薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第2回安全技術調査会議事録

日時

令和4年8月23日(火)14:00~16:00

開催形式

Web会議

出席者

 

出席委員:(11名)五十音順、敬称略




日本血液製剤機構:敬称略
     
  • 上田 定男
  • 村井 活史
  • 浦山 健



日本製薬株式会社:敬称略
     
  • 洪 苑起



KMバイオロジクス株式会社:敬称略
     
  • 中島 輝久
  • 渕上 貴司



CSLベーリング株式会社:敬称略
     
  • 大西 亮



株式会社オーファンパシフィック:敬称略
     
  • 川嶋 裕幸
  • 池田 守



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子
  • 国吉 紀和
   


事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 仲島 昌司     (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾     (血液対策課長補佐)
  • 太田 一実   (主査)

 

議題

  1. 1.新たに承認された新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限について
  2. 2.新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限の見直しについて
  3. 3.サル痘に係る安全対策について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 
 
○佐野血液対策課長補佐 それでは、「血液事業部会令和4年度第2回安全技術調査会」のWeb会議を開催します。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いします。
本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
本日のWeb会議における委員の出席についてですが、委員11名全員に御出席いただいていることを報告いたします。また、本日は、参考人として、日本血液製剤機構より上田定男参与信頼性保証本部品質保証部長、村井活史信頼性保証本部安全管理部安全管理課長、浦山健研究開発本部中央研究所感染性病原体研究室長、日本製薬株式会社より、洪苑起成田工場品質部部長、KMバイオロジクス株式会社より、中島輝久信頼性保証本部品質保証統括部部長、渕上貴司生産本部生産技術部技術管理課課長、CSLベーリング株式会社より、大西亮品質保証部長、株式会社オーファンパシフィックより、川嶋裕幸生産本部技術情報部部長、池田守信頼性保証本部本部長に御出席いただいております。
また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博中央血液研究所所長、後藤直子技術部次長、国吉紀和経営企画部事業戦略室参事に御出席いただいております。
 続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
また、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、天野委員、岡崎委員、岡田委員から、関連企業より一定額の寄附金・契約金などの受取の報告をいただきましたので、御報告いたします。議題1、2に関しては、岡崎委員、岡田委員については、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員については、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。議題3に関しては、天野委員、岡崎委員、岡田委員については、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員については、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。これらの申告については、ホームページで公開させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上にマル1議事次第からマル26参考資料3-9までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
なお、参考資料3-4から3-9については、企業の知的財産保護の観点等から、非公表ページ又は非公表である旨の印がある情報を、会議中御発言されないようよろしくお願い申し上げます。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、自身のお名前と発言したい旨を御発言いただくよう、よろしくお願いいたします。その後、座長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員におかれてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は座長からお願いをする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。
まもなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を濵口座長にお願いいたします。
○濵口座長 皆さん、こんにちは。これまでの御説明に関して、御意見がありますでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。議題1「新たに承認された新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限について」、事務局より資料について説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。資料1をお手元に御用意ください。新型コロナワクチンに対する対応について、これまでの経緯ということで、まず資料1の1項目にまとめさせていただいております。資料1の1ページに書かれておりますのは、これまでの経緯となっておりますので、私からの説明は割愛させていただきます。
2ページの上段の1つ目の○です。今般、本邦において、新たな種類のワクチンである武田社製の組換えタンパク質ワクチン及びヤンセンファーマ社製のウイルスベクターワクチンが新型コロナウイルスワクチンとして承認されました。それを踏まえて、厚生労働科学研究班(「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」(代表 大隈和先生 関西医科大学医学部微生物学講座教授)、以下「大隈班」という)において、改めて知見の収集・整理を行うともに、当該ワクチンの採血制限等について対応方針を定めることとしたいと考えております。
 続いて、2項目、大隈班の見解について御説明させていただきます。大隈班においては、令和4年7月22日に研究班会議を開催いたしました。その結果、以下の理由から、武田社製の組換えタンパク質ワクチン(商品名ヌバキソビッド筋注)については不活化ワクチンと同様の採血制限期間に、ヤンセンファーマ社製のウイルスベクターワクチン(商品名ジェコビデン筋注)については、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチンと同様の採血制限期間にそろえることが適切であるとの意見が取りまとめられております。
 まず、ヌバキソビッド筋注についてですが、こちらは2ページの下のほうを御覧ください。1つ目の矢じりとしまして、大隈班の見解としましては、組換えタンパク質ワクチンの有効成分を考慮しますと、採血制限を設定する上では、一般的に不活化ワクチンと同様のワクチンと考えられること。2つ目の矢じりですが、組換えタンパク質ワクチンは、帯状疱疹ワクチン等で既に使用されており、ヒトへの投与経験が豊富であること。3つ目の矢じりですが、「令和4年4月11日付け審査報告書 ヌバキソビッド筋注」等の資料から、ヌバキソビッド筋注投与後に認められた全身性の副反応は、初回接種、2回目接種(mRNAワクチンとの交互接種含む)のそれぞれにおいて、多くはGrade 2以下で、かつ、持続期間が筋肉痛を除いて1日以内であったこととなっております。
 3ページですが、「なお、日本赤十字社においては既承認の組換えタンパク質ワクチンの採血制限期間について、B型肝炎のワクチンを除き、不活化ワクチンと同様の取扱いとしていた」とのことです。
 以上の議論から、不活化ワクチンと同様に、採血制限の期間を「接種後24時間」とすることで問題がない旨の意見が取りまとめられております。
 続いて、ジェコビデン筋注についてですが、1つ目の矢じりを御覧ください。本剤接種後にTTS/VITTを発症した症例の多くは、接種後3週間以内に発現しており、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン(商品名バキスゼブリア筋注)と大きく変わらないこと。2つ目の矢じりとしましては、上記に加えて、バキスゼブリア筋注と比較して安全性に明らかな差は認めていないこととなっております。
 以上の議論から、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチンと同様に、採血制限の期間を「接種後6週間」とすることで問題ない旨の意見が取りまとめられております。
 なお、今後、新たなワクチンが承認等された場合には、既に採血制限期間が定められたワクチン分類(不活化ワクチン、RNAワクチン等)のものについては、特段の懸念事項がない場合には、基本的に当該ワクチン分類の採血制限期間を適用することも一案であるとの意見も出ております。
 3項目、以上の大隈班会議の議論を踏まえた対応方針としまして、以上の議論を踏まえ、安全技術調査会として、以下の採血制限案について御審議いただきたいと我々事務局としては考えております。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○濵口座長 ありがとうございました。では、本件に関して、研究班で行われた議論内容について、大隈委員より説明をお願いします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。よろしくお願いします。新型コロナウイルスワクチンの新しく承認されたワクチンの接種後の採血制限期間について、本研究班で検討させていただきました。研究班の見解としては、今、御説明があったとおりですが、研究班において、関連する予防接種ワクチン分科会の資料、PMDAの審議結果報告書、論文の報告、海外の当局の規制を参考にさせていただき検討しました。
 その結果、組換えタンパク質ワクチンについては不活化ワクチンと同様の採血制限期間、当該ウイルスベクターワクチンについてはアストラゼネカのウイルスベクターワクチンと同様の採血制限期間とすることでよいという意見が出ましたので、それを取りまとめて提言させていただいたところです。これについては以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。
○佐野血液対策課長補佐 本件に関して、研究班の中で日本赤十字社より説明いただいた内容について、日本赤十字社よりお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤直子技術部次長 日本赤十字社の後藤から、新型コロナウイルスワクチン接種後の献血受入案について御説明いたします。大隈班のときに使用した参考資料1-2と資料2については同じものなので、どちらかをめくり、2ページ目を御覧ください。ファイザーのmRNAタイプの新型コロナワクチンが2021年2月に国内で承認され、まず医療関係者や高齢者を対象に、16歳以上の国民へ接種が開始されました。このワクチンを接種した人の献血受入れについては、同年4月の安全技術調査会で検討され、不活化ワクチンと同じと考えられるものの、献血者保護の観点から、接種後24時間ではなく48時間の献血延期となりました。その後、モデルナのmRNA、アストラゼネカのウイルスベクターワクチンも承認され、大規模接種や職域接種なども開始されました。ウイルスベクターワクチンについては、まれに血栓症の副反応が認められ、副反応があった方の血液には抗血小板抗体が認められ受血者に影響する可能性が否定できなかったので、こちらは6週間の献血延期と決定されました。今年に入り、武田の組換えタンパクワクチンとヤンセンファーマのウイルスベクターワクチンが承認され、先ほど検討されたところです。
 3ページ目です。こちらが国の通知に基づく現在の献血時の問診の基準となります。ワクチン接種後の献血延期期間は、従来からの分類である不活化ワクチンと弱毒生ワクチン等に加え、黄色で示したとおり、新型コロナワクチンのRNAワクチンやウイルスベクターワクチンの別の分類となり、それぞれ採血制限の期間が設定されている状況です。
 4ページ目です。こちらは米国のワクチン接種後の献血延期期間を示したものです。FDAが承認したDonor History Questionnaire、日本で言うところの問診項目においては、Q8で過去8週間のワクチン接種歴を聞くこととなっています。ワクチンごとの詳細な基準については、このDHQには示されていませんが、各施設のSOPに従い判断することとされています。こちらの図には、アメリカ赤十字の基準を示しました。原則として、ワクチン中に生きている病原体を含む場合は4週間、2週間といった延期の期間が決められていますが、生ワクチンでない場合は、延期期間はありません。下のほうにあるQ9についてはサル痘に関連する第1世代の痘そうの生ワクチンについてですが、こちらについては接種者との接触を含め、FDAのガイダンスに基づいて詳細に決められております。
 5ページ目です。こちらはヨーロッパのワクチン接種後の献血延期期間を示したものです。こちらも米国と同様で、弱毒化病原体の生ワクチンについては4週間、それ以外については狂犬病ばく露後のワクチン接種を除き、原則として献血延期期間というのは決められておりません。
 6ページ目です。これまでの新型コロナワクチンの対応や国民への知識の浸透を踏まえ、今後承認される新型コロナワクチン等に係る献血延期対応の変更案についてお示ししました。まず、ワクチン接種後の献血受入規準については、令和2年の国の問診通知により、不活化ワクチンは接種後24時間の延期、生ワクチンは接種後4週間の延期の2分類を基本として分類されてきました。最初に承認された新型コロナのmRNAワクチンは不活化ワクチンになるのですが、この問診通知に従うと接種後24時間の献血延期が適用されますが、新型コロナワクチンは国民一斉接種かつ新型ワクチンであることから、献血者確保と献血者保護の面から、献血延期期間が慎重に検討されました。安全技術調査会において、ワクチン接種後の副反応の発現頻度が高いため、接種後48時間の献血延期とされ問診通知が改正され、新型コロナワクチンの延期期間が追加されたということになっております。令和4年現在、既に国民、つまり献血者のほとんどが新型コロナワクチンの接種履歴があり、ワクチン接種後の副反応についての理解が十分深まっています。また、新しいタイプのワクチンについても、国内及び諸外国において知見が得られている状況です。新型コロナワクチン接種者の献血受入れについては、今後承認されるワクチンを含め不活化ワクチンと生ワクチンの2分類を基本とし、新型コロナ以外のワクチンと同様に、この2分類に従い進めることとしたいと考えています。なお、今後日本で承認される新型コロナワクチン、また、海外で、日本で未承認の新型コロナワクチンを接種した後の献血延期期間についても、原則として新型コロナ以外のワクチンと同様に対応することとしますが、対象ワクチンの特性、例えばウイルスベクターワクチンのように血液の安全性に影響する可能性がある場合等については、献血延期期間を別に設定することとし、必要であれば審議会等で御協議いただきたいと考えております。
 7ページ目です。ワクチン接種後の献血延期期間の案について表にまとめました。新型コロナワクチンについては、mRNAや組換えタンパクワクチンについては不活化ワクチンに分類することとし、献血延期は接種後24時間とすること。また、ウイルスベクターワクチンについては6週間の献血延期とすることを案として示しました。なお、ワクチンの副反応が認められる方については、延期期間を過ぎていても症状が改善するまで献血は御遠慮いただくよう問診等により対応することについては、ワクチンの種類によらず、引き続き対応いたします。日赤からの説明は以上となります。
○佐野血液対策課長補佐 御説明ありがとうございました。すみません。ちょっと1点確認なのですが、もう議題2まで御説明が終えられたと思うのですが、我々としては議題1と議題2を分けて議論をしたいと思っておりまして、どうされますか、議題2のほうでも資料の御説明をされますか。それとも、もう一気に議題の審議に入らせていただいてよろしいでしょうか、それぞれ分けてということで。
○日本赤十字社血液事業本部後藤直子技術部次長 どちらでも構いません。後ほど、もう一度後半の部分の説明をしても構いませんが。
○濵口座長 ありがとうございます。それでは、少し議題の内容が盛りだくさんになってしまいましたので、取りあえず、はじめに新しいワクチンについての制限期間というのを皆さんと議論させていただきたいと思います。先ほど、厚生労働省から説明があった資料に、制限期間というのが大隈班から出されていたかと思います。24時間と6週間という形だったと思いますが、まず、ここについての議論を始めたいと思いますので、組換えタンパク質ワクチン24時間、ウイルスベクターワクチン6週間とする採血制限について、皆さんの御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。御意見はよろしいですか、大隈班の見解に御同意ということでよろしいですか。特にないようでしたら、大隈班から出された案に従った形で、安全技術調査会もこれを承認するということで進めたいと思います。御異議はありませんか。
                                  (異議なし)
○濵口座長 ありがとうございました。ちなみに、今後ワクチンが新しく承認された際に、当該ワクチンが既に採血制限が定められた種類のものである場合には、接種者の採血制限について、原則、同じ種類のワクチンの採血制限とそろえることとする案も大隈班から出されておりますが、皆さん、これも御同意ということでよろしいでしょうか。
○長村委員 すみません。東大医科研の長村です。これは、先ほど日赤のほうからは、不活化ワクチンにmRNAワクチンも全部入れるという、これとはまた違いますよね。ちょっとそこの確認です。厚労省から出された資料の組換えタンパク質ワクチン接種後24時間と、ウイルスベクターワクチン接種後6週間ということに関しては特に異議はありませんが、この組換えタンパク質ワクチンの中に全部含めてしまうのかどうかというのは、ちょっと違うのかなと。
○佐野血液対策課長補佐 先生、すみません。そちらについては議題2で御議論いただきたいと思っておりますので、もう少しお待ちください。
○長村委員 はい。
○濵口座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
○内田委員 内田ですがよろしいでしょうか。今回のウイルスベクターワクチンということで、アデノウイルスベクターワクチンに関しては、もちろんこれでいいと思うのですが、ウイルスベクターの種類にもよると思います。今、開発されているものや承認されたものはアデノウイルスベクターですので問題はないと思いますが、ウイルスベクターワクチンという言い方で、全てのウイルスベクターワクチンを一括りにするのはどうかと思います。この場合、生ワクチンに近い印象があるのですが、今回のアデノウイルスベクターワクチンに関しては、TTS/VITTの懸念があるということで6週間とされておりますが、それがまた別の種類だと、そういうことが起こるのかどうかは分からないと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。そうしますと、内田先生、これからもし、新型コロナワクチンに関して新しいタイプのものが出てきた場合も、しばらくの間は、やはり個別に採血制限を検討していくほうがよいという御意見ということでよろしいですか。
○内田委員 ウイルスベクターワクチンに関しては、新型コロナでアデノ以外のものがあるのかちょっと存じませんが、そのほかの、それは次の議題かもしれないのですが、ウイルスの種類、ベクターの種類もいろいろと違うものの開発もあると思いますので、今回の新型コロナのアデノウイルスベクターワクチンに関しては、この接種後6週間でいいと思うのですが、他の場合は別途検討が必要ということです。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、今の内容については、議題2の所で改めて少し議論をさせていただきたいと思います。ほかに、大隈班から御提案の案で何か御異議がある方、御意見がある方はいらっしゃいますか、よろしいですか。それでは、大隈班の案について、これを安全技術調査会としては承認するという形にしたいと思います。ありがとうございました。それでは、今回の見解を踏まえて、事務局においては通知の発出等の対応をお願いいたします。
 次に議題2、「新型コロナウイルスのワクチン接種者の採血制限の見直しについて」に移りたいと思います。事務局より説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。RNAワクチン接種者の採血制限については、令和3年度第1回安全技術調査会において、血液製剤の安全性、献血者の安全確保及び血液製剤の安定供給等を総合的に勘案し、接種後48時間と決定したところです。先ほど、赤十字社様にも御説明いただいたのですが、結局、日本赤十字社様としては、こちらのほうを不活化ワクチンと並べたいという形で見直しを行いたいという提案がありましたので、こちらについて、もう説明は済んでおりますので、そちらのほうは割愛させていただきたいと思います。濵口先生、よろしくお願いいたします。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見や御質問がありましたらよろしくお願いいたします。長村先生、どうぞ。
○長村委員 長村です。先ほど、厚労省の説明の前に日赤からの説明があったので、ちょっと混乱しました。失礼いたしました。やはりmRNAワクチンと不活化ワクチンを同様に整理するのは、ちょっと厳しいのではないかなというように思います。というのは、やはり副作用が全く違うということと、これまで濵口先生中心に、濵口班で副作用について議論をして、皆さんで吟味して、それで48時間というように決めましたので、何となくというようなことではなくて、今、3回、4回とワクチンを皆打っていますが、毎回副作用が出る人もいますし、突然出た人もいます。今まで出なかったから出ないというようにも、どうもならないみたいですので、やはり今までの議論を尊重した形で、この資料1のmRNAは48時間でいいかなと思います。ウイルスベクターワクチンが6週間ということで、組換えタンパク質ワクチンは24時間というような形がやはり安全ではないかなというように思います。
○濵口座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。朝比奈先生、お願いします。
○朝比奈委員 朝比奈でございます。今回、その対応を変えたいといったところの意図と言いますか、理由が、ちょっとはっきりしないように感じました。本来、この期間を定めたというのは、献血者の安全性を目的として定め、しかも、その副作用の科学的なデータに基づいて決めたものというように理解しています。その観点から、変えるという、何か、その変えてもいいというような科学的なデータがあるのであればそれで妥当かと思うのですが、それが十分でないような気がいたします。
国民のほとんどが1回あるいは2回の接種をしたといっても、2回目、3回目あるいは4回目でも同様の副作用が出ているような状況ですし、更にmRNA同士の交互接種ということも行われているような状況で、かえって3回目、4回目の副作用が異なった形で強く出ているというようなことも経験しておりますので、私も長村先生と同様、今回、対応を変えるといったことに、ほかに何か理由があって、科学的根拠があるのであれば、検討の要はあると思うのですが、現状では、本来の目的からするとどうかなというようなところです。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、日本赤十字社のほうから24時間に変えたいという根拠というか、御説明があればお願いしたいと思います。
○日本赤十字社血液事業本部後藤直子技術部次長 もともと副作用のある方については、献血は御遠慮いただくということを問診の所でしっかりお願いするというのが、どのワクチンであっても同じことでありますので、この新型コロナのワクチンで副反応が出ている方については、そういう方に献血をお願いするわけではなくて、ワクチンを打っても何も副反応がなくて元気な方については、24時間たてば献血をしてもいいというように変更していただくのはどうかという御提案になります。ですので、ちょっとでも具合が悪い方については48時間待っていただくか、具合が悪いのが治るまで献血を御遠慮いただくという方針については、今までと全く変わるものではありません。ただ、副反応について、国民全体に、こういう副反応が出るということは浸透してきているかと思いますので、副反応がなかったという判断もできるのではないかと考えたというところです。
○濵口座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。天野先生、お願いします。
○天野委員 言っていることは分かるのですが、その48時間を24時間にすることで、献血者の確保というのは、そんなに変わるのですかね。レジスタードドナーで決められたドナーの人がちょうど打ってた24時間、48時間以内だったから採れなかったので残念でしたみたいなことがあったり、全体としての献血者の確保が48時間になるとかなり少なくなってしまうから、それだとなかなか難しいのでといったような社会的なものがあるのであれば、また考えてもいいかと思うのですが、その辺りはどうなのでしょう。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹正博中央血液研究所所長 日赤の佐竹です。そのようなところは特にございません。提供的には先ほど後藤からも説明があったように、実質として、24としても接種者の人からは採血しないのは以前と変わりませんので、そういう意味では、考え方としてmRNAワクチンを不活化ワクチンと同様に考えるという意味では全然ありません。そういう意味ではなくて、期限の切り方を24時間というものと4週間というものに2つに基本的に分けておいて、後で24時間の中で少し副作用の整理をするものについては一人一人に対応すると。そうすると、これからも整理するのにどちらを基本とするかということで整理しやすくなるのではないかと。その辺のところから出たアイディアです。ですので、48時間というのは全く秩序が乱されてはおりません。
○濵口座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○天野委員 献血者の確保自体として、別に24と48で大きく差が出てくるということではないと。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹正博中央血液研究所所長 そういう要素は全くありません。
○天野委員 分かりました。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。長村先生、どうぞ。
○長村委員 前回これを決めたときに、やはり、48時間までの発熱のピークが、48時間とかというものが多かったので期間を決めたというように記憶しております。ちょっと細かいところは間違っているかもしれませんが、少なくとも48時間はいろいろ出ますねということだったと思うのですね。逆に、副作用がない人なら採ってもいいというのなら、24時間も48時間もいらないということになるのではないかというようにも思います。ただ、日本国民全員が経験しているのは、これはインフルエンザワクチンとかとは全然違う反応だぞというのは、もう分かりきっている、分かっているような状況で、それでも一緒ですと言えるかというと、ちょっとそれは無理があるかなというように思います。献血者数が確保できないとか、どうしても48時間以内に採らないといけない人たちが実はいるとか、そういう理由がないのであれば、採血制限というのは、アフェレーシスとか血小板の採血も含まれると思いますので、余り無理をしないような形で採れたほうが安全なのではないかなというように思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方、御意見がありましたらお願いいたします。近年、コロナワクチンのmRNAワクチンで起こってくる副反応についての解析や論文も増えてきつつあるような状況かなと思います。一応これまでのいろいろな状況から見ると、現状において48を24に短くする必要性というか、今ここであるかというと、ちょっとまだそこは強く感じないかなというように思っているところですが、いかがでしょうか、皆さん、ほかに御意見はありませんか。今、伺った限りにおいては、48時間のままにしておくという御意見のほうが強かったように思うのですが。岡崎先生、お願いします。
○岡崎委員 やはり、このRNAワクチンは新しいものですし、今後また、多分オミクロン対応とかというようなものも出てくることを考えると、このまま少し待ったほうが安全かなというようには思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。ほかは、いかがでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。先ほど日本赤十字社からの報告で、24時間でも48時間でも献血者の確保には余り影響がないという報告がありましたので、それを考えると、もはや24時間に短縮する意味もないのかなと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございます。いかがでしょうか、今、伺った限りでは24時間にすべしという御意見は委員の先生方からうかがえないところかなと思うのですが、そういうところでよろしいですか。
 それでは、安全技術調査会としては、このmRNAワクチンの採血制限については現行から変更せずに、48時間のままでお願いしたいということにしたいと思います。よろしいですか、お願いします。
○日本赤十字社血液事業本部佐竹正博中央血液研究所所長 日本赤十字社です。委員会のただいまの結論のとおりに施行したいと思います。
○濵口座長 よろしくお願いします。そうしますと、今後、新たにワクチンが出てきた場合の取扱いということになった場合に、仕分けとしてはmRNAワクチン、組換えDNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、先ほど内田先生から御指摘のあったベクターの種類によっても少し異なってくるのではないかと。新型コロナワクチンにおいては、少しバラエティーに富むような方向になるかと思うのですが、ここはどういうようにしましょうか。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。御意見ありがとうございます。今のお話を聞いておりまして、内田先生から頂いた御意見としては、このウイルスベクターワクチン、ベクター自体がアデノウイルスに限定されたものではなくて、また、副作用も変わってくるのではないかというところの御意見だったというように私としては捉えました。現状において、日本で承認されているウイルスベクターワクチンは、アデノウイルスベクターワクチンだけとなっているので、今後、新たな種類が出てきたものについては、再度検討させていただいて、もし違う分類が可能であるという形になりましたら、また違う分類としてこちらの安全技術調査会のほうで御議論いただくという形でいかがでしょうか。
○濵口座長 ありがとうございます。内田先生、いかがでしょうか。
○内田委員 私は、それで結構です。一口にウイルスベクターワクチンといっても、やはりいろいろと種類があると思いますので、その場合はまた個別に対応ということになると思います。よろしくお願いします。
○濵口座長 ほかは、先生方いかがでしょうか。今の点を御留意いただいた上で既存のものと、これから出てくるものについては少し分類をしながら、場合によっては、もうこれまでの議論を踏襲する形にし、必要に応じて新たなものとして検討を加えるものも出てくるという流れでよろしいですか。
○佐野血液対策課長補佐 事務局としては、そのように考えております。
○濵口座長 皆さん、よろしいですか。先ほどの文言の部分についてはそういう形でまとめたいというように思いますので、事務局のほうでよろしくお願いいたします。
 それでは、議題3「サル痘に係る安全対策について」に移ります。事務局より説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。重ねてのお願いとなり、大変恐れ入りますが、参考資料3-4から3-9については、企業の知的財産保護の観点等から、非公表ページ又は非公表である旨の印がある情報については、会議中、御発言されないよう、よろしくお願い申し上げます。参考資料について特段のコメント等がありましたら、後日、事務局まで御一報ください。
 それでは、資料3について御説明させていただきます。こちらは、令和4年7月29日付けで発出された厚生労働省医薬・生活衛生局長通知となっており、内容としましては、1ページの題にありますように、「本邦におけるサル痘の患者発生を踏まえた採血に係る対応について」ということで、令和4年7月29日に通知を発出させていただきました。本来であれば、こちらの審議会を経て発出させていただくのが正当な手続ではありますが、既に先ほどもお話いたしました大隈班で7月22日に議論が起こっていたことと、本邦におけるサル痘患者が発生したことを踏まえ、この審議会の前に暫定的に発出させていただいたという経緯があります。
 それでは、通知の内容について説明いたします。2ページを御覧ください。まず、第1項のサル痘既感染者、こちらは、疑い例も含むとなっていますが、こちらからの採血については、当面の措置として、サル痘感染者及び疑い例から採血しないこととさせていただいています。第2項で、「サル痘患者等との接触者からの採血について」と設定しており、こちらについてはサル痘の潜伏期間が最大21日間とされておりますので、サル痘患者等との接触者については、最終接触日から21日間は採血を行わないこと、なお、接触の定義については、事務連絡の別添2.(1)2)の表1が示す「接触状況による感染リスクのレベル」が「中」以上に該当する接触を指すとしております。それに加えまして、遡及調査等については、上記2と同様の理由により、供(献)血者が採血時に、サル痘既感染者であったこと又はサル痘感染者等との接触者であったことが判明した場合には、遡及調査期間を、サル痘既感染者については発症日の21日前からそれ以降、サル痘患者等との接触者については最終接触日から21日後までとし、必要に応じて医療機関等に情報提供の上、それぞれ以下の対応を取ることとしております。
 対応としましては、通常の遡及調査と同じように、もしそういった血液製剤が投与された患者が存在する場合には、患者の状況確認を実施することや、供給前の場合には、供給停止とすること、そして、未使用の製剤がある場合には、回収を行うこととしております。
 本件について、研究班で行われた議論内容について、大隈委員から御説明をお願いいたします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。よろしくお願いいたします。研究班の見解としましては、今、御説明いただいたとおりで、通知の内容になっているとおりです。本研究班においては、関連する論文の報告、それから海外の当局の規制を参考に検討をいたしました。やはり、現時点では、サル痘に関する情報が少ない状況ですので、感染して回復した方からの献血は、当面延期でよいのではないかという意見が出されました。また、サル痘の潜伏期間を考えますと、最大21日間と現時点ではされていることから、サル痘の患者等との接触者については、最終接触日から21日間は採血を行わない措置が必要と考えております。私からは以上です。
○佐野血液対策課長補佐 本件に関して、研究班の中で日本赤十字社より説明いただいた内容について、日本赤十字社より御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤直子技術部次長 それでは、サル痘に係る献血の安全性について、日赤の後藤から御説明いたします。7月22日の大隈班では、参考資料3-2を用いましたが、その後、サル痘については進展がありましたので資料修正をいたしました。参考資料3-3を御覧ください。
 2ページに、このサル痘のアウトブレイクについて簡単にまとめました。もともとはアフリカで散発的に認められた感染症でしたが、2022年はアフリカ以外の欧米各国を中心に多くの感染者が認められており、その多くはMSMであることがデータから判明し、また、天然痘のワクチンが有効とされております。
 次の3ページに世界と米国の8月15日現在の発生状況をCDCのサイトからお示ししました。こちらでは、世界での発生数が3万1,800ぐらいとなっておりますが、昨日見たところ、既に総数は4万件を超えておりまして、その多くがアフリカ以外の国の発生であり、米国の発生数は1万5,000ほどになっておりました。
 次の4ページを御覧ください。サル痘のウイルスの特徴をまとめました。潜伏期等については、先ほど大隈先生からもお話があったとおりです。血液感染に関しては、今まで、血液や臓器を介した感染の報告はありませんでした。
 次の5ページを御覧ください。こちらは英国でのサル痘ウイルス感染後の献血の受付基準が決まっていますので、そちらをお示ししました。感染者については、細かく書いてありますが、完全に皮膚の症状もなくなって、治癒してからの献血は可能とされています。濃厚接触者については、潜伏期間を考え、21日を超えて特に症状がない場合等については献血可能とされております。
 6ページには、8月に入ってからアップデートされた米国のAABBの基準をお示ししております。現状、輸血感染が証明されていないこと、主たる感染者のほとんどがMSMであることを考えると、現在の問診項目で十分対応できるという結論になっていますが、追加で、既感染者が完全に回復してから21日は献血延期とすること、濃厚接触者については21日の献血延期とすることという項目を適用してもいいという基準になっております。
 また、サル痘に対する天然痘ワクチン接種をした場合の献血延期期間については、第一世代の生ワクチンを接種後は2か月の献血延期が2002年のFDAのガイダンスで決められていましたが、第二世代のACAM2000については、かさぶたの状態やワクチンの副反応の有無により、21から56日の供血延期。第三世代のJynneosについては、供血延期期間は設定しないとされております。
 7ページを御覧ください。血漿分画製剤の安全性について簡単にまとめています。サル痘のウイルスはエンベロープがあるDNAウイルスで、直径が140~260nm、全長が220~450nmと大きなウイルスであり、血漿分画製剤の製造工程中の不活化工程が有効であるとされております。
 8ページからは、「国内感染発生時の対応」をお示ししました。日本でも、7月末から輸入事例として本日までに4例発生しておりますので、現在の対応をお示しいたします。
9ページを御覧ください。感染症、特に新興再興感染症の安全対策は、献血者本人の安全、献血会場の安全、輸血用血液の安全と、それぞれに考える必要があり、それぞれ問診による献血者の健康状態や感染リスクを確認し、病原体の感染様式に合わせて献血会場の安全を確保し、問診や献血後情報の対応により、輸血用血液製剤の安全性を担保することとしております。新興再興感染症については、病原体のリスクが判明するまでは慎重な対応が必要と日赤では考えております。
 10ページを御覧ください。現在の問診項目でサル痘に関連すると考えられるものをお示ししました。今日の体調、ウイルス感染症を含む既往歴、帰国後4週間以内、MSM等を含む性的接触等が該当すると考えられます。
 11ページに、国内感染発生時の対応を、先ほど御紹介のあった7月29日の国の通知に基づきお示ししました。サル痘の既感染者については、当面献血延期としております。これは、感染者の血液からサル痘ウイルスが検出されることがあるとの報告があり、PCR等が陽性の血液の感染性については不明であること、治癒後の血液の安全性についてもまだ十分なデータがないことなどが理由です。サル痘患者との濃厚接触者については、ウイルスの潜伏期が最大21日間であることにより、最終接触日から21日以内は献血延期としております。接触者の定義については次のページにお示しします。サル痘感染等に関連する献血後情報を入手した場合には、通常どおり当該献血由来の血液製剤は供給停止とし、供給済みで未使用の製剤は回収することとしています。潜伏期の間に献血された血液にウイルスが認められるかは不明ですが、献血後21日以内に発症したという情報を入手した場合は、潜伏期の献血として対応することとしています。なお、天然痘ワクチン接種後の献血延期については、日本で承認されたLC16ワクチンというのが、諸外国ではこの第三世代ぐらいになってくると生ワクチンではないと分類されるのですが、これを先ほどのワクチン接種後の献血受入基準のどこに分類するか、生ワクチンでよいか検討する必要があるかと思っています。
 12ページを御覧ください。「サル痘に関する情報提供及び協力依頼について」という国からの事務連絡に示されたサル痘患者の確定例及び疑い例の中でも、この枠に示したような接触があった場合には濃厚接触と考えるということとされました。
 13、14ページには、サル痘患者の感染症法に基づく届出基準や疑いの定義を、先ほどの事務連絡に基づきお示ししました。日赤からの御説明は以上です。
○佐野血液対策課長補佐 ありがとうございました。なお、今、大隈委員と日本赤十字社から御説明いただいた研究班会議におきましては、血漿分画製剤の安全性について、実は十分な議論がまだなされておりませんでした。そのため、7月29日付けで発出しました通知においては、まず、資料3を御覧いただければと思いますが、3項の「遡及調査等について」に定める対応を実施する対象を血液製剤としており、血漿分画製剤に対しても求める形となっております。今回、国内に血漿分画製剤を供給する各血漿分画製剤製造販売業者より、血漿分画製剤におけるサル痘への安全対策についての状況をまとめていただきました。当該資料は参考資料3-4から3-9となっております。これらの資料を御覧いただきながら、7月29日付けで発出した通知における採血制限や遡及調査の対象製剤等についての妥当性について、御審議いただければと思います。
なお、武田薬品工業株式会社におかれましては、本日、諸事情により参考人は出席されておりません。そのため、武田薬品工業から事前に頂きました資料内容の説明について、事務局で代読させていただきます。
 資料に示したとおり、弊社製品は複数のウイルスクリアランスプロセスを経て製造されており、資料中に示した文献でサル痘ウイルスに効果が確認されている工程も含みます。サル痘以外の複数のウイルスに対しても、資料に示したとおり高いウイルスクリアランス能を確認しており、サル痘ウイルスと同様にエンベロープを有し、比較的大きなサイズのウイルスにも有効な不活化プロセスであることを確認しています。そのため、弊社製の製品で実施されているウイルスクリアランスプロセスは、サル痘ウイルスに対しても十分に効果があると考えています。
 また、供血者スクリーニング工程においては、EUのEC/2004/33ガイドラインに準拠しており、サル痘に典型的な症状を示す患者様が供血者として受け入れられる可能性は極めて低いと考えております。以上を踏まえまして、サル痘ウイルスは武田が製造する血漿及び血漿由来医薬品の安全性に影響を与えるものではないと考えています。
以上で代読を終わります。それでは、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○濵口座長 ありがとうございました。武田薬品工業に関しては事務局から御説明いただきましたが、それぞれの企業から出していただいている資料について、一部は表に出せない数字もあると思うのですが、今のような形で、それぞれの会社から簡単な説明を頂ければと思っております。資料の順番で進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。では、日本血液製剤機構様から、内容についての御説明をお願いいたします。
○村井参考人 日本血液製剤機構の村井と申します。よろしくお願いします。大変申し訳ありません。黒塗り部分の所について、一部修正させていただきたいと思います。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
この場をお借りして申し訳ありません。このように修正させていただきたいと思います。
 それでは、資料1ページから要約しながら説明させていただきます。血漿分画製剤の安全性については、まず、問診と貯留保管によって、そのリスクが低減されると考えています。日本血液製剤機構では日本赤十字社から頂いている血漿で製造していますが、その時点で問診と貯留保管が行われています。こういった取組の中で、リスクのある血漿が排除できると考えています。
 特殊免疫グロブリンについては、米国で採漿された血漿を原料としています。この米国の採漿業者においても、サル痘としてのチェックはされていないのですが、一般項目の中で十分に採血延期できることの回答を得ています。また、国内献血と同様に、2か月間以上のインベトリーホールドを行っております。これらが、問診及び貯留保管による安全対策の説明になります。
 続きまして、製造工程における安全対策についてです。サル痘が仮に混入した場合を考えたときに、サル痘ウイルスは非常に大きなウイルスで、短径で140~260nm、長径で220~450nmと、非常に大型のエンベロープウイルスとされています。製造工程に導入されているウイルス除去フィルターの平均孔径が35nm以下、このようなものが入っている製剤がほとんどです。これらのウイルス除去膜処理が非常に有効で、十分な不活化・除去ができると考えております。また、報告によると、60℃の液状加熱により、3時間程度でモデルウイルスのワクシニアウイルスが不活化されるということが報告されています。これらの液状加熱においても、非常に有効な不活化工程であると考えられます。
 また、ウイルス除去膜処理工程、液状加熱処理工程以外のものについても、脂質膜を持つ非特異的モデルウイルスを用いたウイルスクリアランス試験の結果から、一定の効果が認められると考えております。
 加えて、ろ過滅菌を目的として導入されているろ過滅菌フィルターですが、モデルウイルスを用いた評価になりますが、ワクシニアウイルスにおいては4LRV以上の除去効果が認められると報告されています。ろ過滅菌工程は全ての分画製剤の製造工程に含まれておりまして、一定の除去効果は得られると考えております。
 まとめになりますが、以上、説明をした内容において、血漿分画製剤の安全性は十分に担保されていると考えております。
○濵口座長 ありがとうございました。続けて企業の方から資料の説明をお願いします。日本製薬様、お願いします。
○洪参考人 日本製薬品質部の洪と申します。よろしくお願いします。提出させていただいた資料ですが、最初のほうは、先ほど日赤様から御報告がありましたとおり、一般的なことを記載しています。特に、大きさが非常に大きいという部分と潜伏期間等が非常に重要と考えておりまして、特に安全性対策においては、先ほどJB様からお話のありましたとおり、献血時の問診、貯留保管、それから、私ども分画製剤メーカーが行う製造工程、特にウイルスの不活化除去工程が非常に有効だと考えています。
 表2に、それぞれ有効と思われる工程等をまとめておりますが、エンベロープを持っている、脂質膜を持っているということで、加熱処理とか、S/D処理に関しては場合によっては効果が落ちるというような報告等もありますが、効かないわけではなくて、非常に有効な工程という場合もありますので、S/D処理、ろ過処理、ウイルスフィルター等、平均孔径35nm以下というものが導入されていれば、非常に安全性の高いものが確保できると考えております。
 サル痘ウイルスに関しての評価を、実際にモデルウイルス等を用いて行ったことはありませんが、表3に、評価できるのではないかということでのモデルウイルスの一覧ということで記載しております。様々な大きさ、通常行っているようなエンベロープを有するウイルスを用いて、その評価は可能かなと考えています。
 表4に、私どものエンベロープウイルスを用いた場合でのクリアランス値を、これは合計値ということで記載しております。これは全ての工程の合計というわけではなくて、今回、サル痘ウイルスに有効と思われるウイルスフィルターであるとか、S/D処理、加熱処理等を合計したものです。非常に高い数字が得られているので、製造工程等を通常どおり行っていれば、各製剤とも非常に安全性の高い製剤が製造されるので、安全性に関しては保証できるものと考えています。
 一方、輸入製剤に関してです。こちらも採血時の問診、貯留保管等は献血と同様に行われているので、そこでまずリスクが低減できる点と、同じようにウイルスフィルター等が導入されておりますので、クリアランスとしても非常に高いものが得られます。そういうことを考慮しましても、輸入製剤においてもサル痘に対する安全性は確保されているものと考えています。
 今後の対応に関してですが、特に新しい工程を組み入れるとか、検査を入れることは考えておりませんが、現時点で行われているようなウイルス除去、不活化工程を確実に行っていくことで、血漿分画製剤に関して非常に高い安全性が確保できるものと考えております。簡単ではありますが、以上になります。
○濵口座長 ありがとうございました。次は、KMバイオロジクス様、お願いします。
○中島参考人 KMバイオロジクスの中島です。私どもKMバイオロジクスでは、海外の血漿を原料とした製品はございませんので、国内の献血を使用したというところで記載しております。全体的な流れとしては、日本血液製剤機構様、日本製薬様と、全体的な方針としては同じになるので、極めて簡単に御説明させていただきます。
 まず1つ目として、問診と貯留期間で、サル痘ウイルスが含まれる血漿が製剤に導入されるリスクはかなりの部分で低減されると考えています。また、サル痘ウイルスを含む原料血漿が使用された場合においても、サル痘ウイルスのモデルウイルスとして考えられるPRVのリダクションを考えますと、全て私たちの製剤では9log以上のリダクションが得られていること、それから、先ほどからウイルスの大きさについていろいろと御説明がありましたが、私どもの製品でも、35nmのウイルス除去膜工程を全ての製剤に入れておりますので、こういった観点からも、サル痘ウイルスの除去と不活化は十分に達成できると考えておりますので、弊社製品についても、サル痘ウイルスの安全対策としては十分にされていると考えているところです。KMBからは以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。引き続き、CSLベーリング様からお願いします。
○大西参考人 CSLベーリングの大西でございます。弊社も同じ管理対策をしております。弊社は、主に米国、ヨーロッパ由来の原料血漿から、日本を含む全世界に、同じ製造方法によって製造された血漿分画製剤を供給しております。その中で一番大事なのはドナーの適切な選択、原料となる原料血漿、プール血漿に対してのスクリーニング、最後に製造工程でのウイルスの不活化、除去のための工程の選択です。特に弊社の製剤に関しては、サル痘ウイルスに特化した対策というものは、現在は講じておりませんが、ほかのモデルウイルスを用いたスクリーニングであるとかウイルスクリアランス試験によって、十分にサル痘ウイルスに対しての安全性も検証されていると考えております。
 したがって、現在実施している以上のサル痘ウイルスに特化した新たな対策を講じなくても、現状で十分な安全性を確保できているというように考えております。非常に簡単ですが、弊社からは以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。最後にオーファンパシフィック社様からお願いいたします。
○川嶋参考人 オーファンパシフィックの川嶋と申します。弊社の製品は2つあります。1つはリンスパッドという製品で、この製品はアメリカの血液を使っています。先ほどからお話が出ていますけれども、最初に問診で、その製品を選択していること、万が一サル痘のウイルスが原料として使われても、弊社の製品は全部で5項目の不活化、除去処理工程がありますので、そこで十分と。1つは、9から20ぐらいの除去能力があります。これプラス、最終ろ過フィルター、コンマ22のフィルターがサル痘のウイルスは除去できますので、これプラス、コンマ22のフィルターを使っています。
 もう1つはヘミンという製品ですが、これはヨーロッパからの血液の血漿を使っています。これは2つの工程しかないのですが、大体7ぐらいから10ぐらいのlogを除去できること、なおかつ、コンマ22の最終フィルターで除去できますので、弊社の製品としては、十分にサル痘のウイルスの除去はできるというように考えています。簡単ですが、以上になります。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの各社からの御説明について、委員の先生方から御意見、御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 分画製剤については、7月の終わりに出された通知の中では十分な検討まで至らずに出されたので、今回、分画製剤のサル痘ウイルスに対する安全性についての吟味を皆さんにお願いをして、特に遡及調査のところに、生の血液と同じ扱いをこのまま続けていくのか、それとも、今回の安全技術調査会の確認に基づいて、その方針を少し変えるかということを御議論していきたいと考えております。いかがでしょうか。
○岡田委員 各社複数のサル痘ウイルスを不活化、除去できるような工程が既に導入されていますし、更に最終段階で、通常はバクテリアを除去するような無菌ろ過でも、このウイルスは非常に大きいので、そこでも除去できることが期待できるということを考えると、血漿分画製剤に与える影響は極めて少ないと考えられます。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。皆さん、各社からの御説明について、一定の安全性が確保できているという御説明に御納得いただいているということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、血漿分画製剤についてのサル痘の遡及調査を対象から省くという方向性で進めたいと考えますが、よろしいですか。
 それでは、そういう方向で進めたいと思います。ただ、通常ですと、感染リスクがある程度分かって、例えば人の体内で、果たしてあるかどうか分からないのですけれども、ウイルス血漿が見付かったというような話になってきた場合には、それはまた新たな対応が必要となってくるかと思いますので、今回出していただいたウイルス低減化のデータを、もう一度またそこで議論させていただくということも、ないとは言えないかなと思っておりますが、現状においては、そのリスクは非常に低いということで、7月29日の通知、血漿分画製剤の遡及調査の対象からは省くという形で進めたいと思います。そういう形で、事務局でおまとめいただきますようお願いいたします。
 それと併せてなのですが、7月29日に出された通知というのは、本来、この安全技術調査会の中で、発出される前に、ある程度皆さんにも御議論いただく必要性があったかなと考えられます。ただ、時間的に差し迫ったこともあって、こういった状況になっております。もし、先生方から御意見があれば頂いて、できれば追認いただくという形にしたいと思いますが、いかがですか。
○熊川委員 福岡大学病院の熊川です。まとめについては、今まとめられた形で十分に納得しております。ただ1点、先ほども御発言がありましたが、時間的に差し迫っていたという御意見がありましたが、事務局にお尋ねするのがいいのかと思うのですが、サル痘の日本での発生が確認されて、今後の感染の拡大について、何か予測されるようなモデル的なものというのはあるのでしょうか。そのことをお尋ねしたいなと思っております。
○佐野血液対策課長補佐 私はそちらを現段階で把握しておりません。今、明確にお答えできる資料がありませんので、御回答は控えさせていただきたいと思います。後ほど、資料がありましたら個別にお知らせさせていただければと思います。
○熊川委員 分かりました。ありがとうございます。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、7月29日の通知についても、この安全技術調査会では了承したということにしたいと思います。ありがとうございました。
 最後に、議題4「その他」について、事務局から何かございますでしょうか。
○佐野血液対策課長補佐 特にございません。
○濵口座長 本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見等が委員の先生方からございましたら、お願いいたします。
○岡田委員 サル痘についてなのですが、日本赤十字社から出された資料では、多くの発疹が顔から出るような表現があるのですが、8月に出された『New England Journal of Medicine』ですと、MSMの間で流行しているようなサル痘は余り顔に出ないのです。どちらかと言うと、性器とかお尻などに発疹が出る比率が高くて、顔に出るのは恐らく20~30%という表現がありますので、従来のサル痘とは病型が変わっている可能性があります。ですので、顔に発疹が出ていないから大丈夫だというのは、今回のサル痘に関しては当てはまらないのかなと思います。
 それと、今後の予測というのは、日本にもMSMの方がいますので、その間で流行が拡大するかどうかというのは今後を見ないと分からないのですけれども、その辺のことを、MSMの中でどの程度流行が拡大するかどうかということをフォローするのがいいかなと思います。
○濵口座長 貴重なご意見をありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。発疹の出方については、非常に特徴的な出方をする場合があるという御指摘だったと思いますので、特に採血の際のチェックポイントとしては、非常に重要かなと思いました。今後の予測についても、注意深く我々の採血事業のほうでも見ていきながら、必要に応じて研究班でも吟味していただくという形にしたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。特になければ、これにて血液事業部会令和4年度第2回の安全技術調査会を終了したいと思います。皆様、御協力ありがとうございました。
(了)