第158回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年11月17日(木)14:05~15:49

場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場

議題

医療保険制度改革について
 

議事

議事内容
○森課長 大変お待たせいたしました。ただいまより、第158回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございます。また、若干遅れましたことを改めておわび申し上げます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認いただけたらと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
菊池委員、内堀委員、原委員、袖井委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、池端委員より途中出席、井深委員、前葉委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
本日は、記者の方には、会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方、それから、前葉委員が退席された後に代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理といたしまして菅野参考人、原委員の代理といたしまして植松参考人、前葉委員の代理といたしまして鎌田参考人の出席につき、御承認を賜れればと思いますけれども、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、議事のほうに入ってまいります。
本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
なお、議論の時間をしっかりと確保するために、事務局におかれましてはポイントに絞って簡潔に御説明をお願いいたします。それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○田中課長 高齢者医療課長でございます。
資料1に基づきまして高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方について御説明さしあげます。
2枚目のスライドからこれまでの議論の状況ということで、3ページに第154回・156回の当部会においていただきました主な御意見を後期高齢者支援金の関係、後期高齢者保険料・賦課限度額の関係、その他の関係ということでまとめてございます。
次の4ページで見直しの方向性を御提示させていただいております。令和4年9月28日の全世代型社会保障構築会議におきまして、医療保険分野におきましては、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化する観点を踏まえた、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方等についてということで検討が求められておりました。
矢印の下でございますが、現行の高齢者負担率の設定方法は、現役世代の減少のみに着目しており、制度導入以降、現役世代の負担が大きく増加いたしまして、制度創設時に比べると、現役は1.7倍、高齢者は1.2倍の水準となってございます。2025年までに団塊の世代が後期高齢者になる中で、当面この傾向が続くということでございます。
次のポツでございますけれども、高齢者世代・現役世代それぞれの人口動態に対処できる持続可能な仕組みとするとともに、当面の現役世代の負担上昇を抑制するため、介護保険を参考に、後期高齢者1人当たり保険料と現役世代1人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じになるように高齢者負担率の設定方法を見直してはどうか。
あわせて、高齢者世代内で能力に応じた負担を強化する観点から、後期高齢者の保険料負担の在り方を見直してはどうかと考えてございます。
それぞれの論点について次のスライドから御説明してまいります。
最初が6枚目でございます。後期高齢者1人当たり保険料、現役1人当たり支援金の推移でございます。先ほど申し上げましたとおり、制度創設の平成20年度以降、双方上昇しておりますけれども、下側のオレンジ色、現役世代1人当たり支援金の伸びが当初100に対して170に対しまして、後期高齢者1人当たり保険料の伸びは120ということで、現役世代の支援金の伸びのほうが大きくなっているという状況でございます。
次のスライドでございます。高齢者負担率の見直しについてということでございます。図の左側に後期高齢者医療、右側に参考で介護保険としてございます。介護保険のほうにつきましては、これまで御説明しておりますとおり、3年ごとに1号被保険者と2号被保険者の人口比に応じた負担割合の見直しを行っておる結果、1号と2号の1人当たり保険料額がおおむね同じ、また伸び率も同じということになってございます。
それに対しまして、後期高齢者医療につきましては現行というところで、2年に1度、現役世代人口の減少による増加分を高齢者と現役世代で折半するように見直しをしてございますけれども、これにつきまして、一番下の見直し案でございますけれども、令和6年度以降の後期高齢者1人当たり保険料と現役世代1人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じになるように、高齢者負担率の設定方法を見直してはどうかと考えてございます。
次のスライドでございます。能力に応じた後期高齢者の保険料負担の見直しということでございます。今般の制度改正では、本日御議論いただいております高齢者負担率の見直しのほか、前回までに出産育児一時金の全世代で支え合う仕組みの導入というのも検討してございます。これらに併せまして、高齢者世代内で能力に応じた負担を強化する観点から、保険料負担の在り方を見直してはどうかと考えてございます。
見直し案、下に図を示しておりますけれども、吹き出しがございます。まず左の吹き出しでございます。高齢者の保険料は全被保険者に係ります均等割と所得に応じて係る所得割というのがございますけれども、この比率を見直しまして、今回の制度改正に伴って
低所得層の保険料負担が増加しないようにということで、所得割の比率を引き上げるということで対応したいと考えております。
その引き上げ額の具体的な設定でございますけれども、一番右端でございます。賦課限度額につきましては、現行、令和4・5年度、年額66万円でありますけれども、見直し後、令和6・7年度、年額80万円と設定してはどうかと考えてございます。
この点につきましては、前回の当部会におきまして国民健康保険の保険料賦課限度額、令和5年度に87万円まで引き上げてはどうかということで御提示さしあげたところでございますけれども、国民健康保険の保険料は世帯ごとの賦課になってございます。一方で、後期高齢者の保険料は個人単位ということでございまして、国保の賦課限度額との均衡という観点から、年額80万円というふうに設定してはどうかと考えてございます。
また、真ん中にございますけれども、賦課限度額の引上げと併せまして、所得割率についても若干引上げをしたいと考えてございます。
次のスライドは賦課限度額の参考資料でございますので、割愛させていただきまして、最後のスライドが財政影響でございます。今回の制度改正ということで、この保険料賦課限度額、支援金の在り方の部分に係る財政影響ということでございます。御覧いただきまして、合計のところは大きな動きはないわけでございますけれども、現役世代の負担を軽減するという観点で行うものでございますが、一番下、後期高齢者の保険料につきまして820億円の増加ということで、加入者1人当たり年額で4,000円、一月当たり340円の負担増ということになります。この分をそれぞれ協会けんぽ、健保組合、教育須合組合等、国民健康保険の保険料の軽減に当たるということで、支援金の抑制に当たるという案を御提示させていただいております。
私からの御説明は以上でございます。
○田辺部会長 引き続き、国保改革のほうも御説明をお願いいたします。
○高木課長 国保課でございます。資料2でございます。
国民健康保険制度の取組強化の方向性として、国保制度につきましては平成30年度改革について、おおむね順調に実施されているということでございますけれども、令和6年度からの運営方針に基づき、保険料水準の統一化や医療費適正化をより一層進め、財政運営の都道府県単位化の趣旨のさらなる深化を図る必要がある。このため、都道府県と市町村の役割分担の下、以下の取組を進めることについて、国と地方、その他の関係者間で調整を続けまして、結論が得られた事項につきまして、法改正を含め、対応することとしたいということで御報告させていただくものでございます。
まず1つ、出産時における保険料負担の軽減でございます。国会での附帯決議を踏まえまして、さらなる子育て世帯の負担軽減、次世代育成等の観点から、出産する被保険者に係る産前産後期間相当分(4か月間)の均等割保険料と所得割保険料を免除する措置を新たに講じることとする。これは令和6年1月を予定しています。
もう一つは、都道府県と市町村の役割分担の下での取組強化として、保険料水準と医療費適正化につきまして、都道府県と保険者双方による医療費適正化の推進等の観点から、都道府県の国保運営方針について、対象期間の考え方や記載事項の見直しを行う。これは令和6年4月を予定しています。あわせまして保険料水準の統一につきまして、国としても強力に支援するため、保険料水準の統一加速化プランを策定することとしています。
もう一つ、保険者機能の強化でございます。こちらにつきましては、都道府県が第三者行為求償事務について、広域的な対応が必要なもの・専門性の高いものにつきまして、地域の実情に応じて市町村等の委託を受けて実施可能とするとしております。もう一つ、退職者医療制度につきましては、対象者が激減している。他方で事務コストが継続しているので、業務のスリム化等の観点から前倒しして廃止する。これは令和6年4月を予定しております。
その他、保険者努力支援制度の指標や地方団体の要望等につきましては、継続的に事務レベルワーキングで議論してまいります。
続きまして、普通調整交付金と生活保護受給者の国保の加入についての論点でございます。こちらにつきましては、骨太の方針において中長期的課題として検討を深めるとされております。こちらにつきましても事務レベルワーキングで議論、検討を進めている内容につきまして御報告するものでございます。
まず、普通調整交付金につきましては、都道府県間の財政力の不均衡を調整するために交付しているものでございます。公費等控除後の医療給付費と保険料収入額の差分を調整して交付しているものでございます。
これに対して、医療費適正化のインセンティブが働かないなど、財政審議会において指摘をいただいておりますが、他方、地方団体等との議論においては以下の理由から見直すべきではないと御意見をいただいております。一つは、自治体間の所得調整機能は重要である。また、医療費適正化において普通調整交付金ではなく、保険者努力支援制度を活用すべき。また、医療費適正化を行わないと保険料も増えますので、それによって医療費適正化を行わないメリットがあるという認識はないといったことで、地方団体から意見をいただいております。このため、調整交付金が今後担うべき役割や改善点について、引き続き、地方団体と議論を深めていくとしております。
もう一つは、生活保護受給者の医療扶助の関係でございます。こちらにつきましても、医療扶助を含む都道府県の医療費適正化計画の策定自体が都道府県であることとか、そうしたガバナンスについて、医療扶助についても及ぼすことで、適正化につながる可能性があるといったことを財政審議会においては指摘を受けております。
他方、こちらにつきましても地方団体との議論において、以下のような議論をいただいており、引き続き、中長期的課題として検討を進めていくとして、1つは制度面の課題として、生活保護受給者は被保険者として果たすべき保険料の負担義務を履行できないといったこととか、福祉事務所のケースワーカーによるきめ細かい対応が必要であり、保険者の対応能力を超えている。国保の保健事業による適正化の効果も疑問であるといった意見。また、財政面の課題として、被保険者全体の保険料負担の増加や保険財政の不安定化につながるおそれがある。また、高齢者が多いので現役世代の負担のさらなる上昇につながる。こうした意見をいただいておりますので、引き続き、中長期的課題として検討を進めていくこととしております。
資料の説明につきましては以上でございます。
○田辺部会長 引き続き、資料3、適正化計画についての御説明をお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料3、医療費適正化計画の見直しについて御説明さしあげます。
これまで御議論いただいた結果を踏まえ、第4期医療費適正化計画の見直しの全体像について整理をしてございます。
2ページを御覧いただけますでしょうか。大きく3つのカテゴリーに分かれると思ってございます。1つ目が新たな目標といたしまして、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供等を加えるということ。2つ目といたしまして既存の目標についてもデジタル等を活用した効果的な取組を推進するということ。そして3つ目でございますが、計画の実効性を高めるため、都道府県が関係者と連携するための体制を構築するということ。これを2ページに全体像としてまとめてございますが、3ページ、4ページにもう少しブレイクダウンした形で書いてございますので、こちらに沿って御説明さしあげます。
3ページの①、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供等の推進ということでございます。
1つ目のポツを御覧いただきまして、こうした複合的なニーズを有する高齢者の増加が見込まれる中で、医療と介護にまたがるアプローチの重要性を関係者が認識し、限られた医療・介護資源を効果的・効率的に組み合わせた医療費適正化を推進するということでございます。
具体的には、ここに2つのビュレットを掲げてございますが、例えば高齢者の骨折につきまして、急性期から回復期、在宅での介護や通院時の医療・介護の機能連携、適切な受診勧奨等を推進するとしてございます。また、高齢者の心身機能の低下に起因した疾病予防、介護予防の取組を新たに目標として、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について適正化計画に新たに位置づけることとしてはどうかと考えてございます。
2つ目でございますが、エビデンスや地域差に基づく新たな目標を設定するということでございまして、第4期におきましては、2つ目のポツに2つビュレットがございます。効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘をされている医療、具体的には急性気道感染症、急性下痢症に対する抗菌薬処方。そして、医療資源の投入量に地域差がある医療ということでございまして、白内障手術や化学療法の外来での実施、また、リフィル処方箋につきましては、分割処方等と併せまして地域差の実態等を確認した上で必要な取組を進めることとしてはどうかと考えてございます。
こうしたことにつきまして、1つ目のポツでございますが、地域ごとに関係者が把握・検討ができ、必要な取組を適正化に向けて進められるよう、有識者による検討体制を発足いたしまして、エビデンスを継続的に収集・分析し、都道府県が取り組める目標・施策の具体的なメニューを提示してまいりたいと考えてございます。
2つ目の固まり、既存の目標について、デジタル等を活用した効果的な取組の推進ということでございます。1つ目のポツでございますが、特定健診・特定保健指導につきまして、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する。こうしたアウトカム評価の導入、ICTを活用した取組などを推進してはどうかと考えてございます。
重複投薬・多剤投与の適正化につきましては、電子処方箋の活用等によりさらに効果的に実施することとしてはどうか。後発医薬品の使用促進につきましては、個別通知等の取組のほかに、医薬品の適正使用の効果も期待されるフォーミュラリ等の取組を推進する。また、このほか医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議論ですとか、バイオ後発品の目標設定を踏まえて、後発医薬品の使用促進に関する新たな数値目標を設定することとしてはどうかとしてございます。
4ページにお進みいただきまして、保険者・医療関係者との連携による実効性の向上ということでございます。①の1つ目のポツのところを御覧いただきまして、都道府県計画に記載すべき事項を充実させる。保険者協議会を必置として都道府県計画への関わりを強化する。2つ目のポツでございますが、保険者協議会への医療関係者の参画を促進し、都道府県・保険者・医療関係者が協力して適正化に取り組む場とする。3つ目のポツでございますが、計画における医療費見込みを精緻化し、国保、後期、被用者保険、制度区分別に見える化するとともに、それを基に国保・後期の1人当たり保険料を試算する。4つ目のポツでございますが、国保運営方針においても医療費適正化の取組を記載すべき事項とする。財政見通しについて、都道府県医療費適正化計画の国保の医療費見込みを用いることが望ましいこととする。支払基金、国保連の目的や基本理念等に、診療報酬請求情報等の分析等を通じた医療費適正化を明記する。
②でございますが、都道府県の責務や取り得る措置の明確化ということでございます。都道府県がこうした取組の中心的な役割を果たすべきであることを明確化する。2つ目のポツでございますが、都道府県は、医療費が見込みを著しく上回る場合等には、その要因を分析し、要因の解消に向けて、保険者・医療関係者等と連携して必要な対応を講ずるよう努めるべきであることを明確化する。そして最後のポツでございますが、高齢者医療確保法9条9項におきまして、現在、保険者・医療関係者等に対する協力要請規定がございます。医療費が医療費見込みを著しく上回る場合等には、都道府県がこうした協力要請を取り得るのだと。そして、その内容を具体的な例としてお示ししていくとしてございます。
6ページ以降には医療費適正化計画の基本方針の見直しも念頭に置きまして、今申し上げた事項についてさらにブレイクダウンして書いてございます。時間の関係もございますので、今私が説明したこと以外でポイントのみかいつまんで御説明を申し上げます。
9ページを御覧いただけますでしょうか。重複投薬・多剤投与の適正化のところの多剤投与でございます。第3期、現在の医療費適正化計画では15種類以上を基準としてございますが、調剤報酬等で6種類以上という基準が設けられていることを踏まえて、取組の対象を広げることとしてはどうかと考えてございます。
それから、16ページまでお進みいただきます。前回の議論におきましても、データの利活用ということについて様々な御指摘を頂戴いたしました。現在、医療費適正化計画の策定に資するようにデータセットというものを私どもNDBから集計をして、都道府県に提供してございますが、こうしたものがより活用しやすくなるよう、新たな目標に関するデータの追加等の充実化を図るとともに、活用状況を踏まえ、提供するデータの見直しを検討する。その際、主要なデータを可視化したような形でより使いやすくできるように提供してはどうかと考えてございます。
18ページでございます。医療費見込みの推計方法の見直しでございます。外来医療費につきましては、今回、第4期に向けまして現行の目標を見直したり、また新たに目標を設定したりということがございます。具体的な医療費適正化効果額の推計方法につきましては、有識者に御議論いただいて、適切な推計方法を示していきたいと考えてございます。
入院医療費の推計方法につきましては、前回もお示ししたとおり、当面の間、地域医療構想における2025年時点の性年齢階級別・病床機能別の医療需要を基に機械的に算出し、2025年以降に係る検討状況を踏まえ、入院医療費の推計方法を見直すこととしてはどうかと考えてございます。
最後に19ページでございます。他の計画、あるいは他の取組との関係につきまして、前回の御議論の際にも様々な御指摘を頂戴いたしました。現在、医療費適正化計画の策定に当たっては、健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画、国保運営方針、こうしたものと調和を図ることとされてございますが、新たに保険者が策定するデータヘルス計画、特定健診等実施計画等につきましても、保険者との連携が図られるよう、関係性を明示していきたいと考えてございます。
また、他の取組との連携ということで、日本健康会議の宣言に基づく産官学連携などの取組、企業による健康経営の取組、セルフケアの推進、こうしたこととの連携についても推進すべきこととして記載してはどうかと考えてございます。
20ページには、医療費適正化計画と他の計画との関係について整理をした図を示してございます。
私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明どうもありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、前葉委員、途中退席と聞いていますので、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。では、私のほうから国保について資料2で意見を申し上げたいと思います。
資料2の1ページでございますが、出産時における保険料の負担軽減、これはぜひお進めいただきたいところでございますが、子育て支援あるいは次世代育成の支援というのがございますので、いわば政策という観点もございます。国からの財政支援について御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。
それから、2ページでございますが、普通調整交付金、全国市長会といたしましては、自治体間の調整ということで基本的にこの機能は極めて重要と認識いたしておりますので、見直しを行わないことを基本姿勢として、引き続き御議論を深めていただければと思います。
医療費の適正化については様々な形で実施をする手法がございますし、保険者努力支援制度なども有効に機能すべきと思っております。
それから、下のほうの生活保護受給者の国保加入、これも従来から全国市長会として、これは国保に入れることは非常に難しいということを基本姿勢としておりますので、引き続きその線で御議論を深めていただきたいと思います。やはり社会保障制度の根幹を揺るがし、国保制度の破綻を招きかねないということを大変大きく懸念しておるものでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、途中退席するとお伺いしておりますので、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 どうもありがとうございます。途中退席させていただくことから先に意見を述べさせていただくことをお許しください。私は、資料3の医療費適正化計画の見直しについて、質問を1点とコメントを1点申し上げます。
まず質問ですが、2ページの新たな目標の1つ目の医療・介護需要を見据え、効果的・効率的に進める取組に関してです。私の理解では、これまでも地域包括ケアシステムなどの取組の中で医療介護の連携については重点的に取組が行われてきたと思うのですが、今回の取組の中で特に新しい点について教えていただければと思います。
コメントに関しては、同じく新たな目標の今回は2つ目のほうの医療資源の効果的・効率的な活用についてです。この中のさらに2つ項目がありまして、具体的には効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療。そして、医療資源の投入量に地域差がある医療の減少が挙げられていると思います。これらは大変重要な取組だと考えます。
3ページに具体例として特定の疾患に対する抗菌薬の処方、白内障手術や化学療法の外来での実施、リフィル処方箋などが挙げられています。今後、有識者による検討体制によって具体的なメニューを提示するということが記載されていますが、具体的な項目が上がるほど取組の効果が大きくなると考えられますので、具体的な例をなるべく多く検討いただくとともに、重要な項目の取りこぼしがないように検討を進めていただきたく存じます。
また、2点目の医療資源投入量の地域差のほうですが、こちらは地域差の背景に医療資源面での地域固有の事情がある場合も十分に考えられますので、その点にも注意を払って検討を進めていただければと存じます。
以上です。
○田辺部会長 1点御質問がございました。回答のほう、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
井深委員御指摘のとおり、地域包括ケアシステムの推進、そうした中で医療・介護の連携、これは当然、私どもとしても取り組んできているところでございます。例えば介護保険の地域支援事業の一貫といたしまして、在宅医療介護連携推進事業、こうした取組も進められているわけでございます。今回、医療費適正化計画におきましては、前回の資料でお示しをし、今回も参考資料の中でお示しをしてございます。例えば大腿骨骨折につきましては、今後、入院患者、手術件数の大幅な増加が見込まれる中で、例えばこうしたものへの対応につきまして、医療と介護で連携して取組をしていく。さらに二次骨折の予防なども踏まえながら受診勧奨していく。そうしたことが医療費あるいは介護費の適正化に資することも考えられる。そうした意味におきまして、取組を進めていくことが考えられるというものでございます。ある意味、地域包括ケアの推進、これは医療・介護連携、どういう分野においても進めていくべきものと考えてございます。
そうした中で、地域の実情に応じまして医療費適正化計画の中で特定の分野を取り上げるなどして取組を進めていく、こうしたことも考えられるのではないか。その際の一つの例として、骨折対策ということにつきましては熊本県の例をお出ししてございましたが、取組を進めた例もございます。こうしたものをお示ししながら、地域の実情に応じた取組を進めていただきたいと考えている次第でございます。
○田辺部会長 井深委員、よろしゅうございますでしょうか。
○井深委員 はい。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。3点ございまして、1点目は資料3、8ページ目の後発医薬品の使用促進についてであります。見直しのポイント(案)に後発医薬品の使用促進に関する新たな数値目標を設定すると記載されておりますが、後発医薬品の供給サイドの現状をきちんと踏まえた上での議論が不可欠であるということを改めて強調しておきたいと思います。
かねてより申し上げておりますが、薬価の引下げや急速な需要増によりまして、安定供給に支障が生じております。加えまして、コロナ禍による国際物流の停滞や物流コストの上昇、円安の影響等もございまして、後発医薬品メーカーを取り巻く環境は非常に厳しいものとなっております。
10月13日に開催された医療保険部会の資料1-3を改めて読みますと、後発医薬品の使用促進による医療費適正化効果額は約4000億円を見込んでおり、数量ベースの実績は目標の80%に迫っております。しかし、次期計画で同等かそれよりも高い目標を掲げて、果たしてそれが実現可能なのか、後発医薬品の供給をめぐる現在の状況をしっかり把握して検討を進めていく必要があると考えます。
なお、後発医薬品の使用と併せまして、重複投与・多剤投与の適正化、特定健診・特定保健指導についても、医療費適正化計画の柱として取り組んでいくべきものと考えます。
本日の配付資料3の9ページ、10ページに記載されている見直しのポイント(案)については速やかに実施して、可能であれば現行計画の目標実現につなげるというスピード感が必要ではないかと思います。
加えまして、我が国の場合、医療用医薬品と一般用医薬品の比率は9対1であり、これは諸外国と比較すると極端に医療用に偏っております。これは限られた医療資源の有効活用という観点からも、健康リテラシーの向上とともに軽治療の領域に関しては一般用医薬品の活用を計画的に進めるべきではないかと考えます。
2点目です。資料3、13ページ目のリフィル処方箋についてであります。リフィル処方箋は医療費削減の効果に加え、患者にとっては時間や費用の面から受診が効率化でき、医療機関、薬局において医療提供資源の有効活用が可能となるなど、多くのメリットがあります。リフィル処方箋の普及拡大に向けて、見直しのポイント(案)に記載されている地域差の実態確認、各地域での取組促進支援を行うことにつきまして、賛同いたします。強力に推進していただきますよう、お願い申し上げます。
3点目でございます。資料3、19ページの実効性確保のための体制構築についてであります。民間主導の取組、ヘルスリテラシーの向上等によるセルフメディケーションの推進の重要性は、私どもがかねてより主張してきたことであります。それを受けて、次期計画に産官学連携や健康経営の取組を記載する方針を掲げていただきまして、ありがとうございます。なお、健康経営につきましては、商工会議所もその普及啓発に取り組んでおりますが、現場からは、健康経営に取り組んだ場合に見込まれる具体的効果についてのメリットやその情報が不足しているとの声が寄せられております。具体的な取組を検討する際には、人材確保や定着、業績向上といった効果の見える化、あるいは金融機関の融資や自治体の入札におけるインセンティブ措置といったメリットのさらなる拡充などを盛り込んでいただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、資料1の部分でございますけれども、これまでも今回の改革による財政影響を含めた全体像を示していただきたいと申し上げてきました。本日も再度同じことを申し上げたいと思います。健保連としては、今回の改革は、骨太2022でも示されておりますとおり、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの考え方を見直すことが主眼であり、意味で現役世代の負担軽減につなげることを最大の目的として、世代間、世代内の負担のバランス見直しや、負担能力に応じた見直しも併せて行うものだと考えております。
そういった中で、今回、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方について、後期高齢者一人当たり保険料と現役世代一人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じになるように高齢者負担率の設定方法を見直すということは、まさに今回の改革の趣旨に合うものであって、ぜひとも実現していただきたいと思っております。
また、本日のテーマには入っていないのですけれども、被用者保険者間での格差是正についても若干コメントをさせていただきたいと思います。この被用者保険者間での格差是正は、あくまでも現役世代の中における見直しでありますので、当然ながら現役世代の負担軽減を前提とする中での調整にとどめるべきだと考えております。
仮に報酬調整を行うとしても、この報酬調整部分を極力小さくするのは当然として、健保組合に対する支援策を充実・強化していただいて、少なくとも全体として健保組合の負担減少につながる形の内容にしないと、健保組合、事業主、また加入者の納得は決して得られないと考えております。
次に、資料2の国民健康保険制度における取組強化について1点コメントいたします。この中で退職者医療制度について事務コストの削減等を図る観点から前倒しで廃止すると記載されております。健保連としてもこれまで厚労省に要望してきた事項でもございますので、ぜひ実施をお願いしたいと考えております。
次に、資料3、医療費適正計画の見直しについてコメントいたします。今回の第4期医療費適正化計画の全体像、また、見直しの方向性について異存はございません。ぜひこの方向で進めていただきたいと考えております。その上で4点要望を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますが、現行目標の中で私どもが最も重要だと考えておりますのは、資料3にもありますが、重複投薬・多剤投与の適正化でございます。そういう意味で、その有用なツールであるところの電子処方箋の普及、利活用の促進は極めて重要だと考えております。来年1月の運用開始に向けて残された時間はわずかでございますけれども、国のほうにおいては医療機関、薬局における導入促進、また国民へのPRをぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
2点目でございますけれども、今回の項目には挙がっていないのですけれども、やはり保険給付範囲の見直しについても今後の検討課題としていただきたいと思います。
また、リフィル処方箋については、現状、進捗が思わしくないということでございますので、全体効果額の検証も行っていただいて、さらに強力に推進すべきだと考えております。
3点目に、資料14ページに保険者協議会への医療関係者の参画を促進し、都道府県、保険者、医療関係者が協力して医療費適正化に取り組む場とするとございますけれども、この医療関係者の参画については、検討項目に応じて柔軟な対応ができるような形での配慮をお願いしたいと思います。
最後に4点目でございます。15ページに計画の実効性確保に向けて都道府県が取り得る方策の例として保険者に対し協力要請を行う旨の記載がございますけれども、今後、実際にどのような要請を行うのかということについては、事前に保険者とも十分協議をしながら検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。私からは、資料3「医療費適正化計画の見直しについて」の12ページ、高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供に関して意見と提案を述べさせていただきます。
今回の医療費適正化計画の見直しにでは、医療・介護の複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供や医療資源の効果的・効率的な活用に向けた新たな目標設定の重要性が指摘されています。これまでも2040年を見据えた医療保険制度改革を議論する上で在宅高齢者を支える看護職によるサービスの拡充・強化は喫緊の課題であり、訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護、いわゆる看多機などの役割強化の検討とその制度化に向けた議論が必要である旨を指摘してまいりました。
複合的なニーズを有する高齢者の退院後の円滑な在宅療養への移行支援や重症化予防、看取りを支える看護サービスは医療費適正化の観点からも重要であり、訪問看護及び看護小規模多機能型居宅介護の従事者確保と、これら事業所の機能拡大は大きな課題だといえます。ぜひ訪問看護及び看護小規模多機能型居宅介護のさらなる活用、体制整備についても新たな目標設定として位置づけていただきたい思います。
また、今回の論点からは若干それますが、看護小規模多機能型居宅介護については、若年層のがんの患者、あるいは難病の患者は訪問看護による居宅での支援を受けることはできますが、介護保険サービスである看多機の通い、泊まりのサービスを利用することはできません。重度な状態にある人のケアニーズというのは世代を問わず共通しています。医療資源の効果的・効率的な活用の観点からは、訪問看護同様、医療保険でも介護保険でも看多機を利用できるよう、制度面での対応が求められます。
医療費適正化計画において、医療と介護にまたがるアプローチの重要性を考えるのであれば、こうしたニーズへの対応に最もふさわしいサービスの一つである看多機の整備を推進し、関係の給付を医療保険でも制度化することでより実効性が高まることが期待できます。
在宅患者の療養生活支援の充実とともに、医療費適正化を図るため、訪問看護及び看護小規模多機能型居宅介護のさらなる活用と体制整備を推進するとともに、この看多機を健康保険法に基づく給付の対象に位置づけた上で要介護高齢者以外の活用も推進することを併せて提案いたします。
もう一点、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施についてですが、12ページの最後の2行に示されておりますとおり、既に新たな目標として位置づけることが予定されていると思いますが、この方向性に賛成します。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施については、参考資料2の25ページにイメージ図が示されていますが、その中に記載されている「企画調整を行う医療専門職」として多くの保健師が活躍していると思われます。保健事業と介護予防の一体的な実施を図ることで双方の事業の効果を高めることができると思われますので、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 資料の御説明をありがとうございます。本多でございます。資料1と資料3について、それぞれ意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、資料1の7ページの高齢者負担率の見直しについてでございます。現役世代の負担上昇の抑制の観点からは、後期高齢者支援金の伸びが後期高齢者の保険料の伸びを大きく上回っている現状を看過することはできません。資料に記載されております高齢者負担率の設定方法の見直しの方向性で進めていただきたいと思います。
また、以前から申し上げておりますけれども、医療保険制度改革につきましては、トータルで見た結果、現役世代の負担軽減を実現できる内容なのかどうなのか、これが最も重要であると考えております。次回以降になると思いますけれども、改革の全体像を数字を含めて早期にお示ししていただきたいと考えております。
次に、資料3の医療費適正化計画の見直しについてでございます。先ほど申し上げました負担に係る見直しにつきましては、今の医療費を誰に持ってもらうのかという話にすぎません。現役世代の負担軽減を実現していくためには、医療費そのものの伸びの抑制も取り組むことが不可欠だと思っております。こうした観点から、2ページに示されております次期医療費適正化計画の見直しの方向性については賛成させていただきます。
その上で3点申し上げたいと思います。1点目は、11ページの入院医療費の取扱いについてでございます。入院医療費につきましては、引き続き地域医療構想に基づく病床機能の分化、連携の推進の成果を反映させていくべきでございますけれども、機能分化の取組は参考資料2の21ページのとおり、遅々として進んでおりません。自治体には病床の必要量の見込みを目標と捉え、地域医療構想の実現とそれによる医療費適正化を不退転の決意で進めていただくため、実効性のある枠組みが必要だと考えております。
この点に関連しまして、2点目として取組の実効性の確保について申し上げたいと思います。医療費適正化計画の実効性をさらに高めるためには、都道府県の責務の明確化を確実に行い、住民の健康増進や医療費の適正化に主体的な役割を果たしていく必要があると思います。
15ページにありますけれども、目標が達成できない場合においては、都道府県が要因分析を行い、必要な対策を講ずる、これは当然のことであります。他方でこういった対応を努力義務として講じるだけでは実効性に乏しいのではないかと思います。一定の経過期間の後に義務を課すということも考えてはいかがでしょうか。
最後に12ページ、新たに取り組むべき目標についてでございます。医療・介護の機能連携を医療費適正化に資する取組として位置づけることに異論はございません。一方で、先日の介護保険部会に提出された在宅医療・介護連携事業推進の課題に関する自治体へのヒアリングの調査結果では、事業実施のためのノウハウの不足や人材育成の必要性を掲げた回答が7割以上に上っております。このような現状では機能連携を計画的に盛り込んでも絵に描いた餅となってしまうことが懸念されております。現場で対応可能となる環境整備を着実に講じるべきだと考えております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。後期高齢者の保険料負担について、以下、意見を申し上げます。
資料1の8ページによりますと、後期高齢者の保険料負担の見直しにつきましては、賦課限度額の引上げとともに所得割率の引上げの方向性が示されております。後期高齢者の幅広い割合に何らかの負担増の影響があると思われます。応能負担や全世代で支えるという観点から、後期高齢者にある程度の負担を求めることについては理解しておりますが、負担ばかりが強調され、財政論からの給付と負担の見直しではないかと、そういった意味で国民に捉えられてしまいますと、現役世代、特に若い世代にとりまして、将来への不安感が募り、国民の安心と納得が得られないことにつながっていくのではないかと懸念しております。
日本歯科医師会といたしましては、生涯にわたり国民に納得していただきながら安心な生活をいかに保障していくのかといった観点が重要である旨、今までも主張してまいりました。医療保険制度の見直しにおきましては、現役世代、特に若い世代に不安を与えないよう、後期高齢者の具体的な負担も含めまして、その全体像をできるだけ早めに提示するとともに、今後の負担の見直しなどを含めた将来像をしっかりと見える化して、国民の安心と納得が得られる制度設計が重要と考えております。
また、繰り返しの意見で恐縮ではございますが、高齢者の過度な負担増により、医療への受診抑制が生じないように丁寧な検討を行っていただくよう重ねてお願いしたく思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 猪口でございます。よろしくお願いいたします。
今、お話がございました後期高齢者の保険料の見直しですけれども、資料1の8ページにございますように、年額66万から80万に引き上げる、さらに所得割も引き上げるということがございますが、さきに窓口負担の2割負担ということも導入が決まっております。後期高齢者に対する負担があまりにも急に増え過ぎるのではないかと思っております。この負担に関しましては、少し段階をつけるとか、少し経過措置を設けるとかいうことをしないと、あまりにも一部の方にしわが寄り過ぎるのではないかということを非常に危惧しておりますので、どうか御考慮をお願いしたいと思います。
続きまして、医療費適正化計画についてでございます。資料3の8ページに後発医薬品のことが出ております。前回も申し上げましたが、新たな数値目標を設定すると書いてありますけれども、現状では後発医薬品の供給不安がまだ続いております。さらに原材料の高騰とか物価高の影響でより深刻な状況になりつつあると考えられ、非常に困った状況が起きております。
このようなことから、早急に使用頻度を上げるというのは非常に危険であり、国民のためにも、それから安全・安心のために供給不安の解消をまず行ってから考えるべきではないかと思っております。
さらに、次のページの重複投与・多剤投与の適正化というところがございます。ここで15種類を基準としているのを6種類以上に基準を変えるというふうに記載されております。この診療報酬上の6種類というのは、実は1回の投与における6種類と7種類との診療報酬上の点数の格差でございます。高齢者の場合には1か所ではなくて多数の医療機関を受診していることが間々ございまして、その場合には当然6種類を超えて必要なお薬が投薬されていると考えられますので、一律に6種類という線を引くのは現実的ではないと考えますので、ここはもう一度お考えを直していただきたいと考えます。
最後ですが、14ページ目の保険者協議会のことです。ここに保険者協議会の医療関係者の参画を促進すると書いてあります。医師会をはじめ医療関係者は保険者協議会に積極的に参画してまいりたいと考えております。また、参考資料では、現在約半数の都道府県では医療関係者はオブザーバーで、半数が構成員となっております。オブザーバーでは意見を発言することもなかなか難しくなりますので、ぜひとも正式な構成員としての参画というようにしていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊でございます。
医療費適正化計画に関する論点について意見を申し上げさせていただきたいと思います。まず1点目の現行の目標のさらなる推進の部分ですけれども、後発医薬品の使用促進に関しては、今もお話がありましたように現場の尽力により着実に進んではいるのですけれども、さらに今後進めていくべきと考えておりますが、参考資料のスライド5に挙げられているような留意点も含めて、大変置き換えが難しい範疇に入っていきます。すなわちこれまでと同じような伸びにはならないという部分と、伸びには限界があるという部分を今後は念頭に置いておく必要があるのではないかなと考えております。
また、現在のような供給不安の状況下では、さらなる使用促進というのは容易ではなく、つい先日もメーカーから、出荷停止や販売中止品目が挙がってきております。このような安定供給に支障をきたすような事態の中にあっては、使用促進は難しく、安定供給が大前提になりますので、安定供給確保への対応については、まずよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次に、重複投薬・多剤投与の部分ですけれども、6種類以上という基準が書かれておりますが、これは診療報酬においてというよりも、高齢者の医薬品適正使用の指針に示されている部分ですので、以前から、適正使用という観点から薬を減らすという取組は行ってきておりますけれども、今後、患者さんから聞き取ることができなかった情報の部分を電子処方箋等の仕組みの中で得られることが、この取組のさらなる一助となるとは考えております。
ただ、これはシステムの普及とマイナンバーカードの発行、携帯の促進とともに、国民が受診、調剤時にマイナンバーカードを利用するという認識とそのことの周知が大前提になってきますので、その辺も重要な部分ですので、先にお願いをしたいと思います。
あと、今、猪口委員からもありましたけれども、15種類以上の場合を6種類以上ということにしますと、どれも必要な薬で減らせないというケースが多々入ってまいりますので、6種類以上にしたから一律に多剤投与の効果が得られるというわけではないので、その辺りは留意すべき点ではないかと思っております。
次に、新たな取り組むべき目標についてという部分ですけれども、地域における薬局の役割の中で地域住民への健康啓発であったり、相談会であったり、また職種連携による健康イベントであったりという部分も、フレイル対策、重症化予防という点では重要な部分になってきますので、地域行政において薬局と連携した事業計画の策定という部分も併せての発信をお願いしたいと思います。
医療費、医療資源の効率的・効果的な活用として、リフィル処方箋、分割処方等の記載がなされておりますけれども、薬局においてはどのような処方箋であったとしても患者さん、個々の状態に合わせた薬物療法を提供するために、引き続き適切な対応を行っていくことには変わりはない部分ですので、異論はありません。
また、抗菌薬に関する適正使用ですけれども、一定の効果が出てきていると認識しておりますが、患者さんへの理解促進の部分であったり、薬剤交付時の薬局での取組であったりという部分も重要になってまいります。また併せて外来で化学療法を行う場合においても、薬局の薬剤師だけではなく、病院のドクターや薬剤師と連携が必須となってきますので、がんに係る専門性の強化等によって、外来でケモの実施が促進されることにつながっていくのかなと考えております。
最後になりますけれども、実効性の確保についてですが、各都道府県の医療費適正化の中では、医療関係団体と連携した具体的な取組計画の策性の方針、目標の設定、またその評価の方法を示すことも有効だと考えます。現在、第3期のデータヘルス計画の策定に向けた手引書の見直しもなされているかと思いますけれども、そのような部分との整合性を図った上で具体的な方向性、指針をお示ししていくべきではないかなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
私のほうからは以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。資料3の医療費適正化計画について述べます。
制度の安定性や持続可能性の確保の観点から、効率化・適正化の取組は非常に重要と考えます。医療費のさらなる適正化に向け、効果検証を行いつつ、取組を加速させていただくことが重要と思います。
その上で具体的に、先ほど本多委員からも発言があった点ですけれども、入院医療費の取扱いに関して申し上げます。地域医療構想との関係について、資料の11ページに記載がされております。この地域医療構想ですが、2025年を目途として進行中ですけれども、その先を見据えたビジョンを打ち出すことも必要ではないかと考えます。その検討に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大長期化の中で、医療提供体制の脆弱性が顕在化したことを踏まえることが必要と考えます。そうした認識に立ちまして、新興感染症や災害時、緊急時を見据えた医療提供体制を確保するため、入院・外来を含めた地域医療構想を再検討することが必要と考えます。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。まず最初の後期高齢者の保険料負担の見直しについて意見を述べさせていただきます。
後期高齢者の保険料負担の見直しにつきましては、高齢者医療費への拠出金が今後もさらに大きく拡大する見込みであることなど、現役世代の保険料負担は限界に達しております。持続可能な保険制度を構築していくために、7ページ、8ページでお示ししていただいたような形で後期高齢者の方にも医療保険を支える集団の一員として負担能力に応じた公平な参画をお願いしたいと考えております。
続きまして、資料2の国民健康保険制度の取組強化の方向性についてですが、方向性につきましては賛成いたします。資料の中で2ページ目にございます生活保護受給者の国保等への加入について、その中に医療保険と比較して精神・行動の障害の占める割合が高いこと等からという記載がございます。これは協会けんぽの実情も鑑みまして、傷病手当金を受給していらっしゃる方たちが最も多いのはやはり精神・行動の障害でございます。昨年度の10月のデータでございますけれども、傷病手当金受給者の36%の方は、精神・行動の障害が原因で傷病手当金を受給している。そして、その中でずっとお休みして、会社を辞めなければいけなくなって、協会けんぽの加入者の資格はなくなったのだけれども、その支給は続いているという方が一定数いらっしゃいます。資格喪失者の方達の58%が精神・行動の障害が原因で受給を継続されています。多分この方は国保に行かれた方だと思います。ですから、そういう方たちは好きで生活保護になるわけではなくて、そういう方たちを減らすという努力を被用者保険にいる間にきっちりやっていく必要があると考えております。
次に、医療費適正化計画の見直しについてです。まず、2ページ目の③、実効性向上のための体制構築の1つ目の矢羽根にありますけれども、医療費見込みに基づく計画最終年度の国保・後期の保険料率の試算がございます。しかし、医療費適正化の着実な推進のためには、計画最終年度である6年ごとに試算を行うと書いてあるのですけれども、それではちょっとスピード感に欠けるのではないかと思っております。これは意見でございます。
次に要望としまして、8ページ目の後発医薬品の使用促進についてでございますが、以前の医療保険部会でも申し上げたとおり、協会けんぽは我が国の保険者のフロントランナーとして軽減額通知の送付等、使用割合の向上に向けた取組を行ってまいりました。こうした中で、現時点では協会けんぽの都道府県支部全体での後発医薬品使用率は80.7%であり、30以上の支部で既に80%という目標が達成されております一方で、80%を達成できていない支部も一定数残っております。
協会としましては、下位支部に対して個別に支援を行ってきたものの、実際には伸び悩んでいるというのが現状でございます。フォーミュラリの策定やバイオシミラーなど、さらに使用促進に取り組む余地がある部分につきましては、新たな目標設定に向けた議論を行うことと並行して、全都道府県で80%以上の後発医薬品使用率を達成することが可能となるよう、国のほうからもしっかりとした支援措置を講じていただければというふうにお願いいたします。
次に、質問でございますが、10ページにあります特定健診・特定保健指導について、特定保健指導へのアウトカム評価の導入により実施率の向上に取り組むというふうにありますが、これは保険者に対して何らかの義務を課すものではないとの理解でよろしいのかどうか、また、具体的にどのような見直しを意図しているのか御教示いただければと思います。
続きまして、14ページにおきまして、保険者協議会への医療関係者の参画を促進する旨が提案されております。そもそも都道府県医療費適正化計画をどのような場で策定することを想定していられるのか、保険者協議会が必置ということになり、医療関係者の参画が促進されることから、保険者協議会がその場となると考えているのかどうか、事務局の御見解をお聞かせいただければと思います。
続きまして、15ページの都道府県の責務や取り得る措置の明確化において、実効性確保のために都道府県が取り得る方策の例として後発医薬品の使用割合向上のため、保険者への要請と医療資源の効果的・効率的な活用の推進のため、医療関係団体へ要請が上げられております。後発医薬品の使用割合の向上も医療資源の効果的・効率的な活用も地域特有の事情があることから、保険者や医療関係団体といった特定の主体のみへの要請だけでは実現できないと考えております。より幅広な主体が取り組むことを想定した表現に修正したほうがよろしいのではないかなと考えます。
あともう一点、19ページ目の他の取組との連携についてということで、日本健康会議の宣言に基づく取組を明示していただきました。ありがとうございます。これは非常に大切なことだと思いますので、ぜひ実現してほしいと思います。
それから、最後にもう一点述べさせていただきます。先ほど国保のときにもちょっと触れさせていただいたのですけれども、メンタルヘルス対策への取組に関して触れたいと思います。協会では、毎年10月に前年10月分の現金給付受給者状況調査を行って、その結果を公表しております。その中に傷病手当金の受給者状況調査分析があるのですが、傷病別件数割合の推移を見ますと、先ほど出ました精神及び行動の障害が最も多く、平成7年では4.45%であったものが、27年後の令和3年では約37%にまで膨らんでおります。また、件数で申しますと、令和2年が4万2000件であったものが、令和3年では5万1000件へと伸びており、金額ベースで申し上げますと、一月で86億円だったものが100億円となっております。また、これらの方の平均支給日数は昨年度で198日間となっております。これは全傷病別で最長となっております。
今後、少子高齢化が進み、2040年には1人の65歳以上の高齢者を支える現役世代の方は1.5人で支えなければならなくなると言われております。そのような状況の中で、元気で健康な支える人を一人でも多く増やすために、日本の国民皆保険制度の仕組みの中で何らかの対策を社会全体として取り組んでいく必要があると考えております。協会では3か年のアクションプランをつくり、その中にメンタルヘルス対策についての取組というものを各支部で実施しておりますが、一例としまして、山形支部におきましては、県の産業保健センター、そして健保連の健保組合と連携しまして、メンタルヘルスセミナーを4会場で先月開催いたしましたところ、256事業所の319名の参加者がいらっしゃり、各企業の方たちのメンタルヘルスへの関心の高さがうかがえました。
その意味で、医療費適正化計画の見直しの中でも、メンタルが原因で病院に行き、薬を処方してもらうようになる前に、どのようにして予防できるのかということを日本全国で議論し、実践してもらうことができるような機運を高められるようにしていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。2点ほど御質問がございました。回答のほうをお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。2点御質問いただいた件について御回答申し上げます。
特定健診・保健指導の見直しでございます。これにつきましては、今回、腹囲2センチ・体重2キロ減というのを達成した場合には、これまでは保健指導の介入量をポイント化して180ポイントの介入があった場合に特定保健指導を終了としていたものを、腹囲2センチ・体重2キロ減を達成した場合には保健指導を終了とする。そうした形で成果が出たことを評価する体系としてございます。
これはまさに保健指導を行っていただく主体の創意工夫というものを期待いたしまして、アウトカム評価を導入する。ただ、アウトカム評価一本やりではなくて、アウトカム、例えば腹囲1センチ・体重1キロ減、あるいは行動変容が起こった、そうしたことと支援の投入量、こうしたものをポイント化して、合わせて180ポイントの場合にも保健指導を終了するということにして、現実的な対応をしていきたいと考えているわけでございます。そうした意味におきまして、何らか保険者に対して義務を課すのかといった観点から御指摘を頂戴したと思ってございますが、むしろ今の制度の中で保険者の創意工夫を生かして特定保健指導の成果というものをより引き出していただきたい。そうした意味での改正というふうに捉えてございます。
それから2点目、医療費適正化計画につきまして、どういう場で作成することを想定しているのかという御質問でございました。医療費適正化計画は都道府県が策定するものでございます。また、高齢者医療確保法の第9条第7項におきまして、保険者協議会が組織されている都道府県にあっては、保険者協議会に協議しなければならないという手続が法定されているわけでございます。今回御提案しているとおり、この保険者協議会については必置とするという御提案をさせていただいてございますが、いずれにいたしましても法律上の手続としてはこの保険者協議会に協議をするとなってございます。
一方で、現実の都道府県の医療費適正化計画の策定過程におきましては、それぞれの都道府県におきまして、これとは別に委員会をつくったり、それは都道府県の地域の実情に応じて様々な対応がなされていると思ってございます。今回、保険者協議会につきましては、もとより加入者の健康増進、それから医療費適正化について保険者が中心となって、一方で行政や医療関係者等の協力も得ながら、保険者横断的に同じ意識を持って共同で取り組む、こうした組織として設置をされているわけでございます。
今回御提案している中で、医療費適正化に向けた医療資源の効果的・効率的な活用を新しい目標として位置づけてございますが、こうしたことについて実効性ある形で適正化を進めていくためには、医療関係者に協力をいただきながら、保険者と医療関係者、そして都道府県が連携して対応していくことが重要であると考えてございます。
そうした意味におきまして、保険者協議会、こうした位置づけの下で医療関係者にも御参画をいただきながら、都道府県、保険者、医療関係者で連携して医療費適正化に取り組み、そうしたことを計画の策定段階、実行段階、そうしたところで連携した対応を期待したいと考えているわけでございます。
以上です。
○田辺部会長 安藤委員、よろしゅうございますでしょうか。
○安藤委員 ありがとうございます。ぜひ保険者協議会につきましては、今、課長のほうから御説明がありました趣旨、そして実効性が担保できるように、国のほうからもぜひ御指導をよろしくお願いします。ありがとうございます。
○田辺部会長 では、菅野参考人、よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。3点ほど申し上げます。
資料2についてでありますけれども、初めに、国民健康保険制度の取組評価について、第三者行為求償事務に係る見直しを行う場合には、都道府県に新たな事務負担が生じることから、準備に要する十分な期間を設けた上で、都道府県と丁寧に協議するようお願いをしたいと思います。
また、取組強化に伴い必要となる費用については、国の責任において財政措置を確実に講じるよう併せてお願いをしたいと思いますが、不安を感じている団体も多いことから、この必要となる費用の財政措置については、現時点での国のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
次に、普通調整交付金の配分の見直しにつきましては、これまでも全国知事会から要望してきたとおり、普通調整交付金が担う自治体間の所得調整機能は大変重要でありますことから、今後もその機能を引き続き維持することとし、国民健康保険制度における保険者のインセンティブ機能を担うものとして保険者努力支援制度を有効に活用するよう、重ねてお願いをいたします。
最後に、生活保護受給者の国保等への加入についても、制度の課題や運営状況を分析し、慎重な議論を行うよう、国にこれまでも求めてきたところであり、引き続き地方と十分かつ丁寧に協議をお願いしたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、財政部分のところですが、お願いいたします。
○高木課長 ありがとうございます。国保課長でございます。
第三者行為求償事務について御意見をいただきました。体制整備に係る支援方策ということでございます。円滑な実施に向けまして、例えば委託費とか、訴訟事務の費用とか、そうした広域的かつ専門性の高いものにつきまして、都道府県も市町村と一緒にやっていただくことによって、より効率的で円滑な事務の効果が期待できるとか、そして、国保連とも連携して実施できるといった効果が期待されると思います。
他方、そうした費用についての財政支援とか、あとそうした国保連との連携強化、人的支援ということでございますので、そちらにつきましては国においても特別調整交付金とかがございますので、また検討してまいりたいと思います。
いずれにしましても、引き続き都道府県、市町村、地方関係者とよく御協議をしながら取組を進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 菅野参考人、よろしゅうございますか。
○菅野参考人 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、羽田委員、よろしくお願いいたします。
○羽田委員 ありがとうございます。長野県長和町長の羽田でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、意見を申し上げます。
初めに、資料2の「国民健康保険制度の取組強化の方向性」のうち、「出産時における保険料負担の軽減」についてでございます。現在、全世代型社会保障の構築に向けて議論が進められているようですが、少子化対策の一環として子育て家庭の経済的負担を軽減することは大変重要な施策だと思っておるところであります。1ページに「産前産後期間相当分の保険料を免除する措置を新たに講ずる」とございますが、その実施に当たりましては、ぜひとも保険者の事務負担に最大限配慮いただくとともに、必要となる財源につきましては、国費の拡充により確保いただくようお願いを申し上げます。
次に、先ほど前葉津市長のほうからもお話がございました資料2の2ページの「『普通調整交付金の配分の在り方』及び『生活保護受給者の国保等への加入』に関する議論・検討状況」についてでございます。それぞれに関して地方団体からの意見が記載されておりますが、全くそのとおりでございますので、慎重な議論をお願いしたいと思っております。
特に普通調整交付金につきましては、「今後担うべき役割や改善点について、引き続き、地方団体等と議論を深めていく」との記載がございますが、担うべき役割は「今」も「今後」も変わらずに「都道府県間の財政力の不均衡の調整」であるべきだというふうに考えております。
本日、全国町村長大会がございまして、926の全国の町村長の総意のもと、これらについても要望事項として決定したされたところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 羽田委員、ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。私からは、今の保険制度全体の在り方についての議論をたびたび申し上げてきました。資料1の5ページに関わるところでまず意見を申し上げたいと思います。
最初に申し上げたいのは、どなたも強調されているわけですけれども、負担能力に応じた負担の在り方。非常に大切なキーワードだと思っております。私は、負担能力の格差の広がりは、どの保険制度の中でも所得による格差が共通して大きいのではないかと思います。現役世代と高齢者の負担の格差以上に大きいのではないかと思われますけれども、この辺については資料等がないのかどうか。できればそういった資料をお調べいただければと思います。
それから、保険制度が、これもこれまで申し上げてきたところですけれども、非常に制度が多岐にわたっていますので、高齢者、国民は細部にわたる制度の在り方については理解が難しいという疑問を持っております。これは非常に大枠での意見ですけれども、シンプルにする検討作業が私は必要ではないかと考えております。
次に申し上げたいのは、高齢者も負担を担っているわけです。今の制度の中で特に後期高齢者医療では、低年金、低所得者の負担が生活に欠かせない支出を圧迫しているのが現状であろうかと思います。現行の1割負担に手をつける、2割負担の比率を高めるということは決してあってはならないと考えております。高齢者のこれ以上の理解というのは困難であろうと私は思っております。
あわせて申し上げたいのは、窓口負担の強化は医療保険制度が本来果たすべき役割を低下させるものだと私は思っております。たびたび申し上げておりますけれども、やはり医療の適切な在り方というのは、早期発見、早期治療ということですので、窓口負担というのは、本来は私はないほうがいいと思いますけれども、現行制度の経過的な中で非常に低い一定額の負担ということでとどめながら、将来の在り方を検討すべきではないかと思います。私が描く保険の在り方としては、保険料、国庫負担、事業主負担、各3分の1ぐらいが大まかな着地点ではないかと考えております。
その中で今後の被保険者の保険料の在り方としては、非課税世帯への保険料は減免を強化するということが必要だと思いますし、保険料の負担については金額設定の見直しをすべきではないか。料率で緩やかに累進する制度も試算、検討をすべきではないかと考えております。
次に、資料2の出産時の保険料負担の問題ですけれども、先ほども申し上げましたが、後期高齢者の制度の場合は非常に低年金者、低所得者の比率が高いわけです。この辺は生活に欠かせない支出を圧迫しているような現状ですので、他制度と同列に並べて負担を求めるというのは、私は適切ではないと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。まず、少しおくれての参加になりましたことをおわび申し上げます。その上で2点お話をしたいと思います。資料3を基に医療費適正化計画の見直しについてです。
まず、4ページにありますように、先ほど猪口委員もおっしゃったように、保険者協議会に医師会関係者がオブザーバーで入っているところに関して、ぜひ正式な委員としてということで、私も全く同感でありますので、ぜひお願いしたいと思います。
一方で、正式メンバーとして入っている中に実は医師国保のいわゆる保険者の代表として入っている医師会もあると思います。それに関しても、できれば別の立場で医療提供者側の立場ということで、一つのステークホルダーとしての委員としてもぜひ参加を検討いただくように御指導いただけるとありがたいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
2点目です。9ページにあります。何人かの委員の先生も今おっしゃったように、15種類を6種類に広げるということですが、これに関しては対象を広げることに対して私自身はやぶさかではないですけれども、ただ、広げたからといって多剤投与等が減るわけではありません。対象を広げた中で本当に必要で10種類、15種類使っているところもありますので、どうやってそれを6種類に減らすことができるかということ、そのノウハウも必要ではないかと。そこで、実は私も委員として参加しています医薬・生活衛生局の高齢者医薬品適正使用検討会というところで多剤投与に対するガイドラインを総論と各論でつくって、かなりいいものができていると私自身も感じています。それを十分活用されていない現状がありますので、そういうものを使いながら広げていく、そういう啓蒙活動も併せてやっていかないと、ただここを広げたからうまくいくものではないかと思いますので、ちょっとこれは質問にもなるかと思いますけれども、そういう医薬・生活衛生局等の現在の取組と併せて、そういうことを一緒にやっていくことを今やられているかどうか、あるいはやられていないなら今後やっていく可能性があるのかどうか、この辺についてもしお分かりになればお伺いできればと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点御質問がございました。回答のほうをお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。この多剤投与のところにつきましては、今現在は15種類以上を対象にしているところを6種類とするということ、これは取り組みの対象を広げるという観点で御提案を申し上げてございます。実際に個々の患者様に対してどれぐらいのお薬が必要か、それは当然個別の事情によるところがあると思いますので、そうした配慮の基で実際の処方、調剤が行われるべきということは言うまでもございません。そうした中で、多剤の観点からお薬を減らせる部分がないかということについて、働きかけをする対象として6剤以上としてはどうか、そういう御提案をしているわけでございます。
ただ、今、池端委員がおっしゃいましたとおり、実際にそれを具体的にどう行っていくかということに当たりましては、当然、ノウハウということが必要になるわけでございます。私ども、今、医薬局の検討会のほうでつくられているガイドラインと医療費適正化計画の取組において、必ずしも十分な連携ができていない部分もあろうかと思いますので、そうしたこと、今回取組の対象を広げるのに併せてきちんと連携を図りながら進めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○池端委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 トリになりますかね。現在、世の中、日本は特にそうですけれども、諸物価高騰、コロナ禍でございます。こういった中で高齢者の方々の負担ばかり上がるようなニュースがどんどん発信されると、不安感や心配ばかり募ってまいりますので、何とかこれはちゃんとやっていかないといけないなという感覚をまず持っていることを申し上げたいと思います。そこで、説明があった資料に基づいて1、2、3、それぞれ意見を申し上げたいと思います。
まず1つ目の高齢者の負担環境のことです。保険料負担の在り方や設定の見直しということが掲げられています。表現としては大変短いのですけれども、大きな変化の一つだろうと受け止めるべきと考えています。ここで感じるのは、冒頭に申し上げたように、不用意に高齢者の皆さんの不安をあおらぬように、対応は慎重に、丁寧にやっていく必要があると思っています。例えば考え方の基本となる根拠、そしてその考え方に基づく計算の方法などを分かりやすく、そして、国民が納得することが必要と思います。したがって、分かりやすい説明をしていくことがとても大切だと思っています。
前回も申し上げたのですが、例えば、月々の負担増は本当は幾らになるのかと、どれくらいの負担増になる可能性があるのか、そういう数字が出るとイメージしやすいのですけれども、今のところそこまでの数値が出ないで、次回以降に出るかもしれませんが、ぜひそういったことも必要だなと感じています。
また、資料説明の中でありました現役世代の一人当たりの支援金の増加ということの課題については私自身も強く感じているところがございます。理由は私自身、共済組合の理事長をしていますので、以前に理事をして、その後、理事長になったときに分かったのですが、黒字だったものがいきなり赤字に近い状況に厳しくなったのですね。「何で変わったの」と聞きましたら、「この制度が新しくできたから支援金拠出を現役世代が出していますよ」という説明で、ああ、なるほどと理解しました。まさにみんなで支えることが基本だろうと思いつつも、これは現役世代にとってはいろいろ今後課題になるだろうというように思ったのが今まさに課題になっているようなところでございます。
資料の8ページに見直しについての試案等が示されています。ここでも感じるのは、丁寧で分かりやすい内容にして、そして理解と協力、納得を得ていくことがとても大切ですので、このことが重要と思っています。
また、所得割に関しましても、負担能力による調整ということは分かるところでございますから、やはりこの先は、例えばデータや数値のシミュレーションをされると思うのです。そういったことが分かっていくようになること、そして、その上で国民の皆さんが「なるほどな」と、あるいは「そうか、やむを得ないな」と、そういったことなどの感覚で受け入れることができるように、そこに結びつけていくような御努力が何よりも大切なことだと思っています。
4ページ目には、例えばの例ですけれども、「介護保険を参考にする」という表現があるのですが、なぜ介護保険を参考にしたら妥当と考えられるのかということも補足していたほういいと思います。なぜなら、例えばこういった資料を一般の皆さんが見るときも、「ああ、そうか」と納得できることになりますけれども、いきなりその一文だけではなかなか分かりにくいなと感じる人も多くなると思いますので、丁寧な対応を厚生労働省にお願いしたいと思います。
2つ目は国保に関する制度の対応の方向性についての御説明をいただきました。よくよく考えてみると、今、健康寿命が延びて、人生100年時代という言葉が最近本当に広がってきたと思います。そういう意味からしますと、江戸末期から明治初期には50歳前後でも長寿と言われた時代から既に100歳になる時代ですので、生まれた命を預かって、活動をして、仕事をしてという状況で、この体を100年使うのですね。ただ、100年使うために必要な部品の対応の仕方がポイントです。生身の身体はいきなり部品交換できませんので、健康の維持、健康の増進についての教育をしっかりやっていくべきではないかと思います。小学校では難しいとしても、せめて中学、高校生レベルぐらいから、自分の身体はこうなっているんだ、健康であるにはこういうことが肝心なのだとか、適当な睡眠とか栄養の補給とかをしていかないといけない。例えば感染症が新しく発生した場合も、免疫力が落ちますし、ひいてはそのことが原因になってほかの病を誘発する。そうならないための知識は最低限啓発していく。このこともしながら国保ということの財政の健全化等も図るべきと思います。
また、資料説明の中に生活保護のことがありました。一部正確ではないかもしれませんけれども、私のところに聞こえてくる情報で意見を言いたいと思います。1つは、本来はオールナショナルな制度であるべきだと思いますので、個々にあまり変えても大変なので、ルールや基準については国のほうで統一して決めて、それを基に対応していくのが混乱を招かなくていいと思います。
また、一部報道とかそういった関係の情報で聞きますと、海外から来る方の中には、一部この制度を期待して、生活保護を狙って来るというふうな情報を聞いたことがあります。妥当でなければそれはそれでいいのですけれども、仮にそれが事実として存在するとしたら、不当に加入をして、利益だけ、給付を受けてということになってしまいまして、しかも、国民的負担は何もしていないという事象が生まれてしまいます。そうなると、多くの方々は納得できないわけですね。自分が納めたものがみんなを守るためではなくて、全然関係ないところで負担をないがしろにした人のために出すというのはいかがなものかとなってしまいますので、こういったこともきちんとした正当な対応をしていかないといけないのではないか。そういった対応をきちんとしている上で、なお負担が必要なのでとなれば理解はできますけれども、そういったことも気にするべきと思っています。
3点目、医療費適正化のことでございます。まず全体とも関連しますが、自分の健康は自分で守るということを本当によくよく多くの方に理解していただき、行動変容にまで結びつくことをすべきだと思います。食生活改善推進をされているたくさんのお母さんたちがおられまして、私どもの市にもおられます。もちろんこれはお母さんに限らず男性の方もそこで活動されます。「自分の健康は自分で守る」という言葉のデザインを大きくピンクのTシャツの後ろの背中側に書いて、お互いに啓発されています。とても大切です。
その上で必要なことは、実は必ず定期的に健診を受けること。そして、健康を自分で育むという発想とその行動を促すべきだと思います。そうしない限り、医療費が想定以上にかかったから補給しろ、足りないからほかの負担を増やせでは、もう本当にこれは追いつきません。また、個人をとってみても、健康になっていくことをしていかないと個人も不幸だと思います。そういった意味では、私はよく言うのですけれども、「一年の計は健診にあり」と考えます。元旦を迎えるときに新しい一年の計を立てるとしたら、何月何日に自分は健診を受けると1年間のスケジュールの表に書き込んで、手帳に書き込んで、その日にきちんと健診を受けるようにするということをするぐらい意識を持っていくのが大切だと思います。
よくよく考えてみると、車検にはお金が10万円近くかかったりするのですけれども、自分の体の健診にそこまでかけないでざっとやってしまうということではよろしくないです。実は隠された病気がその後大きくなって大変なことになりますので、ぜひこれは多くの人に健診を受けていただくことの重要性を発信すべきと思います。
そこで具体的なページです。3ページ、エビデンスの活用のことが述べられています。私はここで思うのは、読み込む力の向上もしていかなければいけないのではないかなと思います。そして、優しく辛口の指導が必要だと思っています。
先日、私どもの保健師並びに医薬品メーカーの方々、そして医療関係の方とたまたま話す機会がありました。そこで分かってきたことは、血液検査の数値がだんだん悪くなっていく。血液検査をして要注意になっていく。本当だったらぴたっと止める生活指導をしなければいけないのですけれども、よくありがちなのは、「しばらく様子を見ましょうかね」、「まあこんな調子ですよ」と優しく言ってしまうのですね。優しく言い過ぎてしまっていると、「まあいいか」と思ってしまう。つまり、先生や医療関係者からの助言がその程度なら、「厳しく自分を律しなくてもいいのかな」と思ってしまって、2年、3年たつとステージが3から4になってしまったという例がよくあるそうです。これは本当に不幸なことなので、要注意手前ぐらいの数値が、異変があったらそのときにこそ、実はもう病気の入口だとしっかりと受け止めて、再検査を受ける、精密検査を受ける、そのことをしていかないと本人も不幸だし、医療費全体としても大変な負担をすることになりますので、そういうふうにエビデンスをいかに活用するか、そのときの読み込む力とその活用ということを意識すべきと思います。
4ページ目には都道府県別の対応のことがありまして、私は、現場と現実に応じて少し柔軟であってもいいので、有効な対策をぜひ打ってほしいと思います。例えば国で示された基準や指示、あるいは通達と今は言いませんけれども、そういったことにそのとおりやっていたらいいかというと、一般論としても公務員としては考え方が楽かもしれません。やることをやったからいいじゃないか、です。でも、そうじゃありません。本来のミッションは、目の前にいる患者予備軍の人を見つけて、みんなでその人の健康を守り、国民全体の医療を守ろうという公務のミッションがあります。そのことを達成するにはどうすべきかという観点に立って、日々お互いに努力をしていくような気風とそういうマネジメント、そして柔軟かつ有効な対応ということをぜひぜひ高めていくべきと思っています。
そして、16ページ目には保険者協議会のことが出ていました。公務関係でいろいろな事務局とも私はお付き合いをさせていただきますけれども、保険者協議会は具体的にどのような事務局体制でされているか、都道府県別で違うかもしれませんが、ぜひお願いしたいのは、データを読み込む力とその対応力を高めるべきということです。
大体、様々な団体などでの審議の試案とか事務局案というのは事務局でつくるわけですけれども、当座、統計を並べて、これで終わりなわけはありません。分析をして、これが課題じゃないだろうか、先生方、ぜひ集まってください、あるいは部会をつくってでもいいから研究して、それを全体の会議に諮るぐらいのことをしなければなりません。
しかし、そういった人材が必ずしもいるとは限りませんので、ぜひ厚生労働省や関係機関で協議していただいて、必要な人材の育成、研修、あるいはこういったことで皆さんも自分の判断で分析をして啓発をする、あるいはメンバーの方に呼びかけて新しいアクションを起こす、それぐらいの企画力や分析力、そしてアピール力も含めて研修をぜひ実行してほしいと思います。
我々首長はいろいろな公務を預かっていますが、本当に事務局は重要です。事務局がいつも見てくださっているわけなので、そういった育成もお願いしたいと思います。
あと全体に関することですけれども、冒頭、途中でも言いましたけれども、やはり重要なのは医療費適正化においても的確な健康の維持、そして、医療費を適正化するということをしていくべきだと思います。でも単純に医療費適正化と書いてしまうと、お金がかかるから、かからないようにしようよというふうなトーンに聞こえてしまいかねないので、できれば「的確な健康維持と医療費適正化」とかとして、やはり健康を保つことがいかに大切かということをアピールしてもいいのかなと感じたりしています。
そして、冒頭に言ったこととも関連しますけれども、ぜひ厚生労働大臣が文部科学大臣と協議をいただいて、学校教育の課程の中で、健康のこと、健康である自分を守ること、育むこと、そして100年の人生をちゃんと謳歌できるようにできること。そういったことを教育する、啓発することもぜひお考えいただきたいと思います。その知識がないままに病になって、その時その時の薬だけではやはり治癒できませんので、ぜひそういったことは専門の先生方がたくさんいらっしゃると思いますので、そういった助言も借りながらお願いをしたいなと思うのです。そのことでひいては医療費適正化が有効なものになっていくと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
本日いただきました意見も踏まえつつ、さらにその議論を深めていければと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参加いただきありがとうございました。それでは、これで散会いたします。どうもありがとうございました。