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- 第156回社会保障審議会医療保険部会 議事録
第156回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和4年10月28日(金)10:00~11:51
場所
日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F会場
議題
1.医療保険制度改革について
2.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
3.オンライン資格確認等システムについて
2.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
3.オンライン資格確認等システムについて
議事
- 議事内容
- ○森課長 定刻になりましたので、ただいまより、第156回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途、御案内しておりますので、御確認願います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、袖井委員、羽田委員、前葉委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理といたしまして菅野参考人、前葉委員の代理といたしまして鎌田参考人の出席につき、御承認賜れればと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと存じます。
本日は「医療保険制度改革について」「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
なお、議論の時間をしっかりと確保するため、事務局はポイントに絞って簡潔に御説明のほうをお願いいたします。
では、初めに「医療保険制度改革について」を議題といたします。それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○田中課長 では、資料1に基づきまして「高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方、被用者保険者間の格差是正の方策等」について御説明いたします。高齢者医療課長でございます。
2ページから、高齢者医療の現状、これまでの議論の状況。
3ページが医療保険制度の体系でございまして、緑が75歳以上の後期高齢者医療制度、黄色が65歳から74歳の前期高齢者財政調整制度に該当いたします。
4ページ、高齢者医療制度の財政につきまして、後期の医療費18.4兆円、前期の財政調整6.7兆円の負担の枠組みをお示ししております。
5ページでございます。後期高齢者医療制度について、都道府県単位の広域連合で運営してございます。その側から見た財政の枠組みと、財政安定化等のための諸制度を記載してございます。
6ページは、前期高齢者の財政調整制度に基づく納付金の推移と、保険者種別の内訳をお示ししております。直近全体額で3.58兆円となってございます。
7ページは、後期高齢者医療への支援金の推移と内訳をお示ししております。直近、6.93兆円となってございます。
8ページは、後期高齢者1人当たりの保険料及び現役世代1人当たりの後期高齢者医療への支援金について、一月当たりの金額の推移をお示ししております。制度創設時の平成20年度を100といたしますと、令和4年度には後期高齢者の保険料121に対し、現役の支援金は168に増加しておりまして、現役の伸びが後期高齢者の伸びを上回っているという状況でございます。
9ページは、高齢者医療に関する主な制度改正の経緯をお示ししてございます。
10ページでございます。9月28日の全世代型社会保障構築会議で示されました論点の抜粋でございます。医療保険関係の2点目に、本日御説明している内容の論点が挙げられてございます。
11ページでございます。10月13日の当部会への提出資料の抜粋でございます。後期高齢者支援金、また保険料の関係の委員からの主な御意見。
また、次の12ページは、被用者保険者間の格差是正に係る主な御意見をまとめた資料を再提出させていただいております。
13ページからが、高齢者の保険料賦課限度額、高齢者医療制度への支援金の在り方についてでございます。
14ページ、後期高齢者負担率の関係でございます。後期高齢者医療の医療給付費につきましては、高齢世代が約1割、現役世代からの支援金が約4割、公費が約5割を負担することとされております。後期高齢者の負担率につきましては、制度創設時、平成20年度の10%を起点といたしまして、現役世代人口の減少による現役世代1人当たりの負担の増加分を、高齢者と現役世代で折半する仕組みになってございます。
下の表に推移を示しておりますけれども、令和4~5年度は11.72%となってございます。
15ページが、人口構成の変化による負担への影響についてでございます。
左下に負担割合を固定した場合のイメージを記載してございますけれども、後期高齢者数の増加による給付費の増というのは、後期高齢者の数自体が増えますので、それによって相殺されるということで、1人当たりの負担に影響しないわけでございますけれども、現役世代1人当たりの負担は、後期高齢者の増加分と現役世代の減の両方の影響を受けて増加するというのが、この左下の絵でございます。
現役世代の減少の影響による現役世代1人当たりの支援金の増を抑制するために、右下のイメージが現行の枠組みでございますけれども、現役人口の減少による現役世代1人当たり負担の増加を高齢者と現役世代で折半し、高齢者の負担率を引き上げていく仕組みというのを先ほどのページで御説明しましたけれども、なってございます。これによりまして、制度創設当初の1対4対5の負担割合を固定した場合よりは、現役世代の1人当たりの支援金等が抑制されておりますけれども、それでも後期高齢者1人当たりの負担の伸びよりも、現役の支援金の伸びのほうが大きいという課題がございます。
今後、2025年までに団塊の世代全員が後期高齢者になり、75歳以上の人口が急増する中で、現役世代の負担をどう軽減するかというのが課題と考えてございます。
次の16ページでございます。今後、2025年までに団塊の世代全員が後期高齢者になる一方で、長期的に見ますと、左の人口動態でございますけれども、後期高齢者数は安定し、その後減少していく見通しでございます。こうした人口動態を念頭に置きますと、現行の仕組みには、左下のグラフの負担率の見通し、緑色でございますけれども、このとおり、2030年以降、また団塊ジュニア世代の後期高齢者入り以降の後期高齢者の減少局面においては、後期高齢者の減少を加味せず、現役世代人口の減少だけに着目した形で後期高齢者の負担する割合が増加し続けてしまうという課題もございます。
17ページでございます。後期高齢者医療と介護保険の高齢者と現役世代の負担割合を比較したものでございます。左側の後期高齢者につきましては、これまで御説明さしあげたとおりですが、右側の介護保険では、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳の第2号被保険者の人口の比率に応じて負担割合を見直す仕組みとなっておりまして、下の保険料の推移にございますとおり、第1号被保険者と第2号被保険者の1人当たり保険料の伸びは、おおむね同じになってございます。
18ページでございます。後期高齢者医療の保険料額については、被保険者全員が負担する均等割と、取得に応じて負担する取得割で構成されてございます。保険料総額に占める均等割と取得割の割合は1対1になっております。世帯の取得が一定以下の場合には、均等割の軽減措置がございます。
また、グラフにございますけれども、保険料の賦課限度額は年額66万円となっておりまして、右下に吹き出しをつけてございますが、年金と給与収入が同じくらいであれば、全国平均で収入996万円以上の方がこの賦課限度額に到達することになっております。
19ページ、この保険料賦課限度額についてでございますが、経緯といたしまして、平成20年度の制度施行時には、保険料の賦課について、国民健康保険は世帯単位、後期高齢者医療は個人単位と違いがあることから、平成19年度の賦課限度額の水準56万円を参考に、国保で賦課限度額を負担する層について、後期になった際に、その賦課限度額と同程度までの負担となるように50万円に設定いたしまして、その後、2年ごとの保険料の改定時に、国保の引上げの状況等を踏まえまして引上げを行っておりまして、直近では令和4年度に2万円引き上げまして66万円に設定してございます。
次の20ページからが、被用者保険者間の格差是正についてでございます。
21ページ、健保組合と協会けんぽの保険料率の推移でございますが、協会は10.0%でございますが、健保組合は平成19年度以降、上昇してございまして、近年は横ばいになってございます。
22ページは、健保組合の保険料率の分布でございます。健保組合の保険料率、青が平成23年度、赤が令和3年度でございますが、引き続き保険料率には幅があるとともに、全体として保険料率が増加してございまして、協会けんぽの平均保険料率である10%を超える組合も、令和3年度で307組合となってございます。
23ページでございます。保険料率が10%以上となっている組合の割合は22%と申し上げましたけれども、9.5%から10%の組合が緑のラインでございます。こちらも増加傾向にあるということで、仮にこうした組合が解散するということになると、影響が大きいということに留意が必要と考えてございます。
24ページは、健康保険組合の前期高齢者に係る所要保険料率の分布でございます。低いところは0.5%未満でございますが、高いところは4%を超えている状況にございまして、こちらも保険料率の分布に幅がある1つの要因となっておると考えております。
25ページは、健保組合の財政構造でございます。令和3年度の決算見込みでございます。経常収入約8.4兆円でございますが、経常支出は約8.5兆円となっておりまして、赤字となってございます。また、支出を見ますと、全体の43%が高齢者医療への拠出金に充てられてございます。
続きまして、26ページが健保組合の財政状況でございます。今月公表されました令和3年度決算見込みにおきまして、平成25年度以来、8年ぶりの経常赤字となっております。新型コロナによる受診控えの反動の要因が大きくなっていると分析されております。
27ページでございます。健保組合から高齢者医療への義務的経費に占める拠出金負担割合の推移は増加傾向にございます。
28ページは、協会けんぽの財政構造でございます。収入が11兆1000億円程度、そのうち国庫補助が1.2兆円ございます。支出は10兆8000億円程度となってございます。
29ページは、協会けんぽの単年度収支差と準備金残高等の推移でございます。ここ数年は黒字で推移しておるところでございます。
30ページ、しかしながら、協会けんぽにつきましては、医療費が左側でございますけれども、賃金の伸びを上回る赤字構造となってございます。また、右側でございますけれども、報酬水準が低いということに留意する必要があると考えております。
31ページは、協会けんぽから高齢者医療への拠出金負担の推移でございます。令和4年度、37.4%となってございます。
32ページに被用者保険者に関する負担調整の枠組みをまとめてございます。
拠出金負担に係る調整としまして、後期高齢者支援金における総報酬割、前期高齢者に係る財政調整、拠出金負担に係る負担調整・特別負担調整というのがございまして、次に真ん中の健保組合間の共助の仕組みとして、調整保険料率というものを用いました交付金事業というものがございます。
また、一番下には、補助金による国からの支援というのもあるということでございまして、次の33ページから、これらの枠組みを順次御説明申し上げます。
まず、33ページ、高齢者医療への拠出金負担の枠組みでございますけれども、2種類ございまして、左側の後期高齢者支援金につきましては、負担能力に応じた負担とする観点から、平成29年度より全面総報酬割を実施してございます。
右側の前期高齢者納付金については、保険者ごとの前期高齢者加入率に応じた負担調整を実施しております。
34ページに、この前期財政調整の仕組みを説明しております。65~74歳の前期高齢者の約7割が国民健康保険に加入していることによる負担の不均衡を是正するため、2つ目の丸にございますが、各保険者の前期高齢者給付費と前期高齢者に係る後期高齢者支援金につきまして、前期高齢者加入率が全国平均、令和4年度は15.11%でございます。これとみなして算定された額を負担する。これによりまして、前期高齢者加入率が全国平均より低い場合には、全国平均である場合との差額を納付。高い場合には、その差分の交付を受けるという仕組みになってございます。
35ページでございます。負担調整・特別負担調整でございますけれども、右下に数字を記載してございますけれども、拠出負担の割合が50%を超えるような保険者について、負担調整・特別負担調整という仕組みがございます。
2ポツの特別負担調整につきましては、財政力の弱い保険者に限りまして、国費も投入して負担軽減を行っております。それ以外は、全保険者で按分する仕組みになってございます。
36ページが、負担調整・特別負担調整の具体的な要件でございます。
また、37ページは、それぞれの対象範囲についてグラフにプロットした資料をおつけしてございます。
38ページでございます。健康保険法では、健保組合間の共助の仕組みとしまして、健保組合から調整保険料を徴収いたしまして、高額医療が発生した場合の影響緩和や、財政負担の軽減が必要な組合に対する交付金交付事業を行ってございます。財源となる調整保険料率は1000分の1.3、1.3パーミルでございます。各組合の財政状況に応じて設定されておりまして、財政状況がよい組合は、この1.3よりも調整保険料が多く、悪い組合は少なくなる仕組みとなってございます。
39ページは、被用者保険者への国からの支援として行われております、高齢者医療運営円滑化等補助金についてです。
左が既存分、新規分とございますけれども、予算額、合計約720億円を、前期高齢者納付金の負担が重かったり、また負担が急増しているという保険者に対して助成を行ってございます。
最後でございます。40ページでございますけれども、検討事項に係る論点を記載してございます。
1番、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方につきましては、現行の高齢者負担率の設定方法は、現役世代の減少だけに着目しており、制度導入以降、現役世代の負担が大きく増加し(制度創設時と比べ、現役は1.7倍、高齢者は1.2倍の水準)でございます。当面、その傾向が続く一方、長期的には、高齢者人口も減少することから、高齢者負担率が上昇し続けてしまう構造にございます。
高齢者世代・現役世代それぞれの人口動態に対処できる持続可能な仕組みとするとともに、当面の現役世代の負担上昇を抑制するために、高齢者負担率の在り方を見直すことが考えられないか。
併せて、高齢者世代内で能力に応じた負担を強化する観点から、賦課限度額を引き上げるとともに、現在、1対1となっている保険料の均等割と所得割の比率について、所得割の比率を引き上げることとしてはどうかというのが1点目です。
2点目、被用者保険者間の格差是正の方策等でございます。
健康保険組合の運営は、自主・自立が前提である一方で、現状・保険料率に幅があり、全体として保険料率が上昇している状況でございます。
現役世代の負担上昇の抑制と併せて、健康保険組合の持続可能性を確保する観点から、個々の保険者のみでは解決が困難な課題を中心に、被用者保険においても負担能力に応じた仕組みを強化し、被用者保険者支援の在り方を見直すとともに、前期高齢者の給付費の調整において、現行の「加入者数に応じた調整」に加え、「報酬水準に応じた調整」を導入することが考えられないかという論点を挙げさせていただいております。
御説明は以上でございます。
○田辺部会長 説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、今回の医療保険制度改革の議論に当たっては、世代間のバランスをどう取っていくのか、また世代内のバランスをどう取っていくのか、両面からの議論が必要だと思っております。その上で財政影響も含め、改革の全体像を早めに示していただいて議論していくことが重要であると思っています。
また、前回も申し上げましたけれども、今回の医療保険制度改革の最大の目的は、現役世代の負担軽減ということであると思いますので、これが達成されなければ意味がないと思っております。
先ほど若干御説明ございましたけれども、今月、健保組合の令和3年度決算見込を発表いたしましたが、経常収支がマイナス、しかも5割を超える組合が赤字ということで、健保組合を取り巻く環境は非常に厳しいということを御理解いただきたいと思います。
その前提に立った上で、今回の論点について御意見申し上げたいと思います。
まず、1番目にあります高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方でございますが、この資料にありますけれども、現役世代1人当たりの支援金の伸びが、後期高齢者1人当たりの保険料の伸びを大きく上回る状況になっております。創設時と比べますと、後期高齢者の1人当たり保険料は1.2倍であるのに対して、現役世代のほうの支援金額は1.7倍と、いびつな構造になっていると申し上げざるを得ません。世代間の公平の観点からも、現役世代の1人当たり保険料負担額の伸び率を、少なくとも後期高齢者の1人当たり保険料負担額の伸び率と同程度以下になるようにしていただきたいと思います。これ自体は、今回の改革のテーマである現役世代の負担軽減につながることでございますので、ぜひとも進めていただきたいと思います。
また、今回、資料には記載がないのですけれども、後期高齢者の現役並み所得者の給付に対しては公費が投入されず、現役世代が後期高齢者支援金を通じて負担しております。これまでも何度か申し上げておりますけれども、現役並み所得者に対する公費投入についても、現役世代の負担軽減の観点から、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
それから、論点2番目の被用者保険者間の格差是正の方策でございますけれども、被用者保険者間の格差是正という議論については、被用者保険者であるところの健保組合、また協会けんぽの現状をよく見た上で御議論いただきたいと思います。単に設定保険料率の水準がどうだという比較だけではなくて、例えば直近の財政状況を表すところの収支均衡料率を見ますと、その差はかなり縮まっております。
また、国庫補助についても、協会けんぽのほうは1兆円を超える投入がされているわけですけれども、健保組合については、39ページに記載がございますが、全体を合計しても800億円程度になっております。
また、今回、資料にはないのですけれども、例えば疾病予防ですとか重症化予防につながる保健事業について見ますと、特定健診とか特定保健指導の実施状況は、特定健診について言えば、協会けんぽが52.3%に対して、健保組合は77.6%。また、保健指導について見ますと、協会けんぽが15.8%に対して、健保組合は26.9%という状況になっております。こうした状況をしっかり見ていただいた上で議論いただきたいと思っております。
その前提に立ったうえで、論点の内容について何点かコメントしたいと思います。
まず、報酬水準に応じた調整の導入の検討については、先ほども若干御説明ありましたけれども、これまでの制度改革において、後期高齢者支援金、介護納付金の総報酬割の導入に当たっては、被用者保険者間の負担のバランスの見直しという名の下に、実質的には健保組合が国の財政責任を肩代わりさせられることになったと認識しております。現役世代の負担軽減の達成を目指す中で、財源捻出策として被用者保険にさらなる負担を求めるようなことは容認できないと思っております。そこで捻出された財源については、当然、現役世代の負担軽減に充てていかなければいけないと考えております。
また、前期高齢者に係る財政調整については、様々な課題があると思っております。具体的に申し上げますと、1点は、前期高齢者の少ない小規模な保険者においては、毎年のように前期納付金の変動が大変大きな負担となっております。そのため、前期高齢者納付金の変動幅といいますか、ブレを抑制することをぜひ検討いただきたいと思います。
また、前期高齢者の財政調整において、前期高齢者に係る後期支援金分も財政調整されるような方式になっており、いわば水増し的な扱いになっておりますので、ここの見直しのところもぜひお願いしたいと思います。
それから、前期納付金の受入先であるところの国保における会計区分の明確化もぜひともお願いしたい。これまでも主張してきた部分でありますけれども、この辺りの解決もぜひお願いしたいと思います。
それから、この被用者保険者支援の在り方については、39ページに現状が書かれておりますけれども、この高齢者医療運営円滑化等補助金については、今後3年間で団塊の世代が後期高齢者になって、後期高齢者の支援金が急増する見通しであるということも踏まえて、ぜひともこの現行の支援に係る制度の見直しを含む拡充をお願いしたいと思います。
また、同じく39ページの右側にあります特別負担調整については、報酬が低くて拠出金の負担が重い保険者が対象となっており、この仕組みが導入された平成29年度から国庫費用は100億円のままで固定されております。一方で、義務的経費に占める拠出金割合が5割を超える健保組合は、平成20年度は全体の18%程度であったものが、令和3年には全体の30%程度まで増加しております。こういった状況もありますので、この負担軽減措置となる保険者の対象範囲の拡大、また現状の国費100億円の増額、もしくはこの負担軽減分の全額を国費負担としていただくことを要望したいと思います。
加えて、こうした負担調整の仕組みを通じて、確実に現役世代の負担軽減を実践するために、これまで我々も主張してまいりましたけれども、高齢者医療への拠出金負担については、義務的経費に占める拠出金負担割合が50%を超えないよう上限の設定の検討をお願いしたいと思います。
今までも申し上げてきたのですが、健保組合の保険料率は、医療費の違いとか収入水準の違い、また母体企業の考え方等々、様々な要因が関係していると思っております。これまで健保組合は、母体企業と協力して、健診、保健事業等にも積極的に取り組んで保険者機能を発揮し、加入者の健康寿命の延伸とか医療費適正化等を進めて、医療保険制度の維持発展に貢献してきたと自負しております。格差是正に当たっては、こうした保険者の自律性、運営責任、個々の保険者機能を後退させないように、十分な配慮、対応をお願いしたいと思います。
最後の最後に繰返しになりますけれども、財政影響を含めた改革の具体的な全体像を早期に示していただきたいと思います。それを示していただいた上で議論していく必要があると思いますので、これについては早急に具体的な資料等の提示をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 本多でございます。
資料の取りまとめと御説明、ありがとうございました。私のほうからも論点を指摘させていただく前に、医療制度改革全体について1点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
この年末までに取りまとめます医療制度改革でございますけれども、現状、各保険者の負担がどうなるのか、まだ全体像が明確になっておりません。制度改革全体として、どのような調整を行っていくのかという絵姿を関係者間で共有していく必要があると強く思っております。今回提案されました事項を、それぞればらばらではなくて、トータルで見た結果、現役世代の負担軽減を実現できる内容なのかどうなのか、その辺の議論が最も重要であると考えてございます。
その上で、最後の40ページに示されている論点について、それぞれ考えを申し上げたいと思います。
まず、高齢者の負担ですとか、高齢者医療制度への支援金の在り方についてでございますけれども、佐野委員のお話にもありましたように、現役世代の負担上昇の抑制の観点から、17ページでも説明がありましたように、後期高齢者支援金の伸びが後期高齢者の保険料の伸びを大きく上回っている現状、これは私どもとしても看過することはできないと考えております。少なくとも介護保険では実現しております両者、つまり、現役世代からの支援金と後期高齢者の保険料の伸びが同水準になるような仕組みを目指すべきと考えております。
次に、被用者保険者の格差是正の方策についてでございます。40ページの論点では、前期高齢者の給付費の調整において、報酬水準に応じた調整を追加するといった記載がございます。他方で仮にこうした仕組みが導入された場合、被用者保険者間でどのような財政調整が行われるのかにつきまして、詳細がまだないために、導入の是非に対する議論ができないと思います。数字を含めた具体的な提案を速やかに提示いただくようにお願いいたします。
それと、現行の前期高齢者の財政調整において支援されている特定の保険者への公費あるいは補助金については、引き続き現役世代の負担軽減に資する保険者支援に充当すべきだと考えております。
私のほうから以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
私のほうから、まず高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方について意見を述べさせていただきます。
高齢者医療費への拠出金が今後も大きく増加する見込みであることなど、現役世代の保険料負担は限界に達していると考えております。現役世代が納得して、これからも医療保険制度を支えていくためには、世代間の給付と負担の在り方を公平に見直すことをはじめ、制度の見直しに向けた議論を進めていくことが大変重要であると考えております。この議論の方向性は、政府の全世代型社会保障構築会議と軌を一にしており、きちんと検討を進めるべきであると考えております。
持続可能な保険制度を構築していくためには、負担能力のある後期高齢者の方にも、医療保険を支える集団の一員として公平な参画をお願いしたいと考えております。その意味で、高齢者の所得割比率を引き上げることが必要であると考えております。
次に、被用者保険者間の格差是正についてです。被用者保険の財政状況について事務局から資料が示されておりますので、協会けんぽの財政状況につきまして、一言説明したいと思います。
協会けんぽの加入事業所全体の約8割は、従業員が9人以下であり、そのほとんどが中小規模の企業でございます。その意味では、協会けんぽの財政基盤は非常に脆弱であると考えております。協会けんぽの財政状況につきましては、本日の資料30ページの左側のグラフにありますように、医療費の伸びが賃金の伸びを上回るという財政の赤字構造が解消されておりません。また、後期高齢者支援金が2021年から2025年度までに約4300億円増加することが見込まれていることなど、支出の一層の増加が見込まれます。
資料1の22ページにお示ししていただいているとおり、協会けんぽの平均保険料率10%を超える健保組合が、健保組合全体の22%を占めております。これらの組合の財政状況が悪化した場合、解散が増え、被用者保険のセーフティネットたる協会けんぽに移ることが予想されております。最近、協会けんぽで今後の財政収支見通しの試算を行いましたところ、平均保険料率10%を維持した場合でも、早ければ2025年度の収支は700億円の赤字に転落するという見通しが出されております。このように協会けんぽの今後の財政につきましては、決して楽観を許されるような状況にはないということをぜひ御理解いただければと思います。
協会けんぽの保険料率につきましては、事業主や被保険者から、コロナ禍や資源価格の高騰等に伴い経済状況が悪化しており、現在の平均保険料率10%が負担の限界であるという声が多く寄せられております。このことから、協会けんぽといたしましては、高齢者人口が最も多くなる2040年に向けて、中長期的な観点から運営を行い、医療費適正化や健康寿命の延伸に最大限、保険者としての役割を果たすことで、できるだけ長くこの平均保険料率10%を超えることのないように努力してまいります。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
意見を申し上げたいと思います。詳しい説明等ありがとうございました。たくさんの情報でしたけれども、非常にコンパクトに分かりやすく担当課長から説明いただいて、ありがとうございました。
ところで、今日の新聞報道を見ますと、共同通信経由の記事でいいますと、今回の年66万円の賦課限度額につきまして、「大幅に引上げ見通し」というのが記事にもう書かれているのです。どこに、どのように増えていくのか分からないという状況で、多くの国民の皆さん、特に高齢者の皆さんは、この記事を心配して御覧になっていると思います。今後、この審議会をはじめ、政府で検討・審議して、慎重な対応をしながら決めていかれると思いますが、その方向性をぜひ教えていただければありがたいと思います。私は認識しているつもりですが、多くの皆さんが関心を持っておられるし、報道機関の方も別席で御覧になっていて、そこが一番肝心だと思いますし、厚生労働省からコメントいただければありがたいと思います。
2点目に感じていることですけれども、それはこれだけ医療費が増えていくという現実があるということと、それを財政的にどう支えるかという大きな課題、若い世代への負担増の問題ももちろんあります。そういったことを踏まえながらですけれども、ここは一人一人が健康を意識して、一人一人が自らの健康に注意して健診を受ける、早期発見・早期治療に努めるなど、地道で着実な改革をしないと、改善は根本的には難しいなという印象を改めて持っているところです。
そういった意味でも、今、DXの取組でHCX、ヘルスケア・トランスフォーメーションという言葉が一部使い始められているのです。けれども、このHCXは、どちらかというと業界的な見える化とか新しいデジタル技術を入れるということだと思いますが、国民一人一人にとってもHCX、ヘルスケア・トランスフォーメーション、自らの健康を保持して、よりよいウエルビーイングを高めていくことができるようにしていくことが極めて重要なので、そういった啓発や推進も極めて重要だと思っています。
各保険組合を中心とした組織的な健診の健診率を上げるとか、あるいは基礎自治体も巻き込んで啓発し、家族ぐるみで健康を高めていくとか、そういったことがますます重要になっていると思いますので、その辺のことを今後大いに力を入れていただきたいと思っています。
前段のほうのコメントをぜひお願いします。
○田辺部会長 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○田中課長 高齢者医療課長でございます。
賦課限度額について報道があったという御指摘でございます。賦課限度額については、今回の当部会でも議論して検討を深めてまいりたいと思っております。現時点で具体的な額として検討しているものはございませんけれども、本日も既に全体像を数字も含めて早く示してくれという御意見もいただいておりますので、しっかり検討しまして速やかにお示しして、またできるだけ分かりやすく説明してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 よろしゅうございますでしょうか。
○横尾委員 今後、こういった審議を重ねながら進めていくということですね。新聞を見ると、あたかも近々にいきなり大幅に上げるような記事が書かれていたので、大変心配したところです。多くの高齢者の皆さん、特に関心を持って御覧になっていると思いますので、今後とも丁寧な議論をよろしくお願いします。
○田辺部会長 では、次に村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
まず、論点の1点目の高齢者負担率についてでございます。医療保険制度につきましては、国民皆保険を堅持しつつ、また持続可能なものにしていくことが重要と考えております。その中では、年齢別から負担能力に応じた負担の在り方への転換を進めるべきと考えます。現役世代の負担が大きく増加しており、高齢者負担率についても、負担の公平化や世代間の公平の観点から見直しの検討を進めていただきたいと考えております。
論点の2つ目の中でも、一番最後のポツの中の②の前期高齢者の給付費の調整における「報酬水準に応じた調整」についてでございます。医療保険の給付は、保険料に比例せずにフラットであるとともに、高齢者医療に対する支援金・納付金増加によりまして、社会保険でありながら給付と負担の対応関係が不明確になりつつあります。労使自治を尊重した社会保険制度を維持するためには、保険者の努力によって解決できないリスク構造の平準化を図ることが必要です。
しかし、現状においても、被用者保険の各保険者及び労使から、前期財政調整に係る拠出金と後期高齢者支援金の負担について、押しなべて不満が大きい中にあり、さらなる財政調整を行うということについては、各保険者及び労使の理解が必要不可欠と考えます。強制保険である社会保険の性格に鑑みれば、保険集団間の公平性・納得性の確保も重要でありまして、慎重な対応を求めたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
資料1の最後のページにある検討事項に関する論点について、少し意見を申し上げます。
現役世代の負担と高齢者の負担とのバランス等を考慮いたしますと、負担能力に応じ、全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組み、また高齢者における応能負担の方向性については理解いたします。しかしながら、急速な制度の見直しに、特に保険料負担や窓口負担の増加には慎重な議論をお願いしたく思っております。世代間における不公平感の議論にならないよう、所得の低い高齢者の方々を含めて、どのような対象者にどの程度の負担を求めるかにつきましては、高齢者への過度な負担の増大の結果、医療への受診抑制が生じないよう、バランスの取れた納得感のある制度改革を丁寧に行っていただくようお願いしたく思っております。
加えまして、令和4年10月からの2割負担に対する受診動向や医療費の影響は、今後整理してお知らせいただきたく、よろしくお願いしたく思っております。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。菅原でございます。
事務局におかれましては、詳細な資料の御準備、それから御説明ありがとうございました。私としても被用者保険の大変厳しい状況について、よく理解が深まりました。
以前にも本会において意見させていただいたのですが、健保組合の保険料負担の実態を見ますと、10年前と比べて保険料水準自体が非常に上昇している。並びに、協会けんぽの保険料率である10%近く、あるいはそれを超えている保険者数が増加しているということがよく分かりました。
健保組合の中で保険料負担が大きい保険者が出てくることは、先ほど数名の委員からも御指摘ございましたけれども、財政が厳しい組合の解散、それから協会けんぽへの移行が進むことで、将来的にはもちろん協会けんぽの御負担が増えると同時に、国全体の財政負担も大きくなるという懸念があるかと思います。したがいまして、保険者間の財政力の差異によって保険者機能が十分発揮されないことへの懸念、あるいは健保組合間の負担感の違いというのは、被保険者そのものへの公平性への影響というのが心配されると思います。
38枚目のスライドだったと思うのですけれども、健保組合の格差是正に関連して、健保組合には現状、調整保険料という自主財源を原資にした共同事業があって、高額医療給付の財政影響を緩和するための交付金事業とか、所要保険料率の高い健保組合の財政負担を軽減するための交付事業があるという御説明がありました。これは、あくまでも自主的なリスク調整を行っているという状況だと思います。ほかの制度を見させていただくと、特別負担調整の仕組みとか、拠出金等の負担が課題となる保険者についての調整を行うという様々な仕組みがあることが分かったのですけれども、保険者間の調整には限界があって、それを踏まえて国費による支援が行われていると理解しております。
そこで、健保組合の共助になっている仕組みである交付事業ですけれども、このような現況を鑑みまして、機能の強化、保険基盤の安定確保の観点からも見直したほうがいいと思いましたし、必要な範囲で、これに対しても国による支援をきちんと考えてはどうかと考えました。
それから、最後、40枚目の論点の中の前期高齢者に対する給付調整の在り方についてですけれども、これは私も以前、発言申し上げましたけれども、ほかの国に比べて、より細やかな調整が進んでいないということがございます。特に負担能力というのが非常に大きな問題になっておりますので、この負担能力を適切に反映する観点から、報酬水準に応じた調整を考慮することには一定の合理性があると思いますし、その検討の方向性については首肯できるものと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。全国市長会の前葉に代わりまして出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
まず、高齢者の保険料賦課限度額についてでございますけれども、後期高齢者医療制度の施行時におきましては、国保で賦課限度額を負担する層が、後期高齢者に移行されました際に同程度までの負担となりますように決定されておりましたところ、現在におきましては、両制度の限度額に19万円の差が生じておりますので、その適正な額について、十分な検証と検討が必要であると考えます。
次に、高齢者医療制度への支援金の在り方につきましては、現役世代の負担がかなり重くなってきておりますので、先ほど申し上げました後期高齢者の保険料賦課限度額の見直しに係る議論とともに、国保と後期高齢者の財政運営や、高齢者個人の負担のバランスといったものを考慮した検討が必要であると考えます。
最後に、被用者保険者間の格差是正の方策等については、前期高齢者の保険料負担や窓口負担の在り方等に対する検討を行うなど、負担構造の見直しのための議論が必要であると考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
以前から申し上げてまいりましたとおり、医療保険につきましては、現役世代や事業者の負担増加を抑制する観点から、高齢者においても負担能力に応じて相応の負担をしていただくことが必要であると考えます。そういった意味で、本日の論点となっております高齢者負担率の見直し、賦課限度額と所得割比率の引上げの方向性に賛同いたします。
なお、この10月から、一定以上の所得のある高齢者の窓口負担が2割へ引き上げられたことは、重要な一歩だったと思いますが、医療サービス利用者、すなわち保険制度の受益者による応能負担を基本とした窓口負担割合につきましては、さらなる段階的引上げに向けて検討していくべきと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
論点1の1つ目の項目ですけれども、前から申し上げていますように、私は高齢者と現役世代という分け方には無理がある。そういう意味で、世代間の公平というのはなかなか分かりづらい。高齢者でも所得の低い層、200万円以下の人たちが半分ぐらい、それから、高額所得者のほうにも高齢者はかなり多く二極化しています。そういう意味で、世代間というよりも負担能力ということで、ここでは皆さん共通した言い方だと思います。稼働所得とか資産所得を基本にした考え方を進めていかないといけないのではないかと思います。現行制度の分かれ方で見ると、世代間ということがどうしても出てくるわけですけれども、そこのところをどういうふうに整理していくのか。私自身は、医療保険制度について、もう少しシンプルな方向の検討も必要ではないかと思います。
それから、2つ目の項目のところですけれども、高齢者負担率の在り方を見直すという対応には、今、申し上げた視点で、私は適切ではないのではないかと思います。
論点3つ目の項目のところですけれども、現行制度をどう改革していくかということでは、一定の前進だと思いますが、根本的な解決にはならないと思います。先ほども高齢者がかなり心配しているのではないかというお話でしたけれども、高齢者の中でも、所得の低い方たちはそういう方向について別に違和感はないと思います。むしろ、中間層から高齢者の高額所得者のところがどうなっていくのかという問題だろうと思いますけれども、私自身は、それがすぐできるかどうか、いろいろ議論が必要だと思います。
金額での設定では、私は応能負担は不徹底だと思います。きちんと計算した裏づけがあるわけではないのですが、現行賦課限度額66万円ですけれども、66万円層の所得に対する比率を全ての高額所得者に求めるという方策もあるのではないか。金額で設定するということでは応能負担が徹底されませんので、その比率で当面は実施していただくということで、一定の財政的な改善が図られていくのではないかと思います。
それから、所得割の比率の引上げの問題ですけれども、その方向でいいと思うのですけれども、私自身は、平等割はできれば廃止すべきではないかと思います。平等割というのは、今言った、負担能力に応じてということとは相入れない考え方だと思っております。
それから、資料9ページのところで高齢者医療の歩みという資料を出していただきましたけれども、これは少し情緒的な意見になるかと思いますけれども、高齢者・国民にとって制度の複雑化、制度間の調整と、それがいろいろ年を追って制度が多様化し、複雑化した。それから、制度間の調整等、国民・高齢者が理解するにはだんだんと難しくなって、一般の高齢者の方は相当丁寧な説明でも理解ができなくなっているということにも配慮いただきたいと私は思っております。
どのようにするかということで、シンプルな在り方の検討が必要だと思いますが、シンプルな在り方ということでは、基本となるのは、私は世代間ということではなくて、稼働所得がどうであるのか、それから資産所得がどうであるのかといったところからのアプローチの仕方が必要だと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。都合で会場から参加させていただいております。
私も、論点に沿って、お話しさせていただきたいと思います。
まず、健保組合と高齢者の負担率の乖離ということに対してグラフ等でお示しいただきまして、ここに関してはある程度理解可能かなということで、このままではよくないということは私自身もすごく感じました。ただ、今までの皆さんの御議論をお聞きしていても、どうしても現役世代対高齢世代、先ほど兼子委員からもありましたけれども、どうしてもこういう対立構造になりがちですけれども、私はそうではないと思っています。というのは、今の現役世代、40、50、60、70の世代も、年を取れば必ず高齢世代に入っていくわけですから、これは連続性のあるものということで考えなければいけないと思います。
その視点に立ってみると、納得できるのは応能負担という考え方。現役並みの収入の方に対しては、相応の負担を少し増やしていうということに関しては、どの世代でも十分納得できることではないか、そういう意味での賦課限度額の引上げとか所得割の比率の引上げについては、どの世代でも了解可能ではないかと思っています。
一方で、均等割も含めて、もしかなり劇的負担増を実施する場合には、今まで現役世代でしっかり払って、高齢者になったら現役の人におんぶしてもらおうと思ったものが、(現役世代で)払うだけ払って、高齢者になった途端にその負担もさらに増えてしまうというように、非常に不利益を被る年齢層が出てくる可能性があると思うので、この辺の激変緩和ということは必要ではないかと思います。あくまでも対立構造ではなくて、連続性のある人生百年時代を、どうみんなで乗り切っていくかということに関しての制度の変更ということ、あるいは調整ということだと思いますから、そういうことで考えていく視点も必要ではないかと私は感じました。
ですから、保険者間の格差是正も含めて、ここは応能負担というものをしっかり捉えましょうということは、多分、全世代に共通して、ある程度御理解いただけるのではないかということを最後にもう一度申し上げたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見等がなければ、本議題につきましては、これまでとさせていただきます。本日いただきました意見を踏まえつつ、さらに議論を深めていければと存じます。
次に、「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○高木課長 資料2でございます。国民健康保険課長でございます。
国保の保険料の賦課限度額でございますけれども、例年、この時期に医療保険部会に御説明させていただいた上で、御意見をいただいて政府として決定しているものでございます。
1ページ目でございますけれども、国保の限度額の内容でございます。
基礎的事項として、限度額につきましては、被保険者の納付意欲への影響、円滑な運営を確保する観点から一定の限度を置いてございます。令和4年度につきましては102万円、医療分が85万円と介護分17万円でございます。
高齢化により給付費が増大する中で、上限を引き上げずに保険料の引上げだけした場合には、中間所得層の負担が重くなりますので、その上限を引き上げることで中間所得層の被保険者に配慮した保険料の設定をしているものでございます。
他方、低中所得層の多い市町村においては、相対的に所得の低い世帯の保険料額が賦課の上限に到達することもありますので、引上げに当たって、市町村の意見を踏まえて、その引上げ幅や時期を判断して設定しているところでございます。
2ページ目でございますけれども、これまでの賦課限度額の上限の設定額でございます。令和4年度については、右側でございますけれども、102万円ということで、昨年から今年にかけて3万円引き上げております。
3ページ目、考え方でございますが、社会保障改革プログラム法、ないし社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、毎年度、引上げを行っておりますけれども、これにつきましては、被用者保険のルールとのバランスを考慮し、賦課限度額の上限の世帯が1.5%に近づくように段階的に引き上げている。なお、被用者保険においては、その割合が0.5~1.5%の間となるように法定されております。
国保につきましては、医療の基礎分や後期・介護の世帯割合が前年と比較して増加しているか、ばらつきが見られるか等を基準として引上げ幅を設定しております。
なお、過去20年間で最大の引上げ幅は4万円でございます。
4ページ目は、報告書と法律の規定でございますので、省略させていただきます。
5ページ目の賦課限度額の在り方でございますけれども、令和5年度につきましては、超過世帯の割合が既に1.5%台に到達しております。したがいまして、後期高齢者支援金負担分が特に2%を超えております。基礎分、高齢者、介護のばらつきも拡大しておりますので、令和4年度と同じ割合の世帯が、令和5年度にも賦課限度額に該当するよう、令和4~5にかけては、2万円を引き上げることとしてどうかとしております。
真ん中に枠がございますけれども、引上げ後につきましては、高齢者のところについては20万円から22万円に引き上げるということで、合計で104万円。そうすると、上限に達する割合でございますけれども、引上げ前は1.56%なのが、引上げ後については1.51%になるということでございます。
下の枠にございますけれども、例えば年収400万円の方につきましては、推計でございますけれども、引き上げない場合は32.5万円なのが、上限を引き上げることによって32.3万円に抑えられる。他方、限度額の上限に当たっているところについては、102万円から104万円になるというものでございます。
次のページにつきましては、被用者保険のものでございますので、省略させていただきます。
なお、国保制度につきましては、国と地方の協議の場で事務レベルワーキングがございまして、現在、産前・産後の保険料、都道府県国保運営交付金の記載事項や、第三者求償、退職者医療制度など、国保制度の論点についてのワーキングで検討・調整を進めておりまして、これらの事項をはじめとして、今後とも検討を進めて、必要に応じて本部会でも御説明したいと考えております。
説明につきましては以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いいたします。
これは質問なのですけれども、国保の場合、都道府県が保険者ということですが、今でも市町村で保険料のばらつきが相当あるというお話をまだ聞くのですが、このような一定の規則で変えられるものなのかどうか。市町村の保険料の差異を埋めていくということが、今後どのような形で行われるのか、その辺を教えていただければと思って手を挙げました。よろしくお願いいたします。
○高木課長 ありがとうございます。
最初の1ページ目にもございますけれども、この賦課限度額の引上げに当たって、低中所得層の多い市町村においては、相対的にこの賦課限度額に到達する場合もあるということで、こうした課題も踏まえまして、平成30年度に財政運営を都道府県単位化しまして、合わせて3400億円でございますけれども、財政基盤を強化したということでございます。都道府県におきましては、都道府県の国保の運営につきまして、運営方針において保険料の統一についても記載するということになっております。
ただ、記載するに当たって、保険料の統一の水準というのは、都道府県・市町村で丁寧に協議して合意形成する必要がありますので、例えば一律にいつまでという期限を定めるものではございませんけれども、都道府県において、その運営方針において記載することになっております。現時点で18府県では、運営方針によって保険料の統一の期限というのを決めているところでございます。
また、昨年の改正法でも、令和6年4月からの国保の運営方針については、その記載が必須になるということでございまして、いずれにしましても、そこは都道府県と市町村で丁寧に協議しながら、今、進めているということでございます。具体的に大阪府では、令和5年度までは経過措置がございますけれども、保険料の統一をやっておりますし、その他8府県でも、令和5年、6年辺りから納付金ベースでの統一を含めて、保険料の統一ということを進めるという合意形成をいただいております。
国としましても、この保険料の水準について、医療費の適正化とか収納対策、その他事務の広域化・標準化なども併せてやっていく必要がございますので、そうした都道府県の取組を後押しする形で、国と地方の事務レベルワーキングでも協議しながら、引き続き、そうした支援を含めて取組を進めてまいりたいと思っております。
○猪口委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。
今回、令和5年度における国保保険料の賦課限度額といたしまして、プラス2万円という数字をお示しいただきました。資料にもありますとおり、限度額に達する世帯を1.5%に近づけることや、これまでの国と地方の協議を踏まえますと、このプラス2万円というのが1つの着地点であるのではないかと思います。
一方で、この賦課限度額の議論につきましては、保険料や所得水準に地域差があることなどから、保険者によっても様々な意見がございます。保険料率が高い、または高所得層が少ない地域では、中間所得層でも既に保険料が賦課限度額に到達しておりまして、これまでの3万円前後の引上げが実質的に中間所得層の負担増となっております。厚生労働省さんにおかれましては、引き続き、国保基盤強化協議会事務レベルワーキングで議論を継続していただきました上で、全国市長会との御協議をよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私は前の部会で申し上げたとおりなのですが、国保の現状を見ると、無職の方がどのぐらいになるのでしょうか、非正規の人は今後少し変わっていくのでしょうけれども、3~4割ぐらいいるのではないか。それから、所得水準は所得なしが3割というところでしょうか。保険料についていえば、組合健保の場合は事業主負担がありますので、そういう意味では負担は2倍ぐらいになるかと思っております。
それと、今も地方格差、地方に行くと非常に人口が少ないところで高額所得者がいないというところもありますので、今回の賦課限度額、私はできれば現行制度の手直しということでいえば、賦課限度額のところはかなり思い切った引上げとか、先ほど申し上げた一定にしていく。
ただ、それにしても、さっき申し上げた事情ですので、私は国保に対する国庫負担も、かつて50%ぐらいあったのが、今は21%ぐらい。そういう意味では、国保の財政力の弱いところを補うためには、思い切って国庫補助を引き上げていくということをやっていかないと、どうしても無理があるのではないかと思っております。今日の議題とはちょっと違うのかもしれませんけれども、先ほど申し上げた保険料の内容についても、均等割とか平等割というのがありますけれども、これは逆進性の高いものですので、私は減らしていくなり、なくしていく方向が必要なのではないかと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきたいと存じます。
最後に、「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。資料3「オンライン資格確認等システムについて」に沿って御説明申し上げます。
1ページ目でございます。マイナンバーカードの保険証利用の導入状況でございます。
直近の時点でございまして、カードリーダーの申込み、19.3万施設ということでございまして、全施設の84%。義務化対象施設に対する割合ということでは、9割を超える申込みをいただいている状況でございます。一方で、運用開始施設数でございます。7.5万施設ということで、全施設に対する割合が32.4%。義務化対象施設に対する割合が35.0%となってございます。運用開始をしていただくためには、システム事業者による改修等の作業が必要になります。引き続き、システム事業者に対して、必要な人材体制の強化、機材・機器の確保を進めるよう、関係省庁と連携して強く働きかけを進めてまいります。
1ページの下のほうは、マイナンバーカードの保険証利用の登録の状況でございます。右下のところを御覧いただきまして、マイナポイント第2弾の本格開始以降、具体的には6月30日時点、約942万件でございましたが、10月23日時点で約2776万件、約1834万件の増加となっておりまして、公的医療保険制度加入者の約22%の方にこうした御登録をいただいている状況でございます。
2ページにお進みいただきます。マイナンバーカードと健康保険証の一体化ということでございます。
1つ目のポツは、この場でこれまでも申し上げてまいりました。マイナンバーカード1枚で受診することで、健康・医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただける。こうしたメリットがあるわけでございます。
こうしたメリットを踏まえまして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年秋に保険証の廃止を目指す。こうしたことについて、10月13日、総理の下で関係大臣の間で確認がなされたところでございます。
3つ目のポツでございますが、こうした保険証の廃止に向けましては、細部にわたりきめ細かく環境を整備する必要がございますし、医療を受ける国民の皆様、医療を提供する医療関係者の皆様、そしてもちろん保険資格確認の事務を担う保険者の皆様の理解を得られるよう、よくコミュニケーションを取りながら丁寧に取り組んでいくこととしてございます。
具体的に取り組む課題として、1つ目でございます。訪問診療・訪問看護・柔整あはき等にオンライン資格確認を導入ということで、1ページ目で御説明申し上げました医療機関・薬局における、こうしたオンライン資格確認の導入に加えまして、保険証というもので資格確認が行われている場面について、オンライン資格確認の仕組みを入れていくということでございます。
具体的には、1つ目のポツでございますが、訪問診療・訪問看護等の居宅における資格確認の仕組みの構築ということでございます。
それから、2つ目のポツでございます。柔道整復師・あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師の施術所等におきまして、こちらは資格情報のみを取得できる簡素な仕組みを構築するということでございます。
先に3ページを御覧いただきますと、こうした簡素な資格確認の仕組みのイメージ図ということでお示ししてございます。一番下に※で書いてございますが、現時点のイメージということでございまして、技術的な検討を行った結果、今後変更の可能性はございますが、ポンチ絵の下のほうを御覧いただきますと、事業者と書いてございます。事業者にお使いいただく専用の読み取りアプリを開発・配布するということ。そして、事業者のPC/モバイル端末等の端末の認証を行うことによって、そうした端末のみでこのアプリを利用可能とする。そうしたことを想定しているわけでございます。
下の絵のところで汎用カードリーダーと書いてございますが、マイナンバーカードを読み込んでいただく汎用のカードリーダー。これは、今、医療機関・薬局で導入いただいているような顔認証付きのカードリーダーではなく、汎用のカードリーダーで読み込みをしていただき、施術所等で御本人確認をしていただいた上で、この電子証明書の要求を、上のほうにWebサービス(資格確認限定用)とございますが、こうしたWebサービスを新たに開発いたしまして、ここにアクセスし、そこからオンライン資格確認等システムに接続して資格情報を取得する仕組みを想定しているわけでございます。
患者の健康医療情報は取得せず、あくまで資格情報のみの取得ということで、4桁の暗証番号入力なしを基本とするような仕組みを想定しているわけでございます。
2ページにお戻りいただきまして、この簡素な仕組みでございますが、※の1つ目のところ、オンライン資格確認につきまして、今、義務化の例外となる医療機関等、具体的には紙レセプトでの請求が認められている医療機関等につきましては、例外とすることが今年の8月、中医協で答申され、決まったところでございますが、こうした例外の医療機関等につきましても、この簡素な仕組みを導入していただくことで必要な資格確認を行っていただける。そうした方向で検討したいと考えてございます。
2つ目の※でございますが、こうした取組を進めていくに当たっては、事業者のシステム改修、利用機器の導入支援、そして保険者でのシステム改修が必要になります。こうしたことにつきましては、必要な予算を今回の経済対策に盛り込んでいきたいと考えてございます。
そして、2つ目でございます。保険証を廃止するということに当たっては、当然でございますが、マイナンバーカード取得を徹底していただく。あるいは、取得していただきやすくなるようにということで、カードの手続・様式の見直しの検討が必要だと考えてございます。こちらにつきましては、デジタル庁、総務省を中心に取り組んでいくこととしてございます。
それから、一番下の※でございます。保険証がない場合、保険証がなくなった世界のことを考えたときに、何らかの事情によりお手元にマイナンバーカードがない方はどうなるのだというお声をいただいてございます。そうした方が必要な保険診療等を受ける際の事務手続につきましては、様々なケースが考えられるところでございます。具体的な制度設計、実務上の運用を含めて、関係省庁と連携しながら丁寧に検討していきたいと考えてございます。
4ページ目以降は、参考資料といたしまして、これまで関連してお出ししていたオンライン資格確認の用途拡大についての資料。
6ページ目以降は、直近のオンライン資格確認の利用状況について整理した資料でございます。説明は省略させていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化が重要であることは、申すまでもございません。日本商工会議所として、折に触れて各地の商工会議所を通じたPRを行っているところでございますが、政府におかれましても、なお一層、国民と医療機関の双方に対しまして、これにより享受できるメリットを分かりやすく、丁寧かつ強力に御説明あるいはPRしていただきたいと思います。
その際、総理を本部長として設置されました医療DX推進本部が取り組もうとしていらっしゃいますハード、ソフト両面にわたる具体的施策を併せて説明することで、マイナンバーカードと健康保険証の一体化がもたらす医療サービスの向上のイメージが分かりやすく伝わるのではないかと考えます。推進本部や、その下に設けられた幹事会でのスピード感のある議論の促進を大いに期待しております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
まず、オンライン資格確認というのは医療のDXの基盤であると理解しておりますので、我々もしっかり進めていきたいと思っております。
今回出ております訪問診療・訪問看護というところにも、今後、これを利用していくということなのですが、この場合、有線ではないので、そのセキュリティーをしっかりかけていくということが極めて重要だと思います。特に、ランサムウエアの脅威からきちんと守るためには、それなりの設備が必要なのですけれども、現在、これらの事業所とベンダーさんがとても多忙で、なかなかすぐに対応していただけないという事情がございます。幾ら頼んでも、早々あちらも人が急速に増えるわけではないので、この辺は現実のことを見ながら、余り性急にやるのはちょっといかがかなという気がしております。
また、マイナンバーカードと健康保険証の一体化ということなのですが、現実的に、生まれてすぐの子供さんのマイナンバーカードとか、また、それをつくることができない高齢者の外出ができないような方のマイナンバーカードを、これからどのように普及させるかということの方法論を現実的に示していただけたらと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードの活用推進については、これまでも申し上げておりますけれども、医療機関におけるオンライン資格確認システムの導入や、国民のマイナンバーカードの取得が大前提になりますので、運用が予定どおり開始されるような進捗管理をぜひしっかりお願いしたいと思います。
また、今回出ました保険者の保険証の廃止についてですけれども、やはり解決しなければいけない課題がたくさんあると思っております。今も猪口委員の話にありましたように、マイナンバーカードがない加入者が必要な保険診療を受ける際の事務手続等の対応を含めて、新たな事務負担が発生する可能性もございますので、現場の声も聞いて、我々健保組合の事務、また経費の負担に対する配慮・支援もお願いしたいと思っております。
いずれにせよ、令和6年の秋に保険証を廃止するということになれば、時間的には大変厳しいと思います。そこへ向けての具体的な工程を早急に明らかにしていただいて、例えば保険者との協議の場を設定するなどを含めて、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 ありがとうございます。資料の御説明ありがとうございました。
我々もこの医療のDXの推進は不可欠だと認識しております。この推進をしていく上では、ベースとなるインフラであるオンライン資格確認の対象施設全てでの速やかな導入が必要不可欠だと思っております。
一方で、1ページにお示しいただいているのですけれども、運用開始施設がまだ全体の3割程度にとどまっていまして、前月からの伸びということで見てみましても2.8%で、プラス約7000施設ということになっております。このペースでいきますと、導入の原則義務化が既に決定しています来年4月の時点で導入率が、もしかしたら対象施設の半分程度にとどまってしまうのではないかということも、少し危惧されるのではないかと思います。
そういう状況ですと、導入の原則義務化にふさわしい体制というのは難しいかなと考えます。厚生労働省のほうで、非常に厳しいということは十分理解しているのですけれども、半年で導入率をいかに上げていくのか。かなりスピードを上げていかなければいけないと思うのですけれども、実効性のある対応策のほうをぜひとも立案、お示ししていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
資料3の2ページにありますマイナンバーカードと健康保険証の一体化について、幾つか意見を述べたいと思います。
日本歯科医師会といたしましても、医療DXの基盤を構築し、推進していくために必要な協力をしていく立場には変わりはございませんが、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるために、令和6年秋に保険証の廃止を目指すと政府の方向性が示されたことにつきまして、まず意見を述べさせていただきます。
今般の保険証の廃止の方向性は、5月25日の医療保険部会でオンライン資格確認導入の原則義務化が示されたときと同様に、医療現場にも国民にも多大な影響がある政策の方向性が唐突に示されたといった印象が拭えません。資料3の2ページや3ページ目には、今後検討となっているものや、今後変更の可能性がありとなっている項目が散見されます。
このような影響が大きな政策は、医療現場や国民へどのような影響があるのか、またどのような対応が可能なのかなどを踏まえた上で、できるだけ具体的な取組案を基に関係機関や関係者で検討していくことが、まずなされるべき重要なステップと考えております。保険証廃止に向けての検討に当たっては、国民の声、医療現場の声を十分踏まえて、慎重かつ丁寧な対応をしていただくよう、改めて強くお願いしたく思っております。
昨日、日本歯科医師会の60歳以上の会員への緊急アンケート結果の速報も公表いたしましたが、オン資に対応が困難だと考えている医療機関もまだまだ多いことが明らかとなりました。現時点におきましては、様々な事情により、オン資に対応することが難しい医療機関があり、また、マイナンバーカードを保持していない国民が少なくない状況にあるのも事実でございます。
保険証の廃止は、マイナンバーカードが全ての国民に普及していることが前提となるものであり、国民の十分な理解を得ることが重要と考えます。医療現場や国民に過度な負担や不利益が生じないような取組を検討し、地域における必要な保険診療が引き続き混乱なく確保されるために、今後もしっかりと御対応をお願いしたく思っております。
続きまして、2ページにある訪問診療などへのオンライン資格確認についてでございますが、参考資料5ページにもありますが、医療機関の訪問診療の場合は、居宅同意取得型か考えられており、本年度、開発に着手となっております。訪問診療などの現場への利用が円滑に進むよう、課題があれば前広に把握に努めていただき、必要な対応や取組が後手にならないように、よろしくお願いいたしたく思っております。
最後に、3ページ目にありますオンライン資格確認導入の義務化の例外となる医療機関などにつきましては、資格情報のみを取得できる簡素な仕組みの導入を検討することが示されております。そのイメージが示されていますが、医療機関におきまして、具体的にどのような対応や作業が必要となるのか、必ずしも明確にはなっておりません。今後、具体化してくることとは思いますが、同じく前広な情報提供をしていただくよう、よろしくお願いいたします。
日本歯科医師会といたしましても、義務化に向けて対応を進めておりますが、様々な事情も明示されてきておりまして、細やかな対応を引き続きよろしくお願いしたく思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
参考資料の中に現在の薬局の状況という部分が示されておりますけれども、現在、薬局においては、義務化対象施設をベースにすると95.6%が手挙げをして、57.5%が稼働しているという状況ですけれども、今後また、全ての施設で運用していけるように、さらなる厚生労働省さん等との連携の中で進めていきたいと思っています。
ただ、その中で、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるために、令和6年に保険証の廃止を目指すという部分ですけれども、先ほど申しましたように、現状の中でオンライン資格確認の導入、またそれに対する対応。そして、もう目の前の、1月から電子処方箋の開始に対する対応ということで、薬局の現場においては様々な対応にかなり追われている現状にあります。その中で、現在既に稼働しているオンライン資格確認ですけれども、マイナンバーカードでオンライン資格確認をされるケースというのは、まだまだ少ない状況にあります。
そのような現状の中ですので、令和6年秋ということですけれども、マイナンバーカードを診療とか調剤とかに使うということへの国民の意識が、しっかりと理解されるようにしていただかないと、一番混乱されるのは患者じゃないかなと思いますので、その辺だけはくれぐれも慎重に進めていただければなと思っております。
また、スライドの2ページの1ポツのところに訪問診療等における部分が書かれておりますけれども、もちろん薬局も在宅における薬物療法は必要な枠組みになりますので、国においても、この訪問薬剤管理指導に係る部分でのシステムの構築というものも、併せてモバイルでの資格確認等の中には検討していっていただきたいと思いますので、併せてお願い申し上げます。
私のほうからは以上となります。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
資料の2ページですけれども、2024年秋に保険証廃止を目指すということで、マイナ保険証の義務化が出されて、この点についての報道もありました。これに関しましては、やや唐突感が否めなかったところでございます。子どもはどうなのかということですとか、マイナ保険証を取得して本当に使えるのかといったことなどの疑問の声が私どもにも寄せられております。
また、そもそもマイナンバーカードに個人情報保護などの観点で不安感を持っている方々もいらっしゃるところでございます。そういった中では、資料2ページで2つの課題に丁寧に取り組んでいくという御説明もございましたけれども、課題として掲げられている項目が、ややもすると医療を受ける国民の側への説明になっているのかということを考えると、もう少し受け手に対する説明というものを充実させていくことが必要ではないかと考えます。具体的な説明を分かりやすくしていくということが重要かと思います。
私どもも医療DXは推進すべきと考えておりますが、その中で丁寧な合意形成を図るためには、どのように進めていくのかということ。また、皆様方がおっしゃっておられますけれども、どのように進めていくのかというスケジュール感も、併せて早めに出していただくということが重要かと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
前回もお話しさせていただいたのですけれども、オンライン資格確認等システムは、日本の医療DXの基盤となる重要な仕組みであると考えております。今回の資料の報告で、申込施設数が84%に伸びたということに関しましては、関係者の皆様に敬意を表したいと思います。全ての医療機関等で迅速な導入が可能となるように、引き続き関係者一丸となって、より一層の導入促進に向けて取り組んでいただきたいと思います。
その上で、保険証の廃止につきましては、全ての国民がマイナンバーカードを取得し、保険証として利用できる環境が整っていることが前提となると思います。今回の資料の2ページにもありますように、訪問診療・訪問看護・柔整あはき、そして、これに加えて健診機関、特定保健指導機関等も含む全ての医療機関等でオンライン資格確認等システムが導入されるということが前提になると思います。
協会けんぽでは、事務を行う際に、全てのシステムによる事務処理について、保険証の記号番号をキーとして行っております。そのため、今回の保険証廃止に伴い、システム改修がどのように行われなければならないのかということにつきましては、現時点ではその詳細は分かっておりません。そして、その際に改修にどれぐらいの期間と金額がかかるのかということも、現時点では分かりません。しかし、かなり大規模な改修が必要であるということだけは分かっておりまして、そして、その改修期間につきましても、かなり長い期間が必要なのではないかと思っております。
また、費用につきましては、国で担保していただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅野参考人、よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化について御意見を申し上げます。現在、各自治体では、マイナンバーカードの取得促進に向けた取組を進めているところですが、今回示された方針を踏まえて、マイナンバーカードの取得について国民のさらなる理解が進むよう、国において、これまで以上に丁寧な説明と十分な周知をお願いしたいと思います。
また、何らかの事情で令和6年秋以降、お手元にマイナンバーカードがないという方につきましても、必要な保険診療等が受けられるよう、国の責任において必要な措置を確実に講じるようお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、マイナンバー制度ですけれども、世界的に言うと番号制度でございまして、これが国の運営や自治体の経営を大いに変革できるツールであるということをかねてより思ってきましたので、何度か申し上げているように、これは最初の極めて重要な一歩だと思います。それだからこそ十分に配慮して確実なスタートができるように、今後とも関係の皆様のお力尽くしをお願いしたいと思っています。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、今は非業な事件死で他界されましたが、安倍内閣総理大臣が、ある年の6月だったと思いますが、総理官邸で掲げられて、これを目指して、まず第一歩を踏み出そうと言われてからスタートしたと思っています。それから結構年数がたっていますけれども、これは重要なことだと思っています。
2つ目に申し上げたいことは、今後の給付金等の取組が政府でも行われるかと思いますが、ぜひそのときにマイナンバーカードを持っていることの必要性をぜひ訴えてほしいと思います。そうすると、様々な事務が簡素化されますし、間違いなく迅速、的確、公平に様々な行政サービスをプッシュ型でやることができるようになっていきますので、そういったこともデジタル庁や関係機関と御協議される場合、早めに対応いただくといいと思います。せっかくの機会をこれまでも逃しているので、このことはカード普及にも大いに力になると思っています。
最後に3点目ですけれども、いろいろな意見の中にも年配の皆さんのリテラシーの問題が出てきていると思っていますが、特に年配の皆さんは不安とか心配、苦手意識みたいなものが先入観としてあるかもしれませんが、決してそうじゃない。やればできますよ。例えば、お孫さんとLINEでつながる、動画でお話しするということを日常的にされている方もいらっしゃいますし、慣れた方は、ワクチン接種もタブレットやスマホを使って、高齢者の方も予約されたりしています。そういった方々が今後マイナンバーカードを活用するデジタル社会に一緒に入っていくわけですので、ぜひそういったサポートも啓発してお願いしたいと思います。
その上で、2つ参考意見を申し上げます。
1つはデンマークです。前も申し上げましたが、高齢者組織が全国に2つか3つあるそうです。これが中心になってICTリテラシーの教育、学びの場をつくって啓発・研修をされているそうです。ぜひ日本国でも、このように国を軸として多くの方々がICTリテラシーを高めるようなことを今後ともやっていかなければいけないと思うのですね。ぜひこういったことも考えられたらどうでしょうか。
もう一点は、同じデンマークだと思いますが、番号制度によるサービスをスタートして、国が公的サービスを国民に提供するために動き出す内容について、私、日本の番号制度開始の前に自分でいろいろな国々を調べてみました。そのときに分かったのは、デンマークでは出生したときから、病院でオンラインで、その知らせが行政機関につながって、生まれてきた赤ちゃんに対する公的な行政サービスがスタートするそうです。これは家族単位なのかもしれませんけれども、そういったことも既にスタートされていたようです。
ですから、番号制度としてのマイナンバーカード、同じ制度、同じ趣旨でやっているシステムが全国、全世界にあるわけで、先進事例について大いに学んで、そこの知見、あるいは先に取り組んで厳しかったこと、あるいは先に取り組んでよかったことなども大いに参考にされて、厚生労働省のみならず、デジタル庁を中心とした政府のデジタル系のトランスフォーメーションがよりよくなるように、ぜひ今後ともお力尽くしをお願いしたいと思います。
自治体現場におきましては、現在、毎日のように、朝、ロビーの脇に設けたマイナンバー発行申請手続きのブースにいろいろな市民の方がお見えになっています。家族で来られて家族全員の写真を撮って申請されています。それほど今、普及がだんだん広がっている、啓発が広がっているという手応えもありますので、今後とも関係の皆様のお力尽くしをお願いします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
私からも、資料3の2ページのマイナンバーカードと健康保険証の一体化につきまして、1点要望でございます。先ほど猪口委員、林委員からも御発言がございましたが、在宅では、訪問診療と同様に、訪問看護においても、マイナンバーカードを保険証として出してもらうことの同意を得るのが難しい場合もあるかと思います。保険証の原則廃止によって、患者に不利益や不都合のないように、くれぐれも丁寧な議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私からも大体同様の内容ですが、前提で申し上げたいのは、利用している側で、老人クラブでは、全国的に見ても、パソコン教室やスマホの利用教室など、いろいろ取り組んでいて、一定のところで役割を果たしているだろうと思いますけれども、よくよく考えると、中間層の人が多いのです。所得が低い人たちは、パソコンの機械とか、スマホのほうもなかなか普及しない状況があろうかと思います。私自身も、そういう意味では、パソコンは使ってはおりますけれども、同じぐらいの後期高齢者と話していると、手持ちのパソコンが古くなってくると、買替えもちょっと大変なので、パソコンをあきらめてスマホだけにするという人も多いようです。
そんな実態の中で、コンピューターの大きなシステムについては、お互いよく分からないねという話をしているところですが、今の論点の前のことになりますけれども、年代別でマイナンバーカードの取得率がどうなっているのか、分かりません。把握されているのかどうか、もし分かれば教えていただきたいと思いますけれども、私の捉え方でいきますと、メリットについては非常によく触れられているわけですけれども、デメリット、個人情報が守り切れるのかということでは、大きなコンピューターシステム等について分かっていない層、特に高齢者世代が多いわけですけれども、ある意味では不安が拭い切れない。
今、テレビなどでマイナンバーカードの取得についてのPRもいろいろされていることはよく分かっていますけれども、併せて、メガバンクのみずほとか三井住友でコンピューターが不調で利用できないとか。
あと、どう関連しているか、私、よく分かりませんけれども、深刻なのは、医療機関でカルテなどが盗まれるということもテレビで取り上げられていました。カルテなのか、身代金要求の金額だったのか、4500万円というのが、多分身代金でしょうけれども、それを払ったとしてもカルテが戻らないということが報じられると、本当にどこまで大丈夫なのかなという、分からないだけに不安が出てきます。そういう意味では、これからデメリット、さっき申し上げた個人情報がどう守られるのか、あるいは課題についても丁寧に触れていただかないと、こういうシステムについて余り理解できない層からは、むしろ不安のほうが出てくるのではないかと思います。
あと、保険証とひもづけされるということですけれども、利用者の側からいきますと、私たちは医療にかかって、例えば薬をもらえば薬手帳に何がどうなされたのか。あと、調剤の説明等で、この薬はどういうものかというものが出ますけれども、そういったものがどうなるのか。例えば、マイナンバーカードでパソコンで情報を見なさいとなるのであれば、これはちょっと問題だろうと思いますので、こういった利用者側の情報提供の仕方が、窓口でいろいろもらっているものがどうなっていくのかということについても触れていただかないと、不安は拭えないのかなと思います。
いずれにしろ、十分な説明をいただかないと、制度への信頼性というものがどうしても一定程度のところで止まってしまうのではないかという感想を私は持っていますので、さっき申し上げた個人情報がどうなっていくのかといったことについて、安心できる説明が丁寧にされていく必要があるだろうと思います。ここはちょっと論点とずれますが、論点との絡みで言うと、さっき申し上げた薬手帳とか調剤説明書といったものが、きちんと利用者側に届くようなことについてもどうなのかということで、触れていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
年齢別に関して、データがあれば御紹介いただければと思います。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
マイナンバーカード自体の年代別の取得率につきましては、総務省のほうから公表がなされてございます。今、数字を読み上げるようなものではないと思いますので、そうしたことを御紹介させていただくとともに、今の文脈で申し上げれば、一般的な傾向としまして、高齢者のほうでも比較的多く取得していただいているような状況にあるということを申し上げておきたいと思います。総務省のほうのホームページ等で公表されてございます。
それから、今、御指摘いただきましたマイナンバーカードと健康保険証を一体化するということについて、様々なメリットがある。一方で、変わることになりますので、ではどう変わるのかということを含めまして、また、マイナンバーカード自体、私どもとして利便性の向上を図るということとともに、セキュリティーにも配慮した安全な仕組みであるということも政府全体としてきちんと広報していく中で、国民の皆様、医療現場の皆様、保険者の皆様、理解をいただきながら進めていきたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴いました被保険者証の廃止に当たりましては、実務的な面におきまして様々な課題がございますことから、保険者とは十分に御協議いただきまして、その意見を反映していただきますようお願いいたします。
また、国民への十分な周知徹底とともに、市町村の現場に混乱を招かないよう、十分な準備や広報期間の徹底、速やかな情報提供、こういったものをよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
まず、マイナンバーカードオン資確認の普及に関してですけれども、おかげさまでという言い方がいいかどうか分かりませんけれども、療養担当規則に義務化されるということで、医療機関もかなり加速化していることは現状かと思いますし、猪口先生もおっしゃると思いますけれども、日本医師会あるいは都道府県医師会も、今かなり急速にスピード感をもって対応しています。一部、どうしても入っていただけない方に対しては個別に対応しているところで、当県、福井県でも、(申込については)ほぼ100%近くなっております。
一方で、これは鶏か卵かの視点ですけれども、マイナンバーカードを持って、資格を入れた方はいらっしゃるのですけれども、窓口にそれを持ってきてくださる方がどれぐらいいるかというアンケート調査すると、実はまだほとんどないということが圧倒的に多いのですね。(診療報酬上も)4点が2点に安くなりますよということもお話ししているのですけれども、20円安いことで持ってくることが動機づけになるかどうかは別として、一方で(多くの患者さんに)利用していただくということも大事かと思いますので、そこに対しても、ぜひ今後アナウンスしていただければと思います。
それから、1点質問なのですけれども、3ページにある柔整あはき等の簡素な仕組みということで、ここは当然ながらモバイル端末での取得になりますので、患者の医療健康情報を取得せずということになっている。これはこれで、セキュリティーの点も考えると、そのとおりだと思いますけれどもね。
一方で、5ページの用途拡大のところの居宅同意取得型、ここは訪問看護等も入っていますが、ここでは、居宅で同意すれば、それを資格情報あるいは薬剤情報等の提供を受けることができるようになります。この辺の整合性というか、アプリだけの端末で受けた情報をもって、医療機関に戻って、あるいはステーションに戻って、そこで薬剤情報を見られるようなものにできるのか。それは、あくまでも別に何らかの形で確認の操作が必要なのか、その辺について、もしお分かりであれば教えていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 どこまでシステムの細部を詰められているかどうか分かりませんけれども、お答えいただければと思います。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
訪問看護等で開発しております居宅同意取得型でございますが、初回訪問時、資格確認、薬剤情報の提供等に関する同意、これを居宅で医療関係者が持参したモバイル端末を用いて実施するといった構造になるわけでございます。
一方で、医療機関等におきましては、もともとオンライン資格確認のシステムとネットワークでつないでいただいているという状況でございますので、実際の薬剤情報・特定健診情報等につきましては、医療機関本体の端末のほうに情報が行くようになってございます。したがって、そちらの端末のほうで、そうした情報を閲覧していただけるという意味において、いわば医療機関本体で普通の通常のオンライン資格確認の仕組みを構築していただいた上で、患者宅におきましても同意を取っていただけるような、そういう仕組みを付加的に構築しているような、例えて言えばそういう構造でございます。
一方、今回御提案している簡素な仕組みのほうは、今、私が申し上げたような本体の部分はございませんので、まさに施術所等におきまして、その資格確認のみをこうした簡素な形で行っていただく仕組みとしているため、健康医療情報の取得というものはできない仕組みとなっているということでございます。
○田辺部会長 ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参加いただきまして、本当にありがとうございました。
それでは、散会いたします。