第4回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和4年10月21日(金) 12:00~14:00

場所

AP新橋 Bルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス)

議題

  • (1)今後の検討に当たっての論点について
  • (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 先生方、皆様おそろいですので、ただいまから第4回「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきたいと思います。
 初めに、構成員の先生方におかれましては、本日全員御出席との御報告をいただいてございます。10名の構成員の先生方が会場での御参加、井上構成員、小黒構成員がオンラインでの御出席との御連絡をいただいてございます。
 我々のほうでございますけれども、伊佐厚生労働副大臣が遅れて御出席して、途中で退席されるという予定になってございまして、本田厚生労働大臣政務官が遅れてオンラインでの御出席予定となってございます。
 なお、本日でございますけれども、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からYouTube配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料につきまして確認をさせていただきます。
 会場におられる構成員の皆様方のお手元にあるタブレットには、本日の議事次第のほか、資料として事務局から資料1「今後の検討に当たっての論点について」、資料2について「参考資料」、参考1として「開催要項」、参考2として「構成員名簿」を配付させていただいているところでございます。
 また、別のフォルダーになりますけれども、これまでの検討会の資料を御用意してございますので、御参照いただければと思います。
 以上につきまして、不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 よろしいですね。
 それでは、以降の議事進行につきましては遠藤座長のほうに、よろしくお願いいたしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、カメラの頭撮りは、これまでにしていただきたいので、マスコミの皆様におかれましては、恐縮ですけれども、御退室をお願いしたいと思います。
 以降の傍聴につきましては、会場外のYouTubeにて見ることができますので、そちらでお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 それでは、議題に移らせていただきます。
 まずは議題の1でございます。議題1「今後の検討に当たっての論点について」、資料の1として前回の検討会での意見と、それを踏まえた論点案の修正案について、事務局が作成しております。
 また、資料の2、参考資料というものもございますので、資料の1、資料の2を事務局から説明をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料の御説明をさせていただきます。
 まず、資料1「今後の検討に当たっての論点について」を御覧ください。
 こちらの資料では、前回お示しをいたしました論点案、こちらは、本検討会の後半の議論における検討テーマを挙げたものでございますが、この論点案をお示しした資料でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 こちらには、前回の第3回検討会でいただきました主な御意見を挙げさせていただいております。
 まず、今後の薬価制度の在り方に関する御意見でございます。
 諸外国におけるライフサイエンスに関する大きな総合政策や国家ビジョンがどうなっているか、背景として調べておく必要があるのではないか。
 また、次のポツですが、先進国として国内にいい医薬品を導入するためには、研究開発コストの応分の負担をするべきではないか。
 薬剤費の推移には包括化のほか、後発品の使用が進んだことなど、様々な要因が影響していると考えられるため、分析が必要ではないか。
 他国に比べて薬剤比率が高い中で、どの部分がトータルの薬剤費を膨らませているのか、掘り下げる必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
 続きまして、革新的な医薬品の迅速な導入に関する御意見でございますが、創薬ベンチャー支援については、長期的な視点に立って継続していくことが必要。また、上流となるアカデミアの研究充実も重要。製薬企業がベンチャー企業と提携し、革新的な新薬候補を獲得するためには、資金力が必要で国内企業でも限られるのが実態ではないかといった御意見。
 それから、欧米に比べて低い薬価については、外国平均価格調整がうまく機能していないのではないかとの御意見もいただいております。
 次のページに参りまして、薬品の安定供給に関する御意見でございます。
 医薬品産業全体の安定供給を考える場合、先発品、長期収載品も含めた問題として議論する必要がある。
 製造コストについて、変動費、固定費の分析をする必要がある。
 足元の物価高騰について、製造原価率が高い製品については、短期的な対応も考えなければならないのではないか。
 共同開発が品目数の増加につながり、卸の負担や過当競争、生産効率の低下を招いているのではないかとの御意見。
 また、流通や安定供給の観点から、生産ラインを切り換えながら多数の品目を製造するビジネスモデルは見直す必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
 さらに次のページでございます。薬価差に関する御意見でございます。
 薬価差は医療機関や薬局に帰属し、それが実態として経営原資になっているが、これをどう考えるか。
 薬価差益を追求する中で次回の改定財源が生まれ、それがほかの社会保障財源の手当となっており、この構造を放っておくと、薬価は循環的に低下せざるを得ない。
 薬価差については、公定価格があることで発生している問題である。取引条件の差によって実際には価格のばらつきが発生するが、本来はそれらを認めないのが公定価格であり、構造的な問題があるということを認識した上で、乖離幅や調整幅などをどうすれば合理的なものにできるかと考える必要がある。
 医薬品について、薬価として定価が決まっている商品であり再販商品に似ているのではないか。公定マージンで流通過程のフィーを保証するという発想もあり、毎回全ての品目について調査を行い、改定を繰り返していくということについて、改めて考え直すべきではないか。
 乖離幅は品目や取引条件等によって大きくばらついているはずであり、それらを全て2%の調整幅で取り扱っているは不合理である。
 取引条件や経済状況が変わらないのに薬価改定のために、卸と医療機関の契約のやり直しをするのは大きな無駄が生じており、安定供給は市場の安定性を阻害しているのではないか。このような御意見をいただいているところでございます。
 続きまして、5ページの論点案でございます。
 前回の検討会におきまして、論点案を踏まえた御議論も一部いただいたところでございますが、それらも含めまして冒頭に申し上げましたとおり、今後の検討会において、これらの論点案をテーマに据えて御議論いただくということとして、論点案に修正すべき点がないか、御確認をいただきたいと考えております。
 改めて論点案について御説明をさせていただきます。
 1つ目、○の部分ですが「今後の薬価制度の在り方に関する全体的課題」でございます。
 こちらの記載につきましては、前回検討会での御指摘を踏まえまして、記載ぶりを修正させていただいております。
 良質な医療や医療技術の成果を国民に確実に提供するため、医療保険制度の持続可能性を確保した上で、革新的な医薬品の創薬力の強化や迅速導入、医薬品の安定的な供給を図る観点から、今後の薬価制度の在り方についてどう考えるか。加えて、マクロ的な視点から、総薬剤費の在り方についてどう考えるかとしております。
 続きまして「(1)革新的な医薬品の迅速な導入について」でございます。
 「① 産業構造を起因とする課題」でございますが、1ポツ目、長期収載品のカテゴリーや製造方法等の実態を踏まえつつ、先発企業が長期収載品から収益を得る構造から脱却し、新薬の研究開発への再投資を促進するための方策について、どのような取組が必要か。
 2つ目のポツです。今後の成長が期待されているアカデミア・バイオベンチャー企業等におけるシーズの開発・導出を促進するためには、どのような取組が必要か。
 「② 薬価制度を起因とする課題」でございます。
 革新的医薬品の国内の迅速な導入を促進するため、企業における予見可能性の向上を図る観点から、現在の新薬創出等加算や市場拡大再算定の運用や、制度の在り方、経営や投資計画に影響を与える薬価改定ルールの改定頻度についてどう考えるべきか。
 医薬品の開発コストに加え、再生医療等製品を含め、新規モダリティ等のイノベーションや医薬品としての価値を踏まえた適切な薬価の算定を行うためには、どのような考え方・方法により評価を行うことが望ましいかとさせていただいております。
 続きまして、次の6ページに参りまして「(2)医薬品の安定供給について」でございます。
 こちらにつきましては、冒頭に前提となる柱書きを追記させていただいておりまして、医薬品の安定供給については、現に多数の医薬品において医薬品の供給不安が発生しているという実態を踏まえて議論を行う必要があるとの記載を追加させていただいております。
 初めに「① 産業構造を起因とする課題」でございますが、医薬品の安定供給の観点から、後発医薬品メーカーにおける少量多品種の製造や、特許切れ直後の品目に偏った現在の収益構造や産業構造についてどう考えるか。
 安定確保医薬品等の医療上重要な医薬品の供給を確保するため、サプライチェーン等の様々な安定供給上のリスクを評価し、その強靱化を図り、また、実効性を持った供給調整を行っていくために、どのような対応が必要か。
 以上2つの論点。
 次に「② 薬価を起因とする課題」でございますが、医療上必要性の高い医薬品の安定供給を確保する観点から、現行の薬価改定ルールの在り方についてどう考えるか。最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品等の必要な薬価を維持する仕組みについて、運用や制度の在り方についてどう考えるか。
 製造業者による安定供給を確保するための設備投資等の取組について、どのような評価等を行うべきか。
 物価高騰による製造コストの上昇などの状況を踏まえ、医療上必要な医薬品の安定供給を確保するために、どのような対応が必要と考えられるかの3つの点を挙げさせていただいております。
 最後の(3)薬価差につきましては、(1)(2)にも関係する内容であることから、独立して記載しておりまして、また、前回の検討会におきまして、薬価差が生ずる仕組みや、そもそもの背景などについての御指摘があったことを踏まえまして、冒頭の記載を「薬価差が生ずる構造を踏まえ」と文言を修正させていただきまして「薬価差が生ずる構造を踏まえ、医薬品の取引条件や取引形態の違いを考慮した薬価改定のあり方について、どのように考えるか」という論点案とさせていただいております。
 資料1についての御説明は、以上でございます。
 続きまして、資料2「参考資料」について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 本日の検討会では、先ほど御説明いたしました論点案に関しまして、御意見、御確認をいただくこととしておりますが、その際の参考資料としまして、前回、第3回検討会において御説明をさせていただきました各種資料について、再度、参考資料としてまとめさせていただいております。
 2ページ目に目次をつけておりますが、前回資料と同様に、初めに現状、次に全体的課題、次に(1)革新的な医薬品の迅速な導入、(2)安定供給、(3)薬価差と、それぞれの項目ごとにまとめておりまして、前回は入っておりました主な御意見ですとか、論点案のページは削除しまして、関連資料だけのものとしてまとめさせていただいております。
 次の3ページ目以降は、医薬品の迅速・安定供給の現状に関する資料でございまして、こちらは、資料修正等はございません。
 また、8ページ目以降は、今後の薬価制度の在り方に関する全体的な課題に関する資料につきましても、原則として前回と同じ資料を再掲させていただいています。
 その中で1点、おわびと修正を御報告させていただきたいと思います。
 9ページに、世界の医療用医薬品の販売額推移というグラフを記載させていただいておりますが、前回検討会におきましては、この下にグラフのデータを加工して作成した各国の前年比成長率を記載した表を掲載しておりましたが、こちらは、事務局の不手際で大変恐縮でございますが、そちらの表につきましては、データの提供元からの加工の許諾を得られていない状態で使用しておりましたので、今回の資料では、表は削除してグラフのみとさせていただいております。
 一方で、前回検討会では、そちらの表に記載された成長率等の数値と、ほかの資料との比較につきまして、御質問をいただいておりますので、それらへの回答につきましては、資料の修正とは別としまして、今後の検討会において適切に回答させていただくよう、準備を進めておりますので、念のため申し上げます。
 次のページ以降は、前回と同じ資料を掲載しております。
 また、14ページ以降は、革新的な医薬品の迅速な導入に係る資料、こちらも特段の修正はございません。
 また、25ページからは、医薬品の安定供給に関する資料を掲載しておりますが、こちらにおきまして、33ページに新しい資料を追加させていただいております。
 前回、医薬品の安定供給に関しまして、供給情報の収集・提供に関する御指摘がございました。そちらに関連した参考資料としまして、現在、国会に提出しております感染症法等の改正案の御説明資料からの抜粋の資料をお付けしております。
 当該改正法案におきましては、感染症流行時に、医薬品等の生産、輸入の停止や遅延などが発生することを想定しまして、医薬品や関連物資の供給に関する情報を収集するための規定を設けることとしております。
 左側、感染症の大規模感染等が生じた場合に備えた規定でございまして、感染症法においてワクチンや防護服などの感染症対策物資等の生産状況などについて、事業者から聴取したり、国の生産促進指示を踏まえて、事業者から生産計画の提出を求めるなどの規定を記載しております。
 また、右側におきましては、その他の医薬品・医療機器等を対象にした規定でございまして、医薬品の供給不足等が生じた場合に、生産状況等について、事業者への聴取を可能として、応答義務や国による情報の公表義務を規定しておりまして、これらの取組によって医薬品等の供給情報を適切に収集して対策を行っていくということとしております。
 次に、別のページの追加資料を御紹介させていただきます。37ページ以降でございます。
 こちらの37ページは、前回の御指摘を踏まえまして、物価高騰や為替変動等による影響を受けた医薬品に関する資料を御準備しておりまして、内容としましては、医療用医薬品のメーカーを対象としまして、下の四角囲みにございます該当する品目、具体的には、①物価高騰や為替変動の影響等により、現在不採算となっている品目であって、②安定確保医薬品、基礎的医薬品、または特に医療上の必要性が高いと思われる品目に該当するもの。③では、一定のシェアを占めている品目、これらの条件に合致する品目が何品目あるかと、各製薬企業に対して調査を行ったものでございます。
 結果としましては、上の赤字部分のとおり、計94社、696品目におきまして、物価高騰等の影響を受けて不採算となっているとの回答がございました。
 円グラフは、その内訳でございまして、左側が基礎的医薬品、安定加工医薬品の分類別の品目数、右側が剤形ごとの内訳で注射剤が多い結果となっております。
 次の38ページには、先ほどの696品目を分類した表を掲載しておりまして、縦軸は剤形別、基礎的医薬品等の区分別で集計をしたもの。横軸は、不採算の原因がどのようなコストに起因しているか、複数回答可で集計したものでございます。
 結果としましては、一番左側の有効成分・賦形剤等の医薬品そのものの原材料のコスト増が最も多く、次いで右隣の容器包装、原材料費等の附属物の原料高騰、また、右側に2つ飛びまして、エネルギー、光熱費等の高騰によるものも多い結果となっております。
 続きまして、39ページ、次のページでございます。こちらは、2つ資料が掲載しておりますが、左側の資料は前回検討会でもお示ししている資料でございまして、後発薬のうち半数以上は、海外からの原薬や原材料を使用していることを示した表でございます。
 さらに右側の表でございますが、こちらは新しい資料でございまして、JGA、日本ジェネリック医薬品協会の加盟会社37社のうち30社に対して、現在販売している品目数と、そのうち薬価に対する製造原価率が6割、7割、8割を超えている品目数がどれくらいあるかということをアンケートで調査しまして、その回答結果を集計したものでございます。
 一番上で申し上げますと、30社が取り扱う品目が約5,400品目ある中で、6割を超えるものが53%、7割が41%、8割ですと30%となっております。
 これは、製造原価率、対原価でございますので、製造原価に販売管理費などが上乗せされますと、実際のメーカーからの出荷額、仕切価は薬価より低いということを考えますと、原価率が8割を超えますと、不採算となるということが目安と言われていることから、不採算のおそれがある品目がおおよそ3割程度あると見ることができると考えております。
 次の40ページからは、薬価差に関する資料を掲載しておりますが、こちらは前回と同様としております。
 その中で、最後の51ページでございますが、こちらから、前回御指摘をいただきました製造原価の計算方法に関する資料をお付けしております。
 こちらは、中医協における原価計算のルール、基準を引用しつつ、記載をしておりますが、上の四角囲みにございますとおり、固定費、変動費は、各製品の製造原価のうち原材料費、労務費、製造経費のいずれかの経費に区別して計上することとされておりまして、赤字部分にございますとおり、工場や製造設備などの減価償却費につきましては、設備の稼働時間全体のうち、各品目の製造時間がどれくらいを占めているかという稼働時間の割合で案分して計上がなされております。
 下の表は、新薬の薬価収載時の原価計算方式の資料を参考として引用しておりますが、このうち赤囲み部分が、いわゆる製造原価として計算される部分でございまして、これに一般管理費、営業利益を加えて製造業者の出荷価格となります。
 次の52ページには、例示としまして個別企業ごとの製造原価の算出方法の事例を御紹介させていただいております。
 いずれも原則として、前のページで御紹介した考え方に沿って計算等を行っております。
 また、次の53ページ目以降は、原価計算方式に関する詳細な資料でございまして、過去の中医協などで御説明を行っている資料でございます。
 こちらは参考としておつけしておりますので、御説明は割愛させていただければと思います。
 また、最後のページでございますが、念のための基礎的な情報といたしまして、成分数や品目数について御説明することが多いため、それらの考え方について例示をさせていただいております。
 こちらは、解熱鎮痛薬であるロキソプロフェンという有効成分を含む医薬品を例として挙げさせていただいておりますが、成分数としては1つとなりますが、それを含む医薬品、製品は多数ございまして、上から4つは細粒、いわゆる粉薬、5番目から下は錠剤、一番下は液剤と、それぞれ剤形がございます。
 さらに、それぞれの剤形ごとに先発薬と後発薬があり、後発薬は、さらに複数の企業から販売されるという形となっております。
 それらが品目としては別にカウントされて、計17品目となるという図でございます。
 さらに、上の四角囲みに記載してございますが、同じ品目の中でも、例えば、1箱100錠入りのものと、1箱1,000錠入りのものなど、包装単位がさらに分かれている場合もございまして、それらは包装単位別のものを含めて、アイテム数と呼ぶ場合もございますが、このアイテム数としては、さらに多くなっていくということとなります。
 ほかにも分かりにくい用語ですとか、制度につきましては、今後も必要に応じて資料等を御用意させていただきたいと考えておりますので、御指摘をいただけますと幸いでございます。
 すみません、長くなりましたが事務局からの御説明を。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 申し訳ございません。修正がありまして、資料1を御覧いただきたいのですけれども、資料1の6ページ目でございます。
 論点案の医薬品の安定供給のところについての②のところでございますが、これは、前回、堀委員からも御指摘をいただいたところの修正漏れがございまして、②のところ「薬価を起因する課題」というタイトルになっているのですけれども、これは、正確には薬価制度を起因とする課題の誤りでございます。大変申し訳ございません。修正漏れでございました。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 御説明ありがとうございました。
 前回の議論に対応して、また、新しい資料も出されましたけれども、それについて個別の議論を展開するということで、もちろん構わないわけでありますが、今日の1つの目的は、この資料の1にある、この今後の検討に当たっての論点案①、②を、できれば確定していきたいと思います。これは非常に重要なものでして、今後我々がこういう内容を議論するということを、我々自身が整理すると同時に、対外的に示すことになります。事務局のスケジュールでは、薬価制度と関連しているので、中医協にも、これ以外の幾つかの資料と一緒に提出することになると思うのですけれども、そのときに、この部会がどういうことをやっているのかということを、それを見て明らかになりますので、そういう意味で、今現在の完成度の高いものにしていければなと思っております。したがって、個別の議論は幾らでもしたいというお気持ちはよく分かりますが、とりあえず、この論点案について、この形でいいのか、それは内容の問題もありましょう、表記の仕方もあるでしょう、様々な視点から議論ができると思いますので、私も実は幾つかあるのですけれども、まず皆さんからの御意見を聞いてからと思っております。もちろん関連で個別の議論に進めていただいても構いませんけれども、一応、その辺を優先順位としてやっていただければと考えております。いかがでございましょう。
 では、ちょっと私から皮切りにさせていただきますと、5ページの①を見ますと、論点案というのがありますが、この○のところを見ると、良質な医療云々とあって、2行目に今後の薬価制度の在り方についてどう考えるかと同時に、マクロ的な薬剤費の在り方についてどう考えるかということで、一番上にぽんと薬価制度というのが出てきておりまして、その下に、革新的な医薬品の導入の話と、安定供給の話、薬価差の話が出てくるのですが、流通とか産業構造などは薬価制度とは別に議論すると理解してよいのでしょうか。
 この有識者検討会の開催要項では、医療用医薬品の流通・薬価に関する現状の課題と、医療用医薬品の目指すべき流通・薬価制度の在り方、そして産業構造の検証と、こうあるわけなのですが、事務局案はこれらの課題すべてが薬価制度が大前提なのだと読めますが、そういうスタンスでいいのかどうかということの確認をさせていただきたい。確かに、医薬品産業は制度依存的な業界ですから、薬価制度にいろいろなことが依存しているのはそのとおりなので、全て薬価制度の問題だと言ってしまえば、それに近いのですけれども、それでいいのかどうかという、その辺のところをお聞きしたいというのが1つ目です。
 2つ目は、これは、ちょっと言葉の問題かもしれませんが、産業構造を起因とする課題ということで、安定供給のものや、それから革新的新薬の導入についても書かれているのですが、ここで言う事務局のお考えの産業構造というのは、どういうことを意味しているのかなということで、これは、ちょっとテクニカルな話になりますけれども、産業構造というのは、寡占であるとか、非常に競争が激しいとか、大企業があるとか、小企業が乱立しているとか、外資と内資が共存しているとか、そういう産業の構造の話なのですが、この中身を読むと、産業構造というよりも企業行動とか、ビジネスモデルといった方が適切な内容のように思われます。企業絡みの話は全部産業構造という言葉でくくってしまっているような感じがします。医薬品市場の産業構造の問題というと、ジェネリックの企業が小さくて乱立しているとか、あるいは新薬メーカーでもアメリカなどと比べると規模が小さいとか、バイオベンチャーが少ないとか、そういう議論のことではないかなと思うので、ちょっと気になるところです。経済学者の先生方もいらっしゃいますので、また、コメントをいただきたいと思います。そんなところがちょっと気になったところです。
 一応何かコメントがあれば、お願いいたします。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。
 まず、2つ目のほうから申し上げさせていただきますと、先生御指摘のように、これは産業構造という言葉の問題が確かにあるのかなと思いましたけれども、我々の問題意識としては、もちろんジェネリックメーカーで言いますと、小さいところが乱立していると、これまで御意見もありましたように、そういったところもございますし、さらにその背景的な要素としてもございますビジネスモデルについても、この中で御議論いただきたいと考えてございますので、そういう意味で申し上げますと、産業構造という言葉ではなくて、何か別の言葉で、よりそういった包含的な言葉、適切なものがあれば、むしろ、本日何かあればいただきたいと思いますし、何らかの形で、これは修正をさせていただければと思います。
 あと、1点目の部分については、非常に難しい問題がございますけれども、こちらは、主として文脈上は、医療保険制度は、もちろん持続可能性というものは確保されつつ、まさに今回の目的でございます迅速導入ですとか、あるいは安定供給という問題について、どちらかというと、大きな視点からどう考えていくかという文脈でございます。
 ですので、御指摘のとおり、まさにこれは薬価制度の問題だけではなくて、流通ですとか、あるいは産業構造の問題ですとか、そういったものも含めて考えるべきというところについては、御指摘のとおりでございますけれども、前回の議論の中でも小黒委員からもございました、ミクロ的だけではなくマクロ的な視点からも、ここはそういった要素も入れるべきではないかと、そういったことも踏まえて、やや薬価制度のほうに偏った形で、ここは書かせていただいているという状況でございます。
○遠藤座長 いろいろおっしゃっているけれども、要するに薬価制度になってしまっているので、そこは修文されるのですかという話。
 どうぞ。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 御指摘いただいたように、例えば、流通とかも含めて全体を考えるということが基本にありますので、この薬価制度の在り方に関する全体的課題というタイトルそのものが、少しカバーしている範囲が狭いというか、ここは、今回視野に置いているのと違うかなという気はします。
 ただ、薬価の話もございますので、多少言い方を考えて全体をカバーできる話と、その中で薬価の話というのが出てくるだろうと考えております。
 それで、プラス流通については、取り上げていないというか、薬価差についてのところの前提が流通の話に多分なっているのですが、もう少し工夫が要るかなと、思いましたので、そこは考えさせていただきます。
○遠藤座長 医薬品産業は本当に制度依存的な産業ですので、ほとんどの問題が薬価基準制度に関係しているというところがあるものですから、この書き方でも、そこまで割り切ってしまえばできるのですが、ただ、開催要項では、薬価制度、流通、産業構造などを並立して書いているものですから、ここまで言い切っていいのだろうかと思います。しかもこれまでの議論で、そういう方向性が共有化がされたとは思われないところもあるものですから、確認させていただきました。今後の検討の中で少し議論をはっきりさせていこうと思います。すみません、私から余計なことを申し上げました。
 それでは、先生方から、どうぞ。
 では、どちらから行きましょうかね、では、0.5秒早かったので、坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 すみません、もしかしたら、フライングだったかもしれませんけれども、今の遠藤座長のビジネスモデルのところに関連するのですけれども、そもそも産業をどういうふうに見ているのかなというところも記載する必要があるかなと感じているところがありまして、具体的に言いますと、日本の製薬企業で、私は指摘したと思いますけれども、例えば、遺伝子組換え型のバイオ医薬品については、やや立ち後れている。あるいは再生医療等製品というカテゴリーの中でも幾つかありますが、いわゆる細胞系の再生医療等製品に関しては、それほど日本が立ち後れているわけではないのですけれども、どちらかというと、遺伝子治療系の再生医療等製品については数が少ないと、そういったところについて、少し考慮していただいてはどうかなということを感じております。
 まずは、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、香取構成員、お待たせしました、どうぞ。
○香取構成員 結論から言うと、私は薬価制度というのは、現在の医薬品産業の構造、企業行動、流通、ある意味その全てを規定しているものではないかと感じています。
 何となれば、最終的な販売価格を公定で決めているわけですから、その前提で様々な企業行動や流通が起こっている。もちろん個々の企業の行動様式というのはあってそれはそれで問題があるのだと思うのですが、全体として見れば、薬価制度がいろいろな事象のベースにあるということはそのとおりであると思っていますし、逆に言うと、そういう視点から薬価制度について議論してこなかったというのが、今回この会議をやっている意味ではないかと思っています。
 確かにこの書き方は「何でもみんな薬価のせい」というふうにも読めるので、「いやいや、流通固有の問題もあるでしょう」というのはそのとおりだと思うのですが、この会議がこの時期に立ち上がって、中医協の側からも、どういう論点があるのだということを問われている、ということから考えれば、研究開発などというのは、別に薬価でやるのが全てではなくてそれ以外の様々な政策もあるだろう、というのはそうなのですが、やはり、今の薬価の決め方、薬価制度の在り方そのものが企業行動や産業構造、流通に大きな影響を与えているという現実から考えるのであれば、やはり薬価と流通、薬価と産業政策、薬価と新薬、薬価と後発品というような議論の組み立てになるのではないか。
 ですので、用語をどうするかというのはともかくとして、基本的な議論の枠組みというのはこういうことなのではないかと思います。
 もう一つ、冒頭の全体的課題なのですけれども、全体的課題の表題に「薬価の在り方に関する」というのが要るどうかというのは確かにちょっとあって、それはそのとおりだと思いますが、これは皆さんで議論していただきたいと思うのですが、この会議をやっていることの意味ということに関わることだと思うのですけれども、薬価というのは医療保険制度の中のものですから、基本的には医療保険の中で個々の医薬品について値決めをする、診療報酬と同じように公定価格を決めている。基本的には医療保険政策の中で考えられるべきものではあるわけですけれども、まさにその制度が医薬品の流通や産業としての医薬品産業、研究開発、技術革新に大きな影響を与えているわけですね。そうすると、産業政策や研究開発支援政策の視点から見たときに、薬価制度の中でどのくらいそういうことを考慮するべきなのか、あるいはしてほしいと我々が言うのか。そういうことをどこまで、医療保険制度の外側で別の政策を担っている部局から言っていくのか、ということだと思いますし、後でまた議論になるかもしれませんけれども、例えば、薬価差が経営原資になっているという話がありますが、これ、もともとの議論は、診療報酬が十分でない、だから潜在的技術料として薬価差益はあるのだから、必要悪というか存在するものは合理的だということで、そのロジックで薬価差は容認、というか正当化されてきたわけですね。で、それならそれを診療報酬に振り替えましょうということで毎回改定のたびに振り替えて、ここまで薬価差を縮小してきたというのが今までの歴史ですね。でもよく考えてみると、診療報酬が足りないとかというのは、別に薬価と何の関係もないのですね、本来は。言ってみれば、他事考慮で薬価が決められ、他事考慮で薬価制度が作られているわけで、そういう意味で言えば、言葉は悪いですけれども、何か帳じり合わせをさせられているということになる。そのことによって政策がゆがんでいる、さっき言った産業政策や流通に影響を与えているわけなので、この会議としては、そういう問題があるということを問題提起していく。薬価制度は医療保険の中の制度なので最終的には向こうが決めるのでしょうけれども、当方としてはそういう立ち位置からきちんと見える形で議論を提起していく、というのがこの会議の重要な意味ではないか。私はそう思うので、そういうことも考えながら議論していただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 確かに、実際に政策としてインパクトがあるのは、薬価制度だということは、私自身も研究の対象にしていてよく分かっておりますが、一方で、これから流通の方のお話もお聞きしたいと思うのですね。薬価だけで誘導できる話ではないもので非常に重要なものがあるのかどうか、あるいは産業構造という点でベンチャーが少ない、それではベンチャーを育成しなければならないというようなときに、それを薬価政策の議論で説明できる話なのかどうなのかということをお聞きしなければならないと思います。そこで、まずは流通の方から、議論の中心に医療薬価制度を置くということについてのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
 三村構成員、どうぞ。
○三村構成員 ありがとうございました。
 私は、実は遠藤先生が最初に御指摘されたことが大変重要だと思っておりまして、基本的に、なぜ危機が起こったかというと、当然、薬価制度の在り方と現実とのずれが起こったということが大きいと思うのですが、それと同時に、日本の製薬メーカーあるいは卸を含めて非常に体力が低下してしまった。これがまさに危機の本質だと思います。
 確かに、それは薬価制度の在り方に起因することなのですが、今、遠藤先生が振り向けていただいた質問に対しての私なりの意見ですけれども、薬価だけでは解決できない問題が起こっている。もちろん、薬価制度は修正していただかなければいけないのですけれども、薬価制度を修正しても、それだけでは解決できないもっと大きな問題が起こっているのではないかという感じがいたしました。
 それは、一応象徴的には、先ほどの安定確保医薬品をめぐる問題とか、後発薬をめぐる問題とか、これらは薬価が余りにも低くなり過ぎたために、結果として、いろいろな重要な要素、特に原薬の調達の部分とかが全部海外に流出してしまったということがある。この状況をもう一度回復させるためには、その薬価を少し修正するというようなことだけで十分なのか。基本的には、この薬価制度を柱にして作り上げられた国民皆保険制度を維持するためには、薬価制度だけでは、実は支えきれないものがあって、それをどのように補強していくかではないかと思います。
 先日、再生医療等医薬品の関係者の方がおっしゃったことは、私も大変納得したのですけれども、薬価制度に加えそういったような補強的な政策が必要だということでした。
 ですから、薬価制度を、これからある意味で合理的なものに修正していくと同時に、それを支えるための政策が必要です。例えば、感染症法の改正を通して、基本的には、新しい、これは経済安全保障法制度に合うような形で、強力な供給安定策をつくっていただくことがあります。次に、それをベースにしながら、非常に重要な医薬品については、同じような仕組みを入れていく必要がある。これは、薬価制度を修正しながら、もう一つそれと同時並行に進めていくような、そういう政策が必要であろうかと思います。
 この論点の中に、それがある意味で混在しています。それゆえ、それらを整理して、中医協に検討をお願いするところと、さらに有識者会議として、厚労省の総合的な医薬品行政として対応していただくことを検討することが重要と考えます。
 何よりも先ほど予見性を高くしてほしいという企業側の要望がありました。そうすると、基本的には厚労省の医薬品政策とか、医薬品行政の方向性とかを明示しながら、薬価制度はこうなりますが、それと同時に、このような政策手段を同時に入れていくのだということを、もし出していただけるならば、非常に大きな変化になると思っております。
 流通は薬価制度だけで縛られているのではありません。医薬品のサプライチェーンの強靱化を進めていくことは、薬価制度の中だけで解決できるものではありません。まさに流通改善というよりは、サプライチェーンの強靱化のための方策が、明らかにその道筋が見えているのですけれども、そのためにどうしていくかということの検討が必要です。これは、また別の場所でやっていただくようにしていただければいいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、同じく流通で、三浦先生、お願いいたします。
○三浦構成員 今、三村先生がおっしゃったみたいに、流通問題も、多分、薬価制度に関わるところと考えるところがある。ただ、やはり香取先生がまとめていただいたように、やはり薬価制度によって開発も、もちろんバイオベンチャーは外れるかもしれませんが、やはり投資しないという話もありますし、そういった意味では、薬価制度に関わるところが、やはり開発だけではなくて流通にも影響ありまして、ちょうど今回の論点の前のところの御意見の中で、再販商品という話がございまして、その話は、これにすごく関わるなと思いまして、再販商品は、本当に最終小売価格が確定されていまして、そういった意味では、本当に成川先生と厚労科研でいろいろ医薬品流通とかをやらせていただいたときに、他業界比較とかというのもちょっと何度かやりまして、その中で再販商品の書籍の流通がどうなっているかというのをやりました。
 書籍の場合には、もう最終小売価格は、もう一定という意味で薬価と変わらないわけですけれども、やはり決定的な違いというのが、薬価は国が決めているわけですけれども、その一方で、本の価格は値引きされませんけれども、メーカーとしての出版社が決めている、これはもう決定的な感じがありまして、出版社の場合には、上下できるわけですね、自分の考えで上下できると。
 したがって、出版社のメーカーとしては、どういう最終小売価格にするかというところを考えるときに、卸マージンがどのぐらいか、小売マージンがどのぐらいかということも勘案しながら、もうちょっと高くしようとか、安くしようとかにしている感じがありまして、そういった意味では全然違うことがあった結果として、どんなことが起こっているかというと、医薬品とは違いまして、大手書店チェーンが小売マージンをたくさん取るとかという問題は、基本的報告されておりません。
 そういった意味では、やはり最終小売価格が確定しているわけですけれども、それを上下できるので、やはり対応できて、社会に対応できることもありまして、その点、薬価制度の場合には、最終小売価格、国が決めているというところが決定的でして、その結果、やはりいろいろな問題、流通への影響がある感じがありまして、そういった意味では、私が何かいろいろな業界をチームでやらせていただいたときでは、かなり大きな部分が、薬価制度に起因するところによって、医薬品流通は、結構いろいろ他の業界とは違う影響をしているような感じがいたしましたので、そういった意味では何か薬価制度に、だから、この検討会がどうなるかということかと思うのですが、何か薬価制度に絞るというのも1つの考え方ですし、やはり2つ分けて、薬価制度に関わるところと、三村先生とかがおっしゃるみたいに産業構造、サプライチェーンとかを乗じて、また違う話かもしれませんし、バイオベンチャーも違うかもしれませんので、設定を分けるか、私の感覚では、薬価制度というのは、かなり大きな問題ではないかと思っております。
○遠藤座長 三村構成員、どうぞ。
○三村構成員 ちょっと誤解があってはいけないと思います。それは公定マージンをどうのとかという議論ではないということ、流通取引では、基本的には市場原理、市場競争原理をベースとしているということです。
 それから、もう一つ、私、先ほど政策を分けてといいましたけれども、それは、この2つの政策軸の接続の仕方かなと思っています。
 ですから、薬価制度を新しい体制に少しずつ修正していく過程と、それを補強するための、新しい政策手段が組み合わさっていく、組み合わせの仕方が、恐らくこれから大事な議論になるということがありますので、分けてという意味ではないということを追加しておきます。
○遠藤座長 了解いたしました。そのように理解いたしました。
 それでは、ベンチャーやベンチャー・キャピタルの話、いかがでしょうか。
 それでは、芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 座長、ありがとうございます。
 薬価制度の在り方が変わる、改革されるということだけで、革新的な医薬品の研究開発や創薬ベンチャーの課題というものが解決される、というわけではないと思います。
 革新的医薬品をどうやって迅速に開発・導入するかということについては、前回も申し上げましたように、アカデミアの研究開発の拡充であるとか、創薬バイオベンチャーの育成及び支援であるとか、それから、特に新しいモダリティのバイオ医薬品については、製造施設を含めた事業基盤の整備というものが必要になってくるだろうと思います。
 ただ一方で、薬価制度もやはり重要な課題であるという認識でおります。なぜならば、これまでのこの検討会でも御議論されてきたことでありますけれども、日本の市場の魅力度が、国際的にみて、相対的に低下しているという現実はあると思います。それは、やはり市場の成長率が低いことがあります。特に欧米や中国等に比べてとなります。それから先ほどもご発言がありましたけれども、予見性の問題であるとかは、薬価制度に起因しているところだろうと思います。
 そのように市場の魅力度が下がってくると、これは国内の製薬企業や、海外の企業と同じように、日本での開発よりも海外での開発を優先するというようなことが、国内の創薬ベンチャーでも今後出てくるだろうと思います。
 実際に創薬ベンチャーの中には、まず、海外で臨床試験をするというような事例も出てきておりますので、こういったことが加速されるということが予想されます。
 そういう意味では、薬価制度の改革ということについては、創薬ベンチャーを含めて、多くの製薬企業が注視しているという現実があるものと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ただいま議論している内容と関連することで、コメントがおありになる方はいらっしゃいますか。
 それでは、成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 ありがとうございます。
 今のベンチャーの促進について、一言意見を述べさせていただきます。芦田構成員のおっしゃったことに、私も同感でございまして、薬価制度そのものや市場の魅力、あるいは個々の医薬品の予見される価格は、もちろん海外のベンチャー企業が日本に投資をして、新しい薬を売り出していこうという意思決定に影響はすると思うのですけれども、それだけではないと思っていて、やはり日本市場への参入障壁といいますか、1つは、いろいろなレギュレーションの関係、それは開発をして承認を取るというためのハードルは、もちろんそうなのですけれど、日本で承認を取った後に、それを責任を持って売り続けるという意味での、市販後のいろいろな対策についてのレギュレーションも、やはり関係するだろうなと思いますし、臨床試験をやるときにも、患者の集約度が違うとか、そういう医療体制そのものというのも影響するでしょう。また、産学協同とか税制とか、そんなことも影響するので、薬価制度そのものが影響しないという意味ではないのですけれども、いろいろな側面があるので、その辺を踏まえて議論をしないといけないのではないかなと思っています。
 もう一点付け加えると、内資系企業も、近年、海外売上比率がどんどん上がっているという状況がございまして、結局、海外に行ってもうけているというか、もうけざるを得ないというか、そんな状況になっているので、新興のベンチャー企業のみならず、昔から日本で業務を行っている、いわゆる内資企業の行動というのも少し見ていかないといけないかなと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、小黒構成員がお手を挙げておられるようですので、小黒構成員、お待たせしました、どうぞ。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 今まで先生方が御議論されている内容について、特段の異論はないのですけれども、1つ、やはり産業構造という点で、この薬剤の価格がコントロールされている、この医薬品マーケットの特殊性というものを踏まえたときに、やはり1つ抜けている視点があるのかなと思います。といいますのは、本日を含め、これまで、どちらかというとベンチャーとか、いろいろ製薬メーカーとかを含めて供給サイドの問題を中心に議論しているような印象を受けました。
 他方で、例えば、希少がんとかも含めて、本来であれば、こういう薬がほしいというような、いわゆる需要者側からの声みたいなものが反映されて、普通の価格が統制されていない市場でも価格の上下であるとか、その使用量も含めてマーケットが変化していくのだと思いますけれども、その辺を何か取り込むような仕組みも考えていく必要があるのかなと思います。
 ですので、例えばちょっと提案なのですけれども、論点の、こういう革新的な医薬品もそうですし、薬剤の安定供給の2枚目のほうの論点もそうなのですけれども、例えば、「患者との対話も含め」といったような、そういう文章(ワーディング)が少し入るといいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
 アメリカとかであれば、例えば、いろいろな薬の治験とかで、日本は結構治験は難しいと思うのですけれども、こういう薬が新しく出てくるので協力しますよ、みたいな、患者団体とも連携した枠組みがあるわけで、そういうところも少し考えていって、新しいイノベーションを日本でもっとサポートできる仕組みというのも構築する余地もあるのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘です。
 ただ、類似の機能は十分ワークしているかどうかは疑問ですけれども、日本でもあります。企業主導でなく医師主導の治験が導入されているので、この仕組みを通じて患者さんの要求が反映された例もあります。実効性があるかどうかというのは微妙なところではありますが。
 それから、希少薬については、製薬会社の開発へのインセンティブとして非常に高い価格をつけることを認めております。希少疾患ですから使用量が少ないので、薬剤費に与える影響がそれほど大きくないことも背景にありますが。
 それから、前回ちょっと御説明しました新薬創出加算というのは、国からこの薬を作って上市してほしいと要請したときに、それに適切に対応してくれない企業は、その会社の販売する医薬品は、価格の維持の対象から外れますので、非常に大きなディスインセンティブを与えているわけなのです。そういう意味で、必要な薬を開発してもらうというインセンティブの構造は作っているわけです。ただ、それが本当にうまく機能しているかどうかは、ここでもう一度見て、さらに、そこを強化するための議論というのはあり得る話かもしれません。患者さんの視点というのは重要な御指摘だと思いました。
○小黒構成員 よろしくお願いします。
 一応、資料のほうでは、あまりそういった資料が出てきていないと思いますので。
○遠藤座長 そうなのですね、検討課題が幅広い話になるので、関連資料が網羅されていませんが、ここで議論をすれば、関連資料は出していただけると思います。
 それから、井上先生、お手をお挙げになっているのに、どうも失礼いたしました。よろしくお願いいたします。
○井上構成員 どうも井上でございます。リモートで参加しております。
 産業構造の話が出ましたので、1つ発言をさせていただきたいと思います。
 産業構造を変えていくという話は、かなり中長期の話でして、例えば今の為替の問題であるとか、そうしたものへ短期的に対応するというのは非常に難しいと考えております。
 サプライチェーン等の問題については、やはり情報インフラみたいなものに投資 するだけの余力が各卸等に十分にないような状況、または横の連携がうまくいっていない等の状況があると思いますので、その辺は前回も意見を申し上げましたけれども、少し国のサポート等があっても良いのではと思料します。サプライチェーンの問題というのは、どこかにショックがあったときも、いかに安定供給をするかという問題であり、それは川上から川下までの情報の伝達の効率性問題で整理できるので、いかにその透明性を高めるかというところは、まず1つ、短期的な対応としてあると考えております。
 一方で、産業構造の問題は非常に企業数が多い、生産の側も、または川中の卸も非常に分散化していて小型で、結果的に余力がない企業が多いことに起因するかと思います。したがって、何らかのショックがあると、そこで体力がないためにサポートできなくなるというようなこと、これは時間をかけて改善していくべき中長期の課題と思っております。
 なぜ、こういう状況になってきているのかという原因を考える必要があります。普通であれば、こういう状況であれば、自主的に体力をつけるために規模の経済性を求める、範囲の経済性を求める、情報インフラ投資が必要というのであれば、それを得るために規模の経済性を求める統合運動が起きるということが一般的です。
 何らかの産業レベルの規制緩和があった後に、その産業でのM&Aが集中して起きるというのが、どこの国でも観測されていまして、こういうのをM&Aの産業クラスターというのですけれども、恐らくそういうことがこの業界ではあまり起きていないのかなと思います。製薬業界で2000年代半ばぐらいに1回M&Aの波が起きましたけれども、その後それが止まっているという状況です。これは、あまり企業側が、合従連衡を本気で検討するだけのインセンティブがないと考えられます。要は、大きくなって体力を早い時期に蓄えなければいけないというインセンティブが十分ないのではないかと考えています。
 これは、なぜかというと、恐らくこれも最初の論点に戻るのですが、薬価制度があって、何らかのる理由で苦しくなってくるとそれに対応してゴールが動くというか、薬価制度そのものでサポートされるみたいなところがあるのかなと、個人的には感じております。その辺が慌てて統合するよりも、むしろ薬価問題等で何となく全体として助けてもらえるのではないかという期待感が、やはり生産者側、卸側にあるのだろうと。このように産業構造の変革、自主的に生き残るための規模の経済性を得るための連携をするなど、そういう動機が働いていないのかなという感じはしております。
 その意味で、やはり中長期的に、例えば為替の問題であるとか、様々な一部の企業において問題があっても、安定供給が阻害されないような体制を作っていくためには、それなりに規模感というものが必要だと思っておりますので、短期的な為替の問題等で非常に苦しくなっているところをサポートするということはあり得ても、中長期的に何か企業を残すための薬価の統制をしていくというような政策目標は、やはり非常に問題がある。問題は、今、我々が直面している問題をそのまま次の世代に残していくというところがあるので、そこは、やはり慎重に議論をする必要があるかなと考えている次第です。
 それで、ベンチャーの問題なども同じような根があって、やはり、産業の中で動いてくるということは、トランザクションコスト(経済学でいう取引コスト)、いわゆる経済活動のトランザクションコストが変動してくる時期にM&A等も起きますので、そういうときにベンチャー等も入りやすい環境というものが出てくると思います。
 そうしたものがない中で、産業みんながパイを細かく分けあって、小さい利益率で分け合って何とか生きていますという中で、なかなかベンチャーとして入っても、それだけの見返りを得る、投資をしてリスクを取って入っていった結果として、うまくいけば、非常に大きなリターンがあるという環境であればベンチャーは入ってきますけれども、一生懸命入って投資をしても、最終的に得られる部分が非常に小さいというような市場では、やはり入るインセンティブが出てきません。今の産業構造そのものが、ベンチャーの参入を阻害している、参入意欲をかき立ていないマーケットになっているとすれば、これは問題なのかなと思いますので、やはりもう少し活力のある産業というか、それはやはり、もう少し企業が最適化、市場メカニズムの中で最適化するようなことが必要と思います。薬というのは、やはり非常に特殊な産業なので、全て市場に任せるというのは明らかに間違いだと思いますけれども、やはり安定供給、経済性の見合いにくい製品であっても供給しなくてはいけないということはありますけれども、一方で、やはり全体としては、もう少し活性化することが必要で、保護主義的な薬価に関する議論をすると、かえって産業構造そのものの変革というのを阻害するのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 いろいろな分野の先生方に参入していただいていますから、多様なご意見がいただけて非常にいいですね、薬価基準制度、医療保険制度は、口うるさくて厳しい制度だ、だけれども保護はされていると、こういう世界のわけですので、それをどう考えていくのかということですね。
 では、堀構成委員、どうぞ。
○堀構成員 論点案のところについてなのですけれども、今後の薬価制度の在り方に関する全体的課題における「今後の薬価制度」の意味する内容、薬価制度が包括する範疇によって、多分、構成委員の皆さんが感じるイメージも変わってくると思うのですね。先ほどから議論にもありましたけれども、基本的に、日本の医薬品市場は準市場でして、供給側と需要側のマッチングは公定価格でやっています。でも、その公定価格の範囲がどこまでなのか、その範囲の在り方によっては、今後の薬価の制度の在り方というのも全然意味が違ってくると思うのです。
 要は、医療サービスでもそうですけれども、情報の非対称性があって、他の一般的な財・サービスと異なる不確実性など特殊性もあり、生命財としての価値もあります。しかし、全てが一律に同じかというと、一部、公共財的なものもあれば、そうではないものもあります。価値財として社会保障の持続可能性のために、薬価制度があるという視点もありますが、医薬品については、OTCとかもそうですが、普通に薬局で、市場価格で市販されているもあれば、そうでないものもある。医療用医薬品の中にも、後発品もあれば革新的な医薬品など非常に多様です。さらに、今回の資料追加で、非常に重要な論点が新たに出てきたかなと思っているのですけれども、安定確保医薬品をどのように捉えるのか。これも本当に安全保障上なくてはならないというような薬品もありますが、全てを同じ土壌で捉えられるのか。バラバラなものを医薬品として全て同じ薬価制度の範疇に入れるのかどうかという前提条件によって、「今後の薬価制度の在り方」ということ自身の意味が変わってくるのではないかと。つまり、これまでと同じであることを前提として考えるのか、そうではないのかで、意味するものが変わってくるので、全体的な課題の論点を「未来の医薬品の在り方と今後の薬価制度の在り方」についてとか、より柔軟なタイトルに修正をしても良いのかと思います。私自身は、基本的に全ての医薬品を同じ制度のもとでというのは、ちょっとどうなのかなと思います。
 先ほど産業構造の強化というところでも議論が出ていましたが、本当に全ての医薬品の産業を一律に同じように規制をしながら、強化できるのか。サプライチェーンについてもそうですけれども、やっていけるのかというと、なかなか難しいのではないかなとは思っています。
 それから、患者の視点を入れることについて、先ほど小黒さんがおっしゃっていましたが、私もそれに賛成なのですけれども、患者だけではなくて、国民の視点が重要かと。最初の論点案でいう「今後の薬価制度の在り方」を考える上で一番重要なのは、どこまでを本当に負担できるのか、国民のコンセント、納得というか合意形成かと。当然かもしれませんが、全ての革新的な医薬品が迅速に入って、全ての医薬品が安定供給されることが、財源と資源が無限大であれば望ましいと正直思います。
 でも、それが、これからの人口動態であるとか、あるいは社会保障の持続可能性で見たときに、どこまでができて、できていないのかというのを理解してもらい、国民としてどこまで負担するのかという、そこのところの合意がない限り、前に進めないところもあるかと。あるべき未来の医薬品産業の在り方として、個人としては、非常にこれからの有望な成長産業として、とても期待はしているのですけれども、今の薬価制度と今の国民の負担の在り方を前提として考えるかどうかで、産業の在り方のイメージも、随分違うのではないのかなと思うのが、まず、最初の論点についての意見です。
 あとは、基本的にここに挙げられた論点案でいいとは思うのですが、産業構造を起因とする課題と薬価制度を起因とする課題で、多分、それぞれ別に議論をするという方法もあると思いますが、産業構造と薬価制度両方に起因とするものと、産業構造だけ、薬価制度だけに起因する課題というふうに、多分、分けられるものもあるのではないかと思います。そこを分けられれば、例えば、産業構造だけを起因とするものならば、産業構造を検討する別のところでも良いかもしれないですし、薬価制度だけを起因とするものならば、中医協とかでもできるかもしれないですけれども、産業構造と薬価制度の両方に重なっているところを検討するところは、恐らく総合的な対策という視点が不可欠という意味で、この検討会しかないのかなと思いますので、4月まで時間も限られていると思いますので、何を論点として優先して議論すべきかは考えておいたほうが良いのではないかなと思いました。
 以上です。
○遠藤座長 いろいろと御意見が出ましたので、少し整理をさせていただきたいと思います。
 この論提案は、ある程度まとめなければいけないので、御意見の中で、薬価基準制度あるいはもう少し幅広目で医療保険制度というような視点から幅広に議論していきたい、特に薬価基準制度がもたらす様々な視点を議論していくと。
 確かに中医協では、集中的な議論をするのですけれども、幅広めに議論というのは、なかなかやれないところもあるので、そういう意味で、問題意識を明確にするという意味でもやっていくということが1つあると。
 ただし、それだけではなくて、それではカバーでき得ないものもあるので、そこのところについては、きちんとまた議論をするという、それが1つの流れとしていただくという話だと思います。
 それから、最後、堀委員が言われたように、ここの論点案の中には、医療保険制度の持続可能性を確保した上でというのがついていますので、そういう意味では財源制約というものは当然考慮する議論になると思いますけれども、そこのところも頭に出ている以上は、視野に入れながらの議論をしていくということだろうなと思います。
 それから、そういうことで、特に議論の中心が薬価基準制度だということだとすると、また論点案に戻りますけれども、細かい文章も直していただく必要があると思いますけれども、例えば、もっと大きなところは、産業構造というのはまずいとしても、産業構造を起因とする課題というのが1番目に出てきていること自体が、そもそもがおかしい話であって、これは少なくとも、薬価制度を起因とする課題が頭に出てくる話で、産業構造については、当初の開催要項を見ても産業構造の検証と、最後に出てくるレベルの話でもあるので、必要であれば、もちろん上のほうに出てきてもいいのですけれども、少なくとも薬価基準制度よりも先に出てくる話ではないだろうと。
 しかも内容を読んでみると、先ほど堀構成員が言われたみたいに、産業構造を起因とする課題ということの中は、実は、その背景には薬価基準制度のために、このような企業が行動をとっているというようなことを書いているだけの話なので、その分離は、なかなか難しいですので、ともかくそういう意味では、薬価基準制度が、割と大きなウエイトを占めていますから、順番は、薬価基準制度が頭に来るのだろうなと私は思いますので、事務局のほうで御検討いただければと思います。
 全体の構成についても結構ですし、あるいはここに書かれている内容、何も言わないと、そのまま中医協に流れますから確認をしてください。
 では、川原構成員、菅原構成員、初めての人を優先します。そして香取構成員の順番でいきます。
 では、川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 ありがとうございます。
 細かい部分でお話をさせていただきたいと思います。
 6ページのところの薬価制度を起因とする課題の2つ目のポツのところでございます。
 安定供給を確保するための設備投資のところで、製造業者だけなのですけれども、高度な管理を必要とする薬剤が増えてきておりますので、これは、流通段階ですとか、医療機関ですとか調剤薬局でも、この保管コストは、当然設備投資が必要になってくると思いますので、この製造業者だけではなく、卸さんですとか、医療機関、調剤薬局も、射程に入れておいたほうがいいのかなと思いました。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、菅原構成員、お願いします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 3点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 まず、最初の論点案の冒頭なのですけれども、今後の薬価制度の在り方に関する全体的な課題の中で、「良質な医療や医療技術の成果を国民に確実に提供するため」と、これは、そのとおりなのですけれども、これまでの議論の中で、国民視点においてドラッグロスやドラッグラグの問題というのは非常に大きな問題だということを考えますと、ここに「確実に」だけではなくて、「他国に比して遅滞なく」とか、「迅速に」という言葉が入っていたほうがいいのではないかなと思いました。
 確実には提供されるのですけれども、遅く入ってくるという問題も、今、非常に大きいわけですから、その辺りの文言の追加が必要ではないかというのが第1点です。
 第2点目、先ほど小黒構成員からもお話がありましたけれども、やはり患者視点というのは、非常に私も大事だと思っていまして、たまたまがんの患者団体の方々とお話をする機会があったのですけれども、希少疾患たる希少がんは、すごく少ないのですけれども、集めると全体のがん患者さんの20%ぐらいになってしまうという話を伺って、大変な衝撃を受けました。
 そういった意味では、もう少し、そういう個々の情報をうまく収集して、それをうまく開発につなげられるような仕組みづくりということをが、今あるものが、どのように動いているのかということの検証も踏まえてやる必要があるなということについて私も非常に賛成でございます。
 それから、3番目なのですけれども、先ほどの堀構成員からの話に関連する部分でありますけれども、今回この薬価制度の様々な改善策というのを検討すると、どうしてもやはり財政の問題といいますか、様々な画期的なものを評価するというと、そういう話になってまいります。
 我が国の薬価はそれほど高くないかもしれませんけれども、基本的には迅速に幅広く適用される、適用が広いので、ある意味では非常に予見性も高くいい制度だということを一部、もちろん海外からの評価を含めてあることを、私も承知をしております。
 ただ逆に言うと、一度収載をされれば永年にわたって特段の事情がない限りは、ずっとこれが残るという制度でもございます。新たなものを、画期的なものを入れつつ財政的な制約があるとするならば、どこかでやはり既存のものを見直していく、その適用範囲の問題だとか、あるいはどこからどういうふうに外していくかというルールづくりというのも、中長期的には、もしかしたら議論として必要になってくるのではないかなと考えます。議論のこれから先の中長期的な展望の中に、やはりこの薬価の公的な適用範囲の問題だとか、あるいは退出ルールのようなものも、薬価の決め方だけではなくて少し議論する必要があるのではないかなと考えます。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ちょっと確認をさせてください。最後のお話は、高い薬価をつけたものが、次第に競争力が低下するので途中で価格を下げていく、ということではなくて、保険から外すというお話ですか。
○菅原構成員 すみません、新しいものを、画期的なものを評価して入れていくということは、当然大前提だと思うのですけれども、そのためには、新たな追加的な財源というものが恐らく必要になってくる。ある意味で全体的な財源の負担、バジェットがある程度かなり狭まっている中で、新しいものを取り入れるためにバーターとして、今、例えば何か保険から外すようなもの、適用範囲の変更があれば、それを財源として回していくと、アロケーション、再アロケーションをするための仕組みづくりというのも考えるべきではないかなと、そういう指摘でございます。
○遠藤座長 保険収載されたものを保険から外すというのは、ある意味ドラスティックなあれですけれども、例えば、薬価を下げてしまうということもあり得るわけですね。
○菅原構成員 そうです。だから薬価を下げるという選択と、本当に今これが公的保険の中で必要なのかということを議論することは必要ではないかと。
○遠藤座長 もちろんです。分かりました。だから、そんなに競争力のあるものではないものに対して、ということですね。
○菅原構成員 そういうことです。
○遠藤座長 了解いたしました。現状でも保険から外した医薬品はいくつもありますが、革新的新薬の財源としてそういうものを増やしていくという話ですね。
○菅原構成員 そうです。
○遠藤座長 了解しました。ありがとうございます。
 それでは、香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今の最後の話は、陳腐化した医薬品は、臨床現場で使わなくなるので、それはリストから落としていくということだろうと思います。後発品の代替ということよりは、それこそモダリティが変わっていくので、落ちていく。画期的な鎮痛剤ができると、昔の鎮痛剤は、もう誰も使わなくなるので消えていく、消えていくのを待つのか、ある段階で裾切りをするかと、多分そういうことだろうと思います。
 それで、議論全体としては収まりがいいのではないかと思っているのですけれども、今ずっと新薬の値決めの話とか新薬の研究開発の話が出てきているわけですけれども、前にも申し上げましたけれども、薬価制度の議論するときに、新薬の値決めをどうするかとか、研究開発との絡みで薬価制度の中でどれくらいそれを配慮するかとかいう話というのは、確かにあるのですけれども、もう一つ、流通との関係で言えば、既に市場に上市されている医薬品をどうやって価格改定をするかとか、どういうルールでやるかという話がありますね。
薬価制度と言ったときは2つディメンジョンがあって、もちろん新薬でも収載すれば既収載になるわけなので、上市した後特許期間中どうするとかとい議論になるのですけれども、市場にある薬をどういうふうに値決めをしていくかという話と、そもそも市場に入ってくる新薬をどう決めるかという話は、論点としては別に分けなくてもいいですけれども、議論するときに整理をしておいたほうがいいのではないかと、それだけです。
○遠藤座長 重要な御指摘だと思います。今後の議論の中で、また検討したいと思います。
 ほかにございますか、三村構成員、どうぞ。
○三村構成員 ありがとうございます。
 1つ非常に気になりましたのは、薬価差についてということで、これは薬価制度の議論ですから大変重要で、これは結構だと思うのですが、流通における問題が全て薬価差の問題になっているような、そういう印象もございます。
 実はサプライチェーンという視点と、流通という視点は、この医薬品においては必ずしも同じではありません。今必要なのはサプライチェーンの強靱化です。そうすると、先ほどから幾つか御議論があったのですけれども、それは当然メーカーのコストも流通コストもありますし、それらを全体としてどのように合理的で、効率的なものにしていくか。
 つまり、基本的には供給基盤整備が必要だと思います。それが、今の薬価制度のもとにおいては、非常にしづらいというか進めにくい。これはやはり今の薬価制度に起因する問題であり、やはりそこの縛りを、どこかで変えていただく必要がある。
 そのときに、実は、ここをどう考えるかということなのですけれども、いわゆる6ページ目の産業構造を起因とする、サプライチェーン等の安定供給ということなのですが、そこに、サプライチェーンというのは、原料調達を含む生産段階から最終的な流通段階までを含むものであり、全体的なサプライチェーンの強靱化が目標であるという、その視点を明確に入れてくだされば、議論は進みやすくなるかなと思います。その点を、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 それから、もう一つだけなのですけれども、安定確保あるいは医薬品の安定供給の観点からは、長期収載品の中にも非常にいい薬もあるし、むしろそれを残すことによって安定供給に利するということがございます。
 ただ、ここの全体の文面を見ますと、そういったものが出てくる余地がないという感じがあります。逆に言えば、長期収載品をどう定義するか、そして、ある意味では、特許切れの薬ですけれども、大変重要な薬、それは、厚労省の説明の中で、重篤な疾患に対応する重要な薬というような表現をされているのですが、その中に含まれるのかもしれません。そういう議論を、許容するような形の論点整理であるといいのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 ちょっと確認にすぎないのですけれども、多剤投与みたいなお話がありましたけれども、やはり薬剤費は薬価掛ける数量ということで、基本的には、多分これも確認にすぎないと思うのですが、検討会で、やはり薬価のほうに絞ってやるのでしょうかというのが1点。
 あとは、先ほど小黒先生もおっしゃったみたいに、やはり、消費者という患者の視点というのが、やはり流通を考えると、メーカー、卸、小売、やはり消費者は患者さんなものですから、本当に成川先生と一緒にやらせていただいた厚労科研でも、やはりアンケート調査とか、グループインタビューとかで、医療保険に対してすごく患者の方というか、普通の方も両方インタビューしたのですけれども、すごく本当に期待されている感じがありましたので、そういった意味では、やはり患者の視点みたいなものも入ったらありがたいなと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかに、坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 6ページのほう、安定供給のところの話になりますけれども、一番上に、現に多数の医薬品において医薬品の供給不安という言葉が使われていますけれども、現実には供給不安というよりも、実際に供給が止まっているわけですね、そう意味では供給不安という言葉は、やや違和感があるのですけれども、それは置いておいて、実際に供給不足が起きている背景については、先ほど来、三村先生がおっしゃっているように、いわゆるサプライチェーンの脆弱性の問題も、もちろんあるわけですけれども、現実的に、3,000品目ぐらいが供給不足に陥っている背景としては、実際には、製造手順書どおりに作っていない、あるいは品質データの不正みたいな問題があるという意味では、これは薬価の問題というよりも、そもそも法令遵守に対する考え方に問題があるということですね。
 それを薬価の問題としてしまうと、何かちょっと違和感がありまして、薬価が悪いから法令違反していいのかというような印象を、どうしても持ってしまいます。
 さらに、今の供給不足の問題に関して、どの程度のタイムスパンで考えていくのかというところについても、少し整理をしておく必要があるかなと思っています。
 繰り返しですけれども、サプライチェーンの問題と、それから法令違反の問題と分けて安定供給の議論をしたほうがいいと思います。
 それから、先ほど来の堀先生あるいは菅原先生のお話の中で、今さらなのですけれども、薬価制度というのは、遠藤先生の前であれですけれども、いわゆる品目表と価格表の機能、両方ですね。ですから、品目表といいますか、どの範囲を保険で給付するかという議論も、この薬価制度の中には含まれていると、私は理解していますけれども、それをやはりちゃんとこれからの議論の中で、どの範囲まで薬価制度の中で、保険制度での保険での給付として議論していくのかというところが、きちんと分かるように文面として残しておくかどうかというところは、検討されたほうがいいかと思います。
○遠藤座長 複数の先生から、保険の適用の範囲というものをもう一度考えるべきだという話も出ておりますので、どう書くかはともかくとして、恐らくその議論もどこかには載せなければいけない話だろうなとは思っておりますが、また、皆様と御判断させていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 ジェネリックの法令遵守の話というのは、まさにそのとおりです。数値目標もあったので、ジェネリックの使用促進に、アクセルを踏み切った。調剤報酬と薬価と診療報酬をフルに使ったわけですね。その結果として、供給体制がついてこられなかった部分もあるかもしれません。それで、いろいろな不祥事が出てきてしまっている。したがって、この問題も、薬価制度や診療報酬と関連はないわけではないですね。
○坂巻構成員 もちろん、おっしゃるとおりだと思います。
○遠藤座長 分かりました。非常に重要な御指摘だと思います。
 ほかに何かございますか。
 それでは、大体御意見を賜ったと思いますので、事務局は、2つのことをお願いしたいと思います。
 まず、この内容を、今、お話のあったことを精査していただいて書き直していただくという形で、私も幾らでも相談に乗りますし、それから、御発言された先生との確認が必要であればしていただければと思います。
 あと幾つか宿題といいますか、資料提供の要請がありましたので、可能なものについては準備をしていただくという形でよろしゅうございますか。
 皆さん、そんな形で進めたいと思いますけれども、とりあえず、よろしゅうございますかね。
 それでは、内容はそういうことになりました。それで、最終的には、一応、私と事務局で、この論点案をまとめさせていただきますので、それを皆様に御覧なっていただいた上で、いつの時点か分かりませんが、早々に中医協に出すということのようなので、そういう段取りにさせていただきたいと思います。
 何か御質問等ございますか。
 何か事務局からあれば。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 1点だけ、先のほど資料2の追加の部分について、冒頭御説明がありましたが、こちらのほうは、もうこれでおしまいということで、これから議論をされるのでしょうか。
○遠藤座長 資料の2。
○坂巻構成員 参考資料の、特にジェネリック医薬品の不採算の状況とかについて、新しく資料が追加されたという説明を受けましたけれども、これについては、もうこれでおしまいということで。
○遠藤座長 失礼しました。私、そこは後回しにしてすっかり忘れました。新しい資料が出ていますので、当然、御意見、御質問があってしかるべきですので、坂巻構成員、何かございますか。
○坂巻構成員 いいえ、資料をいただいたので、特に不採算の状況については、前回までとかなり違った形の資料が出ていますが、いずれにしても非常に原価率が高くなっている製品が多いということは理解いたしました。
 でも、やはりこういったことについては、今後、薬価の改定等の議論で参考にすべきかと考えております。
 すみません、ちょっとざっくりとした感想になりますけれども。
○遠藤座長 この資料は、今後それぞれのテーマで深掘りしていくときに、当然使う資料ですので、そのときに御質問なり、意見をおっしゃっていただければと思いますので、いつでもオープンになっておりますので。
○坂巻構成員 分かりました、失礼いたしました。
○遠藤座長 ほかに何かありますか。
 堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 本日の追加資料で確認したいので、ちょっと質問をさせていただいてもいいでしょうか。
 32ページの安定確保医薬品についてですが、ここに全体のイメージが書かれているのですが、全体の品目数でいうと、どれくらいが安定確保医薬品の中に入っているのでしょうか。これは学会等での検討結果を反映されたものだと思うのですけれども、成分数になっているので、品目数で教えてもらえますか。それから、私がひょっとしたら見落としているのかもしれませんが、38ページにある調査結果詳細というのは、この安定確保医薬品の、先ほどのA、B、Cのカテゴリーごとの件数と書いてあるのだけれども、この件数というのは品目数のことですか。
 ちょっとわからないので、すみませんが、教えていただけますか。
○遠藤座長 事務局、コメントをいただければと思います。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。
 まず、最後に御質問をいただきました、この38ページの表の件数というのは、御指摘のとおり品目数でございます。申し訳ございません、記載が不適切でございました、品目数のことでございます。
 また、最初に御質問いただきました32ページのほうの安定確保医薬品の数でございますけれども、こちらの32ページでは、成分数で記載をしておりまして全部で506成分と記載をしておりますが、品目数については、すみません、細かい数字まではちょっと把握できていないのですが、4,000品目程度でございます。
 以上でございます。
○堀構成員 ありがとうございます。
 ということは、その4,000品目の中の、この件数ではなくて品目数だと、少ない気がするのですけれども、これは、抽出調査だからということですかね。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 38ページの数、こちらは、安定確保医薬品のうち、今回、37ページのほうで御紹介いたしました物価高騰や為替変動の影響等で不採算になった品目が何品目あったかということで調査をしておりますので、それに該当した品目が内数として記載をしているということでございます。
○堀構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 それでは、小黒構成員がオンラインで手を挙げておられますので、小黒構成員、お願いいたします。
○小黒構成員 すみません、ありがとうございます。
 実はちょっと私も堀先生と同じように思っていて、今、堀先生から質問をいただいたこととも関係するのですけれども、医薬品の推移の全体像が分かる資料がないなと思っていまして、菅原先生が先ほどおっしゃられていましたけれども、範囲の話とかもあると思いますが、例えば10年間隔で見た場合、保険に収載されている医薬品だけで何万点とあると思うのですけれども、それの中で新しく入ってきたものと、出ていったものとか、その推移みたいのがどうなっているのか、例えば長期収載品とか、あるいはジェネリックとかもいろいろあると思うのですが、それの全体像を確認する必要があるのかなと思います。
 これは、保険全体の資源配分の中身を我々が客観的に考察するときにも必要だと思っていまして、そのときに、本当にちゃんと分析すれば、例えば年間の売上高が200億円以上の医薬品であるとか、それ未満のものと、これは、私、自分で分析しているものですと、大体200億円以上の売上のものだけで100製品ぐらいしかなくて、薬剤費10兆円程度のうちの4兆円ぐらい占めているという状況だと思うのですが、下のほうがどうなっているのか、分からない状況です。
 それで、先ほど、特に安定供給との関係もありますけれども、その細かいところで、本当に必要な医薬品であったとしても、非常に量がはけているのが少ないものもあると思うのですけれども、それがどういう状況になっているのかというのが、ちょっと全体像が分からないので、何かその辺の資料、1枚紙でも構わないと思うのですけれども、何か提供をしていただくということは、できないものでしょうか。
 もしかしたら、先生方は、もう既に分かっていらっしゃるのかもしれませんけれども。
○遠藤座長 マーケット全体で売上規模別に分かれたようなものですか、それとも1つの製品の商品のライフサイクルみたいなことですか。
○小黒構成員 ちょっと、今、10兆円の毎年総薬剤費が、大体あると思うのですけれども、それを何万点という医薬品を全部は書けないですけれども、例えば10年前は、どれぐらいの医薬品、何万点が収載されていて、新しく入ってきたのがどれぐらいあって、出ていったのがどれぐらいあるかとか、そういうのが、まず、基礎資料だと、その分類で、例えば革新的な医薬品と成熟品群みたいな、ジェネリックとか、あとは長期収載品とか、そういったものの推移の数がどうなっているのか、というイメージです。あと、ボリュームの推移とかも重要ですね。
 それの全体像を見ないと、本当にその中のところがどうなっているかというのが分からないと思いますし、あるいは先ほど申し上げましたけれども、その市場の規模だけではなくて、数量とかも結構重要だと思うので、それを全部示せということではないのですけれども、1枚の資料で概観できる、要するに10年前、20年前と比べて現在がどうなっているのか、洗い替えがどうなっているのかとか、我々が議論する上で、そういった基礎資料があることも重要かと思います。
○遠藤座長 では、ちょっと事務局の意見をお聞きしたいと思います。
 どうぞ。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 城でございます。
 御趣旨は分かりました。それで、切り口が、幾つか多分あると思います。数量で見るのか、規模で見るのか、それから、その時々のはやり廃りもありまして、製品群として見たときには、抗生剤が主流だった時代からバイオになって、どのような切り口でお示しするのがいいかというのも含めて、事務局で整理をいたしたいと思います。
 数であれば、入ってきたものについては、当然、我々は持っていますが、退出数も、全部リアルで追いかけているかということがあるけれども、今、おっしゃったような希少で必要なものということまで入ってきますと、相当複雑になりますので、そこは相談をさせていただいて、いずれ御用意をしたいと思います。
○小黒構成員 すみません、負担のない限りで、あるものの加工で、よろしくお願いします。
○遠藤座長 可能な範囲でお願いしたいと思います。
 ほかに、菅原委員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 今日の会の冒頭にもありましたし、前回の遠藤先生からの御質問の中にもあったと思うのですけれども、これから恐らくきちんと議論の中で深掘りをされていくのだと思うのですが、やはり議論の大前提として我が国の医薬品市場のこれから先、これまでと、これから先の市場規模がどうなっているかは非常に大事な話でありまして、前回お話があった資料2の4ページの4つ図が出ていますけれども、一番左側の図ですね、これを見ると、やはりもうマイナス成長だという話がある一方で、例えば10ページの薬剤費等の推移を見ると、全体としては医療費が伸びていて、安定的に薬剤比率があるわけですから、中長期的に見てもそれほど大きくシュリンクしていないのではないかというような見方もあったりして、ここの中の薬剤費の取り方だとかデータの作り方を精査しないと、ちょっと全体の議論が危ないなと思っています。
 それを踏まえて、1点だけ確認なのですけれども、例えば、この乖離を説明する1つの要因なのかなと思ったのですが、例えば、新薬とか効能追加で過去の薬剤の取引がない場合には、今、DPCの中では包括外という形で別リストになっていると思うのですね。
 前回の遠藤先生の中にもありましたけれども、DPCの薬剤がどれぐらい入っているのかということは大事な問題だと思います。今回、例えば毎年改定になって、薬については値段が下がっていると思うのですけれども、診療報酬本体改定は2年に1回なので、そうすると1回分の改定ラグについては、そのDPCの中に入っているものの薬剤費について、DPCの点数はそれを反映して下がっていないですね。
 確認なのですけれども、そうするとこれから先、薬剤の毎年改定と診療報酬改定は2年に1回という話になっていくと、DPC中に残っている薬剤費の価格低下がDPCの中で反映されないとすると、その分は、ある意味では当初設定価格からのマージンとしてずっとDPCの病院のところに残っていくのかなと。そこが、医療費と薬剤費の伸びの乖離につながっていくのかなという、そういうような疑念というか、そういうことがあり得るのかということなのですけれども。例えば、今回毎年改定をやりましたけれども、薬が下がった分は、DPCの中の薬剤分を反映して、DPC点数は下がる仕組みなのかどうか、確認として、事務局いかがでしょうか。
○香取構成員 それは、関係ないのではないの。
○遠藤座長 診療報酬は下げていないね、診療報酬は2年に一遍だから。
○菅原構成員 そうですね、ということは、基本的には、薬の値段は下がったけれども、本体は下げていない状況が続いているということですね。
○香取構成員 DPCに包括されている医薬品には薬価がついていないのだから、下がっている、下がらないというのは関係ないのではないですか。
○菅原構成員 薬価がついていないというのは、どういうことですか。
○香取委員 だって、DPCの中に入っているということは、薬価で償還されるわけではない、薬価がないからそこに薬価差はないではないですか、薬価があるから幾らで買っているかということが問題になるので、薬価に関係ないのだから、薬価が下がったからといって、別に、薬価差が、そこに出ているとか、出ていないということはないでしょう、DPCの中に入ってしまっているのだから。
○遠藤座長 実際には薬代としては払っていないのですが。
○香取構成員 そこは、医療経済実態調査で、診療機関本体の収支を見て改定するわけだから、ということになるでしょう。
○菅原構成員 今、そうすると、DPCの。
○小黒構成員 すみません。釈迦に説法で恐縮ですが、10ページのスライドと4ページのスライドの違いというのは、例えば、DPCで使っている薬剤が入っているか、入っていないかという違いだと思っているのですけれども。
○遠藤座長 DPC対象病院と療養病床、および一部包括化されているもので使用された薬剤は入っていません。
○菅原構成員 そうです。
○遠藤座長 そういう意味で。
○菅原構成員 実際に全く集計できないという話ではなくて、実際に保険者の中でもDPCの中に入っている薬剤費というのは、内輪で集計できています。そこの部分の改定上の扱いは、どういうルールになっているのか、ちょっと知りたい。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 申し訳ない、今日ここで、DPC制度の個別の話を、答えられる者がおりませんので、ここで議論を、このまま深められないので確認をするしかないと思います。
○遠藤座長 ついでに聞くなら、一とおり聞いていただきたいのは、この10ページの薬剤費なのですが、これは医療保険の薬剤費に限定されていますか、つまり、今は、療養病床は介護保険が結構進んでいまして、薬を使っていますので、介護保険で使われている薬剤費は、この中にカウントされているのか、されていないのか、それも確認してもらえますか。
 ほかに何かございますか。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 簡単に行きます。
 さっき小黒先生の言った話はすごく大事なのでやってほしいのですけれども、毎年やらなくてもいいですが、20年前、10年前、そして現在で、そもそも医薬品の新陳代謝はどれくらいしているのかという話です。新薬が年4回収載になって、もう20年、30年近くなっているので、例えば数量ベースでどれくらい新薬が毎年入ってきていて、それが後発品が出ることによってどういうふうに置き換わっていっているのか。それはそれで見せていただきたいし、城審議官がおっしゃったように疾病構造が変わっているわけですから、薬効群ごとのボリュームというのも変わっていっているはずなわけですから、本当は金額なのだと思うのですけれども、品目でも金額でも何でもいいのですが、同じ基準で見ればトレンドが見られるはずなので、それは見られるのではないかと。
 それと、たしかクレコンの木村先生の資料の中に、新薬と長期収載と薬局方品と、市場の規模を示した表がありましたね。あれでいくと、安定供給対象薬品であるとか、局方品というのは数百億とか、何か1000億とか、そのぐらいの規模だった気がするのですけれども、あれもそんなに細かい品目はいいですけれども、まさに今問題になって、価格を考えなくてはいけないと言っている医薬品の品目数とか売上ボリュームはどれくらいなのか、というのは、それこそ価格支持が必要な品目がすごく多ければ財政影響も大きいわけですから、そこは分かるように資料を作っていただきたいなという気がします。
 それとの関連で言うと、37ページに、メーカーに聞きました、物価高騰、為替変動による医薬品の影響はどれくらいありましたか、という表があります。医薬品全体で1万3000品目くらいですか、ありますね。そのうち調査対象にした品目、これは、どのくらいあるのですか、2,000か3,000かそれぐらいですね。
 その中で、実際に引っかかったのが690だったわけでしょう、これは多いと考えるのですか、少ないと考えるのですか。
 調査対象医薬品のうちの4分の1か3分の1だと、全体の医薬品から比べれば数パーセントしかないのですね、実際、物価高騰でその逆ざやになっていると言われているのはこれだけです。これをどう考えるかというのは、別に今日議論しなくてもいいですけれども、ちょっと議論をしたほうがいいのではないか。
 先ほどの全体のマーケットの中で、この議論はどれぐらいのインパクトになるのかとか、そういう話につながるので、後々議論をしないといけないのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、芦田構成員、お手を挙げておられましたね、芦田構成員、どうぞ。
○芦田構成員 ありがとうございます。
 私も事務局に、資料のお願いです。論点案の革新的な医薬品の迅速な導入についての中の、特に産業構造を起因とする課題に関してなのですが、革新的な医薬品の研究開発や創出、それから創薬ベンチャーの活性化ということは、これまでも政府の中で様々な省庁で様々な議論がなされ、様々な取組がなされてきていると認識しています。
 この検討会で、今後、論点に取り上げて議論をするのであれば、これまでのそういった検討、議論を踏まえた上で議論すべきではないかなと思っております。
 例えばですけれども、厚生労働省も、昨年、医薬品産業ビジョンを出されています。この中には、研究開発や創薬ベンチャー等々についても触れられています。
 また、経済産業省もバイオベンチャーの支援に対する検討会であるとか、再生医療等製品の産業基盤整備についての検討会であるとか、文部科学省さんも産学連携による医薬品の研究開発についての検討会をされて報告書も出されています。さらに内閣官房の健康医療戦略室でも、たしか昨年だったと思いますけれども、医薬品や再生医療の産業化の課題であるとか、それに対する必要な取組についての検討をされていて、報告書も出されています。その中には、海外の医薬品のエコシステムの分析も含まれています。
 それら検討を踏まえて各省庁がそれぞれいろいろな取組をされていますし、AMEDが産学連携やベンチャー育成の新たな事業も始められています。
 ですので、そういったこれまでの検討において、どのような議論がされてきたのか、それらを踏まえて、これまで、また現在、どのような取組をされているのかということを、整理していただいて、それを検討会の中でも共有していただいて、それをまず踏まえた上で議論をするほうがいいのではないかなと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 その辺りの情報が不足しておりますので、しかも別なところでは相当進んだ議論が進んでおりますから、整理をしていただいて情報の共有化するというのは、今後、これをどこまでやるのかということは、また別問題として、情報の共有化をして議論をすることは大変重要なので、ぜひ、お願いいたします。
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、先ほど申し上げましたような対応を取らせていただきます。
 それでは、事務局から何かございますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第5回検討会につきましては、10月27日14時から開催予定でございます。
 詳細につきましては、厚生労働省事務局よりメール等にて御連絡をさせていただく予定でございます。
 また、本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本日の検討会を終了したいと思います。大変有意義な議論ができたと思います。
 ありがとうございました。