第159回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年12月1日(木)10:00~11:06

場所

全国都市会館 大ホール会場 千代田区平河町2-4-2

議題

医療保険制度改革について
( 報告事項 )
 第4期特定健診・特定保健指導の目標等について

議事

議事内容
○森課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第159回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認いただければと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、羽田委員、原委員、本多委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、前葉委員より途中出席されるとの御連絡をいただいております。
本日、記者の方には別室にて会場の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方、それから前葉委員が出席されるまで代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理として菅野俊彦参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、村上委員の代理として小林司参考人、本多委員の代理として井上隆参考人、前葉委員の代理として鎌田光昭参考人、以上の方々の出席につき御承認いただければと思いますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事に入ってまいります。
本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
なお、本議題にかかり、被用者保険関係団体から提出された資料がございますので紹介させていただきます。
それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
なお、議論の時間をしっかりと確保するために、事務局におかれましてはポイントに絞って簡潔に御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○田中課長 では、資料1に基づきまして、医療保険制度改革のうち被用者保険者間の格差是正及びその他の論点について御説明いたします。高齢者医療課長でございます。
2ページからが「被用者保険者間の格差是正について」でございまして、3ページの下のほうに全世代型社会保障構築会議で示された論点を記載してございます。
4ページでは、これまでの部会での各委員からの御意見を事務局のほうで主なものをまとめさせていただいております。
5ページに「見直しの方向性」を記載してございます。下の四角でございます。
・健康保険組合の運営は、自主・自立が前提である一方で、現状、保険料率に幅があり、全体として保険料率が上昇している状況。また、その中で、協会けんぽの平均保険料率(10%)を上回る組合も多く存在。
・現役世代の負担上昇の抑制とあわせて、健保組合間の保険料負担を公平にするため、被用者保険においても負担能力に応じた仕組みを強化し、前期財政調整において、被用者保険者間では現行の「加入者数に応じた調整」に加え、部分的に「報酬水準に応じた調整」を導入してはどうか。
・加えて、特に、前期高齢者の少ない小規模な保険者において、年度毎の前期高齢者納付金の変動が大きな負担となっていることを踏まえ、前期高齢者納付金の変動を抑え、財政的安定を確保する観点から、前期高齢者納付金の計算において複数年(3年)平均給付費を用いることとしてはどうか。
・これらの見直しとあわせて、現役世代の負担をできるかぎり抑制し、企業の賃上げ努力を促進する形で、既存の支援を見直すとともに更なる支援を行うこととしてはどうか。
このようにお示ししてございます。
6ページはこれまでもお示ししておりますが、健保組合の保険料率の分布についての平成23年度と令和3年度の比較の資料でございます。
7ページでございます。右側のグラフにございますとおり、小規模な健保組合など前期高齢者数が少ない保険者間では前期の1人当たり給付費額に大きなばらつきがあるという資料でございます。
8ページでございます。前のページに続きまして、小規模な健保組合では前期1人当たり給付費や前期高齢者納付金額が、この赤いほうでございますけれども、年度ごとに大きく変動している実態がございます。
9ページでございますが、「前期財政調整における報酬調整の導入について」でございます。上の四角は先ほど御説明した見直しの方向性と同内容でございますが、報酬調整導入による効果といたしまして右下にございますとおり、報酬水準の高い組合等は前期納付金が増加し、報酬水準が低い協会けんぽや組合等は前期納付金が減少することになります。
10ページでございます。報酬調整の導入によりまして、前期高齢者に係る所要保険料率のばらつきはどれくらい報酬調整を入れるかということにもよりますけれども、いずれにしても縮小するという見込みでございます。
11ページは「前期財政調整における複数年平均給付費の使用」についてでございます。前期財政調整では、給付金の計算に前期高齢者1人当たり給付費を使用してございます。このことから、小規模な保険者では毎年度の納付金の変動が大病を患った方が出られた場合などに大きくなるという課題がございますから、納付金の計算において単年度ではなく複数年、3年の平均給付費を用いることとしてはどうかと御提案してございます。
これによりまして、下のグラフの右側にございますとおり、前期納付金の変動幅は縮小するという見込みでございます。
12ページでございますが、現行の被用者保険者間の負担調整の枠組みを示してございます。現役世代の負担をできる限り抑制し、企業の賃上げ努力を促進する形で既存の支援を見直すとともに、さらなる支援を行ってまいりたいと考えてございます。
13ページに、今回の被用者保険者間の格差是正に係る「財政影響」をまとめてございます。前期高齢者の報酬調整の範囲次第で影響額は変わってまいりますけれども、今回3つの案を記載してございます。全体の費用の4分の1を報酬調整して残りの4分の3は加入者割で行う案、3分の1を報酬調整する案、半分を報酬調整する案、いずれも相対的に報酬水準が低い協会けんぽの前期納付金の額が減り、健保組合、協会組合といった相対的に報酬水準が高いところの納付金額が増加をするということになってございます。
あわせまして※2でございますけれども、協会けんぽに関しましては前期高齢者に係る納付金等につきまして国庫補助が16.4%ついてございますが、今回報酬水準に応じた調整を実施することに伴いまして導入部分に係る国庫補助を廃止するため、国費の負担減も生じることになります。この国庫補助の減も含めると、協会けんぽの保険料の影響はプラスになるということで、それぞれ数字を記載させていただいてございます。
14ページからでございます。ここからは2番、「骨太方針・改革工程表におけるその他の検討事項について」でございます。
15ページに3項目記載してございます。
1番目、「現役並み所得の判断基準の見直し」についてでございます。
後期高齢者の窓口負担は、現役並み所得を有する方は3割とされてございます。現役並み所得の判断基準につきましては、改革工程表等におきまして現役との均衡の観点から見直しを検討することとされてございます。
この点につきましては、次の理由から引き続き検討することとしてはどうかと考えてございます。
1つ目の矢印マークでございますが、窓口負担の2割負担の導入が本年10月に施行されたところでございますので、その施行の状況等を注視する必要があること。
2つ目の矢印マークですが、現役並み所得者への医療給付費については公費負担がございませんので、判断基準や基準額の見直しに伴い、現役世代の負担が増加することにも留意する必要があるということでございます。
次に2番目の論点、「負担への金融資産・所得の反映の在り方」についでございます。
現在、医療保険制度における負担につきましては、市町村民税の課税所得等に応じて決定してございますが、能力に応じた負担を求める観点から、これに加えて金融資産を勘案するということの検討が求められてございます。
これにつきましては、例えば以下の課題ということでございまして、1つ目の矢印マークは預貯金口座への付番につきましては後ろに資料をおつけしておりますけれども、新たな預貯金口座付番制度についての法律も制定されてございまして、政府としては進められておる状況でございますが、現状全ての預貯金口座に付番はなされておりません。また、負債を把握することも困難な状況にございます。
2つ目の矢印マークでございますが、このため、仮に介護保険の補足給付、これも下に(※)で記載してございますが、介護保険におきましては低所得者向けに福祉的な給付としての「補足給付」というものがございますが、資産要件を設けておりまして、各保険者120万人の方を対象に自己申告ベースで通帳の写しを確認する等により預貯金の状況を把握してございます。
医療保険制度におきまして、これと同様に資産要件を勘案することとした場合には、保険者等に相応の事務負担を要するということになります。
3つ目の矢印マークでございます。これに加えまして、現在の介護保険の補足給付は低所得者向けに食費、居住費を福祉的に給付する仕組みであることを踏まえまして、医療保険において金融資産等の保有状況を反映することの理屈をどのように整理するのかという課題もございます。
次に、2つ目のポツでございます。後ろのほうに国会の議事録もおつけしてございますが、令和3年の前回の医療保険制度改革法の審議におきまして、株や債券などの譲渡、配当、利子所得において、源泉徴収で課税関係を終了させ、確定申告を行わないものについては、市町村民税の課税所得等に勘案されないことにつきまして、確定申告を行った場合には課税所得等に勘案されることと比べて不公平との指摘がございました。公平性の観点から重要な指摘である一方で、どのようにこうした金融所得の情報を把握するかなどの課題があると考えてございます。
3つ目のポツでございますけれども、こうした課題や金融所得に対する税制の在り方等も踏えつつ、この論点につきましては引き続き検討することとしてはどうかと考えてございます。
次に3番目の論点、「広域連合による事務処理が行われている後期高齢者医療制度の在り方の検討」についてでございます。
1つ目のポツでございますが、骨太方針におきましては「中長期的課題として、現在広域連合による事務処理が行われている後期高齢者医療制度の在り方(略)の検討を深める」こととされております。また、財政制度等審議会では医療費適正化計画の策定や地域医療構想の推進等の医療提供体制の整備の主体と財政運営の責任主体が切り離され、ガバナンスが相対的に曖昧との指摘がございました。
2点目でございますが、他方で現在都道府県単位の保険料水準統一に取り組んでいる国民健康保険とは違いまして、後期高齢者医療制度におきましては広域連合が都道府県単位で保険料を設定いたしまして、都道府県内で保険料水準が既に統一をされてございます。また、広域連合におかれましては本年10月からの窓口負担割合の見直しに当たりましても、配慮措置を含め、円滑な施行に取り組んでいただいているという状況でございますので、こうした事務処理を着実に進め、安定的な事務運営を達成することが必要と考えてございます。
3点目でございます。この論点につきましては、こうした状況を踏まえつつ、地方公共団体の意見を十分に踏まえながら、引き続き中長期的な課題として検討を深めていくこととしてはどうかと考えてございます。
以降のページで参考資料をおつけしておりますが、説明は省略させていただきます。
私からの御説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、まず藤井委員よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
本日、被用者保険関係5団体の意見書が配布されておりますが、商工会議所としても、現在の社会保障制度の抱える課題としまして、世代間における給付と負担のアンバランスの是正、または現役世代の負担増加の抑制が急務と主張してきたところでございますので、よろしくお願いいたします。
負担という点に関してさらに申し上げますと、事業者にとりまして、社会保険料は、仕組み上、ある意味、税金以上に負担が重いということに関しまして、多くの中小企業から、その負担軽減についての要望が多いということを改めて強く訴えたいと思います。
そうしたことを踏まえまして、かねてより申し上げておりますとおり、高齢者であっても、一定以上の所得がある場合の医療費の窓口の負担割合については、年齢ではなく受益度合に応じた応能負担ということを改革の基本とし、一律3割に引き上げるなどの方向性を打ち出していただきたいと考えます。
なお、ソフトランディングを図る観点から、2024年度の診療報酬改定を起点として段階的に引き上げるといった進め方が適切だと考えます。スケジュールを勘案しますと、5団体意見書の1に記載した改革に加えまして、利用者負担割合の引上げについての議論に、できる限り早く着手するのが適当かと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
ただいま藤井委員からも話がございましたけれども、本日被用者保険関係5団体でもって意見書を部会長宛てに出させていただいております。この内容につきまして、若干説明をさせていただきます。
今回の改革自体は基本的に給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障を見直すということが出発点であり最大の目的は、現役世代の負担軽減の実現にあると思っております。
そういった中で、まず今回意見書で述べています1点目の「現役世代の負担軽減に係る施策の確実な実現」ということにおいては、現在議論されておりますところの「後期高齢者の保険料賦課限度額の引き上げ」、または「高齢者支援金の負担割合の見直し」、さらには「後期高齢者医療制度も含めた出産育児一時金の負担の仕組みの導入」、ここについては低所得への配慮はもちろん必要でございますけれども、確実に実施をいただきたいと思っております。
また、本日のテーマになっておりますところの「被用者保険者間の格差是正を通じた保険者基盤強化の実現」も大変重要だと思っております。被用者保険者間の格差是正を行う場合、企業、労働組合との連携を含め、保険者機能の発揮を阻害しないようにするとともに、各保険者における財政等への影響を勘案することが要諦であると思っております。
また、これによって削減された公費財源については現役世代の負担軽減に全額充てるべきであると思っております。
また、全世代型社会保障構築会議で示されました「賃上げ努力を促進する形」での支援の見直しにつきましては、被用者保険者の負担の軽減や保険者の解散抑止、こういった既存の必要な支援の充実・強化をまず検討すべきであると思っております。
以上が5団体としての意見でございますけれども、これも踏まえまして健保連としての意見を申し上げたいと思います。
まず被用者保険者間の格差是正方策等についてでございますけれども、これまで今回の改革による財政影響を含めた全体像を示してほしいと何度も申し上げてまいりました。本日の資料において全てではないのですけれども、この被用者保険者間の格差是正に係る財政影響を示していただいたということについては感謝をしたいと思いますが、やはりまだ出産育児一時金に関する財政影響など、提示されていない部分もございますので、そこについては早急にお示しをいただきたいと思っております。
また、さきほど申し上げましたが、今回の改革の最大目的は現役世代の負担軽減にあると考えており、この被用者保険者間での格差是正はあくまでも現役世代内における見直しでございますので、現役世代の負担軽減を前提とする調整ですべきであると思っております。
そうした中で、前回高齢者負担率の見直しに伴う我々健保組合の負担減少額は290億円と示されております。今回、この被用者保険者間の格差是正に伴う健保組合の負担は、最も影響の少ない4分の1報酬調整でも450億円、3分の1ですと600億円の増加ですので、高齢者負担率の見直しに伴う負担額の減と比べ、1.5倍から2倍負担が増えることになります。仮に報酬調整部分の割合を引き上げればさらに負担増が膨らむという内容であって、今回の改革の趣旨に合わないことは明白であろうと思っております。
しかも、資料に記載があり、先ほど事務局からも御説明がございましたが、公費負担のほうは4分の1の報酬調整でも970億円の減、3分の1ですと1290億円の減と、公費が大きく減少する内容になっています。
こういった数字を拝見しますと、被用者保険者間での格差是正を何のために行うのか、全く理解できません。
さらに申し上げるならば、今回の改革の目的は何なのか、改めて考えざるを得ないと考えております。意見書でも申し上げましたけれども、改革によって減少した公費財源については改革の趣旨を踏まえ、公費の肩代わりとなることがないように、必ず全額を現役世代への負担軽減に充てていただきたいと思っております。
仮に報酬調整を行うとしても、報酬調整部分の割合を極力小さくするのは当然として、健保組合に対する支援策の充実強化をしていただきまして、少なくとも全体として健保組合の負担減少につながる内容であるということを明確にしていただかないと、健保組合、事業主、加入者の納得は決して得られないと考えております。
さらに2点、個別のコメントをさせていただきます。
資料の5ページの中で(被用者保険者間の格差是正の方策)の3つ目のポツにございますけれども、前期高齢者納付金の変動を抑えるために複数年平均給付費を用いるということについては、これまで我々もずっと主張してきたことでございますので、今回方向性等を示していただいたことについては感謝申し上げます。ここに記載されていますとおり、特に小規模保険者において前期納付金の変動が大きな負担になっておりますので、この点はぜひとも実行いただきたいと思っております。
同じく4つ目のポツにございます企業の賃上げ努力を促進するということについては、物価上昇の続く中で国の施策として賃上げを促進するということについては賛成でございます。
ただ、健保組合を通じてこの支援をすることについては、やはり違和感がございますので、これ自体、国が進める施策として有効であるのかどうか、慎重な検討が必要と考えます。
仮に進めるとしても、健保連としては今回の世代間、世代内の負担の見直しに伴って、健保組合に必要とされる支援、補助金とは切り離して別財源で対応いただきたいと考えております。
それから、大きな2点目の「骨太方針・改革工程表におけるその他の検討事項について」、2点コメントを申し上げます。
まず1点目は、現役並み所得の判断基準の見直しでございます。資料にも記載がございますが、現役並み所得の後期高齢者に係る医療給付については公費負担が行われておりません。その分、現役世代においては4000億円を超える過重な負担となっております。まずはそこの見直しについて引き続き検討をお願いしたいと思いますし、その上でこの現役並み所得の判断基準を見直すことには賛成でございます。
それから、2つ目の金融資産・所得の反映の在り方でございますけれども、高齢者の方は現役世代に比べますと収入は平均的に低い一方で、金融資産は多く所有されております。こういった状況を踏まえて、現役並み以外の自己負担割合の区分や高額療養費の負担区分の判定の際に金融資産を勘案することは、今回の改革目的であるところの“給付は高齢者中心、負担は現役世代中心”から、“負担能力に応じた公平に支え合う仕組み”、この見直しに資するものというふうに考えております。正確な捕捉のためにもマイナンバーカードの普及、活用を含めて金融資産の勘案に関する具体的な制度設計の検討を進めるべきだと考えております。
長くなりましたが、私からのコメントは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上隆参考人よろしくお願いいたします。
○井上(隆)参考人 ありがとうございます。経団連の井上でございます。2点申し上げたいと思います。
1点目は今、佐野委員から御説明がありましたけれども、5団体の意見書には経団連としても名を連ねておりますので、一部重複がありますが、意見を申し上げます。
今回の改革の主目的というのは現役世代の負担上昇の抑制であり、資料の5ページに2回出てきますけれども、まさにここにあるというふうに考えております。
したがいまして、今回の制度改革全体を通して現役世代の負担軽減がどれだけ実現できるのかということが重要だと考えております。これは単に事業者の負担ということだけではなくて、今後の経済を再生していく上で、現役世代の負担を軽減させて分厚い中間層を形成させていくということが非常に日本経済にとって重要であるし、経済が回らなければ社会保障の持続可能性も担保できないという観点から重要な課題だと考えております。
一方で、先ほどもありましたけれども、13ページの「財政影響」というものを見ますと、健保組合、共済、国民健保、皆さんの保険料負担が増えるということで、協会けんぽのほうは減少しているということになってはいますけれども、注のほうまで見ますと、国費が減って結局保険料が増えるという結果になってしまっていますので、最初に申し上げましたように、制度改革全体で現役世代の負担軽減にはつながっていないということになっております。したがって、改革の目的と、今回のこの手段の結果というのが伴っていないのではないかと考えております。
したがいまして、仮に報酬調整を行う場合でも、これも最小限にとどめるしかないと思いますし、国費が削減された分につきましてはその全額を現役世代の負担軽減に資するような支援に回すべきだと考えております。
2点目は、金融資産の把握についてでございます。これも目的は能力に応じた負担を求めるというところにあるわけですから、金融資産の把握というのは非常に難しいということは我々も重々承知でございますけれども、今後の社会保障制度を続けていくためには能力に応じた負担を求めていくということが重要になります。これを実現しないと社会保障制度の基盤が崩れてしまうという危機感を持って、決して医療分野だけで金融資産の把握というのができるとは思いませんけれども、政府内では、もう少し社会保障の必要性という議論を高めていただいて、マイナンバーを通じてそれぞれの負担者の経済力の正確な把握を行うという基盤整備を早急に進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
私ども協会けんぽも今回の5団体の中に名を連ねておりますので、今回の意見書について意見を述べさせていただきます。
医療保険制度改革につきましては、当協会を含めた被用者保険関係5団体の意見として先ほど申し上げました医療保険制度改革に向けた被用者保険関係5団体の意見を提出させていただいております。
本意見にもありますとおり、現役世代の保険料負担は限界に達しておりまして、現役世代が納得してこれからも医療保険制度を支え続けていくためには、世代間の給付と負担の在り方を可能な限り公平に見直すことをはじめ、引き続き本部会において制度の見直しに向けた検討を進めていくことが重要であるというふうに考えております。
その意味では、今回の改革によって減少する公費財源につきましては全額現役世代の負担軽減に充てるべきであると考えております。12月に入りまして取りまとめに向けた議論が加速していくこととなりますが、本意見に掲げました内容を踏まえ、より一層議論を深めていけるよう、事務局におきましては部会の運営に当たって御配慮いただくようにお願いいたします。
また、資料1の被用者保険間の格差是正に関しまして、前期高齢者に係る財政調整において報酬水準に応じた調整を導入するとのことでございますが、協会けんぽに対する国庫補助は前期高齢者に係る財政調整の部分についてのみ減額されるという理解でよろしいのか、確認させていただきたいと思います。
また、骨太の方針改革工程表についてですが、佐野委員の意見にもありますように、負担能力に応じた公平に支え合う仕組みを実現するためには、できるだけ早期に金融資産についても勘案した具体的な制度設計の検討が必要であると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点確認事項がございましたので、よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
今回の協会けんぽにおきます国庫補助の減額部分ついてのご確認との御指摘でございますけれども、13ページの注2のところに書かせていただいておりますが、報酬調整の導入に伴う部分について減額するということですので今回どこの部分を報酬調整の対象にするということは今後の御議論かと思いますけれども、対象になる部分の国庫補助が減額されるということでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 安藤委員、よろしゅうございますか。
○安藤委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、小林参考人よろしくお願いいたします。
○小林参考人 ありがとうございます。本日、村上の代理で出席しております連合の小林です。
佐野委員から御説明いただきました私たち被用者保険5団体の意見につきましては、ぜひお受け止めいただけますよう強くお願いいたします。
その上で、大きく2点申し述べます。
5ページ目の「見直しの方向性」に書かれてあります前期高齢者財政調整を、加入者数に応じた調整から報酬水準に応じた調整にするという考え方について、まず申し述べます。
10月28日の本部会で村上が発言したとおり、高齢者医療に対する拠出金の増加によって、社会保険でありながら給付と負担の対応関係が不明確になりつつあります。加えて、被用者保険においては支援金・納付金の負担が重くのしかかるために、積極的な保険者機能の発揮が困難になってきています。
保険者の努力によって解決できないリスク構造の平準化を図ること自体は必要と考えますが、報酬水準に応じた保険料を払い、給付はフラットである中で、もともと加入者割であった後期高齢者支援金が総報酬割となり、そこへ今回提案されているのは報酬水準に応じたさらなる財政調整を行おうという考え方でありますので、給付と負担の関係を一層ゆがめることになります。
このようなことで今後も保険者集団間の公平性、納得性を確保していくことが果たしてできるのか、これからますます重要になってくる保険者機能の発揮をさらに困難にするものではないのか。その観点は決して欠かすことができませんし、各保険者及び労使の理解が必要不可欠であることは当然のことと考えますので、前期高齢者財政調整に報酬水準に応じた調整を導入することについては極めて慎重に検討を行うべきと考えます。
また、その上で資料の5ページに、「企業の賃上げ努力を促進する形で、更なる支援を行う」と書かれており、それから12ページの被用者保険者に係る調整の枠組みの箇所でも同様な記載があります。賃上げしてもさらに保険料負担がのしかかるという声を私ども聞いております。もちろん賃上げを促進すること自体を否定するものではありませんが、賃上げ税制に対する評価も様々ある中で、この枠組みで支援を行うことには疑問が残りますので、丁寧な検討が必要と考えます。
2点目ですが、「負担への金融資産所得の反映の在り方」については、資産及び負債の把握など、検討課題が多々あります。将来にわたり公平な医療アクセスを確保していくことが重要でありますので、これに大きな影響を及ぼしかねないよう十分慎重に検討していくべきと考えます。
以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員がたしかお手を挙げていらしたと思うので、袖井委員よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私は後期高齢者ですので、いつも後期高齢者医療制度が現役に非常に負担を強いているというようなお話が出てきてとても肩身の狭い思いをしているのですが、最近の論調を見ていると、世代間の対立をあおるような傾向があってとてもおかしいと思います。
現役並みの所得の人についてですが、公費負担が入っていないということも知らなかったので、後期高齢者が増えることによって現役の負担が増えてくるというのは非常に心苦しくて、ある程度の負担はしなければいけないとかねがね思ってはおります。ただ、いつも言われる現役並みということが非常に曖昧だと思うんです。何が現役並みかということとか、それから地域によって生活費もかなり違うわけですね。だから、一律で言えるのかとか、あるいは負担を増やすことによって受診控えが起こって、かえって高齢者の生活を圧迫するのではないかというおそれもあると思います。
私がこの部会に入ってつくづく感じたのは、後期高齢者医療制度というのは何かパッチワーク的にちょこちょこ直しているという感じです。たしかできて15年くらいになりますか、できた当時、かなりどたばたでつくられたと思うんです。十分議論が尽くされていないような、何か見切り発車みたいな形でできたのではないかという感じがしております。
ですから、この際後期高齢者医療制度とは何かとか検証して、過去15年間ですか、それをちゃんと見直していく必要があるのではないか。こういうふうにパッチワーク的にちょこちょこ負担を増やしたり、そういうことでこのままいけるのかどうかということをすごく危惧しております。
日本の人口構成を考えると、後期高齢者はこれからどんどん増えていって、生産年齢人口が減っていくわけです。そして、日本経済もそれほどよくなるという見通しもないことを考えると、やはり現役並み以上の人のところにも公費を入れる必要がある。なぜそこに公費が入っていないのかということはとても疑問に感じておりますので、この際、後期高齢者医療制度自体を見直すということを提案したいと思います。
金融資産の問題ですが、これはすごく把握が難しいですね。やはりプラスとマイナスがあって負債もあるので、それをどう把握するかというのはすごく難しい。現在金融資産について確定申告を出していらっしゃる方はほとんどいないと思うんです。多分出すのはマイナスになるときだけではないか。確定申告で出すと通算になってしまいますから、プラスになると税金が増えてしまうので、恐らく確定申告を出す方はマイナスになったときだけ出すのではないかと思います。
私もマイナスになったとき出そうかと思ったのですが、物すごく難しい。書類がとても書けないです。税理士さんに頼めばいいのかもしれませんけれども、税理士さんに頼むほどの額でもないのでやめてしまったのですが、金融資産からも取るということを考えるのでしたら、その手続とか、そういうのをもっと簡略化することが必要です。それから税と社会保障の関係ですが、両者のバランスをどう考えどういう方法を取ったらいいのか、今後の検討課題として取り上げるようお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅野参考人よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
私からは、医療保険制度改革のうち後期高齢者医療制度の在り方の検討について意見を述べさせていただきます。
後期高齢者医療制度については、平成20年度の制度発足の際に議論と検討が重ねられた結果、都道府県内の全市町村が責任を持って運営に参画できるよう広域連合という形が選択され、現在に至っているものと理解をしております。そして、現実に制度として定着をし、高齢者の保健福祉の増進に効果を上げていると考えております。
都道府県への移管を検討する動きがございますが、拙速な議論は地方や国民を混乱させ、ひいては社会保障制度の信頼を損なうこととなるため、極めて慎重な議論を行うよう強く求めます。よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、鎌田参考人よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。全国市長会の前葉に代わりまして出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
広域連合による事務処理が行われている後期高齢者医療制度の在り方について知事会代表者の方から先ほど発言もございましたけれども、改めて市長会のほうとしても発言させていただきたいと思います。
後期高齢者医療制度は平成20年度に広域連合の仕組みにおいて施行され、十数年経過をしようとしております。制度としても定着してきたところであろうと思っております。このような状況の中で、広域連合による運営につきましてガバナンスが相対的に曖昧であるというふうに指摘している意見がございますけれども、広域連合と市町村が相互に協力あるいは連携しながら、高齢者の保険事業と介護予防の一体的な実施や医療費の適正化に向けまして効率的、効果的に事務処理を行っている中で、保険者を変更するというのはまさに拙速な議論であるとともに、被保険者にとりましても大きな混乱をもたらすということにもつながろうと思います。
そのような観点からも、引き続き広域連合の仕組みの中でしっかりと運営を行っていくべきであると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
まず5ページの見直しの方向性についてですが、各保険者の皆さんもおっしゃったように、被用者間の格差是正の方策としてはある程度総論的にはこの保険料率に幅があることを格差是正すること、それから前期財政調整において報酬水準への調整を行う。あとは、その計算は複数年で行うということについては総論としては私も方向性は間違っていないのではないかと思います。
そしてまた、その中で13ページにありましたように、その財政影響はどうかということで、これに国庫補助の負担軽減も入っているということになると、それはそれで、ではそれも一つの目的だということをちゃんとうたっておかないと、先ほどの保険者側がやはり全額財政調整のほうに回すべきではないかという意見にもつながるかと思いますので、その辺はきちんと正確にそういう目的あるということをうたわなければいけないのではないかと思っています。
一方で、15ページの今後の検討事項についてですけれども、先ほど袖井委員もおっしゃったように現役世代の負担軽減が大きな目的であることは分かりますが、この部会で私は前回もお話ししましたけれども、現役世代と高齢者世代が二極化しているわけではなくて、連続性があることをもう一度認識すべきではないかと思います。現役世代はどんどん負担を軽減して、それを高齢者世代に少しシフトしていけば、当然現役世代の方々が次に高齢者になったときにその負担を重く感じるわけですので、その結果として老後の不安を感じ、そして逆に購買意欲もなくし、預貯金をためるというふうな姿勢になれば、経済を回すという観点からも少し違った方向に動いてしまう可能性がある。そういう大きな視点も必要ではないかということを感じています。
その点でいえば、15ページに関しては現役並み所得の判断基準をさらにこの時点で見直したり、金融資産まで、ある意味では懐の中まで全部調べてそこを合わせるとか、そういうことを一気にこの時点で行う。ただでさえ賦課金限度額を引き上げたり、出産一時金の負担を全世代にしたり、あるいは窓口負担増と、そうでなくてもここ最近は立て続けに高齢者世代に対する負担増の施策が打ち続けられているわけですから、ここにさらに追い討ちをかけるようにこういったところを一気に進めるということはかなりやはり難しいのではないか。あまりにも拙速過ぎるのではないかという印象を持っています。
そしてまた、広域連合についての云々というのがありますけれども、これはいろんな事務処理が小さい、中小のところでは難しいので広域連合で広域的にやろうということなので、これも慎重な対応が必要ではないか。
いずれにしても、10年、20年かけて、どうやって現役世代の負担軽減と高齢者に対するさらなる重い負担感をなくすかという点を配慮しながら、少し長いスパンでのタイムスケジュールを示しながら少しずつやっていくことが必要ではないかということを感じましたので、意見として言わせていただきます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 よろしくお願いいたします。
いろいろ慎重な検討をいただいたことがよく分かりました。
1つ目は、「見直しの方向性」が5ページ目に書かれており、いろいろな検討がされていると思いました。可能でありますならば、最後のところにあります「既存の支援を見直し、さらなる支援」というところは別添資料で少し口頭説明があったのですけれども、文章化できるものは文章化して、報道の方とか一般の方も見られたら、「そういう方向にいくんだな」と分かるようにしてあげることのほうが、より親切だと思います。ぜひそういう工夫ができればありがたいと思うところです。
それに関連して12ページは、これが現行のもので、この赤枠を強化するということなのか、先ほどのところと併せてもし何かありましたら教えてください。
そして、全体に関して2つ目の項目の骨太方針・改革工程表ですけれども、大きく3点、柱の話がありました。
現役並み所得について、ほかの委員の方がおっしゃったように公費負担が効かないとかについて出ていましたけれども、やはり意外だなというか、公費負担が少ないために現役世代の負担がかえって増加することもあるということに留意する必要があるとありました。この辺も慎重に引き続き検討をぜひするべきだろうと思います。
2点目の大きな柱として、金融資産、所得の反映、1つは把握の問題がありますけれども、私はこの説明と資料を見て思ったのは、デジタルガバナンスを政府は目指しているのですが、付番されているはずのものが必ずしも全部付番されていないということがこれで明らかになったと感じました。もともと番号制度としてのマイナンバー制度導入は、税制と災害・防災と社会保障制度、そしてその他というふうな形でスタートしているのです。ここのところは入り口でもあるので、可能だったら全部付番してやっていかないと正確な把握はできないのではないかと思った次第です。
もちろん個人的な希望とか、承諾しかねるとか、いろいろな意見はあると思うのですけれども、国として制度をどのように捉えて設計をし、その先々でどのようなあるべき姿の行政のためのフレームワークとするのかということを大いに議論して固めていく必要はあります。けれども、こういったところがひとつまだまだ未整備なんだなということが分かったような印象を持っています。
3点目には、広域連合についてのことが書かれていて、記述としてはちょっと私ども理解し難いというところがあるのは、「ガバナンスが相対的に曖昧」という指摘があることでございます。そもそもほかの委員もおっしゃったように、この広域連合については確か一晩か二晩で方向性が変わって決着した討議で実は制度が設計されて、法律ができてスタートしているという経緯があるのですね。だから、バタバタとした感は否めないと思います。
そういった中、混乱も避けながら大いに努力をして事務的な対応を広域連合は行っていますし、市町村を核としてスタッフも出してやっているわけです。
法律の中にも、たしか都道府県は主体的に関わるということが書かれていたと思います。実は、そのところが曖昧なままきているという印象は否めません。広域連合の運営には必ずしも県が十分に関わって、やっているわけではありませんので、そこはもともと曖昧といえば曖昧なところがあります。
しかし、ガバナンスの実態としては、全国の後期高齢者医療広域連合はこの十数年にわたって混乱を避けながら、新しい課題に立ち向かいながらやっていますし、広域連合の全国の協議会としても厚生労働省保険局並びに関係の副大臣等に直接要望もさせていただいています。これは、大臣宛ての文章内容でございますけれども、よりよい制度になるように、またよりよい事務的な作業が、より効率的、効果的に進むようにということも熟慮して提言をし、それも一つ一つ対応していただきながら進捗をしてきていますので、この辺はもう少し深く理解してほしいと思います。
この背景には骨太方針ということがありますので、おそらく財務省なり、ほかの財務関係機関から、「もうちょっと経費節減したほうがいい」という見方や意見もあり、その一つの方法として「都道府県単位の運営となってきている国保のやり方があるのではないか」という意見もあるかと思います。そうではあっても、実際の現実や実態をよく理解していただいた対応が重要ではないかと思います。
国保に関しては都道府県と市町村の協力で進める段階に入っていきましたけれども、保険料率の統合化や保険に関する詳細なところの調整についても約10年の暫定期間が設けられている状況です。歴史的に見てみれば都道府県は、実は国民健康保険についてはごく最近参加をされている形になっていますので、具体的な給付の実態の中身とか、一つ一つのケースに関する分析を十分に経験されているわけでは必ずしもありません。それらについては、市町村の実態を聞きながら運営をされているところです。まさに全体として運営していこうとなっていまして、今はまさにちょうど過渡期であると言えます。そういったこともぜひ財務省なりに伝えていただいて、よりよい運営をしながら安心できる制度としてやっていくことができるようにしていく必要があります。
最終的には最後に書いてあるように継続的に検討をということになるかもしれませんけれども、立ち上げのときは現状においてもそういった認識のずれがありますので、正確な実態を把握いただいて、または関係機関で共有いただいて、適格な対応を検討していただくことが大切だと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
12ページの赤枠に関して何か補足がありましたら、事務局のほうからお願いいたします。
○田中課長 高齢者医療課長でございます。
12ページの赤枠でございますけれども、このページは現行の被用者保険者に係る調整の枠組みということで、この赤枠で囲っていない部分は、1つ目が後期高齢者の支援金の総報酬割で、2つ目が今回御議論いただいております前期高齢者の財政調整でございまして、それ以外の部分ということで、被用者保険者に対して直接支援をするという枠組みの既存のメニューを書かせていただいております。それで、この部分について支援の見直しと、さらなる支援というものを行いたいということで、枠で囲わせていただいている次第でございます。
以上です。
○横尾委員 確認です。ということは、さらに拡大した支援を行うという認識でいいのですか。
○田中課長 検討中でございますけれども、基本的には御認識のとおりでございます。
○横尾委員 では、これからその辺を詰めていかれるということですね。分かりました。○田辺部会長 そのほか、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見もないようでございますので、本議題についてはこれまでとさせていただきたいと思います。
最後に、事務局のほうから別途報告事項があるということでございますので、説明のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。資料2、「第4期特定健診・特定保健指導の目標及び40歳未満の事業主健診情報の活用促進について」に沿って御説明申し上げます。
2ページを御覧いただけますでしょうか。「第4期の特定健診・特定保健指導の目標」ということでございます。
現在は2018年度から2023年度まで、第3期の計画期間中でございますが、特定健診実施率70%以上、特定保健指導実施率45%以上という目標で取組を進めてございます。
2020年度の実績でございますが、この下の表のグレーで書いてあるところでございまして、特定健診の実施率は53.4%、特定保健指導の実施率が23.0%となってございます。
なお、表の上の※印のところに書いてございますが、これらの数字は本年6月に公表させていただきましたが、一部のデータ、具体的には65歳の動機付け支援対象者が除外されていたということが判明をいたしましたので、データの再集計を行ってございます。この結果、特定保健指導実施率、6月の時点で22.7%と公表してございましたが、0.3%ポイント増えて23.0%となってございます。
なお、後期高齢者支援金の加算・減算、あるいは保険者努力支援制度等の保険者インセンティブにつきましては、この再集計後の数値を使用して取組を進めさせていただきます。
その上で、2024年度からの第4期の目標値でございますが、こうした現時点の到達状況に鑑みまして、第3期の目標を維持する形で特定健診実施率70%以上、特定保健指導実施率45%以上としてはどうかと考えてございます。
3ページにお進みいただきまして、第4期における保険者種別ごとの目標値の案でございます。第3期と同様の考え方に沿って設定してはどうかというものでございまして、上の段で特定健診実施率、全体で70%以上という実施率を保険者全体で達成するため、足下が53.4%でございますので、全体として1.31倍という形で実施率を引き上げることが必要になります。
その上で保険者種別ごとに見たときに、実績が高い保険者には計算上の上限値を、実施率の低い保険者にはその分を振り分ける形、下の表で申しますとプラスアルファと書いているところでございますが、そうした形で目標値を設定してはどうかということでございます。そうした形にいたしますと、第3期と変更になりますのは、協会けんぽにつきまして70%以上という目標値を設定してはどうかということでございます。
下の段が、特定保健指導実施率でございます。こちらも同様の考え方でございまして、第3期に比べまして単一健保につきまして60%以上、共済組合につきまして60%以上、こうした目標値の変更を行ってはどうかということでございます。
4ページには今、申し上げました第3期と第4期の目標値を比較する形で掲載をさせていただいてございます。
続きまして5ページ以降でございますが、「40歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりの推進」ということでございます。
6ページを御覧いただきまして1つ目の○でございますが、本年1月から法改正によりまして、40歳未満の事業主健診情報を事業者から保険者へ提供する、そうした仕組みが法制度上施行されてございます。また、2023年度中からマイナポータルでこうした事業主健診情報を確認可能とする方向性が示されているわけでございます。
今回、新しく検討会を設置いたしまして、右下に書いてございますような関係する方々にお集まりをいただきまして、2つ目の○でございますが、労働者・被保険者が自身の健診情報を踏まえてセルフケアをしやすくする。そして、事業者と保険者が連携して、年齢を問わず、労働者・被保険者の予防・健康づくりなどを推進できるようにしていく。そのために、この40歳未満の事業主健診情報の活用に関する課題、関係者が取り組む事項、システム整備、こうしたことについて整理を行っていただいたものでございます。
7ページに概要として整理をしてございます。
①と書いてございますが、「関係者における認識の共有」ということで、コラボヘルスの推進、あるいはTHP指針の改正を通じた事業場における労働者の健康保持推進、あるいは保険者の側におきましてもデータヘルス計画においてこうしたことを明示する。そうしたことを通じて、関係者で認識を共有していくということ。
それから、②でございます「事業者・保険者間で円滑な情報共有」するためにということでございまして、1つ目の矢印マークのところでございますが、事業主健診情報の円滑な情報共有のために電子化を推進していくという方向性。
それから、2つ目はコラボヘルス推進等のための支援、また3つ目は事業者と健診実施機関との契約、こうしたもののひな形等の活用推進等を通じて取組を進めていくということ。
そして、②の中の最後のところでございます「事業主健診情報の提供・取得に係る費用」、これは実態として様々なことが明らかとなりましたので、一律に定めるのではなく、関係者で必要な取決めを行っていただく。そうした方向性をお示しいただいたところでございます。
③は、40歳未満の事業主健診情報を活用した効果的な保健事業の推進ということでございます。
8ページ、9ページに40歳未満の事業主健診情報の活用事例を幾つか整理をして御紹介してございますが、こうしたものの周知をして横展開していく。そして、まだまだこうした事例の蓄積が十分でないところもございます。モデル事業等を通じまして、さらにそうしたものを積み上げて横展開をしていく。そうしたことを検討していくということでございます。
そして、最後に④でございますが、「マイナポータルにおいて確認できるシステムの整備等」ということでございます。現在、特定健診情報につきましてはマイナポータルで御本人が御確認いただくことができるようになってございます。40歳未満の事業主健診情報につきましても、既存の特定健診等情報と合わせて一体としてシステムの運用管理、保守等を行うことを通じて、効率的な業務運営、コストの適正化につながるようにすることとしてはどうかということでございます。
2つ目のところでございますが、こうした運営費の負担でございます。特定健診等情報につきましては保険者に御負担をいただいてシステムが運営されてございます。また、今、申し上げたとおり、40歳未満の事業主健診情報につきましては既存の特定健診等情報と合わせて一体としてシステムの運用管理・保守等を行うということでございます。そうしたことを踏まえながら、運営費の負担を検討していく。そうした方向性でお取りまとめをいただいてございます。
8ページ、9ページは今、申し上げたとおり、活用事例の例でございます。
10ページには、冒頭に申し上げました法改正の概要を整理した資料をおつけしてございます。
簡単でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、報告事項ではございますけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、まず藤井委員よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料2の6ページで、事業者、保険者間での情報共有やデータ活用を起点としました保健事業の推進、マイナポータルで自身の健診データを閲覧できる仕組みの構築に向け、関係者が連携して取組を進めていくといったような記載がございます。これに関しましては、やはりセルフメディケーションの実践や、そのために必要なヘルスリテラシーの向上、後押しするものとしてぜひ強力に推進していただきたいと思います。
また、一方では、根強い情報セキュリティーへの不安を取り除かないと前に進まないのではないかということを大変危惧しております。セキュリティーに関する誤解の払拭はもちろんのこと、真の意味での必要性とメリットを積極的に広報していただきまして、国民の理解促進に向けた取組を一層強化していただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。本件について2点コメントしたいと思います。
まず1点目は、保険者別の特定保健指導実施率の目標値に関してでございますが、仮に目標値を引き上げることにしても、第4期の加算・減算制度においてはこの特定保健指導の実施率目標値を活用しない仕組みということを前提としてお願いしたいと思います。
それから2点目は、大きな2つ目のポツの40歳未満のほうの関係でございますけれども、この40歳未満の事業主健診システム運用費用については、ただいま御説明がありました資料の7ページの一番下の④で「運営費の負担を検討」と書いておりますが、従来オンライン資格確認システムの運用費用を負担しております我々保険者から見ますと、保険者に負担を求めることにしているように思われます。
このシステムの改修費用等については当然、国の負担でお願いをしたいと思いますし、また、その後の運用費用についてもシステムが安定稼働するまでの間は国の負担でお願いをしたいと思います。
また、当然でございますけれども、これまでの特定健診情報システムの運用効率化を図ることによって、実質的な負担増がないような形での運用をぜひお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料につきまして、全ての世代が互いに支え合う全世代型社会保障の実現のためにも生涯を通じた健康づくりが重要であるというふうに考えております。例えば、肥満については幼い頃からの生活習慣や20代、30代の食生活や運動も大きな要素であり、40代になって初めて特定保健指導を受けてもなかなか改善に結びつかないこともあります。
また、メンタルヘルスにつきましても前回の医療保険部会で申し上げましたとおり、その方が現役世代のうちに適切に対処することにより、高齢者になってからもメンタルの不調に苦しむことがないようにすることができると考えております。
それぞれの年代のそれぞれの課題に対して母子保健、学校保健、産業保健、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険といった主体がどのように対応し、連携をしていくのか。それぞれの役割分担を整理し、トータルビジョンを描くのが、持続可能な全世代型社会保障を構築していく上で必要不可欠であると考えております。厚生労働省におかれましては、今後の健康づくりを考える上で、ぜひそうした太極図を描いて検討を進めていただきますようよろしくお願いいたします。
また、第4期特定健診・特定保健指導の目標につきまして、我々保険者はこれまで保健指導の実施率の向上に向けて種々努力を重ねてまいりましたが、第4期からは特定保健指導へのアウトカム評価の導入によりまして、実施率の向上に加え、行動変容を確実に促すことができる、すなわち結果を出せる保健指導の実施という保健指導の質の向上にさらに取り組んでいく必要がございます。
国におかれましても好事例の収集であるとか、それを踏まえた研修の実施などに積極的に取り組んでいただき、保健師、管理栄養士に限らず、保険者の職員の質の向上に向けた環境の整備を図っていただきたいと考えております。
また、先ほど佐野委員のほうからも御指摘がございましたが、資料2の7ページの④に「運営費の負担を検討」していくということがございますが、これにつきましては今後医療保険部会で検討していくことになると認識しており、今後の検討のスケジュール感について事務局のほうから御提示いただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点、スケジュールに関する御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
佐野委員、安藤委員から、40歳未満の事業主健診情報をマイナポータルで確認できる仕組みの費用について御指摘を頂戴してございます。
まず、現在国会で御審議いただいております令和4年度の補正予算案におきまして、令和3年度の補正予算に引き続きまして、こうしたシステム改修に必要な経費というのを盛り込んでいるほか、本格稼働までの所要の運営費についてもこの中に計上してございます。したがって、新たな負担が発生するということについては令和6年度からということが想定をされるわけでございます。
オンライン資格確認等システムについては、今、保険者に御負担をいただいて運営をしていただいているところでございます。こうした運営費の負担につきまして、一般的には前年度の8月頃にこの実施機関、支払機関と国保中央会の運営委員会において運営負担金の決算というものがまず行われます。それを踏まえまして、11月頃、運営委員会において負担金の仮単価というものを決定し、各保険者に御了解をいただいた上で、国のほうから実施機関に対してそれを踏まえた予算の編成をお願いするといった一連の流れになっているわけでございます。
令和6年度から新たに負担が発生するこの40歳未満の事業主健診情報について、では運営費の負担がどうなるのか。そうしたことにつきましては、まずはシステム改修等をしっかりと進めた上で、そうした進捗等も踏まえながら来年度の早い段階で御提示できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 安藤委員、よろしゅうございますか。
○安藤委員 はい、ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、猪口委員よろしくお願いいたします。
○猪口委員 40歳未満の事業主健診情報の活用について、ちょっと質問をさせてください。
これが行われる場合のいわゆる共有される情報については、現在の特定健診の情報と同じものを使うのか。さらに、保健指導も同じように行われるのか。それを教えていただきたいのと、もしそうであるとすると40歳未満でも本当に特定健診と同じような項目で行うことが効果は実態としてあるようなデータがあるかどうか。これを教えていただけますでしょうか。
○田辺部会長 よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
高齢者医療確保法に基づきます特定健診と、それから労働安全衛生法に基づきます事業主健診、これは趣旨としては異なるところもございますが、実際に健診として取っている項目には大分重なりがございます。
ただ、一方で事業主健診だけで取っている項目というのもございます。今回、事業主健診の情報をマイナポータルで御確認をいただけるようにするということにつきましては、特定健診情報を御確認いただく、このスキームを使うことで効率化しながら仕組みを構築していくこととしておりますので、マイナポータルで御確認いただける情報というのは、この事業主健診情報のうち特定健診情報と重なっている項目につきまして御確認いただけるようにする。そういうことを想定しているものでございます。
それから、実際にこうした事業主健診情報を保健指導にどう活用できるかということでございます。先ほども私のほうから資料の説明の中で申し上げましたが、40歳未満の事業主健診情報をどのように活用していくかということにつきましては、一定程度事例の集積はございますが、一方でまだこれから事例を集積しながら取り組んでいくべき要素もあろうかと存じます。
先ほどの資料2で、例えば8ページにおきまして活用事例ということでお示しをしてございますが、そこの左のほうで書いてあるところでは40歳未満の被保険者の方を対象にしまして、一定程度、40歳以上であれば特定健診の対象となるような方々に対して特定保健指導における動機付け支援のようなものをした場合に、実際にそうした対象者につきまして一定の改善が見られた。こうしたような取組の事例もございます。
ただ、まだまだエビデンスとしてそうしたものが不十分な要素もあろうかと存じます。我々としてこうした事例の横展開を図るだけでなく、モデル事業等で実績を積み上げながら、こうしたことについて、より具体的な活用のイメージというものを持っていただけるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 猪口委員、よろしゅうございますでしょうか。
○猪口委員 はい。このようなことをする以上は、その効果についてやはりエビデンスというものをちゃんと求めるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 では、渡邊委員よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。私からは、特定健診情報の活用の促進について意見を申し上げたいと思います。
特定健診の実施率の向上に関しては、薬局から全体に対して受診の促進という部分を啓発してきたところなのですが、現在オンライン資格確認の基盤において特定健診情報が確認できるようになっています。これは結果を服薬指導等に生かすだけにとどまらず、薬局において特定健診の受診の有無自体を確認できますので、今後はより一層、受診の促進に関する啓発というものをピンポイントに行うことに活用していけるとも思っています。
もちろん、このためにマイナンバーカードの普及とともに診察、調剤のときに用いるということの国民の理解を十分に得ていくことが必要だと思いますけれども、ICTの利活用により保険者とも連携して、個別に特定健診の受診を促していくということが可能になっているということも視野に入れておく必要があるかと思っております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
1ページ目に目標、2ページ目に現状が書かれています。特定健診保健指導のことです。例えば私ども多久市ではこのことについても頑張っておりまして、受診率は令和3年で60.1%、指導率が75.3%になっています。これは、コロナでちょっと減った傾向があったためです。ピークのときは平成30年で63.5%の受診率と、指導率は77.6%までいきました。だから、「頑張ればできる」「やればできる」というふうに私は思っております。国保の場合は各自治体が主体でございますが、またほかの保険者に関しましてもお互いに頑張ってやっていかなければいけないと思っています。
なぜそうかと申しますと、明治維新、幕末期の平均寿命が50歳いくか、いかないかだと思うのですが、今はもう人生100年時代と言われていますので、自分の体を100年使わなければいけないとなってきています。となりますと、新陳代謝で細胞は入れ替わったりしていますが、やはりそれに見合うだけの自己管理がとても大切だと言えます。
そういった意味では、後半の部分と関係しますが、40歳未満に関することが書かれていますけれども、PHRをどう考えるかということがとても大事になっていくと思います。PHR、すなわちパーソナル・ヘルス・リポートですね。健康に関する記録を取って、そのことでよくよくみんなが自身の健康管理をしていく、また生涯を貫くためにそういったPHRデータによって必要な医療をアクセスするときにもそういったものを生かしていくということを将来的にどうビジョンを持つかということ、あるいはそのことをどう考えるかということになりますので、目の前のことだけではなくて、ぜひ厚生労働省におかれましては先々のそういったこともビジョンに入れながら検討いただくのがとても有効だと改めて思っているところです。
特定健診や特定保健指導の効果の証左になるかどうかはともかくも、保健師等からの情報によりますと、子供たちでも実は肥満の率が徐々に上がってきているというのをいろいろな自治体でも聞いています。ということは、健康に関するデータをもし詳細に取ればそこで異常値が出ると思うのです。そういった状況もあるのでやはりPHR、個人個人の健康記録をどう使うか、そのために必要な健診、そして保健指導をどうしていくかということは全世代的にも必要ですよということをぜひ国でも啓発をいただいて、よりよい健康管理が皆でできるようにお願いしたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。1点コメントを申し上げます。
40歳未満の事業主健診情報の活用を通じた予防・健康づくりについてですが、予防・健康づくりのために存在する健診情報を上手に活用するのは大変よいことだと思います。
ただ、申し上げるまでもなく、予防・健康づくりの主体というのはやはり本人にあると思いまして、個人の予防・健康づくりを下支えするということがこういった制度をつくる目的であると思いますので、40歳未満という若い人々の個々人の生活や選択を尊重しつつ、必要としている人の予防・健康づくりを事業者、保険者等が支える。こういう形で制度の基盤をつくるという方向性が望ましいのではないかと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。特定健診・保健指導の目標値について、1つだけコメントをさせていただきたいと思っております。
資料2の2ページですけれども、こちらのほうを拝見いたしますと、第1期の目標値と、結局第4期までの目標値が基本的には揃うという形になっております。見ていただくと分かりますように、2020年度の実績を見ましても、ほぼ10年前に達成されているべき目標値に特定保健指導実施率などについてはまだ半分にも達していないという状況かと思います。
これから先、第4期にこの目標を維持するということに関しましては私も賛成でありますけれども、これまでの経過を考えますと、意欲的過ぎる目標値だったのかなというふうに思いますし、ある意味ではこの実効性を上げていく方策というものが具体化されていないと、なかなかこれから先、急カーブでこの目標値を達成していくというのは、過去の経過からすると難しいとも思っております。
そういった点では、先ほど横尾委員の方から大変心強い御発言がありましたけれども、実際にそれを達成し得た自治体、あるいは保険者団体があり得るということがありますので、達成している保険者、自治体がどの程度、今あるのか。そして、その達成するための方策といいますか、ベストプラクティスといったものを幅広く情報発信していただいて、みんなが共有できるようにしていくというのは非常に大事なことかと思います。
いずれにしましても、高い目標を掲げることは私も大賛成でありますけれども、これまでうまくいかなかったその要因については真摯な反省といいますか、究明というのが必要だと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がなければ本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
本日は、御多忙の折、御参加いただき、大変ありがとうございました。それでは、散会いたします。