2022年5月12日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年5月12日(木)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議におきます委員の出席状況ですが、川上委員、小崎委員より御欠席との御連絡を頂いています。松下先生も今、御参加いただきました。島田眞路先生は、まだです。そういった状況ですが、後ほど御参加されると思われます。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち18名の委員に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告します。
 それでは、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田です。皆様、こんばんは。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~No.13-3と製剤写真を用いますのでお手元に御用意いただけますか。このほか、資料No.14として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.15として「専門委員リスト」を、資料No.16として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいています。なお、システムの動作不良などがありましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料No.16の1ページを御覧ください。まず「リンヴォック錠」ですが、本品目は「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページを御覧ください。「ダルビアス点滴静注用」ですが、本品目は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページを御覧ください。「アドセトリス点滴静注用」ですが、本品目は「CD30陽性のホジキンリンパ腫」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 5ページを御覧ください。「バルガンシクロビル塩酸塩」ですが、本品目は「症候性先天性 サイトメガロウイルス感染症の治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 6ページを御覧ください。「ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン配合リポソーム注射剤」ですが、本品目は「急性骨髄性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしいですか。
 それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものとします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。
 議題1「リンヴォック」の退室委員:亀田委員。議決に参加しない委員:中野委員、南委員。議題2「ダルビアス」の退室委員:なし。議決に参加しない委員:亀田委員、松下委員、南委員。議題3「アドセトリス」の退室委員:なし。議決に参加しない委員:松下委員、南委員。議題4「バルガンシクロビル」の退室委員:なし。議決に参加しない委員:亀田委員、中野委員、横幕委員。議題5「ダウノルビシン・シタラビン」の退室委員:亀田委員。議決に参加しない委員:なしです。
 また、議題6についても、各委員より寄付金・契約金等の受取りの申告を頂いていますが、本議題は薬事分科会審議参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっています。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとします。
 本日は、審議事項6議題、報告事項6議題、その他事項1議題となっています。それでは、審議事項の議題に移ります。亀田委員におかれましては、薬事分科会審議参加規定第5条に基づきまして、議題1の審議の間、会議から御退室いただき、御待機いただくものとします。亀田委員は御退室をお願いいたします。
──亀田委員 退室 ──
○清田部会長 それでは議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、リンヴォック錠7.5mg及び同錠15mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。
 審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に31分のいくつで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるウパダシチニブ水和物は、ヤヌスキナーゼ阻害剤であり、既存治療で効果不十分な関節リウマチ、関節症性乾癬及びアトピー性皮膚炎を効能・効果として承認されています。今般、実施された臨床試験成績等を踏まえ、既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。以降、強直性脊椎炎をASと略します。本申請の専門委員として、資料No.15に記載されています5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明します。なお審査報告書23ページの10.その他に、有効性の評価方法の詳細を示していますので、適宜、御参照ください。
 有効性については、NSAIDs効果不十分で生物製剤未治療のAS患者を対象とした国際共同試験であるM16-098試験より説明します。審査報告書8ページ、表8を御覧ください。本試験では、複数の臨床症状や徴候からなるASAS反応基準を評価指標とし、投与14週時にベースライン時より40%以上の改善等を示した被験者の割合であるASAS40反応率が主要評価項目とされ、全体集団における「プラセボ群との差」の行に示しますとおり、プラセボ群と本剤15mg群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤15mg群の優越性が検証されています。また、日本人部分集団の成績については、同じく表8の下半分に示しています。
 次に審査報告書11ページ、表13を御覧ください。こちらはNSAIDs及び生物製剤で効果不十分なAS患者を対象とした国際共同試験であるM19-944試験の結果となります。先ほどと同様に主要評価項目である投与14週時のASAS40反応率について、全体集団における「プラセボ群との差」の行に示しますとおり、プラセボ群と本剤15mg群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤15mg群の優越性が検証されています。また、日本人部分集団の成績については、同じ表13の下半分に示しています。
 ASAS40反応率以外の有効性評価項目の結果は、審査報告書の14ページ及び15ページ、表16~表18に示したとおりであり、おおむねプラセボ群を上回る有効性が本剤群で示されており、ASに対する本剤の有効性は示されていると判断しました。
 安全性について、本剤15mg投与時の安全性の概要を審査報告書18ページ、表20に、認められた有害事象の発現状況を審査報告書19ページ、表21に、既承認効能・効果である関節リウマチ、関節症性乾癬及びアトピー性皮膚炎開発時の併合結果と共に示しています。なお、表では、関節リウマチをRA、関節症性乾癬をPsA、アトピー性皮膚炎をADと記載しています。また、日本人部分集団の安全性については、審査報告書18ページ、表20の下半分及び審査報告書の20ページ、表22に記載しています。対象疾患、患者背景、曝露期間、併用薬等が試験間で異なるため直接の比較に限界はありますが、AS患者に特有に新たな本剤の安全性上の懸念は示唆されていないと判断しました。
 なお、審査報告書26ページ、「1.2 安全性、製造販売後の安全対策及び医薬品リスク管理計画(案)について」に記載しているとおり、本剤投与により重篤な過敏症及び非黒色腫皮膚癌の発現を示唆する製造販売後の情報等が得られていることから、既承認効能・効果も含め、これらの事象の発現に対して注意するよう、新たに注意喚起を行うことが必要と判断しました。
 これらの成績から、効能・効果は「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」、用法・用量は「通常、成人にはウパダシチニブとして15mgを1日1回経口投与する。」と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能及び新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、既に付与されている再審査期間の期限である令和10年1月22日までとすることが適切と判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問、御意見はありませんか。既に承認されているお薬の強直性脊椎炎に対する承認なのですが、よろしいでしょうか。特に御質問はないようです。
 それでは、議決に入りたいと思います。中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それではロビーで御待機されている亀田委員をお呼びください。
──亀田委員 入室 ──
○清田部会長 それでは、続きまして議題2に移ります。議題2について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2-1及び資料No.2-2、医薬品ダルビアス点滴静注用135mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は各ページの58分のいくつで示している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるダリナパルシンは、生体内における無機ヒ素化合物で生じる中間代謝物の一つであり、腫瘍細胞の細胞膜表面に発現するシスチントランスポーターを介して細胞内に取り込まれた後に、ミトコンドリアの膜電位の低下等を引き起こし、細胞内活性酸素種(ROS)の産生を促進させること等により、アポトーシス及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられております。
 今般、本剤は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和4年1月時点において本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.15にあるとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験である02試験が提出されました。有効性については、審査報告書の27ページの表19を御覧ください。再発又は難治性のPTCL患者を対象とした02試験において、主要評価項目とされた奏効率は19.3%であり、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については審査報告書の31ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意を有する有害事象として、骨髄抑制、感染症、精神障害(せん妄・錯乱等)、中枢神経障害及びQT間隔延長が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師によって有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応を行うことにより、忍容可能と判断しました。ただし、日本人患者における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、南委員、登美委員より事前に御質問を頂いておりますので、回答させていただきます。
 まず、南委員から二つ御質問を頂きました。1点目については、「「本薬はジメチルアルシン酸-システインに代謝され、シスチントランスポーターで細胞内へ取り込まれる」とあるが、薬物動態についてはヒ素について検討されています。部会資料の臨床概括評価の10ページの図を見ると、ヒ素を含んだ複数の代謝物があります。生体内でヒ素の濃度が薬理活性を示す化合物の濃度を反映していると考えられるのか、あるいは測定系の問題でやむを得ずヒ素を測定したのか、薬物動態をヒ素で評価することの妥当性について教えてください。」という御質問です。
 2点目については、「本薬の副作用として傾眠が挙げられています。そのため、臨床概括評価の59ページには、「本薬投与期間中に患者が自動車の運転等、危険を伴う機械操作に従事されないよう注意喚起する」とあります。しかしながら、添付文書にはその文言は見当たらなかったため、添付文書に含める必要はないか、また、本薬は1時間投与なので外来で投与されることも想定されます。傾眠などはどのぐらいの時間で回復したのか、運転をどのぐらいの時間控えたらいいのか、資材等でも結構ですので、情報提供した方がよいのではないでしょうか。」という御質問を頂きました。
 それぞれの御質問について、機構側から回答させていただきます。まず、1点目の薬物動態について、本剤の有効成分であるダリナパルシンは、生体内での無機ヒ素化合物の解毒過程で生じる中間体ですが、ダリナパルシンは血中において非常に不安定であり、速やかにジメチルアルシン酸、ジメチルアルシン酸-システイン等の複数の代謝物へと変換されます。それらのダリナパルシンの代謝物についても、程度の差異はあるにしても、薬理活性のみならず毒性と関連する活性なども有していることを踏まえ、ダリナパルシン由来のヒ素化合物の体内動態特性や曝露量と安全性との関連を検討することも可能と考えましたので、血中のヒ素濃度を定量することで、特段の問題はないと考えております。
 また、2点目の自動車運転等の注意喚起については、本品目に限らず、自動車運転等に関する添付文書での注意喚起の要否は、原則としては事故に至る蓋然性が高い副作用を発現する医薬品で注意喚起を行うといった方針としております。その蓋然性が高いという副作用は、例えば、意識レベルの低下、突発的睡眠などの意識障害等が挙げられます。本剤の副作用として、御指摘いただいたような副作用が認められてはおりますが、それらの事象が突発的か否か、あるいは認知や予測、判断、又は操作のいずれに影響を与えるか否かといった観点、加えて、それらの事象の臨床試験における発現率等を踏まえて検討した結果、現時点では、本品目については添付文書で注意喚起するほどではないと判断いたしました。
 次に、御質問いただいた傾眠等の副作用の発現期間については、ばらつきも多く、また、現時点で正確な集計はできておりませんが、臨床試験の中では概ね5日間程度の期間がございました。この辺りの情報は再度情報を精査の上、資材において情報提供することを検討させていただきます。なお、精神障害や中枢神経障害は、添付文書の「重大な副作用」等で注意喚起するとともに、製造販売後には、それらを安全性検討事項として重点的に情報収集いたします。それらの情報等を踏まえて、自動車運転等に係る注意喚起の必要性については引き続き検討していきたいと考えております。
 続きまして、登美委員から頂いた御質問について御説明いたします。「本薬の作用機序として、腫瘍細胞に高発現するシスチントランスポーターを介してジメチルアルシン酸-システインが取り込まれるとされている一方で、患者に投与後の血中濃度では、速やかに大部分がジメチルアルシン酸へと代謝されると説明されています。血漿中でジメチルアルシン酸として存在するのであれば、ジメチルアルシン酸-システインとして腫瘍細胞に取り込まれるという作用機序は成立しないと思うので、添付文書も含め、作用機序に関する記述を見直す必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。」というご質問を頂きました。この点について、機構より回答いたします。
 御指摘いただいた点について、御指摘のとおり、血中の大部分はジメチルアルシン酸が占めているという結果となっています。一方で、主な薬理作用としては、ジメチルアルシン酸-システインが作用するということは文献報告がされております。この根拠としては、添付文書(案)の文献5)という形で引用されております。ジメチルアルシン酸-システイン自体は三価のヒ素化合物、一方でジメチルアルシン酸は五価のヒ素化合物ということで、その間の代謝経路は、現状で必ずしも明確とはなっておりませんけれども、基本的には本薬の未変化体から三価のジメチルアルシン酸-システイン、そして五価のジメチルアルシン酸へと代謝される経路と推定されますので、ジメチルアルシン酸-システインが血中から検出が困難とはいえ、作用するものと考えております。御質問に対する回答としては以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 南先生、機構からの回答について、いかがでしょうか。
○南委員 明確にお答えいただきましたので、ヒ素で測定せざるを得ないという状況も理解できました。
 それから、「運転等を控えること」と、概括評価の方にはっきりと書いてあったものですから、添付文書になかったのが気になったので、確認させていただきました。今のお話ですと、資材等で情報提供するということでしたので、それでいいかと思います。
 一方、傾眠等の期間が5日間ということは、投与が5日の繰り返し投与だったと思いますので、それぞれの日でどのぐらいだったのか。例えば、来院していただいて1時間で投与が終わって、数時間を院内に滞在した後、自動車を運転してもいいのか、それとも必ず誰かに付いてきてもらって送り迎えを頼まなければいけないのかに関しては、どうでしょうか。5日間、投与のたびに出現して短時間で消失したのなら良いのですが、5日間ずっと続いていたのであれば、自動車での来院は控えてもらわないといけないと思うのですが、その点について分かるようであれば、それも含めて情報提供していただけると、現場は扱いやすくなると思いますので、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 傾眠の発現の期間に関してですが、臨床試験の中で情報収集されていたのが、日にち単位ということがありました。なおかつ、先ほど5日と申し上げましたけれども、実際には症例によって非常にばらつきがありまして、1日程度で治ったという被験者もいれば、10日とかそれ以上かかった被験者もいて、平均を取ると5日ぐらいというところではありますが、かなりばらつきはあったという状況です。しかしながら、先生から御指摘いただいたように、日にち単位ではなく、もっと細かいレベルでどうだったのかというのは、申請者にも、ある程度の情報はあるかもしれませんので、その辺りは今回頂いた御意見も踏まえて、なるべく臨床現場に対して有益な情報提供となるような形で、資材を通して情報提供の方策を検討させていただければと思います。
○南委員 よく分かりました。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 登美先生、先ほどの機構からの御説明についていかがでしょうか。
○登美委員 やはり分からないのですが、血液中から検出されないものが薬理作用の主体であるという説明は理論的に成立していないような気もするのですが、そんなに血中から検出されない濃度であるにもかかわらず、それだけ効能・効果が高い、低濃度で効能・効果があるというような文献情報などがあるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、定量法があるわけではないので厳密には言えないのですが、血中に全くないということではなくて、あくまでも定量できないぐらいに微量だということではあるとは思いますが、この辺りの機序というのは、基本的には文献情報から考察しているという状況になります。そういった意味では、ジメチルアルシン酸-システインの形で細胞内に取り込まれるという報告はございますし、一方で、血中にあるジメチルアルシン酸については、システインの形と比べると、薬理活性は低いということが、その論文で併せて報告されておりますので、その辺りを考えると、十分な根拠かと言われるとなかなか難しいところはあるかもしれませんが、ジメチルアルシン酸-システインが薬理活性の主体ではあるだろうというところは考えております。
○登美委員 薬効があるということは分かるのですが、例えば肝細胞などではジメチルアルシン酸-システインは検出されているので、そういう意味で言うと、血中から検出されないというのは相当少ないのかなという印象を受けたのですが、ジメチルアルシン酸の方は、そんなに血中濃度が低いと考えるか、薬理活性はほとんどないというぐらいに考えていいのですか。効能・効果に文句があるというわけではないのですが、腫瘍細胞に高発現するトランスポーターを介して比較的選択的に腫瘍細胞に届くというような印象を与えるのは、ちょっとoverestimationが過ぎるのではないかという、利用する側にとっては誤解を与えかねないのではないかということも考えたのですが、そこら辺が根拠薄弱だと私は思います。
○清田部会長 登美先生、表現としては、どのような感じにしておけばよろしいでしょうか。
○登美委員 添付文書等で、シスチントランスポーターを介してみたいなことを作用機序として書いておく必要があるのかどうかというところなのですが。
○清田部会長 機構の方は、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 登美委員の御懸念は理解いたしました。その辺りの作用機序の部分は、もう少し申請者にも情報等を確認させていただきまして、添付文書の作用機序の書き方について、本日頂いた御意見を踏まえて検討いたします。
○清田部会長 では、登美先生、その件はよろしくお願いいたします。
○登美委員 はい。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。
○宮川委員 腎機能のことについて教えていただきたいのですが、審査報告書の6.R.1の所に、「腎機能障害を有する患者に対する本薬の投与について」の所で、「患者の状態を慎重に観察し、有害事象のうんぬん」とあり、そこで「添付文書で注意喚起する」というようなことが書いてあって、「実際に腎機能の重症度と有害事象の発現率との間にうんぬん」と書いてあるのですが、そういう意味では、添付文書の9.2項の書きぶりがちょっと弱いのかなと思うのですが、その辺のところはどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 腎機能障害について、通常は臨床薬理試験として、腎機能障害患者を対象とした臨床試験を実施しまして、定量的なPKデータを取って、もし血中濃度が腎機能障害の悪化によって上がるようであれば、その程度等に応じて添付文書での注意喚起、減量する、減量を考慮といった対応を取っているところです。このような考え方が一般的なところです。
 今回に関しては、まず腎機能障害患者を対象とした臨床薬理試験は実施されておりませんでした。まず、その点が、あまり強い注意喚起の設定に至る根拠とはならなかったという一つの大きな理由となります。しかしながら、本薬の排泄経路としては、ヒ素化合物ですので、腎を介した排泄が主ということもあり、試験がないからとは言え、理論的には腎機能の影響が考え得るだろうというところはありました。よって、添付文書上で何ら注意喚起の設定が不要とする判断までには至らず、ただ、強い注意喚起をするほどの根拠も現状がないというそういった状況を考慮して、具体的な記載としては、9.2項に記載しているように、腎機能障害患者では血中濃度が上昇する可能性があるといったところを、注意喚起とした次第です。
○宮川委員 分かりました。血中濃度という言い方だと、ヒ素の曝露量の増加ということとはイコールではないので、その辺の文言については考慮されるべきではないかなと思います。そういう意味で、その二つの事象というのは共通のことではないので、別文書でしっかりとした書き込みがあった方が、ヒ素に関しては、そういう書き込みがあった方が注意喚起になるのではないかと思ったので、御質問させていただきました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。
○浦野委員 一つ、伺いたいことがあります。先ほど登美先生からの質問にあったとおり、この薬物というのは、最終的にはジメチルアルシン酸のシステインエステルという形で取り込まれて、ミトコンドリア障害を介してアポトーシスを惹起するという機構かなと思うのですが、そのためには一番最初に、まずγ‐GTによってグルタミン酸の部分が加水分解されなくてはいけないわけですが、ここの酵素活性によって、効く患者と効かない患者が出てきそうな気がするのですが、ここに関してはいかがでしょうか。
 先ほど、ここの論文として、Molecular Pharmacologyの論文が引用されていると思うのですが、それによると、基本的にはγ‐GTと同じ場所にあるxCTによって取り込まれていくような図が描かれていて、最初にそこでγ‐GTによってDMACができて、それが効くというようになっているので、先ほど来、議論になっているような、血中でDMACが発見されないというのは、局所でグルタミン酸が切られて、それがそのまま直接的にxCTで取り込まれるのはメインな経路ではないかというディスカッションが、この論文には書かれていると思うのです。もちろん、他所で切られている可能性だったり、ヒ素化合物から逆にDMACという形のシステインアダクトを作って取り込まれる可能性を否定するものではないとは書かれているのですが、彼らは、メインには、γ‐GTとxCTのconjugationという形で、この論文には書かれているのですが、今回の審査報告書を見ると、そういうことというのは一切書いていなくて、実際にジメチルアルシン酸のシステインエステルという形が中間体というか、活性体ではないかということだけが書かれているので、そこが論文との論点が若干違っているかなという気がしたのです。
 それと、最後に宮川先生がおっしゃっていたように、そういう意味で、もし、γ‐GTの活性というのが、中間体ではDMACを作るのだとすると、腎臓というのはγ‐GTの塊のような臓器なので、そこでグルタミン酸が落ちてDMACができるということは十分に考えられて、そうすると腎障害というのは結構起きてしまうのではないかという気がするのですが、γ‐GTとの関連性ということに関して、機構としてはどのように考えられているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいたγ‐GTの活性については、臨床試験の中でその活性がpoorであったか否か等は検討されてはいませんので、データとして今御説明できるものは、大変申し訳ございませんが、ないというところです。
○浦野委員 データがないのは分かるのですが、Molecular Pharmacologyの論文を論拠とすると、そこで言っている主張と違うかなという部分があるので、過度にそれを論拠としない方がいいのではないかという気がするのです。添付文書の5番目に書かれているのが、その論文というのが何なのかは分かっていないのですが、今回の審査報告書を見ると、4番でしたか、Molecular Pharmacologyの2014年ぐらいだと思うのですが、そこにかなり細かく今回の薬剤の作用機序というのが書かれていて、その中では、しっかりγ‐GTを止めるとどうなるといったことも書かれているので、論文のうちのほしいところだけを審査報告書に取ってきたという印象を持ってしまったので、この論文に完全に準拠するのだったら、γ‐GTのこともしっかりと、ソレイジア・ファーマに問い合わせる必要があると思いますし、そうでないのだとするならば、ここの論文を余り論拠にしない方がいいのではないかとは思います。どちらつかずかなという気がします。
○医薬品医療機器総合機構 大変貴重な御意見をありがとうございます。登美委員から頂いたところも含めて、作用機序の記載は再度、申請者とディスカッションをして、適切な形で、添付文書としての情報提供を検討させていただければと思います。御意見、ありがとうございました。
○浦野委員 了解いたしました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。
○宮川委員 今のところに加えてなのですが、浦野先生からの御指摘などの場合には、単回投与と反復投与での10日目という形での、臨床試験としての機序と言うか、動きというのがよく理解できないので、その辺のところを機構はどう考えていらっしゃるのか、毒性も含めて、腎機能に関してですが、教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問について確認させていただければと思いますが、この薬剤を反復投与することによって、機序が変わり得るかどうか。
○宮川委員 機序と言うか、程度というものが変わってくるのではないかと思ったので、実際に、今いろいろなことが示されている本剤の投与における変化というものが、単回投与に近いところで行われてきたことなのか、反復投与でかなり最終的なところで行われてきたのか、臨床試験のところからよく見えなかったものですから、教えていただければと思いました。そういうことが、浦野先生がおっしゃっているようなところに結び付いてくることがあるのかどうかということです。反復投与の試験が行われているはずなので、そこの。
○医薬品医療機器総合機構 血中濃度はヒ素としてしかデータがないので、宮川委員がお求めの答えにはならないかもしれませんが、血中のヒ素濃度ということで見ていきますと、本薬の用法はサイクル投与で休薬も入ります。その休薬の間に、血中からはヒ素濃度として検出限界以下となりますので、反復投与によってヒ素が蓄積していくことはないということは、臨床試験のデータから確認が取れております。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、ヒ素のことしか見ていないということでよろしいわけですよね。
○医薬品医療機器総合機構 その御理解で差し支えございません。
○宮川委員 分かりました。
○清田部会長 私も確認させていただきたいのですが、単回投与と反復投与では、腎機能の影響はそれほど差がないのですね。
○医薬品医療機器総合機構 その御理解で差し支えございません。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○清田部会長 続いて、議題3に移ります。議題3につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、医薬品アドセトリス点滴静注用50mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より説明します。以後の審査報告書のページ数は、各ページの29分のいくつで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)は、CD30を標的とするキメラ型モノクローナル抗体とチューブリン重合阻害作用を有するモノメチル アウリスタチンE(MMAE)が、リンカーを介して共有結合している抗体薬物複合体です。本剤は、腫瘍細胞の細胞膜上のCD30に結合し、細胞内に取り込まれた後に、細胞内で遊離したMMAEが細胞周期を停止及びアポトーシスを誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。現在、本剤は、未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫等に対して承認され、成人患者に対する用法・用量が設定されております。
 今般、未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の小児患者に対する本剤の用法・用量が承認申請されました。なお、本剤は、平成24年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和4年1月時点において、未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の小児患者に対する本剤の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.15にありますとおり5名の委員です。以降、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験であるC25004試験が提出されました。有効性については、審査報告書8ページの表4を御覧ください。未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫(HL)の小児患者を対象としたC25004試験の第II相パートにおいて、主要評価項目の一つとされた奏効率は86.3%でした。当該結果に加えて、小児患者と成人患者との間で、HLの病態及び診断・治療体系並びに本剤の薬物動態に明確な差異が認められていないこと等も考慮し、未治療のCD30陽性のHLの小児患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書11ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を有する有害事象は、成人患者と同様に、既承認の効能・効果に対する審査時に注意が必要と判断された事象であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人の小児患者における検討症例は限られており、製造販売後には、使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の小児患者に対する本剤の用法・用量を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品ではあるものの、CD30陽性のHLの成人患者等に対して承認を取得し、本邦において一定の使用経験を有すること等を踏まえ、再審査期間は6年1日とすることが適当であると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問はございますか。よろしいでしょうか。ないようです。
 それでは、議決に入りたいと思います。松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題4に移ります。議題4につきまして、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題4、資料No.4、バルガンシクロビル塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明します。資料の、機構の事前評価報告書をお開きください。医薬品の名称は、バルガンシクロビル塩酸塩です。予定される効能・効果は、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の治療、申請者は田辺三菱製薬株式会社です。
 まず、1.対象者数です。本邦で実施された新生児尿を用いた先天性サイトメガロウイルス感染症(CMV感染症)のスクリーニング調査によりますと、先天性CMV感染症及び症候性先天性CMV感染症の発現割合が報告されており、これと、2020年の国内総出生児数を基に推定した患者数は、年間で、多い方は4,040例及び1,680例でしたので、希少疾病用医薬品の指定基準である5万人未満であると判断しております。
 次のページ、2.医療上の必要性についてです。先天性CMV感染症は、妊婦がCMVの発感染、再感染を受けた場合、あるいは再活性化を認めた場合、ウイルスが胎盤を経由して胎児に感染して発症する疾患であるとされております。症候性先天性CMV感染症は、先天性CMV感染症のうち、出生時に妊娠時間に比して小さい児、小頭症等の症状を示す疾患です。その40%から90%は、感音性難聴、精神発達遅延等の神経学的後遺症が残ると報告がされております。出生時の症状や神経学的後遺症により、教育的・社会的予後に大きな影響が及ぶため、早期の診断及び療育的介入が必要とされておりますが、国内外で症候性先天性CMV感染症に対する治療薬は承認されておらず、発症早期に治療開始可能な有効な治療薬の開発が求められております。以上の検討から、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 続いて、3.開発の可能性についてです。米国において、症候性先天性CMV感染症患児を対象とした本剤を用いた海外医師主導臨床試験が行われております。6週間投与群と比較して6か月間投与群において、聴力障害及び神経発達転帰の改善が認められたことが報告されております。これを受けまして、本邦においては、本剤6か月間投与時の有効性及び安全性を評価することを目的とした国内医師主導治験が実施されており、全血中のCMV量の変化量では、ベースラインと比較して統計学的に有意な低下が認められているということです。これらの結果から、本剤の開発の可能性はあると考えております。以上より、希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問がございましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようです。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続いて、議題5に移ります。亀田委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題5の審議の間、会議から御退室いただき、御待機いただくことといたします。亀田委員は御退室をお願いします。
──亀田委員 退室 ──
○清田部会長 それでは、議題5につきまして、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題5、資料No.5、ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン配合リポソーム注射剤を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。「希少疾病用医薬品該当事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書最初のページの中段を御覧ください。申請者は日本新薬株式会社、予定される効能・効果は「急性骨髄性白血病」です。以下、AMLと略します。
 まず、対象者数について、本邦におけるAMLの総患者数は約7,000人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。未治療のAMLに対して、シタラビンとダウノルビシン塩酸塩等のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用化学療法等が標準的な治療として推奨されていますが、多くの場合、再発が認められるなど、予後不良な疾患であることから、新たな治療が望まれております。本剤は、未治療のAMLを対象とした海外第III相試験において、ダウノルビシン塩酸塩とシタラビン等の併用化学療法に対して統計学的に有意な全生存期間の延長が認められたことから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」ですが、先ほど御説明した海外第III相試験に加えて、その試験と同様の患者を対象とした国内第I/II相試験が実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで御待機されている亀田委員をお呼びください。
──亀田委員 入室 ──
○清田部会長 続いて、議題6に移ります。議題6について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題6、生物学的製剤基準の一部改正について御説明します。資料No.6の3ページを御覧ください。こちらに今回の改正内容の前後表があります。今回は、「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン」で、これはキャリアタンパクとして、「無毒性変異ジフテリア毒素」を使っているタイプの肺炎球菌ワクチンになります。今回の変更は、このキャリアタンパクのジフテリア毒素、変異毒素ですが、これは毒性を示さない毒素タンパクということで、それを確認するための試験が、現在はADPリボシルトランスフェラーゼ活性を調べて、その活性がないことを確認しているところですが、これと並行して、もう一つ、Verо細胞を用いて毒性がないことを確認する試験方法、これも加えて、どちらかを選んで実施することができるという形の規定に変更するということです。こちらの方は、今回、医薬品各条の対象となっている医薬品のワクチンの一部変更承認申請が行われておりまして、それの中身の変更に伴う生物基準の変更となっております。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問はいかがでしょうか。ございますか。ないようです。
 それでは、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、報告事項に移ります。報告事項議題1~6及び、その他事項議題1につきまして、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは報告事項の議題1、資料No.7について御説明させていただきます。医薬品テセントリクの製造販売承認事項一部変更承認についてです。本剤は、PD-L1に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」等を効能・効果として、承認されております。今般、中外製薬株式会社から、「PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 なお、渡辺委員から、本議題について事前に御質問を頂いておりますので、それについて機構から御説明をさせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 説明させていただきます。今般の承認申請では、PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法としてアテゾリズマブ単剤での投与、既に承認されているものでは、化学療法未治療のPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌では、アテゾリズマブ単剤での投与、化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌では、PD-L1陽性、陰性に関係なくアテゾリズマブ単独投与となっています。この点に関して2点、渡辺委員から質問を頂いております。
 1点目は、「アテゾリズマブの免疫チェックポイント阻害剤に細胞毒性抗がん剤が併用される根拠として、抗がん剤による細胞破壊に伴うネオアンチゲンの放出が唱えられていますが、細胞毒性抗がん剤を併用しない根拠を教えてください。」と頂いております。
 非小細胞肺癌における術後補助療法の標準的な治療は、シスプラチンベースの化学療法ですが、IMpower010試験の開始当時に実施された非臨床試験では、シスプラチンとアテゾリズマブの併用効果が確認されていなかったことから、IMpower010試験では、シスプラチンベースの化学療法後の患者を対象としてアテゾリズマブの単独投与の有効性及び安全性が検討されました。なお、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤との併用による治療効果の亢進について、その後、臨床的なエビデンスが蓄積し、現在は周術期においても免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用による開発が実施されています。1点目の質問に対する回答は以上となります。
 2点目の御質問ですが、「PD-L1の陽性、陰性にかかわらず、アテゾリズマブ使用が推奨されている根拠を教えてください。」と頂いております。
 がん化学療法後に増悪した進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第III相試験においては、PD-L1発現状況にかかわらず患者が組入れられ、全体集団において対照群のドセタキセルと比較して、本剤単独投与のOSの有意な延長が認められています。当該治験において、PD-L1発現状況別のOSの結果について検討を行ったところ、PD-L1発現率が1%未満の患者集団においても、本剤単独投与群がドセタキセル群を上回る結果であったことなどから、PD-L1発現状況にかかわらず、本剤の有効性が期待できると判断されています。頂いた質問に対する回答は以上となります。
○清田部会長 渡辺先生、よろしいですか。
○渡辺委員 最初のお答えでは、初期治療、つまり、術後の治療において、抗がん剤治療との併用という臨床試験も現在進行しているということでいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりでございます。
○渡辺委員 それから、PD-L1の発現の程度がどれぐらいかということによっても、その単剤投与での有効性というのが変わってくるのだろうと思いますけれども、その場合にはPD-L1の発現についての免疫染色とかは一切やらずに、関係なく、アテゾリズマブを使うという理解でいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりでございます。効能・効果において、PD-L1陽性、陰性を明示的に示していないものに関しては御理解のとおりで、検査せずとも投与できるという状況でございます。
○渡辺委員 それは、例えば山本昇先生がいらっしゃるので御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。この同一疾患で、どうも対応が違うということがちょっと理解できないところもあるのですが、いかがですか、山本昇先生。
○山本委員 初めて発言しますが、実際は手術するので、PD-L1を調べると思いますので、unknownでやるということはないのだろうと認識しております。まず、それが一つです。あとは、渡辺先生がおっしゃるように、これまでのデータでは、高発現の人の方が効果が高いということは分かっていますので、今後データを蓄積されると、適用の、将来的に使うべき患者さんは絞られてくるのかと予測しています。以上です。
○渡辺委員 ありがとうございました。理解できました。
○清田部会長 ありがとうございます。
○島田(眞)委員 よろしいですか、島田です。
○清田部会長 どうぞ。
○島田(眞)委員 御発言が今あったのですが、そうではなくて、PD-L1の発現にかかわらず、これを使っても結構、要するに、有効だということを事務局はおっしゃったと思うのです。だから発売当初は、PD-L1の発現によって、臨床効果が全然違うというデータが占めていたと思いますけれども、今回、これはPD-L1の発現にかかわらずということで、だから、では、なぜ効くのということですけれども、恐らく、要するに腫瘍細胞のPD-L1ではなくて、ほかの細胞のPD-L1の所で効いているのではないかと思います。要は、PD-1、PD-L1のインタラクションで、T細胞の活性化が抑えられるわけですよね。だから、そこをブロックするということなので、必ずしも腫瘍細胞のPD-L1と、いわゆる腫瘍浸潤細胞のT細胞ではなくて、ほかの細胞。だから、PD-L1というのはマクロファージなど、アンチジェンプレゼンティングセル、すなわちDC,デンドリティックセルとか、いろいろな細胞で発現し得るので、そういう所をブロックすることによって、恐らくPD-1陽性のT細胞のPD-1は抑えられたので、T細胞が活性化するということを言いたいのではないかと思います、今回は。腫瘍細胞のPD-L1の発現にはかかわらず、効いたということなので、その効いたというところから類推すると、この免疫療法が有効であるということで。
 だから、何か、やはりPD-1とPD-L1のインタラクションがどこかで起こっているけれども、それは腫瘍細胞の発現とは関係ないということを言っているのではないかと私は思いました。以上です。
○清田部会長 今後の解析を期待したいところだと思います。ありがとうございます。それでは、次に進んでください。
○事務局 報告事項を続けさせていただきます。テセントリクについて最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、そちらについて、併せて御説明させていただければと思います。
 資料No.13-1を御覧いただけますでしょうか。テセントリクの非小細胞肺癌に係る最適使用推進ガイドラインは既に作成されておりますので、本議題に関する変更に伴い、一部改正を行うもので、主な変更箇所にはグレーのハイライトを付しております。以下の形式は、これまでに作成している最適使用推進ガイドラインと同様です。まず、対象となる効能・効果及び用法・用量は、3/31~4/31ページの枠内のとおりです。今回、審査された臨床試験の成績につきまして、有効性については、12/31ページ及び15/31ページ以降に記載しております。また、安全性については、23/31ページ以降に記載しております。また、先ほどの審査における内容を踏まえた本剤の投与対象となる患者に関する内容については、27/31ページ以降に記載しております。また、投与に際して留意すべき事項については、30/31ページ以降に記載しております。
 続いて、報告事項の議題2と議題3は併用して用いるものですので、資料No.8とNo.9を併せて御説明させていただければと思います。まず、議題2は「医薬品オプジーボ点滴静注の製造販売承認事項一部変更承認について」、議題3は「医薬品ヤーボイ点滴静注液の製造販売承認事項一部変更承認について」です。
 オプジーボ点滴静注につきましては、PD-1に対するヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」等に係る効能・効果で承認されております。
 また、ヤーボイにつきましては、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4に対するヒト型モノクローナル抗体であるイピリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、悪性黒色腫、腎細胞癌等に係る効能・効果で承認されております。
 今般、小野薬品工業株式会社及びブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する、オプジーボとヤーボイとの併用及びオプジーボと化学療法との併用に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、以上の2品目を承認して差し支えないと判断されております。
 また、オプジーボにつきましても、最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、資料No.13-2を御覧いただけますでしょうか。オプジーボの食道癌に関する最適使用推進ガイドラインも既に作成しておりますので、本議題に関する変更に伴い一部改正を行うものです。まず、対象となる効能・効果は、3/20ページに記載しており、有効性につきましては、7ページ以降、安全性については12ページ以降に記載しております。それから、先ほどの審査の内容を踏まえた本剤の投与対象となるべき患者に関する記載については、17ページから記載しており、最後、投与に際して留意すべき事項については、19ページ以降に記載しております。
 続いて、議題4、「医療用医薬品の承認条件について」を説明させていただきます。資料No.10-1~10-3までを御覧いただければと思います。まず、資料No.10-1の2/8ページを御覧ください。イムブルビカカプセル140mgは、平成28年3月28日に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ヤンセンファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断されております。
 続いて、資料No.10-2の2/7ページを御覧ください。ムンデシンカプセル100mgです。本剤は、平成29年3月30日に「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ムンディファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続いて、資料10-3の2/7ページ目を御覧ください。リムパーザ錠です。本剤は、平成30年1月19日に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、アストラゼネカ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続きまして、報告事項の議題5です。「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて」御報告させていただきます。資料11をお開きください。届出者は「ノバルティスファーマ株式会社」、医薬品の名称は「オファツムマブ(遺伝子組換え)」です。本剤は、「慢性リンパ性白血病」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定され、また、慢性リンパ性白血病に関する効能・効果にて承認されておりましたが、今般、当該効能・効果に対する本剤の需要が減少し、代替薬も市場に存在することから、承認整理をすることとされました。したがいまして、本剤の本効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしております。
 続きまして、議題6、「医療用医薬品の再審査の結果について」御報告いたします。資料No.12-1~12-3までを御確認ください。今回の再審査につきましては、対象品目は、ビダーザ注射用100mg、シムジア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgオートクリックス、イモバックスポリオ皮下注です。これらの品目につきまして、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、薬機法の承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定されております。報告事項の説明は以上でございます。
○清田部会長 ここまでで、皆様の御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、報告事項議題1~6につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他事項議題1につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 その他事項としまして、最適使用推進ガイドラインの資料No.13を御確認いただければと思いますけれども、13-1と13-2につきましては、先ほどの報告事項の中で御説明をさせていただきましたので、最後に、資料No.13-3につきまして御説明させていただきます。
 こちらは最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定についてということです。今般、記載されている医薬品アドトラーザ皮下注150mgシリンジ、一般名はトラロキヌマブ(遺伝子組換え)、申請者はレオファーマ株式会社ですが、本品目につきましては、予定とする効能・効果として、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を対象とするもので、令和4年1月28日に申請されておりますが、最適使用推進ガイドラインの作成の対象として選定したいと考えております。今後、医薬品の品目について御審議いただく承認の可否について御審議いただく際に、最適使用推進ガイドラインの案についても、併せて御確認いただければと思っております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、その他事項議題1につきまして御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますか。
○事務局 次回の部会は5月30日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 本日は、これで終了とさせていただきます。皆様お疲れさまでした。ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)