第2回高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引きに係るワーキンググループ 議事録

日時

令和4年12月13日(火)16:00~18:00

開催方法

オンライン開催

議題

  1. 1.高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引きの見直しに係る方向性(案)について
  2. 2.その他

議事

議事内容
○宇野調整官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第2回高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引きに係るワーキンググループ」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としており、事前申込みのあった報道関係者の方のみオンラインにより傍聴いただいております。会議中、ご発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
次に構成員の出席状況について申し上げます。本日は石崎構成員、管構成員がご欠席です。管構成員に代わりまして藤木参考人にご出席いただいております。また、夏原構成員、土屋構成員は遅れてのご参加と承っております。
資料につきましては、議事次第に記載のとおりです。
それでは、ここからの進行は井出座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○井出座長 皆様、本日もよろしくお願いします。
それでは、議事に移りたいと思います。本日は、議題「高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引きの見直しに係る方向性(案)」について、ご意見をお伺いしながら進めてまいりたいと思います。
資料1「手引きの見直しに係る方向性(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。
○春日専門官 資料1をご覧ください。
まず、「前回の振り返り」をご説明し、次に「論点に対する見直しの方向性」についてご説明いたします。
こちらが前回お示しした4つの論点をまとめたものになります。
3ページは、現行の手引きについて、見直しまたは例示の追加を図ってほしい内容についてになります。一体的実施に関する追記や事業評価方法、あるいは高齢者に合った目標の提示等が挙げられております。
次に、標準化に対する考え・希望についてです。46広域連合のうち、35広域連合が「標準化を進めてほしい」と回答し、その内容としては「評価指標」が最も多く、次いで「計画様式」となっております。
続いて、「事業内容と評価指標の設定状況」についてです。全ての広域連合で、健診、歯科健診、適正受診・適正服薬に係る事業が掲載されており、事業ごとに何かしらの評価指標を設定する割合は高くなっていますが、4つの視点で設定している割合となりますと、低くなっています。
6ページです。次期計画で整合性を図る予定の計画としては、「医療費適正化計画」「健康増進計画」が多く挙げられております。
こちらは広域連合におけるデータヘルス計画の特徴をまとめたスライドになります。広域連合の場合、計画策定の主体が広域連合、保健事業の実施については広域連合から市町村への委託という形で市町村が実施することが多く、計画策定と保健事業の実施主体が異なるという、他の保険者とは異なる特徴がございます。
次に、「現行の手引きにおける広域連合に係る記載」についてご説明いたします。
「広域連合に係る記載」をまとめたものが9ページになります。「関係者が果たすべき役割」・「情報等の分析・分析結果に基づく健康課題の抽出」・「保健事業の内容」の3項目において広域連合に限定した記載がありまして、内容としては保健事業の主導的な役割を担うことになる、市町村との情報共有・連携に係る記載が多くなっております。
続きまして、「論点に対する見直しの方向性」についてご説明いたします。
最初に、「保健事業の内容の充実」についてです。前回の主な意見をまとめております。
上から順に、1点目、保健事業と介護予防の一体的実施は、後期高齢者の保健事業の中心的な取組となるため、追加というよりむしろ中心的な保健事業と捉えた記載が必要。
2点目、ガイドライン第2版を踏まえて、広域連合と市町村の役割、進める際の具体的な留意事項といった記載があると良い。
3点目、構成市町村の実施状況に差があること自体が問題ではなく、各市町村が健康課題に沿った取組を実施できているかどうかが問題である。
4点目、データヘルス計画は、健康寿命の延伸等の大きな目標を目指した計画であるため、ある程度の計画の枠、フレームはあるが、個別事業については多様性があってしかるべき。
5点目、広域連合が果たす役割は、市町村の底上げや、各市町村が保健事業をスムーズに行えているかどうかのモニタリングである。
このようなご意見をいただいております。
これらのご意見を踏まえまして、見直しのポイント(案)を2点にまとめております。
1点目、一体的実施が中心的な取組であることを踏まえ、その事業内容や評価指標例について記載する。
2点目、広域連合が果たす役割として、市町村における一体的実施を中心とした保健事業の進捗管理(アウトプット・アウトカム)を位置づける。
続きまして、「データヘルス計画の標準化、評価指標の設定」についてです。
この2つの論点につきましては、連動した議論が必要になるため、論点2つに係る議論のポイントとして、最初に3点まとめております。
1点目が、広域連合間の比較を可能にするために標準化が重要。
2点目が、標準化の重要な要素の一つが評価指標。
3点目が、評価指標の設定には、データヘルス計画全体の総合的な指標と個別事業の指標がある。
これら3点をポイントとしてまとめております。
14ページは前回の主なご意見を2つの論点ごとにまとめております。
まず、スライドの上部が「データヘルス計画の標準化」についてとなります。1点目、基本的には一定のフレームに沿って各広域連合がデータヘルス計画を検討しながら独自性を出せば良い。考え方(策定プロセス)のフレームを示していくという標準化が良い。
2点目、データヘルス計画の標準化はフレームを示すことが必要。目的・加入者状況・健康課題に対する目標といった構造がある。
3点目、広域連合の状況だけでなく、市町村の状況も含め、データはKDBから把握するなど、既存データの活用を整理し、何をしたら良いのか迷う時間を減らし、考察や事業検討に時間を取れるようにするのが良い。
以上のようなご意見をいただいております。
次に、「評価指標の設定」については、1点目、加入者全体を見るもの、一体的実施の対象者を見るものというように、定義を明確にして指標を検討していくことが重要。
2点目、データヘルス計画は、個別事業計画と違い、マクロ的な指標をきちんと設定する必要がある。広域連合単位の指標として必要なもの、市町村単位で見るべきデータを整理すると良い。
3点目、評価指標については、既に一定のエッセンスが示されている。現行手引きには成果目標の設定例が書かれているが、抽象度がまだ高い。
4点目、指標だけではなく、解釈に係る留意点が必要。
5点目、「健保組合の保険者共通評価指標の一覧」は、アウトカム志向で設定されており、現場の負担感を抑えながら組合同士で比較できるように設定している。
以上のようなご意見をいただいております。
15ページは前回もお示しした資料です。標準化の概要、効果についてまとめたものです。計画策定等の負担軽減だけではなく、共通の評価指標で実績を比較し、効果的な保健事業をパターン化することで、事業効果の向上が期待されるとされております。
こちらは参考としてお示ししておりますが、東京大学による「データヘルス計画標準化ツール」を用いた支援の概要になります。後ほど井出座長より資料2で詳細をご説明いただきます。
17ページは、標準化の要素及び評価指標を整理したものになります。中央の緑色の四角に記載しております「評価指標の設定」と「計画の構造的なフレーム(計画様式)」は、標準化の要素の1つであり、その要素の1つである「評価指標の設定」には「データヘルス計画の総合的な評価指標」と「個別事業の評価指標」が位置づくように整理しております。
18ページは、もう1つの標準化の要素になります「計画の構造的なフレーム(計画様式)」について、ステップごとに整理をしたものになります。保健事業を実施するための計画を策定するのではなく、健康課題を解決するための計画を策定することが大切であり、そのために構造的な計画様式を活用しながら、ステップ1から4の作業を進めることが重要であると考えております。
19ページは、国保・後期における標準化に係る取組の現状をまとめたものになります。国保においては、長年にわたり各市町村が保健事業を展開してきており、平成30年度からは都道府県が共同保険者となっております。そのため、各都道府県における市町村の実態を踏まえた上で、市町村が使う様式・記載事項をそろえることや共通の評価指標を用いることにより、データヘルス計画の標準化を進めてきております。括弧の中に記載がございますが、「実施中」及び「検討中」を含めると約7割弱となっております。
一方で、後期におきましては、健診以外の保健事業が実施されていない等の課題を踏まえて、令和2年度より、広域連合から市町村への委託というスキームで一体的実施の取組が開始されたところでありまして、まだデータヘルス計画の標準化は進められていない現状になっております。
図で整理しておりますが、後期の場合、国保のデータヘルス計画における都道府県のような位置づけがございませんので、後期の手引きの中で計画様式や評価指標について提示してはどうかとしております。
こちらは一体的実施に係る広域連合の取組になりまして、愛知県広域と福岡県広域の取組になります。
1つ目の愛知県広域の事例では、一体的実施を実施する際に最低限実施する項目、評価指標を設定した実施計画書、実績報告書、健康課題分析シートを作成して市町村に提示しています。
2つ目の福岡県広域の事例では、広域連合における一体的実施の数値目標として、実施市町村数の増加、後期高齢者健康診査・歯科健診の受診率向上などを挙げて評価を行い、市町村に対して取組区分毎の評価指標(案)を提示し、取組を支援しているという内容になります。
以上を踏まえまして、標準化についての見直しのポイント(案)を2点まとめております。
1点目は、後期データヘルス計画における標準化の目的を明確にする。
2点目は、標準化のポイントとなる、策定段階での考え方のフレーム(構造的な計画様式)と共通の評価指標について整理する。
としております。
22ページは、高齢者保健事業における目標設定の考え方を整理した図になります。評価指標の設定を検討するに当たり、高齢者保健事業の最終的な目的を確認する意味でお示ししております。生活習慣病等の重症化予防と高齢による心身機能の低下防止により、自立した生活が送れる高齢者が増加すること、となっております。
23ページには、評価指標の設定について見直しのポイント(案)を5点、挙げております。
1点目は、データヘルス計画の総合的な評価指標と、個別事業の評価指標を整理する。
2点目は、データヘルス計画の総合的な評価指標について、共通評価指標を設定することで、広域連合間の比較を可能にする。
3点目は、データヘルス計画の総合的な評価指標について、共通評価指標の設定だけでなく、計画を策定する際に確認すべきデータについて提示する。
4点目は、個別事業の評価指標について、後期高齢者の保健事業の中心となる、一体的実施の取組に関する評価指標例を提示する。
5点目は、個別事業の評価指標例については、アウトプット・アウトカムに分けて整理する。
としております。
24ページは、現行の手引きにおける目標設定と評価に関する記載を抜粋したものになります。
ここまでの内容を踏まえまして、評価指標等について(案)をお示ししたものがこちらになります。まず、評価指標設定のポイントですが、広域連合がKDB等の既存のデータシステムまたは統計で確認できることをポイントとしております。
左側はデータヘルス計画の総合的な評価指標で、こちらは共通評価指標としております。
1つ目の健診受診率については、括弧の中に記載しておりますが、後期の場合、現行は健診対象外とする者の設定が統一されておりませんので、対象外の者について設定し、分母を統一することが必要ではないか、としております。
その隣に、計画を策定する際に保険者が確認するべきデータを整理しております。特に医療費につきましては、広域連合が実施する保健事業以外の要素が影響するため、データヘルス計画上の共通評価指標に、確認すべきデータとして整理しております。スライドの一番右側には個別事業の評価指標例として、一体的実施の取組における指標を整理しております。詳細は26ページにお示ししております。
続いて、最後の論点になります「他計画との調和(整合性)」についてです。こちらは前回のワーキングでもお示しした資料になりまして、他計画の計画期間と記載内容をまとめたものになります。
29ページから32ページにつきましては、11月17日に開催した第158回社会保障審議会医療保険部会の資料から医療費適正化計画の見直し(案)に係る記載の一部をお示ししております。リード文の冒頭、「医療費の更なる適正化に向けて、新たな目標として、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供等を加えること」が(案)として示されております。
具体的には、見直しのポイント(案)の一番下のラインになりまして、「高齢期における疾病予防と介護予防が相互に影響し合うことを踏まえ、高齢者に対する保健事業・介護予防事業を一体的に実施し、効率的に取り組むことができるように位置づける」との案をお示ししております。
また、他計画との関係については、「現行、医療費適正化計画の策定に当たって調和を図ることとされている健康増進計画、医療計画等の計画に加えて、新たに保険者が策定するデータヘルス計画、特定健診等実施計画等についても、医療費適正化の推進に向けた取組の実施において保険者との連携が図られるよう、関係性を明示する」という案をお示ししております。
こちらは医療費適正化計画と他計画との関係について整理したものになります。
最後に、他の計画との調和に係る見直しの方向性になります。前回の主なご意見としましては、1点目、高齢者に係る計画であれば健康増進計画や介護保険事業計画が何を目指しているのかなどを確認しながら策定することが大事。
2点目、他計画との整合性を図るプロセス自体が大事。
3点目、後期高齢者の場合、1つの健康課題でも複数のアプローチが必要になるため、各制度を俯瞰し、どのように活用するのかという視点を盛り込む必要がある。
4点目、都道府県単位の計画との整合性を図ることは当然だが、市町村単位の計画とどこまで整合性を図るのかは難しい。
5点目、広域連合の課題と、それに対する目標を具体的に示してもらえると、市町村がどうなることを望んでいるのかが分かる。事業実施の有無だけではなく、どこまで改善しているのかについても、広域連合と市町村が共通認識を持ちながら事業を進められると良い。
以上のようなご意見がございました。
以上を踏まえまして、見直しのポイント(案)を2点まとめております。
1点目は、都道府県単位で作成される他計画について、他計画の目的・目標等を把握し、後期データヘルス計画との関連事項を確認するプロセスが重要である旨を明示。
2点目は、後期高齢者の特徴を踏まえ、各制度、ここでは国保の保健事業・介護予防事業を俯瞰した上で計画策定する旨を明示。
としております。
資料1について、説明は以上になります。
続きまして、資料2になります。本日は井出座長より資料のご提出をいただいております。国保で進めていらっしゃる標準化の取組についてご紹介をいただきます。
それでは、井出座長、よろしくお願いいたします。
○井出座長 お手元の資料2をご覧ください。これは私どもで、国保のほうと進めている標準化の取組に関して、特に保険者様が感じているメリット等についてご説明するために用意した資料です。前回、構成員の皆様方に色々なご意見をいただきまして、事務局で論点をまとめていただいたところですけれども、そちらとかなり重複するところもございますが一通り説明させていただきます。
私どものほうで考えているデータヘルス計画の標準化が国保でなぜ必要なのか、その目的ですけれども、市町村における保健事業の質を上げていくことと、現場の事業運営の負担軽減を図る必要があるだろうと。そのために必要なものとして、1つは「計画の標準的な様式」、それから、こちらでも議論いただいている「共通の評価指標」が必要だろうということです。特に「計画様式」ですけれども、これは色々な市町村の計画を拝見していると、健康課題を解決するような計画になっているかどうかというところが1つのポイントで、これを意識していただく必要があるということです。
また、計画様式を標準化して共通の評価指標で実績を比較し、効率的な保健事業の知見を抽出していくことが、やがて何につながっていくかというと、いわゆる横展開ということで、効率的な実施方法を上げる方法に対しての知見というものを共有して、さらに市町村の特徴に応じた工夫を検討していただきやすくなることにつながるだろうと考えております。
これは、今申し上げたことを図にしたものです。この図を見ていただきますと、真ん中のところにある「健康課題」が、事業のアウトカム等で測られるわけですけれども、これがつながっているのかということ。それから、アウトカム・アウトプットといった評価指標に対して、それを上げていくための方法や体制をきちんと考えていらっしゃるかということを意識していただくことが、まず大事なところかと思います。構造的な「計画様式」を適用して、健康課題を保健事業に紐づけていくこと。それから、共通の評価指標を設けることによって、アウトカム・アウトプットの客観的な評価につなげる。ここは例えば色々な評価指標を保険者さんがそれぞれ立てていると、どちらの取組のほうが、成果が上がるのか、なかなか見えづらくなってくるということを、我々も、特に被用者保険の計画等で感じるところがありましたので、やはりここは共通の評価指標で客観的な評価をしていく必要があるだろうと。客観的な評価ができると、その次にどういった方法をとると、成果や実施率が上がっていくのかが抽出できていくだろうと、そういった筋書きになっています。
これは、我々のほうで取り組んでいる「都道府県向けリーダーシップ・プログラム」という、一回り2年間のプログラムなのですが、こういったプログラムを通じて都道府県、それからモデルの市町村との取組を進めてまいりました。
こちらは昨年度の国保課の調査を引用したスライドです。先ほどのご説明の中でも使っていましたけれども、標準化を進めていくためのステップということで、リーダーシップ・プログラムの中で展開していることの項目を出してあります。真ん中下ほどを見ていただきたいのですが、データヘルス計画の標準化ツール、様式の標準化を活用する目的を整理してあります。まず都道府県にとっては、都道府県の中での現状及び課題を俯瞰していくことを目的にしています。市町村では健康課題を解決するような保健事業になっているのかということを自分で確認していただくことと、それから、業務負担を軽減することを考えております。この中にはデータヘルス計画を策定していくこと、引継ぎ、庁内外との連携も必要なわけですけれども、こういったところにも活用していただくことを考えています。
データヘルス計画標準化ツールは、第2期データヘルス計画が始まって以降に、我々は保険者さんと一緒に取り組みながら考えてきたというところがあります。つまり、第2期計画は策定済みで、それを同じ様式の中で整理していくところで、色々なことが見えてきた、また使ってきたというところがあります。というのは、国保のデータヘルス計画は市町村によってまちまちなところがありまして、なかなか比較できないところもございますし、都道府県においては支援・評価委員会で様々なご支援をいただいておりますけれども、そちらでもなかなか市町村を俯瞰して見ることができないというような課題があったかと思います。そういったところにも貢献できればということで、標準化ツールをつくってきた、適用してきたという経緯がございます。
こちらの標準化ツールは、構成としては、1つ目が「基本情報シート」ということで当該市町村の概況、健康課題を書くようなシートになっています。2つ目が「計画全体シート」ということで、健康課題を基点としたときに目的・目標・評価指標を設定する。それから個々の保健事業の位置づけというシートになっています。3つ目が「個別事業シート」ということで、例えば特定健診や特定保健指導で、きちんとアウトカム・アウトプットの指標が整備されているか、それから、それに基づいたプロセス、ストラクチャが計画上で定められているかを確認できるような形になっています。
少し具体的に見ていきたいと思います。まず「全体計画シート」の構造を見ていただきたいと思います。これは地域の健康課題を解決する構造にしていくというところに注意を払っていただけるような構成を狙っています。左に「健康課題」がありまして、これを基点にして「目的」「目標・評価指標」、それから個別の「保健事業」を紐づけていくというところが、このシートの考え方になっております。特に「健康課題」については、後でも申し上げますけれども、健康課題というよりは事業課題が書かれている計画が非常に多いということが、これを整理してみると分かるところです。市町村にも、自分の計画に書いてあることは健康課題ではなく事業課題であるということに気づいていただければ、次の計画や見直しのときに役立てていただけるということになっています。
次に、データヘルス計画標準化ツールの「個別事業シート」の構造を見ていただきたいと思います。こちらについては、今、第3期計画に向けて見直し中でありますので、今後も都道府県と連携させていただいて、第3期は計画を策定する場面で使わせていただきたいと思っております。今見直し中ということなので、簡単にこちらの構造を模式的に示したものをお持ちしております。まず1つ目は、個別事業を評価するためのアウトカム指標とアウトプット指標がきちんと定義されているのかというポイントがあります。また事業の目標に直接つながっていくのはアウトカム指標で、健康課題を解決していくというところでアウトカム指標ということになりますので、これがきちんとつながっているのかということを意識していただくような構成になっています。
それから、よく考えていただくと、お気づきになることと思うのですが、アウトプットを上げていく、つまり実施量を上げていくということと、事業の質を上げていく、アウトカムを上げていくということは、相互にもちろん関連し合っているのですけれども、それぞれの要素を持っているということが分かると思います。例えば、特定保健指導であれば、その実施率を上げていくことと、特定保健指導を受けた方の改善率を上げていくということは、もちろん事業としては双方大事なことですけれども、別々のことでもあるということで、それぞれのアウトプット・アウトカムに向けた方法や体制をどのようにしていったらいいのか、どのようにやっていくのかということが意識的に書けるような様式になっています。特によく欠けているものとして、アウトカムを上げるための方法や体制が書かれていないことや、全般に体制、つまりこれからどう事業を進めるかが書かれていないということが、よく見受けられるケースです。
こちらも、国保課で実施された調査結果から1枚引用させていただいておりますけれども、11都道府県で標準化を実施しているということで、大体3分の2ぐらいが私どもと一緒に今やらせていただいている都県ということになります。皆さんのご認識としては大体こちらの調査と近いだろうなということで調査を引用させていただいております。
この調査で見ますと、一番大きなメリットは「市町村の現状を俯瞰できた」ということが挙げられておりまして、その次が「健康課題に応じた評価指標の設定ができるようになった」、それから「外部から市町村に支援をしやすくなった」と整理されております。これはおおよそ標準化で狙いとしているところに沿っているのではないかと考えております。
こちらも国保課の調査から引用してきたものです。都道府県からのコメントがそのまま載っていまして、1つ目としては「市町村の現状を俯瞰することができて、支援すべきポイントを把握することができた」と。1つ目が東京都になっておりますけれども、これは俯瞰できた、支援すべきポイントが明確になった、それから市町村の間での共通の認識をもって意見交換ができるようになったという回答がございました。
それから、同じ枠の5つ目になりますが、これは大分県からのコメントです。やはり同じように、市町村の進捗状況が見えるようになったというコメントをいただいております。
都道府県から見たときにということで、市町村がどうだったのかということに関してのコメントが下にございますけれども、自分のところの見直しのポイントが分かるようになった、それから市町村側から俯瞰して見たときに、データヘルス計画を整理することで自分がやっている仕事の位置づけが認識できるようになったと。これも現場の方にはご認識いただきたいことで、どうしても事業ありきになってしまうところがありますので、このような認識を持っていただくことが必要だと思います。
それから、評価指標についても触れられていて、標準化していくことで「評価指標の立て方が勉強になった」、「目標設定の考え方を見直すきっかけとなった」というような感想をいただいています。
これは事例ということで持ってきましたが、特に国保の保健事業で見られることですけれども、左側にある「特定健診実施率向上事業」というのが立てられているケースがよくあります。これに対してということですけれども、「特定健康診査事業」というものを立てた場合にどのように人のアイディアが膨らんでいくのかということなのですが、特定健診実施率向上事業は健診を実施することが目的になっていきますので、これと健康課題が直接結びついていくかというと、どうなのだろうなというところがあります。特定健診事業ということで置いていただければ、健診の実施を通じて、どういった健康増進や疾病予防につながっていくのかということに話が展開しやすくなっていくのではないかということです。
こちらは被用者保険のほうで、我々がつくっているテキストから持ってきたのですけれども、健康課題と事業課題が第2期の段階では区別できていない保険者さんも多かったのではないかと思います。そうすると、事業における課題を解決していくというような計画になってしまいますが、第2期ではそういった計画が相当数あったということです。第3期では、ぜひ標準化ツールの整備で見える化する。特に計画データシートを整理したら健康課題ベースで事業が組み立てられているかどうかが分かりますので、第3期では計画策定段階で保険者にこのことを意識していただくと良いかと考えています。
もう1つ、保険者の方の負担軽減も必要でして、これも先ほどから引用させていただいている国保課の調査から持ってきておりますけれども、縦軸が人口規模になっていて、横軸が外部委託、それから都道府県・保健所からの支援を受けているかどうか、支援・評価委員会から支援を受けているかということで、割合をとっています。人口規模が大きいところはこういった支援やサービスを受けているということになるのですけれども、下のほうに行けば行くほど、こういったことが受けられないと。市町村も規模の差が大きくて難しいところがある。特に小さなところの負担軽減をどのように進めていくのかは重要な観点かと思います。
同じように私どものほうでデータヘルス計画の標準化をこれまで進めた中で、保険者さん、市町村側のメリットということで聞こえてきているものを整理させていただいているのがこちらのスライドになります。研修会のアンケートの結果から持ってきましたけれども、大きくは3点あろうかと思います。1点目は、先ほど来から申し上げているように、「健康課題を意識」していただくことができたのか。
2点目は、市町村の方が重視されることだと思いますけれども、「比較」とか「参照」ということで、他の良い事例があればそれを参照していくことが、なかなか情報交換もそれほど密にできているわけではないということもありますので、きちんとしたベースで比較して、その中から良いものを探っていきたいということのメリットを感じていただけたのかなと思います。
3点目は、「負担軽減」になることでして、担当者間だけでなく、他の関係所管の部署との検討がしやすくなるということで、事務負担が軽減できるということです。様式として、こういったポイントで計画を策定していただきたいというポイントが示してありますので、計画策定の負担が軽減するのではないかというような感想をいただいています。負担軽減を狙って様式等の作成を進めてきたということでして、これから具体的には第3期に使っていただいた場合に、こういったメリットが出れば良いと、こういった期待をいただいているということです。
とはいえ、様式を示したり、また共通の評価指標というものを示せば、それですぐにできるのかということや、先ほどのような感想が出てくるのかというと、そういうことでもなくて、これまでは我々のほうで区市町村、都県以外でも保健所さん、国保連さん、中には支援・評価委員の先生方にもご参加いただいたり、民間の事業者さんも一緒になったりという場面もありました。1つ1つの区市町村を支援してきた中での皆さんの理解の向上ということで、これも毎年毎年支援を続けていると、皆さんの底力というか、そういったものの理解が高まっていくことを我々も感じています。こちらのスライドには、静岡県で以前させていただいた研修の様子を映しております。
最後のスライドです。最初のスライドの再掲になりますけれども、こういったことを通じて国保のほうで市町村における保健事業の質の向上と、現場の事業運営の負担軽減を図るという目的で、これまで標準化の取組を進めてきました。要素は2つありまして、「計画様式」、「共通の評価指標」を適用していく、それを通して、良い取組に関する方法や体制の知見の共有につなげられればということで考えて展開をしてきたということでございます。
本日は特に計画様式というのも標準化していくということで、どういったことが見えてくるのか、どういったメリットを感じていただけるのかということで、構成員の方にご説明したつもりです。また何かご意見、ご質問がございましたらお願いできればと思います。
以上です。ありがとうございました。
○春日専門官 ご説明ありがとうございました。
ただいまの説明に対して、構成員の皆様からご質問やご意見等がございましたら、頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
ご質問等がございませんようでしたら、議論を進めている途中でも構いませんので、後ほど、頂戴できればと思います。
それでは、進行を井出座長にお戻ししまして、議論を進めたいと思います。
○井出座長 それでは、「見直しの方向性」についての議論に移りたいと思います。資料1、資料2を踏まえまして、論点ごとに本日は進めたいと思います。
最初に、資料1の11ページをご覧ください。「保健事業の内容の充実」について、ご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
まず広域連合の構成員の方からお願いしたいと思います。
○唐川構成員 ありがとうございます。愛知広域の唐川です。
11ページの見直しのポイントや見直し案に関しましては、このとおりかと思っております。また後からも出てくるかと思いますけれども、特に前回の議論のポイントでもありますように、評価指標を標準化して、どのような評価指標で全体としてやっていくかというのが定まってくれば、その下についてくるような課題、目標や方向性といったものが定まってくるかと思いますので、まずはそこをしっかり表すと。しかも、それをアウトプット・アウトカムという形で示すところは最も重要になってくるところかと思いますので、そういった意味で必要かと思っております。
記載内容に関しましても、現在のところ一体的実施を中心に、一体的実施という枠組みの中で必要な保健事業を展開しているところですので、そういった一体的実施のハイリスクアプローチであるような事業内容を中心に記載を充実させることで、データヘルス計画の中で記載していく内容や方向性は定まると思います。この見直し案やポイント案に関しましては、特段、何か異論というか、意見を申し上げるところはないかと思っております。
○井出座長 ありがとうございました。
続きまして、今日は管構成員がご欠席ですので、福岡広域の藤木参考人からもお願いできますでしょうか。
○藤木参考人 福岡県広域連合の藤木と申します。よろしくお願いいたします。
高齢者ということで、75歳以上になるとポピュレーションアプローチが大事になるのではないかと思っています。通いの場がキーになると思いますので、ハイリスクアプローチと、住民全体へのポピュレーションアプローチをいかに組み合わせて発展させるかが重要ではないかと考えています。高齢部署と連携して、まちづくりの視点をもって進める。市町村によっては、ヘルス部門の担当者はハイリスクアプローチに終始してしまう傾向あるように見受けられますので、どのようにすればポピュレーションアプローチの展開がうまくいくのか、これをどのようにデータヘルス計画に盛り込んでいくか、盛り込めるかというところを書いていただけると、市町村の方も高齢者の特性を生かした保健事業が展開できるのではないかと思います。
○井出座長 ありがとうございました。
それでは、市町村側の観点ということで、蒲郡市の石黒構成員、お願いいたします。
○石黒構成員 蒲郡の石黒です。どうぞよろしくお願いします。
私は市町村の立場ということになりますので、実際に実施していて思うことも含めて発言させていただきます。見直し案にありますように、やはり市町村がしっかりと健康課題を明確にできて、個別の事業をしっかり進めながら全体の評価をしていくということが重要と思っております。こういった指標ができてくることで、各市町村も、こういった健康課題を見るツールということで示していただけると、やりやすいと思います。それから、広域連合が市町村とどのように関わって市町村を見ていっていただけるのかという具体的な関わり方のポイントを記載するという②のところが非常に重要だと感じました。
市町村と広域連合がどのような形で連携をとって評価をしていくのかというところが非常に大事なところと感じました。
○井出座長 ありがとうございました。
それでは、他の構成員の皆様からもご意見があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
今は、ハイリスクアプローチの話と、それにとともにポピュレーションアプローチをどのようにバランスさせていくのかという話、それから、事業を進めていくときに広域と構成市町村がどのように連携をとっていくか、関わりを持っていくのかが大事なのではないかというご意見をいただきました。
それでは、今いただいた意見も踏まえまして、見直しの方針について修正するところがあれば事務局でご対応いただきたいと思います。
それでは次に2つ目の論点です。21ページをお願いします。「データヘルス計画の標準化」についてご意見を伺いたいと思います。こちらの標準化については、「計画作成プロセスにおける指標、計画様式を示す」ことと、「共通の評価指標」という2つのポイントがあります。評価指標の具体的なことに関しては次の議題とさせていただきたいと思いますので、計画様式を示す際の具体的な留意点についてご意見をいただきたいと思います。
それでは、データヘルス計画の標準化に関する様式の点についてご意見があればお願いいたします。では、唐川構成員、よろしくお願いいたします。
○唐川構成員 様式の標準化については、様式を標準化する過程で思考を整理したいとか、全体として、ここでいうと広域連合が同じ思考のプロセス、流れでデータヘルス計画を考えていくという意味では非常に有効なものなのかと考えております。特にデータヘルス計画の策定に関しては、誰もが自信がない中でやらなければいけない作業になるかと思いまして、自分自身に対してもそうですし、周りの他の人や機関に、このデータヘルス計画を策定していく中身等を説明する際にも自信を持って、これでいいのだというのがなかなか言いづらい中で、こういったフレームワークを通して策定していくことで、説明をしていく後ろ盾のようなものにもなるかと思います。思考の整理という面と、後押しをしてもらうという意味では非常に有効かと思っております。
さらに、各フレームの中で書くべき具体的な記載例も非常に有効かと思うのですけれども、そこに関していえば、書く内容を縛るという意味ではなくて、書く上でのきっかけというか、足がかりになるという意味での具体例、ここでいうと、色々なシートの中身も例示的にしていけると非常に効果的なものなのかと思っております。これは現行の手引きに書いてあることを、より具現化するような意味合いかと思いますので、そういった意味で、この様式のフレームを今回の手引きの中でお示ししていくことは、策定の上でも役に立つものと考えております。
○井出座長 ありがとうございました。
まさに思考の整理というのはおっしゃるとおりかと思います。
それでは、保険者以外の構成員の皆様にも一言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。田中構成員、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 私も、今、唐川構成員がおっしゃったとおりで、ほぼ同じ意見なのですが、私の理解がまだ及んでいないのかもしれないのですが、東京大学のデータヘルス計画の標準化ツールを基に作成されたものだと思います。これを作成されるときに恐らく試行錯誤や何かしらのご苦労があったと思われます。このフレームを拝見すると、これで良いなと思います。ただ、ここに至るまでの間に、何かしらかなり力が入ったところや、ここは随分工夫したのだというようなことがあれば、この様式のことにも同じことが言えるのではないか、そういうところが重要になってくるのかもしれないと思い、お聞きしたいと思いましたが、いかがでしょうか。
○井出座長 ありがとうございます。それでは、私から回答させていただきます。
土屋構成員にも大変お世話になりまして、平成30年から行っている取組になりますので、随分時間がかかっているのですけれども、初めは、都道府県の中の構成市町村の計画というのが余りにバラバラで評価できなかったというところがありまして、何かの方法で整理する必要があるだろうというところから始めました。そのときに静岡県に大変お世話になったのですけれども、そのときから、今使っているものは随分変わっておりまして、より単純化していくような方向で、整理されていくような方向になってきたかと思います。それが1つ。
あともう1つは、特にこれは国保と言うよりは被用者保険での話なのですけれども、被用者保険の場合には逆に、様式、記載方法の統一化は第2期の最初からされておりますが、記載方法の統一がされているだけではだめで、今度は指標がそろっていないと、良い取組が判断できないということがありました。これはベースのところでの共通の評価指標を設けていく必要があるだろうというところで、これまで進んできたという経緯があります。ですから、今の2つの要素はまさに標準化の要素だと思います。経験的にこういったことがありまして、今、被用者保険のほうでは例えばどういった方法をとっているほうが保健事業の効果が出ているのかということも数量的に分析できるようになってきましたので、だんだん進んできたのかなというような実感を持っております。ですから、こういったところを相互に比較して俯瞰していけること、その中から良い知見を抽出していくということを狙って、後期のほうでも近しいものが展開できればと考えております。
○田中構成員 ありがとうございました。恐らく良いものだろうなとは思っていたのですけど、そこまでの成り行きのところをお聞かせいただいて、私も納得したところです。
○井出座長 土屋構成員お願いします。
○土屋構成員 私がなぜ静岡県で標準化ツールをお願いしたかという、そもそものことをお話しすると、実は同じように糖尿病の重症化予防をやっていても、A市は非常に効果があって、重症化予防をすると糖尿病の有病者が減っていて、B市は同じようにやっているのに全然減っていかなかったという事例がありました。何でそれが違ってしまっているのだろうというプロセスの見直しをしたかったのですが、恐らくA市とB市のターゲットが違っているというところがありました。例えば40代にもっとターゲットを絞らないといけないなどということが俯瞰してみれなかったということが分かりました。そのため、自治体の皆さんにプロセス評価を分かってほしかったために、この標準化ツールを取り入れました。
また、標準化ツールは、委託しないで保険者自身がやらないと効果はないと思っています。広域連合がデータヘルス計画を事業者に委託するという話も聞こえてきているので、その辺りをどうするのかなというのが心配になります。
○井出座長 ありがとうございました。
他に、計画様式の標準化というところでご意見はございますか。
○樺山構成員 初めに唐川さんがおっしゃったことと重複するところもあるのですが、このようにフレームを具体的に示すということは、本当に皆さん、どこから、どう手を着けていいのか分からないという中で、すごく労力の縮小になって有効だと思いつつも、そうすると、今度は独自性とかポピュレーションといったところの効果を出していくときに、自由に出てこなくなってしまうという、そういったリスクもあったりもします。そういったところをできるだけ、独自性の例みたいなものも提示してあげると、良いのかなと思いながらに見させていただいておりました。
○井出座長 ありがとうございました。
私も個人的には地域の独自性ということになるかもしれないのですけど、そのあたりが非常に気になるところなのですけれども、他の構成員の皆様から何かございますか。
○津下構成員 私は、標準化は大事なことだとは思いつつ、計画策定者と実施者が異なるため、本来は一体的実施に取り組む市町村が標準化様式に従って計画をつくり、広域連合で統合・整理することが必要と思います。計画策定者と実施者が異なる構造であること、それから保健事業を実施する市町村では、ポピュレーションアプローチは介護予防事業、地域支援事業、健康増進事業など色々なところと連携して進めていく話になります。それは、広域連合がコントロールできる範囲ではなく、自治体の取組になります。したがって、標準化の話や戦略の道筋を示すことには同意しますが、これを後期高齢者のこの複雑な構造の中でどう提示するのか、全然シンプルではなく、本事業にあった具体的なイメージをつくらないといけません。広域連合については、広域連合が実施できることは何かということを考えた上で全体像を描かねばならないし、委託を受けるという形ではありますが、実施主体である市町村が標準化様式に従って、どのように後期高齢者の保健事業をやっていくか、を検討する必要があります。その際に、介護保険の担当部局や健康増進部局と一緒になって、地域のポピュレーションアプローチや、そういうものが足りなければどんどんそういうものも増やしていこうということを検討していく必要があります。これは市町村の計画になっていくのだろうなと思うのですね。今、介護保険部会の中でも、市町村単位の介護保険事業計画と医療計画やデータヘルス計画の連動をどうするかという話が出ているのですけれども、そうすると、そこをきちんと整理しないと現実的ではありません。健保や国保のそのままの延長でできるのか、疑問です。総論は標準化でいいのですけれども、どのように具体に落とし込んでいくのかを模索していかないと間に合わないのではないかという気がしています。広域連合のデータヘルス計画の範囲、市町村の取組をどのようにモニタリングしてやっていくかという、そういうフレームになるとは思うのですけれども、では、その先の市町村についての実施状況、計画とか一体的実施をどのように進めるかということと常に連動していないと、「あの時つくりましたよね」で終わってしまうと思います。実効性のあるデータヘルス計画のための議論をしないと間に合わないのではないかという心配をしながら伺っておりました。
○井出座長 ありがとうございました。
それでは、この項目で市町村のご意見をいただきたいと思います。石黒構成員、お願いできますでしょうか。
○石黒構成員 今、津下先生がおっしゃっていただいたこと、私も心配というか、市町村が実践したことをどのように報告し、伝えていくのかという具体的なところはこれから決められるのかなというのは思っておりました。以前の打ち合わせのときにもお話をさせていただいた部分もあるのですけど、21ページの「標準化の取組の目的やその効果について記載する」という部分、その効果について、市町村は何を効果としていくのか、何をすることで成果を見出すのかという具体的な取組、個別事業の示され方などもデータヘルス計画の実施項目の中に入れていっていただくと、市町村も進めやすいのではないかと感じております。
それから、他部局との連携は、国保からの継続、連携ももちろん必要ですが、介護予防事業、ポピュレーションアプローチの事業、そういったところでの連携の記載内容も盛り込んでいただくと、市町村もやりやすいのかと感じました。
○井出座長 ありがとうございました。
事業を実施されるところでの、そういう意味では整合をとったり、具体的に事業を進めていく、それをまたどのように評価していくのかというところの課題を、データヘルス計画の中でどのように位置づけるのかということを、今、津下構成員と石黒構成員からいただいたのかなと思います。
それでは、次の議論に移りたいと思います。23ページの「評価指標の設定」についてご議論いただきたいと思います。前回のワーキンググループ以降、事務局のほうで取りまとめをしていただきました。案を出していただいておりますけれども、こちらについてご意見があればいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、事前のご説明のときに何名かの方から意見をいただいているそうですので、それをお話しいただければと思います。津下構成員からお願いできますでしょうか。
○津下構成員 先ほどから健康課題という話がずっとあったのですけれども、高齢者の保健事業について目指しているものは何なのか、そこの定義がきちんとされないと評価指標がぶれてしまうのですよね。国保などの75歳未満と75歳以上は明らかに違う。健康課題と言っていいのかどうなのか分かりませんが、死亡リスクも医療費も非常に高くなる。しかし死なないということはないので、前回もお話ししたのですが、検査の異常率や医療費を減らすという単純なことではない。
データヘルス計画は広域連合の保健事業をうまく進捗管理していくための計画と私は理解していたので、座長より事業管理ではないと言われることに関して、違和感を覚えざるを得ない。必要な人を必要なところにちゃんとつなげる、必要な人がそこで孤立していないようにしていくなど、どういうことが広域連合としての保健事業の目指すところか。国民のコンセンサスを得られる指標立てをする必要がある、その点が難しいのではないかと思います。医療費適正化ということで医療費がかかることがいけないのか。老衰で医療費がかからないで亡くなる人を増やせば医療費はかかりませんが、数字をどのように解釈して、それが良い悪いということになるのか。医療資源があるからそうだったり、死んでもいいわといって諦めたり、または看取りをきちんとする、しないということに多くの指標が、確認すべきデータのところには入ってきます。これは確認すべきデータとして横に置いておく。データヘルスの評価指標等については25ページにある、このような具体的な評価指標のイメージで議論していくのが良いと思います。例えば「健康課題」とか曖昧な言葉でいってしまうと、医療費とか介護給付費だって、それは使うことが良いのか、使わないことが良いのか。使って自立していけば良いとか。投入が入ってしまうと、一概にアウトカムではないものになってしまう。その視点で見ると、25ページというのは医療費などはちゃんと横に見ておく指標に位置付けている。どのような特徴があるかということは知っておく必要があるけれども、データヘルス計画の総合的な指標としては、分母をどうするかという議論はあるけれども、健診受診率や、必要な人に質問票ができているか、必要な人をちゃんと把握できているかなど、そのような事業につながったか、最終的なアウトカムとして平均自立期間やハイリスク者の割合と、こういう指標を見ると安心するところだと思います。具体的にどのような指標を立てるかということの議論をしながら、構造を見ていくと良いと思います。
健診受診率についても、加入者全体を対象にすると本当に全員が健診を受けなければいけないのかとなってしまいます。健診を受けてほしい人、例えば施設入所者とか長期入院者は除いて、健診受診の対象となる人の人数を把握した上で、その上の受診率と言えば、それを上げるために頑張れると思います。施設入所者は保険者としては加入者であるけれども、保健事業の対象にならない人たちをどのように整理しながら現状を見ていくかということで、分母についての整理が必要だろうと思います。
25ページを見る限り、こういう整理の仕方で良いのではないかと思います。余り「健康課題」と言わないほうが良いように思います。健康課題は加齢とともにどんどん蓄積、変化していくものですし、多様な対象者、医療や介護との関わりが入っていて広域連合でコントロールできない世界での話になります。健康状態不明者が減るとか、保険者としての保健事業で達成可能な範囲を総合指標としておくということを共通指標としておくという考えであれば、賛同できると思います。
○井出座長 ありがとうございました。
他の皆さんはいかがでしょうか。樺山構成員、お願いいたします。
○樺山構成員 今の津下先生のおっしゃったところで、さらに私が思っているのは、これが提示されるときに、この数字を出すときのことです。例えば、確認すべきデータで1人当たり医療費を見ても、全くゼロの人たちもいたりとか、市町村によって大きさが違って、高額の人もいるなど、本当に自治体で数を出していこうとしたときに、どのようなものを出していったら良いのか、すごく迷われると思うのですよね。そこを少し考え方というか、ゼロの人たちは除外するとか、ゼロの人たちの数を出すというのでも良いかもしれない。高額の人が引っ張っていたりするので、高額の人たちは1人当たりを出したほうが良いかもしれないなど。あとは年齢別に見てみましょうなど、そのような考え方をできるだけ入れておいてあげるほうが良いかと思います。
○井出座長 ありがとうございました。
数字の見方的なところで、例えば1人当たりというのは平均と同じなので、そうではない見方もあるのではないかということで、ゼロの人というのは恐らく健康な人なのかどうかというのがあるかもしれないですが、そういった方もいらっしゃるということを踏まえて、もう少し数字の見方もご提示いただくといいのではないかというご意見かと思います。
では、唐川構成員、いかがでしょうか。
○唐川構成員 津下構成員がおっしゃられたとおり、「評価指標」というところを軸に語っていくのが良いと私も思います。「健康課題」に関しては、ここで言うところの目指すべき評価指標と現状とのギャップが健康課題になると考えると、評価指標で何を目指すかというところをしっかり押さえていく。今ここで総合的な評価指標というように示していただいている部分が、いわゆる地域で自立した生活をいつまでも営めることを目指そう、というところでいえば、こういった評価指標が1つ基準になると思っております。
医療費に関しましても、多ければ良い、少なければ良いという議論はなかなか難しくて、例えば未受診の方をしっかり医療につなげようとしていくと、必然的に短期の医療費は増えると思うので、そういった医療費を削減するというところは余り強調しないほうがいいだろうと思っています。こういった確認すべきデータとしては見ていくが、評価指標とはしないというのが非常に良いと思っております。
受診率に関しては、こういった共通の評価指標で示すときの分母は非常に繊細な事項かと思っておりまして、健診の受診対象者としては保健指導にちゃんとつながったり、健診後に意義のあるアプローチや対応ができることが健診していく意味かと思ますので、そういった意味での対象者は、除外対象者があって然るべきかと思います。一方で、現状では、後期高齢者医療の中で健診の分母が統一的になされていない、各広域がそれぞれの分母で色々な受診率を出している中で、ここでの分母を、例えば除外対象者を設定した際に、作用的な意味も含めてどこまで統一的な数値を示せるのかという懸念点があります。そういったことを考慮すると、暫定的かもしれませんけれども、分母の統一がなされるまでは、ある意味、広い意味で全広域が共通して見られる数値でいうと、分母が被保険者数であれば最も簡単かと思ったりしております。
○井出座長 ありがとうございました。
今、唐川構成員の話から指標の分母の話があったところですが、その前の話で少し整理しておきたいと思います。資料の22ページ「高齢者保健事業における目標設定の考え方」というスライドで、「高齢者保健事業の最終的な目的は、生活習慣病等の重症化予防と高齢による心身機能の低下防止により、自立した生活が送れる高齢者が増加すること」というように、今の段階ではさせていただいております。まずここのところは基本的な認識として押さえておいた方が良いのかなと思います。ただ、次に、これが例えば健康寿命がというお話になったとしたときに、広域連合が健康寿命を保証できるというか、すぐに結び付けていくことはなかなか難しいので、25ページの具体的な事業における評価指標ということになっていると。ここはすごく近いというわけではないですけれども、関連している指標で、管理者の方が健康状態を見守っていくとか、リスクのある方は医療につなげていくとかというところで置かれている指標という理解を私としてはしています。皆さんも恐らく同じようなお考えかと思ったところです。
その次のところで、指標のつくり方について少し具体的な話で分母の話がありまして、具体的な事業の対象につながる方を分母にした方が良いのではないかという話と、一方で、現状では分母の捉え方が広域ごとで違っていますという話がありました。後者の話について追加でご発言があればお願いしたいところなのですが、いかがでしょうか。
○津下構成員 これは、老人保健事業のときには、健診受診率の評価方法が市町村ごとにバラバラだったのですね。それで、市町村ごとに比較ができない、PDCAが回らないとなった。そもそも分母が異なり、受診率が低いところで健康指標が良いといっても仕方がないという話で、とにかく分母をそろえることがいの一番に大事な話だったわけです。ですので、特定健診でも一定条件の人を除外することをやっています。長期入院や施設入所、刑務所、妊婦さんなど、分母を除くということで、ようやく市町村間の比較ができるようになりました。これは非常に大事で、がん検診でも、それがないから比較ができないということが一番大きな課題になります。こういった節目のときにしか、それをそろえる、ベクトルを動かすことはできないと思います。ここは厚生労働省さんにもぜひ頑張っていただいて。特定健診でできたことです。74歳まではそれでやっているので、その方式を後期高齢者でも検討してください。特に除外する人がどんどん年齢が高くなるにつれて増えてきますから、保険者全体で見ると今後どんどん受診率は下がるはずです。受けない人が増えるということになりますので。ここはデータの比較可能性ということをしっかりと決めて、きちんと決め打ちをしていくこと、物差しをそろえるということが標準化の第一歩だと思います。この会議なのか、別の会議で議論するのか分かりませんが、データヘルス計画においては一定のこのような基準で見ていきましょうというような形で示していく、抵抗はあったとしてもやるべきではないかと思います。5年後にはやって良かったと必ず思うと思います。
○井出座長 ありがとうございます。
ここの点については現場の保険者さんにも意見をお聞かせいただきたいと思います。石黒構成員はいかがでしょうか。
○石黒構成員 もしかすると評価の論点から外れてしまうかもしれないのですが、私も国保に所属していた時にデータヘルス計画を策定し、今も一体的実施に取り組んでいる中で、データヘルス計画は、保健事業がどう回っていくかというところをしっかり評価できる計画だと思って進めてきています。ここに挙がっている、例えば低栄養や口腔、服薬など、こういったものはKDBのシステムから数字が上がってくるもので、その数字が変化することだけではなくて、この数字を見て、市として、保険者として取組をするターゲットがどこなのかということがしっかりと分かり、この変化したことが、保健事業がしっかり回ってきたかどうかを評価できる数字として捉えて考えていくというようなものだと思います。これは評価指標標準化と外れてしまうかもしれないのですけれども、実施する市町村が数字をどう捉えて保健事業を回していくのかということをしっかり分かった上で進めていくと良いと思います。
一方で、広域連合は、実施する市町村とは別の団体になるので、市町村のこの結果を見て、広域連合が市町村の底上げをするときなど、市町村の成果をどのように見ていくのか、これからどうしていくのか。数字を見ただけで終わりではなくて、ここの市町村はしっかり保健事業が回っているからこの数字になっているのかなど、数字が悪くてもすごく頑張っているところは評価してあげてほしいですし、広域が市町村をどう見るのかなというところも議論が必要だと、現場サイドとしては感じております。
○井出座長 ありがとうございました。
あわせてお伺いしたいのですが、受診率の分母を考えていくときには、PDCAサイクルを回していくときに対象の方がはっきり分かっていたほうが回しやすいので、国保の健診と同じような形でそろえていく方が良いというご意見ですか。
○石黒構成員 そのように思います。分母は、津下先生がおっしゃられたように、長期入院の方とか施設に入れる方というのは分けていったほうが良いと感じます。
○井出座長 ありがとうございました。
市町村では、対象の方を除外したりして、要はそろえることができるということですか。
○石黒構成員 保険年金課に確認しましたけれども、レセプトから入院のデータを見たり、施設に長期入所している人の情報をいただいたりということで削除することは可能だと言われていますので、可能かと思います。
○井出座長 今、蒲郡市では具体的にはどうされているのですか。
○石黒構成員 蒲郡市では、レセプトで長期入院対象者を除いたり、高齢者施設に入所している方のリストをいただいて抜いていると聞いています。
○井出座長 現状でもされているのですね。
○石黒構成員 はい。
○井出座長 ありがとうございました。
では、藤木参考人にもお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
○藤木参考人 受診率の分母についてですが、福岡では直営で健診をしていますので、長期入院者・入所者も全部除外しています。全県で見ても、除外しているところが多いかと思います。除外していないところは多分数県かと思います。一体的実施が始まって全市町村でするという目標を掲げていて、一体的実施の保健事業は、健診から対象者を抽出するということであれば、この時期に対象者を統一すると良いのではないかと思っています。また、継続して国保からのデータを見るときにも、国保の受診率は分母を基準にして同じような形で受診率を出した方が比較しやすいのではないかと思います。
もう1点、医療費が確認すべきデータになっていますが、これまで医療費適正化も保健事業の大きな目標となっていたかと思います。医療費を分析して事業計画を立てていたこともありますし、糖尿病性腎症重症化予防についても医療費が高額になることから積極的に取り組んできたかと思います。このようなことから、評価指標に医療費を設定しているところもあるかと思います。第4期医療費適正化計画でも、新たに高齢者の保健事業が計画に位置づけられることになったことからも、福岡広域のデータヘルス計画の評価指標では、医療費は外れていて確認すべきデータになっているのですけれども、これに疑問を持つところもあるのではないかと思います。こういったデータヘルス計画で医療費適正化をどのように位置づけるか、医療費適正化計画との整理について、あと国保ではどのように医療費適正化を位置づけているのか、そういったことも考慮して記載していただけると分かりやすいと思います。
○井出座長 ありがとうございました。
2つお話をいただいて、1つは、評価のほうで、多くの構成市町村では分母を特定健診と同じようにカウントされていると。
後半のほうは、医療費の適正化を今までもデータヘルス計画の目的の中に置いているところもあるので、25ページのほうでは「確認すべきデータ」となっていますが、その位置づけ等について疑問に思われる保険者さんもいるのではないかという話ですね。ありがとうございます。
医療費の取扱いに関しては先ほど来、ご意見がありますとおり、医療費が高いことが良いのか、悪いのか。保険者さんとしては、医療費が高騰してくることに関して問題意識がある場合もあると思います。捉え方が難しいのと、かといって、一方で、これを見ないというわけにもいかないので、やはりモニタリングは続けていく必要があるのだろうなということで、確認すべきデータとして現状は整理いただいているのかと思っております。
他に何か、評価指標に関してご意見があれば。
○津下構成員 医療費適正化は本当に大事だと私も思います。ただ、現行の保健事業は重症化予防です。腎機能が悪くなって最後に透析するか、そのまま看取るか、そういう段階になったときに訳も分からないうちに透析になったということではなく、適切な支援によって看取りをするなど、最期を家族も含めてうまく支えていくとか、そういう支援があって初めて、本当の意味での医療費適正化と本人の最期まで生きていて良かった、という、いわゆる満足度の高い死というとあれですけれども、そういうことにつながると思います。しかし、今回の保健事業ではそこまでの支援事業が入っていない。結局、医療費は、どのような医療が後期高齢者に対してなされるのかという影響が現実には強いのだろうと思います。それが成果目標になってしまうと、保険者としては打ち手がなくてしんどいのかなというような考え方ですよね。もちろん、行き過ぎた医療、薬剤について必要性をしっかり考えていくこと、高齢者の尊厳を保つような看取りなど、そういうことにつなげようと、ガイドラインがたくさん出ていますけれども、現状では、そこをしっかりと普及させるとか、そういうことができるような保健事業にするとか、そこまで今回の保健事業では対象になっていないところでもあります。保健事業がそこまでいくのであれば掲げるべき指標かとは思うのですが、現行はできるだけ自立した在宅期間を延ばしていくという話ですので、トータルの保険者の医療費というと、結局、長期入院・施設といった保健事業では届かない範囲の方の医療費を見てしまうということになります。こんなに頑張っているのに医療費がどんどん増えていきますということにつながっていくのではないかということで、参考として見ておくべき指標といったあたりが落ち着きが良いのではないかと思います。逆にそれを総合指標として掲げていくのであれば、そういう方向で、それこそ保健事業のガイドラインも書き直していかないといけない。そこに対して、医療関係者とか、国民も含めて社会、日本全体で、それを目指すのだというコンセンサスがない限り、データヘルス計画として、広域連合の保健事業のアウトカムとしては厳しいような気がしています。本当は目指した方が良いだろうと私も思っています。ただ、今の保健事業ではそこまでリーチできていないと感じています。今後、長期計画でそこまでリーチさせる、そこに置くからそういう事業もやっていかなければいけないという論理になっていくのであれば、置いてもいいと思います。あくまでも何ができるかを考えておくのかなと思っています。
○井出座長 ありがとうございました。
医療費が高い低いということは、どのように判断できるのか。また、保健事業が医療費の適正化にどのようにつながりがあるかというと、今それほどはっきりとした根拠はないというところに我々はいると思います。そういったことをご説明いただいたかと思います。
広域連合の保健事業実施計画ということですので、広域連合が努力をして、変わっていけるかどうかというところで、この指標を見ていくという考え方があると思います。最後に唐川構成員から、今出ている案が、広域連合で取り組まれたときに、動かせる、改善していけるかというところで見たときにどうか、という観点でご発言をいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○唐川構成員 今お示ししていただいている指標に関しては、広域の中ではアプローチ、介入していくことで、改善という意味で動かしていくことが可能な指標かと思います。平均自立期間に関しては様々な要素もあるかもしれませんが、やった結果、アウトカム、一歩先のインパクトではないですけれども、少し大きなアウトカムという意味では、ここを目指すという意味では、お示しいただいている指標が、共通して見ていくものとしては良いのかなと。
医療費に関しては、このように示していただいているのは、あくまで全広域が共通して見ていこうねという指標かと思いますので、恐らく各都道府県の広域連合で、これにプラスして評価指標として見ていきたい指標というのは様々あるかと思います。そこはそこで、その広域で見ていきたい指標として設定していくのが良いのかなと思いますので、全体としてはこういったところが介入で動かすことが可能で、かつ継続的に簡単に見ていくことができる指標かと思っております。
○井出座長 ありがとうございました。
それでは時間も来ておりますので次の論点に移らせていただきたいと思います。
では、最後の論点は33ページで、「他の計画との調和(整合性)」についてということで、ご議論をいただきたいと思います。
こちらにつきましては、先ほども適正化の関係で出ていたところかと思いますけれども、いかがでしょうか。ご意見があればお願いいたします。
○津下構成員 広域連合が直接、介護保険事業計画と整合をとるのはなかなか難しいですよね。市町村単位で策定する計画になるので、広域連合は市町村がちゃんと介護保険事業計画と整合をとった計画を策定しているかを把握するという範囲で位置づけるならば良いかと思います。欲を言えば、広域連合では全ての介護保険事業計画を集めて、市町村にこんなことができるのではないかという話をしていっても良いと思うのですけれども、それはマンパワーからいっても負担が大きいので、そこは介護保険の保険者である市町村にお任せして、それぞれの市町村が一体的な実施と介護保険事業計画とか、そういうものの整合がとれているかを確認していく。以上、介護保険の位置づけが非常に重要だと思いますし、健康増進計画については都道府県と市町村と両方が策定しますので、広域連合は都道府県計画との連動は必要ですし、個別の市町村が健康増進計画も活用しながら、指標とも整合をとりながらやっているかを見ていくという、そういう位置づけは必要だろうと思います。
一方では、広域連合と都道府県の関係というのは、先ほどの図で、都道府県は国保の保険者であるけれど、後期高齢者の保険者ではない。医療計画は都道府県がつくるので、そことの連動というのは本当に非常に重要で、都道府県の医療計画のガバナンスの下に後期高齢者の医療も提供されると思うので、本当は後期高齢者の保険者として都道府県の関与が位置づけられる必要があるのではないかとは思います。できるだけの整合を図っていく必要はあるのではないかと思います。医療費の中で圧倒的に後期高齢者の医療費が多く、そして若い世代からの支援金も入っていることもあるので、都道府県が後期高齢者の医療費に無関心というわけにはいかないと思います。医療計画との連動は県レベルで非常に重要かと思います。
○井出座長 ありがとうございました。
他にもご意見はございますか。
○土屋構成員 医療計画の5疾病をもう少し強化するような内容が盛り込まれているという情報をお聞きしています。その辺りも考慮しながら整合性をとっていった方が良いかと思っています。都道府県と広域連合が一緒に調整していった方が良いと思っております。
○井出座長 ありがとうございました。
夏原構成員からも一言いただけますでしょうか。
○夏原構成員 津下先生がおっしゃったとおりだと思うのですが、国保のデータヘルス計画では、介護保険事業計画との関連性を必ず明記するような形で策定しているので、後期においては、最終の保険としての役割として、全体のつながりを絶対に書かなければいけないのではないかと思っています。途中から出席して聞いていたのですが、大変だと思うのですが、後期が全体を集約できるような形になればと聞いておりました。
介護保険を持ってくるのはなかなか難しいかもしれないのですが、国保と介護とつながっていただけると有難いと思います。
○井出座長 ありがとうございました。
全体としては、他の計画とできるところで整合をとり、参照していくということに関してはご異論ないところかと思います。特にという視点がありましたら、お願いいたします。
○津下構成員 75歳以上ですが、県民全体のデータがそろうのは、実は後期高齢者のデータヘルス計画だけですよね。国保も被用者保険も、色々な保険者さんが関わっていて、全体的に見ることができないのですけれど、都道府県の健康政策全体、保健事業とか色々なことが良かったかどうか、結局、後期高齢で全部が一緒になる。意外と、夏原構成員の今の話ではないですが、後期高齢者のそこのところのデータは非常に大事で、今は後期高齢者の中だけで話をしていましたが、後期高齢者がこうなのだという話を国保や被用者保険にしっかりぶつけていくことが非常に大事です。なぜかというと、国保や被用者保険から支援金をいただいて賄っているので、それがこのように使われていますとか、このように保健事業をやっていますとか、説明責任ではないですけど、それをきちんと他計画の国保や若い世代に返していくという義務があるのではないかと思います。後期高齢者の特に確認すべき評価指標ではないけれどもというような指標については、後期高齢者だけでとどめるのではなく、他計画、若年期の計画にもきちんと反映するようにとか、後期高齢者の医療費が安くなれば支援金も減らすことができ、本当の意味で、加算減算でなく支援金を減らすことができるので、ここに関心を持ってもらうようなデータを出し、若い世代にきちんとこれを還元するのは重要ではないかと思いました。
○井出座長 ありがとうございました。
余り時間もないところなのですが、全体を通して何か追加でご発言はございますか。
特にないようですので、本日、皆様方にご議論いただきまして、改めて思ったところがございます。広域連合の保健事業実施計画ということでご議論いただいているわけですけれども、市町村であるとか世代を超えたとか、他の介護保険事業との連携を取る必要があるということは、最後のところでも出てきたかと思います。現状、なかなかそこまで手が届かないのではないかというご発言もあったかと思います。第3期計画を進めていく中で、そういったところにもだんだん広がっていけばというところで、現状は、例えば介護保険の総合事業との連携をどのように図るのかということは、後期のところでは守備範囲外になってしまうところもあるのかなと。市町村のほうで整合を取っていただくところなのではないかと思ったりもしましたし、先ほど指標の分母の話もありましたが、現状は都道府県ごとにばらばら、市町村ごとにばらばらになっているところがあると思いますが、整合をとっていく方向で、具体的な進め方ということでは、徐々に進めていくしかないのかと思いました。
前回、多くの議論をいただきまして、事務局でも精力的におまとめいただいたことで、少し方向性が出てきているかと感じた次第です。また、本日も幾つか論点、ポイントをいただいておりますので、事務局で整理、検討をいただきたいと思います。
本日予定しておりました議題は以上でございますので、事務局にお戻ししたいと思います。ありがとうございました。
○宇野調整官 ありがとうございました。
皆様方から頂戴しましたご意見を踏まえ、検討を進めてまいります。
次回のワーキングの開催日程は2月21日16時~18時となります。長時間にわたりましてご議論いただき、ありがとうございました。