第2回データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会議事録(2022年11月18日)

日時

令和4年11月18日(金)15時00分~17時00分

場所

オンライン会議
厚生労働省17階会議室 千代田区霞が関1-2-2

議題

1.市町村国保、都道府県、国保中央会・国保連合会の取組事例について
2.手引きの改訂について
3.その他

議事

議事内容
○伊原保健事業推進専門官 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「データヘルス計画(国保・後期)の在り方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところご参加いただきまして誠にありがとうございます。本日は、検討会の2回目ですので、前回と同様に進めて参りますことから、会議の録画の理由等を含めて、事務的なご案内等は省略させていただきますので、ご了承ください。
議事に入ります前に、本日の出欠状況をご報告します。鎌田構成員から、ご欠席のご連絡をいただいています。ここからの進行は、尾島座長にお願いしたいと思います。尾島座長、よろしくお願いいたします。
○尾島座長 それでは、議事を進めていきたいと思います。
本日は最初に、市町村国保、都道府県、国保中央会・国保連合会の取組事例について発表していただきます。この取組事例発表の意図としては、「データヘルス計画の手引き」を改訂するには、まず現場の取組の状況を把握する必要があり、また、この取組事例及びその後の質疑応答によりまして、手引きの具体的な記載内容が見えてくればと考えています。
本日1番目に、都道府県の市町村支援の視点から、データヘルス計画に関する市町村支援の取組や高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けた取組について、石川県に発表していただきます。発表していただきます永松健康福祉部長は、本日オブザーバーとして参加いただいています。2番目に、データヘルス計画に関する保健事業の展開の観点から、新潟県燕市に発表していただきます。3番目に、データヘルス計画を超えた個別の保健事業の展開の観点から、糖尿病性腎症重症化予防の取組について長野県松川町に発表していただきます。最後に、保険者支援の観点から、国保中央会と国保連合会の取組について国保中央会と奈良県国保連合会に発表していただきます。質疑応答につきましては重複する内容もあろうかと思いますので、4人の方の発表が終わってからまとめて質疑応答に移りたいと思います。
それでは、石川県の永松部長から発表をお願いいたします。よろしくお願いします。
○永松オブザーバー 石川県の健康福祉部長の永松と申します。画面を共有させていただきます。また、本日は当県の取組事例を発表する機会をいただきましてありがとうございます。
「はじめに」のスライドです。データヘルス計画は、健診やレセプト情報などのデータ分析に基づきまして、保健事業をPDCAサイクルで効果的・効率的に実施するための事業計画とされております。このデータヘルス計画を推進するためには、都道府県、市町村、後期高齢者医療広域連合、国民健康保険団体連合会などの保険者が連携して取り組むことが必要です。そのような中、都道府県に求められる役割として、例えば以下のようなことが挙げられています。
「国民健康保険制度(国保ヘルスアップ支援事業)」においては、市町村の保健事業の実施状況を把握し、健康・医療情報を分析することで市町村を支援すること。
「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」においては、「市町村及び組合が行う保健事業の適切かつ有効な実施をはかるため、関係市町村の連絡調整や専門的な技術などを有する者の派遣など、必要な支援を行うために努める」などとされております。
ところで、「データヘルス計画とは、市町村や保険者が主体になって取り組むもの」と考えられていることが多いですが、都道府県が主体的となって市町村を創意工夫で支援することができるのではないかと考えておりまして、当県の事例を紹介させていただきます。
この際、必ずしも高度な分析技術が必要ではなく、市町村から報告される情報や公的な情報を取りまとめて、情報を見える化して市町村に還元することで支援が可能だと考えております。
具体的な事例を次のスライドからご紹介させてください。こちらは「国保ヘルスアップ支援事業」でございます。国保ヘルスアップ支援事業は、平成30年度から、都道府県が実施する医療費の適正化に向けた保健事業などに対する助成事業として創設されております。この中の事業例としまして、赤枠にございますが、「KDB等のデータベースを活用した現状把握」、「保健事業の効果分析や課題整理を行う事業」、「データヘルス計画の標準化に向けた現状把握・分析」などが例示されております。
次のページからは、石川県の取組事例でございます。見出しだけ紹介させてください。例えば特定健診・特定保健指導の推進のためには、下線を引いております、「かかりつけ医との連携などによる特定健診受診率の向上対策」、「特定健診・特定保健指導の従事者への研修」、次のページに移りまして、データヘルスの推進のためには、「国保加入者の健康実態の可視化」、「市町保険者のデータヘルス推進支援」、「医療と介護連携に係るデータ分析事業」、これは後ほど事例として紹介させていただきます。また、糖尿病性腎症の重症化予防としましては、「糖尿病重症化予防事業」や、「自己血糖測定器を活用した糖尿病重症化予防モデル事業」、「重症化の予防アドバイザー派遣」、さらには適正服薬の推進のための「医薬品の適正服薬の推進」などを行っております。
ここからが詳細な取組事例でございます。データヘルス計画の目的は、データの分析がゴールではなく、PDCAサイクルを回して現場の課題を改善していくことだと考えております。石川県では、糖尿病対策で改善の余地がある事例が多く報告されておりました。例えば、糖尿病の患者さんが糖尿病の専門医や腎臓病の専門医に紹介されていないとか、ヘモグロビンA1cの高い患者さんが同一の処方で継続して受診しているなどの事例がございました。どうしてそういった事例が起きているかと検証したところ、ここのスキーム図のイメージの下のほうに移り、市・町ではこういった課題は認識しているところですが、主治医の先生方の処方の改善とか患者さんの受診動態の改善までつながっていないといったことがございました。保健師の方は大変頑張ってございますが、このデータ分析した結果をきちんと個々のお医者さんの処方や診療の変化までつなげるには、きちんとやり方を変えないといけないと考えております。ちょうど医師会長もこの糖尿病のことに関しては課題意識をちょうど持ち合わせていたところでしたので、ここの体制をきちんと仕切り直しました。
まず、①にございますが、健康福祉部長と県医師会長の間で体制をきちんと協議しました。そして、次に県レベルの糖尿病対策協議会、こちらは年3回行っておりますが、私も出席しております。そのあとに、市町村単位もしくは郡市医師会の地域単位での糖尿病検討会や研修会を開催しております。そして一番重要なのは、個々のお医者さんに対して処方の改善等を指導するために、地域の糖尿病の専門医の方が重要だと考えており、こういった地域の会議に糖尿病専門医の方に入っていただいて、個々のお医者さんに対してご助言をするように体制を仕切り直したところでございます。
また、もう1つ取組事例を発表させてください。令和2年3月に国民健康保険課長から通知が出ておりまして、都道府県が診療報酬明細書などの情報の提供を市町村に求めることが可能とされております。また、医政局と老健局からKDBの活用に関する事務連絡が出ており、厚生労働省が市町村と広域連合からKDBデータを利用するための承諾書を県庁に取りまとめるように依頼したときに、私たちは石川県も同じデータを分析することができるように市町村からの同意を得たところでございます。現在、私たちは市町村の支援に加えまして、医療計画、健康増進計画、介護保険支援計画などの作成に、こういったKDBデータを利用しているところでございます。
次のスライドにまいります。ここからは一体的実施での取組の事例をご説明させていただきます。この一体的実施につきましては、令和6年度までに全ての市町村で事業を開始するように目標が掲げられているところでございます。ただ、一番難しいところが、保健事業と介護予防事業の実施主体がそれぞれ異なるところでございます。こちらは厚生労働省の基礎資料からのイメージ図を取ったところでございますが、保健事業に関しましては、75歳未満は保険者、75歳以上は後期高齢者医療広域連合が実施主体であるのに対しまして、介護予防は市町村が実施主体でございます。そのため、この一体的実施を推進するためには、都道府県、市町村、広域連合、国民健康保険団体連合会が連携して取り組むことが必要だと考えております。
私たちが最初にしたことは、連絡網及び関係者の整理でございます。一般的には、都道府県は国から連絡を受けて市町村に情報を伝達します。こちらのイメージ図では、グレーの点線のラインで、厚生労働省から石川県や市町村へと連絡がいくところでございます。ところで、この一体的実施に関しましては、この赤のラインですね。一度外に出るために、正直申し上げますと、県庁からはなかなか情報が把握しづらいといったことがあります。
そこで、この関係者の名簿と、次のページにありますスケジュールを、私たちは一度整理しました。県も広域連合も国保連も、それぞれがさまざまな会議を頻繁に行っているところでございます。そういった中、各関係者は、顔見知りの関係は築いているところでございますが、どの会議が一番重要なのかは、なかなか当初は把握しづらい状況でございました。ですので、このようにスケジュールをまず整理したのがこちらの表でございます。
さらには、ここの2ポツ目で説明させてください。石川県では、県と広域連合と国保連が、全ての関係市・町の、全ての関係する課長さんを集めまして、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に係る連携促進会議」を開催しました。この会議では、県から市・町に対して、ストラクチャーとなる保健師の数やプロセスやアウトプットとなる保健事業や介護事業の取組状況、及びアウトカムとして健康寿命の補完的な指標を提示しまして、保健事業や介護事業の全体像を「見える化」してお示ししたところでございます。
具体を申し上げます。こちらが保健師さんの数なのですけれども、各市・町の保健師さんの数は「保健師活動領域調査」に記されて公表されている情報でございます。そして、当県における保健師さんの数を見える化したところ、①でございます。保健師さんの人数におきましては、全国平均よりも多く配置している市・町が19分の17市・町、また、普通交付税措置額から換算した人数よりも多く配置している市・町が19分の16、さらには、県全体では保健師さんの人数は増加しているので、保健師さんの数は比較的足りているのではないのかという印象を持っております。さらに、配置部門を見たところ、実は私たちの県では保健部門より福祉部門に多く配置しているといった傾向がございました。そこで、県庁から市・町に対して、統括保健師さんを配置してくださいとか、あとは部門間できちんと連携してください、本庁と保健センター間できちんと部門横断的に協力できる組織体制を構築してくださいといったことをご依頼させていただきました。
次のページでは、プロセスとアウトプットということで、保健事業と介護予防事業の取組状況を「見える化」しました。私たちは「星取表」と便宜的に呼んでおります。この「星取表」の目的なのですけれども、全てのところの空白を丸にしたいことが目的ではありません。各市町村においては企画立案に困っている市町村もいます。そういったときにほかの市・町の状況をご参考いただいて、先行事例とか成功事例を勉強していただいて、それを横展開したいといった趣旨でつくっております。
また、この「星取表」で見える化したことでわかったことがあるのですが、保健事業と介護予防の一体的実施のところでは空白が多いところがあります。ここの口腔の取組やポリファーマシーの取組は、まだ県全体では進んでいないところでございますので、これは県が石川県歯科医師会や石川県薬剤師会に協力を求めて、市・町の取組が進むよう県全体で市・町を支援していきたいと考えております。
そういった中、一番重要なのがアウトカムだと考えております。健康寿命は都道府県単位で公表されているものの、市町村単位では公表されていません。ところで、健康局の厚生労働科学研究班が、健康寿命の補完的となる、「日常生活が自立している平均期間」の算出方法を発表しておりますので、それを用いまして、アウトカム評価の一助になるように各市・町に情報提供したところでございます。
そうした取組の成果のまず1つ目が、7月に連携会議を実施したあと、県庁から各市・町においては関係各課できちんと情報共有してくださいと。そして、しっかりと首長さんに報告してほしいと依頼しました。その3カ月後の成果のところなのですけれども、右にあります。首長さんに報告してくれた市・町は8、そして、全ての市・町において保健事業と介護予防の一体的実施が令和6年までに実施可能となりました。また、保健師の増員を要望している市・町もあるところでございます。
そういったことで、当県の2個の取組事例を紹介させていただきましたが、本日ご説明したかったことは、データヘルス計画は市町村や保険者だけではなくて都道府県も参画できると考えております。さらに、市・町から得られる情報や公的情報を取りまとめて見える化して市町村に還元することで、県から市町村を後押しできるのではないかと考えておりまして、2つの取組事例を紹介させていただきました。
以上となります。どうもありがとうございました。
○尾島座長 永松部長、どうもありがとうございました。
続きまして、新潟県の燕市の近藤構成員、発表をお願いいたします。
○近藤構成員 燕市です。
今回の燕市発表資料、「燕市データヘルス計画に基づく保健事業について〔医療費適正化に向けて〕」について説明します。
まず、燕市の概要を少し説明させていただきます。1ページをごらんください。燕市は、こちらの新潟県の真ん中ぐらい、越後平野のほぼ中央に位置しております。上越新幹線や北陸自動車道などの高速交通、主要国道が整備されており、令和4年3月末の人口は77,687人となっております。
2ページをごらんください。燕市は金属製品を初めとする、江戸時代の「和釘(わくぎ)」づくりから始まる「ものづくりのまち」で、農業も盛んです。このページの下の図のように、金属加工の歴史は金属洋食器や金属ハウスウェア、鎚起銅器をはじめ、裾野の広い生産技術へと発展しております。少し前なのですが、平成30年には、町工場を舞台とし放送されたドラマ「下町ロケット第2弾」のロケ地にもなっております。
続きまして、3ページをごらんください。燕市の令和4年3月末の人口は、先ほどお伝えした77,687人で、国民健康保険の被保険者数が14,741人、令和3年度の国保加入率が19.0%となっております。また、令和2年度の特定健診の実施率が32.2%で、特定保健指導実施率は57.9%です。こちらは、燕市は令和元年度までは53.1%の特定健診の実施率があったのですが、コロナの影響でだいぶ下がっている状態となっております。
続きまして、5ページをごらんください。この表は、第2期データヘルス計画を作成した平成29年度当時の燕市の国保・健康部署の人員体制をあらわしています。平成24年度当時もおおむね同様の状態であり、専門職(保健師等)については全て「健康づくり部署」に配属されており、平成24年度以前の保健事業の実施はほぼ健康づくり部署が担当しておりました。
続いて6ページをごらんください。こちらは、第2期データヘルス計画策定当初に検討した第1期計画と同一の実施フローの場合における事業実施フローになります。真ん中の①のところには、当時の先進地の取組を参考に、短期で効果が期待できる「ジェネリック医薬品差額通知」の早期実施を決めて、平成24年度から新潟県内初の事業「ジェネリック医薬品差額通知」事業を開始しております。このデータ(レセプト等)を活用した、「医療費適正化」を目的とした実施フローによる重症化予防事業を計画しました。②のところです。上記実施フローにより、こちらのジェネリック医薬品差額通知及び分析はほか自治体で実績のある業者に外部委託とし、ほかの今までの業務についてはこれまでの経緯から「健康づくり部署」に依頼しております。
その結果、専門職が多く在籍している健康づくり部署は、住民ニーズの高まり、介護、福祉部署への新たな専門職の配置等により慢性的に人員不足が生じており、また、データ分析、病期重篤者への保健指導等、専門知識などを補う必要があることが判明し、実施自体が困難な状況となりました。
7ページをごらんください。見直し後の第2期計画における実施フローです。実施体制の変更・見直しを行い、庁内連携の活用(計画策定や個別事業の企画立案等)、外部委託の活用、地元燕市医師会等との連携、実施プロセスの簡素化等で不足部分を補完し、国保の保健事業について、「当面、国保主管課主導で実施」することとしました。国保にかかわる保健事業は国保担当部署が事務処理を担当し、健康づくり部署の保健師の専門的な視点も生かすなど、業務するに当たり2つの課が連携しております。
現在、このジェネリック医薬品差額通知事業を実施することで作成されるレセプトデータに、特定健診データ、各種保健指導データを組み合わせ、燕市オリジナルのデータベースを作成し、地元燕市医師会などとの連携により、このデータベースを生かしたデータヘルス計画分析により、対象者の特定、保健指導、効果検証、事業評価、事業計画を作成するなど、さまざまな事業を展開し、実施しております。
続きまして、8ページをごらんください。
保健事業の実施に向けた実施体制・役割等ということで、①外部有識者(地元の燕市医師会等)との連携強化により、効果的・効率的な保健事業の実施を目指しております。
②外部委託の有効活用により、燕市で不足しているマンパワー、ノウハウ等を補完しております。医療データベースの構築及び医療費分析等、ほかに糖尿病性腎症重症化予防事業をはじめとする、医療機関受療中の方を対象とする、特に専門知識を有する「保健指導」、保健事業の提案・助言等です。
③作業の軽減。役割の明確化により、可能な限り健診結果、レセプト、保健指導結果等で構成されるデータベースにより行うものとし、データベースの活用により、実施のプロセス、考え方の簡素化を図っております。
④の実施主体及び関係部署との連携により、本計画の遂行に当たっては「国保及び健康部署」が主体となり、必要に応じて、関係部署(介護・社会福祉等)と共同で事業を推進します。そのため、課題や評価については適宜共有し、一体となって保健事業の実施に当たっております。
続きまして、9ページをごらんください。ここでは、燕市国保、平成29年度における保健事業ごとの実施体制を記載しています。国保にかかわる保健事業は、主に国保担当部署が事務処理を担当し、健康づくり部署の保健師と協力・連携しながら実施しております。補足として、国保の保健事業の実施に伴う作業については、今後想定される「人員構成の変化(人事異動等)」にも対応できるよう、案内や結果通知等も含め、可能な限り「レセプト、健診結果、被保険者データ等」で構成されるデータベースにより行い、極力実施プロセスの簡素化を図ることで事務職でも対応可能な仕組みとしておりますが、やはり保健師の専門的な視点、意見、アドバイスを生かしながら、協力・連携しているところです。
続いて、10ページをごらんください。こちらは燕市における保健事業の実施イメージです。令和4年度現在、燕市の保健事業は、引き続きこの図のとおり、データ分析を基本とした「ハイリスクアプローチ」は国保担当部署、特定保健指導は健康づくり部署が担い、主に市民全体を対象とした「ポピュレーションアプローチ」は健康づくり部署が担う体制により、協力・連携しながら実施しております。特に、燕市では平成26年度から「健康づくり部署」で実施している「健康づくりマイストーリー運動」がありまして、市民及び市内在勤者を対象とした健康づくりに対するポイント事業であり、事業開始から7年目で概ね14,000人の方から手帳登録をいただき、「健康づくりのツール」として市民の方に広く浸透してきている状況です。
11ページをごらんください。取組を具体化していくプロセスのまとめとして記載しております。
基本的な方向性として、実施効果が明確になる保健事業として不足部分の補完が重要ということで、①の外部有識者のところでは地元燕市医師会、燕歯科医師会、燕薬剤師会から協力をいただくなど、連携強化を図り、合意形成に基づいた関係構築をしているところです。保健事業については、燕市の健康実態の分析をもとに、地元の医師会、委託業者のノウハウ、庁内連携に加え、費用対効果の観点から、保健事業に対する交付金等の活用も視野に入れ、実施しています。
②の外部委託の有効活用は、あくまで不足している部分の補完であり、とりわけ保健指導等において外部と接触する業務については、極力、市が介入することを基本としております。
③の作業の軽減です。実施プロセスの簡素化、役割の明確化により、役割分担をしつつ、IT等の活用により実施プロセスの簡素化を図るとともに、庁内連携の活用、外部委託、医師会との連携等、業務を補完した中で、先ほどもお伝えしたとおり、国保主管課主導で実施することとしています。ただし、「指導後のフォローアップ」、既存事業の実施等、現状のキャパシティで参加可能な事業については、現状どおり健康づくり部署が主体となっております。
④の実施主体及び関係部署との連携では、やはり国保主管課と健康づくり部署が主体となって、協力・連携しながら一体となって進めております。
実施に向けた調整では、保健事業の実施については、国保主管課で作成した素案を健康づくり部署と、障害となっている部分の洗い出しのほかの協議をし、最終的に、医師会との協議によるそれぞれの合意形成に基づき実施しているところです。
ほかに、データヘルス計画作成時に思ったのは、県からの支援で市町村の支援をするに当たり、市町村の現状と課題を把握してもらい、まずは全体的俯瞰での地域ごとの健康課題とその背景が見える化された資料があるとよかったと思っておりました。また、県及び地域の保健所から客観的な視点での意見、助言等を受けることができたのは、大変よかったと考えております。
現在、新潟県では市町村ヒアリングを終え、次期データヘルス計画の策定・実施支援の取組として、市町村の支援となる計画策定・実施支援ツールの開発を進めているところです。また、先ほどお話ししたデータヘルス計画の基礎となる、地域ごとの健康課題とその背景を見える化する支援も進めているところです。
燕市では、国保にかかわる保健事業は主に国保担当部署が事務処理を担当し、健康づくり部署の保健師と協力・連携しながら実施しておりますが、その1つの結果として、令和2年度のコロナ禍になって、健診の取組を3つの密を避ける完全予約制時間割による健診を実施しました。令和3年度は、受診期間を延長の他、希望する日時や会場をウェブや電話で予約可能とする新しい健診の仕組みを構築し、新たに導入した燕市独自の健診等予約システム及び予約専用電話を活用した完全予約制時間割による健診を実施しています。令和4年度は、健診予約システムの活用を含めた地区別の受診勧奨案内を集団健診の予約開始時期にあわせて実施し、10月には新潟県の事業である令和4年度ナッジ理論を活用した未受診者勧奨の効果検証事業により、健診最終期間用に受診勧奨を実施するなどしております。
最後にですが、先ほどもお伝えしましたが、国保担当部署と健康づくり課が一緒に協力・連携しながら庁内連携により、両課で検討会議を重ねて意見を出しながらやっていくことが大事だと考えております。
以上です。
○尾島座長 近藤構成員、どうもありがとうございました。
では、続きまして、長野県松川町の北沢構成員、お願いいたします。
○北沢構成員 よろしくお願いします。
松川町では、糖尿病重症化予防を中心に、松川町におけるデータヘルス計画の評価について発表させていただきます。
1ページをごらんください。初めに、松川町の概要についてお話しします。松川町は長野県の南部に位置しています。果樹栽培が盛んで、今の時期は果物狩のお客さんが主に名古屋方面から大勢見えています。
2ページをごらんください。人口は同規模に比べてやや多く、高齢化率と被保険者年齢もやや低い。松川町は果樹栽培をしている農業者が多いので、同規模市町村と比べて一次産業が多くなっています。
3ページをごらんください。長野県では、データヘルスに関する情報の提供について支援してくれています。
具体的には、4ページ以降の参考データを提供してくれています。長野県の市町村支援として、KDBの情報により、市町村間の比較をしやすいように一覧表に示していただいています。この表があることで、町の健康水準がどの位置にあるかがすぐに明確化できます。比較することで保健予防事業の優先順位が明確になるので、とても参考になっています。また、平成26年からの経年表になっていますので、現状がどのような経過をたどってきたかが一目瞭然でわかるので、とても助かっているデータになっています。
12ページをごらんください。今回は、松川町のデータヘルス計画の中で、特に保健事業の中でも医療費適正化を前提に考えてまいりましたので、生活習慣病の重症化予防対象者に対する保健指導が最も効果的であると判断いたしまして、松川町が実際にどのように重症化対象者にかかわってきたかご説明します。
13ページをごらんください。今回、検討委員に選んでいただきまして、第1回目の検討会で、ストラクチャー、プロセス、アウトプット、アウトカムの4つの指標をばらばらに評価するのではなくて、常に4つの評価を意識して事業を展開していく必要があると再認識しました。今まで点と点でつながっていた事業の取組を、4つの視点を用いることでそれぞれの事業が線でつながることになり、さらに事業を検討することで細い線が太い線になり、結果的に、予定よりも高いアウトカム成果が得られました。
反対にばらばらに評価していた時点では、自分が行っている訪問などを何のためにしているかがわからなくなっていることや、スタッフ間のモチベーションも上がらなかったり、特に予算編成のときに理事者に対して関連性が不明瞭なため、必要な予算や人材の確保ができない状況が起こっていました。ですので、今後も4つの評価を意識して重症化予防に取り組んでいきたいと思っています。
14ページをごらんください。最初にストラクチャー評価ですが、先ほど燕市さんも出されていたのですが、やはり保健指導ができる時間の確保を、最も私たちのほうで強くお願いしまして、事務の係長と事務分担を考えました。保健師や管理栄養士の仕事と、事務の方に仕事を任せてもいいことを明確化し、保健師や管理栄養士が現場に行くための機会を減らさないようにという事務の方の配慮により、訪問件数は減らない状況でいます。また、保健師や管理栄養士が健康診断とがん検診の業務を担っていますが、その中でも報告や通知も送付する事務的な部分に正規の事務職員を1人置いていただいて、なるべく保健師、栄養士の事務量を減らすようにしていただきました。他町村の保健師の悩みとなっています新型コロナウイルスや予防接種業務は事務の方に担ってもらっているので、今後も訪問件数、現場に行くことをモットーにして、対面で保健指導ができる体制を確保していきたいと思っています。
15ページをごらんください。プロセスですが、今回は重症化予防に限定しています。プロセスは、生活習慣病の重症化予防対象者にできるだけ早く効果的に保健指導するために、事務と管理栄養士が保健指導をするための準備をします。担当を決めて、事例を科学的なメカニズムに基づいて検証しまして、事例検討をしています。松川町では、昔から先輩保健師や社会教育主事が健康学習会を住民に広く周知していた歴史がありますので、住民自身が健診結果を保健師と栄養士と一緒に考えていく風潮があるため、保健指導で住民が健診結果をもとにどのように行動するかという点を大切にしています。特に保健師、栄養士が一方的に保健指導をしても健診結果の改善は得られませんので、このことは最も大事にしている部分です。
16ページをごらんください。毎月健康診断がある状況でして、少しほかの市町村と違うのかなとは思っているのですが、毎月、健診データが10日ごろに到着しまして、2日弱で、担当に重症化予防の対象者の台帳を持たせて事例検討をしています。そのため、対象者に受診後スムーズに保健指導を実施することができています。
17ページをごらんください。その取組を続けてきた結果、医療費が適正に抑えられています。総医療費は減少していますが、1人当たりの医療費は増加していますので、この理由としましては被保険者の高齢化も考えられます。透析ありの状況が増加しているのは、透析導入者が増えていて、透析なしの対象者は維持できています。透析導入者の中には他の保険者から国保に加入した方もいらっしゃいますので、他の保険者の保健指導も共同で実施していく仕組みを、県と一緒に、今考えております。
18ページをごらんください。16ページのプロセスの右側の中央に記載しました、重症化予防対象者に担当者を決めてかかわってきた結果、アウトカムとして、健診を継続したヘモグロビンA1c6.5以上者の前年度からの改善率、改善率は0.1でも下がれば改善としておりますが、そちらが上がりまして、「変化なし」と「悪化」する人が減りました。未受診者の割合は減りましたが、未受診者の人数は増えているため、今後も年度当初に重症化対象者から継続受診の取組を進めてまいりたいと思っております。
これら4つの視点を連携させる方法で、今後も継続して重症化対象者にかかわっていきたいと思っています。
効果的な保健指導を実施するためには、順番と用意するものがそろっていることが重要と考えています。ただ、医療情報、健診情報、メカニズムなどを相手の状況に応じてわかりやすく説明することはとても難しいことなので、休日も使って学習したりすることはとても大変なことなのですが、継続することは力になっているかなと感じています。
19ページをごらんください。県内の重症化予防の取組をまとめたものを参考に追加させていただきました。最後になりますが、長野県で開催している医療費適正化事業や保険者協議会で課題になったことを、今後、県内の地域職域連携会議などで、圏域単位で研修やグループワークなどを行って課題解決に向けて取り組むことが大切だと考えています。
以上です。ありがとうございました。
○尾島座長 松川町の北沢構成員、どうもありがとうございました。
では、続きまして、国保中央会の三好構成員と奈良県国保連合会の田中構成員から発表をお願いいたします。
○三好構成員 国保中央会の三好でございます。このような機会をいただき、ありがとうございます。
第3期データヘルス計画に向けて、国保連合会と中央会で実施している保険者支援についてご紹介させていただきます。
1ページをごらんください。国保連合会・中央会は、従来から国保保健事業の支援を行ってきた団体でありますが、保険者のデータヘルス計画策定の端緒となった国保法等医療保険各法に基づく保健事業の実施指針策定時の平成26年度から、こちらの絵にあります「国保・後期高齢者ヘルスサポート事業」を実施しています。絵の中ほどにありますが、47の国保連合会に、都道府県と連携した「保健事業支援・評価委員会」を設置しております。そこでは保険者の保健事業がPDCAサイクルを回して、効果的な取組となるよう、地元大学や都道府県、関係機関等の有識者からも助言、アドバイスが受けられる第三者評価や支援の役割を担っています。
国保中央会ではヘルスサポート事業運営委員会を設置して、47の国保連合会の実施状況を集約し、より効果的な保険者支援が行えるよう必要なガイドラインやマニュアルの作成、事業の改善のための情報提供や研修等の支援を行っています。これらの取組の要として、このあと説明いたしますが、保険者の予防・健康づくりに活用できるKDBシステムを全国標準システムとして運用しています。ヘルスサポート事業のソフト面とKDBシステムのハード面の両面から保険者支援の体制を整備してデータヘルスの推進を行えることが、国保連合会・中央会の強みであると考えております。
2ページをお願いします。こちらはヘルスサポート事業の平成26年度以降の支援率の推移です。グラフには支援の対象となる都道府県、市町村国保、国保組合、後期高齢者医療広域連合とその構成市町村に対する単年度ごとの支援率を示しており、ほとんどの保険者は増加傾向にあります。例えば中ほどの赤線の市町村国保は、開始時の支援率が30.9%でしたが、令和3年度には59%、1,012カ所と2倍近くに増加してきております。ここにはありませんが、開始時からの累積支援率では8割を超える支援の状況にございます。
支援率の増加の要因として、データヘルス計画の策定や中間評価の機会、それから糖尿病性腎症の重症化予防や一体的実施の開始など、保険者における事業の増加もあり、支援ニーズが高まっている傾向にあります。これらに伴い国保連合会の支援体制やノウハウ等も蓄積されてきておりますが、限られた資源の中、どこまでニーズに応え続けていけるのか、単独では限界がございます。さらに支援を拡充していくためには、都道府県や広域連合等との連携を強めて、県内を俯瞰した戦略的な支援を計画的に行う必要性があると考えております。また、来年度の最終評価に向け支援依頼の増加が予想される一方で、課題としては、一度も支援を受けていない市町村や支援の手挙げをしにくい小規模保険者のフォローなどについても、ニーズに合った適切な対応を行うことが今後の検討課題と考えております。
3ページをお願いします。こちらは既にご案内のことではございますが、KDBシステムの4つの特徴をお示ししています。KDBに入っているデータは、全国で統一した算定方式で出力する数値を用いているため、分析の際によくいわれている立ち位置を見る比較データの抽出がメインになっております。全国、都道府県、同規模市町村との比較や保険者内の地区割による比較も可能となっており、例えば日常生活圏域や中学校区単位などの、その地域ごとの経年の変化を追うこともできます。重点地域として対応した事業の評価などにも活用することが可能となります。また、これらに加えて地区ごとの性・年齢階級別の把握ができますので、どのセグメントを優先的に対象とするかなど、課題に応じた具体的な事業企画への活用が期待されるところです。
4ページをごらんください。こちらはデータヘルス計画の策定や事業の実施に当たって、一部ではありますが、KDBのどこが活用できるのかを、左側①地域健康課題の把握、②対象者抽出、③事業評価と、プロセスに沿って右側に紐づけてお示ししております。KDBに帳票がたくさんあって、何を見ればよいかわからないという声も伺います。中央会では例のように活用可能な帳票の使い方についてのマニュアルをまとめたり、各国保連合会ではさらに具体的な資料をもって説明をさせていただいたりしていると思います。次期計画の策定に当たってはさらに保険者の負担を減らし、効率的な策定が進められるように、これらのKDBシステムの使いこなし方といいますか、策定に活用しやすい具体的なデータの抽出方法や検討などの情報提供なども重要になると思っております。
5ページをごらんください。こちらは地域の健康に関する全体像になります。KDBシステムにある各種データの総括的な帳票になっており、地域の課題把握を行う入口という意味で多くの活用が行われている状況です。こちらの画面で気になる部分から詳細な画面に遷移したり、CSVデータを抽出して課題を深掘りする分析につなげることも可能となっております。
6ページをごらんください。こちらは健康スコアリングの帳票となります。先ほどの全体像の画面は詳細な統計表のイメージですが、こちらはグラフ化したり点数化したりして、さらに課題の見える化を図っているものとなります。画面が小さくて恐縮ですが、健診、医療、介護の状況を市町村等の保険者単位で見ることができます。KDBシステムにはたくさんの情報があるため、理解して使いこなすのが難しいという声もございますが、計画策定に当たっては、こちらのデータを確認いただくだけでもかなりの課題分析を行うことが可能ではないかと思います。
下の保険者一覧では都道府県単位の保険者が一覧化されており、それぞれの状況を比較しながら把握することができます。都道府県、広域連合などが県内状況を把握できますので、国保連合会や支援・評価委員会と連携して、データの分析など、保険者の計画策定に積極的に有効活用いただきたいと考えております。
次のページをお願いします。ここからは、国保連合会の保険者支援の事例をご紹介したいと思います。
8ページをお願いします。本検討会でお示しいただいた論点の2つ目にございますが、都道府県と連携した保険者支援について4つほど国保連合会の取組内容をご紹介させていただきます。詳細はこのあとのスライドにお示ししてあるので、こちらは概略としてご参照ください。
次の9ページをお願いします。こちらは北海道国保連合会の事例となります。北海道は市町村保険者数が非常に多く、かつ小規模市町村が多くを占めるため、支援に当たっては、下の左側にあるように北海道庁と全面的に連携して、モデル事業や人材育成、民間事業者との共同事業など、さまざまな方法や施策を駆使した取組を進めています。北海道型支援モデルとして179市町村等への伴走支援を行っています。データヘルス計画の策定支援等については、特にKDBシステムに外付けしたExpanderというシステムから、計画策定に必要なデータセットを作成、提供しています。中ほどに緑色のヘルスサポート事業がございますが、平成4年度からの取組として、計画策定に係る手引きの作成準備や標準化を踏まえた共通指標など、さまざまな検討事項なども検討されているということです。
次の10ページと11ページにつきましては、本検討会の田中構成員の奈良県国保連合会の事例となりますので、後ほど直接ご説明をお願いします。
それでは、12ページをごらんください。こちらは鳥取県国保連合会の取組です。鳥取県からの委託を受けて、令和2年7月より国保連合会に「健診・医療データ分析センター」を設置して、保険者がより実態に即した効果的な保健事業を実施できるよう、各種分析データ、資料を提供しています。国立大学と連携した「健康・医療データ等共同分析会議」を設置し、専門的な知見を踏まえた分析を行うなどの取組をしたり、データ分析の例がございますが、日常生活圏域単位での健康状況の分析や各種リストの作成など定型的なものに加え、KDBデータ以外の情報も活用した独自ニーズに対応した提供も行うなど、細やかな発信を実施している状況です。
最後に13ページでございます。こちらは長崎県国保連合会の取組です。今年度から、データヘルス計画の最終評価と次期計画策定に向けて、右上にありますように今年度取り組むべき事項を理解して準備を進めることができることを目的に、3回シリーズの研修会が既に開催されています。研修会には、県内のほとんどの市町村と都道府県、保健所が参加しています。1回目は県内の21市町村のうち20市町村、8保健所のうち7保健所が参加したと聞いています。どうしても参加できなかったところには、録画の動画を配信したりしているということでございます。また、2回目と3回目については県内の各保健所に管内市町村が参集して、グループ討議は身近な地域の課題を検討されて、それぞれの場所をWEBでつないでそれらの様子を共有する取組もなされているということでした。
中央会からの報告は以上になります。
10ページに戻していただけますでしょうか。それでは、奈良県国保連合会の田中構成員、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 10ページをご覧いただきたいと思います。奈良県国保連合会の取組について報告させていただきます。
奈良県では県と国保連合会が連携して市町村の国保事務の共同化・標準化を推進し、市町村が行っている事務の効率化、また、県域で実施することにより、効果的・効率的となる取組を進めることを目的に、この取組を推進する体制といたしまして、平成30年4月から奈良県と国保連合会が連携協定を締結し、連合会の中に「国保事務支援センター」を設置しております。国保事務支援センターにおける医療費適正化の取組については、主なものとしてこちらに書かせていただいていますけれども、医療費通知やジェネリック医薬品の差額通知、また特定健診の受診勧奨や生活習慣病対策で未受診の方への受診勧奨、生活習慣病の保健指導に従事する方々の人材育成研修、それから糖尿病性腎症重症化予防に関する保健指導の実施、データヘルス計画の実行支援などです。第2期計画の中間評価などについては既に実施済みであって、次期計画の策定支援に今取り組んでいるところです。
11ページをごらんください。ここに主に第3期データヘルス計画のための支援ということで概要図を書かせていただきました。もともと保険者の健康寿命の延伸や医療費・介護給付の適正化を目的に奈良県のほうが医療費適正化計画を策定しておりますけれども、そこと連携しながら、あるいは後期高齢者医療広域連合と連携しながら、また市町村と連携しながらデータヘルス計画の策定の支援をしていきたいと考えています。
1つ目としましては、まず、共同で実施している保健事業が数多くありますので、関連する項目については個別保健事業の標準化ということで、取組内容を計画用に明文化し保険者に提供していきたいと考えています。また、それに伴う評価指標の標準化は、これまでは、それぞれの市町村がそれぞれに設定しておりましたけれども、ここにありますように、医療費適正化計画や広域連合で作成するデータヘルス計画等の調和を図りながら評価指標を標準化していけたらいいと考えています。
それに伴う3つ目としまして、評価指標に関連する分析用データの提供ということで、KDBの活用、また、KDBの外付けシステムがございまして、そのシステムの医療費等分析システムの活用により、市町村の立ち位置や現状がわかるようなデータ集を提供していきたいと考えています。
それをまとめることによって、4つ目としてデータヘルス計画のひな型の提案ということで、盛り込むべき項目について順番に整理させていただき、市町村の手引書のような形で、その中にはきちんと奈良県が目指す方向性や目標とすべきものについても含めて示していきたいと思っています。
それから、評価指標を経年評価できるための評価シートを、それに付属する資料として作っていきたいということと、データヘルス計画推進のための研修会の開催ということで、これは毎年企画しておりますけれども、継続して実施していきたいということ、それから7つ目として、先ほど三好構成員から説明がありましたけれども、保健事業支援・評価委員会ということで、第三者機関として外部の有識者に多く参画いただき、会議体を設けておりますので、こちらでそれぞれの市町村が策定したデータヘルス計画の内容について助言いただきながら、完成につなげていきたいと考えております。
以上です。
○尾島座長 三好構成員、田中構成員、どうもありがとうございました。
では、ただいま4件の発表をしていただきましたが、それぞれ創意工夫をしながらすばらしい活動を展開されているなと思いながら聞かせていただきました。
20分ぐらいまで質問の時間を取れますので、ただいまのご発表につきまして何か皆様からご質問などがありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 愛知県後期高齢者医療広域連合の鈴木です。
ご丁寧な発表をありがとうございました。では、石川県さんと中央会さんに少しお尋ねさせていただきます。
まず、石川県さんですけれども、石川県さんでは県が中心になって取組をされていらっしゃるという内容で非常にすばらしいなと思って聞かせていただきました。その中で聞きたかったのが、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の取組ですけれども、ここでも石川県さんが恐らく広域連合、連合会と連携して市町村支援をしていらっしゃるということですが、その中で都道府県と広域連合との役割分担というのでしょうか、具体的に都道府県は広域連合に対してどのような支援をしているのか、あるいは県と広域連合で市町村に対してこういうふうに連携して支援していこうとか、そのあたりをもう少しお聞かせ願えたらなと思って、1点お尋ねさせていただきたいと思います。
それから、国保中央会さん、連合会さんには大変KDBシステム等でお世話になっております。国保・後期高齢ヘルスサポート事業等、非常に支援をしていただいておるところです。各国保連合会さんの支援が、都道府県によって若干、温度差と言うと語弊がありますけれども、その中でもいい取組がされているところを本日ご紹介されていると思いますが、そういった連合会のしている支援の好事例の横展開については、例えば中央会さんでされていらっしゃるのかどうか。そういうものがあると、より支援が充実するのではないかなと思いましたので、現状等をお聞かせ願えればと思います。
私からは以上です。よろしくお願いします。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、永松部長、よろしいでしょうか。
○永松オブザーバー お答えいたします。ありがとうございます。
まず、石川県の健康福祉部の立場としましては、後期高齢者の方だけではなくて全ての方の健康寿命が延びることに関心があります。そのような中、この一体的実施は実施主体が広域連合であって、実際には市・町に委託されているといった状況でございます。この関係を変えるつもりは全くございませんし、これはこのとおり進めております。
ただ、どの団体も得意分野があると思うのです。特に県庁の立場だと、一番得意なことは職能団体、例えば県医師会、県歯科医師会、看護協会、薬剤師会、こういった方々に対して行動を促すのは、県庁が一番得意なのかなと思っております。特に今回の一体化でもそうですし、国保ヘルスアップでも、地域に行くとやはり市町村単位ではなかなか目詰まりしている事例を何個か拝見しました。そういったときに、県の職能団体の皆様と、これはきちんとやらないといけないよねという意識合わせをするのに県庁が動いています。そうやることで市町村の皆様もすごく元気になったので、側方支援という形で県庁が支援させていただいております。回答は以上となります。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、三好構成員、いかがでしょうか。
○三好構成員 ありがとうございます。
国保連合会の好事例の横展開といった仕組みというか、そういうことをやっているかだと思いますが、常時、あらゆる機会を通じて好事例を連合会間で共有できるように、研修や会議の際などにも情報提供しております。ちなみにヘルスサポート事業は年間事業内容の報告書を中央会で集約しておりますので、それをまとめた中から好事例を支援ガイドという形で、連合会の活用が中心とはなりますが提供しています。各県や広域連合さんにも見ていただけるよう、ガイドの中にPDCAのタイミングに合わせてどんな活動をしているか、コラムにしてわかりやすくした内容や各種帳票を紹介したり、そういった取組で横展開を図る努力をしております。
あと、市町村の取組事例などは、中央会のホームページにおいて、検索ができるウェブ上の事例集を持っておりますので、そういったものもご活用いただけるかなと思っています。以上です。
○尾島座長 ありがとうございます。
鈴木構成員、よろしいでしょうか。
○鈴木構成員 ありがとうございました。石川県さんからの側方支援、職能団体への働きかけというか、広域連合ではそういったところはなかなか限界があるなと思いますので、県が率先してそういうことをやっていただけるのは非常に心強いなと思ってお聞きしました。大変参考になりました。ありがとうございました。
○尾島座長 ありがとうございました。
では、続きまして、津下構成員、よろしくお願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。いろいろとご発表いただきまして、また資料も調整していただきましてありがとうございます。
まず石川県さんにお尋ねしたいと思います。石川県さんでは県とか広域連合のいろいろな部局がどのように動いているか、どのような会議体がどのように実施しているかというガントチャート、スケジュールや役割、動きを一覧で示す進捗管理をしっかり行っているのは非常にいいことではないか、参考になることではないかなと思いました。
一方で少し気になるのは、先ほどの医師会さんとの話ですけれども、処方内容に踏み込む話のことがありました。重症化予防の中で保健師さんが処方内容に踏み込むことに関して抵抗感を感じる医師は多いと思いますし、実際、データヘルス計画の中でそこまでやるかどうか。健診データだけではなく、多様な患者背景のもとに処方されている内容への干渉と捉えられそうな表現ではなくて、地域での糖尿病の医療の質を上げるための情報提供という表現でお話をいただいたほうがいいのかもしれないと感じました。データヘルス計画は医療の内容まで干渉することではないという位置づけではないかと思います。糖尿病医療の質を上げる取組を、全県を挙げてされていると、そういう理解でよろしいでしょうかというのが1点です。
それから燕市さんの取組で、人員が厳しい中、外部委託をかなり行っておられます。そして、国保部門にはほとんど専門職がいなくて、外部の臨時職員で回している状況と伺いました。国保の保健事業が非常に増えてきた中で、体制の見直しとか、国保の人員を増やしてしっかりと保健事業が回っていくようにしようとされている市町村も多いと私は認識していたのですけれども、このような実施方法について、体制を変えるよりも外部委託にされている理由は何かをお伺いしたいです。
また、外部委託の場合、たくさんの事業を委託されているので、委託事業者は同一のところなのか、もしくは、個々の事業ごとにしっかりと役割とかそういうことを見ながら、どのように事業を委託していくかについてもルールとか委託に関する取り決めがあるのか、それから委託した結果のフィードバックがどのように行われているかについて、もう少し詳しく教えていただければと思います。
実際に保健事業を実施した保健師が内部にいると、ポピュレーションアプローチへの展開が図られるメリットがあります。データヘルス全体像に対しても、データだけで判断するのではなく、肌感覚で把握した保健事業の実感とか住民の反応とか、そういうことを持ちながら次の事業計画が立てられると思います。外部委託をした場合に、保健事業の実感が政策に反映されていくことが困難になるケースも多いのではないかなと思いますが、燕市さんではどのようにされているのかについてお話しいただければと思います。
また、松川町さんでは、先ほど示していただいた中で、国保の事業だけではなく衛生部門と一緒の役割分担とかになっていたと思います。小さい自治体だとここは国保でここは衛生とか、なかなか小分けがしにくいところもありますし、データ分析等の自前ではしにくいことに対して、県とか連合会からの支援の役割についてお話しいただいたと思います。そこで、小さい市町村ではデータヘルス計画、データ分析をすることがそもそも難しいのか、または提供いただいたデータに基づいて、やはり市町村ごとにデータヘルス計画をつくるべきだとお考えなのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○尾島座長 ありがとうございます。このあともご質問がたくさんありますので、コンパクトにやりとりしていければと思います。
では、永松部長、お願いします。
○永松オブザーバー 石川県です。
津下先生のおっしゃるとおりに、個々の医師の処方まで変えるのは、それが目的ではないと考えております。説明の仕方が悪かったかなと思います。ただ、私たちは今、地域の単位、地域の郡市医師会単位で勉強会をやっています。勉強会をやっていると、当然、糖尿病の専門医もいますし、処方で困っている先生もいます。そういった処方で困っている先生が糖尿病専門医の方にどうすればいいのかを気軽に問い合わせるような環境を用意することで、診療の質を底上げしていきたいなと考えております。
以上となります。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、燕市の近藤構成員、お願いいたします。
○近藤構成員 燕市です。
人員が厳しい中で、全体の保健師さんの保健指導等については今までの中で同じような形でしていて、国保の保健事業については臨時看護師の方に、保健指導等、受診勧奨等をお願いしているところです。ただ、そのときの結果とかについては今までと同様、保健師さんと連携をして情報共有を図りながら実施しているところです。
あと委託事業についてなのですが、こちらは1社の委託先がありますので、そちらにお願いをして、事業ごとに委託をするような形で、その事業に対しての対象者の抽出等については委託の中で抽出をして、その対象者に対しての国保の保健事業は、臨時看護師が保健事業を実施する形になっております。フィードバック等も同じ業者ですので、事業ごとの結果について効果・分析ということでいただいております。
以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございます。
では、松川町の北沢構成員、お願いします。
○北沢構成員 津下先生、ありがとうございます。
先生のおっしゃるように、松川町よりも小さな村とかになりますと、包括支援センターも兼務していて、何でも屋さんみたいな保健師さんが多いです。その中で、そうは言っても生活習慣病は増えていきますので、やはり国保連合会や県の指導のもと、生活習慣病に特化したデータヘルス計画は必要だと私は考えています。
以上です。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、どんどんいきたいと思います。続きまして、阿部構成員、質問をお願いします。
○阿部構成員 日本栄養士会の阿部でございます。
先ほど津下先生もおっしゃっていましたけれども、発表された皆様方の、本当に参考になる内容がたくさんありまして、最初の冒頭の挨拶のときに、この発表の中から新しい手引きの改訂のポイントがあるのではないかと、まさにそのとおりかなと思って聞かせていただきました。
津下先生からいろいろご質問いただいたので、私は1点だけ、松川町の方にお伺いしたいのですが、現行の手引きの中にも外部有識者の役割が具体的に書かれており、あるいは保健医療関係者との役割などがありますけれども、専門的な知識をどのようにこの市町村のデータヘルス計画に生かすかが今後課題になるのかなと思う中で、奈良県国保連の方も有識者の方の評価を進めていますというお話がありました。
その中で私がとても気になったのが、松川町の市町村糖尿病性腎症重症化予防アドバイザー派遣事業で、まさに今、人員が足らない中で、外部の方たちにどのように専門的に支援していただくか。今までも医師会のお話とか関係団体のお話もありましたけれども、そういうものを体制としてどう位置づけていくかが非常に重要になるかなと思っておりましたので、このアドバイザー事業は具体的にどのような職種や団体が関係しているのか教えていただけるとありがたいなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、北沢構成員、お願いします。
○北沢構成員 19ページの糖尿病アドバイザー派遣のことでよろしいでしょうか。
○阿部構成員 はい、そうです。
○北沢構成員 こちらは長野県の事業でありまして、やはり先ほど津下先生から質問いただいたとおり、松川町ではまだお願いしていないのですが、小さな村とかに保健師が行って、KDBを使って、特に糖尿病の管理台帳を用いて、透析予防となる対象者を抽出しまして、長野県ではアドバイザー事業で3村が長野県と契約しまして、村の保健師と一緒に訪問したりとかデータ分析をしている事業です。
○阿部構成員 ありがとうございました。
○尾島座長 ありがとうございます。ちなみに、来てくださるのはどういう所属の方が来てくださる形なのですか。
○北沢構成員 今のところ、保健師です。
○尾島座長 県とか国保連の方とかですか。
○北沢構成員 県で雇われている保健師です。
○尾島座長 ありがとうございます。
では続きまして、古井構成員、質問をよろしくお願いします。
○古井構成員 ありがとうございます。三好構成員からお話しいただいて、同じ国保連さんでも、都道府県だけではなくて国保連にもいろいろな特徴があることがよくわかりました。
その中で資料の11ページ目ですけれども、奈良県の国保連さんの取組で1つご質問いたします。丁寧に市町村さんとコミュニケーションしながら積み上げられているなと伺いました。特に1番目のところにある個別の保健事業の標準化について、これまで恐らく市町村さんと一緒に共同事業をする中で、いろいろな取組の中身を明文化して、最終的には標準化し、ある程度取組のパターン化をされていると思うのですが、これはどのぐらい、何年ぐらいかけて達成されているのでしょうか。
それから4番目のところに、データヘルス計画のひな型もできてしまうとありました。我々も標準化はぜひ進めていくべきだと思いながらも、計画の様式を標準化するのは考えてきたのですが、そのひな型まで提案すると、場合によっては少し市町村さんが考えなくなってしまう心配はしていたのですが、この辺の問題意識とか背景をぜひ伺えればなと思いました。
以上です。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、田中構成員、よろしくお願いします。
○田中構成員 先生、ありがとうございます。
まず、共同保健事業については、この国保事務支援センターができました平成30年からですので、ことしで丸5年目になります。県からの派遣職員もおりまして、連合会と一緒にこの事業に取り組んでいることにはなります。共同保健事業の内容を変更するとか、それから対象者を拡大するとか、いろいろな意味で常に市町村との情報交換し、共同保健事業としてできるだけ広く市町村をカバーできるようにという取組は、常に考えているところです。
先生がおっしゃったとおり、ここの1番に書かれていますような事業についてはある程度実施要領とかマニュアルができておりますので、それに基づいてこの計画に落とし込むことは可能なのかなと考えているところです。
また、次の、ひな型の提案は先生がおっしゃるとおりで、現状、形を提供してしまえば市町村は恐らく多くのところが、そこに自分のところの数字を入れ込むみたいな可能性もあって、金太郎飴の最たるもののようにでき上がる可能性があるのは、私たちも大変危惧しています。本来、共同保健事業以外にも市町村独自に取組をやっているわけですので、それを同じようにこの様式の中に落とし込んでいって考えていくという、市町村で検討枠を必ず作るわけなのですけれども、こちらから提案したものがそのまま数字だけ変わっている状況が第2期計画の見直しのときもありましたので、どこまでお示しするかは今後の検討事項になるかと思います。
ありがとうございます。
○古井構成員 ありがとうございました。
○尾島座長 ありがとうございます。
事務局からこの質疑は30分ぐらいまで延長しても大丈夫ということですので、ほかに何かご質問がありましたらと思いますが、皆様、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。では、ご意見、ご質問はここまでにさせていただきたいと思います。
オブザーバー参加いただきました永松健康福祉部長はこれで退席となります。どうもありがとうございました。
○永松オブザーバー ありがとうございました。失礼いたします。
○尾島座長 では、続きまして議事の2番目ですが、手引きの改訂について、事務局から説明をお願いします。
○右田在宅医療・健康管理技術推進専門官 資料5をごらんください。本日、事務局で用意しました議論していただきたいことについて説明いたします。
データヘルス計画の標準化についてでございます。前回のご議論から、配慮すべきことであったり、あるいは最低限標準化することが望ましい内容であったり、あるいは評価指標の設定などについてご意見をいただいたところでございます。それに追加いたしまして、以下の2点についてさらにご意見をいただければと考えてございます。
1つは、標準化をするために具体的にどういう取組をしたら標準化をしたことになるのかという観点でございます。2つ目でございますけれども、共通の評価指標を設定すべきではないかと前回ご意見いただいたのですけれども、それについて、手引きではどのような内容を示していくことがいいのかについてご意見をいただければと考えてございます。
2ページをごらんください。こちらは前回ご議論したときの内容になってございますが、1から4につきまして、先ほど自治体等の発表からご議論していただいたことに加えて、2番のところをもう一回ご議論していただければと考えてございます。
3ページをごらんください。こちらは前回の検討会でいただいた標準化の部分についてのご意見の取りまとめになっております。例えば標準化の考え方で、2つ目の丸でございますけれども、都道府県と市町村が共通意識を持って保健事業を展開するための一つの方法として標準化があり、標準化ありきではないというご意見をいただいてございます。
それから評価指標の設定で、3つ目でございますけれども、国レベル、県レベルで指標を設定することが必要である。あるいは2つ目の丸でございますけれども、できる限りKDB等で毎年把握するものを設定することを推奨するなどで、市町村が取り組みやすいようにすべきではないかという意見をいただいてございます。
それから標準化と多様性で、最後のところでございますけれども、標準化が目的となってしまう恐れもありますので、手引きに記載する場合には目的を十分整理して丁寧に示すべきだという意見をいただいているところでございます。
4ページをごらんください。こちらは現行の手引きでの記載の状況になってございます。現行の書き方ですと、下のほうの(5)の保健事業の内容で、事業内容を標準化して評価可能なものにするという記載がございますが、どうやって標準化していけばいいのかが、今後追加していくべきではないかなと考えております。
5ページ以降でございますけれども、こちらは前回の検討会でいただいた主なご意見を整理したものになっております。きょうはこちらは説明いたしませんけれども、きょういただいたご意見、それから前回いただいたご意見を踏まえて、次回以降、手引きの見直しの内容をお示しできればと考えてございます。
事務局としましては、説明は以上になります。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、いろいろご意見をいただいていきたいと思いますが、今、事務局からご説明いただきましたデータヘルス計画の標準化や評価指標についてですとか、あと、事務局から追加でメールが行ったかと思いますが、記載事項をそろえることや共通の評価指標を設定するだけではなくて、それらのことを踏まえて計画にどのような内容を盛り込むべきか。あと、厚生労働省からの手引きと、例えば国保中央会とかそういうところからもより詳細な支援マニュアルなども示されてくることにはなるかと思いますが、そういうところで示す内容の整理。あと、共通の評価指標の設定や活用、比較に当たっての留意事項、そんなことも含めまして、何かご意見、ご質問などがありましたらと思います。皆様いかがでしょうか。では、阿部構成員、お願いします。
○阿部構成員 ありがとうございます。
先ほどの発表の内容などを聞いておりますと、やはり市町村、特に自治体に関しては、住んでいる住民が全て国保の人たちではなく、協会けんぽであったりとか被用者保険との連携した事業であったりとか、あるいは保健所では地域職域連携推進協議会を設置し、地域保険と職域保険を連携して地域で効果的な事業はできないかという検討も進められている中で、私も実際に保健所等で専門職として保健指導に従事しておりましたけれども、対象はどこの保険者かというよりは、やはりその市町村の健康課題を踏まえて指導などを行ってきましたので、そういうことを考えると、被用者保険での標準化の取組が検討されていると聞いておりますので、市町村国保でも、被用者保険が検討されている健康指標なども含めて共通で使える指標などがあると、地域は非常に評価をしやすいのではないかなと思います。被用者保険の指標の検討などを踏まえて、指標をそろえて検討していくことができないのかと思っておりましたので、その辺について事務局からもし何かお話があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○尾島座長 事務局、お願いします。
○右田在宅医療・健康管理技術推進専門官 被用者保険でもデータヘルス計画の見直しの検討会が開かれておりまして、そちらでも既に共通の評価指標が示されております。そちらの指標も参考にしつつ、きょうのご議論も踏まえて、国保の手引きではどういうものを示していくのか、これから考えていきたいと考えてございます。
○阿部構成員 よろしくお願いいたします。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 後期高齢者医療広域連合の立場から申し上げます。
こちらは市町村国保のデータヘルス計画で74歳までが対象となりますけれども、そういった方は年齢が到達すれば皆さん後期高齢者へまいります。今の国保のデータヘルスはメタボ対策が中心になっておるかと思いますけれども、広域連合ではフレイル予防という観点になりますので、若干、対策の方向性が変わってまいります。ただ、実際に国保から後期高齢に変わるときも、いきなり変わるわけではありませんので、人によっては後期高齢に入る前から後期高齢のようなフレイル予防の要請がある方も当然いらっしゃると思います。ですから、今つくるこの市町村の国保のデータヘルス計画ですけれども、前期高齢者と言ったらいいでしょうか、そういった観点の保健事業の取組もこのデータヘルス計画の中に取り込んでいただきますと、そういった方について後期高齢にいっても切れ目のない支援ができるのではないかと思っております。ですから、そういった視点を加えていただきたいということが1点。
もう1点申し上げますと、データヘルス計画は保険者がそれぞれつくるということでございますけれども、保険者だけで健康課題を考えていても限界があります。やはり最終的には、先ほどの事例がありましたように、都道府県もそういった健康課題を共有しながら市町村データヘルス計画に関与していく。当然、広域連合もそうですけれども、そういった都道府県、市町村、広域連合、それぞれが健康課題を共有して計画を策定する。そういった策定過程も、そういうような関係者が一丸となって取り組むことができるようなプロセスを設けていただけるといいのではないかなと思います。
私からは以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございます。
では続きまして、津下構成員、お願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。
標準化と言ったときに、データの標準化とか指標の標準化はしたほうがいいかなと思います。一方、先ほどのお話を聞いていても実施方法についてはいろいろなやり方があるので、やはり個別具体的に把握をしていくのがいいのだろうと思います。だから、標準的な書式にデータなどが一定の条件下に流し込まれる。だけれども、それに対してどう考えるか、どういう保健事業の対象になるのか、そしてそれに対してどれだけアプローチできていて何ができていないのかをきちんと棚おろしを整理して書く、これは保険者しかできないところではないかなと思います。
そこの具体的な実施状況とか、アウトカムまでいかなくても、対象者のパーセントではなくて人数でいいと思うのですけれども、何人がこういう健康課題を持っていて、そのうち何人に対してこの事業でどれだけアプローチできて、そして、できればKDBがありますから追跡してどうだったか、その構造については一定のフォーマットがあってもいいのではないか。そこに、どんな事業をどんな体制でするかを書くことになると思うのですけれども、それについてはもう本当に独自性があっていいのではないかなと思います。標準化できる部分と具体化して個別性が強く出る部分は、そういうことをきちんとわかるようにする。
それから目標設定についても、ただ上げるとか下げるとかのあいまいな表現、前回は増加の方向とか記載がおおくあったのですけれども、今回は、これまでのトレンドとか全国的な傾向値なども出ているので、どのぐらい上げるかとか、市町村や都道府県の中で順位が下方であれば平均に近づける、また平均であれば上位どのぐらいに近づけるみたいな具体的な目標を設定する。それに対して庁内で連携して、目標に到達できるようにどのように事業を実施していこうと考えられるような、そういう事業を考えるための計画という位置づけを、そこの部分を保険者さんが行うことなのだということをしっかりと記載したほうがいいのかなと思います。
一方、先ほど保険者間連携の話がございました。確かに、被用者保険が保健事業をきちんと行うことで、より国保の健康水準が上がることは期待されることですから、それも他保険者との連携みたいな項目をきちんと入れて対処すること、位置づけていくことが重要かなと思いました。
都道府県としては健康増進計画という大くくりの計画が出て、それは予防を重視したものにはなるのですけれども、いずれの保険者も都道府県の健康増進計画とか、そういう計画があって、それに対して保険者はそれぞれがこの事業を適切に実施することによって目標達成に共同で取り組んでいく形になってくるのではないかと思います。都道府県においては健康増進計画とデータヘルス計画が同時改訂になりますので、医療計画もそうですけれども、医療計画、データヘルス計画、そして健康増進計画の、計画間の位置づけを明確にしていくことが重要と思います。データヘルス計画の果たす役割の中で保険者の保健事業がうまくいく、PDCAが回る計画のフォーマットをつくっていくのがいいのではないかと感じた次第です。
以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございます。
では、佐古構成員、お願いします。
○佐古構成員 ありがとうございます。大分市役所国保年金課の佐古と申します。よろしくお願いいたします。本日は、諸般の事情により当市の取組をご報告できませんで、大変申しわけございませんでした。
私が申し上げたいことのおおむねは津下先生が同じようなことをおっしゃっていただいたのですけれども、当市の場合、データヘルス計画を手引きの項目どおり、目標、それから健康課題、保健事業というふうにばらばらに設定をしていたところ、それぞれが乖離をしてしまっていた、それぞれが独自にひとり歩きをしていた状況にございました。令和2年度より、本日追加資料をいただいている資料5の2の22ページに、静岡県さんが「保健事業カルテ」という様式を提供してくださっているのですが、こちらは東京大学の古井先生がご考案された各種ひな型となっておりまして、データヘルス計画自体の健康課題や指標、それから保健事業について連動的に考えることができるような様式となっております。この様式にデータを落とし込んだり計画を落とし込むことで、この健康課題の解決のためにはどのような指標が用いられ、そしてどのような保健事業を展開していくかを一元的に確認することができて、大分市としてはデータヘルス計画の目標とは一体どのようなものかを再認識した体験がございます。
その点をもちまして私が思いますのが、手引きにそれぞれの項目がございますが、それぞれの連動性をしっかりと各保険者が明記して、進捗管理ができるようにということは取り入れていただいたらよろしいのではないかと思います。
また、指標については、特別な算出方法を用いた指標になりますと、適宜、データヘルス計画の進捗管理がなかなか困難となりますので、KDB等を用いた、保険者で確認が容易にできる方法をぜひ盛り込むことをお願いしたいところです。
あとは、津下先生も阿部先生もおっしゃっていましたが、保険者の健康増進のデータヘルス計画となるのですが、市町村国保としては市町村という立場もございますので、市民、国保加入者の方は市民の方ということで、健康増進計画、本市の場合は市でも設けておりますので、それとの連動性で、前回の手引きでは指標の参考にということではあったのですが、もう少しその関係性を強めたような連動であったりとか互換性を持たせるとかで考え方を変えていただくと、健康増進部門との連携も取りやすくなるのかと感じております。
あともう1点、国保の被保険者さんということで、年齢も幅広くありますので、先ほど広域連合の先生がおっしゃったように、年代別の年齢層、若年層とそれから前期高齢者ということで、年齢層別の健康課題の指標の設定を、一体化の事業を意識したもので見ていくことも盛り込んだらいかがかなと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○尾島座長 ありがとうございました。
ちょうど保健事業のカルテの話も出ましたので、古井構成員から何か補足がありましたらご一緒にお願いします。
○古井構成員 ありがとうございます。
私は、先ほど阿部先生からお話があった被用者保険の検討会を見ていて、国保の特長は、被用者保険に比べると保健事業の歴史が長く、自治体の皆さんが地域の社会資源を使って一生懸命取り組みされてきたこと、それから、国保連さんという共通の資源を持たれているというこの2つを生かしたデータヘルス計画を展開することが大事だと思っています。
国保は、保健事業をたくさん、かつやり尽くされているので、データヘルス計画はこれまでの実施をすることから、住民の健康寿命の延伸のために、地域の健康課題を解決することへ進化されるといいと思います。つまり、実施率を高めることが最終目的ではなくて、保健事業の実施を通じて住民のQOLを上げていくことです。
そのために大事なのが、皆さんご存じだと思うのですが、KDBのデータをもう一回見ていただいて、そのデータから自分の地域は実施する上で何が重要なのかという健康課題を出していただく。したがって、データヘルス計画ではどの市町村も必ずその健康課題を解決するという目標が設定されてあって、その達成度を測る、いわゆるアウトカム指標がある。これもきょう石川県に丁寧にご説明いただいて、まさにそのとおりかなと思います。やはり健康課題をKDBでもう一回確認して、それを解決するのだという評価指標を設定することが、まず第一に大事かと思います。
それから2つ目は、きょう松川町からお話で、個別の保健事業をアウトカム、アウトプット、プロセス、ストラクチャーに構造化をして整理をしている。これは、事業を設計する際に基本的なことであり、大事なことだと思います。
国保は、奈良県国保連もおっしゃっていましたが、既に現場にノウハウがあるので、このアウトカム、アウトプット、プロセス、ストラクチャーで構造的に計画に書いてさえいれば、どの要素が効果につながっているかが、抽出がしやすいのではないかなと思います。
それから3つ目は、新潟県燕市から、県とか国保連さんが市町村ごとの健康課題とか、保健事業の特徴だとおっしゃったと思うのですけれども、これを俯瞰することで必要な支援につなげていただいているという話があったと思います。データヘルス計画の中身を同じにしてしまうのではなく、健康課題や保健事業の構造を、県ごとに計画の様式を同じにして整理をして俯瞰できると、支援・評価委員のような外部支援者が見ても、わかりやすくなるので、こういう標準化はウェルカムなのではないかと思います。
ですので、市町村国保の特徴を踏まえて、社会資源であるKDBとか国保連をうまく生かしていくことで、標準化を進められるのではないかと思いました。
以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございました。
では、渡邊構成員、お願いいたします。
○渡邊構成員 ありがとうございます。
各地の話をお聞きしていて、現場からの思いを少しだけ意見させていただければと思います。
きょうの発表の中で、石川県がなされているような動きはとても医療現場とつながりやすい動きかと思います。つまり、とても効果的な動きにつながるのではないかと思います。先ほどのKDBの分析の部分であったとしても、KDBの分析方法、例えば重複チェックであったとしても、どのようなチェック方法を、どのような条件で出していくのか、また、チェックのかかったものを現場の医師や薬剤師がどのように判断していくのかが、石川県さんがされているようなやり方であったら、直結で行っていけるのかなと思います。
かつ、今後のマイナンバーカード等による受診や調剤ということを考えると、それによるデータの共有、特定健診データの共有等も発生してきますので、その受診の有無自体の確認もとれることや医師と薬剤師がつながれる部分もありますので、そのあたりをどう使うのかを、石川県さんのように、少し、県の医師会や薬剤師会や歯科医師会等に事業の計画時点から連携して具体的に盛り込んでいただくと効率的に動けるのかなと思います。
片や、多様性に関しましては、各地の状況を分析して重要視する必要があるのかなと思いますけれども、その多様性の部分の指標を決めるため、設定するための指標というか、そこは明確に示しておくべきなのではないかなと思います。そういう設定の仕方を示しておくことで、ときどきに応じた横並びの進捗状況の比較であったりが可能なようにしておくとわかりやすいのかなと思います。それをまた現場に落としていただくと私どもも動きやすいと思いますので、そのあたりのことをお願いしたいなと思います。
以上です。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、中橋構成員、お願いします。
○中橋構成員 貴重なご発表、ご意見、大変参考になりました。ありがとうございます。
まず、標準化するための具体的な取組についてなのですけれども、本県も、この標準化ということでいろいろと思案しているところなのですけれども、本日の発表なども聞かせていただいて、まず、県及び市町村の健康課題を明確化し、データヘルス計画において課題に対応した評価指標の進捗管理ができるデータであったり、保健事業の取組状況について把握する際のベースとなるようなデータを集約化・可視化することが必要なのではないかと思いました。県は、それを市町村と共有することで、市町村と目線を合わせて取組を進めていくことができるのではないかと思います。
それから、先ほど古井先生も言われたように、様式をそろえることよりは、健康課題の抽出や設定、保健事業の組み立てや評価、改善のプロセス、そのあたりの考え方の見える化を図るところが重要ではないかと思います。
それから、健康課題についても、県全体で、何が課題かを明確化した上で、共通する課題については、その共通指標を設定しまして、KDBなど共通のデータベースを使って毎年度実績を積み上げていくことが必要ではないかと思います。
手引きに共通指標としてどういった内容を示すかについてですが、やはり県としましては、先ほども出ていたように医療計画であったり医療費適正化計画、健康増進計画、あと国保では国保運営方針といった各種計画がございますので、それぞれの計画の評価指標の目標値との整合性のとれた指標や事業評価のアウトカムとしてKDBなどで全国や都道府県での比較、県内であれば市町村間の比較ができるデータとして算出可能なものを活用することで、県も全国の中での立ち位置の把握が可能ですし、県内市町村においても自分たちの水準がどこかという把握、評価ができるかと思います。
以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございます。
では、北沢構成員、お願いします。
○北沢構成員 先ほどから出ています、自治体としては、ぜひ、県や国保連合会や先生方に、例えば松川町で発表させていただいた12ページにあるのですが、松川町は、透析は少ないのですが、相変わらず脳血管疾患が多いです。それで、例えばその方たちが健康診断を受けていたかとか、医療費が伸びた背景はあなたのところはこれですよということまで、例えば地域自殺実態プロファイルのように示していただき、優先課題をある程度設定していただきたいというのが私の意見です。
それがずれていると、とにかく保健師のいいところでもあり悪いところでもあるのですが、自分流で仕事をしてしまうので、それが正しいかどうかを、県や国保連合会の方たちにある意味評価していただいて、私はいいと思っています。反対意見もあると思うのですけれども、それによって、やはり松川町は、私たちが分析したように脳血管疾患に取り組まなければならないんだねとか、そういうことを指示していただきたいという意見です。
それともう1つは、先ほど古井先生に言っていただいたのですが、高血圧もうちは高いのですけれども、その方たちに担当者をつけずにただ訪問していた時期もありまして、なぜそういう結果が悪化してしまったのかという先ほどの4つの評価を関連させて保健師たちに分析をさせることを、もっと厳しく保健師たちが、自分たちがやってきた保健指導の評価をしていく仕組みづくりをしていかないと、やはり自分流になってしまうので、そこは私の方から、強く現場の意見として言わせていただきます。
以上です。
○尾島座長 どうもありがとうございました。
では、佐古構成員、お願いします。
○佐古構成員 先ほど少し述べそこねた点があります。本日、メールで追加で来た3点目の共通の評価事項の設定や活用、比較に当たっての留意事項で、気をつけないといけないかなという点がございました。例えば患者さんの数であったりは指標に上がってくる項目であると思うのですけれども、患者さんたちの数ももちろん増減だったり増加率などは評価に必要だと思うのですが、その患者数だけでなく中身というか、例えば同じ脳血管疾患であっても、高額レセプトが発生した方の割合などを、この計画の開始当初と計画比較することで事業効果があったのかを測れるのではないかと思います。どうしても生活習慣病の性質上、患者さんの数自体はなかなか減ってはいかないと思うのですが、その性質の評価も、項目として設定、評価に当たっての留意事項で設けていったらいいのかなと感じました。
当市としても、やはり何百、200万、300万以上のレセプトが、1カ月単位でもかなりの数の方が生じておりますので、その方々がいかに減っていくかも、データヘルス計画の目標として挙げていいのかな、評価の仕方としては留意事項として挙げていいかなと感じております。
以上です。ありがとうございました。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、津下構成員、お願いします。
○津下構成員 先ほどの健康課題の分析で、脳卒中が多いから何の事業をという話ですけれども、レセプトだけでそこを言うのは無理だと思います。レセプトは、例えばレシートですから、とんかつというレシートがあったとしても、とんかつの種類はいろいろあるし、大きさも違うし、いろいろ違うんですよね。脳梗塞といっても太めの血管が詰まったのか細めの血管が詰まったのか、原因となるリスクも予後もかなり違うのです。また主病名だけで判断する限界もあります。レセプト分析はそもそもざっくりと見るものであって、病態を追い求めたり、原因を特定できると信じ込まないほうが安全と思います。また予防可能なものばかりでなく、生活習慣で変えられない部分とか、それから加齢とかも非常に大きいのですね。
なので、うちの町は高血圧が多いからこれだけやりますというもの、そこだけ狙うのは、少し保健事業としては違っているのではないでしょうか。健診で把握できるリスクを包括的にコントロールすることが重要で、同じようなリスクを持っていても病気の出方はいろいろです。年齢により、または体質により、それからほかの要因がいくつ重なっているかとか、また生活習慣、いろいろなことで、どんな病気につながるかは変わる。
だから、健康課題分析といっても、レセプト分析の限界を抑えておかないと危ない。原因究明まではいけない。主病名以外にもいろいろな要因があるのに、代表的な病名で判断するケースも多い。それが本当に代表と言えない場合もある。そういうざっくりとしたデータを私たちは見ているという認識が必要です。レセプト分析にあまりに多くの時間を取るのは、私は時間のむだではないかと思います。モチベーションが上がること、やらなければねという気持ちが出てくることが重要であって、あまり深掘り分析には適さないのかなと感じています。
以上です。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、予定の5時になりましたので、阿部構成員と田中構成員に言っていただいて終わりにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○阿部構成員 盛り込む内容というよりは、最後、ぜひお願い事です。先ほど津下先生に本当にいいご意見を言っていただいたのですが、現行の手引きの12ページの中にも、保健事業の選択、優先順位づけということで、地域の課題をどうやって把握するかとか、特定健診・保健指導の実施率について、留意事項に書いてあるのですが、これを具体的にどうしたらいいのかに関しては、手引きの3ページの関係者の果たす役割の中に、職員の資質の向上で、研修の受講などが書かれております。また、現在の特定健診・保健指導の新しい在り方が検討される中でも、やはり人材育成というか、せっかくいい制度をつくっても、それをしっかりと回していける人材がいないことには制度設計だけで終わってしまうので、やはり本当に専門的な職能団体も含めたいろいろな方たちが連携しながら、きちんとした研修体系をつくっていくことが必要であろうという議論もされております。ぜひこのデータヘルス計画の手引きにつきましても、特定健診・保健指導のプログラムなどとも連携させながら、職員の人材育成とか、具体的には津下先生からいろいろコメントいただきましたけれども、どうやったら本当に保健事業に健康課題が反映できるのかという具体的な手法などについても、しっかり研修もあわせて検討していただけるといいなと思いました。最後に、お願いになってしまいますが、ぜひよろしくお願いいたします。
○尾島座長 ありがとうございます。
では、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 盛り込むべき内容ですけれども、計画の中身とか計画の進捗について、外部の評価を受けることは非常に重要なことだと思っています。ですので、連合会にある支援・評価委員会については、各都道府県によって、市町村がどれぐらい活用しているかはものすごく差がある状況にあると思いますので、手引きの中にも、積極的に第三者の委員会としての支援・評価委員会の活用をきちんと位置づけていただくことが大事になるのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○尾島座長 どうもありがとうございました。
では、まだまだご意見あろうかと思いますが、時間になりましたので、本日はこのぐらいまでにしたいと思います。
きょうは標準化などについてかなりたくさんご意見をいただきました。一定の標準的な指標とかは設定することになるのかなと思いますが、一方で、標準的な考え方とか健康課題の見つけ方とか、そういうことも大事だというご意見が多かったのかなと思います。きょう出ましたご意見や事例発表などを踏まえまして、また今後の議論を進めていければと思います。
では、これで本日予定していました議題は全て終了しました。
○尾島座長 今後のスケジュールについて、事務局からご説明をお願いいたします。
○伊原保健事業推進専門官 次回は令和5年1月24日、火曜日、16時から18時を予定しています。次回は、本日のご議論を踏まえまして、手引きの改訂版の案、たたき台をお示ししたいと考えておりますので、この案についてご議論いただければと考えております。
事務局からは以上でございます。
本日も、長時間にわたりご議論いただきまして、まことにありがとうございました。
○尾島座長 では、皆さん、どうもありがとうございました。
〔了〕