに書こうとしている内容も含めて、文科省に直接お伝えいただいて、柔軟にやれていないという声が現場からは本当にたくさん上がっているとお伝えいただいたらどうかと思いますけれども、事務局のほうでいかがですか。
○池上課長 文科省とは従来からこの関係でのやり取りはさせていただいています。今年、虐待を受けて親元から避難される方について、家計急変時の採用を取り入れていただくのも、いろいろ御相談も申し上げる中で実現していただいた事項でございます。
 今、大学側でもう少し柔軟にというようなお話をいただいたことにつきましても、我々から文科省のほうにお話をお伝えさせていただこうと思っております。
○菊池部会長 あとは、今の勝部委員からの御発言の中身というか、そういった内容もお伝えいただければということです。
○池上課長 了解いたしました。
○菊池部会長 新保先生、ほかに。
○新保部会長代理 続いて、奥田委員からお手が挙がっております。
○奥田委員 また細かい議論に戻ってしまうのですが、25ページの無低の届出義務違反に関しては、罰則ということなのですが、前回からも同じことを言っているのですが、これ自体はそうなのかなとは思うのですけれども、なぜ届出しないのかということは2つあると思うのです。1つは届出すべきなのにしていない。でも、実際に無低の規定でいうと、例えば各個室で7.43平米以上であるとか、施設長に関しては社会福祉法第19条第1項に当たる資格者がいるとか、様々なのです。もっと言うと、各自治体で、結構大きな地方の政令市で、自分のところは無低はもうやらないのだという姿勢を明らかに出しているような自治体もあるのです。ですから、事業者の責任は当然そうなのですけれども、私はもうちょっと丁寧に、なぜ届出しないのかというところ。あるいは、できないのかもしれないということも含めてやる。そして、現にそこに入っている人がいるので、無低になれば事業の停止等ができるということが前回の改定でなされているので、その枠に入っていないから届出しろということを言っているわけです。一方で、現に利用されている方がおられるので、乱暴にそれを理由に廃止する等々ということにもならないだろうから、無低に関しては国の一つの社会福祉法上認められている、もしくは生活保護法第30条にある社会資源としてそれを利用していこうとしているのか、ないほうがいいと言いたいのか、そこはもうちょっとはっきりと方向性を示さないと、これだけでは乱暴だというのは私は前からずっと言っているのです。
 例えば無低は5人以上の利用者でないと駄目だと書いていますけれども、正直、どう考えても事業からいくと5人では成立しない規模です。そうなると、実際にどうしていくのかということはもうちょっと丁寧につくるのであればつくる方向で支援していくことが必要なのではないかと思います。これが1点目。
 もう一点が、前の方でさっき勝部さんおっしゃったことと重なるのですが、2ページの今回コロナで何が起こったかというところで、18行目ぐらいから、一時的な生活支援への対応に追われたということで、伴走型支援ができなかったというところにつながるのですが、それはそうなのですけれども、一時的な生活支援が必要な事態だったというほうが前にあって、それが単給という言葉で表す分野なのか、新たな一時的な給付と考えるのかは別としても、生困の立場から言うと、人が人を支えるでずっとやってきたけれども、今回の事態は一部給付なりが必要だったということが明らかになったということです。
 これを非常事態という言葉で終わらせるのではなくて、生活困窮は言わば日常からしたら非常事態です。別にコロナではなくても、日常が崩れた状態になっているわけだから、そうなると私は生困の重なり合うという議論も含めた上で、生困法自体の中に給付的なものが必要かどうかの検討に今後入るべきだというところまで一歩踏み込まないと、生活保護を一部相乗りすることに関しては逆相乗り、生活保護が困窮の制度を幾つか使えるようになりましたよと。一時生活支援事業の地域居住支援事業とか家計云々、それはそうなのだけれども、逆はないわけです。生困が生活保護を使うという場面は今回には含まれていないわけだから、そうなると、生活保護が給付の部分は使えないとするのであれば、生困のほうで今後給付に関してどう考えていくのかはきちんとすべきなのではないか。今後で結構ですから、今後そのことも検討すべきであるという意見もありましたぐらいのことは入れたほうがいいのではないかというのが2つ目です。
 3つ目は、書きぶりの問題ですけれども、今回、伴走型支援という言葉が生困のほうにはたくさん出てくる。結構唐突に出てくる。私は伴走型支援が好きなので、いっぱい書いてくれてありがとうという感じなのだけれども、生活保護のケースワーカーさんの文脈にはほとんど出てこない言葉です。この書きぶりの違いは何なのですかと。ケースワーカーこそが伴走型支援ではないですかと言いたいわけです。コーディネーターでもあるけれども、ケースワーカーそのものが伴走的に関わっていくというような時間軸の問題も含めて、何でケースワーカーの文脈には伴走型支援という言葉が出てこないのかは気になるということ。これは意見です。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 無低の関係なので、事務局から何かコメントがないかと思ってお伺いしようと思ったのですけれども、特にないですか。
○河合室長 保護事業室長でございます。
 奥田委員からいただきました無料低額宿泊所の関係でございます。おっしゃるとおり無料低額宿泊所につきましては、実際、現に御利用されている方々がいらっしゃるということは我々としても当然認識しているところでございますし、600以上の施設で約1万8千人の方が利用されていることも当然認識しております。
 奥田委員からもおっしゃっていただいたとおり、平成30年の改正においては最低基準を創設したところであり、より良い住まいを提供していくためには次に何をすべきかと考えたときに、今回のような届出をしっかりと実施していただくといったことが次にあることなのかなと考えておりまして、我々のほうからも、調査事業を使って自治体の方々に対してお話を伺ったりしているという状況でございます。まとまりましたら、どこかの段階で御報告させていただくことになるかと思っておりますけれども、そのようなことを積み上げていく中で、無料低額宿泊所の環境をより良くしていこうとの考えのもと、実際に動いているといったところを御報告させていただきます。
 以上です。
○菊池部会長 新保先生、途中で遮ってしまってすみません。
○新保部会長代理 部会長、ありがとうございます。
 関連でということで駒村委員がお手を挙げていらっしゃるのですが、勝部委員も関連でとおっしゃっていますが、御発言いただいてよろしいでしょうか。
○菊池部会長 どうぞ。
○勝部委員 先ほどの特例貸付の成果ということで書かれているのですけれども、相談に乗ってもらうといっても、目に見えるお金が解決できるということが具体的にあったのが、今回、コロナ特例であれだけたくさんの方々が窓口に来られて、いわゆる困窮のおそれのある人たちというのが漠然としていたものが、明確に数値化されたと理解をしているわけです。
 よかったことは何かというと、今回の厚労省の計らいもあり、速攻にお金を出せる。本則の貸付だと1か月近くかかってしまうような貸付が、比較的スピーディーにお金が出せるということと、そこに自立支援の相談窓口がつくことで、その方々の生活再建に向けた御相談が継続的にできたということが大きかったと思うのです。これまで貸付は貸付だけになっていた部分が、支援と併せて対応できたということがあって、現在も貸付がなくなってから、私たちの窓口にもたくさんの人たちが継続的に来られていますが、あの貸付があれば助けられたなと思う人たちがたくさんいて、その人たちが一気に生活保護のハードルに上がっていくとなると、結局、サラ金などの話につながってしまうということで、非常に心が痛いわけです。
 ここは自立に向けた支援を構築しと、貸付などの支援を構築しと。給付していただいたらさらにいいのですけれども、ここは今回のことを踏まえてそういうことを明確にしていただくことで、生活保護に至らず、また、生活再建を目指される方も、できるのだということがあるわけですから、ぜひともお考えいただきたいということで、ここは再度強調しておきたいなと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、またオンラインに戻ってよろしいでしょうか。
 駒村委員、お願いします。
○駒村委員 今回、中間報告ということで、一定のまとめだと思っていますが、今の委員の皆様の議論を聞いても、まだ深めなければいけないところは残っているのだろうなとは思いました。奥田さん、生水さんのお二人、例えばこれは生困がやるのかどうか分かりませんけれども、こういう新型コロナのような大がかりな景気後退が起きると、それに対応するためにセーフティーネットはどう変わらなければいけないのかということを我々考えていかなくてはいけないわけですけれども、一時的給付の存在がなかったことがどういうことだったのかはちゃんと検証しなければいけないと思います。
 それから、先ほど生水さんからあった多忙や借金を抱えて、生活保護や様々な制度の利用を考えることもできない、判断能力がかなり落ちている状態の方に、申請主義だから、権利の上に寝ていたあなたが悪いのですよみたいなものは冷たいのではないかと思っています。
 実は先日、五石さんに補ってもらったほうが正しいかもしれませんけれども、五石さんの御紹介で韓国の方と韓国の最低生活保障に関わる議論をさせていただきました。生活保護や年金の水準は簡単に比較できないわけでありますけれども、セーフティーネットの隙間に起きた問題を韓国はかなり積極的に埋めるような制度改革をやっているということ。それから、申請についても、アクセスできない、あるいは思いを持っていないような方に対して、オンラインでの申請やデータ上から当事者を見つけて申請をお勧めするようなシステムをつくっているということを聞くと、随分差がつけられたなと思っておりますので、今回、中間取りまとめということでありますけれども、残った問題は宿題としてあるのだということは、報告書の中で明確に書いたほうがいいのではないかなと思っております。
 さっきの奥田さんの話、あるいは生水さんの話、勝部さんの話などを聞きながら、どこかにそういう一文が入ればなと思っていました。中間報告ということで、最終報告にはどこまで踏み込めるか、財政的な問題もあると思いますけれども、一言申し上げたいなと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 1点目、奥田委員の無料低額宿泊所の件です。無料低額宿泊所が貧困ビジネスの温床になっている側面もあり、日常生活支援住居施設を創設し基準を設定しました。その中の基準を満たしていない無料低額宿泊所は届出の勧奨を行っています。基準を満たしていない宿泊所はどういう取扱いをするかということについては、それは宿泊所が整備をしていただくことになります。奥田委員が述べていることもわかります。それが行われていない宿泊所は、それを引き上げ整備していただくことになるのではないかと考えます。
 その関連でもう一つ述べさせてもらいますと、生活困窮者自立支援制度の中に一時生活支援事業があります。それと生活保護法で規定する保護施設があります。自立支援センターあるいは保護施設の中で、定員が充足していない事態ももう一方で起きています。生活困窮者自立支援制度の一時生活支援事業あるいは生活保護の適正実施という観点から制度運営を考えるならば、これら施設の積極的利用を進めることが必要であると考えます。
 2点目、駒村委員が述べられたことです。コロナによって生活困窮者自立支援制度も、それ以外の制度も、日常的リスクでは有事のリスクに十分対応できなかったことが出てきました。社会保障・社会福祉制度は、こういうことを1つの機運にしながら新たな制度をつくり出す契機としてきましたので、そういう意味で新たな制度も必要になると考えます。
 私は、冒頭でも話をしましたが、生活福祉資金貸付制度で対応することが果たしてよいかどうかの是非、住居確保給付金はこのままでよいかどうかも、今後検討が必要ではないかと考えます。
 また奥田委員がおっしゃったように、生活困窮者自立支援制度の中で制度資源を持つ、あるいは制度外で制度資源が不在ならば、それをつくり出すことが生活困窮者自立支援の現状と課題の中で見えてきたのではないかと考えます。
 3点目、生活保護の単給についてです。生活保護の制度設計からしますと、生活保護は最低生活費と収入の対比で支給を考えます。その全体の中ですので、単給は制度そのもののあり方を変えていくことになります。住居が必要、あるいは教育が必要とそれぞれの援助を取り出し支給する仕組みとはなっていません。
 そもそも憲法第25条の健康で文化的な生活を担保することで生活保護基準が設定されています。その関係で単給それぞれ取り出すことには慎重に議論をしていかなければいけないと考えます。この点私自身としては、制度資源の拡充を図ることがこの意見の中で共通の認識としてあるということでよいのではないかと考えます。単給を含めて生活保護制度のあり方に踏み込むのはまた別の場で行う必要があるという認識を持っています。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。オンラインはよろしいですか。
 会場はよろしいですか。
 岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 もう1点だけ。生活保護の中で伴走型支援が語られていない点についてです。生活保護は被保護者の立場に立って給付と相談援助を行っていますので、伴走型支援という言葉は使っていません。利用者サイドに立った援助を行うことを基本にして行っていると理解をしていただければと思います。ここで述べている生活困窮者自立支援制度の中で言われている伴走型支援と、生活保護の領域で被保護者の立場に立って相談援助を行っていくということは、同義であると考えています。
 もう一つは、両制度には公的な権力の介入度の違いがあります。生活保護ではパターナリスティックなものにならないよう留意し援助を進めていくことが必要であると考えます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
○新保部会長代理 部会長、会場で渡辺委員が手を挙げていらっしゃいますが、よろしいでしょうか。
○菊池部会長 お願いします。
○渡辺委員 今の岡部委員のお話を受けて1点、子どもの現場から見ると、先ほどの生活保護の単給の話があったのですけれども、例えば今だと、生活保護を受けると住居扶助費が決まっているので、引っ越しをしなければならない場合が非常に多いのです。先ほどの生活保護を受けている家庭の差別にもつながるのですけれども、なぜ特段の理由がないのに引っ越しをしなければいけないのかみたいなところから、非常に子どもの不登校につながったりといったことも出てくる中で、病院に関しても、普通の病院に行けないみたいな問題が出てきて、そういうことがお子さんにとってはすごくつらいだろうし、親御さんにとってもつらいだろうし、そういうことが生活保護を受けることから遠ざかっていくのだろうと思います。
 そういったときに、要は生活保護を受給というか、お金がなくて現金給付が必要な新たな層が出てきたときに、その方たちをいち早く支援して現金給付が必要でない形になっていただくにはどういうことがいいのかという考え方に立って制度を設計していかないと、本当は半年ぐらい現金給付をしながら同じところにいてくれたほうが、子どもは不登校にもならないし、親御さんも仕事は見つかるし、保育園だって変わらなくていいみたいなことになるわけです。新たな困窮層というのが出てきたときに、生活保護の制度についても、そういう方たちの自立、出た後の生活の質にどうつなげていくかという視点を持って制度を見直すみたいなことが必要なのかなというのは今、お話を聞いていて思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 岡部委員。
○岡部委員 1点。
 いろいろな不十分なところは、生活保護の中でカバーすべきだというのが御意見だと思いますが、先ほど述べたように最低限度の生活保障を行うことで、それ以上のものについては、他制度の中で活用していくということになります。他制度が十分でなければ、例えば生活困窮者自立支援制度の中でそういうことを事業化していく、あるいは生活困窮者自立支援制度以外のところで拡充していく。例えば子どもの教育のコストとか、それ以外の住宅のコストを拡充していくということになります。生活保護における最低限度の生活の最低限度をどこまでの範囲や程度で考えるかという話になります。渡辺委員の考え方は分かりますが、先ほど奥田委員が述べられたように、生活困窮者自立支援制度の中で事業化をしていくという方向で、またその中で生活保護の利用の促進を図るためのスティグマをどう解消するかという両面から考えていく必要があるのではないかと考えます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 あとは生困以外の様々な社会保障、社会福祉施策、給付との組合せで、全体としてどう支えていくか。あるいは、社会保障だけに限らない、まさに教育とかにもつながるというお話かなと、今、岡部委員のお話を伺っていて思いました。
○岡部委員 そういうことです。
○新保部会長代理 部会長、こちらで生水委員がお手を挙げていらっしゃいますけれども、よろしいでしょうか。
○菊池部会長 はい。
○生水委員 ありがとうございます。
 私自身の整理のために、先程、岡部委員が単給についておっしゃってくださったことをもう一度整理させていただきたいのですが、例えば生活保護の生活扶助が生活困窮者自立支援法における自立支援金で、生活保護の住宅扶助が生活困窮の住居確保給付金というような近しい事業をより発展させて、そちらのほうでカバーをしていくというようなお考えであるという理解でよかったでしょうか。
○岡部委員 これは別の議論が必要です。なお、例えば住宅扶助は国基準が決まっていて、各自治体でその地域事情に合わせて住宅基準を上乗せし設定する仕組みとなっていますので、住居確保給付金と連動また連動させずに設定することが可能だと思います。
○菊池部会長 この辺でよろしいでしょうか。時間もまいったようでございます。
 本日も皆様から非常に多岐にわたる御意見をいただきました。ありがとうございました。
 いただいた御意見はできるだけ反映させたいと思ってございます。
 前回も申し上げましたが、今回の中間まとめに当たっては、網羅的に全ての御意見を記載するというよりは、一定の方向感、そして突破力のある形を意識しながら整理できればとも考えてございます。
 例えば、ここの部会の検討の今回の射程としては少し取り上げるのが難しいもの、あるいは、何らかの記載をする以上は個別の意見のみだけではなくて、もう少しそれに伴う課題なども含めて丁寧な検討が必要と思われるものなどもあったかもしれません。できるだけ反映するようにしたいとは思ってございますが、そういった観点からの取りまとめという形にさせていただきたいと考えてございます。
 最後のほうで何人かの委員から、次に向けた課題のようなものも書いたほうがいいのではないかという御意見もございまして、それも確かに今回できたこと、できなかったことがございますので、次に向けた記載も必要かなとも思いましたし、それも含めて検討させていただきたいと思います。
 全て網羅できないとしても、先ほどの宮本委員の御発言などもそうですが、当然議事録には残りますので、中間まとめの後にさらに議論していく際にも十分留意させていただければと思ってございます。
 そういった点も踏まえまして、今回の中間まとめの取扱いとしては、僭越ではございますが私に御一任いただけないかと考えてございますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 よろしいでしょうか。会場で1人ぐらい首を横に振っている人はいませんでしょうか。大丈夫でしょうか。
○新保部会長代理 皆さん、拍手をされたり、うなずいたりされていました。
○菊池部会長 よかったです。ありがとうございます。
 それでは、事務局とも相談させていただきながら、最終的な取りまとめは御一任いただこうと思います。出来上がりましたら、すぐに見ていただけるようにしたいと思ってございます。
 それでは、大体時間がまいりました。ここで、中間まとめに向けた議論を終えるに当たって、川又社会・援護局長から御挨拶いただければと思います。
○川又局長 ありがとうございます。社会・援護局長の川又でございます。
 事務局を代表いたしまして、御礼の御挨拶をさせていただきます。
 菊池部会長、新保部会長代理をはじめ、皆様方におかれましては、6月以来、この改定ということで11回にわたりまして、御多忙なところ御出席いただき、また、毎回熱の籠もった議論をしていただきまして、本当にありがとうございます。
 また、コロナ禍の開催ということになりまして、オンライン、会場参加の併用等々、試行錯誤の中での開催となりましたが、皆様方には御不便もあったことかと思いますけれども、御協力をいただき、どうもありがとうございました。
 皆様からは、平成30年改正後の変化あるいはコロナ関係の経験を通して見えてきた課題など、様々多岐にわたる論点につきまして、示唆に富んだ御意見を数多くいただきました。
 また、本日は中間まとめということで、一定の整理をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。
 今後、この中間まとめにおいて整理をいただきました方向性あるいは課題を踏まえながら、可能なものは順次、実施する。それから、さらに検討を深めるべきものはさらに検討を深めるということで、進めてまいりたいと考えております。
 これらの制度は、委員の皆様方、あるいは現場の方々の御努力、熱意に支えられて発展を遂げてきたものと思っています。事務局といたしましても、こうした思いをしっかりと受け止めまして、引き続き、現場の支援者の方々、自治体の皆様の御意見も伺いながら、両制度がさらによい仕組みに発展していくように努めていきたいと考えております。引き続き、御協力をいただければ幸いでございます。
 どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 私からも一言述べよと書いてございますので、一言述べさせていただくことをお許しください。
 委員の皆様におかれましては、これまで7か月間にわたりまして精力的に御議論いただき、ありがとうございました。長期にわたり議論を行ってきたところですが、実際に支援の現場に携わっておられる方々を含め、両制度に深く関わられておられる皆様との議論は非常に有意義であったと感じております。改めて、皆様の御協力に感謝申し上げます。
 今回の制度改正に向けた議論は、本年6月3日の第14回部会以来、今日まで11回にわたって行われました。まだ議論が足りないと思われる向きもあるかと思いますが、前回、平成30年改正に際しても同じ11回に及ぶ議論が行われております。この点は、前会長と私の力量の違い、とりわけ私の議事進行が今回の皆様の満足度の低さの一端につながっているとすれば、大変申し訳なく思っておる次第でございます。今後も研さんに努めたいと思います。
 今回の中間まとめでは、一方で、平成30年改正で行われた生困の包括的支援体制強化、居住支援の強化、生活保護制度における子どもの大学と進学支援、貧困ビジネス対策といった取組をさらに進める方向性を示すことができたように考えます。もちろん今日、様々な御意見が出ましたように、課題は依然として数多くあるという状況ではございます。
 他方で、今回の議論で特徴的なのは、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の一体的な支援、連携強化、これも今後に向けた課題はあるにせよ、一定程度図られることになった点です。この2つの制度を所管に収めた審議会、部会を設置したメリットが、今回、実質的に生かされたと評価できるのではないかと思います。
 今回の制度改革は、地域共生社会の構築、そして令和2年社会福祉法改正による包括的支援体制整備等の延長線上に位置づけられます。そこは総論にも書き込んでいただきました。生活困窮者自立支援法に基づく支援会議の努力義務化や生活保護法における支援会議の設置なども、そうした理念の下でより説得的に正当化され得るのではないかと考えてございます。
 今後は、中間まとめの方向性や課題も踏まえ、さらに両制度がよりよい仕組みに発展していくよう、引き続き、皆様と共に検討を深めてまいりたいと考えてございます。今後とも、よろしく御指導のほど、お願い申し上げます。
 それでは、最後に事務局から、今後の予定などについてお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
 今、部会長からもございましたとおり、本部会の中間取りまとめにつきましては、取りまとめ次第、ホームページにおいて公表する予定でございます。
 以上でございます。
○菊池部会長 それでは、これにて本日の部会を閉会とさせていただきます。
 皆様、議事進行に御協力いただき、誠にありがとうございました。
 新橋方面で楽しいお酒を飲んでください。残念ながら、今日は私はそれを想像するにとどめたいと思います。どうもお疲れさまでした。