第3回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和4年10月12日(水) 14:00~17:00

場所

AP新橋 Dルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス)

議題

  • (1)これまでの意見及び論点案について
  • (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、本日の構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。井上構成員より御欠席との御連絡を頂いております。本日、10名の構成員が会場での御参加、堀構成員がオンラインでの御出席との御連絡を頂いております。また、本日、伊佐厚生労働副大臣が遅れて御出席される予定となっておりまして、本田厚生労働大臣政務官がオンラインでの御出席予定でございます。
 なお、本会議は、前回に引き続きまして、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からYouTube配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料を確認させていただきます。会場におられる構成員の皆様方のお手元にあるタブレットには、本日の議事次第のほか、資料として事務局から資料1「これまでの意見及び論点案について」、本日御欠席の井上構成員より資料2としてコメントが提出されております。また、参考1として開催要綱、参考2として構成員名簿を御用意させていただいております。また、別のフォルダでございますけれども、前回までの検討会の資料につきましても御用意させていただいておりますので、御参照いただければと思います。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入らせていただきます。本日の議題1「これまでの意見及び論点案について」として、本検討会の後半、来月以降に議論していただくための論点の案を事務局で整理していただいておりますので、一通り事務局から資料の説明をしていただきまして、それについて議論を行いたいと考えております。
 それでは、事務局から、資料1、資料2、井上構成員から提出資料がありますので、それも含めて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料1の御説明から始めさせていただきます。
 まず初めに、資料1の2ページの目次を御覧ください。本資料では、前回までの検討会において頂きました御意見やコメントなどを踏まえた論点整理を行っておりますが、こちらの目次にございますとおり、各項目に分けて整理しております。
 初めに「医薬品の迅速・安定供給に関する現状について」としまして、改めまして、この検討会の目的であります革新的な医薬品の迅速な導入と医薬品の安定供給に関しまして、現状の確認として関連資料を掲載しております。続いて、総論「今後の薬価制度の在り方に関する総論的課題」としまして、薬価制度全体に対する御意見をまとめております。その後、個別の論点としまして、革新的な医薬品の迅速な導入と医薬品の安定供給、その両方にまたがる薬価差の3点をテーマとして挙げて、それぞれ薬価制度や産業構造という切り口でグルーピングしまして、それぞれの項目ごとにこれまでの検討会で頂きました御意見、関連する資料、論点案という構成でまとめております。
 今、遠藤先生から御紹介いただきましたとおり、論点案につきましては、本検討会の後半において具体的な御議論を頂くためのテーマの案として整理しておりますので、本日の検討会におきましては、各項目の論点案について、不足している点や修正すべき点がないかといった点について御確認いただくことを中心に御議論をお願いしたいと考えております。
 前置きが長くなりましたが、これより資料の内容の御説明に移ります。
 おめくりいただきまして、3ページからは、今回の検討に当たってのおさらいとしまして、医薬品の迅速・安定供給に関する現状として前回までの検討会資料から関係するものを抜粋して掲載しております。
 4ページを御覧ください。こちらは、革新的な医薬品の迅速な供給に関する資料、関連資料でございます。世界売上げ上位300品目を比較したグラフでは、うち18%の品目が日本に未上市となっており、革新的な医薬品が迅速に届かない懸念が増大しているとの指摘がございます。
 続いて、5ページは、安定供給の話に移りまして、後発医薬品のシェアでございますが、数量シェアでは50%を超え、医療においては必要不可欠な存在となっております。
 一方で、6ページでございますが、こちらは、ある後発品企業のデータでございます。全内用薬653品目のうち、製造原価が薬価に対して80%を上回る品目が111品目となっており、それらの薬価と製造原価のグラフをお示ししておりますが、製造原価が薬価を大幅に上回っている品目も少なからず存在している状況となっております。
 また、7ページには、現在発生しております医療用医薬品の供給状況に関するアンケート結果を掲載しておりまして、現在も後発医薬品を中心に多数の品目において出荷停止や限定出荷が発生している状況でございます。また、表の下には、昨年の日医工における薬機法違反を踏まえまして、所管県庁である富山県の薬事審議会において取りまとめられた報告書の抜粋を掲載しております。品質確保の観点から、さらに踏み込んだ薬価制度の見直し、生産体制に応じた品目数の制限なども考慮すべきと指摘がされているところでございます。
 8ページからは項目ごとの具体的な論点整理に入っておりますが、まずはこれまでに頂いた御意見のうち、薬価制度に関する総論的な課題につきまして、まとめております。
 9ページを御覧ください。こちらは、頂いた御意見のうち、主なものを掲載しております。医療費の伸びには医療の高度化や人口構造の変化など実態的な理由が存在しており、完全に予算統制下に置くという政策目標は非現実的ではないかとの御意見、薬価問題を医療保険または医療費政策の観点からのみ議論することは、医薬品や医薬品産業が経済や社会にもたらす付加価値を損ねてしまうのではないか、薬価算定や改定方式は科学技術政策、産業政策、医療政策的視点から考える必要があるのではないかとの御意見、医薬品市場の将来予測では、先進10か国中、日本だけがマイナスまたは横ばいの成長となっており、薬剤費の総額を伸ばしていくことが必要、また革新的な医薬品の開発に対する投資を促すためにも経済成長率以上の伸びは確保するべきではないか、このような御意見を頂いております。
 続いて、10ページ以降は関連する参考資料をおつけしておりまして、まず10ページは、世界の医療用医薬品の販売額推移を記載しております。グラフのとおり、日本の医薬品販売額は、米国、中国に続き第3位で、成長率で見ますと2.8%となり、米国、中国、ドイツを下回りますが、フランス、英国を上回る結果となっております。
 続いて、11ページは、国民医療費と薬剤費の推移のグラフでございます。薬剤費はおおよそ10兆円前後で推移しておりまして、5年成長率で見ますと0.9%のマイナスとなっております。また、国民医療費は増加傾向となっておりますが、医療費総額に占める薬剤費の割合は21%前後で推移しております。
 12ページは、関連する参考資料としまして、フランス、ドイツ、イギリスの欧州各国の薬剤費の推移を記載しております。折れ線グラフのうち、高いほうは医療費総額、低いほうは外来薬剤費となっております。各国ともに日本と同様に医療費総額は増加傾向にあり、また右下の表にあります医療費に対する薬剤費率も日本と同様に一定の水準で毎年推移している状況でございます。
 続いて、13ページでございます。こちらの図は、以前の検討会で業界からも示されている図でございますが、バイオ医薬品産業の成長予測について多くの国においてプラス成長が見込まれている中で、日本のみマイナス成長が予測されているという結果が得られております。
 14ページは、毎年の社会保障関係費の伸びと、それに対する各種制度改正による削減幅を記載しております。このうち、それぞれの年度の吹き出しの中にどのような制度改正が行われたかを記載しておりますが、平成26年度、28年度、30年度以降に記載がございますとおり、薬価改定や薬価制度の抜本改革などによる削減額が一定程度を占めているということでございます。
 15ページは、この章の論点案を記載しております。これまで社会保障費の自然増抑制に薬価改定による削減額が一定程度充てられてきたが、医薬品の迅速かつ安定的な供給、医療保険制度の持続可能性の確保、国民負担の軽減といった様々な観点から、今後の薬価制度の在り方についてどう考えるかという論点案にさせていただいております。
 続きまして、16ページからは各論の1つ目「革新的な医薬品の迅速な導入について」でございます。
 17ページを御覧ください。この新薬の課題につきまして、さらにグループ分けをしております。最初は薬価制度を起因とした課題をまとめておりまして、17ページでは、これまでの検討会で頂いた御意見をまとめております。1番目の企業から見た予見性確保に関する問題と2番目の欧米に比べて低い薬価が算定される可能性がある制度の大きく2つにグルーピングしております。
 1番目の予見可能性についてですが、これもさらに3つに分けております。マル1の特許期間中でも薬価が維持されない制度についてですが、御意見としましては、欧米主要国において、特許期間中の新薬の薬価を定期的、強制的に引き下げる仕組みがルール化されている国はなく、特許期間中にもかかわらず新薬の薬価が早期に下落していく状況は市場の魅力度の観点から他国に見劣りし、開発における日本の優先順位にも悪影響を与えているという御指摘、新薬創出加算の要件が厳しくなり、新薬特許期間中の薬価が維持できないにもかかわらず、特許失効後は後発品への置き換えが進められる結果、研究開発投資を十分に回収できない状況になりつつあるといった御意見を頂いております。
 マル2の市場拡大再算定による薬価の大幅な引下げについてでございます。1つ目に、薬価が維持される新薬創出等加算の対象品目であっても、市場拡大再算定の対象品目となれば大幅な薬価の引下げを受けることがあること、また効能追加が再算定を引き起こす要因となることから、効能追加への投資判断を困難にしていること、再算定対象品目の類似薬も道連れとなる仕組みがあるが、これは不合理であり、予見性も欠いていることなどが指摘されております。2つ目に、製品数としては限られた非常に画期的な製品だけで多くの薬剤費削減を行うことはイノベーションを評価するという趣旨に照らして正しいのか、一方で、新しいマーケットを生み出す効能追加や用法用量追加などによる再算定はあってもよいのではないかといった御指摘も頂いております。
 マル3は、不透明かつ複雑な薬価算定ルールや頻回のルール変更が制度を不確実にしており、経営や投資計画が立てられないのではないかとの御指摘も頂いております。
 2番目の欧米に比べて低い薬価が算定される可能性についてです。1つ目に、場合によっては欧米主要国と比較して著しく低い薬価となることを課題としており、日本の薬価が低くなることが想定される場合には、中国などほかの市場への影響を避けるために日本への上市の遅延あるいは中止が海外本社において議論されるケースも多くなってきているとの御指摘がございました。2つ目に、医薬品開発において水平分業が進む中、現在の原価計算方式による価格算定は、コストの算出が難しいことや開発リスクによる負担が原価の中で評価されないことなどから、適切にイノベーションが評価されているとは言い難いのではないか、より多様な価値を評価する算定方式が必要ではないかという御意見も頂いております。
 次の18ページからは関連資料を掲載しております。
 まず、18ページは、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、通称、新薬創出等加算の制度の概要をお示ししております。適応外薬の問題等の解消や革新的新薬の創出の促進を目的として2010年に導入されまして、後発品が上市されるまでの間は新薬の薬価の維持が可能となっておりましたが、革新性の低い品目も加算対象となっているといった課題を踏まえまして、平成30年度の薬価改定により品目要件や企業要件が追加されまして、薬価の維持が可能な対象品目が限定されております。
 これによりまして、19ページの折れ線グラフのとおりでございますが、平成30年度から本制度の対象品目数が大きく減少しまして、現在は新薬のうち、およそ半数となっております。
 20ページは、もう一つの制度、市場拡大再算定の制度の説明資料でございます。薬価改定の際、あらかじめ予想していた市場規模に比べて一定以上に販売量が拡大した医薬品について、拡大率に応じて薬価を引き下げるという仕組み、市場拡大再算定が従来から導入されておりますが、平成20年度の薬価制度改革において、市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行うという観点から、市場拡大再算定を行う際に、ほかの薬理作用類似薬も同時に薬価の引下げを行う、いわゆる共連れの制度が導入されております。これは、他社品目の都合で自社品目の薬価が下がるという予見可能性が低い制度であり、企業の研究開発の投資を阻害しているとの指摘がされております。
 21ページからは新規収載時の価格設定に関する資料となりますが、21ページの図は、以前の検討会で菅原構成員よりお示しいただいているグラフでございまして、欧州の価格に比べて日本は全体的に薬価が低い傾向にあり、特に原価計算方式で算定された薬剤は価格が低い傾向が見受けられております。
 22ページは、原価計算方式の解説でございます。左上のイメージ図のとおり、製造原価に販売費、研究費等を加えて薬価を計算する方法でございまして、算出した価格に有用性加算等の補正加算を行い、最終的な薬価を決定することとされております。一方で、必要最低限の費用と一定率の利益の積み上げで薬価を設定する形について革新性の評価が入り込む余地がないとの御意見もございまして、その結果、国と企業の交渉により、自由価格で保険収載が可能な欧米諸国の薬価に比べて低い価格となっている製品もございます。
 23ページは、この章のテーマの論点案を記載しております。革新的医薬品の国内への迅速な導入を促進するため、企業における予見性の向上を図る観点から、現在の新薬創出等加算や市場拡大再算定の運用や制度の在り方、経営や投資計画に影響を与え得る薬価改定ルールの改定頻度についてどう考えるべきか、また医薬品の開発コストに加え、イノベーションや医薬品の価値を踏まえた適切な薬価の算定を行うためにはどのような考え方、方法により評価を行うことが望ましいかとの論点案とさせていただいております。
 続きまして、24ページからは新薬に関する2つ目の課題としまして、産業構造を起因とした課題についてまとめております。主な意見等としまして、革新的な医薬品へのアクセスを迅速にするためには日本の医薬品産業の研究開発能力の推進も必要であること、さらにその方針において先発企業は新薬の研究開発に重点化すべきであるが、後発品の使用促進が進んだ現状においても長期収載品による収益に依存したビジネスモデルから脱却し切れていない企業もあるのではないか、そのため、長期収載品には特殊な製造技術が必要なものなど後発医薬品への置き換えが難しいものが含まれていることに留意しつつ、より新薬開発を進めるためのビジネスモデルへの移行を進める必要があるのではないかという御意見、3点目は、2点目の関連でございますが、オーゾライズド・ジェネリックはその他の後発医薬品に比べて薬価が高く維持されたままで大きなシェアを占有していることから、形を変えた長期収載品依存となっている場合もあるのではないか、欧米で近年開発される新薬の多くは、アカデミアやベンチャー企業がシーズを創出し、実用化につなげるエコシステムが確立しているが、日本では創薬ベンチャー企業が十分には育っておらず、長期的な育成、支援が必要であるといった御意見を頂いております。
 25ページからは関連する資料でございまして、25ページは、世界売上高の上位100品目のうち、日本企業が創製した品目が7品目まで少なくなってしまっているというデータでございます。
 26ページは、長期収載品、これは後発医薬品が発売されている先発医薬品を指しておりますが、この現状としまして、取引数量、薬剤費、いずれで見てもおおよそ20%前後と一定程度を占めておりまして、またいずれも減少傾向でございました。
 27ページは、長期収載品の売上げ割合につきまして、企業のグループごとに集計した結果でございます。全社の合計では長期収載品の割合が18%程度となっているところ、例えば先発メーカーの業界団体であります製薬協加盟企業に限定しますと、約21%程度が長期収載品での売上げとなっておりました。御注意いただきたい点としましては、右上に記載しておりますが、長期収載品といっても様々な種類がございまして、特許が切れて後発医薬品が販売されたばかりで供給量が少なく、先発品のシェアが下がっていないケースなども含まれるため、詳細につきましては、別途調査を行う必要があると考えております。
 28ページでございます。冒頭にオーソライズド・ジェネリック(AG)の定義を記載しておりますが、有効成分のみならず、原薬、添加物、製法等が先発品と同一である後発品であり、先発メーカーから許諾を受けて製造販売するものとしております。AGは、通常の後発品に比べまして、開発コストが低い、またはほぼかからないこと、後発品メーカーより先に上市できる等のメリットがあるとの御意見がございます。下の表は、坂巻構成員から発表いただきましたAGの事例に関する資料の再掲でございます。AGが比較的多くのシェアを取得したり、ほかの後発品に比べて高い薬価となっていることが示されております。
 29ページは、テーマが変わりまして、ベンチャーによる製品開発についてでございます。直近の世界売上高上位にランクインした品目の国別起源を見ますと、アメリカが圧倒的に多く、また棒グラフのとおり、特にアメリカではベンチャーによる医薬品開発が多くなっておりますが、日本ではそれらが少ない状況となっております。
 30ページにこの章の論点案を記載しております。長期収載品のカテゴリーや製造企業の実態を踏まえつつ、先発企業が長期収載品から収益を得る構造から脱却し、新薬の研究開発への再投資を促進するための方策についてどのような取組が必要か、今後の成長が期待されているアカデミア、バイオベンチャー企業等におけるシーズの開発・導出を促進するためにはどのような取組が必要かとの論点案とさせていただいております。
 続きまして、31ページでございます。革新的な医薬品の迅速導入の課題に関しましては、今、御紹介しました薬価や産業構造に関するもののほか、その他の要因に係る課題についても御意見を頂いておりますので、主なものをこちらのページに記載しております。国内未承認薬の増加については、薬価や市場規模の問題だけでなく、薬事制度や臨床試験等の開発環境にも原因があるのではないか、薬事制度上の課題としては、承認申請資料が日本語であること、日本人データを要求されること、治験環境、コスト、スピード面で海外より劣っていることなどの課題があるとの御意見、日本の先駆的医薬品指定制度は欧米の類似の制度と比較して指定要件やプロセスの観点から利用をちゅうちょするケースが多く、指定数が大幅に少ないのではないか、国内企業の産業育成は、薬価制度だけではなく、ベンチャーの育成、産学協同、税制等の別の施策で対応すべきといった御意見を頂いております。これらにつきましては、技術的事項も含まれ、本検討会で掘り下げて具体的な議論を行うことが難しい部分もあると考えられますので、御意見、課題の御紹介にとどめさせていただいております。
 続きまして、次の32ページからは各論の2つ目のテーマ「医薬品の安定供給について」記載しております。
 33ページは、まず、産業構造を起因とする課題としまして、主な意見を挙げております。後発医薬品企業においては、薬価引下げによる収益低下を新製品の導入や既存品の数量増加、製造コストの圧縮などによって吸収しているが、不採算の品目は増加を続けており、安定供給のための設備や人材への投資が困難になっていること、後発医薬品では供給品目数が少ない企業も多く、安定供給を図る上で十分な体制となっていないような企業でも参入し、存続できるメカニズムになっていないか、どのようなジェネリック企業を育成していくべきかを整理し、産業の再編を含め、今後のジェネリック産業の在り方について考える必要があるという御意見、後発医薬品の企業数や同一成分の品目数が多いため、流通上の負荷が増大しており、また共同開発による品目数は一定割合で推移している、日米欧間の薬局方の基準の相違や、国ごとの上乗せ規格、欧米に比べて相対的に輸入ロットが小さいため、海外の原薬・原料企業から見た優先順位が低くなることなどにより、原材料等の安定確保(サプライチェーン)に支障が生じているといった御意見を頂いております。
 34ページからは関係する資料を記載しておりまして、最初は、後発医薬品のシェアに関する資料でございまして、34ページのオレンジの棒グラフが後発品の販売品目数、うち灰色が共同開発品目数、青い棒グラフが後発品の企業数、折れ線が後発品の割合でございます。後発品の使用促進策により市場が拡大してきていること、共同開発品を含め、同成分・同規格の製品が複数の企業から製造販売されております。
 35ページは、後発品メーカーの実態の資料でございまして、後発医薬品を1品目でも供給している企業は全体で約190社ございます。それを供給品目数で分類したものが左側の図、年間の出荷数量で分類したものが右側の図となっております。いずれも大規模の企業もある一方で、比較的小規模の企業の数も少なくない状況となっております。
 続いて、36ページは、先ほどのグラフにも出てまいりました共同開発の御説明でございます。後発医薬品が医薬品医療機器法上の製造販売承認を受ける際には承認申請時にその品目の各種試験データを提出する必要がございますが、一定の条件を満たす場合には複数の企業が同一の資料を用いて申請することが可能となっておりまして、例えば、ある1社の製造体制及び試験データにほかの企業が相乗りして同一の品目について複数の製造販売業者が承認を得る、こういった形を共同開発と呼んでおります。
 37ページは、後発医薬品の薬価改定のイメージとしまして、とある後発薬の薬価の推移と原価率をグラフにしております。水色の折れ線が薬価、オレンジ色の棒グラフが原価となっておりまして、平成24年は、ある程度収益に余裕がある一方で、毎回の改定時に薬価が下がっていき、令和4年時点では原価と薬価が近くなり、営業利益としましてはマイナスになっている状況でございます。
 御注意いただきたい点としましては、右上の黄色の枠で記載しておりますとおり、この品目が収載されました平成24年は後発品の収載時価格は新薬の7割とされておりました。現在は5割または4割まで下がっておりますので、この表のような余裕はないと考えられること、また水色の線は薬価でございまして、メーカーからの販売価格である仕切価はこれよりも低い価格で推移しておりますので、実際のメーカー側の収益はさらに低くなるということなどから、あくまでも価格推移の一例、イメージとして御覧いただければと思います。
 38ページは、このような薬価の推移がある中で、以前のヒアリングの際にJGAからお示しいただいた資料でございますが、ある企業で製造販売する品目を収益の高いものから左から順に並べた場合の図でございます。2015年は661品目中120品目が赤字だったところ、2021年には779品目中220品目が赤字となってしまっていることが示されております。この点について、ジェネリック医薬品メーカーは、薬価改定による薬価引下げの影響を相対的に利益率の高い特許切れ直後の品目の上市や既存品の数量増加によって吸収しているため、多品目・少量生産という生産効率や収益性の低い構造がさらに強くなっていってしまう悪循環が生じているとの指摘がございます。
 39ページを御覧ください。こちらは、多品種・少量生産を行った場合の課題をイメージとして図示したものでございます。下の図のように医薬品の製造工程は複数の工程で行われるところ、仮にAからFの6種類の製剤を一つのラインで製品を切り替えながら製造した場合の各工程の稼働状況を例として記載しております。医薬品を切り替えるたびに洗浄・切替え作業が発生しますので、製造品目数が多いほど実際に製造を行える期間が短くなり、全体として生産効率が落ちることとなります。多くの後発品メーカーはこのような製造品目を切り替えながらの製造を行っておりますので、製造能力に余裕がなく、ある企業が出荷停止に陥った場合にほかの企業が増産などしてその分を埋めるということがなかなかできず、連鎖的に限定出荷が発生してしまうというケースが多くなってしまっております。
 続きまして、40ページは、後発医薬品の原薬調達状況でございます。製造コストを圧縮して収益を確保するため、各社は、より安い原材料を求めて海外に依存する傾向がありまして、サプライチェーンの脆弱化が発生しております。具体的には、左下の表の赤枠が原薬またはその原材料を海外から購入している後発品の割合でございまして、金額及び品目数のいずれでも過半数を超えている状況でございます。また、原薬の主要な調達先としては韓国及び中国が多くなっております。
 このサプライチェーンの問題に関しましては、次の41ページに記載したような取組を現在は実施しているところでございます。まず、3年前に発生しました抗菌薬「セファゾリン」の供給不安事案を踏まえまして、医療上重要な医薬品として安定確保医薬品のリストを作成しまして、それぞれ優先度に応じてA・B・Cのカテゴリー分類を行っております。この安定供給医薬品については、カテゴリーAの製品から順次、サプライチェーンに関する調査を行っており、供給途絶のリスク評価を行っております。また、セファゾリンをはじめとしました原薬・原料の海外依存度が高い抗菌薬等の国内製造を支援するため、医薬品安定供給支援事業を実施しております。さらに、安定確保医薬品のうち、採算性に課題があるものにつきましては、必要に応じて基礎的医薬品や不採算再算定といった薬価上の見直しを行う仕組みを活用して対応することとしております。
 42ページに安定供給に係る産業構造を起因とする課題の論点案を記載しております。医薬品の安定供給の観点から、後発医薬品メーカーにおける少量・多品種の製造や特許切れ直後の品目に偏った現在の収益構造や産業構造についてどう考えるか、安定確保医薬品等の医療上重要な医薬品の供給を確保するため、サプライチェーン等の様々な安定供給上のリスクを評価し、その強靱化を図っていくためにどのような対応が必要かといった論点案を挙げております。
 43ページからは安定供給に係る薬価を起因とする課題についてまとめております。まず、主な意見等でございますが、大きく、長期的な課題と短期的な課題に分けて記載しております。
 長期的な課題としましては、赤字となり安定供給が困難となった製品への対応として、最低薬価、不採算品再算定や基礎的医薬品といった制度が設けられているが、各種制約により不採算の解消ができていないことから、各制度の抜本的な見直しが必要ではないかという御意見、消費税引上げ時には消費税分が調整されるが、インフレ時には改定されず、実勢価を踏まえた薬価の値下げが行われる、インフレの圧力が高まる中でその影響を薬価制度の中でどのように対応すべきかという御意見、一方で、コスト削減を進めるためにも、連続生産などのコスト削減に資する技術革新などに対するディスインセンティブにならないよう配慮が必要ではないか、安定供給のための設備投資等のコスト負担に対して要件を設けた上で薬価上の手当てを行うなどの対応が必要ではないか、最後のポツは基本的な部分でございますが、安定供給が確保されるべき医薬品についても薬価を下げ続けることに必然性があるのかという御指摘です。
 続きまして、短期的、緊急的な課題としましては、直近の原材料価格の高騰や為替変動は医薬品の製造コストに多大な影響を与えており、特に低薬価品では原価率が著しく悪化している、特にジェネリック医薬品の原薬は半数以上が海外からの購入であり、また製造原価は6割から8割を占めており、原材料費が半分以上を占めているため、物価高騰等が大きく影響しているといった御意見を頂いております。
 次のページからは関連する資料でございます。44ページは、37ページと同じ資料でございまして、後発品の薬価の推移のイメージ図でございます。
 45ページは、薬価が下がって不採算となることを防ぐための既存の制度の説明資料でございます。最低薬価は、文字どおり、それ以上薬価を下げないようにする最低価格を剤形ごとに必要な最低限のコストを確保する形で設定しているものですが、主なデメリットの欄に記載しておりますとおり、全ての剤形がカバーされているわけではないこと、薬価は維持されるものの、薬価差が生じることなどが課題となっております。
 不採算品再算定は、不採算品目のうち、医療上の必要性が高い品目について薬価の引上げを行う制度でございますが、2年に一度の薬価改定時にしか適用できないこと、同一組成・剤形・規格の製品が複数ある場合にはその全てが不採算になっていないと適用できないこと、原価計算方式で最も低い額で算定されるため、企業によっては不採算が解消されないことなどが課題となっております。
 基礎的医薬品は、医療上の必要性の高い品目について、最低薬価と異なり、品目ごとに価格を設定してその薬価を維持する仕組みですが、薬価収載してから25年以上経過した古い品目のみ対象となっており、3つの制度いずれにも一定の制約が課せられている状況となっております。
 次の46ページからは足元の物価高騰などによる緊急対応のお話でございまして、物価高騰による製造コストへの影響の例を挙げております。左側は内服薬の製造コストの内訳を示したものでございまして、製造原価としては、原材料費や光熱費などの製造経費が上がることで全体としては3.7%の増となっております。また、右側は透析用剤の例でございまして、こちらは原材料費や製造経費の上昇率が高く、全体としては7%の増となっております。
 47ページ、48ページは、薬価において緊急的な対応を行った過去の事例を挙げております。47ページは、令和2年に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特例としまして、薬価の削減幅を0.8%分緩和したという事例でございます。48ページの事例は、昭和49年のオイルショックの際に緊急対策として薬価の引上げが行われた事例をお示ししております。
 49ページは、この章のまとめ、論点案を記載しております。医療上必要性の高い医薬品の安定供給を確保する観点から、現行の薬価改定ルールの在り方についてどのように考えるか、最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品等の必要な薬価を維持する仕組みについて運用や制度の在り方についてどう考えるか、製造業者による安定供給を確保するための設備投資等の取組についてどのような評価等を行うべきか、足元の物価高騰による製造コストの上昇に対して医療上必要な医薬品の安定供給を確保するためにどのような対応が必要と考えられるか、これらを論点案として挙げております。
 続きまして、50ページからは最後のテーマ「薬価差について」でございます。
 51ページには、これまでに頂きました主な御意見等を挙げております。薬価差は是か非か、どこに使用されているのか、医療機関や薬局の経営原資になっているのか、薬価差の大小は、競合の大小、地域別、購入規模別など様々な要因で発生しており、これらについて関係者が共通の認識を持つ必要があるとの御意見、薬価の有無にかかわらず、取引条件によって納入価にばらつきがあるのは当然、結果として薬価差を得ること自体が目的となって過度な交渉が行われていることで卸の収益構造を悪化させているのではないか、市場実勢価格の加重平均に基づく薬価算定ルールがある限り、常に加重平均値より安く購入する取引が存在すること、医療機関や保険薬局などの取引先の属性によるバイイング・パワーの違いによって薬価差が偏在する弊害が生じていること、後発品は競争が激しく品目が多い中で総価取引や価格帯をまとめた取引が行われているといった御意見、御指摘を頂いております。
 次の52ページでは、これまでの指摘を踏まえつつ、まず、薬価差の概念の整理を試みております。薬価差が発生する要因は主に2つに分類されるとしておりまして、1つは、市場原理下の取引によって当然に生ずるもの、これには、マル1の競争原理により生ずるもの、マル2の取引量によるスケールメリットによって生ずるもの、マル3の配送コストの地域差などが含まれるとしております。また、もう一つの発生要因としては、薬価差を得ること自体を目的とした値下げ交渉といった市場流通のゆがみにより生ずるものとしております。一方で、留意点を記載しておりますが、薬価差が医療機関や薬局の経営原資となっていることや、医療機関・薬局の法人形態による違いなどについても踏まえる必要があるとさせていただいております。
 続いて、53ページには、参考として薬価差が生じる構造のイメージ図をお示ししております。
 54ページは、配送コストなどについて検討するため、都道府県別の売上高に占める販売管理費の比率を表したグラフでございます。全国平均が3.8%だったのに対して、東京、神奈川、埼玉、愛知など大都市において低く、離島や山間部が多い長崎、熊本、大分、和歌山などでは高くなっている傾向が見られております。このコスト差が販売価格に反映されることが薬価差が発生する一因となっていると考えられます。
 55ページは、調整幅に関する御説明でございます。薬価改定を行う際に、市場実勢価の加重平均値に調整幅として2%分を追加した価格で算定が行われておりますが、先ほど御紹介したような地域差により発生した価格のばらつきは、実態としてこの調整幅で吸収されていると考えられております。
 56ページは、薬価調査における平均乖離率の推移です。こちらは、以前の検討会でもお示ししておりますが、直近の2021年の薬価調査での平均乖離率は7.6%で、最近はおよそ7~8%で推移しており、薬価改定の都度、薬価の引下げが続いている状況でございます。
 57ページは、医薬品の納入先別の納入額について比較した表でございます。右側の表のとおり、納入先を4つの区分に分けて集計しましたところ、乖離率の一番低かった200床未満の病院・診療所を100とした場合、200以上の病院が122、20店舗未満のチェーン薬局または個店が137、そして20店舗以上のチェーン薬局が183と最も乖離率が高くなっておりました。
 58ページは、医薬品卸に対して医療機関・薬局等との価格交渉に関してアンケート調査を行った結果でございます。左上の表の赤枠で示した部分が総価取引となりますが、特に20店舗以上のチェーン薬局の取引では約8割が総価取引で行われている実態が現れております。
 59ページは、先ほどと異なり、医薬品のカテゴリー別に薬価差を集計した表でございます。一番低い新薬創出等加算の対象品目の平均乖離率を100とした場合、新薬創出等加算以外の新薬、特許品などでございますが、その後、長期収載品と乖離率が広がっていきまして、後発医薬品では新薬創出加算品の約3倍の乖離率となっているという結果が得られております。
 60ページでございます。日本の医療用医薬品の流通はほとんどが卸売業者を通した取引となっておりますが、それにより不良医薬品・偽造医薬品の購入防止や需給調整に大きな役割が果たされている一方で、薬価の度重なる引下げにより卸業者の経営状況が苦しくなっておりまして、下のグラフのとおり、利益率が減少している状況となっております。
 61ページは、ほかの分野の卸売業と利益率を比較したグラフでございまして、卸売業全体の営業利益率は2.0となっている一方で、医薬品卸売業の営業利益率は0.35とかなり低い水準となっております。
 62ページは、薬価差に関する論点案でございます。薬価差が生ずることの背景にある医薬品の取引条件や取引形態の差を踏まえた薬価改定の在り方についてどのように考えるかとさせていただいております。
 長くなりまして恐縮でございますが、事務局からの資料1に関する御説明は以上でございます。
 63ページ以降は、参考資料として新薬創出等加算や市場拡大再算定の制度の変遷に係る資料をおつけしておりますので、必要に応じて御参照いただけますと幸いでございます。
 続きまして、資料2の御説明に移らせていただきます。本日御欠席の井上構成員より本日の検討会に向けてのコメントを書面で頂いておりますので、概要を御紹介させていただきます。
 2ページをお願いいたします。最初に、コメントについての説明を記載していただいておりまして、意見という段階のものではなく、調査及び議論が必要と考えた点として、この後の論点を記載いただいております。
 3ページから具体的な論点を記載していただいておりまして、まず、論点1として、薬価が各問題の主要原因として論じられているが、薬価が真の問題なのか、言い換えれば、価格介入して薬価を引き上げれば問題は長期的に解決するのかという御指摘を頂いております。
 論点2としまして、後発医薬品の赤字品目の多さ、安定供給問題、為替の影響等での一時的な財務困難企業を救済することは意味があるが、経済的にビジネスが成り立たない経済的困難企業を温存することになれば、さらなる価格競争を招き、健全な生産者や卸業者を苦しめ、競争力をそぐのではないかとの御指摘です。
 論点3でございます。サプライチェーンの情報共有の遅れとして、過度に細分化された供給体制により情報ネットワークの整備が遅れ、安定供給が阻害されていないかとの御指摘、また、健全な業界参入、退出の阻害要因として、退出すべき企業を温存するための行政介入が行われると、退出すべき企業が市場をゆがめ、魅力の低い不安定な市場になるといった御指摘を頂いております。
 論点4でございます。革新的医薬品(イノベーション)不足問題として、アカデミアや創薬ベンチャーについて、いずれも日本と米国や欧州では規模感(投資額の差や、シーズをビジネスに結びつける力の差)には大きな差があるのではないか、外資を含めたリスクマネーの投資誘導と国際医薬品市場を視野に入れた開発、販売のコンサルテーション機能の強化策が必要との御指摘を頂いております。
 簡単で恐縮でございますが、資料2の御説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。
 まず、本日の議論の進め方について確認させていただきたいと思います。先ほど事務局の説明のとおり、前回までの検討会での議論を踏まえて、本検討会の後半に議論するための論点案がまとめられておりますので、本日は、その論点に不足の部分あるいは修正する部分がないかどうかを確認していただくことを中心に御議論いただければと思います。
 関連いたしまして、その論点に基づき、今後議論を進める上で必要な追加資料などの御提案、あるいはその論点に対する考え方などについても御意見を賜れればと思います。要するに、何でもいいというようなことであります。
 資料の内容は4つの柱立てとなっておりますので、時間を区切って2つに分けたいと思います。前半は、8ページの「今後の薬価制度の在り方に関する総論的課題」と16ページから始まります「各論(1)革新的な医薬品の迅速な導入について」、31ページまでということになります。後半は、32ページの「各論(2)医薬品の安定供給について」と50ページから始まります「各論(3)薬価差について」、この2つについて御意見を頂ければと思います。
 それでは、早速、前半の8ページの「今後の薬価制度の在り方に関する総論的課題」と16ページからの「各論(1)革新的な医薬品の迅速な導入について」、これについて御意見等あればお願いしたいと思います。また、オンラインで御参加の構成員の方におかれましては、御意見があればお手を挙げていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、いかがでございましょうか。小黒構成員、どうぞ。
○小黒構成員 ありがとうございます。非常にコンパクトにまとめていただきまして、事務局の方々の御尽力に感謝いたします。
 最初の論点案、15ページのところに可能であればこういう文言を入れていただけないかということです。今回の検討会ですけれども、総合対策という名前がついています。今まではかなりミクロ的な視点を中心に議論してきたということだと思うのですけれども、やはりミクロも重要ですが、中の資源配分、それと同時にマクロ的な視点も重要だと思いますので、「様々な観点から」の後に、例えば「ミクロとマクロ両面から」というワード、その後に「薬価制度」だけになってしまっているのですが、「今後の薬価制度及び総薬剤費の在り方について」というような文言を入れていただけないか、意見を述べさせていただきます。
○遠藤座長 御要望として承りました。検討させていただきます。
 ほかにございますでしょうか。三村構成員、どうぞ。
○三村構成員 ありがとうございます。
 今回は薬価制度そのものの根本的な検討ということであると思いますが、今お話がございましたように、非常に問題の本質が深いし、大きな広がりを持っている。それから、例えば新薬とかドラッグ・ラグの関係を考えますと、やはり国際競争との関係が非常に大きいという感じがいたします。今まで国際比較という点では、どちらかというと薬価制度の比較という形で整理されているのですけれども、むしろどちらかというと最近のアメリカとかEUとか中国を含めて、医薬品あるいはライフサイエンスを含めた非常に大きな総合政策を展開している。そういったことを背景として見ておく必要があるのではないかという感じがいたしました。特に前回お話を伺いました再生医療等と関係しますと、これは従来の政策枠組みを超えていく必要がある。ただ、その場合、それを振興していくためには、薬価制度がどうあるべきかという形のほうに、もう一度それを検討するということがありますので、そういったような視点の情報を整理しておいていただいたほうがいいのではないかという感じがいたします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見として承りました。こちらも検討させていただきたいと思います。
 ほかにいかがでございましょう。成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 事務局の方々、膨大な資料を短期間にまとめていただいて、ありがとうございます。非常に頭の整理ができました。
 最初に総論的な話として、日本の医薬品市場についてコメントさせていただきます。日本の薬剤費が横ばいあるいはマイナスということは好ましくないと思っています。今日出していただいた国民医療費の推移を見ると、自然増というか、増加傾向、年2%ぐらいで伸びている。これは医療の高度化、高齢化、そういったことを反映しているのだと思うのですが、少なくとも医療費全体の伸びと歩調を合わせるぐらいに医薬品の市場も伸びないことにはやはり違和感があるというのが一つです。
 もう一つは、医薬品の研究開発はどんどん国際化していまして、データの国際的な相互利用が進んでいます。要するに、アメリカなりヨーロッパあるいは第三国で取った臨床試験のデータが日本にも使われますし、日本で取られた臨床試験のデータが外国での審査にも使われるということで、研究開発の費用をうまく案分するなんて多分できない時代になっていまして、そういう観点からしますと、日本は先進国の一つとして、研究開発コストの応分の負担をすべきではないかということが私の意見です。日本にいい薬を入れていただく以上はそれなりの負担をすべきであろうということを意見として申し上げた次第です。
○遠藤座長 ありがとうございました。こちらも御意見として承りました。
 今、日本の薬剤費と医療費との関係の話等々が出ましたので、この資料の確認といいましょうか、あるいは御質問になるのかもしれませんけれども、これをベースに議論していくことになると、この辺をどう考えるかということがありますので、方向性をどうのこうの言うつもりはありませんが、中身についての確認ということです。
 まず、ただいま国民医療費の伸び率と薬剤費の伸び率はほぼ同じぐらいであるべきだというお話がありました。11ページを見れば、現状は国民医療費に占める薬剤費の割合というのは21%ぐらいで、ほぼ固定しておりますので、現状においてはほぼ同じように伸びているという理解がここではできるのだろうと思いますが、そういう理解でよいのかどうかということです。
 ちなみに、この表は、左のほうで急速に28.5%から20.1%まで落ちてきていますけれども、これは実際に薬剤費が減ったのではなくて、この間に病院の入院医療の包括化というのが急速に進みまして、包括されたものはこの統計では薬剤費としてはカウントしませんので、ここまで下がった。平成10年ぐらいになりますと、その包括化が一段落しましたので、後は大体こういうふうになっている、こういう見方です。
 この包括した部分を入れるとどのぐらいパーセントが上に行くかということは、医療保険部会で医療課に聞きました。そうしたところ、計算してくれまして、あくまでも推計ですけれども、大体2%から3%ぐらい上振れするという感じであります。DPC対象病院や療養病床というようなものは包括化されていますので、それは別途推計したということであります。それが一つです。
 統計上の問題としてお聞きしたいのは、10ページの下に日本の医療用医薬品の販売額の伸び率があって、平均成長率2.8%ということで、フランスやイギリスよりも伸び率はこの期間は高いということになっているわけです。となると、どうも当初の意見で、今後の予測では先進10か国の中に日本だけがマイナスまたは横ばいの成長ということも書かれているのですが、足元、こういう動きをしているにもかかわらず、これはどういう根拠なのか、これは厚労省が言っているわけではないのであれなのですが、そういうところを疑問に思いました。
 また、同じく10ページを見ますと、日本は2.8%ということですが、2015年から2019年の間のGDPの伸び率を見れば、こんなに高くないわけですから、GDPの伸びは上回って伸びているのだろうと思うわけです。ましてや日本よりもGDPが高いフランス、英国よりも医薬品の伸び率は高いのであるから、将来的に日本の医薬品販売額の伸び率というのはマイナスあるいは横ばいと考えていいのかどうかという素朴な疑問があったものですから、もし何かコメントができれば頂きたいと思います。言葉だけでいろいろとあると、そういうものかなと思ってしまって、あまりエビデンスベースの議論ができなくなるので、その辺の確認をさせていただければと思いました。
 それと、もう一つ、同じくここに出されている資料で見ると、21ページに、新規の薬価収載時の価格が他国と比べて日本は低いということの分析結果が出されているわけです。もしそうだとすると、日本の場合、御承知のとおり、薬価を最初に決めるときにいろいろ計算して最後の最後に外国価格調整といって、幾つかの国の同じ製品が幾らで売られているかを調べて、その中であまり高くならずに、低くならずにというところで最後に調整するのです。それが機能していれば、日本だけ異常に低くなっているということはあり得ない話なので、もしこれが実態だとすると、外国価格調整がうまく機能していないということを意味しているのかどうか、これは細かい薬価の話になりますけれども、外国との比較でこういう情報が出てくるということは、その辺のところはどうなっているのか、素朴な疑問があったということであります。
 申し訳ありません。グラフとか言葉で出ているものなので、確認させていただきたいということで申し上げました。もし何かコメントがおありになればお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。事務局でも結構です。坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 コメントではなくて、今、遠藤座長のおっしゃったことと同じようなところで幾つか数字上の確認をしたいところがありますので、申し上げたいと思います。
 今日の資料の中には、構成員の中から提出されたIQVIAのデータはないのですけれども、例えば、日本でバイオ医薬品などの発売が他国に比べると遅れているというようなことを私が申し上げましたが、同じように統計において再生医療等製品をどのように扱われているのか、日本では償還価格の算定においては薬価なのか医療機器なのかというどちらかで算定されるわけですけれども、統計においてはどういう分類になっているのかというところが一番最初の疑問として感じました。
 それから、先ほどマクロの話がございましたけれども、こちらはちょっと筋が離れますが、日本の薬剤費を見た場合、先ほど遠藤座長からも包括化の分が含まれていないというお話がありましたけれども、実は2015年、かなり減っているのです。これはよく言われる話で、C型肝炎治療薬がピークアウトしたことと、あとは、もう少し前からですけれども、ジェネリック医薬品の使用が非常に進んできた。あるいはもう一つ、日本で多剤投与が多いということがよく言われていますが、ここも恐らくかなり改善してきたのだろうと思います。こういった薬の使い方によって薬剤費が下がってきた部分もありますので、単純に薬価によって伸びが抑えられているのかどうかというところに関しては、きちんと峻別できるようなデータを御提出いただけないかということを考えております。
 取りあえず、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。薬剤の適正使用という流れが今、非常に大きくありますので、その辺の数量ベースの調整ということがあり得る話かもしれません。
○坂巻構成員 もう一つ。
○遠藤座長 どうぞ。
○坂巻構成員 逆に、今のようにジェネリック医薬品の使用促進あるいは薬の使い方が適正化されてきた中で薬剤費がコントロールされているものを、単にまとめて薬剤費を総医療費あるいはGDP並みに伸ばしていいというと、また無駄な薬の使い方という議論というか、モラルハザードということが起きる可能性もあるわけです。そこはきちんとどの部分を伸ばすのかということの議論をすべきだろうと考えております。追加でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、オンラインで堀構成員がお手を挙げておられますので、堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 事務局の皆様、丁寧な資料の説明ありがとうございます。欠席した回もありましたので、論点が非常に明確になっていて助かりました。
 確認のための質問と、意見を言わせていただきたいのですが、2ページの「革新的な医薬品の迅速な導入について」を「薬価制度を起因とした課題」「産業構造を起因とした課題」「その他の要因に係る課題」に分けたこと、それから「医薬品の安定供給について」、これは特に後発医薬品を中心としたものかと思うのですが、「産業構造を起因とする課題」「薬価を起因とする課題」、そして「薬価差について」は別枠にするという、この構成そのものに対しては賛同いたします。確認させていただきたいのは、(2)の「医薬品の安定供給について」のマル2は「薬価制度を起因とする」ではなく「薬価を起因とする」と書かれております。仮に薬価制度そのものの課題なのであれば、前半の「革新的な医薬品の迅速な導入」と同じように検討すべき課題と思いますが、薬価そのものを起因とする課題となると、井上構成員の御意見にもありましたけれども、例えば薬価が低いからいけないとか、薬価が高いからという単純な議論になってしまうと、産業構造を強化するのにむしろ逆の効果があるのではないかと。井上委員の提出資料に、「一時的な財務困難企業
を救済することは意味があるが、経済的にビジネスが成り立たない経済的困難企業を温存することになれば、さらなる価格競争を招き、健全な生産者を苦しめて、逆にゾンビ企業を増やす」という御指摘もありましたが、薬価が低いという要望に応えて単純に薬価を高くすれば全て解決するという次元の問題ではないかと。例えば、サプライチェーンのDXとか、そういう別の形でも対応できるところもあるかと思いますし、ここで議論すべきなのは「薬価制度を起因とする課題」なのか、「薬価を起因とする課題」なのか、確認させていただきたいというのが質問の第1点です。
 あと、専門家にとっては周知の事実かと思いますが、公定価格なので基本的に準市場になっていますが、グローバルにも流通する製品ですし、ほかの私的財と同じように限定的な条件ではありますが価格競争も内部で生じます。経済学で言う「政府の失敗」も当然起こり得るし、「市場の失敗」も同時に起こり得る状態であり、その責任を特定のステークホルダーのせいにすることは難しいと思います。だからこそ、ステークホルダーを超えた国家的な戦略として何を優先すべきなのかを検討すべきだと思います。今すでに日本にあるのかというと、記憶では「医薬品産業ビジョン」はあったと思いますが、省庁・制度の縦割りではない総合的なものになっているのかどうか、何を優先すべきかなどのガイドラインとなるような国家的な戦略・ビジョンとまで言えるものなのかどうか。もし国家的な戦略・ビジョンがあるとしたら、ほかの国の事例でもいいのですが、その戦略・ビジョンの中で、医薬品の産業構造の在り方、薬価の在り方、医薬品の臨床治験、研究開発、人材養成、医薬品の生産から流通までトータルでどのような方向を目指しているのか、エコシステムのようなものも含めて何か資料があれば頂ければと思います。
 もう一点だけ。15ページについて、先ほど小黒さんがおっしゃっていましたが、マクロとミクロの視点から検討するのは良いのですが、文章の中で一体化していることについては、私自身は若干違和感があります。マクロレベルで社会保障費の自然増抑制のために、薬価改定による削減額が利用されてきたというのは事実ですが、ネガティブにもポジティブにも解釈はできます。社会保障の持続可能性に当然貢献していたわけですし、新たな財源確保手段の方策が別にあれば良いですが、医療費とか社会保障給付費の増加に応じて財源が確保されているかというと、そういうふうになかなかなっていないので、削減額が一定程度充てられていたのは事実ではあるのですが、この価値判断をどうするかは、様々な観点から今後の薬価制度の在り方についてどう考えるかというところにも繋がりますが、単純化しすぎると発言しにくいところもあると思います。
 ただ、個人的に問題だと思っているのは、新薬あるいは革新的な医薬品と後発医薬品はそもそも同じ土壌で議論するようなものなのかどうか。売られているところも違いますし、そもそも中身や性質が必ずしも同じではないにも関わらず、今はトータルで薬剤費として総額で全て一律に抑制もされていますが、いかがなものか。そういう意味では、ミクロレベルの話でいうと、保険給付の範囲に関しても、革新的な医薬品も後発医薬品も全く同じになっていますけれども、そもそも本当はそれでいいのかどうか。イノベーション部分を保険給付の範囲としてどのようにするのか、つまり、ミクロレベルでどのように資源を分配するのか、マクロレベルの給付額の増加にどう対応するかというのは別の議題だとは思うのですが、両方とも重要な問題であると思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 この検討会でどこまでやるのか、ミクロとマクロのバランスをどう取るのか、イノベーションの話と基本的に財政上の問題をどういうふうにバランスするのかという問題は多々あるので、果たしてどこまでこの検討会のミッションなのか、実は私もよくわかっていないところもあるのですけれども、非常に重要なところの御指摘を皆さんから受けていると思います。
 一点だけ。薬価なのか、薬価制度なのかというのは、これは大した意味合いの違いはないという理解でよろしいのでしょうか。事務局がまとめた言葉ですが、いかがでしょうか。
〇山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 今、堀構成員から御指摘いただきました「薬価を起因とする」という記載につきましては、単純に資料の記載の誤りでございまして、「薬価制度」が正しく、新薬のほうと同じ記載とするのが正しい記載でございます。申し訳ございません。
 併せまして、最初に遠藤座長から御質問を頂きました薬剤費等の統計の情報資料につきまして、資料間で若干データが違う部分につきましては、持ち帰りまして、引用元のデータも確認する形で改めて御報告させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでございましょうか。香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 まず、皆さんもおっしゃっていましたけれども、これだけ多くの論点があることをコンパクトにまとめていただいたので、非常に分かりやすくなっていると思います。
 基本的に新薬の問題と後発品の問題、逆に言えば、これから市場に入ってくる新しい薬をどう評価するか、どう値決めするかという話と、実際にある薬の流通の中で既収載の医薬品をどう考えるか、大きく2つに分けるというのはそういうことだと私も思います。
 それはそうなのですけれども、逆に言うと、ある意味、初めてこういう場で医薬品の問題あるいは流通の問題、薬価の問題、新薬の開発の問題を総合的に議論する場ができたわけですが、コンパクトにまとめたといいながらも、これだけの論点があるわけです。そうなると、今までちゃんと議論してこなかったということなのではないかというふうにも思うので、その意味でいうと、結構この会議は荷が重いかもしれないという気がします。これはざっくりした印象です。
 中身について幾つかコメントしたいのですが、前半の部分については、ヒアリングの中でも各業界団体もほぼ同じような問題点を指摘してきましたし、この中の議論でも、私は第1回はオンラインで聞いていたのですが、議論は大体収れんしていました。その意味では論点はかなり整理されてきていると思うので、前半部分についてはそんなに違和感はありません。
 幾つか気になるところがあるのは、先ほども話がありましたが、15ページの総論的課題の論点というものです。総論的課題の論点というのは、総論の論点なので、全体としてどういうことが論点になるかを書くという話に多分なると思うので、この記述は何となく違和感があります。背景としてこういうことがあったという話とか、例えば安定供給、医療保険制度の持続可能性の確保、国民負担の軽減という3つはロジカルにつながらない気がします。ちょっと変ですね。薬価制度の在り方というのであれば、個別医薬品の算定の問題ということになるし、あるいは既存の医薬品の流通の価格をどうやって見直すかということになるし、その背景にある、例えば医療費の抑制とか、そういう背景要因の話と、薬価差そのものによって生じている問題ということと、あるいはどういう政策目的でこれをやるのかということを全部まとめて書くのが総論なので、この書きぶりは総論の論点にはなっていないような気がします。どう書けとは言いませんが、ちょっと考えたほうがいいのではないか。
 31ページの意見のところは、皆さんから出た意見を書いたということなので、このとおりだと思いますが、産業政策をどうするかということを考えるときに、確かに薬価で産業政策をやるのかやらないのかというのは一つ論点になるので、それはそうだと思いますけれども、むしろここでの議論は、言ってみれば、産業政策的な視点がないことが産業政策の足を引っ張っているということになっているので、ネガティブな意味で一定の影響を与えているということが多分業界側の言いたいことだと思います。100%とは言いませんが、それは議論としてあるわけなので、そこはそういう書きぶりの仕方になるのではないかと思いました。
 3つ目は、後半の流通と、先ほどの薬価なのか薬価制度なのかという話と関係するのですが、後で出てくる表なので、そこのところでもお話をしたいのですが、6ページに製造原価と薬価との関係がグラフで出てきています。後のほうで後発品メーカーの薬の作り方を聞いていると、同じラインで複数の製品を取り換え引き換え作っていると言っているわけです。私の理解だと、そういう作り方で500品目、600品目を作っていて、個別の薬価ごとに価格管理で原価を出すのが本当にできるのかという気が若干します。この話は後のほうで採算割れの医薬品については一定の価格を維持しようと、それはそのとおりですが、個々の品目についての薬価と考えたときに、そういう製造の仕方をしていて原価が本当にこういう形で出るのかという気がします。
 これは後でお話ししますが、例えば後のほうでも出てきますが、何百品目と作っている会社の例を出していますけれども、そういうメーカーは2つか3つしかないわけです。そうすると、同じ生産ラインで取っ換え引っ換え作っているから云々という議論は、圧倒的多数のジェネリックメーカーには議論として妥当していないのではないかという気がします。
 後発品に関しては製造の実態がどうなっているか、原価がどうなっているか、ヒアリングは一回しかしていないし、資料もこれだけしか出ていないので、分からないのですが、そこをもうちょっと詰めないと、総論として、採算割れのものについては云々とか、安定供給の観点からは価格支持しなければいけないというのはそのとおりなのですが、それが具体的にどういうふうに妥当するのかという議論をするときに、前回の御説明とか今回の資料は、間違っているとは言いませんが、本当にそうか、あるいはもっとちゃんとした資料が要るのではないかという気が若干するので、そこは御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 総論としての考え方というのは、ある意味でこの検討会のミッションといいましょうか、それを決めることになりますので、大変重要なところで、逆に言うと、そこは決めかねているところが事務局にもあるということでこういう書き方になっているという印象を受けますが、今後検討していかなければと思います。あと、幾つかの資料についてもまた適切なものを出していただければと思います。
 ほかにございますか。もう一つですね。追加で香取構成員、どうぞ。
〇香取構成員 30ページですが、産業構造に起因した新薬の開発のところです。たしか資料はあったと思いますが、新薬のパイプラインが内製から外部委託になっている、水平分業になっているという話があったのですが、そこはもうちょっと資料があるのではないかと思います。最近、新薬メーカーは基本的にホールドして上市まで持ってきているという話もありますし、言ってみれば一番川上を担っているバイオのベンチャーたちがどうなっているのか、そこの支援についてどういう問題があるのかとか、それと研究開発の話もありましたが、たしかこれも資料で、日本の企業とアメリカや欧米の企業とでは、5倍から6倍ぐらい、上位10社あるいは20社でも平均的な研究開発費が違っているというデータもあったと思います。研究開発についての体制の違い、そういうことについても資料を出していただいて、既存の製薬メーカーだけではなくて、ベンチャー企業や川上にいる人たちについての産業政策をどう考えるかということを議論できるような資料を出していただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。いろいろなシンポジウム等でその種の検討会が随分ありますから、多分資料はそれなりに集まると思います。
 それでは、お待たせしました。芦田構成員、どうぞ。
〇芦田構成員 今の御質問に関連するところですが、日本の医薬品産業の研究開発能力の推進と創薬ベンチャーについて、論点でいえば30ページの論点について少しコメントさせていただきます。
 革新的な新薬の開発、特に国内アカデミアの研究成果の実用化、さらには日本の医薬品産業の競争力のために、創薬ベンチャーの継続的な育成支援が必要であるとは考えています。30ページの論点にもどのような取組が必要かということが示されております。ただ、この点はこれまでも産官学を問わず問題意識を持っており、これまでにも様々な手だてが取られてきたという認識でおります。
 例えば厚生労働省は「MEDISO」というベンチャーサポート事業を行っています。また、AMEDが今年度から「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」という事業を開始し、それは前臨床試験から臨床POCを取得するまでの治験を補助するというものです。また、海外でも開発する場合に補助するというところが特徴になっています。予算規模は500億円の規模だったと思います。
 また、創薬ベンチャーの課題の一つに治験薬の製造があります。特に新しいモダリティーの製造ということになりますが、この点も経済産業省が今年度、バイオ医薬品製造拠点整備事業を2000億円を超える予算規模で開始されました。新しいモダリティーのCDMOが国内で整備されていくというふうに期待されているかと思います。
 では、それで課題が解決しているのかと問われれば、そうではなく、創薬ベンチャー支援を長期的な視点に立って継続していくことが必要だとは考えています。その意味では、この論点は必要な論点かと思います。
 さらに付け加えると、創薬ベンチャーより上流に位置し、創薬シーズを創出するアカデミアの研究のさらなる充実が必要ではないかと考えています。
 また、もう一点、創薬ベンチャー関連でコメントさせていただきますが、希少疾患治療薬などの一部を除くと、創薬ベンチャーの多くは自分の会社で承認、製造、販売するというビジネスモデルではありません。多くは臨床POCを取得するところまで開発して、その段階で製薬企業にライセンスアウトする、もしくは製薬企業に買収してもらうということを考えています。
 それでは、創薬ベンチャーがライセンスアウトしたいという製薬企業はどういうところか、どのような会社になるかということですが、それは臨床開発力があり、販売力がある会社ということになります。市場が大きい海外で開発・販売している会社のほうがより魅力的にはなります。そうすると、ライセンス候補先は日本の製薬企業だけではなくて欧米の製薬企業も含まれてくるということになります。実際に日本の創薬ベンチャーの中には欧米の大手製薬企業にライセンスした例は幾つかあります。今後それが増えていくというふうに期待されています。
 一方で、日本の製薬企業で創薬ベンチャーから導入している事例を見ると、やはりある一定の売上げ規模以上を持つ一部の会社が多いと見られます。ベンチャー企業と提携し、特に革新的な新薬候補を獲得するにはやはり資金力が必要になりますが、投資力を持つ会社は国内の製薬企業の中でも限られているのが実態ではないかと見ています。
 私からのコメントは以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 また必要な資料等があればぜひよろしくお願いいたします。
 小黒構成員、どうぞ。
〇小黒構成員 ありがとうございます。
 先ほど遠藤先生から11ページ目の薬剤費についての御質問がありましたけれども、可能であればこういう視点も組み込んで精査していただけないかと思います。
 一つは、左側のほうで包括のところに入っている薬剤費の話もございましたけれども、一応、確認ですが、これは保険者のほうで収載されている医薬品の支払いを足し合わせたものと見ていいのかどうか。他方で、IQVIAは製薬メーカーとか市場で取引しているものとの関係もあると思いますので、後ろのほうにある薬価差益との関係もありますが、そのデータをマクロで出すといろいろハレーションもあると思いますので、どこまでやるかというのはあると思いますが、そういうところも含めて分析していただいて、委員間でも情報を共有していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 これは間違いなく保険者が請求したものでありますから包括した分は入ってこないという話で、IMSみたいなのは販売動態を押さえているという話になりますから包括も何もない、そういうことです。
〇小黒構成員 それはそうなのですが、製薬メーカーの人が直面しているマーケットの動きと保険者の方々、あと途中の差額も薬価差益のトータルみたいなものもあると思いますので。
〇遠藤座長 販売額でやっていますからね。こちらは給付額でやっていますので。
〇小黒構成員 その辺の違いの要因も含めて精査していただけると。
○遠藤座長 何かございますか。時間がちょっとあるので、どの辺までこの検討会でやるかという射程の問題が先ほどから出ているわけですが、ただ、薬価について再算定の話と新薬創出加算という具体名が出てきていて、それに対して製薬メーカーは要望を出しておられるわけです。ここは必ずしも中医協の薬価部会の業界ヒアリングの場ではありませんから、それにダイレクトに応えるかどうかというのはまた別問題ですけれども、ただ、それについて何らかの議論はしなければならないだろうと思うわけです。
 大変僭越ですが、この問題は制度そのものが複雑なところが若干あって、最終的にここで言っていることは大変複雑であるし、制度改正が行われたらば、薬価が維持される対象となる薬剤が非常に減った、そこが問題なので、できるだけ元の形に戻すか、そういうことをやっていただけたらなという雰囲気の御主張だったと理解しています。
 それはそれとしまして、そもそも新薬創出加算についてはどういう理屈でこういうふうになっていったのかということは一応情報共有はしておいたほうがよろしいのかと思います。たまたま私、関与していたものですから、ある程度は説明できるかと思いますので、そこはもし間違いがあれば事務局から直してもらいたいのですが、18ページに書いてありますように、現在は品目要件と言われている、個々の製品にこういう加算がつけられている。これは新規に上市したときにつけられるものですが、それがついている薬であり、かつ企業指標というものを獲得している企業が販売しているもの、ただし、開発依頼が国からされて、それに適切な対応をしないとこの権利は喪失する、そういうものなのです。
 これが難し過ぎる、複雑過ぎるという話なのですが、現実にそれはなぜかというと、もともとこれが始まったのは、簡潔に申し上げますと、ドラッグ・ラグ対策ということで、国としてはできるだけドラッグ・ラグ対策をしたいということだったわけです。ドラッグ・ラグの有無というのは、結局その企業がその国にいかに早く上市するかということですから、結果的に強制はできないわけですので、経済的インセンティブを与えるしかないというわけです。ただ、医薬品の団体は一貫して、一旦上市すると日本の場合は価格が下がるということに対して不満を持っておられましたから、そこのところを価格を維持しましょうという条件をつけたわけです。
 ただし、全ての薬を維持するのではなくて、やはりそれなりに画期性や有用性があるだろうと思われるものについてはしましょうと、これは製薬メーカーにとっては大変なメリットなわけです。ただ、特許が切れたらば維持した分はまとめて引き下げますが、それは15年先ですから、売上げが非常に増えている段階では相当高い値段が維持できるわけですからありがたいわけです。
 ところが、条件が、肝なのですが、ありまして、国が企業に対して市場に上市してほしいと、要するに開発してほしいと要請したときに積極的に対応してくれないとこの権利は喪失しますということで、その会社は幾つものそういう革新性があると言われたものを持っていても、それが価格維持の対象から外れるわけです。ということなので、相当強力なインセンティブなのかディスインセンティブなのか分からないですが、そういう仕掛けでやったのです。
 いずれにしましても、そのときに実は課題が2つありました。1つは、その当時から言われていたのは、全ての薬を対象とするのではなくて、画期性があると評価しなければいけないのです。どうするのかというと、一個一個評価するのは大変なので、薬価調査をして、薬価の下落率が全ての薬の平均下落率を下回っていれば、マーケットがその薬はいいものだと評価した証左である、こういう判断をして、それを自動的に画期性のあるものだというふうに判断して、そこで価格の維持の対象にしたわけです。それに対して、そもそも価格操作することも可能だから、それは必ずしも品質の維持にはならないという意見もありましたけれども、取りあえずそれが行われたということがあったわけです。
 もう一つ課題があったのは、権利を喪失するのは、新薬を上市してくださいという要請があったときにそれに応えなかった企業がその権利を喪失するのですが、そもそも開発依頼のない企業はそのまま権利は持ち続けるわけです。そうすると、頼まれて対応しなかったところだけが非常に不利益を被るようなところがあって、そもそも大したものを出していなくて要請も来ないようなところはそのまま対象になるということで、これは不公平ではないかという議論が出てきました。
 こんなことで少しずつ修正が行われたのですが、平成28年に大きな改革が起きて、それはなぜかというと、下落率が小さい薬を調べてみると、あまり画期性の高いものではないものも結構あったということで、やはりこの基準はまずいだろうということで、もともと新薬の中につくるときに補正加算といって画期性加算とか有用性加算とか一個一個見てやっていますから、こういうものを取得しているものを画期性があるのだというふうにしましょうということで、評価の仕方をがらっと変えたのです。それをやりました。
 もう一つやったことは、何もしなくてもいいようなところの企業もそれでいいというのも今の理屈でおかしいから、それであるならば、新薬を上市してくれという依頼があったところで適切に対応した企業だけをするという考え方もあったわけですが、そうすると圧倒的に薬の数は減りますから、それはまずいだろうということなので、それでは全ての製薬会社がいいというのではなくて、積極的にドラッグ・ラグに対応している指標をつくって、それをクリアしている会社がやっているのであるならば、しかも画期性が評価されているものであれば、価格を維持しますというふうにしたので、ここで企業要件というのが出てきたわけです。これをもしなくしてしまうと非常に対象企業が少なくなってしまいますから駄目なのでということで、何とか今の形になっているわけです。
 19ページを見ていただくと、薬価制度改革の影響が平成30年に出るわけですが、このときに対象の薬は823から500に減る。一方、対象企業は90から83と少し下がるだけなので、実は企業数は、企業要件についてはそんなに影響は受けていない。むしろ平均乖離率以下ならば画期性があるとした評価方法を個別の評価に変えたことによってどんと下がってしまった、こういうことが現状です。これは下がってしまったので、非常に魅力がなくなったので、元に戻してと言っているかどうか知りませんが、アバウトに言えば、そういう流れの御議論です。大体それでいいですかね。これは保険局のあれなのかもしれませんが、そういうことについてどう考えるかという話です。
 もう一つは、市場拡大再算定の話も何とかしてほしいということで議論としては出てきているわけですが、市場拡大再算定というのは、当初、上市したときの予想している売上げよりも増えた場合に、それなりの理屈があるのですが、価格を下げましょうという話だったわけです。それについても業界団体は不適切な方法だということをかなり強く言っています。
 ただ一方で、市場拡大再算定で高額薬剤とかそういうものの対応をやってきているところがあるので、薬剤費のコントロールという点から見ると、今のところはこの方法がその点ではかなり効果を持っているわけです。ただ、それが適切かどうかというところは非常に問題があります。
 特に今回、20ページで指摘されているのが「共連れ」と言われるもので、ある薬が後で治験をいっぱいやって適応拡大すると価格が下がるのですが、同じ薬理作用を持っている薬であれば、新しい病気に適応拡大をその薬はなっていないにもかかわらず、同じ種類の薬だということで価格が下がる。これが「共連れ」というもので、これはつらいというのが業界の主張です。こういうことをどう考えるかというのが具体的なクエスチョンとして出てきてしまっているので、どう考えるかということについて、考えないにしても考えないという積極的な主張をしなければまずいかと思いますので、一応、情報の共有化のためにお話をさせていただきました。もし不完全なことがあれば事務局にまたお尋ねいただければと思います。
 以上です。座長がいろいろしゃべって申し訳ありませんでした。
 ほかに何か御意見、よろしいですか。坂巻構成員、どうぞ。
〇坂巻構成員 今、大変詳しいお話を伺ってよく分かったのですが、ここは中医協の場ではないので、一つの論点としては、企業の予見可能性を確保するための仕組みの中での新創加算と市場拡大再算定の話だったのですが、この場で議論するためにはどういったデータで議論したらいいのかよく分からないところです。中医協と違う議論するためには何が必要か分からない、これが1つ目です。事務局なりほかの構成員の方から御意見があればということです。
 もう一つの論点としては、欧米に比べて低い薬価ということですが、これは冒頭、遠藤先生からお話がありましたが、海外価格調整が機能していない部分があるのかということと、それは置いておいたとしても、企業からの御意見として、薬の価値であったりイノベーションが適切に評価されていない問題があるということについては、割とこの場で議論しやすいというか、例えば海外と比べてみて日本の薬価算定の、特にイノベーティブな新薬の価格算定のときに、日本の価格算定の仕組みの中に価値評価の部分が非常に低いとか、そこがデータとしてあれば改善しましょうということの提案になるかと思います。2つはどういうふうに議論したらいいのかというところを分けて考えたらどうかと考えています。
○遠藤座長 おっしゃるとおりですね。ありがとうございます。
 関連して、事務局に資料の提供をお願いしたいと思いますが、1つは、外国為替調整をかけているはずなのに、最終的にどういう価格で算定されたのかというところ、その資料が欲しいと思います。全ての新薬は外国為替調整をかけているはずですから、相当数のものが集まると思いますので、それによって先ほどの資料のエビデンスとして評価できるという話です。
 もう一つが多様な価値を反映するべきだという話です。これも客観性のある評価ができるのか、いろいろ課題はあるにせよ、業界はそれを言っているわけですが、類似のものは御承知のとおり補正加算でつけています。それはつけておりますので、最高は画期性加算ですと2倍ぐらいまでいくのか、いずれにしても相当なところまでできていますので、どのぐらいの加算がついているのか、もう一つは、それぞれの加算項目が一体何を評価しているのかということ、そういうものが分かるようにすると、実は今でも価値は補正加算という形で評価していますが、ただ、それが何を見てどういう基準で評価しているのかということと、何%から何%の間といっても実際はどのぐらいのパーセントのところでやっているのが多いのか、その辺はやはり知りたいところで、中医協の議論みたいになってきましたが、その辺のところがあるとエビデンスベースの議論ができるのかなと思うわけです。
 坂巻構成員、それでよろしいですか。
〇坂巻構成員 はい、お願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。もしないようであれば後半部分に進みましょうか。もし時間が余ればまた戻っていただいても構いません。
 それでは、後半部分について、32ページから最後までということで、各論2の医薬品の安定供給、各論3の薬価差について、薬価差についてというのもどういう視点で議論するのか、難しいですね。薬価差のあることがいいのか悪いのかという議論なのか、薬価差が発生するところが不均衡であって不平等が発生しているとか、そういう議論なのか、何かをゆがめてしまっているのか、そういう話なのか、いろんな視点ができると思いますが、いかようでも結構でございます。安定供給はジェネリックの話が中心になるかと思いますが、何か御意見等ございますか。坂巻構成員、どうぞ。
〇坂巻構成員 また最初の発言で申し訳ございません。
 今お話がありましたように、安定供給の資料の中を見ますと、ほとんどジェネリックの話になっています。ただ、実際に2020年のロードマップ検証事業調査で数字を見ますと、供給不足になった品目について見ますと、ジェネリックが55%、先発医薬品が34%という数字になっております。つまり、安定供給に関しては決してジェネリックだけの問題ではないということなのです。それが一つです。
 では、ジェネリックに着目したときに、現在の安定供給の問題は、はっきり申し上げますと、ジェネリック企業の法令違反、品質データの捏造や、手順書どおりにやっていなかったり、この問題はジェネリック産業の問題ではあるかもしれないけれども、今の供給不足の問題と切り離して考える必要があります。
 医薬品産業全体における安定供給ということを考えた場合には、例えば日本全体でどのくらいの製造キャパシティーを持っているのか、海外依存はどのくらいなのか、あるいは原材料の供給について海外にどのくらい依存しているのか、いわゆるサプライチェーンの問題、こういったものもジェネリックだけではなくて先発医薬品あるいは長期収載品も含めて産業全体の問題として議論する必要があるのではないかということをまず最初に申し上げたいと思います。
 いつも私ばかりしゃべっていますので、全体的なところでの発言でした。
○遠藤座長 とても重要な御指摘だと思います。安定供給は、当面の足元の課題というのはジェネリックですけれども、本質的には先発メーカーでも大きな問題だということなので、そこまで射程に入れた議論をするべきではないかということです。御検討いただければと思います。
 お待たせいたしました。三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 開発、安定供給、薬価差という話なので、3番のことで恐縮ですが、授業で2回欠席して失礼いたしました。今日はよろしくお願いいたします。
 薬価差ですが、私の感覚なのですけれども、医療用医薬品というのは特殊な業界で、薬価があって、薬価差とか薬価差益とよく言われるのですが、流通とか普通の用語で考えますと、薬価差というのは小売マージンなのです。小売が納入価で仕入れて、それを薬価で販売していくわけですから、普通の企業では当たり前、OTCとか普通の商品と全然変わらない。そういった意味で薬価差は小売マージンと考えますと、当然、小売マージンは是なのですね。当然、仕事をしているわけですから、仕入れをして、在庫管理して、患者さんに渡しているわけですから、小売マージンが発生して当たり前です。そこから活動費と利益が出るというのが小売の普通の形なので、そういった意味では、小売マージン、薬価差があるのは当たり前だと思うのですけれども、ポイントは額なのです。
 額が多いか少ないかというのがすごく大きな問題で、普通のOTC、普通の商品の場合にはプロモーション費用が物すごくかかるわけです。例えば「チョコラBB」でも花王の「アタック」でも、こんな新製品が出ましたとか、店頭でPOP広告をやるとか、食品だったらデモンストレーション販売とか、営業費用をかなりかけます。そういった意味では、普通の商品の場合には小売マージンがすごく多くて、経産省その他のデータがネットなどに上がっていますけれども、普通の小売マージンが27%とか、利益だけではなくて営業費用が物すごくかかっていますので、小売マージンをいっぱい取るという感じなのです。
 その一方で、医療用医薬品の場合にはそういったプロモーションを全然しないわけですから、基本的に処方箋に基づいて渡すだけです。ただ、在庫管理とか発注とかしているわけですから、仕事はある程度されている。そういった意味では小売マージンは、多分、額は少なくて構わないわけですが、額をどうするかは一つ大きなポイントと思っています。それが乖離率という話になってくるわけで、乖離率も特殊な言葉だと思うのですが、普通考えると小売マージン率ですね。
 小売マージン率は直近だったら7.6%で、7.6%が多いか少ないかなのですが、日薬連の資料がありましたけれども、ドイツやフランスの例がありまして、卸価格の3%、出荷額の5%とか、全体からいうともっと増えるかもしれませんが、仮に4%としますと、乖離率7.6%のうち4%は当然取るべき小売マージンです。このマージンの額をどうするかというのは、多分、公定マージンもドイツ、フランスなども物すごく研究されたのだと思いますので、簡単にはいかない感じがしますが、仮にいろんな調査で4%と決まったとしたら、7.6%のうち4%は当然取るべき小売マージンで、3.6%が多過ぎる。したがって、3.6%は下げることが不可欠だと思うのですが、そういった意味でどうするかというのがすごく重要になってきていると思います。
 薬価差というのは基本的には流通ワーキング的な視点で考えますと小売マージンで、小売マージンの額をどうするかという話です。52ページの資料に薬価差を生み出す原因とあるのですが、これも若干違う感じがあります。市場原理に基づくというのは正しくて、市場原理では薬局も医療機関も仕入れて在庫管理して渡すという仕事をしているわけですから、当然、市場原理として普通のOTCなどと同じように小売マージンを取って当たり前なのですけれども、これは私の感覚だと薬価差の差という感じがします。
 この間もそんな話があったようですけれども、交渉力のある20店舗とか多くのチェーン店というのはすごく安く買いたたくわけです。薬価差というか、小売マージンが膨大になります。その一方で、小さな薬局の場合は交渉力がないものですから、仕切価に近い、かなり高い値段で買わされることもあったりして、小売マージンも取るのですけれども、すごく少ないわけです。その辺が規模の問題で、規模の大きなチェーン店は薬価差をたくさん享受できる。小売マージンを享受できる一方で、小さい薬局はあまり享受できない。
 あと、競争みたいな話がありますが、私の感覚だと地域みたいな感じがします。例えば適当な話ですけれども、東京は競合する卸が多い。そうすると薬局としては買いたたける。その一方で、僻地かどうか分かりませんが、流通卸が少ない。そうすると言いなりになる可能性がありまして、地域別で薬価差がひょっとしたら、つまり小売マージンをたくさん取っている地域と、あまり取っていない地域があるかもしれないという感じがします。
 あと、52ページの2)ですが、これは最近、流改懇でも問題になっていますけれども、価格代行業者が買いたたくとか、ベンチマーク企業が買いたたくという話があります。大手のチェーンとか糾合しているところは、いろんなベンチマークとか入れながら買いたたいていて、そこは薬価差が大きい。つまり小売マージンがでかいという話があります。そういうふうに考えると薬価差の差みたいなものがあります。
 あと、卸の地域の問題は県によって違うという話も資料に書いていただいているわけですが、これはちょっと違うという感じがしています。どういうことかと申しますと、卸が地域によって、東京などは物流費が安いけれども、僻地に行くとすごく高くなるというのは、卸のマージンの話なのです。薬価差というのは基本的に小売マージンだと思っていますから、薬価差とは基本的には関係のない話です。むしろ卸が地域によって物流費が高くて困るという場合でしたら、基本的にはメーカーに言うべきです。メーカーがリベートとアローアンスで卸に対応しているわけですから、卸の物流費がすごくかかって困るといったら、物流アローアンスみたいなものをメーカーがつくって、卸に物流費が大変なのはこのアローアンスで何とかしてよみたいなことを言うのがいいような感じがします。そういうふうに考えますと、地域によって違ってくるというのは、卸のマージンの中で営業費用と利益を取るわけですが、その営業費用の販管費のところが地域によって大変だからということなので、それは薬価差、小売マージンとはちょっと違う話かなという感じがしました。
 ついでに、前半からつながっている話、この間も私もいろいろ資料を、日薬連とかNPhA、たくさん読ませていただいたのですけれども、日本は毎年、薬価が下がる、これがおかしいという話をいろんな団体の人がされていたわけです。乖離率7%をゼロにする、2%だけ調整幅で残してあげるというのは、基本的な考え方で申しますと、小売マージン率7.6%をゼロにするというわけですから、薬局も医療機関も仕事をしているわけですから、それをゼロにするという考え方は、あまりよくないかなという感じがします。
 これは簡単にいかない話だと思いまして、長期、超長期の話だと思いますが、皆さんのお話とか、いろんな業界団体の話がありますように、特許品の間は薬価を下げないというので日本がイノベーティブな環境で投資しやすくなるということと、多くの一般商品、OTCや食品でも基本的に価格は変わらないですね。一回新製品を出したら、そのときの出荷価は変わらないですけれども、メーカーに聞きますと、最終小売価格は、昔は定価と言って、希望小売価格とかいろいろ言っていまして、それも基本的には変えないそうです。ただ、今年はこの商品をプロモーションで値引きするということで最終小売価格は上がったり下がったりするというのはもちろんあるわけですが、一般OTCや普通の商品の場合には、一回価格を決めれば基本的にはそれを維持するという状況ですから、メーカーも卸も小売もすごく楽なのです。一回決まったら、それをやればいいわけです。
 その一方で、日本の場合には2年に一回薬価が下がると全部やり直さないと駄目でして、これから中間年も入ってくると毎年やり直さないと駄目で、膨大な無駄な仕事と言っては失礼ですけれども、すごく負担がかかっています。それが流通改善に生かされていないような感じがします。
 薬局チェーンはほとんど単品単価をやっていなくて、総価取引でやっているというお話があったのですが、単品などをやっている企業の話を伺うと、物すごく大変だと言うのです。本当に寝ずにやるみたいな話があります。それはなぜかいうと、毎年改定されるからです。毎年改定されなかったら、一回頑張れば基本的にそれはずっと続くわけです。そういうふうに考えますと、薬価改定が簡単にできないのはもちろん分かっているわけですけれども、価格を一定にする。基本的には小売マージンを取って当たり前なので、それをゼロにするのはおかしいという考え方です。それに基づいて薬価がずっと一緒になると、メーカーも卸も小売も仕事が楽になるという話がありまして、その辺も検討いただければという感じがしております。
 資料に関しましては、先ほどの薬価差に関して申し上げますと、卸が地域によって物流費が違うというのは、むしろ卸マージンを考えるときに参考になる資料ですから、小売マージンとしての薬価差を考える資料としては、今回はメーカーと卸は聞かれて、最後の小売段階は、いろんな意図やお考えがあって聞かれていないと思いますが、例えばNPhAかもしれませんけれども、そういった業界団体に、薬価差、小売マージンと考えますと、小売マージンで。
○遠藤座長 すみません。三浦先生、コンパクトにまとめていただけますか。
○三浦構成員 すみません。では、これで終わりです。薬局の業界団体などもどういうふうな営業費用、在庫費用がかかっているかをお聞きいただければと思います。
 すみません。長くなりました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。流通についてのお考えをお示しされました。
 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 厚生労働省の皆様からの丁寧な分析と御説明、ありがとうございました。
 私から4点ほど質問させていただければと思います。
 まず、1点目ですが、46ページの製造コストの部分です。先ほど香取先生からも製造コストがどうなのだろうというお話がありましたけれども、これは変動費と固定費の分析がされているのかどうか、一点、気になるところです。
 設備投資とかしますと、それは固定費と分類されて、1剤作るごとに増えていくコストについては変動費という形で原則的には原価計算がなされてというところだと思います。もし変動費を超える金額で売れるのであれば固定費の回収がなされるということになりますので、要は、変動費を超える価格で売れていれば、作ったほうがいいのではないかという経営判断も一方ではあります。製造原価の中とか、そういったものを固定費と変動費に分けたときに、果たして薬価もしくは納入価とどういうふうな関係にあるのか、もし分かるようであれば、教えていただければというのが1点目でございます。それがまた経営にどういうふうに影響するかというところが出てくるのではないかと思っております。
 2点目が52ページの薬価差についてという部分で少し思うところなのですが、前回の検討会のときに、これも香取先生が処方権というお話をされました。イギリスにおいては医療機関に処方権があり、薬局には処方権がなく、それがどういうふうに影響を及ぼしているのかというお話がありました。これにつきましても、留意点のところで医療機関・薬局の法人形態、非営利と営利というのがどういうふうに影響を及ぼしているのかというお話がありましたが、処方権が薬価差に対してどのような影響を及ぼしているのか、なかなか難しい分析になろうかとは思いますけれども、どのような影響を及ぼしているかという辺りは検討していただければと思っているのが2点目でございます。
 3点目が、51ページの薬価差の主な意見等のところの3つ目のポツのところに「過度な交渉が行われていることで」とございます。取引慣行の中で過度な交渉というのは、継続的な取引を考えたときには本来あるべきではないのだろうと思っているところですが、卸が大手の調剤薬局や大手の病院、そういったところと交渉しているときに、こういった過度な交渉があるかどうか。過度な交渉といってもなかなか難しいと思うのですけれども、実際に卸がこれでは取引できません、別の卸と取引してくださいといった事例が営業現場であるかどうかという辺りは少し知りたいところでございます。卸においてもなるべく大手の売上げ先を確保したいというところだと思いますので、拒否権というのはなかなか発動できないと思いますが、実際に拒否権を発動する事例があるのかどうかといった辺り、そこら辺が過度な交渉があるのかどうかというところにつながるのではないかという質問でございます。
 最後にもう一点だけ。医療機関の経営原資という辺りが52ページにございます。医療経済実態調査の一般病院の集計1においては、医薬品費の構成比率が13%弱で、全体の乖離率の平均ですけれども、8%弱と考えると、13%掛ける8%で、ざっくり言うと1%、売上げの1%が薬価差ではないかと考えることができると思います。期間をどう取るかで多少違うとは思います。国公立を含む全体の損益差額は、病院においてはマイナス7%、マイナス3%のときもあったりというところで、医療法人におきましても、1%から2%の損益差額しかないという中で、薬価差、ざっくりで1%というお話をさせていただきましたけれども、この1%というものがなくなった場合には、医療法人においては損益差額がゼロになってしまうか、もしくは1%半減してしまう。調剤薬局でも同じようにざっくり計算しますと、損益差額に近い金額、全てではないですが、近い金額が薬価差になるというところですので、経営原資になっているというのは恐らく間違いないところだと思います。これを全てなくしてしまった場合には、医療機関・調剤薬局への経営に対する多大な影響があるというところは認識しておいていただきたいと思って発言させていただきました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 重要な経営原資になっているという、会計士さんですので、実態を踏まえた御発言でありました。
 それから、交渉の実態について「過度な」というものがどういうものなのかという実態が分かれば教えてほしいということですね。
 一番最初におっしゃったのは、原価を割った価格設定になっているといっても固定費と変動費を分けているのかという話で、総コストになってしまうと、割れていても変動費を上回っていれば、いわゆる貢献利益がありますから、少しずつ固定費をカバーできるという形になるはずなので、そこら辺はどうなっているのかということを調べてほしいと、重要な御指摘だと思います。
 あと、私、理解できなかったのは、処方権と薬価差の関係というのはどういう意味なのかと思ったのですけれども、事務局が何か材料をそろえなければいけないようなので少し分かりやすく。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 その話も含めて幾つかコメントしたいと思うのですが、議論を聞いていると、今の薬価制度を前提に、例えば薬価差がどうかとかという話をしています。この意見のところに書かれていることというのは、前回、私が申し上げたことなのですが、そもそも薬価差が何であるかというと、公定価格を決めるからです。公定価格を決めなければ薬価差は別に発生しないのです。先ほど三浦先生がおっしゃったように、あらゆる商品は同じ価格で取引されていないのです。相手によっても違う。品目によっても違う。それぞれみんな違っていて、価格のばらつき方も全部違っている。普通の商品は、その差はどうなるかというと、小売価格に反映される。例えばマージン5%でも7%でも10%でもいいのですが、それを取って、それこそ小売店が価格を決めて、それは商品価格に反映される。であれば別に何の問題もないわけですが、それを公定価格という形で価格を決めるので薬価差が生まれるということなのです。そもそも薬価差がいいのか悪いのかという議論は意味がないと思っています。もし問題にするのだったら、公定価格をやめればいいので、それこそ納入価で請求すれば薬価差はなくなるわけです。
 一方で、今お話があった経営原資云々の話は、本来、診療報酬で手当てすべきものを薬価差という形で薬価に押しつけている。そういうことができるような価格設定の仕方をしているがゆえに現実問題として発生している。なので、繰り返し薬価差を削って診療報酬の改定をやってきて、一応ここまで薬価差が縮まったというのが恐らくこれまでの歴史だと思います。
 それでは、診療報酬が潤沢に提供されているとなったら、経営原資として薬価差を追求する行動をしないかといえば、当然取れるものは取りますから、そういう交渉が行われる。なぜ行われるかといえば、公定価格をつくることによってそこに差が出るという構造を制度的に認めている、あるいはそういうことになるような薬価をある意味では制度として認めているということになるので、公定価格を決めていることから発生している問題なので、そこはそういうふうに理解すべきです。薬価差は確かに実態としてマージンだとか経営原資だという議論がありますけれども、それが小売価格にきちんと反映されているのであればそうですが、恐らくそうではない。逆に言えば、その公定価格の決め方が卸のマージンや販促の管理価格を十分保証する価格になっているかどうか、そこはそういう切り口になるのだろうと思います。
 その意味でいうと、ここに書いてあることで言えば、取引条件の差によって価格のばらつきがあることは当然なわけだから、そこから仮に差が出る、しかもその差の出方というのは全部違うわけです。それぞれの卸によっても違うし、品目によっても違うし、場所によっても全部違っているわけです。違っているものを違ったまま認めることをしないのが公定価格なので、そこに根本的に問題があるということは基本的に考えたほうがいい。かつ、その構造があるがゆえに、差益を追求するという取引行動が買う側に発生するという構造になっている。その構造的な問題があるということをまず頭に置いて議論すべきではないかというのが一点です。
 もう一点は、55ページの表ですけれども、一つの公定価格はある意味決めざるを得ない。今の考え方からすると調整幅を決めるわけなので、2%の根拠はよく分からないのですけれども、2%になっています。さっき新薬創出加算のとき、新薬が平均的な乖離幅に対して大きいか小さいかということで線引きするという話がありましたが、これは、こうつくっていますけれども、それこそ品目ごと、取引ごと、薬効群ごとにこの絵を描いたら、絶対こうはなっていないはずなのです。個々に違うということもありますけれども、例えば同じ薬効群、219なら219とほかの薬効群を比べれば、その薬効群のボリュームであるとか、剤形であるとか、それこそ大手の医療機関が使うものなのか、がんの薬みたいに特定の医師しか使わないのか、あまねく医療機関はみんな使っているのか、取引条件、販売額、いろいろによって全部違っているので、このグラフは違っているはずなのです。
 そうすると、価格のばらつきは品目によっても、後のほうで新薬と後発品で乖離幅が違うと書いてありますが、薬効群別に、包装単位ごとにやったら、もっとばらついているはずなのです。それを全部まとめて平均で2なら2とやって、2でたたき切っているわけです。それは物すごく不合理です。仮にこういう形で乖離幅を決めるにしても、すごく不合理なことをやっているのではないか。
 結局、薬がどうであろうと、それこそ全部まとめて何%カットするという薬価の改定の仕方をするから、何が起こるかというと、買う側もまとめて買うから総価、こういう取引行動を誘引しているのではないかと思います。せっかくこういう議論をしているので、すごく構造的な問題が起こっているということを頭に置いて議論する必要があるのではないか。その意味でいうと、そもそも公定価格を決めていることに無理があるということを頭に置いた上で、乖離幅なり調整幅をどうすれば合理的なものにできるかというふうに考えなければいけないのではないかというが一点です。
 もう一点は、先ほど三浦先生の言ったことで、薬のような安定的、長期的に供給されなければいけないものについて、取引条件が変わらない、経済状況が変わらないのに、薬価を改定するというただそれだけの理由で、日本中の卸が日本中の10万を超える医療機関と契約のやり直しをする。これは壮大な社会的な無駄をしていることになるのではないかと思います。しかも、個々の卸にしてみれば、もしかしたら、ある卸は薬価どおり売っているのかもしれない。それぞれの人がどういう取引をしているかに関係なく、ばっと切って全部やり直しをさせる。このことが、それぞれいろいろ議論はありますけれども、薬の安定供給や製造の安定性、値決めのことも含めて、市場の安定性をすごく阻害しているということは考えたほうがいいのではないかというのが2点目です。
 3点目は、処方権の話なのですけれども、あれはどういう質問かというと、たしかクレコンの木村さんの資料の中に、処方権のあるなしで算定の考え方が違っている傾向があるというコメントがあったので、その中身がどういう意味かということを木村さんに聞きました。
 ここから先は私の意見というか、感じですが、DPCになると、医療費の中に全部入るから薬価差はなくなるわけです。つまり、医療機関が行っている薬の処方というのは医療行為の一環として行われていて、それは診療報酬でどういう評価をするかによって違ってくるわけです。それこそ完全に丸めてしまえば、薬価はありますけれども、薬価差という概念はその瞬間になくなるわけです。実際の納入価でしか存在しないことになるので。
 他方で、処方は医療行為の一環として行われているものですが、薬局の販売はどうかというと、文字どおり薬の販売をしているわけです。別途処方料がついているわけです。考えると、処方権がある人たちが薬を処方して提供者に渡しているのと、薬局が渡しているのは、医療行為として違うものなのではないか。しかも、最終的な消費者は患者であり、お金を払っているのは保険者なので、そういう意味でいえば、医療機関も薬局も中間的に薬を扱っているということになると思います。その観点からすると、言ってみれば、薬価というのは定価が決まっている商品なのです。そう考えると、再販商品に似ているのではないかと思い始めています。もしそうであれば、途中の流通も含めて価格支持みたいなことについても考え方が全然違ってくるだろうし、マージンの公定というのも、最終価格を定価として公定する商品だと考えれば、公定マージンで流通過程のフィーをちゃんと保証するという発想が出てくるので、今の制度を前提にしないで、別の角度で一から考えるというのをやったほうがいいのではないか。そのこともあって、処方権のあるなしで、日本は全く全部同じなのですけれども、諸外国は同じなのか違うのか、知りたいと思ってお伺いした、そういう意味です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 小黒先生、どうぞ。
○小黒構成員 香取先生がおっしゃったことはよく分かるのですが、本質的な問題は、薬価差の差益の総額がどういうふうに配分されているかという資料が抜けていて、それを把握するのは相当難しいと思いますが、それと関係しているのかなと。川原先生が言われたことも結構気をつけなければいけないと思うのは、確かに病院経営にもかなり影響を与える可能性もあるので、その辺を見なければいけないのですけれども、エビデンスとして、そもそも薬価差益全体がどういうふうに配分されているかという資料がないわけです。なので、議論できないということかなと思います。ただ、それは、個人的には、今、公の場ですけれども、ここのところに出すと結構ハレーションが発生すると思うので、先ほどから言っていますが、出さないほうがいいと思います。ですけれども、委員間では少なくとも全体像について把握しなければ本当の議論はできないと思います。
○遠藤座長 了解いたしました。
 三村構成員、どうぞ。
○三村構成員 今の議論にも関係するのですけれども、私が感じてきましたのは、基本的に今の薬価制度というのは1991年の、どちらかというと大型の薬、新薬中心ということを前提として、ある意味で有効性があったという感じがします。先ほど話しましたように、新創品であったり物すごく高価な新薬であったり、あるいは後発品であったりという感じで完全に商品特性が分かれているにもかかわらず、実は一律に薬価制度を応用してきた。その過程においては、先ほど何度もお話がありましたように、全ての品目について全部薬価調査をし、薬価改定するということを繰り返していく。今回どんな薬価制度が構築されるかということは流通に大きな影響を与えると思います。むしろ逆にそろそろやるべきだと思います。
 今、一番大きな取引慣行の問題は総価取引です。何度言っても総価取引を改善させることができない。理屈としては、先ほどのように一律の平均乖離率ということで全部総合化される形によって、結果として一時的なベンチマークの基準が使われるという取引を許容してきたということだと思うのです。
 ただ、今のように薬価差は何か、薬価差はどういうふうに発生するかということを突き詰めていくと、非常に複雑で難しいかもしれない。むしろ私の印象としては、卸連からもあるいは日薬連からもいろいろと御提案がありましたけれども、基本的にはこれだけ商品特性も性能特性も違う薬をカテゴライズして、薬価制度上、ある意味で収れんさせて調査し、乖離率を出していくにしても、分けてみたらいかがですか。
 それから、変えなくてもいい薬価、あるいは特別な言い方をしますと、例えば安定確保医薬品とか供給者が不安視する医薬品について、一々薬価調査をして、また薬価改定するというのはあり得ない。そうすると、これもヒントがございましたけれども、お話のように購入価償還でいいかもしれないし、完全に現物を供給するという感じもいい。
 一番大きいのは、現状の中で起こっている混沌としたものをどうなのだろうかと複雑さを分析するよりも、薬価制度そのものを、既に川上の段階からこれだけ特性の差があるということをおっしゃっているわけですから、それを切り分けた形で、取引の中できちんとこういう形で取引してほしいと。
 流改懇がもし議論を続けていくならば、少なくとも新薬とか特許品については単品単価交渉原則、これが原則であると厳しく求める。ただし、ほかについては少し緩やかにしていいかもしれませんが、安定確保医薬品に関しては、あるいは市場に特別に欠品問題を生じさせた医薬品に関しては、完全に薬価を長期的に調査して、あるいはサプライチェーンの調査をして、問題があるということを認識した上で、これは薬価調査の対象から外す。そういうことをしてくださる過程で少しずつ整理できていくような感じがします。ですから、まず今の段階で、薬価差がどこにどう生じているかということを分析するよりも、もっと透明度の高い価格調査、価格の取引をやってほしいということをきちんと見せていくことから全てがスタートするという感じがしております。
 もう一つ、論点としてあるわけですけれども、安定供給について42ページで書いていただいております。供給リスクを評価し、どのように対応するかということですが、その評価の中で、ここ2年ほど厚労省が大変苦労されました供給不足スキームにまさに実効性を持たせるためにどういうような問題があったか、これは日薬連からの提言があったと思いますが、それを前提として、安定供給医薬品を含めて供給不足スキームをつくられたわけですが、あれはすごく大きな意味を持っています。その過程で、先ほどのお話にもありましたけれども、ある程度プラットフォームをきちんとつくる。それから、情報共有とか、必要な情報を一元的に捉える仕組みをつくる。それも一緒に制度設計していく形を入れていただくということで、この論点の中に入れるかどうかという形があるかもしれませんが、そのことについてもきちんと議論し、それも制度設計に入れていく、そういう取り上げ方をしていただくといいのかなと思います。
 以上です。
○遠藤座長 重要な御指摘ありがとうございました。医薬品のタイプもどんどん変わっているのに基本的に同じような扱い方をしてきているということは、いろんな視点で言えるわけです。重要な御指摘だと思います。
 堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 既に多くの委員の方がおっしゃっていることにも近いので、短く述べさせていただきます。
 一番最初にも話をさせていただきましたが、後発品と先発品、あるいはイノベーティブな医薬品が本質的に同じなのか、流通の在り方が一緒なのか、あるいは医師が医療と一体的な形でサービスを提供する医薬品と、外来で処方箋によって調剤薬局で提供される医薬品は同じなのか、今は同じ薬価制度の中で位置づけられていますけれども、それはどうなのか。モダリティーが変わってくる中で、検討する論点案にもありますが、今の薬価制度を前提に薬価改定の在り方についてどう考えるか。薬価差のところで62ページに記載がありますが、そもそも薬価制度とは何のためにあるのかを考えていくべきなのではないかと思いました。つまり、公定薬価で対象とするものと、そうではないものを分けて考えるという考え方もあるでしょう。先ほどのDPCのように診療と不可分でセットになっている場合と、外来やプライマリーケアで流通される医薬品で違いもあるのではないかと思いますので、決着が簡単につくような問題ではないと思いますけれども、その辺を論点として挙げてもいいのではないかと思いました。
 もう一点だけ。調整率2%のところですが、調整率の必要性はあるのかもしれませんが数値の妥当性はどうなっているのか。先ほど香取構成員が不合理だというお話をされていましたが、なぜ2%でずっと維持されているのか、そこの部分をもう少し資料として頂けるといいかなと思っています。
 以上です。
○遠藤座長 御意見として賜りました。2%については、ずっと下がってきて2%で止まっているわけですが、恐らく中医協で何か議論があったと思いますので、もし資料があれば出してください。
 では、坂巻構成員、三浦構成員の順番でお願いします。
○坂巻構成員 先ほど香取先生のほうから、前回でしたか、クレコンの木村さんからの資料の中での処方権という話がありました。お話を伺っていて、ちょっと分かりにくいなと思ったのですが、私も海外制度を調べているわけですけれども、木村さんのお話は、恐らく病院市場と院外処方とは違うという話だったと思うのです。言うまでもないですけれども、ヨーロッパの場合には院外処方について公定薬価が決まっています。病院市場に関しては基本的に医薬品公定価格はないということなのです。そのことが資料では分かりにくかったと感じています。院外処方に関しては公定の医薬品価格であって、工場出荷額、卸マージン、薬局マージンというものもそれぞれ公定になっています。ここは参考になるか分かりませんけれども、補足ということです。
 その上で、薬価差のことについてもう少し私なりの考えを申し上げます。先ほど薬価差を現行制度の中で考えることに意味があるかという話がありましたけれども、大きく分けると、薬価差否定論と薬価差肯定論はやはりあるのだろうと思います。
 ヨーロッパの制度を見ていきますと、薬価差否定論なのかと考えます。例えば薬価差否定論の前提というのは、薬価差、薬でもうけるということは好ましくない。そうはいっても、薬価差が発生するのはヨーロッパの国々でもあるわけですが、薬価差が発生した場合には、そこはなるべく少なくするか、実際に発生した場合でもそれは返せと。ある団体が提案されていますけれども、クローバック方式みたいな形で金を返す。基本的に薬でもうけないということが前提であって、だからこそ医薬分業が定着しているという部分があるわけです。ちょっと余計なことを言えば、もっと極端なやり方をするのであれば、国が薬局を国営で運営するというやり方で、実際、スウェーデンでは数年前までこういう仕組みであったわけです。これは薬価差否定論という立場です。
 一方で、薬価差容認論もあるわけです。薬価差容認論に関しては、薬価差の根拠として、これは1990年代に議論されたものですけれども、経営原資論、コスト論、取引条件論、薬価マージン論、こういったものが提示されていました。詳しい内容については説明しませんけれども、いずれにしても、経営原資論であろうと、コスト論であろうと、マージン論であろうと、これは恐らく三浦先生が指摘された部分だと思いますが、どこにその根拠があるのか。経営原資であるのだったら、本来、診療報酬代替論なのだろうと思いますが、損耗廃棄だったり、コストだったり、そういうものが発生するのだからということであれば、そのデータはきちんと出すべきなのだろうと思います。
 私自身は、薬価差は誰のものだという議論がありましたけれども、これはやはりもともとは保険料、税金ですから、国民のものだと思います。国民のいないところで薬価差の分け前をどう取り合うのだという議論は、あまり品のいい議論ではないような気がします。恐らく薬価差肯定と否定の中間ぐらいのところに妥協策があるわけですが、その妥協策の議論としてはきちんとしたデータの下での議論が必要だと思います。
 もう一点だけ言わせてください。薬価差に基づいて、市場実勢価に基づいて薬価改定されるわけですけれども、一番重要なのは、市場実勢価でジェネリック企業、もちろん新薬もそうなのですけれども、経営が成り立つのか、いつまでもつのかというところだと思うのです。これは一番最初に書いてありましたけれども、そのことを前提にして、それぞれジェネリックメーカーの原価の内訳などを見ていく必要があると思います。薬価差のところから派生して、ジェネリックメーカーが生き残っていけるのか、毎年の薬価改定がどうあるべきなのかというところをもう一回議論していただきたいと思っています。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 お待たせいたしました。三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 坂巻先生がおっしゃった、いいか悪いかという話で、やはり数を減らさないと駄目だという感じはしております。香取先生がさっきまとめていただいたように、公定価格があるわけですね。したがって、かなり大きな小売マージンを取ってしまうので、それが問題でどうするかというお話です。小黒先生がおっしゃったように、NPhAとかだと思いますが、実際、小売マージン、薬価差を持っているのは薬局や医療機関ですから、薬価差で利益と、多分、営業費用だと思うので、そういうのを調べていただければありがたいという感じがしております。
 先ほど三村先生がおっしゃったように、流通に関しましては、総価取引が一番大きな問題で、現在の日本だったら、セブンイレブンでもどこでもそうですけれども、普通、単品単価はやっていないのが一番大きな問題です。そして、流通改善しないというときに、先ほどのお話にありましたように、かなり大きな薬価差、小売マージンを取っている可能性がありますので、総価ではなくて単品単価にすべきだと思うのです。
 先ほど申し上げましたけれども、ある薬局チェーンは、総価が多いのですけれども、単品単価でやっているわけです。小売マージンを取っていて、それをちゃんと自分の営業活動費にしているわけです。そういうふうに考えますと、価格代行業者も糾合しているところもあるのですけれども、そこも総価が多いというのは、実際、多くのマージンを取られているわけですから、やはり単品単価で情報システムをつくっていくとか、そういうことを考える必要があります。そのためには、資料は出さないほうがいいというお話もあるわけですが、公にしないまでも、その辺がどういうふうに使われているかみたいなデータがあるとうれしいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 それでは、成川構成員、香取構成員の順番でお願いします。
○成川構成員 ジェネリック医薬品について、2点、コメントと質問をさせていただきます。
 一つは短期的な話ですが、今回の資料の49ページに、足元の物価高騰とか、そういう論点も書いてありまして、製造原価率が特に高いジェネリックについては短期的なことも考えなければいけないかなと思っています。6ページの不採算の品目が大分あるという話は、最初このグラフを見たときは非常に驚いたのです。ただ、この辺のことはもうちょっと詳しく調べなければいけないと思っていまして、冒頭、香取先生もおっしゃっていましたけれども、これはすごく大手の1社のデータですから、複数の会社の事情を知っておく必要があるだろうということが一つです。
 あとは、不採算といっても、ジェネリックの中でもどんな医薬品が不採算なのか、特徴があるのか、それが基礎的医薬品や安定確保医薬品に多いとか、そんなところをもう少し詳しいデータがあったら示していただいた上で、ただ、今回の薬価改定、中間年の改定などでそこは対応する必要が出てくるのではないかということがコメントの一つです。
 もう一つは別の視点ですけれども、私、後発品の共同開発について関心を持って調べています。もともと共同開発というのは新薬の開発について導入された制度でありまして、開発のリスク、経済的な負担をシェアする、あるいはノウハウをお互い共有するという目的で共同開発という制度が認められていたのですが、これがジェネリックに拡大されたのが2015年ぐらいで、そのときの経緯はよく覚えていないのですけれども、それまで新薬でしか共同開発できなかったのが後発品もできるようになったということです。後発品についても、いい意味での共同開発があると思いますが、いろんな方に話を聞くと、単なる品ぞろえというか、そういう短期的な目的で共同開発をやっているケースもあるやに聞いていて、それが結果的には品目数の増加につながって、前回のヒアリングでも御回答がありましたけれども、卸さんへの物理的な負担にかなりなっているとか、過当な競争をあおったり、あるいは生産効率を下げるとか、いろんなところで品目数の増加というのが影響を与えていると思っています。坂巻先生が数年前に御提案されていたと思いますが、どの品目が共同開発の品目なのかが外から分からないというところはやはり問題だと思っています。共同開発で同じところが作っているのだけれども、価格が違うケースがあると思うので、その辺りは何か工夫をする必要が将来的にはあるのではないかという問題意識を述べさせていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局が用意できるようなものがあれば御用意いただければと思います。
 香取構成員、お願いします。
○香取構成員 さっき薬価差の帰属先という話があったのですけれども、薬価差の帰属先は極めて明らかではないかと思うのですが、薬価差の定義は何でしょうか。納入価と請求価の差ですね。償還価格の差ですね。そこは誰に帰属しているか。薬局と医療機関ではないのかと思いますけれども、問題は、卸の立場からすれば、納入価と仕切価、あるいはいろんな取引条件の差やコストを納入価に反映させることができていないということです。平たく言えば、マージンがちゃんと取れてという話なのであって、薬価差が誰に帰属しているかという議論でいえば、そういう話だと思います。それをどう説明づけるかという理屈を、今、ああでもない、こうでもない、経営原資だ何だと言っているのですけれども、本質的にはそういうことです。
 もう一度申し上げますけれども、何でその差が議論になるかと言えば、公定価格を決めるからで、これがなければ、卸は自分のマージンを乗せて医療機関に納入すればいいということになる。仮に医療機関なり薬局に何がしかのコストがあるのであれば、それを乗せて請求すればいい。自分で決めればいい。もちろん医療機関や薬局のマージンとか経営原資を考えないのであれば、要は、納入価で償還すれば薬価差は消えるのです。現にDPCはそうなのだからというところが多分原点なのだと思います。それでも何がしかの形で公定価格を決めなければいけない。保険の側からすればそうなるので、そこからできてきている矛盾をどう解消するかというふうに恐らく考えなければいけないのではないかと思います。これが一点です。
 ちょっと論点が変わるのですが、後発品メーカーの話ですけれども、39ページに後発品メーカーの製造工程の絵がありましたね。安定供給できなかったり出荷調整するのはなぜですかという質問をどなたかされたときに、一つのラインでいろんなものを作っているからこういうことが起こるという話がありました。そのときの説明で、取っ換え引っ換え同じラインでいろんなものを作るので、途中で洗浄工程その他が入るので、要するに、稼働している時間が極めて短くなる。これは、ファクトというか、事実、こうですというのはそうなのだと思いますが、このままでいいのですかというのが私の疑問です。
 つまり、これからどんどんバイオの商品が増えていったときにこれは成り立たなくなります。安定供給を考えたときに、こういうビジネスモデル、製造モデルというのを、こういう言い方をするとあれですけれども、当局として容認するのか、このままでいいと考えるのかということにもなります。後のほうで、要するに特許切れすぐ後の薬はもうかるので、それを追っかけているわけですね。言葉は悪いですけれども、取っ換え引っ換え、そうやって作っている薬を変えていって商売している、そういうビジネスモデルです。なので、たくさんの生産ラインを持って安定的に流すのではなくて、ラインは少なくして、取っ換え引っ換え作るというモデルになっている。話を聞いていると、どうも大手メーカーもそうだし、中小メーカーに至ってはもっとそうだと。それこそ2つか3つラインを持って、7つか8つのヒットエンドランみたいな薬を作りながらという会社が百何社もある、こういう世界ですね。
 安定供給のことを考えたとき、産業政策的な視点で考えたときに、そういう製造モデルで2桁品目を作っているような会社がいっぱいあって、全体として供給力がこれくらいという議論をしているのですが、果たしてそれでいいのか。個々のメーカーからしてみると、それぞれ経営判断があるのでそうなのでしょうけれども、安定供給であるとか、あるいは先ほどGMP違反の話などもありましたけれども、そういう視点から考えると、このままでいいのかというのは、薬価の問題とかではなくて流通や安定供給の話から、産業政策というコンテクストで言えば、それは一つ考えなければいけないのではないかという気がするので、コメントしました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 当局はという話がありましたけれども、何かコメントはありますか。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 一言だけ申し上げれば、そこも含めてビジネスモデルの在り方をどうしてほしいかというのをちゃんと出していくのが必要になってくると思っております。先ほどの特許切れに集中するというお話もそうですし、こういう多品種・少量生産をぐるぐる回していくものもビジネスモデルとしてどうかという御議論を頂ければと思っております。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 ほかにどなたかございますか。菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 多岐にわたる論点をきれいにまとめていただきまして、事務局には感謝申し上げます。
 物すごく幅広な論点がたくさんありますので、なかなか難しいなというふうにお話を伺っていました。まず、総論のところで、あまり細かい話は言えないのですが、医療費と薬剤費の割合、11枚目、12枚目で、そもそも医療費や薬剤費の定義、つくり方が11枚目、12枚目で若干違っているので、一様に話をするのは難しいと思ったのですけれども、ただ、昔からというか、素朴に思うのは、我が国の薬剤費率は医療費の中で相対的にはやはり高いわけです。医療費財源の中で薬剤に振っている割合は、ほかの国に比べて安定的に、例えば11枚目のスライドでいうと21%から22%振っているわけで、ほかの国が17~18%、ドイツ、フランス、イギリスなどはもっとずっと低いわけです。そうすると、言い方は悪いのですけれども、日本の薬剤マーケットは伸びていない、大変だという話はしているのですが、医療費の総額の中で見ている薬剤費に対する案分割合というのはほかの国よりも高いわけです。
 実際の医療費そのものが伸びている中で、何でほかの国に比べてこんなに日本に新薬の到達が遅れるのか、これほど危機的な状況になるのか、トータルの資源配分の枠組みでいうと、中で起こっている薬剤の使い方、あるいは中でつけているアロケーションの在り方が絶対おかしいのだということは言えると思うのです。どこがおかしいのかということが今のこの図だけでは分からないので、ほかの国と比べて全体の中で薬剤費が高い、そうなのだけれども、その中身でどこが日本のトータルの薬剤費を膨らませているのかというのがもう少し掘り下げられているといいなと思いました。それが第1点目です。
 そこが分かると、次のところで、今回の問題意識の中で特に長期収載品の割合が出ていまして、ほかの先発品メーカーあるいはPhRMAやEFPIAみたいなところのものでも実際には20%ぐらいあるという話がありました。恐らく画期的な新薬や先発品メーカーの中にも、我が国の医薬品市場では20%ぐらいは長期収載品に頼らないとどうもやっていけないような構造になっているということも示されていたと思います。そういった意味では、この辺り、ほかの国の中でも長期収載品に依存しないとやっていけないような、どういう構成になっているのか分かるといいなと思いました。
 それと同時に、先発品というか、画期的な新薬のピーク時の売上高みたいなものが何年目に来ていて、どのぐらいの期間できちっと回収できているかということがある程度見えてこないと、長期収載品依存を是正して、なるべくアロケーションを前倒ししていくことにはつながっていかない。その辺がもう少し深掘りされると議論がやりやすいと思いました。それが2点目です。
 それから、細かい話、流通の話とかいろいろあるのですけれども、やはり薬価差の最後のところの論点というのは非常に重い話で、川原先生が今日、非常に踏み込んだ発言をされたと思いますが、医療機関にとって、ある一定の経営原資になっているという意味で、マイクロな話の薬価差益の問題ですね。個々の医療機関や調剤薬局の中で明らかに薬価差益が一定の役割を果たしているということは事実だと思います。それと同時に、もう少しマクロに考えると、その薬価差益を追求する中で次回の改定で改定財源というものが生まれてきて、その改定財源を原資にして、これは医療機関だけではありませんけれども、ほかの社会保障財源の手当てになっているということは事実です。要するに二重になっているわけです。
 ちょっとうがった見方をすると、医療機関や保険薬局が自らの差益を追求することによって新たなマクロの改定財源が大きくなって、その改定財源が大きくなることによって診療報酬にさらに財源が回っていくというような構造になっていることは事実なので、基本的に、今この構造を放っておくと、ある意味では薬価は循環的に低下せざるを得ない。要するに、利益の追求の方向性がベクトルが合っていますから、そういう方向にしか働かないという構造的な問題があると思います。
 これは医療機関が悪いとか保険薬局が悪いという話ではなくて、当然な経済原理でこういう仕組みにしているので、そういうふうになるのは当たり前です。そのミッシングリンクを外すのであれば、それに対してきちっと手当てするという話になるわけですけれども、残念ながら、これは非常に微妙な問題であることは分かるのですが、まず最初にどれぐらいのものが医療機関や保険薬局の経営を支えるための原資になっているかというきちんとしたものが出ていないし、最終的に原資になったものがどこに手当てされているのかというところが、先ほど小黒先生もおっしゃいましたが、そこが出てこない限りは、薬価制度の抜本的改革を議論するのは難しいというのが私の個人的な見解でございます。非常に難しい問題だということは十分分かっています。ただ、その辺りの匂いだけでもと言ったら変ですけれども、こういう状況だということが分かることでもう少し議論が進みやすくなるのかなと考えました。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 重要な御指摘だと思います。事務局におかれましては、必要な資料等々があればという御要望もありましたので、御対応可能なものがあれば対応していただければと思います。
 それでは、芦田構成員、どうぞ。
○芦田構成員 もしあればということで事務局に資料をお願いしたいものがあります。先ほど香取先生の御発言の中に後発品メーカーのビジネスモデルの話も出てきました。ヒアリングの中でも、後発品の品目数が多いという話が何回か出てきたと思いますが、確かに一成分当たりの品目数、そういうデータがあればいいなと思ったのです。もちろん各成分で一定の品目数があるということは必要だと思いますけれども、必要以上にあることによって全体の品目数が増えているということが、後発品メーカー自身や、卸、さらに薬局などのいろんな在庫管理等々の圧迫になっているという可能性もありますので、何が適正かという議論は難しいかと思いますが、一成分当たりどの程度の品目数があるのが適正なのかということが分かればいいかなと思いました。
 もう一つですけれども、先ほど菅原先生から、PhRMAやEFPIAも長期収載品があって、それに依存しているのではないかというような御発言がありました。中身を見たほうがいいかなと思うのは、長期収載品といっても、例えば低分子化合物なのか、それともバイオ医薬品なのか、これによってかなり違うと思います。ですので、もし分かれば、そういった長期収載品の内訳まで踏み込んだデータがあればいいかなと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どこまで可能か分かりませんが、調べていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 大体御意見は承ったということでよろしゅうございますか。
 それでは、成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 事務局の方にいろいろお願いして申し訳ないのですけれども、今、長期収載品の話が出たので、この割合が国際的に比較できるような情報があれば見てみたいと思います。
○遠藤座長 首をかしげていますが、努力はするみたいです。
 大体よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございます。本日は普通の2時間よりもっと長いバージョンでしたけれども、積極的に御発言いただきまして、ありがとうございます。今後議論する上で非常に重要な御指摘だったと思います。事務局におかれましては、いろいろな御意見がありますので、整理しておいていただきたいと思います。
 それでは、今日はこのぐらいにさせていただきたいと思いますが、事務局から何かありますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第4回検討会につきましては、10月21日、12時より開催予定でございます。詳細につきましては、厚労省事務局よりメール等にて御連絡させていただく予定でございます。また、本日の検討会の議事録は後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本検討会を終了したいと思います。長時間、どうもありがとうございました。