2022年9月30日 第1回中央職業能力開発促進協議会事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和4年9月30日(金) 9:30~11:30

場所

Web開催

議題

(1)中央職業能力開発促進協議会及び地域職業能力開発促進協議会の設置
(2)令和3年度公的職業訓練の実績
(3)今後の人材ニーズ
  3-1 デジタル推進人材の育成にかかるハロートレーニングの取組
  3-2 今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告
(4)公共職業訓練の効果分析
(5)令和5年度全国職業訓練実施計画の策定方針
  5-1 ハロートレーニング(公的職業訓練)に係る令和5年度概算要求
  5-2 令和5年度全国職業訓練実施計画の策定に向けた方針について
(6)職業能力の開発及び促進の向上に資する取組
  6-1 職場における学び・学び直し促進ガイドライン等
 

議事

○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 皆様、おはようございます。厚生労働省でございます。定刻になりましたので、ただいまから第1回中央職業能力開発促進協議会を開催させていただきます。本協議会冒頭の撮影を御希望の場合は、議事次第の1、人材開発統括官からの開会挨拶までとさせていただきます。感染防止の観点から、挨拶終了後は15階に傍聴会場を用意していますので、そちらで傍聴いただくようお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。本協議会の事務局を担当しております厚生労働省訓練企画室長の鶴谷です。よろしくお願いいたします。本協議会の設置については、議題の中で説明させていただきますが、本日の構成員については、資料の4ページ、資料1-2を御覧いただくことで御紹介に代えさせていただきます。また、本協議会の座長については、設置要項に基づき、人材開発統括官から要請した法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科の藤村教授にお願いしております。それでは、ここからの進行は藤村座長にお願いいたします。
○藤村協議会座長 皆さん、おはようございます。御指名いただきましたので、議事進行役を努めたいと思います。本日の協議会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議による開催といたします。また、傍聴を希望される方々には全て公開としております。それでは冒頭に、奈尾人材開発統括官から挨拶がございます。
○奈尾人材開発統括官 人材開発統括官の奈尾でございます。皆様方においては、日頃から人材開発の事業の推進に当たり、格別の御支援を賜りまして感謝申し上げます。本年3月に職業能力開発促進法が改正され、都道府県単位の法定化した協議会である「地域職業能力開発促進協議会」が来月から施行になります。それに合わせて、中央においても、従来の中央訓練協議会を廃止して、新たに「中央職業能力開発促進協議会」を開催することといたしました。
 政府においては成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の中で、「人への投資」を抜本的に強化するという方針でございます。また、デジタル推進人材の養成が求められており、「デジタル田園都市国家構想基本方針」においては、デジタル推進人材を2026年度までに政府全体で累計230万人を養成する方針です。こうした中で、人材ニーズに即すとともに、求職者、労働者の多様な属性等を踏まえた精度の高い職業訓練の提供が求められているという状況です。
 本協議会においては、政府全体の将来構造を踏まえて必要となる成長分野の人材ニーズの把握、公的職業訓練の実績や訓練効果の検証、キャリアコンサルティング等の職業能力の開発・向上に必要な取組などについて、皆様方から忌憚のない御意見をいただきたいと思います。10月以降から地域協議会が開催されるわけですが、こちらにおいては地域ごとの課題に応じた能力開発の在り方を議論していただくことになっております。
 本協議会の協議内容は、それぞれの地域職業能力開発促進協議会に提出いたしますとともに、地域職業能力開発促進協議会の議論内容も本協議会に報告することとしております。中央協議会と地域協議会の緊密な連携により効果的な施策の実施につなげてまいりたいと考えております。皆様方には、活発な意見交換をお願いいたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。
○藤村協議会座長 どうもありがとうございました。報道関係者の方々の撮影は、ここまでとなります。15階に用意しております傍聴会場へお移りいただきたいと思います。それでは議題に入る前に、本日使用する資料、Web会議の接続不調時の対応、その他の注意事項について事務局より説明があります。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 事務局から事務連絡をさせていただきます。本日の協議会はWeb会議による開催となります。資料は、事前に御連絡させていただきました資料1-1から資料6-2となります。別途、参考資料として、1~3までがあります。
 Web会議の接続に関してのお願いです。まず、問題等が生じたら、事前に送付したマニュアルに沿って事務局宛にメール又は電話で御連絡ください。それからカメラについては、構成員の皆様、折角の機会ですので機能がある限りは「ON」にしていただくようにお願いいたします。構成員の皆様においては、座長から指名された場合に限り、御発言するようお願い申し上げます。具体的には、御発言を希望する場合にはZoomの「手を挙げる」機能により意思表示をお願いいたします。「手を挙げる」ボタンを押していただき、座長から指名された後に、マイクをONにして御発言をお願いします。発言が終了した際には、「以上」と言っていただくなど、その旨をお伝えください。発言後は、マイクをOFFにしてください。なお、音声の乱れにより、ほかの発言者の方の発言内容が聞き取れなかった場合は、その旨をチャット機能等でお伝えいただきましたら、再度、発言していただくなどの対応をとりたいと思います。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。今日は非常に盛り沢山ですので効率的にやっていきたいと思います。本日の議題については議事次第のとおりですが、大きく3つに分かれます。
 1つ目は、議題(1)による職業能力開発促進協議会の設置についての説明です。2つ目は議題(2)から(5)として、過去の全国職業訓練実施計画の実施状況の確認、それから今後の人材ニーズの把握と訓練分析の効果検証などPDCAサイクルを通じた次期計画の策定方針についての意見交換。3つ目が議題(6)として、職業能力開発に関する取組について関係者間での情報共有になります。それでは、まず議題(1)について事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。それでは、協議会について御説明いたします。まず、地域職業能力開発促進協議会について御説明しますので、資料につきましては1-5、通しの番号で18ページを御覧ください。従前より、都道府県単位の訓練協議会がございました。こちらにおいても、公的職業訓練に関する計画を策定していたところです。しかしながら、前年度の職業訓練の設定状況をもとに職業訓練計画を策定するだけで、人材のニーズや受講者のニーズの把握や分析などが不十分でした。ニーズを踏まえた精緻な訓練コースの設定のため、関係者による協議の場が必要ということで、今年3月に職業能力開発促進法を改正し、協議の場を法定化いたしました。それが、この18ページの地域職業能力開発促進協議会です。先ほど統括官の御挨拶にもありましたとおり、10月からの施行となっております。
 一番上を御覧ください。国と都道府県が地域の関係者の方を集め、職業能力に関する有用な情報を共有し、地域の実情やニーズに促した公的職業訓練の設定や職業訓練効果の把握・検証を行う場となっております。構成員の方については、白い四角囲みの中にありますが、従前の協議会と違う点としては、⑦の職業紹介事業者又は特定募集情報等提供事業者又はその団体の方に入っていただくことです。これまでもハローワークの求人・求職情報を把握しながら訓練計画を策定してまいりましたが、ハローワークを利用しない求人・求職の情報も把握しなければならないということで、今回、民間の職業紹介事業者の方々に入っていただくことにしております。
 協議事項については、下の図のとおりです。まずは、将来的に必要なニーズはどういうものかを把握しなければいけませんので、右の上の「人材ニーズの把握」をいたします。それから「地域職業訓練計画」と、実績とのミスマッチの検証もしていかなければいけないということで、「実績とのミスマッチの検証」を行います。その下側ですが、個別の訓練の効果を把握・検証し、カリキュラムを改善していくことも行っていくことにしております。こうしたものを踏まえ、来年度どういった人材育成を行うべきかを協議し、最終的には「地域職業訓練実施計画」に反映させていくことになります。真ん中にありますが、この計画をもとに、訓練機関では訓練を実施していくことになり、その結果が、また次の年の訓練計画と実績とのミスマッチの検証に役立ち、更に次々年度の地域職業訓練実施計画に反映されていく形になります。これらを通じ、PDCAサイクルを回すイメージと考えていただければいいかと思います。
 こうした取組を通じて、これまで以上にニーズを踏まえた制度の高い職業訓練を御提供することができるようになるものです。ここまでが、地域の職業能力開発促進協議会の状況ですが、中央に関しましては、資料の6ページを御覧ください。
 地域協議会の法定化に伴い、中央訓練協議会につきましても、今回、変えさせていただきました。このため、本日が第1回目の中央協議会です。名称も、「中央職業能力開発促進協議会」といたしました。この中央においても、全国において成長分野等で求められる人材ニーズを的確に把握し、求職者の方々の属性も踏まえ、精度の高い職業訓練を提供していくために、皆様方にお集まりいただいて計画を策定したり、職業能力開発に役立つ情報を共有していくこととしております。構成員に関しては、今回から需給調整関係団体の方にも入っていただくことになり、本日より3つの団体の方々にお越しいただいております。
 中央協議会でも、下の図にありますように、(2)人材ニーズの把握、(3)計画と実績とのミスマッチの検証や公的職業訓練の効果検証などを行いながら、全国の職業訓練実施計画を策定していくことになります。さらに、この中央職業能力開発促進協議会においては、地域の職業能力開発促進協議会の情報を把握し、一旦、情報共有し、更にその内容を中央の協議会の内容とともに地域に戻していくことも行っていくこととしております。以上です。本日は、是非、忌憚のない御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
○藤村協議会座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問、御意見があればお願いしたいと思います。「手を挙げる」機能をお使いただければと思います。関口さん、どうぞ。
○関口構成員 おはようございます。関口です。資料1-5の、このPDCAの中の、下にあります訓練効果の把握・検証について意見を申し上げたいと思います。この訓練効果をどういう視点で見るかということですが、訓練の効果の目標設定とも関係しますが、就職率、更に加えて、1年後程度の定着率についてはこれまでもあるわけですが、特に、非正規雇用労働者のための長期高度訓練、この協議会の扱いからは外れますが、教育訓練給付における専門実践教育訓練3年等の長期にわたるものについての効果の面では、定着率を超えて、5年ぐらいのターム、できれば10年ぐらいの初期キャリアの形成、終了後のキャリア形成状況を把握することが、訓練効果を見るときの視点として、重要ではないかと。すなわち、学習成果をどうやって見るかといったときに、2年若しくは3年のコースといったときにはそれだけの長期の学習をした結果、それがどんな風に生かされるかを見る視点としては、キャリア形成の状況を把握する。これは、なかなか全数把握は難しいですが、ヒアリング等を通じて、そのモデル的なケースについてのトライアルを少し重ねていくことも考えられるのではないかと。併せて、3か月、6か月の訓練との比較という視点も出てくるかと思います。今回特に、地域協議会の強化ということもあると思いますので、この辺をつぶさに見ていくことが、より重要になるのではないかと思います。以上です。
○藤村協議会座長 分かりました。ありがとうございます。長期の視点で、効果を見ていく必要があるという御意見ですね。
では、次に冨髙委員、どうぞ。
○冨髙構成員 御説明ありがとうございました。まず地域職業能力開発促進協議会につきまして、今回の協議会の見直しにより、今後取組が充実すると考えております。一方、これまでと比べて、対応すべきことが増えると思いますので、体制や取り組みがきちんと実効的なものとなるように、対応をお願いしたいと思います。今後、地域、企業が求めるニーズがきちんと職業訓練に適切に反映されて、実効的な職業訓練となるように期待しておりますのでよろしくお願いします。
 また中央職業能力開発促進協議会に関しては、地域における産業展開の動向や求人ニーズの適切な把握、地域の協議会のワーキンググループによる適切な効果検証を踏まえながら、各地域の好事例の共有化などを行い、質の高い訓練の設定や検討をお願いしたいと考えております。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございました。北村委員も手を挙げていますね。どうぞ。
○北村構成員 全国産業人能力開発団体連合会の北村と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。只今御説明いただきました、中央と地域のところで、単純なことですが、先ほど御説明のように地域から上がってきたものを中央も含めて検討しながら、また戻すというお話もあります。年1回だけではなくて、第2回とか、続けてとか、これが整ったところで、また2回目を開かれる予定でございますか。その確認をさせていただければと思います。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。平田委員も手を挙げていますね。どうぞ。
○平田構成員 ありがとうございます。法改正に伴い、改めて地域の協議会も設置するということですので、是非、地域のニーズを適切に訓練に反映していただきたいと思っております。以上です。
○藤村協議会座長 4人の方から御意見がありましたが、事務局から反応があれば、どうぞ。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。まず、関口委員から頂きました訓練の効果の把握の関係で、就職率だけではなくて定着の部分もというお話がありました。ありがとうございます。確かに、定着率を追い掛けることができればいいのですが、こちらを統計で取るのがなかなか難しいことと、そもそも就職した後にスキルアップして離転職される方もいらっしゃいます。ステップアップされる方もいらっしゃいますので、それをどのように見ていくかというものもありますので、そちらは今後どういうやり方がいいかを勉強しながらやっていきたいと思っております。
 次に、冨髙様から頂きましたが、地域が充実するということで、実効的にというお話をありがとうございます。それから、中央でも効果検証をというお話がありましたが、おっしゃるとおりですので、ワーキングチームを作るかどうかは別として、効果検証については今後とも実施していきたいと思いますし、本日も4番目の議題で御説明いたします。こういったものも踏まえながら、来年度の職業訓練計画に反映していきたいと思っております。
 次に、北村様から頂きましたが、この協議会の回数ですが、年2回を予定しております。今回は秋、9月に開催しましたので、次回は、中央が1月か2月の頃に開催させていただきます。そのときには、今年の10月から開催する地域協議会の結果についても情報を共有させていただけるかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、平田様から頂きましたが、地域のニーズをしっかりとくみ取るというお話をありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。地域協議会においても、地域のニーズをきちんと把握していきたいと思っておりますし、そうしたニーズを把握した地域の状況については、中央でも情報共有させていただきます。ありがとうございます。
○藤村協議会座長 以上でよろしいでしょうか。では、議題1を終わります。
 次に、2つ目の議題に入りたいと思います。議題(2)昨年度の計画の実施状況を確認するため、実績について事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。それでは、昨年度の計画の実施状況を見るために実績について確認させていただきます。資料については資料2-1と資料2-2を使うのですけれども、まずは資料2-2の27ページを御覧ください。
 最初に、公的職業訓練、ハロートレーニングの全体像から御説明させていただきます。公的職業訓練の中には、「職業能力開発促進法」に基づく公共職業訓練と、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」に基づく求職者支援訓練というものがあります。まず、左側の公共職業訓練ですが、対象者は離職者の方、在職者の方、学卒者の方、障害者の方というように分かれております。
訓練の実施機関については、国、それから都道府県になっております。離職者向けと障害者向けについては、都道府県から民間の教育訓練機関に委託として実施していただいております。
 それから、右側の求職者支援訓練のほうですけれども、こちらについては「特定求職者の就職支援法」に基づくものですので、対象は離職者の方だけになります。先ほどの公共職業訓練との違いで申しますと、公共職業訓練はもともと雇用保険を受給できる者向けに作られたものでしたが、雇用保険をもらえない方にも訓練を受けていただくために創設されたものですので、主な対象は雇用保険を受給できない方となっております。訓練を実施する機関は国から民間の教育訓練機関にお願いして実施しております。特徴的なのは、基礎的能力を習得する訓練として、社会人として必要となるビジネスマナーなどを学ぶ「基礎コース」があることです。
 どのくらいの実施規模かということを令和3年度の実績で御紹介いたします。右の下になりますが、受講者数ベースで見ますと、公共職業訓練の離職者訓練は、全体で10万8,000人程度の方に受講していただいております。在職者訓練については、9万2,500人程度。学卒者訓練については1万6,000人程度となっております。その下の障害者訓練は、1,300人程度の方に受講いただいております。最後が求職者支援訓練で、2万8,000人ぐらいの方に受講いただいております。
 ここで離職者訓練、離職者を対象とする訓練だけを見ていただきたいのですけれども、公共の離職者訓練と、それから求職者支援訓練を足しますと、大体13万6,000人の方に受講いただくという規模感になります。この訓練全体の中で見ても、対象者層が多いところでもあり、雇入れされる方はどういう人材がほしいかということも非常に関係してきますので、求人者の雇入れニーズや、求職者の就職ニーズというものが非常に反映しやすいものと思われますので、この離職者訓練のみを取り出して御説明させていただきたいと思います。
 資料2-1、通し番号で20ページを御覧ください。ハロートレーニング(公的職業訓練の離職者向け)の令和3年度の実績をまとめたものです。先ほど申し上げましたとおり、労働市場、労働移動のニーズが最も反映できるものかなと思いましたので、離職者向けのみを取り出しております。
20ページは、公共職業訓練の離職者向けと求職者支援訓練をまとめたものです。それぞれまとめて合計するだけではなくて、訓練の分野別に、どのくらいのコース数があって受講者の方がいたかというところをお示ししたものです。
 御存知の方がいらっしゃるかどうか分からないのですけれども、これまで公共職業訓練と求職者支援訓練は、それぞれの検討に合わせた分野ごとカテゴリーごとに分けて実績等をお示していたのですが、令和3年度からは一気通貫、横串を差して見られるように、分野をそろえてお示させていただいているところです。今回が初めての資料になります。これを御覧いただくことによって、どういう分野で人材育成が一番なされていたかというのが分かるかと思います。
 一番大きかったのが「営業・販売・事務分野」で、分野別では上から2つ目になります。受講者数では、3万3,000人程度の方に受講いただいております。そのほかに多かったのが、IT分野とか、デザイン分野とか、製造分野が受講者数の多かったものになります。
 先ほどご説明した27ページの資料と数字が少し違うので、念のために御説明いたします。右側の用語の定義の上から3つ目に、「受講者数」とあり、「令和3年度中に開講したコースに入校した者の数」というようになっております。正確には、令和3年度に受講した方は令和2年度、前年度から繰越の方も含まれるのですが、便宜的に、この資料では令和3年度中に開講したコースのみに絞って御説明させていただいているものですので、先ほどの全体像とは数字が若干ずれることを御了承ください。
 次に、21ページを御覧ください。21ページからは制度別について、それぞれどのくらいの数の訓練が行われて、どのくらいの方が受講されたかというのを分野別でお示ししたものです。21ページは、まず公共職業訓練の中でも都道府県から民間の教育訓練機関へ委託した職業訓練を左側に示し、その隣に求職者支援訓練を示しております。なぜ、この2つを隣合せにしたかといいますと、訓練の実施機関が民間の訓練実施機関であるからです。離職者向けの公的職業訓練の中でも、この2つを足すとシェアが高いので並べさせていただいております。
 先ほどと同じように分野別で御覧いただくことができて、更にコース数、定員受講者数のほかに、応募倍率と定員充足率と就職率を示しております。応募倍率というのは、定員に対して、どのくらいの方が受講したいという希望があったかというものですので、人気度合いを示すものです。
就職率のところは、修了した後に、就職できた方がどのくらいいたかという割合を示すものです。赤色とグリーンに分かれていますけれども、赤色が高い順に3つ、グリーンが低いものから3つです。応募倍率では、例えばIT分野やデザイン分野は、公共職業訓練委託訓練、求職者支援訓練ともに赤色ですので非常に人気が高いことが分かります。他方で、就職率のほうはグリーンや白色ですので、それほど高くないことがお分かりいただけるかと思います。
 また、介護・医療・福祉分野につきましては、応募倍率がグリーン又は白色ということですので、あまり人気が高い訓練とはいえないのですが、就職率はいずれの訓練も高くなっております。
 それから同じページの下のほうに、「基礎」という分野があります。先ほど御説明しましたとおり、求職者支援訓練独自の社会人能力を身につける基礎的なコースで、求職者支援訓練全体2万8,000人のうち5,000人程度の方に受講していただいております。
 次の22ページは、公共職業訓練の都道府県の能力開発校と、高齢・障害・求職者雇用支援機構のポリテクセンターで行われた離職者訓練です。これも、それぞれIT分野などの分野別で、受講者数や応募倍率、就職率についてお示しさせていただいたものです。
 最後の23ページは、実績を踏まえた改善の方向性について、考え方についてお示しさせていただいたものですので、御紹介させていただきます。今、御覧いただきましたとおり、各分野の就職率と応募倍率が分かりますので、それぞれの高低を踏まえて、どういった改善の方策があるかという考え方を示したものです。例えば、右の上ですが、就職率と応募倍率が、ともに高いものというのは、求人ニーズや求職者ニーズを踏まえた効果的な職業訓練と考えられますので、特に改善の必要はないのですけれども、ただ、応募倍率が100%を大幅に超えている場合は、申込者数に応じた定員の確保というのが必要です。そういう点を検討することが必要という方向性になっております。
 左の上は、就職率が高くて応募倍率が低い分野の改善方策です。こちらについては、求人ニーズの観点からは効果的な訓練と言えますが、受講者ニーズを捉えきれていない可能性があるということになります。具体的にいいますと、例えば介護の分野が当たるかと思います。考えられる改善の方向性としては、訓練コースが求職者の方にとって応募や受講がしやすい募集日程・訓練日程となっているかについて検討が必要であること、それから訓練への受講勧奨がきちんと行われているかということについて、やはり検討が必要という方向性をお示しさせていただいております。
 右の下ですが、応募倍率が高くて就職率が低いものです。こちらについては、求人ニーズを捉えきれていない可能性がありますので、改善の方向性としては、求人ニーズに即した訓練内容になっているか、また、就職支援策に課題がないかという点について検討が必要であるという方向性になっています。先ほどの資料でいいますと、例えばIT分野やデザイン分野がこれに当たると考えられます。
 左の下は、就職率も応募倍率も低いものですが、今申し上げました改善方策を全てやってみるということが改善の方向性と思われます。こうした実績から考える方向性については最後に御議論いただきますが、来年度の計画にも反映できればと考えております。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございました。議題(2)令和3年度公的職業訓練の実績について御意見、御質問のある方は挙手のボタンでお願いいたします。北村さん、どうぞ。
○北村構成員 20ページ、資料2-1です。特に、私どもは民間教育訓練の各種団体、有名なところでは、ユーキャンさんとか、TACさんとか、ニチイ学館さん等には、当団体にご加入いただいていますが、その中で上から3番目の医療事務分野、当然コロナ禍では公的な職業訓練が制限、セーブされておりますので、それ以外でも民間が行っているコースでいうと、受講者数は、年間で多分4万人から5万人ぐらいいらっしゃると想定、推計しているのですが、この実態を集計、統計したものが、なかなか私どもの団体の中にもありません。こういった、職業訓練、官民合わせた数値的ボリューム把握をお願いしたい。当然、公的な職業訓練以外のところで把握をしながら、訓練と訓練給付金の話も当然あると思うのですが、その把握というのはどのように考えられるか、是非私どももご協力、連携しながら考えていきたいし、データを取っていきたいと思っています。その辺はいかがなものでしょうか。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。後でまとめてお答えいただきますので、まず、皆さんの御意見を伺いたいと思います。河島さん、どうぞ。
○河島構成員 ありがとうございます。京都府の商工労働観光部の河島でございます。聞こえていますでしょうか。
○藤村協議会座長 聞こえています。
○河島構成員 ありがとうございます。今の御説明は大変分かりやすかったと思います。私からも幾つか質問です。資料21ページの公共職業訓練と求職者支援訓練の実施状況について、IT分野、あるいはデザイン分野の応募倍率は高いけれども、就職率は低く、なかなか就職につながっていません。資料23ページのマトリックスは非常に分かりやすく整理しておられると思いますけれども、現段階において、こういう状況が表れている原因を、厚生労働省ではどのように分析されているのか、まず1点、お聞かせいただきたいと思います。京都府の状況を申しますと、施設内訓練で、IT分野の訓練をしておりますが、この訓練科に関しては非常に人気もありますし、地元の企業ニーズも非常に高いところであり、極めて高い就職率を誇っていることもあって、その辺の齟齬が、どのようなことで生まれているのかということを、関心としてお聞かせいただきたかったということです。
 それから、もう1点は、資料23ページのマトリックスは非常に分かりやすくて有難いのですけれども、ここでお考えの「就職率が高い、応募倍率が高い、逆に低い」という場合、細かい話ですけれども、何%以上が高くて、何%になれば低くなるのか、その辺のメルクマールがありましたら御教示いただければ幸いです。私からは以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では、佐久間さん、どうぞ。
○佐久間構成員 ありがとうございます。私も、河島委員から言われたところとほぼ同じです。まず、23ページのマトリックスですが、各訓練コースについての進むべき方向性や捉え方が出ていて、このマトリックス記載されている方向に進めていくのが良いと思います。そのうえで、各分野において、例えばIT分野だったらIT分野で、どういうコースや科目がマトリックスのどこに当たるのか、訓練項目それぞれについてレベル感を下げて詳細に分析をしていくのがよろしいと思います。
 現状だと、このマトリックスの4つの面に分野を当てはめるのでしょうから、もっと訓練コース、カリキュラムにまで詳細に分析をしたほうがいいのではないかと思います。それは、なぜかというと、21ページの就職率とかにも関連ができると思います。応募倍率が多くても就職率があまり上がっていない訓練。典型的な例としては、IT分野というのは人材が不足しており、このような訓練を受けた方は、就職がしやすいのではないかと思うのですが、数字としては、そんなに高い数値がでているわけではなく、何か違和感があるのですけれども、求職者支援訓練とか、公共職業訓練は、それなりの数字が出ています。IT分野は非常に人材が不足してくるといわれている中で、どうしてITなのに就職率が低いのか、例えば求職者支援訓練は59.9%となっており、限りなく60%に近いわけですけれども、もうちょっと就職がいいのではないかと感じます。ですから、それはIT分野といっても、対象としている分野や科目が多岐にわたっていて、広いということで、単にソフトを、ExcelとかWordを使っていく人材、これもまだ必要なのかもしれませんけれども、そういうのとDX人材として、ロボット等のプログラム開発ができるとか、そういうことで就職率がかなり変わってくるのではないか。その辺の要因を知りたいところです。
 それから、最後に質問ですが、「デジタル人材の育成確保」について、厚生労働省の取組という欄があって、次のページにも参考として「デジタル人材の育成目標の実現に向けて」というのがあります。国全体での目標とすれば、5年間で230万人、令和6年度は13.5万人という厚生労働省の数字が出ているのですけれども、これで省庁全体を合わせて45万人になるのです。これだけの人材を養成すれば、結果的に生産性もあがり、国全体が良くなるという方向性が出ていると思うのです。この目標数値は、求職者訓練だけを見ているのか、あるいは、在職者訓練も含めた数字が入っていると見たほうがいいのでしょうか。すみません、最後は質問ですけれども、よろしくお願いいたします。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では清田さん、どうぞ。
○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田です。1点意見として申し上げます。足下の中小企業の現状を皆様も御存知と思いますが、改めて人手不足が非常に厳しいという状況です。また、物価の高騰による、賃上げ圧力もあって、賃上げに対応できないと人材確保ができない状況になってきております。人材確保ができないと、事業継続すら困難になるのではないかというところまで危機意識をもっており、人材の確保というのが正に喫緊の大きな課題と捉えております。こうした状況において、ハロートレーニングは非常に重要性が増していると思っています。企業が求める人材の育成と、人手不足に悩む中小企業とのマッチングの機能というのを是非、高めていただきたいと思います。こうした中で、資料2で説明いただきまして、それぞれのコースの状況をまとめていただいております。企業側のニーズが分かるような就職率、求職者側のニーズが分かる応募倍率の双方から状況を分析して、改善の方向を示しているということで非常に適切で分かりやすいと思っております。佐久間さんもおっしゃられましたけれども、大きな分野だけではなくて、更に具体的な訓練内容までひも解いて、分析を繰り返しながら方向性にあった支援の見直しを是非、御検討いただきたいと思っております。以上です。
○藤村協議会座長 分かりました。ありがとうございます。堀さん、どうぞ。
○堀構成員 どうもありがとうございます。労働政策研究・研修機構の堀です。私からは、先ほど議論になっておりましたが、23ページのマトリックスについてお願いしたいと考えております。このマトリックスは非常に分かりやすくて、とても良いものだと思うのですけれども、領域を比べて高い・低いという形で表現されているのだろうと推測するのですけれども、領域そのものの産業の特徴などもあると思いますので、ワンショットではなく、これからデータを積み上げて継続的なデータとして分析していただいて、こちらのマトリックスに反映していただけると、より分かりやすくなるのではないかと思いますので、是非御検討いただければと思います。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では、平田さん、どうぞ。
○平田構成員 ありがとうございます。資料の23ページにある就職率と応募倍率の分析は非常によいと考えていますので、こういう形で進めていただければと思っております。その上で、21ページの実績を興味深く拝見しましたけれども、応募倍率が高いにもかかわらず、定員充足率が低い訓練コースは、ミスマッチが生じている可能性があると思っております。もちろん人気が高いからといって、その効果が高いものとは限らないので、就職率も踏まえながら適切に、定員を補正していただければと思っております。以上です。
○藤村協議会座長 分かりました。では、事務局からお答えをお願いします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。御質問がありましたものから、まとめて説明させていただきます。まず、就職率等々に関してです。IT分野は、あまり就職率が高くないというところについてですけれども、IT分野に関しましては、人材のニーズは高いのですけれども、やはり実務経験を重視される企業側と、実際にITで働く方の側、訓練受講者側とのイメージの問題でミスマッチが一定程度生じているのかと考えます。それから、先ほど御指摘がありましたとおり、IT分野と申し上げましても、訓練の中にも様々な水準がありますし、身につけられるスキルというのも多様ですので、そういったことも一因かなと思います。ですので、ハローワークでは、求人の受理時に求人事業者が求めるスキルや内容を非常に明確に記載して御紹介させていただいたり、あるいは、訓練部門と求人部門が連携してマッチングの促進に努めたりもしております。また、来年度に向け要求している段階ではありますけれども、訓練の期間中に、企業経験が積めるような訓練コースの促進というのも考えておりますので、こういったもので就職率の向上を図っていきたいと考えております。
 それから、就職率に関しまして、何%からが高くて何%からが低いかという話がありました。確かにおっしゃるとおりかと思います。就職率に関しましては、それぞれ制度ごとに目標値があります。例えば、高齢・障害・求職者雇用支援機構の離職者向けの訓練の場合は、就職率について目標値80%と設定していますので、これより低いものは取組が不十分、高ければ達成できたというような考え方をしております。
 一方、応募倍率ですが、定員に対して100%を切るような状況、定員いっぱいまできていないというのは、やはり人気がないので、できる限り100に近づけていきたいのですけれども、地域の問題やレベルの問題もあって、100%ぴったりにはならないかもしれませんけれども、それ以上になるように受講勧奨をしていければいいなと思っております。
 マトリックスに関しまして御意見ありがとうございます。継続的にも見られるようにというお話がありましたけれども、おっしゃるとおりですので、今後とも、こういった実績につきましては継続的なデータとして確認していきたいと思っております。
 それから、デジタルの育成の関係で、230万人に関しまして在職者訓練も入っていますかというお話がありましたけれども、もちろん入っております。在職者も離職者も学卒も全て入れて、厚生労働省では13.5万人を目指そうとしております。
 訓練以外の統計のお話がありました。すみません。今日は、手元に訓練の関係しかないのですけれども、それぞれの制度で、それぞれ統計をとっておりますし、その都度、職業能力開発関係の調査も行っておりますので、そういったもので把握していくのかなと思います。以上です。
○藤村協議会座長 最後の点は、確か、医療事務の人数の関係ですね。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 はい、そうです。
○藤村協議会座長 分かりました。以上で、よろしいでしょうか。先に進まないと、今日は全部終わらないという状況ですので。では、議題(2)を終わりまして、議題(3)と議題(4)を合わせてやりたいと思います。議題(3)の今後の人材ニーズと、議題(4)の公共職業訓練について、事務局、そして経済産業省、文部科学省から、それぞれまとめて御報告をいただき、意見交換をしたいと思います。では、まずは事務局からお願いします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。厚生労働省から御説明します。資料は、通し番号の66ページを御覧ください。今回は、この協議会で、デジタル推進人材の育成について取り上げさせていただきまして、厚生労働省以外の省庁にも御協力いただきまして発表させていただきます。
 まず、私のほうからは、今年の6月に閣議決定されましたデジタル田園都市国家構想基本方針についてです。今後はデジタル技術を活用し、企業の生産性を向上するためには、やはり「デジタル人材の育成・確保」が重要になってまいります。そこで政府全体でデジタル人材の育成に向けて頑張っていこうということで、5年間で230万人育成しましょうというような目標を立てているところです。
 66ページの一番上の赤い字の部分ですが、5年間で230万人と、今年度から育成を目指しているところです。この230万人は累計ですが、単に5年間に、これだけというのではなかなか進まないので中間的なところといたしまして、まずは2024年度末までに年間で45万人の育成体制を各省庁で合わせて構築していきましょうという目標があります。その45万人に関して、厚生労働省の分がどれぐらいかと言いますと、青い部分なのですが、厚生労働省の教育訓練給付、公的職業訓練と、人材開発支援助成金の3つで、デジタル推進人材として13.5万人を育成する体制を構築しようと、今、取り組んでいるところです。
 1つ戻り、65ページを御覧ください。こちらは厚生労働省だけの取組について書いているものです。先ほどの3つの中で、公共職業訓練と求職者支援訓練、それから教育訓練給付について、どういった取組をしていくかということを書いた上で、最終的に2024年度に7万人を育成する体制を構築しようとして現在取り組んでいるところです。
 公共職業訓練と求職者支援訓練については、本年度からIT分野のコースをなるべく増やしていきたいと思っておりますので、ITSSという資格を取れる訓練コースについては、民間の教育訓練機関にお願いするときに支払う委託費を少し増額するということで、IT分野のコース、デジタル分野のコースをできる限り増やすということに取り組んでいるところです。
 それから、訓練に関しましては、今年度10月からは地域の協議会のほうで訓練ニーズを反映することができるようになりますので、こうした取組を通じながら、ITを含め、デジタル分野の訓練をなるべく増やして受講者を増やしていきたいというように考えているところです。厚生労働省からは、以上です。
○藤村協議会座長 では続きまして、経済産業省からお願いいたします。
○島津経済産業省経済産業政策局産業人材課長 経済産業省産業人材課の島津です。手元の資料では67ページ目からになると思いますが、投影させていただきます。
 1ページおめくりいただいて、経済産業省では、デジタル人材に限らず、人材投資について問題意識をもって施策を行っております。まず最初に御覧いただきたいのは、こちらのグラフです。左側のグラフは、日本企業のOJT以外の人材投資は、諸外国と比べて最も低く、低下傾向ということを示しています。出典は厚労省さんの「労働経済の分析」から取らせていただいたものです。
 それから右側のグラフは、「社外学習・自己啓発を行っていない人の割合」ということで、民間の調査機関が取ったものですが、これを見ますと、やはり諸外国と比較しても、不十分であることがうかがわれるということです。
 次のページは、企業の自己啓発に対するサポート状況で、どのようにサポートしているかということの調査で、内閣府の出典ですけれども、左側を見ていただきますと、自己啓発に対する処遇変化について聞いてみますと、赤色とピンクの所ですが、なかなか反映は難しいという実態が4割ぐらい出てきております。
 それから右側の支援制度ですが、企業の中で自己啓発を支援する制度の有無、あるいは活用の度合いということを見ますと、これも赤のほうを強調しておりますが、制度がない、あるいは制度はあるけれども活用されていないという所が半分近くあるということです。この中でも特に、先ほども議論がありますように、今はデジタル人材が大変不足しているということで、経産省でも、企業のデジタルトランスフォーメーションを進める中でのビジネスパーソンのニーズということで、政策体系を整理してまいりました。
 水色の所の文章を御覧いただければと思いますが、やはり企業のデジタルトランスフォーメーションのためには、特定の人材がデジタルスキルを身につければ進むということではなく、日本全体で全てのビジネスパーソンがリテラシーを習得することが重要だということを、まず指摘いたしまして、その中でも特に、ユーザー企業、これはベンダーではないものですが、ユーザー企業でデジタルトランスフォーメーションを推進する立場の方は、変革のためのマインドセットの理解・体得が重要で、その上で更に専門的なデジタル知識を身につけていただくことが必要であると整理をしております。
 図は、説明を割愛いたしますが、5つの専門人材の例示を作っていて、今後、この人材に求められるスキルについて、これから詳細にスキル標準を作っていこうと進めている最中です。
 少し前から、「リスキル講座認定制度」というものも始めております。こちらは平成29年度に創設されたものですが、現在、経済産業大臣が認定する講座数は112講座となっています。このページの中ほどですが、厚労省さんの教育訓練支援制度と連携させていただいております。一番下に、受講者に対する給付金の支給、それから企業に対しても助成金の支給、それぞれ要件を満たせば支給されるということになっています。
 このページからは、ここ10年、そして今年ぐらいから、更にデジタル人材育成を進めて政策を構築している内容の御紹介になります。産業と地域の企業のデジタルトランスフォーメーションを考えた場合には、図にありますように、やはり下地としての汎用スキルというものが重要で、ここについてはスキル標準を定義して、高等教育機関等と連携しながら、全国大で人材育成を進めていく必要があるであろうと、私どもは考えております。
 続きまして2段階の上のほうが、地域特性を踏まえる必要があるという内容になっています。九州・東北・中国等と書いてありますが、ここでは今、半導体産業に特化した産官学のコンソーシアムを形成しようとしています。それから関西については、蓄電池産業で育成しようとしています。
 次のページは、先ほど御紹介した2階建て部分の1階建て部分ですね。全国大でデジタル人材の育成を進めていくに当たり、プラットフォームの構築を厚労省さんも含めて、関係省庁さんと構築させていただいております。御案内かもしれませんが、まず最初に、「マナビDX」という1層目のポータルサイトを、どなたでもアクセスできるような状態にする。2層目にケーススタディプログラムというものがありますが、ただ学ぶだけではなくて、ケーススタディを使って実際のものに当てはめるということを提示しております。それから3層目ですが、やはり先ほど実務経験がないと企業の採用も進まないというお話がありました。ここは解決がなかなか難しいのですが、地域企業と協働いたしまして、地域の企業の実際の課題解決に学んだスキルを当てはめていくという予算事業も展開中です。
 次のページは「参考」ですが、今年中に、この専門人材5類型ごとのスキル標準を整理して策定したいと、経済産業省で考えています。
 こちらが先ほどの図の2階建て部分の、いわゆる地域特性を踏まえて、どのような産業人材を育てていったらよいかというところで、今年は力を入れて政策を講じているところになります。
 最初に、JASMと書いてありますが、これはTSMCの子会社です。熊本県に立地するということが決まりまして、ここで半導体産業基盤の強化をするということを始めております。ここは、図では少し細々と説明されておりますが、時間の都合でざっくり申し上げますと、この九州・沖縄の9高専のカリキュラムを少し変更いたしまして、このJASMに求められた半導体専門人材というものを教育機関、産業界と連携して育てようということになっております。
 これに続く動きとしまして、東北では「キオクシア岩手」や東北大学があります。それから中国地方では、マイクロンや広島大学を中心として、地域ごとのコンソーシアムを設立したいと思っております。こういったところで、地域ごとの訓練ニーズというのが出てきて、厚労省さんと連携が進めば効果的なのではないかと考えている次第です。
 今のが半導体であるのに対して、蓄電池のほうは正にこれからというところですが、関西エリアにおいて蓄電池関連産業が集積しておりますので、8月31日現在、人材育成等のためのコンソーシアムを御覧のようなメンバーで立ち上げようとしているところです。経済産業省からの発表は、以上になります。ありがとうございました。
○藤村協議会座長 どうも、ありがとうございました。では続きまして、文部科学省からもお願いをしたいと思います。
○神山文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課長 文部科学省の生涯学習推進課です。資料を共有させていただいて、お手元の資料に関しましては通し番号の77、78辺りからになりますが、これに沿って御説明させていただきたいと思います。
まず、全体の大学・専門学校等における社会人の学び直しの状況ですが、社会人の受講者数は、47万人程度いるということで、そのほかに、いわゆる公開講座というレベルのものに関しては、下のグラフにありますように、117万人程度が社会人として受講しているという状況になっています。
 そういった状況で、各大学とかが、いろいろな形でやっているわけですが、文部科学省が予算事業で支援している部分というものを若干、御紹介いたしますと、現在、行っているものは、特にデジタル人材、DX等の成長分野を中心に支援しているというものになります。右側にメニューが幾つかありますが、例えば1つ目に関しましては、DX分野のリテラシープログラムの開発や実施を支援するというものです。これは厚生労働省さんの職業訓練受講給付金などとの連携を図るような内容になっています。
 それより少しレベルの高いものとして、2つ目のメニューのリスキルプログラムのようなものもやっており、こういったレベル感のものについては、大学の強みが生かせるものではないかというように思っておりますし、また実施に関しては、左下の図にありますように、地元の企業が経済団体や労働局などと連携するという形で、こういった事業を進めています。
 実際の状況としては、この予算事業に関して、24都道府県・48機関・57プログラムを実施しており、ただ人数的には1,800名程度で、1つの講座当たり30名前後という感じになっております。次のページは地域の分布です。
 先ほどのは予算の御紹介でしたが、そのほかに予算事業ではなくて各大学の取組の支援ということで、文部科学大臣が実践的なプログラムについて認定をするという「職業実践力育成プログラム」、BPと呼んでいますが、そういうものも実用することで支援しています。その下のほうにありますように、今、339課程ほどを大臣認定していますが、これについても他の要件を満たす場合には教育訓練給付金の指定講座にしていただいて、連携しながら進めているというような内容になっております。こちらのBPに関しましては、令和3年度からDXを始めとする赤色の分野なども広げて促進を図っているというような状況です。
 続きまして、その情報発信サイトの運営について御説明させていただきたいのですが、文部科学省では、社会人の学び直しに関し、「マナパス」というポータルサイトを運営して情報発信に努めているところです。ここでは、大学や専門学校で社会人向けの講座はどんなものが提供されているのかという講座の検索ができるという機能がメインになっていますが、そのほかに特集ページを組んだり、ランキング機能を付けたり、あるいは、「いいね」が付けられるといったような形で、情報発信に努めているような状況になっています。もう少し「マナパス」を御説明させていただくと、マナパスの中にマイページ機能というのも搭載させていただいており、個人がそこに登録をすると、そこに学習記録を載せることができたり、また、こういった講座を受けたらどうかというリコメンド機能なども使えるというようにしておりますので、こういったものも様々な方に御利用いただければというように思っています。また、これからは学習履歴の可視化が重要だということですので、そのデジタルバッジや、オープンバッジのようなものも活用しながら、「マナパス」上に、そういった情報を載せられるようにしていきたいと考えています。
 さらに、企業側にも使いやすいようにするということで、企業側が職員にこういった講座を受講させたいという場合の検索もできるような形で、一般の方々の検索とは視点が違うと思っておりますので、企業側向けの検索ページのようなものも充実させて、改善もしていくというようなことをしていきたいというように思っています。
 それから、リカレント教育関係の来年度に向けての取組も若干、御説明させていただきたいと思います。これが文部科学省リカレント教育の全体像ですが、上のほうの赤い所がいろいろな角度からのプログラム開発、大学でのリカレント教育の実施を支援するもの、下のほうが、さらに学習基盤、情報提供などの形で基盤を整備していくということで、先ほど御紹介したマナパスなどは、下のブルーの一番右側の所に配置しています。
 そのほかに、この後、御説明をしますが、プラットホーム構築支援事業、ブルーの所の一番左のように、自治体とか大学コンソーシアムなどを通じて、産官学連携を進めながら、よりニーズに応じたリカレント教育を大学などが提供できるような体系も整えていきたいというように考えています。
 それぞれの予算事業をかい摘んで御説明しますと、先ほど御覧いただいた今やっているものも、さらに充実させるような形で、デジタルを中心にしたプログラムの開発として、大学でのリカレント教育の実施を支援する仕組みを来年度以降もできるような形で要求しております。
 そのほか専門学校などでは、より実務的な専門職業人材の養成に長けておりますので、そういった所が業界団体とも連携しながらリカレント教育を行えるような仕組みを支援するような形で進めたいと思います。特に、専門人材でも、例えば自動車分野においては、電気自動車の知識が必要になるといったことも出ていますので、知識のアップデートができるような所を支援できるようにしたいということも考えております。
 そのほか、大分レベル感が変わりますが、大学院レベルでのリカレント教育というのも支援したいというように考えており、そのための予算事業も検討しています。大学院レベルの中でも、さらにとがった人材と申しましょうか、想像力とかデザイン性、あるいは企画力なども、AIでは代替できないような人材を育成できるようなプログラムを検討できないかというようなことにも、併せて取り組んでいるところです。
 それからプラットホームと、途中で申し上げましたが、産官学連携の場というのも、特に注力して支援をしたいというように考えております。今までも各大学には、社会人教育、リカレント教育を行うときには、地元の自治体とか、関係機関との連携をするようにと、あるいは関係企業のニーズに沿うようにというようには申し上げていたのですが、それをもう少し複数の大学が一緒にやる、地域単位でやっていくというようなところを支援できるような仕組みも推進したいということで、今、予算要求をしているところです。
 予算が付いて実施できるようになったときには、地域の企業とか、労働関係団体とも連携しながら、よりニーズにマッチしたリカレント教育を大学が提供できるようにというように考えておりますので、必要なときには御協力いただければというように考えています。
 それから、リカレント教育の社会実装に向けた調査研究ということですが、実際に教育を受けたとしても、どれだけ職に反映するかなど、データとして効果が見えにくい点があるというようにも思っております。こちらについても調査研究をするような形で、分析を更に進めていきたいと考えているところです。
 それから、途中で申し上げた「マナパス」ですが、情報提供のほうも引き続き、来年度以降も、更に充実を図りたいと考えています。文部科学省のほうからは以上です。
○藤村協議会座長 どうも、ありがとうございました。引き続き、議題(4)について、厚生労働省政策統括官付統計・情報総務室政策企画官から、説明をお願いいたします。この説明終了後、議題(3)と併せて意見交換をしていきたいと思います。では、お願いいたします。
○戸田政策統括官付統計・情報総務室政策企画官 政策企画官の戸田と申します。私からは公共職業訓練の効果分析について御説明させていただきます。資料4、通し番号で言うと100ページからの資料です。まず、この資料の全体的な内容について御説明いたしますと、効果分析と申し上げているとおり、一般的に公共職業訓練の受講によって再就職の効果があるかというような観点で分析を行いました。ただ、この分析の特徴としては、職業訓練のいわゆる業務データだけではなくて、雇用保険やハローワークの業務データをひも付けて分析しているというところが特徴です。また、訓練分野別の分析も行い、今後、労働力の需要が高まる分野と言われている介護・福祉分野やIT分野の訓練については、訓練を受けた場合に当該産業に移動しやすいか、また、どういった訓練を行うことが効果的かといった観点で分析を行ったところです。
 まず通し番号101、102ページは結論を述べておりますので、そちらは後ほど御紹介させていただくとして、分析の結果について御紹介したいと思います。通し番号103ページのグラフを御覧ください。こちらは公共職業訓練に関して大まかに訓練を受講された方、受講されていない方について、前職の離職日からの経過日数に応じて無業者の割合の推移を見たものです。横軸100%から始まって下に行くほど、就職をした人の割合が増えていくというように見ていただければと存じます。最初は、いずれのグループ(受講者、非受講者)も、ともに100%失業している状態から始まって、離職直後において、訓練受講グループは、訓練を受けている関係で再就職しない傾向がうかがえますが、訓練を終えて徐々に就職する人が増えて、途中で非受講グループの就職率と逆転し、最後は受講者のほうが再就職割合は大きく上回っているという状況がうかがえます。また右側には、いわゆるこの訓練効果を使う際、分析する際によく使われているマッチング法といった手法で効果を検証しているところです。
 続いて、通し番号104ページです。今、御紹介したのが訓練全体の効果ですが、公共職業訓練において様々な分野について訓練をしているところですので、その分野ごとにおいて、先ほど示したグラフと、どう違っているかということを見たものです。再就職の速度については、訓練によって多少の差があるというところはありますが、いずれの分野においても、訓練後の再就職は順調に高まっているということがうかがえます。以上、4ページ目、5ページ目の結果から申し上げることとしては、訓練一般の再就職への効果については、分野を問わず、ある程度の効果があるというように考えております。
 続いて、通し番号105ページです。このページ以降は訓練の分野別に効果や課題を見たものです。105ページに関しては、新職の産業・職業に就いた者について、当該産業・職業に関連する分野の訓練を受講していた場合に、訓練を受けていない場合や、その産業・職業と関係のない訓練を受けた場合と比較して、他の産業・職業から移動してくる割合がどう違うかを見たものです。実際には様々な組合せで分析をしておりますが、ここでは代表的なものとして、医療・福祉のサービス職と事務職、情報通信の技術職などの結果を載せております。
 まず、左側にある新職が医療・福祉のサービス職という所を御覧ください。こちらについては介護や保育サービスを想定しておりますが、この点については関連する分野の訓練を受講したグループで、他の産業又は職業から移動してくる人の割合が9割を超えるという高い数値となっております。他の分野については、こういった他産業や職業からの移動割合が特段高くなるといった結果は見られておりませんので、介護・福祉分野に関しては、受講した場合に他産業や職業からの移動を促す効果があるというように考えております。
 駆け足で恐縮ですが、次に通し番号106ページです。以降の分析については、特に注目している介護・福祉分野と、その後はIT分野について結果を御紹介させていただきます。介護分野については先ほど御紹介したように、訓練を受けた場合の再就職の効果、そして前のページで御紹介したように、他の産業・職業からの労働移動を促す効果がある可能性が示されております。
 通し番号106ページの左側にあるように、介護分野は先ほど御紹介したように応募倍率や定員充足率が低いというところから、そもそも人が集まりにくいという課題があります。この課題に対して、訓練受講のターゲッティングを改善する余地があるというように考えております。具体的には、どういった方が介護分野の訓練を受けると介護分野に就職しやすいかを分析し、重点的に受講を呼び掛けるということが考えられます。その上で、介護分野については、対人サービスやホスピタリティのような要素が強いと思われますので、介護職といったタスクの性質が近い職種の経験者、例えば飲食、宿泊サービスや生活衛生サービス職の方々は比較的なじみやすいのではないかという仮説を立てて、前職と介護職のタスクの距離を日本版O-NETのデータから算出して、これと福祉分野への就職割合の関係を見たというところです。
 その結果が、106ページの右側のグラフです。見方としては、横軸については介護・福祉職とのタスク距離を示しており、左に行くほど介護・福祉職とタスクの性質が近く、右側に行くとタスクの性質が遠いというところです。縦軸は福祉職に関連した職業に就職されているかという割合です。緑の所が福祉職との距離が近い職種の受講者についてです。ある程度、関連就職割合は高いように見える一方で、このグラフの右側にある福祉職との距離が遠い職種においても、ある程度、関連就職割合は高いというところです。ですので、状況としてはタスクの距離と余り関係なく、介護・福祉職の訓練を受けた方に関しては、関連した職業に就職されているという状況です。
 続いて、通し番号107ページです。実際にどういう方が介護の訓練を受けているかというものを示したものです。左側の表は、介護・福祉分野の訓練を受けている者の割合が高い職種です。医療・福祉系などのタスクの距離が近い職種もありますが、ビル・建物清掃員や事務員など、介護職種との距離が遠い職種が、ある程度含まれるというところがあります。以上が介護・福祉分野に関する訓練の分析でした。
 続いて、通し番号108ページのIT分野に関する訓練分析について御紹介いたします。108ページの左側においては、IT分野訓練受講者が、その後どういった産業や職業に就職されているかというところです。赤色で囲んでいるように、一番上からサービス業 事務的職業、公務 事務的職業などの事務職に就職されているという傾向があります。左側の上から3つ目に情報通信業 専門的・技術的職業も出ているというところです。
 一方で、IT分野訓練受講者の新職産業・職業別に訓練に関連した就職割合は、右側のグラフですけれども、こちらはサービス業 事務的職業、公務 事務的職業の所に赤色の囲みを付けていますが、IT分野の訓練を経て事務職に就職した者でも、訓練に関連した就職をした者が一定程度いるというところです。IT分野の訓練受講者には、事務職のほうがITスキルを身につけて新しい仕事で事務職として、そのITスキルを活用しているというところがうかがえるかということです。
 続いて、通し番号109ページです。先ほど見たところを実際に回帰分析といった分析手法によって分析したものです。新職が、サービス職、いわゆる事務職になる方、右側のグラフが情報技術者になる方について要因を分析したものです。まず左側のグラフです。特徴としては、新職が事務職になる方は前職が派遣や事務職であると、新職はサービス業の事務職になりやすいというところです。一方、右側のグラフですけれども、情報技術者の特徴としては、女性でITの訓練を受けている方に関しては、新職において情報技術職になりにくいという結果です。女性が情報技術者になりにくい傾向については、次のページ以降で少し深掘りした分析を行いました。
 続いて、通し番号110ページです。先ほども御議論ありましたように、IT分野の訓練については様々あるというように承知しております。IT分野と一括りに言っても、いろいろな内容がある中で、もう少しそこを細かく見たところ、男性と女性で、IT分野の中でも受けていらっしゃる訓練の内容が違うというところが分かりました。女性については特に、右から3つ目の「情報ビジネス科」はカリキュラムにPCやソフトウェアの操作が含まれる訓練ですが、こちらの割合が高いというところです。
 こうしたところを踏まえて、情報ビジネス科のような、いわゆるユーザーレベルの訓練を行う訓練と、より高度なIT訓練に分けて分析を行ったところです。その結果が通し番号111ページです。ここに、いろいろと回帰分析の結果をまとめておりますけれども細かい結果のみ3点ほど申し上げたいと思います。①です。先ほど示した内容にも関連しますが、訓練分野にかかわらず、女性は男性よりも情報技術者になりにくい傾向がうかがえます。次に②です。情報ビジネス科以外のIT分野の訓練をIT専門訓練と呼ばせていただきますが、性別にかかわらずIT専門訓練を受講した場合は、非IT分野の訓練を受講した場合と比較して、情報技術者として再就職しやすいという傾向があります。最後に③です。IT専門訓練のこうした効果を性別で違いがあるかを検討したところ、性別での違いは統計的に見られず、女性であってもIT専門訓練を受講した場合は、情報技術者として再就職しやすくなるという傾向があるというところです。
 このように、女性であってもIT専門訓練を受講した場合は情報技術者に就職しやすいとすると、女性のデジタル人材の課題として、そもそも女性で情報技術者を希望する方が少ないことがあるのではないかということが想定されます。この点を確認したのが、通し番号の112ページです。文字が小さく見にくくて恐縮ですが、①のIT分野訓練受講者の訓練種別希望職種について見ると、左側のパネルの男性についてですが、「情報ビジネス科受講者」では、一般事務の職業が多い一方で、「IT専門訓練受講者」は、情報処理・通信技術者が多い状況です。それに対して右側の女性についてですが、「情報ビジネス科受講者」と「IT専門訓練受講者」いずれにおいても、一般事務の職業を希望されています。
 前に示した回帰分析等の結果においては、女性にはIT専門分野を受講すると情報技術者になりやすくなるという傾向がありましたので、IT分野の訓練を受講する女性のうち多くの方が一般事務の職業を希望されているために、IT分野の訓練を受講された女性の就職先としては情報技術者よりも事務職のほうが多くなっているという結果がうかがえるところです。
 女性においては、IT専門分野の訓練の受講により情報技術者として就職しやすくなる傾向がある一方で、多くの女性が事務職へ再就職を望んでいるため、新職職業の構成としては事務職が多いといった結果になっているという分析です。以上が、分析の結果で、これを踏まえたインプリケーションに関しては、通し番号101、102ページに記載しております。時間の関係上、こちらは御覧いただければと思います。説明は以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございました。議題(3)と(4)に関する資料を一気に御説明いただきまして、ここから質疑に入っていきたいのですが、全体の時間もございますので、質問、意見を手短にお出しいただいて、お答えいただくというようにしたいと思います。質問、意見のある方は、手を挙げるボタンでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。では河島さん、どうぞ。
○河島構成員 ありがとうございます。手短に質問と意見を2点、申し上げます。まず、質問ですが、議題(3)についてです。文部科学省さんの説明の中で、地域のニーズに応えて、その自治体等とでコンソーシアム、プラットホームを作られるというお話がありました。正に、在職中の方の学び直しというのは非常に重要かと思っております。実は、京都府でも大学(33大学)、それから公労使を含めた54団体で、いわゆる京都府のリカレント教育推進機構というものを立ち上げておりますが、今後このプラットホームは各府県において産学官連携の形で設置を進めていこうとされているのでしょうか。
 それから、議題(4)の効果分析については非常に有益、かつ非常に興味深い分析をしていただきまして、ありがとうございました。京都府も非常に雑ぱくですけれども、やはり訓練を受講されている方と、受講されていない方との間には、就職率とか、その後の定着率には明らかな優位性が見られるというデータも出ているところです。訓練内容は非常に素晴らしいと思っていますが、自治体レベルの現場の苦労としては、そうした非常に素晴らしい訓練を提供しているけれども、その訓練の入り口になかなか来ていただけません。先ほど来、お話がございましたが、現下の状況としては、非常に人手不足で、いわゆる求職者の方は、言葉が適切ではないかもしれませんけれども、訓練を経ずして容易に次の仕事を見つけられるという環境に今現実としてはなっています。なかなか訓練の入り口に来ていただけないという悩みといいますか、状況にあるということだけ、意見として申し伝えさせていただきたいと思います。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では北村さん、どうぞ。
○北村構成員 ありがとうございます。効果分析のほうで少し御質問ですが、104ページの「無業者の割合の推移」、説明でもございましたけれど、当然、速度は訓練によって差があるというとおりですが、このギャップのところはどんな形であるのか。特に、IT分野と医療関連分野は、随分差があるというような気がしますので、是非この中身を知りたいと思います。それから今後の分析の中で、ITの男女別とか、年齢別になると、多分この分野は、就業される方のニーズのマッチングが非常にあると思っていますので、そんなところを是非お願いしたいと思っています。
 それと、105ページに訓練種別がありますが、福祉関係に就業される方は、他職種からの転職も多いのですが、世の中、エッセンシャルワークに目指していかれるとか、社会貢献度の高いところとか、今いろいろな福祉、高齢社会への貢献とか、そういった志望動機は十分あると思っています。その部分については、当然、人員不足が影響してアップするということ。あと、スピード感ですが、ここは職住接近、近いところとか、そういうのもあるのですが、就職が、いわゆる採用側のほうのニーズとして喫緊の要請があったりという、採用したいというところがあると思っています。やはり、そんなところが反映しているのだなと。とても面白い分析結果だと思っています。今後、詳しい分析を是非知りたいと思っています。大変ありがとうございます。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では、ここでお答えをいただきたいと思います。まず、文部科学省のプラットホームですね。お願いします。
○神山文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課長 御質問ありがとうございます。文部科学省です。プラットホーム事業については、来年の予算要求では、この10箇所程度、ブロックごととか、主体別で、ある程度リーディングケースを作りたいと思っていますが、御指摘のように産学官連携して、その地元のニーズ把握ですとか、特にマッチングなどを組織的にやっていけるようなところは、今後、ご協力して後押しをしていければと思っています。
 また京都府から、先ほど御紹介があったように、かなり先進的に既に取り組まれていらっしゃるところもあると思うのですが、こうした文科省側の後押しなどと相まって、良いグッドプラクティスを作っていただけると、今後の取組の支援にもなるかと思っています。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。もう1点、河島さんから出たのですが、訓練にどうやって持っていくかという、そこはいかがですか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。京都府の河島様、ありがとうございました。なかなか訓練を受講せずに、すぐに就職されてしまうというような御意見がございました。私どもといたしましても、職業訓練を受けることによっての就職へのメリットですとか、訓練の中身の魅力発信というものに日々努めているところです。最近はSNSなども活用して周知を行っているところですので、更なる受講勧奨をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では、戸田さんですね。効果分析に関する御質問に対して、どうぞ。
○戸田政策統括官付統計・情報総務室政策企画官 御質問ありがとうございます。104ページ目の、分野によって就職の状況が違うところは、詳細な分析ができていないところですが、いろんなところで労働市場の環境ですとか、あと個人の受講された方の御事情とか、いろいろあると思いますので、分析してまいりたいと考えています。また、年齢別のところは、まだ少しこちらでは分析ができていないところですが、御意見を頂きましたとおり、いろいろと年齢によって違うところも承知しておりますので、今後分析してまいりたいと思います。御意見ありがとうございました。
○藤村協議会座長 ありがとうございました。ちょっと急ぐようですが、次の議題(5)に行きたいと思います。恐らく、ここは皆さん方の御意見がたくさん出てくると予想されますので、まず事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。私から、資料5に基づきまして御説明させていただきますが、その前に、チャット等で御意見を頂いておりますので、2点ほど先にお応えさせていただきます。
 まず、訓練に関しましては、全体的なニーズだけではなくて、個々の訓練者の就業条件とかの分析、あるいは採用企業とのマッチングも非常に重要になるとのお話がございました。おっしゃるとおりでございます。地域の協議会のほうですけれども、ワーキングチームを設けまして、個別の訓練カリキュラムがどうだったかというのを、採用された企業とか、受講された方々にもヒアリングしながら検討していきたいと思いますので、全体的な作業ニーズだけではなくて個別の検討も行っていきたいと思っております。
 それから、先ほど資料2-1で説明させていただいたものの中に「応募倍率」がありました。応募倍率が非常に高い分野があるのですが、実際には、受講された方々が定員に対してどのくらいだったかという割合、充足率が100%になっていない状況がありました。これについては、同じ分野に所属する訓練であっても、個別の訓練コースで見ますと、受講希望者が定員の数倍集まるものもあれば、受講希望者が集まらずに充足が低いものもありますので、全体で集めますと、定員充足率が100%にならないこともあるということを御理解いただければと思います。
 それでは、資料5の説明に入らせていただきます。通しの番号で、資料116ページになりますので御用意ください。こちらは、来年度のハロートレーニング(公的職業訓練)に係る令和5年度の概算要求の状況です。公共職業訓練の全体と求職者支援訓練の訓練部分だけのお金で、右上ですが、要求額は1,170億円です。括弧内が今年度(令和4年度)の予算額です。訓練規模は、受講者数で見たものですが、41.2万人程度ですので、去年より少し増えているような状況です。増えたところを御説明しますと、公共職業訓練の在職者訓練で3,000人ほど増えています。右側が障害者訓練に関するもので、その下に求職者支援に関するものを記載しています。
 次の117ページを御覧ください。来年度の概算要求では、先ほど申し上げたとおり、デジタル分野の訓練を増やして、育成数を増やしたいと思っておりますので、デジタル分野の重点化を行っております。左の下ですが、事業の概要を御覧ください。できる限りデジタル分野の職業訓練の訓練数を増やしたいので、民間の訓練実施機関にお支払いしている委託費については増額するなどによって訓練設定数を増やそうとしています。2事業の概要の①は、今年度も実施中ですが、IT分野に関してIT関係の資格取得を目指す訓練コースについては、民間訓練機関にお支払いしている委託費を増額する措置を行っています。②はWebデザインで、同じようにWeb関係の資格取得を目指す訓練についても増額するつもりで新規の要求をさせていただいております。③ですが、先ほども少し申し上げましたが、やはりIT関係、デジタル関係は実践的な経験を踏んだほうが就職に結びつきやすいということもありますので、企業実習を訓練期間中に組み込むものについては、委託費などを増額する措置を新規で考えています。最後ですが、最近はeラーニングコースということで、オンデマンドの訓練も実施させていただいているのですが、なかなか受講者の方がパソコンをお持ちでないということで、受講機会をなくしていることもございましたので、訓練機関のほうで受講者の方にパソコンを貸し出す場合に関しては、その実費に関して委託費としてお支払いすることを考えて、新規の事業として要求させていただいております。こういったものを通じて、デジタル関係の訓練コースを増やしてデジタル推進人材を増やしていこうと考えているところです。ここまでが来年度の概算要求に関するものです。
 最後に、118ページを御覧ください。資料5-2になります。本日の一番重要なところです。本協議会で全国職業訓練実施計画を作っていくために、来年度の実施計画の策定に向けた方針について示させていただいたものです。職業訓練実施計画を作るにあたっては、今までの説明のとおり、実績の状況を分析したり、あるいは計画と実績の乖離を見たり、それから全国的な人材ニーズを踏まえた設定に向けて考えていく必要がありますので、それぞれについてまとめさせていただいております。左側の四角が事実関係で、右側がそれを踏まえて、どう改善していくかという方針です。
 最初の①②は実施状況、実績からの分析を踏まえた方針です。まず、①就職率が高く、応募倍率が低い分野の訓練がありました。例えば、介護・医療・福祉ということで御紹介させていただきました。方針としては、応募や受講しやすい募集や訓練日程の検討が必要と考えております。それから訓練コースの受講勧奨、やはり周知の強化が必要と考えております。次に②ですが、応募倍率が高いにもかかわらず就職率が低い分野です。実績から見ますと、IT分野やデザインの分野が該当します。こちらについては求人ニーズに即した訓練内容になっているか、就職支援策が十分かという観点から検討が必要と思われます。更に先ほど議題の4番目で御紹介しました効果検証の結果も踏まえて、ハローワークと連携した就職支援の強化が必要と考えております。
 次は、「計画と実績の乖離」の観点です。今日は参考資料として用意し、御紹介はできなかったのですが、令和3年度の計画と、先ほど御紹介しました実績と比べてみて、そのミスマッチ状況についてまとめ、更に改善の方策をお示ししております。まず、③ですが、求職者訓練のうち基礎コースは令和3年度の計画では認定規模の5割程度としていましたが、実績は2割程度でした。方針としては、就労経験が少ない方のためには社会人としての基礎能力を付与する基礎コースが非常に重要ですので、基礎コースの設定を推進するとともに、実態を踏まえた計画の策定が必要かと考えております。
 次に④です。公共職業訓練の中の都道府県からの委託訓練ですが、計画数が13.5万人程度あったにもかかわらず実績は7.4万人でした。こちらの乖離については、もちろん方針として訓練コースの設定を進めるとともに、やはり実態を踏まえた計画数の検討が必要と考えております。
 最後は人材ニーズの観点です。今日、何回も御紹介しておりますとおり、今、デジタル人材が質・量とも不足しており、都市圏偏在が課題です。こちらについての方針としては、職業訓練のデジタルの分野への重点化が必要かと考えております。以上です。協議のほど、よろしくお願いいたします。
○藤村協議会座長 どうもありがとうございました。今日は11時30分までという予定で始めておるのですが、10分程度延びそうということを御了解いただきたいと思います。
 では、この議題(5)について御意見、御質問をお願いしたいと思います。挙手のボタンを押してください。では関口さん、どうぞ。
○関口構成員 117ページ、2の事業の概要の③ですが、「企業実習を組み込んだコースの委託費等の上乗せ」というのがあります。企業実習は、私どもの経験でも実践性とか、学んだことの統合性とか、その仕事を好きになるという意味でもとても大切な要素でありますので、良いことだと思うのですが、IT分野については、開発情報の秘匿性とか、そういう観点があるのです。企業実習を現場でやるのはなかなか難しいということは、私どもの認識であります。
 では、どうしているかというと、学校の中に隔離空間といいますか、情報上のですね、そういうものをきちんと作った上で、企業からの開発課題を実際に開発するというような実習を、企業の方が講師になって、授業の設計から方策、そして実施と評価まで、学校と連携してやっていただくというようなやり方でやるというところが現実に多いかと思います。その辺の事情を踏まえて、ここで「企業実習を」という場合には、企業実習の範囲であるとか、ある程度の定義というものを明確にしないと混乱があるのではないかと思いますので、意見として申し上げました。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では冨髙さん、お願いします。
○冨髙構成員 ありがとうございます。資料のマトリックスを踏まえた今後の方針に関してですが、②のIT分野の「応募倍率が高く、就職率が低い分野」への対応は、資料に記載の通り、求人ニーズに即した訓練コースの設定や就職支援策の充実が必要だと思います。今後、地域の協議会におけるワーキンググループでの効果検証等も踏まえ対応いただきたいと思います。一方で、①の「就職率が高く、応募倍率が低い分野」に関して、訓練の方向性としては記載の通りかと思いますが、この部分はやはり求職者が応募したいと思えるような処遇等も重要になるかと思います。この場だけでの議論で完結する話ではありませんが、やはり処遇の面とセットで課題を解決していかなければ、就職率は上がらないと思いますので、今後の検討が必要と考えております。
 また、デジタル人材の訓練については、地域偏在等も課題だと思います。先ほど御説明があったかと思いますが、IT訓練コースの未設定地域はまだまだありますので、全県で完全に訓練が受講できるように、未設定地域における支援も是非お願いしたいと考えております。
 加えて、IT分野の女性の参画の課題に関する分析は丁寧にやっていただいたと思いますが、その分析を受けて、今後どうしていくのかというところが見えなかったところがあります。先ほどの①の「就職率が高く、応募倍率が低い分野」での発言にも通じる話ですが、この部分も就業環境の整備等が影響していると思いますので、そういったところも含めて、今後のどのように対応するのかという点が重要だと考えております。
 最後に、国で人への投資に関する施策が推進されており、その施策と連携した職業訓練の活性化が重要だと考えておりますが、その中でも非正規で働く方たち、多様な事情を抱えている人たちも含めて、職業訓練を通じてスキル・キャリアの向上につなげていく仕組みを構築することが重要だと思います。今後、是非、受講者の属性や希望等も踏まえた訓練設定をしていただいて、能力開発全体の底上げを図っていただければと思います。以上です。
○藤村協議会座長 はい、分かりました。では北村さん、どうぞ。
○北村構成員 5-1の④オンライン訓練におけるパソコン等の貸与ですが、大変有り難いことだと思っています。この中の但し書きにありますとおり、デジタル分野以外の訓練も対象ということで、御案内のとおり、このコロナ禍におきまして様々な訓練、様々な試験もそうですが、特にIT化が進んでおります。多分、専門学校等もデジタル化ということでコンピュータを置いているし、他分野でも様々なニーズがあると思っています。そして、御案内のとおり福祉専門職や医療関連分野を目指す方も、若年層の方、18歳から20歳前後方はコンピュータの所有率がとても低いというデータを見たことがあります。そんなことで是非、この分野も含めて、幅広く対応いただければと思っております。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では清田さん、どうぞ。
○清田構成員 ありがとうございます。手短に申し上げます。公共職業訓練は非常に重要な施策であって、今後重視していくべき内容ということは理解しております。ただし、財源として雇用勘定を活用するという場合に関しては、既に雇用勘定が枯渇化しているという状況を十分に踏まえて、運用規律の徹底というのは不可欠だと思っております。PDCAをしっかりと示されているような形で回していただいて、本当に必要な施策に重点的に予算措置をとるという形の運用をお願いしたいと思っております。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。河島さん、どうぞ。
○河島構成員 ありがとうございます。資料118ページの④の「委託訓練の計画数と実績の乖離」はそのとおりかと思いますが、例えば京都などでも結局、その訓練を実施していただく事業者の数が少ない、あるいはいろいろな要件上から、結局は計画を進めても講座を実施できないという状況があります。例えば、その委託料単価の見直しとか、あるいはeラーニングコース等の対象者の要件緩和といった周辺の環境整備も、併せて考えていただければ幸いです。以上です。
○藤村協議会座長 ありがとうございます。では、お答えを頂きましょうか。どうぞ。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。では、最初から申し上げます。企業実習の来年度の要求の関係で、秘匿性が高いので、相手先の民間企業に行くのではなくて訓練実施機関のほうに、秘匿性が高い、問題がない環境を用意して、実習先の企業の方に来ていただくというお話ございました。大変有り難い情報です。仮に、来年度予算が付きましたら、そのような点も踏まえて運用を考えていきたいと思います。
 その次ですが、冨髙委員から、就職率が高いけれども応募倍率が低いものとの関係だと思うのですが、処遇面の問題等々もあるのではないかというお話がありました。これは介護の話ではないかなと思うので、介護だけで御説明させていただきます。おっしゃるとおりで、例えば介護の人材確保の場合は、処遇改善とか、職場環境の改善と人材育成や就業促進ということも含めて、総合的に取り組んでいくことが重要かと思われます。介護の関係の場合は、厚生労働省としても随時改善に取り組んできているところです。それから訓練に関して申し上げれば、今、人材確保ということで、ハローワークと訓練の実施機関と福祉人材センターが連携して、できる限り介護福祉分野への就職支援を行っているところです。職業訓練体験に関して言いますと、少しでも介護の魅力というものを知っていただくために、現在、職場体験とか見学を組み込んだ訓練コースの設定も促進しており、こういったものを通じて、介護で働いても働き甲斐があるなというのを御理解いただけるようにしているところですので、こういった点も伝えながら、ハローワークでしっかりと積極的な受講勧奨を行って、受講者の確保に努めたいと思っているところです。
 それから、地域隔差のお話もありました。こちらについては、例えばITの場合などは、IT分野の訓練の設定のない県ではやはり委託費に上乗せをして、少しでも実施機関に訓練を実施いただけるような工夫もしているところです。ありがとうございます。
 それから、先ほどの資料4との関係もあり、IT分野の女性のITへの就職率が低いものですが、この就業環境の観点もあるのではないかというお話がありました。私どもとしては、やはりITの現場というものを少しでも知ってもらってイメージを持ってもらうのも重要かと思っており、そういう観点でも来年度の要求に企業実習を取り入れた訓練を設定促進しているところです。あるいはハローワークと連携して、ハローワークの求人にも、どんな資格が必要かを書いてもらって、訓練ではどんな資格が取れるかを明示し、マッチングしやすくする。こういう求人があるというのを分かってもらった上で訓練を受けるというような取組もしているところです。
 次に、非正規の方も含めてキャリアアップも考えていくべきではないかというお話がありました。こちらについては、職業訓練そのものがそもそも非正規の方から正規を目指すキャリアアップにもつなげていただくものです。あるいは求職者支援訓練ではなかなか就職に就けない方が就職に結びつく、非正規だったけれども正規につなげることも含めて考えた訓練設定をしているところですので、これらをもっと活用いただけるように努力していきたいと思います。その際には、やはり受講者一人一人の希望も踏まえながら訓練設定を進めていきたいと思います。
 その次ですが、オンライン訓練のパソコンの貸し出しについてのお話ございました。これはあくまでも現時点の私どもの要求の姿です。この後、どのような査定を受けるのか分からないのですが、こういったものも含めて、パソコンのない若年層の方にも訓練を受けていただけるような環境整備をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 また、日商さんから、必要なところへの予算措置というお話がありました。ありがとうございます。おっしゃるとおりで、我々も執行状況なども見ながら予算を増やしたり減らしたりということをして、できる限り必要なものへの予算措置をしていきたいと思っております。
 最後に、京都府の河島様から、訓練を実施する事業者が少ない所もあるというお話がありました。私どもとしましても、できる限り事業者の方に参入いただきたいと考えているところです。ですので、その都度、訓練の要件の見直しなどもさせていただいております。それから訓練設定を増やしていただくために、先ほど来申し上げているとおり、委託費等の上乗せ措置をいろいろ考えているところですので、また皆様方の御意見なども踏まえながら制度について考えていきたいと思います。以上です。
○藤村協議会座長 どうもありがとうございました。事務局は、本日頂いた御意見や今後の各都道府県の地域職業能力開発促進協議会における議論も踏まえつつ、来年度の全国職業能力訓練実施計画について検討作業を進めていただくようお願いいたします。
 あと、10分いただきまして、最後の議題(6)職業能力の開発及び促進の向上に資する取組について、人材開発統括官付政策企画室長、それから訓練企画室長から説明をお願いいたします。
○鈴井人材開発統括官付政策企画室長 ありがとうございます。政策企画室です。私からは「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」について説明させていただきます。資料6-1の1枚目、通し番号で119ページを御覧ください。ガイドラインの本体は後ろに付けておりますが大部になりますので、こちらの概要紙で説明させていただきます。このページの一番上の「意義」です。「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」は、職場における人材開発(「人への投資」)の抜本的強化を図るため、企業労使が取り組むべき事項等を体系的に示したものです。2つ目のマルですが、企業の人的資本投資(人的資本経営)の関心が高まっている中で、このガイドラインは、公労使が参画する労働政策審議会における検討・審議を経て、その「具体的内容や実践論」の全体像を体系的に示すものとして策定されたという意義がございます。
 その下は、内容面のポイントです。変化の時代における労働者の「自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直し」の重要性と、学び・学び直しにおける「労使の協働」の必要性を強調しており、企業労使の実践に資するよう、「基本的な考え方」「労使が取り組むべき事項」「公的な支援策」の3部で構成しております。
 2つ目のマルですが、第Ⅱ部の「労使が取り組むべき事項」においては、「学びのプロセス」に沿って、「取組の考え方・留意点」と「推奨される取組事例」を具体的に提示しております。ここでの「学びのプロセス」というのは、括弧の中の①~④に書いてあるように、①能力・スキル等の明確化、学びの目標の共有→②効果的な教育訓練プログラムや教育訓練機会の確保→③学びを後押しする伴走的な支援策の展開→④持続的なキャリア形成につながる学びの実践・評価という流れになります。
 また、3つ目のマルですが、「労使の協働」を実効あるものにするために、①学びの基本認識共有のための「経営者」の役割、②学びの方向性・目標の擦り合わせやサポートを行う「現場のリーダー」の役割、③自律的・主体的な学び・学び直しの後押し・伴走を行う「キャリアコンサルタント」の役割を強調しているほか、④「労働者相互」の学び合いの重要性も指摘しております。
 さらに、第Ⅲ部の「公的な支援策」では、厚生労働省のものにとどまらず、経産省や文科省の事業なども含めて広く公的な支援策を掲載しております。併せて、学び・学び直しに取り組んでいる企業事例も紹介させていただいております。
 120ページと121ページの2枚紙で、ガイドラインの概要について、もう少し詳しく記載した内容を付しております。時間の関係で詳細な御説明は省かせていただきますが、少しだけ御紹介いたしますと、Ⅱに、具体的な6つの柱、13の取組事例に分けて、その取組の考え方、留意点や推奨される取組事例について具体例を記載しております。内容は、後ほど御覧いただければと思います。その資料の後ろに、ガイドラインの本体や、先ほど御紹介した企業事例などの資料も付けておりますので、これも後ほど御覧いただければと思います。
 先ほどの119ページに一旦戻っていただければと思います。一番下の「普及・促進」です。ガイドラインは、策定して終わりではなくて、周知・普及・促進が重要だと考えております。経営層から労働者個々人まで広く周知を図っていくことで、学び・学び直しの気運の醸成、それから環境整備の促進に取り組んでいきたいと考えております。実際にガイドラインが策定された今年6月以降、労使団体の皆様の御協力をいただきながら、各種セミナーで講演をさせていただく等も行ってきているところですが、さらに各地域における周知を行っていきたいと考えており、地域協議会などにおいても、労働局からガイドラインの趣旨や内容の周知を行う等、進めていきたいと考えております。引き続き御理解、御協力を賜わりますよう、よろしくお願いいたします。以上です。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 それでは続きまして、人材開発支援助成金について御説明させていただきます。資料は6-2、188ページです。人材開発支援助成金は、企業において雇用する労働者に職業訓練を実施する事業主等に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。人への投資を促進する観点から、3年間4,000億円規模の施策パッケージの1つとして、今年度から、この人材開発支援助成金に人への投資促進コースを創設したところです。人への投資促進コースでは、国民の方々からのアイディアを募集した結果を踏まえており、例えば高度デジタル人材訓練や、定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)にも助成をしているところです。現在、私どもとしては積極的な活用勧奨にも取り組んでおります。皆様方におかれましても、この「人への投資促進コース」も含め、人材開発支援助成金について是非、周知等の御協力をお願いいたします。以上です。
○藤村協議会座長 分かりました。どうもありがとうございます。議題(6)については質疑をしている時間がございませんので、それぞれの委員の方がお気付きになった点、あるいは議題(6)にかかわらず、非常に大部の資料を今日は配られておりますので、それについての御意見、御質問を個別に事務局にお出しいただければと思います。予定の時間を少しオーバーしておりますが、一応、ここまでで、本日の中央職業能力開発促進協議会を終了としたいと思います。事務局にお返しいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 藤村座長、ありがとうございました。また、本日御参加の皆様方におかれましては長時間ありがとうございました。本日の御意見を踏まえ、全国職業訓練実施計画の策定に向けた検討を進めてまいります。また、本日の議事については構成員の皆様の確認を経た後で、資料とともにホームページで公開することとし、併せて本日の協議内容は地域で開催される協議会でも御紹介していくこととしております。次回の開催については、来年2月頃を予定しております。別途、事務局から御連絡させていただきます。本日はありがとうございました。