2022年11月30日 第16回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

日時

令和4年11月30日(水) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 仮設第2会議室(オンライン会議会場)
東京都千代田区霞が関1-2-2

議題

  1. (1)令和4年度事業の中間報告
  2. (2)今後の取組みの方向性について
  3. (3)その他

議事

議事内容

○医薬安全対策課長 それでは、若干定刻を過ぎておりますけれども、第16回「高齢者医薬品適用使用検討会」を開会いたします。
 本日御出席の構成員の先生方におかれましては、お忙しいところ、どうもありがとうございます。
 本日、構成員19名16名の出席をもちまして検討会を開催させていただきます。
 本日の検討会の公開につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 本日はウェブ開催のため、対面での進行と一部異なること部分がありますので、議事に先立ちまして、審議の進行方法について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明いたします。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なった際は、座長から順に発言者を御指名いただきます。
 会議中、マイクの調子が悪くなった場合などは、メッセージに御意見等を記入していたくようお願いする場合がございます。
 その他、システム動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構でございますので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 もし、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールにて御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御不便等をおかけするかもしれませんが、何卒御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入らせていただきます。以降の進行は座長の印南構成員にお願いしたいと思います。印南先生、よろしくお願いいたします。
○印南座長 座長の印南でございます。座長を務めさせていただきますので、皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 今回もオンライン開催ということで事務局から説明がありましたが、これまでの説明に関して、質問や意見等がありましたらお願いします。
 ないようですので、それでは、議事に入る前に、構成員に交代があったとのことですので、事務局より紹介してください。
○事務局 それでは、御紹介させていただきます。
 城守構成員が退任され、新たに着任されました公益社団法人日本医師会の細川秀一先生です。城守構成員には、この場をお借りして、これまでの議論において貴重な御意見をいただきましたことについて御礼申し上げたいと思います。細川構成員から一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○細川構成員 皆様、こんにちは。日本医師会の常任理事の細川でございます。このたびより皆様の仲間に入らせていただいてやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○事務局 ありがとうございます。
 また、本日、議題1としまして、令和4年度実施しております事業の中間報告というものがございます。各事業を実施していただいている団体の皆様にも御参加いただいておりますことを御案内申し上げます。
 以上になります。
○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料を確認させていただきます。
 資料はあらかじめメールでお送りさせていただいています。
 順に御確認させていただきますと、まず、議事次第、配付資料一覧、開催要綱、資料1-1から資料1-5、資料2、参考資料1から3となっております。詳細については割愛させていただきたいと思います。
 本日の資料は以上となっておりまして、不足等がございましたらお知らせいただければと思います。
 なお、これらの資料につきましては、厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、ウェブで傍聴いただいている方におかれましては、そちらの方を御確認いただければと思います。
 以上になります。
○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。
 議題1は令和4年度事業の中間報告になります。まずは事務局から本議題の進め方等について御説明をお願いします。
○事務局 よろしくお願いいたします。
 資料1-1の2ページを御覧ください。
 「これまでの取組み」についてです。
 令和元年度に100床以上の医療機関を対象に実施したアンケート調査により、ポリファーマシー対策における現状の把握と課題の抽出を行ったところ、ポリファーマシーに関する理解は一定程度進んでいる一方で、ポリファーマシー対策が十分に進んでいない、好事例施設のような先進的な取組みをそのまま自施設へ展開することは難しい面もあるといった実態が分かりました。これらの課題を解決するためのツールとして、令和2年度にポリファーマシー対策の取組みを始める際や業務運用体制を体系的に構成、構築、運営する際に役立てていただくための業務手順書、様式事例集である「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を取りまとめました。令和3年度は、この業務手順書を実際に3か所のモデル医療機関で運用し、業務手順書等の有効性と課題を確認するとともに、その取組結果を学会発表等を通じて周知することにより、ポリファーマシー対策及びツールの普及啓発を行いました。
 資料3ページを御覧ください。令和3年度事業を通じて明らかとなった有効性と課題について示しております。
 スライドで示しているとおり、主な課題として、病院の医師と地域の医師との連携体制の構築が難しい、地域連携の実現が難しい、地域の医師会に対するアプローチのみでは開業医各々のポリファーマシー対策に対する意識の差が把握しづらい等が挙げられました。
 資料4ページを御覧ください。このような課題等を踏まえて、令和4年度事業は、この業務手順書等を地域で活用するに際し、不足する内容や課題等を明らかにすること、課題を解決するために有効な取組み等があれば、今後の活用に向けてそれらの情報を整理することを目的に4つの団体を採択して、地域でのポリファーマシー対策の取組における課題抽出等を行っております。
 本日はこの4つの団体、広島市薬剤師会、富山県薬剤師会、神奈川県保険医協会、宝塚市薬剤師会に取組状況の中間報告をしていただきます。
 資料6ページを御覧ください。本議題である中間報告の進め方について、1団体当たり10分で御説明いただき、その後、意見交換や質疑応答を5分ほどで行います。なお、各団体の報告につきましては、9分経過したらベルを1回、10分経過したらベルを2回鳴らしてお伝えします。
 4つの団体の報告が終わりましたら、各団体の取組みで最終報告までに取り組んでほしい内容や、取組みを通じて見えた業務手順書等の実用性と課題について、意見交換を20分ほど行えていければと思います。
 説明は以上になります。
○印南座長 今の事務局からの説明につきまして、何か御質問等はありますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、各団体からの説明に入りたいと思います。まず、広島市薬剤師会から説明をお願いします。
○広島市薬剤師会 広島市薬剤師会の栗原です。本日はよろしくお願いします。
 では、画面を共有いたします。
 まず「当会の概要」についてになります。
 今回の取組みは、広島市薬剤師会佐伯薬剤師会で行いました。合計で456薬局、996人の会員数となっております。
 広島地域薬剤師会では、2018年より、広島市医師会、薬剤師会間でポリファーマシー対策における連携協定を結び、ポリファーマシー対策事業を行っています。国保の保険請求データから、広島市在住65歳以上、複数の医療機関を受診、月14日以上の内服薬6種類以上を処方された患者さんという条件で抽出した44,000人を対象に「服薬情報のお知らせ」とポリファーマシーに関するリーフレットを配付します。患者さんは「服薬情報のお知らせ」を薬局に持参していただき、それを基に患者さんの相談を受け、トレーシングレポートや疑義照会という形で処方医に処方提案や情報提供を行っています。
 会員薬局薬剤師へのアンケート調査では、ポリファーマシー事業での薬局のメリットとして、ポリファーマシーに関する知識・経験が増えた、患者とのコミュニケーションが取りやすくなった、ポリファーマシー対策への意欲が上がった、薬剤師の職能が発揮できた、患者のポリファーマシーの意識が向上したといった意見が多く挙がりました。
 「服薬情報のお知らせ」を持参された患者へのアンケートでは「薬をできれば減らしたい」「薬の飲み合わせが気になる」といった意見が約25%と多くありましたが、一方で「薬を減らしたくない」と答えた方が10%おられ、薬が多くてもそれを飲む安心感を持つ方がおられることが分かりました。
 また、会員薬局薬剤師へのアンケートでは「服薬情報のお知らせ」を持って来られた患者さんの約半数が問題ないと判断していること、トレーシングレポートを提出したのは約10%程度になっていたことが分かりました。
 業務方針になります。
 当会におけるポリファーマシー対策活動の現状として、以下の点が挙げられます。
 「服薬情報のお知らせ」を持参されない方で、ポリファーマシーに関連した問題を有する方への対応ができていない。
 レセプトデータを利用した通知では、服用開始時期と薬局に「服薬情報のお知らせ」を持参された時期に、3か月から半年程度のタイムラグが生じる。
 患者本人の理解が得られない。これは服薬することでの安心感を持たれているということです。
 また、処方元との連携が十分でない場合に、トレーシングレポートなどによる処方元への提案、情報提供を戸惑ってしまう。
 カルテの参照ができない。つまり病名も分からない。
 いつから始まり、どんな症状に対して何を期待してその薬が出ているのか薬局では分からない。
 そして、他の薬局で調剤された薬剤への対応ができないということが挙げられます。
 「業務手順書における課題確認と課題に対する実施事項」となります。
 先ほどの当会の課題がこの左側です。それに対する本事業の実施事項がこちら。及び業務手順書のポリファーマシー対策の始め方の該当箇所の対応表となっております。
 こちらは当会の実施事項とポリファーマシー対策の進め方の対応表となっております。
 「作業計画、スケジュール」になります。
 まず「作業体制」です。
 高齢者医薬品適正使用推進委員会を設置して対応しております。
 事業概要になります。
 準備事項として、事業説明会、研修会を実施、委員会を設置しました。
 スクリーニングとして、薬局に来られた患者さんのうち、65歳以上で指針の注意すべき医薬品のAからLの薬剤が処方され、複数の薬剤により有害事象が発生している方を薬局薬剤師が選別します。実施事項として、処方医に疑義照会もしくはトレーシングレポートにより、ポリファーマシー対策を実施します。また、並行して研修会を実施します。評価項目として、事業終了後のポリファーマシー対策を行った薬剤師に対するアンケートを実施します。最後に、そのアンケートの審査、集計解析を行います。
 こちらが「作業スケジュール」となっております。
 「進捗」です。
 赤字が終了した箇所で、黒字が実施中もしくは未実施の箇所になります。おおむね計画どおりに進んでいます。
 現時点での取組内容の詳細になります。
 まずは、高齢者医薬品適正使用推進委員会の設置です。
 当会役員より6名、広島市医師会役員より1名を選出しております。地域におけるポリファーマシー対策には、地域の医師会、薬剤師会が組織する委員会を設置して、施設間の連携を図ることが有用と考えております。
 こちらは事業説明と研修会の内容になります。
 講演は、国立長寿医療センターの溝神先生にお願いしました。ちなみに医師の参加は14名となりました。
 こちらは第1回症例検討会の内容となっております。
 今回の取組で報告のあった症例を題材にして検討会を行いました。医師は4名参加しております。
 今回の事業における一症例を御紹介します。
 二つの課から合計13剤の薬を処方されている方で、日中のだるさがあり、カルバマゼピンを減量しても改善していない状況でした。不安症状に対してクロナゼパムが半年間処方され、症状が改善していることから、処方医と漸減中止について検討を行い、減量によって日中のだるさが改善した症例となっております。
 「現時点での業務手順書の有効性と課題について」です。
 有効性として「院内(地域)の現状を把握する」は、広島地域薬剤師会事業の初めの第一歩として意識調査を行っています。
 「院内(地域)の理解を深める・院外関係施設の理解を得る」では、薬剤師会、医師会全員に対して研修会を実施しました。
 「担当者を決める」では、委員会を設置して本事業に当たっております。
 「担当患者は対応可能な範囲で決める」は、今回、ポリファーマシー対策としての医師、処方医との協議に関して、期間を3か月に限定して行っています。
 「患者の理解が得られない」では、広島地域薬剤師会として、対象患者約44,000人に対して、日本製薬工業協会及びくすりの適正使用協議会の作成されたリーフレットを配布しております。
 これらの業務手順書の項目に関して、地域でのポリファーマシー対策を始めるに当たっての取組みとしては、非常に有効な手段だと認識しております。
 業務手順書の課題についてですが、地域に適用するための文言の修正を行う必要はあると考えます。
 以降のスライドは、当会が本事業に取り組むに当たって、業務手順書を地域における業務手順書として解釈した内容及び当会の取組みを組み入れた内容について、その該当箇所をお示しします。赤字が追記箇所、青字が削除箇所、太字が当会の取組みの内容となっております。
 追記した当会の取組内容の箇所を御紹介いたします。
 まず「処方元の医療従事者ではない場合、処方意図、エンドポイントの把握が難しいため、継続すべき薬であるかを判断しづらい」というのを一つ追加しています。
 「多職種連携が十分でない」という項目では、地域の医療従事者が退院前カンファレンスに積極的に参加して、退院後のフォローアップ体制や治療方針を確認するということを追加しました。
 また「患者の理解が得られない」では、地域の高齢者で「処方見直し対象患者をスクリーニングする」を参考に対象者を抽出して、日本製薬工業協会及びくすりの適正使用協議会作成のリーフレットや服用中の薬剤に関するアンケートを配布して、患者の意向や啓発活動を行います。保険団体や行政、地域包括ケアセンター等の連携を図るとより大きな規模での実施が行いやすくなるということです。
 また「人員の体制をつくる」では、医師会、薬剤師会など、既存の団体の中でポリファーマシー対策を目的とした委員会を設置する。
 また「ポリファーマシー対策の実施」として、保険薬局は処方見直しが必要と判断される処方に関して、緊急性がある場合には、その都度処方医に疑義照会を行い、緊急性がない場合には薬剤情報提供書を提出するということです。
 最後に「ポリファーマシー対策における医師との連携について」を御紹介します。
 まずは本事業の実行委員会として、地域の医師会の役員を招聘しました。そして、地域医師会、地域薬剤師会でポリファーマシー対策に関する協定を締結しております。
 また、医師、薬剤師合同参加の研修会を開催しております。
 「本事業における今後の取り組みについて」ですが、ポリファーマシー対策を臨床上で行った結果について、本日ですけれども11月30日を期日として会員薬局からの報告を受けています。それらの報告を分析し、業務手順書における課題について検討したいと考えています。
 第2回症例検討会を令和4年12月16日に実施予定です。第3回を令和5年3月に開催予定としております。
 ポリファーマシー対策を行った症例について情報共有を行いながら、その研修会及び臨床におけるポリファーマシー対策のノウハウと成果の集積を行いたいと考えております。
 以上となります。御清聴、ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 ただいま御説明のあった内容につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 溝神先生、お願いします。
○溝神構成員 ありがとうございます。国立長寿の溝神です。
 御発表、ありがとうございました。今回御発表いただいた先生方の取組みですと、医師、薬剤師の連携が非常に深まったという内容だったかと思います。
 先生方のスライドの8ページ目を見ますと、先生方の課題として、ポリファーマシー対策の現状というところで「服薬情報のお知らせ」を持参されていない方で、ポリファーマシーに関連した問題を有する方の対応ができていないとか、患者への理解が得られていないというようなところがあるかと思います。先生方の取組みとしては、レセプトデータの解析を用いて、それを被保険者の方に解析通知を行い、その解析通知を医師、薬剤師の方に患者さんが持っていくという流れかと思うのですけれども、この場合、重要になってくるのは、この患者側がポリファーマシーの問題を、これは問題だというように疑念を持たない限りスタートしていかないのではないかと思うのですけれども、先生方の取組みで、今後、患者へのアプローチ、市民へのアプローチというのですか、こういったアプローチをどのようにされていくのか、計画等があれば教えていただきたいと思います。
○広島市薬剤師会 溝神先生、ありがとうございます。
 確かに、今、44,000人の方に通知を行っていますけれども、実際に薬局にその通知を持ってこられる方は1~2%にすぎません。その通知の中には、お知らせとして、ポリファーマシーとはどういったことなのかとか、あとは先ほどのリーフレット、こちらを添付しているところですけれども、それでもなかなか持参率が上がらないということもありますので、今後の取組みとしましては、地域に向けたそういった市民講座の講演会の開催を、来年度になるかとは思うのですが予定をしております。
○溝神構成員 ありがとうございます。
 1~2%しか持参率がないということで、多分まだまだこの問題が浮き彫りになっているのは本当に氷山の一角なのかなと思いますので、ぜひその辺りを取り組んでいただけたらなと思いました。ありがとうございました。
○印南座長 よろしいですか。
 それでは、橋場先生、お願いします。
○橋場構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の橋場でございます。
 広島市薬剤師会の皆様、御発表、ありがとうございました。
 広島市薬剤師会様では、資料を拝見させていただくと、2018年からポリファーマシー対策に対しまして取組みをされているということだと思うのですけれども、本年度実施するに当たって、今までやって来られたことでいろいろな下地ができているのかなと思っておるのですが、こういう下地ができていたがゆえに本年度やりやすかったとか、そういった具体的なことがありましたらお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
○広島市薬剤師会 橋場先生、ありがとうございます。
 まず、これまで2018年から行ってきまして、今回の取組みとして、まず、最初に導入しやすかったところは、やはり医師会とのこれまでの実績というのがあります。そのために、医師会の方に役員を1名ほど選出していただき、快く委員として一緒に業務を行うことができた。また、例えば研修会の案内であったり、そういったものに関しても、医師会の月刊の会誌に一緒に同封をさせていただいたりとか、そういった業務手順上のスムーズさもありました。また、各薬局におかれましては、2018年からこういった取組みを行っていますので、その分やりやすかったのではないかなと思っております。ありがとうございます。
○印南座長 橋場先生、よろしいですか。
○橋場構成員 ありがとうございます。大丈夫です。
○印南座長 一応、時間の関係もあるのですが、美原先生の御質問をお受けして、一旦はここで御質問・御意見は打ち切ります。議題1の最後にまた時間を取ってありますので、質問ができなかったとかがあれば、そのときに願いします。それでは、美原先生、お願いします。
○美原構成員 全日病の美原です。
 医薬連携の取組みとして非常に興味深い、また、有効な手段の発表だなと思いました。
 二つ教えていただきたいことがあります。
 一つは、トレーシングレポートというものです。トレーシングレポートといわゆるお薬手帳の違い、あるいはその運用の違いに関して教えていただきたいということが一つ。
 もう一つは、非常に興味深かったのですが、地域医療においては、患者さんの意向が薬物治療に非常に影響するというので、それも、何となく実感しているところではあるのですが、それに対する患者さんへの対策、対応みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○広島市薬剤師会 美原先生、御質問、ありがとうございます。
 まず、トレーシングレポートとお薬手帳に関してですが、やはりお薬手帳というのは、医療機関もしくは薬局が、どういった薬を現状出されているか、飲まれているのか、それを確認するものが主なところになるかと思います。これは、患者さんと医療機関もしくは薬局とのやり取りになるかと思います。そして、トレーシングレポートに関しては、薬局から医療機関、処方元の先生に対して情報を提供するものということで使用をしているものになります。
 それと、患者さんの意向が強く反映されるというところがあるのですけれども、例えば胃薬とかをいろいろな医療機関からもらわれたり、また、睡眠薬を二つの医療機関からもらわれている方もいらっしゃいます。この辺りは、その都度、その患者さんに、どこかでそれをまとめて、主治医の先生とよく話して、内容を決めていくということが大事かと思っています。
 その辺りは今の取組みではなかなか難しいところがあって、特に、今のリーフレットを配布するというのはすごくいいやり方ではないかと思っています。ありがとうございます。
○美原構成員 どうもありがとうございます。
○印南座長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に富山県薬剤師会から説明をお願いいたします。
○富山県薬剤師会 富山県薬剤師会の永野です。よろしくお願いいたします。
 本会は、6月に通常総会を経て総括として会長を選出し、表のとおりの組織で運営します。各地区支部長も含まれていますので、全県下において事業を行うことが可能となっています。
 昨年度は、後期高齢者医療広域連合会からの委託事業として、黒部市でポリファーマシー対策事業を行いました。レセプトデータを基に、多剤服用患者を抽出し、同意を得られた患者に訪問服薬指導を実施し、処方医への服薬情報提供等を行うことにより、減薬する取組みを行いました。
 令和4年度は、同様の取組みを、黒部市に加え射水・魚津市で多剤・重複・睡眠剤服用患者を抽出し、前年と同様の減薬取組を行っています。
 また、富山県厚生部厚生企画課委託事業として「ポリファーマシー対策に向けた多職種連携推進事業」を、射水・魚津市の国保被保険者に対して同様の取組みを行っています。
 高齢者に対し、薬の適正使用、ポリファーマシーの説明を出前講座で行っています。
 富山労災病院では、病診連携、薬薬連携に対し積極的に取り組み、また、高齢者のポリファーマシー対策は検討していますが、地域の診療所、薬局が一体となっての取組みはされていませんでした。それで、今回、魚津市全体で高齢者を対象としたポリファーマシー対策を実施することとしました。基幹病院が入院中に本対策に取り組み、退院時も減薬状況を維持できる体制を構築することを目的としています。
 各項目にありますように、これまで病診連携、薬薬連携を含め、地域として本対策に取り組んだ実績はありませんでした。
 今回、富山県薬剤師会は、魚津市並びに富山労災病院とポリファーマシー対策を推進するための組織を立ち上げました。大きなくくりとして、富山労災病院ポリファーマシー対策チーム、魚津市ポリファーマシー対策チーム、富山県薬剤師会事業検討WGです。
 魚津市では、地域の病院・診療所・薬局等が一体となって本事業を行いますが、業務手順書を活用する際に不足する内容や課題を明らかにするためにプレアンケートを実施しました。対象者は、開業医、富山労災病院医師、魚津市内薬局薬剤師、市内の薬局を利用している70歳以上の高齢者です。
 作業スケジュールです。
 現在11月まで進んでいます。
 連携体制づくりのために、ポリファーマシー対策協議会を、病院、市医師会、市・県薬剤師会、行政をメンバーとして設置しました。また、本対策を始めることについて理解を得るために、啓発用ポスターを作成し、関係機関に配布し、周知を行いました。
 ここからは抜粋したアンケート結果です。これを基にこれから行う対策の参考資料としました。
 開業医13名からいただいたアンケート回答です。
 高齢の通院患者で、減薬検討について、全員の医師が減薬実績がありません。減薬をできなかった理由として、患者の希望というものもありました。
 薬剤師からトレーシングレポートをもらったかは、「わからない」が9例と、多くの医師に対してトレーシングレポートの浸透が十分ではないことが分かりました。
 病院医師からの回答です。
 減薬について検討したことがあり、実際に減薬実績があるのは、22名中18名と多くの医師が取り組んでおられます。患者の希望、紹介元からの継続希望から減薬できないという現状も分かりました。
 退院時に減薬し、紹介状が記載された事例が11例と多い反面、薬局からのトレーシングレポートでの報告がない現実がはっきりしました。
 薬局アンケートでは、処方医に提案したが減薬とならなかったが2例、減薬に至ったのが1例、減薬を試みたことがないが8例となっています。
 労災病院から減薬した情報提供書を受け取ったのは9例で、7例が減薬、継続しています。
 これまでトレーシングレポートの提出はかなりの薬局が行っていますが、減薬提案と減薬後のトレーシングレポートについては、記載事例が少ないことが分かりました。
 薬剤師アンケートで、PIMsの認知度の低さが挙げられます。
 退院時服薬情報提供書を受け取った薬剤師が多いことが分かります。
 退院された患者への退院後服薬状況トレーシングレポートの提出の低さは、ここからも読み取れます。
 高齢者ではほとんどの方が、ポリファーマシーを聞いたことがないことが分かりました。
 使用医薬品数は、1から5種類が48%、6ないし10種類は32%でした。
 理解度についてはおおむねできていると思っておられますが、服薬数が多いと思っている方は39%ですが、多いと思っても相談したことがない方が半数にも上っていることが分かりました。
 以上のアンケート結果を参考に、院内ポリファーマシー対策チームでは、業務手順書にあります「対策を始める際の課題と対応策」で問題点を抽出し、対応策をつくりました。
 院内でのマンパワー不足解消のために、薬剤管理指導初回面談時にチェックリストの活用を行う。
 他職種連携充実のために、院内ポリファーマシー対策チームの設置。
 お薬手帳の有効活用のために、各媒体を利用して情報を発信。
 ポリファーマシーの判断のための知識向上研修会の開催。
 減薬した場合の情報を、薬剤師が一覧表にして医師向けに情報添付を行う計画。
 現時点でどれぐらいの対策が行われたか、コロナ禍ではありますが、加算数は半年で昨年実績を上回っています。
 病態全体を捉えるのが難しいことから、ポリファーマシーに関する病診連携症例検討会を開催し、情報共有を行ってきました。これは奇数月に行っております。参加者は病院医師、薬剤師、魚津市医師・薬剤師、県薬剤師会となっています。
 同じく病態全体を捉えることが難しいことから、薬薬連携研修として、連携方法、ポリファーマシー対策の必要性を確認しました。特に第2回ウェブ研修会では、独立行政法人国立病院機構栃木医療センター、医師、薬剤師それぞれの立場から発表いただき配信しました。医師の参加も含めて174名と多くの参加をいただきました。
 第3回研修会として、10月末までの対策の概要と進捗状況、患者基本情報カードについて薬剤師間で情報共有を行いました。
 薬局でも、病院と同等に対応できるポリファーマシーチェックリストについて討議を行いました。
 患者の理解を得るために、広報をポスター、病院だよりを利用し、ケーブルテレビで講話を行いました。啓発パンフレットを用いて、入院時に患者家族の意向の確認、退院時に患者家族への説明を行っています。
 お薬手帳の有効活用として、患者の基本情報が記載されたカードを併用することで、情報の更新を簡便に行うこととしました。
 患者基本情報カードの試験導入を開始しました。
 処方見直し後の内容をかかりつけ医へフィードバックする体制を構築するために、退院時に保険薬局へ情報提供書を作成し、保険薬局は継続状況などをトレーシングレポートで病院へ報告を行うこととしました。
 減薬後の継続情報を確認することは非常に重要であり、病院がかかりつけ医へ情報提供を行った処方が元に戻っていたときには、薬局から確認が取りやすくなるというのではと考えております。
 年明けにはPIMsの理解度を高めるために、循環器疾患、糖尿病専門医とポリファーマシーなど、病態に合わせた研修会を開催します。
 本事業における医師の関与について挙げます。
 本事業開始時に、富山県薬剤師会より魚津市医師会長へ、薬剤部長から病院長に本事業内容を説明し、その後、協力をいただいています。
 事前アンケート調査に協力いただき、2月には事後アンケートを予定しております。
 ポリファーマシー対策連絡協議会へ参加。病診連携症例検討会へ参加。労災病院ポリファーマシー対策チームへの参画を行っております。
 今後のスケジュール表です。
 業務手順書を活用した今後の取組みとして、対策チームでは、減薬した場合の情報を院内で周知するため、薬剤師が一覧表にして、医師向けの診療情報を添付することを計画しています。
 病診連携によるポリファーマシー対策、対応症例についての継続検討。
 薬薬連携で退院時処方見直し後の処方の継続状況を、薬局がフィードバックする体制を構築します。
 課題として、医師会と薬剤師会合同の処方解析・症例検討の開催について、かかりつけ医がいない場合の対応策の検討が挙げられます。
 今後の事業活動で重視している点、成果のポイントとして、2月のポストアンケートを行い、プレアンケートとの比較からさらなる問題点の把握、手順書の有用性を明らかにし、全県下で活用できるよう解析を行います。
 好事例を抽出し、医薬品の適正使用につながった要因を分析し、地域で多職種によるポリファーマシー対策に取り組むポイントを明らかにすることとしています。
 御清聴いただきまして、ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 ただいまの内容につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
 池端先生、お願いします。
○池端構成員 大変すばらしい取組みの御発表、ありがとうございました。
 かなり系統立ててやっていらっしゃって、特に病院と、そして、診療所の先生方と両方やって、その成果も出していただいて非常に参考になりました。
 特に私もそう思っていたのですが、入院しているときに、ある意味ポリファーマシーを是正するチャンスということで、労災病院での取組みでかなりアウトカムを出していただいたようで、すばらしいなと思いました。
 1点お伺いしたいのですけれども、手順書を使われてということになりますけれども、特に病院等で手順書を使ってみたときに、何か問題点とか、あるいはここがよかったとかそういう内容があれば教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○富山県薬剤師会 御質問、ありがとうございました。
 現時点では、今始まったばかりなもので、またそれほどのこれという成果は上がっていないと考えておりますけれども、病院からの医師への提案ですよね。医師への提案と薬局への情報提供とが、そごが生じた場合には、これはまた元に戻ってしまうということもありますし、患者様もよく御自分のお薬を元に戻してほしいとか、そのように言われる場合もありますので、どういうことからこの薬に変更になったということは、医師の方の病院からの紹介状の方には理由もちゃんと書いてありますので、そこら辺は非常によいのではないかなと思います。
○池端構成員 ありがとうございました。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、また後に質問やコメントに対するお時間を取っておりますので、次の報告に移りたいと思います。神奈川県保険医協会から説明をお願いします。
○神奈川県保険医協会 今回、このような貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。私は、神奈川県保険医協会の副理事長をしております湯浅と申します。しばらくお付き合いを願いたいと思います。
 それでは「2.業務実施方針」までご覧ください。
 私どもは、2019年に当会の会員、そして、県の薬剤師会の御協力を得てアンケート調査を行っております。これがそのアンケートの結果です。いろいろな結果が出ているのですけれども、まずこれは減薬提案の希望ということで、向かって右側の円グラフですけれども、薬剤師の9割以上が減薬提案をしたいと思っていらっしゃるわけですけれども、今度は向かって左側の棒グラフの下の方ですけれども、実際に減薬提案を行ったことがある薬剤師は5割にも満たないということになっております。つまり、この減薬提案に関しては、薬剤師が医師に疑義照会するのに非常に遠慮があるということが分かったわけです。
 次、お願いします。
 日本老年医学会のガイドライン、あるいは厚生労働省からの指針が出ておりますけれども、これを活用しているかと聞きますと、医師・薬剤師とも活用している方は1割にも満たないという結果です。
 次、お願いします。
 それから、今度は、これは非常に大事なことだと思うのですが、向かって左側が、ポリファーマシーによって有害事象が起こったことがありますかと聞いていて、向かって右側の方が、今度は、薬剤を減薬することによって症状の悪化等を経験したことがありますかと聞いているわけですけれども、医師の回答が、ポリファーマシーによる有害事象と減薬による症状悪化がほぼ同数という結果になっております。
 次、お願いします。
 今のアンケート調査を基にして、我々はまず課題を抽出したわけですけれども、その課題は三つあります。
 まず、医師・薬剤師間で減薬に対する意識に乖離がある。それから、繰り返しになりますけれども、ガイドラインや指針が現場で十分に活用できていない。さらには、薬剤の減量・中止によって症状が悪化するケースも医師の方が経験をしているということで、減量・中止後のフォロー、そこも医薬連携が必要になるということです。
 そして、本事業の目的とありますけれども、これは課題とは別に、我々がこの事業を行うに当たって目的というものを定めました。一つが、やはり患者さんの利益につながるような処方適正化に努めましょうということを挙げました。これは医薬の双方向、一方向ではなく、双方向の連携を推進させていこうということです。
 それから、もう一つは、Do処方といって、毎月同じ処方を、患者さんの状態が変わらなければ繰り返し処方してしまうということがあるわけなのですけれども、こういった事業を通じて、患者さんとのコミュニケーションをもう少し深めていけないかといったことも目的の一つとして掲げさせていただきました。
 次、お願いします。
 これは業務手順書の課題とその対応ということで、一番向かって右側が、我々の事業の実施事項ということで、業務手順書と対比して記載させていただいております。後で御確認いただければと思います。
 次、お願いします。
 先ほどの課題というものを考慮いたしまして、作業計画書というものを作成いたしました。下にあるような資材を使わせていただいております。これは日本老年医学会に許諾を得ております。
 まず、このポイントの一つとしては、医師の方から薬剤師に直接協力を依頼していただくというところにあります。これは逆に言うとハードルにもなるわけですけれども、医師がこういった問題について、薬剤師と比べると、先ほどの課題にもありましたけれども、非常に問題意識が低いのかなというような印象がございますので、まず医師の方から動いていただきたいという思いを込めて、医師から薬剤師に直接協力を依頼していただくようにいたしました。
 次、お願いします。
 そして、薬剤師の方は、患者さんにまず簡単に説明をしていただいて、薬の調整を希望するかどうかというところで、同意というほどでもないのですけれども、チェック欄を用意して、患者さんが一応納得していただけた場合に協力していただけるのであれば、そこにチェックを入れて事業がスタートするということになります。
 次、お願いします。
 それで、向かって右側の上にありますけれども、これは老年医学会のガイドラインです。ここに記載されているフローチャートを使わせていただいて、減薬提案をしていくということになります。
 ここで「患者と十分なコミュニケーションをとる」とありますけれども、先ほど来少しお話も出ていますけれども、EBMはEvidence Based Medicineの略で、EBMの中にはいろいろな柱があるのですけれども、そのうちの大きな柱として、患者さんの意向ということがあると思います。患者さんの意向というのを無視することはできませんので、患者さんの意向を尊重するということを、我々は念頭にこの事業を展開していこうということでございます。
 それから、もう一つは、向かって右側の結果表をご覧ください。「アスピリン」と書いてありますけれども、この表の中に、対応欄が「d」となっていますから、これは代替薬に変えたということなのですけれども、例えば、副作用が出現など、理由を簡潔に記載していただくようにしております。
 これは、今、薬剤の情報は、お薬手帳に、患者さんが服薬している薬というのは記載してあるわけですけれども、要するに、情報共有という意味で言うと、後でも少しお話しますけれども、やはりその情報の中身ということが非常に大事になってくるのではないかということで、ただ薬を羅列するだけではなくて、薬を変更した場合に、なぜそのように変更したのかという理由、そういったものが必要なのかと常日頃考えておりましたので、この事業においては理由を、短い言葉でもいいので必ず書いていただくようにしております。
 次、お願いします。
 そして、薬を変更した場合には、その後2か月にわたって、医師のみではく薬剤師の方にも御協力をいただいて、患者さんの状態を経過観察していく、ここが非常に重要なところであると思います。減薬によって患者さんに不利益が生じているということでは本末転倒になってしまいますので。
 次、お願いします。
 医師と薬剤師で、患者さんに対する注意深い観察をして、そして、情報をお互いに共有するというような事業を進めようと思っております。
 次、お願いします。
 これは作業計画の連携のイメージですけれども真ん中に患者さんがいるわけです。患者さんをセンターに置いて医師と薬剤師で連携をしていく。そして、我々の事業は、在宅患者さんにも適用できるとしておりまして、在宅ということになると、医師・薬剤師はもとより訪問看護師さん、場合によっては介護職員の方、あるいは歯科医の先生、こういった多職種との連携というものも念頭に置いていかなければいけないと考えております。
 次、お願いします。
 作業スケジュールは全体的には遅れております。
 次、お願いします。
 まず、8月31日に説明会を開催しております。スタートアップミーティングということで、その説明会に当たりまして、横浜市医師会を中心に14の医師会と横浜市薬剤師会を中心に4薬剤師会に説明会に対する協力、後援を行っていただいております。
 次、お願いします。
 そして、これが事業説明会当日の様子なのですけれども、参加者が96名で、医師が50名、歯科医師が10名、薬剤師が32名となっております。私の個人的な印象としては参加者が少なかったのかなと考えております。
 次、お願いします。
 最後になりますけれども、業務手順書というのは、課題に対する対応等もしっかりと非常に網羅されていまして、地域でこれを活用する上においてもかなり参考になるものと考えております。
 我々の課題として、一つは、業務手順書にも課題として挙げられていましたけれども、他科の処方薬の処方見直しをどうするかということになりますと、やはり病診連携だけではなくて、病病連携・診診連携あるいは病院の薬剤師さんと地域の調剤薬局さんとの連携、地域の薬局間の連携など、ネットワークを張り巡らしていくような形をつくっていくのが必要と思います。
 そして、先ほども述べたように、他科の処方薬をもし見直すような場合には、その理由というものを相手方の医師あるいは薬剤師に情報提供をしていくということが必要なのかなと思っております。
 次、お願いします。
 ここで、もう一つは、残薬確認等、ポリファーマシーに関しては、薬剤師さんの場合は日常業務の延長線上にそういったものがあると私は考えているのですけれども、我々医師は、時間的な余裕というものもなかなか無くて、こういった取組みに積極的に関心を持っていただく医師が少ないということも事実であります。
 ただ、これは継続していくしかないと思っております。無駄なこともたくさんあると思いますけれども、無駄なことは最終的には活きてくると思っておりますので、継続していくということが大事だと思っております。
 それから、最後に、赤字で「多職種のポリファーマシーに対する意識を向上させ、情報を共有する」とありますけれども、これがなかなか難しいわけで、先ほどもお話ししたように、情報を共有する際に、情報の中身を充実させていく。情報の中身をきちんと精査をして、今後行っていくということも課題の解決につながっていくのかと思っております。
 ちょっと時間を超過してしまいました。失礼いたしました。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見等がありましたらお願いします。
 池端先生、お願いします。
○池端構成員 たびたびすみません。
 11ページの対策活動の現状というところで、今ほどありましたように、薬剤減量による症状悪化を経験したのが3割ぐらいある、逆にポリファーマシーによる有害事象3割ぐらいというデータが、ある意味では私はショッキングなデータなのですけれども、薬剤を減らしたことによる症状の悪化というのは、ポリファーマシーを理由に薬剤を調整して減量した結果、有害事象と感じたものなのか、それとも一般にただ減量、例えば高血圧のお薬を減らしたとか、高脂血症の薬はいいから減らしたとか、そういうために減らしたら悪くなったという、それも含めての調査なのか、その辺の調査の制度設計みたいなものがもし分かったら教えていただきたいと思いました。
 以上です。
○神奈川県保険医協会 池端先生、ありがとうございました。
 このアンケート調査はポリファーマシーに対する意識調査ということで行ってはいるのですけれども、先生がおっしゃられるように、必ずしもポリファーマシーということで減薬をして、有害事象が起こったというだけでなく、恐らくポリファーマシーに関係なく薬の減量によって、具体的な症状も記載してありますけれども、そういった有害事象あるいは副作用が生じたということで、全てひっくるめて答えている可能性が高いと思います。ありがとうございます。
○池端構成員 ありがとうございました。
 私もそう思って、そうしないと、このデータが独り歩きすると、やはりポリファーマシー、簡単に減らせないよねという話になってしまうと嫌だなと思いましたので、そういう説明なら十分理解できると思います。ありがとうございました。
○神奈川県保険医協会 ありがとうございました。
○印南座長 続きまして、橋場先生、お願いします。
○橋場構成員 橋場でございます。御発表、どうもありがとうございました。
 今回の事業の中で非常に興味深かったのが、通常の薬局の方から減薬提案等をする場合、トレーシングレポートを使うことが多いかという印象を持っておるのですが、今回、お薬手帳を利用されたというところで、まずそこをお薬手帳にされた理由というのと、これまでのところで何かしらよかった点、悪かった点、見えてくるものがございましたらお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
○神奈川県保険医協会 橋場先生、ありがとうございました。まず、これまでの中でよかった点、見えてきた点ということに関しては、お恥ずかしい話ですけれども、事業全体が少し遅れておりまして、この事業の参加の依頼をかけたのが11月の初旬ということになりますので、まだ本格的にスタートをしていないというところであります。
 ただ、先生がおっしゃるように、ちょっとパイロット的に何例かやると、実際に実行に移した段階でいろいろな問題が、ここをこうすればよかったとか、ここをこうした方がよかったというようなことが、今後出てくると思いますので、それに関しては、今後、事業がある程度進んだところでお答えをしたいと思っております。
 もう一つ、私、トレーシングレポートというのをあまり詳しく理解していなくて、お薬手帳というのが医薬連携、医師と薬剤師を結ぶためには、あるいは患者さんにとっても、患者さんが携帯するわけですから、患者さんに薬剤の調整の同意をいただいた上で、患者さんを中心に据えてという話をしましたけれども、3者間でやり取りをしていくためには、お薬手帳を使用することが一番有効なのかなと、そのように考えた次第です。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 私自身もすごく興味深いところもございますので、ぜひ結果をお待ちしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○神奈川県保険医協会 ありがとうございました。
○印南座長 秋下先生、お願いします。
○秋下構成員 ありがとうございます。
 先ほど池端先生が御質問された11ページの点ですけれども、これは確かに解釈については慎重であるべきだと思います。湯浅先生がそのニュアンスでお答えになったと思うのですが、私のように日頃からポリファーマシー対策、要するに、減薬を日常的に行っている人間にとっては、例えばポリファーマシーによる有害事象の改善を10例経験し、それに対して1例減薬による悪化を経験すると。このように、日常的に行っていれば100%経験はあるわけですね。この質問はあくまでも経験のあるなしの回答ですので、同数起きるということでは全くないと。そのように湯浅先生もおっしゃりたかったと思いますので、この検討会の議事録としてそこを残させていただくために発言させていただきました。
 以上です。
○神奈川県保険医協会 秋下先生、ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、宝塚市薬剤師会から説明をお願いします。
○宝塚市薬剤師会 宝塚市薬剤師会の畑世剛と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、宝塚市薬剤師会の概要について、先に簡単に説明させていただきます。
 宝塚市は、人口約225,000人の都市になります。それなりに面積はあるのですけれども、南側の3分の1に7病院、ほとんどの薬局があるというコンパクトな都市になります。会員が、今、176名、薬局99名の薬剤師会で構成しております。
 宝塚市薬剤師会といいますか、宝塚市全体の多職種の取組みにもなってくるのですけれども、以前からポリファーマシーに関しては取組みを行ってまいりました。上にある二つです。宝塚市地域包括ケアシステム研究会、宝塚市薬剤師地域連携研究会というところが、いずれも2015年から発足しておりまして、特に薬剤師の連携研究会に関しては、もともとこちらはポリファーマシーを考えるところから発足しております。
 宝塚市のポリファーマシーの取組みを宝塚モデルと勝手に言っているのですけれども、もともと病院で入院された患者さんを入院時に薬剤を見直すというところです。きっかけとなったのは、そのまま帰しても多剤併用で、この方は十分にその用法では飲めなかったり、その状態では薬剤費を払えないというような状態で戻せないというところが発端なのですけれども、病院に入院しているときに見直せるというところが一番のメリットかなと思います。それを薬剤師会、医師会が同じ意識を持って、入院時にポリファーマシーの対策を行うという意識というのは前からありました。
 その中で肝となっているのが、この情報の共有というところにあります退院時薬剤情報提供書です。どういう理由でお薬が変更になったのかというところを、かかりつけ医とともにかかりつけ薬局にも送付することで、前よくあったのが、お薬が先祖返りしてしまうことで、元の処方に戻ってしまうということもあったのですが、退院後も適正な医薬品で、そのまま御自宅でも行っていただくというところで、そのためにこの薬剤情報提供書を地域にたくさん情報提供を宝塚市立病院の方で行っていくというところで、ポリファーマシーの対策というものを行ってきました。
 その中で、これは医療薬学会でも宝塚市立病院で報告があって、賞をいただいたのですが、宝塚市内の病院を利用する患者は、市外の病院を利用する患者に比べて多剤併用になりにくいというところがビッグデータの解析でも明らかになっております。
 そういうところがまずありまして、あと、地域包括ケアシステム研究会というところです。これは今まで64回行っているのですけれども、多職種の連携が強固だというところが、行政を含めて参加していただいているというところで特徴であります。
 その中で、薬剤師会としても、いきいき百歳体操であったり出張講演というところも市民向けにも啓発活動を行っております。
 その中であった事業が、これは2019年に最初に行ったのですけれども、国保の保健事業のところで、多剤併用であったり、たくさん剤数の多い患者さん向けに通知を行って、これを医療機関であったり薬局に持っていって適正使用を見直していただくという事業を行いました。これも近隣市と2市で合同で行ったのですけれども、宝塚の方が削減ができていたという結果が出ております。それに伴ったアンケートも行っております。
 これで分かったところが、これは数量としては、6剤以上、2種類以上減少というところ、これは加算でどれだけ算定されていたかというところで挙げたのですけれども、あまり結果としては数が多くなかったというところ、結局、薬局の方でポリファーマシーの削減というところがあまりできていないなというところが実際のところで、数字として現れました。
 そういう中でポリファーマシー対策、活動の現状というところで、市内薬局にアンケートを行いました。
 以下のものを行ったのですけれども、その中で、トレーシングレポート送信件数というところなのですけれども、たくさん送っている薬局も見られたのですけれども、1年間で0件というところが86件中24件あったというところです。
 さらに、服薬情報提供料1の算定件も0件が51件あったというところで、薬局での医療機関への情報提供というところがなかなかできていないという現状が見えました。
 そういうところで、通知事業とかトレーシングレポートのアンケートというところで、あまりいい数字がなかなか出なかったのですけれども、病院と薬局との連携しやすい環境というところで、実際のところ、多職種連携の会であったり、薬薬連携の研修会というところを定期的に行っているところがありまして、連携というところで顔の見える関係はできているけれども、地域全体で、これからもポリファーマシーを含めて適正使用というところを考えていくというところは必要だと考えております。
 実施事項として、以下のとおり挙げさせていただきましたけれども、またで後で説明します。
 あと、入院時薬剤情報提供書、トレーシングレポート、お薬手帳カバーというところを肝に考えて行っております。
 医師との関わりというところで書かせていただいたのは、入院情報提供書というところをこれから活発化させていこうと思うのですけれども、これは病院の方から、まず、いついつに入院しますという情報を行って、そのため、入院するときに、その人の外来の服薬サマリーというものを送ってくださいというような通知をかかりつけ薬局に送ると。送られた薬局は、かかりつけとして責任を持って、院内処方であったりほかの薬局での服用分も含めて情報提供を行うのですけれども、そのときに、病院の方から、中止薬の情報等も行います。そのときに、中止期間などについては、全て保険薬局、クリニック、病院が情報共有するところを考えております。院内処方のクリニックも、かかりつけ薬局から必ず連絡するようにするようにしています。
 入院時情報提供書なのですけれども、これも地域全体の共通フォーマットとして作成しております。これも、今までは一応フォーマットとしては考えていたのですけれども、病院からも入院情報を先に送っていただくというところで、提供書の枚数を増やそうと思っております。
 トレーシングレポートも以前からあったのですけれども、ホームページ上からダイレクトにPDFに入力できる環境、わざわざ印刷して手書きをしてから送るというところで、なかなか煩わしさがあったのですけれども、PDFに直接デジタルで入力できるという環境をつくりまして、それを印刷して、またデータとしても保管できるような環境をつくりました。
 今回、これが肝だと思っているのは、お薬手帳カバーの活用というところで、お薬手帳、もちろん皆さん持っておりまして、それを薬局であったり医療機関で薬剤の情報共有というところで行っていたのですけれども、それプラス、患者さん御自身で家族、多職種ですね。介護職であったり訪問看護士さんというところにも見ていただけるような形を考えております。そのために、お薬手帳のカバーのところに、かかりつけ薬局であったりケアマネさんの名刺を挟んでいただくというのをやっていただこうと思っております。そのためにパンフレットも一緒にお渡ししています。
 このパンフレットにもポリファーマシーの意識というところも入れたいというところでですね、薬の重複を見落とすことがありますので、お薬手帳を1冊にまとめて、必ず医療機関に提出してくださいと。あと、ケアマネさんの名刺も入れてください、さらに何かお薬について疑問があったときはメモをしておいてください、残薬があったら報告してください等々、患者さん御自身、家族で、多職種が連携している宝塚ならではと思うのですけれども、他職種にいる人にも協力してもらうような環境をつくっていこうと思っております。
 作業計画・スケジュールというところは以下のとおりになっております。
 作業体制としては、このような形で私が責任者としておりまして、さらに病院の先生。
 今回、医師会への説明というのも行ってきました。まず、医師会長に説明に来ました。医師会長の方からさらに医師会の理事の皆さんに説明してもらいました。さらに、もうちょっと説明してほしいということで、市立病院の薬剤部長及び薬剤師会の会長が医師会の理事会に出向いて説明もさせていただいています。
 進捗状況というところが以下のとおりになっております。
 入院時服用薬剤調整・情報提供依頼書に関しては、このような形で進捗しております。8月はコロナ禍で入院の数も減ったというところでちょっと減っておりますが、これからも病院の方では、外来様に送るために、入院するので情報を下さいという依頼書を随時送っていただくような形で考えております。
 この辺りは飛ばさせていただきます。
 業務手順書の有効性と課題というところです。こちらに関しては、病院薬剤師及び薬剤師会の理事のところで考えているところで、なかなか現場の薬剤師まで業務手順書の意識というところ、及び医師会の先生とかにもなかなか難しいところではあるのですけれども、今後、実際に活用できる業務手順書を作成するというところで、意識を持って取り組んでいかなければいけないところかなと思っております。
 今後の取組みです。
 先日の研修会、宝つーかーの会でも協議させていただいて、ここでも医師会長に来ていただいて、本事業の取組み、あと、今回の肝と思っておりますトレーシングレポート、入院時薬剤情報提供、さらに他職種にも意識してもらうというところで、お薬手帳の活用というところをみんなで協議して医師会会長にも総括いただきまして、医師会の先生にも情報共有していただくという形になっております。
 私からは以上になります。
○印南座長 今の説明につきまして、御質問や御意見がありますでしょうか。あればよろしくお願いします。
 よろしいですか。
 では、平井先生、お願いします。
○平井構成員 どうもありがとうございました。
 トレーシングレポートを書いたことがないと事前のアンケートで結構多かったと思うのですけれども、そういう方は、先生方の連携の会に出て来られないような方ということですか。
○宝塚市薬剤師会 可能性としてはもちろんあるのですけれども。ただ、やはり全体的にトレーシングレポートの提供というところの意識がまだ低かったのかなというところは少し考えられます。
 そのときにもいろいろ質問というか話があったのが、やはり疑義照会とトレーシングレポートの境目が分からなくて、取りあえず疑義照会で送っていますという話であったり、本当にこういう情報が必要なのかなとか思いながらも、実際の提供には至らないで終わってしまっているって話もあったので、医師への遠慮というか、何か迷惑じゃないかなというところの意識というのがどうしても。連携で顔が見えている先生であればできるのですけれども、なかなかそこが大きい病院だったら迷惑なのかなという話もまだまだあるというのが現状かなというところは感じました。
 なので、医師会の先生からも、そこら辺は先生の失敗談も交えて、恐れても仕方ない、それは失敗はあると思うけれども、積極的に情報交換をすることが大事ですよという話をしていただいたところです。
○平井構成員 先ほどの御発表でもありましたけれども、医師からの依頼というのが最初はあった方がいいのかなと思いました。ぜひよろしくお願いします。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
○印南座長 ありがとうございました。
 北澤先生、お願いします。
○北澤構成員 北澤です。御発表、どうもありがとうございました。
 これまでの御発表の中で、ポリファーマシー対策について、肝心の患者の側の意識がまだまだ低いというようなお話もあったのですけれども、宝塚の場合は、今日御紹介のあったお薬手帳のカバーとかそういったことで、市民の認識というのでしょうか、高齢者やその御家族も、薬が多過ぎるということは、それで害を生むことがあるのだといった認識がだんだんできてきていると考えてよろしいのでしょうか。お願いします。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
 まず、介護を受けてらっしゃる方というところでポイントがあるかなと。やはり高齢者がポリファーマシーになっているケースが多いかなと思うのですけれども、その中でお薬がたくさんあった方が安心とか、家族としても減ることの心配というところも結構あるなというところは、私も在宅訪問をしていてよく感じるのですけれども、介護をしている、例えば訪問看護士さんであったりケアマネージャーさんという、実際、薬剤師が介入していない家がたくさんあるというところは、介護職の皆さんに多いというのは聞いているのですけれども、そういう介入している方の気づきとして報告していただけるような環境も大事なのかなと思っておりまして、その中で、そういう方が患者家族さんとお話しする中で、意識づけというところも併せて行っていけたら一番いいかなと思っております。もちろん店頭に来る患者さん、御家族さんにも、そこでの啓発というところが大事かなと思って、これからパンフレット、お薬手帳カバーを使って啓発していこうと思っております。
○北澤構成員 どうもありがとうございました。
 お薬手帳のカバーはすごくいいアイデアで、応用可能性が広いと思いました。ありがとうございました。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
○印南座長 樋口先生、お願いします。
○樋口構成員 樋口でございます。御無沙汰して申し訳ございません。
 まさに多剤服用中の高齢患者でございます。毎日ホルモン剤ほか、4種類、5錠飲んでいるわけでございますが、お話ししたかったのは、この5月にちょっとした手術ということもございまして数年ぶりで入院いたしました。入院した先は半官半民の大病院でございます。世の中変わってきたのかな、これもポリファーマシー対策かなと思いましたのは、入院すると、看護師さんの親玉、担当医、少なくともこの2人の方はインタビューで来てくださいます。今度、もう一人増えておりまして、院内の薬剤師の方が入院患者にはインタビューして下さるということで、これがポリファーマシー対策なのかどうかよく分かりませんでした。
 私は別に今の薬が多過ぎるとは思っておりませんでしたので、こんなことでございますということをお話しして、ちっとも苦痛がない患者でございましたので、病院関係のその筋の専門家の方に一人でも多くお会いできれば私はありがたかったのですけれども、かなり苦痛のある患者さんもあると思うので、要するに、病院側の専門家とインタビューする職種が、今回、私の場合は薬剤師さんが増えていたわけでございまして、これはポリファーマシーを少なくするというような政策と関連があるのか、または全くないものなのか教えていただきたくて発言いたしました。
○宝塚市薬剤師会 ありがとうございます。
 私が説明するよりは、もっとお詳しい方がいらっしゃると思うのですけれども、実際、病棟に薬剤師を置いている病院というのは増えております。やはりポリファーマシーというよりは適正使用というところで、病棟の医師・看護師さん等と連携しているというところで、ポリファーマシー削減の一翼を担っているかとは思っております。
 それを、今、宝塚では、その取組みというのが非常に行われて、それを退院した後でも適正使用というところを継続できる仕組みというところは、今まで熱心にしていたところなのですけれども、今回は、入退院ももちろんなのですけれども、地域でのポリファーマシー削減というところでの動きというところも併せて行っていきたいと思っている次第でございます。よろしくお願いします。
○樋口構成員 ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
 それでは、議題1を通じて、全体について御意見等がございましたらお願いいたします。
 秋下先生、次いで井上先生、お願いします。
○秋下構成員 ありがとうございました。
 どなたにというわけではなくて、これはここで共有しておかなければいけないことかなと思ったので質問させていただきます。病院の場合は比較的簡単に、院内の電話とか電子カルテを通じてといったコミュニケーションツールは幾らでもあるのですが、地域の場合に何を伝達ツールとして使うのかというのがなかなか難しいなと思います。神奈川県のようにお薬手帳にシートを貼ったりしてやられている、非常にアナログなのですけれどもリジットなツールを使われている。個人情報もあまり気にしなくてもいいというところもあれば、例えば電話とか服薬情報提供書というのは、紙でやっているのか、郵便なのかファクスなのか、あるいはほかの電子ツールを利用されているのかが議論の必要もあるし、皆さんいろいろやられているのかなと思ったので、この点について何か御意見がおありでしたら、4事業の方々から御意見をいただけたらと思いました。
 以上です。
○印南座長 いかがでしょうか。それぞれ地域性があるのかもしれませんが。
○秋下構成員 宝塚市から手が挙がっていますが。
○印南座長 お願いします。
○宝塚市薬剤師会 地域において、取決めで一つツールとして使っているのが、MCSというのを採用して行っております。宝塚あんしんネットという名前でグループをつくって、そこで多職種が。ベースが患者さん単位になるというところがあるのですけれども、患者さん単位で主に在宅に入っている職種が集まって、医療向けのLINEみたいな形で情報を集めているというのはあるのですけれども、これに関して言うと、正直、医師の介入が積極的な先生とそうではない先生というところがどうしてもあって、完全に普及ができていないというところを感じるところはあります。
 あとは、今後、電子処方箋が普及するに当たっては、電子お薬手帳というところで、PHRの活用というところは、やはり地域でも考えていかなければいけないかなとは思っておりますが、そこら辺はまだ見えていないところが現状かなと思います。
 以上になります。
○印南座長 では、広島市薬剤師会、お願いいたします。
○広島市薬剤師会 ありがとうございます。
 広島市では、病院と薬局の連携に関しては、薬局の方から病院の薬剤部にトレーシングレポートをファクスで送信するような形を使っています。また、診療所と薬局に関しては、それぞれの薬局と病院との間の取決めで行っていると思いますので、例えば直接紙ベースで持っていくとか、メールということもあるかもしれませんが、郵便で配送したり、そういった形かと思います。
 以上です。
○印南座長 富山県、お願いします。
○富山県薬剤師会 例えば減薬になったときの情報というのは、ペーパーによるもので、退院時情報箋というのを患者さんが薬局の方に持ってこられます。それに対して薬局側が、それを受けた、もしくはその後、服薬状況がどうなっているかということをお返しするのはトレーシングペーパーでお返ししております。
 基本、お薬手帳というのは薬歴を見るということが主になると思うのです。だから情報としては若干トレーシングペーパーより遅れるのではないかなと考えております。だから、その意味からいいましたら、トレーシングでお返しするというのは、次回、お医者様が患者様を見るまでの猶予がありますので、余裕が出ますので、その方法を富山県では今主にやっているのではないかなと思っております。
○秋下構成員 それは郵送ですかファクスですか。
○富山県薬剤師会 ファクスです。
○秋下構成員 分かりました。ありがとうございます。
○印南座長 神奈川県保険医協会の方、いかがでしょうか。
○神奈川県保険医協会 今もお話がありましたけれども、今後、電子ツールというものが実臨床の場で活用できるようになると、かなりその辺りは変わってくると思っております。
 秋下先生も言われたように、このお薬手帳というのは非常にアナログではありますけれども、薬剤師の先生は毎月お薬手帳をもちろん確認されるわけです。しかし、我々医師は、特に患者さんの状態が変わらないということになると、お薬手帳を本当に数か月に1回しか見ないというようなところもありますので、今の段階では、お薬手帳を上手に活用していく、そして、医師も、お薬手帳を患者さんに必ず持参をいただいて、目を通すというところが必要なのかなと思います。
 それから、やり取りに関しては、薬剤師と医師の間で、こういう方法で伝達しますよというところは、あらかじめきちんと意思の疎通をしておかないといけないのかなと思います。
 以上です。
○印南座長 秋下先生、よろしいですか。
○秋下構成員 大変よく分かりました。
 やればやるほど業務がどんどん増えるので、業務負担をいかに軽減するかということ。それから、個人情報という高い壁、あとはいかに記録に残すか、その辺幾つか課題があって、今後この検討会でもさらに議論していく、印南先生もその辺を非常に重要だと考えておられると思いますので、議論していければと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○印南座長 井上先生、お願いします。
○井上構成員 東北大学の井上です。今日は各地域のすばらしい取組みを見させていただきましてありがとうございました。
 私は、患者さんによっては大事な薬が重なった結果、6種類以上になるということは実際あると思いまして、その場合に数だけで減らす必要はないと思うのですが、広島の方が説明されたように、患者さんにとって害が出ている薬を適切に減らせることができるというのは、このポリファーマシーの取組みを通じて非常に意義のあることだと改めて感じました。
 ただ、それを有効活用できない1つの理由として、患者さんからの意見や薬局さんからのトレーシングレポートなどに耳を貸さない医師が残念ながら一定数いるわけです。そういう人たちがいつまでもそういう不適切な処方をしてしまうのが問題で、例えば病院だったら周りの薬剤師さんや看護師さん、あと、ほかの医師などが外堀を埋めるようにして訂正することができるのですけれども、例えば開業医さんになってしまうとそういうことができないと。宝塚では処方の先祖返りを防ぐための取組みをされているというのもすばらしいと思いましたけれども、そういう患者さんとのコミュニケーションなり、ほかの方からの意見に耳を貸さない医師などの対策をどうするかということも今後の課題なのかなと思いました。
 コメントです。以上でした。
○印南座長 伴先生、お願いします。
○伴構成員 薬剤師会、それから保険医協会からの御報告、ありがとうございました。
 宝塚の方では多職種というお話が出ていたのですが、あとの三つの薬剤師会の方では、多職種の関わりというようなことが、今どのようになっているのかということと、今はないけれどもということであれば、将来的にはどう考えておられるのかというのが1点。
 それから、宝塚市薬剤師会の方には、先ほどから薬剤師さんでも医師に遠慮があるとかいう話があるところで、他職種の方がお薬手帳に名刺を挟んで情報を共有するという話がありましたが、どのような連携の仕方をしているのか、お話しになったかもしれないのですけれども、僕はその辺がちょっとよく分からなかったので、その点をお願いします。
○印南座長 宝塚市薬剤師会、お願いします。
○宝塚市薬剤師会 正直、聞いてくれない先生は、多分いつまでたっても難しいのかなというところが正直なところあるのはあるのです。ただ、これも極端な話かもしれないのですけれども、やはり若い先生の方が理解を示していただいているように私は感じます。なので、これからポリファーマシーに向けた考えというところは徐々に浸透していくのではないかなと私自身は思っております。
 訪問診療されている先生に関してまず言うと、若い先生が多くて、こちらの話とかもよく聞いていただいて、提案を採用していただいたりということをよくあるのです。さらに他職種の方が先生へのというところを考えると、もちろん薬剤師までも遠慮しているというところは、門前薬局が多いというところがあったり、まだ受け身の立場である意識というところがあるかなと思うのですけれども、多職種連携の会で話していると、目的を持ってそれぞれの職種は動いていて、その中で医師の先生に言いにくいとかいうような環境というのはもしかしたら、職種がみんなで集まって話をすれば、そこら辺というのは徐々に解消していくのではないかなと肌感的には思っていまして、やはり一対一の話というよりは、多職種の介護職の人の話、訪問看護師の話、薬剤師の話の総括で医師に提案するというところ、あとは患者家族のところも含めて提案していくというところが大事かなと思って今動いているところがあります。
 以上になります。
○伴構成員 ほかの医師会の方で、今おっしゃった多職種連携ということをどうされていて、あるいはまだないとしたら、将来的にはどのようにお考えかということを教えていただきたいです。
○印南座長 広島市薬剤師会、お願いします。
○広島市薬剤師会 スライドにはなかったのですけれども、広島市でも、各学区の地域包括ケアセンターを主軸とした御高齢の方の集いに対して、薬剤師会から講師を派遣して、今の薬の飲み方とか、そして、その中にポリファーマシーに関する情報といいますか、こういったことが懸念としてありますよといった内容の勉強会を一緒に、地域の職種ともに取り組んでいるところであります。
 また、個別の話で言いますと、訪問薬剤管理指導においては、当然ケアマネージャーや訪問介護士、介護士と連携で実施をしているところだと思います。
 以上です。
○印南座長 富山県薬剤師会、お願いします。
○富山県薬剤師会 富山県においては、今、対策チームというのは三つあるのですけれども、その中の一つは、例えば労災病院の中にありますポリファーマシー対策チームです。その中で、例えば、2科、3科かかっている患者さんのお薬を減らすというときにどのようにするかというところで、これは他科のお薬を調整するというのはなかなか難しいことだなということで、この対策チームの中には当然、医師が2名、それと薬剤師、そのほかに看護師、栄養士とかそういう方々が一緒に入っておられます。それで、そこで協議して、この薬を減らすということでどうでしょうかということを申送り事項として書類に添付するという形を、今、実際取っているのですけれども、そのようにしております。
 ポリファーマシー対策チームの中でも、市でやっている方なのですけれども、これには市役所、行政も入っているのですけれども、それに包括支援センターの方々もしくは保健師さんも入って、ポリファーマシーに対する啓発をどのようにするかということで協議をしております。
 ほかの団体、多職種と連携して、いかにお薬を減らす、健康保持のためにどのようにすればいいかということを、多職種と連携して協議をしております。
 以上です。
○印南座長 伴先生、よろしいですか。
○伴構成員 ありがとうございました。
○印南座長 では、神奈川県保険医協会、お願いします。
○神奈川県保険医協会 
 伴先生も御存じのように、我々はいろいろなところで多職種連携という言葉を使うのですけれども、これほど難しいことはないというのが現実だと思っております。
 我々の事業で言うと、多職種を交えた体制づくりみたいなものは、当然今のところ全くできておりません。ただ、在宅医の先生もこの事業に参加していただけると、在宅に関しては、患者さんを取り巻く多職種、訪問看護師から介護職員まで、あるいは場合によっては歯科医師も含めた形で連携を取っていけるのかなと思っております。
 大きな意味での体制づくりというのはこの事業の中には入っておりませんので、なかなか難しいところではありますけれども、とにかく意識しているのは、医師から薬剤師とか薬剤師から医師というような一方向の連携ということではなくて、双方向に連携する、もっと言うと地域で情報を共有していくというような体制づくりが多職種連携という意味で必要ではないかと思っております。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
 伴先生、よろしいですか。
○伴構成員 私は人口600とか2,000というような地域の診療所で見てみますと、地域は多職種連携が当たり前に展開されているのです。ですから、そのようなところに薬剤師さんもどんどん入っていかれて情報共有するというのが1点。
 今、都会は難しいという話ですが、都会も、今、在宅医が、先ほどもお話が出ていましたけれども、宝塚も都会だと思うのですが、そういう形での、医師・薬剤師と2者の連携という固定観念にあまりとらわれない方が今の時代はいいと思います。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございます。
 本日は大変活発な御議論いただきまして、ありがとうございます。
 御参加いただきました採択団体の方々におかれましては、引き続き本日の御議論を踏まえて積極的に取り組んでいただきたいとお願いいたします。
 本議題はこれで終了となりますので、各団体の方は御退室いただいても構いません。どうも大変ありがとうございました。
(採択団体、退室)
○印南座長 続きまして、議題2、今後の取組みの方向性について、事務局より説明をお願いします。
○事務局(道家) 事務局です。よろしくお願いいたします。
 資料2に基づいて御説明させていただきます。
 資料2ページを御覧ください。これまでの事業内容については、先ほどの中間報告の説明の際にある程度お話ししましたので割愛させていただきます。
 令和5年度の案として、好事例の抽出等のポリファーマシー対策状況のアンケート調査や、令和3年度、4年度事業の成果を踏まえた、これまでの本検討会で策定された指針及び業務手順書等の見直しの実施を考えております。
 この中の話としましては、令和2年度に策定された業務手順書等と同様に、有識者により構成されたワーキンググループを運営し、指針や業務手順書の改訂案を作成、その改定案について本検討会でさらなる検討を行って改訂していくことを考えております。
 資料3ページを御覧ください。構成員の皆様には、今後、指針、業務手順書の見直しの検討において、どのような情報があるとよいか、見直しを検討する対象として特に重視したい点はあるか、さらには令和5年度に限らず、令和5年度以降を含めて、その他、今後、本検討会で高齢者の薬物療法に関する安全対策を推進する上で必要となる事項について、検討を進めるに当たり留意すべき事項があるかといった、主に三つの点について御議論いただけますようお願いいたします。
 なお、資料4ページ目以降は、参考として、これまでの検討会の取組みや検討会の開催された経緯、指針のコンセプトなどを示しております。適宜御参照ください。
 説明は以上になります。
○印南座長 ありがとうございました。
 それでは、今後の取組み方に関しまして御意見がある方、お願いいたします。
 林先生、お願いします。
○林構成員 ありがとうございます。
 今日は活発なトライアルの中間報告を受けながら、うまく前進していっていただけるといいなと思って拝聴していたところです。今後に向けて様々な発表を聞いていたときに、やはり薬局薬剤師さんから診療所あるいは病院の医師の皆さんへのフィードバックの方法というのは主に二つあるのだろうと思うのです。
 一つは、もうその場で何か有害事象が発現している場合には、処方の見直しが必要であれば、その場で疑義照会として御連絡差し上げるのだと思います。一方で、この検討会の事例集の中にも、そこまで急を要しないのだけれど、いわゆる院内のチーム医療では処方提案として、カルテ上にちょっと書いて、近日御検討くださいといった課題については、情報提供書、今日の言葉ではトレーシングレポートという言葉が頻回に出てきました。この検討会の事例集でも、複数の事例の中にトレーシングレポートで処方医に提案するというモデルが書かれているのですが、多分、今日のお話を聞いているとトレーシングレポートという言葉がいいのか、あるいは情報提供書という言葉がいいのかはっきりさせて、その認知度をもうちょっと上げていくような後押しをしてあげた方が良いと感じました。その場で診察中の先生のお手を煩わせて疑義照会するまでではないのだけれども、その処方提案をしておきますという患者さんの状況、お薬の状況を処方提案しておきますという場合に使っているのが、通称トレーシングレポートと言われている、薬剤服用状況等に関する情報提供書と言われるものだと思うのです。
 これは厚労省の方も診療報酬にも反映されているので、認知されている書式だと思うので、もう少し診療所をはじめとした医師会の先生方にもそういうものが届いた際に、ぜひ御配慮いただきたいということを御案内するような取組みもあっていいのかなと思いました。
 ちなみに、東京都の場合、私、東京都の病院薬剤師会を担当しているのですけれど、都庁の方の事業でトレーシングレポートの利活用推進事業ということで、都内の医療圏ごとに拠点病院、1年間に10か所ぐらい選定しまして、その地域の薬局薬剤師の方からトレーシングレポートを出していただいて、この場合には病院なので、病院薬剤部が窓口になってそのファックスを受けて処方医の皆さんに相談をするという取組みをしています。診療所の場合に、隣に必ずしも院内のチーム医療で薬剤師がいるとも限らない施設もあると思うので、そもそもトレーシングレポートが来たことの意味がうまく伝わっていない可能性もあると思います。何かトレーシングレポートの位置づけを、多くの診療所の先生方も含めて医療機関等に再認識していただくような後押しをしたらいいのかなと思いました。よろしくお願いします。
○印南座長 これは事務局からお答えになりますか。
 
○事務局 林先生、御意見いただきありがとうございます。
 先生がおっしゃっているとおり、ツールとして服薬情報提供書を使っていきましょうというのが、始め方と進め方の手引等にも記載はあるところですけれども、もう少し踏み込んで、例えば受け取った場合にどうするのが適切かとか、そういった視点で現在の記載をもう一度改めて拝見しまして、来年度以降検討できればと思っております。
 以上です。
○林構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○印南座長 それでは、続きまして、池端先生、お願いします。
○池端構成員 ありがとうございます。3点お話ししたいと思います。
 まず1点目は、この検討部会は医薬・生活衛生局というところでやっているわけですけれども、私も参加している、医政局の医療保険部会でも、いわゆる医療費適正化対策の一つとしてポリファーマシー問題が取り上げられていて、その対象を今まで15種類以上だったのが、この検討会で言われているように6種類以上にしようということで、対象を広げるということを提案されているのですが、それをどうやってやるかということは全く触れられていないのです。私は医療保険部会でもお話ししたのですけれども、ここでこうやって、いいことをこれだけやっていて、手順書までできているのですけれども、ここがうまく伝わっていないような印象を持っているのです。保険局とか医政局も目的は同じような目的で同じ方向を向かっている政策がありますので、ぜひ、局をまたいでしっかり連携をして一気に進めていただきたいなという思いがあるので、それについて何か事務局としてお考えがあったらお聞かせいただきたいのが1点。
 2点目、今日、先進事例をお聞きしても、まだまだこのガイドラインとか手順書というのが普及していない現実が見えてきたかなと思いますので、私、県医師会を預かっている身としてもそういう印象を持っています。県医師会でもいろいろやっているのですけれども、医療関係者に対する広報活動もまだまだこれからかなという印象を持っています。国民に向けての啓発活動も大事ですけれども、医療関係者に対する啓発活動、特にこういういいものがあるということをもっともっと知らせることも必要ではないかということを感じ、これは今後の取組として重要ではないかと思いました。
 3点目ですけれども、来年の4月からもう本格スタートすると言われている電子処方箋は、いろいろ問題があってかなり足踏みする可能性があると思います。特にHPKIの個人認証の問題、(カードによる)個人認証ではなかなかこの電子処方箋がうまく動かないのではないかという危惧を持っていますけれども、いずれにしてもこれを動かすことになりますので、ここがスタートすることを踏まえて、このポリファーマシーをどう捉えるか、これ(ポリファーマシーの情報)は一気にデータとして出るわけですので、そこに対してどういう扱いをするか、こういうことも令和5年度以降の対策として、ぜひ考えておかなくてはいけないかというのが3点目。
 この3点について、私が提案というか意見を言わせていただきました。何か事務局としてお考えあったらお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○印南座長 お願いします。
○事務局 御説明、御意見をありがとうございます。
 今のところ、確かに局内の中、もしくは局外同士でのやり取りで、ある程度の情報共有などはされている状況ではございます。その中で、このポリファーマシーの指針について等を、こういうのを使ってみようというのはお互いいろいろ認識はしているかと思います。その事業として認知がうまくいっているかと言われると、まだうまくいっていない現状は確かにおっしゃるとおりかとは思っております。
 なので、もうちょっと具体的な方法については、いろいろ連携を取っていく必要があるかなとは実感させていただきました。その中でいろいろ今後もやっていければなと思います。
 電子処方箋のところに関しても、申し訳ない部分があって、まだまだ知識不足な部分がありますので、いろいろこういう検討会等とかで、今後の検討会、勉強会みたいな感じの中でもし取り入れることもできれば非常にいいかなと思いますし、それを踏まえて、先ほどの指針や業務手順書の見直しとかに反映できるような形を来年度以降できればなとは考えております。
○事務局 事務局からもう少し補足させていただきますと、3点目の電子処方箋に関しては、現在、モデル地区を選定して検討が進められているところでして、来年1月以降開始されて、順次広がっていくものと承知をしております。
 今回も幾つかの団体からは、患者さんが服用している薬剤の情報が把握しづらいですとか、そういった御意見もあったかと思います。恐らくですけれども、そういったものが電子処方箋を活用することでスムーズに確認できて改善していく部分もあるのかなと期待するところでございます。
 そうした様々な動きが今後あるかと思いますので、ご指摘のような点と併せて手順書等をどう見直していくかということも今後検討課題になってくるかなと思っているところでございます。
 以上です。
○印南座長 よろしいですか。
○池端構成員 ありがとうございます。
 特に最後の問題については、私もゆっくりと思っていたのですけれども、デジタル庁、内閣府を中心にかなりプレッシャーがかかっているようで、一気に進めようということがあります。これで、ポリファーマシーの対象がぐっとはっきり見えてくるときに、では、それを使って誰がどう調整するのかということはすぐ課題になってくると思いますので、ぜひ令和5年度以降のこのガイドラインの見直し、手順書の見直し中には、それも視野に入れて検討いただけるといいかなと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○印南座長 2番目の点についてはいかがですか。
○事務局 広報活動について、医療関係者への周知というところもあるかと思います。機会を捉えながら、取り組めるところから取り組めたらと思っており、機会を逃さないように我々としても常に考えていきたいと思います。
○印南座長 よろしいでしょうか。
○池端構成員 はい。ありがとうございます。
○印南座長 それでは、橋場先生、お願いします。
○橋場構成員 ありがとうございます。
 私の方から2点少しお話しさせていただきたいと思います。
 1点は、私も薬局の立場として情報提供するということになると、トレーシングレポートという頭がある意味こびりついているところがあるのですけれども、今日のほかのところの御発表の中で、お薬手帳というような御意見もあって、なるほどなと思ったのは、タイミング等の問題もあるのですけれども、いわゆる、多数の目に触れるという意味では、患者さんの目にも触れる、複数の医師の目にも触れる、もしくは、かかりつけを持っていなければ複数の薬局の目にも触れるという意味では、そういった観点も、もしかするとポリファーマシー対策という意味では必要なのかなと思いました。トレーシングレポートというと、1医療機関対1薬局、1医師対1薬剤師というような形になってしまいますので、その辺のことも少し今後検討してもいいのかなと思ったというのが一つです。
 もう1点、これは若干将来的なことになるのですけれども、今、事務局から示していただいている資料の中でも、いわゆる6種類以上でポリファーマシーで副作用が増えるというようなエビデンスに基づいてポリファーマシー対策が進められているというところがございます。先ほど来出ておりますDXというところも含めまして、いわゆる、今、AIとかディープラーニングという技術も進んでいるところがございますので、もう少したくさんの薬を使ったときに、どういう状況、どういう背景だと副作用が起こるのかというような研究活動というものも進めないと、処方を行う医師の先生方からすると、治療したいのに6種類以上になったら治療ができないということだと、非常に不利益を被るのは患者さんだと思いますので、もう少し多剤ということに対する研究というものもなされてもいいのかなと思いました。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。ただいまのは御意見として伺いますが、事務局から何かありますか。よろしいですか。
○事務局 ご意見として承ります。
○印南座長 それでは、美原先生、お願いします。
○美原構成員 では、簡単に二つです。
 トレーシングレポートと、それから、お薬手帳の違いは何ぞやととんでもない質問をした構成員の一人なのですが、実際、僕はトレーシングレポートというのを臨床の現場で認識しておりませんでした。お話を聞いて、薬剤師の方からドクターへの連絡だということを理解いたしました。
 そのような中で僕が懸念するのは、今、非常に書類が多いのです。見なくてはならない書類。情報提供、連携という言葉で情報を出すことはとても重要だろうと思うのですが、それを取捨選択しなくてはならない、見るべきものが多いというと、かえって見られなくなってしまうのではないかと思います。そういう意味では、もしかしたらば、お薬手帳とトレーシングレポートというものがうまく連携する方がいいのかもしれないと思います。というのは、もう既にお薬手帳というのは医療の現場でしっかりと地位を占めている。一方、トレーシングレポートは、僕も不勉強ながらよく分かっていないということなのかもしれません。そんなことをちょっと思いました。つまり書類が多くなるということに関して少し配慮しなくてはならない。
 2番目は、樋口先生のお話を聞きまして、非常にどっきりしました。というのは、樋口先生が御入院なさったときにいろいろな人が話に来た、インタビューに来たということです。これもまさにチーム医療としていろいろ人が関わるということで、とても重要なことなのだろうと思うのですが、それが形になってしまうと患者さんに非常に負担を与えるのではないかということを思いました。
 実は、当院においても、何でここの病院はいろいろな人が同じことを聞くのと患者さんにクレームを言われたことがあります。つまり、そのたびに看護師さんが行き、MSWが行き、栄養士が行き、薬剤師が行き、そして、同じようなことを聞く。これは当院のシステムというかツールが悪いのかもしれないですが、あわせて、チーム医療の在り方に関しても考えていかなくてはいけないなと思った次第です。これはコメントです。
 以上です。
○印南座長 ありがとうございました。御意見として伺っておきます。
 大井先生、秋下先生で一応おしまいということにさせていただきたいと思います。
 まず、大井先生、お願いします。
○大井構成員 今、日薬の橋場先生が御発言されたのに、同じような意見だったものですからちょっと付け加えさせていただきたいです。
 要するに、6剤とか8剤がだんだん悪くなるというイメージがどうもちょっとつき過ぎているような気がして、そういう意味では、少し発展的に、薬効群である程度重なったときにかなり危険性がより高くなるとか、そういうようなものが議論として入ってくるといいのかなと。それが医薬品の安全性情報を提供するときに、そういうものが重要になってくるのかなと思いました。
 つまり、8剤、10剤と多いと駄目なんだというところで、肝心な薬を削ってしまって、どちらかというと削っていいような薬を服用しているというような逆パターンの患者さんも、付属のいろいろな施設などを見ていると、そういう患者さんもお見えですので、そういう薬効群による併用の在り方というのもぜひ検討していただければということです。
 以上です。
○印南座長 それでは、秋下先生、お願いします。
○秋下構成員 2点、コメントです。
 まず、トレーシングレポートですが、多分この検討会でも議論をして、トレーシングレポートというのは、結局薬剤師目線なのです。多職種連携という言葉にふさわしくない、薬剤師特有の言葉で隠語だと私は思っています。それで、前回、業務手順書を作成したときにも、そういう言葉を使わずに「服薬情報提供書」とか、日本語として誰が見ても分かる言葉にさせていただいているということです。
 それを規格化していくということが非常に大切ですし、お薬手帳との連携という話も出たので、なるべくシンプルなものにしていく。そういうものをみんなで寄せ集めて、アドバンス・ケア・プランニングもそのように言われていますけれども、書式一発で片付けるのではなくて、そういうのを積み重ねていったものが情報なんだと。そのように流れていくべきだと思いますが、取りあえずは業務手順書の中に様式事例集というものがあって、そこに幾つかのパターンのものが載っているということなので、今のところはそれを使ってくださいというのが当検討会の立場なのかなと思っています。
 もう1点は、薬の数の問題です。これは完全に独り歩きしてしまっているので、この検討会から出した指針の中でも、数というのは目安であるということを明確に言っておりますので、ポリファーマシーの定義は多剤服用とは違いますと。そういうことが、ちゃんと周知されていないことが問題なのだと思いますので、そこら辺をしっかりと、名称だけではなくて中身とか特に大事なコンセプト、これについて啓発していくというのが我々の務めなのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○印南座長 事務局の御提案に対して、賛成も反対も明確な御発言がなかったのですが、その代わり非常に多様な意見をいただきました。
 今後の取組みにつきましては、本日の御意見を踏まえて、事務局においてご提案について改めて検討をお願いしたいと思います。事務局から何かありますでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 様々な御意見をいただきました。実際にポリファーマシー対策を動かしていく中で、医療現場の先生方の御負担も考えながら、様々な新しい取組みも取り込みながら実効あるものにしていくことが大事だと感じたところです。その中で、どのように推進策を講じるのかというのをまた引き続き考えていきたいと思います。エビデンスについても御提示できるように努力してまいりたいと思いますけれども、検討会の先生方にも教えていただくことも多いかと思いますので、その際にはよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○印南座長 それでは、そのように検討をお願いいたします。
 以上で議題2を終わりにします。どうもありがとうございました。
 本日予定されている議題は以上です。その他、委員の先生から何かありますでしょうか。
 よろしいですか。
○秋下構成員 秋下ですが、ということで、今年度、第3回があるということでよろしいですか。
○事務局 先ほどの令和4年度の事業の最終報告が大体3~5月頃を予定していまして、改めて議論する形として皆様と日程調整などをさせていただければなと思っています。
 また、それより前でもいろいろ調節ができるかもしれないですので、改めて、先生方に御相談できればなと思います。
○秋下構成員 分かりました。
 令和5年度の事業については、今日結論が出なかったので、アイスブレーキングみたいな感じでしたけれども、そこを事務局にまとめていただいて、提案していただいて、メールでもよいので次回に決定するということで。年度をまたいでしまうと遅いのかもしれませんが。その点を確認したかったので発言させていただきました。
 以上です。
○印南座長 よろしいですか。
○医薬安全対策課長 確認ですが、今日の議論ですけれども、いろいろな御意見をいただきましたので、今日の御意見を踏まえて、よりこの提案を詳細にしていきたいと思っております。そんな感じで考えたいのですがいかがでしょうか。よろしいですか。
 提示いたしました事務局の案について、その方向でもう少し、今日いただいたものを踏まえ、先ほどトレーシングレポートとかもいろいろな意見をいただきましたので、それを踏まえて、また、より詳細な提案について検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○印南座長 今の事務局側からの説明についてはよろしいでしょうか。
 それでは、本日の検討会はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。