第9回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和4年10月27日(木)10:30~12:00

開催方法

オンライン開催

出席者

  • 天瀬 光二
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 友原 章典
  • 新田 秀司
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1)外国人雇用状況について
  2. (2)外国人の雇用労働に係る統計整備の状況について
  3. (3)外国人雇用対策の最近の取組について
  4. (4)その他

議事

議事内容
○山川座長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第9回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方、本日は御多忙のところ御参集いただきまして大変ありがとうございます。開会に際しまして、田中職業安定局長から御挨拶がございます。
○職業安定局長 おはようございます。職業安定局長の田中でございます。本日はお忙しい中、第9回外国人雇用対策の在り方に関する検討会に御参集いただきまして誠にありがとうございます。外国人の新規入国につきましては、本年3月から外国人の新規入国規制が緩和され、その後も順次緩和されてきております。これにより多くの外国人労働者の方々が我が国に入国されておりまして、外国人雇用への取組も、今後ますます関心を集めるものとなると考えております。
さて、本検討会では昨年6月の中間取りまとめを頂いたわけでございますけれども、その内容を踏まえ、外国人の雇用に関する統計を新設するため、有識者による研究会を設置し、現在令和5年度の調査開始に向けて議論を進めているところです。今後、統計制度を所管する総務省の審査などをいただきまして、内容・方針を確定していくことになりますけれども、本日は現時点での当該統計調査の検討の状況を御報告させていただきます。
また本日は、これまでの検討会における委員の皆様からの御意見を踏まえ、外国人雇用に関する取組内容として、ウクライナ避難民の方々への就労支援、留学生の国内就職支援の取組、更に関係者とハローワークとの連携した取組についても御報告させていただきます。委員の皆様には限られた時間ではございますが、是非、忌憚のない御意見をいただけますと幸いです。以上簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いします。
○山川座長 ありがとうございました。本日の検討会はこちらの会場とオンラインで開催いたします。また今回も、検討会の様子をYouTubeで配信するということですので、それらにつきまして事務局から説明をお願いします。
○国際労働力対策企画官 事務局でございます。オンラインで御参加いただいている皆様の発言につきましてお願いがございます。オンラインの方は事前に「外国人雇用対策の在り方に関する検討会の開催・参加方法について」というファイルをお送りしていますので、御参照いただきたいと存じます。
まず、座長が御発言を希望される方を募ります。会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用していただきますようお願いいたします。座長から、御発言される方を指名いたしますので、指名された後に、まずお名前を名乗っていただき、御発言を開始してください。オンラインでの発言後は、必ずマイクをミュートにしてくださいますよう、お願いいたします。操作についての御質問がある場合には、事務局までお問い合わせをお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願い申し上げます。
また、事前に登録いただいた方に限り、本検討会をYouTubeで配信しておりますが、会議映像の録画・録音は御遠慮くださいますようお願いします。傍聴される皆様におかれましても、御理解、御協力をお願いいたします。
続きまして、資料の確認です。本日の資料は、議事次第と、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5です。こちらの資料に不備がありましたら、事務局のほうにお申し付けください。事務局からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。議事に先立ちまして、本検討会の構成員に交代がありましたので、御報告させていただきます。資料1を御覧ください。杉崎委員が御退任されまして、代わりに日本商工会議所産業政策第二部長、大下委員に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大下委員 よろしくお願いいたします。
○山川座長 また本日の御出欠の状況ですけれども、九門委員と山脇委員が御欠席と伺っております。事務局にも異動があったということですので、事務局から報告をお願いします。
○国際労働力対策企画官 事務局に異動がございましたので、御報告いたします。大臣官房審議官の本多から原口に異動しております。なお、原口は、本日国会対応がございまして欠席しております。御容赦いただきますようお願いいたします。そして、海外人材受入就労対策室長の菊田です。
○海外人材受入就労対策室長 菊田です。よろしくお願いします。
○国際労働力対策企画官 それから私、国際労働力対策企画官の中野でございます。事務局からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとなっております。
それでは議事に入ります。最初の議題は、議題(1)「外国人雇用の状況について」です。では、事務局から説明をお願いします。
○国際労働力対策企画官 資料の共有をします。資料2の外国人雇用の状況について御説明いたします。こちらの資料は、ハローワークのシステムから抽出したデータを改めて集計したものです。2ページの新規求職者数の推移ですが、2019年1月以降の外国人新規求職者数を月ごとに集計したものです。縦棒の高さがトータルの新規求職者数を表しています。直近のピークは、2020年6月となっています。前年同時期の2倍近くまで上昇しました。この矢印の所です。その後は増減を繰り返し、本年に入ってからは1万人程度で推移しています。
在留資格としては、縦棒のうちのピンクの部分が専門的・技術的分野の在留資格で、緑が身分に基づく資格、紫色がその他という分類です。その他は、留学生、特定活動等が主な属性です。身分に基づく在留資格が全体の大部分を占めているという状況です。また、2月の前回検討会の御説明の中でもコロナの影響がかなり薄れてきていると申し上げましたが、その後の推移を見ましてもオミクロン株の拡大等はありましたが、新規求職者に与える顕著な影響はなかったと受け止めています。
続いて3ページです。在職中の方を除いた新規求職者に占める非自発的な離職の割合の推移をまとめています。解雇の状況を示す指標と御理解いただきたいと思います。グラフの青い実線の部分が外国人の推移ですが、2020年2月以降増加して、68.6%まで達しています。その後ゆっくりと減ってきまして、2021年10月には2019年同月の割合を下回っています。直近2022年8月では36.5%という水準です。赤い実線が日本人を示しています。恒常的に外国人のほうが非自発的な離職の割合が高いという状況が続いています。
続いて4ページです。先ほどの非自発的な離職の推移を在留資格別に見たものです。身分系の在留資格である永住者が赤色、日本人配偶者等が緑、定住者が紫ということで、大体同じようなトレンドで推移しています。その中で定住者が一貫して高く、これは派遣労働などが多いということが影響していると考えています。
いわゆる技人国が青色の実線部分です。身分系の中でも緑の日本人配偶者と比較しますと、コロナ以前はこちらのほうが非自発的離職の割合が低かったものが、2020年6月に逆転して、技人国のほうが高くなっています。2021年9月には再度入れ替わり、技人国が低くなっています。その後はその状態が大体続いています。
続いて5ページです。就職率の推移を表しています。赤の実線が外国人を除いた一般の求職者の就職率ですが、2020年4月に一気に22.9%まで急減しています。以降、低水準での推移が続いています。その後、徐々に持ち直し、最近は6から3ポイントの下振れで推移しています。青の実線が外国人の就職率です。2020年5月には2019年同月を約8%下回っていましたが、2020年11月にはほぼ同じ水準まで回復しています。その後は2019年を下回る状況が続いています。直近の今年8月は12.6%ということで、コロナ前と比較して3.8ポイント低い水準となっています。こちらも日本人と比較しますと、おおむね15~20ポイントぐらい低い状況が、コロナ以前から継続しています。
続いて6ページ以降が求人に関する分析です。7ページからは、外国人向けの新規求人の推移を示しています。外国人向けということで求人時に明示的に把握したものをこちらに掲示しています。2020年4月に、前月(3月)の8,114人から大幅に下がり、その後徐々に回復し、直近の今年8月では1万4,000人を超える状況で、コロナ前の同時期の8割増という状況です。外国人向けの新規の求人に関しては、コロナ前の状況に戻っているものと理解しています。なお、棒グラフの青い部分が専門的技術的分野の求人です。全体に占める割合は小さくなっていますが、おおむね似たような傾向を示しています。
次の8ページです。こちらは有効求人数です。求人は充足されるまで3か月間有効ですので、先ほどのグラフを均したような傾向になっています。続いて9ページです。在留資格の専門技術的分野とそれ以外の在留資格につきまして、職業別に有効求人数の推移をグラフ化したものです。左のグラフが専門的・技術的分野です。2020年5月にはコロナ前と比較して4割減というところまできましたが、その後は同程度の水準で推移しています。2020年10月頃から増加傾向に転じ、増減を繰り返しながらゆっくりと上昇しているところです。
右のグラフが専門的・技術的分野以外のものです。2020年5月にコロナ前の3割減ぐらいに落ちていますが、徐々に回復して直近の8月ではコロナ前の1.59倍になっています。比較しますと、専門的・技術的分野のほうは戻りが遅いという状況です。次の10ページに、外国語使用有効求人数の推移をまとめていますが、こういった求人の回復が芳しくないということが一因と考えています。左のグラフは言語別、右が職業別ですが、2020年8月にコロナ前同月と比較して0.38倍になり、底を打ちました。その後、上昇はしていますけれども、0.55倍程度で留まっています。こちらはインバウンドに関連した職業の影響が大きいと思っており、まだ需要が十分には回復していないと思っています。その回復状況次第ということかなと思います。駆け足でしたが、資料2の御説明は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明内容について御意見、御質問等がありましたら、委員の皆様から御発言をお願いしたいと思います。御発言の際は先ほどありましたように、挙手または「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくようにお願いします。御質問、御意見等はございますか。
酒井委員、どうぞ。
○酒井委員 酒井です。私のほうから、ちょっとざっくりした質問で恐縮なのですが、今の御説明にあった求人・求職の状況に関して質問させていただきたいと思います。
分析内容は非常に興味深く伺っていたのですけれども、求職者数に関しては、外国人に対する求職者数がおおむね横ばいということで、その一方で求人数に関しては、今年に入ってからは一貫した増加のトレンドにあるということかと思います。
ただ、それにもかかわらず就職率に関してはあまり上がっていない、変動をしているようですが、大体横ばいなのではないかと見て取れました。そうすると、求職者数が横ばいの一方で、求人数が一貫して増えているということであれば、本来だったら就職率も上昇するのかなと思うところですが、就職率は必ずしも上がっているわけではないということに関して、事務局としては、どういうふうに捉えられているのかというところを1点、もしお考えがありましたら伺いたいと思います。私からは以上です。
○国際労働力対策企画官 ありがとうございます。確かに御指摘のように、求人が上がっているほどには就職率の上昇が見られないという状況は、私どもも認識しています。どうしても求職者、求人のほうでのミスマッチがあって、このような状況になっているのかなと考えていますが、詳細については、また分析したいと存じます。
○酒井委員 はい、分かりました、ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。
佐久間委員、どうぞお願いします。
○佐久間委員 佐久間でございます。よろしくお願いいたします。今、事務局よりご説明賜りました資料2の9ページについて、グラフの見方を教えていただきたいと存じます。「ハローワークにおける職業別の有効求人数の推移」とあります。在留資格別となっているのですけれども、このグラフの中で、職業別有効求人数の推移として、専門的・技術的分野とそれ以外という2つのグラフがありますが、専門的・技術的分野の中でも、ここで専門的・技術的職業というのが青の棒グラフになっています。左の専門的・技術的分野のグラフの中で、販売の職業というのがあるのですが、それにはどんなものが考えられるか、それを教えていただければと思います。以上です。
○国際労働力対策企画官 ありがとうございます。専門的・技術的分野のうちの販売の職業に関しては、例えば薬局の店長さんなどがあると、私どもは承知しています。
○山川座長 佐久間委員、何かありますか。
○佐久間委員 薬局のところで、薬剤師の方が在留資格を持っているのは、帰化された方ではないかと思ったのですが、何か、他に販売の職業の例示はありますか。専門的・技術的分野以外でしたら、分かるのですけれども。他に、もし良い例があれば、もう1つ教えていただければと思います。
○山川座長 では、事務局からお願いします。
○外国人雇用対策課長補佐 申し訳ありません。また、こちらで調べて御報告したいと思います。こちらの専門的・技術的分野につきましては、求人受理後、専門的・技術的分野の方が応募可能なものということになっていますので、何か、そこだけをターゲットにしたものでは必ずしもないということは考えられるかなと思います。
○佐久間委員 分かりました。例示があれば、理解しやすくなりますので。ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございます。個人的な感想ですけれども、多分、専門的・技術的分野という場合の専門的・技術的という表現と、専門的・技術的職業という場合の専門的・技術的という表現で、若干ニュアンスの違いがあるのかなと思ったところです。もし、改めて分かりましたら、また御紹介いただければと思います。
○佐久間委員 ありがとうございます。
○山川座長 では是川委員、どうぞ。
○是川委員 ありがとうございます。本データによるハローワークの求人データに基づく分析も、本検討会が始まってからずっとモニタリングしてきまして、見方というのも分かってきたのかなと思います。改めて振り返ってみますと、やはりコロナ禍において、外国人の方も一定程度ハローワークを通じて仕事を探すということをされていたということが見えたのかなということです。また、現下の足元の情勢を見ると、おおむね変化の方向としては、水準としてはコロナ前の水準におおむね戻ってきているということなのかなということが、こうして継続して見てきたことで見えてきたのかなと思っています。
また、それと同時に、就職率のところで酒井先生からも御指摘ありましたけれども、やはり日本人と外国人労働者の間には就職率のギャップというのが一定程度、常に存在しているという構造的なギャップがあるということも同時に見えてきたのかなと思います。そういう意味で、この分析は今後、新しい統計が新設されるわけではありますが、タイムリーに見ていく上でこのデータを今後もきちんと見ていくことが重要だなと改めて思いました。
その上で、ちょっと確認なのですけれども、もしかして過去に出されていたかもしれなくて、私もちょっと今思い出せないので確認させていただきたいと思うのですが。今後、よりトレンドを見ていくと、今は在留資格で区切っていますが、もし性別とか年齢層とかそういったものでも見ていければ、同じような分析をしていきますと、より良いのかなと思いましたが、そういったことは可能でしょうかというのが質問となります。
今、外国人労働者の方というのは割と年齢層が20代とか30代前半ぐらいに割と集中しているかと思いますが、今後より数が多くなっていくと、年齢層がもう少し上の方にも伸びていくかと思います。また、今回の求人数の変化を見ていくと、そもそも労働市場への参加と退出というのが、やはり大きく影響しているのかなと思いまして、その場合、やはり男女間など構造的な要因により対応が違うと思いますので、そういったことも同時に見ていけるとよいのかなと思った次第です。以上が質問と確認です。
○山川座長 事務局から、いかがでしょうか。
○国際労働力対策企画官 御指摘ありがとうございます。今、頂いた御意見も含め、踏まえて今後、分析をしていきたいと存じます。
○山川座長 よろしいでしょうか。
○是川委員 ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますか。ありがとうございます。先ほど酒井委員から御質問があった点で、私も分析を専門とするわけではありませんけれども、政策的には求職数が増えていって、しかし就職率がそれほどでもない。また外国人向けの有効求人あるいは外国語使用有効求人があまり増えていないというのは、政策的には恐らくマッチング、特に以前に検討会で行いましたような日本語の必要性に関するマッチング、ないしは事業主への再検討の働きかけというような政策的な取組が重要であるということを改めて示しているのかなと個人的には感じたところであります。
ほかに何かございますか。ないようでしたら、次の議題に移ります。議題(2)「外国人の雇用労働に係る統計整備の状況について」となります。事務局から説明をお願いします。
○国際労働力対策企画官 資料3の外国人統計について御説明させていただきます。前回の検討会では、昨年度の中間取りまとめを受けて、新統計の立ち上げに係る検討会を実施していることと、その検討状況を御報告いたしました。資料の2ページですが、今年度に入り、改めて外国人の雇用状況に係る統計調査の新設に関する研究会を設置し、昨年度の検討結果を踏まえて、新統計の構築に関する具体的な検討を行っているところです。
新統計の研究会には、こちらの検討会の一部の委員の先生方にも御参画いただいており、酒井先生、友原先生、是川先生にも御助言を頂いて、既存統計で把握できる雇用労働状況と、外国人の雇用労働状況の比較とか、職種別、産業別、在留資格別に、外国人労働者の労働条件の把握・分析が可能となるように、調査項目及び調査票の設計、標本集団の設定等について検討しているところです。外国人統計の必要性については、前回の御説明と同じですので、省略させていただきたいと存じます。
続いて、3ページですが、今回立ち上げようとしております統計の概要です。対象は、外国人労働者を雇用する事業所と、その事業所に雇用される外国人労働者としております。外国人労働者を雇用する事業所については、外国人雇用状況の届出を出していただいている事業所から抽出することになります。調査目的は、申し上げたとおりです。
新統計の概要は、雇用動向調査、就業構造基本調査、賃金構造基本統計調査等と整合させた調査項目として、比較が可能になるように検討しております。また、回収率確保の観点から、オンラインでの回答を受け付けることとしており、特に労働者に関しては、外国人ですので多言語での対応を予定しております。スケジュールについては、来年度から調査開始、その次の年度に公表予定としております。
主な調査項目ですが、左側の事業所の調査に関しては、事業所の属性情報として企画全体の常用労働者数、事業内容、在留資格別の常用労働者数等を想定しております。雇用する労働者の属性としては、性別、年齢、最終学歴、在留資格等を想定しております。また、現在の雇用状況として、雇用形態、就業形態、勤属年数、役職、職種などを聴取いたします。
右側の労働者調査として、外国人の属性情報である性別、出生年月、職業、在留資格、出生地などを調査したいと考えております。併せて、入職経路として、仕事に就く上でのトラブルとか、入職前の居住地、入職経路、入国費用負担者、入国に掛かった費用や期間などを調査いたします。これに加えて、回答者の負担軽減の観点から、現在の雇用状況、前職の状況、生活状況、この3つを数年おきに入れ替えて聴取するということを考えております。こういった統計を継続的に実施していくことで、外国人労働者の実態把握を適切に行い、エビデンスに基づいた政策展開を進めていきたいと考えております。御説明は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明の内容について、御意見、御質問がありましたら、御発言をお願いします。先ほどと同様に、挙手又は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくようお願いします。御質問、御意見等はありますか。
新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。資料の御説明をありがとうございました。外国人の雇用に関する統計調査を行うとのこと、実態を把握するための調査は非常に大事なことだと思っていますので、この調査実施については何ら異論はありません。
ただ、一方で、賃金調査関係を含めて様々な調査を官庁あるいは我々経済団体から各事業所・企業等にお願いしている状況にありますので、記入者負担の軽減という観点からも、調査項目については引き続きの精査を是非お願いしたいと思います。
あと、少し細かいことですが、今、画面共有していただいている3ページの労働者調査の「毎年調査する項目」のうち、2つ目の矢印で「入職経路」というのがあります。この最初の項目として、「仕事に就く上でのトラブル」が、掲げられているように見受けられます。これは入職経路について必ず何かトラブルが生じていることを前提にしているかのような項目に見えます。この項目について聞くこと自体を否定するものではありませんが、入職経路を聞く項目としては、後ろのほうに書いてある「入職前の居住地」といった項目が先に来るべきではないかと思いますので、御検討いただければと思います。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ただいまの御意見につき、事務局から何かありますか。
○国際労働力対策企画官 御指摘ありがとうございます。事業者の負担軽減ですが、これは私どもも大変重要な問題と考えております。あまり御負担をおかけすると、回収率が低くなって正確な情報が取れないという問題意識を我々も持っております。できるだけ低い負担で御回答いただけるように工夫をしてまいりたいと存じます。
2点目に御指摘いただいたのは、資料の中でのトラブルの項目が一番最初に来ているということですが、すみません、これは特に他意があったわけではなくて、調査票で今書いている順番に合わせてまとめたものです。紙面の構成の関係もあり、このようなことになっておりますが、意識としては入職経路として重要であるのは、本来の経路とか、前職の居住地がどこであったとか、そういうことであって、御認識のとおり、トラブルに関しては、本来は後ろのほうに書くべきものかと思っております。検討したいと存じます。
○山川座長 新田委員、何か特にありますか。
○新田委員 御検討をよろしくお願いします。
○山川座長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありますか。
佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 度々申し訳ありません。新田委員の発言にもありましたように、外国人の経路や意識等に関わる統計調査は、非常に重要で、実態を把握するのには今回の調査は、貴重な機会だと思います。これから調査に入るわけですが、是非、毎年、継続的に行っていただきたいと思います。
その上で、今の技能実習や特定技能もそうですが、入職経路の中で相手国送出し機関の関係とかも非常に重要になってくると思っています。その辺も記載できるようにお願いしたいと思います。あとは企業別について、企業にとっても、技能実習生がいたり、特定技能の方がいたり、あるいは高度人材として、技人国の方がいるとか、何か在留資格が混在して雇われている所も結構あると思いますので、そういうのも分類して調査が行われ、統計ができるよう考慮いただければと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。今の点について何か事務局からありますか。
○国際労働力対策企画官 御指摘ありがとうございました。大変重要な調査だと私どもも認識しておりますので、適切に進めていきたいと存じます。入職経路に関しましては、送り出し機関の状況も含めて調査をしたいと考えております。また、1つの事業所に、技能実習、特定技能など、いろいろな方がいらっしゃるという実情は、私どもも把握しております。各事業所で調査対象とする労働者を抽出いただいて、万遍なく各在留資格の情報が収集できるように、その点は工夫をしたいと考えております。
○山川座長 ありがとうございます。佐久間委員、特によろしいでしょうか。
○佐久間委員 はい、どうもありがとうございました。
○山川座長 それでは、ほかに御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。
それでは、3番目の議題に移ります。外国人雇用対策の最近の取組についてです。事務局から説明をお願いします。また、今回、労働政策研究研修機構の調査についても御説明いただけるということですので、天瀬委員から資料5について御説明を頂きたいと思います。ありがとうございます。まず、事務局からお願いします。
○国際労働力対策企画官 まず、資料4の「最近の取組について」事務局から御報告いたします。まず、目次があります。最近のトピックになりますが、一番上のウクライナ避難民への就労支援の状況について、それから各施策について御説明いたします。3ページからは「ウクライナ避難民への就労分野での支援について」で、4ページは全体像をまとめたものです。
厚生労働省による避難民の方々への主な対応としては、ハローワークの相談窓口の周知があります。日本語、英語、ウクライナ語でチラシを作って周知しております。さらに、プッシュ型支援として、メールアドレスを把握している避難民の方々に対して就労の御案内をお送りしております。返信を頂いた方には、地域のハローワークに順次つないでいます。また、国内に身寄りのない方や身元引受人のない方が滞在している一時滞在施設の中にも就労意向のある方がいらっしゃいますので、入管庁等と連携して対応しているところです。
続いて2つ目のマルです。自治体向けの対応としまして、全国の自治体向けの説明会が開催された際に、ハローワークでの対応についての周知を行っております。3つ目のマルは、企業・事業主団体向けです。各ハローワークにおいて、支援申出企業等に求人の声かけを行い、求人化できるよう調整をしております。このほか、事業主団体に対してハローワークの対応について周知しております。
こういった対応によるハローワークでの避難民の支援の実績は、左の枠ですが、職業相談として566件、就職人数としては221名、そのうちハローワーク経由が67名です。このほかに自治体や企業からの御相談を頂いております。今、申し上げた数字は10月19日時点のものです。この時点での避難民の方々は合計1,946名おられて、このうち1,749名の方が特定活動に切り替えております。就労するためには特定活動への切り替えが必要になります。
避難民の方々は、基本的にはウクライナのほうに壮年男性の方が残っており、避難している方は女性、子供、あるいは高齢者の方となりますので、避難民全てが就労できる状況にあるというわけではありません。この点について御承知いただければと思います。
続いて、右側の各地の支援状況です。東京、大阪、名古屋、福岡には外国人雇用サービスセンターがありますが、そこにウクライナ語の通訳を配置し、母国語での相談体制を整えております。岡山、横浜の一時滞在施設の活動については、後で御説明いたします。下の枠の「今後の対応」ですが、ハローワークの周知広報、企業側への働きかけ等を継続してまいります。
次の5ページは、今ほど申し上げました、横浜での就労支援セミナーの様子です。横浜市がウクライナ交流カフェというものを設けており、そこを活用して、ハローワーク横浜・横浜市・横浜市国際交流協会の3者の主催で実施したものです。2回ほどセミナーを開催していまして、日本での働き方や避難民の関心の高かった日本の社会保障制度等の説明も行っています。
続いて6ページです。岡山で開催した説明会で、県と入管庁と労働局による合同のもので、こちらは企業向けの求人の説明会です。約50社に参加していただいております。下のほうは、一時滞在施設における避難民向けの説明会です。施設内に滞在しておられる方、40人に御参加いただいております。ウクライナ避難民については、このような状況です。
次に、7ページからは留学生の国内支援です。まず、実施状況です。留学生の国内就職支援ですが、取組の実施状況として、外国人留学生向けの国内就職支援セミナーを開催しています。今年度の上半期には22名の参加がありました。また、左下ですが、面接のトレーニングや就職ガイダンスも行っています。こちらも上半期に10名が参加し、うち2名が就職内定済みです。
9ページ、大学とハローワークでは連携協定をしております。これも御説明済みですが、現在、4つの労働局が5つの大学と協定を締結しています。2月の御説明と状況は大きくは変わっておりませんが、最近の実績を掲載しております。次の10ページは、この連携協定に関する今後の取組予定ですので、お時間があるときにお読みいただければと思います。
続いて11ページです。事業主側への支援策としてまとめています。労働局やハローワークにおいて、外国人雇用管理に関するセミナーを開催していますが、このうち、留学生に関する事項が含まれるものは、令和3年度に5回、令和2年度に6回開催しております。また、ジェトロ主催で合同就職説明会を開催していますが、初めて参加する企業や、外国人材の採用を検討している企業の方に対するセミナーの開催などもやっております。このほか、外国人雇用管理アドバイザーを配置しておりますので、個別相談等を実施しており、令和3年度は218件、令和2年度は302件の実績があります。
続いて12ページです。ハローワークにおける留学生の新規求職者数の推移です。まずは棒グラフを御覧ください。月別の新規求職者数です。赤が在学中の方、青が既卒の方となります。折れ線グラフは、青が新規求職者の前年同月比、赤が2019年との同月比となります。青の前年同月比では、2021年5月に3.27倍まで上昇しましたが、その後、急速に低下し、7月には底を打っています。以降は増減を繰り返し、直近の数字では1.21倍です。赤の折れ線は2019年のコロナ前との比較となります。上は1.7倍から下は0.7倍程度で推移しています。直近の8月は大きく伸びて2.03倍という状況です。
続いて13ページです。外国人留学生の進路希望です。希望としては、留学生の55%の方が日本国内での就職を希望しているというデータがあります。これに対して実態としては30%程度でして、政府目標としては、これを50%に引き上げることを掲げております。これは厚労省単独ではありませんが、政府全体で文科省などとも連携して施策を講じているところです。
次の14ページです。外国人留学生の就職支援体制を俯瞰できるようにしたものです。全国4か所に「外国人雇用サービスセンター」がありますが、このほか、一部の新卒応援ハローワークには「留学生コーナー」を設けています。こういったインフラを使い、きめ細やかな就職支援を実施したいと考えております。
15ページと16ページは、大学とハローワークとの連携協定、留学生向けのモデルカリキュラムです。前回までに御説明済みですので、省略させていただきます。
17ページは、教育未来創造会議に関するトピックです。会議自体は令和3年12月から開催しているもので、首相が議長、構成員として関係大臣、有識者という構成です。この会議の第4回が9月29日に開催されており、厚労省の関係は赤枠ですが、外国人留学生等の高度専門人材としての定着率の向上、海外に留学した日本人学生の円滑な就職などが論点として掲げられています。
次の18ページです。会議の際の総理発言の厚労省関係部門の抜粋です。特に赤字のところは論点をなぞった形になっております。真ん中辺りですが、取組については、産業界を巻き込んで環境整備を行うこととなっております。また、下のアンダーラインですが、来年のG7サミットを見据えて提言を取りまとめて実行していくということです。
次に、20ページです。前回にも御説明しましたが、地域外国人材受入れ・定着モデル事業についてです。少しコロナがありましたので、入国実績がようやく出そろったところですが、介護、飲食料品製造、農業の各分野において、フィリピン、インドネシア、ネパールの3か国から合計約400名の方が来日しております。都道府県としては、このモデル事業では北海道、群馬、福井、岐阜、鹿児島に手を挙げていただいたので、御協力しつつ対応しております。具体的な定着取組は次のページになります。
こちらに概要をまとめています。外国人がよく落ち入りやすいパターンとしまして、コミュニケーションの不全によるトラブルが発生しやすいことがあります。これに対して、異文化の理解のための研修を受入法人に対して実施し、外国人材向けの就業規則やマニュアルの整備をして外国人材が理解できるような社内情報の整理を進めております。どうしても事前の情報と実際とのギャップが発生しやすいので、その防止のためにオンラインで定期面談を行い、日本語能力を継続して確認していただく、逆に日本側から写真や動画で業務の説明を行うなど、ギャップの発生の低減に努めております。
また、外国人材の弧独感、どうしても寂しいという感情がありますので、その低減策として、定着していただくために必要な項目をチェックシートにまとめて、状況を確認できるようにしたり、公共交通機関の利用方法や買い物の指導とか、外国人材の母国の文化や言葉に関する職場内での勉強会の開催などを支援しております。
次の22ページです。今回御紹介する自治体側のケースは、福井県鯖江市ですが、「市民主役EXPO」というイベントを行っております。その中で、外国人材を中心にしたブースがあります。本事業の関係では、ネパール人によるネパール文化の紹介と、チヤというネパールのミルクティーの試飲を行ったと聞いております。
次の23ページです。こちらは法人側、企業側への支援です。受入企業の事業主や人事担当者を対象に研修を行っており、この事業に参画いただいている企業には、基本的に全て参加いただき、参加者数としては546人の御参加をいただいております。
次の24ページです。令和5年度の予算に概算要求で計上しています外国人労働者雇用労務責任者講習のモデル事業の御説明です。私どもで設定している外国人雇用管理指針6条においては、雇用労務責任者を選任することにされていますが、この責任者が有するべき要件や、どういった方がどういうことをするべきかという規定が明確には設けられておりません。このために、このモデル事業を興して、労務責任者が受けるべき講習のカリキュラムを有識者の検討会で作成して試行的に講習を実施することを想定しています。全国5地域程度での講習を想定しており、3年間の事業終了時には、成果を取りまとめて共有したいと考えております。次の25ページは、今、行っているモデル事業の概要です。こちらも説明は省略させていただきます。
続いて、外国人労働者問題啓発月間の取組です。今、映しているスライドは、労働局の取組としての大分労働局の例です。大分では職業安定部だけではなく、労働基準部、外部の大分県警、福岡入管、外国人技能実習機構と合同で、外国人を雇用する事業所を実地訪問して現地パトロールを実施いたしました。こちらは造船所のパトロールですが、労働局長自らが参加して外国人労働者の雇用管理の状況などを確認しております。
続いて、28ページからは関係者との連携した取組です。少し駆け足で御説明いたします。29ページは、ハローワーク川口で、川口商工会議所と連携してセミナーを開催した事例です。30ページは、NPOがフードバンクをやっておりますが、その機会を捉えて、外国人の方に就職の支援やアシストを行ったものです。31ページは、東京の青年会議所と日本人材派遣協会との両者が開催したイベントで、厚労省から人を出して講演を行ったものです。こういった機会を捉えて、今後も施策の周知を努めたいと思います。資料4の御説明は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは引き続き、天瀬委員から御説明をお願いできますか。
○天瀬委員 JILPTの天瀬です。ありがとうございます。私からは資料の5になります。「特定技能1号外国人の受け入れ・活用に関するヒアリング調査」ということで、まだ途中段階ですが、簡単に御紹介だけさせていただければと思います。
資料にあるとおり、特定技能に関しては平成31年から運用が開始されていますが、令和4年8月末の時点で既に10万人を超えるといったようなボリュームになっています。コロナ以降は、また更に増加することも予想されていますが、現時点で、特定技能1号の受入れ実態については、まだ詳細が解明されているわけではありませんので、今回は厚労省外対課のほうと、要請という形で緊急調査という枠組みで調査を今年していますが、全面的に協力を頂きまして、各産業分野に備えてある分野別特定技能協議会にも協力を受ける形で、調査を実施しています。
次のページは、調査の概要になります。調査のほうは、介護、製造業、建設業、宿泊業、農業、飲食料品製造業、外食業などで、聴き取り調査を行っています。現時点で、総じて言えることは、多くが技能実習生の経験者から特定技能1号に移行した者が多いということ。また、前の会社に所属していた者が、そのまま特定技能1号という形で就労を続けることが多いということが分かってきています。
また詳細については、今年度末に報告書をまとめる予定ですので、全て調査が終わりましたら、また御報告させていただきたいと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、御意見や御質問がありましたら、お願いしたいと思います。同様の方法で挙手又は「手を挙げる」ボタンをクリックして、御発言をお願いいたします。
大下委員、どうぞ。
○大下委員 御説明ありがとうございました。中小企業は人手不足が非常に深刻化しておりまして、入国制限の緩和もあって外国人材の期待、関心というのは非常に根強いものがあります。弊所がこの夏に実施した調査でも、中小企業であっても外国人材を既に受け入れている、あるいは受け入れる予定と検討中の合計が、いずれも約23%で、合わせますと5割近くとなっています。
他方で、同じ調査で、受入れに当たっての課題として多く挙げられているのが、日本語によるコミュニケーションであり、約半数の企業が課題として挙げています。これに続いて、生活面でのサポートが4割近くに及びます。中小企業はそもそもが人手が足りていない中で受入れを行っています。当然、仕事上必要な日本語習得への支援や、日本人の従業員と一緒になって働いていくための支援というのは、企業の中で担っていくべきですが、地域で、その企業が外国人材を受け入れると、当然その方々はアフターファイブを地域の中で過ごされますし、お休みの日は企業を離れてレジャーを楽しんだり、あるいは生活の上で必要となる様々な手続等を行うこともあるでしょう。これだけ外国人材の受入れが進むと、こうした生活面については是非、地域や自治体でしっかりと受け止めて、支援を拡充していっていただくことをお願いしたいと思います。
他方で、入国制限は緩和されましたが、円安の進展等もあって、今後これまでと同じように、例えばベトナム等から外国人材がどれだけ来ていただけるのかと、といった懸念も非常に強くなっています。中小企業も含めて、外国人材に選んでいただけるような企業になっていくことも、もちろん重要ですが、同様に日本として、あるいは各地域として、外国人の方がここで働きたい、ここで生活したいと思ってもらえるような国、地域を目指していくということが非常に重要かと思っています。
御紹介いただきました川口商工会議所の例も含め、各商工会議所は、引き続き地元の行政とも連携して役割を果たしていきたいと思っていますが、今回、御紹介いただきました地域の外国人材受け入れ定着モデル事業など、政府や自治体によって、日本が外国人材から選ばれる国になっていくための取組推進を大いに期待したいと思っています。私からは以上です。ありがとうございます。
○山川座長 ありがとうございました。
では天瀬委員、お願いいたします。
○天瀬委員 ありがとうございます。今の大下委員の御発言と同様なのですが、やはり今後、外国人材が増加していくことを踏まえると、先ほどの事務局の御紹介の最後の所にありました関係者の取組の所ですが、NPOとの連携については、私自身は欧州で、外国人労働者の調査をやったことがありますが、実は、政府のダイレクトな施策が末端まで届くというのはなかなか難しいので、途中に介在するNPOの役割というのは非常に大きくなるかなと考えています。是非、こういったNPOに対する支援についても、今後も御紹介いただけると有り難いと思いますし、また検討会の中で、もし機会が許せばヒアリングなども行っていただけるとよいかなと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
では友原委員、お願いいたします。
○友原委員 私からは、資料4の17ページの主な論点についてです。このうちの二つ目の留学生の活躍に向けた環境整備についてです。御説明がありました大学とハローワークの連携協定などは大変よい取組だと感じています。ただ、今後の話なのですが、例えば複数大学で共同運用や共同協定という形で発展させていければよいなと感じました。特に個別協定では、大学によっては経営資源の観点から参加へのハードルが高いと感じられるところもあるかもしれませんので、そういった意味で複数大学での運用というのはメリットがあるのかなと思いました。
それから、大学の運用面だけではなくて、留学生も複数運用ですと、他大学の間の留学生の交流というのが広がって留学生間でネットワークが構築できるので、そのネットワークが更に将来的には日本に定着していけるような形につながるのではないかと感じました。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。
酒井委員、どうぞ。
○酒井委員 私からは、ちょっと細かいことなのですが、今の留学生の件とも少し関わりますが、留学生の国内就職支援ということで、今の取組状況とデータをお示しいただきましたが、私の疑問点というか、知りたいと思っていることは、コロナ禍になってから留学生の就職状況、就職率がどういうふうになったのか。例えばコロナ禍になって就職率が下がったのかといったことに関するデータを事務局として把握されているかということを伺いたいと思います。先ほど、ハローワークにおける留学生の新規求職者数ということに関して示していただいたのですが、ハローワークにおける就職率とか、ハローワークを通さない就職というものもかなりあると思いますので、そういったことに関して、コロナ禍で就職の状況がどうなっているのか、どういうふうに把握されているのかということを伺いたいと思います。
というのは、これも先ほどから出ていますが、やはり日本語能力のミスマッチということが、1つの大きなポイントになるのかなというふうに思うのですが、若干、大学の教育環境というのもコロナ禍において変わってきてオンラインが中心になっているといったことで、ますます日本語能力に関するミスマッチが広がるというような潜在的な要素もあるのかなというふうに思っていまして、伺う次第です。
○山川座長 ありがとうございました。是川委員の御発言からお伺いしたいと思います。では、お願いします。
○是川委員 ありがとうございます。様々な取組について、御紹介いただきありがとうございます。留学生の就職状況、就職支援について御紹介があったところですが、御参考までに。つい先々週、OECDから出ましたInternational Migration Outlookの2022年版ですが、今回は留学生の特集をやっています。そちらで留学生の定着率、5年後、10年後のretention rateというものについても詳細な分析を行っています。これを見ますと、日本の留学生の定着率、retention rateというのは、全ての国がデータを出しているわけではないのですが、カナダ、ドイツが大体60%超で出ていて、フランスの40%ちょっとの所に次いで、日本は40%前後ぐらいという値が出ています。日本より下になりますと、例えば英国が5年後のretentionが15%ぐらいになっていまして、日本の3分の1強程度になっています。そういうことですので、従来、留学生の定着率について、政府としては目標を掲げてやってきているところだとは思いますが、こうした国際比較の視点も踏まえて進めていくのがよいのではないかというふうに思います。それが1点目です。
2点目は、JILPTのほうで実施されている特定技能に関する調査の最初の速報というか、概況について興味深くお伺いしました。こちらの御紹介にもあったように、やはり現時点では技能実習からの切り換え者が多いということだと思いますが、やはり今後、試験組が増えていくことが期待される中で、切り換え組と試験組でどういった違いがあるのか、実際の雇用管理の面において、その両者の扱いに差があるのかなど、賃金面も含めて、そういった点について是非、フォワードルッキングなヒアリングをしていただけたら非常に興味深いなと思ったところです。
3点目として、冒頭に中小企業でも、やはり外国人労働者へのニーズがさらに高まっているというようなお話がありました。本検討会が行われた中でも、日商さんのほうで、今年だけではなく、去年、確かその前も行われた調査でも、年々、非常に外国人労働者へのニーズが高まっているというような結果が出ていたかと思います。そうした中で日本語の問題など雇用の障壁になる点については、こういう講習等を行うことで取り除かれていくのかなと思いますが、それと同時に、外国人労働者を導入したことで生産性が高まったというような事例を、是非いろいろと収集していただければと思います。
私が現在、ちょっと関わっている業界の特定技能の業種の調査においても、あまり生産性は意識されない分野ではあるのですが、それでも雇用側のアンケート調査の速報を見ますと、生産性の上昇というような回答が出てきています。ですので、そういった点についても調査していただければ、その導入に向けて、よりプッシュできるのではないかなと思った次第です。以上、3点です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、先ほどの酒井委員からの御質問について、事務局から何かありますか。
吉田課長、お願いします。
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の吉田です。ありがとうございます。まず酒井先生からの御質問ですが、資料4の13ページですが、独立行政法人日本学生支援機構の調査をここに載せています。この調査が※の2にありますように、2020年度の外国人留学生の進路状況ということで、約30%と書いています。今、確認しましたところ、2019年におけるこの数字が36.9%でしたので、1年間で約7ポイント程度下がっているという状況です。
そして、資料2です。こちらはハローワークだけのデータですが、やはり就職状況が厳しいのではないかということをうかがわせるものとしては、10ページの外国語使用求人数ということです。やはりコロナ前はインバウンドとか、そうした形で外国人ならではの能力ということで、当然、外国語を使った求人、あるいはそういった人材を求めるニーズが非常に高かったのかなと思います。こちらを見ていただきますと、御説明があったかと思いますが、やはりコロナで1回下がり、その後の戻りというものも非常に横這いというか底を這う形で、コロナ前の数字に戻っていません。こうしたことからも、やはり外国人ならではといった分野は、なかなか戻りも遅いのかなと思っています。
先ほどの独立行政法人学生支援機構の数字は、また新しいものが出ましたら、この場で御報告させていただきたいと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。酒井委員、よろしいでしょうか。何かありますか。
○酒井委員 ありがとうございます。大丈夫です。
○山川座長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。非常に有益な御意見を様々いただきまして、大変ありがとうございます。個人的には、最初に大下委員がおっしゃられた就労以外での支援の必要性というところについては、先ほど事務局からありましたように、ウクライナの避難民が社会保障制度に関心が高いというようなところも、生活面でのニーズを示しているのかなと思ったところです。
議題(3)は以上ですが、本日の全体を通じまして、何か御発言されなかったことで追加的な御発言等はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは本日は、この辺りで終了したいと思います。最後に、事務局から何かありますか。
○国際労働力対策企画官 本日は皆様、御多忙の中、御議論いただきまして大変ありがとうございました。本日、委員の皆様から賜りました御意見を踏まえて、今後、外国人雇用対策に取り組んでまいります。ありがとうございました。
○山川座長 それでは、本日はこれで閉会とします。皆様、大変ありがとうございました。