第49回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和4年10月4日(火)15:00~17:00

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議題

(1)組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)について
(2)沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)を含む混合ワクチンについて
(3)その他

議事

議事内容
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第49回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。また、前回と同様、議事の様子はユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、本日の出欠状況について御報告いたします。
磯部委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員12名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規程により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続きまして、資料の確認でございます。
本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末を閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号16の利益相反関係書類までを用意しております。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局員にお申し出ください。
それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 よろしくお願いいたします。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等についての報告をお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告をいただきました。
各委員及び参考人からの申告内容については、番号16の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日出席委員の寄附金等の受取状況から、中野委員が一般財団法人阪大微生物病研究会から50万を超えて500万円以下の受け取りがあるため、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを含む混合ワクチンについて意見を述べることはできますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいります。今日もよろしくお願いいたします。
今日は、議題が2題あります。最初が9価のヒトパピローマウイルスワクチンについて、2番目がDTaPを含む混合ワクチンについてということになっています。
まず最初は、「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン」、いわゆる9価のHPVワクチンについてであります。このワクチンにつきましては、これまでワクチン評価に関する小委員会において、定期接種化に向けての論点整理、並びに技術的な観点に基づいた議論が行われてまいりました。本年8月の小委員会において議論が取りまとめられました。このたび、本審議会への報告書が作成されたというところになっています。
では、事務局から、これまでのこのワクチンに関する議論の経緯を含めて、本審議会での議論の論点の説明をお願いいたします。
○井本評価分析専門官 それでは、事務局のほうから御説明申し上げます。
まず、資料1-1を御覧ください。事務局からは、この資料の右下のページ番号、2ページ目に記載してございますが、この目次の記載の流れで本日、御説明申し上げたいと思います。まず、本日の流れとしては、9価HPVワクチンのこれまでの検討の経緯、そしてワクチン評価小委員会での議論のまとめ、そして本日の論点提示という流れになってございます。
右下のページ、4ページ目を御覧ください。こちらは、9価HPVワクチンのこれまでの検討の経緯をお示ししております。本ワクチンは、令和2年に製造販売承認がなされまして、その後からワクチン評価小委員会での議論が開始されました。国立感染症研究所にファクトシートを御作成いただいた上で、ワクチン評価小委員会の所掌である定期接種化に向けた検討の論点整理、また技術的な観点からの議論が行われ、このたび、本年8月に議論が取りまとめられました。
今回は、本議題のもう一つの資料1-2を御用意してございますが、こちらにこの小委員会での議論を取りまとめた報告書をおつけしております。こちら、併せて御参照いただけると幸いでございます。
そして、今回の議題である9価のHPVワクチンでございますが、現在、定期接種として使用されている2価、4価ワクチンとの違いにつきまして簡単に御説明いたします。ワクチンがカバーするHPV、ヒトパピローマウイルスの遺伝子型の数がこの「価」として記載されているものでございますが、特に子宮頸がんの原因となるハイリスク型の遺伝子型について、9価のワクチンは2価、4価より多く含まれているものでございます。こちらに関しましては、この資料の最後、23ページになりますが、そちらにそれぞれのワクチンのカバーする遺伝子型の違いについて参考資料として記載しておりますので、こちらも御参照ください。
次に移ります。5ページ目からは、ワクチン評価小委員会での議論と結論のまとめを御説明いたします。6ページ、7ページで要点をまとめて、少しあっさりしておりますが、先ほどのお話のとおり、小委員会の報告書にこの議論の詳細を記載してございます。
それでは、6ページ目でございます。6ページ目、7ページ目で、小委員会での定期接種化に関する大きな論点として2つ。まず、本ワクチンを定期接種化に位置づけてもよいかどうかということ、そして定期接種化を前提として検討すべき論点、これらについて小委員会で整理されたところでございます。
6ページ目は、その1つであります定期接種化の是非についての議論とその結果をお示ししてございます。小委員会では、ファクトシートに基づいて、こちらに記載してございます接種の目的から費用対効果までの各項目について、技術的な観点からの議論が行われました。
少しかいつまんで御説明いたしますと、下から3つ目にございますが、この9価ワクチンの有効性については、4価ワクチンと比較して、先ほども御説明いたしましたが、4価に含まれる遺伝子型に対する免疫原性は非劣性であった。そして、4価でカバーできないハイリスクの遺伝子型に対しても有効であったという議論がされました。
ワクチンの安全性は一定程度明らかになっておりまして、4価と比較して接種部位の症状発現は少し多いですが、全身症状としては同程度であるということ。
そして、費用対効果として、9価ワクチンは、3回の接種においても、4価ワクチンの3回接種と比較して費用対効果が優れているとされております。
これらの議論を踏まえて、ワクチン評価小委員会では、この下の赤枠の結論です。9価ワクチンを予防接種法の対象として定期接種に位置づけることに、技術的な観点からは問題がないという結論となりました。
続いて、7ページ目でございます。もう一つの大きな論点でございます、定期接種として位置づけた場合に検討が必要な論点の議論の結果でございます。こちらは、まさに今回の基本方針部会での議論の中心となると考えておりますが、接種の対象者、接種回数といった接種の方法についてと、定期接種に用いるワクチンの種類について、この記載のとおりの内容でまとめられております。
記載が少し盛りだくさんですので、要約いたしますと、まず、接種対象者については、技術的には現行の対象年齢、こちらは小学校6年生から高校1年生相当の学年の女子でございますが、ここから拡大することは可能ですけれども、基本的に現在の定期接種の対象年齢、また今年度から実施しておりますキャッチアップ接種の年齢などを考慮しつつ、検討する必要があるということがまとめられたところでございます。
そして、2番目、接種回数につきましては、海外におきましては、14歳までの女子、男子にも広く接種されておりますが、この2回接種につきましては、我が国では未承認でございます。ただ、技術的な観点からは、2回接種についても問題がないということをおまとめいただきました。
そして、3点目、ワクチンの種類につきましては、9価ワクチンを仮に定期接種として位置づけた場合においても、当面の間は2価、4価ワクチンも引き続き使用可能とすることが望ましいとおまとめいただいております。
このようにまとめた上で、ワクチン評価小委員会で議論する技術的な観点のみならず、この基本方針部会の場において、より広い観点から総合的な判断が必要であると結論づけられました。
以上がワクチン評価小委員会での議論でございます。
そして、ここからは、本日御議論いただきたい論点をお示ししております。
9ページ目は、ワクチン評価小委員会で議論された論点を踏まえて、まずは、定期接種化の是非について。この表は、先ほどお示ししたものの再掲となりますが、こちらに関しては基本的にほぼ技術的な話がメインであることから、この小委員会での取りまとめの内容を踏まえまして、本部会としても9価のワクチン、既に予防接種法に位置づけられている子宮頸がん予防の目的として、現行の2価、4価ワクチンに追加することとしてよいかどうかをまずお諮りしたいと考えております。
10ページ目からでございますが、こちらは定期接種化を前提として、先ほどの7ページ目でも申し上げましたが、小委員会で整理された論点。こちらに関しては、(1)(2)としてまとめております。そして、(3)として、こちらは基本方針部会での専決事項となりますが、定期接種化の開始時期について、これらについて御議論いただくよう提案するものでございます。この次のページから、(1)~(3)、それぞれの論点を1ページずつにまとめてお示ししております。
11ページ目は、接種の対象者と接種方法についてでございます。
一番上の現状の部分ですが、こちらは文章だけですので、参考資料として19ページを御覧いただきますと、シェーマでお示ししております。こちらも御覧いただくと分かりやすいかと思っております。現在のHPVワクチンは、9価も含めて全て3回接種で製造販売承認されております。定期接種の対象としては、先ほど申し上げましたが、小学校6年生から高校1年生相当の学年の女の子。標準的には13歳、つまり中学校1年生の学年の間が接種期間とされております。
また、次の20ページの参考資料にあるとおり、今年度から3年間、時限的な措置として、いわゆるキャッチアップ接種を実施しております。
ワクチン小委員会の議論、11ページにお戻りいただきまして、先ほど御説明したとおりでございます。
そこで、下段の赤枠内が御提案となります。
まず、1ポツ目、9価HPVワクチンが製造販売承認されている現状において、接種対象者が9価も選択することができるように、現在、製造販売承認されている3回の接種として定期接種化をまず進めてはどうか。
そして、2ポツ目、お示ししておりますように、現在の定期接種の対象である2価及び4価のワクチンを念頭に、接種対象者及び標準的な接種期間について、同様の形としてはどうか。この2点について、お諮りしたいと存じます。
また、3ポツ目でございますが、キャッチアップ接種における9価ワクチンの取扱いにつきましては、もともとこの制度が過去に2価、4価としての定期接種を対象としたものであること。あとは、キャッチアップでの使用の是非というところ、様々考慮しつつ、まず先生方から、この是非について御意見を承りたいと考えております。
次のページ、12ページ目でございます。こちらは、定期接種で使用するワクチンについてです。この表は、8月のワクチン評価小委員会の資料からの抜粋でございますけれども、2価、4価、9価、それぞれのワクチンの対象疾患、薬事製造販売承認、使用状況について、まとめてございます。なお、それぞれの種類のワクチンの違いに関しては、冒頭でも御案内いたしましたが、この資料1-1の23ページに参考資料として記載してございます。
このページの論点につきましては、小委員会での議論・結論を受けて、当面の間は2価、4価も引き続き使用可能とするかどうかということを御議論いただきたいと存じます。
その上で、9価が定期化された場合、接種の未完了者の方の取扱い。つまり、残りを9価で接種する場合の交互接種につきまして、こちらも先生方の御意見を本日、承りたいと考えております。
13ページ目、資料としては最後になります。定期接種化の時期についてでございます。
検討課題として、供給と自治体の準備の2点がございます。供給につきましては、過去のワクチン評価小委員会、第17回、令和3年4月になりますが、こちらでメーカーのMSD社の参考人から言及のあった内容を記載してございますが、2023年中に安定的な供給が可能となる見込みという御発言がありました。
そして、自治体の準備につきましての各項目につきましては、過去、ロタウイルスワクチンの定期化の議論を行った際に整理されたものを記載してございます。
これらの検討課題を提示した上で、この赤枠のところですが、接種対象者の利便性、ワクチンの供給、そして自治体の準備期間を踏まえまして、来年度の早期からの定期化を目指すということを御提案するものでございます。
また、定期化までに任意接種として9価ワクチンを接種した方が未完了の場合の扱いについても、残りの定期接種として扱ってはどうかという御提案をしております。
資料についての事務局からの説明は以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
このワクチン評価に関する小委員会で議論がまとめられたということで、その議論に参加していただいた池田先生、神谷先生が今日も御参加いただいていますので、追加の御発言等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○池田委員 池田でございます。
特に現時点ではございません。
○脇田部会長 ありがとうございます。
神谷先生、いかがですか。
○神谷委員 小委員会のほうでは、この9価に関してはかなり議論し尽くされたと思います。外国のエビデンスも相当出てきておりますし、ここに記された内容は、こちらの方針部会で議論していただくに十分資するものだと思っております。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
そうしましたら、今の事務局、それから池田先生、神谷先生の御意見を踏まえまして、9価のHPVワクチンについて本審議会で議論したいと思います。論点としては、主に4つなのですけれども、定期接種化の是非について。それから、定期接種の対象者、接種方法。それから、使用するワクチンの種類、そして定期接種の開始時期ということですけれども、まず、定期接種化の是非はワクチン評価小委員会で了承されましたが、基本的には小委員会での技術的な視点での評価がメインとなりますけれども、本審議会におきましても、9価のワクチンを予防接種法の対象として、既存の2価、4価のワクチンに追加するということの是非について、まず御判断いただきたいというところであります。
それから、定期接種と位置づけられた場合には、先ほど申し上げたとおり、対象者及び接種方法、そして使用するワクチンの種類、そして開始時期ということが論点として事務局から示されておりますので、こちらをメインに御議論いただければと思います。4つの論点がありますので、できれば順番にと思いますけれども、多分、委員の先生方からいろいろ御意見があると思いますので、それぞれ御意見いただければと思います。
それでは、皆様から御意見いただいていこうと思いますが、いかがでしょうか。まずは、定期接種化の是非というところからですけれども、それでは、伊藤先生、坂元先生の順番でお願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
9価のワクチンを定期接種に位置づけることには異存はないのですが、9価の位置づけが子宮頸がんの予防ということですと、より高い、より広い有効性が期待されるためということになろうかと思います。そうだとすると、2価のワクチンの位置づけが微妙になるのではないかと思います。2価と4価であった時代は、子宮頸がんの予防としては16、18が共通していたので、2価と4価が一緒だったということだと思いますが、9価が登場すると、9価に比べて2価が劣るのではないかという議論がどうしても出るのではないかと思います。
現在でも、4価に比べて2価の出荷量が少ないという報告も副反応検討部会でされておりますし、9価の導入に併せて、予防接種法上の定期接種から2価を削除するべきではないかという考えはあってもいいのではないか。これは、小委員会の意見とは異なるわけですが、そういったことについてもきちんと判断すべきではないかという気がいたします。
もう一点は、別の点について、接種回数に関しては、後で言ったほうがいいのだろうと思いますが、接種時の疼痛の機会を少しでも減らすように、そういう申請資料なり何なりをもう少し急ぐというのは、企業に努力していただきたいと思いますし、そうでなければ、日本として例えば海外の資料などに基づいて承認する道を考えるなど、早めにしたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○脇田部会長 伊藤先生からの御意見、9価の定期接種化については異存はないけれども、2価のワクチンについては必要がなくなるので、定期接種から外すことも検討してはどうか。
それから、回数については、海外の例もありますから、2回の接種、早期の申請を促してはどうかといった御意見でした。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
私も今の伊藤先生の御発言に基本的には賛成でございます。現在、2価を打っておられる方は、どういう説明とインフォームドコンセントの上にわざわざ2価を選択されているのか、私なりにそこはちょっと不思議に感じます。2価のワクチンと4価のワクチンが現在あるわけで、その違いとかを十分説明を受けた上で2価を選択されているというならば問題はないのですが、そこがどうかということで、基本的には私は伊藤先生に賛成です。
それから、もう一点が、海外では2回接種がもう主流というか、2回接種になっているということから考えると、1つは、お金の話をして申し訳ないのですが、いわゆる我々の市町村の負担が減ります。つまり、これは税金から出ていますから、税金からの負担が減るということと、回数が増えれば、それだけの副反応等のリスクがあるので、海外でちゃんとした医学的知見に基づいて2回でいいということが分かっているのならば、伊藤先生がおっしゃるように、メーカーのほうには、1日も早く2回接種の申請を行うように厚生労働省のほうからもしっかり働きかけていただきたいということです。
それから、もう一点が、9価のワクチンの接種開始が来年度の早い段階から。つまり、4月以降ということから考えると、既に9価のワクチンは予防接種法ではなく、普通に製造承認が取れていますので、接種は行われています。そうすると、ちょっと恐れているのが、今から5か月後ということは、9価が出るなら、それまで待とうという方が当然出てくると思うのです。そうすると、もし間違えて接種機会を逃してしまったとか、そういうこともあるので、国として市町村の準備に対して御配慮いただいているということは本当にありがたいことなのですが、その辺の待ってしまう方への対策というのもしっかり考えていくべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
伊藤先生と同様の御意見で、さらに時期についての御意見ということでした。
中山先生、お願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
私も今の伊藤先生と坂元先生と同じなのですけれども、12ページの記載の赤枠の中で、小委員会での議論を経て、当面の間は2価、4価のワクチンも引き続き使用可能とすることとしてはどうかという、素人から見ると、この意味がよく分からなくて、当面の間、2価と4価を使用可能とするということは、例えば今まで2価を打ってきました、あるいは4価を打ってきましたという人にとっては、9価ではなく、2価や4価のほうがいいというメッセージなのか、あるいは今の坂元先生のように、9価が使えるのがしばらく先なので、それまでの間は、とにかく打てる人は2価か4価を打ってくださいということなのかというところが、ちょっとよく分からなかったので、その辺をお尋ねしたいということと。
あとは、同じく接種回数で、ほとんどの諸外国は2回が圧倒的なので、ここをあえてなぜ3回にして、このワクチンは結構痛いと聞いていますので、それが2回で済むなら2回でいいし、最近、1回という説もあるやなしやということも聞いたことがちょっとあったので、2回でできるのだったら2回にしてもらったほうがいいなと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
私も先生方と同様の意見なのですが、9年も日本は遅れたのですね。その9年をどういうふうに取り戻すか、本当にスピードを上げて、諸外国にと言いましたけれども、日本が先進国だと頑張るのであれば、9価の安定供給が見込まれるのであれば、早めにしていただきたいなと思います。
また、先ほど中山委員の2価、4価を当面といった話なのですけれども、要望としては、子宮頸がんの16型、18型というのは、4価も9価も2価も、若い女性の今の子宮頸がんの型としてはそれが主流になっていますので、できるだけ早く9価の前にでも打っていただきたいなと思っています。もし9価の副反応がどうかということを心配するような方については、少な目がいいのかどうか分かりませんけれども、実績のある4価を使うということを選ぶ人もいると思いますので、それは間に合わないうちは残してもいいかなと思いますが、伊藤委員がおっしゃったように、2価はもう要らないのではないか。
実際、4価と9価には、子宮頸がん予防というウイルスだけではなくて、尖圭コンジローマの6型、11型が含まれていますので、これは必ず必要かなと思っています。そういった意味で早くしていただきたいなということと、皆さんもおっしゃるように、被接種側から見るとできるだけ少ないほうがいいですし、それも侵襲の問題からしてもエビデンスが出ているということでは、2回で国際的に同じような日本の体制に戻してほしいというか、やってほしいなと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
先ほど坂元委員が言われた、実際受ける方がどのワクチンを選ぶのかということについてですが、このワクチンはそもそも接種される方がどのワクチンを打ちたいということを希望し、それが打てるような形での供給というか提供になるものなのでしょうかということが、そもそも疑問なのですが。今、コロナのワクチンの場合には、本当にきめ細かく、どのワクチンをということを比較的自由に選べるような形になっていて、それはそれですばらしいことだと思うのですが、自治体のほうの予約のシステム、その他、大変な御苦労があると思うのですが、そういう状況でも選べる形になっている。
このHPVワクチンの場合は、個人の経験で本当に申し訳ないのですが、少なくともうちの娘は選べなかったですね。打ちに行ったらこれだったということで打つので、今後は2価、4価、どちらと選べるようにするのか、あるいは9価がいい方は9価と、全て選べるような形にするのかどうかということが、そもそもどうなのでしょうかということです。
医療経済というか、費用対効果の点で言いますと、例えばイギリスなどでは、2価と4価の両方があったときには、費用対効果を考えて、どちらということを国として統一してやっていたわけです。日本では、もちろん有効性・安全性が第一ですが、それに加えて費用対効果を考えて、どれを最優先で、あるいは最も推奨ということは、本来決めてもいいのかなと、このHPVワクチンに関しては考えております。
いずれにしても、どれを打つかということをきちんと説明を受けた上で選べる形にするのかどうかということが前提としてどうなのかなと、ちょっと伺えればと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
私もできるだけ早期に9価のワクチンでの定期接種化ということについて賛成です。現在あるエビデンスから考えると、2回接種でできるだけ多くの方に接種していくというのが真っ当ではないかなと思っております。しかも、昨年、積極的勧奨が再開されて、この時点で9価のワクチンがいつ出るか分からないから、皆さん打ってくださいというメッセージを出しながら推進していったところもあります。ここで9価のワクチンが来年から使えるようになるという話が出てきたときに、早く打った人は損をしたなと思われることを懸念しております。医療者としても、そのような推奨をしていた中で、患者さんを少し裏切った気持ちになることもあります。
これは可能ではないことかもしれませんが、全員に2回の接種の機会を与えるということが、できたら一番よいと思います。あるいは、9価と4価のワクチンで、カバレッジにさほど大きな差がないということのデータを示すことができればと思っております。この差については、先ほどウイルスの血清型のデータはあったのですが、臨床的な効果の差について、もう少し説明をいただければと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
9価のワクチンで、なおかつ2回の接種で、将来的には定期接種にしていきたいというお考え、私はそれを第1にお勧めしたい。今日の議題からいけば、この9価のワクチンを定期接種に位置づけることには、ですから、異論はございません。
あと、2価のワクチン、4価のワクチンをどうするかというお話も何人かの先生から出ていましたが、9価のワクチンの供給状態が十分であればいいかと思うのですけれども、全部の資料を通読いたしますと、もし希望者がたくさんいたとして、9価のワクチンがすぐに行き渡る状況ではまだないように読み取りましたので、混乱が起こってはいけないので、そこは慎重に考えるべき点が1つあるかなと思います。
あと、細かいことですが、4価と9価は同じメーカーからのワクチンかと思いますが、確かにカバーできる範囲が増えてきているのはいいことだと思いますけれども、アジュバントの量もちょっと増えていますので、これはちょっとした違いかもしれませんが、詳細なモニタリングというか、局所反応がどれぐらい違うのかとか、そういったことは続けていくべきであろうと思っています。
あとは、これは池田先生にちょっとコメントいただいたらいいのかもしれませんが、現場で接種していると、例えば2価、4価と9価を比べると、任意接種として打たれる場合、9価は大分お値段が高いのですね。ですけれども、費用対効果は9価のほうが高いというのは、広くがんを守れる、子宮頸がん等を守れるということで、QALYの計算でそうなっているのかどうか、その計算の根拠は子宮頸がんだけなのかとか、ほかのがんも考慮に入れておられるのかを簡単にお教えいただけるとありがたいです。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。後ほど池田先生にまたお尋ねしたいと思います。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 川俣です。
自治体のほうからすると、いろいろな意味で、9価に統一してくれるほうが自治体としてはやりやすいのかなと思っています。実は、昨年の議会で9価にどうしてしないのだという御質問をいただいた経過があります。ただ、国として任意接種にしかなっていないので、我が市のような小さなところで、任意接種だけではとても定期接種のほうの扱いはできませんということでお答えさせていただいています。これを2価も4価もと言われて、9価もありますというよりは、できたら9価で対応できるような、2回接種という方向づけがあると、自治体としては方法的にはありがたいのかなと思っています。
2価と4価でも、安全性があると思う方が受けたいというのはあるかもしれませんが、ある程度の統一感があると自治体としてはありがたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、ここにちょっと出てくるのが、男性を含めたというのが予定と書いてあるのは、後々は出てくるのでしょうか。12ページに書いてあるのはどうなのかなと、これは後からのお返事で結構ですので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、委員の皆様からいろいろ御意見いただきました。質問もありましたので、お答えいただくとして、その前に交互接種です。2価、4価がまだ完了していない途中の方々に9価を使うという交互接種に関してどう考えるかというところは、まだ御意見いただいていなかったなと思うので、後ほど、もしあれば御意見いただければと思います。
それで、いろいろ御質問いただきました。2価、4価、当面使用可能の意味はということを中山先生からいただきましたが、これは白井先生にも少し答えていただいたところでしたか。
あと、希望するワクチンが打てるような体制になるのかという話。
それから、9価と4価でカバレッジの差は当然あるのだけれども、臨床的な効果の差があるのかというところ。
それから、供給状況も書いていただいているのですけれども、実際のところどうかというところ。
それから、事務局からお答えいただいた後に、池田先生、費用対効果の中野先生からの御質問にちょっとコメントいただくという形で進めたいと思いますが、事務局からお願いできますか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。いろいろいただきましたので、まず、ワクチンの種類について、2価が必要なのかという御質問で、まさに9価というものが入ってくると、もちろん本当に必要なのかというお話が出てくると。2価の供給に関しましては、納入本数ベースですが、今、毎月、副反応検討部会合同部会でお示ししているものによると、大体数千本、月ごとに出ているというものでございます。2価はどういうものに使われているかといいますと、もちろん医療機関において2価しか扱っていないところは少ないと思いますが、現状、キャッチアップ接種において、過去に2価を打った方は原則同じワクチンを打ってくださいという形で、本年1月に、この基本方針部会の場で交互接種のお話をしたときに、エビデンス等々を含めて整理させていただいたところでございます。
ですので、この話は、9価に関しても、9価のキャッチアップで使えるようにするのかというところにも関わってくると思っております。なので、まず、キャッチアップにおいて9価を使えるようにできるかどうか。先ほど御提案させていただきましたが、こちらについて御意見いただく中で、2価の扱い、4価の扱いというところになっていくかなと考えております。
ちなみに、先ほど委員からもお話ありましたが、2価はメーカーがちょっと違うと。こちらは、アジュバントも少し違うということと、製造方法も少し変わってくるというのは、小委員会で御議論いただいたときにそういうお話がございました。ですので、薬として多少違うのかなというところもあります。
あとは、もちろん供給とか、そういう点も含めて、例えば9価が来年度のどこかで定期化になったときに、いきなり2価を切れるのかというところで、「当面の間」という文言について、先ほど御質問ありましたが、「当面の間」というのは、ずっとというよりは、基本的には需要等も含めながらでございますけれども、行く行くは恐らく切り換えていくような形になるのではないかなという予想の上で、ただ、キャッチアップのこともございますし、供給の面もございますので、白井先生におっしゃっていただいたとおりで、選択肢としては、当面、しばらくの間は残すという形の趣旨でお示ししたところでございます。2価に関しては、そのようなお答えになります。
2回接種でございます。こちらは、どうしても薬事承認というものが定期化の前提になってまいりますが、ここが申請されているかどうかというのも、まだ何とも言えないところがございますので、ここを待って定期化するのか。これだと9価の定期接種化の期間が分からなくなります。現状、承認されている3回として、まず来年度、なるべく早いうちから始めるのかという話に多分なってくると思われます。製造販売承認に向けた申請が始まると、その申請状況がどうなるのかというのも、恐らく企業とPMDAとのやり取りになると思いますが、そこの期間によって大分変わってきてしまうところがありますので、見通せない中でどうするのかという話がございます。
ただ、我々としても2回接種が非常に有用であると。これはワクチン小委員会で十分御議論いただきまして、当時、ワクチン小委員会でも、承認されていないけれども、技術的なところは、議論できるところはしようという形で整理されたところでございますので、基本方針部会の場においても、2回の申請・承認等を含めて、そこに関しては、厚労省等としてもメーカー等と協議しながら、どういう情報を出せるのかというところは相談してまいりますけれども、この場で議論できるものについては、議論させていただきたいと考えております。
2価と2回に関しては、一応そのようなお答えとなりますが、打ち控えのお話もいただきました。9価の定期化が来年度早期となった場合に、今の2価、4価の打ち控えが起こってしまうのではないかという御意見ですけれども、こちらに関しては、「打ち控え」というのをどう捉えるかというところでございますが、基本的に2価、4価、それぞれ薬事承認も含めて3回接種で、エビデンスとしては、これはここ1~2年で出てきているものでございますが、子宮頸がんそのものに対する有効性というものが2価、4価で示されているというのが、まず大きなものでございます。
もちろん、9価に関しても、これからそうしたエビデンスがいろいろ出てくると思いますけれども、2価を3回、予定どおりに打つ、4価を3回、予定どおりに打つ。これによってエビデンスが得られる。そして、このワクチンの特徴としては、こちらも過去分科会、基本方針部会でキャッチアップの議論の際におまとめいただきましたが、基本的には若い女性でより有効性が高いということ、こちらは免疫原性も含めてですが、何より性感染症でございますので、初交前に打っていただく、なるべく早くに打っていただくという形のワクチンでございますので、そういった観点も含めて、ちょっと考えていかなければいけないかなと思っております。
例えば、来年度からとして、先ほど坂元先生からもお話がありましたが、自治体の準備というものは、どうしても考えなければならないところでございます。打ち控えを本当に防ぎたいのであれば、だまし打ちみたいになってしまうのですが、例えば仮に4月からとして、2月にいきなり定期化というものを出さない限り、打ち控えを防ぐのはなかなか難しい。そうなると自治体が大混乱してしまうということがございますし、何より接種対象者の方々も急にという話になりますので、もろもろの観点を考慮しつつでございますが、そういったところで、今回、このような御提案をさせていただいているところでございます。
事務局から、まず今のようなお答えになりますが、一旦お戻しさせていただきます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
あと、例えば2価、4価と9価と、接種会場に行って選べるような体制になるのかであったり、臨床効果の差がどの程度あるかとか、供給状況に関しては、9価が始まっても2価、4価を続けるほうがいいのか、そんな話がありましたけれども、そこはいかがですか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。
4価と9価の臨床効果について、恐らくファクトシートでまとめているところもあるかなと思いますが、すみません、今、すぐには出てきませんが。
○脇田部会長 分かりました。では、ごめんなさい、先に池田先生に費用対効果のお話をちょっとコメントしていただければと思いますが。
○池田委員 池田でございます。
資料のほうでは、9ページのところに費用対効果について、9価HPVワクチンは、4価と比較して費用対効果に優れているとございまして、これは9価のワクチンのファクトシートの推計結果のほうから、このような形で1行にまとめていただいているのですが、基本的には中野委員のほうから御説明いただいたとおりのことでございまして、4価のワクチンより9価のワクチンが価格としては高いのですが、費用対効果を考える上では、今回検討しているアウトカムというのは子宮頸がんの罹患と死亡なのですけれども、4価より9価のほうが子宮頸がんの罹患を減らすことができ、治療費が減らせる。また、子宮頸がんの死亡を減らすことができ、質調整生存年、QALYが改善するということです。
ですので、結果的には、4価に比べて、9価はワクチン代が増える、治療費は減る。差引きで少しお金が増えるのですが、QALY、質調整生存年の改善の程度が一定程度ありますので、いわゆる増分費用効果比といいまして、増えた増分費用と増えたアウトカム、増分QALYの関係を見ますと、その費用対効果の基準を満たす。日本では、ICERというものが500万円以下であれば費用対効果はよいと一般的に考えられますので、この基準値を満たしていると。
つまり、これは今は9価が定期接種化になっていないので、接種された方の御負担になって、そこでは非常に負担がかかってしまうのですが、費用対効果の結果から考えますと、できるだけ早期に定期接種化することによって接種される方の御負担を減らすことにより、社会全体としては、その費用対効果として非常によい結果が得られると解釈できる結果でございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
あと、論点として、2価ワクチン、4価ワクチンで、9価との交互接種の是非というところをどう考えるか。
それから、9価を定期接種にするというところは、皆さん、今のところ異存なしということなのですけれども、令和5年度のなるべく早期からということでしたが、開始の時期もこれでよろしいかというところ。
あと、キャッチアップに9価を使えるかどうかという論点もございますので、もし御意見あれば、この辺りもお願いしたいと思いますが、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほどの2回接種と3回接種の話なのですが、今の説明を聞いていると、メーカー側が2回接種の申請をPMDAのほうに上げてきていないということのように理解しています。そうすると、メーカーが上げなければ、ずっと2回接種が行えないのかということになってしまいますので、私は、そうであれば、当委員会としてメーカー側に2回接種の申請をできるだけ早く行ってくださいということを求めてもいいのではないかと思います。つまり、当基本方針部会としては、メーカーが2回接種の申請を行わない限り、法律的にずっと行えないというならば、メーカー側に速やかに2回接種ができるように申請を行ってくださいというのを、さっきの続きとして、私はぜひ求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。海外で2回接種が行われているという現状で、2回接種に関する薬事承認の申請をメーカーに求めるということを、この委員会からしてはどうかという御提案ですね。
そのほか、いかがですか。どうぞ。
○井本評価分析専門官 すみません、事務局から。
今の坂元先生の御提案ですけれども、もちろん2回について、これは過去にワクチン小委員会でMSDの参考人からいただいた話として、「現在開発中である」ということでございました。その辺も含めて、メーカーのほうと今回の先生方の御意見を共有して、何か情報としてお出しできるかどうかを検討したいと考えております。
すみません、そもそもの話になってしまうのですが、2回については、申請状況とかもかなり不確定要素が強いという中で、とはいえ、9価の定期化について、これから開始時期について先生方に御意見いただくと思うのですが、まず、今、薬事承認されている3回接種で、あと、御提案させていただいた対象者についてもどうかというところを御意見として、もちろん開始時期とセットになると思いますが。
その上で、2回に関しては、我々としてもいろいろと努力が必要になりますけれども、なるべく接種対象者の方々が不便にならないような形で、どうやれるかというのをこれから考えていく。ただ、その間、基本方針部会においても、ワクチン小委と同様、議論できるところは議論して、例えば承認される、近いというときに、承認された後に定期化の流れにすぐにいけるような形、そういう御提案をさせていただきたいと思っておりますので、その辺りも御意見いただければと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
坂元先生がおっしゃられたとおり、国会の附帯決議みたいなものがあってもいいのではないかという気がします。
もう一つは、極端なことを言うと、薬事承認3回で、2回は定期接種にするけれども、1回分に関しては例えばしないという話は、強引なやり方かもしれませんけれども、そんなことも頭の体操としては考えてもいいのではないかなと思います。
キャッチアップについてですけれども、今まで2価もしくは4価を打たれた方が仮に9価を次に打ったときに、免疫原性も含めてどんな状況になっているのかということについての資料を出していただかないと、今の段階でキャッチアップに9価を使ってもいいですかということの結論を出せというのは、少し無理があるのではないかという気はしますが、その辺のデータをお出しいただくことはできるのでしょうか。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
交互接種、すなわちワクチンの互換性、インターチェンジャビリティのお話が出るときは、常にどれぐらいのデータがあるかというのが議論されて、正直なところ、たくさんのデータが出てくるケースというのはほとんどないですね。過去の例で言うと、生のポリオワクチンと不活化ポリオワクチンの互換性とか、最近の例ではB型肝炎ワクチンのジェノタイプAとジェノタイプCのお話とか、これは脇田先生、御専門ですからあれですけれども、たくさんのデータは余りないと思うのですが、少なくともHPVに関しても、他の国の予防接種行政としては、切り換えるときに互換性あり、すなわち交互接種を認めるという形で運用していて、重大な副反応は出ていないと理解しています。
また、過去に互換性を検討したいろいろなワクチン程度の、n数は少ないけれども、既に研究報告はあると思いますので、私は今の各委員の先生方の意見を伺っていても、9価への待望論が非常に強いということはひしひしと感じますから、きっと国民の皆様も同様かと思いますので、互換性ありとして定期接種の中で扱うほうがいいのではないかと考えています。
それに関連して、キャッチアップの方をどうするかということに関しても、これも先ほど来、出ておりますように、費用対効果のところで私も御質問申し上げましたが、より広くがんを守れるということがこのワクチンのメリットであれば、それはキャッチアップを行う方にもぜひ使っていただけるようにしてあげたいと思いますので、キャッチアップにも使用することが望ましいと考えます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 今、中野先生が整理してくださったことに賛同申し上げますが、私の懸念は、9価のワクチンの供給がどういう見通しでしっかり手に入るようになるのかというところがちょっと分からないので、定期接種にする時期というのはあらかじめ決めないといけなくて、それは供給の様子などもきちんと十分検討した上で、この時期から定期接種にしますということは、しっかり検討した上で決めなければならないと思っています。
また一方で、期限が決まったことによって接種を控えてしまうという方が一定程度出るということについては、こういうふうに数種類のワクチンが徐々に変わっていくという場合には、ある程度やむを得ないことであって、これをあらかじめ提示しておいた定期接種の開始時期を突然抜き打ちで早くするというのは、それはあり得ないことであります。ですから、それは定期接種の開始時期を決めて、それで行っていくということがいいと思います。
今、2価と4価と9価のワクチンがこういう形で提示されるようになりましたけれども、2価のワクチンが初めて打てるようになったときに、それによって子宮頸がんを予防できるというのは大変な恩恵だったわけでありまして、現在、それがまたさらに株が増えて9価のワクチンということに至ったのですから、それは2価のワクチンや4価のワクチンに対しても、しっかり敬意を表するべきだろうと私は思います。
それで、今後の方向としては、現状において9価のワクチンが幅広く打てるようになる体制が望ましいということは、皆さん合意だろうと思いますので、それが可能な時期をしっかり責任を持って国が決めて、そして、それに従って粛々とやっていくということではないかと思います。
交互接種の件については、中野先生が先ほど整理されたように、そんなにエビデンスが積み上がるのを待っているということでなくて、交互接種が可能というところをある時点でしっかり決めるということで整理せざるを得ないのではないかと思います。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 私も現在ある枠組みの中で、粛々とできることをやっていくべきかと思っております。ですので、2回のほうがよいと思いますが、現在、3回でという形であれば、それはそれで9価のワクチンを定期接種化に進める。交互ワクチンについても、安定的な供給ができるのであれば、9価と4価ないし2価との交互接種を可能とするということについて賛成です。現実的な調整を行った結果、開始する時期が4月ということであれば、それで良いと思います。
その上で、9価と4価の差はどの程度のものなのかということは、説明責任として提示すべきではないかと思っています。非常に大きな差があるということであれば、これは定期接種の枠を超えるかもしれませんが、個人として追加の接種を打っていくというオプションも出てくるかなと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
キャッチアップで認めるというのは、私ももっともだと思います。
あと、以前、償還払いという形をお認めいただいたと思うのですが、もちろん勧奨接種を止めている間にこの9価を打ってしまったという場合も、償還払いの対象にしていただければありがたいと思います。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
様々、御意見ありがとうございました。最後のところで償還払いの件が出てまいりました。事務局から、その点に関して、それから、ほかの点も含めて、コメントがあればお願いいたします。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
まず、キャッチアップでの償還払いにつきましては、対象となる方が接種の機会を逃した期間は、定期接種化された後の期間であった、という前提がございます。ですので、それのキャッチアップということで各自治体に御対応いただいているところなのですが、9価のワクチンに関しましては、現状、まだ定期接種化されていないということがございます。ですので、ほかの定期接種されていないワクチンと同様の考えといいますか、もちろんこれは定期接種になれば公費でカバーされるという税金を使ってのものになりますので、その辺りを考えなければいけない。この場で今、何か答えがあるものではないのですが、少なくともその違いというのは大きいかなと考えております。
そして、幾つか御意見ございましたが、まず供給についてでございます。こちら、今、お示ししているのは、あくまでも過去のワクチン評価小委員会でメーカーから御発言あったところでございますが、ここには来年度早期からとお示ししておりますが、普通に考えれば、対象に関しましては、先ほどの御説明のとおり、小学校6年生の学年、高校1年生の学年と、学年で区切っているものでございます。
さらに標準的な接種として、いわゆる積極勧奨の対象となる予診票が送られるのは中学校1年生。そこに予診票が送られて、接種を受ける方が一番多いところでございますが、そこも学年で区切られていると考えますと、おのずと一番いいところというのが見えてくるのですが、それも今回、先生方にいろいろいただいておりますし、現状で先ほど出したように、過去の審議会といっても昨年のものになりますので、本日のお話を受けて、厚労省としてメーカーと供給について、改めて、この御意見を踏まえて話していくという形になると思います。
そして、エビデンスに関してでございます。キャッチアップで使用可能かどうかという話と交互接種はセットになるかなと考えておりまして、つまり、キャッチアップで9価を使えると認めることは、すなわち交互接種を認めるということになりますので、こちらに関しては、まず考え方としては、この資料1-1の22ページ、これは1月のこの基本方針部会でお出しした資料でございますが、このときに2価と4価の交互接種がどうかという議論をしていただいております。ただ、ここにお示しのとおり、海外では9価はもう普通に当たり前に使われておりますので、見ていただきますと、例えば英国、4価ワクチンで始めた場合にも、9価ワクチンで残りを代用することが可能ですとか、主要国、大体認めているというものでございます。
一方で、エビデンスがどうかといいますと、先ほど中野先生がおっしゃられたように、すごく多くあるわけではない現状かなという認識はしております。ただ、それも踏まえて、恐らく次回以降になると思いますが、事務局のほうで、この1月に2価と4価で整理させていただいたのと同様の形で、国内の使用状況とかエビデンス、入手可能なものをそろえて、またお諮りしたいと考えております。
そして、最後に、宮入先生から先ほどいただきました臨床的な9価と4価の違いということですが、こちらは参考資料1-3に9価ワクチンのファクトシートがございます。これの36ページに、9価HPVワクチンの臨床試験成績、海外での臨床試験という項目がございまして、こちらの1段落、2段落のところに、4価のワクチンと9価のワクチンの比較の情報が書いてございます。こちらは、先ほどの資料でおまとめしたのと結局同じになるのですが、4価でカバーできないハイリスク型については、もちろん9価のほうが、例えば高度子宮頸部疾患とか、そういうアウトカムに対して効果がある。
さらに、4価と共通するものについては、平均抗体価については同等か、それ以上であったと。結果、こちらの共通の遺伝子型に対しても、免疫原性については非劣性であることが示されたというものが書いてございます。ファクトシートベースに言うと、このような形でエビデンスが示されているという御紹介になります。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
あと、今回、議論していただく定期接種の対象者の年齢を、これまでと同様でよろしいかということがありましたので、もし御意見あればというところです。小学校6年生から高校1年生というところで、海外では9価の2回接種、9歳から14歳ということがありますが、これまでと同様でよろしいですかというところは、もし御意見あればと思います。
それでは、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 すみません、先ほどの追加なのですけれども、例えば来年度から始めますよというと、待つ人が出てくるというのはやむを得ないので、これはもうある時期から変えないといけないということは十分分かるのですが、待つことがよくないというメッセージを伝える必要が私はあるのかなと思います。例えば、コロナワクチンでも、次の新しいものが出ると待とうかということも出てくるのですけれども、現段階において、その間に重症化とか起こってしまうので、待つことはよくないと周知してます。
多分、これも同じだと思うのですね。年齢がどんどん上がっていけば、当然、ワクチンの効果とか感染する機会とかが増えてくるので、待つことは決してよくないと、今あるワクチンをしっかり適正な年齢内に打つことがいいことだというメッセージをちゃんと伝えていくということが、例えば、待ってしまう人を防ぐために、そういうメッセージも私は大事だと思いますので、その辺の工夫を国としてもお願いしたいと思います。
先ほどまでの議論の追加でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。大体よろしいですか。よければ、まとめに入っていきたいと思います。
そうしましたら、今、定期接種化の是非、対象者、接種方法、ワクチンの種類と開始時期というところで御意見をいただいてまいりました。それに伴う様々なアドバイスといいますか、御意見もありましたので、それも十分に参考にしていただくわけですけれども、まず、定期接種化の是非につきまして、この9価のHPVワクチンを予防接種法における定期接種の対象にするというところは、皆さん、御異論がなかったと思いますので、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
その上で、9価のHPVワクチンの接種方法として、これは議論があったところですけれども、現状承認されている3回の接種。それから、接種の対象としては、2価のワクチン、4価のワクチンと同様の年齢を対象にするというところで、当面、取り扱うということで了承していただけますでしょうか。もちろん御意見あったとおり、2回というところは、承認申請をメーカーに促してもらうように厚労省が働きかけるということを申し添えておきたいと思います。公開情報でなかなか出てこないというところもありますので、多分、厚労省は状況を十分分かっておられると思いますから、2回接種に関する承認申請をぜひ進めていただきたいということも、この我々の審議会の意見としてもつけ加えるということであります。
それから、キャッチアップと交互接種がありました。これは、先ほど事務局からもセットでという話がありましたけれども、このキャッチアップに関する取扱いについては、皆様から御意見いただきましたので、また事務局で次回の審議会までにデータ等を整理していただいて、議論することにしたいと思います。
それから、使用するワクチンの種類ということで、9価のHPVワクチンが定期接種化された場合、2価と4価のワクチンの取扱いです。これは、供給の状況等があるということですので、当面は2価、4価も使えるように、全てのワクチンを使用可能にしていくということで、御意見としては、2価は今後、使えなくするというとあれですけれども、定期から外してもいいのではないかという御意見もあったということは承知しておりますけれども、現状においては2価、4価も使えるようにしておくということで、結論としてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それから、交互接種です。ごめんなさい、いろいろと論点があって、キャッチアップと交互接種は同じような論点でありますけれども、交互接種に関してもエビデンスをまとめていただくということで、また次回、議論したいと思います。
最後に、定期接種の開始の時期につきましては、接種対象者の利便性、ワクチンの供給、自治体の接種体制などを踏まえて、今日、事務局から提案がありました令和5年度の早期ということで準備を進めていただくということでよろしいですか。こちらもありがとうございました。
最後に、接種の対象者が、定期接種開始までに一部の接種を9価ワクチンとして任意で行った場合にも、残りは定期接種として完了するということで、これもよろしいですか。
それでは、特に御異論ないということですので、以上の点につきましては了承していただいたということで、結論としては、9価のHPVワクチンの定期接種化については問題がない。それから、定期接種化する場合には、まずは承認されている3回の接種として、接種対象者は現行の定期接種の対象である2価及び4価と同様にする。それから、9価を定期接種化した後も、当面の間、2価及び4価のワクチンも使用可能とする。そして、定期接種化の時期は、令和5年度の早期をめどに準備を進めていただくということで御了承いただいたということであります。
一方で、キャッチアップと交互接種については、次回の審議会以降に整理していただくということで今日も御意見いただきましたので、また次回の審議会で議論したいと思っております。
それでは、HPVワクチンについては以上になりますが、よろしいですか。どうもありがとうございました。
では、次に参ります。議題2です。百日せきワクチンを含む混合ワクチンについてに移ってまいります。こちらも、ワクチン評価の小委員会におきまして議論が取りまとめられました。本審議会への報告書が作成されております。それでは、事務局からこちらの議論の経緯を含めて、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○井本評価分析専門官 事務局から御説明申し上げます。
こちらは、資料2-1を御覧ください。
右下ページ数で1ページ目に本日の議論の流れをお示ししてございます。この議論の理由、目的といたしまして、1ポツ、2ポツの大きく2つございます。
まず、1ポツ、こちらは現在承認申請中でございますが、5種混合ワクチン。これは、ジフテリア、百日せき、破傷風が3種混合、DPTとなります。そこに不活化ポリオが加わって、現在の定期化されている4種混合ワクチンになりますが、それにHibワクチンを加えた5種のワクチンでございます。こちらの現状について、改めて御説明させていただきます。
そして、もう一点、2ポツ目でございますが、特にここが重要なのですが、百日せきという疾患の予防、特に乳児の重症化予防という意味合いでスケジュールを前倒しするということについて、お諮りしたいと考えてございます。
2ページ目から5種混合ワクチンのお話となります。ただ、こちらは基本的に本年1月の本基本方針部会におきまして報告させていただいたものがメインとなります。それの追加情報も含めて、改めて御説明申し上げます。
まず、3ページでございますが、5種混合ワクチン、現在、国内の2つのメーカー、黄色となっているところでございますが、開発中でございます。以前の1月の基本方針部会におきましては、右にあるように申請準備中となっておりましたが、2社とも既に申請を行いまして、現在、承認審査中でございます。今後、審査の時期によりますけれども、それを経て、ワクチン評価小委員会において定期化の議論が始まっていくと予想されております。
4ページ目は少し古いのですが、平成25年の生産・流通部会におきまして、この5種混合ワクチンの開発についての議論がされた際にまとめられたものでございますが、現在、日本における4種混合ワクチンは、初回接種として、標準的には生後3か月から4、5か月と、1か月置きのスケジュールで接種されております。
ちょっと飛ぶのですが、11ページ目に、分かりやすく、小児科学会にお出しいただいているスケジュールがございまして、こちらは4種混合、Hibワクチンを含めて比較が分かりやすくなってございます。
そして、4ページ目に戻りますと、Hibワクチンについては、ここに記載のとおり、生後2か月、3か月、4か月と、4種混合ワクチンに比べると1か月早いというスケジュールでございます。
また、海外におきましては、基本的に4種混合ワクチンも含めて生後2か月から接種が行われるということから、今後、この時点ですが、5種混合ワクチンを開発する場合には、ここに記載のとおり、生後2か月から、要はHibワクチンに合わせるような形で開発するということが報告されて了承されたというところでございます。
ページが少し飛びまして、6ページ目でございますが、こちらは1月の基本方針部会におきまして、5種混合のスケジュールを考慮して、現行の4種混合の接種時期を検討するということについて部会にお諮りして、報告した上で了承されたという経緯がございます。
そして、8ページ目からは百日せきのお話でございます。ここから、百日せきという疾患の予防の意味で御説明させていただきたいと思っております。
まず、百日せきという疾患は、乳児、特に生後6か月未満の赤ちゃんが罹患すると重篤になるおそれがございます。現状のスケジュールは、4種混合ワクチンとして、先ほども御説明させていただいたとおり、生後3か月になってから免疫をつけ始めるという形になっております。また、百日せきという疾患の国内の発生状況につきましては、2018年から、それまで定点だったものが全数把握となりました。そこで分かってきたのが、発症のピークの年代が就学期の児童と若年から壮年期にかけての成人であることが分かってきました。
こうした状況を踏まえて、過去のワクチン評価小委員会におきまして、乳児の重症化予防という大きな目的を達成するために、どのような案が考えられるのかという観点で、10ページになりますが、左側のマル1からマル6、6つの案が検討されまして議論が行われてまいりました。この6つの案につきましては、記載のとおりなのですが、先ほど申し上げました百日せきの発症のピークになる、例えば5歳~7歳に、現状4回の接種を、5回目を行うかどうか。
また、定期で11歳に行われております2種混合ワクチン。2種というのは、ジフテリアと破傷風ですが、これを3種混合にするというお話。
そして、今回のお話でございます、マル3で、スケジュール自体を前倒しにして、初回接種として3、4、5。そして、追加として1.5歳、1歳半で行っているものを、初回接種を2か月から3か月、4か月とするという案です。
マル4に関しては、そのスケジュール自体を、4回接種は変えずに2か月、3か月に打った後に1歳半。そして、5歳~7歳に接種する。
そして、5番目としては、妊婦さんに追加接種することによって、赤ちゃんが生まれたときから免疫を持っている状態にする。
6に関しては、妊婦さんの御家族に対して追加接種。これらの案が検討されてまいりました。
ページが飛びます。12ページ目でございます。過去のワクチン評価小委員会におきまして、今回、お諮りするものでございますが、先ほどの6つの案のうちの生後2か月からの前倒しの案という概要を記載してございます。先ほどのお話のとおり、特に生後6か月未満の赤ちゃんが百日せきに感染すると重篤となるリスクが非常に高いですが、これを現行の3か月からの接種を2か月からにすることによって、年間で100名程度の乳児の患者が減少することが期待できるという案でございます。
さらに、この下でございますが、追加接種費用の発生はないので、費用対効果にも非常に優れた案であるとまとめられております。
ただ、これらが整理されたのが、第15回、令和2年のワクチン評価小委員会でしたが、このときには、いい案ではあるのですが、生後2か月から接種した場合の有効性と安全性のデータがないというのが、この案の最大のネックでございました。
そんな中で、次の13ページですが、今年の3月のワクチン評価小委員会におきまして、改めて6つの案を整理して、この赤字のところが今回の案でございます。データがあれば早期に検討可能とされてきたところで、ちょうど先ほど御説明した5種混合ワクチンの開発データとして、国内2社から、生後2か月からの接種についての治験データが出てまいりました。
それが14ページ目に記載してございます。この3月の第18回ワクチン小委員会において、非公開でございましたが、国内2社のメーカーに御参加いただき、治験データを共有した上で、その有効性・安全性が審議会として評価されました。
この臨床試験の概要と書いてある真ん中の枠でございますが、DPT-IPV、4種混合ワクチンを生後2か月から接種開始した集団と、生後3か月から、通常どおりに接種した集団のデータを確認いたしました。結果、有効性については、初回免疫後の抗体価については、どちらの群もDPT、ポリオに対する抗体価において、発症防御レベルを大きく上回って、追加免疫後にさらなる上昇を認めた。安全性についても、両集団とも、有害事象の内容・割合に大きな問題は見られなかったという結果になってございます。
なお、この安全性につきましてですが、この記載に追加で御説明いたしますと、この審議会で非公開のデータによりますと、概要だけになるのですが、5種混合ワクチンの対象群として、4種混合、Hibワクチンの同時接種というのが設定されておりましたが、死亡や重篤な副反応について、この生後2か月から、3か月からの接種、両集団ともに認められていないということ。
また、現在の定期接種においては、生後3か月から接種されておりますが、こちらで一般的に認められる有害事象でございます、発熱とか接種部位の発赤、これらの症状につきましては、生後2か月からの接種でも同様に見られておりまして、特段割合が高いものではなかった。これらについて、ワクチン小委員会で確認されたというものでございます。
これらの経緯を含めて、ワクチン小委員会で議論がまとめられまして、こちらの資料2-2になりますが、先ほどの9価のHPVワクチンと同様に報告書が取りまとめられて、今回、基本方針部会に至るという経緯でございます。
そこで、17ページ目からの今回御議論いただきたい論点でございます。
18ページ目でございますが、大きく3つ挙げさせていただいておりますが、まずは4種混合ワクチンのこうした経緯を踏まえて、接種開始時期を今の3か月から2か月にしていただく。併せて、接種スケジュールも、現在、標準的とされている3か月、4か月、5か月を、Hibワクチンに合わせる形で2、3、4にするという案でございます。
そして、(2)は、4種混合ワクチン以外でも定期接種化されております3種混合ワクチン、そして不活化ポリオワクチンに関しても、特に添付文書上、生後2か月から接種が妨げられていないということもありますので、併せて同じような形で前倒しをする。
そして、先ほどと同じです。(3)で接種開始時期の前倒しについて。この3つでございます。
19ページ目からのスライドでございますが、少し簡単に御説明ですけれども、先ほど御説明させていただいたとおりで、この赤枠でございます。4種混合ワクチンに関しては、現在の定期接種における接種開始時期(生後3か月)を2か月に前倒しすることについて、ワクチン評価小委員会と同様、基本方針部会でも了承する方針でよいか。
また、その接種スケジュールについても、接種対象者の利便性、こちらは赤ちゃんの保護者の方、お父さん、お母さんが受診されるときに、今のHibワクチン。そして、11ページ目を見ていただくと、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンと同じ接種スケジュールで接種することができますので、それに合わせる。そして、今、開発中の5種混合ワクチン、いずれ定期化、導入されることを想定して、それも含めて接種スケジュールを合わせるということについて、お諮りしたいと考えております。
20ページ目でございます。先ほど説明のとおりでございます。百日せきワクチンを変更する。同時に、4種混合に含まれているのと、3種混合ワクチンに含まれているものがございますし、4種混合としては不活化ポリオワクチンも含まれておりますので、それらをセットで接種スケジュールの変更とするということについて、お諮りしたいと考えております。
そして、最後のスライド、22ページでございます。接種開始時期について。こちらは、先ほどの9価のHPVワクチンと同様の検討課題にしておりますが、まず供給に関しては特に影響はないと考えております。
そして、自治体の準備に関しても、特にワクチンの種類が増えたり、回数が増えるわけではございませんので、こちらに関してもスムーズにいくことが予想されます。
こうした状況を踏まえて、こちらに関しては令和5年4月から定期接種を開始するという形で準備を進めていく。これに関して、お諮りしたいと考えております。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、小委員会のほうに参加していただいている池田先生、神谷先生から、こちらについても、今、事務局から御説明ありましたけれども、追加の御意見あれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
お願いします。
○神谷委員 神谷です。
ワクチンというのは、病気にかかる前にワクチンを打って抗体をつくって、病気を軽く済ます、あるいはかからないようにするということが大前提だと思いますので、5混のワクチンが出るからということではなく、得られたエビデンスからして、今の日本において2か月から打つというのは、疫学的な観点からすると非常に適切ではないかというのと。
あと、11ページのデータの研究班に私も関わっているのですけれども、患者数だけじゃなくて、1回打っている人のほうが、打っていない子よりも重症化する子がかなり少なくなっているというのも確かですので、早い時期からワクチンを打って免疫をつける、かからない、あるいは重症化を予防するということは、非常に理にかなっているのではないかと考えて、そういった意見がワクチン小委員会のほうでもありました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
百日せきの疾病負荷の問題点が、乳児のところと就学児のところと2つあって、少なくとも乳児のところの疾病負荷を減らすというところには、この案が効果的じゃないかという議論だったと思いますが、池田先生、小委員会に参加されて、もし何か追加の御説明、御発言等あればお願いしたいと思いますが。
○池田委員 現時点では特にございません。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、混合ワクチンの接種スケジュールの前倒しというところで、百日せきによる乳児の重症化予防の観点から、4混ワクチンの接種開始時期及び接種スケジュールについて、これは前倒しにするというところですね。2か月から始める。それから、4混以外のワクチンの接種開始時期及び接種スケジュールについて、これは3種混合とIPVということでした。これも同様にするということですね。それから、定期接種化の開始時期をどうするかというところを論点として事務局からお示しいただきましたので、皆様からまた御意見いただければと思いますので、手を挙げていただいて御発言いただければと思いますが。
坂元委員、中野委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
実施時期が令和5年4月ということは、令和5年4月1日から開始するということなのですが、市町村として通知する関係上、4月1日以降、生後2か月になっている子供はオーケーという理解でよろしいのですね。そうでないと、市町村としては始まる前に通知しないと、恐らく御本人の元に届かないので、そういう理解で構わないかということが質問でございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野委員 有効性と安全性のデータにつきましても、これは今、承認申請中の製剤の治験ですので、具体的な数値は多分配布とかはやりにくいのだろうと思いますけれども、事務局から詳細に小委員会での議論も含めて御説明いただけましたので、納得できました。なので、私は、接種時期を1か月前倒しするということは、百日せきの疾病負担、100人ぐらいですか、現状で重症の百日せきにかかっている人を救えるということであれば、これはぜひ1か月早めるべきで、なおかつ、自治体の準備が整うようであれば、少しでも早い時期のほうがよろしいでしょうから、来年4月から可能であれば、その時期に1か月前倒しするということに賛成でございます。
あとは、ほかのワクチンについては、DPTについては百日せき含有ワクチンですから、同じ考え方でいいだろうと思いますし、また、ポリオに関しては、疾患は異なりますけれども、今、例えば米国でワクチン由来株による麻痺患者さんが出ていたり、ロンドンの下水からもその株が取れていたり、先進諸国でもポリオの疾病負担というものが改めてクローズアップされていますので、薬事承認上、問題ないということであれは、この機会に2か月から接種できるように整備しておくほうが、ワクチン予防可能疾患の代表的な疾患ですから、よりよいと思いますので、賛成でございます。
1点申し上げておきたいことは、有効性と安全性のデータ、さっき申し上げたように十分納得しているわけですが、接種時期が1か月早まりますと、どうしても乳児期前半ですので、SIDS、乳児突然死症候群等の、いろいろな意味で生活機能が未熟な子供たちですので、突然いろいろなことが起こる。これはワクチンに関係なく起こる例も含めて、SIDSという疾患もその辺りは好発年齢でございますので、接種時期が1か月早まると、こういったSIDSが接種後に報告されるという数も、百日せきの子が救われると同時に、偶発例も含めて数が増えると思うのです。
その辺りが、これは接種後だから因果関係があるのではないかということで国の中が混乱してはいけないと思うので、1か月早まると、例えばSIDSを接種後に起こしてしまう、発症してしまった方がどれぐらい増えるのか、事前に試算でもあると、そういうことが起こったときに検討することもできるので、ちょっと準備しておくことが必要かなと考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。この前倒しが始まった後に、SIDSの発症頻度といいますか、そういうものに変化が起こるかどうかというところも重要なポイントと思いました。ありがとうございます。
宮入委員、白井委員の順番でお願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
私も前倒しについては賛成ですし、接種開始時期についても特に異論はありません。生後2か月からの接種ということになりますと、ワクチン接種による発熱が懸念されます。生後3か月未満の発熱は医療機関への受診につながることが想定されます。ただし、もともと生後2か月で接種しているHibや肺炎球菌のワクチンの発熱率のほうが高いと思いますので、4種混合ワクチンをさらにそこに加えることによって、特段の影響が増えることはないと思います。生後3か月のときに4種混合ワクチンを打ったときには、初回接種のとき、発熱率は1~2%ぐらいだったかと記憶しているのですが、その程度の増加だと考えてよいか、可能な範囲で教えていただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
私も、前倒しというか、ほかのワクチンと同じ時期に打つということを進めるのはいいかなと思います。ただ、私たちにとっては前倒しという言い方になると思いますが、被接種者というか、保護者の方々については、時期が一緒でいいですよという御案内になるかなと思うのですが、単純な疑問なのですけれども、2か月に4種類も5種類もという話になると、1か月の間に毎週打つような形になるのか、ある程度同時接種で、現場というか、小児科の先生はお勧めになっているのか。その辺の負担感などはどうなのかなと思いましたので、自治体としては優先というのはないと思うのですが、どこから始めましょうかといったときにどういう勧め方をしたらいいかなと思いましたので、教えていただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 私のほうも、1か月前倒しというのは、期間がかなり短いのです。生後生まれて2か月しか余裕がないときに、広報してワクチンを打ってくださいということをするので、PRの仕方、あと広報で安全性があるというきちんとしたものをつくっていただければ、これは広くできるのではないかなと思います。別々にたくさん打つよりは、一度で済むということもありますし、安全性をよくアピールしていただけるとありがたいので、よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、ここでちょっと区切りをつけまして、今、委員の先生方から御意見、御質問いただきました。
坂元先生から、来年4月1日以降で1か月齢になるということでよいのかという話だったと思います。
それから、SIDSのことが中野先生からコメントございました。
宮入先生からは、発熱の程度の御質問ですね。
それから、白井先生からは、同時接種の負担感をどうするのかというお話と。
それから、川俣先生からは、PRの仕方、広報の仕方についてということですので、事務局から順次、コメントいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
まず、4月1日からということですので、坂元先生が言われたようなオペレーションが妥当というか、もちろんその形かなと思っております。このオペレーションの仕方とかにつきましては、今回、こちらで来年4月からという形で御了承いただいた上で、しっかりと検討するという形になります。ただ、基本的には先生のおっしゃったようなやり方になるかなと考えております。
あと、ちょっと飛ぶかもしれませんが、宮入先生からいただいた発熱に関しましては、先ほど駆け足で御説明したので恐縮なのですが、ワクチン評価小委員会において非公開のデータに基づいて検討されたものにつきましては、発熱、接種部位の発赤。こちらは、4種混合とほかのワクチンと同時接種を含めてという形になりますが、一般的に認められる有害事象として、生後3か月から接種した者と生後2か月から接種した者、データ上は同程度、同様に見られて、何か割合がすごく高いものではなかったという、非公開で審議された内容なので、そこまでのお話になってしまうのですが、ちょっとお答えになっているかどうか分からないのですが、一応そういった形のデータとなってございます。
あと、川俣先生からいただいた広報の仕方でございますが、どのような形になるのかというのは、もちろん市町村ごとに違うということもありますし、どのようなオペレーションになるか、先ほどの坂元先生へのお答えと同様になりますが、まず、この場で御了承いただいた上で検討していきたいなと考えておりますので、また改めて検討させていただきます。
○脇田部会長 あと、中野先生からコメントいただいた、SIDSに対する注意喚起みたいなところはいかがですか。何かこれまで検討されていますか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。
こちらに関しても、恐らく定期物として副反応検討部会のほうで定例で報告させていただいており、そこで、例えば死亡例なども定期的に3か月に1回ぐらいのペースで御報告しております。SIDSは特に死亡という形になりますので、その場で報告するような形になるのではないかと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、さらに御意見等ございますか。
手は挙がっていないのですけれども、神谷先生にちょっと伺いたいのですが、乳児の疾病負荷が100人程度減らせるのではないかという話ですけれども、就学時の百日せきに関する対策の検討は、今、どのような状況なのですか。今日の論点とずれるのですけれども、神谷先生にお話。
○神谷委員 研究班ベースでは、就学時前のうちに打って、例えばちゃんと抗体が上がるかとか、あるいは乳児が誰から感染を受けているかというところを見ると、学童児というところもあって、今回は直接的に乳児に抗体をつけるということですけれども、それだけじゃなくて、菌を乳児に近づけないという意味で、就学時前の接種というのは有効ではないかということは、研究班ベースではいろいろやっていますけれども、多分、そういった議論は小委員会等では話し合われるところまではいっていないと理解しております。
○脇田部会長 分かりました。研究班での議論ですね。ありがとうございました。
ほかにどうでしょうか、いかがでしょうか。ございますか。よろしいですか。
○井本評価分析専門官 先生、事務局でございます。
先ほどたしか白井先生から、同時に接種するものになるかという御下問があったと思うのですが、基本的に今、2か月から接種されておりますHibワクチン、小児肺炎球菌ワクチン、そしてB型肝炎ワクチンは、同じ日に医療機関で接種するという形になってございますので、この4種混合、2か月からという、現状、3か月では、4混も含めて全部接種しておりますので、同じような形になるのではないかと考えております。この辺りは、中野先生、宮入先生、お詳しいと思いますので、もし異論があれば御意見いただきたいなと考えておりますが、一応そのような形でございます。追加でございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。先ほどの白井先生のコメントに対するお返事ということでした。その点についてもよろしいでしょうか。
そうしましたら、こちらもまとめていきたいと思います。
3つの論点がありましたが、最初の、この4混ワクチンの接種開始時期、スケジュールについてです。こちらは、百日せきによる乳児の重症化予防という観点から、現在の定期接種における4種混合ワクチンの開始時期は、生後3か月から1か月前倒しをするということ。その場合に、今後の5混ワクチンの導入、対象者の利便性等も見据えて、Hibワクチンの接種スケジュールに合わせるということでよろしいでしょうかというところが、まず1点目です。こちらはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
次に、4種混合ワクチン以外のワクチンの接種開始時期、接種スケジュール。これは、先ほど3混とIPVということがありました。こちらも、中野先生からも御意見をいただきました。IPVのほうも、今、世界的に見るとポリオがワクチン由来株の流行が少し広がってきているということもありますので、3混、単身の不活化ポリオワクチンについても、初回接種の接種スケジュールを合わせるというところで、2か月から始めるということですね。ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
そして、今回、お諮りしております定期接種化の時期としましては、令和5年度からをめどにして準備を進めていただくということとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
そうしましたら、以上のことを本審議会の結論としたいと思います。
それでは、事務局におかれましては、この結論を踏まえまして、定期接種化に向けた手続をお願いしたいと考えます。よろしくお願いします。事務局のほうもよろしいでしょうか。
○井本評価分析専門官 脇田先生、ありがとうございます。
○脇田部会長 よろしくお願いします。
それでは、議事は以上になりますけれども、事務局からさらに何かございますか。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございました。本日も活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いします。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 それでは、今日の会議はこれで終了したいと思います。
今日も活発な御議論、どうもありがとうございました。これで失礼いたします。