第3回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会議事録(2022年10月12日)

 

 


○日時


令和4年10月12日(水)13時00分~15時00分


○場所


Web会議
AP東京丸の内日本生命丸の内ガーデンタワー3階
東京都千代田区丸の内1丁目1-3


○議題


1.特定健診・特定保健指導の見直しの方向性について
2.第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者種別の目標値について
3.今後の進め方について
4.その他

 
○議事

【山本健康課長補佐】  定刻となりましたので、ただいまより第3回第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参加いただきありがとうございます。
 本日はオンラインによる開催としております。まず初めに発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 本日の構成員の出欠状況ですが、綿田構成員からは欠席との御連絡を頂いております。岡崎構成員の代理として、高知市健康福祉部副部長の川村弘様に御出席いただいております。鎌田構成員の代理として、日本看護協会保健師職能委員の高山美恵様に御出席いただいております。鈴木構成員の代理として、日本栄養士会常務理事の阿部絹子様に御出席いただいております。太田構成員の代理として、全国後期高齢者医療広域連合協議会の鈴木様に御出席いただいております。木野構成員は途中から参加されます。
 本検討会の構成員の交代がございましたので御紹介いたします。今村構成員に代わりまして、日本医師会副会長の茂松茂人構成員に御就任いただいております。また、中野構成員に代わりまして、国民健康保険中央会常務理事の池田俊明構成員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の会議ですが、保険局医療介護連携政策課長の水谷は公務の都合で途中から参加いたします。御了承ください。
 次に、資料の御確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1-1、1-2、資料2、資料3-1、3-2、3-3、3-4、3-5、参考資料1-1、1-2になります。過不足等あればマイクもしくはコメントでお申し出ください。
 会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、以降の進行を座長にお願いいたします。
【中山座長】  それでは今回も座長を担当させていただきます、京都大学の中山です。委員の方々には大変お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。また、本日初めて御参加の委員の方もいらっしゃるかと思いますけれども、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議事次第を御覧ください。本日の議題は1つ目が「特定健診・特定保健指導の見直しの方向性について」、2つ目が「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者種別の目標値について」、3つ目が「今後の進め方について」となっております。
 まず、資料1-1について、健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループの岡村主査から御説明をお願いいたします。岡村先生、お願いいたします。
【岡村構成員】  よろしくお願いいたします。せっかくなので資料を共有させていただきます。これで見えておりますでしょうか。
【中山座長】  大丈夫です。
【岡村構成員】  時間が限られておりますので、ワーキング・グループの議論のまとめを簡単にさせていただきたいと思います。これは主に健診項目、問診項目、それから判定値をどうするかみたいなところにつきまして議論を重ねてきたことになるかと思います。
 お手元に資料はありますのでこのまま見ていただければいいのですが、基本的に健診項目と質問項目については、特定保健指導が必要なものを的確に抽出するための検査項目にするということ。それから、生活習慣病の重症化の進展を早期に評価するものが詳細な健診ということになりますが、全体含めて介入可能なもの、介入というのは保健指導とか治療の効果のエビデンスがあるものということになりますが、そういう整理をさせていただくことを前提で始めました。
 それから問診項目につきましては、これは中山先生の研究班で検討していただいたことになりますけれども、階層化とか健診対象の選定に関するもの、健診結果を通知する際の情報提供に活用可能なもの、生活習慣病のリスクの評価に資するもの、それからあと、地域間、保険者間の健康状態の比較に資するものという点で議論を重ねてまいりました。
 なお既に現行のものがありまして、この制度はとにかく全国民に義務づけられている制度ですので、改訂をすると、もう何千万人規模の人に影響するということになりますので、それを踏まえた上でどうやっていくかということが議論の前提として、考えながらやっていったことになります。
 問診項目につきましては、項目数を増やすとシステム運用等における保険者の負担が増えるということで、項目数は現行と同じものにする。それで現状の中で特に問題点があるだろうというところについて焦点を当てました。一つは喫煙に関する質問項目ということで、現行、「はい」と「いいえ」、たばこを吸うか吸わないかの二択になっていたことになりますが、新しいものでは、案としましては、以前吸っていたという質問を入れていくことで提案させていただくことにしました。さらにどこに分類されるか紛れないように条件をつけていただきましたが、これは基本的には禁煙したからといって非喫煙者と同じリスクに直ちに下がるわけではないということと、当然再喫煙のリスクがありますからということが主な理由になります。
 続きまして飲酒のところですけれども、これも以前から指摘がありましたが、「毎日」「時々」「ほとんど飲まない」となっているのですが、「時々」が曖昧だということと、お酒をやめたという情報がないことに問題がございまして、ということが一点です。それから量については、一番上が「3合以上」となっているのですが、これは飲酒の回数は少ないけれども1回当たりの量が多いというビンジドリンクみたいなものの害もありますので、それを抽出できないと困るのではないか等の意見がありました。
 それから、やめたというか、禁酒グループにつきましては、たばこの場合は大体吸わない人と吸っている人の間ぐらいに禁煙者の死亡リスクがあるんですけれども、お酒の場合はやめたという人のリスクはすごく高くなる。これは禁酒の理由が病気によるものだということが多く、これがほとんどだということが分かっています。これは日本内のコホート研究のほとんどでそういう結果が出てまいりますので、「飲まない」と「やめた」を一緒にすると飲まない人のリスクが割と高く出るので、逆に飲む人がすごくよく見えてしまうとか、いろいろな状況がございましたので、ここはちゃんと週当たりの頻度とやめた者が把握できるように見ていくということになります。そしてお酒の量につきましてはこのように細分化したらどうかということで、こういう意見として出てまいりました。
 それから最後に保健指導の項目ですけれども、項目22の質問項目が「生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか」、「はい」「いいえ」というものがありまして、ここで「いいえ」と書いても、制度上、特定保健指導の案内は必ず来ますので、インバイトする、お呼びする際にかなりいろいろトラブルになったということがありますので、ここのところを「保健指導を受けたことがあるか」という今までの指導の参加履歴を入れることで、これによってその人の今までのこの方面に対する関心とか方向性がわかり、あと、この情報に基づいてお誘いしたり、保健指導したりすることができるということなので、こういう形でどうかということになりました。
 それから続きまして健診項目のほうですが、基本的な項目につきましてはほぼ現状で主要なものは網羅されているのではないかということになるのですが、第3期が動いている間に診療のガイドライン等の改訂がありまして、一つは高血圧治療ガイドライン2019と、それから動脈硬化学会のガイドラインの2022ということになります。影響するところは、拡張期血圧の基準値が変わっていることと、トリグリセライドすなわち中性脂肪の基準値で今まで空腹と非空腹を分けていなかったわけですが、これが空腹と非空腹を分けた基準になったことが変更点としてございました。
 学会のガイドラインですが、血糖値については、糖尿病学会のガイドラインよりも特定健診のほうがむしろ厳しめの基準になっているので、そちらは問題ないのですけれども、基本的には全く別々の基準を使うと診療のほうはガイドラインに基づいて行われているので、あまり齟齬があるのも困るというところはありますので、できるだけ歩み寄ることも必要ではないかという議論もありました。
 今回の案といたしましては、現在とにかく中性脂肪は150だけとなっていますが、御存知のとおり食後と空腹でものすごく値が変わってきますので、今回のガイドラインに合わせまして、空腹と随時を150、175と分けたということになります。現在、血糖値のほうが随時と空腹を分けていますが、10時間というのが全く同じ基準ですので、システム上の混乱もないだろうということで、このように、基本、空腹時で150なのですけれども、非空腹時でやむを得ない場合は中性脂肪175とし、HDLは変更なしということで変えたらどうかということになりました。
 これによって指導の対象になる方は、2018年のNDBの横断解析で見たんですけれども、0.16%平均で減る。要するに、食後の採血にもかかわらず150で判定する方がいたことになるので、そういうものが少し減るだろうというのはシミュレーションで分かっております。
 それからもう一つ、学会では拡張期血圧で今85という基準がなくなってしまいまして、全て下の基準は80になっています。こちらのほうは若干影響が大きくて、これをやりますと1%ぐらい保健指導の対象者が増えるということと、それから保険者間で結構差があり、低いところで0.4%、大きいところで1.2%という感じの差が出てきますので、こちらのほうはもう少し検討が必要ではないかというのが意見の大勢でございまして。あと、80にしたときの費用対効果ということをどうするかとか、それについてまだ検討が要るのではないかということになりました。
 詳細な検査につきましては、現状の心電図、眼底、クレアチニン、貧血についても、これはそれぞれ重要性があるということで、踏襲するべきであろうということになりました。
 それから、特に詳細項目としては、ここにありますようなものを、私の研究班で検討させていただきました。BNP、CRP、脂質の詳細検査、つまり酸化脂質みたいなものですね、あと、baPWVであるとか、CAVIであるとか、上下肢血圧比とか頸動脈超音波検査、それから検査手技、指先採血とかインピーダンス法による内臓脂肪測定を検討させていただきましたが、健診受診者全員にどうぞというまでのエビデンスはちょっとないだろうと。だから、これは詳細項目なのですが、それに持っていくにしても、どういう対象者にやると一番費用対効果がいいかという検証がもう少し必要だろうということで、現時点では新たな追加をまだ提案できる状況ではないだろうということになりました。
 あと、細かい点は幾つかありますけれども、問診と健診項目についてはそういう結論でございます。
 最後に受診勧奨判定値について議論いたしまして、この受診勧奨判定値は、どうもすぐ服薬治療開始の基準と誤解されているのではないかという意見がありまして、こちらについてはそうではないということになりますが、それが誤解のないように表記する。例えば生活習慣の改善を図りながら医療機関で経過を観察するようなケースもその中に入っているということがありますので、受診勧奨判定値という言葉の意味合いがもうちょっと分かるように、次の標準プログラムでちゃんと分かりやすく書き換えたらどうかという話になっております。
 最後のところになりますけれども、今、4期の話をしているのですが、5期に向けた中長期的な話としては、制度開始以降、いろいろエビデンスも蓄積されてきまして、そろそろ全体的な抽出とか階層化をどうするかも含めて、次はもっと大きな検討してはどうかというのが、全体の結論として検討会に申し送ることになりました。
 今回のワーキングの元になった研究班は、問診のほうは中山先生の研究班、それから健診項目のほうは私がさせていただきました厚労科研になります。
 非常に駆け足ですけれども、以上でございます。
【中山座長】  岡村先生、御説明どうもありがとうございました。いろいろ本当に疫学のエビデンス、それから最近のデータ、診療ガイドラインに基づいてそれぞれの研究班で議論されたことを、さらにこちらのワーキングで丁寧に議論していただいて本当に感謝申し上げます。
 それでは、この点につきまして何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。では今村構成員、お願いいたします。
【今村構成員】  今村です。大変な取りまとめ作業をありがとうございます。
 意見として、これでいいという意見なんですけれども。3ページやお酒の関係で、過去に飲んでいた、やめたという項目を入れてもらったことは非常にありがたいことだと思っています。私、この分析を数々やっておりまして、やっぱり今でもたばこを吸っている人は元気な人たちでして、病気の人たちは全員やめるんです。ですから、今吸っている人の分析をするためには対照群に病気でやめた人を抜かなければいけないんですけれども、今の調査票ではそれがちょっと抜けられなくて、それを前提条件だけでバイアスを調整するのが物すごく大変だったんですね。これでやめたという人を対照群から抜くことができると、今吸っている人たちと比較することもできますし、過去に吸っていた人たちとずっと吸っていない人を比較することができるので、これでバイアス調整の苦労が随分減ることになると思いますし、正しい結果に近づくと思いますので、そういう意味で、大変今回の改正案については評価させていただきます。
 今村から以上です。
【中山座長】  今村先生、どうもありがとうございました。
【岡村構成員】  ありがとうございます。
【中山座長】  本当におっしゃるとおりで、いろいろ誤解のもとだったところなので、本当によかったと思います。岡村先生、ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。では福田構成員、お願いいたします。
【福田構成員】  私も今村先生と同様に、喫煙についてですけれども、過去の喫煙を入れていただいたのはとてもいいと思います。一つ確認させていただきたいのですけれども、階層化の判定の時には、この新たに追加していただく過去に吸っていた方はどちらの扱いという想定なのでしょうか。御指摘にもあったとおり、やめてすぐだとやはりリスクはまだあるので、喫煙歴はあるという考え方もできるような気もするのですが。一応想定としては、これは階層化の時はどう扱われる感じなのでしょうか。
【中山座長】  岡村先生、いかがですか。
【岡村構成員】  運用上のものということだとちょっと事務局の意見も聞きたいところではあるのですが、現行としてはその重みづけをするのが結構難しいので、階層化を使うときにはイエスのところを使うしかないのではないかなと私は思っておりますけれども、事務局、何かございますか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。
 先生のおっしゃるとおりで、我々もシステム改修等のこともございますので、当面はイエスの方ということで考えておりますが、今後の検討事項にさせていただければと考えております。ありがとうございます。
【福田構成員】  承知いたしました。ありがとうございます。
【岡村構成員】  保健指導の専門家の方はもう分かっていらっしゃるので、禁煙した方は若干リスクは高めだと思って指導していただくことに多分なるのだろうと思っていて、それは皆さん分かってやっておられるのかなとは思っています。
【中山座長】  重要な御指摘、どうもありがとうございました。それでは河本構成員、お願いいたします。
【河本構成員】  ありがとうございます。
 今回、ワーキングで健診項目は現状の項目・運用を維持する、労安法の健診項目との連携を図っていただく、また、質問項目について対象者の改善状況が把握できるように見直す等々、おおむね私どもの主張に沿った見直しをいただいたと評価をしております。
 また、特定健診・保健指導の項目や階層化基準、費用対効果の観点も含めて、厚労科研による研究班で引き続き分析を行って、第5期に向けて検証するとされておりますが、第4期の期中であっても、エビデンスが得られた時点で見直しを御検討いただけるようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【中山座長】  どうもありがとうございました。では、岡村先生のワーキングのほうで既に5期を見据えた議論が始まっていることは非常に重要だと思いますので、全体としてもそのように取り組んでいければと思います。どうもありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。もしよろしければ、次の津下先生の御報告に移りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 では岡村先生、どうもありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして資料1-2について、効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループの津下主査から御説明をお願いいたします。津下先生、よろしくお願いいたします。
【津下構成員】  御指名ありがとうございます。私は効率的・効果的な実施方法についてのワーキングを担当させていただきました。資料の共有を厚生労働省さんでよろしくお願いいたします。1-2でございます。
 本ワーキング・グループは、これまでの取組の実績やその評価、また、そもそもこの制度の意義についてディスカッションし、見直しの方向性を検討いたしました。特に2018年度から2023年度までの第3期は積極的支援対象者にモデル実施を行いました。180ポイントを満たすことを終了要件とせず、2センチ・2キロなど、体重の減少、アウトカムが出ている場合にはそれで終了可能というようなモデル実施を致しまして、その結果、モデル実施をした保険者においては前年度よりも大きな効果が得られていたこと、また、モデル実施に参加した対象者は3か月の終了時点では2センチ・2キロの減量だったんですけれども、翌年の健診データでリバウンドではなく、さらに3センチ程度の減量まで至っていたなどの報告がございました。
 また、特定保健指導の弾力的な運用についてさらに検討を深めるべきとか、初回面接を健診当日に実施することの効果とか、ICTの活用などについてもディスカッションをしました。
 ということで、下から2つ目の丸ですけれども、本ワーキング・グループは、第3期の見直しの実施状況の検証を踏まえ検討したということでありまして、特定健診・保健指導の目的に立ち返り、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する、アウトカムを評価するという方向で、6回にわたって議論を致しました。
 次のページをお願いします。その見直しの結果でございます。アウトカム評価の導入ということで、2つ目の丸に書いてありますが、特定保健指導の評価に当たっては対象者の状態や行動変容を評価することが望ましいということ、アウトカム評価を基本とする評価方法を取り入れることについて提案しております。
 また、アウトカム評価とはいえ、例えば2センチ・2キロを達成しなかったら保健指導をしたことにならないという運用では現実回っていきませんし、それから体重がそこまでいかなくても行動変容したことについて評価すべきであるというような考え方から、ポツのように整理をしております。
特定保健指導の実績評価においては2センチ・2キロの減量達成者において検査所見等にも効果があったということ、またそのように目標を示すことで対象者、参加者さんのやる気を引き出すことができたというような研究報告もございましたので、初回面接から3か月以上経過後の実績評価時にそのような項目を評価すること。
 また、そこまでいかなくても、1センチ・1キロの減量とか、それから行動変容、これは参考資料1-2のほうに詳細は書いてありますけれども、食習慣、運動習慣、喫煙習慣、休養習慣などの行動変容を評価し、それに対して一定のポイントを付与し評価をするということ。それに加えて、プロセス評価として継続的な支援の介入についてポイントを設定して評価をするということで、合わせて180ポイント達成したことを特定保健指導の終了というように認定することを提案しています。180ポイントで特定保健指導を終了しということの欄にありますけれども、2センチ・2キロが未達成の場合にでも、プロセス評価と合わせて180ポイントとなることで終了というような形に取りまとめたということになります。
 このように、これまでは積極的支援において何回介入したかというような投入について評価しておりましたけれども、今後は体重腹囲の変化などのアウトカム、行動変容などを重点的に見ていくこととしています。本来この制度は対象者の行動変容を目指すということ、また、健康的な状況をもたらすことを目的にしておりましたので、その方向に沿った改正案ということになります。
 なお、2センチ・2キロという減量は、このぐらい減量すると翌年度の検査値が改善することが期待できるためです。体重減量が最終的なものではなく、体重減量したことによって血糖、血圧、脂質などの生活習慣病のリスクが低減することを目指しております。3か月の時点では血液検査等の評価はできませんので、体重・腹囲で評価するような見直しになっております。こうした見直しによって、成果を意識しながらより質の高い保健指導をしていくことが必要であると記載しています。
 次に、このような評価をしていくために必要なことでもありますし、また保健指導の質を高めていくために、特定保健指導についてはその見える化を促進します。まずもって行動変容の評価ができないといけませんので、そのような項目について評価時に取っていくことが必要だろうということになります。ただし、あまりに詳細なデータを収集することは現場の負担になりますので、ミニマムであるけれども、行動変容を把握できるような指標ということについて取り入れていくという取りまとめになっております。
 次のページに行っていただきまして、今回コロナ禍もあって、ICTのオンライン面接がかなり普及してまいりました。これによって、勤務形態や立地、遠隔地などにおいても、ICTを活用した保健指導が広く行われるようになりました。具体的にこのICTを活用した特定保健指導について推進するということで、初回面接で対面と同様の時間とします。これまで対面より時間を長くすることが必要だったり、継続支援の中でポイントが少ない状況でしたが、対面と同等の扱いとすることにまとまりました。
 また、アプリケーションソフトウエア、アプリですね、生活習慣改善を支援するようなアプリにつきましても行動変容に資するものも報告されておりますので、標準的な健診・保健指導プログラムにおいてそういう事例など、または留意点などを紹介していくことになろうと考えております。
 そのほか実施方法の改善としては、特定健診後の特定保健指導が早く実施されたほうがデータも新鮮でありますし、効果もあがりやすいということで、できるだけ早期に実施することを推進するため、ポイントの中でも健診後早期の保健指導については評価をする方向でまとまりました。
 ②については看護師が保健指導を行える暫定期間の延長。それから③、次のページですけれども、受診勧奨判定値の方が特定保健指導をスタートして途中で服薬した場合にはこれまでは脱落と扱われておりました。分母には入るけれども分子には入らない状況になっておりましたが、これについては、もともと受診勧奨したことももちろん保健指導の効果であるので、少なくとも脱落という扱いは避けるべきであるということで、分母に含まない方向性で検討いたしました。ただ、議論の中では、受診勧奨に、受診につながったということをプラスに評価してもいいのではないかという意見もございましたけれども、今回はまずはマイナス評価にならないようにする形で整理をさせていただきました。
 それから④は事務的な取扱いで、専門職以外の人が服薬状況を確認したことも、運用方法が決まっていれば認める方向になりました。
 次に大きな2ですけれども、この特定健診・保健指導、それからメタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率の目標につきましては、国全体の目標として丸の2番目にありますように、特定健診実施率70%以上、特定保健指導実施率45%以上、メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の減少率25%以上という、制度開始時の目標を堅持しつつ、引き続き実施率の向上に努めるということ。また、今回、アウトカム重視ということで、実施方法もかなり自由度というか、多様なメニューが可能となることもございますので、実施率を高めていくことの必要性について記載しているところでございます。
 また、事業成果に着目したPFS/SIBなどの方法なども取り入れつつ、アウトカム評価を導入した委託の普及などについても議論いたしました。
 第4期に取り組む事項としては、積極的支援のポイントの扱いの変更が非常に大きなポイントになってくると思います。今後、アウトカム評価について、行動変容の評価が適切にできるかどうかが大きな論点となっておりまして、それについては標準的な健診・保健指導プログラムで示していくことになっております。引き続き質の向上の取組、またアプリなど新しい方法を活用した、より効率的な運用についても引き続き検討していくことが重要だろうということで取りまとめをしております。今後もこういうデータで見える化が進むということで、保健指導参加・非参加ではなく、どんなアウトカムが出たのか、行動変容し、そして体重がどう減ったのかということも含めて、よりしっかりと分析した上で、効果的な保健指導につなげていくことが重要というようなことで、このワーキングの取りまとめをさせていただきました。
 以上でございます。
【中山座長】  津下構成員、どうも御報告ありがとうございました。非常に多くの課題を適切に整理していただいて、いろいろ方向性を御提案いただき、心より感謝申し上げます。
 それでは、今の津下構成員の御報告につきまして御質問、御意見があればお願いいたします。今村先生、お願いいたします。その次、中島先生、お願いいたします。
【今村構成員】  また最初で申し訳ありませんけれども。まずはこのような取りまとめを本当にありがとうございます。基本的にこれについては賛成なんですけれども、注意喚起を2つぜひさせていただきたいと思います。
 3ページに集約されているんですけれども、まずは今回目標を1キロ・1センチということですけれども、これは体重だけ落とそうと思えば、今、SGLT2阻害薬とかを飲めば簡単に1キロ・1センチなんかは下がるわけで、この目標が最優先になってしまうと、ちょっとよからぬ方向に保健指導が働くと点数が高くなるようなことが起きると思うんです。ですから、この数字目標が優先されるのではなくて、あくまで健康管理目的で行われる指導の結果下がるというところを、ぜひ注意喚起をしてほしいと思っております。それが1つ目です。
 2つ目ですけれども、この見える化の部分で、今2年連続の受診者を分析しましょうということを言っていただいていて、それは大変いいことなんですけれども、2年連続受ける人には明らかにバイアスがあって、1年目に例えば腹囲86センチと言われたちょっとだけ腹囲が出たような人は、次の年、有意に受けないんですね。ですから断裂があるんです。ですから2年連続受けている人には一定のバイアスがあって、そこの最初に受けた人たちだときれいにつながっているんですけれども、2年連続データだと明らかに断裂が生まれるので、2年連続のデータだけを信じるのは非常に危険なことなので、そこもぜひ注意喚起をしてほしいと思っています。
 でないと、あたかも何かそれが成果のように見えてしまったり、効果がないように見えてしまったりするんですけれども、有意にその微妙な線の人たちが抜ける現象が、多分メタボだと言われるのが嫌なんだと思うんですけれども、そういうバイアスがかかるデータなので、そこはぜひ注意喚起を。連続で分析してくださいということは賛成なんですね。これを読むときにぜひ注意喚起をするように、今後のマニュアル等で御留意いただければと思います。
 以上2点です。
【中山座長】  ありがとうございます。津下先生、今のことは重要な御指摘だと思いますので、それを考慮して、またマニュアルの改訂などにも進めていただければと思います。
【津下構成員】  ありがとうございます。
【中山座長】  今村先生もありがとうございました。それでは中島構成員、お願いいたします。
【中島構成員】  協会けんぽの中島でございます。津下構成員、取りまとめ、大変お疲れさまでございました。感謝申し上げる次第でございます。私からは要望を申し上げたいと思います。
 まず特定健診は、特定保健指導の対象者や重症化を防ぐための受診勧奨の対象者を抽出するためのスクリーニングで、特定保健指導によって生活習慣の改善を促して生活習慣病の発症を予防するものであります。従って、健診、保健指導、重症化予防というこの一連の取組において、保健指導が大変重要な眼目であり、ここの認識をしっかり持っていく必要があると思います。
 我々保険者におきましては、これまで特定保健指導の実施率の向上に向けて種々努力をしてきましたが、このたび津下構成員に取りまとめていただいた内容を踏まえますと、今後は特定保健指導の実施率の向上に加えて、行動変容を確実に促せる、すなわち結果を出せる特定保健指導の実施という、いわゆる特定保健指導の質の向上にも併せて取り組んでいく必要があり、保険者の責任は一層重くなったと実感しております。
 今後、質の向上を期していくために、現場の保健師、管理栄養士の創意工夫を尊重しつつも、結果を出せる特定保健指導が備えている、または備えるべき、例えば対象者の属性把握の手法、また健診結果の分かりやすい解説モデル、そのための有益な教材の開発、そして対象者に寄り添っていくコミュニケーションスキルといった各要素について、好事例を収集し、マニュアル化をして、広く保健師、管理栄養士の資質の向上につなげていく必要があると考えております。
 御説明いただいた資料の7ページの上の記述には既にその旨が記載されているところで、国、保険者において好事例を収集して、資質の向上につなげていくことが書かれておりますが、国、保険者と並んで、専門職の団体であられます日本看護協会、日本栄養士会におかれましても好事例の収集、そしてそれを踏まえた研修の実施などに積極的に取り組んでいただければと思っております。
 協会けんぽとしましても、職員がそうした研修の場に積極的に参加するなど、保健師、管理栄養士の資質向上に向けた種々の環境を整えていきたいと考えております。
【中山座長】  中島構成員、どうもありがとうございました。大変広い範囲の非常に重要な御提案、御提言だったと思います。どうもありがとうございました。皆、多くの方がそれぞれの立場で共有してくださったのではないかと思います。ありがとうございます。
 それでは次は、すいません、若干順が前後してしまうかもしれませんけれども、岡村構成員、お願いいたします。
【岡村構成員】  すいません、もう時間がないので手短に。
 今、中島構成員が言われたことと重なってくるのですけれども、やっぱり保健指導従事者の質の担保がすごく重要になってきます。自己研鑽とかも含めて、学会等の参加であるとか、あといろんな学会が資格等を出していますね。糖尿病学会、腎臓病学会、あと高血圧、動脈硬化は一緒の資格を出していると思うのですけれども。マストではないのすが、こういうもので自己研鑽というか、質の向上をすることが望ましいみたいなことを書き込んでおいたほうがいいと考えます。書いていないと、これは組織によっては、私はいろんな講演会に呼ばれて話を聞くのですが、公休で出してくれるところも、旅費も出してくれる保険者もあれば、年休さえ取りにくいところもあるみたいなところもあるので。そういう自己研鑽に参加することについては、一応ここに何かそういう記載があると、皆さん、大分動きやすくなると思いますので。そういう方向で御検討いただけたらなと思っております。
【中山座長】  岡村先生、どうもありがとうございました。では一言ずつ簡単に、あと5人、お願いいたします。岩崎委員、お願いいたします。
【岩崎構成員】  岩崎でございます。簡単に2点ほど申し上げます。
 まずアウトプット評価が入ったのは大変よかったかなと思っております。というのは、繰り返される保健指導の中で現場の工夫につながるのではないかという大きな期待がございます。一方で、今村先生が御指摘のような点はやはり本末転倒になりますので、注意が必要かなという実感でございます。
 もう一点はICTの活用でございます。御承知のとおり、コロナ禍においてテレワークの拡大が運動不足につながるというような知見が出てきているところかと思いますけれども、一方でICTの活用によって保健指導のキャンセル率が大きく減少したという実感も現場としてございますので。ただ、やはりアウトカムに本当につながるかどうか、その辺はまだエビデンス不足かなという実感もございますので、我々としては本当はどうなのかというのを知りたいと。現場としてもやっていかなければいけないと思っておりますので、その期待感を込めまして大変感謝申し上げたいと思います。
 以上でございます。
【中山座長】  岩崎構成員、どうもありがとうございました。それでは河本構成員、お願いいたします。
【河本構成員】  
 今回、アウトカム評価の制度化、行動変容の評価をする仕組みの導入、あるいはICTの活用、そして保健指導後の服薬者に対する取扱いの変更等々、私どもの主張を数多く取り入れていただいたと評価をしております。
 また、特定保健指導を実施する上で初回面談は各組合、なかなか受けていただけないことで苦労しています。今回、当日面談、あるいは1週間以内の面談実施にポイントをつけていただきましたが、今後、第5期に向けて対象者に初回面談を促すその仕組みついても継続的に御検討をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
【中山座長】  河本構成員、どうもありがとうございました。それでは続きまして鎌田構成員、お願いいたします。
【高山構成員代理】  ありがとうございます。鎌田構成員の代理の、日本看護協会の高山です。よろしくお願いいたします。
【中山座長】  失礼いたしました。
【高山構成員代理】  今回の特定保健指導の実施方法の見直しでは、これまでの課題に対して細やかに対応した見直しが図られていると考えます。特にアウトカム評価において行動変容が評価されることや、特定保健指導の早期介入が促されるような評価はとてもよい見直しだと考えております。特定保健指導では対象者が自らの生活習慣を見直し、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が出るよう、これまで保健指導を行ってきています。今回のアウトカム評価の導入により、さらに対象者と保健師が目標を一致させて、生活習慣の改善に向けて取り組めることが期待できます。
 一方で、これまで以上に成果につながる保健指導を実施していくためにも、保健師の資質向上は必要です。看護協会におきましても研修を実施する等、保健師の資質向上を推進するための取組も強化したいと思います。また、特定健診・特定保健指導からつながる地域の健康づくり、また、ポピュレーションアプローチと連動した取組も重要と考えておりますので、今後、地域と職域の連携や、地域の健康づくりにさらに貢献していきたいと思います。
 以上です。
【中山座長】  どうもありがとうございました。保健師さんは本当に鍵を握る存在だと思いますので、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは池田構成員、お願いいたします。
【池田構成員】  今回初めて参加させていただきます、国民健康保険中央会の常務理事の池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。津下先生には大変日頃からお世話になっておりまして、厚く御礼申し上げます。取りまとめをありがとうございました。
 私から要望でございますけれども、私ども国民健康保険、これは地域保険でございまして、市町村におきましては受診率向上のための取組を実施してきているところではありますけれども、様々な取組あるいは努力をしましても、受診率の向上が頭打ちになってきているところでございます。中長期的に特定健診・特定保健指導が健康の保持増進に貢献できているのかどうか、厚労省さんになるのかもしれませんけれども、国としてのエビデンスをまとめていただきまして、先ほど協会けんぽさんからもございましたとおり、そのエビデンスの中から好事例を御紹介いただくなど引き続き、私ども大中小、様々いろんな保険者の方がおりますので、その取組の支援に御尽力いただければと思います。
 私からは以上でございます。
【中山座長】  池田構成員、どうもありがとうございました。それでは最後になりましたけれども、木野構成員、お願いいたします。
【木野構成員】  発言の機会を頂きましてありがとうございます。まず、少し遅れましたことをおわびしたいと思います。
 私からは要望的なことになるかもしれませんが、2点ほど申し上げたいと思います。
 まず、「議論のまとめ」を取りまとめていただきましたが、大変深まった議論をしていただいております。私どもとしてはこの部分について異論はないと思っております。その上で、資料1-2の「効率的・効果的な実施方法等」の運用に当たって、これは前回の繰り返しになるかもしれませんが、2点ほどお願いします。
 1点目は、資料1-2の3ページ、「見える化の推進」とございますけれども、見える化に必要な収集項目について、現場負担に十分配慮して設定していただきたいこと。それから、収集した情報の分析方法等については、保険者に分かりやすく丁寧に御説明いただけたらと思っております。
 それから2点目ですが、4ページに「ICTを活用した特定保健指導」とございますが、小さな町でもICTやアプリを活用しやすくなるように、環境の整備に対する御支援をお願いしたいなと思っています。
以前にも申し上げたことがあるかと思いますが、全般に通じることとして、特に小規模町村では、人材が不足する中で、どこまで対応できるかという問題がございます。その辺の体制整備について、関係の皆さんのお力添えも得た中で、何らかの財源措置を含めた制度的対応が今後確立されていくことが望ましいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【中山座長】  木野構成員、どうもありがとうございました。それではすいません、もう一人いらっしゃいました。茂松構成員、お願いいたします。
【茂松構成員】  日本医師会の茂松でございます。
 ただいま職域保険のほうでは、健康経営の観点からはかなりその点で改善はしてきていると思うんですけれども、ただやはり中小企業の協会けんぽとか、また地域保険、国保などにおきましては受診をする、診療所を訪れることもなかなか日数的にできないという観点からは、やはり医師会としましては土曜とか日曜とか祝日とか、そういう時に少し受診をしていただいて、そういう健康診断また指導もできるような体制を少しずつつくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 以上です。
【中山座長】  茂松構成員、どうもありがとうございました。
 それでは、非常に幅広く御指摘、御提案いただきましたので、引き続き検討を深めていければ、進めていければと思います。どうもいろいろありがとうございました。
 それでは次に議題2に進みたいと思います。「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者種別の目標値について」です。資料2について事務局より御説明をお願いいたします。
【堤医療費適正化対策推進室長】  医療費適正化対策推進室長でございます。
 資料2を御覧ください。「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者種別の目標値について」ということで、2ページ目に論点をまとめております。現状でございますけれども、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、特定健診・保健指導の実施方法やその目標の基本的な事項については、特定健康診査等基本方針を定めているところでございます。第3期においては特定健診実施率70%以上等の目標値を設定しておりまして、3ポツ目でございますけれども、保険者の種別によって置かれている状況が異なること等を踏まえまして、保険者の種別の目標値を設定してきており、実施計画においても各保険者の目標値は保険者種別の目標値の値を踏まえて設定することとされております。
 今、御報告いただきましたワーキング・グループにおいても、1つ目のポツですけれども、第3期の目標と同様に、全体の目標値としましては特定健診70%以上、特定保健指導実施率45%以上ということはおまとめいただいたところでございます。
 論点を見ていただきますと、第4期の保険者の目標値につきましては、全体の70%、45%を保険者全体で達成するために、第3期と同様、実績に比して等しく実施率を引き上げた場合の実施率を基準に設定してはどうかということを論点とさせていただいております。詳細は以降のスライドで説明させていただきます。
 3ページ目でございますけれども、こちらは特定健診・特定保健指導について実施率の年次推移でございます。左側、特定健診受診率については制度開始の2008年当初から実施率は上がってきてございますけれども、2020年、コロナ禍の影響もあってか少し下がりましたけれども今53.4%と。特定保健指導につきましても、当初10%未満だったところが今22.7%と。目標の45には届きませんけれども、少しずつ上がってきている傾向は見られております。こちらも2020年度は少し下がっています。
 こちらを詳細に保険者種別で数字を置いているのが4ページ目、5ページ目になりますけれども、それぞれ保険者種別ごとに制度開始当初から少しずつ数字がよくなってきて、2020年度は少し下がってしまう傾向がおおむね見てとれるかと存じます。
 6ページ目を御覧ください。第3期実施計画期間の保険者の特定健診・保健指導の目標値でございます。これは第3期にどのように設定したかと申し上げますと、(1)の四角の中を御覧いただきますと、第3期の特定健診実施率の保険者種別ごとの目標値については、第2期も同様でしたけれども、70%以上の実施率を保険者全体で達成するため、実績に比して等しく実施率を引き上げた場合の実施率を基準に設定することとすると。
 ということで、一番左の黄色の部分を見ていただくと、全体が48.6%でございましたので、70%に達するために1.44倍引き上げると。ただ、そうしますと、実績値がもともと大きいところに関しては100を超えたりということがありますので、上限値を設定しまして、その上限以上の部分の取組については相対的に低いところにプラスアルファとして頑張っていただくということで、1.44倍プラスアルファの努力をしていただくということで設定しておりました。
 (2)の特定保健指導に実施率についても同様でございます。
 7ページ目を御覧ください。第4期の特定健診・保健指導の目標値でございますけれども、2つ目のポツにございますように、繰り返しですけれども、第4期計画における特定健診実施率、保健指導実施率の目標値については70%以上、45%以上を維持するということで御了解いただいているところでございます。
 8ページ目、こちらもワーキング・グループの先ほど津下先生から御紹介があったところでございますけれども、受診率が向上する施策としましてこれまで実施していただいている、こちらにありますように、特定保健指導を特定健診の当日及び1週間以内に実施すること、特定健診の実施から保健指導の開始までの期間を短縮すること、はがき、電子メール、電話等の個別通知による特定健診の受診勧奨や特定保健指導の利用勧奨を行うこと、ICTを活用した保健指導を推進すること、といった取組によって、受診率向上のため引き続き取り組んでいただきたいということで御議論いただいております。
 9ページ目を御覧ください。こちらは第4期実施計画期間の目標値の置き方としまして、先ほど御説明しましたものと同じ考え方としまして、(1)の四角の中ですけれども、第4期の特定健診実施率の保険者の目標値については、第3期と同様、70%以上の実施率を保険者全体で達成するため、実績に比して等しく実施率を引き上げた場合の実施率を基準に設定すると。ただし上限値は置いて設定するということで御提案しているところでございます。
 (2)についても同様で、全体として45%を達成するために、実績に比して等しく実施率を引き上げた場合の実施率を基準に設定するということで御提案しております。
 10ページ目が、この案を踏まえまして保険者別の目標値の案としてこちらは記載しておりますけれども、特定健康診査実施率目標値については、協会けんぽさんにおいて第3期65%以上だったところが70%以上になると。特定保健指導に関しましては、単一健保さんで55%以上だったところが60%以上になると。共済組合さん、一番右ですけれども、45%以上のところが60%以上になるということが変更点になってございます。
 以降は参考資料でございますので、以上でございます。
【中山座長】  御説明どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして御質問、御意見がございましたら、挙手をよろしくお願いいたします。河本構成員、お願いいたします。
【河本構成員】  
 今回、全体の目標値を据え置く中で、単一健保などの保健指導実施率の目標値を引き上げるという提案をされておりますが、9ページにございますように、2020年度の実績を見ても、単一健保は健診の実施率が他の保険者と比べても最も高い上に、保健指導実施率も最も高いと、そういう状況にございます。その一番努力をして結果を出している保険者に対して、さらにその結果を求めて目標値を引き上げるのが妥当なのか、正直、疑問でございます。特定保健指導の目標値は市町村国保と同水準ということになっておりますが、健診実施率が3割強の市町村国保に対して、単一健保の健診の実施率は約8割になっております。
 本来であれば、特定保健指導の実施人数が低い集団に対して底上げを求めるのが妥当な方策なのではないかと思います。
 併せて、今年の10月からの短時間労働者の適用拡大によって、健保組合の被保険者は約20万人程度増加すると推計されております。しかし、これらの被保険者は事業主健診が任意となっており、保健指導とセットで実施している特定健診そのものが実施できず、今回の適用拡大の影響を受ける総合健保を中心に特定健診の実施率が下がる可能性がございます。さらに、テレワーク等の導入による働き方改革によって、初回面談、および特定保健指導が実施しにくい状況にも留意が必要だと考えております。
 健保組合と共済は後期高齢者支援金の加減算制度があるために、加減算に影響を及ぼす可能性のあるその目標値の設定は、他の保険制度に比べても重要な指標と認識しております。ちょっとセンシティブにならざるを得ないです。特定保健指導の目標値の引上げが現行の加減算に影響しないことは理解しておりますが、第4期の加減算制度においても目標値が影響しないことを強く要望いたします。
 以上です。
【中山座長】  河本構成員、どうもありがとうございました。では、少し意見を頂いてから、後で可能な範囲で事務局……。事務局からもうよろしいですか。
【堤医療費適正化対策推進室長】  今の点、お答えさせていただきます。
【中山座長】  では、よろしくお願いいたします。
【堤医療費適正化対策推進室長】  適正化室長でございます。
 今御指摘いただいたとおり、現行の加算・減算のそれぞれの基準について、特定保健指導における保険者種別ごとの目標値は御指摘のとおり採用しておりませんで、全保険者の目標値や保険者種別ごとの平均値を用いた考え方を採用していると承知しております。
 2024年度から第4期が開始する同制度においても、従前と同様の考え方を用いる方向性を案としており、加算・減算それぞれの考え方に保険者種別ごとの目標値を使う想定はないものと承知しております。
 いずれにしましても、第4期の同制度の内容の検討につきましては、後期高齢者支援金の加算・減算制度検討ワーキング・グループにおいて行われるものと認識しておりまして、詳細につきましてはその中で議論していただければと思っております。
 以上でございます。
【中山座長】  御回答どうもありがとうございました。
 それでは、ほかに御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、また幾つか課題はありますけれども、引き続き御検討を進めていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは次に議題3に進みたいと思います。「今後の進め方について」、資料3-1から3-5について事務局より説明をお願いいたします。
【佐々木健康課長】  健康局健康課長、佐々木でございます。よろしくお願いします。
 資料3-1を御覧ください。新たなワーキング・グループの設置と検討の方向性についてでございます。新たなワーキング・グループにつきましては、表紙のタイトルの下にございますように、①標準的な健診・保健指導プログラムの改訂に関するワーキング・グループ、②システム改修に関するワーキング・グループを想定してございます。
 おめくりいただきまして、まずは①のプログラムの改訂に関するワーキング・グループについてでございます。
 3ページを御覧ください。ちょっとおさらいですけれども、標準的な健診・保健指導プログラムの位置づけでございます。こちらは、特定健診・特定保健指導を中心に、効果的な健診・保健指導を実施するに当たって、健診・保健指導に関わる方が理解しておくべき基本的な考え方、それから実施する際の留意点等を示したものでございます。
 下段、今回のプログラムの見直しの方向性案でございますけれども、今御了承いただきました本検討会における議論を踏まえた形での見直しを考えておりまして、具体的には、質問項目など見直された内容の反映、それから受診勧奨判定値をめぐる誤解を防ぐような工夫、それから行動変容を判断するための具体例、ICTのアプリの機能等、といったものを考えているところでございます。
 おめくりいただきまして4ページでございます。そういうわけで、今回プログラム改訂ワーキング・グループを設置したいと思います。また、より具体的な作業を行うための作業班をその下に設置したいと考えておりまして、これは2つ考えてございます。健診に係る作業班と保健指導に係る作業班、以上の2つでございます。
 続きまして2つ目でございます。②のシステム改修に関するワーキング・グループについてでございます。
 6ページをお開きください。検討の中身でございます。2ポツの検討事項にございますように、システム改修の方向性の提示と検討を想定してございます。また、関係機関からの健診データ等の授受がございます電子的な標準様式等の検討も併せて行いたいと考えております。
 7ページを御覧ください。こうした形でワーキング・グループを2つ設けたいと思っておりまして、本検討会の下に、これまで実施方法ワーキング・グループ、技術的事項ワーキング・グループということで、左2つで議論いただいたところでございますけれども、今後はこの右側、緑のプログラム改訂ワーキング・グループ、それから水色のシステム改修ワーキング・グループ、それぞれに作業班を設けて議論を進めたいと考えております。
 次の8ページです。本資料の最後のページでございますけれども、今後のスケジュール案です。真ん中ぐらいに第3回、今回でございます2022年10月の本検討会ということで開催させていただいておりまして、御了承いただけましたら、すぐにそれぞれのワーキング並びに作業班を立ち上げて議論を進め、本年度末に結果を取りまとめてこの検討会に御報告申し上げたいと考えております。その後は来年度、保険者における第4期の実施計画の策定作業が行われて、令和6年度からの運用開始という段取りとなってございます。
 それから資料3-2から3-5につきましては、今申し上げましたそれぞれのワーキング・グループ並びに作業班の開催要項案と構成員の案をお示ししたものでございますので、御確認いただけたらと存じます。
 事務局からは以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【中山座長】  御説明どうもありがとうございました。ワーキング・グループも本当に最後の実装段階の具体的な検討の段階に来ているんだと思います。これにつきまして何か御質問、コメントはいかがでしょうか。津下構成員、お願いいたします。
【津下構成員】  ありがとうございます。
 いよいよ標準的な健診・保健指導プログラムが改訂されると、それに向けて準備がいろいろ始まると思いますけれども、先ほどの御指摘の中で、資質の向上ということが多く取り上げられました。前回平成30年度版においては研修ガイドラインについて改訂したという経緯がございます。標準的なプログラムの後ろのほうについているんですけれども。今回もアウトカム重視とか、それからICTの活用とか、様々な修正がありますので、この研修ガイドラインも併せて見直しの方向性かどうかについて一点御確認をさせてください。
 それから2点目は、特定健診・特定保健指導については、先ほどの御報告のように修正点がいろいろありますのでそれに合わせた修正が必要だと思いますけれども、併せて、特定保健指導だけで生活習慣病は予防できるものでもありませんので、ポピュレーションアプローチのこととか、それから40歳未満の対象者に対する健康支援ということ、それから75歳以上、それぞれについても様々この5年間に進んできたことがございますので、そういう全体像の中で特に特定保健指導にフォーカスした扱いとしていく必要があるかと思っておりますが、その辺りについて御確認させていただきたく発言いたしました。
【中山座長】  津下構成員、重要な御指摘をどうもありがとうございます。それでは厚労省、いかがでしょうか。
【五十嵐保健指導室長】  事務局でございます。保健指導室長の五十嵐でございます。御意見ありがとうございます。
 研修ガイドラインにつきましては、先ほど申し上げた標準プログラムの改訂作業班、ワーキングの中で検討させていただきまして、改訂する予定にしております。実際、研修の実施に御協力いただいている国立保健医療科学院の先生方のチームとも連携しながら、この辺りは進めていきたいと考えております。
【佐々木健康課長】  それから、続きましてもう一点でございますけれども、特定健診に限らずポピュレーションアプローチ、それから40歳未満についての御指摘を頂きました。正直、現在のプログラムも相当なボリューミーな感じになってございまして、次期、今回の改正内容を加えたらもっと膨らむなと、ちょっと戦々恐々としているところでして、その辺りは慎重目に考えたいなと思っています。
 冒頭、このプログラムの性格として、特定健診等を中心にと申し上げました。40歳から75歳をターゲットにしながら、健康増進法についても触れさせていただいているところでございますが、実質的にかなり特定健診に寄ったものだと思っています。今頂いた御指摘につきましては次期国民健康づくりプランの策定等でまた考えてまいりたいと、検討課題とさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【中山座長】  御回答どうもありがとうございました。それでは池田構成員、お願いいたします。
【池田構成員】  池田でございます。先ほど失礼いたしました。
 科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキングにつきましては、岡村先生、取りまとめいただきありがとうございました。
 それから本件のスケジュールの件ですけれども、今年度にシステム改修ワーキングそれから作業班、それからプログラム改訂ワーキングそれから作業班というふうに、2つのワーキング、作業班が設置されるんですけれども。この後に要件定義といいますか、システム改修のための要件定義の期間とかが必要になるのではないかと思いますけれども、そうなった場合にシステム開発の期間がどれぐらいになるのかは、私どもといたしましては、私どもだけでなくて、ほかの保険者さんも恐らくそういう状況になってくるのかと思うんですけれども、なるべくこのシステム改修の期間が十分な期間を取れるようにぜひお願いしたいのが一点でございます。
 それからもう一つは、特定健診等データ管理システムの改修ということになると思うんですけれども、この必要となる経費につきましては、ぜひ国からの全額の財政支援をしっかりとお願いしたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
【中山座長】  池田構成員、どうもありがとうございます。この点について事務局、もしよろしければいかがでしょうか。
【堤医療費適正化対策推進室長】  適正化室長でございます。
 今、前半で御意見を頂きましたシステムに関しましては、資料3-1の6ページ目にございますとおり、本ワーキングにおいて検討事項としましてシステム改修の方向性の提示と検討、電子的な標準様式等の検討ということで、具体的には、技術解説書等を今年度の事業としてまとめていきたいというふうに取り組んでいきたいと思っております。来年いっぱいはシステム開発をしていただいて、2024から制度が開始するという流れでお願いできればと思っております。
 予算に関しましては、我々も前回の見直しにおいても予算要求してきたところでございますけれども、次年度以降、努力はしていくということで、現時点でお答えできることはないということは御理解いただければと思います。
【中山座長】  御回答どうもありがとうございました。それでは田中構成員、お願いいたします。
【田中構成員】  神奈川県立の田中でございます。
 ちょっと質問させていただきたいんですが、システム改修に関することですけれども。ここのところ実施率を70とか45とかというふうに上げているという目標もございますし、それから特定保健指導を特定の健診の当日、それから1週間以内という形で展開していくことは非常に効果的だとは思うんですけれども、その点、システムの時に、事務手続の簡素化とか、効率化とか、その辺も併せ持ってお考えになられるんでしょうか。その辺をお伺いしたいなと思いました。
【中山座長】  田中構成員、ありがとうございます。この点いかがでしょうか。事務局、お願いいたします。
【堤医療費適正化対策推進室長】  適正化室長でございます。
 取りまとめの資料1-2の3ページ目でございます。事務の簡素化という観点が広い概念だと思いますので、例えばでございますけれども、3ページ目の一番下のポツ、「ただし」のところですけれども、より詳細なデータを収集することは、保健指導の効果分析の充実につながる一方で、保健指導実施における入力負荷やコストの増加が見込まれるため、法定報告の内容として、今回の見直しにおいて新たに収集する項目としては必要最低限にする、のような現場への配慮は考えております。
 システム改修に関しても、細部の部分でこっちのほうが事務負担は少なかろうみたいな議論は当然あるとは思っておりますけれども、以上でお答えになっておりますでしょうか。
【田中構成員】  ありがとうございます。実際、現場の負担が大きくなると混乱するかなと思いましたので、ありがとうございます。
【中山座長】  御回答、御質問どうもありがとうございました。それでは木野構成員、お願いいたします。
【木野構成員】  ありがとうございます。
 新たなワーキング・グループを設置されるということで、関係する先生方には大変お疲れさまですが、よろしくお願いしたいと思います。
 その中でシステム改修について検討するということで、先ほど来、いろんな話題が出ております。あえて繰り返しになるかもしれませんが、現場にとって扱いやすい形でのシステムをつくっていただきたいということが一点。
 もう一つは、せっかくシステム改修しましても、現場の職員がそれを習熟するまでの時間もかかると思いますので、できれば現場の職員がそれをマスターできるだけの十分な期間を取っていただくことも必要かと思っています。特に色々な事務を兼務している町村の職員にとっては、それを集中的になかなかできない事情がありますので、十分な時間を頂ければうれしいなという感想でございます。どうかよろしくお願いします。
【中山座長】  木野構成員、どうもありがとうございます。これは本当に大切な御要望ということで、事務局もどうぞ御考慮いただければと思います。ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。もしよろしいようであれば、この2つのワーキングの新たな設置については御異論はないということでお認めしたいと思います。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは2つのワーキングは承認ということにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は以上で終了ですね。おかげさまで非常に円滑に、かつ重要な御指摘もたくさん頂いたかと思います。厚労省事務局も大変ですけれども、またさらに、特にワーキングは短期間でかなり作業を一生懸命やっていただくことになるかと思いますけれども、どうぞよろしく申し上げたいと思います。
 それでは、事務局から次回の日程等、連絡事項をお願いいたします。
【山本健康課長補佐】  次回の日程につきましては、事務局で調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。
【中山座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、御参集いただきまして活発な御議論を本当にどうもありがとうございました。また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
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