2022年10月25日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

日時

令和4年10月25日(火) 10:30~

場所

厚生労働省 共用第9会議室

出席者

出席委員(8名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  大久保貴之(化学物質安全対策室長) 他

議事

○化学物質安全対策室長 ただいまより、令和4年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会を開催いたします。なお、頭撮りは審議の前までとさせていただきます。
 私は、化学物質安全対策室長の大久保と申します。昨年7月に前任の佐々木に代わりまして、こちらに着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、部会委員の交代がありましたので御報告申し上げます。令和4年9月20日付けにて、全国農業協同組合連合会の鈴木伸男委員の後任として、同じく全国農業協同組合連合会の角田幸司委員が任命されております。角田委員、簡単に一言お願いできますでしょうか。
○角田委員 ただいま御紹介いただきました全国農業協同組合連合会の角田でございます。JA全農の方では、生産資材の供給と利用技術の開発などを行っておりますが、私はそこで農薬の技術主管を務めさせていただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質安全対策室長 ありがとうございました。さて、毒物劇物部会ですが、現在の総委員数は9名であり、定足数が過半数の5名となっております。本日は、リモート参加の4名の先生方を含め、8名の委員の方々に御出席いただいておりますので、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。石塚部会長代理、遠藤委員、根本委員、平林委員におかれましては、リモートで参加されております。
 なお、本会議は公開で行われ、資料及び議事録も一部を除き公開となっております。
 それでは、開催に当たりまして、山本大臣官房審議官より一言御挨拶を申し上げます。
○審議官 おはようございます。厚生労働省大臣官房審議官を務めております山本でございます。本日は、お忙しい中、先生方に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 この毒物劇物部会でございますが、毒物劇物等の様々な事項について御審議を頂くものでございます。昨年度でございますが、前回の審議で御議論いただいた、あるいは御了承いただいた件につきましては、既に今年の2月ないしは1月に施行されております。
 本日の部会では、劇物への指定の1物質、除外についての2物質について、御審議を頂きたいと考えております。大変お忙しい中、お時間を割いていただくことを改めて御礼申し上げ、また、是非忌憚のない御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、御出席の全ての先生方より、薬事分科会規程第11条に適合している旨の御報告を頂いておりますので報告させていただきます。
 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、今回の議事次第、委員名簿、座席表です。続きまして、今回御審議いただく物質に関する資料として、資料1、資料2-1、資料2-2となっております。
 また、当日配付資料といたしまして、「令和4年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会毒物劇物部会の審議物質の除外申請に伴う用途について」を、委員の皆様のみにお配りしております。なお、この資料は、これから御審議いただく物質について、事業者からの除外申請に伴う用途一覧となります。用途の公開については、特定の者に不当な利益若しくは不利益を与えるおそれがあるため非公開の資料とし、当該資料は審議終了後に回収させていただきます。また、この用途についての発言はお控えいただきますようお願いいたします。
 そのほか、参考資料として、「毒物劇物の判定基準」を配付しております。委員の皆様におかれましては、お手持ちの資料に不足、不備等がごさいましたらお申し付けいただければと思います。
 それでは、審議の前になりますので、頭撮りはここまでとさせていただきます。
 議事に移りたいと思います。以降の議事運営については、合田部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 議事に入りたいと思います。議題1の「3-アミノプロパン-1-オール」に関連する資料について、事務局より説明してください。
○事務局 3-アミノプロパン-1-オール及びこれを含有する製剤(ただし、3-アミノプロパン-1-オール1%以下を含有するものを除く。)の毒物及び劇物取締法に基づく劇物の指定についてです。
 本物質については、GHSで、皮膚腐食性、眼に対する重篤な損傷が区分1に分類されており、かつ、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されているものです。
 これを踏まえまして、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報の収集を実施いたしました。皮膚に対する腐食性、眼の粘膜に対する重篤な損傷が認められております。そのため、令和元年度第1回毒物劇物調査会において、「皮膚腐食性」「眼刺激性」により、劇物相当とされております。
 その後、事業者から1%製剤の毒性データが提出され、令和4年度第1回毒物劇物調査会において、1%製剤であれば「毒物劇物の判定基準」の劇物に該当するような毒性を有さないとされております。
 用途としては、医薬品及び農薬原料並びに有機合成中間体として用いられております。なお、その他の用途については、委員の皆様におかれましては、当日配付資料を御覧ください。
 資料1の2ページの別添1を御覧ください。こちらは、物理化学的性状を列記しております。無色の液体で、水溶液は強アルカリ性を示します。
 3ページの別添2を御覧ください。こちらは当物質の原体における急性毒性試験等のデータです。まず、急性経口毒性試験の結果ですが、ラットでLD50が1,348mg/kgと、劇物の判定基準である300mg/kgを上回る値が出ております。また、急性経皮毒性試験結果については、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、こちらも劇物の判定基準である1,000mg/kgを上回っております。急性吸入毒性試験結果も、ラットでミストにおいてLC50が4.1mg/L(4hr)より大きく、劇物の判定基準である1.0mg/Lを上回っており、いずれにしても劇物非該当の値となっております。
 他方、皮膚腐食性では、ウサギの皮膚に1時間適用した試験で壊死が認められました。眼刺激性では、ウサギの眼に適用した試験で、試験期間終了時点(24日間)において、角膜に不可逆的な損傷(角膜の混濁/壊死)が認められたことにより、皮膚に対する腐食性並びに眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断されております。
 続いて、事業者より提出された1%製剤の毒性試験の結果については、4ページを御覧ください。皮膚腐食性試験においては、5%製剤群の3分ばく露及び60分ばく露における細胞生存率の平均値は、それぞれ93.3%、83.6%となっており、本試験の条件下では、非腐食性と判定されております。
 また、眼刺激性試験については、1%製剤において、3匹中1匹で24時間後に角膜発赤が認められたため、スコアは0.3となっておりますが、48時間後には回復していること、その他、角膜混濁、光彩並びに結膜浮腫については、24時間、48時間、72時間後のスコアが全て0ということで、GHS分類区分外と判定されております。
 以上より、1%以下の製剤については劇物除外できるものと考えています。本物質について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長 御説明ありがとうございました。この物質は、調査会ではもともと「皮膚腐食性」「眼刺激性」によって劇物相当と判断されまして、それから事業者が提出されたデータにより、1%以下を含有する製剤については劇物からの除外が適当であるということで、「1%以下を含有するものを除く。」をただし書に加えて劇物指定をするということですけれども、本件について御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いします。奈良先生、お願いします。
○奈良委員 4ページの「眼刺激性」の所ですが、in vivoのウサギを用いたドレイズ試験ということで、内容的には問題ないかと思うのですが、ここで「UN GHS区分外」という表記がございます。日本においては、GHS分類についてはJISが設定されており、そのJISのZ7252においても、2019年以降は「区分外」という言葉は使っておりません。恐らく試験報告書にはそういう言葉があったのかとは思うのですが、この資料にわざわざ載せなくてもいいのかもしれません。あるいは、「区分に該当しない」という今の言葉を載せてもよいのかなと思います。後ろの方の資料2-1とか資料2-2には、GHSの区分の記載は載っていないので、統一いただけるとよろしいかなと思います。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 事務局、どうですか。
○事務局 先生の御意見のとおり、こちらについては削除させていただきます。「区分に該当しない」の記載については、ほかの資料と並びを合わせて修正させていただきます。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかに御質問、御意見等はございますか。よろしいですか。それでは、本件はお認めいただいたものとします。
 それでは、次の議題に移ります。劇物からの除外についてです。事務局から、資料2-1の説明をしてください。
○事務局 資料2-1を御覧ください。2-イソブトキシエタノール15%を含有する製剤の毒物及び劇物取締法に基づく劇物からの除外についてです。2-イソブトキシエタノールは、令和元年度第2回毒物劇物部会で審議いただきまして、資料の3ページの別添2のとおり、原体で急性経皮毒性及び急性吸入毒性が認められたこと、また、10%製剤については、事業者より提出された毒性データより、劇物には該当しないと判断され、毒物劇物指定令の第2条第8号の2において、10%以下を含有するものを除き、令和2年7月1日に劇物に指定しているものです。
 今般、事業者から、この物質の15%製剤の毒性データが提出され、令和4年度第1回の毒物劇物調査会において、15%製剤であれば「毒物劇物の判定基準」の劇物に該当する毒性は有さないとされております。用途については、当日配付資料を御覧ください。
 資料2-1の4ページが、事業者より提出された15%製剤の毒性試験結果となりますので、御覧ください。15%製剤における急性経皮毒性の試験結果ですが、ラットでLD50が10,000mg/kgよりも大きいということで、製剤を除外する場合の劇物の判定基準である1,000mg/kgの10倍値を上回る結果が出ています。また、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいて行っておりますが、LC50が10.17mg/L(4hr)よりも大きいというデータが出ておりまして、こちらも除外する場合の判定基準である1.0mg/L(4hr)の10倍を上回る結果が出ています。
 いずれも、劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物には該当しないということから、2-イソブトキシエタノール15%製剤は、劇物指定からは除外できるものと考えております。本物質について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。本件について御質問、御意見等はございますか。奈良先生、どうぞ。
○奈良委員 資料の2ページの一番下の所に、「EU GHS分類」という記載がございます。こちらが分からなかったのですが、先ほどの資料1では、「GESTISによるGHS調和分類」というような記載がありまして、今回の資料2-1に関して、この「EU GHS分類」というのが何を示しているのかというところです。なぜそう思ったかというと、ここが3ページのデータの所とは結果が合っておらず、また、調和分類の情報は一つ上の行にありますので、この情報はなくてもいいのかなと感じた次第です。御検討をよろしくお願いいたします。
○事務局 こちらについては削除させていただきます。
○奈良委員 *印の説明内容は理解できるのですが、示されている分類結果自体が他の情報とは合わないので、御確認いただければと思います。
○事務局 先生の御意見を踏まえまして修正させていただきます。
○合田部会長 皆さんもよろしいですか。あと、名前が現行のIUPACの命名法では合っていないのですね。今、こういう場合にイソブトキシという命名は使わないのですが、もう通知になってしまっているのですから、これは変えるといろいろと面倒なことになるので、物としては規定できないわけではないですし、過去は使えていたので、これでいくのかなとは思います。
 皆さん、ほかにはよろしいですか。では、15%以下を含有する製剤については除外という形でお認めいただいたということにいたします。
 次に移ります。四酸化二アンチモン及びこれを含有する製剤についてということで、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2-2を御覧ください。四酸化二アンチモン及びこれを含有する製剤の、毒物及び劇物取締法に基づく劇物からの除外についてです。本物質については、現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第7号に、「アンチモン化合物及びこれを含有する製剤」という形で包括指定されているもので、劇物として指定されています。
 今般、事業者から本物質の毒性データが提出され、令和4年度第1回毒物劇物調査会において、「毒物劇物の判定基準」の劇物に該当するような毒性は有さないとされております。用途については、当日配付資料を御覧ください。
 資料2-2の2ページには、物理的化学的性質についてお示ししております。こちらは白色の粉体で、不溶であるとのことです。
 3ページには、別添2として毒性に関するデータを載せておりますので、御覧ください。急性経口毒性試験の結果ですが、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きい値が出ています。劇物の判定基準である300mg/kg以下を上回る値となっています。続いて、急性経皮毒性試験の結果ですが、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きい値ということで、こちらも判定基準である1,000mg/kgを上回った形です。急性吸入毒性試験結果については、ラットでダストにおいてLC50が求められていますが、1.2mg/L(4hr)よりも大きいということで、こちらも劇物判定基準である1.0mg/L(4hr)を上回っております。
 いずれも劇物非該当の値となっております。皮膚と眼への刺激性も認められていないことから、四酸化二アンチモン及びこれを含有する製剤については、劇物指定から除外できるものと考えております。本物質について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。この物質は、アンチモン化合物として劇物に包括指定されておりましたが、今回、事業者から出てきた具体的な化合物、四酸化二アンチモンの原体の毒性データが出されましたので、調査会で劇物から除外することが妥当だと判断されたということです。このことについて、御意見、御質問等はございますか。よろしいですか。
 最初のページに書いてある構造式ですが、NITEのサイトを見ると、この構造式が出ていて、これでいいのかなと思うのですが、出水先生、これでよろしいですか。
○出水委員 そうです。幾つかの文献を調べたところ、構造としてはこのように。
○合田部会長 最近はこのように書くのですね。分かりました。ありがとうございました。
 ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。では、四酸化二アンチモン及びこれを含有する製剤を劇物から除外することが適当であることをお認めいただいたものといたします。
 それでは、事務局にお戻しいたします。
○事務局 事務局です。本日、御審議いただきました物質については、次回の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で御報告させていただきます。また、本日の議事録については、事務局において取りまとめを行った後、先生方に御確認いただき、最終的に公開の手続を進めさせていただきます。事務局からは以上です。本日はありがとうございました。これで本日の部会は終了させていただければと思います。
○合田部会長 では、令和4年度第1回毒物劇物部会を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬品審査管理課

化学物質安全対策室 衛生専門官 田畑(内線2426)