第17回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録

日時

令和4年7月29日(金) 14:00~17:00

場所

web会議
(AP新橋:東京都港区新橋1-12-9新橋プレイス4F)

出席者(五十音順)

議題

(1)被保護者健康管理支援事業・医療扶助について
(2)子どもの貧困への対応について
(3)生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等について
 

議事

(議事録)
2022-7-29 第17回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
 
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第17回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の委員の皆様の出欠状況について御報告いたします。堀委員から欠席の御連絡をいただいております。また、内堀委員は遅れて出席される予定です。また、長島委員におかれましては途中退席される予定と伺っております。
また、大森委員については途中退席し、その後は代理として岡山市保健福祉局障害・生活福祉部生活保護・自立支援課課長、出原参考人が出席される予定とお伺いしております。
また、本日は岡﨑委員の代理として、高知市健康福祉部福祉事務所長の入木参考人にお越しいただいております。
また、本日は被保護者健康管理支援事業・医療扶助に関する議論の参考人として、横須賀市民生局福祉こども部生活福祉課保護第5係、係長の乾俊一郎様。
子どもの貧困への対応に関する議論の参考人として、認定NPO法人育て上げネット、井村良英様。
生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等に関する議論の参考人として、愛知県岡崎市福祉部ふくし相談課長、課長の齊藤哲也様にお越しいただいております。
乾参考人、井村参考人及び齊藤参考人の御出席について、部会の御承認をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○河合室長 ありがとうございます。
出席委員につきましては21名となっておりまして、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしておることを御報告申し上げます。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。本部会の議事については公開となってございますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。
本部会では、これ以降の録音、録画を禁止させていただきますので、傍聴される方々につきましてはくれぐれも御注意をいただきますようよろしくお願いいたします。
会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○河合室長 それでは、これからの議事運営につきましては菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆さん、こんにちは。月末の大変お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
本日の議事は、1つ目に「被保護者健康管理支援事業・医療扶助について」、2つ目に「子どもの貧困への対応について」、3つ目に「生活困窮者自立支援制度と関連施策の連携のあり方等について」となってございます。
進め方といたしましては、基本的には前回と同じでございますが、まず議事3つにつきましてまとめて事務局から資料に沿って御説明をいただく。その後、乾参考人、井村参考人、渡辺委員及び齊藤参考人からそれぞれの取組について御発表をいただきます。
その後、発表者の皆様への質疑及び意見交換の時間を設け、休憩を挟んで最後に本日の議事についての質疑、意見交換の時間を設けさせていただきます。
それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○河合室長 ありがとうございます。
それでは、資料1より順を追って御説明させていただきます。まず、最初に35ページを御覧いただけますでしょうか。こちらのテーマにつきましては固有の課題も少なくないため、別に設置しております医療扶助に関する検討会において、その見直しに向けた集中的な議論を進めてきているところでございます。
36ページは、これまでの検討経緯と今後のスケジュールを示したものでございます。8月下旬頃をめどに検討会として取りまとめをした後、この審議会における議論に合流させていただきたいと考えております。本日の部会では、36ページの下に書いてございます、特に御議論いただきたい事項に関してお願いしたいと考えております。後ほどまた戻りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、2ページにお戻りください。こちらは、生活保護費負担金の実績額の推移を示したものでございます。医療扶助が占める割合は半分程度で推移してきております。
3ページでございます。「医療扶助費の動向」を示しておりまして、近年は高齢者が占める割合が増加している状況にございます。
4ページにつきましては「医療扶助の特性」を示してございます。被保護者の約半数は65歳以上となっており、医療扶助費の約6割を入院が占めている状況となっています。また、入院における傷病分類別構成割合は医療保険に比べ、精神・行動の障害の割合が高いという特徴が見られるところです。
6ページ以降でございます。近年の法改正を含めた動きの御紹介になります。
7ページをお願いいたします。前回改正の概要を示しております。こちらに関して医療扶助の関係では赤枠のところでございますが、健康管理支援事業の創設ですとか後発医薬品の使用の原則化が盛り込まれているところです。
8ページをお願いいたします。昨年成立した改正健保法の概要でございます。こちらも医療扶助に関する部分は赤枠でございまして、オンライン資格確認の導入が盛り込まれているところです。これについては、令和5年度中の施行を予定しております。
9ページは、その概要をお示ししたものとなっております。
10ページをお願いいたします。改革工程表2021の抜粋となっております。こちらは頻回受診指導の見直しですとか、ガバナンス強化に向けた検討などが指摘されているところです。また、中長期的な課題として、生保受給者の国保ですとか後期高齢の加入を含めたあり方の検討を深めるというふうにされております。
11ページ以降は、各種取組の御紹介となっております。
12ページをお願いいたします。後発医薬品の使用促進の取組の概要を示したものでございまして、直近の使用割合は約88%、政府目標の80%を達成しているところでございます。
13ページをお願いいたします。令和3年から必須事業化された健康管理支援事業の概要となっておりまして、頻回受診指導を必須の取組としつつ、その他の取組は地域の実情に応じて進めていくものとなっております。
15ページは好事例の紹介となっておりまして、16ページは子どもとその養育者に対する健康生活支援に関する国のモデル事業の御紹介となっております。
18ページは、その研究事業で収集した好事例をまとめたものとなっております。
19ページでございます。「頻回受診指導の適正化について」でございますが、改善者数の割合というものが示されております。こちらにつきましては、その割合というのは増加してきておりますが、約5割はまだ改善がなされていない状況となっております。
21ページは、頻回受診指導の好事例の御紹介となっております。
22ページをお願いいたします。こちらは、頻回受診者の推移について達成度と比較したものとなっております。国保ですとか後期高齢者医療でも減少傾向にあるというのが見受けられますが、医療扶助における入院外の月間受診日数の分布において入院外受診者、つまり外来における月16日以上受診した者の割合を御覧いただきますと、平成23年度と比較すると、直近の令和元年度の割合は半分以下となっております。
24ページから26ページにかけましては、長期入院患者への対応に関するものです。入院件数は減少傾向にありまして、特に5年以上の件数が減少しているところになっております。
26ページは、「長期入院患者の地域移行の好事例」をまとめたものとなっております。
27ページから29ページにかけましては、都道府県等による市区町村、医療機関への関与に関する規定を整理したものとなっております。都道府県等は市町村へ保護の実施に必要な助言、援助を行うことができるとされておりますが、現状、個々の疑義照会に対する回答にとどまっているところでございます。
また、都道府県等に設置を推奨している医療扶助審議会につきましては、設置している自治体数は少ないとなっております。
31ページから34ページにかけましては、実務者協議におけるこれまでの議論の整理でございます。
これらを踏まえまして、36ページにおきましては特に御議論いただきたい事項といたしまして、健康管理支援事業につきましては精神疾患や依存症の方、孤独・孤立の問題を抱える方などが含まれることを踏まえ、社会生活面に係る支援等を強化していくことについてどのように考えるか。また、都道府県等の関与につきましてはデータに基づく適正化方策の推進をはじめ、管内自治体等への関与を強化するための実効的な方策についてどのように考えるかといった点について御議論を賜りたいと思います。
なお、37ページ以降は検討会における論点と委員の御意見をまとめております。検討会における主な御意見は41ページ、47ページ、50ページにそれぞれまとめてございます。
このうち、本日特に御議論いただきたい事項に関連する部分として41ページをお願いいたします。健康管理支援事業関係につきましては、保健医療のみならず社会生活面を考慮することも重要である。健康と生活や社会参加というところをしっかり結びつけて意識できる流れができればよいのではないかといった御意見をいただいております。
また、50ページが都道府県の関与の部分でございますが、管内自治体等への関与につきましては都道府県の役割や制度の適正実施に資するデータ分析や支援を行うことに軸足を置くべき。市町村の求めに沿ったデータ分析、支援等を行うことが望ましいとの御意見もいただいているところでございます。
資料1につきましては以上となります。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
続いて、資料2「子どもの貧困への対応について」を説明いたします。
まず3ページですが、本資料は文科省、厚労省の子どもの貧困対策の全体像を示したものです。幼児期、義務教育、高校等の段階に応じた支援を行っていることをお示ししています。
5ページです。「子どもの学習・生活支援事業」の概要です。
6ページです。子どもの学習・生活支援事業の支援体系です。学習支援のほか、職業体験や保護者に対する相談支援を行うため、地域のこども食堂や教育委員会との連携、家庭の課題を把握した場合に自立相談支援機関へつなぐといった関係をお示ししています。
7ページは事業の概況です。子どもの学習・生活支援事業の実施率は約6割程度で横ばいという状況です。人口規模別では、小規模な自治体ほど実施率は低くなっております。委託先はNPO法人が最も多く、次いで株式会社等となっております。
8ページです。本事業の参加者の属性別では、生活保護世帯が33.3%となっています。また、学年別では中学生が半数を占める一方、高校生以上は10.1%とそれほど多くない状況です。
支援の取組状況として学習支援は全ての実施自治体で取り組まれている一方、生活支援は66.7%、教育及び就労は52.2%という状況です。
続いて9ページ。生活支援に取り組んでいる自治体のうち「子どもに対する支援」については、「居場所の提供・相談」「日常生活習慣の形成」「社会性の育成」、いずれも約80%程度となっている一方で、「体験活動等」は50.3%でした。また、「保護者に対する支援」については「養育に必要な知識の情報提供」「自立相談支援機関や各種支援施策の情報提供・利用勧奨」は70%を超えています。
さらに、「教育及び就労」については「進学に関する情報提供」「進路選択に関する相談」はいずれも80%を超えている一方で、「就労に関する相談支援」は50.5%でした。
10ページです。事業への参加に当たり、自立相談支援機関へ登録等を行っている状況をお示ししています。登録を「必須」としている自治体は28.0%でした。また、登録を必須としていない場合であっても、58.9%の自治体で「自立相談支援機関に繋げる」「自立相談支援に繋げていないが、学習支援事業者が親支援を行っている」という状況です。
11ページです。各関係機関等との連携について、「小学校・中学校」「教育委員会」「行政機関」はいずれも70%を超えている一方で、「児童相談所・児童家庭支援センター」「食料・教材等支援関係団体」などは30%未満でした。
12ページです。自治体は子どもの学習・生活支援事業と類似の事業を地域の実情に応じて組み合わせて実施していますが、文科省が主管する「地域未来塾」や厚労省子ども家庭局が主管する「ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業」、「自治体独自事業」のいずれかを実施している自治体のうち、子どもの学習・生活支援事業を実施していない自治体は99自治体でした。
13ページです。平成30年改正において、学習支援に加え、生活習慣、育成環境の改善や教育及び就労を行う支援を法律上規定しました。これにより、こうした生活支援を行う自治体が増加し、「基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上等」といった効果が上がっています。また、参加した中学3年生のうち、高校進学した者は98.9%であり、全世帯平均値に近い実績です。一方で、高校中退率については全世帯平均値に比べて若干高い状況となっております。
14ページです。事業実施の課題としては、「対象となり得る子どもは一定数いるものの、利用につなげることが難しい」と回答する自治体が最も多く、また、課題に対応するために考えられる方策としては「送迎手段の確保」「学生ボランティア等の確保」が挙げられています。
15ページです。「新型コロナウイルス感染拡大防止に係る対応状況」をお示ししています。コロナの影響により一定期間、「主に子どもに対する取組」を中止したり、実施を見送ったりした自治体が多くありました。
一方で、「オンライン学習」の実施や「フードバンクと連携した食事支援」に取り組んだ自治体も一定数見られました。
16ページです。ここからは、各自治体の先進的な事例について御紹介します。
まず宮城県岩沼市では、事業者と自立相談支援機関が連携し、それぞれが課題を把握した場合に相互につなぎ合って世帯全体の支援を行うといった体制を構築しています。
17ページです。埼玉県越谷市では、他市の高校に通う高校生が学習支援室を利用できるよう、近隣3市と連携し、相互利用の体制を整備しています。これにより、子どものプライバシーへの配慮も行っています。
18ページです。東京都足立区では、きめ細かい生活支援や将来を考えるきっかけとなる体験活動等の実施に加え、家庭の情報共有と課題解決支援などに取り組み、子どもを入り口に世帯全体の支援を行っています。
19ページです。こども家庭庁設置法案に対する国会の附帯決議について御紹介します。二の内容を御覧ください。生活困窮家庭の子どもの学習・生活支援などのこども施策は、こども家庭庁設置後も引き続き複数の省庁が関わることから、組織の枠組みにとらわれない施策の実施に努めるよう求められました。このため、事業の実施に当たってはこども家庭庁をはじめ、関係省庁との連携が重要だと考えております。
21ページです。こうした現状や課題を前提として、特に御議論いただきたい点は次のとおりです。
まず(生活支援について)は、実施自治体間でも取組に差があることを踏まえ、都市部と地方部などの異なる地域間でも同等の支援内容が提供されるための方策についてどのように考えるか。その際、本事業を入り口として世帯支援へつなげるとの趣旨を踏まえ、学習支援が保護者の支援につながるような包括的な支援を展開していくための方策についてどのように考えるか。
また、子どもが成長過程で必要な体験ができるような支援メニューのあり方について、どのように考えるか。
ヤングケアラー等の個別課題への対応を推進するために、自治体支援のあり方についてどのように考えるかという点を御議論いただきたいと思います。
また、(高校生への切れ目のない支援)については、中退防止や進路選択等に関する支援が重要であることから、相談支援をさらに推進していくための方策についてどのように考えるか。
さらに(関係機関との連携強化について)は、子どもや保護者の多様なニーズへの包括的な対応を行うため、地域づくり・ネットワーク形成をさらに推進する方策についてどのように考えるか。
また、関係省庁や関係団体、教育部門等と連携のあり方についてどのように考えるか。
最後に(その他)としまして、学習機会の確保の観点からオンライン学習の環境整備など、特に過疎地域や高校生を含めた子供の利用につなげるための方策についてどのように考えるかといった点を御議論いただきたいと思います。
○河合室長 それでは、保護世帯における子どもの貧困の課題と現状を御説明いたします。
23ページをお開けください。保護世帯における「子どもの貧困」関連施策をまとめたもので、教育、生活の支援ですとか経済的支援など施策を実施しているところです。
24ページです。保護世帯における高校生に対する支援を記載したものであり、高校等就学時や大学等就学時に向けた支援として様々な措置を行っているところです。
25ページをお願いいたします。高校卒業後就職した者と、大学等に進学した者に対する支援を比較したものです。大学等進学者には一時金が支給されている一方、高卒就職者には同様の措置はございませんが、引越し代等として移送費ですとか就職支度費が支給されているところになっています。
26ページでございます。高校や大学等進学率の推移です。直近の大学進学率は全世帯で約75%、保護世帯で約40%と、保護世帯も毎年上昇傾向にありますが、開きがございます。
28ページでございますが、保護世帯の子どもが家庭で勉強を行う環境の状況をお伺いしたものです。保護世帯の子どもにつきましては一般世帯の子どもと比べて「自分で勉強をすることができる場所」ですとか「自分専用の勉強机」がない割合が高く、家庭環境に差がある状況が見受けられます。
29ページにつきましては、生活保護世帯の保護者と周囲の方々との関わり合いを示したものです。保護世帯の保護者は「地域行事への参加」「近所の人との会話」が少なく、周囲との関わり合いが少ない状況が見受けられます。
30ページは、ケースワーカーによる生活保護世帯の子どもの生活・進学等に関する支援について現行の通知から抜粋したものでございます。
31ページでございます。こちらは自立支援プログラムの策定率でございまして、子どもの健全育成に関するプログラムを策定している自治体数やプログラム数は、下の表の赤枠の部分をご覧いただきますと、少ない状況となっています。
32ページは、自治体の取組事例でございます。
33ページでございますが、福祉事務所にお伺いした、今後特に重要と考えられる取組内容でございます。それぞれの対象に対する支援として重要と考えられるものについてお伺いしておりまして、まず子どもへの支援としては「学習支援の充実」が最多、保護者への支援としましては「教育・啓発、意識改革」が最多、実施機関の体制としては「関係機関、社会資源との連携」が最多となってございます。
34ページは、子育て世帯への支援の課題です。「保護者との信頼関係構築・対応が難しい」ですとか「子どもとの接触・対話が難しい」「ケースワーカーの専門性の不足・時間的余裕がない」などが主なものとなってございます。
35ページ以降は、生活保護における学習支援費に関するスライドになっています。
36ページは「学習支援費の運用の見直し」に関するものでございまして、定額支給していたものをクラブ活動費用に限定した上で、被保護者からの申請による実費支給による給付としてみなすことですとか、クラブ活動の範囲を学校だけに限らないようにするなどの見直しを実施しているところでございます。
37から39ページにかけましては、学習支援費の支給状況についてお示ししたものです。学習支援費の受給者数ですとか、支給月数が低調であることや、事前の周知を行っていない福祉事務所も一定数見受けられるところでございます。
40ページ以降は、「生活保護世帯における大学等進学支援について」のスライドとなっております。
41ページをお願いいたします。生活保護世帯の子どもの大学等への進学率が全世帯の子どもより著しく低いことを踏まえ、平成30年より進学準備給付金の創設ですとか、大学就学中に住宅扶助を減額しない措置の実施といった支援策を講じています。
42ページです。高校生等の収入認定除外の取扱いについてまとめたものです。表における下の具体例に示すような自立更生のために使われる分につきましては、収入認定から除外することとしております。
43ページにつきましては、文部科学省が実施する「高等教育の修学支援新制度について」です。授業料等の減免ですとか、給付型奨学金の支給を令和2年度より実施しているところでございまして、被保護者も対象とされているところです。
44ページでございます。こちらは、現行の一般低所得世帯との均衡を踏まえた「大学生等への生活保護の適用について」でございます。こちらは、現行の取扱いとその考え方について整理しているものとなっております。
45ページは前回の取りまとめ、平成29年度における当部会での取りまとめの報告書の抜粋となってございます。
46ページ以降は、特に御議論いただきたい事項をまとめてございます。
まず47、48ページは、実務者協議におけますこれまでの議論の整理の抜粋となっております。
その上で、49ページの特に御議論いただきたい事項について御覧ください。
親を含めた子育て世帯全体への支援につきましては、親も含めた世帯全体の支援を行っていく必要性ですとか、親に子どもの将来について関心を持たせるような意識づけも含め、子育て世帯の環境の改善を主として行っていく取組についてどのように考えるか。
学習支援費につきましては、ケースワーカー等からより積極的な周知を行う必要があるのではないか。
大学等への進学につきましては、現状、一般世帯においても高校卒業後、大学等に進学せず就職する者や、奨学金、アルバイトで学費や生活費を賄いながら大学等に通う者とのバランスを考慮すると、生活保護費を受給しながら大学等に進学することを最低生活保障の対象として認めることは困難という考え方を取っておりますが、高等教育の修学支援新制度による大学進学者への生活費の支給ですとか、一般施策による低所得世帯に対する進学支援が強化されていることも踏まえてどのように考えるか。
大学等進学に要する費用の取扱いにつきましては、収入認定除外の対象となる費用の範囲についてどのように考えるかといった点について御議論いただきたいと思います。
以下は参考資料となっておりますので、後ほど御覧いただければ幸いです。
資料2の説明については以上となります。
○米田室長 それでは、最後に資料3を御説明いたします。
初めに、困窮制度のあり方や関係機関等との連携のあり方についてです。
2ページです。困窮制度は生活困窮者の自立と尊厳の確保と、生活困窮者支援を通じた地域づくりを理念として掲げ、新しい困窮者支援の形として包括的な支援、個別的な支援、早期的な支援、継続的な支援及び分権的・創造的な支援を目指して創設された制度です。
3ページです。生活困窮者が抱える課題には、既に顕在化しているものと見えにくいものがあります。このため、複合的な課題を抱える生活困窮者がいわゆる制度のはざまに陥らないよう、困窮制度においてはできる限り幅広い対応をしていく必要があります。
4ページです。困窮法が施行されて以降も、政府においては「就職氷河期世代」「孤独・孤立」「ヤングケアラー」といった特定の属性・状況に着目した支援策が取りまとめられてきました。
一方で、困窮制度は特定の属性・状況にとどまらず、それらが複合的に絡み合っている場合も含めた「生活困窮」を対象としています。自立相談支援機関等がこうした特定の属性・状況に着目した重点的な支援策の状況を把握しつつ、相互に支援や適切なつなぎに活用できるような仕組みが重要であると考えております。
5ページです。連携通知で示した困窮制度と他制度との連携の例を表したものです。これまでにも、多くの制度との連携を行ってきています。
6ページです。連携に当たっては、顔の向こう側が見える関係、信頼できる関係を築くことが重要です。このため、地域連携を促進するためには話し合いの機会を継続的に地域の中に設けるということが有用であると考えられています。
続いて、「地域共生社会・重層的支援体制整備事業等の新たな施策との連携のあり方について」です。
8ページとその次の9ページは、地域共生社会と重層事業についての概要をお示ししたものです。
10ページです。困窮制度は、生活に困窮するおそれのある者や生活困窮の状態にある者に対して、生活保護受給に至る前の段階で支援を行うことによって、課題がより複雑化・深刻化する前に自立の促進を図るものです。そして、「本人の尊厳を保持した包括的かつ早期の支援」と「支援を通じた地域づくり」という理念の下、生活全般にわたる包括的な支援を提供する仕組みづくりの実践を積み重ねてきました。
地域共生社会は、こうした生活困窮者自立支援制度の考え方と、他の福祉分野や政策領域の考え方を合わせて共通理念化したものであり、重層事業はこの理念を実現するための一つの仕組みと言えます。
11ページです。重層事業は、従来のどの程度でも対応が難しい地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、制度間の連携を容易にすることにより、市町村における包括的な支援体制を整備するものであり、困窮制度はこの重層事業を構成する重要な制度です。
他方で、重層事業における取組を活用することにより、困窮制度としても各事業の取組や支援方法に広がりが生まれることが期待できます。
12ページと13ページです。こちらは、今年6月に公表された障害者部会の報告書です。この報告書でも地域共生社会の実現等について触れられておりますので、紹介させていただきます。
最後に、これまで説明した理念や各種施策の連携を実現するために、分野を超えて進めていただきたい「地域づくりについて」です。
15ページです。この図は、重層事業などにより各市町村が構築した行政主導の相談体制の上に、助け合い、支え合い、健康づくりなどの縦糸と横糸を組み合わせるという地域づくりのイメージを描いたものでございます。縦糸は社会福祉協議会、民生委員、児童委員、年金委員等の住民や行政による取組、横糸はフードバンクや社会福祉法人など、民間の個別分野の取組を想定しております。
16ページです。このような地域づくりを促進し、生活困窮者と地域のつながりを確保することを目的として、今年度より「生活困窮者支援等のための地域づくり事業」を実施しております。
最後に18ページです。「特に御議論いただきたい事項」をまとめています。
困窮制度のあり方や関係機関等との連携のあり方については、法の掲げる理念に基づく支援を実践するための方策、他分野や他制度、関係機関等と連携しながら支援を行うための方策。
地域共生社会・重層事業等との連携のあり方については、困窮制度が有する機能を発揮するための制度のあり方、全体として包括的な支援を提供するための方策。
「地域づくりについて」は、推進に当たっての現状の取組や課題、当事者目線や日常の関係性の中で支援につなげていくための取組といった点について、幅広く御意見をいただきたいと思います。
厚労省からの説明は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きましてただいまの議題に関連して4名の方に御発表賜りたいと存じます。本日、いずれも会場にお越しいただいております。遠方からも会場にお越しいただきまして本当にどうもありがとうございます。
4名の方につきまして改めて御紹介申し上げますが、横須賀市民生局福祉こども部生活福祉課において被保護者健康管理支援事業等に取り組まれております乾参考人。
認定NPO法人育て上げネットにおいて生活保護世帯における高卒就職者の支援等に取り組まれております井村参考人。
認定NPO法人キッズドアにおいて子どもの学習・生活支援事業等に取り組まれております渡辺委員。
そして、愛知県岡崎市福祉部ふくし相談課において重層的支援体制整備事業等に取り組まれております齊藤参考人。
以上、4名の方でいらっしゃいます。
それぞれ10分程度と大変短い時間で恐縮でございますが、御自身の取組についてお話しいただければと存じます。
それでは、まず乾参考人からお願いいたします。
○乾参考人 本日、横須賀市における被保護者健康管理支援事業の取組について発表させていただく横須賀市生活福祉課査察指導員の乾と申します。横須賀市が福祉職採用を開始した平成19年に福祉職第1期として入庁したケースワーカー歴7年、SV歴3年目の社会福祉士になります。どうぞよろしくお願いいたします。
次をお願いします。
まず「横須賀市の概況と生活保護の状況」についてです。本市は平成13年に中核市に移行しましたが、人口については近年減少傾向が続いている一方、被保護世帯数についてはコロナ禍以前は横ばいでしたが、ここ2年は増加傾向にあるのが特徴です。
次をお願いします。
次に、生活保護実施機関の体制図についてです。黄色い枠で示した部分の職種が健康管理支援事業PTとして携わっており、ケースワーカーへの健康教育の企画、市民健診部門との連携、大学機関との連携等を行っています。
次をお願いします。
次に、健康管理支援事業PTについてです。図のとおり、SV、ケースワーカー、総務係に加え、国保の保健部門を担う保健師が健康管理支援事業にも携わる体制となっています。今年度から組織改編により、生保担当保健師と市民健診担当保健師が同一課内となり、市民健診部門との連携強化を見据えて市民健診担当保健師も本PTに加わっています。
次をお願いします。
次に、健康管理支援事業実施に当たってのポイントについてです。「ちょっとした工夫の積み重ね」がキーワードになります。市民健診受診勧奨自体を外部委託するなどの予算措置は取っておらず、ケースワーカーを中心にした事業推進体制を取っています。これは、誰よりも被保護者のことを熟知しているケースワーカーの本事業への理解なくしては事業の推進ができないと考えているからです。この考えを軸に、健康管理支援の視点に立ったケースワークが実践できるよう、ケースワーカーへの健康教育を定期的に実施し、ケースワーカーの質の向上を目指しています。また、システム改修により、レセプト管理システムの情報を生保システムに取り込む仕組みを導入しました。
そのほか、ケースワーカーの勘や知識や経験を補う手段として、データ分析については大学機関と連携する形を取っています。市民健診部門の連携、相互理解には力を注ぎ、今年度からPTに加わったことで連携体制が強化されているのが本市の大きな特徴であると考えています。
次をお願いします。
次に、ケースワーカー向け健康教育の取組についてです。具体的には、新採・異動者向けに新年度当初1回、全ケースワーカー向けに4回、計5回健康教育を実施しています。国保の特定健診等と異なり、生活保護における健診受診勧奨は被保護者の生活歴をケースワーカーが熟知していることが強みです。その強みを最大限に生かすため、市民健診受診勧奨以外にも時期に合わせて必要な健康教育を実施しています。
次をお願いします。
次に、市民健診受診勧奨促進のためのチラシ改定についてです。こちらが、チラシの表面の改定状況になります。私自身、ケースワーカー時代に被保護者にチラシの説明をしづらかった経験から、ケースワーカーには説明しやすく、被保護者には理解しやすい構成を意識してチラシの改定に着手しました。また、今年度の取組として市民健診等に係る移送費支給について明示し、さらなる市民健診受診勧奨促進を目指しています。
次に、裏面の改定状況についてです。被保護者がどの健診を受けたいかを番号で示せる構成にしました。実際、被保護者から健診受診の相談の際、何番と何番をお願いしますと話す事例が多くあったと市民健診担当から報告を受けています。このチラシ改定の意図についても、市民健診担当と共有できていたことで、被保護者からの問合せにもスムーズに対応できたと聞いています。
次をお願いします。
次に、健康管理支援の視点を取り入れた援助方針の策定についてです。援助方針の見直しを行う時期に合わせて研修担当と連携し、健康管理支援事業の視点を取り入れた援助方針事例を明示しました。世帯概要をコンパクトにまとめることに加え、その人の人となりが伝わってくるようなエピソードを交えて書くことを示しました。
次をお願いします。
こちらは、健康管理支援の視点を取り入れた援助方針の例になります。被保護者の支援を実施するに当たり、被保護者の健康状態を適切に把握し、必要な支援を実施することの重要性について示しました。健康教育の際は、こちらのほかに世帯別の援助方針の実例を示し、ケースワーカーが援助方針策定のイメージがしやすいように心がけました。
次をお願いします。
次に、ケースワーカー向け健康教育の取組の成果についてです。令和2年度、コロナ禍により健診受診控え及び保健所健診センターでの健診規模縮小等により、健診受診者は大幅に減少しましたが、ケースワーカー向け健康教育を開始した昨年度はコロナ禍の影響がある中、健診受診者数が1.4倍となりました。
しかし、生活保護受給者等特定保健指導利用にはつながらなかったため、今年度はケースワーカーによる利用券の手渡しを原則とし、必要に応じて保健指導の予約、同行支援等の取組について、まさに昨日の健康教育でケースワーカーに周知したところです。
このほか、保護のしおり等の改定に併せて、被保護者に対し健康管理に努める旨を示し、被保護者やケースワーカー、ともに被保護者の自立の助長に健康管理支援が必要であるという意識づけを持たせる工夫をしています。
次をお願いします。
次に、レセプト管理システムと生活保護システムの連携についてです。健康管理支援事業の法定事業化に合わせてレセプト管理システム上のデータを生活保護システムに取り込み、生活保護システム上で被保護者の健康状態について把握できるシステムを構築しました。今後、生活習慣病の重症化予防指導対象者についての進行管理についても、生活保護システムを利活用して進めていけるよう、運用について検討してまいります。
次をお願いします。
次に、「大学機関と連携した取組」についてです。今後、統計学的に立証可能な方法で効果的なチラシ配布の効果の検証や、その結果を踏まえたチラシのレイアウトのブラッシュアップを進めてまいります。また、被保護者について本市で持っている様々なデータを多面的に分析することで、本市の被保護者の医療費推移の傾向等を明らかにすることができます。
次をお願いします。
次に、実際の取組例についてです。左側の図では、本市の被保護者において上位1割の被保護者が医療扶助費の6割を占めていることを示しています。また、右側の図では健診受診勧奨前後で前年に医療機関受診がない人も健診受診をするようになった可能性があること、健診受診前後の医療費について医療費に平均的に大きな変化が見られないことなどを示しています。包括的データを分析した結果、医療費がかかるプロセスを分析することができ、その結果、被保護者の生活支援に活用できることを今後目指しています。
次をお願いします。
次に、本市における健康管理支援事業の課題と今後の展望についてです。
まずケースワーカーの本事業におけるさらなる理解促進についてです。これまでの健康教育により、健診受診勧奨の必要性は一定程度浸透したと考えています。
ただ、健康管理支援の視点を取り入れたケースワークについては、各ケースワーカーの力量に任されているのが実情です。ケースワーカーへのさらなる理解を進めるのと同時に、日々の業務の中でケースワーカーの業務負担を限りなく増やさない形で、健康管理支援事業の視点に立った生活支援の実施ができる仕組みの構築が求められます。
次に、頻回受診の対応についてです。いわゆる頻回受診状態にある被保護者の実態把握や必要な支援、例えば社会的孤立からの脱却など、これらの対象者の背景についてのアセスメントを進めていく取組が必要と考えます。
最後に、児童へのアプローチについてです。本市における市民健診対象者は18歳以上となっており、現状18歳未満の児童に対して直接的なアプローチをする方策がないのが実情です。
しかし、私もかつての児相の勤務経験から、児童期に適切な健康意識の醸成を図ることの重要性を感じているところです。他機関とも連携して、今後児童の食生活等についてのアプローチ方策を検討していく取組が必要と感じています。
私のほうからの発表は以上になります。御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして井村参考人からお願いいたします。
○井村参考人 若者支援に携わっております井村と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私のほうからは「生活保護世帯における高校生等に対する若者自立支援について」ということで3点ほど、資料5に基づいてお話をさせていただきたいと思います。
あとは、ほかに資料2ですね。「子どもの貧困への対応について」という厚労省の資料の24ページと25ページに関連したお話になります。よろしくお願いいたします。
私たちは若者支援をしているのですけれども、私自身は最近ここにも書いてありますとおり、東京都内の約10の高校で高校生の進学とか進路の支援を学校の中でしています。1学期は、多いときでは一週間、5つの高校で40人を超える高校生の話を聴きます。先ほど厚労省の資料でも、子どもたちが一番相談したくて悩んでいることとして、進学、進路の希望と現実についてというのが5割くらいになっていましたけれども、生活保護世帯ではなくても子どもたちはそこを一緒に考えてくれる人がいないので、そういうことを先生たちとチームとなってやらせていただいております。
それで、今日お話をさせていただく3つの話は、そんな中で昨年出会った生活保護受給世帯のお子さんですね。高校3年生の方から聞いた話をさせていただきます。
まず1つ目に(高校進学決定時の情報保障について)ということで、ここには全ての中学生に、例えば高校進学決定時に「生活保護世帯の子どもの39.9%が大学や専門学校等に進学をしている・できる」という事実などをケースワーカーさんから直接進路情報について当事者が理解できるように伝わる取組や体制ができることを希望していますというふうに書かせていただいています。
これはなぜかといいますと、実は昨年の秋、高校3年生に出会ったときに、その子が、就職が決まりましたというふうに僕に話をしてくれたんですね。でも、その子は高校2年生になったときは進学希望だったんです。ですから、僕が、あれ、進学希望だったんじゃないの、と何気なく聞いたら、実は自分は生活保護の受給世帯で進学できないんですと僕に言ったんですね。
でも、ここにいらっしゃる皆さんは御存じだと思いますけれども、生活保護受給世帯であっても進学できますよね。この子には伝わっていなかったんだというふうに僕は思いました。
これを伝えることができるのはケースワーカーさんしかいないので、高校3年生になった時点ではなく、できれば入学が決まったときに、親を通じてではなくて本人に分かるように伝えていただく体制や取組を組んでいただくというのが、子どもたちが自分で進路を選ぶための大切な支援になるのではないかなと思いまして、まず1つ目の話としてさせていただきます。
その子には、本当は進学できるんだよと就職が決まった後に伝えるのはあまりにもつらかったので、僕はそれは伝えずに、では新生活に入るための4月からの生活について一緒にシミュレーションしてみようかというふうに本人に伝えて一緒に話をしました。
そうすると、生活保護世帯を離脱して4月から一人暮らしで新生活を始めるために、家賃補助がたくさんもらえるところに就職が決まりましたと言ってくれて、この子はすごくよく考えているんだなと思って、では新生活は家賃補助があったとして、始めるに当たって家電とか家具とかどれくらいかかるのかということで一緒に計算したら、近所の電気屋さん、家電量販店も一緒に見に行ったんですけれども、20万円くらいかかることがわかったんです。
それで、私は若者支援の専門家で生活保護には詳しくないので、この新生活が始まる高校生、新社会人になる高校生にも生活保護受給世帯から離脱するときに準備金のようなものがきっともらえるだろうと思って知り合いの役所のケースワーカーさんに聞きに行ったら、これが2点目のところなのですけれども、進学して一人暮らしする大学生には準備金が30万円あるけれども、就職して一人暮らしする生徒には何もありませんということを聞かされました。
僕は、ショックでした。この子は、本当は進学したかったのにそれを諦めて、家族のためになるように自分で生活を考えて家賃補助がたくさんもらえるところに就職を決めたのに、そういう新生活の準備に対して進学する子には30万円もらえて、就職する子にはそうじゃないということが現実としてあるんだということに気が付きました。
ですから、ここの2番目のところには高卒就職者も大学進学者と同様に新生活を一人暮らしで始めることがあります。その新生活立ち上げに向けた費用を支援することが望ましい高卒就職者についても、大学等進学者と同等な金銭的な支援が得られることを希望しますというふうに書かせていただいています。
3点目が次のページの(中学、高校生への必要な支援について)ということで、安心を届けるような支援をお願いしますというふうに書かせていただいています。
実はこの話には続きがありまして、少しでも新生活に関わる費用を応援したいと思いまして、私は引っ越しの手伝いや、家電のいろんなものを集めたりとか、本人に協力するよというふうに伝えていました。それで、実際にいろんな人が調べてくださって、25ページの資料にもあるように、引っ越し代のサポートとかは就職者であっても制度として得られるんですね。そのことも伝えて、就職の新生活のための費用は応援するし、4月に入って初めてお給料をもらえるまでは大変だと思うので、しっかりと収入認定してもらってお金の準備をしておこうねというふうに言って、本人は頑張って30万円弱アルバイトでためたんですけれども、3月にその子に会ったら、そのためた費用は全部使っちゃっていたんです。僕はびっくりして恐る恐る聞いたんですけれども、引っ越し代も6万円、その中から払ったと言うんです。それはなぜなのかと聞くと、生活保護のケースワーカーさんから、新生活を始めるために準備してアルバイトしたお金というのは3月末までに使わないと4月以降の親御さんの生活保護の費用を減らすことになると言われたそうなんです。私は若者の支援をしていて、こんな冷たい思いをして4月からぽんと社会に放り出される制度になっているというのは疑問を感じました。
それで、私は詳しくないので知り合いのケースワーカーさんにも聞いたんですけれども、やはり生活保護を離脱してしまうとそうなってしまうというふうなお話でしたので、ここの部分ですね。せめて就職を決めて新生活を希望する若者が社会に出るときに、4月25日にお給料がもらえるまでの費用だったり、新生活を準備するようなものとして大学生と同等の準備金をいただくことができれば、希望を持って新しい生活の一歩を踏み出せるかなと思いましたので、今日お時間をいただきましてその3点、若者から教えていただいたことということでお話をさせていただきました。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして渡辺委員から御発表をお願いいたします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
では、スライドは次をいっていただけますでしょうか。お時間が限られておりますので、駆け足でいきます。次をお願いします。次ですね。その次、その次をお願いします。
少しお話ししますと、生活支援のお話というものが出てきますが、キッズドア自体は子どもの学習支援ということをずっとやっておりましたが、コロナ禍で本当に御家庭が大変ということで、現在このファミリーサポートというところでいわゆる物資の支援、食料支援と情報支援ということで、情報を届けるということと就労支援というのをやっております。現在、2,600世帯くらいの生活困窮家庭、生活保護とか児童扶養手当を受け取っているとか、そういう御家庭に対してやっております。
次をお願いいたします。次をお願いします。その次をお願いします。
今回お話しさせていただく中で、先ほどから出ている体験活動というものが非常に重要だと思っております。本当に子どもたちをよくしていくためには経済的資本ということで、勉強部屋がないんだったら自習室があればいいだろうとか、勉強が苦手だったら塾代があればいいじゃないかというふうなお考えもあるかと思いますが、なかなかそれだけではいかない。自習室を用意しても勉強しないですし、塾に行かせてもすぐ辞めちゃうみたいなところがあって、非常に文化的資本ということではいろいろな体験に触れさせて、子どもが将来に夢を持つとか、あとは本当によい大人の関係の中に入れるというふうなことが重要だと思っております。
次をお願いいたします。
そういった中で、今回生活支援ということで、子どもの学習支援・生活支援事業では一つ、保護者との関わりというのが非常に重要だと思っております。私どもがやらせていただいている学習支援ですと、本当にこちらにあるようにほとんどの方、できる限りの方は最初に三者面談ということで、保護者とお子さんとスタッフがお話をさせていただいて、まずそこで信頼関係をつくるということをやっておりまして、これがあるからその後いろいろな情報がNPO側に入ってくるということですね。その後でファミリーサポートのほうに御案内をして、よろしければというふうなところでいろんな支援をしていって、今もやっているんですけれども、夏休みは大変なので食料品を送るということを始めておりまして、今は寄附も集めてやっているのですが、そういうふうなことをしております。
そうやって信頼関係を築くと、お子さんからは学習支援で支援のボランティアさんとか指導員がお話を聞くんですけれども、保護者からも様々な情報が入ってくる中で、よりよい支援ができるのかなと思っております。
次をお願いいたします。
例えばということで1つ、足立区の事例が資料にも入っておりましたが、今やっているのはこんなことですね。中学生向けの支援で、卒業して高校生になってからも来られるんですけれども、物件を1つお借りして、大きな家といいますか、広い事務所みたいなところを借りて、そこを毎日開けるんです。夏休みは本当に朝から晩まで開けて、お昼を食べられない子にはお昼もちょっと食べさせて、夜御飯を食べさせて、学校があるときは3時くらいから開けてみたいなことをやっているんですけれども、勉強するだけではなくて安心・安全な居場所ですね。おうちがいい環境ではないお子さんも多いので、来られるようにして体験活動、職場体験とかいろんなところに連れて行くとかということをやって、食事の支援もするというふうなことを行っています。
次をお願いいたします。
本当にこんな感じですね。左上は企業の方に来ていただいてワークショップをしたり、あとは調理体験ですね。おうちのキッチンはすごく狭いので、家で料理をお母さんとしたりできないので、そんなこととか、あとはいろんなところに連れて行くとか、そういうことをやっています。
次をお願いいたします。
もう一つ機能として大きいなというのは、先ほどから地域とのつながりというお話が出ていますが、やはり非常に孤立している方々なので地域とのつながりが持ちづらいです。例えば、夏休みにいろんな地域のお祭りだとかバザーだとかあるんですけれども、困窮世帯のお子さんたちはなかなか自分たちでそこに行くということが実は難しいというふうなことがございます。ちょっと偏見があったりとか、そんなこともある中で、私どもの居場所に来ている子たちを地域のお祭りとかに連れて行って、ヨーヨー釣りの手伝いとか、そういうことをさせると、やはり地域の目が変わって、それまではちょっとあそこに来ている子たちはどうなのかなというように思っていたんだけれども、みんなすごくいい子たちだねということで、では次はこういう行事があるんだけれどもどうかなとか、逆に言うと地域の方が、実はあそこのおうちが困っているんだけれどもというようなお話が入ってくるようになって、そういったことをするのはすごく重要だなと思っています。
次をお願いいたします。
もう一つ言うと、関係機関との連携も非常に重要でございまして、例えば足立区さんで言えば毎月定期的に困難ケースを挙げてSSWの連絡会を実施したりですとか、ほかにもケースに応じてケース会議をやるというふうなことを行っています。本当になかなかNPOだけでは解決できないことがありますので、こういったことをちゃんと体系づけるということは非常に重要だなと思っております。
次をお願いします。
2つ目が「高校生世代の支援について」、これも出ておりますので、ここについても少しお話をさせていただきたいと思います。
次をお願いいたします。
高校生世代はなぜ大事なのかという話はもう十分御存じだと思いますので、ここは飛ばしていただいて次をお願いいたします。
本当に字が小さくて申し訳ないのですけれども、キッズドアでは今、高校生の支援ということで、こんな感じでやらせていただいております。
次をお願いいたします。
例えば都内だけでもこれくらいやっておりまして、基本的に子どもはどこか行きたいところがあればそこに来てもいいよというふうな形で連携をしながらやっております。
次をお願いいたします。
そういった中で、こういうことがあると何がいいのか、高校生の支援というのは何が重要なのかというと、出口のところですね。そこが大事で、例えば高校卒業後、大学進学もするのですけれども、就職とかもしっかりとしていくわけです。
ここに3つ事例がありますけれども、中学生のときから私どもの学習会に来てくれて、最初は非常に大変なお子さんたちでした。話しかけても口も利かないような子だったりとか、そういう子ですね。
上の子で言えば、中学生から居場所に来ていて、私も当時は現場にも出ていましたが、本当に口も利かないようなお子さんですけれども、ずっと来て、工業高校に進学してからも来てくれて、高校3年生くらいになると大分よくなって、居場所の中学生が体験学習に行くときに添乗のボランティアをしてくれるとか、そういうふうな子です。それで、高校でも成績優秀で本当に立派な企業に入りまして、今は日曜日にボランティアに来てくれるというふうな成長を遂げています。
また、真ん中の女の子は、中学校はほとんど不登校で学校に行っていなくて、入試の前日にやはり高校に行きたいんだと言って、スタッフが慌てて高校の先生に入試の前日というか、要は受験の登録の申込みの前日に学校に行って一生懸命そこを手当てするというようなことはやったんですね。
それで、一応定時制、単位制の高校に入ったんですけれども、やはり1年生のときは訳も分からない中でうまく単位の申請とかができなくて1単位も取れなくて、学校からは今までたくさんの生徒さんがいるけれども、1年生で1単位も取れなくて卒業できた子はいないから考えたほうがいいと言われて、居場所に来て相談とかをされたんですけれども、絶対辞めないほうがいい、何とかなるからということで励まし続けて、無事にこの子は4年の年度内に卒業できたんですね。それで、今はちゃんと立派に就職をして仕事をしていて、私たちのところにボランティアで来てくれるという状況です。
3人目のお子さんもずっと居場所を利用していて、キッズドアからちゃんと就職したということです。
例えばすごく分かったのは、工業高校とか商業高校とか、そういう専門学校に貧困家庭のお子さんたちが行く場合も多いと思うんですけれども、工業高校というのは物すごく難しい勉強をするんですね。例えば流体力学が何とかとか、図面が何とかとか、電気の何とかとかで、それができないと本当に中退せざるを得ない。商業高校に行って簿記が取れないと進級できないというようなことがあって、そこで本当にお金のない子たちは何の支援もないと辞めていくということだと思いますので、そういうふうなサポートをどこかがやるということはすごく重要だなと思っています。
次をお願いします。
2つ目が、広域連携のお話と、あとは大学進学のお話があったと思うのですけれども、これも私どもがやっている超広域連携といいますか、キッズドア学園医療コースということで、非常に困窮家庭の高校生とか浪人生を対象に、医師とか、看護師とか、薬剤師とか、そういったことを目指したいんだ、大学に行きたいんだ、専門学校に行きたいんだというお子さんたちのためのコースというものを企業から御支援をいただいてつくりました。
ここにあるように、北海道から沖縄まで生徒の登録があって、通える子は東京の教室に通っていますし、そのほかはオンラインで指導をしています。それで、現在69名、70名くらいの生徒さんが参加しています。
次をお願いいたします。
「サポート内容」としては学習支援ということなんですけれども、どちらかというと勉強を教えるよりは勉強の仕方を教えるとか、適切な参考書などを示してあげるとか、そういったことで、重要なのは情報支援です。奨学金のお話ですとか、受験のためのお金をどう用意するかとか、そういったことをお届けするとか、あとは模試のお金がないので模試のお金を出してあげるとか、実は医学部の受験というのは面接があるんですけれども、スーツがないというのでスーツの貸出しをしてあげるとか、そういうふうなことが重要なんですね。
ですから、大学受験したい貧困家庭のお子さんたちに、では予備校代とか塾代を出してあげればいいかというと、実は困っているのはそうでないところが多いので、やはりそこら辺の支援をちゃんとやってあげることがすごく重要だなと思っています。
次をお願いいたします。
こんな感じですね。教室に来ている子もいれば、オンラインで参加する子もいますし、御飯の支援ということもやっています。
次をお願いします。
そんな中で、本当に行けるのかなと思ったんですけれども、昨年初めてやって、2人医学部に行きまして、実は2人とも生活保護家庭のお子さんでした。すごく頑張ってやったんですけれども、やはり支援があったことが非常によかったと言ってくれています。こういう子たちがいるし、こういう子たちへの支援が重要だなと思っています。
次をお願いいたします。
3つ目ですね。生活保護家庭のアウトリーチについてもお話があったかと思いますので、こちらについても少しお話しさせていただいております。
次をお願いいたします。
キッズドアはそんなにアウトリーチをやっていないのですけれども、埼玉県の草加市でやらせていただいております。こんな感じでやっています。
次をお願いいたします。
アウトリーチはすごくいいんですね。結果としては小学生だけ60人くらいで、月1回職員が行くだけなんですけれども、この月1月行くことがすごくいいというふうに言っていただいていて、やはり家庭の状況が分かる。学力云々ではなくて、御家庭の状況が分かる中で、いち早くいろいろな支援につなげていけるということですごくいいんです。
ただ、課題としてはやはりすごく専門性が高い職員が行かないとなかなか難しいということで、昨年は少し学習支援のアルバイトさんとかでも行けるかなと思っていろいろ試行錯誤していたんですけれども、今年は社会福祉士の資格を持つ職員が専任で当たっているというような状況で、もっと増やしたいんだけれどもなかなかできないということです。
次をお願いいたします。
まとめとしては、本当に学習支援・生活支援事業は非常によいので、ぜひ補助率を上げていただいて、65%で止まっているところをもっともっとできるようにするといいなと思っています。
それから、高校生世代には本当にやることでちゃんと結果につながっていくので、ここをしっかりとやっていくという体制と、ここをできるような支援メニューが重要だと思っています。
また、生活保護家庭へのアウトリーチ事業の予算措置も重要だと思っています。
次をお願いいたします。
2つ目ですが、ぜひこれをと思うのは、コロナ起因で本当に大変なことになっておりまして、次にお示ししますが、子どもの学力も生活も非常に崩れている御家庭が出始めているので、ここは本当に集中的に対応できないかと思っています。やりたい自治体はたくさんあるけれども、お金がなくてできないので、補助率を10分の10とかで5年くらいやっていただけるとすごくいいのかなと思っております。
また、何度も言いますけれども、子育て世帯への緊急小口資金とか総合支援資金の償還免除はぜひラインを上げていただきたいと思っております。
次をお願いいたします。
ここにあるように、今年の7月に私たちが支援している困窮子育て家庭2,600世帯に対して取ったアンケートですけれども、学力が落ちたという子が3割以上おりますし、学校への行き渋りが出てきていたりとか、すごく大変な状況です。
次をお願いいたします。
お子さんの影響がまだ続いているんですね。社会的にはコロナはもう落ち着いたんじゃないかと思いがちなんですけれども、まだ子どもの影響がありますという方が4割近く、37%ありまして、さらにその下にあるように保護者の方の収入も減少して、全く戻っていませんという方が5割という状況です。非常に困窮が続いている中で、この方たちの支援をぜひお願いしたいと思っています。
時間が延びて申し訳ないのですが、最後に1つ、現在共同親権の議論というものが進んでいるのですけれども、子どもの貧困の原因の一つに一人親家庭の養育費の受け取り率の低さというものがあるわけです。調査によれば、42.9%の母子世帯が養育費の取決めは行っているのですけれども、実際に受け取っているのは24.3%ということで非常に低いんです。養育費に関しては受け取り率、逆に言えば支払い率の低さが長年の懸案なので、どうにかここに諸外国のように強制力のある取り立てなどの仕組みをやってほしいと言っているんですけれども、なかなかこれが進まないという中で、共同親権のお話が片や進んでいくということは、養育費を受け取っていないシングルマザーの方々にとっては非常に耐え難いものだと思っています。
あともう一つ大きな問題としてさらに、今、私のツイッターは大変なことになっているのですけれども、共同親権についてちょっとお話をしたら悪意のある投稿が山のようにきております。そういうことは聞いていたんですけれども、なるほどこんなことなのかということです。
何を申し上げたいかというと、共同親権はどうだということがまともな議論ができないような状況になっているんです。私のツイッターが炎上したら、同じ女性の方とかから、私も同じ目に遭ったからもう言わないようにしているとか、共同親権だけは触れないようにしているというようなことがあって、非常に重要なことなのに議論ができないということはよくないなと思っています。私は別に共同親権はいい、悪いという賛否は示していないのですけれども、子どもにとっても親にとっても非常に重要な問題なので、安全な環境で十分な議論を尽くしていただきたいと思っています。
最後に繰り返しになりますが、子どもの貧困の立場からは養育費の支払いの義務化をお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、お待たせいたしました。齊藤参考人からよろしくお願いいたします。
○齊藤参考人 徳川家康公生誕地、愛知県岡崎市ふくし相談課の齊藤と申します。よろしくお願いいたします。
岡崎市は、改正社会福祉法施行と同時に重層的支援体制整備事業に移行しております。そういった意味ではトップランナーではありますが、決して先進自治体とは思っておりません。
ただ、愚直に取り組んでいるとは自負しております。そういった意味で、タイトルに「リノベーション&イノベーション型重層事業」とありますが、目新しいものをやるのではなく既存事業の再構築とか既存事業と既存事業をつなぐ、必要とあらば果敢にチャレンジ、イノベーションですね。そういったことを強く意識しながらトライ・アンド・エラーを繰り返しながら前進している平均的な自治体であります。
次のスライドをお願いします。
「岡崎市の概要」です。39万5,000人、中核市でございます。小学校区47、中学校区が20、右下のところで岡崎市の強みとして自治会の加入率が90%を超えているというところでございます。
次のスライドをお願いします。
これが令和4年度の重層事業、社会福祉法の106条の4に該当する事業で、岡崎市の予算額でいうと8億弱となっております。
次のスライドをお願いします。
重層事業を所管する課は私の所属するふくし相談課でありますが、この重層事業を進めるときにどういった機能があればいいかなと考えたときに、やはり困窮者支援をベースにしたい。もう一つは、やはり地域包括ケアをベースにしたい。この2つを軸にしたい。上の3つの係の3係体制になっています。
<地域支えあい係>が包括的地域支援事業ですね。それと権利擁護、成年後見制度を担当しています。
一番右が、生活困窮者自立支援制度全般を担当している。
真ん中が<つながり支援係>として多機関協働事業、これがちょっとこだわったところで職員直営でやる。相談支援包括支援員を直営でやる。やはり庁内の連携を委託の人にやらせるのはちょっと酷かなと思いまして、5人配置しております。
ただ、多機関協働事業ばかりではないものですから、ふだんは地域福祉、行政のCSW的なこと、あとは後で話しますが、個別避難計画の作成も担当しています。
それで、困窮者支援をベースにしたいと言いながら自立相談支援事業者に委託しております。これが下の真ん中の社会福祉法人愛恵協会というところなんですけれども、ベースにするといって外に出していてはいけないと思って、福祉相談課の中に毎日出勤して一緒に机を並べてやっています。
もう一つ、包括ケアをベースにした社会福祉協議会なんですけれども、基幹型包括支援センターをお願いしていますので毎日来てもらっています。あとは、重層の新事業、参加支援事業とアウトリーチの事業ですね。あとは、生活困窮者等のための地域づくり事業も社協に委託しておりますので、一緒に机を並べて、職員は14人ですけれども、この愛恵協会と社協も同じぐらい、倍ぐらいいるという感じです。
右下にありますが、やはり自立相談支援事業所は1か所でやはり人員に限りがあります。特にコロナ禍で相談の件数が物すごく増えました。そんな中で何をやったかというと、やはり困窮の要素のない相談もあります。そういったものは基幹包括の社協さんとか相談支援包括員が受ける。そういったことで、自立相談支援事業所が本来やる同行支援とかアウトリーチの活動を維持する。
地域づくり事業については、参加支援事業者とか市の社協のCSWとうちのCSW、あるいは基幹型包括には1層の生活支援コーディネーターがいますので、そういったものと連携してやる。そんな体制になっています。
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「物理的な連携」をしようと、3階に子どもを集めちゃいました。市役所を改修しました。こども子育て、「ここサポ」と言います。ふくし総合サポートを「ふくサポ」と言います。オープンフロア化しています。
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ここから重層の取組になりますが、困窮者支援をやっていると、どうしてこんな状態になってから相談に来るのとか、そういうのはもっと早く相談してよというのを感じるところがあります。やはりアンケートを見ても、「相談できる人がいない」とか「相談先がわからない」「情報を入手する術がない」とかということで、やはりアクセスしやすい環境をつくっていくのが必要じゃないかということですね。あとは、インターネット媒体で入手するというのも確認できています。
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そこで考えたのが、岡崎市は地域福祉センターというのが東西南北中央にあります。これは高齢者の施設です。その中にある機能は、老人福祉センターと、包括と、デイサービスと、居宅ですね。これがある。それで、地域包括支援センターを属性や世代を問わない第2層レベル、1.5層ぐらいですね。包括的な窓口にしよう、まちサポにしよう。高齢者の老人福祉センターを多世代交流にしよう。誰もが集える場所の中から、そういうポピュレーションアプローチの中からハイリスクの人をキャッチして相談につなげる、そんな体制をつくっていきたい。今治市さんのまちかど保健室ですか、あんなようなイメージをやっていこうかなと思っています。
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やはり行政は情報発信が下手といいますか、本当にセンスがないんですね。市のホームページをやっても、探したいところにたどり着かない。そう思っていたら、ひきこもり支援をやっているNPOの理事が熱い思いで個人的にやっているのを見つけて、これだと思って、ここに岡崎市のあらゆる情報を集約しようと思って「つなぎめ」、これは今、検索すれば出てきますが、今は正直あまり情報がない。
それで、孤独・孤立プラットフォームをつくりましょうという話がありますけれども、ちょっと再構築して今は正直、岡崎市は支援調整会議をプラットフォームですと言い切ってしまっているのですが、あまり意味がない。では、本当に支援をする人たちを集めて、その情報を相談から就労から居場所の情報を一つに集めたポータルサイトもつくっていこうと思います。やはり若者層はインターネットにアクセスできますので、若年層を意識したところですね。
あとは、困窮者の中には電話が止められている人も結構います。けれども、Wi-Fi環境があればインターネットにアクセスできるというのがありますので、そういったものも狙っております。
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重層は断らない相談という標榜はありますが、やはりいろいろなところに出向いて、先ほど資料3の説明で顔の見える関係と、とにかく形だけじゃなくて顔の見える関係をつくる。そうすると、スクールソーシャルワーカーや、警察の人や、病院の連携室や、いろいろなところから声がかかるようになってきます。
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これはおまけですけれども、郵便局にもお願いして、高齢者とかはよく行きますのでこういう困り事連絡先をつくらせていただきました。
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支援会議と重層的支援会議ですが。重層的支援体制でもこういう機能があります。それで、支援会議ですね。社会福祉法の106条の6のところですけれども、本人同意なし。
あとは、重層的支援会議ですね、支援調整会議みたいなものですけれども、これはふくし相談課、多機関協働事業者が主催する。
それで、重層的支援会議はこのメンバーです。ふくサポ会議と、ここサポ定例会は要対協なんですけれども、あとはふくサポのほうに住宅計画課、住宅担当部局が必ず入っている。これは後で説明しますが、なかなか強みです。
最近はやはりアンケートで随時のいろいろな分野の会議もふくし相談課が入ることで重層的支援会議をしますので、随時会議が結構あります。
次のスライドをお願いします。
重層のコーディネートをする機能、多機関協働事業の実績です。
次のスライドをお願いします。
重層的なものですが、これも飛ばします。
他制度の連携としまして、住宅部局を岡崎市はすごく頑張ってくれます。国のほうでも住宅セーフティーネットありますが、端的に言うと使えません。それで、「住まいサポートおかざき」というのをつくってくれて、居住支援団体が実は岡崎市エリアを担当するのが7団体あったんです。そこと、あとは不動産業者とか、そういうところとネットワークをつくっていただいた。そうしたら、居住支援法人が身元保証をやってくれるところがあったりとか、同行契約をやってくれたりとか、結構使えるんです。
あとは、物件も探してくれます。あとは、死後事務委任とか見守り生活支援ですね、こういうのをちょっとパッケージ化して、葬式をどうするか、墓をどうするかとか、実は昨年度、老健局のほうですが、高齢者住まい生活支援伴走支援プロジェクトにも参加し出してそういう取組も始めております。
次のスライドをお願いします。
これは実績になります。一番下ですが、やはり家が見つかっても引越費用がないとか、ごみの片づけができないとか、こういうのはアウトリーチとか参加支援があの手この手でやっています。
次のスライドをお願いします。
「子ども・若者総合支援センター」です。これは、下のところにいろいろ課題がありましてリニューアルします。それで、いいところは教育委員会がやってくれるというところなんです。少年愛護センターと一緒にやっていきます。それで、就労の初期相談がありますので、就労準備支援事業と連携しながらやる。
あと、やはり最近ヤングケアラーですが、子どもの問題じゃなくて恐らく家族を取り巻く問題、これは多機関協働事業でやっていこうと思っております。
次のスライドをお願いします。
食料支援です。これは結構、大々的にやっています。昨年度からコロナ禍で、フードドライブというのを岡崎市と社協が始めたんですけれども、これはいろいろな事業者が、私もやりたい、やりたいということで、本年度は毎月どこかでやっています。
それで、今、真ん中にあるバンクですね。フードバンクを立ち上げよう。こども食堂とかも宅食をやっているところがいろいろありますが、こういう点の活動を面にしてやっていこうということと、このフードドライブの中で就労体験とか参加支援ですね。あるいは、フードバンクの中でスーツの貸出しや、善意銀行を使って少額貸付けとか、こういうのをやっていこうと考えています。
「農福連携」になりますが、ちょっと変わった農福で、特別支援学校がやっているんですが、時間がないので飛ばさせてもらいます。
地域づくり事業で私は一番いいなと思っているのは、個別避難計画ですね。これは市町村で義務化されていまして、防災というのは地域にすごく反応がいいんです。やはり個別避難計画の中でふだん近所付き合いをしていない人とアプローチができる。これを使って地域づくりをやっていきたいかなと思っています。
次のスライドをお願いします。
寄附のほうも、物すごく今やっています。生理の貧困とかありましたが、生理用品も片っ端から寄附でいただきましたし、意外とよかったのが企業の防災備蓄です。ハムピラフとか、きのこのリゾットとか、ハンバーグとかあるんです。これはいいなと思って集めて、企業側にはふるさと納税をお願いしていたらあるディーラーが、お金は出せんけど車は出しますとか言ってくれたり、いろいろありました。
あとは、右側のところですね。信託銀行じゃなくて、金融機関が信託の免許というのがあるんです。それで、遺贈信託ですね、これも始めます。これをやっていたら、下にある遺言代用信託という機能があって、これがパンクしかけている日常生活自立支援事業の緩和に使えるかなと思って今、話し中です。
次のスライドです。
社会貢献型某製薬会社と社会貢献型防災備蓄とか、いろいろ企業版ふるさと納税はやっていますが、やはり自治体ですとお金がすぐ使えないというか、総計予算主義の壁で、すぐ使えるような支援をしたいなと思っています。何とかならないかなと思います。
次のスライドをお願いします。
困窮者法の理念の中で、尊厳の確保というものがあります。困窮者だろうが誰でもそうなんですけれども、やはり尊厳のある生活で、今、就活エンディングサポートとかありますが、これに力も入れています。まだまだ元気なうちは終活で、最後にターミナルになったときは『ACP』ですね。これができる尊厳のある最期の生きざまをどうしていくか。こういったことも力を入れています。
最後のスライドになります。
これは、岡崎市で実際に市民に取ったアンケートです。私たち福祉をやっている者としては、やはり住民の方を幸せにするということがミッションだと思っています。それで、見てみると、満足していますか、77.1%、主観的に満足しているという人がいるんです。これをどう判断するかというところですけれども、フレキシブルにできることと、カスタマイズができること、これが重層のいいところだと私は思っております。それがゆえに、やはり自治体の本気度が問われるものだと思っています。
ただ、やはり行政というのはサンクコストを取りたがらないところがありまして、やはり重層をダイナミックに展開していくにはこういう社会保障審議会、厚生労働省の皆さんが、まずやってみようよ、うまくいかなかったら立ち止まってやり直せばいいじゃんと、そういうメッセージを強く発していただければうれしいかなと思います。
私からは以上となります。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
私も先月、岡崎市さんに訪問させていただいて今、御説明がございましたが、市役所の1階が仕切りもなく、いろいろな課が集まって見渡すことができ、多分、市民の方にとっては市の職員なのか、委託事業者の職員なのかも区別がつかないという中で、若手の職員が5人ぐらい集まって何かの案件について課を超えて議論しているという光景を拝見して、縦割りがないというのをじかに拝見した次第でございました。ありがとうございます。
それでは、これより乾参考人、井村参考人、渡辺委員、齊藤参考人の発表への質疑応答や意見交換の時間を設けたいと思います。最初に、委員の皆様から御意見など御発言いただいた後、発表者の皆様からまとめて御回答いただきます。すみませんが、複数質問が出てくるかもしれませんが、最後にまとめてということでお願いいたします。
なお、若干時間が押してございますので、御意見、御質問につきましてはなるべく簡潔に御発言をいただけますようお願い申し上げます。
それでは、いかがでしょうか。どうぞ、挙手ボタンを使って。
それでは、生水委員からお願いします。
○生水委員 皆様、本当にすばらしい取組を御紹介いただきまして大変勉強になりました。ありがとうございます。
特に井村さんの御意見で、高校生が就職して自立するときの準備金について、私も賛同します。
それで、1点御質問なのですが、渡辺さんに学習支援事業ではイベント外での通常の食事の提供とか教材の提供、こちらは予算上できない取扱いになっていますけれども、現場では実際、寄附に頼っている状況です。このような状況についていかがお考えか、教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 私からは、それぞれの皆さんにちょっとお聞きしたいと思います。
まず、横須賀の取組ですが、専門職配置をされて健康に関する学習を職員の方たちが自らされながら、そこをしっかりと利用者、生活保護の被対象者の方々に支援されているということですばらしいなと思ったんですけれども、専門職の採用をされる前と今と、どんなふうに変わられたかということです。
それから、児童期の健康意識の問題、例えば虫歯があっても病院に連れて行かないとかということでとても気になる点があるんですけれども、その辺で何かお気づきの点があったら教えてください。
それから、育て上げネットのお話は、高校生の方々も独り立ちするときに対して大学生と高校生の差があるところ自体が、何でこんな立てつけになっているのかなということを改めて感じたところですので、ここについてはいい御指摘をいただいたので非常に参考になりました。
最後に、渡辺さんのところでやはり貧困の問題が文化的な貧困ということを非常におっしゃっていた、いわゆる文化活動とか経験値がとても低いということについて御指摘があったということなんですけれども、ここには非常に賛同します。経済的なことだけでなく、いろいろな体験が少ないということをすごく日々、実感しているんですけれども、学校との連携のところで、学校みたいなことを大分されているのですが、教育の現場とこことの関わりみたいなところで何か工夫されていることがありましたらぜひ教えてください。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、五石委員お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
乾さんにお伺いしたいと思います。2点あります。まず1点目は私も大学の研究者なので、大学の研究機関と連携した取組のところが非常に興味深かったのですが、これに関連した報告書ですとか論文があるのかどうかです。
それからもう一点は、資料の13ページ目で健診受診前後の医療費の推移では変化がなかったという報告をいただいたのですけれども、もう一歩踏み込んで、健診をした人としていない人で医療費に差があったかどうかという点について、ランダム化比較試験自体は倫理的に無理だと思いますが、これに類似した方法で統計的にこれだけデータがあれば解析できると思うのですが、それはできないかお考えを伺えればと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
乾さんと渡辺さんに、1つずつでございます。
今日の乾さんの御報告はケースワーカーの業務、スキルを高めるというところにフォーカスしていると思うんですけれども、生活保護を受給している御本人に自分の健康について関心を持っていただかないと、なかなか聞かないと思うんですね。自分自身のことを大切にしたいとか、自分自身の健康に関心を持たせるような取組というのは何かやられたのかということをお聞きしたいなと思いました。
あとは、14ページの③にある、子どもに対するというか、家族に対する食生活、それからそういう意味での健康習慣づくりというのは極めて重要だと思いますので、ここはより今後の政策の中で強化したほうがいいんじゃないかと思いました。2つ目のところは、コメントです。後で事務局とも議論したいところであります。
それから渡辺さんのところなんですけれども、生困の学習子ども支援の事業の中でやっている場合、教室へサポートする場へのコストの補助について、これはコストの補助は出せないと思うんですけれども、その交通費についてどういう問題意識を持たれているか、お聞きしたいなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 それでは、朝比奈委員お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
参考人の皆さんのお話は、一つ一つ勉強になりました。何点かお聞きしたいと思います。
まず、横須賀市の乾さんにお伺いをしたいのですけれども、この健康管理支援を生活保護の処遇方針全体につなげていくんだというお話は大変うなずけるところでした。その観点から、多様な就労ということが言われていますけれども、その辺りの事業とかプログラムとの連動というところを、お話の中に含まれていたかもしれませんが、教えていただきたいと思います。
それから、渡辺さんにお伺いしたいんですけれども、小、中、それから高校と、学校自体の位置づけも、それから雰囲気も、同じ学校といっても大分フェーズが変わってくるというところがあろうかと思います。
特に高校は学区が格段と広がりますので、そういうことを含めて地域性というところが少し薄まってしまうというきらいもあるかなと思うんですけれども、高校との連携での難しさとか、それに対する工夫などがあれば教えていただければと思います。
それから、岡崎市の重層事業の取組は大変参考になりました。ありがとうございました。動きながらやっているというところがとてもよく伝わってきたんですけれども、一番苦労された点というのを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、先ほど竹田委員がお手を挙げられておりましたが、いいですか。
では、佐保委員お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。4人の皆様にご説明いただき、ありがとうございました。それぞれすばらしい活動をされていると感じました。
時間が限られていますので私からは1点だけ、横須賀市の乾参考人にお聞きしたいのですが、最初の1スライド目に職員数96名でSV8名、ケースワーカー54名とあり、96名との差が結構あるのですが、これだけいろいろすばらしい取組をされているので、そういったスタッフの方以外に、独自に例えばこういう方を採用しているとか、こういう方を配置しているとか、もしそういうところで特色があれば教えていただきたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
皆様、よろしいでしょうか。
それでは、一通り御質問あるいは御意見いただきまして、4名様それぞれにございましたので、御回答、御発言をお願いできればと存じます。
まず、乾参考人からお願いしてよろしいでしょうか。
○乾参考人 では、一つ一つ回答していきたいと思います。
専門職採用前後の違いについてというお話がありました。これはスライド3になるかと思うんですけれども、令和2年度にこのPTの体制というものは確立いたしました。それ以前は任意事業の中で健康管理支援事業は行っていて、いわゆる健診受診勧奨みたいなものを中心にやっていたんですけれども、このような形でケースワーカーの健康教育というものに力を入れ始めたのは令和3年度からなので、やはりそこの前後で多職種の、特に保健師さんに入っていただいたというところが大きいかと思うんですけれども、保健師さんの意見もいただきながら、あとは市民健診担当の連携も取りながら事業を進めていったことが、データで立証はまだできてはおりませんが、健診受診率の増加につながったのではないかと思っています。
次に、児童期の貧困の件でちょっと気になることがあればというような御質問だったと認識しています。先ほども申し上げたように、私自身、児童相談所での勤務経験があります。虐待だったり、そういった御家庭の抱える課題というのはやはり背景に貧困というのがあるというのが非常に大きいかなと思っています。それで、貧困のさらに陰にあるのは親御さんの養育力、いわゆる子どもを育てる能力ですね。そういったものにかなり左右されるのではないかというふうに私自身の経験から思っています。
そういったところから言いますと、先ほどちょっと最後のまとめでもお示しさせていただいたのですけれども、14ページになりますが、やはり児童はもちろんなのですが、親御さんもセットで家族支援という形で児童期の健康管理というところで考えていかないといけないのかなというふうに個人的には思っております。
それから、大学機関との連携について御質問を2点ほどいただいたと認識しています。報告書に関しての論文等というものがあるかというところですが、こちらについては委託してからまだ間がないような状況なので、内部的に医療費の分析についてこういった傾向があるというような内部的な報告はさせていただいたんですけれども、まだ外部に公開するような報告というのはしていないという認識でおります。
それから、医療費の推移の件ですが、質問の意図をもう一回理解したいので、すみません。
○菊池部会長 五石委員。
○五石委員 健康診断について、受けた人と受けていない人で医療費に差が出るんじゃないか。それをランダム化比較試験では倫理的に難しいので、それに類似した分析手法がありますから、それをこのデータを使ってできるんじゃないかと思うんですが、そういう提案があったらどうお考えになるか御意見をお伺いしたいと思います。
○乾参考人 少し大学機関の先生とも相談しながら、そういった側面でのデータ分析みたいなことも検討していけたらいいのかなというふうに今お話を聞いて私は思いました。
お答えになっていますでしょうか。大丈夫でしょうか。
○五石委員 ありがとうございます。
○乾参考人 ありがとうございます。
では、次ですが、被保護者に対して健康に関心を持たせる取組を行ったかというような部分になりますが、こちらについては何か個別具体的にというのはあるかというと、ないんですけれども、やはりその辺はまだ個別のケースワーカーの力量ですね。ケースワーカーの気づきの中で、被保護者のほうに声がけをしているというようなところが実態です。
ただし、健康教育のところの話題になってきますけれども、こういった形でケースワークをしていったらいいんじゃないかというようなことで、5ページ目をちょっと見ていただきたいのですが、「ケースワークに活かせるちょっとした工夫」というのをテーマに健康教育を実施して、実際に健診を受け続けるということの重要性ですね。この辺について、ちょっと寸劇みたいなことを実は健康教育のときには行いまして、みんなの目の前で被保護者とワーカーみたいなことでやり取りをしながら、ケースワーカーに分かりやすいような工夫をして周知をしたというようなことはございました。そういったことを基に、各ケースワーカーが声がけをしていくというような形を取っているというようなところです。
最後になりますが、例えば就労支援プログラムとか、実際に健康管理支援事業を行ったことによってほかの自立に向けたものへの連動についてというような御質問だというふうに理解していますが、現状として就労支援プログラムとの連動というのは直接的にはしないんですけれども、今後こういったこともやはり被保護者の就労といいますか、被保護者の稼働能力の判定とか、そういったものの重要性というのは認識していますので、その辺も検討していきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井村参考人お願いします。
○井村参考人 では一言だけ、学校との連携について幾つか御意見があったと思いますので、それについて学校の側からの事情を申し上げたいと思います。
学校の先生は福祉との連携のプロではないので、ぜひ中学入学時、高校入学時にケースワーカーさんが学校とコンタクトを取っていただいて、個別支援会議というのを一人一人に対してやっていただくという取組をぜひしていただけると助かる子どもや保護者、もしくは先生はいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
まず、生水委員のイベントとか食事支援は事業費内に収めるべきだと思います。まず食事支援はすごく重要で、食事支援があることで勉強したくなくても来るというお子さんがいらっしゃったり、栄養バランスのいい食事が家ではなかなか用意されないというふうなお子さんにとって、ちゃんとした御飯が食べられるというのはすごく重要ですので、生活支援事業をするということでは必須のものだと思っています。
また、企業の寄附とかでやるという方法ももちろんあるんですけれども、それになると年間の中での計画が立てられないわけですね。寄附があったらイベントをやろうとか、寄附があったら体験させようみたいなことになると、1年間子どもを見る中で、全体バランスの中でこういう支援を入れていって子どもたちをよくしようと、例えば今で言えばインパクトを最大化するためにロジックモデルを立てて事業計画をつくっていくというようなことを私どもはやるんですけれども、そういう中に本当に入れられないというふうなことは非常に片手落ちになると思うので、ぜひこれは入れたほうがいいなと思っております。
それから2点目、勝部委員からの学校現場との連携ですが、これは今のところでは非常に難しいなと思っています。学校現場では、特に地方に行くと子どものことは全部教育委員会、学校がやるんだというふうなところもあるので、そういうところはうまく連携ができるのかもしれませんが、私どもが事業をさせていただくところではやはり壁があるなと思っています。
学校現場、教育委員会としては、そういう中から貧困な子だけを取り出して何かをすると、ある特定のお子さんたちだけに何かをするということを実施するのが難しいという文化がある中で、なかなかやりづらいなというふうなことが実際にあります。そういったところに丁寧に配慮をしながら学校現場で何かをするのであれば、その学校現場にかなりいろいろなリソースを足していかないと、今の学校の中で貧困対策みたいなことも一緒にやっていきましょうというのは難しいかなというところが実感です。
それから、駒村先生のおっしゃっていた教室への交通費の補助は絶対にあったほうがいいと思います。本当にチャンスにつながりますので、交通費が出せないから来ないという子は確実にいます。
私ども今、墨田区で夏休みに貧困家庭の女子中高生向けのIT教育みたいなものを日曜日にやっているんですけれども、交通費の補助を1,500円まで1日出しますよということでやったところ、驚くほど遠くから1時間半ぐらいかけて、川越とか、そういうところから来たいという子がたくさん来ました。それが出せないために今までは申し込んでいなかったんだなというふうなことを思うと、交通費というお金がどれだけ子どもたちのチャンスを奪っているかということを考えても、そういった子どもが使う部分の必要な経費というのは事業費の中に入るといいなと思っています。
最後に、朝比奈委員からの小中高の連携ですね。特に、高校は本当に難しいと思います。学区が変わってしまう中で高校連携は難しいんですけれども、私たちで言えば卒業していくお子さんと御家庭と個別につながって、何かあったら連絡ちょうだいねとか、拠点があるのでいつでも顔を出してねというふうなことをやっています。
高校に伺うということもやっていて、高校に伺うことはいいんですけれども、やはり高校に行くとつながれるのは生徒さんだけなんですよね。こういう困窮家庭だと、生徒さんだけではなかなか解決できないところで、やはり御家庭の支援とかに踏み込むためには自治体とかとつながっているところがあったほうがいいと思うので、NPOでも行政でもいいんですけれども、小中と見てきてお子さんたちが高校に上がった後もつながれるといいなと思っています。
自治体の方に聞いていても、一生懸命高校に上げたのに知らない間に高校を中退しちゃっていて、それで自立の相談に来るみたいなことになると、どうして中退する前に来てくれなかったのというふうに思うんだけれども、やはりその情報が全く入らない中で非常に歯がゆい思いをされているということはあるかと思いますので、何かここにいい仕組みができればいいなと思います。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、齊藤参考人お願いいたします。
○齊藤参考人 齊藤です。
朝比奈委員から、重層事業で一番苦労した点についての御質問かと思いますが、今、考えていたんですけれども、私自身は毎日楽しくやっております。それで、私は一応課長なんですけれども、私は課の部下たちには、重層で標榜しているのは断らない相談というのをやっています。
それで、断らない相談という言葉が歪曲されるおそれもありますけれども、今は信頼されるために、それは違うだろうと思う相談でもとにかく何でも1回は受け止めろというふうにしていますし、重層をやっていて思うのは、やはり各市役所、特に市役所というのは各分野、各制度の中で動いているところは、行政というのは対象じゃないともうだめです、対象じゃありません、何ともなりませんと平気で言うんです。
でも、困っている人は生活しているんです。そうするとどうするかというと、自立相談支援事業所とか、あるいは民間の事業所の方とか、包括支援センターの人たちが、あるいは地域住民の方がその人を支援するために歯を食いしばってやっているんです。
そういった地域の人たちが歯を食いしばってやっているのを、どうして市役所が受け止めてあげられないか。そういうことを、事業所も含めて地域の人たちが困っていますというのをどうして市役所が受けられないか、受けてあげたいという思いでやっています。
そういった点で、そういうのは特に苦労とは思っていませんのでやはり苦労ではないですが、不安というのか、スタート時点はやはり不安でした。これは岡崎市特有なんですけれども、令和2年に福祉総合相談体制準備室というのができまして、令和3年4月の重層に向けて1年間かけて準備しろよということでやったんです。私は、その前は財政課にいました。財政課から準備室に来て、1年準備してやれよと。
ところが、令和2年に何があったかというと、特別定額給付金があったんです。これにどっぷりはまっちゃって、準備が正直できなかった。それで、令和3年4月を迎えた。これが今思うと結果的によかったかなと思いまして、先ほど私は重層のいいところはフレキシブルにできることとカスタマイズできるところだと、最初から型にはめずにスタートしたこと、走りながら考えていくやり方、そういったことがよかったかなと思います。
それで、苦労ではないですけれども、やはりやりにくいところがあって、子どもとの連携が正直ちょっと、今は特に虐待が絡むと要対協マターになるんです。調整ができないんですね。すぐ動いちゃう。もっと家族をこうして、こうしてと、調整してから動いていきたいんですけれども、やはり虐待絡みはキャッチしたらすぐ動いちゃう。調整なしで子どもの保護に走っちゃう。そういったところで、要支援の子たちはちょっと調整しようねとか、ちょっと下打合せで、いいか、悪いかは別ですけれどもやっているところです。
あとは、いろいろな事業をやっているというところで、記録ですね。記録がばらばらにあるというところです。個人情報の問題とかあると思うんですけれども、何か統一的な、特に多機関協働事業になったときは統一的な記録があればいいと思います。いろいろな分野でインテイクをやってアセスメントと、もうインテイク、アセスメントだらけなんですよね。それでまた多機関協働でアセスメントをする。そういったのを、何か統一的にできるといいかなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
一通り御回答いただきましたが、各委員から、この点は全く回答がなかったということはございますでしょうか。よろしいですか。
よろしいようですので、それではここまでとさせていただきます。乾参考人、井村参考人、渡辺委員、齊藤参考人におかれましては貴重な御発表、そして御意見を賜り、誠にありがとうございました。今後のこの部会の議論に生かしてまいりたいと存じます。部会を代表して厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
それでは、これをもちまして参考人の皆様におかれましては御退室いただきますようお願い申し上げます。
それでは、これから休憩に入ります。5分間ということで、55分に再開とさせていただきます。
 
(休 憩)
 
○菊池部会長 それでは、これより本日の議題に対する質疑応答や意見交換の時間を設けたいと思います。御意見、御質問のある方は挙手ボタンでお知らせください。会場の方は、私に宛ててお手を挙げいただけますと幸いです。
よろしければ、まず前部会長に敬意を表して、これまでの様々な経緯を御存じでおられる宮本委員から口火を切っていただけますでしょうか。こちらからの勝手な振りで申し訳ないです。
○宮本委員 ありがとうございます。
今、部会長から御指名があったところで、時間だけは長くこの部会の議論に関わってきたシニアの委員として、これまでの10年ほどの議論の積み重ねを踏まえて、議論の御参考にしていただけそうな論点を提供できればと思っております。
それに当たって、議論を進める上で重要と考えている点について、少し大きな問題になってしまうのですけれども、触れさせていただきたいと思います。
御存じのように今、生活保護制度の外部に受給されている方々と同じようにかなり厳しい条件の下で暮らしているにもかかわらず、既存の制度が届きにくい、新しい生活困難層とも呼ぶべき方々が増大しているわけなんですけれども、こうした分離関係を背景に生活保護制度にはやはりプレジュディスといいますか、様々なバイアスのある見方が向けられがちである。それで、財政筋からも、政治筋からも、こうした見方を予見としているのではないかなという議論がしばしば聞こえてしまうわけなんですけれども、そうであるがゆえに受給者の権利を守ろうと願う方々、立場の方々は、逆に今度は制度の内側に閉じこもってしまってというか、制度の枠内で底上げを図ろうという議論になりがちだというふうに思います。
しかし、その結果、そのプレジュディスの背景になっている亀裂や分裂が逆に深まってしまうという負のスパイラルみたいなものが進行しかねないわけでありまして、このスパイラルを断つためには何が必要か。
恐らく2つのことが非常に重要で、1つはやはりエビデンス・ベースドな議論をしていくということですね。それでプレジュディスを是正していく。間違っても、プレジュディス・ベースドな議論になってはいけない。EBPMという言葉がありますけれども、プレジュデス・ベースド、PBPMみたいになってはいけないということですね。
それから、その制度の内と外を横断するような形で、新しい生活困難層にも届く支援を広げていくということが重要であろうかと思います。
しかし、新しい生活困難層に支援を広げるという名目で受給世帯への支援が逆に薄められてしまうということになっては、これは本末転倒であるということだと思います。この辺りをいかに念頭に置くかということです。
それで、今日の論点全てに触れられるわけではないですけれども、まず健康管理支援については頻回受診、これが看過できない問題だというのはそのとおりなのですが、実際エビデンスもあるんですね。
ただ、どのエビデンスにどう注目するかということにはプレジュディスが作動してしまうこともままあるということです。エビデンス・ベースドな議論から言えば、受給世帯の子どもや高齢者の入院外及び歯科の医療の利用率というのは医療保険を利用している世帯に比べて低いわけでありまして、例えば子どもの口腔ケアなどを放置して健康管理がおろそかにされれば、それこそ自立支援が困難になる。この辺りとバランスを取りながら議論していく必要があるだろう。これが1点目です。
それから、健康管理支援の体制づくりについてですけれども、この部会の立ち上げに関わった特別部会の報告書では、福祉事務所自体の医療扶助に関わる相談、助言を行う専門職員を置くんだということを掲げていました。
しかし、被保護者健康管理支援事業が実施された後も、ケースワーカーの人員体制に変化がない、そのままであるという事務所が9割であるわけです。それで、今日横須賀から大変興味深いお話を伺いました。
でも、もう横須賀も職員体制の支援は期待できないということを出発点にここまで御尽力されている。本当に頭が下がるわけなんですけれども、しかし、かつては健康管理支援で体制の強化を掲げたこの部会であるわけでありまして、今そこを忘れてしまって、横須賀だからできているというふうに思いますけれども、横須賀並みに頑張れということになってしまってはちょっと違うのかなとも思います。
それから、指定医療機関への関与、これも非常に重要であります。これから指定医療機関には、薬剤等の処方と併せて孤独や鬱に有益な社会的手法ですね、これを指定医療機関の一つの条件として求めていくということも考えられるのではないかと思います。
社会的手法に関わって地域とのつながりを強めていくならば、これはおのずと医療機関のコンプライアンスの確立にもつながるだろうというふうに判断されます。
次に、子どもの貧困支援、貧困対策についてですけれども、まず受給世帯における大学進学についてであります。振り返ってみても保護受給世帯での大学、特に中間部進学を支援する、そのような選択を可能にしていくということはこの部会で広く合意されてきたことであると思います。
ただ、その方法として世帯内での進学を認めるか、それとも世帯分離を経て進学をしてもらうかについては必ずしも一致をしてきたわけではなかったと思います。この論点は非常に大事でありまして、きちんと深める必要があろうかと思います。
それで、前の部会の議論の状況が一つ出発点になると思うのですけれども、菊池部会長から御指名いただいてこういうことを言うのは逆に逡巡してしまうのですが、前の部会で後者のお立場を取られていた菊池委員が現在部会長で、ちょっと発言しにくいのではないかなと思っています。
部会長というのは、時として発言に慎重になる場合ももちろんあるだろうと思います。議論をまとめていくということを最終段階では求められたりするので、そういう意味ではバランスに配慮した采配が求められるわけですけれども、しかし、他方で部会長というのはその役割と矛盾しない範囲でやはり専門家としての知見を披歴するべきだと思うわけでありまして、この辺りは菊池委員から後での議論の状況にも応じて少しお話をいただくということも考えていいのではないかと思います。
個人的には、ここでも制度の内と外を横断するような、つまり新しい生活困難層にも教育機会の支援が届くような構想が大事だと思うんですけれども、他方でそういう構想を求めると、ややハードルが高いというか、迂遠になってしまうという実感を持たれる方も多いと思いますので、この辺りは悩みどころ、悩ましいところだと思います。
最後はちょっとぼやきに近くなるかもしれませんけれども、子どもの貧困対応についてなのですが、大学進学もさることながら、特に就学前の段階でいかなる手が打てるかということが決定的に重要で、やはり渡辺由美子さんなどの取組からもいろいろ学ばせていただいているのですけれども、言うところの意欲改善にとどまらず、学習の前提条件そのものが成り立たないような困難が広がっているわけですね。
実は、その処方箋として何が有効か明らかであって、アメリカのヘッドスタートとか、イギリスのシュアスタートのように、受給世帯に加えて新しい生活困難層も含めた子どもの学習生活支援を国家戦略として行っていく。これは、アメリカでは2022年度のスタートの予算は11億ドルですね。この部会で扱っている子どもの学習・生活支援の予算とどうしても比べてしまうわけなんですけれども、これは社会的公正と平等と経済成長というか、経済的確立、活力を鼎立させる施策としては鉄板なんです。
にもかかわらず、なぜ日本でこういうことを言うと、すごく理想論に響いてしまうかというのが非常に悲しいというか、つらいところであります。
ただ、こども家庭庁の立ち上げをきっかけに、やはりこの支援事業というのを国家戦略に高めていく努力というのを始めるべきではないか。
最後はちょっとぼやきに近くなってしまいましたけれども、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
議論の継続性という意味では、議事録を見れば過去の議論というのは分かるわけですが、しかし、事務局も替わり、委員も替わっていく中で、やはり議論の継続性というのはとても大事だと私は思っていまして、その意味で今の宮本委員の御発言は大変ありがたく思っております。
エビデンス・ベースド、それから制度の内と外の横断といった大きな視点も御提示いただきました。
また、引き続き私に御指導を賜りまして、なかなか発言は難しいなと思ってはおりますが、ただ、法学研究者は私一人でもありますので、必要に応じてそういった専門の立場から御発言させていただく場面があるかもしれませんので、その節はよろしくお願いしたいと存じます。ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。長島委員お願いいたします。
○長島委員 日本医師会の長島です。国民の生命と健康を守る医療専門職の立場から意見を申し上げます。
(1)の健康管理支援事業に関してですけれども、その患者さんにとって医学的に必要な医療が制限されてしまえば、病気が悪化したり長期化してしまいますので、制度によって制限されるということはあってはなりません。したがって、受診回数や薬剤が適正か否かは単なる数字ではなく、医学的な判断に従うべきです。
しかし、一方、頻回受診などの背景として、精神疾患、依存症、孤独などがある場合も多いということですので、これをいわばスクリーニングとして用いて、行政がその患者さんの状態を丁寧に把握し、医療機関、医師と相談や情報交換をして、必要に応じて地域の例えば精神科などとの地域の医療機関連携や医療介護の多職種連携につなげる。あるいは、行政の健康管理支援などのサービスにつなげることで背景となっている状態が改善することは、医療の必要性が下がるだけではなく自立にもつながりますので、ここは大いに推進すべきと考えております。
また、現在、急速に進んでおります医療DXによって医療情報が地域で共用されるということも、ここのところに大いに貢献できると考えています。
その意味では、(3)関係先の連携のあり方において、連携すべき他の分野としては医療介護、制度としては地域包括ケアシステムがあります。それを現実化するためには、ふだんからかかりつけ医や地域歯科医と連携を深め、信頼関係を築いていただくことが重要と考えております。
(2)子どもの貧困の対応においては、ヤングケアラーの支援について医療分野でも大変重要なテーマとみなされており、患者さんが医療機関に入退院する際、患者さんの家族などにヤングケアラーがいないかどうかを把握するとともに、必要に応じて自治体の福祉窓口などに情報を提供することが推進されておりますので、自治体の皆様側ともぜひ医療機関との連携を進めていただきたいと思っております。
もう一つ、子どもの健康づくりにおいては、食事と同じぐらい重要なものに運動・スポーツがあります。子どもの時期から適切な運動・スポーツの習慣を身につけることは、子ども時代だけではなく成人、高齢になってからの健康増進、健康寿命延伸にも大いに効果が期待されますので、ここはぜひスポーツ庁とも連携して子ども時代からの適切な運動・スポーツの習慣づけを進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ここで、一旦、会場に御出席の委員から御発言ございませんでしょうか。
では、渡辺委員お願いします。
○渡辺委員 先ほど御質問でも、学校との連携というお話を子どもの貧困でいただいておりまして、なかなか難しいですということをお話ししたんですけれども、1点大事なことを忘れておりまして、不登校のお子さんとの連携というのは割とやりやすいのかなと思っています。
例えば、先ほどお伝えした足立の居場所でも、平日、学校がある間の午前中は誰も利用者がいないので、実はそこに教育委員会事業として不登校のお子さんに来ていただいて勉強を教えるというふうなことをやっていたり、私たちがやっている普通の学習会の中に不登校のお子さんがいらっしゃることも多くて、そこに関しては学校とか先生のいろいろな考えもあるんですけれども、割と状況を共有しながらやるというふうなこともございます。
貧困家庭のお子さんで、経済的に大変というだけではなくていろいろな課題が重複されている。発達障害があるとか、不登校があるとか、ヤングケアラーだとか、そういうお子さんの割合も多分普通の家庭に比べれば非常に多いという中で、学校でも困っているお子さんたちがちゃんとつながっている中で連携が進めばいいなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほどは、長島委員が途中退席の御予定ということで先に御発言いただいた次第でございました。
それでは、またオンラインに戻ります。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 お願いいたします。
事務局から今日の質問というか、議題が出ていたのが資料2の21ページ、包括的なことにありますので、この話を中心にお話をしたいと思います。
その前に、先ほど宮本先生からもありましたエビデンス・ベースドというのは、この分野で私は大変重要だと思っていますし、前回お話があった就労支援などもエビデンス・ベースドで議論するべきだろうと思います。その際には、当然ながら統計的な整備や測定方法の確立というのは必ず考えておかなければいけない。この分野は少し遅れているんじゃないかと思います。
それから、健康のことも今日は1つありましたけれども、これも議論の継続性ということで、前回の審議会で健康管理について私が申し上げたことを繰り返すことになりますが、先ほども乾さんのところで少し議論しましたけれども、自分自身が、受給者の当事者自身が幾ら健康のことを外から言われても、御自身が自分のことを大切に思わないとなかなかそこは変わらないと思います。
孤立、孤独な状態で自分自身をネグレクトしているような人に健康のことをわあわあ言っても、実際には行動変容にはつながらないと思いますので、もちろんその表面的な医療費を削るかという話の以前に、御自身を大事にしてもらうように仕向けていくというのがとても大事じゃないかと思います。これは、前回の審議会でこの議論の際に言ったことを繰り返させていただきます。
それで、教育の子どもの視点のことに戻りますが、資料2の21ページに「包括的な」という話があって、この話は資料2の5ページのほうを見ると、まさにこの包括的というのはこの赤字の3つをカバーしているということを意味していると思います。
先ほど渡辺委員からもお話が最後のところにありましたけれども、単に学習しているだけではなくて、親へのサポート、説得も極めて重要であり、そこはかなり技術的なものを必要とするんだというお話をしたわけですね。
それで、資料2の7ページ目を見ると、委託先として25%ぐらいは株式会社等になっているんですね。恐らく塾とか家庭教師の会社ではないかと思われて、それ自体がいいか、悪いかということは申し上げるつもりはありませんけれども、本当にそういったところで親への支援が行われているのかどうなのかを把握しているのかどうか、あるいはちゃんとできているのかどうかというのはちょっと疑問を持っています。
その辺に関わる資料としては、10ページ辺りもその支援を事業者がやっているんだというふうな答え方をしていますけれども、本当にできているんだろうかということは極めて疑問でして、そういうことができるような事業者を選別するように組んでいかないと、効果は出てこないのではないかなと思います。
その辺は自治体の入札というか、いろいろな受託の仕組み等々あるとは思います。分権の中でいろいろ都合はあると思いますけれども、やはりそれを条件づけるということが、先ほど渡辺さんもおっしゃった補助率の引き上げの前提条件になるのではないかと思いますので、きちんと自治体が目利き力を持つ、あるいはそういう親支援もできるようなところを、価格以上に最優先するという問題意識が重要なのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、生水委員お願いします。
○生水委員 生水です。4点意見を述べさせていただきます。
1点目は資料1の36ページの観点についてですが、先ほど乾さんのお話にもありましたように、健康管理支援事業は予防の観点からも健康に関する丁寧な支援として重要な事業で、保健師、看護師、栄養士などの専門的な人材配置が不可欠であると考えていますが、この人材確保が難しく、現場の課題です。
そこで、例えば常勤の保健師の配置については、事務所の現業員のように配置の標準数を設けたり、交付税措置などが必要ではないかと思います。あわせて、生活困窮の相談者に対してもこの健康管理支援事業が活用できるようにする方策が必要ではないかと思います。
また、医療補助の適正化についてですが、SVに聞きますと、県に相談してもなかなか明確な回答は返ってこない現状があるので、都道府県には医療について専門的な知識を持った職員を配置して管内市町への支援をするなどのバックアップ体制が必要ではないかと思います。あわせて、それを生活保護制度として単独でやるのか、または医療知識が蓄積されております国民健康保険制度の仕組みを活用していくのか、検討する必要性があるのではないかと思います。
2点目は、資料2の父母等による暴力等を理由に避難した大学生等に対しての奨学金について随時採用申請が7月からできるようになったのはよかったと思います。
ただ、単身生活の大学生がコロナ禍で生活困窮に陥って大学を辞めざるを得なくなる事例もありますので、こうした場合に生活保護を一時的にでも活用できる仕組みが必要ではないかと思うのと、困窮する大学生等を支援する方策として生活保護制度だけではなくて、例えば住居確保給付金の対象となる大学生が親から独立し、扶養されておらず、学費も生活費も自分で賄っている学生に限られている現状の取扱いを見直して、親の困窮の影響を受けて困窮する大学生についても救済できるよう、住居確保給付金の見直しも必要ではないかと考えます。
3点目は、資料2の学習支援事業についてですが、野洲市では学校教育課、そしてスクールソーシャルワーカーと連携して不登校等の子どもの情報共有を行ったり、要保護児童対策地域協議会の対象世帯の子どもについて、家庭児童相談室の職員が学習支援の場につないで勉強を教えるなど、支援が届きにくい世帯の子どもの見守りにも役立てています。
また、高校進学の奨学金、母子貸付けの手続、進学に伴う家計相談や親の就労支援を行うなど、子どもを通じて世帯の生活支援に関われるよう心がけています。
こうした包括的な支援を展開していくためには、学習支援事業が単独で抱え込んで動くのではなくて、自立相談支援機関が全体のコーディネーター役となって世帯に対して活用できる支援調整を行うことで生活支援が行えるのだと思います。
また、庁内連携に当たっては、例えばひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業が別予算であるのを一緒にするなどの工夫で、予算面と事業内容等で双方に厚みができ、実施率も増えるのではないかと思います。
最後に4点目です。資料3の関連施策の連携のあり方、特に自殺対策との連携について述べます。
生活困窮者自立支援制度と自殺対策は、孤立・孤独を共通の課題として対策に取り組んでいますが、厚労省の過去の調査においては生活保護受給者の自殺率が高いことも指摘されていました。重層的支援体制整備事業においても、自殺対策の視点を持って包括的に取り組むことが必要とされているところですので、生活保護制度も自殺対策としっかり連携して重層的支援会議を活用するなどして、両制度が協力し合って地域における医療と福祉の機能的な連携体制の構築を進めることが重要と考えます。
また、効果的な連携を進めるために、例えば相談支援の国研修に自殺対策の項目を入れたり、両制度の研修会に相互乗り入れする働きかけなど、困窮支援と自殺対策の職員がお互いの制度を理解して一緒に関わることができる枠組みも必要だと思います。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 それでは、4点お話しさせていただきます。
資料1の36ページ、論点の2つ目について、10ページの「新経済・財政再生計画改革工程表2021」において、生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入を含めた医療扶助のあり方の検討が中長期的課題に位置づけられております。
被用者として健保組合や協会けんぽに加入する方を除く、生活保護受給者の国保などへの加入は、地域医療提供体制の整備に責任を持つ都道府県など自治体のガバナンスが医療扶助に及び、医療扶助費の適正化につながると考えます。医療扶助の仕組みを抜本的に変える大きな話になるため、具体的なスケジュール、課題を示した上で議論を始めるべきと考えております。
なお、1点目の都道府県による具体的な支援策として、訪問指導等を行うとすれば、保健所の保健師等が考えられますが、新型コロナ禍で対応に追われておりますので、保健所の体制強化が必要であると考えます。
資料2の49ページに示された論点のうち、上から4つ目の(大学等への進学について)を考えるに当たっては、貧困の連鎖を断ち切り、教育の機会を均等にするよう社会全体で子どもの学びを支援する視点が重要であると考えます。
生活保護世帯と一般世帯の分断を避ける観点に加え、来年4月に子ども政策の司令塔となるこども家庭庁が設置されることを踏まえて、生活保護制度の枠組みにとらわれず、国全体の子ども・子育て政策として幅広く検討すべきと考えます。
3点目、資料1の9ページにあります医療扶助におけるオンライン資格確認等システムの導入に当たっては、被保護者の受療機会を確実に保障するとともに、同システムの未整備に伴う医療券の併存により、福祉事務所の事務負担が煩雑にならないよう配慮をお願いしたいと思います。
最後の4点目です。資料3の18ページの地域づくりに関して、当事者目線という考えでは、生活困窮者や以前に生活困窮者であった方の意見をお聞きし、生かす取り組みが必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、大森委員お願いいたします。
○出原代理 岡山市生活保護・自立支援課の出原でございます。本市市長が要務のため退席させていただきましたので、代理で出席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 失礼いたしました。出原代理でいらっしゃいますね。
○出原代理 よろしくお願いいたします。
私からは、子どもの貧困の対応についてのうち、生活保護世帯における大学進学支援について2点、他の政令市にも御意見を伺っておりますので、その御紹介も含め、自治体としての発言をさせていただければと思っております。
まず第1点目は先ほど宮本先生の話にもありました、生活保護を受給しながら大学に進学する、いわゆる世帯内就学についてどのように考えるかということですけれども、まず生活保護世帯の子どもさんが将来保護を脱却することができるよう、進学への支援を行うことは大変重要であると考えております。
その一方で、大学等への進学者には、一般的に奨学金やアルバイトなどで自ら学費や生活費を賄っている学生さんもおられるといったこともあり、一般世帯との均衡を保つためにも、必ずしも生活保護の適用を検討するべきものではないのではないかという意見がございました。
また、大学等への進学では、既に高等学校への就学によって得られた技能や知識によってその能力の活用を図るべきであるということから、生活保護制度上は世帯分離の取扱いがなされていること、これまでの生活保護法改正で大学等へ進学するための支援策が拡充されていることなどから、現行制度の中で大学等への進学に向けた支援を行っていくことが適当であるという御意見がございました。
また、大学等への進学支援は生活保護制度に限らず低所得世帯に係る問題であるため、生活保護制度の運用を見直すということではなくて、高等学校の修学支援新制度等をさらに拡充するなど、広く生活に困窮する大学生等への支援策を講ずるべきという御意見がございました。
続きまして2点目ですけれども、資料の49ページ、一番下にもありますが、(大学等進学に要する費用の取扱いについて)の考え方でございますけれども、大学進学に当たって当面必要な費用を支弁するものとして進学準備給付金が創設されていることや、また、授業料等入学直後に必要な費用は奨学金等による対応が可能であるといったことから、収入認定除外の対象となる費用の範囲については現行の基準でも差し支えがないのではないかという御意見があった一方で、事前に必要な受験料や入学料のほかにも、入学が決まってから短期間で大学等に納入しなければならない費用について、貸付手続による対応では納入期限に間に合わず、入学を断念せざるを得ない事例も考えられ、結果として被保護世帯の大学進学率が低迷している要因になっているのではないかということも考えられます。
そこで、前期の授業料や施設設備費用、あるいは教材代や入学6か月分までを目安に通学交通費について就学認定除外の対象とすべきとの意見もあり、具体的な項目も挙げて現行の範囲を拡大すべきという意見もございました。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 4点ぐらいあります。
まず被保護者への健康管理支援事業についてなのですけれども、前回の部会の議論のときにも頻回医療のことが随分議論になっていたということで、本当に必要な人が必要な医療をしっかり受けるということと、行き場がないとか、公然と出かける場所が医者以外にないというふうな感覚を持たれて、例えば就労不可となった場合にどこにも自分は居場所がないということで、ドクターに相談をしたり話をするところで居場所に思っていらっしゃる方というのも少なからずおられるというのは、我々の経験上からもたくさん感じるところはあります。
そこで、先ほど宮本先生もちょっとおっしゃったんですけれども、社会的処方という言葉は地域活動をやっている人間はちょっとアレルギーがありまして、薬と一緒にされるのかと、地域活動というのはもっと発意を持って自分たちで皆さんと一緒に仲間づくりをしていくというふうな感じなので、医者に処方されるという言い方はちょっとどうかなという感覚を持つ場合もあるんです。
ただ、多様な自立支援のプログラムであったり地域活動にどうやって社会参加ができるかという視点を、やはりプラスですね。健康診断をすること、そしてたくさんそういう検査をすることもいいけれども、その後、健康を維持していくためには仲間づくりということもとても重要だと思いますので、予防の観点からここら辺りがまたもう一歩進んだ健康管理というところで出てくればいいなということを思っています。
2つ目ですけれども、子どもの支援のところで先ほど生活支援のあり方ですね。子どもの居場所とか学習支援のところの生活支援のあり方について、私はやはりいろいろないわゆる文化的貧困と、子どもの貧困には3つある。経済的貧困、人間関係の貧困に加えて文化的貧困ということで、いろいろな経験値が足りないということや、いろいろな経験不足ということがとても考えられます。特に不登校のお子さんなどは本当に学校での経験が少ないことがありますので、そういうものが学校を補う形での学習支援の場であるならば、当然たくさん与えられるそういうメニューが増やされていくことは重要だと思いますが、私たちと今、関わっている人たちはほとんど親御さんがそんなところに行かさなくてもいいというふうに拒否してしまうとそれでとどまってしまう可能性があります。
そこで、P34ですね。子どもの貧困のところで、会えないという御意見があるという話の中で望まれるアウトリーチ、親御さんに望まれるアウトリーチをどういうふうにしていくのかということで、食のアウトリーチを始めました。食べるものを届けながらアウトリーチをして親御さんと関係性をつくって、安心される関係になってから学習支援というところにつなぐという、そのプロセスが一つ必要なんですね。これも参加支援ということになって、いろいろな場所を幾らつくってもそこのところを丁寧にする人がいない限りは、本当に必要な子たちに届かないということがありますので、そこの強化というのも学習支援のプログラムに併せて必要だと思うのが1点です。
それから、ヤングケアラーの問題を考えたときに、親御さんに精神障害があるとか障害者であるとかということであれば障害のヘルパーが入りますけれども、貧困の連鎖でそもそも家事をしないという御家庭に育って親がそういう経験で生活している場合には、家族をサポートしていくための家事を応援するような体制をつくるという、いわゆるエンジェルヘルパー的な子育て支援ヘルパーのようなものを家族力、養育能力がしんどいというところに対して何か補填できるようなものを加えていかなければ、このヤングケアラー問題は幾ら発見しても、幾らその人たちがそういう状況だということが分かっても改善の余地がないと思います。ぜひここが今回のこども家庭庁の中でどんなふうに議論されるかということも大いに期待したいところであります。
3点目ですけれども、教育機会の大学生のお話は先ほど来からいろいろな御意見があるんですけれども、これはやはりいろいろな角度で皆さん継ぎはぎ、継ぎはぎで、この問題については少し補填をしていくというふうなことで、この間、給付型の奨学金ができたのは大きかったと思うんですけれども、やはり生活困窮の最大の問題は教育費が重過ぎるということなんですね。
だから、教育費が重いことをどうするかというのは生活保護だけの課題ではなくて困窮問題の根幹に関わることなので、ここの教育費の負担をどう軽減していくかというのは全世帯に関わる問題ですし、教育の機会が均等になることも子どもを真ん中に考えたときにはとても重要なことになりますので、ここは何か生活保護の枠組みだけで小手先でというよりは、もうちょっと大きな枠組みでこれからの子どもたち、あるいは教育を受けるということについてどういうふうなビジョンを描くかということを改めて考えていく必要があるのではないかなということを思いました。
もう一つだけ、あとは押し出しが弱い親御さんのところは確実に送迎がないと無理です。全部送迎しないと学習支援も文化的な活動も全くできないので、ここも学習支援、居場所づくりのところにはセットで考えていく必要があると思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。それでは、2点ほど述べさせていただきます。
まず、医療扶助についてです。今日の資料の4ページにもありますとおり、特にやはり入院において医療保険に比べて精神高度障害の割合の方が多いというのは資料でも出ていましたし、一方で入院件数などは先ほどの説明のとおり減少してきているというのは読み取れるのかなと思っておりました。
そこで実態把握をされたりですとか、今日の事例にもあるとおり社会福祉士等が関係機関と連携したり働きかけをしている効果なんだというふうには思うのですけれども、一方で今後の意見、医療扶助に関する検討会における意見の中にもあるように、精神障害の長期入院について、福祉事務所ですとか、障害担当の連携を深めていくですとか、その地域移行に遅れがないよう検討を進めたいというような御意見が出ておりますので、こういった点も促進していく必要があるのではないかと考えております。
特に、被保護者の最低生活と自立の助長という観点から言うと、この長期入院の問題についてもしっかりと考えていくことが、結果としてその扶助費を減らしていくことにもつながるのかなと思っていますし、あとは地域移行ということが言われてかなりの期間がたっていますが、なかなか進まないというところにも様々な障壁があると考えると、この点についてもきちんと手当てしていく必要があるのではないかなと思っております。
2点目が、子どもの貧困についてでございます。資料の26ページを見ますと、先ほどの事務局からの説明にもありましたとおり、保護世帯の大学等の進学率の推移を見ますと、平成25年度と比較すると7ポイントぐらい伸びてきてはいますけれども、それでも依然としてやはり一般世帯から見ると35%ぐらい、教育の格差が見られるのではないかなと思っております。
子どもの貧困への対応という観点からすると、高等学校等進学率と同程度までやはり近づけていくということが重要ではないかなと考えておりまして、この教育の格差というところの解消がやはり子どもの貧困への対応の一助になっていくのではないかと考えています。
49ページの大学等への進学に関する論点の中でも、一般世帯とのバランスを考慮する以前に、やはり子どもへの貧困という観点からすると、この進学率というのを一つここのKPIとして考えていくということを考えると、格差を埋めるということを前提とした上で一般世帯と生活保護等を含めたバランスを考えるという順番でいかないと、なかなかその格差を前提とした中でバランスを考慮すると前に進んでいかないのかなというのを今日の発表等を聞きながら感じたところでございます。
あとは、他の委員からも出ておりますが、論点や発表にもありますとおり、子どもの進路選択というのは子ども自身で決められるものでもありませんので、子ども自身の希望だけではなく、取組ですとか、今日の発表にあったとおり進学に関わる家庭ですとか、その家庭に大きな影響を及ぼす親も含めた世帯全体に対して包括的な相談支援体制や、学習支援費のさらなる有効活用を含めて、さらなる施策の展開が必要ではないかと考えております。
以上、2点です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、五石委員お願いします。
○五石委員 私からは、子どもの貧困について3点ほど申し上げたいと思います。
子どもの貧困について、生まれてから成人までの一貫した支援体制が重要になってくるのではないかと思います。先ほど宮本先生がおっしゃったように、基本的には貧困の連鎖を防ぐ上では就学前教育が最も重要なんだということが広く言われているわけです。ですから、なぜ生活困窮者自立支援に就学前教育が入っていないのか、以前からの疑問であります。
本日の論点の中では、子どもの生活支援、切れ目のない支援、それから関係機関との連携強化というところと関係してくるのですが、児童福祉法、母子保健法の改正によって子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点が設けられており、各自治体で今後これらをどう整備するか検討されているところかと思います。
今般さらに児童福祉法等の改正があって、それにともなって、子ども家庭センターを新たに設置するという方針があるようです。この子ども家庭センターは全ての妊産婦、子育て世代、子どもへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関だと説明がされています。そうだとすれば、これらの機関と生活困窮者自立支援上の子どもの学習・生活支援事業との連携、関係、役割分担がどうなるかということを検討すべきではないかと思っているのですが、本日いただいた資料にそれが出ていないので、そこはいかがなのかなと考えております。
また、以前のこの部会で福祉事務所に関する議論が出ましたが、福祉事務所には家庭児童相談室というものが1960年代から設置されています。それとの関係もどうなのかも含めて、子どもが生まれてから成人するまでを一気通貫して支援できるような体制を検討する中で、生活困窮者自立支援の事業をどう位置づけるか、議論すべきではないかと思っています。
2つ目ですけれども、子どもの学習支援については文科省に地域未来塾があって、これに予算が60億くらいついているようなのです。これも以前から不思議に思っていましたが、似たような事業が結構たくさんあるんです。生活困窮者自立支援の考えの中には分権的・創造的な支援という項目があるのですが、そうであるならばこれらの類似した補助事業をまとめて一括交付金化をして、あとは自治体の事情に合わせて御活用くださいというふうにしたほうが生活困窮者自立支援の理念に合うのではないかと思います。
それから3点目なのですが、大学等の進学についてということで、いただいた資料で、一般世帯とのバランスを考慮するとできないのではないか、難しいのではないかということが書かれているのですが、これは私は全く逆転した考え方だと思っています。もし一般世帯において大学進学で生活費を賄いながら進学しないといけない状況にある。それで、それが最低限度の生活と言えないような水準であるならば、生活保護であろうとなかろうと、これは国として支援をしなければいけないのではないかと思います。それは、生活保護であろうとなかろうと関係なく、まずそこから始まるのではないかと思います。
ですので、大学へ苦労しながら通うということが最低限度の生活と言えるのかどうかというところが論点になるだろうと思いますけれども、その確認をしたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今、文科省の事業との兼ね合いという御発言がありましたけれども、ここでの議論との関係でどう扱っていけばよろしいでしょうか。こういう議論があったということを伝えていただくということもあるとは思いますけれども、ここでそこまで議論の射程をおいて議論できるのかどうかという辺りで、今日のところは宿題として受け止めてもらいますか。
○米田室長 事務局でございます。
今日いただいた文科省の地域未来塾の関係の御議論などについては、今日は受け止めましてまた今後検討させていただければと思います。
○菊池部会長 お願いします。
それでは、入木代理お願いします。
○入木代理 高知市福祉事務所の入木と申します。本日は、市長の岡﨑に代わりまして出席させていただきます。よろしくお願いします。
私からは、生活保護世帯の大学への進学について現場の立場から一言申し上げさせていただきます。
本日の資料2の大学進学率を比較したグラフにもありますように、生活保護世帯の大学等への進学率は全世帯と比較すると著しく低い状況にあります。これまでの検討会の御意見の中にも、生活保護の制度上、大学に進学すると世帯分離の扱いになって保護費が実質減額となりますので、それが少なからず進路意欲に影響を与えているのではないかという御指摘もあります。確かに、家族の人数、世帯人数が変わっていないのに保護費が減額になるということは家計としては大きな痛手となると思います。
ただ、現場で担当しているケースワーカーに話を聞いたところ、保護費が減額になるからという理由で進学を諦めた人の話というのは意外と少なくて、むしろ本人の学校での成績が振るわないでありますとか、本人の進学意欲等の問題で結果的に大学を選択しなかったという話が多いように感じます。
多くの親は、子どもが進学を希望すれば、できればそれをかなえてあげたいと思っている方が多いと感じます。
一方で、高校生のいる親に子どもの進路の話を伺ってみても、そういった話にあまり関心を寄せない。また、世帯が抱えている別の問題への対応で手いっぱいで、とてもそういうところまで余裕がないといったお話を聞くことがあります。家庭の環境が子どもの進学意欲をそいでしまっているのではないかという心配があります。
進学率に差があるとはいえ、4割近くの子どもさんが進学している実態を見ますと、生活保護を受けているからといって必ずしも進学を諦めなければならないといった状況ではないと思います。修学支援制度や現行の保護制度における準備金や収入認定をしない取扱い、あるいは住宅扶助の減額をしない措置など、そういったことを活用して早い段階から計画的に取り組めば進学は可能かと考えます。
そのためには、子どもさん本人への支援に加えてやはり保護者である親への支援というのも必要と思います。先ほど井村参考人からケースワーカーの関わりという御意見をいただきましたが、これは本当にケースワーカーへの叱咤激励と感じております。親が子どもの教育や進学について関心を持っていただけるよう、現場のケースワーカーがこれまで十分ではなかったかもしれない修学支援制度の情報提供や、それから学校や専門機関と連携して進路相談に関わっていく。それもできるだけ早い段階で関わっていくようにすることが大事ではないかと考えております。
私からの意見は以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員お願いします。
○奥田委員 ありがとうございます。
私のほうからは、大きくは2つです。
1つは被保護者の健康管理のことですけれども、すみません。やはりほかの方もおっしゃっていますし、前回もそういうことだったと危惧したところだと思いますが、医療費をどういうふうにある意味効率化するかという議論なのでしょうけれども、私は答えは健康になるしかないということなので、いかにみんなが健康になるかというところかと思います。
そうなると、やはり現場の感覚からすると、孤立状態にある人が健康を害する。さらに、病院との縁が切れないという言い方をしますけれども、やはり縁なんですよ。さっき勝部さんがおっしゃったようにある意味、縁なんです。えにしになっている。だから、そこで病院以外のところをどうつくるかということなので、やはりこの議論に孤立・孤独の観点がもう少しきちんと位置づけられるということを望みます。
そして、社会的処方という言葉も出ていますけれども、処方箋だから物化されているかどうかは別としても、私は社会的処方の議論においてやはり一番大事なのはリンクワーカーの存在だと思うんです。それで、16ページの絵を見ると、リンクワーカーに当たるところが福祉事務所になっているように見えます。それはそれでいいと思うのですが、ただ、現状において例えばお医者さんなりの病気に対する判断だけではなくて、孤独・孤立という観点から社会参加が必要になるというときにリンクワーカーの働きを誰がするかという問題で、1つはケースワーカーの育成強化だろう。あるいは、新たにつくるのだろう。さらに、自立相談はリンクワーカーになるか。困窮ですね。こうなると、重なるという例の議論とかぶってくるというところで、この辺りはやはり孤立・孤独のことときちんと位置づけた上で議論したほうがいいのではないか。
2つ目が子どもの貧困のことですが、生困のほうも保護のほうもこれを入り口とした世帯支援にどうつなげるかとか、親も含めた世帯支援をどうするかということで、48ページに「親の教育への意識が高くない」というような表現も出てきますが、私たちの現場の感覚からすると、例えば2013年から抱撲では「子ども・家族まるごと支援」というのを始めて、それの目玉は何だったかというと訪問型の学習支援だったんですね。どこかに集合型で子どもが来るかというと来ないので、家まで訪問して学習支援する。そうすると、当然家の中は全部分かりますから、子ども入口の世帯支援というのを始めました。
そこで我々が最初に見たのは非常に驚くべき現実で、例えばごみ屋敷であるとか、あるべきものが何もないというような話になっていて、一見ネグレクトに見えるんですね。育児にしても教育にしても何もかも放棄しているような親に見えるんだけれども、結局何が一番問題だったかというと、誰からもやってもらったことがない。親自体が社会的な相続をしていないということなんです。その親の社会的相続不全というところをどうするかというのがやはり一番大きな問題でした。
ですから、どうしてもお母さんを引っ張り出して、お父さんを引っ張り出してということができないから訪問型がベースなんだけれども、そこのポイントは親の社会的相続みたいなところ、これは単なる遺産相続ではなくて様々な経験値ですね。その経験値が前の世代からの相続が、人間というのはやってもらったことはできるけれども、やってもらったことがないことはできないんです。我が子にしてもそうです。
そういうことで、私はポイントとして相続が不全状態になっているというポイントをちゃんと認識することと、やはり訪問型ですね。渡辺さんも今日おっしゃっていたけれども、アウトリーチですね。
ただ、これは相当専門的なものだということをおっしゃったのがやはり印象的で、訪問型ができる、訪問ができるスタッフの育成というものをどう考えるのかということに非常にポイントを置いてきちんとやらないといけない。やはりアウトリーチとまたちょっと違うんですね。アウトリーチだけではなくて、訪問というのは家に上がり込みます。入り込みますから、やはりそこでのコンプライアンスの問題とか、個人情報の問題とか、全てある意味きちんとやった、それだけの専門性を持ったスタッフをこの部分で子どもの貧困のところの対応で置けるかということです。
最後に、そうなると学習支援のみやっているところと、やはり世帯支援をやっている、訪問支援までやっているというところはちゃんと精査して、例えば先ほど企業の受け皿というのは結構あるということが報告されていましたけれども、企業だから訪問していないとか世帯支援していないという簡単な話ではないと思うので、企業であろうが、NPOであろうが、実際世帯支援をどこまでやっているのかをきちんともう一段階踏まえた議論をしたほうがいいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 これまでの皆様の御発言で私が発言しようと思ったことも大分出てきているので、簡潔にしたいと思います。
まず1点、健康管理支援についてです。これは何人かの方がおっしゃっていたとおり、やはり意欲とか自尊感情というところと非常に深く関わってくると考えています。そういう意味では、社会生活の観点からのアプローチということが非常に重要になるのであろう。そのときに生活保護の中だけでやるのか、それとももっと一般施策を含めた、国保も含めた機能を活用していくのか。先ほど冒頭で宮本先生がおっしゃったところは非常に示唆的かなと思っております。
子どもの貧困についても同様に思っております。単純にということでもないのでしょうが、大学進学に限って様々これまで議論も重ねられ、いろいろとされてきた結果、今日、事務局が出された資料のように、高校卒業で自立をしている子たちとの間に開きが出てしまっているというような事態も生じています。この問題につきましても、やはり一般施策の中で全体としてどう取り上げていくかという観点が非常に重要なのではないかと思いました。
それから、学校との連携についてなのですけれども、私たちはもう8年くらい「いちかわ・うらやす678若者サポートプロジェクト」ということで高校連携のアプローチをずっと進めてきていて、個別の学校とのつながりということが大分出てきています。そのような取組をしていくと、やはり子どもから入る相談というのが結構増えてきていて、もちろん家族にアプローチをするのですが、18歳に近くなってきた状況の中では家族支援といっても限界があることも否めません。
それで、先ほど勝部さんのほうからヘルパーなどについてのお話が出ましたが、昨今の児童福祉法改正でその辺りのいわゆる在宅サービスが抜本的に強化されるような方向性が出てきたり、子どもが自分でショートステイを申し込むということについても受けていかなければならないという話になっていたり、これから居場所が学習支援を含めてどんどん増えていったときに、子どもから入る相談というのはすごく増えてくるだろう。そうなったときに、それをどういうふうに地域が受け止めていくのかということを困窮を含めてしっかりと考えていく体制づくりが必要です。
ここのところ、困難な相談事例が自立の現場では増えてきていまして、重層的な体制整備、包括的な支援体制づくりというのは待ったなしの課題になってきているというふうにも感じております。
そういう観点から、今日は生活困窮者とほかの制度との連携ということの議題になっていますけれども、重層的体制整備支援事業を含めた包括的な体制づくり、これはどこの審議会のテーマになってくるのだろうということもちょっと気になっておりますし、連携ということを超えて分野横断の全体としての仕組みづくりということをしっかりと議論を重ね、実施状況をモニタリングしていくことが重要になってきていると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
すみません。今日は5時までの予定ですが、また少し遅れそうな状況でございまして申し訳ございません。
内堀委員は5時までと承っておりますので、どうぞ次に御発言ください。
○内堀委員 菊池部会長、ありがとうございます。
今回発言をさせていただくに当たり、全国知事会の社会保障常任委員会構成県に意見照会をしています。
まず、議題1についてお話をします。医療扶助の適正化に向けた都道府県のガバナンス強化については、専門的な知識を有する人材の配置に課題があることや、実施により事務量の増加が伴うことから各都道府県等と十分協議し、合意の上で制度の具体化を進める必要があります。実施される場合には、適切、円滑に事業が展開できるよう、人材確保等に必要な財政措置を講じることが求められます。
また、実効性の確保という観点から、都道府県が関与するための統一的な指標を示していただく必要があるとともに、地域全体の医療費適正化を推進するための他機関との連携も考慮すべきと考えます。
生活保護受給者に対する医療給付については、生活保護受給者の国保等への加入について、国で中長期的な検討課題とされていますが、全国知事会として申し上げているとおり、議論に当たっては制度の課題や運営状況の分析を行い、慎重に議論すべきと考えます。
次に、議題2についてです。子どもの学習・生活支援については非常に重要な取組であるため、全ての実施機関で取り組むことができるよう、国庫補助率の引上げなど、財政支援を強化することが必要と考えます。現状の様々な支援を活用できるよう、支援を必要とする子どもに制度周知を行うことが重要です。
また、大学等就学者に対する生活保護制度の適用については、一般世帯とのバランス等も踏まえ、慎重に議論すべきと考えます。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あとお三方いらっしゃいますが、先に退室されたいので先にという方はおられますか。よろしいですか。
それでは、岡部委員お願いします。
○岡部委員 宮本委員から、今後の方向として、1つは、エビデンス・ベースドの政策形成や事業評価が必要であること、またもう1つは、制度の内と外を超えて検討が必要であることのご意見がありました。このことは、本部会でも検討することが必要であり、また、大きくは国家戦略の新たなステージの視座を提供してくださっていると思います。
その上で、私は医療扶助、子どもの貧困、連携の3つについて意見を述べさせていただきます。
はじめに、医療扶助に関してです。これは、3点あります。
1点目は、医療扶助審議会の未設置が大半を占める、また設置自治体においてもほぼ休眠状態です。また、医療扶助に携わる職員の配置も十分ではありません。このことは、医療扶助の実態や課題、方策を検討する場や人材の確保に向けた都道府県のガバナンスが必要と考えます。ぜひ検討していただければと思います。
2点目は、健康管理支援事業について横須賀市役所より貴重なお話をしていただきました。この点については、健康管理支援事業と合わせて日常生活自立、社会生活自立に向けた取組の強化を合わせて行うことが必要と考えます。これは、宮本委員がお話しされた社会的処方に関わることです。
3点目は、地域移行、とりわけ精神科長期入院の人の地域移行についてです。この点についてはグループホーム、保護施設の救護施設、更生施設が、積極的に心の病のあるこれらの人を受け入れ、よい実践を行っております。このように地域の中で受け皿をつくっていく、そういう社会資源を多くつくっていくことが必要であると考えます。
次は、子どもの貧困に関してです。これは2点あります。
1点目、学習支援費についてです。定額給付であったものが基準部会で審議をしています。駒村委員が部会長をされていたときです。学校のクラブ活動、地域での活動の実態に即して支給する、またはこれまで経済的理由等で参加していない生活保護の受給者の子どもの参加を促進させるという趣旨で、実費支給に変更した経緯があります。
しかし、変更したにもかかわらず実績は、一般世帯の子どもに比べ大きく下回っています。この要因として、生活保護有子世帯に対して生活保護の実施機関が十分な案内や周知をしていないこと、または周知していても実施機関が事前給付や事後の精算払いの理解が不十分であることがデータを通して明らかになっています。このことは、生活保護有子世帯の子どもの不利益を招いていると思います。この点は、生活保護の実施機関に対して周知徹底とその運用をぜひお願いしたいと思います。
2点目、生活保護制度において子どもの教育機会は、当初は義務教育の教育扶助で教育保障を、次いで義務教育修了後の子どもの高等学校等の夜間部等を認め、そしてその後に昼間部等を、さらに大学等については夜間部を認めるようになった経緯があります。
生業扶助で高等学校等就学費を、またさらに大学等の準備として進学準備金の支給や塾等の費用の収入認定除外を行っています。この中で大学等の昼間部を認めるかについては将来的には考えられると思いますが、現時点では私としては2点の理由でもう少し検討する必要があると考えます。
1つ目の理由は、文科省、内閣府、また新しく創設されたこども家庭庁において子ども・若者対策で教育の機会をどう保障するかの議論が必要であると思います。これは、教育の無償化が関わってきます。国家がどの世帯に対しても教育を無償にするという観点から、また先ほど五石委員が述べられたような積極的な優遇策として必要な人に重点的に無償化するという観点から入ってきます。これは生活保護制度というよりも、もっと大きな枠組みの中で検討が必要と考えます。2つ目の理由は、これまでは一般世帯との見合い、均衡で考えてきたという経緯があります。それをどう考えるかは制度内の話になってくると考えます。
3つは、資料3の連携に関連してです。
重層的な体制で行うことは生活課題の複合性、重層性、広範性から、当然そういう仕組みが必要と考えます。その上で、体制構築の中で既存の体制で考えれば、福祉事務所と生活困窮者自立支援機関、さらには先ほど子ども家庭支援センターの話が出ましたが、児童相談所等各相談機関とどう役割分担していくか、また守備範囲を考えていくかも、もう少し詰めて検討していく必要があると思います。
なお考え方としては、いろいろな切り口があると思います。生活困窮で低所得層と貧困層ということなどの切り口、また相談と給付・サービス、さらにはその中で相談をどう位置づけるかなど大きな議論があると考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
池永委員、お願いします。
○池永委員 全民児連の池永でございます。
私のほうからは議論とかというのではないんですけれども、今、私が直面しているというか、そのようなことをお話ししたいと思います。
まず、資料3の30ページを見ていただいたら、私たち民生委員、児童委員の活動状況が出ております。地域で関係機関の方と一緒に活動をしております。その中で、私が民児協の会長になった頃に、小学校から修学旅行に行く子どもが健康保険証がないと言っているというふうなことから始まった事例がありまして、結局父子家庭で健康保険証がなくてということから、小学校から主任児童委員を通じてお話がありまして、地域の民生委員と私とが関わりました。
結局、生活保護になりまして、それから健康保険証も分割で払ってというふうなことで生活が始まりました。6年生と3年生の女の子がおりました。それから、いろいろな面で支援というか、父親には生活能力がないもので、子ども家庭支援センターでネグレクトというような認定を受けております。
それから、長女のほうは中学校を出て高校受験に失敗して17歳くらいで結婚しております。女の子ができました。そのときも民児協として少し関わりをしました。
妹のほうは中学校で不登校になりましたけれども、教育相談所に通って、それから定時制の高校に行って卒業することができました。
姉のほうは17歳くらいで結婚して女の子をもうけ、それから離婚して、また結婚してというふうな感じで女の子が生まれております。
そのときに、子どもの保育園の送迎もしたいからということで、それまで生活保護だったのを抜いております。それから他市に転居しましたので、生活保護も抜いたし、よかったなと思っておりましたら、1年くらい前からその子が私の地区に帰ってきた。それで、どうも妹の世話をお姉ちゃんがやっているみたいだというふうなことが去年くらいから聞かれるようになりまして、今年になりまして高知市子ども家庭支援センターから、その子のことでその家庭についてケース会をしたいからという話がありました。
母親は離婚しておりますけれども、生活保護の家庭じゃないわけです。働いております。だけど、長女に妹の世話を任せているということで、長女がスクールワーカーにちょっと家庭はしんどいというふうな話をしたようです。それが学校から行政のほうへというふうになって、ケース会もいたしましたけれども、なかなか6年生のお姉ちゃんのほうがお母さんのことをいろいろ言いたがらないから、支援をどうしようかなというところで、これは1か月くらい前のことですけれども、決まっておりません。
私といたしましては、随分前から関わってきて、大分よくなったのかな、大きくなっているなと思っていたのがそういうふうなことになって、また心配ですというか、これが貧困の連鎖なのか、その家庭は今、生活保護じゃないですけれども、多分あまり裕福ではないと思っております。
そういうふうなことがありまして、地域でいろいろな方が見えてくるようになりました。保護家庭で40歳代のきょうだいがおりまして、兄に妹で、妹のほうが2週間くらいに亡くなった。どうも熱中症だったらしいということを聞いたり、それからひきこもりの人がいたりとかというふうに、あまり大きな地区ではないですけれども、そういうふうなことがありまして、すごくいろいろな問題があるんだなというふうに思っております。
長くなりますのでここまでにいたしますけれども、家族というものができていなかったのかなと、その母親の育ってきた家庭は父親が生活能力もなくネグレクトだというふうなことからできていなかったのかなと、それの支援がもう少しできたらよかったのになという反省もあってお話しいたしました。
以上です。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
もっと早く御紹介申し上げるべきだったと思っているのですが、今日は途中から障害保健福祉部の矢田貝企画課長がお見えになっています。それで、もう終盤戦ですが、この機会に障害者施策との連携その他について、これは聞いておきたい、これだけは言っておきたいということがあれば、ちょっとお考えいただければ少し時間を最後に取りますのでお願いします。
それでは、お待たせしました。浦野委員、お願いします。
○浦野委員 時間もありませんし、既に同趣旨の御発言がほかの方からも出ておりますのでくどくは申しませんけれども、まず頻回受診をはじめとした医療の適正化ということについては何か規制の力でコントロールするという発想ではなくて、やはりクライアントが自己覚知、自分にとって最適なことはどういうことなのかを理解していくことを支援していくということの中で実現をしていくことだと思いますので、ぜひそこは忘れないでいただきたいと思いました。
それから、子どもの貧困について、大学等についてだけですけれども、一般世帯との均衡ということにもう卒業したほうがいいのではないか。働くということと学ぶということと、どちらが何かぜいたく品であるというような発想ではなくて、働くということも学ぶということもともに社会の一員として大切なことだ。意欲と適性のある方が普通に学ぶということを当たり前のこととして考えていいのではないかと思いました。
3つ目として、今日も様々な支援のメニュー、新しくこういう仕組みもできます、こんな仕組みもできましたということがありましたけれども、まさにこういうものが様々出てくればくるほど、それをつなげていく人というのは本当に重要になってくると思います。クライアントの立場からすると、私のコンシェルジェは誰なのというようなことになるし、支援者たちにしてみると、逆にコンダクターは誰なのということになるのかなと思います。そういうことをこれから議論していく必要があるかと思いました。
以上でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、新保代理から何かございませんでしょうか。お願いします。
○新保部会長代理 ありがとうございます。
今日は大変参考人の皆様、渡辺委員の示唆に富む御報告を受けまして、本当に密な実りのある議論をなされているものと思います。
それで、生活保護のことについて少し絞ってお話をさせていただきますと、医療扶助の適正実施のところはやはりこの間、福祉事務所がかなり組織的な取組を行って、いろいろな課題の改善を図られたり、状況を把握するというところまで、取り組んできているということは一定評価をしないといけないところかと思います。
こうした現実を踏まえて、そして、今日の宮本委員のエビデンス・ベースド、あとは制度の内外をつないだり届けるということを考慮して考えますと、今日の生活保護の議論の中では、社会的孤立状態にある方が一定数いらっしゃるのではないかということですとか、子どもと親へのより丁寧な支援が必要なのではないかということが明らかになったと思います。
多くの委員の方がおっしゃってくださっていましたけれども、これらを全て生活保護の制度内で、ケースワーカーや制度内で事業で行うということではなくて、やはり生活保護を利用されているということでいろんなつながりが途絶えてしまうことのないように、制度やケースワーカー、もっとも大事な利用者の方々が孤立しないような、様々な機関との連携や協働のあり方というものを常に念頭に置いて、これから検討が進められるとよいのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはございませんでしょうか。障害との関連に関わる御発言などございましたら。
どうぞ、渡辺委員お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
本当に皆さんから子どもの貧困についてたくさんお話しいただいたので、その中で3点お話ししたいと思います。
まず1つが学校との連携ということで、これは文科省のことになるのですけれども、スクールソーシャルワーカーは非常に有効だなと思っております。ぜひスクールソーシャルワーカーの方を増やしていただいて、学習支援ですとか、そういう場所とつないでいただくのはいいかなと思っております。
2点目は、大学への進学についてなのです。これも文部科学省のほうにお願いすることになるかと思うのですが、大学側にもう少し生活困窮の方が大学進学する際の奨学金の授与のタイミングですとか困っていることへの理解をいただいたり、休学する際の御理解というものをしていただくと防げる問題もたくさんあるのかなというのは私たちが現場でやっていても思うことなので、そこは制度をいじるということではなくやりようがあるのかなと思います。
3点目は宮本委員ですとか奥田委員とか池永委員がおっしゃっていただいた、未就学児から切れ目のない子どもの支援というのは非常に重要だと思うのですけれども、未就学児になると学習支援というよりは親御さんの支援になりますので、そこでは食事の支援とか給付ですとか、そういった親への生活支援みたいなことの組み立てになるのかなと、子どもだけを連れ出して何かをするということではないかと思うので、そのようなこともこれからいろいろ施策の中で出てくるといいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
すみません。早く終わらせるべき立場の私がさらに議論を延ばす方向で議論をたきつけてしまっておりますが、しかし、せっかくの機会ですし、お三方、手をお挙げになっておられますので、このお三方限定ということにさせていただきますが、奥田委員からどうぞ。
○奥田委員 矢田貝さんが来られているということなので、次回の議論にも絡んでしまうかもしれませんけれども、地域の生活の見守りのところで誰がそれをするのかということで、居住支援法人との連携ということが各分野、省庁を超えて今、大きな議論になっていますが、その中で障害分野で言うと自立生活援助ですね。
自立生活援助がこの間、議論されて拡充されていくということで、私も議論の中に入っていましたけれども、そのときにそれを担う人が、ざくっと言うと障害事業をやっている人たちということになるのですが、連携先が居住支援法人ということになるのですけれども、生困でいうと自立した後、地域生活をされているところをやるとなったら地域居住支援という枠になるのですけれども、ここのところで地域居住支援の枠と自立生活援助の枠、この両枠のどちらにしても居住支援法人との連携というのは今度非常に大きくなると思うので、できれば障害福祉の分野で事業者の限定、今されている事業者は誰かというところに居住支援法人ということでプレイヤーを増やしていく。やはりその制度を超えたプレイヤーと連携していくというところの観点をぜひ持っていただきたい。すみませんが、矢田貝さんがおられるので言いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
最後に何かあればまとめてリプライをお願いしたいと思います。
朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
障害保健福祉部の方がいらしているということで、私も発言させていただこうと思います。
私も市川市の自立支援協議会の副会長、それから基幹相談支援センターの運営協議会の会長をさせていただいております。障害の相談の分野で福祉サービスの給付に乗らない人たち、一般相談の人たちの相談のボリュームがどんどん増えてきているのと、なかなか個別の給付になじまないがゆえに、結局その相談だけのつながりで長期化しているという方がとても増えていらっしゃいます。その背景が、実はやはり生活困窮の相談で受けている背景の部分と非常に重なり、社会的孤立の問題が深く関わっていると思います。
一方で、障害福祉の分野で働く人たちはとても忙しくて、サービスも充実してきていますし、担い手も増えてきているのですが、障害福祉の中だけで解決をしよう、議論をしようという傾向が強くなっているのではないかということを危惧しています。障害福祉の人たちがどんどん外に開いて障害福祉分野以外の人たちと出会い、議論し、協働しながら地域共生社会に向けた仕組みづくりをしていくという意識づけをしていただきたいということをとても強く感じておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、勝部委員お願いします。
○勝部委員 私は、今日ちょっと子どもの問題が出ているのですけれども、登校支援を障害がある子どもたち、あるいは発達のベースがある子どもたちとかで、一人は学校になかなか行き渋ってしまうとか、そこを毎日のように学校の先生が迎えに行ったりとかということで、学校現場はかなりウェートが大きくなっている部分があって、加配をしたり、いろんなこともあるんですけれども、今年の4月から豊中で登校支援の事業がスタートして、なかなか一気にばっと広がってはいないのですが、すごく画期的な気分で皆さんがちょっと安堵されたりしている面もあるのですけれども、やはり学校は学校の範囲で学校に送っている子どもに関わることは全部先生たちだということではなくて、そういう登下校の問題などについてはどんなふうに連携していくかというふうなこともこれからとても大事な話になってくるだろうというのが1つです。
それから、さっき朝比奈さんがおっしゃったのですけれども、私も障害の機関から相談でいろんなサービスをつないでいくと、障害のメニューだけで終わってしまうことはとても多くて、その他のいろんな活動とか社会参加の場所というものにはなかなかつながりにくい傾向があって、地域のいろんな活動をむしろ障害がある人たちのほうのいろいろな視点でアップデートしていって、地域活動が参加しやすいようにもっと当事者の声を入れていくような形も含めてやっていくことが大事だなと思っております。
もう一点は出来高払いがやはりとても大変で、体調の問題とか気持ちの問題で来られたり来られなかったりするようなときに、来た人の人数でされていくということで、コロナなどが起きてしまうと行くのが怖くなったりすると本当に生活が大変になられるエッセンシャルワーカーがたくさんいたりということもあるので、この辺は現場の声をいつも聞いていただいていると思いますが、さらに傾けていただけるといいなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
包括的支援と言いながら審議会は縦割りになっておりますので、せっかくの機会ですので矢田貝課長から可能な範囲でお答えいただければと思います。
○矢田貝課長 障害部の企画課長の矢田貝でございます。
保護課長時代にはお世話になった方がたくさんいらっしゃいますが、今は障害の筆頭課長をしております。
御指摘のとおり、障害の分野というのは平成18年に自立支援法ができて、その後、障害者総合支援法になって、児童福祉法も平成22年に見直しをして、かなり予算をそこから3倍くらいに、利用者も予算も3倍くらいに増やしてきた。そうした中で、かなり支援の裾野も広がって、予算も増えて、事業者も増えてという中で、その目の前にたくさん来られる障害の方のところに、どうしてもその世界の中で回してしまっているというところが多分皆様から見てもあるというのは今日の御意見で改めて分かりました。
資料3の12ページから、この6月にまとめました障害者部会の報告の抜粋を載せてございますけれども、そうした問題意識の下、障害者部会の下でも、菊池部会長の下にはなりますけれども、やはり障害の中でも他分野との連携というところについては意識して取り組んでいくべきだ。それは支援についてもそうですし、相談支援についてもそうでございます。ここには書いてございませんけれども、居住支援の関係も報告書本文については記載があるところでございます。
特に精神保健のことにつきましては、福祉同士でつながるということはありますけれども、精神保健、どの子育てでも貧困でも様々な場面でその背景、事情としてメンタルヘルスの問題というのがあるというのは私どもも承知しています。そこの部分は、福祉だけではなくて保健との連携を深めて現場で回っていくようにしていかなければいけないという考え方で私どももやっているところでございますので、この部会では引き続き議論がなされると思いますけれども、今日の御意見も含めまして引き続き縦割りにならないように検討をしていきたいと考えてございます。
総括的な答えになりましたけれども、以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
議論は尽きないと思いますが、もう予定の時間を大幅に過ぎておりますので、この辺で閉めさせていただきたいと思います。
すみませんが1点だけ、最初に宮本委員から、おまえも発言していいんだぞというような応援をいただきましたので一言だけ、法学的な面から御発言をお許しいただければと思うのですが、大学生の生活保護の適用ですけれども、大学教員をやっておられる委員の皆様であればご承知おきのように、学生にも様々な学生がいて、相当厳しい状況の中で大学に何とか通っているという学生もなくありません。
その中でどう支援していくかというのは非常に大きな課題ですが、生活保護の中で対処しようとしていくと、これは法解釈論になりますけれども、まず4条2項の私的扶養優先がありますが、これは保護開始要件ではないので、とりわけ親元ではない学生、ある程度自分で生活費を稼いでいるような学生はたくさんいますけれども、私的扶養優先はあるけれども、これは保護開始要件ではない。そうすると、これは保護を開始した後の63条の問題として処理することになるのかという論点が1つあると思います。償還の問題ですね。
もう一つは古典的な論点ですけれども、4条1項の能力の活用をどう考えるか。大学生の能力、稼働能力をどう考えるかという問題がありますが、仮にこれをクリアさせて何とか保護を支給していこうとすると、相当な数の大学生が対象になってくるのではないかと思います。何万人か、何十万人か分かりませんけれども、そういう議論を覚悟の上で生活保護の適用を考えるか。法解釈論としてはそういう問題が出てくるかなと思っていまして、そういう意味で今日御議論がありましたように、そもそも教育費の負担軽減というのは非常に大きな問題であって、それをどう解決していくか。あるいは、大学生を含む若者に対する支援がそもそも足りていないというか、そういう視点自体がまだ足りていない。宮本委員から、内と外の横断というお話がございましたけれども、その辺のバランスを含めた包括的な議論の必要性ということも考えていく必要があるのかなと、そのことだけちょっと御発言させていただきたいと思います。すみません。またお時間を取ってしまいまして、5時半を過ぎてしまいました。
そういうことで、本日の議事についてはこれで終了とさせていただきます。
最後に、次回の開催予定につきまして事務局から御連絡をお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
次回につきましては、8月上旬に開催を予定しております。正式な開催通知につきましては、別途御案内いたしますのでよろしくお願いいたします。
○以上となります。
○菊池部会長 恐らく、オンラインでもっと手を挙げて御発言なさりたいという方はおられると思います。先ほど渡辺委員は、はい、とその場で手を挙げられたので、はい、渡辺委員とやらせていただきましたが、多分そういう状況になるのが望ましいなと私も思っております。コロナの感染状況を見ながらということにならざるを得ないとは思うのですが、皆さんとお会いできる日が来ればいいなと念じつつ、今日は終わらせていただきます。
非常に長時間にわたりまして、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。