第10回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

令和4年11月21日(月)
17:00~19:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)

議題

  1. 1.薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(2022年度版)について
  2. 2.その他

議事

議事内容
○長江結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第10回「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」を開催いたします。
 私は、本日議事進行を務めさせていただきます、健康局結核感染症課の長江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、挨拶をさせていただきたいと思います。
 本日は、健康局長の私的検討会になりますが、国会の関係で健康局長や課長が出席できませんので、代わりに私から、会議に当たり一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙の中、本会議に出席いただきまして誠にありがとうございます。日ごろから感染症対策を初めとする厚生労働行政に御理解と御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、今回の抗菌薬などの抗微生物薬に対する薬剤耐性(AMR)は今に始まった問題ではございませんが、薬剤耐性菌による感染症は、その治療の難しさから感染者による死亡患者の増加や医療費の増大などの問題を引き起こしており、まさに公衆衛生上の喫緊の課題となっております。
 我が国においては、2016年に関係省庁や関係機関が協働し集中的に取り組む対策をまとめましたナショナルアクションプランを策定しました。このアクションプランに基づいて、公衆衛生と動物衛生の分野の共同努力と言われる、いわゆるワンヘルス・アプローチによる入念な薬剤耐性菌のサーベイランスを実施しております。各分野の垣根を越えた横断的な取組を進めていくため、薬剤耐性ワンヘルス動向調査に係る体制を確立しており、2017年から発行しております薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書は今回で6回目の発行となります。回を重ねるごとにヒト、動物、環境におけるそれぞれのデータが充実してきております。
 本年度の報告書におきましては、抗菌薬の使用量に関して2020年までに抗菌薬の販売量の全体を2013年と比較して33%減少させることを目標としておりました。様々な取組の結果、2020年の全抗菌薬の人口1,000人当たりの一日販売量は、2013年と比較して約32.8%減少していることが記載されております。
 本検討会における検討事項は、抗菌薬の使用量だけでなく各分野における薬剤耐性菌の発生状況等多岐にわたりますが、委員の皆様には活発な御議論をいただきますようお願いいたします。
 簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。
 これから本日における会議の説明をしてきたいと思っております。
 本日は、WEB会議で開催しております。WEB会議を開催するに当たり、幾つか進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合は、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャット機能に発言される旨のコメントを記載していただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、WEB会議ですのでタイムラグが生じますが御了承ください。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが発生した場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 それでは、本日の構成員の出席の状況を御報告いたします。
 御出席の委員におかれましては、通信の確認も踏まえて、委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事いただければと思います。
(構成員出席確認)
○長江結核感染症課長補佐 なお、境構成員から欠席の御連絡をいただいております。
(参考人出席確認)
○長江結核感染症課長補佐 ありがとうございます。これをもちまして構成員と参考人の出席となります。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 今回、議事次第のほか、構成員名簿、資料1を用意しております。こちらの参考資料は資料1になります。このほか、参考資料として開催要綱及び2021年度版の報告書を送付させていただいております。
 不足している資料がございましたら、お申しつけください。
 以降の議事運営に関しましては、渡邉座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 渡邉です。よろしくお願いいたします。
 本日は、薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2022に関して主に議論いただきたいと思います。報告書は100ページ以上にわたりますので、既に皆さんに渡って読まれていると思いますので、質問・コメント等は要領を得た形で発言をお願いしたいと思います。
 では、まず、事務局から資料の構成についてお願いいたします。
○長江結核感染症課長補佐 事務局の厚生労働省、長江でございます。
 まず資料の構成につきましては、例年と同じとなっておりますが、資料のページ数やフォントなど最終的な体裁は、今回頂いた御意見などでまた修正が加わりますので、最終報告書までには訂正を行いますことを御了承いただけると幸いです。
 まず、目次になりますが、例年どおりに「1.前文」「2.略称」「3.抗菌薬・抗菌剤の種類と略号」「4.要旨」に始まり、その後「6.日本における耐性菌の現状」「7.日本における抗菌薬使用の現状」「8.日本における薬剤耐性に関する国民意識」「9.今後の展望」と続き、各調査に関しての詳細は巻末の参考資料に記載しております。もちろん内容は前年度から更新しておりますので、会議の中で各パートの先生には変わった点について御発言していただければと思います。
 以上でございます。
○渡邉座長 では、これから年次報告書について議論していきたいと思います。
 まず、説明がありましたように、構成に関しては例年とほぼ変わらないようですけれども、この構成に関して何か皆さんからコメントがありましたら、お願いいたします。特にないですか。よろしいですか。
 その後、前文と略称、抗菌薬の種類と略号、この辺は昨年と変わらないと思いますので、特に変更点があればお願いいたします。もし、ないようでしたら先に進めて、後で戻りたいと思います。
 要旨ですけれども、これもまず全体を見てから戻ったほうがよろしいかと思うので、後でもう一度戻ります。
 続いて、アクションプランの成果指標は厚労省から何か説明が要りますか。それとも進めてしまっていいですか。
○長江結核感染症課長補佐 進めていただいて大丈夫です。指標については、例年どおりの記載に数値を更新した形になっております。
○渡邉座長 これを見ていただきますと、成果指標の耐性菌の分離率は少し減っているかなというくらいで、それほど大きな変化はないのかもしれません。
 抗菌薬の使用状況に関しては、ある意味劇的に減ってきたということですけれども、考察等にも書いてありますとおり、コロナの影響がどのくらいあるのかがなかなか見えないところがあるので、もう少し様子を見たほうがいいだろうというコメントになっているかと思います。この成果指標に関して何か質問またはコメント等がありましたら、お願いいたします。
 藤本構成員どうぞ。
○藤本構成員 指標の説明のところですが、先生が後ほどとおっしゃっていたので後ほどで大丈夫です。
○渡邉座長 要旨のところですね。
○藤本構成員 その前です。抗菌薬の指標の説明のところ、うんと最初のほうです。12ページです。ここで、DIDとDOTIDとPIDというのが下に3つあるのですけれども、いずれも「分母を1日あたりの地域住民数で補正した値として示される」と説明があります。これは実際には住民1,000人当たりの値として示されるので、「値として示される」というところを「値として住民1,000人当たりで示される」としていただくと、言葉の元のところと合って、私もうっかりしていて日本語だけ読んで、資料を読んで戸惑ったことがあったので、これは簡単なことなので追加していただければと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。英語は「(DDDs/1,000 inhabitants/day)」となっているので、それに合わせるということですね。これは事務局よろしいでしょうか。
○長江結核感染症課長補佐 大丈夫です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかに今のところで何か、定義で問題があるところがありましたら。よろしいでしょうか。もしなければ、また後で追加していただければと思います。
 先ほど言いましたように、要旨と考察は最後にもう一回戻ります。
 成果指標に関しては、いかがでしょうか。これは結果こうなったということですので、特に数字に変更がなければ、これでよろしいでしょうか。
○藤本構成員 すみません、成果指標の2021年の髄液検体のペニシリン非感受性率というのが非常に上がっているように見えるんです。しかし、これは母数が少ないせいなんです。それで、本文には説明があるのですが、この表自体は離れて存在してしまうので誤解を招かないように脚注に検体数が100程度、2021年は42であり、耐性率の評価には注意が必要というようなことを記すのがよいのではないかと考えます。
○渡邉座長 ありがとうございます。確かにそうですね。母数が確かに少ないので、数字がそれほど当てにならないというか、注意して見ないといけないということですね。その辺、文章に関しては藤本先生から送っていただければ、それを厚労省が注釈として入れるという形でお願いいたします。
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。
 では、続いて分離率のほうもよろしいですか。関谷先生、よろしいですか。
○関谷構成員 数値を更新させていただいたということですので大丈夫でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 続いて「6.日本における耐性菌の現状」でグラム陰性菌に関してですけれども、まとめたのがJANIS担当ですので、菅井先生、何かコメント、さらに追加すべき点がありましたらお願いいたします。
○菅井構成員 19ページからグラム陰性菌の新しいデータを更新しています。
○渡邉座長 菅井先生、ブルーで書かれているものと黒で書かれているものはどういう意味なのでしょうか。
○菅井構成員 この色は私自身は関与していないので分からないのですけれども、一応新しいデータを入れた形で全部事務局にお返ししていますので、そのときについた色なのかもしれません。
○渡邉座長 事務局、何か意図があるのですか。
○長江結核感染症課長補佐 青と黄色の意味合いはそこまでなくて、更新した部分と理解していただければ大丈夫です。
○渡邉座長 青が2016、2017、2018にもついているのは、データが前年度と違うのですか。
○関谷構成員 記載上変わっていないものも青になっている箇所がありますね。
○菅井構成員 最初、横幅が2段になっていたものを直していただいたのではないかと思います。その辺で色がついたのかなと思いますが。
○渡邉座長 実際は2021のところだけが青になるという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 途中で遮ってすみません、説明をよろしくお願いいたします。
○菅井構成員 グラム陰性菌はあまり大きな変化はなくて、大腸菌、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter cloacaeとほぼ例年と同じような傾向。トレンドで見ると大腸菌の第3世代セファロスポリンが2021年に少し下がり傾向が見られたと。でも、変曲点というか変わったのはこの1点ですので、2022、2021で見ると少し減っているかなという結果が出てきたのですが、最終的にはこれが本当に減少につながるかどうかというのは2022年のテータを待たないと何とも言えないところがあって、いろいろと検討する段階で2022年の上半期のデータを集約してみたところ、それでも減っていますので、大腸菌の第3世代セファロスポリン耐性に関しては、ひょっとすると2021年がエポックメーキングの年で、これから下がり始めるのかもしれないということで、今後注意して見ていく必要があるのではないかと。
 一方、Klebsiella pneumoniaeはまだ下がっていませんので、同列には論じられないのかなというところです。
 ほかには、そんなに大きな変化は見られず、緑膿菌はどんどん低くなっていますし、Acinetbacterも低い状態で抑えられているということです。
 グラム陽性菌が26ページから出ていますが、ブドウ球菌の中の特にMRSAが一度2015~2016年あたりから底を打ったような感じになっていたのですけれども、2021年になってまた少し下がり出したかなという印象を受けています。
 あとは、今回200床以上と200未満で見ると、200床未満のほうがMRSAの率が高い状態で推移していることが分かっています。
 それから、Enterococcusに関しては、faecalisは特に問題ないのですけれども、faeciumのほうが29ページですけれども、バンコマイシンが2020年が1.4%が2021年が2.6%ということで、かなり増加していることが見られまして、実際に全国的にあちらこちらで比較的大きな規模のアウトブレイクが起こっていることも入ってきていますので、それと併せてVREの増加が懸念されることがJANISのデータからも示唆されていることかと思います。
 あとは、Streptococcus pneumoniaeについては、マクロライドの耐性がまだちょっと高めに続いている状況かなということです。
 JANISに関しては以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。バンコマイシン耐性の院内感染が増えてきた理由は分かっているのでしょうか。
○菅井構成員 一つ我々のところで把握しているのは、10年くらい前にオーストラリアで広がりました新しいタイプのVREが日本にも入ってきているということが分かっていまして、オーストラリアでも州を超えた大きなアウトブレイクを起こした株です。それが世界的にどうも広がっているようで、ヨーロッパでも最近VREは上昇傾向にありますし、日本でもそれを反映したことが起こっているのかなと。実際、日本の今アウトブレイクを起こしている地域での株も、かなりのものがオーストラリアと同じシークエンスの型であることまでは把握しています。それがなぜ広がるのかについては、まだよく分かりません。
 以上です。
○渡邉座長 昔も群馬大学か何かで解析したときに、バンコマイシンの遺伝子のポイントミューテーションの由来が、タイの鶏肉と同じだという報告が出されたと記憶しているのですけれども、そういう食品を介して入ってきているという傾向ではないのですか。
○菅井構成員 先生のときから継続されています厚労省の食品班の検討会の中で、富田先生たちのグループによって報告されている食品由来のものとはクローンのタイプは違うように思っています。ですので、食品を介してということではないのではないかと現時点で、私は考えています。
○渡邉座長 人を介しているという可能性もありますか。
○菅井構成員 今のVREのアウトブレイクは、病院を飛び越えて病院から病院へ飛んでいますので、人を介してだと思われます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等お願いします。浅井先生、お願いします。
○浅井構成員 MRSAに関してですけれども、200床以上と以下でMRSAのタイプが違うという知見はあるのでしょうか、教えてください。
○菅井構成員 少なくともそういう形での解析は私どもはしていないので、直接お答えすることはできないです。あくまでもJANISのデータは感受性データしかありませんので、付随した個別研究でそういうことが分かればいいのですけれども、我々はそういう切り口での解析は行っていませんので、ごめんなさい、正確な答えを持ち合わせていません。
○浅井構成員 ありがとうございました。
○渡邉座長 藤本先生、お願いします。
○藤本構成員 前からのところで申し訳ないのですけれども、26ページのStaphylococcus aureusの全株についてですが、ここ恐らくMRSAについてもMSSAと同じブレイクポイントで全ての薬剤について耐性を出して、ここに出ているものだと考えるのですが、そのことをどこかに記しておかないと、ここでMRSAであるべきMPIPCの耐性が46%なのに、これは本当は報告としてはセファゾリンなどは耐性で返さなければいけないことになっているのを、もう一回判定し直しているためにセファゾリンの耐性のほうが低くなっているということは、気にする人は気にするのではないかと思いますので、この辺の注釈を追加しておいたらどうかと。JANISの中にはそのことは書いてあるのですけれども、この報告書の中にはどこにも書いていないので、注釈を追加していただくのはいかがでしょうか。
○菅井構成員 承知しました。
○渡邉座長 お願いいたします。
 柴山先生どうぞ。
○柴山構成員 コメントですけれども、コロナのパンデミックと耐性菌との関係ということで、私も感染研の皆さんと一緒に解析をやらせていただきましたので、それに関しての補足、コメントをさせていただきます。
 先ほど菅井先生が御紹介されましたけれども、大腸菌などではこれまでずっと増加傾向にあった耐性率が2021年に減少に転じたということがあります。これはコロナと関係があるのかどうか解析させていただいたのですけれども、大腸菌ではこういう傾向があるのですが、一方でクレブシエラなどではそういう傾向がなく、逆にコロナになってから増えてしまっているという薬剤などもあります。ほかの菌種などでは、ほぼ横ばいという傾向もあります。
 コロナになってから、まず入院患者さんの数が減ったこともあって、JANISに細菌検査に出されている検体数がすごく減ったことがあります。ですので、今回JANISのデータは本当に耐性菌の状況を正確に反映しているか、これまでのデータと継続して見て問題ないのかどうかも含めて、今後しっかり検討していきたいと思います。また、検討結果についてはこの場で今後共有させていただければと思います。
 以上、コメントです。
○渡邉座長 ありがとうございます。大分検体数は減っているのですか。検体数はどのくらい減っているのですか。
○柴山構成員 トータルでたしか1割ぐらいは減っていたと思います。
○渡邉座長 大腸菌に限ったことですか。それとも全体ですか。
○柴山構成員 臨床現場から細菌検査に出される検体の数自体が減ったということです。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 あと挙げていらっしゃるのが金森先生ですね。
○金森参考人 今の菅井先生と柴山先生のお話を興味深く聞いていたのですけれども、大腸菌の第3世代セファロスポリン系薬の耐性率が、来年はまだ見てみないと分からないところですが、割合としては少し減少しているということで、一方で、19ページの記載文だと、大腸菌の第3世代セファロスポリン系抗菌薬の耐性率は「引き続き増加傾向にある」と記載されているのですが、ここは今のデータと乖離しているような形かと思いましたので、微修正が必要かなと思いました。
○渡邉座長 ありがとうございました。確かに、ここは変えていなかったんですかね。
○菅井構成員 直っていないかもしれないです。確認して対応したいと思います。おっしゃるとおりです、ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
 もしないようでしたら、続いてNESIDのところですね。この説明は菅井先生でいいですか。それとも山岸先生がいいですか。
○菅井構成員 どうしますか、山岸先生、せっかく出ておられるのでされますか。
○渡邉座長 いないみたいなので、菅井先生、お願いします。
○菅井構成員 NESIDは下に全数把握対象疾患として記載してありますVRE、VRSA、CRE、MDRAですけれども、先ほど申し上げたようにVREもJANISと呼応するように、2019年までが大体100いかないくらいのデータがずっと続いていたのですが、2020年に136と上がってきています。傾向としてはJANISが上がり、翌年からNESIDでも上がってきている傾向が見られます。VRSAは2020年も報告としてはゼロであったということです。CREは大体落ち着いてきて、2018、2019以降大体年2,000例くらいの感じになっていると考えられます。MDRAについては、ずっと低い値が維持されていて、2020年はとうとう10例ということでした。
 基幹定点の報告、PRSP、MRSA、MDRA、MDRPも記載してあるとおりですが、MDRPに関しては非常に低くなってきて、定点当たり0.24という値になっています。MRSAも減少傾向にあるということです。PRSPががくっと減っていますが、恐らくこれはコロナの影響で、先ほど柴山先生がおっしゃられましたけれども、特に呼吸器検体に関しては検体の採取が非常に下がりましたので、PRSPは手元のデータではパンデミックの影響で、これはJANISのデータですけれども、分離患者数も分離率も約半分になりましたので、その影響が出てきているのではないかと考察いたします。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、続いて、その他の耐性菌で、Campylobacterのあたりは今日は誰かいらっしゃいますか。これはよろしいですか。検体数はかなり低くなってきているので。
○東京都健康安全研究センター 東京都健康安全研究センターです。
 都衛研では毎年、Campylobacterの耐性率の動向についてここに記載させていただいています。今回は2020年のデータについて追加させていただきました。やはりコロナの影響で分離株が減ってきていて、例えばjejuniですと86株、coliだと7株となっています。エリスロマイシンとナリジクス酸(NA)とシプロフロキサシン(CPFX)について傾向を見ているのですが、この薬剤耐性の傾向的には例年どおりなのかなというところで、エリスロマイシン耐性株は86株のうちゼロということで、耐性株は認められませんでした。
 一方で、ナリジクス酸とCPFXは2011年から見てみましても、耐性率は若干低くなって31.4%となっています。
 coliのほうは何分菌株数が少ないので、1株の影響がすごく出てしまうところがあるのですけれども、エリスロマイシン耐性株は28.6%、NAとCPFXが57.1%ということで、例年どおりjejuniよりは耐性率が高いという成績になっております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。
 では、続いて、地方衛生研究所からのデータでサルモネラ関係、四宮先生、お願いします。
○四宮構成員 よろしくお願いします。
 34ページが本文で、表が40ページまであります。更新部分が黄色のマーカーで示されています。2021年は先ほどのカンピロと同じく、ヒト分離株が例年よりも少なめになっています。一方、食品からの分離株は例年どおりで、医療機関での患者の受診率や医療機関自体の逼迫度合いとかいろいろな影響で分離株の入手が抑えられていると思います。
 黄色いマーカーで示している更新部分は、2021年分離に関して、あるいはそれ以前のトータルの数字も変わったところはそこで示しております。
 34ページの中ごろにメロペネムのことを書いているのですけれども、メロペネム耐性のサルモネラ株は、これまで我々のサーベイランスでは全く見つかっていないのですけれども、2020年度の報告でヒト由来のもので初めて1株見つかって、それはHeidelbergであることを記載しました。2021年、今度食品のSchwarzengrundのほうでメロペネム耐性のものが3株、これも初めて見つかりまして、それぞれ5剤、6剤、6剤の耐性を示しております。
 耐性のプロファイルは少しずつ違うので、同じクローンを3株検査しているわけではありません。ただし、地域的には同じところから見つかって、検査した地衛研も1か所ですので、国内で広がっているというよりも、局所的なものである可能性がありますし、どういう食品からとられているかの由来を含めて、少し精査する必要があるかなと思っています。
 それから、食品由来株ではInfantisが以前はメインだったのですけれども、この数年Schwarzengrundの比率が高くなり、2021年度は特にSchwarzengrundの分離率が増えております。
 35ページ以降は、表で当該年の更新した部分を示しています。
 表20は全面的に黄色くなっていますけれども、これは数字が変わったわけではなくて、書式が変わったので全体にマーカーが入っていますが、表21以降は当該年のところがマーカーで示されて更新したものを付け加えたものになっています。
 私からは以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 メロペネム耐性の遺伝子型は分かっているのですか。
○四宮構成員 それはまだ分かっていません。今のところ感受性のフェノタイプだけです。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等お願いいたします。浅井先生どうぞ。
○浅井構成員 県名を教えていただくのはさすがに難しいと思うのですけれども、簡単な地域ぐらいは教えてもらうことは可能なのでしょうか。
○四宮構成員 西日本です。
○浅井構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 これは、ヒトと食品由来で、食品はものは何だかアナウンスしても大丈夫ですか。
○四宮構成員 国産鶏肉と本文には書いております。外国産ということではないので、そういうものを検出されたルートなどはまだ分かっていないのですが。
○渡邉座長 関谷先生、国産の鶏肉ということで何か農林側からコメントありますか。
○関谷構成員 こちらの鶏のモニタリング、動物由来の株の耐性率としてはメロペネム耐性率はゼロとなっている状況です。オリジンがどこにあるのか含めて精査が必要なのかなと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかに何か御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 ないようでしたら、続いて淋菌ですけれども、これは感染研で誰かお話しできますか。泉谷先生、分かりますか。
○泉谷参考人 データどおりでしたら。2021年は41ページに淋菌のデータを提供させていただいております。私は直接担当ではないので細かいことは把握していないのですけれども、2021年はコロナの影響なのか分からないですが、例年に比べまして検体数が減少しているのですけれども、それに加えて耐性率も全体に低下している状況になっております。理由については私のほうでは把握しておりません。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。最初のころ、セフトリアキソンに対する耐性が見つかったころは、これがだんだんドミナントになっていくのではないかと心配されたのだけれども、経緯を見ているとそうでもなさそうだということですかね。一番高かったのが2015年で、それ以後減っているわけですね。
○泉谷参考人 今のところ流行が広まっている感じはなさそうです。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いいたします。菅井先生どうぞ。
○菅井構成員 教えていただきたいのですけれども、今、国内では梅毒が増えてきているというお話があると思うのですけれども、実際には淋菌は去年から今年にかけて増えているという話はあるのでしょうか。
○渡邉座長 これは泉谷先生、分かりますか。
○泉谷参考人 いえ、分からないですが、特に梅毒のように増えているということは伺ってはおりません。
○渡邉座長 山岸先生、その辺の情報は何かありますか。
○山岸参考人 特に淋菌感染症は、昨年あたり1~2年前から若年の男性で増え始めてきています。同じような感染経路を示すようなクラミジア感染症も増えてきていて、淋菌もまず増えているのかなという印象です。
○渡邉座長 梅毒が増えると同じように淋菌も、STDも増えてきている、淋菌以外もクラミジアとかほかのものも増えていますか。
○山岸参考人 はい。
○渡邉座長 そうすると、梅毒だけが特異的ではないということですね。全体のセクシャルビヘービアが変化してきているというのが社会的な現象なんですかね。
○山岸参考人 そう思います。淋菌感染症も少し懸念すべき状況かと思っています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問がほかにありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。
 では、続いて、Salmonella TyphiとParatyphi、Shigella、これは泉谷先生、よろしいですか。
○泉谷参考人 42ページに腸チフス、パラチフス、赤痢菌のデータを2021年分を更新させていただいております。こちらは、新型コロナウイルスの影響で海外に行ったり、海外から人が来たりすることが極端に減りましたので、その影響を受けて検体そのものが感染者も非常に減りましたので、チフス3株で、パラチフスはなくて、赤痢で2株という形なので、耐性率がどうというよりは完全に母数が減ってしまっているという状況になっております。今年以降、ちょっと株が増えているので、その状況しだいで今後どうなるかを注視しているところです。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問よろしいでしょうか。
 では、続いて結核を御手洗先生、お願いします。
○御手洗構成員 結核は、ここのところスピードアップして減少しています。2021年にはついに定義上低蔓延になりましたので、数が全体的に培養陽性者数、この母数になっているのが実際のところは2021年4,551人で77%程度なのですが、この傾向は大体8割前後というのがずっと続いていて、どうしても全数が感受性試験を実施するというのができていない状況が続いています。
 数は全体的に減っていますので、当然、耐性数もイソニアジド、リファンピシン、ストレプトマイシン、エタンブトールとそれぞれ減ってはいるのですが、率が一部上がり一部下がりという変なことになっています。特に、イソニアジドが5.7から急に4.9に下がっているのはちょっと合理的でないのですが、一応ぎりぎり有意差のない範囲ですので誤差範囲なのかとは考えております。ただ、これはNESIDのデータ上、確定する方法がないので何とも言えません。メーンの耐性としては基本的には外国出生者のはずなのですが、外国出生者が減れば全ての耐性が均一に減るはずなのですけれども、それが均一でないところがデータ的には首をかしげるところではあります。しかしながら、一応誤差範囲ということではあるということです。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。先ほど柴山先生からJANISのデータの解析でコロナの影響を言われたのですけれども、結核の場合は。
○御手洗構成員 結核の場合もコロナの影響を世界的には受けているのですが、日本国内で果たしてどのくらい受けているのかがよく分かりません。確かに、過去に比べると減少率が非常に高くなっていますので、受診してあるいは診断されないままコロナ陽性になって、その後検査していないという例があるようには聞いています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等お願いします。よろしいですか。
 では、difficileは松永先生ですね。
○松永構成員 御報告いたします。Clostridioides difficileに関しましてはJ-SIPHEからデータを継続的にとらせていただいています。
 2020年が1万患者日当たり1.2だったのですけれども、2021年は0.96と20%程度下がっている報告とさせていただきます。
 以上です。
○渡邉座長 これは、数としてはnが増えているのですよね。
○松永構成員 参加施設数でCDIをチェックしている施設ということで、347から470と100施設くらい増えてきたということはあります。J-SIPHEの施設増加に伴って少し数値が揺れてしまうというのはあるかなと思っています。
 また、加算1、2という分類であったり、将来的には病床別だったり、幾つか層別化して見ていく必要はあるかなと思っております。
○渡邉座長 病院の母数は増えているのに全体としてdifficileの発生状況が減っているのは、何か対策の効果があったのですか。
○松永構成員 まだ本邦での要因はチェックしていないのですけれども、海外でも抗菌薬の使用の低下や手指衛生などの増加によってdifficileが下がっているという報告はあります。このことも後ほどお示ししますけれども、因子となるようなセファロスポリン系、キノロン系というのは低下しておりますし、手指衛生の消毒使用量も上昇しておりますので、総合的な対策で減った可能性はあるかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いいたします。
 続いて、院内感染症の発生状況等は菅井先生、お願いします。
○菅井構成員 ここに記載してあるとおりです。例年と特に大きな違いはないのかなと思っていますが、特にJANISチームから注意を要するコメントは頂いていないのですけれども、45ページに記載してあるとおりかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 柴山先生どうぞ。
○柴山構成員 今、菅井先生がおっしゃったとおりなのですけれども、アメリカなどですとCDCの報告で、特にICUなどですと非常に院内感染が上がっているというデータも公表されていますので、それに比べたら日本は結構横ばいということで、いい状況なのだと思います。
 これもコメントです。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。金森先生どうぞ。
○金森参考人 人工呼吸器関連肺炎なのですけれども、2021年は1.8ということで結構これまでと比べて増加しているように数字上はなるのですが、これについてはこのレポート中では言及がされていないのですが、1.8であったで終わっているのですけれども、45ページです。
○菅井構成員 今村先生いかがですか。私のほうには特にこれについてのコメントはなかったのですけれども、確かに今、金森先生が言われたように若干多いような気が。
○金森参考人 2020年のときは1.2だったのですが、2011年は1.7と高いというか、10年前の状況に戻ってきたというのは、去年もそうですよね。コロナに関連して、もし使っているとすれば。そこでどうなのかなと。
○菅井構成員 2019、2020であまり変わらずに、2021で増えているというのが、コロナでは片づけられないような気がしますね。コメントとしては、そこを修正して注意喚起はできるかと思います。理由については、すみませんが分からないです。ありがとうございます。
○渡邉座長 柴山先生、何かコメントありますか。
○柴山構成員 これは毎年ぶれているので、ぶれの範囲かなと思っていたのですけれども、引き続き来年以降もどうなるかは見ていきたいと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 では、続いて松永先生、お願いいたします。
○松永構成員 J-SIPHEについて御報告いたします。
 表38はJ-SIPHEの基本情報になりますけれども、2020年、2021年は778から818施設とさほど大きな増加はなかったということで、年報のコホートとしてはさほど変わらず、コロナの影響などは見られるのかなと考えております。病床数、平均在院日数も特に変わらない。
 続きまして、血液培養のプラクティスです。培養の複数セットに関しても特に変わらず90%以上を成人では維持していると。小児はまだまだ少ないですけれども、7%と少しずつ増加傾向にあると。
 陽性率に関しても14%台ということで、適正の範囲内には入っているかなと考えております。
 また、病院における血流感染症の発生状況ですけれども、先ほど菅井先生、柴山先生がお示しくださったとおり、J-SIPHEの中でのコホートでも同じような形で血流感染症が発生していて、増減としては特に大きな違いはありませんでした。
 一方、手指衛生の遵守率と手指衛生の消毒使用量は、いずれも2020年から2021年に向けて上昇してきていると。感染対策の意識は上昇しているのではないかというところが見てとれるかと思います。
 また、表43推定死亡数ですけれども、2020年、2021年を更新させていただきました。2021年は2020年とほぼ横ばいです。同じような形でMRSAが少し上昇していて、大腸菌も耐性率自体は下がってきましたけれども、死亡数に関しては上昇傾向にあるという結果になりました。
 こちらの血流感染症の推定方法ですけれども、病床数を基に分けていますので、200床以上より200床以下のほうが、大腸菌やMRSAの耐性率が高いところが影響して、率が減っても死亡数は少し増加しているという状況になっているかと考えます。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いします。藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 ここの部分はほかのところと違って、母数が施設数、病院数なんです。nを普通に人とか菌株数の頭で読んでくると引っかかってしまうので、46ページの最初のところで「n=423」というのが出てくるのですが、ここでnは施設数であることを示すようなこと、例えば「n=×××は母集団が×××施設であることを示す」とかあるいは「nは施設数を示す」といったことを入れていただくと、ここは違うのだぞということで読みやすくなるかなと感じました。
 同様に、下の表も「セット率」とかあるいは「発生数」という言葉も出てくるので、これが何であるか分かりづらくなるので、この後ろにそれぞれに「の分布」をつけていただくと、この表の意味合いが分かりやすくなるかなと考えました。
 もう一点、疾病負荷になる血流感染症における推定死亡数ですけれども、何を見たら算出法の詳細が分かるのかが分からないんですね。もう論文になっていたと思いますので、論文について示していただくと、非常にインパクトのある数字だと思いますので、見た人が分かりやすいかなと考えました。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。松永先生、よろしいでしょうか。
○松永構成員 承知しました。出典と算出方法についても追記させていただきます。ありがとうございます。
○渡邉座長 表43の見方ですけれども、例えば、大腸菌の場合にE.coliで亡くなっている方の2021年は8,713、これはさっきの調査施設の中でこれだけ亡くなっているということですよね。
○松永構成員 失礼しました。これはいわゆる推定で、全国民を対象としてこれぐらい亡くなられているという形で推定しております。
○渡邉座長 推定するときの数字は何を使っているのですか。
○松永構成員 JANISの数値を使って、各都道府県別にベッド数と病院で展開して、都道府県別の死亡数を出して、そこを足し算して出しているのが現状ですが、おっしゃるとおり詳細を記載させていただきます。
○渡邉座長 その後に、例えば、大腸菌でFQRECの耐性で亡くなっている数が4,170ということですか。第3世代で亡くなっているのが3,000ということで、耐性菌のほうが死亡率が少ないと見えてしまうと、耐性菌はそんなに脅威ではないと。もちろん患者の基礎疾患が問題なのだと思いますが、基礎疾患は普通の大腸菌で、E.coliというのはフルオロキノロンや第3世代セファロスポリンに感受性の大腸菌で亡くなっている数ですよね。
○松永構成員 これは全体含めてですので1個下げたほうがいいですね。大腸菌があって、1個下げてそれぞれの耐性菌がどれくらい亡くなられているかという形に。
○渡邉座長 そうすると、フルオロキノロンと第3世代を足すと七千幾らになるので、これにプラス千幾つぐらいがフルオロキノロンまたは第3世代の耐性ではない大腸菌ということですか。
○松永構成員 これがorになっておりまして第3世代耐性を出している、もしくはフルオロキノロンという形になっております。本当はどちらかにすると分かりやすいのですけれども、アクションプランで見るものと世界の第3世代を見たいというところもあって、両方出させていただきました。どう表現したらいいですかね、1個段を下げて同じところに書いてとか。
○渡邉座長 ほかのものも多分そうだと思うのですけれども、E.coliと書いてあるのはフルオロキノロン及びセファロスポリンに感受性の菌で亡くなっているのがどのくらいで、フルオロキノロンまたはセファロスポリンで亡くなっているのがどのくらいということが分かるようにしていただいたほうがいいのかなと思います。
○松永構成員 分かりました。ありがとうございます。
○渡邉座長 これだと読んでいて、むしろ耐性菌でないほうが死んでいるのかなと見えてしまうと、耐性菌が危ないというニュアンスが逆に伝わらないのではないかと思ったので、その辺の関係が分かるように表と記載もお願いしたいと思います。
○松永構成員 承知しました。ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかに御質問等ありますか。
○菅井構成員 コメントですけれども、今、渡邉先生のおっしゃられた第3世代セファロスポリン耐性の大腸菌とフルオロキノロン耐性の大腸菌は、ある程度オーバーラップしますので多分足し算にはならないです。それだけコメントしました。
○渡邉座長 ありがとうございます。その辺のことが誤解がないような形での表と説明、難しいかもしれないけれども、お願いしたいと思います。
○松永構成員 ありがとうございます。承知しました。
○渡邉座長 ほかはよろしいでしょうか。
 では、続いて療養施設、高齢者施設に関するところですけれども、松永先生でよろしいですか。
○松永構成員 高齢者に関する御報告等になります。表44で今回更新された部分のみ御報告させていただきます。
 介護老人保健施設のPPS調査の第2回をさせていただきました。第1回は抗菌薬の使用率が1.7%でしたけれども、第2回では1.3%に若干減少していたという結果です。
 使用された主要感染症は尿路感染症、肺炎は変わらず、3番目に上気道炎があったのですけれども、3番目に蜂窩織炎が上がってきております。
 また、主要抗菌薬の使用につきましては、第3世代セファロスポリン、フルオロキノロン、ペニシリン系だったものは特に変わらず同じような状況となっております。
 蜂窩織炎が上がってきたのは所定病疾患の加算がついた影響もあって、病院側もしっかりつけるようになったことがあると思います。
 また、1回目と2回目で回収率が約10%程度であることと、同じ施設にコホートしているわけではないので、解釈の違いが生じることには御留意いただければと思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いします。
 これは、医療療養施設で抗菌薬を使うのは分かるのですけれども、介護老人保健施設や介護福祉施設でも実際治療はしていて、セファロスポリンやこういう処方が現実にはされているわけですね。
○松永構成員 おっしゃるとおりです。介護老人保健施設はドクターが1人つくようになっていまして、診察することになっております。ですので、若干重症度が高くても抗菌薬はさほど使われずにいるのではないかと考えております。
○渡邉座長 御質問等どうぞ。よろしいでしょうか。
○御手洗構成員 物すごく単純な質問で申し訳ないのですが、なんでこんなに回収率が低いのでしょうか。
○松永構成員 やはりお忙しいんですよね。あと、いろいろなところからいろいろな調査が施設に舞い込んでいると伺っております。その中で10%が解答してくれたことに私たちは感謝しているという感じです。何かしらの強制力だったり、重要性を御理解いただければ、また増えてくるかなと思っております。
○御手洗構成員 もう少し増えないと安定的なデータとは言いづらいかなというので、ちょっと気になりました。すみません。
○渡邉座長 よろしいですか。
 今村先生どうぞ。
○今村構成員 日本医師会としてではなくて、全国老人保健施設協会の副会長の立場で今の御質問へのお答えさせていただければと思うのですけれども、今、御報告があったように、老健施設には非常に多くのアンケートや調査が求められています。そういう中で、感染症で抗菌薬等を使うのはどこでも一般的にやっているかというと、必ずしもそうではないので、結果、治療に対しての質問で回答するのが少なくなるということと、恐らく10%ということは、この回答された老健施設はかなり積極的にしっかりと治療をされている老健だなということで、全体の老健を表すかというと必ずしもそうではないのではないかと思いながら、このデータを見ていたところです。
 コメントです。
○松永構成員 ありがとうございます。本調査ですけれども、やはり強化型と超強化型が非常に多い回答となっておりますので、先生のおっしゃるとおりかなと思っています。
○今村構成員 では、まさしく積極的にやっていらっしゃる老健が中心ということで、簡単に言うと、そういった超強化とか強化型でないところは恐らく御自分のところではまず抗菌剤を使っていないだろうなと。そういう患者さんが発生したときどうするのというと、すぐに病院に送るというところが多いのではないかと思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
 では、続いて動物のほうで、関谷先生からお願いします。
○関谷構成員 52ページを御覧いただければと思います。まず、病気の家畜から分離したもの、いろいろな抗菌剤の治療等もされているものですけれども、まず、先ほど話題にありました黄色いところが更新されたところです。今年は2020年のデータを追加させていただいております。メロペネムの話題がありましたけれども、もちろん家畜では承認がございませんので、カルバペネム系は使われておりませんが、サルモネラでも耐性率としてはゼロとなっております。
 テトラサイクリンなどで高い耐性率のものもありますけれども、サルモネラについてはCTX(セフォタキシム)あるいはシプロフロキサシンといったヒト医療上の重要なものに関しては低い耐性率が保たれているという状況になっております。
 54ページには血清型別の分離状況、耐性率の状況ですが、これは累積になっておりますので全体が黄色くなっております。足しているということで数値が変わっております。
 スタフィロでございますけれども、表48にございますが、これは2019年からオキサシリンも含めて調査しているところでございます。
 55ページ下の大腸菌でございますけれども、56ページにずらっと出ておりますが、メロペネムはゼロということですが、ヒトの医療でも重要度が増したということで、コリスチンについては、2次選択薬に指定するということで、豚でCLというのが表49でありますけれども、2019年27.7、2020年27.1ということで、より低くしていく必要があるということで、適正使用・慎重使用を徹底していく必要があるだろうと考えております。
 次からが健康な動物のデータでございます。まず、大腸菌でございますけれども表50、いろいろな色がついていて恐縮ですが、2020年のデータを追加させていただいております。こちらもメロペネムの耐性率はゼロとなっております。
 ナリジクス酸は高い傾向がありますけれども、CTX、シプロフロキサシン、フルオロキノロンは低く保たれている状況になっております。
 59ページのCampylobacterでございますが、まずjejuniでございます。こちらもアジスロマイシンに対する感受性は低く保たれておりますけれども、シプロフロキサシン等に関してはこのような状況で60%というものも見られております。
 60ページcoliですけれども、こちらも大きな変化はないのですが多少変動はございますが、このような状況になっております。coliは、アジスロマイシンがちょっと高めになっております。
 それから腸球菌ですけれども、60ページから始まっておりまして、これも2020年のデータが黄色くなっておりますが、バンコマイシン、先ほど食品由来ではないのではないかという御議論もあったかと思いますけれども、腸球菌の53ページのVCMを見ていただきますと0%ということになっております。以前は、バンコマイシンに似たアボパルシンという飼料添加物があって家畜に使われていたことがあったのですけれども、これは1997年に取り消しされておりますので、現在は同系統のものは使われてございません。
 次に、表54にfaecalisがございますが、こちらもバンコマイシン耐性率は0%となっています。
 それから、faeciumの表がございます。
 続いて64ページですけれども、サルモネラに関しまして食鳥処理場由来の鶏のデータが表56にございます。こちらも第3世代セファロスポリンあるいはフルオロキノロンは低く保たれている状況になっております。
 65ページ、66ページは、血清型の動物由来が食鳥処理場由来ですけれども、食品由来、ヒト由来の比較ということで全体を更新しておりますが、傾向的には変わっていないという状況になっております。血清型の構成を見ると、鶏と食品と比べるとヒトの状況はちょっと違うのではないかというデータになってございます。
 67ページは水産分野でございます。こちらは2020年のデータが追記されておりますけれども、まず、レンサ球菌症という魚にも感染症を起こすものですが、これに関してはリンコマイシンの耐性が高めですけれども、ワクチンが効かないものが出てきている中でエリスロマイシンが使われているのですが耐性率としては低い、2020年0.6となっております。
 68ページは、更新されたところとしては表62にありますビブリオ病の原因菌ということで、2020年のデータが追加されております。ちょっと上下しておりますけれども、11.9というのが最新のデータになっています。
 次は、愛玩動物です。世界的にもモニタリングをシステマティックにやっている国が少ない中で、2017年から病気の愛玩動物、2018年から健康な犬猫の調査を始めております。70ページからありますけれども、これは2021年のデータを追加させていただいております。
 まず、疾病に罹患した犬猫ということで、抗菌剤による治療等が行われている検体ということもありまして、健康な愛玩動物に比べると高めの耐性率になっておりますけれども、愛玩動物に関しましてもメロペネムの耐性は0%という状況になっております。
 表64がKlebsiellaということで、こちらもメロペネムはゼロですけれども、疾病に罹患したということなので、いずれの耐性率も高めとなっております。シプロフロキサシンや第3世代に関しましても高めに出ているという状況になっています。
 71ページの下から、コアグラーゼ陽性Staphylococcus sppですけれども、72ページにデータがございますが、こちらも犬猫ではStaphylococcus pseudintermediusが多く分離されるのですが、傾向は変わっていないのでございますが、高めに出ております。
 73ページは腸球菌です。これも罹患した病蓄からのものになっております。バンコマイシン耐性に関しては0%となっておりますが、2021年の傾向としては変わっていないという状況になっています。
 続いて73ページの下は、健康な犬猫のデータになっております。74ページの表68も2021年のデータを追記させていただいておりますが、全体として健康な愛玩動物は病蓄に比べますと耐性率が全体として低く保たれている傾向が引き続き見られております。
 75ページが腸球菌になっておりますが、傾向としては若干の変動はございますけれども、大きな変動の傾向があるものはないと考えております。
 駆け足で申し訳ございませんが、以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いいたします。
 藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 52ページの最初にブレイクポイントについて説明がございます。表に時々「BPが設定できないため、耐性率は掲載していない」という表現が出てまいります。恐らく52ページの最初にあるブレイクポイントで定義できなかったものについて、「BPが設定できないため」という表現がなされているものと考えました。それぞれの表にそのことを書くのは大変ですので、この説明の後ろに「これらの方法でブレイクポイント(BP)が設定できないものについては『BPが設定できないため耐性率は掲載していない』とした」と記していただくと、BPが設定できないために耐性率を掲載していないという言葉の意味がはっきりするのではないかと思いますので、御検討をよろしくお願いします。
○関谷構成員 御指摘ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。
○藤本構成員 これは愛玩動物までずっと同じになるかと思います。
 それから、申し訳ないのですけれどももうちょっとありまして、60ページだと思いますが、Enterococcusのところで上から7~8行目に「CPFXに対する耐性率は10.0~7.3%」とあるのですけれども、これは表を見ると「0.0~7.3」ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
○関谷構成員 誤記でございます。申し訳ございません。
○藤本構成員 簡単なことだと思いますので、よろしくお願いします。
 それと、もう2点ですけれども、64ページですが、Salmonellaの説明の最後のところで「InfantisのKM、SM及びTC」云々とありまして「ヒト由来のこれらの血清型については食鳥及びその食品以外にも由来している可能性が示唆された」という表現がございます。一方で、同じ図を引いて食品のほう、80ページでは「食品由来耐性菌とヒト由来耐性菌の間には強い関連性があることが示唆された」という表現が出てまいりますので、ここをうまく調整していただいたほうが、読んだ人が分かりやすいのではないかと考えましたので、御検討をお願いできれば幸いです。
 それと、もう一つだけなのですけれども、簡単なことで、67ページの病魚由来レンサ球菌症原因菌ですけれども、ここにある菌名は学名であればイタリックがいいかなと思ったのですが、学名ではないのでしょうか。そのことも教えていただけたらと思います。
 以上です。多岐にわたって申し訳なかったです。
○関谷構成員 ありがとうございます。御指摘の先ほどの食品由来とヒト由来のところは、80ページの記載の先生方とも調整させていただきたいと思います。その上で修正等させていただければと思います。
 Lactococcusについてはイタリックにするべきところ、なっておりませんでした。修正させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 よろしいですか。
 柴山先生どうぞ。
○柴山構成員 細かいことですけれども、52ページで病蓄の菌を分離したサンプルの検体は、たしか健康家畜は「糞便」と記載があったのですけれども、病蓄は何からとっているのでしょうか。検体名が書いていなかったので、ここを追記していただけるといいかなと思いました。
○関谷構成員 ありがとうございます。これはいろいろなものと言うとあれですけれども、病蓄由来なのでいろいろな検体が混ざっていると思いますが、可能な範囲でということになってしまうかもしれませんが、記載するようにさせていただければと思います。
○柴山構成員 ぱっと見ると何だろうなと思ってしまいましたので。
○関谷構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 浅井先生、お願いします。
○浅井構成員 先ほど四宮先生が発表された部分との関連なのですけれども、健康な鶏からのサンプリングについて食鳥処理場でやっているわけですが、株数だけではなくて食鳥処理場のせめて施設数ぐらいは入れていただいたほうが、もうちょっとデータが見やすくなるのかなと思いました。
 以上です。
○関谷構成員 ありがとうございます。施設数ということで記載を検討させていただきます。
○渡邉座長 続いて、四宮先生どうぞ。
○四宮構成員 表45の説明のときに、2020年から感受性試験にメロペネムを加えられたということでしたが、動物では使われていないということで、先ほど食品由来のSchwarzengrundでメロペネム耐性が見つかったと言ったのですが、そのオリジナルデータは本文にも書いたように、1か所の地衛研でそういう株が3つ見つかっているわけなので、その点について当該地衛研に感受性試験について確認することにします。
 コメントです。
○渡邉座長 当該地衛研と、この場合サルモネラが動物衛生研究所にも各地域がありますよね。その地域性というのは、どこで見つかったかというのは表立って言わなくても農林省との間でコミュニケーションはできるのですよね。
○四宮構成員 もちろんできると思います。
○渡邉座長 それはコミュニケーションして調べられれば非常に対策等にも結びつくのではないかと思いますので、実際に病蓄にはメロペネムなどは使われている可能性もあるのですか。
○関谷構成員 全くないです。承認もされていないですし、使用されていないと思います。
○渡邉座長 原因がどこにあるのか調査ができる範囲内でやっていただければ。
 分離されたのは2020年でしたか。2021年はなかったのですか。
○四宮構成員 2021年ですね。2020年はヒトのHeidelbergでメロペネム耐性のサルモネラが見つかったのが初めてで、ただ、これは文献的にはアメリカなどでそういうアウトブレイクがあったという報告もありましたので、非常にまれなケースですけれども一応説明できるのかなと思いますが、食品のほうは、もちろん食品と動物は食品のほうがいろいろ交差汚染ということもあり得るわけですけれども、ただ、さっき生データを見たのですが、分離株としてはSchwarzengrundなので主に鶏肉からとられる株ではあるので、交差汚染というよりも、むしろもともと鶏からとられる血清型ではありますので、その点も結果を報告した地衛研に確認したいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。これはワンヘルスという立場でやっているので、農林関係とコミュニケーションが必要なのではないかと。ぜひお願いいたします。
○関谷構成員 よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 松永先生どうぞ。
○松永構成員 2つだけよろしいですか。
 1つは、ヒトに一番近いのが犬猫だと考えておりまして、2020年から2021年でかなり耐性率が下がってきているなと思いましたのは、ブリーダーや福祉環境や何かいい変化があったのかなというのが1つ。
 あと、ヒトと犬猫の菌のゲノムのリンクがあるかどうかという調査がどれくらいまで進んでいるかというところ、いわゆる責任の所在というよりは犬も耐性菌が多くなってくると恐らく亡くなる可能性が高いと思いますので、ファミリーとしてお互い抗菌薬適正使用などを進めていく必要があるかと思ってお伺いいたします。
○関谷構成員 御質問ありがとうございます。
 1つ目ですけれども、先ほど御説明しましたように、モニタリングを開始したところという状況です。ですので、それが影響するほど時間がたっていないと思いますけれども、愛玩動物の分野の抗菌剤を適正に使いましょうという手引きを作成したり、パンフレットを配ったりという取組はしているので、そういうものがある程度効果が出てきている可能性もあるかなと思っております。
 それから、ゲノムレベルということですが、少しずつ取組をさせていただいておりまして、例えばESBLの関係などについては研究を進めているところでございます。結論的なことがすぐ出るわけではないですけれども、ワンヘルスの取組としてさせていただいております。
○松永構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 浅井先生どうぞ。
○浅井構成員 先ほどの鶏の検体の関係の話ですけれども、四宮先生が地衛研例を農水と共用するというお話だったのですが、鶏肉の場合は、例えば岐阜県でも九州産が買えたりするので、産地の情報があったらその部分を含めてシェアしていただけるといいのかなと思いました。
 あと、松永先生の御質問の中で、ゲノムの話に関しては初期の株はよく分からないのですけれども、古い株などで鳥取大学の原田先生などがST131とか報告されていたり、犬猫から分離された株のそういうキャラクターが報告されたりしていますので、やはりヒトとの関連は強いのではないかと考えられるのではないかと思っています。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 菅井先生、手が挙っていますか。
○菅井構成員 松永先生の御質問について今の浅井先生にも追加してですけれども、食品班のほうで現在、買い主さんと飼っている犬との比較を今、石井先生たちのグループがされておられますので、その結果が多分もう少ししたら出てくると思います。そうすると、もう少し具体的なデータも得られるのではないかと思ってお聞きしていました。
 追加でコメントです。以上です。
○渡邉座長 ほかに御質問等ありましたら。よろしいでしょうか。
 では、続いて80ページの食品です。菅井先生、何か追加ありますか。
○関谷構成員 76ページの野生動物からになりますね。そこは浅井先生がデータを出していただいていると思います。
○渡邉座長 すみません。では、浅井先生、お願いします。
○浅井構成員 76、77ページは前回の報告部分ですので、78ページに2018年から2021年の調査をした成績を入れさせていただきました。この部分については以前と大きな変動はないのかなという感じの成績です。
 そのほかに78ページの表の下のあたりからになりますけれども、抗菌剤が入ったDHL寒天を使って分離した成績があります。これについては非常に低率ではあるのですけれども、CTXに耐性株であったり、フルオロキノロンに対する耐性株も分離されましたという成績を併せて紹介させていただきました。
 CTXの耐性株自体はCTX-M-27であったり、55であったり、CTX-M-1で、M-1については以前、農場で捕まえたネズミということでしたが、今回はヒトとの関係が強い動物が除外されていますので、あくまでフリーレンジの動物で見つかっている株になります。
 それから、キノロン耐性に関しては、DNAジャイレースとかとトポイソメラーゼⅣに変異が認められましたけど、一部でQnrB19を持っている株もいましたという内容になります。
 現在、抗菌薬を入れた寒天培地での分離を進めているところと、幾つかそういう形での報告も出てきていますので、来年度についてはそういうものも含めた形でまとめたいと思っています。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いします。藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 去年からあった場所のことで恐縮なのですけれども、表70、71含めて、ほかのところと合わせていただいて、薬剤の後ろの括弧内がブレイクポイントであるということで、括弧内はBP(μg/ml)というのをほかのところと同じように入れていただけたらと考えます。
 それから、トカラ牛の「牛」が表では漢字になっていて、本文では片仮名になっているので、よろしければ統一していただけたらいいなと思いました。
 もう一つ、「耐性数」という言葉が出てくるのですけれども、耐性数というのはいずれかの薬剤に耐性だった株の数という意味ではないかと考えます。その注釈があるといいかなと思いました。
 以上です。
○浅井構成員 分かりました。ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかの先生よろしいでしょうか。
 では、続いて食品のところです。菅井先生何かありますか。
○菅井構成員 これは食品班の総括研究の報告書の中で抜粋したものになるかと思いますが、先ほども出ていましたサルモネラについては、できたら四宮先生からお話しいただいて。
○四宮構成員 ここの食品の第1段落のサルモネラのところは、私が更新しました。黄色で塗っているところは、研究代表者が渡邉先生から菅井先生に代わっているので、そこを更新しているのですけれども、その前をよく見ると、令和2年がそのまま残っているので、令和3年に変更いただければと思います。その年度から菅井先生が研究代表者になったので、そこで基づいたデータが2021年のデータとして出ておりますので、その点だけです。
○渡邉座長 ありがとうございます。菅井先生、もう一回見直していただけますか。よろしくお願いします。
○菅井構成員 分かりました。
○渡邉座長 では、続いて環境は黒田先生ですか。
○黒田構成員 研究班で金森先生が代表でまとめていただいていますので、金森先生、お願いできますでしょうか。
○金森参考人 分かりました。環境は81ページから85ページですけれども、今回の改訂した場所を黄色のハイライトで示しています。
 まず、最初に全国の地方自治体から、自治体も39自治体ということで大分増えてきているのですけれども、それも直近の2022年の冬までのメタゲノム解析法による薬剤耐性遺伝子の推移ということでその傾向を更新して、図3にも新しい図を用いています。
 特に、サルファ剤やマクロライドに関連したところで変化がありましたので、そういったところについてもデータを載せて、結果についてヒトとの抗菌薬使用についての相関関係や因果関係は言及するのは難しいところなのですが、班員の先生と一緒にディスカッションして少しコメントを書いています。
 一方で、82ページの青色のところは、ここ数年用いていた過去の文献を紹介していたのですけれども、今回削除したのですが元に戻っているので、青色ハイライトは削除していただければと思います。
 さらに、83ページにいきまして、日本の現状で環境、特に下水のAMRがどうなのかということで研究班で文献レビューを行いまして、血清中にいろいろ認証で問題となるようなAMRの菌や遺伝子が存在しているという報告や、多少の関連性も示されてきてはいるのですが、まだまだ病院排水や下水のAMRのヒトへのリスクはまだ分からないというところで、引き続き日本の環境AMRの実態調査や研究が必要だという形で、なかなかアクションプランにしにくいところではあるのですけれども、現状と課題ということで更新できるところを更新したということになります。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いします。
 田中先生、お願いします。
○田中構成員 文章は新しく入れていただいて非常にありがたいと思います。
 1点、これは来年度用の話に多分なると思うのですけれども、ちょうど環境省の方が出られていますので、来年用に覚えておいていただきたい点があります。それは昨年も御指摘したのですけれども、環境省の環境研究総合推進費で今、薬剤耐性の環境での調査法について、山形大の先生が中心になって今研究されています。環境省と何か書けないかといろいろ御相談していたのですが、研究が今年度いっぱいなので、今年度終わってから書きたいというお話を聞いています。したがって、先ほどからお話が出ていますように、環境での動態についての研究がほとんど進んでいない中で、来年度はその研究を踏まえた環境省側の情報を少し書いていただくということで今、調整しております。
 その点だけです。以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 本文の中盤にマクロライド耐性遺伝子のことが書いてございます。2020年の冬に一旦減少を示すもののということで、この後夏にはもう上がってくるんですね。これは後ろに書いてある「新型コロナウイルス発生に伴う」というところと本当に関連があるのか。マクロライドの使用の減少といっても、まだつかめていないところではないかと思います。
 それから、インフルエンザ、RSウイルスは、その後2021年の夏には上昇しているんですね。これとこの辺の関係の話をどうつないでいくかというのはまだ難しい気がするので、減少については新型コロナウイルスの発生に伴う要因が関係することも考えられるけれども、今後の詳しい検討が必要であるというくらいにとどめたほうがいいのではないかと。マクロライドがうんと減っているというのが実際に出ていればいいのですけれども、同じ資料の中に出てきませんので、ここは控えたほうがいいかなと考えました。
 あと、84ページの図ですけれども、20Wや20Sなどと出ていて、脚注に「2018年夏(18S)から年2回の調査にて2022年冬(22W)まで」と書いてあるのですけれども、できましたらここはそれぞれ「2018年夏8月(18S)、2019年冬2月(19W)で合計8回」と書いていただいたほうが、この表と本文の結びつきがいいのではないかと考えましたので、御検討いただければ幸いです。
○黒田構成員 黒田です。作図した責任者で回答いたします。
 ありがとうございます。藤本先生、そのとおりでありまして、イメージがPDF化のときに粗くなっているので見にくい状況ではありますが、「S」を「Summer」、「W」を「Winter」という形で分かりやすく明示したいと思います。
○藤本構成員 可能でしたら、8月か2月とちゃんと書いたものを下にずらずらと並べていただけたらいいのではないかと思います。
○黒田構成員 2月となっていないときもありまして、3月に送ってくださったときもある自治体もございます。
○藤本構成員 でも、月でしていただけたら。20年の夏というのが年度なのか何なのかも分からないですし、冬といっても前の年の12月もあれば次の年の1月、2月もありますので、はっきりそれぞれのとった月を記されたらいいのではないかと考えました。
○黒田構成員 承知しました。
○渡邉座長 金森先生、先ほどの記述に関してはよろしいですか。
○金森参考人 藤本先生おっしゃったように、データとして何か統計学的検討をしたという話も全くないですので、あまり言い過ぎになってしまって誤解を与えてもあれですし、新型コロナに関連してヒトのマクロライドであるとか、そういったところは黒田先生とも相談して文面を修正させていただきます。どうもありがとうございました。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 黒田先生どうぞ。
○黒田構成員 人流の抑制でかなり経済が停滞というか下がったおかけで、処理場の能力か追いついたみたいな印象を実は持っていまして、そういった意味で、そこが耐性遺伝子を逆に減らすポイントだった可能性もありますので、先生がおっしゃるように、そこは結論づけずに改変したいと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかによろしいでしょうか。
 予定の時間を超過してしまいそうで、いろいろな御意見が出ているので非常にいいことだと思うのですけれども、もし、19時で退室なさる先生は退室していただくということで、続けさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 では、「7.日本における抗菌薬使用の現状」で。
○村木構成員 私、村木から。AMR臨床リファレンスセンターの松永先生のところに値を出していただきまして、私もダブルチェックさせていただきました。86ページからになりますが、変更点について簡単に御説明します。
 86ページに、数値的に一番最新の情報に変えた部分を水色で示しております。傾向としては、2020年と同様で新型コロナウイルス感染症の影響もあるとは思いますが、抗菌薬の使用状況は減少しています。
 87ページも修正箇所のみ水色で示しておりまして、傾向としては前年と変わりはありません。
 数値的な変更につきましては、表72、73、74、75とそれぞれ修正箇所につきましては水色で示しております。
 私の手元のPDFを見たところ、表75でAccessとReserveの間のWatchが「tch」となっていて誤記がありますので、そこを「Watch」に変更を事務局にお願いしたいと思います。
 ちょうど表75を見ていただいていますので、これで説明しますと、抗菌薬の使用で主に広域抗菌薬と言われてアクションプランでも目標としていた第3世代セファロスポリンやキノロン、マクロライドというのは、Watchに該当し、ペニシリン系はAccessなのですけれども、その適正化が順調に進んでいる部分は見受けられまして、Accessは上昇傾向、Watchについては減少傾向を示しているという状況になります。
 続きまして表76も修正箇所を追加しておりまして、表77につきましては、ナショナルデータベースですので、現時点では修正はなしということになります。
 94ページからはJ-SIPHEですので、松永先生にバトンタッチしようと思うのですが、後ほど出てくる表86と表87につきましても、力価換算したものについては修正しておりますので、申し添えしておきます。
 松永先生、よろしくお願いいたします。
○松永構成員 J-SIPHEについて先ほどお示ししたように、全体というよりはJ-SIPHEに参加している施設、加算1がメインとなっている情報となります。
 こちらを見ますと、ペニシリン系と第1世代のセファロスポリン系が増加傾向にあると。その他カルバペネムの上昇であったり、その他の抗菌薬は特に横ばいで、全体として少し減少傾向にあることから、加算1の施設を中心としたシステムのコホートの中では適正使用が進んでいる可能性があると考えております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、続いて動物用医薬品を関谷先生、お願いします。
○関谷構成員 こちらは96ページから2020年のデータを追記しております。表79でございますが、2019年から2020年にかけて、全体量としてはほぼ横ばいという状況になっております。
 表80では動物種別のものを出しておりますけれども、豚を御覧いただきますと、豚は抗菌剤の使用が一番多いということだったのですが、豚に関しては使用量が減少を続けているということですけれども、2020年では牛で増えているという状況がございます。
 97ページの青いところに考察を書かせていただいておりますが、肉用牛、乳用牛での増加というのはテトラサイクリンが主のようですけれども、肺炎等が増えたという家畜の共済の関係の資料から見ますとそういったこともあるので、それが関係しているのではないかということ。いずれにしても要因は明確なものはないのですけれども、豚に関してはいろいろな普及啓発、慎重使用に関するものが進んだ、あるいは動物の分野も豚熱という感染症、これはウイルス感染症ですけれども、そういったものが発生することによって、いろいろな衛生管理を向上させるといった影響もあった可能性も考えられたと。いずれにしても、なかなか要因は定かではございませんが、そういった状況です。
 98ページは、系統別の畜産動物を合計したものになっております。
 次が水産動物、表82でございますが、こちらはマクロライドの増加がずっと見られておりまして、先ほど出てきましたレンサ球菌症のワクチンがあるのですが、なかなかワクチンが効かないような株が出てきていることもあって、2020年は少し減っている状況でございますけれども、引き続き対応が必要な状況となっております。
 100ページは愛玩動物でございます。愛玩動物は、動物用の抗菌剤のほか、ヒト用として承認されているものが一部使われている実態がございます。これは、2016年からヒト用の販売量も調査しているところでございますが、状況としては2020年も大きな変化はございません。ヒト用ので動物で使っているものの多くは第1世代セファロスポリンやペニシリン系の抗菌剤という状況で変わってございません。
 101ページが飼料添加物、飼料安全法に基づくもので、食品安全委員会でリスク評価をしてリスクが無視できるというものを使っているものです。ですので、表84のテトラサイクリンやポリペプチドのコリスチンなどは取り消しておりまして現在は使用されていません。マクロライドも使用されていないという状況になっております。ポリエーテル系に少し増加が見られている状況になっています。
 102ページは農薬です。こちらについても2020年のデータを追記しておりますけれども、ほぼ変わらない状況というデータになっております。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問等お願いいたします。
 勝田先生どうぞ。
○勝田構成員 97ページに青色のハイライトで、豚での販売量が減ったことは喜ばしいことなのですけれども、最後のところに「豚熱の発生などが影響した可能性」とありますが、では、何が影響したのかがよく分からないので、これを書かれるのであればもう少し詳しめに書いていただいたほうがいいのではないかと思います。コメントです。
○関谷構成員 ありがとうございます。要因分析したわけではないという状況もあるのでですが、どういう影響が考えられるのかということを書く必要もあると思いますので、先ほど口頭で申し上げたような衛生管理が可能性としてという範囲で記載を検討させていただきたいと思います。
○勝田構成員 よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 浅井先生どうぞ。
○浅井構成員 98ページの記載で、サルファ剤の増加が牛と鶏でということが記載されているのですけれども、これについての要因が分かるといいのかなと。
 あと、飼料添加物でポリエーテルが増えているということについても、コクシジウムなどの関係が出ているのかどうかみたいなことが調査されるといいのかなと思いました。
 もう一点は、犬猫での販売量ですけれども、第3世代セファロスポリンの中に犬猫で長期作用型のものが使われていますが、そういうものを特記したほうが、できれば動物種が分かるといいのですけれども、それは難しいかもしれないので、先ほど愛玩動物の耐性菌の分布で、犬猫で比べると猫のほうが第3世代に対する耐性菌が多いとか、MRSAも猫で結構高率に見つかっている成績もありますので、耐性率が猫で高い要因みたいなものも含めて推察する上でも、可能であれば動物、犬猫別の数値みたいなものがつくられるといいのかなと思いました。
 以上です。
○関谷構成員 ありがとうございます。
 まず、サルファ剤の増加に関しては、増加もそれほど大きな増加ではないので、なかなか難しいところがあって、コクシジウムが関係しているという情報もあったりしますけれどもはっきりしないので、書けるかどうか分からないですけれども、もし可能でしたらとは思いますが、なかなか要因が分からないところでございます。
 それから、飼料添加物につきましては、ポリエーテルの増加もコクシジウム対策として使われている面がありますので、それが増えたかどうかというのはあるかもしれないですが、これも要因分析まではできていないので、これも担当に確認してということにさせていただければと思います。明確なお答えができなくて申し訳ございません。
 犬猫の第3世代セファロスポリンを代表として犬猫別にということですけれども、今後、犬猫が分けられるということであればですが、今のところ明確にデータとして出てきていない部分があると思いますので、今後の検討とさせていただければと思っております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。浅井先生、よろしいでしょうか。
○浅井構成員 あと、長期作用型の第3世代、愛玩動物だけで売っている成分があるので、それは分かるような形にしておいたほうが、選択圧を評価したりいろいろなことを考えると役に立つのかなと思いますので、御検討いただければと思います。
○関谷構成員 検討させていただきます。また御相談もさせていただければと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかはよろしいでしょうか。
 では、続いて抗菌薬使用の現状、これは松永先生どうぞ。
○松永構成員 簡潔に説明させていただきます。更新した分だけ御報告いたします。
 小児について文献を2本、成人について2本です。小児の文献につきましてはJMDCデータを使って抗菌薬の適正使用加算の影響を見たところで、特に0歳から2歳が全体でも下がっているという御報告がありました。
 また、MDVを用いた解析では、いわゆる全体として抗菌薬使用量は小児で下がっていた。さらに、いわゆるアドバンスイベントとして副作用だったり、入院が増えたということがなく抗菌薬が減りましたという御報告をいただいております。
 成人に関しましては、18歳以上を対象として、歯科の適正使用、抜歯について抗菌薬の不適正使用に当たるだろうと考えるものが8割くらいあったと。一方で、経時的に見てみると、病院でも診療所でも少しずつ改善はあるのではないかということがありました。
 もう一つは、JMDCを用いて健康診断の方に関しての、感冒に対しての適正使用については、約半数くらい不適正使用があったのではないかと。まだまだASPが必要であるという結論となっております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問ありますか。藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 今、松永先生に御説明いただいたところで、1つは簡単なことで、処方状況に関する研究の中で、2段落目は段落が分かれているので、予防抗菌薬の処方があったのは抜歯後ものなので、段落を変えないか、「抜歯後の予防抗菌薬」としたほうが読みやすいかなと思いました。
 もう一点ですが、その下の部分、これは小児ではなくて健診ですので、労働人口というと書いてありますので大人だと思いますが、男性患者が処方が多い因子みたいなことがちょっと書いてあるのですけれども、114ページに出てくるNDBのデータだと、女性のほうが抗菌薬の処方を受けやすいということが書いてあるので、その辺でうまくディスカッションができるといいなと考えました。
 以上です。
○松永構成員 ありがとうございます。解釈して正確にできるように調整してみます。
○渡邉座長 ほかによろしいでしょうか。
 では、環境のところをお願いいたします。110ページですね。これは特によろしいですか。
 田中先生、よろしいでしょうか。
○田中構成員 変わっていません。前半は過去の文献レビューを昔載せたそのままが載っています。
 昨年ですか、環境省の黒本調査で実態を調べたことが分かっていたので、それを環境省サイドに少し追加いただいて、今年度は抗生物質についての黒本調査をやっておられないようですので、昨年の段階で止まっているという状況のようです。
○渡邉座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 では、続いて国民意識です。これは松永先生でよろしいですか。
○松永構成員 改訂部分だけ御報告させていただきます。
 一般国民の調査につきましては、2021年度は実施しておりません。今年度の調査を現在まとめているところです。
 116ページです、薬学部教育における感染症・抗菌薬に関する研究を実施させていただきました。薬剤部74大学中44大学より回答をいただいております。感染症の臨床経験を有する教員が62%であったと。その中で指導内容について感染症対策や周術期における予防的抗菌薬や知識という教育の内容がまだ不十分であると回答されたのが70%近くありましたので、薬剤部の中でも適正使用やAMR対策に関する内容の充実をしたほうがいいのではないかという結論にさせていただいています。
 以上となります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 獣医学生への調査は、関谷先生でよろしいですか。
○関谷構成員 こちらは、農林水産省の畜水産安全管理課から説明をさせていただこうと思います。
○農林水産省 農林水産省畜水産安全管理課でございます。117ページから獣医学生への調査ということで説明いたします。
 2019年から農林水産省は獣医学生を対象に意識調査をしております。昨年度も同様に行っておりまして、結果については黄色で更新しているところです。
 抗菌剤に関するイメージ、表99にございますけれども、風邪に効く、インフルエンザに効くことに関しましては、学年が上がることに正答率が上がっているという状況にございます。
 一方の表100の薬剤耐性対策に関しましては、飼養衛生管理をしっかりやると疾病の感染機会が減って薬剤耐性対策につながりますよといったところは上がってはきているのですけれども、それ以外のところに関しましては引き続き正答率が2割などですので、講義等含めて教育を継続していきたいと考えております。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 続いて「9.今後の展望」のところは。
○藤本構成員 すみません、114ページの松永先生のNDBのデータでちょっと伺いたいのですけれども、2.20-30歳代の抗菌薬の捉え方ということで、さっきの男女差の話がまた出てきているのですが、受診回数の違いが抗菌薬の使用量の男女差の原因と考えられたということですが、これを見ると、男性に比べて女性が上気道炎で受診する機会が少ないと考えると、女性に抗菌薬を処方しているのは臨床で考えると、尿路感染症がものすごく多い気がするのですが、その辺はもし何か裏づけるデータがあれば述べてもいいのではないかと考えましたので、今後の検討としてよろしくお願いいたします。
○松永構成員 ありがとうございます。ちょうど今そこを調査しているところですので、できましたら御報告させていただきます。
○渡邉座長 では「9.今後の展望」に行く前に、要旨に戻っていただけますか。今皆さんからいろいろ説明していただいた内容が、13ページから書かれているわけですけれども、ここで追加または改訂すべき点がありましたら、お願いいたします。
○藤本構成員 先ほどからNESIDやJ-SIPHEの疾病あるいは感染対策に関する情報がかなりこの中に入っております。そのことを要旨に入れたほうがいいと考えまして、「方法」の第1段落の終わりにあります「情報を得た」というところに、できましたら「感染症の発生状況、感染対策の実施状況などについては感染症発生動向調査事業(NESID)、JANISおよびJ-SHIPHから情報を得た」というのを加えると、特にJ-SIPHEで行っている感染対策の実施状況に関する情報は諸外国にありません、日本だけの情報ですので、世界に向けての発信ということもありますので、そのことをそこに加えるのがよいのではないかと考えました。
○渡邉座長 ありがとうございます。では、例文を後で厚労省に送っていただけますか。
○藤本構成員 はい、分かりました。
○渡邉座長 ほかは「方法」と「結果」のところで何かコメントがありましたら。
○藤本構成員 簡単なことなのですが、14ページの第2段落目ですが、「Access」と「Watch」という言葉が出てくるのですが、これは分類上の名前なので、大文字になっているところである程度理解できると思うのですけれども、場合によってはそれぞれの言葉をコーテーションで囲うことも検討してもいいかなと考えました。
○渡邉座長 分かりました。
 ほかはよろしいでしょうか。
○浅井構成員 浅井ですけど、よろしいでょうか。
 「結果」「方法」のところではないのですけれども、「背景」で「OIE」という表現になっていますが、ちょっと前に名前が変わったようなので、農水のほうで修正いただければいいのかなと思います。
○渡邉座長 今度は何となったのですか。
○勝田先生 勝田です。WOAHです。
○関谷構成員 なったのですけれども、オフィシャルに農水省として「OIE」という言葉自体は引き続き使えることになっていたかと思うので、そこを確認させていただいて修正が必要であれば修正させていただきます。
○浅井構成員 分かりました。ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかはよろしいでしょうか。
 もう一度皆さんよく御覧になって、何かコメントがありましたら、厚労省に送っていただきたいと思います。
 最後に「9.今後の展望」です。119ページでさらに付け加えるべき点がありましたら、コメントをお願いいたします。
○松永構成員 1つ状況の確認なのですけれども、この報告書はこの報告書として基本的なデータがすごく集まった、本当にすばらしい報告だと思っていて、あと、関係性を見るとなるとゲノム関係だったり、もう少し詳細な情報が必要なのかと思っていて、現状そういう形で環境や人、動物も含めて同じような場で話し合う会議はあるのでしょうか。それをここで述べたほうがいいのかどうかは分からなかったのですけれども、これはこれで1つとして、さらにここに加えるとすごくボリュームが多過ぎるなと思いながら、何かしら話の中でゲノムのことが上がっていたので、先生の中で展望などがあるのかなと思ってお伺いさせていただきました。
○渡邉座長 厚労省はAMR委員会というのは別にありましたよね。小委員会でしたか。この薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会は、どちらかというと今のサーベイのことで、解析等々の結果から何が言えるかというのは、どこで話し合うことになるのですか。
○長江結核感染症課長補佐 厚労省です。こちらの検討会はAMR小委員会とは全く別立てで、AMR小委員会は厚生科学審議会の下で感染症部会という親玉の会議があって、その下に感染症法などに関するものの中でAMR小委員会がぶら下がっています。、今回ワンヘルス検討会というのは、この報告書をつくるために健康局長の私的検討会でつくられています。、提案のあった先生方がを専門的に話し合いたいというのは、研究班などでやっていただくことがよいと思います。検討会の趣旨が異なる話になるのと思います。
 以上です。
○渡邉座長 分かりました。いろいろな研究班が行われていて、科学的なデータの意義というか、その辺のところは確かに松永先生がおっしゃられるように、どこかで本当は皆さんで共有したほうがいいのかなと思うのですけれども、そういう場所はこのワンヘルス動向調査委員会の中でやった結果をこの中に入れるのか、その辺はどうですか。
○長江結核感染症課長補佐 このワンヘルス検討会は年に1回開催しているので、先生方が研究班などで話し合った内容を盛り込んでいただく分には全然問題ないと考えています。
○渡邉座長 分かりました。例えばゲノムに関しては、菅井先生のグループやほかの研究班の結果も行われていますので、皆さんの時間等が許せば、この薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会の中で今までの研究成果等を発表していただいて、それが動向調査にどう生かせるかを議論するような機会をどこで設けても構わないわけですよね。
○長江結核感染症課長補佐 ただ、2時間しかない会議なので、現実的には、ある程度先生方の発表をまとめてもらって参考資料などに入れてもらって、その場で2~3分言っていただくのが望ましいです。
○渡邉座長 松永先生、何か考えられますか。
○松永構成員 そこがなかなか難しいなと。確かに、今、長江さんがおっしゃったように研究を少し追加させていただくみたいな、ASPでも今まで分かっている研究みたいなことで1ページなど加えていますので、そういうように状況がお互い把握できるとありがたいなと思いました。
○渡邉座長 本当はどこかで皆さんの今までやった成果等を聞くような、ある意味報告会のようなものをこの2時間の枠外に別途設けてもいいのかなとは思うのですけれども、菅井先生、その辺どうですか。
○菅井構成員 私たちのところの食品班のほうでも薬剤耐性のワンヘルス動向調査に出すデータは、今のところ感受性データが中心ですので、それに付加する形でのゲノムデータを集めましょうということで、様々な食品班に入られている先生方から菌株を送っていただいたり、DNAを送っていただいたりして今データを出しているところです。
 一方で、JANISもJANISに付加する形での病原体のサーベイランスも実施してきていますので、そういうものをどこか別のところでもいいですけれどもまとめて情報をシェアさせていただいて、ちょうどその食品班は来年が区切りですので、来年の秋をめどにまとめ方みたいなものも御提示できるかなと思っています。それまでに関係の方と御相談させていただいて、ちょっとしたディスカッションができればいいのかなと思っています。その後で、この会に報告のような形で上げさせていただくのがスタートとしてはいいのかなと思っています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 藤本先生どうぞ。
○藤本構成員 ワンヘルスとして各分野からの情報が同じ単位で比べられるようになって、愛玩動物含めて動物からヒトからということで一定の成果はこれで上がっていると考えます。
 もう一方で、今後これをどうしていくのかについてどんな研究が進んでいるかを含めて、今後ワンヘルスの報告書の立てつけをどうしていくのかについて、どこかで検討していく必要があるのではないかと考えます。
○渡邉座長 ありがとうございます。このワンヘルス動向調査検討会の最終的な目的というのは、耐性菌の現状がどうであるか、かつ、それがワンヘルスとして考えた場合に耐性遺伝子なり耐性菌がどう伝播、また流動しているのか。そして、対策することによって、介入することによって、それがどう変化していくのか。最終的には、それによって耐性菌の減少、または耐性菌による感染症の減少及びそれによる被害・死亡者等の減少につながっているのが本来の目的なのだと思います。検討会の建前としてどういうところを目指すというのが書かれていますので、そういう意味では報告書だけを出したということではなく、現実の対応にどう生かされ方という点も本当はディスカッションする場があったほうがいいと私も思うわけですけれども、そのためにはまず各研究班を含めた形で、いろいろなデータが出てその上で議論しないといけないので、先ほど菅井先生の食品班で、今ワンヘルスとしてのゲノムのいろいろな解析等も行っていますので、その辺のある程度のデータのめどがついた段階でこの検討会に報告していただいて、2時間というよりはプラスアルファ設けた形で。2時間というのは今日も3時間近くたってしまうので、本当に議論するとなるとある程度の時間がないと難しいと思うので、別個にするのか、それとも検討会の時間を3時間、4時間を皆さんが許容してくれれば、そういう形でやるというのも一つかなと思います。別の日時を設けるというのは、皆さん忙しいのでスケジュールがなかなか合わないと思うので、年に多分2回ぐらいしかこの検討会はないですけれども、その時間をフルに利用して3時間、4時間ぐらいという範囲内でデータを出していただいていろいろ議論する機会が設けられればいいと思うので、その辺は厚労省も含めて相談して。先ほど菅井先生がおっしゃったのは、来年には研究班の成果が一応出るということですので、来年の11月、12月ぐらいを一つのめどとして考えて、日時等も含めて厚労省と相談したいと思いますけれども、菅井先生、来年の11月、12月は大丈夫ですか。
○菅井構成員 全部が出せるかどうか分かりませんけれども、ある程度のものはまとめられるのではないかと期待しています。
○渡邉座長 すみません、無理をお願いして。
 ほかの研究班で、これに関係するように動いているものはありますか。
○菅井構成員 私が知る限り、黒田先生たちが環境をやっておられます。それから、食品安全委員会の研究みたいなところで、どちらかというと農場関係のことを今年、去年とやっておられましたので、そういうところのデータを俯瞰することで、ワンヘルスでのいろいろなセクターのデータをある程度集めてくることができるのではないか。もちろん、農薬研の方も食品班にも入っていただいていますし、そういう形である程度俯瞰できるのではないかと期待しています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 食品委員会で薬剤耐性に関係する班が幾つかあった、食品会の全体の評価委員会の割合になっているので、そこの中には例えば群大の富田先生なども食品委員会のお金をもらっていたはずですよね。
 あと、浅井先生も何かやっていませんでしたか。
○浅井構成員 酪農学園の田村先生や臼井先生の分担で参加させていただいています。私も、野生動物の関係の調査は科研費でやらせてもらっています。
○渡邉座長 その辺のデータが持ち寄れて皆さんで共有できると、いろいろなワンヘルスとしてのディスカッションができるのではないかと思うので、この検討会が健康局長の云々ということなので、そこを超えた範疇での呼びかけというのは可能なのですか。
○長江結核感染症課長補佐 要綱は決まっていて、その目的に合わせて集まることになっているので、その範囲を超えると厳しいですがワンヘルス動向調査に入れるかどうか検討するために発表していただくのは要綱の内容とも矛盾しないかなと思います。趣旨とは違う研究発表は厳しいと思います。
○渡邉座長 とりあえずは、この班に関係する先生方のデータがいろいろ話されるということでしたら、全然問題ないわけですよね。
○長江結核感染症課長補佐 それは問題ないと思います。そのように構成員の先生たちも委嘱していますので。
○渡邉座長 では、来年はそういう方向性で考えていくということで、この場は収めたいと思いますが、松永先生よろしいですか。
○松永構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。その辺は後で厚労省とも相談して、どうやるかを検討したいと思います。
 では、119ページの「9.今後の展望」は現在のこの状況でよろしいでしょうか。今日は時間が3時間近くになってしまって、皆さんのお忙しい時間をこれに費やしていただき、ありがとうございます。この展望と先ほどの要旨に関しては、再度全体を見られた上で、こういうものを付け加えたほうがいいだろうとか、ここは修正すべきであるという御意見がありましたら、文書で厚労省に伝えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかに何かコメント等ありますか。参考資料は今日は議論していないのですけれども、何か追加等がありましたら、これも文書等でお送りいただければと思います。
○御手洗構成員 すみません、結核研究所の御手洗です。
 現状、臨床をやっていない私がこれ言うのはどうかなと思ってちょっと控えていたのですが、先ほど来のアンケート等のデータを拝見すると、一般国民に対してのアンケート2018年から2020年ぐらいにかけて4年ぐらいのデータが出ていましたが、風邪に抗菌薬が効くと思っているという割合がほとんど変わっていない。医療従事者へのアンケートでも、風邪での患者を説得して納得しなかったらそのまま処方するというのが50%いるという、ノンサイエンス・ノンメディカルの部分がかなり大きなマグニチュードを占めている割には、「9.今後の展望」に教育啓発活動というのがさらっと2行書いてあるだけなのですよね。実はそこをもっと強化すると、比較的迅速に使用量あるいは適正化がなされるのではないかという気がするのですが、一般的にその辺の啓発が難しいことは分かっていますが、もう少し強力なことはできないものかなというのがちょっと気になった次第です。最後に申し訳ありません。
○渡邉座長 ありがとうございます。そこがこの5年間の総括で一番難しいところで、国民のアウェアネスというか、そこの成果が見られないと言うと語弊がありますけれども、AMR臨床リファレンスセンターを中心に相当いろいろ活動されてこられたわけですけれども、それがなかなか実となっていないというか、データとして表れていないところが一番問題と言えば問題なのだと思いますが、事後のAMRアクションプランにおいても、その辺が多分これからどうやるのかが厚労省及び内閣官房で議論されるのではないかと思いますが、松永先生いかがですか。一生懸命今まで臨床センターとしてやられてきていると思いますけれども、データとしてなかなか表れてこないという、今、御手洗先生からの厳しい御指摘ですが。
○松永構成員 本当におっしゃるとおりで、コロナがあって感染対策の認識やウイルスと細菌の違いも少しずつ理解いただけたかなと思って、今年度の調査を見ても、やはりまだ難しいような傾向がありました。本当に手が今のところなかなか見えていないのですけれども、とにかく続けていくことと、少し切り口を変えて、ただ周知するだけではなくて行動変容につながるようなアプローチをさらにしていこうというところをコロナ対策で培った対策を援用して、AMR対策に生かしていこうということを今、内部でも検討しておりまして、本当にもどかしく思っているところはあります。
 また、医療従事者への啓発も直接的に関わるところですので、その点では施策の小児で言うと、抗菌薬適正使用支援加算で小児の抗菌薬を検証しておりますので、施策に使っていただけるようなデータをAMRが出していくとか、先生方と一緒に出していくのが大事なのかなと感じているところです。
 直接的な回答ではありませんが。
○御手洗構成員 私も、普通に呼吸器内科医をやっていたころは、説得しても納得しない人には、もう面倒くさくて時間がかかるから、しようがない処方してしまえというので効きもしない抗菌剤を処方していた口ですので、そういう人たちは一遍頭数を集めてブレーンストーミングをやってみるのも一つの手段かなと考えました。
 ありがとうございます。
○松永構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 どうもありがとうございます。一生懸命やっていても、それが数字として上がらないと歯がゆいところが多分AMRセンターとしてもあるのではないかと思いますけれども、ただ、続けなければなかなか実とならないことと、もう一つは、この間、内閣府からアンケート調査が来てそれにも答えたのですけれども、医学生などが1年、2年から6年になるにしたがって、どんどんアウェアネスが上がっているわけです。そういう意味では教育というのは重要で、医学生だけでなく研修医及び医者の生涯教育とか、本当はできれば高校教育、またはもっと前からの教育というか、そういうところで徹底的にやらないとなかなか。私も国民の1人として、自分がそういう立場になってみないと耐性菌の重要性や感染症の重要性は身に染みて感じない。私がそういうことを言うのはなんだけれども、自分がオペした後に感染症になってみて初めて感染症の重要性を認識し、抗菌薬はちゃんと使わないと治らないものだと実感した口なので、今まで感染症やっている者がそんなことを言うと何やっているんだという話になるのだけれども、多分、国民も全体的にそういうところがあるのではないかと思います。その辺をどう理解してもらうように進めていくのかというのは非常に難しい点だと思うけれども、AMRセンターには今後も努力していただくと同時に、ほかの生涯教育または研修医の教育に携わっている先生に理解していただいて徹底的にやっていただくのが重要なのではないかと感じているところです。
 ほかに何かコメントありますか。よろしいでしょうか。
 もしないようでしたら、全体的なコメント、先ほどの御手洗先生が「9.今後の展望」に加えたほうがいいのではないかとおっしゃられました御意見等を厚労省にメールで送っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、厚労省にマイクを返しますので、よろしくどうぞ。
○長江結核感染症課長補佐 厚生労働省の長江でございます。
 本日は、長い間御議論いただき誠にありがとうございました。本日頂いた修正点がありますので、各執筆者の先生方は今回、事務局を厚生労働省がやっているのですが、日本医療政策機構に文章の編集などをお願いしておりまして、そちらにまた送っていただければと思います。送ってもらったものを基にして返信して、また委員の先生に御確認いただいたものを最終版として公表していきたいと思っております。
 本日は、長い時間にわたりまして御議論いただき、ありがとうございました。
○渡邉座長 長時間にわたり皆さんに御協力いただき、ありがとうございました。
 では、これで終了といたします。ありがとうございました。