第157回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年11月11日(金)10:00~11:31

場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場

議題

医療保険制度改革について
( 報告事項 )
令和4年度第二次補正予算案(保険局関係)の主な事項について
 

議事

議事内容
○森課長 定刻になりましたので、ただいまより、第157回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途、御案内しておりますので、御確認いただけたらと存じます。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池委員、内堀委員、羽田委員、本多委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理といたしまして熊耳参考人、本多委員の代理といたしまして井上参考人、以上2名の出席につき、御承認いただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
なお、本議題にかかり、菊池委員から提出資料がございますので、紹介させていただきます。
それでは、事務局から資料の説明のほうをお願いいたします。
なお、議論の時間をしっかりと確保するために、事務局はポイントを絞って簡潔に御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
本日、「医療保険制度改革について」、出産育児一時金について、引き続き御議論をお願いしたいということでございます。
資料1を御覧ください。
3ページ、4ページにつきましては、前回も御説明しておりますので、割愛させていただきたいと思います。
資料の5ページでございます。出産育児一時金に関する議論の状況、これにつきましても以前もお示しさせていただいております。
1点、一番下のところでございますけれども、総理のほうから、先月の28日でございますけれども、来年4月から出産育児一時金の大幅な増額を行いますと表明されているところでございます。
6ページを御覧いただければと思います。これまで出産育児一時金に係る御意見をいただいておりまして、前回までも整理させていただいておりますけれども、前回御議論いただいた中で整理させていただいている分を追記させていただいております。後ほど御確認いただければと思います。
7ページを御覧ください。先月の13日の医療保険部会の中で、出産育児一時金に係る論点についてということで御議論いただきました。この3つの論点がございますけれども、引上げの額につきましては、制度改革全体の検討を進める中で議論していくということで考えてございまして、本日は、その2つ目と3つ目にある論点を中心に御議論いただきたいということでございます。
スライドの9ページでございます。先ほど掲げられました2つ目の論点、医療保険全体での支え合いの関係でございます。
まず、後期高齢者医療制度でございますけれども、高齢者医療を社会全体で支えるという観点に立って、平成20年4月に創設されたものでございます。
そうした中で、特に少子化につきましては、コロナの影響もある中、将来人口推計よりも7年度程度早く減少するなど危機的な状況にございます。こうした中で、子育てを社会全体で支援するという観点から、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に係る費用の一部を負担する仕組みを導入できないかということで御議論いただいているということでございます。
それで、見直しのイメージでございますけれども、現行、各保険者が費用を負担しておりますけれども、見直し案では、令和6年4月のスタートを想定しておりますが、後期高齢者医療制度から費用の一部を拠出していただくということでございます。
スライドの10ページを御覧いただければと思います。
高齢者医療制度の創設前は、出産育児一時金を含め、子供関連の医療費について、高齢者世代も負担していたということでございます。こうした状況を踏まえまして、現行の現役世代・後期高齢者の保険料負担に応じ、後期高齢者医療制度の負担割合を対象額の7%と設定してはどうかということでございます。
これにつきましては、欄外の右側の上の部分、導入時点(令和6年度)というところでございます。我々のほうで令和6年度の所要保険料を推計させていただいておりますけれども、全医療保険制度の合計24.4兆円に対しまして、うち後期高齢者医療制度の部分が1.7兆円ということでございますので、この割合である7%というものを勘案し、後期高齢者医療制度の負担割合対象額を7%としてはどうかというところでございます。
※の1つ目でございますけれども、次期の保険料率の改定のタイミングであります令和6年4月から導入するということでございます。括弧書きの部分でございますけれども、7%ということはあくまで起点でございまして、その先の保険料の負担割合の設定につきましては、現役世代と後期高齢者の1人当たりの負担額の伸び率がそろうように負担割合を設定してはどうかということです。
また、後期高齢者の負担につきましては、高齢者負担率の見直しの議論でも出てございますけれども、能力に応じた負担の観点から、賦課限度額の引上げ、所得割と均等割の割合の見直し等により対応してはどうかというものでございます。
もう一つ、出産育児一時金へどのような形で充当するかということでございます。欄外の右下のところでございますけれども、出産育児一時金の支給実績の確定後に後期高齢者医療制度からの拠出を受けるとした場合には、拠出を受けるまでに時間がかかるということもございまして、支給見込みに応じて概算で拠出を受け、支給実績を踏まえて確定させるという仕組みを考えてございます。
なお、保険者の事務を簡素にするために、後期高齢者支援金と相殺する形で検討してはどうかという形で考えているということでございます。
以上が医療保険全体での支え合いということでございますけれども、もう一つ、出産費用の見える化等についてでございます。
スライドの12ページを御覧いただければと思いますけれども、これまでの議論です。重複する部分が入ってございますので、割愛させていただいて、一番下の部分でございます。先日の部会のほうでも御報告いたしましたけれども、現在、調査研究を東大の田倉先生にお願いして実施していただいている中で、妊婦・経産婦の方々が出産施設を選択する際の情報収集において、情報収集が簡便と感じたか、情報を入手できたか、満足度はどうかということを調査していただく中で、出産に係る費用の説明方法・説明内容についての項目が低い結果となったというデータが出ております。
また、スライド13ページ、この見える化の関係で、総理のほうからも予算委員会で御発言いただいております。3つ目の○でございます。出産育児一時金の引上げに当たっては、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて適切に医療機関を選択できる、こうした環境を整備することが重要。金額と併せて、こうした環境整備、出産費用などに関する情報を見える化するための方策を検討することが実質的な負担軽減につながるという御発言があったということでございます。
こうした中で、出産費用の見える化の方策ということでございますけれども、被保険者等である妊婦の方々が適切に医療機関等を選択できる環境を整備するという観点で、直接支払制度を行っている医療機関等につきまして、以下の項目を公表することとしてはどうかということでございます。それぞれ各項目を掲げさせていただいていますけれども、イメージを15ページにつけておりますので、そちらも御覧になりつつ、御説明させていただきたいと思います。
まず、出産費用の状況のところでございます。出産費用の関係については、直接支払制度を行っている医療機関については、専用の請求書を提出しております。後ほど御覧いただければと思いますけれども、資料の19ページにもつけさせていただいております。こうした情報がございますので、専用請求書の内容から、1つ目は平均入院日数。また、出産費用の平均額。出産費用といいますのは、この専用請求書の中にある「妊婦合計負担額」から「室料差額」「産科医療補償制度」「その他」等の額を除いた額ということを想定しております。また、室料差額の平均額、あと、妊婦合計負担額の平均額、こうしたものについては、現行の専用請求書のほうから算出できますので、情報を抽出してはどうか。
また、無痛分娩については、妊婦の方々の関心が高いところでございますので、新たに専用請求書の様式に追記の上、こうしたものについても計算して、ホームページで各医療機関ごとの情報が確認できるということをしてはどうかという御提案でございます。
これに併せまして、室料差額や無痛分娩などの取扱いについても、これは各医療機関でそういうものを取扱っているかということでございますけれども、そうしたものについても情報を載せるとともに、出産費用については、あくまでも請求書による平均額でございますので、分娩に要する費用及び室料差額、また無痛分娩の価格等の内容については、各医療機関のほうで公表していただき、そうした公表の方法についても、併せてホームページのほうで公表してはどうかということを考えているところでございます。
引き続き、16ページでございます。現行の一時金の見直しに関します課題として、地域差について、これまでも御指摘いただいておりましたので、その点を課題として整理させていただいております。
まず、一時金を全国一律に設定する場合というのが左。課題として考えられるのが、出産費用が高い都道府県においては、他の地域に比べ、実際の出産費用が支給額を超えるケースが生じるのではないかといった課題があろうかと考えてございます。
一方で、地域別設定とする場合でございますけれども、1つ目は、産科医療提供体制の偏在を固定化・助長するおそれがあるのではないか。特に、支給額の高い地域の医療機関等が選択され、里帰り出産等の減少を通じて地方の医療機関等に影響が出るおそれがあるのではないか。
また、2つ目ですけれども、出産費用の地域差を固定化・拡大するおそれ。
また、3つ目ですが、地域の限られた医療機関等の平均費用によって支給額が決まることになりますので、個々の医療機関等の価格設定の影響が大きくなるのではないか。
また、健保組合等においては、全国一律の保険料が基本となっている中で、地域によって給付水準が異なることについて理解が得られるか。こうした課題があるのではないかと考えております。
以上、論点を整理させていただいておりますので、御議論をお願いできればと思います。後ろの参考資料は、適宜御参照いただければと考えておりますので、よろしくお願いします。
説明については、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず最初に、医療保険制度改革全体のことなのですけれども、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、今回の改革は、出産育児一時金も含めて、大変様々な改革事項が入っておりまして、全体として1つのパッケージだと認識しております。そのため、影響額も含めて、改革の全体像を示していただいた上で議論を進めていくことが極めて重要であると思っております。その観点からも、早期に改革の全体像を御提示いただきたいと思います。
その上で、今回、新たに提示された事項について、3点意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目ですが、出産育児一時金の医療保険全体での支え合いについては、今回示された見直しの方向性は賛成でございます。ただ、その内容について、今回の資料を見ますと、後期高齢者の負担を対象額の7%に設定するという記載がございますけれども、我々健保組合としては、当然この対象額は出産育児一時金の支給額全額で実施すべきものだと考えております。
それから、2点目ですけれども、実施時期について、出産育児一時金の引上げは令和5年4月からと記載されています。一方で、後期高齢者が負担する仕組みは令和6年4月からの導入ということで、1年間のずれが出ております。本来、この引上げと支え合いの仕組みの導入は同時に実施すべきものだと考えておりますけれども、仮にやむを得ずタイムラグ等が生じるのであれば、財政支援も含めて、この間の現役世代の負担軽減をお願いしたいと思います。
それから、3点目は、出産費用の見える化等の部分でございまして、今回、見える化の必要性と方策が示されておりますが、出産費用等の公表といった見える化の方策については評価したいと思います。ただ、今回示された公表の項目は、全て実施いただきたいと思います。また、この出産費用の見える化は、前回の出産育児一時金の引上げのときからの課題でございますし、そもそもこの引上げと見える化はセットで検討すべきだと考えております。地域差の要因や費用内訳の分析も大変重要でございますので、極力早期に実施いただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
ただいま佐野委員のほうからも御発言ありましたけれども、改革の全体像につきましてはできるだけ早く示していただきたいと思っております。その中で、私のほうからも意見を述べさせていただきます。
出産育児一時金につきましては、これからの保険制度を担う次世代を支援するものであり、10ページでお示ししていただいたような形で、後期高齢者の方にも医療保険を支える集団の一員として、能力に応じた負担をお願いすることについては、賛成でございます。
また、協会としまして、これまでの累次の引上げに際しまして、その根拠となるデータを提示し、明確なルールに基づいて一時金の額を決定するよう、重ねて求めてきたところでございます。
14ページにあるような項目につきまして、15ページに参考のイメージが示されておりますが、妊産婦の方たちが御覧になって、そして分かりやすく、そして安心で信頼できるような内容を公表し、出産費用の見える化を行うことについては、ぜひともお願いしたいと思います。こうした見える化によりまして、妊産婦がサービスに応じて適切な費用の医療機関を選択できるようになれば、出産費用の適正化も進み、今後の一時金の額に関する検討についても明確なルールの下で行うことが可能になると考えております。
また、本日、菊池委員のほうから意見書が出されておりますが、その中に、本来的には出産に係る基盤となる部分を切り出すことにより、保険医療機関における出産を診療報酬点数化し、上乗せ部分は保険外併用療養費の対象とする一方でという御意見がございます。私も、将来的には、これをこのままなし崩し的な形で出産育児一時金として保険料のほうから出すということではなくて、それであれば、出産費用については、全国一律の診療報酬という形でやるような仕組みづくりも必要ではないかなと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
資料1につきまして、2点意見を述べさせていただきます。
まず、資料1の14ページ、出産費用の見える化の方策についてです。案にありますように、直接支払制度の専用請求書の内容から算出して、医療施設ごとに平均的な費用を示していくというのは大変重要なことだと考えます。項目についてもおおむね妥当だと思いますが、この見える化の趣旨としては、お産に要する標準的な費用や、それにプラスされ得る差額等を分かりやすく伝えることにあるかと思いますので、平均額の算出に当たっては、標準から外れるケース、例えば多胎分娩や死産といったケースを除いて計算するなどの妥当な算出方法を検討していただければと思います。恐らく、平均値と中央値でさほど大きな差はないと思いますが、もし差が大きいようであれば、両方示すことなども丁寧に御検討いただければと思います。
もう一点は、今回の論点から少しそれるかもしれませんが、サービスの見える化についても意見を述べたいと思います。資料1の7ページに記載がありますように、前々回の医療保険部会に示された調査結果から、出産に係るサービスの見える化のニーズも明らかになったものと理解しています。今回の事務局の提案は、出産費用の見える化というニーズへの対応策に限定していますが、今後は費用の見える化と併せて、サービスの見える化への対応も必要ではないかと考えます。
例えば、前々回、第155回医療保険部会の際の資料1-2の16ページでは、出産場所を選ぶ際に妊産婦が考える優先度では、「院内助産が可能」というのが最も高くなっていました。ですので、どの医療施設で院内助産が行われているのか、あるいは、アドバンス助産師を含む助産師がどのくらいいるのか、産科区域が特定されているかどうか、母児同室が可能かどうかといった、妊産婦が安心・安全に出産できる環境の整備状況が分かるような情報も、国民に分かりやすく開示されるとよいと思います。ぜひとも今回の費用の見える化に加え、サービスの見える化というニーズへの対応についても、引き続き御検討いただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 お願いいたします。
まず、出産育児一時金の額についてですが、現在、資料では公的病院・正常分娩というものの全国の額が記載されております。これを全分娩施設の平均額とか、公的医療機関だけではなくて、私的病院。そして、正常分娩を扱う医療機関の構成比、国公立、私的、診療所などの割合も参考にしないと、よく分からない数字になってしまうのではないかと思います。
それから、後期高齢者医療制度についてですが、全世代で負担を分かち合うことには理解をいたします。ただ、後期高齢者医療制度は、窓口負担の2割負担とか、保険料において所得割と均等割の比率を変える。さらに、負担能力に応じて保険料を引き上げる等が検討されております。余りにも多くの項目で変更が少しあり過ぎるのではないかという印象を持っております。
また、全世代で少子化問題に対応することは当然だと思いますが、被用者保険における料率の格差も検討できる要素があるのではないかと思っております。
出産費用の見える化については、直接支払制度が導入されてから、専用の請求書による支払機関への請求が行われているわけで、この請求書を基に出産費用の見える化を行っていくことについては、特に反対するものではありません。
それから、出産費用の地域差ですけれども、先ほども地域差のことを少し言いましたけれども、正常分娩ではなくて異常分娩による保険診療となる場合もあり、その場合は診療報酬の取扱いは全国一律であるということも考え、特に出産育児一時金が地域別に設定されるということは、不公平感を生みますので、これは一律にすべきだろうと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私は後期高齢者ですので、後期高齢者の立場で発言させていただきます。
確かに全世代型社会保障という観点からいえば、後期高齢者医療制度から出産育児金に出すというのは、当然で受入れざるを得ないだろうと思うのですが、少子化対策として出産育児金がどれほど役に立つのかという問題があると思います。私は、全く役に立たないと思います。なぜ出産しないかというと、ほとんどの調査結果から見ると教育費が高いということなのです。もちろん、お金があって出産育児金に出せればいいのですが、少子化対策としては意味がないのではないかと思っております。これは私の個人的な意見でございます。
こういうばらまき的なことをやる意味があるのかとか、いろいろな制度からちょびちょびと出すことによる事務費とか、そういうことも考えたほうがいいと思います。出産育児金の効果、これがあることによって、女性たちが産む意欲を持つかどうかみたいなことを、できれば厚労省でちゃんと調査していただきたいと思います。
それから、見える化についてですけれども、これも確かにいろいろあるとは思いますが、例えば東京の場合、非常にブランド化していますね。有名な病院で産みたい。こういう意識がすごく高くなっていますね。確かにお産というのは病気ではないのですけれども、将来的には標準化する。できれば保険適用にするとか、もっと長期的に考えないと、ちまちまやってもしようがないと思います。
それから、地域差の問題ですが、これは格差をつけても余り意味がないのではないか。つまり、時々の経済情勢によって地域間の格差が違ってくれば、そのたびごとに修正しなければならないので、事務的な作業の簡略化ということを考えれば、全国一律にせざるを得ないだろうという感じがいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、各論に入る前に全体の話なのですが、先ほど佐野委員が指摘されましたように、今回、様々な議題を議論するわけですけれども、その全ての論点の間での関連性もございますので、早めに改革の全体像を示していただきたいということを要望いたします。
その上で、2点申し上げたいのですが、まず、出産育児一時金の医療保険全体での支え合いについてです。こちらについては、これまでも発言してまいりましたが、私ども連合といたしましては、妊娠・出産に係る費用については、負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含めて、全て健康保険の適用、現物給付とすべきと考えております。
その上で、今回御提案の出産育児一時金に係る費用を全世代で支えていくということは必要と考えます。ただ、そういうことを行う上でも、高齢者医療制度について、社会保険制度の原則を踏まえて、負担能力に応じた負担の在り方へと早急に再構築することも必要だと考えております。
また、10ページで見直しの方向性といたしまして、「後期高齢者医療制度の負担割合を対象額の7%と設定してはどうか」とございます。この点、どうすべきかという部分を持ち合わせているわけではありませんが、所要保険料で見るべきか、あるいは特定保険料を除いた基本保険料で見るべきかといった論点もあるのではないかと思われます。いずれにいたしましても、給付と負担の関係性を余り複雑にすることなく、被保険者にとって分かりやすい仕組みとすることが必要と考えます。
次に、出産費用の見える化についてです。出産費用の状況の見える化は賛成でございまして、ぜひ進めていただきたいと思います。その際、妊産婦のニーズを踏まえた見える化が重要と思います。資料15ページで公表イメージというのを出されておりますけれども、例えば都道府県だけでなく、市町村でも検索できるようにするなど、情報を受ける、必要とする妊産婦や家族の視点にも立って、今後、詳細な検討を進めていただきたいと思います。
また、妊産婦が費用やサービスを踏まえて適切に医療機関を選択するためには、情報を発信するということが大変重要だと思いますが、公表されている情報までスムーズにたどり着くことが前提となりますので、効果的な周知策の検討も併せてお願いしたいと思います。
また、最後に、やや個人的な意見でございますが、先ほど袖井委員が御指摘された点は私も賛同いたしております。希望する方が産み育てやすい環境を整備するということが大変重要でありまして、今回はその一方策であると思いますが、これは少子化対策ということなのかというと、「産めよ殖やせよ」みたいな話になってきて、世の中からきちんと受け入れられるのかというと、少し疑問がございます。なぜ産まないのか、なぜ子育てをしていくのがつらいと思っているのかということについて、もう少し検討して対策を打ち出していくべきではないかと思いました。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
まず、総論の議論の進め方でございますけれども、年末までに取りまとめが迫っておりますので、数字も含めて、今回の医療制度改革を通じて、各保険者の負担や調整の在り方の全体像を早くお示しいただきたいと思います。
その上で、各論点でございますけれども、まず、一時金の見直しの方向性につきましては、全世代で支えるという観点から、9ページ、10ページで示されております後期高齢者医療制度からも費用を負担するという仕組みについては、賛成いたします。
他方で、10ページを見ますと、出産育児一時金の引上げは令和5年4月からということですけれども、仕組み自体の導入は令和6年4月からということで、1年のずれがございます。一時金の引上げというのは、あくまで全世代で支え合うことがセットだと考えますので、この1年間のずれに対しましても、現役世代のみの負担とすることにならないように、しっかり御検討いただきたいと思います。
また、後期高齢者医療制度からの負担割合を、現役世代と後期高齢者の保険料負担に応じて定めるということは妥当だと思います。ただし、負担割合の対象額というものがございますけれども、これが明確でないので、この設定の金額によって負担の割合というのが大きく変わってくると思いますので、冒頭で申し上げたとおり、全体像を早急にお示しいただいて、その上で議論を進めていただきたいと思います。
最後に、出産費用の見える化についてでございますが、この報告は資料の14ページの方向性にあるとおり、各医療機関の出産費用の状況が一覧で把握できる形で進めていただきたいと思います。
併せて、利用者側には、出産費用だけでなく、より詳細なサービスの見える化というニーズもございますので、例えば各医療機関のホームページなどで、その費用とかサービスの公表が当たり前のように行われることを前提に御検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
出産育児一時金につきましては、全国市長会から実態に見合った額に増額していただきたいということをかねて要望しておりますので、ぜひその方向でお進めいただくようお願いいたします。
なお、少子化対策について、各委員、いろいろ御意見ございますが、人口減少対策の中で、私ども自治体は本当に幅広く取り組んでおります。出会い機会の創出でありますとか、不妊治療への助成、さらには子育ての支援。若者対策とでも言いましょうか、若者政策とでも言いましょうか、そういうことを各自治体、様々工夫して取り組んでおります。今後も総合的に充実させていくということを、各自治体、真剣に取り組んでおり、また今後も取り組んでいくということを申し添えたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
私からは、2点、コメントさせていただきます。
1点目は、論点の3つ目の見える化の議論についてですけれども、適切に医療機関の選択をするためには、こういった情報が必要であって、比較可能な形での情報提供というものは大変有益であると考えます。情報提供が具体的にどのように行われていくのかということは、これから決定されていくのだと思いますが、分かりやすさやアクセスのしやすさを重視すると同時に、持続可能性などの観点から、メンテナンスや情報更新に係るコストがなるべく抑えられるような形での導入を検討していただきたいと思います。
2点目は、今回の論点と直接対応するわけではないのですけれども、増額に伴う影響に関して、1点、考えを述べさせていただきます。今回、妊娠・出産の経済的負担の軽減としての一時金の増額が検討されています。増額後に、例えば増額分と費用が同程度増加するということが発生すると、意図している目的を果たすことはできなくなってしまいます。もちろん、出産費用が年々上昇しているという背景には、医療技術の向上をはじめとして、実質的な費用増加の影響が考えられるわけです。同時に、費用増加圧力というのは常に存在しているので、一時金の増額により、費用負担者が支払うことのできる額が増加するということを機に、これまで据え置かれていた費用が増加するということも起こり得ると考えます。
特に、今回の一時金の増額が、平成21年以来、比較的長い間固定されていた後のものであるということ。それから、検討されている助成額の増加幅が大きいということを考えると、この影響というのはより大きくなることも考えられるのではないかと思います。出産する方の経済的負担の軽減という目的との整合性という観点からは、増額された一時金が妊娠・出産費用の増加にそのまま転嫁されるということが起こらないように、一時金の増額後にも費用の変化を注視する仕組みづくりが必要であると考えます。
この点と関連して、今般の一時金の増額が実施された後、今後どのような形で一時金を扱っていくのかという中期的な見通しについても、併せて議論していく必要はあるのではないかと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
では、論点に沿って3点ほどお話ししたいと思います。
まず、各委員がおっしゃったように、改革の全体像を早く示していただきたいということは私自身も感じておりますので、お願いしたいと思います。
その上で、まず、出産一時金の引上げに関して、全世代で支え合うということは、以前もお話ししましたように、私もこれはある意味ではやむを得ないことであり、みんなで協力していこうという流れは必要ではないかと思います。
ただ、袖井委員もおっしゃったように、この出産一時金を上げることで、どこまで少子高齢化、いわゆる少子化対策に寄与できるかということになると、もちろんそれだけで突然、それが一気に進むわけではないと思います。例えば、医療保険でできる今回の令和4年度の改定で行われました不妊治療の保険適用によっても、それで一気に少子化対策が進むかというと、そうではない。
ただ、医療保険でできることは限られているけれども、その中で不妊治療の保険適用とか出産一時金の引上げということで、小さな一歩かもしれないですけれども、こういうことで子育て支援も含めて全体が少しずつ進んでいくことのきっかけづくりになるという考え方に立てば、それを全世代で支えていくということをお示しすることは、ある面ではインパクトがあることではないかと思っていますので、賛成したいと思います。
その上で、サービスの見える化は非常に重要な観点で、今回は出産費用の見える化の公表ということで、15ページにイメージの表が出ています。そこで可能かどうか分かりませんが、できればこのチャンスに、ただ額だけではなくて、サービスの内容そのものも一部見える化することができないか。もちろんホームページを開ければ見えるということがあるかもしれませんけれども、金額だけだと、例えばかなり高度な出産を引き受けているところは、逆に高くなってしまって、それがなぜ高くなっているか見えないということもあります。
ですので、サービスの内容そのものも、それぞれの医療機関の特徴を備考欄等に書けるようなスペースを設けて、これから出産しようというお母様、お父様方に分かりやすいサービスの提供の仕方というのが必要ではないかと思いますので、そういうことも併せて御検討いただけるといいのかなと思いました。
最後に、地域差に関してですけれども、16ページにありますように、もちろん現時点で言われている東京と地方に20万ぐらいの差があることに対しては、何らかの穴埋めが必要という考え方もありますけれども、一方で、これ(地域差)を埋める場合にはいろいろな副作用も出てくることを考えますと、これを一時金で補うというのは、ハードルがかなり高いのではないかと思います。
ですから、これは私自身も一律が望ましいのではないか。その上でサービスの見える化を徹底して、なぜその差があるかということを、利用される、これから出産される方々が分かるようにしていただければ、その地域差もある程度了解可能になっていくのではないかという気がしておりますので、そういう方向でいいのではないかと思います。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。発言させていただきます。
まず最初に、前段の後期高齢者関係の負担に関するところです。私自身も後期高齢者の全国協議会の会長ということで参加させていただいています。ほかの委員も数名おっしゃっていただいたように、ここに来て後期高齢者世代の方に負担がどんどん増えていくような印象も持たれかねませんので、ここに説明された資料等につきましては、仮に7%ということでいくとしても、より詳しく、分かりやすい説明をしていただく必要があるのではないかと思っているところです。7%というとなかなかピンときませんけれども、実際、これが金額でいえば幾らぐらいになるか、月負担が幾らになるかといったことが分かれば、また理解も進むと思いますので、厚生労働省のほうで、適宜そういった工夫もぜひお願いできればと思います。
そして、2点目は見える化の件です。今回、こういった形でデータを見える化して、利用される方々に分かりやすくするという趣旨でされると思うのです。そのことが少子化対策、出産の奨励になるのではないかという意図だと思います。そういった意味では、より使いやすくすることを考えていくならば、現在、多くの方々がスマホやタブレット、パソコンでデータを集めて、自分で考えて選択されたりしていますので、そういったことに活用がうまくいくようなつながりということも、ぜひ考えていただいたらいいのではないかと思います。
併せて思うのは、この際、金額で応援するのみならず、そもそも出産サポートにはどういったことが必要で、どのような制度的な改革。例えば、ほかの委員の御発言で言いますと、保険適用も検討すべきじゃないかというのもありました。また、具体的に妊産婦・妊娠、そして出産を経験された方に聞きますと、本当はどういったサポートが必要なのだということが分かってくると思うのですね。そういったこともぜひ検討していただいたら、トータルのケアになるのではないかと思います。そして、そういった意味でもリサーチとかヒアリングが大事だと思っているところです。
このように、社会的なケアと、あるいは個人や家族へのサポートをいかに充実していくかということが、子育てあるいは出産をサポートすることになります。そして、そのことがトータルで社会として、将来のよりよい日本づくりに役立つと思います。どのような日本のビジョンを描くのか、それに必要な社会保障をどのようなあるべき姿として目指していくのか。そのために制度を変える、あるいは財政を投入するという形になっていくと思います。
そういったことも含めたビジョン、ほかの委員もおっしゃったのですけれども、トータルとしてのビジョンが重要になってくるだろうと思っています。
全世代型で支える社会保障制度という趣旨で今、いろいろな議論がされていますので、この全世代で支えるというのは、実はこういうことだよということも伝えながらやっていただくことが、とても大切だと思います。
併せて間接的に思うのですが、いろいろな広報の中で、政府広報や厚生労働省広報でも考えていただきたいのです。子宝に恵まれて出産を経験する、育児に関わる、そして、子供と一緒に成長していくことが、もちろん大変さもいっぱいあるのですけれども、喜びも本当に大きいものがある。そういったことをもっと積極的に伝えていかないと、出産してみようかな、もう一人子どもを持ってみようかな、あるいは家族として子育てをしっかりやっていこうかなという啓発にもつながっていくと思うのです。
ところが、どうも一般のニュースを見ていきますと、どうしても事件性の多いものがニュースになりがちですので、普通と違う異常なことなどが割と放送や記事に出ます。けれども、実は多くの方々のご家庭ではは、子どもを産み、子宝に恵まれて、そして子育てをしながら次世代を養育いただいているのです。その素晴らしさももっともっと伝えていただくことも、政府としてぜひお考えいただきたいと願っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。菅原でございます。
私は、議論の今後の方向性について、2点ほどコメントさせていただければと思います。
まず、資料1の参考資料の28枚目だと思いますけれども、各都道府県別の出産費用の状況が提出されていると思います。首相からは、出産一時金の大幅な増額ということが明言されているわけでございますが、この資料を見ますと、全国平均値を超える平均出産費用となっている都道府県をざっとカウントすると、15県程度かと思います。
今後、適切な一時金を議論するということが非常に大事なポイントになってくると思いますけれども、この改正を実質的な出産育児支援とするためには、都道府県だけでなく、国全体の視点として、全出産数のうち、どの程度一時金でカバーし得るようにできるのかといった視点が極めて重要になってくるかと思います。そういった意味では、現在提示されている出産費用の平均値、中位値だけでなくて、全国規模で第3四分位とか、あるいは80%、90%のパーセンタイル点などの資料もあると、これから先の議論が非常にやりやすくなるのではないかと思います。これが1点目です。
2点目は、16枚目のスライドに、一時金の設定の考え方について、全国一律とする場合と地域別の課題とする場合の整理がされていると思います。当然、それぞれに課題はあるわけですけれども、出産費用の見える化を図りまして、これを公表することによって、妊産婦御自身も、またそれだけじゃなくて、医療機関も独自の判断で、全国はこのような状況になっているのかということが分かるという、自律的な意思決定を行う基盤が整うと考えております。
それで、当面のところは、おおむね全国どこにあっても、通常の出産を安心して賄える一時金額を議論していただいて、その上で設定し、その後、経時的に全国の出産費用の推移を検証し、必要に応じて適時見直していくという、少し鳥瞰的な、パースペクティブに物事を進めていくということが大事じゃないかなと考えております。
また、その際には、既にほかの複数の委員からも御発言がございましたけれども、このような推移の変化を見極めながら、恒常的な費用転嫁を適正化していくためにも、出産費用の診療報酬点数化とか、あるいは室料差額などの保険外併用療養費化というのを検討の俎上に乗せていくという、今後の議論の方向性があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見等、ないようでございますので、本議題については、これまでとさせていただきます。本日いただいた御意見を踏まえつつ、さらに議論を深めていければと思っております。
次に、事務局のほうから別途報告事項があるということでございますので、説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○森課長 総務課長でございます。
令和4年度の第二次補正予算案がこの11月8日に閣議決定されましたので、御報告させていただきます。厚生労働省関係、全部で今回の補正予算案は4.8兆円分、用意してございます。そのうち、保険局関係は500億強ございまして、その関係をざっと説明させていただきます。
まず、1ページ目でございますけれども、令和6年秋に向けて、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた準備を一気に進めていかなければならないということで、例えば①にありますように、オンライン資格確認等のシステムを、訪問診療を含めて、新たなタイプの資格確認に用途拡大できるようにするための改修を行っていく。また、それに対するいろいろな事業所の財政支援を行っていくというものを用意しております。
また、②のほうですけれども、そうした仕組みについての周知広報の経費ですとか、③保険者のほうでも必要な一定のシステム改修等が出てきますので、そのための経費等を用意してございます。
それから、下のほう、診療報酬改定DXでございますけれども、こちらについては、毎回の診療報酬改定に当たって、医療機関サイド、ベンダーサイドで多大な労力を使って改修していく仕組みになっておりますけれども、その共通モジュールというのを導入することによって、一定の効率化を図っていきたい。そのための経費を用意してございます。
それから、次のページに参りまして、データヘルスの推進ということで、まずは次期、第4期の医療費適正化計画の見直しに向けたシステム改修の費用、それから、②から③については、40歳未満の方の事業主健診の情報を、保険者とシェアしていただくための必要な経費というのを用意させていただくことにしております。
それから、その次のページ、3ページ目でございますけれども、一番下のほうにシステム改修等という項目がございます。各制度に必要なシステムの改修・更改等が予定されておりますので、それに併せてやっていくためのものを御用意しています。
1番目、まずは国保総合システムの関係ですけれども、レセプト審査事務の効率化のための改修費用ということで57億円。
それから、例えば③ですと、広域連合の機器更改のための費用ですとか、4番目、訪問看護のレセプト電算処理システムの整備のための費用というものを用意しております。
このほか、5ページ目、6ページ目についても、個別のシステム改修等の費用等について載せさせていただいております。
私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、これに関しましては報告事項ではございますけれども、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきましては、かねてより申し上げているとおり、医療DX推進のかなめとなる、極めて重要な政策であると認識しておりまして、この一体化が意味を持つためには、オンライン資格確認等システムの実装、稼働が並行して進められることが、まず必須であると思います。政府は、今年度末までに、おおむね全ての医療機関・薬局での導入を目指すとしておられますけれども、これについては、大いに期待しているところでございます。
併せまして、円滑な現場実装のためには、導入から運用までの一気通貫した伴走型の支援も必要と考えておりますので、適切な支援・措置が取られるよう、お願いしたいと思います。
また、このマイナンバーカード自体の交付に関しましては、申請してから交付までかなり時間がかかっているという声をよく聞いておりますので、円滑なカード発行に対しまして、関係者の皆様の最大限の努力をお願いしたいところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
3ページでシステム改修について盛り込んでいただきました。特に、以前から全国市長会としてお願いしてまいっております国保総合システムのレセプト審査事務の効率化のためのシステム改修については、57億円盛り込んでいただきました。ありがとうございます。感謝申し上げます。このほかのシステム改修関係の経費、そしてマイナンバーカードと健康保険証の一体化の関係の経費も計上していただきましたので、私ども自治体として、この予算が通りましたら、事務を進められるよう、しっかりと準備してまいりたい。国のほうにも着実に進めていただくよう、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
私のほうから2点、お話申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど前葉委員からもお話がございました国保総合システムの更改に係る国庫補助の確保の話でございます。今、審査支払機関改革に取り組んでおりまして、審査支払システムについて、支払基金と中央会、連合会が共同開発し、共同利用するという大変大きなプロジェクトになっていますけれども、このため、その一環として、この国保総合システムの更改というものがあるわけでございまして、その財政支援ということで要求しておりました57億円、満額確保していただきました。心より感謝申し上げたいと思います。
9月8日にこの医療保険部会でも御要望させていただいておりました。本当にありがとうございました。まだ予算成立しておりませんけれども、予算が確保されましたらば、我々、令和5年度で最終開発になりますけれども、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
2点目が、これも要望でございますが、資料2に出ています、いろいろな補正予算の項目の中で、システム開発関係、ざっと22項目ほどあるのではないかと思いますが、実はこのうち18項目が、まだ正式に話を聞いているわけではありませんが、私ども連合会あるいは中央会が開発や改修あるいは運用に関わるというものではないかと見ております。大変多くの仕事あるいは役割というものを、我々国保連合会・中央会にいただいて、それだけ期待も大きいということで、大変ありがたいことだとは思っております。
一方で、システム開発あるいは運用、特に開発面におきましては、これを効率的かつ的確にやっていくためには、財源をつければいい、補助金をつければいいという状況というのは、大分昔の話になっているのではないかと思います。御案内のように、システムやITに関する技術進歩というものは、クラウドやAIの活用をはじめ、日々、大変目覚ましく進んでいる、状況が変わっています。また、開発期間も非常にタイトなものになっておりまして、セキュリティー対策も含めまして、大変複雑かつ難しい仕事になってきているのではないかと思っております。
そこでお願いでございますけれども、厚生労働省におかれましては、財源の確保、予算の確保だけして、その後は関係団体に仕事を委託する、お願いするというだけではなくて、その後における開発や運用におきましても、具体的なプロセスの中でしっかりと厚生労働省の職員の皆さんにかんでいただきたいということでございます。それは、技術面におきましてもそうでございまして、特に国のデジタル政策の司令塔としてつくられましたデジタル庁とも連携していただいて、技術面での指導、御支援をお願いしたい。また、可能であるならば、厚生労働省の職員の方の派遣も含めて、御支援をお願いしたいということでございます。
このためには、厚生労働省自身がシステムやデジタルに詳しい人材というものを育成・確保していくことが大変大事だと思っております。私もかつて厚生労働省におり、今、こういうシステム開発を担う立場で仕事をしておりまして、厚生労働省の中でシステム、IT人材を育成・確保していくということにもっと早く取り組めばよかったのでございますけれども、残念ながら、なかなかそういうことができなかったということで反省もしております。現役の皆様、人材育成・確保というのは一朝一夕にできるものではございませんけれども、ぜひこの点、しっかりと取り組んでいただければありがたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
私も、今回、データヘルスの推進について、2ページに40歳未満の事業主健診情報の活用に向けた経費をお示しいただいております。40歳未満の事業主健診情報の活用につきましては、9日に行われました40歳未満の事業主健診情報の活用促進に関する検討会におきまして、厚生労働省より、運営費の負担につきましては、医療保険部会で検討するとの御説明をいただいたと伺っております。本日、システム改修費用につきましては、補正予算で御準備いただけたことに感謝申し上げます。
それで、以前にも申し上げたのですけれども、40歳以上の事業主健診情報につきましても、この情報を事業主のほうからスムーズに頂いていないという現状がございます。ですから、その辺の情報提供が促進するような後押しも国のほうにお願いしたいなと思います。
その中で、オンライン資格確認等システムの運営に係ります費用につきましては、40歳未満の事業主健診情報を取得して活用する受益者間におきまして公平に負担する仕組みにしていただくように、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
いただいた説明、資料を見ますと、マイナンバーカードが大変注目されているわけです。けれども、かねて申し上げているように、マイナンバーカードは、デジタル社会、デジタルトランスフォーメーション、デジタルガバナンスのキーになるものですから、ぜひこのことがうまく運用できるように、厚生労働省のほうでもハッパをかけていただきたいなと思っています。
そもそもは安倍総理が2014年の6月3日に総理官邸でのIT総合戦略本部(本部長・首相)で、2016年から配る社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を利用するための個人カードに関し、20年をメドに健康保険証や金融機関などで使える機能を持たせるよう関係閣僚に検討を指示したことから始まっています。いわば日本のデジタル行政本格化のキックオフです。本来はもっと加速していくべき重要なテーマです。
そうやってあるべき姿を考えると、もちろん保険証としての利用は当然のことなのですけれども、多くの皆さんは、多くの行政の手続きにマイナンバーカードを使っていただいて、利便性の高い行政サービス、プッシュ型の行政サービスを期待されていると思います。
つい先日、私、大変お世話になった先輩からお手紙を頂いてびっくりしたことがあるのです。そのお手紙には、実はマイナンバーがうまく活用されていない実情のことを厳しく書いておられました。どんな内容かといいますと、その先輩のお嬢さんの御主人様が急逝されたのです。その後の手続きを自分が代わりにやることになったけれども、それが本当に大変だった。「本来、マイナンバーカードで全ての行政サービスがもっとよくなるはずじゃないのか」ということを、マイナンバー制度の趣旨を大変よく踏まえられながらお手紙を書いて、私に送っていただいたのです。そういう気持ちの方が多くおられますし、今後ともトータルケアで行政をトランスフォーメーションしていくためのマイナンバーカードですから、もっと進化が望ましいのです。
ですので、取りあえず保険証だけに留まることなく、さらに大いに改革してほしいのです。でも、省庁によっては、自分たちの所管している省庁のサービスの変革だけとかではなくて、ほかの省庁の方にも意見を言ってしまうと、そっちからまた責められると嫌だとか、お互いの分野、分野ごとの司司(つかさつかさ)がありますので、それ以上のことを言うと越権行為になるとか、あるかもしれません。けれども、国民は省庁別に生きているわけではなくて、トータルで毎日暮らしをしています。そのトータルの行政サポートをよりよくしていく。迅速、的確、公平、公正、そして個別最適化できるような、そんなことのためにやっていくべきだと思いますので、今日御説明いただいた様々な予算交付、また今後の行政的に取り組まれる事業で、本当にそういったことが必要になっていきますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
もう一つは、データヘルスのことです。私どもも保険者として、私の場合は後期高齢者医療と併せて国保も自治体の首長としてお世話させていただいています。データヘルスは本当に効果があります。一般の方が、健診を受けて、血液検査結果の数値が悪くなって、健康指導で相談や助言を受けるわけです。その際に、保健師が指導するときにはご当人のデータを見せて、「このままいくと、本当に悪化したらこうなりますよ」ということを、危機感を持ってお知らせすると、その人の行動が変わります。ところが、仮に数値が悪くても、「取りあえず悪いので様子を見ましょうか」、「少し経過だけ見ましょうか」という程度の診察や助言では、御本人様はほとんど真剣に危機感を持たれないことになることがあるようです。やはり、データに基づいた、御本人の自覚を促す、行動を変える、そのことが、実は医療費の適正化、健康長寿化になっていきますので、こういうこともぜひ力を入れていただきたいなと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がないようでございますので、この件につきましては、これまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参加いただきまして、本当にありがとうございました。
それでは、閉会といたします。