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令和4年11月28日 革新的医療機器創出のための官民対話 議事録
医政局医薬産業振興・医療情報企画課
日時
令和4年11月28日 18:00~19:00
場所
中央合同庁舎第5号館 省議室(9階)及びWEB
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
出席者
(1)医療機器産業界
三村 孝仁 (一般社団法人日本医療機器産業連合会会長)
山本 章雄 (一般社団法人日本医療機器産業連合会副会長)
小川 一弥 (一般社団法人米国医療機器・IVD 工業会会長)
玉井 孝直 (一般社団法人米国医療機器・IVD 工業会副会長)
藤原 武志 (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD 委員会筆頭副委員長/薬事部会担当副委員長)
江田 信一 (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD 委員会副委員長/IVD部会担当副委員長)
小野 徳哉 (一般社団法人日本臨床検査薬協会会長)
(2)アカデミア
中釜 斉 (国立研究開発法人国立がん研究センター理事長)
大津 欣也 (国立研究開発法人国立循環器病研究センター理事長)
横手 幸太郎 (一般社団法人全国医学部長病院長会議会長、千葉大学医学部附属病院病院長)
(3)行政庁
加藤 勝信 (厚生労働大臣)
星野 剛士 (内閣府副大臣)
井出 庸生 (文部科学副大臣)
太田 房江 (経済産業副大臣)
三島 良直 (国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)理事長)
藤原 康弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長)
三村 孝仁 (一般社団法人日本医療機器産業連合会会長)
山本 章雄 (一般社団法人日本医療機器産業連合会副会長)
小川 一弥 (一般社団法人米国医療機器・IVD 工業会会長)
玉井 孝直 (一般社団法人米国医療機器・IVD 工業会副会長)
藤原 武志 (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD 委員会筆頭副委員長/薬事部会担当副委員長)
江田 信一 (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD 委員会副委員長/IVD部会担当副委員長)
小野 徳哉 (一般社団法人日本臨床検査薬協会会長)
(2)アカデミア
中釜 斉 (国立研究開発法人国立がん研究センター理事長)
大津 欣也 (国立研究開発法人国立循環器病研究センター理事長)
横手 幸太郎 (一般社団法人全国医学部長病院長会議会長、千葉大学医学部附属病院病院長)
(3)行政庁
加藤 勝信 (厚生労働大臣)
星野 剛士 (内閣府副大臣)
井出 庸生 (文部科学副大臣)
太田 房江 (経済産業副大臣)
三島 良直 (国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)理事長)
藤原 康弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長)
議事
○司会(安藤課長) お待たせいたしました。それでは、ただいまから第3回「革新的医療機器創出のための官民対話」を開催させていただきます。
本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
司会進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長の安藤でございます。よろしくお願いいたします。
今回は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策の観点から、現地での御参加とウェブでの御参加のハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブ参加の皆様は御発言時以外はマイクをミュートにするようお願いいたします。御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、まず各省の政務より御挨拶申し上げます。
まず、加藤厚生労働大臣より御挨拶をお願いいたします。
○加藤厚生労働大臣 お待たせして失礼いたしました。また、今日はお忙しい中、官民対話に御参画をいただきまして、ありがとうございます。
産業界の皆さんにおかれましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が続いている中でありますが、医療機器、体外診断用医薬品の安定供給に大変御尽力をいただいていますことに改めて感謝を申し上げます。
この官民対話は、産業界、アカデミアの皆さんにお集まりをいただき、革新的医療機器の創出をめぐる現状や課題を共有するため、定期的に開催をしてまいりました。前回はオンラインでの開催でありましたが、司会からもありましたように、今回はオンラインとのハイブリッドの形で、医療機器業界4団体の皆さんにもこうして会場に足を運んでいただいたところでございます。
医療機器産業は、我が国の医療の質の向上と健康寿命の延伸に極めて重要な役割を果たしていただいております。政府としては、優れた医療機器の研究開発と普及の取組をさらに推進するため、本年5月に第2期医療機器基本計画を策定いたしました。この計画においては、国民にとって有効かつ安全な医療機器が迅速に開発をされること、それが遅滞なく国内に上市されること、さらに入手可能な状態が維持されることを目指すことを基本理念としております。
その上で、今回の改定においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による供給不安リスクの顕在化やプログラム医療機器をはじめとした新たなカテゴリーの医療機器の登場等、医療界を取り巻く環境の変化も踏まえ、これらの目標の達成に必要な施策を定めさせていただきました。具体的には、サプライチェーンの強靱化、医療保険制度におけるイノベーションの評価、迅速な薬事承認体制の構築、研究開発人材の育成、企業とアカデミアのマッチング促進等が必要であり、厚生労働省として、関係省庁に加え、産業界、アカデミアの皆さんと協力して取り組んでいきたいと考えております。こうした取組を推進するために何が必要なのか、何が足りないのか、率直な御意見をいただき、御提案をいただきますようお願いを申し上げます。
この官民対話が医療機器産業の今後の発展につながる実り多いものになることを御期待申し上げ、私の冒頭の御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、星野内閣府副大臣より御挨拶いただきます。星野副大臣、よろしくお願いいたします。
○星野内閣府副大臣 内閣副大臣の星野剛士でございます。
第2期の健康・医療戦略の下、内閣府としても関係各省と連携をし、AMEDを通じて革新的な医療機器の創出に向けた様々な研究開発支援を展開しております。また、皆様の研究開発が一層加速されるよう、必要な制度整備も着実に進めてまいります。
具体的には、個人情報の的確な保護を図りつつ医療情報の利活用の促進を図る次世代医療基盤法について、研究者の皆様がより一層使いやすくなるよう現在制度の見直しを進めております。
さらに、優れた研究成果を表彰する日本医療研究開発大賞も今回抜本的な充実を図りました。スタートアップ枠を創設するとともに、広く一般公募といたしました。現在公募中ですので、ぜひ積極的に御応募ください。
こうした取組により、今後も皆様のイノベーションをしっかりと支援をしてまいります。
本日は、皆様から医療機器産業のさらなる発展に向けた忌憚のない御意見をお伺いできればと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、井出文部科学副大臣より御挨拶をいただきます。井出副大臣、よろしくお願いいたします。
○井出文部科学副大臣 文部科学副大臣の井出庸生です。
官民対話、初めての参加となりますが、15年以上の積み重ねがあると聞いております。関係の皆様に敬意を表したいと思います。
今日は、特に医療機器関連の施策の推進に向けて、産業界、アカデミアの皆様と有意義な意見交換ができると期待をしております。
文部科学省では、今年5月閣議決定された医療機器基本計画に基づいて、大学等の基礎研究を推進するとともに、革新的な医療機器・システム開発を進める基礎的な技術シーズの発掘・育成等に力を入れております。特に、現場ニーズに合った医療機器開発のために独創的な技術シーズを持つ研究者が企業、臨床医と一体となってこれまでにない医療機器のプロトタイプ機の作製を行うなど、実用化に向けた研究開発支援をしております。
また、研究開発の初期段階から事業戦略などのコンサルティングや企業マッチング支援、若手研究者等への実践教育などの取組を行うなど、医療機器開発を担うアカデミア人材の育成にも取り組んでおります。
文部科学省として、引き続き革新的な医療機器創出に向け、関係府省、産業界、アカデミアの皆様と取り組んでまいりますので、今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、太田経済産業副大臣より御挨拶いただきます。太田副大臣、よろしくお願いいたします。
○太田経済産業副大臣 経済産業副大臣の太田房江でございます。よろしくお願いいたします。
世界的な高齢化や新興国の国際需要の増大を受けまして、医療機器産業はグローバルな規模で拡大傾向にあり、成長産業として位置づけられています。最近ではプログラム医療機器といった新たなカテゴリーの医療機器が登場するなど、医療機器産業を取り巻く環境も変化をしております。
経産省としても、イノベーションの牽引役であるスタートアップをより一層支援することによりまして、プログラム医療機器の開発・実用化、そして、産業の成長を促してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、人工呼吸器や酸素濃縮装置をはじめとした医療機器の需給が逼迫する事態を踏まえ、経産省では国内生産体制強化の支援も行ってきたところであります。
また、経済安全保障の観点も踏まえ、引き続き厚労省をはじめとする関係省庁と連携をしながら対応してまいります。
本日は皆様との対話を楽しみにしております。忌憚のない御意見、お願い申し上げます。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、冒頭の御挨拶は以上とさせていただきますので、プレスの方はここで御退場をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○司会(安藤課長) なお、途中ではございますが、ここで星野副大臣、太田副大臣は公務の都合上退席をされます。ありがとうございました。
(星野内閣府副大臣、太田経済産業副大臣退室)
○司会(安藤課長) さて、本日はまず医療機器産業界の皆様より配付した資料に沿って御説明をいただき、その後、意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
早速でございますが、産業界より御提出いただいた資料について御説明をお願いしたいと思います。御説明は、日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会、日本臨床検査薬協会の順にてお願いいたします。
まず、日本医療機器産業連合会から三村会長、よろしくお願いいたします。
○三村会長 医機連会長の三村でございます。本日はこのような意見交換の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
早速御説明させていただきます。
スライド2枚目を御覧ください。我々医機連は、今回のコロナをはじめとする感染症の発生や昨今頻発する自然災害など、どのような状況下におきましても医療を止めることがないよう、医療機器・資材の安定供給に努めております。また、一方で、医療DXなどの新しいイノベーションの開発にも積極的に取り組み、これらの社会実装を加速させる動きによりまして、医療の質の向上と効率化を推進しております。医療機器によって良質な医療が提供され、国民一人一人が安心して健康が享受できる社会の実現を目指しております。
3枚目を御覧ください。本日はこれら5つのテーマについて御提案申し上げます。
4枚目を御覧ください。まず最初は、コロナに始まり、ウクライナ紛争、昨今の急激な円安による物価高騰など、激変する経済情勢への対応についてでございます。医療機器は様々な素材や部品によって構成されておりますが、御覧のとおり、樹脂材料や電子部品、金属材料に至るまで激しく価格が高騰していることから、企業収益への圧迫のみならず安定供給にも影響を及ぼし始めております。
5枚目を御覧ください。これら経済情勢の悪化を受けて医機連で実態調査を行いましたところ、既に安定供給への影響が出ていると回答した企業が半数に及び、今後懸念される企業も合わせますと約7割に達しております。また、前回6月の調査と比べ、改善が見られない企業、さらに悪化している企業はいずれも50%近くに及んでおり、かなり深刻な状態が読み取れます。その要因は言うまでもなく原材料・部材価格の高騰と入手難でございます。
6枚目を御覧ください。以上のように、部材の入手難や価格高騰は医療機器の安定供給に大きな影響を及ぼすとともに、価格転嫁が困難なことにより、企業収益の悪化も引き起こしております。そもそも保険医療材料は診療報酬改定のたびに償還価格が低下しており、仮に採算が悪化しても供給を止めるわけにはいかず、企業収益にとってマイナス要因となっております。そこで、3点御提案をいたします。1つ目は、医療機器に使用する原材料・部材は、適正価格でかつ安定的に確保できるよう、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。2つ目は、円滑に価格転嫁が行えるよう、診療報酬上の対応や医療機関への要請、さらに材料変更を行った場合の承認審査の迅速化など、具体的な対応を講じていただきたいと思います。3つ目は、医療上必要不可欠な保険医療材料につきましては、医薬品と同様、価格を下支えする制度的枠組みを設けていただければと考えております。
7枚目を御覧ください。次はコロナ等の感染症への対応についてでございます。今回のコロナでは、特定の医療物資への需要が急増するとともに、国際的なサプライチェーンが混乱に陥り、必要な物資の確保に支障を来したことは御承知のとおりでございます。今国会で感染症法改正が行われますが、関連して2点御提案申し上げたいと思います。1つ目は、感染症対応に必要な物資につきましては、平時からモニタリングを行うとともに、必要不可欠な物資は国として備蓄を行って、緊急時の供給網をしっかりと確立していただきたいと思っています。2つ目といたしましては、買取り保証等の財政措置を講ずるとともに、法律の発動基準や発動要件等を明確化していただきたいと思います。
8枚目を御覧ください。次は医療分野におけるDXの推進についてでございます。SaMD、いわゆるプログラム医療機器によって、診断・治療精度の向上や効率化が期待されておりますが、一方で、現行の規制や診療報酬体系がハードウエアを前提につくられていることから、開発推進の課題となっております。他方、諸外国では柔軟な保険償還を行うなど、政府が積極的にデジタルヘルスの社会実装に取り組んでいると聞き及んでおります。また、Non-SaMDを安心して使用できる環境づくりも課題と考えます。そこで、2点御提案でございます。1つ目は、SaMDの特性に応じた承認審査制度並びにコスト構造や医療現場への貢献を考慮した診療報酬制度を実現していただくことでございます。もう一つは、薬機法による規制も含め、SaMD、Non-SaMDを通じた品質確保のための制度の在り方を検討することでございます。
スライド9枚目をお願いいたします。次はサイバーセキュリティー対策でございます。サイバーセキュリティー対策は医療機関によってかなりばらつきがありますが、一方で、国際的な統一ルールが設けられることから、医療機関を中心に関係者が連携して取り組むことが求められております。また、耐用年数を超えて長期使用されているサイバー攻撃に脆弱な特定保守管理医療機器も大きな課題だと思っております。そこで、御提案でございます。医療機関におけるサイバーセキュリティー対策については、法的位置づけを明確化するとともに、コスト負担の在り方をぜひ検討いただきたいと思います。特定保守管理医療機器については、継続使用に関するルールづくりをぜひ御検討いただきたいと思います。
次に、10枚目を御覧ください。医療機器開発の推進に向けたデータの利活用についてです。現状、個人情報保護に係る規制によりまして、医療データの二次利用に制約があるなど、医療機器開発に必要な体系的データの入手が困難となっております。そこで、医療データの二次利用を前提として、個人情報保護に係る規制の改革、医療データの標準化、国による統一的な情報収集・提供体制構築など、既に様々取り組んでいただいているとは思いますが、引き続きしっかりと継続して進めていただけることをお願いしたいと思います。
11枚目を御覧ください。最後は広告規制の見直しです。医家向けの医療機器につきましては、インターネットなどによる海外からの情報、医療機器に類似した雑品の情報など数多くちまたにあふれておりますが、一方で、我々製造販売業者は広告規制があるため、正確な情報を提供することができません。医家向けの医療機器であっても、一般の方や患者さんへの情報提供は個別の医療上の判断に通じるものではなく、医療行為には抵触しないものと考えております。そこで、一般人の使用が想定される品目か否かにかかわらず、医療機器・医療技術に関して適正に情報提供が行えるよう、広告規制を見直していただきたい。それにより患者さんの医療リテラシー向上へも寄与できるものと考えております。
大変駆け足となりましたが、私からの御説明は以上でございます。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、米国医療機器・IVD工業会の小川会長、御説明をよろしくお願いいたします。
○小川会長 米国医療機器・IVD工業会会長の小川でございます。本日は官民対話の時間を取っていただき、大変ありがとうございます。
最初にAMDD、概要をお話ししたいと思います。というのは、私ども輸入販売だけをしているように捉えがちなのですが、実は私どもは米国に本社がある会社に加えて、米国でビジネスを行っています日本法人の方も一緒に活動していただいております業界団体でございます。製品の輸入販売だけではなくて研究開発、製造、または日本で開発製造された部品を製品に活用するなど、日本の医療機器産業と密接に協力をしております。また、国内の拠点はほぼ全都道府県に広がっており、日本の医療機器産業の発展に貢献するべく「日本を、もっと健やかに」というビジョンを持って活動してまいっております。
次のページを御覧ください。AMDDでは国民皆保険制度の危機が来ているのではないかと捉えております。超高齢化社会は国民皆保険を崩壊の危機にさらしておりますし、また、昨今のデジタル技術の発展によってアウトカムの測定が容易になるなど、医療現場の在り方も変化しつつあります。また、様々なイノベーションにより医療機器はますます多様な価値を生み出してきております。私どもの考えとしては、国民皆保険を維持しつつ、よりよい医療を提供するためには、現行のコストに着目した「Fee-for-service」主体の制度から、価値に着目した仕組み「価値に基づく医療:Value-Based Healthcare」に移行していくべきだと考えております。この際のバリューはアウトカムをコストで割ったもの、また、このアウトカムはいろいろ患者さんの満足度等も含め広い意味でカバーしていただきたいと思いますし、コストも直接の医療費だけではなく多くの社会的な費用も含めたものをスコープに入れていくのが医療機器の特性に合った考え方だと思っております。
次のページを御覧ください。この考え方に基づきまして、価値の高い医療技術の導入によって質の高い医療と健全な医療財政の両立に貢献できるだろうと考えておりまして、つくりたい3つの環境、1つ目は選択肢が患者さんに適切に提示され、かつ場合によっては患者さんが治療を選択できるような環境を整えていくこと、2つ目は最適な医療技術の選択につながるような医療機関の環境を整えていくこと、そして、3つ目が価値の高い医療技術が実用化できるような個別技術の分野での環境を整えていくことを考えております。今日はこの中の2つを御説明させていただきたいと思います。
1つ目は、次のページを御覧ください。医療機器特有のバリューを考慮した算定方式をぜひ目指していただきたいと考えております。臨床的効果のみならず、社会的な便益も含めた医療機器の特性を十分に配慮して、そこから生み出される価値に基づいた価格決定を考慮してほしいと思っています。今、ポジティブなもの、ネガティブなもの、二面性がありまして、ポジティブなものでは価値に基づく収載時の価格算定を新たにいろいろと創設していただきたいと思っています。医療経済性を加算要件に追加していくあるいは類似技術比較方式の創設を考えております。医療経済性の評価に当たっては、在院日数の低下、医療資源の削減による医療費の削減及び公的介護費の削減など幅広く考慮していただきたいと思っておりますし、手技や医薬品を含めた医療技術を比較対照とする類似技術比較方式、つまり、今、全体の治療が終わるのに500万円かかっているものが新しい医療機器で300万円に圧縮されるようなケースは、医療機器の貢献だというようにして評価していただきたいということを考えております。また、ネガティブなほうでは、価値に基づかない再算定の縮小あるいは廃止をお願いしたいと思っています。1つ目は外国価格(FAP)による再算定制度の廃止・縮小です。医療環境も医療制度も異なる各国の価格比較は非常に不合理なものだと考えております。また、市場拡大による再算定制度の廃止・縮小もお願いしたいと思っております。製品技術のイノベーションによる市場拡大が価格引下げに結びつくというのは、バリューベースに逆行していると考えております。
次のページをお願いします。医療機器は医療機器本体の開発にも非常に技術あるいは革新的な技術というのは大事だと思っておりますが、医療機器を患者様のところに届けて初めて医療機器はその役目を果たすと考えておりまして、流通の効率化、安定供給にも技術を新たに導入するべきだと考えておりまして、AMDDでは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムでの「スマート物流サービス」にNEC、日本通運さんと参画して、医療機器の物流プラットフォームを推進しております。3~4年ほど前からスタートしておりまして、RFID、バーコードのプラットフォームを利用した業務の効率化とトレーサビリティーを確保して、医療機器物流に関わるプレーヤー間で情報を共有し、共同物流等物流の効率化を可能にしていくことを目指しております。将来的には医療機関も含めて一気通貫で物を全部トレースしていくようなものを実現できればということを考えて進めております。この際、医療機器の物流に関わる所在地のデータの整備等で御協力いただきたいと思っています。地方厚生局が管理運営する医療機関コードを活用できる形にメンテナンスして、マスターデータとして公開していってほしいと思っております。また、医療機器販売業者のコードも支店、営業所、倉庫をカバーするマスターデータの整備をお願いしていきたいと思っています。
続きまして、残り2枚は副会長の玉井から説明させていただきます。
○玉井副会長 先ほど加藤大臣のオープニングコメントでもいただきましたし、医機連の三村会長からもコメントがございましたが、革新的な医療機器の継続的な発展のためには、安定供給はどうしても欠かすことができません。こちらのスライド7ページには、今、医療機器業界を取り巻く大きな課題がまとめてありますが、ここは医機連様の御発表に加えまして為替の影響が本当に大きな状況になっていることを加えて申し添えます。
次のページを御覧ください。8ページになります。こちらは概算として、AMDD参加企業約1.6兆円の企業の損益に与える影響、昨今の価格高、物価高、そして、急激な円安による一般的に30円ほど円安に振れた場合のコスト増のイメージ3000億円程度というものを提示しております。こちらはもちろん企業努力等により解決する部分はあるものの、この影響を全て企業で吸収することは非常に難しい状況になっております。これを全て企業で吸収するためには、日本の患者様への不利益ともなりかねません。また、新製品などの導入・供給をする際に、日本市場への優先順位が下がるとともに、世界から投資意欲をそぎかねないという大きな問題を抱えております。その意味で、御提案でございます。安定供給を確保し、日本への投資を活発化するためには、公的医療保険制度の中でもコスト増への対策は販売価格に転嫁する以外にないことを御理解いただくということ。そして、ともすれば医療機関が地方創生臨時交付金などを活用しやすい環境の整備、具体的には先ほど小川会長からもありましたけれども、外国平均価格再算定の一部凍結、来年度の凍結なども一つ視野に入れていただければと思います。そして、最終的に令和6年度保険医療材料価格制度改革に向けて議論の早期開始を行うことで、業界としてのさらなる革新的な医療機器の創出のために邁進していければと思っております。
以上になります。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会の藤原筆頭副委員長、御説明をお願いいたします。
○藤原筆頭副委員長 EBCの藤原でございます。本日はこのような発言の機会を賜り、誠にありがとうございます。
早速ですが、EBCからの要望について説明させていただきます。
資料2ページ目を御覧ください。EBCより大きく3点について説明させていただきます。1つ目が安定供給のための平常時に行うべき準備について、2つ目が医療DXについて、ここでは遠隔診療・オンライン診療から遠隔医療・治療という拡大についてということと、また、植え込み型医療機器のデータのPHR、マイナンバーへの接合について、3つ目が医療機器のイノベーション評価について、ドイツのDiGAと呼ばれる制度に倣ったプログラムの医療機器の仮免許制度の導入と予防医療の推進について御説明させていただきます。
ページ3を御覧ください。安定供給についてです。現状ですが、もう既にほかの団体からもお話がありましたように、コロナパンデミックに併せてウクライナ紛争といった環境により、航空便、輸送を確保することが困難になっておりまして、輸送コストの大幅な上昇、また、原材料の高騰といった困難な状況が起きております。このような環境の中において、企業側の努力で安定供給を維持してまいりました。しかしながら、このような理由で維持管理コストも急騰して、企業によっては存続に関わる事態も憂慮されています。論点ですけれども、安定供給の維持といったことで、在庫管理に関する財政的支援の可能性はないでしょうか。また、緊急時に定期便の医療用としての航空貨物枠を国で確保できる制度設計等の検討をお願いしたいと考えております。
続いて4ページに移りまして、医療DXについて説明いたします。現状ですが、オンライン診療はコロナの緊急対応として拡大し、患者の利便性が向上しており、さらに延伸を期待するところですが、現在は診断の遠隔コミュニケーションツールにとどまっています。今後はeHealthの発展に伴い、遠隔医療・遠隔治療の導入が検討されると思いますが、具体的な実現に向けて、引き続き規制緩和等の議論を官民と共同して、その話合いの場を設けていただきたいと考えております。また、PHRデータ実現のため、特に植え込み医療機器を使用する患者様のために、マイナンバーカードへ植え込み型医療機器の情報、患者手帳等の情報を接合させることをお願いしたいと考えています。
次のページには、植え込み医療機器情報の取扱いに関する状況を参考資料として添付させていただきました。御覧いただければ幸いです。
続きまして、6ページ目を御覧ください。医療機器のイノベーション評価としてのプログラム医療機器における仮免許制度の検討について説明させていただきます。御存じのように、プログラム医療機器は開発の回転が速く、保険収載のエビデンスを得るまでに時間がかかり、その製品の価値がなくなる、または大幅な変更が大きく予見性がないことから、開発や上市を断念するケースもあります。それに対応するため、海外ではプログラム医療機器における保険をつけた仮免許制度の形態を持つ制度が生まれております。スタートアップの開発販売の予見性が担保されています。そういったドイツ国でDiGAという制度もあります。それに対しEBCからの提案ですけれども、プログラム医療機器を早期に患者へのアクセスを確保すべく、安全性を確保された製品を仮承認、上市させ、評価療養などの費用を得ながらエビデンスを集めて、再評価を受けて保険収載させる制度の検討を官民でお願いしたいと考えております。
次のページは参考資料としてですが、医療技術の適正評価と保険制度改革として、EBCは以前より保険外併用療養を使ったイノベーションの評価もあるのではないかと提案しております。こちらは参考資料ですけれども、御参考いただければと思います。
最後のページ、8ページ目を御覧ください。医療機器イノベーション評価における予防医療の推進について説明させていただきます。海外では予防医療のインセンティブ化が導入されていますが、日本においても人生100年時代に向けた医療費削減と健康寿命へ大きな貢献が期待されます。米国においては低線量肺がんCT検診が先駆的に行われていますが、右の図のように多くの欧米諸国でもインセンティブを持って予防的に使用する国が増えています。本邦でも一部の自治体ではCTによる肺がん検診が行われていますが、多くの自治体では従前からエックス線による肺がん検診が行われています。この変更によりその効果が確認できました暁には、本邦における特定健診・特定保健指導の肺がん検診に低線量肺がんCTを必要項目として厚生労働省より全国の自治体へ働きかけていただければと考えております。また、右下の図のように、プログラム医療機器SaMDには国民の予防・再発予防・予後管理を目的としたクラスI相当のプログラムもありますが、国民の健康長寿が期待できる標榜ができない状況です。論点としましては、クラスI相当のプログラムは非医療機器として扱われておりますので、「健康状態や健康的な活動の維持」または「健康的なライフスタイルが特定の慢性疾患の状態やリスクを軽減」の根拠を科学的に示せる場合は一定の標榜を認めて、健診等において医師、薬剤師からもそういった使用を促すことができないかと考えております。
以上、安定供給のための対策、医療DXとしての遠隔治療への延伸、PHRの接合、プログラム医療機器の仮免許制度、予防医療への支援を説明させていただきました。御検討願えればと思います。ありがとうございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、日本臨床検査薬協会の小野会長、御説明をよろしくお願いいたします。
○小野会長 日本臨床検査薬協会の小野でございます。本日はこのような場をいただき、ありがとうございます。
臨薬協、AMDD、EBCを代表して、体外診断用医薬品の業界からの意見、要望を説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。本日はこの3点について話をいたします。
3ページ目を御覧ください。1点目は臨床検査のイノベーションの評価に関する要望です。現在、体外診断用医薬品には、画期性加算、改良性加算、市場性加算等もなく、イノベーティブな製品の開発が行われましても、それを評価する仕組みが明確化されていません。革新的な体外診断用医薬品の創出には、令和3年12月15日に提出いたしました臨床検査の適正な実施体制に関する提言書において示したとおり「検査のイノベーションの定義とそれに基づく透明性、妥当性のある評価基準の導入」が非常に重要です。令和4年2月9日に提出された中医協の令和4年度診療報酬改定に関わる答申書附帯意見において、検査等のイノベーションの評価を検討することとなっており、令和4年5月18日の中医協総会においても、本件は保険医療材料専門部会にて検討することとなっております。体外診断用医薬品につきましても、保険医療材料専門部会においてイノベーションを評価し、診療報酬点数に反映する検討をいただきますようお願いいたします。
5ページ目を御覧ください。2点目は次の感染症危機への対策に関する要望です。新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースにおいては、我々診断薬業界にも当初からお声をかけていただいており、また、発言の場もいただき感謝しております。感染症対策において重要な検査の一翼を担う診断薬業界団体として、次なる感染症危機に備え、体制整備を検討する場に参画させていただきますようよろしくお願いいたします。また、危機管理対策として、今般整備した装置・人材の維持を含め、平時より医療機関における「測定装置等の整備」及び「臨床検査専門医や臨床検査技師の確保・育成」の実施の推奨をお願いいたします。
最後に、6ページを御覧ください。3点目は物価上昇時における安定供給に向けた対応に関する要望です。新型コロナによる影響、ウクライナ情勢による物流網の混乱、その他各団体から説明されておりますとおり、我々も非常に厳しい環境下に置かれております。安定供給を継続するための努力は企業ごとに行っております。しかしながら、公的医療保険下では価格転嫁させることが困難なこともあり、事業として非常に切迫している状況です。企業努力に限界もあるため、このような急激な物価上昇に対して何らかの対策を行政側としても御検討いただくようお願いいたします。下に書いてございますように、我々といたしましても、公的医療保険の仕組みの中ではございますが、コスト増を販売価格に転嫁させていただきたい。また、医療機関が地方創生臨時交付金等を活用しやすい環境等の整備の御検討をよろしくお願いいたします。
以上、体外診断薬業界から3つの要望を説明させていただきました。特に1点目は革新的な体外診断用医薬品創出のための課題に基づく意見、要望ですので、ぜひ御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
以上です。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、業界の皆様からの御説明を受けて、行政担当者からコメントをお願いいたします。城審議官、山本審議官、浅沼審議官、中田室長の順に、恐縮ですが、できる限りコンパクトにお願いいたします。
○城審議官 医薬産業振興・医療情報審議官の城でございます。お世話になっております。
いただきましたコメントにつきまして、主なものを数点コメントさせていただきたいと思います。
まず、感染症有事などの安定供給の課題について御指摘をいただきました。新型コロナウイルス感染症の発生以来、人工呼吸器、検査試薬、検査キットなど、医療提供、感染症対策に必要な機器の確保に御尽力いただきまして、大変ありがとうございます。これらの確保におきましては、感染拡大の途中でメーカーの皆様に対しまして増産要請、それから、在庫の御報告のお願い、買取り保証などの取組をさせていただきました。こういった取組をしっかり次もやっていけるようにということで、今回、今の臨時国会に感染症法改正案を提出しているところでございます。この中でもそうした生産要請と枠組みの整備とともに要請に対応していただく場合の政府としての必要な支援を規定するとございます。しっかりと取り組んでいきたいと考えておりますが、運用に際しましては、実際にどういう形でやるかというのもございますので、引き続きよく御相談をさせていただきながらと考えています。よろしくお願いいたします。
それから、DXとサイバーセキュリティーの関係でも御指摘をいただきました。非常に重要だと考えております。医療DXの取組とサイバーセキュリティー対策、これはもう両輪で進める必要があると考えております。そういった意味では、今、オンライン資格確認のシステムの拡充とか、こういった形で政府として進めようとしているのでございますが、この中でもセキュリティーに配慮した仕組みを考えていきたいと考えております。
引き続きしっかりとDX推進に向けた議論を進めていきたいと考えています。ぜひ御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
○山本審議官 山本から御説明させていただきます。日頃からありがとうございます。
私からは大きくは2点で述べさせていただきたいと思います。
1点目、医療機器の迅速な承認につきましては、様々制度がございます。例えば、革新的なものを指定して優先的に審査など行う先駆的医療機器指定制度、あるいは速やかなタイムリーな変更計画を事前に確認する制度、通称IDATENを設けております。業界の皆様には開発早期からこういった制度をPMDAと相談しながら積極的に御活用いただき、迅速な承認あるいは変更につなげていただければと考えております。私どもも精いっぱい御協力をさせていただきたいと思っております。
2点目は、プログラム医療機器の開発の推進です。近頃の動きを3つほど御紹介させていただきたいと思います。プログラム医療機器の審査については、「DASH for SaMD」という政策パッケージを公表し、現在、取り組みを進めています。革新的なプログラム医療機器に着目した優先的な審査や相談コンシェルジュを設けるなどの支援制度も試行的に始めました。是非その使い心地なども御意見をいただければと思っております。
最後に、プログラム医療機器の特徴を踏まえ、2段階の薬事承認を出すといういわゆるリバランス通知の考え方を活用できないか、来月から検討を開始したいと考えております。この点についても業界の皆様に検討に御参画、御意見を賜ればと思っております。
その他医療機器のサイバーセキュリティー対策や広告規制の在り方についても現在皆様と検討を進めていますので、是非よろしくお願い申し上げます。
○浅沼審議官 危機管理・医務技術総括審議官の浅沼でございます。
医療機器の開発に当たりまして、データ利活用のお話がございました。厚生労働省では保健医療分野AI開発加速コンソーシアムを開催しておりまして、AI医療機器の開発に仮名加工情報などの制度を活用するに当たりまして、医療データをどのように加工すればよいのかが明確でないといった課題が挙げられております。こうした課題を踏まえまして、今後はより一層データの利活用がなされるよう、個人情報保護法を踏まえたデータの加工手法などのガイドラインの作成を行う予定でございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○中田室長 保険局医療課医療技術評価推進室長の中田でございます。
本日御要望いただきましたうち、主なものをお答えさせていただきたいと存じます。
まず、プログラム医療機器につきましては、令和4年度診療報酬におきまして、診療報酬上の位置づけを明確化したところでございますが、次期改定に向けまして、当該医療機器の診療報酬での評価の実態を検証いたしまして、その特性に応じた評価の在り方についてさらに検討を深めてまいりたいと考えております。
また、体外診断用医薬品につきましては、革新的な検査の実用化が進んできており、医療機器だけではなく体外診断用医薬品のイノベーションに係る評価についてもニーズが高まってきているものと理解したところでございます。診療報酬におきましても、具体的な事例を踏まえて、どのような評価が可能なのか検討が必要であると認識したところでございます。
最後に、引き続き関係団体の皆様の御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えておりますので、今後とも御支援をいただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○司会(安藤課長) 続きまして、AMED、アカデミアの皆様からも御発言をお願いいたします。
AMEDの三島理事長、がん研究センターの中釜理事長、循環器病センターの大津理事長、全国医学部長病院長会議の横手会長の順にお願いいたします。
○三島理事長 御紹介をありがとうございます。令和2年の4月からAMED理事長を拝命しております三島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料6の2ページ目、3ページ目を御覧ください。AMEDではモダリティーを軸とした6つの統合プロジェクトを進めているところでございまして、特に医療機器については、医療機器ヘルスケアプロジェクトとしてプログラムディレクター(PD)の下で基礎から実用化までを一元的に推進しつつ、各疾患領域のコーディネーター(DC)らによる柔軟なマネジメントを展開しているところでございます。
次に、5ページ目と6ページ目を御覧ください。これらの医療機器に関するプロジェクトのうち、AMEDが理念として掲げております「成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」を具現化していくための最近の取組を少し御紹介させていただきます。医療ニーズを踏まえた中小企業、ベンチャー等の医療機器開発事業化を支援している医工連携イノベーション推進事業でございますが、これは開発資金の支援だけではなく、専門家による事業化成功のためのコンサルティングを実施することにより、事業化が加速されました。ここで培ってきた事業化コンサルティング、伴走支援の仕組みを他の事業へ展開することで、より多くの課題に事業化への加速が図れるように展開しているところでございます。
患者さんや御家族のために少しでも早く実用化・事業化が展開できるように、関係機関とも緊密に連絡しながら取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○中釜理事長 続きまして、国立がん研究センターの中釜から説明させていただきます。
私からは「がん領域におけるライフサイエンスクラスター構想」について説明させていただきます。
ページをおめくりください。現在、がんの開発においては、再生医療等医薬品、再生細胞や遺伝子、ウイルス、核酸等やそのほかナノテクノロジーの医薬品が加速している状況で、武装化抗体であるとか、核医学・PPI医薬品、これらの開発の市場規模が急拡大しているところであります。しかしながら、その実現には高度な製造技術と医療技術提供体制の連携が必須でありますが、現状において製造開発拠点が脆弱というところがボトルネックになっております。この観点からも、日本で再生等医薬品の製造・開発・創薬拠点クラスターの形成が必須であります。スライドの左下ですが、昨年5月からGreater Tokyo Biocommunityが正式に発足しました。ここは世界最先端のバイオエコノミー社会を実現するという国のバイオ戦略の目標を達成するための拠点形成を推進する、そういう組織でありますが、実際にそこに柏の葉エリアが追加されています。スライド右下のほうですが、そこの中では東京大学、千葉大学、理科大学を含め様々なベンチャー企業、さらには病院・臨床研究の機能として当センターの東病院が組み込まれております。
次をお願いいたします。実際、現時点において世界初の日本のアカデミア発の再生細胞技術を当センターから発信しているわけですが、加えて、今後企業治験を合わせて10品目以上の治験体制を同時進行可能な体制を整えています。再生・細胞治療・遺伝子治療に対応した柏の葉ファーム形成により製造から実装までのバイオテック医薬品のフルサポートが可能なエリアを目指しています。そこにはここに示しますように、複数の大学や企業が参画する体制を取っています。このような体制を取ることによって、学・官・産業が共創することによって高度な製造技術と医療技術提供体制の連携を実現し、プラットフォームの創薬技術をベースに、多標的・多剤の同時開発へ応用できるユニバーサルな体制づくりが喫緊の課題と考えています。
私からは以上です。
○大津理事長 国立循環器病研究センター理事長の大津でございます。
国循は病院、研究所と、その発明を企業と協力して社会に還元するオープンイノベーションセンターから成っております。心臓はポンプでございますので、我々の重点項目は医療機器でございます。その中での応用事例を今日は少し紹介させていただきます。
ポンプの調節機能、調節に対して研究を重ねておりました。それを基にして、資料8のスライドの左上ですけれども、青のところで循環器疾患リスク管理としてリスクを早く見つける血圧計の開発に取り組んでおります。
次に、急性心不全治療、そのオレンジ色の部分ですが、急性心不全というのは患者によって全く病態が違うので、薬の種類、量も全く違います。そこで、国循から開発された循環モデルを基にして、AIを組み合わせることによって自動治療システムの開発、シミュレーター、バイオデジタルツインの開発に努めております。さらには心臓のダメージを最小限に食い止める種々のカテーテル、ここにあります4つのカテーテルの開発を進めています。
さらに、これから日本の老齢化が進むにつれて、心不全の患者が激増いたします。心不全パンデミックといいますけれども、その心不全管理のためにDoctor to Doctorの遠隔コンサルテーションを基礎にしたITプラットフォームにAIを組み合わせることによって、心不全診断、判断のサポート機能を実装することで心不全の対抗策をするAI搭載心不全管理デバイスの開発に取り組んでおります。
裏のほうをお願いします。国循の重要項目は人工心臓の開発でございます。左側にあるばかでかい装置ですけれども、これは1990年代、我々が開発したこの人工心臓しか日本では使えていませんでした。それから、20年、30年と、その小型化に取り組んでおりました。そこで、その真ん中の下にある小さなプラスチックのものですけれども、これは世界初の非接触回転式のポンプでございます。耐久性に優れ、抗血栓性を伴うもので、非常に小型の体外式の人工心臓を開発しました。これは既に保険収載されております。
さらには、コロナで有名になりましたけれども、ECMOですけれども、これは6時間程度で血栓がつくということが大きな問題でございました。それを解決するために人工肺にヘパリンコーティングをし、あるいは新しい人工肺を開発し、それと我々の超小型人工心臓を組み立てることによって全く新しい小型、右の下でありますけれども、NCVC-Portable ECMOを開発しました。これは治験が終了し、これからPMDAに申請する段階でございます。これはコロナには間に合わなかったので、各コンポーネントを組み合わせた真ん中のところのNCVC PCPSシステムと書いてありますけれども、これは大阪、東京の重症のECMOの患者さんに適用されております。普通のECMOと違いまして、これを使ったECMOでは死者がほとんどなかったと聞いております。
ということで、我々は自力でどんどん頑張っているわけですけれども、お願いしたいのは、自由に我々ができるように、例えば我々が自由に株式を持ったり、あるいは現物支給以外にもベンチャービジネス、ベンチャーを支援するような、そういうことを考えていただければと思っております。ありがとうございます。
○横手会長 続きまして、全国医学部長病院長会議から参りました千葉大学病院長の横手と申します。今日はこのような機会を賜り、誠にありがとうございます。
本日は1点、研究サポート人材の育成と体制整備という点について意見を述べさせていただきます。資料はございません。
このコロナ禍において、全国の大学病院は各地域における最後のとりでとして役割を果たしてきたと考えております。一方、大学医学部は診療のほかに研究と教育を担っており、最近では研究力の低下が懸念されているところでございます。さらに、医師の働き方改革、いわゆる時間外労働の上限規制が2024年度に迫り、これも新たな脅威と受け止めています。
そのような中、本日、加藤大臣のお話にもありました研究開発人材の育成が重要だと思いますが、これは研究者だけでなくそれをサポートする人材の育成ということも深く関わると考えております。一例を挙げますと、研究に関する関係の法律が昨今非常に多くなっており、それがまた目まぐるしく改正されてくると。これを一つ一つ研究者自らがキャッチアップして対応するというのは並大抵のことではございません。さらに、これに関する事務手続も膨大なものとなります。
現在、サッカーのワールドカップが話題でございますが、代表選手が自分のユニフォームを洗ったり、あるいは炊事をしたりということでは力を発揮できないということがございますので、この持続可能な研究開発を実現するために、各施設も努力いたしますけれども、仕組みづくりあるいは御支援というところで研究者が研究をしやすくする、そういう体制をぜひ今後一緒にお考えいただければ大変ありがたいと思いまして、一言述べさせていただきます。
以上でございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
さて、この後、意見交換の予定でございましたが、大変申し訳ございません。こちらの不手際で時間が大変押してございます。恐縮でございますが、御用意いただいた御質問等につきましては、後ほど紙で我々に御提出いただき、その後我々から御回答させていただくという形にさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
それでは、本日の会議はこの辺りで終わりにさせていただきたいと思います。
最後に、加藤厚生労働大臣より一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤厚生労働大臣 大変短い時間で恐縮でございますけれども、いろいろな視点の御意見、また、御指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。御指摘いただいた点、そうだなと共有させていただいたもの、また、新たに認識をさせていただいたもの、いろいろあったところであります。
医療機器産業のさらなる発展に向けて、適切な価格設定やサプライチェーン強靱化を含めた社会経済情勢の変化に対応した製造販売流通体制の構築、また、その安定供給をどう図っていくのか、さらには今後の感染症、今、感染症法の最終段階に法案が来ておりますけれども、その中での感染症の対応をどうしていくのか、プログラム医療機器など新たなカテゴリーの機器をはじめとしてイノベーションをどう促進をしていくのか、そのためにどういう薬事・保険制度の構築を図っていくのか、医療データの利活用やデジタル化の推進に向けた環境の整備、また、今、お話がありました研究開発を持続可能なものにしていく、また、それをどう実用化に結びつけていくのか、予防医療の取組をどう進めていくのか、さらには国民皆保険制度の維持という観点から現状の仕組みをどう考えていくのかなどいろいろな御指摘をいただきまして、それぞれ大変重要な御指摘だと認識をさせていただいたところでございます。
これから年末にかけて予算編成、税制改正もございます。その中で取り入れさせていただくべき課題、あるいはもう少し中長期的な議論もいただいたように思いますので、そうした点については引き続きこうした場を活用させていただきながら、しっかりと議論を深めさせていただきたいと思っておりますので、どうか今後とも忌憚のない御意見をいろいろな機会に頂戴できればと思っております。
今日、せっかくこうしておいでいただいて大変短い時間で恐縮でございますけれども、今後ともこういう機会を重ねていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、これをもちまして本日の会議を終わらせていただきたいと思います。
会議概要は、これから記者にブリーフィングを行います。また、後日、厚生労働省のホームページにも概要を掲載させていただきたいと思います。
本日はお忙しい中、本会議に御出席賜り、ありがとうございました。
以上
本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
司会進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長の安藤でございます。よろしくお願いいたします。
今回は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策の観点から、現地での御参加とウェブでの御参加のハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブ参加の皆様は御発言時以外はマイクをミュートにするようお願いいたします。御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、まず各省の政務より御挨拶申し上げます。
まず、加藤厚生労働大臣より御挨拶をお願いいたします。
○加藤厚生労働大臣 お待たせして失礼いたしました。また、今日はお忙しい中、官民対話に御参画をいただきまして、ありがとうございます。
産業界の皆さんにおかれましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が続いている中でありますが、医療機器、体外診断用医薬品の安定供給に大変御尽力をいただいていますことに改めて感謝を申し上げます。
この官民対話は、産業界、アカデミアの皆さんにお集まりをいただき、革新的医療機器の創出をめぐる現状や課題を共有するため、定期的に開催をしてまいりました。前回はオンラインでの開催でありましたが、司会からもありましたように、今回はオンラインとのハイブリッドの形で、医療機器業界4団体の皆さんにもこうして会場に足を運んでいただいたところでございます。
医療機器産業は、我が国の医療の質の向上と健康寿命の延伸に極めて重要な役割を果たしていただいております。政府としては、優れた医療機器の研究開発と普及の取組をさらに推進するため、本年5月に第2期医療機器基本計画を策定いたしました。この計画においては、国民にとって有効かつ安全な医療機器が迅速に開発をされること、それが遅滞なく国内に上市されること、さらに入手可能な状態が維持されることを目指すことを基本理念としております。
その上で、今回の改定においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による供給不安リスクの顕在化やプログラム医療機器をはじめとした新たなカテゴリーの医療機器の登場等、医療界を取り巻く環境の変化も踏まえ、これらの目標の達成に必要な施策を定めさせていただきました。具体的には、サプライチェーンの強靱化、医療保険制度におけるイノベーションの評価、迅速な薬事承認体制の構築、研究開発人材の育成、企業とアカデミアのマッチング促進等が必要であり、厚生労働省として、関係省庁に加え、産業界、アカデミアの皆さんと協力して取り組んでいきたいと考えております。こうした取組を推進するために何が必要なのか、何が足りないのか、率直な御意見をいただき、御提案をいただきますようお願いを申し上げます。
この官民対話が医療機器産業の今後の発展につながる実り多いものになることを御期待申し上げ、私の冒頭の御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、星野内閣府副大臣より御挨拶いただきます。星野副大臣、よろしくお願いいたします。
○星野内閣府副大臣 内閣副大臣の星野剛士でございます。
第2期の健康・医療戦略の下、内閣府としても関係各省と連携をし、AMEDを通じて革新的な医療機器の創出に向けた様々な研究開発支援を展開しております。また、皆様の研究開発が一層加速されるよう、必要な制度整備も着実に進めてまいります。
具体的には、個人情報の的確な保護を図りつつ医療情報の利活用の促進を図る次世代医療基盤法について、研究者の皆様がより一層使いやすくなるよう現在制度の見直しを進めております。
さらに、優れた研究成果を表彰する日本医療研究開発大賞も今回抜本的な充実を図りました。スタートアップ枠を創設するとともに、広く一般公募といたしました。現在公募中ですので、ぜひ積極的に御応募ください。
こうした取組により、今後も皆様のイノベーションをしっかりと支援をしてまいります。
本日は、皆様から医療機器産業のさらなる発展に向けた忌憚のない御意見をお伺いできればと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、井出文部科学副大臣より御挨拶をいただきます。井出副大臣、よろしくお願いいたします。
○井出文部科学副大臣 文部科学副大臣の井出庸生です。
官民対話、初めての参加となりますが、15年以上の積み重ねがあると聞いております。関係の皆様に敬意を表したいと思います。
今日は、特に医療機器関連の施策の推進に向けて、産業界、アカデミアの皆様と有意義な意見交換ができると期待をしております。
文部科学省では、今年5月閣議決定された医療機器基本計画に基づいて、大学等の基礎研究を推進するとともに、革新的な医療機器・システム開発を進める基礎的な技術シーズの発掘・育成等に力を入れております。特に、現場ニーズに合った医療機器開発のために独創的な技術シーズを持つ研究者が企業、臨床医と一体となってこれまでにない医療機器のプロトタイプ機の作製を行うなど、実用化に向けた研究開発支援をしております。
また、研究開発の初期段階から事業戦略などのコンサルティングや企業マッチング支援、若手研究者等への実践教育などの取組を行うなど、医療機器開発を担うアカデミア人材の育成にも取り組んでおります。
文部科学省として、引き続き革新的な医療機器創出に向け、関係府省、産業界、アカデミアの皆様と取り組んでまいりますので、今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、太田経済産業副大臣より御挨拶いただきます。太田副大臣、よろしくお願いいたします。
○太田経済産業副大臣 経済産業副大臣の太田房江でございます。よろしくお願いいたします。
世界的な高齢化や新興国の国際需要の増大を受けまして、医療機器産業はグローバルな規模で拡大傾向にあり、成長産業として位置づけられています。最近ではプログラム医療機器といった新たなカテゴリーの医療機器が登場するなど、医療機器産業を取り巻く環境も変化をしております。
経産省としても、イノベーションの牽引役であるスタートアップをより一層支援することによりまして、プログラム医療機器の開発・実用化、そして、産業の成長を促してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、人工呼吸器や酸素濃縮装置をはじめとした医療機器の需給が逼迫する事態を踏まえ、経産省では国内生産体制強化の支援も行ってきたところであります。
また、経済安全保障の観点も踏まえ、引き続き厚労省をはじめとする関係省庁と連携をしながら対応してまいります。
本日は皆様との対話を楽しみにしております。忌憚のない御意見、お願い申し上げます。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、冒頭の御挨拶は以上とさせていただきますので、プレスの方はここで御退場をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○司会(安藤課長) なお、途中ではございますが、ここで星野副大臣、太田副大臣は公務の都合上退席をされます。ありがとうございました。
(星野内閣府副大臣、太田経済産業副大臣退室)
○司会(安藤課長) さて、本日はまず医療機器産業界の皆様より配付した資料に沿って御説明をいただき、その後、意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
早速でございますが、産業界より御提出いただいた資料について御説明をお願いしたいと思います。御説明は、日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会、日本臨床検査薬協会の順にてお願いいたします。
まず、日本医療機器産業連合会から三村会長、よろしくお願いいたします。
○三村会長 医機連会長の三村でございます。本日はこのような意見交換の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
早速御説明させていただきます。
スライド2枚目を御覧ください。我々医機連は、今回のコロナをはじめとする感染症の発生や昨今頻発する自然災害など、どのような状況下におきましても医療を止めることがないよう、医療機器・資材の安定供給に努めております。また、一方で、医療DXなどの新しいイノベーションの開発にも積極的に取り組み、これらの社会実装を加速させる動きによりまして、医療の質の向上と効率化を推進しております。医療機器によって良質な医療が提供され、国民一人一人が安心して健康が享受できる社会の実現を目指しております。
3枚目を御覧ください。本日はこれら5つのテーマについて御提案申し上げます。
4枚目を御覧ください。まず最初は、コロナに始まり、ウクライナ紛争、昨今の急激な円安による物価高騰など、激変する経済情勢への対応についてでございます。医療機器は様々な素材や部品によって構成されておりますが、御覧のとおり、樹脂材料や電子部品、金属材料に至るまで激しく価格が高騰していることから、企業収益への圧迫のみならず安定供給にも影響を及ぼし始めております。
5枚目を御覧ください。これら経済情勢の悪化を受けて医機連で実態調査を行いましたところ、既に安定供給への影響が出ていると回答した企業が半数に及び、今後懸念される企業も合わせますと約7割に達しております。また、前回6月の調査と比べ、改善が見られない企業、さらに悪化している企業はいずれも50%近くに及んでおり、かなり深刻な状態が読み取れます。その要因は言うまでもなく原材料・部材価格の高騰と入手難でございます。
6枚目を御覧ください。以上のように、部材の入手難や価格高騰は医療機器の安定供給に大きな影響を及ぼすとともに、価格転嫁が困難なことにより、企業収益の悪化も引き起こしております。そもそも保険医療材料は診療報酬改定のたびに償還価格が低下しており、仮に採算が悪化しても供給を止めるわけにはいかず、企業収益にとってマイナス要因となっております。そこで、3点御提案をいたします。1つ目は、医療機器に使用する原材料・部材は、適正価格でかつ安定的に確保できるよう、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。2つ目は、円滑に価格転嫁が行えるよう、診療報酬上の対応や医療機関への要請、さらに材料変更を行った場合の承認審査の迅速化など、具体的な対応を講じていただきたいと思います。3つ目は、医療上必要不可欠な保険医療材料につきましては、医薬品と同様、価格を下支えする制度的枠組みを設けていただければと考えております。
7枚目を御覧ください。次はコロナ等の感染症への対応についてでございます。今回のコロナでは、特定の医療物資への需要が急増するとともに、国際的なサプライチェーンが混乱に陥り、必要な物資の確保に支障を来したことは御承知のとおりでございます。今国会で感染症法改正が行われますが、関連して2点御提案申し上げたいと思います。1つ目は、感染症対応に必要な物資につきましては、平時からモニタリングを行うとともに、必要不可欠な物資は国として備蓄を行って、緊急時の供給網をしっかりと確立していただきたいと思っています。2つ目といたしましては、買取り保証等の財政措置を講ずるとともに、法律の発動基準や発動要件等を明確化していただきたいと思います。
8枚目を御覧ください。次は医療分野におけるDXの推進についてでございます。SaMD、いわゆるプログラム医療機器によって、診断・治療精度の向上や効率化が期待されておりますが、一方で、現行の規制や診療報酬体系がハードウエアを前提につくられていることから、開発推進の課題となっております。他方、諸外国では柔軟な保険償還を行うなど、政府が積極的にデジタルヘルスの社会実装に取り組んでいると聞き及んでおります。また、Non-SaMDを安心して使用できる環境づくりも課題と考えます。そこで、2点御提案でございます。1つ目は、SaMDの特性に応じた承認審査制度並びにコスト構造や医療現場への貢献を考慮した診療報酬制度を実現していただくことでございます。もう一つは、薬機法による規制も含め、SaMD、Non-SaMDを通じた品質確保のための制度の在り方を検討することでございます。
スライド9枚目をお願いいたします。次はサイバーセキュリティー対策でございます。サイバーセキュリティー対策は医療機関によってかなりばらつきがありますが、一方で、国際的な統一ルールが設けられることから、医療機関を中心に関係者が連携して取り組むことが求められております。また、耐用年数を超えて長期使用されているサイバー攻撃に脆弱な特定保守管理医療機器も大きな課題だと思っております。そこで、御提案でございます。医療機関におけるサイバーセキュリティー対策については、法的位置づけを明確化するとともに、コスト負担の在り方をぜひ検討いただきたいと思います。特定保守管理医療機器については、継続使用に関するルールづくりをぜひ御検討いただきたいと思います。
次に、10枚目を御覧ください。医療機器開発の推進に向けたデータの利活用についてです。現状、個人情報保護に係る規制によりまして、医療データの二次利用に制約があるなど、医療機器開発に必要な体系的データの入手が困難となっております。そこで、医療データの二次利用を前提として、個人情報保護に係る規制の改革、医療データの標準化、国による統一的な情報収集・提供体制構築など、既に様々取り組んでいただいているとは思いますが、引き続きしっかりと継続して進めていただけることをお願いしたいと思います。
11枚目を御覧ください。最後は広告規制の見直しです。医家向けの医療機器につきましては、インターネットなどによる海外からの情報、医療機器に類似した雑品の情報など数多くちまたにあふれておりますが、一方で、我々製造販売業者は広告規制があるため、正確な情報を提供することができません。医家向けの医療機器であっても、一般の方や患者さんへの情報提供は個別の医療上の判断に通じるものではなく、医療行為には抵触しないものと考えております。そこで、一般人の使用が想定される品目か否かにかかわらず、医療機器・医療技術に関して適正に情報提供が行えるよう、広告規制を見直していただきたい。それにより患者さんの医療リテラシー向上へも寄与できるものと考えております。
大変駆け足となりましたが、私からの御説明は以上でございます。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、米国医療機器・IVD工業会の小川会長、御説明をよろしくお願いいたします。
○小川会長 米国医療機器・IVD工業会会長の小川でございます。本日は官民対話の時間を取っていただき、大変ありがとうございます。
最初にAMDD、概要をお話ししたいと思います。というのは、私ども輸入販売だけをしているように捉えがちなのですが、実は私どもは米国に本社がある会社に加えて、米国でビジネスを行っています日本法人の方も一緒に活動していただいております業界団体でございます。製品の輸入販売だけではなくて研究開発、製造、または日本で開発製造された部品を製品に活用するなど、日本の医療機器産業と密接に協力をしております。また、国内の拠点はほぼ全都道府県に広がっており、日本の医療機器産業の発展に貢献するべく「日本を、もっと健やかに」というビジョンを持って活動してまいっております。
次のページを御覧ください。AMDDでは国民皆保険制度の危機が来ているのではないかと捉えております。超高齢化社会は国民皆保険を崩壊の危機にさらしておりますし、また、昨今のデジタル技術の発展によってアウトカムの測定が容易になるなど、医療現場の在り方も変化しつつあります。また、様々なイノベーションにより医療機器はますます多様な価値を生み出してきております。私どもの考えとしては、国民皆保険を維持しつつ、よりよい医療を提供するためには、現行のコストに着目した「Fee-for-service」主体の制度から、価値に着目した仕組み「価値に基づく医療:Value-Based Healthcare」に移行していくべきだと考えております。この際のバリューはアウトカムをコストで割ったもの、また、このアウトカムはいろいろ患者さんの満足度等も含め広い意味でカバーしていただきたいと思いますし、コストも直接の医療費だけではなく多くの社会的な費用も含めたものをスコープに入れていくのが医療機器の特性に合った考え方だと思っております。
次のページを御覧ください。この考え方に基づきまして、価値の高い医療技術の導入によって質の高い医療と健全な医療財政の両立に貢献できるだろうと考えておりまして、つくりたい3つの環境、1つ目は選択肢が患者さんに適切に提示され、かつ場合によっては患者さんが治療を選択できるような環境を整えていくこと、2つ目は最適な医療技術の選択につながるような医療機関の環境を整えていくこと、そして、3つ目が価値の高い医療技術が実用化できるような個別技術の分野での環境を整えていくことを考えております。今日はこの中の2つを御説明させていただきたいと思います。
1つ目は、次のページを御覧ください。医療機器特有のバリューを考慮した算定方式をぜひ目指していただきたいと考えております。臨床的効果のみならず、社会的な便益も含めた医療機器の特性を十分に配慮して、そこから生み出される価値に基づいた価格決定を考慮してほしいと思っています。今、ポジティブなもの、ネガティブなもの、二面性がありまして、ポジティブなものでは価値に基づく収載時の価格算定を新たにいろいろと創設していただきたいと思っています。医療経済性を加算要件に追加していくあるいは類似技術比較方式の創設を考えております。医療経済性の評価に当たっては、在院日数の低下、医療資源の削減による医療費の削減及び公的介護費の削減など幅広く考慮していただきたいと思っておりますし、手技や医薬品を含めた医療技術を比較対照とする類似技術比較方式、つまり、今、全体の治療が終わるのに500万円かかっているものが新しい医療機器で300万円に圧縮されるようなケースは、医療機器の貢献だというようにして評価していただきたいということを考えております。また、ネガティブなほうでは、価値に基づかない再算定の縮小あるいは廃止をお願いしたいと思っています。1つ目は外国価格(FAP)による再算定制度の廃止・縮小です。医療環境も医療制度も異なる各国の価格比較は非常に不合理なものだと考えております。また、市場拡大による再算定制度の廃止・縮小もお願いしたいと思っております。製品技術のイノベーションによる市場拡大が価格引下げに結びつくというのは、バリューベースに逆行していると考えております。
次のページをお願いします。医療機器は医療機器本体の開発にも非常に技術あるいは革新的な技術というのは大事だと思っておりますが、医療機器を患者様のところに届けて初めて医療機器はその役目を果たすと考えておりまして、流通の効率化、安定供給にも技術を新たに導入するべきだと考えておりまして、AMDDでは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムでの「スマート物流サービス」にNEC、日本通運さんと参画して、医療機器の物流プラットフォームを推進しております。3~4年ほど前からスタートしておりまして、RFID、バーコードのプラットフォームを利用した業務の効率化とトレーサビリティーを確保して、医療機器物流に関わるプレーヤー間で情報を共有し、共同物流等物流の効率化を可能にしていくことを目指しております。将来的には医療機関も含めて一気通貫で物を全部トレースしていくようなものを実現できればということを考えて進めております。この際、医療機器の物流に関わる所在地のデータの整備等で御協力いただきたいと思っています。地方厚生局が管理運営する医療機関コードを活用できる形にメンテナンスして、マスターデータとして公開していってほしいと思っております。また、医療機器販売業者のコードも支店、営業所、倉庫をカバーするマスターデータの整備をお願いしていきたいと思っています。
続きまして、残り2枚は副会長の玉井から説明させていただきます。
○玉井副会長 先ほど加藤大臣のオープニングコメントでもいただきましたし、医機連の三村会長からもコメントがございましたが、革新的な医療機器の継続的な発展のためには、安定供給はどうしても欠かすことができません。こちらのスライド7ページには、今、医療機器業界を取り巻く大きな課題がまとめてありますが、ここは医機連様の御発表に加えまして為替の影響が本当に大きな状況になっていることを加えて申し添えます。
次のページを御覧ください。8ページになります。こちらは概算として、AMDD参加企業約1.6兆円の企業の損益に与える影響、昨今の価格高、物価高、そして、急激な円安による一般的に30円ほど円安に振れた場合のコスト増のイメージ3000億円程度というものを提示しております。こちらはもちろん企業努力等により解決する部分はあるものの、この影響を全て企業で吸収することは非常に難しい状況になっております。これを全て企業で吸収するためには、日本の患者様への不利益ともなりかねません。また、新製品などの導入・供給をする際に、日本市場への優先順位が下がるとともに、世界から投資意欲をそぎかねないという大きな問題を抱えております。その意味で、御提案でございます。安定供給を確保し、日本への投資を活発化するためには、公的医療保険制度の中でもコスト増への対策は販売価格に転嫁する以外にないことを御理解いただくということ。そして、ともすれば医療機関が地方創生臨時交付金などを活用しやすい環境の整備、具体的には先ほど小川会長からもありましたけれども、外国平均価格再算定の一部凍結、来年度の凍結なども一つ視野に入れていただければと思います。そして、最終的に令和6年度保険医療材料価格制度改革に向けて議論の早期開始を行うことで、業界としてのさらなる革新的な医療機器の創出のために邁進していければと思っております。
以上になります。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会の藤原筆頭副委員長、御説明をお願いいたします。
○藤原筆頭副委員長 EBCの藤原でございます。本日はこのような発言の機会を賜り、誠にありがとうございます。
早速ですが、EBCからの要望について説明させていただきます。
資料2ページ目を御覧ください。EBCより大きく3点について説明させていただきます。1つ目が安定供給のための平常時に行うべき準備について、2つ目が医療DXについて、ここでは遠隔診療・オンライン診療から遠隔医療・治療という拡大についてということと、また、植え込み型医療機器のデータのPHR、マイナンバーへの接合について、3つ目が医療機器のイノベーション評価について、ドイツのDiGAと呼ばれる制度に倣ったプログラムの医療機器の仮免許制度の導入と予防医療の推進について御説明させていただきます。
ページ3を御覧ください。安定供給についてです。現状ですが、もう既にほかの団体からもお話がありましたように、コロナパンデミックに併せてウクライナ紛争といった環境により、航空便、輸送を確保することが困難になっておりまして、輸送コストの大幅な上昇、また、原材料の高騰といった困難な状況が起きております。このような環境の中において、企業側の努力で安定供給を維持してまいりました。しかしながら、このような理由で維持管理コストも急騰して、企業によっては存続に関わる事態も憂慮されています。論点ですけれども、安定供給の維持といったことで、在庫管理に関する財政的支援の可能性はないでしょうか。また、緊急時に定期便の医療用としての航空貨物枠を国で確保できる制度設計等の検討をお願いしたいと考えております。
続いて4ページに移りまして、医療DXについて説明いたします。現状ですが、オンライン診療はコロナの緊急対応として拡大し、患者の利便性が向上しており、さらに延伸を期待するところですが、現在は診断の遠隔コミュニケーションツールにとどまっています。今後はeHealthの発展に伴い、遠隔医療・遠隔治療の導入が検討されると思いますが、具体的な実現に向けて、引き続き規制緩和等の議論を官民と共同して、その話合いの場を設けていただきたいと考えております。また、PHRデータ実現のため、特に植え込み医療機器を使用する患者様のために、マイナンバーカードへ植え込み型医療機器の情報、患者手帳等の情報を接合させることをお願いしたいと考えています。
次のページには、植え込み医療機器情報の取扱いに関する状況を参考資料として添付させていただきました。御覧いただければ幸いです。
続きまして、6ページ目を御覧ください。医療機器のイノベーション評価としてのプログラム医療機器における仮免許制度の検討について説明させていただきます。御存じのように、プログラム医療機器は開発の回転が速く、保険収載のエビデンスを得るまでに時間がかかり、その製品の価値がなくなる、または大幅な変更が大きく予見性がないことから、開発や上市を断念するケースもあります。それに対応するため、海外ではプログラム医療機器における保険をつけた仮免許制度の形態を持つ制度が生まれております。スタートアップの開発販売の予見性が担保されています。そういったドイツ国でDiGAという制度もあります。それに対しEBCからの提案ですけれども、プログラム医療機器を早期に患者へのアクセスを確保すべく、安全性を確保された製品を仮承認、上市させ、評価療養などの費用を得ながらエビデンスを集めて、再評価を受けて保険収載させる制度の検討を官民でお願いしたいと考えております。
次のページは参考資料としてですが、医療技術の適正評価と保険制度改革として、EBCは以前より保険外併用療養を使ったイノベーションの評価もあるのではないかと提案しております。こちらは参考資料ですけれども、御参考いただければと思います。
最後のページ、8ページ目を御覧ください。医療機器イノベーション評価における予防医療の推進について説明させていただきます。海外では予防医療のインセンティブ化が導入されていますが、日本においても人生100年時代に向けた医療費削減と健康寿命へ大きな貢献が期待されます。米国においては低線量肺がんCT検診が先駆的に行われていますが、右の図のように多くの欧米諸国でもインセンティブを持って予防的に使用する国が増えています。本邦でも一部の自治体ではCTによる肺がん検診が行われていますが、多くの自治体では従前からエックス線による肺がん検診が行われています。この変更によりその効果が確認できました暁には、本邦における特定健診・特定保健指導の肺がん検診に低線量肺がんCTを必要項目として厚生労働省より全国の自治体へ働きかけていただければと考えております。また、右下の図のように、プログラム医療機器SaMDには国民の予防・再発予防・予後管理を目的としたクラスI相当のプログラムもありますが、国民の健康長寿が期待できる標榜ができない状況です。論点としましては、クラスI相当のプログラムは非医療機器として扱われておりますので、「健康状態や健康的な活動の維持」または「健康的なライフスタイルが特定の慢性疾患の状態やリスクを軽減」の根拠を科学的に示せる場合は一定の標榜を認めて、健診等において医師、薬剤師からもそういった使用を促すことができないかと考えております。
以上、安定供給のための対策、医療DXとしての遠隔治療への延伸、PHRの接合、プログラム医療機器の仮免許制度、予防医療への支援を説明させていただきました。御検討願えればと思います。ありがとうございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
続きまして、日本臨床検査薬協会の小野会長、御説明をよろしくお願いいたします。
○小野会長 日本臨床検査薬協会の小野でございます。本日はこのような場をいただき、ありがとうございます。
臨薬協、AMDD、EBCを代表して、体外診断用医薬品の業界からの意見、要望を説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。本日はこの3点について話をいたします。
3ページ目を御覧ください。1点目は臨床検査のイノベーションの評価に関する要望です。現在、体外診断用医薬品には、画期性加算、改良性加算、市場性加算等もなく、イノベーティブな製品の開発が行われましても、それを評価する仕組みが明確化されていません。革新的な体外診断用医薬品の創出には、令和3年12月15日に提出いたしました臨床検査の適正な実施体制に関する提言書において示したとおり「検査のイノベーションの定義とそれに基づく透明性、妥当性のある評価基準の導入」が非常に重要です。令和4年2月9日に提出された中医協の令和4年度診療報酬改定に関わる答申書附帯意見において、検査等のイノベーションの評価を検討することとなっており、令和4年5月18日の中医協総会においても、本件は保険医療材料専門部会にて検討することとなっております。体外診断用医薬品につきましても、保険医療材料専門部会においてイノベーションを評価し、診療報酬点数に反映する検討をいただきますようお願いいたします。
5ページ目を御覧ください。2点目は次の感染症危機への対策に関する要望です。新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースにおいては、我々診断薬業界にも当初からお声をかけていただいており、また、発言の場もいただき感謝しております。感染症対策において重要な検査の一翼を担う診断薬業界団体として、次なる感染症危機に備え、体制整備を検討する場に参画させていただきますようよろしくお願いいたします。また、危機管理対策として、今般整備した装置・人材の維持を含め、平時より医療機関における「測定装置等の整備」及び「臨床検査専門医や臨床検査技師の確保・育成」の実施の推奨をお願いいたします。
最後に、6ページを御覧ください。3点目は物価上昇時における安定供給に向けた対応に関する要望です。新型コロナによる影響、ウクライナ情勢による物流網の混乱、その他各団体から説明されておりますとおり、我々も非常に厳しい環境下に置かれております。安定供給を継続するための努力は企業ごとに行っております。しかしながら、公的医療保険下では価格転嫁させることが困難なこともあり、事業として非常に切迫している状況です。企業努力に限界もあるため、このような急激な物価上昇に対して何らかの対策を行政側としても御検討いただくようお願いいたします。下に書いてございますように、我々といたしましても、公的医療保険の仕組みの中ではございますが、コスト増を販売価格に転嫁させていただきたい。また、医療機関が地方創生臨時交付金等を活用しやすい環境等の整備の御検討をよろしくお願いいたします。
以上、体外診断薬業界から3つの要望を説明させていただきました。特に1点目は革新的な体外診断用医薬品創出のための課題に基づく意見、要望ですので、ぜひ御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
以上です。ありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、業界の皆様からの御説明を受けて、行政担当者からコメントをお願いいたします。城審議官、山本審議官、浅沼審議官、中田室長の順に、恐縮ですが、できる限りコンパクトにお願いいたします。
○城審議官 医薬産業振興・医療情報審議官の城でございます。お世話になっております。
いただきましたコメントにつきまして、主なものを数点コメントさせていただきたいと思います。
まず、感染症有事などの安定供給の課題について御指摘をいただきました。新型コロナウイルス感染症の発生以来、人工呼吸器、検査試薬、検査キットなど、医療提供、感染症対策に必要な機器の確保に御尽力いただきまして、大変ありがとうございます。これらの確保におきましては、感染拡大の途中でメーカーの皆様に対しまして増産要請、それから、在庫の御報告のお願い、買取り保証などの取組をさせていただきました。こういった取組をしっかり次もやっていけるようにということで、今回、今の臨時国会に感染症法改正案を提出しているところでございます。この中でもそうした生産要請と枠組みの整備とともに要請に対応していただく場合の政府としての必要な支援を規定するとございます。しっかりと取り組んでいきたいと考えておりますが、運用に際しましては、実際にどういう形でやるかというのもございますので、引き続きよく御相談をさせていただきながらと考えています。よろしくお願いいたします。
それから、DXとサイバーセキュリティーの関係でも御指摘をいただきました。非常に重要だと考えております。医療DXの取組とサイバーセキュリティー対策、これはもう両輪で進める必要があると考えております。そういった意味では、今、オンライン資格確認のシステムの拡充とか、こういった形で政府として進めようとしているのでございますが、この中でもセキュリティーに配慮した仕組みを考えていきたいと考えております。
引き続きしっかりとDX推進に向けた議論を進めていきたいと考えています。ぜひ御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
○山本審議官 山本から御説明させていただきます。日頃からありがとうございます。
私からは大きくは2点で述べさせていただきたいと思います。
1点目、医療機器の迅速な承認につきましては、様々制度がございます。例えば、革新的なものを指定して優先的に審査など行う先駆的医療機器指定制度、あるいは速やかなタイムリーな変更計画を事前に確認する制度、通称IDATENを設けております。業界の皆様には開発早期からこういった制度をPMDAと相談しながら積極的に御活用いただき、迅速な承認あるいは変更につなげていただければと考えております。私どもも精いっぱい御協力をさせていただきたいと思っております。
2点目は、プログラム医療機器の開発の推進です。近頃の動きを3つほど御紹介させていただきたいと思います。プログラム医療機器の審査については、「DASH for SaMD」という政策パッケージを公表し、現在、取り組みを進めています。革新的なプログラム医療機器に着目した優先的な審査や相談コンシェルジュを設けるなどの支援制度も試行的に始めました。是非その使い心地なども御意見をいただければと思っております。
最後に、プログラム医療機器の特徴を踏まえ、2段階の薬事承認を出すといういわゆるリバランス通知の考え方を活用できないか、来月から検討を開始したいと考えております。この点についても業界の皆様に検討に御参画、御意見を賜ればと思っております。
その他医療機器のサイバーセキュリティー対策や広告規制の在り方についても現在皆様と検討を進めていますので、是非よろしくお願い申し上げます。
○浅沼審議官 危機管理・医務技術総括審議官の浅沼でございます。
医療機器の開発に当たりまして、データ利活用のお話がございました。厚生労働省では保健医療分野AI開発加速コンソーシアムを開催しておりまして、AI医療機器の開発に仮名加工情報などの制度を活用するに当たりまして、医療データをどのように加工すればよいのかが明確でないといった課題が挙げられております。こうした課題を踏まえまして、今後はより一層データの利活用がなされるよう、個人情報保護法を踏まえたデータの加工手法などのガイドラインの作成を行う予定でございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○中田室長 保険局医療課医療技術評価推進室長の中田でございます。
本日御要望いただきましたうち、主なものをお答えさせていただきたいと存じます。
まず、プログラム医療機器につきましては、令和4年度診療報酬におきまして、診療報酬上の位置づけを明確化したところでございますが、次期改定に向けまして、当該医療機器の診療報酬での評価の実態を検証いたしまして、その特性に応じた評価の在り方についてさらに検討を深めてまいりたいと考えております。
また、体外診断用医薬品につきましては、革新的な検査の実用化が進んできており、医療機器だけではなく体外診断用医薬品のイノベーションに係る評価についてもニーズが高まってきているものと理解したところでございます。診療報酬におきましても、具体的な事例を踏まえて、どのような評価が可能なのか検討が必要であると認識したところでございます。
最後に、引き続き関係団体の皆様の御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えておりますので、今後とも御支援をいただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○司会(安藤課長) 続きまして、AMED、アカデミアの皆様からも御発言をお願いいたします。
AMEDの三島理事長、がん研究センターの中釜理事長、循環器病センターの大津理事長、全国医学部長病院長会議の横手会長の順にお願いいたします。
○三島理事長 御紹介をありがとうございます。令和2年の4月からAMED理事長を拝命しております三島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料6の2ページ目、3ページ目を御覧ください。AMEDではモダリティーを軸とした6つの統合プロジェクトを進めているところでございまして、特に医療機器については、医療機器ヘルスケアプロジェクトとしてプログラムディレクター(PD)の下で基礎から実用化までを一元的に推進しつつ、各疾患領域のコーディネーター(DC)らによる柔軟なマネジメントを展開しているところでございます。
次に、5ページ目と6ページ目を御覧ください。これらの医療機器に関するプロジェクトのうち、AMEDが理念として掲げております「成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」を具現化していくための最近の取組を少し御紹介させていただきます。医療ニーズを踏まえた中小企業、ベンチャー等の医療機器開発事業化を支援している医工連携イノベーション推進事業でございますが、これは開発資金の支援だけではなく、専門家による事業化成功のためのコンサルティングを実施することにより、事業化が加速されました。ここで培ってきた事業化コンサルティング、伴走支援の仕組みを他の事業へ展開することで、より多くの課題に事業化への加速が図れるように展開しているところでございます。
患者さんや御家族のために少しでも早く実用化・事業化が展開できるように、関係機関とも緊密に連絡しながら取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○中釜理事長 続きまして、国立がん研究センターの中釜から説明させていただきます。
私からは「がん領域におけるライフサイエンスクラスター構想」について説明させていただきます。
ページをおめくりください。現在、がんの開発においては、再生医療等医薬品、再生細胞や遺伝子、ウイルス、核酸等やそのほかナノテクノロジーの医薬品が加速している状況で、武装化抗体であるとか、核医学・PPI医薬品、これらの開発の市場規模が急拡大しているところであります。しかしながら、その実現には高度な製造技術と医療技術提供体制の連携が必須でありますが、現状において製造開発拠点が脆弱というところがボトルネックになっております。この観点からも、日本で再生等医薬品の製造・開発・創薬拠点クラスターの形成が必須であります。スライドの左下ですが、昨年5月からGreater Tokyo Biocommunityが正式に発足しました。ここは世界最先端のバイオエコノミー社会を実現するという国のバイオ戦略の目標を達成するための拠点形成を推進する、そういう組織でありますが、実際にそこに柏の葉エリアが追加されています。スライド右下のほうですが、そこの中では東京大学、千葉大学、理科大学を含め様々なベンチャー企業、さらには病院・臨床研究の機能として当センターの東病院が組み込まれております。
次をお願いいたします。実際、現時点において世界初の日本のアカデミア発の再生細胞技術を当センターから発信しているわけですが、加えて、今後企業治験を合わせて10品目以上の治験体制を同時進行可能な体制を整えています。再生・細胞治療・遺伝子治療に対応した柏の葉ファーム形成により製造から実装までのバイオテック医薬品のフルサポートが可能なエリアを目指しています。そこにはここに示しますように、複数の大学や企業が参画する体制を取っています。このような体制を取ることによって、学・官・産業が共創することによって高度な製造技術と医療技術提供体制の連携を実現し、プラットフォームの創薬技術をベースに、多標的・多剤の同時開発へ応用できるユニバーサルな体制づくりが喫緊の課題と考えています。
私からは以上です。
○大津理事長 国立循環器病研究センター理事長の大津でございます。
国循は病院、研究所と、その発明を企業と協力して社会に還元するオープンイノベーションセンターから成っております。心臓はポンプでございますので、我々の重点項目は医療機器でございます。その中での応用事例を今日は少し紹介させていただきます。
ポンプの調節機能、調節に対して研究を重ねておりました。それを基にして、資料8のスライドの左上ですけれども、青のところで循環器疾患リスク管理としてリスクを早く見つける血圧計の開発に取り組んでおります。
次に、急性心不全治療、そのオレンジ色の部分ですが、急性心不全というのは患者によって全く病態が違うので、薬の種類、量も全く違います。そこで、国循から開発された循環モデルを基にして、AIを組み合わせることによって自動治療システムの開発、シミュレーター、バイオデジタルツインの開発に努めております。さらには心臓のダメージを最小限に食い止める種々のカテーテル、ここにあります4つのカテーテルの開発を進めています。
さらに、これから日本の老齢化が進むにつれて、心不全の患者が激増いたします。心不全パンデミックといいますけれども、その心不全管理のためにDoctor to Doctorの遠隔コンサルテーションを基礎にしたITプラットフォームにAIを組み合わせることによって、心不全診断、判断のサポート機能を実装することで心不全の対抗策をするAI搭載心不全管理デバイスの開発に取り組んでおります。
裏のほうをお願いします。国循の重要項目は人工心臓の開発でございます。左側にあるばかでかい装置ですけれども、これは1990年代、我々が開発したこの人工心臓しか日本では使えていませんでした。それから、20年、30年と、その小型化に取り組んでおりました。そこで、その真ん中の下にある小さなプラスチックのものですけれども、これは世界初の非接触回転式のポンプでございます。耐久性に優れ、抗血栓性を伴うもので、非常に小型の体外式の人工心臓を開発しました。これは既に保険収載されております。
さらには、コロナで有名になりましたけれども、ECMOですけれども、これは6時間程度で血栓がつくということが大きな問題でございました。それを解決するために人工肺にヘパリンコーティングをし、あるいは新しい人工肺を開発し、それと我々の超小型人工心臓を組み立てることによって全く新しい小型、右の下でありますけれども、NCVC-Portable ECMOを開発しました。これは治験が終了し、これからPMDAに申請する段階でございます。これはコロナには間に合わなかったので、各コンポーネントを組み合わせた真ん中のところのNCVC PCPSシステムと書いてありますけれども、これは大阪、東京の重症のECMOの患者さんに適用されております。普通のECMOと違いまして、これを使ったECMOでは死者がほとんどなかったと聞いております。
ということで、我々は自力でどんどん頑張っているわけですけれども、お願いしたいのは、自由に我々ができるように、例えば我々が自由に株式を持ったり、あるいは現物支給以外にもベンチャービジネス、ベンチャーを支援するような、そういうことを考えていただければと思っております。ありがとうございます。
○横手会長 続きまして、全国医学部長病院長会議から参りました千葉大学病院長の横手と申します。今日はこのような機会を賜り、誠にありがとうございます。
本日は1点、研究サポート人材の育成と体制整備という点について意見を述べさせていただきます。資料はございません。
このコロナ禍において、全国の大学病院は各地域における最後のとりでとして役割を果たしてきたと考えております。一方、大学医学部は診療のほかに研究と教育を担っており、最近では研究力の低下が懸念されているところでございます。さらに、医師の働き方改革、いわゆる時間外労働の上限規制が2024年度に迫り、これも新たな脅威と受け止めています。
そのような中、本日、加藤大臣のお話にもありました研究開発人材の育成が重要だと思いますが、これは研究者だけでなくそれをサポートする人材の育成ということも深く関わると考えております。一例を挙げますと、研究に関する関係の法律が昨今非常に多くなっており、それがまた目まぐるしく改正されてくると。これを一つ一つ研究者自らがキャッチアップして対応するというのは並大抵のことではございません。さらに、これに関する事務手続も膨大なものとなります。
現在、サッカーのワールドカップが話題でございますが、代表選手が自分のユニフォームを洗ったり、あるいは炊事をしたりということでは力を発揮できないということがございますので、この持続可能な研究開発を実現するために、各施設も努力いたしますけれども、仕組みづくりあるいは御支援というところで研究者が研究をしやすくする、そういう体制をぜひ今後一緒にお考えいただければ大変ありがたいと思いまして、一言述べさせていただきます。
以上でございます。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
さて、この後、意見交換の予定でございましたが、大変申し訳ございません。こちらの不手際で時間が大変押してございます。恐縮でございますが、御用意いただいた御質問等につきましては、後ほど紙で我々に御提出いただき、その後我々から御回答させていただくという形にさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
それでは、本日の会議はこの辺りで終わりにさせていただきたいと思います。
最後に、加藤厚生労働大臣より一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤厚生労働大臣 大変短い時間で恐縮でございますけれども、いろいろな視点の御意見、また、御指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。御指摘いただいた点、そうだなと共有させていただいたもの、また、新たに認識をさせていただいたもの、いろいろあったところであります。
医療機器産業のさらなる発展に向けて、適切な価格設定やサプライチェーン強靱化を含めた社会経済情勢の変化に対応した製造販売流通体制の構築、また、その安定供給をどう図っていくのか、さらには今後の感染症、今、感染症法の最終段階に法案が来ておりますけれども、その中での感染症の対応をどうしていくのか、プログラム医療機器など新たなカテゴリーの機器をはじめとしてイノベーションをどう促進をしていくのか、そのためにどういう薬事・保険制度の構築を図っていくのか、医療データの利活用やデジタル化の推進に向けた環境の整備、また、今、お話がありました研究開発を持続可能なものにしていく、また、それをどう実用化に結びつけていくのか、予防医療の取組をどう進めていくのか、さらには国民皆保険制度の維持という観点から現状の仕組みをどう考えていくのかなどいろいろな御指摘をいただきまして、それぞれ大変重要な御指摘だと認識をさせていただいたところでございます。
これから年末にかけて予算編成、税制改正もございます。その中で取り入れさせていただくべき課題、あるいはもう少し中長期的な議論もいただいたように思いますので、そうした点については引き続きこうした場を活用させていただきながら、しっかりと議論を深めさせていただきたいと思っておりますので、どうか今後とも忌憚のない御意見をいろいろな機会に頂戴できればと思っております。
今日、せっかくこうしておいでいただいて大変短い時間で恐縮でございますけれども、今後ともこういう機会を重ねていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
○司会(安藤課長) ありがとうございました。
それでは、これをもちまして本日の会議を終わらせていただきたいと思います。
会議概要は、これから記者にブリーフィングを行います。また、後日、厚生労働省のホームページにも概要を掲載させていただきたいと思います。
本日はお忙しい中、本会議に御出席賜り、ありがとうございました。
以上