第122回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和4年9月9日(金)15:00~17:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○山川分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第122回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方には、お忙しい中御参集を賜り大変ありがとうございます。
はじめに、委員の改選があり、障害者雇用分科会の委員に新たに就任された方を御紹介いたします。使用者側代表委員につきまして、本年8月8日付けで塩野典子委員が退任されたことに伴い、富士通株式会社Employee Success本部 人材採用センターマネージャーの鈴木淑子委員に新たに御就任いただいております。一言御挨拶をお願いいたします。
○鈴木委員 御紹介いただきまして、ありがとうございます。富士通株式会社の鈴木と申します。本日より参加させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。本日は倉知委員、小原委員、小西委員が御欠席です。また小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお超しいただいております。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、事務局であります職業安定局に人事異動がありましたので御紹介いたします。堀井高齢・障害者雇用開発審議官、小宅雇用開発企画課長、川端調査官が就任されております。よろしくお願いいたします。
本日の分科会も、Zoomによるオンライン開催になります。開催にあたり、事務局から説明があります。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっておりますので、開催に当たりまして簡単ではございますが操作方法のポイントを御説明申し上げます。本日は、分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際にはサービス内の「手を挙げる」のボタンをクリックし、分科会長の許可があった際に、マイクをオンにして、お名前をおっしゃっていただき御発言いただきますようにお願いいたします。また、会議進行中にトラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。
なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いいたします。説明は以上です。
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとなっておりますので、ご協力をお願いいたします。
本日の議題は、議題1が、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正関係)の諮問について、議題2が、2021年度の年度目標に係る評価及び2022年度の年度目標の設定について、議題3が、その他となっております。では早速、議題1について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。それでは議題1につきまして、資料1に基づいて御説明申し上げます。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(障害者雇用の促進等に関する法律の一部改正関係)の要綱」です。6月に本分科会でお取りまとめいただきました意見書を踏まえて整理しております。まず、第一は「雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化」です。意見書におきましては、障害者である労働者の皆様に対して雇用後もその活躍を促進するために、御本人の希望等に応じたキャリア形成支援の視点も含めて、適正な雇用管理を一層積極的に行うことを求めることが適当であると取りまとめていただきました。これを踏まえて、事業主の責務として、適当な雇用の場を与えるとともに、適正な雇用管理を行うことに加え、職業能力の開発及び向上に関する措置について追記をしてまいります。
第二は、「障害者雇用と障害者福祉の連携の促進」です。本件につきましては、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会の報告書、並びに本分科会の意見書におきまして、適切な支援サービスにつなげる上でのアセスメントの強化と重要性の御指摘をいただいております。これを踏まえて、まず1番目として、公共職業安定所における適性検査及び職業指導等についてです。今般、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律において、新たに就労に関する適性、知識、能力の評価等を行う就労選択支援サービスが創設される方向です。このサービスを受けた方が企業への就職を目指す場合において、職業リハビリテーション機関である公共職業安定所及び障害者職業センターに対して、その評価等の結果の提供があったときは、この結果を参考として適性検査、職業指導等を行うものとするということです。
第二の2つ目は、障害者職業総合センター及び地域障害者職業センター業務の追加です。まず、現行法においても、障害者職業総合センター及び地域障害者職業センターについては、関係機関に対して職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言、研修等その他の援助を行うとされております。
今般、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会においても、基礎的研修の創設、福祉人材等を含めた専門人材の育成強化について進めていくことが適当とされておりますので、こうした中で障害者職業総合センター及び地域障害者職業センターの業務については、雇用・福祉連携の更なる強化と基礎的研修の必須事項の枠組みを設けるという観点を踏まえて、具体的に就労選択支援及び就労移行支援を行う事業者を明記し、その他関係機関に対して研修を行うということですので、「これらの職員に対する」ということを加えた上で、技術的事項についての助言、研修ということを更に明記し、その他の援助を行うこととしていくという考えです。その他の関係機関については、これまでにおいても、例示として明記すると申し上げました就労移行支援を行う事業者あるいは、その他の継続支援事業者、移行支援事業者等、福祉関係の機関を含んでおり、併せて医療や教育といった関係機関を全て含んでいたものですが、先ほど申し上げた趣旨に基づいて具体的に例示するということでございます。
第三は、「障害者の多様な就労ニーズを踏まえた働き方の推進」です。意見書におきましては、職業的自立を促進するという観点から、20時間以上の労働の実現を目指すことが望ましいことですので、引き続き雇用義務の対象は、1週間の所定労働時間20時間以上が適当であるとまとめていただいております。一方で、重度の身体障害者、重度の知的障害者又は精神障害者については、その障害の特性により、特に短い労働時間以外での労働が困難な状態であり、特例的な取り扱いとして実雇用率の算定に加えていくことが適当となっております。これを踏まえて、一ですが、対象障害者である労働者の数の算定、いわゆる実雇用率の算定に当たり、重度身体障害者、重度知的障害者又は精神障害者である特定短時間労働者、これは括弧書きの中に定義をしておりますが、大臣告示で週30時間未満とされている短時間労働者のうち、1週間の所定労働時間が厚生労働大臣の定める時間の範囲内ということで、10時間以上20時間未満と規定した上で、この範囲内の労働者の方から更に、意見書の中でも適当とされておりましたA型事業者によるサービスを利用する方を除きますので、「就労継続支援であって厚生労働省令で定める便宜を供与するものを受けている者を除く」とさせていただいた上で、その一人をもって、厚生労働省令で定める数、いわゆる0.5になりますが、その労働者に相当する者とみなすこととさせていただいております。
二としては、国及び地方公共団体、いわゆる公務の部分についても、一の規定と同様の規定とさせていただくものです。
3ページです。三としては、今御説明した形で、特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にある対象障害者、いわゆる特定短時間労働者につきまして、直接的に雇入れ又は雇用の継続の促進を図るということで、実雇用率の算定をいたしますので、特定給付金の支給については廃止することにさせていただいております。
第四は、「障害者雇用の質の向上の推進」です。一として、納付金関係業務の拡充ということで、新規の助成金の規定を設ける部分です。当分科会の意見書におきましては、まず中高年の長期継続雇用の障害者に対しまして、雇用率制度の中での評価ができないかといった御議論をしていただく中で、一律に困難性を認めてそれを評価するのはなかなか難しいということで、事業主が実施する取組への支援を行うことが適当とされております。また加えて、納付金徴収対象を常用労働者100人以下に拡大できないかといった御議論の中でも、そこを直ちに行うのではなく、ノウハウ不足等によりなかなか取組が進まない中小企業を中心に、その多様性と個別性に対応した伴走型支援を行うことが適当であるとされたところです。
これらを踏まえて、納付金関係業務として、加齢に伴って生じる様々な困難に対して雇用の継続に向けた職場に適用することを容易にするための措置に要する費用、また対象障害者の雇入れ及び雇用の継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する援助の事業に要する費用に対して、新たに助成金の支給を行うこととさせていただいております。
二として、障害者雇用調整金及び報奨金の支給についてです。意見書においては、納付金制度の中における数の評価である調整金等の支給ということから、障害者の雇用の質の向上に向けた事業主の取組を評価していくといった方向性の下で、限られた財源を効果的に運用するために、調整金及び報奨金については一定の場合に減額等を行うことが適当とされておりました。この意見書に基づき、まず一として、調整金の支給に当たり10人超として年間換算して120ということを政令に定め、これを超える事業主につきましては、同様に厚生労働省令で定める金額として2万7,000円の半額、1万3,500円を規定した上で、それを乗じて得た金額を支給することとしております。
また、二の報奨金については、35人超ということで年間換算して420人という数を厚生労働省令で定め、これを超える事業主に対しては、省令で定める額ということで支給を止めるということでしたので、0円と定めることとなります。本減額に係る議論等におきましても、当分科会において効果的な支援の検討に当たってヒアリングを実施することを御示唆いただいておりました。その後、このヒアリング等を通じて、先ほど御紹介した新規の助成金の詳細な部分における制度設計、あるいは既存の助成金についても様々な御要望を頂いておりますし、また報奨金の支給停止についてもいろいろ御意見を頂いているところです。これらについては政省令以下での規定になりますので、国会等の審議も踏まえた上で、政省令以下の規定につきましては、今後、また案を作成して、冬以降に当分科会で御議論いただきたく、お諮りしたいと考えております。
第五の「その他」です。1点目の有限責任事業組合の算定特例については、LLPの全国拡大について御議論いただき、一定の方向が出ておりますので、事業協同組合等算定特例の対象に、有限責任事業組合契約に関する法律に規定する有限責任事業組合を追加するものです。
5ページの二の在宅就業支援団体の要件については、通勤等に困難を抱えておられる方々の選択肢の幅を広げること、併せて、雇用への円滑な移行を進めることが適当であり、その中で在宅就業支援団体を増やしていくことが重要であるということで、意見書としては取りまとめられております。こうしたことを踏まえて、団体の要件として、常時10人以上の在宅就業障害者ということで規定しておりましたが、今般、「常時5人以上」とさせていただくとともに、これに当たり「従事経験者が2人以上」としていましたが、「従事経験者を置くこと」と規定したいと思っております。
三として、その他所要の規定の整備を行うということで、条項ずれについて整備をいたします。
第六は、「施行期日等」です。一の施行期日については、法律全体としては令和6年4月1日施行で考えております。ただし、一部については、1として、第一の責務規定の部分及び第二の二の一の一部で研修等に関わる部分、並びに第五のLLPの部分を対象に追加する部分、そして2として、在宅の要件緩和の部分につきましては令和5年4月1日施行で考えております。2として、第二の一及び第二の二の一部については、総合支援法上の新たに創設される就労選択支援に関わる規定につきまして、交付の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
最後の6ページです。二の経過措置としては、主なものとして特定給付金制度の廃止に伴う必要な経過措置を定めることとしております。令和6年4月1日に法律の施行後に廃止される特例給付金については、令和7年3月31日まで支給することができるといった形での経過措置を置くということです。三の検討規定ですが、今回の法律改正に当たって法律の施行後5年を目途として必要な検討を行うことにしております。法律案要綱としては以上でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。本件については、資料1にありますように、本日付けで厚生労働大臣から、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正関係について諮問を受けております。当分科会としましては、本件について議論を行いまして、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思います。
それでは、質疑応答に入ります。御質問、御意見がありましたら「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、こちらで指名させていただいた後に、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点から、お名前をおっしゃっていただいて御発言をいただくようお願いいたします。それでは、御質問等がありましたらお願いいたします。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 こんにちは。使用者代表の愛知県中小企業団体中央会の山口です。御説明ありがとうございました。資料1について、2点、発言させていただきます。
1つ目は、2ページの第三の「障害者の多様な就労ニーズを踏まえた働き方の推進」についての意見です。今回、1週間の所定労働時間が10時間から20時間以内の労働者を対象とされ、就労継続支援A型が外されました。今後、A型の利用者は適用しない方向に進むと考えられますが、真面目に事業を行っている企業や障害者が不利益を被ることがないようにお願いいたします。
次に、4ページの障害者雇用調整金及び報奨金の支給についての意見です。今回の法律改正において、法律案要綱に記載された項目から、調整金、報奨金のA型事業所への上限や金額の調整を行う点まで示されているかは明確ではないのですが、この点について、具体的には省令等で検討していくことになると思います。意見書では、A型の利用者の扱いについては、実態把握に基づき、見直しに向けて検討していくべきという意見があったと記載されています。今後、上限制の設定や調整金の制限なども議論されていくことになると、実際に経営が厳しい状況になることも予想されます。5月26日の第119回の会議でも申し上げましたが、障害者の一般企業への就労等を促進し、適正な運営をしているA型事業所と、そうでない事業所を区別して検討していただきたいと思います。私の意見は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。この第1の議題の法案改正要綱には基本的には賛成です。その上で、お願いということで意見を述べさせていただきます。
第四の助成金の拡大の問題です。今回、助成金を充実させるということで、新しい類型の助成金が2つ増えることになるかと理解しています。取り分け、その中で新たに障害者を雇用する事業主に対して、障害者雇用についての支援を行うための助成金が創設されることは極めて大きな価値があると思っております。それだけに、その助成金がどういう要件のもとに、どういう事業を主体に助成金が交付されるかという要件のところは政省令に委ねられると思いますが、その際には、その趣旨からして、その要件が厳格にされることなく、その助成金を非常に柔軟に使えるようなものにしていただきたいということが1点目のお願いです。
もう1点は、新たに加わる2つの助成金に加えて、今回の法改正には入ってこないわけですが、これまでの議論の中で、これまでに存在する助成金についても充実するということも、その趣旨に含まれていたかと思いますので、その点も併せて、政省令を考える場合には意識しておいていただくことをお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、次に長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 御説明ありがとうございました。福島大学の長谷川です。私からは、第二の二の所です。内容としては、2ページの最初の所に書いてあることについて、3点の質問があります。大変申し訳ないのですが、先ほど、この部分を御説明のときに電話が掛かってきてしまいまして、急ぎの対応で電話を受けなければならなかったので、既に御説明されていたら大変申し訳ないです。
まず、1点目として、障害者総合支援法に規定する就労選択支援及び就労移行支援を行う事業者というのは出てきてはいるのですが、総合支援法に規定されている就労継続支援のA型やB型、あるいは就労定着支援を行っている事業者というのは、ここで言う「就労支援事業者」に当たるのか、それとも「その他の関係機関」に含まれるのか、どちらに当たると考えていらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。
2点目は、「その他の関係機関」と書かれている所ですが、ここには具体的にどういった機関が含まれると考えてらっしゃるのかを教えていただきたいです。例えば、自治体が独自で行っているような就労支援センターや、なかぽつセンターなど、そういった機関も「その他の機関」に含まれると考えてらっしゃるのかを教えてください。
3点目は、「職業リハビリテーションに関する技術的事項について助言等を行う」ということなのですが、この職リハに関する技術的事項の具体的な中身をもう少し教えていただきたいと思っています。例えば、基礎的研修を、高齢・障害・求職者支援機構がやっていくということになっていますが、そういった研修も念頭に置いているのかどうかも教えていただければと思います。以上、3点です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。3点について、御質問を頂きましたが、事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。御質問いただきましてありがとうございました。まず、1点目の就労選択支援及び就労移行支援、これは今回就労支援事業者として具体的に規定していますが、就労継続支援や定着支援事業を行う事業者については、御指摘のとおり「その他の関係機関」の中に含まれております。
併せまして、2点目の「その他の関係機関」の中には何が含まれるのかという御質問については、広く福祉関係機関を含むものであり、先ほど委員からありましたが、例えば、自治体が行うような就労支援センターも含んでおります。それ以外にも、例えば精神障害の方ですと医療機関との連携も重要になりますので、この関係機関の中に、医療機関やあるいは特別支援学校を含む教育機関なども含めまして、広く関係機関として捉えております。
それと、技術的事項についてですが、職業リハビリテーションに関する技術的事項という意味で言えば、おっしゃっていただいた基礎的研修も、もちろんここに含まれるものになってきますが、そのほかにも、例えば、各地域で行われているような、職業評価やアセスメントなどの技法やツールの使い方といった非常に細かな運用の部分も含めて、技術的事項と捉えております。御質問のお答えとしては以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 すみません。障害者雇用対策課長の小野寺です。もう1つ、質問として、障害者就業・生活支援センターが入るのかについてですが、障害者就業・生活支援センターについては別途条文上に規定がありますので、「その他の関係機関」には含まれておりません。障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法上の位置付けがありますので、それに基づきまして、この業務の部分についても、障害者就業・生活支援センターとして明記しております。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、よろしいでしょうか。
○長谷川委員 はい、丁寧な御説明をどうもありがとうございました。この規定があることで雇用と福祉の連携が、ますます進むことになると期待しています。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、続きまして新田委員、お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明ありがとうございました。資料1で示された法律案要綱については、各委員からの様々な意見を集約した意見書に沿った内容と理解しております。したがいまして、この内容で異論はありません。その上で、例えば短時間労働者の雇用率の算定や、調整金・報奨金の支給に関する改正事項については、企業実務への影響が非常に大きいと考えております。したがいまして、できるだけ早期に詳細を詰めて、企業等への周知を是非徹底していただきたいと思います。
加えまして、今後、新設される助成金についてです。今回の意見書の内容を踏まえて、調整金の減額等の影響を受ける企業からは、助成金がどういった内容になるのかという複数の問合せを頂いております。具体的な内容については、今、厚生労働省で様々なヒアリング等をされていると承知しております。引き続き、ヒアリング等を是非行っていただいて、企業の多様なニーズにしっかりと応えられる有益な助成金となるように検討をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側、連合の冨高でございます。事務局から示されました法律案要綱は、意見書の内容が適切に反映されていると考えております。その上で、この間も申し上げてきました通り、週20時間未満の短時間雇用については、本人の意向を踏まえ、週20時間以上にスムーズに移行するために支援策を充実させていくことや、また企業等のニーズに基づいた各種助成金の充実等は重要だと考えておりますので、今後の障害者雇用施策の着実な推進に向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
また、今後、詳細も含めて検討していく部分もございますが、改正内容や趣旨をしっかりと事業主や障害者本人、関係機関などに対して理解・浸透を図ることが重要であるため周知徹底を図って頂きたいと思います。加えて、法改正後の実態や課題を適宜把握し、必要な対応を常に検討していくことも重要だと考えますので、その点も是非ご対応をお願いいたします。法律案要綱の内容については、適当と考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はございますか。よろしいでしょうか。有益な御意見、御示唆を頂きまして大変ありがとうございました。頂きました御意見は、今後、法律が通った場合において改めて審議する省令についての中身に関わること、それから今後の運用等に関わることがご意見として出されたものかと思います。この法案要綱自体については、特段のご異議はないようでしたので、当分科会としては、厚生労働省案を「妥当」と認めて、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告したいと考えておりますが、このような方向でよろしいでしょうか。御意見等はございますか。御意見がありましたら、先ほどと同様の方法でお名前をおっしゃって御発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案を表示)
○山川分科会長 もう少し大きくお願いします。
ただいま表示されております報告文案により、労働政策審議会会長宛に報告をすることでよろしいでしょうか。御異議がありましたら、先ほどと同じような方法で御発言いただきますよう、お願いいたします。
(異議なし)
○山川分科会長 それでは、このように報告をさせていただきたいと思います。この後、労働政策審議会会長宛に報告した後に、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申するという運びになります。
それでは、議題2について事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題2について御用意しております資料は、資料2-1から資料2-3の3点です。2021年度の目標に係る評価につきましては、資料2-1を用いて説明します。併せて、2022年度の年度目標につきましては、資料2-3を中心に説明いたします。
資料2-1です。障害者雇用分科会における2021年度目標の評価について(案)としております。目標につきましては3点あります。1点目は、ハローワークにおける障害者の就職件数についてです。2021年度の目標につきましては、前年度は89,840件が実績でしたので、それ以上ということで設定しました。昨年度末の2月に、中間評価をした際にも申し上げたとおり、89,840件というのは、コロナの影響を多大に受けました2020年度の実績でしたので、目標設定自体が低いと御指摘いただいた中で、運用としては限りなくコロナ前の2019年度の実績を目指していくということで事業運営してまいりました。結果として、2021年度の実績は96,180件でした。
「分析」の所の1つ目のマルの2行目にありますように、対前年比では7.1%増でしたけれども、コロナ禍前である2019年度の実績(103,163件)には及ばず、6.8%減少ということで、まだ引き続きコロナ前の状態には戻っていないということです。ただし、対前年度比で7.1%増でしたので、一定の評価ができるのではないかと思っております。
2つ目のマルにありますように、対前年度比で7%以上増となった主な理由としては、新規求職申込件数の回復というのが大変大きな要因かと思っております。特にコロナ禍におきましては、精神障害の方を中心に新規の求職申込件数が急激に減少しました。また、新規求職登録をした求職者の方も、求職活動の維持が難しかった状況にありました。そこからすると、対前年度比では5.7%増ということで、新規求職者については、コロナ禍前に戻っている状況になっています。ただ一方で、求人数につきましては、特に障害者の就職先として大きな受皿となっている製造業、あるいはサービス業について、対前年度比では伸びてきておりますが、コロナ禍前にはまだ戻っていないということで、この辺りが最終的に10万件を達せなかった1つの要因ではないかと考えています。
3つ目のマルですが、こうした中でも、チーム支援を中心に、特に手元にある求人に対して、求人者と求職者双方に対しての条件緩和指導等を行いながらマッチングに務めたということと、一番下のポツになりますけれども、昨年度から引き続き今年度も、労働局の担当者のヒアリングを行っておりまして、ページが変わりますが、それが取組として大変効果を上げているということもある中で、そういった取組につきまして事例として共有化を図っていくことを引き続き実施してまいりたいと思っております。
2つ目の障害者雇用率関係につきましては、本年6月1日の状況を調査中です。このデータが確定した段階で、改めて評価をお願いしたいと思っております。
3つ目、精神障害者雇用トータルサポーター支援実績です。この件については、2つの目標を設定しております。精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を、この支援期間は3か月としておりますが、終了した者のうち就職に向けた次の段階、例えば訓練を受講するとか、具体的に求人に応募するといったこと、あるいは実際に就職できたという方を含めて割合を出しております。2021年度目標(72.8%以上)に対して78.7%ということで、結果としては目標を大きく上回っております。
2点目としましては、精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了し、先ほど申し上げた次の段階に移行した人のうちの就職した方の割合ということで、目標84.3%以上に対しまして、若干ですが、84.5%ということで目標を達成しております
3ページに、少し分析的に書いてあります。全体として目標を2つともクリアできましたが、前年度のコロナの状況下において職場実習ができなかったというのが、非常に大きな実績低減の要因であった中で、実習ができない中であっても、ナビゲーションブックや就労パスポート等のツールを通じて、御自身の障害の理解や課題の整理をしていただくとともに、御自身のアピールや希望する配慮などをきちんと事業主に伝えるようなことで後押しをしたということ、あるいは企業の皆様方に対しましても、雇用に向けての受入体制の整備などを御支援し、全体として目標を達成した状況にあります。ただ、全体として目標を上回ったものの、各局の状況を個別に見ますと、実績がふるっていない局もあり、その中においては、そもそも精神障害者雇用トータルサポーターが3か月集中的に支援をして就職を目指すというような段階に、まだ達していないような疾病の症状であったり、あるいは薬のコントロールなどができていない方までも支援対象に入っていたという局も散見されます。こうしたことについて御本人と、この支援メニューにつきまして、きちんと意思確認を徹底するような形で、今年度は運用してまいりたいと思っております。事業の評価につきましては以上です。
引き続き、資料2-3に基づいて今年度の目標値の確定をしたいと思います。資料2-3にありますように、今申し上げた3つの目標について、左側が昨年度の年度目標と実績です。これを踏まえて、2022年度の目標ということで案を示しております。
就職件数につきましては、前年度の就職件数以上ということで、今まで目標をおいております。その結果として、先ほど申し上げましたように96,180件ということで、2021年度の目標につきましては達成しております。本来は、これを2022年度の目標値において96,180件以上とするわけですけれども、中間評価のときや、先ほども申し上げましたとおり、もともとコロナ禍前に戻すということで前年度は取り組んできましたので、2022年度の目標につきましては、コロナ禍前の2019年度の実績の103,163件以上ということを目標において取り組んでいきたいと思っております。
それから、2点目の雇用率関係に係る目標は2つあります。1点目は、雇用率達成企業割合です。本件については実績調査中ですが、2020年度の目標につきましては、雇用率達成企業割合、10年間のアップ率の平均を出して、これが1.5%ということになっております。これと、本年6月1日に把握した雇用状況報告に基づく雇用率達成企業割合を足して、2022年度の目標とさせていただきます。
それから、2つ目の雇用ゼロ企業のうち新たに障害者を雇用した企業の割合ということで、いわゆるゼロ企業脱却割合です。2021年度目標が15.2%以上ということで、基本的には3か年平均という考え方で目標値を設定しております。実績については調査中ですが、2022年度の目標につきましては、2020年度の実績、以降3か年平均ということになりますが、2020年度実績については、2月の中間評価のときに報告しましたとおり、実績が12.5%ということで、かなり低い数値になっております。これは、そのときにも申し上げましたが、コロナ禍にあって事業所訪問もほとんどできなくて、直接的な事業所指導ができなかったというのが大きな要因だということを報告申し上げております。2020年度、コロナ禍の影響下にあった12.5%を含んだ3か年平均としますと14.1%ということで、2021年度の目標を下回るようなことになってしまいますので、今回については、2021年度の目標であります15.2%以上を、引き続き今年度も目標として取り組んでいきたいと思っております。
最後は、精神障害者雇用トータルサポーターの支援実績に係る目標です。マルイチとして、次の段階に移行した者の割合についても、3か年平均で目標をおいています。2021年度につきましては、目標を達成しておりました3か年平均という考え方に対し、2022年度の目標を75.6%以上としたいと思っております。
それから最後にマルニとして、そのうち就職した者の割合ということですが、2021年度については84.3%以上ということで取り組んできました。これも3か年平均ということで目標を出しておりましたが、やはり2020年度はコロナ禍にあり、就職の割合が80.9%という実績で非常に低くなってしまいました。これを入れて3か年平均を出しますと、83.7%ということで、2021年度目標を下回りますので、2022年度の目標については、2021年度目標の84.3%以上を、引き続き目標として設定し、取り組んでまいりたいと思っております。
今、御説明しましたとおり、2022年度の目標については、コロナ禍の影響を受けた2020年度の実績を含むため、通常ベースでの3か年平均で目標を出しますと、2021年度の目標を下回ることもありますので、そういった場合には2021年度の目標をそのまま今年度も目標として設定するといったこと、あるいはハローワークの就職件数につきましては、コロナ禍前の実績以上ということで行うということで、コロナの影響を踏まえて多少変則的な考え方になりますけれども、以上説明したとおりの目標設定で運営してまいりたいと思っております。以上、よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、この件についての質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、こちらで指名させていただいた後に、お名前を名乗って御発言をお願いいたします。御質問等はございますか。門﨑委員、どうぞ。
○門﨑委員 労働側の自治労の門﨑です。御説明ありがとうございました。御説明いただきました通り、コロナ禍の影響で支援が一定制限される中で、障害者の新規求職申込み件数や就職件数が全体的に少しずつ改善傾向にあります。今後もコロナ禍の影響が続くと思いますが、法改正の趣旨等を踏まえた障害者雇用ゼロ企業の属性に基づいたチーム支援や、企業ニーズを反映した支援策の強化、また、障害者への特性や希望を踏まえた就労支援を連動させながら、各種目標の達成に向けて、引き続き取組をお願いしたいと思います。
また参考資料4を参照すると、精神障害者の就職件数が対前年比13%と伸びており、精神障害者の雇用トータルサポーターを中心にした支援の結果と理解しております。その上で、就労後の職場への定着も重要なものであり、引き続き、定着支援の充実を図っていただくとともに、参考指標に定着率の記載をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日視連の竹下です。2点、発言させていただきます。結論は、この目標でいいと思います。その上でのお願いなのですが、まず1点は、障害者の雇用を拡大していく過程で、数字だけを追いかけるのではなく、あるいは率だけを追いかけるのではなく、問われるのは、実質的な雇用の質であったり、あるいは個々の障害者に対する支援の内容だと思っております。そういう意味では、合理的配慮の提供であったり、あるいは助成金による十分な支援というものを意識しながら、この目標を達成できるようにするということが大事だと思いますので、常に目標が目的化されるのではなくて、その目標達成のための中身としての合理的配慮の提供や、助成金の充実ということに意識を置いていただくことをお願いしたいというのが1点です。
もう一点は、この間の障害者雇用数の伸びは、ほとんどがと言っても言いすぎではないぐらい精神障害者の伸びによって数字が満たされているという実態だと思っております。そのこと自体は決して悪いことではないのですが、別の言い方をすれば、身体障害者や知的障害者の伸びがどうなっているかということが大事だと思っております。なので、今年の61調査からは、障害種別、障害部位別の就労数の実態も見えてくるわけですので、他方で、ハローワークにおける就職における障害別も、既に障害別の所で発表されていることを踏まえますと、今後の目標設定においては、そうした障害種別の所の実情をも意識した実績報告であったり、目標設定ということもお願いしておきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では中川委員、お願いいたします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。年度目標の項目について、意見を申し上げたいと思います。目標の3つ目に、精神障害者雇用トータルサポーターの支援の終わった方、終了者の就職についての数値が掲げられていると思いますが、ほかの2つの目標と比べて、本質的な目標と言えるかは少し疑問があります。確かに、雇用トータルサポーターの支援を終了した人のうち、大体、最終的に3人に2人ぐらいが就職に至っていて、その成果が非常に大きいと理解しております。ただ、雇用トータルサポーターを利用して就職した者というのは、今回の資料からすると7,900人ぐらいで、精神障害者全体の就職者数というのは、令和3年で大体4万6,000人ぐらいとなっているかと思いますが、2割にも満たないわけで、17%ぐらいです。そういうこともありますし、精神障害者の就職率は、今お話があったように、そんなに悪くないわけですよね。令和3年でいうと42.4%ぐらいということで、身体障害者よりも率が高いわけです。そういうことを考えると、就職に至ったとか次の段階に至ったとか、そういうことを数値目標にするのは余り適切ではないような気がいたします。
精神障害に関して何か目標を設定するとすれば、先ほど門﨑委員からも御指摘がありましたが、精神障害者は、この分科会でも何回か話題になっていますけれども、就職はできるけれども定着がよくないということです。大体、半年たつと定着率が60%ぐらいまで低下してしまうということがJEEDの研究でも言われているわけですが、定着率に関して、今回は難しいとしても、今後、何か目標を設定する方向で考えていただければと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、山口委員、どうぞ。
○山口委員 使用者代表、愛知県中小企業団体中央会の山口です。意見を述べさせていただきます。まず、説明ありがとうございました。2022年度の障害者雇用の目標について、全体としてコロナ前の水準に戻すことを目指して設定されており、各目標値については異論はございません。
資料2-1の2ページにある精神障害者雇用トータルサポーター支援実績について、3ページの一番上の○に当たる職場実習が制限されたことは、大きな問題であったと認識しています。事業は、そのような中でもしっかり行えたとのことですが、職場実習は障害者の受入れ時に、この仕事はできそうだという判断基準を行うものであります。今後も是非、職場実習を活用して支援を行ってほしいと思います。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明ありがとうございました。ハローワークにおける障害者の就職件数について、2021年度の実績は目標を達成しているとのことでした。そこで2022年度については、コロナ前の水準を目指す目標を設定するということで非常に良いと思います。是非、その達成に取り組んでいただければとのエールを送らせていただきたいと思います。
その上で、ハローワークの活動に関して申し上げます。企業の担当者からは、障害者の採用に積極的に取り組んでいきたいのだけれども、なかなか自社に適した人材が見つからないという声が非常に多く聞かれているところです。以前、本分科会で申し上げたところですが、その背景には、地域によって障害者が偏在している、あるいは産業構造が異なるといった様々な問題があるかと思います。厚生労働省におかれましては、障害者採用に取り組んでいる企業が直面している課題等を是非御認識いただいた上で、ハローワークにおけるマッチング機能の更なる強化に是非取り組んでいただき、少し高めの年度目標の達成に取り組んでいただければと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。事務局から、何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。目標設定の考え方について、特に定着率等の設定ということだったり、定着率についての記載ということでの御意見を賜っております。定着率については、ハローワークでの職業紹介、適格紹介におけるマッチングの効果ということの一指標であることは、もちろん間違いないかと思いますが、ただ一方で、その後の職場環境や御本人の状態など、様々な要因の影響も多々あると思われる中で、これをダイレクトに目標として設定することについては慎重に検討したいと考えているところです。少なくとも定着率のデータについては、広く把握して共有させていただきたいと思っております。
それと、竹下委員からありました目標設定に当たっての障害種別の取扱いも、全体としての職業紹介というとらえ方で、障害種別に限っての職業紹介というとらえ方はなかなか難しいかと思っているところです。いずれにしても障害種別の状況、それから今回、御意見があったように、61調査の中で部位別のものが把握できるようになってきますので、この辺りのデータも見ながら、どういったことができるかを引き続き検討していきたいと思っております。
最後に、新田委員からありましたが、地域においてはなかなか人材の確保が難しいというお話について、当然ハローワークとしても、今後しっかりと、そこを御支援したいと思いますが、企業側にとっても、間口の所で自社に適した人材ということで、比較的狭い範囲での人材確保にとどまることのないよう、行政側も必要なノウハウの提供であったり、御本人の強みの引き出し等での御支援もしなければいけないと思って、お聞きしておりました。併せて、テレワークの推進も通じて、首都圏部と地方をつなぐ形でのマッチングについても、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見は、委員の皆様方からございますか。下屋敷委員、お願いいたします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。ちょっと、その他的な発言で大変恐縮なのですが、障害者手帳取得者というのは、全国各地で非常に普及しているのです。これは、単一取得もありますし、発達障害とか、手帳を精神で取るとか、それが非常に顕在化してきたという要素があると思っているのです。私も参加させていただいて、ハローワークとか、トータルサポーター支援というのは、そこで頑張っているところを、何かのメッセージに、ちょっとしたものでもいいのですけれども、これだけ皆さんで頑張っているところを、DVDでもいいのですが、研修材料として、啓発として何か作ってもいいのではないのかなという感じがいたしました。
といいますのは、精神疾患についての記述が高校の教科書の保健体育に、この4月から高校1年生の教育として保健体育の科目で、全国で始まっているわけですよね。ですから、そういう意味でも精神障害の場合、いろいろなデリケートな問題もありますし、体調管理もあるのですが、関係者の方がこれだけ頑張っているというようなことの中で、トータルサポートセンターの紹介とか、要は社会参加等のいろいろなものも含めて、何かメッセージ的なものを、厚労省でDVDか何かを作ってもいいのではないかなと。労働政策の一つとして、そんな感じをちょっと受けたものです。勝手な感想で申し訳ございませんが、以上です。
○山川分科会長 有益な御提案をありがとうございました。事務局から何か、ありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。下屋敷委員、御意見をありがとうございました。そのような形で、障害がある方であっても、きちんと活躍していける社会ということのメッセージ性という意味で、いろいろな事例の御紹介とかといったことで、何ができるかを検討していきたいと思います。来週ですが、活躍されている方を中心とした障害者の優良表彰等ということで、障害者雇用支援月間に当たって、大臣表彰などもさせていただいております。この中では、実際に働いておられる障害者の皆さん、10年以上、御活躍されている方が大多数ですが、表彰させていただいたりということで、そのような機会も通じて、今おっしゃっていただいたような趣旨も踏まえて、引き続き何ができるか検討していきたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はございますか。では特段、更に追加の御質問、御意見がなければ、種々の御要望あるいは今後の検討課題の御指摘を頂きましたが、2021年度の年度目標に係る評価、それから2022年度の年度目標については、先ほど説明のありました事務局案のとおりとさせていただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、そのように取りまとめさせていただきます。
では、議題(3)について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。「その他」としては、本日、参考資料4、5ということで、プレスリリースの資料を2つ御用意してあります。参考資料4のほうは、令和3年度のハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめです。本件については、主に議題2の中で御紹介した中身ですので割愛いたしますが、一部だけ共有させていただきます。参考資料の17、18ページに障害者の解雇者数の状況を載せております。17ページの上のほうの表ですが、年度で見ますと、令和元年度、令和2年度で2,000件台に乗ったということです。これはコロナの影響も多々あったかと思いますが、令和3年度は1,656件ということで、比較的落ち着いてきました。本来であれば、1,000件台前半ぐらいが望ましいかと思います。ただ、下のほうの月別で見ても対前年度比でマイナスが続いている状況なので、コロナの影響が全くないというわけではありませんが、比較的落ち着きを見せているということで、御紹介申し上げておきます。
もう1つが参考資料5です。「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和3年度)」の公表です。「集計結果の主なポイント」という四角囲みを御覧いただきたいと思います。簡単に御紹介申し上げます。令和3年度については、ハローワークに寄せられた相談件数全体が244件でした。全体として見ると、傾向は大きく変わっておらず、0.8%の微減です。ただし、内訳を見ますと、障害者差別に関する件数が減っている一方で、合理的配慮の提供に関する相談が増えているといった状況にあります。現場等の感覚で申し上げますと、おおむね差別禁止について、あるいは合理的配慮の提供の義務について認識が浸透してきている中で、やはり合理的配慮のほうは個別性が非常に高いものですから、認識が広がってきたからこそ、相談件数が上がってきているのではないかと考えております。
2つ目のポツですが、公共職業安定所が行った事業主への助言件数は9件ということです。本件については前年度が54件ということで、数が非常に減っているように見えますが、令和3年度からは「法違反に係るものの助言」ということで、数値の取り方を変えておりますので、9件となっております。
最後が3つ目、4つ目のポツで、「労働局長による紛争解決の援助申立受理件数」、併せて「障害者雇用調停会議による調停申請受理件数」です。それぞれ前年度と比べて増減はありますが、当事者たちがどちらを選ばれるかということで、方策として2つ用意されているということで、2つを足し上げた件数で言うと、ほぼ横ばいという形になっており、大きな傾向の変更はないかと思っております。
それから、令和2年度分の実績の公表の資料を当分科会で御説明申し上げた際に、相談内容の内訳や相談の結果がどうなったかを、しっかりと提示すべきという御意見を賜っておりました。それを踏まえ、今回、添付資料の4、5ページの分類で整理をしております。4ページの図表3が、「障害者差別に係る相談内容」です。複数回答ですが、最も多かったのは、「配置」に関するものが20.6%、次いで、「募集・採用時の差別」が16.2%、続いて「賃金」が11.8%でした。また、図表4の合理的配慮に係る相談内容については、「障害理解に関するもの」が4割弱で、非常に多かったです。これに次いで、「相談体制の整備やコミュニケーションに関するもの」が18.6%、続いて同率ぐらいですが、「作業指示・作業手順」または、「作業負担や移動負担」に関するものでした。これも重複回答を可としておりますので、障害の理解が十分であれば、作業指示や作業負担の軽減の配慮につながったのではないか、あるいはコミュニケーションを十分取っていればクリアできる問題もあるのではないかということが推察されるデータとなっております。
最後に5ページの図表5です。「相談後の状況」ということで整理をさせていただきました。先ほど御紹介したように、法違反に基づく助言が9件でしたが、この円グラフで言いますと、イの「法違反に基づく助言等」が3.7%です。それ以外の大部分ですが、1つは「相談のみで終了」が41%でした。併せて、アの法違反ではない一般的な事業主指導に基づく助言等が45.9%で、ほぼ解決しているので、やはり障害者御本人と企業側の十分なコミュニケーションのすり合わせがあれば、より一層相談件数自体は減ってくるのかというところで、コミュニケーションの重要性がうかがわれる資料となっております。
このような形で毎年公表することも併せて、61の報告書送付の際に、事業主の皆様には関係するリーフレットを同封したり、自己点検チェックシートということで様々な取組が適切に行われているかという確認を行っていただいたり、引き続き取り組んでいきたいと思っております。また、ハローワークにおいても、紹介に際しては必要な合理的配慮について、事業主の皆さんにお伝えするとともに、御本人に対しても、雇用後も必要な合理的配慮について求めるという意識づけをさせていただきながら、今後も的確な業務実施に取り組んでまいりたいと考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 それでは、この件についての質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。参考資料5は非常に貴重な集計結果、ないしは、その分析だと思っております。差別事例もそうですけれども、取り分け合理的配慮の提供の内容であったり、件数であったりというのは、今後、障害者雇用を広げていったり、一般社会に知っていただく上では極めて有用な材料だと思っております。それだけに今後も、こうした合理的配慮の提供の好事例をどんどん集めていただくというか、情報として集約して発表していただくことをお願いしたいというのが1点です。
併せて、今回の分析で私が非常に大事だと思ったのは、合理的配慮のときで、コミュニケーションの部分があります。我々視覚障害者や聴覚障害者、場合によっては知的障害者も含めてそうなのでしょうけれども、コミュニケーションに対する支援というのが極めて重要だと思っているわけです。障害者雇用促進法の改正によって、差別の禁止と合理的な配慮が明記された時点で、ガイドライン、指針が作られているわけです。そのときにコミュニケーションの支援がどれだけ意識できていたかということを今、私は痛感しております。そういう意味では、指針を作ってから相当長い年数がたっていることを含めて、合理的配慮の提供等のガイドラインの見直しも今後、検討していただくことをお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では山内委員、どうぞ。
○山内委員 使用者側の山内です。私も意見です。今、竹下委員からお話があったことと同じ内容です。資料5は、分析結果を非常に表していただいて本当に有り難いと思いました。我々の企業もいろいろな施策を講じているのですが、例えば今回、コロナによって改めて知らされたのは、視覚障害の従業員の方が在宅勤務になった場合に、出社していれば周りのサポートができたものが、自宅で仕事をすることで、例えば画面上、プルダウンのようなものを操作するような場合、システムの作りが視覚障害の方には操作が分からない作りとなっていて、出社していれば周囲の人がカバーできたものが在宅勤務ではで申請業務などできなくて困ったことが初めて分かりました。
実を言うと、こういう意見が従業員から上がって、初めて「ああ、そうか」と。我々も、時代や状況の変化に応じて、やはりコミュニケーションの機会を増やしていかなければいけないなと改めて感じさせられた次第です。したがって資料5のような、このようないい事例があるというのを共有していただけると、いわゆる活動企業でのコミュニケーションに役立てられるのではないかと感じました。引き続きお願いしたいという意見です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。では長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 御説明ありがとうございました。福島大学の長谷川です。私も、参考資料5については、どういったことが相談されているのかを知りたいということをお願いし、調べていただいて、大変参考になると感じています。また、竹下委員がおっしゃったように、この中身を踏まえて、確かに合理的配慮指針や差別禁止指針も含めてかもしれませんけれども、実態を踏まえて指針内容をもう一度見直すというのは非常に有効なことだと感じましたので、今後の検討課題にしていただければと思います。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 育成会の大谷です。私もこれを見て、「あっ」とは思いますが、今は合理的配慮について各県や市町村で条例等を制定している場所もかなり増えてきています。ただ、それがどの程度広がっていくのかという問題も、この中で見えてくるのではないかと思います。こういういい事例でこういうようにしたというのを、ここだけでとどめずに、バックしていただいて、各県や市町村の労働場所等に要望を提供していただき、これがもう少し広がっていくように、合理的配慮が進んでいくような体制を取っていただければ、もう一歩進むのではないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。確かに、実態の把握、今後の課題の検討あるいは実施等について、非常に有益な内容のデータが出てきたのではないかと、私としても思っております。ないようでしたら、本日予定されていた議論は終了となります。閉会に当たりまして、田中職業安定局長から一言御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○田中職業安定局長 職業安定局長の田中でございます。本日は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正関係)要綱」に係る諮問に対し、答申を頂きましてありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
「今後の障害者雇用施策の充実強化」については、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会の報告書や令和元年改正法の施行後3年を目途とした検討規定等を踏まえ、昨年11月以降、当分科会において御議論いただき、本年6月に意見書として取りまとめていただきました。
本日、御答申いただきました法律案要綱は、この意見書を踏まえたものであり、障害者の雇用の場の確保に加えて、障害者が個々に持てる能力を発揮して生き生きと活躍し、その雇用の安定につながるよう、障害者本人、事業主、関係機関が協力して障害者雇用の質を向上させるという観点等から法的整備を行うものです。本日の答申を受けまして、早速、法律案を取りまとめ、早期に国会に提出できるよう準備を進めてまいります。
最後に、各委員の皆様には、今後も引き続き御指導、御助言を賜りますようお願い申し上げます。本日は、どうもありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、これで本日の障害者雇用分科会は終了とさせていただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○冨安障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。次回の日程については、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。終了いたします。