第18回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年8月10日(水) 13:00~16:00

場所

web会議
(TKP新橋:東京都千代田区内幸町1-3-1幸ビルディング16F)

出席者(五十音順)

議題

(1)居住支援のあり方について
(2)支援を担う体制づくり及び人材育成等について
(3)生活保護業務の効果的・効率的実施及び不正受給対策について
 

議事

(議事録)
2022-8-10 第18回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第18回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
本日の委員の皆様の出欠状況でございます。
長島委員は13時半頃、宮本委員も途中退席される予定とお伺いしております。
また、大森委員につきましては14時頃に途中退席され、その後は岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課長の出原参考人が代理出席される予定とお伺いしております。
また、本日は岡﨑委員の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長の入木参考人、内堀委員の代理として福島県保健福祉部生活福祉担当次長の和田参考人にお越しをいただいております。
また、本日は居住支援のあり方に関する議論の参考人として、国土交通省住宅局安心居住推進課課長の上森康幹様、社会福祉法人みなと寮救護施設こうせいみなと施設長の前嶋弘様にお越しをいただいております。
入木参考人、出原参考人、和田参考人、上森参考人及び前嶋参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○河合室長 ありがとうございます。
出席委員につきましては22名となっており、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしている旨、御報告申し上げます。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。本部会の議事については公開となってございますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意いただければと思います。
それでは、会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退出)
○河合室長 続きまして、2点事務局から御報告でございます。
委員各位のお手元にもお配りしているもので、会場のほうにもお手元に配付しておりますが、前回7月29日の部会におきまして提出しました資料2「子どもの貧困への対応について」に関しまして、一部自治体から大学等進学率等の数値の修正依頼がございましたので、該当箇所の数値を修正している旨、御報告させていただきます。
なお、全国の大学等進学率につきましては、修正はございません。
あわせて、ホームページ上につきましても差替え後の資料をアップロードしておりますことを御報告いたします。
続きまして、事務局の出席状況につきまして、本日、社会援護局長の川又は途中参加の予定でございます。恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
それでは、これからの議事運営につきましては菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆さんこんにちは。東京も含めまして、非常に高温が続いております。また、一方で東北地方は豪雨のようでございまして、異常気象だと思います。
恐らく北海道は涼しいのではないかと思いますが、先週、帰省を兼ねて釧路に行きまして櫛部さんに会ってまいりました。竹田委員の釧路町まで足を延ばしたかったのですが、時間がなくて、また今度お会いできればと思います。
すみません。いきなり私的なところから入ってしまいましたが、議事に入らせていただきます。 本日の議事は3つ、「居住支援のあり方について」「支援を担う体制づくり及び人材育成等について」「生活保護業務の効果的・効率的実施及び不正受給対策について」となってございます。
進め方といたしましては、まず3つの議題につきまして事務局から資料に沿って御説明をいただき、その後、奥田委員、上森参考人及び前嶋参考人からそれぞれの取組について御発表いただきます。その後、発表者の皆様への質疑及び意見交換の時間を設け、休憩を挟んだ上で議事の3つにつきまして質疑及び意見交換の時間を設けたいと思います。
なお、本日、朝比奈委員、大西委員、生水委員、新保委員及び渡辺委員から資料の御提出がございましたので、資料7として配布をさせていただいております。
それでは、事務局から御説明をお願いします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
では、まず資料1「居住支援のあり方について」、説明いたします。
2ページです。こちらは、国交省、厚労省の「住まいのセーフティネット」に関する支援を示したものです。
4ページ、新型コロナの影響により性別や年代を問わず「住まい不安定」といった相談が増えることとなりました。
5ページ、ホームレスの方は直近で約3,500人確認されていますが、高齢化、路上生活期間の長期化が課題となっています。
6ページです。約4万人を対象とした実態調査を行ったところ、5年以内に不安定居住を経験した割合は約1%でした。
7ページは、一時生活支援事業と地域居住支援事業の概要です。
8ページです。一時生活支援事業の実施率は全国で約37%であり、人口規模が小さい自治体ほど未実施の傾向にあります。
一方、人口規模10万人以上の自治体でも156自治体が未実施であることから、多くの人が事業の対象になっていない状況です。
続いて10ページを御覧ください。事業の利用者では、40代から60代が大半を占めています。入所前の宿泊先は「公園」等の路上より、「自宅・知人宅等」や「ネットカフェ」などのほうが多くなっています。
12ページ、事業の「支援効果」として、利用者のうち約7割が就職や福祉等の措置の利用に結びついています。
13ページ、地域居住支援事業の実施自治体は50自治体にとどまっています。
14ページ、地域居住支援事業により「入居にあたっての支援」「居住を安定して継続するための支援」が行われており、その主なものを赤枠で囲っております。
続いて16ページですが、一時生活支援事業の未実施自治体のうち、今後の実施意向について「実施しない」または「未定」とする自治体が約半数でした。実施に当たっての課題として、「事業を利用する見込みのホームレスがいない」などが挙げられていますが、17ページにありますとおり、約半数の自治体は潜在的なニーズの把握を行っていない状況でした。
18ページです。一時生活支援事業の未実施自治体であっても、一定の居住支援のニーズが確認されております。
19ページです。緊急一時的な居所の確保については、コロナを契機に支援ニーズが顕在化いたしました。しかし、現在、各自治体や民間団体等が独自に取り組んでおり、事例を紹介しております。
続いて、住居確保給付金についてです。
21ページは、給付金の概要となります。
22ページです。新型コロナによる影響を踏まえ、休業等に伴う収入減少等により、住居を失うおそれが生じている方を新たに対象に加えました。このほか、コロナ特例として再支給や職業訓練受講給付金などとの併給などの措置を講じています。
23ページ、コロナ禍において給付金が生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たしました。
25ページですが、一方で令和2年度の受給者のうち「離職・廃業等」の方で常用就職して受給が終了した割合、「休業等」の方で就業機会が回復して受給が終了した割合、ともに低調となりました。
28ページに、「特に御議論いただきたい事項」をまとめております。
一時生活支援事業等については、自治体間の公平性を踏まえた事業のあり方、24時間365日、属性や課題を問わず緊急対応が可能な施設や支援のあり方等について、住居確保給付金については、コロナの特例措置等の取扱い、対象者要件や収入要件などの支給要件のあり方、自営業者等に対してどのような求職活動等を求めるべきか等といった点について御議論いただきたいと思います。
○河合室長 続きまして、保護関係のところに進ませていただきます。
保護施設と無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設、居宅移行について御説明いたします。
まず30ページでございますが、生活保護法に基づく保護施設の類型をお示ししております。生活保護上、救護施設、更生施設等が保護施設として位置づけられておりまして、施設数といたしましては令和2年10月時点で救護施設が183施設のほか、表に記載のとおりの数となっております。
32ページをお願いいたします。入所者の状態像についてです。こちらは、「年齢」、「入所期間」、あとは「入所者の1年後の居住の場所」等について、それぞれ書いてございます。
まず「年齢」でございますが、「65歳以上」が多くなってございまして、救護施設では半数以上が65歳以上となっております。
「入所期間」でございますが、救護施設では「10年以上」が約35%となっております。
右下の入所者の「1年後の居住の場所」につきましては、更生施設、宿所提供施設の場合は「地域移行」が多くなってございますけれども、救護施設の場合は「現在の施設に継続入所」が約83%で、「地域移行」が約8%となっております。
33ページをお願いいたします。保護施設における地域移行に向けた事業の御紹介となっております。
まず上のほうですけれども、「救護施設居宅生活訓練事業」はアパートなどの訓練用住居を借り上げて生活訓練を行いながら居宅生活への移行を支援するもので、113の救護施設で実施しております。令和2年度の実績としては、参加者数387名のうち118名が地域移行を果たしております。
次に、下にございます「保護施設通所事業」は、原則として保護施設退所者について居宅生活の継続を支援する取組となっておりまして、施設への通所、家庭への訪問を通じて生活指導などを行うものとなっております。令和2年度の実績としては、救護施設と更生施設で合わせて68施設で実施しております。
34ページです。保護施設の運営費に係る加算の御紹介となっておりまして、看護師や介護職員など、各種人材の増配置が可能な措置を講じております。
35ページ、そして36ページにつきましては、これまでの議論の整理の内容となっておりますので割愛させていただきます。
37ページ、「特にご議論いただきたい事項」でございます。
3つ用意しておりまして、1つ目は、救護施設等につきましては精神障害者をはじめ難しいケースなど、多様な支援が求められております。受け入れる対象者の状態像が複雑・多様化していることへの対応策についてどう考えるか。
それから、救護施設につきましては施設での取組をさらに地域での実践に生かすなど、地域で生活する被保護者などへの支援機能をさらに発揮させるための方策について。
3つ目が、入所者の地域移行を含め、より効果的な支援を行う観点から、福祉事務所や他の支援機関等との間で適切に情報共有を図るための方策について等々、それぞれどう考えるかという点について御議論いただきたいと考えております。
続きまして、38ページ以降につきましては無料低額宿泊所等になってございます。
39ページをお願いいたします。前回改正の概要となっておりまして、貧困ビジネス対策として無料低額宿泊所について事前届出制、法に基づく最低基準の創設ですとか改善命令の創設などの規制強化を図るとともに、良質な日常生活支援を行う無料低額宿泊所について公費による委託を実施しているところでございます。
40ページは、その日常生活支援住居施設の詳細となっております。
41ページは、その施設数でございます。令和4年4月現在、無料低額宿泊所は649、日常生活支援住居施設は120となっており、いずれも都市部に集中してございます。
42ページは、無料低額宿泊所の実施状況となっております。法人形態別の内訳といたしましては、NPO法人が約65%、営利法人約18%、その他約7%は個人運営も含まれる状況となっております。
日常生活支援住居施設の実施状況につきましては、資料には記載はございませんけれども、NPO法人が約9割、運営団体としては22団体となっております。
43ページをお願いいたします。無届の無料低額宿泊所への対応として、届出の勧奨を行っていただくよう都道府県宛てに通知しているものです。届出の義務はございますが、法律上、罰則はございません。
44ページです。無届の場合の罰則の適用がある事例といたしまして、有料老人ホームですとか認可外保育施設の例を御紹介するものとなっております。
続きまして、日常生活支援住居施設でございます。
46ページをお願いいたします。その事業の概要です。生活全般にわたる支援を行う保護施設よりは支援の必要度は低くなってございますけれども、日常生活上の一定の支援が必要な生活保護受給者が利用できる位置づけとなっております。支援は福祉事務所からの委託として行われ、必要な経費を公費で負担しております。
47ページは、施設管理者ですとか、計画作成責任者等を対象とした資質向上研修を国からの委託費で実施していることの御紹介です。
48ページは、令和3年度に日常生活支援住居施設において作成されている個別支援計画に関連した調査研究を実施したものとなっておりまして、制度の普及啓発、アセスメント能力の充実や福祉事務所の参画の必要性などが報告されております。
次に、居住移行の取組でございます。
50ページが居住の確保とその後の安定した生活を支援する補助事業の御紹介となっておりまして、51ページは同様に社会的な居場所づくり事業の御紹介でございます。
53ページ、54ページは、これまでの議論の整理となっております。
最後に55ページです。「特に御議論いただきたい事項」でございますが、無料低額宿泊所につきましては同様の届出制度を設けている他制度と同様の規制の必要性についてどう考えるか。日常生活支援住居施設につきましては資質向上の研修の必要性等、都道府県の役割についてどう考えるか。居住支援につきましては、補助事業のさらなる推進と困窮制度との一体化についてどのように考えるかという点について、それぞれ御議論を賜りたいと思っております。
以下は参考資料となっておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
資料1につきましては以上となります。
○米田室長 続いて、資料2「支援を担う体制づくり及び人材育成等について」、説明いたします。
まず2ページ、生活困窮者自立支援法では、都道府県は市等に対する助言や情報提供、市等の職員に対する研修などを実施することが定められています。具体的に期待されている役割として、任意事業の実施に向けた働きかけや広域での共同実施に向けた調整等があります。
続いて3ページ、市町村支援を担当する専任職員を配置している都道府県は2割弱にとどまっております。
4ページです。都道府県が市町村に対して研修を実施する場合等は、国の補助事業である市町村支援事業を活用することができます。
5ページ、都道府県による市町村支援の状況として、平成30年の法改正後、任意事業実施促進の働きかけや就労体験訓練の受入先の開拓などの実施率が大きく上昇しました。
一方で、「支援員向けスーパーバイズ」などの実施率は約1割にとどまっています。
続いて6ページです。国における市町村支援の取組として、各自治体が抱える課題に関して専門スタッフを派遣し、ノウハウの伝達や助言などを行うコンサルティング事業を実施しています。
7ページ、そのコンサルティング事業の実績として年間40自治体程度に対して支援を行っております。
9ページから11ページにかけての資料ですが、都道府県の市町村支援の取組の中でも行政だけでは対応することが難しいと考えられる社会資源の広域的な開拓などについては、支援者同士でネットワークを構築している地域があります。
続いて12ページ、福祉事務所未設置町村では一時相談を実施する上で困難ケースに対応できる人員体制が不十分など、支援を行う体制整備が課題となっております。
15ページからは「人材養成研修のあり方」についてです。
16ページ、支援に携わる人材の養成は生活困窮者自立支援制度の要となるものです。現在の研修体系では、主に初任者を対象として前期研修を国が、後期研修を都道府県がそれぞれ実施しています。研修の修了に当たっては、前期研修と後期研修の両方を受講する必要がありますが、後期研修は国が実施するブロック別研修でも代替可能となっております。
18ページの表の右側2つの欄を見ると、累計の修了者数が現任の支援者数に満たないという研修もあります。全ての支援員が受講できる体制を確保することが重要になっております。
続いて19ページ、都道府県による後期研修の実施状況については、令和3年度は約6割にとどまっております。
23ページに「特に御議論いただき事項」をまとめております。
まず自治体支援に関しては、都道府県による市町村支援の取組を進める方策、町村部を含めた小規模自治体に対して安定的に事業を実施するための支援の方策、人材養成研修等については生活困窮者自立支援制度の理念を踏まえた専門的な支援を行うための研修のあり方、国と都道府県のそれぞれの役割、現任者を対象とした階層別研修や一時生活支援事業及び子どもの学習・生活支援事業の研修の必要性といった点について御議論いただきたいと考えております。
○池上課長 続いて、24ページから生活保護の関係になります。
支援を担う体制に関する資料が前半のほうで続いております。
25ページを御覧ください。生活保護における都道府県の役割をお示ししております。(5)の主な役割のところに書いてある事項は、平成30年の法改正で加えられたものでございます。
26ページ、福祉事務所を設置していない町村の生活保護における役割をお示ししています。具体的には、第19条で要保護者を発見した場合の連絡や保護開始の申請の取次ぎなどが定められております。
27ページを御覧ください。都道府県等における管内福祉事務所への巡回相談等の事業の御紹介でございます。
それから、29ページは生活保護における居住地特例について、整理してございます。黄色い部分は、介護保険の住所地特例と取扱いが異なることをお示ししております。
31ページからは、人材養成研修に関する資料でございます。
32ページから、現在活用されている研修機会などを御紹介してございます。
少し先にいきまして、39ページで「特にご議論いただきたい点」を挙げてございます。都道府県における福祉事務所への支援として考えられること、福祉事務所を設置していない町村の役割、居住地特例の対象の拡大、ケースワーカーの研修等の充実、救護施設や日常生活支援住居施設等における支援の質の向上を挙げてございます。
続いて、資料3を御覧いただきたいと思います。「生活保護業務の効果的・効率的実施及び不正受給体制について」となってございます。
このうち生活保護業務の効果的・効率的実施に関しましては、地方分権提案の関係で既に家庭訪問の柔軟な取扱いについては先行して御議論いただいたところでありますけれども、改めて全体として御議論いただければと思っております。
3ページを御覧ください。ケースワーカーお一人当たり担当世帯数はこの10年間で改善はされましたけれども、まだ多くの世帯を抱えている状況となっております。
それから、6ページ、右側を御覧ください。多くのケースワーカーが困難さを感じる業務として、援助方針の策定や保護の実施の段階での業務を挙げておられます。
それから8ページ、有効な支援を行うためにはケースに応じて関係機関の連携が必要となりますけれども、連携に当たっての課題も多く挙げられてございます。
9ページ、福祉事務所における業務負担の軽減の取組としては、嘱託職員の活用やICTの活用などが挙げられております。
11ページを御覧ください。マイナンバーを活用した情報連携により、年金や課税関係の情報を取ることができますけれども、この仕組みを活用したことのある福祉事務所は6割にとどまっております。
12ページでは、情報連携を行っていない福祉事務所について御質問していますけれども、右側のほう、活用するきっかけとしては簡素なマニュアルの発出や研修の実施が期待されているところでございます。
13ページからは不正受給対策についてです。
14ページ、不正受給件数及び金額はここ数年は減少傾向となっております。
15ページ、16ページは過去の調査権限の強化などの法改正の内容を御説明してございます。
18ページを御覧ください。一部では複数の福祉事務所から重複して保護費を受給する不正が見られ、そのような事例があったと回答した自治体は40%に上っております。
19ページ以降は今後の議論に向けての論点となりますけれども、20ページを御覧いただきたいと思います。既に部会にお出ししている資料でございますけれども、業務負担軽減の調査研究におきまして基本的な考え方として○の1つ目のところですが、「ケースワーク」の質の向上の観点から議論する必要があるとされているところでございます。
25ページを御覧ください。「特にご議論いただきたい点」でございます。ケースワーカーの業務負担軽減について、ケースワークの質の向上の観点から議論すべきではないか。それから、関係機関との連携等を図ること、ICTを活用した事務負担軽減を進めること、不正受給対策として考えられること、複数の福祉事務所から重複して受給する事案への対応、最後にICTを活用した不正受給対策を挙げてございます。
事務局からの資料説明は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして議題に関して充実した意見交換ができますよう、奥田委員より居住支援の実践や支援のあり方などについて、上森参考人より国土交通省における住まい支援の現状や住宅行政の動向などについて、前嶋参考人より「救護施設こうせいみなと」における入所や居宅生活訓練事業などによる被保護者支援等について御発表いただきます。
奥田委員、上森参考人及び前嶋参考人におかれましては、それぞれ10分程度で御自身の取組についてお話しいただければと思います。
それでは、まず奥田委員から御発表をお願い申し上げます。
○奥田委員 皆さんこんにちは、奥田です。よろしくお願いいたします。
私は実は今コロナ陽性で明日まで待機期間中で、画面越しにはうつらないとは思いますけれども、せき込むのが取れないのでちょっとお聞き苦しいかもしれませんが、よろしくお願いいたします。資料を共有しながらやりたいと思います。
では、始めます。私のほうからは、「これからの居住支援の課題」についてということでお話をしたいと思います。
最初の前半部分は全体的な話で、これはさっと時間がないので流したいと思いますが、私はやはり基本的にはこの3つですね。住宅の確保をどうするか。さらに、日常生活支援というところをどう確立するか。さらに、つながりや参加ということをどう確保するか。
住宅の確保に関しては、やはり空き家活用の仕組みをつくるしかないと思います。これから空き家も増えていきますし、それをうまくマスターリース、サブリースするような半公的な受け皿をつくるべきだ。マスターリース、サブリースの差益を支援費に充当していくということも十分考えられます。
そういうわけで、住宅から見るとやはり支援つきの空き家活用型の住宅、共生型支援つき住宅というものが必要だ。
もう一つ、日常生活支援ですが、これは単純にいうとこの40年で世帯の形が大きく変わったということです。1980年、40年前は世帯類型の第1位、第2位を合わせると6割以上が家族のいる風景、夫婦と子どもなり、3世帯同居でありました。今、40年後の現在は約4割が単身世帯ということで、従来家族が果たしてきた役割が果たせない、あるいは脆弱化しているというところに居住の困難さというものが直結しているということです。保証人とか相談とか、結局こういうところがないと大家さんが不安になって貸せないということです。
この家族機能の部分をいかに社会化するかということがテーマで、この部分がうまくいけば大家さんの安心とともに当然入居者の安心、この2つの安心が居住支援においてはテーマになります。
ですので、ソフトの面からすると、支援つき住宅と、住宅を結語に持ってきて議論してきましたけれども、逆ではないか。住宅つき包括支援体制というもの、住宅つきの包括支援体制、住宅の形は変わっていきますが、この包括的な支援体制が変わらないという仕組みをどうつくるかというのが勝負だ。
従来の制度も、やはり本人、住まい、あるいは生活ということが成り立った上で制度が使えるという前提でしたから、ここが脆弱化すると、家族の機能が脆弱化していくとここに隙間が空いている。ここのところに新しい民間や新しい制度をどうつくるかということが勝負になるというところであります。
最後のつながりですが、つながりのところは従来、私たち抱樸ではハウスレスとホームレスは違う。家が確保できてもホームと呼べる人とのつながりがないというのが一番の大きな問題であるというふうに考えてまいりました。
ですので、この部分をつないでいくようなリンクワーカーの育成であるとか、あるいは居住というのは個人の家を確保するということのみならず、サードプレイスをどう確保するかというサードプレイスつきの議論がこれからは必要だと思っています。
全体的には、国の役割としては現金給付、現物給付、現物は住宅のことを指しますが、あるいはサービス給付、これがそれぞれ省庁はなかなか縦割りの現状でありますので、それを横つなぎするような居住支援の仕組みが必要なのではないか。基本、ハードは国交省、ソフトは厚労省、法務省が担当していく。
ただ、やはりこの縦割りをどう総合化するかということが問題で、こういう新たな仕組みが必要なのではないか。
さて、そこで今回の生困の改正に向けてですが、まず第1は対象です。現法の3条の6の規定で、6は1、2、3と分かれていますが、1が一定の住居を持たない、ほぼホームレスに適用されてきた。
2が、1で支援を受けた人に対して住居を確保した元ホームレスの人のアフターケアをどうするか。
6-3で、住居を失うおそれのある者をどうするか。
この6-2、6-3が地域居住支援事業というところでありました。
ただ、課題としては、先ほどの国の説明でもありましたように、多くの自治体が一時生活支援事業の対象者をホームレスに限定して見ている。これを今回の機会で、居住に課題を抱える人全体に広げる必要があるというふうに考えています。
住まいの困りごと相談の実績からしても、家がない、あるいは家をなくしたという相談が大体3割から4割です。自治体の一時生活支援事業をしない理由は、対象者、ホームレスがいないが55%、一方で未実施自治体で住まいの不安定の相談があったというのは86%に及んでいる。
6-2ですけれども、一時生活支援事業、つまり6-1を使った人のみが対象になっているということで、一時生活支援事業未実施の自治体はこの地域居住支援事業が使えないという現状です。ここを改善すべきだ。
6-3、現在の住居に住み続けることが前提というような書きぶりになっていますけれども、ここもまた問題で、住まいの困りごと相談に寄せられた相談の6割が居住中の方々からの相談であったということが言えます。
それで、改正案ですけれども、6-1ですが、明確に「野宿に限らず」という一言をつけ加えたらどうか。
6-2でありますけれども、今までの便宜を供与する「とともに社会参加や居住環境の調整を支援する事業である」というふうに明確に居住支援事業として位置づけていく。さらに、本事業を実施していない自治体に関しては「自立相談支援事業にて対応する」ということを明確に、誰が責任を持つかということを書いたほうがいいのではないか。
そして、6-2の対象者、イロハニですけれども、今までイとロしかなかったのですが、居住支援全体に広げていくということで、地域居住支援事業の拡充ということで、明確に対象者を日常生活や社会参加に課題がある人や、転居の必要や居住を失うおそれのある者や、日常生活を安定して送ることに困難を抱える者、あるいは貸し主の安心の調整が必要な人、地域社会から孤立している人、こういうところに明確に広げて居住支援事業としたらどうか。
そこで「名称と枠組み」ですが、名称を「一時生活支援事業」から「居住支援事業」という名称に改めまして、その中に従来の一時生活支援事業に当たるところと、地域居住支援事業に当たるところを2つの事業に分ける。上のほうがホームレスや緊急対応、下のほうはいわゆる居住支援に当たるところです。
この2つの事業に関しては、従来は一時生活をやったところのみが地域居住支援事業を実施できるという枠づけでしたけれども、両方あるいはどちらか1つでも選択できるようにする。そして、この実施目標を全体最低6割を目指すというようなことをつくればどうかと思っています。
次に「自立相談と居住支援人材」ですが、私は全ての自立相談事業所に「居住支援専門員」を配置すべきだと考えています。とはいえ、一気に全部というわけにはいきませんので、人口5万人以上ですね。先ほどの資料で見た人口5万人以上の基礎自治体に置くとなると、プラス324自治体になりますので、現在332自治体で実施されていますから、倍化できる。この専門員が住まいの困りごと相談との連携窓口になったり、あるいは居住支援法人との連携窓口となるということです。
自治体に対して自立相談と居住支援法人の連携強化を義務化するとか、あるいは居住支援についての研修実施ですね。自立相談支援員には必ず居住支援のカリキュラムを加える、あるいは現在一時生活支援事業を従事している方々に対しても研修をする。
4番目、「自立支援センターの今後」ですが、ホームレスの支援は今後も必要です。これはある自治体の調査ですが、国のホームレス実態調査ではホームレス3名未満と報告されていた自治体で実際にホームレスの状態からの保護申請が50名を超えているという実績があります。ですので、やはりホームレスはつかめていないというのが正直なところです。
そこで、自立支援センターはやはり改修が必要だ。施工後20年たちまして、老朽化が進んでいるということですね。
ただ、一方で、単にこの枠組みをやっていくのではなくて、この際、多様化したらどうかということです。一番下に書いていますが、集合型から分散型、つまりこれまでの仕様がホームレス仕様のために狭小だったり、多数部屋が多かった。これも問題で、ホームレスだからこれでいいという感覚は問題なんですけれども、今はそれが入居拒否の理由になっている。ですので、この入居がないセンター、入居施設がないセンターを中核とした地域の空き家活用型のセンターをつくればどうか。
5番目、「日常生活支援住居施設」についてです。これは、単純に委託費を見直していただきたい。
それから、設置するための最初の開所の補助金をつくるべきだ。そもそもケースワーカーが日常生活支援住居施設の存在を知らない方が多いということで、これは何とかしてほしい。
地域移行だけではなくて、「終の棲家」という活用の方法も積極的に進めるべきだ。
さらに5番目、勝手に私がつくっている名前ですが、「ソフト型日住」、従来は自前の物件を、物があってそこに人が入るというのが前提でしたけれども、自前物件を中心に自前物件を持っていない賃貸借契約をしている生活保護世帯で日常生活支援が必要な人にソフトを提供するという枠組みを今後考えるべきだ。
6番目、住まいの困りごと相談は今年に入って相談が急増しています。体制の拡充等が必要であります。
「住居確保給付金」に関しては、収入の上限が低過ぎると思います。もう少し「手前」で受給できるようにすること、あるいは必要に応じて期間は個別、それぞれの状況によって延長できること、離職、廃業2年以内の要件は撤廃すること、営業者に向けては求職活動要件は撤廃した上で事業再興に向けたコンサル等の支援ですね。そちらのほうが有効なのではないか。
8番目、「緊急対応」ですが、生活保護や生活困窮の窓口で緊急対応がどれくらい出ているのかというのをまずはっきりさせたほうがいい。その上で、一時生活支援事業の自治体に負担が偏らないように配慮すべきですね。それに関しては、まずは受け皿をどうつくるかということで、無低や日住、民間、福祉施設等へ一定の受け皿を必ず確保するということが必要であります。
あるいは、一時支援事業実施自治体と未実施自治体との間で対応のルールですね。例えば住所地特例などを考えないと、やはり実施自治体に集中してしまうということで、このルールの策定を急ぐべきだと思います。くれぐれも広域対応の議論は行政から見たら合理的なのですが、本人の意思ですね。本人が、施設があるところに行ってくださいという形で移動させられたときに、本人の合意というものが取れているかというのが最大の問題だと思います。
最後に「生活保護における居住支援」ですが、今、保護が増えてきている。これは、これからも増えると思います。コロナの特例で今、家賃が住宅扶助の条件に収まらなくても転居指導しないということで、一定の金額の範疇で緩和がされていますが、今後そもそも緩和においても、では家賃の差額はどこから払っているかというと、家賃が足らない分、生活扶助費から本人が払っているので、最低生活基準が担保されていないのではないかということで私は問題だと思います。
今後、「ダウンサイズ物件」への転居指導が想定される中で、あるいは高齢の単身保護者、被保護者が増加するという中で、やはり居住の支援というのは相当力を入れないと、今のケースワーカーさんの体制だけでは相当困難なのではないかと思います。
そこで、福祉事務所に居住支援の専門員を配置すること、居住支援法人との連携を強化すること、あるいはケースワーカー向けの研修に居住支援ということをきちんと位置づけてやっていくこと、このようなことがこれから大事なのではないかと思いました。
早口ですみません。以上です
○菊池部会長 奥田委員、御体調不良の中、大変ありがとうございました。
続きまして、上森参考人から発表をお願いいたします。
○上森参考人 ただいま紹介いただきました国土交通省住宅局安心居住推進課長の上森でございます。
本日は、居住支援のあり方について議論ということで、資料5に基づきまして居住支援等に関する最近の動きについて御紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、2ページでございます。これは、住宅確保要配慮者に対する入居制限の状況、その理由、必要な居住支援策について一覧表にしたものです。要配慮者に対する拒否感はまだまだ大きく、属性ごとに見ますと、必要な居住支援策としましては、例えば高齢者世帯や障害者世帯については見守りや生活支援、特に高齢者世帯については死亡時の残存家財の処理が必要な支援策となっております。
また、低所得者やひとり親の世帯につきましては、家賃債務保証の情報提供が必要な支援策となっております。
外国人世帯は言葉の問題もあり、入居の際のトラブル等の相談対応が必要な支援策として求められております。
3ページでございます。このような状況の下、平成29年の法改正により、住宅セーフティネット制度が創設されました。背景としましては、先ほど説明しましたように、様々な要因から入居拒否が非常に多くなっているという状況にありました。
一方、住宅のストックの状況につきましては、公営住宅の大幅増は見込まれない一方、民間の空き家、空き室は増加傾向にあるということで、空き家、空き室を活用し、住宅セーフティネット機能を強化することになったものでございます。
本制度は、大きく3つの柱から成っております。
1つ目は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、2つ目は登録された住宅の改修や入居に関する経済的支援、3つ目は登録住宅と要配慮者のマッチング入居支援です。
下にイメージを示しております。賃貸人、いわゆる大家さんが都道府県に要配慮者の入居を拒まない住宅を登録いただくと、一定の条件を満たせば登録住宅に対する改修や家賃等に対して国や地方公共団体から経済的支援を受けるという仕組みになっております。
右に、マッチング・入居支援とあります。本日のテーマになりますが、要配慮者の方が住宅を探したり入居するに当たって、居住支援法人や居住支援協議会という枠組みで入居支援を行うという仕組みになっております。
4ページでございます。要配慮者の範囲ですが、法律及び省令で低額所得者、被災者、高齢者、障害者等が定められておりますが、加えて地方公共団体が供給促進計画において定めるもの、例えばUIJターンによる転入者などを対象として定めることも可能となっております。
5ページでございます。続いて、居住支援の大きな柱の一つの「居住支援協議会の概要」です。この協議会は、要配慮者の方に円滑に民間賃貸住宅に入居いただくために、地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体などが連携して設立することとされております。
主な活動としましては、日頃の情報交換、民間賃貸住宅の情報の発信、紹介、あっせん、住宅相談の実施、家賃の債務保証制度などの紹介などを実施しております。
6ページでございます。具体的な協議会の例を説明いたします。福岡市居住支援協議会は、市役所と社会福祉協議会が事務局を担っている協議会です。高齢者からの相談受付及びコーディネート、または新規協力店の登録を行っております。令和2年の実績は、入居相談件数227件、入居件数33件、協力店登録数4件となっております。
それでは、7ページを御覧ください。続いて、「居住支援法人制度の概要」です。居住支援法人は、法人の申請に基づきまして都道府県が指定するものです。指定される法人の種類は幅広くなっており、NPO法人から社団法人、財団法人、社会福祉法人、または民間会社も対象となっております。
行っている業務としましては、家賃債務保証、賃貸住宅の円滑な入居に係る情報提供や相談、見守りなど、生活支援などとなっております。
資料1の7ページに地域居住支援事業の対象事業として、居住を安定して継続するための支援、入居に当たっての支援などが記されておりますが、まさに居住支援法人が実施し得る事業になるかと思いますので、居住支援法人に委託するなど、連携が深まることを期待しているところです。
8ページを御覧ください。具体的な取組を説明いたします。先ほど発表された奥田委員のところの抱樸では、多様な属性の住宅確保要配慮者に対して生活支援つき債務保証等を実施しておりますし、また、悠々会も同じく、多様な属性の要配慮者に対しまして一部屋ごとにサブリース手法を用いて支援を行っております。
また、リトルワンズや、かながわ外国人すまいサポートセンターのように、ひとり親世帯や外国人に特化してサポートを行っている法人もあり、それぞれの法人の強みを生かしながら活動を行っているところです。
9ページを御覧ください。続いて、本年度実施している居住支援の促進に対する取組の一覧です。この後、説明しますが、補助事業により財政支援を行っておりますし、また、居住支援全国サミットや研修会、また協議会設立活性化の手引を作成、紹介することにより、情報支援も行っているところです。
さらに、これも後ほど説明しますが、伴走支援プロジェクトや都道府県単位での居住支援体制の検討など、自治体支援連携も実施しているところです。
10ページを御覧ください。続いて、「居住支援協議会等への活動支援」です。居住支援協議会、居住支援法人、地方公共団体等に対して支援を行っております。補助上限額は1000万円、加えてアウトリーチ型による入居支援等を行う等の取組を実施している場合には1200万円としております。対象事業としましては、相談窓口の開設等の入居前支援、見守りや生活相談などの入居中支援、さらには家財整理等の死亡退去時支援等が対象となっております。
ただ、近年、居住支援協議会や法人が増加していることから、各団体に十分な予算の配分ができていないという状況にございます。
11ページを御覧ください。これは、居住支援全国サミットの概要です。居住支援協議会や居住支援法人の先進的な取組に対する情報提供の場として、国土交通省、厚生労働省主催で実施しており、関係省庁による施策の説明、基調講演、事例紹介、パネルディスカッションという内容となっております。
続いて12ページ、伴走支援プロジェクトです。居住支援協議会については、住生活基本計画において設立した市区町村の人口カバー率を令和12年までに50%とするという目標を立て、設立促進を図っておりますが、またまだ設立は不十分であり、設立の意欲はあるけれども、行政と民間の間、あるいは行政の中でも住宅と福祉部局の間で関係者の合意が得られていない。また、みんなやる気で合意は得られているけれども、どうやればいいか分からないといった市区町村の公募を行い、ハンズオン支援を行っております。具体的な支援内容としましては、関係省庁の職員や有識者の派遣、課題の相談やアドバイス、制度等の情報提供、または行政職員や実務者の紹介等を行うこととしております。
13ページを御覧ください。居住支援を進めるに当たりましては、住宅行政と福祉行政の連携が非常に重要となってくるところですが、厚生労働省、国土交通省、法務省の局長級が構成員となり、関係団体の方々にも参画いただき、情報共有や協議を行う連絡協議会を設置しております。これまで3回実施しており、直近では本年7月に開催し、改めて連携体制を確認したところです。
14ページを御覧ください。続いて、住まい支援の全国から市区町村までの各段階における連携体制のイメージです。本省、地方のブロック単位、都道府県や市区町村の協議会、それぞれに役割があることから、役割に応じて重層的に関係の行政機関や団体とも連携し、居住支援の取組を進めているところであり、今後も引き続き連携を進めたいと考えております。
15ページを御覧ください。また、先ほど紹介しました連絡協議会の下に、課題の把握に関するワーキングをこの4月に設置し、各回ごとにテーマを設け、団体からのヒアリングを実施し、課題の整理を進めているところです。今後も、引き続き実施する予定としております。
最後になりますが、福祉行政と住宅行政は密接不可分なものでありますし、この居住支援の行政ニーズは高まっていると考えているところです。今後とも厚生労働省と連携し、生活困窮者をはじめとする住宅確保要配慮者の居住の安定の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、前嶋参考人から御発表をお願いいたします。
○前嶋参考人 御紹介いただきました救護施設こうせいみなとの前嶋でございます。よろしくお願いいたします。
救護施設というのは、我が国におけるセーフティネット施設です。今日は、他の方とは少し質が違う現場の実務のことが中心になると思いますが、資料6によって、まず救護施設から地域へ移行するための個別支援計画の作成状況を御報告させていただきまして、続いてそこから見えてきた課題と将来の可能性ということについて私が現場で関わっていて感じていることを報告させていただこうというふうに思ってございます。よろしくお願いいたします。
救護施設というのは、ご承知のように憲法第25条の理念を実現するために生活保護法を根拠として設置されている保護施設の一つです。生活保護法の38条で「生活扶助」が目的とされているところです。実際には先ほど国の資料にもありましたように、経済的に困窮されたあらゆる方に対応している施設でございます。
あらゆるというのは、いわゆる「身体」「知的」「精神」の3障害だけでなくて、生活障害とか対人関係の障害とでも呼ぶべき特定の障害によらない方とか、あとは65歳以上の方、取り分け障害のある高齢者とかホームレスの方、先ほどから何度か挙がっていますけれども、統計には見えてこない住居不安定者といった方も含めて、様々な方を受け入れている施設でございます。施設の機能というのも根拠法に示されている生活扶助だけではなくて、随分前から自立助長の機能も重視をしているところです。
私が救護施設で働き出したのは1999年ですが、その頃にはもうはっきりと生活扶助だけでなくて自立を意識した支援というものが行われていたように記憶をしてございます。
救護施設における自立というのは、ただ単に生活保護から脱却するということだけでなく、もちろんそれは一つの形として追いかけていますけれども、私たちは、生活保護制度とか生活困窮者自立支援制度など、利用できるサービスは活用しながら地域に移行する、その先での地域定着、それから生活保護受給からの脱却という形とか、それが難しい方には施設において自立していくということまでを広く含んだ概念と捉えています。
こうしたことに取り組んでいく中で、救護施設はかなり以前から、これは地域の機関とも連携をして、生活に困窮されている方の居住支援といったことにも取り組んでいるところでございます。例えば、全国救護施設協議会は平成19年にはこの施設機能の強化に向けて、施設機能強化に向けての指針というものを出してございますし、また、平成25年にはお手元の資料で御覧のような救護施設が取り組む生活困窮者支援の行動指針といったものを出しております。
まとめると、救護施設は他の法律制度の狭間にあって、暮らしづらさを感じておられる様々な方の生活自立を地域と連携をして支えてきた施設だということが申し上げられると思います。
それで、私は全国救護施設協議会という団体で救護施設個別支援計画書の発行に初版から関わってまいりました。この個別支援計画書というのは、平成15年に初めて発行してこれまで4回改訂を行ってございます。この改訂作業は、初版の「救護施設における利用者の意向を尊重した支援を行うために」という趣旨はそのままに、その後の地域生活移行や「自立」に対する社会の要請の高まりというものを受けて行ってきたものです。
この救護施設のほぼ全てが会員になっている全救協という団体、この会員施設というものが全国で今181施設ございます。それで、入所者は先ほど統計資料にもありましたけれども、1万6000人強です。この全救協の会員施設では、そのほとんど全てに個別支援計画というものが作成されて、これに基づいて支援が行われています。全救協が過去に実施した調査では、ほとんどの救護施設がこの全救協が作った救護施設個別支援計画書の様式をそのまま、もしくは一部改造して使ってございました。それで、今回はこの全救協版の個別支援計画書の様式を例に取って御報告させていただこうと思っています。
救護施設では利用者の支援に当たって個別支援計画をつくって、これに基づいて支援を行っています。個別支援計画というのは、御覧の8つの様式「基本情報」「利用者の希望・要望」「アセスメント」「ニーズ整理表」「支援計画」「モニタリング記録表」「支援計画に具体化されなかったニーズ」「同意書」で構成をされています。今日は時間が限られていますので、それぞれの様式を説明することはかないませんが、この救護施設版の個別支援計画書の特徴である支援計画のゴールは、利用者の希望・要望を尊重するということと、それから支援計画はアセスメントに基づいて行われているという、この2つが今回のテーマと重なるように思いますので、このことを中心にお話をさせていただきます。
まず前提でございますけれども、救護施設全てに共通することは、私たちが生活保護法に規定されている施設だということです。つまり、私たちが行う支援というのは法律の趣旨に沿ったものであることがまず前提で、その趣旨を私たちは生活保護法第1条から、最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長するということであると理解をしてございます。
その上で、救護施設では個別支援計画を立てるときに、先ほどの2つ目の様式になりますが、利用者の希望・要望というものに沿ってお話を伺うことにしています。そして、私たちが個別支援計画を作成するときには、ここで伺った利用者の希望・要望というものを最大限尊重いたします。これは言い方を換えると、基本的には利用者の希望・要望が救護施設における個別支援計画のゴール、すなわち総合的支援目標というものになるということでございます。
今、基本的には、とわざわざお断りをしたのは、このシートで聞いているのは利用者のデマンド、要するに要求であって、この時点ではまだニーズではないというふうに理解をしているからです。ほとんどの場合ですが、このデマンドとニーズというのは一致をいたしますので、御本人の希望と要望が救護施設における個別支援計画のゴール、すなわち総合的支援目標になるということになります。
もしデマンドとニーズが一致しない場合はどうするか。私たちは、施設内でのカンファレンスなどによってデマンドをニーズに変換する作業を行います。
ちょっとイメージがしにくいかもしれませんので具体例を出しますが、例えば健康上の理由でドクターから飲酒を止められている利用者のデマンドが、自由に酒を飲みたいといったことだった場合、私たちはそれをそのまま支援目標に認めるわけには当然まいりません。この場合は、利用者に断酒の意思が見られなければ、直接的なニーズというものは断酒に向けた意識形成をするということになろうかと思います。実際には、私たちはもう少し利用者の希望、要望を深掘りして、基本情報に記載されているこれまでの生活歴などを参考に、この方が将来実現したい暮らしをさらに具体的にお尋ねをすることにしています。
もちろんそこは誘導的にならないように気をつけながらですけれども、先ほどお話ししたように、法律の趣旨の実現に向けて、ではこの利用者にとっての自立とはどういうことだろうかと、できるだけ具体的に掘り下げます。
その結果、利用者の希望が具体的に見えてまいります。例えば、その方のお話を聞いていくと、かつて住んでいた土地勘のある、地域とのつながりがまだある場所で、前と同じように工場で物をつくる仕事をして暮らしていきたい、というふうな、その人なりの自立した暮らしのイメージというものが見えてまいります。
この段階になったものを私たちは総合的支援目標と呼んで、個別支援計画の軸に据えております。これを利用者と共有するというのが、救護施設における個別支援計画の大切なプロセスです。
ちなみに、一般的なアセスメントではこの利用者の希望と要望をアセスメントに含んでおりますけれども、全救協版の救護施設個別支援計画書では、デマンドを切り離して聞き取るというのが一つの特徴です。これは当初から私たちが「救護施設を利用される方にできるだけ寄り添いたい」と思っていることの表れであり、同時にその利用者自身にもこの計画なり目標なりを御自分のものだというふうに感じていただきたいと思っているのが理由です。これがデマンドだけを切り離して丁寧に聞いている理由の一つでございます。
では、この利用者の総合的支援目標に向かうために何が必要か。そのために、私たちは利用者の様子をアセスメントします。救護施設個別支援計画書のアセスメント項目というのは、初版の作成時に、先行して発行されていた様々な種別団体のアセスメントシートを参考に、救護施設の支援で必要と思われるものを整理してつくりました。
それで、この様式を使ってアセスメントを行う際に、ICFの視点を取り入れているというのがこの全救協版の救護施設個別支援計画書のもうひとつの特徴です。なぜICFなのかというと、救護施設には様々な方が入所される可能性がある、それも生活保護法の補足性の原則によって生活保護法以外のいずれの法律の対象にもならなかった方が利用される可能性があるからです。そうした方を、既存の特定の障害の状態を前提とした様式でアセスメントするのは正直難しかったということがあります。平たく言えば、それらの様式を試しに救護施設の利用者に使ってみると、帯に短し、たすきに長しといいますか、そういう印象でございました。
そこで、一般的に先ほど申し上げたような障害がないというふうに思われている方、我が国の制度で障害に認められていない方も含めて、あらゆる対象者をアセスメントする方法というものをどうしても取り入れる必要がございました。そこで、全救協で様々に検討した結果、対象者を「全人間的に捉える」ことができるICFの視点を取り入れることにしたということです。
次に支援計画の立て方ですが、救護施設個別支援計画書というのは総合的支援目標に達成するための個別の支援目標を設けて、アセスメントで明らかにした現在地に向けてバックキャスティングする形で支援を組み立てていくことを想定しています。
ただ、これは施設によってアセスメントから積み上げていく形になっていることがあって、必ずしも全ての施設がバックキャスティングでやっているかというと、一定ではございません。それは、たとえば救護施設の他に高齢者施設や障害者施設を運営している社会福祉法人では、他の施設と同じ手順で支援計画を作った方が、職員にとって混乱がなくていいという判断もあるからです。
この辺りは、私は重要なのは目標を達成することで、個人的にはその方法とか過程はそれぞれ様々に工夫されてよいと思っています。きれいな表現をすれば、それぞれの救護施設の現場というものを信じていいのではないかと思っています。
それはさておき、なぜバックキャスティングなのかというと、それは救護施設の立ち位置と関係がございます。どういうことかというと、先ほど申し上げたように、救護施設というのは他法優先の施設ですから、他の法律とか制度の対象にならなかった、あるいはなりにくい方が多く入所されています。そうすると、アセスメントをしてあらかじめ準備されているサービスを組み合わせて提供するといったレディメードの方法では支援が合わない方が必然的に多くなります。
そこで、利用者一人一人が目指す状態に向かう道筋とか支援の方法は利用者ごとに考えるということになりますと、個別支援計画の作成をゴールから逆算するバックキャスティングということが合理的だろうということで、この方法を施設に説明しているわけです。この支援方法、支援過程、目標についてのエビデンスがアセスメントにあるということになります。
ここまでを要約すると、救護施設はエビデンスに基づいて個別支援計画をバックキャスティングでつくっていて、これに基づいて支援を行っているということになります。
では、次に、先ほどから課題になっています救護施設と福祉事務所の連携について今どうなっているかということを御報告させていただきます。
この個別支援計画書では、基本情報の様式に記入するときに福祉事務所から利用者に関する情報を得て記入するようになっています。それで、実際にはほとんどの救護施設では入所時の資料を転載して、空欄については問合せをすることで埋めていきます。この基本情報の様式に福祉事務所が設定した当面の支援目標を記入する欄がありますが、この欄を埋めることで福祉事務所の判断を踏まえて救護施設が希望・要望を聞き取ってアセスメントをして支援計画をつくるという流れができています。
ただ、連携というからはこれと反対の方向、救護施設から福祉事務所にフィードバックというか、意思の還流みたいなものが必要なのですけれども、これが現時点でケースワーカーと施設職員の間で行われているということは個別の事例としては承知をしています。
ただ、今の時点ではそれが制度として担保されていなくて、必ずしもシステマティックになっていないというふうに感じています。これをどのように確立していくかということは救護施設にとっての課題であると同時に、利用者の支援向上のためにぜひ必要な仕組みだと思われますので、できれば制度化されるとよりよいのではないかと思います。
この福祉事務所と救護施設の連携が個別支援計画を介して強まるということであれば、もう一つの可能性というものができるのではないかと思います。それは、地域の生活保護受給者への保護施設通所事業の活用の拡大ということです。地域の生活保護受給者の中には、「一定の支援があれば地域生活を継続できる方」というのがおられます。一定の支援というものがどの程度なのか、これはそれぞれ人ごとに異なりますが、比較的軽度の方であれば地域住民の支援とか生活困窮者自立支援制度などを活用した多機関の連携で支えることができると思います。
ただ、もう一方で、もう少しニーズの多い方、感覚的な表現で申し訳ないのですけれども、手は放すけれども、目は一日たりとも放せないといった支援が必要な方は、救護施設で行っている保護施設通所事業が活用できると地域生活が維持できる可能性が高まるのではないかと思います。
しかしながら、現在の保護施設通所事業ではいわゆる地域枠と言われる3割が、救護施設退所者であって一旦入所された後の再利用者で埋まっている現状があって、なかなかこうした地域に住んでおられる方を制度内では支援できないという状況がございます。
ここを柔軟に運用して保護施設通所事業の地域枠を拡充したり、福祉事務所と救護施設がこの支援計画に基づいた支援を連携して行うようなことができれば、こうした方々の自立を支えるということができますし、地域共生社会の実現に向けて施設機能を地域に還元することができるのではないかと思います。
これに向けて、現在の個別支援計画書の様式をちょっと改変したいなと個人的には思っているのですけれども、それは別の話になってしまいますので留め置きます。
もう一点、個別支援計画の中で「経済的自立支援」というものが支援目標に設定される場合があります。これは、利用者が地域移行して地域定着を図る中で当然出てくる課題です。これを受けて、救護施設では就業に向けた相談と支援を行っています。
具体的には、就業に向けた相談、ハローワークの同行とか、生活困窮者自立支援制度の相談窓口への取次ぎとか、実際の就職活動の支援としては履歴書の作成とかの助言、それから面接の訓練とか当日着用する洋服の貸出しなどということもやっています。こうしたことを行って、本人の希望・要望に沿った自立がかなえられるようにしています。
こうしたことは保護施設通所事業の利用中で行われることがほとんどですが、必要があれば既に事業の利用を終了した方にも行っています。さらに、私たちの施設ではまだこの実例はありませんけれども、地域の生活保護受給者等の方に対しても同様に支援を提供できると思いますので、もし求めがあればこういったことも可能だと思います。
さて、個別支援計画とそれに基づく支援というものが利用者本位であることはもちろん、その法律の趣旨とか、それぞれの組織の理念、支援方針を踏まえて、利用者の地域の生活受給者の自立を助長できる、よりよいものにするためには、個別支援計画を作成して実際に支援を行う現場の職員の力量を向上させる研修というものがぜひ必要だと思います。
これに加えて、個別支援計画に基づいて支援を行う中で生じる様々な課題があります。こうした課題から職員を支えるスーパービジョンの仕組みも必要です。このスーパービジョンを行うスーパーバイザーというものの養成、配置といったものが「自立」に向けた個別支援をさらに効果的に行うためにぜひ必要なのではないかと思います。
これまで述べたことのうちで、救護施設入所者に対する支援がどのように行われていたか、資料に私の施設の例を挙げました。後ほど御参考までに御覧いただければと思います。
まとめます。冒頭に申し上げたように、救護施設は既にそのほとんど全てで個別支援計画を作成してそれに基づいた支援を行っています。これによって救護施設で行われている支援はエビデンスに基づいたものになっていますし、その手順もほとんどの施設が同じ考え方による様式を使用していることで標準化が一定図られているというふうに認識をしています。救護施設は、これらのことにこれまで自主的に取り組んでまいりました。
このことをさらに進めるには、現時点では個別に行われている福祉事務所と救護施設の連携の仕組みを制度化するとか、個別支援計画の様式を検討してより深く連携が図れるようにするなどの方法が考えられます。また、保護施設通所事業の運営の柔軟化とか、個別支援計画作成の研修、それからスーパーバイザーの養成と配置、地域の人々にも保護施設通所事業の機能を提供できるようになると地域の居住支援がさらに進むのではないかと考えています。
そのことによって相談や訪問回数が増加をいたしますので、こういったことを踏まえた職員の配置加算なども必要になるのかなとちょっと考えたりしているところでございます。
長くなってしまいまして申し訳ございません。以上で報告を終わります。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これより質疑応答の時間を設けたいと思いますが、その前に大森委員が14時をめどに御退席予定と伺っております。まだおられましたら、よろしければ先に御発言をお願いしたいと思います。
○大森委員 岡山市長の大森です。
いろいろと説明を聞かせていただきましてありがとうございました。今日は政令市を代表して少しお話し申し上げたいと思いますが、奥田委員の御指摘のホームレスについては数を調べてみますと、指定市で全体の6割、東京23区を入れると8割のホームレスは集中して指定市及び東京23区にいるところであります。
それから、今日の資料の「支援を担う体制づくり及び人材育成等について」という中の29ページで、生活保護における居住地特例の話がございましたが、居住地特例を変えること自体、私は全く反対はないのですけれども、こういうものを変えていくと生活保護の受給者がまた大都市に集中していくのではないか。
今でも、例えば岡山県の状況を見ても、岡山市の人口に対する生活保護受給者数の割合は1.79%、そしてそれ以外の自治体の平均は0.94%になっていて、2倍近い数字となっております。そういう面で、生活保護はまた増えてくると当然ながら市の負担も増えてくるわけであります。指定市の財政事情というのは非常に厳しいものがあります。一般の方は経済が動いているから、他の都市に比べて財政状況はいいのではないかと勘違いされている方が多いのですけれども、例えば指定市と指定市以外の市を比較してみると、起債残高は3分の1、1人当たりの起債残高は3分の1ですし、また、地方債残高は我々と、我々を除く市でいくと、我々のほうが倍ぐらいになっていると、非常に厳しい財政事情を持っております。
この生活保護の居住地特例等々を変更していただくのは考え方として決して悪いとは思わないのですけれども、最終的なセットをされるときに、そういう各市が持つ財政状況、税源配分等々の議論をきちんとして改正をしていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、元に戻りまして、奥田委員、上森参考人、前嶋参考人の御発表に対する質疑応答の時間を設けたいと思います。
まず委員の皆様から御発言をいただいた後、最後に発表者の皆様からまとめて御回答いただく形にさせていただきます。御意見、御質問につきましてお一人2分以内ということで簡潔にお願いいたします。今日は、2分を経過したタイミングでベルを鳴らすという新しい試みがスタートいたしますので、ひとつ御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、御意見のある方は挙手ボタンでお知らせください。
生水委員、佐保委員ですね。
では、生水委員からお願いします。
○生水委員 ありがとうございます。
皆様、貴重なお話をいただきましてありがとうございます。私からは、奥田委員に2点質問させてください。
御提言の中で、一時生活支援事業を居住支援事業としてバージョンアップされて、住まいの困り事がある方に対してトータルサポートする仕組みだと思うのですが、現在の一時生活支援事業の対象者は生活困窮者なので、生活保護決定して被保護者になれば一時生活支援事業を利用しながらの生活扶助の受給については認められず、施設から退所しなければならないなど、現場では課題となっています。
そこで、奥田さんの御提案された居住支援事業の対象者について、生活困窮者だけなのか、それとも被保護者も対象とされているのか、お考えを教えていただければと思います。
それと、こうした事業を全国の自治体に事業展開するにおいて、居住支援を行う団体、そして施設が脆弱な地域、ないところも多いです。事業推進の有効な手だてがありましたらお考えを教えてください。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員お願いします。
○佐保委員 私も端的に2点お聞きします。3名の皆様、どうもありがとうございました。大変参考になりました。
まず奥田さんと上森さんにお伺いしたいのですけれども、地方の空き家は木造家屋が多いと思っております。住宅に困っている方はこれから高齢化していきますし、支援が必要な方もいらっしゃいます。空き家の改修などの課題について教えていただきたいのが1点です。
それから、前嶋参考人にお伺いしたいのは、救護施設の入所者が高齢化している中で、地域との連携や機能の提供にあたって、どちらかと言えば特別養護老人ホームなどに入所されたほうがいいのではないか、要するに、地域の入所施設への移行について、どうお考えか教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 お三方それぞれ大変刺激的な御報告でしたので、お三方にそれぞれ御質問があります。
奥田さんの構想というのは以前からお聞きしておりまして、より明確になり、緻密になってきたなと思いました。
それで、資料の18ページで、給付金の自営業に対する要件のところにコンサルタントということが書かれているのですけれども、これは具体的にもう少し説明をいただければと思います。重要な要件変更というか、自営業も私は賛成なのですけれども、コンサルタントというのがどのくらい有効なのか。実績というか、何か考え方とかで事例があったら教えていただきたいなと思います。自営業の復興というところについてのコンサルタントですね。
それから、上森さんの国土交通省のところなのですけれども、これは要配慮者のタイプが1から6というふうにございました。政策のボリューム感を知りたいので、よろしければこの要配慮者の人数とか、タイプ別の人数とか、把握されている統計的な部分ですね。データ的な部分があれば、ぜひこの要配慮関連の政策の全体像を教えていただきたい。要配慮者の人数とか、対象の人数でもいいんですけれども、教えていただきたいと思います。
それから、前嶋さんの御報告ですけれども、経済的な支援もいろいろエビデンスもあり、標準化もされているということで大変興味深くお話を聞いておりますが、経済的支援のところのお話があったので、このアウトカムがあれば、アウトカムというか、アウトプットというか、成果がどういうふうな状態になっているかを御説明いただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、お三方にそれぞれ御質問がございましたので、まず奥田委員からお願いいたします。
○奥田委員 ありがとうございます。
まずその対象というか、生活保護との関連だと思うのですけれども、もともとのこの審議会、それと前の論点整理から重なるのか、切れ目がないのかという議論がずっとありましたけれども、この居住支援の部分に関しては逆に例えば生活保護のほうを見ると、居宅の設置に関してはやはりほぼ個々人がするというのが原則的にはなされていると思うんです。自分でその賃貸借の物件を探してきて、入居の手続をし、そこに対しての一時扶助を出すという形が生活保護の今の形として実施されていると思うんですけれども、そこのところが一人でできないという人が一方では逆にいると思うんです。
ですので、私はこの2つの制度が一体化して進んでいくというのが特に居住においてやはり非常に必要なのではないかというふうに思っていまして、特に私の13ページで提案した居住支援事業の中に一時生活支援事業と地域居住支援事業を併設するという話でいうと、こちら側からすると一時生活はどちらかというとその後に出てくる緊急枠ということに割と近い話だと思うんですけれども、その後の地域居住支援事業に関してはこのニーズというのは保護世帯にも相当あると思うんです。ですから、やはりここのところは並行して使っていくというような形を取らないとなかなか難しいのではないか。
ただ、これが例えば就労準備支援事業みたいにそれぞれの事業として位置づけられていくのか、どういう形を取るのかというのはテクニカルな問題はあるとしても、現場のニーズとしては一時生活を卒業した後も実は地域の居住支援のニーズというのはずっと続いていくわけでして、この辺りはやはり私は重なり合う部分になっていくのだろうと考えています。
あとは、有効な居住支援と資源がない。この辺りはなかなか近道がない話で、ただ、私は今日、上森さんが参考人で先ほど御報告されておりましたけれども、やはりツールとしては居住支援法人をどう地域の中で育てていくかというのが、結局は近道なのではないか。
それで、もう一つ、今日参加の委員の皆さんもよく御存じかもしれませんけれども、居住支援法人というのは、うちは例えばNPO法人であり居住支援法人なんです。ですから、基本的にはこれは県なりが認証するという資格なので、もともと母体になっているプレイヤーは不動産業者さん、あるいは社会福祉法人さんを含めてプレイヤーはたくさんいるんです。それで、もっと言うと、特に障害分野の方々とかに関しては施設から出るときに居住の支援などというのはされてきたし、みなと寮さんなどの話もまさにそうなんですね。もうされてきているわけです。
そうすると、実際に居住支援をされている、いわゆる法人格を持っているプレイヤーというのはどの地域にもおられるんです。もっと言うと、社会福祉協議会さんで居住支援法人を取られているところもこの頃出てきていますから、そういうことで言うと、いないのではなくて気づいていない、あるいはうまくマッチングができていないというのが現実なので、そこのところをどうマッチングしていくかというような仕方のところがなかなかうまくいっていないけれども、潜在的なプレイヤーはいるんだというふうに考えたほうが私はいいと思います。
3つ目の空き家の改修のことですけれども、私は最初の前半部分で時間がなかったので急ぎ足でいきましたが、住宅の確保に関してはやはり新たな仕組みがどうしても必要だ。今の住宅セーフティーネットの登録住宅の仕方の改修補助というのはあるのですが、上森さんがこの後おっしゃると思うんですけれども、それを超える不動産オーナーさんが安心して貸せる形を取るには、一定のマスターリースの形を取らないと、借り上げの形を取らないと難しいと思うんです。
これを、やはり私は国が率先してその受け皿になる仕組みをつくるべきだ。これは、例えば特定の居住支援法人をつくってそこにやらせるという方法もありますし、もしくはもうちょっとナショナルなというか、全国的なものをつくってもいいと思うんですけれども、そのところに関してやはり改修等に関しては所有権はオーナーに持ってもらった上で、いわゆる運用ですね。管理権に関してコモンズ化していく。共有化していくというようなことで、ここに関して公費を入れていくという社会資源としての日本型社会住宅といいましょうか、そういうものを設立するところまでもうきているだろう。
地方においては、これが一軒家ということにもなってくるだろう。アパートだけではなくて一軒家ということにもなってくるだろうし、サードプレイスつきの一軒家というのも考えられると思うんです。居住部分と、サードプレイスとしてみんなが集まってくるところが例えば1階部分にあるというような、やはり住居と仕事場という2つだけではもう収まらない。そこにはやはり家族の風景がなくなっているというのが非常に大きいので、このサードプレイスをどうつくるかということも合わせると、案外地方のほうで一軒家というほうが改修して利用する多様性は大きいかもしれないというふうに私は考えています。
3つ目の自営業の方のコンサルですけれども、結局、第一に自営業の方に求職活動をしてもらうということは、今の自営業を諦めろと言っているわけですから、もう廃業しなさいと言っているわけで、これはできない。そうなると、そうでなくても日本の自営業というのは地方に行くほど非常に縮小化していっていたわけですよね。これを、ピンチをチャンスに変えるくらいの勢いで、この際、事業の計画とかビジネスモデル自体を再構築していくチャンスに変えられないのかということなんですね。
どうしても自立支援というと、急場しのぎ、マイナスを埋めてあげる、ゼロまで戻したらあとは自己責任というのが相場なんですけれども、しかし、私はそれではいかんと思うんです。ゼロまで戻すのではなくて、逆にまさにあのときピンチがあってうちの商売が実は成り立ったんだというぐらいのところまで持っていくための事業ビジネスモデルに関するコンサルティングみたいなものを手伝ってあげるというくらいの話をしないと、脆弱性をずっと担保したまま、残したままだったら、いつまた次の波がきたらがんと落ちるか分からないので、そこをもう少し底上げしないといけないのではないか。
やはり日本というのは大企業も頑張ってきたけれども、中小企業がそういうところは非常に大きな枠としてあったわけだから、私はやはり自営業の方々がこれからビジネスが継続、持続、サステナブルなものになるためのチャンスに変えていただければというふうな形を考えているということです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、上森参考人お願いします。
○上森参考人 国土交通省の上森です。質問ありがとうございます。
空き家の関係の話ですけれども、先ほど奥田委員もおっしゃっていたように、全国で空き家は約850万戸あり、その中で賃貸用、または売却用のものが約450万戸あります。また、居住目的ではない空き家をその他空き家と我々は言っておりますが、約350万戸あるということで、こういった空き家をいかに活用していくかというのが今後の政策課題とも言えるかと思いますし、また、住宅セーフティネット制度においてもそういった空き家をうまく活用しながら、必要に応じて改修を加えながら活用していくということをコンセプトに制度化したところでございます。
それから、奥田委員から提案がありました日本型社会住宅、マスターリースを全国的な組織で行うという提案でございますが、ここまで踏み切れるかというと、そこは多分次のステップかなとは思いますが、奥田さんのほうで居住支援法人として借り上げてサブリースを行っているような取組というのは非常に注目しているところですので、そういった取組について国のほうとしても今の制度の枠内、または少し拡充できるところがあったらそういった制度で応援して、うまく空き家を使えるようにしたいと思っているというところでございます。
あと、要配慮者のボリュームの話がありました。ざっくりとした数字なのですけれども、低額所得世帯は全国で約1300万世帯、高齢者世帯は約1900万世帯、また、18歳未満の子どもを育成する世帯は約1100万世帯あるというところでございます。
ただ、総数につきましてはこれら重複がありますし、都道府県等が供給促進計画で要配慮者の定義を新たに加えることとかできますので、総数については把握が困難ですけれども、数のオーダーとしてそれぞれの属性別には今言ったような数字がボリュームとしてあるというところでございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
何かそういうデータとか、見られるような、出せるようなものがあれば、後でこちらの事務局のほうに御提示いただけると、皆さん委員で共有もできますけれども。
○上森参考人 持ち帰って検討してみます。
○菊池部会長 もし可能であればお願いいたします。
それでは、前嶋参考人お願いいたします。
○前嶋参考人 2点御質問いただきました。1つは特養入所のことと、もう一つは経済的支援のアウトカムということで、それぞれにお答えをしたいと思います。
まず救護施設入所者の特養移行ということですけれども、これは法的なことと、あとはミクロレベルで個人がどうかということを、分けて考える必要があるのかなというふうに現場的には思います。法的なことというのは、例えば居住空間一つ取っても特養のほうが広いわけですね。それで、同じ属性というか、年齢の方で、たまたま特別養護老人ホーム入所の要件になって、救護施設にいらっしゃると現在3.3平米だ。そういったことで、そこはイコールフッティングが必要ではないかというふうに思います。
ただ、実際に先ほど国の資料でも御説明がありましたけれども、救護施設に入所者の方で65歳以上の方がやはり相当数いる。それで、その中には当然一定の割合で要介護状態になっている方もいらっしゃるわけなのですが、では、なぜ変わらないのかというと、やはり御本人が高齢化するにつれ、一層、新しい環境になじんでいくことが難しくなっていかれる。日ごろ接している私たちとしてもこれを制度の建てつけ上だからといって移っていただくのは厳しいなと思われるケースがかなりあります。
あとは、そういった方は大体入所期間が長い方が多くて、もともとそこにいた方ではもちろんないのですけれども、施設の中で一定の人間関係ができてコミュニティができている。すると、そこから切り離すのはどうかということもあります。これは新しい環境に移るのが心身の状態から困難になっている方だとかなり厳しいと感じます。その結果、こうした心身の状態は年々厳しくなってまいりますので、ますます特別養護老人ホームなどの入所施設に移ることが難しくなってしまう。この循環が起こっているのではないか。このように、比較的救護施設に長くいるということが、入所者の高齢化と他施設への移行の状況に差異が生じる理由ではないかと思います。
ただ、反対側からいうと、実は私は一時期、特別養護老人ホームに勤めていたこともあって、特養の側からすると、状態と支援の仕方がよく分からない、これは特別養護老人ホームの職員が慣れていないだけかも知れませんが、そういう障害の方を受けにくいというのも現場レベルの感情としてあって、これは純粋に私たちの情報発信不足や、あるいは受け入れる側にもそういう研修が充分に行われていないのではないかと感じることもあって、これは出す側と受け入れる側の両向が他機関連携などで取り組んでいく事例なのかなと思います。
例えば、事例の研究とか、そういったことを、種別を超えて一緒にするとかしてノウハウを共有することも必要ではないかと思います。これでお答えになっているかは分かりませんが、現場の感覚としてはそういうようなことでございます。
次に、経済的自立支援のアウトカムということですけれども、これは何をもってアウトカムかというところの定義がちょっと難しいと思いながらお話を伺っていたのですが、ご承知のように、救護施設というのは他の制度で対応できる方というのは基本的にそちらの制度に委ねるという建てつけです。例えばその方の生活がどんどん安定して、では次に経済的自立に向かっていこう、これからはそれが課題だとなったときに、例えば障害を持っている方だったら地域でそういった支援を行っているところとか、あるいは企業で特例子会社を持っているところへ行かれる方だったら、そちらのほうにその方の支援を委ねるという方向にまいります。救護施設が完全に経済的自立まで全部やるというのは職員としてはすごく達成感があるのですけれども、私たちとしてはまずリファーすることを考えます。そのようにして実際には最後までやらない、やれないというのが制度上の建てつけでもあるのかなと思っています。
アウトカムということでもう少し具体的に挙げると、私たちは保護施設通所事業というのをやっておりまして、先ほど国の資料でも御説明がありましたけれども、その中で令和元年の調査ですが、総数543名の方が救護施設で通所事業を利用されている中で、51名の方が一般就労というデータがございます。これは特例子会社とか、それから重症心身障害者の多数雇用事業所などを含んだ数字ですけれども、一般就労で1割弱くらいの方、9.4%の方がそちらのほうに移っていかれるということがありますので、保護施設通所事業まで広げると大体そういった数字になっています。
それによって確実に生活保護から脱却できているのかどうかというのはそれから先の話なのですけれども、救護施設と通所事業までの枠でいうと大体そのような感じになってございます。
このことはお話をしようと思っておりましたが、時間に追われて端折ったところでした。ちょうど御質問で補う機会をいただけました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
奥田委員、上森参考人及び前嶋参考人におかれましては、貴重な御発表、そして御意見を賜りまして誠にありがとうございました。部会を代表して厚く御礼申し上げます。
それでは、これをもちまして御発表いただいた参考人の皆様におかれましては御退室いただきますようお願いいたします。
どうもありがとうございました。
それでは、ここで休憩を挟みたいと思います。14時40分再開ということにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○菊池部会長 それでは、時間になりましたので、後半3つの議題に対する質疑応答、意見交換の時間を設けたいと思います。御意見、御質問のある方は挙手ボタンでお知らせください。
なお、御意見、御質問につきましては簡潔にお願いできますと幸いでございます。本日は、当初予定しておりましたほぼ時間どおりに進行してございます。
ただ、会場の関係で、いつものように大幅な延長はちょっと難しそうでございますので、御協力いただければ幸いでございます。
それでは、いかがでしょうか。
大西委員からお願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
今日は、質問の発表の機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。意見提出をしております。そして、時間も限られておりますので、私の提出資料の19ページの図をもって御説明をしたいと思っております。19ページをお願いできますでしょうか。図のところです。
今日は参考人の意見でも、また冒頭の厚労省の説明の中にも救護施設ということが多く出てまいりまして、大変緊張いたしておりますが、今から私どもの法人で、とりわけ救護施設を中心とした形でのいわゆる重層的支援のプラットフォームを構築しましょうということで、それを図にしたものでございます。
先ほど来、参考人のほうでも話がありましたように、私ども全国救護施設協議会としては平成25年に生活困窮者に対して救護施設の行動指針を立ち上げております。それはとりも直さず、社会福祉法人は地域にもっと貢献しなさいよ、地域における公益的な取組をしっかりとやりなさいというような方向づけがなされた時期と重なるわけなんです。
この行動指針につきましても、まさにそういった地域のいろいろなニーズにしっかり社会福祉法人として貢献しましょうというのが大きな背景になっていて、先ほど図として大変細かい図でしたが、行動指針の一部が紹介されております。また後ほどお目通し願ったらいいかなと思います。
まさにそういった背景を受けて、もう一点はこの生活困窮者自立支援法ができる前の年にこの行動指針を立ち上げたわけなのですが、生活保護による救護施設を運営している者として、困窮者の問題については避けては通れないだろう。先ほど奥田委員から重なり合う支援というようなお話もあって、奥田委員にはちょっと余談になりますが、コロナ陽性
の中、大変御苦労さまでございます。また、みなと寮のこともちょっと触れていただきましてありがとうございます。冒頭にお礼を先に申し上げておきたいなと思います。
本題に戻りますが、一番下の段に救護施設千里寮、これは私ども4つある救護施設の一つなのですが、まさに先ほど参考人が説明したように個別支援計画を作成する中でいろいろな利用者支援を行っているわけです。
それで、施設自体にはその隣にありますように、一時入所事業や保護施設通所事業、または居宅生活訓練事業というものを併設しているわけなのですが、その施設から上の段地域ですね。いわゆる救護施設を卒業して地域移行するには、1つは居住支援、1つは就労支援というのが大きな柱になってくるわけですが、冒頭申し上げましたように、しっかり地域の生活困窮者の問題についても地域における公益的な取組を念頭に積極的に事業に参画をさせていただいております。
とりわけ公益的な取組の一つの例としまして、左側の上から2番目に認定就労訓練事業というものがございますが、これは非雇用型については賃金とか交通費、食費等を出さない事業なのですが、当初より法人では本人のインセンティブを含めた賃金、または交通費、食費というようなこと全部を支給させていただいております。下の準備支援事業についても、交通費と食費は支給させていただいております。
そのような背景をもってそれぞれの事業を展開しているわけなのですが、赤の太線で囲まれているところは、私どもの法人施設が単独で受けて事業をしております。赤の点線のところは、他の社会福祉法人であったり、社協であったり、そういったところと協働してやっている事業でございます。
とりわけ、ここで右側の点線囲みの2つ目、地域貢献委員会というものがあるわけですが、これは大阪府内で独自の、ほかの他府県でも広がりを見ているわけですが、大阪府から40近い市町村の中の37市町村で組織化されているわけなんですが、この重層的支援の中核となるのではないか。大阪府で検討された中で報告として、この地域貢献委員会というものが大きく取り上げられている。これからは、ここを核とした取組が重層的支援の核になるんじゃないかというような報告が出ております。
そういうことで、大阪しあわせネットワークは今までも何回か触れたと思うのですが、大阪府内の全社会福祉法人の、8、9割ぐらいの法人から拠出金を得て、いわゆるレスキュー事業で生活に困られている方に10万円の範囲内で現物支給するというセーフティネットでございます。
いずれも私が代表するような形で、このしあわせネットワーク、地域貢献委員会、そして生活困窮者の自立相談事業、ここの連携はしっかりと取れ出しております。いろいろなこういった事業の中で、右の一番上にあります行政や社協、包括支援センター、障害者の自立相談支援センター、民生委員さん、児童委員さん、福祉委員さんとしっかりと協働する中でいろいろなことが見えてくるような形になっております。
私ども生活保護の施設を運営するのは、いわゆる最終、最後のセーフティネットという中でいろいろな方のニーズを根底から支えるような施設の仕事をしているわけなんですが、そういった観点からこの生活困窮者の自立支援法を見ていく中で事業を広めていくと、今の図のような形になっているということです。
まさにこの取組でいろいろな社会資源と連携することが、いわゆる重層的な支援の礎になるのではないかなという思いを強く持って、それが大きく膨らむことによって地域共生社会というものが実現されるのではないかなという思いを持っています。
大阪では、このコロナ禍にクラスターが起きた社会福祉法人に、他の社会福祉法人がそこに支援に入るというスキーム、また御承知かと思うのですが、社会福祉法人が被災者支援に当たる福祉DMAT、これなどもその中に組み合わせることによって、いわゆる包括的ないろいろな意味での助け合い支援を広げているわけなのですが、その根底に具体的な生活困窮者の事業を展開する中で、救護施設の最後のセーフティネットとしての使命から事業を広げていく中でこういう具体的な事例が出てまいりましたので、何か参考になればという思いで今日は意見提出をさせていただきました。
先ほどの話で、奥田委員のところなどは、北九州なんかでもこういった形にほぼなっているのではないかなと思います。また、浦野先生などのところも社会福祉法人としていろいろな事業をされていますので、こういった試みは方向が見てくると思うんですが、結論はいろいろな事業を展開する場合にでもいわゆるバックボーン、バックアップする施設なり法人は大変貴重だなという結論を持っております。
一つの例を挙げますと、私どもがやっています生活困窮者自立相談事業の相談員がコロナ陽性になりました。職員がほとんどいなくなる状態になってしまい、救護施設から職員を派遣いたしました。その場をしのげるノウハウを救護施設が持っているというような、一つのコロナ禍で見えてきたこともあるわけなんです。
今後とも、こういたことで救護施設が持っているノウハウをしっかり地域に反映させて、国が目指す重層的な支援体制、または地域共生社会というようなところに近づけるように頑張っていきたいと思うのですが、それには救護施設千里寮の下に書いてあります「個別支援計画」、これをさらに充実させる形で職員の質の向上も図っていきたいなと思いますので、厚生労働省さんにはよろしくその辺の御支援のほどをお願いいたします。
時間の関係で大変端折った説明ですが、私の文章をできましたら御一読いただいて御理解をお願いしたいと思います。
以上です。誠にありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
最初に申し上げましたように、今日は延長できないという前提で進めさせていただきますので、御協力のほどお願いいたします。
○大西委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、宮本委員お願いします。
○宮本委員 2分間でというふうに伺っておりますので、ちょっと大急ぎで居住支援を中心にお話をさせていただきたいと思います。
今日もお伺いしましたように、居住支援について厚生労働省、国交省、そしてNPO法人の連携がここまで進んでいる、同じ方向を向けているわけですね。他方で、地域でも居住支援協議会の設置が広がっている。私も居住支援サミットに何度かお伺いしましたけれども、ここまで引っ張ってこられた関係各位の御尽力に深く敬意を払うものであります。
こうした達成があるからこそ、あえてこのスキームが明確化していくと、制度化のパラドックスといいますか、小さくまとまってしまうことも出てくるということで、そうならないためにも課題も併せて提起したいと思っております。
それで、奥田委員が居住支援政策の4つのパートを触れられました。現物給付、住宅ハードウェアですね、それからサービス給付、現金給付、そして支援の専門職、この4つのパートそれぞれについて考えてみたいと思います。
まず現物給付のハードウェアですけれども、現状では今日のお話ではやはり戸建て賃貸が中心になっていたのかなと思います。
しかし、他方で、国道16号線沿いの限界団地のような、こうした規模の大きな集合住宅をよみがえらせるという道筋も非常に重要だろうと思います。
柏市の豊四季台団地だとか、藤沢市のUR団地ですね。これは、団地に直接小規模多機能が入居してしまうという形ですけれども、こんな形で自立支援を広げていくメソッドというのも重視されなければいけないのではないかということです。
2番目にサービス給付ですけれども、今日の居住支援法人のお話はやはり見守りケアが中心だったのではないかなと思います。
ただ、地域共生社会といいますか、支える、支えられるという関係を超えて、住民同士の支え合いを引き出していくというか、むしろここにケアという形で新しい就労機会を広げていくという可能性ですね。加えて雇用の部局だとか就労支援のNPO、ふるさとの会などが入るのかもしれませんけれども、この辺りを巻き込んでいくということも付け加えられなければいけないのではないかと思います。
3番目に現金給付については住居確保給付金、そして住宅扶助を住宅手当に発展させていくという構想が今の行政、政治、学会、いずれの分野でも多くの方が提起をされているということだと思います。
今日の議論のテーマでもあります住居確保給付金の求職活動要件などの是非も、こうした文脈の中で考えなければいけない。生保の内、外を超えて世帯収入第1・十分位の世帯に住宅扶助特別基準の上限ぐらいの給付をするとしたら、財源は2400億円程度という試算もありますので、この辺りはちょっと目標にされてもいいのかもしれないとも思います。
加えて、居住支援の専門職の話が奥田委員からありました。居住ケアマネというお話でしたけれども、フィンランドのラヒホイタヤではありませんが、今日の人材育成の話とも関わりますが、各市の専門職があくまでも現在の資格の価値が低下しない、むしろ高まるという、その限りで現在の専門職に加えて居住の専門性、困窮者支援の専門性、そして就労等の専門性、新たな専門性を今の専門性にプラスしていくという形も目指されていいのではないかと思います。
居住支援は以上で、最後に生活保護の不正受給について一言だけ、今日のテーマでもありますので申し上げます。日本福祉大学の山田壮志郎教授の調査なのですけれども、生活保護受給のうち不正受給が半分以上を占めているのではないかと、こういうふうに考えている市民が、同教授の調査では22%を超えるということであります。まさに不正受給を正すと同時に、このプレジュディスを正していくということも並行的に進められるべきではないかというふうにも思います。
以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、渡辺委員お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
私のほうからは3点で、まず学習支援生活支援事業の人材育成に関して、資料もすみません、今朝になって添付させていただいたのですが、これは非常に必要だと思っております。
最後の35ページをお願いできますでしょうか。私どもでは、三菱商事様からの御支援をいただいて、一昨年から日本全国を14エリアに分けて、学習支援に取り組んでいる団体さんへのノウハウ、知見みたいなことでスキルアップ支援事業ですとか、その後そこをネットワークしてフォローアップするみたいな事業をやっているんですけれども、非常にニーズとしては高いなと思っております。
それで、ちょっと事務局が頑張って、行政と社会福祉協議会と地域の団体さんというのを自分たちで調べて、そこにチラシをお送りしているんですけれども、本当に最近は非常に多くて、直近だと中部地区で今、説明会をやっているのですが、40団体ほどからお申込みがあって、行政からのお申込みというのも増えているという中では非常に重要なのかなと思っております。
ですから、ぜひこれはできるといいなと思っておりまして、この事業自体は来年の6月で10エリアが終わるんですけれども、既に終わっちゃったところから、私たちは受けられませんかみたいなお話もありますし、これをどうしていくかということを考える中では本当に国の事業としてやっていただけるといいのかなと思っております。
まず1点目がそちらで、あとは残り2つです。
住居確保給付金についてです。これは非常に子育て家庭にとっては重要なものでして、本当にコロナの中で要件を緩和していただいて、現状における減収というのもしていただいたことがすごくありがたかったかなと思っております。私どもの下にも、家賃が払えないので私は子連れホームレスになるのでしょうかというふうな御相談をいただくような方も多い中で、住居確保給付金というのは非常に重要ですし、子どもがいる御家庭では転居をしていくということが非常に大変ですので、そういった中では現実に即した支援制度に法律のほうも変わるといいなと思っております。
最後に、3点目です。これも子育て家庭の生活保護の住宅扶助についてなんですけれども、子育て家庭に関しては住宅扶助費をちょっと柔軟にといいますか、転居をするということが非常に厳しいわけですね。ちょっと出ているから収めるために転居しなければいけないという中で、子どもの転校などが伴いますと、子どもが大きなダメージを受けますし、転校などがないにしても、なぜ変わるのというようなことがある。
ですから、分不相応に立派なところに住んでいる場合は仕方ないとしても、それなりであるのであれば少しそこは子育て家庭は柔軟に見るべきではないかと思います。御本人が望む中で転居はしたくないというふうなことでは、最終的に子どもの貧困の連鎖を切るためにはそこで生活を立て直すということが非常に重要だと思いますので、そこの部分はぜひお願いをしたいと思っています。
この住宅扶助の問題は結構大きくて、子育て家庭が生活保護を受けない大きな理由にもなっていると思うんですね。結局、引っ越しをしなければいけないから、だから生活保護は嫌だというふうなことで、頑張り過ぎてどうしようもなくなってから生活保護を受ける。それで、皆さんおっしゃっていますけれども、多分この先でコロナの第7波とか、そういうことも出ているので、生活保護を受けられる方、子育て家庭も増えるかと思いますので、そういった家庭がさらに崩れることがないように、ぜひそこは柔軟にと思いますし、制度のほうでもしっかりと対応していただければと思います。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、生水委員お願いします。
○生水委員 生水です。
資料を提出しておりまして、20ページ以降になります。住居確保給付金に絞って3点意見を述べます。
1点目は、(再支給の制限)についてです。施行規則では、「自己の責めに帰すべき理由によるものを除く」とあり、解雇については、再支給制限の除外となっています。
しかし、休業等減収要件については、コロナ禍において特例措置によって3か月のみ、再支給は可能となっていますが、本則では再支給が制限されています。現在も続いているコロナ禍では、同じ職場においてコロナ感染拡大の波によって給料は減収したり回復したりを繰り返す相談者もおられるのですけれども、減収要件では特例措置で1回のみしか申請ができません。
こうしたコロナ禍をはじめ、今後も起こり得る社会的な要因で減収するものについても、特例措置ではなく本則の制度として再支給が制限されない取扱いが必要ではないかと思います。
2点目、21ページを御覧ください。収入算定基準についてです。現在、住居確保給付金の条件として使っている収入限度額の基礎は地方税法に規定する市町村民税なので、支給審査において算定する収入の範囲も、地方税法と同じく、失業給付など、非課税所得となるものは算定しない収入として整理、見直しを図ることが必要だと考えます。
特に「児童手当」「児童扶養手当」については、収入算定することで住居確保給付金が受けられない相談者がおられること、また「職業訓練受講給付金」ではこれらは収入算定されないという制度下のアンバランスとも相まって、以前より課題として捉えていました。
そこで、野洲市では令和2年度のコロナ禍において、23ページになります。国の交付金を活用し、住居を確保するための生活支援緊急給付金を創設しましたが、これは住居確保給付金の仕組みをベースに創設したもので、令和2年当時においてコロナ禍の影響で住居喪失のおそれがありながら様々な理由でこの給付金を受けることができなかった層に焦点を当てて、国の制度より対象要件を緩和したものでした。
その結果として、限定された申請期間ではありましたが、12件の支給が決定され、このうち8件が「児童手当」「児童扶養手当」を収入算定しないことによって支給が可能となった件数です。
なお、12件はすべて女性であり、そのうち母子家庭が9件と、コロナ禍において母子家庭や非正規雇用が多い女性が多く影響を受けていることが分かります。こうしたことからも、「児童手当」「児童扶養手当」については現場のニーズを踏まえて収入として算定しない取扱いが必要ではないかと思います。
3点目、22ページで「職業訓練受講給付金との併給について」です。この住居確保給付金の受給水準の多くは職業訓練受給給付金の収入や資産要件の上限額と比べてかなり低水準になっている中で、相談者が職業訓練を受けて、より安定した仕事を得るに当たっては、職業訓練受講給付金のみで住居の確保と、職業訓練中の安定した生活を実現するのは困難ではないかと思うので、職業訓練受講給付金との併給については恒久的な措置が必要ではないかと考えます。
あわせて、求職者支援制度の緩和による特例措置については令和5年3月末までとなっていますが、せっかく利用しやすい制度として見直されたのですから、恒久的な制度として改善することが必要だと思います。
また、資料には事例をつけておりますので御覧いただければと思います。
最後です。参考資料1の12ページ、一番下の○の相談体制づくりについてですが、アウトリーチについては庁内連携が必須なので、自治体の事業担当者向けの研修が必要であって、そうした体制づくりは片手間ではできないので恒久の専従職員の配置が必要だと思います。
また、論点整理の50ページにあります生活保護と生活困窮者の合同研修会の実施については賛成で、その際には自立だけではなく尊厳の保持の理念、これを共有することが大事だと思います。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、堀委員お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。3点お願いしたいと思います。
1点目の居住支援なのですけれども、現在顕在化しているのは中高年のホームレスかと思うのですが、ぜひ若者のホームレスにつきましても目配りしていただきたいと思います。現在は何とか家庭で抱え込めているようですけれども、いずれ路上に出てくる可能性がある。ほかの先進諸国のように出てくる可能性がありますので、ぜひ幅広い御検討をお願いしたいと思います。
2点目は支援者に対する研修なのですけれども、自治体職員は自治体職員のローテーションの中で生活保護であるとか生活困窮者支援を担当されることが多いということで、なかなかそんなに長年この仕事を続けるという方は少ないというようなデータがございましたが、ぜひ地元で既に活躍している支援者の方々との交流ができるような、そんな研修を期待したいと思います。
3点目、前回欠席いたしましたので大学生の生活保護についてですが、ぜひ慎重に取り扱っていただきたいと思います。私は長年、高卒就職についての研究をしておりますが、日本社会には高卒者が活躍できる機会が様々あることを様々な調査研究から把握しております。大学進学にだけ目を奪われるのではなく、ぜひ高卒就職に対する支援にも力を入れていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、竹田委員お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。
時間も限られていますが、2点述べさせていただきます。
1点目が、生活保護業務の効果的・効率的実施の事務負担の軽減になります。ケースワーカーの業務負担の軽減のあり方については、ケースワークの質の向上の観点から議論を行うという事務局からの資料について賛成したいと思います。
その上で、これまでの議論を踏まえますと、前回も申し上げたのですが、ソーシャルワークの視点から議論していくことが必要と思っています。一般的に、ケースワークは困難な課題を抱えた対象者が主体的に生活できるように、個人、家族といった個別に対するソーシャルワークというふうに言われていますし、また、27ページにあるように相談援助の枠組みにおいても新たな社会資源の創出ということが含まれておりますので、個に対する実践から地域や社会に対して働きかけをしていくということを踏まえますと、今日的な地域共生社会の実現に向けた取組の多くというのが地域への働きかけということを中心にしていますので、ケースワークの枠組みを超えてソーシャルワークの観点から再構築していく必要があるだろうと考えています。
2点目が、その続きで不正受給対策です。ICTを活用した事務負担軽減と不正受給対策の両立法として、昨今のデジタル社会の実現に向けた重点計画等を踏まえて、行政サービスのオンライン化の3原則に基づいて、例えばウェブサイト、アプリ、システムなどを開発していくということが一つ解決方法につながるのではないかと思っております。
その際、生活困窮者であったり、被保護者をユーザーとして、ユーザーである生活困窮者や、被保護者が使いやすい、利用しやすいを実現できるような設計で考えていく。例えばアプリで生活保護の申請ができる、オンラインで手続ができる、記録を共有できるなど、ユーザーとしての利便性が高まれば、活用され、様々な議論の中に出ているミスマッチというのがかなり解消されるのではないか。その結果として、ケースワーカーの業務負担の軽減であったり、不正受給対策にもつながり、さらには他の制度への波及というのも期待できるのかなと思っています。
不正受給対策については、先ほど宮本委員からの御意見のとおりだなというふうに私も思っております。不正アクセスを目的とした制度設計になりますと、監視システムという捉えにつながっていくことも懸念されますので、そういったところは留意が必要かと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
池永委員、お願いします。
○池永委員 民生委員の池永でございます。
救護施設のことがでていますので、私のほうからは、救護施設を出て地域で生活している女性がいますので、その方のことについてお話をしたいと思います。
その救護施設は、県立から地元の社会福祉法人に移管されて地元にあります。その女性は、その施設にいるときから民謡、踊りなんですけれども好きで、地域の愛好家と一緒に施設からその踊りの稽古に通っていました。その中に民生委員もいまして、送り迎えとか、援助をしておりました。それから地域居住移行ということになりました。住居を構えるときも民生委員も施設に協力して住居を構えたようです。踊りは続けていましたが、何年かたってお仲間も高齢化して、その会もなくなりました。
彼女の特性から、いろいろな問題があるときは民生委員、10年ぐらいたっていますので途中で民生委員も交代していますけれども、次の民生委員というふうにその時々に応じて、民生委員だけでなく彼女の思いのままに相談先・訴える先もいろいろ変わったりして、地域とトラブルがありながらも地域で生活をしています。
今は包括支援センターともつながっております。地元のスーパーマーケットのフリマでいろいろなものを楽しそうに物色しているようなところも見かけます。家計管理とか、なかなか難しいようなところもあるように感じますけれども、地域でどうにか生活しているんだなと彼女を見ていますと結構楽しそうに生活しているようです。地域移行しても、また施設へ帰っていく人もいる中で、地域の人の見守りの中で生活できていると感じていますので報告いたします。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、入木参考人お願いします。
○入木参考人 高知市福祉事務所の入木でございます。
私からは、3点意見を申し上げさせていただきます。
1点目は、救護施設と福祉事務所の関わりについてでございます。高知市には2つの救護施設がございまして、どちらも民間の社会福祉法人さんが運営しております。施設入所者の半数以上が本市、高知市の保護受給者の方で、担当ケースワーカーが毎月訪問して面会をしたり、施設の方と情報交換を行っております。
地域移行につきましては通所利用の事業をやっておりますけれども、実績がまだ少なくて、これからというところで、運営されている法人さんもそのことについて認識しております。
今日みなと寮さんが御報告くださいましたように、ケースワーカーと施設との連携というのは大変重要でありますので、今後の連携を深めていくためにも今日御報告いただいたお話を取組の参考にさせていただきます。
2点目は、生活保護業務の負担軽減についてでございますが、高知市でもケースワーカーの事務負担を軽減するために、面接相談員、年金資産調査員、それから就学促進員、就労促進員などを雇用しております。
書類の文書照会や資産調査の単純な事務だけでなくて、ケースワーカーの専門性としては若干弱いかなと思うような教育の分野においても、子どもの学習支援や進路相談など、それからなかなか就職に結びつかない保護受給者への求職活動に専門の支援が関わることで、忙しいケースワーカーの業務の負担軽減につながっております。
一方で、それによってケースワークが関わり自体を引いてしまうという懸念もございます。そうならないように、例えば支援員が支援経過をケースワーカーに報告を挙げていく、あるいは定期的に当事者を含めた関係者で話合いをしながら今後の方向性を決めていく等、ケースワーカーが継続して関わっていくことがケースワークを行う上で何より大事なことかと考えております。
最後、3点目ですが、居住地特例についてでございます。本市のように医療機関や高齢者施設が集中している自治体にとりましては、財政的な負担の面ではこの居住地特例のルールはありがたいものではございます。介護保険と同じ取扱いにすることで、事務的な整理も一定つくのではないかと考えております。
ただ、一方で、今のところ影響はそんなにないかもしれませんが、適用範囲が広がることで遠方の施設の件数が増えてまいりますと、訪問というところで負担が大きくなる可能性がありますので、訪問回数の調整等の運用ができればと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、朝比奈委員お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
実は私も今コロナ陽性で、お聞き苦しいところがあったら申し訳ありません。
今日、事務局から、千葉で取り組んでいるネットワークについて少し触れてほしいという御依頼が事前にありましたので、まずそちらから申し上げたいと思います。
資料をお願いします。スライドの2枚目をお願いします。
「千葉県生活困窮者自立支援実務者ネットワーク」、通称ちこネットというふうに呼んでおります。直近の会員数は223名になっております。会費制をとっておりまして、その中身についてはこちらを御覧ください。
次のスライドをお願いいたします。
「ちこネット設立の経過」としては、先行している中核地域生活支援センターの連絡協議会の活動が(通信混線)になっていると考えています。中核センターの経験から、広域のネットワーク組織の必要性を理解していた有志が集まって、自発的に声をかけて組織をしたという形になっております。
次のスライドをお願いいたします。
運営委員は、全部で17名で組織をしています。県庁と県社協さんについては充て職で1名ずつ出していただき、それ以外は現場の実務者、それから弁護士会からも2名御参加をいただいています。
次のスライドをお願いいたします。
この辺りについては活動の様子なので、流してしまってください。
スライドの11枚目をお願いいたします。「成果と課題」というところです。
ちこネットで取り組みまして、「成果と課題」を少しまとめてみました。まず、何よりも支援者を支える仕組みができたというところがあります。もちろんその研修、それから顔の見える関係づくりというところも大きいんですけれども、この辺りを整理していて私自身としては、自分や自分の地域の実践の現在地が分かる、それから目指したい取組がすぐそばにある、それを知れるということがとても大きいかなというふうに思います。
それからもう一つ、広域のほかの団体との協働がしやすいということで、いくつかの団体とか、あとは氷河期世代のプラットフォームとか、県の居住支援協議会とか、このちこネットから困窮の現場を代表して委員を送り込むというようなこともやっております。
次のスライドをお願いします。
ただ、これは前任の会長がつくったものなんですけれども、「ちこネットの活動と性質」というところで、半分公務、半分自主活動みたいなところがありまして、次のスライドをお願いいたします。
その辺りが難しさでもあり、大事なところなのかもしれないとも思っています。
「課題」としては、やはり自治体によって制度理解の温度差がありますので、そこを埋めていくような働きかけがネットワークとしてできるかどうかということ。それから、例えば直営の事業所なりそれぞれの所属組織によって、このネットワーク活動への理解の違いがあります。それから、「現場のリアル」を反映させるためにどうやって柔軟な組織をつくっていくかということ、何よりもこれは私たち自身が必要性を感じて参加するネットワークであり続けるということがとても重要だと思っております。
ネットワークについては、以上です。
あとは全体についてなのですけれども、生活保護の処遇困難ケースについてもろもろ課題、それから取り組むべき事項などについて御説明がありました。これにつきましては、もちろん関係機関の連携もそうなんですが、必要性については別に生活保護にかかわらず、それから大変対応が困難な事例というのも生活保護にかかわらず様々な分野で共通をしていると思います。ですから、もちろんその基礎的な知識なり、それから関係機関のつながる仕組みということが必要なんですけれども、やはり共通のテーマになっております地域共生社会の体制整備づくりですね。この中で、生活保護の問題だけではなく広く取り上げていくべきではないかなというふうに考えているのが1点です。
それから、本当にレアケースかもしれないんですけれども、援護の実施者が誰になるかでもめることがちょこちょこと出てきています。その基礎自治体の間でどこが見るかということですね。これは生活保護もそうなんですけれども、例えば障害の援護の実施ということについてもそうで、ケースによっては生活保護の実施と、それから障害福祉の援護の実施者がたすきがけになるということもままあります。この辺り、援護の実施者が誰になるかというところについて、広域レベルでの調整機能が必要なのではないかと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。朝比奈委員、どうぞお大事になさってください。
それでは、佐保委員お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
時間が限られていますので、今回私から特に申し上げたいのは1点、支援を担う体制づくりについてです。
生活困窮者自立支援事業の適切かつ円滑な実施には、都道府県による市町村への支援や支援員、従事者に対する研修の充実だけではなく、人員体制の強化に向けた国による財政的な支援が不可欠であります。
人員体制の強化には、支援員などの処遇改善と雇用の安定を図り、人材の確保、定着を進めていくことが重要であると考えます。
全国いくつかの地域の委託先における、支援員をはじめとする人員体制の状況や、基本賃金を知る機会がありましたが、相談支援員全員が有期雇用だったり、主任相談支援員の方で勤続年数5年、週5日のフルタイム勤務でも、月額17万6000円、年額211万2000円という事例がございました。こうした低賃金では、必要な人材確保もままならないのではないかと思います。
支援体制のさらなる強化のためにも、以前にも申し上げましたが、国として支援員などの賃金実態を把握し、処遇改善とそのための財源確保に取り組んでいただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、五石委員お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。私のほうからは3点です。
まず1点目ですが、一時生活支援事業について、先ほど生水さんと奥田さんの質疑の際にも出たかと思うのですけれども、一時生活支援事業で生活扶助を支給できないということになっていると思いますが、これをぜひ柔軟に使えるようにしていただきたいと思います。それを柔軟に取り扱えることによって、実施率も上がってくるのではないかと考えております。これを実現してほしいと考えている自治体は少なくないというふうに認識しています。
2つ目が生保で、先ほど宮本先生から住宅手当のお話が出て、また奥田委員からも、単身高齢者で生活保護受給がこれから増えるのではないかという話がありましたが、例えば高齢者で借家住まいで年金も少額だという方がいらっしゃった場合に、収入も少ない状況ですから家賃で徐々に取り崩していって、最終的に貯蓄がなくなった段階で生活保護に至るというケースはかなり多くあると思いますし、今後も多く出てくるのではないかと思います。
そこで住居確保給付金の対象拡大をして、そうした高齢者に支給できるようにするですとか、あるいはいろいろ方法は考えられると思うのですけれども、住宅扶助の単給化を図るですとか、いろいろな対応を考えられると思いますが、そこへの対応もぜひ必要なのではないかと思います。
3点目ですけれども、救護施設に関して本日資料1の32ページでデータを出していただきまして、これに私は非常にびっくりしたんですけれども、入所者の「年齢」は「65歳以上」が5割、入所者の「入所期間」は「10年以上」が3割以上、それから現在の主な「日中活動」で「施設内での日中活動」が9割以上、「1年後の居住の場所」は「現在の施設に継続入所」だろうという人が8割以上というふうになっておりまして、先ほど前嶋さんからもちらっとお話が出ましたけれども、1人当たりの面積が3.3平米と、これは国交省が定める最低居住基準の25平米からすればかなり狭いということもありますし、また、無低が個室と原則なっているのに対して救護のほうは多床室であるということからすれば、これほど長きにわたって生活をしているにもかかわらず、このような居住条件で暮らしていらっしゃるということ自体が、この最低生活基準の保障という面からすれば改善すべきではないかと感じました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡部委員お願いします。
○岡部委員 では、私は3点お伝えします。
1点目は、ホームレスに関連してです。ホームレスの実態調査によれば、ホームレス状態にある人たちの路上期間が長期化しています。5年以上でいくと6割です。それと、高齢化も進み60代が平均年齢になっています。さらに、先ほど堀委員がおっしゃられたように、生きづらさを抱えた若者も一定数、見られるようになってきています。
このように、家族、地域、学校社会、企業社会から排除され、また制度にも包摂されず路上に取り残されて孤立化している人たちが一定数います。この点については、生活困窮者自立相談支援機関による巡回相談事業、または生活保護の実施機関によるアウトリーチなどによる専門的な支援が行われていると思いますが、より一層の専門的支援の強化と、それに見合った体制整備を行っていただきたいと思います。
2点目は、無料低額宿泊所に関連してです。無料低額宿泊所は届出義務がありますが、罰則規定がありません。この点、一時生活支援事業として規定する自立支援センターは定員を充足していないところがあります。それに反して、無料低額宿泊所の入所者は増えています。これについてはきちんとした対応を担保していくことが必要と考えます。私は罰則規定を定め、無低への指導を行っていただきたいと思います。
3点目は、保護施設についてです。救護施設は先ほどもお話が出ましたように、全ての福祉施設の最後のセーフティネットです。そこでは居宅で生活ができない多様な生活課題を抱えている人が入所されています。そこでは先ほど前嶋委員がおっしゃったように、丁寧な支援が行なわれています。救護施設をはじめとする保護施設は通過施設です。そこで、施設内で十分な支援を行うと同時に、居宅移行、他法施設入所に向けた地域移行の支援を強化していただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、浦野委員お願いします。
○浦野委員 まず、今日は居住支援の課題というのが大きなテーマだったわけですけれども、居住支援の課題でもお話を伺っておりますように、物、箱、建物を提供するということと、あるいはそのために必要なお金を給付するということと、でもそれだけではなくて、やはり人による支援が大事なんだということが改めて確認されたと思います。
それで、人による支援というのはソーシャルケースワークであったり、あるいはコミュニティオーガナイゼーションであったり、いろいろ用語はあるのでしょうけれども、いろいろな形で人が動かなければできないというものがどうしてもあるし、その意味で今日のもう一つのテーマである、いかに人材を育成していくかということが重要なんだというふうに思います。
その際、個々の例えば居住に特化したスペシフィックなソーシャルワーカーとか、何々に特化したスペシフィックなソーシャルワーカーということもあると同時に、やはりそれらを総合化していくジェネラルなソーシャルワーカーが必要なのだろう。そこはどのように役割分担をしていくかというのは、実践の中でいろいろ出てくるのだろうとは思います。
しかし、いずれにしろ、その共通基盤としてのソーシャルワークということは改めて確認しなければいけないのだろうなと思いました。
それで、社会福祉士という資格がありまして、御承知のとおりですけれども、日本国で法律として位置づけた専門職ですが、例えばこの社会福祉士の資格が必置化されている仕事というのはほとんどなくて、せいぜい地域包括支援センターの中に社会福祉士を1名置きなさい、有資格者でなければだめですよというのが唯一の例くらいで、社会福祉士をちゃんと置きなさいということはどんな分野でもほとんど活かされていない。ここはやはり問題なのだろうと思います。多分ベースとなる資格、ベースとなる教育訓練を受けるという意味では社会福祉士というのはすごく大事なのだろう。その上でスペシフィックないろんな分野のというのは、当然積み上げ方式であるのだろうとは思います。
そのことと関連して住所地特例の話ですけれども、これまで介護の世界では例えば特養の住所地特例というようなことがありました。ただ、この介護の世界での住所地特例というのはどこがお金を負担するかということにほぼ限られた話なんですね。私どもの法人で運営している特別養護老人ホームでも、住所地特例の方は何人か入所されています。
ただ、それは例えば息子さんの住んでいる近くの特養に入りたいからといって遠隔地から入所するというような形で、ほぼ財源をどこが負担するかというだけの話で、息子さんが近くに住んでいらっしゃるというようなことになれば、施設としても家族に対する支援も含めてやりやすいわけですから、これはあまり問題にならない。
ただ、先ほど来、言っているソーシャルワークというと、この生活困窮者支援などの分野で考えると、どうしてもそこは切り離せなくなる。そうなると、資料の中にもありましたけれども、遠隔地に対してどうやって支援していくのかということは、そうそう軽々には扱ってもらいたくないと思います。
むしろ、しっかりと地元の福祉事務所なりに、前住所の福祉事務所が地元の福祉事務所にきちんと業務委託をしてソーシャルワーカーとしての支援をお願いするというようなことまでやらないと、単なるお金の話だけの住所地特例では、これは介護の世界とは違うのだろうと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、和田参考人お願いします。
○和田参考人 ありがとうございます。
まず、議題の1についてでございます。生活保護制度と生活困窮者自立支援制度のどちらの制度におきましても、住居確保が生活再建自立に向けた支援、働きかけのスタートになるということから、コロナ禍で住居確保給付金が果たした役割は非常に大きいと考えております。住居確保給付金においては、コロナ禍で講じた様々な特例措置を継続するとともに、支給上限額の引上げなどを行い、支援体制の充実を図ることが必要と考えております。
一時生活支援事業は現在任意事業の位置づけでありますが、実施率もほかの事業と比べて低いため、必須化を検討する場合には補助率の引上げとともに現場のニーズに即した取組方法についても検討する必要があるものと考えております。
続きまして、議題2についてでございます。生活困窮者自立支援制度における基礎自治体の支援について、例えば本県では生活困窮者の自立支援を強化するため、県内の実施主体や関係部局、生活困窮者支援団体がネットワークを形成し、情報共有等を行うなど、相互の連携を図っております。
最後に、議題の3についてでございます。都道府県は各市と指導監査等を通じて日常的に連絡、連携を行っており、また、生活保護の実施主体として町村と遺漏のないよう取り組んでおります。
医療扶助等の都道府県の援助のあり方については、前回内堀知事から発言させていただきましたとおり、実施により事務量の増加が伴うことから、各都道府県等と十分協議し、合意の上で制度の具体化を進める必要があります。都道府県が市や県の福祉事務所に対して、より適切に、効果的に支援を行うことが可能となるよう、国においては具体的な連携に係る事務マニュアルや好事例などの提供をお願いしたいと思います。
また、現場においては、日々の課題の解決に多くの時間を費やし、専門的な知識の習得に時間を割けないという実情があることから、ケースワークに必要な専門的な知識を外部から取り入れ、質と効率を高める外部委託の活用のあり方についても議論を進めていただけますようお願いを申し上げます。
また、不正受給の防止について、生活保護担当ケースワーカーは悩みながらも指導、援助困難ケースの対応を行っております。査察指導員や事務所全体で未然防止や早期発見に地道に取り組むことが不可欠であると考えております。
一方で、現場では査察指導員がケースワーカーの精神的な負担をケアしながら対応に当たっている面もあります。事務負担軽減の観点も踏まえながら、生活保護の不正受給の未然防止、早期発見を図るための方策を検討していく必要があります。ICTや情報連携の取組を着実に進めることで、ケースワーカーがケースワークにより集中して取り組むようにすることが重要と考えております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、駒村委員お願いします。
○駒村委員 どうもありがとうございます。
時間もございませんので、私は資料1の27ページの事務局から問われている部分で、住居確保給付金のあり方について絞ってお話ししたいと思います。
基本的には制限を緩めて、より一般的な対象に広げていくという意味で社会手当化を目指していく。住宅手当という名前になるのだろうと思います。住宅保障、住居保障に関しては社会保障の一大テーマとしてこれまであったわけでして、古くからシュワーベの法則と言われていて、低所得者ほど家賃負担率が高い。その傾向はますます強まっているのではないかと思いますので、この問題に真正面から向き合っていく必要があると思います。
ただ、いくつか留意点はあるのだろうと思います。区画補助というような形でやった場合、理論的には帰着と転嫁が発生するので、誰に補助したのか、つまり、家賃が動いてしまった場合、誰の補助をしているのかという問題が発生してしまいますので、そういうことが起き得ないのかどうか、そういうことを防止するような手段というのは基本的には考えておかなければいけない。
それから、この給付の水準と対象次第によっては松竹梅ということで、かなりの財政的な幅が出てくると思いますので、財源のこともきちんと考えなければいけないだろうとは思います。
ただ、その一方で、この政策によって住宅扶助を相殺できるというか、軽減できる。生活保護への負荷を軽減できるという部分もあろうと思いますし、ほかにもそもそも今、持家政策の中で住宅ローンなどに対する減税もやっているわけでして、そういったもののバランスも考えていく必要があろうかと思います。
持家政策中心の住宅保障政策から転換していくという意味合いもあると思いますので、この社会手当化と、いきなりそこまでの社会手当というものが言い切れるかどうかというのは悩ましいとは思いますけれども、ぜひともややしつこく政府を挙げて議論をしていただくきっかけとして進めていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、お願いします。
○奥田委員 今日は参考人でも発言させていただきましたが、もう少しだけ、すみません。
まず1つは、資料1の28ページの辺りで総合的な住宅政策とのリンクをどうするかということなのですけれども、大きな話は今、全世代型会議でも進めておられると思うのですが、ともかく地域においては地域の居住支援協議会に生活困窮の担当部署なり、担当者が必ず出るということを原則にしたほうがいいと思います。我々独自でネットワークをつくっていくという発想もいいのですけれども、既に居住の部分ではネットワーク化された協議会があるわけですから、そこに生活困窮の担当者なりが必ず出るということは、やはり私はきちんと推奨するということが必要なのではないか。まず1点目です。
2点目は、若年とか女性の方々に情報が届いていないのではないか。このことに関しては、この住まいの困りごと相談の実績からいくと、相談者の6割が男性で4割が女性なんです。30歳以下の相談は2割にとどまっている。やはりこれは1つには、電話という手段のジェネレーションギャップが出ているんだと思うんです。一応インターネットでSNSの相談も受けているのですけれども、その分に関しては宣伝が弱い。ですから、やはりこれは体制強化しないと、この層に対して女性とか、あるいは若年層に対してなかなかコミットできない。今のままではちょっと無理なのではないかなということで、強化すべきだ。
それともう一つは、やはり受入先ですね。先ほど堀委員がおっしゃっていましたが、やはり若者のホームレス化というのも想定しなければならない。そうなると、私の今日の発言とかぶってしまいますが、旧来のホームレス仕様の受け皿というのはもう通用しないんです。そんなところに誰も入りたくないんです。見た瞬間に、嫌だと私も思う。だから、やはりここは根本的に体制として女性や若者に向けて、なぜかといったらホームレスと言ったらほぼ高齢の男性と限られてきたんです。ですから、そのイメージをやはりこの間、払拭しなければならないというのが2点目です。
3点目としては、無低の届出の問題なのですが、これは罰則をつけるか云々かという議論は当然あると思います。
しかし、私は最終的にはあのときの改正はちょっと悪い無低をどう規制するかという議論と、一方で社会資源をどうつくるかという議論はセットだったわけだから、やはり日住をどう伸ばしていくか、どう今の無低を日住のほうに向けていくかという努力をしないと、一方で無低に対してやりにくい方向に押し込んでいくと、実際そこに何万人という人が暮らしているわけですから、ここのところをもうちょっと慎重にやらないとうまくいかないのではないかというのが3点目です。
4点目としては、日住と救護の連携ということを強化すべきだ。私はこれは十分これから議論していく余地があるところで、例えば地域移行に関しても日住と救護の大きな違いは、日住はいわば外部資源は使えるんです。それで、救護は使えない。これはワンパッケージですから、最後のセーフティネットですから使えない。だから、救護である意味、手厚く、広さの問題等はあるとしても手厚くやっていく。そして、1段階目で社会資源を使いながら、例えば日住が移行のワンステップになるとか、そのところを段階的に考えたときに日住と救護の連携というのはとても大事なのではないか。
最後に現金給付の問題ですが、私は現物給付、つまり住宅の確保と現金給付はセットで考えなければ、単純に現金だけでやると、家賃の補助ということだけでやってしまうと、生活の支援とか見守りをどうするんですかという問題がもう一つ残るのと、大元ですね。家賃が下がらないという状況になります。大家さんはずっと家賃を維持できるというところで、従来空き家が増えてきたら家賃は下がっていくべきところを家賃補助で足してしまうと、下手な言い方ですし、これは本当に失礼な言い方かもしれないけれども、大家さんは助かるだろうと思うんです。けれども、大本、家賃の幅は変わらない。幅というか、ほかから入っているだけでその幅は変わらないんです。
今、必要なのは低廉の家賃物件、しかもそれに生活支援がついているような物件と家賃の補助というのがセットにならないと、つまり日本の住宅はやはり私は全体的に見て生活費に占める家賃率が高過ぎると思うのです。だから、生活できない。老齢の基礎年金で生活ができる程度の家賃というのはいくらなのかというところから発想していくと、それなりの物件を用意しないと、物件と現物給付と現金給付はセットで考えなければならないというのが私の意見です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど大森委員に御発言いただいていますので、まず1度目の発言の方を優先させてください。
勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 今日はいろいろと勉強になりましたが、住居確保給付金についてまずお話ししたいと思います。
コロナの特例のことで、随分求職要件の緩和でありますとか、それから再給付というふうなことで対応していただいたのですけれども、そもそも住宅扶助の単給化ということも併せて考えていかないと、住居をどうやって支えるかというのは本当に死活問題で、このたびのいろんなコロナ禍での取組でも明らかになった点ではないかと思っています。
2点目は居住支援なのですが、同じ居住支援法人でもまちまちで、やっている内容もかなり差があるなというのを実感しています。それで、今、言われたようないわゆるケアつきでしっかりされているところもあれば、住居を提供するということで、例えば住居が合うものがなかったら、すみませんということで終わってしまうようなところもあったりということで、この辺りが実は大変いろいろ問題であるなと思っています。
例えば、我々のところでは重なり合わざるを得なくなっていまして、生活保護の人でも住居が必要な人、あるいは8050でそれぞれの生活を分けないといけないような状況になった人とか、そういう方々になりますと保証人がいない。引っ越しをする手だてが分からない。いろんなリユース品を用意しないといけない。手続ができない。家がごみ屋敷状態になっている。いろんな方々についてのフォローというのは、生活困窮者支援の中で相当な件数に対応しています。昨年度でも100件以上の居住照会、あるいは引っ越しということでの対応をしていますし、家を失った人たちもこの2年で30人、ホームレス状態の人もいれば、先ほどの若者ですね。友達の家で暮らしていたというふうな人たちの居住をどう設定していくかという問題であったり、それから飯場とか寮にいて住む場所を失った人たちが本当にたくさんおられたということを実感しています。
こういう人たちの支援というのは、家だけ与えたらいいというものでは決してありませんし、もっと言いますと、集団生活がなかなか難しい方々も多くおられて、救護とかという形には進みにくい人たちも多くおられました。ぜひこういう人たちが今、居住というところで改めて法律でできていた救護の方法以外の新たな考え方みたいなことが今回構築できればいいなと思っています。
3点目ですが、人材の確保のことです。もちろん研修もいいし、ネットワークをつくることも重要なのですけれども、そもそもこの委託期間が決まっている中で任期つきの職員しか採用ができない状況が続いているわけです。ですので、いくら勉強していただいても、いくらスキルを上げていただいても、決められた期間で、その間に経験を積んだからといって委託費が上がるわけではないという状況の中で辞めざるを得ない人たちがたくさんいる。質の問題を問うならば、先ほど佐保委員がおっしゃったように、やはり人材の確保ができるような給与体系をしっかりとこちらのほうから提案していかないと、これは本当にやってもやっても人が替わってしまうということが続いていくわけで、研修をいくらやってもなかなか人の定着はないということにならざるを得ないのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、宮脇委員お願いします。
○宮脇委員 鳥取県湯梨浜町長の宮脇でございます。
私からは、2点申し上げたいと思います。
1つ目は、私どものような小さな自治体におきましては、限られた数の専門職や職員の中で、依存症などの対応が難しい被保護者の方や、複雑化・多様化する困窮の相談に対応しています。このような町村の不十分な人材や、ノウハウを強化するためには、やはり都道府県や国による支援が必要だと考えております。効率的な実施体制ですとか、記載いただきました困難な事例に対する意見交換の場の設定などをお願いしたいと思っております。
次に、事務負担の軽減についてでございます。資料3の6ページにございましたように、知識や経験不足による業務負担については、その習得により負担軽減が図れるかと思います。したがって、専門職を必要とする職務については、他の職務よりも私どものほうでも異動の年限を長くしたり、そういうことには配慮しているつもりですが、何分にも職員の総数に限りがあることから困難な面もございます。
また、ケースワーカーはケース記録や金融機関などへの照会業務なども負担に感じているのが現状でございます。業務負担の軽減を図るための人員増加も、職員の総数が限られている中では限界があります。現在、国において業務負担の軽減に向け、生活保護業務のデジタル化や標準化に向けた検討を進めていただいていますが、小さな町村でも無理なくデジタル化に移行できるような配慮をお願いいたしたいと思います。
あわせて、必要な財源の確保及び丁寧な情報提供をお願いいたしたく考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 それでは、出原参考人、お願いします。
○出原参考人 岡山市の出原でございます。ありがとうございます。
先ほど本市市長から、生活保護の居住地特例について主に財政面からの発言をさせていただきましたが、私からはその点についていくつかの指定都市から実務の面から御意見をいただいておりますので、これを御紹介させていただければと思っております。
まず施設入所の被保護者には居住地特例を適用するということが基本ということを考えとして持っているのですが、遠隔地の施設の場合は被保護者とケースワーカーの関係が希薄になる。そういったような懸念があるのではないかという意見がございました。また、住居型有料老人ホームの場合は、提供される介護サービスは居宅と同等であり、職員配置も他施設と比較して低い水準にあるために、生活保護ケースワーカーには居宅と同等に訪問調査による実態調査や支援を行うことが求められると考えられます。
このため、住居型有料老人ホームに居住地特例が認められますと、被保護者が遠方の施設に入居した場合に必要な訪問調査等の支援を行うことが困難になる事例が発生する等の懸念がある。生活保護受給者が遠隔地の施設に入所した場合の懸念についての御意見がいくつかありました。
一方で、財政負担の集中緩和の目的といったことには一定の合理性があるということ、または同じ施設内で入居者の介護状態によって居住地特例が適用されたり、されなかったり、または介護保険との取扱いが異なったりと、現行制度の分かりにくさといったところも感じられるところでございます。したがいまして、この居住地特例の適用につきましては、メリット、デメリットを勘案したさらなる議論が必要なのではないかと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、会場から新保部会長代理お願いします。
○新保部会長代理 それでは、私からは事前に資料を出させていただいていますので、そのポイントのみを伝えさせていただきます。
まず26ページの保護施設についてなのですけれども、今日の前嶋参考人、大西委員からのお話もありましたように、救護施設は自立支援に力を入れた施設として大変地域にも貢献していらっしゃいます。あわせて、全国で20か所と数は少ないのですけれども、更生施設においても個別支援計画を策定されて、通所事業、訪問事業を行いながら自立支援に取り組まれております。
そういう現状から考えてみますと、法第38条の更生施設の「養護及び生活指導を必要とする」という文言ですとか、第39条の「利用者の適切な処遇」というような表現については、現在の支援をしていらっしゃる現状に合わせて見直しをしていただいてもよいのではないかというのが1点目です。これについては、ぜひ関係者の方の御意見を踏まえながら御検討いただければと思うところです。
続きまして27ページですけれども、まず生活困窮者自立支援制度における「人材養成研修のあり方」ですが、これはこれまで国がイニシアチブを取って研修を実施されてきましたけれども、そうした体制を継続していただきますとともに、階層別研修などにも取り組んでいただければというところです。
あとは、現在研修を実施していない一時生活支援事業や子どもの学習・生活支援事業についても、ぜひ早急に取組を進めていただきたいと思います。
それから、3のところで生活保護制度における人材養成研修ですけれども、生活保護領域においては歴史的に人材養成は、都道府県政令市が新任者や現任者の研修の中核を担っていると理解しております。研修を充実させていくためには、やはり国によって人材養成のための指針の策定や、職種別の標準的な研修プログラムの策定、研修担当者のための研修の実施、活用可能な研修教材の整備などが必要になるのではないかと思います。
手引や研修の資料はかなりこれまでも作成されてきましたけれども、それをアップデートしたり、活用した研修が自治体、福祉事務所で実施できるようにするための仕組みづくりということが必要ではないかと思います。
それから、先ほど和田参考人から査察指導員について言及があったのですけれども、査察指導員が、多くのことを大変期待されていて大事な役割を果たしていらっしゃるということを考えますと、ぜひこの査察指導員に対する研修は単なる実務を理解するということではなくて、横のつながりをつくったり経験の共有をしていくという意味でもとても重要だと思いますので、可能な限り新任者の方が参加できるような形で御検討いただけるとよいのではないかと思います。
この資料以外のことで1点です。今日は、居住支援について大変貴重なお話を伺って議論をすることができたと思います。奥田委員から一時生活支援事業を居住支援事業として見直してもいいのではないかという御意見がありましたけれども、全体的な居住支援、今後のあるべきところを見据えながら、一時生活支援事業のあり方については、迅速かつ丁寧に検討してよい課題なのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
これでほぼ一通り御発言をいただけたかと思います。もっと時間があれば二巡目の議論に入りたいところですが、ゲストもお招きし、かなり盛りだくさんの内容となっておりまして、大変申し訳ございません。
すみませんが、時間がない中で私から法学的な観点で1点だけ御発言をお許しいただきたいと思うのですが、単給をどう考えるかということです。運用改善でどこまでできるかという点は一つ探求する必要があると思いますが、それを超えて単給化を認めるかどうかになると、法的にはかなりハードルがあると私は思っています。
と申しますのは、医療扶助、介助扶助は現物給付ですけれども、それ以外の給付は全て金銭給付として法定化されています。日本は、これらを一体として最低生活保障として考えてきたわけです。さらに、その一体的な最低生活水準というのは憲法25条1項と密接に結びついたもの、逆に言うと憲法25条を具体化したものとしての生活保護基準として理解されてきています。
したがって、例えば勤労控除の幅が狭いというか、手元にあまり残らないというのも、これはやはり憲法25条を踏まえた生活保護基準のあり方という観点からそういう枠がはまっているという理解で制度がつくられているわけですね。ですから、単給化に当たってはこの最低生活水準、最低生活保障をどう考えるのか。これをしっかり議論していく必要があるだろうということは、法学の観点からすみませんが、ちょっと申し上げる必要があるかなと思って発言をさせていただきました。
韓国が単給方式を取っているというのは承知していますが、韓国の法学研究者に聞いたところでは、日本とは随分その状況が違っているのかなという印象を受けていまして、韓国がやっているから日本もというわけには直ちにはいかない法状況にあると認識してございます。すみません。時間をまた取ってしまいましたが、そういうことでございます。
今回も資料を御提出いただいて御発言いただいた委員の方もおられましたが、今後も時間が制約されている中で資料など随時お出しいただくことは歓迎したいと思っております。
また、この部会の議論も二巡目になりましたらもう少しじっくりと議論する状況をつくれればいいなと思っておりまして、事務局とも相談したいと思いますが、前回改正からの委員の皆様はお気づきのとおり、今回改正に向けた議論は論点が非常に多岐にわたっていて、これを限られた期間でまとめていくというのは結構しんどい作業であるなと思っております。
しかしながら、議論はしっかりしなければいけませんので、できるだけ皆様の発言の機会を確保していきたいと思ってございます。
それでは、次回は今回改正に向けた一巡目の議論の最後になるかと思いますが、次回の開催予定について事務局からお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
次回につきましては、8月下旬に開催を予定しております。正式な開催通知につきましては別途御案内したいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
以上となります。
○菊池部会長 それでは、これにて本日は閉会とさせていただきます。
皆様、議事進行に御協力いただきありがとうございました。どうもお疲れさまでした。