第6回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和4年12月9日(金) 13:00~16:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル))
 

議題

  • (1)革新的医薬品の迅速な導入について
  • (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 委員の先生方におかれましては、本日も御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告させていただきます。
 井上構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 本日、9名の構成員が会場での御参加。
 小黒構成員、堀構成員がオンラインでの御出席との御連絡をいただいております。
 また、本日は、伊佐厚生労働副大臣が遅れて御出席される予定となってございます。
 なお、今回も、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、YouTube配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料を確認させていただきます。
 会場におられる構成員の皆様方のお手元にありますタブレットには、本日の議事次第のほか、資料1、資料2、参考1として開催要項、参考2として構成名簿を御用意してございます。
 また、別のフォルダーには、これまでの検討会の資料を御用意しておりますので、適宜御参照ください。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長によろしくお願いいたします。
○遠藤座長 皆さんこんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入らせていただきますが、初めに、カメラの頭撮りにつきましては、これまでとさせていただきたいと思いますので、マスコミの皆様におかれましては御退室をお願いいたします。
 以降の傍聴につきましては、会場外のYouTubeにてお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 それでは、議題1に入りたいと思います。
 議題1は「革新的医薬品の迅速な導入について」でございまして、事務局から資料が出されておりますので、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局から資料1について御説明させていただきます。
 表紙に「革新的医薬品の迅速な導入について」とございますとおり、今回は、前回までに検討会で整理いただきました論点のうち、新薬に関する論点について、また、そのうち新薬に関する薬価制度の在り方につきましてテーマとしておりまして、同じく新薬に関する論点のうち、産業構造やビジネスモデルに関しては、次回のテーマとさせていただく予定でございます。
 2ページ目には、今回の資料1の構成をお示ししてございます。
 大きく2つに分けておりまして、前半は、現行制度における課題と対策としまして、論点で挙げられておりました新規収載時の薬価算定や特許期間中の薬価改定について、それぞれ現行制度の変遷や課題などを整理して、個別に記載しております。
 後半は「2.革新的医薬品の迅速な導入に向けたさらなるインセンティブ等の在り方について」としまして、これまでのヒアリングにおいて、業界団体やシンクタンク等からさらに進んだ改善策について御提案いただいておりますので、それらも踏まえつつ、より踏み込んだ論点をお示ししております。
 3ページでございます。
 「(1)薬価制度改革の経緯について」としまして、議論の前提となります現行の薬価制度の全体像をお示ししております。
 4ページには、全体の俯瞰図としまして、左から「研究・開発」「薬事承認」「薬価収載」と進み、新薬として販売され、特許期間満了後は、長期収載品として後発医薬品と併売されるという医薬品のライフサイクルをお示ししております。
 下にございますとおり、本日は、収載時の薬価、新薬の間に行われる薬価改定に関係する新薬創出等加算や再算定について論点とさせていただいております。
 5ページでございますが、こちらも同じく、医薬品のライフサイクルについて、各種薬価制度を中心にまとめたものでございまして、本日は、左側の黒い枠の部分のうち、有用性等を踏まえて収載時の薬価の加算を行う補正加算。
 外国平均価格調整。
 新薬の薬価の維持を行う新薬創出等加算。
 薬価の引下げを行う再算定について御説明させていただきます。
 6ページでございます。
 こちらは、近年の薬価制度改革についてお示ししておりまして、下の表にございますとおり、近年では、2年に1度の薬価制度改正が実施され、その都度様々なルールの変更が行われてきているところでございます。
 その影響につきまして、7ページに記載してございます。
 まず、上の左側の図でございますが、横軸を時系列としまして、左側のオレンジの期間での医薬品の開発にかかる様々なコストを、右側の上市後の特許期間中に投資分について回収する形がある意味理想的な形でございますが、実態としましては、右側の図のとおり、2年に1回の制度改正が行われておりますので、医薬品の開発を決定した後、あるいは承認を得て販売を開始した後も、薬価に関するルールが変更されてしまうということで、当初想定したよりもコストの回収可能性が低くなってしまうリスクが生じることとなります。
 その結果、下に「課題」として記載しておりますとおり、日本市場がリスクの高い市場として開発を先送りされたり、他国での開発が優先されるおそれがある点を課題として挙げさせていただいております。
 2ポツ目でございますが、投資額の回収に要する期間が延びることにもなりますので、その分、特許期間満了後も投資回収を継続する必要がございますので、いわゆる長期収載品による収益への依存を誘導する一因になることも想定されております。
 これに対して、青い囲みのとおり、企業の予見性を高めるための何らかの方策が必要ではないかとさせていただいております。
 8ページでございます。
 こちらは、これまでの検討会でまとめていただいておりました論点や主な御意見のうち、今回御議論いただく部分の抜粋を参考として記載しております。
 本日は、赤枠の部分をテーマとしておりまして、冒頭も申し上げましたとおり、マル2の産業構造やビジネスモデルに関しては、次回の議論とさせていただきたいと考えております。
 9ページからが、個別の制度に関する御説明でございます。
 初めに、新規収載時の薬価算定についてでございます。
 10ページでございますが、おさらいとしまして、薬価算定の基本的な流れをお示ししております。
 効能・効果、薬理作用から見て、既存の類似薬がある場合には左側の類似薬効比較方式、ない場合には右側の原価計算方式で薬価を算定することになりますが、いずれにつきましても、計算が行われた後に、医薬品の有用性などに応じた補正加算を加えまして、さらに外国平均価格調整を行った上で、最終的な薬価が決定されることとなります。
 11ページには、そのうち原価計算方式の解説を記載しております。
 以前の検討会でもお示ししておりますので、詳細の部分は割愛させていただきますが、マル2の赤字部分の補正加算部分について御説明させてだきます。
 原価計算を行う場合には、企業は、各種費用の根拠となる情報を提出していただく必要がございますが、これらの開示度が低い場合には、右側の表のとおり、その分補正加算が減額され、開示度が50%未満の場合には、加算係数が0となる制度が導入されております。
 これは、下の青い囲みに記載しておりますとおり、特に海外導入品の場合ですと、製品総原価に営業利益が含まれているのではないかという指摘もあり、開示度が低い場合には、加算率の引下げが行われ、薬価全体の調整が行われるとなったものでございます。
 12ページでございますが、もう一方の算定方式でございます類似薬効比較方式についての資料でございます。
 下のグラフのとおり、青い部分の既存の類似薬と1日分の薬価をそろえる形で算定が行われ、さらに追加の有用性等が認められる場合には、補正加算が追加されることとなります。
 13ページでございます。
 各種補正加算の御説明をさせていただいております。
 左側の「画期性加算」「有用性加算」は、主に医薬品の革新性や有用性などのイノベーションを評価するための項目でございまして、最大120%の加算が行われることとされております。
 また、右側の「市場性加算」や「小児加算」は、市場規模が小さいものの、医療上の必要性が高い医薬品等の評価を行うための項目とされておりまして、左右の両方の加算率を合算して、補正加算が決められることとなります。
 14ページでございます。
 補正加算の変遷を記載しております。
 補正加算制度自体は古くから導入されておりますが、平成3年頃は、上にございますとおり、画期性加算も有用性加算も3%程度とされておりました。
 その後、医薬品の価値を適切に評価する必要があるといった御指摘を踏まえまして、加算率の見直しが複数回行われ、平成28年には画期性加算や有用性加算が定められ、おおむね現在と同様の加算率の制度となっております。
 また、補正加算の適用につきましては、客観的に評価が行えるよう、平成26年には、ポイント制で適用の可否を判断する制度が導入されております。
 15ページでございます。
 補正加算の実態、適用の状況について記載してございます。
 真ん中のグラフのうち、左側の棒グラフは、平成26年から令和3年までの7年間の間に、新薬として収載されたもののうち、補正加算が行われた品目を加算率別に適用数をヒストグラムのような形で表したものでございます。
 これを見ますと、加算率としては、最も低い5%に集中している状況でございます。
 また、右側のグラフでございますが、補正加算適用率の平均率の推移でございますが、増減はあるものの、近年は若干低下する傾向が見られております。
 さらに、下には赤囲みで「課題」を記載させていただいております。
 現在の補正加算の制度では、該当する要件とか定量的評価の指標もあらかじめ定められていることから、薬価算定結果や審議の議事録などの公表も行われていることもございまして、企業側からしますと、一定の予見性が確保された制度となっております。
 一方で、2つ目のポツでございますが、加算適用の判断に当たりましては、薬事承認に用いられた臨床試験成績、具体的には、PMDAが作成しました審査報告書で評価された試験成績における評価により判断されることとなっております。
 薬事承認のための報告書でございますので、品質・有効性・安全性の評価を中心に記載されておりまして、それらには必要ではないため、必ずしも審査報告書に記載されないデータとか、有用性評価の根拠とされていないようなデータ、例えばQOLが向上することを示した主要評価項目以外のデータなどが該当しますが、そういったものにつきましては、結果的に補正加算の判断に使用されないといった課題がございます。
 3つ目のポツでございますが、別の観点としまして、希少疾患とか小児を対象とした医薬品の場合、患者数が少ないため、比較対照試験などが実施しにくく、客観的なデータがそもそも得られにくい状況がございますので、そういった特に開発・上市が望まれるような希少疾病用医薬品、小児用の医薬品につきましては、客観的データが得られにくいために、結果として、画期性・有用性加算が得られにくい構造があることも併せて指摘させていただいております。
 16ページでございます。
 もう一つの制度として、外国平均価格調整について記載してございます。
 この制度は、冒頭にございますように、外国価格と著しい乖離が生じないようにするための価格是正を図る制度として設けられておりまして、具体的には、真ん中の「算定ルール」の欄のとおり、米、英、独、仏のうち、2か国以上の平均価格を外国平均価格として、その1.25倍を上回る場合には薬価の引下げ、0.75倍を下回る場合には引上げを行うといった運用を実施しているものでございます。
 外国平均価格調整につきましては、上の四角囲みの3ポツにございますとおり、新規の収載時だけでなく、薬価改定時においても行われることとされておりますが、その場合は、引下げ調整のみを行うルールとなっておりまして、引上げ調整は行われないこととされております。
 一番下の赤囲みでは、この点を「課題」とさせていただいておりまして、外国薬価が比較的高く算定される可能性がある医薬品につきましては、海外で上市してから、日本で薬価収載する形を取ったほうが、外国平均価格調整で薬価の引上げが行われる可能性が高いということになりますので、企業にとっては、新薬を日本よりも先に海外で上市する傾向を助長する仕組みになってしまっている懸念があるとさせていただいております。
 17ページが、外国平均価格調整の適用の実態をお示しした図でございます。
 年度ごとの新薬のうち、価格調整が行われた品目の割合をお示ししておりまして、薄い青の部分が、外国平均価格調整が行われなかった品目。
 黒が引上げ。
 濃い青が、引下げが行われた品目となっております。
 この図からは、多くの品目が外国平均価格調整の対象となっておりませんが、その理由を下の赤囲みで記載しております。
 多くは、外国で承認されていない、あるいは1か国分しかないといった形で、参照できる外国平均価格が得られないものが多くございました。
 また、1.25~0.75倍の範囲に収まっているものもございますが、その割合を見ますと、日本の薬価のほうが若干低い品目が多い傾向となっております。
 18ページでございます。
 こちらは、今御説明してまいりました新規収載時の薬価に係る課題につきまして、まとめを記載させていただいております。
 繰り返しとなりますが、真ん中の段のとおり、類似薬効比較方式、原価計算方式で算定された薬価につきまして補正加算、外国平均価格調整がそれぞれ行われて、最終的な薬価が計算されることになりますが、それぞれ補正加算と外国平均価格調整につきまして課題を再掲させていただいております。
 この課題につきまして、19ページに論点を記載させていただいております。
 補正加算につきましては、薬事承認における品質・有効性・安全性の評価と、薬価算定における革新性や有用性の評価は目的が異なることから、評価対象や範囲が必ずしも一致しないため、薬事承認のために提出されたデータを基に革新性や有用性を評価することには限界があるのではないか。
 特に希少疾患や小児を対象とした医薬品や再生医療等製品において、もともと客観的に評価できるデータに限りがあるため、このような医薬品における革新性・有用性を適切に評価するためには、補正加算の在り方や仕組みについて、新たな検討が必要ではないかとさせていただいております。
 もう一つの外国平均価格調整につきましては、海外で先に上市するインセンティブとなってしまっている懸念を解消するために、薬価収載後の外国平均価格調整、先ほど引下げのルールしかないと御説明した部分でございますが、この在り方について検討してはどうかとさせていただいております。
 20ページには、参考としまして、欧米における新薬の保険収載時の価格決定の仕組みについて、概要を記載してございます。
 21ページでございます。
 今度は、新薬が薬価収載され、発売された後の特許期間中の評価の在り方についてでございます。
 2つの制度がございまして、マル1は新薬創出等加算についてでございます。
 22ページからは、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の経緯を解説してございます。
 この制度は、初めは、平成22年度の薬価制度改革におきまして、薬価改定による薬価の引下げが開発コスト等の回収の遅れにつながり、当時問題となっておりましたドラッグ・ラグにも影響しているのではないかと指摘があったことを踏まえまして、特許期間中の新薬の薬価の維持を行うという趣旨で制度が導入されたものでございます。
 左側の「品目要件」につきましては、乖離率が平均乖離率を超えないもの、大幅な値引きが行われていないものは全て対象。
 右側の「企業要件」につきましては、厚生労働省からの未承認薬の開発要請に適切に対応できていない企業が除外される形になっておりまして、当時は幅広い品目が対象となっておりました。
 その後、下の平成26年に移りまして、緑色の四角のとおり、開発要請等を受けていない企業でも、新薬創出等加算により薬価が維持される制度になっているのは不公平ではないかという御指摘がございまして、右側の「企業要件」が追加されております。
 開発要請等に応じた企業であるか、または小児、オーファン、あるいはアンメット・メディカル・ニーズ等の分野の研究開発を行っている企業のみが対象となるように、企業要件の変更がなされております。
 さらに、次のページでございますが、その後、緑色の部分のとおり、企業要件さえ満たせば、その企業が販売する全ての新薬が新薬創出等加算の対象となるのはおかしいのではないか、革新性の低い医薬品も薬価が維持されるのは見直すべきではないかという御指摘がございました。
 また、もう一点、乖離率の条件が、薬価の高止まりをさせているのではないかという御指摘もございまして、平成30年に、さらに制度の改正が行われております。
 具体的には、左側の「品目要件」が大きく変更されまして、希少疾病用医薬品や画期性加算などの補正加算の適用品目などに限定されるという条件が課されております。
 さらに、右側の「企業要件」についても変更されまして、革新的医薬品の開発とかドラッグ・ラグ解消に対して、各企業がどれだけ取り組んでいるかを評価し、加算率の傾斜をつける評価制度が導入されております。
 詳しくは、後ろのページで御紹介させていただきます。
 24ページでは、現在の品目要件を記載してございます。
 研究開発コストの回収が比較的難しい製品を含めまして、革新性・有用性の高いものの薬価を維持するという観点から、真ん中に記載してございますマル1からマル8のいずれかの要件に該当する製品のみを対象とすると定められてございます。
 25ページでございますが、企業要件の解説でございます。
 先ほど申し上げました企業の評価指標が左側の表でございまして、例えば国内での臨床試験を多数実施しているかとか、新薬を多数発売しているかなどといった項目ごとに企業ごとに加算していきまして、その総得点をもって、右側の区分の表のとおり、ポイントが高い企業、上位25%の企業は、加算係数1.0。つまり、引き下げられた薬価の1倍を元に戻す、薬価が維持される形となっておりますが、それ以外の残り75%の企業は加算係数0.9または0.8となり、引き下げられた薬価は完全には戻らない、薬価は維持されない制度となっております。
 このため、下の赤囲みに「課題」として記載させていただいておりますが、現在の企業要件制度は、多くの新薬創出等加算対象品目の薬価を下げる、維持できない仕組みになっておりまして、日本市場の魅力低下につながっているのではないかという点が1点目。
 2つ目のポツですが、先ほど御説明しました企業指標は、臨床試験の実施数とか、過去の収載品目数などの項目がございまして、大手の企業に有利な一方で、現在の開発主体となりつつありますベンチャー企業等にとっては不利な制度になっている点を2つ目の課題として挙げさせていただいております。
 26ページは、背景としてお示ししておりますが、日本ではまだこれからでございますが、ベンチャー、スタートアップ企業が世界の医薬品開発の主流となってきていることとか、M&Aではなく、それらの企業が自ら薬事承認を取得するといったケースが増えてきていることについて、関連するデータを参考としてお示ししております。
 27ページも、参考としまして、欧米の薬価の見直しの仕組みの概要について記載してございます。
 28ページには、この項目の論点としまして、先ほど御説明しましたように、日本の市場の魅力を向上させて、革新的医薬品の早期上市を図るためには、海外の制度と同様に、特許期間中の薬価を維持できるような仕組みについて検討してはどうかというのが1点目。
 また、既存の新薬創出等加算におきましては、革新性等の高い医薬品開発の主流となりつつあるベンチャー企業発の新薬の導入を促進するような企業要件の在り方を検討してはどうかとさせていただいております。
 29ページでございます。
 ここのページからは、もう一つの制度でございます市場拡大再算定につきまして記載してございます。
 30ページには、制度の概要を記載しております。
 国民皆保険の維持を目的として、薬価収載時の前提条件が変化し、市場規模、つまり売上げが予想に比べて一定以上拡大した医薬品について、拡大率に応じて薬価を引き下げる制度でございます。
 下にございますが、海外においても、イギリスやフランスにおいて同様に、大幅に市場が拡大した場合に、支出を抑制する制度が導入されております。
 31ページには、この後の御説明のために、類似薬などの用語の定義を記載しております。
 一番大きな範囲の類似薬、黄色い枠でございますが、効能・効果や薬理作用などから見て類似性があるもの全般を指す用語として類似薬を定めております。
 次に、赤枠の比較薬(最類似薬)でございますが、類似薬のうち、類似薬効比較方式で薬価算定をする際に、参照先の医薬品のことを指しておりまして、類似薬の中で最も類似するものに該当しますが、これを比較薬と呼んでおります。
 さらに、緑色の枠の「薬理作用類似薬」はもう少々広い範囲でございまして、同一の効能・効果や投与形態を有していて、薬理作用が類似しているもののグループを指す用語として定められております。
 これを前提としまして、32ページでございますが、再算定の各制度の解説をしてございます。
 大きく「市場拡大再算定」「用法用量変化再算定」「効能変化再算定」の3つがございまして、これまでの業界ヒアリング等におきましても、特に1番目の「市場拡大再算定」が懸念として挙げられております。
 赤字で示しておりますとおり、当初の予想を超えて、売上げが大きく拡大した医薬品が対象とされておりまして、特に問題視されておりますのが、真ん中の列にございます「再算定の対象となる類似品」の部分でございます。
 市場拡大再算定制度では、売上げが伸びた品目だけでなく、ほかの企業が販売する薬理作用類似薬につきましても同様に薬価の引下げが行われる、いわゆる共連れとも呼ばれる制度が導入されております。
 その点につきまして詳しく御説明しておりますのが、33ページでございます。
 売上げが伸びた品目の薬価を引き下げる市場拡大再算定自体は、従来から導入されておりましたが、平成12年に初めて、売上げが伸びた当該品目だけでなく、類似品についても、市場で競合していると考えられるとして、薬価の引下げを行う仕組みが導入されております。
 具体的には、類似薬効比較方式の比較薬として参照された医薬品、つまり、薬価算定上の言わば親となる品目でございますが、親となる品目の薬価の引下げが行われた場合には、参照を行った、子供に相当する医薬品についても同様に、薬価の引下げを行う形とされておりました。
 平成12年以降は、そのような運用が続けられておりましたが、平成20年には、高血圧治療薬の売上げが増加していることを背景に、再度制度の改正が行われまして、先ほどの例で申し上げますと、子供の売上げが伸びた場合でも、親の薬価の引下げが行われない、あるいは親子の関係がなくても、市場で競合している類似薬の薬価の引下げが行われないことが問題視されまして、引下げを行う類似薬の範囲が、全ての薬理作用類似薬にまで拡大されております。
 その後は、平成28年に、C型肝炎治療薬の売上げ増加などを踏まえまして、市場拡大再算定の特例が設けられまして、1000億円以上などの非常に大きく売上げが伸びた品目については、大きく薬価の引下げも行う制度が導入されております。
 34ページでは、再算定の実施状況を記載してございまして、先ほど申し上げました、類似薬の引下げが導入された平成12年以降、黄色い部分が該当いたしますが、類似品の引下げが一定程度を占める形で実施されている状況でございます。
 35ページでございます。
 若干繰り返しになりますが、再算定対象品目の考え方の変遷についてお示しさせていただいております。
 真ん中に平成20年の囲みがございますが、平成20年度の制度改正におきましては、市場で競合している医薬品について、公平な薬価改定を行うという観点から、比較薬だけでなく、全ての薬理作用類似薬まで再算定を行うとして範囲が拡大されております。
 一方で、下の赤囲みに「課題」を記載してございますが、当時と状況が異なっている点としまして、バイオ医薬品を中心に、特に抗がん剤とか、代謝性疾患分野におきまして、1つの製剤で複数の効能・効果を有する製剤が多くなってきていることから、他社の製品の薬理作用類似薬として再算定の対象となるリスクが増加し、事前に想定していないような再算定が行われるなど、予見可能性の低さが顕在化してきた点を課題として挙げさせていただいております。
 企業側から見ますと、再算定の対象となるリスクは、投資コスト回収に当たってのリスクとなり、日本への上市を見送る一因となっている懸念があるとさせていただいております。
 また、この点につきましては、3つ目のポツでございますが、アジア諸国での薬価算定において、日本の薬価が参照されていることもありまして、再算定により引下げが行われた後の価格を参照されることを忌避するために、結果として、日本への上市順位を低下させる懸念につながっているとさせていただいております。
 関連しまして、36ページには、先ほど申し上げました日本の薬価を参照している国の事例を挙げさせていただいております。
 中国、韓国、台湾では、それぞれの薬価算定時において、日本の薬価も参照されているところでございます。
 37ページでございますが、この項目の論点としまして、企業における予見可能性向上のためには、現在の新薬の開発動向を踏まえ、再算定が行われる際の市場で競合している品目、いわゆる類似薬でございますが、これらの再算定の在り方について見直す必要があるのではないかとさせていただいております。
 38ページからが、後半の「2.革新的医薬品の迅速な導入に向けたさらなるインセンティブ等の在り方について」としまして、こちらでは、これまで御説明いたしました個別の制度の在り方の議論から、さらに進めた改善策について検討させていただきたいと考えております。
 39ページ、40ページにつきましては、これまで御説明してまいりました各制度の課題、論点について、改めてまとめて記載させていただいております。
 41ページでございますが、これまでの検討会におけるヒアリングにおきまして、今回のテーマでございます、新薬の薬価収載や特許期間中の薬価の維持に関しまして、業界団体やシンクタンクから御提案いただいた施策について、表形式で概要をまとめさせていただいております。
 御覧いただいておりますとおり、様々な御意見をいただいておりますが、新薬の薬価収載につきましては、イノベーションや有用性を適切に評価した薬価とするべきという点とか、特許期間中については、予見可能性を向上させるべきといった大きな方向性につきましては、いずれの御提案につきましても共通しているのではないかと考えております。
 42ページには、個別のテーマとなってしまいますが、補足的な御意見として、EFPIAより、補正加算の要件の一つとなっております先駆的医薬品制度につきまして、指定要件の厳しさとかプロセス等の観点から、積極的に活用できる制度になっていないのではないかという御指摘もいただいておりますので、改めて御紹介させていただいております。
 関連しまして、43ページには、具体的なデータをお示ししておりますが、米国における先駆的医薬品制度と同様の制度でありますブレークスルーセラピーと比べますと、指定された品目のうち、承認を取得した品目も少ない状況となっております。
 また、赤囲みの「指定要件」につきましても、欧米に比べると厳しいのではないかという指摘がなされております。
 44ページからは、改めまして、国内未承認薬の状況に関するデータを複数掲載させていただいております。
 44ページは、以前の検討会でもお示ししておりました、国内未承認薬が増加していることを示す表でございます。
 こちらにつきまして、45ページ以降に、より詳細に分析したグラフを掲載してございます。
 45ページは、国内未承認薬のうち、ファストトラックやブレークスルーセラピーなどの制度において、FDAから医療上の必要性が評価されて、指定されている品目が多く含まれていること。
 また、オーファン(希少疾病用医薬品)の指定についても、同様の傾向を示しており、医療上、特に必要と考えられる医薬品の患者アクセスに影響を与えている懸念があるとさせていただいております。
 46ページは、また別の分析でございますが、未承認薬を薬効分類別に示したグラフでございます。
 上の四角囲みの中で下線を引かせていただいておりますが、開発情報のない、つまり、日本で開発に着手されていない品目が145品目と半数以上を占めていることが明らかとなっております。
 開発に着手されていない品目ということですので、このままでは、日本では上市されない可能性が高い品目ということでございます。
 46ページでは、先ほど申し上げました、日本での開発情報がない品目のうち、特に多い疾患領域である抗がん剤とか神経系の薬剤につきまして、代表例をお示しさせていただいております。
 赤囲みの部分にございますように、希少疾患や難病に対する医薬品、疾患領域における新しい薬剤なども含まれておりまして、また、右側にございますように、オーファンとかブレークスルーセラピー、ファストトラックに指定されている品目も多く含まれております。
 こういった医薬品の日本への導入を速やかに進めるためには、どのような取組が考えられるかということで、最後のページに、さらなるインセンティブ等の在り方に係る論点をまとめさせていただいております。
 1点目は、企業の予見性を高め、革新的新薬の日本への上市を進める観点から、現行制度において、前半で御紹介したような課題を踏まえ、既存制度の見直しを検討していくことが必要ではないかという点が1点。
 一方で、1つ前のページで御紹介したような希少疾患・小児・難病の治療薬など医療上、特に必要な革新的新薬が、欧米では革新性や有用性が高いとして既に承認されているにもかかわらず、日本においては未承認となっている。こういう実態を踏まえれば、このような医薬品の迅速な日本への上市を進めるためには、さらに一歩踏み込んだ、以下のようなインセンティブの検討が必要ではないかとさせていただいております。
 特に今後、希少疾病・小児・難病等への治療薬として開発の主流となる薬品、バイオ医薬品とか再生医療等製品や、それらを開発する企業、ベンチャー企業が主流になっている点に対して、適正な評価を行える仕組みになっているのかどうか。
 言い換えますと、現状や今後の産業の動きに合った制度となっているのかどうかといった点につきまして、御意見をいただきたいと考えております。
 また、議論に当たりまして、事務局から一つの案として、方向性をお示しさせていただいておりまして「インセンティブ及び課題」として記載させていただいております。
 まず、収載時の薬価算定に関しましては、希少疾病・小児・難病の治療薬といった革新性・有用性の高い医薬品についても、医療上の必要性や新規モダリティ等のイノベーションを適切に評価し、薬価に反映できるような新たな薬価算定方式について検討してはどうかという点が1点目。
 さらに、薬価の維持に関しましては、希少疾患・小児・難病の治療薬などの革新的新薬について、特許期間中においては、市場拡大再算定の対象としないといったことも含めまして、薬価を維持する仕組みを検討してはどうか。
 その場合、当然ながら、効能追加等を行って、市場規模が拡大された場合は除くこととなります。
 さらに、上記に加えまして、臨床現場での評価を医薬品の価値として薬価に反映させるために、上市後、一定期間後に再評価を行って、その結果を薬価に反映するといった仕組みも併せて検討したらどうかとさせていただいております。
 また、実行上の課題としまして、4ポツ目でございますが、薬価算定において、医薬品の多様な価値を評価する場合、薬価収載までの期間を遅延させないことを前提に、評価方法の検討とか、評価機関の体制強化が必要であるか、その点についてどう考えるか。
 また、財源確保についてもどのように行うか。
 財源の観点につきましては、これまでの検討会でまとめていただいております論点の中でも、全体的課題とさせていただいておりますので、次回以降の有識者検討会で改めて議論させていただく予定でございます。
 最後に、関連する話題としまして、薬価の加算にもつながる先駆的医薬品指定制度、革新的新薬の迅速な上昇を図るために、この制度につきましても、より円滑に活用される方策を検討してはどうかとさせていただいております。
 また、括弧で記載しておりますが、臨床試験等の環境要因に関する課題につきましては、次回以降の検討会で議論させていただく予定としております。このような点につきましても御意見いただきたいと考えております。
 資料1につきましては、以上でございます。
 また、資料2につきましては、今御説明しました各種制度に関する詳細な資料とか、これまでのヒアリングで各団体から御説明いただいた資料を参考資料として掲載しておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これから皆様と一緒に議論を重ねていきたいと思いますが、ただいまの資料でございますが、なかなかボリュームが多いので、少し分けながら御発言いただければと思います。最初に「1.現行制度における課題と論点」についてご議論いただきたいと思います。この中で、最初は、新薬の新規収載のときの評価の在り方と課題について御説明があったわけです。
 その後、21ページ以降になるかと思いますが、特許期間中の評価の在り方ということで、上市後の評価の仕方ということで新薬創出加算と市場拡大再算定についての詳細な説明と課題についてお話があった。
 2番目が「革新的医薬品の迅速な導入に向けた」ということで、さらなるインセンティブの考え方ということで、資料は、1の現状についての課題をもう一度明らかにした上で、各団体からの主張をここで整理している。
 そういう中で、さらなるインセンティブ等の在り方について考えてほしいということだと思うのですが、考えますと、前半部分では現行制度の課題を出して、それをどのようにしていくかということで、後半部分のさらなるインセンティブとは、現行制度を修正するだけでなく、さらに、今までにないような仕組みもあれば、ここで議論してほしいと。
そういう御意見だと理解いたします。そのような心持ちでと言いながらも、様々なものが絡み合っておりますので、あっちに行ったり、こっちに行ったりすることは仕方がないと思いますが、議論を整理しながらお話しいただければと思います。
 そこで、一応、議論の中身を3つに分けまして、最初は、ページ数で言えば3~20ページになりますか、現行の薬価制度の中での新薬の新規収載のときの値づけの問題について少し御議論いただければと思います。
 その後に、上市後の評価ということで、事務局は、新薬創出等加算の課題と市場拡大再算定を挙げました。
 あるいは、それ以外でも結構でございますので、その辺について御意見、御主張いただければと。
 3番目に、それらも含めまして、現行制度の加算率をさらに変えるとか、現行の仕組みで対応できるのであれば、それはそれで結構なわけですが、また新しい仕組みが必要だと思うのであれば、そういう話は最後のところでまた御意見いただければと。
 このように考えておるわけですが、説明のさらなる質問についても結構でございますので、まずは、新薬の新規収載の評価についてということで、ページ数で言えば、3~20ページになりますが、その辺りについて御意見を承れればと思いますが、いかがでございましょうか。
○坂巻構成員 よろしいでしょうか。
○遠藤座長 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 今、遠藤座長から、議論の方向性を非常に詳しく整理していただきましたが、それでももう少し教えていただきたいのですが、最終的に提言をまとめるときに、今のお話のとおり、まず、現行制度について、現行制度の手直しで解決できるものについては、そこはそれとして提言して、それでは不十分なものについては、新たな制度という形で、2段構えでの提言になるという理解でよろしいのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 そこは、今日の議論も踏まえながら、最終的にどういった提言の在り方があり得るのかを考えたいと思いますが、一つの考え方として、今、坂巻先生がおっしゃったように、現行制度での対応と、それでは収まり切れないものについては、新しい仕組みとして提言していくことも考えられると思っております。
○坂巻構成員 分かりました。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょうか。
 三浦構成員、どうぞ。
 失礼しました。成川構成員、どうぞ。
○成川構成員 ありがとうございます。
 最初に、事務局の方に、こんな膨大な資料と論点をおまとめいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 その上で、私からは、最初に、値づけのところについて、3点コメントさせてください。
 1つ目は制度改革の経緯というか頻度について、2つ目が補正加算について、3つ目が外国平均価格調整についてです。
 1点目の改革の歴史ですが、私自身、厚生労働科学研究費を頂いて、薬価制度の抜本改革の影響の調査を長くやってきました。抜本改革は2018年4月でしたが、その年の秋頃に1度、それから3年後の2021年の秋に2度目。先発品を出している企業70社くらいを対象にアンケート調査をさせていただきました。
 その中で、いろいろな意見があったのですが、個別の算定ルールの変更、具体的には新薬創出等加算の対象品目の見直しとか、中間年改定についての懸念を表明する意見がかなりあった一方で、投資回収の予見可能性の低下を危惧する御意見がかなりありまして、そこはすごく印象に残っていることを紹介いたします。
 御案内のように、医薬品の研究開発は、かなり長い期間を要するものでございまして、私たちの身の回りにある商品の中でも、とりわけ開発期間がかかるものですから、そういったものも考慮した上で制度改革を考えることは、地味かもしれないのですが、重要なポイントかと思っております。
 予見可能性を高めるやり方は、いろいろな手法があると思うのですが、そういったものを念頭に議論していくことがとても重要だということがまず1点でございます。
 2つ目が、補正加算についてです。
 これは、今日の資料の中にもあったのですが、これまで加算率自身はずっと引き上げられてきていて、今は幅で規定されているということです。
 しかし実態としては、その幅の中でも、最低のあたりの加算率で運用されているのが事実だと思います。
 これは恐らく、過去の類似の事例とかとの並びで考えると、なかなか急に高い加算率をつけられないという事情もあるのかなと推測しています。私自身、2014年ですか、有用性加算の加算率をある程度客観的に算出するためのポイント制を提案させていただきました。実は、このポイント制をつくるときには、過去の事例をいかに合理的に説明するかということに力点を置いたものですから、未来に向かっての提案はなかなかできなかったのを思い出しているところでございます。確かに、最近の薬のモダリティも大分変わってきておりますし、それを開発する企業も変わっていることも踏まえますと、今までの加算の軸では捉え切れなかったものも含む方向での検討は有益なのではないかと思っています。
 具体的には、例えば難病とかオーファンドラッグ、小児の薬などですと、無作為化比較試験ができないのです。
 実際、加算のときの評価は、直接のいわゆるヘッド・ツー・ヘッドの試験の結果を重んじて加算の評価をしているものですから、そういうシングルアームの試験でのデータしかないようなものについても、何か間接的な比較とか、そういったもので薬のよいところを評価するとか、あるいは今までも議論が出ていますが、QOLとか介護者の方々の負担の軽減とか、今までの加算の軸にないようなものを少し考えるとか、製造方法が特殊な場合には、製造のコストなども何か加味するようなこととか、いろいろなアイデアがあると思うのですが、そういう加算の軸を考えてもいいかなというのが一つ。
 もう一つは、今、有用性加算1・2と画期性加算という枠があるのですが、それにとらわれず満たすべき項目みたいなものを決めてしまって、有用性加算1・2とか、画期性という枠を取り払って、加算率を直接出せるようなやり方などを考えてもいいのかなと思っております。
 長くなりましてすみません。
 3点目は、外国価格調整の話でございまして、事務局からの御説明にもあったのですが、企業の中には、外国平均価格調整で引上げをしてもらえるタイミングを待って、日本での上市を検討すると。
 もちろん、日本の上市タイミングはそれだけで決まるわけではないのですが、それも一つの考慮事項として、日本での開発のタイミングを考えているのは事実のようでございます。そういう意味では、上市後に、どこかのタイミングを決めて、引上げのほうも含めて外国平均価格調整を検討するのは、合理的なアイデアかと思っています。
 ただ、1点だけ申し上げておきたいのは、今、4か国のリストプライスの中には、例えば薬局の公定マージンが含まれている国もありますし、あるいは実際には償還額がディスカウントされていても価格リストに反映されていないケースもあるものですから、その辺は少し精査した上で参照するという工夫が必要なのではないかと思っております。
 以上です。
 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 非常に専門的な視点からも御指摘をいただいたと思います。
 どうもありがとうございます。
 それでは、三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 専門的な話ではなくて、あくまで印象としてということがありますが、そのことを踏まえて指摘させていただきたいと思います。
 今、最初に行う新薬の薬価算定のところから、その後の価格改定、それから最終的にということで、ずっと3段階で流れているのですが、恐らく、縦にもう一本流れがあって、これは、非常に分かりやすいいい資料を作っていただいております。
 明らかに特許薬の中に、2つのタイプの特許薬があって、非常に市場規模が小さくて、非常に開発コストがかかって、ある意味で(トル)採算が非常に取りにくいかもしれないけれども、非常に重要な薬だということで、ここで何度もお書きになっていらっしゃるオーファンドラッグというか、希少疾患を対象とした難病薬は、いわゆる薬価の評価が難しいと説明されている。恐らくそうだと思います。
 そして、その後の部分におきまして、厚労省の御提案として、まさにこういう薬については、評価を変えるのはある程度難しいところがありますから、ある一定期間薬価を維持しながら、何かが起こったときにそれを見直す形にしていく。ある意味で従来の薬価算定の方式から切り離してもいいのではないかといった提案ではないかと受け取りました。私は賛成です。
そうしますと、これはいろいろな言い方がありますが、私は特許薬と非特許薬という分け方をしてきたのですが、特許薬の中に非常に新しいタイプがある。再生医療等医薬品等も含めてなのですが、従来の薬価算定方式では扱うのは難しい、しかしながら、今後の医療にとって非常に重要な薬がある。
 そして、後のところでドラッグ・ラグになっているもの、あるいはドラッグ・ロスになっているものがどういう分野にあるかが示されています。明らかにこういうタイプの薬が多いとするならば、薬価制度上、特許薬の中においても、区分しながら取扱いをしていくという考え方はあっていいのではないか。
 それに合わせますと、最終的にどういったインセンティブが必要なのか、どういった研究開発体制とか支援体制が有効なのかという議論にも結びつきやすいのかなと感じました。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 委員長、ありがとうございます。
 まず、先ほどもありましたが、これだけの資料と論点をまとめていただきまして、事務局の方々には御礼申し上げます。
 本日は、革新的医薬品の迅速な導入についてということですが、言い換えると、短期的にはドラッグ・ラグとドラッグ・ロスの解消及び予防をしていこうということだと受け止めております。
 ドラッグ・ラグとドラッグ・ロスが生じている理由は、資料の中にありましたように、革新的医薬品の多くを、ここではあえてベンチャー企業と呼ばず、エマージングバイオファーマと海外でも使われている言葉を使いますが、そういったエマージングバイオファーマが海外で開発して承認を取るものの、それを日本で開発しないことにあると理解しております。
 革新的医薬品については、恐らく、今後もアメリカのエマージングバイオファーマが開発の主役だとすると、このままの状態が続けば、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスが拡大すると考えていいのではないかと考えています。
 彼らにとってみれば、重要な市場は、まずはアメリカであり、次いであるとすればヨーロッパであり、恐らくですが、多くの場合は、日本は視野に入っていないのではないかという印象を持っています。
 彼らが日本で開発しないのは、薬価制度だけでなくて、これまでも検討会で指摘されてきましたように、日本の薬事制度や治験環境にも課題があるでしょう。一方で、なぜ国内の製薬企業が彼らから開発品を導入しないのかという論点もあると考えておりますが、薬価制度が非常に重要な論点であるところは間違いないだろうと考えています。
 そこで、私から原価計算方式についてコメントさせていただきます。
 原価計算方式は、類似薬がない場合に採用されますので、革新的な医薬品の多くはこの方式で薬価が算定されると考えております。
 しかし、先ほど申し上げましたように、現状では、その多くが海外企業の開発品であることから、原価開示度が低く、加算率が0のケースも多くなっていると見ております。すなわち、革新的であるにもかかわらず、加算がつかない状況になっていると見ています。
 海外の新興バイオ企業(エマージングバイオファーマ)が革新的新薬の担い手になっている現在において、原価計算方式そのものの課題というか、限界があるように受け止めています。現状、類似薬効比較方式、原価計算方式の2つの方式に基づいておりますが、そろそろ新たな第三の方式が必要ではないかと思っています。
 これは、本日の後半の議論の対象かもしれませんが、例えば価値に基づいた計算方式を新たに立てることを検討してもよいのではないかと考えています。
 私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、川原構成員、お願いいたします。
○川原構成員 厚生労働省の方々、御説明ありがとうございました。
 とてもよくまとまっていたのではないかと思います。
 私からは、16ページの外国平均価格調整で少し質問させていただきたいと思います。為替レートがどのようにこれに影響しているのかというあたりを御質問させていただきたいと思います。
 100円のときもあれば、150円のときもあってというところで、為替がどのように変動しているかによって、外国平均価格調整もその都度変わってくるのではないかと思われます。例えば比較国の通貨での価格変動がどのように動いているのかを確認するというあたりも必要なのかなと思っています。
 円安局面では、外国平均価格は上がって、それはメーカーにとってメリットになり、円高局面では、逆に外国平均価格が下がって、メーカーにとってはデメリットになるのではないかと思われますので、為替レートの変動が外国平均価格との著しい乖離にどのように影響するのかというところで、これも一点考えておく必要があるのではないかと思いました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、事務局、お答えをお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 今の川原委員からの御質問につきましては、簡単に申し上げますと、基本的には算定する際の為替レートがそのまま適用されることになりますので、御指摘のように、為替レートの変動によって、時期によってといいますか、外国価格調整が適用されるかどうかにそのまま影響があるのが運用の実態でございます。
○川原構成員 分かりました。
 承知いたしました。
 企業からすると、外国平均価格調整があると考えると、なるべく円安のときに上市したほうがメリットになると。
 承知いたしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 ありがとうございます。
 また論点から外れてしまうかもしれませんが、世界の医薬品価格設定について見たときに、大体こういうやり方しかないのかなみたいな形で集約されるかと思うのですが、ちょっと前になりますが、私は2009年に、OECDが世界の医薬品価格政策について取りまとめたレポートを日本語に翻訳して出版したことがあります。
 全部紹介するわけではないのですが、それを見ていきますと、大きく4つぐらいに分けられて、もともとの英語で言いますと、internal reference。これはほかの類似治療と比較する仕組みです。
 2番目が、external reference。これは海外価格調整になります。
 あとはcost based、原価算定。
 あとはbudget impact。
 budget impactは、恐らく、調整の仕組みになると思うのですが、この4つぐらいに集約されるのだろうと思います。
 今日、日本での現行制度をベースに議論しているわけですが、まず、その前に、どういう価格設定のやり方があって、最終的には、budget impactは、恐らく直接の価格ではないのですが、今議論されているような類似薬効比較方式、原価算定方式。
 原価算定についてどうするかは、ほかのシンクタンクからも御提案があったけれども、そこは今日の資料では不十分かなと感じるところはあるのですが、あとはbudget impact。この3つぐらいのバランスをどう取るかというところの議論は最初にしておいたほうがいいのかなという気がします。
 その上で、例えば類似薬効比較方式に関しては、もう少し手直しをするとしたら、今日も議論がありましたが、そもそもどうやってほかの治療薬との比較を行うのか。
 イノベーションとか価値評価をするといっても、基本的には現行の何らかのほかの治療をベースにした上で、どのぐらいイノベーションが高まったのか、価値が高まったのかを考えるのであれば、どのようにそれを評価するのかということと同時に、業界からも御提案がありましたが、そもそも何と比較するの、類似薬だけでいいのか。
 類似薬がなかったら、ほかの類似治療と比較するという手段もあると思うのですが、そういったベースとして類似比較をするにしても、どのようなところを比較対象にするのかというところを議論として考えていく必要があるのではと思います。
 それから、これも論点から外れてしまいますが、価格をどう決めるかという議論とともに、これもこの会議体の中で御提案がありましたが、保険償還の範囲をどうするのか。これは恐らく、今後の論点になってしまうかもしれませんが、保険償還の範囲をどうするのかということも議論があったと思います。
 それから、これも今後の議論で構いませんが、今日の資料の中で、これもどうするのかなというところはあるのですが、世界の制度を見た場合に、例えば成功報酬型という言葉が使われますが、いわゆるリスクシェアリングであったり、分割払い型の形での償還であったり、そういった償還の方法をどうするのかというところも、一応、議論としてあるのではないかということですので、この部分については、今日の議論から外していただいて構わないのですが、新薬の薬価を決めるときの論点としては、もう一度あるということを確認させていただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 多様な視点を御提示いただきました。
 ほかにございますか。
 菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、これまでの議論も大変錯綜していた部分もある中で、非常にきれいにデータと論点をまとめていただきまして、感謝申し上げます。
 既にほかの委員の御発言と私の意見が重なる部分もあるのですが、先ほど芦田構成員も原価計算方式のお話をされておりましたが、私も非常に同じような意見を持っております。
 バリューチェーンの相違によって、開示の難易度は企業によって大きく変わると思います。そういった意味では、バリューチェーンが複雑化する中で、どこまでの開示を求めて、また、開示度に応じて加算をつけるわけですが、50%未満の加算がない状況は、現行の開発の状況には非常に合っていないだろうと思います。
 もう一つ、私自身が問題だと思っているのは、最終的な営業利益率を産業平均全体という形で調整をかけているのですが、ここに書かれているように、産業別財務データハンドブックという政策投資銀行のものを使うのですが、恐らく、これは私が知る限りでは、最近は32社のものを使っていると思います。例えば32社の内訳を見ていただくと、特定の名前を出すのは気が引けますが、仁丹とか、ほとんど漢方薬、点眼薬とか、ほぼOTCを販売している会社がかなり含まれております。正直に申しますと、国内産業の中でも、これが研究開発型の企業なのかという点において、かなり疑問符がつくようなものの利益率の平均になっていることになります。
 先ほど芦田構成員の話もありましたが、さらに言えばエマージングバイオファーマですから、グローバル市場の中でいうと、日本のこういった製薬メーカーよりもはるかに高い利益率を取って、初めてビジネスとしては採算が取れるだろうと考えます。今の原価計算方式は、現状のグローバルマーケット、あるいはグローバルでの開発のイノベーションの評価におきましては、非常に不十分といいますか、現実には合っていない制度と私自身は考えています。これについては、大幅な見直しが必要ではないかという意見でございます。
 もう一つ、補正加算についてでございますが、これは一言で言いますと、これから先、現行の薬事承認と保険の間のギャップをどのように解消するかというところが一つの大きな論点だと思います。
 品質・有効性・安全性を確保するということで、薬事承認をしっかりとやっていただくことは大事なのですが、当然、今も考えられておりますが、保険の価格を幾らにするかという部分に関しましては、国民目線でどれだけのメリットがもたらされるのかということをより明確にしていく評価軸があってもいいと思っています。
 先ほどもほかの構成員からもございましたが、患者のベネフィット、QOL、それから広い意味では、評価の方法を考えなければいけませんが、医療従事者の負担軽減とか社会的価値の反映と、これまでいろいろな団体から御意見をいただいておりました。難しいことももちろんありますが、これについて、我々は前向きに少し評価の方法を考えていく必要があるのではないかというのが私の意見でございます。
 取りあえず、以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、香取構成員、先ほどお手を挙げておられました。
 よろしくお願いします。
○香取構成員 ありがとうございます。
 皆さんのおっしゃっている御意見とほぼ重なるのですが、12ページがありますね。
 確認ですが、今の薬価算定方式の基本的な考え方は、類似薬効比較方式ですが、類似薬効の比較の仕方は1日薬価で比較するというのが基本的考え方ですね。
 初歩的な質問なのですが、例えば鎮痛剤だと1回投与して、鎮痛となるわけですが、例えば慢性疾患の薬とかがんの薬のように、クールとよく言いますが、一定期間の投与で薬効が実現される薬とか、あるいは通常、1日3回服用のものが1回でいいとか、要するに、遅効性の薬ですね。
 そういう形の薬は既に出ているわけですが、投与経路が違ったり、作用機序というか、そういうのが違っている薬が出てきた場合、同じような形で1日薬価を計算して薬価がつけられているのでしょうか。
 例えば今までは1日1錠だったものが3日に1錠でよくなったら、1日薬効が3倍だから、3倍の薬価をつけるというふうにつけてきたのでしょうか。多分、そうなっていないような気がするのです。
 つまり、今の基本的な考え方は、今、いろいろなお話がありましたが、既存の低分子薬は、1つの投与と1つの薬効が対応関係にあるという非常にプリミティブでシンプルな薬のイメージでつくられている。今の制度はそれをベースに積み上がっているような気がするのですが、これから出てくる薬、今既にそうですが、今までの薬とは全く違う、不連続なものが出てくるわけです。
 分子標的薬とか、個別化医療の世界になると、原価計算方式はそもそも無理ではないかというお話がありましたが、類似薬効方式も同じで、これから出てくる薬に対応できるような薬効の評価の仕方を考えないといけないのではないか。
 その中には、そもそも薬効とは何ですかという話があって、今だと薬効とは文字通り薬の効き方、効果だという話になるわけですが、その場合の薬効の評価のベースになっているのは審査データだと思うのですが、審査データの中には、それこそ医薬品の社会的な価値やモダリティとかはないわけですね。
 ということになると、今日の資料の最初のページに医薬品の製造、承認から上市までの絵が描いてありますよね。これは上市に至る一連のプロセスを示しているものですが、審査プロセスで出てくるデータとか、審査プロセスで行われている有用性とか安全性の評価だけでは薬の価格設定はできない、そういうことになるのではないでしょうか。
 現実に、画期性の評価をするのに、追加的なデータとかを要求されるわけですね。そうなったときに、通常のクリニカルデータからはそれが出てこないということになるので、言ってみれば、そこで追加的な資料が要求され、調査を行うみたいなことも起こっているわけです。
 そう考えると、この話は後でまた議論になると思いますが、薬価算定より以前の審査承認プロセスに関しても、いろいろと新規性のあるモダリティのものについての問題も出てきますし、全体として医薬品産業、あるいは医薬品の研究開発、あるいは医薬品そのものの形が変わっている。低分子薬からバイオになっていく中で、審査のことも含めて組立てを変えるという前提で物を考えたほうがいいような気がしてきたのです。
 もちろん、行政ですから、不連続の変化はできないのかもしれませんが、今の制度が持っている問題点を一個一個洗っていくと、かなり基本的な物の考え方を変えることになっていくのではないか。
 例えば今、坂巻先生からいろいろな評価の仕方があるというお話がありましたが、この種の非常に新規性の高い、言わば比較対象薬が存在しないような画期的作用機序や効能・効果を持っている薬について、まさにそういう画期的なものについて、どういう評価の仕方をするべきなのでしょうか。恐らく、どこの国でも考えながらやっていると思うので、そういうのも含めて、一旦、少し前提を取り払って議論してみることが必要なのではないかという気がします。
 感想めいたことですが、以上です。
○遠藤座長 冒頭に、何か事務局にお尋ねのようなことがあったようにも思いますが、事務局、答えられる範囲で結構でございますので、お願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。事務局でございます。
 私の資料の説明が不足しておりまして、申し訳ございませんでした。
 12ページの下の部分に注釈を記載してございまして、今、香取構成員より御指摘いただきました、クール単位などで治療を行う医薬品につきましては、物によりますが、1日薬価ではなく、クール単位の薬価で合わせるケースもございます。
 ただ、一方で、御指摘いただきましたように、多様なモダリティ、あるいは用法の医薬品が多くなってきていることもございまして、こういった計算が難しいケースも出てきていることも御指摘のとおり、事実でございます。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 香取構成員、よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、先ほど来オンラインでお手をお挙げになっておられますので、遅れまして申し訳ございません。
 それでは、小黒構成員、その次に堀構成員の順番でお願いしたいと思います。
 小黒構成員、どうぞ。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 私からは、幾つかコメントと質問をさせていただきたいと思います。
 菅原先生とかほかの先生もおっしゃっていましたが、現状の原価計算方式のやり方は、かなり無理がある部分もあると思います。ですので、ある程度価値に見合った形で薬価算定をしていくような仕組みについて考えていくことは重要ではないかと思います。
 あと、もう一人、三村先生がおっしゃったと思うのですが、保険に収載する時点で、価格にかなり注目してコントロールする方法を従来は取っていたと思うのです。
 ですが、希少疾患の薬とかも含めて、マーケット全体に占める規模(ポーション)が少ないものもありますから、そういったものについて、私も、別建ての評価という方法を考えていくことは、今後、非常に重要になっていくのではないかと思います。
 最後に、質問なのですが、先ほど川原先生が質問された16ページ目の外国平均価格調整なのですが、為替レートの影響がどう影響するかは、例えば少し前に、1ドル110円だったものが150円ぐらいに変動したり、場合によっては、昔は130円だったものが80円になったりするケースもあったと思うのです。そうすると、平気で25%上下するような、1.25倍と0.75倍の閾値を変動するようなケースもあると思うのです。
 そのときに、真ん中の「調整なし」が気になるのですが、これは実際にどうやって運用されているのか、もう少し御説明いただければと思います。
 例えばですが、為替が25%上昇した場合、あるいは為替が25%増加した場合、上下に変動するのはあると思うのですが、閾値を超えて変動した場合にどうなるのかということです。
○遠藤座長 では、事務局、お願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。事務局でございます。
 基本的には、先ほど川原構成員からの御質問の際にお答えしましたとおり、新規に医薬品の薬価の収載を行う際に、そのときの為替レートを反映する形で外国平均価格を算出しまして、それに基づきまして調整を行う形になります。
 先ほどのお話で、御説明が不足しておりましたが、そのときの為替レートと申し上げましたが、収載する際の過去1年間の為替レートを平均しまして、その為替レートを使って、外国平均価格調整に用いる外国平均価格を算出しております。
 お答えになっておりますでしょうか。
○小黒構成員 設問の仕方が悪かったかもしれませんが「現状」の3ポツ目です。
 ここに「薬価改定時においては」とありますが、引下げルールが導入されているわけですね。
 これなどは、どうやって運用しているのかということなのです。薬価の改定時の話です。
 要するに、為替は、大幅に減価したり、増加したりするケースがあると思うのですが、今は引上げルールはないということですが、引き下げるときに、すごい円高に急激に変わったりすると、状況によってはこの条件を満たしてしまう可能性もあるのではないかと思いますが。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。恐れ入ります。
 御質問は、16ページの「現状」の3ポツに記載しております、薬価改定時の新規ではなくて、収載後の改定時に、どのような運用がされているかという御質問と承りました。
 こちらにつきましては、2年ごとに行われます薬価改定の際に、その都度、前年11月時点の外国価格を参照し、その為替レートを用いまして、外国価格を参照しまして、引下げの適用の有無を判断する形で運用が実施されております。ですので、2年ごとのタイミングで実施していることになります。
○小黒構成員 なるほど。分かりました。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしいですか。
 それでは、堀構成員、お待たせいたしました。
○堀構成員 ありがとうございます。
 新規収載時の薬価の値づけのところで、論点として挙げられていることはまさにそのとおりだと思いますが、補正加算の在り方や仕組みについて、新たな仕組みの検討が必要ではないかとは思うのですが、具体的にどのような方向に進めるのかは決まっているのでしょうか。つまり、今の補正加算の算定方式を前提として考えるのか。
それとも、従来のように細かくいろいろと補正加算事項を決めて、適用基準を定める方法ではなく、全く違う方法、たとえば海外の事例が20ページにも紹介されていますが、企業と保険者の交渉、あるいは企業と国の交渉など従来と全く違う方法もありますが、そういうことも含めて検討できるということなのかどうかを質問させていただきたいのが1点です。
 もう1点目は、コメントで、テクノロジーの変化に伴って、モダリティの変化は、これまで私たちが考える以上に速いスピードで起きていると思いますし、そういう意味では、原価計算方式ですべて把握するのは限界があるのではないかと思います。
 日本の場合は、薬事承認すると、基本的に保険適用となりますが、先ほど別の委員の方がおっしゃったと思いますが、今日の議論ではないのかもしれないのですが、薬事承認されたものは、全てイコール保険収載なのかというところは、保険収載の範囲によっても議論は変わり得るのではないかと思っています。
 あとは国民の価値、あるいは患者の価値を多少なりとも反映できる仕組みを、もし新しい制度を検討するならば、どこかに入れられると良いのではないかと思います。
 1つ目の質問に加え、もう一つ関連する質問があって、15ページにある補正加算のところで、実質的に該当する要件や定量的評価の指標も定められていることに加え、議事録の公表と書いてあるのですが、企業側はこうした作業にどれだけの労力をかけているのか情報はありますでしょうか、また、そういうものは、企業の経費の中に算定されているものなのでしょうか。
 これは厚生労働省の方に聞くのではなくて、業界団体に聞くべきことなのかもしれないのですが、要は、補正加算のために提出する資料のために、どれだけの労力がかかっているのかというのが、もし何か分かりましたら、教えていただければと思います。
 以上です。
○遠藤座長 では、事務局、お願いいたします。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 まず、前段の補正加算についてのお尋ねについて、私からお答えさせていただきます。
 これは、我々のほうの整理がまだちゃんとできていないと思いますが、今までの委員の方々の御意見にもありましたように、そもそも何をターゲットに、要するに、どういったモダリティを前提に置くかによって、ここの議論は変わってくるのかなという感じはしております。
 我々の資料の中でも若干出ておりますが、既存のモダリティを前提とした場合に、それでも今の制度に課題があって、そういった場合、今の制度を前提として、どういった見直し手法が考えられるかというアプローチは一つ考えられるでしょうし、あるいは我々のほうも書いております希少疾病とか新しいモダリティを前提にすると、果たして、そもそもとして今の枠組みでしっかりとイノベーションの評価ができるのかどうかというところも一つ論点になるのだろうと思ってございます。
 後者につきましては、別途、今日の資料の中でも、2番で大きく書いてございますように、今の既存の枠組みにとらわれない形で様々な御意見をいただきたいと考えてございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、引き続き、事務局、どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 続きまして、事務局より、最後に御質問いただきました、薬価収載に当たっての企業側の労力の点でございますが、定量的にお答えすることはなかなか難しいのですが、各製薬企業ともに薬価算定、薬価収載に当たっての手続は当然ながら非常に重要視しておりまして、専門の部署とか専属の担当者を多数置いている企業が多いと聞いております。
 1品目ごとに収載手続をする際にも、数人での専門のチームを組んで当たっているような状況であると聞いております。
○堀構成員 ありがとうございます。それなりの労力がさかれているということですね。
 そういう数を。
○遠藤座長 堀構成員。
 何か追加で。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 城でございます。
 かなり労力を割くのかもしれませんが、薬事承認の後に新規のデータを取ったり、そういうことをするのはほぼないのです。
 論文を集めたりというか、最新の論文を出してもらったりはありますが、そういう意味では、データ収集のところでさらに手間をまたかけるということではなくて、まさに今までの臨床研究でのデータをどのように評価してもらうかというところでしっかりとつくり込んでくるという作業だと、私の経験からして、そんな感じで受け止めています。
○堀構成員 ありがとうございます。
 先ほどPDMAとは異なる視点や、患者の視点とかQOLというお話もあったので、そういうものに関するデータの収集が頻繁にあるわけではないと私のほうで理解していました。
 一方で、そういうものとは関係ないもののデータは、頻繁に出さなければいけないのかなと思った次第です。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 小黒構成員がまたお手を挙げておられますが、小黒構成員、どうぞ。
○小黒構成員 すみません。
 先ほど指摘しようと思っていて、忘れてしまったのですが、三村先生がおっしゃった市場全体に占める規模(ポーション)が小さい場合で、要は、AMR、薬剤耐性菌みたいな薬ですが、これは例えば御存じのとおり、サブスクリプションモデルみたいな定額払いのものであれば、5年か10年間ぐらいで200~800億円ぐらいだと見積もられているということですので、単年度にすれば、相当小さい規模(ポーション)だと思うのです。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 それでは、坂巻構成員、お願いいたします。
○坂巻構成員 原価計算方式に関しては、大体評判が悪いのも存じ上げているのですが、ほかの類似薬と比較して値段を決めたときに、原価計算より高い値段がつけばいいのですが、そうでないこともあるわけですね。
 特に、今議論になっている新しいモダリティ、これまで治療方法がなかったものに関しては、比較対象自体が存在しなくて、単価と比較しようと思ったら、既存治療、そのときは対症療法だったりすることも結構あるわけです。対症療法と比較すると、その治療自体は物すごく安くなってしまう。こういうものについて、価格設定はどうするのか。これは世界的に議論になっています。
 そういったものが中心になってくる中で、業界意見陳述のときにも、私は申し上げましたが、特に新しいモダリティに関しては、原価が高くなることが往々にしてあるわけです。
 ですから、原価計算方式に関しても残した上で、今はどちらかというと一番値段が安くなるような方法が採用されがちですが、原価の高いものに関しては、それをきちんと評価する仕組みとしての原価算定方式を残すことは必要だと思います。
 そういった意味で、冒頭に申し上げましたが、バランスを取った議論が必要なのだろうと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 さっき言いかけたことなのですが、先ほどの堀先生の質問に関係するのですが、今、城審議官は、価格交渉の過程で新しいデータとか、特にクリニカルデータも含めて、それこそ有用性についての新しいデータは要求しないと仰いました。
 もちろん、審査報告書の中には全ての申請データが入っているわけではないので、そこに出てこないデータもあるのでそれを見て、ということなのでしょうが、結局、それはどういうことかというと、薬事承認プロセスで評価されている薬の効果や有用性の範囲内でしか薬の価値を評価していない、ということでもあるわけです。
 つまり、今、ずっと議論しているように、モダリティの問題とか、例えば比較対象に薬はない、比較対象は療法だというような場合、どうなるのか。
 例えばシメチジンが上市されて、胃潰瘍の外科手術がなくなるとなったときの比較対象は、胃を切っている胃潰瘍の手術ですよね。そうなると、そういうのは、今の薬事承認のデータからはそんなものは出てこないので、評価の軸は、データとしては存在しないということになるわけですね。
 それを例えば申請してくる製薬メーカー側に、何らかの形で証明してこいと言えば、何をするのか分かりませんが、別の形で評価をすることにもなるわけですね。
 例えばイメージしてほしいのですが、今、製薬メーカーは、みんな一生懸命に認知症の薬を開発していますね。今は発生を遅らせるとか、あるいはアミロイドβの蓄積を阻害するような形で開発が進んでいるわけですが、それ自体は一定の薬効になるので、薬事承認上は、薬としては承認されると思うのですが、その薬が持っている価値を考えたときは、多分、その価値ではないわけですね。まさに極めて社会的に大きなインパクトのある、それこそアンメットニーズという言葉がありますが、そういったものとの関係で評価される。
 つまり、今、認知症は治療法が存在していないので、言ってみれば、ゼロに対して付加価値を生んでいく薬が生まれてくるということになるわけではないですか。
 そういうものを評価するのは、さっきも言いましたが、原価計算方式もそもそも無理だし、比較薬効でも無理。これからそういう薬が出てくることを考えて、評価の仕方なり、価値基準を考える。
 その意味でいうと、今はどんな薬も全部同じようなルールで、類似薬効と原価計算となっていますが、先ほど小黒先生もおっしゃいましたが、評価の仕方は、薬の態様によって評価軸とか組立てが違ってくる。一種そういうことも考える必要があるのではないか。
 その意味でいうと、まず、メーカー側に自分で価格を決めさせて、それで最初は走る、という案を製薬協が提案したと思うのですが、製薬メーカーの言い値で価値をつけるのもどうかとも思いますが、それなりに証明してくるというか、立証して持ってくるのであれば、取りあえずそれで収載して、2年後なり3年後、実際に上市した後、再評価して、それこそ薬の社会的な価値やそういうものも含めて評価して、そこで一定の薬価に落とし込んでいくのも、もしかしたらあるかもしれない。
 あるいはオーファンみたいな薬は、患者の数が決まっているわけだし、これは審査の問題にも関係するのですが、二重盲検をやる必要があるのかという気も僕はするのですが、そういう審査のプロセスも含めて、新しいモダリティや新しいタイプの薬については、今までとは別の考え方で評価する。まずそのためのプラットフォームを考えて、そこに評価の仕方をどう積んでいくか。
 具体的にどうするかは大きな問題なのですが、まず議論を始める際の組立て方として、そういう大きく構える議論の仕方をしたほうがいいのではないかという気がします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 それでは、取りあえず、この課題についてはこれまでということで、3番目の課題でまた同じような議論になる可能性もありますので、そのときに御発言いただければと思います。
 ただいまの御発言で、原価計算方式の課題はあるねというところ、あるいは類似比較方式にしても、比較対象がない場合があり、問題があるから、大きく変えるべきだという御発言が多かったと思います。私も現行制度に問題があることは同感です。
 ただ、政策論で考えていくときに、その先の具体策をどうするかというところが非常に重要で、新しい価値を評価するのは、何をどういう方法で評価するのか、誰が評価するのか。
 まさに費用対効果を導入するときに、あれだけ時間がかかったことを考えても難しい課題です。中医協の費用対効果の議論では、いわゆる支払い意思のアンケート調査をするかという議論までされました。これは、市場がない場合の価格を設定の方法として学術的には行われる手法ですが、具体的な政策として行うのは大変難しい。何らかの調査結果が出てきたとしても、ステークホルダー間の利害調整も絡んで結果の解釈が難しい。
 しかし、このままではいけないということで、インクリメンタルな修正だけではまずいということは御指摘の中にあったわけですので、インクリメンタルな修正でできるところと、そうでないところ、少し中長期的な議論と短期的な対応みたいなものを考えて進めることは意味があるのかなと、お話を承って感じておりました。余計なことを申し上げました。
 それでは、2番目の議題でいきますと、上市後の評価です。
 ここでは、新薬創出加算と再算定の話でありますが、ページで言えば21~37ページになります。これもいろいろと課題のあるところであります。
 いかがでございましょうか。
 それでは、芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 ありがとうございます。
 まず、基本的には、先ほど申し上げましたが、革新的医薬品の迅速導入を図る、すなわち、日本市場の魅力度を向上させるという観点に立ちますと、特許期間中の薬価を維持できる仕組みが必要であろうと考えております。
 その上で、今回、新薬創出加算についてコメントさせていただきます。そもそも新薬創出加算も、特許期間中に薬価を維持するということで導入されたわけですが、最初に導入された2010年には、ドラッグ・ラグを解消する目的から、企業要件が設けられたものと理解しております。
 しかし、その後、品目要件が設けられていることから、新薬そのものを品目ごとに評価すればよいのではないかと考えています。すなわち、企業要件や企業指標は必要ない。私はむしろ撤廃すべきだと考えています。
 先ほど申し上げましたが、現状、革新的新薬を開発しているのが海外のエマージングバイオファーマだとすると、エマージングバイオファーマは、恐らく、企業要件によって新薬創出加算の対象にならなくなっているのが現実だと思うのです。
 そうすると、彼らにとってみれば、アメリカやヨーロッパでは価格が維持できるのに対し、日本では上市後に価格が下がっていくと、そのように理解されていると思います。だとすると、企業要件を設けていること自体が、むしろ今のドラッグ・ラグおよびドラッグ・ロスを招いている一因とも考えられるのではないかと思います。
 したがって、先ほど申し上げましたが、企業要件については、事務局作成の論点は見直すという書き方をされていましたが、私は、むしろ撤廃していいのではないかと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 一つ、私から確認させていただいてよろしゅうございますか。
 企業要件の撤廃というときに、企業要件をどのように考えるかなのですが、新薬創出加算の枠組みとして、国から開発要請があって、それに応じない企業の場合は、薬価維持の対象から外すというのが基本にあるのです。
 それも企業要件だと思うのですが、それも外すということでしょうか。
 そもそもそこが新薬創出加算の一番のポイントであったと思うのですが、それも外してしまうということになるのでしょうか。
 企業要件と先生がおっしゃっているのは、ここでいう企業指標のような、個別の細かなところのことをおっしゃっておられるのであって、要請に応えなかったならば、対象から外すという基本原則も外すのかどうか。そこら辺はどういうお考えか、確認させていただけますか。
○芦田構成員 確かに、開発を要請して、応えなかった場合ということは、それはある意味日本で開発しないということですね。
○遠藤座長 そうです。
 だから、頼んでも、その薬は日本で開発しない、治験もしようとしないケースだと思うのですが。
○芦田構成員 例えば、大手企業を対象に考えると、1つの薬剤の開発を要請したのだけれども、開発しなかったので、企業要件を満たさないから、その会社を外しましょうというロジックなのかもしれません。しかし、現状では、多くの革新的新薬が、通常、少ない数の医薬品の開発をしているエマージングバイオファーマになっているわけです。
 だとすると、開発要請をしたけれども、それに応えないということは、その会社は日本で開発しない、すなわち日本に参入しないということだと思うのです。
○遠藤座長 なるほど。分かりました。
○芦田構成員 そのような理解で、今申し上げました。
○遠藤座長 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今の遠藤先生の質問について、私の考え方を言えば、それは他事考慮だと思います。
 これは結局、ある開発を要請したときに、うちはそれはできませんと言った。要するに、お上の言うことを聞かなかった企業ということになるので、その企業が別の新薬を持ってきたときに新薬創出加算の対象にするか、しないかという話ですね。それは物の考え方としてどうかという気がしますというのがまず一つ。
 もう一つは、今、芦田先生もおっしゃったことですが、今の新薬、特に画期的新薬を開発しているのは、ほとんどバイオファーマで、バイオファーマは、何本も開発のラインを持っているわけではないのです。
 大体みんなそれぞれに独自分野の技術があって、それを使って研究開発をしている。なので、そんなに幾つもパイプラインを持っているわけではないですから、それこそ魚屋さんに肉を扱ってくれと言われても、うちは魚しか扱えませんし、今魚を扱っていますという世界になるので、開発要請をして、それに応じなければということになれば、要するに、今、お話がありましたが、日本ではビジネスはしません、あるいは日本では研究開発をしませんということになるだけなのです。
 そういう意味で、かつてそれなりに意味があったのかもしれませんが、今の研究開発の現状を考えると、企業要件というか、政府との関係で要請を受けたか、受けなかったかという基準は設ける意味がほとんどない気がします。
 同様に、様々な企業指標もそうですが、例えば過去に開発の実績があったとか、オーファンについての一定の研究をしているとあるのですが、複数のパイプラインを持って研究開発している企業ということであれば、それなりの実績ということになるのでしょうが、今は、それこそ全く薬と関係のない世界でそういった研究開発をしている人たちがこの分野で薬を作り始めている。さらに言うと、これもお話があったと思いますが、最近は、自分で上市まで持ってくるバイオファーマが多いわけです。
 ベンチャー側も、そのことを前提に、最近は投資対象の数を絞って、1つ当たりのロットを大きくして、かつ、経営支援みたいなことも含めて支援をして、出口まで持っていってという形がどんどん多くなっていく。
 そうすると、まさにバイオベンチャー自身が自ら製薬企業の形になっていくのが今の大きな流れなので、そう考えていくと、彼らもまた製薬企業だという頭で考えたほうがいいのです。
 そう考えると、この種の企業要件は、既存のメーカーを想定しているものでもあるし、既存のメーカーをある意味優遇するような形にもなるので、さっきも申し上げましたが、現状、いろいろなものが変わっているので、私は、今や企業要件自体意味がない以上に、ないほうがいい気がします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 その辺の確認をさせていただきました。
 そうしますと、芦田構成員、香取構成員ともに、企業要件は完全になくして、品目要件は何にするかは別として、あくまでもそれぞれの品目について、意味があるものについては価格を維持するほうが望ましいのではないかという御主張だと理解いたしました。
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。
 菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 私の不勉強な部分もあり、一つ教えていただきたいのですが、開発要請をお願いする際に、役所からは、例えばこれは欧米で開発されていて、日本に欲しいけれども、まだ日本に入ってきていないと。
 先ほども資料の提示がありましたが、未承認薬の問題は相当深刻になってきているわけですね。
 その状況を見て、その企業に対して、これが欲しいからわが国への導入をお願いしますという形で開発要請をかけるという考え方でよろしいですか。
○遠藤座長 どのようにしているのかということですね。
 ちょっとお待ちください。
 お願いいたします。
 事務局、どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。事務局から御紹介させていただきます。
 参考資料の2ページ目、最初のページでございますが、こちらに制度の概要を記載させていただいております。
 厚生労働省内に医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を設けておりまして、こちらの中で関係学会とか患者団体などから開発の要望をいただきまして、その要望を踏まえて、この検討会議の中で医療上の必要性を評価させていただきまして、医療上の必要性が高いと判断されたものについては、企業に開発の要請を行う。
 基本、要請を行うのは、海外で売っている製品のメーカーの日本法人があるとか、開発できる可能性がある法人が日本国内にある場合には、そちらの企業に要請を行う。
 ない場合には、公募という形、いわゆる手挙げ方式で、どのメーカーでも構わないので、誰か開発してくれないかということで、厚労省のほうで公募いたしまして、実施する形で進めているものでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 よく分かりましたが、例えばそうやって導入開発をお願いしたけれども、実際にそれに応えてやろうといったときに、次に企業要件がはまってきて、例えば当該企業は、レトロスペクティブに、あまり日本では開発をやっていなくて、これから先は頑張ろうと思っているけれども、企業要件の加算要件の中ではあまり評価されないというパターンは起こり得ないのでしょうか。
 要は、海外でいい薬を作っている、日本には来ていないので、開発要請を受けました。
 ただ実際に、日本に製品を持ってきて、加算要件を照らし合わせたときには、ほとんど加算要件の上位25%に入らないことが実際に起こり得ないのかということを確認させてください。
○遠藤座長 どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、開発要請に応じる、応じないは、この制度でいうところの企業要件に該当いたします。
 今御指摘いただきました企業指標は、別の評価の軸になっておりますので、開発要請に応じたからといって、必ずしも企業指標が上位25%に入るわけではございませんので、御指摘いただきましたとおり、加算係数が0.9、0.8になってしまう企業が出てくることになります。
○菅原構成員 なるほど。分かりました。
○遠藤座長 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 ほかに。
 それでは、成川構成員、三村構成員の順番でお願いします。
○成川構成員 ありがとうございます。
 最初に、今議論になった新薬創出加算について、意見を述べさせていただきます。
 毎年大体40ぐらいの新しい有効成分の薬が承認されておりまして、それ以外にも、新しい剤形とかも含めますと、新薬として年50ぐらいが新規薬価収載されているのが実態であります。
 事務局の提案の中に、特許期間中の薬価を維持できると書いてあるのは、これら新薬全部を指しているのではないという理解はしつつも、新薬と一口に言いましても、臨床上の価値というか、画期性に大分開きがあるものですから、そういう意味では、その中でも画期的なものなど、品目を絞り込む要件は必要なのだろうと思っているのが一つです。
 それから、企業の要件でありますが、要するに、企業としての過去の実績とか努力に報いるべきなのか、あるいは新しく出てきた薬そのものの価値に重点を置くべきかということだと思うのですが、私自身としては、最近の開発企業のシフトとかそういったものを考えると、薬そのものの価値に重点を置くようなやり方のほうがいいのではないかと。つまり、企業要件はないほうがいいのではないかという意見を持っております。それが新薬創出加算についての意見でございます。
 それから、もう一点、再算定の話についてもよろしいですか。
○遠藤座長 結構です。
○成川構成員 市場拡大再算定について、事務局から歴史を含めて御説明いただきましたが、大元の理念は、最初に薬価をつけたときの前提条件が大きく変化し、かつ、市場規模がかなり拡大した品目に対して、当時、薬価をつけたときの前提のずれを補正するという意味で生まれてきている制度だと認識していますので、そういう意味では、一定の合理性はあるのではないかということが一つです。
 ただ、いわゆる共連れ、道連れというのですか、自分自身では市場規模がそれほど拡大していないとか、そういったものまで。ここは恐らく、公平性とか競争性といったものを重視して拡大してきている経緯もあるのです。
 確かに抗がん剤などは、1つの薬でいろいろな効能・効果、がん種について承認されるのが主流になってきていますので、公平性と予見性のバランスという意味で考えますと、少し拡大し過ぎているのではないかというのが私の率直な意見でありまして、その点については、今後、何か見直しをしていってもいいのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。
 三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 ありがとうございます。
 新薬創出加算制度についてということで、非常によく整理していただいて、大変よく分かりました。
 私は、平均乖離率が基準になっているのではないかとまだ思い込んでいたところがございまして、平成30年にそれがなくなって、品目要件になった。これで恐らく、この制度の性格が明らかに変わったというか、明確になったのではないかと思います。
 つまり、これは革新性・有用性の高い薬に関しては、それについて評価を上市後もしっかりとしていくことを前提として設定されているということであります。このことを前提としますと、最終的に、まだ現状の制度の整理の中にある、毎年の薬価改定において市場実勢価に基づいたという表現は恐らくなくなっていくと感じております。ですから、それを含めてという意味で、品目要件は大変大事であると思います。
 それと同時に、今の企業要件ということで、感じたのですが、最初にこの制度は、ドラッグ・ラグの解消を大きな目的としたために、それに頑張ってくれる企業に対するインセンティブという性格があった。恐らく、それが残っていることが企業要件だろうと思います。
 ただ、印象としましては、恐らく、国としても、こういった薬に対してはきちんと開発してほしいと要請し、協力してくれる企業に対しては、それなりの対応をするべきであるということも当然あり得ると思います。
 そのときに、例えば品目要件の中に開発公募品と出てくるのですが、ある意味で別建てにしていく。つまり、要請して、それが開発された後で、価格に対してきちんとそれなりの対応をする。市場に出た後でも、それに対してもきちんと対応しますよという形をしていけば、ある意味でドラッグ・ラグの解消に向けて、企業側がそれに対して協力していこうという話になる。
 今、遠藤先生が御指摘されたところは大変重要だと思うのですが、どうも2つの目的が同時に入り込んでいるので、少しそれを分けて整理するだけでも、この制度の意味が非常によく見えてくるのではないかと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 そういう意味で、企業要件は、ある意味、強力なディスインセンティブだったと言えますね。要請に応じない企業は非常に魅力的な価格維持という権利を失いますよというわけですね。それからいろいろあって、企業指標が加えられたということです。
 関連でしょうか。
 それでは、坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 遠藤先生のほうが詳しいわけですが、今、お話があったように、これはもともと価格維持をする仕組みだったのです。
 価格を維持するところで、当然、企業の利益が増えるから、そこは開発コストのかかるところと、ある意味相殺させるということで、新薬創出という加算の仕組みで価格を維持しようという仕組みだったと私は記憶しているのです。
 今まで議論してきたように、私自身も、企業要件を外すことについては賛成なのですが、そうすると、新薬創出という部分が全部なくなってしまうような気がするのですが、そこはどうするのかなと。そこは論点の中に入っていないので、検討する必要があるかなと考えています。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 そうなりますと、品目要件だけで引っ張るということになるわけですね。
 もともとドラッグ・ラグ解消というところから出てきたので、そもそもこんな方法でなく、別の加算でドラッグ・ラグ解消はできるのではないかという考え方もあるわけですが、それらも含めながら、できるだけいろいろな御意見をいただければと思っています。
 再算定のほうでも結構でございますが、何か御意見はございますか。
 共連れの話は先ほど出ました。
 それでは、三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 三浦でございます。
 資料をどうもありがとうございました。
 ちょっと違う観点かもしれないのですが、今皆さんがおっしゃっているように、28ページのまとめにありますが、特許期間中の薬価を維持するのを目指していただきたいという可能性がありまして、成川先生がおっしゃるみたいに、いろいろな医薬品はあるかもしれないわけですが、大きな方向性としては、薬価を維持するのは、メーカーの視点で考えますと、自分が丹精込めて作った製品が毎年下がるのは異常な感じがいたしまして、多分、世界のどこを見渡しても、日本の医薬品業界だけが毎年下がっていく。資本主義社会の中ではちょっとおかしい感じがいたしまして、そのように考えますと、特許期間の後で下がるのは物すごく分かるのですが、特許期間の間に下がるのは、やはりおかしいという感じがあります。
 普通のビジネスの流れから考えますと、そういうことがあったら、誰も投資しなくなるわけですから、特許期間中は薬価を下げないのを大前提にする。
 ただ、いろいろな項目とか、品種の違いがあったりしますから、そこはもちろん調整しないと駄目だと思うのですが、大きな方向性としては、一度決めた薬価はずっと維持する。OTCでも、普通の製品でも、一般的には、一度最初に決めた価格はずっと維持するのが基本なものですから、そのようにしていただくのがいいかと思いました。
 それと、思いましたのが、医薬品流通とかをやらせていただいているわけですが、医薬品流通でも、問題点がいろいろとたくさんございまして、例えば一次売差マイナスという話がありますが、メーカーが卸に売る価格、仕切り価よりも、卸が薬局に売る納入価のほうが安い、逆ざやと。これも多分、世界で希有な、あり得ない例だと思いますが、そんなことが起こってしまうわけです。
 それをメーカーの視点で考えますと、仕切り価を下げると、どんどん毎年薬価が下がる。したがって、メーカーの視点としては、仕切り価は高めに設定して、後でリベートとかアローアンスで形づくる、仕切り価は下げないとやられているわけです。
 それは毎年薬価が下がってしまうという恐怖感かどうかは分かりませんが、不安感があるので、したがって、仕切り価を維持せざるを得なくて、世界にまれな一次売差マイナスがずっと続くとか、最近の医薬品流通でも、1社流通品と問題になっていますが、メーカーとしては価格を下げたくないので、卸はたくさんあるわけですが、1社だけにあげると。
 もちろん、今までの来歴などもあるのでしょうが、そういったことにいろいろと質問とか批判があったりもするわけですが、それに関しましても、メーカーとしては、いかに下げないかということでいろいろと手を尽くされている感じがありまして、それで医薬品流通が非常にいびつな感じになってきている感じがあります。
 一番の大本はどこかと考えますと、毎年薬価が下がるみたいな感じがありまして、そういった意味では、大きな方針としては、一度決めた薬価は、特許期間中に関しましては下げないみたいなところでやっていただくと、もちろん、開発が世界的にもすごくよくなるだけではなくて、特に医薬品流通も、実際、毎年価格改定しないわけですから、価格取引なども、半分は非常に楽になるわけです。
 そのように考えますと、大きな方向性としては、もちろん、簡単でないのは分かっておりますが、医薬品開発と同時に、医薬品流通も改善していくという方向性で、特許期間中は薬価を下げない方向で御検討いただければと思いました。
 以上です
○遠藤座長 ありがとうございます。
 いろいろな御意見がございますね。
 現在、薬価を下げない方法は新薬創出加算だけですが、その中で、新薬創出加算は、現在では品目の要件と企業要件、企業指標で決まります。
 企業要件とは、開発要請に応じない場合は、価格は維持されないということで、また、加算率も企業指標で段階的に定められています。新薬創出加算の修正を議論する場合、企業指標をなくすけれども、企業要件と品目要件は残すという考え方と、企業要件をなくすという考え。企業要件もなくすということは、当然、企業指標もなくすわけですが、これはまさに先ほどの芦田構成員、香取構成員のおっしゃったことに近いわけでありまして、さらには、品目要件もなくして、特許期間中であれば価格を維持するというのが、ただいま三浦構成員がおっしゃっている内容だと。こういう理解でよろしいですか。
○三浦構成員 そうですね。大きな方向性としては、そこが最適だと思うのです。
 なかなか難しいところがあるかと思うのですが、そういった方向性を考えていくといいのかなという感じがいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 適切に理解していないといけないと思いまして、確認させていただきました。
 ほかにいかがでございましょう。
 菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 市場拡大再算定について少しお話をさせてください。
 今日の資料の中の7枚目の「薬価制度改革の影響」のスライドの中に、非常にきれいに書かれているのですが、製薬企業にとっては、投資コストの回収期間がきちんと守られて、その間にきちんと投資を回収できるのは非常に大事なことだと思います。
 そういった意味では、7枚目の右側の「投資コストの回収期間」の下側に赤い矢印が入っていますが、様々な制度上の予見性の変化みたいなものがあると、これが投資回収コストを延ばしてしまうことになるかと思います。
 そういった意味では、市場拡大再算定は、ここの予見性を低める、企業にとって非常に大きな要因になっていると私自身は理解しております。
 以前の資料の中にも入れさせていただきましたが、キイトルーダの例だったと思いますが、バイアル数は国内で非常に伸びているにもかかわらず、市場拡大再算定の影響で、売上げがどんどん落ちていく状況が御理解いただけたと思います。
 やはり企業努力、売上向上、マーケティングの努力を全てふいにするような薬価算定の在り方はいかがかと思いますし、先ほど共連れという話もありましたが、まさしく他社の販売動向で、自社の売上げまで大きく影響を受けてしまうのは、投資コストの回収の点でリスク以外の何物でもないと思います。
 保険財政上の措置という意味で非常に大きな意味があったことは、私も十分に理解しておりますが、薬価制度上、これから先のイノベーションの評価という意味においては、あまり適切ではないと思います。
 既にお話があったとおり、現下のバイオ医薬品の開発状況を見ますと、複数薬効・効能を持つものが出てまいりますし、また上市した後に、再評価の段階でそういったものが分かってくるものもあります。
 したがいまして、これから先、薬理作用の類似企業として、再算定の対象リスクが非常に高まることも起こってくると思いますので、リーズナブルといえる効能或いは用法・用量の追加の再算定は当然残すべきだと思いますが、それ以外の市場拡大再算定については、大幅な見直しが必要ではないかと私自身は考えております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 小黒構成員、手をお挙げになっておられますか。
 私のところに、伝令のメモが届くのですが、いつのメモだったか分からなくなってしまったので。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 僕が手を挙げていたのは、菅原先生と同じようなことを申し上げようと思っていたのですが、市場拡大再算定は、通常のものは見直しが必要だと思います。
 加えて言うならば、提言でも出ていましたが、キイトルーダみたいなものであれば、売上げ自体の規模も下がっていってしまったりすることもありますので、これはさすがにやり過ぎということで、最低でも売上げの規模が維持できるような形で見直しをする必要があるのではないかと思います。
 もう一つ、論点としては出ていなかった話になるのですが、川原先生が先ほど為替レートの話を出していましたが、円安の影響であったり、資源価格の高騰によって、製薬するときの原価のコストとかも相当上がっているのだと思います。
 そういったものを、今、イノベーションの評価という形で、薬のところで、上市した後の話をしているわけですが、消費税を増税したときには、一定程度改定で見直しをするわけですが、円安とか国内の物価が上がってきたときのルールが存在しないということです。
 我々が出している提言では、GDPデフレーターに連動する形である程度マクロ的にコントロールすると出していますが、何らかのルールみたいなものを考えていくことをしないと、今後、物価が上昇していったときに、相当難しい状況になっていくのではないかと思います。可能であれば、この辺も御議論いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 診療報酬全体、要するに、改定率は、そのようなマクロデータも加味しながら議論されているわけですが、個別の価格の設定ではところは、そのようなマクロデータなどは使っていないのが現状です。ただ例外もありまして、歯科用貴金属の公定価格は市場実勢価格に加えて素材の市況動向がある一定水準を超えますと、期中でも価格を変えております それでは、堀構成員もお手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。
○堀構成員 既にほかの委員の方がおっしゃったことにも重なるので、短く。
 薬価の特許期間中は配慮が必要だというのは、そのとおりだと思うのですが、新薬といっても、全く同じ性質のものではないので、そこのところは、一律に全てのものとしないほうがいいと思います。なので、先ほどから議論になっていた企業要件、企業指標、品目については、改めて検討が必要だと思います。
 それから、市場拡大再算定についてなのですが、30ページにも書いてありますように、国民皆保険の維持というところでは、財政的な予見可能性を高めるには、価値もあったと思うのです。
 ただ、「共連れ」とか当初予想していない問題も起きているので、解消は必要だと私も思います。
 一方で、これをもし完全に廃止する、あるいは変更するならば、それなりに代わりとなるような財源確保をする方法とか、国民皆保険との両立をできるような仕組みを同時に考えないと。今回、この議論ではないのかもしれませんが、そこは十分に考える必要があるのではないかと思います。
 要は、仮に市場拡大再算定が全くなかったとしたら、医療保険財政にどういうインパクトがあったか、先ほど菅原先生もおっしゃっていましたが、あるにはあったはずなので、それをなくす、あるいは変えるならば、その代わりに何をするのかというのを議論しないといけないのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 市場拡大再算定をどう考えるかですね。
 市場拡大再算定をどう考えるかですね。
 現実問題として、ここ数年、非常に高額な医薬品が上市されていますが、そのときの薬剤費の急速な膨張を抑制したのは、市場拡大再算定による薬価の引き下げだったわけです。そういうことを考えると、今後、どう考えるべきなのかということですね。 
 ほかにございますか。
 それでは、三村構成員からお願いします。
○三村構成員 ただ確認ということで、先生が先ほど整理していただいた企業要件なのですが、恐らく、私の意見は、ディスインセンティブではなくて、インセンティブ型企業要件という形でいいという意見に近いのだろうと思います。
 そうしますと、現状のままと企業要件を完全になくすか、企業要件の性格を変えるのかという形で、幾つか事務局に整理していただいて、その点について検討するのがよろしいのではないでしょうか。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせいたしました。
 成川構成員、お手を挙げておられますね。
○成川構成員 ありがとうございます。
 市場拡大再算定について、一言だけ。
 先ほど投資コストの回収という議論が出ました。
 今の手順では、新薬を薬価収載するときに、企業が自社製品の市場規模予測を出します。
 市場拡大再算定が適用される条件は、それを2倍だか、何倍かを超えたときに適用されるわけです。つまり理論的には、投資回収は少し早めに進んでいるということを付言させていただきます。
 ただ、それで下げ過ぎてしまい、当初の予想より下回ってしまっては確かに問題ですし、あとは関係ない企業の製品が売れたから、自分の製品もというのも、確かに気の毒に思うので、その辺りは見直す必要があるのかなと思っています。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘をいただいたと思います。
 それでは、3番目になりますが、ページ数で言えば38~48ページということで、これは資料を見ますと、事務局がまとめたものを再整理されたこれまでの議論。
 それ以外には、各団体からの御意見などが整理されているということですので、先ほど事務局から御説明がありましたように、これまでの制度のインクリメンタルなイノベーションではなく、何か抜本的に変えるようなことがあれば、ここで御議論いただきたいということで、既にその御発言もいただいているわけですが、その辺りについて何かあれば、承りたいと思います。
 あるいは団体からの意見を受けて、どう考えるかというご意見でも結構でございますので、いかがでございましょう。
 菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 最後の48枚目のまとめでございますが、新たなインセンティブの在り方に関する論点をまとめていただいております。
 一つ、先ほども一部の御発言の中に若干あったような気もするのですが、これから先、高額薬、非常にいいものだけれども、高い薬が出てきたときに、社会的には、それを保険の中に取り込みたいけれども、それをどのように償還していくかということは非常に大きな問題になると思います。
 そういった意味で、保険者にとっては、単年度の支払いで大きな額を一挙に拠出するのは難しいということがあると思います。償還方法の問題ですね。
 単年度の支払いではなくて、ある程度の期間の中で返していくことができれば、この間のC型肝炎の治療薬もそうですが、単年度では非常に保険支出は大きいのだけれども、中長期的に見れば、社会的に見て非常にコストベネフィットが高いものがあります。ら、そういうものを取り込むための償還制度の在り方も、新たなインセンティブとしてあれば、安心して大きな薬を持ってこられるということもあるのではないかと考えました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か。
 何でも結構ですと言うと、失礼な話だけれども、何でも結構でございます。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 ありがとうございます。
 今までも議論がありましたが、従来の方式では薬価算定がなかなか難しいとの意見がいっぱい出てくる中で、御提案にあったように、まず、企業に自分たちで価格を決めさせるのは、やり方としてはチャレンジしてみる価値があるのかなと思います。
 恐らく、そのときに、どういったものを対象にするのかというところが論点なのだと思いますが、事務局案では、希少疾病・小児・難病治療薬と限定されていますが、新しいモダリティを含めて、もう少し広めに考えてもいいのかなというのが一つです。
 それから、企業が自由につけるといっても、何らかの根拠は必要なのだと思うのですが、例えばQOLとか社会的生産性といったことについて、価値を企業が示して、この値段でつけたよということがあったとしても、では、それをずっとそのまま維持するのかというと、この資料にもありますが、どこかで見直しをしなければいけない。
 そうすると、市場に出た後に、その薬は本当に価値があったかどうかということを評価する仕組み、これはリアルワールドデータとかリアルワールドエビデンスという言葉がよく使われますが、そういったものと組み合わせるのだということも明示しておく必要があると思います。
 それから、最後なのですが、実際にこれを運用するときに、きちんと高い価格がつく仕組みを保証していることが必要だと思っています。
 今度、実際に価格を決めるのは保険局、中医協マターになるわけですが、例えば費用対効果評価などで見ても分かるように、どうしても値段を下げる仕組みしか使えないことが往々にしてあります。
 ですから、こういった企業が値段をつけるときにも、きちんと評価して、値段を維持する仕組みにする事務局案を最終的な提言書に入れるのであれば、ぜひそのことも含めて記述していただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、成川構成員、どうぞ。
○成川構成員 今の坂巻先生の御発言に関連してです。薬事の話も絡むのですが、これから条件付早期承認制度、あるいは先駆的医薬品などの数が増えていってほしいと思っているのですが、承認までにその薬の価値が十分には明らかになっていない段階で、多少無理をして薬価をつけて、保険適用することになります。
 そのこと自身は、いいことだと思っているのですが、それを事後に見直す仕組みは必要だと思っています。
 企業は、そういう早期承認であっても、一旦承認を取って、上市すると、安心してしまって、その後の有効性のエビデンスの蓄積にあまり力を入れない嫌いもあります。そういう意味では、薬事的な面から言っても、仮承認的な薬については、事後にデータを集めてもらうことは必要だと思います。
 ですから、そこに薬価の引上げみたいなことも絡めて、うまく回っていくようになれば、企業にとってもインセンティブになるし、エビデンスの構築、強化にもなるしということなので、その辺もぜひ具体的な対応案を今後、また議論させていただきたいと思っています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 具体的な制度設計は非常に難しいけれども、新しい試みではあるということだと思います。
 ほかにいかがでございましょう。
 小黒構成員、どうぞ。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 今まで出た提案は、全部非常に重要なものだと思います。
 なので、できるだけ検討いただければと思うのですが、先ほど堀先生がおっしゃっていましたが、そうなれば、当然、医療保険上の財源全体をどうコントロールするかという問題が出てくると思いますので、保険財政全体を見ていらっしゃる厚労省の視点、立場としても、マクロ的な何らかの仕組みにより、その辺の全体のコントロールみたいなものをどうしていくのかということを追記していただければと思います。
○遠藤座長 そういう意味で、財源についての話は、また別途行われるわけですね。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 はい。
○遠藤座長 それでは、ほかにございますか。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 実はここにも書いてあるのですが、今は年4回収載ですね。
 承認したものは、必ず全部収載する。
 今は、制度の前提としては、来たものは基本的には収載すると。もちろん、価格が折り合わなくて、収載が遅れるのはたまにありますが、そういうことになっているわけです。
 で、現実に今起こっていることは、上市しない人たちが出てきている。さらに言えば、承認も取らない人が出てきている。
 そういう中で、きちんとそういうものを導入していくために、どうするかという議論になるわけです。先ほどの話でいえば、諸外国の例などを見てもそうなのですが、単に薬効だけではなくて、モダリティや社会的価値、医療に対する貢献とかもきちんと入れて評価することになると、基準をどうするかということもありますが、それ相応の審査というか、保険に収載するための審査体制というか、手続が要ることになるわけですね。役人的なことで申し訳ないのですが、基準ももちろんつくらなくてはいけない。
 しかも、そうなってくると、携わる専門職も、薬事の専門家だけでは恐らく済まなくなる。人の手当てもしてそれなりの体制を組むことになってくる。これは審査承認の方も同じで、PDMAの体制のことも考えないといけない。根本的に考え直せとさんざん言っておいて、こういうことを言うのもどうかと思うのですが、現実に動かす体制をどうするかというのは考えないといけない。
 しかも、そんなに時間がなくて、世界標準についていけていない、どんどん立ち後れている状態の中でこれをやらなくてはいけないのですから、そこは相当真剣に考えないといけない。
 それから、今の財源の話ですが、平たく言ってしまうと、今、何が起こっているかというと、大変言葉は悪いのですが、予算編成や医療費適正化のための財源出しの道具になっているのが今の薬価制度です。それはやめてくださいとまず言わないといけない。
 まず、議論の大前提として、最初にそこは言わないといけないと僕は思っていて、その上で、こういったきちんとした評価制度をつくるということになると、一般的に言われているように、医療の技術革新や高度化が医療費の増大の要因になっていて、結果、GDPの伸びの範囲内に収まらないで、世界中で医療費が伸びている。
 今度は、技術革新の評価をきちんとやる、というコンテクストの中で、では、どのように医薬品のコストコントロールをするのか、経済評価をするのかという問題になる。財源との関係も、そういう意味で考えないといけない。そ多分、そこは小黒先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 新しい制度を入れると、どうしても体制の整備、マンパワーの育成が必要だということです。費用対効果が導入された時は、マンパワーの育成が課題になりました。そういう意味では、現実的には難しい問題も絡んでいることは間違いないわけですね。
 ありがとうございました。
 それでは、堀構成員がお手を挙げておられますので、堀構成員、お願いいたします。
○堀構成員 今、香取委員がおっしゃった財源の話とか、保険収載の話は非常に重要な論点だと思いますので、どこか最後の回でも議論できればと思っています。
 もう一つ、48ページに書かれている論点も、基本的に賛同しているのですが、評価機関の体制強化で、ほかの国ではどのように評価体制を構築・整備してきたのか、強化をはかってきたのかというデータがもし何かありましたら教えていただければと。
 例えば、イギリスだったらNICEがあると思います。どの段階ですべきか分からないのですが、どのように体制を強化しているのかという情報がもしあれば、見せていただければと。これはリクエストです。
 もう一つは、多分、とんちんかんなことを言っているかと思うのですが、確認させてください。日本の薬価制度との関係でのインセンティブの在り方を議論するということで理解はしていますが、例えば日本の製薬メーカーが海外の市場に日本で作ったものを積極的に売っていくという在り方もあると思うのですが、そういう視点で、次の回以降とかで議論することはあるのでしょうか。
 すみません。とんちんかんかもしれないのですが、今までは、日本の薬価制度の中で、日本の市場をイノベーティブな製品の上市、安定供給といった視点でどのように魅力的にするか、かつ、国民皆保険とどのように両立するかというお話がメインだったと思いますが、産業構造やイノベーション創出の話になると、ベンチャーも含めて、日本で革新的な新薬を作れるようなメーカーがたくさん出てきて、海外にいろいろと売っていく在り方もあると思うのですが、そういう議論は次回以降になるのか、あるいはそれはそもそも含まれていないのかというのをもし教えていただければ幸いです。
○遠藤座長 ですから、日本企業の産業育成とか競争力強化の話までここにあるのか。
 それは、国内のマーケットに潤沢に出してもらうことで、安定供給に資するという点ではあるわけですが、さらには、海外市場での競争力までするようにという視点でのあれはあるのかということですね。
 よろしいですか。
 お願いします。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 まず、この検討会の目的としては、タイトルにもありますように、国内の市場にいかに迅速に革新的医薬品を上市するか。まず、それを最大の目的としていることは御案内のとおりでございます。
 今、委員がおっしゃったように、言ってみれば、国産の企業の開発力を強化することも、当然、それに資するものであると思っておりますが、そういう意味で、今日の議論も関係はしていると思います。
 他方で、国産の企業が海外で実際にどうしていくか、言ってみれば、国産企業の産業をどう強化するかという視点については、次回以降に、産業構造についての議論をする中で、一応、多少関係はしてくると思いますので、今の委員の御指摘も踏まえて、どこまでできるかというところについては考えますが、直感としては、国内の市場に迅速導入するところを最大の目的としていることからすると、論点としては若干それるのかなという感じはしているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 ありがとうございました。
 よく分かりました。
 単純に財源論の話になったときに、日本の市場で調達できなくても、グローバルな市場でたくさん稼ぐという方法もあるのかなと一瞬思っただけで、すみません。
 今回の議論の範疇と少しはずれるということで理解しました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 本日は、事務局からこれまでのいろいろな質問に対する回答、及び事務局としての現段階での考え方が若干整理されましたので、それに応じて、我々も非常にいろいろな視点から意見を申し述べたということでございます。大変貴重な御意見を賜りました。どうもありがとうございました。
 それでは、本日は、大体御意見が出尽くしたかと思いますので、議論はこのぐらいにさせていただきまして、引き続きまたこの議論を進めていきたいと思いますので、事務局は準備等をよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から何かございますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第7回検討会につきましては、別途、構成員の先生方に事務局よりメール等にて御連絡させていただきます。
 また、本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、長時間どうもありがとうございました。
 これをもちまして、本検討会を終了したいと思います。
 ありがとうございます。