薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和4年度第1回安全技術調査会議事録

日時

令和4年5月11日(水)10:00~12:00

開催形式

Web会議

出席者

 

出席委員:(9名)五十音順、敬称略



欠席委員:敬称略
 
  • 朝比奈 靖浩
  • 脇田 隆字




国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本血液製剤機構:敬称略
 
  • 上田 定男
  • 村井 活史



KMバイオロジクス株式会社:敬称略
 
  • 中島 輝久
  • 河津 健二郎



日本製薬株式会社:敬称略
 
  • 洪 苑起



CSLベーリング株式会社:敬称略
 
  • 大西 亮



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 後藤 直子
   


事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 仲島 昌司     (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾     (血液対策課長補佐)
  • 太田 一実   (主査)

議題

  1. 1.「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正について
  2. 2.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

○佐野血液対策課長補佐 お時間が少し超過してしまいましたが、血液事業部会令和4年度第1回安全技術調査会のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
本日は、お忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
本日のWeb会議における委員の出席についてですが、朝比奈委員、脇田委員より御欠席との御連絡を頂いております。現時点で、安全技術調査会委員11名中9名の御出席を頂いていることを報告いたします。
また、本日は参考人として、国立感染症研究所より水上拓郎次世代生物学的製剤研究センター第1室室長、日本血液製剤機構より上田定男参与信頼性保証本部品質保証部長、村井活史信頼性保証本部安全管理部安全管理課長、KMバイオロジクス株式会社より中島輝久信頼性保証本部品質保証統括部部長、河津健二郎生産本部熊本工場分画製造部部長、日本製薬株式会社より洪苑起成田工場品質部長、CSLベーリング株式会社より大西亮品質保証部長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博中央血液研究所所長、後藤直子技術部次長に御出席いただいております。
事務局にも人事異動がありましたので、御報告いたします。血液対策課課長補佐の仲島昌司です。よろしくお願いいたします。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。また、薬事分科会審議参加規程に基づいて各委員の利益相反の確認を行ったところ、天野委員、岡崎委員、岡田委員から、関連企業より一定額の寄附金・契約金などの受取りの報告を頂きましたので、御報告いたします。議題1に関して、天野委員、岡崎委員、岡田委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員については、対象年度における寄附金・契約金等の受取りの実績なし又は50万円以下の受取りであることから、特段の措置はありません。これらの報告についてはホームページで公開させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、マル1の議事次第からマル15の参考資料1-9までのPDFファイルが表示されているかの御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
本日はWebでの審議のため、対面との進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見や御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、座長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は座長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。
間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。以降の進行は、濵口座長にお願いいたします。
○濵口座長 皆様、こんにちは。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。これまでの事務局からの御説明に対して、御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。
それでは、議事に入ります。議題1「「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正について」ということで、事務局より資料の御説明をお願いいたします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。資料1-1をお手元に御用意ください。令和4年1月12日に開催された安全技術調査会では、血液事業部会運営委員会において提言された意見を踏まえ、NAT陽性となった供(献)血者から過去に採血されたNAT陰性の血漿についての取扱い、及びE型肝炎ウイルスに係る遡及調査についての議論が行われました。
当該調査会における議論、令和4年4月20日に開催された厚生労働科学研究班「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」、代表者は関西医科大学医学部微生物学講座教授の大隈和先生にしていただいておりますが、こちらの研究班における議論を踏まえ、遡及調査ガイドラインの改正(案)を作成したので御審議いただきたいと考えております。なお、主な改正点は以下のとおりです。
マル1HBV、HCV及びHIVに関して、NAT陽性となった供(献)血者から過去に採血されたNAT陰性の血漿の取扱いについてですが、有効期間内にある使用されていない血漿製剤については、輸血用血液製剤としての使用は不可として供給停止・回収するものの、原料血漿としての使用は可とするとしております。
マル2E型肝炎ウイルスに係る遡及調査及びHEV-NAT陽性となった供(献)血者から過去に採血されたHEV-NAT陰性の血液の取扱いについては、まず1項目にありますように、E型肝炎ウイルス感染者のHEV-RNA持続陽性期間が約3か月であることを考慮し、十分な安全域を確保した上で、遡及調査期間を6か月といたしますが、ウインドウ期間等に関する知見が確立した段階で改めて検討するとしております。
2つ目として、医療機関から輸血用血液製剤によるHEV感染が疑われた者が報告された場合であっても、E型肝炎ウイルス感染者のHEV-RNA持続陽性期間が約3か月であることに基づいてHEVに関する遡及調査期間が6か月と設定されたことに加え、E型肝炎は経口感染で何度も感染する特性があること等を考慮し、投与された輸血用血液製剤の供(献)血が6か月より前に行われた場合には、事後検査依頼の対象外とするとしております。
3つ目として、E型肝炎ウイルス感染者のHEV-RNA持続陽性期間が約3か月であり、当該期間に基づきHEVに関する遡及調査期間が6か月と設定されたことを踏まえて、HEV-NAT陽性となった供(献)血者から過去に採血されたNAT陰性の血液の取扱いについては、以下の3パターンとしております。
まず1つ目の矢じりですが、「遡及調査期間内かつ有効期間内にある輸血用血液製剤」については「供給停止又は回収」の対象とする。2つ目の矢じりについては、HBV、HCV及びHIVと同様に原料血漿としての使用は可とする。3つ目の矢じりですが、「遡及調査期間外かつ有効期間内にある輸血用血液製剤」については「供給停止又は回収」の対象としないとしております。
マル3その他としまして、梅毒トレポネーマに関する記載、HIVの血清学的検査法の記載等について、現状に合わせた記載整備を行っております。
詳しいガイドラインの改正内容については、参考資料1-8と1-9を御覧ください。事務局からの御説明は以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。それでは、本件について研究班で行われた議論内容について、大隈委員より御説明をお願いいたします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。よろしくお願いいたします。本件については、当研究班において事前に議論をさせていただきました。やはり、HEVというのはHBV、HCV、HIVとは性状が異なりますので、それを踏まえた内容の意見が幾つか出されました。それらをまとめて、今回提言させていただいているところです。本改正案については、その内容が反映されておりますので特段問題はないかと存じます。以上です。よろしくお願いいたします。
○濵口座長 ありがとうございました。続いて、日本赤十字社より資料1-2について御説明をお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤次長 それでは、日赤の後藤から「原料血漿の安全対策にかかる諸外国の状況と日本の基準」について御説明いたします。こちらの内容は、本年2月の運営委員会において、委員の先生から原料血漿の安全性について日本と諸外国の制度を調査するという宿題を頂いており、日本赤十字社で調査したものを今回資料として提出いたしました。
資料1-2を御覧ください。まず、日本の制度から御説明します。供血者の選択については、日本では自発的な無償の供血者、つまり献血者から身分証明書等により本人確認を実施した上で血液を採取しています。生物由来原料基準で実施を定められている問診については、国の通知により問診項目が決められており、問診や検査データは日赤が一元管理をしております。さらに日本では、輸血用血液製剤と原料血漿の献血者に対して同じ問診票を使用し、献血者選択において区別はしておりません。
検査項目は、生物由来原料基準により規定されています。輸血用血液製剤は梅毒トレポネーマ、HBV、HCV、HIV-1/2、HTLV-1の血清学的検査及びHBV、HCV、HIVの核酸増幅検査を実施することとされています。血漿分画製剤の原料として用いる血液はHBV、HCV、HIV-1/2の血清学的検査を実施することとされ、血漿分画製剤の原血漿はHBV、HCV、HIVの核酸増幅検査を実施することとされています。
日赤では、輸血用血液製剤と原料血漿について、同じ検査項目を実施しています。すなわち、血清学的検査としてHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、HIV-1/2抗体、HTLV-1抗体、ヒトパルボウイルスB19抗原、梅毒トレポネーマ抗体、対象者のみTrypanosoma cruzi抗体でして、核酸増幅検査として個別NATでHBV、HCV、HEV、HIV-1/2を実施しております。
遡及調査については、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」により、HBV、HCV、HIVを対象ウイルスとした遡及調査が、輸血用血液製剤と血漿分画製剤のそれぞれに規定されております。NAT陽性の安全性に関する情報は、原料血漿の製造業者である日赤から分画製剤の製造業者に共有しております。なお、ウイルスプロセスバリデーションが実施されており、ウイルスクリアランス指数9が達成されている製剤若しくは原料プールのNATが陰性である製剤で、原料血漿にNAT陽性血液が混入していたことが後から判明した場合は、原則として供給停止、回収、情報提供等の遡及調査は必要ないとされていますが、速やかに血液対策課に報告することとされております。
原料血漿の貯留保管の期間は2か月としております。
次に、米国の基準です。米国では、原料血漿の供血者は有償供血者が一般的とされていますが、一部では無償献血者由来の輸血用血漿製剤の転用血漿も使用されているとのことです。本人確認は指紋認証も利用され、問診票はFDAが承認した原料血漿供血用のものがあります。供血者の検査データは、全米の原料血漿供血者のウイルス陽性者に関するデータベースを参照し、供血延期措置を取っているとのことです。
原料血漿の感染症検査は、連邦規則21CFRシリーズにより規定されており、HIV、HBV、HCV、梅毒を実施することとされ、さらにFDAのガイダンスではHIV、HCV、HBV、ParvovirusB19のNAT実施が求められています。輸血用血液では必須とされているHTLV、ウエストナイルウイルス、Trypanosona cruzi抗体は不要とされています。
血漿蛋白製剤協会(PPTA)の自主基準では、HIV、HCV、HBVのNATと梅毒抗体の検査、分画製剤の製造工程内でHAVとPVB19のNATを実施しているとのことです。なお、輸血用血液製剤の検査としては、例えばアメリカ赤十字社では血清学的検査としてHBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HIV-1/2抗体、HTLV-1抗体、梅毒トレポネーマ、Trypanosona cruzi、個別NATはHBV、HCV、HIV-1/2、WNV、また一部の州ではバベシアを実施しています。
分画製剤の遡及調査は、連邦規則21CFR610の中で、HCV又はHIVの陽性血液が血漿分画製剤の原料に混入した場合の遡及調査を規定していますが、分画製剤の製造工程においてウイルスクリアランスのバリデーションが取れている場合は、遡及調査は不要とされています。HIVについては、FDAから遡及調査のガイダンスも発出されております。
原料血漿の貯留保管期間は連邦規則により60日と規定されていますが、新型コロナウイルスパンデミックの影響緩和のため、FDAガイダンスにより2020年4月から45日に短縮されているところです。
続いて欧州です。欧州では、原料血漿の供血者に関しては、血液指令により自発的無償供血を推奨していますが、有償供血も安全な分画製剤に寄与するとされています。問診項目や供血者の適格性基準、供血延期措置等は、血液指令に規定されています。本人確認も実施しています。
原料血漿の検査項目としては、血液指令でHCV抗体、HIV-1/2抗体、HBs抗原の検査が、欧州薬局方ではHBs抗原、HIV抗体、HCV RNAの検査を実施することとされています。製剤によってはPVB19のDNAやHAV、HAV RNAの検査を要求されるものもあります。
遡及調査については、血液指令に従い、供血者から最終製品に至るまでの追跡可能とするシステムが構築されており、EU GMPの規定に従い遡及調査を実施しているとのことです。第三国を含めた採血事業者は、供血者のウイルスマーカー陽転や、供血者がHBVなど輸血により感染させる感染症を発症した場合、また輸血後感染症の原因と特定された供血者の情報等を入手した場合は、分画製剤メーカーに情報共有することとされています。遡及期間は、直近の検査陰性の供血から少なくとも6か月以内とし、少なくともウインドウ期間の最長期間と同等とするとされています。なお、プールした原料血漿にHIV、HAV、HBV、HCV、vCJDの混入が判明した場合、分画製剤メーカーはリスク評価とともに、各国の規制当局に報告し、製品回収の要否等の指示を仰ぐこととされています。
貯留保管期間は、適正な期間として60日が挙げられております。
ここまで米国や欧州の基準等についてお伝えしましたが、各国の原料血漿の採血事業者や血漿分画製剤のメーカーは、これらの基準に上乗せで様々な安全対策を講じていることと思います。しかしながら、各社がどのような安全対策を講じているかの詳細についてはCOIもあり、日赤では調査できませんでした。こちらからは以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。事務局から補足等はありますか。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。今回、我々も令和4年2月の運営委員会での委員の提言を踏まえて、国内に血漿分画製剤又は原料血漿を供給している各企業に対して、実施している安全対策について、可能な範囲での資料の提出をお願いいたしました。各社からの提出資料は、参考資料1-2~1-7でお示ししております。
内容を簡単に説明いたしますと、本邦で採血された血漿に実施されている安全対策と、海外で採血された血漿に実施されている安全対策では、採血時のスクリーニングNATの実施方法が異なります。また、各企業で実施されている血漿分画製剤を製造する過程等で採用されている安全対策等は、企業ごとに異なるのが現状であると考えます。各企業からは、本邦において規定されている血漿分画製剤のウイルス安全性ガイドライン等々の各国の規制等には準じているというお答えを頂いているという状況です。事務局からは以上です。
○濵口座長 ただいまの御説明について、委員のほうから御意見や御質問がありましたらお受けしたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。岡田先生、何かありますか。御意見がありましたらお願いします。
○岡田委員 確認をさせてください。各分画の企業さんにおいては、ミニプールのサイズが企業によって大分異なると思うのです。それを60日間キープすることによって補っていると考えられるのですけれども、そのプールサイズというのは今後もっと小さくするといったような計画はあるのでしょうか。
○濵口座長 これはどなたにお聞きすればいいでしょうかね。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。その辺りは、我々としても把握できている状況ではありませんので、今お答えすることはなかなか厳しいかと思っております。
○岡田委員 分かりました。
○濵口座長 多分、各地域や国によって、スクリーニングの方法が必ずしも統一されているわけではないということだろうと認識しております。ただ、そこの部分を補う形で、企業のほうも上乗せで検査を行っているということは、一応先ほどの説明の中にあったかと思います。
○岡田委員 もう1つよろしいですか。原料血漿のプールを作ったときに受入試験として、3つのウイルスのNATと血清学的検査を行っているのでしょうか。
○濵口座長 それは全ての企業についてということですか。
○岡田委員 はい、そうです。
○濵口座長 今日は参考でいらっしゃっています。これについては、岡田先生、それぞれの企業の方からお聞きしたほうがよろしいですか。
○岡田委員 せっかく来ていただいているので。
○濵口座長 分かりました。それでは、国内の企業の方から今の御質問について、お答えできる範囲でお願いしたいと思います。まず、JBからお願いできますか。
○村井参考人 日本血液製剤機構の村井です。よろしくお願いします。JBでは輸入血漿についてHBV、HCV、HIVの検査を実施しています。血清学的検査も実施しています。
○濵口座長 ありがとうございます。岡田先生、今のようなお答えでよろしいですか。
○岡田委員 はい。
○濵口座長 では、KMBからお願いします。
○河津参考人 KMバイオロジクスの河津です。KMバイオロジクスについても、NAT試験及び血清学的検査を実施しております。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。日本製薬株式会社からお願いします。
○洪参考人 日本製薬品質部の洪と申します。私どもも、受入時にHBV、HCV、HIV、HEVと血清学的試験を導入しております。
○濵口座長 では、CSLベーリング株式会社もお願いします。
○大西参考人 CSLベーリングの大西です。弊社でも原料プール血漿に関して、NATと血清学的試験を実施しております。
○濵口座長 岡田先生、企業の方からの回答は以上ですが、よろしいでしょうか。
○岡田委員 どうもありがとうございます。めったにこういうことはないと思うのですけれども、例えばNATだと塩基配列が変わったりしたら引っ掛かってこないようなものもあって、そういう高濃度のものが混入した場合に、もしかしたらセロロジカルで引っ掛かる可能性があるということで、安全性を担保するために血清学的検査も重要だということから確認させていただきました。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。今回、E型肝炎について研究班の中で検討していただいた内容を先ほど御説明いただきましたが、ここに関連して、遡及調査ガイドラインが少し加筆されている部分もありました。委員の先生方から、ここについての御質問、御提案、コメントがありましたらお願いします。
○長村委員 東大医科研の長村です。教えていただきたいのですが、原料血漿の貯留保管が米国規制では45日になったというのは、やはり血漿が足りなくなったから早くプールするということでよろしいでしょうか。
○濵口座長 これについてはいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 日赤の佐竹です。このようなアメリカの動きは全て原料血漿、血漿分画製剤の需要が非常に高い中、コロナパンデミックで原料血漿のドネーションも非常に少なくなっているという状況も併せて、このように短くしているというのが基本だろうと思います。
○長村委員 分かりました。そうすると、これで問題がなければ何となく45日になっていくということでしょうか。それとも、戻すことは決定しておりませんと書いておりますので、そのままいくのかどうかと思ったのですが、その辺りはお分かりですか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 日本のことでしょうか。
○長村委員 米国です。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 米国は米国でして、日本がそのようなことをする必要性は今のところ全く感じておりませんので、我々のほうは我々のほうでやっていきます。
○長村委員 分かりました。ありがとうございました。
○濵口座長 ほかにいかがでしょうか。遡及調査ガイドラインのほうも今回、E型肝炎の検討内容が幾つか追記されている状況だと思います。この内容についても、この加筆において問題ないということでよろしいですか。佐竹先生、どうぞ。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 少しコメントさせていただきます。文面の中で、ウイルスの持続期間が全て3か月ということになって記載されております。ただ、これは我々が観察しているウイルスの最大限の持続期間でして、日赤内のデータを全部集めてみますと、日本では平均30日ぐらい、メディアンでも30日というのが通常です。文献等でも大体30日となっております。ただ、最大のものを集めると3か月といった辺りということです。
○濵口座長 ありがとうございます。岡田先生、E型肝炎に関して何かコメントはありますか。
○岡田委員 E型肝炎に関しては、確かに短いという話もありますけれども、文献的だと3か月ぐらいのものもありますので、これからデータを集めて、もっと短いことが分かれば、もちろん短縮することも十分可能だと思います。
ついでによろしいでしょうか。反復してE型肝炎に感染する例があるというように記載されておりますけれども、このような例というのは、RNAの違う型のものが検出されるだけであって、発症とか肝炎になったという話はどうなのでしょうか。佐竹先生、よろしくお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 そこまでの詳しいデータはないと思います。どういう状況からそういう話になっているかといいますと、1つはIgG陽性の方も感染することが結構あるという数字です。それはもうかなりよく知られておりますし、我々のデータでもIgG陽性の人に輸血されて、それで顕性の感染症が起きたという例があります。
それから、長期、これは1年ぐらいですが、長期にわたって見ますと、RNAが最初は陽性なのに一時消えて、その後にまたRNA陽性になるといったドナーがいらっしゃいます。それ以上の探索はできていないのですけれども、そうなりますと、HEVが浮動するというよりは、更にまたチャレンジを受けたのではないかというように考えております。というのは、感染の原因を考えますと、やはり経口感染ですので、感染を受ける方というのは、多くの方が豚やいろいろな野生の動物の肉を食べるといった辺りの習慣からきています。ですから、原因となるドナーというのは、そういったリスクをたった1回でどうのというよりは、日常生活の中で何度も何度もチャレンジを受けるといった傾向のあるドナーかと思われます。したがって、そのようなことを一緒に考えると、新たな感染が起きたのではないかと考えております。もちろん、これをシークエンスや何かで詳しく見たというようなデータはありません。以上です。
○岡田委員 どうもありがとうございました。
○濵口座長 ほかによろしいでしょうか。
○長村委員 長村です。プール作成までの期間が45日、60日ということですが、参考資料1-7の日本製薬様のほうでは、購入から最大値が68、プール作成まで最小値が3日と書いてあるのです。これは保管期間を過ぎて購入という理解でよいのでしょうか。その点が私もよく分からないので、教えていただければと思います。
○濵口座長 日本製薬様のほうから、これについて少し解説を頂けますか。
○洪参考人 日本製薬の洪です。貯留保管の2か月というのは、基本的に弊社が購入して届けられるまで、原料血漿として弊社が購入するまでの間に、日赤さんのほうで貯留保管期間として2か月が担保されているものと考えております。弊社ではそれに加えて、基本的に購入したものに関しては、プールでも全てのNAT試験等を実施することによって、安全性をそこで確保しているというのが現状です。以上です。
○長村委員 了解しました。ありがとうございます。
○濵口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の今回の改正案については、事務局が提示した案で御了承いただけますでしょうか。御異議はないとお見受けしました。ありがとうございます。今回の見解を踏まえて、事務局においては通知の発出等、対応をよろしくお願いいたします。
最後に、議題2「その他」です。事務局から何かりますか。
○佐野血液対策課長補佐 特にございません。
○濵口座長 ありがとうございました。本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見等、委員の皆様からございますか。よろしいですか。
それでは、事務局に議事進行をお戻ししたいと思います。
○佐野血液対策課長補佐 濵口座長、ありがとうございました。次回の安全技術調査会の日程は、別途御連絡差し上げます。これにて、血液事業部会令和4年度第1回安全技術調査会を終了いたします。ありがとうございました。
(了)