第154回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年9月29日(木)10:00~12:17

場所

全国都市会館 大ホール会場

議題

1.医療保険制度改革について
2.令和3年度医療費の動向

議事

議事内容

○森課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第154回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認願います。
委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
森昌平委員が退任され、新たに、日本薬剤師会副会長、渡邊大記委員が就任されております。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、安藤委員、内堀委員、羽田委員、本多委員、前葉委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
また、横尾委員より途中出席、井深委員、菅原委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局から御紹介のとおり、新たに渡邊大記委員が就任されておりますので、渡邊委員から一言御挨拶を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 先生方、おはようございます。日本薬剤師会の渡邊大記と申します。今回から委員として出席させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
次に、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。
安藤委員の代理として木倉敬之参考人、内堀委員の代理として熊耳知徳参考人、本多委員の代理として井上隆参考人、前葉委員の代理として鎌田光昭参考人の出席につき、御承認を賜れればと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
本日は「医療保険制度改革について」、それから「令和3年度医療費の動向」を議題といたします。
では、初めに「医療保険制度改革について」を議題といたします。
それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○森課長 総務課長でございます。
資料1-1を御覧ください。
「医療保険制度改革に向けた議論の進め方」について、御説明させていただきます。
まず最初に、これまでの前回の改正、それから、政府でのいろいろな決定事項等を簡単に御説明させていただいた後、今後考えているスケジュール等について説明させていただければと思っております。
少し駆け足になりますが、まず1ページ目、御覧いただけますでしょうか。
前回の健保法改正におきまして、附則の検討規定が設けられております。第2条、「政府は、この法律の公布後速やかに、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、社会保障制度の改革及び少子化に対処するための施策について、その実施状況の検証を行うとともに、総合的な検討に着手し、その検討結果に基づいて速やかに法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。」とされております。社会保障全体について速やかに検討するようにということが政府に求められているものでございます。
その次のページに参りまして、また同じ法律が参議院で可決される際に附帯決議が付されております。施行等に関してもいろいろなものがございますが、制度改正に関する事項、1つ目は例えば3番ですけれども、「後期高齢者医療制度の創設以降、高齢者世代と現役世代の人口バランスが大きく変化し、制度の支え手である現役世代に対する負担が加速度的に増していることや、現役並み所得の後期高齢者に係る医療給付費について公費負担が行われておらず現役世代に対する過重な負担となっていること等を踏まえて、後期高齢者医療制度における財源の在り方等について検討を行うこと。」とされており、次のページに参りまして7番におきましては、例えば国民健康保険制度に関する規定が設けられております。例えば3行目の一番最後に、産前・産後期間等における保険料免除制度も設けられていないこと等とありまして、出産に関する保険料における配慮の必要性や在り方等を検討すること、一番下の12番でございますけれども、2022年以降、後期高齢者が急増する中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、国民皆保険制度の維持に向けた持続可能な全世代型の医療保険制度を構築するために保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方、保険給付の在り方、医療費財源における保険料、公費、自己負担の適切なバランスの在り方等について、必要な法整備等を講ずることということが設けられております。
4ページに参りまして、こちらは今年の6月に政府で閣議決定された、いわゆる骨太の基本方針と言われるものでございます。
こちらに関しては、前々回の部会でも簡単に御説明申し上げましたのでざっくりと御説明いたします。まず最初、真ん中のところ、下線部がございますが、出産育児一時金の増額をきちんとやること、その次のページに参りまして、全世代型社会保障の構築のところは先ほど附帯決議で申したようなことと同じようなことの後期高齢者医療制度の賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等、各種制度における負担能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討を進めること、それから、真ん中のところが被用者保険の適用拡大の着実な実施やフリーランス・ギグワーカー等の社会保険適用について検討を加えていくこと、それから、一番下のところ、こちらについては医療費適正化計画の在り方や都道府県のガバナンス強化などについてうたわれているところでございます。
その次のページに参りまして、こちらはオンライン資格確認等、医療DX、データヘルスの推進等について書かれているところでございます。
7ページでございますけれども、こちらは良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点からということで、例えばリフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現すること、バイオシミラー等について医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度中に設定して着実に推進するということについて書かれております。
次のページからはもう駆け足にさせていただきますが、新しい資本主義の関係が8ページ、9ページ、それから、10ページから11ページが規制改革実施計画、12ページ、13ページがデジタル社会の実現に向けた重点計画、14ページ、デジタル田園都市国家構想基本方針、15ページが全世代型社会保障構築会議の中間整理、いわゆる改革工程表と言われるものが17、18、19ページに記載されております。
20ページに参りまして、先般、9月7日の全世代型社会保障構築本部におきまして岸田総理から次のような発言がございまして、必要な検討をするようにという指示がございました。
一番上の○のところですけれども、「全世代型社会保障構築会議において検討をさらに深めていただく必要がある。」、2つ目の○のところですけれども、2行目の真ん中のところ、「出産育児一時金の大幅な増額を早急に図るとともに育児休業期における給付の拡充等の検討をお願いします。」、3番目の○のところですけれども、「高齢者人口は2040年頃をピークに増え続けておりますが、今後3年間で団塊の世代が後期高齢者となる中、負担能力に応じて、全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みが必要であり、超高齢化・人口減少下における国民目線での医療・介護提供体制の在り方も含めて改革を前に進めるべく検討をお願いします」ということが指示されております。
こうした総理の指示を踏まえまして、次のページでございますけれども、全世代型社会保障構築会議においては3つのテーマについて作業チームを設けて議論していただいております。そのうち医療介護の作業チームにおいて議論の論点として増田主査から昨日の全世代型社会保障構築会議において提示されたものがこちらのページになります。
1つ目は「医療分野」の「(1)の医療保険関係」というところがございますけれども、「子育て支援のための出産育児一時金の大幅な増額と、その際、医療保険全体の中で支え合うことについて。」、それから、2つ目は「負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化する観点を踏まえた、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方、被用者保険間の格差是正の方策等について。」、3つ目は、「さらなる国民の負担軽減の観点から、医療費の伸びを適正化するため、給付の効率化を含め、より実効的な取組についてという事項について検討を進めてほしい。」、さらに、昨日の会議におきまして、「これらの論点について厚生労働省の関係審議会において議論を深めてほしい」ということが言われております。具体的には医療保険の部分であれば、「この医療保険部会において今後議論を進めて、年末までに取りまとめた上で社会保障構築会議に対して報告してほしい」ということが求められております。
こうした経緯を踏まえまして、最後のページでございますけれども、本日が9月29日に医療保険制度改革の議論をキックオフさせていただき、10月、11月と月2、3回程度、今後精力的に議論いただければと思っております。
御議論いただきたい事項につきましては、この社会保障構築会議における提示された論点、その他、骨太や改革工程表で言われた論点、それから、本日、フリートークしていただいて皆さんからいただいた御意見等を踏まえて、そうした論点について精力的に一度議論した上で、さらにその全体について議論し、12月の取りまとめに向けて医療保険部会を重ねさせていただければというように考えております。
スケジュール的にはそうなりますが、あと参考資料、ざっと御覧いただければと思っております。資料1-2でございますけれども、こちらには各制度の基本的なデータ等を並べさせていただいております。
幾つかのキーワードが出てきましたので、その関係の資料をざっと説明させていただきますが、27ページの出産育児一時金の増額についてでございます。出産育児一時金については現在42万円の給付が行われています。本人支給分が40.8万円で、産科医療補償制度分が1.2万円となっております。その下半分のところに支給件数がそれぞれ健康保険組合、協会けんぽ、共済組合、市町村国保等が並べられております。
28ページでございますけれども、実態調査として出産費用がどのぐらいかかっているかというのを示したものでございます。赤い線が公的病院の平均出産費用、黒い線が民間医療施設も含めた全体の平均出産費用となっております。
その次のページに参りまして、出産育児一時金の制度的な経緯でございますけれども、平成6年に創設された以降、平成20年に後期高齢者医療制度ができたときに、それまでは75歳以上の方も含めて制度全体で負担する仕組みになっておりましたが、ここで75歳未満の方だけが出産育児一時金を負担していただくような仕組みに変更されております。
それから、37ページに参りまして、健康保険組合の現在の保険料率の分布を示させていただきました。青色のグラフが平成22年度の分布でございまして、令和2年度が赤色のグラフになっております。御覧になってお分かりになるかと思いますけれども、全体の山が右側に寄ってきている。そのばらつきについてもかなり広がってきているというのがお分かりになるかと思います。こうした状況を踏まえてどう考えるか。
吹き出しがついておりますけれども、協会けんぽの料率10%を超える組合というのも出てきておりますので、こういう中で全体として組合の保険料負担の在り方についてどう考えるかということを御議論いただければと思っております。
それから、53ページに参りまして、後期高齢者医療制度についてでございますが、後期高齢者医療制度は公費と後期高齢者の保険料、それから、若者世代から負担する支援金によって成り立っているわけですけれども、青い線が後期高齢者一人当たりの保険料、赤い線が制度創設以降の現役世代一人当たりの支援金額というようになっております。御覧になってお分かりになるとおり、若者の世代の負担のほうが伸び率は高いというようになっております。どんどんこのままいくと、本当に若人の負担だけが増えていってしまうという形になりますので、こうした状況を含めて制度の在り方をどう考えるかという議論、論点がございます。
次に、55ページに参りまして、後期高齢者医療制度の賦課限度額という言葉が何度も出てきておりますけれども、後期高齢者医療の保険料負担については、一つは下半分の均等割というところがございますが、一人当たりで負担していただく部分と、それから、所得に応じて負担していただく所得割という部分がございます。この所得割の所得に応じて負担していただくという仕組みの中でアッパーが決められておりまして、年額で保険料負担は66万円を限度とするという制度になっております。
その次のページに参りまして、この賦課限度額については制度創設当時、後期高齢者医療は50万円でございました。一方で、国民健康保険制度については、後期高齢者医療制度設立当時、59万円が賦課限度額でありましたけれども、令和4年度には、後期高齢者医療は66万円、国民健康保険制度は85万円となっております。こうした伸びの違いについてどう考えるかという点についても御議論いただければというように思っております。
それから、62ページに参りまして、医療費適正化計画でございます。6年に一度、見直すことになっておりまして、2024年から新しい第4期の計画がスタートすることになっております。具体的な目標値、取組と数値目標等は一番下のところに書いてございますので、ざっと参考にしていただければと思いますけれども、2つページを飛んで64ページのところにスケジュールのイメージが出ております。
一番上の緑の箱のところですけれども、2024年に新しい4期の計画をスタートするためには、2023年に各都道府県の計画を策定していただく必要がございます。そのためには、今年度中に必要な内容を決めて、法律改正が必要であれば、具体的な内容を決定していくということをやっていく必要がございまして、その意味で医療費適正化計画についても御議論いただければというように考えております。
これらの改正をして12月までに取りまとめをしていただいて、全世代型社会保障構築会議にも報告した上で、必要な法案というのを来年の次期通常国会に提出させていただければというように考えているところでございます。
私からの説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、早速でございますけれども、キックオフの初回ということでもございますので、フリートーキングに近い形で御意見等があればぜひ御披露していただければと思っている次第でございます。では、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、今回、スタートということであるのですけれども、全体的なところについては、やはり今回の医療保険制度改革については、最大の目的は現役世代の負担軽減であると考えております。そういう意味で、これが達成されなければ意味はないのではないか。そういう意味で、何としても全体として負担軽減となる改革にすべきだというように考えております。
その上で、個別の項目について意見を4点、それから、質問を1点申し上げたいと思います。
資料としてはページ、書いてないのですが、1-1の21ページになるのでしょうか。昨日の全世代型社会保障構築会議の資料の中に沿って意見を申し上げたいと思います。
まず1点目は、出産育児一時金についてでございます。出産育児一時金の大幅な増額と明記されておりますが、これまでも主張してまいりましたが、政府が進める少子化対策はもちろん賛成でございますが、出産育児一時金の引上げに関する対応については現役世代が支払う保険料だけを原資とする仕組みではなくて、全世代で支えるということが必要だと考えております。
そういう意味で、この出産育児一時金は、歴史的に見ますと、2008年の後期高齢者医療制度創設以前は75歳以上の高齢者の方も健保、または国保に加入をして全世代で負担をしていた仕組みだったものが、この後期高齢者医療制度が創設以降は75歳未満の方だけで負担をする仕組みになったという経緯があると認識しております。仮に出産育児一時金を引き上げる場合、現役世代の負担の増加も見込まれる中で、やはり現役世代が支払う保険料だけを原資とする保険者負担には限界がありますので、この資料にも記載されておりますけれども、全世代を対象とした医療保険全体で支え合う仕組みを検討すべきだと考えます。その上で、現役世代のさらなる負担軽減の観点からは、健保組合の負担緩和に必要な財政支援等もお願いをしたいと思っております。
また、これまでも申し上げておりますけれども、出産費用が上昇していく実態、また、構造が明らかになってないというように考えております。さらなる分析や情報の見える化が重要であり、適正な費用の在り方を含めた検討も必要ではないかというように考えております。
それから、2点目は負担能力に応じた負担の在り方について、この21ページ目の(1)の2つ目のポツに、負担能力に応じて、全世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みと書かれておりますけれども、現状、後期高齢者の医療給付費の半分は高齢世代と現役世代の保険料によって賄われております。高齢世代の負担割合は、高齢世代の人口変動は考慮されず、現役世代の2分の1しか反映されないようになっておりますので、現役世代1人当たりの支援金の伸びが後期高齢者1人当たりの保険料の伸びを大きく上回る状況になっています。これは先ほど事務局が御説明いただいた基礎資料にも記載されているとおりでございまして、平成20年度と比べますと後期高齢者1人当たりの保険料は1.2倍ですけれども、一方で、現役世代の支援金額は1.7倍ということで、やはりいびつな構造になっているというように申し上げざるを得ないと思います。
一方で、介護保険においては、高齢世代の1号被保険者と現役世代の2号被保険者、この人口比でもって保険料を設定するという仕組みになっており、両者の保険料の伸びは同じ水準になっている。世代間の公平の観点から見ても、やはり現役世代の1人当たりの負担額の伸び率を少なくとも後期高齢者1人当たりの負担額の伸び率と同程度以下となるように、高齢者の保険料賦課限度額の在り方に加えて、後期高齢者の保険料負担割合、この見直しもぜひともお願いをしたいと思います。少なくとも、この現役世代の人口変動だけを考慮する仕組みは持続可能性がないのではないかと思っております。そういう意味でも高齢者負担率の見直しについてはぜひとも検討いただきたい、実施をしていただきたいというように思っています。
また、これまでも何度も申し上げていますが、先ほど若干御説明がありましたけれども、前回の改正時の附帯決議の中にあるように、現役並み所得の後期高齢者に対する医療給付費については現状、公費負担が行われていなくて、その分、現役世代に対する過剰な負担になっておりますので、その見直しについてもぜひ検討をお願いしたいと思います。
それから、3点目は、同じ資料の中の(1)の3つ目のポツの医療費の適正化についてでございますけれども、給付の効率化を含めて、より実効的な取組が必要だと思っており、具体的に言えば、重複投薬の是正に向けた電子処方箋の活用、病状が安定した患者へのリフィル処方の活用、また、フォーミュラリーによる薬物治療の標準化等が考えられます。重複投薬については、現在の計画でも目標の一つとされておりますし、保険者としても加入者への指導に取り組んでいるところでございますけれども、今後、医療機関、薬局における電子処方箋の導入を進めることでシステム上のチェックも可能になると考えております。こうしたインフラの活用を含めた重複投薬の適正化に向けたさらなる取組を推進する必要があると考えております。
先ほど申し上げたようにリフィル処方やフォーミュラリーも含めて、国民、患者にメリットがあり、しかも、結果として医療費の適正化にもつながりますので、より積極的に推進すべきだと考えております。
また、2040年に向けては、医療と介護の両方が必要になる高齢者が増加すると思われます。これまでの医療費適正化というものは生活習慣病対策など、言わば現役世代が中心だったと思いますけれども、人口構造の変化を踏まえれば、フレイル対策や介護予防、こういった医療と介護両方にまたがるアプローチが大変重要になるのではないかと思います。そういう意味で、次期の医療費適正化計画は、実質的には医療費・介護費適正化計画といった内容を目指すべきではないかというように考えております。
また、関連しますけれども、後発医薬品割合については、これまで数量ベースでの目標設定になっていると思いますが、今後は金額ベースでの対応というものも必要ではないかというように考えております。
それから、4点目でございますけれども、22ページの「(3)その他」にございますが、医療分野におけるDX、これは医療の質の向上、また、医療の効率化につながることであって、確実に推進をいただきたいというように思っております。一方で、新たな仕組みを導入するためには、これまでも申し上げておりますけれども、一定効果が出るまでの間は公費でもって費用負担を行うべきであるというように考えております。
最後に1点だけ質問をさせていただきたいと思います。21ページの主な論点の中のポツ2つ目の中に「被用者保険者間の格差是正の方策等」と書かれておりますけれども、これについて具体的にどのような方策を想定されているのか、現時点で分かっていることがあれば教えていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、御質問がございましたので、お答えのほうをお願いします。
○原田課長 保険課長でございます。
資料1-2の37ページを御覧いただければと思います。
健康保険組合の保険料率の分布の状況を示させていただいてございますけれども、健康保険組合ですが、基本的に自ら徴収する保険料財源によって自主自立を前提して健康保険事業を行っておりまして、結果として健保組合ごとに一定の保険料率に違いは生じ得るものというように考えてございますが、この資料にもございますとおり、保険料率にも幅がございまして、また、全体として保険料率が上昇しているという状況にございます中、保険料水準に影響を与えている仕組みのうち、論点にもありますが、負担能力に応じた仕組みを強化する観点から見直すべきものなどがあれば議論いただくということではないかと考えてございまして、いずれにいたしましても、本日の皆様方の御意見も踏まえまして今後検討を進めていきたいというように考えてございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐野委員、要するに、こちらで議論するということでもあるのですが、よろしゅうございますでしょうか。
○佐野委員 1点だけコメントさせてください。ありがとうございます。もちろん、今後の検討次第ということだと思うのですけれども、健保組合の保険料率についても医療費の違いや収入水準の違い、また、母体企業等、いろいろな要因が関係していると思っております。
また、これまで健保組合は母体企業とも連携をして健診や保健事業等にも積極的に取り組んでおりまして、まさに保険者機能を発揮して加入者の健康寿命の延伸ですとか医療費適正化を含めてこの制度の維持発展に貢献してきたというように自負をしております。そういう意味で、健保組合のこうした取組や保険者機能を後退させないように十分な配慮、また対応をお願いしたいと思います。被用者保険の格差是正に当たっては、健保組合における負担軽減ということもぜひお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
医療保険制度の改革に向けた議論を開始するにあたりまして、2021年度の国民医療費が、コロナ前の2019年度よりも多い45兆円へと、再び増加に転じたことに対しまして、我々は強い危機感を持つべきだと考えております。制度の担い手であります生産年齢人口が減少する中で、このまま医療費の膨張が続きますと、制度の持続可能性の低下が避けられません。したがいまして、医療給付費の今後の大きな増加を抑制するためにも、真剣に考える必要があります。そのため、「適正な質と量の医療」ということを考慮することが重要であると考えます。すなわち、本当に必要とされる人に必要かつ適切な医療が提供されるべきであるという極めて当たり前のことであります。 フリーアクセスのデメリットなどにも目を向け、日本が誇る安心な公的保険制度を維持するためには、保険財政にも一定の制約があるということを、国民に理解してもらうことが大切であり、政府のさらなる努力をお願いしたいと思います。
次に、具体的な要望を2点、申し述べさせていただきます。
1点目であります。資料にありますとおり、コロナ禍を受けて、2020年度の国民医療費は前年度比で減少いたしました。主な要因として、コロナ禍における受診控えという指摘が聞かれました。しかし、一転、2021年度には大きく増加し、過去最大となりました。果たして受診控えがあったのならば、それがその後の国民の健康状態にどのような影響を及ぼしたのか。受診控えとはいえ、それが、もともと必要な受診行動だったのかといった視点での検証を、ぜひ行っていただきたいと思います。その上で、これからの日本にふさわしい医療保険制度の再構築に向け、「誰が」「誰を」「どの程度」「どう支えるか」という観点に立った国民的議論を喚起することも必要ではないかと考えます。
2点目であります。先ほど受診行動について申し上げましたが、国民の間に適切な受診習慣が培われるためには、一人一人がリテラシーを高め、セルフメディケーションを実践できるようにすることが必要であります。国民が自ら健康管理を行い、未病、予防に心を砕く、そして、軽度な疾病の場合は安易に医療受診に頼ることなく、上手に市販薬などを活用する。そして、健康寿命を延ばす、こうした個々の人々の取組を進めることは大切だと考えます。
このような個々人の意識改革を促すとともに、近年、事業者において進みつつあります健康経営の取組を一層拡大するなど、関係省庁はもとより、官民が連携して、そうした取組をさらに力強く後押しするべきだと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
今後の医療保険制度改革の議論に向けまして、政府での論点なども踏まえまして4点、意見を申し上げたいと思います。
1点目は、基本的な考え方でございますけれども、政府の骨太方針や全世代型社会保障構築会議におきまして、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっている社会保障の構造を見直して、現役世代の負担上昇抑制を図るという方針が示されています。今後の制度改革におきましては、負担の大宗を担う現役世代への配慮という視点が非常に重要だと思っていますし、私ども経済界としても、今後の日本経済の再生には分厚い中間層の復活、これが非常に重要であると考えておりますので、この方針がこの議論で貫徹されることを強く期待いたします。
2点目、出産育児一時金についてでございます。まず、出産費用の実態調査につきまして、適正な費用を判断するためにも、費用項目ごとに内容、水準等々についてブレークダウンしたデータを御提示いただきたいと思います。
出産育児一時金の増額を含めた少子化対策というものは、国全体の課題でございますので、もちろん、子育て世代への支援ということもございますけれども、その負担は現役世代だけでなく、国全体、高齢者も含めた全世代で支える仕組みとすべきだというように考えます。
3点目、医療費の適正化計画でございます。医療保険制度の持続可能性の確保に向けましては、財源の話、すなわち、入るを量るだけではなく、いずるを制すということが非常に重要であり、医療費そのものの伸びをいかに抑えていくかという議論が不可欠だと思います。そのための医療費適正化計画であるわけでございますけれども、なかなかこれまでの取組の効果が明確に見えてこないというように思っております。
したがいまして、これまでインセンティブ措置等々も強化されてきたわけでございますけれども、そういうものを含めまして、効果が上がっているのかどうかということにつきまして、アウトプットの指標への影響も含めて、分かりやすい検証をお願いしたいと思います。今後の医療費適正化を図る上で、EBPMは必須になると思いますので、定期的にできればダッシュボードのような形で、常に国民に提示していくということで理解を得ていくということが重要ではないかというように考えます。
最後に、今後は各論の議論に入ってくるというように思うのですけれども、部分最適を求めるのではなくて、医療制度改革のグランドデザイン、全体像を見て、財源でありますとか負担の規模というのがどのようになっていくのかということを常ににらみながら議論を進めていただきたいというように思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
本日は、医療保険制度改革のキックオフということですので、最初に、まず前提としての意見を申し上げたいと思います。
今後の医療保険制度改革には少なくとも一部の方にとっては厳しい内容が含まれてくることになるのではないかと思います。いま一度、なぜ医療保険制度改革が必要なのか、そしてまた、なぜ今後、具体的に提案されている個々の改革を行わなくてはならないのか、そして、その改革によってどのような効果が期待されているのかということに関する丁寧な説明が必要だと思います。そして、現在の状況と医療保険制度の目指す方向性について十分な情報共有を行っていくことが必要ではないかと思います。改革自体の必要性というのは理解されていたとしても、個々の改革の内容について、その提案の理由が分かりにくいため、理解が得られにくいということも多いのではないかと思います。
また、次、本日の資料に基づいて、個別の内容に関して意見を4点ほど申し上げたいと思います。
1点目ですが、3ページ目の項目12はじめ多数、関連箇所がございますが、負担の在り方に関してです。資料には、持続可能な全世代型の医療保険制度の構築のため、保険料賦課限度額の引上げなど、能力に応じた負担の在り方という表現がされています。資料にあるとおり、現在は保険料賦課限度額に焦点が当たっているのだと思いますが、中期的な視点に立ち、より広い視点からの検討の継続も必要ではないかと思います。
現在、能力に応じたといった場合に、その時点での所得をもって負担能力をはかるという方法になっていると思います。所得は同一世代内では負担能力を表すものとしては妥当性があると思います。一方で、現役から引退すると所得は減少することが圧倒的に多いため、一時点の所得に応じた保険料の設定が年齢を越えて負担能力を反映しているのかという点については議論の余地があると思います。全世代型の医療保険制度の構築のためには、一時点の所得に応じて負担能力をはかるという現行の方式以外の考え方についても引き続き検討していく必要があるのではないかと思います。
2点目、5ページ、それから、15ページ目にも関連箇所がございます。社会保険をはじめとする共助についての方向性として、包摂的で中立的な仕組みとするという文言がございます。この包摂的、中立的な方向性を目指すということは、今後の社会保険制度の在り方に関する重要性ということに加えて、短期的な社会経済に与える影響という意味でも、また、中長期的な社会経済の発展にとっても極めて重要であると思います。10月の社会保険の適用要件の拡大を含め、制度改正が進んでいることと思いますが、現代社会の実情にあった包摂的、中立的な制度設計の構築のために、今後も不断の努力を期待いたしたく思います。
3点目ですが、7ページ目の予防・重症化予防・健康づくりの推進に関するところで、政策効果に関する実証事業の実施が触れられています。この点については、政策効果の実証事業、重要で、政策効果の把握というのも非常に重要だと思います。この把握に努めるとともに、現状の把握にとどまらず、得られた知見をなるべく速やかに施策、健康関連施策に反映させる仕組みをつくるということも同時に重要だと思います。限られた財源の中で効果の高いものを選択的に導入し、仮に効果が低いということが分かったということがあれば、それに関しては打ち切る努力も必要ではないかと考えます。
4点目、21ページ目の資料2に関してです。医療保険関係の2点目に被用者保険の格差是正ということが触れられています。本日の基礎資料によると、保険料率には健康保険者間で差が見られて非常に重要な課題だと思います。同時に、保険者ごとに自立的な取組を促す保険者機能の強化、保険者インセンティブということが行われていて、それらの方向性と矛盾のない形でこの格差是正に対する取組を進める必要があると思います。
そのためには、被用者保険の保険者間の保険料率の格差の原因が何かという点について、収入面、支出面という収支両方から精査し、その上で、保険者努力での解消が困難な原因を特定した上で、原因を解消する取組を行うことが必要であると考えます。一例としては、財政調整の仕組みとしての前期高齢者に対する給付金というのは支出項目の要素の一つとなっていますが、この点に関して現在の制度設計の在り方が格差につながっているのかという点の検討も必要ではないかと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いします。
意見を述べさせていただきます。社会保障は自助である患者負担、共助である保険料、公助である税で成り立っていることを踏まえ、患者負担を増やすことばかりではなく、それぞれのバランスを取りながら時代に対応できる給付と負担の在り方という視点に立って議論することが重要だと考えます。
患者負担につきましては、この10月から後期高齢者の一部に2割負担が導入されますが、所得が多くても貯蓄がない人には負荷がかかっている一方で、貯蓄があるため所得を得ていなくてもよい人に対し不公平感があるようです。支払い能力に応じた負担の検討も必要ではないかと思います。例えば介護保険では、介護保険施設への入所等の食費、居住費は、対象となる方の資産の状況により負担限度額が決められるという仕組みも現在導入されております。保険料につきましては、協会けんぽの平均保険料率が2020年度で10%ですが、例えば国家公務員の保険料率7.64%を地方公務員9.45%に合わせると、それだけで約1300億円の増収効果があります。
また、保険組合の平均保険料率は2020年度で9.2%となっておりますが、料率の低い組合から高い組合までばらつきが大きいこともあるようですので、低い料率を見直して保険財源の安定化に寄与していただきたいと思います。将来的には、保険料率の一本化についても一つの検討課題になるのではないかと考えます。
また、後期高齢者医療制度において、対象年齢になったからといって無条件で加入している健康保険から移行させるのではなく、対象年齢になっても仕事をしている方は引き続き健康保険の被保険者にとどまるようにし、制度を支える側になっていただくことも検討課題になるのではないかと考えます。そのためには健康寿命の延伸が不可欠であり、日本医師会はその現実に向けてしっかりと取り組んでまいります。
医療費の伸びの適正化、給付の効率化については、社会全体が厳しい財政状況であることは認識しております。しかし、医療費の伸びには高齢化による増加分だけではなく、医療の進歩である新薬や技術革新なども要因に含まれます。医療費の過度の適正化によって医療の質を低下させることなく、国民が必要とする医療を過不足なく受けられるよう、対応を求めます。
最後に、出産育児一時金等の見直しについてですが、少子化対策として出産に関わる諸費用により、出産をちゅうちょするようなことがないよう、必要十分な金額設定とするとともに、出産に関わる様々な支援、例えば産前・産後期間の保険料免除、それから、出産時の育児休業、いわゆる産後のパパ育休のような柔軟な取得などの支援制度がより活用しやすいものとなるように常に見直しをしていくことも必要と考えます。
以上、意見を申し上げさせていただきました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
医療保険制度改革に向けた議論でございますが、次期改定に向けたキックオフ議論も含めた認識を持っております。これまでも発言してまいりましたが、日本歯科医師会といたしましては、医療の質の向上にもつながる医療DXは、今後、国民へのメリットも大きく、推進に協力していく所存でございます。
コロナ禍も経験する中で誤嚥性肺炎等の予防を含めた口腔健康管理の重要性は認知されてきているところです。また、社会活動の基盤となる健康を確保する上で、毎日の食事からしっかりと栄養を摂取するために、良好な咀嚼機能を維持、向上することは全ての年齢層において極めて重要でございます。とりわけ、要介護状態へとつながる認知症やフレイル、転倒予防にとっても、良好なかみ合わせは必要不可欠と考えております。また、そういったことが医療保険制度の維持に貢献できるものと信じております。
歯科医療は外来におきまして地域の歯科診療所が中心に提供しております。急な入院や施設等への転帰があった場合は、なかなか情報が取れず、数年後に口腔内の環境が崩壊されている方も少なくありません。この要因として、病院における歯科標榜が2割と少なく、地域のかかりつけ歯科医と分断されることで、口腔の問題は放置されている実態もあるとこれまでも主張してまいりました。歯科にとっては、今後、医科歯科連携を含め地域歯科診療所をさらに活用できる仕組みの構築も要望しているところですし、今回の医療DXの中でも医科歯科連携部分がもう少しメリットとして具体的に見えてくると推進につながるのではと考えております。
その上で、要望が2点ございます。
まず1点目でございますが、歯科は小規模で高齢の開設者も多いので、このたびのオンライン資格確認システムの整備のスピード感に対し、なかなか対応できない側面も見えてきております。10ページの規制改革実施計画の中にオンライン請求を100%にしていく具体的なロードマップを作成と記載がございますが、急速なロードマップでは多くの地域歯科診療所の対応が追いつかず、これが地域医療の疲弊につながる可能性もございますので、前もって課題の抽出や実現可能に向けた方向性を示しつつ、慎重かつ丁寧に行っていただきたく要望いたします。
2点目ですが、働き盛りの年齢の多い企業での歯や口腔の取組につきましても、保険者インセンティブ等の歯科健診の項目を充実していただいているところではございますが、なかなか取組が進んでおらず、特に集団健診の在り方自体もコロナ禍におきまして見直しがされ、やや後退している部分もあると聞いております。若い時期からの口腔健康管理の充実に向けても今後、様々な施策の検討をお願いしたいと思っております。
私から以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、途中で退席ということでございますので、御発言のほうをお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。すみません、途中退席ということで、先に発言をさせていただくことを御承諾ください。
まず、先ほど事務局のほうから様々な資料が展開をされまして、その中で資料1-1でございますけれども、20枚目のスライドだと思いますが、岸田首相から9月7日に、これからの社会保障制度改革の方針、考え方について、負担能力に応じて全ての世代で支え合う仕組みが必要という考え方が述べられたということでございました。私自身もこれからの医療保険制度改革の議論は、やはりこの考え方をベースに、あらゆる論点についての改革の議論を進めていくべきだというように考えております。
その上で、幾点か、特に大きく2点なのですけれども、私のほうからコメントをさせていただきます。
まず、先ほど事務局から御説明のございました育児出産一時金の点でございます。これは資料1-2の28枚目、29枚目のスライドだったと思いますけれども、まさしく我が国の健全な発展のために、それから、本当に健全な発展というよりも存続のために将来世代へつなぐためのまさしく必要な将来世代の投資という観点から、全ての世代がこの方々のサポートに回るという考え方が大事だと思います。
その上で、実質的な保障になることが何よりも大事ですので、幾つかデータが出されましたけれども、まず公的、私的な病院の出産費用の状況等々がどのような状況にあるのか。それから、出産の利用状況ですね。公的施設、私的施設の出産の利用状況がどうなっているのか。それから、地域差がどうなっているのか。この辺りをきちんと精査をして、使う方にとって実質的な保障となるようなそういった実態に即した議論になるということが何よりも大事かなと思います。
それから、2点目なのですけれども、これも事務局のほうから資料が出ましたけれども、資料の1-2の37枚目のスライドだったと思います。これを保険料率の話で、健康保険組合の保険料率の分布というのをお出しいただきました。これは拝見いたしますと、この10年の間に全体として保険料率がやはり上がってきているというのはもう明白で、特に今、協会けんぽの保険料率が10%なのですけれども、この保険料率10%を超える健保もかなり大きくなっているということがよく分かりました。このような状態を放置いたしますと、当然、組合の解散、それから、協会けんぽへの移行、財政負担が当然協会けんぽのほうで発生してくるだけではなくて、我が国全体の保険財政運営の予見性の低下のほか、何よりも解散された被保険者が移るわけですから、やはり被保険者に対する影響が非常に大きく懸念をされるわけでございます。
全体の水準そのものが右側に大きくシフトしているということもそうなのですけれども、もう一つ注目すべき点は、その保険者間の保険料率のばらつきというのはかなり広く、それが維持されているという点でございます。先ほど他の委員から御発言もありましたけれども、これは当然独自の保険者機能の発露の結果であるということもあるわけで、そういう部分はある程度許容されるわけですが、一方で、この現在の状況を見ますと、保険料率が5%を下回っているところもあれば、その2倍の11%の保険者が20近くあるという資料が出ていたと思います。こういう状況をどのように考えるかということで、あまりにも大きな保険料率の負担の格差というのはやはり社会保険の在り方から考えて望ましくないのではないかなという気もいたします。
全体として考えますと、このような格差が生まれている一つの大きな要因として、やはり被用者保険からの高齢者に対する支援金、調整金、この辺りの問題というのがここの部会でも繰り返し述べられてきたわけでございます。我が国とはそもそも保険制度の公平な成り立ちが違う国の話ではあるのですけれども、現在、ほかの先進国では、保険者間の負担あるいは社会全体のリスク分散という観点から、保険者間のリスク構造調整の仕組みというのが相当程度進んでおりまして、その精緻化も進んでおります。翻って、現在の我が国の財政調整の在り方を見ますと、単純に年齢構成と、あとは被保険者数の数だけで今やっているという状況があるかと思います。このようなことを考えますと、現在、支援の在り方、当然、負担の在り方に注目が集まっているわけですけれども、そもそも被用者保険の支援の在り方という点で、今、申し上げたような様々な構造調整、より精緻化した財政構造調整の在り方というのも議論した上で支援の在り方というのをしっかり議論していくということも大事かなというように考えるわけでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 どうもありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
私から2点、意見を述べたいと思います。
まず、資料、21ページと22ページに書かれている事項が今後の主な論点になっていくかと思いますが、21ページの「(2)医療提供体制関係」の下から2つ目のところに、「2025年、さらには2040年を見据えた医療提供体制とする観点からの入院、在宅、外来医療の在り方」とあり、また、22ページの「介護分野」の1つ目のところには「在宅での生活を希望する方の意向に応える観点から、地域の拠点となる在宅サービス基盤の整備と機能強化」とあります。
2040年までを見据えますと、今後、80歳、90歳といった在宅の高齢者が増加していくことは確実で、こうした高齢者の多くは医療と介護、双方のサービスを必要とします。今回の制度改正は6年に一度の診療報酬、介護報酬の同時改定も視野に入れて考えるべきですが、こうした在宅高齢者のニーズに応え、医療と生活を同時に支えることのできる訪問看護をはじめとする看護職によるサービスの拡充、強化は喫緊の課題だと考えます。
医療機関の外来、また、訪問介護事業所、看護小規模多機能型居宅介護など、様々な機関の看護職が医療・介護の複合的なニーズを抱える在宅の高齢者の生活を支えています。病院完結型から地域完結型の医療に変えていくためには、退院直後から在宅療養を的確に支援し、再入院を防ぐ必要があり、このためにも看護職の専門性を生かしたサービスの拡充、評価が求められています。
医療機関の外来、訪問看護事業所、看護小規模多機能型居宅介護などの看護職が現在果たしている役割に加えて、どのような面でさらに役割を発展していくことが可能、かつ有益なのかを検討し、制度化を図っていく必要があるのではないかと考えます。今後の2040年を見据えた医療提供体制の議論の中では、ぜひそうした観点も含めて検討していただきたいと思います。
2点目は、看護師の処遇改善についてです。21ページの「医療提供体制関係」の課題にも医療の担い手の確保が掲げられていますが、その観点では、資料、8ページの看護師の処遇改善は重要であります。本年10月からは診療報酬でコロナ対応等を担っている看護師等の収入を3%程度引き上げる措置が講じられますが、資料の同じページでは、全ての職場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の在り方について検討することが閣議決定されたとあります。この部分にアンダーラインが引かれてないところは気になりますが、医療保険制度改革の議論としても医療の担い手の処遇改善の視点は重要だと考えます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私のほうからは、特に資料1-1の5ページで、給付は高齢者中心、それから、負担のほうは現役世代、全世代型の意見の中でそういうことが再三強調されるわけですけれども、その点について申し上げたいと思いますが、昨今の物価の変動の中で、消費者物価は非常に上がっている。それから、円高がさらに加速するのではないか。日銀の円売りドル買いの介入があっても今後の見通しは不明というような状況の中で、高齢者の特に年金生活のところは非常に生活の打撃を受けているというのが今の姿だと思います。
その負担の在り方の問題ですけれども、ちょっと振り返ってみますと、消費税の導入が1989年でしょうか。それまでは現在の高齢者の福祉サービスとか、あるいは介護のサービス等はどちらかといえば国の税で支えられていた。それまでは税はある意味では応能負担原則ということで累進課税ということで、それが維持されていたと思いますけれども、消費税の導入によって税の在り方等がそれ以降、また社会保障の在り方も大きく変わってきたと思います。応能負担というのが消費税によって変わってきてしまった。要するに、稼働収入がなくても、子供も高齢者も消費税で税の負担をする。最低生活費をどの程度と見るのか、日本ではあまりはっきりしない点もあるのでしょうが、最低生活費も消費税で侵食される、こういう状況が一つ生まれたということですね。
それから、2008年に後期高齢者医療制度を導入したり、2000年に介護保険制度が導入された。これもある意味では賦課限度額がこれまでの保険の負担からいくと低く抑えられた。それから、収入についても年金収入、月1万5000円の場合も実質強制徴収ということで、そういう意味ではこういった社会保障の在り方も非常に逆進性の強い制度が入り込んできた、広がってきているというのが今の姿ではないかと思います。
それと、私は高齢者ですので、この辺は少し感情論なのですが、高齢者も20年前、30年前から高齢者だったわけではないわけです。現役世代で収入があって、その当時の税や今につながる社会保障の負担を担ってきていたわけですね。それから30年前、40年前というと、そういう意味では社会保障制度も非常に脆弱であったわけですから、私的な形でも弱者を支えるところを今の高齢者は別の形で担ってきた。そういうところも見逃さないでいただきたいというように思います。
次に申し上げたいのは、今、そういう意味では、消費税導入以降、応能負担というものが、今の税や保険料を支えるところから利用料の負担のところに応能負担という考え方が入ってきて医療の今の社会保障の受給の在り方について大きく変わってきているわけですね。制度の持続性というものをどういうように見るのか。私自身は弱者を支える社会保障の役割の面で、あるいは税・社会保障の所得の再分配機能の面で見ていかなければならないのではないかと思いますけれども、今、申し上げましたように消費税導入以降、そういう私が申し上げたような意味での制度の持続性は非常に弱体化してきている、この面も見逃さないでいただきたいというように思います。
私自身は基本的にこの社会保障を支えていくということでは原則、保険料。ほかに公費負担の部分とか企業負担の部分もあるわけですけれども、単純化して保険料のところで申し上げれば、利用者のところで申し上げれば、保険料の負担のところで緩やかな累進制度というものが考えられないと今の財政問題の解決は難しいのではないか。また、緩やかな累進制度の中でも先ほど申し上げた月1万5000円ぐらいの年金の方たち、こういった方たちについては減免制度が大きく働くような制度にしていかないとならないのではないかというように思います。少なくとも例えば税でいけば課税最低限以下のところには、やはり生活費のところで維持するということで課税最低限が設定されているわけですから、そこに保険料負担や、あるいは医療を受ける際の窓口負担が大きくのしかかるような在り方はまずいのではないかと思います。
私のほうからお願いしたいのは、例えば生活保護受給者の医療の利用状況あるいは医療受給の問題点、それは生活保護受給者がいいのか、あるいは高齢者の年収の中央値以下の方でもいいのですが、所得の低い方たちのところで今の医療がどう機能しているのか、どういう問題を抱えているのか、そういったことについても実態を把握していただいて、そういう視点からも検討していただきたい、こういうように思っております。今日は制度全体のキックオフということですので、以上の点を申し上げました。
もう一つ、出産育児の件ですけれども、今、申し上げた非常に逆進性の高い今の後期高齢者医療制度の中で、私はここにその負担を持ち込むというのは賛成できない。いろいろなそういう逆進性の問題等を大きく変えていくような手がつかない中でこれ以上、高齢者、ここに負担を求めれば、また収入の低い人たちのところに負担がかかっていくというように思っております。
最後に、応能負担の在り方の問題ですけれども、現役世代の稼働収入、それから、大きく見逃されているのは、富裕層の投資収入については分離課税になっていて、この社会的な負担については非常に大きな問題を持っていると思います。そういったところも手をつけていかないと、この制度の維持の問題について適正な議論ができるのかどうか私は疑問であります。
あまりまとまらない申し上げ方でしたけれども、以上でございます。どうもありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
私からは資料1-1の21ページで、全世代型社会保障構築会議で出された論点について2点、申し上げます。また、1点、要望も申し上げます。
1点は、出産育児一時金の大幅な増額についてです。「大幅な増額」とございますが、8月19日の医療保険部会で報告いただきました調査研究結果などを踏まえつつ、費用の見える化についてさらに深掘りが必要ではないかと思います。この点、井上参考人からも出されていた意見と重なるものでございます。
私たち連合といたしましては、妊娠・出産にかかる費用につきましては、希望する人が安心して子供を産み育てることができる環境整備に向けて、負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含め全て健康保険の適用、現物給付とすべきと考えております。
次に、高齢者医療制度への支援金の在り方についてです。医療の高度化や高齢化によりまして、当面の医療費は増加の一途をたどることが見込まれる一方、人口構造の変化から保険料負担の担い手は減少しております。現役世代による高齢者医療への拠出金負担は増え続けてきておりまして、医療保険制度の持続可能性の観点から、効率的な医療提供体制の構築によって医療費の増加を抑制していくことが重要と考えます。
また、資料に「負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化する観点を踏まえ」とございます。医療保険制度については国民皆保険を堅持しつつ、持続可能な医療保険制度の確立に向けて、年齢別から負担能力に応じた負担の在り方への転換を進めるべきと考えます。また、高齢者医療制度につきましても社会保険制度の原則を踏まえ、抜本改革によって、負担能力に応じた負担の在り方へと早急に再構築することが必要と考えます。
最後に1点、要望です。資料、23ページでは検討スケジュールが示されておりますが、今後、関係者のコンセンサスを得るべく、各論における論点を早めに示していただきながら丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私から3点ほど申し上げたいと思います。一つは、全世代型社会保障制度ということで、負担と給付の適正化ということが言われておりまして、私自身、後期高齢者なのでいろいろなデータを見ますと、現役世代の負担が非常に大きいですね。健康保険組合の資料を見ますと、自らの医療費の支出と後期高齢者医療制度への拠出がだんだん接近してくるというような状況がありまして、これは何とかしなければいけないということを感じております。
高齢者も応分に負担するという、これは当然のことなのですが、今、世代間の公平性ということが言われておりますが、やはり世代内の公平性ということも必要です。高齢者の場合、非常に所得が両極化しているのですね。両極化というか、低いほうが非常に多くて、少数ながら高い人がいるということなのですよね。ですから、もう少しこれはなだらかにできないかということを感じております。
つまり、手っ取り早く言えば、賦課限度額を見直すということです。今、後期高齢者の場合、保険料の上限は66万円。年収は900万弱ですけれども、ここをもう少し引き上げて、そして、所得の高い高齢者からは払っていただくというようにしないと、現在のような人口構成を考えると、もう制度としてもたないと思います。
後期高齢者、どんどん増えておりまして、もうじき団塊の世代が全部後期高齢者に入ってしまうというような、そういう状況を考えると、現役世代で支えるというシステムはかなり難しいのではないかと思います。やはり賦課限度額の見直しということで高齢者にも負担してもらうということだと思います。後期高齢者の場合、年金は少なくてもいろいろな収入があるという方は少なくないし、お給料がかなり高いという方も少なくないので、この辺に目を向ける必要があるかと思います。
2番目は、税と社会保障の一体改革、これはもうずっと民主党政権の頃から言われていたのですが、社会保障のほうばかり、いろいろ改革とか見直しとか言われているのですが、税のほうはなかなか手がつけられてないですね。岸田総理も総裁選に出る前は金融所得への課税も考えるみたいなことをおっしゃっていたのですが、実際に総理になられてからはどこかいってしまったという感じなので、やはりこの辺も見直す必要がある。
国民負担率、社会保険料と税を合わせたものなのですが、日本の場合、社会保険の占める比率が非常に高いですね。これは社会保険のほうが取りやすいからではないかと思います。税を上げるとなると非常に反対が大きいし、抵抗がある。それから、日本人は昔から税金を取られるということに対して非常にアレルギーのがあるので、取りやすいところから取るという感じで、社会保険料をこれまでどんどん上げてきた。けれども、そろそろ限度ではないか。今、ほとんどの方が税よりも社会保険料のほうが高いという方が多いですよね。そういうことを考えると、やはり税制改革ということを真剣に取り組む必要があると思うのです。
やはり基本的には累進課税の問題です。かつては8割ぐらい税金で取られていたのですが、今、どんどん下がってしまって最高でも45%ぐらいです。これをもう少し上げて、いきなり上げるというのは難しいかもしれないですけれども、50%とか60%とか、少しそういうところを上げていく。やはり税の改革も並行して進めないと、社会保障制度だけを見ていくとそこは非常に片手落ちになるのではないかと思います。
それから、3番目は女性と社会保障の問題です。これは資料1-1の15ページ辺りにありましたが、いわゆる第3号被保険者の問題で、103万円の壁とか130万円の壁というのがあります。年収130万円を超えないと社会保険料を払わないでいろいろなサービスが受けられる。年金についていえば、年金保険料を払わないで老後基礎年金がもらえる。それから、医療保険も介護保険も払わないで夫の傘の下でサービスを受けられる。この制度については、できたときから女性たちの間ではおかしいと、やめるべきだとずっと言っているのですが、なかなかやめられないですね。
現在のところはパートの厚生年金制度への加入という形を取って少しずつ減らしていくということですけれども、実際に例えば今、専業主婦の方が保険料を払うとしたらどのぐらいになるかというのはちょっと分かりませんが、こういうところからも医療保険の負担をしていただくということを考えないと、やはり不公平感というのは拭えないと思います。
女性の問題については皆様、男性の委員からはなかなかおっしゃりにくいことがあるかもしれないのですが、やはりこの辺の偏った優遇措置は見直すべきだと私は考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
私のほうからは医療費の適正化について、少し要望を踏まえた意見をさせていただければと思います。
医療費の適正化については、我々、薬剤師においても皆保険制度の維持という中で大変重要な課題に捉えております。その中でも、しっかりと質を担保した上での適正化に取り組んでいく必要があるのではないかというように考えて事業を実施してきております。その中でも後発医薬品の使用促進に関しては、長年にわたり取り組んでまいり、一定の成果も得ているところかと思っております。
今後も、この取組は必要だというように思っているのですけれども、ただ、現在の医薬品の流通に関して出荷調整であったり、そういう部分での現場にかかる負担というのは大変大きなものとなっています。その中でも患者に負担、不安を与えないように最大限の対応をしているところですけれども、絶対的に前提として医薬品の安定供給というものがないと後発医薬品の使用促進というのは続けられないということになってきますので、この辺に関しては十分な対策をお願いしたいというように思っております。
2点目に関しましては、薬局においてもポリファーマシーへの対策、健康づくり等への取組をしてきているわけですけれども、今後、医療DX等の中で、薬局で確認できる医療情報等の仕組みの拡大という部分は大変重要で、さらなる促進につながる部分かというように思っております。ただ、この患者情報というのは患者の同意が必要になりますので、そこにはマイナンバーカードが必要になってくるという部分もございます。引き続きのマイナンバーカードの普及の促進という部分も進めていただければと思います。
この情報の仕組みの拡大に関しましては、それを見込んで我々も早くからオンライン資格確認の普及というものに取り組んでまいりました。現在、全薬局の9割が既に手挙げをしている状態、かつ半分が稼働している状態という部分になっております。ぜひその上でのマイナンバーカードの普及というものも努めていただければというように思っております。
この医療DXに関してなのですけれども、推進本部のほうも設置され、今後、医療DXの中では電子カルテの標準化等の話もされていくというように思っております。その中においても、現在、医師と薬剤師の間で紙のやり取りをしている文書等々もありますので、ここに関する費用削減等も踏まえて電子カルテの標準化の中では電子薬歴のほうも併せて一体的に考えて検討していっていただきたいというように思います。
また、目の前、1月から始まる電子処方箋においても、同じく情報共有の部分、ドクターとの情報共有を図ってまいるところかというように思いますので、その辺の部分も在り方として検討していただければというように思っております。ありがとうございます。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
私のほうは意見を4点ほどと質問を1点、なるべく簡潔にお話ししたいと思います。
まず皆さんがおっしゃっているように、持続可能な医療保険制度を維持するということに関しては今日お集まりの皆さん方、反対のないところだと思います。私も同じ思いです。その中で、どうしても守らないといけないことが2つあるかと思います。それはやはり日本の冠たる国民皆保険を是が非でも維持すること、そしてフリーアクセスが維持できること、この2点は非常に重要ではないかと思います。
フリーアクセスに関しては一部、いろいろな御意見があることは伺っておりますが、例えば今回のコロナ禍で第1波のときはかなり混乱をしましたけれども、一気に感染者が増えた第7波になって、それぞれの医療機関、診療所も病院も全ての医療機関が何らかの形でコロナを診ようということで、フリーアクセスがあったからこそ大きな混乱なく第7波、これだけ数が大きくても問題なくある程度体制ができていたのではないかということで、このフリーアクセスをぜひ守っていきたいということを医療提供者側としては感じています。
それから、もう一点は、適正化ということに関して、もちろん全面的に反対をするものではありませんが、一方で、提供者側としては国民健康被害等につながらないこと、ここは是が非でも守っていかなければいけない、この視点でこれからも意見を言っていきたいということをまず申し上げたいと思います。その上で、それぞれ保険者側も提供者側も国側もどういうバランスで痛み分けをしたほうがいいかということがこれから議論になるのではないかと思います。
その中で先ほど猪口委員がおっしゃったように、現役世代並みのしっかり働いているお元気な方々に対しては、健保組合にそのまま残って支える側になっていただくということは一つの考え方で私も賛成したいと思います。
2点目ですけれども、出産費用に関しては、これは皆さんがおっしゃったように私も大賛成です。次の現役世代を育てるという、なっていただくという意味でも、より出産をしやすい環境をつくるということ、これを全世代で支えていくということも非常に重要な視点ではないかと思います。
先ほど菅原委員がおっしゃったように、以前、この保険部会の前々回のときに出された表で、結構地域差がある。たしか東京とそれ以外のところ、一番低いところで20万ぐらいの地域差があったと思います。この地域差をどう考えるかということも今後、検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
あと3点目ですけれども、佐野委員がたしかおっしゃったように私も次は同時改定ですので、まず健康で、できるだけそれを維持していくためにフレイル対策とか介護予防という1次予防は非常に重要な視点であり、介護保険制度の中だけではなくて医療の中でもこれに対してどういうアプローチができるかということ、特に栄養とか口腔ケアとかリハビリとか、こういうことも医療と介護の連携の中で何ができるかということを1次予防の視点で進めていくことは私も大賛成です。
ただ、1点、質問をさせていただきたいのですが、資料1-2の中の62ページにありましたように、医療費適正化計画の中で特定健診とか保健指導の実施率、メタボの予備群に対する対応等が推進として数値目標も挙がっています。これは以前からこういう健康日本21なんかの流れからも、ずっとこういう適正化計画の中に入っていますが、私が知る限り、国内外の文献等を見ても、健診を進めて2次予防をすることによって保険財政がかなり健全化したという、適正化されたという、そういう論文はなかなかないのですけれども、そういうものが確かにあるのかどうか。その辺があるのであれば、次回お示しいただきたいと思っています。決して水を差す、2次予防が駄目だと言っているわけではありませんけれども、適正化というような観点でこれが本当に通用するのかどうかということはちょっと疑問を感じるところもありますので、その辺についてもし資料があればお示し頂きたいと言うことです。
3点目ですけれども、一方で、資料1-1の22ページにありますように、ここに上から3つ目で、働き方改革の確実な推進とともにタスク・シフト/タスク・シェア、医療の担い手の確保等々が挙がっています。これも非常に大事な視点で、今回のご説明の中にはありませんでしたけれども、先ほど秋山委員もおっしゃったように、医療の担い手をしっかり確保する、そして、その方々をしっかり評価をするということが非常に重要だと思いますが、今回、次は同時改定ということであえて言わせていただきますと、医療の担い手の医師、看護師だけではなくて、それ以外の職種、さらに、これから85歳以上の高齢者、2040年以降も増えていくということになりますと、もう医療の中でも要介護状態の方々がどんどん入ってきて、そこの方々は看護師だけではなく、いわゆる看護補助者と医療の世界で呼んでいますが、介護職が非常に重要なタスク・シフト/タスク・シェアの担い手になるかと思いますが、一方で、今、医療機関等に入っていただける介護職員が非常に不足しています。
それはなぜかというと、介護職に関しては、現在、介護保険上は介護職員処遇改善加算等で待遇改善がなされていきますが、これが医療の中で働く介護職、介護福祉士等については全くそれがないということで、ここの格差が実はもう10万円以上ついてしまっており、介護職は全く医療機関に入ってこないということが、これは急性期、慢性期、回復期に限らず、現状、起きていると思います。次の同時改定に向けて、医療保険としてこの介護の担い手をどう考えるかということをぜひ議論していただきたいと思っています。そういう観点でぜひ御検討いただくとよいかと思います。
あと、ジェネリックに関しては先ほど委員がおっしゃったとおりで、安定供給を一方で考えなければいけない。ジェネリック推進をもちろん引き続きやっていただくべきですけれども、一方で、現場にいますと本当に医薬品の供給不足が現在も続いておりますので、ここに対する供給体制の改善あるいは基礎的医薬品の維持をするためにどういう薬価であるべきかということも含めて議論が必要ではないかということを最後に言わせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
本日示されましたそれぞれの論点、特に資料1-1の21ページから出ています全世代型社会保障構築会議から示された論点、いずれも大変重要なテーマであると思っておりますので、これから年末に向けて医療保険部会で建設的な充実した議論をしていただければと、委員としても努力をしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
特に私ども、国保中央会と国保連合会、審査支払機関でございますので、この示された論点の中で特に2点、関心を持っております。
一点目は、医療費適正化の取組でございます。審査支払機関もそこに一定の役割を果たすというような趣旨が骨太方針等でも言われておりますので、そういったことが議論になるのかなと思っておりますし、もう一点が、その他のところにあります、いわゆる医療DXの取組でございます。私ども審査支払機関として与えられた役割をしっかりとこの2つについてもこれから果たしていきたい。特に医療DXについては、その前提となっているオンライン資格確認システムの安定的な普及促進、これも私ども、役目を仰せつかっていますので、これも含めてしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。
要望と質問でございますけれども、一つは、医療費適正化計画でありますが、いろいろ論点はあろうかと思いますが、やはり議論を効率的にしていくためにも、早めに厚生労働省から具体的な議論のたたき台といいますか、そういったものを提示していただいて議論したほうが有益ではないかなと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
それから、2点目は、医療DXの関係ですけれども、特にこの中の診療報酬改定DX、これは大変重要な取組だと私、考えております。私どもも支払基金さんと共に毎年、2年に1回、中医協で2月頃、報酬改定の答申がございますと、それを受けて5月からの審査に向けて膨大なシステム改修作業をしなければいけない。当然、役割としてやらなければいけないことではあるのですけれども、やはりそういった非常に短期間で膨大な作業をしなければいけない、また、間違いが生じるリスクも高い。医療事務コストの軽減という意味でも大変重要な効果があるのではないかと思っていますので、これはぜひスピーディーに進めてもらいたいと思います。
ただ、ここは要望でございますけれども、私ども、支払基金さん、そして、厚生労働省、三者で昨年の3月に審査支払機能に関する改革工程表というのを取りまとめております。私どもは国保総合システム、審査支払システムでございますけれども、これの今、更改を計画的にやっておりますが、この診療報酬改定DXとは、やはりその改定内容、更改内容も大分関係してまいりますので、ぜひ整合性を持った、私どもから言えば手戻りがないように整合性のある計画的で効率的な進め方というものをぜひやっていただきたい。これは要望でございます。
そこで最後、質問でございますけれども、この診療報酬改定DXについての現在の検討状況、厚生労働省における検討状況あるいは今後の進め方。特にこの診療報酬改定DXは診療報酬改定の実施時期を少し遅らせるというような内容も含まれていますから、恐らく中医協とも関係をしてくるテーマなのかなとも思ったりしておりますので、今後の進め方等について何か厚生労働省でお考えがあるようであれば回答をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点、御質問がございましたので、回答をよろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
ただいま診療報酬DXの関係で御質問いただきました。本日の資料1-1の骨太の方針、6ページのところにも診療報酬DXの取組は行政と関係業界が一丸となって進めるという話と、そのために政府に総理を本部長とし、関係閣僚により構成される医療DX推進本部を設置するということが記載されております。
この関係でございますけれども、先日、厚生労働省内にも「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームというものを立ち上げておりまして、検討を進めるということとしたところでございまして、具体的なスケジュールや御指摘いただいた点も含めてこのチームを中心に精力的に検討を進めていくものと考えてございます。
以上でございます。
○田辺部会長 原委員、よろしゅうございますでしょうか。
○原委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 では、引き続きまして、木倉参考人、よろしくお願いいたします。
○木倉参考人 ありがとうございます。協会けんぽ、安藤理事長の代理で来ております木倉です。
本日、キックオフということですが、今日の資料にも医療費の動向、直近のものが出ておりますけれども、昨年度、令和2年度にコロナ禍の中で医療費の落ち込みがあったということを踏まえましても、それ以上の伸び、去年2兆円、また、その前々年度より大きく伸びておるという中で、これから2025年問題、2040年問題に向けての特に高齢者医療の負担増ということが見えておる中での医療費の増に対する取組、これは危機感を持って臨むべきだと思っております。
その医療費適正化対策とともに今の全世代型社会保障の考え方、負担能力に応じてということで、公平に全国民で負担をしていこうという考え方を徹底した議論、同時並行の短期間の議論になると思うのですが、フィードバックしていただきながら医療保険部会でもしっかりと論点を整理していっていただきたいというように思います。その中では、高齢者の負担の在り方、袖井委員もおっしゃいましたけれども、この基礎資料の54、55にあるようなマクロとしての当初、高齢者の負担率、1対4からスタートを切り、公費も5でスタートを切っておる、この全体の1対4対5からスタートして、この在り方そのものまで踏み込んだ議論の仕方。介護保険の負担の考え方、少しこれと違うものがあります。こういうものとの整合性も議論の俎上にのせてやっていただきたいと思います。
また、55ページにあるような賦課限度額の問題、これは高齢者の世代内でのまた公平の問題、先ほども御指摘がありましたけれども、そういう問題もありますから、この見直しをしっかりと進めて合意を取っていっていただきたいというように思います。
それから、我々協会けんぽは、平均保険料率は10.0%を維持しておりますが、各47都道府県ごとの保険者機能を持っておりまして、こちらのほうの保険料率はこのコロナ禍の中で供給体制の問題、受診動向の問題等、総合的な影響の中でやはり格差が広がっております。今年度の保険料率、一番高いところは佐賀県、11.0%、一番低いところは新潟県9.51%、1.49%の格差が出ておりまして、その医療費適正の取組、それから、健康づくりの取組ということを分析してしっかりと格差も縮めていく努力をしなければいけないと思っておりますが、それに関係するものとして、骨太方針、昨年からしっかりと入れていただき、今年度もそれを踏まえての骨太方針に盛り込まれておりますが、医療費適正化計画の見直し。これは医療費適正化計画に限らず、あと1年半で各種医療計画も含めてですが、各種計画が一斉に見直しが進みます。
基礎資料のほうの64ページに載せていただいておりますが、この議論が進んでおりますが、まず医療費適正化計画とこれらの計画の間の議論が今、同時並行で進んでおりますが、トータルとしてどのように医療費適正化計画に落とし込んでいかれるのかという議論が進んでないと思います。去年の7月のこの医療保険部会の場に、昨年、骨太の決定の直後で検討事項を挙げられました。目標の設定の仕方であるとか、目標値の算定の仕方、PDCAをどう回していくのか、保険者の関与の仕方等について挙げられましたが、その後の議論はこの場ではなされてない。検討は他の場でも我々が参画した場ではなされてないというように認識をしております。ぜひこれは法律事項になっていくというものもあると思いますが、その法律の中の中身を議論していく上でも、早期に具体的な見直しの方向性を特に示していただきたい。
特に我々、47県支部、47都道府県、医療費適正化計画を1年半後までに策定するわけでありますから、それの保険者の地域の保険者協議会の4000万人を持つ代表として参画していきたいと思っておりますので、どのような論点かとか早く我々も都道府県国保代表等と共に議論を踏まえて取組を進めていきたいというように思っているわけでございます。
中身としても健康増進計画の見直し、特にアウトカム指標、2センチ、2キロとかというようなアウトカム指標を取り込んでいって、この効果が出る保健指導を達成していきたい。そのためのマンパワーも我々は持っております。保健師、管理栄養士さんたちが各都道府県で活動してくれておりますが、このようなやり方の見直しということも早急に進めたいということでありますので、ぜひこれらの議論との整合性を早く取っていっていただきたい。
これは健康日本21のポピュレーションアプローチのほうについても同様であります。この間の10年間の取組の再評価が行われておりますが、こちらのほうも各都道府県が健康増進計画として策定をし直します。その中にどのような形で重要ポイントが盛り込まれていくのか、それを医療費適正化計画にどのように反映させていくのかというような視点を持って医療費適正化計画の議論を進めていただきたい。
一斉に進んでいますから難しいなと思いますが、何を優先的に取り組むべきか、それを具体的に医療費適正化に効果が出るように、健康寿命の延伸に効果が出るような医療費適正化計画になるような全体の統一を図っていただきたいと思います。
もう一点ですが、この中に後発医薬品、ジェネリックの使用促進があります。これも骨太の中で2023年度いっぱいまででしたか、全都道府県の80%を達成するという目標値が書かれております。私ども協会けんぽは、手前みそながらフロントランナーとしてジェネリック使用促進を進めてきたというように思っておりますが、なかなか全支部で、全都道府県でということが達成し切れていません。トータルでは80.6%というところまでこの間、早くに達してはおるのですが、16、17支部、行ったり来たりの状態、80%台を行ったり来たりの状態が続いております。これについては、私どももその都道府県支部のアプローチの仕方について具体的に分析をしてサポートしておるつもりでありますが、ぜひ国のほうにおいても今のジェネリック医薬品の使用促進計画達成に向けた、その供給安定問題等ありますけれども、それらの中でもぜひこれは進めていくべきことなので、もう一歩、使用促進の最後の1年半に向けて推進策を打ち出していただきたいというように思っております。
その上で、今年の骨太方針では、バイオシミラーの使用促進、その目標値を今年度中に設定をして推進をすると書かれております。大変重要なことだと思っております。今までの医薬品以上に高額のバイオシミラー、今のワクチンのようなものも含めて、もうどんどん登場してきておりますが、このようなものについての使用促進を進めていく。ただ、これについては、国民の理解、医療機関の皆様の理解ということを前提にしなければなりませんが、この理解促進ということを踏まえて目標値を明確に設定して総力を挙げて取組を進めるべきだというように思っておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。市議会対応のために参加する時間が遅くなって大変失礼いたしました。
今日、資料を準備いただいて御説明があったものと思いますし、各委員の御意見も今、拝聴してきたところでございました。幾つか申し上げます。
まず最初に、資料で説明があったかと思いますけれども、参議院附帯決議の中に、例えば後期高齢者等の広域連合の事務等について、プッシュ型で支援をしていくべきだという御指摘をいただいています。これは大変ありがたいことだと思っています。いろいろな新たな施策をするたびに、少人数でやっている広域連合でございますので、その必要性を痛感しており、ぜひこういったことの勘案をお願いしたいと思います。
では、論点について幾つか申し上げます。
まず出産育児一時金のことです。これは育児を支援する、出産を支援するという意味では意義の深いものだと思っています。ただ、ほかの委員もおっしゃったように地域格差がございまして、地域差、この辺をどうするかというのは順当な検討というのが必要ではないかなと思います。また、見える化といいますか、よりよくそれがどのような財源で、どのように活用されて、どのように出産並びに子育てを支援することになっていくかというのがより一般の皆さんに分かりやすくしていくこともとても大切だろうと思います。
また、ほかの委員もおっしゃいましたけれども、私も以前から思っているのですが、通常分娩等についての保険適用という言葉がありましたが、そういうことも含めた通常分娩、新たな国民が生まれるということに関するサポートというのをもっともっと広く柔軟な対応があっていいのではないかなと思ったりします。例えばフランスなどの出産率が回復している国々はこういったところをどうしているか詳細は存じませんけれども、ぜひ海外に参考があるものがあるならば参考にすべきだろうと思います。
2点目は、現役世代の負担軽減にまつわる話で、後期高齢者医療制度のことが出ています。このことは長年の課題というようにもなってきていますし、現在は現役の減少分の2分の1を高齢者負担にするとか、あるいは賦課限度額を設ける、現在66万円をどうするかといったところが論点だと思っていますけれども、現状で見ますと、これらのことが大変今、ややにぎやかに報道もされている印象を高齢者の方はお持ちだと思っています。特に2割負担の話が本格化してきていますので、多くの方はある意味でとても心配しながら、自分は医療アクセスできるだろうか、医療を受けたときの負担を自分はできるだろうかという御心配も当然出てくると思うのですね。それはほかの委員も御指摘がありました。ぜひこういったことの御心配が過剰にならないような広報のこととか、あるいは制度の設計というのが改めて必要ではないかなと思っています。
現状で見ますと、2割負担については暫定的な期間を設けるとか、上限を3,000円程度にするとかということで、安心はもちろんありうるのですが、では、数年たった後は結局どうなるのという心配は絶えないわけですので、やはりこの辺についてはぜひ広い検討ということも一方では必要ではないかなと思います。ただ、制度全体から見ますと、大きな趣旨である全世代型社会保障制度と通じますが、持続可能な制度にしていくことが重要です。すなわち、私もかねて思っていますが、負担能力のある方がある程度の負担をいただいて、負担能力が厳しい方が少額でもいいから負担をしていただきながら、全体の社会保障制度を持続可能なものにするということはとても大切ですので、こういったところは重視して検討すべきだと思っています。
また、関連して思っていることですけれども、例えば以前にも申し上げましたが、北欧等では税負担が増えても、自分が納めた税が、自分自身が生まれてから天寿全うまでのいろいろな局面における、いわゆるライフステージにおけるサポートに使われている。出産あるいは育児、育てて就学、就職、あるときは病気、そして、その後の老後に関する福祉など、それをみんなが納得して実は社会負担を負担しあうことを、スウェーデンをはじめとした北欧あるいはその辺の国々はされているわけですね。
こういったことに日本の場合、いきなりはなり得ないだろうとは思います。けれども、福祉を充実した国ということを将来目指すのであるならば、ほかの委員もおっしゃったように税と保険料負担のことなどをちゃんとトータルで見ながら、本来どうあるべきだという議論を国会でもしっかりとしていただく必要があると考えます。税のことを言ってしまうと選挙に響いて大変なことになるという心配を政治家は抱くものです。実際、私も政治で選ばれる人間の一員としてそれは厳しい面もあるということもよく分かるのですが、やはり賢明な国民の方も多いわけですので、きちっと分かるようにしていくこと、そして、あるべき姿をぜひ研究して磨いて求め続けること、これをしていかなければいけないだろうと思います。厚生労働省は多分、陰に陽にそういったあるべき姿の研究等もなさっていると思いますが、ぜひ十分な検討をしていただいて、国の行く末を慮るときや必要なときに適宜提案として出していただいて結構かと思っております。
次に、3点目は、被用者、保険者間の格差是正のことです。これは今も申し上げたように負担能力に応じた支援ということは一方では必要でしょうと思います。また、前期高齢者の給付の調整というのがございますが、これについても加入者に応じて現在は調整されていますけれども、あるべき姿というのは常に求めていかなければいけないだろうと思います。
また、4点目に、医療費の適正化のことがあります。ほかの委員が先ほど、なかなか検証される事象がない、論文がないという御指摘があったのですけれども、たまたま私ども多久市の例で紹介しますと、平成30年ぐらいから健診率向上に気合いを入れて取組み、例えば特定健診受診率を上げることにしました。平成30年で63.5%にいきました。令和元年60%、その後はコロナの影響による健診控えで減って53%、58%と経過しています。実は63.5%になったときには特定健康保健指導もあわせて両方で全国のベスト10に入っていましたので厚生労働大臣から表彰いただいたのです。実際に担当する、保健師チームの現場に話を聞いてみますと、受診率が上がることによって医療機関にも早期に行くようになりますので、一時的には医療費は上がっていったのですが、その後には、早めに治療するなどが進む、その効果が出てきて医療費が抑制になって増大が止まって、マイナスの変化、つまり減少が始まりました。現場の経験からと、このときの医療費の推移を見て詳しい内容を保健師に聞いてみますと、やはり早い段階で早期発見につながるので、それが医療費削減につながったのが特定健診率向上の取組みです。つまり早い段階で必要な処置をしているので医療費もかからないようになりながら改善ができたのです。
ところが、コロナになりますと、感染予防のために外出を控えるため、なかなか健康チェックに行く、健診検査に行くのがおっくうになった方、あるいは行けない方が出てきましたので健診受診率も下がったのです。そうすると、この医療費が逆に伸びたのですね。理由は何なのと分析をさせましたら、これは病の程度が進行してしまったために医療費もかかるようになってしまったのだと見られるということでした。先ほどそういったデータがないとおっしゃっていたのですが、こういった取組をしているところも地方ではございますので、ぜひ参考にしていただいたり、学問的、アカデミズム的に検証ができれば、またそのことを一つの事例として普及し、改善をお互いに切磋琢磨できればいいかなと思っています。
そういった地道な取組ということも医療費の適正化には効果があるというのは、私自身は感じております。ぜひ特定健診受診率、また、特定保健指導の率を上げること、あるいはほかの分野でも同じような努力を地道にしていくことをしっかりやりながら、健康日本が目指している、あるいは日本健康会議も目指しているような努力は引き続きやっていかなければいけないだろうと思っています。
最後、5点目ですけれども、ほかの委員がDXのことをおっしゃっていただきました。私もDXは今後、非常に重要なことだと思っています。ともすると、目の前の改善に、例えば事務作業などをコンピューター化するとかAI化するとかということがあり、ついついこちらに走りがちですけれども、考えてみると、企業の方も今日、いらっしゃいますが、ビジネスのプロセス全体を見て、どこをどのように戦略的に合理化していければ本当に身軽で的確で迅速で公正な対応ができるかということの戦略をつくって、そして、その全体をどのようにトータルなDXを活用したデジタル社会にふさわしいシステムにできるかということを考えていかない限り、効果は出ないと思います。目の前の対応だけでそれぞれがやってしまいますと無駄がいっぱい残ってしまうと思っています。
ぜひそういったトータルな戦略、そして、ビジネスプロセス、あるいはマネジメントとしてそれを改善する、イノベーションするという視点で今後取り組み、リーダーシップを厚生労働省や関係機関は、発揮していただきたいというように思っています。そのことが医療費の適正化あるいはAIも活用した迅速で早目の体の負担のないままの診察ができるなどに効果が出てくるのは間違いないと思っていますので、ぜひそうしたトータルな対策をお願いしたいというように思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。全国市長会の立場にあります前葉に代わりまして出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
資料1-1の21ページ目の(1)の「医療保険関係」に記載されております出産育児一時金、それから、高齢者医療制度、また、骨太の方針で示されております普通調整交付金の配分の在り方や生活保護受給者の医療扶助の在り方、これらは国保制度等の運営に大きな影響が生じる事項でございますので、保険者と十分協議いただきましてその意見を反映していただきますようお願いをいたします。
また、23ページの医療保険部会における検討スケジュール案では、次回以降、各項目について議論が行われるということでございますので、各項目に関しましての具体的な意見につきましては、その際に申し上げたいというように存じます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、最後に、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
最初に森総務課長からお話がございましたが、昨日、全世代型社会保障構築会議が行われ、山際大臣から厚生労働省に対して、審議会での医療・介護に関する具体的な検討が指示されました。そこで、その会でも私は発言いたしましたので、繰り返しになりますが、多くの皆様から既に御発言があった点と重なりますけれども、大きく2点、発言をさせていただきます。
まず、子ども・子育てに対する支援のさらなる強化という意味で、子ども・子育て支援のための新たな拠出金制度の枠組みを高齢者も含め全世代的、総合的に考えていく必要があると考えています。ただし、当面の対応策としては、出産育児一時金の増額による対応が欠かせないと思います。
2006年、医療保険制度改革において後期高齢者を別枠として保険者を新たに創出し、後期高齢者に対する一方的な財政支援の仕組みを設けました。そもそも、そうした世代分断型の枠組みをつくったという政策選択も問われる必要があるかもしれませんが、保険者枠組みの議論には長い時間を要するとすれば、現行制度の中に後期高齢者からの出産育児のための財政支援の仕組みをつくることを考えるべきではないでしょうか。後期高齢者の医療費を現役世代が支える一方で、負担能力を勘案した上で、子ども・子育ての支援の輪の中に同一保険者の支え合いに既に参加している前期高齢者のみならず後期高齢者にも加わっていただくということは、全世代型社会保障のシンボルとなり得るのではないかと考えます。
次に、医療給付費の増加圧力が高まる一方、2040年には生産年齢人口が優に1000万人以上減少することが見込まれる未曾有の人口減少社会の到来が確実視される中で、国民皆保険がその機能を引き続き維持するためには、世代間のみならず、世代内の仕組みの不均衡についての議論も必要と思います。負担能力に応じた負担に着目した仕組みを強化することで持続可能性を確保することが大事だと思います。
この点で後期高齢者を含めた賦課限度額の議論も視野に入ってくると思いますが、さらに各保険者による自主的な運営、いわゆる保険者自治のメリットを生かすことが前提ではあるものの、実際には保険料率が5%を下回る組合も存在する一方、保険料率が10%を超える組合も増えている現状においては、個々の保険者のみで解決が困難な課題に共同して取り組むことも必要ではないかと思います。菅原委員が示唆をされていたようにも思いますが、リスク構造調整的な考え方を入れることも一案として検討してはどうかと考えます。
それから、ともすると、全世代型社会保障というのは世代間対立をあおるような意味合いとして受け取られかねないようにも思いますが、決してそうではないということを申し述べたいと思います。この全世代型社会保障の考え方というのは、私の認識では2013年、平成25年の社会保障制度改革国民会議に遡るものです。そこで、全世代型社会保障の考え方が出され、それが現在の全世代型社会保障構築会議に引き継がれていると私は認識しています。全世代型社会保障構築会議の多くの委員も同じように考えておられると思います。
この2013年の国民会議報告書によりますと、全世代型の社会保障への転換は世代間の財源の取り合いをするのではなく、それぞれ必要な財源を確保することによって達成を図っていく必要がある。また、世代間の公平だけでなく世代内の公平も重要である。このような観点から、これまでの年齢別から負担能力別に負担の在り方を切り替えると言っています。
さらに今年、5月17日に出された全世代型社会保障構築会議の中間整理において、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直し、将来世代に負担を先送りせずに能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保することが重要である。こうした基本的な考え方を世代間の対立に陥ることなく、全世代にわたって広く共有し、国民的な議論を進めながら対策を進めていくことが重要であると述べています。
本部会の委員の皆様には、ぜひこうした観点に立って、全世代にわたって共有し得る議論をこれから重ねていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
それでは、非常に貴重な御意見を賜りました。本議題についてはこれまでとさせていただきます。
本日いただきました様々な御意見を踏まえつつ、事務局提案のとおり、12月に向けまして議論を進めていただけたらと思っているところでございます。
次に「令和3年度医療費の動向」を議題といたします。
事務局から資料の説明のほうをお願いいたします。よろしくお願いします。
○鈴木課長 調査課長でございます。
「令和3年度医療費の動向」について、御説明をさせていただきます。
資料2になります。
2ページでございます。
1つ目の○でございますけれども、令和3年度の概算医療費、こちら、医療費の速報ですが、44.2兆円ということになっておりまして、これは前年と比較しますとプラス4.6%、金額にしますと対前年で2.0兆円の伸びという形になっております。こちら、対前年で見ると伸び率は比較的高い伸び率になっているのですけれども、前年の医療費はコロナの影響を受けておりまして、下の表を見ていただいても分かるとおり、令和2年度の医療費が3%以上の大きなマイナスとなっておりますので、その反動という側面がございます。
コロナの影響があまりない対前々年と比較するとどうなるかというと、こちら、右のほうの括弧で示しておりますけれども、1.4%の増加というようになっております。これはつまり、2年で1.4%伸びたということでして、これを1年当たりに換算するとプラス0.7%ということになります。医療費の伸び、今までの傾向を考えますと、この1年当たり0.7というのはそこまで高い伸びとも言えないというようになろうかというように思います。
2つ目の○でございますけれども、医療費は受診日数と1日当たり医療費に分解をして考えることができるわけでございますが、それを対前々年の比で見ますと受診延べ日数が▲5.5%ということで減少、一方で、1日当たり医療費のほうはプラス7.3%の増加ということでして、要は患者数というのは、日数ですけれども、コロナ以前よりも減っているということなのですが、一方で、診療を受けた方の1日当たりの単価というのはまだかなり上がっているということになろうかと思います。
3つ目の○でございますけれども、医療費を入院、入院外等の診療種類別で見ますと、対前年では全ての診療種類でプラスになってございますが、対前々年で見ますと入院は0.3%マイナス、調剤は0.1%プラスということで、ここら辺はほぼ同水準。一方で、入院外はプラス2.9%、歯科がプラス4.0%ということで増加という形になってございます。
続きまして、3ページでございます。
今、2ページ目で御説明したものと同じ数字が幾つか載っておりますが、1点だけ3ページで御説明をさせていただければと思うのですけれども、一番下の参考というところでございます。レセプトには傷病名が書かれておるわけでございますけれども、この中でレセプトの主傷病のところ、主な傷病のところでCOVID-19、つまり、新型コロナウイルス感染症とあるものだけについて医科の医療費を集計したらどうなるかというものですが、これは令和3年度で4500億円という形で集計をした結果をここで載せさせていただいております。
続きまして、4ページでございます。
診療種類別の状況をより細かく見たものになってございます。左側の表が対前年の伸び率、右側が対前々年の伸び率になっておりまして、下のグラフは、青色が医療費全体の伸び、オレンジ色が受診延べ日数の伸び、そして、灰色が1日当たり医療費の伸びを表したものになっております。
先ほど申し上げたとおり、医療費について、対前年で見ますと全ての診療種類で増加。ただ、対前々年で見ますと、入院だけマイナス0.3%ということでマイナスという形になっております。それぞれ日数と1日当たり医療費で分けますと、全ての診療種類別で対前々年ですけれども、日数はマイナス、ただ、1日当たり医療費のところはプラスという傾向はどの種類も変わらないという形になってございます。
続きまして、5ページでございます。
年齢のグループ別に状況を見たものになっております。こちら、対前年を見ますと、未就学者の1人当たり医療費が20%を超える大きな伸びになっておるのですけれども、こちらの未就学者は令和2年度にかなり大きく医療費が落ち込んだということがございまして、それの反動ということになろうかと思います。ですので、右側の対前々年で見ますと、未就学の伸びはプラス1.5ということで、比較的穏やかな数字になっているというところでございます。一方で、75歳以上の高齢者を見ますと、対前々年でマイナス1.4%ということでして、高齢者については、まだコロナ前と比べて医療費が低い状態という形になろうかと思います。
続きまして、6ページでございます。
診療所について、主たる診療科別の状況を見たものになっております。先ほど御説明した未就学とここの小児科というのは一定程度重なる部分がございますけれども、小児科について対前年で見ますと、プラス40%以上に非常に高い伸びとなっておりますが、こちらもやはり対前々年で見ますと、10%程度の伸びという形になっております。一方で、対前々年で見てまだ引き続きマイナス、例えば耳鼻咽喉科などはまだマイナスですけれども、こういったところではまだ引き続き影響を受けている部分があるのかなというように考えております。
7ページでございます。
こちら、都道府県別の伸びを示したものでございます。比較的伸びが高いのが東京、神奈川、千葉、埼玉といったいわゆる東京圏、あと愛知県等が高くなっているというような現状になってございます。
続きまして、9ページでございます。
こちら、より細かく年齢階級別に医療費を見たものになっております。全体的に見ますと、対前年では入院も入院外も全てプラスということになっておるのですけれども、対前々年のほうを見ていただきますと、入院は5から9歳といったところのマイナスが大きくなっているというところになっております。基本的には若い年齢のところがマイナスが大きいということになろうかと思います。
入院外、右側のほうを見ていただきますと、対前々年で見ると、15から30歳ぐらいまでの伸びが高くなっているというところでございます。つまり、これはコロナ前よりもかなり1人当たりの医療費が高くなっているということなのですけれども、こちらは令和3年度の新型コロナウイルスの感染者の主な年齢層がこういった若い世代になっているということもあって、コロナにかかる医療費というのがこの年齢層の医療費を押し上げているということがあろうかと思います。
続きまして、10ページでございます。
こちら、入院医療費を疾病別に分析をしたものになっております。基本的には右側の棒グラフを見ていただければと思うのですけれども、こちら、医療費の伸びに与える影響の度合いを示したものになっております。上のほうに出ているのが医療費にプラスの影響を及ぼしているものなのですけれども、濃いオレンジ色がありますが、こちら、特殊目的用コードというようについておりますが、これはつまり、ほぼ新型コロナウイルス感染症が集計された部分でありまして、つまり、主傷病が新型コロナウイルス感染症である患者の医療費によって、対前々年、一番右ですが、入院医療費1.5%程度を押し上げる影響があったというところ。一方で、押し下げ要因として一番多いのがマイナス1.1%の呼吸器系疾患ということで、これはコロナによって逆にその他の呼吸器系疾患が減っているということになろうかと思います。
続きまして、11ページは同様のものを入院外で見たものでございます。
やはり右側の棒グラフ、一番右を見ていただければと思うのですけれども、特殊目的用コード、つまり、新型コロナウイルス感染症による医療費がプラス1.3%の押し上げ要因。一方で、呼吸器系疾患がマイナス1.1%と押し下げ要因というような形になってございます。
続きまして、12ページでございます。
今度は入院医療費を診療行為別に見たものになっております。一番右の棒グラフを見ていただければと思いますが、対前々年で増加の要因になっているのが入院基本料、特定入院料等、これがプラス1.3%。また、検査・病理診断がプラス0.5%。一方で、下がる要因で大きいのがDPC包括部分ということでマイナス2.2%という形になっております。こちら、コロナ患者が増えまして基本料であったりとか検査だったりというような医療費が増え、一方で、DPCの対象病院になるようなところがコロナ対応していたということでDPCの部分が減っているという構造になろうかと思います。
続きまして、13ページが入院外で同様に見たものでございます。
こちら、対前々年の増加要因で大きいのは、検査・病理診断がプラス1.6%、また、医学管理がプラス1.3%という形になっております。このうち検査はまさにPCR検査などの影響ということになろうかと思います。医学管理は様々な項目が入っておりますけれども、要因の一つとしては、令和3年度以降、新型コロナウイルス感染症による特例等でいろいろと点数がつけられるようになったというようなことも原因の一つになろうかというように思います。
続きまして、15ページでございます。
こちらは調剤医療費に関する少し細かい統計でございます。調剤医療費の伸び、対前々年でほぼ横ばい。ただ、これを技術料と薬剤料に影響で分けますと技術料プラス0.4%、逆に薬剤料はマイナス0.4%の押し下げ要因という形になっております。薬剤料そのものの伸び率を見ても対前々年でマイナス0.4%なりますけれども、こちら、処方箋枚数と1枚当たりの薬剤料に分けると、処方箋枚数は対前々年でマイナス4.8%ということで、要は、処方箋枚数はコロナ前と比べて少し減少している。一方で、1枚当たりの薬剤料が増えている。これは薬局に行く頻度が減った一方で、1回当たりの処方日数等が増えているというような原因があろうかというように思います。
16ページでございます。
こちら、薬剤料について薬効分類別に要因分解をしたものになっております。これは一番右の棒グラフが対前々年の要因分解ですけれども、上がっているもの、下がっているものがございますが、その中で下がっているものについては後発医薬品が収載されまして、それの利用が進んで薬剤費が下がっている、そういう側面もございます。
続きまして、17ページでございます。
後発医薬品の割合、こちら、いわゆる新指標と言われるものですけれども、それの月ごとの推移を表したものになっております。3年の7月にちょっと下がっていますけれども、これはこのときの少し前に後発医薬品の収載がありまして、そうすると、新指標の計算上、分母が少し大きくなるので、そこで下がるということが毎年これぐらいの時期に起こるわけですが、令和3年度についてはそこからなかなか上がってこないということで、結果的に3月末で82.1%ということで、昨年度末、2年度末と比べてほとんど変わっていないというような形になってございます。
最後に、18ページでございます。
この後発医薬品割合を都道府県別で見たものになっております。一番高いのが沖縄で89.2%、一番低いのが徳島県で78.5%という形。昨年からの伸びも地域によってかなり差があるというような形になってございます。
駆け足でしたが、私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等あればお願いいたします。
では、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
時間が押している中ではございますが、1点要望と1点質問がございます。
まず要望については、今回の資料で令和3年度の医療費について、対前年ではプラス4.6%、対前々年比では1.4%ということが出ておりますけれども、参考資料で見たところ、被用者保険では対前年の医療費の補正後伸び率で8.6%という大変大きな伸びになっております。こういった伸びの理由についてはしっかりと分析のほうをお願いしたいなと思っております。
それから、1点質問でございますけれども、今年度から保険適用になった不妊治療について、4月以降、産婦人科の医療費が相当伸びているというような声が健保組合からも出ております。このことについて、厚労省として状況等を把握しておられれば教えていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 では、お願いいたします。
○中田室長 医療課医療技術評価推進室長の中田でございます。
ただいま不妊治療の保険適用の件につきまして御質問がありましたので御回答申し上げます。不妊治療につきましては、令和4年度からの診療報酬の適用が開始されたところでございますが、不妊治療に係る具体的な算定件数、また、医療費の実績につきましては、現時点ではデータがございません。ただ一方で、体外受精、顕微授精を行う生殖補助医療管理料を届けている医療機関につきましては、7月末時点で600件超の施設となっておりまして、おおむね助成事業と同数の医療機関にて保険診療による不妊治療が始まっているものと承知しております。
今後の具体的な動向につきましては、令和4年度診療報酬改定の答申、附帯決議も踏まえまして、今後、中医協におきまして調査検証を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
○佐野委員 ありがとうございます。
先ほども申し上げましたが、個別健保組合の中には、要は大きく上回っているという情報もございますので、データをよく調べていただいて分析をお願いします。必要であればいろいろな支援策の検討もお願いできればと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
すみません、1点だけ、スライドの17、18にある後発医薬品の伸びですけれども、先ほど少し申しましたように、今の安定供給の基盤が崩れている中にあって、この数字の伸びというか、新たなものを後発医薬品として使う中と、現在、使っている後発医薬品を後発医薬品で維持するだけで精一杯という状態の数字だというように見ておいていただければと思いますので、なかなかここから伸ばすというのは現在の不安定な供給の中では厳しく、このような数字になってしまうということを把握いただければというように思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ほか、ないようでございますので、本日はこれまでとさせていただきます。大分時間を超過してしまいまして誠に申し訳ございませんでした。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参加いただき、また、多様な意見を賜りまして誠にありがとうございました。
それでは、散会いたします。