2022年5月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年5月30日(月)18:00~

出席者

出席委員(20名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWebでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議におきます委員の出席状況ですが、小崎委員より御欠席との御連絡を頂いています。このほか浦野委員、亀田委員、川上委員、南委員からは、遅れて御参加との御連絡を頂いています。したがいまして、本日は現在のところ当部会委員数21名のうち16名の委員がWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告します。
 次に、部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づきまして、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については、医療用医薬品の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれていますので非公開とします。
 それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮り等がありましたら、ここまでとします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 資料については、審議事項の議題1は資料No.1、その関連で、その他事項の議題1については資料No.21を用いますので、それぞれお手元に御用意をお願いいたします。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けいただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、審議事項議題1に移ります。議題1について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から御説明申し上げます。議題1、資料No.1、生物学的製剤基準の一部改正について、御説明いたします。この度の生物学的製剤基準の一部変更は、日本脳炎ワクチンと肺炎球菌ワクチン等に規定されている異常毒性否定試験を削除するものになります。異常毒性否定試験は生物学的製剤基準の一般的試験法に定められている試験で、モルモットの腹腔内に投与して体重減少やその他の異常がないことを確認する試験となっています。歴史的に、ワクチン等の生物学的製剤に対して実施されてきた試験ですが、近年は、生物学的製剤の製造管理、あるいは品質管理方法の向上に伴い、この試験によらずとも製品の品質を確保することが可能になってきているということに加え、動物愛護の観点もありまして、世界的にも廃止の流れとなっています。
 このような背景を踏まえて、昨年来、順次、各ワクチンについての検討を進めてきたところです。今回は、日本脳炎ワクチンと肺炎球菌ワクチン等について検討を行い、それらのワクチンの各条から、異常毒性否定試験を削除しても差し支えないと判断したものです。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら、お伺いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、その他事項について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から資料No.21について、御説明させていただきます。こちらの資料は、現在の生物学的製剤基準を取り巻く昨今の状況と、今後の検討の作業方針について、現在、業界団体を含めた関連関係者間で認識を共有している内容を整理した資料になります。今しがた御審議いただいた「異常毒性否定試験」の削除、そのほかに例えば、今年の1月部会ではインフルエンザワクチンの白血球数減少試験など、そういった試験を削除すること、更にエンドトキシン試験を導入するなど、いわゆる生物学的製剤基準については、最新の科学的知見や国際的動向、また承認書で規定する事項と生物基で規定する事項の位置づけなど、そういったところの観点から随時整備を行ってきているところです。
 現在、検討中の事項についても、このような観点で検討を進めていまして、また今後、新規に申請されて承認されるワクチン、こういったものの生物学的製剤基準についても、このような観点で今後も検討を行っていきたいと考えていますので、この度、そういったところで認識を共有させていただき、情報提供させていただきたいと思いまして、こういった資料をまとめて、部会の先生方に御報告申し上げるところです。御意見、御助言等がありましたら、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。石井先生、どうぞ。
○石井委員 御説明をありがとうございます。今後の方針について、同じく厚労省の告示である日本薬局方との調和といったことは話題に上っていますか。
○清田部会長 事務局からお答えください。
○事務局 事務局です。もちろん、そういった観点も含めて、国際的な調和と、日局、EP、USP、そういったところの観点も踏まえて、ではどういう形で生物学的製剤基準が今後あるのかと、そういったところの観点から検討を進めていく、そういったところの作業方針を考えています。
○石井委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ほかの先生方、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、その他事項については御確認いただいたものとします。
 以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様には御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始します。
 それでは準備が整いましたので、医薬品第二部会を再開いたします。事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の非公開案件に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.2~資料No.20-3と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますか。このほか、資料22として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料23として「専門委員リスト」、資料24として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料24の1ページを御覧ください。「キュビシン静注用」ですが、本品目はダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を適応菌種として、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページを御覧ください。「ボカブリア水懸筋注及びボカブリア錠」ですが、本品目は「HIV-1感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページを御覧ください。「リカムビス水懸筋注」ですが、本品目は「HIV-1感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 4ページを御覧ください。「オルミエント錠」ですが、本品目は「円形脱毛症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 5ページを御覧ください。「ジェセリ錠」ですが、本品目は「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 6ページを御覧ください。「ジェコビデン筋注」ですが、本品目は「SARS-CoV-2による感染症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 7ページを御覧ください。「ヘムライブラ皮下注」ですが、本品目は「後天性血友病A患者における出血傾向の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 8ページを御覧ください。「アザシチジン」ですが、本品目は「急性骨髄性白血病における寛解導入療法後の維持療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。
 9ページを御覧ください。「ペミガチニブ」ですが、本品目は「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものとします。
 それでは、委員からの申し出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。
 議題2「キュビシン」については、退室委員:なし、議決に参加しない委員:亀田委員、川上委員、中野委員、横幕委員です。
 議題3「ボカブリア・リカムビス」ですが、退室委員:横幕委員、議決に参加しない委員:亀田委員です。
 議題4「オルミエント」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:亀田委員、南委員です。
 議題5「ジェセリ」、退室委員:山本委員、議決に参加しない委員:亀田委員、川下委員、南委員です。
 議題6「ジェコビデン」、退室委員:中野委員、議決に参加しない委員:亀田委員、川上委員、松下委員、南委員です。
 議題7「ヘムライブラ」、退室委員:松下委員、議決に参加しない委員:亀田委員、川上委員、南委員、山本委員です。
 議題8「アザシチジン」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:亀田委員です。
 議題9「ペミガチニブ」、退室委員:南委員、山本委員、議決に参加しない委員:亀田委員です。
 また、議題10についても、各委員より寄付金・契約金等の受取りの申告を頂いていますが、本議題は薬事分科会審議参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
 よろしければ皆様に御確認いただいたものとします。本日の非公開案件は、審議事項9議題、報告事項10議題となっています。それでは審議事項の議題に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品キュビシン静注用350mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。資料No.2、審査報告書のファイルをお開きください。
 キュビシン静注用350mgは、環状リポペプチド系抗生物質であるダプトマイシンを有効成分とする注射剤であり、本邦ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下「MRSA」)による感染症の成人患者に対する治療薬として、2011年7月に承認されています。今般、MRSAによる複雑性皮膚・軟部組織感染症(以下「cSSTI」)及び敗血症の小児患者に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。なお、本剤の小児に対する適応については、2022年2月時点で欧米を含む50以上の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料No.23に示した5名の委員を指名しました。
 審査内容について臨床試験成績を中心に御説明します。MRSAによるcSSTIの小児患者に対する有効性について、通し番号24ページの表22を御覧ください。海外第IV相試験(017試験)での有効性について、本薬群と標準治療群で大きな差異は認められなかったこと、また国内第II相試験(029試験)は非盲検非対照試験として計画・実施されましたが、017試験とおおむね同程度の有効性が確認されたことなどから、本剤の有効性は期待できると判断しました。
 次に、MRSAによる菌血症の小児患者に対する有効性について、通し番号25ページの表24を御覧ください。海外第IV相試験(005試験)での有効性について、本薬群と標準治療群で大きな差異は認められなかったこと、また国内第II相試験(029試験)での日本人患者は1例のみでしたが、臨床効果及び細菌学的効果はいずれも有効と判定されたことなどから、本剤の有効性は期待できると判断しました。
 安全性については、通し番号26ページの表26を御覧ください。海外臨床試験である017試験、005試験及び006試験において、本薬群での有害事象、副作用、重篤な有害事象及び投与中止に至った有害事象の発現割合は、標準治療群と同程度又は標準治療群で高値を示す傾向が認められました。また、国内第II相試験(029試験)での患者数は限定的であったものの、有害事象等の発現状況に海外臨床試験の本薬群と大きな差異はなく、いずれの臨床試験でも死亡は認められませんでした。
 なお、幼若動物を用いた反復投与毒性試験において骨格筋及び末梢神経毒性が認められたこと等を踏まえ、骨格筋及び末梢神経障害に関連する有害事象の発現状況等について確認しましたが、成人と比較して小児で関連するリスクが高い傾向は認められませんでした。
 以上より、骨格筋及び末梢神経障害について成人患者と同様の注意喚起を行うことで、cSSTI及び敗血症の小児患者における安全性は許容可能と判断しました。また、骨格筋及び末梢神経障害に関連する有害事象の発現状況等については引き続き情報収集し、得られた情報は適切に医療現場に提供する必要があると判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本申請は新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年間と設定することが適切と判断しました。なお、薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、事前に渡辺委員より御質問を頂いています。本剤はバンコマイシン塩酸塩、リネゾリド、テイコプラニン、アルベカシン硫酸塩に次ぐ第5のMRSA治療薬ですが、先行剤などとの比較については、「2.5 臨床に関する総括評価」、表2.5-4には、バンコマイシンだけが比較対照として挙げられていますが、どの程度の優越性があったのかを教えてくださいという御質問になりますが、こちらについて機構より回答させていただきます。
 海外第IV相試験の標準治療薬としては、海外ガイドライン等で推奨されている薬剤が使用されていますが、表2.5-4には国内既承認のMRSA治療薬としてバンコマイシンのみが記載されています。またこれらの試験の標準治療群では、使用される薬剤の種類が治験担当医師の判断で被験者ごとに選択され、本薬群は標準治療群と同程度の有効性が認められました。一方、当該試験において、選択された薬剤ごとの有効性は示されていませんが、注射剤から経口剤への切り替えが可能であったことや、複数の薬剤を併用可能であったことから、バンコマイシンを含めて薬剤ごとに有効性を評価することを考察することは難しいと考えています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 
○清田部会長 ありがとうございます。渡辺先生、今の御説明でいかがでしょうか。
○渡辺委員 要するに、標準的な治療というのは、最初の部分での話がバンコマイシンとの比較においてということで、優越性は別に確認されていないということですね。
○清田部会長 そのようです。
○渡辺委員 分かりました。
○清田部会長 ほかの委員の先生方から、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。なお、亀田委員、川上委員、中野委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくものとします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、議題3に移ります。横幕委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づきまして、議題3の審議の間、会議から御退室して御待機いただくものとします。横幕委員は御退室をお願いいたします。
──横幕委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3-1、3-2、ボカブリア水懸筋注400mg、同水懸筋注600mg、同錠30mg及びリカムビス水懸筋注600mg、同水懸筋注900mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料No.3-1のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。なお、本申請は、2剤併用レジメンの申請ですので、審査報告書は一つにまとめさせていただいています。
 まず、申請品目の開発の経緯を御説明します。本邦で承認されているHIV感染症に対する薬剤は毎日の服用が必要である経口剤のみであり、ウイルス学的な抑制が得られた後も一生涯にわたり服用することが必要となります。
 一方で、長期にわたり服用することが課題となっていることから、アドヒアランスの改善や患者の負担軽減等を目的として、長時間作用型の持効性注射剤の開発が進められ、今般、ViiV Healthcareにより開発された新規のインテグラーゼ阻害薬であるカボテグラビルを有効成分とする筋注製剤及び経口剤とJanssen Pharmaceutical,Inc.により開発された非核酸系逆転写酵素阻害薬であるリルピビリンを有効成分とする筋注製剤及び経口剤を用いて、まず2剤の経口剤を導入投与し、忍容性を確認した後、筋注製剤を1か月又は2か月に一度投与する2剤併用レジメン(以下「本レジメン」と省略します)が開発され、申請されたものです。本レジメンは、2022年3月時点で欧米を含む九つの国又は地域で承認されています。本申請の専門委員としては、資料No.23に記載されている9名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書、通し番号の72ページの表65を御覧ください。本レジメン開始時点で抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者を対象とした第III相試験3試験の結果です。国際共同試験である201584試験及び海外試験である201585試験は、投与間隔を4週間と設定し、抗HIV療法であるアバカビル・ドルテグラビル・ラミブジン配合剤等のスクリーニング時まで使用されていた経口剤レジメンを継続した被験者(以下「CAR(Current antiretroviral therapy)群」)を対照群とした比較試験の結果です。
 また、海外試験である207966試験は、本レジメンの投与間隔を4週間に一度又は8週間に一度として投与した際の比較試験の結果です。主要評価項目である投与開始後48週時のHIV-1 RNA量が50copies/mL以上の被験者の割合は、201584試験で本レジメン群2.1%、CAR群2.5%、201585試験で本レジメン群1.6%、CAR群1.0%であり、本レジメン群と対照群との群間差の95%信頼区間の上限値は、それぞれ2.1%、2.5%となり、事前に設定された非劣性マージン(6%)を下回ったことから本レジメン群の対照群に対する非劣性が検証されました。また、207966試験においては、主要評価項目である投与開始後48週時のHIV-1 RNA量が50copies/mL以上の被験者の割合は、4週間間隔投与群で1.0%、8週間間隔投与群で1.7%であり、4週間間隔投与群と8週間間隔投与群との群間差の95%信頼区間の上限値は2.2%となり、事前に設定された非劣性マージン(4%)を下回ったことから、4週間間隔投与群の8週間間隔投与群に対する非劣性が、こちらも検証されました。
 また、審査報告書、通し番号74ページの表67を御覧ください。国際共同試験である201584試験では日本人患者も組み入れられ、例数は限られるものの、日本人部分集団で有効性に大きな差異は認められませんでした。
 以上の試験成績を踏まえ、抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者に対する本レジメンの有効性は期待できると判断しました。
 次に、安全性については、審査報告書、通し番号76ページの表70を御覧ください。国際共同試験である201584試験、及び海外試験である207966試験の治験薬投与開始後96週又は100週時点での安全性の概要を示しています。201584試験では、副作用発現割合が本レジメン群で87%、CAR群で12%であり、本レジメン群で発現割合が高かったものの、その多くは注射部位反応であり、非重篤の事象でした。また、海外試験である207966試験における本レジメンの4週間間隔投与群と8週間間隔投与群では、有害事象、副作用等の発現割合はほぼ同様でした。そのため、本レジメンの投与に際し、注射部位関連の有害事象に対しては必要な注意喚起を行うことで、HIV-1感染症患者に対する本レジメンの安全性は許容可能と判断しました。
 最後に、審査報告書の通し番号89ページに記載している承認条件を御覧ください。以上の審査を踏まえ、機構は記載している承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。各製剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、ボカブリア水懸筋注400mg、同水懸筋注600mg、同錠30mgの原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。なお、リカムビス水懸筋注600mg、同水懸筋注900mgの原体及び製剤はいずれも劇薬に該当します。薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、審査報告書の一部に誤記がありました。通し番号65ページの表58を御覧ください。表58の下から5段目の事象名である「筋肉痛」については、「倦怠感」でありましたので適切に修正します。本修正について、審査への影響はないことを確認しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を受け付けたいと思います。御質問はありませんか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、申請を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。それでは、ロビーで御待機されている横幕委員をお呼びください。
──横幕委員 入室──
○清田部会長 それでは、続きまして議題4に移ります。議題4について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、オルミエント錠2mg及び同錠4mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に34分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるバリシチニブは、ヤヌスキナーゼの阻害剤であり、本邦では、2017年に関節リウマチに係る効能・効果で承認されて以降、アトピー性皮膚炎、SARS-CoV-2による肺炎に係る効能・効果で承認されており、今般、円形脱毛症に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。円形脱毛症(以降「AA」と略します)は、頭部だけでなく眉、まつ毛など、毛髪が存在するあらゆる部位で、脱毛が認められる疾患であり、毛包を標的とした慢性の臓器特異的自己免疫疾患と考えられており、重症例では増悪、軽快を繰り返しながら脱毛斑が拡大することが多いと報告されております。本申請の専門委員として記載されている6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。審査報告書27ページの10項の「その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。有効性については、審査報告書10ページの表9を御覧ください。この表は、頭部の脱毛面積が50%以上であり、6か月以内に毛髪再生が認められないAA患者を対象としたI4V-MC-JAHO試験の第III相パートの成積をお示ししております。本試験における脱毛面積の評価は、医師が頭部の領域ごとに脱毛範囲を評価し、頭部全体の脱毛面積を0~100%で数値化したSALTスコアを用いることとされ、主要評価項目は、頭部の脱毛面積が20%以下であることを示すSALTスコア20以下達成率とされ、評価時点は投与36週後と設定されております。表9の一番下の行にお示ししておりますとおり、本剤2mg、4mgの各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されています。
 次に、審査報告書12ページの表12を御覧ください。こちらには前のI4V-MC-JAHO試験と同じ、主な選択除外基準で選択されたAA患者を対象としたI4V-MC-JAIR試験の成績を示しております。下から3行目の全体集団における主要評価項目である投与36週時のSALTスコア20以下達成率について、本剤2mgと4mgの各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。また、日本人部分集団における有効性の結果は、同じ表12の下半分のとおりであり、日本人部分集団についても全体集団と同様の傾向が認められております。
 続いて、審査報告書17ページの表18を御覧ください。前の二つの検証的試験のその他の有効性評価項目の結果を示したものとなります。上から2項目目の、頭部の脱毛面積が10%以下であることを示すSALTスコア10以下達成率や、下から5項目目の患者自身による頭髪評価であるPRO頭髪評価スコア(0/1)達成率、下から4項目目と3項目目の眉毛やまつ毛の脱毛状態の評価指標であります眉毛及びまつ毛のClinROスコア(0/1)達成率など、AAの脱毛状態などを評価するいずれの評価指標においても、本剤2mg及び4mg群の有効性はおおむねプラセボを上回る傾向が認められ、また大部分の評価項目で2mgと比べて4mgの有効性が高い傾向が認められております。以上より、本剤のAAに対する有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、国内外の臨床試験において認められた主な有害事象と、既承認効能である関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の患者を対象とした臨床試験の安全性の概要を審査報告書21ページの表22に、主な有害事象を22、23ページの表の23、24にお示ししております。主な有害事象として感染症などが認められておりますが、既承認の効能・効果における安全性プロファイルと比較して、新たな違いが認められていないことから、既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と考えております。
 以上より、頭部の脱毛面積が広範囲に及び、少なくとも半年間は毛髪の自然再生が認められないAA患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認できたことから、効能・効果は「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」と設定することが適切と判断いたしました。また、用法・用量は、2mg及び4mgのいずれも有効性が検証され、大部分の評価項目で2mgと比べて4mgの有効性が高い傾向が認められていることなどから、既承認効能・効果と同様に、通常4mgの1日1回投与とした上で、患者の状態に応じて2mgへの減量の選択肢を設定することが適切と判断いたしました。
 なお、本剤投与時の安全管理については、既承認効能・効果での使用時と同様に、本剤に関する十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師のもとで使用されること等の安全対策が必要と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○宗林委員 すみません、宗林です。一つ御質問をしたいと思います。今回のものは、50%以上に脱毛があり、そして6か月以上、それが治ってこないというようなものだと思うのですが、36週4mgを飲むという前提で報告書を書かれています。それで一つ教えていただきたいのは、19ページにある今までの治療方法、ステロイドの局所注射ですとか、ステロイド系の治療等前の治療が何だったのかというのが書いてありますけれども、このときの期間というのは、どのぐらいと比較しているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問くださり、どうもありがとうございます。それぞれの前治療の期間の詳細は提示されておりませんが、同じ表19にお示しているとおり、ベースライン時のAAの罹病期間は多くの患者さんで4年未満でありました。
○宗林委員 今回、プラセボと比較して効果があるということなので、それはそれで承認するということには異存がないのですが、36週間これを飲むということなので、今までのものとの比較というのは何か、できるものがなかったのかと思ってお聞きしました。ここに数字がありますが、これ以上はないということですか。4年未満の脱毛ということになると、1年未満の方もいらっしゃるということですよね、6か月が条件なので。
○医薬品医療機器総合機構 罹病期間が6か月以上1年未満の患者さんも参加しております。既存治療と本剤の有効性を直接比較することは難しいですが、実施された臨床試験では、前治療の有無によらず、少なくとも過去6か月間にわたって毛髪の自然再生が認められない患者さんを対象として実施され、本剤投与によって有効性が示されております。
○宗林委員 ここで前の治療方法より優れていると、このページでは読めますが、この前治療の期間というのは、ここでは特段分からないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 この表19では、これ以上の前治療の期間の詳細はお示しすることができません。
○宗林委員 分かりました。
○清田部会長 ありがとうございます。
○島田(眞)委員 島田ですけれど、今の御質問について、よろしいですか。円形脱毛症は、めちゃくちゃ治療が難しい場合があって、なかなかいい治療法がないのが現状です。ただ、ステロイドの内服療法をすると恐らくこれと似たような効果は得られるのだと思います。ただし、ステロイドというのがやはり円形脱毛症という病気、皮膚だけの病気にステロイドの内服を長期間やるのは、副作用の点からすると全身の副作用が結構ある治療法なので、新たな治療法が求められているということなのですね。
 だから、罹病期間とかそういうのは、治療期間もステロイドだって、ちゃんとやれば恐らく、かなりよくなるはずです。だけど、それ以外の治療が求められて、副作用の少ない治療が求められているときに、このバリシチニブが出てきたということで、アトピーもちょっと似たようなところはあるのですけれども、アトピー性皮膚炎に対するステロイド治療は、いろいろ社会問題にもなったというのは御存知だと思うのですけれども。
 この円形脱毛症も、やはりステロイドの長期間の投与というのは、脱毛症だけの患者さんにどうするべきかというのは、皮膚科医の間でも相当議論があるところで、現在は専門家の間では余り勧められないという治療法になっています。パルス療法もありますが、やはり副作用が問題となります。それ以外、ステロイド局注もあります。また、局所免疫療法とか言って、わざと、かぶれを起こさせるような治療というのは、比較的リスクが少なくてということがあるのですけれども、そちらのほうは、それなりに効果も弱いし、だから新しい有効な治療というのは求められています。基礎的実験でもヤヌスキナーゼ(JaK)の阻害剤は非常に有効であるというところから、円形脱毛症の新治療薬として開発されました。理論的にもエビデンスを積み上げてきた治療法が出てきたわけです。ただし、いつ止めるのかとか、そういう問題になると、まだエビデンスは足らないと思います。確かに、止めるとまた再発するかもしれませんけれど、その辺のところは実臨床できちんと観察していく必要はあると思っています。すみません、ちょっと長くなりましたけれども。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかの先生方、御質問はよろしいでしょうか。ないようですね。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていだだきます。続きまして議題5に移ります。山本委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づきまして、議題5の審議の間、会議から御退出いただき、御待機いただくことといたします。山本委員は御退出をお願いします。
──山本委員 退出──
  ○清田部会長 それでは議題5につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ジェセリ錠40mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。以後の審査報告書のページ数は各ページの68分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるピミテスピブは、ヒートショックプロテイン90(以下「HSP90」と言います)を阻害する低分子化合物であり、HSP90によるクライアントタンパクの高次構造の形成を阻害することにより、クライアントタンパクの不安定化及び分解を促進し、腫瘍の増殖に関与するタンパクの発現量の減少、アポトーシスの誘導等を介して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は、「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を効能・効果として承認申請されました。令和4年2月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料23にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第III相試験である030試験が提出されました。有効性については、審査報告書31ページの表16及び図3を御覧ください。イマチニブメシル酸塩、スニチニブリンゴ酸塩及びレゴラフェニブ水和物による治療後に増悪した切除不能又は遠隔転移を有する消化管間質腫瘍(以下「GIST」と言います)の患者を対象とした030試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間(PFS)について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、副次評価項目とされた全生存期間(OS)については、審査報告書34ページの表17、及び35ページの図4のとおり、プラセボ群と比較して本剤群で延長する傾向が認められました。以上より、イマチニブ、スニチニブ及びレゴラフェニブによる治療後に増悪した切除不能又は遠隔転移を有するGIST患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書37ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、下痢、眼障害、出血及び腎障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
 以上のような審査の結果、機構は「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも該当せず、原体及び製剤はそれぞれ毒薬及び劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、事前に島田美樹委員より、ピミテスピブとCYP3Aの基質との相互作用に関連して御質問及び御意見を頂いています。
 まず1点目として、これまでに報告されているCYP3Aの基質となる薬剤の代謝阻害様式などを踏まえ、未変化体であるピミテスピブとピミテスピブの代謝物の一つであるM2について、CYP3Aの基質となる薬剤の代謝阻害の程度を比較した試験が実施されているかという御質問を頂きました。
 また、CYP3Aを介した相互作用は、臨床現場では最も多く発生しており、患者に重大な不利益をもたらすケースが散見されていることから、創薬の時点から十分に注意を払わなければならないこと、相互作用の様式についてもデータを蓄積する必要があることについて御指摘いただいた上で、もし、ピミテスピブとM2についてCYP3Aの基質となる薬剤の代謝阻害に関する比較試験が実施されていない場合には、追加で試験結果を提出することを求めたいとの御意見を頂きました。
 御質問いただいたCYP3Aの基質となる薬剤への阻害の程度について、ピミテスピブの未変化体と代謝物M2を比較した試験(in vitro試験)は実施されていません。CYP3Aを介した薬物相互作用については、機構としても十分注意を払うべきであると考え、審査報告書26ページの6.R.3項のとおり、申請者に対し、本薬とCYP3Aの基質を併用した際に、基質の曝露量がどの程度増加するのかを明らかにするための臨床薬物相互作用試験の実施について検討を求めているところです。御指摘を踏まえて、阻害様式の面からも、CYP3Aを介した薬物相互作用について検討のうえ、医療現場に得られた情報を提供するよう、申請者に求めたいと思います。
 また2点目として、「添付文書案の代謝の項に、in vitro試験の結果として、CYP3Aを介してM2が生成されていることも記載すべきと考えます。さらに、上記試験の結果が提出されたところで、相互作用の様式などを相互作用の項に追加できればいいのではないかと考えます」との御意見を頂きました。
 御指摘を踏まえ、添付文書16.4の代謝の項に、M2の生成についても追記するよう申請者に指示いたします。事前に頂いたコメントに対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは御質問いただいた島田美樹先生、ただいまの回答について、いかがでしょうか。
○島田(美)委員 申請者に対し、本薬とCYP3Aの基質を使用した際の臨床薬物相互作用試験の実施を求めているということでよろしいのですね。機構からのということでしょうか。
○清田部会長 島田委員、ちょっと聞きづらいのですが。
○島田(美)委員 すみません、機構の方の今の御説明で、CYP3Aを基質とするほかの医薬品に対して、どの程度代謝物の濃度が上昇するかというようなことを求めているということなのですが、それは今後の課題として求められているということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御回答します。機構から企業に対して求めているのは、本剤とCYP3Aの基質となる薬剤を併用した際に、基質の曝露量がどの程度上がるかを評価するためのヒト臨床試験の実施についてです。
 こちらについては、実施するという方向で確定しているわけではありませんが、機構としても重要な点と考えていますので、本日いただいた御意見も踏まえて、実施を前向きに検討するよう、再度、企業には伝えたいと考えています。
○島田(美樹)委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている山本委員をお呼びください。
──山本委員 入室──
○清田部会長 それでは、続きまして議題6に移ります。中野委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づき、議題6の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。中野委員は御退室をお願いいたします。
──中野委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題6について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6「ジェコビデン筋注の製造販売承認の可否等について」機構より御説明いたします。資料No.6のフォルダを開き、資料No.6、審査報告書「ジェコビデン筋注」のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページ下段に青色で記載の94分の幾つを使用いたします。
 本剤は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の安定変異体をコードする遺伝子を、複製能を持たないヒトアデノウイルス26型に挿入した非増殖型の遺伝子組換えウイルスワクチンです。本剤を筋肉内接種することによって生体内でスパイクタンパク質が発現し、液性免疫及び細胞性免疫が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防効果を発揮すると考えられています。本剤は、2022年3月末時点で、100を超える国及びWHOにおいて承認、条件付き承認や緊急供給の承認を取得しています。本品目の専門委員として、資料No.23に記載の11名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。20ページを御覧ください。表10にお示しした本剤の臨床試験のうち、本剤の有効性は、COVID-19の発症予防効果を評価した海外第III相試験、COV3001試験(以下、海外3001試験)、及びCOV3009試験(以下、海外3009試験)に加え、免疫原性を評価した国内COV1002試験(以下、国内試験)に基づき審査いたしました。
 32ページを御覧ください。本剤の単回接種の有効性を検討した海外3001試験では、ベースライン時にSARS-CoV-2血清抗体陰性であった被験者における治験薬接種後14日以降及び28日以降の中等度から重度/致命的なCOVID-19確定例の発症を主要評価項目として設定し、これらの発症率に基づく発症予防効果(以下、VE)が検討されました。同じページの表28に、海外3001試験におけるVEの結果を示します。本剤接種後14日以降及び28日以降のVEは、それぞれ66.9%及び66.1%であり、いずれも事前に設定された有効性評価の基準を満たしていたことから、本剤の単回接種における有効性が示されたと判断いたしました。
 続いて36ページを御覧ください。海外3009試験では、本剤を約2か月の間隔で2回接種した際の有効性が検討されました。表31に、海外3009試験の主要評価項目の結果として、ベースライン時にSARS-CoV-2血清抗体陰性であった被験者における治験薬2回目接種14日以降の中等度から重度/致命的なCOVID-19確定例の発症率に基づくVEを示しています。VEは75.2%であり、事前に規定された有効性評価の基準を満たしました。
 次に、21ページを御覧ください。国内試験の免疫原性の結果について御説明いたします。国内試験では、20歳以上55歳以下の健康成人のコホート及び65歳以上の成人のコホートが設定され、各回接種後の免疫原性が検討されました。表11に、SARS-CoV-2に対する中和抗体の幾何平均(以下、GMT)、及び抗体陽転率の結果を示しています。国内試験では、発症予防効果の検証に用いられた5×1010 vpの本剤に加え、有効成分量が2倍となる用量についても検討されています。本剤5×1010 vpの用量群では、1回目接種後28日において、いずれの年齢層においても、中和抗体のGMTはベースライン時からの上昇が認められ、抗体陽転率は98%でした。本試験では、治験薬を約2か月間隔で2回接種した際の免疫原性も検討しており、2回目接種後の中和抗体のGMTは1回目接種後より更に上昇が認められました。
 次に、25ページを御覧ください。表17及び次ページの表18に、海外第I/II相試験である海外COV1001試験におけるSARS-CoV-2に対する中和抗体のGMP及び抗体陽転率の結果を示しています。表17は18歳以上55歳以下、表18は65歳以上の結果になります。海外1001試験の本剤5×1010 vpの1回接種後28日における中和抗体GMT及び抗体陽転率は、先ほどお示しした国内試験の結果と同様でした。また、本剤5×1010vpの2回接種群において、2回目接種後の中和抗体価は国内試験と同様に1回目接種後から上昇しています。
 以上より、機構は、海外3001試験で本剤のCOVID-19発症予防効果が示され、また、日本人と非日本人で同様の中和抗体の誘導が確認されたことから、海外3001試験及び海外3009試験で確認された本剤単回接種後及び2回接種後のCOVID-19に対する発症予防効果は日本人でも期待できると判断いたしました。
 続いて、変異株に対する本剤の有効性について御説明いたします。51ページから始まる「7.R.2.5 変異株に対する有効性について」の項を御覧ください。申請者は、海外3001試験及び海外3009試験におけるCOVID-19確定例について、SARS-CoV-2のゲノム配列を解析し、各変異株に対する本剤の発症予防効果を検討しています。52ページの表47に、海外3001試験における本剤単回接種後14日以降及び28日以降の中等度から重度/致命的なCOVID-19の確定例の発症率に基づく変異株別のVEの結果を示しています。アルファ株については参照株と同様であり、ベータ株、ミュー株、ラムダ株については、低い傾向が認められました。また、海外3009試験における各変異株に対するVEは、表47の下の本文中に記載しており、アルファ株で94.2%でした。これらの検討から、海外3001試験及び海外3009試験の実施時に流行していたアルファ変異株等の変異株に対する本剤のVEについては、参照株に対する有効性と同様に期待できると判断いたしました。
 現在流行しているオミクロン株に対しては、本剤接種後に誘導される中和抗体価は、従来株に対する中和活性より低下することが報告されていますが、52ページの「南アフリカにおいて」から始まる段落に記載しているとおり、海外における使用実態下における本剤単回接種後、又は本剤2回接種後の検討から、オミクロン株も含む本剤の流行変異株に起因するCOVID-19による入院などの抑制効果が報告されています。機構は、今後も本剤の変異株に対する中和活性誘導能などの免疫原性や臨床的有効性について、製造販売後も引き続き検討及び情報収集し、適切に対応する必要があると考えます。
 続いて、本剤の安全性について御説明いたします。33ページを御覧ください。表29に海外3001試験の治験薬単回接種後7日間における局所及び全身性の特定有害事象の発現状況を示しています。これらのほとんどは軽度または中等度であり、回復性が確認されています。また、海外3009試験及び国内試験では、本剤2か月間隔で2回接種した際の各回の安全性を評価していますが、1回目接種後と2回目接種後で、大きく異なる傾向は認められていません。その他の有害事象の発現状況や年齢別の発現状況なども踏まえ、機構は、本剤の臨床試験成績から、本剤の安全性プロファイルについて、承認の可否に影響する重大な懸念は認められないと判断いたしました。
 次に65ページを御覧ください。既承認のアデノウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリア筋注と同様に、本剤の接種後に極めて稀に発現する事象として、血小板減少症を伴う血栓症(以下、TTS)のリスクが特定されています。この事象は、ヘパリン起因性血小板減少症と類似した病態であり、鑑別診断や発症後早期の対応が重要であることから、関連学会が、TTSの診断と治療の手引きを作成し、注意喚起等を行っているところです。本剤の接種においても、TTSの発現に注意し、より早期に適切な診断と治療が行われる必要があると考えます。したがって、本剤の接種を行う医療従事者に対して添付文書及び情報提供資材などを用いて注意喚起するとともに、被接種者に対してTTSの初期症状や好発時期を説明し、本剤のリスクと必要な対応について理解を促すことが重要と考えます。
 64ページの「7.R.3.2 注目すべき有害事象」の項に記載のとおり、TTS以外にも、ショック、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群などの免疫介在性及び神経炎症性の事象、その他、海外の製造販売後に認められ、本剤によるリスクとして評価されている事象など、本剤の接種に際して注意が必要な事項はあるものの、適切な注意喚起及び情報提供を行った上で使用することを前提として、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 最後に、本剤の接種回数に関する考え方について御説明いたします。45ページを御覧ください。単回接種の試験である海外3001試験では、主要解析の結果を得た以降、二重盲検期終了時点で、より長い追跡期間におけるVEを評価しています。表38に、治験薬単回接種後14日以降のCOVID-19確定例の発症率に基づくVEを、表39に、試験薬単回接種後28日以降のCOVID-19確定例の発症率に基づくVEを示しています。「中等症以上のCOVID-19と記載された行の一番右側の列に記載のVEは、それぞれ56.3%及び52.9%であり、主要解析時に比べて低い値となっています。これらの結果については、試験期間中に新たに出現したSARS-CoV-2の変異株による影響の可能性も否定できませんが、本剤のCOVID-19に対する発症予防効果の経時的な減弱である可能性も否定できないと考えます。
 本剤を2か月間隔で2回接種した海外3009試験では、海外3001試験の結果に比べて、VEの点推定値としては高い値を示し、また、本剤の2回接種後の中和抗体価は単回接種後と比べて上昇することが確認されています。既承認のSARS-CoV-2ワクチンについて得られている知見を踏まえると、中和抗体価を高く維持することは、変異株の出現によるCOVID-19の再拡大への対応も含め、COVID-19の発症予防及び重症化予防とその持続において意義があると考えられることから、COVID-19の流行が収束せず、予防効果の持続が必要と考えられる状況においては、本剤は単回接種した者の追加免疫として、本剤の2回目の接種が有用と考えます。したがって、添付文書の用法及び用量に関連する注意において、本剤の初回接種から少なくとも2か月経過した後に2回目の接種を行うことができることを情報提供し、既承認類薬と同様に、SARS-CoV-2の流行状況等を踏まえ、リスク・ベネフィットを考慮した上で本剤の追加免疫の要否を判断する旨を記載することが適切と判断いたしました。
 なお、国内においては、本剤の適応対象となる18歳以上の成人の大部分が既承認のSARS-CoV-2ワクチンによる初回免疫を完了し、追加免疫も進められている状況です。本剤については、異なるSARS-CoV-2ワクチンによる初回免疫を完了した者に対する追加免疫の有効性及び安全性が現時点では評価されていないことから、今後、これらの者を対象に本剤の追加免疫に関する検討を行っている臨床試験成績が得られた際には、その有効性及び安全性について臨床現場に必要な情報提供を検討する予定です。
 総合評価について、91ページに記載しています。機構は、総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会は報告を予定しております。
 また、既に御連絡しているところではございますが、審査報告書の修正の必要な箇所がございました。45ページを御覧ください。表38及び表39で、先ほど御覧いただいた箇所になりますが、各表の「中等症以上のCOVID-19」の項の記載について、各表のタイトルにもありますように、「中等度から重度/致命的なCOVID-19」が適切な記載となります。また、審査報告書の1ページに示すように、単位の記載漏れ及び誤記がございました。大変申し訳ございませんでした。これらの修正による審査結果への影響がないと考えております。
 また、渡辺委員より事前コメントを頂いておりますので、機構より御回答いたします。頂いた御質問ですが、「現在、本邦ではCOVID-19ワクチン接種者の大部分は、「ファイザーですか、モデルナですか。」、「ファイザーでお願いします。」と言います。ジェコビデン筋注は遺伝子組換えアデノウイルスベクターなので、アストラゼネカ社ワクチンに近い組成なのでしょうか。今後期待できる効果は、国民目線で言えば、ファイザーよりも優れていますか。ファイザーと同じぐらいですか。モデルナよりはましでしょうか。アストラゼネカみたいに見向きもされなくなるのでしょうかという懸念があります。」という御質問でした。
 まず、本剤の組成に関する御質問に関しましては、先生のおっしゃるとおり、アストラゼネカ社ワクチン、バキスゼブリア筋注ですけれども、これに近い組成です。メッセンジャーRNAワクチンに含まれるような脂質成分や、ポリエチレングリコールは含まれていませんが、アストラゼネカ社ワクチンと同様に、ポリソルベート80が添加剤として含まれています。アストラゼネカ社ワクチンとの添加剤の違いは、緩衝液の成分、安定化剤になります。例えば、クエン酸水和物、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンといったものになります。
 次に、今後の期待できる効果についてですが、既承認ワクチンとの有効性を直接比較した検討を行っていないため、優劣を判断することはできませんが、本剤はWHOが示す新型コロナウイルスワクチンに対する要求水準を満たすものであると考えています。接種回数の少なさや、ほかのワクチンと比較した相対的な発熱の頻度から、これからワクチンを接種する方の一部から選択される可能性はありますが、実際に使用されるか否かは、今後本剤が臨時接種に採用されるかなど、様々な要因によって異なってくると考えています。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 審査管理課長から補足があります。
○医薬品審査管理課長 審査管理課です。本剤についての基本的な有効性・安全性の評価については、ただいま機構の方から説明があったとおりです。事務局サイドの調整が不十分で大変申し訳ございません。添付文書案を御覧ください。添付文書案の用法・用量、あるいはそれに関連する注意の関連で御提案させていただければと思います。
 御案内のとおり、新型コロナ関連の医薬品については、できるだけ機動的な対応ができるように、効能・効果あるいは用法・用量に関連する事項については可能な限り、添付文書における用法・用量に関連する注意事項などに記載するというような対応をしてきております。これまでに承認されておりますワクチンについて、並べてみた場合に、今回の添付文書案の用法・用量のところに具体的な年齢「18歳以上の者に」と記載されております。コロナ以外のワクチンについては、こういう形で規定することは当然ありますので、これ自体が問題だというわけではありません。他のコロナワクチンとの並びを考えた場合に、この「18歳以上の者」という内容については、「用法・用量に関連する注意」のほうに移すということで対応してありますので、これについてもそういう形にさせていただければと思います。
 したがって、用法・用量については、「通常、1回0.5mLを筋肉内に接種する」という形にして、代わりに「用法・用量に関する注意」のほうに、接種対象者として「18歳以上の者とする」というような形で、少し記載の整理をさせていただければと思っております。
 さらに、ここにある関連注意についても、既存の類薬、先ほど渡辺先生のほうからもお話がありましたけれども、そういったものとの関連で、記載の整合をとったほうがいい部分があれば、それは少し、併せて対応させていただければと思っております。そういった形で、「用法・用量」あるいは「用法・用量に関連する注意」については、今申し上げたような形に変更するという前提で御審議を頂ければ有り難いと思います。
 なお、この「18歳以上の者」の表現が、「用法・用量に関する注意」のほうに移行したとしても、それを変更する際には、機構あるいは厚労省で確認をし、当然、この審議会のほうでも確認いただいた上で変更するという形になりますので、そういう点についてはご安心いただければと思います。追加で御説明させていただきました。それを前提に御審議いただければと思います。
○清田部会長 それでは、渡辺先生から先に御質問を頂いて、機構のほうから御回答を頂いていますけれども、渡辺先生、いかがでしょうか。
○渡辺委員 お答えいただいた内容はもっともだと思います。今は、マスコミをはじめ、世の中がそのような理性的な説明とか、そういうものに全く関係なく動いています。だから、ここで新しく出てきたものに対して、どのような売り込みというわけではないですけれども、国民に安心を与えて普及というか、提供できるものなのかと思っている次第です。
○清田部会長 今の点についてお答えいただけますか。
○医薬品審査管理課長 御質問、どうもありがとうございます。売り込みとか、そういうことになれば、今後の予防接種事業の中でどうするのかという話もあろうかと思います。ただ今回、このものを薬事分科会、あるいは薬事のほうの対応として認められるのかどうかということについては、先ほど機構のほうからも説明があったとおり、このワクチンの有効性・安全性を見た場合に、WHOの基準は当然満たしておりますし、副反応の程度等を見ても、その他のものと比べても、一定の安全性面でのメリット的なものを見られなくもないことから、薬機法上の承認拒否事由には該当しませんので、通常の承認をするということについては全く問題ないと我々は思っております。
 ワクチン接種の選択肢が広がり、一定のワクチンが打てない方もおられるかと思いますので、そのような選択肢が広がることも一定の意義があると思っております。その辺りは、今後これを予防接種事業の中に位置付けることがあれば、その中でどういう形でやっていくのかというのは考えていくことかと思っております。そのように御理解ください。薬事の立場としては、こういうことで認めることについては問題ないと考えているという前提で御検討いただければ有り難いと思います。
○清田部会長 3名の委員から御質問があるようです。石井先生、松下先生、島田眞路先生の順で御質問を承ります。まず、石井先生、どうぞ。
○石井委員 先に、品質関連で恐縮なのですけれども、製剤の管理について教えてください。本品の定量法では、感染ユニット及びウイルス粒子濃度、いずれも下限の規定があるだけで上限がないのですけれども、範囲で管理しなくても大丈夫でしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。御質問ありがとうございます。この製剤に限らず、一般的に生ワクチンの場合は、下限値を設定して上限値を設定しないものがあります。今回も10の8.92乗という、かなり高濃度で設定されています。それ以上を製剤に含むことは可能なのですけれども、製造上多く含めばコストもかかることにもなりますので、あまり上限を設けたものはございません。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○石井委員 実務上、管理される形になるということと理解いたしました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは松下先生、御質問をどうぞ。
○松下委員 松下です。今回、こちらは製造販売元による適正使用ガイドを作成する。また、前回のように関連学会に対して手引きを作成するようにといった予定や動きの御指示はあるのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。適正使用ガイド等の情報提供資材については、医薬品リスク管理計画書に基づいて作成し、提供する予定です。また、関連学会における治療及び診断の手引きですけれども、関連学会の方には、本剤の承認申請に関して情報を提供して、関連学会が既に審査時において、本剤も含めた内容として一度、改定を行っており、今後は最新情報を踏まえて改定していただけるものと考えております。
○清田部会長 松下先生、いかがでしょうか。
○松下委員 今ある手引きを必要に応じて改定してくださいということでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 現時点で最新の情報になっていることと理解していますが、新たな情報が得られた際には情報を更新していただければと考えております。現時点では適正使用ガイド等の企業が情報提供しようとしている内容については、現在公表されている関連学会の作成した手引きを参考にしているところです。
○松下委員 分かりました。持ち帰って、学会でも一度、検討してみます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、島田眞路先生、どうぞ。
○島田(眞)委員 渡辺先生がお聞きになった内容は、私も同様の懸念を抱いております。ヤンセンファーマさんは、なぜこれを今頃出してくるのかというのが第一の疑問です。最初の頃、mRNAのワクチンが二つ出て、アストラゼネカがウイルスベクターの、今回と似たようなワクチンを出してきました。それでは、VEがものすごく良いのかと見ると、今回のワクチン、そんなにものすごい効果を示しているわけでもないのです。
 今は、オミクロンばかりです。だから、このオミクロン株に本当に効くかどうかという、しっかりとした試験がなされているのかどうかということを、私はしっかりと見たくて報告書を読ませて頂きました。文章で書いてあるような感じはあるのかもしれませんけれども、それもはっきりしません。WHOが承認したからといっても、WHOは結構何でも承認しています。それでも、日本では余り使われないというのがあったわけです。例えば、アストラゼネカのワクチンです。このアストラゼネカも本当は、ある程度よいワクチンであるのかもしれません。だけどVEも低く、血栓が出るということもあります。私は、前回の承認のときにアストラゼネカをこういう事態のときに承認していいものかどうかという疑問をこの場で呈したことがあります。だけど、ここでは単剤として有効性と安全性に優れたところを検討したみたいな話で通ったわけです。だけど、私は非常に懸念を抱いていました。
 要するに、mRNAの95%以上のVEと比較して70%ぐらいのVEで、しかも副反応が結構あるということで、結局は日本では使われなかったではないですか。無理してということもないですけれども、結構無理して、私自身は、そのような感覚でした。無理して通して、それで使えるようにしますというそちらの判断でいろいろおっしゃっていましたけれども、結局出た途端に余り使われなくて、台湾にみんなあげてしまいました。それで台湾の人が喜んでいるかというと、結構批判もあったように聞いています。
 それと同じようなワクチンがまた出てきて、似たようなプロファイルを示しているものですよね。しかも、本当にオミクロンに結構ガーンと効くというようなエビデンスがあれば、これは非常に有用です。でも、それは大したことがないようですし、いろいろなデータがある程度出ています。そのようなものに対して、なぜ、これを今頃、一生懸命に通そうとしているのかということが、私は理解できないということです。
○清田部会長 課長、どうぞ。
○医薬品審査管理課長 御指摘どうもありがとうございます。先ほどお答えしたことに尽きるわけですが。まず、審査がこの時期になったことについては、申請自体はもう1年ぐらい前になされております。その後、機構における審査での照会を企業に出したことに対し、企業のほうから、特に品質関連の部分だと聞いておりますけれども、その分の追加資料を提出するのに時間を要して、結果として、これだけ時間がかかってしまったというのが現実です。ですから、申請をした頃には、それほど日本では普及していなかったというような時期だったのではないかと思います。まず、それが1点目です。
 それから、薬事において承認したのに使われなくてという御指摘については、アストラゼネカについてはそういった御批判があるのは承知しています。本剤についても、そういう意味では同種のモダリティのワクチンではあります。本日は健康局サイドから来ておりませんけれども、現時点において、これについて承認された後に、これを予防推進事業と位置付けて購入するというような、少なくともそういう契約をするという話合いは進んではいないと承知しています。ですので、薬事で認めた後で、また新たな廃棄等々の問題が起こるのではないかという御懸念に対しては、現時点ではそれには当たらないと思っております。
 最後ですけれども、それで、なぜ承認するのか、審査するのかということです。これについては繰り返しになりますが、ワクチンとして、薬事における承認審査においては、そのものとしての有効性があるのか、あるいは安全性が十分確認できるのか。それが満たされれば、薬機法第14条における承認拒否事由に該当しなければ、それは承認せざるを得ないというか、承認することに、我々としては問題ないと思っております。そういう観点で、その有効性についてはWHOが認める50%の基準は超えています。もちろん、90%というような有効率はありませんが、約70%近くの有効性がある。副反応あるいは接種回数については1回で済むわけですから、そういう利便性もあるでしょう。更には、mRNAワクチンで言われているような、発熱等々の副反応に比べれば、これについてはそういう頻度は少ないということもあります。
 血栓症等のことについては、アストラゼネカのワクチンと同様の対応が、学会で対応できれば、それもコントロール可能であろうということに鑑みれば、安全性についても一定の確認はできているだろうと。オミクロンについては先ほど御説明があったとおり、一定の有効性は期待できるのではないかということです。有効性・安全性は確認できているので、承認拒否事由には当たらないことから、薬事の世界においては承認して差し支えないのではないかと、機構あるいは我々も考えて、本日お諮りしているということです。そのように、いろいろな経緯、あるいは事情が重なっておりますので、通常と違っているところで御理解を頂くのが難しいのは重々承知しておりますけれども、そういうところを御理解いただいて御審議いただければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○清田部会長 島田先生、その辺でよろしいでしょうか。
○島田(眞)委員 そういう意味では、これは相当出来の悪いワクチンなのです。1年も放っておいたというか、機構がおっしゃったクライテリアを克服できなくて、今に至ったということであれば、それはもう会社が悪いのでしょうがないので本当は責任を取らなくてはいけないのです。それを、わざわざ通してあげるみたいな。今みたいに、何万語か費やさないと説明できないようなものを、わざわざ通す意味は、私はないと思うのです。だけど、機構も厚労省もどうしても通したいのだとおっしゃれば、それはここにおられる先生たちがみんなOKすればいいのですけれども、ちょっとこれは承認しかねると思います。
 オミクロンにも効くと言いましたけれども、ちゃんとしたデータは表として出ていますか?記述はありますが、統計的解析もなく、これは何かよく分からないです。今のオミクロンに本当に効いているのかどうかなどというのは分からないでしょう。ここで出しているデータは、かなり前のデータなのですよ、1年も前に出したということは。そうすると、せいぜいウーハン株が主体で、アルファ株、デルタ株も入っているかどうか。多分、アルファ株は入っていますね。有効データは、そのぐらいのところの古いデータなのです。そういうことになると、申し訳ないけれども、今頃これを一生懸命に出されているのはちょっとおかしいなと私は思います。
○清田部会長 ありがとうございます、ほかの先生方から、ほかに御質問はございますか。はい、ありがとうございます。まあ、いろいろな御意見はありますけれども、薬事として、これを通すかどうかの議決に入ります。亀田委員、川上委員、松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加は御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
○島田(眞)委員 私は反対します。
○清田部会長 はい。それでは、ほかの先生方に御異議がないようですので、お1人を残して賛同していただいたということで、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている中野委員をお呼びください。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、機構です。1点補足させていただいてもよろしいでしょうか。
○清田部会長 よくないです。もう議決は終わっていますよ。
○医薬品医療機器総合機構 はい。若干、事実誤認があるかもと思いまして、もし差し支えなければ、この点だけ少し発言をお許しいただければと思うのですが、いかがでしょうか。不可能であれば、もちろん結構です。
○島田(眞)委員 事実誤認だなどと、そんな失礼なことを言うのだったら言ってくださいよ。
○医薬品医療機器総合機構 恐れ入ります。審査報告書の中でも御説明させていただきましたけれども、オミクロン株に関する有効性については、臨床試験では、確かに先生の御指摘のとおり、そういう試験は出ておりませんけれども、製造販売後の調査において、重症化予防効果において一定の有効性があったことを1点、お話できればと思っておりました。ありがとうございました。
○島田(眞)委員 だから、表にちゃんと出ていないでしょう。表を見せてください。
○医薬品医療機器総合機構 先生の御指摘のとおり、表には示されていません。
○島田(眞)委員 だから、そういうのは、かなりいい加減な調査なんですよ。それだったら表にもすべきです。正直、載せてほしいわけですよ。
○清田部会長 ありがとうございます。これは、もう議決してしまいましたので、後で機構の方から島田先生に。
○島田(眞)委員 機構も、余り失礼なことを言わないでほしいですよね。添付文書にも出ていないでしょう、出ているんですか。正式の書類に出ていないで、何か1行ちょこっと書いて、それでこれがあるだろう、というような失礼な言い方をしてね。ちゃんと、この報告書を見ていますよ。そんなに自信があるのだったら、ちゃんとしっかりしたデータを出してから言ってください。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○医薬品審査管理課長 すみません、申し訳ございませんでした。大変失礼しました。
○清田部会長 それでは、中野委員をお呼びしてください。
──中野委員 入室──
○清田部会長 それでは、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、生物学的製剤基準の一部改正について事務局より御説明いたします。今し方、御審議いただきました「コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)」に関して、薬機法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、必要な基準を設けることができるというところにのっとり、生物学的製剤基準を制定したいと考えております。
 本基準については、非増殖性の組換えアデノウイルスベクターを利用したワクチンとして、製品での力価試験のほか、セル・バンクやウイルスシードの管理、又は原液段階での外来性ウイルス等否定試験などを設定したものとなっております。今回、ヒトアデノウイルスベクターのウイルスワクチンについての基準を作成しますが、もう一つ既に承認しておりますサルアデノウイルスベクターワクチンの基準についても、実質的な内容・規定に変更はありませんが、今回の基準作成に当たり、一部の記載を整備しておりますので、併せて変更したいと考えております。説明は以上です、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 これに関して、委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。ないようですので議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。御異議はないようですので、改正を可として薬事分科会に御報告させていただきます。続いて、議題7に移ります。松下委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づき、議題7の審議の間、会議から御退室して、御待機いただくものといたします。松下委員は御退室をお願いいたします。
──松下委員 退室──
○清田部会長 議題7について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品ヘムライブラ皮下注30mg、同皮下注60mg、同皮下注90mg、同皮下注105mg及び同皮下注150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明いたします。
 審査報告書、青字の通し番号5/22ページを御覧ください。本剤は、血液凝固第VIII因子の機能を代替するモノクローナル抗体であるエミシズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする皮下注射剤で、「先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」の効能・効果で承認されております。後天性血友病Aは、血液凝固第VIII因子に対する自己抗体であるインヒビターが出現し、血液凝固第VIII因子活性が著しく低下することによって引き起こされる出血性疾患で、重篤かつ致死的な出血症状を呈する場合があります。
 今般、国内第III相臨床試験のJO42003試験の成績に基づき、後天性血友病A患者に係る効能・効果及び用法・用量を追加するための一部変更承認申請がなされました。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.23に記載した4名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書9/22ページの表2を御覧ください。有効性について、後天性血友病A患者における出血傾向の抑制効果が、年間出血回数であるABRなどから評価されました。全ての出血、治療を要した出血及び生命を脅かすような大出血のいずれについても本剤投与後に減少し、観察期間に占める出血症状継続期間の割合も低下しました。また、12/22ページの表5に、本剤投与開始前後での止血のための血液製剤の使用実績を示しました。全体としての血液製剤の使用実績も本剤投与後に減少しました。以上の結果などから、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 次に、安全性についてですが、戻って9/22ページを御覧ください。真ん中の辺りに、JO42003試験における安全性の概要をお示ししております。本剤投与との因果関係が否定できない重篤な有害事象及び死亡は認められず、副作用は血小板減少症、プロトロンビンフラグメント1+2増加及び深部静脈血栓症、各1例でした。安全性の評価については、審査報告書15/22ページを御覧ください。JO42003試験成績からは既承認の先天性血友病A患者において確認された安全性と異なる傾向は認められておらず、後天性血友病A患者に本剤の定期投与を行った際の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 併せて、17/22ページの中ほどの、「また、本薬投与終了基準(7.1参照)を達成した」から始まる段落を御覧ください。自己免疫疾患である後天性血友病Aでは、免疫抑制療法によりインヒビターが消失し、血液凝固第VIII因子活性が回復してくる場合があります。その場合に、過凝固による血栓塞栓症リスクには注意が必要となります。そのため、臨床現場では、個々の患者のリスクファクターや臨床経過等を考慮して投与を終えられるように、「患者の凝固能をモニタリングし、適切な時期に本剤の投与を終了すること」が添付文書において注意喚起される予定です。
 以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請ですが、本剤は昨年8月の当部会における審議を経て、後天性血友病Aに係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当と判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上となります、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問をお受けいたします。御質問はございませんか。ないようですので、議決に入ります。亀田委員、川上委員、南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている松下委員をお呼びください。
──松下委員 入室──
○清田部会長 続いて議題8に移ります。議題8について、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、資料No.8、アザシチジンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の最初のページの中段を御覧ください。申請者は「ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社」、予定される効能・効果は「急性骨髄性白血病における寛解導入療法後の維持療法」です。以下、急性骨髄性白血病はAMLと略させていただきます。
 まず、「対象者数」についてです。本邦におけるAMLの総患者数は約7,000人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えます。
 次に、「医療上の必要性について」です。未治療のAMLに対して、ダウノルビシン塩酸塩等のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤とシタラビンとの併用化学療法等が標準的な治療として推奨され、寛解が達成された場合は地固め療法が推奨されております。また、一部の患者では同種造血幹細胞移植の実施が推奨されていますが、これらの治療を実施した場合でも再発することが多く、寛解を維持するための新たな治療薬の開発が望まれています。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。寛解導入療法後に寛解を達成した未治療のAML患者を対象とした海外第III相試験において、プラセボ群に対して本剤群で統計学的に有意な全生存期間の延長が認められ、更に当該試験と同様の患者を対象とした国内第II相試験が実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を受けたいと思います。御質問はございますか。ないようですので議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。御異議はないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして議題9に移ります。南委員、山本委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づき、議題9の審議の間は会議から御退室いただき、御待機いただくことといたします。南委員、山本委員は御退室をお願いいたします。
──南委員・山本委員 退室──
○清田部会長 議題9について、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題9、資料No.9、ペミガチニブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書最初のページの中段を御覧ください。申請者は「インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社」、予定される効能・効果は「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」です。以下、骨髄性又はリンパ性腫瘍はMLNと略させていただきます。
 まず、「対象者数」について、疫学調査等から指定基準を満たしているものと考えております。次に「医療上の必要性について」、FGFR1融合遺伝子陽性のMLNに対して承認された薬剤はなく、現在は、ヒドロキシ尿素の投与や多剤併用化学療法等が行われているものの、多くの場合、根治に至らず予後不良な疾患であることから、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後、「開発の可能性について」ですが、FGFR1融合遺伝子陽性のMLN患者を対象とした本剤の国際共同第II相試験において、主要評価項目とされた完全奏効率が62.5%であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がありましたら受け付けたいと思います。御質問はございませんか。よろしいでしょうか。ないようですので議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございます。御異議はないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機している南委員、山本委員をお呼びください。
──南委員・山本委員 入室──
○清田部会長 続いて報告事項に移ります。報告事項 議題1~10について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項 議題1、資料No.11「医薬品マヴィレット配合顆粒小児用の製造販売承認等について」御報告いたします。マヴィレット配合顆粒小児用及びマヴィレット配合錠は、グレカプレビル水和物及びピブレンタスビルを有効成分とする配合剤であり、本邦において、マヴィレット配合錠は「C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果として成人及び12歳以上の小児に対する用法・用量が承認されております。マヴィレット配合顆粒小児用は、1包中にグレカプレビル水和物及びピブレンタスビルの顆粒を共充填した製剤であり、小児用製剤として開発されました。今回は、アッヴィ合同会社から、剤形追加及び3歳以上12歳未満、かつ体重45kg未満の小児の用法・用量に係る配合顆粒の製造販売承認申請、並びにその用法・用量に係る配合錠の製造販売承認一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項 議題2、資料No.12「医薬品ジクトルテープ75mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御説明いたします。本剤の有効成分であるジクロフェナクナトリウムは、フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬であり、本剤は各種がんにおける鎮痛の効能・効果で承認されております。今般、久光製薬株式会社より、腰痛症等に対する国内第III相試験成績において本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、腰痛症等の効能追加に係る製造販売承認事項の一部変更申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて報告事項 議題3、資料No.13「医薬品ジクアスLX点眼液3%の製造販売承認につい」ついて」御説明いたします。本剤の有効成分であるジクアホソルナトリウムは、結膜上皮及び杯細胞膜等に発現するP受容体に対するアゴニストであり、同有効成分を含むジクアス点眼液3%が、1日6回点眼の用法・用量でドライアイに対して承認されております。
 今般、参天製薬株式会社より、ドライアイに対する国内第III相試験成績等から本剤の1日3回点眼による有効性及び安全性が確認されたとして新剤形に係る医薬品として製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項 議題4、資料No.14「医薬品アバスチン点滴静注用100mg/4mL及び同点滴静注用400mg/16mLの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。本剤は、ヒト血管内皮増殖因子に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」、「卵巣癌」等を効能・効果として承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和4年2月4日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、今般、中外製薬株式会社から、「卵巣癌に対する本剤10mg/kgの2週間間隔投与」の用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項 議題5~7まで、資料No.15~17までについて御説明いたします。医薬品ノイトロジン注と、医薬品グラン注射液、医薬品フルダラ静注用について御説明いたします。ノイトロジン及びグランは、それぞれレノグラスチム(遺伝子組換え)及びフィルグラスチム(遺伝子組換え)を有効成分とするヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)であり、現在は、造血幹細胞の末梢血中への動員等に係る効能・効果で承認されております。また、フルダラは、アデニンヌクレオシド誘導体であるフルダラビンリン酸エステルを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病等に係る効能・効果で承認されております。
 これら3剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和4年2月4日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、中外製薬株式会社、協和キリン株式会社及びサノフィ株式会社から、「再発又は難治性の急性骨髄性白血病」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項 議題8、承認条件の解除について、資料No.18-1、18-2、18-3について御報告いたします。まず、資料No.18-1の1ページ目を御覧ください。本品目は、オルミエント錠2mg及び同錠4mgです。本品目は、平成29年7月3日に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果で承認され、その際に全例調査に係る承認条件が付されております。この度、日本イーライリリー株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の中間報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 それから、資料No.18-2です。資料No.18-2の2/7ページを御覧ください。イムブルビカカプセルです。平成28年12月2日に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ヤンセンファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 次は資料No.18-3です。2/7ページを御覧ください。エムプリシティ点滴静注用です。平成28年9月28日に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で承認され、その際に、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続いて報告事項の議題9、優先審査指定品目の審査期間について御報告いたします。資料No.19を御覧ください。今回、優先審査となった品目は、販売名は「リブタヨ点滴静注」で、一般名は「セミプリマブ(遺伝子組換え)」、申請者は「サノフィ株式会社」です。「がん化学療法中又は療法後に増悪した再発・転移性の子宮癌」の承認申請がなされております。
 優先審査の該当性については、通し番号の7/9ページを御覧ください。まず、「適応疾患の重篤性」です。本品目の適応疾患は、「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断しております。
 次に、「医療上の有用性について」です。今般、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある切除不能な進行又は再発の子宮頚癌患者を対象とした国際共同第III相試験が行われており、既存の治療法に対する本剤の全生存期間の有意な延長が認められております。また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられております。このことから、本剤は医療上の有効性が高く、有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法よりも優れていること」に該当すると判断されております。以上を踏まえ、優先審査品目に該当すると判断いたしました。
 続いて議題10、資料No.20-1~3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。今回御報告する対象の品目は、マラロン配合錠、マラロン小児用配合錠、アメパロモカプセル250mg、ロゼックスゲル0.75%です。これらの品目については、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、薬機法第14条第2項第3号の定める承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果及び用法・用量等の承認事項について変更の必要がない「カテゴリー1」と判断しております。御説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問がございましたら受け付けたいと思います。御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項 議題1~10については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上です。事務局から何か御報告はございますか。
○事務局 次回の部会につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 本日はこれで終了とさせていただきます。本当にお疲れさまでございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)