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- 第47回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録
第47回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録
日時
令和4年9月15日(木) 10:30~12:30
場所
AP虎ノ門11階B室(オンライン)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
出席者(五十音順)
- 阿部 彩
- 岡部 卓
- 小塩 隆士 (部会長)
- 栃本 一三郎(部会長代理)
- 山田 篤裕
- 渡辺 久里子
議題
- 固定的経費の算出方法について
- 新型コロナウイルス感染症による影響等について
- 生活の質の面からみた生活実態・意識の分析について
- その他
議事
- (議事録)
- ■小塩部会長 おはようございます。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第47回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
事務局より、本日の委員の出欠状況と、資料の確認をお願いいたします。
それから、オンラインで出席されている委員の方がいらっしゃいますので、会議での発言方法等についても、改めて御説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 まず、本日の委員の出欠の状況でございますが、宇南山委員、新保委員から御欠席との連絡を受けております。その他の委員の皆様は、御出席をいただいております。
事務局においては、本多審議官が遅れての出席となります。
傍聴につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、本日は、一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。
議事録につきましては、後日、ホームページに掲載いたしますので、御承知おき願います。
続きまして、本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、資料1「固定的経費の算出方法について」。
資料2「新型コロナウイルス感染症による影響等について」。
資料3「生活の質の面から見た生活実態・意識の分析について」。
参考資料1「被保護者調査(概数)の結果(令和4年6月分)」。
参考資料2「2019年全国家計構造調査 収支項目分類一覧」。
参考資料3「現下の生活困窮者等への支援について(委員依頼資料)」となっています。
資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
よろしいでしょうか。
会議の進行に当たりましては、お手元の資料を御覧になりながら御参加いただければと思いますが、事務局からの資料説明の際には、Zoomの画面上にも資料を表示するようにいたします。
また、会議中、発言を希望される際は、カメラに向かって挙手をお願いいたします。
部会長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は、再度マイクのミュートをお願いいたします。
それでは、これからの議事運営につきましては、小塩部会長にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
■小塩部会長 分かりました。
カメラ撮影の方は、これで御退室いただきたいのですが、よろしいですね。
それでは、議事に入ります。
本日は、3つの議事を終えた後、事務局からの報告として参考資料3についても説明があります。
それでは、本日の議事に関する資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 資料1「固定的経費の算出方法について」を御覧ください。
こちらは、前回第46回部会の御議論を踏まえまして、事務局で作業して問題点を抽出するよう部会長から指示がありましたので、整理をした上で、固定的経費の算出方法について、具体的な手法を改めてお示しするものになります。
2ページです。
こちらは、前回の部会の資料にも掲載しておりましたが、4月の第43回部会で共有事項としております、検証作業の進め方の抜粋と6月の第45回部会の資料に掲載した基準額との比較検証に当たって参照とすべき指標の抜粋となります。
3ページです。
算出方法に関する論点として、前回の部会で御意見いただきました点を記載しています。
まず、「(1)固定的経費の判定を行う支出項目の単位について」です。
1点目は、前回の部会の資料でも御説明していますが、平成29年検証においては、用途分類による小分類の各支出項目について、固定的経費、変動的経費にそれぞれ分類していましたが、2019年全国家計構造調査では、収支項目分類について、品目分類が基本とされ、調査のデータ上、用途分類による値は、基本的に大分類(費目)のみに限られることとなりました。
2点目としまして、分析の考え方としては、同一の品目であっても社会参加を維持するための支出を切り分ける観点から、用途分類による支出項目で判定することが望ましいという意見がございました。
ただし、この場合、今申し上げたように、データの制約上、大部分が大分類の支出項目での分類によることとなります。
3点目は、同じ大分類の項目の中であっても固定的なものと変動的なものが相当程度混在している可能性があることから、きめ細やかに分析する観点に立つのであれば、品目分類による支出項目で判定することとなるのではないかという御意見がありました。
下段の点線囲みの中は、前回の資料にも記載していましたが、品目分類と用途分類の違いの説明です。
4ページです。
「(2)固定的経費の判定方法について」ということで、具体的な判定式に関する論点になります。
こちらのページでは、各支出項目の固定的経費、変動的経費の判定方法について、平成29年検証において用いられた方法を、下の点線枠囲みに手法マル1として記載をしています。
点線枠内の1つ目のマルにありますように、各支出項目の対数を消費支出額の対数で回帰をして、支出弾力性に当たる係数ηを算出いたしまして、2つ目のマルにあるように、ηが1と有意な差があり、1を下回る場合には固定的経費に、1を上回る場合には変動的経費にそれぞれ分類をします。
ただし、3つ目のマルにあるように、ηと1の差に有意な結果が得られなかった支出項目については、その上位項目の固定的経費、変動的経費の格付で代替することとしております。
5ページです。
上段の枠内の1つ目のマルは、前回第46回の部会の資料でもお示ししていますが、前のページの手法マル1で固定的経費、変動的経費の判定を行う場合、支出する世帯が少ない支出項目については、多くの世帯で、当該項目の支出額の対数がゼロとなるために、支出の内容によらず、固定的経費として判定される可能性があります。
その上で、前回の部会では、判定式の具体的な改善方法について御意見をいただきました。
2つ目のマルにありますように、一時点の支出構造の分析をする際には、被説明変数を各支出項目の支出額の対数とするのではなく、各支出項目の支出額の消費支出額に占める割合とする下記の手法マル2によることが考えられるという点です。
下の点線枠内の手法マル2が、その具体的な算式になりまして、赤字の部分が、手法マル1から変更となる箇所になります。
回帰式の左辺をY分のCiとして回帰分析を行い、係数γを算出します。このγが有意であるか、そしてゼロを下回るか、上回るかにより、固定的経費、変動的経費の判定をするというものになります。
6ページです。
こちらは補足として、手法マル1から手法マル2へ変形させる手順について記載しています。
手法マル1で用いられている式からスタートしまして、両辺からln(Y)を引くことにより、左辺が支出シェアY分のCiの対数となります。
ここでY分のCiの対数が、ln(Y)について減少すること、あるいは増加することと、Y分のCiが、ln(Y)について減少すること、あるいは増加することは同値でありますので、一番下に記載してある式で、γがゼロより大きいか小さいかということが、支出弾力性ηが1を上回っているか、下回っているかに相当することとなります。
7ページです。
こちらは、さらに加えて御意見をいただきました操作変数法によるものとなります。
上段の枠囲みのマルにありますとおり、手法マル2の回帰式により判定を行う場合には、内生性が問題となるということで、これをコントロールするための方法として、年収額を操作変数とするような下段の点線枠内の手法マル3によることが考えられます。
上段枠内の※書きは補足となりますが、ここでの内生性というのは、個別の支出項目の支出額が増加する場合、被説明変数である支出シェアと、説明変数である消費支出額の対数がともに増加することとなるため、相関が生じるという問題になります。
手法マル3の内容については、下段の点線枠内になります。
赤字は、手法マル1から変更となる箇所になりますが、手法マル2との違いは、回帰式中の右辺のYがYハットになっている点であります。
このYハットは、世帯の消費支出を世帯収入で回帰した場合の理論値になります。
続きまして、9ページです。
今、説明をしました手法マル1、手法マル2、手法マル3のそれぞれで判定を行った結果となります。
品目分類、小分類ベースで判定をしたものと、右側の下のブロックには、用途分類で判定したものを記載しています。
品目分類、小分類による結果は、2019年全国家計構造調査の集計項目が、中分類以上に限られる部分については、中分類の支出項目で判定しています。
括弧が付されているものは、回帰式の係数から有意な結果が得られなかったことから、上位項目の固定的経費、変動的経費の格付で代替したものとなります。
また、表中のバーは、上位項目の格付で代替しても判定できないもの及び支出世帯がゼロ%のものとなります。
また、表中の支出世帯の欄は、それぞれの支出項目について、どれくらいの世帯が支出をしているか、その項目の支出がある世帯の割合となります。20%未満のものについて、網掛けで表示をしています。
3つの手法によって結果が異なる点としましては、例えば、品目分類の小分類では、まず一番左の列にある、食料の中の外食が、手法マル2では有意な結果とならず、上位項目の食料の格付を代替して固定的経費となる一方で、手法マル1、手法マル3では、変動的経費となっています。
また、そのすぐ下の学校給食費ですが、手法マル3では有意な結果とならず、上位項目の外食の格付を代替して変動的経費となる一方で、手法マル1、手法マル2では、固定的経費となります。
さらに、その下の住居におきましては、家賃・地代が、手法マル3では固定的経費となる一方で、手法マル1、手法マル2では、上位項目の格付を代替する形で変動的経費となっています。
さらに、その下の家具・家事用品では、費用全体としては、いずれの手法でも有意な結果が得られませんが、内訳の家庭用耐久財の中の家事用耐久財などは、支出世帯が少ないので、手法マル1では、固定的経費と判定をされています。
真ん中の列、中段にあります、交通・通信の自動車等関係費については、手法マル3では、自動車等維持費が固定的経費とされ、有意な結果が得られない自動車等購入、自転車購入は、上位項目の格付を代替して固定的経費となっています。
続いて、右側の列の下のほうに、用途分類について示していますが、大分類で判定した場合にも、手法マル3では、食料は有意な結果が得られず、一方で、住居、交通・通信は固定的経費となっています。
さらに、その他の支出項目のうち、交際費の内訳につきましては、手法マル1では、支出世帯の少ない各項目で、固定的経費と判定をされています。
続きまして、10ページです。
こちらは、操作変数に関する回帰分析結果として、消費支出を世帯年収で回帰した結果を示しております。
続きまして、11ページです。
参考としまして、2019年全国家計構造調査の支出項目と、品目分類の小分類との対応関係を示した表になっています。
12ページです。
こちらも参考として、前回、平成29年検証における固定的経費と変動的経費の判定方法と、その判定結果となります。
14ページです。
ここまでの点を踏まえまして、採用する算出方法の案でございます。
まず、固定的経費の判定を行う支出項目の単位については、前述の論点を踏まえまして、品目分類による小分類の支出項目で判定することとしてはどうかと考えております。
次に(2)の固定的経費の判定方法につきましては、前述の論点を踏まえまして、手法マル3により固定的経費、変動的経費の判定を行うこととしてはどうかと考えております。
ただし、2つ目のマルにあるように、係数が有意ではない支出項目について、上位項目の固定的経費、変動的経費の格付で代替をすると、個別の支出項目の傾向と異なる判定結果となる可能性があることから、上位項目の格付での代替は行わないこととしてはどうかと考えております。
これは、※書きにありますように、例えば、手法マル3において、学校給食に係る回帰分析の結果として、消費支出の係数はゼロより小さいところでありますが、有意な結果ではないため、仮に、上位項目である外食の格付に合わせると、変動的経費となってしまうということを懸念してのものとなります。
資料1の説明は、以上になります。
■小塩部会長 ありがとうございました。
ただいま、事務局の安西さんから資料1について説明をしていただいたのですけれども、ほかに補足すべきことは、ございますでしょうか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 本日御欠席の宇南山委員からコメントを頂戴しておりますので、議論に資するよう、先にお伝えをさせていただきたいと思います。
宇南山委員からは、資料1の事務局提案の方法について、品目分類による小分類の支出項目で、手法マル3による方法が妥当だと考えるというコメントを頂戴しております。
なお、本来は、世帯属性等をコントロールした上で、世帯年収による効果を捉えるべきと考えているが、今回は夫婦子1人世帯に限っての分析となるため、現実的な作業として、世帯属性の違いを考慮せずに、消費支出額のみを説明変数とする1変数の回帰式により判定することでもよいと考える。
また、計数が有意ではない支出項目の取扱いについては、もとより、全ての支出項目が、固定的経費、変動的経費のいずれかに分類されるものではなく、いずれとも判定されないものが当然生じるものであり、判定されなかったものについて、あえて上位項目の格付で代替する必要はないと考えるという旨の補足を頂戴しています。
以上でございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
今日御欠席の宇南山委員のコメントも参考として紹介していただきました。
それで、委員の皆さんに、ぜひ議論をしていただきたいのですけれども、14ページ目に、固定的経費の算出方法についての案を示していただいております。
そこで御意見をいただきたい点が、2点ございます。
1つ目は(1)です。この判定を行う際の支出項目の単位をどうするかという点です。原案は、品目分類による小分類の支出項目でどうかということでございます。
2つ目は(2)ですけれども、固定的経費をどういうふうに判定するのかということです。
これについては、今日御説明がありましたけれども、手法のマル3、これでどうかという原案が示されております。
それぞれについて、順番に御意見をいただきたいと思います。
まず、1番目の単位をどうするかという点について、御意見はございますでしょうか。
阿部委員、お願いします。
■阿部委員 御提案どおりの小分類でよいと思います。
■小塩部会長 山田委員、お手が挙がっています。お願いします。
■山田委員 ありがとうございます。
基本的に私も品目分類で仕方がないかなと思っています。理由は、9ページの用途分類による結果を、その他の消費支出について細かく出していただいた表がございますけれども、そこでも細かい用途分類でも、大分類でもほとんど有意となっていないということから、ほかの交際費は、むしろ変動になっているということからすると、本来であれば、目的からすれば用途分類を使うべきという意見に変わりはないのですけれども、実際のところ、一番社会参加で気になる交際費については、ほとんど有意でない結果が出ていますので、品目分類で細かくやっていくということについて、異論はないです。
ただ、1点教えていただきたいのですけれども、この交際費というのは、特掲になっているかと思うのですけれども、特掲になっている場合に、この用途分類による結果の上のほうの食料から、この特掲になっている食料は除いて推計されているのでしょうか。それとも、この食料は、特掲になっている交際部分を含めた食料となっているのでしょうか。ちょっとそこの点について、どういうふうに処理されたかというのを教えていただければと思います。
その上で、ちょっと気になっている点を、また(2)について、判定方法についてのときに、またコメントを差し上げたいと思いますので、まず、技術的なところの確認をお願いできればと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員から御質問がございましたが、事務局、答えていただけますでしょうか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 御質問のありました件について、お答えさせていただきます。
例えば、用途分類での食料というものにつきましては、これは、品目分類での食料との対応関係で申し上げますと、品目分類による食料から、この特掲にあります交際費のうちの食料分を差し引いたものが、用途分類の食料ということになってございます。
■小塩部会長 山田委員、よろしいですか。
■山田委員 分かりました。
では、この支出項目の用途分類による結果の支出項目の食料というのは、もう既にこの特掲の食料を引いて推計されているということですね。分かりました。どうもありがとうございます。
それでも、大分類で有意とはならなかったということですね。分かりました。ありがとうございます。
■小塩部会長 1番目の点につきまして、御意見ございますでしょうか。
よろしいですか。
岡部委員、お願いいたします。
■岡部委員 了承です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、1番目の点につきましては、品目分類による小分類の支出項目を単位として判定するということにしたいと思います。
続きまして、2番目の点です。ちょっと数式があって、結構難しいのですけれども、判定方法について御意見ございますでしょうか。
山田委員、お願いいたします。
■山田委員 ありがとうございます。
この手法マル3により、固定的経費、変動的経費の判定を行うということについて、基本的に私も賛成します。その上で2点ございます。
1点目は、やはり推計式の中で、世帯属性はコントロールしないという考え方もある一方で、小、中、高生とか、そういう形で少し子供の学齢によるコントロールをした場合に、例えば、教育というのがどう変わるのかというのは、少し見ておいたほうがいいなと思います。
というのも、例えば9ページで教育に支出している人というのは、夫婦子1人なのですけれども、54%しかいないということですね。これは、多分、ちょうど授業料や教材費を払ったりする月が、調査対象月になっていないから出てこないというのもあるわけですけれども、本当にないというのと、それから、たまたま調査月に対応していないから、ないというのと、それが全部混在しているので、そういった教育費による圧迫のようなものを見るためにも、教育については、子供の小、中、高生がいるか、いないか等の大ざっぱな世帯属性でやっても、この結果に変化がないのかというのは、確認しておく必要があるかなと思います。
そして、2点目なのですけれども、例えば、7ページに推計式ですけれども、これは、例えば、総支出に占める食費の割合とか、それから、総支出に占める住居費の割合というのは、消費が増えていくに従って、操作変数法で所得が後ろでコントロールされているわけですけれども、増えていくに従って、その支出割合がどんどん増えていったり、減ったりするわけですけれども、食費とか、住居の場合には、御存じのとおり、エンゲルの法則とかシュワーベの法則によって、実は低所得層では、その傾向が全く逆になっている可能性があるということですね。
ですから、特に住居とか、特に食料が大分類でも、手法マル3では有意になっていないということで、ダッシュ、マイナス記号が入っていると思うのですけれども、住居や食料への支出割合を、固定費・変動費の判定について確認した後でも、多分、最終的にどういうふうに、第1所得十分位で細かく見るかとか、あと、第10所得十分位まで支出割合がどういう割合の変化をしているのかを見るかあると思うのですけれども、その際に食料と住居の支出割合については、丁寧に見ていく必要があるのではないか。この線形の推計式を使うのであれば、ということになります。
私からは、以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
基本的には、手法のマル3でいいということなのですけれども、教育、それから住居については、丁寧にチェックする必要があるだろうという御意見をいただいております。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいですか。
事務局から、何かコメントはございますか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 頂戴しました御意見につきましては、1変数での判定方法によることの御懸念点ということで、御意見として受け止めさせていただきます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、2番目の点につきましては、ご指摘があった点に留意しつつ、手法のマル3について作業を進めるということで、改めてしっかりと結果を確認していくということです。
ということで、それでは、14ページの事務局の提案に基づいて、作業を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の議事に移ります。
事務局から説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料2「新型コロナウイルス感染症による影響等について」を御覧ください。
1ページです。
こちらは、4月の第43回部会でまとめていただいた、検証作業の進め方の抜粋になります。生活扶助基準の水準等の妥当性の検証に当たって、新型コロナウイルス感染症による影響等ということで、家計調査により、2019年以降の夫婦子1人世帯における年収階級第1・十分位と、第1・五分位の生活扶助相当支出の動向を確認し、これを踏まえた上で、現在の生活扶助基準について、どのように評価すべきかを検討することとしておりました。
この作業に当たって使用するデータは、2019年から2021年の家計調査のデータになります。
2ページです。
表のとおり、2019年から2021年にかけての生活扶助相当支出の推移を集計しています。
左側から夫婦子1人の勤労世帯の年収階級第1・十分位、年収階級第1・五分位、右側は、参考として2人以上勤労世帯の年収階級第1・十分位と、年収階級第1・五分位の集計値となります。
黄色の網掛けの部分になりますが、夫婦子1人の勤労世帯の年収階級第1・十分位と、第1・五分位の世帯における生活扶助相当支出は、2020年、2021年と対前年比で、それぞれ2から3%程度の減少をしているというところになっています。
費目別の寄与としましては、食料が2か年続けて増加に寄与しているということ、交通・通信や、その他の消費支出が2か年続けて減少に寄与しているという数字になっています。
3ページです。
先ほどの集計結果を踏まえまして、新型コロナウイルス感染症による影響等の評価の案といたしましては、2019年以降、2021年にかけて、夫婦子1人の年収階級第1・十分位及び第1・五分位の世帯における生活扶助相当支出額は、新型コロナウイルス感染症の影響等もあって減少をしている。
費目別には、食料が増加する一方で、交通・通信が減少に寄与するなど、消費行動に変化があったものと見られるが、新型コロナウイルス感染症の影響による減少は、一時的なものである可能性に留意する必要があるとしてございます。
資料2の説明は、以上になります。
■小塩部会長 ありがとうございます。
ただいま、資料2について説明をしていただきましたが、御意見、御質問ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、特に御質問等ないようですので、次の議事に移りたいと思います。
事務局から説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 それでは、続きまして資料3「生活の質の面から見た生活実態・意識の分析について」を御説明いたします。
1ページです。
こちらは、先ほどもありました、4月の部会の資料1でお示しした検証作業の進め方の抜粋になります。
記載にありますとおり、生活扶助基準の水準等の妥当性の検証に当たって、令和4年度の検証では、消費実態だけでなく、生活の質も踏まえた検証を行う観点から、基準検討会、正式な名称は「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」になりますが、この検討会で報告のあった生活保護世帯における生活の質の面から見た消費支出や生活実態等の分析を参考に、社会保障生計調査や、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査を用いて、同様の分析を行うこととしております。
参考とする具体的な分析内容については、枠外の※に書いていますが、社会的必需項目の不足世帯数・割合の分析、また、収入階級別に見た社会的必需項目の不足に関する指標に係る生活保護世帯と一般世帯との比較分析となっています。
参考といたしまして、本資料の24ページから28ページまでに、基準検討会の資料をつけておりますので、適宜御参照いただければと思います。
2ページです。
ここから8ページまでは、6月の第45回部会において、過去の生活保護基準見直しによる影響分析としてお示しをした資料になっています。
直近の令和元年7月における社会的必需項目ごとの不足状況について掲載しています。
表の見方や、下の囲みにあります注釈については、6月の際に説明をしておりますので、改めての説明は省略させていただきますが、世帯類型別に2から3ページが、高齢者世帯の単身世帯、2人世帯、4ページ、5ページが、母子世帯の2人世帯、3人世帯、6から8ページが、その他の世帯の単身世帯、2人世帯、3人世帯と7区分でお示しをしています。
第44回と第45回の部会の議論では、主に経年変化をどのように評価するかという観点で御議論をいただいたところです。
一方で、生活保護受給世帯と一般世帯との不足割合そのものの比較については、例えば、全般的に生活保護受給世帯が一般世帯と比べて不足割合が大きいのではないか。冠婚葬祭への出席ができない、急な出費への対応ができないという回答割合が、一般世帯と比べて生活保護受給世帯が高くなっているのではないかなどの御意見がありました。
また、生命保険へ加入していない割合についても、一般世帯と比べて生活保護受給世帯が高くなっているというところでございます。
今、申し上げた点も含めまして、令和元年7月の結果についてどのように評価すべきか、生活保護受給世帯と一般世帯の比較の観点から、コメント等をいただければと考えています。
次に、資料の9ページまでお進みください。
こちらも基準検討会の分析を参考に、生活保護受給世帯と一般世帯における収入階級別の社会的必需項目の不足に関する指標を確認させていただくものとなっています。
まず、1の集計対象ですが、基準検討会の分析を参考に、生活保護受給世帯の実収入と一般世帯の可処分所得を用いた分析を行うため、資料に記載しているとおり、社会保障生計調査により、生活保護受給世帯の実収入が把握可能な世帯や、国民生活基礎調査により、一般世帯の可処分所得が把握可能な世帯について集計を行っています。
特に生活保護受給世帯の実収入は、月額での把握となるため、12か月全てのデータが存在していない世帯などを除くというような処理を行っています。
続いて、2の確認内容ですが、まず、マル1といたしまして、社会的必需項目13項目の不足状況を表す指標として、社会的必需項目の剥奪指数を、生活保護受給世帯と一般世帯の収入階級別に確認をいたします。
下の※書きに記載をしてございます。この剥奪指数は、社会的必需項目の不足ごとに1点を加算し、項目ごとに先行研究で必要と回答された割合を乗じて重み付けをし、合計点数が100点になるように指数を算出いたします。
詳細につきましては、後ほど11ページで、改めて御説明します。
10ページです。
確認内容のマル2として、社会的必需項目の不足数別世帯数割合を生活保護受給世帯と一般世帯の収入階級別に確認いたします。
また、確認内容のマル1とマル2に共通しますが、生活保護受給世帯の実収入には、家賃に充当される住宅扶助費も含まれていることから、一般世帯との持ち家率の違いによる影響も考慮し、持ち家なしの区分でも集計を行うこととします。
今回、分析を行うに当たっての社会的必需項目について、下の点線囲みの部分を御覧ください。
1つ目のマルは、先行研究の調査結果により、社会的必需項目とされた項目に対応する家庭の生活実態及び生活意識調査の13項目を選定しているということを記載しています。
2つ目のマルは、13項目中の急な出費への対応と、生命保険等の加入については、基準検討会の議論の中でも、生活保護制度の制度的な制約を受けている可能性、具体的には、預貯金を保有することへの一般世帯と生活保護受給世帯との意識の違いや、貯蓄性の高い保険への加入が認められていないことなどが影響しており、これらの項目があることで全体の剥奪項目の比較が、一般世帯と生活保護受給世帯でかなり難しくなってしまっているとの御指摘があったところです。
剥奪指数や不足数などを評価するに当たりましては、この点についても御留意をいただければと考えております。
11ページです。
こちらは、剥奪指数の具体的な算出例になります。
点数は、全ての項目が不足した場合に100点となるように計算いたしまして、例えば、緑で囲んでおります、1の食事の頻度と、7の炊飯器の保有の項目が不足している場合は、それぞれ89%、0.89と、75%、0.75を足して、それを社会的必需項目の回答割合の13項目の合計、赤囲みの部分ですが、9.31で割り、それに100を乗じるという計算をしています。
このケースでは、点数として17.62点になるところです。
12ページです。
こちらは、収入階級別に見た社会的必需項目の剥奪指数の表になっています。
左側の表が高齢単身世帯、右側の表が高齢2人世帯で、それぞれ生活保護受給世帯と一般世帯に分かれています。
表の見方ですが、生活保護受給世帯は実収入、一般世帯は可処分所得を用いて、収入階級をそろえて、剥奪指数の平均を表示しており、全体と持ち家なしの場合の2つの剥奪指数の平均を載せています。
剥奪指数は、最大が100になるというものです。
これらの集計に当たりましては、2ページから8ページにあります、生活保護受給世帯と一般世帯の社会的必需項目の不足状況の表と同様に、下に注釈で書いていますが、生活保護受給世帯の集計は、世帯類型別、級地別に被保護者調査による全数を母集団とする拡大乗数を設定して集計し、生活保護受給世帯と一般世帯の世帯類型、地域構成の違いによる影響を除去する観点から、生活保護受給世帯と一般世帯のいずれの集計においても、令和元年度被保護者調査における世帯類型、級地構成により補正を行っています。
また、収入階級別で集計を行ったことにより、区分ごとの集計世帯数が少なくなっていることから、数字の評価をするに当たっては、相当程度の幅を持ってみる必要があると考えています。
高齢単身世帯、高齢2人世帯について生活保護受給世帯と一般世帯の収入階級をそろえて見てみますと、各階級において、おおむね生活保護受給世帯のほうが一般世帯よりも剥奪指数が高くなっているというところです。
以降、13ページが、母子世帯の2人世帯、3人世帯、14ページ、15ページが、その他の世帯の単身世帯、2人世帯、3人世帯となっておりますが、個々の説明は省略をさせていただきます。
また、14ページ、15ページにあります、その他の世帯は、高齢者世帯、母子世帯以外の世帯となっておりまして、傷病者世帯、障害者世帯が含まれることになりますので、御留意をいただければと思います。
次に、16ページを御覧ください。
こちらは、収入階級別に見た社会的必需項目の不足数と、不足数別世帯数割合の表になります。
このページは、高齢単身世帯について、左側が生活保護受給世帯、右側が一般世帯の表となっており、それぞれの表において、全体と持ち家なしの数字を載せております。
表の見方でございますが、生活保護受給世帯は実収入、一般世帯は可処分所得を用いて、収入階級をそろえて数値を載せております。
表の左側から、該当世帯数、社会的必需項目の不足数の平均、こちらは最大が13となるものです。
そして不足数別世帯数割合と数字が並んでいまして、さらに不足数別世帯数割合については、内訳として、不足なし、1から3項目、4項目以上ということで掲載をしていて、この3つのパーセントを横に合計をすると、100%になるものです。
こちらの集計についても、先ほど申しましたとおり、2ページから8ページの生活保護受給世帯と一般世帯の社会的必需項目の不足状況の表と同様に、下のとおり注釈がございます。生活保護受給世帯の集計は、世帯類型別、級地別に被保護者調査による全数を母集団とする拡大乗数を設定して集計し、生活保護受給世帯と一般世帯の世帯類型、地域構成の違いによる影響を除去する観点から、生活保護受給世帯と一般世帯のいずれの集計も、令和元年度被保護者調査における世帯類型、級地構成により補正を行っています。
また、収入階級別で集計を行ったことにより、区分ごとの集計世帯数が少なくなっていることから、数字の評価をするに当たっては、相当程度の幅を持ってみる必要があると考えています。
こちらの高齢単身世帯について、生活保護受給世帯と一般世帯の収入階級をそろえてみますと、各階級において生活保護受給世帯のほうが、一般世帯よりも不足数が大きく、不足数別世帯数割合の不足なしの割合が少なくなっているというところです。
以降、17ページが、高齢2人世帯、18ページ、19ページが、母子世帯の2人世帯、3人世帯、20ページから22ページが、その他の世帯の単身世帯、2人世帯、3人世帯となってございますが、個々の表の説明は、省略いたします。
先ほどと同様ですが、20ページから22ページにございます、その他の世帯につきましては、高齢者世帯、母子世帯以外の世帯であり、傷病者世帯、障害者世帯が含まれるものとなりますので、御留意をいただければと思います。
今回、生活保護受給世帯と一般世帯の消費階級をそろえて、社会的必需項目の不足に関する指標を確認いたしましたが、生活保護受給世帯と一般世帯との指標の差についてどのように評価することが可能か、収入以外の様々な要因の影響も含めて御議論をいただければと考えてございます。
また、この資料には、参考として24ページから28ページに、生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会において、社会的必需項目の不備に関する指標を検討した際の資料を、また、29ページから32ページに、5月の第44回部会でお示しをしています、生活保護受給世帯の収支の状況及び一般世帯の消費指数の状況の資料をつけていますので、あわせて御参照いただければと思います。
資料3の説明は、以上になります。
■小塩部会長 ありがとうございました。
ただいま事務局から資料3について説明をしていただきました。この資料3について、御意見、御質問ございますでしょうか。
阿部委員、お願いいたします。
■阿部委員 資料について、何が分かったかと、1つ言えることは、前回のときにも話したような気もするのですけれども、一般世帯と被保護世帯を比べると、同じ収入階級であっても、一般世帯よりも被保護世帯のほうがずっと剥奪されている割合も多いですし、項目も多いということ、不足なしの割合が少ないということですね。ということが、どの世帯タイプでも分かるかなと思います。ひとり親世帯でも同様なことが言えるということですので、それを鑑みて保護基準というのは決めなくてはいけないということですね。
私たちは、今、所得だけをベースに、相対的に第1・十分位という形で保護基準を決めるということを、手法としては取っているわけですけれども、その方法だけで見ると、やはり物質的な剥奪の状況が起こりやすいということは、やはり留意しなければいけないと思います。
以上です。意見でした。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員、いかがでしょうか、お願いします。
■山田委員 ありがとうございます。
私も45回のときにコメントを差し上げたのと、重なる部分が多くて恐縮なのですけれども、やはり社会参加という面で、社会的剥奪指標の中身を見ていきますと、親戚の冠婚葬祭の出席というのが、一般世帯に比べて生活保護受給世帯のほうが非常に難しくなっているとか、あとは、急な出費への対応とか、そういった経済的コントロールの面で、一般世帯に比べて被保護世帯というのは、かなり制約を受けている。生活保護という最低限の生活費というのが、たとえ給付されていたとしても、社会的剥奪の側面では、被保護世帯というのは、明らかに剥奪度合いが非常に高いということに留意する必要があるということですね。これは以前のコメントと重なる点です。
あと、もう一点は、一般世帯で、やはり持ち家なしと、全体を比べた場合の、この差が、むしろ被保護世帯で持ち家なし全体で見たときの差よりも、幾つかの世帯類型で大きくなっていると。
これは、何を意味するのかということなのですけれども、やはり一般世帯については、持ち家なしということは、家賃を支払っているということになると思うのですけれども、家賃による圧迫で社会的剥奪指標が高くなっているということに注意しなくてはいけないと。
ということは、やはり、これから一般世帯を使って、色々とパラメーター推計の際、コントロールするときには、家賃のようなものを必ずコントロールしないと、家賃による圧迫というのが、ちゃんと捉えられなくなってくるので、その点は、非常に重要な統計数値かなと思いました。
私からは2点、以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
岡部委員、お願いいたします。
■岡部委員 2点、お話を述べさせていただきます。
1点目。阿部委員、山田委員から出たお話にも当たると思いますが、制度的な制約を受けることで、剥奪度が非常に高まる、また、急な出費に対応できないということが出ています。
この点については、先ほどもお話がありましたように、冠婚葬祭のような急な出費に対応できないことに対し、生活保護基準の経常的最低生活費以外に、臨時最低生活費、すなわち、一時扶助にて、特別な需要に対しては対応することになっておりその範疇には入らないと考えます。
そうしますと、社会的活動に当たる出費を、新たに設定する必要があります。制度的な話になりますが、これをどこまでカバーするかということになります。これには、2つの方法があります。1つは、預貯金等の手持金額の保有限度を上げる方法、もう1つは、新たに社会参加扶助のような扶助費目を設ける、あるいは急な出費に対応する一時扶助を設けるかどうかの話になってくると考えます。これは、データで、そこから何を考えられるかとなると、そういう観点も出てくるのではないかと思います。
2点目は、これは、栃本部会長代理が、以前生活構造論の話と、第1・十分位のお話をされました。この剥奪度を感じるのは、従来の生活に対して、新たに生活困窮状態になったならば、これまでの生活ができない、そのずれが剥奪と読み取ることもできます。これは、従来の自分の営んでいた生活構造が行えなくなったということで、剥奪が出てきたこと読み方はできないか、これは、解釈の問題になってきます。この生活保護の基準の中で、剥奪度をどういう解釈するということについて、事務局でも結構ですし、委員の皆さんのほうでも御意見をいただければと思います。
前半部分は、制度論的な話になっています。後半の部分は、このデータの剥奪を、どのように読み取るかという話です。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
この資料について、色々解釈をどのようにするか、それから何を読み取るかという点について、色々御意見を頂戴いたしましたが、ほかに追加で、何かおっしゃりたいことはございますでしょうか。
よろしいでしょうか。事務局から何かコメントはございますか。お願いします。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 ありがとうございました。
それで、社会的必需項目に関して、今回分析している趣旨ということですけれども、御承知のとおり、消費実態だけではなくて、生活の質も含めた検証を行うという観点から、これまで継続的に使用してきた社会的必需項目を確認するということになっております。
一方で、資料のほうにちょっと書かせていただきましたけれども、一方で、生活保護受給世帯のサンプル数であるとか、個々の項目で見ますと、制度的な制約の部分、そういったものも剥奪度合いに影響している部分というのもありますので、そちらについて留意していただいた上で、どのように評価するかという点があろうかと思います。
その上で、社会的参加費用に類するような社会的必需項目が生活保護受給世帯のほうで低く出ているのではないかというところに関して言いますと、これは非常に難しいかなと思っていて、生活保護制度自体が、その費目の使途を限定して支給する制度ではないので、全体の水準の中で見たときに、社会的参加費用に対してどのように使途が向けられるかというところとの観点もありますので、非常に剥奪指標として傾向が出ているということは受け止めさせていただきたいと思っております。
それと、今回は社会的必需項目が、生活保護のほうが高いという結果が出ているということについて、一応先ほども言いましたけども、生活保護受給世帯のサンプル数が少ないため、相当程度の幅を持って見る必要があると。
あと、制度的な制約を受けている可能性についても留意するということが、剥奪指標の点であるのと、もう一つ、今回の結果というのは同程度の収入で一応比較をしているということを踏まえますと、必ずしも、生活保護の給付水準による不足とは限らない部分も、例えば、様々な生活課題を抱える世帯において、家計改善の支援、まさに運用の面でやっている部分、そういった支援というのも必要であるような事情、そういった可能性も含めて考えまして、こうしたことを踏まえて、御指摘の点を受け止めたいなと思っております。
あと剥奪手法を、先ほど岡部先生のほうからいただきました保護受給開始前の部分なども考えながら、データとしてどう読むかということについては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
今回提出していただいた資料は、消費とか所得では把握できない、色々な生活保護を取り巻く環境について、丁寧に拾うという非常に貴重な意義があると思うのですけれども、我々も重く受け止める必要があると思うのですが、阿部委員、追加でコメントがあるようですので、お願いいたします。
■阿部委員 今の事務局の御説明ですけれども、サンプル数が少ないといったことは、例えば、全体の平均値で見ても明らかに違うので、そこは、所得を細かく分けたから、それでできないということではないと思うのです。
特に生活保護世帯のほうは、比較的に所得の幅が小さいですし、もともとそのような幅があってはいけない制度だと思いますので、全体の平均値でやっても全然問題ないわけなのですけれども、それで見ても、やはり明らかな、誤差範囲以上の差は明らかにあるというのは、それはきちんとやはり、懸念すべきですとか、そういう言葉を入れてしまうと、何かそれが信頼するべき値ではないというような印象を与えてしまうので、そこのところは、そういった言い方はなさらないでいただきたいなと思います。
もう一点が、収入以外の様々なというふうにおっしゃいまして、そこで家計の支援をしているというような、家計ですか、支出のほうのサービス支援、そういったこともおっしゃいましたけれども、ちょっとそこも言うと、同じ金額でやりくりできないのは、それは、生活保護世帯の方々の家計管理の能力が低いからだと言っていると、捉えられかねない。
これは、私は、そのようなことを、もちろんそういった世帯もあるかと思いますけれども、一般世帯の方の中でも、そういった方もいらっしゃいます。
やはり、生活保護基準部会の公式な場で、そのような見解を述べるというのは、やはりよろしくないことかなと思います。
それ以外にも、もちろん収入だけでは説明できないところ、例えば、生活保護世帯の方々のほうは、例えば、バーゲンですとか、そういったところに行くようなことができない状況にあるとか、様々な要因があるわけですから、そこで、家計管理のノウハウを教えたらどうにかなるというものではない。
また、そのほかの色々な要因があるにしても、そこに、例えば、追加のお金の支給をすることによって、その不利な部分というのが解消される場合もある。
ですので、やはり、この結果というのは、それをきちんとやはり受け止めるべきだと思います。
意見として、ここではちゃんと申し上げさせていただきたいと思いましてありがとうございました。
■小塩部会長 ありがとうございました。
山田委員、お願いいたします。
■山田委員 ありがとうございます。
私も阿部委員と同じく、かなりこの剥奪指数の数値が開いておりますので、サンプルサイズが大きいか小さいかということを考えても、きちんと統計的に検定すれば、多くの部分は有意な差が出てくるのではないかと、それぐらい開いていると印象を持ちました。
そして、やはり、被保護世帯では住宅扶助が出ていると。持ち家がない一般世帯は、そういう住宅扶助が出ていないという状況を考えると、そうした住宅に関する扶助は出ているにもかかわらず、それでも冠婚葬祭の出席が難しいとか、急な出費への対応が難しいとなれば、やはり被保護世帯では何か家計管理に帰することができない理由があるというのが推察されるので、それを制度上の問題とか、家計管理が悪いのではないかというようなことを示唆するというのは、ちょっと読み取り、このデータを読む限り、やや逸脱しているかなと、私も印象を持ちました。あくまでも学識者として委員はいるので、その委員に対する意見等について、色々と事務局としてもお気持ちはあるかもしれませんけれども、まずは学識経験者からの意見というのも、見方というのも、ある程度尊重していただければと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
色々御意見を頂戴いたしました。
岡部委員、お願いいたします。
■岡部委員 最低保障に関わる議論は行うという場ですので、先ほど、私が発言をした中で、一つは、制度論で社会参加費用に関する費目を建てるということも考えられるのではないか等、またそういうことは、基準部会の中でどう考えるかということになります。
家計管理支援の話が出ていますが、生活保護法は2つの目的があり、一つは最低生活保障、もう一つは、自立の助長があります。これは、生活の向上を図る、生活再建を図ることで、例えば、家計管理支援が必要な人については、何らかの方策を講ずることが必要と考えます。今、事務局から御説明されたこと、阿部委員からお話されたこと、山田委員からお話があったこと、これは、基準部会の守備範囲ではここまで入れて、あとは、それ以外の場と分けて整理をする必要があります。この辺りのところは、慎重に取り扱う必要があると思います。ただ、私自身が最低生活保障に関わる議論の中で、制度的な話、あるいは援助・支援という自立助長に関わる話をしています。そこは切り分けて聞いて頂ければと思います。先ほどの意見は取り消しするということではなく、一応、その観点の発言はさせていただいたことにご理解を願いたいと思います。
これは、部会長、部会長代理、事務局のほうの御判断でしていただければと思います。
以上です。
■小塩部会長 岡部委員、貴重な御意見ありがとうございました。
ほかにも御意見があるかと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、渡辺専門委員、御専門のお立場から、コメントがございましたら、お願いいたします。
■渡辺専門委員 剥奪指標の解釈や指標の選定方法について、少し混乱があるかなと思いましたので、皆様方の議論の素材になればと思いまして、発言したいと思います。
まず、剥奪指標が、そもそもどのように選定されているかということですけれども、資料にあるとおり、ある社会において、その財やサービスが、社会の構成員が必要と判断しているものをピックアップしています。
その中で、資料3の10ページですけれども「ただし」というところで、13項目中の急な出費への対応とか生命保険等の加入については、制度的な制約等々を受けている可能性があると書かれていますけれども、仮に、生活保護世帯に限って、急な出費への対応や、生命保険等の加入についての指標を外すということになれば、日本の中で、急な出費への対応や生命保険等の加入が必要であると判断されているにもかかわらず、生活保護世帯にとっては必要ではないと考えることになり、強い価値判断をすることになります。
既に岡部先生が御指摘されていますけれども、生活保護世帯は、耐久消費財等を購入する場合、最低生活費のやり繰りから費用を捻出する必要があります。例えば、冷蔵庫が壊れた場合、冷蔵庫の買い替えのために一時扶助が出るわけではなくて、月々の最低生活費をやり繰りして、その中から対応しなければいけない。このように生活保護世帯も急な出費に強く直面しているわけです。
また生命保険等の加入についても、別に禁じられているわけではなくて、加入できるものもあるということになれば、特段、この指標を外すことを考える必要はないと思います。
それから、制度的な制約や意識の違いということが書かれていますけれども、そもそもどのように、剥奪状況が判定されているかを考える必要があります。剥奪状況は、個人の好み、選好に基づく要る、要らないで判断されているのではなく、必要と思っているけれども、金銭的に余裕がなくて手に入れられない、つまり、強制的な欠如を剥奪状況としています。仮に生活保護世帯の、貯蓄性向が低かった場合、貯蓄を必要だと思っていない場合には、剥奪されているとは判定されないわけですね。
急な出費への対応が必要だと思っているのにもかかわらず、金銭的に余裕がなく、対応できないという状況を示しており、その割合は一般の低所得世帯よりも高いことが示されています
剥奪指標は、非金銭的な指標であり、直接的に貧困を測る指標です。一方で、所得や消費水準などの経済水準から測る指標は、金銭的な指標であり、間接的に貧困を捉える指標とされています。今回、剥奪指標に基づいて直接的に貧困を測った場合に、一般世帯と同じような所得水準、つまり間接的な貧困度合が同じだとしても、直接的な貧困度合は生活保護世帯のほうが強いことが見て取れます。
1日に2回以上の食事や下着の購入などは、最低生活に関わるものであり、これらが金銭的な理由でできず、また一般世帯と比較して端的に高いというのは、生活保護が最低生活を担保できているのかが懸念されるように思います。
従来から、フローの所得以外にもストックが、最低生活に関わるということが指摘されています。生活保護世帯は、耐久消費財を含めたストックがない状況に置かれているということがよく指摘されていまして、ストックの最低限も考えなければいけないのではないかと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
指標の見方について詳細な御意見を頂戴いたしました。
ほかにも御意見があるかと思うのですけれども、事務局からコメントがあるようですので、それを伺いたいと思います。
■池上社会・援護局保護課長 ありがとうございます。
ちょっと御参考ですけれども、まさに制度的な話、困窮保護部会で御議論いただいていますけれども、その中でも、被保護者に関して家計改善支援を行うこと、それから金銭管理支援を行うことについては、これは、その他の困窮の方と同様でございますけれども、有意義な取組ではないかという御指摘は、頂戴しているところでございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
それでは、引き続きまして、これは、審議事項ではないのですけれども、事務局から報告していただくことがございますので、関連する資料につきまして、安西補佐から御説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 それでは、参考資料3になります。「現下の生活困窮者等への支援について(委員依頼資料)」を御説明いたします。
1ページを御覧ください。
こちらは、令和4年4月26日に原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議で決定されました、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策となります。
4つの柱といたしまして、Ⅰ.原油価格高騰対策、Ⅱ.エネルギー・原材料・食料等安定供給対策、Ⅲ.新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等、Ⅳ.コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援が挙げられています。
原油価格や物価高騰によって、現にコロナ禍で経済的に厳しい環境に置かれた生活者や、特に影響を受ける業種の中小、小規模事業者等に対する支援など、まずは直面する物価高騰による影響を緩和するための対応を、緊急かつ機動的に実施するとされています。
また、これらの対応とともに、円滑な価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済・社会活動の回復を確かなものとするための対応も挙げられています。
この中で、青色の部分、Ⅰの原油価格高騰対策では、原油価格の高騰の影響を緩和するための取組が実施されており、物価高騰の影響を緩和することで、国民生活への影響が緩和される内容となっています。
そうした取組に加え、Ⅳのコロナ禍において物価高騰に直面する生活困窮者等への支援として、家計への直接的な支援も行われています。
2ページを御覧ください。
こちらは、令和4年9月9日の第4回物価・賃金・生活総合対策本部において示された資料となっています。
先ほどの4月に策定された総合緊急対策を迅速かつ着実に実施するとともに、足下の物価動向を踏まえ、これらに集中した対策を切れ目なく講じていくこととされています。
具体的には、1.食料品、2.エネルギー、3ページに移りまして、3.地域の実情に応じた生活者・事業者支援、4.低所得世帯に対する電力・ガス・食料品等の価格高騰を踏まえた支援、5.価格転嫁対策・賃上げ支援を中心に追加策が取りまとめられています。
4の低所得世帯に対する電力・ガス・食料品等の価格高騰を踏まえた支援といたしまして、特に家計への影響が大きい低所得世帯、住民税非課税世帯に対し、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を新たに創設し、1世帯当たり5万円をプッシュ型で給付するとされています。
4ページを御覧ください。
こちらは、生活困窮者等への給付金についてまとめた資料になります。
現下の厳しい状況の中、生活保護受給者を含めて、生活困窮者等への給付金が支給されています。
表にありますとおり、既に子育て世帯への臨時特例給付、児童1人当たり10万円相当。
住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金、1世帯当たり10万円。
低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、こちらは、低所得のひとり親世帯と、その他低所得の子育て世帯に分かれていて、児童1人当たり5万円が実施されており、それぞれ生活保護制度における対応としましては、これらの給付金の趣旨、目的に鑑み、保護費の算定に当たって当該給付金を収入認定から除外し、手元に残る取扱いとして自治体に通知しているところでございます。
また、点線囲みで記載してございます、3ページで先ほど御紹介しました、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金については、現段階では、生活保護制度における対応について今後検討と記載をしていますが、制度が具体化され次第、これまでの取扱いを踏まえて、適切に対応していきたいと考えています。
参考資料3の説明は、以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
これは、先ほど申しましたように審議事項ではないのですけれども、何かコメント、御意見等ございましたら頂戴します。いかがでしょうか。
山田委員、お手が挙がっています。お願いいたします。
■山田委員 ありがとうございます。
このような形で、色々な緊急支援とか、給付金を収入認定から除外するという、この資料、非常に体系的にまとめられていて、よく分かり、どうもありがとうございました。
その上で、やはり万が一こういう給付金がきちんと出ていない場合に、急な燃料価格高騰、昨年度に実際あったわけですけれども、どういうふうに対応するのかというのは、事態の推移にもよりますけれども、考えておいたほうがよいのではないかと。自動的に、例えば燃料価格が高騰したら、冬季加算をどうスライドするのかということを、少し大きな視点で考えるべき時期に来ているのではないかというのが、1つコメントとして、感想として思いました。
あと、すみません、さっきの池上課長からの御説明で、家計管理支援が非常に重要だというのは、我々はよく分かっております。それは、生活保護、被保護者世帯にしろ、低所得世帯にしろ、それが有効な策のひとつだというのはよく分かっています。
ただ、先ほどの事務局の説明では、あたかも、この急な出費に対応できないとか、それから、もしくは冠婚葬祭に出席できないというのが、どこの部分が家計管理かどうか分からないのにかかわらず、あたかもそれが全て家計管理の問題に帰するような、レッテル貼りのようにも受け取られかねないような御発言だったので、ちょっと気になったわけです。
私からは、以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
ほかに、ただいまの御報告について、岡部委員、お手が挙がっています。お願いいたします。
■岡部委員 4ページの生活困窮者等への給付金の取扱いについて、収入認定除外を行うことは、ありがたいことだと思います。その上でお聞きしたいのですが、給付金に関して、個人単位で行われる給付と、世帯単位で行われる支給があります。一番下の1世帯当たり5万円は、世帯に給付されます。これは、生活保護制度内ではないのですが、意見として言わせていただければ、個人単位と世帯単位が併存しています。この辺りのところは、電気・ガス等というのは、世帯人員に応じて消費額も違ってきます。ここで言う場ではないかもしれませんが、もし、これは、ある程度人員割りにしていただくか、世帯人員割りしていただく方がよいと考えます。
これは、本制度内での話ではないのですが、意見として述べさせていただきました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
事務局からは、よろしいですか。
それでは、この議題につきましては、この辺りとさせていただきます。
以上で、事務局に用意していただいた議題は終了なのですけれども、私、部会長のほうから、ちょっと御報告を、山田委員、お手が挙がっています、失礼しました。
■山田委員 すみません、恐れ入ります。
先ほどの資料の2、何もコメントが出なかった資料の2なのですけれども、3ページの評価案について、ちょっと気になっているところがありまして、2つ目のマルで、食料が増加する一方で、交通・通信が減少に寄与すると書いてあるのですけれども、細かく、その他の消費支出を見せていただいて、この点ありがとうございます。
一番大きいのは、やはりその他の消費支出のところが、例えば、小遣いにあたる使途不明の部分がなくなっているとか、多分、巣ごもりで家計管理が、先ほども少し出たのですけれども、非常にちゃんと見えるようになって、その使途不明金がなくなったとか、あと交際費がなくなったというのも非常に大きいです。
ですから、まさに新型感染症による影響が非常に大きい部分で消費が減っているということもありますので、それも含めて、一時的なものである可能性が高いということですね、一時的な可能性、というよりも、一時的な可能性が高い、と言いきってしまってもよいのではないかというのが、すみません、コメントです。失礼いたしました。
私からは、以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
資料2について、追加のコメントをいただきました。ありがとうございます。
ということで、これで議題はおしまいなのですけれども、私のほうから1点、ちょっと御報告したいことがございます。
前回、第46回の基準部会の中で、私、宿題を皆さんからいただきました。具体的に何かといいますと、回帰分析をこれからするのですけれども、その対象世帯をどういうふうに設定するかというものです。
事務局からは、線の引き方ですね。1つは、1人当たり所得で見るという案、もう一つは、等価所得で見るという案がございました。それが原案として示されていました。それぞれについて、それをサポートする御意見、それから、それを批判する御意見を頂戴しました。
それから、さらに、前回、委員の方々のほうから、世帯人員ごとに、下位10%を拾ったらどうか、それを見たらどうかという御意見があって、それをサポートする意見もありました。それに対しても批判する御意見もありました。
ということで、ちょっと意見が分かれて、部会長が預かるという形で、その場は収まったわけなのですけれども、その後、私もずっとこの問題を考えてまいりました。
確かに色々な意見があるのですけれども、これまでの線の引き方との整合性、特にバランスの取り方などを考えると、前回の会議でも、サポートする意見が結構ありました、世帯人員ごとに下位10%で線を引いて、それを対象としてやったらどうかなと考えております。
その考えに基づいて、今、事務局にどういう形になるのかというのを、ちょっと計算をし始めてもらっている状況です。もちろん、将来のいずれかの時点で、その結果を御紹介できればなと思うのですけれども、そういう方向で、今、作業を進めているということを御報告したいと思います。よろしいでしょうか。
もちろん、色々な問題点があるかもしれないということは十分承知しているのですけれども、この方向でやってみたいなと考えております。
それでは、大体これで議論を終えたいと思うのですが、事務局から何か御連絡をすることはございますでしょうか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 次回の開催スケジュールでございますが、現在調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきます。
連絡事項は、以上でございます。
■小塩部会長 ということで、本日の議論は、以上とさせていただきたいと思います。
御多忙の中、どうもありがとうございました。