第160回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年12月9日(金)10:30~12:39

場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場

議題

1. 日本産婦人科医会からのヒアリング
2. 医療保険制度改革について

議事

議事内容
○森課長 定刻になりましたので、ただいまより第160回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とさせていただいております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認願います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、羽田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、前葉委員より一時退席、村上委員より途中出席されるとの御連絡をいただいております。
本日、記者の方には会場の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方、前葉委員の一時退席の間、代わりに出席される方につきましてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理といたしまして菅野俊彦参考人、前葉委員の代理といたしまして鎌田光昭参考人、以上の2名の出席につき御承認いただければと思いますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ります。
本日は「日本産婦人科医会からのヒアリング」、それから「医療保険制度改革について」、以上の2点を議題といたします。
では、初めに「日本産婦人科医会からのヒアリング」を議題といたします。まずは日本産婦人科医会より御説明していただき、その後に質疑を行います。
それでは、早速でございますけれども、日本産婦人科医会より御説明のほうをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○石渡会長 今回ヒアリングの機会を得たこと、関係各位、深く感謝申し上げます。
私は、日本産婦人科医会会長の石渡です。このような機会をつくっていただき、誠にありがとうございました。
本会は、日本の安全なお産の実現を目指して、産科医療補償制度の創設、周産期医療体制の整備、安全な無痛分娩研修制度の構築などに尽力してまいりました。
しかしながら、社会保障審議会医療保険部会における出産費用の見える化の議論の中で、本日まで周産期医療の専門家集団の意見が反映される機会がなかったこと、非常に残念に思います。
本会では、今回厚生労働省からいただいた資料を詳細に検討させていただきました。その結果、出産費用の見える化方策、そして出産費用の見える化の公表イメージの内容について、3つの懸念を表明させていただきたいと思います。
1つは「直接支払い制度の専用請求書の内容の抽出公表の問題点」であります。
情報公開は本来、行政文書に限るものであります。個人や私的企業の情報を情報公開の直接対象とするものではないとする情報公開法の規定に抵触しないのかどうか。仮に抵触しないということであった場合でも、医療機関に個々に説明と了解を得ることを切に希望します。
そもそも現行の直接支払制度の専用請求書では、入院基本料の内容が明確に指示されておりませんでした。したがいまして、各部屋の大きさ、あるいは部屋の中の設備、そしてベッドの規格等々、それぞれに設備が違う施設の算出根拠が異なる金額を抽出し、平均を計算して並べるということであります。バイアスが極めて大き過ぎ、また、意味のある比較ができないかもしれません。
2つ目は、「金額を一覧化することで起こりうる弊害について」、説明します。
ちょっと図を見ていただきたいと思いますけれども、令和3年度の厚生労働省科学研究「出産育児一時金(出産費用)に関する研究」、これは田倉班が行いましたが、その報告によれば、出産場所を選んだ理由が11項目並べてありますが、最も高い理由は自宅からの距離であります。そして、以下、病院の知名度、医療者の対応、病室環境、立合い分娩、医療体制などと続きますが、今回見える化で提示されました「出産費用」と「無痛分娩の有無」は出産場所を選ぶ理由の中で一番低いもの、あるいは3番目に低いものに当たります。
このような情報のみを公開することは、出産される方のニーズから外れ、重要な情報をマスクすることにもなりかね、厚生労働省科学研究の成果とまた矛盾するところがあります。
お産の安全には、医療体制や設備のみならず、自宅からの距離が重要であることは、例えば胎盤剥離、あるいは前置胎盤の出血等々による胎児死亡、あるいは母体死亡の研究でも明らかであります。お産をされる方は既にこれらを理解した上で自ら情報を得て分娩場所を選んでいるわけで、ことさら金額、あるいは無痛分娩の有無だけで決めているわけではないと思います。
このようなことだけを一覧化することは国民がミスリードしかねず、「お産の見える化」として適切とは思えません。真に妊婦に寄り添う情報提供とはなっていないと思います。
以上の理由から、お産をする方が分娩場所を考えるときに、現在お示しになっている金額のみの一覧を閲覧することでお産をする方の利益に役立つとは考えにくいと思います。
3つ目は、「高次医療施設から助産所までを一律に一覧表にする弊害」についてであります。
我々周産期医療に携わる者は、日本の周産期医療の安全は正常とローリスク分娩を担う産科診療所等と1次施設、それからいかなるハイリスクも担う総合周産期母子医療センター等第3次施設まで、各施設の医療提供体制の充実と、それから機能の分担と連携を通して守られていると考えております。
ちょっと図を見ていただきたいのですが、高齢出産あるいは合併症妊娠等のハイリスク妊娠分娩が多くなっている現在においても、妊産婦死亡数は年々減少してきております。特に、産科出血は減少しております。これは、1次施設から高次施設への搬送例が減少したこと、それから搬送時間の短縮に伴うものと考えております。
分娩施設の評価では、急変時に対応ができ、重篤な結果に至らないように未然に防いでいる医療安全面でも考慮されるべきものであると思います。施設の特性に合わせた努力を重ねることで、世界一安全な周産期医療を達成できているものと考えております。
このたびの厚生労働省案では、助産所から総合周産期母子医療センターまで隔てなく室料差額、あるいは無痛分娩の有無、妊婦の合計負担額、その平均額を一覧化するということですが、そもそも機能が異なる施設の金額だけを並べるということはあまり意義を見出せないと思います。金額が独り歩きすれば周産期体制における機能分担を阻害しますので、妊婦の安心安全な分娩環境に資するとは考えられません。
日本産婦人科医会は、各施設の特徴、サービスの内容、ホームページ情報など、真に出産される方が求めている情報に即した、そして情報公開の原則に即した「見える化」には専門家の立場から協力していきます。
最後に、こうした重要な議論が産婦人科医が一人もいない席で行われてきたこと、これらに対しては非常に不安を感じております。
このように発言の機会をいただきましたこと、ありがとうございました。
なお、分娩費用が各地域によって格差がございます。それについて、医会は何度か分娩費用の調査をしてまいりました。そのことについて、中井副会長から補足的な説明を1分ほどいただいてしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○中井副会長 日本産婦人科医会の副会長をしております中井と申します。
分娩費用は全国で大きく異なっているわけですけれども、それぞれ都道府県の中で見てみると、半数以上の施設というのは非常に近い分娩費用になっています。したがって、分娩費用の全国格差というのは施設ごとに格差があるというのではなく、都道府県ごとにあるということになります。
そして、その都道府県ごとの平均分娩費用、これは各都道府県の平均の家賃であるとか最低賃金時間額、平均県民所得など、いわゆる経済指標と高い相関性があります。全国全ての妊婦が経済的な負担なく出産できることが理想であると思っていますが、全国一律の費用設定をすれば、産科施設の破綻などにより地域医療提供体制が損なわれることにもなりかねないわけです。
そうした事態を招かないように、この医療保険部会の皆様には、なぜ都道府県格差が生まれたのか、その要因を明らかにし、それらに対応する妊婦の負担軽減に資するような仕組み、これを構築していただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 御説明のほう、ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、菅原委員よろしくお願いします。
○菅原委員 菅原でございます。ありがとうございます。
まず、産科医療をあずかる専門医のお立場からの御懸念の御表明、並びに大変建設的な御意見として受け止めました。これからの議論の深化に有益な傾聴に値するものであることをまず感謝とともに申し上げたいと思います。
その上で、私のほうから何点か御質問といいますか、御意見を申し上げることをお許しいただきたいと思います。
まず、お話の中にありましたけれども、御指摘のように施設選択の優先順位におきまして出産費用は低位にあるようです。
しかし、令和4年度の調査研究、参考資料1の9枚目のスライドだと思いますけれども、出産費用を選択する際の情報収集において、出産費用の説明方法や説明内容といった費用情報はほかの情報と比べて入手がしづらいという結果になっているかと思います。
逆に、医療施設へのアクセスなどの情報は、現状でも相対的には入手の簡便性が高いことが伺われております。
私が個人的に看過できないというふうに考えているのは、スライドの8枚目ですけれども、8枚目で示されているように、所得の低いほうの方々が、より出産費用についての情報を求める傾向があることなんですね。出産育児一時金支給のそもそもの目的が、先ほどもお触れになられておりましたけれども、全ての妊産婦に安心して出産いただける環境を整えるということであるとするならば、既に情報入手が簡便な部分ではなくて最も入手が難しいとされる情報、取り分け所得面など、社会的に最も不安を感じる方々が求める情報の公開を促すことによってそのような方々に寄り添うということがとても大事だと、国が一定の責任を果たす合理性はその点にあるというふうに私は個人的には考えます。
確かに、産婦人科医会から提出された資料にありますとおり、出産場所を選んだ理由といたしまして、近隣の病院と比べた費用の安さよりも、医療者の対応、医療体制などが重視されています。
ただ、この結果からは非常に逆説的ではありますけれども、医療機関ごとの出産費用の公表を行っても、地域の医療体制や施設の医療安全が軽視されることの懸念は当事者方の情報の意思決定の在り方を考えても当たらないのではないかとも推察されるわけであります。
さらに、本部会で議論すべき保険財政的な見地からすれば、出産については保険適用の対象外で現行自由診療となっておりますから、医療機関等の選択に当たって出産費用等医療機関ごとの情報が比較可能な形で提供されていることには、妊産婦、先ほど申し上げましたけれども、特に所得水準の低い妊産婦の方々にとっての経済的懸念の払拭には極めて大きな意義があるというふうに考えます。
これまでの医療保険部会の議論の中にもあったと思いますけれども、自由診療の下、出産費用の増加に併せて公的費用投入である一時金を引き上げていけば、医療保険財政に対する制度的な歯止めがない状況になります。医療機関ごとの費用の見える化や、その分析、現在の公的費用投入という枠組みにおける出産育児一時金の制度を前提とする限りは、一定程度やはり必須なものというふうに考えております。
妊産婦が様々なサービスなども踏まえて、複合的に医療機関等を選択している実態があるということでございます。産科医会の先生方の本当にごもっともな御懸念を払拭するためにも、費用のみならず各医療機関等で提供されているサービスのほか、最後に御提案があったと思いますが、医療提供体制など、地域の周産期医療における機能や役割、それぞれの医療機関等の特色も、これはまさしく御専門の先生方に御意見を伺いながら公表していく方策のほうがよいのではないかと考えます。
また、公表の在り方についても御指摘がございましたけれども、公表が医療機関ごとの費用の平均値であるという点を考慮すれば、例えばこれはバイアスが確かに大きくかかることがありますので、公表の形態として出産件数が一定数以下の医療機関については公表を任意とする。あるいは、平均値だけではなくて費用の範囲を併せて明示するといった対応も検討に値するのではないかと思います。
いずれにいたしましても、産科医会の先生方の御意見に丁寧に十分耳を傾けながら、出産費用情報はもちろんのことですが、それ以外の必要な情報の提供を行うことも検討を考慮するということで情報公開を進めていくということではいかがかと思います。
産科医会の先生方におかれましては、最後に、適切な情報公開、真に見える化に資する情報公開には御協力いただけるということを大変力強く御明言いただいて、私も心強く感じております。ぜひ、このような方向で情報公開が進むことを期待いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
産婦人科医会のほうからはまとめて後で御回答、コメント等があればお願いいたします。
では、次に佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今のお話を聞いて、多々感じるところがございますので、若干長めのコメントとなりますけれども、御容赦いただければと思います。
まず、最初に、出産費用については、自由診療であるにもかかわらず社会保険料の財源が使われているという構造的な問題があると思っております。そうしたことも念頭に議論をすべきだろうと思っております。
また、出産費用も踏まえて医療機関を選択できるようにすることは、前回出産育児一時金引上げ時からの課題と考えておりますので、今回増額をするのであればその前提として医療機関ごとの出産費用の見える化についてもしっかりと実施するとの結論を得るべきだというふうに申し上げたいと思います。
ただいまの御説明の中の意見書について、個別に意見を申し上げたいと思います。
まず1点目の、直接支払制度の専用請求書の内容を基に平均費用額を算出、公表することに対する懸念、これは今の直接支払制度の枠組みを活用して医療機関の了解の下に公表するということでクリアできると考えております。
また、この専用請求書に基づくデータは、医療機関に対して追加的な負担を求めずに収集できる利点がある上、ほかにより適切なデータがあるかというと見当たらないのではないかと思います。もしこの中に何らかの課題があるのであれば、請求書の記載要領を改善して、より精度を高めていけばいいのではないかと考えております。
次に、2点目の「金額を一覧化することで起こりうる弊害について」の懸念でございますけれども、令和4年度の調査研究、妊産婦に対するアンケートではやはり出産費用の説明方法、また説明内容といった情報が、施設へのアクセスや受けられるサービス等の他の情報に比べれば入手しづらくて満足度が低いという結果が出ておりますので、やはり出産費用を公表することは妊婦のニーズにかなっていると考えております。
むしろ妊産婦のニーズは多様でございますので、費用以外の情報も考慮して医療機関等を選択されるということから考えれば、費用とともにそういった医療機関ごとの特色も併せて公表できるように何らか工夫をすればいいのではないかと思っております。
また、3点目の「高次医療施設から助産所までを一律に一覧表にする弊害」についても、この医療機関ごとの特色を併せて公表する中で、その医療機関等の性格や役割を分かるようにすれば乗り越えられるものと考えております。
今まで申し上げたような方策で御懸念を払拭して、少なくとも平均入院日数や出産費用の平均額、妊婦合計負担額については医療機関等ごとに公表する必要があると考えております。
その上で、これらの項目の公表の具体化に必要な詳細については、産婦人科医会の方も含めて専門家の方に御参画をいただいて引き続き検討をし、部会で報告いただくのがいいのではないかと思っております。
また、平均出産費用が年々上昇していく構造が必ずしも明らかになったとは言えない中で、今後費用のさらなる分析ですとか適正な費用の在り方の検討を行っていただく必要があると思っております。そういった観点でも、今回妊産婦のニーズを踏まえて情報の見える化を進めることが重要であると思っております。
最後になりますが、金額だけの比較はやめてほしいという御意見でありますけれども、先ほど地域差の話もございましたが、都道府県単位で見ても30万円台から60万円近いところと、2倍近い差があるということがデータで示されております。ほかのいわゆる診療費が全国一律であるということを考えても、なぜこのような差が出るのか、何が違うのかということについてはぜひとも合理的な説明をお願いしたいと思いますし、そのためにもこの見える化はぜひともやっていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
本日は日本産婦人科医会からの資料、そして御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
まず、1点質問させてください。本日いただいた資料の中に、出産場所を選んだ理由という資料がございます。それで、これだけを見るのではなく、この調査の後に出産が終わった後の満足度調査というものがあったのか、ないのか。もしあれば、そのことに関して口頭でもよろしいですので御説明いただければと思います。
続きまして、意見を述べさせていただきます。出産費用の見える化につきましては、御自分が安心して出産を行うことができる病院を選べるように、妊産婦の方が見て分かりやすい形で公表すべきであると考えております。
令和4年度の調査研究では、先ほど菅原委員からも御指摘がございましたが、出産費用の説明方法や説明内容といった情報の収集が乏しく、かつ妊婦の満足度が低かったという結果が出ております。
また、こういった情報は年収帯が低い層、すなわち出産費用が家計に与える影響が相対的に大きい層ほど重要視されているという結果もあり、こうした調査結果は見える化の検討に当たってしっかり考慮すべきであると思っております。
出産費用に関する情報は妊産婦にとって一定のニーズのあることから、受けられるサービスだけではなく、それに応じた価格等も踏まえて、妊産婦が適切な費用の医療機関等を選択できるようにしていくべきではないか。そのためには、医療機関ごとの出産費用の公表は必須であるというふうに考えております。
また、直接支払制度の専用請求書の内容から平均額等を算出するという点につきましては、出産費用にばらつきがある中で既存の仕組みを利用することは医療機関等にとって最大限簡便で公平な方法ではないかというふうに考えております。
産科医療機関の皆様の御理解を得まして、こうした取組が今後進んで出産育児一時金の支給額に関する検討にも資することを願っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
調査に関する御質問がございましたので、この点だけ今レスポンスをお願いできますでしょうか。要するに、事後的な満足度調査というのはやったのか否かということでございますけれども、この点だけで、後でまたコメントいただきます。
○前田副会長 御質問ありがとうございます。私は、日本産婦人科医会から参りました副会長の前田と申します。
先ほど安藤先生のほうから御指摘がありました満足度の調査に関しては、厚生労働省の研究班の東大の医療経済の田倉先生がなさった研究から我々が引用しているものでございます。
ただ、我々のほうからも委員が出ておりますので、そんなに詳しく御説明はできないのですが、いろいろな項目に関する満足度に関してはコメントがございまして、これは公表されておりますので、どういう内容だったか、今しっかりお示しはできないのですが、満足度の調査もなされておりました。
そこまでぐらいしか今お答えできないで、申し訳ございません。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員よろしくお願いいたします。
○本多委員 御説明ありがとうございます。
既に多くの御意見が出されておりますけれども、私どもとしてもただいまの御説明につきまして簡単に意見を述べさせていただきたいと思います。
この出産費用でございますけれども、出産育児一時金を通じて限りがある大変貴重な公的医療保険財政を活用しておりますことから、出産費用の実態を詳細に把握した上で真に必要な部分に限定して手当をすることが基本であると考えております。
したがいまして、支払い側の立場からすれば、出産費用の支援対象が、必要性があり、かつ合理的な内容であるかを確認したいところでございます。そのためには、費用やサービスが見える化されることが不可欠であると考えております。
また、利用者側である妊産婦の方々の立場にとっても、費用やサービスが一覧化されることは極めて重要ではないかと考えております。
簡単ですが、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に原委員よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
議題2に関することですが、市町村と国保の保険者の方から、今回出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入に関しまして、「趣旨や基本的な考え方についてはこの意見書にも書いてありますように給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りながら、全ての世代で支え合うという趣旨に鑑みれば、高齢者への負担能力に応じた一定程度の負担をお願いすることはやむを得ないということで、反対ではないということではございますが、本日の資料2で示されている財政影響を見てもお分かりのように、後期高齢者全ての人ということではありませんけれども、一定程度所得がある方についても、保険料負担の増加が非常に大き過ぎて、市町村等の窓口で被保険者の理解が得られず、いろいろ混乱するのではないか」と、このように非常に心配をする声が、私ども都道府県の国保連合会にも多数寄せられているということを皆さんにお伝えをしたいと思います。
介護保険についても、現在社会保障審議会の介護保険部会におきまして、第9期の介護保険事業計画策定に向けて、来年介護保険制度改正を議論するということでいろいろ検討がなされております。そこでも、やはり高齢者で高額の所得のある方の保険料の増加や、あるいは窓口負担の拡大といったことが議論の俎上になっております。
報道によりますと、介護保険部会では後期高齢者についての負担増の議論がこの医療保険部会で行われているので、年内に結論を出すところを、こちらの議論を踏まえた上で少し検討をずらして、多分トータルでどうなのかという趣旨だと思いますけれども、検討時期を少しずらしていくような方向になったというふうに聞いております。それはそれで適切な対応ではないかと思いますが、やはりぜひ負担する人、高齢者という意味では同じ人が負担をしていくわけでございますし、特に医療と介護は非常に密接なものでございます。介護サービスを受けている人で医療も受けている方は非常に多うございますので、トータルでその負担能力というものをどのように見て、そして応能負担の在り方についてもどのようにしたら無理なく負担をしていただけるのか、いろいろと考えていかなければいけないのではないかと思います。
その辺の工夫を具体的にどうしたらいいのかというのはあると思いますけれども、ぜひ制度設計をされている厚生労働省においても慎重に考えていただきたいと思います。
それから、市町村等の事務を担当している窓口においては現場が混乱してはいけませんので、ぜひこういった市町村等の関係者からの意見というものを十分聞いていただいて、例えば激変緩和措置や段階的な施行の実施といったことも併せて御検討いただいて、きめ細やかな対応をぜひお願いしたいということでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、データを参考資料でつけていただいていまして、ありがとうございます。ここで1つ希望なのは、データそれぞれにどういう調査をしたかというのはメモでもいいですので付けたほうがいいと思います。サンプル数が幾らで、どんな調査だったのか、などです。それをまず感じました。過去にこの資料の説明があったのかもしれませんが、このデータを初めて見る方はそれが分かりませんので、よろしくお願いします。
さて、今回はデータに基づいて、日本産婦人科医会の皆さんからの説明をいただき、ありがとうございました。参考になりました。
そのデータと比較しながらしばし考えてみたのですけれども、例えばどうやって情報を入手しましたかと見ていくと、「インターネット」という回答が一番多くなっているのですが、確かに我々もいろいろなことを調べるときにインターネットでぱっと調べることができますが、でも必ずしもそれで決めるわけではほとんどないですね。もちろん参考にはします。恐らく出産を予定している方も、お母さんとなる方も、御自身のママ友達になる方々、同世代あるいは同じような立場で出産をしたい、分娩施設を探さなければいけないという方はその友人、知人、信頼できる方に相談をして聴いたりされています。もう一つはその調査にもあるように、御家族や身内の皆さんに聴いて、実際に自分はどこの施設に行ったら一番いいだろうかというふうな問いをしながら決めていかれるのではないかと思いますので、単純に数値だけで本当にこれが決め手になるかと思います。
要は、「決め手になったのは何か」というのを本当は調査の中で調べてもらっていたほうがよかったなと思いました。単に情報入手について調べただけではなく、決め手になったのは何かという観点です。
それと、費用等のことが出ていますし、産婦人科医会からもいろいろ御指摘がありました。確かにそういう御懸念もあるだろうなという感じもいたします。また、この協議の中でもっと早い時期にこのようなヒアリングをするなり、あるいは事務方で産婦人科医会の方に意見聴取に行かれるなり、そんなことはされなかったのかどうか、ちょっと教えていただけるとありがたいと思います。事前にされていれば、もう少しやり方も違ったかもしれないなと反省するところもありますので、よろしくお願いしたいと思います。
それと、この件は少子化に対する問題として国会でも議論になり、政権与党を中心に出産一時支援金を増やそうということは早々と報道にも出ましたので、そういったことがやや先行しているかの印象も否めないと思っています。
ただ、実際の出産に関する状況を見ていくと、ほかの委員の方も以前の審議で言われたのですが、単に価格のどうこう、費用のどうこうではなくて、出産をする際のケアをどのように受けられるのか、スタッフの方々やドクターの皆さんのいろいろなサービスといいますか、そういったものはどのようなことをしていただけるのか。そして、自分はどんな安心感を持って出産に向かえるのか。あるいは、産後の室内並びに施設内の環境のこと、あるいはその後のケアのこと、諸々のことも合わせて多分ご判断されていると思いますので、そういった本質的なことも本当は勘案していくのも大切かと思っています。
そして、より深く考えるならば、子供を産みたい、もう一人増やしたいと思うときに、実は産後の費用がどうなのか。その先に、いわゆる育児、そして子育て、教育とつながっていきますけれども、それらのことに関する福祉的な社会保障的なケアということが充実していけば、自分が子宝に恵まれてもそう大きな負担もなく、子供が成人できるぐらいまでは子育てできるなというふうな道筋が見えるような、そんなケアを社会としてもつくっていかないと、少子化対策としての出産に関するサポートというのはなかなか十分なものにならないのではないかなという印象はまだまだ残っております。ぜひこういったことも今後改善していかねばならないと感じたところでした。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点だけ、横尾委員のほうから御質問ございましたのでよろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
これまで議論させていただいた経緯の中で、11月に見える化の御提案をさせていただいたわけですけれども、当然その原案を作成させていただく中で、この調査の内容とか、いろいろな御意見をお伺いしながら、我々の中でその案を作成させていただいているというところではございますが、先ほど会長からも御指摘ありましたけれども、医会さんはもともとこの部会の場ではメンバーに入られていないということでもございますし、こうした公式の場で御意見をいただく機会というのは今回が初めてということであろうかと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
本日は、日本産婦人科医会の皆様より提出資料をいただきましてありがとうございました。その資料等も見て、出産場所を選んだ理由というのは非常に大きい。特に自宅からの距離とか、あとは医療者の対応、それから医療提供体制などが高く出ておりまして、出産費用が比較的低いということであると思います。
今後、その見える化においてはこういう医療提供体制がどうなのか、また、医療安全がどのように行われているか。そして、医療機関へのアクセス、さらにアメニティー、そういうものが重要であり、これらのデータも含む見える化のデータということを公表することが必要なのではないかと思います。それによって、利用者がより自分に合った施設を選択できるというような形で進めていただければと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
出産費用の見える化については、先ほどから複数の委員からも御発言のありましたように、また私も11月の当部会で意見を述べましたとおり、費用の見える化だけでなくサービスの見える化が重要だと考えます。医療部会のほうでは、かかりつけ医機能について国民・患者への分かりやすい情報提供を実現する方向で検討が進んでいるものと承知しています。
妊産婦にとって出産に係る機能というのは、かかりつけ医機能の重要な要素だと思いますので、今後は、例えば院内助産が可能であるのかどうか、あるいは産科区域が特定されているかどうか、アドバンス助産師が何人いるかなど、サービスの見える化の観点で情報を分かりやすく提供していくことが重要かと思います。ぜひ、保険局においても情報提供の充実について御検討いただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私のほうからも少し意見を言わせていただきます。
まず、医会の先生方、御丁寧な御説明、御要望、ありがとうございました。先ほど菅原委員もおっしゃいましたように、私もいろいろ御意見はあるものの、前向きの御意見と理解しました。
一方で、この部会に専門家が一人も入っていない中でこれが決まったことに対する懸念ということを御指摘いただきました。ある意味では、専門性を持った医師としてこの部会に入っているのは猪口委員と私だけなので、そういう意味でも責任の一端を担っていると感じております。
一方で、示していただいた資料1の1ページ目ですけれども、出産場所を選んだ理由の中で、当然自宅から距離が近いとか、施設の知名度ということが上位に上がっているわけで、費用が一番安いというのが最下位になっているということですけれども、逆に言うと、その費用が見えにくいからこうなっているという見方もできるのではないか。すぐ分かる近さとか、知名度とか、そういうことで選ばざるを得ないという点でも、大きな世の中の流れとしても見える化をしていく方向というのは避けては通れないことかと思っております。
ただ、御懸念のとおり、私も実は外科医なので、手術の件数とか、治癒率とか、死亡率とかをいきなり全医療機関が(無条件で)全部出すことに対して懸念を感じるということは非常に理解できるところであります。参考資料1の5ページにありますように、現状ではこの費用だけが平均で、しかも平均の入院日数、出産日数等がイメージとして出されていますけれども、このときも私はこれだけではどうしても見える化といっても偏ってしまう。事実と違ったバイアスのかかった見える化をしてしまうのではないかという懸念を感じて、それ以外のサービスも見える化をしていく方向で、項目として挙げるべきではないかという意見を前々回のこの部会でも言わせていただきました。
単にあとはホームページといっても、どうしても見えている数字だけが独り歩きしてしまうことに対する御懸念は私自身も理解できるところですので、1つここで御質問させていただきますが、もちろん細かいところはホームページで見てくださいということになると思いますけれども、今、出ている平均入院日数、出産室料差額以外に共通の項目としてぜひ見える化をして、各医療機関の御懸念を払拭できるような共通項目として、これとこれとこれはぜひここに入れてほしいと、そういったことを現時点でお示しすることが可能であればお伺いできればと思っています。
いずれにしても、大きな流れで見える化をすることは避けて通れないかと思いますので、事務局もぜひ医会の先生方の前向きな御意見も十分取り入れ、丁寧に説明しながら実際の公表のイメージをつくっていただければと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。共通化の項目は、後でまとめてコメントする際にお答えいただければと思います。
では、菊池委員よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 今日は、オンライン参加でよろしくお願いいたします。
私は法律学者でありますので、その観点から見える化の背景を法学的な観点から述べさせていただき、意見を1点述べさせていただきます。
本日は、産婦人科医会様からのお話によって、丁寧な検討と適切な情報公開が必要であるという理解を私自身も得た次第でございます。ありがとうございました。
それで、正常分娩は自由診療で行われますので、そこで発生する費用の支払い根拠は保険医療機関と被保険者との契約に求められます。双方の意思表示の合致である契約によって診療債務と、それに対応した診療支払い債務が発生する以上、それらの内容が事前に当事者双方で共有された上で契約締結に至ることが当然に求められます。医療と同様、サービスの提供を本旨債務とする福祉、介護領域では、法律上、契約書や重要事項説明書の交付が義務づけられております。また、施設や事業所の運営基準などによっても規範的に枠づけられていると評価できる面があります。
これに対し、医療の領域ではそうした明文の契約書等の義務づけまではなされていません。
その実質的理由の1つとして、保険医療機関と被保険者との診療契約の内容は、保険診療を規律する療養担当規則等の定めによって相当程度定型化されている点に求められます。いわば、民間保険の約款的な契約のイメージです。診療報酬債権は療養担当規則などにのっとって適正に行われることによってその都度発生するものとされており、そのことが個別の契約書を取り交わさずとも診療内容の適正性、安全性を担保することにつながっています。
これに対し、自由診療で行われる際には、保険診療に係るそうした契約内容に係る担保が当然にあるわけでありません。ゆえに、情報の非対称性がある医療サービスの特性を考慮すれば、なおさら費用支払いに係る債務内容があらかじめ明確化されることで、この被保険者側の適正な権利利益に配慮することが可能となる側面があるということを御理解いただきたいと存じます。
その上で、私の意見につきましては11月11日の部会にメモを提出させていただいております。先ほどの御説明で1点、触発されました地域差の問題についてお話がございました。私も先日メモに書きましたが、結論的には徹底した見える化を図るとともに、地域差や病院間の差の要因分析をできる限り行った上で、仮に地域差の合理性が認められるのであれば、地域別の一時金体系とすることも考えられなくはないと書いてございます。
あるいは、個人の選択の幅の問題として自由診療に委ねるのではなく、出産にかかる基盤となる部分を切り出すことにより、保険医療機関における出産を療養の給付と同様、現物給付化し、上乗せ部分は保険外併用療養費の対象とする一方、現在検討されている出産準備に係るクーポンの提供のように、妊娠、出産、育児にかかる一連の支援の一環として、医療保険外の給付も含めたトータルな保障を考える方向性を提示してございます。点数化するとしても、診療報酬本体と切り離すことで合理的だと考えられる地域差を反映することもできなくはないと思います。
いずれにしましても、費用の見える化の先を見据えた分析を今の段階からぜひお考えいただきたいと思ってございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。連合の村上です。
皆様方と重なる部分がありますが、被保険者の立場からも一言申し上げたいと思います。
出産費用の見える化についてですが、第155回の部会の資料に掲載されました調査結果におきましても、出産施設選択時の情報収集の簡便さという点では、出産にかかる費用の説明方法や説明内容というものについては低い結果にございました。
例えば、各施設の特徴やサービス内容など、各医療機関のホームページや医療機能情報提供制度だけでは把握し切れない情報も含めて一覧性を持った見える化が進むことで妊婦の選択肢も広がるのではないかと考えます。妊婦やその家族のニーズを踏まえながら、情報の見える化を進めていただきたいと考えます。
以上の内容のみならず、費用についても見える化を進めることが安全面と経済面の両面で妊産婦の様々な不安の解消につながるものと思います。
また、今ほど菊池委員からもございましたように、出産育児一時金も私どもとしては現物給付にということをこの間申し上げてきているところですが、見える化はそこに進むための一助にもなると思いますので、ぜひこの方向で御検討いただければと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員よろしくお願いいたします。
○袖井委員 これまでのほかの委員と重なる部分はありますが、お話を聞いておりますと、やはり異なる医療機関の平均値を出すということは余り意味がないのではと思えてきました。そこで、医療機関ごとの値を出すという形にしていただきたいということです。
それから、先ほどの産婦人科医会の方からのお話で、データが厚労省の厚生労働科学研究ですか、東大の先生がなさったものであるということを知ってとても驚いたんですね。こういう状況を考えると、やはり独自の調査をしていらっしゃらないということに大変驚きました。
私は十数年前ですけれども、地域の婦人科医の方たちの集まりで、少子高齢化の状況とか問題点、今後の行方などについてお話しさせていただいたとき、物すごく危機感を持っていらっしゃったんですね。出産数がすごく減っていて、とても経営が苦しいというお話を聞いておりましたので、当然独自に調査をしていらっしゃるものと思っておりました。今からでも遅くはないと思いますので、ぜひ日本産婦人科医会で全国的にきちんとしたデータをお出しいただいて、そして地域差があると言っておられますが、厚労省のほうは平均値で出していますので、もっときめ細かいデータを独自にお出しいただいて、ではなぜ一律で発表すること、公表することに反対なのかということの根拠を示していただきたいと思っております。
情報の開示というのは世間的というか、世界的な流れですから、これは止められないと思います。けれども、一律ということは確かによくないと思いますので、ぜひ独自の調査をしてしっかりした根拠を示していただきたい。これはお願いでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
委員の皆様方から様々な御意見が出ましたので、日本産婦人科医会のほうよりコメント等ございましたらよろしくお願いいたします。
○石渡会長 各委員の先生方から、非常に貴重なコメントと貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
私たちは、日本が今、国是としている少子化対策の一環として出産育児一時金のアップということにもつながっているということは十分承知しておりますし、私たち産婦人科としまして安心で安全な分娩を提供する、あるいは安心な子育てを提供する、そのようなことに注力しているわけであります。
その中で、今回いろいろな意見が出されました。特に私たちは分娩費用、要するに費用の見える化について全く反対しているわけでは毛頭ありません。
ただ、患者さんに、より分娩機関を選択していただくときに必要な情報として、先ほどもいろいろ御意見がございましたが、分娩費用だけではなくて例えば医療環境であるとか、あるいは各設備、そして人員スタッフ、サービス、あとはアメニティー等々も含めた総合的な見える化ということを考えて、よりいい情報を妊婦さんにお届けするということが非常に重要ではないかと考えております。
その意味で、今後ともいろいろ意見を出されたことについても十分検討していきたいと思いますし、また、こういう席に呼んでいただければ非常にありがたいと思っております。
最後に、産婦人科医会は分娩等々についての調査をしていないかどうかという御質問がございました。私たちは、2、3年ごとに分娩のことについては独自に調査をしております。その調査の結果については党等の委員会、あるいは議員連盟等々でも説明をさせていただいているわけで、それを踏まえてこのような意見書というものを出させていただいたわけであります。
今日、皆様から共通してお話に出たことは、やはり分娩費用等々の費用にかかる見える化だと思いますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、私たちはそのことについて反対しているわけでは決してないので、その辺は御理解いただいて、もっと必要な情報が多々あるのではないかと思って、そういうようなことも踏まえて見える化をしていきたいと考えておりますので、これからも御意見、御指導どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。委員の皆様、それから日本産婦人科医会のほうからいただいた御意見等を踏まえまして、事務局におかれましては適切な見える化の方策に関して細部をお詰めいただきたいと思っている次第でございます。
それでは、日本産婦人科医会の皆様方、御説明を本当にありがとうございました。
日本産婦人科医会におかれましては、御退室をお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。
(日本産婦人科医会退室)
○田辺部会長 では、議事に戻ってまいりたいと思います。
次に、「医療保険制度改革について」を議題といたします。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
なお、議論の時間をしっかりと確保するため、事務局はポイントに絞って簡潔に御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○森課長 総務課長でございます。資料2と資料3について御説明させていただきます。
資料2のほうでございますけれども、9月以降、この医療保険部会で数回にわたって主な論点について御議論いただきました。今回、財政影響のある部分について基本的な方向性を取りまとめてその財政影響についてもお示ししたのがこちらの資料でございます。
ページをおめくりいただきまして、まず3ページでございますが、主な改正事項ということで、1つは1番目で「出産育児一時金の引き上げ」、それに伴う高齢者の出産育児一時金の負担。2番目は「高齢者医療を全ての世代で公平に支え合う仕組み」、それから3番目は「被用者保険における負担能力に応じた格差是正の強化」というメニューになっております。
次のページにまいりまして、出産育児一時金を全ての世代で支え合う仕組みの導入でございますが、上の四角の箱の中を御覧いただけますでしょうか。
1つ目の黒いポツ、ブルーの文字で書いてありますけれども、「子育てを社会全体で支援する観点から、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に係る費用の一部を支援する仕組みを導入できないか。」、 2つ目の黒いポツですけれども、後期高齢者医療制度の支援割合を対象額の7%と設定してはどうかというふうにお示ししております。
次のページにまいりまして、「高齢者負担率の見直し」でございます。
1つ目の黒いポツのところ、制度導入以降、現役世代の負担が大きく増加し、2025年までにこのままの制度が続くとその傾向が続いてしまうということでございます。
それで、2つ目の黒いポツで、介護保険を参考に、後期高齢者1人当たりの保険料と現役世代1人当たりの高齢者支援金の伸び率が同じになるように、高齢者負担率の設定方法を見直してはどうかということでございます。
次のページにまいりまして、7ページでございます。こうした出産育児一時金の高齢者への負担の仕組みと、それから高齢者負担率の見直しによりまして、後期高齢者に一定の負担をお願いすることになります。それについて、保険料でどのように負担していただくのかをお示ししたのが、この7ページになります。
まず左側の下のほうですけれども、所得割の比率の引上げという形になっております。本来、今の制度のままでこの制度改正をすると、ブルーの点線の形の保険料になっていくと考えられております。これは当然均等割の部分も今の制度のままですと上がってきますので、そこの部分を引き下げて均等割と所得割が今は1対1になっている割合を、均等割と所得割の比率を48対52にして少し均等割が伸びないように、その制度改正分の影響を受けないようにすることによって低所得者に配慮ができないかという見直しをさせていただきます。
あわせて、今度は一番右端のところですけれども、賦課限度額を現行の66万円から80万円に引き上げることによって所得割の形が、より高所得な方に負担していただくような設定にできないかということを考えております。
それから、8ページにまいりまして前期財政調整における総報酬割の導入でございます。
現在、1つ目の黒いポツのところですけれども、前期財政調整は「加入者数に応じた調整」となっておりますが、これを部分的に「報酬水準に応じた調整」を導入することができないかということでございます。資料の右下のところを御覧いただければと思いますけれども、今までですと基本的には加入者数が同じであれば負担していただく額は同じだったわけですが、今度は総報酬が比較的高いところについてはより多めの負担をお願いして、総報酬が低いところについては少し負担を軽減できないかという仕組みの導入でございます。
次のページにまいりまして、こうした見直しに合わせて被用者健保組合等の負担増が発生するわけでございまして、そこの部分について必要なサポートができないかということを考えております。現在、この赤枠のところにあります拠出金の負担の割合が著しく高い保険者ですとか、健康保険組合の中で自立的にやっていただいている財政調整の仕組みですとか、それから前期高齢者の納付金が急激に伸びた保険者に対する支援、こうしたところに対する財政支援というのを今回の制度見直しによって影響を受ける保険者に対するサポートを増やすことによって、よりサポートができないかということを考えております。
それで、ブルーの文字で一番下のところに書いておりますが、その際には賃金の上昇についても配慮する形とできないかということを考えているところでございます。
11ページにまいりまして、出産育児一時金の関係の財政影響についてお示しさせていただいております。出産育児一時金についてはいろいろ報道が出ておりますが、現在のところ今の42万円を幾らにするのかということは決定していないところでございます。
ただ、現在42万円を設定するときの考え方として、公的病院の平均値を使った額を使って設定しておりまして、それを今の時点で伸ばすと大体47万円だということで、今回はある程度の財政影響を必ずお示しするという視点から、47万円の設定で財政影響をお見せしております。
一番上の合計額のところに400億円と書いてありますけれども、その左隣、42万円の場合、現在マクロ全体で出産育児一時金は3,320億円負担していただいております。それで、プラス5万円になると400億円財政負担が増えるということでございます。それをそれぞれの保険者で負担していただくという見直しと、併せてその際、その3,320億円と400億円を足した7%分について後期高齢者に負担をお願いするという見直しをした場合の財政影響をお示ししております。
さらに、出勤育児一時金47万円ではなくてほかの額になった場合も含めて分かるように、参考として一番右端にそれぞれ、例えば47万円から48万円プラス1万円になった場合に幾ら幾らになるのかというのが大体1万円ごとに財政影響80億円ごとに出てきます。そこの表を御覧いただくと、例えば47万円に対してプラス2万円であれば全部掛ける2をしていただくと財政影響は分かるようになっておりますので、そちらを御参照いいただければと思っております。
それで、今回のこの11ページの資料、それから13ページの財政影響、この高齢者負担率の見直しの財政影響は前々回お示ししたものです。それから、その次の被用者保険の財政調整の格差是正の財政影響、これは前回お示ししたものです。この3つを合わせると、大体今回の制度改正の財政影響の全体像が見えるという形になっております。
最後のページでございますが、今回の制度改正によって後期高齢者の1人当たりの保険料がどのくらいの影響を受けるのかということをお示ししております。上の段が制度改正前で令和6年、制度改正がなければ令和6年、7年にどれだけの保険料を負担していただくか。下の段が、制度改正をした場合にどれくらいの保険料になるのかというのをお示ししております。
それで、左から4個目の欄ですけれども、後期1人当たり平均という欄がございます。制度改正がなければ8万2,000円、年額で御負担いただくところを、制度改正によって8万7,300円になる。それで、隣に増加額を書いておりますのでプラス5,300円、これは月額単位に直すと角つきの括弧になっていますけれども、プラス月額で440円という形になっております。
それで、当然これは1人当たりの平均でございますので、年収によってそれぞれ増加額が異なっております。例えば、基礎年金程度の収入であります年収80万の方についてはその隣の隣の箱を見ていただきたいのですけれども、プラスが0円ということで基本的には増加がない。年収200万円の方ですと角括弧のところですけれども、プラス330円と月当たりで330円の増加、年収400万円のところですとプラス1,180円、それから年収1,000万の方については賦課限度額が引き上がる影響もありまして月当たりプラス1万830円の負担増になるということがお分かりになるかと思います。
以上が、資料2でございます。
続きまして資料3でございますけれども、最終的な部会での議論の取りまとめをさせていただきたいという観点から、議論の整理の案を事務局のほうで作成して今回お示ししております。基本的な構造は、1ページ目、2ページ目に全体の最初の導入の部分があった後ろに3ページ目以降、個別の論点について基本的な方向性とそれに対する委員の皆様方からの御意見についてお示ししているところでございます。
それで、3ページ目は出産育児一時金の関係がございまして、4ページ目は「出産費用の見える化】、それから5ページ目は「出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入】で次のページまで書いてあります。
それから、7ページが国保における産前産後の保険料負担軽減措置の創設で、7ページの一番下から高齢者医療を負担能力に応じて全世代で公平に負担し合う仕組み、「高齢者負担率の見直し」。
それから、9ページに「高齢者の保険料負担のあり方の見直し」、これは一人一人の高齢者にどういう負担をしていただくかという部分。
それから、11ページにいきまして「被用者保険者間における負担能力に応じて公平に負担する仕組みの強化」ということで、13ページに前期高齢者の格差の是正、被用者保険者間の格差の是正。
それから、14ページ以降は「医療費適正化計画の実効性の確保)に関する論点。
17ページが「国民健康保険制度改革の推進)という形で示させていただいております。
なにぶん20ページございますので雑駁な説明にはなりますが、こうした全体の皆様の御意見をできる限り盛り込むような形で入れさせていただいております。分量の関係上、どうしても全部意見が載っていないという御意見もあるかと思いますが、その点も含めてどうしても必要な御意見というものがあればおっしゃっていただければと思っております。
私からの説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、藤井委員よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
私ども商工会議所は、これまで現役世代の負担上昇の抑制や年齢によらない応能負担ということを申し上げてきましたので、今回の議論の整理案で示された問題認識と改革の方向性に基本的に賛同いたします。
その上で、各論について2点、意見を申し上げますので、事務局からコメントをいただければと思います。
1点目でありますが、高齢者の窓口負担について、資料3の10ページに、2割負担の導入状況を注視するということが記載されておりますが、私どもは、さらなる段階的引上げに向けて検討していくべきと考えております。今後の議論の方向性についてのお考えを教えてください。
2点目でございますが、後発医薬品の使用促進についてであります。かねてより申し上げてきたことでありますが、薬価の引下げや急速な需要増に加えて、物流コストの上昇、円安の影響、原材料コストの上昇、こういったことで後発医薬品メーカーを取り巻く事業環境は、非常に厳しい状況が続いております。
16ページに記載されているように、今後新たな数値目標の設定に向けた具体的な議論を行うということでございますが、後発医薬品のみならず医薬品全体の安定供給確保という視点を念頭に置き、実態を把握しつつ現実的な議論をしていただく必要があると考えておりますので、これについて、お考えをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
2点ほど御質問というか、意見ということで、回答のほうをお願いいたします。
○田中課長 高齢者医療課長でございます。
いただきました御質問のうち、現役並み所得の判断基準の見直し、10ページのところでございます。前回の当部会で御議論いただきましたけれども、2割負担の導入をこの10月から施行してございます。負担割合の3割の部分を拡大するかどうかという検討につきましては、2割にこの10月に上がった方のうちの一部が3割に上がるのかどうかという検討と重なる部分が相当ございます。まだ10月に引き上げたばかりでございますので、その2割負担の導入後の状況をしばらく注視するのではないかということで、前回御説明をさしあげたところでございます。
各委員から前回も様々に御議論いただいたところでございますので、本日いただいた御意見も踏まえまして、さらに取りまとめに向けては記載の検討をしてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。医薬品の関係についてお答え申し上げます。
後発医薬品の使用促進という観点から、この医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議論ですとか、バイオ後発品に関する目標設定を踏まえ、今後新たな数値目標を設定すること、こうしたことを議論の整理の案に記載させていただいているところでございます。
ただいま申し上げた有識者検討会でございますけれども、これは後発品だけということではなく、まさに医薬品の迅速・安定供給実現に向けた全般的な観点から革新的な医薬品の迅速な導入ですとか、あるいは医薬品の安定供給、こうした論点につきまして産業構造、ビジネスモデルを起因とする課題、それから薬価制度を起因とする課題など、そういった関わる政策全般について議論を整理しながら進められているというふうに承知をしてございます。
こうした議論の状況を踏まえながら今、申し上げた方針に沿って後発医薬品について新たな数値目標を設定する、そうした形で取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 藤井委員、よろしゅうございますか。
(藤井委員 首肯)
○田辺部会長 では、引き続き佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず資料2のほうでございますけれども、これまでもずっと申し上げておりますが、今回の制度改革の最大の目的は、現役世代の負担軽減ということで、それに資する見直しでなければいけないと思っております。その上で、今回の改革による財政影響を含めた全体像が今日示されておりますので、これまでの意見と重なるところもございますけれども、改めて意見を申し上げたいと思います。
まず、出産育児一時金のところでございますけれども、この出産育児一時金の引上げがやはり費用の増加につながるのではないかという指摘もございますので、適正な費用の在り方についての検討は引き続き必要だと考えております。今般の見直しに当たっても、これまでの引上げ時の考え方、ルールですとか、またはデータや実績等に基づいて合理性のある引上げ幅としていただきたいと思います。
また、本件については、今後ルール化を含めて検討することを明確化する必要があるのではないかと考えております。
そういった中で、今回示されておりますが、出産育児一時金を後期高齢者も含め全世代で支え合う仕組みの導入については、少子化対策を社会全体で支援をするという観点からもぜひ進めていただきたいと思っております。
また、この支え合いの内容について、後期高齢者の方の負担を対象額の7%と設定してはどうかという記載がございますけれども、前も申し上げましたが、我々としてはこの対象額は当然出産育児一時金の支給額全額以外の理屈はないというふうに考えております。
また、出産育児一時金の引上げは令和5年4月からと書かれておりますけれども、支え合いのほうの後期高齢者の方が負担する仕組みは令和6年4月から導入と書かれております。改革の趣旨を踏まえれば、本来この引上げと支え合いの仕組みの導入は同時に実施すべきものだと考えており、仮にやむを得ずタイムラグが発生するのであれば、財政支援も含めてこの間の現役世代の負担軽減をぜひお願いしたいと思っています。
それから、2つ目の高齢者負担率の見直しについては、まさに今回の改革の趣旨であるところの現役世代の負担軽減につながるものと考えておりますので、確実に実施をお願いしたいと思います。
次に被用者保険者間の格差是正、これについては前回もいくつか意見を申し上げたのですけれども、改めて以下3点、意見を申し上げたいと思います。
この被用者保険者間の格差是正に当たっての健保組合の支援については、制度改革全体として負担軽減になるということを明確に示していただきたいと思います。また、健保組合の安定運営につながるように制度化も含め、継続性を持った支援となるような見直しをお願いしたいと思います。
それから、前期高齢者の納付金について、仮に報酬調整を行うとしても報酬調整の割合が高くなればなるほど現役世代の負担増になりますので、この調整部分は極力小さくすべきであると考えております。
また、さらに報酬調整割合を上げるということが断じてあってはいけないと思っております。健保組合に対する支援策を充実強化していただいて、保険者機能の発揮を決して阻害することのないような形でお願いしたい。
また、これも前回申し上げましたけれども、今回の改革によって減少した公費財源については必ず全額を現役世代の負担軽減に充てていただきたいと思います。
本日申し上げたことも今後まとめの議論の整理には必ず記載をお願いしたいと思っております。
それから、資料3の議論の整理案でございますけれども、まだ全体像が見えていない部分もございますが、本日の資料の範囲で幾つか追加をいただきたいことについてコメントを申し上げたいと思います。
まず資料の13ページでございますけれども、「3.被用者保険者間における負担能力に応じて公平に負担する仕組みの強化」のうち、この(前期高齢者の医療給付費負担における被用者保険者間の格差の是正)の意見部分に、「現役世代の負担軽減を目指す中で財源捻出策として国の財政責任を「肩代わり」させ、被用者保険にさらなる負担を求めることは容認できない」と意見があったことはぜひとも追記をいただきたいと思っております。
それから、4.の(医療費適正化計画の実効性の確保)についてはおおむね異論はございませんけれども、1点意見を申し上げたいと思います。また、前回適正化計画の議論を行った際にも述べておりますけれども、次期計画の実行や運用を見据えた要望を1点申し上げたいと思います。
まず1つは、16ページの上から4つ目のポツの新たな目標の部分である「医療資源の投入量に地域差がある医療の適正化」については、前回11月の資料において「白内障手術、外来化学療養、リフィル処方箋」という例示がございましたので、「医療資源の投入量~」の前に、「白内障手術・外来化学療養、リフィル処方箋など」と追記いただきたいと思います。
次に、次期計画の実行や運用を見据えた要望を1点申し上げます。同じ16ページの上から2つ目の「重複投薬・多剤投与の適正化については、ここに記載のとおり、電子処方箋の活用推進が重要な前提条件になると思います。来年1月の本格運用開始に向けて残された時間はわずかとなっておりますので、国におかれては医療機関、薬局における導入促進、または国民へのPRを強力かつ継続して取り組んでいただきたいと思っております。
コメントは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。私のほうからも、何点か意見を述べさせていただきます。
まず医療保険制度改革についてでございます。医療保険制度改革につきましては、前回協会けんぽを含めた被用者保険関係5団体の意見として、医療保険制度改革に向けた被用者保険関係5団体の意見を提出させていただきました。
そこで述べたとおり、現役世代の保険料負担は限界に達しております。現役世代が納得して医療保険制度を変えて支えていけるようにすることが重要であり、そのためには世代間の給付と負担の在り方を公平に見直すことなど、医療保険制度の持続可能性を高めるための見直しが必要不可欠であると考えております。
資料2に掲げられた検討事項につきましてですが、出産育児一時金や後期高齢者医療について、後期高齢者の方に医療保険を支える集団の一員として能力に応じた負担をお願いすることにつきましては賛成でございます。これは、将来の医療保険制度を担う次世代を支援し、現役世代の負担を軽減することにつながるからでございます。
また、被用者保険者間における負担能力に応じた格差是正の強化についてですが、先ほど佐野委員からも御発言がありましたように、前期高齢者納付金について仮に報酬調整を行うのであれば、できるだけその割合を低くし、現役世代の負担がさらに高くならないように御留意を願いたいと思います。
また、制度の持続可能性を高める観点から、今回の改革により減少する公費負担部分につきましては前回も御指摘させていただきましたが、全額現役世代の負担軽減に資するように御活用いただけるようにお願いしたいと思います。
続きまして、議論の整理案についてでございます。14ページから17ページにかけまして、「医療費適正化対策の実効性の確保」について記載がされております。本資料に掲げられました措置については、国の第4期医療費適正化計画に盛り込まれ、これを踏まえて令和5年度各都道府県において都道府県医療費適正化計画が策定されると理解しております。今回の第4期医療費適正化計画は、団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者になる令和7年、2025年をまたぐものであり、国民がより健康的な生活を送り、医療費の適正化を図っていく必要性が高まる中での計画であると認識しております。
このため、協会けんぽなどの被用者保険者と地方公共団体、国保連、経団連、経済団体等が連携して行う地域の医療費データ等の共同分析や、15ページから16ページにかけて記載がございます日本健康会議をはじめとする民間主導の取組との連携など、都道府県において医療費適正化計画を実施していく上で実効性のある連携体制を組んでいくことが重要であると考えております。
さらに、前回に御指摘をさせていただきましたが、メンタルヘルスのような各年代に幅広くまたがる課題に対して母子保健、学校保健、産業保健、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険といった主体がどのように対応し、連携するのか、それぞれの役割分担を整理し、トータルビジョンを描くことが必要不可欠であると考えております。
厚生労働省におかれましては、こうした太極図を描いた上で検討を進めていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員よろしくお願いいたします。
○本多委員 御説明どうもありがとうございます。私のほうからも意見を述べさせていただきたいと思います。
まず医療保険制度改革の全体についてでございます。これまでも申し上げておりましたとおり、今回の制度改革をトータルで見た結果、現役世代の負担軽減を実現できる内容なのかどうか、これが最も重要であると考えてございます。この方針を貫徹いただくとともに、現役世代の負担上昇の抑制に資する今般の後期高齢者医療に係る制度改革を確実に実施していただきますよう、強くお願いする次第でございます。
その上で、資料の3に沿って4点、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
1点目は、資料の4ページから5ページの出産費用の見える化についてでございます。4ページの2つ目の○にございますとおり、妊産婦を含む子育て世代が適切に医療機関を選択できる環境を整備することが大変重要だと考えております。
5ページで【P】とされている意見の整理につきましては、この出産費用の見える化を具体化し、確実に実施すべき点を強調いただきたいと考えております。
2点目は、5ページから6ページの【出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入】についてでございます。佐野委員の意見とも重なりますけれども、6ページの最後の○で【P】とされている後期高齢者医療制度の負担割合の対象額は社会全体で子育てを支える観点並びに現役世代の負担軽減を図るためにも、出産育児一時金の一部ではなく全体とすべきだと考えております。
3点目は、13ページ以降の被用者保険者間の格差の是正についてでございます。前回も申し上げましたけれども、格差是正を掲げておりますが、保険料負担が増加した分だけ国費が大幅に削減され、現役世代の負担軽減にはなっていないというところでございます。13ページの3つ目の○にもあるとおり、仮に報酬調整を行う場合でも最小限にとどめることを大前提とした上で、こういった意見があったという点を先ほどの佐野委員からの指摘も踏まえて13ページの同様の箇所に追記をいただきたいと考えております。
それと併せて、14ページの現役世代の負担上昇の抑制の項目につきましては、前回、被用者保険関係5団体の意見書でも指摘した事項が明確になるよう、健保組合等を対象として実施されている既存の支援の見直し、あるいはさらなる支援を行う際は前期財政調整によって削減される国費を全額充てることで、現役世代の負担軽減を図るべき点を明記いただきたいと思います。
最後に、14ページから17ページの医療費適正化計画についてでございます。入院医療費の取扱いにつきましては、これまでの部会において地域医療構想の進捗の遅れを指摘するとともに、自治体には病床の必要量の見込みを目標と捉え、地域医療構想の実現とそれによる医療費適正化を不退転の決意で進めていただきたい点を申し上げてまいりました。こうした意見があった旨を、15ページの2つ目の○にも追記をいただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私は出産育児一時金の引上げについて質問したいのですが、お金の話、費用の話ばかりが出ていますが、この出し方について今どういう形で出しているのかということをお聞きしたいと思います。
というのは、妊娠の一定期間を過ぎると中絶をしても一時金が出る。したがって、出産育児一時金を目当てにそういうことを誘導する医療機関があるというようなことを聞いております。一時金が上がるということはそういうインセンティブを増してしまうのではないか。つまり、一定期間を超えた人に対して、たとえ中絶をしても一時金が出るということであれば、そういうことを狙う産婦人科医も出てくるのではないかということも懸念されますので、その辺りのことはどうなっているのか教えていただきたいと思います。
それからもう一つ、現役世代の負担を減らして高齢者にも負担をというのは何度も、何度も出てきて耳が痛いのですが、それは仕方がないかなとは思うものの、現役の方もいずれは年を取ることになると思うんです。それで、前にも申し上げたと思うのですが、日本の若者は国際比較的に見ても将来に対する不安感が非常に強いんですね。その理由のかなり多くが、社会保障制度が安定的に維持できないのではないかという不安感なんです。
年を取っても医療も介護も安心して受けられないような世の中になってしまうのではないかという不安感を若者たちに与えるのであれば、日本社会の将来はますます暗くなると思います。
確かに、現役世代の負担は非常に重いとは思います。それを何とか減らす必要はあるとは思いますけれども、それを例えば高齢者のほうから取っていくのがいいのか、一時的な危機的状況を逃れるために公費の負担をもうちょっと増やすとか、長いスパンで考えないと、目先の負担を減らすということばかり考えていたら若者たちにその未来はないのではないかというふうに懸念しております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、御質問がございました。御回答のほうをお願いいたします。
○原田課長 今、御指摘いただいたのは中絶の関係と出産育児一時金の関係で御質問をいただいたかと思います。
出産育児一時金ですけれども、出産された方はもちろん対象なのですが、12週以降についても死産の場合であれば対象になるということでございますので、12週以降に人工妊娠中絶をされた方に対しても一時金の対象になっているというところでございます。
この関係で今、袖井委員から御指摘いただいた点に関しましては10月の医療保険部会のほうでも資料を提出させていただいておりますけれども、まさに12週以降の中絶が増えたか、減ったかということと、出産育児一時金の支給額が増減している、その年次的なデータを出させていただいているかと思います。そこのデータの中では、一時金を過去引き上げてきてはおるのですけれども、近年は12週から、特にもしそういうような動きがあれば12週から15週の部分の割合が増えるかなと考えられるのですけれども、実態としては減少傾向にあるというデータは先日お示しさせていただいているところでございます。
一方で、そうした御懸念の点につきましては、例えば人工妊娠中絶は母体保護法の指定医が行うということになってございますけれども、そうしたところでも講習会等での周知とか、または問題のある広告等を行っているところについては医政局のほうでネットパトロール事業といった事業も行っておりまして、そうしたことによって現在対応しているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
(袖井委員 首肯)
○田辺部会長 それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いいたします。
私のほうからは、14ページからの医療費適正化対策について意見を述べさせていただきたいと思います。
まず16ページの○の次の黒ポツの1つ目ですが、ここに後発医薬品の使用促進が書かれております。現在、後発医薬品の供給不安というものは今年に入って去年よりもさらに増しております。まずはこの使用促進というよりも、国民が安心・安全な医療を受けられるように、医薬品の供給不安の解消がまず第一ではないかと思っております。
また、同じところにフォーミュラリーの取組を促進するとあります。フォーミュラリーについては、それが実際にどのような効果が出てくるかというのがはっきりしたデータではまだ示されていないのではないかと思いますので、ここはフォーミュラリー等の取組も検討する程度にして、強い方針とはしないほうがいいのではないかと思います。
それから、2つ目は薬剤を6種類以上という基準を設けるということですが、現在、診療報酬で6種類という減算の規定がかかっております。ところが、実際は高齢者の多疾患の場合にはとてもとても6種類では済まないということも多々ございます。したがいまして、ここは6種類という基準が用いられていることを踏まえるわけですが、多剤投与ということもやむなく行わなければならないこともあり得るということはやはり記載していただきたいと思います。
それから、黒ポツの5つ目ですけれども、保険者協議会への医療関係者の参画を促進ということですが、前にも申しましたが、オブザーバーとしての参加ですと意見がとても言えないというような状況もあると聞いておりますので、ぜひここは正式な構成員として医療関係者の参画を促進という形にしていただけたらと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 渡邊です。ありがとうございます。
私からは、資料3に議論の整理というものがありますけれども、これについて2点、意見とお願いを申し上げておきたいと思います。
1点目ですけれども、「医療費適正化対策の実効性の確保」に関する項目の16ページに講じるべき措置という部分の記載があるのですけれども、1点目に関しては後発品の新たな数値目標設定という部分になります。現場では今、猪口委員からもありましたように、安定供給が確保されていないというだけではなく、むしろ悪化しているような印象を受けている状況にあります。新たな目標の設定については、冒頭の藤井委員からの質疑にもありましたけれども、検討会の議論を踏まえるというだけではなくて生産体制や供給体制など、現場の状況を踏まえて安定供給を確保すると記載した上で実効性のある設定ということをお願いしたいと思います。
2点目ですけれども、その次の項目にあります重複投薬・多剤投与についてです。これも以前申し上げさせていただいた部分なのですが、6種類以上という基準についてですけれども、調剤報酬で、と書かれていますが、これはそもそも医薬生活衛生局でまとめられている「高齢者の医薬品適正使用の指針」で示されている部分ですので、ここの記述についてはぜひ読み手に誤解を与えないように正確に記述をいただきたいと思います。
あとは、実効性のある適正使用を推進していくためにも、この指針を活用することが重要と考えておりますので、適正化計画を進める都道府県の担当部局等はその認識ができるよう、厚生労働省内においても担当局と連携しているという部分においても適正使用の指針という記載がなされているということを望みたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
資料3につきまして3点申し上げます。
1点目は先ほども申し上げましたけれども、出産育児一時金の部分でございますが、この点、この間、妊娠、出産にかかる費用については負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含めて全て健康保険の適用、現物給付とすべきということを申し上げてまいりました。同じような御意見は複数あったかと思いますので、ぜひ資料3に追記いただきたいと思っております。
2点目ですけれども、13ページのところです。前期高齢者財政調整に報酬水準に応じた調整を導入するという考え方につきましては、給付と負担の関係を一層ゆがめることになると考えます。これからますます重要になってくる保険者機能の発揮をさらに困難にするものではないかという懸念もございます。
さらに、こうした視点だけではなく、各保険者や労使の理解が必要不可欠であるということは当然のことと考えております。改めて、極めて慎重に検討を行っていただきたいと考えております。
次に3点目ですが、14ページで(現役世代の負担上昇の抑制・賃上げ促進のための健康保険組合等への支援)の部分でございます。この点は、前回部会で提出しました被用者保険関係5段階意見書の内容を踏まえた主体となっていると思っております。その上で、賃上げに伴う納付金負担増を軽減する仕組みの検討に当たりましては、労使の賃上げの取組に影響を及ぼすことのないよう、丁寧な検討をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今回の医療制度改革の大きな背景といいますか、トレンドから見ていくと、医療費が年々上がっていく。一方では、団塊の世代の皆さんが後期高齢者に入っていく。当然そうなっていきますと、医療費はますます増大するというのが目に見えていますので、それを事前に予知して対策を打たねばならないということが根底にあると思っています。
そういった意味からしますと、医療費適正化というのは括弧書きで言うならば抑制を前提としたものでありまして、直接的な表現をやや控えながら適正化と、これまでの経緯で表現されているものと認識しています。
それはそれとして理解するものとして、実質的に適正化をやっていく必要があると思っています。そういう意味では、健康ということについて国民の皆さんにもっともっと強く啓発をすべきだと思います。健康管理の重要性、「自分の健康は自分で守る」という意識づけ、そして行動をちゃんとやるということ。こういったことを求めていかないと根本的には改善できないのではないかと強く感じています。そのことを実はこの論点整理の冒頭部分でももう少し明記されたほうがいいのではないかと思います。そのことが国民への啓発になるものと感じているのが1点目であります。
2点目は、具体的な項目として出産育児一時金のことが触れられていますが、5ページ目に「7%」のことが出てきています。別のグラフ資料でも出ていますけれども、この7%はどこが根拠なのかということも書いてあげないと、一般の方や報道とか、この分野に関心を持っている方が御覧になっても、いきなり7%では分かりませんので、正しくよりよく理解していただくためぜひ付記していただいたほうがいいと思います。
3点目でございますけれども、これは冒頭触れたことと関係しますが、医療費適正化ということは健康増進、健康管理が要だと思うんです。そういった意味では厚生労働大臣、あるいは総理大臣が筆頭になってこの啓発をぜひしてほしいと思っています。
ちょっと変わった表現になるかもしれませんけれども、10万円台くらいのお金を出して車検を受けているのですが、さほどのお金をかけずに自分の健康チェックはしないという人が結構いらっしゃるというふうにも聞いています。これは一つのたとえ話ですが見過ごせない事実です。
しかし、実際にそうであるならば、自分の体の疾患、小さい疾患に気づかないままに1年、2年経過してしまうといわゆる部品交換しなければいけない状況で手術になったり、あるいはそういったことでも間に合わないようなステージに進んだりして、大変不幸なことだと思っています。個人への負担も大きいし、社会的なコストもかかってしまいます。そういった意味からも、やはり健康管理することの重要性はぜひ触れるべきだと思います。
強いて言うならば、「健康は国家財政をも健全化する」。それくらいの大きな意味が今後出てくる。これまでもそのことは警鐘を鳴らされましたけれども、ますますそういったことが色濃くなってくると思います。このことは政府において厚生労働省を中心に一般への啓発を是非是非していかなければなりませんし、我々保険者もそのことを年齢に関係なく、より多くの方々に正しく知っていただく必要があると思っています。
そのためには健診、あるいは人間ドックのような検査が必要です。なかなか腰が重いとか、病院に行くのは嫌だという人はいるかもしれませんけれども、それがいかにマイナスなことなのか、さらに、調べれば、より早く分かって早期発見早期治療が可能になって、体の負担も少なく、早く罹患したものが回復できる、治癒できるということをよりよく知らせて早く促していく。そういったことをしていくことが日本健康会議でも提唱されている「健康経営」にもつながりますし、健康な地域づくりにもつながるわけですので、ぜひこのことをもっともっと表へ出していくべきではないかと感じています。
また、詳細について再度熟読させていただいて、次回にでも御意見を申し上げたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
私からも、資料3の議論の整理案について2点、意見を述べさせていただきます。
まず1点目は、4ページからの出産費用の見える化についてですが、費用はサービスにひもづくものですので、5ページにも記載いただいているとおり、繰り返しにはなりますが、出産に関してはやはり費用の見える化だけでなくサービスの見える化が重要だと考えます。特に出産に関して、最も重要なのは母子2人の命がかかっているということですので、何より安全な出産環境が整えられているかどうかという観点から必要な情報を分かりやすく提供していくことについて、ぜひとも御検討いただければと思います。
次に2点目ですが、14ページからの「医療費適正化計画の実効性の確保」についてです。これまでも医療費適正化を図るため、また、医療と介護の複合的なニーズを抱える高齢者の増加に対応するため、訪問看護をはじめとする看護職によるサービスの拡充・強化が必要ことを発言してきました。
15ページの下から4つ目のポツに関連する記述がありますが、十分に反映されていませんので、訪問看護等の看護サービスの拡充が必要なこともぜひとも追記いただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き菅野参考人よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
今回、これまでの議論を踏まえた議論の整理案が示されたところですが、「国民健康保険制度改革の推進」、資料3の17ページからになりますが、そちらについて発言をさせていただきたいと思います。
国民健康保険制度改革の推進に係る方向性につきましては、おおむね全国知事会の意見を踏まえた内容となっておりますが、改革の推進に当たっては引き続き地方公共団体と十分に御協議をいただくよう、改めてお願い申し上げます。
特に第三者行為求償事務の見直しにつきましては、都道府県に新たな負担が生じることから、各都道府県の意見を集約した上で令和4年12月6日付で国に要望書を提出し、都道府県と十分かつ丁寧な協議を行うとともに、結論が得られるまでは法改正を行わないことを強く求めたところであり、改めて要望書の趣旨を踏まえた対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
まず、先ほど猪口委員からも御指摘がありましたように、まとめのほうの16ページのところで後発品の使用促進、さらなる促進と、あとはフォーミュラリーについての言及がありますけれども、私は猪口委員と全く同じようにフォーミュラリーに関してはまだまだ効果、判定が十分できているとは認識しておりませんし、後発品の使用促進も含めて、その前に今、最も近々でしなければいけないのは安定供給をいかに早く確保するかということに尽きると思いますので、何かその文言を一言入れていただきたいなという印象を持ちました。
それから、保険者協議会のメンバーについても、医師会代表を正式メンバーという猪口委員と全く同じ考えですので、ぜひお願いしたいと思います。
あとは、全体を通じてですけれども、資料2の15ページに、出産育児一時金の全世代で支え合う仕組み導入と高齢者負担の見直しについて、最終的に後期高齢者1人当たりの影響がどうなるかという表が出ていますが、これはこの2つの項目の影響としてみていますけれども、実は高齢者というのはこれまでも窓口負担の2割増、さらには今後同時改定に向けて介護保険の方も給付と負担の割合の見直し等が行われて、例えば多床室の室料負担とか、ケアマネジメントの1割負担とか、いろんなことが議論されているとお聞きしています。
そういったこと、さらには今、御承知のとおり光熱費等、いわゆる老老世帯の生活費の負担も増えているということで、高齢者の負担は、保険料、医療保険、介護保険、さらには生活費を含めてかなりここ数年で一気に増えようとしている。はたして全体としてどれくらいの負担が増えるかということに対して、なかなか見える化ができていない状況で、これでは高齢者の不安をどんどんあおってしまう。新聞紙上でも負担増、負担増ということがありますので、もちろん現役世代と高齢者の間の負担割合も少し調整が必要ということは認識はしておりますけれども、一方で高齢者がこれだけ立て続けの負担増に対して本当に耐えられるか、特に精神的にも耐えられるのかということも考えなければいけないのではないかと思うんです。
そういう不安が増えれば、当然将来に不安を感じ貯蓄をさらに増やそうとするでしょうし、消費意欲も損なってしまうというと経済が回っていかない。そういう悪循環に陥る可能性もあると思いますので、高齢者に関しては医療保険制度だけではなくて全体の負担の増の見込みも考えつつ制度を考えなければいけないというコメントを、最後のところにでも入れていただけると高齢者も少し御理解いただけるのかなと思いましたので、意見として言わせていただきます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菊池委員よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
資料3を読ませていただきまして、今回の提案につきまして基本的に異論はございませんが、若干気になる御意見が散見されますので、意見を2点述べさせていただきます。あとは、情報提供を1点述べさせていただきます。
1つ目は6から7ページの国保における産前産後保険料負担軽減措置についてですが、平成28年の年金改正で国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除を行う際、私も議論に参加しておりましたが、免除分の財源は公費に求めるべきという議論が関係者でも強かった中で、結論的には第1号被保険者に御負担いただくという趣旨で、国民年金保険料の100円アップということで決着しました。
このことからすれば、国保料についてのみ公費を入れるというのは平仄が合わないのではないでしょうか。公費財源投入の御意見が挙げられていますが、保険料財源によるべきものと思われます。この平成28年当時の状況は、いわゆる社会保障・税一体改革の議論の延長線上にあったもので、それとの比較では現在の状況は社会保険における公費財源に対する議論のハードルがやや下がっているのではないかと危惧されるところです。
2つ目は、7ページ以下の負担能力に応じて支え合うための高齢者医療制度の見直しで、今回の御提案について異論はないのですが、さらにこの負担能力別負担の考え方を推し進めるということにつきましては全世代型社会保障構築会議の大きな柱ともなっております。
ただ、ともすると歯止めのない議論になりがちでありまして、そうではなく社会保険の仕組みの下での理論的、制度的な限界を踏まえておく必要もあるということで3点指摘させていただきます。
第1に、医療や介護といったサービス給付を主目的とする社会保険においては、年金のような金銭給付を目的とする社会保険と異なり、拠出と給付の切断が生じざるを得ません。つまり、給付は負担能力とは切り離され、医療、介護の必要性に応じた給付とならざるを得ない以上、負担能力に応じた負担の考え方をどこまでも推し進めていくということは難しいということです。給付が一定である以上、高額所得者に青天井で保険料負担を課すわけにはいかないということです。したがって、所得比例給付である年金などと比べて、かなり高額までこの保険料賦課限度額を課すことが可能であるとは思いますが、そうであっても賦課限度額には一定の限界を設けざるを得ないという点を御理解をいただきたいと思います。
第2に、負担面では所得、すなわち負担能力に応じた所得再分配効果を強く働かせることが求められると思いますが、そうであっても給付面でも同様に高所得者に抑制的な給付を行うという考え方を強力に推し進めることは適切ではありません。1950年社会保障制度審議会勧告以来、所得調査や資産調査がない定型的な給付を行う。いわば拠出の対価としての給付が行われるところに我が国の社会保険の制度的メリットが認められてきた以上、給付制限的な措置の導入は社会保険に対する中間層以上の国民の信頼感を著しく毀損することにつながりかねません。このことは、資産の勘案に際しても念頭に置く必要があります。
第3に、後期高齢者医療制度の均等割廃止という意見が見られておりますが、このことは同制度導入の趣旨を没却するものであり、理論的あるいは制度的に成り立ち難いと思います。後期高齢者医療制度は、後期高齢者一人一人を被保険者と位置づけることに一つの意義があったのではないでしょうか。被保険者は保険料の賦課対象となりますが、均等割を廃止した場合、所得割で公的年金等控除を適用した上で所得割の賦課ができない後期高齢者が一定割合発生することになるとすれば、保険料財源が約1割と少ないながらも何とか社会保険としての体裁を取った後期高齢者医療制度は事実上、瓦解する。理論的にも破綻すると言わざるを得ません。
以上のように、制度的に調整可能な部分と、理論的に困難な部分を踏まえた上で議論しないと無用に議論の混乱を起こすおそれがあり、やや大上段の議論で恐縮ではございますが、発言させていただいた次第です。
最後に1つ情報提供ですが、私が部会長を務めております社会保障審議会生活困窮者支援及び生活保護部会におきまして第24回、今週火曜日の12月6日に中間まとめ案が提示されてございます。最終的に部会長一任をいただいておりまして、これから最終的な修文作業に入ってまいりますが、その中で国保改革につきまして現時点でのまとめ案ではございますが、次のように記述されてございます。
被保護者の国民健康保険等への加入については、国民健康保険等における他の被保険者の保険料負担や保険財政に与える影響が大きいことや、これまでの福祉事務所における頻回受診対策等の取組で一定の成果が出ていること等を踏まえ、まずは被保護者健康管理支援事業の取組強化や都道府県による市町村への支援等を強化することが必要である。
一方で、都道府県のガバナンスが医療扶助にも及ぶことにつながるため、引き続き検討が必要との意見があった。
このような記述になってございます。最終案はまだ確定していませんが、情報提供ということで関連しておりますので御紹介をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私のほうからは、3点申し上げたいと思います。
まず1点目は、今回の後期高齢者医療制度の見直し、全国市長会としての考え方なのでございますが、所得が一定以上の方、例えば年金以外に所得を得ておられる、働き続けておられる方とか、自営業をお元気になさっている方々、あるいは資産運用で一定の収入がある方々、その方々に御負担をいただいていくというのはある意味やむを得ないのかなと思います。
一方で、所得が一定以下の方々に対しては十分な措置を講じていくということも必要なのかなと思います。
いずれにいたしましても、よく報道などで見ます、高齢者の方々に一律負担を増やしていっているんだとか、あるいはかなり若い人たちの分を高齢者の方々にも、このことだけを見れば御負担いただくんだということよりも、もう少し丁寧な御説明をしていただきながら、この制度を維持していくために保険全体の中で我々もしっかり議論をしてこのような方向性を出していくということをアピールしていく必要があるかと思っておりますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
2点目は、論点整理の18ページの一番下のところにありますが、普通調整交付金、これは国保ですが、それの配布の在り方でございます。自治体間の所得、自治体間の調整機能は重要であるということで、その機能を引き続き維持し、見直しを行わないことを基本姿勢として議論を深めるべきということでございます。
基本姿勢とすべきで終わっていただくのがいいのですが、「議論を深めるべき」というのがこの論点整理の一定のスタイルであれば、一定の理解をいたしますが、仮に議論がなされる場合も引き続き地方公共団体の意見を尊重するなど、地方分権の観点からぜひ普通調整交付金の制度の意味合いを踏まえた議論をお願いしたいと思います。
もとより、私ども自治体は国保の安定的な運営と実施に引き続きしっかりと努めていくということを申し上げたいと思います。
最後に、7ページでございます。菊池先生のお話はごもっともなこととして拝聴しながら、少子化対策は結構荒っぽい議論がなされることが多いものですからあえて発言させていただきますが、少子化対策を保険の世界でどう受け止めるかというのは非常にデリケートな部分があろうかと思います。
例えば、出産する被保険者に対する産前産後期間の均等割保険料、あるいは所得割保険料を免除するとした場合、これは何かというと、やはり子育て家庭の経済的負担への軽減支援策だと思いますので、本来やはり税ですべきものを保険の世界に持ち込まれているのかなとも思いますが、ただ、一方で国保はその構造上の問題があって公費で助けていただいているところがございます。したがって、何か新しいことが起こるときにこれは国費で、公費で拡充してほしいとかというお願いをどうしてもしてしまうのですが、本来は分けて考えるべきで、そもそも公費で打つのがいいのだけれども、保険の制度があるので保険の制度で受け止めてこなそうよという部分に一部公費を入れるということなのか。それとも、ほかの保険者さんとの関係がありますが、国保の構造上やむを得ない脆弱なところがあるので、それを公費で助けていこうという意味なのか。
その両方をあまり混ぜこぜにして議論してしまうと、常に国保側はいつも何か公費で助けてくれ、助けてくれと言っているというふうに受け取られてしまいますし、決してそんなことではない。我々も首長ですから、少子化対策はぜひやっていかなければいけない立場でありますし、こういうことで出産育児を支援していこうということは十分あり得る政策だと思っておりますので、そこを保険の世界でどう整理するのか。公費でどういうふうに政策を周知して出すのかということについて、より丁寧な議論が必要かと思っております。
もとより、このことをもしこのまま実施されるとすれば、財政的な影響が非常に大きいので、公費による支援をお願いしたいわけでございますが、それは構造上の問題ということよりも、ここは政策として出されるのであればという議論になってくるのではないかとも思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員お願いいたします。
○横尾委員 私は後でいいですので、ぜひ兼子委員、お先にどうぞ。
○田辺部会長 それでは、兼子委員よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
1つは出産育児一時金の問題ですけれども、どういうふうな負担がいいのかということでは、これは少子化の問題ですので保険のところに依拠する在り方がいいのかどうか、私は疑問があります。
その上で、なおかつ後期高齢者にも負担をというお話ですけれども、全世代が支えるという、そのこと自体は考え方としてあって当然かと思いますが、保険制度の中でどうなのか。先ほど菊地先生から、後期高齢者医療制度は応益負担を取ってしまえば保険制度として成り立たないというお話がございました。この後期高齢者医療制度というものがこれで12~13年になるのでしょうか。果たしてこれが保険医療制度として今後も可能なのかどうかということの判断も私は必要なのではないかと思います。後期高齢者医療制度で言えば、年金が18万以上の方は強制で保険料が徴収される、天引きされるようなものですので、私はこれは最低生活費にまで食い込んで、むしろ最低生活費で支えられていない人にまで自動天引きで保険料を負担させるというかなり過酷な制度だと思っております。
そういう意味では、こういう在り方は望ましくない。どういう形で変えていくのかというのは私もよく分かりませんけれども、少なくとも私が前から申し上げているのは、税制で言えば非課税の方々に対しては減免措置を取って、むしろ税と同じように生活費まで食い込んで保険料の徴収はしないということでないとまずいのではないかと思っております。そういった今の後期高齢者医療制度ですので、全世代が支えるという言葉の下でここにも負担を求めるということについて、私は納得できないわけです。
あとは繰り返しの意見になりますけれども、今の医療の現状、特に高齢者のところですが、医療費を抑制するということについてはかなり慎重でなければならないと思っております。やはり大事なのは早期受診で、要するに早期受診によって早期発見、早期治療ということは常に考えていかないと、窓口負担の拡大をすれば医療保険の果たす役割がむしろ失われていくと思っております。
あとは、負担の問題についてどうしていくのか。基本的に今の医療保険制度の中での手直しで本当に可能なのかどうかということを判断していく。前から申し上げていますが、どう判断していくのかはなかなか難しい問題ですけれども、税とか社会保障全体の在り方で考えていかないとまずいのではないか。特に私は前々から触れていますけれども、能力に応じた負担の在り方ということが基本だと思いますので、消費税にかなり様々な形で支えられているような在り方というのはやはり見直していかないと社会保障、あるいは国民が税を支えていくということからいけば非常に問題のある制度だと思っております。
ちょっと余計なところまで触れましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員お願いいたします。
○横尾委員 すみません、2度目の発言ということでありがとうございます。
今も幾人かの方がおっしゃったように、やはり困窮されている方々への配慮というのはとても大切かと思います。特に高齢者の方、分けても今回表現でも出ているのが、後期高齢者の皆さんへの負担が増えてきているような印象は否めない感じでの報道になっていくかなという危惧をしています。
そうしますと、将来のためを考えてせっかく議論しているものが、将来に不安ばかり高めていくようなお知らせの状況になってしまいますと、もうじきお正月になるのですけれども、年を越しながら明るい話題が出てこない。先々にもちょっと心配は募る。結果、心にもよろしくないということになってしまいますので、ここら辺は政治的な判断がどこかでされるとは思いますが、同時多発的にたくさんの負担が降りかかることがないようにしていかないと、特に心配される方が増えてしまうのではないかと思います。
制度的には変化が急激にならないような措置とか、負担を徐々に上げていくとか、あるいは細かい配慮で所得の内容によって減免していくとかあると思いますが、そういったこともしていかないと心理的に耐え切れないくらいに後期高齢者がターゲットになって、そこへの負担増という印象がどうも否めないところが出てきているということは私自身も危惧しているところです。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
次回は、本日の御意見等も踏まえつつ、調整中となっている部分も含めまして事務局より修正案を提出していただき、さらなる議論を行いたいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。それでは、散会いたします。