第82回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年9月20日(火)17:00~19:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)がん対策推進基本計画の見直しについて
  2. (2)その他

議事

議事内容
○原澤がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第82回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の原澤です。よろしくお願いいたします。
 なお、本協議会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 また、健康局長は公務のため欠席とさせていただきますので、御了承ください。
 続きまして、資料の確認に移らせていただきたいと思います。資料については厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
 議事次第、資料1から9まで、及び参考資料1から16までがございますので、御確認ください。
 また、本日の委員の出席状況でございますが、齋藤委員、黒瀨委員より遅れて参加する旨の御連絡を頂戴してございます。
 続きまして、本日は参考人といたしまして先生方にお越しいただいておりますので、御紹介させていただきます。
 まず、国立がん研究センターがん対策研究所の片野田耕太参考人です。
 続きまして、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科特任教授、東北大学名誉教授、がん検診のあり方に関する検討会の座長の大内憲明参考人です。
 続いて、国立がん研究センター東病院支持・緩和研究開発支援室の全田貞幹参考人です。
 続きまして、国立がん研究センター希少がんセンター長の川井章参考人です。
 埼玉医科大学国際医療センター病院長の佐伯俊昭参考人です。
 最後に、埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授の石黒洋参考人です。
 以上の方々に御出席いただきます。一部の方は少し遅れて参加されるようですが、皆様来られるとのことですので、御承知おきください。
 以上をもちまして撮影につきましては終了とさせていただきます。これ以降の映像の使用はお控えいただきますように御協力をお願いいたします。
 それでは、以降の進行を土岐会長にお願いしたく存じます。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 皆様、よろしくお願いいたします。台風が去ったばかりで大変な苦労をされた方も多いと思いますけれども、今日は本当にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 前回に引き続き多くの議事がございますが、委員の皆様からの意見をできる限り多く頂戴したいと思っております。御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 早速、議事次第に移りたいと思います。まずは議題(1)ですけれども、「がんの年齢調整死亡率の国際比較」につきまして、こちらは資料1について片野田参考人より7分程度で御説明をよろしくお願いいたします。
○片野田参考人 国立がん研究センターの片野田です。よろしくお願いします。
 「がんの年齢調整死亡率の国際比較」について御説明さしあげます。本資料は今年の3月の第78回のがん対策推進協議会の資料を更新したものです。全体的な解釈としては変更ありませんけれども、改めて御説明申し上げます。
 次、お願いします。資料は全年齢と75歳未満の年齢調整死亡率の2本立てになっております。本日は全年齢に沿って御説明申し上げますが、がん対策推進基本計画の中間評価等は75歳未満の死亡率が用いられております。
 次、お願いします。まず、全年齢の年齢調整死亡率の国際比較を示したのがこのグラフです。左側が男性で右側が女性です。それぞれ英国、米国、カナダ、オーストラリア、韓国、日本の6か国の比較になっております。御覧いただいて分かりますとおり、日本のがんの年齢調整死亡率は、各国と同様、順調に減少しております。これは第3期の計画の中間評価で述べられているとおりです。
 次、お願いします。御参考までに年齢調整をしない粗死亡率のグラフをお示ししたのがこの図です。この場合、日本は諸外国に比べて急峻に増加しておりまして、これは先ほどの年齢調整率のグラフと比較しますと、死亡率の増加が主に高齢化が原因だと解釈できるところです。
 次、お願いします。ここからはがん種別の死亡率の動向です。まずは胃がんです。胃がんは韓国と同様、その死亡率が欧米諸国より高かったのですけれども、順調に減少しておりまして、近年では欧米諸国に近づいております。これは胃がんの主な原因であるヘリコバクター・ピロリ菌の感染率が下がっていることが主な原因だと解釈されております。
 次、お願いします。次は大腸がんです。大腸がんは男女とも1990年代半ばから減少傾向を示しておりますが、その減少の勾配が欧米諸国より緩いというか遅いために、かつて欧米諸国と比較して低いレベルだった死亡率が、現在では非常に高いレベルに入れ替わっております。
 次、お願いします。肝臓がんです。肝臓がんは胃がんと同様、東アジア諸国が非常に高い死亡率を示しておりましたが、順調に減少しておりまして、現在では欧米諸国と近いレベルまで下がっております。これは肝細胞がんの主な原因であるB型・C型肝炎ウイルスの対策が奏功していることと、非常に治療効果の高い新薬が普及していることが原因だと解釈されております。
 次、お願いします。続いて肺がんです。肺がんは諸外国とも主に特に男性で死亡率が減少しておりますが、日本の赤いラインを見ていただければ分かるとおり、減少の勾配が諸外国より日本が緩いために、かつて低いレベルだった日本の死亡率は欧米諸国と同じレベルになっております。
 次、お願いします。続いて前立腺がんと女性の乳がんです。前立腺がんの死亡率は韓国とともに近年では減少しており、欧米諸国より低いレベルが続いています。一方、女性乳がんは韓国と同様、増加が続いていて、欧米諸国のレベルに近づきつつあります。
 次、お願いします。続いて子宮頸がんと子宮体がんです。子宮頸がんは、かつて日本は欧米諸国より低いレベルでしたが、近年増加しており、諸外国が減少しているのに対して日本が増加しているために、直近では諸外国の中でも高いレベルに入れ替わっております。子宮体がんは諸外国と同様に日本も増加が続いており、乳がんと同じリスクファクターの影響だと考えられています。
 次、お願いします。最後に膵がんです。膵がんは1970年代にかけて増加が続き、その後、日本では微増が続いております。死亡率の順位としては日本はかなり低いレベルだったのが、現在では男女とも最も高いレベルに入れ替わっております。
 次、お願いします。ここから75歳未満の資料が続きますが、ほぼ傾向としては同じですので割愛させていただいて、最後から2枚目に飛んでいただけますでしょうか。20枚目だったと思います。これですね。こちらのグラフはがん全体の年齢調整率の死亡の部分をがん種別に要因といいますか、内訳を分解したものです。左が男性、右が女性で、男性のほうが年齢調整死亡率の減少幅が大きいために棒グラフが下に延びたような状況になっています。男女とも胃がん、肝臓がん、肺がんが減少の7割近くを占めているというのが傾向としては同じです。先ほど御説明したヘリコバクター・ピロリ菌と肝炎ウイルスの感染率の低下、男性の場合は喫煙率の減少が要因だと解釈されております。
 次、お願いします。最後、まとめです。前回の年齢調整死亡率は諸外国と同様に減少しています。この減少には、胃がん、肝臓がん、男性肺がんが主として寄与しています。一方、大腸がん、肺がん、女性乳がんは欧米諸国より減少率が鈍く、かつて欧米諸国より低かった死亡率が逆転もしくは同じレベルになっています。子宮頸がんは諸外国と対照的に増加に転じています。これら大腸がん、肺がん、女性乳がん、子宮頸がんは、一次予防、二次予防対策が既に確立していますので、これらの対策を今後進めていく必要があると認識しております。
 以上です。ありがとうございました。
○土岐会長 片野田参考人、どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明を聞いて質問がある方は、ウェブで挙手をよろしくお願いいたします。
 どうぞ、久村委員。
○久村委員 片野田先生、分かりやすい説明と資料をどうもありがとうございました。
 私からは1点質問がありまして、資料の20ページ目なのですけれども、こちらのデータを見ますと、男性に比べて女性の年齢調整死亡率の減少値が3分の1程度で、男女による違いがすごく大きいなという印象を受けました。こういった死亡率の減少値の男女差は海外でも同じような傾向があるのでしょうか。こういった死亡率の減少値の男女差が生じている原因や背景について、専門家の先生たちはどのような分析あるいは考察をされているのか、どのようにこのデータを私たちは解釈したらいいのかということについて、少し教えていただけましたらありがたいです。よろしくお願いします。
○片野田参考人 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、がん全体の死亡率の減少幅は男性のほうが日本の場合は顕著になっています。これの直接的な理由は、女性の場合は先ほどお示しした乳がんと子宮体がんが増加をしているので、それががん全体の減少を押し戻しているような、相殺しているような状況です。諸外国の場合は肺がんなどが減少しているというのは先ほどお示ししたとおりで、乳がんについても、先ほどの資料の乳がんのグラフを見ていただければ分かると思うのですが、8枚目の右側が女性乳がんですが、諸外国では女性乳がんが既に減少局面に入っています。それに対して日本はまだ増加局面なので、その違いが欧米諸国との違いに反映されていると考えられます。
 対策への示唆としては、最後のまとめで申し上げたとおり、乳がんの場合は検診ですね。一次予防は難しいので、日本の場合、二次予防である検診が十分に死亡率減少につながっていないというのが我々関係者の認識でおります。それは大腸がんでも同じですし、子宮頸がんでも同じです。この二次予防をきちんと機能させるというのが、次のがん対策に必要なことだと認識しております。
 以上です。
○久村委員 ありがとうございます。
○土岐会長 片野田参考人、スライド20は死亡率なので、減少幅は男女同じでよろしいのですか。むしろ胃がんと肝臓に関しては女性のほうが少し大きいのですね。
○片野田参考人 減少幅の縦軸自体は絶対値なのです。値として入れているのは全体に対する割合です。
○土岐会長 だから、もともとの死亡率が女性のほうが低いので。
○片野田参考人 それもありますし、減少の絶対値の幅ですね。それが男性より少ないというのもあると思います。
○土岐会長 そうなのですか。女性34%で減っているので、男性は29%で、女性のほうが多く減っているという解釈ではないのですか。
○片野田参考人 これはマイナス10という全体の減少幅に対する割合なので、絶対的な減少幅とは違うのです。
○土岐会長 失礼いたしました。
 続きまして、松田委員、どうぞ。
○松田委員 片野田先生、どうもありがとうございました。
 日本と諸外国で共通して行われている大腸がん、乳がん、子宮頸がん検診に関していうと、日本はあまり効果を発揮していないことを十分にお示しいただいたと思います。そこで先生に御質問なのですが、今回6か国で比較をされています。G7の中の日本を含む4か国とオーストラリアと韓国なのですが、その6か国を選ばれた理由が何かおありでしょうか。
 もう一つは、ほかに参考にする国があれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○片野田参考人 ありがとうございます。
 6か国は客観的な基準というよりは、オーストラリアを選んだのはがん対策が非常に進んでいるという好事例として選んでいます。韓国については日本と危険因子の分布がかなり近くて、一方、胃がんなどは一次予防より二次予防に力を入れたことで日本よりもむしろ減少が加速している国として挙げさせていただきました。
 参考にすべき国は、正直いっぱいあると思います。特に検診という意味では米国もそうですし、オーストラリアもそうですし、検診の精度管理とデータの管理ですね。検診の結果をきちんとがん登録と突合していることと、個人単位での検診の履歴をきちんとデータベース化して管理している、その辺りが非常に参考になるかと思いまして入れさせていただきました。
 以上です。
○松田委員 日本のポジションがよく分かりました。先生、どうもありがとうございました。
○土岐会長 続きまして、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 先生、どうもありがとうございました。
 1点だけ、対策型検診は行われていないのですけれども、膵臓がんがなぜここまで全国で増えて高止まりしているのか、何か専門家の先生方の中でいろいろ言われているようなことがあれば教えてください。
 以上です。
○片野田参考人 御質問ありがとうございます。
 膵臓がんは、御指摘のとおり1970年代、1980年代に急激に増加して、諸外国ではその後はフラットなのですが、日本の場合、増加が続いています。70年代、80年代の増加は、主にCTの検査が普及したこと、診断精度の向上が要因だと解釈されております。それは諸外国も同様です。この後の増加というのは、正直に申し上げて、日本でなぜ増加が続いているかについては、あまりはっきりとした理由は分かっておりません。ただ、危険因子でいえば糖尿病が大きな危険因子なので、糖尿病の増加が背景にあるのではないかという仮説は持っておりますが、はっきりとしたことは分かっておりません。
 以上です。
○谷口委員 ありがとうございました。
○土岐会長 ほか、よろしいでしょうか。
 片野参考人、どうもありがとうございました。
○片野田参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
○土岐会長 続きまして、議題(2)のほうですね。「がん対策推進基本計画の見直しについて」、こちらに移りたいと思います。
 本日は、主に「がん予防」分野について議論を行いまして、がんの医療のほうですね。こちらは各分野の参考人の御知見もいただきながら、論点の整理までに本日はとどめておきたいと思っております。ですから、本日は予防、検診について重点的に話し合っていきたいと思います。
 まず、大内参考人より、がん検診のあり方に関する検討会からの提言につきまして、資料を用いまして10分以内に説明をよろしくお願いいたします。
○大内参考人 東北大学の大内です。よろしくお願いいたします。
 がん検診のあり方に関する検討会からの提言ということでまとめさせていただきました。3点ございます。まず、受診率向上のための取組について、2点目は精度管理、3点目は科学的根拠に基づくがん検診の実施についてです。
 検討の視点、最初の受診率向上のための取組についてですが、ここにはがん検診の教育・普及、受診勧奨、それから、受診率をより正確に精緻に把握することができるように検討すべきと。それから、受診しやすい環境整備についての視点、さらには今般の新型コロナウイルス感染症の拡大、危機時におけるがん検診の意義についてです。
 この10年間、各種がん検診ともに少しずつ受診率は上がっているのですが、いずれのがん種においても目標の50%には到達していないというのが現状でございます。
 新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん検診の普及啓発につきましては、検討会でも議論を重ねましたが、厚労省健康局からもいろいろなメッセージを発しておりまして、これは2年前に厚労省から発出したものでございます。がん検診は不要不急には当たらないということで、それについて再度強調しているところでございます。
 受診率について、2020年、コロナ感染が蔓延した第1期ですけれども、4月、5月に全国で緊急事態宣言が発令されて、特に地域におけるがん検診の低迷、減少が起こっております。職域も含めたところでは影響が若干少ないのですが、しかしながら、年度末にかけて回復はしていたものの、全体的にはこの年度で1~2割の減少となっています。現在、21年度のデータを取りまとめ中でございます。
 次に、受診率の向上施策の一環としまして、アクセシビリティー向上等の実証事業が行われております。具体的にはナッジ理論、ソーシャルマーケティングの手法を用いた受診勧奨の方法について、その活用方法について具体的な研究を実施してきているところでございます。
 次に、この受診率向上のための取組についての検討会の提言としまして、5点ございます。まず、受診率の目標値を現行の50%から60%に引き上げること。職域における受診率を継続的に把握できるように検討を行うこと。個人単位での職域の実績を把握することが求められます。また、職域においても、がん検診の適切な実施を行うべきであって、事業主、保険者等の意見を聴いて課題の整理を行ってはどうかということ。そのためには、必要に応じて法的な位置づけについて検討してはいかがかということ。これを協議会に提言したいと思います。受診率向上施策について、幾つかトライアルを行っておりますので、その効果的なものについては発信していく予定でございます。コロナウイルス感染症等危機時においても、一時的にがん検診を受診率が縮小することはあっても、これが速やかにリカバリーできるような体制をつくることが必要と考えています。
 次に、第2点としまして、精度管理でございます。精密検査受診率は全国的には改善傾向にありますが、まだまだ不十分であるということです。この精密検査を受診しやすい環境について検討する。それから、職域についても、より重点的に改善策を提言する必要がある。それから、指針に基づいたがん検診以外の検診についても検討をする必要があるということです。
 このスライドは大腸がんの精検受診率と乳がんの精検受診率を代表として出していますが、大腸がん(便潜血検査)の後の精検受診率は、これは世界的な傾向なのですが、70%程度にとどまっております。一方で、マンモグラフィーによる検診については、目標値の90%にほぼ近づいていることが分かります。
 検討会の提言としては、まず1として、自治体における検診の精度管理を、レセプトあるいはがん登録情報を用いて把握してはいかがかと。都道府県は市町村のがん検診の実施状況を把握し、指導を行うこと。精検受診率については、これを引き続き90%以上とすることでいかがかということです。職域の精度管理については、少しずつ分かってきましたので、これをより精緻に確認していく必要がある。そのためにはレセプトやがん登録情報などを活用すべきであると考えています。それから、各自治体あるいは職域も含めてですが、精検機関リストを公表し、使いやすくすることを提言したいと思います。
 次に、科学的根拠に基づくがん検診の実施につきまして、検討の視点としましては4点ございます。まず、研究開発が盛んに行われておりますが、この成果を活用するのにかなり長時間を要していることは皆様も御存じかと思います。これについて、よりスピーディーにアウトカムを発出できるようにしてはどうかということです。例えば、最後に示していますけれども、胃がん検診に内視鏡を導入したのが今から6年前ですが、そのような導入に当たってのプロセスを明確にすることを提言したいと思います。それから、これは今回の一番大きな私どもの考えなのですが、今、地域、市町村におけるがん検診と職域におけるがん検診が分けられておりますが、これを一国一プログラムとしての組織型検診、オーガナイズドスクリーニングに改善してはいかがかということ。さらには、指針に基づかないがん検診について整理した上で、国民にきちんと通知すべきであるということです。これらの点について検討してまいりました。
 がん検診の法的位置づけにつきましては、御存じのように昭和58年、1983年から老人保健法の中で進められてきております。最近では平成20年の健康増進法の健康増進事業としての位置づけになっております。
 今、5つのがん検診が日本で対策型と称して行われていますが、その中でこのクエスチョンマークになっている検査が、研究としてAMED等を中心として有効性評価が行われている検診でございます。
 先ほど述べましたように、胃がん検診において内視鏡検査の導入に当たってどのような過程を踏んだかということを御参考までにお示しいたします。もともとエックス線検査のみでは、もちろん死亡率減少効果はあったのですが、ピロリ菌等の感染率の低下等も含めてより精緻な画像診断である内視鏡検査の開発が行われてきたわけですが、研究が行われるとともに、この検討会で議論をスタートしたのが2014年です。2年間で議論を深めて、結論を提示しまして、2016年から胃がん検診の指針の中に内視鏡検診が入っております。現在は6年が経過しておりますが、全国の約50%の地域で内視鏡検診が導入されていることが示されています。こういったプロセスを明確にして、各種がん検診の新たな検診モダリティーを評価する場合の参考にしていただければと思います。
 これは先ほど片野田委員が説明されたものと重なりますが、日本における各種がん検診のターゲットでありますがんについて、死亡率減少効果が十分ではないということが言えるかと思います。国際的なデータ等を確認しながら、日本のがん検診のデータを精緻に確認していく必要があると考えております。
 科学的根拠に基づくがん検診の実施についての提言です。まず、がん対策としての適切な実施のために、現在行われている、これは健康増進法に基づく市町村事業ですが、対策型検診の水準を上げて、適格な対象集団への受診勧奨及びプログラムの管理・評価を行うオーガナイズドスクリーニング、すなわち、組織型検診の構築に向けた議論を深めていただきたい。そのためにも、この検診を外国と比べた上で、そのデータの進捗状況を確認してはいかがかということ。それから、現状で市町村において実施されている検診の中身を確認すると、指針に基づかないものも行われている。職域においてもそうなのですが、そういったものをきちんと標準化してそのプロセスを明確にする。評価を繰り返して、適切な精度管理の下に死亡率減少効果をもたらすような検診精度に持っていくということになろうかと思います。新たに対策型検診として盛り込むためには、先ほど胃がんの内視鏡検診で示したようなプロセスを明確にして、研究者の中でも目標に向かって進んでいただけるような体制づくりが必要かと考えております。
 以上です。
○土岐会長 大内参考人、どうもありがとうございます。
 御質問の前に、引き続きまして、事務局からも「がん検診」分野の見直しについて、議論を深めていきたいと思います。
 まず、資料3について、説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 議論に先立ちまして、検討の視点について資料3において整理をしておりますので、御紹介させていただきます。「「がん検診」分野に係るがん対策推進基本計画の見直しについて」でございます。
 3ページ目までお進みください。「がん検診」に関する第3期の中間評価についてお示ししております。中間評価指標としてのがん検診受診率や精密検査受診率等についてお示ししております。
 1枚おめくりください。4ページ目でございます。「がん検診」に関する第3期中間評価についてのマル2というスライドです。こちらには指針に基づくがん検診を実施している市区町村の割合等の指標をお示しするとともに、さらに推進が必要と考える事項として、がん検診の受診率について全てのがん種で上昇傾向ではあるけれども、男性の肺がん検診を除いて目標の50%を達成できていないことなども踏まえて引き続き受診率向上に向けた取組を推進する必要があるといったこと、また、職域におけるがん検診について、実施状況や精密検査の受診状況を把握する仕組みの手法について引き続き検討が必要であるといったこと、がん検診の精度管理について、指針に基づかないがん検診の実施率等に触れた上で、指針に基づくがん検診の実施やチェックリストの実施についてより一層推進していく必要があるということについて御指摘をいただいております。
 そういった点を踏まえまして、5ページ目以降「「がん検診」分野の検討の視点」ということで、6ページ目から3枚に分けて先ほどの検討会の提言の論点に倣ってお示ししております。
 6ページ目「「受診率向上」分野の見直しの検討の視点」でございます。1ポツ目から順に、がん検診受診率の目標値について、全てのがん種において上昇傾向であることを踏まえ、60%に引き上げることとしてはどうか。2ポツ目、職域におけるがん検診について、受診率の継続的な把握及び適切な実施に向けた課題の整理のための検討を進めることとしてはどうかといったこと。3ポツ目、受診率をさらに向上させるため、これまでの取組から得られた知見を踏まえた、より科学的かつ効率的な受診勧奨策を推進するとともに、医療技術の進歩等を踏まえた新しい技術の取扱いに係る検討を進めることとしてはどうかといったこと。最後に4ポツ目、新型コロナウイルス感染症の拡大時等、がん検診の提供体制を一時的に縮小せざるを得ない場合でも、状況に応じて速やかに提供体制や受診行動を回復させることができるように、準備等の対応を含めて研究を進めることとしてはどうかといったことについてお示ししております。
 続いて7ページ目を御覧いただければと思います。こちらは「精度管理」に係る検討の視点でございます。1ポツ目から順に、がん検診の精度管理について、レセプトやがん登録情報の活用に係る技術的支援を進めることとしてはどうかといったこと。2ポツ目、市町村におけるがん検診の精度管理をより適切に実施する観点から、地域の実態を踏まえた上で、都道府県による指導・助言等の取組を促すこととしてはどうかということ。3ポツ目、精密検査受診率の目標値は引き続き90%としつつ、精密検査受診率の低い市町村の実態把握を進めることとしてはどうかということ。4ポツ目、職域におけるがん検診の精度管理を推進する観点から、保険者に対する技術的支援等を含め検討を進めることとしてはどうかということ。最後に5ポツ目、精密検査受診率をさらに向上させる観点から、自治体による要精査とされた受診者に対する医療機関リストの提供等、がん検診の実施者による分かりやすい情報提供を推進することとしてはどうかといったことを挙げさせていただいています。
 最後の8ページ目になります。こちらは3つ目の検討の視点で「科学的根拠に基づくがん検診の実施」分野の見直しの視点でございます。1ポツ目から、組織型検診の構築に向けて、課題の整理及びその対応に係る検討を進めることとしてはどうかということです。御参考まで、組織型検診については次の9ページ目にどういったものかということをお示ししているので、適宜御参照いただければと思います。そういった検討に向けた課題の例としては、8ページ目に記載してございますが、自治体検診と職域検診の結果とを一元的に把握する仕組みなどの課題があると考えています。2つ目の大きなポツでございますが、国内のがん検診の進捗や課題の整理のために、定期的に諸外国の体制や取組と国内における状況との比較を引き続きやってはどうかということ。3ポツ目、指針に基づかないがん検診に係る効果検証について検討するとともに、指針に基づかないがん検診の効果検証を希望する研究者や企業と市町村とをマッチングするような仕組みについて検討を進めることとしてはどうかということ。最後のポツとして、より効率的・効果的ながん検診の実施を推進する観点から、科学的根拠に基づいた効果検証を進めるとともに、対策型検診の効果、項目変更に係るプロセスの明確化等の検討を進めることとしてはどうかといった形で検討の視点を整理させていただいておりますので、こちらを踏まえて御議論いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 それでは、大内参考人とただいまの事務局の説明を聞きまして、御質問等を受けたいと思いますけれども、本日は事前に御意見は資料9でいただいておりますが、この資料9と重複しても構いませんので、御意見のある方は積極的に挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、最初に小原委員、よろしくお願いいたします。
○小原委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の小原でございます。
 片野田先生、それから、大内先生、本当に分かりやすい御報告をありがとうございます。それから、事務局からも御説明いただきまして、おおむね賛同できるところでございます。私からは特にアクセシビリティー、環境整備について質問というか事務局の御見解と、それから、意見として述べさせていただきたいと思います。
 女性の乳がんの増加、子宮頸がん、それから、体がんの死亡率が非常に上昇しているということで先ほどお話がありまして、女性の検診の見直しが重要ではないかと考えました。特に昨今、晩婚化、出産の高齢化に伴って、女性が40歳以上でもまだ子供が小さいというお母さんが増えている状況で、特に女性特有のがんの発症のリスクが高まっている年齢にもかかわらず、がん検診をなかなか受けづらいこともあるかと思います。そういった意味で、環境整備としてこのアクセシビリティーがよくなるようにというか、高くなるように、ぜひ子供を預けられるような場所とか、そのような環境整備というところを考えてはどうかと思いました。それに対しまして、厚労省としてどのような見解があるのかが1点目でございます。
 2点目に、がん対策の中に話題としてはなかなか上がってこないのですけれども、いわゆる社会的弱者、社会的格差の対象になっているような方々、例えば中長期の在留外国人は実は日本に250万人以上の方々がいらっしゃったり、貧困であったり、高齢の方々も先ほど申し上げました女性の方、それから、正規職員の方だったらよろしいのですけれども、非正規雇用の方々、そういった方々のアクセシビリティーが高くなるように環境整備としてどう考えていくかも併せて検討していく必要があるのではないかと思います。特に障害の方々は施設に入っている方々も多くいらっしゃいます。私も実は特養の高齢施設の理事長をやっておりまして、その中でもなかなかがん検診、逆に言えばそこまで職員の人たちも考えられるような状況にマンパワー的にもないこともございますけれども、そのようなところも含めますと、第4期では誰をも取りこぼさないがん検診対策をぜひ考えていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○土岐会長 事務局から、支援に関しまして、今、何か対策はございますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 いただいた御意見、受診する方の背景等を考慮した検診を受けやすい環境の整備をさらに進めるべきではないかといった御意見かと伺いました。そのような取組は引き続き重要であると認識をしておりますので、今後の取りまとめの参考とさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。今後考えていくことでございます。
 前田委員、いかがでしょうか。
○前田委員 ありがとうございます。私からは2点ございます。
まず、膵がんについてなのですけれども、現在、有効な検診が定められておらず、先ほどの報告でもかなり死亡率が上がっているということでした。膵がんは検診が無く、見つかったときには進行していたという方もいる状況で、診断された患者さんは非常に大きなショックを受けますし、なぜもっと早く見つけられなかったのかという思いを持っておられます。そのためには、早期発見に向けた取組をしていただきたいと思っています。例えば尾道では10年以上前から膵がんの早期発見のプロジェクトを行っておられて、5年相対生存率20%と全国平均の12.7%を大きく上回る成果も出しておられます。このような好事例を検証し、全国展開の検討をしていただいて、膵臓がんの生存率の向上を目指していただきたいというのが1点です。
また、内視鏡やマンモグラフィーの読影など、医療者の技術によってばらつきがないように、例えばAIでの機器もどんどん進んでいると思いますので、医療者の技術の偏りがなく、どこで受けても精度の高い検診を受けられるよう進めていただけたらと思います。
以上です。
○土岐会長 これに関しまして、事務局からは何かございますか。
○原澤がん対策推進官 特段ございませんので、進めていただければと思います。
○土岐会長 膵がんも非常に大事なことで、AIもまた取り入れていくように検討項目に加えたいと思います。
 続きまして、久村委員、いかがでしょうか。
○久村委員 久村です。私からは検診の受診率の向上について2点意見を述べたいと思います。
 小原委員からもお話がありましたように、女性の検診率の向上について、次期計画ではより積極的な対策が必要と考えております。女性ががん検診を受けない理由、受けにくい理由についてもっとよく把握をして、女性が受診しやすい環境整備を進めていく必要があると考えています。女性の働き方は多様ですし、仕事のほかにも家事や育児や介護などで忙しくて、自分の健康について考える余裕のない生活を送っている女性は少なくありません。近年はシングルマザーも増加していて、現在、母子家庭、母子世帯は123万世帯あると言われています。このような女性は職域でも市町村でもがん検診を受けにくい不利な環境にあるように思います。働き盛りの世代でがんに罹患するリスクが高いのは、男性よりもむしろ女性であるという啓発も必要だと思っています。
 また、女性が検診を受けない理由として、平成28年度の世論調査によりますと、検診に伴う苦痛に不安があると回答した方が男性と比べて4倍ほど多かったという点が特徴的ではないかと思っています。実際、乳がん・子宮がん検診は、身体的な苦痛だけではなくて心理的なストレスを伴う検査です。中には男性医師に触診をされるというイメージからがん検診を受けたくないと考えている方もいらっしゃるようですので、がん検診に伴う女性の苦痛や不安を和らげるための配慮あるいは適切な情報提供は、受診率の向上のために重要ではないかと思っています。次期基本計画では、女性の立場に立ったがん検診の勧奨、実施方法を検討していく必要があると考えています。
 そして、もう一点は、精神障害者や知的、身体障害者などの特別な配慮を要する方々のがん検診についてです。障害者が適切ながん検診を受けられているのかということについて、まずは状況把握をする必要があるのではないかと考えています。精神障害者については、島根大の稲垣先生の研究班が統合失調症の患者さんの検診受診率は一般人口の約半分であることを報告しています。そのほかの障害者の検診受診率については分かりませんけれども、現在、日本の人口に占める障害者の割合は約8%です。重度の身体障害や知的障害をお持ちの方が、バリウムの検査やマンモグラフィー、子宮がん検診などを受ける際には、複数名のヘルパーやガイドの手配、院内での付き添いなどが必要になる場合があると思います。障害者差別解消法が2016年に施行されて、公的な機関でも民間の事業者でも障害者に対する合理的な配慮が求められていますので、次期計画の中では障害の有無によるがん検診受診率の格差の縮小という視点も必要と考えております。
 以上です。
○土岐会長 先ほど小原委員からも頂戴しておりますが、事務局、いかがですか。特に付け加えることはありますか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 特段ございません。御意見として承りました。
○土岐会長 お二方からも頂戴していますので、ぜひ前向きによろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 がん検診の分野に係る見直しの視点について取りまとめいただいて、ありがとうございます。
 私は事前の意見でずらずらと書いてしまったので、ここで1つだけまとめてお話ししたいと思うのですけれども、皆様御存じのとおり、岸田政権になりまして、かかりつけ医機能というよりもかかりつけ医の制度化が骨太の方針等にも明記されて、私どももかかりつけ医機能について様々な検討を重ねているところでございます。その中で、今まではかかりつけ医というと、どうしても病気になってからかかるかかりつけ医というイメージが非常に強かったのですけれども、我々としては地域の皆様方の健康維持あるいは予防、こういったところからきっちりとかかりつけ医が関わっていくことがかかりつけ医機能の強化になりますし、例えばそういった人間関係ができていれば、コロナ禍のようなときに受診拒否があったりとか、そういった批判を浴びるようなこともなかったのかという意味では、今後のことも考えて健康維持あるいはその予防というところからかかりつけ医がしっかりと関わる、そういった体制づくりを考えているところでございます。
 その中で、8ページに書かれている組織型検診の構築というところで、自治体検診と職域検診の結果を一元的に把握するですとか、あるいは効率的な受診勧奨の在り方というところで、自治体検診としてかかりつけ医がしっかりと関わっていると同時に、職域に関しては、いわゆる産業医がそこのデータの管理などをしているという考えに基づきますと、自治体のかかりつけ医と職域の産業医がしっかりと密接で適切な連携を取っていく体制が重要だと考えております。例えば今はずっと一生同じ会社に勤めているわけではなくて、転職される方も非常に多いです。そのときに、転職された先でもしっかりと今までの検診結果が参照できて、治療にあるいは次の検査に応用できるように、そういったことも必要ですし、そのためにはPHR等も当然重要になってくると思いますけれども、日本医師会としてはそういったかかりつけ医の機能の強化のための研修会、あるいは産業医のための研修会等を今までもずっと行ってきております。これからもそこについては健康維持あるいは予防という分野も含めて研修会を開いていくことによって、こういったがん検診の質の向上に対して貢献していきたいと考えておりますし、また、今後この組織型検診の構築に向けて、そういった視点を皆さんにお持ちいただければ幸いと存じます。
 こういった意見でございます。ありがとうございました。
○土岐会長 事務局、よろしいですか。
○原澤がん対策推進官 特段ございません。ありがとうございます。
○土岐会長 いわゆる教育や啓発活動といったものにおきまして、大変重要な役割を果たすかかりつけ医と我々は期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
○土岐会長 続きまして、松田委員、どうぞ。
○松田委員 私はがん検診のあり方に関する検討会の構成員であります。本日は大内座長に取りまとめを御発表いただきまして、ありがとうございました。
 今日、冒頭に片野田参考人にお示しいただきましたが、日本が行っている私たちが行っている5つのがん検診の中で諸外国も行っているのは乳がん、子宮頸がん、大腸がんの3つなのですが、十分な効果を発揮していないことを認識しないといけないと思います。そこで何が問題かというと、大内座長も御指摘になられた受診率です。国民生活基礎調査というアンケートによって得られた受診率は必ずしも正確ではないと私は思っております。また、職域におけるがん検診には法的な根拠がないため、職域でがん検診を受けられない人も少なからずいらっしゃいます。そして、法的な根拠がないために職域においては指針に基づかないがん検診も行われ、精度管理も必ずしも十分ではないと言われております。ということは、日本のがん死亡率を下げるためには、科学的根拠があるがん検診を地域、職域を問わず全ての人たちが受けられる仕組みがないといけないと思います。今はそのような体制になっていないので、ここで抜本的な改革が必要だと思います。私たちが目指すべきは組織型検診です。誰ががん検診を受けていて誰が受けていないか分かる、誰に受診勧奨すべきか精検受診勧奨すべきかが分かる、そういった体制に歩み出さなければ、なかなか効果を発揮できません。先ほど女性の問題あるいは弱者の問題も指摘されましたが、全ての人たちががん検診を受けやすい体制をどうつくるかは考えていくべきだと思います。
 以上です。
○土岐会長 いかがでしょうか。非常に多くの委員からスタートのところの60%、これは国民生活基礎調査でいいのだろうか、これを根本的に組織型検診に向けて変える方向にあるのかという質問を頂戴しております。提言からもそういったものをいただいておりまして、事務局の見直し事項にも入っておりますけれども、方向性は見えているのでしょうか。事務局からお答えをお願いできますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 事務局からお示ししている資料でいくと8ページ目の「組織型検診の構築に向けて」というところが近いかと思いますが、そちらでも課題の例として自治体検診と職域の検診の結果とを一元的に把握する仕組みは、今後組織型検診の構築に向けて課題の整理等の検討が必要だと認識しており、検討の視点としてお示ししておりますので、そういった点や、委員の皆様方から本日頂戴した御意見も踏まえて、取りまとめをしていきたいと思います。
 事務局から以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 皆さん、期待するところが大きいので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 ありがとうございます。島根県の谷口です。
 先ほど組織型検診の話が出ましたけれども、私は大変いいことだと思って聞いておりましたし、ぜひこうあるべきだろうと思います。そのために、まずどうあるべきかというグランドデザインのようなものを示した上で、ステップ・バイ・ステップで物事を構築していくような計画にすべきではないかと考えました。先ほど出ておりましたが、例えば60%を目標にするにしても、どのデータを使うのかということで全然違ってくると思いますので、先ほどのデータを用いる際にちょっと出ていましたけれども、マイナンバー等を使って追跡していくような仕組みも含めて今後構築していくことが必要だったり、そのことをやることでピンポイントで受診勧奨ができるようになるなどいろいろなメリットもあると思いますので、そういうことも検討する必要があるのではないかと考えました。
 また、職域についても、対策型に近いところまで引き上げるような質の向上とデータを共有していくような仕組みは今後必要だと思います。自治体は正確なデータを得るために物すごい労力を使っております。これはこれで大事なことなのですけれども、この労力を実際の住民に対するいろいろな時間に使うとか、そういうことができますように、データのところについてはなるべく効率的に集める必要があるかと思いました。
 最後に、これはいろいろな委員さんがおっしゃっていましたけれども、障害者や社会的弱者に対するアプローチが今までは少し弱かったのではないかと考えております。これは我々の反省点としてもあるのですけれども、そういった精神、身体それぞれの障害を持った方、それから、いろいろな社会的弱者に対してのアプローチも今後この計画の中で反映させることができるといいなと思って発言をさせていただきました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。端的に申し上げます。先ほどの黒瀨先生からのお話と重複することがあるかもしれません。
 職域検診については、産業医がキーマンだと思っています。中小企業でうまくがん検診、検診を精度管理しているところは、産業医をきちんと活用しているということになります。私が感じているところです。産業医を必要としない50人以下の事業所については、地域の産保センターを活用すべきだと思っています。どうしても小さな零細企業ですと産保センターの存在も知らないところが多いように思います。また、産保センターは地域によって温度感、どれだけ活性化しているかも違うと聞き及ぶところでございますので、ぜひ全国一律に各地域がそれぞれいい活動をしていただけるようにお願いしたいところです。
 以上です。
○土岐会長 事務局のほう、よろしいですか。
○原澤がん対策推進官 特段ございません。御意見として承ります。ありがとうございます。
○土岐会長 では、前向きに検討したいと思います。
 続きまして、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 先ほどの小原委員や久村委員と同じようになるのですけれども、特に働く世代の検診を考える際に、非正規雇用の場合は検診に行くための休暇の確保が難しく、がん検診となるとオプションで別料金を取られることも多いと聞いております。そのため、受診しない方も多いです。受診をしやすいような環境整備、例えば時間の確保であったり検診の義務化、それに当たり事業主へのインセンティブを与えたり、金銭的な支援が必要と考えています。
 また、子育て世代のがん検診に関しては、自分のための時間の確保が難しくなっております。託児所やプレールームなどがある場所で、事業所の検診に併せてがん検診や個の検診をできるような配慮や環境の整備も必要と考えております。
 以上です。
○土岐会長 非常に多くの方からそのような社会的弱者に対する支援がないと検診も広がっていかないという意見を頂戴しているので、こちらも検討項目に加えていきたいと思います。
 続いて、谷島委員、どうぞよろしくお願いします。
○谷島委員 私からは1点、国民に対して受診の促進だけではなくて、がん検診の正しい意義の理解につながるような啓発の強化が必要ではないかという意見です。私としては医療者でも研究者でもない一般国民の視点で申し上げさせていただきたいと思います。
 がん検診の現在の指針がなぜ採用されているのか、その意味を正確に理解している国民はすごく少ないのではないかと思っています。より多く、より詳しく調べられる検査に有意性があると考えるのが一般的な人ではないかと思っています。例えば発見率の高さが必ずしも利益につながるわけではない等、その利益と不利益を知って検診の正しい意味を理解するというのは、なかなか難しいのではないかと思っております。結果、自治体によっては指針に基づかないがん検診を他より優れた行政サービスを提供しているといったセールスポイントとしてPRしておられたり、一部のメディアさんでは著名人ががんに罹患するたびに、がんは早期発見、そのためには若いうちからがん検診をというメッセージを発し続けておられると感じております。実際にそうなってしまうと、指針に基づく検診をしているところはいまいちな自治体、いまいちな会社と思われてしまうのではないかと。ですから、組織型検診を目指していくのであれば、実施側だけではなくて検診を受ける側の企業や成人を対象とした、大人のがん教育をしていったりということで、国民の正しい理解につながる啓発の強化が不可欠だと考えております。
 以上です。
○土岐会長 事務局、いかがでしょうか。新しい視点としまして、検診受診者に対する教育啓発ということですが。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 重要な観点かと思いますので、御意見として承ります。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 阿久津でございます。私も谷島委員と同じで医療者でもないという立場からお話をさせていただこうと思います。
 まず、組織型検診というおまとめに、基本、私は賛成をしております。個人のリスクに基づく検診の在り方を明記いただきたいと切に思います。私の場合は乳がんですけれども、アメリカなど海外ではデンスブレスト、高濃度乳房の方は高濃度乳房だと告知している州も多く、リスクを通達している地域も多いと思います。一般の方はまだ知識のない中でそれを言われると不安に思ってしまうかもしれないのですけれども、どうやって自分のがんを確実に見つけなければいけないタイミングできちんと見つけるのかということを知らないまま、ほぼ皆さん検診を受けているのではないかと私は感じております。なぜ検診を受けるべきなのか、どうしてなのか、それはなぜなのか、いつ受けるべきなのかをきちんと皆さんにお伝えをして受けていただかないと、これ以上の検診率の増加にはつながらないと思っております。
 そして、松田先生もおっしゃっていましたが、そもそもの検診率のデータは本当に正確なのかということを、私はずっと20年前からピンクリボン活動をしていて思っております。職域と、市町村のものと、皆さんが口述筆記の2年前のものを言っているものを本当に軸にしてよいものなのだろうかという疑問があります。そこも含めてきちんと誰がどのように検診を受けるべきで、どのようにまとめられて受けているのかという抜本的な制度の改革というかシステム、これはうまくマイナンバーのシステムなども使うべきだと思うのですけれども、そういったものも含めて今の時代に合うようなものに変えていっていただきたいと感じております。
 もう一点が、適切な勧奨のところにデジタルで届かせるということも明記していただいたほうがいいのかと思います。よく勧奨で本、パンフレット、ポスターなどをつくられると思うのですけれども、それが届く時代では全くないと思います。そこも含めてきちんと明記をしていただきたいと思いますし、受けるためには行動変容につながるインセンティブやストーリーやデータが必要なので、そういったデータもきちんと早く世に出るようにしていただきたいと思います。
 私個人的には、乳がんですので、J-Startのマンモグラフィーと超音波を足すこちらの結果について、非常に関心を持っているところでございます。40代以上が今はマンモグラフィーの検診ですけれども、40代未満でも乳がんになる方は一定数というか、かなりの人数がいます。働く世代は女性のほうがなる確率が高いというところでございます。そうした方を切り捨てることがないような検診、どうして40歳以上が乳がん検診の対象になっているのか、それ以外の人たちはどうすればいいのかというのをきちんとデータをもってお伝えをしないと、腹落ちした状態で検診を受けていただくことにはつながらないのではないかと感じております。
 以上でございます。
○土岐会長 いろいろおっしゃいましたけれども、一つは若い女性のリスクに応じたということですかね。
○阿久津委員 そうですね。40歳未満の方はどうするのだという話で、乳がんの場合は一定数がいらっしゃると思いますので、40歳未満の方についてエビデンスがないので、もちろん法定検診は40歳以上と分かっていますけれども、それ以下の方をどうするのかということを考えると、デンスブレストの問題は確実に出てくると思うのです。でも、それを知っている人と知らない人がいたり、それをきちんと伝えていなかったりということで、その人が検診を早く、HBOCなどもありますけれども、早く受けなくてはいけない方は受けたほうが将来のリスクを減らすことが可能なのかもしれないとなると、検診そのものの考え方を変える時代にも来ているのかと感じている次第です。
○土岐会長 分かりました。ハイリスクの人に集中的にやっていくということですね。
 事務局、よろしいでしょうか。
○原澤がん対策推進官 特段ございません。御意見として承りました。
○土岐会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、大井委員、どうぞ。
○大井委員 大井です。
 1点だけです。第81回がん対策推進協議会での祖父江参考人からロジックモデルを御紹介いただきましたが、その際に最終アウトカムと中間アウトカムという形で数値目標を設定していくという御発言がありました。2022年9月12日に米国のバイデン大統領がキャンサームーンショットの言及の中で、アメリカにおいて今後25年の間にがん死亡率を半減させるのだという大きな目標を掲げられていました。その達成に向けて様々な数値目標設定をされていました。今回においても事務局から提案いただいた検討の視点というところで、検診の受診率を60%、精緻検査の受診率を90%と、目標値を提案されていましたが、それよりもまさに私たち国民が進むべき大きな目標をまず設定いただいて、それに向けて何をなすべきかという視点で、どんながん教育が必要なのか、女性に対する、高齢者に対するがん対策という視点で取りまとめていただけたらと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 事務局、今回ロジックモデルを採用するということで、追加はよろしいでしょうか。
○原澤がん対策推進官 特段ございませんので、御意見として承りました。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 そのほか、よろしいでしょうか。検診分野は今回かなりのところまで詰めておきたいと思っておりますので、御意見のある方はぜひ、ほかによろしいですか。
 どうぞ、石岡委員。
○石岡委員 これまで3期まで来て、検診対策によってがんの死亡率の改善に一定の効果があったことは間違いないのですけれども、ここに来て皆さんの御意見を伺うと、かなり手詰まりになっていることは明らかです。少し大きな踏み込んだ対策をする必要があるということですが、基本計画ですから、目標値を例えば90にするとか、数値目標は必ず必要ですけれども、精度管理や精密検査の受診率に関しては当然地域格差の問題もあって、そこをどう踏み込むかということに関しては、都道府県に指導・助言を促すとか、精密検査受診率の低い都市の実態把握などと書いてありますけれども、実際にこの基本計画を出した後にやるのは、計画を出す、つくるのは各都道府県になります。そうすると、ここでの議論はどういう形で都道府県に伝わるかというのは、私自身が県の対策協議会の委員をやっていますので、以前、1期も2期もずっとそういう疑問を持っていたのです。ですから、ここに具体的に何とか県と書くわけにはいかないのでしょうけれども、例えば精密検査であれば、低い県は乳がんも大腸がんも皆同じです。東京や北海道や沖縄、そういうところはいつまでたっても低いわけです。そういったところに効果的なアクションを起こさせる具体的な策がここに盛り込まれないと、各都道府県はやらないと思うのです。そこに何かいいアイデアはないかということです。
 あと、どなたかがおっしゃいましたが、インセンティブですね。国民一人一人にいろいろな諸事情があって検診を受けないのでしょうけれども、今、このコロナ禍でいろいろなことに協力すると、あるいはマイナンバーもそうですけれども、国民一人一人にインセンティブがつくことに関して国民はもう慣れてきたので、検診を受診することによって例えば税制やポイントといったインセンティブをはっきり打ち出したほうが私はいいのではないかと。これを対策基本法に書けるかどうかはまた別ですけれども、具体的なアクションをやるときに都道府県ではそれはできませんので、どこかで国がそれが分かるようにしておかないとと思って、漠然とした意見だけれども、意見を申し上げました。
○土岐会長 事務局、いかがでしょうか。まずは都道府県の権限、市町村間の格差を都道府県が是正できるかということですが。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 まずは都道府県に対する適切な情報提供と情報共有ということかと思いましたので、医療計画等の策定のタイミングで自治体向けの研修等もやっておりますので、そういった機会を捉まえて、がんの基本計画についても実際に自治体のほうで計画をつくっていただくに当たって、これまでの議論の経緯や留意すべき点についてしっかり伝えられるように、事務局として少し対応を検討していきたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 もう一点、インセンティブ、なかなか考えていかなくてはいけない時代かもしれませんが。
○原澤がん対策推進官 そちらは御意見の中にもありましたので、御意見として承っております。
○土岐会長 では、検討事項に含めていただきたいと思います。
 中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 中釜です。
 もう既に多くの意見が出されていて、私もおおむねその方向で賛同なのですが、その中で1点だけ付記させていただきたいと思います。この組織型検診は、非常にすばらしいアイデアだと思いますので、その方向で具体的にプログラムをつくれるとよいと思うのですけれども、なかなかその実現にはハードルもあると思うのです。今日、多くの委員が御指摘のように、例えば受診しやすい環境の整備であるとか、行動変容につながる具体的なアクションを打っていくことが必要になると思います。ご指摘の中でインセンティブという言葉もあったと思うのですけれども、実際にはこれまでも例えばナッジ理論やソーシャルマーケティングの理論を導入して受診率向上につなげるような試みはされていたと思います。そういう意味での普及と実践的な科学を通して、成果のあったエビデンスを積み上げていくことも重要だと考えます。例えば行動変容に関するインセンティブにしても、実際にどういうインセンティブをつけるのがよいのか、あるいはインセンティブをつけるのが本当によいのかということもきちんと評価をしながら、エビデンスを積み上げていくことも並行して進めていくことが重要と感じます。環境整備等を含めて、実際にできるところから始めていくのが非常に重要だと思いますので、ぜひ進めるべきだと思うのですけれども、繰り返しますが、どういうアクションが実際に普及、実装という観点から効果的なのかという点に関してより継続的に検討する仕組みも併せて行っていくのがよいと思いましたので、発言させていただきます。
 私からは以上です。
○土岐会長 中釜先生、ありがとうございます。
 いかがでしょうか。もしくは検討部会からもそういう御意見はあったようにも思いますけれども、大内先生、その辺り、御意見はございますでしょうか。
○大内参考人 皆さんから本当に参考になる意見をたくさんいただきました。多くの方から受診率の低迷、それから、女性の受診機会がなかなか難しいだろうと。これらはかねて随分前から言われていることです。アクセシビリティーのトライアルだけではなくて、皆さんに考えていただきたいのですが、日本のがん検診の制度は地域、市町村事業による対策型検診があって、それに対してがん検診の指針が動いているわけですが、一方では、6~7割を超える職域の方たちは、安衛法の下にそういった法律、基準法がないわけですね。そこに大きなギャップがあって、受診率の低迷、結果的に優れたがん検診の手法があったとしても受診率が低ければ死亡率が下がらない、これが延々と続いているわけです。
 今回なぜ組織型検診、オーガナイズドスクリーニングに踏み込んだかということは、これは諸外国のデータを見れば明らかなのです。それを今回強調させていただきました。幾つか御質問はあったのですが、対象者を特定する、管理する、いろいろな課題整理はあるのですが、私が提出しました参考資料6の13ページ以降にこのアクションを起こすための課題を整理しておりますので、後ほどで結構ですのでこれを御覧いただいて、皆様で議論を深めていただければと思います。参考資料6の特に16ページと17ページには具体的な項目、オーガナイズドスクリーニングに導くための課題があって、17ページにはその関係組織まで書いてございます。この点について特に本協議会でも検討していただければ、より具体的なアプローチが可能かと思っております。
 以上です。
○土岐会長 大内先生、どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 それでは、皆様から頂戴しました数多くの意見をしっかり取り入れて、次の基本計画の案の作成にかかっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 次は「支持療法」ですので、資料4に従いまして、全田参考人から御説明を10分以内でよろしくお願いしたいと思います。
○全田参考人 私からは支持療法の現状と課題についてです。国立がん研究センター東病院の全田でございます。よろしくお願いいたします。
 次、お願いします。支持療法につきまして、第3期での大きな成果としましては、支持療法の認知度向上とガイドラインの整備が開始されたことが挙げられます。専門学会のJASCCを中心に国内外の様々な学会とのコラボレーションやガイドラインの作成などが行われまして、研究においては、支持療法の研究支援グループであるJ-SUPPORTが発足するなど、本邦に支持療法という分野を定着させ、数字で見えるほどの成果がありました。これをベースに第4期で何をすべきか考えていきたいと思います。
 次、お願いします。その前に、言葉の定義を確認いたします。支持療法とは、がんの本体治療である手術、放射線治療、薬物療法、これは免疫療法も含みますが、それらで発生する副作用対策のことでありますので、以降は本体治療の種類別に現状と課題を述べてまいります。
 次、お願いいたします。まずは手術関連の支持療法です。左側を御覧ください。これは現状ですが、ここ10年での大きな進歩は周術期管理、つまり手術前後の管理方法が、今まで慣例を重視したものだったのが、Enhanced Recovery After Surgeryと呼ばれますエビデンス重視の管理方法に変わってきたことであります。都市部の病院やがん専門病院ではこれは定着しつつありますが、まだ均てん化までは至っておりません。内容につきましても、海外での研究を外挿したものが多く、国内での研究結果が待たれます。
 また、下段のほう、術後の生活、後遺症といった生存指標以外のゴールを置く出来事に関する研究が新規の分野として注目されています。リハビリをはじめとしたものですね。これらはまだ始まったばかりですので、エビデンスというには乏しい状況でございます。これらの対策としまして、右側、まず、エビデンスに基づいた周術期管理を地方にも普及していく。具体的には支持療法に関する教育システムを充実させていくことが求められます。また、生存指標以外のゴール設定が必要な研究に関しては、医師以外のメディカルスタッフからの発案がありますので、これを支える研究支援基盤を整備したり、研究費自体の財源がまだまだ小さいですので、それを少し大きくしていく必要があるというのが現在の課題であります。これらの施策の行き着くところとしましては、リンパ浮腫外来のときと同様、エビデンスを得た領域に保険点数付与とともに、実臨床に定着させていくといった姿勢が必要になります。
 次、お願いします。次は放射線治療です。現状は放射線治療においては機器の進歩が目覚ましく、それ自体で副作用が軽減できたり、また、チーム医療に対して現在看護加算など相応の保険点数がついておりますので、一定の成果を上げております。一方、右側、治療をして時には3年から5年経過して出る晩期有害事象というものがありまして、これに関しては機器の進歩以前に受けた方が今でも苦しんでいるような状況であります。4期の課題としましては、下にありますように、チーム医療に対する適正な算定を継続することに加えまして、晩期有害事象に対する研究の推進、さらには主治医、主担当医への晩期有害事象の認知度向上、これも教育が一つの手段になると思いますけれども、そういったものが必要になってくると考えます。
 次、お願いします。次に、薬物療法、免疫療法ですが、ここは本体治療の中でも最も支持療法のニーズが高い領域となっております。
 次、お願いします。左に示す従来の抗がん剤治療に関しましては、臨床研究も進んでおり、ガイドラインも整備されていますが、現在、まだ普及においては阻害要因が多い状況です。また、右側の新規薬剤、分子標的薬剤や免疫チェックポイント阻害薬については、まだ不明な副作用もありまして、実態調査からそれを明らかにしていく介入研究へとつなげる必要があります。
 次、お願いします。先ほどの抗がん剤においての普及の阻害要因について少し説明しますと、CINVという副作用を例に取ります。これは化学療法に伴う悪心・嘔吐ですが、吐き気の度合いによって高度催吐性リスクから軽度催吐性リスクまで分類されています。シスプラチンに代表される高度催吐性リスクのものに関しては、都市部、地方を問わず80%以上のガイドライン遵守率がございますが、一方、軽度催吐性リスクに関しては、左の棒グラフを御覧いただくと、本当はデキサメタゾン、DEX単剤が標準なのですけれども、それに5HT3阻害薬を併せて使っている例が40%余りに上っている。この中にはこのお薬が必要ないのに使われている患者が含まれております。こういった事実に関して、右の表に示すように、厚労科研の研究班においてインタビュー調査が施行されております。すると、制吐剤を意図的に投与しているというよりは、レジメン登録されていたものに自動的に組み込まれていて、レジメンが更新されていないと支持療法も刷新されていないことが分かりました。ここは分かりにくいので詳細を説明します。
 次、お願いします。制吐剤がどのように患者さんに投与されているかと申しますと、抗がん剤のレジメンの中で点滴のメニューの中に含まれていることが多くて、レジメン登録としては抗がん剤とセットで登録されています。ですから、抗がん剤自体のレジメンが変わった場合には敏感にレジメン登録が更新されるのですけれども、支持療法だけが更新された場合は施設のレジメン登録が変わらないことが多いと。こういった古いレジメンには古い支持療法がついていますので、副作用全般の遅れにもつながっております。レジメンの適正な管理と副作用対策のアップデートは密接な関係がありますので、この対策としましては、がん診療連携拠点病院において適正なレジメンの管理・登録だけではなくて、更新がなされているかどうかをチェックすることが必要かと考えます。
 次、お願いします。新規薬剤についても触れておきますが、これはレンバチニブというお薬で実際にあった話ですが、治験レベルでは倦怠感はあまり出ないと論文には出ているのですが、実臨床では実は最も多い副作用が倦怠感で、それが薬をやめる原因の第1位になっていたことが分かりました。これは主観的な副作用であったことと、未知な副作用が多いということなので、実態調査が新規薬剤では欠かせないということで、こちらにも配慮いただきたいというスライドです。
 次、お願いします。治療の後遺症についてもまだアンメットニーズがあります。一番左のほう、新規の薬剤に関しては、まずどんな副作用が出るかはまだ分かりません。免疫チェックポイントもまだ10年たっていませんので、まずは長期投与による観察研究に対しての研究費配分、さらにそこから介入研究につながるのではないかと思います。
 右のCIPNというのは、抗がん剤治療後に残る手足のしびれですが、これが長期の生活に深刻な打撃を与えています。薬剤自体、さほど副作用対策として有効ではない状況ですが、海外で推奨されている薬剤が日本で適応外であるなどの問題があります。最近ではこれを医療機器によって対策する流れがありまして、エビデンスが創出され普及されるには、医療機器としての承認に加えて保険点数の付与も必要ではないかと考えております。
 真ん中にごちゃごちゃと書きましたが、これはそのままでして、厳密には副作用かどうかの境界線にあるものは病院としても取扱いが難しく、患者さんもどこに相談していいか分からないということで、見過ごされているものが多いです。こういった窓口を医療機関につくるのか、それとも専門的な窓口を設置するかなど、受皿のことについて検討が必要になります。
 次、お願いします。薬物の副作用では生活の質に打撃を与える副作用の対策が急務であります。例えば脱毛であればまずは医療者への教育、医療機器承認に加えた保険適用の考慮、そうしないと施設には配備されない状況です。倦怠感など見えにくい症状に関しては就労にも影響しておりまして、これらの数値化や、まずは患者さんの愁訴を吸い上げるような部署の設置が求められまして、今までのチーム医療より一歩上の高度な対応が必要と考えております。
 次、お願いいたします。まとめのスライドになります。支持療法に関しては、かなりのスピードで整備がされてきていますが、第4期では残された課題を解消しつつ均てん化まで持っていけるかどうかが大きな課題だと思います。新規の副作用に関しては、探索的研究への資金的なサポート、あとは研究基盤の強化、ガイドラインの整備から施設要件設置を含めたがん診療連携拠点病院の質の担保といった一気通貫の施策をぜひ求めたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○土岐会長 全田参考人、ありがとうございます。
 続きまして「希少がん」ですね。こちらは川井参考人、よろしくお願いいたします。
○川井参考人 よろしくお願いいたします。国立がん研究センター希少がんセンターの川井と申します。私からは「希少がん「これまでの対策、今後の取り組み」」と題して、希少がんに関して私見を申し述べさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 スライドをお願いいたします。我が国におけるこれまでの希少がん対策の沿革を年表にまとめたものです。2012年、第2期がん対策推進基本計画において「希少がん」という言葉が始めて取り上げられ、2015年の希少がん医療・支援のあり方に関する検討会の報告書において取り組むべき課題が提示されました。この間、2014年には国立がん研究センターに希少がんセンターが開設され、希少がんホットライン、MASTER KEYプロジェクトなど、希少がんに対する具体的な取組を開始しました。現在の第3期がん対策推進基本計画では、取り組むべき施策として、スライド中ほどにお示しするような幾つかの課題が提示され、先日の中間評価では、取組の成果が見られる部分もあるが、特に患者への情報提供や医療機関及び専門医との連携についてより一層の推進が必要であるとされたところです。
 国の施策、取組としては、2018年、国立がん研究センターが希少がん中央機関に指定され、病理コンサルテーション、希少がんワーキンググループによる専門診療施設の検討、希少がんホットラインによる相談支援などが実施されています。また、厚生労働科学研究費によって希少がんネットワークの拠点形成、様々な希少がんガイドラインの整備が進められているところです。以下、これらの経緯を踏まえ、病理診断、治療と人材育成、情報提供、相談支援、治療開発の5つの視点から、希少がんにおける課題と現状、今後さらに注力すべき事項について、私見を述べさせていただきたいと思います。
 希少がんにおける病理診断の課題は、第1に専門病理医と施設病理医の診断の間に無視できない割合の不一致・乖離が存在すること、また、近年の分子病理学の進展に伴い、病理診断、治療選択のためにゲノム解析等を要する症例が増えておりますけれども、その実施体制が未整備であることと考えられます。現在、国立がん研究センター及び日本病理学会によるコンサルテーションが実施され、病理診断のサポートが行われていますが、国立がん研究センターへのコンサルテーション依頼件数は年とともに増加し、今年度は1,000件を超えることが予想されるなど、この問題に対する現場からの高い要求があることが示唆されます。スライド下段に、今後注力すべきと考えるポイントを赤字でまとめました。希少がんの病理診断に関しては、精度の高い効率的な診断のため、国立がん研究センター・日本病理学会のコンサルテーションシステムの連携をさらに強化すること、ゲノム解析等を盛り込んだ病理診断支援によって、病理診断精度の向上と研究推進の両輪を回していくことが重要ではないかと考えます。
 治療と人材育成に関しては、国立がん研究センターがん研究開発費による様々な希少がんの診療実態の調査、希少がんワーキンググループによる専門施設の特定と情報公開、医療者向けのビデオライブラリーの作成やガイドラインの策定を行ってまいりました。しかし、残念ながらこれらの取組はまだ十分に周知されているとは言えません。今後はおのおのの取り組みの周知を図り、希少がんの診療実態の把握を強化するとともに、専門施設の情報公開を進め、患者・医療者の選択に基づく適正な診療の実現(集約化)を図ること、ガイドライン・教育ツールの充実、基幹施設における研修システムの充実によって医療者の教育・継続的育成を図っていくことが重要と考えます。
 希少がんに関する情報提供としては、これまで、国立がん研究センター希少がんセンターを中心に、がん情報サービスと連携したホームページからの情報発信、専門家による「希少がんMeet the Expert」などのセミナーを行ってまいりました。希少がんセンターのホームページ閲覧数は月に35万ページビューに達し、「希少がんMeet the Expert」には延べ2,000名を超える現地参加者においでいただきました。今後はさらに、多彩な背景、情報リテラシーを有する全国の人々に希少がんに関する情報を届けるため、ウェブ、SNS、紙媒体、セミナーなど多チャンネルを駆使した情報発信を行うとともに、患者、家族、患者支援団体などからの意見をお聴きし、その情報ニーズを踏まえた上での取組を進めるなど、患者・市民参画を推進していくことが重要と考えます。
 相談支援に関しては、希少がん患者を適切な医療、医療機関につなぐ対策が必要と考え、国立がん研究センターを皮切りに九州大学、大阪国際がんセンター、名古屋大学で、希少がんの診療に関して、患者、家族、医療従事者などが相談できる電話相談、希少がんホットラインを立ち上げ実施してまいりました。これまでに全国全ての県から御相談をいただき、相談内容の解析からは、受診に関する相談が多いこと、化学療法、セカンドオピニオン、各診療施設の症例数等に関する潜在的な相談ニーズが高いことがうかがわれます。今後は希少がん特有の個別性の高い相談支援の要求に応えるため、診療施設の情報など地域の特性も考慮した質の高い希少がんホットラインを全国に整備することが重要と考えます。
 コモンキャンサーに比べて治療選択肢の少ない希少がんにおいては、その治療開発の促進が強く求められます。現在、国立がん研究センター中央病院を中心に、7医療機関、15企業、希少がん患者会がアライアンスを結んでMASTER KEYプロジェクトを実施しており、これまでに25の臨床試験、2,500例を超えるレジストリ登録がなされています。今後はこのMASTER KEYプロジェクトを一層推進するとともに、希少がんの治療開発をアジアを中心に国際展開するMASTER KEY Asiaを推進すること、希少がんに関する集学的な治療開発(外科治療、放射線治療・IVRなど)を強力にすすめること、全ゲノム解析情報や臨床情報のデータ連携によるレジストリ構築、新たな診断・治療法の開発を推進することが重要と考えます。
 今後の取組として、以上の5つの視点のポイントと目指すべき方向を1枚にまとめてみました。希少がん医療の課題は、突きつめると、適正な診断及び治療につながれないこと、病理診断の不精確や治療開発の遅れがあること、医療関係者と患者の双方における必要な情報の不足があることに集約されると思います。
 これらに対して、まず、全国どこからでも適正で専門性のある医療につながることができ最新の情報や相談支援を受けることができる全国ネットワークを構築すること、そして、そのネットワークを生かした診療実態の把握、診断精度の向上及び治療開発の促進を図ることが有効ではないかと考えます。
 そのための具体的方策として、次期計画において希少がん中央機関と希少がん中核拠点センター(仮称)を中心とした全国ネットワークを構築し、次の3つのことに取り組むことを提案させていただきたいと思います。地域のがん専門医療機関への支援の強化により、全国どこでも適切な診断を可能にすること。ネットワークを通じた診療支援と研究開発促進により、新たな治療をできるだけ早く全ての患者に届けること。ネットワークを生かしたきめ細かな相談・情報提供の推進により、患者に寄り添った相談、情報を充実させること。
 この提案のイメージ図です。現在、厚生労働科学研究費で検討中の機能を備えた希少がん中核拠点センター(仮称)を全国の拠点地域へ整備する。希少がん中央機関を中央のハブ、希少がん中核拠点センターを全国のスポークとするハブ・アンド・スポーク型の希少がん全国ネットワークを構築する。希少がん中核拠点センターは、地域の希少がん診療施設などに関する情報を把握し、がん診療連携拠点病院と協力して地域の実情に即した相談支援を行うとともに、精確な病理診断、きめ細かな診療を目指した診療ネットワークを構築し、希少がん中央機関と協力して、医療圏を越えた希少がんネットワークシステムの推進を図る。希少がん中央機関は、その組織体制を充実・強化し、この希少がんネットワークのハブとして全国の希少がん対策を強力に推進する。このような総合的な戦略を提案させていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○土岐会長 川井参考人、どうもありがとうございました。
 続きまして「小児がん、AYA世代のがん」につきまして、大賀委員から資料6を用いまして10分以内に御説明をよろしくお願いいたします。
○大賀委員 大賀でございます。それでは、始めます。
 今回、発表の機会をいただき、土岐委員長と委員の先生方、それから、事務局の皆様に御礼申し上げます。
 次に参ります。小児・AYAがんに対する拠点病院の取組、現場の問題意識、そして、次期の基本計画の検討で重要な点をとのことですので、これまでの取組と最近の変化、現場の課題をお伝えして、4期の参考になればと存じます。本日のポイントは、小児・AYAがんのがんゲノム医療の実装を進めるための基盤整備を地域・広域特性を生かしながら進めるということで、ドラッグラグ、長期フォローアップと広域・地域連携の強化をお話しします。
 小児がんとAYA世代のがんの特徴を参考資料1と2にまとめました。
 拠点病院を中心に、診療の質向上は、Tumor boardの整備、多職種医療人育成、関連病院や行政との連携から進んでいます。参考資料3のように、中央診断体制は小児がん研究グループJCCGと協力し、中央病理診断は小児がん中央機関が保険診療外で行っています。
 参考資料4のように、各拠点病院でAYAがんに対応しています。長期フォロー、移行期医療の厚労省委託事業を小児血液・がん学会(JSPHO)がお受けして、成育医療センターとLCAS研修会をコロナ禍にウェブで開催しております。
 現場からです。九州大学病院では、造血細胞移植とこの2年間に急拡大したCAR-T療法の広域からお預かりする患者を長期フォローするため、中国・四国ブロック拠点の広島大学病院とテレビ会議で密に連携し、診療を西日本に広げています。白血病に造血細胞移植とCAR-T療法を選択して長期観察し、妊孕性温存、ゲノム医療と遺伝カウンセリングの拡充を図っています。地域では、福岡市立こども病院との連携に成功した成人先天性心疾患外来に倣い、九州がんセンターと長期フォロー体制の構築に取り組んでいます。終末期は在宅医療が進み、各県連携病院、大学が中心となって御自宅で過ごせる方が増えてまいりました。
 コロナ禍の2年間の変化は、小児でもゲノム医療と造血免疫細胞・分子標的療法です。現在も広域からの入退院が多い拠点病院、関連病院では、その調整に苦労しています。これに関しては学会誌に報告しております。がんゲノム医療は固形から造血器腫瘍へと向かいます。土岐先生の癌治療学会、石岡先生の臨床腫瘍学会と協力して「成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン」を改定しました。小児・AYAには希少がんも多く、遺伝性素因が大きいため、家族への細やかな遺伝カウンセリングが必要です。
 第3期では、AYAへの対応強化にも重点が置かれました。AYAがんは年齢によって疾患構造も異なり、年齢と疾患から分けて考える必要があります。がん診療連携拠点病院など成人診療科との連携が重要ですが、成人領域でもAYAがんの認知度は異なり、長期フォローや希少がんなどで小児と成人のノウハウを共有する必要があります。AYAがんに関しては必ずしも均一な対策が適切とは言えないため、今後の議論が必要です。
 小児がん拠点病院・連携病院と陽子線治療施設です。診療は専門医の学会評議員が中心となりますが、その7割を小児科、2割を小児外科医が占め、多領域専門医が診療に参加します。連携病院の類型1-Aの条件、年間新規発症の20例を満たす施設が存在しない16県が赤です。評議員の小児科医がいない8県、小児外科医がいない22県、いずれもいない7県とは重複も多く、これらの県の診療は各大学病院が主に担っています。新規20例は、院内成人診療科と連携を要する再発も含む18歳以上のAYAまで広げると、移行期医療にもつながるかと思います。陽子線治療19施設では、小児対応可能な13施設がホームページに紹介されていますが、例えば西日本では東西の端にしかありません。南の端では単年度5例で、接する2県の実績です。治療施設の偏在に対策が必要です。接する隣県がない沖縄は真の地域完結型となります。第4期は地域特性に応じた連携の重要性が希少がん対策にも通じるかと思います。
 課題をまとめます。小児CAR-T療法は西日本では九州大学病院に症例が集中して、参考資料5のとおり20を超え、現在最多です。造血細胞移植との治療選択、血液内科や輸血部との連携が必須です。
 陽子線治療では、西日本の子はこれまで千葉まで行く必要がありました。参考資料6のとおり、神戸までの広域連携が構築されましたが、患者さん、御家族にはさらに改善が必要です。
 7課題のうち患者数が少なくがん種の多彩な小児・AYAでは、3と4の連携強化がキーワードです。ドラッグラグと長期フォローに絞ってお話をします。2017年、米国では成人で開発を行う薬が小児でも必要とされるものだった場合に、病気の種類が違っても小児での開発を義務化するRACE法ができました。この法律成立後から、小児がんに対して開発される薬の数が飛躍的に伸びています。成立した2017年以降の米国承認薬は27ですが、日本ではこのうち6剤にしか薬事承認がありません。日米間のドラッグラグ拡大が懸念されます。一方、欧米の企業では国際共同治験を検討する機会が増えると考えられますので、参加について企業へ要望を伝えることも重要です。
 私たちはこの2年間、脳腫瘍や膵腫瘍、長期観察後に悪性化した間葉系腫瘍に分子標的療法の奏効例を経験し、患者申出療養を始めました。しかし、4例はすぐ埋まってしまい、各地からの問合せが続いています。
 第3期がん対策推進基本計画には「ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制を段階的に構築する」と記載され、成人でもこれが始まっています。しかし、小児がんでは特に治療薬へのアクセスが課題で、小児がんのドラッグラグというべき状況が課題と考えます。小児においてもがんゲノム医療が実装できれば、治癒可能な小児がん患者が増えるのみならず、晩期合併症の少ない治癒が期待されますので、この解消のため、学会、企業などからも協力を得られる形で小児がんに特化した早期相試験の実施基盤の構築・維持、これが必要不可欠です。
 長期生存が望まれる小児がんの長期フォロー推進は必須です。小児がん経験者の約4割に晩期合併症があるとされますが、前向きフォローでなく、国内の正確なデータは不明です。さらに、システマチックなフォローで潜在的晩期合併症が明らかになるとされ、小児がんゲノム医療に対応する質の高い遺伝カウンセリング機能を整えた、小児がん経験者の前向きのフォローアップシステムを開発することが望まれます。
 厚労省からJSPHOへ委託事業として、LCASは多職種協働チームの育成と支援によって体制整備を行っています。2017年から4年間で総計853名の研修修了者があり、この体制の根幹を担っています。今後、成人領域からも御参加いただき、移行期医療と質の高い継続診療につなげる必要があります。
 この体制が進む中、治療歴を保管し、経験者の永続的支援体制を立ち上げる必要があります。海外ではウェブベースにシステム構築が進んでいますが、日本では整備が遅れています。長期フォローアップセンターを設立し、治療歴などを前向きに収集して、小児がん経験者に情報発信し、ゲノムデータなどを組み合わせて個別医療への還元、研究推進を可能にしなければならないと考えています。
 本日挙げました多くの課題の中、地域・広域の特性を生かしながら、ドラッグラグの解決、長期フォローの広域連携強化が重要です。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○土岐会長 大賀委員、どうもありがとうございました。
 続きまして「高齢者のがん」です。こちらにつきまして、佐伯参考人と石黒参考人より、資料7を用いて10分以内で御説明をよろしくお願いいたします。
○佐伯参考人 それでは、高齢者がん診療ガイドラインの作成を今、我々の研究班でしておりますけれども、その過程の中で見えました様々な課題について御報告いたします。
 次のスライドをお願いします。これは年齢階級別がん死亡数でございますが、一番下の深い青ですね。そのところが85歳以上の超高齢者ですが、これを見ていただきますと、実は75歳未満の死亡者数の6分の4ぐらいの数で、超高齢者もがんで亡くなられていることが分かります。
 次のスライドをお願いします。厚生労働省から高齢者の医療に関しまして「健康日本21」や「健康寿命延伸プラン」などが出ておりますが、この中で示されておりますのは、生存期間の延長よりも健康寿命の延長が高齢者の医療には重要であると。ただ、残念ながら、がんの医療の中でこれらのことをエンドポイントにした臨床試験は皆無でありまして、本来ならば高齢者の医療に関しましては、真の目標として平均寿命との差の縮小、これが重要だと認識しております。
 次のスライドをお願いします。我々の研究班は、ガイドラインを作成するために高齢者がん診療ガイドライン作成チームと、ガイドラインができた後の普及・検証、高齢者のがん医療の体制整備を検討するチーム、さらにがん医療と介護の連携に関するチームと、研究協力者として公衆衛生、患者さんの団体の方に参加していただいています。この研究をサポートするために横断的な各関連学会との連絡役をお願いしておりますのが、高齢者がん医療協議会でございます。また、これらのガイドラインができまして、そのガイドラインの中身をちゃんと実装していくために教育者等々の育成を日本がんサポーティブケア学会(JASCC)と協力してやる方向でおります。
 次のスライドをお願いいたします。これは我々のロードマップですが、まず介護と医療の実態調査について後で御報告いたしまして、高齢者のがん医療を考える会議、これは先ほど申し上げましたように、高齢者のがん医療に関わる様々な学会の横断的なコンセンサスを求めるために開かれる会議、既に6回やっております。その内容について御説明し、それから、高齢者がん診療ガイドライン、これは今日のメインでございますが、後ほどガイドライン作成委員長の石黒先生から現状を報告していただきます。あと、私からガイドライン普及・検証体制の確立についてもお話しいたします。そして、学会のほうで今、老年腫瘍学のテキストブックをつくっておりまして、これらのガイドラインの作成と同時に教育・普及のためのテキストブックの作成も行っております。
 次のスライドをお願いします。これはまず現状ということで、全国の拠点病院に高齢者機能評価をちゃんと診療の現場で行っていらっしゃいますかというアンケートを取りました。残念ながら、340施設のうちGA、高齢者機能評価についてよく知らないという施設が50%を超えております。さらに、知っていると言われた方のいらっしゃる病院でもGAに時間がかかる、1時間ぐらいかかるでしょうと。それでGAを担当するメディカルスタッフがいないということで御返事をいただいております。これが病院の現状でございます。
 次のスライドをお願いいたします。これは我々の施設で実際に患者さんと家族の方々が高齢者のがん医療をどのように捉えているかということの調査研究でございますが、我々の施設では抗がん剤の治療を受ける患者さんを対象にいたしまして、教育された外来の看護師がG8とCCIという2つの高齢者機能評価のツールを用いまして評価いたします。そうしますと、15分程度でもう出来上がります。この中でG8で14点以下、CCIで3点以上という方は問題ありということで、次のスクリーニングとして、ここで医師に実際に1時間ぐらいかけてこの内容について深掘りをしていただきます。これは時間がかかります。
 次のスライドをお願いします。実際に158名の方々が一次スクリーニングで引っかかりまして、そのうち実際に次の医師による高齢者機能評価ができたのは43名ということです。残りの115の方々は既にその時点で抗がん剤の治療等が始まっていまして、副作用が強く出たりしてやめましょうと。未実施の方が33名で、抗がん剤の治療をやりますよと言った時点で、患者さん御本人や家族の方がそういう評価よりもとにかく抗がん剤の治療をしてちゃんと元気にしてくださいと言われて希望がない方が何と82名、これが現状かと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。我々のところは老年腫瘍学の専門家がおりませんので、これは別のアンケート調査で、医療現場における老年腫瘍学の専門家がどの程度いますかという内容でございますが、赤枠で囲っております右のほうですが、全国拠点病院151施設で老年科の設置は約3%で、専門医も13%ぐらいの施設しかありません。特にその中でもがんの専門家、拠点病院ですからがんの専門家ばかりだと思うのですが、残念ながら0というのが現状です。その理由は、左にありますように、全国の医学部、我々の機関も医学部を持っておりますが、大学で卒前教育でそれらを系統的に教える講座等がないのが現状です。
 次のスライドをお願いします。先ほど申し上げました、この高齢者のがん医療は包括的にいろいろな専門領域と横断的に検討する必要がございますので、コンソーシアムのメンバーとともに介護保険あるいは介護認定患者の入院、様々なことに関してこういう会議を既に6回行っております。患者さんからも御意見を伺ったり、在宅医療、介護サービスを提供していらっしゃる医師会の先生方からの御意見も集めております。
 次のスライドをお願いします。これがコンソーシアムのメンバー、学会でございます。医療系の学会ですが、医師、看護師、薬剤師の方々の学会が全て網羅されております。
 次のスライドをお願いします。我々の研究班の前に、実はまず高齢者のがん医療のガイドラインをつくろうということで前の研究班が努力したのですが、なかなかエビデンスが少なくて、いわゆるガイドラインはつくれないというのが分かりまして、それでは暫定的なステートメントでもいいからまずこれをつくって、これを足台にガイドラインをつくりましょうということで、今回の資料14にございますように、高齢者のがん医療のQ&Aを総論と各論で出版しております。
 次のスライドをお願いします。今、ガイドラインの策定、今年度中に仕上げたいと思うのですが、ガイドラインができましても、その後、それを普及・検証する必要がございます。それはJASCC、日本がんサポーティブケア学会の高齢者部会と共同で老年学のテキストもつくっておりますので、ガイドラインの検証を行いたいと思いますし、それらを指導するような方々の研修プログラムや支持医療に関するツールの開発等を並行して行っております。
 次のスライドをお願いします。これが私の最後のスライドです。要介護の方の657万人のうち3%はがんが原因で要介護になられたというのが、この図の上でございます。ただ、我々はがんの患者さんを対象にしておりますと、2012年で約50万人の方が75歳以上の高齢者のがんの方ですが、その何%の方々が介護を受けていますかという説明ができるデータがございません。例えば場合によってはがん治療よりもアドバンスケアプランニングをしっかりやってあげたほうが、先ほど申し上げましたように、健康寿命が延びる方々も十分いらっしゃいます。そういう意味で機能評価をしっかりやって、こういうデータを患者さんにお示しして、家族の人も納得した上でACPを行うことも重要かと思っております。
 それでは、ガイドラインにつきまして、石黒先生から御報告いたします。
○石黒参考人 ガイドラインの作成に関わる者を代表して、石黒から御説明申し上げます。
 次のスライドをお願いします。主にガイドラインを作成するためには、どうしてもエビデンスが必要ということになりますけれども、臨床試験の多くは年齢制限があったりとか、年齢制限がない臨床試験であっても基本的に状態のいい患者さん、高齢者だけが入るということで、実際にフィットの高齢者だけではなくて、バルネラブルからフレイルまで様々な状態の高齢者の患者さんがいらっしゃるのですけれども、実際にエビデンスはこういったフレイルの患者さんには適用できないということ。
 この高齢者総合機能評価、高齢者の状態を評価するというものですけれども、次のスライドをお願いします。右の身体、社会的問題、認知・精神、この3つのドメインを評価するわけですけれども、それぞれ身体のところはADL、IADL、転倒、歩行、合併症、栄養状態、薬剤など様々な評価があって、精神・心理的側面には認知、抑鬱、また、社会的・経済的側面などこれらを深掘りしてやると、先ほどもありましたけれども、1時間ぐらいは軽くかかってしまうという評価になってきます。
 次のスライドをお願いします。一般的ながんの臨床試験は、評価項目を決めて、その評価に基づいてエビデンスをつくっていくわけですけれども、これはアメリカの国立がん研究センター(NCI)のホームページに載っているものですが、通常のがんの研究のプライマリーエンドポイント、一番ソリッドなエンドポイント、評価項目が生死、モータリティーというもので、1にモータリティー、2にモータリティーということですね。3番目にQOLが入ってくるのですけれども、括弧がついているのは、後ほど述べますけれども、QOLは様々な評価法があってなかなか統一したものがないということで、評価項目としては設定が難しいということになります。
 現在、多くの普通の一般成人の臨床試験はこのサロゲート、モータリティーに関連するだろうと言われているイベントフリー、ディジーズフリー、プログレッションフリーなどを用いて評価されているということですけれども、次のスライドをお願いします。実際にエビデンスがしっかりとしている治療でも、高齢者になると例えば介護の程度によって実際に治療をするしないがこんなに違うことが日本からも報告されております。これはがんの治療、標準的な抗がん剤治療ができるできないということもありますし、患者さん自身が望む望まないなど、様々な要因が合わさって最終的にするしないということになっていると思うのですけれども、同じ高齢者でも状態によってはこれほど行われる治療に大きな違いがあるということになります。
 次のスライドをお願いします。実際に患者さんの側から見ると、これは非常に記述的なスライドになりますけれども、患者さんの言葉をそのまま書いているものですが、生存期間を延ばす、長生きしたいというよりも、多くの患者さん、高齢のがんの患者さんは成り行きに任せるとか、寿命が許す限り、これは寿命を延ばしたいというわけではなくて、決められた寿命があるならばその中を濃く生きるというか、充実した人生を送りたいと考えておられます。また、周囲に気兼ねしたり、家族に気兼ねしたり、今後どうなるのだろうとか、自分一人で暮らしていけるのだろうかとか、支援、介護、QOLに対する不安、こういったものは成人の先ほどの一般的ながんの臨床試験の評価項目では到底はかり得ないようなもの、逆に言えば高齢のがん患者に適したエンドポイントは確立されていないので、これを確立していく必要があるのではないかと思います。
 次のスライドをお願いします。現在、まだパブリックコメントを募集中ですので、確定はしていないものにはなりますけれども、一部だけ御紹介させていただきます。重要な課題の中で、一つは先ほども申し上げました高齢者機能評価(CGA)がどれぐらい役に立つのかというものをまとめさせていただきました。
 次のスライドをお願いします。高齢者機能評価を行うことは推奨されるかというクリニカルクエスチョンですけれども、マル1、生存効果に与える影響は低い。これは例えば高齢者機能評価を行って、状態が悪いので抗がん剤治療をしないほうがいい、するとリスクが高いという形で抗がん剤治療を仮に控えたとしても、生存期間が短くなるようなことはないと。それが与える影響は低いということになります。また、化学療法の有害事象を軽減させることも報告されております。難しいのは、QOLを改善させるかどうかというところに関しては、QOLの指標にゴールドスタンダードがないということで、この辺はエビデンスの強さがどうしても弱くなってしまう。ただ、トータルで見ると合意率73%で、行うように提案するという評価となっております。ただ、今回の評価は、先ほど1時間かかるとか、誰がやるのだというような社会的なリソースの問題は一切排除して、患者さんが受けられたらいいのかといういわゆる患者視点でのみ評価しております。多くの場合、診療報酬が低いであるとか、そもそも老年医が常駐している施設が少ないとか、社会的な問題もありますけれども、それは取りあえず置いておいて、患者視点での評価となっております。
 次のスライドをお願いします。3つある重要課題の中で、最後の支持療法に関する重要課題を少し紹介します。この中にはリハビリや栄養、歯科口腔も入っておりますけれども、今回は時間の都合でリハビリの話をさせていただきます。
 次のスライドをお願いします。リハビリに関しましても、推奨の強さ2、エビデンスの強さB、100%の合意率で、リハビリテーション治療を抗がん剤治療中は行うことを提案しております。ただ、これも推奨の強さ2、エビデンスの強さBと強くならない理由は、そもそもの臨床試験の対象のがん種であったりとか、どんなリハビリをするのかとか、そういったものにばらつきがあるので、どうしても推奨の強さが1やエビデンスがAなどにはならないということですけれども、でも、これはむしろ合意率100%ということで、評価委員は皆さんが合意していただいたということになります。ただ、これも患者視点でのものですので、もともと外来のリハビリテーションは保険上の算定ができないとか、そういった問題は改善されていないことになります。
 このように、ガイドラインを今回は作成させていただいておりますけれども、どうしてもなかなか強いエビデンスが上がってきづらい状況がありますので、この辺の改善、いかに臨床試験の評価項目を固めていくか、この辺も重要な課題なのかと考えております。
 私からは以上になります。
○土岐会長 ありがとうございます。
 少々長くなりましたが、予定時間を超えておりますが、引き続き次回に向けて論点の整理をさせていただきたいと思っております。少し延長させていただきたいと思います。御予定がある委員の方はメール等で御意見を賜りますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、全田参考人、川井参考人、大賀委員、佐伯参考人、石黒参考人、ありがとうございました。まずは今までの参考人及び委員の御発表に関しての御質問をお受けしたいと思います。後ほどまた事務局から見直しについての発表がございます。いかがでしょうか。この今までの支持療法、希少がん、小児・AYA、そして、高齢者のがん、非常に多岐にわたっておりますけれども、御発表に関しまして御質問があればぜひお受けしたいと思います。
 どうぞ、中釜委員。
○中釜委員 中釜です。
 私からは小児がんに関する大賀委員の発表に関して質問です。大賀委員、参考人の発表の中で、小児がんは非常に希少ながんであり、その対策は重要であることは間違いないと思うのですけれども、様々な連携という言葉がありました。スムーズな連携を構築することによって小児がん医療の精度をいかに上げていくかが重要だと思います。その中で例えば長期フォローアップを含めて、成人がん拠点のような成人がんとの連携は、がん種の特殊性があるのでなかなか難しい点があろうかと思うのですけれども、例えば希少がんに関して、川井参考人から成人の希少がんに対する全国的なネットワークの構築、ハブ・アンド・スポークという提案がありました。こういう成人の希少がんの仕組みをうまく活用するというような議論はあったのかなかったのか。もしあるとすると、どういうことが可能性としてあるのか。その辺りについて、お教えいただければと思いました。
○土岐会長 お願いします。
○大賀委員 九州大学の大賀です。御質問ありがとうございました。
 今日の途中の資料のところで出したのですけれども、AYAも二十歳までと二十歳以上でがんの種類がまた随分違ってきまして、それ以上の場合はかなり成人に近くなってまいります。したがって、AYAのフォローアップといいましても、ライフステージに合わせてまたそこで切り分けて考えたほうがよろしいのではないかという議論がございました。
 もう一つ、厚労省からの委託事業でLCASを進めてまいりましたが、既にその推進する実行委員の中に成人の先生が入ってこられました。これは非常にいいことだと思っておりますし、双方での情報を共有することがAYA世代に関しては非常にいい連携になるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○中釜委員 分かりました。インフラの整備はなかなか大変だと思うのですけれども、上手く成人がんのインフラを小児がんの医療の充実、展開に活用できればよいと思いましたので、発言させていただきました。ありがとうございます。
○大賀委員 ありがとうございました。
○土岐会長 続きまして、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 全田参考人にお願いしたいです。私も今、外来化学療法室で働いているのですが、患者さんの支持療法に関しては、看護師の引き出す力と薬剤師さんの調整やマネジメントする力にかかっていると日々感じております。医師は知識として知らないわけではないのですけれども、それぐらい外来が忙し過ぎて発揮できていないというのが現状なのではないかと感じているのですが、アメリカで提唱されているようなCDTM、薬剤師さんの采配だったり、日本ではどのように捉えられていて、どのように進む予定があるのか、御存じでしたら教えていただきたいです。
○全田参考人 ありがとうございます。
 薬剤師をはじめとするメディカルスタッフが、従来、日本の古風な医者がやっていたことに関して役割分担をしていく流れは徐々にはでき始めていまして、考え方としては大分それは知っているよというのは増えてきているのですけれども、いかんせん、がんの専門病院や都市部、がんセンターなどではやられているのですが、実際にやろうとすると人数配置ですね。というのは、看護師であったりすると病棟の7対1看護だとお金が取れる、しかし、外来だとそれが今のシステムではボランティアになってしまうというところで優先度が下がってしまったり、薬剤師に関してもまだまだ薬剤部の中での仕事が優先になりますので、そういったところに人が割けないなどのインフラ的な問題が実務を阻んでいるという問題があります。私のプレゼンにもあったように、保険点数を付与してというのは非常に重要でして、病院も採算を無視していいからやるというわけにはいきませんので、必要なところに必要な点数をつけて、それをやれば病院が得するような仕組みをつくっていただくのが大事かと思いました。御指摘はもっともだと思います。
○樋口委員 ありがとうございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 御発表の先生方、どうもありがとうございました。私は支持療法、希少がんあるいは高齢者、小児・AYA世代、小児は診ていませんからAYA世代、いずれも現場で担当している者からの意見として申し上げたいと思います。
 集約化が非常に必要だということで、先ほど中釜委員が話されたこと、私も賛成です。今あるインフラをいかに有効に活用していくかということは非常に必要だと思います。御承知のとおり、ここまでのがん対策でこれまでのがん拠点病院以外にがんゲノム医療中核拠点病院、小児がん拠点が出てきて、現場では限られた数のがん医療従事者が非常に忙しくて疲弊しているような状況です。ここに来て新たに希少がんのセンター化や、小児がんに関しては連携病院がないということで、これは集約化の話かと思いますけれども、診療体制を整備するときに限られたリソースの中でやることを考えていかないと、がん対策を3期、4期と進めていくうちに要望する機能ばかり増やしていっても、絶対に回らないことは自明だと思います。現に、例えば次回に私が発言しますけれども、医療従事者の養成という点でいくと、1期、2期の課題は解決しないまま3期に突入しています。4期にも突入します。ということは、新しい課題が出てくると格差がどんどん広がるという状況がありますので、今日お話しいただいた非常に細分化しているがん医療をいかに効率よく回すかということに関しましては、現状のインフラでどうやるかをまず考えないといけないのではないかと思います。
 支持療法も含めて、先ほどの検診もそうだったのですけれども、やはり研究が必要だということ、これはもちろん私も研究者ですから全く同感ですが、そうすると、国のがん対策に関係する研究費のリソースをどのように配分するかという問題にも直面してくると思います。がんゲノム医療、希少がん、高齢者の医療、いずれも重要だというのは分かるのですけれども、これは研究者の立場から言えば予算の奪い合いになるわけで、最近では御承知のとおり循環器対策基本法などができてきまして、そういったところにも同じがん疾患の領域の課題が出てきて、そこからも新しい研究費という話が出て、特に腫瘍循環器という領域や腫瘍腎臓病学、ストロークオンコロジー、脳卒中のがん、そういったところの研究費も非常に各学会から要望が出ている状況下で、これはいかに効率的に進めるかということを中心に考えざるを得ないのではないかというのが私の意見です。
 以上でございます。
○土岐会長 質問というより御意見ということでよろしいでしょうか。
○石岡委員 はい。
○土岐会長 ありがとうございました。
 続きまして、大井委員、御質問はございますでしょうか。
○大井委員 大賀委員の発表に関して御質問させていただきます。小児の長期フォローアップということで、非常に長期のフォローをしていかなければならないということをお聞きしていました。ただ、実際に病気としていつまで小児がんを捉えていくのかという問題もあろうかと思います。病気である状態がいつまでも続いていくと、民間の保険に加入できないとか、社会人になる、なってからの社会生活を送る上での非常にマイナスな面もあろうかと思いますが、実際の長期フォローというのは、先生のお考えではどれぐらいの期間を長期フォローとしてお考えで、どれぐらいから普通の生活に戻ると判断をされているのでしょうか。
○大賀委員 大賀でございます。
 治癒という言葉を親御さんは使っていただきたいし、本人も社会人として健康に生活するために、結婚や出産や就職や様々なことがありますので、長期フォローという場合に一回終わりましたということを言ってあげることも重要であります。ただ、その後にいろいろなことが起こるということで、医師会の先生からもありました“かかりつけ医”にそこからバトンタッチという形であれば、また小児がん拠点病院もしくは成人のがん拠点病院に戻ってこられるルートができますので、先ほど中釜委員からのAYAフォローの連携構築とう観点からも、二十歳までを一つの区切りという視点で考えるといいのではないかと思っております。
○大井委員 小児に限らず成人も同じような状況があるのではと思い、質問させていただきました。ありがとうございます。
○土岐会長 続きまして、森内委員、どうぞ。
○森内委員 御発表ありがとうございました。私のほうは支持療法について意見です。
 支持療法中の患者さんや御家族の身体的、精神的、そして、社会的な苦痛や不安はとても大きいです。御発表もされていましたけれど、中間報告の中にもありましたように、相談支援センターの機能も含め、いかにこれらの機能を有効に活用しながら相談できる窓口支援が必要かということをとても感じておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○土岐会長 こちらも御意見ということでよろしいでしょうか。
○森内委員 はい。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、木澤委員、どうぞ。
○木澤委員 よろしくお願いします。私も意見です。
 石黒先生、佐伯先生、高齢者について御発表をありがとうございます。CGAについて特に発表していただいていて、大変重要なことだと認識しています。なぜならば、最初にお話もありましたが、高齢化が進んでいまして、がん患者さんの半数を超えるような人たちが高齢者という地域も出てきていると認識しています。そうなると、もうコモンな問題であると認識していますし、我が国の老年医学、そして、世界的な老年医学の発展を見ても、老年医がCGAをやればいいのだという論法は通用しないと認識しています。そして、これはがんの問題だけではないですね。ほかの疾患においてもCGAの実施は大きな課題になってきているにもかかわらず全く普及していないという問題があるので、これはここでしっかり取り組まないとどうにもならない、我が国の医療システムの中に取り入れないといけないという認識をぜひ皆さんで共有していただいて、仕組みづくりが必要かと思いました。
 提案したいのですけれども、1つ目は、CGAの要素となるデータ自体は結構取っているのです。介護保険導入のとき、退院支援のとき、ADL、IADLはナーシングケアの中でも取っているので、それらのデータを集約することで時間を短くすることは可能だろうと思います。2つ目、全ての医療従事者がこの技能を身につけない限り、前には進まないと思います。高齢化がさらに進んでいく中で、これは絶対に必要だと思うので、医学教育を変えることと、現実にどう対処するかという2つの観点から対応が必要だと思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 私も外科でCGAを取っているのですけれども、老年内科の先生に全面的に取っていただいているのですが、大変役に立っています。特にせん妄予防など非常に必要で、今は欠くべからざるものなのですけれども、佐伯先生の御発表で、CGAを患者家族が希望しない、というものがあったのですが、これをもう少し詳しく、希望しないというのはどういうことなのでしょうか。
○佐伯参考人 御質問をありがとうございます。
 今、そういう点は細かく調べております。基本的に最初のスクリーニングでこの患者さんはこういうところに問題点がありますよというのは患者さんや家族にはお返しすることができるのですが、それの意味はどういうことなのですかと言われたときに、例えば先ほど申し上げましたように、もうこういう状態だったら治療しないでACPのことをみんなで考えませんかとか、あるいは治療をした場合にこれぐらいのリスクで合併症が出て、そうなると在宅で今度は介護をしっかりやらないといけなくなりますよとか、そういうところがもっと必要かと思っております。そういうことが今はまだ十分に提供できていないので、じゃあいいですということの数として理解しております。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 佐伯先生と石黒先生にお伺いしたいことがございます。高齢者のがん医療Q&Aというものは非常にすばらしいお取組であると私も感じておりまして、その結果が早く皆さんのところに広まることを本当に祈っている次第でございます。国民みんなが理解して、ガイドラインなどに調査の結果があって、要介護の方がこのぐらい治療されて、疼痛コントロールのみなのか、平均生存期間はこのぐらいなのか、家族で支えるのか、病院に入るのか、介護施設なのか、自宅なのかということを含めて、皆さんが判断基準を持てるような知識を持つことが重要だと思っておりますので、こうしたがん医療のQ&Aのような取組は非常に広く広まってほしいと思います。
 それがある上で、先ほどの木澤先生にも関わるのですけれども、老年観の授業や老年教育、医学などがあまり専門の方がいらっしゃらず、その教育機関がなく、かつエビデンスがなかなかつくれず研究の費用がままならない、これだけたくさんの高齢のがん患者さんがいらっしゃるのに広まらない最大の理由と懸案事項はどの辺りだとお思いでしょうか。
○佐伯参考人 御質問をありがとうございます。私からお答えします。
 まず、研究というのは非常に大事なのですが、先ほど石黒先生からも御説明したように、高齢者がん医療の臨床研究をたとえやったとしても、どういうエンドポイントを設定したらいいかというところはまだ議論が必要だということでございます。ただ、AMEDも高齢者のがん医療に関しましては研究費の枠をつくっていただいていまして、その中で具体的に成果が一番出せるのは、例えば85歳の高齢者の方の腎臓の機能は、どうしても65歳の方よりも悪くなっております。そのような臓器機能が低下をしている高齢者に対して、ある抗がん薬を65歳未満だったら例えば100ミリグラムだけれども、85歳で腎機能が落ちている方には80ミリグラムで効果が得られて、有害事象、副作用もちゃんと管理できますよと、そういうところの薬物動態の研究は実際に成果を上げております。こういう領域のエビデンスはつくれるのですけれども、いわゆる大規模な臨床試験がなかなか難しいところがありまして、ほとんどの前向きの臨床研究は登録のところで非常に苦労していまして、3年間のAMEDの研究費も、その中で予定登録ができる研究は残念ながら半分もないというのが現状です。
 私からはそういうことでしかお答えできないのですけれども、それでよろしかったでしょうか。
○阿久津委員 なかなか研究に行き着かないというところに問題点もあられるということですね。理解いたしました。ありがとうございます。
○土岐会長 続いて、谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 私からは川井先生に御質問させてください。非常に分かりやすい御説明をありがとうございました。200近く分類されている希少がんだと思うのですが、どのがんをどう攻略していくかという議論が今後どのように進んでいくかという質問です。御説明の中にあった、希少がん対策ワーキンググループ等の議論で見えてこられたことがたくさんあったのだろうと思います。一方で、ワーキンググループで取り上げられたがんはごく一部だったかと。ただ、200近いがんに対して今後同様のワーキンググループを組んでいくのかといったら、それもなかなか非現実的な部分もあるかと思いますので、そういう形を取らなかった場合、放っておくとなかなか進んでいかないレアキャンサー一つ一つについてどう攻略していくかという議論はどうやって進んでいくのかという御質問です。私たち希少がん患者というのは、自分のがんは忘れ去られているのではないか、諦められているのではないか、そんな不安を抱えている患者さんが非常に多いと思っていますので、その辺りを御教示いただけますと幸いです。
○川井参考人 ありがとうございます。
 希少がん医療の難しさというのは、まれな疾患が分散して発生する。ということにその多くは起因します。それは体の部位にしてもそうですし、診療科の問題、地域的な問題でもそうです。まれな疾患という類似の問題を有する小児がん医療においては、小児科という柱となる診療科があるわけですけれども、希少がん医療は、脳外科から整形外科から皮膚科から全ての診療科にわたる。疾患がどこに発生するかも分からないし、どの診療科が担当するかも特定できないという入り口の難しさが常にあります。
 御指摘のありました希少がんワーキンググループというのは、そういう様々な希少がんに対して、個々の希少がんごとに望ましい診療体制を検討することを目的として設置されたものです。これは、2015年の希少がん医療・支援のあり方に関する検討会で設置が求められたもので、これまで、幾つかの希少がんについて、パイロットスタディのような形で時間をかけて丁寧に検討が行われてきました。ワーキンググループでこれまでに取り上げられた希少がんは、希少がんの中では比較的数の多い軟部肉腫と、希少がんの中でも数が少なく診療科が限定されている目眼腫瘍、そして内臓に発生して様々な診療科が関与する神経内分泌腫瘍という3つの異なる類型の希少がんです。検討には、それぞれの疾患の専門家と、当事者である患者さん、公衆衛生の専門家なども加わり、様々な視点から夫々の希少がんの診療の問題点とあるべき診療体制について議論がなされました。
 その結果、当初、希少がん医療・支援のあり方検討会で想定されたように、確かにそれぞれの希少がん特有の問題もあるのですが、一方では、3つの希少がんに共通して繰り返し指摘される課題があることも分かってきました。すなわち、まず第一に、希少がんの患者さんは正確な情報を求めている。自分の病気に関する情報と、もう一つは、どの病院を受診したらいいかという診療に関する情報、この2つの情報です。どの診療施設を受診したらいいかというのは、診療数の多い病院あるいは経験豊富なドクターに関する情報を患者さんは求めているということです。これは希少がんの種類には関係なく、おそらく190あまりの希少がん全てに共通していることだろうということが見えてきました。このように、これまでのワーキンググループの取り組みは、実際に検討の俎上に上った疾患は少ないですけれども、希少がんには個々の希少がん特有の問題と共に、多くの共通する問題がある、すなわち、共通の対策で対応できる部分も多いということを明らかにしたという点で、一つの成果をあげたのではないかと私は考えています。
 今後は、まず、患者さんが求めている情報、すなわち希少がんに関する医学的な情報と、もう一つは専門的な診療施設に関する情報を、さまざまなチャンネルを通して皆さんが手に入れやすいようにしたいしてゆくことが重要と思っています。このような情報提供と相談支援を実現するために、希少がん全国ネットワークの構築ということを提案させていただきました。しかし、これはいわゆる屋上屋を架すというようなことではなくて、現在在すでにあるがん診療連携拠点病院あるいは小児がん拠点病院とも連携し、それら既にあるネットワークとも繋がることによって必要な情報を全国の全ての患者さんに届けるということを念頭に置いています。ネットワークのHUBとなる希少がん中央機関の整備、希少がん中核拠点センター(仮称)の設立に、幾ばくかの予算或いは力は要るかと思うのですけれども、希少がんの診療施設を全国に新たに作るということでは全くありません。効率的に、全国の希少がん患者さんが必要とする情報を提供できるネットワークをつくることを主眼にしていると御理解いただければと思います。
 少し話が長くなりましたが、谷島さん、そういうことでお答えになっていますでしょうか。
○谷島委員 ありがとうございます。
 当然お話はよく分かって、今あるものにうまくつなげていく方向はすごくよく分かったのですけれども、一個一個のがんに対してどう治していくかということを進めていく話はどこでされていくのかが少し気になっております。
○川井参考人 診療の実際、診断と治療に関してということですか。
○谷島委員 そうですね。治療を一つ一つのがんに対してどう進歩させていくのか、進めていくのかというところが置いていかれないようにしていただきたいというところです。
○川井参考人 はい。今、このネットワークというのは、あくまで患者さんへの情報提供、相談支援を行うことをベースとして基盤をつくろうと考えています。その後、その基盤を使って、今日のお話でも御提示させていただきましたように、希少がんの大きな問題である病理診断の底上げ・均てん化とゲノム診断などの質の向上、それに引き続いて、いわゆるMASTER KEYプロジェクトのような希少がんの治療開発を行ってゆきたいと考えています。このネットワークを有効活用して診断と治療開発を進めていくというのが、このネットワーク構想の2段目とお考えいただければと思います。
○谷島委員 ありがとうございます。
○川井参考人 ありがとうございました。
○土岐会長 それでは、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。京都ワーキング・サバイバーの前田です。私からは支持療法について2点述べさせていただきたいと思います。
1つ目ですけれども、薬物療法の副作用として、目に見えるものと目に見えにくいものがあると思います。おっしゃっているように、倦怠感などは目に見えないものなのですけれども、私は認知機能障害というかケモブレイン、こういったことにすごく困った状況がありました。そういった症状、副作用については、なかなか困っていても取り上げられることがなくて、ずっと自分ではどうなのだろうということがあったのですけれども、支持療法の中にケモブレイン、認知機能障害ということは考えてくださっているのか教えていただけたらと思います。○全田参考人 全田です。
 非常にケモブレインの話は代表格なのですけれども、数値で見えると対策もしやすい、分かりやすいことがありますので、その裏をいくと、数値に出ないものはまず認知されないのです。認知というのは、そういうことが起こっていることを医療者が気づいていない時期がかなり長くありました。ケモブレインに関しては患者団体様からもいろいろ言われるようになって気づいた部分も多くて、今、やっとですが、そういう目に見えないものを見ようとする努力を始めています。
 支持療法と老年医学、先ほどの高齢者は非常に密接な関係がありまして、通常、海外だと65歳以上は全部高齢者扱いで治療法もある程度変わってしまうのですが、日本はそういうわけにはいかないので、高齢者にうまく支持療法で治療をやっていく、その分副作用も多彩に出るので、それに対応していく中で、ちゃんと自分の症状を口で言えませんという人に対してもどう症状をつかんでいくか。例えばウエラブルデバイスを用いて患者さんが気づいていない体の変化を医療者が捉えて対応するといった、見えないものに対する闘いが支持療法では非常に肝になってきて、高齢者と別に分ける理由はありませんので、同じように見えないものを可視化するという研究分野で育っていくのではないかと期待はしております。
○前田委員 
就労に影響した経験もありますので、医療者の方に理解していただいたり、治療と一緒にフォローもしていただけたらというのが1点でございます。ありがとうございます。
もう1点については、リンパ浮腫についてですが、次回参考資料として要望書を提出する予定でございます。リンパ浮腫については非常に問題が多いことが挙げられています。保険診療や支援の整備もまだまだ整っていないと感じますので、次回に当事者団体からの要望書の内容をお話しさせていただけたらと思います。 以上です。
○土岐会長 参考人に対する質問はよろしいでしょうか。
 遅い時間まで参考人の先生方に参加いただきまして、本当にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 この「医療の充実」は非常に範囲も広いですし、問題も深いようでございまして、次回にまた深く議論をしていきたいと考えておりますが、最後に、その前に資料8を今回事務局が用意しておりますので、こちらについて御説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 時間もかなり超過しておりますので、簡単に概要だけ御説明させていただきます。資料8「「がん医療の充実」分野に係るがん対策推進基本計画の見直しについて」でございます。
 1枚お進みいただいて、「がん医療の充実」分野について、お示ししているような1から4までの柱立てで資料を一旦整理したものがこの資料8になります。こちらの柱に沿って、本日参考人の先生方あるいは委員の皆様方から御発表いただきまして、加えて様々な御意見の交換をしていただきましたので、それを踏まえて次回に向けて検討の視点の整理をして、改めてこの資料に沿ってお示ししたいと考えており、次回のこの協議会において改めて御議論いただければと思います。ですから、このページ以降の説明については割愛させていただきますので、各委員の皆様方には内容をお目通しおいていただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。
○土岐会長 ということで、今日は時間をオーバーしましたので、資料8は皆さんに目を通していただきまして、次回以降にこの資料8について検討をしていきたいと思います。
 本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 本日は活発な御議論のほど本当にありがとうございました。
 次回以降の日程につきましては、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線2066)