2022年10月5日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年10月5日(水)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただきます。
 まずは本日のウェブ会議におきます委員の出席状況でございますが、浦野委員からは御欠席との御連絡をいただいております。
 そのほか、島田美樹委員が遅れて御参加される予定、さらには川上委員、松下委員、渡辺委員も後ほど御参加いただけるものと認識しております。
 したがいまして、本日、現在のところ当部会委員数21名のうち16名の委員にこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 こんばんは。清田です。
 それでは、本日の審議に移ります。
 まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日、あらかじめお送りさせていただいた資料として、資料No.1、2及び参考資料1~3を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料No.3として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.4として「専門委員リスト」を、資料No.5として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.5を御覧ください。
 「コミナティ筋注6ヶ月~4歳用」でございますが、本品目は「SARS-CoV-2による感染症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1「コミナティ」、退室委員なし、議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員でございます。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項1議題、その他事項1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 議題1について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。
 議題1、資料No.1、医薬品コミナティ筋注6か月~4歳用の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
 「特例承認に係る報告書」のファイルをお開きください。
 説明中のページ数は、各ページの下段に青字で記載の数字を使用いたします。
 コミナティは、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とするワクチンで、2021年2月に本邦で承認され、現在、5歳以上が初回免疫及び追加免疫の接種対象とされております。
 本申請は、生後6か月~4歳の小児における用法・用量の追加及び生後6か月~4歳の小児用の製剤の剤形追加に係る製造販売承認申請です。本剤は、2022年9月時点で米国で緊急使用許可を受けております。
 本品目は、医薬品医療機器等法第14条の3に規定される特例承認に該当する品目として取り扱いました。
 本品目の専門委員として、資料No.4に記載の5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、御説明いたします。
 本剤の生後6か月~4歳の小児における有効性を確認するために、対象となる小児を対象とした海外臨床試験C4591007試験が実施されました。これを以下、007試験といいます。
 13ページ一番上の段落から御覧ください。本申請に当たっての有効性の評価の考え方をお示ししています。
 本剤の有効成分であるトジナメランについては、16歳以上を対象とした海外臨床試験C4591001試験、以下、001試験といいます。この001試験において、COVID-19の発症予防効果の検証により、有効性が既に確認されています。それを踏まえ、007試験の生後6か月~4歳の集団の免疫原性を、001試験の16~25歳の集団の免疫原性と比較することにより、生後6か月~4歳の小児における有効性を説明する開発方針が取られました。
 免疫原性の結果について、12ページの表7を御覧ください。
 007試験では、過去にSARS-CoV-2の感染歴のない被験者における治験薬3回目接種後1か月時点のSARS-CoV-2の中和抗体価が評価され、生後6か月~1歳及び2~4歳の集団のそれぞれの結果について、16~25歳の集団に対する幾何平均抗体価の比であるGMRと、両集団の抗体応答率の差が検討されました。
 GMRは表7の中ほどに示しています。2~4歳で1.30、生後6か月~1歳で1.19であり、いずれの年齢層についても事前に設定された成功基準である両側95%信頼区間の下限値が0.67を上回り、かつ点推定値が0.8以上となることを達成いたしました。
 抗体応答率の差は表7の右側の列に示しています。いずれの年齢層についても事前に設定された成功基準である両側95%信頼区間の下限値がマイナス10%を上回ることを達成しました。
 以上の結果より、機構は、生後6か月~4歳の小児における本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 なお、発症予防効果も確認されております。27ページの1.1項、「また、専門協議後に」との記載から始まる段落を御覧ください。007試験での治験薬3回接種7日以降のCOVID-19の確定例に基づくワクチン効果、VEは73.2%でした。COVID-19の確定例から検出されたSARS-CoV-2は不明1例を除き、いずれもオミクロン株であったことが確認されています。
 次に、本剤の安全性について、9ページ、表4に治験薬各回接種後7日間における局所及び全身の反応原性事象、10ページ、表5に治験薬最終接種後1か月後までの主な有害事象及び副反応を示しております。反応原性事象及び有害事象は、ほとんどが軽度または中等度で、回復性が認められていることを確認いたしました。
 機構は、生後6か月~4歳の小児における本剤の安全性について、現時点で重大な懸念は認められていないと判断しております。ただし、安全性情報は限られていることから、引き続き収集する必要があると考えます。
 なお、本剤は生後6か月~4歳の小児用の製剤であり、12歳以上に使用する「コミナティ筋注」及び「コミナティRTU筋注」、5~11歳の小児に使用する「コミナティ筋注5~11歳用」とは、希釈方法、接種量等の異なる点があります。
 現時点でも複数の類似製剤の取違え等の接種過誤防止策は講じられているものの、本剤の導入に際しても、注意を要するため、接種過誤の防止策として、バイアルのキャップ及びラベルの色による識別性の向上、薬液採取後のシリンジに貼付可能な識別シールの配付、医療従事者向け資材等を介した情報提供が行われる予定です。
 以上の審査を踏まえ、機構は、2ページに記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は新用量医薬品としての申請ですが、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上あることから、再審査期間は残余期間である令和11年2月13日までと設定することが適切と判断しました。また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。
 薬事分科会には報告を予定しております。
 説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、委員の先生方から御質問を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。
 中野先生、どうですか。御意見はございますでしょうか。
○中野委員 中野でございます。御指名いただきましたので、意見と質問を一つさせていただきます。
 まず、効果に関しましては、16歳以上の成績とのブリッジング試験ということで、設定した基準を満たしたということで、抗体価で見る限りは有効性が期待できるということ。ただ、16歳以上の一番最初の試験はオミクロン株が流行していないときの試験であったかなとも思いますので、オミクロン株の成績はどうなのだというのが、先ほども御紹介いただきましたオミクロン株流行下でも発症予防効果が6か月~4歳までで70%台でした。これはオミクロン株流行下であれば発症予防効果としても決して低くない値、十分評価できる値だと思いますので、有効性に関しては問題ないと考えております。
 また、安全性に関しましては、小児は熱性けいれんという疾患があったりとか、発熱率とかが非常に高いと、接種後の副反応の頻度が気になる親御さんも多いと思うのですけれども、プラセボを対象とした解析の結果で、プラセボに比べて多いということもなさそうでございますので、安全性に関しても許容できると考えております。
 なので、有効性と安全性の観点から、この製剤を承認することに差し支えないという機構の判断を私は支持したいと思います。
 質問に関しては、小児科医としての質問になるかもしれませんが、このワクチンを接種するのが6か月~4歳という方々への筋肉内注射でございます。子供は年齢によって大腿前外側に接種したり、上腕の三角筋に接種したりするわけです。ワクチンでは、接種部位まで特定してということはあまりないと思います。もしかしたら薬事承認後の使用に当たってのいろいろな普及啓発でカバーしていってもいいかと思うのですけれども、接種部位に関して、もし機構の方で何かお考えがございましたら、お教えいただければと思います。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問をいただきまして、ありがとうございます。
 先生から御指摘いただいています小児における筋肉内注射に関し、専門委員からもこの年代では接種部位に注意する必要があるとの御指摘をいただいております。資料1.8添付文書案の14.2.2項、接種時の注意に、1歳未満は大腿前外側部に接種する。また、通常、三角筋中央部または大腿前外側部に接種する旨を記載しています。
 また、情報提供資材においても丁寧に説明をするように申請者に伝えておりまして、日本小児科学会でお示しいただいているような情報も参考に、適切に情報提供されるように対応しております。
 説明は以上になります。
○中野委員 どうもありがとうございます。
 1歳未満が大腿前外側部で、1歳を超えたら筋肉の量に応じて三角筋中央部が可能になってくるということで、日本小児科学会が推奨している接種部位と一致しております。私はこれに関して異議はございません。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員の先生方から、御質問はございますでしょうか。
 どうぞ。
○宮川委員 接種間隔のことなのですけれども、1回目を打って、そして3週間で打って、そして8週間で打つことになります。8週間というのは中和抗体の上がり方で決まったことなのでしょうか。今、中野先生がお話しになったような注射部位によっても随分あるのですけれども、6か月と少し上がった4歳ではどれだけ違いがあるのかとか、そういうことはあったのでしょうか。8週間というのは抗体の上がり、2回では十分でなく、その後3回目が必要なので8週間という形になったのでしょうけれども、その根拠というか、それが遅れてしまうと駄目なので速やかにという書き込みが添付文書の中にあるのですが、どのようにそれを考えたほうがよろしいのでしょうか。
 小さい子であれば、ワクチンスケジュールのところでかなり混乱します。小児科であれば、そういう意味では大変困窮するような打ち方になってしまうのではないかと思うので、ぜひ教えていただければと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 2回目と3回目の接種間隔は、基本的に臨床試験で設定された間隔に基づき設定されたものになります。
 実際に007試験では8週間より長い間隔で接種された被験者もおり、接種間隔に幅がある状況でして、接種間隔によりどのぐらい中和抗体価が違うかは検討されていないのですけれども、初回免疫をつけるには3回接種が必要という有効性の評価もありますので、なるべく早く間隔を空けずに3回接種することが必要ということで、少なくとも8週間で、注意書きとしてなるべく早めに打ちましょうという情報提供をしているという考え方になります。
 よろしいでしょうか。以上になります。
○宮川委員 分かりました。ありがとうございます。
 そういう意味では、少なくとも8週間経過した後に3回目があって、そして、8週間を超えた場合にはできるだけ速やかに次回の接種を実施することというところが現場では曖昧になるのではなかろうかと思うので、その辺のところも含めてしっかりとしたアナウンスメントをしていかなければいけないのではないかと思ったので御質問させていただきました。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
 ほかの委員の先生方、御質問、御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ないようでございますので、議決に入りたいと思います。
 亀田委員、川上委員、松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、次のその他事項に移ります。
 それでは、その他事項、議題1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題1「医薬品コミナティRTU筋注について」、御報告いたします。資料No.2を御覧ください。一番上の「オミクロン株BA.4-5対応コミナティRTU筋注について」という資料を御覧いただければと思います。
 コミナティRTU筋注は、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とするワクチンであり、SARS-CoV-2の起源株(オリジナル株)のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNAであるトジナメランを有効成分とする1価のワクチン及び、トジナメランとオミクロン株BA.1のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNAであるリルトジナメランの2成分を有効成分とする2価のワクチンとして承認されています。
 今般、ファイザー株式会社から、トジナメランとオミクロン株BA.4-5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNAであるファムトジナメランを有効成分とする2価ワクチンの追加免疫に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本説明においては、トジナメランを含有する従来型の1価のワクチンを「親ワクチン」、トジナメランとリルトジナメランを含有するオミクロン株BA.1対応型の2価ワクチンを「BA.1対応2価ワクチン」、トジナメランとファムトジナメランを含有する今回申請されたオミクロン株BA.4-5対応型の2価のワクチンを「BA.4-5対応2価ワクチン」と呼びます。
 資料の1ページを御覧ください。本品については、効能または効果、用法及び用量について変更はなく、成分及び分量または本質欄に、「トジナメラン及びファムトジナメラン(RNA質量比として1:1)を総量として0.225mg含む(2価)」と記載する変更が申請されております。
 また、資料の2ページの上段に記載しているとおり、海外の状況といたしましては、既に欧米においてBA.4-5対応2価ワクチンが品質及び非臨床データのみで承認されている状況です。
 本剤に対する審査の考え方としては、2ページの中段に記載しているとおり、同一系統間の株の変更については、ウイルスの抗原性が大きく異ならないことから、株変更前後のワクチンで得られる免疫原性も大きく異ならないと想定いたしました。BA.1株対応2価ワクチンで臨床を含めた評価がなされていることを踏まえ、BA.4-5対応2価ワクチンを非臨床データにより評価することは可能だと考えております。ただし、臨床データについては承認後追って提出を求めることとしたいと考えております。
 提出された具体的な非臨床データについては資料の3ページにグラフを記載しております。追加免疫としてBA.4-5対応2価ワクチンを投与したマウスでは、起源株、デルタ株及びオミクロン株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1及びBA.4/BA.5)に対して幅広い中和抗体の誘導が認められています。グラフでいいますと一番右側の五つのバーが、今回申請されたBA.4-5対応2価ワクチンになります。
 安全性については、既に承認されているBA.1対応2価ワクチンと同じオミクロン株系統のワクチンであることを踏まえ、BA.4-5株の配列のメッセンジャーRNAに変更することで安全性に影響を及ぼす可能性は低いと考えております。ただし、海外での使用実績等が蓄積されていますので、最新情報を引き続き注視いたします。
 また、資料としてお配りできていないのですけれども、本日、ファイザー社より、BA.4-5対応2価ワクチンの12歳以上を対象とした臨床試験での接種後7日後の安全性データのレポートが提出されております。ファイザー社の分析では、おおむね親ワクチン及びBA.1対応2価ワクチンと同様であり、重大な懸念はないと報告されているところです。
 これらのデータ等を踏まえ、本BA.4-5対応2価ワクチンを承認して差し支えないと判断いたしました。
 御説明は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問等がございましたらお受けいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 宮川です。
 このような形になってくると、コロナに対してでも系統間の株の変更は今後同様に考えていくというストーリーになっていくのでしょうか。すぐではないでしょうけれども、今後こういうことになれば、同様な議論の中で株の変更ということになれば、従来インフルエンザでいろいろなことがワクチンでありましたけれども、同様な考え方がこれから通例になるのでしょうか。これは疑問というわけではなくてお話みたいな話ですけれども、お聞かせいただければと思います。
○事務局 ありがとうございます。
 今後、もちろんさらに科学的知見が蓄積しましたら判断が変わることもあり得ると思いますが、現在の科学的知見の基づいて考えますと、系統間での変更、つまりオミクロン株と呼称されている中のBA.1からBA.4、BA.5に移るように系統が大きく異ならない場合でしたら先ほど御説明したとおり系統間での免疫原性に大きな差はないという前提の下に非臨床のデータを使った審査は許容できると考えています。
 他方で、例えばオミクロン株からさらに新しい、次の大きく起源が異なる変異など、VOCの系統がそもそも異なるような株の場合は、その株を使った新しい2価ワクチンなどを作る場合には、きちんと臨床データを用いた審査が必要と考えています。ですので、BA.1のときに臨床データを用いた審査を行い、それを前回の9月の部会のときに報告させていただいたところですけれども、そのような形で、オミクロン株ではない新しい株が出てきて、それに対するワクチンを作る場合には、臨床データを使った審査をさせていただこうと思っていますし、既に承認された系統の中で揺れ動く場合には、今回のように非臨床のデータを用いて迅速な審査を行っていくものと考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問はございますでしょうか。
 どうぞ。
○中野委員 ちょうど宮川先生が今後のことで御指摘いただきましたので、私も今後のことで御教示いただきたいことがあるので、お教えください。
 今回のマウスの試験を見ますと、確かにBA.4、BA.5対応の中和抗体価はよく上がっていると読んでいいと思いますが、従来型とこのワクチンを混合したものよりも、このワクチン単独のほうが中和抗体価はよく上がっていますし、武漢とかデルタに対する中和抗体価も、混ぜたものと単独とであまり差がないというか、場合によっては従来株が入っていないもののほうが数値だけを見ると高いぐらいにも見えたりもするのですが、オミクロン株対応ワクチンに従来株のメッセンジャーRNAも半分は入れておくということは、これまで経験のあるアルファとかデルタに対抗してこられたワクチンなので、それを半分入れてあるというのが、今後どういうものが出てくるかも分からないということも含めての意図なのかどうか。
 なかなかお答えはできないと思うのですけれども、自分としてはそんなふうにさっきの動物実験の中和抗体を見たりしておりましたので、その辺りのコメントを少しお聞かせいただけるとありがたいです。
○事務局 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、数字だけ見ますと確かに1価のBA.4、BA.5対応のものと今回申請されているものとで遜色がなかったり、数字によってはBA.2とか単剤の方が高いという結果が得られていたりするところですけれども、ワクチンの株選定についてはICMRA等の国際的な場でも一定の議論がなされていて、幅広い株に対する免疫応答を得るに当たっては、単価よりもオミクロン株を含む2価のワクチンの方が、有用ではないかと示唆されているところです。
 ただ、今後さらなる知見の集積に伴って考え方が変わってくる可能性は当然あるかとは思いますけれども、現時点では、2価ワクチンの方がよいのではないかと国際的には考えられているところです。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○宮川委員 宮川です。
 中野先生、ブロードに上げるか、上げないかは、結果を見ると非常に面白いというか、興味深いですよね。これからどのように考えていくのか、今後の進展ですよね。
○中野委員 インフルエンザでもまだ分からないことがたくさんあって、コロナはもっと分からないなと思って、それで御意見をお伺いしたくてお尋ねさせていただいたのです。宮川先生、ありがとうございます。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 どうぞ。
○島田(眞)委員 そういう細かいことを言い出すと、今、表を拝見しているのですけれども、前回出た右から2番目の2価だけれどもBA.1のものと、一番右とを比べても、BA.5に対してはそちらの方がよさそうなので、どんどん切り替えるというのが正解かなとも思うのですけれども、これだけから何かを言うのはちょっとあれかもしれませんが、データだけから見るとそういうこともあるのではないかなとは思います。
 どういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただければありがたいです。
○事務局 ありがとうございます。
 BA.4、BA.5に対しての抗体価を見ると、今回新たに申請があったものの方が上がっているというのは、確かにおっしゃるとおりだと思います。
 他方で、切り替えていくことがいいかというところについては、今後どのような株が流行していくのかにもよるので一概に言い切れるところではないと思いますけれども、起源株からアルファ株、デルタ株と変異株の流行が変化し、デルタ株の流行のときまでは起源株の1価ワクチンでも充分な効果が期待できたところ、オミクロン株になって抗体価が減弱してしまっているので、そこは2価ワクチンによる補強が必要だろうと判断されたことなどがあったと思うので、引き続き株の変化については日々ウォッチをし続けていく必要があると思っていますし、その結果でまた2価ワクチンで対応し切れないような新しい株が出てきてしまった場合には、株の変更も視野に入るところかなと思います。
 逆に、対応できている場合には、しばらく2年間ぐらい起源株の1価ワクチンで対応してきたように、BA.1ないしBA.4-5のワクチンでの対応が続くのかなと。そこは今後出てきた株と、それに対する中和抗体価の速報的な研究の結果次第になるところかとは思っております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○島田(眞)委員 いいのですけれども、こういうデータを見せられると、BA.1を混ぜたものよりは、今、審査しているものを早く通して、こちらを出していったほうがいいのかなとも思いましたので御質問いたしました。それは別に構いません。
○清田部会長 ありがとうございます。
○事務局 1点だけ補足させていただいてもよろしいですか。
 確かに非臨床データの数字上はBA.1とBA.4-5を比較したときにBA.4-5の方が、特にオミクロンBA.4/BA.5に対する中和抗体価が高いという結果になっているかと思いますが、BA.1とBA.4-5のワクチンのどちらがよいかと御質問いただいた際は、どちらでもいいので早く打っていただくことが大事であると御説明させていただいております。
○清田部会長 ありがとうございました。
 ほかに御質問はございますでしょうか。
 よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、その他事項、議題1につきましては、御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。
 お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)