第21回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年10月14日(金) 14:30~17:00

場所

web会議
(AP新橋:東京都港区新橋1-12-9新橋プレイス3F)

出席者(五十音順)

議題

(1)被保護者健康管理支援事業・医療扶助について
(2)生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
(3)生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等について

議事

(議事録)
2022-10-14 第21回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、少々定刻より早いのでございますが、委員の皆様はお集まりだということですので、開始させていただきます。第21回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
本日の委員の皆様の出欠状況でございます。長島委員、宮本委員から欠席の御連絡をいただいております。また、朝比奈委員は遅れて出席される予定と伺っております。岡部委員は途中で御退席される予定と伺っております。
また、内堀委員の代理として、福島県保健福祉部生活福祉担当次長 和田参考人、大森委員の代理として、岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長 出原参考人、岡﨑委員の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長 入木参考人にお越しいただいております。
さらに、本日は、被保護者健康管理支援事業・医療扶助に関する議論に関連し、「医療扶助に関する検討会」の尾形裕也座長にお越しいただいております。
和田参考人、出原参考人、入木参考人、尾形参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○河合室長 ありがとうございます。
出席委員につきましては20名となってございまして、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしている旨、御報告をさせていただきます。
なお、本日の事務局の出席状況についてですが、大臣官房審議官の本多は途中参加の予定でございます。恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。本部会の議事につきましては公開となってございますが、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方々につきましては、くれぐれも御注意のほど、よろしくお願いいたします。
会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、これからの議事運営につきましては、菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆さん、こんにちは。本日も大変お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。今日も活発な議論をよろしくお願いいたします。
本日の議事は3つございまして、まず「被保護者健康管理支援事業・医療扶助について」。2つ目に「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の連携のあり方について」。そして、3つ目に「生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等について」でございます。
進め方といたしましては、まず議題(1)に関連して、尾形参考人から、先月、医療扶助に関する検討会で取りまとめられました「医療扶助に関する見直しに向けた整理」につきまして御説明をいただき、その後、事務局からこの議題についての御説明をいただきます。その後、質疑応答、意見交換の時間を設け、一旦休憩を挟んだ後、議題(2)及び(3)について、事務局からの説明、意見交換という流れで進めさせていただきます。
なお、本日、長島委員から資料の御提出がございましたので、資料4として配付しております。
それでは、大変ありがとうございます。お忙しい中、お越しいただきました尾形参考人から御説明をお願いいたします。
○尾形参考人 ただいま御紹介いただきました、医療扶助に関する検討会の座長を務めております尾形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
9月6日付けで本検討会において取りまとめました「医療扶助に関する見直しに向けた整理」についての概要を私のほうから御説明いたします。
資料1-1を御覧いただきたいと思います。
このペーパーは、本日の説明に当たりまして、事務局が用意した報告書自体は参考資料1ということで配られているようですが、その概要版ということになります。
まず、最初のこれまでの経緯についての部分を御覧いただきたいと思います。
1つ目のポツにございますとおり、医療扶助については、従来から頻回受診等の適正化対策の必要性が指摘されていること、また、令和3年に開始した被保護者健康管理支援事業については固有の課題も少なくないことから、本検討会においてその見直しに向けた議論を集中的に行ったところでございます。
また、2つ目のポツにありますとおり、本検討会では平成30年の前回改正以降の医療扶助に関する取組の現状と課題を踏まえまして、医療扶助の適正化については、頻回受診対策などの様々な施策の推進により、一定の成果が得られているものの、改革工程表の指摘を踏まえた対応として、適正受診指導の徹底や被保護者健康管理支援事業の機能強化等をさらに推進する必要があること、また、都道府県のガバナンスを強化するため、都道府県による市町村支援及び指定医療機関への関与の強化が必要であることなどにつきまして、重点的に議論を重ねてまいりました。
こうした点も踏まえまして、本検討会の取りまとめにおきましては、被保護者健康管理支援事業、医療扶助の適正化、医療扶助に関する都道府県による関与という3項目につきまして、それぞれ対応の方向性について整理をしたところでございます。
時間の関係上、私からは、今回の報告書を取りまとめる過程で、各構成員の皆様からの様々な意見も踏まえ、十分に議論が深まったと考えられる3つの点に絞って御説明をさせていただきたいと思います。
1点目は頻回受診対策についてであります。従来の頻回受診指導の仕組みでは効果が得られにくいといった課題等も踏まえ、未改善者に対する実効性のある取組として、被保護者健康管理支援事業による保健指導や生活支援の視点を取り入れることにより、指導だけでなく支援への切れ目のない丁寧な対応を行うことが重要と考えております。
2点目としまして、都道府県のガバナンス強化についてであります。都道府県においては、医療扶助におけるガバナンス強化を図るため、都道府県の広域的な観点から市町村を支援するなど、一定の役割を担っていただくことが重要であります。その市町村支援の強化に向けては、都道府県の医学的な専門知識等を補強し、管内市町村に対する必要な助言、その他の援助を行うことができるようにするための組織体を設置するなどの仕組みづくりが重要と考えております。
また、その関連にもなりますが、生活保護受給者の国保等への加入についても、検討会では様々な意見をいただきました。全体としましては、これまでの福祉事務所における頻回受診対策等の取組の成果を評価するということ。その上で、まずは今申し上げたような都道府県による市町村への支援を強化することや、被保護者健康管理支援事業の機能強化を図っていくことが適当であるとの意見で一致を見たところでございます。
最後に、都道府県等による医療機関への関与についてです。都道府県等による医療機関への関与について、専門性を有する者の意見も踏まえつつ、指導対象となる医療機関を選定する際に頻回受診者が多いこと等も考慮することが重要であること、また、指導によっても改善しない場合に適正な対応を求めるための新たな措置等も検討していくことが適当ではないかと考えております。
以上、簡単でございますけれども、私からの報告とさせていただきます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、事務局から補足説明をお願いいたします。
○河合室長 ありがとうございます。
ただいま尾形座長から御説明いただいたとおりでございまして、医療扶助に関する検討会では、3項目に関し対応の方向性を御整理いただきました。
検討会における議論を踏まえた上で、本日、資料1-2を御用意しておりますので、こちらのほうで御説明をさせていただきます。
2ページを御覧いただければと思います。
まず、【現状と課題】の部分です。健康管理支援事業につきましては、福祉事務所における保健医療専門職の在籍状況は様々でございまして、取組に関しても自治体間で濃淡がございます。関係部局との連携状況としましては、保健部局等は進みつつあるものの、その他の部局との連携は低調となってございます。
事業を効果的・効率的に進めるためには、医療・健康情報等の活用とPDCAサイクルに沿った取組が重要と考えておりますが、データ分析や事業評価などにおいて課題を抱えている福祉事務所が多いということを把握しております。
事業対象者には精神疾患や孤独・孤立などの社会生活面での課題を有する方もいらっしゃり、また、保護世帯の子どもについても健康面での課題が見られるところです。
【考え方】でございます。事業の着実な実施を図るため、地域の実情に応じた効果的・効率的な実施体制を構築することが重要。その際、ケースワーカーのみで支援するのではなく、他制度や関係機関との連携、協働を進めていくことが必要である。
2つ目ですけれども、PDCAサイクルに沿った事業を展開するためには、事業の評価指標・目標の設定、各種データの効率的な収集・活用等により、EBPMの観点からの事業推進が重要であること。
被保護者自身の健康意識や自尊感情の改善が重要であり、社会生活面のアプローチ強化が重要。また、子どもに対する健康管理支援につきましては、関連施策と連携しつつ取組を推進することが重要と考えてございます。
これらの考え方を踏まえまして、論点を2つ用意してございます。
1つ目でございますが、EBPMの観点を踏まえた効果的な事業とするため、データ分析や事業評価においても保健部局との連携強化を図るとともに、保険者として保健事業に取り組む国保部局等との連携も推進していくことについてどう考えるか。その上で、福祉事務所でのデータに基づく取組を一層推進するため、都道府県が管内福祉事務所の実施状況を踏まえ、データ分析支援や評価支援などの後方支援を行うことについてどう考えるか。
2つ目です。事業の対象者に精神疾患や孤独・孤立などの社会生活面での課題を有する方も含まれることなどを踏まえ、専門職による相談支援や居場所づくりも含む社会生活面に着目した支援も進めていくなど、事業の機能強化を図ることについてどう考えるかでございます。
3ページをお願いいたします。
医療扶助の適正化関係でございます。
まず、【現状と課題】のところでございます。頻回受診対策につきましては、該当者を抽出した上で、主治医訪問や嘱託医協議を経て、頻回受診と認められた者に対する訪問指導、または同行受診などに取り組むことで、受診行動が改善した者の割合が上昇してきているなど、一定の成果が得られているところです。
一方、頻回受診指導を受けても未改善者が約半数いらっしゃり、特に精神疾患や認知症などの影響から理解が難しい場合や、社会的孤立や精神的不安に起因する場合は取組の効果が出にくいといった状況ございます。また、レセプトから指導対象者を抽出するため、受診から実際の指導までに2か月程度のタイムラグが生じているということがございます。
重複投薬等に着目した取組につきましては、向精神薬の重複投薬の適正化や薬局と連携した薬学的管理・指導の強化を実施しているところですが、重複投薬等に特化したレセプト点検や薬局と連携した薬学的管理・指導の強化の実施箇所数は低調となっており、広く重複投薬などに着目した取組については実施できていないところです。
精神障害者などの長期入院への対応として、福祉事務所が長期入院患者の実態把握を行い、嘱託医による主治医への意見聴取等により、入院の必要がないとされた者への適切な退院指導などを行うことで、退院促進の措置が未対応の患者数は減少傾向にございます。
【考え方】です。頻回受診未改善者に対する実効性のある取組が必要であること。また、オンライン資格確認で把握できる資格確認の実績を活用し、受診行動が習慣化する前に早期からのアプローチが必要であること。
多剤投薬につきましては、患者の薬物有害事象のリスク増加等につながるおそれがあるため、福祉事務所において被保護者の医薬品の適正利用を推進していくとともに、被保護者のQOLの維持・向上を図っていく必要があること。
精神疾患を抱える者等の退院や地域移行に向けた継続的な支援体制の構築に努める必要があること。
これらの考え方を踏まえて、論点を3つ御用意してございます。
1つ目です。頻回受診の背景には、孤独や医師への依存等もあり、従来の頻回受診指導の仕組みでは効果を得られにくいとの課題なども踏まえ、頻回未改善者を健康管理支援事業による保健指導・生活支援の対象に位置づけ、医療機関以外の本人の居場所づくりも含め、頻回受診指導から健康管理支援への切れ目のない丁寧な対応を行うことについてどう考えるか。
2つ目です。重複・多剤服薬者に対する医薬品の適正使用に係る取組について、福祉事務所が医師・薬剤師等の医療関係者と連携の上、健康増進の観点と医療扶助の適正実施の観点から推進することについてどう考えるか。
3つ目です。精神障害者等の長期入院患者の退院促進の実効性を確保するため、精神障害保健部局と連携を進めていくことについてどう考えるかでございます。
続きまして、4ページをお願いいたします。
医療扶助に関する都道府県等の関与についてでございます。
【現状と課題】です。医療扶助に関する都道府県による市町村への支援としては、現行法において必要な助言、援助を行うことができることとなっていますが、現状、都道府県から市町村に対する広域的な観点からの支援はあまり行われていない状況です。
医療扶助に関する通知におきましては、都道府県などには医療扶助の決定実施等に係る医学的判断などに関する諮問機関として、医療関係者などで構成する医療扶助審議会の設置を推奨しているところですが、現状、設置・運用されている都道府県等は少ない状況です。
都道府県等による医療機関への関与につきましては、都道府県等では主に指導により適正な医療の提供などを求めており、指導対象医療機関は関係機関等からの情報提供やレセプトの分析結果などを総合的に勘案するなどの方法により選定していますが、医療扶助の適正な実施に係る効果的な指導等の実施や診療内容等に係る指摘ができていないという実態がございます。
【考え方】でございますが、医療扶助における都道府県のガバナンス強化を図るため、都道府県が広域的な観点から市町村に対して取組目標の設定・評価やデータ分析等に係る必要な助言等を行うことが必要であること。このため、都道府県の医療に係る専門的知識をバックアップし、市町村への支援を強化する体制整備が必要であること。また、都道府県等の医療機関への関与についても、より効果的な指導の実施方策が必要であること。
被保護者の国保等への加入につきましては、被保護者に保険料の負担能力がなく、国保等における他の被保険者の保険料負担や保険財政に与える影響が大きいことや、これまでの福祉事務所における頻回受診対策等の取組で一定の成果が出ていることなどを踏まえた検討が必要であること。
【論点】でございます。これらの考え方を踏まえて3つ御用意してございます。
都道府県による市町村支援の強化として、都道府県の医学的な専門知識等を補強し、広域的な観点から管内市町村に対する必要な助言その他の援助を行うための会議体を都道府県に設置することについてどう考えるか。
都道府県等による医療機関への関与について、専門性を有する関係者の意見も踏まえつつ、指導対象の医療機関を選定する際に頻回受診者が多いことなども考慮することについてどう考えるか。また、医療扶助の適正な運営の観点から、対象医療機関への指導結果の内容等から留意すべき点を整理し、管内医療機関に対して周知することについてどう考えるか。
被保護者の国保等への加入については、他制度の被保険者の保険料負担や保険財政に与える影響が大きいことなどを踏まえ、まずは健康管理支援事業の取組強化や都道府県による市町村への支援等を強化することについてどう考えるかでございます。
先ほど菊池部会長からも御紹介がございましたとおり、本日、資料4として、長島委員より医療扶助に関する都道府県等の関与に関しての御意見を提出いただいております。
3つ書いていただいておりまして、1つ目の論点、会議体を都道府県に設置することについては異論なしということ。
2つ目の都道府県等による医療機関への関与についてはコメントをいただいております。
3つ目の被保護者の国保等の加入につきましては、異論なしとしていただいた上で、先ほどの検討会でいただいたコメントを改めて記載していただいている状況でございます。
事務局からは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、質疑、意見交換に入りたいと思います。
御意見、御質問につきましては、簡潔に御発言いただきますようお願いいたします。
恐縮でございますが、2分を経過した時点でベルを鳴らせていただきます。
なお、尾形参考人は、御都合により15時15分頃に御退席と伺ってございます。
尾形座長に何か御質問あるいは御確認されたいということがございましたら、先にお手をお挙げいただきたいのですが、いかがでしょうか。
会場はないですね。よろしいですか。
それでは、まず会場参加の皆様からお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 今回もリアルで参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料1-2の3ページの論点1つ目の黒ポツについてですが、頻回受診者のうち、精神疾患を抱える方の割合について、厚労省の保護課の方に質問させていただいたところ、類似のデータとして、令和2年度に頻回受診の適正受診指導によっても未改善の者に係る状況を自治体から聴取した内容として、福祉事務所の指導を受けたものの、改善に至っていない者457人のうち、精神科通院中の者は125人という結果を伺いました。
精神疾患を抱える方の頻回受診に対して、その背景に孤独・孤立、依存の課題があることを踏まえまして、指導だけではなく医療機関以外の居場所づくりを推進することが必要ではないかと思います。そして、その居場所には保健師、看護師の専門職の配置をして、相談ができる体制整備が必要ではないかと思います。こうした取組は、依然として年間2万人を超える人が自殺で亡くなっている深刻な状況に対する取組にも資するものだと思います。
次に、3つ目の黒ポツの精神障害者等の長期入院者の退院促進については、連携先として、福祉部局だけではなくて、住宅セーフティネット法を所管する住宅部局、居住支援協議会、居住支援法人も加えることが必要ではないかと思います。最近の居住支援は、居住の確保と地域で孤立させないための取組を併せて考えていくという方向性と伺っておりますので、またこれは奥田さんのほうからも伺いたいと思いますが、居住支援協議会、居住支援法人との連携は、精神疾患を抱える方の頻回受診の背景に孤独・孤立、依存の課題があることも踏まえた医療機関以外の居場所づくりにもつながるのではないかと思います。
最後になります。4ページの論点1つ目の黒ポツについて、必要な助言等を行うための医学的な専門知識を持つ会議体を都道府県に設置し、市町村支援を強化することについて賛成です。
2つ目の黒ポツについては、野洲市のSVに聞きますと、頻回受診について、その医療行為が必要なのかどうかの判断が難しいため、医療機関に対応するのは困難であると言われていまして、都道府県が専門性を有する意見を踏まえて、医療機関を指導し、その結果を管内医療機関に周知することについては必要ではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
奥田委員、お願いします。
○奥田委員 生水さんから振っていただきましたので。
私も医療自体の医療扶助のあり方ということを検討する上で、ここの適正化の関係のとこにも書かれていますけれども、孤独・孤立の状態が、イギリスの孤独担当大臣のことも、結局エビデンスは医療費だったと思うのです。あれは、孤独になると、肥満になるあるいはたばこを一日15本吸うよりも医療的リスクが年間320億ポンド高いということで、孤独対策をやると。そのときの一つの解決策としては、社会的処方箋という社会的な処方をどうするかということで、社会参加を促すリンクワーカーの存在などを重視して、NPOなりなんなりにつなぐというところまでいって医療費の問題としたというのが基本的な流れだと思いますので、社会参加をどう位置づけていくかということが、頻回受診なり、大元は病院に行かないで元気に過ごせれば一番いいわけですから、その元気になる方法は何かというところで言うと、やはり社会参加だと。
それで、居住の話も生水さんは触れてくださいましたけれども、かつては自宅があってファーストプレイスで、長期で働ける職場がセカンドプレイスで、そこにサードプレイスという話が付加的にあったのが、現状においては、家にいても独りぼっち、職場は非正規雇用が主流になって毎年転々と変わっていって、セカンドプレイスも非常に不安定化する。そうすると、家にいるよりかは、安心していられて、そこに何らかの出番があるというようなサードプレイスの確保を前提として居住支援をつくっていくというのは、やはり今、居住支援の中でのスタンダードの考え方にひとつなっていっていると思うのです。
ですから、医療費問題だけではなくて、例えば一時生活支援事業の中にある地域居住支援事業などとの連携みたいなものを議論しないと、医療費だけ抑えるというような話には当然ならぬだろうと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 ありがとうございました。いろいろ勉強になる報告をいただきました。
私も、そもそもずっと生活保護の関連で言いますと、就労をする、就労ができない人たちというのは、居場所がない。よく生活保護を受けている方に、昼間ぶらぶら街の中を若い人が歩いていると人の目が気になる、公然と行けるのは図書館だったり、病院だったりということを聞くわけです。そうすると、誰かと話したいとか誰かと関わりたいと思ったときに、場所がないということがとても大きな課題であるということを感じます。経済的自立というイメージだけでなくて、社会参加ということをこのたびのところでも新たに大きく取り上げられているのはとても大事なことだと思います。
もう一つが地域移行のお話なのですけれども、私どもの町にも大きな入院施設を持った精神科の病院が2か所あります。地域移行を進める中で、先ほどのお話に加えまして、居住支援、おうちをどうしていくかというのはもちろん大きな問題なのですけれども、もう一つ、金銭管理とか日常生活自立支援事業との関わりというのもとても大きくて、財政的にも不十分です。こういう辺りも退院促進に向けては一体的にサポートしていくことが重要なのかなと思いました。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
治療は早いほうがいいと思うのです。その点からいくと、現状を見ていますと、かなり状態が悪化してから生活保護を受けるというケースが少なくないのではないかなと思います。その意味でいうと、現行の生活保護制度を前提にして、受給者のみに集中的に健康管理事業を行うことが本当に有効なのかどうかということが私は疑問で、つまり、少し枠を広げて、先ほど来、孤独・孤立や居住など、いろいろな案が出ているかと思うのですけれども、生活保護だけではなく、この部会は生活困窮も含みますので、それこそ重なり合う支援で、受給者に限らず早期に治療ができるような体制を地域につくっていくという方向性を検討してはいかがかなと思いました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
医療扶助は医療扶助として、より広がりを持ったパースペクティブ、視野を持ちながら、困窮者支援も含めて施策を展開すべきである。皆様大方そういった御趣旨かなと思いましたが、ほかには会場はよろしいですか。
それでは、オンライン御参加の皆様、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
資料1-2の4ページの会議体に関する言及です。これは事務局に確認なのですけれども、現状、医療扶助審議会がある。これは医療扶助の決定、実施に関する医学的判断の諮問委員機関という役割を果たしているということで、今、いくつか自治体を見せていただきましたけれども、基本的にはドクター、お医者さんが中心に構成されている審議会だと思います。これと新しい御提案の会議体というのは機能的にもメンバー的にも全く違うということでよろしいのかどうかと。そこのところの違いを明確に御説明いただければと思います。文面から見るとかなり違うような感じもしまして、医療扶助審議会、それはそれと別にして、全く違う機能、あるいはメンバーも違うものとして新しい会議体を提案されているのかという点を確認したいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○河合室長 ありがとうございます。
駒村先生が今おっしゃっていただいたとおり、現状の医療扶助審議会につきましては、通知上の推奨という形で設置していただいているところがございます。そこに今求めている機能としましては、入院の可否といいますか、それぞれのサービスの決定に当たって可否についての議論をしていただいていると承知しております。
今回こちらのほうで御提案しております会議体につきましては、そちらの審議会とは全く別のものを考えてございまして、今、いろいろと聞いていますと、実態としましてはデータ分析に基づくPDCAを回しながら事業を展開していくということを市町村、福祉事務所にお願いしているわけですが、医療的な情報やデータ分析についてどういうふうにしていけばいいのか分からないといったお声が聞こえてきている部分がございます。したがいまして、管内市福祉事務所だけにそれを担っていただくのはなかなか難しいところがございますので、広域的な自治体である都道府県に対してデータ分析に基づく課題把握、こういったことについて優先的にやっていただきたいといったことを都道府県と市町村が会話しながら、実際に医療扶助の部分について取り組んでいただくための会議体をつくっていきたいと思っています。
会議体の構成員につきましては、そうなりますと、都道府県にも医療の専門家がおりますけれども、なかなかニーズ的な部分も厳しいということでございまして、そこの部分についての医学的な専門的知識を補強していただく観点から、その審議会におきましては医師、または薬剤師等、歯科医師も入ると思いますけれども、そういった方々に入っていただくとともに、データ分析の関係で医療的な視点を持った有識者などについても入っていただいて議論をしていただくといったことを想定しております。
以上です。
○菊池部会長 駒村委員、いかがでしょうか。
○菊池部会長 分かりました。違いは明瞭になったと思います。ありがとうございます。
それ以上、データ分析が中心ということで、先ほどの精神的な課題や自尊感情みたいなものの問題があるということも含めると、有識者の幅が従来の医療扶助審議会よりも異なるメンバーになるのかなということを今のお話から感じました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
資料1-2の2ページ、論点1つ目に関して、8ページの被保護者健康管理支援事業の実施状況を見ると、健診受診勧奨の取組が最も多いとなっております。2021年1月に健康管理支援事業が必須事業化されたことで、被保護者の健診実施率が上がったのかどうか、データがあれば教えてください。論点に書かれているとおり、EBPMの観点を踏まえた効果的な事業とするためには、もし把握していなければ把握すべきと考えます。
次に4ページ、論点3つ目の被保護者の国保等の加入について、保険料負担や保険財政への影響を踏まえ、まずは健康管理支援事業や都道府県の支援を強化するとありますが、被保護者の国保などへの加入は、地域医療提供体制の整備に責任を持つ都道府県など、自治体のガバナンスが医療扶助に及び、医療扶助費の適正化につながるため、スケジュール感を持って議論に着手すべきと考えます。
もう一点、教えてほしいのですけれども、昨日、政府からマイナ保険証の2024年秋の原則義務化という方針が打ち出されましたが、これに関連して、医療扶助受給者への対応というのは何かあるのでしょうか。教えてください。
私からは以上です。
○菊池部会長 2点御質問がございました。お願いします。
○河合室長 佐保委員、ありがとうございます。
健診受診率につきまして、被保護者について平成30年度から追ってまいりますと、全国的に見ますと、現状そこまで上がっておらないところがございます。大体7%から8%の健診受診率というデータを持ち合わせております。
実際にそれで個別具体的に見てまいりますと、健診の受診というものについて、非常に関心というか非常に重要であると考えていただいている自治体さんも多くございまして、中にはケースワーカーさんに対しても健診の重要性を共有する場をつくったり、または訪問や電話での受診勧奨をするといった取組をなさっているところがあると伺っています。それの結果として、健診受診率が被保護者については上がってきている事例もあるということを承知しております。
続きまして、マイナンバーの関係で御質問をいただきました。マイナンバーにつきましては、種々報道なされていますとおり、医療保険制度におきましては、2024年秋に現在の健康保険証の廃止を目指す方針であるといったことがうたわれておるところでございます。
これに関する医療扶助の部分でございますけれども、生活保護受給者の利便性の向上ですとか、直ちに資格確認を行うことによる制度の適正または効率的な運営ができるといったメリットを踏まえて、マイナンバーカードを利用した資格確認を原則化するという方向で令和5年度においてやるということは、2021年の改革工程表にも記されているところでございまして、この方針に沿って現在進めているところでございます。
以上でございます。
○菊池部会長 佐保委員、よろしいでしょうか。
○佐保委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、和田参考人、どうぞ。
○和田参考人 ありがとうございます。
まず、健康管理支援事業における保健部局等との連携強化については、ケースワーカーの業務負担軽減ということを踏まえた上で、具体的な連携体制や手法、好事例、効果的な健診の受診勧奨策などをまずお示しいただくとともに、実施する上では、保健、医療人材の確保や財政的な支援措置を併せて検討していただくことが重要だと考えております。
次に、重複・多剤服薬者に対する取組について、福祉事務所が薬剤師等の医療関係者との連携の上、健康増進の観点と医療扶助の適正実施の観点から推進することについては重要な視点であると考えております。一方で、対応に係る薬剤師等が不足しているため、確保が難しいことも想定されることから、実効性のある方策を検討していくことが必要だと考えております。
また、精神保健部局等の連携について、例えば本県においては福祉事務所に退院促進員を配置して、精神保健福祉法の医療保護入退院支援委員会等を活用するなどして退院促進の取組を進めております。さらなる連携方策等があればお示しいただくことも重要と考えております。
生活保護受給者の国保等への加入については、改めて申し上げますが、制度の課題や運営状況の分析を行い、慎重に議論すべきと考えております。
最後に、医療扶助審議会等の会議体の設置については、適切かつ円滑に事業展開ができるよう、必要な財政的、人的措置を講じるとともに、国が都道府県の医学的な専門知識を補強するという仕組みを示していただくことが重要であると考えております。第17回の部会において知事から発言させていただきましたとおり、各都道府県等と十分協議して、合意の上で制度の具体化を進めていく必要があると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、出原参考人、お願いします。
○出原参考人 ありがとうございます。岡山市でございます。
同じく資料1-2の4ページ目、会議体の都道府県への設置のことにつきまして、私たちも指定都市の医療扶助担当者の方から御意見をいくつかお聞きしております。市内各所にレセプト点検等を行う専門の職員を配置して、頻回受診等の発見や分析を行い、必要に応じてケースワーカーを通して被保護者に指導することなどについては、問題なく対応ができているという認識が基本にございまして、専門職の横のつながりが薄く、誰から助言、指導を受けたらよいかという課題もありますけれども、そうした課題につきましては市の中で解決すべきものではないかと認識しているといった意見がある一方で、単独の市では管内の状況しか分からない。広域的な観点から都道府県全体でいろいろな意味で保有データも大きくなり、データの分析などを行う際には有効な結果が得られるのではないかといった意見もございました。
また、自治体によっては単市で運営を行うことが難しくて、広域的な視点から都道府県が支援したらより効果的な事業を行うことができる自治体もあるのではないかといった意見も聞かれました。
御提案の都道府県による援助をこの会議体に期待することといたしましては、広域的なデータに基づいて指定医療機関に対する助言等の実施機能があれば非常に助かるかなと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
入木参考人、お願いします。
○入木参考人 ありがとうございます。高知市の入木でございます。
私からは、4ページの論点の3つ目です。被保護者の方の国保の加入について、反対の立場で意見を申し上げます。
一つは、検討会でも議論がされておりますけれども、やはり財政の問題です。保険財政が脆弱な自治体にとりましては、被保護者の国保や後期高齢者医療制度の加入に伴う財政負担があまりにも大きくて、安定運営ができなくなるおそれがあります。議論を進めていくことは必要かと思いますが、その際にはやはり財政的な支援の手当というのを議論として一緒に行うことが必要ではないかと考えます。
もう一つはケースワーカーの視点からですけれども、医療扶助はどの自治体でも大体そうかと思いますが、生活保護費全体の約半分を占めておりまして、広い年齢層において健康課題を抱えている被保護者の方が大変多くいらっしゃいます。特に稼働年齢層の方の疾病や健康課題の問題というのは就労阻害要因の大きな問題の一つとなっておりまして、自立助長の支援におきまして医療との関わりは大変深く、生活保護制度の医療扶助として見ていくことのほうが、被保護者の医療と生活の両面を丁寧に見ながら、一体となった支援を行うことができると考えております。
私からは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 1つ目の論点にあります被保護者健康管理支援事業において、先ほど委員の方からも出ておりましたが、精神疾患や孤独・孤立を抱えた方への支援という部分で強化していくということで、この点はぜひ取り組んでいただければなと思っております。
2つ目の医療扶助の適正化について、こちらも同じように精神疾患を抱える方の退院や地域移行ということで、先ほど他の委員からも出ておりましたが、住まいのみならず、生活全般での支援や金銭管理を含めて、かなり包括的に支援をしていく必要があるのではないかなと思っていますし、先ほどと共通するのですけれども、どうしても地域の中で生活していくとなりますと、現状、いろいろな部分で保証人としての役割というものが求められてきますので、そういった役割をどのように地域で担っていくのかというのは、アパートに入るなり、施設に入所するなり、様々な面で保証人としての役割というのは現状求められていますので、そういったところへの対応も必要なのかなと思っています。
また、福祉事務所と関係部局のみならず、医療機関の果たす役割というのも大きいものがありますので、必要に応じて医療機関の取組をさらに強化していく。そういう意味では、診療報酬上でも別途検討していく必要があるのではないかなと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
意見交換の途中ですが、この後のお仕事のため、尾形座長はこの辺で御退席となると伺ってございます。
尾形先生、本日はお忙しいところ、大変ありがとうございました。
○尾形参考人 どうも失礼いたしました。
○菊池部会長 それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 尾形先生に質問させていただきたい点があります。
○菊池部会長 帰り支度をされていますが、よろしいでしょうか。
それでは、短く。
○岡部委員 生活保護法の補足性の原理では他法を優先することになっていますが、生活保護の場合について、国保に限っては医療扶助が優先されていますが、この辺りのそもそもの議論が何かあったのでしょうか。財政上の理由はよく分かっていますが、このまま続けるということの議論でまとまったと理解してよろしいのでしょうか。
○尾形参考人 御質問ありがとうございます。
そういうそもそも論は必ずしも我々の検討会で十分議論がされたということではないのですけれども、一方で、財政論というのはもちろん大きな問題ではありますが、そもそも被保護者の方に対する健康管理をどういう体制でやるかということを考えたときに、やはり現在のやり方というのはそれなりに合理性があるのではないかという意見が多数だったと理解しております。
もちろん、そもそも論として国保加入の問題があるということは前提としてはあるのですが、それがこの検討会で大きく取り上げられたということではございません。
よろしいでしょうか。
○岡部委員 どうもありがとうございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
尾形先生、恐縮です。ありがとうございます。
(尾形参考人退室)
○菊池部会長 それでは、岡部委員。
○岡部委員 では、3点、発言させて頂きます。
1点目、健康管理支援事業、居場所づくりの事業について、生水委員、奥田委員、勝部委員がおっしゃられていた点は、私も大いに賛成いたします。
生活保護における医療扶助を考える場合には、医療扶助をできるだけ必要としないようにすることが一番よいことだと考えます。健康づくりあるいは未病対策というのが極めて重要となります。生活保護の中では、健康管理推進の事業を含めて、日常生活自立、社会生活自立支援の取組をより積極的にしていただくことが必要という意見として述べさせていただきます。
2点目、先ほど駒村委員から御意見を述べられたと思いますが、生活保護の手前の生活困窮者自立支援制度の中でもこれら事業などを打ち出していくことが必要と考えます。
3点目、都道府県のガバナンス強化です。医療扶助審議会を含めて会議体等や相談助言等をより積極的に推進していただくことが必要と考えます。
以上です。
○菊池部会長 了解しました。御意見ということで承っておきます。
それでは、浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。
今まで各委員の御発言でも方向性、考え方はほぼ一致しているのかなと思いますけれども、頻回受診対策を含めて、適正化ということについては、医学的な意味での医療依存度ではなくて、心理的・社会的な意味での医療への依存度というのが大きな問題なのだろうと思います。ですから、心理・社会的な支援をきちんとしていくということなしに、この頻回受診対策は実効性を持たないのだろうと思っております。間違っても、頻回受診対策のために何らかの規制等の力で医療機関の前に検問所をつくるような話をするべきではないなと思っております。
精神科の長期入院の話も似たような話だろうと思うのですけれども、やはり長期に入院されている方にとって、院外での生活のイメージ、幸せに安心して暮らせるという状況が実感できなければ、なかなか医療機関から出るモチベーションにはならないのだろうと思います。そういう意味では、院外でどんな生活が営めるのか、どんな心配もなく安心して過ごせるのかということをきちんと形にして示していく。そのための資源整備をしていくということが必要なのだろうと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。
私もこれまで生水委員、勝部委員、岡部委員がおっしゃいました居場所づくりに力を入れていくという方向性に大変賛成です。ただ、この居場所づくりをするに当たりまして、多様なニーズがあると考えられることから、様々なタイプの居場所をつくっていただけるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
事務局に1つお願いですが、多くのというか複数の委員から孤独・孤立対策等の関連性といった御指摘があったかと思います。また、その中身としては、居住支援をはじめとする医療にとどまらない包括的な生活支援の重要性といった御指摘があったので、これから内閣府で孤独・孤立対策の重点計画の改定作業が始まるので、宮本委員、駒村委員、私も入っておりますので、ぜひ事務局からここでこういう議論がなされたという情報提供をしておいていただければと思いますが、よろしいですか。
よろしくお願いします。
宮脇委員。
○宮脇委員 大変すみません。事務局のほうに4時頃に退席させていただくということをお話ししていたものですから、ここでお話しさせていただきたいのですが。
○菊池部会長 4時まで大丈夫でしょうか。そうであれば、ここで一旦休憩を取らせていただこうと思っているのですが、よろしいですか。
○宮脇委員 分かりました。
○菊池部会長 すみません。
それでは、1つ目の議題につきましてはここまでとさせていただきまして、3時30分再開とさせていただきます。
 
(休 憩)
 
○菊池部会長 それでは、3時半になりましたので再開させていただきます。
不意に休憩に入ってしまいましたので、やや驚かれたかもしれませんが、今日は議題(2)と(3)を一緒にやるということで、ちょっと早いのですが、早めに休憩を取らせていただきました。
後半、議題(2)及び(3)について、まず事務局から説明をいただいて、意見交換とさせていただきます。
前回の部会において議論いたしました生活保護制度における新たな改定の枠組みについて、他の会議体との関係などを改めて整理し、資料にまとめておりますので、こちらについても御説明をいただきます。
宮脇委員、岡部委員が4時頃御退室ということですが、説明は15分ぐらいでできますか。それでは、その後、宮脇委員に御発言いただくということでよろしいでしょうか。
○宮脇委員 結構です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局からまずお願いします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料2、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について説明いたします。
まず、2ページでございます。
初めに、【現状と課題】です。
生活困窮者自立支援制度と生活保護制度では、その目的や対象者、事務の性質が異なっており、制度ごとに支援の実施体制が構築されています。
生活保護制度では、福祉事務所のケースワーカーが、各被保護者が必要とする支援の検討や、その利用に向けた調整、必要に応じた見直しを行うコーディネーターとしての役割を担っており、他方、困窮制度の場合、生活困窮者の支援に関する同様の機能は自立相談支援機関が担っています。
ここの生活保護制度のコーディネーターについて、その機能を具体的に口頭で補足させていただきますと、個別の支援、例えば家計改善支援事業の実施などは外部の機関に委託することも十分にありますけれども、被保護者世帯の各人の課題を把握し、誰に対してどのような支援を行うべきかを判断して、関係機関と調整し、その後の状況を把握し、状況の変化に応じて適切な支援、サービスをつなげる調整を主導的に行うという機能があるものと考えております。
また資料に戻りまして、3つ目のポツですが、一方で、両制度による支援は、自立の概念や本人の自立に向けた支援といった共通の基盤を有しており、就労準備支援や家計改善支援、地域居住支援については、おおむね同様の支援事業が用意されています。
また、本人への切れ目のない一体的な支援を行う観点から、平成30年改正法において、両制度の連携に関する基本的な考え方がそれぞれの法律上明確化されました。
このような中、連携の現状と課題のところでございますが、自立相談支援機関と福祉事務所との間での日常的な意見・情報交換等の連携は着実に進んでいます。要保護者となるおそれが高い者として、困窮制度から生活保護につないだ件数は年間約1万5000件、生活保護廃止後に困窮制度に移行したケースがある自治体は約33%に上ります。
連携強化に必要な取組としては、両制度の担当者の相互の制度理解の深化、個別支援ケースの共有、顔の見える関係の構築を挙げる自治体が多く、次いで就労準備支援及び家計改善支援の両事業の一体的実施が挙げられています。
両制度の連携上の課題としては、例えば困窮制度における事業等を利用する者が生活保護に移行したものの、被保護者向けの事業の実施主体が異なる場合には連続的な支援が困難となることがあります。また、小規模自治体等では、事業が分立することにより、支援対象者が少ないことを理由に事業が実施されないなど、支援に関する地域の社会支援が有効に活用されないおそれもあります。
また、自立相談支援機関の支援を受ける者が生活保護に移行した場合、支援者が変更となるため、支援の円滑な引き継ぎに支障が生じる場合があります。
3ページでございます。
【考え方】であります。
困窮制度と生活保護制度との間で、両制度それぞれの蓄積や強みを踏まえた区分を認めつつも、両制度の一体的な支援・連携強化、いわゆる重なり合う支援をできる限り進めていくこと。
例えば、より多くの者が支援を受けられるようにするとともに、制度をまたいだ支援の継続性・一貫性の確保や、支援に関する地域の社会資源の有効な活用の観点から、就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域居住支援事業についてより一層の連携を検討すること。
その際、両制度の一体的な支援・連携強化を図った後も、生活保護のケースワーカーによる各種支援の利用に向けたコーディネートや、困窮制度の理念に基づく支援が引き続き実施されるよう留意すること。
また、制度をまたいで支援が行われる場合でも、支援が途切れることなく、支援担当者同士で円滑な引き継ぎが行われるようにすること。
加えて、両制度の一体的な支援・連携強化を図るためには、本人の自立を支援するという共通の理念の下、両制度の関係者同士で顔の見える関係を構築し、相互理解を深めた上で支援が実施されること。
そういったことが必要と考えております。
以上を踏まえ、論点を3つ挙げてございます。
1つ目が、被保護者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域居住支援事業について、任意事業として法定化するとともに、これらの事業の実施に代えて、生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域教授支援事業の中で被保護者も支援できるようにすることについてどう考えるか。
2つ目、生活困窮者向けの事業の中で被保護者を支援する場合に、福祉事務所による関与を担保する必要があるのではないか。
そして、3つ目です。制度をまたいで支援が行われる場合でも、支援担当者同士で円滑な引き継ぎが着実に実施されるようにするための方策や、両制度の関係者同士で相互理解を深める研修等により組織的な連携を図ることについてどう考えるかについて、特に御議論いただきたいと考えております。
次の4ページを御覧ください。
こちらの資料は、前回の部会において、被保護者に対する自立支援のあり方として、生活保護制度における新たな会議体の設置について御議論いただいたところ、困窮法や社会福祉法に基づく支援会議との関係について御意見、御質問をいただいたことを踏まえまして、支援に関する会議体同士の関係について整理をしたものでございます。
1つ目のポツにありますように、今回、生活保護制度の中で新たに設置を検討している会議体は、多様で複雑な課題を抱える被保護者に対し、関係機関同士で連携しながら援助を行えるようにする観点から、福祉事務所と関係機関との間で支援の調整や情報共有を行うことを目的とするものです。
そのため、被保護者の課題の全体像を把握した上で、各種支援の利用に向けたコーディネートを行うための中心的な役割はケースワーカーが担う必要があることから、新たな会議体は困窮制度上の支援会議とは別に生活保護独自の制度として設ける必要があるのではないかと考えております。
一方で、社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業については、被保護者を含む地域住民の支援ニーズに広く対応するための事業であることを踏まえると、新たな会議体を設置する代わりに重層事業の支援会議を活用することは可能と考えています。ただし、その際にはコーディネーターとしてのケースワーカーが議論を指導することができるよう留意する必要があるのではないかと考えています。
下の図でありますが、こちらは各会議の関係についてのイメージをお示ししたものです。
右のグレーで囲んだ部分ですが、高齢者、障害者、子どもや生活困窮者等を含めた地域生活課題を抱える地域住民とその世帯を対象に支援体制の整備を目的とする会議体として重層事業の支援会議を示したものでございます。
一方で、左側の横に伸びたそれぞれの長方形については、生活困窮者自立支援制度、介護保険制度、障害福祉制度や子ども施策といったそれぞれの制度ごとに設置・運用していることを示しております。
現在、同様の制度がない生活保護制度については、イメージの一番上の緑色の枠の部分でありますけれども、前回の部会で提案させていただきましたとおり、個別の会議を用意することが必要と考えております。
なお、留意点として、下の※書きのところでありますけれども、※1として、保護廃止が見込まれるものの、地域から孤立している等の一部事案では、保護廃止後に再び最低限の生活を維持することができなくなることがないよう、例外的に、現在被保護者であっても生活困窮者自立支援制度の支援会議による情報共有の対象となることがあること。
また、※2として、重層事業はあくまで任意事業であることを踏まえると、制度としては生活保護独自の会議体を設置する必要があるのではないかと考えていることを記載しております。
また、前回の部会では、困窮制度における支援会議の必須化あるいは努力義務化についても御議論いただきました。青枠で囲った部分でございます。困窮制度の支援会議についてもこの図でお示ししていますとおり、支援会議に代わって重層事業の支援会議を活用することは可能と考えております。しかし、こちらも繰り返しになりますが、重層事業は任意事業であることを踏まえると、引き続き困窮制度における支援会議の設置というものを促進していく必要があると考えております。
生活保護制度以外における支援に関する会議体の詳細については、次の5ページに参考としてお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
資料2については以上でありまして、続いて資料3、生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等についての説明をいたします。
2ページでありますが、【現状と課題】です。
生活困窮者自立支援制度では、本人の尊厳を保持した包括的かつ早期の支援と支援を通じた地域づくりという理念の下、生活全般にわたる包括的な支援に取り組んでまいりました。
包括的かつ早期の支援につきましては、自立相談支援事業を中核とした様々な他制度と連携することで、困窮者本人の状態像に応じたきめ細かい支援を実施してきました。他方、コロナ禍で相談者の抱える課題がより一層複雑化・複合化するとともに、個人事業主やフリーランス、外国人、若年層といった新たな相談者層が顕在化しています。
こうした困窮制度の考え方は、他の福祉分野や政策領域と考え方を合わせて「地域共生社会」として共通理念化され、この理念を実現するための一つの施策として重層的支援体制整備事業が創設されました。また、近年では、就職氷河期世代、孤独・孤立、ヤングケアラーといった特定の属性状況に着目した重点的な支援策も取りまとめられてきています。
生活困窮者支援を通じた地域づくりについては、法施行以来、生活困窮者が地域で孤立することなく、支える側に立つこともできるよう、各地で実践が図られてきました。
国としても、令和4年度より「生活困窮者支援等のための地域づくり事業」を実施しております。
【考え方】でございます。
困窮制度における包括的な支援の実践は、地域共生社会の実現や重層事業の重要な基盤となり得るものであり、これらの取組とより一層の連携を進めていくこと。コロナ禍で顕在化した新たな相談者層に対応するため、これまで連携してきた他制度以外の制度とも連携を進めるとともに、特定の属性・状況に着目した近年の支援策について、自立相談支援機関等が各種支援策の状況を把握し、それぞれの関係機関等にも困窮制度を周知することで、相互の支援や適切なつなぎに活用していくこと。
地域共生社会の実現に向けて、生活困窮者支援の観点からは、生活困窮者の地域における居場所づくりや社会参加を支援していくことが必要と考えております。
以上を踏まえ、【論点】に挙げていますとおり、生活困窮者が抱える課題の多様化・複雑化・複合化に対して、より効果的な支援を行うために、地域共生社会を実現する地域づくりに資する取組を推進するなど、関連施策との連携を強化することが必要ではないかといったことについて、特に御議論いただきたいと考えております。
資料の説明は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、2つ合わせて意見交換に入りたいと思います。
繰り返しで恐縮ですが、御意見、御質問につきましては簡潔にお願いできれば幸いでございます。
まず、オンライン参加の宮脇委員、岡部委員が御退席予定ということで、よろしければ先に御発言いただきたいのですが、宮脇委員、いかがでしょうか。
○宮脇委員 ありがとうございます。
私が申し上げたかったのは前半部分についてでございまして、手を挙げる機会が遅れまして申し訳ありませんでした。
まず最初に、被保護者の国保等への加入につきましては、資料1-2の4ページに記載してありますとおり、保険財政に与える影響等も大きいことから、全国町村会では従来から反対の意見を表明しているところでございます。
また、現場では、被保護者の健康管理と医療扶助は密接に関係しており、切り離せない面もあろうと考えておりまして、もし医療の部分だけが他部署に移るようなことがあれば、ケースワーカーは被保護者の健康状態の把握が困難となり、健康管理支援事業にも支障が出てくる可能性があると思っております。
いずれにいたしましても、後段に書いてございます、まずは以下の部分の健康管理支援事業の強化、あるいは都道府県による市町村への支援の強化は必要なことだと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。大変失礼いたしました。
それでは、岡部委員、いかがでしょうか。
○岡部委員 私のほうからは、2点です。
1点目。資料2にあります生活保護における会議体はぜひ設置を行うべきだという考え方です。それと併せて、お話にも出ましたように、生活保護の実施機関である福祉事務所のコーディネーター機能というものをより充実をさせることが連携を行う上で必要と考えます。
2点目。生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携について、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度は当然のこと、それ以外の関連領域との連携もより促進すべきであると考えます。事務局から出された考え方あるいは取組で進めていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、会場に戻りまして、会場の皆様から御発言をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 毎回先なので、構いませんか。すみません。
では、まず資料3の関連施策の連携のあり方についてですが、本日閣議決定されました新たな自殺総合対策大綱には、生活困窮者支援との連携強化など、多分野にわたって重なる施策は多くあります。自殺対策と困窮支援は特に親和性が高いことから、両制度が機能的連携を図れるよう、自治体に対して連携支援の具体策を示す事務連絡を発出して後押しするなど、様々な方策、そして、研修を積極的に推進することが必要だと思います。
次に、資料2の3ページの論点1つ目の黒ポツですが、困窮制度のこれら事業の中で、被保護者も支援できるようにすることについて賛成です。また、その場合、予算面のバックアップが不可欠だと思いますので、主な生活保護事業と同様に4分の3の国庫補助、また、国庫負担金をお願いできればと思います。
ただ、この件につきましては、本審議会においてこれらの事業を必須化する議論がある中で、生活困窮者支援制度においてこれら事業が必須になった場合であっても、生活保護においては任意事業のままで、困窮制度の事業として必須化された対象者に被保護者も支援対象者とするのか、それとも、生活保護の事業として困窮制度が必須化されたら必須化となるのか、ここをどのように整理して考えればよいのか教えていただければと思います。
3つ目の黒ポツですが、その下の4ページにある新たな会議体とのつながりがありますので、ここについてケースワーカーに聞くと、保護の会議ではケース診断会議、稼働能力判定会議はあるけれども、各機関との連携に関する会議体はないと言われました。生活保護もチーム支援することが求められる中、いつ誰が何をするという行動連携のための役割分担、支援方針の検討ができる会議体は必要だと思うのですが、新たな会議体の主な目的は「被保護者の援助に関する計画を作成する際の」と前書きがあるので、この目的に多角的にケース検討をするなど、連携強化を目的と入れる必要性があると思います。
そこで、この新たな会議体が困窮法9条の支援会議と合体して実施できるのか、また、社会福祉法の106条の支援会議の実施で可能とすると考えられるとありますので、その場合の支援会議の事務局の実際の運用を踏まえて整理いただければと思います。
最後に、やはり大事なのは生活保護と困窮が同じ理念を持って支援することだと考えますので、生活保護に生活困窮者自立支援法の基本理念と同様の自立支援に関する理念規定を設けることが必要ではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
1点確認がございましたね。お願いします。
○池上課長 保護課長の池上でございます。
御質問いただきました点ですけれども、今後、仮に制度の見直しが行われて、被保護者についても困窮制度の中で家計改善支援等をしていただくという場合に、事業はどこまでが必須になるのかというお尋ねかと思います。
今考えておりますのは、残念ながら、生活保護については被保護者に対する事業の実施率がそこまで高くありませんので、困窮のほうを使える状態になったとしても、保護のほうから必須として事業をやっていただくというところまでは考えておりません。保護のほうでそういった事業を行う必要があると考えていただいた自治体において、困窮制度を使いたいと思ったときには、そちらの制度を使えるような仕組みを考えていきたいと思ってございます。
○生水委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、いかがでしょうか。
では、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 先ほど生水委員がおっしゃった最後のところ、以前にも申し上げたのですけれども、生活保護と生活困窮者支援の自立の概念は一体同じなのかというところで、もちろん同じですよと言いたいところではあるのですが、やはり収入を得て経済的自立を主に考えている生活保護の対応と生活困窮者の支援であれば、収入に即つながらなくても社会参加やその人の自己肯定感を高めていくということを伴走しながらずっと支えていくという流れになります。「重なり合っていく」ときに、そこがつながらないと感じることが多い。大事にしてきたことが、生活保護にやっと経済的に支えられた瞬間から、今度はまた孤立が始まっていくとか、社会参加の場みたいなものが途切れて、今度は就労というような話になっていく。この一連のところがなかなか現場ではつながっていくような感じには思いにくいというのが一つです。
それから、生活保護はやはり申請主義ですし、困窮の場合は、思っているのはSOSを出せない人たちをどうやって地域の中から発見し、つないでいくかという部分が最も重要だと我々のところは思っているのですけれども、ここの部分で重要なのはアウトリーチであったり、地域の中からいろいろな課題を発見していくという機能だと思っているのです。しかし、生活保護と生活困窮が一体的に実施されると、本人が生活保護だけは絶対に嫌だと言ったときに、では困窮でどうぞという水際的な活用にされてしまう可能性がある。この辺のおそれをとても感じるところであります。
生活保護の中で支援会議がなかったという報告を聞き、私もまさかこんな感じだったのだと思って、ケースワーカーさん、ケース診断会議というもので、ケース会議そのものが仕組みの中になかったということ、支援を組み立てていく会議がなかったということは、ケースワーカーの個人にまかされていたということになり、今更ながらに、私たちが主催する会議にはいつも来ていただいていたので、そこはちょっと抜けていたなということで、この会議については即座に対応していただいて、ケースワーカーを支えていけるような形になればいいなと思います。
最後ですが、就労準備事業がいいのか、就労準備・社会参加事業がいいのか、言葉のことで、就労準備とか就労支援とかばかり言っていると、就労しかしていかぬというイメージになるので、ある自治体では就労支援・社会参加事業という名称を使っているというのもお聞きしましたので、全体の理念を合わせていくということであれば、そういうことも重要ではないかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
奥田委員、どうぞ。
○奥田委員 私もこの重なり合うというところを前提に考えましょうという方向でおおむね賛成なのですけれども、最初の前置きのところに書いている、生活保護のケースワーカーさんはコーディネートをする。これに当たるのが、生困によっては自立相談のところであるというところなのですが、要するに、両者はそういうことをしているのですよねということなのですけれども、この重なり合うときに、その下になると、いわゆる今の任意事業のところが生活保護でも重なって使えますよという文脈にすっと変わるのですけれども、大元の自立相談員とケースワーカーの関係がどうなるのかというのがよく分からない。
だから、コーディネーターが2人もいると面倒くさいしややこしいというのは当然のこととしても、しかし、重なっているのだけれども、実際にはケースワーカーさんがチョイスできる手段というかツールが増えますよというところは非常によく分かるのだけれども、本当の意味で切れ目がないとなってくると、コーディネーター同士がどう引き継いでいくのかというところが本当に切れ目がなく重なるという話なのではないのかなと私は思っていたのです。
だから、その部分に関して、全体を仕切るコーディネーターのところに関しては、ここまでが自立相談で、ここからがケースワーカーで、下のところの任意事業だけはつながって使えるというイメージなのか、自立相談員とケースワーカーの位置づけ、あるいは役割というものがどうなるのかというのをもうちょっと詳しくお聞きしたいというところでありました。
もう一つは、微妙な表現の違いなのですけれども、上のところには地域居住支援事業という今の事業名が書かれていて、下のところの地域移行に向けた居住支援事業というのは何か別のものを意味しているのか。私は参考人で呼んでいただいたときに、一時生活支援事業と居住支援事業をそれぞれチョイスしたほうがいいと。これは大本をひっくるめて居住支援事業というような大きな枠に変えたほうがいいということを提案させていただきましたけれども、いわゆる一時生活支援事業に当たるところも実は生活保護の窓口では相当必要なのではないか。つまり、今日の今日行くところがないよという人は保護の窓口にこそ来ているのではないかと。そうなると、地域居住支援事業の部分だけで本当にいいのかというのは、このテーマは次回かもしれませんけれども、もうちょっと厳密にしたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局に対しての質問かと思います。2点目も文言、表現についての確認という意味はあると思いますので、いかがでしょうか。お願いします。
○池上課長 御発言ありがとうございます。
まず1つ目、ケースワーカーの方と自立相談支援機関のコーディネート機能との関係についてのお話がございました。私どもが考えておりますのは、やはりケースワーカーの方がしっかり被保護世帯の状況を把握して、課題に向けての支援を調整していくという役割においては中心的な役割を担っていただくべきではないかなと考えておりますし、これまでの部会の中でもそういった御議論も多々あったかと思います。したがいまして、今回論点の3つ目でお示しさせていただいていますけれども、生困と生保はお一人の方で見たら切り替わっていくようなこともあると思うのですが、そういった場合にも支援が途切れることなく支援担当者同士で円滑に引き継ぎが実施されるようにすることについて、より強化を図っていかなければいけないのではないかなと考えてございます。
それから、地域居住の関係の用語に関しての御質問がございました。ここのところ、十分に場合分けができているわけでは必ずしもないのですけれども、下のほう、論点の1つ目で「地域移行に向けた居住支援事業について」と書かせていただいているのは、今、保護のほうでは予算事業で生困における地域居住支援事業と類似の事業自体はあるのですけれども、今回どういった形で法定化するかというところについてはまだクリアになっていない部分もありますので、こういうような記載ぶりとさせていただいております。
次回また居住支援の議論もありますので、引き続き御議論いただければと思っております。
以上です。
○菊池部会長 奥田委員、いかがでしょうか。
○奥田委員 時間がないところで申し訳ないですが、いわゆる従来言ってきた一時生活支援事業に当たる部分というのは、今おっしゃった保護のほうは移行支援事業の話をされたのだと思うのですけれども、それはそれとしてあるとして、保護というのは、多分というか基本的にはアパートを探してきなさい、自分で手続きしなさい、その分の一時扶助は出しますというのが保護の窓口の対応だったと思うのですけれども、今、極めて保護を申請している人たちの中で自分で保証人の確保や物件の確保、不動産屋さんとのやり取りが難しい人が出てきている。そうすると、ホームレスを対象としてやってきた自立支援センターなりホームレス支援センターなりが、もっと幅広にその日どう使うかというニーズに大きく展開せざるを得ないときが多分来る。例えば1週間そこにいて、1週間後にはアパートに移れますよと。まさにそこは移行支援事業と同じ枠なのですけれども、その手前のところまで想定しているのかというところが聞きたかったのです。今日の今日どうするのという話です。
○菊池部会長 いかがですか。
○池上課長 その点については、また次回までに整理できればと考えてございます。
○菊池部会長 ということで、次回本格的に議論させていただくということで宿題を出していただきました。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
まず、資料2の論点の1個目で、重なり合う支援に関しては非常に賛成です。本当にずっと言っている入りやすく出やすい生活保護につながるために生活困窮と滑らかにつないでいき、さらにそこから早く自立ができるようになるようになるといいなと思っています。
困窮子育て家庭は非常に厳しい状況が続いておりまして、コロナで減収された方でまだ収入が戻っていないという方が、私たちが支援している中でも5割に上っておりまして、物価高騰で非常に怯えていらっしゃる。この夏も電気代のために食費を削りましたという方がたくさんいて、冬これから寒くなったらどうしていくのかということに怯えていらっしゃるという状況で、そういう方たちは本来的には生活保護とかで少し落ち着くべきだと思うのですけれども、やはり非常に危機感があって、なかなか生活保護を積極的に受けにいかないという状況の中で、滑らかにつながるような仕組みができるといいなと思っております。
それに関連して、資料3の2ページにある考え方の1つ目で、コロナで顕在化した新たな相談者層に対して、他制度との連携を進めるとか関係機関等に困窮制度を周知するということも非常に重要だと思っておりまして、ヤングケアラーや孤独・孤立など、本当にみんな根っこは同じ、就職氷河期も、この方たちが親になっている場合には困窮であるという中で重要だと思っています。
その中で、特に子どもの貧困でいうと一人親家庭の貧困というのは非常に厳しいのですけれども、子どもの貧困というと、どうしても一人親家庭で子ども家庭部とかそちらのほうに行って相談を受けて、そこであまり何もないと終わってしまう。受けられるのは児童扶養手当ですねとか、そういうふうなことで、それ以外のところにつながっていない方が非常に多いという印象を受けています。なので、児童扶養手当と児童手当で、やりくりできていないのですけれども、収入がほぼそれしかないみたいな方たちがいらっしゃる中で、そういう方たちが滑らかに生活困窮の自立支援につながって、さらに必要があれば生活保護に行けるようになるといいと思います。
もう一つの大きな問題としては、二人親の貧困家庭の御家庭が助けを求めるということがすごくしづらい。一人親であれば行政の窓口があるので、そこに行くということができるのですけれども、現在だと二人親家庭の方たちがすごく苦しんでいるのだけれども、なかなか助けを求めないでいるということもあるので、この制度が周知されて、ほかにもずっと出ていますが、若い方ですとか、今までの対象でない方たちでも制度を利用したほうがいい方たちはたくさんいらっしゃると思うので、ぜひこの制度をたくさんの方が利用できるようになっていくといいのかなと思います。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
五石委員、いかがですか。
○五石委員 ありがとうございます。
3点ほどございます。
まず1点目、先ほど勝部委員と生水委員がおっしゃられていた理念の件ですが、本日の資料2の2ページの3つ目のポツに「自立の概念や本人の自立に向けた支援といった共通の基盤を有している」と書かれています。やはり、ここに疑問があったために、論点整理の頃から論点として出されていると思います。
論点整理の際に申し上げたのですけれども、生保の自立支援がどうも就労支援に偏っているのではないか。本部会でもデータを見させていただきました。それらをふまえれば、理念の共有化を法に書き込むべきではないか。生困の特に第2条で尊厳の保持、個別の状況に応じた包括的、早期の支援といったところを確認しておく必要があるのではないかと思います。
それから、2点目ですが、これは本日の論点にはなっていないのですが、生活保護の会議を改めて設ける点は賛成ですが、ただ一方で懸念されるのが、例えばある利用者の方の会議をする際に、重層の支援会議もやり、生保の支援会議もやりということになるのか。本部会では業務削減が課題のひとつになっていますが、その点からいってもあまりたくさん会議体を設けるということは考えるべきではないかと思いました。
それから、3つ目が、先ほど渡辺委員から、両親がいる世帯の人たちに利用されていないというお話があったのですが、昨年度、内閣府が公表している子どもの生活状況調査の分析というのがありまして、それによりますと、等価世帯収入が中央値の2分の1未満の世帯、いわゆる相対的貧困層なのですけれども、この人たちで生活困窮者自立支援相談窓口を利用したことがない人が97.3%だったということです。ほとんどの方が利用されていません。これは資料3の論点のほうに関係しますが、ユーザーのインターフェース、利用者の側から見た利用しやすさを考えたほうがいいのではないかと思います。
その一つのアイデアとして、孤独・孤立や就職氷河期、ヤングケアラー等といろいろな補助事業がございますが、これを一括交付金化して、自治体が創意工夫を生かしやすいような制度にしたほうが、生活困窮者自立支援の支援のあり方で地域の創意工夫を促すのだという理念からしても、よりいいのではないかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局からどうぞ。
○池上課長 御質問をいただいたかと思いますので、重層と生活保護の会議の関係でございます。資料でも少し出させていただきましたけれども、生活保護の会議を置くのに代えて重層の支援会議を御活用いただくということはあり得るかと思っております。したがいまして、今後の制度設計の中での検討事項にはなりますけれども、自治体判断で生活保護の方については重層の支援会議できちんとこなしていく。その際には、ケースワーカーが議論を主導していくような形で適切に運営するということであれば、重層のほうだけでやっていただくということは十分あり得るのかなと思ってございます。
○五石委員 分かりました。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
1点確認させていただきたいのですけれども、五石委員の1点目について、問題にされているのは、理念や概念そのものを整理し直したほうがいいということなのか、それとも立てられている理念を運用上きちんと適切に反映した運用がされていないのではないかということなのか、その辺は。
○五石委員 両方だと思っておりまして、確かに実態が伴っていないのではないかということと、もう一つは生活保護に生活困窮者自立支援をもし一体的に実施するのであれば、理念の共有化を法律として書き込むべきではないかと思います。
○菊池部会長 分かりました。ありがとうございます。
それでは、どうぞ。
○生水委員 今、課長からお話があった件について質問させていただきたいのですが、重層のほうの支援会議についてなのですけれども、福祉事務所未設置自治体が重層支援を行って支援会議を行う場合、例えば県のケースワーカーを呼んで、それを新たな会議体として実施することは可能という考え方でよろしいでしょうか。ちょっとややこしくて申し訳ないです。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○池上課長 様々なケースについては、今後整理を進めていきたいと考えてございます。
○菊池部会長 よろしいですか。
それでは、オンライン参加の皆様からも御意見をいただきたいと思いますが、先ほど岡部委員から一瞬手が挙がったように見えたのですが、御退室になられるということで、何か追加でありますか。
○岡部委員 勝部委員など各委員の御意見に関してです。自立の考え方は、生活保護制度においても社会福祉法をベースに自立の考え方を採用しています。生活保護法、生活困窮者支援法、それ以外の法律でも自立の考え方には違いはないと考えます。
また、生活保護法は申請主義を原則としていますが、職権でも行いますので、アウトリーチを行うことは法的には可能ですし、またそういう運用を行う実施機関もあります。
また、就労支援については、これは部会長の菊池先生がお詳しいと思いますが、例えば障害者の就労支援について、障害者総合支援法と障害者雇用促進法にて、極めて丁寧に就労支援が行われています。生活保護においても、これは大いに参考になります。就労支援の実際は就労自立(経済的自立)を絶対行わなければならないというわけではなく、社会的活動などの社会参加であったり、その人の状態に合わせて就労支援や社会参加を行っています。これは、それぞれの実施機関がそれぞれ柔軟に工夫して行っています。私自身としては、部会長が障害者の雇用について何かお話をしていただくと有り難いと思います。
それと、一時生活支援事業と生活保護の関係ですが、基本的には、資源の問題は別にして、考え方としては、要保護者が判断をしてここの場という意向を示すことで、実施機関がここでなければならないという考え方を取っていません。ただし、資源が十分でないというときには、選択肢としてお示ししていることはあると思います。この点については改めてそういうラウンドがあると思いますので、また私自身もそこで意見を述べさせていただきたいと思っております。
退出するなかで大変申し訳なく思っていますが、このことを改めて述べさせていただきたい。これは先ほど部会長の菊池先生に投げかけられた形になりましたが、生活保護の自立は考え方としては同じであると考えていただければと思います。就労についても同じだと思います。運用がどうされているかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど五石委員にお尋ねしたことへの岡部委員からの御見解でもあると受け止めました。私の問題意識に関するものでもあったので、五石委員に御質問させていただいたのです。まさに法律の解釈の問題でもあるので。ただ、いまの時点でここはこうであるという見解は、私としては。
○岡部委員 またおっしゃっていただければと思います。
○菊池部会長 自立の概念自体が整理されているかどうかという点については、私も自立の概念そのものは法律によって違わないと考えるのですが、ただ、自立支援という捉え方は違うかもしれないなと思うのですけれども。
○岡部委員 オートノミー(自律)とインディペンデンス(自立)の考え方を一体的に自立と言っていると捉えてよいと考えます。
○菊池部会長 あと、前の部会でも申し上げました生活保護における自立は、すごく解釈に開かれている。裁判例がかなり蓄積されている部分もあり、そこに法律で生活保護における自立はこうだというのを書き込むのは、やはりそれなりに検討した上でないと難しいかなとは思っていますけれども、これ以上はすみません。
○岡部委員 私は社会福祉法のサービスの理念は、ノーマライゼーションの考え方をベースにしていると思いますので、開かれた捉え方をしているのではないかと考えます。それに合わせて3つの自立が出てきた経緯があります。その前に小山進次郎先生の自立の解釈があると考えます。これぐらいにさせていただきます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
本当はこれは五石先生も含めて時間をかけて議論しなくてはいけませんが、今日のところはこの辺にさせていただいて。
○岡部委員 いろいろ発言し申し訳ありませんでした。
○菊池部会長 いえ、ありがとうございます。
それから、障害者の福祉と雇用の連携については、これも画期的であると思われますけれども、雇用部局と福祉部局が連携して、検討会からずっとやってきて、検討会は駒村座長の下で行われましたけれども、法案の閣議決定はまだですか。
○川又局長 今日です。
○菊池部会長 今日ですね。
なので、中身は固まっているので、参考資料として次回にでもそれを配付させていただいてもいいのかなと。概略を御説明させていただいて、私というわけではなく事務局から御説明いただいてもいいのかなと思いますので、障害分野ではありますが、困窮とも実態的には重なっている部分が多々あると思いますので。
○岡部委員 大いに参考になる文書であると考えます。
○菊池部会長 ありがとうございます。その方向で検討させていただきます。事務局と相談させていただきます。ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。朝比奈です。
まず、生活困窮者制度と生活保護の連携のあり方についての資料3ページの論点の1つ目です。生活困窮者向けの就労準備等の事業の中で被保護者も支援できるようにするということについては賛成です。いきなり委託事業の設計をするということについて自治体のハードルが高いのであれば、まずは数件でも効果を出していく。それを基に予算獲得を図っていくということが現実的であるし、もしこの話の中でこれができるのであれば、生困事業の就労準備や家計改善等未実施の自治体もこうしたアクションの枠組みを使って、まずは1件でも2件でも増やしていくということで、その事業全体を広げていく戦略が取れるのではないかと。もともと支援調整会議での事業の支給決定というのは、事業ありきではなく、本人のニーズの中で決められるものだと思っておりましたので、事業未実施のところで支給が出ないというのはおかしな話だなと思っておりましたし、例えば1件いくらという形で費用の足し方ができるのであれば、例えば就労準備等の事業のあり方ももっと多様性を持って展開できるのではないかと思っております。それは今回の論点と外れるかもしれませんが、ぜひ進めていただきたいと思います。
2点目、生活保護の制度の中でいわゆる処遇方針等を決める会議をつくるのはどうかということについて、先ほど勝部委員もおっしゃっていましたが、そうか、今までなかったのだということに非常に新鮮に驚いています。これだけ歴史のある制度の中でそれがなかったということは、制度の市の考え方、積み上げてきた精神の中の立てつけがそうはなっていないということだと思いますので、単純に会議をつくればいいという話でもないかなということと、全体の中でどうするか、生活保護の所管課だけで決める話ではないのではないかなとも思いました。
3点目、最後ですけれども、地域共生社会の仕組みとか取組の中で、生活困窮の制度がどうなるかというのは極めて重要であると私自身は感じておりますが、例えば他地域も含めて転々とする方について横の連携をとる中で、各地の対象者像など、かなり幅があるということも実感しています。社会的孤立にも目を向けて、どれぐらい私たちがアウトリーチしていけるかということが問われているのですが、一方、生活困窮の事業だけが広がっていくということにも疑問を持っています。例えば高齢者の地域包括ケアの中で自立高齢者の就労支援ということがどれだけ取り上げられていくかとか、障害がありながらも手帳を取る機会を得ることのなかった人たちですとか、政策的には非常に乏しい10代後半の子どもたちのことをどうするかとか、それぞれの領域が重なり合いながら、全体としてどういう組み立てていくかという視点が非常に重要で、そこを誰がどこでどういうふうにハンドリングしていくのかということについても問題意識を持っております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
指摘したい部分を絞っています。資料3の2ページです。重層的支援体制についてですけれども、「これまで連携した他制度以外の制度とともに」とか「関連施策との連携を強化する」と出ていて、地域共生社会をつくるために重層的支援体制というのは非常に重要なコンテンツになる。ただ、なかなかまだ普及していない。これをどう使えるのかというのはいろいろ自治体もまだ悩んでいるのかなと思います。
これは事務局に事前に確認させていただいた点ですけれども、消費者庁とも確認していますけれども、消費者安全法の見守りネットワーク、これは生水さんが極めて詳しいわけですが、この仕組みと重層を連携的に使うということを厚労省は通知しているのではないかと思います。成年後見センターのほうで金融機関等が持っているお困りごとの情報を自治体や福祉団体と共有するために当初は重層を検討したようなのですけれども、まだ重層は始まっていなかったので、代わりに消費者安全法の11条を使ったという話も聞いておりまして、これはいろいろな使い方ができるはずなのです。したがって、せっかく既に連携通知を出していると思いますので、いろいろな使い方があるということをぜひこういう場で御紹介されたほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
生水委員の名前が出ましたが、何か。
○生水委員 駒村委員、ありがとうございます。
消費者庁が所管する消費者安全法という個人情報の共有ができる仕組みを地域づくりに活用するというやり方なのです。駒村先生が非常に関心を持ってくださって、今、いろいろなところでPRしてくださっているので、また何か機会がありましたら、ちょっとだけお話しさせていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど言い忘れましたが、障害者総合支援法、雇用促進法の改正法案も閣議決定されたということですが、先ほど生水委員から自殺対策に関しても閣議決定されたということで、これも困窮に大いに関わるので、この資料も用意していただくといいかなと思いました。
それでは、お待たせしました。佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
私から3点ほど意見を述べたいと思います。
まず議題(2)、資料2の4ページについて、福祉事務所の関係機関との連携が重要ですが、前回も述べたとおり、会議の開催に伴うケースワーカーの事務負担の増加により、支援の質を落としてはならないと考えます。協議内容やメンバーが重複する似たような会議との統合など、効率化している自治体の好事例があれば横展開し、地域の実情を踏まえて、会議の整理を進めるべきと考えます。
2点目が3ページの論点の1つ目です。生活困窮者向けの事業で被保護者も支援できるようにすることに異論はございませんが、生活困窮者向けのこういった事業が委託で指定管理となっているところがあります。そういったところでは、そこで実際に支援に携わる人が不安定な雇用環境にあるといった声を聞いております。地方自治のことではありますが、課題として挙げておきたいと思っております。
それから、議題(3)の2ページの論点について、生活困窮者が抱える課題の多様化などに対応するため、関連施策との連携を強化するとありますが、国レベルにおける関係部局間の連携強化も必要だと考えます。また、繰り返しになりますが、支援機関が課題の多様化などに対応するためには、人員体制を拡充する必要があり、そのための国の財政支援もお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
和田参考人、お願いします。
○和田参考人 議題(2)についてでございます。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携について、生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業等の中で被保護者を対象とする場合には、自立相談機関の人員体制の整備が必須だと考えております。また、連携する上で、両制度を実施する実施機関がお互いの制度を理解するための研修制度の確立やマニュアルの整備等が重要だと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
生困と生活保護連携の現状として、資料にもありましたように、生困から生活保護というのは圧倒的に多いわけなのです。先ほど奥田委員ちょっとお話しされていましたが、現状の生困の人材や体制上の問題を考えましても、生困から生活保護を連携した場合、ある一定の規定というのですか、一つは生活保護を申請した時点なのか、また、受給の決定が分かったときなのか。もう一つは生困での継続支援が落ち着いたときなのか。ある程度、3つぐらいの起点があるかと思うのですが、やはりここは一つのルールとして、どこかの時点で生活保護に引き継ぐというようなルールづくりをしておいたほうがいいのではないかなと。利用者からしても、2人のコーディネーターに会うのは大変難しくなっていると思うので、どこかの時点で引き継ぐルールというか、それはある程度国が示しておいたほうがいいのではないかなと思っております。
もう一点は、(1)の医療扶助の点で、お時間がなかったので言い漏らしましたが、精神障害者の長期入院者の地域移行、場所づくりというような話も出ておりました。宣伝になりますが、生活保護の救護施設を利用されている方1万8000のうちの7割弱は精神障害者の方でございます。また今後とも委員の先生方、よろしく御承知おきいただきたいなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
池永委員、どうぞ。
○池永委員 全民児連の池永でございます。
地域で生じている様々な課題に対応していくために、関連施策との連携強化は民生委員としてもぜひ進めていただきたいと考えております。
その際、お願いしたいことを2点申し上げます。
1点目は、施策に関わる関係機関や専門職が多くなる中で、それぞれがどのような役割を担っているのか、お互いが分かるような取組も呼びかけていただきたいと思います。ふだん民生委員と関わる機会があまりない方々は民生委員の役割を知らなかったり、逆に民生委員も、関係機関が多くなると連携する相手の役割や活動内容が分からないこともあるかと思います。住民への制度周知に限らず、関係者同士もお互いに理解が深まり、顔の見える関係となれば、より効果的な支援につながると思いますので、ぜひ国からも引き続き理解促進に向けた取組をお願いしたいと思います。
2点目です。新制度や連携を進めていくことで、関係機関、相談先が多くなることはありがたいのですが、課題が複合するケースでのつなぎ先など、現場の民生委員にも分かりやすい周知をお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。
決してちゃぶ台返しをするような意図ではないのですけれども、今までの議論を踏まえていきますと、そもそも生活保護法と自立支援法が別の法律である必要性、必然性というのはあまり感じられなくなってきているなと思っております。自立の概念についても、法律の文言がどう書いてあるかはともかくとして、学問的蓄積や実践的な蓄積で言えば、既に事実の概念というのは共通化していると言えますし、また、生活保護法でケースワーカーがコーディネート機能も担っていく。生困のほうでは自立相談支援機関がコーディネート機能を担っていく。コーディネートということについても、クライアントの立場から見れば、私のニーズにふさわしいサービスはどこにどんなふうにあるのかということを提供してくれるコンシェルジュであるし、様々なサービス、支援活動をされている諸々の機関から見れば、オーケストラのコンダクター(指揮者)のように、一人一人のクライアントに対する自分たちのサービス、支援をどういうふうにコンダクト(調整、指揮)していくのかということ。ですから、基本的には保護法で固有のものというのは、実は保護費の受給要件を満たしているか、満たしていないかということしか違いがなくなってきているのだろうと思います。
そういうことを考えると、新しい会議体についても、法律が違う以上、別の会議体ということにならざるを得ないのかもしれませんけれども、会議体は確かに必要だと思いますが、極力一体的に運用ができるようにする。あるいは双方の法律にみなし規定で一体的に運用できるようにするとか、いろいろやり方はあるのかもしれませんけれども、一体的にやっていくということが必要なのではないかなと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。
生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方についてということで、委員の皆さんからたくさん御意見が出ているところで、今日の考え方の中でも、ケースワーク業務においてケースワーカーによる各種利用に向けたコーディネートとはっきりと明記されていることは、私は非常に画期的なことというか、ケースワーカーにコーディネーターとしての役割が求められるということが明記されたということは、その前提として当然利用できるサービスをきちんと整えていくですとか、コーディネートを発揮していくだけの力量というのが今後ケースワーカーにより一層求められていくということになると、そういったところの人材や社会資源をきちんと開発、利用していくということが前提であるということとして捉えていますので、そういったコーディネーターとしての役割というのを、今後より一層突き詰めて充実させていく必要があるのかなと思いながら意見を伺っておりました。
2点目として、新しい会議体ということで、先ほど来御意見が出ておりますが、設置するということで私も賛成はしておりますが、こういった会議体の中で、先ほど出ていました長期入院の課題ですとか、そういったものについてきちんと取り組んでいくですとか、先ほど来出ている引き継ぎ、重なり合う支援というところで言うと、そういった支援会議や会議体の中でそういった引き継ぎを丁寧にやっていくといったところも、今後より具体的なところも含めて運用、かなり難しい会議になっていくのかなという想定もしていますので、しっかりとした実効性のある検討を進めていっていただければなと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
新保部会長代理、何かあればお願いします。
○新保部会長代理 ありがとうございます。
資料2の「生活困窮者自立支援制度と生活保護の制度の連携のあり方について」の3ページの論点の3つについては賛成いたします。これらは、ぜひ要保護者、要保護世帯の方たちへの支援を充実させるという観点で進めていく必要があると思います。
一方で、今日の議論の中でも、生活保護の法制度の本来の在あり方と運用の乖離ということについては、とても深刻に受け止めておりました。なぜそのような乖離が生じているのかということをまずは丁寧に検証する必要があるのかなと思ったところです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 今の新保先生のことに関連してですけれども、先ほど浦野委員も、法的な考え方であれば一緒で、アウトリーチだってできて、生活保護は職権で、いろいろ困っている人たちのことを把握できる、いわゆるSOSを出せないところまで行けるのだということをおっしゃっておられたのですけれども、目からうろこというか、そうだったのですかというのが現場の感覚です。今の運用の問題でいくと、それだったらば、「入りにくくて出にくい」という生活保護の今の実態にはなっていないはずでありますし、今回、生困ができたことで多くの人たちが生活保護につながっていったという事例を考えますと、今、この時点で、この部会の中で一体的でいいということはどう考えても言い難いというか、むしろ生活保護が本来の法的な指針に沿えなかったこと、今、先生がおっしゃったようなことがなぜなのかということとか、どうしてそういうことをやってこられなかったかということについても、またきちんと検証していただかないと、それだったらそもそも生活困窮者は要らなかったのですかという話になってきますし、そこはおかしいことになるという気がしています。
少なくとも、今回、コロナ禍もありましたけれども、こういう制度で多くの人を支え続けていくということができた。それから、多分その人たちは生活保護にはつながらなかったという実態もある中で、ここをどう評価していくかということもあわせて、重なり合うは一気に全部重ねるということではなくて、つなげていくというところの議論の中ででもう少ししっかりと検証することが大事ではないかなと思いました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、どうぞ。
○奥田委員 私も賛成で、私はざくっとした言い方しかできないのですけれども、基本的にはいろいろあったほうがいい。だから、一元化していくのではなくて、グラデーションがあって、しかも、それが理念とか本質的には非常に同じところに立たないと、例えば当事者の尊厳ということに関しては同じところに立たないといけないというのは当たり前のことなのです。でも、その手法というか切り口のところとかステージのところに関しては、やはり私は多面があったほうがいいと。だから、私は前から何回も言っていますけれども、ワンストップというのはいい面もあるけれども、非常に危ない。そこでアウトだったら全てがアウトになってしまうということなので、この制度の違いというもののよさはどこにあるのかという点を逆にきちんと押さえたほうがいいだろうと。手前とか後とかというだけの話ではなくて、何が違うのかという話です。
それが一つと、次回のことにもなるのですが、また次回言いますけれども、生活保護の担当の方と自立相談の担当の方で、居住支援についてはきちんと研修の仕組みをつくらないと、それはなぜかというと、この分野に関しては厚労省で収まらない議論になってくるから、国交省の動きとかその政策等をちゃんと理解できないと、せっかくあっても使えないという話になるので、ここは、生困のほうにおいても、保護のケースワーカーさんの研修においても、居住支援という項目はきちんと立てるという方向で考えていただきたい。
3つ目が、前々回ですかね。若者の支援の皆さんが来られたときに、ここでは関連施策との連携のあり方等について周知が必要だと書かれているので、全くそのとおりなのです。制度ごとで縦割りになってよく分かっていないというのはあるのだけれども、一番の問題は、困っている人たちとか、それを支援しているNPOとかが生活困窮者自立支援制度のことを知らない。この周知ということに関しては、この議論の中でどこかできちんと時間をとって、どんなにいい制度をつくっても知らなかったら使いようがないわけですから、困っている人たちにちゃんと情報が届くためにはどうしたらいいのかというのは、次回、次々回辺り、どこかで時間をとっていただきたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
生水委員、どうぞ。
○生水委員 奥田さん、今、お話しされて、すぐにリクエストして申し訳ないのですけれども、重なり合う支援というキーワードが出ていて、このキーワードはいろいろな捉え方があると伺っています。先日、奥田さんのほうから、この重なる支援については生活困窮支援のできることを増やすのだというようなお話を伺ってなるほどなと思ったのですが、いま一度、ここで重なり合う支援というのはどう考えていくのか。このキーワードが独り歩きしないように押さえていくことが必要なのかなと思うので、奥田さんにお話しいただければと。すみません。
○奥田委員 それはまた整理してからと思うのですけれども、前回、2018年には孤立という概念が入った。今回はこの重なり合うというところが、前回までは生活保護と生困の話はそれぞれ両立てな感じがしたのですけれども、今回次にクロスし始めるということで、ここは大きなポイントだったと思うのです。ですから、確かにさっきのコーディネーターが2人いるというのは面倒くさいのだけれども、でも、例えばのイメージとして、生困から入ってきて生活保護に引き継がれて生困に戻っていくというのだったら、これはトータルにどう見ていくのかという視点を持たないと、プレイヤーが変わってそれを引き継いでいきますというのもよく分かるけれども、多分ここを見ている人は、この先の2つのステージの違いも見て、大きなプランを本人としゃべっていかないといかぬと思うのです。そのときは生活保護が前提になっているステージになるから、私はコーディネーターが2人になると混乱するのは当然のことだと思うけれども、しかし、その中でなおかつ「重なり合う」とは何を意味しているのかというのはもう少しやらないと、前まで言っていた「切れ目のない」という言葉遣いと「重なり合う」という言葉遣いは何が違うのかというのは押さえたほうがいいというのはおっしゃるとおりだと思います。
もう一つ、根本問題として、すまこま。をやっているのです。住まいの困りごと相談。一概に乱暴な言い方をするといけないのですが、正直、お住まいの相談が全国からわーっと来て、出先は自立相談につなぐというのが住まいの困りごと相談の基本的なスタイルなのです。けれども、正直断らない相談事業所にはなっていないケースが結構ある。だから、今回、本当は「断らない」というのは前回の18年のときに一番盛り上がった言葉の一つなのです。勝部さん、断らないってバーンアウトするのではないかみたいな話もやったでしょう。
けれども、本気で断らない相談、例えばSDGsの言うところの一人も取り残さない、あるいは僕は「取り残さない」という言葉が嫌いで、「取り残されない社会」だろうと思うのです。全員が受け身にならないといけない。誰かが誰かを助けるというのではなくて、例えば今回の改正で、現状、エビデンスベースという話もありましたけれども、それは生活保護だけではなくて、生困においてエビデンスベースで言うのだったら、実際に断っている相談があるのだとしたら、私は実際に振って断られたというケースは結構あるので、特に居住に関しては一々やっていませんからできませんと言ってしまう。
だから、断らないという世界を本気でつくるのかという話とか、重なるとはどういう意味なのかとか、あるいは前回議論した「断らない」ということに関しては全て解決するというだけの前提でしゃべるとバーンアウトしますよねと。だから、孤独・孤立という概念も入れた上で、つながる支援、伴走型支援という考え方が必要です。これは2018年でしゃべっているわけです。にもかかわらず、断っているという現実が一方であるとするならば、本気で断らない相談とは何をすることなのかというのはもうちょっと膝詰めで時間かけて議論しないと、何となく今回議題が多いなというか、すごく時間がさーっと流れていくので、重なり合うとか大事な概念が出ているので、もうちょっと時間をかけて議論したいというのが本音です。
○菊池部会長 勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 私も続けてすみません。
断らない相談というのは、前回の法改正で本当にそういう話が出て、それが今度重層的支援体制へとすすみ、これまで困窮のところで断らない。もちろん生活保護だって断らないはずなのですけれども、そこから考えて考えて、その人と一緒に悩みながら進んでいくという伴走型みたいな話も出てきていたと思っています。私は「重なり合う」のイメージは、社会的孤立をしていた人たちが生活保護で経済的なところで支えられたとしても、本当にどうしようかと悩んだときにつながった人がそのまま伴走し続けていけるという重なりは残ったほうがいい、人間関係が貧困なのだから、そこで出会った人たちがお金をどう使うかとか、仕事をどうするかというだけが人間の悩みではないのです。電子レンジが壊れたとか、本当に日々のちょっとしたことの困りごとについても、それを全部が全部生活保護のワーカーがコーディネートするのかというときに、こんな話はこの人に聞いてほしいなと思う関係性が残っていくのは決して悪いことでもないと思いますし、そのことを共有するという前提で本人をサポートしていくということが続いていくことは、本人にとって今まで孤立していたところからさらに、少しずつですけれどもいろいろな関係性の中で自分が自分であっていいということを思いながら生きていくということにつながっていくのだろうと思います。そういうイメージではあったのですけれども、制度そのものを重ねてしまうという方向になっていくのはおかしい。それから、今、奥田さんが言われたように、生活困窮者自立支援制度そのものの今回のありようのところでいうと、やはり自治体の格差がかなりあるということです。自治体によって取り組み方の格差が相当あって、同じ名前だけれどもやっていることが違う。ひきこもりの人がいるから訪問してくださいと言っても、うちはアウトリーチしていませんが通ってしまうということ自体が、これは生活保護と困窮の違いを語っていますけれども、生活困窮の中身も物すごくバリエーションがあるというのは非常に課題が多いというところで、ここの質の統一とか質を高めていくということも大きな課題で、そこがまず取り込まないといけないところの一つだろうなと思います。
○菊池部会長 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 私は奥田委員の周知の問題はすごく重要だと思っております。今、大変な中でいろいろなところから聞こえてくるのは、先日お会いしたフードパントリー、子ども食堂をやっていたところが今はフードパントリーに変わっているということで、コロナ以後ずっとやっているのだけれども、本当に物価高騰で大変になって、ずっと支援していた一人親のお母さんが、私もいよいよ大変なので精神の手帳を取りましたみたいなことで、物すごくメンタルを悪くされて駄目になっている方が多い、増えているというお話でした。
本当はそうなる前に支えられたはずなのに、結局その方は時々フードパントリーで食品を受けるぐらいしか支援につながっていなかった中で、健康を崩されてしまっているということで、当然そこにお子さんもいらっしゃるので、非常に大変だなと思いますし、例えば先日は中学生のお子さんがこれはどうやったら利用できるのですかと聞きにきたと。どうしたのと言ったら、下にごきょうだいがすごくたくさんいて、今、大変なので、食べるものを頂ければということで来たということなのです。その方たちも生活困窮、自立の事業とかを知らないので、行政に相談に行けばいいよみたいなことではつないでいらっしゃらないという中で、本当はもっともっとつながって支えられるべき人が行っていないですし、支援する方たち自体にこの制度が知られていない。さらに、行政の窓口に行っても、お子さんがいると、一人親だったらこちらとか、二人親だと就学援助ぐらいしかない中で、子どもだとどうしてもというところになってしまう中で、そうではないのだということが伝わって、一番必要な人が使えるようになるにはどうするのかという意味で、本当に周知の問題は重要だなと思います。
以上です。
○菊池部会長 オンライン参加の方もお手を挙げていただければ、こちらから指名させていただきますので、随時お手をお挙げください。今、フリートーキングというか、時間がございますので、自由に御発言いただいています。
生水委員、どうぞ。
○生水委員 何度も申し訳ないです。
今の皆さんのお話を伺うと、どうすれば支援につなげることができるのかという周知等の問題と、勝部さんがおっしゃったように、たとえつながっても断る窓口であったら、二度とその方には信用していただけない。この2つの問題だと思うのです。
今日、新たな会議で支援会議の話もありましたが、今の9条の支援会議でさえ、4割に満たない設置ですよね。こんな情けない状態の中で、格差なく相談窓口がしっかりと支援を行っていけるようにするにはどうすればいいかということもしっかり考えていかなくてはいけない。だから、制度改正の問題もあるけれども、今ある制度をどうすれば全国の皆さんにちゃんとお届けして、信頼を持って御相談いただけて、生活支援につなげていけるかをど真剣に考えていくことが必要だろうと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
五石委員、どうぞ。
○五石委員 ありがとうございます。
先ほどの自立の話に戻るのですが、勝部委員がおっしゃったとおり、実態として、自立支援というのが就労支援による保護の廃止、あるいは、保護費の抑制に専ら目的が定められてきたという運営があったと思います。この部会でも、櫛部さんが釧路の実践を話されたときに、全国と他の地域とかなり違いますねというお話があったかと思います。櫛部さんは、かけがえのない私の回復、かけがえのない私を取り戻すことだとおっしゃったと思います。それと、いわゆる就労自立支援の理念がやはり合致していないということなのではないかと思います。もし櫛部さんのプログラムの理念を今後普及させていくのであれば、それは運用レベルではなくて、むしろ政策の転換を意味するのではないかと思うので、そこははっきりさせるために、法律に書きこんだほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
オンライン参加の皆様から何かございませんでしょうか。
ほかに会場の方からでも。よろしいですか。
勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 9月末でコロナ特例の貸付けが終わりました。まだ毎日のようにどうしたらいいかという相談があふれている状況が続いております。これに対する代替案をどうするのかということについてもまだ示されていませんし、1月からは返済ということで、返済猶予のいろいろな手続が続いていますけれども、これについても、本当に10年間以上返し続けさせていくのかという現場として彼ら、彼女たちを裏切ってしまったような、背負わせてしまったような強い思いがありますので、ここに関しては、今日のお話と直接ではありませんけれども、困窮者支援の現場はずっとここを背負っていくことになりますので、どうすれば支援を受けた方々、コロナという特別な状況の中で苦しんだ人たちが立ち直っていけることになるのかと。それの足かせになるような貸付けであってはいけないと思いますので、ここも今日の話とは直接は違いますけれども、ぜひお考えいただきたいということを現場の一人として切に言いたいなと思います。時間が余ってありがたかったと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
正規の予定時間が間もなく参ろうとしております。延長線も覚悟はしておったのですが、無理やり引っ張る必要もないと。遠方からいらしている方もいらっしゃいますので、この辺で締めさせていただきます。
様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。事務局にもいろいろ宿題が投げかけられたかと思います。
最後のほうで、やはり周知の必要性、重要性と。これをどうするのか、少し議論したほうがいいのではないかという御意見もありましたし、少なくとも主管課としてこれをどう進めようとしているかというような何らかのレスポンスがあったほうがいいのではないかなと思っておりますが、それも事務局と御相談させていただければと思います。
また、重なり合う支援というのは、法令用語ではなく、情緒的というか文学的な表現かなと思いますが、しかし、これも具体的に制度の適用の可否がそこで決まってくるとか、連携の範囲がそこで決まってくるということになれば、重なり合うというのはどういうことかというのをしっかり共通了解を取っておく必要があると思いますし、また、がちがちに縛ることで現場的には裁量がなくなるというのもまたどうかという面もあると思います。ある程度のりしろというか伸びしろというものもつける必要があるのかもしれませんし、ただ、いずれにせよ、もう少し深める必要があるのではないかと。そこも重く受け止める必要があるのかなと思いました。
どうしても短い時間で、少し時間を延長させていただいていますが、そこをどこまで深められるかという課題であると思います。私自身にも課せられていると思いますので、そこも事務局と調整をさせていただきたいと思います。
また、居住支援については全世代型社会保障構築会議で議論していますが、今、3つのワーキングで議論がされていて、それは子ども・子育て、医療・介護、勤労者皆保険というテーマなので、中間まとめの中には住まい支援は入っていたと認識しているのですが、今、その議論がどこに行くのか、どうなるのかというのは、私、委員ですけれども、私も分からない面があって、ただ、こちらではまさに居住支援の議論をしているので、その辺も次回議論になるということも踏まえて、全社会議の議論と折り合いをつけていくのか、いかないのかという辺りも、なかなか厚労省では決められない話ではあるわけですが、そこはもう少し事務局と議論というか話をしていきたいと思っております。そんなところです。
あとは皆様から何かよろしいでしょうか。
生水委員、どうぞ。
○生水委員 この機会に、先ほど勝部さんがおっしゃった特例貸付けの件なのですが、市の窓口にも相談者の方がどこに相談していいか分からないと。要は、非課税の方は免除と分かるのだけれども、非課税ではなくて苦しい人は、送られていた通知を返してしまうと口座から引き落としになるから、書類を返さない。相談しようと思っても、まだ国から細かいことが何も示されていないので、免除について相談を受けるのが難しい状態だからという理由で、相談を受け付けてもらえないと聞いています。一旦止められている。国としては、いつ頃をめどに猶予の範囲を出してくださるのか、その辺り、もし今お分かりの状況があれば、お示しいただけたらありがたいなと思います。最後にぶち込んでしまってすみません。
○渡辺委員 それで言えば、勝部さんがおっしゃっていたように、だまされたようにといいますか、本当に困っていて、現金給付の仕組みがない中で、まずこれで出そうという形から始まったものが、かなり厳格に住民税非課税というレベルで返済を求められるという形になってきた中で、非常に大変ですし、私たちが思うのは、窓口に行くと、これは返さなくてはいけないのだよということで借りていない子育て家庭の方がすごく多いのです。だから、子どもに食べさせる御飯がないので、これを借りようかなと思っていたのだけれども、これは返さなくてはいけないのよと言われると、要は大変さが先送りになるだけなので、結局借りないという中で、体を壊すだとか、子どもが学校に行かなくなるだとか、学力が落ちるだとか、非常によろしくない状況になっているので、本当に必要な人に必要なお金が行くような仕組みが大切だなと思うので、それが本当に入りやすい生活保護なのか、違う給付の仕組みなのかというのも考えなくてはいけないですし、例えば返済の基準というのが一律住民税非課税という非常に厳しいライン、子育て家庭にとっては、住民税非課税の生活というのは子どもにほぼ全てを諦めさせるようなものになってしまうので、そういうラインを超えたときに返済をさせるという考え方がいいのかどうかということは、貸付けの小口とかについてはしっかりと検証をして、貧困が再生産されないような仕組みを今後に備えてつくっておくことはすごく重要だと思います。
借りてくれればいいのになと思ったけれども、借りないでばたばたと倒れていくお母さんたちがすごく多い中で、よくないなと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
生水委員のお問合せに関してお願いします。
○米田室長 緊急交付資金等の特例貸付けの償還が来年の1月から始まるわけでございますけれども、償還免除にならない方に対して、こちらとしては償還猶予というのも制度としてはあると考えております。現在のところ、猶予の基準をどういったものにするかというのは調整中でありまして、まだ期限を切ってお示しできる時期というのが示せないのですけれども、なるべく早くに検討を進めたいと思っております。
現状としては以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、議論も尽きないようですが、この辺で本日の議事は終了とさせていただきます。
最後に、次回の開催予定について事務局からお願いします。
○河合室長 本日はありがとうございました。
次回につきましては、10月末に開催を予定しております。正式な開催通知につきましては、別途御案内させていただきますので、またよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、これにて本日の議事を終了いたします。閉会とさせていただきます。
皆様、議事進行に御協力いただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。