2022年10月4日 第50回労働政策審議会 議事録

1.日時

令和4年10月4日(火)9:30~11:15

2.場所

厚生労働省省議室(9階)

3.出席者

公益代表委員
 ・清家会長  ・小畑委員  ・中窪委員
 ・荒木委員  ・城内委員  ・守島委員
 ・奥宮委員  ・武石委員  ・山本委員
労働者代表委員
 ・安藤委員  ・清水委員  ・難波委員  ・山中委員
 ・石川委員  ・永井委員  ・則松委員
 ・酒向委員  ・中川委員  ・安河内委員
使用者代表委員
 ・井上委員  ・淡輪委員  ・藤原委員
 ・小松議員  ・冨田委員  ・矢口委員
 ・西周委員  ・野村委員
事務局
 ・羽生田厚生労働副大臣  ・村山雇用環境・均等局長
 ・小林厚生労働審議官   ・奈尾人材開発統括官
 ・山田大臣官房長     ・中村政策統括官(総合政策担当)
 ・安藤会計管理官     ・田中政策立案総括審議官
 ・鈴木労働基準局長    ・蒔苗政策統括官付参事官
 ・田中職業安定局長

4.議題

  1. (1)令和5年度予算概算要求について
  2. (2)分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議結果について
  3. (3)その他

5.議事

議事内容

○清家会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第50回「労働政策審議会」を開催いたします。
今回は、対面・オンライン併用のハイブリッド方式で開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
審議会の開会に際しまして、羽生田厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
副大臣、よろしくお願いいたします。
○羽生田厚生労働副大臣 皆さん、おはようございます。
このたび、厚生労働副大臣を拝命いたしました、羽生田俊と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、第50回労働政策審議会に御参集いただきまして、大変ありがとうございます。
令和4年6月に閣議決定されました「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」にもあるように、DXや脱炭素社会の実現に向けた大きな変革の流れの中で、我が国が創造性を発揮していくためには、これまで以上に人の重要性が増しており、人への投資が不可欠となっています。このため、賃金引上げの推進やスキルアップを通じた労働移動の円滑化を進めているところでございます。
今回の審議会では、令和5年度の予算概算要求の内容等を皆様方に報告して、御議論をお願いすることとしておりますけれども、この予算概算要求では、引き続き、国民の命、雇用、暮らしを守る万全の対応を行うとともに、成長と分配の好循環に向けた「人への投資」等を柱に、重点的な要求を行っております。本日は、そうした取組について御報告するとともに、皆様から幅広い御意見をいただき、今後の予算編成や政策立案に活かしていきたいと考えております。
国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会を構築するための労働政策を策定・実施していくためには、現場を熟知した労使の参画を得て議論を進めていただくことが大変重要であると承知しております。
お忙しい中、会場に御参集いただいた皆様、また、オンラインで御参加いただいております皆様方には、公労使の三者で構成された本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな御経験に基づき、活発な御議論をいただきますようお願い申し上げまして、私からの挨拶といたします。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○清家会長 羽生田副大臣、ありがとうございました。
副大臣は、他の御公務のため、ここで御退席になります。
どうもありがとうございました。
(羽生田厚生労働副大臣退室)
○清家会長 カメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、議事に入ります前に、本日の審議会について、事務局から御説明をお願いします。
○蒔苗政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の蒔苗でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私から、今日の審議会について御説明申し上げます。
本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけることになってございます。万が一のトラブルに備えまして、紙の資料も用意してございますが、御不要の場合は事務局までお申し出ください。
また、省内の会場内で御発言される場合には、マスクを着用したままにてお願いいたします。オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則として、カメラはオン、マイクはミュートとしてください。御発言の際は、挙手ボタンを押していただき、清家会長から御指名がありましたら、ミュートを解除して、御発言をお願いいたします。機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事務局からあらかじめお送りしている電話番号まで御連絡をお願いいたします。通信遮断などが生じた場合には進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきください。
続きまして、6月1日付で使用者代表委員1名の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介いたします。お手元の資料1でございます。労働政策審議会委員名簿を御参照ください。
一般社団法人日本経済団体連合会専務理事の藤原委員でございます。よろしくお願いします。
また、併せまして、事務局にも異動がございましたので、御報告いたします。
厚生労働審議官の小林です。
大臣官房長の山田です。
労働基準局長の鈴木です。
雇用環境・均等局長の村山です。
人材開発統括官の奈尾です。
政策統括官(総合政策担当)の中村です。
会計管理官の安藤です。
本日、山川委員、内田委員、川崎委員は、所用により御欠席でございます。
また、小畑委員は、途中、一時離席されると伺ってございます。
事務局からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。
まず、議題1は「令和5年度予算概算要求について」、議題2は「分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議結果について」でございます。この2つにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○安藤会計管理官 会計管理官の安藤でございます。
資料2、予算概算要求PDFというファイルを御覧ください。この資料に基づきまして、御説明申し上げます。私からは、令和5年度予算概算要求について御説明申し上げます。
1ページ目、「令和5年度厚生労働省予算概算要求における重点要求」という紙がございます。
まず、令和5年度要求におきましては、私どもで3本の柱を立てて要求させていただいております。
1つ目の柱、左側の青色のところでございますけれども、コロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保健・医療・介護の構築で、コロナワクチンの接種体制や医療体制の構築について要求させていただいております。2点目が、真ん中のところでございまして、成長と分配の好循環に向けた「人への投資」です。3点目が、右側の安心できる暮らしと包摂社会の実現。この3本の柱に従って、要求させていただいております。
本日は、この真ん中の2番目、人への投資の部分について御説明申し上げたいと思っております。
2ページ、3ページで、詳細を書かせていただいております。まず、人への投資の部分でございますが、最初は、人への投資パッケージ、円滑な労働移動の推進等でございます。
まず、人への投資パッケージで人材投資に資する助成金等の拡充を行い、企業を通じた支援のうち、労働者の自律的・主体的な学びや学び直しを強化するとともに、教育訓練給付の拡充など、個人向けの支援を強化してまいります。また、円滑な労働移動、人材確保の支援ということで、産業雇用安定助成金による在籍型出向を活用したスキルアップ支援の新設、ハローワークの専門窓口、これは、具体的に申し上げると、雇用吸収力が高い分野、福祉、建設、警備、運輸業などの分野のマッチング支援の強化、また、デジタル分野におけます職業訓練コースにつきましては、委託費の上乗せを要求させていただいておるところでございます。
続きまして、右側の多様な人材の活躍促進でございます。まず、女性の活躍促進でございますが、マザーズハローワークの就職支援強化について要求をさせていただいております。高齢者でございますが、シルバー人材のデジタル化についての支援。障害者、外国人につきましては、それぞれ助成金の拡充もしくはハローワーク等の支援体制の強化といった形で要求させていただいておるところでございます。また、就職氷河期、若年者・新規学卒者の支援ということで、就職氷河期世代に対するハローワークの専門窓口の強化、地域若者サポートステーション、新卒応援ハローワークにおけます、きめ細かな支援ということで要求をさせていただいております。
続きまして、3ページ。多様な働き方の支援、最低賃金・賃金の引上げに向けた事業者への支援、労働者・フリーランスの働く環境の整備等でございます。まず、多様な働き方の実現で、良質なテレワーク、また、育児・介護の助成金の支援を要求させていただいております。また、働き方改革の推進、ハラスメント対策で、時間外労働の上限規制の適用猶予事業に向けた支援、ハラスメント対策支援をしております。最後に、右側の最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性の向上等の推進、非正規雇用労働者への支援、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、労働者・フリーランスの働く環境の整備でございます。この点につきましては、事業場内最低賃金の引上げのための業務改善助成金の強化、キャリアアップ助成金による支援、求職者支援制度の支援、また、フリーランスの相談体制の拡充を要求させていただくこととなっております。
また、補正予算が現在開始されております臨時国会で提出という見通しになっております。その内容につきましては、詳細は検討中でございますが、厚生労働省としても必要な金額を確保できるよう財政当局と調整を図ってまいりたいと思いますので、支援をよろしくお願いいたします。
私からは、以上でございます。
○蒔苗政策統括官付参事官 続きまして、資料3「分科会・部会等の審議状況について」及び資料4「法案の国会審議結果について」は、各局から御説明を申し上げます。
○鈴木労働基準局長 まず、労働基準局でございます。
資料3-1の3ページ目を御覧ください。まず、労働条件分科会について御説明いたします。上から3つの丸につきまして、労働条件分科会の審議事項でございます。まず、資金移動業者の口座への賃金支払いにつきまして御議論いただくとともに、ここに書いてございます各検討会の報告書を踏まえまして、無期転換ルール・労働契約関係の明確化、労働時間制度につきまして、議論を行っているところでございます。また、今後とも、労働条件分科会におきましては、労働条件、労働契約等に係ります議論を行ってまいります。次に、安全衛生分科会について御説明申し上げます。上から4つ目以降の丸でございます。まず、4つ目のところ、令和3年7月に職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告が取りまとめられたところでございます。本報告書におきましては、化学物質による労働災害を防止するために必要な規制の在り方が提示されまして、これを踏まえた省令案について御審議いただいたところでございます。続けて、5つ目の丸でございます。有害な業務に従事する労働者に対する歯科健診につきまして、使用する労働者の人数にかかわらず、当該健診の実施後、監督署に歯科健診結果報告書の提出を義務づけることとする省令案につきまして、御審議いただいたところでございます。
次に、4ページでございます。以上のほか、安全・衛生コンサルタントの試験に関しまして、実施に必要な事項及び合格発表を官報公告からホームページの掲載に変更する省令案も審議してございます。また、各分科会等の開催状況につきましては、4ページの最後に記載しているとおりでございます。
以上でございます。
○田中職業安定局長 続きまして、職業安定局関係でございます。
職業安定局長の田中でございます。
資料3の通し番号で49ページ以降になりますけれども、分科会における審議状況等でございます。御説明は法律改正関係と新型コロナ感染症関係に限らせていただきますけれども、まず、1つ目は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案のうち、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正関係の要綱について、9月9日の答申を受けて、早速法律案をまとめて早期に国会に提出できるよう準備を進めているところでございます。
新型コロナウイルス感染症対応について、次の50ページ以降ですけれども、1つ目の丸、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令、50ページの2つ目の丸、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令。
次の51ページ、3つ目の丸ですけれども、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令についてであります。これらにつきましては、雇用調整助成金及び産業雇用安定助成金の特例措置の実施、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金、求職者支援訓練の訓練期間の認定基準及び職業訓練受講給付金の支給基準における特例の延長などに関しまして、職業安定分科会において御議論いただいたものでございます。そのほか、ウクライナ避難民を雇用する事業主を特定求職者雇用開発助成金の対象に追加する省令改正や、4000億円規模の人への投資パッケージとして、特定求職者雇用開発助成金に、成長分野人材確保・育成コースを新設する省令改正についても御議論いただきました。
次に、資料4の令和4年2月1日に国会提出された雇用保険法等の一部を改正する法律案につきましては、第208回国会に提出され、3月30日に成立しまして、翌日公布されておりますので、御報告いたします。
職業安定局関係は、以上でございます。
○村山雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局関係でございます。
恐縮ですが、もう一度資料3にお戻りいただきまして、171ページから173ページに沿いまして、関係の分科会等における審議状況について御説明を差し上げたいと思います。
まず、資料3の171ページ、5つ目、6つ目の丸のところに、小学校休業等対応助成金についての記載がございます。次の172ページ目、3つ目、4つ目の丸にもございます。このように、前回の本審以降も都度御議論いただき、現在、本年11月末までこの制度を延長しておりまして、その上で、12月以降の対応につきましては、感染状況、学校休業の状況を見ながら検討してまいりたいと考えているところでございます。続きまして、172ページの1つ目、2つ目の丸でございます。女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表の方針について、議論いただきまして、常用労働者数301人以上の企業に公表を義務づける省令指針案について諮問し、妥当との御答申をいただきました。これらは7月8日から公布即施行しておりまして、引き続き企業における労使の取組を支援してまいります。さらに、172ページ、6つ目の丸でございます。フリーランス対策でございます。9月16日の分科会におきまして、フリーランス・トラブル110番の相談実績について御説明の上、パブリックコメントしていましたフリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性について報告を行いました。この御議論の最後に、奥宮分科会長から、「厚生労働省としても、この法制度についてしっかりと対応し、かつ、必要に応じて状況を報告し、議論の場を設けるように」という趣旨のお取りまとめをいただいたところでございまして、この分科会長の取りまとめを踏まえ、今後、次回以降の分科会にその具体的な内容を報告していくことを含めまして、公労使各側の皆様への説明に丁寧に対応していく方針でございます。
続きまして、勤労者生活分科会の関係、172ページ、173ページでございます。こちらは、議員立法されました労働者協同組合法につきまして、本年10月1日の施行のための政省令・指針案等につきまして、法の制定、さらに、税制関連でございますが、施行前の改正、それらにつきまして、委任事項について諮問し、妥当との答申をいただいているところでございます。これらにつきましては、全て10月1日から施行しているところであり、今後とも円滑な施行に取り組んでまいりたいと考えております。
雇均局関係は、以上でございます。
○奈尾人材開発統括官 続きまして、人材開発統括官の奈尾でございます。
資料3-4、289ページをお開きいただきたいと思います。人材開発統括官所管の分科会における審議状況でございます。まず、289ページ、1つ目の丸ですが、昨年12月の建議を踏まえて人への投資の抜本的強化を図るということで、学び・学び直しについて企業労使が取り組むべき事項等を体系的に示したガイドラインについて御審議いただき、お取りまとめいただいたものでございます。3つ目の丸ですが、求職者支援訓練に係るもので、新型コロナウイルスによる近年の雇用失業情勢等を踏まえて、訓練期間の認定基準等に関する特例措置を今年度末まで延長するものでございます。4つ目の○は、技能検定の職種・作業等について、近年の動向等を踏まえて新設・廃止等を行ったものでございます。
290ページですが、1つ目の丸は、人への投資につきまして、成長分野の労働移動の円滑化や人材育成を強力に推進するため、国民の方からの御提案を基に人材開発支援助成金に新たなコースとして人への投資促進コースを設けるものでございます。290ページ、下から2つ目の丸ですが、今年3月の職業安定法の改正に伴い改正された指針を踏まえ、青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく指針にも、募集情報の的確表示等の同様の規定を新設するといったものでございます。最後の丸ですが、監理団体審査部会でございまして、技能実習制度の監理団体の許可について、4回にわたり、御審議いただいたものでございます。
なお、資料4にあります雇用保険法等の一部改正におきまして、事業主等におけるキャリアコンサルティング機会の確保や職業訓練に関する地域の協議会の法定化などを内容とする職業能力開発促進法の改正案も含まれてございます。
人材開発統括官関係は、以上でございます。
○中村政策統括官(総合政策担当) 続きまして、政策統括官でございます。
資料3にお戻りいただきまして、最終ページ、399ページを御覧いただければと思います。労働政策基本部会の審議状況についてでございます。労働政策基本部会におきましては、労働政策の中長期的な課題につきまして、本年2月から議論を行っていただいております。4月以降は、資料に記載いたしましたとおり、委員・有識者・企業等からのヒアリングを実施し、9月30日には、これまでの議論を整理しつつ、フリーディスカッションを行いました。今後も、ヒアリングを実施しつつ、委員間の意見交換を行い、令和5年2月頃、報告書の取りまとめを行う予定となっております。
以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を承りたいと存じます。御意見のある方は、オンラインにて御出席の方は挙手ボタンを押していただければと思います。また、会場にお見えいただいております方は、恐縮ですけれども、この御自分の名前の札を立てていただければ、御発言の希望があると分かりますので、よろしくお願いいたします。
恐縮ですけれども、議事の進行を円滑にし、また、できるだけ委員の方々の御質問時間を取るために、事務局の御説明はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、冨田委員、よろしくお願いいたします。
○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。
私からは、いわゆる労働生産性の飛躍的な向上について、申し上げたいと思います。日本の経済全体が新しい時代への転換期にあると思いますし、デフレの問題、人口減少という中で、どちらかといえば、これまでの経営の在り方自体が、低コスト志向、ローリスク志向、安定志向だったと、経営サイドとしても反省する点が多いと思っております。これからは、危機感を持って、パイの拡大、また、経済成長を図る、成長と分配を進めていくことが必要だと思います。そのためには、我々企業経営者自身のガバナンスの考え方も変えていかなければならないと思いますし、労働政策においてもこうした視点が強く求められると思います。
具体的な課題としては、円滑な労働移動の推進が第1。2つ目は、働き手のエンゲージメント、いわゆる心の生産性。働かされているということではなくて、自ら主体的に働くという意識を持ってもらう。この2つが大事だと思っています。
まず、円滑な労働移動の推進については、雇用のセーフティーネット、再就職支援、リカレント教育などが重要になることは言うまでもないと思いますが、加えて、副業・兼業の促進をぜひお願いしたい。副業・兼業の促進は、都市部の優秀人材が地域社会でデジタル化やGX・脱炭素の実装を進めることに貢献できる機会の創出につながると思いますし、そのことが地方創生・地方企業の生産性向上に必ず資すると思います。ぜひ副業・兼業のさらなる促進に向けて御検討をお願いしたいし、私ども経営側も一体となって推進していきたいと思います。
次に、働き手のエンゲージメント向上について、言うまでもなく、ダイバーシティー、エクイティー&インクルージョン(DE&I)、人材の育成、柔軟な労働時間制度の拡大を進めて、自律的・主体的に働き手が働くことを可能とする環境を整備することが必要だと思います。
これに加えて、従来からお願いしている裁量労働制の対象拡大をぜひお願いしたい。喫緊の課題だと思います。厚労省の実態調査結果を見ても、制度適用者の方の満足度は非常に高いし、また、健康状態への影響はほとんどないとされています。裁量労働制は、正しく使えば、労使双方にとってよい制度だと思います。そのことは明白だと思いますので、ぜひこうした前提に立って対象業務の拡大に向けた議論を早急に進めていただき、結論を出していただくようにお願いします。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 御説明をどうもありがとうございました。
まず、労働移動と雇用の維持について申し上げたいと思います。
誰もが働きやすい社会をつくるためには、教育や訓練など、人への投資が不可欠であることはもちろんです。概算要求における重点要求の「人への投資パッケージ」の部分に、人への投資と直接関係のない「円滑な労働移動」が記載されていることに強い違和感を抱いています。行政としては、雇用形態にかかわらず、全ての働く者がディーセントな就職先を自由に選択して、安定して就労できる環境整備に注力すべきであり、無理な労働移動の誘導は短期間での離職につながりかねないということは、従前から申し上げているとおりでございます。まずは、労働者自らが労働移動を考えたくなるような、賃金・労働条件や、長期間安定的に従事できる産業の育成を政府が一丸となって実施することが何よりも重要であって、それなくして安易に労働移動を政策誘導するべきではないということを申し上げたいと思います。
また、依然としてコロナ禍の影響が残る産業・地域が存在していること、あるいは産業ごとの諸情勢の変化を十分に踏まえていただいて、雇用維持の支援も適切に行っていただくようお願いしたいと思います。産業雇用安定助成金については、スキルアップ支援コースの新設が盛り込まれています。同制度の今後の拡充とさらなる活用促進を実施していただきたいと思います。
もう一点、ILOの第155号条約の早期批准について申し上げておきたいと思います。資料にもありますが、今年の第110回ILO総会において、いわゆる労働安全衛生に関する第155号条約と第187号条約が新たにILOの中核的労働基準に加わったところでございます。さらに、G7の労働雇用大臣会議においても「労働安全衛生の向上」が取り上げられ、労働者の安全と健康に対する世界的な機運が高まっていると考えております。既に第187号については批准済みでございますが、未批准である第155号条約についても、関係省庁と連携のうえ、早期に批准することで、アジアのみならず世界においてそのリーダーシップを示していただきたいと考え、意見として述べさせていただきたいと思います。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで御発言を希望していらっしゃいます井上委員、よろしくお願いします。井上委員に御発言いただいた後、事務局から今までのところを少しまとめてお答えいただきたいと思います。
○井上委員 御指名をありがとうございます。井上でございます。
私からは、資料3の別紙7-4、第13次労働災害防止計画の主な目標に関する令和3年実績について、発言させていただきます。
計画期間の終了を本年度末に控えて、目標の進捗状況を見ますと、死亡者数の達成は可能性を残す一方で、死傷者数の数は新型コロナウイルス感染症の影響を除いても達成が難しく、比較対照であります2017年に比べても悪くなる見通しです。この背景には、第三次産業における死傷者数の大幅な増加があり、小売業、また、社会福祉施設などを中心に、転倒、動作の反動・無理な動作等の事故が多く発生していると承知しております。こうした状況を踏まえて、転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会において、エビデンスに基づく対策の推進、効率的・効果的な安全衛生教育の方法、労働者の健康づくり、事業者への支援等が議論されています。本格的な高齢化社会に入っていく中で、高年齢労働者も含め、安全な職場環境を整えることは喫緊の課題です。検討会の取りまとめが、第三次産業の中心である中小・小規模事業場でも取り組みやすい、実効性のある内容となることを期待しています。
最後になりますが、先ほど清水委員からもありましたが、参考資料2に記載のとおり、今年のILO総会で労働者の基本的権利の原則に労働安全衛生を含めるとともに、2つの条約を基本条約に追加することが決まりました。我が国は、第155号条約が未批准ですので、政府には早期の批准に向けた検討をお願いしたいと思います。
私からは、以上でございます。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、ここまでの委員の御発言に対しまして、事務局からお答えいただきたいと思います。
田中局長。
○田中職業安定局長 職業安定局でございます。
まず、冨田委員から、円滑な労働移動の推進に向けた、雇用のセーフティーネット、再就職支援について、御指摘がございました。円滑な労働移動に向けては、多様な人材の能力発揮と雇用の安定を図る必要がございます。就職支援、能力開発支援などに総合的に取り組んでまいりますけれども、その前提として、雇用保険制度を中心とした雇用のセーフティーネットの充実強化を図ってまいりたいと考えておりますし、ハローワークでのきめ細かな就業相談と労働者個人の多様な選択と能力発揮が可能になるよう支援を図ってまいりたいと考えております。
次に、清水委員から、雇用の維持に対する支援、産業雇用安定助成金の活用・促進について御指摘がございました。雇用調整助成金の特例措置等につきましては、雇用情勢の緩やかな持ち直しが見られること、足元では多くの産業で人手不足感が強まっていること等も踏まえまして、経済財政運営と改革の基本方針2022に沿って、今なお厳しい状況にある企業に配慮をしつつ、段階的な見直しを進めてまいりたいと考えております。産業雇用安定助成金につきましては、本年10月1日に制度拡充を行うとともに、令和5年度概算要求においては、労働者のスキルアップを在籍型出向により行う事業主を支援する新たなコースの創設に取り組むこととしております。必要な予算を計上しているところでありまして、今後とも、人材を有効活用するためにも、在籍型出向のさらなる支援を図ってまいりたいと考えております。
○鈴木労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
まず、冨田委員から、労働時間の関係で御意見をいただきました。柔軟な労働時間制度につきましては、フレックスタイム制度や企業が自社に合った労働時間制度を導入・運用できるよう、労働時間相談・支援班、働き方改革推進支援センターなどによります支援を引き続き実施してまいります。また、裁量労働制につきましては、本年8月30日より、労働条件分科会におきまして、裁量労働制を含めた労働時間制度につきまして御議論いただいております。制度の趣旨に沿って労使双方に有益な制度として活用されるよう、引き続き丁寧に検討を進めてまいります。
続きまして、清水委員、井上委員から、安全衛生の関係についての御意見を頂戴いたしました。まず、ILOの第155号条約でございますけれども、この条約の批准の重要性につきましては認識しておりますので、関係省庁とも連携しつつ、検討を進めてまいりたいと考えてございます。また、転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会につきましては、増加しております職場における転倒・腰痛等の減少を図るため、検討を進めてきております。9月に中間整理をまとめたところでございまして、引き続き実効性のある対策を検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○村山雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局でございます。
冨田委員から、ワークエンゲージメントの関係について御提起いただきました。シャウフェリ教授が御提起されて、また、経労委報告等、様々な場でも取り上げられている大変重要な概念であると考えております。先ほど御説明のございました令和5年度の概算要求の中におきましても、働く人のワークエンゲージメントの向上に向けた支援事業といたしまして、先進企業における労使の取組をまずはしっかり把握した上で、これを行政労使が一体となって発信していこうという中身も盛り込んでいるところでございます。労使の御意見をよく伺いながら、予算が取れた暁にはしっかり進めてまいりたいと考えているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○奈尾人材開発統括官 引き続きまして、人材開発統括官でございます。
冨田委員から、企業における人材育成に言及いただいたところです。企業における人材育成につきましては、人への投資促進コースを今年度から創設し、人材開発支援助成金による支援を行ってございます。また、職場における人材開発の抜本的な強化に向けて、労使が取り組むべき事項等を体系的に示したガイドラインを本年6月に策定いたしました。今後、人材開発支援助成金やガイドラインをさらに御活用いただけるよう周知徹底をしたいと思っております。
以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、委員の皆様からの御意見を承りたいと思います。
安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 私からは、働き方改革について、何点か申し上げたいと思います。
まず、1点目でございますが、労働時間に関してでございます。2023年4月には、月60時間を超える時間外労働の割増率50%が中小企業にも適用されることになります。既に適用されている労働時間の上限規制と併せ、中小企業における労働時間削減の取組支援を積極的に実施することで、長時間労働を是正し、全ての労働者の健康を確保することが重要だと考えております。
2点目でございます。資料3の別紙3にあるように、裁量労働制を含む労働時間制度の在り方に関する検討会報告書が出され、労働条件分科会で議論が行われていると聞いております。報告書が指摘するように、労働時間法制の原初的使命は「労働者の健康確保」であり、長時間労働を助長し、労働者の健康を損ないかねない裁量労働制の適用業務拡大には反対であります。
3点目でございます。同じく検討会報告書が出された解雇無効時の金銭解決制度は、法制遵守や職場環境を改善せずとも、労働者に対して金銭を支払うことで労働契約を解消することが可能であり、本来守られるべき労働者の地位をないがしろにする制度だと思っております。導入には断固反対であることを、この場においても改めて申し上げておきたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、矢口委員、よろしくお願いいたします。
○矢口委員 矢口でございます。ありがとうございます。
前の委員の質問に一部重複いたしますけれども、私からは、3点、申し上げます。
まず、円滑な労働移動について、申し上げます。人手不足の状況がコロナ前の水準に戻る中、雇用政策の重点を、これまでの雇用の安定から能力開発を通じて成長分野や人手不足産業への円滑な労働移動を図る政策へシフトすることは重要ではないかと思っております。引き続き、雇用情勢を注視しながら、雇用調整助成金の段階的な縮減を進めるとともに、成長分野や人手不足産業に関する公共職業訓練メニューの増設や能力開発から就職までの一貫した支援など、実効性の高い支援をお願いしたいと思います。雇用保険二事業を含めた雇用保険財政については、積立金である雇用安定資金残高が枯渇状態にあることから、雇用の急激な悪化時の機動的な国庫繰入とともに、運用規律を徹底し、早期に安定を図っていただきますよう、要望いたします。
次に、多様な働き方や働き方改革全般に関して、申し上げます。コロナ禍を契機として、テレワークや時差出勤など、働く場所や時間に拘束されない多様な働き方が広がりを見せています。こうした新しい働き方が実効性を持ち、労働生産性の向上につながるためには、現在分科会で議論中とお聞きしている裁量労働制の制度設計に工夫が必要だと思います。より活用しやすい制度となるよう、対象となる業務の拡大や手続面での負担軽減など、制度の見直しにぜひ取り組みますようお願い申し上げます。さらに、人手不足が特に深刻である運輸業・建設業に対する時間外上限規制が適用される、いわゆる2024年問題への対応についても、喫緊の課題であり、十分な支援を講じていただきますようお願い申し上げます。
最後に、中小企業における賃上げに向けた環境整備について、申し上げます。物価高により、企業に対する賃上げ圧力がかつてなく高まっていることから、人材を確保するためには中小企業が自発的に賃上げをできる環境を整備していくことが喫緊の課題になっております。中小企業の労働分配率は約8割と高く、賃上げ原資の確保のためには、取引価格の適正化と生産性向上が不可欠となります。価格転嫁対策に向けて、転嫁円滑化施策パッケージなど、中小企業庁とも緊密に連携し、今まで以上に取り組んでいただきますようお願いいたします。また、業務改善助成金は、コロナや原材料高の影響を受けている企業に対して、助成上限額や助成率の引上げ、対象となる設備投資の範囲拡大などの特例を設けていますけれども、これらの特例を恒常的な措置として、引き続き賃上げに取り組む企業の後押しをお願いいたします。
私からは、以上でございます。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、難波委員、よろしくお願いいたします。
○難波委員 私からは、時間外労働の上限規制適用猶予業種等への適用について、意見を申し上げたいと思います。
労働条件分科会のもとに置かれました専門委員会で、自動車運転者の拘束時間の上限規制見直し、いわゆる改善基準告示改正の議論の取りまとめが行われました。全体として、労働時間短縮に向けた方向性が示されたことは、自動車運転者の長時間労働是正に向けた一歩と考えています。ただ、他方におきまして、トラック運転者に適用される分割休息の特例等々、例外的に規制緩和となり得る部分もあり、懸念も残ると考えています。過労死や健康障害の発生を未然に防ぐためにも、行政による監督指導等の徹底が重要であり、規制の実効性確保に向けた取組をなお一層強化していただくよう、要請申し上げたいと思います。
また、働き方改革とともに、商慣行の是正を両輪として取り組むことが極めて重要だと思います。国交省、農水省、経産省、公正取引委員会を含めて、各省庁とも連携して、横断的な取組としていただきたいと思います。
次に、医師の働き方改革につきましては、資料2の58ページに記載されております医療勤務環境改善支援センターによる労務管理支援など、法施行に向けた準備が進められているものと認識しております。2024年4月の確実な施行に向けて、国・都道府県が一体となって着実な取組を進めていくよう、要請申し上げたいと思います。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、永井委員、よろしくお願いいたします。
○永井委員 私からは、最低賃金と業務改善助成金につきまして意見を申し上げたいと思います。
まず、地域別最低賃金ですが、10月から各都道府県で新しい改定額が発効しておりますが、目安制度開始以来最高の全国加重平均31円、とりわけ、Dランク、金額が低いと言われている県で高めの引上げとなりました。まずもって、中小企業を含めて、全ての事業主が各都道府県の最低賃金を確認し履行するよう、引き続き行政からもしっかり働きかけていただきたいと思っております。加えて、先ほども御発言がありましたが、賃金を引き上げられる環境整備については、中央最低賃金審議会における目安答申でも触れられておりますとおり、中小企業がこの引上げに対応するためには生産性向上が必須ですので、各企業の努力はもちろんのこと、政府等による生産性向上への支援も極めて重要だと考えておりますので、引き続きお願いしたいと思っております。
資料2の67ページにありますが、予算全体が2割減の中で、業務改善助成金については、昨年度の12億円が32億円と大幅増になっていることは評価するところです。中小企業にとっては、助成金の申請手続もかなりの負担となるところであり、実施に当たりましては、都道府県労働局の緻密な対応をぜひ引き続きお願いしたいと思っています。
また、特に流通・小売の現場で問題となっています短時間労働者の年収調整につきましては、最賃が上がるから調整するといった論調になっていると思っているところでございます。そういう現場の店長、マネジャー、短時間労働者本人が税や社会保険の仕組みなどを知ることができるよう、労働行政の立場からもぜひ後押しをお願いしたいと思っています。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、ここまでの4方の委員の御発言につきまして、事務局から御回答をいただきたいと思います。
鈴木局長。
○鈴木労働基準局長 労働基準局でございます。
長時間労働の関係で、安藤委員、難波委員、矢口委員から、それぞれ御意見をいただいております。まず、長時間労働の是正につきましては、監督指導を徹底いたしますほか、中小企業に対しましては、引き続き労働時間相談・支援班による支援を積極的に実施することで、長時間労働の抑制に取り組んでまいりたいと考えてございます。また、自動車運転者の業務や建設業の時間外労働の上限規制、今、審議中でございますけれども、自動車運転者の改善基準告示が改正になりましたら、令和6年4月から円滑に施行されますよう、引き続き関係省庁とも連携しまして十分な周知及び支援などを行ってまいりたいと考えてございます。また、医師の働き方改革につきましては、国、私ども労働基準局、医政局も含めまして、国と都道府県が密接に連携しながら、医療勤務環境改善支援センターによります医療機関への支援など、円滑な施行に向けた取組を進めているところでございまして、今後も着実に取組を進めてまいりたいと考えてございます。
続きまして、矢口委員、安藤委員から、柔軟な労働時間制度等につきまして、御意見を頂戴いたしました。まず、先ほども申し上げましたが、柔軟な労働時間制度につきましては、フレックスタイム制など、中小企業が自社に合った労働時間制度を導入・運用できるよう、労働時間相談・支援班、働き方改革推進支援センターなどによります支援を引き続き実施してまいりたいと考えてございます。また、裁量労働制につきましては、両名から御意見をいただいておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、本年8月30日より、労働条件分科会におきまして、裁量労働制を含めました労働時間制度について御議論いただいております。制度の趣旨に沿って、労使双方に有益な制度として活用されるよう、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
続きまして、矢口委員、永井委員から、賃金制度の関係につきまして、御意見を頂戴してございます。最低賃金につきましては、まさにこの10月から改定されてございまして、それぞれ発効が進んでおるところでございます。地域別最低賃金につきましては、引き続き、その周知広報、履行確保、さらに、先ほども御意見がございましたけれども、いわゆる年末の調整も含めまして、周知広報に努めてまいりたいと考えてございます。また、賃上げ全般に向けまして、引き続き、中小企業庁とも連携いたしまして、生産性向上支援や取引適正化などに取り組んでまいります。また、業務改善助成金につきましては、9月に制度拡充を行ったことも踏まえまして、利用促進に努めますとともに、適宜、必要な拡充なども検討してまいりたいと思っております。
また、安藤委員から、解雇無効の金銭解決制度について、御意見を頂戴してございます。解雇無効時の金銭解決制度につきましては、金銭を支払えば自由に解雇できるという制度を導入しないことを前提に、労働者保護などの観点から検討を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○田中職業安定局長 矢口委員から、雇用保険財政についての御指摘をいただきました。コロナ禍からの経済・雇用の回復を下支えするインフラとして、雇用のセーフティーネットの中核である雇用保険制度の安定運営が極めて重要と認識しております。雇用保険法の先般の改正においては、コロナ禍での国庫繰入の特例措置を本年度末まで延長したほか、雇用情勢等に応じて国庫繰入を含む機動的な財政運営が可能となる仕組みを導入しておりまして、これらの仕組みを活用しつつ、予算の適正執行に努め、雇用保険財政の安定的な運営を確保してまいりたいと考えております。
○村山雇用環境・均等局長 続きまして、矢口委員から、テレワークを含む多様な働き方についての御指摘をいただきました。テレワークに関しましては、今年度から、総務省と連携をいたしまして、テレワークに関する労務相談とICT技術の活用の双方についてワンストップで相談できる窓口をテレワーク相談センターに設置し、総合的な支援に努めているところでございます。また、矢口委員の御指摘にもございましたように、コロナ禍でテレワークの取組が広がって、それに伴う様々な課題等も見えてきたということもございます。時間の柔軟性もそうですけれども、働く場所の柔軟性をこれからどう高めていくかということは、まさに、労使双方にとって、また、行政にとって、重要な課題だと考えておりますし、今喫緊の課題になっております少子化対策や働くことと子育ての両立支援といった観点かも重要な課題であると考えております。そうした視点からの議論、取組も含めまして、良質なテレワークの導入・定着の支援に向けて努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○奈尾人材開発統括官 引き続きまして、人材開発統括官でございます。
矢口委員から、公的職業訓練について、御指摘いただきました。公的職業訓練につきましては、労使の皆様をはじめとする幅広い関係者が参画する都道府県単位の地域職業能力開発促進協議会が法定化されます。10月以降に順次開催されることになっておりまして、この協議会を通じて、デジタルなど地域のニーズを反映した訓練コースの設定の促進や地域における訓練効果の把握・検証を行いまして訓練内容の改善を図るという取組をすることになってございます。これを通じまして、成長分野や人手不足分野等の希望する再就職などの実現につながるように支援してまいりたいと思っております。
○清家会長 ありがとうございました。
引き続き、委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
それでは、淡輪委員、よろしくお願いいたします。
○淡輪委員 ありがとうございます。淡輪です。
私からは、資料3、80ページの雇用調整助成金等の助成内容と161ページの雇用保険財政について、意見を申し上げます。
雇用調整助成金の特例措置によって雇用維持に取り組む企業を支援いただいている結果、雇用情勢は安定している一方、特例の長期化が雇用保険財政の枯渇化を招いた面があることは否めません。加えて、成長分野への労働移動を阻害しているとの指摘もあります。10月から地域業況特例の上限額が引き下げられましたが、12月以降も、業況が厳しい企業に引き続き配慮しながら、特例の在り方についての検討をお願いします。
アフターコロナを見据えれば、DX、GXに伴う産業構造変革に直面する我が国においては、今後、成長分野・産業への円滑な労働移動の推進が不可欠であり、雇用のセーフティーネットの在り方の検討も必要と考えます。先ほども申し上げましたように、雇用保険財政は極めて厳しく、有事の際に必要な雇用対策を講じることのできない危機的な状況であります。161ページにありますとおり、雇用保険二事業に係る雇用安定資金の残高は0円ですが、事実上は3兆円超の赤字となっております。さきの雇用保険法改正では、返済猶予額も含め、借入額の返済の在り方について、令和6年度末までを目途に検討とされました。雇用保険財政再建の道筋を明確にしていただくことを強くお願いいたします。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで御発言を希望されております中川委員、よろしくお願いいたします。
○中川委員 人口減少・超少子高齢社会の中で、今後は、さらに、DX、GXなどによる社会変化に対応するためには、人的投資の拡充が喫緊の課題であると思っています。人への投資は、労働者の能力開発やキャリア形成と、そのキャリアを現場で発揮できる環境整備が大変重要であると思っています。生産年齢人口がさらに減少することを踏まえれば、こうした社会変化への対応には3年間の集中支援にとどまらず、中小企業等への支援も含め、今後、さらに人への投資を拡充すべきであると思っています。雇用区分や多様な事情によって能力開発やキャリア形成の機会の提供に差が生じることがあってはなりません。非正規で働かれる労働者の方々、障がいを抱える方々などを含めて、誰もが希望する能力開発などを受けられるよう、企業や事業所への取組を促していただき、国による政策的なフォローにより全面的な底上げを図ることが肝要だと思っております。
また、地方での能力開発の充実強化をぜひともお願いしたいと思っています。私が働き暮らす宮崎におきましても、年齢別労働力人口は、この10年間、60歳から74歳以上の年齢階級が男女ともに大きく上昇しています。女性の労働率も全ての年齢で上昇しているところです。人手不足が課題となる中小企業や小規模事業所においては、人材育成や能力開発のノウハウが不足し、人的・財政的にも大変厳しい状況にあります。コロナ禍、地震や台風災害により疲弊する地方にとっては、改めて人の尊さや大事さを痛感いたしております。このような厳しい状況にあることからも、ぜひとも併せて中小企業や小規模事業所への支援の検討をお願いしたいと思っています。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、野村委員、よろしくお願いいたします。
○野村委員 全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私からは、3点、意見を述べさせていただきます。
まず、1点目ですが、雇用保険関係についてであります。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、これまで雇用調整助成金の特例措置の延長や産業雇用安定助成金の創設・拡充をはじめとする各種の支援策により、多くの中小・小規模事業者の雇用維持が図られました。改めて感謝を申し上げます。他方で、かつてないほど大規模な給付になったことで、先ほどからもお話が出ておりますように、雇用保険財政が非常に厳しい状況にあるとお聞きします。今後、本審議会の職業安定分科会雇用保険部会におきまして来年度の雇用保険料率が検討されますが、使用者と労働者の負担が今以上にならないように、くれぐれもよろしくお願いいたします。また、雇用保険制度の仕組みそのものについては、今後の予期せぬ有事の際にも対応が可能となる制度であり続けることが必要であります。一般会計からの繰入措置等の延長を含めて御検討いただきますよう、お願い申し上げます。
2つ目が、人への投資に関してであります。現在、私ども中央会には、中小・小規模事業者から、コロナ禍の影響が残る中、大幅な引上げが続く最低賃金の影響、原材料などの高騰の状況にあって価格転嫁が進まないなどにより、非常に厳しい経営環境にあるという声が多数寄せられております。今回、概算要求の柱としまして、人への投資に2024年までの3年間で4000億円の予算が投入され、様々な施策パッケージが用意されました。中でも、デジタル分野等の人材育成の推進は、中小企業・小規模事業者が新たな事業展開に取り組み厳しい経営環境を乗り越えるための重要な支援策となるものであります。施策パッケージによる各種支援策の実行に当たっては、中小・小規模事業者が活用しやすい仕組みにしていただきたいと思います。
3つ目でございますが、外国人の雇用に係る統計調査についてであります。技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務などの在留資格で働く外国人労働者が非常に増加しております。このような中、外国人の雇用に関する統計調査は外国人労働者の実態を把握し諸課題を明確にしていくこれまでにない事業であり、調査結果に大いに注目しております。また、今後の技術実習制度や特定技能の適切な在り方に向けた検討における基礎的な資料になるものとして、非常に期待しております。
最後になりましたが、人への投資をはじめとする様々な施策につきまして、限られた予算の制約はありますが、効果的に実施していただき、多くの中小・小規模事業者への支援につながるような施策展開をしていただきますよう、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、酒向委員、よろしくお願いいたします。
○酒向委員 私からは、先ほどの野村委員の御発言と少し重複する部分もございますが、外国人労働者について発言をさせていただきたいと思います。厚生労働省で毎年公表していただいております実習実施者に対する監督指導・送検等の状況によりますと、7割の実習実施者に労働関係法令違反が認められております。主な違反といたしましては、安全基準、労働時間、割増賃金といったところなのですが、技能実習法施行以来、この傾向は変わっておりません。外国人技能実習機構には法の適正な履行のために御尽力いただいていることは十分承知していますが、技能実習生の権利保護及び法の適正な履行のためには、制度の要でございます機構の人員体制の一層の強化や職員に対する教育・研修の充実が不可欠だと考えています。そのための適切な予算の確保を含めまして、ぜひとも取組の強化をお願いしたいと思います。
また、外国人技能実習制度は、法の施行から本年の11月で5年目を迎えますが、特定技能制度と併せまして見直しが行われていくものと認識をしております。この見直しに当たりましては、各制度の実態や課題を検証・把握することが不可欠であり、その点では、資料2の45ページにございます統計調査及び47ページの調査研究事業は実態や課題の把握が重要と考えています。技能実習制度及び特定技能制度のみならず、ほかの在留資格についても、定量的な調査研究により課題を明らかにしていただき、それに基づいた外国人労働者政策としての総合的な検討を、公開の場において行っていただくことをお願いしたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、小松委員、よろしくお願いいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私からは、3点、申し上げたいと思います。
まず、1点目です。今年7月から8月に日商・東商が行った調査において、中小企業では、人手不足と回答する企業が6割を超え、コロナ以前の厳しい水準に戻っています。採用の状況についても、2021年度に採用募集した企業のうち、予定人数を確保できた企業は半数以下で、全く採用できなかったと回答する企業も約2割あるなど、人材確保が経営上の大きな課題となっています。また、物価の高騰もあり、企業に対する賃上げ圧力が高まっており、人材の確保は厳しさを増していることから、深刻な人手不足により、事業継続が立ち行かなくなることも懸念されています。こうした状況を踏まえ、中小企業の人材確保支援のため、ハローワークや公共職業訓練機関のマッチング機能強化は極めて重要な支援と考えます。先ほども回答していただいておりますけれども、業界団体などとも連携しながら、現場のニーズを酌み取り、効率のよいきめ細やかな支援の充実をお願いします。
次に、人への投資について申し上げます。少ない人員で生産性を上げる、あるいは、デジタルやグリーンのような成長分野に対応するためにも、人材育成の重要性は高まっています。生産性向上人材育成センターによる生産性向上支援訓練など、ニーズの高い施策の強化をお願いします。また、中小企業は、時間や人材が限られていることから、オンライン受講や夜間講座、企業内での出張研修の拡充など、利便性向上に取り組んでいただきますようお願いします。人材開発助成金については、人への投資促進コースとして約500億円の多額の予算を確保していただいていることから、周知の強化や受講ニーズを酌み取りながら、適宜内容の見直しを検討いただき、事業促進に取り組んでいただきますようお願いいたします。
最後、3つ目に、外国人材への支援について申し上げます。商工会議所の調査では、外国人材を既に受け入れているまたは受入予定や検討中と回答した企業は約5割に上り、一定のニーズがございます。一方で、他の先進国と比べて賃金水準が低く、足元で円安も進む中、外国人材にとって日本で働く魅力は低下しつつあることから、今後も外国人に選ばれる国づくりを行うために、外国人が安心して就労し生活できる環境を整備することが重要です。当社の事業所がある東京都大田区では、2年ほど前に国際都市おおた協会が設立され、日本語講座、就労支援講座、また、学校から配付されるプリントの読み方講習など、充実した活動をしていると感じます。地域により差が出ることのないよう、政府としてこうした取組を積極的に後押ししていただきますようお願いいたします。また、先ほど酒向委員からもございましたが、技能実習制度は就労現場での人権侵害等の問題が指摘されています。人権の尊重と運用の適正化を徹底するため、不適切な運営を行う監理団体や受入企業への監視指導を強化していただくとともに、優良な監理団体や受入企業については、提出書類の簡素化など、負担軽減策を講じていただくなどのインセンティブを講じていただくことも必要と考えます。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、ここまでの5方の委員の方々からの御意見につきまして、事務局からお答えいただきます。
○田中職業安定局長 まず、職業安定局からお答えいたします。
淡輪委員から、雇用調整助成金の特例措置、雇用保険二事業の点について、御指摘がございました。雇調金の特例措置につきましては、これまで労働者の雇用維持に効果を発揮してきた一方で、雇用情勢の緩やかな持ち直しの動きが見られる中では、円滑な労働移動等を阻害しているといった懸念があることは承知しております。12月以降の取扱いについては、これまでの方針に沿って、厳しい状況にある企業に配慮しつつ、縮減していくこととしておりまして、具体的な助成内容については、今月末までに公表していきたいと考えております。雇用保険二事業における借入額の返済はかなりの多額になっておりますけれども、この在り方につきましては、今後の雇調金等の支出状況、積立金や雇用安定資金の額等の財政状況も踏まえて、また、関係労使の皆様の御理解をいただきながら、できるだけ早期に検討を進め、雇用保険財政再建の道筋をお示しできるように努めてまいりたいと考えております。
野村委員からも、雇用保険に関しての御指摘がございました。先ほど申し上げましたように、雇用のセーフティーネットの中核である雇用保険制度の安定運営をしっかり図ってまいりたいと思っております。先般の雇用保険法改正で、コロナ禍の特例としての繰入措置については本年度末まで延長しておりますし、また、恒常的な措置として雇用情勢等に応じて国庫繰入を含む機動的な財政運営が可能となる仕組みを導入しておるわけでございまして、これらの仕組みの活用を含めて、雇用保険財政の安定的な運営を継続的に確保していきたいと思います。なお、令和5年度以降の雇用保険料率や制度の在り方につきましては、引き続き労働政策審議会において御議論いただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
野村委員、酒向委員、小松委員から、外国人労働者の関係あるいは外国人の雇用に関する統計調査について御指摘をいただきました。我が国における外国人労働者数は、令和3年10月末時点で約173万人となっておりまして、一貫して増加し続けております。本年3月以降、新型コロナの感染症に係る水際対策が段階的に緩和されておりまして、今後、外国人労働者がますます増加することが見込まれます。こうした状況において、厚労省としては、令和5年度から新たに開始する外国人に関する統計調査により、外国人労働者の雇用管理の実態や国内・国外からの労働移動の事態を適切に把握して、今後の外国人雇用対策の検討に活用したいと考えております。本統計調査の来年度からの円滑な実施に向けて、検討を進めているところでございます。この外国人労働統計の対象ですけれども、技能実習や特定技能の外国人労働者に限らず、その他の在留資格の外国人労働者も調査の対象としております。そういう形で外国人にターゲットを絞った統計調査を整備して、今後の政策展開にきちんと役立てていきたいと考えているところでございます。
小松委員からも、外国人人材への支援について御指摘がございました。今後も外国人の方々から日本が選ばれ続けるためには、外国人も安心して就労できる環境の整備が重要であると考えております。厚労省では、外国人を雇用する事業主が遵守するべき法令や努めるべき雇用管理の内容などを盛り込んだ外国人雇用管理指針を定めておりますし、ハローワークが事業主に対して助言・指導を行うことによって、雇用管理の改善を図っております。外国人労働者から労働条件等に係る相談があった場合には、多言語対応が可能な各種相談窓口も充実させてきております。なお、外国人労働者への日本語教育や生活面での行政によるサポートについては、共生社会の実現のために政府において取り組むべき施策を示しております外国人の受入れ・共生のための総合的対応策に基づいて、文科省において、地域における日本語教育のための環境整備の支援、法務省において、地公体における生活に関する相談窓口の整備・運営のための支援が取り組まれております。なお、資料2の44ページに書いておりますけれども、令和5年度予算要求において、外国人労働者雇用労務責任者を育成する事業を要求しておりまして、企業における外国人労働者の適正な雇用管理に努めてまいりたいと考えております。
小松委員から、ハローワークや職業訓練機関のマッチング機能の強化について御指摘をいただきました。コロナ前から我が国は非常に大きな人手不足感の中にございます。コロナ後においてもそれが続くものと考えておりまして、特に中小企業ではその傾向が強まっていくものと考えております。引き続き、企業の雇用管理改善、生産性向上に対する支援を行うとともに、ハローワークにおいて担当者制などによるきめ細かな就職支援や業界団体との連携した魅力発信のほか、公共職業訓練実施機関による訓練期間中のキャリアコンサルティングの実施などにより、よりマッチング精度を高めた支援を行ってまいりたいと考えております。
以上になります。
○奈尾人材開発統括官 私から、人への投資、外国人技能実習制度の2点について、お答え申し上げます。
まず、中川委員、野村委員、小松委員から、人への投資に関する御意見をいただいております。現在、デジタルなどの成長分野を支える人材育成の強化と人への投資を進めておりまして、今年度から創設しました人への投資促進コースを人材開発支援助成金に創設したわけでございますが、中小企業等に対しては特に手厚い助成としております。また、活用しやすさという点から申しますと、人材開発分科会での御意見も踏まえまして、申請書類・添付書類の簡素化を実施してございます。中小企業事業主をはじめ、事業主の皆様にとって活用しやすい制度になるように努めてまいりたいと思います。また、地域における訓練ニーズの把握と訓練コースの設定ということで申しますと、先ほど少し申し上げましたが、都道府県単位の地域職業能力開発促進協議会が法定化されまして、10月以降、順次各都道府県で開催されることになっております。この協議会の場を活用いたしまして、地域のニーズを反映した訓練コースの設定の促進、訓練効果の把握・検証、訓練内容の改善等を図ってまいりたいと思います。また、公的職業訓練のeラーニングコースといったことも活用しながら、オンライン訓練等についても促進してまいりたいと思っております。
小松委員から御指摘いただきました生産性向上支援訓練については、中小企業において成長分野に対応した人材を育成することは重要でございまして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が全国87か所に設置しております生産性向上人材育成支援センターにおいて、中小企業等を対象に、人材育成等の相談対応や生産性向上支援訓練を実施しております。特に生産性向上支援訓練については、今年度、DX関連のコースを約3,000人分拡充してございますが、令和5年度概算要求におきましても、DX関連の訓練コースの対象人員をさらに3,000人分拡充しております。現在、生産性向上支援訓練につきましてもオンライン受講のコースを実施しておりまして、事業主の皆様にとって利用しやすいものとなるよう、利便性向上に努めてまいりたいと思っております。
次に、外国人技能実習生につきまして、野村委員、酒向委員、小松委員から御指摘いただきました。御指摘のとおり、一部におきまして、技能実習制度の制度趣旨が十分に理解されず、労働法令違反等の事案が発生しておる状況につきましては、重く受け止めております。実習実施者に対する監督指導等の状況につきまして、令和3年に全国の労働基準監督機関におきまして、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者に対して監督指導を実施した結果、72.6%において法令違反が認められているというものでございます。この監督指導の結果は、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者に対して行ったものでありまして、技能実習生以外の労働者に対する違反も含まれております。なお、技能実習生の有無にかかわらない全事業場に対する監督指導における労働基準関係法令違反は、この5年間ほど、技能実習生がいる事業場の違反よりおおよそ1~2%低いという状況になっておりまして、違反率に大体1~2%の差があるという年が多いわけでございます。こういう中で、監理団体の許可、実習計画認定に係る書類については、許可基準や認定基準への該当の有無を確認するために御提出いただいているということで、大変恐縮ながら簡素化に限度がある面はありますが、別途優良な監理団体や実習実施者のインセンティブといたしましては、優良な監理団体や実習実施者について、第3号技能実習生の受入れを可能にする、技能実習生の受入可能枠を増加するということをやってございます。こういった状況の中で、政府といたしまして、技能実習生に対する不適切な事案が発生することのないよう、技能実習制度の適正な実施、実習生の保護に取り組むことが重要でありまして、不適正事案の行政処分による厳正な対処、母国語による通報・相談の窓口の整備等を対応してまいりたいと思っています。また、外国人技能実習機構の取組強化につきまして、本年4月から実習実施者の指導と技能実習生の援助を一体的に指導援助部というところで行うことにしております。今後も、制度の施行状況を把握した上で、機構の機能強化に向けて検討してまいりたいと思います。最後に、調査研究事業を令和5年度概算要求で計上しております。こちらにおきましては、制度見直しの検討状況に応じて、関係審議会等の検討に資する中間データ・資料等も作成することも想定しておりまして、まずは実態・課題の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、また委員の皆様から御意見を伺ってまいりたいと思います。
オンラインで御発言を希望しておられます石川委員、よろしくお願いいたします。
○石川委員 私からは、就職氷河期世代支援について、要望を申し上げたいと思います。政府が3年間の集中取組とした「就職氷河期世代支援」につきましては、正社員雇用30万人を目標に掲げて取組を進められ、一時期はハローワークの職業紹介により正規雇用が約20万人に達したものの、コロナ禍の影響から、結果的には3万人の増加にとどまっています。したがいまして、来年度からの第二ステージでは、従来の支援を単に継続するだけでは不十分だと思います。これまで以上に充実した職業訓練や人材育成を実施することはもとより、当事者の課題や支援ニーズを踏まえた対策を実施することが重要であり、第一ステージの支援策の効果検証を踏まえた、実効的な支援につなげていただきたいと思います。また、コロナ禍以降の社会変化を踏まえ、当事者の希望に寄り添った社会参加を促す支援や就労・定着支援などが重要です。当事者の置かれた状況や課題感は当初想定していたものから変化しているものと想定されます。今後の支援につきましても、変化を想定した検討をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、西周委員、よろしくお願いいたします。
○西周委員 西周でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、障害者雇用に関して、意見を申し上げます。
先ほど分科会等の審議状況報告において説明がされましたけれども、6月に障害者雇用分科会で取りまとめられた意見書を踏まえて、国会に障害者雇用促進法の改正法案が提出される予定と承知しております。今回の改正は、短時間労働者を雇用率算定に加える措置、一定の場合に調整金を減額する措置、助成金の拡充など、企業実務に影響する事項が盛り込まれております。法案成立後、厚生労働省におかれましては、企業が改正法に円滑に対応できるよう、適切な準備期間の確保と迅速な周知をよろしくお願いいたします。
また、障害者雇用分科会では、今後、2023年度以降の法定雇用率の設定について審議が行われる予定と聞いております。2021年の場合ですが、雇用されている障害者の人数は、過去最高の59.8万人を更新しておりまして、法定雇用率の引上げが想定されます。しかし、雇用率達成企業は47.0%と5割を下回っている中で、さらなる雇用率の引上げは、これまで積極的に障害者を雇用してきた企業にとっても負担を求めることになりかねません。厚生労働省には、障害者の採用や定着に苦慮している企業の現状を調査・把握して、マッチング機能の強化や新たな職域開発などの支援策の拡充を図るとともに、障害者雇用ゼロ企業に対して、支援策の周知徹底や適用促進を含めて働きかけを強化していただきたいと思います。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、このお2方の御発言は比較的内容も重なってございますので、事務局からまとめてお答えいただきます。
田中局長。
○田中職業安定局長 まず、石川委員から御指摘いただいた就職氷河期世代支援でございます。就職氷河期世代の方々については、来年度から第二ステージという形で支援を継続させていただきたいと考えております。就労や社会参加に向けて、引き続きお一人お一人の事情に寄り添った効果的な支援に、これまでの対応の状況や効果も踏まえながら、取り組んでまいります。就職氷河期世代専門窓口についても、組織的な充実も図りながら対応していきたいと考えております。
西周委員からの障害者雇用の促進についてでございます。今般、障害者雇用分科会で取りまとめられた意見書を踏まえて、現在、この国会に法案を提出すべく、準備を進めております。法案が成立した場合には、施行に向けて積極的な周知を図るとともに、十分な準備期間を設けられるように取り組んでまいりたいと考えております。また、法定雇用率については、年内に見直しに係る議論を開始して、その施行時期と水準を検討した上で、令和5年4月からの設定を予定しておりますけれども、今回の法案においても、障害者ゼロ企業等の雇入れに向けた取組に対する助成措置の強化等も盛り込んでおりまして、こうした支援措置も活用しつつ、引き続き、ハローワークにおいて具体的な雇入れに向けた支援について積極的な取組を進めてまいりたいと考えております。
○奈尾人材開発統括官 石川委員からいただきました就職氷河期世代支援について、私から補足いたします。
来年度から第二ステージということで、お一人お一人の事情に寄り添った効果的な支援に努めてまいりたいと思っておりますが、特に、第一ステージにおきましては、新型コロナウイルス感染拡大が長期化いたしまして、孤独・孤立がより深刻な状況となってございました。したがって、これまで支援が届きにくかった対象者へのアプローチが課題となっていたという認識でありまして、アウトリーチ支援等を強化したいと思っております。
以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、さらに御発言をよろしくお願いいたします。
安河内委員、よろしくお願いいたします。
○安河内委員 私から、2点発言をさせていただきたいと思います。
まず、1点目は、多様な働き方についてです。短時間正社員や勤務地限定正社員など「多様な正社員」の普及促進が掲げられておりますけれども、これらは、本来、個別労使が労使自治の中で話し合い、対話を重ねて、それぞれの職場実態に即して導入するものであり、行政が制度導入を後押しする必要性は必ずしも高くないのではないかと考えております。雇用区分が複雑化・多様化することで、労働者間の格差や分断が生じることを懸念いたしております。多様な働き方を実現していくためには、労働契約関係の明確化による限定的な「多様な正社員」の普及ではなくて、長時間労働の是正など、いまだ道半ばであります働き方改革の推進や、テレワークをはじめとする柔軟な働き方に関する制度の適正な運用・活用促進を推進すべきであると考えております。
次に、フリーランスへの対応についてです。フリーランス新法に関しては、コロナ禍において雇用ではない契約関係で働く者の脆弱性が大きな課題となったことを踏まえれば、就業者を保護する仕組みの整備は必要不可欠だと考えています。しかしながら、そうした就業者の中には労働者性が高い者が含まれています。世界的に見れば労働者性を認める方向で保護を図る取組が進められていることを踏まえ、日本においても早急な見直しを行うべきだと考えております。また、今回の新法に関しまして、働く者の保護に関わる法の制定であることを鑑みれば、広く関係者から公開の場において意見を聞くなど、検討過程の透明化の確保が必要だと考えております。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、則松委員、よろしくお願いいたします。
○則松委員 私からは、男女の賃金の差異の開示等を通じた女性活躍のさらなる促進について、意見を申し上げたいと思います。7月から、301人以上の企業に対して、女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の把握・情報公表が義務づけられましたが、この改正は、私ども連合がかねてより求めてきた、男女間賃金格差の是正に向けた本当に大きな前進と受け止めています。一方で、急な形で改正の議論が行われたこともあり、本来の意義を理解しないまま、賃金の差異に関する数値のみがクローズアップをされてしまう懸念は残っています。男女間賃金格差の根本的な解消には、企業規模にかかわらず、実態の分析や対話による課題の洗い出しを行っていくことが重要だと考えます。併せて、公務部門においても、民間と同様のスピード感を持って、特定事業主行動計画において男女の賃金の差異を把握・公表すべきだと考えております。情報の公表においては、求職者の活用度も高いので、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」での公表を促して、さらなる充実に向けて取組を進めていただきたいと思います。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、山中委員、お願いいたします。
○山中委員 私からは、女性の就業継続とキャリア形成支援に関する環境整備について、申し述べさせていただきます。
まず、女性の就業継続につきましては、男性の育休取得状況の改善が鍵となると考えています。今回の育介法の改正がその契機となり得ると思いますが、中小企業ではいまだに「制度がない」という声も聞こえてきており、とりわけ中小企業に対する制度の重点的な周知をお願いしたいと思います。また、取得率だけではなく、希望する時期や希望する期間に取得できているかということを確認していくことも重要であると考えています。取得期間は雇用均等基本調査で3年に1度行っていますが、こちらを毎年実施するようお願いしたいと思います。
続きまして、キャリア形成についてとなります。女性は人材育成の機会が男性に比べて少ないことがJILPTの調査でも明らかになっています。また、女性の意識面に関して、昇進・昇格を望んでいないといった課題が取り上げられるケースもあります。育児期と昇格時期が重なるといった面や、指導的立場にいる女性については更年期などの健康上の課題が生じるといった可能性も背景としてございます。そのような状況が女性の意識の面に及ぶ、または、人材育成の機会を失ってしまうというケースも考慮しなければならないと思っています。こうした状況について社会全体の認識を高めるとともに、概算要求にございますメンター制度導入やロールモデル育成なども活用しながら、個々に合った女性労働者のキャリア形成支援をお願いしたいと思います。併せて、非正規雇用で働く女性のキャリア支援についても重要な課題であると考えます。連合が今年実施しました非正規雇用で働く女性の調査においては、半数弱が初職も非正規雇用という結果が出ています。また、仕事やキャリアアップに必要な研修や教育を利用できると回答した割合は4割弱という状況となっています。引き続き、キャリアアップ助成金などの取組等により、非正規雇用労働者の企業内キャリアアップの促進や正規雇用を望む非正規雇用者が正規雇用で働くことができるキャリア形成支援に取り組んでいただきたいと思います。
私からは、以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
ほかにはよろしゅうございますか。
それでは、ここまでのところで事務局からお答えいただきます。
○村山雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局からお答えさせていただきます。
まず、安河内委員から、多様な働き方の推進の基本的な考え方に関する御意見をいただきました。働き方改革について、私どもとして基本的な考え方として据えておりますのは、長時間労働で拘束度の強い正社員の働き方と、一方で、自由度は高いかもしれないけれども不安定な雇止め等の不安にさらされる非正規の働き方という、その2つが非常に遠く離れていて、なかなか希望に応じてキャリアステージで移ることができない、そこを何とかしていきたいということから、先ほど御指摘のありました多様な正社員の普及促進ということで、様々なセミナーあるいは好事例の収集といったことに、予算も使い、また、労使の皆様方の御協力もいただきながら取り組んでいるところでございます。雇用区分が複雑・多様化することで、格差や分断といった御懸念が生じないように、こうした基本的な考え方を大切にしながら、今後とも丁寧に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
フリーランスに関しての御指摘をいただきました。まず、現在パブリックコメント等を行って法制化の検討を進めている内容については、労使のトップも御参画されて取りまとめられております新しい資本主義実現会議関係の閣議決定内容におきまして、フリーランスは下請代金支払遅延等防止法といった従来の中小企業法制では対象とならない方が多く、相談体制の充実を図るとともに、取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出するとされたことを受けての取組でございます。同時に、フリーランスの方は、一身性がある、一人の働き手、生身の働き手であるという点が、普通の取引法制、企業対企業の取引法制とは違う特質があることから、私ども政府部内で努力をして、就業条件の確保という観点から取引法制に位置づけることが可能な内容について、ぎりぎりの調整を続け、現在パブリックコメントをしている内容にたどり着いているということでございます。その上で、審議会における手続についての御指摘も賜りましたけれども、この点につきましては、先ほども申しましたように、前回の雇用均等分科会の最後に、分科会長からも、今後も、丁寧な対応、説明をという御指示をいただいていることを踏まえまして、パブリックコメントの結果の報告も含めまして、今後とも丁寧に労使各側の皆様に御説明をしながら進めていきたいと考えております。なお、労働者性の問題については、後ほど労働基準局長から答弁があろうかと思っております。
則松委員から、男女間賃金格差、差異の公表措置について、何点か御指摘をいただきました。まず、基本的な考え方として、今回の男女間の賃金の差異の公表の意義についてしっかりと周知・広報していくことが大事だということは、施行後においても極めて重要な課題であると考えております。この点は、本日の会議の冒頭に冨田委員からDE&Iのお話もございました。また、清水委員から、仕事を探している人にとって魅力ある労働条件を提示することの大事さという指摘もございました。そうした御指摘も踏まえまして、私どもといたしましては、自社における男女の賃金の差異の背景事情を追加的に公表する、あるいは、男女の賃金の数値の要因を分析してその要因を解消していくことが大事だと、そこの点に力点を置いて、今後も行政の取組を進めていきたいと考えています。具体的には、そうした観点に立って、個別のコンサルティング等を進めてまいりたいということでございます。また、一方で、就職活動を行われる学生さんや求職者の方にも、単に男性の賃金に対して女性賃金が何十何点何%だという一点だけではなくて、個々の事業主が記載された説明欄の内容を含めて、事業主の女性活躍推進の取組の将来に対する姿勢をしっかり見極めていただくことについても周知啓発を図っており、そのための所要の予算の増額なども含めまして概算要求の中で取り組んでいるところでございます。特に御指摘のございました女性の活躍推進企業データベースに関しましては、こうした新しい項目が義務づけになったということもございますので、検索機能の拡充等、データベースの機能強化によって、ユーザビリティーの向上を図るといったことに取り組んでまいりたいと考えております。その上で、御指摘のございました公務部門における取組に関しましては、特定事業主行動計画関係のところは一義的には内閣府の男女共同参画局と公務員制度官庁で現在取組が進められておりますが、もちろん私どもから所要の情報提供等を行ってまいります。さらに分科会でも御指摘のございました独立行政法人は民間法制の適用でございますので、独立行政法人に関しましては、各省庁の所管課に働きかけますとともに、厚労省の所管独法に関しましては、特に課題の多い法人に関しまして個別に働きかけるといった取組も進めているところでございますので、併せて御報告申し上げます。
山中委員から、女性のキャリア支援、継続就業できる環境の整備について、何点か御指摘をいただきました。まず、御指摘の第1点目、男性の育児休業取得促進が新しい重要な施策であるという認識は全くそのとおりであると考えておりまして、産後パパ育休制度の創設等を内容とする改正法が本年4月から順次施行されているところでございますが、御指摘のございました中小企業の皆様方に対しましては、育児休業制度に関するセミナーの開催や労務管理の専門家による相談支援等によって改正法の内容を周知徹底するとともに、代替要員に対する助成等も含めました助成措置の利用促進も図ってまいりたいと考えております。その上で、雇用均等基本調査の調査項目についての御指摘をいただきました。統計調査に関しましては、調査に回答する企業の御負担も考慮して、基本的に調査項目もスクラップ・アンド・ビルドするルールの中で定めておりますが、その中にあっても育休の取得期間の把握は重要であると考えておりまして、これまで約3年に1度の頻度で実施していたところを、今後は約2年に1回に変更する方向で検討しておりまして、またその状況を見ながらさらなる検討を深めてまいりたいと考えております。また、女性の健康課題につきましては、働く女性の健康応援サイト等におきまして、企業や働く女性向けに更年期障害を含む健康管理に関する情報を提供して周知啓発を図りますとともに、周りになかなかロールモデルになるような方々がいらっしゃらないということに関しましては、メンター制度の導入等に関するマニュアルや事例集の作成について、これも、人への投資の観点で、国民の皆様からの御提案もあったことも踏まえ、予算要求しているところでございます。こうした事業も通じて、女性のキャリア形成を支援してまいりたいと考えております。さらに、最後に御指摘のございましたキャリアアップ助成金に関しましても、人への投資の文脈の中で予算上、しっかり対応できるようにしてまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○鈴木労働基準局長 労働基準局でございます。
安河内委員のフリーランスの関係で、労働者性の見直しのお話がございましたけれども、労働者性の概念の見直しにつきましては、外国の法制とか、国内にも様々な御意見があることは承知してございます。しかしながら、これは労働基準法そのものの在り方の話にもつながってまいりますので、今後とも、裁判例等の動向、労働者の働き方の変化などの状況を注視してまいりたいと考えてございます。
○奈尾人材開発統括官 山中委員からいただきました非正規の方を含む女性のキャリア支援の関係で、私から、補足を申し上げます。まず、人材開発支援助成金における特別育成訓練コースがございまして、こちらで有期契約労働者の方に対して正社員転換や処遇改善を目的とした訓練を行う事業主の支援を行ってまいります。また、人への投資促進コースを終了した後に正社員化する場合には、キャリアアップ助成金の加算対象となるという支援をしております。さらに、求職者支援訓練制度におきまして、例えば、シフト制労働者の方に活用しやすいということで、今、各種の特例措置を講じてございますが、これについては令和5年度概算要求でも継続して盛り込んでいるところでございます。引き続き、しっかり取り組んでまいります。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、ほかに何かございませんか。よろしいでしょうか。
冨田委員、どうぞ。
○冨田委員 最近の働き方の大きな変化として、1つの会社だけではなくて複数の会社で仕事をする、あるいは、地方と都会で仕事を持つといった働き方が拡がっていると思います。転職希望をする方がかなり増えてきていることも事実です。そういう中で、従来の、いわゆる永久就職型の、1つの企業で働くことを前提とした労働法制だけでは、なかなかカバーし切れない部分が出てきているように思います。先ほど私も副業・兼業の問題について申し上げましたが、これまではどちらかというと、企業側も兼業・副業を認めないというのが一般的な考え方でしたが、そういうスタイルの仕事をする方が増えてきていることを前提として、労働法制の在り方を、労使双方の課題として議論していくことが必要ではないかと思います。意見として、付け加えさせていただきます。
○清家会長 ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、厚生労働省におかれましては、今後の予算編成や政策立案において、本日の委員の皆様方から賜りました御意見をよく踏まえて取り組んでいただきたいと思います。
それでは、本日の会議は以上で終了といたします。
皆様、御協力をどうもありがとうございました。

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