技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第64回)議事要旨

人材開発統括官 海外人材育成担当参事官室

 

日時:令和4年10月17日(月) 10:00~12:00
場所:Web会議
出席者:市田委員、大迫委員、後藤委員、小宮委員、當間委員、花山座長、村田委員、山脇委員
厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(耕種農業職種及び畜産農業職種関係)全国農業会議所、農林水産省経営局就農・女性課
(加熱性水産加工食品製造業職種及び非加熱性水産加工食品製造業職種関係)全国水産加工業協同組合連合会、水産庁魚政部加工流通課
(建設機械施工職種関係)日本建設機械施工協会、国土交通省不動産・建設経済局国際市場課、国土交通省総合政策局公共事業企画調整課

議題
(1)会議の開催手順について(ご報告)
(2)耕種農業職種及び畜産農業職種の試験の実施・運営状況の報告について
(3)加熱性水産加工食品製造業職種及び非加熱性水産加工食品製造業職種の試験の実施・運営状況の報告について     
(4)建設機械施工職種の試験の実施・運営状況の報告について
 
【概要】
(1)会議の開催手順について(ご報告)
○ 会議の開催手順について、事務局より以下のような説明がなされた。
・会議前に委員からいただいた指摘事項や質問について、業界団体から、口頭のみの説明や抽象的な資料をもとにした説明がなされたため、認定基準に適合しているか否かの確認ができない事例が散見された。これを受け、議事の円滑な進行を図ることを目的に、会議資料の準備を中心に開催手順を明確化した。
・認定基準に適合しているかどうかについては、専門家会議において確認することとされていることから、事務局は、業界団体から提出される会議資料に、専門家会議で確認いただくために必要な情報が含まれているかを確認することとした。
○ 事務局からの報告に対し、特段の質問はなく、今後このとおり進めていくことが確認された。
 
(2)耕種農業職種及び畜産農業職種の試験の実施・運営状況の報告について
○ 耕種農業職種及び畜産農業職種の試験の実施・運営状況について、全国農業会議所から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・受検者数が今後増えていく可能性があるとのことだが、受検料の見直しについて検討しているのかとの質問があった。これに対し、受検料の見直しについては毎年の収支の状況を見ながら検討しているところ、ここ数年は新型コロナウイルス感染症等の影響で収入が大きく減少していることから、受検料の変更が難しい状況である旨の回答があった。
・農業では農機具を使う作業も多いことから、一般的に労災の件数が多いのではと認識しているところ、実技試験では、農機具等を使用する試験となっていないことから、この試験内容で安全衛生の項目について十分な評価ができるのかとの質問があった。これに対し、試験会場では実機を使用することが困難であることから、日頃の実機を用いた実務を踏まえた知識や経験を問う判断等試験で確認することとした旨の回答があった。これに対し、例えば、作業において噴霧器を使用するということだが、農薬等の有毒な物質も取り扱うことから、作業手順に誤りがあれば危ないのではと思われるため、実技試験では実機を用いた試験が必要ではないかとの意見があった。これに対し、専門家や大学教授等の学識経験者に参加いただいている試験問題作成委員会及び評価委員会において検討した結果、判断等試験で確認することとした旨の回答があった。事務局から、技能実習評価試験の認定要件に基づく判断としては、適正な方法であるとして認定している旨の回答があった。これに対し、農業における外国人の労災の状況について質問があった。これに対し、事務局から、詳細にデータを確認しているわけではないが、農業において、現在のところ、外国人、特に技能実習生に有意に、労災が高いとは承知していない旨の回答があった。
・実技試験では、農機具等を使用する作業に関する試験を実機等を使った試験となっていないとのことだが、初級の試験に合格した者が技能実習2号に進んだとき、実際には技能実習1号での作業の修得が十分ではなく、技能実習2号での作業に影響が出るような状況にはなっていないかとの質問があった。これに対し、影響は出ていない旨の回答があった。
・技能実習制度の目的である海外への技能移転を担保するためには、専門級及び上級の受検者数が増加することが重要であるとの前提で、今後の受検者数の増加の見込みについて質問があった。これに対し、過去2年間に新型コロナウイルス感染症に係る水際対策の影響で技能実習生の受け入れが滞ったことから、一時的に受検者数が減少するが、今年度は水際対策の緩和により受け入れが増加しており、このまま技能実習生を受け入れる状況が続くようであれば、長期的に見れば、専門級、上級の受検者も増加の傾向が続くと考えている旨の回答があった。これに対し、引き続き適切な運用を行うよう意見があった。
・高度な技能技術を国に持ち帰るという観点から、上級の実技試験の合格率が低いことに関して、合格率を上げるための取組を考えるべきとの意見があった。これに対し、検討する旨の回答があった。
○ 報告の結果、耕種農業職種及び畜産農業職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
(3)加熱性水産加工食品製造業職種及び非加熱性水産加工食品製造業職種の試験の実施・運営状況の報告について  
○ 加熱性水産加工食品製造業職種及び非加熱性水産加工食品製造業職種の試験の実施・運営状況について、全国水産加工業協同組合連合会から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・資料中に記載された試験の最終合格率について、100%を超えている箇所があるが、計算がおかしいのではないかとの指摘があった。これに対し、100%を超えているのは前年以前から年をまたいで再受検した者の影響である旨の回答があった。事務局から、計算方法の統一について検討する旨の回答があった。
・初級及び専門級に比べ上級の実技試験の合格率が大幅に低い理由について質問があった。これに対し、試験機関の認定当初、当時の技能検定2級の合格率が25%程度であったことから、これと同程度の合格率となるように難易度を調整した旨の回答があった。これに対し、重要なのは予め定められた技能を修得できているかどうかの確認であるため、合格率を先に設定して試験の難易度を調整する方法は適切ではないのではないかとの意見があった。事務局から、合格率について目安はない旨の説明があった。これに対し、修得した技能を適正に評価できる試験内容となるよう検討するとの回答があった。
・他の職種に比べて試験の再受検者数が多いが、実習実施者や管理団体の教育が不足しているのではないかとの意見があった。これに対し、試験機関としては、受検者、実習実施者及び監理団体に対し、作成したテキストや過去問の利用を呼びかけているほか、実技試験終了後に試験監督者からの講評を行っている旨の回答があった。
・実技試験中に包丁で手を切ってしまった事例が過去3年間で4件あったことに対する、技能の習得過程中、試験実施時における再発防止対策について質問があった。これに対し、安全に関するガイドラインを昨年の3月に作成し、周知している旨の回答があった。
○ 報告の結果、加熱性水産加工食品製造業職種及び非加熱性水産加工食品製造業職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
(4)建設機械施工職種の試験の実施・運営状況の報告について
○ 建設機械施工職種の試験の実施・運営状況について、日本建設機械施工協会から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・実技試験の制限時間を超過した後、そのまま作業を続けさせる場合と打ち切りにする場合があり、試験監督者によって判断が変わることで受検者間に不公平が生じることがないよう、客観的な基準を示すべきであるとの意見があった。これに対し、試験監督者向けの資料「技能実習評価試験受検上の注意事項について」に試験中の失格判断基準を明記しており、具体的には、制限時間を超過した場合にはその時点で試験は終了であるが、後の試験が実施しやすいように、建設機械を元の位置に戻してもらうために操作を続行させる場合があるとし、取り扱いを統一している旨の回答があった。
○ 報告の結果、建設機械施工職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
(以上)