第178回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年11月25日(金) 18:00~19:30
 

場所

 厚生労働省 仮設第4会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)
 

議事

議事内容

○尾崎補佐 それでは、開催に先立ちまして事務連絡でございます。
 本日はこちらの会場とオンラインで開催してございます。部会の進行中は、オンラインにて参加されている方のマイクをオフとさせていただきます。発言をされる際には、会場の方は挙手をしていただき、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用していただければと思います。部会長のほうから指名があった後に御発言いただきますようよろしくお願いいたします。
 なお、本日も感染症の蔓延防止の観点から、傍聴は別会場において、オンラインで行わせていただいております。
 進行に係る説明については以上となります。
 なお、事務局においては、田中局長は公務のため遅れての参加となる予定でございます。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 皆さん方、お忙しい中お集まりいただきどうもありがとうございます。
 ただいまより、第178回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出欠状況なのですけれども、公益委員の中窪委員、使用者代表の清田委員、段委員が御欠席となっております。
 また、公益委員の酒井委員は所用のため遅れての出席ということになっております。
 頭撮りはありませんね。
 それでは、議事に入りたいと思います。新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)でございます。
 議題1は、今読み上げた内容なのですけれども、まず、資料について事務局より御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 それでは、資料1-1と1-2を用いて御説明いたします。
 振り返りでございますけれども、先月の職業安定分科会雇用保険部会合同部会では、雇調金、休業支援金等の助成内容について御議論いただいたところでございまして、今回は休業支援金に関する省令案をお諮りするものということでございます。
 まず、資料1-2の2ページ目の横置きの資料を御覧いただければと思います。こちらはカラーの資料となっておりますけれども、右側のオレンジのほうが休業支援金に関する改正内容でございます。左側の雇調金の改正内容を踏まえまして、今年の12月から令和5年3月の給付率は6割とするとともに、地域特例については対象期間を延長しないという形になってございます。
 それでは、資料1-1を御覧いただければと思います。こちらで省令改正の諮問の要綱を作成しております。
 要綱の第一でございますけれども、臨時特例法施行規則の一部改正でございます。
 まず、1行目ですが、休業支援金の対象期間を令和5年3月31日まで延長し、令和4年12月1日から令和5年3月31日までの間は、休業前賃金に100分の60を乗じた額とするといった内容になってございます。
 第二の施行期日でございますけれども、公布日施行ということで、公布日は11月末を予定しているということでございます。
 資料の内容は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、本件について御質問・御意見等がありましたらお伺いしたいと思います。挙手をお願いいたしたいと思います。
 では、千葉委員。
○千葉委員 意見でございます。
 諮問に関しては、先月の職業安定分科会・雇用保険部会の合同会議で労働側より申し上げたとおり、雇用情勢や感染状況、雇用保険財政、ばらつきある産業の状況、人材育成など様々な要素に関するこの間の部会等における議論が総合的に勘案された内容だと受け止めています。
 ただ、休業支援については、「事業主が休業手当を支払い、それを国が雇調金で支えること」が基本と捉えており、そうした基本を踏まえた対応の徹底が前提であることは改めて意見として申し上げておきます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、当部会といたしましては、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会会長宛てに報告いたしたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の報告文案を画面に表示いたしておりますので、御確認いただければと思います。会場で出席されている皆様には、事務局より報告文案を配付いたしますので御確認いただければと思います。
(報告文案の画面共有+配付)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案、会場の方にはお配りいたしましたけれども、職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ちょっと皆さんの画面を見せていただけますか。
 よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題1については以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 では、次の議題に移ります。
 議題2は、「雇用保険制度の現状について」でございます。
 まず、資料について事務局より御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 それでは、資料2「雇用保険制度の現状について」という資料を御覧いただければと思います。
 今年の9月の雇用保険部会では、令和3年度決算を踏まえた雇用保険財政の状況を御説明させていただいたかと思います。今回は、令和4年度の第2次補正予算案が先日、閣議決定いたしましたので、その内容を踏まえた財政状況の御説明ということでございます。
 それでは、資料の1ページ目を御覧いただければと思います。先月末に閣議決定されました総合経済対策の抜粋でございます。
 中段の太字の部分が関係部分ですので読み上げますと、当面の雇用調整助成金の支給や、労働移動円滑化・人への投資への支援の強化に万全を期すとともに、雇用情勢が悪化した場合にも十分な対応を図るためには、雇用保険の財政基盤の安定が不可欠であり、そのための財源確保を図るとございます。
 これを踏まえまして、一番下の四角囲みのところでございますけれども、令和4年度第2次補正予算案に、一般会計から雇用勘定に約0.7兆円の繰入れを計上しているところでございます。
 続いて、2ページ目を御覧いただければと思います。この繰入れの内容に関する資料ということでございます。
 資料の右下のほうに楕円が3つの図があるかと思います。一般会計から積立金のところに矢印が伸びておりまして1マルとございます。まさに今回の一般会計からの約0.7兆円の繰入れに関しましては、この1マルの積立金への繰入れというものでございます。
 続いて、3ページ目を御覧いただければと思います。第2次補正予算案を反映した失業等給付のほうの関係の収支でございます。
 一番右側の4年度補正後収支イメージというところを御覧いただければと思います。赤字が更新した部分でございますけれども、収入の内訳の2つ目、国庫負担金といたしまして、2次補正予算案を反映させた結果、0.75兆円となっております。
 続いて、下のほうでございますけれども、雇用安定事業費二事業への貸出しということで、マイナス0.35兆円を計上しております。
 一番下ですけれども、結果といたしまして、令和4年度補正予算後の収支イメージといたしましては、積立金残高は0.85兆円となってございます。
 続いて、4ページ目でございますけれども、これまでの積立金の残高等々をグラフ化したものでございますので、参考までに御覧いただければと思います。
 続いて、5ページ目でございますけれども、今度は雇用保険二事業の関係について2次補正予算案を反映した収支の状況でございます。
 まず、収入の内訳の3つ目でございますけれども、一番右側のところです。積立金より受入れとして0.35兆円を計上しております。
 支出のところの1つ目ですけれども、雇用調整助成金等について1.21兆円ということで増額をしておりまして、結果といたしまして、安定資金残高は令和2年度からの引き続きですけれども0となっております。
 そして、括弧内ですけれども、積立金からの借入れの累計額に関しましては3.19兆円となってございます。
 続いて、6ページ目を御覧いただければと思います。こちらは雇用安定資金残高や二事業に係る雇用保険料率の推移でございます。こちらも御参考として御覧いただければと思います。
 7ページ目でございますけれども、育児休業給付の関係の収支でございます。ただ、育休の関係は、今回、補正予算案では特に措置をしておりませんので、9月にお出した資料からは変わっておりません。
 資料の説明としては以上となります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして御意見・御質問がありましたらお受けいたしたいと思います。挙手をお願いいたします。
 大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。御説明ありがとうございました。御説明いただいた内容ですとか、また、以前からの議論のとおり、雇用保険二事業につきましては、安定資金残高が3期連続で0ということになっておりまして、非常に厳しい状況が続いておるのは皆様御承知のとおりかと思います。臨時特例法に基づきまして一般会計から繰入れが措置されておりますけれども、本年度までとなっております、先ほどの資料の2ページ目にありますマル1、マル2につきまして、今後も感染状況が悪化する可能性があるということから、ぜひとも延長をお願いしたいというところでございます。
 また、一般会計からの繰入れ等によりまして財政状況を好転させていくという計画がおありであれば、いつまでにどのような形で計画化されているのかということを教えていただきたいと思っております。
 また、雇用保険料率につきましては、今年も既に2回上がっておりまして、企業の負担が増しておるといったところでございますし、料率だけを見ていくということになると、先ほどの資料にもありましたけれども、原則を超えて際限なく上がっていくということも考えられ、懸念しているところでございます。今後、令和5年度の料率を議論する際は慎重に行っていただきたいと思っております。
 また、現在、原材料価格高騰とか人手不足、また、価格転嫁が進んでいないといったことの影響で中小企業は非常に厳しい状況が続いておるというところです。
 これ以外にも、年金の問題ですとか税金とか社会保険料に影響する103万円の壁とか、また、物価が上がっているのに給料が持っていないとか、また、上がっても実感が持てないという状況になっておるところでございますので、雇用保険財政の安定を考える際は、先ほど申し上げました課題に加えまして国庫負担分を本則に戻していただくということも含めて、中小企業に過度の負担とならないようにトータルで考えていただきたいと思っているところでございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか御意見。
 では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員
 今回、雇用保険財政については、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に0.7兆円の繰入れが計上されたところですが、財政の安定にはほど遠い状況です。
 また、雇用保険二事業への失業等給付からの3兆円を超える貸出累計額の確実な返済、さらには、全世代型社会保障構築会議において、育児期における経済的支援に関する議論がなされていますが、育児休業給付の財政状況も非常に厳しい状況にあり、この雇用保険部会でも議論しなければいけない課題が山積していると認識しています。
 雇用保険財政の在り方については、1月に報告を取りまとめた際に、制度、運用両面について、国庫負担も含めて全般的に、本部会の中で丁寧に審議していくという話をしているので、その点に注力していただくようお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。雇用保険財政の安定に向けて、臨時特例法に基づき一般会計から労働保険特別会計の雇用勘定に7,000億円強を繰り入れるということですが、雇用保険財政が引き続き厳しい状況にあることは変わりません。先の法改正によって、一定の要件の下で機動的な国庫からの繰り入れも可能となっていますので、この新たな制度を適切に運用していくことを考えるべきだと思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。大丈夫ですか。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 先ほど大谷委員から、今後、雇用保険財政において一般会計による繰入れにより改善していく道ということで御指摘をいただきました。先ほど平田委員からも御指摘をいただきましたが、今年の法律改正によりまして、失業等給付の国庫負担におきまして新たな仕組みということで、国庫負担率4分の1あるいは40分の1に加えまして、機動的な国庫繰入れ規定が設けられたところでございます。
 平田委員からも御指摘がございましたが、私どもといたしましてもこの規定を機動的に対応させることによりまして、今後とも雇用保険財政が安定するように事務局としてもしっかり留意しつつ、また、その財政状況の対応を判断するに際しましては、当然のことながらこの雇用保険部会の委員の皆様の御意見を賜りながら進めてまいりたいと思っております。
 また、冨髙委員からは部会で議論していただくべき課題が山積しているという御指摘をいただきました。おっしゃるとおりでございまして、雇用保険制度に関わる論点につきましては、当然のことながらこの部会の委員の皆様の御意見をその都度その都度いただきながら進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見とかがないようでしたら、本議題はこれで以上とさせていただきたいと思います。
 では、次の議題に移りたいと思います。
 議題3は、「雇用保険制度研究会における議論の状況について(報告)」でございます。
 それでは、資料について事務局から御説明をまずいただきたいと思います。
○尾崎補佐 それでは、資料3「雇用保険制度研究会における議論について」という資料を御覧いただければと思います。
 まず、1ページ目でございますけれども、こちらは研究会の趣旨と開催状況の概要でございます。
 研究会については、既に設置の趣旨と第1回の概要について、6月の雇用保険部会で報告させていただきました。今回は、第2回から第5回の研究会で出た御意見、特に失業認定の関係は動きがございましたので、そちらを中心に御報告させていただければと思っております。分量も2ページ目以降多いですので、かいつまんでの御説明となる点、御容赦いただければと思います。
 まず、2ページ目は第2回の御意見でございます。
 基本手当の在り方につきましては、まず、1ポツ目でございますけれども、所定給付日数や給付額に関しましてのエビデンスに関する御意見。
 あと、3ポツ目でございますけれども、諸外国における失業扶助との関係。
 最後に、失業保険制度における再就職の促進というのをどう位置づけるのかという点についての御意見というのがございました。
 続いて、3ページ目を御覧いただければと思いますけれども、失業認定の在り方についてでございます。
 まず、1ポツ目でございますが、失業保険はモラルハザードが起きやすいという面を考えると、失業認定に当たってハローワークに出頭してもらうことは重要であるということ。他方で、出頭が著しく困難である場合にはオンラインの活用を検討すべきであるという御意見でございます。
 1つ飛んで、3ポツ目の後段でございますけれども、職員負担の観点からは、オンラインによる効率化を進めていったほうがよいのではないかという御意見。他方で、オンライン化が必ずしも職員の業務負担軽減につながらない場合もあることに留意が必要ではないかという御意見というのがございました。
 続いて、4ポツ目でございますけれども、後段を御覧いただければと思いますが、オンライン化の方法でございます。例えば、初回は来所するが、2回目以降はオンラインによるといった方法というのも可能ではないかという御意見というのもございました。
 続いて、4ページ目を御覧いただければと思います。第3回の研究会は主に訓練の関係で御議論いただいたところでございます。
 上段の訓練の効果検証につきましては、統計的な観点の御意見ですのでちょっと割愛させていただければと思います。
 下段は求職者支援制度の関係でございます。
 まず、1ポツ目にございますとおり、求職者支援制度については利用促進が課題であるということ、あるいはコロナ下でいろいろ特例措置を講じておりますけれども、そちらの効果については点検が必要ではないかという御意見というのがございました。
 特にその4ポツ目でございますけれども、求職者支援制度の利用が進まないのは、単に制度の周知不足のせいなのか、それとも支給要件が厳しいからかという点は切り分けて考える必要があるのではないかといった御意見というのがございました。
 続いて、5ページ目でございます。
 一番上の教育訓練給付でございますけれども、1ポツ目、2ポツ目は、教育訓練給付というのを雇用保険制度の中でどのように位置づけていくのかという観点からの御意見でございます。
 3ポツ目の最後のところでございますけれども、学び直しのニーズというのは、雇用保険の被保険者に限定されるものではないのではないかという御意見というのもございました。
 中段の休業支援金・給付金の関係でございますけれども、特に2ポツ目、3ポツ目に関しましては、モラルハザードを懸念するような御意見というのもございました。
 続いて、6ページ目を御覧いただければと思います。第4回の研究会では主に育児休業給付の関係について御議論いただいたところでございます。
 特に2ポツ目から4ポツ目でございますが、育児休業給付の関係でその位置づけについていろいろ御意見というのがございました。
 例えば、4ポツ目でございますけれども、本来の目的は出産後の女性の雇用継続であるが、今では少子化のためとなっているのではないかという点。
 その下の方では、例えば、男性の育児休業の促進といった観点からの御意見といったところもございました。
 続いて、7ページ目を御覧いただければと思います。育児休業給付の続きでございますけれども、1点目は諸外国のスウェーデン、ドイツとの比較に関する御意見。
 最後のところでございますけれども、短時間勤務で仕事をしながら育児を両立するという観点からの給付の在り方というのを検討してもよいのではないかという御意見というのもございました。
 続いて、8ページ目を御覧いただければと思います。雇用保険の受給関連手続におけるデジタル技術の活用の要請ということで、今年6月に規制改革実施計画を閣議決定しております。
 1段落目の後段のほうですね。失業認定関連手続を含む雇用保険の受給手続の在り方について、対応の方向性に関する検討を行い、1年を目途に結論を得るとございます。
 2段落目でございますけれども、あわせて、市町村取次ぎの対象者等の公共職業安定所への出頭が大きな負担となっている者については、上記検討の結論を待たず、速やかに負担軽減のための必要な対応を検討し、可能なものから順次措置するとございます。
 これも受けまして、10月14日に加藤厚生労働大臣から閣議後会見で同様の趣旨のことを申し上げておりますけれども、雇用保険の受給に関する手続の際に、全員一律に4週間に1度ハローワークへの出頭を求める取扱いというのを見直すこととしたいと。遅くとも来年4月からオンラインを活用した取組を実施し、検証を行うと。さらに検証結果も踏まえつつ、諸外国の実態も参考にできるだけ速やかに結論を得たいと申し上げております。
 続いて、9ページでございますけれども、基本手当の受給の流れでございます。既に御案内かと思いますけれども、まず、労働者が離職をしまして、求職者はハローワークのほうに出頭し、求職の申込みを行うと。その際に、ハローワークのほうで面談を行い、受給に必要な被保険者期間や労働の意思・能力の有無等の確認を受けるとなっております。続いて、雇用保険の説明会を受講いたしまして、原則として4週間に1度、失業の認定を受け、それによって基本手当の受給に至るというものでございます。
 それでは、10ページ目を御覧いただければと思います。市町村取次ぎによる失業認定の見直しの方針ということです。
 まず、上のほうですけれども、現行制度の取扱いがどうなっているかというものでございます。
 対象者は管轄のハローワークへの出頭に往復6時間以上要する市町村に居住している基本手当の受給資格者ということで、ちょっと飛ばしまして、対象地域ですけれども、主に52市町村の離島の方ということになります。
 仕組みとしてはどういうものかということで少し上を御覧いただきまして、赤字でございます。失業認定日に市町村役場にまず出頭いただきまして、市町村職員が労働の意思・能力の有無等を確認すると。その上で必要書類を管轄ハローワークに取り次ぎまして、ハローワークの職員が失業認定を行って支給すると。このような手続となってございます。
 2ポツ目が見直しの方針でございますけれども、この研究会における議論を踏まえまして、遅くとも令和5年4月から、まずは市町村取次ぎの対象者について、オンラインによる失業の認定を試行実施し、その効果を検証するということにしております。
 試行実施の中身が下の矢印でございますけれども、まず、受給資格決定については、現行ではハローワークへの出頭が必ず必要となってございます。これを試行実施の案では市町村役場にてハローワーク職員がオンラインで面談するということとしてはどうかと考えてございます。
 続いて、失業の認定のほうですけれども、市町村役場にて現行では市町村職員が面談を行うということになっておりますけれども、これを試行実施案では市町村役場にてハローワークの職員がオンラインで面談を行うと。このような取扱いにしてはどうかという形で研究会でもお示ししたところでございます。
 これも受けまして第5回の研究会における御意見というのが11ページにございます。
 まず、1ポツ目でございますけれども、市町村取次ぎのオンライン化に当たって、今の試行実施案は必ずその市町村役場にて出向いた上でハローワーク職員とオンラインでつなぐということになっておりますので、利便性を高めるという観点から、例えば、自宅からオンラインでつないでみてもいいのではないかと。その際にどんな問題が生じるのか試行するのがよいのではないかという御意見がございました。
 2ポツ目でございますけれども、失業認定に関しては、対面で認定して職業相談を行い、再就職につなげていくということが重要なので、就職率がどうなるのかという点についての検証が必要ではないかという御意見でございます。
 3ポツ目でございますけれども、就職率に与える影響というのは、なかなか市町村取次ぎだけではサンプルとしては少ないし、検証には時間がかかるので、将来的な課題ではないかという御意見。
 4ポツ目でございますけれども、失業認定と職業相談の連携が重要であると。この連携が失業認定をオンライン化した場合にマイナスの影響が出ないのか懸念があるという御意見というのもございました。
 少し飛ばさせていただきまして、12ページを御覧いただければと思います。
 こちらの1ポツ目は、現場担当者の負担の観点からの御意見ということで、今の雇用保険制度というのはシンプルさが問われており、制度の複雑性の解消を改めて考える必要があるのではないかという御意見。
 2ポツ目でございますけれども、特にフランス・ドイツと比較して、現場の職員が少ないのではないかと。職員数の見直しも併せて検討すべき課題ではないかという御意見というのもございました。
 続いて、下から2つ目までちょっと飛ばさせていただきまして、システム導入に当たっての御意見ということで、導入には時間もお金もかかるということで、より確実・効率的に行っていくためには、スモールスタートから始めてシステム及び業務の改善を続けていくということが必要ではないかという御意見。
 さらには、最後でございますが、オンライン化の議論において、オンラインによる電子申請と、リアルタイムのコミュニケーションが伴う形のデジタル化というのは分けて認識する必要があるのではないかという御意見というのもございました。
 最後に、13ページ目でございますけれども、求職者支援制度の関係でございます。
 先ほど、似た御意見もございましたけれども、1ポツ目は、コロナの特例措置について、特例措置の効果が発揮されているのかという点について分析が必要ではないかということ。
 2ポツ目に関しては、単純に特例措置の利用が少ないから廃止という形ではなく、コロナ期に限らず有益なものは残すということもあり得るのではないかという御意見というのもございました。
 ちょっと雑駁な御紹介ということで恐縮ですけれども、資料の説明としては以上となります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明資料について御質問・御意見等がありましたらお受けしたいと思います。
 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員
 2点申し上げます。
 1点目は、第2回、第5回研究会で議論された失業認定に関してです。将来的なオンラインの活用を否定するものではありませんが、失業認定と職業相談、再就職支援への影響や、適切な失業認定の実施、行政側の体制構築など課題も多く、求職者からの視点に加え、最前線で失業認定に携わる方の声も踏まえて、慎重に検討していくことが必要だと考えています。
 オンラインの活用の検討にあたっては、まずは求職者の早期再就職の実効性の担保が重要だと考えています。ハローワークでは、失業認定窓口と職業相談窓口の連携により再就職支援がなされていますが、オンラインを活用した場合であっても同様に支援が行き届くのか、しっかりと検証を進める必要があると考えています。
 なお、オンライン化によってモラルハザードを引き起こすことがないよう留意していくべきだとも考えています。
 また、オンラインを活用した場合でも滞りなく失業認定がなされるような現場体制、システム環境、業務フローの整備がなければ負担が増大し、現場が混乱する懸念があるとの声も聞いています。市町村役場での取次ぎによる失業認定をオンライン化する試行がなされるようですが、その結果をもって拙速にオンライン化を一斉に進めるのではなく、全国のハローワークの現場からの意見を十分に踏まえた検討が必要だと申し上げておきます。
 2点目は、第4回研究会で議論された育児休業給付に関してです。育児休業給付の財政悪化が今後想定される中、当部会でも早急に財源を含めた議論を進める必要があると考えています。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。特にありませんか。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
 佐藤委員から御指摘いただいた、まず、失業認定のオンライン化につきまして、いただいたその課題というのは、いずれも我々としても認識しているところでございまして、実際にそのオンライン化の検証、検討を行うに当たりましては、現場の職員の負担、それが実際に回るか、あるいは失業者の方にとってよいものとなるのかという視点は非常に重要だと思っておりまして、決して拙速にならないよう、一つ一つ段階を踏んで、検証を進めながら検討を進めてまいりたいと思っております。また、その過程ではしっかりとこの雇用保険部会の御意見もいただきながら進めてまいりたいと思っております。
 また、育児休業給付につきましても、先ほども御指摘がございましたが、現状、財政状況が、現状でも今後給付の増と財政状況の悪化が見込まれている中で、財源も含めた議論が当然必要になると私どもも認識しておりますので、これにつきましても部会の委員の皆様の御意見をしっかりいただきながら検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見・御質問がないようでしたら、この議題はこれで終わりにさせていただきたいと思います。
 では、次の議題に移ります。
 議題4は、「雇用保険二事業について(報告)」でございます。
 それでは、資料について事務局より御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 それでは、資料4「雇用保険二事業について」を御説明いたします。
 まず、1枚おめくりいただければと思います。雇用保険二事業の目標管理サイクルということで、二事業は皆さん御案内のとおり、事業主の皆様から拠出いただいた保険料で運営させていただいております。その中で各事業につきましてこのようにPDCAサイクルの取組というのを厳格に行いまして、効率的かつ効果的に実施するという形で行ってございます。
 具体的には次のページでございますけれども、雇用保険二事業の評価方法ということで、各事業につきましてはそれぞれ目標を定めてございます。その目標を達成したのかどうかという点から目標達成度ということでまず指標を見ておりまして、次に事業執行率が80%を超えているかどうかという点からabcd評価というものを設けさせていただきまして、その評価を各事業に反映させていただいているところでございます。
 続いて、それを具体的に実施しておりますのが、1枚飛ばしまして、5ページ目以降の資料になります。いろいろ個票が大部にわたってついておりますけれども、それぞれの事業の評価、さらにはその評価に対して立てている目標が未達成であれば令和5年度の要求段階でどのような改善を行っているのか、さらにはそれぞれについて検証を行いまして概算要求をさせていただいているところでございます。
 内容はかなり詳細にわたっておりますので説明のほうは割愛させていただきたいと思いますけれども、ちょっと1枚戻りまして、令和5年度雇用保険二事業の概算要求についてというものを御覧いただければと思います。まさにそのPDCAサイクルに基づいて検証を行った結果、今回の令和5年度の概算要求についての形を示したものでございます。
 表の真ん中部分の令和5年度概算要求というところを御覧いただければと思いますけれども、こちらはまず、一番上の雇用調整助成金に関しましては事項要求という形で、概算要求段階では金額を入れずに年末の予算編成過程で検討するという形になっております。そういう意味では、二事業全体で5700億となっておりますけれども、この数字に関しては御参考ということでございます。
 上記以外の事業ということで、5700億のうち「人への投資」関係が1001億円、さらには「人への投資」以外の関連経費については4784億円という形となってございます。
 簡単ではございますけれども、二事業の報告については以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明及び資料について御質問・御意見等がありましたらお伺いしたいと思います。
 では、小林委員、お願いいたします。
○小林委員
 別紙で頂いた表のうち、d評価となっているNo.4と5についてです。
 No.4の「求人確保・求人指導援助推進費」、No.5の「ハローワークのマッチング機能強化のためのキャリアコンサルティング推進事業等」は、d評価となっていますが、「事業の進め方の見直し」が記載されていません。どのような議論がされたのか、お伺いします。
 雇用保険の二事業は労働者の雇用の安定と能力開発に資する施策であり、事業の評価の結果について当部会で報告いただくことは、労働側にとっても極めて重要だと考えています。引き続き、定期的な報告をお願いするとともに、議論状況について伺いたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 答えられますか。では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 御指摘ありがとうございます。
 ちょっと担当がいないのでここの記載のあるベースでお答えさせていただきますが、4番、5番はいずれもハローワークにおきます支援に関する人員配置とかそういったものに関する予算の項目でございます。いずれもその目標が一部未達成、全て未達成ということになっておりまして、要因分析のところに細かくいろいろと書いておりますが、全般的に新型コロナウイルスの影響でなかなかハローワークが十分な機能を果たせなかったということが要因の大きな部分を占めると認識しております。
 そういった関係から、その事業の中身を見直すということよりも、まずはコロナが要因ということでございますので、ただ、一定程度その目標が達成できていないということで、予算は実績も踏まえながら見直しつつということで、大幅な見直しというよりも実績を踏まえた予算の厳しい見直しということで、この4番、5番はそういったことの観点を中心に見直させていただいたということかと理解しております。
○守島部会長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
○小林委員 はい。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 先ほど資料4で御説明いただいた概算要求について、単純な質問です。3年で4000億円「人への投資」施策パッケージが5年で1兆円になったと理解しています。この場で言うのが適切ではないかもしれませんが、5年で1兆円の全体像が分からない印象です。せっかくの予算が使われなければ意味がないと思いますので、周知など、省庁間で連携して何か工夫ができないのかと思っていますので、もし可能であればご対応をお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 御指摘ありがとうございます。
 まず、3年で4000億につきましては、昨年度、補正以降、本年度から3年間で4000億ということで、「人への投資」に集中的に資源を投入するということでやっているところでございます。この中身につきましても国民の皆様から意見をいただいて、新しくその人材開発等に関する支援措置を講ずる等の新しい取組をしているところでございまして、そういったものはしっかりと関係省庁とも周知を図りながら活用を進めていきたいと考えております。
 また、5年で1兆円の件でございますが、これの中身全体がどうなっているかというのは、ちょっと私どもとしてもまだ確たるものを承知していないところでございますが、いずれにしてもこういった形で政府として打ち上げた以上、3年4000億円、5年1兆円、こういった大規模な事業がしっかりと効果的に運用されるように政府全体で周知を図るべきものと考えており、私どもとしても当然関係省庁でございますので、しっかりと活用されるように周知をしていきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、御意見・御質問がないようですので、本議題はこれで終わりにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで終了いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。