2022年11月2日 第5回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録

日時

令和4年11月2日(水)  15:00~17:00

 

場所

厚生労働省労働基準局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館16階)
 

出席者

  
公益代表委員
 藤村会長、鹿住委員、権丈委員、中窪委員、松浦委員
労働者代表委員
 伊藤委員、古賀委員、永井委員、仁平委員、平野委員、水崎委員
使用者代表委員
 池田委員、大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
事務局
 青山大臣官房審議官、岡賃金課長、友住主任中央賃金指導官、
 高松調査官、長山賃金課長補佐、青野賃金課長補佐
 

議題

(1)目安制度の在り方について
(2)その他
 

議事

○藤村会長 
 皆さん、こんにちは。
 これから「第5回目安制度の在り方に関する全員協議会」を開催いたします。本日は所用により小西委員は御欠席です。また中窪委員、権丈委員、池田委員はオンラインで出席を頂いております。
 まず初めに、委員に一部交代がありましたので御紹介いたします。全日本電機・電子・情報関連産業労働組合の小原委員が退任されました。その後任として、10月14日付けで新たに就任されました委員を御紹介いたします。労働者代表委員といたしまして、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合の水崎恵一委員です。
 
○水崎委員 
 ただいま御紹介いただきました、電機連合の水崎と申します。よろしくお願いいたします。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。また、事務局に異動がありましたので御紹介をお願いします。
 
○岡賃金課長 
 佐藤の後任で賃金課長となりました岡でございます。よろしくお願いいたします。
 
○青野賃金課長補佐 
 尾崎の後任で参りました青野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○藤村会長 
 はい、ありがとうございます。
 それでは本題に入りたいと思います。まずは議題1、「目安制度の在り方について」の資料№1~4、参考資料1~4について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○岡賃金課長 
 それでは、資料に沿って御説明申し上げます。
 まず資料№1です。「議論すべきものとして御意見を頂いた事項」で、第4回の協議会でも提出させていただいたものを、事前に藤村会長と御相談いたしまして、項目を並び換えております。以前は(1)が「目安審議の在り方」、(2)が「ランク制度の在り方」、(3)が「参考資料の在り方」という建付けにしておりました。今回、(1)が「中央最低賃金審議会における目安審議の在り方」で、在るべき水準、政府方針への配意の在り方、議事の公開。(2)が「地方最低賃金審議会における審議に関する事項」で、目安の位置付け、ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)、発効日。(3)が「中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料」、現在の主要統計資料の過不足やデータ取得時点の確認、新規のデータ取得が不可となった参考資料の見直し、賃金改定状況調査についてです。
 続きまして資料№2です。№2は第1回~第4回までの協議会で頂いた御意見の整理で、先ほどの資料№1の項目立てに沿って並べております。簡単に御紹介いたします。
まず、(1)「中央最低賃金審議会における目安審議の在り方」の、あるべき水準については、ナショナルミニマムとして、ふさわしい水準について議論を行うべきという御意見、労使で目標水準を議論した上で3要素を踏まえて引上げ額を議論すべきという御意見、それから、審議会での審議を重視すべきといった御意見を頂きました。
 次の、政府方針への配意の在り方についてです。政府方針の議論の場には中小企業の代表を含め、労使の代表がきちんと参画して決定すべきという御意見、一定の方向を示すことは否定しないが、それが審議会の審議を縛るようなことがあってはならないという御意見、それから、これまで時々の事情という形で整理をされてきたが、データに基づいて労使で議論すべきとの御意見、公労使三者構成は重要なので、その体制を維持すべきといった御意見を頂きました。
 次の、議事の公開についてです。公労使三者そろった場に限って、公開することは差し支えないという御意見、公開の範囲・時期については、地方最低賃金審議会への影響も加味した議論が必要だという御意見、議事録の早期公開については異論がないという御意見を頂きました。
 (2)「地方最低賃金審議会における審議に関する事項」の、目安の位置付けについてです。これについては、地方最低賃金審議会の審議において参考にするものであって、審議の決定を拘束するものではないという御意見、一方で、全国的な整合性を図るために導入されたという趣旨も重視されるべきという御意見を頂いております。
 次の、ランク制度の在り方についてです。ランク区分について、現行の方法、それから4区分というのは適切だという御意見、一方で、ランクの入替えのみならず、ランク制度の在り方も議論すべきといった御意見を頂きました。
 次の、発効日についてです。引上げ額が大きくなる中で、準備期間が短いといった声が増えているので、後ろ倒しを含めて議論したいという御意見。一方で、春闘の結果を早期に波及させるために、前倒しを含めて議論したいという御意見を頂きました。
 (3)「中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料について」です。現在の主要統計資料の過不足やデータ取得時点の確認については、より的確かつタイムリーなデータの収集について検討していくべきという御意見や、地方最低賃金審議会に活用されるものもあるので、棚卸しに当たっては、地方最低賃金審議会の意見を聞くべきという御意見。それから、毎年御要望のあるデータについては定番化すべきではないかということで、今年の中賃からそれを反映して、最初から資料にしたものもあります。
 次に、賃金改定状況調査についてです。法で定める3要素を総合的に示している賃金改定状況調査を重視した協議を基本とすべきという御意見、一方で、重要な参考資料の1つではあるが、これだけをもって、目安を区切れるものではないという御意見、その時々で、賃金改定状況調査の重視の仕方も異なりますので、公労使で認識の擦り合わせをすることが必要だという御意見を頂いております。以上が資料№2です。
 次に資料№3。これは「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告」、今年の報告書です。4ページ目から今年の目安の考え方が整理されております。昨年までも賃金改定状況調査第4表のデータのほか、物価、企業利益、雇用情勢、地域間格差、政府方針に触れまして、その結果として目安を示していただいておりましたが、今年はより具体的に賃金、労働者の生計費、通常の事業の賃金支払能力、各ランクの引上げ額の目安、政府に対する要望について、それぞれデータを踏まえて取りまとめていただき、従来よりも説得力のある報告書となっております。
 次に資料№4です。資料№4は、今年の地方最低賃金審議会の審議状況等です。まず、1~6ページまでは、地方最低賃金審議会の審議状況ということで、一番上が今年の審議状況、2ページ以降が順に年を遡った審議状況になります。
 まず、1ページの今年の審議状況ですが、今年は22件で目安額を超える引上げ額が決定されました。特に、Dランクにおいて、目安額を超える引上げ額となっております。また、「全会一致」は9件で、「使用者側の反対」が33件でした。以上が今年の状況です。
 飛びまして、7ページ以降がこれまでの推移で、7ページは目安と改定額との関係の推移になります。特に近年、Dランクでの目安を上回る引上げが行われている傾向が伺えます。
 8ページは発効日の推移で、これは目安の答申日の影響もありますので、一概に比較は難しいのですが、10月1日よりも後の発効日も見られます。
 それから、9ページは過重平均額と引上げの推移で、Cランク、Dランクの引上げ率が大きいということです。
 10ページは、最高額と最低額及び格差の推移で、最高額と最低額の格差、割合が近年改善状況、縮小状況にあるということになります。以上が資料№4です。
 次に参考資料1です。この参考資料1と参考資料2は、第4回の協議会で提出していたものを、基本的には並び替えたものになります。参考資料1のほうは、まず、在るべき水準の関係ということで、これまでの全員協議会の中間整理、3ページからは政府方針への配意、諮問の変遷について。それから少し飛びまして13ページが、議事の公開ということで、中央最低賃金審議会の運営規程です。会議は原則として公開とされておりますけれども、率直な意見交換、あるいは意思決定の中立性が損なわれるおそれがある場合は、非公開にすることができるということで、現在、非公開という形で開催をしております。
 参考資料2が、地方最低賃金審議会における審議に関する事項に関連する資料になります。1~8ページまでは、目安の位置付けに関する資料ということで、1ページにありますように、昭和52年の報告書からスタンスとしては変わらずに、目安というのは、全国的なバランスを配慮するという観点から参考とすべきものであって、目安は地方最低賃金審議会の審議決定を拘束するものではないという整理になっております。
 少し飛びまして9ページからが、ランク制度に関する資料です。9ページは、前回の全員協議会の報告、平成29年の報告ですが、ランク制度については、地方最低賃金審議会における円滑な審議に重要な役割を果たしていることから、ランクに区分した上で、目安を提示することが必要だということが確認されております。
 10ページがランクの推移ということで、全体的にはDやCが減ってB、Aの県が増えているということになります。
 11ページ以降は、ランクを検討する際の指標と、その基となる統計の一覧になります。一番高いところを100として指標化して、それを足し上げまして、全体の一番高い東京を100として、各県の指数を出しまして、大きな区分のところで区切って、A、B、C、Dというようになっております。以上が参考資料2です。
 次に参考資料3です。中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料ということで、1ページに今年の夏の目安に関する小委員会に提出した資料の、一覧項目を並べております。それから、3ページ以降が実際に今年の目安小委に提出した資料になります。71ページ以降が、賃金改定状況調査に関する資料になっております。73ページ以降が今年の調査の結果ということになります。以上が参考資料3です。
 最後、参考資料4は委員名簿です。先ほど、冒頭に御挨拶をしていただきました水崎委員が、小原委員に代わって委員になられました。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○藤村会長 
 ありがとうございました。ただいまの説明に対して御意見、御質問をこれから承りたいと思います。この中央最低賃金審議会は、これまで様々な議論を重ねてきた結果として、現在の姿があります。この目安に関する全員協議会は、今後の目安審議、中央最低賃金審議会の在り方をどういうふうにしていくかという、その基本方針を決める上でとても大事な会議ですので、労使双方から忌憚のない意見を出していただいて議論をし、最もいい形にして、来年度の目安審議にいかしていきたいと思います。
 これから御意見を頂くものとして、資料3並びに4で今年度の目安に関する小委員会、あるいは地方最低賃金審議会における議論の状況、これをまとめていただいております。それらを踏まえた上で、最初の資料1で議論すべきものとして御意見を頂いた事項を再整理しています。この辺りに関する御意見を中心に、労使双方から御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。では佐久間委員どうぞ。
 
○佐久間委員 
 ありがとうございます。今回の目安の全員協議会に当たりまして第1回~第4回まで、それから今日まで中央最低賃金審議会と目安小委員会が入って、少し間隔が空きましたが、ここで提示されております目安審議の在り方、あるべき水準、そして政府方針の配意の在り方、この辺の考え方について、私も意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、令和4年度の審議に当たりましては、この岸田政権下において、新しい資本主義の実現会議や、経済財政諮問会議における骨太の方針によって、政府方針が定められてきました。今般、緊急経済対策においても最低賃金のめざすべき額とか、それが明記されるようなお話も聞いているわけですけれども、そこの中で、特に新しい資本主義実現会議においては、労使団体の代表の肩書きで入っていただいて、審議、協議を進めてきたということがあります。
 このあるべき水準については、そういう議論を経て、もちろん政府方針というものも、どういうふうに持って行こうかということだと思いますが、それを受けて1回目の中央最低賃金審議会のときに、当時の厚生労働大臣の後藤大臣が御挨拶の中で、最低賃金の引上げに当たっては、上げやすい環境整備と、それからできるだけ早期の1,000円というお話もありましたけれども、その生計費とか賃金、それから支払能力を考慮して、しっかり議論していただきますようお願いします。というお言葉がありました。
 それを受けて私どもも目安小委員会を開催する中で、資料2にあります、あるべき水準の意見、そして政府方針も考慮しながらも、共通のデータを根拠とし、各種の指標からの上昇率など、具体的なパーセンテージを示しながら公・労・使で協議する。折り合わないところは、報告文面に明記したり、支援策を用意いただきながら、補完していくなど、正にこれが今回の望んできた姿なのかなということを、非常に感じてきたところです。
 やはり公・労・使の三者構成の重要性、これは最低賃金審議会しか持たない、本当に重要な形式のやり方だと思っていますし、これからもこのやり方というのは重要視して続けていきたい。また、今回の答申というか報告の中では、データに基づくということを、私どもは非常にこだわってきました。今まで時々の事情があったり、また、ある程度の総合的というのはやむを得ないところがあると思うのですけれども、私たちが議論に使用している指標を、厚生労働省 事務局には本当に御苦労を掛けさせてしまいましたが、パーセンテージの関係とか、そういうのを厳密に出していただきました。その結果、いろいろな角度からの見方というものができたのではないかと思っています。特に3要素の中で、どこを重視していくか。皆さんと検討して、1つの方向性を出した取りまとめの方策なのではないかと思っています。
 そして、最終的には、公益の先生方から御提示を頂きながら、1つの結論が出た。この経緯は非常に決め方として、公平な手続なのではないかと思います。
 「目安審議の決め方」ですから、いろいろ地賃の委員等からは御意見はあると思いますけれども、やはりこのやり方を、続けていければよいのではないかと思います。
 すみません、長くなって。政府方針というのは国が、政府の一端として厚生労働省事務局(賃金課)もあるわけですから、ある程度の方向性というのも厚生労働省としては提示しなければならないということは理解できます。私たちも目安金額について、そこまでは難しいとか、いやもっと欲しいとか、そういうのを労使双方で議論していくものですので、この三者構成の重要性を認識したうえで、議論をしていくという姿が望ましいと考えます。とりとめのない話で申し訳ないのですけれども、その方向で進めていただければよろしいのかなと思っています。以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございました。では、仁平委員どうぞ。
 
○仁平委員 
 佐久間委員のご発言と重なる部分があるのですが、今年の目安審議を振り返ってみると、まず昨年の審議の総括から始まったわけです。公益の先生方の御知見もお借りして、昨年以上に丁寧に議論を尽くした上で、結論を出すことができたと改めて思っておりますし、そういう受止めをしております。
 これまでも発言したことの繰り返しになるかもしれないですが、最賃の決定プロセスでは、やはり労使で考えや主張の違いがあったとしても、議論を積み重ねて合意、納得を得ることが大事なことだと思います。そして、そのプロセスが中賃で達成できたからこそ、世の中の評価というのはいろいろあるのかもしれませんが、今年地方の審議を見ても、資料№4にもありましたが、昨年と比べても比較的円滑に進んだのではないかと思っています。そういう意味で今後もこのプロセスを大事にすべきだと思っています。
 そのためにもう一言申し上げると、最低賃金制度として目指すべき水準を、労使で議論していくことが必要ではないかと思っています。本年度の改定で、全国加重平均1,000円という政府が掲げてきたことの到達が近づきつつあります。そういう状況を踏まえますと、あるべき水準について、労使で議論を深めていく必要があるのではないかと思っています。
 藤村会長からお尋ねのありました、資料№1の今後の議論事項の資料は、こういう形で再整理していただいたことについては、特段異論はございません。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。どうぞ、新田委員。
 
○新田委員 
 経団連の新田でございます。まず久しぶりの目安全協再開ですので、今回の資料を改めて拝見して、少し感想めいたことも含めて、コメントさせていただければと思います。
 資料4として、地方の審議会の審議状況を共有していただきました。先ほど、佐久間委員、仁平委員からもお話があったとおり、今年の目安審議においては、昨年度のように採決にならないように、藤村会長はじめ公益委員の先生方、労側の先生方、そして事務局の御尽力によって、何とか例年どおりの形に収められたということについては、私も使用者側の一委員として非常に嬉しく思っていたところです。
 一方で残念ながら、資料4の1ページ目の今年度の決定状況を見ると、使用者側反対を意味する黒丸が47件中33件と、いっぱい入っています。前年度についても47件中38件という状況であり、やはり、中央の目安の審議を担った我々としては、重く受け止めるべきではないかと思っています。
 最賃の関係者の間で、「重大な関心を持って見守る」という言葉をよく使いますが、もう見守っているだけではなくて、見守った結果を踏まえて、今回まとめる目安全協の報告書の中に具体的に書き込んでいく、行動していく局面に入っているのではないかと思います。そういう認識を皆様方と共有して、取りまとめに向けて、見解が違う部分もあるかと思いますが、できる限り寄せていきながら、この黒丸が少しでも全会一致を表す白丸に変わって、審議会として各地賃が機能しているということを示していくことが、非常に大事なことではないかと感じています。この点について、重ねてですが、ここにおられる目安審議の関係者の中で、是非共有していただければと、切に願っているところです。
 その上で資料1として、今回、会長以下で事務局と再整理していただいた事項について、私は異論はありません。こういった観点で今後それぞれの事項に絞って、各回審議を深めていければと思います。双方の主張あるいは公益委員の先生方のお考えといったものは、既に資料2で示されていると思いますので、今後、具体的に意見を表明し合いながら、もう少し理解を深めて、寄せていけるところは寄せていくという作業に入っていく必要があると思っています。今後そういった形で審議が進められますよう、皆様方の御協力と御尽力を是非お願いしたいと思います。私からは以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございました。実は私もこの資料4にあります、各地賃の妥結状況を見て、黒丸が余りにも多いので、「えっ」と思いました。あれだけ時間を掛けて丁寧にやって、労使双方が何とか合意できて中賃が終わったわけですけれども、それを受け止めた地賃において、使用者側の受け止め方が厳しかったのだとわかりました。そこを新田委員も黒丸を白丸に変えていく、そのためにはどうすればいいかが大切だとおっしゃいました。まさにどうやったら白丸が増えるかという、そういう点もこの場で議論していく必要があると思います。どうぞ、大下委員。
 
○大下委員 
 ありがとうございます。皆さんのご発言の繰り返しになりますけれども、再整理していただいた内容は異論ありません。是非、こうした内容について、今後の大きい方向性をしっかり示せるように、議論ができればと思っています。
 (1)にある中賃の目安審議の在り方の部分は、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、今年の審議において、藤村会長以下公益委員の先生方や他の先生方、また何より厚労省の皆さんにいろいろと御尽力いただいて、我々が強く求めてきた、3要素のデータに基づく納得感のある審議はかなりやり切れたのかなと思っています。
 そこを踏まえた上で、(1)に書いてある中賃の在り方というものは、今年の審議の経験が今後揺るがないように、今回の取りまとめの中でしっかり方向性を示していければと思います。それは(3)の、どのデータを使うのか、特にどのデータを重視するのかということ、また、そのデータに基づいて、最終的な結論に導かれた経緯をしっかりと最後に小委員会報告で残すというところが、整理できるかなと思っています。
 他方で、今もお話がありました地賃の妥結状況ですけれども、結果として、目安金額は相当な引上げになりましたので、私の感覚としては、黒丸の数は恐らくこのくらいかなと思っています。それは今申し上げた相当な引上げになった、地方の企業からすると相当厳しい数字になったということと同時に、今回中賃でやったデータに基づく審議というものが、残念ながら地賃にまでは十分に伝わり切っていないということかと思います。我々も今年初めてやった形ですから、いたしかたないかなと思うのですけれども、残念ながら地賃には浸透し切っていない部分があるのかなと思います。それが33件の反対ということでもあると思います。
 またもう1つ地賃について、(2)の審議について考えなければならないと思ったのは、反対が多かった部分もありますけれど、Dランクを中心に大幅に目安を上回る結論が相当出ている。つまり我々が示した目安が、果たして本当にこれで良かったのかというのは、しっかり考え直す必要があるかなと思っています。
 以上のような今年の中賃の審議でできたプロセスの適正化、他方でそれが残念ながら、地賃までは浸透していないという状況、この辺りを踏まえながら、それらの課題を解決する一定の方向性を、是非今後の検討の中で皆さんと意見交換をして、示していくことができるとよいのかなと思っているところです。私からは以上です、ありがとうございます。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。確かに大下委員がおっしゃったように、プラス3円というところも幾つか出ました。これは多分に、あの県より低くなりたくないという事情もあるようで、その辺は我々コントロールできないところで、地賃に任せるしかない部分ですね。
 ただおっしゃったように、目安というものを一応基準に持ちながら、各地賃は議論していただくわけで、それが低すぎたのかという言い方もできるかと思います。そのほかいかがでしょうか。
 現在のランク4つを3つにするとか、そんな案もちらほら出たり出なかったりという、その辺はどのようにお考えですか。労側いかがですか。
 
○仁平委員 
 確かにDランクは福島を除く全県で目安から上積みをしたということですが、中賃でも、地域間の額差をどうするということで議論を尽くした結果として示した目安であったので、それはそれで大事な結論になったのだろうとは思っているのです。ただ、目安を地方に持って行ったときにDランクが福島を除き全県上積みだったということも、よくよく考えないといけないところがあると思っています。
 ですので、目安制度ができて以来ずっと、フレーム自体はいじっていなかった4ランク制の在り方も含めて検討していってもいいのではないかと思います。それはここのペーパーで書いている、(2)のランク区分の見直しも含むと既に書いていただいているので、そういう中で議論してみたらいいのではないかと思っています。
 加えて労側としては、ランクの数を減らしたとしても、Aが一番高くて、下のランクに行くほど目安額が下がるという傾向があるとすると、地域間の額差は、なかなか埋めていくのが難しいのだろうと思っています。したがって、これは使側と意見が合わないところですけれども、目安をゾーンで示すこともあるのではないか。ゾーンであると高い方に流れていくということもあるかもしれませんが、そういったランクそのものの見直しと目安の示し方、額差是正の仕方みたいなことも、検討してもいいのではないかと思っています。
 
○藤村会長 
 分かりました。使用者側はランクの見直しについては、どういうふうにお考えですか。新田委員どうぞ。
 
○新田委員 
 ランクの区分について、使用者間で打ち合わせをしていないので、共通の意識というよりは、私の意見として聞いていただければと思います。以前にもこの場で申し上げたと思いますが、ランク区分の見直し自体については、私は少なくとも否定はしません。少なくとも検討はしていくべきだろうと思っています。
 ただ一方で、このランク制度を維持する限りは、どうしてもランクごとに示す目安の額が違ってくることで、一定程度、地域間の格差を生んでいくことになると思っています。ですので、政府から示される地域間の格差を縮めていくとの点については、近年労側からも強く御意見が出ているところですので、そういったことも踏まえれば、ランクの数の見直しですとか、その在りようというものも、やはり考えていく必要があるだろうと思っています。
 そして一方で、政府が出す方針が、全国加重平均で幾らという形で出てくると、これは以前も申し上げたとおり、加重平均を目的の金額として掲げている限り、どうしてもAランクに、ある程度依存せざるを得ません。CやDランクは、適用の労働者数が少ないので、そこを上げても全国加重平均への影響は小さくなります。そうすると、Aランクに一定程度の引上げ額を目安として示さざるを得ない。結果として、Aランクが上がっていき、C、Dランクとどんどん額差が広がってしまう。そのジレンマをずっと抱えていくことになるので、このランク区分見直しと併せて、本来は政府の示す目標の在り方というところにまで踏み込まないと、本当の意味でのランク区分の見直しはできないと、私は思っています。
 ただ、今言った部分については、この目安全協あるいは中央最低賃金審議会で決められることでもないので、一定の前提として置きながら、その範疇で我々としてどういったことが考えられるのかということについて、このランク制度の在り方の議論の際に、また議論を深めていければと思います。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。池田委員、発言をお願いします。
 
○池田委員 
 ありがとうございます。先ほどからの各委員からの、地賃における使用者反対という黒丸の部分を白丸にしていくべきという意見に関し、感想といいますか、思いを少し言わせていただきます。黒丸が多い現状については、使用者側が企業の支払い能力もふまえて主張してきた中、物価上昇に対する価格転嫁等の循環がなかなかうまくいってないということが、とても大きな要因の1つなのかと思っております。黒を白にということを実現していくためには、経済の好循環として、物価上昇を価格転嫁してきちんと反映させていくということが、できていくといいと思っています。循環の中の1つのパーツが、この最賃の引上げということだと思うので、最賃引上げも循環の流れの中のことと思わなくはないですが、是非、物価上昇から賃金引上げ、さらには価格転嫁ということが、うまく循環が整っていって、皆さんが合意できるような形になっていけばいいのかと思いました。
 今年の議論の中でも、労使ともども不服だけれども合意ということだったということはありますし、そういう中での結果がこういうことなのかと思いますので、再三申し上げてきていますけれども、好循環に資する取組が、各所でできていくといいかというふうに思っています。ありがとうございました。よろしくお願いします。
 
○藤村会長 
 分かりました。ありがとうございました。何でも結構ですので、御発言いただければ。では佐久間委員、どうぞ。
 
○佐久間委員 
 今、新田さんが言われたこと、私も同感でございます。ランクについては、この目安制度の在り方に関する全員協議会の場で話し合い、そして、最終的には中央最低賃金審議会・目安小委員会で決定していくのではないかと思いますが、やはり現状として、ランクを区分けするときには各種指標があって、それを全て並べていって、ある程度、指標に区切りや数値の開きがある。そこをA、B、C、Dの4つに区分けしたものになっているわけですけれども、将来、ランク毎の指標の開きがなくなり、全体が近づいてくれば、そこのところを直す必要というのは、もしかしたらあるかもしれない。ですから、そこの議論というものも、この場で検討していく。それで結果的に、また現状4つになるかもしれないし、先ほど藤村先生が言われました、3つにという可能性もあるのではないかと思います。これから私たちが、この目安制度の在り方に関する全員協議会を進めていく中で、指標の並べ方とか、そういうものをもう1回、確認していく必要はあるだろうということだと思います。
 あと、すみません、少し戻ってしまうかもしれませんが、先ほど大下委員が言われた地賃への波及ということを、私も非常に感じるところです。地賃のほうが自分たちの地元の指標をどれだけ使って、独自に協議していただけるか、目安に係る小委員会の波及効果が非常に重要だと思っています。小委員会の報告でも、記載文には、地域の意向を留意しながらというか、使っていく側として、そして、目安の発効日というのが後に入りますけれども、これについても、今回は時期が少し遅れたものですから、地域によっては少しずれというか、一斉ではなかったわけです。発行日もそれにあわせ従来より数日遅れたり、発行日も移動できる可能性について、厚労省の事務局のほうから労働局を通じて、地賃の公益をはじめ、労使の委員にも、ここは小委員会報告に明記をされているということだけではなくて、改めて言っていただくということを、また文書なりで繰り返し明示していただく必要があると思っています。今回こういう新しいやり方というか、詳細なやり方をしてきたので、それが地賃のほうに波及するような方向というのは、これから来年度に向けて、さらに伝えるためにも言っていかなければいけないところだと思います。以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。今日は労働側の発言が少ないような感じがしますが。どうぞ、伊藤委員。
 
○伊藤委員 
 ありがとうございます。今ほどのランクの話でありますが、ランクというよりも、目安額の水準を決めるに当たりまして、使用者側の先生方は、目安額のデジタルな根拠も含めて、いかに地方に波及させていくかということも御発言されております。一方、我々には、格差を是正していくというのが、1つの大きな命題としてございます。地方においては、3要素を踏まえた正当な考え方に基づいて決めていく。なおかつプラスとして、格差を埋めるための手立てとしての上積みを踏まえて引上げ額を決めていく。これはやむを得ない話であり、これは地方において労使ともに同じ方向を向いてやっているところもあるわけでございますので、そうしたことも踏まえた上で、トータルとして総合的に、やはり地方というのは決めていく必要があるかと思います。
 そのための目安という道筋を見いだせれば一番いいのでしょうが、なかなかそこは難しいところもございまして、いろいろなデータの使い方も含めて、今後の全協で、しっかり議論させていただければと思っております。以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。この資料1の(1)にあります一番上、あるべき水準というのを持つか持たないか。これまでは最低800円、平均1,000円という目標があって、最低800円はクリアできた。1,000円もそろそろいけそうだと。では次なる目標はどうするのだという、そこが労使の間でそれぞれ意見が分かれているように思います。
 今日は結論を得るための会議ではありません。次回以降、この大きな1、2、3という項目について、1つずつ詰めていくことになると思いますが、今日はそういうあるべき水準というのを、どういうふうにお考えになっているかについてお聞かせいただければいいと思うのですが、いかがですか。新田委員、どうぞ。
 
○新田委員 
 個人的な考えも含めて、久しぶりの再開のキックオフということで、少しお話をしたいと思います。
 あるべき水準をどう考えるかということ、これは非常に難しい問題だと思いますし、我々使用者側と労働者側で、その水準や設定の仕方については、見解が分かれているところです。健康で文化的な生活の水準というものを、どこに引くのかといったところは、それぞれのお考えあるところですし、難しいと思っています。
 ただ、この関係で2つ申し上げます。1つは、あるべき水準を全国加重平均で引くということについては、このランクの見直しと絡めて考える必要があるのではないかと思っています。そうでないと、ずっと地域間の格差という問題も発生していきますし、そもそも全国加重平均額という金額自体は、存在しない金額にもかかわらず、政府内も含めて、その金額ばかりがクローズアップされることについては、少し違和感を持っています。
 ただ先ほどの繰り返しですが、全国加重平均額を目標、あるべき水準として掲げている限り、どうしても地域間格差を助長していくことになるジレンマもありますので、ここをどうするかということを考えていく必要があると思っています。
 もう1つ、あるべき水準といったときに、よくマスコミから、日本の最低賃金の金額が国際的に低すぎるという御意見がありますし、そういった指摘を受けることもあります。確かに為替の関係で、特に今は円安でもあるので、日本の全国加重平均額が国際的にみたときに低いということについては、事実として受け止めております。
 ただ一方で、各国の最低賃金制度が違うということも、やはり我々としては踏まえなければならないと思っています。先ほどの健康で文化的な生活、というところにも絡むのですが、どういった水準を目指すのか、あるいはどういった方々を対象としていくのか。日本の最低賃金は、適用除外がありません。要は、例えば高校生のアルバイトの方も含めて適用されますので、その水準が果たして、健康で文化的な生活水準というところまでを保証する必要があるのかといったところも含めて、議論をしていく必要はあると思っています。
 加えて、減額措置の在り方についても、日本では労働局長の許可ということでかなり厳格にやられている。金額に関わることですので、これは非常に大事なプロセスだと思っています。ただ、全ての労働者に適用されているという、今の現行の法律の建付けから考えると、そこの部分については、もう少し検討してもいいのではないかという考えも持っていることをお伝えしておきたいと思います。以上、2点について申し上げました。
 
○藤村会長 
 どうぞ。
 
○仁平委員 
 今の目標は全国加重平均1,000円ということで、今後どういう議論をしていくかだと思いますが、大前提としては、あるべき水準は検討したほうがいいのではないか。毎年上げ幅の議論に終始し、「今年は幾ら」というよりは、今後もちゃんとした水準目標持って毎年度の審議があるというほうがいいというのが意見です。
 なおかつ、新田委員も言われましたけれども、今の全国加重平均1,000円という金額だけを置き換えて、新しい目標とするというよりは、もう少し幅広い議論をしたほうがいいのではないかと思っております。今日のところは、そのようなところかと思っております。
 
○藤村会長 
 分かりました。それから(1)で議事の公開ということで、これはほぼ合意ができつつあるという気がいたします。ただ実態として、今回の目安審議の休憩時間とかに話をしたのですけれども、深夜1時、2時に決着して三者で全体協議会をやりますというときに、一体誰が来るのだという疑問があります。記者の皆さんは賃金課長のブリーフィングを待っているわけで、目安審議で全員が集まった場で、そこはもちろん公開をしてもいいのだけれども、多分来る人いないだろうという、そのようなふうにも思ったりいたします。
 ただ、公開していますよということは大事なので、これは公開という方向で行くのだろうと思いますが、これまでの議論の中で、地賃に与える影響があるから慎重にという意見がありました。その辺はいかがでしょうか。現時点でどのようにお考えか、何か御意見があれば。
 
○仁平委員 
 藤村会長がおっしゃっていたとおり、地方への配慮なども含めて、中賃でルールを見直すと地方審議にも波及するのではないかと思っており、少しその辺が気になっているところです。労側としては今、地方の意見も聞こうと思っているものですから、地方の意見も聞きながら、改めて意見を述べさせていただきたいと思っております。
 ただし、これまでも言ってきた話ですけれども、何でもかんでも非公開にすればいいと思っているわけではありません。議論をした上でどの範囲で公開するかを決めたらいいのではないかと思っております。地方ではいろいろな労使関係が各地であるものですから、同じように横並びでやってどうなのかというのもあるので、地方の意見も聞いてみたいと思っているところです。
 
○藤村会長 
 どうぞ。
 
○新田委員 
 ありがとうございます。この話は、労側のほうから意見が強く出ていたところなので、今、仁平委員のほうから、そこを確認するということですので、その結果をまず御紹介いただければと思います。
 併せて、厚労省の事務方には申し訳ないのですが、できればこの議事の公開を審議する回のときに、各地賃の議事の公開状況について、資料を出していただけないでしょうか。改めて各地賃での議事の公開の有無と、議事を公開している場合の公開の範囲についてまとめたもの、そんなに精査したものでなくていいのですけれども、一覧か何かで、少なくとも分かるような形で出していただけると、参考になるかと思いますので、よろしくお願いします。
 
○岡賃金課長 
 承知いたしました。議論のときに間に合うように準備をしたいと思います。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。そのほか、資料1の(2)で発効日というものがあります。これは、使用者側はいろいろ準備の都合があるから、もう少し後ろにできないかと。原則は10月1日になっています。労働側としては、春闘のいろいろなデータを踏まえた上での話だから、実はもう遅れている、10月では遅い、もっと早くすべきだという意見があります。これもなかなか折り合いをつけにくいところだと思いますが、やはりきちんと議論をした上で、こうだと決めていく必要があると思うのです。この発効日について、何かこの場で言っていただけることはありますか。
 
○大下委員 
 今年は、中賃の審議で結論が出るのが例年より少し遅くなりました。駆け足で地賃の審議をやり、結果が出るのもかなり押せ押せになったような状況が起こっています。中小企業の立場でいうと、結論が出た数字を反映していく際の影響率も高まっていて、最低賃金の引き上げで給与が変わる労働者の数も増えています。したがって、賃金改定をしなければならない中小企業の数も増えていますので、何月ならいいのかというのはありますが、できればもう少し発効日に余裕をもたせていただけると、実務的に有り難いところがあります。
 他方で、先ほど先生がおっしゃった深夜に審議が及ぶというところは、そもそもそういう審議の仕方がどうなのかという疑問点も1つあります。例えば、審議を尽くすためには回数を増やさなければなりません。そうすると日数が掛かり、地賃のスタートが遅れます。その結果、地賃の結論が遅れるという形になります。本来であれば、働き方改革の考え方が適用されるような分野ではないのかもしれませんが、この御時世で果たして深夜1時、2時まで審議をするということが、そもそもどうなのかという疑問も、率直に持っているところです。
 これはあくまでも個人的な考えですが、遅くまでやるのであれば、回数を重ねたほうがいいのではないかという考えもあります。中賃、地賃のスケジュールを考えた場合に、この発効日への影響をどう考えるかということにも、少し影響してくるのかなと思います。主には先ほど申し上げた点、中小企業からすると影響の範囲が大きくなっているので、少し余裕をもたせて作業をしていただける状況があると、大変有り難いというところです。
 
○藤村会長 
 労働側、どうぞ。
 
○仁平委員 
 賃金改定状況調査の調査時期の関係もあって、そんなに前倒しはできないのでしょうが、今年は目安答申が少し後ろにずれたという感じはしています。そういう意味では、スケジュールも含めて早めに中賃で目安審議をはじめるということのほうが、地方での審議を尽くす意味でも、やはり大事なことなのではないかという気はいたします。ということでいけば、基本的に今の10月1日を軸として議論の仕方を前倒しにしていくことが妥当な線なのではないかということです。
 
○藤村会長 
 新田委員、どうぞ。
 
○新田委員 
 今日は発効日について、具体的な議論の場ではないので、少しだけ申し上げると、発効日について、もちろん10月1日で発効できるような形で中央の目安審議が十分に行われ、地賃でもしっかり審議が行われて、その結果として10月1日発効であれば、それは望ましいことだと思っています。
 ただ、現状10月1日の発効日が、まるで法定されているかのように、そのような話を実際にされる労働局もあるというように、残念ながら承知をしております。そのように地賃の委員からも言われてもおりますので、そこの部分について10月1日ということは法定ではなくて、そこについてみんなで目指していくにしても、ただそこに縛られて、審議をここまでにやらないと、10月1日発効に間に合いませんという形は、それは逆ではないかと思います。結果としての発効日であって、発効日ありきの審議ではないと思っていますので、その点を少なくともこの場の皆さんと確認して、全協の報告の中に書き込めればいいなということが、私がこの議題を持ち出した一番の目的です。したがって、その関係は正確に皆さんに御理解いただきたいと思います。
 あと、仁平委員が先ほどの発言で、今年は中央の目安審議が長すぎたとありましたが、過去にはもっと回数も多かったということもありました。その中には、やはりどうしても10月1日を守らなければいけないという意識が我々の中にあるのではないか。我々は春闘とは言わないので、春季労使交渉の結果を波及させたい、そこは十分理解をしております。そのために、本来行うべき審議を十分に行わないというのは、やはり逆ではないかという趣旨ですので、その点は前提として申し上げておきたいと思います。
 
○藤村会長 
 はい、分かりました。ありがとうございます。今年は参議院議員選挙があり、選挙期間中は審議ができなかったという事情もあったかと思います。それから大下委員がおっしゃった、夜中1時、2時までやるのはどうだというのですが、確かにそうですよね。通常の時間内に終わって、必要であれば回数を増やすという、これもやり方だと思っています。そこも、これから議論をしていければと思います。
 まだ時間がありますので、資料1の(3)、参考資料の所です。今年も幾つかの資料については、これは毎年必要だから、定期的に事務局に用意してもらいましょうというものも幾つか出ました。あるいは統計が変わって、これまでどおり取れないというものもあって、そういう場合どうするか。あるいは、賃金改定状況調査も非常に短い期間でやらなければいけないので、事務局も相当苦労してやっていらっしゃると思うのですが、その辺りのどういうデータを使って、私たちが議論するかということも、とても大事な部分だと思います。この点について、今日の時点で何か言っていただくことがあれば、お願いをしたいのですが、いかがでしょうか。大下委員、どうぞ。
 
○大下委員 
 今日ここで細かくということは特にないですが、最初に申し上げた、地賃においても、今年の中賃でやったような3要素のデータに基づいて納得ある審議を行うということを考えると、でき得る限り、取り分け審議で重視するデータについては、中賃の場でお示しいただいたデータの都道府県版がきちんと地賃で示されるとよいと思っています。今回の目安の報告に書いていただいたような、このデータについてはこういう数字になっている、このデータについてはこういう数字になっているということが3要素についてデータに基づく評価ができて、これを読むと、我が県において同じことを考えたとき、それぞれの数字はこうなっているのだというところから議論がスタートできるように、でき得る限り中賃の審議に載せる主要なデータについては、同じものの都道府県版が、きちんと地賃に示せるような状況ができると、冒頭申し上げたデータに基づく納得感のある審議を、地賃にまでしっかり徹底をするということにつながるのではないかなと思っております。その点は、技術的な実現可能性みたいなところも含めて、今後、意見交換できればと思っています。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。事務局にお伺いしたいのですが、各都道府県の最低賃金審議会で使われているデータというのは、それぞれに任せていて、余り中央からこういうデータにすべきだというのは、出しておられないのでしょうか。そこはどうでしょうか。
 
○友住主任中央賃金指導官 
 中央のほうから示しているものはなく、地域ごとの地方の審議会で基礎となったデータは、それぞれの審議会で決めたものがあります。審議の度に、いろいろな委員の先生方から資料等を求められますので、その範囲で準備をして、提示をさせていただいているものと承知しております。
 中賃の資料は、全て地方にお伝えをしていますので、この中の資料で都道府県の数字が入っているものもありますので、そういったものは十分参考にされているものと思います。
 
 ○仁平委員 
 今年の目安審議では、データも充実していただいたと思っています。そういうものは、今後の方向性とすれば定番化していく、継続的に充実したものを時系列で見れるようにしていくことが、いいのではないかと思います。
 それから、(3)では目安審議に用いる参考資料ということなのですが、もう1つ。ランク区分の見直しのデータなども、どうするのかということもあります。労側の中でも少し意見交換をしたのですが、毎年取れているわけではないデータもありますし、都道府県によっては取り方によって、すごく振れてしまっていて、指数化した場合に本当にこの県が一番高い100なんですかみたいなデータもあります。19指標を単純に並べて総合指数化して東京を100にすることがいいかということなのです。その辺りもデータとして、何らか安定しているデータがあるといいとは思うのです。ただ、実際に出してみないと分からないし、その他もっと精査してくれといっても、難しいところがあるのだろうというのは事務局として分かりますので、問題意識のみ申し上げておきます。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。それぞれに基本的な考え方を共有するのが今日だと思っています。一応資料1について、(1)~(3)まで御発言を頂いたと思います。全体を通して何かもう少し言っておきたいことがあれば、この場でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○伊藤委員 
 今日も(1)~(3)まで議論させていただいたのですが、相互に絡む論点が多分にあると思っているのです。例えば(3)のデータの話も、それによって目安をどうする、あるいはランクの区分もどうするかなど、いろいろなことに絡んでくると思うので、切り離して議論するよりも、あるべきところが全部包括的に議論できるような形を少し取ってもいいのではないかという気がしております。感想めいたことですが、以上です。
 
○藤村会長 
 分かりました。それは次回以降の進め方の中で、事務局にうまく調整をしていただきたいと思います。今年度内に、全員協議会の報告をまとめるのが目標ですので、次回以降は資料1の構成に沿って、議論を深めるという形で進めることといたします。事務局においては、必要な資料を準備していただきたいと思います。
 次回の開催日程については、事務局で別途調整をお願いいたします。本日の全員協議会はこれで終了いたします。ありがとうございました。