第4回雇用保険制度研究会 議事録

日時

令和4年9月26日(月)16:00~18:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

議事内容
○尾田雇用保険課長 それでは、定刻になりましたので、第4回「雇用保険制度研究会」を開催いたします。
報道陣の皆様の頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は、御議論いただく内容を踏まえまして、有識者として、千葉大学大学院社会科学研究院教授 大石亜希子様に臨時委員として御出席いただいております。大石先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○大石臨時委員 よろしくお願いします。
○尾田雇用保険課長 それでは、議事に移りたいと思います。本日の議題は「育児休業給付について」でございます。
まずは、事務局、そして水島先生、大石先生から、それぞれ御説明いただいた上で御議論いただきたいと思います。
最初に、事務局より、資料1及び資料2について御説明申し上げます。
○山口調査官 よろしくお願いします。
前回の研究会における主な御意見の振り返りの資料をつけてございます。
まず、2ページでございますけれども、訓練の効果検証ということに関連いたしまして、3点、御意見を記載しています。
1点目は、ハードルはあるかもしれないけれども、実験的手法であるランダム化比較試験を実施する重要性を強調したいという点。
それから、RCTの手法につきましては、倫理的な観点から実施が難しくなったので、厚労省の業務データが使いやすく、誰でもアクセスしやすいような状況になってほしいという御意見。
また、教育訓練給付のように、今、働いている状況の中で訓練を受けて、終了後もその会社で働き続ける場合、訓練によってどれだけ労働生産性のレベルが上がったかということは非常に把握しづらいという御意見がありました。
次に、求職者支援制度に関連してですけれども、この制度については利用促進が課題であり、コロナ下における特例措置の効果について点検が必要。特に転職希望がない場合も訓練の対象とする特例措置に注目しているという御意見がありました。
また、訓練期間の短縮というコロナ特例につきましては、目標とする能力の獲得が担保されているのか検証する必要があるという御意見のほか、一番下のところ、就職支援計画を作成して、個別・伴走型の就職支援を行うことで高い就職率につながっている。これを失業者一般にも拡大していく検討が望ましいのではないかという御意見がございました。
次に、3ページでございますけれども、教育訓練給付につきまして、雇用保険制度の中核にあるのは失業者の生活保障という機能であって、教育訓練給付は失業予防や再就職促進に資すると考えられるけれども、訓練内容を見ると、その予防とか生活安定というよりも、キャリアアップを後押しするような内容も含まれている。それについては、雇用保険による給付がなくても受講できる場合も少なくないように思うといった御意見。
一番下のところですけれども、「人への投資」というのを推進する文脈の中で、雇用政策にとどまらず、経済政策の側面があり、雇用保険のみがそうした人材育成を担うのではなく、省庁を超えたもう少し幅広な施策でやるべきではないかということですとか、あとは、被保険者に限らず、公務員、自営業者、無職の者にも学び直しのニーズはあって、雇用保険の被保険者に限定されるものではないのではないかという御意見がございました。
また、休業支援金・給付金につきましては、制度間の代替性・補完性の観点から、雇調金と休業支援金で、企業の利用実態がどうなっているのか分析が必要である。
また、制度については、徐々に縮小・廃止に向けた取組が必要ではないか。
また、雇調金を最大限活用して事業主が休業手当を払うということを現行の仕組みは想定しているので、休業支援金の仕組みを維持すると、事業主が本来払うべき休業手当の支払いについてモラルハザードが生じるのではないかといった御意見がございました。
その他、制度全般に関わるお話といたしまして、雇用保険制度には「失業状態からの救済」「再就職促進」「非自発的な離職の防止」「需給機能の円滑化」「供給される労働力の質の向上」といった要素があり、特に最後の二者については、経済政策の領域に入っていて、労働政策と経済政策の境界が曖昧になっているという御指摘がございました。
次に、資料2を御説明さしあげます。育児休業給付について基礎的な情報を集めた資料になっております。
3ページを御覧いただければと思います。雇用保険制度全体の体系の中で、今回御議論いただくのが育児休業給付という部分でありますけれども、一番右上の求職者給付というところを御覧いただきますと、令和4年度の予算額が9274億円となっています。これに対して育児休業給付は7300億円という予算規模になっておりまして、求職者給付に匹敵する規模感ということになっております。
4ページに、育児休業給付の概要の資料をおつけしております。
育児休業給付は、労働者が、原則子が1歳になるまで育児休業を行うときに支給されるものでありまして、支給要件といたしましては、育児休業を開始した日前2年間に、賃金の支払基礎となった日が11日以上ある月が通算して12か月以上あることとされております。
育児休業開始から最初の半年は67%相当、それ以降は50%相当の給付率ということになっておりまして、申請手続としては事業主が申請することが原則でありますが、労働者御本人が申請することも可能な仕組みとなっております。
5ページを御覧ください。育児休業給付に非常に関連が深い育児休業制度等の変遷について資料を入れてございます。
一番上の育児休業という欄を御覧いただきますと、平成4年4月1日に育児休業制度というものを施行しております。一番下の欄を御覧いただきますと、そこから遅れること3年、平成7年4月1日に育児休業給付制度というものが創設されております。
6ページを御覧いただければと思います。育児休業給付に係る主な制度変遷の資料というものをおつけしておりますけれども、制度創設以来、給付率が徐々に引き上げられてきたということに加えまして、制度創設当初は、育児休業期間中に一定割合、その後に職場に復帰してから一定割合を支払うという支給方法だったものが、平成21年の改正によりまして、全額育児休業期間中にお支払いをするという形に変更になっております。
また、平成17年4月1日というところを御覧いただきますと、給付期間の延長ということになっておりまして、子が1歳までということが原則でありましたが、一定の場合には1歳6か月まで延長可能な仕組みが取り入れられております。この点につきましては、平成29年10月1日に、最長2歳までということで再延長の仕組みが設けられているところでございます。
7ページを御覧いただければと思います。これまで育児休業給付の制度創設に関わって、雇用保険部会でどのような議論が行われてきたのかということを振り返る資料でございます。
まず、平成4年改正のときでございますが、このときは育児休業給付制度が創設される前の段階でありまして、その導入の検討について部会で言及されたものでございます。労働側委員の御意見ということで、育児休業に係る休業給付制度の導入の検討など、雇用保険制度の在り方に関する基本問題への対応を併せて行うべきとの指摘がなされております。
背景といたしまして、育児休業制度を規定した育介法が平成3年5月15日に公布され、平成4年4月1日より施行されているという状況の、ちょうど間ぐらいということになります。
次に、8ページでございます。平成6年雇用保険法改正によりまして、育児休業給付制度が創設され、平成7年4月1日より施行されております。
給付の趣旨でありますけれども、育児休業のように、その休業が円滑に取得できなければ労働者の雇用継続が困難となってしまうような性質を有する休業について、労働者の雇用の安定、福祉の増進を図り、中長期的な労働力供給制約に対応する観点から、雇用保険制度としても、一定の対応を行っていく必要がある。このため、円滑な職場復帰を援助、促進するために、現行の失業給付に準じた枠組みによって、労働者に対し必要な給付を行う制度を設けるとしております。
一番下の支給方法のところを御覧いただきますと、この給付率につきまして、一部を休業期間中に、そして残りの一部を育児休業取得後に復帰した後に払うという仕組みになっておりました。
9ページを御覧いただければと思います。平成12年雇用保険法改正によりまして、給付率が25%から40%に引き上げられております。このときの部会報告では、最近の少子高齢化の進展に対応し、両立支援をより充実して、職業生活の円滑な継続を援助、促進する観点から、給付率の引上げについて、他の関連諸施策の動向も見つつ、検討する必要があるとされておりました。
平成16年改正におきましては、給付期間を1歳までとしていたところ、一定の場合は1歳6か月まで延長できる仕組みが導入されております。待機児童の問題が背景にあるということでありますけれども、上から2つ目のポツ、雇用均等分科会においてのところにございますが、2行目の後ろのほうから、特別の事情がある場合に育児休業期間を延長することが適当という内容になっているけれども、この改正内容は、両立支援に寄与するという育児休業制度の趣旨・目的を変更することとなるものではないと確認した上で、新たな育児休業制度についても給付の対象にすることが、その後の円滑な職場復帰を援助、促進することに資するとされております。
ただ、当時、財政状況破綻を回避したばかりという状況でありますので、雇用継続を援助、促進するという、雇用保険制度の一環として制度化された制度本来の趣旨を十分に踏まえる必要があるという指摘をされておりまして、この制度について、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関係諸施策の動向等も勘案しつつ、今後ともその在り方について検討していく必要があるとされております。
10ページは、平成19年の改正の資料でございます。給付率を40%から、暫定措置として50%に引き上げてございまして、このときは少子化対策が我が国喫緊の課題であるとした上で、育児休業の取得を促進する重要な施策として、この給付が位置づけられていることから、基本手当との均衡に配慮しつつ、50%に引き上げるという、雇用保険制度としての最大限の対応を図ることはやむを得ないとされたところであります。
11ページに、平成19年改正時の資料をお入れしてございます。当時、合計特殊出生率が1.26ということで、非常に低い背景の中、子ども・子育て応援プランに掲げる計画期間に鑑みて、集中的な施策を講ずるとされております。この際、基本手当の給付率は50%が基本であるということを考慮いたしまして、給付率50%に引き上げされたものでございます。
12ページは、平成21年雇用保険法改正のときの部会報告の資料でございます。このときは、平成22年4月1日施行と6月30日施行という2つのタイミングに分かれておりますが、給付率の50%の措置を当面の間の暫定措置とすること。また、育休期間中に全額給付をお支払いするという支給方法の変更。そしてパパ・ママ育休プラスというのが制度化されております。
まず、給付率の引き上げにつきましては、最初のポツでございますが、少子化対策としての要請等も踏まえると、雇用保険制度として対応を図ることはやむを得ないとされております。
また、支給方法の変更につきましては、これを総合して全て育児休業中に支給することは、育児休業中の所得保障の観点からは望ましいとする御意見もある一方で、給付の創設の趣旨から考えると、両給付を統合すること、支払いのタイミングを一本化することには慎重であるべきという御意見がございました。
しかしながら、雇用の継続を図ろうとする育児休業取得者に対する支援としては、この給付以外にはないというのが現実であって、育児休業取得促進に果たす給付の役割にも強い期待があることを踏まえると、統合してお支払いすることもやむを得ないと整理されたものでございます。
次に、15ページを御覧いただければと思います。平成26年雇用保険法改正の際に、給付率を最初の6か月間について、さらに引き上げるという改正が行われております。この改正につきましては、まず、給付の見直しというのが育児休業の取得促進に寄与してきたということ。
また、男性の育児休業取得促進ということが、ひいては女性の雇用継続に資するものであるということが確認されております。
さらに、育休の促進による男性の育児参加の拡大が少子化対策にも資するとされた上で、男女ともに育休を取得していくことをさらに促進するために、給付の給付率を引き上げる。この際、出産手当金の水準ということを踏まえ、最初の6か月について67%の給付率とするとされております。
最後のポツで、労使委員からの御意見といたしまして、育児休業期間中の経済的支援については、雇用保険会計によらず、本来は国の責任により一般会計で実施されるべきであるとされていました。
平成29年改正におきましては、給付期間を最長2歳まで再延長する措置ということが講じられております。この際は、部会報告において、雇用均等分科会で、育休の延長期間を最長2歳とする報告書が取りまとめられたので、給付もこれを踏まえて対応すべきであるとされたところでございます。
次に、18ページでございます。令和2年雇用保険法改正についての資料でございます。この際には、育児休業給付の収支を失業等給付とは区分するという内容の改正が行われておりました。
(1)の2つ目のポツからですけれども、休業制度の浸透に伴う給付受給者数の増加とともに、次世代育成の観点から累次の給付拡充を行ってきたということで、育休給付の給付額は一貫して増加しております。他方で、このときは令和元年でありますので、コロナが発生する前でございますが、この当時の雇用情勢は非常に良好でありまして、求職者給付の支出は低い状況にございましたけれども、育児休業給付と求職者給付の一体的な財政運営を続けた場合に、今後、景気が悪化したときには財政状況が非常に悪化するということが懸念されたため、育児休業給付について、新たに子を養育するために休業した労働者の雇用と生活の安定を図る給付として、失業等給付とは異なる給付体系に明確に位置づけるべきであるとされたところでございます。
次に、20ページを御覧いただければと思います。令和3年雇用保険法改正におきまして、育児休業の分割取得を可能にし、産後パパ育休を創設した際の改正でございます。
これは、今年の10月から施行ということになっておりますが、上から3つ目のポツにおきまして、雇用環境・均等分科会においてという部分で、マル1、マル2、マル3とございます。マル1は、産後パパ育休の創設。マル2は、分割取得を可能とした改正で、マル3が有期の方々について要件緩和をした内容になっておりますが、これらの制度改正は利用者支援に寄与するという休業制度の趣旨・目的を変更するものではないとした上で、この両立に寄与するという育児休業制度の趣旨は、労働者の生活と雇用の安定を図るとした令和2年改正後の育児休業給付の目的にも引き続き合致するため、給付対象とすることが適当とされております。
なお、この育休の在り方について、男性の育休取得促進の効果ということも見極めた上で、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関係諸施策の動向等も勘案しつつ検討していく必要があるとされております。
また、一番下のところで、労使委員からの御意見という部分がありますが、給付率の引上げを慎重に検討するべきという点ですとか、少子化対策の一環として行われる国の責任により、一般会計で実施されるべきであるといった御意見を記載しております。
以上が制度改正の変遷の資料になっております。
少し飛ばしまして、27ページを御覧いただければと思います。給付に関連する育児休業制度の一部の御紹介ですけれども、育児休業中の就労の取扱いについてという資料を入れてございます。
育児休業というのは、基本的には、恒常的・定期的に就労している場合は、育介法上の育児休業ではないと解されているのですけれども、労使の話し合いによって、子の養育をする必要がない期間に、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することは可能となっております。
一時的・臨時的とはどういう場合かというのが具体的に記載がございますが、例えば災害が突然発生したということで、災害の初動対応に詳しい労働者の方に急遽働いていただくというケースを想定しておりまして、次のような場合には該当しないとなっておりますが、例えば育休開始当初より、あらかじめ決められた1日4時間をテレワークで働くという場合は、一時的・臨時的には該当しないと解されております。
一番下の※のところに育児休業給付の支給にあたってとございますけれども、月10日以下(月10日を超える場合は月80時間以下)の就業であることが必要とされているところでございます。
28ページには、育児休業の対象となる有期雇用労働者の方の変遷の資料でございます。法制定当時、平成4年におきましては、有期の方は育休制度の対象外とされておりましたが、その後、有期の方々の人数的な増加ですとか、契約更新をして長い期間働かれるケースも増加していることも踏まえて、平成16年改正で有期の方も育休の対象とすることになっております。その後、累次の改正により、要件が緩和されてきたというところでございます。
29ページに、育児休業中の経済的支援についての資料を入れてございます。
まず、育児休業給付が非課税であるということと、育休中の社会保険の取扱いといたしまして、健康保険・厚生年金保険の保険料が、申請によって労使ともに免除されるということですとか、育児休業を終了した後に育児を理由に報酬が低下した場合に、標準報酬月額を低下後の額で算定するといったことが設けられているところでございます。
次に、給付制度に関連するデータの御紹介であります。31ページを御覧いただければと思います。育休の取得率の推移のデータでありますけれども、男女別にお示ししていますが、令和3年度、女性の取得率は85.1%、男性は13.97%ということで、政府目標にはまだ及んでおりませんが、急激に伸長している状況でございます。
32ページに男性の育休の取得期間の状況ということで、約5割が2週間未満の取得となっているものの、1か月~3か月未満というところでは、3年度で御覧いただきますと24.5%となっておりますが、経年的に見ると、この部分、増えてきているということであります。
それから、33ページは、有期の方々の育休取得率についてということで、女性で比較しておりますが、女性全体が令和3年度で85.1%になっているのに対しまして、女性の有期契約労働者の方は68.6%といった取得率の水準になっております。
次に、34ページで育休を取得しなかった理由についてグラフ化しております。男性・正社員と女性・正社員、それぞれお伺いしておりますが、男性・正社員の場合は収入を減らしたくないという理由が多く、次いで職場の理解がなかったからですとか、自分にしかできない仕事があったからというところの比率が高くなっております。
一方、女性の正社員につきましては、最も比率が高かったのは、一番上の会社で育休制度が整備されていなかったからという理由でありまして、次いで収入を減らしたくなかったからというところの比率が高くなっております。
35ページを御覧いただければと思います。第1子が出生した後に女性の就業形態がどのように変化しているかということを示したグラフでございます。先般、出生動向基本調査の最新のデータが出ておりまして、そちらを反映したグラフとなっておりますが、2015~2019というところを御覧いただきますと、その前の調査の期間と比べまして出産退職という部分が減っております。出産後継続就業率という部分を御覧いただきますと、69.5%。こちらは、出産前に有業、仕事をされていた方を分母とした場合の出産後継続就業率ですが、約7割に達しております。
右側は、妊娠・出産を機に退職した理由というアンケート調査を取っているものでございます。女性・正社員に対してのアンケート調査で、nが65と、少なくなっている点には御留意いただきたいと存じますが、理由で最も多かったところが両立の難しさということで、具体的には、自分の気力・体力がもたなそうだった、職場に余り理解する雰囲気がなかったという辺りの選択肢が高い順になっております。
36ページが、いわゆるM字、L字と言われているパターンに関する資料ですけれども、女性の就業率を見ますと、35~39歳を底に、また上昇していくという形で就業自体は増えておりますが、その就業形態につきましては、30代以降、正規の比率というのがだんだん低くなっていくということが見てとれます。
次に、37ページを御覧いただければと思います。第1子出産前後の妻の就業継続状況というものを雇用形態別に見た資料になっております。2015~2019年のところを御覧いただきますと、正規職員では83.4%が雇用を継続しているが、赤い部分が育休制度を利用して雇用を継続した割合になっていますが、74.7%となっておりまして、前回の調査から比較いたしましても、伸びていることが確認できます。
一方、パートの場合は、就業継続率が40.3%となっておりまして、前回調査と比較してもかなりアップしているというところ、特に育休ありということで雇用継続されている方の比重が高まっていることが確認されます。
38ページは、給付に関するデータでございます。令和3年度、初回受給者数は44.5万人となっておりまして、男性が7万人弱、女性が37.7万人ぐらいでございます。平均受給月額といたしましては、男性のほうが高く、月額18万円、女性は13.6万円となっております。平均給付期間につきましては、男性が3か月弱、女性は12か月となっておりまして、給付総額は6500億円弱ということになっております。
39ページを御覧いただきますと、令和4年度の足元の状況が確認できますが、令和4年4月から7月の辺りを御覧いただきますと、初回受給者数は伸びており、特に男性で伸び率が大きいということが分かります。それから、支給金額につきましても、令和4年度、引き続き、対前年比で伸びているという状況にございます。
次に、40ページでございます。給付額の増加要因というものを要素ごとに分解して分析した資料になっております。一番右側のところで初回受給者数、平均受給月額、平均受給期間という3つの要素を記載しておりますが、平成19年度の水準を100とした場合に、令和3年度の水準がどのぐらいになるかということを指数化しております。最も利いている要因、こちらは女性に限った分析になっておりますが、初回受給者数の増というところが一番利いており、次いで、平均受給月額という要素が利いていることが御確認できるかと思います。
41ページでございます。これは、男性の増加要因を分析したもので、この場合は初回受給者数という要素が圧倒的に利いているということがお分かりいただけるかと思います。
42ページを御覧いただければと思います。これは、育休給付が多い業種ということで分類したものでありますが、医療、福祉、卸売、小売というところの比重が高くなっており、もともと女性が多く勤務している産業形態で多いということ。また、経年的に見ても余り比率の変化がないということが確認できます。
43ページでございます。パパ・ママ育休プラスの受給者の状況でありまして、令和3年度、御覧いただきますと、初回受給者数、全体が44.5万人であるのに対して、パパ・ママ育休プラス、これは内数というわけではございませんけれども、この年度にプラスということで受給された方の規模感が1880名ということになっております。
44ページには、期間雇用者の受給者数のデータを入れております。一番下の欄を御覧いただきますと、令和3年度ということで、期間雇用者数が約2万人強、比率といたしますと全体の5%ということになっております。
次に、45ページでございまして、保育等の利用による延長者数のデータを記載しております。令和3年度、初回受給者数44.5万人に対し、こちらは年度のずれがありますので、内数というわけではないのですけれども、最初の延長された方の人数が15万件弱、さらに再延長された方が5.5万人となっております。
46ページ、47ページは、育休の給付の終了者数のデータと期間延長件数のデータを月別にプロットしたものでございます。コロナ前の状況を御覧いただきますと、年度末に保育所の入所が決まって、5月ぐらいに給付が終わるというパターンが非常に多かったのですけれども、令和2年度、コロナの影響によりまして、保育所の預け控えといったこと、それと裏腹の育休の延長ということが行われまして、終了者の山が少しなだらかになっております。
47ページを御覧いただきますと、その後、令和3年度、令和4年度には、コロナ前の状況に戻ったということが確認できるかと思います。
次に、48ページでございます。給付の受給者の雇用継続の状況ということで、職場復帰率のデータを記載してございます。平成21年改正におきまして、先ほど御覧いただきましたように、育休給付を育児休業期間中に全額払うというふうに支給方法を変更してございますが、その前後におきまして職場復帰率には余り変化がございません。平成30年度では88.2%ということになっております。
次に、財政運営の資料でございます。
50ページを御覧いただければと思います。
収入規模ですが、令和3年度予算というところを御覧いただきますと、保険料率が1000分の4でありますので、保険料収入が約8000億円。それから、育児休業給付に係る国庫負担金といたしまして、支出額掛ける80分の1となっております。
これに対して支出ですが、増加傾向にありますけれども、3年度は予算の数字になっておりますが、今月出た決算を見ますと、2年度と支出額がほぼ変わらないという状況になっておりました。
4年度につきましては、保険料収入、国庫負担、基本的には前提が変わっておらず、支出は、3年度に比べれば少し増えるという想定を置いておりまして、結果として育児休業給付金資金残高が2100億円ということになっております。
51ページを御覧ください。これは、前の制度改正の際にお示しした育休給付の数年間の財政運営試算というものでありますけれども、これによりますと、令和6年度まで安定的な運営ということを標準シナリオで確認しているところでございます。
次に、雇用保険部会や全社会議における指摘・議論という資料でございます。こちらは、第1回検討会の際にもお出ししましたので、細かい内容は省略いたしますが、直近の部会の報告でありますとか、少子化社会対策大綱。それから、令和4年改正法の附帯決議などでも、育休給付について検討するようにということか求められているところでございます。
また、56ページでございますけれども、全社会議の議論の中間整理というものが令和4年5月に取りまとめられた中で、上から3つ目のポツでありますが、子育て・若者世代が子どもを持つことによって収入や生活、キャリア形成に不安を抱くことなく、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境を整備するために必要となる更なる対応策について、国民的な議論を進めていくことが望まれるとされております。
最後に、海外制度の資料を入れてございます。58ページを御覧いただければと思います。スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリスと比較した資料になっておりますけれども、まず、スウェーデンです。育児休業制度につきましては、子が満12歳になるまで、両親合わせて480日休みを取ることができます。また、休業期間中の給付といたしましては、390日間は休業前賃金の77.6%、日額上限が約1万円ということになっておりまして、その後の90日間が日額約2300円という定額給付になっております。この給付は課税されますので、実際の手取り額はこの額面より下回るということになります。社会保険料は免除されております。この給付は両親保険という仕組みから出されておりまして、その財源は使用者、自営業者が納付する両親保険料(2.6%)となっております。
フランスにつきましては、子が満3歳になるまで、両親それぞれ3年間、休業取得が可能であります。休業中の給付といたしましては、両親それぞれ6か月間、月額5万円程度が支給されまして、給付は非課税、社会保険料が一部免除されます。全国家族手当金庫というところが管理運営しておりまして、財源は使用者による保険料、社会保障目的税、他の税ということになっております。
ドイツは、子が満8歳になるまで、両親それぞれ3年間取ることができまして、給付につきましては、両親合わせて12か月間、休業前賃金の原則67%、上限約23万円となっております。給付は非課税、社会保険料は免除になっておりまして、この給付は全額、税財源で連邦が実施しているものでございます。
イギリスにつきましては、子が満18歳になるまで、両親それぞれ18週間休業を取ることができますが、休業中の給付の仕組みはございません。
日本につきましては、子が原則満1歳になるまで、両親それぞれ1年間休業を取ることができまして、休業中の給付としては、両親それぞれ当初180日が従前賃金の67%、それ以降は50%になっておりまして、給付は非課税、社会保険料免除となっております。この給付制度は雇用保険で運営され、財源は労使保険料と一般会計となっております。
最後に、60ページ、議論の観点ということですけれども、これまで雇用保険制度において育児休業給付が果たしてきた役割・意義や効果について、どのように考えるか。
また、給付の中長期的な在り方について、どのように考えるかとしております。
資料の御説明は以上でございます。
○尾田雇用保険課長 続きまして、水島先生より御説明をお願いしております。水島先生、よろしくお願いいたします。
○水島委員 水島でございます。
私は、社会保障法の観点から情報提供させていただきます。
まず、私の研究ですが、2001年に育児休業給付に関する小論を公表しています。2005年には産休・育休中の所得保障に関して、ドイツ法との簡単な比較を行っています。また、今年の社会保障法学会ミニシンポジウムは労働保険がテーマで、趣旨説明の中で育児休業給付について少し言及しております。次に、本テーマに関する最近の主要な研究として、嵩先生の論文、それから「社会保障研究」の特集を挙げさせていただいております。これらは、本日の報告で参照させていただきます。
2001年の私の論文では、育児休業期間は、「社会性」を有する理由に基づく不就労であって、所得喪失リスクを労働者に全て負わせるのは妥当ではないとの観点から、雇用保険以外の可能性について簡単な検討を行っています。当時、育児休業給付は休業前賃金の40%でしたが、これは就業支援、雇用継続とセットになった所得補塡にすぎず、所得保障を目的とするものではないことを示しています。
この論文では、所得保障を伴わない育児休業は実効性に欠けることから、今後、所得保障の性格に移行することが望ましい、その場合は、傷病手当金と同水準とすべき、と述べています。そのような水準に上げるには、雇用継続という論理だけでは不十分なことから、育児が社会的要請であり、社会全体に与える利益が大きいことをアピールする必要があるとしています。
なお、この原稿の脱稿時点の育児休業は子が1歳までで、給付を休業前賃金の40%とする法改正がなされたところでした。この論文は25%の時代を念頭に執筆し、法改正にあわせて40%の内容をつけ加えたものです。現在とは状況が大きく異なり、当時と現在とでは育児休業給付に対する私の考えも変化しております。
2005年の論文では、産休・育休中の労働者の所得保障について、ドイツ法と比較しています。ドイツでは、産休については、母性保護法が休業と所得保障を定め、使用者の負担も合わせ、賃金全額相当額が保障されるという点が特徴的です。育児期については、連邦育児手当法が休暇と給付を定めていました。日本では、産休も育休も、休業を保障する法律があって、それとは別に給付を保障する法律が、健康保険法なり雇用保険法にあります。ドイツでは、1つの法律で休業と所得を保障していることが注目されます。
なお、連邦育児手当法は既に廃止されていますので、報告の最後に現在のドイツの制度を紹介します。
2020年の「社会保障研究」の特集は、令和2年雇用保険法改正に合わせて組まれたものです。本日御出席の大石先生、酒井先生が御寄稿されています。
それでは、まず、育児休業給付の目的の変遷を社会保障法の観点から述べたいと思います。
平成4年に施行された育児休業法は、休業する権利を労働者に与えるにとどまり、休業期間中の経済的支援はありませんでした。なお、当時、社会党などによる4党共同法案や、共産党による育児休業法案要綱では、休業期間中の経済的支援が提案されました。しかし、これらは法律に至っておりません。そこで、育児休業法施行後、育児休業取得者に対する経済的援助が検討されたわけです。労働省所管の雇用保険制度によることが当面は現実的かつ適当とされ、雇用保険法に育児休業給付が創設されました。
制定当初の育児休業給付の目的ですが、職業生活の円滑な継続を援助、促進することにより、失業を回避し、その雇用の安定を図ることを目的とするとし、雇用継続給付として位置づけられました。給付率は、基本手当の平均給付額との均衡を考慮して決定されました。そして、育児休業期間中の給付と職場復帰後の給付という二本立てとなっていました。このように、制定当初の育児休業給付は、離職か休業かを迫られる女性労働者の雇用継続が目的であることが明らかでした。
平成12年法改正、平成19年法改正により、給付率が引き上げられます。その狙いとして少子化対策がありました。平成21年法改正により、育児休業給付が休業期間中の給付に一本化されました。
この点につき、嵩先生は次のように述べられています。育児休業給付のこうした変化は、無給となる休業給付期間中に給付を集中・充実させることにより、育休取得に伴う所得喪失の影響を緩和し、もって育休の取得、ひいては子を持つという労働者の選択を後押ししようとするもの。その一方で、子を持つ労働者の就労継続の援助という当初の目的は後退したとされています。休業前賃金の50%に引き上げられ、一本化がなされた結果、離職して基本手当を受給するという選択肢は得策でなく、育児休業取得が有利な選択肢となりました。
つまり、離職か休業かを迫られていた女性労働者にとって、休業が有利な選択肢となる一方、雇用継続の目的が薄れたと言えそうです。もちろん、離職せず育児休業することが容易になったという意味では、雇用継続が図られたと言えますが、育児休業給付の一本化は雇用継続の目的を薄めたものと言えるでしょう。
さらに、給付率が引き上げられると、離職と比較して、育児休業がますます有利な選択肢となります。平成26年法改正により、休業開始後6か月に限定されますが、給付率が67%に引き上げられました。その狙いとして、男女ともに育児休業を取得していくことをさらに促進することが挙げられます。また、令和3年法改正により、男性の育児休業取得促進等の観点から、出生時育児休業が創設されました。
また、令和2年法改正では、育児休業給付が雇用継続給付から切り離され、「子を養育するために休業した労働者の雇用と生活の安定を図る」給付と位置づけられているところです。
先ほど申しましたように、給付率が引き上げられ、離職と比較して、育児休業がますます有利な選択肢となり、そのことは、離職することなく雇用が継続することを意味すると言え、そのような側面は確かに指摘できるところです。しかし、これを男性労働者の育児休業取得促進という観点から見ますと、甚だ疑問です。多くの男性労働者は、離職か休業かという選択で悩んでいるのではなくて、就労して育児を断念するか、あるいは休業して育児をするかの選択で悩んでいるのではと思います。あえてステレオタイプ的に申し上げますと、女性は育児をしなければならず、その際に仕事が障害になる。そこで離職か休業かという事態になる。しかし、男性は仕事がまずあって、育児することが難しい。つまり、就労か休業かという事態であるということです。就労すれば賃金が得られるけれども、休業した場合の所得保障が十分でなければ休業できない。それを休業しやすくする。男性の育児休業取得促進に着目すると、育児休業給付の目的が就労か休業かを迫られる、子を養育する労働者の休業選択を促進・支援する目的に変化したことを指摘できます。
再三申し上げていますように、育児休業給付の拡充により、育児休業を取得しやすくすることで、離職しないという雇用継続の課題は確かに達成できています。もっとも、雇用継続の目的を貫徹するには、育児休業後に着実に職場復帰することが重要です。その意味で、雇用継続の課題は、育児休業取得時から職場復帰時に移っていると言えそうです。
次に、育児休業給付を雇用保険が行うことについて、法的正当性という観点から検討します。
まず、雇用保険の目的に合致するかについてですけれども、先ほど申し上げましたとおり、制定当初の育児休業給付は、女性労働者が育児を理由に離職することがないこと、すなわち雇用継続が目的であり、この目的は雇用保険の構造に合致します。
しかし、現行制度は、雇用継続、失業回避という目的が希薄になっています。特に、男性の育児休業取得促進等を目的とした給付を雇用保険が行う必要があるかは、疑問です。
もっとも、令和2年改正において、法の目的を拡張し、育児休業給付の体系上の位置づけを変更していますので、雇用保険の給付として行うことについて、法的に問題があるということではありません。しかし、当初の目的からしますと疑問があることを述べたいと思います。
次に、嵩先生の見解を紹介します。嵩先生は、子を持つ女性労働者の就労継続は、男女雇用平等の実質化に寄与するという意義があり、それを実現するための他者からの再分配を雇用保険を通じて行っているわけですが、この正当性を雇用平等の理念に求めることができるとされます。
そして、雇用保険の保険集団のみにその負担を課すということは、育児負担(あるいは育休取得に伴う所得喪失)による就労継続の断念が失業に類似する事態であること、また、子を養育する労働者の就労継続は、雇用保険の被保険者の確保という側面も持ち、保険財政の健全性に資する面もあるから、一定の合理性は認められるとされています。
このような考え方に対して、高畠先生は、現在の育児休業給付は、失業者に対する生活保障よりも雇用の男女平等の実質化を優先する結果となっており、正当化は困難であるとされています。
なお、嵩先生のご研究は、令和2年の雇用保険法改正前であり、高畠先生は、令和2年雇用保険法改正の動きを踏まえたご論考であることに注意する必要があります。
育児休業給付は、少子化対策を1つの狙いとして拡充してきました。この点から法的正当性が肯定されるかという点について、再び嵩先生の見解ですけれども、少子化対策としての側面を強調してきた給付の変化は、雇用保険の再分配を正当化し得る要素を損なうおそれがある。仕事の断念の防止は失業の防止に近接するが、子を持つことの断念の防止は失業の防止と接点を見出しがたいとされています。
そして、少子化対策は社会保障法の本来の役割ではないことを確認しつつ、子を持つという選択を行った者に生ずるニーズに対し保障を行うことを考慮すれば、特定の費用負担者、要は雇用保険の当事者だけにその負担を負わせるという財源の在り方は、正当とは言えないとされています。少子化対策は、育児休業給付を拡充するための理由づけとして重要であると私も考えますが、この点を強調すればするほど、雇用保険で行うことの正当性は薄れていくと言えましょう。
改めまして、育児期の所得保障を雇用保険が行うことの正当性に関連して、高畠教授は次の点を問題として指摘されます。それは、恵まれた保障内容である育児休業給付の対象者を雇用保険の被保険者のみに限定するべきか、ということです。
育児休業給付を受給する者とそうでない者との間の格差についても触れられています。高畠教授は、この点、被保険者と被保険者以外の格差にとどまらず、安定した地位にある正規雇用労働者が実際に育児休業を取得しやすく、不安定な有期雇用労働者が被保険者でなかったり、あるいは被保険者であっても、現実に育児休業を取得しにくい立場にあることを、格差の問題として指摘されている点が注目されます。
また、酒井先生も経済学の観点から、日本の育児休業給付が、雇用保険の被保険者に対象を狭く限定し、比較的高水準の給付を行っていることを指摘されています。
それでは、最後にドイツの状況を簡単に御紹介します。日本の育児休業給付や育児休業に類似する仕組みは、ドイツでは連邦両親手当・両親時間法に規定されています。
まず、両親手当ですけれども、両親手当は、乳幼児の親に対する給付であり、これにより育児期の負担が軽減されると説明されています。
両親手当は、子の出生後、親が仕事を減らしたり、仕事をしなかったりすることによる収入低下を補うもので、これにより、家族の経済的生活基盤を支援するものです。
日本と大きく異なるのは、両親手当は、子の出生前、収入がなかった親にも支給されることです。
両親手当は、基本両親手当、両親手当プラス、パートナーシップボーナスから構成され、これらを組み合わせることができます。
両親手当の受給要件ですけれども、子を自ら養育すること、子と同一の家計で生活すること、働いていないか、週32時間までの就労であること、そしてドイツに居住していることです。労働者であることは要件ではありません。働いていなかった者も学生も受給できます。なお、労働者の場合、週32時間までの就労であることが要件となりますが、学業や職業訓練には、時間数の制限はありません。
両親手当(基本両親手当)は、子が12か月になるまで支給されます。もう一方の親が2か月という形で、計14か月を任意に分配することができます。先ほど諸外国の給付制度の比較でも御説明いただきましたように、休業前賃金の原則67%が支給されます。上限がありまして、月額1800ユーロです。また、下限300ユーロとありますが、働いていなかった者などは、この下限の保障となります。
次に、両親手当プラスです。両親手当は、原則12か月、つまり1歳までの基本両親手当ですけれども、これを期間を倍にして額を半分にするという選択が可能です。2歳までの両親手当プラスと基本両親手当の半額、ということですので、両親手当の期間を柔軟に延ばすことができる仕組みになっています。
両親手当プラスを選択することにより、親は週32時間までの労働をしつつ、長期間、手当を受給することができることになります。
なお、スライドでは、パートナーシップボーナスの説明を省略しておりますが、これは先ほど御説明いただきましたパートナー月と呼ばれるもので、両親がそれぞれ2か月間以上、育児休業を取得した場合、2か月間延長されるものです。育児休業とありますけれども、パートタイムで働いたときも含みますので、両親時間を取得したときとしたほうが正確かもしれません。
先ほども説明がありましたように、両親手当は連邦が税財源で実施するものです。この点について倉田教授は次のように説明されます。日本と異なり、ドイツでは、憲法で婚姻及び家族に対する国家秩序の特別の保護を規定しています。家族を保護すること、例えば子育て支援は、憲法上、国家の規範的責務と位置づけられます。このような子育て支援という国家の規範的責務を履行するに際して、被保険者間のリスク分散という性質が強い社会保険制度内で社会全体の利益に資するような普遍的子育て支援をすることは、正当化できないといった理解があります。
そして、全ての親を普遍的に対象とする子育て支援策である両親手当は、保険料財源よりは税財源に、より親和的な性質を有する政策であるということです。この点、ドイツでは、家族の保護が憲法上の要請であるという点で、日本と違うことを考慮する必要があろうかと思います。
また、ドイツでは、税財源による、全ての親を普遍的に対象とする子育て支援策を取っています。この両親手当や両親時間は、連邦労働社会省でなく、いわゆる連邦家族省、連邦家庭・高齢者・女性・青少年省の管轄です。
最後に、日本の育児休業に相当するものが両親時間です。原則、子が3歳まで。そして、子が8歳になるまで3年間という形で取ることができます。
この両親時間ですが、育児休業と言ったらミスリードになるかもしれません。なぜなら、週32時間までの就労が可能であるからです。両親時間は権利であって、両親時間の取得に使用者の同意は必要ありません。両親時間の時期は、自由に選択できますが、両親時間開始の7週間前までに使用者に申し出る必要があります。なお、3歳以降の子の場合、3歳から8歳までに両親時間を取得する場合には、両親時間開始の13週間前までに申し出ることになっております。
このように、ドイツでは、親の育児休業、もしくは短時間勤務が比較的長期間保障されていると見ることができます。
私からの説明は以上となります。ありがとうございました。
○尾田雇用保険課長 水島先生、ありがとうございました。
続きまして、大石先生から御説明をお願いしております。大石先生、よろしくお願いいたします。
○大石臨時委員 千葉大学の大石亜希子と申します。労働経済と社会保障について研究しております。このたびは、主に2019年に私が執筆いたしました育児休業制度についての論考を基に報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、20分というお時間をいただきました。かなり端折った内容になるかと思いますけれども、3点ほどお話しさせていただきたいと思います。まず、1点目は、育児休業制度と育児休業給付金を政策評価するの視点についてです。2つ目は、分配的な側面について問題提起をしたいと思います。3つ目は財源問題です。
それでは、まず、政策評価についてお話します。育児休業制度には様々な目的が付与されています。これは、OECDの文献から取ってきているのですけれども、雇用保障を行うことで労働者のウェルビーイングが向上するということが効果として挙げられていたり、あるいは継続就業を促進することで、積み重ねたスキルを喪失せずに済む、人的資本の喪失を回避することができるといったことが挙げられています。また、女性の継続就業を促進することで、雇用における、あるいは所得面でのジェンダー格差を縮小して、ジェンダー平等に寄与するといったことも指摘されております。さらに、育児休業を取得することで、その間の子育てを通じて、子どもの健康と発達に寄与するということも言われておりますし、出生率の上昇に寄与するという点も指摘されております。
育児休業制度の効果については、日本においても、これまでにたくさんの実証研究が行われてきました。その大半は、継続就業に効果があったかどうか、そして追加的な出生あるいは出生に効果があったかどうかに着目していまして、一定程度、そうした効果が認められるという結果となっています。しかし、育児休業制度が導入された初期の1990年代の研究が多数を占めており、データや分析手法に関して、問題を含んでいる面もあります。
さらに、こういった研究につきものの問題として、そもそも継続就業意欲の高い女性ほど、育児休業制度を利用しやすい職場を選ぶというセレクション・バイアスの問題があります。つまり、女性はランダムに会社を選んでいるわけではないということです。
それから、育児休業制度が拡充されるのと並行して、保育所あるいは児童手当などのほかの子育て支援施策が拡充されてきておりますので、それらの効果との識別がなかなか難しいという問題もあります。
加えて、これまでの研究の大半は、有配偶の女性正規雇用者を分析対象にするものでした。つまり、育児休業を利用するかどうかを選択できる立場にある人々に対象を絞った分析が多数行われてきたわけです。しかしこの後、申し上げますように、果たしてそれでよかったのかという問題があります。
次のページをご覧ください。海外の研究は、多様な指標で育児休業制度の政策評価を行っております。女性雇用への影響という面でも、単に出産前後の就業継続や育休からの復職だけではなくて、長期的に見た雇用、例えば子供が生まれてから3年後、5年後とか10年後といった時点での雇用において差があるのかとか、あるいはその時点での賃金にどのような影響が出ているのかということを把握するような研究が行われております。
また、子供の健康や発達にどのような影響が出ているのかということについても、研究が蓄積されておりまして、ポジティブな影響があるということを指摘するものが多いようです。
もう一つ、企業側において従業員の離職率や生産性にどのような影響が生じたのかといったことも重要な論点かと思いますが、これについては、海外においても非常に研究が少ないと、文献サーベイを行ったRossin-Slaterというスタンフォード大学の学者は言っています。
ここまでをまとめますと、育児休業制度あるいは給付金の政策効果を把握するには多様な指標があるということです。現在の日本では、とかく継続就業率が注目されがちですが、それだけでなく様々な効果を考慮して評価する必要があるということです。
次に、分配面についてのお話しをさせていただきたいと思います。これは、先ほど事務局からお話いただいた初回受給者数の推移と、その年の出生数です。ただ、出生数は暦年データなのですが、初回受給者数は年度データなので、ちょっとずれがあります。大ざっぱに見ていただければと思います。
今、2021年で出生数が81万人ぐらいまで落ち込む中で、育休給付金の初回受給者数はハイペースで伸びてきています。男性も増加してきています。結局、その年に生まれた子供から見て、46~47%ぐらいのお母さんは育児休業を取得しているということになるわけです。これは、10年、20年前と比較しますと顕著な変化であると言えますし、その背後に一体何が起きているかという点は、注目されます。
こちらの表は、社人研の「出生動向基本調査」のデータを使って作成しました。一番上の欄は5年刻みになっていますが、その期間に第1子を産んだ人が、妊娠する前にどのような従業上の地位にいたのかを構成比で表しています。これを見ますと、2000年代に入りまして、妊娠前に正規の職員だった人の割合が顕著に増加している。直近で51.6%を占めるようになっています。一方、パートや派遣は、2000年代当初は20%~30%前後だったのですが、それが最近低下し、無職の割合も低下している。つまり、最初の子供を産む女性に占める正規労働者の割合が顕著に上昇しているのです。
その間にマクロでどういうふうな変化があったかと考えますと、例えば30~34歳の女性について見ますと、未婚率は上昇しておりまして、30~34歳で4割近くは未婚である。それから、非正規化も進んでいる。そういった中で、結婚していて妊娠して子供を産むという女性においては、正規労働者の割合が大幅に上昇しているというのは、注目されます。女性全体の中で見て、育児休業を取得する人が正規の職員・従業員に偏る傾向が強まっているのではないかということが考えられるわけです。
そういった育児休業制度利用者の偏りということに加えまして、地域的な偏りというのもあります。こちらの図は2017年度の雇用保険事業年報のデータを使って作成しました。都道府県別の育児休業給付金の初回受給者数が棒グラフで示されています。1人当たりの給付額が黒い太線です。細線は、その県の出生数に占める初回受給者数の割合となっています。これは育休取得者の割合と受け止めていただければよろしいかと思うのですが、御覧の通り、出生数が東京などの大都市圏に集中しているだけでなく、給付金の初回受給者数も東京に集中しており、育休取得率が突出して東京は高いという傾向があります。
ただ、注意しなくてはいけないのは、これは事業所の所在地で初回受給者数を把握していますので、例えば埼玉県から東京の会社に通っているという場合には、埼玉県で子供を産んでも、その人は雇用保険上、東京の人と扱われてしまいますので、そういう意味では東京や大阪などの育休取得率が過大に推計されているということは、可能性としてはあります。そうは言うものの、大都市圏に非常に偏り、かつ、1人当たり給付額も高くなっており、地域的な面でも育休格差は大きいと言えます。
育児休業制度というのは、そもそも格差を拡大するメカニズムを内在しているということが言えるかと思います。先ほど言いましたように、正規労働者に偏って育児休業制度を利用する傾向にあるということがありますし、地域的にも所得水準の高い大都市圏に偏っているということがあります。そういった育児休業制度を使って就業継続をした場合には、生涯所得が高くなるわけですし、それを利用できなかった場合には、あるいは退職した場合には、生涯所得が低くなってしまう。そういう意味では、女性の中での格差を拡大するメカニズムを内在しているということが言えます。
さらに、人々の結婚パターンについては、assortative mating(同類婚)の傾向があることが知られています。学歴と所得が高く、育休制度を取得して継続就業する正社員女性は、同じように高学歴・高所得の男性と結婚している可能性が高いので、これを考慮すると、育児休業制度は世帯間の所得格差の拡大につながる可能性もあります。
そういったところについて着目する研究は海外でも増えてきています。例えば、所得階層によって育児休業制度へのアクセスに格差があるということを指摘する研究が、カナダやノルウェーの研究者から出てきています。
次頁に引用しているDahlという研究者がノルウェーのデータを用いて分析した論文では、非常に興味深いグラフが掲載されています。左側のグラフをご覧ください。これは出産1年前、つまり妊娠前の段階での世帯所得の分布を示しています。黒い部分が育休を利用できる立場にある女性の所得分布で、白抜きの部分が育休を利用する資格がない立場にある人たちです。育休を利用できる立場にある女性は、妊娠前から高所得層に偏っているということが見てとれるわけです。
右側のグラフは、世帯所得、世帯の可処分所得階級別に、日本で言えば育休給付金の受給額を点で示しています。黒丸が税引き前、グレーの丸が税引き後なのですけれども、高所得層ほど、より多くの給付金を受給しているということを見てとることができます。なぜそうなるかというと、日本と同様に、休業前所得の一定割合を給付金として支給する――もちろん上限額はありますけれども――そういう制度設計をしているからです。このことが、逆進的な再分配をもたらしているわけです。
また、Banaらの研究によりますと、賃金プレミアムが高いところに勤めている労働者、言ってみれば、良好な職場環境にある労働者のほうが、より社会保障制度、育休制度などを利用しやすい、利用する傾向にあるということが指摘されています。この背景には、雇い主が利用に積極的だったり、情報提供に積極的だったりするということがあると考えられます。そういうことを考えますと育児休業制度には、格差拡大的な側面があるということが言えるかと思います。
ただ、幾つか注意すべき点もあります。まず、逆進的あるいは格差拡大的な面があるからといって、この制度全体が駄目だというものじゃないということですね。ほかの社会保障制度にも、逆進的な側面を持っている制度は多数あるわけでありまして、従前所得にリンクした厚生年金ですとか、あるいはそもそもの雇用保険制度にも、雇用保険でカバーされない労働者が抜け落ちているという問題があるわけですから、育児休業制度だけ、あるいは育児休業給付金制度だけを取り上げて、それを否定すべきというものではないだろうということが1つあります。
また、育休を利用する人の中に正規の職員・従業員が増えている、あるいは出産する人の中で正規の職員・従業員が増えているということの背景として、そもそも子育て費用の私的負担が非常に大きいという日本の事情があると考えられます。育休を使って継続就業ができる、そういう見通しを持てる人だけが子供を産むようになっているのではないか。だとしたら、それは育休制度の問題というよりは、日本における家族政策の在り方の帰結であると見ることもできるかと思います。
また、格差拡大的な出生政策をとっている例は日本以外にもあります。例えばフランスの所得税制などはN分N乗方式を取っているのですけれども、これは高所得層ほどたくさんの子供を産むインセンティブを与えているような制度です。以前にこれについて詳しい方にお話を聞いたこともあるのですけれども、高所得層は人的資本が充実しているから、そうした生産性の高い人にたくさん子供を産んでもらうことはよいことなのだとおっしゃっていました。そういう見解もあるということを申し述べておきたいと思います。ですので、格差拡大的な面があるというだけで、それを否定すべきものではなく、様々な面を含めて育児休業制度を総合的に評価することが必要であろうと考えます。
それから、財源問題についてですけれども、これについては非常に悩ましい。先ほど水島先生が多くの文献を基におっしゃっていましたように、現状を考えれば国庫負担に移行したほうがという説は、非常に筋が通っていると考えます。特に子供の外部効果などを考えれば、子育て費用を社会全体で負担するようにするべきだという考え方も十分ありえますし、また、育児休業制度が利用できない人々も何らかの給付を得られる可能性が出てきます。
ただし、利用において、その権利性がどこまで保障されるかということと、国庫負担に移行したからといって安定的な財源が果たして保障されるのかどうかといったことは、また別問題であり、それについても議論しなければいけないと考えます。
また、先ほどの海外の研究などでも指摘されていますように、もしも国庫負担になってしまった場合、制度の利用に対して職場にどのような理解があるのかといったことも気になります。今は雇用保険の中で行われているから企業側のコミットがあるようにも考えられるわけであって、そこがどのように変化するかといったことも注目すべきではないかと思います。
最後に、2点ばかり申し上げたいことがあります。先ほど事務局からの御説明にもありましたが、男性の育児休業取得者がかなり増加しておりますが、果たして、男性育休を政策として促進していって財政的に大丈夫なのでしょうか。もちろん、ジェンダー平等の観点からは大いに進めるべきだとは思うのですけれども、雇用保険財政という観点から見ますと、所得が高い男性が、もし本当に政府目標あるいは女性並みに育児休業を取得するようになったときに財源が確保できるかどうかが懸念されます。
もう一つは、育児休業取得率の定義についてです。先ほど私は出生数に占める初回受給者数の割合を使って全体的な意味での育児休業取得率というのをお示ししました。現在、一般的に使われている育児休業取得率は、言ってみれば、就業を継続した人に対して、回顧的にあなたは育休を使いましたかと聞いている指標ですね。これを政策目標ですとか政策評価に用いることが果たして適切なのだろうかという疑問をかねがねもっておりました。女性の育児休業取得率が80%から90%近くに達したといっても、それは企業の中で継続就業し得た人に対して振り返って尋ねているだけですから、ミスリーディングではないかというのが私の考えです。
以上です。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございました。
水島先生、大石先生、どうもありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえまして、各委員から御意見等をいただければと思っております。恐縮でございますけれども、名簿の五十音順で、酒井先生から順次御発言をお願いしたいと思います。それでは、酒井先生、お願いできますでしょうか。
○酒井委員 それでは、私のほうから意見を述べさせていただきます。
しょっぱなで恐縮なのですが、私、前回の求職者支援制度に関する議論の際に1点述べ忘れていたことがあるので、今日の議論には関係ないのですけれども、それを1点だけ述べさせてください。求職者支援制度について前回議論したわけですけれども、求職者支援制度の利用状況を表す指標として、求職者支援訓練の受講者数というものが用いられるのが通常です。このこと自体、何か問題があるというわけではないのですが、求職者支援制度の求職者支援訓練に関しては、いわゆる雇用保険受給資格者も利用しており、半数くらいが雇用保険の受給資格者だと聞いております。
一方で、雇用保険受給資格者以外の者、すなわち求職者支援制度の本来の対象者ということですけれども、この方たちで公共職業訓練を利用している方も多数いるということで、単純に言えば、受給資格者と受給資格者以外の者が求職者支援訓練と公共職業訓練に相互乗り入れしているという状況かと思います。
これまで多くの場面で、求職者支援訓練の受講者数をもって、求職者支援制度が機能しているかどうかといったことを議論してきたわけですけれども、セーフティネットとして求職者支援制度が機能しているかどうかという観点からは、受給資格者以外の人たちが、求職者支援訓練か公共職業訓練かにかかわらず、そういった訓練をどれくらい利用しているのかという数値も重要かと思いますので、私からの1つの提案として、こういった受給資格者以外の利用者数も統計数値を示したほうが、議論が深まるのではないかということがありますので、1点述べさせていただきます。
すみません、以上が前回述べ忘れたことなのですが、それでは、今回の育児休業給付ということに関して意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、事務局からの説明、水島先生、大石先生からの説明、大変ありがとうございました。これまでの制度経緯、それから育休給付に関する課題が全て分かる、育休給付の現在地がクリアに分かる資料かと思います。非常に勉強になりました。ありがとうございました。
それで、私の意見になるわけですけれども、今回のお話を聞いていて、まず思うことは、事務局からお示しになった資料ですと、資料2の44ページとかがこれに該当するかと思いますけれども、有期雇用の育休受給者が少ないなという印象を持っております。この資料がすごく貴重な資料だと思うのは、今までほかの統計資料で、有期の非正規雇用の育休取得率が低いといったことは示されてきたわけですけれども、実際の受給者数が期間雇用とそれ以外に分けて示されたというのは非常に限られていたかと思いますので、非常に貴重な資料かと思います。これを見て、現行の育休給付というものがユニバーサルなものにはほど遠いのかなということを感じる次第です。
一方で、育休給付も、形式的にはこういった非正規雇用の人たちに門戸がかなり開かれてきたとも考えられるわけです。それにもかかわらず、圧倒的に非正規雇用の人たちの育休給付の受給が低いという状況に関して、踏み込んだ分析が必要なのではないかと考えます。34ページに、正規雇用については、その育休給付に至らなかった理由といったものが調査によって明らかにされているわけですけれども、これの非正規雇用版というか、単純にアンケート調査するだけではなくて、定量的な分析も含めて、踏み込んだ分析が必要になってくるのかなという気がします。
続いて、2点目の意見になるのですが、水島先生のほうからもかなり詳細に御報告ありましたけれども、育休給付の位置づけということについてです。現在、育休給付は、雇用保険の支給総額のかなりの割合を占めるようになっていて、メジャーな給付になっていると言えるわけですけれども、一方で、給付の性格、位置づけということに関しては、雇用保険制度の中心的な趣旨からすると、やや外れつつあるのかなという気がしております。したがって、雇用保険制度に今後もこの育休給付というものを乗せ続けるには、雇用のセーフティネットとしての側面が改めて見直されなければいけないものかなと考えるところです。
特に、雇用保険財源がかなり潤沢であったときであれば、いろいろなものを取り込んでいくということも考えられるわけですけれども、現在のように雇用保険財源も厳しいような状況においては、本当にこの雇用保険制度に育休給付というものがなじんでいるのかということを、しっかりと考えて議論していくべきなのかなという気がいたします。そうすると、雇用保険から切り離すのかという話が出てくるわけですけれども、もちろんそういう可能性もあると考えます。ただ、雇用保険から切り離すこと、イコール、全額国庫負担でやるのかというのも、また単純にそうなる話ではないのかなという気もしております。
あと、もう一点あります。男性の育休取得と育休給付の受給という議論がございます。現在、男性の育休受給がかなり増えてきているという状況ですが、全体としては、いまだ女性に比べれば少ない状況ということです。ただ、これは今後、どういうふうに男性の育休取得を引き上げていくか。もちろん、その帰結として、先ほど大石先生から御指摘あったように、財源の問題をどうするのかという議論もありますが、まず、育休取得を引き上げるにしても、これも先ほどの議論と関わることですけれども、雇用保険制度の枠組みの中でいろいろといじってやるべきなのかという議論があるかと思います。
先ほど水島先生のお話にありましたけれども、男性においては、就労か休業かという選択に直面しているということであれば、究極的に言うと、休業することの機会費用を引き下げるという意味で給付率を10割にするということが考えられるわけです。しかし、そういったことをしたときに、雇用保険制度として適切なのか。今でも、給付率はほかの国に比べればかなり高い状況です。そういったことが適切なのかということも含めて考えていかなければいけないかと考えております。
私からの意見は以上となります。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
続きまして、佐々木先生、お願いできますでしょうか。
○佐々木委員 事務局の方、水島先生、大石先生、どうもありがとうございます。少しかぶっている部分がありますが、私から4つほどお話ししたいと思います。
1つ目は、これまでお話があった財源の話ですけれども、雇用保険において本来の役割と考えられている求職者給付は9274億円であるのに対して、育児休業給付は7300億円であり、求職者給付よりも少ないですが、その規模が非常に大きくなっております。育児休業給付の本来の目的は出産後の女性の雇用継続ですが、今では少子化対策になっております。そうなると、雇用保険会計ではなく一般会計で賄うのが筋ではないかという考えになると思います。
雇用保険財源が十分あるのなら、このまま雇用保険会計で賄っていくという考え方もありますが、今はそうではありません。財源の在り方について考えていくべきだと思いますが、では具体的にどのようにすればいいかとなると、なかなか良いアイデアが浮かばない状況であります。
2つ目として、恒常的・定期的に就業する場合、育児休業を取得できないとありますが、もう少し柔軟な運用ができないのかなと思いました。現状では、全く働かない場合と働く場合の二択しかありません。0と1の中間に位置するようなケースも取り入れるようにすればいいのではないかと思います。育児休業給付を受け取れるが、その期間、100%働くことはできないし、そして100%、会社からの情報が入ってこないというのは、かえって受給者は好まないのではないでしょうか。ある程度会社とのつながりを持ちつつ、育児に従事したいという要望もあると思います。
3つ目は、男性の育児休業に関することです。男性の育児休業の取得が促進されておりますが、34ページにあるように、育児休業制度を利用しなかった理由として、41.4%の男性の正社員は収入を減らしたくないからを挙げております。夫の賃金が女性の賃金よりも高いケースがあると思いますが、もし給付率が100%でないならば、家計の収入を最大にすることを目的だとすると、妻が育児休業を取得するのが家計の最適な選択となります。どちらが育児休業を取得するかは家計内の判断でありますし、家計内で合理的に決めると思います。過度に男性に育児休業を促進し、取得するように働きかける必要はないのかなと思います。
ただ、どちらが取得するかに関して非合理的な判断に基づいている場合、例えば性別役割に固執しているような場合だったら、ジェンダー平等の観点から、育児は男女共同で行うものだと気づかせるために、男性の育児休業の取得促進というのは必要ではないかなと思います。
次に、45ページだったと思いますが、子供が1歳から1歳6か月の場合の育児休業給付の延長者は、令和3年度で約14万人と、初回受給者の約3分の1が延長を選択しております。待機児童のような保育施設の供給不足が原因なら、早急に保育施設を増やすことが必要ですが、今では需給バランスが取れていると聞きます。定員割れする保育所もあることから、保育サービスの需給関係にミスマッチが発生しているのではないかと考えられます。
供給側の問題点としては、入園時期が年1回しかなく、そのタイミングで入園手続を取る必要があることです。通年で入園できるような柔軟な運用方法が採用できれば、定員割れが減るのではないかと思います。
需要側の問題点としては、育児休業給付の延長がしやすいので、希望する保育園に入園できないなら延長を容易く選択することになると思います。ちょうど求職者給付金が支給されやすいなら、求職期間が長くなる失業者と同じ構造です。希望する保育園に入園できる可能性が高くなるような育児休業給付の延長は、育児する受給者のウェルビーイングを引き上げて好ましいのですが、財源には限度がありますので、バランスのよい制度を設定していくことが必要ではないかなと思います。
以上4点を私の意見とさせていただきます。以上です。
○尾田雇用保険課長 佐々木先生、ありがとうございました。
そうしましたら、次、土岐先生、よろしくお願いいたします。
○土岐委員 よろしくお願いいたします。
山口さん、水島先生、大石先生、御説明ありがとうございました。大変勉強になりました。
私からは、ほとんど1つなのですけれども、育児休業給付の中長期的な在り方に関して意見を述べさせていただければと思っています。育児休業給付の性格が変わっていったという水島先生の分析は、おっしゃるとおりだとお話を伺っておりまして、当初の給付率が低く抑えられていた時期、それから復帰後に残りの部分を払う仕組みであった時期は、失業回避とか雇用の安定のためという雇用保険法の理屈による説明が、非常につきやすいと思いますけれども、平成26年以降の給付率が引き上げられたり、男性による育児休業の取得を積極的に推進するということが言われるようになってから、給付の目的が変容していったということは認めざるを得ないのではないかなと思います。
令和2年の改正で、育児休業給付を失業等の給付とは違う給付体系に位置づけたことで、従来言われていた失業給付との均衡という縛りはやや薄まったというか、水島先生も、雇用保険法の法的正当性はなお失われていないのだという御説明をされていたと思うのですけれども、体系を変えたことで、育児休業給付制度のつくりの自由度は多少上がったと思うのですけれども、雇用保険法それ自体が、労働者の雇用とか生活の安定などといった労働市場政策の一環として行われているということを考えると、その点で限界があるということは押さえておく必要があるかなと思います。
財源の負担者も、そうした観点で設定されているということだとすると、少子化対策とか男性の育児休業の取得促進という目的を、さらにより強く読み込んだ形で制度設計をすることは、気をつけて考えていかないといけないと思います。
それから、今の点に関連するのですけれども、日本の育児休業制度や休業給付の制度は、実際の権利行使の実態が男女別に見ると大きな偏りがあるのですが、父・母、それぞれが労働者であるということに起因して権利が与えられており、給付率も諸外国と比較すると充実しているというのが1つ特徴なのだろうと思っています。
最近の日本の育児休業や休業給付に関する改正は、育児休業促進のために行われているという認識をしているのですけれども、資料2の比較法でほかの国の制度が載っていた部分で、スウェーデンとかドイツも拝見していると、男性の積極的な取得促進という施策を打っていて、スウェーデンは、両親合わせて休業取得期間を設定したり、ドイツは、先ほど水島先生の御説明にもございましたが、給付について両親合わせて設定するといったところで、日本では労働者個人個人で見ていますけれども、世帯という言い方がいいのかという問題はありますが、世帯という単位で仕組みを考えているように見えました。
男性の育児参加を促進するための一つの考え方として、個人よりも世帯単位で、休業の期間や所得保障を考えるという発想自体は大切だと思います。ただ、ここで出ているスウェーデンとかドイツを見ると、ドイツは給付を税財源で運営しているということのようですし、スウェーデンは、両親保険という、雇用保険とはちょっと違う仕組みを使って、しかも使用者だけじゃなくて、自営業者も保険料負担をしているということで、世帯単位で物事を考えるときには、財源の仕組みとしては、こうした仕組みのほうが適切なのかなと考えます。
もちろん、丁寧な議論をする必要はございますが、労働者と使用者が主に保険料を負担しているという日本の制度の下で、世帯単位で考えていくという発想はちょっとなじみにくいのだろうと考えており、そうした点でも、雇用保険制度に位置づけられている育児休業給付を、男性の育児休業促進という観点で、さらに充実させていくというのは難しいような印象を持っています。男性がどんどん給付を取るようになると、今度は財源が厳しくなるというお話もございましたが、少子化対策、本来、労働者として働いている人以外の所得保障も考えないといけないということになると、雇用保険のみでやるというのとは違う方策というか、視点も必要になるのかなと思っているところでございます。
私からは以上です。
○尾田雇用保険課長 土岐先生、ありがとうございました。
続きまして、水島先生からお願いできますでしょうか。
○水島委員 水島でございます。
大石先生、本日は貴重な御報告ありがとうございました。大石先生の御報告を伺って、育児休業取得には様々な要因があって、私は育児休業給付だけに着目していましたけれども、それは狭い見方であって、家族政策として見る必要があると思いました。大変勉強になりました。
育児・介護休業法と雇用保険法は別の法律であって、別の原理に基づくべきものであるにもかかわらず、育児・介護休業法の改正に併せて、当然のように育児休業給付が措置されてきたことに前から疑問を持っていたのですが、改めて疑問を持ちました。例えば、出生時育児休業給付も、当然に雇用保険の育児休業給付でやりますということだったのですけれども、女性の産後休業期間に対応するものという見方をするならば、例えば健康保険の給付を拡充する方法もあったのではないかと、今さらながら思います。
また、酒井先生も、諸外国と比べて、比較的高水準の給付を行っていると指摘されていますけれども、仮に雇用保険で行うのであれば、今の水準が妥当であるのかは、早期に見直す必要があると考えております。
男性の育児休業取得を促進することを強めるとか、働き方に中立的な社会保障を目指すことは、重要な政策目標であると思いますけれども、それは、雇用保険の枠内の議論ではなくて、まさに家族政策として捉えるべきと考えます。
私からは以上です。
○尾田雇用保険課長 水島先生、ありがとうございました。
続きまして、山川先生、お願いできますでしょうか。
○山川座長 水島先生、大石先生、山口さん、大変ありがとうございました。
最初に、ごく簡単な質問なのですけれども、まず、水島先生の御発表の中で、育児休業給付がいろいろ変容しているということが非常によく説得的にお話しされていて、よく分かったところです。社会保障法の中でいろいろ議論されているということもよく分かりまして、1点だけ質問は、社会保障法の理論というか、法学の中で、どういうふうに制度を設計すべきか、全部国庫負担に切り換えるというのは、ひょっとして、今、政府でそれを検討しているのかもしれませんが、そういう議論が立法論として社会保障法学の中であるかというのが御質問です。
それから、大石先生にも1点、御質問がありまして、大石先生から、実態を見た上で政策評価を複合的な観点から行っていくという点は、ある意味、難しさも含めてよく理解できたところです。酒井先生もおっしゃられていたかもしれませんけれども、継続就業意欲が高い者は育児休業制度を利用するという、それは機会費用が高い者は中断を避けることを選択するというのは、ある意味で合理的な行動なので、雇用継続という制度の趣旨に着目する限りは、その制度が実効性を上げているという評価もできるのではないか。それが逆進性を持つかどうかは、また別かもしれませんけれども、せっかくの機会ですので、それぞれ先生方から御意見をいただければと思います。
すみません、私の意見は、この後にまた申し上げます。
○尾田雇用保険課長 分かりました。それでは、今の山川先生の御質問に対しまして、水島先生、大石先生、それぞれ御発言いただければと思います。
水島先生からお願いできますでしょうか。
○水島委員 ありがとうございます。
立法論のような検討は進んでいないと思いますが、甚だ不勉強ですので、渡邊先生も育児休業給付などに関連して論文を書かれていますので、もし御存じのことがあったら、後ほど補足いただければと思います。
○尾田雇用保険課長 それでは、大石先生、お願いできますでしょうか。
○大石臨時委員 山川先生、御質問ありがとうございます。
就業継続意欲が高い人がより利用している。それは全く問題ないのではないかという、そこは私も全く同意見です。実証面でやや面倒な問題は、もともと就業継続意欲が高くて育休制度がなくても、あるいは育休の給付金が充実していなくても継続就業するつもりだった人々と、休業給付金が充実していなければやめてしまったであろうけれども給付金が充実していることによって就業継続するようになった人々を分けて捉えることができるのかという点です。後者のほうの効果が大きいのであれば、政策効果が非常に上がっているということは言えるのではないかなと思います。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
今の御発言を受けて、山川先生、御発言ございますか。
○山川座長 ありがとうございました。いろいろ注意を要する点も伺えまして、お二人の御回答は大変参考になりました。
それで、個人的な意見としては、水島先生がおっしゃられたように、育児休業給付が変容してきて、最初は雇用継続のための制度だったのが、だんだんと一般的な子育て費用の支援のようなものになってきて、性格がちょっと異なってきているのかなという感じがあります。有期雇用を対象にだんだん拡大していることも、それとちょっと近いのかなという観点があります。
ただ、一企業の雇用継続に限らなければ、労働市場からの退出防止という点から、まだ説明がつくのかなという気もしますが、いずれにしてもちょっと複合的な性格を育児休業給付が持っているような気がしまして、ある種、基礎年金と上乗せの年金の関係とちょっと似ているような感じもして、それぞれの役割を考える必要があるかと思いました。財源についてもなかなか難しいところがあろうかと思います。
先ほどの労働市場からの退出防止で説明できるのかというのも、よく考えると、そもそも労働市場政策と雇用保険政策の位置づけの問題で、労働市場政策としては、第1に労働力のある程度の質と量を確保するという少子化対応的なものがありまして、それから就業率を高めるというのも、多分労働市場政策の中に入ってくる。さらに生産性を高める。これは、かなり積極的労働市場政策に入ってきて、その3つ、ないし、もっとあるかもしれませんけれども、それぞれを雇用保険政策として、どう位置づけるか、あるいは位置づけることができるかという観点が出てくるかと思います。労働市場からの退出防止という点では、労働市場への参加率を高めるという説明ができるかもしれませんけれども、そこはいろいろ議論があるかと思います。
もう一つは、仮に雇用保険制度を残して、あと、被保険者にならない人については国庫負担でやっていくとなると、保険料を負担する側から納得感が得られるかという問題を考慮する必要があるのかなという感じもしております。
すみません、以上です。ありがとうございました。
○尾田雇用保険課長 山川先生、ありがとうございます。
続きまして、渡邊先生からお願いいたします。
○渡邊委員 先生方、御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。
私のほうからは、大きな点としては1点だけ申し上げたいと思います。先ほど、佐々木先生のお話の中に出てきていたかと思いますが、雇用保険の目的といった観点から言った場合、育児休業給付というよりは、短時間勤務といったところで、仕事をしながら、かつ育児もといった両立を図りやすいところでの給付の在り方というのを、そろそろ検討してもいいのではないか、正面切って検討すべき時期ではないかといった思いを持っております。
というのは、休業するということは、それだけ職場から離れてしまうということになります。そして、育児休業が最長2年間まで可能になっているということを考慮し、また、職場から離れる時間が長ければ長いほど、復職というものは困難になりやすいということが考えられます。そうしますと、育児休業期間の所得保障というよりは、就業の継続といった観点からは、短時間勤務に伴う賃金の減少を補塡するといった給付の在り方というのを考えていくべきではないかという考えを強く持っています。
ほかは、各先生がおっしゃられていたように、育児休業給付というものが制度導入当初から性格づけが随分変わってきてしまった。それを今、雇用保険の中でなお維持すべきかどうか。それは、改めて検討すべき問題であって、一般財源といった財源の在り様も含めて、大きく見直さなければならないと思いました。
私からは以上でございます。
○尾田雇用保険課長 渡邊先生、ありがとうございました。
そうしましたら、今までの議論を踏まえて、大石先生、水島先生から追加的な御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
大石先生、いかがでしょうか。
○大石臨時委員 男性育児休業についてですけれども、佐々木先生がおっしゃったように、男女の現状の賃金格差がある状況で、世帯が合理的な判断をすれば、女性のほうが育休を取得するのが合理的な判断として出てくるというのは確かにありまして、そこにどのぐらい介入するのかというところも考えなければいけないというのは、確かにあると思うのですね。
その一方で、酒井先生がおっしゃったように、男性の育児休業取得をより促進するには、例えば給付率を一気に10割にしてしまってインセンティブをつけるという方法も考えられる。なかなか難しいバランスというか、どちらのほうにポイントを置くのかが難しいです。結局は、男性の育休取得を阻んでいるのが収入面なのか、そうではなくて職場環境や意識なのかといったところがまだはっきりしていないことが根本的な問題としてあるのではないでしょうか。もちろん、育休取得を阻む要因についてのアンケート調査などはありますけれども、十分には解明されていないように思います。
男性の育休期間が短いということを考慮すれば、一案としては、期間を区切って1~2か月、10割給付にしてしまうということもあり得るのかもしれないと、酒井先生のお話を聞きながら思いました。実際の政策ではお試しのようなことをするのは難しいのですが給付引き上げの社会実験ができればよいのかもしれません。
感想じみていて申し訳ありません。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございます。
水島先生、何かございますでしょうか。
○水島委員 ありがとうございます。
渡邊先生の御発言を伺って、私も本当にそのとおりだと思います。佐々木先生や渡邊先生がおっしゃっていたように、短時間勤務に対する支援を今後考えていく必要があると思いました。
ドイツではパートタイム(短時間勤務)を夫と妻がうまく組み合わせて、短時間勤務で賃金を得ながら長い期間、両親手当プラスを受給できます。その仕組みは、非常に参考になると思いました。そのような労働者の短時間勤務の希望に対して使用者が対応することは困難があるということで、反対がありそうとは思いますが、将来的な方向性の1つとして、ぜひ議論を深めていければと考えております。
以上です。
○尾田雇用保険課長 ありがとうございました。
それでは、ほかの先生から、もし一言だけということがあればお受けしたいと思いますが、大丈夫でしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、お時間でもございますので、本日はこの辺りで議論を終了したいと思います。
本日の議論を踏まえまして、山川座長のほうから総括をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○山川座長 ありがとうございます。
いつもながら総括は難しいのですが、今回は特に難しいといいますか、非常に基本的な、根本的な議論で、有益な研究会になったと思います。先生方の御意見を伺って、まさに制度がいろいろ複合的な性格を帯びるようになってきたというか、ポリシーミックス的な議論が必要になってきていると思いまして、その難しさもまた教わったところであります。
恐らく、例えば育児休業給付でしたら、その政策の中に複合的な性格が出てきていて、もう一つは、今回は余り議論になりませんでしたけれども、児童手当とか他の社会保障の中での政策との関係も整理する必要があって、あくまで育児休業給付は労働政策なので、それをどういう位置づけにするかという観点から、今日の議論は非常に参考になりました。
最終的には、これまでの制度の動きを見ても分かりますけれども、民主政治の下で、国会が立法すれば、それで決まってしまうということが、正直なところあるわけですけれども、制度の持続性みたいなことを考えると、こういう議論をしておかないと将来の議論も不十分なものになるかなと思いましたので、大変有益な議論になったと思います。ありがとうございました。
○尾田雇用保険課長 座長、ありがとうございました。
本日は、闊達な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、予定の時間も参りましたので、これをもちまして本日の研究会は終了させていただきます。
次回の日程及び会場等の詳細は、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、委員の皆様、ありがとうございました。