第11回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和4年8月19日(金) 17:00~19:00

開催方法

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議事

議事内容
○原澤推進官 事務局でございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第11回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。委員の皆様、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤と申します。8月1日付で前任の岩佐の後任として着任いたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、委員の出席状況でございますが、水澤委員より遅参する旨の御連絡を頂戴しております。そのほかは全ての委員の先生方に御出席いただいております。また、参考人の皆様につきましては、時間の関係で、御紹介は割愛させていただきますので、「参考資料1委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言のみ画像をオンにしていただくようお願い申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しておりますが、議事次第のほか、資料1から資料4までございますので、お手元御確認をお願いいたします。
 資料4-2は、本専門委員会の運営細則となっております。第5条の委員会の庶務について一部変更してございます。厚生労働省の組織改編に伴いまして、「健康局において総括及び処理することとし、大臣官房厚生科学課がこれに協力する」から、「医政局がこれに協力する」へ変更してございます。
 また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、その点も御了承ください。
 事務局からの御連絡は以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 中釜です。それでは、皆様、本日もよろしくお願いいたします。時間も限られておりますので、早速、議事に入りたいと思います。
 まず議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」。まず、厚生労働省健康局がん・疾病対策課より、資料1-1の説明をお願いいたします。
○がん・疾病対策課(中原) がん・疾病対策課の中原です。資料1-1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」御説明いたします。
 資料1-1の1枚目をおめくりいただきまして、2ページ目ですが、こちらは全ゲノム解析等実行計画の推進に係る今年度の政府方針についての記載をお示ししています。
 1ポツ目。経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)ですが、こちらに、「がん・難病に係る創薬推進等のため、臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報を連携させ搭載する情報基盤を構築し、その利活用に係る環境を早急に整備する」との文言が掲載されています。この記載に関しまして、解析結果等の患者還元の視点は継続しつつ、その一層の充実化を目指すとともに、情報基盤を構築し、新たな医療につながる創薬に結びつけていくという意図が含まれているという認識でおります。
 次のページ、3ページ目には、今年度の専門委員会のスケジュール(案)をお示ししています。今回、第11回では、これまで御議論いただいてきた「全ゲノム解析等実行計画2022(仮称)」をお取りまとめいただき、今年度は年度末までにあと数回専門委員会を開催し、令和4年度の中間報告、最終報告、また、令和5年度の方針について御議論をお願いしたいと考えております。
 今回、お取りまとめいただいた実行計画2022は、今後、厚生科学審議会科学部会で御審議いただいた上で、厚生労働省において策定を予定しております。
 次のページ、4ページ目ですが、こちらには令和4年度の全ゲノム解析等の実施体制をお示ししています。専門委員会で方針を決定いただき、厚生労働科学研究、がん領域においてはいわゆる中釜班、難病領域においてはいわゆる水澤班で、専門的事項についての検討を行い、専門委員会に報告する。また、専門委員会の方針に従い、AMEDの研究班が全ゲノム解析等を実施するという体制に変更はございません。
 次の5ページ目お示しします。5ページ目には、厚生労働科学研究中釜班の体制をお示ししております。患者還元、解析データセンター、ELSI WGという専門事項に係るWGに、今年度より準備室WGが加わっております。
 次の6ページ目を御覧ください。こちらには中釜班の各WGにおける検討・実施状況をお示ししております。前回の専門委員会でお示しした資料から変更はございませんが、1点、中村委員の御指摘を受け、解析データセンターWGにおいて、準備室WG等と連携して、AIを活用できる人材育成の体制について検討と明記しております。
 次、7ページ目をおめくりください。この7ページ目は、前回の専門委員会において、中釜班の患者還元WGより御提示いただいた全ゲノム解析等実行計画のQC体制についての資料をお示ししています。QC体制として、まず医療機関、患者還元班では統一したSOPを遵守した検体の採取を行います。これはQC0に当たります。次に、シークエンス受託会社でQC1として検体の品質やQV30等のデータを取得していただき、解析班において、QC2として、リード長分布等の評価を行います。これらのデータが、厚労科研患者還元WG及び解析データWGで、QC3として総合的に分析・評価し、専門委員会において、患者還元体制のさらなる充実等に向けた検討材料としていただくという体制となっております。
 次の8ページ目をおめくりください。8ページ目から10ページ目は、今年度のがん領域のAMED研究班の体制をお示ししております。前回から変更はございませんので、詳細は割愛させていただきます。
 以上、資料1-1の説明です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料1-1の説明につきまして、委員の先生方、御質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特にございませんので、それでは次に移らせていただきますが、もし、途中で何か御質問にお気づきでしたら、追って、御質問いただければと思います。
 続きまして、医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室から、資料1-2「『全ゲノム解析等実行計画』に係る事業実施組織に求められる機能等について(案)」説明をお願いします。
○市村医療イノベーション推進室長 よろしくお願いいたします。厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村と申します。資料1-2を御覧ください。「『全ゲノム解析等実行計画』に係る事業実施組織に求められる機能等について(案)」ということで、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、この資料につきましては、今回、初めてこの専門委員会に提示をさせていただいているところです。本日、この案につきまして御協議していただき、次回の専門委員会にてこの事業実施組織に求められる機能等をフィックスしていきたいと思います。そのフィックスした内容に基づいて、厚生労働省内で検討し、来年度中には事業実施組織の法人形態について決定していきたいと考えております。
 それでは、1ページおめくりください。1番から4番までが非常に重要なポイントであると考えております。
 1つ目、「公益性・公共性」についてです。検討の視点としましては、事業実施組織は、中長期にわたり安定的かつ着実に実施される必要があるという視点、また、もう一つは、事業実施組織の運営を営利目的の市場原理に全面的に委ねることとすると、各種取組が必ずしも適切に実施されない可能性があるという視点に対し、対応方針案としましては、事業実施組織は何らかの法的根拠に基づいた公的な性格を有するものであることが望ましいと考えております。
 また、2つ目「機微情報・個人情報管理」につきまして、事業実施組織は、事業全体の情報保護・管理やサイバー攻撃への対策を含めた安全性等の対策を徹底すべきという視点に対し、対応方針案としましては、しっかりとこういったプライバシー保護及び情報セキュリティに関する対応方針を明確化し、その実施に必要な部門を事業実施組織に設置するとともに、情報管理を徹底していることについて、国民への周知を図ることが必要であろうと考えております。また、事業実施組織においては、法人だけではなくて、そこに従事する職員についても何らかの法的根拠に基づいた守秘義務が必要であろうと考えております。
 3つ目です。データ等の利活用の公平性につきましては、これまで議論がありましたとおり、企業やアカデミアによる研究・創薬等を円滑に進めるため、迅速かつ公平で安全性の担保されたデータ等の共有システムの構築が必要であろうという視点から、対応方針案としましては、そういったシステムを構築し、それを支援する部門を事業実施組織に設置することを考えております。
 4つ目はガバナンスです。上記1.2.3.の観点から、強固なガバナンスに基づく公平性・信頼性があるという点が重要であろうと考えており、また、利用者視点を取り入れた柔軟で迅速な運営判断が可能な自立性の高い組織であるべきという視点が必要であると考えております。これらの視点に対応する方針案としましては、事業実施組織は、厚生労働省による十分にガバナンスが発揮された組織とすることが必要であるということを考えております。また、一方で、人事等を通じて、民間の経営視点を活用可能とすることが必要であろうと考えております。
 5番目、6番目、7番目につきましては、これまで議論されてきた項目になっておりまして、それぞれの検討の視点に対しまして、対応方針案として、それぞれ事業実施組織に対応する部署を設置することを現在考えているところです。
 以上で、資料1-2の説明を終わりにしたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料1-2の事業実施組織に求められる機能等についての説明ですが、何か御不明な点、御質問がありましたら、お願いします。
 それでは最初に宮野委員、お願いします。
○宮野委員 宮野です。
 2ページ目の「公益性・公共性」の○の3番目のところですが、そこの書きぶりだけが、ほかの書きぶりと随分と違っていまして、「事業実施組織は、何らかの法的根拠に基づいた公的な性格を有するものであることが望ましい」と書いてありまして、これはちょっと悪意を持って読みますと、自分たちが決めたものだったら何でもいいという、そういうふうにも読めてしまいますので、ほかのところは「べきである」とか、「必要である」とか、そういうきちんとした形で書かれてあるのですが、事業実施組織の設置に関しては、何とでも設置できるねと読めてしまうので、ここの部分は、書きぶりをぜひ信頼できる形で書き直していただきたいと考えております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、厚生労働省いかがでしょうか。
○市村医療イノベーション推進室長 宮野先生、御指摘ありがとうございます。
 仰る通り、ここだけ「望ましい」となっておりますので、しっかりとした書きぶりに修正したいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○宮野委員 はい。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ほかに、御意見・御質問ございますか。
 杉山委員、お願いします。
○杉山委員 葛西さんが先に手を挙げられています。
○中釜委員長 失礼いたしました。
 それでは、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 すみません。多分、参考人が後かと思ったのですが、結構です。
 最後のところに人材育成のことが書いてあるので、これはすごくいいことだと思っているのですが、実は、最近、Genomics Englandの人材獲得の状況をちょっと確認しているのですが、それは相当戦略的に、相当量のIT人材を獲得しているなということが見て取れます。今まさに、Genomics Englandはセキュリティオペレーションセンターのセレクションに関わるコンサルタントのハイヤリングをしていたりしているのですが、そうしたときに、人材育成ですと、育成してから出来上がってくるまで一定の時間があるので、項目としては、「人材獲得の戦略」という項目をきちんと入れていただきたいなと。
 その上で、私はITの人間なので、ITとしては、実は、医療データの標準化をやる人とシステムのオペレーションをやる人、それと、例えば全体のアーキテクチャを考える人、それから、先進的なAIや、先進的なテクノロジーを扱う人は全部違うロールなのですね。全く違う能力を使います。当然、もう一つは、今回、ストレージエンジニアがいるようなインフラのエンジニアも必要になりますから、それぞれどういうロールを、例えばGenomics Englandであったり、各国の先進事例でどのぐらい集めているのかというのを確認いただいて、その上で人員配置を何人ぐらい要るのだと。それとエフォートですね。どのぐらいの工数が必要なのかということを論理的に分析して、大体ITのスペシャリストは、多分6、7ぐらい、かなりな量をITの人間が占めているのだということは分かるのですが、その中の構成もある程度合理的に判断してハイヤリング計画をするように、そういった意図を書いていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、厚生労働省いかがでしょうか。
○市村医療イノベーション推進室長 葛西参考人、ありがとうございます。
 御指摘の点は非常に重要と考えております。御指摘を踏まえまして、しっかりとした見積のようなものを作成して対応していきたいと考えております。
 また、書きぶりにつきましては、具体的にどういった修正が望ましいかについて、後日ご相談の上、御教示いただければと思います。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○葛西参考人 はい。
○中釜委員長 続きまして、杉山委員お願いします。
○杉山委員 ありがとうございます。
 1番の公共性のところで、市場原理に全面的に委ねることはよくないというのは同意できるところでして、法的根拠に基づいた公的な性格を有するものがいいというのも納得できるところですが、一方で、2番の機微情報・個人情報管理のことを考えますと、民間の力を借りる必要は十二分にあるのかなと感じますので、あまり公的なものというもので強く縛り過ぎると、民間からの参入を妨げてしまうのではないかという危惧を少し感じています。さらに、そのときに、外資系の企業が入ってくることもあると思いますが、そういったところについても少し検討が必要かなと感じました。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 厚生労働省、今の点よろしいでしょうか。
○市村医療イノベーション推進室長 御指摘ありがとうございます。
 事業実施組織そのものに外資系の援助を完全に排除するといったことではなく、事業実施組織全体として公的な性格を有するものであることが望ましいということですので、必要に応じて、外資系の企業を含めた民間の協力を排除するものではございません。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 続きまして、栗原委員お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。
 今回、これまで議論されてきたことが、こういう形で第一弾の方向性として明確になったことは大変意義あるものと思います。
 1のあたりはまさにそういうことかなと思いますが、ちょっと細かいところで申し上げますと、3番の「データ等の利活用の公平性」については、最初に、共有システムの構築が必要というハードのことをおっしゃっているような気もするのですけれども、利活用の迅速性や公平性については、ハードだけではなくて、プロセス等も非常に影響してくると思いますし、そこがネックになる場合もあると思いますので、プロセスとか手続のソフト面での構築も含めて書き込んでいただければと思います。
 それから、4番のガバナンスについてですが、法的根拠に基づいた公的な性格を有するということになりますと、場合によっては、柔軟性とか機動性とか効率性というところが相反することになりかねないので、公的な性格を有することの重要性を維持しつつ、一方、組織として柔軟性があることの重要性についても書き込んでいただいたことは、良いことかと思います。ただ、書きぶりとして、こういったことに関する民間の経営視点を活用可能とするという、ここが述語ではなくて、民間の経営視点等を活用しつつ、柔軟性、機動性、効率性、顧客指向を高めるような、そういう経営体制にするという、そちらが述語というか、言いたいことなのではないかなと思いますので、ちょっと順番を変えていただければと思います。
 今申し上げた柔軟性のところと人材の専門性のところについては、この組織において大変重要だと思います。例えば公的組織のため人員の増減が柔軟にできないとか、予算がなかなか柔軟に増減できないというようなことにならないように、人員の専門性と組織体制の柔軟性について、この組織が高い機能を発揮するという観点から確保していただきたいと思いますので、そこをぜひ、表現していただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 いずれも重要な御指摘と思いますが、この書きぶり、書き方に関して、厚生労働省は何かございますでしょうか。御指摘を踏まえて、その柔軟性が伝わるような書き方に少し修正いただければと思いますが、よろしいですか。
○市村医療イノベーション推進室長 ありがとうございます。
 御指摘に沿った形で修正していきたいと思います。また、修正案につきましては、後日、具体的に御相談させていただけたらと思います。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 続きまして、中村委員お願いいたします。
○中村委員 簡単に1点だけですけれども、強固なガバナンスが必要だとは思いますけれども、いろいろなディシジョンメイキングのプロセスに透明性が必要だと思います。この中に「透明性」という言葉が全く出てきませんので、透明性のある組織にしていただきたいと思いますので、このガバナンスのどこかに「透明性」という言葉を加えていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 厚生労働省、よろしいでしょうか。
○市村医療イノベーション推進室長 御指摘ありがとうございます。修文させていただきたいと思います。
○中釜委員長 続きまして、天野委員お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。
 今のガバナンスのところに関連してですが、ガバナンスのところを拝読いたしますと、技術的に運営を行う一方で、厚生労働省やAMED等のことが書かれています。一方で、先ほど御説明いただいた資料1-1の22ページで、「全ゲノム解析等の実施体制の将来像(案)」で、事業実施組織の簡単な図が書かれていたかと思うのですが、そちらを見ますと、諮問委員会という組織がありました。そうなると、諮問委員会というのは、私は勝手に外部諮問委員会的な性格かと思っていたのですが、この諮問委員会の位置づけはどういうものなのでしょうか。
 また、外部評価的ものを導入するという文言は不要なのでしょうかというのを質問させていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、厚生労働省お願いします。
○市村医療イノベーション推進室長 天野委員、御指摘ありがとうございます。
 諮問委員会とは、御指摘の資料内に括弧で記載してあるとおり、専門的な助言を行うための委員会を想定しております。例えば、現在、厚労科研中釜班で行われている各種専門WGで整理をしていただいている内容が、イメージとしてはこの諮問委員会の作業に当たると考えております。
 また、外部評価の導入に関しましては、厚生労働省の本専門委員会が、外部から全体を管理するという立てつけの認識ですが、その他に、外部の第三者が専門委員会以外にも必要ということであれば、今後、検討していく必要があるかと思います。現状は、この専門委員会がしっかりと全体を管理・監督し、方針を決めていくことになっていると認識しております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 承知いたしました。ありがとうございました。
○中釜委員長 先ほど、中村委員からの御指摘は、この専門委員会からの透明性も含めた透明性というような理解でよろしいですかね。
○中村委員 それで結構です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、森(正)委員お願いします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 一番最後のところの人材育成ですけれども、先ほど葛西先生のおっしゃったことは非常に重要で、私も、この全体がうまくいくのにとても大切な要素の一つとしては、人材確保、人材育成があると思います。ただ、現状を見ますと、葛西先生御指摘のように、すぐスタートするときの人材の確保、それから、その人たちが中心になって人材を育成するという、2つ大きい使命というか、流れがあるのだろうと思います。その際に、ここには概念的なことが書かれていますけれども、少なくとも事務局としては、例えば5年後に、どれぐらいの施設に何名ぐらいを想定しているのかというようなことも、ある程度具体的なこと、これを中心にまた考えるのかもしれませんけれども、ただ、5年後にどれぐらい、10年後にどれぐらいという、そういうのがある程度分かるようにしていただけると、これを読んだ人たちは、いきなり中核拠点病院とか、ほとんどがすぐそろうのではないかというような認識を持つかもしれませんので、そんなに急に全体に普及させるのは難しいだろうとも思いますので、その辺を加味していただけると、これを読む人たちも少し納得感が得られるかなと思いますので、御勘案いただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の森(正)委員からの御指摘に関して、厚生労働省から何かありますでしょうか。
○市村医療イノベーション推進室長 森(正)委員、御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、人材育成のロードマップは非常に重要かと考えておりますので、具体的な修文案につきましては、また、御相談をさせていただければと思います。
○中釜委員長 今の御説明でよろしいでしょうか。
 ほかに、御意見・御質問ございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ないようですので、次に進ませていただきます。続きまして、議題2ですね。AMEDの土師課長から、資料2「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、資料の説明をお願いします。
○土師AMEDゲノム医療基盤研究開発課長 AMEDの土師でございます。
 AMED研究の進捗状況について、報告いたします。
 2ページ目でございますけれども、前回もお示ししておりますが、こちらがR4年度のAMED研究の概要でございます。A班の3班におきましては、施設要件を満たす分担医療機関を追加しつつ、最大2,000例の解析を行いまして、結果を患者に還元いたします。
 B班では、R3年度分の各班1,400症例の解析を行いまして、臨床情報の登録を行うとともに、解析結果を用いた研究を行うこととしております。
 では、3ページ目に移ります。FASTQデータの報告になりますが、こちらはA班のデータベース構築に関する進捗状況です。前回は6月20日時点の集計結果をお示しいたしましたけれども、今回は7月20日時点の集計結果についてお示ししております。変化量が分かるように、矢印で数値の変化を示しております。全体として、FASTQのデータ受領数は、R3年度分が前回より11症例分増加して1,448例、R4年度分は、69症例が新たに受領されております。データ確定数は約400症例増加しております。詳細は、下の表にまとめてございます。
 続きまして、4ページ目はB班の状況になります。全体といたしましては、FASTQのデータ受領数は331症例、データ確定数は約1,000症例増加しております。
 なお、下の表に赤字で示してございますけれども、血液がんの南谷班と小児がんの加藤班のFASTQデータ受領数ですが、前回に、それぞれ862と1,420と報告させていただきましたが、その分野の出検時に付与する一部の血液がんのIDが小児がんのIDと同じものを用いており、正しく集計されてないことが分かりました。精査の結果、それぞれの数は、血液がんが1,315、小児がんが1,157であり、ここに修正させていただきたく存じます。
 続きまして、5ページ目でございます。こちらは臨床情報の登録を行いますB班のEDC整備の進捗状況でございます。代表機関及び連携機関におきまして、こちらの表にございます進捗が見られてございます。
 なお、下に記載がございます、EDC入力開始に向けた調整事項といたしまして、連携病院等でEDCの導入が難しい施設への対応といたしまして、臨床情報の入力にExcelを用いる方法を準備中でございます。
 続きまして、6ページ目は、A班におきますエキスパートパネルの進捗状況でございます。3班合わせたエキスパートパネル実施数は、約400でありまして、そのうちにActionableなゲノム変異の検出数は200、遺伝子性の病的バリアントの検出数は29、患者還元数は168でございます。
 なお、角南班の患者還元数は、しかるべき患者還元に必要な確認検査の手順を検討中のため、エキスパートパネルの実施数は134でございますけれども、7月20日時点の集計数は12にとどまってございます。
 下段は、WGSを用いたエキスパートパネルにより得られた成果を明示してございます。まず1つ目は、遺伝子パネル検査では検出できず、WGSにより新たながんの遺伝性異常を発見したケースといたしまして、long insertionとかdeletionの変異やinversionの変異を見出した例を示してございます。
 2つ目は、診療に有用であったケースといたしまして、希少がんの診断に寄与した事例として、頭頸部腫瘍の組織型不明症例におきまして、融合遺伝子の検出によりまして、Biphenotypic sinonasal sarcomaと見なされたという例を示してございます。
 3つ目は、がん以外の疾患の関連遺伝子を検出したケースといたしまして、例えばQT延長症候群でありましたり、ウィルソン病等の遺伝性の変異を検出した例があることを示してございます。
 7ページになりますけれども、進捗状況は以上になりまして、こちらは、全ゲノム解析研究に参加する施設の拡大といたしまして、A班の角南班におきまして、岡山大学を追加することを考えておりますことをお示しいたします。岡山大学は、がん、ゲノム医療中核拠点病院でありまして、中国、四国地方の全ゲノム実装化の体制構築に向けて検討を重ねてきた中で、本施設は、下にございます参加施設の要件を満たしておりますし、エキスパートパネルを介した患者還元を実施可能と判断しておりまして、本委員会にて御承認いただけましたら、脳腫瘍、頭頸部など、30症例について検討予定と考えてございます。
 次の8ページ目と9ページ目は、今後の予定でございます。
 AMEDからは、以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、今の資料2の説明につきまして、御質問・御意見ございましたら、よろしくお願いいたします。
 上野参考人、お願いいたします。
○上野参考人 上野でございます。
 御報告どうもありがとうございました。このように適宜、御報告をしていただいて、着実にゲノム情報が増えている、集まっているというのはよく分かりました。非常に頼もしく思った次第です。
 1点目は、5ページ目にあります臨床情報を見ますと、まだまだいろいろな御苦労があって、数がまだ少ないように思われましたので、いろいろな課題があるものと推察いたしました。
 今回、このゲノム情報等を活用するということに関しては、時系列の臨床情報の収集とかオミックス解析の充実も重要であるということを何回か申し上げておりまして、これは骨太の方針にも明確に記載されているとおり、重要な論点だと認識しています。ゲノムデータとともに医療情報が利用できるためには、データの収集、保管、管理、データプランの構築とともに、個人情報の保護を確保しつつ、臨床の先生方や臨床の御負担を軽減するような制度も必要ではないかと、今回の御報告内容を見ていて思った次第です。引き続き、検討を進めていただければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の上野参考人からの御指摘に対して、AMEDから何か御回答はありますか。
○土師AMEDゲノム医療基盤研究開発課長 貴重なコメントをありがとうございます。しっかりこちらの臨床情報、オミックスの情報基盤の整備を進めてまいりたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○中釜委員長 ほかに、御質問・御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、続きまして、議題3に移ります。議題3の「全ゲノム等解析実行計画2022(仮称)(案)」についてですが、こちらはがん・疾病対策課より資料3の説明をお願いいたします。
○増田がん・疾病対策課長補佐 よろしくお願いいたします。がん・疾病対策課の増田です。
 それでは、資料3-1「全ゲノム等解析実行計画2022(仮称)」(案)(概要)について御説明いたします。資料3-2が実行計画2022本体でございまして、その概要です。前回の専門委員会からの主な変更点を中心に御説明いたします。
 それでは、2ページ目をお願いいたします。こちらが目次でございます。
 次に3ページ目をお願いいたします。こちらの序文について、前回の専門委員会で、森幸子委員からいただいた御意見を踏まえまして、この黒の太字のところですが、「患者家族や市民の視点を取り入れながら」本事業を進めていくというところについて、追記をさせていただいております。
 次のページをお願いいたします。こちらは事業実施体制のスライドで、特に変更点はございません。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは、患者還元が可能な情報とその還元方法のスライドです。特に変更点はございませんが、主に3つ、研究・創薬等における成果に関する情報、また、日常診療に導入できる情報、そして、3つ目として、新たな個別化医療等に関する情報、こちらは臨床研究、治験等への参加機会の提供などが想定されます。
 次のスライドをお願いします。この図3は本事業の目指す姿の概要となっております。左側から、全ゲノム解析等が実施されまして、その解析結果の日常診療への導入、そして、その解析結果に基づく新たな個別化医療の提供とか実現、具体的には、臨床研究や治験等への参加機会の提供などがございます。そして、それらの解析結果の日常診療への導入、個別化医療の実現を通して様々なデータも蓄積されていますので、そういった戦略的に蓄積されたデータを用いた研究・創薬も推進しまして、それを通して、がん、難病等の克服とか、国民の質の高い医療を届けるといったところを記載しております。また、事前の説明の際に、天野委員より、PPI、ELSIの推進について御意見をいただきました。国民へ質の高い医療を届けるという観点からは、PPI、ELSIの推進は欠かせないものでございますので、その点、このように記載をさせていただいております。
 また、右下に、「質の高い情報基盤の構築」と書かせていただいておりますが、本事業では、全ゲノムデータ、マルチオミックスデータ、臨床情報等が蓄積される方針であり、現に、令和元年度から令和3年度にかけまして、がんと難病を合わせまして、2万症例弱のデータが蓄積されてきておりますので、こういったデータが散逸しないように、しっかりと集約されるようにということで、このような記載を明記させていただいております。
 次のスライドをお願いします。全ゲノム解析等実行計画の基本戦略の3つでございます。前回から特に修正された箇所はございません。
 次のスライドをお願いします。ここからは、これまでの取組を踏まえた基本方針の概要です。まず1つ目に、対象患者さんについて、がん領域、難病領域、それぞれ要件が記載されております。特に変更点はございません。
 次のスライドをお願いします。対象症例数に関しましては、令和4年度は、がん領域で約2,000症例、難病領域で2,500症例を予定しております。そして、今回、追記したたた箇所としまして、(※)の10万ゲノム規模を目指した解析結果のほか、「マルチ・オミックス解析の結果等を含む」という文言が追加となっております。こちらは、今年度の骨太の方針に記載されておりまして、本実行計画においても明記をしております。
 次に、がん領域と難病領域の令和5年度以降の症例数の方針に関して追記をしております。令和5年度以降は、これまでの解析状況を踏まえた上で、具体的解析数を検討するという記載をしております。
 次のスライドをお願いします。厚生労働省における全ゲノム解析等の実施体制の図です。こちらは、変更はございません。
 次のスライドをお願いします。事業を構成する組織について、まず、患者還元を行う医療機関に求められる要件が記載されております。これまでの議論を踏まえたもので、特に修正はございません。
 次のスライドをお願いします。本実行計画においては、統一化された手法を用いて、均一で高品質なデータを収集することが重要ですので、その旨、シークエンス企業の欄に追記をしております。また、解析手法が確立された技術については、次の1)~5)の条件を全て満たす企業に外部委託することと記載しております。この1)~5)の条件については、これまでの記載から、特に変更はございません。
 次のスライドをお願いします。変更点としては、一番下の事業実施組織の欄に新たな記載をしております。まず、令和4年度中に事業実施準備室を国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)内に設置し、組織、構成等を検討する。また、厚生労働省が主体となって、令和7年度からの事業実施組織の発足のため、令和5年度をめどに最もふさわしい事業実施組織の組織形態を決定すると明記しております。
 次のスライドお願いします。7番がELSIに係る事項です。こちらは特に変更点はございません。
 そして、8番、患者・市民参画(PPI)係る事項についても、前回の専門委員会から変更点はございません。
 私からの説明は以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 資料3-1の概要をもって説明いただきましたが、実行計画2022本体を含めて、何か御質問・御意見はございますでしょうか。
 それでは、上野委員お願いいたします。
○上野委員 スライドの4ページ目のポンチ絵のところですけれども、事業実施組織と医療機関やシークエンス企業との間には、契約、契約で矢印が入っていまして、データの利活用を産業フォーラム、アカデミアフォーラムの構成の組織の方たちにしていただくときに、例えばこのポンチ絵の中で言いますと、研究成果を還元してくださいという矢印とか、そういったデータ利活用のルールに関しても、何らかの契約を、個別の利用のときなのか、フォーラムに入っていただくときなのか、その辺は追って検討いただくことになると思いますが、そこにも契約が存在するのかなと思ったのですが、そこは、このポンチ絵の中だとどういうふうに位置づけされているのかを教えていただきたいです。
○中釜委員長 今の御指摘に関して、厚生労働省お願いします。
○増田がん・疾病対策課長補佐 上野委員、ありがとうございます。
 産業界、アカデミアフォーラムと医療機関の間の関係性ということでしょうか。
○中釜委員長 御質問は、医療機関に研究成果を還元するということが何らかの契約の下に進められるのか、そのあたりをどう考えるかということですか。
○上野委員 そうです。多分、データ利活用のルールをつくるということ、それをサポートするという、この支援の矢印があるように、事業実施組織の重要な役割になっているのだと思うのですが、データ利活用も含めた支援活動の中には、そういった契約体制の構築みたいなのも入っているので、別立てで契約みたいな矢印がないのかなと思ったのですが、そういった理解でよろしいのでしょうか。
○増田がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。
 事業実施組織と産業界、アカデミアフォーラムの関係性に関しましては、今は、「支援」という言葉のみで表現しておりますが、どのような形で産業界、アカデミアフォーラムが事業実施組織を支援するか、それが契約というものも含まれるのかどうか、そういったところに関しましては、事業実施準備WG・準備室において、今後検討をさせていただきたいと思っております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○上野委員 その契約体制も含めた利活用ルールをサポートしていくということですね。理解いたしました。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、横野参考人お願いできますか。
○横野参考人 参考人の立場で失礼いたします。
 今お示しいただいている資料で言いますと、14ページのあたりに関するところですけれども、ELSIとPPIに関する記述がございます。この15ページのところでは、「ゲノム情報による不利益が生じない社会環境の醸成を図ること」という項目を入れていただいているのですが、前回も、関連する御指摘が天野委員からあったと思うのですが、以前、3月に開催された委員会の際の資料で、「全ゲノム解析等実行計画(第2版)」に向けた検討を踏まえた資料(案)がございました。その中で、項目としてPPIとELSIと両方あったのですが、ELSIの側の課題として、このゲノム情報による不利益について、法制度も含めた制度の在り方について検討することという項目を入れていただいていたと思います。
 私たちは、これは制度的な課題だと考えておりますので、もちろん患者さんや家族に係る課題ではあるのですけれども、制度的な課題だという観点から研究班による検討を行ってきました。ですので、8.だけではなくて、ELSIに係る、法制度に係る事項として、この点に関する法制度の在り方の必要性、それについての検討ということを入れていただくことが重要ではないかと考えております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、いかがでしょうか。
○増田がん・疾病対策課長補佐 横野参考人、ありがとうございます。
 ゲノム差別の観点に関しましては、本事業を進めていく上では非常に重要な観点と思っております。ELSI WGを中心に、本事業の中で行うべき対策を検討することは非常に重要だと考えております。
 この事業の中において、法制度そのものの検討を行うこと自体は想定をしておりませんが、現状、日本においてそのような法制度がない状況下でこの事業をどのように、ゲノム差別等について不利益が生じないような形で進めるべきかということについては、引き続き、ELSI WGを中心に検討を進められればと思っております。
 また、厚生労働省におきましても、ゲノム情報の活用において不利益が生じないよう、どのような対策が必要であるかということについては、全ゲノム全ゲノム研究班とはまた別の厚生労働科学研究班でも検討いただいているところかと思いますので、そういった研究班での検討結果なども踏まえながら、こちらの事業にも生かして進めることができればと思っております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか。
○横野参考人 別途でも構いませんので、この点について必要な研究を行っていただきたいと思います。関連する動向として申し上げますと、優生保護法に関する訴訟が幾つか数年前から起こっていますが、今年に入って高裁判決が2つ出ております。その中で、国が施策として組織的に優生手術を推進したこと、そして、そのことによって優生手術の対象となった方や対象となった疾患、障害に対する差別や偏見が助長され、社会に浸透させることとなったということを裁判所が認定しているという状況もありますので、そういったことにも十分配慮いただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 重要な御指摘だと思います。その法制度等についての記載をどのように8の社会環境の醸成というニュアンスで書き込んでいけるか、また、お伝えいただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、葛西参考人お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 私は、関係するのは11ページ目の医療機関の要件のところから関係があるのですけれども、先ほどの臨床情報を収集する話で、1点、今後の展開として留意しなければいけないことが一個ありまして、これは骨太の方針にも書いてあるのですが、いわゆる医療DXと呼ばれる政策が推進されてきております。第一弾が、まずは電子処方箋を全日本で使っていくということ。これは思ったよりも早く、今、開発中でございまして、今年の10月ぐらいから医療機関の接続テストが始まります。これはヨーロッパも同じですけれども、電子処方箋を展開することによって医療情報の一部分ですから、これは公開が始まるわけですね。
 そのときに、実は電子関係のシステムと外部の接続ポイントは、オンライン資格確認ネットワークを通して直接つながるようになります。なので、今までとは違いまして、電子カルテは門外不出で、ネットワークの中間領域を通してでないとつながらないという方法ではなくて、一気通貫に全国での医療情報のプラットフォーム化ということを政府としてはお考えのようです。私ももちろんそういったことに対しても、技術的な助言をしています。
 そうなると、実は、医療機関側がカルテからの情報システムの今の在り方とこれから政府が考えていく医療DXでの在り方とのちょうど端境期にいますので、こういったことが分かる担当者が医療機関にいないと、情報の収集時に混乱が起きると思います。なので、具体的に言うと、医療機関の事業構成上の設置要件としては、がんであろうと難病であろうと、電子カルテであったり、それから、いわゆる政府が進めるようなデータヘルス改革であったり、そういったことのシステム系に関する理解があることというのが入っていないとまずいのではないかなと思います。もちろん、これからHL7FHIRとかを使って情報を収集するということも、これも間もなく厚生労働省のデータヘルス改革では当然工程表の中に入っていますので、こういった政府が考えるインフラストラクチャーをうまく流用していくということが一個大事なのではないかなと思います。
 それともう一つが、個人情報保護の関係で、これはELSIというか、個人情報保護については、加盟者情報を使うということを前提に、医療分野もある程度進めやすくなるかなということをお考えのようです。これは内閣府が個人情報法の改正をしていく過程の中でも議論がありましたけれども、この解釈をどうやって取り込むかということをここでもお考えいただく必要があるかなと。
 それともう一つが、急には書き切れないと思うのですが、がんと違って難病などに関しては、これは私の聞く限り、かなり多様な解析のパターン、多様な解析の幅があると思われますし、そういうエフォートをしていることは分かっているのですが、そうなったときに、いわゆる検査会社が、解釈について何らかの補助をしていかないと、全部一か所に集めて解釈をするというのがなかなか難しいのではないかという意見もあるようです。そういったことについて私はあまり直接的なコメントは避けたいとは思うのですが、何らかの議論は必要なのではないかなと。いわゆる検査の在り方、これは後でも出てくるのですが、確認検査のことも、ちょっと私は意見があるのですが、検査ということについての議論はもう少し足りてないような気がします。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ただいまの葛西参考人からの指摘点は主に3点かと思うのですが、それについていかがでしょうか。
○増田がん・疾病対策課長補佐 葛西参考人、ありがとうございます。
 まず1点目のシステムに関するセキュリティについて理解がある方というのが、医療機関の要件の中に内容として含まれていることが望ましいのではないかという御指摘と認識いたしました。確かに、セキュリティに関する理解のある方が入っていることが求められることと認識しております。その上で、現時点の要件には、がんゲノム医療中核拠点病院またはがんゲノム医療拠点病院であることという要件がございまして、こちらについては再度確認をいたしますが、その要件の中においてもそういったセキュリティについては、要件の1つとして含まれている可能性がございますので、その点も含め確認をして、葛西参考人が御指摘された懸念が解消されるような方向性で、再度、検討をしていきたいと思います。
 そして,2つ目については、内閣府を中心として検討されている仮名加工情報の利活用の件に関連しまして、こちらの活用とか解釈の部分については、内閣府の検討状況も踏まえ、本事業のほうでどのような検討ができるか、情報をキャッチしながら、検討を進めていきたいと思います。
 そして、3つ目の難病領域のエキスパートパネルやゲノムデータの解釈について、検査会社等の活用も含め検討が必要なのではないかという御意見と認識いたしました。こちらに関しましては、実情がどのような状況であるかについて、難病課のほうとも研究班の先生方の実情がどうであるかということを共有していただきながら、検討してまいりたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 今の回答でよろしいでしょうか。
○葛西参考人 大丈夫です。医療情報を扱う技術者が必要だということは、これは、直した際に、また、確認させてもらえればと思います。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
 続きまして、栗原委員お願いいたします。
○栗原委員 ありがとうございます。
 私は、特に実施組織の発足の時期についてお伺いをしたいと思います。今回、令和7年度からの発足、令和5年度に組織体制の形態を決定するという時期が示されたと思います。従前は、令和4年度に準備をして、明確に5年度とはしていなかったかもしれませんけれども、令和5年度以降立ち上げるという認識を持っていたのですが、それが令和7年度となりました。
 そこで、時期がずれたことにより、どこかに支障が出ないのかということを心配いたしますので、この立ち上がるまでの時期の令和4年、令和5年、令和6年、特に令和5年、令和6年について、その期間のロードマップをつくる必要があると思います。その間に行われている活動は、誰がどういう責任の下で継続をしていくのか、それが令和7年以降の組織にどう引き継がれていくのかということも、より明確にして頂きたいと思います。
 それから、その間、データの利活用ができないのか、それとも、今の準備体制でもできるのか。データは誰が管理をするのか。こういったところについて整理をいただきたいと思います。少なくとも令和5年、令和6年について、延びたからと言ってデータの整備とかデータへのアクセス、そういうことが環境的には可能であるにもかかわらず、この組織が正式に発足していないがために止まってしまうということがないようにしていただきたいと思いますので、このところをぜひ描いていただきたいと思います。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 御指摘に関して、厚生労働省から御意見はございますか。
○増田がん・疾病対策課長補佐 栗原委員、ありがとうございます。
 御指摘のとおり、事業実施組織の発足年度について、今回、令和7年度ということで記載をさせていただいております。令和7年度までの3年程度について、どのように進めていくのか、利活用が適切に遅滞なく行われるような体制がきちんと取れるよう、そういったところについては、専門委員会の場でもきちんと議論しながら進めていかなければならないと考えております。また、どこで担当しながら進めていくかという点に関しましては、現状、厚労科研中釜班の中に準備室WGがございます。現在、そちらで、事業実施組織の中にどういった役割の部門があったほうがいい等、検討を行っていただいております。そして、こちらにも記載がありますが、早急に令和4年度中に事業実施準備室を設立することとしております。事業実施組織発足までの間は、事業実施準備室を中心に事業実施組織の検討を行ってまいります。
 また、その間の利活用につきましては、事業実施組織が発足するまで利活用が遅れてしまうということではなく、事業実施準備室WG、事業実施準備室を通して、令和4年度中に利活用審査委員会の発足を目指しており、令和5年度以降は、蓄積されたデータの利活用を段階的に開始することを目指しております。
 そして、法人形態に関しましては、先ほど資料1-2で御説明がありましたが、事業実施組織の機能に関することについて、今年度中に取りまとめまして、来年度、厚生労働省が中心となって法人形態を決定してまいりたいと思っております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 今、御説明いただいたようなところをクリアにしていただきたいと思います。そうでないと、アカデミアフォーラムとか産業フォーラム、ここについても令和4年度末までの発足を目指すとしています。これらは発足しても、実施組織がなく準備組織でどういうことができるのか、こういったことが明確でないと、フォーラムがアクセスできないというようなことにもなりかねませんので、そこも含めて明記していただいて、かつ、そこが支障にならないようにぜひお願いしたいと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。ぜひ、そのようなところが明らかになるような記載ぶりでお願いしたいと思います。
 では、続きまして、水澤委員お願いいたします。
○水澤委員 2つあります。最初のほうは、先ほど葛西先生からお話があった難病領域のデータの分析でしょうか。シークエンスデータをいただいて、その後、それをどのように分析するかということかと思います。シークエンス企業でも分析すると思いますし、それから、エキスパートパネルの話もあったと思いますけれども、これは、現在、実証事業のほうで、まさにエキスパートパネルの模擬的なものを運営しながら検討をしているところですので、もし、時間等が許せば、ぜひ参加していただいて、御意見いただければと思いました。ありがとうございます。
 それから、もともと御質問をしたかったのは、13ページのアカデミアの役割についてというところの2つ目の文章で4行目の「対価として、」というところからですけれども、「領域別に専門家によるグループを設置し、高度な横断的解析等によって新たに指摘された変異等の知見についての臨床的意義、病理学的意義を協議し、必要なデータを取りそろえた後、患者還元に値するものかどうか判断する」というこの記載です。これは前からあったかもしれませんが、今気づいたのですが、これはまさにエキスパートパネルの役割というか、ここに出てくる前のデータセンターのところでやっていることではないかなと思いますので、文言を少し変えたほうがいいのではないかと、思いました。いかがでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘に関して、いかがでしょうか。
○がん・疾病対策課 水澤委員、御指摘ありがとうございます。
 こちらの記載の意図といたしましては、エキスパートパネルで検討をする際に、その臨床的意義、病理学的意義に基づいて検討を行うかと思いますが、その前段階において、アカデミアフォーラム班で基礎的な検討を行った結果をフィードバック、公表して、データセンターにもそういった知見を生かしていただくというようなことを想定しております。
○水澤委員 これは、最初の事業実施体制の図を見ていただくと分かると思いますけれども、これを一義的にやるところはマル3の解析・データセンターであって、アカデミアフォーラムとか産業界の役割は、もちろんあらゆる研究ができると思いますけれども、そういった個別の患者さんに返す、個別に還元するようなものではなくて、多くのビッグデータを活用した形での研究になるのではないかと思いますので、その辺のところがちょっと混在しているような印象です。もうちょっと整理していただくとよいのではないかと思います。
○がん・疾病対策課 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、役割としては、データセンターを中心にそういった情報をアウトプットして、アウトプットされた情報を基にエキスパートパネルが検討していくということとなりますので、エキスパートパネル、データセンター、そして、アカデミアフォーラムの役割について、より分かりやすく伝わるような表現について検討させていただきます。
○水澤委員 ぜひお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、中村委員お願いいたします。
○中村委員 7ページを出していただけませんでしょうか。これで患者への還元とか、国民へ質の高い医療を届ける、そのとおりだと思うのですけれども、現時点でも医療の地域格差があるわけで、今ここで議論されていることを聞いていても、特定の病院にアクセスがある患者さんしか現時点ではいろいろな恩恵を受けることができないわけです。AIとかデジタルとかどんどん進んできているわけですから、令和7年に発足するということでいいと思いますけれども、いろいろな技術革新があって、全国どこに住んでいても、いつでも平等に質の高い医療を届けるようなことを実施組織は目指すべきだと思います。エキスパートパネルがないと何もできないのではなくて、AIの機能を借りて、最終的には医師や患者さんがエキスパートパネルと話すようなことができれば、本当に全国どこに住んでいても、同じ質の医療を受けることができると思うのですけれども、議論をずっと聞いていても、特定の病院に通っている患者さんしか頭にないような気がして、組織をつくるのであれば、どうすれば等しくこのような患者への還元ができるのかということを念頭に置いて組織づくりをやってほしいと思います。令和7年だったら3年間あるわけですし、AIも進んできた、デジタルも進んできた中で、いつまでも特定の病院にかかっている患者さんしか恩恵を受けることができないというものではなくて、今起こりつつある改革をもう少し取り入れた形で、何とか実施組織の中でもそれを生かしたような仕組みづくりをやってほしいと。
 これはただ単にコメントで、回答は要りませんけれども、薬にしても、薬が見つかっても、特定の病院に通わないとその治療を受けられないという現実があるわけで、新しい薬を、治療法を見つけて、診断方法を見つけるのはいいのですけれども、もう少し全国民が同じように恩恵を受けるような考え方を、実施組織の中で取り入れて考えていってほしいと思います。これは要望です。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。ゲノム医療の成果をいかに国民に反映し、日常診療への導入をいかにスムーズに行うか、そのための仕組みづくりを念頭に置きながら、事業全体を進めていく必要があるという中村委員からの御指摘と理解しましたが、よろしいでしょうか。
 では、ぜひ、その方向で進めていっていただけたらと思います。
 ほかに、御意見ございますか。
 水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 今の中村先生の御発言に関連してですけれども、もちろん、まだ十分ではないかと思いますが、AMEDで未診断疾患イニシアチブIRUDというのが行われているのを御存じの方が多いと思います。そこではまさに、今、先生がおっしゃったような、全国どこにいても、その患者さんがどのような病気を持っていらっしゃっても、これは診断がついてない方が対象ですので、いろいろな症状があるわけで、どんな症状であっても対応できるようにということで、一番近いところの病院、協力病院と呼んでいますけれども、その病院の数で言いますと、450くらいで、全体を合わせると500に近いくらいの病院が参加するような形になっています。ですので、もちろんこれで完璧ではないわけですけれども、そういった理念に基づいて、難病領域ではずっとやってきておりますので、ぜひ、そういうのが生かされるような全ゲノム解析の組織になっていくのではないかと、私としても期待したいとコメントしたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
○中村委員 今の水澤先生にコメントに関連しまして、実際、ネットワークを広げていっても、教育が伴わないとそれぞれの能力がうまく使えないと思うのです。内閣府のプロジェクトで比較すると、例えばぜんそくで1週間以内の再入院率を比較すると、0%から十数パーセントまで、同じように医療が行われているようで、やはり微妙な地域差も格差もあるので、そこを含めていろいろな角度でAIとかデジタルという技術を使っていただければと思いますし、今、難病で取り組まれているというのは、皆さんにとっては非常に喜ばしいことだと思いますし、それが全領域でできるようにしていただきたいと。それを実施組織の中で、考え方として入れていただきたいと思います。
 回答は要りませんので、ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 続きまして、神里委員お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。2点ございます。
 最初の点は、14ページぐらいにありますけれども、先ほど横野参考人からの御指摘があったことと重なるのですけれども、ロードマップ2021においては、不利益防止、情報漏えい防止のための制度設計を含めた検討が入っていました。そして、「実行計画(第2版)に向けた検討」の文章にも入っていたわけです。それが、今回、そちらの記載がなくなっているという点に関して、もう一度復活させることを前向きに検討いただきたいと思います。
 2点目は、横断的なデータ利活用を可能とするための統一的なICFをつくっていただいております。こちらは利活用していただきたい文章ではございますけれども、本日、恐らく資料4-1で御紹介があるかと思いますが、難病の患者さんにおかれましては、がんの患者さんとは異なる対応が必要なことも多々あるかと思いますので、疾患に応じたICFの検討も入れていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 今の点についてよろしいですか。
○がん・疾病対策課 神里委員、ありがとうございます。
 2点目の「ゲノム情報の不利益が生じないような社会環境の醸成を図ること」という記載の部分に関しまして、ゲノム情報による不利益が生じないような法制度の在り方に関する検討等の記載を追記すべきとの御意見をいただいたと認識しております。こちらに関しましては、先ほどの横野参考人に対する御回答と同じような回答となってしまって申し訳ございませんが、まず、本事業において、ゲノム情報による不利益が生じないようにすることはもちろん大切なことですし、現状、そのような法制度がない状況下ですので、その中でこの事業をどう進めていくかということについて重要であることについては、我々としても強く認識しております。
 そして、ELSI WGを中心にどのような対策を行うべきであるか、その検討においては、ゲノムの法制度を含めたどういった在り方がいいかということを検討していくような厚労科研もございますので、そちらの意見も踏まえながら、こちらの事業にも生かしていきたいと思っております。また、そういったゲノム情報による不利益が生じないような社会環境の情勢について、この事業の中でどう取り組んでいくかということの記載の表現ぶりについては、重要性については認識しておりますので、検討をしてまいりたいと思います。
○中釜委員長 先ほどの横野参考人への回答とほぼ同じですけれども、よろしいでしょうか。引き続き、社会環境の醸成が重要だということの認識は共有しているということで、どのようにそれを実行できるかに関しては、また御意見をいただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 森(正)委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 先ほどの中村委員の御発言に関連して、まさしく私もお取りまとめに心から同意していますけれども、究極の個人情報を含むプロジェクトですので、なかなか難しいところがあるのは承知の上で発言させていただきますけれども、私は外科医で、実は、今、外科医がかなり減ってきて、外科を希望する医学部の学生さんは非常に少なくなってきています。その一方で、医療過疎のところで手術ができなくなってきている病院がかなり出てきています。全国には約330の二次医療圏がありますけれども、私どもは、その330の二次医療圏一つずつに少なくとも遠隔手術ができるような体制づくりを、今、走らせているところであります。そうしますと、外科医が少なくなっても、地方で同じレベルの手術が受けられるという観点でプロジェクトを進めているところです。
 それと同じような形が、この遺伝情報を含む、まさに究極のものですので、そうやすやすとはできないかもしれませんけれども、遠隔診療、遠隔医療というのを、この中身を取り入れる形で進めていただくことをどこかで勘案していただければ、本当に国民にとっていい仕組みができるのではないかと思いましたので、まさしくコメントですが、発言させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今、森(正)委員からの御指摘は、先ほどの中村委員の御指摘のように、今後の医療提供の中で、データをいかに利活用していく仕組みをいかにつくっていくのかという点に関するものと思います。これは全体に言えることと思いますので、そういう視点を失わず、どこにいても同じ医療が受けられる仕組みを目指すという共通理解の下で、この事業に関しても進めていく必要性を御指摘いただいたと思います。厚生労働省からはよろしいでしょうか。
○中谷がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長でございます。
 均てん化に関しまして、がんについて少しコメントさせていただければと思いますが、本当にどこにいても同じ質の医療を受けられる体制整備ということで、がんに関しまして、がん対策基本法を基に、何人かの委員にはこの協議会にも御参加いただいておりますけれども、まさに、今から第4期のがん対策基本計画をつくっていこうという議論を進めている中でございます。おっしゃるように、デジタル化とか新しい技術についてもどのように取り入れていくか、そちらのほうでも一緒に議論をさせていただければと思っております。
 貴重な御指摘ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
○森(正)委員 中釜先生、よろしいでしょうか。森です。
○中釜委員長 お願いいたします。
○森(正)委員 大変ありがとうございます。
 私ごとで大変恐縮ですけれども、私は実は奄美大島の出身で、私の友人は医療についてよく電話してきます。彼らは離島ということもあって、なかなか満足いく医療というか、納得できるというところに届かないということで、そうしますと、鹿児島の病院とか福岡の病院あるいは東京の病院に行く人たちも本当に少なからずいます。そうしますと、交通費とか宿泊費とか、家族の宿泊費とかも含めて、本当にかわいそうな状況になってしまうのですね。
 ですので、そういう私自身の経験からも、国民への医療普及というか、公平性・共通性のある普及は本当に心から望んでいるところですので、大変難しいものであることは承知しておりますが、何とか努力していただくようなことを考えていただければと思います。
 すみません。以上です。
○中釜委員長 どうも、御指摘ありがとうございました。重要な視点と認識いたします。
 続きまして、天野委員お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございます。
 先ほどの横野参考人と神里委員の御指摘に重ねての指摘になってしまい、大変恐縮ですが、私も一言申し上げたいと思います。
 先ほど神里委員からもありましたように、昨年の2021の中では、ゲノム情報に関連した不利益の防止や法制度も含めた制度の在り方について検討すると入れていただいていますし、前回も申し上げましたが、今年の5月の自民党の政務調査会の医療情報政策・ゲノム医療推進特命委員会からの提言の中でも、差別や社会的不利益を防止するための法令上、その他の必要な措置を講じるという文言が入っている中で、なぜ、あえて、今年になってからこの文言を削除しているのかが、先ほど御説明いただいてはいるのですが、いまいちしっくり来ないというか、理解できないところがありまして、なぜ、これを入れることをここまで拒まれるのかちょっと理解できないところがあるので、改めて、その書き込みを入れることを御検討いただけないかということを申し上げたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 御指摘の点を踏まえて、どのような記載ぶりが可能かを検討いただきたいと思いますが、厚生労働省はよろしいですか。
○中谷がん・疾病対策課長 はい。
○中釜委員長 検討させていただきます。全体の記載ぶりは、法制度を含めた制度の在り方について検討するという書きぶりになっておりますが、これが事業計画の中での議論なのか、全体を含めた議論の中で書き込むのか、そのあたりの認識を共有できるような書きぶりが必要かなと思います。そのあたりも併せて検討いただけると思いますし、また、記載ぶりに関しては御意見いただければと思います。
 よろしいですか。
 何かコメントがありましたら、お願いします。
 それでは、続きまして、水澤委員お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 先ほど話題の均てん化というか、そういうことに関係すると思うのですけれども、この全ゲノムや遺伝子の領域ですと、遺伝子カウンセリングとか、同意を取るとかで、e-コンセプトコンセプトコンセント、そういったものが行われ始めているのではないかと思うのですけれども、1つは、それをどんどん拡充していくということかと思います。
 難病の領域だと、私の知る限り、同意とか説明のほうは、少しずつですけれども、行われていると思います。カウンセリングのところはまだ行ってないかなと思うのですけれども、その辺は診療報酬的な保険診療との切り分けの問題があって、なかなか直ぐにはうまくいかないと思いますけれども、研究としてやるのであれば全然問題ないと思いますので、かなりこれまでも議論はしているかと思うのですけれども、それを進めることについては、私も大賛成です。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、特にございませんので、この資料3の実行計画2022(仮称)につきましては、本日いただいたご意見を基に委員長預かりの形で修文させていただき、文章の妥当性や書きぶりの工夫について、修正の過程でまた御意見をいただく形で進めていきたいと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 では、その形で進めさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題4「その他」につきまして、厚生労働科学研究水澤班の水澤先生から、資料の提供があります。資料4-1の説明をお願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 もう既に議論が少しありまして、言及していただきましたけれども、難病領域の研究班で、この希少難病の患者さんたちと御家族の方との意見交換会を行いました。この資料の左側の【作成の経緯】に書いてございますけれども、実際は、昨年度、今年の2月になりますけれども、第1回の意見交換会を行いました。ここにも書いてありますけれども、その前段階として、勉強会等を行って、準備を行った上で、意見交換会を行って、患者さんたちの生の声をお聞きするということができまして、大変有益だったと思いますので、一応御紹介したいと思った次第です。
 2回目の7月30日のときの意見交換会では、「難病領域の全ゲノム解析等を行う際の倫理的配慮」という形で、右側に【構成】とありますように、1番から9番まで、さきの会議でも御議論があったテーマにつきまして、こういう構成でたたき台をつくっていただきまして議論を開始したところです。将来的には、これを完成した文章としていきたいと思っております。これは、当専門委員会で、ここに書いてありますように、議論された文章等も踏まえつつ、この専門委員会のWGとも連携して、作成していると聞いております。
 2枚目をおめくりいただけますか。こちらに、第2回目の主な論点が記載されております。例えば、トリオ解析はなぜ必要かといったことですね。下のほうに患者さんたちの生の声が代表として4点ほど掲げてございます。先ほどの構成の中にもありますけれども、個人情報の保護といったこととか、社会的不利益をきちんと防止してほしいといったことがより強く訴えられたというのが大変印象的でした。
 私のほうからはこれくらいにしまして、森(幸)委員もおられると思いますし、それから、難病対策課のほうでも関与していただいておりますので、補足で御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、健康局難病対策課から説明をお願いします。
○江崎難病対策課長補佐 健康局難病対策課の江崎です。
 今、水澤先生から御説明がございました。がんと難病でELSIやPPIが共通する部分と、難病は胚細胞の変異に伴う疾患ですので、その変異の情報を患者さんに告知すること、そして、その影響は患者さん御本人のみならず、御家族や、また、その方の将来の人生にも大きく影響を与えるものでございます。
 そういうことを踏まえた上で、がんの領域と共通する部分に加えて、難病領域でもより配慮することを我々考えておりまして、患者会の皆さんの御意見もお聞きしながら、また、難病の研究者の先生方の御意見もお聞きしながら、こういったELSI、PPIの議論をしっかりとやっていきたいと考えてございます。
 私からの補足説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料4-1及び今の難病対策課の説明につきまして、何か御質問・御意見ございましたら、お願いいたします。
 天野委員、お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございました。
 今の御説明に関連してということになるかと思うのですが、今、御説明いただいた2ページで、「主な論点」として、トリオ解析の必要性と倫理的配慮について、PPI活動の一環として話し合ったというお話がありました。がんの領域では、当然、小児がん等で、トリオ解析が検討されている部分があるかと思いますので、がんの領域でも今後トリオ解析等を進める場合は、当事者の方々と必要性や倫理的配慮について、PPIの一環で十分話し合いながら進めていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、がん領域でのトリオ解析、その位置づけ、あと、難病領域との連携ですが、トリオ解析の目的は、多少難病とがんのほうでは異なる可能性もあると思うのですけれども、そのあたりについて厚生労働省からございますか。
○がん・疾病対策課 御意見ありがとうございます。
 がん領域におきましても、小児がんや遺伝性がんなどにおいて、トリオ解析についてこれまでに検討されてきた経緯がございます。現時点で、具体的な対象やどれぐらいの症例数を行うかといった点までは議論が及んでいない状況でございます。そういった対象や解析症例数、そもそもの本事業の中で行うかどうかについては、患者還元WGの中で検討していくことになるかと思います。その上で、本事業の中で行う方針となった場合には、御指摘いただいたように、PPIの観点からも十分に検討を行って実施していく必要があると考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 天野委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 ありがとうございました。大丈夫です。
○中釜委員長 ほかに、御質問・御意見はございますか。
 では、森(幸)委員お願いします。
○森(幸)委員 ありがとうございます。
 水澤先生におかれましては、意見交換の場を何度も設けていただきまして、どうもありがとうございました。患者団体のほうからも、まだまだ不安な声は多く出ておりました。難病となりますと、希少な疾病とか、それから、強い差別が存在しているといったところがつながっているかと思います。こちらのほうにも、一部出された意見を載せていただいておりますけれども、そのほかにも様々なところで、例えば犯罪捜査などにも使われるのではないかといった点で、希少な難病というところで確定してしまうような事例も海外とかではあったというようなことも言われております。私たちの中で、このゲノム解析を進めていただく上で、こういったいろいろな不安を取り除いていきながら、ぜひ推進していただければと思います。
 また、先日、難病のデータベースで一部流出が起こりました。そのことにつきましても、いち早く対処はしていただきましたけれども、気をつけていただいていても、どうしても起こり得るということがあります。そういった意味でも、より慎重にしっかりとした情報管理とか、そして、情報の取扱い等に、ゲノム解析のほうでも実施に当たっていただけるというところが必須条件になるかと思います。
 個人の尊厳とか、それから、人権、そして、倫理的な配慮、社会的な配慮の問題等々もありますので、そういったところで、先ほどからも法整備の話も出ておりますけれども、患者家族が持っている懸念が払拭されるような法整備は急いでお願いしたいというふうにお願いいたします。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
○江崎難病対策課長補佐 森(幸)委員、ありがとうございました。
 先ほど森(幸)委員から御指摘のありました難病患者さんのデータベースの流出の事案について、私からご説明いたします。
 お話の中にありました難病の患者さんのデータの流出は、この全ゲノム全ゲノムの研究の中での流出ということではなくて、難病法にいう、指定難病の患者さんのデータを第三者提供するという枠組みの中での話しでございます。本来、削除されるべき個人情報、氏名、生年月日、住所等、延べ5,640名分が含まれていたことが、8月5日に研究者からの報告で、判明いたしました。当該のデータファイルについては、8月9日までに、研究者全てから回収をしており、研究者以外への流出はないということを確認しております。
 厚生労働省といたしましては、本年8月中を目途に、関係する健康医薬基盤栄養研究所及び厚生労働省、複数の者によるダブルチェックを徹底することを基本的な対策に加えて、作業手順等の見直しもつけた再発防止策を策定し、その徹底を図るということをいたします。
 この場をお借りしまして、深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
○中村委員 中村ですが、よろしいでしょうか。
○中釜委員長 中村委員、お願いします。
○中村委員 私が理事長を務めている研究所で起こったことで、誠に申し訳なく思っています。
 今、難病課から紹介がありましたように、再発防止に向けて、プロトコール作成を行っております。あってはならないことが起こってしまいまして、誠に申し訳なく思っております。現在、厚生労働省と、どのような形で再発防止を行うのかという協議を行っておりますので、二度とこのようなことが起こらないように指示を出しております。今回は本当に申し訳なく思っております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今、森(幸)委員から御指摘の点は、実行計画2022に対する御議論の中ではありますが、冒頭に厚生労働省から説明がありました実施組織をつくる際に、その機微情報の取扱い、セキュリティの問題を加えて、その上での利活用が実施機関に求められているということだと思います。こういった必要なことを実行計画の中で一つずつ詰めながら進めていくと理解しましたし、今、御指摘の点は非常に重要だと改めて認識されたと思います。ぜひ、委員の御指摘を踏まえた上で、かつ、多くの委員のゲノム情報の取扱いに関する注意事項などを踏まえながら進めていければと改めて感じた次第です。
 よろしいでしょうか。
 そのほかに、御意見ございますでしょうか。
 特にないようですので、最後に、全体を通して御質問・御意見のある方は、改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 すみません。もう時間がないですが、ちょっと全体に関係することなので最後にしたのですけれども、資料で言いますと、3-2の46ページ目のところと、コホートのつくり方にちょっと関係するのですが、3-2をお出しできますか。全ゲノム解析計画の案です。46ページです。
 そこに、「確認検査」がまずございます。ここは、当然ながら、解析をする際の精度を保つのは非常に重要なことで、これはやらなければいけないのですが、一方で、確認検査自体は衛生検査所に登録されているところがきっとやるのではないかなと、そのあたりもちょっと漫然としているのですが、その結果、確認検査の基になっている情報が、例えば特定のパネルのDBであったり、それでないと駄目だとなってしまうと、全ゲノムとしてのメリットが失われてしまうと思うのですね。
 一方、研究という戦略的コホートとか、コホートを幾つかおつくりになっているのですけれども、コホートを幾つかつくっていくことそのものがいけないとかいうことは全くないわけですけれども、戦略的にコホートをつくることを広げ過ぎれば、当然、基礎研究になってしまうと思います。患者還元を目的としたコホートをしなければいけないのと同時に、一方、確認検査と質にこだわり過ぎて、それは結局パネルではないですかということになりかねないという、この問題のバランスをきちんと取らなければいけないと思うのですが、私はテクノロジストなので、この分野については、制度的にそういう不安があるままですと、システム実装上、どういう情報までを解析に渡すのか、どういう情報から渡していけないのかという、データの取扱いガバナンスは、システムでコントロールするものですから、そこが分からなくなってしまうなと。あと、当然、誰が、ここまでの研究を許すが、ここからの研究は基礎研究であるとか、これは、もし、衛生検査所でなければいけないという確認検査でなければいけないのであれば、そこのリソースがボトルネックになるわけなので、このあたりの検査から一気通貫で解析に至るまでのリソースコントロールをしないとちょっとまずいのではないかなということを感じました。
 これは、いきなりここの文章をどう直すかということよりも、議論として、ぜひ、どこかでやっていただきたいなと思って、資料1の戦略的コホートとこの資料に関係したので、最後に全体に関わるので、ちょっとお伝えをいたしました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の葛西参考人からの御質問を少し整理すると、確認検査には、いわゆる研究段階での確認としてその偽陽性・偽陰性を検証する仕組みと、それを利用実装する際の確認の恐らく2つ分けて考えることがあると理解しますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○葛西参考人 それはちょっとここに書かれてないので、確認検査となっているだけなので、そこを明確にしたほうがいいかなということです。
○中釜委員長 検査会社の確認検査は、恐らく医療実装する段階で、どういう形でそれを作成するかということに関わってくるのかなと思いましたので、葛西参考人の再度の御指摘を踏まえて、このあたりを少し丁寧に書き込んでいただければと理解いたしました。そういう理解でよろしいでしょうか。
○葛西参考人 はい。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに、全体を通して何か御質問はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。
 もし、追加の御意見等がありましたら、また、後ほど事務局にお寄せいただきたいと思います。
 本日は、時間内で皆さんのスムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
 それでは、議事の進行を事務局にお返ししたいと思います。
○原澤推進官 事務局でございます。
 中釜委員長、議事進行ありがとうございました。
 最後に、健康局がん・疾病対策課、課長の中谷より、まとめの御挨拶を申し上げます。
○中谷がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長、中谷でございます。
 委員の皆様には、この全ゲノム解析等実行計画及びその事業につきまして、御尽力、御助言、御指導いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、本格解析に向けた考え方、方針を取りまとめた「全ゲノム解析等実行計画2022(仮称)」につきまして、一定、本日段階でまとめられる限りの内容につきましておまとめいただいたと承っております。若干、文言の修正等はございますが、既に、今年度から、新規症例に対する本格解析がスタートしており、一定の方針が必要でございますので、まずこの段階で最大限をまとめていただいたということで、本当に御尽力に感謝申し上げます。
 改めまして、今日の御議論を伺っていまして、これまでは患者さん御本人にその結果を返して、先端的な治療につなげていくというところが中心といいますか、そこをかなり議論してきたわけですけれども、これからは、その蓄積された情報をさらに活用して新しい治療を患者さんに届けるという段階においての課題、倫理面のこと、システムデジタル化に関し、さらに、今、御指摘あったような出口戦略としての確認検査等々のクオリティーコントロールをどうするかについて、そして最後には医療の均てん化の観点から、その先端医療を患者さんに届ける部分をどうしていくかというところまで、いよいよ新たな段階に踏み出した議論を中心に進めていただいているなと承りました。
 がん対策につきましては、今年、基本計画の見直しの時期でもございますし、ここでいただいた全ゲノム解析に関する御議論につきましても、そちらにも最大限反映をさせていただくよう検討を進めさせていただきます。全ゲノム解析等実行計画について、課題はこれからもございます。この実行計画2022は、本日時点の最大限ということでございまして、これからも研究の進捗を報告させていただき、必要に応じて内容の見直しをしながら、実装に向けた事業の本格化に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、委員の皆様方には、引き続き、御協力を賜れればと存じます。
 本日は、誠にありがとうございました。
○原澤推進官 事務局でございます。
 次回の専門委員会の日程調整につきましては、事務担当より、また、連絡させていただきたいと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了したいと思います。本日は、どうもありがとうございました。