第19回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年8月24日(水) 13:00~16:00

場所

web会議
(TKP新橋:東京都千代田区内幸町1-3-1幸ビルディング16F)

出席者(五十音順)

議題

(1)部会におけるこれまでの主な意見について
(2)有識者・利用者からのヒアリング

議事

(議事録)
2022-8-24 第19回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第19回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の委員の皆様の出欠状況について御報告いたします。
宮脇委員から欠席の御連絡をいただいております。
朝比奈委員、岡﨑委員は、遅れて出席される予定と伺っております。
また、本日は、内堀委員の代理として、福島県保健福祉部社会福祉課長の新妻政弘参考人に御出席いただいております。
また、大森委員の代理として、岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長の出原晋一郎参考人にも御出席いただいております。
なお、勝部委員におかれましては、途中で御退席される予定とお伺いしております。
続きまして、本日の議論の参考人といたしまして、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連様。
一般社団法人若草プロジェクト事務局次長の鵜飼裕未様。
モデル業の傍ら、社会的養護への理解を広げるための活動に取り組んでおられる田中れいか様。
A´ワーク創造館副館長・就労支援室長の西岡正次様。
自立相談支援事業における就労支援を活用されていた橋長裕哉様。
大阪府豊中市における就労体験の協力事業所であるとともに、橋長様の現在の御勤務先である電気計器株式会社の取締役総務部長でいらっしゃる政田紳一様。
豊中市市民協働部参事兼くらし支援課長の濵政宏司様。
グリーンコープ生活協同組合連合会常務理事・生活再生事業推進室長の行岡みち子様にお越しいただいております。
新妻参考人、出原参考人、大西参考人、鵜飼参考人、田中参考人、西岡参考人、橋長参考人、政田参考人、濵政参考人及び行岡参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○河合室長 ありがとうございます。
出席委員につきましては、21名となっておりまして、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしている旨、御報告申し上げます。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事につきましては、公開となってございますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道関係の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けに、ユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴される方につきましては、くれぐれも御注意のほどよろしくお願いいたします。
それでは、会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 それでは、これからの議事運営につきましては、菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆さんこんにちは。
本日も大変お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
初めに、一昨日の月曜日、墨田区役所に伺いまして、視察をさせていただきました。
お越しいただきました委員の皆様におかれましては、誠にありがとうございました。
多くの委員の皆様に御参加いただきまして、委員同士の旧交を温め合う会のような趣もややございましたが、大都市部における重層事業の取組、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度の運用につきまして、大変有意義な視察、意見交換の会になったかと思います。
改めまして、墨田区の皆様に御礼申し上げるとともに、セッティングしていただきまして事務局の皆様にも御礼申し上げたいと思います。
それでは、本日の議事に入ります。
これまで5回にわたって部会を開催し、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに向けて、様々な論点について御議論いただきました。
まずは、これまでの部会における委員の皆様からの様々な御意見につきまして整理しておりますので、事務局から説明していただきます。
その後、今後の制度の見直しに向けて、さらに議論を深めるために、有識者や利用者の方からヒアリングをさせていただく機会を設けさせていただきました。
本日は、有識者として3名の方、利用者として2つの団体の関係者の方からヒアリングをさせていただき、今後の制度見直しに向けた必要な視点についての示唆をいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題1「部会におけるこれまでの主な意見について」事務局から御説明お願いいたします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料1「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会におけるこれまでの主な意見」について説明いたします。
文字ばかりの資料が全体で20ページ以上ありますので、ごく簡単に概略のみ説明させていただきます。
本資料では、これまで第14回から第18回までの各部会において、特に御議論いただきたい事項として、事務局から提示した論点に沿って、3ページ以降に皆様からいただきました御意見を整理しております。
多くの御意見を頂戴しておりますので、資料には、委員の皆様の御発言を網羅的に載せているものではない点、また、ある程度要約したり、重複するところはまとめたりした形で記載しております点につき、御了承いただければと思います。
また、本資料は、今後の議論に当たって参考とすることを目的として、各論ごとに御意見をまとめているものです。
委員の皆様には、あらかじめ資料をお送りし、中身について既に御確認いただいているところでございますが、現時点での主な意見を整理したものとして御認識いただければと思います。
簡単ですが、説明は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
資料1は、今後、2順目の議論の参考として、これまでの部会における主な御意見を取りまとめていただいたものとなります。委員の皆様は、既にお目通しいただいていると認識しております。
また、ここでまた新たに何かを付け加えるという趣旨のものではなく、前回までの議論の中で、既にお出しいただいた意見を整理したものという性格の資料でございます。
その上で、本資料につきまして、何か御意見等がございましたら、会場の方は挙手、オンラインの方は挙手ボタンでお知らせいただきたいと存じます。
会場はいかがですか。差し当たり、よろしいですか。
それでは、オンラインで宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 これまでの議論を丁寧に、かつ誠実に、客観的におまとめいただいた事務局に感謝申し上げたいと思います。
特に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の関係をめぐって、当初、地方自治体との協議でケースワークの負担軽減といった入り口から入ってきたところがあって、その意味合いについて若干心配していたところもあったのですが、負担軽減は、仕事を減らすという意味もありますし、体制を強化するという意味もありますので、その辺りが曖昧にならないように心配していたところもあったのですが(18-2-1)あたりで、原則として、人員体制の強化を図っていくのだということが確認されたということだと思います。
また、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携で重なり合う支援という言い方をしてきたわけですが、それについても(16-3)で非常に明確になっている。単にゼロサム的に一体化する、どちらかがどちらかを吸収するということではなくて、それぞれの強みを生かした形で、プラスサム的に連携させていくことが明確になったということだと思います。
もちろん、建設的にこうした重要な議論を重ねていただいた委員の皆さんの御尽力によるものですが、改めて、このような形で、これからの議論のステップとしてクリアにまとめていただいた事務局に御礼申し上げたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
これまでの法律改正を部会長として引っ張っていただいた宮本委員から御発言をいただきまして、全体を大局的に捉えた御意見をいただきまして、今のところ合格点をいただけたのかなという気がいたしておりますが、どうもありがとうございました。
本格的には、2巡目以降の議論になると思います。
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。
これまでの主な意見につきまして、追記・修正等いただきまして、本当に感謝申し上げます。
あと、先ほど宮本先生もおっしゃっておられましたが、生活困窮者自立支援のあり方に関する論点整理を踏まえまして、再度お願いというか、押さえておきたい点をお伝えしたいと思います。
論点整理の10ペーシの法の理念やあり方においては、法の対象者の定義が経済的根拠に縛られることなく、実態に即したものになるよう、法の規定について、改めて検討すべきではないかとあります。
これまでの意見の16-3の困窮制度と生活保護の連携のあり方に「両法の対象者の規定のあり方について議論が必要」との記載がありますが、以前に奥田委員が御指摘されていたかと思うのですが、この法の対象者の定義について、経済的困窮に縛られないことのみならず、生活保護と重なり合う支援の議論もある中で、生活保護受給者も含めた困窮法の対象者の定義を議論する必要性があるのではないかと思っております。
同じく、16-3の最後の●の「困窮制度における個人情報・支援内容を保護制度にも共有できるような仕組みが必要ではないか」との意見につきましては、困窮法第9条の支援会議において、生活保護受給者も対象とすればよいのではないかと思いますので、この見直しについても議論をお願いしたいと思います。
論点整理の12ページの個別論点の生活困窮者自立支援のあり方の実施体制においては、各自治体における相談実態やニーズを踏まえて、生活困窮者自立支援制度に関する政策立案や庁内連携を強化するため、都道府県や市等の生活困窮者自立支援制度所管部局への専従職員の配置を進めるべきではないかとあります。
これまでの意見に、家計改善支援と人材養成研修のあり方において、専従職員の配置の意見を記載いただいております。
専従職員の配置につきましては、多くの自治体では、困窮の担当職員が複数の事業を兼務しているのが実情ですが、生活困窮者自立支援制度全般の政策立案、庁内連携を強化するためには、複数の事業を抱えての兼務で片手間にできることではないので、家計改善支援事業とか人材研修だけではなくて、事業全体を網羅した都道府県、市等の生活困窮者自立支援制度所管部局への専従職員の配置を進める議論もぜひともお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ただいまの御意見は、内容の修正ではなく、記載についてのコメントということで承っておきます。
中身についての御意見については、次回以降に御議論いただきますので、今日のところは、その内容に関わらない御確認ということでお願いできればと思いますが、ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
岡部委員、失礼しました。
○岡部委員 事務局より丁寧な整理と説明をしていただき、ありがとうございます。
その上で、この中に入っておりますが、改めて強調したい点と、次のラウンド等で議論していただきたい点についてお話しします。
1点目。生活困窮者自立相談支援機関の体制整備についてです。
この点については、個別支援と地域支援の2つの業務を行う機関として位置づけられています。しかしながら、人的配置が十分ではありません。
何らかの基準、例えばエビデンスベースの配置基準が必要ではないかと発言しております。改めて強調させていただきます。
2点目。既存の福祉施設のことを第一に考えていただきたいと考えております。
救護・更生等の保護施設、自立支援センターでは、施設内での支援、地域移行と優れた支援が行われています。しかしながら、敷居が高く、十分に活用されていません。
そこで、2つのことを述べさせていただきます。
1つは、入所ニーズがあるにもかかわらず、無届けの無料低額宿泊所等を利用している実態があります。その結果、保護施設、自立支援センターが活用されず、定員割れを起こす保護施設、自立支援センターが出ています。
この点は、生活保護の実施機関である福祉事務所が専門的支援を行う保護施設、自立支援センターに関する理解の促進と福祉事務所における職員の専門性の向上、そして連携強化を図り地域移行を進めていく必要があるかと考えます。
2つには、この中で議論がされていなかったかと思いますが、社会福祉施設は個室化が進められています。
しかし、保護施設、自立支援センターは、複数の入所者が同部屋で生活する多床式で個室化となっておりません。この点は、個室化に向けて、建て替え費用等、施設整備費の拡充等が必要と考えます。
この点は今回の論点に入っていませんが、どこかの場で議論していただければと考え発言させていただきました。
3つには、名称についてです。
生活困難なとき、要保護状態にあるときに、相談しやすく、利用しやすい制度として、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度は、国民、住民の中で普及しています。しかし、まだまだ潜在的な相談者や利用者層は数多くいると思います。
相談者、利用者からしますと、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度は、社会的スティグマが伴った名称という側面があり、これが国民、住民の意識の中に定着しています。
利用しやすい名称は、制度の趣旨にかなっていると思います。積極的な制度利用を国、自治体から呼びかけていただいていますが、このことについても考えていただくと、貧困や生活困窮に関する差別、偏見がある程度解消するのではないかと思っております。
この場で発言するのはどうかと思ったのですが、取りあえず、論点の整理ということで述べさせていただきました。私からの発言は、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御意見として承っておきたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、このような形で、今回は1巡目の議論の整理ということでおまとめいただいたものを資料として確定することにさせていただきます。
ありがとうございます。
続きまして、今日は、多くのゲストをお招きしております。
議題の2番目「有識者・利用者からのヒアリング」に移らせていただきます。
改めて、本日お越しいただいている参考人を御紹介させていただきます。
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西様。
一般社団法人若草プロジェクトの鵜飼様。
モデル業の傍ら、社会的養護への理解の輪を広げる活動に取り組んでおられる田中様。
A´ワーク創造館の西岡様と、就労支援を活用されていた橋長様
橋長様の御勤務先である電気計器株式会社の政田様。
豊中市市民協働部の濵政様。
グリーンコープ生活協同組合連合会の行岡様から御発表いただきます。
それでは、まず、大西参考人から御発表をお願いいたします。
皆さんそれぞれ10分という大変限られた時間で大変申し訳ないのですが、よろしくお願い申し上げます。
○大西参考人 よろしくお願いします。
皆さんこんにちは。
事務局のほうで資料を。ありがとうございます。
初めましての方もいらっしゃれば、お久しぶりの方もいらっしゃれば、もやいの大西連と申します。
10分ですので、できるだけ時間を厳守するように、少し早口でお話しさせていただきますが、御容赦いただければと思います。
私からは、これまでのこの部会の議論等がいろいろとあろうかと思いますが、現場で今、どういうことが起きているのか、コロナ禍、物価高も含めまして、そこの視点から見えてくること、そして今後、そこにどのような施策が必要なのかということも含めて、少し大きめのお話をさせていただければと考えております。
次をめくっていただいてよろしいですか。
少し自己紹介をさせていただきますが、もやいという団体は、主に国内の貧困・格差の問題に取り組む団体ということで、生活困窮者への相談支援等を行っております。
電話、メール、面談、チャット等で年間大体5,000~6,000件ぐらいの御相談をお受けしたり、1年間で約2万人の方に食料品の支援をしたり、もともとは住まいの支援、居住の支援というところから始まった団体でして、ホームレス状態の方がアパートに入る際の連帯保証人を延べ2,400世帯、緊急連絡先を1,300世帯。
それから、2018年には、認定NPO法人として初めて宅建の免許を取得しまして、住まい探し、物件の仲介も含めた支援というところでこれまで延べ350件ほどやっているのと、コロナ禍では、それこそ抱樸の奥田さんたちと協力して、アパート型シェルターの支援をすることも行っております。
そのほか、居場所づくりの関係の活動であったり、社会保障関係の提言をすることを事業として行っております。
こういった相談支援とかは、我々は基本的に特に委託事業としてやっているわけではなくて、個人の方からの寄附を原資に、自主事業として行っております。なので、自治体と何か特別に連携しているということは基本的にはなくて、かなり独自に相談支援を行う。
他方で、生活保護の申請とか、そういった公的支援の利用を行われる方が実際には多いですから、今日はそういった関係でお話ができればと思います。
また、既にお世話になっている方もいらっしゃいますが、孤独・孤立対策の政策参与も、去年の6月より努めておりまして、その辺も含めてお話しできればと思います。
次をめくっていただいて、これは分かりづらいのでいいのですが、団体としては、貧困という問題は、経済的に困窮するということと、人間関係で孤立するという2つの観点から捉えていて、それをワンストップという言い方が適切かは分かりませんが、相談をお受けして、住まいの支援をして、居場所関係、つながりづくりをするところ、それを社会的に解決する政策づくりをするところを一連の流れで考えているものです。
また次に行ってもらっていいですか。
コロナの影響というところで少しお話をさせていただきます。
まためくってください。
コロナ禍で、今、毎週新宿の都庁の下で食料品の配布の活動を行っております。
このグラフは、来られた方の実数なのですが、ちなみに、直近の土曜日は570人で、実は過去最多を記録したのですが、2020年4月は100人程度だったのが、今は500人を超えるのが当たり前になっている状況があります。
思い返せば、リーマン・ショック後のいわゆる日比谷公園で行われた年越し派遣村の活動において、訪れた困窮者が500人だったので、それ以上の規模の人数が毎週いらっしゃるという我々も想定したことがないようなかなりの異常事態になっているのかなと思っております。
ちなみに、コロナ禍では、都庁下だけで延べで4万人の方に食料品をお配りしているという実績がございます。
次をめくってもらって、本来、路上でやるこういった食料品配布は、いわゆる炊き出しのような野宿の方を中心とした支援活動だとイメージされる方が多いかと思いますし、正直、私ももともと野宿者支援から活動をスタートしておりますので、そういった文脈で語られることが多いのですが、他方で、今いらっしゃっているこの500人以上の方の中で、野宿の方は実はかなり少数だと私たちは感じております。
具体的に申し上げると、全部説明すると長くなるのですが、これまでこういった支援現場にいらっしゃっていたいわゆる要保護状態、生活保護が利用できる程度の困窮状態にあった方で住まいがない方、もしくは住まいはあるけれども困窮している方もいらっしゃるのですが、それにプラスして、特にコロナ禍では、住まいはあります、ただ、ぎりぎり何とか生活できている要保護状態でもないワーキングプア状態、手取りで14~15万だったり、そういった方が生活防衛、節約のために、それから不安を解消する、非正規だったり、不安定な就労だったりしますので、なかなか先が見えない中で、少しでも手元にお金を残しておきたいということでいらっしゃっている状況があります。
次を送っていただいていいですか。
これを少し整理すると、私たちも感じたことのない状況が今起きていると捉えていて、これまでは、どちらかというと労働市場に入られている方は、一般的には支援は必要ないだろうと捉えられていたと思いますが、そこの層の人たちも実はかなり生活に不安を感じている。しかも、漠然とした不安ではなくて、自分の仕事がいつなくなるか分からない、特にコロナという不況のコンテクストがあるのは間違いないのですが、そういった環境の中で生活防衛をする必要がある、生活の不安を抱えている方がたくさんいらっしゃることが見えてきています。
これを3層に分けてみました。
「要保護の層」は、これまでもこういった支援現場で支援をしていたような生活保護の利用ができる程度の困窮状態である。
2つ目は、宮本太郎先生が提起されている「新しい生活困難層」と、岩田正美先生が以前よくおっしゃっていた「路上と支援を行き来する層」をがっちゃんこに、私なりに勝手に定義してしまったのですが、この場合「生活困難層」と呼びますが、ここでは要保護状態に近く、要保護と労働市場を行き来している層としました。
3つ目は、この部会でもここの部分がよく議論されているかと思いますが、このもうちょっと上の階層に、これまで自立していると見られていた、ワーキングプアなどの状況で、恒常的な低所得、生活の不安を抱えている人が今、かなり多いのではないかというところに現場で気づいておりまして、「生活不安層」と定義しました。多くは不安定就労、低賃金、DV・虐待、家族関係の厳しさ等、構造的な生きづらさ、また、女性や若年層にこういった方がすごく増加しているのではないかと感じております。
次をめくってもらっていいですか。
既存の支援、施策がこの3層に対応できているのか、いないのかというところで、できていないのではないかというところでございます。
生活保護に関しては、様々な場面でさんざん語られておりますが、扶養義務やスティグマ等もあって、なかなか利用しにくい制度です。
「生活困難層」が生活困窮者自立支援制度の範疇かと思いますが、基本的に貸付け(緊急小口資金等の特例貸付等)も、住居確保給付金も短期の失業対策で、もともとリーマンショック後の2009年に緊急雇用対策から始まったという文脈もあろうかと思いますが、あくまで短期の緊急失業対策という文脈が非常に大きいのではないか、中長期の失業には対応できていないのではないか。
また、そこから就労自立しても、非正規労働などですと、慢性的なワーキングプアであり、生活に不安を抱えてしまう。例えば東京でフルタイムで働いても、最低賃金近くであれば手取りの金額は月収で14~15万円である、その状態だと生活が楽にならない。支援の文脈のなかで、就労をゴールに設定してきた歴史的な経緯があるかと思いますが、ゴールになり切れていない部分がすごく見えてきている。
しかも、非常に好景気でしたら、まだ仕事が続く、失業しても次の仕事がすぐに見つかる、ということがありますが、コロナ禍という文脈で考えると、先が見えない中で不安を感じている方がたくさんいらっしゃるのではないかと感じております。
次をめくっていただいて、ですので、それぞれの層について、既存の施策とか、今ないものをどうつくっていくのかということを考えていかなければならないのではないかと考えております。
「要保護の層」に関しては、生活保護を入りやすい制度へ移行しようと。これはまた後ほど少しお話しします。
「生活困難層」に関しては、生活困窮者自立支援制度がその文脈かと思いますが、そこでどのような連携体制や対人支援の強化ができるのか。これも後でお話しします。
「生活不安層」に関しては、就労収入を上昇させるような最低賃金の上昇ももちろんありますが、プラス、所得を底上げするような給付やサービスの大幅な拡充。この部会の範疇ではないことは事前に聞いているのですが、非常に重要なので、あえてここでお話しさせていただいております。
次をめくっていただいて、一個一個見ていきます。
時間がないので、簡潔にお伝えしますが、1つ目は「要保護の層」です。
これは生活保護を入りやすい制度へ移行することが非常に重要だと思います。
ここに書きましたが、扶養義務の撤廃であったり、大学等への世帯内就学であったり、生活用品としての自動車の要件の緩和、外国人の生活保護法内での適用とか様々あろうかと思います。
また、オンライン申請、DX化のアプローチは、少なくとも今、生活保護のシステム標準化を進めていらっしゃると思うので、ここにはそういったものを想定していないと、日本の生活保護行政のいわゆるDX化は10年遅れてしまうという危機感を持っております。
また、スティグマ軽減に向けたアプローチは、野洲市とか札幌市で生活保護は権利ですというポスターが貼られたり、取組がかなりありますが、そういったものをより広げていくことが重要であろうかと思います。
別添で、生活保護に関する要望を毎年厚労省にしているものをつけておりますので、70項目ぐらいあるので、長大なのですが、御参照いただければと思います。
次をめくっていただいて「生活困難層」に対応するものとして生活困窮者自立支援制度なのですが、もともとこの制度の目標として「生活困窮者の自立と尊厳の確保」及び「生活困窮者支援を通じた地域づくり」があったかと思います。
この自立と尊厳の確保について、当事者の権利性をもうちょっと拡大する必要があろうかと考えます。
支援計画の策定を本人中心で行うことを義務づけるなど、やれることがあるのではないかということと、就労自立にとどまらない自立の形を改めて定義して、いわゆる増収とか就労率にとどまらないKPI(政策評価)をつくっていく必要があるかと思います。
また、地域づくりと非常によく言われるわけですが、一方で、この部分の人員体制の確保は、既存の施策に予算措置がないというところがございます。地域づくりも予算がないとできない。
大変なことになってしまいました。もうちょっとで終わります。ごめんなさい。あと1~2分で終わります。
なので、ここも重要だというところです。
次に行ってもらって。めくってもらっていいですか。
これは概念的なものなのですが、当事者の方の困り事は、制度の枠の中にあるものもあれば、枠の外にあるものもあり、それぞれ誰が担うべきなのか、地域の中でそれぞれ担い手を育てたり、議論をしていく必要があって、ここをこの制度できちんとやっていくことがとても重要ではないかと。
他方で、私たちは都内で活動していますが、都内の生活困窮者自立支援制度の窓口の方とのコンタクトは基本的にほとんどありません。窓口の方に聞くと、地域づくりがなかなかできない、相談窓口での相談に対応するのが精いっぱいだと。地域づくりができるような役割の方をきちんと配置することは重要だと思います。
次をめくっていただいて。もうちょっとで終わります。
あと、当然、困窮している方がどの窓口に行くのかというのは、その方が決めることなので、実際にどこに最初に相談に行くのか、というのはなかなか分からないと。また、どの窓口も最初の窓口になり得るというところで、様々な支援機関が大きなまとまりになって、ネットワークをつくることが重要です。
これは生困だけではなくて、実は自殺対策の有識者ヒアリング、孤独・孤立支援でも同じ話をしているのですが、そういった隣接するような制度領域でも、改めてこういった議論の整理やまとめが必要だろうと思います。
最後に、伸びて申し訳ないのですが、いわゆる要保護の方、生活保護の範疇と、生活に困難を抱えている方のもうちょっと上の階層の方に対して、「生活不安層」とここで説明しましたが、その方たちにどのような支援をしていくのかというところもどこかできちんと議論しないと、生活保護や生活困窮者自立支援制度で日本の低所得者支援を全部対応しようとするのは無理があろうかと思っております。
恒久的な住宅手当とか、最低保障年金は難しいかもしれませんが何らかの所得保障の仕組みとか、児童手当の大幅拡充といったことは、どこかで議論する場をきちんとつくって、政府としての何らかの見解を指し示さなければいけないのではないのかなと思います。
この審議会の範囲ではないと聞いてはいるのですが、これがなくては日本の低所得者の支援はなかなかなし得ないのではないかと改めてお伝えして、3分ぐらい超過して申し訳ありませんが、お話を終わります。
ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、鵜飼参考人から御発表をお願いいたします。
○鵜飼参考人 若草プロジェクトの事務局次長を務めております、弁護士の鵜飼裕未と申します。よろしくお願いいたします。
初めに、若草プロジェクトについて簡単に御紹介いたします。
現代の日本社会には、貧困、DV、性被害、性搾取、育児不安、薬物依存等に悩んでいる女性たちが数多くいます。中でも少女や若年女性は、今まで法や制度のはざまに置き去りにされ、保護や支援の枠組みから取り残されてきました。
その中で、SNSなどによる被害も多く発生しています。
一般社団法人若草プロジェクトは、2016年3月に設立されました。
10代、20代の女性の支援を行っています。
役員、呼びかけ人については、こちらのスライドを後ほど御覧ください。
若草プロジェクトの名前の由来、マークに込めた思いについても、スライドにまとめさせていただきましたので、後ほど御覧いただければと思います。
私たちは、大きく分けて「つなぐ」「まなぶ」「ひろめる」という3つの活動をしています。
今日は、それぞれの活動を詳しく御紹介する時間はないので、説明は割愛させていただきます。ホームページでも御紹介していますので、ぜひ御覧ください。
今日は「つなぐ」の活動の中でも、特に直接女の子たちの支援をしている活動の一部についてお話ししたいと思います。
「まちなか保健室」という施設を当団体は所有しています。
これは秋葉原にあるもので、悩みがあったり、居場所がないという気持ちを抱えた若年女性が気軽に立ち寄れる町の中にある保健室になります。
また「LINE相談」も実施しています。
原則週2回、1回2~3時間行っています。
相談を担当しているのは、大学生を中心とする相談員と、弁護士や精神保健福祉士、社会福祉士等の監修者です。
現在は、水曜日と週末の土日どちらかの合計週2回行っています。
水曜日は、監修者2名が在宅で対応しています。
土曜ないし日曜は「まちなか保健室」で相談員3名と、監修者2名がチームで対応しています。
「LINE相談」については、後ほどまた御説明させていただきます。
「メール相談」は、365日受け付けています。
「LINE相談」は、10代、20代の女性御本人からの相談のみを受け付けていますが「メール相談」は、親御さんや学校の先生等、支援者からの相談も受け付けています。
また「オンラインアウトリーチ」という活動もしています。
皆様、ぜひTwitterで「@若草PJ」と検索してみていただきたいと思います。
これは、相談員が各自のアカウントを持ち「LINE相談」について広報をしたり、気になるアカウントをフォローしたり、時には声かけを行ったりしています。支援者というよりも、一人の同世代の女性としてツイートしてもらうようにしています。実際にこのツイートを見て、若草の存在を知り「LINE相談」にいらっしゃった方も多くいらっしゃいます。
これらの支援を通じて感じていることは、相談することのハードルの高さです。
何に困っているのか、言語化できる子は少ないです。まして、自分で支援の制度を調べ、窓口に行ける若年女性は、極めて少ないと思います。そして、やっと役所の窓口に行ったとしても、その対応の仕方によっては、結局、必要な支援につながれないまま帰ってしまうケースもあります。
我々は、必要としている方々に、こちらからつながっていくために「オンラインアウトリーチ」等の取組を行っています。
「まちなか保健室」では、スタッフが秋葉原の町を夜回りしてアウトリーチしています。協賛企業から頂いた小さなプレゼント、例えばマクドナルドのチケット等を添えて、いつでも来てねと声をかけながら「まちなか保健室」のチラシを配っています。
また、必要な方に届くため、例えばホームページに振り仮名を振るといった工夫もしています。
行政の制度のホームページだと、振り仮名が振られていなかったり、あるいは情報のページにたどり着くまでが複雑であったり、説明が難しかったり、困っている女の子たち本人が情報を見つけて理解することはなかなか難しいと感じています。
「LINE相談」は、このようにホームページ等にQRコードを載せています。LINEで友達追加をすると、相談の案内が来るようになっています。
こちらは、2020年度の「LINE相談」のデータです。
これは2020年度なので、まさにコロナ禍が始まった当初で、5月の件数が大きく伸びているのは、監修者が毎日在宅で「LINE相談」を行った結果になっています。
「LINE相談」では「メンタル」の相談の件数が多くなっています。死にたい、つらいといった相談が多く届きます。
しかし、それらの言葉を傾聴していくうちに、ぽろぽろと背景にある問題が見えてきます。つらい気持ちを傾聴しながら、徐々に信頼関係を築いて、それから背景にある問題を把握し、具体的な支援につなぐことを行っています。
「LINE相談」は、匿名であること、 嫌になったら相談者がブロックすることもできること、親にばれないで相談できること、といったメリットがあります。
また、短文でのやり取りになるため、知的ボーダーの方等でも比較的コミュニケーションが取りやすいように感じています。
「LINE相談」でつながった子と面談することもあります。「まちなか保健室」で福祉スタッフや弁護士が面談することもあります。
また、地方のケースでは、支援団体を探し、当団体のスタッフが連絡を取り、つなぐこともあります。
ただ、地方の場合は、そもそもリソースが限られていたり、人間関係が狭く、相談に対する心理的ハードルが高いといった問題もあります。
コロナ禍でZoomが普及したことで、地方のケースでも、Zoomを利用して、当団体の弁護士や福祉スタッフが面談することもあります。
また、東京に住んでいても、いきなり直接会うのはハードルが高いという女の子もいます。その場合には、Zoomを利用して、女の子は画面オフをするなどしながら相談するケースもあります。
「LINE相談」も「まちなか保健室」も、当然ですが、説教したりするわけではなく、まずはつらかったねと、彼女たちの気持ちを受け入れることを忘れないことが大事になります。信頼関係が築けない中で、いきなりいろいろなアドバイスをしても、受け入れられないと感じています。
コロナ禍の相談では、ステイホームを強いられた時期には、親もリモートワークになって、御本人もオンライン授業になって、家庭に逃げ場がないといった御相談もありました。
また、一緒にいる時間が増えることで、家庭内暴力もより深刻になったといった御相談もありました。
生活保護に関して、我々が今一番困っているのは、大学生が受けられないことです。
私たちが直面している困難なケースは、例えば大学生あるいは進学予定の高校生で、実家で一緒に暮らす親から虐待を受けている。本人はそんな家がしんどいから、一刻も早く家を出たいと思っている。しかし、親は虐待を否認していて、家を出ることに反対している。親は、家を出るなら、学費も生活費も出さないと言ってくる。当然、本人は貯金もない。このようなケースが、我々のシェルターに入居した子だけでも複数います。
また「LINE相談」にもこのような事例が数多く寄せられます。
このような例で、大学生が大学に進学し、一人暮らしをする場合には、4月にかかる費用として、大学の入学金、前期の学費、家の初期費用、あるいは寮に入る場合には、寮の初期費用や前期分の寮費、そして日々の生活費がかかってきます。
このようなケースを聞いて、奨学金で賄えばよいのではないかと思われるかもしれません。
しかし、奨学金は通年で募集しているわけではありません。
また、申請してから審査があり、実際に振り込まれるまでは数か月のタイムラグがあります。
実際に、このようなケースはたくさんあります。深刻な虐待に苦しんでいる子は、数か月単位で家を出る計画を立てることはできません。家を出てから当団体につながるケースも数多くあります。
例えば、親から虐待を受けていて、警察に相談して保護され、当団体につながったケースがあります。
このケースで、親は、家に帰ってくることを求めました。しかし、本人は家を出ることを決意しました。親は、家に戻らないのであれば、大学の入学金も、学費も、生活費の支払いもしないと言いました。
本人は大学に合格しました。
しかし、期間内に入学金を支払わなければ、入学は取り消されてしまうと言われました。そのため、当団体の代表理事の大谷弁護士が、個人でこの子に数十万円のお金を貸しました。
このようなケースでは、現在の奨学金の制度は不十分です。
給付型の奨学金だけで学習や生活費の全てを賄うことはできません。虐待を受けた子の多くは、精神的な疾患を抱えています。アルバイトができない子も多くいます。
貸与型の奨学金があると思われるかもしれませんが、これは借金です。本人たちが数百万の借金を負うことは精神的な負担が大きく、精神疾患を抱える子であれば、なおさらその負担が大きくなります。
また、精神疾患を抱えている子の場合には、医療費の支出の問題も深刻です。通院、入院、カウンセリング、交通費と様々なお金がかかります。
高額療養費の制度がありますが、これは被保険者の手続が必要です。虐待した親が被保険者の場合に、親が手続をしないと、保険から抜けられないこともあります。虐待した親が手続をしなければ、高額療養費の制度も使えません。このような経済的な負担感から、本人が治療に積極的になれないケースもあります。
このようなケースで生活保護が受けられれば、彼女たちの状況は大きく変わると感じています。
神奈川県の横須賀市では、生活が困窮する大学生らに生活費や通学費を支給する独自の制度を始めたと聞いています。国が支援制度の成立や、生活保護制度の柔軟な運用を実現してほしいと思います。
私は、ふだん弁護士として、特に刑事事件に力を入れています。その中では、裁判員裁判といった重大な事案を経験することもありますが、そこで親から虐待を受けて育った若年女性が被告人になっているケースも複数経験しています。
そのときに、若草の福祉スタッフに支援をお願いしました。そのようなケースは2件あったのですが、その2人ともが、もっと早くにそのスタッフと出会いたかった、今までそんな人は一人もいなかったと言っていました。
彼女たちは、支援の制度も知らずに、支援者にも出会えずに、一人で困難を抱えて生きていました。私たちが彼女たちにもっと早く出会えれば、そのようなケースも防げたのではないかと感じています。
以上になります。
ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、田中参考人から御発表をお願いいたします。
○田中参考人 皆さんこんにちは。
私自身は、7~18歳までの11年間、東京都世田谷区にある児童養護施設で生活していました、田中れいかと申します。
現在は、大きく分けて3つの活動をしています。
1つ目は、大阪府内の児童養護施設で暮らす高校3年生を対象にした受験料の助成事業。
2つ目は、社会的養護専門情報サイト「たすけあい」及びユーチューブチャンネル「たすけあいch」の運営。
3つ目は、自分の暮らしていた施設で、退所者のための居場所づくり活動を毎月1回程度開催しています。
本日、私からは、社会的養護を経験した当事者として、部会資料の15ページにあります「大学等への進学について」を実体験を中心にお話しさせていただきます。
今日を迎えるまでに、自分なりに制度のことを様々勉強しました。そして、支援者であったり、生活保護を受けていた子たちにお話を聞きましたが、まだまだ不勉強なところもございます。発言の中で、制度に対する解釈や認識の違いがあった場合には、お手数をおかけしますが、訂正いただけますと幸いです。
私自身が施設退所後の進路を考え始めたのは、高校2年生のときが最初だったと記憶しています。
当時は、自費でなければ、高等教育の塾に通えなかったこともあり、センター試験を受けるほど進学に前向きではないけれども、何となく子ども関係の資格が取れる学校に行きたい。そう思い、高校の担任の先生から教えてもらった公募推薦で受験できる学校に進学することを決めました。
現在は、社会的養護において、補習費として1人当たり毎月1万5000円の塾代が使えるようになっていますし、大学が主催している無料の学習塾を利用している子もいて、進学の準備ができる環境が整いつつあると思います。
進学後の学費に関しては、2012年以降、東京都内の児童養護施設に配置された自立支援コーディネーターのアドバイスもあり、自分で奨学金を検索することなく、給付型奨学金を頂くことができました。
ただ、児童養護施設出身者対象の奨学金だけでは足りなかったので、日本学生支援機構の奨学金も併せて借りることになりました。
しかし、学費は奨学金で賄えても、生活費に関しては、自身で賄わなければいけません。そのため、施設退所後の基本的な生活は、午前中から午後5時まで短大、午後6時から11時までアルバイトというものになり、多いときでは、アルバイトを3つ掛け持ちして、平日も土日も深夜まで休みなく働かなくてはいけない状況となっていました。
ですが、そのように働いていても、しょせんはアルバイトですので、月10万円程度を稼ぐのが精いっぱい。当時、家賃など生活費に関する固定費が約9万円であったので、アルバイトもほとんど休むことができない、ぎりぎりの生活でした。
そんなぎりぎりの生活をしていた施設出身者の私が困窮していても、生活保護などに最後まで頼らず、就学できた理由は、私自身が健常者であり、アルバイトに長時間従事できたことが大きいと考えています。
資料1にありますように、社会的養護経験者というカテゴリーで見てみると、入所者のうち48.1%は何らかの障害を持っており、長時間働いたりすることが難しい子も多くいます。
実際、私の周りにも、在学中に精神疾患があると発覚し、休学、結果的に中退した後輩もいました。
以上のことからも、私は社会的養護と生活保護を初めとしたセーフティーネットは、切っても切り離せない関係にあると思います。
また、下になりますが、ある研究によると、社会的養護経験者の生活保護の受給率は、同年代と比較して、18~19倍高いと言われています。
理由としては、先ほど述べたとおり、何かしらの障害を抱えている場合が多いこと。
また、進学できたとしても、1年3か月以内に中退した子が14.8%となっており、一般的な中退率が2.7%とされている中で非常に高くなっています。
そして、離職に関しても、最初に就いた仕事を離職する確率が一般家庭出身よりも多いことなどが、社会的養護経験者がセーフティーネットにつながる可能性が高くなる原因ではないかと考えています。
少し話がずれましたが、私の話に戻したいと思います。
アルバイトでぎりぎりの生活をしている私の周りにいるほとんどの友達は、一般家庭の出身の子たちで、親御さんから仕送りをもらい、アルバイト代のほとんどを遊びに使っている子ばかりでした。
そのような状況から、何で私だけ生活費のためだけに働かなくてはいけないのだと思うようになり、だんだんと友達と自分は違うのだという疎外感を覚え、最終的には、その差に精神が耐えられなくなりました。すると、学校への居心地は悪くなり、学校は自分の居場所ではなくなってしまいました。しまいには、学校に行かなくても、アルバイトをしていけば生きていけるという思考になり、学校をサボるようになりました。
このとき、何よりもつらかったのは、この悶々とした気持ちを誰にも相談することができなかったことです。
そして、サボり続けた結果、単位が足らず、留年が確定。このとき、自分の中では、もう学校を辞めて、バイトだけして生きていこうと思っていたのですが、姉と父の言葉が私を踏みとどまらせてくれました。今、ここで学校を辞めたら、高校3年生のときに進路を決めた自分と寄り添ってくれた施設職員の気持ちを裏切ることになる。これを聞いたとき、高校3年生の私が決めたことを、今、裏切ったら、自分の味方は誰もいなくなると直感的に思いました。
また、学校の先生も、入学段階から、私が児童養護施設出身者であることを認識してくれていたので、寝ていてもいいから、取りあえず授業に出なさいと声をかけてくれました。
さらに、留年が決まったとき、私の現状を知ってくれた自立支援コーディネーターの先生から連絡が来て、世田谷区で施設出身者対象の支援制度が始まるから、受けてみないと言われました。
この制度については、カラーの資料を御覧ください。
私自身が受けた支援は、中でも「住宅支援」ですが、奨学金または住宅支援を受けている子は、原則、毎月1回開催されている居場所事業に来ないといけないというルールになっていました。
正直、最初は嫌々行っていたのですが、この場所を通して、自分と同じように、バイトをしながら苦労して学生生活を送っている人がいることや、そこに来ている区役所の職員や企業の経営者との会話の中で、一般的に安定している、成功していると言われている人でも、それぞれ大変なことがあって、それでも頑張って生きていることを知ることができ、学校生活で感じた疎外感はなくなり、自分が社会の一員であることに気づくことができました。
そのとき、友達は卒業して、自分だけ留年している状態でしたが、自分のペースで卒業しようと思えるようになりました。そして、この制度を使いながら、並行してコーチングも受けることにしました。
支援事業につながったと同時に、進路について、自分のやりたいことや、気持ちに寄り添ってくれるコーチとの出会いもあって、まずは学校を卒業して、それから好きなことをやってみようという方向になりました。このコーチングは、福祉というよりは、ビジネスやスポーツで用いられる手法ですが、こうした将来の選択肢に寄り添ってくれる大人の存在が、留年中だった20歳の私を踏ん張らせてくれたと思います。
まとめになりますが、様々な事情から親元を頼れず、生活している子たちの中には、私と同じように、自分と友達との差に耐えられなくて、中退してしまう子もいます。そういった子たちのためにも、進路を決める段階の伴走者や、進路を決定し、巣立っていった後の伴走者がいたらいいのかなと思っています。
あるとき、施設職員がぽろっと言ったことがあるのですが、施設職員は、あくまでも養育のプロフェッショナルであり、進路選択といったライフ講師的な能力は兼ね備えていないと嘆いていました。
最後に、社会的養護との連携という観点でいうと、令和6年4月施行予定の改正児童福祉法に組み込まれる社会的養護自立支援拠点事業を踏まえて議論していくのがよいのかなと個人的に思っています。
この場では、一個人の経験談が中心になりましたが、知識や経験の上で、皆さんの御質問にお答えできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
私の話は以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、西岡参考人、橋長参考人、政田参考人、濵政参考人から御発表をお願いいたします。
○西岡参考人 西岡と申します。
資料は4つ出しております。
内容は、就労準備支援を利用した支援で、特に企業、働く場との関係に注目し、2人の方からお話を聞いていただいて、最後に簡単にまとめて終わりたいと思います。
1人目ですが、橋長裕哉さんです。よろしいでしょうか。
○橋長参考人 はい。
○西岡参考人 そうしましたら、幾つかインタビューをさせていただきます。
資料は、橋長さんと豊中市でまとめていただいていますので、参照してください。
橋長さん、大丈夫ですか。緊張していませんか。1回、深呼吸しましょうか。
○橋長参考人 はい。大丈夫です。
○西岡参考人 まず、今のお仕事を簡単に御紹介ください。
○橋長参考人 電気計器株式会社で組立てという作業をしていまして、主に巻線に曲げられたコイルを図面を見ながら組立てしています。
○西岡参考人 この仕事は、今、何年でしょうか。
○橋長参考人 この9月で1年になります。
○西岡参考人 次に、今回、豊中市役所のサポートを利用されて、就労されたと聞いていますが、役所のサポートですごく役に立った印象に残っているサポートについて教えてください。
○橋長参考人 やはり私一人で考えるより、様々な意見が聞けて、すごく視野が広がり、すごく助かりました。
職業体験に関しても、いろいろと提案してもらったり、職業体験に行くに当たり、アドバイスしてもらって背中を押してもらったりしてすごく助かったと思っています。
○西岡参考人 今まで仕事の体験のようなことはされたことはありましたか。
○橋長参考人 一回もしたことがなかったので、緊張とかもあって、どこに行ったらいいかというのも分からなかったので、体験する仕事や会社についても相談できて、助かりました。
○西岡参考人 体験に先立って、いきなり体験に行ったというよりも、事前に何かお話を聞いたり、あるいは見学にも行かれたのでしょうか。
○橋長参考人 一度資料を見せてもらって、相談員の方からお話を聞きました。もう一回見学をさせてもらって、見学が終わった後で、体験をしてみるという話になりました。
○西岡参考人 今までもいろいろな形で求職活動をされていると思うのですが、多分、ハローワークなども利用されて、求人検索などもされてきたと思います。役所のサポートで最も違ったことはありますか。
○橋長参考人 仕事一つ一つに対して、ハローワークだったらすごく求人の数が多く、紙でしか見ることができなくて、どういう感じの仕事なのだろうと思ったりしていたのですが、役所で相談員の方と1対1で話して、ここはこういう仕事で、こういう働き方をしているよと教えてもらったりしたのが違うなと思いました。
○西岡参考人 最後ですが、こういうサポートを利用されて会社で働いて、もう1年になるわけですが、振り返って、こんなサポートもあったらもっとよかったなと気づくこと、今後こんなサポートがあったらなと思うことを、こんな機会ですから、何でもおっしゃってみてください。
○橋長参考人 そうですね。僕自身は、相談員の方もすごく親身になって対応していただいて、話を聞いてもらったり、話を聞けたりしたので、特に何があったらいいかというのは思い浮かばないのですが、すごく満足しています。
ありがとうございました。
○西岡参考人 短い時間でしたが、ありがとうございました。では、またお仕事に復帰してください。

○橋長参考人 ありがとうございました。
○西岡参考人 それでは、続いて、2人目ですが、橋長さんが働いています電気計器株式会社の政田部長にお話しいただこうと思います。
豊中市の無料職業紹介所を窓口にして、市の就労支援と連携した形で採用活動をされてきています。企業の目線から、役所との連携について、4分ほどしかありませんが、政田部長、よろしくお願いします。
○政田参考人 今御紹介いただきました、電気計器株式会社の政田と申します。どうぞよろしくお願いします。
私どもが豊中市の無料職業紹介所を活用するきっかけとなりましたのが、今から4年ほど前になります。
当時、ハローワークにかなり求人も出していたのですが、売手市場で、応募すらない状況が続いておりました。
そういう中で、無料職業紹介所のメールマガジンを登録しておりましたら、資料にあるイベント「仕事と出合おうwithとよなか」がありました。そこに応募してみようとしたのがきっかけでございます。
実際、いろいろと無料職業紹介所の方にアドバイスをいただきながら見学会を開催しましたところ、見学に約10名、作業体験、いわゆるミニインターンシップに5名参加してもらいました。
6名が面接を希望されまして、そのうち2人を採用しました。無料職業紹介所を利用し始めたきっかけでございます。
その後も、イベントとは別に、私どもの技能系の社員とか事務系、あるいは清掃のパートに至るまで相談したところ、基本的には、先ほど橋長君が言いましたように、工場見学、企業の作業体験に希望者を案内してもらって、その後面接という流れになっております。一旦、見学から体験してもらって、うちの会社で働きたいという方が面接に来られますので、面接も無駄がない。なおかつ、働く意欲に満ちた方を紹介してもらえるという状況です。
採用者は、それぞれいろいろな事情を抱えておられます。就労意欲はあるが、コミュニケーションが苦手であったり、自分に合う仕事があるか不安であったり、学卒時に就職氷河期で就職できなくて、アルバイト経験しかないとか、ひきこもりが長いこと続いていて、仕事ができるかどうか不安であるとか、そういう方が主に来られています。
ただ、そういう方も、非常に就労意欲が高い方が多くて、実際、うちの仕事になじんでこられると、いろいろと自信に満ちた、顔つきが変わってきます。あるいは積極的にコミュニケーションも取れるようになってきます。そうすると、うちの社員も、そういう採用者の勤勉さに引かれて、自分たちも一生懸命に指導しないといけないとか、もう一度自分たちの仕事を見返して、こういうところを改めていこうとか、社内の活性化にもつながっているように思います。
現状、60数名の会社なのですが、そのうち約10%が無料職業紹介所から採用している状況です。
最後になりますが、人材確保が難しい時期です。我々に合う応募者が見つけにくい中で、豊中市とこういうタイアップができていることが、我々にとっては非常にメリットが出ているなと感じている次第です。
簡単ですが、以上でございます。
○西岡参考人 政田部長、ありがとうございました。
政田部長からは、先ほど6名の方を採用されたということですが、参考資料にはもう一人のケースも載っております。
電気計器株式会社での体験内容を紹介する案内シートが参考資料としてつけられています。これは主に相談支援員が、相談窓口で相談者に的確に説明できるよう作られた仕事情報になっております。
最後に、時間も超過していますが、1分ぐらいで終わります。
就労準備支援事業を使った支援とはどういうことなのか、4点だけ申し上げます。
注目してほしい1つは、体験という仕事情報です。
求人情報という仕事情報を媒介にして就労の相談支援が普通のように思われていますが、実は条件が書かれた求人情報では就労支援はできません。就労支援では仕事の内容や働き方、職場環境の情報が欠かせません。
体験等を意識した仕事情報の必要性ですが、今回の2人からの話でも分かったのではないかと思います。体験に対応した仕事情報づくりは、自立相談支援機関や市あるいは支援団体と企業との共同作業でつくられます。こうした仕事情報は皆さんの周りに転がってはいないということです。つくらないと存在しない、つくらないと利用できないということです。
もう一つ、新たな支援層が注目されています。従来働いていて相談にはつながっていなかった層に、給付や貸付に併せて就労の相談、就労支援を案内しても断るケースが多かったと言います。なぜかと言うと、就労支援と言われて思い起こすのは、求人情報をベースにした求職支援の苦い思い出なのです。求人情報はすごく不確実性が高い、リスキーである、内容がよく分からない、選べない仕事情報です。
求人情報をベースにしたマッチング、就労支援は、相談者も、採用側の企業側もすごく不確かな中で活動していることを御理解ください。
最後に、体験に対応した仕事情報が作られたときに、では、どう利用するのかというと、実は、就労支援で最も大事なのは相談支援、第一線の窓口の相談支援員です。
4つ目の改善点は、生活困窮でいう相談支援員と就労支援・就労準備支援事業者の役割、生活保護でいうケースワーカーと就労支援員の関係、体制については、改めてその役割は考え直さないと、支援に欠かせない新たな仕事情報をつくることと、活用する相談支援が進まないのではないかと思います。
ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
最後に、行岡参考人と家計相談支援事業の利用者の方からの御発表をいただきます。
利用者の方からは、ビデオレター形式による御発表とお伺いしております。
利用者の方のプロフィールについては、事前に配付した資料を御確認ください。
それでは、お願いいたします。
○行岡参考人 3人の相談者に家計改善支援を利用しての御意見をお聞きして、ビデオレターとしてお届けしております。
1番目の方は、50歳代で、心の病で失職して、生活保護受給をしながら就労を目指していらっしゃる方です。この方は、収録場所の関係で雑音が入って、聞きにくいかもしれません。
2番目の方は、80歳代の女性で、借金滞納があって、不安定収入ということで生活ができなくなって、一時期生活保護を受給されていましたが、現在は自立されている高齢者の方です。
3番目の方は、40歳代男性で、コロナ禍の中で収入が減少して、奥様は無職なのですが、2人世帯で生活ができないということで御相談にお見えになって、現在は、七波の影響もあまりなくて、順調に滞納も解消中という方です。
今から御覧いただけたらと思います。
間間で相談員が質問等をしております。
よろしくお願いします。
(ビデオレター放映)
○菊池部会長 行岡参考人、以上でよろしいでしょうか。
○行岡参考人 はい。ありがとうございます。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
以上、5組の方から大変充実したお話をいただくことができました。
どうもありがとうございました。
ここから質疑、意見交換の時間となりますが、その前に、少し休憩を取らせていただきます。
10分程度取りたいと思います。14時35分再開とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
(休 憩)
○菊池部会長 時間が参りましたので、これより参考人の皆様への質疑応答、意見交換の時間を設けさせていただきます。
いつものとおりですが、最初に、委員の皆様から御意見、御質問について御発言いただいた後、発表者の皆様からまとめて御回答いただきます。
複数の委員から質問が出てくることもあるかと思います。
ただ、時間の都合上、その都度お答えいただくのではなく、最後にまとめてお答えいただくことになりまして、ちょっと大変かと思いますが、御回答いただく際、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、就労準備支援事業及び家計改善支援事業の利用者の方への御質問に対する回答につきましては、それぞれ西岡参考人、行岡参考人より可能な範囲でお答えいただきますので、その旨、御了承ください。
御意見、御質問につきましては、お一人様2分以内を目安に、簡潔に御発言いただきますようお願いいたします。2分経過したタイミングでベルを鳴らせていただきます。
それでは、まず、対面で御参加の委員から何かございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、渡辺委員からお願いします。
○渡辺委員 参考人の皆さん、非常に貴重な事例を発表していただいて、本当にありがとうございました。大変勉強になりました。
質問というよりは、幾つか意見ということになりますが、まず、大西委員のおっしゃった生活保護の手前の「生活不安層」を含め、私たちがやっている困窮子育て家庭も、働いていらっしゃるのに、生活が十分に賄える、子どもに教育を与えられるような収入に満たない方がたくさんいる中で、この貧困の問題をどうするのか、ワーキングプアの問題をどうするのかということにどこかが取り組むことはすごく重要だと思っております。ぜひそういう場ができればと思っております。
また、鵜飼参考人、田中参考人の大学進学とか虐待のお話は、本当にどうにかしなければいけないと思っております。
大学進学における生活保護のことについては、この委員会でも随分とお話ししてきましたが、虐待で出さないという親御さんもいらっしゃいますが、私たちが支援をさせていただいているような、出してあげたいのだけれども、どうやっても出ない、今も、お子さんからは、大学受験をしたいのだけれども、受験の費用も、交通費もないと言われて、どうしようか困っている、虐待親ではなくても出せない御家庭がたくさんある中で、どこまでを範疇にするのかというのは非常に難しいと思っています。
これも委員会の中で出ましたが、要は、一つの大きな問題としては、学費の負担軽減ということで、教育無償化みたいなことが言われておりますが、誰が、どういう状況の子どもかというのではなくて、全ての子どもが必要な教育を受けられるように、教育の無償化を進めていただければと思っております。
もう一つは、住居の支援ということで、生活に係るものを全部見ようと思うと大変なのですが、特に若い方がおうちを出て、家を持つことがすごく大変なのです。
要は、居住支援とか住居の支援については委員会ですごくやりましたが、こういったことをもっと言って、若くて、大学に行きたい子でお金がない子が、低廉な家賃の住居がしっかりと確保されるとか、そのような仕組みにしていくと、住宅手当みたいなお話もありましたが、これが整うことで、家の家賃がなくなれば、大分進学のハードルは下がると思うので、そういったことはぜひ真剣に議論を進めていただければと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに会場からは。よろしいですか。
それでは、差し当たりオンラインのほうに移らせていただきますが、勝部委員が途中退席と伺っておりますが、勝部委員、いらっしゃいますでしょうか。よろしければ、お先にどうぞ。
○勝部委員 ありがとうございます。
私は、幾つか質問があります。
大西さんと田中れいかさんのお話を聞く中で、先ほどとダブりますが「生活不安層」ということや、田中さんも、月10万円で3つアルバイトを掛け持ちして、9万円の家賃というお話だったのですが、都道府県や自治体で、家賃も著しく違うというところで、どこに居住するかによって、とても生活が大変だったと思うのですが、大西さん、田中さんからそれぞれ家賃手当とか、例えば無償に近い形で住める寮みたいなもの、何らかの応援があることなどがあったらどうかみたいなところをお聞かせいただきたいというのが1点。
それから、家計の問題で、家計支援で非常に成果が上がっていることも、改めてビデオで生の声を聞かせていただいたのですが、こちらも、もちろん、ある程度のお金はお持ちの方で、うまく家計が回せないという方もおられると思うのですが、かなり厳しいお金の中で対応していかないといけないような実態もあるというところでいいますと、これは意見ですが「生活不安層」の中で何らかの手当をやるとか、補助みたいなものがないと、少ないお金の中だけで頑張れというのも限界があるのかなと思うのですが、その辺りは行岡さんの御意見も聞かせていただきたいと思います。
3点目です。
それぞれの方に、例えば高齢者であればケアマネジャーとか、学校の時代であれば担任の先生とかということで、ある程度相談に乗ってもらいやすい、伴走してくれるような人がいるということなのですが、切れ目のところでコーチングというお話もありましたが、どんな人だったら相談に乗ってもらいやすいのか、窓口ごとにいっぱい相談員をつくっていくのがいいのか、どんなイメージだったらいいのか、何か希望されることがあったら、ぜひ大胆にお話しいただけたらと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
最後の御質問は、田中さんに対してでしょうか。
○勝部委員 田中さんもそうです。
大西さんにも聞きます。
○菊池部会長 分かりました。
最後の御質問は、大西参考人を中心にということです。
ありがとうございます。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。
皆様、本当に貴重なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。
私からは、大西さんと行岡さんに質問させてください。
まず、大西さんにですが、生活保護を入りやすい制度へ移行することが必要だとされていまして、その制度改正のアプローチの一つに、大学等への世帯内就学の実現を御提言されております。
これについて、鵜飼さん、田中さんからも、障害等の理由でアルバイトができない方が多くて、大学を中退せざるを得ない実情を教えていただきました。
また、このような親元を頼れない大学生に対する生活保護の必要性について御提言されましたが、大西さんが御指摘されている世帯内就学だけではなくて、親元に頼れず、困窮する大学生への生活保護についてもお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
2点目は、行岡さんに御質問ですが、先ほど御相談者の方が、支援メニューの希望として、金銭面で支援が欲しいとお話しされておられましたが、行岡さんが、相談支援の現場で必要なこうした金銭的な支援について、具体的にイメージされていることがありましたら、教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに委員の皆様からいかがでしょうか。
朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
参考人の皆さん、様々な観点から意見を聞かせていただきました。本当にありがとうございます。
何点か伺いたいと思います。
まず、大西さんに、生活保護について入りやすい制度という中で、外国人の方々について取り上げていらっしゃいました。
現実に、コロナ禍で生活困窮の窓口にも、住居確保給付金、貸付けを含め、就労ビザを持った外国人の方々に大変多く相談対応してまいりまして、中には、現実に本当にどうにもならない事案もあって、そのことが現場の相談員としても非常に負担に感じていた点もあります。外国人の方々と生活保護の関係について、もう少し突っ込んで御意見をいただければと思います。
それから、鵜飼さんにお伺いしたいと思います。
今日は、大学生の事柄について絞って御意見をいただいたところですが、現実に、私どもの相談窓口でも、20代の相談も大変多く受けております。親御さんから距離を取りたい、虐待に近い状態で、児童福祉にもかかわらず、関与がないまま大人になった人たちの相談を多く受けております。現場の生活困窮の相談との連携で課題に感じていることなどがあれば、教えていただければと思います。
それから、田中さんには、居場所のことについて教えていただければと思います。
最初に、フェアスタートの基金で、それに付随した形での居場所は、必ず顔を出すようにというところから始まって、負担感もあったというお話ですが、現実に、そこでの出会いが様々なその後の転機をもたらしたのかなと思っております。
若い世代とどのように出会っていくかというところが、私たち相談支援の現場ですごく悩んでいるところですので、御意見があれば、いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
皆様、先ほどは大変ありがとうございました。いろいろと貴重なお話をお聞きすることができて、感謝しております。
私からは、質問が1点だけです。
鵜飼参考人にお伺いしたいのですが、資料の13番目のスライドの中の「2020年度LINE相談」で、相談内容別件数のパーセンテージが最も高かったのが「メンタル」についてということですが、対応として、どういうことが求められるかについてお伺いできればと思っております。
よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、会場からお願いします。
○奥田委員 さっきはなかったのですが、ごめんなさい。
参考人の皆さん、ありがとうございました。いろいろなことを学ぶことができました。
鵜飼さん、大西さん、田中さんにお伺いしたいのですが、私は、全国の基礎自治体に全ての相談窓口を置いているということで、すごい体制を取っているのです。
ただ、思うのは、つながっていないのではないかと。
今日、特にお話ししてくださった鵜飼さん、大西さん、田中さんの、例えば若者たちとかは、そもそも知らないのではないかと、この生活困窮ができた頃からよく言われていたのは、山の上のそば屋だと。どれだけおいしいそば屋でも、山の上にそのそば屋があることを知らなかったら誰も行かない。そういうもったいない状態がここ数年、ずっと続いているのではないかと。特に若者に手が届いていない。
あるいは、例えば大西さんのところに並んでおられる500何十人の皆さんは、こういう生活困窮の窓口が、必須事業として、自治体全てに置かれているという事実をどこまで御存じなのかなと。特にSNSとかその辺りに関しては、全然追いついていないと思うのです。
実は今、生困のほうで、住まいの困り事相談は、うちの団体で電話とSNSの相談を受け付けているのですが、一応、住まいというくくりでやっているので、本当は、何でも来いの相談というか、つなぎ窓口にして、あなたの近所にはどこどこにありますよと、断らない相談とうたっているところがありますよと御紹介するのが一番いいかと思うのですが、生活困窮者自立支援制度あるいは自立相談窓口の存在は、当事者、特に若者たちや、最近の新たな困窮層は分かっているのかというあたりはどうしたらいいのか、率直に意見いただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインに戻ります。
いかがでしょうか。
五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
参考人の皆様、本当に心打たれるお話をたくさんいただいて、ありがとうございました。大変勉強になりました。
私からは、大西さんに1つ御質問なのですが、様々な提言、提案をしていただいて、どれももっともだと思ったのですが、その中で、生活保護を入りやすい制度にするというところで、オンライン申請を実装すべきだというお話が出ていました。
御報告いただいたとおり、システム標準化の議論もされているのですが、実は、この委員会でもそうですが、職員の事務量削減の話はあるのですが、それは当然すべきだと思いますが、利用者、市民の使いやすさ、ユーザー・インターフェースの話がすっぽり抜け落ちているなと思っているところです。
オンラインでも申請できるようにすることが、その中の一つの手段なのかなと思うのですが、一方で、私がよく聞く疑問としては、特に要保護層の方、生活困窮の方ですと、PCやスマホを持っていないのではないか、持っていても使えないのではないかという声をよく聞くのですが、それに対してどのように思っていらっしゃるか、どれほどオンライン申請にすると効果があるのか、また、使えないとしたら、どのようにすればいいというふうに何かお考えがあれば、その点、お聞かせいただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
ございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、多くの御質問をいただいています。
チェックするのも大変だったかと思いますが、それでは、まとめて御回答をお願いできればと思います。
まず、大西参考人からお願いできますでしょうか。
○大西参考人 たくさん御質問いただいて、ありがとうございます。
一応、メモしながら聞いていたのですが、抜けていたらごめんなさいというところで、後で補足していただければと思います。
まず、渡辺さんと勝部さんからいただいた、多分、住宅手当等についての話だと思うのですが、今、住居確保給付金は、離職だったり、収入の減少というところですが、例えば公営住宅の入居水準とかそういったもうちょっと所得階層が上の人たちも含めた形で、有期のものではなく、恒久的なものをつくるのが大事なのではないかと思っておりまして、渡辺さんから御指摘があったように、まさに子育て世帯とか奨学金援助等もそうかもしれないのですが、そこへの下支えは、子ども手当の拡充等と同じように、住宅手当は大事だろうかと思います。
ただ、これはかなり財源もかかるというところで、学生も使えるようにするならどうするのか、その辺りも含めた検討が必要かと思います。
勝部さんからの住宅手当についての話でいうと、家賃は地域によってかなり違うというのも間違いないです。東京の生活保護の住宅扶助基準が5万3700円。
ただ、一部の自治体が6万9800円までというところで、これが当然、全国では地域によっては3万円台とかというところがありますが、東京で最低賃金で働くと、大体18万ぐらいだと思いますが、税金や社会保険料とかが引かれて手取りだと14~15万になって、そうすると生活保護基準ぎりぎりです。そこから5万円の家賃を取られるのは、かなりしんどいだろうと思いますので、ここの底上げは、地域の事情にもよるとは思いますが、一定必要なのかなと思いまして、ここが例えば5万円なり、地域によっては3~4万かもしれないですが、住宅手当という形で事実上、所得の保障がなされると、かなり多くの世帯、そもそも生活保護を利用するかしないかのぎりぎりの境界にいるような人たちだったり、その手前の微妙な段階の所得水準の方が生活保護ではなくなるというところもあろうかと思いますし、そういった支援が必要なのかなと考えております。
勝部さんからの御質問で、どんな人が相談に乗ってもらうのがいいのかは、すごく難しいけれども、非常に面白い質問だなと思いましたが、率直に言うと、役所的ではないところがよいのかというと、身も蓋もない言い方なのですが、どうしても役所の窓口に行くのは、私は民間の支援現場におりますから、そういった場所が苦手だとか、そういった場所に行って、うまくいかなかったとか、スーツを着ている方に相談できないといった話をよく聞きますので、そうではないような、いろいろな形があり得るのかなと。
私のプレゼン資料の中にも入れたのですが、多分、結果的に、様々なその方が最初につながった窓口が対応していけるような形になるのが実際にはいいのだろうかと思います。それは、必ずしも生活困窮に限らなくても、子ども食堂もいいかもしれませんし、地域の社会福祉法人の居場所がいいかもしれませんが、どこにつながっても、結果的に支援につながれるような、まさに連携の話とか、枠組みの話とはそういうところかと思いますが、それが重要なのだろうと思います。
ワンストップと言うと、何かそういう場所をつくって、そこに機能を移してということを考えがちですが、今ある様々な機能や機関、人、地域のキーパーソンの人たちが結果的にワンストップになれるようなネットワークだったり、つながりをつくっていくことが大事なのだろうと考えております。
生水さんからいただいた大学生の話で、うちの法人で毎年、厚労省に政策要望するというところで、今回、別添でかなり長大な要望書を資料に入れていただいているのです。
そこでも世帯内就学という言い方をしておりますが、特にコロナで、鵜飼さん、田中さんも含めてお話がありましたが、うちにも大学に進学して、一人暮らしをしている方からの生活困窮の相談は当然寄せられていて、早い話、夜間等の大学は、稼働能力を活用しながらというところであれば、現行の生活保護の枠組みのなかでも可能だということなのですが、昼間の大学というところと、たとえば、病気があったり、いろいろな事情でむしろ働くことができないとなったときのいわゆる就学の継続は、今の仕組みではかなり難しく、困難を来たす事例は実際に起きております。
当然、ここも含めて生活保護を適用できるようにと私たちは考えておりますが、これについては、別の方法で、例えば給付型の奨学金の拡充であったり、そういった給付の奨学金を即座に支給できるように、など、様々な議論があろうかと思いますので、きちんと丁寧に、また省庁をまたがるテーマでもありますので、当事者の方、支援者の方、研究者の方それぞれが納得できるような形で一つの道筋を出していただけるといいのかなと思います。もやいとしては、生活保護の範囲で世帯内就学ができるような形が望ましいのではないかと見解としては持っております。
それから、朝比奈さんから御質問いただきました、外国人の生活保護についてで、これに関しても、様々な御意見、御議論があろうかと思いますが、現在は、生活保護法の外で準用という扱いになっている入管法の別表2の在留資格の方たちに関しては、少なくとも生活保護法の中で対応することが望ましいのではないかと当団体では考えております。
他方で、別表2ではない、例えば労働者として来られた方とか、今の生活保護の準用の基準を満たしていない在留資格の方についてどうするのか。これはかなりいろいろと議論があろうかと思いますが、一定、何らか在留資格があるということであれば、在留資格がある期間中に関しては、生活保護なのか、その準用なのか、我々としても何か結論を出しているわけではないのですが、何らかの支援がないと厳しい状況というのはあるだろうと理解しております。
理想は、在留資格の有無にかかわらず、日本に来られて、また、日本でお住まいになって、生活に困っていらっしゃるなら、皆さん生活保護の中で適用できたほうがいいのではないかというところはあります。技術的な検討も含めてまだまだ議論が足りないところかなと思いますが、前向きに検討していく必要があります。
ただ、少なくとも、現状準用している範囲の方に関しては、生活保護法の中で対応できるようにする必要があるのではないかと、コロナの状況を見ていても、考えている次第でございます。
それから、奥田さんからお話があった、まさに山の上のそば屋の話は、おっしゃるとおりだと感じておりました。
特に若い方とか女性の方で、我々のところへ御相談に来られる方で、おっしゃるのは、結局、福祉事務所に行ったり、生困の窓口へ行かれたことがある方も中にはいらっしゃる。
ただ、結局、何もしてくれなかったとか、話を聞いてくれただけで、何かお金がもらえたわけではないとか、たらい回しに遭って、最初に行った窓口から違うところへ行きなさいと言われて、せっかく仕事を休んで行ったのに、一日潰れて、結局、よく分からなかったとか、根掘り葉掘りいろいろと生活状況とかを聞かれて、それがつらかったとか、女性の方で、例えば男性2人の相談員に聞かれて、それだけで息苦しかったとか、うまく言えないのですが、すでにつながっているけれども、つながれなかった、取りこぼしているケースは、実はすごくたくさんあるのではないかというところと、そもそも最初からそういった窓口を知らない、という方も残念ながらたくさんいる、というところがあります。
相談するときに、例えば、生困の窓口を民間のNPO等で受託していたとしても、それは、はたから見たら公的な窓口だと思いますので、結局、役所という選択肢がご本人のなかで最初に出てこなければ、つながってくれない、ということがあるわけです。そこへの信頼感がないと、例えばSNSで知り合った方が教えてくれた情報を信じてしまうとか、そこへの訴求能力は、まだまだ圧倒的に足りていない。それは広報も含めて、そこが足りていない部分なのかなと思います。
なので、せっかくまさに全国に仕組みがあるのに、使われていないところは、大きく改善が必要でしょうし、もっと当事者に近い立場での発信とかメッセージを出していくこと、それから、例えば我々は、毎週新宿の都庁下でやっているのですが、そこに、生困の窓口の人たちが来てくれてもいいのです。生困に限らず、都内の支援機関(公的窓口)の人が来てくれてもいいし、一緒に机を並べて相談をやってもいいのですが、実際には来ません。やはり、生困の窓口も、窓口の外に出ていって、姿が見えるようになる。そうすると、信頼関係が生まれていく。
例えばワクチンの接種に関しては、住まいがない方向けに、新宿区と協力して、いらっしゃっている500人の方にご案内のチラシお配りしたら、500人の中のどのぐらいが来たかというのはなかなか分からないのですが、その後、実際に新宿でワクチンを受けた方がいらっしゃるわけです。そういう実践の積み重ねが見えると、役所も何とかやってくれているのだなと、これは、支援団体間もそうですし、当事者の方に対しても同じだと思いますが、少しずつ信頼を積み重ねていく作業をぜひしていただけたらと思います。
たくさんしゃべって申し訳ないのですが、五石さんの御質問が最後かと思いますが、オンラインの話です。
私も、オンラインの問題は非常に重要だと思っております。
ただ、なかなか進んでいないところにもどかしさを感じているのですが、おっしゃったように、PC、スマホを持っていらっしゃらない方は当然いらっしゃいます。
私が申し上げているのは、何も全部オンラインに切り替えなさいということではなくて、当然、併用すればいいという話でございます。当然、持っていない方もいらっしゃいますが、他方で、若い方とか、特にこういったコロナの状況下で困窮した方も、一般的にはスマホ等を持っている方は一定いらっしゃるかとも思います。
そういった方へのつながりというところでいうと、こういったオンラインは、一つハードルを下げるのかなというところと、プラスして言うと、最終的には滞納とかをしてしまって、そういったスマホなどを手放してしまうことはあり得るのですが、困窮の初期の状態という言い方が適切かは分からないのですが、困り始めの頃は、当然、こういったものを所持している傾向が、特に働いていた方に関してはありますので、そのタイミングでつながれる可能性は、とても重要なキャッチアップするポイントになるのかなとも思っております。
当然、病気や障がいがあって利用できないとか、高齢の方でなかなか利用できないなど、いろいろとあろうかと思いますので、そこは通常の窓口での対応と両方併せてということになると思いますが、10年、20年、30年たったときに、多分、比重は徐々に変わっていく。
それから、例えば窓口での申請書の交付、もしくはそこでの記入に関しても、例えば職員の方と当事者の方(申請に来られた方)で、その場で例えばタブレットで入力するみたいなことをやってもいいわけです。いろいろな形でできることは、多分にあるのではないかと思っております。
抜けている質問があったら申し訳ないのですが、私からは、以上でお答えとさせていただきます。
ありがとうございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、鵜飼参考人からお願いします。
○鵜飼参考人 最初に、どんな人だったら相談に乗ってもらいやすいのかという質問につきましては、長期間伴走してくれる人の存在が大きいと感じているところです。
当団体ではシェルターを持っておりまして、その入居者には担当弁護士をつけております。
私自身も担当弁護士をしておりますが、担当する期間が1年、2年となり、人によっては、本当に毎日のようにLINEでやり取りをします。日々たわいもない会話をする中で、親からこう言われたことがきつかったといった深刻な悩みがだんだんと出てくるようになります。
また、本当に困る前に相談できるようになるのも、信頼関係を築けた後になります。
そういった若い女の子たちが、まず、自分の相談事はどの窓口に行くのがいいのかということを自分で調べて、その窓口に自分で行って、きちんと悩みを自分から相談してということは、不可能と言ってもいいのではないかと感じているところです。なので、長期間伴走する存在が必要になります。
また、中学、高校、大学と所属するところが変わっていく中で、最近は、学校によっては、スクールソーシャルワーカーなどもいて、そういった支援を受けられている子も多くいます。
ただ、その場合には、卒業してしまうと、支援が続けられないという問題があり、環境が変わっても続けられるような支援が必要だと感じます。
次に、20代の相談を受ける中での困難さ、課題についての御質問をいただきました。
20代の場合であっても、虐待を受けて育った方などは、自分で意思決定をすることがなかなか難しいという方も多くいらっしゃいます。
例えば、客観的に見れば、親と同居しているけれども、親の家を出たほうがいいだろうという状況であっても、実際に支援にはつながっていて、本人が決めさえすれば、その状況を改善することは可能であっても、本人がなかなかその意思決定をできない。そういった状況において、意思決定の支援をすることが必要になってくると感じています。親と共依存的であったりして、家を出たほうがいいと周りから言われても、なかなかすぐに判断できないといった事案を多く経験しています。
「LINE相談」の「メンタル」について、どのように対応しているのかといった御質問をいただきました。
メンタルの相談については、まずは気持ちを受け止めた上で、例えばなぜ死にたいと思っているのかということを聞いた上で、背景にある問題が、例えば虐待の場合には、必要に応じて弁護士の支援につなげたりもしています。
また、通院状況を確認したり、カウンセリング状況を確認したりしています。そういった事案では、通院等している事案も多いです。ただ、例えば1回10分程度の診察でお薬を処方されるだけではなかなか解決されない問題です。
相談できる人が身近にいない方も多くいらっしゃるので、リピーターのように「LINE相談」に何回もいらっしゃるという方も多くいらっしゃいます。
死にたいという言葉、あるいはリストカットしてしまったとか、ODが止まらないといった言葉を我々は日々受け止めていて、背景の問題を解決できるような事案であれば、もちろん我々が実際に支援したり、他の支援機関と連携したりということを行っています。
生活困窮者自立支援制度が当事者に伝わっているのかという御質問ですが、我々が関わっている限りは、伝わっていないと思います。私がサイトを見ても、我々のケースでどんなときに、どんな支援を受けられるのだろうと、私ですらその判断が難しいなと感じます。実際に女の子たちが、この制度は自分が使えるかなというところまでは難しく、恐らく、まずこのページに彼女たちはたどり着けないと思います。
だからこそ我々は、Twitterのような彼女たちが使うツールで、そして、支援者としていきなり関わると、支援者に対する拒絶感みたいなものを持っている子も多くいるので、当事者世代の女の子たちに、本当に日々のその子たちの感情みたいなものをツイートしてもらって、フォローして、フォローバックしてもらって、その中で「LINE相談」のことをさらっと説明してもらうとか、我々のほうからアウトリーチしていくことを心がけております。
御質問への回答は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、田中参考人、よろしいでしょうか。
○田中参考人 お二方のように、上手には回答できないと思うのですが、一つ一つお答えしたいと思います。
まず、住宅についてというところですが、家賃が9万円ではなく、生活費をひっくるめて9万円という生計状況でした。当時は、学校と提携している不動産屋で家を借りましたので、家賃は4万円で、東京からちょっと離れていたので、安くて、それでもぎりぎりでしたというお話でした。
住居の重要性については、板橋区でふるさと納税を活用した、児童養護施設から進学する子たちの支援事業をやっておりまして、そこでは、進学した子のおうちの家賃をたしか3万円ぐらい補助していて、学業に専念するためには、生活が安定することが必要だという板橋区の思いとかがあって、そういう取組があったので、学費だけではなく、住まいは非常に大事だと思っています。
住まいという点でいうと、社会的養護の施設の中には、2種類だけ本人が利用料を負担して暮らす形態の施設があります。
若者世代でいうと、義務教育が終了した15~20歳、最大で22歳までの子が暮らせる自立援助ホームという施設があるのですが、ここは利用料、家賃とか御飯代がついて、平均して大体月3万円のおうちがあります。そこで暮らしている子の中には、生活保護を受けながら自立援助ホームに暮らしているという事例もあると言っていたので、こういった連携もいいのかなと個人的に思っています。
相談員についてですが、私自身は、当事者という側面がありますので、ピアサポーターがいたらいいな、話しやすいなと思っています。
お二方からもありましたが、自分の過去のことであったり、状況を何回も言うことになってしまうことにすごく憤りを覚えている当事者の子は、そこでまた同じことを言うのかと言って、自分から支援の窓口に行くことをシャットアウトしてしまう子も少なからずいましたので、大西さんが発言していましたが、できるだけ同じことを言わなくて済むような連携ができたらいいなと、当事者としては思っています。
また、鵜飼さんがおっしゃっていた担当制も、当事者にとってはすごくうれしいところだと思いました。
居場所についてですが、私自身は、施設を出た後、様々なNPOがやっている居場所活動の見学とか、実際に利用させてもらったことがありますが、大きく分けると2つ種類があるのかなと個人的に思っています。
1つ目は、ピアの交流を求める居場所で、ほかの施設で育った子とか、ほかの社会的養護の下で育った子との交流を求めに行っている居場所と、もう一つは、つながり直す居場所で、施設が独自に行っているホームカミングデーみたいなものがあるのですが、そういったところに来て、過去の自分を振り返ったり、過去の仲間とつながって、あしたも頑張ろうと思える2種類の居場所があると思っています。
私自身が取り組んでいる活動は後者で、毎月1回施設に帰ってこられる機会をつくろうというところで、そういった居場所、居場所と言いたくはないのですが、そういう活動をしています。
そういった場所がなぜ必要なのかというと、つながり直すことの大切さを私自身は実感しているからです。
また、その場の雰囲気は、よくある居場所活動、お昼御飯を食べて、その後、おやつを食べて、ばいばいというだけのものなのですが、相談しにきてくださいねとか、居場所ですよではなく、また来月おいでよみたいな、そういう軽い感じの場所をデザインすることで、会話の中で、お子さんを連れてきて、今、御飯がどうたらこうたらとか、これから仕事をしようと思っているのだけれどもという小さな相談がぽろっと出てくることがあるので、そういう居場所をする側のデザインも非常に大切なのかなと思って、私自身はこの活動をしています。
奥田委員のおっしゃっていた若者の制度への理解というところですが、全く知らなかったです。こんなものがあったのだ、日本はすごいと思ったぐらいのテンションでした。
私自身も、今日を迎えるまでに、様々検索させていただきましたが、行政の文章を読み取るのが非常に難しいです。私自身は割かし慣れているほうだと思っているのですが、それでも非常に難しかったので、今困っている、今すぐという心境になったときに、この画面を見て、申請しよう、どこかへ行こうと思うかと言われると、多分、ぱたっとスマホを閉じてしまうのではないかと個人的には思いました。
実際に生活保護を受けていた、今22歳の女の子のお話を聞きましたが、窓口に行くことに関して、自分一人では絶対に無理だったという発言がありました。なので、制度とか窓口につなげるまでのコーディネーターという文言もありましたが、そういう人がいることが大事だなと、その子の話を聞いて思いました。
また、医療現場で生活保護につなげていた支援者の方からお話を聞いたときは、当事者自身のお話もありましたが、本人の意思決定であったり、生活保護を受けることに対する劣等感とかがすごくあって、その支援者自身も、その方を窓口に連れていくまでにすごく時間がかかるとおっしゃっていましたので、そこをどうしていくかというのは大切なところだなと思いましたし、そこで諦めてしまう気持ちも分からなくないと個人的に思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
西岡参考人、特定の御質問はなかったかとは思うのですが、一連の質疑をお聞きになっていて、関連して、何か追加で、あるいは補足で御発言があれば、ここでいただきたいと思いますが、西岡参考人。
○西岡参考人 ありがとうございます。
相談の体制、家計改善支援、現金給付に係る相談等に関する相談窓口の充実は絶対に必要だと思います。
同時に、日本の場合、就労支援、働くという部分に対する相談支援、基本的な情報や仕組みが、実はすごく貧弱です。今回は、仕事情報に注目して求人情報そのままでは役に立たないことを発言させていただきました。要するに、第一線の相談員の皆さんが仕事に関してどう案内できるか、実はあまり情報も、ノウハウもないということです。
多分、ハローワークへ行きましょう、求人を見ましょう、就労支援員さん、連れていってあげてぐらいのレベルなので、先ほどワーキングプアが議論になっていましたが、そういうニーズを受け止める。すなわち、少し仕事内容を改善していきたい、スキルアップしたいというニーズに応えられない
もう一つ、私の発言で抜けているとしたならば、訓練でしょう。これだけ仕事内容が変わっていく状況で、先ほども参考人のケースを御紹介しましたが、次のキャリアステップを準備するには、訓練をどう絡ませるかという支援内容の向上が欠かせないと思います。
そこまで視野に入れた就労支援をそろそろ議論しないと、取りあえず相談につながった、ハローワークに行った、取りあえず非正規だけれども就いた。それで就労1件という形で終わっているようではQOLの向上も生産性の改善も進まないし、そんなところに相談に行かないのではないかが私からの提起でした。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、行岡参考人、お願いできますでしょうか。
○行岡参考人 御質問どうもありがとうございます。
勝部さんから、厳しい家計で、少ないお金で、どのように対応すべきだろうかと御質問いただいたと思います。
事例で御紹介すると、先ほどの80歳の高齢の女性の場合、年金担保が入っていて、残っている年金が少なくて、それで高齢にもかかわらず、一生懸命に働いて、それでも11万ぐらい。言わば生活保護と、その水準でボーダーぎりぎりという状態なのです。
そういう状態なので、収入的にも、体力的にもとてもダメージが大きくて、かつ、お金の関係で病院にも行けないとなっているのがあるので、このように本当にぎりぎりで生活されている場合、この支援の場合は、税金の滞納とか、介護保険料の滞納とか未納もあったのですが、役所の窓口で、滞納について、こんな状況なので、しばらくは払えないということをちゃんと説明して、その上で生活保護、医療扶助を受けたいという形で、保護基準ぎりぎりだったので、医療扶助を相談という形で生活保護に同行して、受け入れていただいた。これはとても大きな契機になっていて、それでもつらかったと御本人は言われているのですが、入りやすくて出やすい生活保護はとても大事で、キーワードだなと私は思っております。
そういう意味で、特にこの国の方は、生活保護ぎりぎりの方が病気をしたらどうするのだとか、そのようなことなども日々心配されているところがあるので、そういうところで対応できないかなと思ったりしています。
それと併せて、80代の方がなぜ年金担保までつくってしまったかというと、一生懸命にずっと働いてきているのです。でも、職場しか自分の生活がなかったのです。
これは男性のほうが多い事例だと思うのですが、それで御家族もないとなった場合に、本当に居場所も、付き合う関係も、社会的なつながりもないみたいな感じになって、気がついたら借金が雪だるま式に増えていたみたいな感じになっていて、高齢の場合、その人が活躍できるような居場所は、現在は働く場所が居場所になっている様子なのですが、そういうものが必要かなと思ったりもしております。
それから、生水さんからいただいた御質問ですが、金銭面での支援ということで、これも事例の40代の方の場合、かなり田舎のほうだったので、タクシーの売上げが全く上がらず、お給料が半減以下になって、そういうときに、総合支援資金というか、特例貸付けはとても助かったと言われていました。
かつ、私たちは、総合支援資金の延長貸付けとか再貸付けは、全部家計改善支援が入っているのです。
かなりのボリュームの家計改善をしたのですが、社協が家計表をつけて、相談につないでいくみたいな感じにして、その中で借金であったり、滞納であったり、ほかにも解決しないといけないものが全部見えてきた。
奥様は、体が弱いという理由もあって、ずっと働いていらっしゃらなかったのですが、私も嫁だと一生懸命に言われていました。無理をする必要はないと思うのですが、甘えてはいけない、自分にできることをしようという形で、就労で働きやすい職場を見つけて就労されたことも、とても大きな流れになっているし、食べ物等も、節約できるものはするみたいにされている。
そういう意味では、今、コロナ禍でなくても、ちょうど収入がなくなるみたいなこともあったりしますから、生活物資なども、将来につながるような形で家計改善の支援みたいなことも入って、貸付けをやっていっているみたいになると、みんなそこで頑張っていけるかなと思います。
もう一つ、本当に小口の、私たちが1万円の範囲内で即決でやる貸付けは、コロナになる前は、請求しなくても7割は返済してもらっていたのです。
これは、1番目の事例の方で、50歳代で、今はまだ生活保護を受けながら就労を一生懸命に頑張っている方が出てこられましたが、次の収入まで、お財布の中に300円しか入っていなかった。
いろいろな事情があるが、病気もあって、お金のコントロールもできないし、どんどん借金が大きくなっていくというか、そういう中で、財布の中に300円しかないという方にほんの少額でも出せると、この1週間をしのぐとか、2週間これで頑張ろうとか、食料も含めてという形で出せると、本人はそこでほっと一息つけるし、もうちょっと頑張ろうという気持ちになれるしという大きい形で戻ってくるので、私は、相談支援員にとっても、相談に来られた人にとっても、小口の貸付けは考えていただきたいと思っています。
今、コロナの中で、皆さんなかなか就職が安定しないので、返済率は5割ぐらいなのですが、それでも本当にありがたい形で活用させていただいているというのが私たちの現状だということも併せて御報告したいと思いました。
以上です。
ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それぞれ御質問に対しては大体御回答いただけたかと思いますが、御回答も受けて、さらに御質問がおありの方がおられましたら、お手をお挙げいただきたいと思いますが、いかがでしょう。何かございませんでしょうか。
会場はよろしいですか。
オンラインはいかがですか。よろしいですか。ございませんか。
なさそうですので、予定の時間より少し早いですが、本日の議事については、この辺で終了とさせていただきたいと思います。
本日御発表いただきました参考人の皆様、利用者の皆様におかれましては、大変貴重なお話、御意見を賜り、誠にありがとうございました。部会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
(拍 手)
○菊池部会長 それでは、最後に、次回の開催予定について、事務局から連絡をお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
次回につきましては、9月中旬に開催を予定しております。
正式な開催通知につきましては、別途御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、本日の議事は全て終了いたしました。
制度がそもそも知られていない、使われていないのは、私も非常にショックな事態でございまして、どんなにいいものをつくっても、皆さんのところに情報も使い方も届かないのであれば、まさに山の上のそば屋になりかねないということで、その点は、私たちも十分に留意しながら議論を進めなければいけないと改めて思った次第でございます。
それでは、これにて本日は閉会とさせていただきます。
勝部さん。
○勝部委員 先生、私は、そういう意味では、今回のコロナの影響で、いろいろと議論がありましたが、緊急小口資金で多くの人たちが困窮の窓口というか、不安定な方々、先ほどの不安定層の人たちが、困窮制度の入り口に出会った。コロナが不安定な人を浮き彫りにした。
「俺はこんなところに来る予定はない」という人たちがコロナで出会うことになった、そして、そこに外国人の人がいた、若い人たちに出会ったということで、これまで生活困窮者の対象は相対的にどれぐらいの人たちが対象なのかと漠然と支援をしていたが、皮肉なことにコロナでこれまで何万人で、何人と言っていたようなレベルでは全然ないということが明確になったわけです。今後、そういう人たちを伴走できる体制づくりをしていくとか、アウトリーチがかけられる体制をしっかりと強化していくのがすごく重要だなと思います。即決でお金が出せる緊急小口資金は、本当に困っていらっしゃる方は、数日でお金を出すことを都道府県社協とも頑張ってやってきたという貸付けの体制とかも併せて考えていかないと、救えないなとすごく思いました。
コロナの貸付が終わることでヤミ金に流れていったりして、厳しい人たちが増えていくところもあるので、今回の教訓で入りやすい生活困窮者自立支援制度やすぐ救える小口資金の大切さがありました。これからが正念場です。今日は、若い人たちへのアプローチの仕方も非常に勉強になりましたし、板橋でやっていらっしゃるように、大学生になって、生活保護は無理だといっても、住居の支援だけできるようなことがあるだけでも随分違うのだなということも分かりました。また議論を深めたいと思いました。
ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
これから盛り上がりそうな雰囲気になってきていますが、大変残念ながら、勝部さんも画面の向こうにおられますので、またの機会ということでよろしくお願いします。
○勝部委員 また行きます。
○菊池部会長 お待ちしております。
○勝部委員 お願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、本日は、これにて閉会させていただきます。
議事進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
お疲れさまでした。