第1回 40歳未満の事業主健診情報の活用促進に関する検討会議事録(2022年10月12日)

日時

令和4年10月12日(水)16:00~18:00

場所

オンライン開催

議題

  1. 1.40歳未満の事業主健診情報に関する状況について
  2. 2.主な論点と基本的な方向性について(案)
  3. 3.その他

議事

議事内容
○保険局 それでは定刻となりましたので、ただいまより第1回40歳未満の事業主健診情報の活用促進に関する検討会を開催します。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。座長の選任までの間、進行を務めさせていただきます保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室の香西と申します。よろしくお願いいたします。
議事に入る前に本来であれば、構成員の皆様方の御紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿をもって紹介に代えさせていただきます。また本日の出欠状況ですが、土井構成員からは欠席との御連絡を頂いています。
はじめに、発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、御発言の際は手を挙げるボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
 それでは、まず開催に当たり保険局審議官の森光より御挨拶申し上げます。森光審議官、よろしくお願いいたします。
○森光審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当) 審議官の森光です。本日は大変お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。また予防・健康づくりへの取組に御協力を頂いております関係者の皆様方に、改めて感謝を申し上げたいと思います。
労働者、被保険者がマイナポータルにおいて、自身の健診情報を確認し、それを踏まえてセルフケアをしやすくする、また、事業主と保険者が連携して、年齢を問わず、予防・健康づくりがしやすい環境づくり、これが重要だというふうに認識をしています。その中で40歳未満の事業主健診情報については、本年1月から事業者が保険者へ提供する仕組みが施行されています。来年度中にはマイナポータル等を通じて、本人が確認できるようにすることとしています。本検討会では40歳未満の事業主健診情報の活用に向けた課題や関係者が取り組む事項等について、御議論いただきたいと考えています。委員の皆様方には忌憚のない御意見を賜りたく、活発な御議論をお願いしたいというふうに思っています。そのようにお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○保険局 ありがとうございました。次に資料の確認をお願いいたします。議事次第、資料1、2、3、参考資料1、2となっています。不足等がありましたら、マイク若しくはコメントでお申し出ください。
それでは、まず本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。資料1を御覧ください。資料1の開催要綱の3.構成の(3)において、座長は構成員の互選により選出するとされています。皆様から御推薦がありましたら、よろしくお願いいたします。
○宮川構成員 日本医師会の宮川ですが、発言してよろしいでしょうか。
○保険局 宮川構成員、お願いいたします。
○宮川構成員 従来、様々な検討会がありますが、特に国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会、事業主健診作業班の座長をされていまして、多くの知見を持たれている山本隆一医療情報システム開発センター理事長を推薦させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○保険局 ありがとうございます。ただいま、山本構成員への御推薦がありました。山本構成員に座長をお願いすることについて、皆様、いかがでしょうか。
(異議なし)
○保険局 ありがとうございます。それでは山本構成員に座長をお願いいたします。以降の進行を座長にお願いをいたします。
○山本座長 ただいま御指名を頂きました一般財団法人医療情報システム開発センターの山本です。改めてよろしくお願いいたします。40歳未満の事業主健診情報の活用促進ということですが、いろいろな課題が存在しますし、もちろん皆様方のいろいろなお立場からの御意見もあるでしょうが、何とか少しでも良い方向に進めればというふうに考えていますので、改めてどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。議事次第に従って進めたいと思いますが、まず資料について事務局から説明をお願いいたします。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 事務局です。資料2から順に御説明させていただきたいと思います。
資料2です。題名が「40歳未満の事業主健診情報の活用に関する状況について」となっている資料です。1枚めくっていただいて、資料のページ1です。こちらは日本全体の健診制度の概要ということです。全体として医療保険者や事業主は、高齢者の医療の確保に関する法律や労働安全衛生法等の各個別法に基づく健康診査などを実施することとなっています。
今回は40歳未満の事業主健診情報の活用ということで、この資料でいいますと、下のほうですが、真ん中の「うち労働者」の労働安全衛生法という所がありますが、こちらの40歳未満の所の活用についてどうするかということが検討の対象となります。
2ページです。法律の概要という資料です。こちらは昨年成立した法律で、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心、これまでの社会保障の構造を見直しというような内容です。その中の赤枠で囲っていますが、3つ目、生涯現役で活躍できる社会づくりの推進という所ですが、そちらの中で○の1つ目です。保健事業における健診情報等の活用促進という所で、①労働安全衛生法等による健診の情報を保険者が保健事業で活用できるよう、事業者に対し被保険者等の健診情報を求めることを可能とする、そういった法改正があったところです。
3ページです。こちらは今、述べさせていただいた所に関するスライドで、期待されるメリット・効果が下半分にありますが、こちらの取組によって、①データヘルスの一層の推進ということで、保険者が加入者の状況に応じた効率的・効果的な保健事業が可能となる。②コラボヘルスの促進ということで、保険者と事業者等が同じ情報を基に連携して、加入者又は労働者に対する健康の確保を進めることが可能となる。③マイナポ等で健診結果の閲覧が可能となると記載されています。事業主健診情報等の結果をマイナポータル等で閲覧できることになる。こういったことが期待されるメリット・効果として、法改正したところです。今年の1月から施行されているところです。
4ページです。こちらは今、述べさせていただいた所についての条文とイメージ図です。
5ページ目です。今年の閣議決定において、例えば一番上、新しい資本主義のグランドデザイン等の閣議決定ですが、マイナポータル等を通じた個人の健診情報の提供として「データヘルス改革に関する工程表」に基づき、学校健診及び40歳未満の事業主健診情報の提供を2023年度までに進めるなどというふうになっているところです。
6ページです。こちらは今、述べさせていただいたデータヘルス改革に関する工程表です。こちらは赤枠で囲っていますが、今回、議論となる40歳未満の事業主健診については、2023年度中にマイナポータルで閲覧可能とする。こういった工程表があるところです。この赤いマルについては、2023年度の真ん中辺りにありますが、今、システム改修を進めているところで、来年度も予算要求しているところですので、ちょっと赤マルが右側のほうにいくところもあるかと思いますが、2023年度中に可能となるようにしたいと考えているところです。
資料3です。主な論点と基本的な方向性について(案)という題名になっているところです。
1ページです。40歳未満の事業主健診情報の活用に関する主な論点についてというスライドです。1ポツ目、現状と基本的な考え方という所です。○の1つ目、労働者(被保険者)がマイナポータルにおいて、自身の健診情報を確認し、それを踏まえたセルフケアがしやすい環境の整備は労働者(被保険者)の予防・健康づくりの観点から重要だと考えているところです。
その上で、○の2つ目ですが、事業主健診情報の保険者に集約する法的な枠組みは先ほど申し上げましたが、整備されたものの、一部の保険者においては事業者から当該情報を取得しにくい、そういった状況にあるというお声があったり、保険者においてそれを活用した効果的な取組、そういった方策が確立している状況にはないという状況です。
そのためということで○の3つ目ですが、事業主健診情報(40歳未満)の保険者への集約により、効果的な保健事業の実施やマイナポータルでの確認を可能とする、そういった仕組みの重要性について、まずは関係者で認識を共有することが肝要というところです。その上で、関係者が協力して、事業者・保険者間で事業主健診情報を円滑に共有でき、当該情報を活用した効果的な保健事業を実施できる環境整備を進める。また、マイナポータルでの確認可能に向けたシステムの改修等を進めていく。こういったことが重要であるというふうに考えています。この黒字の下線を引いた所を、主な論点として下4つに分けて記載しているところです。
①事業主健診情報(40歳未満)の活用を通じ、労働者(被保険者)の予防・健康づくりを進める重要性について、関係者において更にその認識の共有を図るためにはどうすればよいか。②事業者・保険者間で事業主健診情報を円滑に共有するためには、どのような取組が考えられるのか。③事業主健診情報を活用した効果的な保健事業を実施するためには、どのような取組が考えられるのか。④事業主健診情報をマイナポータルにおいて確認できるシステムの整備等はどのように進めていくのか。こういったことを論点として挙げたいというふうに思っているところです。
次のページです。論点の1つ目、関係者における認識の共有というところがあります。1つ目の論点について、これまで社会保障審議会の医療保険部会において様々な法律の成立に向けて議論がありました。その議論を御紹介させていただきたいと思います。
1つ目の大きな柱としては、取組の趣旨という所です。こちら縷々ありますが、例えば上から2つ目の○ですが、健康・医療データを本人自ら確認ができ自己管理ができる、本人が希望すれば医療機関がその情報を活用して、より適切な医療を早期に提供できる、そのような社会に向けて推進することが重要だというような御意見がありました。
また2つ目の大きな柱、取組の重要性等というカテゴリーですが、1つ目の○で事業主健診がしっかり行われ、事業主が労働者の健康づくりを行う一環として積極的に保険者に情報を提供することが必要。その下ですが、事業主健診情報の保険者への集約等について、健康情報を提供するメリットが中小企業にあまり理解されていないため、周知・啓発が必要。そのような御意見を頂いたところです。
そういった御意見を踏まえて、3ページ目です。こちらは事務局として、これまでの御意見を踏まえた上で以下の対応を行うことを検討してはどうかということで、方向性の(案)をお示しし、御議論を頂きたいというふうに思っているところです。
3つ見出しを付けていますが、1つ目の見出しです。制度の周知等という所です。こちらについては、そもそもの制度の意義や趣旨、そのメリットについて国民や医療保険者等に向けて、まず周知をしていく。そういったことを検討してはどうかというふうに考えているところです。
○の2つ目ですが、職場の健康診断実施強化月間など、そういった機会を通じて、事業者に対してこの40歳未満の者の事業主健診情報を保険者に共有した上で、保険者と連携してコラボヘルスを推進していく。こういったことについて、引き続き普及・周知を図っていってはどうかというふうに考えているところです。
2つ目の柱ですが、THP指針の改正という項目です。事業場における労働者の健康保持増進のため、THP指針を改正し、健康保持増進対策の考え方に以下の内容を明確化する。1つ目ですが、事業者は医療保険者と連携したコラボヘルスを積極的に推進すること。2つ目のポツですが、事業者は事業主健診情報を積極的に医療保険者と共有すること。3ポツ目ですが、事業主健診情報は電磁的な方法による保存・管理が適切であること。そういったことを明確化してはどうかというふうに考えているところです。
一番下の括弧ですが、データヘルス計画での明示という所で、被保険者の理解を促すとともに、効果的な取組を実施する観点から、事業主健診情報を活用する保険者は、データヘルス計画においてそれを明示することとする。そういったことをしてはどうかというふうに考えているところです。
4ページです。こちらは論点の2つ目で、事業者・保険者間で情報を円滑に共有するためには、どのような取組が考えられるかという論点です。医療保険部会における主な議論としては、(1)ですが、事業主健診結果の電子化に向けた取組の促進という項目で、健診情報を保険者に集約するに当たって、標準化・デジタル化されたデータとなるよう検討すべきという御意見がありました。
(2)です。事業主健診情報の保険者への円滑な情報提供という項目です。1つ目の○ですが、保険者による効率的な保健事業への活用が可能だが、保険者に対して確実に情報が提供されることが重要。2つ目の○ですが、事業主から保険者に対して情報提供の実績が低いことについては、健診情報を提供することの周知が十分でないこと、個人情報を出すことへの不安があること、健診データを提出することが負担になっていること、そういった御意見がありました。
一番下、健康経営という観点ですが、それに取り組む企業により多くの人材が集まり、また社会として意識が上がる。そういったことが重要ではないか、これを活用してはどうかというような御意見がありました。
5ページ目です。(3)です。事業主健診情報の電子化に係る費用ですが、上から2つ目の○です。40歳未満の健診情報は公平な費用負担の下で取得を行うことが必要であり、費用負担をどのように整理するかが課題であるという意見。また一番下の○ですが、40歳未満の事業主健診等結果の保険者への提供は、予防・健康づくりの推進に向けて重要なことであるが、中小企業や保険者に対して過度な負担とならないようにしていただきたい。そういった御意見がありました。
今、御紹介した意見を踏まえまして、6ページ目以降ですが、対応の方向性(案)ということで、これまでの議論を踏まえ以下の対応を行うことを検討してはどうかということで、(1)、(2)、(3)と述べさせていただきたいと思っています。
(1)事業主健診結果の電子化に向けた取組の促進という所です。柱立て3つありますが、1つ目です。事業主健診情報の電子化の周知ということで、事業者に対して企業が保存する事業主健診情報の電子化を促進するとともに、電子化に当たっては保険者との連携の観点から、XML形式に対応が出来ることが望ましい旨について周知を行う。また情報の保険者への提供については、40歳以上の場合と同様にXML形式による方法などを周知していく。
2つ目の柱ですが、THP指針の改正という所です。先ほど触れさせていただきましたが、健康保持増進対策の考え方に、事業主健診情報は電磁的な方法による保存・管理が適切であること、こういったことを盛り込んではどうかということを考えているところです。
一番下、コラボヘルス推進費用の補助という所です。こちらについては、事業主健診情報等を活用した労働者の健康保持増進の取組が進んでいない事業場における取組を促進するため、事業主健診情報の電磁的な方法での保存・管理、またデータの提供を含めて、コラボヘルスを推進していく、そういった費用の支援を検討していく、そういったことを提案したいと思っているところです。
7ページ目、2つ目の大きな柱です。事業主健診情報の保険者への円滑な情報提供ということで、4つの項目を立てているところです。
1つ目です。事業者と健診機関との契約書ひな形の活用促進等という所です。1つ目の○ですが、40歳未満の事業主健診情報の保険者への提供については、40歳以上の場合と同様に迅速かつ確実に情報提供し、その事務負担を軽減するため事業者と健診機関との契約書ひな形を活用することとし、その周知を行う。また健診実施機関から保険者への情報提供をより迅速に行うために、被保険者番号等について、事業者が事業主健診実施を委託した健診機関に対して、個人情報保護法にのっとって受診者の被保番等を事前に提供することが重要であるとともに、契約書のひな形にもそれを明記し周知を図っていく。
2つ目です。情報提供を促す書類のひな形の作成・普及ということです。現在、40歳以上の事業主健診情報の提供に関して、協会けんぽにおいて、健診実施機関等を経由して、事業主健診結果を提供することに関する同意書類というものを作成して、日々努力をされていると伺っているところです。こういった取組をやはりもっと広げていく、普及していく、そういった観点からこれを参考にしてひな形を作成する、周知を図っていく、そういうことをしてはどうかということです。
3つ目としては、個人情報保護法上の取扱いの周知ということです。健診結果は個人情報ですから、配慮が重要だということをしっかり周知していく、40歳以上の場合と同様に周知していくということです。
一番下、事業主健診情報の提供促進ということで、先ほど健康経営という御意見がありましたが、健康経営に取り組む企業への健康経営度調査、これが今年度初めて40歳未満に関する情報提供に関して、今、経産省で調査をしていると承知していまして、その調査結果を踏まえつつ、40歳未満の健診情報の提供が健康経営に資する、そういった取組として認知されるようにしっかり周知を図っていく。そこが重要ではないかということで提案しているところです。
8ページ目です。3つ目の柱立ての所で、事業主健診情報の電子化に係る費用という所です。○の1つ目ですが、事業者においては、労働安全衛生法で定められた健診結果の記録の保存を行うとともに、一定の場合には健康診断結果についての医師等からの意見聴取や事後措置を講じる義務があります。また一方、保険者においては、提供された情報を活用し、被保険者の健康の保持増進を図るために必要な事業を行う、そういった努力義務があります。また事業者においては、保険者と共同して健康診断の実施や健診結果を用いた保健指導を実施する。また両者が協力して健診結果をデータ化してコラボヘルスやデータヘルスの取組をやっているというところがあります。
そういった法的な整理や現状を踏まえた上で、○の2つ目ですが、事業者から保険者に労働安全衛生法に基づく定期健康診断の結果を提供することは、データヘルスやコラボヘルス等の推進により、労働者・被保険者の健康保持増進につながって、また労働者・被保険者が健康になることによって企業の生産性の向上や経営改善、経済成長にもつながる。そういった観点で、事業者及び保険者双方にとってメリットがあるというものと考えているところです。そして、事業者と保険者が両方とも労働者・被保険者の健康状態を適切に把握して取組を効果的・効率的に進めるためには、電子化に向けた取組が重要であるというところです。
また実態を見ますと、40歳未満の者に係る事業主健診情報を取得した健保組合における調査があります。こちらにおいては、情報取得に係る費用について聞いたところ、事業者が負担するケースと保険者が負担するケースがそれぞれ2割、事業主と保険者両方が負担するケースは3割、費用負担なしが3割というふうになっています。事業者や保険者の状況によって置かれた立場は様々という状況になっているところです。
そうしたことを踏まえて一番下の○ですが、健康診断の提供に係る費用については、事業者や保険者の状況によりその実態は異なっており、一律に定めるのは困難であるため、その結果の提供に関する必要な取決めについては、事業者、保険者、健診実施機関等の間で納得できる方法などで十分協議して対応する。そういったことが重要ではないかというふうに記載しているところです。
9ページ目、論点の3つ目です。事業主健診情報を活用した効果的な保健事業を実施するために、どのような取組が考えられるかという所です。医療保険部会における主な議論の御紹介ですが、1つ目の○、保険者が加入者の行動変容を促すために効果的な取組を行うことが重要であり、本人が自分の情報をコントロールできることを基本としながらも、加入者にとってメリットや効果が感じられるようにすることが重要である。
また○の2つ目ですが、40歳未満の健診情報の活用について、保険者が活用できる事例を集め有効な活用方策を示すなど、保険者が活用しやすい環境を作ってほしい。そういった御意見がありました。
こういった御意見を踏まえて、以下の対応を行うことを検討してはどうかとういうことで、2つ柱を掲げているところです。1つ目は、好事例の横展開ということで、保険者において40歳未満の被保険者に係る事業主健診情報を取得し、その活用促進を図るため、事業主健診情報の活用事例について周知を行う。ほかの保険者への横展開を図っていく、そういった取組をしてはどうかということです。
2つ目の柱としては、モデル事業の実施・横展開という柱です。加入する多くの事業者との調整が必要な保険者における取組を進めていくためには、事業主健診情報を取得して保健事業への活用を支援する、そういったモデル事業を行って、その成果を横展開させていろいろな保険者が活用できるようにしていく。そういったことが重要ではないかということで記載しているところです。
最後のページ、10ページ目です。論点4という所です。事業主健診情報をマイナポータルにおいて確認できるシステムの整備等はどのように進めていくか。医療保険部会における主な議論です。1つ目の○ですが、オンライン資格確認等システムへの事業主健診情報の登録は、事業主等が行うことも考えられるが、効率化の観点から保険者が持つ40歳以上の事業主健診情報の登録スキームを活用することとしたというような経緯があると認識しているという御意見。また、特定健診情報をマイナポータルで閲覧するためには、保険者が特定健診等の結果の情報をオンライン資格確認等システムに登録する必要があり、これに係るサーバー維持費等のランニングコストについては、保険者への配慮が重要という御意見がありました。
こういった御意見を踏まえまして、対応の方向性(案)ということで、以下の対応を行うことを検討してはどうかということで2つの柱を記載しているところです。
1つ目の柱としては、40歳未満の事業主健診情報の活用に向けたシステムの改修という所です。先ほどから申し上げていますが、マイナポータルを通じて40歳未満の事業主健診情報の提供を2023年度までにできるよう引き続き、国において必要なシステム改修を着実に進めていくことが重要です。その際には、既存の特定健診等データと併せて一体としてシステム運用管理や保守等を行うこと、そういったことなどを通じて、効率的な業務運営やコストの適正化につなげていく、そういった観点で引き続きシステム改修等を行っていきたいというふうに思っているところです。
最後です。オンライン資格確認等システムの運営という所です。○の所ですが、特定健診情報等データに関しては、保険者の負担によってシステムが運営されている。そういったことや40歳未満の事業主健診情報等は、既存の特定健診等データと併せて一体としてシステム運用管理や保守を行っていく、先ほど述べた所ですが、そういったことを踏まえつつ運営費、ランニングコストの負担については検討していく。そういった方向性を示してはどうかということで、資料に記載しているところです。
先に資料の御説明として、参考資料1です。こちらについてはすごく量が多くなっているところですが、主な論点に関する参考資料という題名で資料を作成しているところです。こちらは今、述べました資料の3に4つの論点がありましたが、それぞれの仕切りでそれぞれの項目を記載して、それに関連する資料を付けたというところです。補足的に参照いただきたいということで、作成したものです。説明は割愛させていただきたいと思っています。
最後の資料ですが、参考資料2です。題名としては、40歳未満の事業主健診情報の活用事例という題名です。1ページ目をめくっていただいて、6つの健保組合の取組をまとめた資料です。こちらについては、過去、厚生労働省においてヒアリングなどを通じて作成したものです。これまでのところの資料3の3つ目の論点で、活用できる事例という御意見がありましたので、こういったものを作成しています。例えば、資料の2ページです。こちらは三菱電機健保組合の取組で、新規の特定保健指導対象者の抑制や若年者(40歳未満)の重症化予防を目的として、2015年度から若年者の保健指導等を全加入の全事業所で開始している。こういった取組によって、例えば2つ目の矢羽ですが、赤字の下線を引いています、動機づけ支援によってBMIが25.0以上、または腹囲が基準値以上に該当する対象者の割合が改善していった。したがって若年者への保健指導については、体重等の改善効果は高く、取り組む必要があるということで、取組を進めているところです。こういったような事例を、2、3ページ目の2枚で1つの健保組合の取組が分かるような形で概要を作成しているところです。こういったものをまず公表し、また各保険者に周知する。こういった取組ができるのではないかという形で、提供していく。また企業側のほうにおいても、保険者がこういう取組ができるようになるというような効果をイメージしやすくする、そういった観点からこういった事例を周知していくことが重要だというふうに考えていまして、参考資料2として今回、提示させていただいたというところです。駆け足になりましたが、資料について事務局からの説明は終わりにしたいと思います。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら手を挙げるボタンをクリックしてください。順次、私が指名いたしますのでマイクのミュートを解除して発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。健保連の伊藤でございます。最初に意見を幾つか申し上げて、その後に御質問させていただきたいと思います。まず、今年の1月から保険者が40歳未満の事業主健診データを得られるようになり、入社時から従業員の健康増進に取り組めるようになったことは非常に大切なことだと思います。この取組は基盤を作ることも大切ですが、それを実際に活用して健康増進に役立てていくことが大事だと思います。今回の施策は、事業主あるいは従業員、保険者、国も含めて関係者が非常に多いので、同じ認識で進めるように、厚労省の中においても保険局だけでなく省を挙げた御支援をお願いしたいと思います。
意見になりますが、まず資料3の頭の認識については皆が同じスタンスで臨んでいけるように、是非とも国を含めて御支援を頂きたいと思います。
次に、情報共有に関してです。4ページ目に標準化・デジタル化されたデータとありますが、健診結果情報のデータについては令和2年2月に、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針が改正されて標準的な電磁的記録形式による健診結果の提出を行うことが記載されています。まだ紙で結果を受け取られているというお話もありますので、事業主あるいは健診機関に徹底していただければ、自ずとデータの部分については統一されるのではないかと思います。ただ、そうした現状を踏まえれば、関係機関に対して過度な費用負担にならないように、国の補助等を是非ともお願いしたいと思います。
それから、活用の部分についてですが、様々な取組が必要だと思います。国では、モデル事業に御協力いただけるということですので、柔軟に対応していただき、財政面を含めた支援をお願いしたいと思います。
最後の整備のところになりますが、健診結果のデータ形式の一元化を進めていくためには、関係者がしっかりと取組む必要があり、過度な負担にならないような仕組みの検討を行っていただきたいと思います。また、今回の仕組みについては、40歳以上の健診データを支払基金に送る仕組みを使って、40歳未満のデータを取り込んでいく形になっています。当然、細部の検討をされると思いますが、単独の事柄ではなく既存の40歳以上のデータの取込みと同じスキームの中で全体の仕組みを検討して、できる限り効率的に行っていくことで人的負担あるいはコスト面の負担等も、可能な限りなくなるようにしていただきたいと思います。そういう実務的負担をなくすことが当初の基盤の構築に資するものと考えていますので、検討をお願いします。
最後に質問です。資料2の6ページ目に工程表が出ていますが、来年度末にはマイナポータルで閲覧可能というお話がありました。当然、新しい仕組みですので、試行期間、プレ期間を事務局としてどの程度お考えになっているか教えていただけますか。
○山本座長 ありがとうございました。事務局のほうからお答えがありますでしょうか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 御意見と御質問、ありがとうございます。御意見につきましては受け止めまして、保険局のみならず労働基準局等々関係部局と協力して取り組めるよう、事業者、保険者、健診機関が効率的・効果的な取組ができるようにしっかりやっていきたいと思っているところです。また、モデル事業の実施であるとかシステムの整備につきましては御意見を踏まえながら、資料に記載されていますが、例えば特定健診情報等のデータを基盤としつつ、しっかり取組が進むようにしたいと思っています。また、御質問いただきました資料2の6ページ目ですが、こちらに関する試行期間でございますが、いきなりオープンしてということですと負担等もございます。事務局としても2023年度中にマイナポータルで閲覧できるようにしていくため、今は2022年度ですが、今、予算を活用しながらシステム改修をしているところです。来年度の予算につきましてもまだ要求中ですが、2023年度について支払基金や国保中央会のシステムとともに、各保険者のシステムを改修しまして取組をしたいと思っています。そのスケジュール感であるとか、そこの部分との調整もございますので、今、明示的に幾つぐらいとか、いついつと申し上げるのはなかなか難しいところですが、プレ期間が取れるように、そういった形でまず来年度予算を確保した上で取組を進めていく。そういった観点で引き続き御相談させていただきながら、オープンに向けて着実に取り組みたいと思っているところです。以上です。
○山本座長 伊藤構成員、よろしいでしょうか。
○伊藤構成員 ありがとうございます。確かにマイナポータルにて閲覧可能にすることも大事ですが、実際に大事なのは、それをいかに活用していくかが本来の趣旨だと思いますので、最低限、1年ぐらいは試行運用にし、できるだけ使い勝手のいいシステムを作っていく。試行運用中にシステムバグ等を改修していただいて、その間、関係者の負担がないよう御検討をお願いしたいと思います。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。大事な御指摘ですね。それでは、引き続いて安田構成員、お願いいたします。
○安田構成員 ありがとうございます。協会けんぽの安田でございます。まず、論点①の関係者における認識の共有についてです。40歳未満の事業主健診の活用について認識の推進、活用について論点を整理していただいていますが、そもそも40歳未満の方々についてはどのような健康課題があって、その健康課題に対して産業保健に携わる者と医療保険者が、それぞれどのような役割で、どのような取組を進めるべきかという課題があります。この点について、これとは別に産業保健のあり方に関する検討会も開催されると聞いていますが、改めて整理する場が必要ではないかと考えています。その上で、事業主健診情報の取得費用も含め、それぞれ見合う費用を受益者間で公平に負担するスキームを考えていくことが必要ではないかと考えています。
次に、7ページの論点③の事業主健診情報の活用推進についてです。協会けんぽの例を挙げていただいていますが、40歳未満の事業主健診情報の保険者への提供について、40歳以上と同様に、事業所と健診機関との契約書ひな形の活用について周知を図るとなっています。協会においても40歳以上の事業主健診情報の取得を進めるために、この契約書のひな形の活用について事業主の団体、あるいは健診団体等々を訪問するなどして協力依頼を行ってまいりました。しかしながら、この契約書のひな形による事業主健診情報の取得は期待したとおり進んでおりません。契約書のひな形周知・普及については普及状況などを把握していただいて、課題の検討・検証を行った上で更なる取組の強化をお願いしたいと考えています。
また、9ページの最後にモデル事業の実施・横展開とありますが、これにつきましては、我々としましても事業主健診情報の活用推進として、多くの事業主の方と調整が必要となる保険者における取組についてもモデル事業を行っていただき、その成果の横展開を図るなど、取組の推進を図っていただきたいと考えています。
最後、論点④のシステムの整備等についてです。保険者において40歳未満の事業主健診情報を取得して、オンライン資格確認等のシステムに登録するためのシステム改修費用については、必要な改修が可能となるよう十分な補助をお願いしたいと考えています。なお、オンライン資格確認等のシステムの運用に係る費用については、繰り返して申し訳ございませんが、40歳未満の事業主健診情報を取得し、活用する受益者の間において公平に負担するような仕組みとしていただきたいと考えています。
○山本座長 ありがとうございました。事務局からコメントはございますか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 ありがとうございました。4点、御意見を頂きました。1点目ですが、そもそも論ということで、こちらとしましては40歳未満の方についても40歳以上の方と同様に、参考資料2で提示しましたが、例えばメタボ該当者も多く存在するといったところがあると認識しています。説明資料の中でも触れましたが、法に基づいて例えば事業者は職場における労働者の安全や健康を確保する責務がある。また、保険者は、被保険者への健康保持のために必要な事業を推進するよう努める責務があります。それぞれの役割、責務を果たす観点から、事業者は労働者の、保険者は被保険者の健康保持の増進を図る取組を実施していくことが重要だとなっているところです。そういった役割とか責務を果たす観点から、40歳未満の事業主健診情報の活用の観点ですが、事業主と保険者が情報共有することによって一人ひとりの健診結果を経年的に把握し、早期介入によって労働者や被保険者の疾病や重症化を防ぐ取組、そういった取組が進むようにしていきたいと考えているところです。
その上で、負担の話がございましたが、先ほども申し上げましたとおり事業主と保険者が40歳未満の事業主健診情報を共有し、データヘルスやコラボヘルス等の推進によって労働者、被保険者の健康増進につなげていく。また、労働者、被保険者が健康になることによって企業の生産性の向上、経営改善、経済成長、そういったことにつなげることによって労働者と被保険者の両方にとってメリットがあり、事業主、保険者にメリットがある形にしたいと考えているところです。事業主健診情報を保険者に集約することによって効果的な事業を実施することができることを狙って、今回、法改正をし、そういった環境を作っていくことを考えているところです。
費用負担につきましては、今回の資料3ですけれども、例えば事業主健診情報の提供に係る費用については、先ほど御説明しましたように一律に決めることは困難であるため現場になりますが、保険者、事業者において納得できるような形でということを御提案しており、システム改修の関係につきましては、資料3の10ページですけれども、現在、国において予算を確保してしっかりシステム改修をしていく。そういった中で保険者のシステムにおいても、国の予算においてしっかり改修していくといった方向で進めていきたい。ただ、先ほど伊藤様からも御意見がございましたが、特定健診等データと併せて一体としてシステム運用していく観点でコストを低減していく観点から、しっかり取り組んでいきたいと思っていますし、オンライン資格確認等システムの運営に関しては、特定健診等データと一緒にやっていく観点も踏まえながらコストの負担を検討していく。そういったことを示したいと思っているところです。
2点目につきましては、ひな形の関係の御意見がございました。資料3の7ページ目の○の2つ目だったと認識しています。健診のひな形の周知・普及の状況を把握しということでした。個別の企業や個別の健診機関との間の契約状況は、民・民の契約であって全てを把握している状況ではなく、また、それぞれのおかれた状況によってどういった形で活用されているかは異なってきていると承知しています。その上で私どもとして今回、検討会を立ち上げるに当たって事前に、例えば今回の契約主体である企業側、経済団体側に対してヒアリングをしたことがあり、このひな型の取組についてどう考えているかを聞かせていただいたところ、例えば健診機関から保険者に健診データを提供することは事業主の負担軽減につながるので、ひな形があることは歓迎されるという御意見とか、例えば40歳以上の場合と40歳未満の取組、そういったフローが分かれてしまうと混乱が生じるため、同じようなスキームでやったらどうかという御意見もございました。また、事業主からの提供義務があることをそもそも事業主は知らないのではないか。そういった契約のひな形を提示したところで、そういったことは知られていないのではないか。そこの周知をしっかりして、周知を工夫すべきだという御意見もございました。そういったこともございましたので、今回、資料にも記載していますが、40歳未満の取組については40歳以上の場合と同様に、ひな形の周知を行うとともに、資料3の3ページ目などで御説明しましたが、周知をしっかり行っていく。また、先ほど3点目の御質問と一緒ですが、モデル事業の活用と併せて周知をしていくことで企業の方に認識いただく。また健診機関においても認識いただく。そういったことにしっかり取り組むことによって効果を出していきたいと考えているところです。
3点目のモデル事業につきましては予算要求に盛り込んでいるところであり、また御協力いただきたいと思っているところです。
4点目のシステム改修の関係です。こちらについては、私どものほうで十分な予算となるように確保に努めていきたいというところです。また、オンライン資格確認等システムの運営費につきましては資料3の10ページ目に記載しているところですが、先ほどの御意見等も踏まえつつ、特定健診等データについて既に運用されていますので、そこと併せて一体としていくといった観点においてコストを低減させ、適正化していくことを踏まえてやっていきたいと考えているところです。事務局から以上となります。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、鈴鹿構成員、お願いいたします。
○鈴鹿構成員 ありがとうございます。連合の鈴鹿です。資料3の論点に従って3点、発言いたします。まず、論点①の関係者における認識の共有の部分ですが、この間、医療保険部会でも連合委員から発言しましたとおり、40歳未満の事業主健診情報を保険者に提供することで保険者による効率的な保険事業の実施が可能となり、医療費の抑制につながるものと考えています。そのためにも関係者における更なる共通認識が重要であり、今回の事務局提案の対応の方向性(案)に異論はございません。
2点目は、7ページ目、論点②の円滑な情報共有の箇所です。健診情報はあくまでも受診者本人のものであり、その機微性に鑑みれば、こうした情報の取扱いに関する本人の権利を保障することも重要だと考えています。取組を進めるに当たっては、今回の資料にも「個人情報の保護に関する法律に則り」、「個人情報保護の配慮が必要」といった内容を記載いただいていますが、保健医療の推進と権利保障の調和を図っていただくことをお願いしたいと思います。
最後、3点目です。9ページ目、論点③の事業主健診情報の活用推進の箇所です。こちらの対応の方向性としまして、「好事例の横展開」や「モデル事業の実施・横展開」が挙げられています。この間、連合では健康保険組合の方と定期的にお話する機会があります。そこでは20歳以降の体重増加と生活習慣病との関連が明らかであり、若年期から適正な体重維持に向けた保健指導や啓発が重要であることや若年層からの取組に力を入れていることなどを伺っています。今回の参考資料2でも40歳未満の事業主健診情報の活用事例が掲載されています。正確な数字は把握していませんが、40歳未満の健診受診率を上げる取組とともに、こうした好事例の横展開が重要だと考えています。自分自身を振り返っても、受診した健診で要精密検査になれば別ですが、30代まではなかなか健康に意識が向かない、自分事にしにくい面がありました。活用方策の検討に当たっては、当事者の声なども実際に聞いてみると、より有効な方策につながると考えています。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。事務局からコメントはございますか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 御意見、ありがとうございます。頂いた御意見を踏まえて共通認識は踏まえつつ、また好事例の横展開もしっかり図っていくことによって関係者、事業者、健診側、また保険者側、皆さんが協力しながらこの取組を進めていくことによって労働者、被保険者に裨益していく。そういった取組にしていきたいと考えていますので御協力のほど、よろしくお願いしたいと思っています。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、引き続いて坂下構成員からお願いいたします。
○坂下構成員 ありがとうございます。経団連の坂下です。私からは基本的な方向性について述べた上で、3つほど意見と質問をさせていただければと思います。まず、基本的な方向性です。経団連では常々、ヘルスケア分野のデジタルトランスフォーメーションの重要性を主張しております。今般の検討会の目的である事業主健診情報の活用促進は、健康・医療データの連携・活用を図っていく上での基盤になる取組であり、非常に重要だと思っております。関係主体の役割を明確にしながら推進していくべきと考えております。これが基本的な考え方で、異論はありません。その上で2つの意見と、1つの質問をさせていただきたいと思います。
まず意見です。資料3の3ページにある「関係者における認識の共有」の「2.対応の方向性(案)」についてです。制度の周知等、THP指針の改正、データヘルス計画での明示という3点が記載されております。いずれも必要な取組と認識しておりますが、全体的に事業主健診情報を保険者に提供すること自体が目的となっているような印象を受けました。先ほど事務局から資料1で御説明がありましたように、今般の改正健康保険法の施行により、保険者は被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うに当たって必要があると認めるときに、事業者等に対して情報提供を求めることができるようになったと理解しております。改めて申し上げるまでもないことですが、あくまでも保険者による予防・健康づくりの推進が出発点であり、それがなされることが最も重要と思っております。
そうした中で、参考資料1の21ページに、事業主健診情報(40歳未満)の活用状況(健保組合)に関するデータをお示しいただいております。左下の「取得した事業主健診情報の活用状況」を見ますと、最多の受診勧奨への活用でも6割弱となっています。情報提供に関する事業主の理解を得るためには、資料3の9ページにもあるように、好事例の横展開や、モデル事業の実施・横展開が非常に重要になると思っております。厚生労働行政において是非、保険者の取組を一層促進していただくよう、御尽力いただければと思います。
次に質問です。資料3の6ページに、円滑な情報共有に関する対応の方向性(案)があります。「事業主健診情報の電子化の周知」として、事業者における電子化やXML形式への対応を奨励する記述があります。一般的な情報の流れを考えますと、健診実施機関から事業主、それから保険者という順番で提供され、事業者と健診実施機関との間で委託契約が結ばれている場合には、健診実施機関から保険者に直接情報が提供されると理解しております。
このような情報の流れを踏まえますと、出発点と言いましょうか、大元になる健診実施機関において、健診結果の電子化とXML形式への対応をしていくことが非常に重要になると理解しております。事業主健診結果を電子化するという意味で、健診実施機関のほうでしっかりと対応していただくのが効率的ではないかと考えます。この点についての厚生労働省としてのお考えや、健診実施機関への支援の状況などについて教えていただければと思います。
最後が意見です。資料3の8ページに電子化に係る費用のことが書かれております。先ほども申し上げたとおり、保険者が自らの保健事業に活用するために事業者に情報提供を求め、事業者は保険者の求めに応じて対応するというのが制度の趣旨だと理解しています。こうしたことから、電子化に際して費用負担が発生する場合には、保険者が負担するのが本来の姿だと思いますが、参考資料1で示された調査結果を見る限り、取得に要する費用負担のケースは様々なので、事務局の案にある、一律に定めるのは困難という認識は妥当だと思っています。定期健康診断等の結果の提供に関わる必要な取決等は事業者、保険者及び健診実施機関等が協議し、決定する形がよろしいのではないかと思っております。以上です。
○山本座長 それでは、事務局からコメントをお願いいたします。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 意見と御質問をありがとうございました。1点目については、保険者における取組をしっかりという御意見でしたので、論点③にあった好事例の横展開やモデル事業の実施を通じて、私どもとしてもしっかり取組の効果が見えるようにしていく、そういった取組をしっかりと進めていきたいと思っているところです。
2点目は質問で、電子化の取組における健診実施機関での取組に関して厚労省としては、というところでした。そこについて私どもは、40歳以上に関しては健診の関係で事業主から保険者に対し、情報の提供をします。その際に電子化をやってくださいということで、例えば今の通知だと、電子的な標準的な記録の様式の提出についてということで、事業者から保険者へ定期健康診断等の結果の情報提供に当たっては、保険者と事業者又は健診機関との契約によってやっているところです。厚生労働省のホームページで示す標準的な、電子的な標準様式による結果の提出が可能な健診機関のリストを御紹介し、そういったところを活用する、そういったところの周知をやっています。40歳未満についても今回、この検討会の議論を踏まえ、周知の仕方を考えていくところはありますが、同じようにそういった健診機関をしっかり紹介していき、40歳以上と同様にやっていくということも考えているところです。そういった取組などを踏まえて、電子化について後押しをしていきたいと思っております。
3つ目の費用負担については、事務局の案をお示ししたところで御意見を頂き、ありがとうございます。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは引き続き木村構成員、お願いいたします。
○木村構成員 全国中央会の木村と申します。よろしくお願いいたします。皆様の意見をいろいろ伺って、私も本当に同意と感じる部分がありました。中小企業を会員とする私ども中央会の立場から、幾つか意見させていただきたいと思います。
まず中小企業の事業者に、健診情報の提供の理解がなかなか進まないというか、そもそも認知されていないといったことに関しては、先ほど御意見があった協会けんぽからの周知の協力依頼等々を受けて、本会でも会員向けの周知等は行っているのです。しかし、なかなか進んでいかないという現状は伺っております。その上で、関係者それぞれがこの制度の周知を進めて、まずは共通認識の下に情報提供を進め、その情報の有効活用をしていくといった目的を達成するために、中小企業の認知度や、それに基づく情報提供を進めていく必要は感じているところです。
例えば資料3の3ページに対応の方向性(案)ということで、周知の必要性やTHP指針、保険者のデータヘルス計画の明示とあります。これらは産業保健の根幹の重要なものだとは思うのですけれども、THP指針やデータヘルス計画の一般的な認知度が、なかなか進んでいないと思います。そこは当然必要で、明示していただきたいと思うのですがダイレクトに中小企業あるいは被保険者に伝わるような方法に力を入れて、関係者がある程度集中的に、一斉に周知や広報を様々な媒体を使って進めていくことが、やはり必要ではないかと感じました。これまでもそれぞれ周知というのは、当然やられているということは理解しておりますけれども、なかなか進んでいない現状に対しては、ある程度力を入れて一斉に取り組むことも必要ではないかと感じました。そこにはやはり国のある程度の補助の取組が必要ではないかと思いました。
次は論点②の円滑な情報共有の中で、6ページに事業主健診結果の電子化に向けた取組の促進の対応の中に、コラボヘルス推進費用の補助ということが記載されております。こちらは恐らく具体的に企業の電子化を進めるための助成といったことが、内容とされるものだと理解しております。もし、これから具体的な助成の仕組みを検討されるということなら、小規模の事業者でも活用しやすい仕組みにしていただきたいというのがお願いです。対象や要件のハードルが高いと、一番電子化を進めてほしいと思っている小規模の事業者や、まだ紙で保存しているだけの事業者が使いづらい助成制度になると、結局は着手しないままという形になりかねないと思いますので、そこはお願いしたいと思います。
あとは、皆さんもおっしゃっていた費用の問題です。それぞれの費用負担というのは、恐らく健保組合や地域などによっても違うのでしょう。負担の割合が非常にまちまちです。これからそれぞれの中で、具体的に実際に検討を進めていく必要があるという方向性だけは、ここに書かれているわけです。言葉は悪いのですが、今まで無関心だった中小企業、「電子化、別に関係ないよ」という企業にとって、なぜ電子化をする必要があるのか、そこになぜ費用を負担しなければいけないのか理解できないままだと、抵抗感は当然予想されます。そこに関しては、費用のどの部分がどれだけ掛かるのか、健保組合の加入者の規模や、実際の事業内容なども影響してくると思うので、先行してやられている健保組合の事例、あるいはそこに掛かっている費用をモデルケースとして示していただきながら、もしこれから協議を進めていくといった場合には、イメージが湧くような形で、お示しいただきたいと思っております。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
○山本座長 事務局からコメントはありませんか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 御質問いただいたのは、費用の助成のところですが、主に3点いただきました。まず1点目です。中小の理解を進めるためにはということで、ダイレクトに伝わるようにしてほしいという周知のあり方について御意見を頂きました。私どもも企業のみならず、被保険者についてもしっかり伝わるようにしていきます。周知のあり方について、ちゃんと工夫しながらやっていくことが重要だという御意見だと思いましたので、受け止めながら取組を進めていきたいと思っているところです。
3点目の費用負担については、一律に定めるのはなかなか難しいというところとか、金額を出してしまうと、それが先行してしまうということとか、いろいろな問題や課題があるのかと思っており、どのような形ができるかは、引き続き考えたいと思っているところです。
2点目のコラボヘルスの関係については、労働基準局のほうから回答したいと思っております。
○岩澤産業保健支援室長補佐 労働衛生課です。コラボヘルス推進費用の補助について、特に中小企業の方が使いやすいように制度設計をしていただきたいということで、御意見を頂きました。正に今までデータ活用されてこなかった中小企業の方がターゲットの補助ですので、そういった方が使いやすい制度設計を是非していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 どうもありがとうございました。それでは引き続き、宮川構成員からお願いします。
○宮川構成員 日本医師会の宮川です。いつもお世話になってありがとうございます。現状と基本的な考え方に関しては、私もおおむね賛同いたします。その中で今お話があったような、中小の事業者に配慮することが非常に重要であるということは、議論を待たないことだろうと思います。先ほどからいろいろなお話があり、大企業を初めとする好事例が縷々あるわけです。しかし、この横展開を図るといっても「これは実際に大きな企業だからできるでしょう」というような形で、中小企業としては困窮するばかりです。その話を伺うと「あっ、それはそうだな」ということしか言い様がないような形です。できれば中小企業も含めて、それができるようなきめ細かな好事例を集めるところから始めていただければ、いろいろな横展開という、本来の言葉としての横展開ができるのではないかと思っている次第です。
それから、このシステムの整備ということで、先ほどお話がありました。データ作成の起点は健診機関です。そこからデータの作成の起点が始まるということで、事業主の健診においても健診機関のシステムの改修への配慮が非常に重要です。先ほど坂下構成員からもお話がありましたけれども、そこはしっかりとした組み立て方をしていかないと基本というものができないので、そこは厚生労働省も含めて、しっかりとした取組をしていただきたいと思っております。
それに関連することで、資料2のデータヘルス改革に関する工程表の所です。もともと2023年度中にマイナポータルというように書いてありますが、これは既に保険者が40歳未満のデータを保有していて仕様が決まっていれば、保険者からXMLで中間サーバーで提出できると考えていいかどうかということが、私の聞きたいところです。2023年度は、特定健診の第四期のXML仕様を実装する年度になっております。これは定期健診データの仕様も、2024年度に特定健診仕様に合わせることになるかと思っておりますけれども、健診機関がXMLを実装する場合に、いわゆる2023年の旧仕様と、2024年度の新しい仕様という2段階で行うことは非常に混乱する、大変な苦労を掛けるところなのです。
ですから、この取扱いを丁寧に考えていただかないと、実際にはスムーズな展開にならないのではないかと思いますので、事業主健診で特定健診等の重なるところの建付けを、しっかり考えていただかなければいけません。もともと先ほどから縷々申し上げておりますように、データ作成の起点が健診機関にあるということをしっかりと考えて、出所からそれを利活用する所を、しっかりとした建付けの中でスムーズに行われるように考えていただければと思っております。以上です。
○山本座長 事務局からコメントはありますか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 貴重な御意見をありがとうございました。3点の御意見を頂きました。1点目は、好事例の周知の関係で御意見頂きました。今回、参考資料として出させていただいたのは確かに大企業の健保組合などの事例ということで出させていただいたのですが、中小でも活用できる事例といった観点での御意見かと受け止めております。今回、資料3の9ページのモデル事業の所にも記載しておりますように、加入する多くの事業者との調整が必要な保険者など、中小も含まれておりますが、こういった事業は、令和5年度の予算要求をしているところです。こういった予算を活用しながら、事例の周知などをしていきたいということを考えています。
2点目は、健診機関が起点でという御意見を頂きました。国のほうでやるシステム改修のみならず、健診機関の御努力と連携しながら取組を進めていくことが重要だと考えております。どういった形で御協力できるのか、例えば周知や取組を促していくことも重要だと考えておりますので、そうした取組を進めていきたいと考えているところです。
3点目が、データヘルス改革工程表の関係に関連して、2点ほど御質問がありました。1点目が仕様の関係です。XMLで既にあるものを提出できるのかという御質問と、2点目が、旧仕様と新仕様がダブルで関わってくるのではないかといった御質問でした。1点目は仕様が決まればという御意見でしたが、現在、システム改修をしているところです。仕様の関係については今、御紹介がありましたが、第四期の特定健診の関係で、健診項目等々を議論しているところです。そういった議論を踏まえながら、まず仕様を決めていく。そして支払基金などのシステム改修もやっているところであり、そういった準備が整えば登録できるという形になっておりますので、早期に登録ができるように、しっかり頑張っていきます。
2点目が、旧仕様と新仕様の2段階で行うのは大変ではないかという御意見でした。そこは御意見のとおりで、現場の混乱もありますので、今、システム改修を詰めているところです。新仕様は第四期の特定健診と同じような仕様でできるようにしていく。それが一番混乱のない形です。ただ、一方で旧仕様で登録する所もありますので、旧仕様も登録できるようにするという形で、システム改修をしっかり進めていける方向で検討しているところです。また仕様など、お示しできるところがありましたらお示ししたいと思います。以上です。
○宮川構成員 分かりました。ありがとうございます。焦点が少しぼけていたような気はしますが。好事例というのは、もともと手間とお金と人があればできるところなので、そうではないという本質を、ちゃんと考えていただければと思います。中小を含めて困窮している所にはそれがない。そういうものがない所でもどういう工夫をすればいいのか、どういうところをブレークスルーすれば、そこを成し遂げられるのかということを、丁寧に考えていくことが非常に重要です。ですから、そこはしっかりと建付けを考えてお作りいただければと思います。先ほどの後段のデータのところは、少し異論がありますけれども、今度またゆっくりとお話したいと思います。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。引き続いて藤口構成員、お願いいたします。
○藤口構成員 全国労働衛生団体連合会の藤口です。よろしくお願いします。私のほうからは質問を1つ、意見を2つ述べさせていただきます。まず質問としては、論点①及び論点②に関連して、収集するデータの範囲及びフォーマットについてです。この辺はできておられるのでしょうか。40歳以上の事業者健診データについては、特定健診項目に関する提供フォーマットが定められております。40歳未満の事業者健診データについてもデータの関連性から、できれば安衛法健診項目のうち、特定健診項目に絞って収集することとし、40歳以上に適用するフォーマットを同じく活用することとしていただければ、健診機関としては非常に助かります。
続いて意見です。論点②に関連する、保険者番号と被保険者番号の事業主からの提供についてです。資料3の7ページの上から2つ目の○に、事業者が受診者の保険者番号、被保険者番号を、事前に健診機関に提供することが重要と記載していただいております。このことは健診機関としても、かねてから要望してきたことで、是非実現をしていただきたい。また、このことは事業主や保険者にとっても、良い仕組みであると考えております。現在、建前上は受診者IDとなる保険者番号、被保険者番号の入手は、健診機関が健診時に受診者の健康保険証を確認、又は受診票の保険者番号、被保険者番号を記入していただくことによって取得することになっておりますが、受診者等からだと非常に誤記入が多いという中で、健診機関での番号取得が進んでいない状況を鑑みていただきたいと思います。
一例を挙げさせていただきますと、協会けんぽが今から30年ほど前から、生活習慣病予防健診を行っておられます。少しずつ改善・改良を加えている中で、現在は法定健診とタイアップするような形で進められます。又は事業場のほうに、一応協会けんぽから構成員の資料をお出しになられて、それを修正する形で私ども健診実施機関のほうに来ているという形になっています。データのアンマッチ率は今、0.5%に下がってきています。その0.5%のうちの半分は外国人労働者なので、実質、日本人のアンマッチ率は0.25%ということで、受付等で非常に負荷が掛かるというのがものすごく少なくなっています。
また、今の協会けんぽの生活習慣病予防健診は、当然、中小企業を対象としております。事業主からもある意味、1つランクの上の健診を従業員に差し上げることができますし、従業員は1つ上の健診を受けることができます。事業主にとっては若干安価な形で、その健診ができるということです。また、協会けんぽも前は個人の申込みという形でしておりましたけれども、今はデータを送って、事業主のほうから私ども健診実施機関のほうにデータが来るという形なので、その辺は少し手間が省けているのかなと。
また、私ども実施機関にとっては、データのアンマッチ件数が非常に下がっているということで、4者が非常にいい形になっております。そういう形の中で受診者のほうも増えているという実態がありますので、全てというわけにはいかないかもしれませんけれども、できればそれぞれにとってメリットのある形を形作れていけば、40歳未満のデータもスムーズに収集することができるのではないかと思っております。
もう1点は参考資料1にも関連して、論点④にも関連します。保険者からの求めに応じた事業主からの要請に基づき、健診機関が保険者にデータを提供する仕組みとして、健診機関として日本医師会、対がん協会、病院会、また私どもの全衛連など、10団体が構成メンバーとなっている、日本医学健康管理評価評議会という所があり、そこで運営管理をしているHASTOSという仕組みがあります。様々な健診機関が過去に作ってきたデータのフォーマットというのは、それぞれ全て違うフォーマットで作ってきております。これを標準フォーマットに変換するシステムが、今の時点で完成しております。今すぐにでも保険者等にデータを提供するシステムなので、そういう意味ではスムーズに、また健診機関も費用を掛けることなく活用できますから、是非、検討をお願いしたいと思います。以上です。
○山本座長 事務局からコメントはありますか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 1点目は、フォーマットの関係で御質問がありました。保険者に提供するフォーマットを、早めに決定してほしいということでした。マイナポータルを通じた40歳未満の提供が、2023年度までにできるように今、システム改修等を進めております。その中で当然データのフォーマットの関係も早期にお示しできるように検討していく必要があると思っております。マイナポータルで閲覧・確認を可能とする項目については、今、特定健診情報と一体としてシステム改修をやっているという状況もありますから、同じような項目が見られるようにしていくという方向で検討しているところです。先ほども宮川様のところで申し上げましたが、現在、40歳以上のほうで、特例健診に関する議論・検討をしていて、項目も含めて検討されているというようになっております。そういった検討を踏まえながら項目やフォーマットを、現場で混乱のないようにお示しできるようにしていきたいと思っております。
2点目は、保険者番号の事前提供についてということでした。今回の検討会での意見を踏まえつつ、こういった形を周知できればということで提案させていただいたところです。
3点目は、HASTOSの仕組みがあるという御紹介がありました。こちらも勉強していく必要がありますが、どういった取組なのかを知った上で、周知などができるのであれば、やっていくこともできるのではないかと思っているところです。以上です。
○藤口構成員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。それでは引き続いて三好構成員、お願いいたします。
○三好構成員 今回、地域保健である市町村国保等の支援者の立場から、国保中央会から参加させていただいております三好でございます。事業主健診の結果データを市町村国保や地域保健の場面で活用させていただいており、若い世代からの健康づくりに活用していくという、非常に重要なところだと思っております。何分、対象者として、事業主健診を受けられる機会があって、かつ市町村国保の被保険者であるとなると、先ほど中小企業さんのお話も出ておりましたが、比較的非正規であったり、短時間勤務の労働者など、いわゆるパートさんとかですか、そういう方たちが対象になってくるのかなと思って、推計値とか探してみたのですが、200万とも300万とも推計されておりました。思っていたよりは多くいらっしゃるのだなと改めて思ったところですが、その方たちが確実に事業主健診を受けられる、そういう機会を得られることが、まず前提として重要かなと考えております。
それで、生活習慣病といったものは、年代とともに加齢によって重症度が上がっていきますので、それは、取りも直さず、医療費も高額になっていくことにつながりますので、若い世代からの健康づくりの意識を高めて、良い生活習慣を形作るということで、20代、30代から、生涯を通じた健康づくりにつながるものになるよう期待しております。ですので、40歳以上の既存のスキームをうまく効率的・効果的に活用して、情報提供の仕組みが共有されていくことを願っております。
なお、この事業主健診を受けて、その結果を国保のほうの求めで活用することができるといった新たなスキームについては、余りまだ知られていないのかなと思われますので、十分な周知に務めていただきたいと思います。その際には、今回の提案の中にもありましたが、THP指針などの労働安全衛生法などに基づいて、根拠となるようなところにも結果データの有効な活用について、そのようなものをしっかり位置付けていただけると有り難いと思います。
1つ質問です。私は国民健康保険中央会なので、基本的には国保のデータをお預かりして保険者の健康づくりへの活用を支援させていただいておりますが、その中で、市町村国保以外に国保組合さんも一部対象になっております。国保組合さんは地域保険とは少し性質を異にして被用者保険に近いのかなと思いますので、その辺りに関して、今回、構成員としては入られていらっしゃらないのですが、何らかの検討の方向性とか意識されているところがあれば、考えていらっしゃる点とかあれば教えていただけたらなと思っております。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。事務局からコメントありましたらお願いします。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 1つ目の意見としては、事業主健診を非正規の方もしっかり受けられるようにしていくとか、市町村国保も含めても、その利用のスキームを周知していく、また、THP指針に活用についても盛り込んでくださいという御意見がありましたので、出来るところから取り組んでいきます。
2点目の質問の件で、今、御参加いただいている保険者以外にも様々いらっしゃると思っておりまして、まずは、この検討会で議論をしっかりした上で、そちらを踏まえて、こういったことができるのかということを各保険者に御説明したいと思っております。まずは最初の段階というところでして、今、こういった形で議論させていただいているというところです。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは引き続いて、石坂構成員、お願いします。
○石坂構成員 人間ドック学会の石坂と申します。よろしくお願いします。データについてなのですが、先ほど何人かの方がおっしゃったように、確かに健診施設からデータが最初に出るということで、特定健診が始まってから、XMLで出すことのできる施設というのは非常に増えていて、体制は整ってはきていると思うのですが、SEを抱えて何でもできるという健診センターから、SEもいなくてやっているという健診センターもあります。学会としては施設側から、しっかりとしたデータで出すべきだとは考えていますので、今後もしシステムの改修などが必要であるならば、なるべく早く教えていただいて、内容によって何か支援があるのでしたら是非お願いしたいと考えています。
あと、データの出し方なのですが、施設から事業所へデータを返す。もちろん電子データで出すことが多くはなってきているのですが、データのまとめを健診施設側が作成して、その事業所の特徴を説明しに行きながらデータを返す、ということをしている健診施設も実際にはあります。その一番の理由は、労基署へ出す書類を作成するついでにデータをまとめているという部分もあるのかと思うのですが、参考資料の21ページの「取得した事業主健診情報の活用状況」という所で、事業主のデータを出していますよとか、あと、受診勧奨への対応をしていますというのがありますが、これは健診施設も実際にはやっているような内容でもあるので、今は40歳以下ですが、そういうところの健康に関する取組の中に、健診施設の取組も入る余地があるのだろうかというのが疑問です。例えば、参考資料の11ページですか、「高年齢労働者安全衛生対策推進費」というのがありますが、例えば、事業主がこれを使って健診施設と何か健康情報をやり取りすることが可能になるのでしょうか。
あと、保険者番号に関しては、先ほどもお話がありましたが、7ページの所で、事前に教えていただけるということで、施設は非常に助かると思います。何よりも、事業主健診は事前の準備が肝なので、それに関してはとても助かります。ただ、今のいろいろな報道から考えますと、来年度ぐらいから、全てマイナンバーカードに保険証が入っていくという話になっています。施設型の健診では、本人確認のために保険証の番号を確認しているのですので、カードリーダーが必要になります。医療機関は補助が出てカードリーダーを準備している所が多いですが、健診施設にはありませんので、カードリーダーの導入に関して、何かお考えがあるようでしたら、教えていただきたいと思います。今回の検討事項とは違うと思うのですが、実際に健診を実施しようと思うと、そのカードリーダーがないとできないという話になってきますので、そこが疑問に思ったところです。以上です
○山本座長 ありがとうございました。では、事務局からコメントをお願いします。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 主に3点頂きました。先に保険局関係部分の2つだけ回答したいと思っております。1点目は、データをXML化で出す話の中で、仕様を早く、事前の準備が大事だということで、データのフォーマットのことだと思いますが、そういったことを早期にお示しすることが大事だと思っております。今、第四期特定健診のほうで、40歳以上のところを検討しておりますが、そこと併せて早めにお示しできるようにしたいと思っているところです。
最後の被保番の提供の所で、関連してカードリーダーのお話がありました。そこについては、ちょっと担当部署に確認しまして、後日、個別に御回答したいと思っているところです。
2点目の費用の関係につきましては、労働基準局から回答したいと思っております。
○岩澤産業保健支援室長補佐 ありがとうございます。労働基準局労働衛生課でございます。参考資料1の「高年齢労働者安全衛生対策推進費」の関係で御質問を頂きました。こちらの関係は、基本的には、コラボヘルスの推進費用という形で考えております。こちらは、保険者を活用した健康保持増進に係る費用について、一部負担ができるというものです。健診機関については、直接的には補助の対象にはなっておりません。
一方、別途、来年度予算で検討しているものがありまして、事業主団体等が健診機関等を含めたサービス提供機関を通じて事業者に対して産業保健活動を行った場合に、費用の一部を補助できるというものを仕組みとして考えております。こちらについては、一部御活用いただけるのではないかと考えております。どちらの助成についても、関係者の皆様に分かりやすい仕組みとを整えて、しっかりと周知していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○石坂構成員 ありがとうございます。
○山本座長 それでは引き続いて、森構成員、お願いします。
○森構成員 日本商工会議所で社会保障を担当している森と申します。よろしくお願いします。事務局におかれましては、資料の作成、説明ありがとうございました。若い世代の労働者の方は、ともすれば、体力にものをいわせて無理をしがちなところもあると思うのですが、健康維持は重要であることを、具体的なデータや支援策を分かりやすく提示して意識を変えていくことが重要だということを改めて感じました。その意味合いで、この40歳未満の事業主健診情報の活用の議論の必要性も改めて確認ができた次第です。我々、商工会議所は、最近では、医療に関する提言を2回ほど公表しておりまして、その中で、限りある医療資源の有効活用の観点や、現役世代とか事業主の保険料負担軽減の観点なども踏まえて、ヘルスリテラシーの向上、それとセルフメディケーションの推進の必要性を訴えています。これらを進めるための1つのツール、きっかけとして、今回、何回も言葉として出てきていますが、コラボヘルスや健康経営の普及・促進が重要ではないかと考えている次第です。
その上で、考えを2点申し述べます。1点目はコラボヘルスについてです。健康保険組合と事業主が連携することが肝です。特に中小企業は、先ほどからも御指摘がありましたとおり、事業主だけで、企業だけで健康に関する取組を進めることは極めて難しいので、保険者の皆様のバックアップが極めて重要です。中小企業の多くは、協会けんぽに加入していると仄聞しておりますが、そういった中小企業に対して、コラボヘルスや健康経営の必要性を理解してもらい、実際の活動に結び付けるためには、周知に加えて、資料3の9ページの一番下の○に記載されている「モデル事業の実施、横展開」、これは極めて大事だなと思った次第です。以上が1点目です。
2点目は、今、中小企業の事業主へのサポートの重要性に触れさせていただきましたが、その意味で、参考資料1の27ページに、協会けんぽの健康宣言事業や事業所カルテの配布。中でも、事業所カルテに関しては、自社の状況の見える化、あとは、業界内での比較ができて、経営者とか人事担当者の方に対して気付きを与える重要な資料だというコメントを、経営者の方から聞いたことがあります。ただし、これは、私の理解が間違っていたら誠に申し訳ないのですが、確か事業所カルテのデータは、40歳未満の勤労者の方全てをカバーしていなかったのではないかなと記憶しています。ひょっとしたら、技術的に難しいのかもしれませんが、事業所カルテで集計する対象として、勤労者全体をカバーすることも御検討いただくといいのかなと思いました。雑駁ですが、以上です。ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございました。事務局からコメントございますか。
○横田医療費適正化対策推進室長補佐 御意見ありがとうございました。1つ目はコラボヘルスの推進の重要性ということで、モデル事業の実施、そこをしっかりやっていく必要があるという御意見でしたので、来年度予算要求をしておりますが、しっかりした取組ができるようにしていきたいと考えております。
最後は協会けんぽの話でしたが、カルテの精緻化の話でした。40歳未満の取組を対象としていく、協会けんぽのほうでどのようにやっていくかということだと思いますが、事業者と保険者と連携してできるよう今回の仕組みを通じて国としても支援をしていくことができればと思っております。以上となります。
○山本座長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。本日はどうもありがとうございます。大変、建設的かつ詳細な御意見を頂きまして、随分まとまってきたと思っております。本日頂いた御意見を踏まえて、今後、事務局で文書の形でまとめていただいて、次回につなげていただければと思います。私も長い間、PHRに取り組んでいるのですが、やはり、特定健診で電子化が進んだ。それから、マイナポータルの存在というのは非常に大きくて、ようやく実用的なフェーズに入ってきたということで、40歳未満の事業主健診も、これは生涯を通じて、それからコラボヘルスという意味でも非常に大事だと思いますので、是非、いい方向性に進んできましたので、これからもどうぞよろしく御協力をお願いいたします。
それでは、事務局から、次回の日程等、事務連絡をお願いします。
○保険局 事務局です。次回の検討会の日程については、皆様にも今、御協力を頂いているところです。事務局から改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、御参集いただきまして、活発な御議論どうもありがとうございました。
〔了〕