第10回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年11月25日(金)14:00~17:00

場所

 航空会館ビジネスフォーラム(オンライン開催)

議題

1 開会

2 循環器病診療と歯科診療の医科歯科連携について

3 脳卒中協会からの発表

4 循環器病対策推進基本計画の変更案及び脳卒中や心疾患に係る指標案

5 その他

議事

2022-11-25 第10回循環器病対策推進協議会
 
○原澤課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第10回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 私、事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、委員の皆様の出席状況の確認に移らせていただきたいと思います。
 本日、中澤委員から御欠席の御連絡を頂戴しております。
 また、小笠原委員がまだ御参加いただけていないようですが、追って入られると伺っております。
 そうしますと、本日は、委員20名のうち19名の方に御出席いただくという形になりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、参考人としまして、東北大学大学院歯学研究科の小坂健先生に御出席いただいておりますので、御承知おき願います。
 続きまして、資料の確認に移らせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 議事次第、資料1から資料3-2まで、及び参考資料1から3までがございますので、御確認ください。
 続きまして、オンラインを含めました本日の会議の進め方について御説明いたします。
 御発言の際には、オンラインの委員の皆様におかれましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただき、発言しないときはミュートにしていただき、発言するときのみミュートを解除していただくようお願い申し上げます。
 また、本日は、チャット機能の使用は予定しておりませんので、その点も御了承ください。
 冒頭の事務局からの御案内は以上となります。
 ここから先の進行は永井会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井会長 皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
 では、議題1「循環器病診療と歯科診療の医科歯科連携について」、御議論いただきます。資料1について小坂参考人から説明をお願いいたします。
○小坂参考人 御紹介いただきました東北大の小坂でございます。私のほうから、厚生労働科学研究費で行わせていただいています(音声切れ)全身の健康の関係性ということで少しお話を(音声切れ)Zoomがいま一つですが。研究代表者は私、それから分担(音声切れ)研究班構成です。私が研究代表者、それから東北大の公衆衛生の辻先生、ほか医科歯科大学、がんセンター、新潟大学、東京都健康長寿医療センターなどの医師、歯科医師などが入っております。あと、これから循環器病の専門家として、東北大学の安田教授とは連携しながら進めてまいります。
 まず、口腔と全身の疾患に関してですが、65歳未満の疾患別国民医療費の上位疾患として、歯科疾患、ごめんなさい、見づらいのですが、医療費としてもかなり使っているわけですね。15歳未満であれば、呼吸器疾患、ぜんそくとかが多いのですが、青年期や65歳までは歯科疾患というのはかなり多くの医療費を使っているということも分かっています。
 それから、これはWHOのGlobal burden diseasesのデータですが、高齢者、70歳以上の健康寿命を喪失させる10大原因ということが幾つかピックアップされているのですが、その中でも口腔疾患というのがトップ10に入る。
 それから、これまでも幾つかいろいろな研究がなされてきておりまして、歯の本数が心血管疾患による死亡と関わっていて、これがサバイバルレートで、歯の本数が25本以上の人、0~9本の人と比べると、歯の本数が少なくなると脳心臓血管疾患で亡くなる、サバイバルが落ちるということが分かっています。
 我々も別のコホート研究で、心臓血管疾患あるいは呼吸器疾患による死亡というのが、歯の本数が多くて、よくかんで食べられるというのに比べると、そうじゃない人たちがより早く亡くなってしまうということも、これまでも公表しておりますし、脳血管疾患と歯周病のメタアナリシスというのを解析しておりまして、これだとパブリケーションバイアスを加味したファンネルプロットでダミーの変数を入れたものでも、有意な相関が見られています。
 これは、我々の歯周ポケットというのは、大人の手のひらと同じくらいのサイズがあって、それが慢性的に炎症を起こしているということは、かなり影響があるということになるのですね。ですから、この関係に対して、我々は分担研究の中で、国内のいろいろなコホート、JPHCコホートとか大崎コホートとかレセプトデータとか、我々、メディカルメガバンクあるいはJAGESコホートなどを使って解析していこうというのが、この研究班の中身です。
 それで、一つ一つ。まず、大崎の健康寿命と口腔という調査研究について簡単に説明しますと、これは大崎コホートで、65歳以上、3万人いるうちの解析対象が1万4000人という形になります。
 結果だけ述べさせていただきますと、コホートで6年ぐらい追っていっているものですが、歯の本数が多い人たち、それから少ない人たち、義歯の使用あり、なしというところで、3年くらい健康寿命の差があるということが分かっています。だから、現在の歯の本数が多いと、3年くらい健康寿命が多いということが言われていて、これは、これまで我々の研究でも示していたことですが、それを自分でセルフケアできるということで、1.5年くらい寿命を長くすることができるということが分かりました。
 それから、JAGESコホート、これは30万人くらいの住民のコホートですが、これを使って、口腔と死亡のリスクの要因、あるいは認知症との関係を調べてみています。
 結果だけお話しさせていただきますと、左側が男性で右側が女性です。Population attributable fraction、PAFという人口寄与割合というのを見ているのですが、年齢が上がるということが一番大きな要因です。ただし、男性においては、歯の数がかなり影響を及ぼしているということも分かっています。それは、身体活動や禁煙や高血圧などに比べても多いのではないかということが言われていて、女性においてもトップ10に入ってくるくらい、現在歯数が死亡に影響を与えるという形になっています。
 これが結果のまとめです。5万人くらい6年間追跡した中で、歯の本数というのが大きな影響を及ぼしている。
 では、何で歯の本数が健康に影響を及ぼすかということについても、別の研究で解析しておりまして、歯の本数と認知症の発生にどういう影響が考えられるかということについて解析しております。緑色が男性で、バーの長いほうが影響があるという形になります。ピンク色が女性という形になりますが、男性の場合、口腔がうまくいかない、口腔の状況が悪いと、交流人数とか人とのコミュニケーションを介して認知症発生と関係があるのではないか。これは縦断研究なので、そういう因果関係についても若干示唆されるのではないかと思います。
 それから、女性においては、果物や野菜の摂取が減少することによって、認知症の発生に関係があるのではないかという関係を示唆した研究であります。
 これがまとめです。
 それから、より循環器系の疾患になりますと、新潟大学の先生方が魚沼コホートで、口腔の状況と心房細動あるいは脳卒中について解析していただいています。その中で、P.gingivalisという細菌、歯周病にとって非常に重要な細菌で、例えば我々が強く歯磨きをしたり、爪ようじなどで突ついたりすると、簡単にこのP.gingivalisによる菌血症を普通に起こすことが分かっています。簡単に血管の中に入るのですね。もちろん、敗血症とか、そういうものを起こすわけではないのですが、一時的に菌血症を起こすことは広く知られていて、こういったものが動脈硬化あるいは脂質代謝にも影響を与えることも最近分かっている。
 そういうものを介して、我々の手のひらの大きさでずっと炎症を起こしていると、慢性的な炎症、あるいはP.gingivalisみたいな細菌を介して、我々の全身の疾患にも影響を与えるということが分かってきています。
 今回、魚沼コホートで、サンプル採取としては4000人くらい、解析で3000人くらいになっているのですが、結果をお示ししますと、P.gingivalisの抗体価が高い群というのが、心房細動を発症した既往のある人をアウトカムにしていますが、オッズ比が2倍くらいあります。
 それから、心房細動・男性、あるいは収縮期の高血圧が高かったり、そのため服薬している人は2倍ぐらいのオッズというのがありますし、統計学的な有意差はないのですが、一番下の心不全の既往みたいなものも影響があることが分かっています。もちろん心房細動ですので、冠動脈疾患、心臓の養っている血管の異常みたいなものも大きく影響を与えることになりますし、加齢あるいは飲酒、たばこなど、これまでリスクファクターとして言われていたのですが、そういうものと比べても大差がない、非常に大きな影響を、このP.gingivalisの抗体が高いということが影響を及ぼしていることを示唆する結果になりました。
 それから、もう一つ、脳卒中に関しては、歯の喪失と脳卒中というのはこれまで言われていたのですが、体の身体活動が低下するということがいろいろな影響を及ぼしているのではないかということで、このメカニズムについて少し探ってみた研究になります。これも魚沼コホート研究で、20年間追跡しているコホートでございます。
 その中で、歯の本数との関係で言うと、歯の本数が落ちている群は身体活動量が落ちていることが分かっています。
 それから、身体活動が落ちている群というのは脳卒中のリスクが2倍ぐらい高くなっているというところで、歯の本数が少ないと活動量も低く、脳卒中にもなりやすいという関係が分かってきています。
 これも長期、追いかけていった結果で、因果関係に関してクロスセクショナルなものよりは多少言えると思うのですが、我々が動けなくなったりする。運動することが非常に大事なことで、そういうルートを介して口腔の状況が悪いことが脳卒中に関わるのではないかという結果を報告しています。今年度、まだ研究を続けていて、ほかのコホート、国内、多くのコホートがありますので、そこで歯科疾患について取っているのは必ずしも多くないのですが、それプラス、レセプトデータの解析などを進めております。
 今回、まとめとしては、口腔の状況が健康寿命との関係がある。あるいは、死亡に大きな影響を与える。あるいは、口腔内細菌が心房細動と関係があるのではないか。あるいは、身体活動量を通じて脳卒中の発症と影響しているのではないかといったことを明らかにしてきました。
 私からの発表は以上となります。
○永井会長 ありがとうございました。
 ただいまの御発表に対して、御質問、御意見おありの方、御発言をお願いいたします。
 それでは、私から。小坂先生、こういう知識というのは、一般の方にどのぐらい共有されているのでしょうか。
○小坂参考人 今、医療関係者、医師の場合、特に外科の先生方ですね。周術期の口腔機能管理という形で、手術の前に口の中をきちんとすると、術後がいいというのがランセットなどに出て、胸部外科とか、そういうところでは、大学病院レベルではかなり進んでいると思います。あるいは、がんセンターみたいなところで、手術前に口腔内、あるいは血液疾患などの治療前とか、そういうのをきちんとすると予後がいいのだということは知られているのですが、一般の方々にはなかなか浸透していないところもあります。
 医科歯科連携の中で、今、在宅医療の中でそういう連携がかなり進んでいる地域がありますし、これは医科の在宅の多くの先生方が関心を持って取り組まれているという形になります。あと、高齢者の施設などでは、口腔ケア、口腔機能管理というものがかなり行われてくるようになって、それは誤嚥性肺炎の予防といったことが中心になりますが、循環器病疾患あるいは糖尿病との関係ということも今、言われていますので、そういった多くの疾患についていろいろな啓発活動をされているところだと思います。
○永井会長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 榊原記念病院の磯部でございます。
 小坂先生、大変分かりやすいお話ありがとうございます。私は医科歯科大学におりましたので、歯学部の先生と関連した研究をいろいろして、オーラルヘルスの循環器疾患での重要性をよく認識しています。お伺いしたいのは、介在研究です。素人的に考えると、歯磨きしましょうとか、口の中の健康の方法論についての知識はいろいろあるのですけれども、どういう介在をするとどういう効果があるということについての具体的なデータ、エビデンスがあるのでしょうか。循環器疾患の予防という観点で、若い方から、あるいは高齢になって歯周病になりかけている方とか、どういう予防・治療が有効であるかということについての知見があれば教えてください。
○小坂参考人 これ、RCTがなかなかなくて、糖尿病の方々へのRCTというのは幾つか出ているのですが、必ずしも結論は明確ではない部分があると思います。
 ただ、専門的な歯科的な治療で、歯周疾患の対策・治療をかなりしていくと、糖尿病のコントロールがよくなるとか、慢性的な炎症を減らしていくというのが、歯科医院によって方法が違ったりする場合もあるので、そこの標準化というのも大事になってくると思いますし、一番最初の大崎コホートで示したのは、自分できちんとセルフケアができるということだけでも、健康寿命をかなり延ばすことができていますので、そういった意味で、どういうやり方で介入するのかというのは、介護予防の中では、どちらかというと摂食嚥下とかが主体になってきますが、歯周疾患を減らしていくために、もうちょっと具体的な。
 これは、海外だとクロルヘキシジンという、洗口にしても、歯磨き器にしても、ガムでも出ているのですね。ただ、日本の場合は、そのクロルヘキシジンが昔、粘膜疾患でアレルギーを起こしたことがあって、口腔内で高濃度が使えないという、介入するときに大きな弱点があって、その辺がなかなか使えないというのは、RCTをやるのに若干難しい部分があると思います。
 ですから、先生がおっしゃるとおり、30歳くらいからは本当は介入していかないと、歯を失ってからでは遅いだろうというのがありますので、今の単なる健診だけじゃなくて、プラス、どういう介入をしていくのかということについて。今、AIでカメラで撮って、歯周疾患の程度を測定するとか、いろいろなそういう話も進んでいますので、そういったことがうまくセルフケアにつながる。あるいは、専門の歯科医療機関で具体的にどういった介入をするのか。もちろん、いろいろなスケーリングの方法とかをやっている部分はあると思いますが、その辺のエビデンスというのは、必ずしもここでお見せできるほど明確ではないと。それは、大規模研究というものをきちんとやっていくべきだろうと考えております。御質問ありがとうございました。
○磯部委員 ありがとうございました。分かりました。
○永井会長 横田委員、どうぞ。
○横田委員 横田です。
 小坂先生、御講演、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。私、日体大の横田と申します。もともと救急医、脳外科医で、循環器疾患病院前救護と急性期治療に深く関わってきました。循環器疾患の大きな特徴の一つとして、再発を繰り返すということがあると思うのですが、小坂先生、予防の見地からのお話をいただいて、大変勉強になりました。再発に関しては、今、口腔内のケアに関してはどのようなことが言われているのか、もし知見があったら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小坂参考人 これも介入研究というのは余りないということが分かっています。ただ、大峡のコホートですか、MRIでラクナストロークを確認している中で、そこを歯科医療機関が定期的に確認しているところでは再発が少ないということも言われているのですね。ですから、歯周疾患、慢性炎症をなるべく抑えていくことによって、多分そういった再発を防げるのではないか。これも、余りちゃんとしたエビデンスという形ではないのですが、そういったコホート研究レベルではラクナストロークを減らすということは分かっています。
○横田委員 ありがとうございました。
○永井会長 では、峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 峰松です。
 脳卒中協会の理事長をしているのですが、今回の循環器病対策推進基本計画、第2期になりますが、そこでも予防と学校教育の問題が取り扱われています。リスクファクターが起こってから予防しようとしても限界があります。歯も、「なくなってから問題であると言われても」というところがあります。まだ健康なうちのパブリックに対する教育、啓発が必要です。学校教育の場ではと学校歯科医のグループがあると思うのですが、そういったところとの連携について、それから基本計画でこの問題を取り扱うときにどういうことを希望されているかというのをお話しいただけたらと思います。よろしくお願いします。
○小坂参考人 子供たちだと虫歯ということもありますし、歯周疾患もかなり早い時期に始まるというところで、学校歯科医の先生方とはかなり密に連携を取りながら対策を取っているという形になります。
 ただ、学校での介入というと、どちらかというと虫歯の予防ですね。アメリカだと、学校でシーラントという歯の細かい溝をプラスチックで埋めてしまうというのが行われていて、それが非常に効果がある。あるいは、水道水のフッ素濃度を調整するということが広く行われているのですが、日本でそれはなかなか難しいと思っています。ですから、子供たちは、どちらかというと今のところ虫歯中心になっていて、そちらの対策がメインで、そこの格差を減らしていこうということが中心になっているのですね。そこから歯を保つことが非常に大事だという啓発というのは、子供たちにはまだ行われていないところがありますので、今後、そこは歯科医師会などとも連携しながらやっていく必要があると思います。
 それで、歯を失っても、今だとインプラントを入れるとか、きちんとした使えるような義歯を使うという機能歯みたいな言い方をして、それをちゃんとリカバーすることで、かなり機能がいろいろ保てるのではないかという話もありますので、歯がなくなった人に対してもいろいろな対応ができるかなと思っております。
○永井会長 最後に、小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 岩手医科大学の小笠原です。
 日本脳卒中学会の理事長をしておりますが、先生、最後に歯科医師会の話をされましたね。実は、岩手県で医師会がかなり動いて、こういうことをしているのですけれども、アカデミアと医師会で情報をかなり歯科医師会に下ろしているのでしょうか。
○小坂参考人 歯科医師会の先生方、こういうことに非常に関心があって、全身との関連というのは、最近、いろいろな歯科医院に行っても、認知症、赤ちゃんの話とか、こういう動脈硬化性疾患あるいは糖尿病といったものに対するポスターが結構貼られておりまして、それで例えば糖尿病だと、糖尿病に関して歯科で介入する歯科医療機関みたいな形で標榜も始まっています。そういう意味では、岩手県はかなり進んでいるとお聞きしていますし、場所によっては違うのですが、かなり熱心に取り組んでいる先生方も多いと。歯科医師会との連携という意味では、情報交換はかなり綿密にできていると思っています。
○小笠原委員 分かりました。そうであれば、この基本計画等で、これを義務化とは言いませんが、推奨するという文言がもしあれば、もっと進む可能性があるという理解でよろしいですか。
○小坂参考人 そうだろうと思います。
○小笠原委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 時間の関係で先へ進ませていただきます。小坂参考人ありがとうございました。
 では、議題の2「脳卒中協会からの発表」に移りたいと思います。資料2-1と2-2について峰松委員、川勝委員から発表をお願いいたします。
○峰松委員 スライドをお願いします。資料2-1がありますが、これは説明する時間がないので、この調査票を使って具体的な調査をやったということで、参考にしていただければと思います。
 資料2-2のスライドをよろしくお願いします。これは、前回の協議会の最後に、「今、脳卒中協会で患者調査をやっています。その結果を今度、紹介したい」と予告しました。まだ調査の途中なのですけれども、皆さんにお示しできる内容がまとまりましたので、今回、ここで説明します。前半は、日本脳卒中協会の理事長である峰松がイントロダクションさせていただきます。
 このスライドは、日本脳卒中協会がどんなものかということを説明したものです。予防と患者・家族支援を目的とした公益社団法人です。
 今回の調査の目的は、今、第一期の基本計画の最後、5(5)と書いていますが、「2022年度を目途に基本計画の進捗状況をちゃんと把握して評価する。それで問題点を抽出して、次の施策に反映する」という、いわゆるPDCAサイクルを回すということが明言されています。しかし、現実には達成状況の把握が必ずしも十分ではありません。そこで我々は、脳卒中の患者・家族の目線で独自に調査を始めました。
 次のスライドは調査の概要です。協会には全国48の支部があります。そこの担当者に協力をお願いし、それぞれで脳卒中の患者・家族に直接会ってインタビューしていただいて、定形のインタビュー、これは先ほどの資料2-1の内容ですが、それに従ってデータを取っていただき、それをインターネット経由で匿名化情報を集めて分析するという形です。
 現時点では、27都道府県で305名の方の調査結果です。コロナ禍でインタビューをやるというのがなかなか大変で、ちょっと進んでいませんが、年齢は20代~90代まで。70代辺りが一番多いと思います。
 それから、患者さんの発症日は、基本計画が閣議決定された2020年10月以前が135名、その後に発症された方が162名でした。
 その次のページ、中間報告の概要は、基本計画のポンチ絵に書いてある幾つかの施策がありますが、この中で患者・家族に関係が深いと思われる項目を重点的に、具体的には星印がついているのではないかと思いますが、1の普及啓発。それから、2ポツのマル3、マル4、マル6、マル9辺りが患者・家族に特に関係が深いところで、こういったところの質問を厚くしてアンケートを行いました。
 ここから先の話は、日本脳卒中協会の副理事長で、患者の立場で、かつ患者家族委員会、この調査をやった委員会の幹部理事である川勝委員から説明していただきます。お願いします。
○川勝委員 川勝です。よろしくお願いします。
 今回、量が非常に多いので、私・患者なのですけれども、患者目線で課題があるなと感じたことを中心にお話しさせてください。
 次ページです。まず、基本計画の3本柱の1つ目、正しい知識の普及啓発について確認しました。今回、アンケートじゃなくて、支部の先生・医師が患者・家族に直接ヒアリング、聞いた上でまとめています。
 左のグラフを御覧ください。脳卒中の予防について日頃見たり聞いたりしたことはありますかという質問に対して、6割の方は目に届いている、聞いているとおっしゃっているのですけれども、4割がないということです。実は、脳卒中の患者というのは、脳卒中という言葉、それから報道に非常に敏感になっています。ですから、そういう方々でさえ4割見ていないということは、普及啓発はかなり遅れているという気がします。
 あと、媒体は右のとおり、テレビが一番多いということが言えると思います。
 次ページ。ここは、再発予防について理解度を聞きました。7割の方は理解していると回答されていますけれども、3割は理解していない。これはちょっと課題だと思っています。
 次のページ。それから、相談窓口が近くにありますかという質問に対して、4割の方はない。困っていると言われていることが分かりました。
 次のページ、御覧ください。相談できる窓口があると答えた方は、主に医師です。左の棒グラフ、病院の医師、かかりつけ医が非常に多い。一方、ないと答えた方も、誰に相談できたらいいかという質問に対しては、病院の医師、かかりつけ医ということになりますが、このままこれを続けますと医師に集中してしまうということで、これは大きな課題だろうと思います。ですから、もっと広く多職種の皆さんに相談窓口が広がるべきだと感じます。
 次のページ、お願いします。ここでは、制度利用について聞きました。そもそも制度利用の可能性があることを知っていましたかということで、知らなかった方が非常に多いということで、まだまだ情報不足があるなという気がします。
 それから、次のページ。治療については、8割の方が理解できたと回答されています。ただ、急性期を過ぎて、その後、後遺症とかリハビリテーションに関する説明、情報提供は、まだ不足しているなというデータが出ております。
 次のページ。4人に1人は、全体的な説明不足を感じていらっしゃいます。
 次のページ。ここは、今回、データではなくて、生の声を重視しています。そのまま掲載しておりますので、非常にばらついています。私がちょっと気になったのは、このページでいうと、1番、2番、11番です。1番、脳卒中の原因について説明がなかった。心房細動が脳梗塞の原因であることを知らなかった。初めて知った。この辺りは、啓発ということを重視すべきだなと感じます。
 11番ですけれども、私はこれが非常に大事だと思っています。なぜ足が動かなくなったのか分からない。また、なぜ足が動かないのか分からない。つまり、麻痺がなぜ起きているのか分からないのです。知らない、教えてもらっていない。ですから、教えてもらっていなくて、ただ、薬を飲みましたか、リハビリしていますかということを言われる一方ですから、患者さんは被害者意識でいっぱいになるわけです。ですから、この病気はなぜなのかという仕組みの教育をもっと患者にもすべき。むしろ、患者になる前の一般市民にも必要かなと思います。
 このページで一番大事なのは21番目です。いろんな事を、もっと説明して欲しかった。残念ですということです。説明が足らないということ。もっと情報が欲しいと患者さんはおっしゃっています。
 次のページにいきますと、主治医とか医療関係者に質問したり、意見を言ったりできていますかという質問に対して、9割の方はできているとおっしゃっているのですけれども、実はこれは医療関係者が患者に聞いています。ですから、いや、できていませんよという方は、本当はもうちょっと多いのではないかという印象を持っています。
 ただ、説明してもらってもよく分からないということで、その説明に対して理解を助けてくれている方はありますかということを問いますと、ありません。
 一方、ある方は次のページ。左のほう、たくさんあります。家族とか友人もあるのですけれども、圧倒的多数として看護師さんです。ですから、患者さんの身近な存在の看護師さんが大活躍してくれているということが言えるかなと思います。
 ただ、先ほど来、医師も相談相手として非常に重視されている。看護師さんが活躍。でも、この2つでは回らないですね。ですから、右に書いたのですけれども、循環器病の理解とか各種意思決定のサポートには、多職種による連携が必要になってくるだろうと感じます。
 次ページ。ここは、治療と仕事の両立支援について確認しました。真ん中の一番下の四角いところ、実は4割の方は、仕事への期待を持つことができなかった。結果、左、4割の方は、仕事ができていないということであります。右のほうに書いたのですけれども、仕事に関する相談窓口を7割の方が知らないという実情があるということも分かりました。この辺のサポート体制も必要だろうと思います。
 次のページ、お願いします。この16ページ以降は、両立支援について生の声がたくさんあったので、あえてまとめました。全部説明できないので、特に気がかりな御意見を私からお話しします。
 17ページ、よろしいですか。下に箱があります。その上の4行、赤字になっています。ちょっと読みます。国や専門家、医師、看護師さん、PT、OT、STすべて健常な方々なのです。患者さんひとりひとり症状も後遺症も薬の知識もそれぞれ違う。ですから、検査結果だけではなく、患者の生の声を大事にして、今後の医療、治療、制度、仕組みづくりに生かしてほしいと思いますというお声が出ております。全般に言えることですね。
 それから、18ページ、20番。私、先ほど来、啓発の話をしているのですけれども、ここでも出てきています。脳卒中のことを勉強できる機会(入院中の患者さん向けのレクチャー)があれば参加してみたかった。これを行っている病院も全国に結構あります。ですから、これも1つの啓発の手段のヒントだと思います。患者さん、家族は情報を欲しがっているということが言えると思います。
 次、19を飛ばして、20ページ。今、ずっと不満の声ばかり言ってきました。ただ、お褒めの声もたくさんありました。一生懸命やっていただいてありがとう。でも、39番、これが物すごく印象的です。よく分からないが、先生方は忙しそうだった。これが現場の実情ですね。ですから、患者・家族からすると、何か先生に聞きたいけれども、遠慮して話しにくいなという雰囲気があるというのが、この声から聞こえてきました。
 概略、これだけですけれども、まとめとして次のページ。
 今回、実情調査を行いました。アンケートじゃなくて調査です。まさにヒアリングしてまとめました。これは患者・家族目線で、施策の課題とか対策案とかを一定つかんだつもりですけれども、今後も全体分析を継続します。これ以外にたくさん聞いています。緩和ケアの問題、リハビリの問題、後遺症の問題、いろいろな生の声をいただいています。これから、私たち、まとめますけれども、こういう声が2期の基本計画の強化に向けた支援の強化につながることを、ぜひともお願いしたいということです。
 補足で書いたのですけれども、今回の調査は、主に急性期に勤務する支部長、支部の医師による調査です。ですから、急性期に通院していない患者さん、家族の声を把握し切れていない。
 それから、もう一つ、書いていないのですけれども、今回、質問した医師と患者の関係は一定あります。ですから、厳しい声が少ないです。マイルドな結果になった印象を持っています。本当は、もう少し厳しい声が出ておかしくないなと私は思っています。ですから、今後の評価とかを行う際には、こういう調査の継続とか、対象者をもっと広げた大規模な調査も必要じゃないかなと感じています。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○永井会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御発表に御質問、御意見、お願いいたします。
 小笠原委員。
○小笠原委員 ありがとうございました。
 今の患者様の生の声で我々医療者が感じているのは、両立支援とかを聞くのは医師と看護師さんと言われましたが、そもそも我々医療者が両立支援制度とかを理解していないところが多分大きいのではないかと私は思うのですが、そういう声はありませんでしたか。要するに、質問したけれども、私、ちょっと分からないんだよということを医療者が言うということはございませんでしたか。
○川勝委員 ありがとうございます。
 今回、いろいろな御意見をいただいたのですが、実は時間不足で、そこまで細かいところまで確認できておりません。ただ、私、自分の経験からすると、仕事について、当時、入院中、聞かれたことは一度もありませんでした。あと、制度の知識、いろいろな社会保障制度もなかなか分からないという声があるわけですけれども、これも先生方に聞いても、そこまでなかなか踏み込めないという意見は途中でありました。両立支援については、申し訳ないですけれども、確認できていないですけれども、社会保障制度については、先生に聞いてもよく分からないという声があったことは事実です。
 以上です。
○小笠原委員 先生、そうすると、例えば相談窓口等があったときに、少なくとも我々が質問されたときには、そこにつなぐという役割は必要だという理解でよろしいでしょうか。
○川勝委員 私はそう思います。ですから、今、総合支援センターが動き始めていますけれども、ここも充実してもらって、同じような機能を各県で病院の中に対応できる。
○小笠原委員 そういうちゃんとした機関をつくるということですね。
○川勝委員 ええ。ちゃんとつないでいただければ、たらい回しにならないことですね。
○小笠原委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○峰松委員 峰松から補足です。大体、共通認識だと思いますが、せっかく今、相談窓口の整備が始まっていますが、退院後の職業復帰のところで、皆さん、本当に迷っていらっしゃるようです。病院に設置した相談窓口で、どこまでそれに対応できるか、これは問題だと思います。ただ、相談する側とすれば、できるだけワンストップで、ここに行ったら、そこから先の道標をちゃんと示してくれる。そういったものを整備する方向で、これから計画を実行していくことが大事かなと思います。今回の調査は、今回だけに止まらず、定期的に調査を繰り返した、変化が起こっているかどうかというモニタリングにもつなげていこうと考えています。
 患者・家族目線で「何に困っているか」というところからスタートしないと、自分たちがこれでいいだろうと思ってやっているのが、必ずしもそのためになっていないかもしれません。そういったものの材料にしていただいたらありがたいです。
○永井会長 大橋委員、どうぞ。
○大橋委員 貴重な報告をどうもありがとうございました。脳梗塞経験をした患者として発言させていただきます。
 先ほど普及啓発についてのお話がありましたけれども、私もテレビで活動する者として、普及啓発は積極的に行っているつもりではあるのですけれども、循環器という言葉がどうしてもいろいろな方になじみがなくて、何回言ってもなかなか覚えてもらえないのですね。循環器、脳卒中という言葉はどうも耳なじみが薄いということで、普及啓発に関しては、脳と心臓の病気というふうに言葉を変えてしまうぐらい、大胆なことを検討してもいいのではないかと痛感させられることが多いです。
 そして、もう一つ、先ほど医療提供体制の充実について説明がなかったというお話もありましたけれども、私は脳卒中を発症する2年前に内頸動脈解離が実は見つかっていて、そのときに医師の下を訪ねているのですけれども、それが若年性脳梗塞の一因になるという説明が1つもなかったのです。なので、1年に1回、経過観察をしましょうと言われたものの、私自身の過ちでもあるのですが、そこまで重大なことに至るとは思わずに放置してしまって、2年後に倒れたということがありました。ですので、患者を脅かすわけではないのですけれども、脳梗塞、脳卒中、循環器病の一因になるということがもしあるのであれば、言及していただけると、患者としてもリスク管理という面で覚悟ができる、自覚ができるのではないかと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 小室委員、どうぞ。
○小室委員 東京大学循環器内科の小室です。
 今、大橋委員から大変大切な問題が提起されたので、それからお話ししたいと思います。確かに、循環器って分かりにくいのですね。私自身も循環器病と言ったり、循環器疾患と言ったり、分かりにくいだろうなと思って心血管疾患と言ったりして、なかなか統一できないのです。ですから、今後、どのように言ったら、患者さん、一般国民が一番分かりやすいのかということについては、議論していったらよいかなと思っています。
 もう一つ、私がお聞きしたいのは、峰松委員、川勝委員に対してなのですけれども、患者さんの声を聞くということは大変重要だと思いました。ありがとうございます。我々循環器も患者さんの声を聞かないといけないということで、昨年5月に日本循環器協会というものを私が理事長としてつくりました。そこで、今回の資料も拝見したので、循環器協会としても全国の患者さんの声を聞きたいと思っています。
 そこで、どのようにアンケートを取ろうかと考えていたのですけれども、先ほど川勝委員がおっしゃったように、医師が患者さんにインタビューするという形式でよいのか。そうすると、患者さんとしては、医師に対して余り厳しいことを言えないのではないかという心配があるかと思うのですけれども、患者さんの本当に言いたいことを聞く方法というのは何かつくれないのか、その辺り、川勝委員、峰松委員はどうお考えでしょうか。
○峰松委員 直接患者さんに対してダイレクトにメールを送ったり、インターネットで、あるいは調査会社を使ってアンケートを取るというのは、実は従来からやっているのですが、今回、ここでインタビューをやったというのは、医療者側が患者さんとお互いにクロストークして、我々は特に協会の支部長の人たちにメインにやってもらったので、相互交流が必要じゃないかという観点で、むしろそちらが出発点だったのですね。全国的な調査で、まだ全部の都道府県でやれていないので、一通り終わったところで、この方法がいいのかどうか。
 これをやると、逆に言えば、先ほど言った関係がある人たち同士のデータになってしまって、医療提供体制等から離れてしまった患者さんの声は聞こえないので、回答が少し甘くなっている可能性がある。これも1つの限界点だと。取りあえず、今回はこの形式でやってみて、よかった点と問題点、ちゃんと分析した後で、以後の調査に反映したいと思いますし、循環器協会もぜひいろいろやっていただいて、患者さんの声を拾い上げて、それを今度の基本計画とか次のステップに生かすというのに物すごく大事じゃないかと考えていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○小室委員 ありがとうございます。循環器協会としても患者さんの声を聞きたいと思いますので、ぜひよい方法がありましたら教えていただければと思います。ありがとうございました。
○永井会長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。PMDAの山本です。
 大変貴重な調査だと思います。本当に大変だったと思うのですけれども、おまとめいただいてありがとうございます。
 ただ、急性期をやられている、つまり地域の基幹病院で脳卒中の専門家が集まっている病院に通っていらっしゃる患者さんということで、比較的いろいろ手厚く診てもらえている状況の方でこれなので、大半の患者さんは地域の開業医さんにアフターケアしていただいているところでありまして、そういうところに行きますと、必ずしも脳卒中に詳しい先生でなかったりということもあります。なので、この急性期の病院でのインタビューも大変だとは思いますけれども、別に急ぐことはないので、そういう地域のかかりつけ医に戻っていかれた患者さんのお声というのも、ぜひ調査する手だてを考えていただけると。これは研究事業としてやるべきことだと思いますので、今後も続けていただきたいなと思いました。
 特に、比較してあれですけれども、がんの患者さんは、初期においてはまだ動けますし、しっかりしゃべれるというところがありまして、自ら意見を出すことが結構できますけれども、脳卒中の患者さんというのは、こちらからこうやって積極的に聞きに行かない限りは、どういう状況にあるのかすら分からないというのが大半だと思いますので、こういう積極的な患者調査というのを今後も継続していただく必要があるなと、非常に感じました。
 以上でございます。
○峰松委員 学会も協会も、急性期の病院で働いている先生方がメインで活動しているので、回復期、さらに生活期の医療・ケア提供というのは、我々自身の弱点になっています。それが多分、今回のアンケート結果にも反映されていますし、それから、今日、この後、話に出てくると思いますが、5か年計画を立てる段階で、急性期のことは結構いろいろインディケーターがあるけれども、回復期とか生活期のインディケーターがないじゃないかという議論がこの前、出ていましたけれども、まさにこの辺、急性期を過ぎた後の医療・ケア提供者と患者・家族との関係が非常に難しいというところが大きなポイントです。
 このアンケートがもっと広い範囲でできるように、我々自身の体制も今、見直しつつありますし、医者だけじゃなくて、コメディカルのケースワーカーの方とか保健師の方とか、そういった人たちを仲間に入れて、その人たちと患者さんに接してもらって、それなりのアンケートを取ってもらうとか、そういう形に発展させていきたいと思っています。
○永井会長 野口委員、どうぞ。
○野口委員 ありがとうございます。
 患者・家族の目線で行われた貴重な調査報告、誠にありがとうございました。とても勉強になりました。
 私からの感想は、スライドの中に「相談員のサポートが薄い」という厳しい言葉がありました。私たちの現在の仕事が退院調整にばかり追われている現場が多く、退院後のサポートが行き届いていないことを改めて認識致しました。心せねばならないと思いました。
次に質問です。回復期以降の生活期・維持期の指標の一つに第1期計画の中でも療養と就労の両立支援が取り上げられており、今回の調査の中にもございました。305名の回答者の中で就労されている方はどの程度おられたのか伺いたいと思います。回答者の最大のボリュームゾーンは70代であり、就労という要素が果たして指標として適切であったかと感じております。
就労自体は指標としてとても重要な要素であると思いますが、ICFでは参加という概念が用いられており、就労以外にも参加の観点からは、少し幅広く指標を捉える必要があるのではないかと感じております。
質問の1点目は、今回の調査で就労している回答者はどの程度おられたのか、2点目は就労以外に参加という観点から指標として考えられるものがあれば伺いたいと思います。
 以上です。
○永井会長 いかがでしょうか。
○川勝委員 野口先生、ありがとうございます。
 今、御質問のポイント、就労支援の対象者の方の割合とかですけれども、正直申しまして、今日、そこまでデータを持ち合わせておりませんので、正式な回答は、申し訳ないですけれども、できないですね。私、この調査、あくまでも抜粋でございまして、今おっしゃられたような目線でいろいろな分析が必要だろうなと。例えば、今回の基本計画ができた後に発症された方と、それ以外の発症者の集団の差。例えば、救急車が何分ぐらいで来ましたかという質問もしています。
 ですから、今回の基本計画で個別施策に挙がったものの達成状況の把握が、そもそも入り口でした。ですから、おっしゃられたポイントも、データの隅々を調べれば分かるのですけれども、大変恐縮ですけれども、本日は回答として提供できないということで御了解いただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。
 あと、今のような目線、いろいろな目線で今回のデータを分析して、全体分析として、この協議会にどこかのタイミングで再度、提出させていただければと思っています。ということで。
○永井会長 よろしいでしょうか。
○野口委員 ありがとうございました。
○永井会長 最後に、木澤委員、お願いします。
○木澤委員 日本看護協会の木澤でございます。
 本当に膨大な調査をしていただいて、患者さんの生の声を聞かせていただき、ありがとうございました。
 振り返って、いろいろ説明を受けたかということにつきましては、そういったことがなかったということが現実だと思います。一方、医療者としては説明したつもりだけれども、患者さんが分かっていないというのはよくあることかと思います。命が助かったり、一定落ち着いたりするまでは、なかなか混乱しているということで、医療者のサポートが必要だということがありました。
 あと、人的リソースが要るところでは、ICU入室早期からMSWの方に入っていただいて、制度の説明等をしていただくのですが、不安な内容や相談内容は、病期が移るにつれて、いろいろ複雑に絡み合うということもありますので、チーム医療を推進することにつきましては、いろいろな職種が何をやっているかというのを相互が分かりながら連携することが必要と思っています。助けてくれた人等について、生の声で看護師が挙がったのは非常にうれしく思いますが、一方で看護師も忙しくて声がかけにくいこともあります。24時間近くにいるということで、しっかり役目を果たすべきだと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございました。
 まだ御意見あるかと思いますが、メール等でお寄せください。
 それでは、議題の3に参ります。「循環器病対策推進基本計画の変更案、及び脳卒中や心疾患に係る指標案について」、御議論をいただきます。3-1と3-2について事務局から発表をお願いします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 まず、資料3-1を御覧いただければと思います。「第2期循環器病対策推進基本計画の策定に向けた見直し(案)」という資料でございます。
 2ページ目を御覧ください。これまでの御議論のおさらいでございますが、第2期循環器病対策推進基本計画策定の基本的な考え方としては、3つの柱について御議論いただき、そこの追記・修正を行うという形で、これまで御議論いただいてきたところでございます。1つ目は、循環器病に係る指標の更新。2つ目は、関係する諸計画との連携。3つ目は、感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備ということです。
 資料にはございませんが、3点に絞っている理由としては、第1期の循環器病対策推進基本計画の策定そのものが令和2年10月と、まだ2年強しかたっていないということと、今回の見直しが、第8次医療計画の策定に合わせて、それぞれの計画の策定期間等を整えるための修正でもあることから、こういった形で、自治体等での負担も一定程度考慮して、論点を絞って御議論いただいているところでございます。
 続いて、3ページ目を御覧ください。前回、9月28日の循環器病対策推進協議会において御議論いただいた策定方針の案でございます。詳細な説明は割愛させていただきます。この論点に沿って、前回、御議論いただいた内容を一定整理して、この後の資料としております。
 続いて、4ページ目を御覧ください。こちらは、今回の目次になっております。セクションごとに御説明してまいります。
 5ページ目を御覧ください。「循環器病に係る指標の更新」について、まず説明させていただきます。
 6ページ目を御覧ください。前回の協議会においていただいた主な御意見として、循環器病に係る指標の更新に関する総論的な事項についてお示ししているページでございます。
 3つ。項立てそのものについて、一番上の4つのポツ。全体的なバランスについての御意見が真ん中の3つのポツ。一番下、当事者視点のという文脈も踏まえつつ、医療の質に関する指標に関する御意見についていただいております。
 項立てのところでは、再発予防や重症化予防の観点等が重要であるといったことや、予防・啓発というところを示していくことが大事ではないかという御意見。
 全体的なバランスとしては、指標のマップとして、足りない部分を見ていくべき。特に、回復期や維持期について取組を進める必要があるのではないかという御意見。
 医療の質に関する指標も組み込んでいくべきではないかといった御意見を頂戴しております。
 続いて、7ページ目を御覧ください。こちらは、指標の更新に関する各論的事項でございます。個別の御紹介は割愛させていただきますが、一番上に脳卒中・心疾患に共通した領域のこと。真ん中に脳卒中に特異的なこと。一番下に心血管疾患に特異的なことをそれぞれ整理してございますので、御覧ください。
 続いて、8ページ目を御覧いただければと思います。いただいた御意見等を踏まえて、このような形で整理してはいかがでしょうかという考え方の案を示しております。
 まず、一番上のポツで、団体ヒアリングや循環器病対策推進協議会でいただいた御意見、また、第8次医療計画等に関する検討会においても、5疾病・5事業の議論という文脈で御議論いただいておりますので、そこでいただいた御意見や、厚生労働科学研究のほうから提案された項目を基本としてはどうかということでございます。参考として、第8次医療計画等に関する検討会における主な御意見をお示ししておりますが、基本的には、当協議会で御議論いただいている趣旨とそごのないものと理解しております。
 続いて、真ん中より下の4つのポツですが、予防の指標については、1次予防と関連する取組である「健康日本21」で用いられる指標との整合を図りつつ整理するということ。
 加えて、医療計画において示されている指標例についての活用状況等も踏まえて整理することなどをお示ししております。
 一番下は、研究班からの提言の再掲になりますが、自治体において活用していただくということを念頭に置いて、比較可能な数値であること等の実装可能なものを使っていくという観点で整理してはどうかという御提案でございます。
 ここまでご説明した考え方にのっとって整理した案を続いてお示しします。
 9ページ目は、現時点における第7次医療計画の指標、脳卒中に関するものを参考としてお示ししております。
 こちらをベースにして、10ページ目を御覧ください。脳卒中に係る指標(案)として、お示ししている形で整理してございます。青文字で掲げているのが新規の指標もしくは新規の項目となっており、構造を御説明すると、一番左の予防の列のところに啓発というフレーズを組み込んだということ。また、一番右に再発・重症化予防という列を新たに追加したことが構造の改変でございます。各項目の改変部分については、青文字でお示ししている各項目を組み込んでございますので、御覧いただければと思います。
 続いて、11ページ目。こちらは、同様の構造になっておりまして、心筋梗塞等の心血管疾患に関する第7次医療計画における指標例でございます。
 これをベースにして、12ページ目を御覧いただきますと、心筋梗塞等の心血管疾患に係る指標(案)という形で、同じように整理してございます。先ほど申し上げたとおり、青文字で新規の指標を追加しており、赤文字は、一部、項目そのものを変えたのではなくて、少し定義を変更してはどうかという御提案でございます。構造の変更は脳卒中と同じで、一番左に予防・啓発としたことと、一番右に新しい列として再発・重症化予防を組み込んだという形になっております。個別項目は青文字でお示ししておりますので、御覧いただければと思います。
 続いて、13ページ目からです。「関係する諸計画との連携」についてというセクションでございます。
 14ページ目を御覧ください。こちら、これまでの御議論の中で、関係する諸計画との連携に関する御意見としていただいたものをお示ししております。
 1つ目は、がん対策推進基本計画との連携という文脈で、腫瘍循環器という学際領域に着目した教育・啓発等の取組が必要ではないかという御意見をいただきました。
 続いて、真ん中、成育医療等の提供に関する、いわゆる成育基本方針との関連で、子供の頃からのよい生活習慣を身につけることが重要ではないか。子供に対する教育・啓発が大事じゃないかということや、子供を対象にした心血管疾患のリスクに関する検査や早期診断などの取組も重要ではないかという御意見を頂戴しております。
 一番下の医療計画と介護保険事業計画との連携という観点では、冒頭申し上げたとおり、医療計画等との整合を取っていく必要があるということで御意見を頂戴しております。
 続いて、15ページ目を御覧ください。今の御意見を踏まえまして、2点、考え方を整理しております。
 15ページ、まずは他の疾患の対策との連携が必要な取組につきましては、その項目を新たに設けることとした上で追記するという形で御提案しております。現状のところは先ほど申し上げたとおりで、矢印の下の対応方針案というところで、新しいセクションとして、一番後ろの「5.循環器病対策の総合的かつ計画的な推進の確保のために必要な事項」のところに、(2)として「他の疾患の対策との連携」というセクションを設けて、以下の四角枠囲み内の記載を追記することとしてはどうかということを御提案してございます。
 続いて、16ページ目でございます。こちらは、先ほどいただいた関係する諸計画との連携という御意見を踏まえて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に提供される体制を構築するという観点で、都道府県で循環器病対策計画を策定していただくに当たって、調和を保つ必要がある計画として様々な計画が記載されてございます。
 現状のところの2ポツ目を見ていただくと、そこに下線が引いてございますが、そこに加える形で、対応方針案の四角枠囲みの上の箱の中の太字になっているところですが、社会福祉サービスや障害福祉サービスとの連携という観点で、都道府県地域福祉支援計画や都道府県障害福祉計画といったものも、同じように調和を取るべき計画として記載してはどうかという御提案でございます。
 また、一番下のところには、医療現場から介護の現場までの一貫したリハビリテーションの提供という観点で、介護の現場までの一貫したリハビリテーション、介護との連携が関連してくるので、ここに記載してございます。
 ここまでが関連する諸計画との連携でございました。
 最後のセクションで、17ページ目から「感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備」というところでございます。
 こちらは、前回までの会議でいただいた御意見について、18ページ目と19ページ目にお示しております。
 18ページ目では、上の部分で、医療機関間の連携や地域における連携に関連する事項について。
 下のほうで、回復期及び維持期の医療体制の機能強化に関する事項について、それぞれ触れてございます。
 続いて、19ページ目でございます。こちらは、上のほうで、デジタル技術や医療機器の有効活用についての御意見。
 下の半分では、リハビリテーションに関する御意見を整理してございます。
 次の20ページ目には、今の4項目について主な御意見を整理してございますので、御参考としてください。
 こういった御意見を踏まえまして、こういった形で追記の記載整備をしてはどうかという御提案でございます。21ページ目から、感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備についての考え方ということで、まず、医療機関間連携・地域連携・医療資源の有効活用についてということでは、救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築というところで、四角囲みの中のような記載を追加してはどうかという御提案。
 リハビリテーションについても、先ほど申し上げたものとは少し文脈が異なりますので、在宅で過ごす患者にも適切なといった記載を追加してはどうかという御提案をお示ししております。
 続いて、22ページ目でございます。こちらは3つ、観点を整理してございまして、回復期及び維持期の医療体制の機能強化の観点という形で、マル3の救急医療の確保をはじめとした医療提供体制の構築というセクションへの提案と、マル7、社会連携に基づく循環器病対策・循環器病患者支援についての追記の御提案でございます。
 その下のデジタル技術・医療機器の有効活用の観点というところでも、追記の御提案。
 アドバンス・ケア・プランニングの観点でも、追記の御提案をそれぞれさせていただいております。
 最後に、23ページ目でございます。新型コロナウイルス感染症につきましては、今のような形で各セクションに追記の御提案をするとともに、これまで現状としては、「5.循環器病対策の総合的かつ計画的な推進の確保のために必要な事項」の中に、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対策という個別のセクションが設けられておりましたが、全体に平時の対策と一体的に記載することとした上で、そのセクションについては削除することとしてはどうかという御提案をさせていただいております。
 24ページ目、今、御説明させていただいた論点について、一通り整理し直して記載してございます。その他、一番下のところで、上記の他、時点修正等の所要の改定を行うという形で記載を整理したいと考えてございます。
 参考として、25ページ目に循環器病対策推進基本計画における項目の整理のイメージということで、個別施策のところは、診療のフローですとか横断的な事項等、少し順番を整理して項目変更しているというのが、マル4からマル10までありますが、中身を変えるというよりは、順番を入れ換えるというイメージでございます。
 今の御提案を踏まえて直したものが、資料3-2の「循環器病対策推進基本計画(案)」というものになります。主な修正点につきまして、今の説明と内容は重複いたしますので、重ねて御説明はいたしませんが、修正・追記したポイントについては、下線を引いてお示ししております。例えば、5ページと番号が入っているところまでお進みいただければと思いますが、真ん中の辺りに下線を引いてあるところが例としてあると思います。こういった形で、追記している部分については、下線を引いてお示ししてございますので、御参照いただければと思います。こちらを基に御議論いただければと思います。
 すみません、長くなりましたが、事務局から以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明を踏まえまして、次期計画案について観点別に御意見いただきたいと思います。最初に、観点1として「循環器病に係る指標の更新について」、御意見がおありの方、御発言をお願いします。
 横山委員、どうぞ。
○横山委員 国立保健医療科学院の横山です。御説明ありがとうございました。
 指標に関してですけれども、脳卒中と心疾患の予防のところの指標ですけれども、両者、かなり共通のことが多いのではないかと思います。実際、第7次の医療計画でもほとんど同じ形になっていたのですが、今回の案を見ると、脳卒中のほうにメタボリックシンドロームの該当者、心筋梗塞等のほうは高血圧、脂質異常単独という形になっていて、整合性といいますか、予防という観点からどちらも同じような形にしたほうがいいのではないかと思いました。特に、脳卒中のほうでメタボとしてしまうと、肥満を伴う高血圧は対象になるのだけれども、肥満を伴わない高血圧の人は抜けてしまうので、その辺り、両者の指標はそろえたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○永井会長 今の点、いかがでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 御指摘を踏まえて、どのように整理するか検討したいと思いますが、具体的にどちらを残すかというイメージで言うと、先生がおっしゃっていただいたのは、現状の心血管疾患等のほうに寄せる形でよいのではないかという御提案、と考えてよろしいでしょうか。
○横山委員 どちらかというとそうなりますけれども、メタボも入れていただいてもいいかと思います。この辺りは「健康日本21」の次期計画の指標、まだ検討中なので決定していないのですが、そちらに合わせる形で、どちらかというと心疾患のほうに寄せるという感じかなと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 安保委員。
○安保委員 慈恵医大の安保です。日本リハビリテーション医学会の理事長をやっています。
 10ページの脳卒中に関わる指標の表について、少し御検討いただければと思います。ここの一番上に、回復期の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のそれぞれの人数。あと、リハビリテーション科医師数とありますけれども、回復期は割と回復期病棟が、東京で言えばここ数年で2000床ぐらい増えてきて、充実してきたのですけれども、先生方の急性期の治療をいかにうまく回復期につなげるかというのが重要なところで、それには理学療法士、作業療法士の人数が非常に少ないのですね。診療報酬もそちらのほうにかなりついてきたので、ぜひとも回復期だけじゃなくて、急性期、維持期、生活期のほうにそれぞれの人数を広げて記載していただきたいと思います。
 あと、大学でリハビリ科の講座があるのは結構少ないもので、両立支援とか、そういうものは、私どもは普通に外来でやっているようなものなので、医者の数も、維持期、生活期のほうにも広げて記載していただきたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 木澤委員、それから磯部委員、続けてお願いします。
○木澤委員 ありがとうございます。
 指標案について2点意見を述べさせていただきます。
 まず、1点目ですけれども、現行の循環器病対策推進基本計画の社会連携に基づく循環器病対策・患者支援において、取り組むべき施策として記載されているとおり、看護師等による予防から治療、再発予防、重症化予防までの切れ目のない看護の提供とあります。これにつきましては、病期にかかわらず、複数疾患を抱える患者に対し、治療と生活の両面からケアを提供し、病状の進行を抑える、もしくは遅らせるために非常に重要だと考えております。したがいまして、再発・重症化予防として、脳卒中患者の重篤化を予防するためのケアに従事している看護師数や、脳卒中による入院と同月に摂食機能療法を算定された患者数、慢性心不全の再発を予防するためのケアに従事している看護師を含めていただけたことに感謝申し上げます。
 ただ、1点、細かいことではございますけれども、再発・重症化予防が必要な病態は慢性心不全に限りませんので、心不全の再発を予防するということでもよいかと考えております。
 そして、2点目になりますけれども、循環器病患者に質の高いケアを提供するためには、資料3-2の基本計画の中の、救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築では、取り組むべき施策として、医療提供体制につきまして、地域医療構想の実現に向けた取組である高度急性期から慢性期までの病床の機能分化や連携に取り組み、在宅医療体制の強化による診療の流れを実現し、地域における医療資源を有効活用する提供体制の構築、有事においても医療資源を活用できる仕組みを推進するとあります。
 また、医療提供体制の整備に当たっては、都道府県は、地域の実情に応じ、学会等の関係団体で育成される各専門医、特定行為研修終了者、専門・認定看護師を含めた医療従事者の確保を進めると記載されているとおり、チーム医療として、こういった循環器に係る専門的知識と高度なスキルを有する医療従事者の人材確保、連携提供体制の整備が重要です。
 特に、循環器病患者の急性期医療は、24時間対応です。そして、時間的制約もあり、救急搬送の適正化はもちろんのこと、ウォークイン患者につきましては、治療の優先性の判断や、ケアを提供する院内トリアージの実施、それに続く手術、治療として、人工呼吸器や生命維持装置等の全身管理、ケアの実施に加え、精神的なショック期にある家族のケアを行うことが非常に重要になります。
 今回のコロナ禍でも、重症患者に対応できる看護師の不足が大きな課題となっておりました。そういった意味でも、平時から有事に備え、専門的知識を有する人材確保と連携体制の整備が大変重要になりますので、急性期の指標に、医師数とともに、チーム医療の一翼を担う専門性の高い看護師に関する指標の追加も御検討いただければと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 私は、心臓血管疾患の現場で急性期治療等に当たっている立場から、細かいのですけれども、5点にわたって、この指標案について意見を述べさせていただきます。
 1点目は、12ページの表で御説明しますと、急性期のストラクチャー指標。循環器の救急疾患を扱う上で一番重要な点は、24時間、休日・夜間・深夜も含めて、緊急の手術なり、緊急のカテーテルができるということが質に関するストラクチャー指標としては非常に重要だと思いますし、実際に数値を把握できる、捕捉できる指標です。現在は救命救急センターでも夜間に心臓外科医がいない、日中はオペ室が満室であるという理由で、緊急の手術ができない施設が少なくないと認識しています。そういった指標を御検討いただきたいのが1点。
 2点目は、総論のところにもございましたけれども、小児に関することで、小児の心血管疾患に係る指標が見当たらないのです。なかなか難しいことだと思うのですけれども、例えば回復期・慢性期で両立支援の件数がございましたけれども、小児でも成人先天性も含めて、特に就学支援といった社会福祉的な両立支援が積極的に進んでいるところですので、両立支援の中に小児も含めることはできないだろうかということが、提案です。
 3点目は、下から3段目、アウトカム指標で平均在院日数、在宅への復帰率が指標として挙げられております。これはとても大事なことですし、平均在院日数を短くすると医療の質が高くなるのは周知のことですけれども、心血管疾患は単一疾患ではありません。非常にバラエティーに富む、それから年齢層も様々。それこそ新生児から超高齢、終末期までございます。施設によって扱う疾患や年齢層が異なるのが現実です。従ってこれを一律にして平均在院日数を出して、それを評価指標とするのはちょっと大ざっぱかなという気がします。
 それから、その反映として、心不全の再入院率が一番右のカラムにございます。私どもの病院では年間に500人以上、急性心不全で入院されます。厚生労働省の指導もあって、在院日数がこの5年で21日から16日に5日減りました。しかしそれが再入院率に必ずしもいい影響を与えていないという印象がございます。心不全は平均在院日数を短くすることがいい半面、再入院率が増えるという現実がありますので、この辺りをちょっと検討していただきたい。心不全の再入院率をもしDPCデータで取るのだとすれば、よく検討していただいて適切な指標として御検討いただければなと思います。
 在宅への復帰率も大事ですね。これは、高齢者を基本的には考えていらっしゃるのだと思うのですけれども、非常に様々な疾患がある。心不全に限れば、まだいいと思うのですけれども、手術後、あるいは成人先天性の疾患を一緒にして復帰率を捉えるのは、ちょっと難しいところもあろうかと思います。
 4点目、一番下段のアウトカム指標の年齢調整死亡率ですけれども、これは前の会議で申し上げたかと思いますけれども、病院によって入院患者や治療に関連した疾患重症度が大きく異なります。これを一律に、疾患も問わずに心血管疾患の年齢調整別死亡率としますと、重症を扱っている施設は決して成績がよくございません。例えば急性心筋梗塞等、捕捉しやすい疾患に絞っていただければ、クオリティーの指標としてアウトカム指標になるのかもしれません。これも少し御検討いただければなと思います。
 5点目は、一番右側の再発・重症化予防の一番上の慢性心不全のケアに従事している看護師数、調整中とございます。先ほど木澤委員の御発言もありましたけれども、チーム医療が大事でありまして、看護師さんだけではなくて、現在は心臓リハビリテーション指導士とか、それから看護師さんについても、慢性心不全認定看護師がございます。それから、新しく循環器学会のほうで心不全療養指導士制度ができておりますので、そういったチーム医療を反映するような指標あるいは職種を検討していただきたいなというのが5点目でございます。
 長くなりました。以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 今の件について事務局から。
○原澤課長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。今いただいた御指摘を踏まえて、どのような形で実装可能な部分があるかどうかも含めて検討したいと思います。
 1点伺っておきたいとすれば、心血管疾患というところ、ある程度対象を明確にしたほうがむしろよいのではないかという御提案で、これまでの計画、11ページのほうでは、虚血性心疾患患者となっていたものになりますが、それに近いと申しますか、例えば急性心筋梗塞といった形に絞ってフォーカスして見たほうがよいものがあるのではないかという御提案と承りました。
○磯部委員 おっしゃるとおりで、急性心筋梗塞あるいは急性冠疾患だけに限るのがいいのかどうか。さらに別の、例えば大動脈疾患とか心不全とか、様々な疾患があると思いますけれども、それを全部一緒にするのは指標として難しいだろうということで御提案しました。一番分かりやすいのは、従来いろいろ検討されています急性心筋梗塞なのですけれども、できれば緊急の手術が必要な領域とか、成人先天性心疾患とか小児の手術といったところにもフォーカスを当ててご検討いただければということが私の提案でございます。
○永井会長 大津委員、お願いいたします。
○大津委員 今、磯部先生のほうから心血管病について細かい指摘がありましたけれども、専門家の立場でもう一つ追加させていただきたいのは、心筋梗塞などの指標ということで、PCIを施行された急性の患者様のうち、病院到着後90分以内の冠動脈再開通の割合ということですけれども、今は90分以内にPCIをしてもしなくても臨床指標は変わらないことになっておりますので、90分以内というのは最低レベルで、指標としては国際的基準であるメディカルコンタクトから再灌流まで90分にしないと医療がどれだけ進歩したかの指標にはならないのではないかと思うのですけれども、その辺、検討していただければと思います。
○永井会長 事務局、お願いします。
○原澤課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 今の御指摘については、技術的に可能かどうかという点が一番重要かと思いますので、その点を含めて、現在、可能な指標として今回は御提案しておりますが、その点も込みで検討させていただきたいと思います。
 あと、1点補足で、先ほど磯部委員のほうから御指摘いただいていた再入院率の話でございますが、事前に御相談させていただいた資料には記載してございましたが、本日用いている資料からは、事実上、こちらを集計することは困難であるといった理由から削除させていただいておりますので、その点はすみません。
○磯部委員 了解しました。
○永井会長 それでは、野口委員、お願いします。
○野口委員 ありがとうございます。先ほど自己紹介が遅れましたが、日本医療ソーシャルワーカー協会の野口と申します。
 私からは、1点意見させて頂きます。10ページの脳卒中に係る指標の回復期、維持期・生活期の中にいくつか新たな指標が加わったことは望ましいことと思います。
7ページ目の循環器病に係る指標の更新について、脳卒中・心血管疾患共通指標の2番目に「両立支援の内容や支援件数について指標に加えてはどうか」とあります。ここですが、就労だけが常に課題となるわけではない。就労とは無縁の年齢層の方も大勢おられるので、もう少し俯瞰して、「社会参加」という観点から捉える必要がるのではないかと思います。就労もその一つの形態だと思いますが、社会参加がどのような形で行われているのかを、今後もう少し細かく見ていく必要があると思います。そこでこの文章の冒頭に「社会参加の観点から」という言葉を付けて頂けないかと思っております。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 今村委員、お願いします。
○今村委員 日本医師会の今村です。
 さきの会議でも、今回は回復期とか慢性期、維持期についての指標を少し充実したほうがいいですねというお話で、そこの指標は増えてきたのだろうなと思います。ただ、今日、御発言の皆さんの御指摘のいろいろな指標の部分をお聞きしていても、急性期のほうが非常に充実していく。ただ、脳卒中は回復期と維持期と生活期という形で、心筋梗塞に関しては回復期と慢性期という形になっているのですが、実は急性期から後の部分で、実際に引き受ける病院というのはどういうところがあるのかというと、回復期リハを持っているところは回復期リハ病棟、これは多分、主に脳卒中であります。心臓に関するリハというのは、そこを十分にできるところはまだなかなかそろっていない。
 その後の慢性期になっていくと、医療療養型の病床群になってきます。実際に医療療養型の病床群で、うちは心臓が強いとか脳卒中が強いという形でやっているところはまずないのですね。そういったところでは高齢者が多いですので、ある意味老人科として、それらの疾患を抱えた方々を治療、場合によってはケアする。まして、その後ろの維持期・生活期になると、ほとんど介護施設になってきます。そういったところでの指標というか、介護施設になると、老健とか、今回できた介護医療院だとドクターや看護師さんも多くおりますけれども、特別養護老人ホーム等になると看護師さんも少ない。
 そこから先の在宅支援というところになると、在宅医療の先生方や訪問看護の先生方もいらっしゃいますが、少なくともこういった部分というのは、例えばうちは脳卒中に強い介護施設であるとか、心筋梗塞に強い介護施設という感覚は全くない中で、指標は出てきたのだけれども、この指標をどういった施設、もしくはどういったところに働いているスタッフに問いかけるのかというところは、現実、どのようにお考えになっているのでしょうか。
○永井会長 事務局、お願いします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 この指標の位置づけについて、現在、念頭に置いておりますのは、もともと第7次医療計画で現在、提示されている指標案をベースに検討しておりますところから、まず、都道府県において、各医療圏においてという形になるかもしれませんが、どのような取組の状況になっているのか。また、そこについて、どこが強みなのか、どこが弱みなのかといったところをしっかり把握して、その次の取組にどうつなげるかというPDCAサイクルをうまく回していただくために、現状を把握していただくための指標として考えてございます。ですので、先生、今、指摘いただいたような施設ごとの単位で区切って見られるという状況まで、必ずしもブレイクダウンはできていない状況と御理解いただければと思います。
 他方で、今おっしゃっていただいたような、地域ごとにどのような体制が望ましいのかといったところについては、具体には各都道府県なり各地域で実際に議論していただくことになろうかと思いますので、より詳細な指標が、このようにもっとつくれるのではないかといった御提案を、今後に向けてぜひいただければと思っています。現状と今後の見通しについては、以上でございます。
○今村委員 ありがとうございます。
 この指標自体は、ある一定の地域、県単位とか二次医療圏単位で考えるということは、この間の事前レクでも御説明いただいたので、よく分かるのですけれども、例えば行政のほうが実際にどうなっているかという状況を誰に聞くのかとか。行政のほうで把握してくださいと言われても、恐らく今のような問いかけの仕方では、行政も非常に困ってしまうのではないか、もしくはその地域の方々も困ってしまうのではないかということで、ちょっと御質問したところです。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
そういう意味で、どのような形で提供可能な数字なのかという御質問であるとすれば、私どものほうで、例えばNDBなどのレセプトデータから集計できるものですとか、各調査などで提供できるようなものであれば、その集計したものを都道府県に向けて、年に一度、データを提供するという取組を行ってございますので、それを提供するベースになる項目の整理をしていただいているという部分もございます。ここに示したものについては、基本的には私どものほうで整理して自治体にお届けすることができるもの、最低限、都道府県単位でブレイクダウンして提供できるものと考えております。
 ですので、今おっしゃっていただいたように、数字を自治体が自ら取りにいかなければならないという指標は、現在、提案の中に含んでいないということで御理解いただければと思います。
○今村委員 ありがとうございます。
 今の話では、こういった指標は国側から差し上げるので、その指標を見て、どういったところで、どういう体制で行われているかということを検討してくださいということでよろしいのでしょうか。
○原澤課長補佐 おっしゃるとおりでございます。
○今村委員 承知しました。
○永井会長 それでは、小室委員、お願いします。
○小室委員 日本循環器学会の前代表理事として、磯部委員が先ほど最後に言った心不全療養指導士制度について情報共有させてください。磯部委員がおっしゃったように、チーム医療、特に1つの病院のチーム医療に限らず、患者さんが住む地域でのチーム医療を考えて、循環器学会で心不全療養指導士制度というものをつくりました。昨年、第1回の認定をしたのですが、1700名認定でき、今年も1700名認定しました。内訳は、4割が看護師さんで、次が理学療法士さん、管理栄養士さん、薬剤師さんと、非常に多職種の方が申請してきて認定できました。まさに多職種による心不全の診療に非常によい制度ではなかったかと思っています。
 そこで、心不全というのは、あらゆる循環器疾患の終末像でもありますので、心不全を診療できるということは、ほかの疾患もいろいろ診療できますので、再発・重症化予防のところに心不全療養指導士の人数を入れていただくことを御考慮いただければと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 川勝です。
 ちょっと気になっていることがありまして、基本計画の3大目標。先ほどもちょっと言ったのですけれども、1つ目が、大きな柱として知識の普及啓発です。これについては、指標がなかなか取りにくいというのがあるのでしょうけれども、国民の皆さんの、先ほど大橋委員も言われた脳卒中とか心臓病、循環器病に対する知識の確認はどこかでやらないといけないのではないか。いわゆる認知度調査ですね。こういう症状が起きたら危ないのだよと。今お話しいただいている内容は、なった人の対象ばかり話をしている。この病気、ならないことが大事なのです。患者を増やしてはいけないのです。そこの視点が根本的にないような気がしています。
 ですから、指標の案の左端に予防・啓発とあるのですけれども、ここを国民の脳卒中の認知度割合とか。たしか7ページにも、前回申し上げたので、下から5行目ぐらいに脳卒中の正しい知識の普及という観点で、国民の普及割合について指標を加えてはどうか。加える前に調査しなければいけないのですけれども。ですから、1回、ちゃんと調査を行った上で指標に入れて、何年後かに比較できるということで、また調査するということを繰り返さないと、旗を振っているだけで具体的に何もないような印象を受けるのですけれども、いかがでしょうか。
○永井会長 事務局、いかがでしょうか。
○原澤課長補佐 御指摘いただき、ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたとおり、正しい知識の普及・啓発という文脈は大変大事で、国としても取り組んでまいりたいと考えてございます。他方で、こちらでお示ししている指標が、先ほど来申し上げているとおり、都道府県ごとの数値として取り、提供することが可能なものという形で一旦整理しているものでございますので、この指標の中に即時組み込むのは、今おっしゃっていただいたとおり、調査をどのような形で実施するのかといったところもあるので、難しい状況であると思っております。
 今後の取組として、今、指摘いただいたことを踏まえまして、どのような形でキャッチアップしていくのがよいのか、それをどのように政策に還元していくのがよいのかといったところについては、引き続き事務局として検討してまいりたいと考えてございますので、御理解いただければと思います。
 以上でございます。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 続きまして、観点の2であります「関係する諸計画との連携」、観点3「感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備」、この2つの観点について御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 堀場委員、どうぞ。その後、横山委員、お願いします。
○堀場委員 心臓病者の堀場です。
 16ページの対応方針案、6行目の太文字の一文が盛り込まれることで、患者が地域の中で孤立せず、病院、施設、地域、家庭、それぞれから包括的なサポートが受けられることを期待しています。小地域レベルにとどまらず、市町村、都道府県レベルで連携していただけたら安心です。よろしくお願いします。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 横山委員、お願いします。
○横山委員 科学院の横山です。
 諸計画との連携の話に関係するのですが、基本的なことを確認させていただきたいのですけれども、医療計画も健康日本21も次の計画は令和6年度開始なのですが、この計画は資料3-2を見ると令和5年からになっているのですけれども、時期はどのようになるのでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
 ごめんなさい、資料の。
○横山委員 資料3-2の3ページ。
○原澤課長補佐 ありがとうございます。
 御説明させていただきます。こちらは、国の基本計画の計画期間でございまして、今お示ししている循環器病対策推進基本計画に基づいて、今後、都道府県において都道府県の計画を策定いただくのが1年度ずれで発生します。ですので、都道府県の循環器病対策の計画については、令和6年度スタートで、令和11年度までの6か年という形になりますので、医療計画等と策定のタイミングがそろうという形で、都道府県での計画策定期間を合わせていると御理解いただければと思いますが、御説明になっているでしょうか。
○横山委員 健康日本21の次期計画も令和6年度開始、これは国の計画ですけれどもね。
○原澤課長補佐 そのように認識しています。ただ、健康日本21は12か年の計画になっているので、2期分みたいな形になると理解しています。
○横山委員 そうすると、国の計画としては令和5年度からということ。分かりました。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 横田委員、お願いします。
○横田委員 ありがとうございます。横田です。
 感染拡大のことでもよろしいですか。
○永井会長 もう一緒で結構です。どうぞ。
○横田委員 ありがとうございます。
 感染拡大、新型コロナウイルス感染拡大等を想定しているのだと思うのですが、私は、東京都の新型コロナウイルス感染拡のアドバイザーの1人として、毎日、会議をやっているところなのですが、ここにキーワードとして、医療機関連携とか地域連携という非常に重要なキーワードがたくさん出ています。特に感染拡大時には、医療資源の有効活用という意味で連携ということが欠かせないのですけれども、実際、どこの都道府県でも感染拡大時に様々な対応というのをしてきたはずなのですが、連携がうまくいかなかった大きな理由は、円滑な情報共有がなかなかなされていなかったからです。
 連携の重要性が言われるのですけれども、効率的な、しかも円滑な情報共有ができていないために、急性期の病院に新型コロナウイルス感染症の患者さんが滞ってしまい、その後の慢性期に対応してくれる医療機関や施設に、その患者さんがなかなか転院できない状況でした。その大きな要因というのは、今、お話しした情報共有が円滑になされていないというところだったのです。連携には情報共有が背景にあるということで、情報共有というキーワードはどこかに入れたほうがいいと思います。
 もちろん、国民全体が感染して全ての国民が入院しなければいけないような状況では別ですけれども、連携と情報共有、しかも円滑、効率的なというキーワードとして入れていただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。横田委員、ありがとうございます。
 イメージとしては、資料3-2でいえば、18ページ目の取り組むべき施策などのところに、情報共有という文章、「これらにより」から始まっている段落かもしれませんが、そこに入れるイメージでよろしいでしょうか。
○横田委員 効率的とか円滑なという言葉が入ると、ICTなど最新の技術を駆使してという意味が入ると思いますので、もし御考慮いただければありがたいと思います。
○原澤課長補佐 御意見、分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 磯部委員、お願いします。
○磯部委員 今の横田委員と同じ論点のことで、ほぼ同じ主張なのですけれども、今度、第8波に入って、恐らく循環器の救急が急増する時期と一致しますので、去年、おととしよりさらに厳しい状況が見込まれます。今回の計画案では間に合わないと思うのですけれども、相当真剣に取り組んでいかないと、また取りこぼれる患者さんが多数出てくるのではないかと心配しています。
 その面で、21ページの医療体制の整備についての文言を見ますと非常に抽象的で、これで具体的な施策にどうやってつながって行くのかが見えてきません。正直言って、この2年余りの経験を踏まえて非常に懸念しております。横田先生がおっしゃられたとおりに、連携と情報共有は大事なのですけれども、そういったことを文言に盛り込むだけではもう不十分な段階だと思います。積極的に連携と情報共有を推進するための拠点病院のようなところをつくっていかないと、抽象的、総論的に、転院調整をうまくやりましょう、情報共有しましょう、連携していきましょうということでは、もう立ち行かないところで、この2年間過ぎてきているのですね。
 特に重症の大動脈の緊急手術とか、重症の心不全を治療するとか、そういったことに至ると、単に連携しましょう、だけでは済まなくて、この2年間の私どもの経験でも、40病院、50病院、70病院、断られて来られる心不全や心筋梗塞がいるのです。繰り返しになりますが、ある程度の拠点化と中核病院をブロックごとにつくって、情報共有の中心をつくっていかないと立ち行かないのではないかと私は思っています。
 それから、関連して言うと、この計画案は、前回もそうでしたけれども、都道府県において都道府県単位で計画を立てることが建前で、恐らく今後もそうなのだと思いますけれども、広域でやらないと、特に医療資源の少ない地域。具体的な名前を挙げていいのか分かりませんけれども、例えば大動脈解離の手術ができる施設が県に二つ三つしかないところもあります。そういうところについては、都道府県単位で連携するといってもそれだけでは難しいところがあります。
 ですので、広域でブロックをつくって、中核病院をつくって、感染拡大時の緊急事態に備えるという方向を御検討いただければと思います。資料3-2の17ページ、新しく組み込まれた文言等を拝見しましても、下線が引いてありますけれども、役割分担について検討することが重要である云々とありますけれども、都県境を越えた、転院調整も含めた診療体制を大きく変えていかないと、感染対策だけではなくて、高齢者が増えて、重症化する、高度化する循環器の診療に齟齬を生じると思います。医療資源はこれからますます厳しくなってくると思います。その点も含めて御検討いただければなと思っています。
 以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 今の点、いかがですか。コロナ対策、感染症法の改正の中でも協定ということが言われていますね。そういうところまで体制をつくれるかどうかですね。
○原澤課長補佐 ありがとうございます。
 今、永井先生からも頂戴しましたが、おっしゃっていただいたとおり、感染症の文脈でも、医療計画なり、感染症法の予防計画といった観点で、各都道府県での協定を結ぶといったことも含めて、感染症の患者さんの受入れについての体制整備の話があって、それと表裏の関係になると思いますが、そういった体制を確保した上で、平時に対応している疾病に対する対応能力も引き続き持たねばならないということで、循環器病対策の基本計画のほうでも、こういった形で体制整備のことについて触れさせていただいているところでございます。
 他方で、磯部委員から頂戴したものについては、現状、取り組むべき施策として、一定程度ブレイクダウンして書き込んでいるつもりではありますが、さらに追加して書き込んでいくことができるかというか、実際にどのような医療機関に、そういった中心的な機能を担っていただくのか。また、その機能として、どのようなものを持っていただくのかといったところは、まさに御議論いただかないとなかなか整理がつかないところだと思いますので、即座にこの取組・施策のところに書き込めるかどうか分かりませんが、御議論いただいて、実装に向けて検討していくということではないかと思っています。御意見として承りたいと思います。
 回答に十分なっていないかもしれませんが、以上でございます。
○永井会長 今村委員、お願いします。
○今村委員 先ほど少し述べた意見というのも、考えてみるとというか、先ほど情報共有というお話がありました。そこにもつながるのですけれども、実は回復期、慢性期、維持期を扱っている。これは先ほど施設単位じゃないよというお話がありました。施設単位でないとしても、そこで働く医療スタッフの皆さんの循環器に対する知識というのは、絶対的に不足しているので、何となく全体の違和感があるのかなと。単純にこういうことだという情報共有だけでは、恐らく伝わらない部分があるのかなと。
 磯部先生もいろいろと御指摘されて、非常に高度な、いろいろなことを医療として提供される。だけれども、その後、例えば回復期のスタッフが、磯部先生がされたことをどう取ればいいか。そして、回復期から、その次の慢性期に当たって、どのようにそれを扱っていけばいいのか。先ほど、多職種による心不全の今の教育体制も始まったというお話があったのですけれども、情報共有の部分が大事だということをここに加える。あと、回復期、慢性期、維持期、生活期の医療スタッフ、もしくは介護スタッフに、循環器の方々を見るのにどういった知識が必要かといったことも少し盛り込まないと、何となく全体の指標としては出たのですけれども、磯部先生も御指摘されたように、総論だけになってしまうと、具体的に現場が動けない可能性がないかなと感じたところです。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほか、御発言いかがでしょうか。
 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 今の今村委員のお話ですけれども、そのとおりで、そうすると、各二次医療圏、少なくとも都道府県で今の多職種が情報共有するということが必要ですね。知識の共有といいますか、同じ言語でしゃべるようにならないと絶対無理な話なので。この辺は、脳卒中、学会の話をして申し訳ないですけれども、各都道府県で、ケアマネとかOT、PTとか管理栄養士とか、全部含めた各都道府県でそういう会をつくろうという動きがあって、そこで情報共有しようという動きが今、脳卒中ではかなり早く動いていますので、その辺がうまくいけば、今のようなことが何とかなるかなと思っています。
 それから、先ほどの北3県は、県境を越えて学会として体制をつくっていますので、脳卒中は既に全部できています。
 コメントと、今後やらなければならないことの話をさせていただきました。以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。まだちょっと時間がありますが。あるいは全体を通じてでも結構でございます。
 大橋委員、どうぞ。
○大橋委員 全体を通してになってしまうのですけれども、先日、一般社団法人心臓弁膜症ネットワークという団体から要望書をいただきました。心臓弁膜症ネットワークというのは、2019年1月に設立された心臓弁膜症を持つ人たちが主体となって運営されている団体です。患者の声を届けるという意味で、今日は私が代弁させていただきたいと思います。
 主に4点、論点があるのですけれども、1番目が患者・当事者の参画促進です。20名の循環器病対策推進協議会委員のうち、脳卒中経験者2名、心臓病経験者2名、計4名の当事者を含めていただいていること、大変感謝申し上げます。しかし、患者であるがゆえに、治療や体調不良などにより協議会を欠席せざるを得ない事態も生じます。これは、国及び都道府県、いずれの協議会でも同様の課題です。
 そこで、次のような取組を提案いたします。循環器病患者・当事者の連合会組織、ワーキンググループを結成し、協議会準備会を開催し、複数団体の声を統合して届ける。協議会当事者委員が欠席の場合は、ワーキンググループから選定されたメンバーの代理出席を可とする。アドボカシー研修などを通じて、患者・当事者リーダーを育成し、共同参画を促す仕組みづくりを行う。ヨーロッパで提供されているヨーロピアン・ペーシェンツ・アカデミーのような、患者・当事者が医学を体系的に学ぶプログラムを開発・施行する。
 2点目ですけれども、循環器病対策予算の見直し、増額について。令和4年度の厚生労働省健康局の予算案によると、がん対策354億円に対し、循環器病対策45億円と、がんの8分の1にすぎません。この予算を引き上げて、次のような施策を導入・強化することを提案します。
 がん検診に相当する循環器病検診の導入。具体的には、定期健康診断などにおいて、他覚症状の有無の検査に、聴診による心雑音の有無と不整脈の有無の必須化。心電図の必須化。BNP、またはNT-proBNPの測定。
 また、上の1で提案しましたアドボカシー研修や医学を学ぶプログラムを開発・支援し、患者団体活動を支援すること。
 そして、3番目が循環器病予防教育の推進。
 そして、4番目が先天性心疾患の移行期医療支援センターの推進ということです。
 今日の議論にはそぐわない部分もあったかもしれないのですけれども、一部を割愛させていただきましたが、こちらの要望書をお伝えさせていただきます。
 特に、1番の議題に関しましては、私自身も非常に賛同するところでして、それぞれ患者である立場で、まだ治療や体調不良などもあるかもしれませんし、また、それぞれ皆さん、仕事を持っていらっしゃって、欠席せざるを得ないこともございます。そういうとき、非常に心苦しいのです。大事な患者の声を代表して届けるという立場を任命していただいているにもかかわらず、1議席を失ってしまうという非常に心苦しい思いがあります。なので、代理制度などがもし今後できれば非常にありがたく思います。
 そして、研修についてもお話がありましたけれども、難解な医療用語が飛び交う中で、中には意見を言いづらい患者さんもいるのではないかと思います。その辺り、研修制度などが充実されていたら、より患者の声が届きやすい環境が整うのではないかと考えております。どうか御検討をお願い申し上げます。
○永井会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょう。
○原澤課長補佐 事務局でございます。貴重な御意見ありがとうございます。
 まず、患者・市民参画という文脈で、こちらはがん対策のほうでも重要な論点として出てきておりまして、どのような形で当事者の皆様のお声を、今ちょうど御提案のあったように、一般的な形でといいましょうか、皆様の総意という形でどうやって伺って、それに対してどう取り組むかというところが極めて重要だと思っています。御提案について、即時回答できるものではないですが、事務局として御提案の内容を踏まえて、しっかり検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○永井会長 小室委員、どうぞ。
○小室委員 ありがとうございます。
 まず、大橋委員がおっしゃったことについて、私から意見を述べさせていただきます。私も大橋委員の意見に全て賛成です。患者さんの声をこの場でもできるだけ聞くことは大変重要だと思います。ただ、患者さんはこの対策推進協議会でなかなか発言しにくいのではないかと思いますので、ぜひその辺、御考慮いただければと思います。
 また、循環器の予算も増やしていただければと思いますし、検診において、心電図や聴診、あとBNPですね。どういう層を対象にして測るかということを考える必要があるかと思いますけれども、ぜひ早期スクリーニングとしてのBNPの測定等を考えていただければと思います。
 そして、私が言いたいことは、今回の基本計画を拝見して、急性期から回復期、維持期、そして終末期まで、大変よくできているなと改めて思いました。しかし、東大病院で毎日診療していて感じたこと、1つ抜けていることがあるのではないかと思いました。それを今、ここで言うのは適切かどうか分からないのですけれども、それは心臓移植です。心臓移植は、2010年に改正移植法が施行されてから順調に伸びてきて、コロナ前の2019年には80例を超えたのです。確かに非常に順調に伸びているのですけれども、一方で心臓移植を申請している人は900名余りいます。
 その結果、何が起こったかというと、心臓移植を申請してから実際に移植が起こるまで、今まで3年待ちだったのが5年待ちになっています。通常、日本以外の国では、移植を申請してから一月、アメリカは二月、ほとんどの国で3か月以内に移植が行われていて、3年、5年というのは日本だけなのですね。これを何とかしないといけないと思います。移植を待っている人は、多くの方は補助人工心臓、器械を入れて退院して、自宅等で移植を待っています。補助人工心臓を入れることに関しても、大変いろいろな問題が起こってきます。感染や脳梗塞等、大変です。
 それを診られる人が少ないのです。移植施設、また補助人工心臓を入れている施設ぐらいしか診られない。患者さんは自宅に帰るのですけれども、その自宅の近くで診ることができる病院がないと思います。非常に大きな問題だと思います。
 さらに、昨年でしたか、4月から補助人工心臓も心臓移植を目的としない植込み、日本語で言うと、長期在宅補助人工心臓治療、英語ではデスティネーションセラピー、DTと言っていますが、これが始まっています。ですから、今、移植を目的としないで、多くの方が補助人工心臓を入れているので、こちらに対して診療できる、管理できる人を早急に育成しないと、問題は非常に大きくなると思います。ですから、心臓移植と植込み型補助人工心臓の問題について、この基本計画でもどこかに入れ込んでいただけたらと思います。
 あと、これはそれに関係する小さいことですけれども、就労支援も、移植後の方、また補助人工心臓を入れた方、非常に就労は難しいですけれども、就労するために移植を受けたり、補助人工心臓を入れていますので、その支援というのは大変重要かと思いますので、発言させていただきました。よろしくお願いします。
○永井会長 心臓移植の問題、いかがでしょうか。
○原澤課長補佐 事務局でございます。小室委員、御意見ありがとうございます。
 お答えするのが難しいところですが、近年の技術の発展もあって、おっしゃっていただいたデスティネーションセラピーの実装が可能となったといったところもございますので、それをどのように現場の体制として受け止めていくのかという議論は、積んでいく必要があるのではないかと考えています。
 他方で、どのような施策の中で整理していくのかというところも、移植という固有の分野の話にもつながってくるので、そこについては事務局としてよく交通整理させていただいて、今後、検討という形を取らせていただきたいと考えてございます。
○小室委員 ありがとうございます。これは移植全体の問題ではあるのですけれども、待機患者が増えているのは心臓移植ぐらいなのです。ほかは今までと余り変わらないという、ちょっと特殊な問題がありますので、ぜひ御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 木幡委員、どうぞ。
○木幡委員 フジテレビの木幡です。
 私も普及啓発の分野でいろいろとお話しさせていただいていますけれども、いつも計画に書いてあることというのは、非常に明確で、何をやるべきかというのは、もちろんここに書いてあるとおりなのですけれども、いつも思うのは、計画を出した後、誰が、どうやって、その広報戦略を練って、そして実装していくのかという部分が全然見えないというか。気づくと、また同じことをやり続けている。すごく主要なところに書かれているにもかかわらず、それをどのようにやったのかというのがなかなか分からないということで、そこに専門的に力を入れてやるのはすごく大事なことなのではないかと思っております。プロの力を借りてもいいですし。
 それをやるについては、大橋委員からもございましたけれども、平易な言葉で伝えるというのが、すごく当たり前なのですけれども、大事で、テレビ局もいつもそれに気をつけながら放送しております。循環器協会のほうで普及啓発動画をつくったときに、私も理事をやらせていただいているのですが、「がんより怖い?!が、予防できる心臓と血管の病気」と定義づけて、がんより怖いの後にクエスチョンマークとびっくりマークを入れておりますので、そこは少しマイルドにしておりますけれども、心不全の5年生存率ががんより低いとか。そのほか、数字的に見ても非常に多くの患者さんがいて、後遺症とか、いろいろ考えると、本当に怖い病気だということで、そこでも心臓と血管の病気と定義づけて普及啓発動画をつくりました。
 こう言っても、すぐに厚労省の資料とかで変わらないと思うのですけれども、ある時期で思い切って、最初は括弧づけで、それを必ず入れるみたいなことでも結構です。ですけれども、入れていくことが大事で、易しい言葉にしていかないと本当に分からないということがあります。それから、ある程度危機感をあおってもいいのではないかなという感じもいたします。余り怖がらせてはいけないのですけれどもね。
 あとは、誰もが取りかかりやすいような入り口にする。そういう点においては、冒頭にお話のあった歯の本数との関係性。こういうものは、今、症状が全然ない人にとっても、すごく取りかかりやすい入り口で、こういった意外性にメディアは飛びつきやすいという部分もございますので、塩分を控えようとか運動しようというのは、ある程度言い尽くされていますので、こういうちょっと新しい切り口で入っていく。全体をうまく伝えていくということもあるかと思います。
 とにかくメディア、企業などとも連携して、別に厚労省や病院だけでやらなくてもいいので、国全体を挙げたキャンペーンみたいな形で、恐らくメディアも企業も今、健康というテーマに関しては、すごく関心がある重要なテーマだと思っていますので、思い切って大きな形で展開していくというのもありなのではないかなと思いました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 山本委員、どうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。PMDAの山本です。
 私も予防啓発のところで、全体の意見ということだったので、もう一度指標に絡めての話ですけれども、させていただきたいと思います。川勝委員から出ました、一般市民がどの程度理解しているかという理解度を見る指標を何か入れるべきだというのを、ちょっと蒸し返させていただきたいなと思いました。結局、こういう指標をつくると、医療とか、なってしまった人を軸でデータを取るということになってしまう。一方、脳卒中、循環器疾患というのは、ならないようにすることが最大の目標であるということで、目標とデータの取り方がどうしてもずれていると思うのですね。
 もちろん、医療体制をきちんとして、そこのデータを取ることは重要ですけれども、それと同時に、ならないために最大限の努力をするということを惜しんではいけないと思います。すぐに指標に入れられるかどうかは別として、例えばコロナのときに、初期に慶應の宮田先生がすごく簡単な調査をラインで実施されたようなこともありました。あれ自身がどのぐらいコロナの体制に影響を及ぼしたかどうかは、私は知りませんけれども、非常に薄く広く、全く脳卒中に関係ない一般市民に対して簡単な調査をやるという方法自体は、今の時代には結構あるわけですので、そういうことを全くしないというのはいかがなものかなと思います。
 定期的にそういう一般市民における理解度、あるいはキャンペーンの浸透度というのを調査すべきだと思いますし、調査せずにやって、それで自己満足しているようでは、目標を達成することは全くできないと思います。
 それで、特に一番問題になるのは、例えばもう60、70になって、今、健康だけれども、脳卒中になりたくないのですと言っている人に働きかけても、その人たちに今から何か変わってもらうよりは、30代、40代、50代ぐらいからちゃんと意識していただいて、より健康的な習慣を身につけていただく。あるいは、もしなったときにはどういう対応をするかということを知っておいていただくということがすごく大事で、そこは医療とのフックが全くないところですので、それを調査することによって、そういう調査のメールが来たことで、逆にこれは何だろうという意識づけをするということにもなると思いますので、そこは考えていただきたいなと思います。
 すぐ指標に入れるというよりは、そういうことを研究事業で行うことでもいいと思いますが、先ほど聞いたら、がんと循環器でそこまで予算の違いがあるのであれば、少しはそういう一般市民への予防啓発のための事業というか、そういうことに予算取りをしてもいいのではないかと思いましたので、発言いたしました。
 以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○峰松委員 峰松です。皆さん、言いたいことを言っているので、ついでに言わせていただきます。
 今日、こっちに来る途中でメールが届いて、日本失語症協議会の理事長から厚生労働大臣に要望書を出したということで、その報告でした。基本法の附則第3条に、「脳卒中の後遺症を有する者が社会生活を円滑に営むために必要な支援体制の整備を行う」というのがちゃんと書いてあるのですね。実は、基本法ができたとき、特に条項の中に「失語症」という文言が入ったということで大変喜ばれたのです。法律では初めて「失語症」をきちんと扱っていただいたということで、すごく期待されていたのです。しかし法律ができて、もう4年がたちますが、一体何が進んだのだということで、直接、厚生労働大臣宛に、その早急な検討・整備をしていただきたいという要望書を出されたというわけです。
 我々が協議会で一生懸命議論して、厚生労働省の担当の人たちもそうですが、基本計画策定、その他をやってきたのですが、患者さんたちにとって、期待と現実との間に相当大きな乖離がある。今日も移植のこととか、いろいろ問題提起されました。今後、この協議会をどういうふうに運営されるか、よく知りませんが、この基本計画をつくって、それで終わりじゃなくて、ぜひ定期的に問題点がないかどうか、法律に書いてあることがちゃんとできているか、検討して欲しいです。
 それから、いろいろ問題となっていますが、予算の問題とか、がんと循環器の予算の格差というのは、本当に愕然とするのです。必要な調査もできないような予算レベルであるということは、我々、非常にショックで、我々がショックと思っている以上に、患者さんたちが期待を裏切られているという印象があって、直接、厚生労働大臣にお願いしよう。どうも別のところに要望書を持っていったみたいなのですが。
 ということで、今日、いろいろフリーディスカッションの形で言っていただきましたけれども、本当に大事なことを皆さん、言っていただいたので、この基本計画の第2次計画が一段落した段階で、また議論できる場ができればいいなと思います。今日、紹介した患者家族調査の結果も、もう一回きちんと整理し直して、どこかの時点でまた報告させていただきたいと思っています。
 以上です。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 では、最後に私から1つ意見を言わせていただきますが、第8次医療計画でもメタボ対策が非常に重要なわけです。とくに特定健診というのは、心血管病の減少を目指すことになっています。そこまではよろしいのですが、問題は、特定健診は施行規則で内蔵肥満に基づく生活習慣病を対象とすると書いてあるのです。つまり、肥満のない、腹部肥満のない生活習慣病は、特定健診の対象外です。これは前から議論していて、いまだに保険局の了解が得られないのですけれども、そろそろ特定健診の位置づけを心血管病のリスクファクターの管理に持っていかれたらどうだろうか。大きな行き違いが起こっていると思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、大体時間になりました。御議論ありがとうございました。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
○原澤課長補佐 事務局でございます。
 委員の先生方、御議論いただきまして、ありがとうございます。
 本日の御議論の内容を踏まえまして、計画本文と指標の案について、改めて整理した上で、次回の協議会において再度整理させていただきたいと思います。そこでとりまとめの方向性でお願いできればと思っております。
 次回の協議会の日程につきましては、事前に御連絡させていただきましたように、12月6日を現時点では予定してございますが、詳細については、事務局から改めて御案内させていただきますので、お忙しいところ、大変恐縮ですが、引き続きの御協力をよろしくお願い申し上げます。
 事務局からは以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の協議会をこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。