2022年12月22日 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和4年12月22日(木)14:00~16:00

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)
事務局(12月22日時点)
  • 佐々木 昌弘 (生活衛生・食品安全審議官)
  • 成松 英範  (生活衛生・食品安全企画課長)
  • 扇屋   りん  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近藤   恵美子 (食品基準審査課長)
  • 小池 紘一郎 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今井 美津子 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長)
  • 田中 里依  (食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長)
  • 三木   朗   (食品監視安全課長)
  • 森田 剛史  (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 福島 和子  (HACCP推進室長、食中毒被害情報管理室長)

議題

  1. (1)報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2. (2)文書による報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  3. (3)その他の報告事項
    1. 1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
    2. 2.生活衛生関係組織の一部業務の移管について

議事

議事内容

○扇屋補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。本日の司会をさせていただきます生活衛生・食品安全企画課課長補佐の扇屋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日も、Webでの審議とさせていただきます。何か不具合がありましたら、お電話又はチャットにて御連絡ください。
はじめに、本日の分科会委員の出席状況ですが、木下委員、津金委員、二村委員、脇田委員から御欠席の御連絡を頂いております。また、合田委員、髙田礼子委員は、途中から御参加される旨の御連絡を頂いております。現在の分科会委員総数22名のうち、現時点で16名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立することを御報告申し上げます。なお、堀内委員におかれましては15時頃に途中退席の旨を伺っております。
続きまして、事務局の紹介をいたします。佐々木生活衛生・食品安全審議官、成松生活衛生・食品安全企画課長、近藤食品基準審査課長、小池残留農薬等基準審査室長、今井新開発食品保健対策室長、田中器具・容器包装基準審査室長、森田輸入食品安全対策室長です。なお、鳥井大臣官房審議官は欠席、食品監視安全課長の三木、HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長の福島につきましては、公務のため途中参加とさせていただく予定でございます。申し訳ございません。審議官等については、公務のため適宜退室させていただく場合がありますので御了承ください。
一般傍聴について、音声のみでの傍聴としております。一般傍聴の方につきましては、厚生労働省ホームページに分科会の資料を公開しておりますので、適宜御確認ください。
続きまして、審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問をされる委員におかれましては、まずカメラがオンになっていることを御確認の上、挙手をしていただきますようお願いいたします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上で御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
議事に移ります。本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、「食品中の農薬等の残留基準の設定」、「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況」、「生活衛生関係組織の一部業務の移管」について事務局から御報告を申し上げたいと考えております。
それでは、村田分科会長、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 コロナ第8波の最中で、かつ年末の御多忙の時期にお集まりいただきありがとうございます。本日は、議題に審議事項は含まれておりませんので、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、報告事項の①「食品中の農薬等の残留基準の設定について」を事務局から報告ください。
○小池室長 事務局から報告をさせていただきます。資料1の3ページを御覧ください。今回報告させていただきます残留農薬の基準に関する品目ですが、本年9月及び10月に開催されました農薬・動物用医薬品部会で御審議いただいた品目です。農薬は計3品目になっておりまして、いずれもADI又はARfDの範囲内ということで御評価いただいたものです。簡単に1品目ずつ御説明をさせていただきます。
4ページを御覧ください。1剤目はアセキノシルです。今回は農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定の要請を受け、残留基準を設定させていただきました。用途は殺ダニ剤でして、国内の適用登録につきましては、農薬として、かんきつ、りんご等を対象に登録をされているものです。食品安全委員会の食品健康影響評価につきまして、ADIが0.022、ARfDが0.073と評価いただいています。今回の基準値に基づく暴露評価の結果に関しまして、5ページになりますが、ADI又は暴露評価の結果につきましては、ADI又はARfDの範囲内ということで、特段問題はないものと御評価いただいています。
実際の基準値案については6ページを御覧ください。当該物質の各食品ごとの基準値案ですが、左から2列目が今般作成させていただいた基準値の案でして、左から3列目が基準値現行ということで、現在設定されている基準値です。左から4列目に登録の有無の欄がありまして、ここで「申」と書いてあるもの、とうもろこしなどにつきまして、先ほどのとおり拡大申請がありまして、これら品目を中心に最新の作物残留試験成績等に従い、新しく基準値を設定させていただいたということです。
続きまして、11ページを御覧ください。2剤目はトリネキサパックエチルです。今回はインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請ということで、海外から基準値設定の要請を受けて残留基準の設定をするものです。用途は植物成長調整剤でありまして、我が国では、日本芝及び西洋芝等の農作物に関係のない農薬として登録されており、農作物には我が国では使われていないというものです。
12ページを御覧ください。当該物質につきましても、食品安全委員会における食品健康影響評価をしていただいておりまして、ADIが0.0059、ARfDが0.6という形で設定いただいております。その下ですが、暴露評価の結果に関しまして、ADI又はARfDの範囲内ということで、特段問題のない旨、部会で評価いただいております。
13ページを御覧ください。基準値案ですが、登録の有無に「IT」と書いている米、小麦等を中心にインポートトレランス申請がありましたので、科学的データに基づいて基準値を作成したということです。それ以外、牛の筋肉以下の家畜残留につきましても、飼料を経由して残留する可能性があるということで、国際基準のデータ等を参考に、これらについても基準値を設定させていただきました。
最後、16ページを御覧ください。3剤目、ピラジフルミドです。当該物質につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請及び畜産物への基準値設定の要請を受けまして、今般残留基準を設定したものです。用途は殺菌剤でありまして、我が国の現在の登録としては、豆類、トマト等を対象に作物登録されています。食品安全委員会における食品健康影響評価につきましては、ADIは0.021、ARfDについては、当該評価を行うに際し、最小毒性量を用いたことによる追加係数を入れまして、安全係数300での計算の結果として、ARfD群については1.6という値で御評価いただいております。
17ページです。暴露評価の結果に関しましては、ADI又はARfDの範囲内ということで、特段問題ない旨、御評価いただいております。
実際の評価値につきましては、18ページを御覧ください。登録の部分の欄に「申」のある品目、大豆、えんどう、そら豆等を中心に、最新の作物残留試験成績等に従って基準値の設定をさせていただきました。資料1についての説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの報告についてですが、まずは部会での審議を御担当されました穐山委員より追加説明等はございませんでしょうか。
○穐山委員 今の小池室長からのお話と繰り返しになってしまいますが、私から追加説明をしたいと思います。今回、農薬取締法に基づく適用拡大申請あるいはインポートトレランス申請等により、アセキノシル、これは殺ダニ剤、トリネキサパックエチル、これは植物成長調整剤で、ピラジフルミド、これは殺菌剤ですけれども、これらについて食品中の残留基準を設定するものであります。これら農薬について、本年9月と10月に開催しましたオンライン会議による部会において審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘がありましたが、食品安全委員会の評価結果、先ほどお話しましたように、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性とは認められていないこと、閾値が設定できると評価されていること、作物残留試験や代謝試験等の結果から得られたデータに基づき規制対象物質あるいは暴露評価対象物質の選定に特段問題がなかったこと、また、作物残留試験あるいは畜産残留試験の分析法、作物残留試験のデータ、暴露評価及び国際基準等の情報により、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上でございます。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、委員の方から何か御意見、御質問はありますでしょうか。
○杉本委員 国立衛研の杉本です。
○村田分科会長 杉本委員、どうぞ。
○杉本委員 11ページの構造式の所なのですが、これは確認なのですけれども、構造式で異性体が存在するというスターが2つ付いていて、右側のスターが二重結合の根元について、これは多分異性体が存在するということでいいのでしょうけれども、左側のスター、カルボニルの根元にスターが付いているのですが、これはここではなくて、シクロヘキサンの根元が正しいのではないのかなと思ったのですが。
○小池室長 御指摘ありがとうございます。多分、先生が御覧いただいているのは事前にお送りしたバージョンかと思うのですが。
○杉本委員 そうですか。
○小池室長 同様の指摘を合田委員からも頂きまして、構造式の正確な記載方法について確認をさせていただいて、今、最新版の資料をこちらから共有させていただきます。見えますでしょうか。
○杉本委員 はい。
○小池室長 トリネキサパックエチルの異性体が複数あるということで、御指摘のとおりスターの位置もおかしいのではないかと合田先生からご指摘を頂きまして、考えられる異性体を列挙させていただきまして、このような異性体があるものとして対象を規定させていただいているということでございます。
○杉本委員 分かりました。ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにありませんでしょうか。それでは、次に移らせていただきます。議題2、文書配布による報告事項に移ります。食品衛生分科会における確認事項において、特に定められた事項については文書配布により分科会に報告を受けることとされています。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問はありますでしょうか。特段の御意見はないようですので、次に移らせていただきます。
続いて、議題3、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告ください。
○小池室長 事務局から報告をさせていただきます。資料3を御覧ください。3ページです。7月1日と9月28日に開催させていただいた前々回及び前回の分科会におきまして、審議又は御報告をさせていただいた農薬等々、食品添加物に関する品目についてのその後の進捗についてです。いずれも分科会で審議、御報告をさせていただいた後、パブリックコメント及びWTO通報等を行って、告示手続ということになっておりますが、ここの記載のスケジュールに従って、適切にパブリックコメントがほぼ順調に進んでおりまして、引き続き、行政手続を進めていく予定としております。事務局からは以上でございます。
○村田分科会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの報告に対して、御意見や御質問をお願いいたします。特段の御意見はないということですので、どうもありがとうございました。
次に、生活衛生関係組織の一部業務の移管についてですが、食品衛生分科会の所掌事務ではなく、ここで御議論いただくものではありません。しかし、前回9月28日の食品衛生分科会で御質問があったことから、事務局とも相談をし、現時点で決定されている内容について共有をすることといたしました。では、生活衛生関係組織の一部業務の移管について、事務局から御報告ください。
○扇屋補佐 では、資料を御覧ください。タイトルが「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」という資料です。こちらの9ページが生活衛生関係組織の一部業務の移管についての部分となります。
(3)生活衛生関係組織の一部業務の移管について御説明させていただきます。感染症対応能力の強化とあわせて、厚生労働省から食品衛生基準行政及び水道整備・管理行政をそれぞれ以下のとおり移管する。①食品衛生基準行政の消費者庁への移管。食品安全行政の司令塔機能を担う消費者庁が、食品衛生に関する規格・基準の策定(これまで厚生労働省が所管)を所管することで、食品衛生についての科学的な安全を確保し、消費者利益の更なる増進を図る。これにより、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の推進や、販売現場におけるニーズ等の規格・基準策定に係る議論へのタイムリーな反映が可能となるほか、国際食品基準(コーデックス)における国際的な議論について、消費者庁が一体的に参画することが可能となる。②については水道行政ですので、ここでは割愛させていただきます。
(4)ですが、上記の(1)から(3)については、次期通常国会に必要な法律案を提出し、(1)(3)については、令和6年度の施行を目指すとされております。事務局からの説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。なお、本日御欠席の日本生活協同組合連合会常務理事の二村委員より、本件に関するコメントを紹介してほしいという要望がありました。事務局より御紹介願います。
○扇屋補佐 二村委員より頂いたコメントを紹介いたします。参考資料の中で、タイトルが「食品衛生基準行政の消費者庁への移管についてのコメント」というものを御覧ください。大きく5点のコメントを頂いております。
1点目が、規格基準の策定と監視指導の連携についてです。こちらの連携について、「これらを分離することは、リスク管理の一体的な遂行に支障を生じることにならないでしょうか」というコメントを頂いております。
2点目、規格基準の策定と調査研究との連携についてですが、「国立医薬品食品衛生研究所等が食品安全に関する調査や研究を実施しており、その成果が規格基準の策定に活用されています。消費者庁への移管によりこうした連携が弱められるのであれば問題です」というコメントを頂いております。
3点目は、コーデックス委員会対応についてです。こちらについては、「現在、厚生労働省は農林水産省等の関係省庁と協力してコーデックス委員会に出席し、食品の国際基準の策定に参画しています」、「この機能を引き続き維持するために、コーデックス委員会対応は引き続き厚生労働省および農林水産省が所管することが適切と考えます」というコメントを頂いております。
4点目が、厚生労働省、消費者庁の役割についてです。後段のほうですが、「消費者庁の役割と機能を「食品安全行政の司令塔機能」と認識しての今回の措置であるとするならば、むしろ食品安全行政そのものの機能が失われてしまう可能性すらあるのではないかと重大な懸念を抱いています」というコメントを頂いております。
最後に、「対応の具体策では」という所ですが、「「感染症対応能力の強化とあわせて、厚生労働省から、食品衛生基準行政を以下のとおり移管する」とされていますが、食品安全行政のあり方は感染症対応とは切り離して、共通の認識を基に、国民の安全や健康の観点からもっとも効果的・機能的な体制を目指して十分議論していく必要があるのではないでしょうか」というコメントを頂いております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。二村委員からのコメントを含め、ただいまの事務局からの報告に対して、各自委員のお立場から御意見、御質問をお願いいたします。浦郷委員、どうぞ。
○浦郷委員 全国消団連の浦郷です。ありがとうございます。前回の食品衛生分科会でのときは、まだインターネットの情報とか新聞での情報ぐらいだったので、私も内容がよく分からず、厚生労働省から消費者庁に移してしまって大丈夫なのかというところもあったものでして、皆さんの御意見を聞きたくて発言させていただきました。そのときにも申し上げましたけれども、期待の声もありましたが、懸念の声もあったということで、また今回、二村委員から懸念があるというコメントが寄せられました。この辺は消費者庁に移管したとしても、運用のところできちんと補っていただけるかと思うのですが、ここに出ている懸念を払拭するように是非進めていただきたいなと思います。また、今回こうして移管するということなので、それぞれ省庁の縦割りではなくて、それこそ消費者庁が横串を差して、ほかの省庁と連携しながら進めていってほしいなと思います。
これは組織編成の話なので、周りからいろいろ言えることではないかと思うのですが、今回、二村委員から幾つか懸念点が出されていますけれども、どういう支障が生じるのかとか、どういう連携が弱められてしまうのかとか、その辺がよく分からないので、もしそこに詳しい先生方がいらっしゃったら、是非教えていただければと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。浦郷委員から御意見を頂きましたけれども、ほかにございますか。また、今の浦郷委員の最後の質問について、事務局で何か分かっておりましたらお返事いただけませんか。
○扇屋補佐 事務局です。二村委員から頂いているコメントで、いろいろな懸念があるということですので、今回私たちも食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後も、関係省庁や関係機関の間の連携が弱まることがないよう、しっかりと準備を進めていく所存です。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。そのほか、どなたかございませんか。今村委員、いかがですか。
○今村委員 キューピーの今村です。組織が変わるということに対して、具体的なことは申し上げられないのですが、恐らく一長一短あるのだろうなと思います。俗にいうとメリットではないのですが、いい動きにつながるところもあると思うのですけれども、片や運営、運用が仕組み化されるまで不備があったりというのがあると思いますので、そういった意見をしっかりとプラットフォームにまず上げられるようにすること、そしてその内容を議論するというか、全てがうまく問題解決に結び付くかどうかというのは別にしても、1つずつ内容を丁寧に整理していくという活動が大事ではないかなと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続いて、杉本委員、いかがですか。
○杉本委員 おっしゃるとおりで、我々国立衛研、私は添加物の担当をしていますが、良いところと悪いところが多分ごちゃ混ぜになってくると思っているのです。だから、厚労省と消費者庁でよく連携していただくということと、あとは業務の移管をうまくできれば、今よりも食品安全に対して体制はよくなると思います。一方で、我々は実際にその中で仕事をするわけですから、不安に思っているところもあります。そこについては、私の関係する基準審査課とかいろいろな部署については御意見をさせていただいているところです。ともあれ、なるべく問題が起きないようにうまく移行できればいいかなと考えております。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、穐山委員、いかがですか。
○穐山委員 今、杉本先生からもお話がありましたけれども、まだ運営上不安なところはあるかと思います。やはり、リスク管理とリスク強化とリスクコミュニケーション、これが一応、内閣府の中に1つに入ってしまうということが若干どうなのかなという気はいたします。消費者庁と食品安全委員会とは分離していると考えるものなのだと思いますが、リスク評価が食品安全委員会、リスク管理、規格基準はほぼリスク管理だと思うのですが、これが同じ内閣府の消費者庁に入ってしまうということで、ここは一応機能的分離はできると思いますが、ある程度国の意向が反映していくのではないかなというふうに考えることもできます。
しかし、もしかしたら決定が迅速になる可能性がありますので、そういった面では比較的良い方向には行くのではないかなと思っています。ただ、ヨーロッパではEFSA、リスク評価機関とEC、European Commissionとがかなり隔たりがありますので、そういったEUの行政機関とはちょっと変わってくるかなと考えております。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、有薗委員、いかがでしょうか。
○有薗委員 今、幾つか懸念というのがありましたけれども、食品衛生基準行政を消費者庁に移管して策定と監視指導を分離しても大丈夫なのかなと不安ではあります。そのためおっしゃるとおりに準備が進んでいる状況が確認できるとありがたいかなと思います。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。続いて、五十君委員、いかがでしょうか。
○五十君委員 ありがとうございます。前回もコメントしたのですが、やはり実際の運用の実態が見えてこないと、システムが動くかどうかの判断というのはなかなか難しいと思います。従来の考え方からすると、動くのだろうかという心配が出てきたり、うまくいかないのではないかという懸念が出てくる可能性はあると思います。逆にこういった懸念を出していただくことによって、運用にそれが反映されていくということを期待したいと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、稲見委員、いかがでしょうか。
○稲見委員 東京都の稲見です。自治体の立場では、国に食品衛生法について疑義照会するということが非常に多いのですが、基準とその運用については、一体のものになりますので、基準の設定が消費者庁に移ったとしても、疑義照会を受けた際には是非両省庁で連携して回答を頂ければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。神村委員、いかがでしょうか。
○神村委員 食品安全委員会のほうの担当の部会に参加しておりますと、食品安全のことについて、特にリスクコミュニケーションが非常に大事ということを強く認識しておりましたので、この度、消費者庁に移管することは、私としては前向きに捉えて、国民に対するリスクコミュニケーションが強化されることはいいことだろうと捉えたいと思うのです。ただ、それが食品衛生の管理の面で疎かにならないように、これまで以上に各分野の連携を図っていただくということで、積極的に進めていただくのはいいことだと捉えております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、苅田委員、いかがでしょうか。
○苅田委員 私も委員の先生方と同じような意見なのですが、業務の移管は一長一短があると思いますけれども、是非国民に寄り沿って、不安を解消できるような透明性のある組織づくりをしていただきたいです。両省庁が説明責任をちゃんと取ること、それから、厚労省と消費者庁がより連携を深めて、よりよい運用を目指して、こういう委員会等で出された意見を集約して、今後の方向性を探っていただけたらと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続きまして、曽根委員、いかがでしょうか。
○曽根委員 私もほかの委員の先生方と同意見です。先ほど神村委員もおっしゃっていますが、もちろん両省庁も当然ですが、そのほかのいろいろな関連施設、医療機関などからも、特に健康障害等に関する情報がスムーズに上がってくるように仕組みを整えておくことが重要ですし、一般国民に対するリスクコミュニケーションも非常に重要だと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続きまして、高田委員も来てらっしゃいますよね。
○高田(信)委員 神戸市の高田です。よろしくお願いいたします。私は神戸市、地方自治体の立場から申し上げますと、今まで厚労省と疑義照会などをしていた立場なのですが、厚労省から消費者庁に移管されるということで、既に決定事項であるということですので、随分先生方も不安材料やいろいろな懸念もあるとは思うのですが、前向きに捉えて、消費者庁と厚労省で円滑な引継ぎができるように議論していただいて、混乱を来さないようにしていただきたいと考えております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続きまして、髙田礼子委員、いかがですか。
○髙田(礼)委員 聖マリアンナ医科大学の髙田でございます。前回は欠席しておりまして議論について一部不明な点もあるのですが、今日の議論を踏まえて申し上げますと、委員の先生方がもう既におっしゃっているとおりだと思っております。実際に進めていく上で、具体的な工程をもう少し明示していただいて、皆様が御懸念されているところが払拭されるように透明性をもって進めていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。次に、藤原委員、いかがでしょうか。
○藤原委員 まず、先生方もおっしゃったとおり、説明を十分にすることが大事かと思っております。なぜ基準策定のみを移管するのか、その根拠は何で、どれぐらいの業務を減らせるのかなどということをちゃんと説明された上で、それと安全管理をグルーピングしても支障が出ないような仕組み作りが大事かなと思っております。そういった意味では、今一度、食品安全基本法の理念というか、科学的・予防的見地から食品安全管理をするのだというところを思い出した上で、各制度の妥当性などを今一度検証すべきかと思います。少なくとも、産業振興と安全管理の分離などの基本的な事項に関して、逆行が起きないような仕組み作りが大事かと思います。
一方で、期待としては、今まで食品安全行政というのは、少なからず理系重視といいますか、理系中心で動いている部分があったかと思うのですが、消費者庁に移すことによって、研究面でも、今、世界中ではやっているフードポリシーといいますか、文理融合で、従来の学問領域にとらわれないような研究との連携というのも進めやすくなったらいいなということで、是非消費者庁でそういうところを主導していただければと思っております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続きまして、堀内委員、いかがでしょうか。
○堀内委員 担当の方々が熟慮して決められたことだと思いますので、不安はないのですが、こういう委員会などで、それが機能していくかどうかをちゃんと確認をしていくことが重要になるのかと思います。また、個人的な組織上の興味としては、機能を移管する際に、それはマンパワーの移動も伴うのかというところに少し興味があります。というのは、御存じのとおり、食品安全委員会はプロパーがいない組織なわけでして、この機能移管がマンパワーの移管に伴う、言い換えると消費者庁のプロパーというのが誕生していくのかどうかということに別の興味があります。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。続きまして、松嵜委員、いかがでしょうか。
○松嵜委員 全体としてはよく分かっていないという中で、印象だけでの発言になってしまうと思いますが、そのほうが良いから、こういうふうに移管ということで考えられていると思うのですが、その良い方向としては、国民によりよく伝えることに重点を置こうという方針が立っているのかと理解しています。ただ、今もおっしゃったように、必要な専門性が確保されるのかということだとか、作業量がものすごく多くなると思いますが、それをできるだけの人員がサポートされるのかとか、その辺りでうまく回っていくといいかなと思いました。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。最後になりましたが、森委員、いかがでしょうか。
○森委員 株式会社明治の森でございます。メーカーの立場といたしましては、厚生労働省の下での食品安全行政が、消費者行政を担う消費者庁に移ることで、規格基準の策定が消費者視点に向かうのではないかということがあるのですが、そのことによって、メーカーにとって負担や過酷な内容になっていくことを少し懸念しております。しかし、現時点では、移管後の運営がどのようになっていくかが見えておりませんので、今後タイムリーに情報収集をしながら意見を述べさせていただくことも必要ではないかと考えております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。合田委員はいらっしゃいますね。どうぞお願いいたします。
○合田委員 途中からの参加となり申し訳ございません。実際に日本における科学的なデータを出したり、出すための分析法の開発等を所掌している、やらなければいけない研究所は国立衛研でございまして、国立衛研そのものは組織上何も変わりませんし、国から言われた話は確実に仕事をこなしていくつもりですので、そういう我々の体制は変わらないという意味では、サイエンスの部分、レギュラトリーサイエンスの部分では変化はないと思っております。ただ、最終的な判断というのでしょうか、判断について実行される所は行政的な組織ですので、それは行政官の方が進められるということで、そういう意味で、厚労省がやるのと消費者庁がやるのと、どちらがより国民のためになるかということを、議員の先生が判断されてこういう形になったのだろうと理解しています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。これで全員がお話をされましたね。それでは、事務局から何か今までの意見をお聞きになられて、コメントはありますでしょうか。
○扇屋補佐 ありがとうございます。先生方、いろいろな御意見をありがとうございました。頂いた御懸念点については、先生方や一般の方々の懸念が深まることのないよう、しっかりと準備を進めていきたいと思います。同時に期待のコメントも頂きましたので、それも踏まえて、今後進めていきたいと思います。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。これで報告事項の議事は終わりました。最後に事務局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○扇屋補佐 長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は、薬事・食品衛生審議会総会後に新たな委員をお迎えして行う予定です。開催日時については現在調整中ではありますが、令和5年1月25日から27日の間にWeb会議にて開催する予定で検討しております。最後に、生活衛生・食品安全審議官の佐々木より、御挨拶を申し上げます。
○佐々木審議官 本日も様々な御意見をありがとうございました。この委員構成で食品衛生分科会を行うのも、それほど緊急な事案がない限りは本日が最後となる予定でございます。先生方におかれましては、令和3年1月の2年前から、このコロナの中、Web開催が基本となる中で、様々な御意見を頂き、また、審議が円滑に行うことができたことについて、厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
振り返りますと、この間、多数の農薬や添加物、あるいは規格基準の設定がありました。例えば令和3年3月には、「指定成分等含有食品の健康被害情報に係るワーキンググループ」の設置、これによって、平成30年の食品衛生法の改正の円滑な導入に結び付けることができました。さらには、技術の開発がどんどん進んでいく中で、令和3年度にはゲノム編集技術応用食品の事前相談等に対する対応についても様々な御意見を頂き、適切な対応を行うことができました。今後も科学は進歩し、技術に応用され、それが食品に応用されていくことになると思います。
先ほどの議題にもありましたが、我が国の食品安全行政が新たな立て付けになることも、これは来年1月から始まる次期通常国会で、本日頂いた御意見も踏まえて、法案として提出して、食品衛生法等がどうすれば我が国の政府として円滑に機能し、そして様々な国民をはじめとする皆さん、メーカーの皆さん、販売店の皆さんが食品安全を享受することができるのか、そしてそれが効率的に行うことができるのか、まずはこの食品衛生法等のより機能的な法改正を目指し、その結果として、先ほど申し上げました食品衛生行政がどういう移管の仕方がよいのか、こういう考え方の順番で法改正を進めていきたいと考えております。
引き続き、様々な立場での御指導を頂けますよう改めてお願い申し上げまして、今期の食品衛生分科会における最後の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、長時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。