第2回第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会議事録(2022年10月4日)

日時

令和4年10月4日(火)13時00分~15時00分

場所

オンライン会議
株式会社三菱総合研究所4階会議室

議題

1.関連する 検討会等の状況(報告)
2.第3期データヘルス計画に向けた論点について

議事

議事内容
○大山主査 本日はお忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので「第2回 第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加をいただき、誠にありがとうございます。進行を務めさせていただきます厚生労働省保険局保険課の大山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン開催とさせていただいております。まず初めに、発言の仕方などを御案内いたします。会議中の御発言は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言くださいますようお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かいましてうなずいていただくということで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。つきましては、皆様カメラをオンにしていただきますようお願いいたします。
それでは、これ以降の進行を座長にお渡しさせていただきます。古井座長、よろしくお願いいたします。
〇古井座長 皆様、お疲れさまでございます。座長の古井です。それでは早速、議事次第に従って進めたいと存じます。議題の1つ目は本件に関連する検討会等の報告です。まず資料1について事務局より説明をお願いいたします。
○大山主査 ありがとうございます。資料を投影させていただきます。資料1「第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」の内容につきまして、事務局より説明させていただきたいと思います。まず1ページめくっていただけますでしょうか。こちらは第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会の概要でございます。令和6(2024)年度から第4期特定健康診査等実施計画が開始されることを見据えまして、これまでの取組やその評価等を踏まえた効率的・効果的な実施方法等や科学的知見を踏まえた特定健診・特定保健指導に関する技術的事項について検討を行うものとして、令和3年12月に第1回を開催したところでございます。
資料の3ページ目を御覧ください。中段の第4期特定健診・保健指導の見直しの検討会と青枠で囲ったところの下に記載のとおり、実施方法ワーキンググループ、技術的事項ワーキンググループという2つのワーキンググループを構え、検討をいただいたところでございます。
4ページ目を御覧ください。まず効率的・効果的な実施方法等に関するワーキンググループについて、目的といたしましては、これまでの取組の実績やその評価等を踏まえた特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法について検討を行うものでございます。検討事項といたしましては、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する方向(アウトカム評価の導入、ICTを活用した取組など)を検討させていただいたものでございます。
資料の5ページ目を御覧ください。こちらは健康増進に関する科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキンググループでございます。こちらにつきましては、目的として健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項等について検討を行うものでございまして、検討事項といたしましては、これまでの厚生労働科学研究等の科学的知見や診療ガイドラインの改正等を踏まえ、技術的事項について検討するものでございます。最新の知見等を踏まえつつ、生活習慣病に係るリスク評価の精緻化や個人に対する生活習慣の問題点に関する注意喚起等に資する方向で質問項目や健診項目について検討させていただいたものでございます。
資料の6ページ目を御覧ください。こちらは見直しの概要でございます。こちらのスライドにつきましては、質問項目、健診項目、その他技術的事項について見直しをさせていただいた概要について触れさせていただくものでございます。
資料の7ページ目を御覧ください。こちらは特定保健指導に関する見直しの概要でございます。上から順に、成果を重視した特定保健指導の評価体系、特定保健指導の見える化の推進、ICT活用の推進という3つの項目の見直しをさせていただいたところでございます。
資料の8ページ目を御覧ください。特定保健指導の実績評価体系でございます。従前の第3期特定健診・保健指導においては、そのプロセス評価ということで、面談を行った場合に何ポイントというような、プロセスに対するポイントを配点するようなものでございましたが、第4期からは、アウトカム評価を行うということで、主要目標である2cm・2kgを達成した場合、そのプロセスに関わらず180ポイントが算定されることや、それ以外にも、この主要達成目標が達成されなかった場合においても、例えば1cm・1kgの達成であれば20ポイント、食生活の改善等があれば20ポイントというように、対象者の行動変容等を評価するような内容に見直しをさせていただいたところでございます。
以上、特定健診・保健指導の第4期に関する見直しの検討会の検討状況につきまして、事務局より説明をさせていただきました。
 
〇古井座長 ありがとうございました。それでは、第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会は、中山先生が座長を務められておられます。もしよろしければ、先生のほうからコメントをいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
○中山構成員 ありがとうございます。京都大学の中山です。今、事務局のほうから御報告がありましたとおり、検討会の下に置かれているワーキングで実動の検討をかなり進めてくださっているかと思います。私もその関係している研究班のほうからのインプット、それから研究班は慶應大学の岡村先生の研究班の成果が適切に反映されているものと思います。
これらの検討を踏まえて、来週10月12日に第3回の検討会が開催されるものと考えております。事務局のお取りまとめに大変感謝しております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇古井座長 中山先生、ありがとうございました。それでは続きまして、資料2について、事務局より説明をお願いいたします。
○大山主査 ありがとうございます。それでは、資料2「データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会の進め方」の資料を御覧ください。こちらは国保・後期の第3期データヘルス計画に向けた検討のスケジュールを投影させていただいております。中段に記載のとおり、データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会構えまして、9月に1回目を開催したところでございます。
具体的な検討事項としては、データヘルス計画策定の手引の改訂等の検討・まとめでございます。また、広域連合が作成する高齢者保健事業のデータヘルス計画策定の手引につきましては、以下のとおり、ワーキンググループを別途構えまして検討しているところでございます。
それぞれの論点につきまして、資料の2ページ目に記載をさせていただいています。1つ目につきましては、データヘルス計画の策定やその実施、評価をどのように行えばよいか。2つ目は、「データヘルス計画の標準化」を含め、手引では具体的にどのような内容を示すことがよいか。3点目は、保健事業における評価や「見える化」の推進など、手引においてどのような見直しが必要か。そして4点目、現行の手引に追加すべき事項やさらに記載を充実させるべき事項として、どのようなことが考えられるかということを、具体的な論点として議論を進めているところでございます。
資料の3ページ目を御覧ください。こちらにつきましては、後期データヘルス計画に関する現状と課題及び論点でございます。1番左の列に記載のとおり、保健事業の内容の充実、データヘルス計画の標準化、評価指標の設定、他の計画との調和という、この具体的な4点につきまして議論を進めているところでございます。
第3期データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会の進め方についての御説明は以上でございます。
 
〇古井座長 ありがとうございました。国保・後期の検討会のほうには津下先生と私が出席をしていまして、津下先生はワーキングのほうにも出られています。今、事務局から御説明があったように基本的には第3期の計画ということで、やはり手引の作成をするという点や、少し被用者保険とは構造が違っていますが、同じように第2期で顕在化した課題に対応していこうという方針だと思います。被用者保険、地域保険の両方に共通する項目もありますので、また整合を取りながら進めていくとよろしいと思っております。津下先生、何かありますか。
〇津下構成員 後期について少しだけ補足ですけれども、後期については一体的な実施がこの間始まりましたので、データヘルス計画についてはそこの部分の充実が必要ということと、それから広域連合が保険者となりますので、マンパワー的にもかなり脆弱と言いますか、専門職が不足しているというような状況もありますので、広域連合がデータヘルス計画を作りやすいような標準化ということが必要です。標準化しつつ、その個別市町村の保健事業とうまく整合を取った形で作っていくということ。
それからもう1つ、後期に特有の話題かもしれませんけれど、後期高齢者保険は他に移行することなく、最後は死亡で全て終わることになると思います。国保のように75歳で次の保険者に送るとか、被用者保険のように退職後国保に送るとかそういう制度ではないので、データヘルス計画に何を求めていくかということなど、少し深い話も出たりしました。保健事業の計画ですから、標準化して広域連合が迷いなく作れるようなものにしようということでまとまったと思っております。
〇古井座長 津下先生、ありがとうございました。エンドポイントまで考えるとすごく深い話になりそうですが、いずれも参考になる知見だと思います。ありがとうございました。
先生方のほうから今の事務局の資料1と2の内容につきまして、何か御質問あるいはコメントはございますでしょうか。特によろしいでしょうか。それではまた進めながら御挙手いただければと思います。
それでは次の議題で、第3期データヘルス計画に向けた論点について御議論いただきたいと存じます。まず資料3の説明をいただいた後に6つの論点について順番に御意見を伺えればと思っております。それでは最初に事務局から資料説明をお願いいたします。
〇大山主査 ありがとうございます。厚労省事務局でございます。お手元に資料3はございますでしょうか。「現状の課題と今後の論点・対応策について」、こちらの資料につきまして、事務局より説明をさせていただきたいと思います。
まずアジェンダの構成でございます。前回の検討会で6つの切り口について具体的な議論をさせていただいたものと認識しております。1.計画策定・公表、2.事業メニュー、3.事業アプローチ、4.事業実施方法、5.評価指標、6.保険者間連携。こちらの6つの切り口で皆様から様々な御示唆、御意見をいただいたところでございます。こちらの内容につきまして、現状・課題を整理し、事務局より想定される論点と具体的な対応策の案についてお示しをさせていただき、こちらの内容をたたき台として、構成員の皆様から御意見・御示唆をいただければと考えております。
それでは、資料の内容について説明させていただきます。まず1つ目、「計画策定・公表」についてでございます。こちらは上段に現状・課題認識等を記載させていただいております。例えば、個々の状況に応じて事業メニューの拡大が必要な局面もある一方で、総花主義ではなく、優先度の高い施策への重点化も必要といったことを御示唆いただいておると認識しております。
また、計画策定を行う職員のマンパワーやノウハウの観点ではあらゆる健保組合で、事業実施対象の加入者の規模の観点では特に小規模の保険者において、データヘルス計画のPDCAの効率性が上がりづらい状況だということが課題として示唆されているところでございます。例えば、3~4年ほどの人事ローテーションで奥が深い保健事業のノウハウが喪失することや、計画策定のための現状分析をする保健師やICT専門家等の人材が不足しているといったことを、課題として御指摘をいただいているところでございます。
こちらにつきまして、右側に今後の論点を示させていただいた上で、下段に想定される対応策の案を記載させていただいております。例えば、財政上の制約や既存のエビデンスレベルを勘案した上で、優先順位をつけるべきであることを指針の中に記載をしてはどうかということ、また、データヘルス計画策定の手引で記載を追加してはどうかということを提案させていただきます。
また、共同策定した保険者でおおむね全ての保健事業を共同実施することを条件等に、複数保険者によるデータヘルス計画の共同策定・実施・評価などを許容することを指針上で明記してはどうかと提案申し上げます。
また、第2期導入期と同様に、データヘルス計画策定のための研修事業を実施してはどうかと御提案申し上げます。そして、取組が進んでいない健康保険組合向けに平易な分析機能をデータヘルス・ポータルサイトに実装してはどうかと提案を申し上げるものでございます。
現状・課題認識のところに戻っていただきまして、最下段でございます。制度上では、データヘルス計画は公表が求められる一方で、企業ブランドを背負った健康保険組合で健康課題を詳らかにすることへの懸念などから、公表状況が低調でございます。こちらにつきましては、下段の対応策といたしまして、企業ブランドに配慮しつつ「データヘルス計画」で公表範囲を限定的に定義した上で、データヘルス・ポータルサイトに実装し、健康保険組合同士において相互閲覧できるような機能を実装してはどうかと提案申し上げるものでございます。
こちらは計画策定・公表につきまして補足する参考資料を4ページ目、5ページ目に記載させていただいております。例えば、4ページ目のスライドでございますが、データヘルス計画策定に当たって行われている分析というのは、質・量ともに保険者によってばらつきが大きいということをお示しさせていただいたものでございます。
例えば、データヘルス計画をポータルサイトに登録いただくとき、その分析結果のファイルの登録数などをこちらで確認をすることができますが、このファイルの登録数が1つしかない組合も一定数ございます。これはあくまでファイルの登録数であり、それをもって量・質ともに低いとはみなせませんが、中に踏み込んで確認をさせていただきますと、例えば右側の参考となる分析の事例においては、加入者の属性を把握することや、対策すべき課題を優先順位付けすること、保健事業の対象者を詳細に階層化する等の、そういった踏み込んだ分析の事例などがあるところでございます。また一方で、適切な分析ができていない事例といたしましては、例えば、分析量が極端に少ない、例えば、委託事業者による定型的な分析のみを行っているといった事例も見て取れるところがございました。
詳細につきましては、構成員止まりとして参考資料1に事例を記載させていただいているところでございますので、適宜御参照いただければと思います。
そして、スライドの5ページ目を御覧ください。こちらは計画の公表に関する課題でございます。データヘルス・ポータルサイトに関するニーズアンケート等を実施しておりますが、こちらのアンケート結果では保健事業の予算額・決算額などが開示のハードルとなっているということを確認しているところでございます。
また、相互閲覧に当たっても事業主との事前調整や第三者による開示の制限等の配慮が必要だということが確認されているところでございます。
データヘルス計画の計画策定・公表につきましては、説明は以上となります。次に事業メニューについて説明をさせていただきたいと思います。
スライドの7ページ目を御覧ください。上段の現状・課題認識でございます。一部の事業メニューの指針上の位置づけが不明瞭という御示唆をいただいております。例えば、社会情勢の変化に対応した、高齢加入者の増加や女性特有の健康課題への対策、また継続的に取り組むことで保健事業の成果が出やすい歯科疾患対策やメンタルヘルス対策、また後発医薬品の使用率上昇の飽和状態を背景とする、重複・多剤対策やセルフメディケーション事業といったメニューが一部保険者の中で取組が進んでいるところではございますが、こちらの指針上の位置づけが不明瞭といったところが示唆されておりました。
こちらにつきまして、具体的な想定される対応策を下段の上部に記載させていただいております。まず、前提として健康課題や加入者属性の分析を踏まえて事業メニューを選択すること。こちらを前提に、先進的な健保における取組等を踏まえた事業メニューを新たに指針上に提示、そして好事例をデータヘルス計画策定の手引に記載し、その対応する事業分類をポータルサイトに実装してはどうかと考えております。それら実装の候補となるものはその下段の4点のとおりでございます。
また戻りまして、現状・課題認識の中の下段を御覧ください。保健事業の優先順位付けに資する情報が不足しているということを御示唆いただいております。例えば、取組の幅の拡大を図る保険者から参考となるデータのニーズはございますが、全ての保健事業について費用対効果を一律に比較し、優先順位をつけることは困難でございます。また一部の保健事業については大規模実証やAMED事業、PFS補助事業を通じて、その費用対効果の可視化が進展する見込みがあるものもございます。
これらを踏まえ、具体的な対応策としては下段のとおりでございます。そのままでございますが、大規模実証事業やAMED事業の成果に基づき、指針上で事業の推奨度の色分けなどを提示してはどうかと考えております。また疾患領域ごとの保健事業の関係性と健保組合等の実施状況のマッピングや、令和3年度のPFS補助事業の報告書に基づく成果などを、データヘルス計画作成の手引などで補足してはどうかと考えているところでございます。
こちら事業メニューに関する補足資料は8ページ目以降に記載をさせていただいております。先進的な健保の取組事例につきまして、例えば、女性特有の健康課題への対策の事例や、高齢者対策の事例、そして9ページ目にはセルフメディケーション対策の事例や重複・多剤投薬対策の事例などを参考に載せさせていただいているところでございます。こういった取組を実施している健保組合が一定数存在することに鑑みれば、こういったメニューの指針上の位置づけなどを明確化してはどうかと提案を差し上げるものでございます。
それでは次に、3番目の事業アプローチについて説明をさせていただきたいと思います。資料の11ページ目を御覧ください。こちらは事業のアプローチとして行っております共同事業、PFS事業に関する記載が上段にございます。
まず共同事業につきましては、効率的・効果的な保健事業に資する一方で、幹事健保の負担が重く、その実践の普及が課題となっております。またPFS事業につきましても、効率的・効果的な保健事業に資すると一定考えられておりますが、現状はモデル事業を構築している段階ということが挙げられます。
こちらにつきましての想定される対応策といたしまして、その下に記載をさせていただいております。まず保健事業全般の横串のアプローチとして、共同事業とPFS委託事業につきましては、そのメリットや前提条件を指針の留意事項に記載してはどうかと考えております。その上で、好事例を手引に記載し、各健保の実施状況の把握機能をデータヘルス・ポータルサイトに実装し、そして民間委託事業者向けの研修会なども実施してはどうかと考えております。
また、データヘルス計画策定のところの繰り返しになりますが、共同事業のさらなる普及のため、共同策定した保険者でおおむね全ての保健事業を共同実施することを条件に複数保険者によるデータヘルス計画の共同策定・実施・評価を許容することを指針上で明記してはどうかと考えております。また、PFSモデル事業につきましては、モデル事業の構築を今検討している段階でございますので、将来的にガイドラインを策定してはどうかと考えるものでございます。
また、事業アプローチの現状・課題に関するところの下段を御覧ください。外部委託事業者の発掘やその選定につきましては、限られたマンパワーとノウハウでは困難という課題を示唆されているところでございます。こちらにつきましては、その解決策といたしまして、外部委託事業者に関する成果も含めた情報の提供機能をデータヘルス・ポータルサイトに実装してはどうかと考えているところでございます。
次に12ページ目を御覧ください。事業アプローチの現状・課題、想定される対応策の続きでございます。前回の検討会の中でも示唆されたところでございますが、適切な効果検証を促進するための根拠が薄弱という御示唆をいただいております。先進的な効果検証を志向する保険者にとって拠り所なるような指針上の文言が欠如していたり、適切な効果検証を実施するためのノウハウが不足しております。
こちらにつきましては、下段の対応策の上段のとおり、望ましい効果検証に関しては指針の中に記載をしてはどうかと考えております。また、事業の実施前に検証デザインを行うことの重要性、また、ハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチそれぞれでは求められる検証手法の相違があること、そしてその効果検証について、既存のガイドラインを参照いただくことや将来的な整備を検討してはどうかと考えております。
次に現状・課題に戻っていただきまして、中段でございます。企業側の理解を得てコラボヘルスを推進することができる環境整備が必要という御示唆を従前よりいただいているところでございます。こちらにつきまして、想定される対応策といたしましては、コラボヘルスのために企業への具体的な働きかけ方法や健康スコアリングを用いたお願いなど、データヘルス計画作成の手引などにその事例を記載してはどうかと考えております。
そしてまた現状・課題に戻っていただいて、最下段でございます。BCP──いわゆる事業継続計画の観点からオンラインでの事業実施やリモート環境での事業管理が課題という御示唆をいただいているところでございます。こちらにつきましても保健事業の事業継続の観点やどこまで行った場合に継続を断念するか、そういったBCPの観点での検討の重要性について指針の中に明記をしてはどうかと考えているところでございます。
スライドの13ページ目以降につきましては、事業のアプローチに関する補足資料でございます。例えば、こちらの13ページ目でございますが、これは共同事業を実施している健保の取組がまだまだ進んでいないということを示唆するものでございまして、共同事業を実施している組合につきましては、例えば一番左の5千人未満につきましても大体10%強、それぞれの区分についても同じような推移で進んでいるところでございまして、健保組合における共同事業の実践は十分に進んでいるとは言えないということを示唆するものでございます。
次に14ページ目以降でございます。こちらはただいま厚生労働省保険局保険課のほうでモデル事業構築を目指し、補助を行っている事業のPFSの事例でございます。14ページ目に石塚硝子のモデル事業、特定保健指導のモデル実施に関する事例、15ページ目に三洋化成工業のICTを活用した生活習慣病重症化予防の事業、そして16ページ目にコニカミノルタ健保のICTソリューション活用をした療養費適正化の事業の検証内容などを載せさせていただいております。
こちらにつきましては、参考資料2で令和3年度成果連動型民間委託方式による保健事業(PFS事業)報告書のほうに、弊書をホームページで公開させていただいている報告書の内容を抜粋し、掲載をさせていただいているものでございますので、こちらも適宜御参照いただければ幸いでございます。
次に事業の実施方法について御説明させていただきます。スライド18ページ目を御覧ください。現状・課題認識のところで、結果を出せる保健指導、効果のある保健事業というのはどういうものか、その先進事例の収集・横展開が必要ではないかという御示唆をいただいているところでございます。
現状、健保組合のデータヘルス計画につきましては、ほぼ全ての組合が第2期の当初からデータヘルス・ポータルサイトを通じて標準様式で計画の作成、実績の報告などを作成いただいているところでございます。こういった蓄積されたデータから標準仕様における各事業のプロセス及びストラクチャーの要素を説明変数として、各事業の効果を高める実施方法を定量と定性の両面で分析をしているところでございます。
こちらにつきましては下段の想定される対応策のとおりでございますが、具体的には特定健診・保健指導、個別受診勧奨、喫煙対策、後発医薬品の促進について、こちらの定量・定性の分析を進めているところでございますので、その分析結果をデータヘルス計画作成の手引に追記をしてはどうかと考えております。
19ページ目以降にその分析の結果の一端をお示しさせていただいております。例えば、事業主との連携体制が構築されているところのほうが特定保健指導の実施率が高い部類に入る確率が高いとか、産業医または産業保健師との連携体制が進んでいるところのほうが実施率の高いグループが集中しているとか、そういったプロセスストラクチャーを説明変数として、どのような実施体制、連携体制に組むことで保健指導の効果やその実施率等が高まっていくかといった分析結果を今取りまとめているところでございまして、こういった内容を手引の中に記載をしてはどうかと提案差し上げるものでございます。
続きまして、5番の評価指標でございます。スライドの24枚目でございます。評価指標につきまして、現状・課題認識等の上段を御覧ください。個別事業の共通評価指標の充実によって保険者の事業者選定の目利き力が高まることもありまして、社会情勢の変化や現場の事業実態を踏まえ、共通評価指標のさらなる充実が必要と御示唆いただいているところでございます。
現在データヘルス計画の共通指標につきましては、導入期に5つ導入し、現在は23指標に拡大しているところでございます。他方で女性の健康課題や高齢者の対策、精神疾患や睡眠障害、歯科疾患、セルメ推進、コラボヘルスといった事業に関する指標は現在未設定の状況でございます。また、この共通評価指標の実績値の入力方法につきましては、組合による任意の入力項目が多く、データ集計の負担も大きいため、こちらにつきましては、NDBを用いた国による抽出・集計等が必要ではないかと御示唆いただいているところでございます。
そして最後に共通の評価指標に対する目標の設定値も任意というような現状が今現在ございます。こちらにつきまして、共通指標の概要につきましては指針に記載をすること、また具体的な項目につきましては手引に記載をし、実績値の表示及び目標値の登録画面をデータヘルス・ポータルサイトに実装し、その実績値の入力につきましては、NDBデータによる集計が可能な指標については、国が実績値をポータルサイトにプリセットすることを提案申し上げるものでございます。また加減算等で用いる共通評価指標などにつきましては目標設定を必須化し、その目標水準は参酌基準などを設定してはどうかと考えるものでございます。
25ページ目につきましては、現行の23の共通の評価指標について、その実績値の入力状況や目標値の入力状況をお示しさせていただいたものでございます。赤く塗りつぶされたセルのとおり、特定健診実施率から後発医薬品の使用割合につきましては、その実績値を既に国のほうで集計をしておりますので、ポータルサイト上プリセットしております。その場合、目標値の登録件数というのが一番右側の列にございますが、令和4年度、令和5年度はこのプリセットを行っていない指標に比べ、比較的目標値の入力が進んでいるということも踏まえれば、こういったデータにつきましては、国が抽出・集計をすることが効果的なのではないかということをお示しする資料でございます。
最後に保険者間連携について説明をさせていただきたいと思います。資料の27ページ目を御覧ください。こちらは中間サーバを用いた全保険者間のデータ連携が行われるようになりましたことで、レセプト及び特定健診・保健指導のデータに関する課題は一定解消しております。ただし、このデータ連携は可能になりましたが、データを利用する人材が不足をしており、利用には課題が残る状況でございます。
こちらにつきまして、想定される対応策といたしまして、こちらも幾つか繰り返しになりますが、共同策定した保険者でおおむね全ての保健事業を共同実施することを条件に複数保険者によるデータヘルス計画の共同策定・実施・評価を許容することを指針上に明記することでデータを利用する人材の共有やノウハウの確保を行うという観点で御提案を申し上げるものでございます。
また、現状・課題の最下段でございますが、一部の保険者で、被用者保険から新たに市町村国保等に移動する加入者に対して、加入後、健診の受診方法や地域の保健事業などを周知するような連携取組がされていることを確認しているところでございます。こちらはオールジャパンという観点ではございますが、対応策につきまして、国保・後期における特定健診・保健指導等の事業について、国保や後期に被保険者をバトンタッチするための保健事業の周知協力を指針もしくは手引に記載してはどうかと考えております。
また、各自治体でどういった保健事業を行っているかといったことをデータヘルス・ポータルサイトに登録を行い、使用促進のための方策などを検討してはどうかと考えているところでございます。
28ページ目のスライドでございますが、保険者間連携に関する好事例でございます。長野県長野市の取組でございますが、事業内容といたしましては、こちらの目的はオレンジ色の箱のとおり、「被用者保険~国保~後期高齢者医療の継続した保健事業の提供体制の構築」という、この目的の下に行われる事業でございます。こちらのその下の左側の箱の右下でございますが、分析結果に基づき、『高血圧』に着目した健康づくり情報の提供という事業がございますが、こちらは市の商工会議所等関係団体を通じて事業所等の退職世代の方に対する国保加入者への情報提供などを行っているような事例でございます。このように保険者間の移動が行われるところで切れ目のない保健事業を実施するために連携を行っている保険者というものもいて、取組が進んでいるところでございまして、こういった状況を踏まえ、指針や手引の中に何か記載をさせていただくことが効果的ではないかと提案申し上げるものでございます。
大変駆け足となりましたが、資料3につきまして、事務局からの説明は以上でございます。
 
〇古井座長 ありがとうございました。前回の先生方からの御意見、問題提起が非常によくまとめられていたと思います。それでは先ほど申し上げましたように、課題ごとに御意見を伺えればと存じます。それではまずは最初の「計画策定・公表」について、3ページ目に論点、それから想定される対応策の案を御提示いただいていますが、構成員の先生方からそれぞれコメントをいただければと思います。それでは挙手のほうをしていただければと思います。では、今村先生からお願いできますでしょうか。
〇今村構成員 今村です。今回の対策では広域で連合してということで、これはそのノウハウを失われないために対策の1つとしてやってもらうのは大変いいことだと思うんですけれども、小規模でできないから連合でするという話と、2~3年で異動するためにノウハウが失われる話は別の話なので、小規模なところが寄ってやるということは、たくさんの人がやるので確かにノウハウも共有されるから、そこの問題はかなり解決するのかもしれませんけれども、大規模なところで熱心な人がいなくなるたびに事業が失われるという現象を防ぐ対策の部分はちょっとまだ未着手かなと思いました。
特に追跡調査のノウハウが失われるんです。ですからバイアスがもともとかかっているデータをどう補正するかというようなことは、3年ぐらいやっていると皆さん大分よく知っていただいて、少なくともたばこを吸っている人のほうが元気だとは言わなくなるんですけれども、でもまた人が新しくなると、あ、たばこを吸っているほうが健康なんですね?というような話になってしまうので、そこの部分をちょっと今後の対策としてももっと強化してほしいと思います。今村からは以上です。
〇古井座長 ありがとうございます。今の今村先生のほうから共同事業化ということに関して、人材の不足の補填とノウハウとは少し別だという話がありまして、重要な視点かと思います。一旦先生方から御意見をいただいて、最後に事務局よりコメントをいただければと思っております。
それでは続きまして、河本構成員様、お願いいたします。
〇河本構成員 ありがとうございます。優先順位付けの話ですけれども、データヘルス計画は御案内のとおり、1期計画では各保険者の身の丈に応じた事業範囲で行うことが望ましいというところからスタートしたわけですけれども、2期計画では保険者インセンティブに沿った保健事業の展開ということで、生活習慣病対策や、あるいはがん対策なども含めて、かなり幅広な取組が総合評価指標などでも例示をされて、実施が求められてきているといった経緯があると思います。
特定健診・保健指導以外の保健事業はそもそも任意事業ですけれども、健保組合からはその総合評価指標に掲げられている様々な事業の全てを実施しなければならないのかと、そういったある種の戸惑いの声も一部に聞かれるところでございます。本来は加入者の特性に合わせて、課題に対応する事業を実施するということに意味があるわけですので、ここにも書かれておられますけれども、今般改正する保健事業指針や手引において自分の組合にとってふさわしい事業を優先順位付けして行うべきだといった趣旨を明記すべきだと思います。
それから、データヘルス・ポータルサイトの関係ですけれども、ポータルサイトに分析機能を実装するという御提案を書かれておりますけれども、データヘルス計画の策定に当たっては自分の組合の現状分析が不可欠であることから、ポータルサイトにとって、この分析機能の実装は必要な基盤整備と思います。分析結果を事業に反映できないような組合も一部にございますので、分析結果の利活用のやり方を手引でも示していただければと思います。
それから、ポータルサイトの機能充実に関しては、厚労省と支払基金と、それから東京大学と健保連による会議体は別にございますので、ぜひそういったところでの意見も踏まえて御検討いただきたいと思います。
それから、これは後の事業アプローチの11ページ目のところにも記載がありますが、いわゆる外部委託事業者に関する成果も含めた情報提供機能の実装につきましては健保組合にとってより使い勝手のよいものになるように、そういった御検討もお願いしたいと思います。私からは以上でございます。
〇古井座長 重要な視点をありがとうございました。続きまして、中島構成員様、お願いいたします。
〇中島構成員 データヘルス計画については河本構成員がおっしゃられたように、各保険者が自らの実情を踏まえて、身の丈に合った形で作ることが基本スタンスであるということに異議はございません。その上で、保険者がそれぞれのデータヘルス計画を作っていく際に、その肝となる健康課題や重点項目については、国の健康づくりとして考えた場合、どのようなものが重点項目、優先順位の高い項目になり、それについて保険者としてどういった目標を掲げてもらうことが望ましいと考えておられるのか、そしてそれをデータヘルス計画にどのような形で反映させていくのか、このような議論がいつ行われるのかということをお伺いします。
少し具体的に申し上げますと、ハイリスクアプローチについては、本日御説明がありましたように、特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会で成果を重視したアウトカム評価を導入するとともに、ICTを積極的に活用していくという方向性は出ておりますが、こうした方向性を踏まえて、今後、国、保険者がどのようなスケジュールで、どのような取組をしていくのかということは必ずしも明らかになっていないと感じております。
また、ポピュレーションアプローチについては、第二次健康日本21の最終評価が行われたところですが、その後継計画で今後国全体としてどのような分野にポピュレーションアプローチの重点を置いていくのか、その方向性について今のところ議論が進んでいるように見受けられません。そして、今後都道府県において策定される医療費適正化計画についても、何を肝に、どのような形で作成していくのかということは、まだ医療保険部会等で議論が開始されていないと承知をしています。
いずれにせよ、国全体の健康づくりとして何に優先順位をつけてやっていくのかということを明らかにしていただいて、それを踏まえて、各保険者がこのデータヘルス計画の肝となる事業をどういう形で取り組んでいくのかということを検討していかなければなりません。今申し上げたようなハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチ、さらには医療費適正化計画等の検討において、国として、どのような健康課題が重点項目としてあるのか、といったイメージの議論をいつ頃開始し、そのイメージがいつ示されることになるのか、そしてそうしたそれぞれの場における検討と整合性を取りながら、各保険者はデータヘルス計画を作っていかなければならないと思っています。そのことについて、厚生労働省のスケジュール感をお伺いできればと思います。
〇古井座長 ありがとうございました。データヘルスの目指す世界観ということに触れていただいたと思います。国保と後期の検討会でも同様に自治体様から、国や都道府県で目指すことを示すことがいい、そんな御意見もあったと記憶しております。どうもありがとうございました。
それでは続きまして、末原構成員様、お願いいたします。
〇末原構成員 ありがとうございます。東京実業健保の末原でございます。計画策定の関係、共同化の関係でございますが、健保連の河本専務もおっしゃられたように、まずデータヘルス計画は、創設時は松・竹・梅と各保険者と身の丈に合った事業を進めていくことでこの計画が始まったわけですが、現在データヘルス計画自体が標準化へ舵を切りつつある状況と認識しているところでございます。
そういった中で、健保組合の今の状況は、そもそも料率が、協会けんぽさんは1000分の100以上で、それより高くて、かつ医療費と拠出金を払うので精いっぱいで、保健事業費に回す十分な財源が確保できていない健保組合があるというのも事実でございます。要は、財政状況は組合により異なるということを御理解いただければと、理解されておられるとは思いますけれども、そういった状況です。
また全体的に、直近で行けば令和3年度、まだはっきりした数字は出ていないと思いますが、相当数の健保組合が経常赤字に陥っているという状況があります。その中でここに出て来ました計画策定、特に小規模組合の負担感とか事業の効率化の関係というのは本当に理解できるんですけれども、そういった中で共同化の指針を出すということであれば、負担感、事務効率化の面だけではなく、そもそもの経費、要するに計画を立てれば事業が伴います。そういう観点から行くと、経費など財政的なメリットが出せるのかと。これは各健保組合がなかなか個々にはできないので、そういうものが出せるような形で、ぜひ国としても、そういう支援も含めた知恵なりを絞っていただければと思います。以上でございます。
〇古井座長 ありがとうございました。それでは会場にいらっしゃる津下先生からお願いいたします。
〇津下構成員 ありがとうございます。論点1についてですけれども、先ほど人事ローテーションとかで引き継がれないということがあったんですけれども、計画策定の体制ということをしっかり書き込んだほうがいいのではないかなと思います。一人の担当者に依存するのではなくて、チームで作るとかコラボヘルスとかそういう形で、複数人で対応していくこととか、記録・議事録などの資料を残し、3年とか6年後とかに振り返りをするときに、そもそもなぜこのように策定したのかということを文章で振り返られるようにしていかないといけないと思います。また明文化していないと、説明をするときにもぶれると思うんです。委託先任せになるということになりますので、やはりこの計画策定の体制については、責任を持った体制づくりをお願いしたいと思います。
それから2点目ですけれども、公表について否定的なところもあるということでした。予算額や決算額とは別に、健康課題について見ると、男性が多い、高齢者が多いとか業務の種別とか、そういう特に属性に依存する部分が大きいので、当然単純に比較はできないわけです。公表の仕方を間違えてしまうと、たとえば高齢者が多い割には医療費が少なくて元気な人が多い職場なのに、ネガティブに捉えられたりすることがあると思います。公表するときには、特に健康課題について誤ったメッセージを出さないように、どのように出すかということに留意するということや、前回もお話しましたけれども、両立支援ということで、病気を持ちながら仕事をしている人を増やしていく方向性と矛盾の内容にする必要があります。そういう意味では医療費というのは投資であって、医療の結果として仕事ができることが価値にもなります。単に医療費を削減計画ではないわけですから、その辺りが誤解された形にならないように十分に留意をする必要があると思いました。
また中島構成員の話にもありましたように、国としてのデータヘルス計画が欲しいということです。国保の検討会のときにも少し話をしたんですけれども、白書とかいろいろなところにまとめられているかもしれないですけれども、国全体で医療保険の状況がどうで、医療費や加入者の健康状態などがどのように推移していて、具体的にそれをこの何年間でどう進めていくというような国全体としての方向性と、この個別保険者のデータヘルス計画がきちんと連動している状況にすること。計画の書式などを標準化するから金太郎あめになるかというと、全然そうではなくて、基本的なことは標準化してもいいんですけれども、その属性とか健保さんの創意工夫が生きる形、またどのように考えてそうしたかということが分かるようなデータヘルス計画であるといいと思います。
参考となる分析事例なども、ある健康課題についてどれだけの該当者がいて、その中でどんな保健事業をどれだけ行って、結果がちゃんと把握できるかとか、を記載する。現時点では予防可能性についてのシステマティックレビューなどがあり、また保険者として実施も可能かということでセレクトしていかないといけないと思いました。以上です。
〇古井座長 とても重要な視点をどうもありがとうございました。続きまして、冨山構成員様、お願いいたします。
〇冨山構成員 日本産業保健師会及びデパート健康保険組合の冨山でございます。前回私は、現状の棚卸しや分析をする保健師やITの専門家が少ないということをお話させていただきましたが、今日、今村先生のお話でノウハウと人材不足は少し分けて考えるということで、どちらも簡単ではないが大切だと思いながら伺っておりました。
保健師やITの専門職を配置の義務化するとまでは言わなくても、配置の推進が進むと、専門職は人事ローテーションが少ないので、ノウハウやナレッジを積み上げられやすいということ、また、特に保健師は計画立案だけでなく、実際の実務遂行にもプラスになってくるかなと思っております。
事務職の方ですと、せっかくシステムの使い方を覚えて、やっと分析ができるようになったころで異動ということが多いので、この辺りも想定される対応策として御考慮いただけるとありがたいと思っています。以上です。
〇古井座長 ありがとうございました。それでは、五十嵐構成員様、お願いいたします。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。前回すこし触れた、経験やリソースが不足していて、何から手をつけてよいか分からないような健保にも、配慮をいただいたかなと思います。ただ、対応策の1番上ですけれども、「エビデンスレベルを勘案した上で優先順位をつけるべきことであること」というのが、もしかすると足かせになってしまう可能性もあります。経験やリソースの量は組織によって全く違うので、一所懸命にエビデンスレベルの高いものを作り出そうとするような先進的な組織と、何をすれば良いのか見当がつきません…のような組織の両方が共存することになります。前者に対して、より高いレベルの計画を求めつつ、後者に対して「必ずしもエビデンスレベルが高い計画が必須なわけではありませんよ」とできる範囲での計画策定を促す。ある意味、アクセルとブレーキを両方踏まないといけない部分があると思うんです。こういうところに関してはこうしてね、こういうところに関してはこれでもいいよ、という形に提案ができるといいのかなと思いました。非常にややこしい発言ですれども。
○古井座長 はい、悩ましい点を含めて、どうもありがとうございます。
それでは、ここで簡単に、事務局よりコメントがあれば、お願いいたします。
○大山主査 厚生労働省事務局でございます。計画策定・公表という、データヘルスの肝となるところにつきまして、皆様から様々たくさんの御意見、御示唆をいただいたものと認識しております。その内容一つ一つに丁重にお答えしたいと思う一方で、もし、我々の回答に漏れなどがありましたら、そちらにつきましては御指摘をいただきたいということ、また、議事録等で確認をさせていただいて、今後3回目に向けて丁寧に調整をさせていただきたいと思っておりますので、その前提でお答えをさせていただきたいと思います。
まず冒頭、今村構成員からございましたノウハウの観点や人材不足については切り離さなければいけないということ、こういった御指摘につきましては、貴重な御意見として、今後の調整事項として残していきたいと思っております。
また小規模だから共有できるようなことと、大規模で属人的な健康課題等、こういった観点で共有ができないようなものに関するものを乱暴に共同策定するとか実施評価するということ、そういったミスリードにつながらないような丁寧な調整が必要だと事務局も理解いたしましたので、今後の課題とさせていただければと思っております。
また、河本構成員からいただきました、身の丈に合った保健事業、データヘルス計画の策定をしていくというところでございますが、身の丈に合ったレベル感がどういったものかということを自組合で知っていただくために、まずその財政上の制約であったり、既存のエビデンスレベルであったり、自分たちの置かれた環境、マンパワー、ノウハウの観点といったものをきちんと分析をしていただいて、優先順位をつけるべきであるということを今一度きちんとお示しすべきではないかと考えているところでございます。計画を策定すればいいということではなく、きちんと身の丈に合った計画を作るための分析が必要であるということを丁寧にお示ししていきたいと考えているところでございます。
また、中島構成員からいただきました、医療費適正化計画、第4期特定健診・保健指導との整合、また次期健康日本21との整合に関しましては、データヘルス計画につきましては、その上位の計画である健康日本21、医療費適正化計画等で取りまとまっていく方針を受けて、その上で重要なことというものが何かを見据え、データヘルス計画の策定の方向性について示していく必要があろうかと思っております。ここの整合につきましては、横断的に議論をするというよりは、医療費適正化計画の検討内容と健康日本21の検討内容、その取りまとめの内容をにらみながら、こちらのデータヘルス計画策定の方針を示していきたいと考えているところでございまして、こちらはくれぐれも厚生労働省内で連携が漏れないように、密に連携をしていきたいと思っているところでございます。
また、第4期特定健診・保健指導につきましては、データヘルス計画の位置づけにおいては、法定の義務ではございますが、1つの保健事業のメニューでございます。こちらにつきまして、この第4期特定健診・保健指導がアウトカム指向に移行していったところも踏まえまして、データヘルス計画全体でもアウトカムを意識した計画策定・実行・評価をしていくことを念頭に置いていきたいと思っております。
その前さばきといたしまして、共通の評価指標につきましても、アウトプットもしくはアウトカムに重点を置いたものに設定をし、どういった事業が効果を出せるかといった定量・定性分析などもお示しをしていきたいと思っているところでございますので、そういった検討の方向性で第4期特定健診・保健指導の方向性とその他の保健事業の方向性について整合を取っていきたいと思っているところでございます。
また4点目、末原構成員からいただきました、財政上の赤字財政の健保が非常に多いということ、そして保健事業をやりたかったとしても、それが財政上どういったメリットを得られるかということが十分に示されていないという課題を御示唆いただいたものと認識しております。こちらにつきましては、大規模実証内容やAMED事業、またPFS事業等で一部費用対効果など可視化する見込みがあるようなものについて好事例としてお示しをさせていただきながら、その財政上のメリットを参考データのニーズで保険者に対し少しずつお示しさせていただきたいと思っているところでございます。
次に、津下構成員からいただきました、計画策定の体制について書き込むということでございますが、まさにおっしゃっていただいたとおり、データヘルス計画は紡いでいくものであるということを明示していきたいと思っております。この紡いでいくものであるということ、どういった人数・体制で策定をしていくか、どのように記録をしていくか、どのように記録を引き継いでいくかというところにつきましては、冨山構成員からもいただきました、ローテーション対策のところにもつながる話かと思っておりますので、この計画策定の体制について、より丁寧に書き込むような検討をしていきたいと思っております。
また、健康課題の公表については、ミスリードを惹起する可能性があるということにつきましても、重要な課題、懸念の点であるということを認識して、丁寧な相互閲覧等の調整をさせていただければと思っているところでございます。
そして、最後に五十嵐構成員からいただきました、エビデンスレベルを勘案しなければいけないということを計画策定に置いて、勘案ができないから計画が作れないというようなミスリードを惹起させないように、丁寧な記載をするということに最低限気をつけるとともに、必ずしもエビデンスが見つかるわけではないということをどのようにお示ししていくかということは、今後のデータヘルス計画の進展に向けて重要な課題の1つとして検討を進めていきたいと思っているところでございます。
すみません、全てに丁重にお答えできているか若干不安ですけれども、事務局からは以上でございます。
 
○古井座長 御丁寧にありがとうございました。今、1つ目が終わりましたが、これから2つ目から6つ目に行きますので、少しスピードを上げながらいきたいと思っております。
それでは2つ目のテーマで「事業メニュー」でございます。7ページ目に対してコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。初めに、秋山構成員様、お願いいたします。
○秋山構成員 私からは主に7、9ページ目の辺りについてコメントさせていただきたいと思います。最初に今項目が23項目あるということですが、やはりこれからいろいろ整理されたとしても、現在の23項目は量としては多いと思っています。それが増えていくということは、健保の中の限られた人材で対応するとか、ある程度丁寧にやるには限界があるということをまず1つ認識いただければと思います。
あと個別の話ですけれども、7ページの下の対応策の中のレ点の3点目に精神疾患というのがありますが、これは健保だけでは非常に難しい取組だと思っています。非常に重要なものであって、例えば、傷病手当金などの部分では発生が増えてきているという基本的な認識はあるんですけれども、健保でできるその打ち手というところはいろいろ検討してみていますが、意外と難しい内容だと思うので、精神疾患の取扱いのところについては、さらに検討を進めていいただければと思っています。
次に、その下の重複多剤のところですけれども、9ページの重複多剤の事例のところの併用禁忌なども取り組むべき課題であろうと思いますが、実際に健保で見たときには、この重複とか併用禁忌は非常に重要な問題なので、いろいろな保健事業を実は私どもも検討していますが、かなり難しい内容です。健保はデータを持っているので、誰に対してどういう状況にあるのかというのをつかめますが、ではそれを解消するためにはとなると、関係するのは処方箋を書かれる医療の方、それから薬剤の方、それから本人で、では誰に通知をしましょうかというときに、やはり結果的には、薬剤という部分もあるのかもしれませんが、御本人にこういうことですよと伝えて、それを医療に見ていただくということぐらいしか、今打ち手がなかなかない、そこから進まないというのが現状です。もちろんそこから1歩進める、地域密着型の健保さんもあると思いますが、特に多くの地域に事業所を持つ健保ではなかなかその答えが出せないという中で、単に健保だけの取組とするのは厳しいと感じています。やはり国における何らかの基準というものも併せて検討していただきたいと思っています。
それと、そもそもデータヘルス計画のデータがレセプトデータと健診データということを考えると、今後このデータの扱い方が変わってくるところもあるのではと思います。医療の側からも個人の処方の内容などが見られることになったときに、この多剤とか併用禁忌の問題は健保だけの課題に留まらないのではと思います。データを見た上で、やはり根元で併用禁忌・重複多剤を回避できるような仕組みも考えられるのではないかということでございます。こういう点も念頭に置いた第4期の取組として見ておいていただければと思いました。以上です。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、今村構成員様、お願いします。
○今村構成員 私からは、7ページに今回歯科疾患と精神疾患を入れていただいたことに、まずはお礼を申し上げたいと思います。今、秋山構成員から精神疾患は難しいという話があったんですけれども、実際、歯科と精神は力を入れて対策を取ると、病気そのものがなくなりますので、かからなくていい病気にかからないという意味で、これは非常に効果があると思います。精神疾患は産業保健の世界では今ストレスチェックなども動いていて、保険者から産業医に働きかける、もしくはカウンセリングを強化することで、かなり防げる部分があると思うんです。特に産業分野ごとに精神疾患の多い分野というのははっきりしているわけですから、そういったところの中で、各保険者から見て、自分のところがこれよりも多いということだったら、政策を強化してもらうということが重要かなと思います。
歯科疾患についても、純粋に歯ということではなく、歯科口腔外科の口腔ケアの部分がやはり大きいと思うんです。特に高齢者になってから、誤嚥性肺炎というのは口腔ケアをしていると劇的に減りますので、こういったところもぜひ今後の対応策として力を入れてもらいたいと思います。今村からは以上です。
○古井座長 どうもありがとうございました。それでは五十嵐構成員様、お願いします。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。優先順位のところに費用対効果の可視化という話を入れていただいてありがとうございます。前回の検討会でも推奨レベルに関して、「全部非推奨」「全部推奨」では全く差がつかなくなってしまうので、ある程度レベルに差を付ける、色分けをしたほうがよい…という話をさせていただきました。
しかし殊に費用対効果の研究は、質の高い研究とそうでない研究をはっきり分けづらい領域でもあります。自己評価のみに頼ってしまうと、丁寧に分析を行って費用対効果の良し悪しを見た研究よりも、なんとなく「費用対効果に優れる」と主張する研究が優先されてしまう可能性があります。
大規模実証やPFSなどである程度示されているとしても、この保健事業で一旦こちら側から優先順位付け情報を提示するならば、1回フラットに全部並べて、どのような基準を使っているのか、ちょっと質評価めいたことが必要かもしれないと思いました。臨床効果などであれば、そんなに突拍子もないものは出てこないですけれども、費用対効果というのはまだまだ横並びで比較するほど成熟している分野ではないところがあるので、ある程度、こちら側で少し見えるといいかなと思いました。
○古井座長 ありがとうございました。続きまして、河本構成員様、お願いします。
○河本構成員 ありがとうございます。先ほどの計画策定のところと絡みますが、組合の中にはアウトプットとアウトカムをどのように、適切に設定していいのかということについていまだ悩んでいる組合もあると伺っております。手引の改訂に当たっては、ポータルサイトの上でこれまでに蓄積された実例をベースに、極力実践的な解説なども盛り込んでいただきたいと思っております。これが1点でございます。
それからメニューの関係で、先ほど来、秋山構成員、今村構成員からも歯科疾患とか精神疾患の話が出ておりますけれども、歯科疾患や精神疾患は成果が出やすいとも書いてございます。確かに長期的に見ると、そうした成果が上がるメニューだとは思いますけれども、例えば、歯科疾患などは短期的には逆にある意味で需要の掘り起こしというか、医療費が増加するような局面もあるわけです。
つまり、そういった事業に着手したばかりの組合と、それから長期にわたって取り組んでいる組合では求めるアウトカムというのも変わってくるのではないかと思います。そういう意味で、手引等の記載に当たっては、そういった時間軸を踏まえた記載にしていただく必要があると考えております。私からは以上でございます。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、会場より津下先生、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。8ページ、9ページに事例などが載っていますけれども、保険者が実施する保健事業としては、保険者として実施が期待される事業を中心に考えていく必要があります。データ分析の結果で、うちの組合では子宮がんが発生してないから、子宮がん検診をやりませんというわけにはいかないわけです。これはデータ分析によらず、国として健診受診率を50%以上にしようという政策目標があるものについては実施すべきであって、保険者は健診を受けた人にフラグをつけて、その人を追跡できるなどの対策が考えられます。
一方、保険者がデータ分析の結果として認識して、循環器疾患とかこういう疾患が起こる、だから早めにそのリスク保有者に対して保健事業をしようという、まさにデータヘルス計画の本命の部分のところの事業があります。
もう1つ、例えばコラボヘルスの観点で言うと、転倒災害とか、高齢者対策(ロコモ)事例は高齢者のことだけ書いてあるんですけど、実は労災としては行動災害が非常に増えていて、労働基準局もしっかり取組をしなければいけないとしているわけです。事業者側が把握している労災の件数の把握、医療費で言えば整形外科的な医療費とも関連があります。しかしこれらについては健診項目に含まれていませんから、現実的には対象者のリストアップができないことになります。そういうものに対してはポピュレーションアプローチとしての対応が考えられます。ロコモ度テストとか体力テストとか、そういうものを全員にやっていただきデータ化されている場合はハイリスクアプローチも可能ですが。
女性の健康についても、保険者としてポピュレーションアプローチ的な情報提供をするとか、それに乗せてやりやすいものになるかもしれません。保健事業といっても3つか4つかに類型化できるのではないかと思いました。
保険者が強みをもつ事業とはどういうものなのかを整理をして、メニュー化をしていくということが重要ではないかと思います。エビデンスについては保険者が個別に考えていかなくても、例えば国の指針などで示されているものについては、それはやっていく方向なんだとの認識を持っていただけるようにしていく。その中で事業者が直接やったものがいいものと、保険者が関わることで追跡ができたり、実施率を把握できたりするというようなものもあります。保険者内部のデータを分析して、その予備軍に対してアプローチをかけるようなものだけじゃないものが含まれているので、これを類型化して示していく。先ほど、ポピュレーションアプローチって何をやるんだという話がありましたが、ポピュレーションアプローチは、世代別とか環境アプローチとかそういうことになるので、広く皆さんにコストをかけずに波及させていくようなものとしてはこういうものがあるのではないかという、示唆が必要かと。事業の羅列ではなくて、整理をされて示されると分かりやすいかなという気がしました。
○古井座長 ありがとうございました。保険者の特徴や強みに応じた区分けがあるということで、ありがとうございました。
それでは、中山構成員様、お願いいたします。
○中山構成員 御検討どうもありがとうございます。この23事業メニューということで充実してきたかと思いますけれども、これはもちろんまず実態把握という意味ではそれぞれ大事な項目になるし、どのように介入するかということになると、その中でどのリソースをどれぐらい充てて、優先順位を決めていくかということになるかと思います。
特に、先ほど五十嵐先生からもお話があったように、費用対効果については、今回出された項目の中の幾つかは、大規模実証の個別実証の中で取り組まれているもので、その中では費用効果分析──対効果ではなくて、まず原価、きちんとした費用を前向きに積み重ねていこうという……(中山構成員のPCがフリーズ)
○古井座長 ちょっと今音声が切れてしまいましたので、つながらなければ先に厚労省からコメントをいただいて、後でコメントをいただきたいと思います。では、厚労省からもしコメントをいただければ、お願いします。
○大山主査 承知いたしました。厚労省事務局でございます。今、事業メニューについていただきました意見のほぼ全ては、この場で我々が何かお答えするというよりも、一度受け止めさせていただいて、データヘルス計画の策定の手引や指針の中にどうお示ししていくかという重要な留意点や御示唆だと思っておりますので、いただいた意見につきましては、丁重に承らせていただいて、今後のお示しの仕方の中で相談をさせていただければと思っております。
○古井座長 ありがとうございました。中山先生、もし復帰されていたら、よろしければ最後にコメントをお願いいたします。
○中山構成員 申し訳ありませんでした。最後に、エビデンスレベルと言ったときには、学術論文で出ているという段階から、本当に新しい事例が報告されたというレベルまで、かなり成熟度に段階があるかなと思います。特に、保険者での実装では、学術論文に限定するのか、また新しいより魅力的な取組まで広げていくのかということも含めて、このエビデンスの位置づけは整理が必要かと思いました。以上です。
 
○古井座長 大事な点をありがとうございました。それでは、次に3つ目のテーマ「事業アプローチ」に移ります。これは11ページ、12ページの論点、それから対応策の案について主にコメントをいただければと思います。お願いいたします。
それでは、今村構成員様、お願いいたします。
○今村構成員 今村です。11ページでこのPFS委託事業の評価がやはりすごく難しいと思っています。これは前回も申し上げましたけれども、腹囲や体重が減るのは、病気になると必ず減りますから、これは健康目的で体重を減らしてもらうという前提が絶対に必要なことです。その健康保持を目的としたもの、この最初の印のところに指針の留意事項と書いていますけれども、その基本的な部分として目標を達成することが重要なのではなくて、健康を維持するためにやるんだということはぜひ留意してほしいと思います。
最近で言えば、SGLT2阻害薬を飲めば、1か月ぐらいですぐに2kgぐらい痩せますので、ネットで買ったら痩せますよと言われてしまうと、簡単に体重を下げられると思うんです。そんなことをする人は普通はいないとは思うんですが、体重を落としたり腹囲を落とすことを目的とするんだったら、ほかにもたくさん方法があるので、ちゃんと健康保持の目的としてという理念が維持されるように留意してほしいと思います。今村からは以上です。
○古井座長 どうもありがとうございます。重要な前提条件もありがとうございました。
それでは、五十嵐構成員様、お願いいたします。
○五十嵐構成員 ありがとうございます。PFSのガイドラインという話が出ているので、こちらも前回と重なるんですけれども、PFSは医療費削減だけを目的にするものではなくて、仮に削減が達成できなかったとしても、予め定めた何らかの基準をクリアできれば「納得して」お金を払う。ガイドラインという話からは少しずれるかもしれませんが、医療費の削減分だけで事業を回していくことはきわめて難しいことを前提にしつつ、医療費や健康アウトカムの測定方法を明示して、支払側が納得してお金を出せるような条件設定をすることが目的である…この点を、この「モデルをどう確立し」というところに入れ込んでいただけるととてもうれしいなと思います。
○古井座長 ありがとうございます。それでは、河本構成員様、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。11ページの「横串のアプローチとして、共同事業」というところですけれども、これは前回の検討会でも御指摘があったかもしれませんが、現状、共同事業が進められるスキームとしてよくあるのは、先に事業者の側がメニューを作って、健保組合に営業をかけるというパターンが比較的よく見られます。本来は逆で、何らかの同質性のある組合がその課題を持ち寄って、共通する課題に対応する事業を立てつけていく。これが本来理想的な進め方かと思っております。そういった観点から見ると、この11ページの一番上の四角の4番目のところに「民間委託事業者向けの研修会の実施」などもございますけれども、事業者側の支援だけではなくて、保険者側への支援というのも必要ではないかと考えているというのが1点でございます。
それからあと12ページの1番下の四角の対応策のBCPのところでございますが、BCPと言っても、もちろんいろいろなパターンがあると思いますが、災害の場合など、保険者の役割としては、被保険者の適用、保険給付、あるいはその支払いなど、要は保険給付のように確実にやっていくというような、非常時であっても絶対に継続しなければいけない事業というものが結構あると思っております。保険者はそういった事態に対して、どのように重要度の高い事業へ経営資源をシフトしていくのかということになるわけです。
保健事業においても当然その優先順位というものはあると思いますけれども、保健事業だけの優先順位ということではなくて、今申し上げたような、これもそれぞれの組合の事情によると思いますけれども、そういったBCPが発動されるような事態においても、しっかりとした保険給付をしていかなければいけないという部分があるということ、そこに何か変に誤解を呼ばないような記載が必要だと考えております。以上でございます。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、冨山構成員様、お願いいたします。
○冨山構成員 ありがとうございます。時間がないので、手短にと思います。
共同事業に関してですが、「幹事健保の負担が重く」と記載していただいて、本当にありがたく思っております。先ほど末原常務もおっしゃったように、赤字健保が多い中、当健保も補助金には非常に助けられている半面、幹事健保としてその手間の部分に関しては悩ましいところです。幹事健保にはインセンティブを多少許容していただいたり、また、事業者さんへの教育というか研修をご考慮いただけるとありがたいなと思っています。
実は幹事健保をやった場合は、実務者としては事業を進めていきたいのですが、経理担当者は、事業の重要性を全て理解しているわけではないことや年度末の経理の一番忙しい時期に補助金関連も絡むことからなかなか進めづらいという点もございます。その部分を事業者さんのほうでワンストップの形でやっていただけるとありがたいと思っています。
また、「コラボヘルスを企業側への更なる浸透のために」の部分で、当健保では、企業側さんのキーパーソンとの連携、企業ごとのエビデンスの提示、また、持続可能な組織づくりをコラボヘルスの3つのポイントとして進めています。コラボヘルスの手順が具体的にわかると、コラボが進みやすくなると思いますので、データヘルス計画策定の手引に追加していただけるとありがたいと思っています。以上です。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、会場から津下先生、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。それでは3点です。
まず、効果検証を促すということで、自己で効果検証をしたいと言ってもなかなかできないので、やはり、効果検証のためにどういうことが必要かということを明示しておくのがいいのかなと思っています。保険者ができる効果検証という、学問的ではなくて、実際にできそうなこととしては、例えば、ハイリスクアプローチであれば、対象者の選定基準はどういうふうに決めたか、その該当者は何人であったか、どういう性・年代か、どういう事業所に分布しているか、そしてその人たちは何か保健事業をやったときに参加しているか非参加か、そして、その参加した人の抽出した条件の検査値等は変化どうしたかというような、ハイリスクアプローチならではの評価の構造があると思います。
ポピュレーションアプローチは参加した人を紐づけするということはせずに、集団全体で、例えば生活習慣の改善とかそういうものが動いたかというように、ざくっと見ていいんだよとか、参加事業所数とかの集団としてのカウントなど、ポピュレーションアプローチについてはこういう形で、レセプトで一々追跡しなくてもいいんだよとか、そういうやり方を示すと取り組みやすいのではないかと思いました。
その点、健康スコアリングの活用というのがあるんですけれども、事業所別のスコアリングも出ましたし、スコアリングの評価などがどう動いたかという、経年的な変化というのはこういうことに役に立つのではないかと思います。健康スコアリングの活用についても記載で12ページに「お願いなど」と書いてありますけれども、スコアリングを使うとこんなにいいことがあるんだよ、こういうふうに見ていけばポピュレーションの評価ができるし、ハイリスク者の人数なども分かるよというふうに、そういう例示などを手引に書いていただく、例示というかサンプルとして示してもいいのではないかなと思いました。
3点目ですけれども、11ページに「情報提供機能をデータヘルス・ポータルサイトに実装」とありますが、ちょっとよく分からないのですけれども、この情報の更新頻度、情報の鮮度をどう保つか、誰がどのように登録するのか、一部の方だけなのか、売込み的な使われ方など少し心配な部分もあるので、実装するならば、どういうルールで行うのかを明確にすべきと思いました。事業者さんの公表情報をそのまま載せてしまってよいかどうか。保険者から見て公平性・公正性というのも担保できるといいなと思いました。以上です。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、厚労省から何かコメントはございますか。
○大山主査 こちらの事業メニューに引き続き、誤認された事業アプローチに至らないための留意点を中心にいただいたものと認識をしているところでございます。例えばPFSであれば、健康の保持増進という重要な前提条件を意識することであったり、医療費の削減効果や適正化だけではなく、予防健康づくりといった目線もPFSの評価に入れる観点があるべきいいといった留意事項であったり、事業者がメニューを作って、それを型にはめて共同事業をすることのないように、その逆方向からのアプローチとなるような留意事項、そしてコラボヘルスという観点でポピュレーションについては効果検証のデザインにおいて集団の数値変化であったり、そういったものを活用できるといった示唆を含めてコラボヘルスを推進していくこと、あと外部事業者もマーケットインと言いますか、プロダクトアウトの弊害に陥らないようなお示しの仕方に留意することといった御示唆をいただいているものと思っております。こちらにつきましても今後の方向性の重要な論点として、御示唆として、承りたいと思っておるところでございます。
 
○古井座長 ありがとうございました。それでは4つ目の「事業実施方法」になります。こちらは18ページ目のところを主に見ていただきながら、コメントをいただきたいと思います。何か先生方からございますでしょうか。特に今なければ、最後にまたもう1周したいと思います。
津下先生、お願いいたします。
○津下構成員 ちょっと質問ですが、19ページから22ページの分析は面白いなと思ったんですけれども、気になるのは、ここの低から高の閾値というか、幾つだと第何区分に入るのかということとか、どういうふうに連携体制を評価しているのかとか、何をすれば高のランキングに行くのかということです。これは特定保健指導実施率を右にしているんですか。実施率が高ければ連携体制が取れているというよりも、連携体制が取れていると実施率が高いというほうがよさそうな気がします。連携体制を取っている、取っていないの2択になってしまうんですね?
〇大山主査 はい、例えばこの19ページ目のスライドであれば、事業主との連携体制が構築されているか、されていないか。御指摘のとおりでございまして、高いグループを見ると、押しなべて連携体制が取れているところが多いということから、事業連携体制は重要であるということ示唆するものでございます。そこの数値の有意差検定のようなものはしているところでございますが、お示しの仕方は、やや誤解を与えるような説明となり、要は実施率の高いところは連携が取れているという、意味合いが逆になっているかもしれません。示唆させていただきたいこととしては、連携体制が取れているところは高いことが多いということから、連携体制が重要だと示唆させていただくという趣旨でございます。
○津下構成員 これはそれぞれの重複状況はいかがでしょうか。全部やっていたら、どんどん実施率が高くなるのでしょうか。この何項目が何個以上あると。例えば、これはできないけど、こちらはできていますとか、この中で何項目以上あると、その実施率がどうかとか、どちらが原因と結果なのか。体制のほうが右軸のほうが普通の気がするので、ちょっと悩ましいかなと思いました。
○大山主査 分析結果を手引の中でお示しをすることが、具体的な対応策の想定としてお示しをしておりますが、お示しの仕方はやはり受け手が分かりやすくというのが一番だと思いますので、その示し方については、手引改訂の中で検討させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○古井座長 ありがとうございます。それでは、中島構成員様、お願いいたします。
○中島構成員 資料の18ページの冒頭に書いていただいていることを、もう一度言わせていただきたいと思います。特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会において腹囲2cm・体重2kg減を1つのメルクマールにして、成果を重視するアウトカム評価にしていくということを取り入れたので、改めて効果が上がる特定保健指導というのは、どのような要素を備えたものなのかということを、国がデータを収集して、保険者等に横展開をしていただきたいと思います。
これまでは特定保健指導の実施率の向上に力を入れてきましたが、今後はその成果についても問われることになりますので、特定保健指導に当たっては、対象者の属性をどのように的確に把握するのか、そして指導するに当たっては、その属性を踏まえたロジック展開をどのようにしていくのか、その際に用いる教材はどのような教材を使用すると効果があるのか、また、対象者との間のコミュニケーション手法においてどのような工夫が考えられるのか、そうしたことについて、しっかり先進事例を収集・分析していただいて、横展開を図っていただくことが極めて重要だと、再度申し上げさせていただきます。
○古井座長 重要な視点をありがとうございました。それでは、津下先生、お願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。特定保健指導が2cm・2kgまたは1cm・1kgプラス行動変容という形になっているんですけれども、3か月で評価できる指標としては、それしかないからなんですよね。本当を言うと、1年後の健診で階層から外れたとか、検査値が改善したとか、それがより望ましいアウトカムだと思うんですけれど、3か月の時点でわざわざ検査することもできないので、サロゲートマーカーとして、検査値の改善に結びつく、メタボの方だったら2cm・2kg減量したり行動変容したりすれば、検査値がよくなるだろうという想定の下にそこを置いているわけです。
やはりこのメッセージが強すぎて、なんか2cm・2kgやればいいんだろうみたいな感じになってしまいがちなんですけれども、データヘルス計画でこれはやはり1年後の健診データでちゃんと効果検証をすることが肝要と思います。モデル実施では3か月に減量できた人は、1年後も継続して減量できていて検査値もいい、だから2cm・2kgを取っていいよねとなったものですが、今はもう2cm・2kgが独り歩き状態になりそうです。本当の意味で結果を出すというのは、保険者としてはもう少し長い目で見る視点、または追跡して疾病発症まで見るとか、そういう視点を忘れないような記載が欲しいなと思ったところです。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、一旦ここで区切らせていただいて、事務局からよろしいですか。
○大山主査 ありがとうございます。今、中島構成員、津下構成員からいただいた重要な御示唆を確と承った次第でございます。何が効果のある保健指導かというところ、ここは医療介護連携政策課とも連携をしながら検証をしていきたいと思いますし、何をもって効果が出たとするのかは、津下構成員から御示唆いただいたとおり、ミスリードを生まないようなお示しの仕方をしていかなければいけないと思っております。お二方からいただいた重要な御示唆は今後の計画の指針の中で反映できるような形で検討させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○古井座長 ありがとうございました。それでは、続きまして24ページ目の「評価指標」のほうをお願いいたします。何かコメントはございますでしょうか。それでは、今村構成員様、お願いいたします。
○今村構成員 今村です。評価指標でぜひ今後考えてほしい対策があって、もともと評価指標というのは難しいものだとは思うんですが、先ほど来、冨山構成員や先生から御指摘のあった、性・年齢に差があるものを比較すると、もともとの年齢差のほうが出てしまうという問題があります。ぜひ、性・年齢調整だけは基本フォーマットとして各指標を比較するときにそれが調整できるように最初の段階で手引や設定の段階でこんなふうにして性・年齢調整をしてくださいというようなことを細かく指示をしてもらう必要があると思っています。でないと、保険者間で比較したときなどの場合は本当に年齢差が純粋に疾病差に出てきますし、喫煙率などは男女比がもろに出てくるわけですので、そういった基本的な部分でミスリードが起きないように、最低限の調整方法を最初の段階で提示してほしいと思っています。今村からは以上です。
○古井座長 ありがとうございました。続きまして、末原構成員様、お願いいたします。
○末原構成員 末原でございます。24ページの一番下でございますが、「加減算で用いる共通評価指標は目標指数を必須化」という中で、「目標水準は各組合の任意の設定」だと。ただし「目標水準の参酌基準を設定」とあるんですが、この意図というか、これは高齢者の支援金加減算がある中で参酌基準を設定するということは、何か国としてこの基準に合致しなければ、また加減算で用いるそういう処理に使っていこうと考えておられるのでしょうか。その辺りの質問です。
○古井座長 ありがとうございます。後でまとめて御回答いただければと思います。そのほかによろしいでしょうか。それでは続きまして、河本構成員様、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。まず1点目は、現行の共通評価指標は23項目ございますけれども、特定健診・保健指導の国への実績報告と、それからレセプトデータから取れる数値を中心に医療指標と親和性のあるハイリスクアプローチの指標が中心になっていると思います。
一方で、今日も議論に出ておりましたけれども、例えば、健康日本21における目標値にある栄養・食生活、運動、休養といった生活習慣、日常生活における歩数の増加など運動習慣の割合の増加など、そういったポピュレーションアプローチの指標があってもよいのではないかと思います。
それをどういった形で数字を持ってくるのかとか、あるいはどういった目標値にするのかといったような話ももちろんあるのかもしれませんけれども、そういった視点での指標があってもいいのではないかというのが1点です。
それから2点目は、この23指標の一方で、目標以外になかなかデータの集計が進まないのはデータの集計入力に負担感があるから進まないということかと思います。
今後、保健事業のパターン化に向けて、この共通評価指標の充実やあるいはその保健事業の指針などを手引に盛り込むということになってくると、あくまで任意とは言っても、この登録の事務負荷がそれなりの負荷になっていることを考えると、NDBデータによるプリセットというのは早期に実現をしていただきたいということでございます。
先ほど申し上げたポピュレーションアプローチもその指標とすべきだというのとどう両立させるかというのはありますが、今後の評価指標の項目増というのは、そういった事務負荷軽減の工夫と併せて検討を行っていっていただきたいというところでございます。私からは以上でございます。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、中島構成員様、お願いいたします。
○中島構成員 25ページにあります、この共通の評価指標の上から8つ目にある後発医薬品の使用割合についてです。これについては、既に全国レベルの指標としては80%以上という形になって、各保険者が一生懸命やってきたところです。そして全国的にはその指標に近づいていますが、新たに国レベルの目標として、2023年度末までに各都道府県で80%以上を達成するという目標に変わっております。
正直申し上げて、各都道府県において80%以上と言っても、使用割合の低い都道府県は大体決まっていて、その傾向はあまり変わらないのですが、これについては保険者の努力だけで解決できる問題ではないわけでございます。各都道府県80%という以上、国においても地域においても80%にしていくような総合的な取組が必要ではないかと重ねて申し上げてきましたが、そういう観点から、後発医薬品については保険者努力だけに帰する要素はあまりなくなっています。やはり地域の医療機関や薬局等の姿勢、さらには医薬品の流通体制等の要因がかなり大きいので、この後発医薬品の使用割合については、保険者努力だけの責任に帰せられない要因が高くなってきているのではないか、面的な形で地域レベルにおける横断的取組がいるのではないかということを申し上げたいと思います。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、会場から津下先生、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。25ページの項目でございます、共通の評価指標ですけれども、現在は上のほうのピンクのところだけがNBDでプリセットされているということですけれども、下のほうにつきましてもかなりの部分がプリセット可能ではないかと思います。どこまでプリセット可能かということを整理していただいた上で、保険者さんが独自の取組として使用したいものはほかに入れられる、それは手で入れるということになります。評価基準をきちんと作られるということになるんですけれども、できるだけプリセットしていただいて、実績値を見ながら目標値をつけるのは、これは保険者さんしかできないことなので、そこをしっかり取り組んでいただけるようにしたらどうかとおもいます。ここの数字を出すものはできるだけ御準備いただけるといいのではないかと思いますが、その辺りの状況はいかがでしょうか。
○古井座長 ありがとうございます。それでは、厚労省さんから先ほどの件も含めて、お願いいたします。
○大山主査 ありがとうございます。様々な御示唆、御意見をいただきましてありがとうございます。まず冒頭の今村構成員からいただきました、性・年齢調整の重要性でございますが、御指摘のとおりだと思っています。卒煙率だとか禁煙の割合といったところは、年齢や性別によって異なったり、それは喫煙率だけではなく、いろいろなところにも影響があるかと思います。
こちらの共通評価指標、25ページ目のスライドを映させていただいていて、NDBで集計をしていくに当たっては、我々は各保険者の性・年齢構成を精緻に把握はしておりませんので、性・年齢補正を行うということは技術的に難しい可能性はございますが、指標を扱うに当たって、性・年齢調整をしていく、その重要性というのは丁重にお示しをしていく必要があろうかと認識を改めさせていただいたところでございます。
また、末原構成員からいただきました、加減算の指標というところでございますが、特にインセンティブ指標として保険者の取組を定量的に評価していくときに、こういった共通評価指標を活用していくことを案として持っているところでございます。そのときに目標値を、例えば絶対値として決めるのかとか、全国平均の相対値を決めていくのかとか、そういった基準をお示しするという観点で目標値の参酌基準などを置いて、国からお示しする必要があるという意図で、何かペナルティ等で縛り上げるとかそういう意図ではなく、どこを目指すべきか、その目指すすべき水準を相対値とすべきか、健康日本21で示されているような絶対値とすべきか、もしくは前年と対比した変化を見るのか、そのような考え方を一定お示しする必要があると捉えているところでございます。
また、河本構成員からいただきました、健康日本21の指標等を参考にしていくというところも重要な視点だと思っております。ポピュレーションアプローチの視点といたしまして、そうした歩数とかほかの指標について、共通的に保険者の皆様にお示しできるものが他には何かないかというところを引き続き検討させていただきたいと思っています。
またその上で、指標を追加したことによって保険者の労働が増える、負担が増えるということのないようにNDBでプリセットの可能性がないかどうかといったところも確認をしていきたいと思っております。
このNDB関連で先に津下構成員からの御意見に対してお答えをさせていただきますが、こちらにお示ししております25ページ目のものにつきましては、5大がんの精密検査受診率を除いては基本的にはNDBのレセプトや特定健診情報で集計ができるものと思っておりますので、将来的にはこういった実績値が自ら集計・抽出をしなくとも、プリセットされるような、そういった将来を目指して対応を進めていきたいと思っております。
そして最後に中島構成員からいただきました、後発医薬品につきましては、御指摘のとおり国策でリードをすべきところというのも多分に含まれている状況でございます。こちらにつきましては、保険課というよりは医療介護連携政策課のほうの施策に大きく関わるところでございますので、こういった検討会で御指摘をいただいたことも含めて、連携をさせていただきたいと思っているところでございます。以上でございます。
 
○古井座長 ありがとうございました。それでは最後のテーマになります。27ページ目の「保険者間連携」に関して、御意見・コメントいただきたいと思います。何かございますでしょうか。それでは、今村構成員様、お願いいたします。
○今村構成員 対応策のところというよりは、現状の認識のところに「レセプトのデータに関する課題は解消」という一節があって、障壁は全て取り除かれたかのように書いてあるんですけれども、今まで物理的につながらなかったのでなかなか大変だったと言うんですけれども、もともと保険者間の連携が全然取れていないということはもう少し保険者間でも再認識してほしいなと思っています。
私は多くの会議で調整役をしておりますけれども、やはり、例えば、協会けんぽさんと後期高齢者の方々などであれば、ほとんど情報の共有がされていないという現実がありますので、ぜひ前提として、保険者間連携がまだそんなに行われていないというような前提でこの話を進めていく必要があるのではないかと思っています。今村からは以上です。
○古井座長 現状も含めて、ありがとうございます。それでは、会場より津下先生からお願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。保険者間連携ということで、国保とか後期高齢で分析をして、被用者保険のほうでこういうことをやってほしかったという要求は結構多いと思うんです。長野県の例なども、国保の事例から被用者保険に発信しているということでありまして、それを受けて被用者保険が国保とのつなぎをしっかりとやっていこうという好事例だと思います。
一方で、保険者が、被用者保険がこのように努力をしたことで、その方の健康寿命が延び、そして医療費、介護給付費にどういう影響があったかという真のメリットを把握する。今、加算減算で受診率が高いと評価されるという状況になっています。しかし、本当の意味では、その保険者に加入していただいて、健康づくりをやったことがどういう実を生んでいるのかを見るためには、保険者間をつないでみて初めて見えてくると思います。
ある国保でやはり、あそこの健保さんから来た人は元気なんですよねみたいな話が聞かれることがあります。そこにもう少し被用者保険が関心を持っていただくと、健康づくりの価値というのがより実感できるのではないかと思います。逆に不十分だったところでは、退職されてから割とすぐに大きな病気になったというような事例があると、本当の意味で被用者保険のときにやるべきことをやっておかなかったことについて、しっかり取り組まなければということにもつながります。保険者間連携をして初めて見えてくることが双方にあるんだということを記載していただいて、どうなっていくかということの追跡の重要性というのもご指摘いただければとおもいます。退職したら関係ないということではないと思うので、保健事業の効果の評価としては重要ではないかなと思っております。以上です。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、中島構成員様、お願いいたします。
○中島構成員 今村構成員、津下構成員から、被用者保険のデータリンクの話がありましたが、協会けんぽでも労働安全衛生法に基づく事業主健診のデータとのデータ連携の話をこれまでもずっと申し上げているところで、40歳以上の方については事業主健診データを保険者がいただくことができる仕組みになっております。
また、今後は40歳未満の方の健診データも保険者が入手をして健康づくりに活かしていくということになっておりまして、労働安全衛生法に基づく事業主健診データを保険者が入手しようとする際に、円滑に入手できるような体制を作っていただくことが重要であると思っています。
その意味では、労働基準局と保険局からひな形の契約書で事業主健診契約を健診機関と事業主の間で結ぶように、一昨年の年末に通知を出していただいていますが、現場ではなかなか定着していないということです。ここについては今一度実態をしっかり把握していただいて、データ連携が事業主健診データとの間でも円滑にできるように、再度促進を図っていただければと思います。
○古井座長 ありがとうございました。それでは、河本構成員様、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。すみません、保険者間連携の話とは少し外れてしまいますが、よろしいですか。
○古井座長 はい、お願いいたします。
○河本構成員 先ほどデータ登録の事務負担の話を申し上げましたけれども、健保組合は特定健診の保健指導計画とデータヘルス計画と2つの実施計画を作っているわけです。令和6年度は第3期のデータヘルス計画と第4期の特定健診・保健指導計画を一緒に作るタイミングになるわけで、両方の作成を要することなりますけれども、第3期のデータヘルス計画を作る中で、第4期の特定健診・保健指導計画をポータルサイトの中で一括して作れるような改修を御検討いただけないかということでございます。
今回、特定健診・保健指導計画もいろいろと見直しがあって、それに合わせて多分改修があると思うんですけれども、要は、計画策定の事務負担を軽減するために、今申し上げたような工夫ができないかということについて、御検討いただければと思います。以上でございます。
○古井座長 貴重な御意見ありがとうございました。そのほかに、先生方からよろしいでしょうか。少し時間が押しまして申し訳ございません。
それでは私からも最後に2点ほどコメントをさせていただきます。1点目はデータヘルス計画が、健保組合、協会けんぽ、共済組合では、標準化を含めて進化をされていまして、中島先生、津下先生からもありましたが、目指すことを改めて明示することが大事かと感じました。事業としても広がって、膨張していく傾向もありますので、その中で一体何が大事かということを改めて示すと。
それから2つ目は、やはり保険者間で格差もありますので、規模ですとか地域といった属性に配慮した保険者に寄り添うような支援策が計画策定期には必要ではないかと。それから先ほどお話があったNDBはもちろんですが、支払基金のデータも即時性という意味では有用性の高いデータですので、そういった支払基金のお力もいただきながら、保険者支援ができると良いと感じました。
今日はいろいろな知見を先生方からいただきまして、本当にありがとうございます。では、最後のテーマを含めて事務局にお返ししますので、すみません、よろしくお願いいたします。
○大山主査 ありがとうございます。長時間にわたっていろいろありがとうございました。最後の保険者間連携につきましても、今村構成員からデータ連携以前に保険者間連携の気運がまだまだ高まっていないというところ、また国保・後期において、努力値を追跡して評価すること、そういった連携を双方から見えることもあるのではないかといった御示唆、また、中島構成員からいただきました、事業主健診の連携に関する、事業主に対する国としての働きかけ、そして河本構成員からいただきました、2つの計画を策定に当たっての事務負担の軽減の検討の必要性といった御示唆をいただいたものと認識しております。いずれも重要な観点だと思っておりますので、今後の検討の材料とさせていただきたいと思います。貴重な御意見、御示唆様々ありがとうございました。
いただいた御意見、御助言を踏まえまして、第3期に向けた見直しの方向性の検討を進めてまいりたいと思います。引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。
事務連絡でございますが、第3回の検討会につきましては、11月7日月曜日、15時から17時の予定とさせていただいておりまして、こちらについても改めて御連絡をさせていいただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、長時間にわたりまして、様々貴重な御意見、誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。これにて「第2回 第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会」を閉会させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
(了)