第23回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年11月14日(月) 14:00~16:30

場所

web会議
(AP新橋:東京都港区新橋1-12-9新橋プレイス3F)

出席者(五十音順)

議題

(1)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理

議事

(議事録)
2022-11-14 第23回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第23回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
初めに、事務局より本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事につきましては公開となってございますが、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴される方につきましてはくれぐれも御注意いただければと思います。
会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 事務局より1点御連絡を申し上げます。
社会・援護局長の川又につきましては、他の公務のため15時頃、途中退席させていただく予定でございます。あらかじめ御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の進行を菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、こんにちは。
本日も大変お忙しい中、御参加いただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日の委員の皆様の出欠状況ですが、宮本委員から御欠席の連絡をいただいております。また、勝部委員、佐保委員、長島委員、堀委員、宮脇委員が遅れて出席される予定です。岡﨑委員、長島委員は途中退席と伺っております。
また、内堀委員の代理として、福島県保健福祉部生活福祉担当次長、和田参考人、大森委員の代理として、岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長、出原参考人、岡﨑委員の途中退席後の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長、入木参考人にお越しいただいております。お三方の御出席につき、御承認いただけますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、早速本日の議事に入ります。
本日の議事は、「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理」についてです。
まず事務局から御説明をいただき、その後、質疑応答、意見交換をさせていただきます。
なお、意見交換の間に一度途中で休憩を挟ませていただく予定でおります。
それでは、早速事務局から御説明をお願いいたします。
○駒木課長 社会・援護局総務課長でございます。
委員の皆様におかれましては、大変活発に御議論をいただいていておりまして、誠にありがとうございます。
本部会においては、これまで9回にわたり御議論をいただきました。
これまでの御議論も踏まえながら、今後、よりよい制度化等に向けてさらに検討を深めていけるよう、部会では、年内までの議論の整理として「中間まとめ」をお願いしたいと考えております。
委員の皆様におかれましては、本日の部会も含めて、引き続き活発な御議論をいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいま事務局からございましたとおり、年内に一旦、これまでの御議論を「中間まとめ」という形でまとめて、さらに議論を深めていければと考えてございます。委員の皆様におかれましては、引き続きよろしくお願い申し上げます。
それでは、資料の内容について、事務局から説明をお願いいたします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料1の説明をいたします。
本資料では、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに向けたこれまでの本部会の御議論を中間まとめ案として整理しております。
まず、1ページから御覧ください。初めに、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに当たっての基本的な考え方をまとめております。両制度については、平成30年改正等による両制度の発展と課題への対応と、新型コロナウイルス感染症感染拡大による生活困窮への対応の経験も踏まえた課題への対応、この2つの観点を踏まえ、1ページの42行目からになりますが、相談支援機能の強化、就労・家計・居住、子ども等各種課題への対応や医療扶助の適正化に取り組むとともに、生活困窮者自立支援制度・生活保護制度間の一体的な支援・連携強化による、切れ目のない支援の実現を図る観点から御議論をいただきました。
現段階による具体的な対応の方向性等については、次の各論の部分で整理をしておりますが、この中には速やかに着手可能な項目だけではなく、中長期的な検討を要するもの、制度化する上で、その前提となる具体的な内容や実務上の検討を要するもの等様々なもの、また、制度化に当たっては、実施主体となる自治体や関係省庁との調整が必要なものも多く含まれております。
今後、法制上の措置が必要な事項については、現段階におけるこの整理の方向性も踏まえながら、制度化に向けた実務的な検討や自治体、関係省庁との調整等をさらに進め、結論が得られた事項について対応するとともに、法制上の処置によらず、運用で対応できる事項については、可能なものから順次対応していくなど、必要な対応を講じていくべきとの考え方を記載しております。
続いて、「II 各論」でございます。ここでは項目ごとに、これまで御議論いただいた内容を現状・課題と対応の方向性として整理しております。時間の都合上、対応の方向性のポイントをかいつまんで説明いたします。
初めに、「1.生活困窮者への自立相談支援及び被保護者への自立支援のあり方」です。
「(1)生活困窮者自立相談支援事業の機能強化」につきましては、3ページの11行目まで飛んでいただきまして、法の理念に基づく支援を実現するため、支援実績や支援の質等を考慮した適切な人員体制等を確保できるようにするための仕組みを構築していくことが必要。
また、同じく3ページの「② 関係機関との連携」のところですが、4ページの30行目になりますけれども、支援会議の設置を努力義務化する方向で検討を進めていくことが必要としております。
また、4ページの一番下の「(2)被保護者に対する自立支援」につきましては、5ページの21行目でありますが、多様で複雑な課題を抱える被保護者について、関係機関間での役割分担を明確化した上で、被保護者の援助に関する計画を作成できるようにすることや、計画の作成をはじめ関係機関との間で多角的なケース検討に基づく支援の調整や情報共有を十分に行えるようにするための会議体を設置できるようにする方向で検討を進めていくことが必要。
また、7ページの1行目、自立支援プログラムについてですが、経済的自立、日常生活自立、社会生活自立の3つの自立の概念について、いま一度、その趣旨や内容をしっかりと浸透させていくことが重要といったことについて、方向性を記載しております。
続きまして、「2.就労支援のあり方」です。生活困窮者に対する就労支援のうち、就労準備支援事業については8ページの14行目になりますが、必須事業化する方向で検討を進めていくことが必要であるとしております。
また、被保護者に対する就労支援につきましては、10ページの2行目になります。被保護者就労準備支援事業について、任意事業として法定化するとともに、被保護者就労準備支援事業に代えて生活困窮者就労準備支援事業の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討を進めていくことが必要。
また、同じくこのページの27行目ですが、就労による自立に向けた後押しとして、就労自立給付金の支給額の算定方法について、早期に保護が廃止された場合の最低給付額を引き上げるなどの就労期間に応じてめり張りをつける見直しを行う方向で検討していくことが必要などといった方向性を記載しております。
続きまして、「3.家計改善支援等のあり方」についてです。
まず、生活困窮者家計改善支援事業につきましては、12ページの7行目になりますが、必須事業化する方向で検討していくことが必要としております。
また、被保護者に対する家計改善支援事業につきましては、13ページの22行目になります。こちらは任意事業として法定化するとともに、被保護者家計改善支援事業に代えて生活困窮者家計改善支援事業の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討を進めていくことが必要、こういったことについて方向性を記載しております。
続いて、13ページの下「4.子どもの貧困への対応」についてでございます。
子どもの学習・生活支援事業につきましては、14ページの28行目からになりますが、世帯全体への支援につなげる観点から、子どもや保護者に対する相談支援や自立相談支援事業の利用勧奨といった生活支援についても、学習支援と一体的に行うよう求める方向で検討していくことが必要としております。
また、生活保護関係では、16ページの5行目になります。生活保護世帯の子ども及びその保護者に対し、訪問等により学習環境の改善、進学先を含む進路選択、奨学金の活用等に関する必要な情報の提供及び助言を行う事業を実施する方向で検討を進めていくことが必要。
また、17ページの8行目になりますが、生活保護受給世帯の子どもが高等学校等を卒業後に就職し、本人が一人暮らしのために世帯から独立する場合の新生活の立ち上げ費用に対する支援等を検討することが必要。
また、18ページの2行目、生活保護を受給しながら大学等に進学することについては、大学進学後の生活費の支援は生活保護世帯及び一般世帯に共通する課題であることを踏まえ、生活保護制度の内と外を横断するような形で、生活保護の枠組みにとらわれず、修学支援新制度等の教育に関する政策の中で幅広く検討すべき課題であるなどといった方向性を記載しております。
続きまして、「5.居住支援のあり方」についてでございます。
まず、生活困窮者への居住支援につきましては、20ページの1行目です。生活困窮者一時生活支援事業において、シェルター事業の実施にかかわらず、地域居住支援事業の実施を可能としていくことが必要としております。
また、9行目でありますが、現行のシェルター事業の対象とならない生活困窮者に対しても、緊急一時的な居所確保の支援を行えるようにする方向で検討していくことが必要。
また、20ページの15行目になります。同事業のうち、シェルター事業または地域居住支援事業の少なくとも一方を実施することを努力義務化する方向で検討を進めていくことも考えられるとしております。
21ページの11行目については、生活困窮者住居確保給付金でありますが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の経済活動への影響下において講じられてきた特例措置等について、本来の制度目的との整合性やその効果等も踏まえつつ、そのあり方について検討していくことが必要。自営業者等である場合の公共職業安定所の求職活動要件のあり方や、支給対象者の「離職・廃業後2年以内の者」という要件、児童扶養手当等の特定の使途・目的のためになされる給付の収入算定要件、再支給のあり方についても、引き続き検討を進めていくことが必要としております。
また、生活保護における居住支援等につきましては、22ページの9行目でございます。救護施設等については、福祉事務所と情報共有を図りつつ、救護施設等の入所者ごとの支援計画の作成を制度化する方向で対応することが必要。
23ページの13行目は、無料低額宿泊所について、無届けの事業者に対する届出義務の履行の確保を強化するため、有料老人ホーム等の例も参考としつつ、届出義務違反に罰則を創設するなどの対策を講じる方向で検討していくことが必要。
23行目ですが、地域での居宅移行等に向けた継続的な支援を行う事業について、任意事業として新たに法定化するとともに、当該事業に代えて生活困窮者一時生活支援事業の地域居住支援事業の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討を進めていくことが必要、こういった方向性を記載しております。
続いて、24ページ「6.被保護者健康管理支援事業・医療扶助」につきましては、16行目になりますが、健康管理支援事業について着実な実施を図るため、各地域の実情に応じて、効果的・効率的な実施体制を構築することが必要。
25ページの26行目については、医療扶助の適正化についてでございますが、頻回受診未改善者を被保護者健康管理支援事業による保健指導生活支援の対象に位置づけ、医療機関以外の多様な居場所につなぐことも含めて、頻回受診指導から健康管理支援への切れ目のない対応を行っていくことが必要。
26ページの2行目ですが、重複・多剤服薬者に対する医薬品の適正使用に係る取組について、福祉事務所が医師・薬剤師等の医療関係者と連携の上、健康増進の観点と医療扶助の適正実施の観点から推進していくことが必要。
同じページの30行目ですが、医療扶助における都道府県のガバナンス強化を図るため、27ページの1行目まで飛ぶのですが、都道府県の医学的な専門知識を補い、広域的な観点から管内市町村に対する必要な助言その他の援助を行うための会議体を都道府県に設置する方向で検討していくことが必要、こういった方向性を記載しております。
続いて、「7.生活困窮者自立支援制度と生活保護との連携」についてでございますが、まず、28ページの34行目になりますが、被保護者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域移行に向けた居住支援事業について、任意事業として法定化するとともに、必要な体制を確保した上で、これらの事業の実施に代えて生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域居住支援事業の中で被保護者も支援できるようにする方向で検討していくことが必要。
また、その際、両制度の一体的な支援・連携強化を図った後も、生活保護のケースワーク業務の公的責任に基づくケースワーカーによる各種支援の利用に向けたコーディネートや、生活困窮者自立支援制度の理念に基づく支援が引き続き実施されるよう留意することが必要としております。
また、29ページの11行目ですけれども、制度をまたいで支援が行われる場合でも、支援が途切れることなく、支援担当者同士で円滑な引き継ぎが行われるようにしていくことが必要。
さらに、両制度の一体的な支援・連携強化を図るためには、本人の「自立」を支援するという共通の理念の下、研修等により相互理解を深めた上で支援が実施されることが必要である。
こうした両制度のいわゆる「重なり合う支援」の内容については、引き続き検討を深めていくことが必要という記載をしております。
続いて、「8.生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等」につきましては、30ページの5行目になります。生活困窮者自立支援制度における多様で複合的な生活困窮者の課題について広く受け止める包括的な支援の実践は、地域共生社会の実現や重層的支援体制整備事業の重要な基盤となり得るものであり、これらの取組と一層の連携を進めていくことが必要、こうした記載をしております。
30ページ、最後に「9.支援を担う体制づくり、人材育成等」についてでございます。
まず、生活困窮者自立支援制度における自治体支援及び人材育成についてでありますが、31ページの12行目、都道府県や中間支援組織等による自治体支援というところなのですけれども、国の自治体コンサルティングや都道府県による支援の実施とともに、支援員同士や関連施策の支援員等とのネットワークの構築を推進すること等により、支援員に向けた支援を強化することについて、引き続き検討することが必要。
また、34行目では、人材養成研修について、例えば国において標準的な研修内容や教材等を周知するなど、都道府県研修の実施をさらに推進する方向で対応することが必要。
32ページの7行目になりますが、あわせて、支援を担う人材の質を向上させるため、現在行われていない現任者を対象とするステップアップ研修や一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業の従事者を対象とする研修を新たに設ける方向で対応することが必要。
また、生活保護における都道府県等の役割等についてでございますが、26行目ですけれども、都道府県による市町村に対する援助のあり方等について、特に医療扶助、健康管理支援の分野での取組を深めていくことが必要。
33ページの12行目、ケースワーカーや査察指導員のレベルアップを通じて業務の質と効率を高めるためには、研修素材を国が提供するなど研修等の効果的・効率的な実施を図ることが必要。
また飛びまして、34ページの5行目、居住地特例の対象についてでございます。介護保険制度の住所地特例の対象範囲と平仄を合わせて、対象範囲を特定施設入所者全体に拡大する方向で検討することが必要。
また、34行目の辺りになりますが、被保護者の援助に関する計画を作成できるようにすることや、関係機関との間で多角的なケース検討に基づく支援の調整や情報共有を十分に行えるようにするための会議体を設置できるようにすることが、生活保護の効果的・効率的実施にも資すること。
そして、36ページの8行目、生活保護の不正受給対策ですが、そうした観点から、複数の福祉事務所で保護を受給する不正事案の発生を未然に防止するため、業務の負担にも留意しつつ、住民票上の住所地と異なる自治体で保護申請があった場合、状況に応じて住民票所在自治体に保護受給確認をする方向で対応するといった対応を講じていくことが必要、こうした方向性を記載しております。
本日は、年内の「中間まとめ」に向け、本資料をたたき台としていただきながら御議論いただきますよう、お願いいたします。
説明は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、これより質疑応答及び意見交換の時間を設けたいと思います。
御意見、御質問については簡潔に、4分以内を目安に御発言いただきますよう、お願いいたします。4分経過した時点でベルを鳴らしますので、速やかに御発言をおまとめいただけますと幸いです。
本日は、会場参加の委員の皆様から先に御発言いただければと思います。その後、オンライン参加の皆様という順でまいりたいと思いますが、本日、岡﨑委員、長島委員は途中で御退席と承っておりますので、もし御発言を御予定でしたら先にお願いできればと思いますが、岡﨑委員、それではお願いいたします。
○岡﨑委員 岡﨑です。今日はリモートでお願い申し上げます。
私のほうは2点、まず1つは全体を通してですけれども、生活困窮の自立支援が立ち上がったときに、財源はちょっと心配していたのですのですけれども、今は手厚くいろいろなメニューの中に入っておりますので、財務省が来年度に向けて財源の話をいろいろ出してきていますので、メニューによって国の補助率は少しずつ違いますけれども、財源の最初の立ち上がりのときから割と手厚く入れていただいておりますので、そこが後退しないようにということが総論的に1つです。
それから、少し飛びまして27ページの中段ほどになります。被保護者の方々の国民健康保険の加入を考えたらどうかというのを財務省が最近よく言ってきていますが、私は国保の保険制度も関わっておりますので、財源が全く違うので、生活保護に関わる財源は4分の3が国費で4分の1が地方の負担ですけれども、それも手厚く交付税が入っていますので、財務省の言うことをそのまま飲み込むと、国費は2分の1しか入らない、あとは保険料でカバーするということが国保の基本的な制度なので、大幅に財源が後退してしまうのと、国民健康保険自体が破綻する可能性があるので、この部分については、国民健康保険へ被保護者の方々を移すというのは、国保側が破綻する可能性が高いですので、ここは承認できないということは、今日も別の会がこの後あって、同じ内容の話をするのですけれども、そのことは申し上げておきたいと思います。
またよろしくお願い申し上げます。以上、2点です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
長島委員はこの後、途中参加されるということで、まだいらしておられないとのことですので、まず、会場参加の委員の皆様から御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。五石委員、どうぞ。
○五石委員 ありがとうございます。
何点かあるのですけれども、4分ということで、しゃべられるところまでお話ししたいと思います。
まず、第1点目なのですけれども、何回かこの部会でも出たと思うのですが、生活保護の見直しについて、2004年の生活保護制度の在り方に関する専門委員会で、利用しやすく出やすい制度へという方向で検討すべきだという文言が入っておりましたが、今回の部会の議論でも何回かこの言葉が出たと思います。この言葉を依然として堅持すべきだということを今回の案に含めてはいかがかと思います。
2点目ですけれども、本日配付いただいた資料の27ページの30行目、「両制度による支援は、自立の概念や本人の自立に向けた支援といった共通の基盤を有していると考えられる」のところですけれども、これも何回か議論が出て、共通の理念を明記すべきだという意見は論点整理でも出たと思います。自立という言葉が非常に曖昧であるということと、また、今回の報告書案の中にもありますけれども、就労自立を中心に考えられる傾向にあるということがありますので、例えば今回の文面の中で、自立の支援は生活保護の廃止、就労だけではなく、生活困窮者の尊厳の保持、また回復、それ自体を目標として行われるべきだというようなことを入れてはいかがかと思います。
3点目ですけれども、今日の報告書の10ページの15行目に、就労自立給付金のお話が出たと思います。割合が増えているというような記述があったと思います。被保護者調査をもとに、生活保護廃止世帯に対する働きによる収入の増加、取得の割合を調べてみますと、2012年は14.11%、2020年は13.42%で、かえって比率が下がっています。実はこの間には上がったり下がったりはしているのですけれども、ただ、就労自立給付金によって効果があったかといえば、統計上はその効果は見えないということではないかなと思います。ですので、もし自立を生活保護廃止と定義した場合、実際その意味で使われているのだと思いますけれども、それを就労によって達成できるかどうかというのがやはり疑問だということを申し上げたいと思います。
この報告書の中で、早期の支援という言葉が1回だけ出てくるのですけれども、なぜ早期の支援が必要かといえば、それが自立をしやすいということなのではないかなと思います。つまり、自立の支援、自立の助長は、早期の治療、早期の住居確保、早期の家計改善等の早期の社会包摂、また、これがスティグマにならないような方法で行っていくべきであるというようなことを入れたらいかがかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、生水委員、どうぞ。
○生水委員 生水です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、入りやすく出やすい生活保護について、五石委員の御意見、そして勝部委員がこの審議会でも言及されていますので、私もこれに賛同します。入りやすくについては、生活保護だけは絶対に嫌だの感情に対して、国、そして自治体はスティグマを解消して、生活保護に関する正しい情報をきちんと伝えていく責務があると思うので、ここについても言及すべきだと思います。
ここから順に沿ってお話しします。
まず、3ページの11行目、法の理念に基づく支援を実現するには、困窮制度に関する政策立案、庁内連携の強化が重要なので、都道府県、市等の生活困窮の担当部局への専従職員の配置についても、記載が必要だと思います。
それと、そもそも体制がないところに実績は生まれないので、13行目に、「そのような人員体制等を確保し、支援実績に結びつけるための仕組み」と修正が必要だと思います。
次に、5ページの13行目の記載については、この課題に対する方策が会議体設置とするのに違和感があるので、削除すべきだと思います。
次に、5ページの26行目に、生活保護の会議体については、困窮法の第2条の2に規定される緊密な連携、その他必要な支援体制の整備に配慮することと同じ理念規定の記載が必要だと思います。
次に、6ページの1行目以降に、関係機関に理解を求めるだけではなくて、ケースワーカーが関係機関の業務や支援に対する考え方や連携の重要性を理解することも重要であるとの記載も必要だと思います。
次に、12ページの17行目に、生活福祉資金の貸付が記載されていますが、貸し付けられたものの、償還の段階で追い込まれることのないようにすることが大事なので、特例貸付の償還等の相談支援の対策強化についても言及すべきだと思います。
次に、13ページの11行目、日常生活自立支援事業の被保護者の利用割合に関する課題が記載されていますが、このことに加えて、全国的に待機者が生じている課題についても言及すべきだと考えます。
31行目の書きぶりですが、被保護者の金銭管理支援については、必要な方が必要な支援を受けられるように、行政の費用負担の観点を含め、家計改善支援事業との違いや日常生活自立支援事業との適切な利用のあり方と連携の検討と修正いただければと思います。
次に、20ページの23行目、ここの連携は困窮制度と住宅施策にとどまらないので、24行目の「公営住宅や」の前に、介護保険制度や障害福祉制度など他の福祉制度を加えるべきだと思います。
次に、21ページの11行目、住居確保給付金についてですが、職業訓練受講給付金との併給の恒久化、また再支給については、本人の責任でない理由で減収したものについても再支給が制限されないことが必要であること、収入算定においては、児童手当、扶養手当を収入算定しないこと、「離職・廃業後2年以内の者」の撤廃が必要であるとの方向で検討が必要だと追記すべきだと思います。
次に、23ページの36行目の後に、事業の推進には、広域実施と併せて生活困窮者一時生活支援事業の住まいの提供のみなど、地域の実情に応じて弾力的な運用の検討が必要であると追記いただければと思います。
最後、もう一点だけ言わせてください。29ページの32行目、自殺対策についてですが、一番初めの自殺総合対策大綱は平成19年に閣議決定されていること、また平成29年度版、令和4年度版の大綱において、生活困窮者自立支援制度も含めて一体的に取り組み、効果的かつ効率的に施策を展開していくことは重要であると書かれており、自殺対策と困窮制度との連携は5年来の宿題であるので、ここは近年とするのは違和感があります。そこで、自殺対策については、生活困窮者支援制度と自殺対策は一体的に取り組み、効果的かつ効率的に施策を展開していくことが重要であると追記いただければと思います。
以上です。また後でお伝えします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、いかがでしょうか。
○奥田委員 ありがとうございます。
私も今まで言ってきたことの繰り返しになって申し訳ないのですけれども、18ページから現状をずっと細かく丁寧に書いてくださっていますので、ここをちゃんと読めば分かるのですが、対応の方向性として19ページの27行目辺りで改めて、対象者が既に居所を失っている、いわゆるホームレスの層と、ここに書いてある住まいの不安定という概念、2つあるのだということをどこかできちんと明記する必要があると思っています。
次は、20ページの4行目で、今回の1つの目玉は、地域居住支援事業の拡充ということだと思うのです。そのときに、ここに書かれているとおりで地域居住支援事業が取り組むべき支援の内容とは一体何なのかということについて、あるいはそれに対する専門職は一体誰を意味しているのか、この辺りはやはり重要だと思っています。
その次の○ですが、現行のシェルター事業の対象とならない生活困窮者等に対して、緊急一時的な居所の確保と書かれていますけれども、前回から申し上げていますが、いわゆる一時生活支援事業のシェルター部分に関しては、収入認定等がある。ここにも収入が確定できる書類を持ち合わせていないというのが書かれているのですけれども、私はいっそのこと、シェルター事業の収入認定を外すほうが即対応できると。新たな法整備をして3つ目の枠組みをつくるよりは、シェルター事業そのものの対象を広げるという方向がいいのではないか。
その次の○ですが、一時生活支援事業と居住支援事業、少なくとも1つを義務化するというのは賛成であります。しかし、ここで大事なのは居住支援という概念が確立するかということなので、改めて申し上げますが、この2つの事業をくくった形で居住支援事業と、法の中でこれはきちんと位置づけていただきたいと思います。
次の○、17行目からは、広域連携等を書いていますけれども、全体を通して特に居住の問題に関しては民間連携が非常に大事だと。民間連携について、例えば不動産屋さん、オーナーさん、あるいは居住支援法人の官民の連携あるいは民民の連携、その辺りについてもう少し言及があったほうがいいのではないかと思います。
その次の○、23行目からですが、これも前回から申し上げておりますけれども、住宅セーフティネット法の改正がこの後必ずあるだろうと私は夢のお告げもあって信じていますので、それに合わせて同時改正すべきだと。ここだけはきちんとやらないと、居住支援という範疇は、箱の問題とソフトの問題が一体的なものであるということですので、これは同時改正にしていただきたい。
21ページ目の11行目以降、住居確保給付金ですが、これも前回申し上げて、繰り返しになって申し訳ないのですが、そもそも住居確保給付金の支給基準が低過ぎるということを問うべきだと。ここには収入算定をどこまでするかみたいなことは書かれているのですが、例えば住宅セーフティネットの家賃低廉化の対象は、単身で15万7000円の基準なのです。15万8000円だったかな。とにかく15万円台なのです。住居確保給付金になると11万円台ということで、同じような家賃補助の対象者、住宅確保要配慮者等になるのですけれども、この基準が二重になっていっているというのはいかがなものか。この辺りも含めて、きちんと一体化していくべきだろう。
22ページの救護施設に関して、移行後、対象者のみならず、加えて地域で居宅をしている保護者も通所できるようにすることは賛成であります。
23ページ目の法規制、罰則をするのはいいのですが、どっちに向けていくのかということ。厳しくするところは当然厳しくする。一方で、あるべき論をちゃんと示していくことが大事ではないか。
その次の○、16行目ですが、日常生活支援住居施設に関しては、支援費と、そもそも増設ということをどう考えるのか。
さらに19行目以降、生活困窮者の地域居住支援事業で、地域の被保護者も見ていこうというところ、つまり日常生活支援住居施設等からの移行後ですが、これも賛成ですけれども、日常生活支援住居施設との関係をもう少し踏み込んで議論すべきだと。つまり、移行する元にいた施設の関わりが、地域居住支援事業に移ってしまうのか、その後も日常生活支援住居施設がきちんと継続的な支援、伴走型の支援が実施できるかという検討もすべきだと。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
今、奥田委員からお話がございました、住宅セーフティネット法との一体的な推進というのは、私もそれはそうだなと思いまして、先週金曜日の全世代型社会保障構築会議で住まい支援の資料が提示されました。今日は配付されていないのですけれども、ただ、時間が押してその説明はなかったのですが、今回の中間まとめに同時改正というようなことは入れられないと思うので、全世代型社会保障構築会議のほうでは、私からは、一体的な工程をにらみながら推進してもらいたいという話はさせていただきました。
それでは、オンライン参加の皆様から順次、お手をお挙げいただければ幸いでございます。いかがでしょうか。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。
それでは、資料に沿って5点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず1点目、3ページの12行目になります。人員体制の確保とありますが、今後の検討に向けて、またこれまでの部会の議論のまとめの中でも、社会福祉士等の国家資格の活用についての言及があったかと思っております。市町村において適正な人員体制の確保や支援員の処遇の改善に当たっては、無資格者というよりは、きちんとした有資格者を前提とした人員の確保や処遇改善が重要であり、資格名称を明らかにすることで、人材の確保に資する側面もあるかと考えておりますので、社会福祉士等の資格名を具体的に記載していくことがより実効性を担保するのではないかなと考えております。これが1点目です。
2点目が、17ページの5行目です。「同様に支援を検討する必要がある」という記載がございます。また、10行目に「就労自立給付金の支給要件を見直し」という記述があるわけですが、全体の流れを踏まえますと、生活保護受給中の子育て世帯全体への支援の流れという文脈の中で記載されているというところは理解しているのですが、一見するだけでは十分理解されないところもあるかと考えますので、生活保護の廃止が子どもの進路決定の阻害にならないよう、繰り返しにはなるのですけれども、15ページにあるように、生活保護受給子育て世帯全体への支援との関連についても、改めて明記したほうがいいのではないかと思いました。
3点目、28~29ページですが、重なり合う支援をできる限り進めていくということで、これまでの部会の議論を尊重し、私もその方向でよいと思うのですけれども、各市町村によって重なり合う形が様々だと理解していますし、社会資源の状況もそれぞれだと思いますので、今後、それぞれの市町村や地域の中で、実情に合わせて関係者間でしっかりと合意形成を得ながら、重なり合う部分と重なり合わない部分をきちんと整理して検討していくことが大切なのかなと考えております。
4点目、32ページの人材養成研修になります。重なり合う支援と同様に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の事業の一部が一体的な実施になっていくということで、今後、相互乗り入れということを踏まえますと、同様に相互理解を深めるという観点は同じかなと思いますので、重なり合う支援と同様に、それぞれの研修をそれぞれ実施するというよりは、一体的に実施できるところから相互乗り入れしながら人材養成研修を一体的に進めていくというところが大切なのではないかと思っております。
最後、5点目になります。35~36ページの生活保護の不正受給対策でございます。これまでの部会でもございましたし、実際に一部の不正受給が生活保護制度に対するイメージを損なっている側面があるというような内容で、現状と課題の中にも具体的に記載はされておりますが、マイナンバー情報の連携が積極的に活用されるということは、ケースワーカーの業務負担の軽減と不正受給防止の両立、そして結果として将来の被保護者に対する連携を是正することにもつながるのではないかと考えておりますので、私は、対応の方向性の中にも不正受給に関する偏見を是正していくことの必要性を明記していく必要があるのではないかと考えております。
以上、5点になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
会議に遅参いたしましたことをおわび申し上げます。
まず、総論に当たります基本的な考え方について意見を申し上げたいと思います。2ページの6行目からのなお書きの部分です。10行目から、法制上の措置が必要な事項については、実務的な検討や自治体、関係省庁との調整を進め、結論が得られた事項について対応するとありますが、長引くコロナ禍に加え、足元の物価高が生活困窮者に及ぼす影響を踏まえますと、法制度化に向けた作業を加速させ、支援会議の努力義務化や就労準備支援事業の必須事業化など、特に必要な事項については来年の通常国会への法案提出を目指す必要があると考えます。
次に、各論に記載された対応の方向性について、3点意見を申し述べます。
まず、自立相談支援機関の機能強化についてです。3ページの11行目の1つ目の○ですが、人員体制の確保、支援員の処遇の改善に向けた仕組みを構築していくことが必要との記載がありますが、その仕組みの裏付けとなる財源を自治体だけで賄うことは難しく、国の財政支援の必要性についても追記していただきたいと考えます。
2点目がその下、27行目、4つ目の○です。自立相談支援事業におけるICTの利用促進には賛同いたしますが、同時に、相談を受ける側の支援員がICTに関する研修を必要に応じて受けられるといったサポート体制を整える必要がありますので、そうした必要性についても記載していただければと考えております。
3点目は、生活困窮者の居住支援についてです。19ページの27行目に書かれているとおり住まいは生活基盤でありますので、誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国による住居費の支援など、生活困窮者に対する恒常的な居住保障の仕組みの検討についても盛り込んでいただければと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、和田参考人、どうぞ。
○和田参考人 ありがとうございます。何点か申し上げます。
生活困窮者自立支援制度における家計改善支援事業の必須化においては、就労準備支援事業と一体的に実施した場合と同等の国庫補助率とするなど、財政面での措置が必要だと考えております。
次に、子どもの学習・生活支援事業については、自治体が学習支援と生活支援を一体的に実施する場合、補助額を加算するなどの財政措置を行うことが必要だと考えております。
また、被保護者健康管理支援事業におけるデータ分析や事業評価に係る保健部局等との連携強化、取組の強化については、具体的な連携体制や手法を事務マニュアル等で具体にお示しいただくとともに、実施する上では、保健・医療人材の確保や財政的な支援措置を併せて検討いただくことが重要だと考えております。
次に、医療扶助における都道府県のガバナンス強化の取組や医療扶助審議会等の会議体の設置については、各都道府県等と十分協議し、合意の上で制度の具体化を進める必要があると考えております。
また、生活保護受給者への国保等の加入については、制度の課題や運営状況の分析を行い、慎重に議論すべきです。地方と十分かつ丁寧な協議をお願いいたします。
最後に、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度における研修については、特に医療扶助・健康管理支援や居住支援等、取組の強化を検討している分野について、全国一律に制度が運用されるよう、国が都道府県本庁等に対して研修素材の提供やマニュアルを改めてお示しいただくこと、また、研修等の実施により都道府県が役割を担えるよう、サポートをいただくことが重要だと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、宮脇委員、お願いいたします。
○宮脇委員 鳥取県湯梨浜町長の宮脇でございます。
意見を取りまとめていただき、ありがとうございます。おおむね自治体の抱える課題あるいは問題、その解決の方向性を示していただけたと思っております。私からは、今後、意見を取りまとめる上で御留意いただきたいことを3点申し上げたいと思います。
まず1点目は、生活困窮者に対する就労支援事業、家計改善支援事業についてでございます。事業を実施していない多くの自治体では、実施できない理由として、予算の確保が難しい、人材やノウハウがないと回答しておられます。両事業の質の確保のためにも、人材、財政等の措置もお願いしておきたいと思います。
また、就労支援事業においては3割程度、家計改善支援事業においては4割程度の自治体が自立支援事業の範囲で対応できていると回答しております。まとめの中にも御記載いただいていますが、両事業の必須化に当たってはこういった回答の背景も十分に把握した上で、慎重に検討を進めるべきではないかと考えております。
2点目は、支援会議の設置についてでございます。取りまとめでは、努力義務化する方向で示していただきましたが、4ページの現状と課題にも記載がありますように、設置していない自治体は必要性を感じないことを設置しない理由としております。国においてはこの背景を十分に把握するよう、お願いいたします。
また、こういった現状がある中で、国から一方的に支援会議の設置の促進等をすることがないようにお願いしたく存じます。
最後に、ケースワーカーの役割についてでございます。以前の部会で事務局からもお示しいただきましたが、被保護者に対する指導をケースワーカーのみが行うことが求められたり、業務外のことをケースワーカーに押しつけられていることが、現場では、関係機関との連携で一番の課題だと感じています。対応の方向性に記載いただいているとおり、この課題については、関係機関にケースワーカーの業務理解を図ることが重要だと考えています。
ただ、自治体や福祉事務所から関係機関に理解を求めるだけでは十分に理解がなされない可能性が高いため、国においても十分に周知を図っていただければと思っているところでございます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。朝比奈です。何点か申し上げたいと思います。
まず、1点目です。2ページの23行目に個人事業主やフリーランス、外国人、若年層等の新たな相談者像という表記がありますが、これは新しく登場したということではなく、もともと埋もれていた相談ニーズが顕在化した。その前のページには多様化という表現があって、そちらのほうが適切だと思いますので、修正を御検討いただければと思います。
そことの関連もあるのですけれども、次の3ページ、皆さんから様々出ていました適切な人員体制の確保については、例えば配置基準を定めるということも含めて踏み込んだ御検討をお願いしたいところですが、その際に、夜間・休日の体制をどうするかということも含めて基準を定めるべきではないかと思います。その辺りは自治体の創意工夫というレベルを超えた配置に関わる問題だと思いますので、ぜひ御検討をお願いできればと思います。
それから、先ほど生水委員から自殺対策との連動といったお話も出ておりましたけれども、例えば同じ社会・援護局の補助事業である「よりそいホットライン」とか、若者向けの自殺対策のSNS相談等、そうしたツールも効果的に活用していくということと、死にたい気持ちの背景に、現実的な生活の困難や暴力からの避難といったところが含まれることが多くありますので、その辺りとの連携、協働が必要ではないかと思います。
いずれにせよ、ネットコミュニティーということを私たちとしてももう少し実態を把握し、これは一つ一つの窓口がやるということではなくて、都道府県、さらには国を含めて、全体の中で若年層を中心としたネットのアクセスにかなりの部分で情報の入手を頼っている人たちにどのようにアプローチするかということをぜひ踏み込んで検討していただければと思います。
それから20ページ、先ほど奥田委員からもありましたけれども、シェルター事業の収入基準はぜひ撤廃すべきであると思っております。私ども市川市の一時生活支援事業では、自治体の裁量でその辺りは柔軟な受入れをしておりますけれども、収入基準があるがゆえに、ネットカフェ等で日々の暮らしを成り立たせている人たちが、そこから抜け出したいと思ったときにシェルターを使えないといった事態もほかの自治体では発生していると伺っております。
それから、21ページ、住居確保給付金についてです。解雇等によらない場合の離職は一生に1回しか使えないという点について、これはいかにも終身雇用を前提とした考え方ではないかと思います。何年か経過したら1回その履歴がリセットするなり、もう少し実態に合わせて、全体としてどうあるかということを、再支給も含めて、収入基準も含めてしっかりと検討していただきたいと思っております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 私のほうからは、ほかの委員が御指摘していない点で2点ほどございます。
1つ目ですけれども、大学生に対する生活保護に関する議論が前回よりあって、今回のまとめ方で基本的にはよろしいかとは思っています。この中で、前回も少し議論があった一時的な状況に対してどう対応するのかということについて、生活保護は一時的に対応するシステムではないということで、それはいいのですけれども、現実には19ページに書いてあるように、学生支援機構が7月から、父母等による暴力等を理由にして避難した場合にも随時申請ができるということで、一時的な支援がちゃんとあるということを書いていただいて、これは大事なことを書いていただいていると思います。
現実に支援機構のホームページを見ると非常にいろいろなことが書いてあって、制度があるだけではなくて、本当に機能しているかどうかも大事ですので、これはお願いですけれども、厚生労働省は文部科学省とこの仕組みの充実、本当に機能しているのかどうなのかをフォローアップしていただきたいと思います。それが1つです。
それから、26ページの医療扶助のガバナンス強化について、都道府県に設置される新しい会議体については、その審議事項やメンバーについては今後となっております。医療費について現実的に分析できる事務局体制でなければいけないということでありまして、正直なところ、都道府県単位ということで、どのくらいまで現実的にでき得るのかなというということは心配しておりますので、この辺は今後審議をするに当たっては、都道府県の医療費に対する分析能力や事務局体制についても引き続きチェックというか情報を集めていただいて、対応できるのかを確認した後、この議論を深めていきたいなと思います。
会議体のメンバー、事務局体制、審議事項、これが掘り下げる問題ですけれども、そこについてはもう少し情報を集めていただきたい。お願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 渡辺です。
私からは、子ども・子育て家庭についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、資料の3ページの20行目からの段で制度の周知についてということで、その際は若年層に対する効果的な方策とあるのですけれども、若年層だけではなくて、ぜひ子育て家庭と現役世代への周知も視野に入れていただきたいと思っております。本当に私どもが支援している方々は、生活保護基準以下で頑張っていらっしゃる方がほとんどなのですけれども、なかなか行政の支援につながらずに頑張ってらっしゃいます。
今日、非常にショッキングなことがあったのですけれども、私どもで今、物価高騰を含めてということで、子育て家庭にアンケートを取っていて、その中で高校生のお子さんがいらっしゃる方々に、お子さんの進路とか進学への影響がありましたかというのを入れてみたのですけれども、まだ回答途中の方がいらっしゃるので1,000ちょっとの回答なのですが、1割の方が進路に影響があったということで、要は大学進学を諦めて、就職してもらうようにお願いをしているとか、経済的な理由により就職するように伝えていますということで、お子さんの進路に大きな影響が出ています。これは奨学金の問題ではなくて、生活が成り立たないので、進学を諦めて就職をして生活費を入れてもらうということだと思いますので、奨学金の手前の問題がかなり出てきているなと思います。
あわせて、13ページ目に「子どもの貧困への対応」を書いていただいているのですけれども、ここで取り上げられているのが、現在行われている学習・生活支援事業についてのことがあるのですけれども、それ以外に1つ、新たに浮上してきた危機として、困窮子育て世帯への手厚い支援の検討の必要性みたいなことでもいいので、ぜひ入れていただきたいなと。要は緊急小口資金の返還免除や生活福祉資金の返還免除が子育て世帯もみんな同じということを私も言ってきたのですけれども、そういうことの苦しさが結局子どもたちの進路、進学に大きな影響を与えていると思いますので、本当に子育て家庭全体の困窮に対してどうしていくのかということを、これから検討する必要があるということでもいいのですけれども、ぜひ入れていただければと思います。
現状の課題策としては、本当にお金がないのでお金が欲しいのですけれども、そういう中では生活保護に移行していただくことは1つの大きな解決策だろうなと思いますので、何度も言われている入りやすく出やすい生活保護、ちゃんと制度を周知して、入りやすい生活保護で立て直して、出ていただくということが行われればいいなと思いました。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。
既に出ているお話もあるかもしれませんが、若干重なってしまうかもしれませんが、御容赦ください。
まず、資料の3ページ、相談支援機関の機能強化の対応の方向性についてですけれども、委託先の選定について言及されております。委託先の選定を充実していく、よりよい委託先が選定できるようにしていくということには全く異論はない、そのとおりだろうと思っておるのですけれども、具体的にどうしていくのかということで、専門的知見を有する人たちがこの選定に関与していることが必要だろうと思います。それがまず1点目です。
2点目は4ページから5ページにかけて、支援に関する会議体の設置についてですけれども、会議体を設置すること自体はもろ手を挙げて賛成でございますが、それぞれの会議体がまた分立して、相互に関連し合わないというようなことになると、それでは元も子もない気がします。少なくとも生活困窮者の会議体と生活保護の会議体がきちんと重なり合うような制度設計をしていただきたいなと思います。
それから、少し後ろのほうにまいりますけれども、15ページの生活保護受給中の子育て世帯全員への支援のところですが、私が理事長をしております社会福祉法人で児童養護施設を経営しております。児童養護施設を経営しておりますと、例えば塾の月謝なども措置費の加算として支給されるのです。もちろん学習支援事業が生活困窮者の課題にフォーカスしながらやっていくという点では、そのよさもあるのですけれども、一般家庭の子どもと同じ塾で保護世帯の子ども、生活困窮世帯の子ども、ましてや児童養護施設の子どもも含めて一緒に学べるという選択肢ももう一方であっていいのではないかと思っております。
それから、同じく児童福祉絡みなのですが、17ページの○の3つ目、8行目、本人の希望を踏まえた選択に基づいて高校を卒業した後に就職し、一人暮らしのために世帯から独立したり、あるいは大学進学等もそうなのですけれども、この際に児童養護施設等で措置を解除された子どもには、自立支援ホームという選択肢がございます。困窮世帯の子どもあるいは保護世帯の子どもが自立していくときに、そういったものも併せて活用するということも考えられるのではないかと思っております。
それから、18ページでございますけれども、6行目からの記載で、具体的には10行目でしょうか。就労することも肯定的に捉えて考えるべきであるということなのですが、就労することももちろん肯定的に捉えるべきでございますが、それは就労することも進学することも選択ができるうえでの話であり、経済的要件によって一方しか選択できないという状況の前提では、これはいささか空文になる気がしております。そういう意味では、まず、どちらでも選べるということ、それが経済的要件によって妨げられないということは大事なことなのだろうと思っております。
もう一点だけ申し上げますと、無料低額宿泊所について23ページに記載がありますけれども、既に他の委員からも御意見が出ておりましたが、将来的にどうしていくのか、淘汰していってしまうという選択なのか、それとも、きちんとコントロールしながらよいものは残していく、あるいは育てていくということなのか、この政策の方向性が今のところ見えていないなと感じております。
最後、31ページ、人材の養成ですけれども、研修をしっかりやっていくということについては当然賛成をしております。ただ、その前提となるファンダメンタルズの部分をもう少し考えるべき。例えば社会福祉士の資格を持っている人をきちんと活用していくというようなことも含めて、そういうファンダメンタルズを持っていることを前提に、またそれに研修で積み上げをしていくということも考える必要があるのではないかと思います。
ここまで成文化されておりますので、今申し上げたことを全部ここに載せてほしいとか、載せるべきだというところまでは必ずしも言えないわけですけれども、こんな意見もあるということぐらいはお気に留めておいていただければありがたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
オンライン参加の皆様、途中から御参加いただきました長島委員、堀委員もいらっしゃいますが、ほかに御意見がおありの方がいらっしゃればお手をお挙げいただきたいのですが、差し当たりはよろしいですか。
池永委員、どうぞ。
○池永委員 民生委員の池永でございます。
私からは、2ページにあります先ほど渡辺委員からお話もありました自治体では、生活困窮者自立支援制度が生活困窮者のみならず、支援者にも十分知られていないというところがありまして、3ページ、支援を必要とする人が必要なときにその制度を利用できるというところで、若年層に対する効果的な方策というのがありました。
私どもは、高齢者に関わることも多いですし、それから、このようなオンラインツール、SNSをなかなか使えないような中高年齢の方も対象者としており、そうした方への広報や周知も極めて重要と考えております。
それから、子どもの学習・生活支援事業で、15ページに関係機関のところへ民生委員・児童委員という名前、それから「8.生活困窮者自立支援制度と関係施策との連携のあり方」のところでも具体的に名前を入れていただきましたが、関係機関の方にしっかり周知されれば、これまで以上に活動しやすくなるのではないかと思っております。
それから、16ページの32行目ぐらいにあります対応の方向性と、17ページの6~11行目にありますことについては、私は賛成でございますので、そのことをお伝えしたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、勝部委員にお願いして、その後、今、岡部委員のお顔が見えましたので、もしよろしければその後に岡部委員という順でいきたいと思います。勝部委員、お願いします。
○勝部委員 まず、論点整理のときにずっとコロナの特例貸付についていろいろと議論をさせていただいて、全国で多くの社会福祉協議会がコロナ特例の貸付をする際に、今回の文脈であります1ページ目のところですが、「貸付があったことで、生活保護の関連に被保護者数の増加が見られなかったことで一定の効果があった」という書きぶりが非常に水際的な書き方で、結果として、自助で貸付をしたことで生活保護を防げたという文脈に読めてしまうのは、これまでの議論が一体どうだったのかということを非常に悔しい思いで今日は来ています。
ここはなぜこうなったかというと、生活保護制度は皆さん御存じでしたけれども、個人事業主や子育てをしている御家庭の人たちで一時的に困窮に陥っている方々が、生活保護を受けたくないという意思の方もいましたし、生活保護を受けるぐらいならば死んだほうがましだという、生活保護へのスティグマ、社会的なバッシングに対して、そこへは陥りたくないという気持ちが強くあったことを何度も申し上げました。相談室、全国の社協の職員が困窮する人を前に苦しんだということがありましたので、ここの書きぶりとしては、あのときの教訓は何だったのかというと、生活保護が入りにくくて出にくかったということを前提で、生活保護が入りやすくて出やすい制度にするということを今回の大きなテーマにしていただきたい。
さらには、困窮者支援の窓口がこれまでありましたが、即効性のある貸付制度があることで、多くの人たちが困窮の相談に来られたという問題もありますので、現在のような貸付、借りるのに日にちがかなりかかってしまうという本則の形ではなく、ここをまた教訓として生かしていただく必要はないかということを強く思います。
今回、このことにおいて10年にわたって困窮者支援の窓口は長く大きく広がりました。生活困窮者の方々の支援をし続けるということに対しても、強化の言葉が非常に薄いように感じます。ここもしっかり前段のところで入れていただきたいということです。
コロナの特例の貸付をしたことで返済猶予された方々が、教育資金などが借りられないということが各地で起こっております。就職氷河期ではなく進学氷河期がこの1月から訪れるということになりましたら、この委員会をこの時期にやった意味が一体何なのかという気持ちで、非常に残念で仕方がありません。
2ページの自立相談支援のところですけれども、35行目、特に10万人以上の自治体での割合が低くなっているということなのですが、実は10万以上の自治体のところにコロナの貸付の方々の相談は集中している部分もありました。
3ページの14行目、どこでも一定の質の相談が行えることということで、例えばアウトリーチがありませんとか、相談は来てもらわないとできませんということがないように、どこででも同じ質の相談が受けられるようにというところで、支援会議がなぜ4割にとどまっているかというと、結局、本人が相談に来た人しか対応していないからだと思うのです。支援会議というのは本人同意がなくても、SOSが出せない人や、そういう方々を地域で探して、その方の支援をみんなで考えていこうというためにつくったものですから、必要性がないというところがそんなにあるということは、まだまだ町全体でSOSを出せない人々を支えていこうということになっていないということだと思いますので、ぜひここについてはプロポーザルなどのときの算定に地域づくりということがしっかり明記されるような形で実施していくようなことが必要ではないかと思います。
まだいっぱいありますけれども、1回やめたほうがいいですね。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡部委員、いかがでしょうか。
○岡部委員 ありがとうございます。
私のほうは3点述べさせていただきたいと思います。
1点目は、1ページの基本的な考え方についてです。ここでは2つの観点として、平成30年改正以降の両制度の発展と課題、それから新型コロナ感染症の経験を踏まえた課題が出されています。これは、別な言い方をするならば、平成30年以降の平時の対応と、コロナという有事の対応について精査し、それらが反映された報告書になっていると思います。具体的には、制度や事業の仕組み・内容、方法、体制の整備の必要性として出されてきたことを、できるだけ反映する方向で記されていると考えます。
その上で、2点目に入ります。課題としてより考えなければいけないことは、今回の新型コロナでの生活困窮者の中で、相談件数や貸付金、住居確保給付金などが相当な数値となっていることです。これらの対応が、当面の課題として速やかに着手・対応したとも考えられますが、中長期的な検討として、ここでは給付金、貸付金だけに限りお話ししますが、今後もし同じような事態が起きたときに、同じような構図が生み出されてくることを懸念として持っています。
例えば重なり合う支援であるとか、体制の整備であるとか、そういうことに対して、果たしてこういう事態に対して重なり合う支援、もっと直截に述べれば生活困窮者自立支援相談機関と社会福祉協議会、生活保護の実施機関である福祉事務所であるとか、どのように重なり合ってやっていくのか、また、それを支えるその体制上の課題も出されているのではないかと考えます。
貸付金については、もうすぐ償還が始まります。この点、家計改善支援事業で、速やかに継続して行うことにはなっていますが具体的にどう進めるか、具体的な方策に向けての検討がなされることを期待しております。
3点目、先ほどからお話が出ています自立や尊厳についてです。報告書で記されていますが、自立の捉え方は、ここで整理される点はよいと考えます。また、尊厳という言葉が、部会長の菊池先生がこの辺りのところはより詳しいと思いますが、もし仮に生活保護法の条文の中で、考えるならば検討が必要と思っております。
また時間があればお話をさせていただきます。以上です。
 
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、1巡目の最後に、新保代理からお願いします。
○新保部会長代理 ここまでの取りまとめに感謝いたしますとともに、私からも3点ほどお伝えします。
まず、5ページのケースワーカーの役割及び関係機関との連携ですけれども、ここに挙げられている現状と課題は、生活保護の実施段階で行われることが、ケースワーカーも含めて誰もが理解する形で明確になっていないということに1つの要因があるのではないかと思います。
この中間まとめの6ページに書かれているように、生活保護は平成17年度より自立支援プログラムが導入されて、経済的給付に加え、福祉事務所が組織的に被保護者の自立支援を行う制度への転換を目的として各種取組が行われてきました。そして、平成20年度からは、援助方針を策定するようになっています。自立支援が始まるまでは、就労指導や療養指導というような指導という形で実施してきたことを、まずは保護の変更や停廃止につながるような指導ではなくて、原則として要保護者本人に説明し、理解が得られるように努めながら、援助方針を策定するということが実施要領上に明記されています。
今回、ケースワーカーが指導する人というような立ち位置になりやすいということがまとめに書かれていますけれども、実施要領や通知で援助、支援、指導指示、助言指導というような用語が、用語解説がなされない中で用いられていて、自立支援を行う制度に舵を切ったにもかかわらず、慣例的に指導の用語が使われたり、指導指示の重みが十分に理解されない中で、ケースワーカー自身が支援の前に指導をしてしまっているという可能性もあるのではないかと思います。
3つの自立の考え方を明示したのは、生活保護制度であったにもかかわらず、それが必ずしも共通理解にはなっていないということはとても大きな課題ではないかと思っています。この課題を解決するのは、ここに書いていただいていることも大事なのですけれども、まず、改めてケースワーカーの役割や援助、支援、自立支援、指導指示の用語解説などを、ケースワーカーだけではなくて関係者が分かるように整理して示していただくことをぜひお願いしたいと思います。
用語というのは、行為を規定してしまうと思います。それでいいますと、生活保護施設も既に自立支援に取り組む施設になっておられますので、生活指導や処遇というような、ほかの領域ではもうあまり使われなくなっている法律上の用語についても、できるだけ見直していただければと思うところです。そして、「支援の体制がないので指導するしかないとならない」ように、支援の体制づくりも不可欠であると思います。
続きまして、18ページの日常生活自立支援事業についてです。部会の議論の中で、日常生活自立支援事業の利用者には被保護世帯が一定割合を占めていて、費用負担が十分になされていないことが課題になっているという御指摘がありました。事業の利用を必要とする被保護者が円滑に事業を利用できるよう、連携強化や費用負担についての検討が求められているということをより明確に記述していただくのはいかがかと思いました。
3点目、最後ですけれども、33ページの生活保護の人材養成研修の対応の方向性です。研修素材を国が提供するなど、研修等を効果的・効率的に実施を図る必要があると記載してありますが、研修素材の提供は、現状と課題にも書かれているように、手引類の作成と併せて既に実施されておられます。むしろ今後必要なのは、国が人材育成指針や研修モデルを示すとともに、継続的に研修素材を提供するなどして、都道府県や福祉事務所単位での研修等の効果的・効率的な実施を図れるような体制を支援していくことではないかと思います。
両制度とも本当に人材が命ですので、ここは現状維持にならないように取組を進めていくことができるよう、記述を充実させていただくお願いをしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
まず、一通り御発言がおありの方からお話しいただけたかと思います。
最初に休憩を入れることを予定していると申し上げましたが、一巡目の議論が予定よりも少し早く終わっておりますので、今日は休みを取らずに、当初の予定である4時半をめどに引き続き議論させていただくということで御了解いただければと思います。今、新保部会長代理とも話をさせていただいて、そのような方針にさせていただこうということになりました。よろしくお願いします。
それでは、引き続いてさらに御意見等がおありの方に御発言をお願いしたいと思います。まず、会場から生水委員、どうぞ。
○生水委員 ありがとうございます。
まず、18ページの14行目なのですが、先ほど奥田委員と朝比奈委員から御指摘があったように、ここには収入基準の見直しについて追記が必要だと思います。
30ページの関連施策の連携の対応の方向性についても朝比奈委員が御指摘されたように、SNS相談をはじめとする多様な支援ツールの連携、また活用も盛り込むことが必要だろうと私も思います。
勝部委員に伺いたいのだけれども、先ほど特例貸付を借りた人が教育資金を借りられないという事象が起こっているということだったのですが、これにつきましては、生活福祉資金貸付制度における修学資金であれば、特例貸付は生活福祉資金貸付制度の借入れ実績から除外されると私は理解していたのですが、これについてはどのような取扱いになっているのかを教えていただきたいです。
もう一つ確認なのですが、特例貸付については、もし破産したとしても信用情報の事故情報に載らない扱いでいいのかどうかを教えていただきたいと思います。
特例貸付につきましては、複数の弁護士から既に破産の案件が増えていると伺っているところでもあるので、そうした事象がもう現実的に相談現場において多く寄せられているところでもありますので、ここについて教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 事務局のほうで御回答いただけますか。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
まず、特例貸付と教育資金の貸付の関係ですけれども、少なくとも国からの特例貸付を借りた方について、教育資金の貸付をしないといった取扱いは示しておりません。
あと、破産の関係、信用情報の関係ですけれども、信用情報には載らないということでございます。
○菊池部会長 生水委員、よろしいですか。
○生水委員 大丈夫です。
今、菊池先生のほうから当てていただいたので、もう一点だけいいですか。
先ほど時間がなく言えなかったのですが、31ページの17行目の後に、地域における相談体制の整備を図るために、重層的支援体制整備事業の活用推進が必要であるということも、ぜひとも追記いただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 4ページ、今回、生活保護のところで重なり合うということで、ワーカーがコーディネーター役をするときに、いろいろな人たちが協力してくれないという文面がここだけ物すごくリアルに書いてあるのですけれども、そもそも非正規や3年未満の職員が多い中で、どういう支援計画を立てていくのかが十分に知識としても得ていける期間もないままにどんどん過ぎていっていること自体に問題があるのではないかと思いますので、正規の職員をしっかりと位置づけていくようなことが前提にないと、重なり合ってみんなが応援はしているけれども、そこをコーディネートできないという事態になってしまうということも十分考えられますので、ここについては前提条件をしっかりと書いていただきたいと思います。
もう一点、自立支援プログラムが進んでいないということですけれども、就労だけではないとみんな言っていますけれども、就労支援、就労準備となっていますので、就労社会参加支援と、もっとちゃんと言ったらちゃんと分かるのかなと。先ほどの書いていることがうのみにされていくということがあるので、この辺の考え方みたいなことをもう少し徹底していく必要があるのかなと思います。
先ほど新保先生がおっしゃったような日常生活自立支援事業の件に関しましては、この件と、それから生活保護の金銭管理は、日常生活自立支援事業を条件にして生保を掛けるなんていうところも出てきていますので、そこの関連、それから家計支援の関係、ここはもう少ししっかりと検討していかないと、ここで重なり合うからどんどん委託的に増えていくような形になると、小さい財政基盤の弱い事業が大きい事業をいっぱい支えないといけないという文脈になっているので、これ自体が非常におかしいことになりやしないかなと思います。そもそも基盤が日常生活自立支援事業も生活困窮者支援のほうも弱いわけですから、多くの人たちを助けるという側よりは、むしろそこを守っていくだけでも精一杯という状況があるというのが、何かおかしいなという感覚であります。
それから、子どもの学習支援のところについて、先ほど民生委員さんからお話がありましたが、個人情報の壁で、スクールソーシャルワーカーさんとか主任児童委員さんとか、こういう方々と情報共有がしにくい事態が出てきていますので、自立相談支援機関などが支援会議などをうまく活用して連携できるということを皆さんで位置づけていただくことが重要ではないかと思っています。
最後ですが、地域づくり、30ページの他分野のところです。生活困窮者のための地域づくりとありますけれども、孤立・孤独のところを考えますと、コミュニティーソーシャルワーカーであったり、民生委員さんたちの地域の活動であったり、生活支援コーディネーターであったり、様々な人たちが居場所や役割づくりをしていますので、この辺りも少し分野の中に明記いただけたらと思います。
それから、人材養成は、生活保護と困窮が同じ自立の概念だということであれば、そもそもの自立の話のところは共通の研修を受けるという体制もできないのかなというのを、こここそ重なり合っていただきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あと、会場からは五石委員、奥田委員。
○五石委員 先ほどお話し切れなかった点を付け足したいと思います。
まず、8ページの24行目のところで職業訓練が出ているのですが、求職者支援制度という第2のセーフティネットのもう一つの重要なパートがありますから、それを利用しやすくする、ということを入れていただけたらと思います。
6ページの31行目にKPIという言葉があって、これが3回出ているのですが、言うだけ言いたいと思います。特に第27条の2は自治事務ですから、国の地方自治体に対する関与の仕方として、KPIという方法が適切なのかどうかは疑問があります。第27条の2は、自治体が独自に解釈をして実施してもいいはずであって、それをKPIという形で国がこのようにすべきだと目標を定めるのは、自治事務の趣旨からいっておかしい、疑問があると申し上げておきたいと思います。
15ページの3行目で、子どもの支援で子ども家庭センターのお話を入れていただきました。ただ、この記述が14ページの35行目から始まっているのですが、「高校生以上の世代に対して」から始まって、15ページの冒頭で「小学生に対する」というのがあって、書き方が分かりにくいなと思いました。
例えば、子どもの支援の全体の政策からすると、妊娠前から青年期まで切れ目のない、また家庭・地域を含めての包括的な支援を行う。その中で、子どもの学習・生活支援を位置づけるという書き方ではいかがかなと思います。つまり、年齢によって区切らないという意味を加えたらいかがかなと思います。
最後なのですけれども、これも言うだけ言いたいと思いますが、部会の中でしばしば生活困窮者自立支援が知られていない、生活保護が活用されていないという話があって、また生活保護を受けることに対するスティグマがあるのだという話が何度も出てきたと思います。今回の報告書案の中で一番最後に生活保護の不正受給対策という言葉が出てきますが、最後がこれで終わってしまうと、積極的に活用されていないというこの部会の意見がちゃんと反映されているかどうかに関して疑問がありますので、生活保護の不正受給というのは残してもいいと思いますが、それと併せて、生活保護の積極的活用、生活困窮者自立支援制度の積極的活用も一緒に入れたらいかがかなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員、どうぞ。
○奥田委員 ここでお話ししても、それはどうかなという話かもしれませんけれども、まず小さなことから、やはり広報を強化すべきだと。けれども、明るくやっていただきたい。困ったら見てくださいではなくて、もうちょっとみんなで社会をつくっていこうみたいな切り口からやっていただきたいというのが1つ目です。
2つ目は、今回コロナで緊急事態になった。現場は例えば人も足りないと。しかも、今までの支援と違うフェーズに入ってしまって、それも混乱した。一方で、もともと常態的に規模を拡大するかというのは難しいと思うのです。そのときにバッファーみたいなものをどう考えるか。例えば地域の同じようなと言うと語弊がありますけれども、プレーヤーがいるわけで、例えば災害時の包括支援協定とかがあるではないですか。そのような日常的に拡張できないかもしれないけれども、バッファーの部分で一旦緊急事態がぼんと来たときにどこで受け止めるかという体制づくりは、今回のコロナが過ぎ去るのを黙って待っているのではなくて、これをいい教訓にすべきだと。
3点目はちょっと大きな問題です。単身化・効率化が非常に進んでいく今後の社会保障全体の議論にどうつなげるかという話が大事ではないか。土曜日に生活困窮の全国大会がありまして、そこで池谷先生にすごくいい御講演をいただいて、私もすごく勉強になったのです。
保護のソーシャルワーカーはこういう仕事なのだという話を聞く中で、一方で、保護のソーシャルワークの中には家族の機能は入っていませんということも明確におっしゃった。しかし、現状からいくと、家族機能をどうバックアップするかが、困ったときにどうするかだけではなくて、日常も含めた家族機能を社会化していくことが今後どうしても必要になる。社会保障全体の中で議論すべきところにもう来ている。単身の世帯が38%、2040年には4割になると予想されている中で、今回、この家族機能というのはどうするかということの議論の入り口にもなればなと。
最後に、重なり合う支援の意味と目的なのですが、単純に重なり合う支援というのは制度の問題ではなくて、要するにその人がその人らしく生きたいと思えるか、そのために立っているものは親でも使う式で、重なろうが、30、40歳になろうが、そんなことはいいのだと。その人がその人としてその人らしく生きたいと思えるかということだと。
生活困窮者の全国ネットワークが実は土曜日に声明を出していまして。こんな感じです。コロナ禍の下で広がる困窮や孤立に対処するために、2つの制度を緊密に連携させていくことは、もとより重要な課題であると。その場合の連携とは、両制度をともに質的にも量的にも強化し拡充するためのものだということが書かれている。
そこで私は、重なり合うことのために必要なことなのですが、まずは理念が重なること。例えば3つの「自立」が両制度において本当に重なっているのかどうか。この場の議論でも、何となく意識として生活保護は経済的な自立が非常に先行してしまっているのではないかとか、とはいえ困窮も何だかんだいっても就労自立中心だったのではなかったのかみたいな話、本気でまずは3つの「自立」概念が本当に両制度に徹底され、重なっているかが問われるべきだ。
2つ目は、私は両制度ともに給付とケアのバランスなのだろうと思うのです。コロナが明らかにしたことは、困窮は給付がないという前提でやってきましたけれども、その窓口に給付が必要な人が多数来たという現実だった。これには、立てつけ上は保護の手前であるはずの困窮のところに給付が必要な人、貸付が必要な人が来た。ただ、これは保護に対する嫌悪感もあって、本来保護が必要な人が困窮のところに来てしまっているということも当然ありました。
そんな中でやはり私は、困窮制度はケアが中心、保護は給付が中心というのは間違った考え方なのではないかと。その人のニーズからしたら、実は両方とも当然必要で、重なり合うのではないのか。そういう中においては、例えば保護の側が就労準備と家計支援と地域生活支援事業を使える。これはこれでいいです。でも、逆はどうなのですか。困窮のサイドは8つの扶助に対してどう手が伸ばせるのですか。今のところ多分ないのです。そうすると、保護の原理原則からいうと他制度優先ですから、保護ではどうしようもない、給付の切り出しができないということならば、困窮の中で一部給付を考えるか、あるいは新たな給付システムをつくるかということをしないと、今回のコロナの2年間のニーズからすると、例えばこの報告書の中にも8ページに就労準備支援事業で交通費を出すか出さないかのところで、個別給付に近い形になってしまう。就職活動に必要な交通費を出すことにもこんなにナーバスにならざるを得ない制度は本当に大丈夫かと。給付とケアはバランスなのだと。両方とも必要なのだと。どっちかというわけにはいかない。
そうなると、保護の解体なのか、切り出しなのか、いろいろな議論がありますけれども、保護のほうから見たら困窮のサービスは使えます。今回そういうふうにいきましょう。これは書かれている。一方で、困窮から見たときに、保護が持っている8つの扶助に手を伸ばせるのか伸ばせないのかという議論はしないのですか。それがもし法律上できないというのであれば、困窮の中にある給付のニーズはどこでそれをカバーするのですか。そこまで議論しないと、重なり合うという話は非常に理念的な話で終わっていくのではないかと私は危惧するわけです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
コメントを申し上げたいところなのですが、オンライン参加で多くの皆様からお手が挙がっておりますので、出原参考人、お願いいたします。
○出原参考人 ありがとうございます。
私からは、端的に1点だけ申し上げたいと思います。
資料の21ページの16行目になるのですけれども、住居確保給付金の求職活動要件のあり方に関わる話になると思うのですが、ここで自営業者の方の公共職業安定所への求職活動といったことが書いてあります。確かに最近まで自営業者に従事されていた方が、離職なり廃業された後に、そのまますぐにハローワークに行くようにというような話では、なかなか自営業者の方もそういったことがやりにくい、そぐわないというところがあるのかなとも思います。
いずれにしても、やり方を検討するということになっておりますけれども、自立という概念や定義についても、どういったものかということが今日もこれまで議論がありましたが、そういったところも含めて自立というものに近づくような方法でのあり方を検討していただければありがたいかなと考えております。
私からは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
私からは3点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず1点目、先ほど勝部委員がおっしゃっていた緊急小口が返還免除になると教育資金が借りられないみたいなことはとんでもないことで、絶対にこういったことはなくしてほしいと思っております。子どもは親を選んで生まれるわけではないので、子どもが利用するための貸付を、親がちょっとお金を返せないからということで利用する。ほかにもいろいろ聞くのですけれども、本当におかしな話だなと思っておりますし、多くの場合は親御さんも返せるものであれば返したいと思っているのですけれども、日本だと、例えば独り親家庭ですと、どうしても女性の場合、収入が満足に得られなくて返せないという、そもそも社会構造的に貧困にならざるを得ない中で、返せない中で、そういったところに生まれたお子さんたちが、せっかく教育を受けようと思っているのに、用意されている制度が受けられないということは、制度の根本に関わることだと思いますので、ぜひこういったことはなくしてほしいなと思います。
2点目、21ページに住居確保給付金についてあるのです。これは非常に重要な制度だと思っておりますし、これを利用できたので、子育て家庭が何とかこのコロナ禍でも生活保護に陥らずに生き延びられたという方も多くいらっしゃいます。
一方、制度を知らないので利用せずに、今も本当に御飯を食べない、子どもも1日2食に減らしているとか、そういう中で苦しんでいる方々もいる中で、ぜひ困窮子育て家庭が利用しやすい制度にしていきたいと思っております。
その中では、例えばここに①、②、③と書いてあるのですが、例えば④に未成年の子どもがいる世帯ということを加えていただくといった配慮をしていただいて、本当に困窮子育て家庭の方は家賃が払えないので私は子連れホームレスになるのではないかという不安を抱きながら生活されている方が非常に多いので、そういった中ではこういった制度の周知をちゃんとしていただきたいと思っております。
また、その際に、その下にあるように、児童扶養手当や児童手当等があると収入認定されてしまって受けられないということは非常に矛盾したものでして、児童扶養手当や児童手当は子どものための手当ですので、当然こういったものから除外されるべきです。これが入っているということは、単身とか大人だけの世帯では大丈夫なのに、同じ収入だけれども子どもがいると駄目ということで、本当に子どもがいればいるほど生きづらくなるという今の日本を象徴しているようなことだと思うのですけれども、ぜひこういったものは収入から除外していただいて、必要な方が必要な制度を受けられるようにしていただければと思っております。
3点目は、子どもの学習・生活支援事業について、ほかの委員の方からも何人かおっしゃっていただいておりますが、非常に重要な制度ですし、逆に言うと子どものための生活困窮の事業としてはこれが大きなものになっているという中では、ぜひ財政的な措置をしていただきたいですし、そもそもの学習支援という勉強のところから、それだけではないということで生活支援の事業に広がってきたり、今は本当に体験活動が失われてしまった中で、皆さん工夫されて子どもをどこかに連れていったりだとか、体験活動みたいなことも頑張っていらっしゃいますし、また高校生の支援に広げていくということも非常に重要だと思いますので、学習支援、生活支援を一緒にやっているところには加算をするとか、高校支援も行っているところには加算するということも含めて、財政支援をお願いできればと思います。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
皆さんの発言を伺っておりまして、文言をこう修正してほしいという話ではない、もう少し大きな話になりますが、意見として申し上げたいと思います。
まず、先ほど来、日常生活自立支援事業のことが話題になっていました。私も就労準備を法定化し、それから生活保護との一体性・連続性を持たせていく話と家計の話は結果として出てくる事態は全然違うのではないかと一種危惧も抱いています。
こうした背景には、先ほど奥田委員がおっしゃった身寄りの問題が非常に大きくあって、場合によっては、医学的には判断能力があると認められる人でも、日常生活の管理を自ら行うことが難しく、結果として金銭管理の問題に発展してしまっているという方々が非常に多く存在しているのではないかと思っているところです。
これまでの論点整理や様々な報告の中では、例えば成年後見の利用支援の中核機関を中心にモデル的に行われている金銭管理の取組なども紹介をされていたと思いますけれども、様々なところで発生している似たような事象を横断的につないで、全体としてどうしていくかという発想や観点が、まだこの中間まとめの中では不十分なのではないかと感じるところです。
それから、居住支援の件でも、単純にこの法律の一時生活支援等をどうするかということだけではなくて、もう少し大きな枠組みの中でどう捉えていくか。今回の法改正で何をしていくかという話が必要なのではないかなと思っております。
もう一つ、今回のコロナ禍を一種災害と捉えたときに、また別の感染症で似たようなことが起きるかもしれない。そうだとしたら、例えば自然災害などで行われている広域の連携体制、協定づくり、そんなものももしかしたら必要だし、考えていく必要があるのかもしれないと考えています。
先ほど、夜間・休日の体制を考えるべきだと申し上げましたが、例えばこれにしても、それぞれの自治体がそれぞれ夜間や休日の体制を取るのではなくて、ある程度ブロックの中でカバーできる、例えばA市は第1土曜日を開けますとか、B市は第2土曜を開けますとか、そんなことも考えられるかもしれないし、もっと言うと、皆さんがおっしゃっている稼働年齢層、現役世代をターゲットにした仕組みということで言えば、在住地でなければ相談できないということではなくて、在勤のところでもある程度情報が得られる、相談ができるといった広域の体制づくりなども進めていく必要があるのではないか。そんな少し大きな枠組みで考えていく必要があるのではないか思うところです。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
生活保護関係の施設のところについては、非常によくまとめていただきまして、改めて事務局にお礼を申し上げておきたいと思います。
1つは、7ページにあります困窮者の就労支援のところで、一番下の○に就労訓練事業の認定件数が増えない。また、利用件数も増えないという書きぶりがあって、これは以前、提案した意見なのですが、もっとアナウンスしてほしいというお話もいたしました。実際に事業自体の認知がなかなか広まっていない現実を私も認めるところです。背景には、利用者のマッチングが挙げられたり、申請の手続が煩雑で、書類の量が多いので認定を申請しないという問題もあるわけですが、国交省がやっている居住支援法人などでは、実績に応じた補助金が頂けるようになっています。就労訓練事業は社会福祉法人が地域における公益的な取組の範疇でやっていることもあり、何らかの補助がありますと、もう少し取り組みやすくなっていくのではないかと思いますので、あえて参考のためにお話ししました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
私からは1点だけですが、「9.支援を担う体制づくり、人材育成等」の生活困窮者自立支援制度における人材養成研修というところで、初任者やキャリアアップの研修、従事者の研修といったものが記載されております。既にそうしたことをやっているのであれば問題ないのですが、従事されている方だけを対象にするのではなくて、例えば受託事業者のトップの方など、責任ある立場の方への管理者研修も必要ではないかなと感じました。
皆さんがしっかりとした理念を持って各事業に取り組まれているということであればいいのですけれども、そういった管理者研修みたいなことを定期的に行い、きちんと認識を共有していくといったことも必要ではないかと思って発言しました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 委員のお話の中で、勝部さんが先ほど到着されてすぐにおっしゃった3ページ目のところ、水際作戦的な意味合いにも取られてしまうような書きぶりになっているのではないかという点は、確かにもう少し文章を精査しなければいけない部分があるのかなとは思います。
文章をもう少し精査するという点で事務局に確認したいのですけれども、23ページの児童手当、児童扶養手当の表現ですが、特定の使途・目的と書いて大丈夫ですか。目的はいいのですけれども、使途と書いてしまって大丈夫なのですか。確認です。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○米田室長 先ほど駒村委員がおっしゃったのが、21ページの8行目のところかと思います。使途のところですけれども、次回までに確認をして、精査をさせていただきたいと思います。
○菊池部会長 駒村委員、よろしいですか。
了解しました。
ほかに御意見がおありの皆様。岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 ありがとうございます。
委員の皆様からいただいたことについて、私も賛成あるいは異議という形で述べたいと思います。
1点目、勝部委員あるいは駒村委員が述べられた通り生活困窮者自立支援制度が、生活保護制度の水際の制度として機能しているのではないかとも捉えられかねない表現となっています。先ほど勝部委員、駒村委員が述べた箇所については、もう少し文章を精査・検討していただければと考えます。
次に勝部委員が述べられた自立支援プログラムを受けなければ生活保護を受給できないという点は法的には違法です。それがもし行われているのならば、それは行ってはいけない生活保護の対応をしていることになります。生活保護の自立支援プログラムの法的根拠は、同法第27条の2であり、開始、却下、変更、停廃止には使えません。
2点目、奥田委員が述べられたことに関連してです。私も生活困窮者自立支援制度は対人援助サービスという位置づけと考えます。対人援助サービスで、基本的には相談を受け止め、必要なことについては資源提供し、課題の緩和・解決を図ります。生活困窮者自立支援制度で資源として各種事業を持っています。住宅、就労、学習、家計改善等です。生活困窮者自立支援制度の中でその事業を持つことは必要です。
また、それ以外の民間あるいは公的資源があるならば活用します。それで足りなければ資源の拡充を図る、あるいは資源の開拓を行います。この辺りのところは、生活困窮者自立支援制度は相談だけを行うだけでなく、資源の調達・調整・開拓を行い課題解決を図る機能を有していることになります。生活保護制度をはじめ、他法他施策等の制度資源、また、非営利、営利等の民間資源等の資源配置が地域の中でどのように配置されているかということになります。
私自身は、相談を行う場合、資源を背景にしながらでないと社会福祉の相談は行えないと考えます。そのため、生活困窮者自立支援制度内で行える資源提供と、それ以外でどのような資源提供が行なえるかを絶えず検討して支援を行なっていく必要があると思います。
3点目、先ほど五石委員が述べた通り、私自身も生活困窮者自立支援制度あるいは生活保護制度は国民・地域住民にとって大事な制度であると考えます。そのことを積極的に活用できるようなポジティブな発信をすることが大切だと思います。そのため報告書が、不正受給で終わるのではなく、もう少し積極的な活用方法、また広報であるとか啓発的なもの、制度をよりよく活用できる方向へと、「終わりに」でもよいですが、そういう発信をこの部会で行っていただければと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。遅くなりまして申し訳ございません。
私からは、16ページ、17ページの辺りなのですけれども、高校卒業後に就職する場合の対応につきまして見直しをしていただけるということで、どうもありがとうございます。
また、さらに申し上げたいのですけれども、私は高校生の進路選択の研究をこれまでしてきているわけなのですが、一般に日本社会ですと、高校を卒業するときに進学か就職かという2択でこれまで進められてきたのですけれども、ほかの国ではこれに加えまして職業訓練という選択肢がある国が多いのではないかと思います。特に不況になって就職が厳しくなってきた場合には、職業訓練で受け止めていくということをかねてから主張しておるのですけれども、ぜひ今回の16ページの上から4行目辺りのところに、進学だけではなく職業訓練の情報、求職者支援訓練もそうですし、数は少ないですけれども公共職業訓練の中に新卒者向けの訓練もございますので、ぜひ進学だけではなく職業訓練の選択肢も併せて子どもたちに示していただけないかということでお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
手を挙げられている方は皆さん御発言いただけたようですけれども、さらに御発言がおありの方がいらっしゃればお願いしたいと思います。
生水委員、お願いします。
○生水委員 すみません、お先です。
お願いが1点と、事務局に質問が2点あります。
1点目は、先ほど奥田委員がお話しされた重なり合う支援はその人がその人らしく生きたいと思えるものか、とおっしゃったのがとても胸に刺さりました。
先日の全国交流大会でも、生活困窮者自立支援制度がほかと違うのは、熱量を語ることだと言われたのです。このまとめ案には熱量が伝わりにくいのかなと思いますので、先ほど五石委員、岡部委員がおっしゃったように、最後は生活保護の不正受給で終わるのではなくて、コロナ禍において厚生労働省が生活保護は国民の権利ですとPRされたように、例えば国はスティグマを解消するぞとの熱量が伝わるメッセージを盛り込んでいただければと思います。これはお願いです。
あと2点は事務局に質問させてください。先ほど五石委員から求職者支援制度について言及がありましたが、こちらの制度も特例措置で緩和されているのですけれども、これを恒久化すべきだと私は思っています。こういった問題について調整はされているのか、その辺りを教えていただきたいのと、もう一点は、これは答えていただけるかどうかなのですが、今回の審議会の議論に基づく生活保護法、生活困窮者自立支援法の改正時期はいつをお考えなのか教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○平川室長 訓練受講支援室長でございます。
1点目の求職者支援制度でございますけれども、コロナ特例ということで実施をしておりまして、今年度末までの措置ということになってございます。これにつきましては、令和5年度以降どうするかというところは、まさに今、検討、調整させていただいているところでございます。
○駒木課長 総務課長でございます。
法案の取扱いについての御質問をいただきました。法案をどうするか、法律をどうするかについては、今後、中間整理等がまとまれば、またそれも踏まえながらの検討となると思います。現時点で明確に決まったものはございません。
その上で申し上げますと、先ほど来出ておりますように、法制化をしていく上で前提となる点は、さらに検討を深めるべき課題も含めて様々あると考えております。よりよい制度を考えていくという視点からも、これをさらに整理しながら、御質問いただいた点も含めて検討していくべきものと考えております。
○菊池部会長 勝部委員、お願いします。
○勝部委員 再度ですが、入りやすくというところが、国民にはスティグマになってしまっている生活保護をどうやって権利として実感できるものになるのかということが、今回のコロナでこれだけの困窮世帯が表出したときに、この委員会で議論をして、結果として今までと同じで、ケースワーカーの仕事の軽減あるいは連携というレベルの話ではきっとないのではないかと思うのです。結局そこは、出やすいところがケースワーカーが非常に孤立していて、出やすくなりにくい、いろいろな人たちの協力が得られにくいということは今回の議論でよく分かったのですけれども、そこがなぜそうなっているのかということが、みんなが協力したらうまくいきますよという次元の話でもきっとないのだろうと思います。生活困窮を質を上げ標準化していくことについては、皆さんの議論で大分進んだように思うのですけれども、生活保護そのものをどのようにしていけば国民が利用しやすくなるのかということについては、私はまだ議論が煮詰まっているようには思えないので、中間ですので課題をしっかりと出していただいて、それなりにまとまっていくということではなくて、いくつもの懸念があるとか、張りぼてみたいにいろいろなものを継ぎ合わせたら何とかなるというようなことではなく、ここをしっかりと出したほうが、この間、多くの人たちが涙をのみながら、貸付をたくさん背負ってきたということに報いることになるのではないかと思いますので、ぜひお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 勝部さんおっしゃるとおりだと思います。保護が特別な話ではなくて、きちんと利用できて、本来、目的ではなくてツールなのです。ただ、生活困窮のほうが常態化しているかといったらそうでもなくて、今回の議論の中で3回ぐらい前に申し上げたかもしれませんけれども、本当に断らない相談になっているかということに対する検証と、何がどうなったら断らないということが実現するのかということについて、先ほど岡部先生がおっしゃったように、まさに背景にある資源の調達という話は非常に大事だと思います。
しかし、一方で、現実問題、今回コロナにおいては特例、特例という形で対応したのです。ということは、通常的なものとしての資源調達はなかなか足りない。だから特例でやったという話になるわけですから、ここの検証をもっときちんとやらないと、通り過ぎたらおしまいではなくて、常態的に何が足りなかったのか。
前に申し上げましたように、例えば住民税非課税というレベルと、非正規雇用の平均年収が220~230万円ぐらいだと。この間をどう見るのか。困窮なのか、困窮ではないのか。多分今回はコロナでイレギュラーが起こった瞬間に、ここが崩れたのです。ストックがほとんどない社会だったということが明らかになった。では、このストックなき層をどう見るのかとか、この辺りも含めて、私はもう少し議論すべきなのではないか、断らないということをやるべき。
そのときは、人材がとても大事だと思います。先ほど理念には、自立の概念が生活保護と重なっていくことがまず第一だと言いました。これは先ほど勝部委員がおっしゃったように、人材育成を一緒にやるということは大事だと思います。
別の観点で、第3点目が、結構この手の議論で、1自治体でできないときには、広域連携がマジックワードみたいに出てくるのです。できなかったら広域連携。でも、現場は物すごくどうするのかと。例えば居住は一時生活、広域連携、あるいは今回、就労準備支援事業は広域連携、しかし、もう一歩、二歩、具体的な議論を進めないと、1自治体で難しい場合は広域連携と言うけれども、そうはたやすくないのではないかというのが、この議論を聞きながらいつも思うけれども、その先はどうするのだろうというのは気になってしまうところであります。
断らないということと人材、そして広域連携、このあたりを私はもう少し議論したいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それは、新保代理、お願いします。
○新保部会長代理 私も最後に、全体に関わることで2つほどお話しさせていただければと思います。
まずは、皆様から御意見が出ている1ページの被保護者数の増加が見られなかった背景が支援策等による一定の効果があったと考えられるという記述なのですけれども、背景要因としてそこに集約してしまっていいのかどうかということを思っておりました。支援策による一定の効果についてはもちろん評価すべきと思っているのですけれども、生活保護制度の本来のあり方と実際の運用の乖離という御指摘とか、生活保護の利用のしづらさというのは、部会の意見や議論をどこかにきちんと残しておくということが、1ページの基本的な考え方の両制度それぞれでさらなる実施率の増加が必要であるということを進めていくためにも必要なことではないのかと感じておりました。
2点目なのですけれども、第19回の資料1、これまでの主な意見ということで、8月にこの前の主な意見の取りまとめがなされているのですが、その3ページ、総論部分に、生活保護に対する先入観や被保護者と被保護者以外の新たな生活困窮者の分断を断つため、エビデンスベースの議論を行うこと、生活保護制度の内と外を横断する新しい生活困難層にも届く支援を行うことが必要ではないかという考え方が提示されていて、個人的にはその後の部会の議論を進める上で非常に重要な示唆であったのではないかと思います。このことを共通認識にしながら進めてきたということもどこかに書いていただいてもいいのかなと思うところです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、五石委員と勝部委員、あと渡辺委員のお三方に最後にお願いしたいと思います。五石委員からお願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
先ほど勝部さんがおっしゃったことに賛成です。私も冒頭で、入りやすく出やすい制度というのを書き加えたらどうかということを申し上げたのですけれども、例えば生活保護の廃止率、生活保護を廃止した人員が現に保護を受けている人員に対する割合ですけれども、2005年度が1.29%だったのですが、2020年度には0.96%になっています。傾向的に落ちてきているのです。つまり、ますます生活保護が廃止しにくくなっている、出にくくなっているということなのです。これはもう傾向的に落ちてきています。
それによって、生活保護の受給人員が現在200万人、世帯数が160万世帯で高止まりしているのですけれども、人口減少時代においてなぜ高止まりしているかといったら、これは生活保護から抜け出しにくくなっているということだと思います。
その点から言えば、先ほど指摘しましたけれども、10ページの13~16行目のところで、被保護者に対する就労インセンティブの増進・自立助長を図ることを目的として云々という文章があって、成果が上がっているかのような言葉が書いてあるのですけれども、先ほど指摘しましたが、働きによる収入の増加・取得による保護廃止自体が増えてはいないということなのです。ですので、本当に生活保護受給者に対する就労支援によって生活保護廃止に至るのか、自立に至るのかどうかということをちゃんと検証すべきではないかと思います。
それに対する対案としては、入りやすくすることによって出やすくするということではないかなと思います。そのための1つのアイデアとしては、先ほど奥田さんがおっしゃったような生活困窮者自立支援制度の中で生活保護制度の例えば扶助を利用しやすくする等、現在、住居確保給付金がありますけれども、そういった給付を一時的なものを導入するといったアイデアが考えられるのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 給付、賛成です。単給で教育だけとか、住居だけとか、医療だけとかというところで少し下支えすればという御家庭も多いと思いますので、それを身ぐるみ剥がせるというところになるとみんなが抵抗があるということですから、そこを充実させていけるものは今後考えるべきだと思いますし、結局、今、何ともならないので、フードバンクで支えている。この時代に食料を渡すということ、しかも何の裏づけもなく、市民の善意にたより、食品の整理なども全部職員が熱量で頑張っているわけです。こんなことで成り立つとは信じ難いというのがありますので、次の困窮者支援に関しては何らかの給付をつくっていく必要があるということは検討していきたいというのを書いていただきたいということ。
それから、義務教育期間でしっかりと社会保障を学ぶということができていない。ハローワークは知らない、生活保護も知らない、そして中学を出て仕事をしているという若者たちに本当にたくさん出会っていますし、高校を中退して、もうどうしたらいいか分からないという子たちにたくさん出会っているわけです。今朝もホームレスの人と出会って、救護施設の紹介が出たときに、3人部屋等何人かで住むのであれば嫌だと。これ自体が水際になってしまうということもありました。困窮者の人たちが生活保護に安心して入れて、そこでしっかりといろいろな力をつけて出ていけるという安心・安全な場所になっていかないと、結局そこに落ちたらしまいだぞという脅しでやっていくようなイメージの生活保護である限りは、誰もそちらには進んで行かないのだろうと思いますので、そういう書きぶりが全体の基調でしっかりあってほしいなと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、最後に渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 最後に大変恐縮です。
私のほうから、大学等への進学の支援ということで、生保の大学進学についてはそのとおりだと思うのですけれども、例えば事例にあった方は、体調が悪いのであれば、その間しっかりと休学をして、その期間は生活保護を受けて、戻ってきたら復職をすると。給付型の奨学金も学費免除もしっかりとその期間は止めて、また戻るという制度が実はあったのだけれども、それが知らない中でなかなか御苦労されているということかと思います。
例えば私たちがやっている中では、給付型奨学金をもらえることになったのだけれども、結局出るのが入学後の6月、遅ければ7月とか8月で、入学前に納めなければいけない学費や前期の授業料が払えないから結局諦めるというお子さんがたくさんいらっしゃって、これも本当にただ大学のほうで延納をしますとか、そうでなければ、どうせ払うのだから半年払いますというふうにすればいいだけなのだけれども、なかなかそれが改善されないままずっと残っているということがあります。
お伝えしたいのは、問題はどこがやるのかということなのです。生活困窮の事業の中で、困っている人への学習・生活支援事業はありますけれども、そうではない中で、もう少し制度をしっかりと周知してもらえばいいのにとか、例えば文科省なのか、大学側をコントロールするようなところがあれば大分改善するのに、そういったことがないなということを思っていて、いわゆる生活困窮の部会の中で、全体のコントロールセンターとしての役割が求められてくると思いますし、そういうことの情報支援事業みたいなこと、私たちNPOでも情報支援は大事だねといってかなりやっているのですけれども、これからはそういったことが必要になってくるのではないかと思います。
子どもの分野でいえば、こども家庭庁というものができて、そこへの期待が非常に大きいのですけれども、そことの橋渡しをしながら、困窮の子どもをどう見ていくのかというところがなかなかないですし、今、出てきている全世代型社会保障とか自殺の問題でも、困窮に関わる部分を誰がどう全体的に見ていくのかという中で、私たちがやっているようなこの部会がそういったことを広く見据えながらやっていかないと、いろいろな制度ができるのだけれども、最終的にちぐはぐになるということが出てくるので、そういったことがあるとすごくいいなと。
また、奨学金の問題はどうするのかなと。私たちがいろいろなところに言いに行くのかなと思っているのですけれども、どこかそういったものを積極的にやっていただけるようなところが必要だなというのは、日々思いながらやっているところです。
最後にこんなことで恐縮ですが、私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
渡辺委員の御発言は非常に重要だと思います。
この点、事務局から文科省への直接のルートというのが難しいとすれば、もちろん修学支援新制度の関わりもあるでしょうけれども、私も当事者になりますが、大学側の対応がもうちょっと柔軟であれば、そこで随分救われる学生がいるという話で、文科省が難しければ、私は先週金曜日の全世代型社会保障構築会議で、修学支援新制度について発言しているので、全世代型社会保障構築会議の事務局に当部会でこういう発言が出たということを、先週金曜日の菊池の発言に関連してということでお伝えいただけますか。そして、そこから文科省に伝えていただくとか、事務局でお考えいただければと思いますので、よろしいですか。
○渡辺委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
○菊池部会長 様々御意見をいただきまして、ありがとうございます。
私から、まとめ役というのはちょっと置いて、先ほど奥田委員の御発言にコメント申し上げようかな、どうしようかなと思っていたところなのですが、その後も皆さんから御意見がいろいろ出ていまして、3つだけ、一委員として御発言をお許しいただければと思うのです。
1つは、まさに五石委員、勝部委員の最後のお話で随分深まったと思ったのですが、奥田委員のおっしゃる重なり合う支援、困窮の側から生保のほうに行くというルートはどうするのだと。そこはおっしゃるように今回改正の射程ではないですけれども、非常に大きな検討課題かなとも思います。
ただ、それを考えるに当たっては、私の理解では、まさに生活保護法自体をどう考えていくかということに関わってきて、それは五石委員がちらっとおっしゃったと思うのですが、単給化とか、個別給付化とか、そういった形も含めた生活保護制度のあり方を構想していくことができるかどうかという問題にもつながる部分があるのかなと、法学的には思います。
ただ、日本の生活保護法は、日本国憲法が制定され、1950年に大改正をして、まさに憲法第25条と一体のものとして現行の生活保護法が運用されてきた中で、生活保護法と憲法第25条、特に1項の解釈が結びついているのです。なので、おっしゃるような意味での生活保護制度改革を行うということになると、憲法25条解釈もより掘り下げていかなければいけない。我々法学者は、今の生活保護法を前提とした生存権解釈をしてきているので、そこをもっと掘り下げて考えろという話にもなっていくのかなと思います。
ただ、今回改正の射程から大きく超える非常に大きな話につながってくるかなと。これは一法学者としての見方ですので、全ての法学者が必ずしも同じ見解ではないと思いますので、お許しいただきたいと思います。
2つ目は29ページで、先ほど生水委員から自殺対策の話がありましたが、孤独・孤立対策についても今、内閣府で駒村委員、宮本委員と御一緒させていただいて、重点計画の見直しについて議論している中で、しきりに生活困窮者自立支援制度との関係とか連携を意識して議論しているのです。なので、こちらのほうでも重なっていることは間違いないので、意識した言及をしていただけるとありがたいと思いました。
もう一点、最後に、ちょっと大きな話なのですけれども、今回改正には関係ないのですが、今日の午前中に介護保険部会がありまして、私は介護保険改正をめぐる議論の中で、地域あるいは地域住民の位置づけが地域共生社会をめぐる議論とかみ合っていないのではないかという印象を持ってきました。そうした中で先日、ある研究会で、地域福祉の第一人者である日本福祉大学の原田正樹先生が、社会福祉法における地域住民は主体であるのに対して、介護保険法における地域住民は資源として位置づけられているのではないかという趣旨の発言をされて、私は非常に得心するものがあったのです。
釈迦に説法ですけれども、社会福祉法における地域住民というのは、社会福祉法第4条2項で地域福祉の推進に努めなければならないとされていて、3項で生活課題を把握し、支援関係機関との連携等により、その解決を図ることに留意するものとされています。これは今月発刊された『社会福祉法の解説(新版)』、いわゆる逐条解説本によれば、従前、事業を実施するに当たって事業者から理解と協力を求められる存在、言わば客体にとどまっていた地域住民を地域福祉の推進に努める主体として位置づけるものだと書いています。
それに対して、介護保険法はどうなのでしょうかという問いかけを午前中の介護保険部会でさせていただきました。実は同じ問いかけをこちらの部会でもさせていただきたいと思っているのです。生活困窮者自立支援法において、地域住民は主体として位置づけられているのか。そもそも地域住民あるいは住民は法律上位置づけられているのか。そもそも今回の中間まとめで、地域共生社会との関係はどのような位置づけになるのか。1か所だけ地域共生社会という言葉が見つかりましたけれども、総論では見あたらないです。
事務局にお願いなのですが、地域共生社会と生活困窮者自立支援法の関係について、同法が地域共生社会の理念の下にある法律であるとするならば、その理念が法律上どこに位置づけられているのか。必ずしも法令によらない政策理念のレベルでの位置づけであるとすれば、生活困窮者自立支援制度のどこに位置づけられているのか。地域づくりが理念であるとされる生活困窮者自立支援制度において、地域住民は法令上、施策上、どのように位置づけられるのかについて確認をさせていただきたいと思うのです。
もちろん中間まとめが最優先ですので、次回の会議で時間があればということで構わないです。ただ、中間まとめで地域共生社会の位置づけについてどのように書き込むのかは検討課題になるかもしれないと思います。私は別に事務局に難題をふっかけようということではなくて、このまましっかりした形で法令上、運用上、地域共生社会が位置づけられなければ、5年後にはこの理念が立ち消えになってしまうのではないか。また制度ごとの縦割りの世界に舞い戻ってしまうのではないかという危惧を抱いているからです。同じ問いを午前中の介護保険部会でさせていただきましたし、来月の障害者部会でもさせていただくことを考えています。
この問いは、もし時間があれば委員の皆様にも御意見をいただけるようであれば、次回にでも時間が余れば御意見をいただければと思ってございます。
4時半に終わりと言いながら、4分過ぎてしまったと思います。申し訳ございません。
それでは、この辺で本日の議事については終了させていただきます。
なお、今回、中間取りまとめということで、一定の共通の方向感がある論点などを中心に整理していきたいと考えております。本日の部会で様々な御意見をいただきましたが、御意見については、全ての御意見を網羅的に記載するというよりは、部会としてのおおむねの共通了解に至っているかという点なども含めて、事務局と検討させていただければと思います。その上で、一定の共通了解である御意見、例えば今日で言いますと入りやすく出やすい生活保護制度という話とか、最後に不正受給の話で終わるというのはどうなのか、この辺りは多くの委員からお話がございましたので、何らかの形で盛り込ませていただく必要があると思っています。そういう形で反映をさせていただき、次回の部会で改めて御議論いただくという形にさせていただきたいと思います。また事前に事務局から御相談等があるかと思いますが、よろしく御対応、御指導のほどお願いできれば幸いでございます。
それでは、最後に次回の予定について、事務局からお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
次回につきましては、12月上旬に開催を予定しております。正式な開催通知につきましては別途御案内させていただきますので、またよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、これにて本日の議事を終了させていただきます。
皆様、御協力いただきまして、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。