第179回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年12月19日(月) 19:00~20:00

場所

厚生労働省 専用第14会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○尾崎補佐 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただければと思います。まず、開催に先立ちまして御連絡となります。
 本日はこちらの会場とオンラインの併用で開催しております。部会中は、オンラインの方は、基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。発言される際には、会場の方は挙手で、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を御使用いただきまして、部会長から指名のあった後に御発言をお願いいたします。
 なお、本日も感染症の蔓延防止のため、傍聴は別会場にて、オンラインで行っております。
 進行に関する説明は、以上となります。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ただいまより、第179回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出欠状況ですけれども、公益代表の中窪委員、使用者代表の大谷委員、柴田委員が御欠席と伺っております。
 マスコミの方はここまでとさせていただければと思います。
(カメラ退室)
○守島部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、議題1です。議題1は、「雇用保険制度について」でございます。
 それでは、資料に基づいて事務局よりまず御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 それでは、資料1を御覧いただければと思います。表紙が「雇用保険の財政運営等について」という資料になります。
 まずおめくりいただきまして、1ページ目は目次でございます。本日は、1つ目の「現下の雇用情勢や今後の雇用政策」を念頭に置きつつ、2つ目の「休業支援金・給付金」、3つ目の「雇用保険の財政運営」について御議論いただきたいと考えておりまして、資料もその順番で御説明させていただきます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。雇用情勢でございますけれども、直近10月には、完全失業率が2.6%、有効求人倍率が1.35倍と、コロナ前に近い水準にまで持ち直してきております。
 3ページ目は、「雇用人員判断の動向」でございます。下のグラフですけれども、足下では、左の業種別、あるいは右側の企業規模別で見ましても、いずれで見ても人手不足となっております。
 同時に、今後さらに人手不足の傾向が強まることも予測されております。
 続いて、4ページでございます。こうした人手不足の状況も背景といたしまして、10月末に厚生労働省にて公表した政策パッケージでございます。
 左下の枠囲みを御覧いただければと思いますが、「コロナ禍の緊急的・短期的政策」といたしまして、これまで、雇用維持あるいは休業支援を行ってきたところでございますけれども、今後は、右側にございます「これからを見据えた雇用政策」といたしまして、人材育成あるいは賃金上昇を伴う労働移動支援等に力点を移していくこととしております。
 5ページ目を御覧いただければと思いますが、こちらはパッケージの個別の施策になりますので、説明は割愛いたします。
 6ページ目は、総合経済対策でございます。下のほうに太字がございますけれども、御説明いたしました労働移動円滑化、あるいは人への投資への支援の強化に万全を期すとともに、雇用情勢が悪化した場合にも、十分な対応を図るためには、雇用保険の財政基盤の安定が不可欠であると、このようにされております。
 続いて、7ページ目以降が「休業支援金・給付金」についてでございますが、8ページ目の概要を御覧いただければと思います。資料一番上に「概要」という四角囲みがございますけれども、こちら、休業支援金は、感染症の影響で休業させられた労働者のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった方が、個人申請で受給できる、そういった仕組みになっております。
 続いて、9ページ目を御覧いただければと思います。先月、公表された助成内容でございます。
 右側のオレンジが休業支援金等でございまして、今年の12月から給付率を6割としつつ、3月末まで延長されたところでございます。
 続いて、10ページですけれども、休業支援金・給付金の支給決定件数・支給決定額の推移でございます。大まかな傾向といたしまして、緊急事態宣言等の期間は増加しておりますけれども、おおむね減少傾向にございます。
 ただし、下の(注)でございますけれども、直近の数字は、申請期限が到来していない部分もございますので、参考という形になります。
 11ページ目を御覧いただければと思います。「産業別の累計支給決定額」でございまして、左側ですが、産業別に見ますと、宿泊業、飲食サービス業が36%と最も多くなっております。右側の雇用人員判断D.Iでございますけれども、宿泊・飲食は、昨年12月以降、人手不足という形になっております。
 12ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、「中小企業における資金繰りの状況」でございます。上の四角囲みでございますけれども、本来は、各企業において雇調金を活用して、休業手当を支払うというのが基本でございます。ただ、コロナ発生当初に関しては、特に中小企業で、資金繰りの面から休業手当の支払いもままならない、そういった状況も踏まえまして、この休業支援金が創設された経緯がございます。
 現在の状況を見ますと、下側に中小企業の資金繰りD.I.がございますけれども、どの産業で見ても、コロナ前の水準に戻ってきております。
 13ページ目を御覧ください。こちらは、「休業支援金・給付金に関する法律の規定」でございます。現行法上、休業支援金・給付金は、令和5年3月末までの休業期間が対象となっておりまして、法律どおりであれば、3月末までという形となっております。
 続いて、14ページ目以降は「雇用保険の財政運営」でございますけれども、特に雇用保険料率に係る点に着目して御説明させていただければと思います。
 15ページ目でございますが、こちらは財政構造です。下の図のとおり、雇用保険は、失業等給付、育児休業給付、さらには、雇用保険二事業に区分して、運営しているところでございます。
 16ページ目は、このうち失業等給付に関する収支状況でございます。こちらは、前回部会でも提出したものと同じでございますけれども、真ん中に「支出」とございまして、こちらは育休を区分経理いたしました令和2年度以降を見てみますと、大体1.5~1.6兆円という形となっております。
 一方で、その2つ上にあります「うち保険料収入」を御覧いただきますと、こちらは法律上の原則である保険料率から下げているというところもありまして、令和2、3年度は0.4兆円、令和4年度は0.8兆円と、支出よりも少なくなっている状況でございます。
 続いて17ページでございますけれども、こちらは、二事業の収支表でございまして、こちらも前回部会と同様でございますので、説明は割愛させていただければと思います。
 続いて、18ページでございますけれども、令和4年度の雇用保険料率でございます。下に表がございまして、右端のとおり、法律上の原則は、失業等給付は0.8%、育児休業給付は0.4%、雇用保険二事業が0.35%となっておりますけれども、先ほど御説明したとおり、失業等給付については、今年の法改正で、令和4年度前半は0.2%、後半は0.6%となっております。こちらについては、令和4年度限りの措置となっておりますので、来年度は、法律どおりであれば、0.8%という形となります。
 続いて、19ページからが弾力条項でございます。上の四角囲みでございますけれども、失業等給付に係る雇用保険料率は、原則8/1000であるところ、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、厚生労働大臣が一定の範囲で変更することができる。このような仕組みになっております。
 真ん中の計算式の下のほうに赤字がございますけれども、直近の令和3年度の決算額で計算してみますと、2.67と、2を上回りまして、形式的には保険料率を引き下げることができることになります。
 ただ、留意点といたしまして、上の四角囲みに戻りまして、※1を御覧いただければと思いますけれども、下線部です。令和3年度の決算による弾力倍率については、積立金からの借入が全額返済された状態を前提として計算しているということになりますので、計算上は、実際の積立金よりも多い形で計算しているという形になります。下線部の1行上あたりでございますけれども、これは、今年の雇用保険法改正によりまして、返済されていない貸借額については考慮せず、実勢に即した積立金の残高に応じて計算することになりましたが、令和3年度決算では、この改正が適用されないため、こういう計算結果になっているということでございます。
 ※2でございますけれども、労働保険徴収法の規定といたしまして、弾力条項により保険料率を変更するに当たっては、初めのほうはちょっと割愛させていただきますが、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう配慮するものとされておりまして、こうした法の趣旨にも留意することが必要かと思います。
 続いて、最後に20ページでございますけれども、雇用保険二事業に係る弾力条項でございます。こちらは、真ん中の赤字でございますけれども、令和3年度決算額による計算では-7.08、仮に改正後の規定を当てはめた場合でも-2.92ということで、来年度の保険料率も原則どおり3.5/1000という形になります。
 資料の御説明については、以上となりますけれども、本日、急遽御欠席となりました大谷委員から、議題1の「雇用保険制度について」御意見をお預かりしておりますので、私から代読させていただいてもよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○尾崎補佐 それでは、読み上げさせていただきます。
 1つ目でございますけれども、中小企業の状況につきまして、資金繰りがコロナ前と変わらない数字になったとの説明を受けましたが、D.I.値は依然マイナスです。また、2019年は、世界経済の鈍化や消費税10%への引き上げなどにより、決して景気がよい状況にあったわけではありません。
 2つ目ですけれども、中小企業は、現在、円安や物価高の直撃に加え、2023年はゼロゼロ融資の返済などで、厳しい状況が続きます。雇用保険財政の立て直しには、中小企業の置かれている状況を鑑みて、単に保険料率を引き上げるということではなく、さらなる一般会計の投入などで御対応をいただきたいと思います。
 読み上げについては以上です。
 事務局からは以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、何か御質問・御意見等がありましたら、お伺いいたしたいと思います。
 清田委員、お願いいたします。
○清田委員 日本商工会議所の清田です。ありがとうございます。雇用保険財政の運営について意見を申し上げます。
 失業等給付及び二事業につきまして、残高が枯渇していることに加えて、単年度の収支でプラスを維持していくためには、保険料の原則復帰はやむを得ないものと理解はしています。
 しかしながら、各種コストが高騰を続ける中で、雇用保険料を含む負担の増加は、持続的な賃上げが現在企業に期待されておりますが、こうした企業の賃上げマインドを低下させる懸念すらあると考えております。
 そもそも雇用保険財政の悪化の原因は、コロナ禍への対応だと理解をしています。これまでも、コロナ対応は、事業主のみが負担をしている雇用保険二事業ではなく、一般会計による国費で負担するべきと主張してまいりました。雇用保険財政の安定に向けて、一般会計からのさらなる繰入をお願いしたいところでございます。
 今後、コロナ禍での雇調金特例措置等にめどがついた後には、雇用保険財政に与えた影響を整理して、雇用保険料率について、万一にも原則を超える引き上げとならぬよう、財政の早期安定化の道筋を示していただきますように、お願いをいたします。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございましたら、お伺いしたいと思います。
 では、冨髙委員お願いいたします。
○冨髙委員
 まず、休業支援金・給付金についてです。前回も申し上げましたが、「事業主が休業手当を支払い、それを国が雇調金で支えること」が基本であり、通常制度に戻すにあたっては、これまで以上に、休業手当の支払いを事業主に徹底をさせるよう、監督、指導を行うとともに、支援を必要とする受給者に対しては、個別の支援を徹底していただきたいと考えています。
 「雇用保険の財政運営」については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を引き続き注視する必要があると考えていますが、一方で、社会・経済活動への影響については、徐々に抑えられてきているものと認識しています。
 雇用のセーフティネットである雇用保険が、将来にわたって安定的に運営され、支援を必要とする労働者が保護されることを念頭に置き、雇用保険財政の安定運営の確保の観点から、保険料率を戻していくことも含めて検討を行うことが必要だと考えています。
 また、議論にあたっては、前回も申し上げましたが、本年1月に当分科会として付していた意見のとおり、雇用保険財政全般の在り方について、国庫繰入も含めて、労政審において丁寧に議論をすることが必要だと考えています。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見ありますでしょうか。
 では、平田委員お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 資料19ページで弾力条項についての説明があります。令和3年度の決算額による計算で、弾力倍率は2を超えている一方、括弧書きにあるとおり、法改正後の規定を当てはめた場合、来年度は急速に倍率が低下していくと理解をしました。
 他方、仮に、雇用保険料率が本則に復帰をしたとするならば、先の法改正で新設された機動的な国庫からの繰入の要件の1つを満たすことになると理解しております。冨髙委員からもご意見がありましたが、1月13日の雇用保険部会において公労使で一致した意見を付記したとおり、雇用保険財政の安定に向けて新しい国庫繰入制度を適切に運用していくべく、財政の安定化に向けて、労政審での検討を求めます。以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、御質問・御意見ありますでしょうか。
 それでは、ないようなので、一応これで終りにしますけれども、議題1について、2点ほど確認をさせていただきたいと思います。
 まず、休業支援金・給付金につきましては、現下の状況が前提にはなりますけれども、現行の法律どおり、令和5年3月末までの休業期間を対象とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 次に、令和5年度の失業等給付に係る保雇用保険料率については、事務局から御説明がありましたとおり、法律どおり、原則である0.8%に戻るということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題1につきましては、以上とさせていただきたいと思います。
 次の議題に移ります。議題2は、「求職者支援制度について」でございます。
 まず、事務局より資料に基づいて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○平川室長 訓練受講支援室長の平川と申します。よろしくお願いいたします。
 資料2を御覧いただきたいと思います。
 まず、2ページを見ていただきまして、求職者支援制度につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けた方の訓練受講を支援するという観点から、令和5年3月末を期限とする特例措置を設けてございます。
 具体的な内容でございますけれども、まず、本人収入要件につきまして、シフト制で働く方などが、一時的に収入が増えた場合などを想定いたしまして、月8万円以下から月12万円以下に引き上げているところでございます。
 それから、世帯収入要件につきましては、配偶者、それから、親御さんと同居している非正規雇用労働者の方などが、訓練を受講しやすくなるように、要件を月25万円以下から月40万円以下に引き上げているところでございます。
 出席要件につきましては、子供のぐずりなど、証明できない理由で欠席せざるを得ない育児中の方などが、訓練を受講しやすくなるよう、理由によらず、訓練実施日の2割までの欠席を認めることとしております。
 また、急にシフトが入ったなど、仕事の都合により欠席した場合につきまして、やむを得ない理由による欠席として取り扱うこととしてございます。
 それから、訓練対象者の特例といたしまして、働きながら訓練を受講して、正社員転換などを目指す非正規雇用労働者の方などの訓練受講を促進するために、転職せずにスキルアップを目指す方を訓練の受講対象としております。
 続きまして、3ページを御覧ください。
 今般、特例措置の活用状況につきまして、2種類のデータを用いまして分析を行ったところでございます。
 まず、1つ目のデータは業務データでありまして、訓練開始日が特例開始後の令和3年12月以降、かつ訓練終了日が令和4年9月以前である公的職業訓練を受講した方のデータになります。
 2つ目のデータは、雇用保険受給者以外の訓練受講者に対しまして、全国のハローワークで行ったアンケート調査によるデータでございます。
 4ページを御覧いただきたいと思います。
 まず、訓練受講者の属性でございますけれども、訓練受講者の割合は、訓練種別で見ますと、求職者支援訓練と公共職業訓練が3:7ということで、公共職業訓練のほうが多くなってございます。
 また、男女比を見ますと、求職者支援訓練のほうが、女性の割合が高くなっております。
年齢の状況は左下のグラフになりますけれども、訓練受講者の年齢層は幅広い年齢層になっております。
 右上のグラフですが、男性は20歳代、女性は40歳代が最も多く、それから、右下のグラフですけれども、訓練種類別で見ますと、求職者支援訓練の受講者は20歳台、公共職業訓練の受講者は40歳台が最も大きくなってございます。
 続きまして、5ページを御覧ください。
 職業訓練受講給付金の支給状況についてでございます。
 一番上のグラフになりますけれども、公的職業訓練の受講者のうち、雇用保険を受給できない方は27.1%、それから、そのうち受講給付金を受給した方は47.3%となっております。この給付金受給者のうち今回の特例措置を適用されたのは34.3%という内訳になってございます。
 それから、6ページを御覧ください。
 特例措置の適用状況でございますけれども、左のグラフ、オレンジ色の棒になりますが、受講給付金受給者の34.3%がいずれかの特例措置を利用しております。特例措置の中で、出席要件(やむを得ない理由以外の欠席)の特例措置が最も利用されているところでございます。
 なお、下に(注)でございますけれども、訓練対象者の特例につきましては、活用が非常に少なかったことから、今回、分析の対象とはいたしておりません。
 続きまして、7ページでございます。
 特例措置の適用者の属性でございますけれども、まず、男女別で見ますと、特例措置の適用者と非適用者では、男女比に大きな違いはございませんでした。
 それから、右のグラフでございますけれども、特例措置の適用者は、20歳台、30歳台の方が多くなっております。
 左下のグラフですが、特例措置の適用者は、非適用者に比べて、求職者支援訓練の受講者の割合が若干高くなっているという状況でございます。
 続きまして、8ページでございます。
 特例措置の効果ということでございますけれども、まず、訓練受講者数の前年同期比を見ますと、この表で言いますと一番右の欄になりますけれども、訓練受講者は、特例措置開始後は、特例措置の開始前と比べまして、10.5%増加をしております。うち雇用保険受給資格者の増加率は6.8%、雇用保険受給資格者以外の増加率は21.9%となっておりまして、特例措置の効果もあって、雇用保険受給資格者以外の方の訓練受講が大きく伸びたのではないかと考えてございます。
 それから下のマル2「中退率」。こちらは就職によるものを除くものですけれども、こちらを見てみますと、中退率が全体的に上昇する中で、受講給付金の受給者のみ、6.1%から5.6%と、低下をしております。訓練受講中に給付金受給が途絶えるケースが減ったということが、受講継続に一定程度寄与したのではないかと考えております。
 それから、9ページでございます。
 特例措置の適用者の就職率等を見てまいりますと、就職率、雇用保険適用就職割合、関連就職割合、それから、就職先での雇用形態等ですけれども、こちらにつきましては、特例の適用者と非適用者で大きな違いはなかったという結果になってございます。
 10ページでございます。
 ただ今、就職先での雇用形態に大きな差はなかったと申し上げましたけれども、こちら、世帯収入要件の適用者に限って見てみますと、特例措置の適用者については、パート就職をしている方の割合が高くなっております。左のグラフの赤丸で囲んであるところがパート就職の割合ですけれども、こちらは特例適用者の割合が高くなってございます。
 このパート就職した方たちの就職先の産業ということで、右のグラフになりますけれども、各産業におけるパート雇用者の割合と比較をいたしますと、訓練受講後に情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業、医療・福祉等といった一定のスキルが求められる産業への就職割合が高いという結果になってございます。
 それから、11ページでございます。
 それぞれの特例措置の適用状況や効果についてでございますけれども、まず、本人収入要件につきましては、求職者支援訓練受講者の割合が比較的高くなっております。
 それから、左下のグラフでございますけれども、ハローワークでのアンケートによりますと、働きながら訓練を受講している方、つまり、今回のこの特例措置の適用対象となり得る方は15%となっております。
 また、その右のグラフですけれども、働いておられる方のうち、1か月の収入が6万円以上である方。こちらは一時的なシフト増により、月の収入が8万円を超える可能性が高い層になりますけれども、そういった方たちは全体の4分の1程度となってございます。
 それから、12ページを御覧いただきたいと思います。
 世帯収入要件の特例措置につきましては、男女別で見ますと、女性の活用割合が高くなっております。
 それから、下のほうのグラフですけれども、アンケート調査によりますと、育児中の方や働いている方の活用割合が比較的高くなってございます。
 それから、13ページでございます。
 出席要件の特例措置(やむを得ない理由以外の欠席)でございますけれども、左下のグラフで、育児・介護中の方の活用が7.4%ということで、育児・介護中でない方と比較をいたしまして、比較的多くなってございます。
 なお、訓練受講者のうち、育児・介護をしながら訓練を受講されているのは、その右のグラフで8.2%でございます。
 このページの真ん中に、「特例措置の適用回数等」という表がございます。この受講給付金は毎月支給審査を行って、支給をしておりますけれども、無条件で毎月支給されるという仕組みにはなってございません。平均4か月強の訓練期間のうち、給付金を受給した回数は、平均で3.5回前後となっておりますけれども、このうち、この出席要件の特例措置が適用された回数を見てみますと、給付金の受給者全体で見ると、平均で0.4回程度となってございます。
 また、本特例措置の適用を受けた方が、平均何回適用を受けたかを見ますと、平均1.5回程度となっております。
 したがいまして、この特例措置につきまして、必ずしも訓練期間中に毎月使われるといったような状況ではなかったと考えてございます。
 それから、14ページでございます。
 仕事のための欠席についての特例措置につきましては、求職者支援訓練受講者の割合が比較的高くなっております。
 ただし、本特例措置の適用割合は、受講給付金受給者全体の中の0.4%、それから、働きながら訓練を受講している方の中で見ましても、2.7%ということで、低調にとどまっております。
 それから、最後15ページを御覧いただきたいと思います。
 以上の分析も踏まえまして、令和5年度以降の求職者支援制度の在り方について御議論いただきたい論点がこちらでございます。
 まず、求職者支援制度につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けた方を支援するために講じてきた特例措置が、令和4年度末で終了いたしますが、特例措置の活用状況や効果を踏まえまして、まず、特例措置終了後における給付金の支給要件、出席要件や世帯収入要件などの在り方、それから、訓練対象者の範囲、在職者の取り扱いについて、どのように考えるか。
 また、職業訓練の円滑な受講を支援する観点から、月10万円の職業訓練受講手当以外の支援、例えば交通費の支援も含め、制度の改善を図るべき点はないか。
 本日は、こういった論点に沿って御議論をいただきたいと思います。
 次回の雇用保険部会におきまして、本日いただいた御意見も踏まえまして検討した具体的な見直し案を御提案できればと考えております。よろしくお願いいたします。
 それから、本日、急遽御欠席となりました大谷委員から意見書をお預かりしておりますので、こちら読み上げて、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○平川室長 では、読み上げさせていただきます。
 「求職者支援制度について」ということで、御説明のデータにより、傾向は分かりますが、もう少し具体的な効果検証・分析をお示しいただきたいと思います。財政が厳しい状況において、雇用保険受給資格がない方で受講給付金を受給している方が一定数いること、また、支給対象を拡大する見直しがある場合には、支出が増えることに留意が必要と考えます。
 要件の見直しに当たっては、コロナ特例適用下での効果検証も十分踏まえ、本当に必要な方へ給付が行われる適切な制度の仕組み、運営となるよう、慎重に検討する必要があると思っております。
 以上でございます。
 御説明も以上でございます。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明、本件につきまして、御質問・御意見がありましたら、お受けしたいと思います。
 平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。
 コロナ禍を契機とする特例措置は、訓練の裾野を広げる可能性があり、成長分野等への円滑な労働移動に資する可能性もあると理解をしております。コロナ特例としては一旦廃止するとしても、訓練対象者の就職やスキルアップなどにつながっているかという観点から検証を行い、実効性の高いものについては、延長や見直しを検討してはどうかと考えております。
 求職者支援制度については、主な対象者が雇用保険被保険者以外であることを踏まえると、その財源の在り方について検討していくべきと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員
 求職者支援制度についても、1月の雇用保険部会報告において、「利用者が大幅に増加しない要因について不断に調査・検証する」ことや、「効果検証を行うべき」と記載されています。また、「制度利用のボトルネックや制度趣旨に沿った効果を上げているかを含めて、令和4年度に効果検証を行い、その結果を踏まえて必要な見直しを検討すべき」とされたと認識しております。
 今回、データも幾つか示されましたが、今後の見直しの方向性を検討するには、データがまだ不十分だと考えています。本来であれば、「支援を必要とする人に支援が届いているのか」「制度利用者が、訓練を受けることで、よりよい条件の職場への再就職や、職場定着につながっているのか」といった視点での制度自体の効果検証が非常に重要だと考えており、そのうえで、特例措置の議論をすべきと考えています。
 少なくとも「支援を必要とする人に支援が届いているのか」という視点は、給付金の受給要件、訓練対象者に関する議論に直結するものだと考えており、そういった点も含めて、今後の在り方を議論することが重要だと考えています。今後の議論に資するデータの提供をお願いします。
 また、雇用保険受給資格のない方を対象としている制度であるため、労働者側からは、従前より、全額一般会計で実施すべき、と発言していますが、財源の在り方についても検討すべきだ考えています。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見等ありますでしょうか。
 それでは、御意見がないようですので、本議題はこれで終わりにさせていただきたいと思います。
 この際ということで、何か御発言なさりたい方がおられたら、お受けいたします。
 ありがとうございます。
 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また、遅い時間にお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。