2022年11月22日 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会・医薬品第二部会(合同開催) 議事録

日時

令和4年11月22日(火)17:00~

出席者

出席委員(薬事分科会委員 20名)五十音順

 (注)◎分科会長 ○分科会長代理


出席委員(医薬品第二部会委員 17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  衣笠秀一(医薬・生活衛生局総務課長)
  •  吉田易範(医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬・生活衛生局医薬安全対策課長)
  •  宮崎敦文(新型コロナウイルス感染症対策推進本部内閣審議官)
  •  藤原康弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○総務課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会薬事分科会・医薬品第二部会(合同開催)Web会議を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 医薬・生活衛生局総務課長の衣笠でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 なお、配信における留意事項ですが、本配信の著作権は厚生労働省に帰属しますので、配信している動画あるいは内容を許可なくほかのWebサイトや著作物等へ掲載することを禁止します。
 本日のWeb会議における委員の出席についてですが、薬事分科会の岡委員、脇田委員、医薬品第二部会の大隈委員、小崎委員、島田美樹委員、渡辺委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 本日は、現在のところ、薬事分科会委員22名のうち20名、医薬品第二部会委員21名のうち17名、合わせて37名の委員がこのWeb会議に御出席いただいていますので、薬事分科会、医薬品第二部会ともに定足数に達しておりますことを報告いたします。
 会議を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
○事務局 事務局でございます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨の御申告をいただいておりますので、報告させていただきます。
○総務課長 委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日の議題は審議事項が1件、「ゾコーバ錠の製造販売承認の可否等」についてでございます。
 それでは、太田分科会長、以後の進行をお願いいたします。
○太田分科会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料として、資料No.1と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料No.2から7と、参考資料1-1、1-2、それから2を用いますので、これは、事前に電子メールにてお送りさせていただいております。
 なお、本日の審議は、公開で行うため、資料につきましては、全てWeb掲載しておりますが、申請者の知的財産等の関係で開示が困難な箇所についてはマスキングをしております。ただし、委員の先生方にはマスキング箇所を黒塗りではなく、黄色ハイライトとして読むことができる資料をお送りしておりますが、その部分については一般には公開できない内容になりますので、会議中での御発言をお控えいただけるよう、御留意をお願いいたします。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料7を御覧ください。ゾコーバ錠でございますが、本品目は、SARS-CoV-2による感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○太田分科会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものといたします。
 それでは、委員からの申し出状況について報告してください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、ゾコーバ。退室委員、大曲委員。議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、中野委員、南博信委員、横幕委員でございます。
 なお、薬事分科会審議参加規程第5条において、申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室するとされておりますが、同条のただし書きで、「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」となっております。以上でございます。
○太田分科会長 ここで、今回、議題1の審議に関しては、SARS-CoV-2による感染症に関する診療の経験があり、本剤の治験にも関わった大曲委員の意見は参考になるのではないかと思われます。当会議として、大曲委員には、御出席いただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますが、いかがでしょうか。
 御異議がないようですので、了解をいただいたものとし、大曲委員には御出席、御意見をいただくことといたします。
 以上の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたします。
 それでは、審議事項の議題に移りたいと思いますが、委員の先生方から何かございますでしょうか。お願いいたします。
○宮川委員 この薬事承認というか、この承認の会の前に、16日だと思うのですけれども、自治体の説明会において、このゾコーバの運用のことを説明されたということで、その地区の医師会から、承認前にこのような書類が回ってくるのはどうなのかということで問合せがございました。実際に部会を無視するような、そういうことがあることは、私はあってはならないことだと思っております。
 それから、従来、ワクチンの承認の際にも、政府の関係者が承認の前にもかかわらず、その内容についていろいろなことを発言されていることがあります。こういうようなことは、薬事承認における部会の存在や意義を軽視するようなことだと私は思いますので、それは謹んでいただきたいと思いますので、よろしく御配慮ください。
○太田分科会長 どうぞ。
○内閣審議官 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の審議官をしております、宮崎でございます。
 すみません、今、御指摘のありました点、我々厚生労働省新型コロナ対策本部の方で都道府県の担当者に対しまして説明を行ったことに関しまして、当審議会を軽視しているのではないかという御指摘かと存じます。
 この点に関しまして、私どもの説明不足あるいは事前の調整不足によりまして、そのような御指摘、御懸念をいただくような事態を招きましたことにつきましては、深くおわびを申し上げたいと思います。
 御存じない委員もおられると思いますので、簡潔に経緯を申し上げますと、先週、我々新型コロナ対策本部におきましては、都道府県の新型コロナ治療薬の担当者を対象に、非公開の形で説明会をオンラインで行ったところでございます。
 内容は、本日審議される予定の経口治療薬について、仮に承認がなされた場合という大きな前提を置いた上で、承認された場合には、速やかに供給が可能となるように、現時点で想定しております供給方法の案のあらましについて説明を行ったものでございます。
 新型コロナ対策の中和抗体薬あるいは経口薬に関しましては、承認当初の流通量が限られる段階におきましては、国による買上げを行っておりまして、新型コロナ対策本部は、メーカーとの交渉により必要量を確保して、都道府県と連携して登録医療機関、薬局の選定などを行いまして、メーカーに委託して供給体制を整えるといった買上げ供給に関わる業務を担当しております。
 医薬品の承認審査には関わっておりませんので、当然審査状況等を知る立場にはございませんので、したがって説明会におきましては、投与対象など、審査に関わる内容については説明をしておりません、また、企業名や薬剤名も伏して説明を行いました。
 出席された都道府県の担当者からは、関連の質問もございましたが、審議会にて審議される内容であり、回答できない旨をお伝えしたところでございます。
 審議会を軽視した説明は行っていないと考えております。そもそもこのような説明会を開催いたしましたのは、仮に承認されれば、医療現場から早期の供給を求める声が出ることが想定されまして、その声にできる限り応えるために、都道府県サイドと我々の間で、するべき作業のイメージを共有して、可能な範囲で準備を進めていただく必要があると判断したことと、実際に一部の都道府県から供給がどうなるのか、考え方だけでも早期に示してほしいという要望をいただいたことによるものでございます。
 細心の注意を払いながら、できる限り現場の声に応えられるように進めてまいりましたが、今、御指摘ございましたように、結果的に疑問を持たれる、あるいは、先ほどのような現場から御指摘をいただいたということでございますので、この点、我々のその際の説明が不十分であったり、あるいは関係先への事前の説明が不十分であったのであろうと思います。この点、我々の運びのまずさがあったと思いますので、改めておわびを申し上げたいと思いますし、今後、よくその運びにつきましては気をつけてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。どうぞ。
○島田(眞)委員 山梨大学の島田ですけれども、今の御説明は、本当にちょっと問題があり過ぎるので、要するに承認前の薬について、そういう説明をするというのは、ちょっと常軌を逸していると思いますよ。大体、要するにこの薬に関する報道がものすごく過熱して、あたかも承認されたかのごとくの報道がなされるわけですね、実際に。これはどこかから漏れているとしか思えないのですけれども、厚生労働省さん自らがそんなことをやっているということは、本当に驚きましたけれども、その際に私ども以前から申し上げているのですけれども、もう内服薬に関しては2剤が承認されているのですよ。パキロビッドとラゲブリオですけれども、これに関する説明も同時にされたのでしょうね。ゾコーバだけ説明されたのですか。
○内閣審議官 既に承認をされております2剤につきましては、これまでも都道府県への説明会、あるいは承認後供給する中で、いろいろ改善点などがございましたら、その都度都度、都道府県とは意見交換あるいは説明を行っているところでございます。
○島田(眞)委員 いや、だから、それは申し訳ないけれども、あまりやっておられないと思いますよ。つまり、パキロビッドなんていうのは、この後出てくるかもしれませんけれども、200万人分用意したと言って、いまだに5万人ぐらいしか使っていないのですよ。つまり195万人分が眠っているのですね。
 パキロビッドはものすごくよく効く薬で、このプロテアーゼインヒビターということでは、このゾコーバと、作用機序はほとんど似通っているわけですよ。3CLのメインプロテアーゼの阻害剤ですからね。だから、これをもっと使えるようにしたらどうかと、私は申し上げていました。この部会でも申し上げましたし。これに関しては一切努力をしていないのですよ。
 それで、今度、ゾコーバというまだ未承認の薬に関しては、そういう説明会をするというような。その後の2剤に関しては、それとの比較とか、そういうことでしか、本当は説明できないはずでしょう。それがなぜゾコーバだけ特別扱いして、そういう説明をされるのでしょうか。ちゃんとパキロビッドを説明して、そうすると、これは緊急承認ということになっているけれども、もう既に薬はあるので、その薬をいかにしてうまく日本国民の皆さんにディストリビュートするか、これが一番大事なことなのですよ、私に言わせれば。それも私は何回も言っていますよ。それを全くせず、このゾコーバだけ特別扱いして、自治体にしかも承認前に説明するなんて、そんなあほな話はありますか。これはまず、それを言いたいと思いますよ。
○宮川委員 医師会の宮川ですけれども、島田先生、私が最初に口火を切って質問した人間ですけれども、その際の説明会には、パキロビッドに関しての処方に関してと同様にどうやって考えたらいいのかということで資料が出されていました。ただ、パキロビッドに際しての説明もしながら、なおかつ、そこに今回の承認の前にかかわらず、そういう名前が出てきたのがおかしいと言ったので、自治体への説明は、パキロビッドのことを前提にお話して、医療機関や薬局において、新しいこの承認前の薬をどのように使うかというような形での立て付けを考えていきたいというような説明であったと理解しておりますので、決して、ゾコーバの話だけではなく、パキロビッドも含めた、治療薬の説明の中に、この名前が出てきたので、私は異議を申し上げたということで理解していただきたいと思います。
○島田(眞)委員 先ほどの厚生労働省さんの話では、そういう感じではなくて、ゾコーバの話をしたとおっしゃったので、私もそういうふうに考えたのですけれども、そういうことでしたら、まだいいのですけれどもね。だから、パキロビッドが全然使われていないことに、本当は問題があるのですよ。どういうふうに考えておられるのか、そこから、まず話してもらわないといけないと思いますよ。
○宮川委員 私、医療現場の人間ですから、パキロビッドのことも全部了解している人間だと思いますけれども、実際に使いづらいというのは現場の意見ですけれども、その中で、ゾコーバという併用に対する注意や禁忌について同じようなものが出てきた場合に、どのように扱うのかということです。パキロビッドという名前は出ていますけれども、ゾコーバという名前は、印刷物の中に何も出ていないのですが、口頭で出てきたということで、承認前に、そういう言葉が出てくるのは問題ではないかと、厚生労働省の方にお尋ねしたというところでございます。
 私の言い方も少しまずかったかもしれませんが、印刷物の中には、パキロビッドしか書いていないということでございます。以上です。
○太田分科会長 薬事分科会長として要望させていただきます。島田委員からの御指摘のような疑義を生じるということ自体、審議会を軽視するような行為になってしまっているということは事実だろうと思います。今後、厳重に注意をしていただければと思います。よろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、審議の事項の議題に移りたいと思います。
 審議事項、議題1「医薬品ゾコーバ錠125mgの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び毒薬又は劇薬の指定の要否について」でございます。
 まず、緊急承認制度の概要について、事務局からの説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。今回御審議いただくのは、緊急承認の可否についてでございますので、まず、その制度の概要について、改めて御説明させていただきます。参考資料の1-1を御覧いただけますでしょうか。
 まず1枚目でございますが、今年の5月20日に薬機法の一部改正を行いまして、緊急承認制度が新たに創設されました。
 この制度の対象は、この資料の1ポツのマル1に「適用対象となる医薬品等の条件」が記載してございますが、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品等について、他に代替手段が存在しない場合に適用されるとされております。
 この制度における承認の基準など、運用の基準に関する考え方ですが、資料を少しめくっていただきまして、4枚目を御覧いただけますでしょうか。「薬事承認制度の比較」とございまして、今の薬機法における承認制度を類型化して五つに分けた資料がこちらでございます。
 一番右側に、今回の緊急承認制度の特徴を並べておりますが、特に特徴的なことといたしましては、下から2番目の列で、有効性が「推定」とされているところでございます。通常の承認制度では、有効性と安全性が確認された場合に承認できるといった形になっておりますが、緊急承認制度におきましては、先ほどの緊急性等の要件に該当した場合、安全性は確認した上で、有効性は推定の段階で承認することができる制度といったところが特徴的なところでございます。
 この制度の詳しい考え方につきましては、この資料の最後の8ページに、ガイドラインとして、こちらは簡単な資料としてお示しさせていただいておりまして、ガイドライン本文につきましては、参考資料の1-2として御提示させていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。以上でございます。
○太田分科会長 それでは、議題1について、機構から審査の概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ゾコーバ錠125mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 本品目については、本年7月20日に御審議いただいた後に、国際共同第II/III相試験、T1221試験の第III相パートにおける主要評価項目に係る速報値が提示されましたので、当該速報値を中心に審査を行いました。
 審査報告書(3)のファイルをお開きください。
 本申請の専門委員として、前回もお示ししている資料No.6に記載の10名の委員を示しております。今回の第III相パートの速報値に係る審査における専門委員に変更はございません。
 以下、報告書のページ数は、各ページの下部に23分の幾つで示しましたページ数で御説明させていただきます。
 10ページ、4.R.1を御覧ください。5ページの表4に変更内容を記載しておりますが、第III相パートにおいては、全ての被験者の観察期間完了後に、盲検下で主要評価項目及び有効性の主要な解析対象集団等の変更が行われています。
 申請者は、変更理由について、第IIb相パートの結果や、第III相パートの実施中に流行していたオミクロン株の特徴を国内の疫学情報なども交えて、医学専門家と検討し、評価に用いる症状として設定していた12症状の中から、発現割合の多い5症状を選定したこと、また、本薬は、症状悪化前に投与を開始することで得られる治療効果が最大となると考えられたことに加え、およそ6割程度の患者で、発症から症状悪化までの期間が三日以内であったとの国内の疫学情報を踏まえ、有効性の主要な解析対象を症状発現が無作為化前72時間未満の被験者とすることとしたと説明しています。
 機構は、最終被験者が試験終了した開鍵直前に、主要評価項目や有効性の主要な解析対象集団等の変更を行ったことは、試験結果の信頼性に疑念を持たれる行為であり、必ずしも適切な対応ではなかったと考えますが、流行株の変化等により、重症化する患者の割合が低下した状況での開発になったことなど、臨床的な観点からは、これらの変更には一定の合理性もあると考えられることも考慮し、変更前の条件での解析結果も併せて確認し、本剤の有効性を検討することといたしました。
 なお、変更に関する臨床的な観点から、一定の合理性があると考えられる点は、専門委員からも理解可能とのコメントを得ております。また、10ページの4.R.1の2行目に、「表5参照」とありますが、正しくは、「表4参照」となります。おわび申し上げ、報告書は会議終了後に修正させていただきます。
 変更後の有効性について御説明いたします。6ページ、表5及び図1を御覧ください。
 酸素投与を要しないSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした国際共同第II/III相試験の第III相パートの結果を示します。
 主要評価項目は、SARS-CoV-2による感染症の5症状、具体的には、倦怠感又は疲労感、熱っぽさ又は発熱、鼻水又は鼻詰まり、喉の痛み、及びせきの5症状が快復するまでの時間とされ、ITT集団のうち、症状発現が無作為化前72時間未満の被験者において、申請用法・用量である本薬375/125mg群とプラセボ群との比較で、統計学的に有意な差が認められました。
 一方で、日本人部分集団では、全体集団と比較して、本薬375/125mg群とプラセボ群との群間差が小さい傾向が認められました。
 なお、快復の定義は、5ページの下段で示しておりますが、5症状の全てが次の状態を少なくとも24時間持続した場合とされました。
 まず、一つ目ですが、SARS-CoV-2による感染症の発症前から存在した既存症状で、ベースライン時点で悪化していると被験者が判断した症状については、ベースライン時の重症度が重度のものは中等度以下、中等度のものは軽度以下、軽度のものは軽度以下へ重症度が改善又は維持した状態となること。
 二つ目が、SARS-CoV-2による感染症の発症前から存在した既存症状で、ベースライン時点で悪化していないと被験者が判断した症状については、ベースライン時の重症度が重度のものは重度以下、中等度のものは中等度以下、軽度のものは軽度以下へ重症度が維持又は改善した状態となること。
 三つ目が、上記以外の症状、こちらはSARS-CoV-2による感染症の発症前には存在しておらず、ベースライン時点以降に発現した症状になりますが、こちらにつきましては、症状なしの状態となることと規定しております。
 また、12ページ、表8及び図3を御覧ください。変更後の主要評価項目について、当初設定されていた12症状で評価した場合の結果を示します。
 12症状でも、プラセボ群と比較して、申請用法・用量である本薬375/125mg群において、快復までの時間が短くなる傾向が認められております。
 次に、13ページ、表10及び次のページの図4を御覧ください。変更前の主要評価項目であるITT集団における12症状が快復するまでの時間では、本薬375/125mg群とプラセボ群との比較で、統計学的な有意差は認められませんでした。
 なお、ITT集団においては、5症状とした場合でも、本薬375/125mg群とプラセボ群との間で、快復時間に大きな差は認められませんでした。
 最後に、14ページ、図4の下「主要評価項目について」から始まる文章を御覧ください。
 現時点では、本剤の有効性について検討可能な情報に限りがある状況での結論であることに留意する必要はありますが、症状発現から無作為化までの時間が72時間未満のSARS-CoV-2による感染症患者に対して、プラセボ群と比較して、本薬375/125mg群において、5症状の快復までの時間が短くなることが示されました。
 群間差が中央値で24.3時間という結果ではありますが、患者にとって症状が1日ではあるものの、早く改善することに一定の臨床的意義はあると考えられること、12症状でも5症状と同様に、快復時間が短くなる傾向が認められたことも踏まえると、本剤がSARS-CoV-2による感染症に対する有効性を有すると推定するに足る情報は得られたと判断いたしました。
 ただし、本剤の有効性は症状発現から三日目までに投与開始された患者において推定された旨を、添付文書において注意喚起を行う必要があると考えます。
 また、主要評価項目について、全体集団と比較して、日本人部分集団で本薬375/125mg群とプラセボ群との群間差が小さい傾向が認められたこと及び変更前の主要評価項目の結果において、本薬375/125mg群とプラセボ群で、統計学的な有意差が認められなかったことの要因について、現時点では評価、考察を行うための情報には限りがあることから、今後、改めて評価する必要があると考えます。
 申請者は、本試験の総括報告書等の有効性に関する新たな情報に基づき、本剤の有効性を再検討し、その結果に応じ、承認内容の見直しの要否等に係る適切な検討を行う必要があると考えます。
 続いて、安全性について御説明いたします。15ページ、表11を御覧ください。国際共同第II/III相試験における安全性の概要を示しております。
 いずれのパートにおいても、有害事象及び副作用の発現割合は、プラセボ群より本薬群で高い傾向が認められており、特に高比重リポ蛋白減少(HDLコレステロール減少)が本薬群で高頻度に認められていることから、添付文書において注意喚起する必要があると考えます。
 16ページ中ほどの「以上の検討及び」から始まる段落を御覧ください。
 国際共同第II/III相試験の有害事象の発現状況を踏まえると、SARS-CoV-2による感染症の患者における本薬の安全性に大きな懸念は認められていないこと等から、忍容性は許容可能と考えます。
 また、本試験から得られた情報を踏まえて、適切に添付文書において注意喚起を行うとともに、次の2点について対応することで、本剤の安全性リスクは管理可能と考えます。
 一つ目は、非臨床試験において胎児に奇形を示唆する所見が認められており、本薬は潜在的な催奇形性リスクを有すること等を踏まえ、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対する本剤の投与は禁忌とすること。
 二つ目として、本薬はCYP3Aの阻害作用を有する等、他の薬剤との相互作用が生じる可能性があることから、適切に注意喚起を行うとともにCYP3Aに対する時間依存的阻害作用を有することを含め、適切に医療現場に情報提供を行うこと。
 ただし、小児患者における本薬の投与経験は限られており、特に体重40kg未満の小児における投与経験はないことから、製造販売後においても引き続き情報収集を行い、新たな知見等が得られた場合には、適切に医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 以上の有効性及び安全性の検討結果を踏まえた本剤の臨床的位置づけを御説明いたします。17ページ、4.R.4項を御覧ください。
 本剤の臨床的位置づけは、第III相パートにおいて、軽症から中等症Iに相当する患者が組入れ可能とされていたことから、本剤は、これらの患者における治療選択肢の一つであると考えます。
 また、本剤は、ワクチン接種歴の有無や、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子の有無によらず投与可能と考えますが、添付文書において、本薬はSARS-CoV-2による感染症における症状に対する効果が検討された薬剤である旨を情報提供する必要があると考えます。
 これらの機構の判断を提示して行った専門協議において、20ページ、1.1項に記載した意見が示され、必要な注意喚起及び情報提供を行うよう指示するとともに、使用成績調査において、本剤の使用実態下における重症化の有無に係る情報収集を行うよう計画変更を指示し、いずれも適切に対応されたと考えております。
 以上が、機構としての有効性及び安全性並びに臨床的位置づけに関する評価に係る説明となります。
 最後に、22ページを御覧ください。本日の審議の結果、本剤が承認される場合には、ここに記載した承認条件を付す必要があると考えます。
 また、第III相パートの総括報告書等において、新たに得られた情報に基づいて推定された本剤の有効性の妥当性を再検討し、確認できた内容を踏まえた本剤のベネフィットリスクに関する総合的な考察を申請者が十分に行うための時間を考慮し、医薬品医療機器等法第14の2の2第1項に基づく緊急承認の期限は1年が適当と考えます。
 なお、本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。
 以上が申請内容に係る説明となりますが、佐藤委員より、事前に申請者に対する指摘と結果解釈に関する御質問をいただいております。なお、時間の都合により一部抜粋して紹介いたします。
 まず、申請者に対して、主要評価項目の解析において、一見主要な検定結果とは矛盾する快復時間中央値やハザード比がプレスリリース等で公表されているが、生存時間解析の専門家以外では十分な理解が難しい結果をそのまま公表されると、結果の解釈に誤解を招くおそれがあるだけではなく、審査する側の能力や公平性が不当に疑われることにもなりかねないことから、プレスリリースなどにおいて、結果解釈に対する丁寧な説明をするよう申請者に指摘してほしいとのコメントをいただきました。
 御指摘につきましては、申請者に適切に結果解釈ができる結果公表に努めていただくよう伝達いたします。
 次に、結果解釈についての御意見ですが、第IIb相パートの事後解析の結果と比べ、今回の第III相パートの変更後の結果では、本薬375/125mg群とプラセボ群の群間差が大分短くなっており、第II相試験の結果から有効性を推定することの難しさを示していると思われます。今後の緊急承認制度の適用で注意が必要な点だと思います。
 審査報告書6ページの図1に示されている主要評価項目の累積快復割合について、本薬375/125mg群とプラセボ群で、全体集団で360時間(15日)以降、日本人部分集団で168時間(七日)以降はほぼ重なっている状況もあるが、有効性があると言えるのかという点と、有効性の主要な解析対象集団が症状発現から無作為化72時間未満の患者であったことから、添付文書の用法・用量に関連する注意において、「症状発現から速やかに投与を開始すること、本剤の有効性は症状発現から三日目までに投与開始された患者において推定された」旨の注意喚起が行われているが、全体集団における生存曲線はほぼ重なっており、有効性が推定できるとは言えない結果のように見えることから、注意喚起ではなく、効能・効果において、発症後72時間以内のSARS-CoV-2による感染症と限定すべきではないかとの2点をいただいております。
 御指摘のとおり、累積快復割合は、投与開始後、時間の経過とともにプラセボ群と本薬375/125mg群で差が小さくなる傾向が認められておりますが、御説明したように、症状発現から無作為化までの時間が72時間未満のSARS-CoV-2による感染症患者に対してプラセボ群と比較して、本薬375/125mg群において、5症状の快復までの時間が短くなることが示され、12症状でも快復時間が短くなる傾向が認められたことを踏まえると、本剤の有効性について検討可能な情報に限りがある状況での結論ではありますが、緊急承認制度では、有効性が推定された場合に承認が可能であるとされており、本剤がSARS-CoV-2による感染症に対する有効性を有すると推定するに足る情報が得られたと判断しております。
 また、本試験において、発症時点は患者の自己申告に基づくものであり、厳密さについては考慮が必要と考えられること、他の抗ウイルス薬においても、投与のタイミングは、用法・用量に関連する注意としての記載であり、ITT集団の結果も逆転していないこと等を考慮し、効能・効果としての制限ではなく、用法・用量に関連する注意の項及び臨床成績の項における注意喚起及び情報提供で対応することが適切と考えました。
 なお、後ほど厚生労働省から説明がございますが、日本感染症学会のガイドラインの案においては、症状が発現してから遅くとも72時間以内に初回投与することと規定される予定と承知しております。
 また、本剤の緊急承認が認められた場合には、臨床試験成績等に係る最終的な評価を行った上で、改めて承認申請されることとなりますので、御指摘の点も含めて、全体集団及びサブグループに対する多面的な解析等により、推定された有効性の妥当性に対する適切な説明を行うよう申請者に求めてまいります。
 機構からの御説明は、以上となります。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。続きまして、そのほかの資料について、事務局から説明してください。
○事務局 それでは、本日御用意している資料のうち、まず資料2、塩野義製薬株式会社提出資料について、御覧いただけますでしょうか。
 この内容、詳細な説明は割愛させていただきますが、申請者である塩野義製薬株式会社から、本剤の有効性に関する申請者としての解釈や、現状の感染状況等を踏まえた本剤の位置づけに関する申請者の見解ですとか、あるいは今回の機構の審査結果に対する申請者の見解といったことが記載されているものでございます。
 それから、資料3でございますが、先ほど機構からの説明にもありました、日本感染症学会からのガイドラインの案について御紹介させていただきます。
 こちらも詳細な説明は割愛させていただきますが、本来の承認に当たりまして、これまでも治療薬の承認のために、日本感染症学会において、治療薬の使用の仕方等についてガイドラインが作成されてきました。
 この「COVID-19に対する薬物治療の考え方」というガイドラインが既に策定されていますが、これの改訂をするという形で検討がされていると伺っております。
 具体的な内容ですが、この下の四角の枠の中に書いていますが、本剤の承認に当たって特徴的な箇所としては、まず、1ページの3ポツの中の3ポツのところです。一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができることから、エンシトレルビル、本剤等、重症化リスク因子のない軽症~中等症の患者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬については、症状を考慮した上で投与を判断すべきであるといったことが、記載の案として書かれております。
 続いて、また、重症化リスク因子のある軽症~中等症の患者に投与する抗ウイルス薬は、重症化予防に効果が確認されているレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療を検討すべきであるということも記載の案として提示されているところです。
 それから、次のページに行っていただきまして、本剤の使用に関する注意事項も、ここに記載のとおり案が提示されておりますが、例えば、この中ほど、「投与時の注意点」の1)のところにございますが、本剤は、COVID-19の五つの症状への効果が検討された臨床試験における成績等を踏まえて、高熱・強いせき症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある者に処方を検討することという注意喚起が、案として提示されているという状況でございます。その他の箇所についても適宜御参照いただければと思います。
 続きまして、一つ飛んで資料5について御覧いただけますでしょうか。今回の審査に当たりまして、事前に委員の先生方から、複数の先生方から御指摘をいただいておりました主要評価項目等の変更について、補足的な説明として資料を作成させていただいております。
 今回の主要評価項目等に変更があったということについての考え方をまとめたものですが、まず、一つ目のマルでございますが、臨床試験の実施に当たっては、結果の信憑性を確保する観点から、計画は試験の実施前に策定することが原則でございます。
 ただ、二つ目のマルですが、一方、試験の実施中に新たな知見が得られた場合などに、試験計画の変更が行われる場合はあると承知しております。その場合、少なくとも開鍵前に変更する必要があり、変更が結果の信憑性に及ぼす影響については慎重に検討する必要があるとも考えております。
 本剤、ゾコーバ錠につきましては、国際共同試験の第III相パートについて、最終的な試験計画の変更は開鍵前であったことに加えて、変更内容についても、臨床的な観点から一定の合理性が認められている。これは、先ほど機構からの説明があったとおりです。
 加えまして、SARS-CoV-2による感染症については流行株の変化により患者の臨床像なども変化することから、治療薬の有効性の評価においてどのような主要評価項目が適切なのか試験開始前にあらかじめ設定することは、相当の困難さがあるとも考えております。
 これらを踏まえ、機構の審査においては、有効性の主要評価項目及び解析対象集団の変更は否定されるものではないとされております。
 最後に、なお、本剤以外でも、例えばロナプリーブの開発においても、海外の臨床試験の実施中に主要評価項目等の変更がなされていると承知しており、また、新型コロナ治療薬に限らず、疾患の改善度合いをより適切に評価する観点から医学専門家等と相談の上、試験中に主要評価項目等を変更した事例はあるとも承知しております。以上でございます。
○太田分科会長 それでは、続きまして、最近の感染状況について、事務局からの説明をお願いいたします。
○内閣審議官 新型コロナ対策本部から、最近の感染状況について、資料番号04、資料No.4に基づいて御説明をさせていただきます。
 1ページを御覧ください。直近の感染状況につきましては、全国の感染者数、昨日時点で4万2,424人、1週間の移動平均では8万5,347人となっております。
 また、2ページにありますとおり、1週間の移動平均の今週、先週比は1.18となっております。
 また、3ページから7ページには、先週17日の木曜日に開催されましたアドバイザリーボードの感染状況評価をお付けしております。直近の感染状況のトレンドは、先週の時点と大きくは変わっておらず、新規感染者数は増加のペースは落ちていますが、引き続き増加傾向となっております。地域差も見られるところでございます。
 病床の使用率につきましては、上昇傾向にございます。重症者数と死亡者数も増加傾向となっているところでございます。
 最新の感染状況につきましては、現在、この時間に厚生労働省のアドバイザリーボードが開催されており、現時点における感染状況についての分析・評価をいただいているところです。我々といたしましては、引き続きこの感染状況について注意が必要と考えております。現在、各都道府県におきましては、それぞれの地域の実情に応じまして、この冬における対応として、外来医療の強化など保健医療体制の強化、重点化に取り組んでいただいているところでございます。
 資料の7ページには、現在流行の主体となっておりますオミクロン株について、感染性や重症度等について現時点の知見がまとめられております。
 また、同じく7ページ下の方には亜系統に関する記載がございます。現在、世界的にオミクロン株のBA.5系統が主流となっておりますが、このスパイクタンパク質に特徴的な変異を有するオミクロンの亜系統及び組換体が複数報告をされているところでございます。
 欧州及び米国から多く報告されておりますのが、BQ.1系統あるいはBQ.1.1系統でございます。また、インドやシンガポールなどを中心に報告されているのがXBB系統でございまして、こうした亜系統については感染者数増加の有意性が指摘されている亜系統もございます。
 この点について、8ページ、9ページに、我が国における変異株の発生状況を示しております。8ページ、我が国では、現在、BA.5系統が主流であり、BQ.1系統やXBB系統の占める割合は、現時点では極めて小さい状況でございます。ただ、9ページを御覧いただきますと、国立感染症研究所からは、現時点、信頼区間は広く、不確実性が高いものでございますが、今後、これら新たな系統が割合を増加していくのではないかという推定も一つの可能性として示されているところでございまして、こうした亜系統、変異株の動向も注意をしているところでございます。
 10ページを御覧いただければと思います。10ページは、新型コロナウイルス感染症の主な治療薬の現状をまとめております。厚生労働省では、令和3年11月に取りまとめました、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」に基づきまして、これまで治療薬の確保や、医療現場への供給に取り組んでまいりました。その結果、重症化リスクを有する方向けの治療薬として、複数の薬剤が、現在、薬事承認をされ、市場に供給されているところでございます。主な薬剤のそれぞれの現在の取組状況につきましては、この10ページの表記載のとおりでございます。
 こうした中で、重症化リスクを有しない軽症者の方でも症状が重い方がいらっしゃるということ、あるいは、今後さらなる変異株が出現する可能性等も考慮いたしますと、有効で安全な治療薬の選択肢が増えることは、私どもといたしましては重要と考えているところでございます。
 薬事承認がされる場合には、医療現場にこれらを提供し、必要とする方に確実にお届けできるよう努力してまいりたいと考えております。
 新規の治療薬の普及に当たっては、また、私ども新型コロナ対策本部に対して、日頃から医療機関等から有効性や安全性に関する問い合わせを受けることも多くございます。本審議会において、医療現場で安心して使用できるように、エビデンスに基づいた有効性、安全性に関する御議論をお願いしたいと考えているところでございます。
 私からの報告は、以上でございます。
○太田分科会長 ありがとうございました。宮崎審議官は、審議の内容に関する議論になりましたら退席をいたします。まず、感染状況に限っての御質問がありましたら、お願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。ございませんでしょうか。どうぞ。
○宮川委員 宮崎審議官にお尋ねしたいのですが、この文章の中に、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えたと、同時というのは、どういう意味なのか教えていただきたいと思います。
 これは、冬場、冬季、要するに冬場における同時期流行なのか、同時流行というのは、同時でフェーズが同じなのか、そのところ、しっかりとした言葉遣いが必要だと思いますが、この同時というのは、どういう意味なのか、しっかり教えていただきたいと思います。
○内閣審議官 ありがとうございます。私ども、警戒をしておりますのは、この冬におきまして新型コロナの流行と季節性インフルエンザの流行が同時期に重なる可能性があるということでございます。
 例えば、この夏、南半球のオーストラリアでは、コロナの波があり、その後続く形で、季節性インフルエンザの流行の波があったということを承知しておりますので、そのような流行の波が、この冬の期間におきまして起きるということ、それが一定程度重なることも含めまして、そういったことを想定して、発熱患者がコロナ患者のみならず、季節性インフルエンザの患者も含めまして発生するということを想定して準備を進めているということでございます。
○宮川委員 ありがとうございました。ということならば、フェーズが違うということですね。フェーズが同時に重なるというようなことはウイルス干渉と、今までずっと、3年前から言われているわけですけれども、ウイルス干渉という言葉は無視していいのかどうか。つまり一方がはやれば、一方ははやらないというのをずっと言い続けて、つまり局所的には、クラスターが出たり、いろいろなことがあって、人数的に増加するということがあっても、同じようなところに、同時に流行するというのが平たく言ってあるのかどうか。
 それで、実際にはコロナが、沖縄の一番のピークのときの流行時を想定して、それが全国でいったら45万人、過去のインフルエンザの最大に発症ということから見て30万人、それで1日に75万人発生するとして、このような資料を出されたと私は記憶しております。それは同時であって、フェーズが同じだということを想定しているわけです。そのことによって、国民や国会等の中で、それが前提として議論されているようなのですが、それに関しては、どのようにお考えでしょうか。
○内閣審議官 御指摘ございました、今、各都道府県に、この冬の対応として外来医療の体制の強化をお願いしておりますけれども、その際に、私どもからお示しをいたしましたのは、最悪の場合に備えるということで、新型コロナにつきましては、この夏の沖縄の感染状況が全国に蔓延した場合、季節性インフルエンザについては、過去最大の感染を想定して、それぞれが同時に起きた場合にでも対応できるような最大のキャパシティとして準備していただきたいということは申し上げているところでございます。
 ただ、一方で、委員御指摘のように、ウイルス干渉によって時期がずれるのではないかという御指摘、これは従来からいただいているところでございます。ただ、最悪の場合を想定することとして、同時期に起きないということを厳密に証明することも難しいということで、最悪の場合として最大の外来医療の体制づくりといたしましては、その両方を勘案して作っていただきたいということを申し上げました。
 ただ、実際の流行としては、これまで、先ほど申し上げましたように、例えばオーストラリアなどでは、波がずれた形で起きております。そうしたことも実際、よく注視しながら対応を進めていくということだと思います。
○宮川委員 ありがとうございました。情報を流すときには、しっかりとした前提を話された上で、そういう情報提供をしていただかないと、言葉が独り歩きします。ぜひとも現場としては、困窮する状態を自ら作ってしまうということは非常に問題だろうと思いますので、適切な発言をお願いしたいと思います。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。そのほかの感染状況についての御質問はいかがでしょうか。ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。宮崎審議官は御退席いただければと思います。
 それでは、委員の先生方から御質問等ありましたら、お願いいたしたいと思います。まず、清田委員から、どうぞ。
○清田部会長 第二部会長の清田です。ちょっと機構にお願いしたいのですが、審査報告書の表9ですね。ウイルス学的な効果、これは、御説明なさらなかったのですけれども、これについても簡単に触れていただければなと思いますが。
○太田分科会長 機構、いかがでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。今回、現時点では速報値ですけれども、SARS-CoV-2のRNA量を測定しておりまして、これがDay4におけるデータが出ております。ベースラインから比較しまして、本薬群及びプラセボ群の変化量を提示しておりますが、プラセボ群と比較しまして本薬群では有意に低下することが示されている状況です。
○清田部会長 ありがとうございます。とても大事なデータだと思います。
○太田分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、よろしくお願いします。
○島田(眞)委員 もうちょっと本質的な議論を最初にやってほしいと思いますよ。流行状況とか、そういうのよりも、この薬を本当に承認するかどうかが、今、一番大事なのですよ。もうちょっと議長さんもしっかり議論を管理してほしいと思いますけれどもね。
 では、私の意見を言います。これは、緊急承認制度を使って、ぜひというお話だったのですけれども、有効性が推定できるとか、そういう話がありましたが、他に代替手段がない場合というのがあるのですよ。他に代替手段は、だから先ほどから申しましたように、パキロビッドとかラゲブリオは、要するに、コロナに対する内服治療薬としては非常に有用な薬として、もう既に承認されています。ただ、これが、要するに使われないまま放っておかれているという状況が、今、問題なので、これをやはり厚生労働省さんは、しっかり、要するに新薬の話ばっかりされるのではなくて、これの使い方をしっかりと、要するに皆さんに指導すべきなのですよ。指導した経歴は、少しはあるのかもしれませんけれども、我々のところでは、伺っておりませんし、大体使用量が全然増えてこないというのは、絶対にこれはおかしいと、まずは申し上げます。だから、単に代替手段があるかないかというので、あるのですよ、実は。ない場合に緊急承認ということになって、推定されるからというお話ですけれどもね。
 では、本当に推定されるかという話は、この表5と図1に一番集約されているのですね。確かに、プラセボと本薬全体集団においてですよ、プラセボと本薬375/125mg群では、プラセボ192.2時間に対して167.9時間と24.3時間短くなっていると。これが、0.04があるということなのですけれども、ハザード比は、1をまたいで存在しているのですけれどもね。この議論をやるとちょっとややこしくなるので、ただ、これは要するに、倍飲んでもらったらどうなるのかというと、その有効性があまり増えてこないというか、有意差がつかなくなってしまうようなお薬であるということですね、全体集団。
 表5を見ていただくと、日本人部分集団になると、これは、もっと問題ですよ。つまりプラセボが172.1時間なのですよ。要するに本薬、この推奨されている375/125mg群は、165.8で、たった6時間しか短くなっていない。つまり、日本人においては、急に効かなくなったような印象を与えてしまっているわけですね。これが、少なくなった傾向があるとか何とかと言ってごまかされましたけれども、先ほどの機構さんは。つまり日本人では、これは効いていないのですよ。はっきり効くという証拠はない。要するに、全体というのは、ベトナムだとか、韓国とか、そういうところを入れられたら、やっとぎりぎり効く、しかも、これは72時間以内投与とか、12症状を5症状にして、いろいろ変更した挙げ句、やっと全体集団の一部で、これが効いたように見えるというようなことでありまして、その中でも、日本人の部分集団を取ったら、効かないように見えるということですよ。だから、6/23ページの図1の(b)日本人部分集団は右側ですからね、これは、何と何を比べなければいけないかというと、黒い線と青い線を比べるということなのですね。これは、ほとんど重なっているかのごとく見えるのですよ。では、重なっていないのは何かというと、赤い部分ですね。赤い部分というのは、倍量投与なのですよ。要するに750/250mg群がかろうじて見えるけれども、これは有意差がないということをおっしゃっているということで、この日本人では、少ない傾向が認められるのではなくて、これは、有意差があるかどうかも分からないし、本当に効いているかどうかが分からないような効き方、非常に薄い効き方しかしていないということが一番問題なのですよ。
 しかも、後で説明された12ページの表8、図3、それから13ページの表10、図4ですね。これは、変更前なのですよ。変更前の解析をすると、全部、5症状にしろ、12症状、どんなことをやっても、全部有意差はないのですよ。これを少ない傾向にあると認められて、その有効性が推定されるとおっしゃるのですね。これは、図がいっぱい出ていますけれども、全部同じように見えますよ。以前審査したときに、藤原理事長がおっしゃったとおりなのです。全部図はほとんど一緒に見える。ちょっと違うのが、全体集団のその一部だけちょっと違うように見えるので、そこだけ、それにしがみついて解析すると0.04という、極めて微妙なP値が出ているということが真相なのですよ。
 だから、本当にこれが効くのかっていった場合、要するに、本当に日本人に効くのかといった場合は、効かない可能性が極めて高いようなお薬だということです。
 だから、本当にこれは、機構さんは、これでも有効性が期待されるとか何とか言っていますけれども、14ページでもおっしゃっているとおりですよ。14ページの文章、一番大事なところを読み上げられていないのですけれども、以上の機構の判断、つまり有効性が推定されるとか、そういうやつですね。要するに、一つだけの、プロット一つだけの図で、効いたように見えるけれども、あとは、その傾向しか見えないような、だけれども、これを有効性が推定されると判断されているわけですかね。「以上の機構の判断については、専門協議で議論する。」と書いてあるのですよ。ここを最初に議論しないと駄目ではないですか。
 要は、ここに書いてあるのがなぜかというと、私が今言ったとおりですよ。変更前のにすると、有意差はほとんどなくなってしまうというようなこと、それから変更の後でも、日本人集団を取り上げると効いていないように見えるのですよ、これは。効いていないとは言いませんよ。だけれども、効かないように見えているような図しか出てきていないので、これは、要するに日本人については、もっともっとやはりデータを積み重ねる必要があるのではないでしょうかということであります。
○太田分科会長 それでは、事務局から。
○医薬品審査管理課長 御指摘、どうもありがとうございます。まず、いろいろ御指摘いただいた中で、代替性の観点で問題があるのではないかという御指摘がございます。そこについて、御説明させていただきます。
 いわゆる緊急承認制度におけます代替性の有無、これは、参考資料の1-1がございますけれども、要は国民への安定供給という観点からの必要性という視点が入っています。その際には、例えば、国産の医薬品の承認申請だった場合には、供給の観点が考慮される、そういったような扱いにするということで、これは、国会の審議の場においても、そういった形で御議論いただき、承認いただいているものでございます。
 ですので、一つは、この経口薬、既存のものが2剤ございますけれども、これまで、国産の医薬品は承認されていないということから、国産であるという点での要件に該当する点はあろうかと思います。
 加えまして、既存の2剤、経口薬、ラゲブリオ、パキロビッドパックですが、これらは、重症化リスク因子のある方への投与という形になっておりまして、データもその辺りで出ております。
 本剤につきましては、臨床試験データにおいては、重症化リスク因子のない患者さんにおいてのデータも出ていることから、機構の評価においても、重症化リスク因子の有無にかかわらず、投与可能になる。
 それから、感染症学会が検討しているガイドラインにおきましても、重症化リスク因子のない軽症、中等症の患者を対象とし投与できるお薬だというような形を想定してございますので、そういった意味では、重症化リスクのない軽症、中等症の患者を対象として投与できる治療薬という意味では、既存のものはないという形になろうかと思いますので、本剤は、そういった患者に対しても投与可能という意味でも、実際の医療の現場においても代替可能な医薬品はないということで、実質的な意味での代替性の要件も満たしているのではないかと、そんなふうに考えるところでございます。
 あと有効性のところの評価、推定の評価、それらは機構の方で先ほど御説明したとおりかと思っています。必要であれば、機構からお答えさせます。
○島田(眞)委員 ちょっといいですか、最初の国産を優先されるということなのですけれども、国産だったら、幾らでも手に入るとおっしゃいましたけれども、製造能力にも関わっているとは思いますけれども、確かに塩野義さんの場合は、製造能力はかなり持っておられるので、そうかもしれません。
 だけれども、せっかくファイザー社からパキロビッドを200万人分も買って、たった5万人しか使えないようにしているのは、どうなのですかと。そういう反省の上に立って、そういうことをおっしゃるならいいのですけれども。だから、パキロビッドなど幾らでも使えるでしょう。今、200万人もあるのだから。それからモルヌピラビルだって100万人分残っているわけですよ。こういうのをきちんと使えるような体制にするのが、まず、第一でしょうと。
 リスクのない人に使えるからいいのではないかと、リスクのない人でちょっと風邪症状があれば風邪薬でも飲んでおけばいいのですよそんなものは、ということもあります。
 というわけで、それは本当に詭弁なのですよ。はっきり言うとそんなの重症化リスクのない人に。かなり重症の症状を示しますよ、このコロナ感染症は。これにパキロビッドを飲んだ方の感想とかを聞かれていますか。すごく効く感じがすると、皆さん言っていますよ。だから、このゾコーバは、多分そういう感じは絶対しないと思いますね、こんなに効果の少ない薬ですから。だから、非常にベネフィットがあるのは、こういう重症化のリスクのある患者にも使える、だから、当然、軽症者、中等症にも使ってもいいのですよ。使えないようにしているのは、厚生労働省さんでしょう。だから、そういうようなことをするよりは、そういう患者さんにも使えるように、もっとパキロビッドとかを買えばいいだけの話なのですよ、私に言わせれば。だけれども、200万人分もあるわけだから、それをちびちび使って、使えないような形でやっておられる、それに対する反省が一言も聞かれないということですよ。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○医薬品審査管理課長 実際の既存薬についての使い方、これについては、これまでもいろいろ現場から御指摘をいただき、常に改善をしてきていると、私ども承知しております。まだそれが不十分ということであれば、それは引き続きの御指摘ということで、受け止めたいと思っております。
○島田(眞)委員 200万人で5万人しか使っていなくて、何が不十分なのですか。私は、これは6月頃からずっと言い続けていますよ。それでも全然増えないのですよ。だから改善していないのですよ。本気で、それが問題だと言っているわけです。
○医薬品審査管理課長 パキロビッドにつきましては、いろいろ併用薬がかなり多いということ、それから、重症化リスクの高い高齢者あるいは基礎疾患を持っている方、そういったような患者さんを主なターゲットにしているということになりますと、なかなか現実的に難しい、使うに当たっては難しいという面があろうかと、そういった面も実際には一定のハードルになっている面はあるのではないかなと思っております。
 ただ、現場の使い勝手の改善については、厚労省として最善を尽くしているというふうに承知しております。引き続き努力をしていきたいと思います。
○島田(眞)委員 だから、内服薬の飲み合わせについては、それはおっしゃいますけれども、このゾコーバだって同じなのですよ、CYP3Aの阻害薬ですから。だから同じような、だから妊婦に対しても禁忌ですね。だから、そんなに簡単に自由にどんどん使っていい薬ではないですよ。
○医薬品審査管理課長 おっしゃるとおりでございます。
○島田(眞)委員 阻害薬に関しては、十分な注意をする必要がありますよ。
○医薬品審査管理課長 おっしゃるとおりでございまして、その辺りは、添付文書にも当然書いてありますし、それから、感染症学会のガイドラインでも、いわゆる催奇形性の問題、それから薬物相互作用がありますので、全ての薬剤を確認すること、そういった意味で同じ形になると思います。
 ただ、1点違うと思われるところは、重症化リスク因子のない患者さんをターゲットにするということになりますと、基礎疾患がない、あるいは若い方、そういったような方が対象になりますので、そういった意味では、対象がずれることから、一定の使い勝手の悪さというのは解消される面もあるのではないか。ただ、リスクの面は一定程度当然ございますので、過大な期待に基づく不適切な使用というのは、あってはならないことだと私は思っておりますので、そこについては、きっちりと役所として対応するべきではないかなと思っております。以上です。
○太田分科会長 ほかの委員からの御意見も頂きたいと思います。
○島田(眞)委員 重症化リスクがある、なしに関しては。
○清田部会長 島田先生、第二部会長の清田ですけれども、先生、独演会になってしまっていますので。
○島田(眞)委員 独演会ではないですよ。一番重要なことを話しているのに、清田さん、あなた分からないの、これが。
○清田部会長 ほかの委員から御意見もありますので、そちらの方も。
○島田(眞)委員 一番重要な問題を、今、言っているのですよ。あなた、自分の意見を言ってくださいよ。
○清田部会長 それはもう先ほど課長から答弁がありました。
○島田(眞)委員 課長ではなくて、あなたの意見を聞いているのですよ。
○清田部会長 先生が、司会になっていますけれども。
○島田(眞)委員 私が独演会だと批判されるのだったら、自分の意見を言いなさいよ。
○清田部会長 批判はしていません。ほかの委員の御意見もありますので。
○島田(眞)委員 では、黙っていてください。今、一番いいところをやっているわけだから。
○太田分科会長 それでは、ほかの委員の方からの御意見を聞きたいと思います。その後で、もし必要でしたら、またお願いしたいと思います。
 まず、山本委員から、先ほどから挙手をしていただいていると思います。山本委員、よろしくお願いいたします。
○山本委員 簡単なことです。先ほど、薬物相互作用の話が出ましたけれども、資料の1.8「添付文書」を見ますと、併用禁忌のところに物騒なことが書いてあるのですが、これは、既に一般的なことが書いてあるように思うのですが、何か具体的な検証されたデータとかが、どれか個別の薬であるのでしょうか。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございます。それは、機構からよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。添付文書の16.7.2項を御覧ください。臨床試験におきまして、相互作用を検討しているものに関しましては、ここに書かせていただいている薬剤に関して検討させていただいたというところになります。以上です。
○山本委員 ほかのは、まだ、一応こういうことに注意してくださいねというレベルですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、このデータを踏まえまして、ほかの薬剤に関しましても、こういうことを注意いただきたいということで書かせていただいているということになります。
○山本委員 ありがとうございます。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。それでは、宗林委員。
○宗林委員 宗林です。お聞きしたいことなど、3点ございます。
 1点は、このゾコーバが、報告書を見させていただいたら、意外に快復するまでに長くかかり、中央値が167、差はあることは承知しているのですけれども、167とか170ぐらいかかるというようなことで、実際飲み始めてから七日間かかるのだなと認識しています。そして、72時間以内に飲み始めるということなので、実際には、発症というか、陽性あるいは具合が悪くなってから、七日以上かかって快復するようなお薬だなと思っています。
 それから、先ほど清田部会長からもちょっとお話がありましたけれども、ウイルスの減少量のところは、今、差だけが審査報告書(3)に載っているのですが、その前の報告書の方に、52/82というところに、表32に、この前、部会の方で検討したときに載っていて、六日目のときに0.8というような数字で、まだ残っているというような差はあるのですけれども、残っているというような数字が示されています。
 それで、私が聞きたかったのは、今、陽性になってから待機期間が七日ということで定められて、少し短縮されたと思いますが、この七日という数字がすごく微妙かなと思いまして、この薬で、どなたでも使えるというような利点はもちろんあるわけですけれども、中央値が七日近いということは、もっと長い方も快復するのにいるのかなという話もありますし、Day6のところのウイルス量もそこそこあるのかないのかということで、これで、待機日数七日で外を歩いたりしても、感染させるようなウイルス量ではないのか、大丈夫なのかということを一つお聞きしたいと思います。それが1点です。
 それから2点目は、添付文書もそうですし、今回の審査報告書もそうですけれども、すごく後の方まで、2か月後ぐらいまでグラフを載せていて、しかもそれで80%ぐらいの快復率というようなグラフになっています。それから、添付文書の方もそういうようなグラフになっていますが、ここまで長くする必然性みたいなものがあったのでしょうか。普通は、飲んでしばらくしてということで切っていいと思いましたけれども。この観察をし続けた理由がもし何かあれば、あるいは、消費者にとっても有効な情報であれば、添付文書にも載せればいいと思いますけれども、今、載っている理由を教えてください。
 それから3点目は、今、皆さんとても話題になっていますけれども、やはりパキロビッドパックが、本当にいろいろなクリニックを回っても置いていないし、使いにくいから使わないと、はっきり言われるクリニックが多いのですね。これも、今回のゾコーバも、同じようなことになりかねないかなと思って、非常に懸念しているので、今度の方が重症化リスクはなくても、誰にでも出すということになると、飲み合わせの併用薬を、やはり割と簡単にチェックできるなど対応をしないと、利用がすごくしにくいという感じがしますので、何か対策を、ガイドラインに書いてあるのは分かるのですが実際の利用の場面で、もう少し使いやすくするような術を考えていただきたいなと思っています。3点目は要望でございます。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、機構から御説明をお願いしたいと思います。
○新薬審査第四部長 御質問ありがとうございます。ちょっと順番が前後して申し訳ないのですけれども、グラフの横軸につきましては、480時間ということで、20日までのデータになっております。臨床試験の観察期間が28日までということで、20日までのデータとなっておりますので、大変申し訳ございません、分かりづらい数字で大変申し訳ございませんでした。
 あと、ウイルス量のことなのですけれども、まだ、今回は速報値の形で、先ほど説明させていただいたように、Day4の方のみとなっておりますので、その他の時点についてのウイルス量ですとか、より詳細なウイルスの検討などについてのデータは、これからまとめられてくるものと承知しております。
○宗林委員 すみません、それは、審査報告書の資料1というものの中にある、前に検討した、ものではないのでしょうか。
○新薬審査第四部長 あちらは、第II相という一つ前のフェーズにおけるデータとなります。
○宗林委員 それは分かっていますけれども。
○新薬審査第四部長 今回は第III相のパートの速報値になります。
○宗林委員 では、有意差があるということの、先ほど清田部会長がおっしゃった、あの表しかないということですね。
○新薬審査第四部長 御理解のとおり、第III相パートについては、あのデータが提出されているというところになります。
○宗林委員 それで、もう七日目という待機時間、待機日数になりましたが、この状態で中央値とか、この薬を飲んでもそれからウイルス量ははっきりしないのでしょうけれども、これで大丈夫ということなのですかね。裏づけることになるのでしょうか。
○新薬審査第四部長 大変申し訳ありません。今回の試験では、このウイルス量と感染性、周囲への感染がどのようになるか、みたいなところの検討はなされておりませんので、試験成績から把握はできないところでございます。また、こういったウイルス量と待機期間との関連につきましては、その他の事情等も考慮して、コロナ対策本部等の方からの提案ですとか、提示がなされているものではないかと考えております。
○宗林委員 5症状の快復も、やはり結構七日ぐらいはかかっていますね。
○新薬審査第四部長 そうですね。今回167時間ですかね。
○宗林委員 分かりました。
○新薬審査第四部長 症状が治るまで、消えるまでというところで、先ほど定義の説明をさせていただきましたが、そういったところが、かかるまでの時間となっております。
○宗林委員 中央値ですね。
○新薬審査第四部長 はい。
○宗林委員 それから、最後のはいかがですか。
○医薬品審査管理課長 よろしいですか。
○宗林委員 吉田さん、お願いします。
○医薬品審査管理課長 最後の飲み合わせの話ですけれども、パキロビッドが確かに非常に使いにくい、飲みにくいという話、先ほど私もちょっとお答えの中で申し上げたつもりでございますが、パキロビッドは、やはり、重症化リスクのある方、持病の持っている方、高齢者の方ですね、どうしても、いろいろなお薬を飲んでいると思うのですね。今回の場合は、重症化リスク因子のない方も飲めるという形になりますので、そういった意味では、そもそも併用薬がそんなにないという可能性はあろうかと思いますから、特段の特別な措置を取らなくても、飲みにくさといいましょうか、それについては、パキロビッドよりは改善される形にはなるのではないかなと思っているところでございます。もし、特別な対応を考えているというのであれば、またそれは申請者等に確認したいと思いますけれども、一応そんなふうに思っております。
 もう一方の、その前のウイルス量の変化の関係でございますけれども、これで十分かということについては、なかなか定量的な結論といいましょうか、そういうことをなかなかデータ的に言うのは難しいかと思いますが、ただ、前回のこの会議の場で、感染研の脇田先生の方からは、かなりしっかりとしたウイルスの低下が見られている、下がっているというデータだというような評価をされていたと思いますし、今回のデータも同じような結果が繰り返されているという形になっておりますので、そういった意味では、ウイルス量の変化としては、感染研の脇田先生のコメントをお借りしても、十分かどうかはあれですけれども、一定の効果は出ている、確認できているのではないかと思っているところでございます。以上です。
○宗林委員 分かりました。吉田課長、私がお願いしたかったのは、やはりパキロビッドに関しては確かに併用薬が、今回は若い方も併用薬が少ない方も飲まれると思うのですが、そもそもクリニックとか、そこの併設薬局で、こういうのを判断するのが面倒くさいというのですかね、チェックが大変だから、それだったらモルヌピラビルでいいよということで、置いていないのですね。もっと簡易に分かるといいますか、何かしていていただくと、もう少しうまく飲める人たちが増える、現在クリニックとか処方箋、薬局に置いていないという状態なので、その辺も少し、実態はそうだと思いますので、御考慮いただければと思います。よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 どうもありがとうございます。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。それでは、横幕委員から質問が出ております。いかがでしょう。
○横幕委員 よろしくお願いいたします。
 私は議決には参加しないのですが、コメントと質問をさせていただきます。
 今も議論にありましたけれども、情報提供については、緊急承認や特例承認の場合、恐らく製薬会社が情報提供を現場にするということができない枠組みだと思います。
 最初に島田先生もおっしゃっていましたが、学会若しくは厚生労働省若しくは行政から、適切に十分な情報提供が行われるように、その仕組みの整備に取り組んでいただきたいと思います。相互作用がある点についても、その仕組みさえあれば、現場には経験豊富な医者がいますので、適切な使用が行われるものと思います。
 次に、資料3の感染症学会のガイドラインの案について、一点御考慮いただきたいことを申し上げます。「国内での臨床報告」のところで、この薬の薬効の説明として症状の「消失」という言葉があります。機構からの最初の審査報告書の解説で、今回の評価項目のうち「快復」という言葉の定義を御説明いただきました。今回の臨床試験の「快復」は、せいぜい、増悪しない、一段階改善する、その程度の効果の総合をもって「快復」と定義されています。このガイドライン中の「消失」というのは、少し言い過ぎかと思いますので、これは学会に対して例えば、改善や増悪阻止等、言い回しを変えていただいたほうが、臨床試験の「快復」の定義と一致してよいかと思います。
 最後に詳しく伺いたいことが、ウイルス量についてです。抗ウイルス薬ですので、やはりウイルス量が確実に減るということの評価は大事だと思います。先ほど、臨床上、表9にあるような、本剤を使ったときの2コンマ少し、3乗弱のウイルス量の低下があることについて、評価が難しいということがありました。これは、Ct値で言えば、1桁下がるという感じかと思います。Ct値に換算して1桁ぐらい下がるというと、臨床の先生たちは、ウイルス量を下げる効果についてこんな薬なのだなと理解できると思います。Ct値が1桁下がるということについて、緊急承認を今回求められているわけですけれども、市中に出していく上で、ウイルス量が発症72時間未満の患者さんに使用した場合Day4でCt値1桁の低下が認められることについて、この薬を緊急承認したことによって、臨床現場若しくは、多くの苦しむ感染者の方にどういったメリットが期待できるか、もう少し、宗林先生からのコメントも含めてですけれどもお考えいただければと思います。ウイルス量の低下について、前回の会議で脇田先生の方から言及があったことを、私も記憶しております。そのときに呼吸器感染症のウイルス量の低下の評価等は難しいという指摘もありました。今回、審査報告書の中にはないのですが、別資料に評価項目を変更することについての検討で、フェーズIIbの結果からCOVID発症から無作為割付までの72時間未満、それから72時間以上経過した人について、感染価とウイルス量の推移を評価したものが添付されています(「2.5_臨床に関する概括資料」の図2.5.4.2-1)。それを見ると、機序も含めて解釈するとこの薬は、感染早期、発症72時間以内に投与しないと、ウイルスの生活環を断ち切る、若しくはそれに近いような効果を得ることはできないと読めます。発症から割付まで72時間以上経った投与者については、ウイルス量の低下若しくは感染価の低下については、基本的には全く効果がないように見えます。新規感染伝播の阻止等々、早期の職場への復帰等々を考えると、この薬を投与したことによるウイルスの低下若しくは感染性の低下に対する効果については、現時点でのこういった情報を十分に認識した上で市中に出す必要があると思います。この点について、症状の改善等は説明いただいたような評価でしたけれども、もう一つ大事な、市中が恐らく期待している、若しくは我々医療者が少し期待しているこのウイルス量の低下に対する効果について、今回感染価の評価が間に合わないということで情報はないと思いますけれども、フェーズIIbの結果から推測して機構からもう少し見解を聞かせていただければと思います。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、機構からでよろしいですか。
○執行役員 すみません、少しお時間をいただけますでしょうか。
○新薬審査第四部長 よろしいでしょうか。
○太田分科会長 よろしくお願いします。
○新薬審査第四部長 ありがとうございます。ウイルス量の低下と、それに伴ってどのくらいベネフィットがあるかというような御質問かと思いますけれども、我々としては、ウイルス量は、プラセボ群でも、やはり比較的短期間でウイルス量を低下していくような疾患ということもございまして、どれくらいの差があれば臨床的に意義があるかといったところに関しては、なかなか判断、評価が難しいところかと思っております。
 そういったことも踏まえまして、今回は、症状の改善、悪化抑制、消失といったところで評価をしていくことが適切と考えまして、臨床試験成績も、その症状の快復、改善のところで評価をさせていただきました。ウイルス量の低下の部分に関しましては、確かに数値の低下といったところは見られているのですけれども、それがどのくらい薬剤の臨床的意義を持つかといったところにつきましては、ちょっとなかなか評価が難しいと考えております。
○太田分科会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。どうぞ、合田委員。
○合田委員 私が知っている文献ですと、やはりある一定のウイルス量というのがあって、それより上でウイルスの、基本的に感染力があるうんぬんというのが書かれている論文がございます。それで、やはりウイルス量、今のコロナそのものの診断というのはPCRでやるので、感染力があるかどうかということについては、日常的に判断をしているわけではないのです。
 実は、我々診断薬のいろいろな試験をしていまして、それでそこには、ウイルス量に対しての感度の差はかなりあるのですけれども、それを利用して、基本的にどのぐらいの量であれば、ウイルスの感染性があるかどうかということについて、モデルとかというのではできるわけなのですね。ただ、それが本当に臨床的なデータにつながるかどうかということは、臨床の研究を一緒にやらないとできないのだろうと思います。
 ただ、少なくともウイルス量を抑えるということは、感染性のリスクを下げるということだけは間違いないというのが、世界の、多分MDの先生、皆さん同じように思っていらっしゃると思いますけれども、そういうことだと思います。
 そういう意味で、今のコロナの最大の問題は、基本的に家庭内感染がやはり問題が大きくて、1人の人が感染しても、増加するウイルス量を抑え切れれば、感染は次の人に行かないのですけれども。日常的に、特に若い人の問題は、そこが多いのではないかなと思いまして、そういう意味で、明確にウイルス量を落とすというのは、かなり意味がある薬剤ではないかなと、私は考えています。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。では、宮川委員から。
○宮川委員 今、合田委員もお話になりましたけれども、ウイルス量の低下の問題ですけれども、実際の臨床の場面からすると、実際に発症したときには、ウイルスとしては、もう周囲に、感染として、家族内感染も含めて感染させてしまっていると考えます。つまり、その症状が出た瞬間には、もうウイルスは、二日ないし三日前にウイルス量が増えているということなので、実際には家庭内感染とか、そういうのを防ぐことはできないだろうと推察します。今後検討していただきたいのは、罹患後症状が非常に長い方がいらっしゃったり、罹患後症状で非常に苦しんでいる人が存在します。このウイルス量の低下というのは非常に大きな問題で、そういう方々に対しての朗報なのかどうか、そういうところを今後、しっかりとした方向性をもって臨床試験をしていただけるのであれば、私は非常に有用な薬であろうかなと思います。この議論とは少し離れますけれども、そういうことも、やはり申請者も含めてですけれども、しっかりと検討していただきたい事項に今後なるのではないかなと、合田委員のお話を伺って思いました。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○横幕委員 フェーズIIbの結果の解析資料で、発症後割付まで72時間後以降に本薬を投与された方は、ウイルス量すら有意な差をもって落としていません。今回、症状が72時間未満の方で改善されたということでこの薬を通していくというときに、やはり現在参考にし得るフェーズIIbの結果の解釈からして、やはり早期の投与でないといけないということは、しっかりと強調していただくほうがよいかと思います。
○太田分科会長 分かりました。ありがとうございます。それでは、中野委員から御発言をよろしくお願いしたいと思います。
○中野委員 中野でございます。ありがとうございます。山本委員からの御質問とちょっと重複するかもしれませんが、臨床の現場では、やはり併用禁忌とか併用注意の問題は大切なことなので、お尋ね申し上げたいと思います。
 先ほど来、パキロビッドとの対比で、軽症とか中等症の方にこのお薬を飲ませ始めるときに、何か併用薬があって使えないとか、使うのに注意というお話は出ておりますが、別の観点からいきますと、例えば今、今回は12歳以上なので、ちょっと対象年齢が異なりますが、年齢の小さな子供たちは新型コロナに罹患して、熱性痙攣とかでよく運ばれてきます。大人などでも救急の現場で、恐らく痙攣とかを起こして運ばれてくる患者さんもいらっしゃるのではないかと思うのですが、パキロビッドを見ますと、ジアゼパムとかミタゾラムとかフェノバルビタールとか、痙攣を頓挫する薬がほとんど併用禁忌になっているのですね。
 それで、パキロビッドとゾコーバを比較してみますと、非常に似てはいるのですが、CYP3Aその他の問題で、非常に似てはいるのですが、ゾコーバの方は緊急で使うミタゾラムとかジアゼパムというのが、注意ではありますけれども、禁忌にはなっていないのですね。
 これは、私が推測した考えでは、この併用時と単独投与における薬物動態のパラメーターの差ですかね。Cmaxとか、AUCの差が、ゾコーバの方は10以下の単位なのですけれども、パキロビッドの方は、数百とか、場合によっては数千の差があって、これが反映されているのかなと。私はあまり薬物動態というのは得意ではないので、推測したのですが、私のこの考えで間違っていないかということと、あとは、フェノバルビタールとかジアゼパムに関しては、先ほど山本委員から御質問いただいたとき、臨床試験の中には、こういったデータはないのですけれども、理論的に推測して併用禁忌ではなくて、併用注意にされているのか、あるいは何らかのデータがあるのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○太田分科会長 ありがとうございました。機構、いかがでしょう。
○新薬審査第四部長 少々お待ちいただけますでしょうか。
○太田分科会長 はい。
○事務局 事務局でございます。失礼いたします。少し時間がかかっている間に、佐藤委員から、チャットで、既にちょっと別件で退室されてしまっているのですが、チャットにて御質問いただいていますので、その御紹介と回答をさせていただければと思います。
 御質問ですが、緊急承認についての確認ですが、有効性については、推定で承認可となっていることから、今回、有効性が推定されたことから、緊急承認制度の下では承認しないという理由がないという理解でよろしいでしょうかという御質問でございます。これは、御指摘のとおりと考えておりまして、今回、有効性が推定されたと、機構の審査の結果、考えておりまして、その結果を踏まえますと、緊急承認制度の下では、承認しないという理由がないと考えております。以上です。
○太田分科会長 機構から、よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 回答させていただきます。
○太田分科会長 よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、パキロビッドなのですけれども、ニルマトレルビルとリトナビルを有効成分とする配合剤で、両成分ともCYP3A阻害作用を有しています。また、リトナビルは、CYP2D6とか、CYP2C9などの阻害作用も有することが知られています。
 一方、ゾコーバの有効成分であるエンシトレルビルは、CYP3A以外の代謝酵素に対する阻害作用は認められていません。
 CYP3A基質薬の中でも、CYP3Aのみによって代謝される薬剤と、CYP3A以外の代謝酵素によっても代謝される薬剤があり、CYP3A以外の代謝酵素による影響によって、パキロビッドとゾコーバの併用禁忌薬が一部異なっているものがございます。
 また、パキロビッドの強いCYP3A阻害作用については、DDI試験や文献報告などを踏まえますと、配合成分であるリトナビルに主に起因しています。
 したがいまして、国内におけるリトナビルの臨床使用実績や、添付文書における注意喚起も考慮しまして、パキロビッドの注意喚起を設定いたしました。
 一方、ゾコーバにつきましては、このような使用実績などはございませんので、他の強いCYP3A阻害薬であるイトラコナゾールやクラリスロマイシンなどの添付文書なども参考に、注意喚起を設定しているような状況です。以上になります。
○太田分科会長 ありがとうございました。中野委員、よろしいでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。現状、了解いたしました。
○太田分科会長 それでは、続きまして、山田委員からお願いしたいと思います。
○山田委員 山田です。先ほどのウイルス量のことですけれども、コロナウイルスみたいな感染症ですと、10の6乗とか10の7乗とかにウイルス量が増えるので、ここで言われている1.56ぐらいというのは、ものすごくウイルス量を減らしているとは言えないと思うのです。だから、そこら辺のところは、よく注意して言わないと、メディアなどは、抗ウイルス作用に期待するようなことをたくさん言っていますので、十分な注意が必要だと思います。
 もう一点なのですけれども、仮に緊急承認で有効性が推定されるから緊急承認に至るということになるとすると、その有効性が推定されるというのが、実際承認後、どういう要件を満たせば、有効性が確認されるとなるのか、そこら辺について教えていただけますでしょうか。
○太田分科会長 それでは、事務局からお願いしたいと思います。
○医薬品審査管理課長 二つほどいただいたと思います。
 まず後者の方からですけれども、現在、速報値に基づいて、今回緊急承認の可否について御議論をいただいております。
 仮に、これが緊急承認された場合には、今後、第III相パートのいろいろなフルのデータといいましょうか、詳細なデータを提出していただきまして、それで必要な解析とか、そういったものを含めて第III相パートの試験としてしっかりと有効性が確認できる形になった場合に、本承認になるという形になると思っております。
 ですから、今回は第III相パートの中間、速報値で評価しているけれども、その残りのデータの詳細な解析等々が出てくると、そういう形になろうかと思っております。
 それから、ウイルスの関係につきまして、私は先ほどちょっと言葉足らずな説明をしてしまったかもしれません。今回の評価につきましては、機構の評価におきましても、またそれを受けた感染症学会のガイドラインにおきましても、結局、本剤は感染症の症状の効果について検討された薬剤だということで、そのことをしっかりと情報提供する必要があるというのが、機構の評価になっておりますし、それを受け、感染症学会のガイドラインにおきましても、そもそも今回は五つの症状への効果が検討された、そういった成績なのだということを踏まえて処方を検討しなさいという形になっておりますので、ウイルスとかそういうのではなく、あくまでも症状の結果を中心に、今回は見ているのですよということを強調した形になっているかと思いますので、その辺り、今後、仮に承認となった場合には、その辺りの注意についても、さらに徹底していきたいなと思っております。以上です。
○山田委員 ありがとうございます。ウイルス量については、そういうふうに御配慮いただければと思います。
 その有効性の確認なのですけれども、1年間の間に、多分症例数は増えると思うのですね。でも、出てくるデータが、そんなにとてつもなくすばらしいものが出てくるとは思えないので、数が増えて有意差を検定すると、その有意差がますます大きくなる、その程度のことしか出てこないのではないかと思うのですけれども、それによって確認ができるとなるのかどうか。
 特に、全てのデータがそろうとおっしゃっていましたけれども、こういうデータが出たら、推定から確認に移るのだと、明らかな指標というようなものはないのですか。
○太田分科会長 それに関しましては、機構から説明をしていただければと思います。
○新薬審査第四部長 御指摘ありがとうございます。今回の件に関しましては、この第III相パート、既に最終被験者の方が試験終了しておりますので、症例数がこのパートで増えるということはございません。
 ただ、今回御提示させていただいた資料や報告書というのは、その中の一部分の、主に主要解析を行ったところに付随するようなデータでございます。それで、本日いただいたような御指摘なども含めて、全体集団ですとかサブグループの多面的な解析等を行って、今回申請してきた内容が妥当であったかというのを改めて考察した上で、申請がなされた後、審査を行っていくということになります。
 またその際には、今回、もし実際に使用されるとなった場合には、国内患者での使用時の情報も収集されると理解しておりますので、その情報についても、主に安全性になるかと思いますけれども、収集されたものが追加されるかと思っております。
○山田委員 でも、今の御説明だと安全性のデータが増えるけれども、有効性に関しては特に増えないということですか。
○新薬審査第四部長 そうですね、今回の試験に関しての症例の追加というものはございません。ただ、今回、先生方からいただいたような御指摘を含めて、多面的な解析を行った結果が追加されてくるとは考えております。
○山田委員 分かりました。劇的に有効性の推定から確認に移るようなデータが取れるとはあまり思えないのですけれども、分かりました。ありがとうございます。以上です。
○太田分科会長 それでは、続きまして、亀田委員からお願いしたいと思います。
○亀田委員 よろしくお願いします。私は、この報告書を見まして、有効性はある程度推定されるのではないかと。データも、効果サイズが小さい場合には、なかなか難しいと思うのですけれども、ただ一番キーになるデータなどを拝見しますと、72時間未満の患者さんで、全体集団で見ても、日本人の部分集団で見ても、図1なのですが、48時間までは重なっているけれども、そこから差が出てくる。その後は、差がずっと変わらなくなってくるということで、こういった抗ウイルス薬の効果としては妥当であって、エフェクトサイズは小さいながらもある。よって、効果というものが推定できるのではないかということと、in vitroにおいては、様々なウイルス変異株において、ほとんど同じような有効性というものがあるということ。また、抗ウイルス効果をin vivoで見た場合には、どうしても自然にウイルス量が減ってくる中で、プラセボとの差とか、あるいはベースラインの変化とかというのも、なかなか難しいとは思うのですけれども、きちんとした差はあるので、こういった新しい薬剤があるということに関しては、一定の有用性というものはあるのではないかと。
 あと、やはり海外の薬と国産の薬という違いもあって、世界情勢が不安定な中で国産の薬があるということは、様々な事態が想定されますし、パキロビッドが余っているということも問題だと、僕も非常に思いますけれども、また、そういった中では、もう一つの選択肢があるということは、有用ではないかと考えました。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。いかがでしょうか、ほかに。どうぞ。
○神村委員 医師会の神村でございます。本当に町医者の臨床に携わっている者として、前回御意見を申し述べましたけれども、今回のこの有効性について、五つの症状への効果が検討されて、有効性があると言われたわけですから、先ほどの委員の御意見にもありましたけれども、今後のさらなる有効性を確定するとか、あるいは有効性を認めるためには、やはりまた、この五つの症状の、ほぼほぼ自覚的な症状の改善というところをもって、有効性と認識していくのだとすると、かなり曖昧なものではないか。それから、今までですと、臨床試験の段階ですと、プラセボという、何の薬かよく分からないようなプラセボも効果があったかもしれないし、今後、ゾコーバという、いいお薬を飲むのだよと言われれば、なおさらプラセボの効果も増強して、余計に臨床症状がよくなるということもあり得るのではないかなどと心配しております。
 今後の有効性の評価については、かなりどうなのかなという心配をしているところと、それから、先ほど宮川委員が申されましたけれども、その程度の症状よりも、もっともっと深刻なのが、やはり罹患後症状の長期化、そちらの方のデータをしっかり取っていただくということに、私も期待しております。
 緊急承認ということで、有効性が推定されるということであるのならば、今回はそれを一応推定して認めてもよろしいのではないかと考えますけれども、それだけではなくて、さらにもう一つ手に入れたいものは、その罹患後症状への効果がどうなのかという、そういうデータがぜひほしいと思っております。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。これに関してのコメントは、よろしいですか。それでは、山口委員から。
○山口委員 すみません、もう最後なので、先ほどの山田委員、それから今、神村委員の方からも御指摘があったのですけれども、確認というか、そうだと思うのですけれども、臨床試験に関しての主要な解析結果というのは、お作法的には変わらないということになりますね。なので、主要な評価に関しては変わらなくて、あとはセカンダリーの解析結果等々を見て、総合的な判断という意味で有効性の確認と理解したのですが、そこの理解は合っていますか。
○太田分科会長 機構から、どうぞ。
○新薬審査第四部長 ありがとうございます。ちょっと先ほど言い漏らしたところが1点ございまして、現在、国際共同開発というか、米国が中心の臨床試験が別途走っているということもございまして、これがどのくらいの進捗をするかというのは、まだちょっと読めないところでありますけれども、中間解析等の結果が出るようであれば、こちらについても併せて審査の中で確認させていただければと思っております。
○山口委員 ありがとうございます。あと、多くの委員の先生方が疑問を持っておられた、直前での解析方法とか評価項目の検討というところで、そこは信頼性調査のところで、きちんと確認していただくということで、よろしかったでしょうか。
○新薬審査第四部長 今回緊急承認の制度ということで、まだ信頼性調査の結果は、まだ出ておりませんと承知しております。今後、変更手続等が適切に行われていたかは、確認されていくものと考えております。
○山口委員 すみません、ありがとうございます。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。ほかにどなたか、御意見はございますでしょうか。
○島田(眞)委員 いや、私はずっとお待ちしていますが。
○太田分科会長 では、島田委員から。
○島田(眞)委員 島田ですけれども、先ほどから、佐藤先生などもお尋ねになった、有効性が推定されるとそれでもういいのかという、確かにそういうふうには書いてありますが、問題は単に代替薬のない場合なのですよ。それは緊急承認しないと、それはCOVIDが起こり始めたときなら別ですよ。だけれども、今はもう薬がある状況で、他の代替薬はあるのです。ただそれが、何かいろいろ重症化リスクがあるとかないとか、いろいろ言われますけれども、それは詭弁でありまして、他に代替薬がちゃんとあるのですよ。だから、これを使えるようにしたほうがよっぽど早いと私は思いますけれども。こんな効くか効かないか分からないような薬を、有効性が推定されるとか何とかという言葉でごまかしつつ、承認の方に持っていくのはおかしいなと。私は先ほどから言っていますように、日本人では全く効かないのですよ、これ。誰もそのことを言わないけれども、日本人では効かないというデータが出ているのに、これは有効性が推定されると言ってみたり、それから変更前のデータを全部幾つかの図で示されていますけれども、これは全然有意差はないし、効かないのだけれども、傾向はありますねと、そんなことばっかり言っていて、だから有効性が全然推定されないですよ。でも、このことに関して真剣に議論しないというのは、ちょっとおかしいのではないですかね。私は思いますけれども。
○太田分科会長 御意見ありがとうございます。
○島田(眞)委員 これに対して答えていないですよ、機構も。
○太田分科会長 それでは、機構から。
○新薬審査第四部長 御指摘ありがとうございます。主要評価項目の変更につきましては、冒頭の説明にもございましたように、IIb相試験ですとか、III相パートの試験の実施中の流行株ですとか、その流行株で発症されている症状などを加味しまして、医学専門家と考慮した上で、5症状が選択されたと考えておりまして、その点につきましては、専門協議でも、この5症状を選ぶことに関して、全く意味がないというようなことはなく、ある程度理解はできるというようなお話をいただいたところでございます。
 それから、日本人の部分集団での結果のところにつきましても、確かに日本人部分集団での結果の小ささというところはあるのですけれども、臨床試験の評価ということに関しては、検出力等を考慮した全体集団での評価というところが基本であろう、原則だろうというところで、同じく専門協議においても、全体集団の結果で評価を行うということについて、妥当な話だろうという御理解をいただいたということになります。
○島田(眞)委員 いや、だから、本当にそういういろいろな条件をいっぱいつけて、やっと有意差を出したぐらいの、非常に効果の弱い薬だと。先ほどからウイルスの話もされていますけれども、おっしゃるとおりでして、そういうようなお薬であるということは、まず疑いがないので、これはちょっと私は難しいのではないかと思いますけれどもね。というのが、これは私の意見です。
○太田分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ、合田委員。
○合田委員 ちょっとよく分からないのですけれども、パキロビッドパックについて、例えば重症化リスクがない人について使うべきかというようなことについて、製薬会社からそういう申請があったというわけではないのですね。そこが僕は分からないのですが、そういう状況でないとこの会議で判断のしようがないのではないかなと。それを使うべき云々という話は、議論の俎上にもともと載らないのではないかなという具合には思ったのですけれども、そういうことでよろしいのですね。
○太田分科会長 事務局からよろしいですか。
○事務局 事務局でございます。医薬品の開発状況については、なかなか企業秘密等もございますので、お答えすることが難しいのですけれども、公表されている情報から、パキロビッドパック等についても、現在、承認されている範囲のほかの領域についても開発を進めているといった情報はいただいております。そういったものの結果が得られて申請があった場合には、それは審査を進めていくということなると承知しています。
○合田委員 ありがとうございます。ちょっと別な質問を少ししたかったのですけれども。
○太田分科会長 すみません、手短にお願いします。
○合田委員 はい。この薬を、実は最初に、どういうように流通させるかというのが、事前に地方自治体にあったような話があったので、我々は聞いていないので、その部分というのは、具体的にどういう形で流通をさせるのかなというのが、ちょっとよく分からなかった。それをもしもここで説明ができるのだったら、もしも承認された場合に、流通のさせ方がここでできるのだったら教えていただきたいなと思ったのですけれども。
○医薬品審査管理課長 ちょっと部署が違いますのであれですけれども、基本的には、また既存薬と同じように国で買い上げる形になるのだろうと思います。したがいまして、一定の流通の数の問題もあろうかと思いますけれども、既存薬がそうであったように、一定の登録をしてもらって、それで、そこに使用するときの申請をして、そこから供給が行かれると、そのような扱いになるのだろうと思っております。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。もうそろそろ7時の時間が参っております。ほかに何かございましたら。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。なお、大曲委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。また、亀田委員、川上委員、中野委員、南博信委員、横幕委員におかれましても、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、緊急承認を可とし、原体、製剤ともに劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しない旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
○島田(眞)委員 私は反対します。山梨大学、島田です。
○太田分科会長 はい、分かりました。ほかの委員の先生方はいかがでしょう。賛成ですか。よろしいでしょうか。賛成が多数と認めたいと思います。
 それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当会議の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。
 本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か御報告があれば、教えていただければと思います。
○事務局 事務局です。次回の薬事分科会開催につきましては、日程が決まり次第お知らせいたします。医薬品第二部会につきましては、11月28日に開催を予定しております。以上となります。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。
( 了 )
 
備考
この会議は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

総務課 薬事審議会係 (内線2785)
医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)